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1984/06/13 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第17号
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1984/06/13 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第17号

#1
第102回国会 地方行政委員会 第17号
昭和六十年六月十三日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 高鳥  修君
   理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君
   理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君
   理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君
   理事 柴田  弘君 理事 岡田 正勝君
      伊吹 文明君    榎本 和平君
      大村 襄治君    工藤  巖君
      小杉  隆君    坂本三十次君
      中川 昭一君    長谷川 峻君
      松田 九郎君    山岡 謙蔵君
      五十嵐広三君    小川 省吾君
      佐藤 敬治君    細谷 治嘉君
      山下八洲夫君    小谷 輝二君
      駒谷  明君    吉井 光照君
      藤原哲太郎君    経塚 幸夫君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     古屋  亨君
 出席政府委員
        警察庁刑事局保
        安部長     中山 好雄君
        警察庁警備局長 柴田 善憲君
        自治大臣官房長 津田  正君
        自治大臣官房審
        議官      井上 孝男君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省行政局公
        務員部長    中島 忠能君
        自治省財政局長 花岡 圭三君
        消防庁次長   坂  弘二君
 委員外の出席者
        人事院事務総局
        職員局補償課長 渡辺 俊男君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   津野  修君
        国税庁直税部法
        人税課長    加藤 泰彦君
        文部省体育局学
        校給食課長   小西  亘君
        労働省労働基準
        局労災管理課長 松本 邦宏君
        労働省労働基準
        局安全衛生部環
        境改善室長   北山 宏幸君
        自治省行政局公
        務員部給与課長 池之内祐司君
        地方行政委員会
        調査室長    島村 幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十二日
 辞任         補欠選任
  大村 襄治君     浜田 幸一君
  山下八洲夫君     田中 克彦君
  小谷 輝二君     伏木 和雄君
同日
 辞任         補欠選任
  浜田 幸一君     大村 襄治君
  田中 克彦君     山下八洲夫君
  伏木 和雄君     小谷 輝二君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     榎本 和平君
  細田 吉藏君     伊吹 文明君
  宮崎 角治君     駒谷  明君
同日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     細田 吉藏君
  榎本 和平君     江崎 真澄君
  駒谷  明君     宮崎 角治君
    ―――――――――――――
六月六日
 町村の下水道事業に対する地方財源の充実に関
 する請願(箕輪登君紹介)(第五二四一号)
 同(宮下創平君紹介)(第五三一五号)
 同(若林正俊君紹介)(第五三一六号)
 同外三件(上村千一郎君紹介)(第五三四五号
 )
 同(鍵田忠三郎君紹介)(第五三四六号)
同月十一日
 町村の下水道事業に対する地方財源の充実に関
 する請願(愛知和男君紹介)(第五四一六号)
 同(奥野誠亮君紹介)(第五四七一号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第五四七二号)
 同(坂本三十次君紹介)(第五四七三号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第五四七四号)
 同(大西正男君紹介)(第五四九〇号)
 同(葉梨信行君紹介)(第五四九一号)
 同(山本幸雄君紹介)(第五四九二号)
 同(工藤巖君紹介)(第五五四六号)
 同外一件(倉成正君紹介)(第五五四七号)
 同(三ッ林弥太郎君紹介)(第五五四八号)
 同(渡部恒三君紹介)(第五五四九号)
 同(渡辺省一君紹介)(第五五五〇号)
同月十三日
 町村の下水道事業に対する地方財源の充実に関
 する請願(佐藤信二君紹介)(第五五七九号)
 同(野中広務君紹介)(第五五八〇号)
 同(三ッ林弥太郎君紹介)(第五五八一号)
 同(三原朝雄君紹介)(第五五八二号)
 同(山崎武三郎君紹介)(第五五八三号)
 同外二件(愛知和男君紹介)(第五六八一号)
 同(稻葉修君紹介)(第五六八二号)
 同(奥田敬和君紹介)(第五六八三号)
 同(河村勝君紹介)(第五六八四号)
 同外一件(野中広務君紹介)(第五六八五号)
 同外一件(葉梨信行君紹介)(第五六八六号)
 同(平林鴻三君紹介)(第五六八七号)
 同(堀之内久男君紹介)(第五六八八号)
 同(三ッ林弥太郎君紹介)(第五六八九号)
 同(村岡兼造君紹介)(第五六九〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出第七一号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。
#3
○安田委員 それでは、ただいま議題となりました法案につきまして質疑を行いたいと存じます。
 まず初めに、地方公務員の公務災害件数というのは、統計をいただきますと、ここ数年年間大体三万二千前後というような件数であります。そこで、この災害の主なものは一体何でしょうかということをお聞きしたいと思います。
#4
○中島(忠)政府委員 公務災害の認定件数は、先生がただいまお挙げになりましたように、五十八年度で申し上げますと三万一千六百二件となっております。
 その内訳でございますけれども、負傷によるものが二万九千四十件、認定事由別にこれを見ますと、自己の職務遂行中というものが圧倒的に多くて二万八百十二件、訓練中というのが四千五百十三件、出張中または赴任途上というのが二千百三十七件、レクリエーション参加中というのが九百三十一件になっております。
 疾病によるものは二千五百六十三件でございまして、認定事由別に主なものを拾い上げますと、公務上の負傷による疾病が二千四十四件、職業病が八十二件、その他公務起因性の明らかな疾病のうち皮膚炎というのが七十八件、腹部の臓器疾患が七十件、目の疾患が六十二件となっております。
 概要を申し上げますと、以上になります。
#5
○安田委員 災害の発生のうち職種別といいましょうか、例えば義務教育職員ですとか警察職員ですとか、あるいは消防職員、清掃事業の職員、こんなような関係統計から見ますと、清掃ですとか警察、大体こういう関係は非常に件数も多いのでございます。
 さて、災害発生の高い職種というのは、例えば清掃関係というのは災害などもかなり高いのだろうと思いますし、その他もありますが、そこらあたり実態を正確に把握するという点からしますと、職種関係の区分を小さくして何かわかりやすく災害統計等を出す方法はないでしょうか、その点をちょっとお聞きします。
#6
○中島(忠)政府委員 先生がお話しになりますように、私たちは仕事をする過程におきましていろいろなサイドから実態調査を試みております。ただ、基本的には公務災害補償という仕事を首尾よく実施いたしますために、その基礎資料とする観点から、先生も既に御存じのように、災害補償統計を出しております。そういう災害補償統計以外にも、今先生がお話しになりましたような必要性を私たちも認めまして、いわゆる職業病の疾病別の公務上の認定状況とか、あるいは給食調理員とか保母とか看護婦等の特定職種に係る特定の疾病別の公務上認定状況というものも出しております。それ以外にも災害発生度の高い職種につきましては、公務災害補償という観点からいろいろな統計を出しておりますけれども、こういうような職種につきまして、先生が恐らくねらっておられるのだろうと思いますけれども、公務災害を事前に防止するという観点から役に立つものをつくれ、こういうようなお話だと察しいたします。
 そういうことにつきましては、私たちの方も基金と協力いたしましていろいろ役に立つ資料もつくってまいりましたし、これからもつくらなければならないと思いますけれども、ただ、それぞれ専門の職種、例えて言いますと、保母さんにつきましては厚生省の方の実態把握が我々よりすぐれておりますし、そういう観点からの調査というものもございます。また、先般議論がございましたように、養護学校関係につきましては文部省の方の調査というものも期待しなければならない。そういうような各省それぞれの主管省の調査というものも私たち眺めながら、どういう調査をするのがいいのかという横引きの線引きといいますか、そういうような問題意識も持ちながらこれからの調査というものもまた考えてまいりたいと思います。
#7
○安田委員 部長は、こちらが大体どういうことを考えておるか判断していただいて御答弁いただきました。ぜひひとつそこらは各省との連携を綿密にされまして、災害防止等に役立つ適切なデータ等をつくっていただきたい、そして与えていただきたいと思います。
 そこで、公務員の場合に公務災害とされないケースがあるのではなかろうかとよく言われるわけです。これは民間労働者の場合も、本人という場合、あるいはまた民間の使用者側の責任で、よく労災ということにしないで健康保険の適用で治療あるいは療養するというようなケースもあったりして、世上よく問題になることもあるのでありますが、公務員の場合はそういうようなケースとはまた違って、主として給与が保障されておるという点からでしょうか、公務ということではなくして、共済の短期給付で適用していくということが現実にはあるというふうに見ておるわけです。そこで、ここら辺は部長の方で大体どのように見ておられるでしょうか。
#8
○中島(忠)政府委員 先生が今御指摘になりましたようなことを私たちも時々耳にはいたします。ただ、そういうことがあったのでは、せっかく公務災害補償制度というものを設けた趣旨が半減されますので、そういうことがないように私たち自身も気をつけていかなければならないし、基金もそういう形で私たちは指導していかなければならないと思います。
 ただ、そういうのがなぜ起こるのだろうかというのを今の先生の話を聞きながら考えるわけでございますけれども、一つはどういう場合に公務災害補償になるのだ、どういう手続でそれを請求すればいいのだということが、関係職員とかあるいは関係の所属長というものによく趣旨が徹底してないことによって、今先生がお話しになりますように共済の短期の方でその場を繕ってしまうということがあるのかもわかりません。そういうことがないように私たちの方も基金を通じましていろいろな資料を配付するとか、いろいろな会議の研修会でそういうことの趣旨を徹底していくように考えていかなければならないと思います。
 もう一つは、こういうことはあってはなりませんし、私たちもそういうことはないと確信したいわけでございますけれども、公務災害ということになりますと、所属長の何かミスがあったというふうに判断されがちだというような気風がまだ一部に残っているかもわからない。そういうことで公務災害ということではなくして、共済の短期の方で事が済まされるということもあるいはあるかもしれないと思います。そういうような認識というのはとっくに払拭されなければならないわけでございますから、そういうことがないように、私たちもまた関係職員の意識を改革していかなければならないと考えております。
 いずれにいたしましても、せっかくの御指摘でございますので、そういうことの未然防止をしていくように努めてまいりたいと思います。
#9
○安田委員 そこで、今部長がおっしゃったように、職員の意識あるいは使用者側といいましょうか任命権者側の、そういう公務災害がしょっちゅう起きるじゃないかということでは都合が悪いというような意識も働いたりという観点があれば、いろいろと行き届くようにしておくということをぜひひとつお願いしたいと思います。
 そこで、もう一つこれにプラスして、役所と言っていいかどうか、とにかく行政官庁なり官公署の場合に、労働基準あるいはまた安全衛生法の関係ではどうも監督が行き届かないというようなことがあるのじゃなかろうか、このことが何かごの問題点を安易に済ましているという風潮も出ておるのではなかろうか、こういうぐあいに私は考えるわけです。そこで、この点を私は労働省の方にお聞きしたいわけでありますが、次の問題と重ねてお聞きするわけであります。
 特定の職業性疾患、例えば頸肩腕障害、腰痛症、振動病あるいはまたこういうものの調査。それから災害発生度の高い職種、これについては部長さんからもさっき指摘がありました。私たちから見ますと、清掃、福祉施設関係あるいは学校給食関係の職種、こういう点の問題点の調査。あるいは特殊な災害の発生する病院ですとか保健所関係の職種、こういうものについて科学的な実態調査を行って災害発生防止の措置をとる。私は災害発生の高い職種の小区分について質問しましたが、部長さんからは今言うような点についてもう既に御答弁いただいておりますが、こういう点について労働省の方は一体どういうぐあいに見ておられるのか、また労働省の方の監督行政としてはどういうぐあいに対処しておるのか、この点を部長と労働省の方にお聞きしたいと思います。
#10
○中島(忠)政府委員 先生もよく御存じのように、労働安全衛生法というのは労働省の法律でございますし、その労働安全衛生法に基づく仕事を執行する過程においていろいろな専門家が必要でございますが、そういう専門家も労働省の方に集中しております。ただ、地方公務員が災害を受けられるあるいは亡くなられる、言うならば私たちの同志がそういうようなことになるということでは、自治省としてもできるだけのことをやらなければならないというので、先生も御存じのように、私たち素人でございますけれども、清掃事業につきましても研究会を設けまして、つい最近その報告書をいただきまして、それに基づいて地方団体の方に対して注意を促していくということも現在試みております。
 ただ、いずれにいたしましても、この労働災害というものを防止するためには、先生が先ほど少しお話しになりましたように、いろいろな省庁の方たちの協力を得ながら、そしてまた自治省もそれぞれの分に応じた形で関係機関というものを指導していかなければならない。具体的には、県の人事委員会とか市町村長というのが労働関係の非現業職員の監督機関になっておる。そういう機関に対してしっかりとこの重要性というものを認識していただくように指導していかなければならないというように心得ております。
#11
○北山説明員 労働省におきましては、地方公務員のうち現業部門で働く方々のいわゆる職場での安全と健康の確保につきまして、労働安全衛生法上の事業者に対しまして、同法律及び関係法令を遵守するように、従来から重点的に監督指導に努めているところでございまして、特に先生の御指摘がありました清掃事業等につきましては、硫化水素中毒等による死亡災害が非常に多く発生をしたというような経緯もございまして、昭和五十九年、昨年でございますけれども、労働省と厚生省、自治省の担当の課長さん方を構成員とする清掃事業労働災害防止対策関係省連絡会議を設置いたしまして、関係情報の収集であるとか防止対策の検討、そういうことを進める一方、各都道府県の労働基準局の段階におきましても、都道府県の環境衛生主管部局などと連携をいたしまして関係者による連絡協議の場を設置しまして、自主的安全衛生管理活動の促進を図るということで、事業者に対しまして指導をしているということでございます。
 今後とも必要に応じまして、関係省庁の方と連携をとりながら、労働災害の防止について関係の事業者の方に指導を強めていきたいというふうに思っております。
#12
○安田委員 労働省の方に今の関連で重ねてお尋ねいたしますけれども、これはちょっと別個になりますが、最近清掃なんかは下請問題というのがありまして、下請を入れているところがあります。そこで、清掃現場とか、主として役所の関係のこの種の仕事に、普通の民間事業所のような定期の点検なり、あるいはまた皆さんが災害を受ければ重点監督事業所として指定をされて重点的にやられるわけですけれども、そういう関係の監督というのは労働省の方で行き届いておるのでしょうか。私は監督をやる、やらぬというよりも、お互いに適切に緊張関係を持ちながら災害防止に努めるという観点から聞きたいわけですが、どうでしょうか。
#13
○北山説明員 清掃事業のうち民間委託をされている事業者、いわゆる民間の労働者の災害防止つきましては、労働安全衛生法上の適用があるわけでございますので、先ほど申しましたように重点的に監督指導を進めているところでございます。
 具体的には昭和五十八年度を初年度とする労働災害防止計画で重点業種に掲げまして、また今年の私どもの労働基準行政の運営方針の中でも重点業種に指定をいたしまして、監督指導を強めるように各都道府県の労働基準局長に指示をしているところでございます。
#14
○安田委員 次に、消防職員の災害内容それから発生原因、こういう点について、調査結果からしましてどういうぐあいになっているかお聞きしたいと思います。
#15
○坂政府委員 消防職員の災害の問題でございますが、消防庁といたしましては、消防職員の公務による死傷者数につきましては、それが火災あるいは風水害に従事している場合か、あるいは救急業務か、演習かというふうにして毎年調査をいたしております。
 その概要でございますが、例えば昭和五十八年で申し上げますと、消防職員が公務のために不幸にして亡くなられたというのは六名でございます。それから負傷された方が二千百九十八名でございます。公務のために亡くなられた六名の半分は火災によるものでございます。それから負傷者の場合には、その多くは火災あるいは演習のときに負傷したというものが多い状況でございます。
#16
○安田委員 そこで、これの防止策ですが、消防の場合はそれこそ危険な箇所にみずから飛び込まざるを得ない職種でありますので、その防止という問題についての限界というものがあってなかなか大変でありますが、それだけにまた被害を防ぐということは皆さんにとりましても管理上大変重視しなければならぬ問題であります。その点について、まあ私たちの方では、どうも昔から大和魂というようなもので危難に飛び込むというようなことで、科学的にそこらあたり、被害防止、危険防止ということについてどうもいま一つ対応がおくれておるような感じがするのですけれども、その点どうでしょうか。
#17
○坂政府委員 お答えします。
 この防止でございますが、消防庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、全体的な状況を把握するとともに、このような事故、殊に重大な事故が発生しました場合はその都度報告を求めてその原因を調べ、そしてそれらの原因を参考にいたしまして、例えば消防安全管理規程とか、あるいは訓練時における安全管理要綱あるいは訓練時における安全管理マニュアル、それから警防活動、これは消火活動でございますが、警防活動時等における安全管理マニュアル、そういうものを関係者とともに検討し、定めまして、これをもって各消防本部を指導し、安全管理の確保、事故防止に徹底を図っておるところでございます。
#18
○安田委員 さて、そこでもう一遍清掃の関係へ戻りますが、五月二十三日に、先ほど部長も触れられましたが、「市町村等の清掃事業における安全衛生管理の徹底について」という通達が出ております。これは、先ほど部長が触れられました清掃事業の事故防止に関する研究会の報告書を受けての五点にわたる通達でありますが、これを見まして、具体論はこの報告書の中に出てくるわけでありますけれども、各自治体の方で安全衛生の、例えば管理責任の体制、それから安全衛生環境を徹底するための要員という問題、こういう点についてもう少しこの通達の中に具体的に盛り込む必要があるのではなかろうか、こう思うのでありますが、その点どうでしょうか。
#19
○中島(忠)政府委員 先生がお話しになりました清掃事業に係る災害の防止ということにつきましては、もう昨年来、本委員会でもたびたび御議論いただきまして、私たちもこの一年間、あらゆる機会を通じまして各地方団体にそのことの重要性を訴えてまいりました。そのことによりまして、地方団体の方でもその重要性というのは相当認識しただろう、浸透しただろうというふうに私たちは実は考えております。特に昨年の秋には地方団体の方から自治省に来ていただきまして、個別にヒアリングをいたしまして、その推進方について丁寧に私たちは指導したつもりでございます。
 そういうような過程におきまして、今先生が二点お挙げになりましたが、一つは安全衛生管理体制の整備の必要性ということにつきましては、先生も御存じのように、現在それほど体制が整備されておりません、正直なところ。そこでその実態というのを地方団体に示して、こういうことではだめだ、法令で決めてあるようなことはきちんとやりなさいということでよく指導をしております。したがいまして、たまたま五月二十三日に出しました通知では、そういうことまで文章の上では触れておりませんが、地方団体の方では、我々のこの一年間の指導を通じましてよくそのことが浸透しているだろうというふうに私たちなりに確信を持っております。
 もう一つ、今先生がお触れになりました要員の確保の問題でございますが、これは法令によりましてそれぞれ一定の資格というものが必要とされておりますので、地方団体の方では、その資格というものを取得するようにそれぞれ地方団体の立場で努力しなさいという話もよくいたしております。私たちの方の指導というのが、先生方からごらんになりますとまだ不十分かもわかりませんけれども、そのおしかりを受けながらこれからも努めてまいりますので、いましばらく時間をちょうだいいたしたいと思います。
#20
○安田委員 そこで、清掃等の場合に、実際の公務を遂行する場所というのが、焼却場やあるいはごみ処理あるいは粗大ごみ等の処理場というほかに市中で仕事をしなければならぬという場面が大部分になってまいりまして、それで、これは最近のこういうモータリゼーション等の影響による環境の変化によるものと存じますけれども、ごみを置く場所が、どうも考えてみますと、住宅街の交差点というようなところ、特に三差路、四つ角というようなところによくありますが、考えてみますと、私たちも、なるほど町内の世話をしていると、そういう見やすいところにやはりごみの収集場所等を置いておりますが、そこが即、またこういう外で仕事をする人にとっての危険場所でもあるということになってまいるわけであります。
 そこで、主としてこういう清掃関係の災害除去の場合に、昨年来、いろいろな事故等がございましたが、そういう内部的な事故のほかに、そういう路上等で起きる公務災害の場合には、なるほどこういう点の被害防止ということも実は考えてやらなければならぬ。実は皆さんの「衛生管理の徹底」という中に、「住民の積極的な協力を求める」という指摘もありますので、あるいはこういうことを指摘しておられるのかとも思ったのでありますけれども、ここらあたりの問題についてどういうぐあいに指導しておられるか、ひとつお聞きしたいと思います。
#21
○中島(忠)政府委員 今先生がお話しになりましたように、ごみの収集一つをとりましても、いろいろなところで災害が起こっておる。事業所の中でも起こっておりますし、収集の過程でも起こっておる。そして、収集の過程の事故の状態というものも、調べてみますと、今お話しになりますように、ごみの置き場というものがつい不注意のために事故が起こるというようなこともございますし、道路の右側にごみを置くのがいいのか、左側に置くのがいいのかというようなことも、収集車の通行路線との関係で考えてみるべき問題だというふうな話も私たちはよく聞きます。
 先ほど、私たちの研究会で出ました報告書の中におきましてもそういうことが指摘をされておりますし、そういうことを含めまして、住民からのいろいろな協力、分別収集する必要もございますし、あるいはまた今のごみの置き場についてもございますし、そういういろいろな点を含めて住民の協力を得なければならないということで、今先生がお話しになられました用語というものを研究会では使っておるのだというふうに御理解いただいていいのじゃないかと思います。
#22
○安田委員 それでは、私は次に認定問題を少しお聞きしたいと思うのですが、公務災害の認定基準は、業務の遂行性と業務の危険性を要件としております。労働災害の場合はどの場合もですけれども、それぞれ相当厳しい相当因果関係を実は必要としております。そこで、実際の認定に当たっては、業務と災害との合理的関連性、これがあれば、両方が何かきちっとかみ合わなくても、公務災害として認定していいんじゃなかろうかと思うのでありますけれども、ここらあたりは相当厳しい枠組みもありますので、その点、弾力的に運用ということが、しかし何でもまあまあということではなくして、今のように合理的関連性があれば公務災害として認定していくという方向性を持つべきじゃなかろうかと思うのですが、その点どうでしょう。
#23
○中島(忠)政府委員 どういう場合に公務災害として認定されるかということにつきましては、地方公務員災害補償基金という単一の認定機関の問題だけではございませんで、先生よく御存じのように、労災におきましても、国家公務員災害補償におきましても同じような仕事をしておるわけでございますが、そういう労働災害に共通する一つの考え方というのが、今先生のお話しになりました相当因果関係説だということだと思います。
 ただ、この相当因果関係説というものによって、非常に厳しいじゃないか、本来公務災害として認定されていいものまでも落とされているじゃないかということがあってはなりませんので、それぞれの認定に当たりましてはいろいろな資料というものを、当該申請本人のみならず基金の方も任命権者の方も収集いたしまして、そして公務災害というものが客観的に見ても公正に行われるように努めていくことによって、私たちはこの仕事がすべての関係者の信頼を得ることになるのじゃないかというふうに考えております。
#24
○安田委員 その業務遂行性と業務起因性、この二要件の立証というのはなかなか難しいわけです。極めてはっきりしておるのは明確なんですけれども、たまたま不明確、どちらかなというような場面のときに一番問題が起きるわけですが、そういう場合に、働く人たちの方で立証責任を負わなければならぬという問題が出てまいります。こういう点を、積極的な反証がない限りは公務災害だというような見方というのはできないかどうか。時間外のときとか業務と全然無関係というときは別でありますが、例えば休憩時間中、あるいは時間終了後帰ろうとするときとか、あるいは時間中に人の仕事を手伝ったという場面でいろいろなケースがございます。
 そういう点で、今言いましたように積極的に、これは業務遂行していない、あるいは業務の起因じゃないという反証がない限りは公務災害という点を認めていくというような行き方、こういう点に少し弾力を持つ必要があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#25
○中島(忠)政府委員 公務起因性の立証責任を申請者本人に背負わせておくというのは非常に酷じゃないか、そのことによって公務災害の認定事務が本人に不利に作用しているのじゃないかという御懸念だと思います。
 建前上はそういうことなんでしょうけれども、実際の認定作業に当たりましては、本人からの申請書と所属長の方からの意見聴取というものも含めまして、いろいろな書類を関係医療機関等からも集めますし、また、類似した事件を処理したときにどういうような資料を収集したかということを参考にしながら、基金の方からも積極的にいろいろな資料を収集して、実際上の処理に当たっては、ひとり認定申請者本人にすべての責任を覆いかぶせるというような仕事の仕方ではなくして、実際上はどうすれば、どういう資料を集めれば本人の方に有利になるかという観点もこれまた持ちながら、できるだけ資料を集めていかなければならないと思います。
 ただ、公務災害というふうに一言で申しましても、いろいろな災害の態様というのがございます。実はその御本人にいろいろな基礎疾病といいますか、素因というものもお持ちでございましょう、そういうこともありますので、一概に、こういう場合にはいいじゃないかとか、こういう場合にはだめじゃないかということが非常に言いにくいわけでございますので、本人の既往歴とかあるいはまた勤務態様等、そういうものを把握しながら認定事務を進めていかなければ、公正というか、その場に応じた的確な処理ができないのではないかと考えております。
#26
○安田委員 その本人に有利なようにという前提が部長の場合あるわけでありますが、しかしその任命権者の人たちも、本人に災害が起きてまさか不利な取り扱いをということは私は決してないとは思いますが、たまたま初め出ましたように公務の災害が起きておるということは嫌だな、そういうことが指摘されるのは嫌だな、管理責任上も嫌だなという感じが働くとすれば、逆の結果が出る場合もあるわけです。
 そこで、基金の支部長から理事長に協議すべき事項の指定ということで、あらかじめ基金の支部長から中央の理事長に協議しなければならぬ事項が指定されております。この場合に、例えば支部の方で判断されてということよりも、中央の理事長に先に協議しなければならぬということになってまいります。善意に解釈すれば、今部長のおっしゃったように本人に有利なようにということであらかじめ遺漏のないよう相談せよということになりますし、また別の角度に一歩間違いますと、あらかじめ支部の判断よりも中央の判断によって、例えば支部の方で公務にしたいと思ってもそれはだめだといってはねつけられてしまうというケースにもなるわけであります。そういう点で私は、これは後ほど触れますが、どうも公務員の災害認定ということについては、民間の労働災害の認定とは機能を異にしているような感じがするわけです。
 そういう点で、今部長のおっしゃることは私もごもっともだと思うのですが、そのごもっともは、また裏を返しますともっともでないことになるわけでありまして、これはどちらかというと運用上ということになるのでしょうか、とにかく今言いました、支部長から理事長に協議すべき事項の指定という問題と絡みまして、ひとつそこら辺、運用に当たって本人が有利なようにというよりも、客観的に公務災害である、例えば先ほどの業務の遂行性、起因性という問題を積極的に解釈してやるという立場で運用に当たってもらいたいと思うわけであります。その点、ひとつ部長の意見を伺いたいと思います。
#27
○中島(忠)政府委員 基金から「支部長から理事長に協議すべき事項の指定について」という通達が出ております。その通達を見ますと、事項としては六点挙がっておりまして、七点目に、支部で取り扱いが困難であると認めた場合には協議しなさいということが書いてございます。
 この規定の趣旨というのは、一つは全国的な公平性というものを保つために基金の本部の方で判断しなければならない事項というのがあるということと、もう一つは、やはり支部よりも本部の方が事務能力といいますか、認定能力というのが上回っておるといいますか、そういうこともありまして、支部で取り扱いが困難だと認めたものは本部に協議しなさいという趣旨でこういう通達が出ておるわけでございます。
 その通達に基づいて各支部の方で認定をしていただいておるわけでございますけれども、その認定をするに当たりましては、私が先ほど申し上げましたように、本人のみに立証責任を負わせるということではなくして、認定事務を進める過程におきまして、本人に有利な資料というものはできるだけ収集するという前提で仕事をしていただかなければならないだろうと考えております。私たちもかねがね、そういうつもりで基金の方を指導しておりますし、基金の方もそういうつもりで各支部の方を指導しておるということでございますので、先生が心配されますようなことがないように、私たちの方ではひとつ仕事が公正にできるように心がけていきたいと思います。
#28
○安田委員 部長のおっしゃることは極めて善意でありまして、私もそうありたいと思います。そこで、認定の請求に当たりまして、資料収集あるいは資料の提出手続、そういう点について使用者いわゆる任命権者の協力というものにつきまして、格段の指導をひとつ行っていただきたいと思うわけです。
 そこで、もし不服審査を申し立てた場合に、これは書面審理だけということなんですが、私は実態の調査、いわゆる現地を見て調査ということも必要なんじゃないかと思うのです。そういう点は運用面で改めてほしいと思いますけれども、どうでしょう。
#29
○中島(忠)政府委員 先生御存じのように、この審査を進めるに当たりましては、行政不服審査法というのが適用されております。その行政不服審査法というのを見ますと、審査申立人から申し立てがある場合、審査申立人から申し立てがなくても、審査機関の方でその必要性を認めた場合には実地調査を行う、こういうことになっております。したがいまして、基金の方の仕事の過程におきましてその必要性があれば、実地調査というものもしておるのだと思いますけれども、せっかくのお話でございますので、基金の方にもう一度注意を促しておきたいと思います。
#30
○安田委員 そこで、この公務災害の場合、民間と大変機能の質を異にしているという点で、これはどうしてこういうことになって――あるいはこういう立て方が一つあるので、私らの方があるいは誤っておるのかと思っておるのですけれども、民間の労働災害の場合は、とにかく労働基準監督行政がそこに一つあって、それがこれらの労働災害についての認定その他処理に当たっていきますし、補償は補償保険法が別個にある、こういうことになりますが、公務の場合は、とにかく基金の下部機関が、支部そのものが知事あるいは政令の都市の長。副支部長が大体副知事か総務部長、あるいは大きいところの市長さん。事務局長が、大体人事課長さんだとかそういう人たちでやっておられる。そこで認定が行われていく。
 こうなりますと、ちょうど一家のうちでおやじが全部子供の面倒を見て、そして教育もさせれば、子供を病院に入院させることも指図とるというような感じがありまして、言うならば、この間ある宗教に凝っている方が子供の輸血を拒んだというような、ああいう内輪のことですとそういう問題が起きるようなものでありまして、どうも役所の公務認定というのは、他の方から別にこれをクロスチェックするものがないというおもしろい機能があります。そういう点で私は、なるほどこういうおもしろい組織というのはあったんかな、こういうのが今まで論議されずに来たのかな、私が不勉強でそう思うのかなと改めて気づいたわけであります。将来の公務災害についての立て方について、これはひとつ別の角度から検討すべきものではなかろうかと実は思っております。
 さて、補償問題に入りたいと思うのですけれども、夫の遺族年金の受給権の問題であります。議論を先へ飛ばしまして、なぜ夫が年齢制限があって、働いている妻が死んで遺族たる夫が五十五歳以下の場合にはなぜ当たらないのかということになりますが、当然部長さんは、それは稼得能力という問題があって、男の場合には働けるからそれは当たらないという答弁が返ってくるだろうと思っております。
 ところが、最近はそうじゃなくして、夫婦共稼ぎで家を建ててローンを返しておる、あるいは子供はぜひとも大学を二人とも済ませたい、そのためにはひとつなるべく死なないで一生懸命頑張るということで、夫婦ともども所得について分け――分けというよりも、二人の稼ぎで家計を運営しておられるケースが大変ふえてまいりました。そういう点からいたしますと、稼得能力という問題は、もちろん日本の実社会にとっては捨てて通るわけにはいかないけれども、時代の変化からしますと以前のような比重はなくなってきたのじゃなかろうか、ここらあたりはもうそろそろひとつ考えてみるべき時点に来ておるのじゃなかろうかと思いますが、その点、夫の場合は当たらないというのは、これはどうも不公平じゃないでしようか。
#31
○中島(忠)政府委員 先生、すべて御存じの上で質問されておりますので、非常に答弁しにくいわけでございますが、夫が現在五十五歳未満の場合には受給資格が与えられないというのは、先生のおっしゃるとおりの考え方でございます。先生が今おっしゃいましたように、若干生活の態様も異なるし、社会経済の変化に伴っていろいろな変化があるぞ、そういう変化をよく把握してこの災害補償制度も考え直せというお話だと思います。それはそれとして一つの問題提起だと私は思いますが、いずれにいたしましても、非常に難しいといいますか、災害補償制度の考え方そのものの根本に触れる問題でございますので、今日のところは先生からの貴重な御提言があったというか、問題提起があったということでお聞きさせていただきたいというふうに思います。
#32
○安田委員 そこで、これに関連しまして子供の場合の問題ですが、子供の場合は、ちょっと遺族たる夫と違いますけれども、これも指摘されるわけてありますが、十八歳未満というのは高等学校過ぎる年。高等学校は、大体最近は九十数%まで入学して義務化みたいなことになりましたが、同時にまた、大学もしくは専門学校、大学は大体四〇%程度までなってまいりましたし、それから専門学校へ行く子供が大変ふえてまいりました。そうしますと、それらこれらを合わせますと、後期中等教育から高等教育へと進む人たちというのがおよそ六、七〇%まで行くような世の中になってきたのじゃなかろうか。
 そこで、十八歳未満の子であれば遺族年金は受けられるが、それ以上だと受けられないというのは、これまた時代と違ってくるのじゃなかろうか。しかし、遺族補償の一時金はある。一時金はありましても一千日分でありますから、これを計算してそれの利息等の計算をやりましても、今日四年制の大学へ行けばもう既に一千万をはるかに超える時代になりましたので、どうもこれは勘定に合わない。やはり年金というものと一時金というものの併用から、本人が将来有効に受けられるようにしなければならぬ。中には、ままあります。せっかく大学へ行こうと思ったけれども、親が死んだので高等学校で我慢したというのは世間によくある話でありまして、そういう点では子供の場合も、これは何らか妥当性あるものに変えていく必要があるのじゃないか、検討課題とすべきではなかろうかと思います。
 そういう点、部長さんにお聞きし、後ほど大臣にも、こういう遺族たる夫、遺族たる子供の問題について、今直ちに結論というのは、従前あった制度を何が妥当かというのはいろいろ難しい問題があると思いますが、いずれにしましても、将来これらを改正する機会にこれをいいものに見直していくということが必要ではなかろうかと思いますので、これも大臣に、部長の後からお聞きしたいと思います。
#33
○中島(忠)政府委員 現在十八歳未満ということになっておる、その理由というのは、先生に詳しく御説明するまでもないと思いますが、大学への進学率というのがまだ現在の日本においては過半数に達していないということでそういうことになっておるわけでございますが、そういう扱いをする方が全体として見たら公平だろう、こういう考え方で現在の十八歳未満ということになっておるわけでございます。
 ただ、先生がおっしゃいますように、大学への進学率というのは年を追ってこれから向上していくだろうというふうに思います。そこで、この公務災害補償制度の中におきましても、福祉施設というのがございまして、その中で奨学援護金制度というのがございます。大学に行っている子供がいる場合には、現在、月一万五千円というのが支給されるようになっておりますし、この額も、六十年度の現在関係省庁の間で改善方が検討されております。
 そういうようなことで、福祉施設の中でこの対応をしておるわけでございますけれども、経済社会の変化に伴っての一つの検討課題だという御指摘は当たっておるというふうに思います。そういうことで、これからの変化の状況というものを見ながら、ひとつ私たちの方でも関係省庁との間で考えていかなければならない課題だろうという気がいたします。
#34
○古屋国務大臣 ただいまお話しの問題は、やはりこれはもう当面解決すべき重要問題でございますが、ほかの法律、いろいろの関係がございますので、社会保障全般の問題というような点におきまして、私どもはその改正に向けて慎重な対処をしてまいらなければならぬ、私もそういうふうに考えておるところでございます。
#35
○安田委員 こう申しますのも、とかく公務員の問題は、例えば給与、退職金が高いぞといろいろ論議になる問題でありますが、ところが私は公務災害を見て、基準からしますと労災補償保険法との関係、労働基準法からみんな走っておりますものですから、横並びでありますから、基準そのものは別段どうということはないのですが、ただ民間の場合は、最近は法定外補償が非常に進んでまいりました。もちろんこれは全部じゃございません。全部じゃございませんが、大変進んでまいりまして、私たち労働組合、労働団体関係でとりました資料も、それから労働省の方からいただいた資料を比べましても、労働省の方の資料でも非常に最近進んでいるデータが出てまいっております。
 まず、こういう遺族補償給付に対する付加給付のある企業は全体の四六・一%、障害補償給付を持っておるところが三九・六%と、まだ半数までいきませんけれども、最近は急速に進んできたということです。それから補償額の方も随分上がってまいりました。特に最近は死亡の場合に二千万、三千万、多いところでは四千万というのも随分出るようになってまいりました。
 そこで公務の場合には、今部長のおっしゃった福祉施設という名のもとの、今度の法改正では中身の用語では多少変わってまいりますけれども、そういう付加給付がございますし、またほかにそれぞれの自治体等で法定外付加給付を持っておられる、そういう市もかなりふえてまいりましたが、やはり全体からするとまだわずかであります。だが、どうも民間の方から比べますと、私の相対的な感じは、民間も全部持っているわけじゃないですから比べるのは難しいのでありますけれども、ちょっと役所と言うと語弊がありますが、自治体の方がおくれておるのじゃなかろうかという感じがいたします。しかし、これはどれとどれを比べてというものではございません。
 そういう点で私はひとつお聞きしたいわけでありますが、まず労働省の方に、法定外補償、これはもちろん民間の労使間で進めてこられた問題でありますが、その現状についてちょっとお伺いしたいと思います。
#36
○松本説明員 先生今お述べいただきました数値は、労働省で五十六年に実施したものでございまして、今先生もおっしゃいましたように、遺族補償給付につきましては、実施しております企業が四六・一%でございます。金額につきましては、これは扶養者がいる、いないで随分違うわけでございますが、いわゆる妻と子供二人という標準世帯で申し上げますと、約一千四百二十八万という金額でございます。それから障害補償につきましては、これも先生御説明されましたように、三九・六%の企業で実施をしておりまして、これも障害の等級によりまして金額はまちまちでございますが、一番重度でございます第一級の者に対する金額は九百二十四万という金額でございます。
#37
○安田委員 今大臣も部長も聞かれたように、民間の方はなかなか手厳しいのですね、実際。合理化だ、首切りだ、減量経営だという中にも、労働災害の方は十分じゃございませんが、日本のこの種の社会からしますと、ここ十数年ほどの間に特段の進み方をしてまいりました。だが、データから言うとまた半数にいきませんので不十分でありますが、金額も付加給付として今言いました一千数百万というところまで、これは平均ですが、きておるわけです。
 そういう点からしますと、どうも自治体、地方公務員の場合は余りいい時代ではないなという感じがいたします。そういう点で、皆さんの方ではこういう点の指導というのはちょっと難しいのでございましょうけれども、特にこういう世の中ですから余計難しいのでございましょうが、特段この種のものに配慮するということについては、少し皆さんの方でも目をあけていただく必要があるのではなかろうかと思います。
 そこで、私は続けてひとつ質問いたしますが、「福祉施設」という名称が出ております。今度の場合は、法改正の中では、福祉施設の中に、援護金等については、援護金ということで区分けが出ました。出ましたが、どうも従来福祉施設と言いながら、療養だとかリハビリだとかみんなお金の出るものが全部ただ福祉施設になっている。今度はその点ちょっと中身に区分が出ました。区分が出ましたが、どうも福祉施設と言うけれども、私たちの素人、民間、町におる者からしますと、施設というのはやはり設置すべきもの、あるいはハードな建物というものを固定概念として持っている者からしますと、余りぴんときませんでした。こういう法改正の場合に、もう少し実態に合ったようなことはできぬものでしょうか。
#38
○中島(忠)政府委員 「福祉施設」という言葉が、現在の福祉施設という名のもとに行われておる施策の内容からするとわかりにくいじゃないか、こういうお話だと思います。
 そういう御指摘も私たちはそれなりに理解できますが、ただ、この「福祉施設」という言葉が災害補償の世界で使われるようになりましてから相当年月もたっておりまして、現在関係者の間にそのことが浸透しておりますので、今回そういう言葉というものを変更することを関係省庁との間で相談しなかったわけでございますけれども、そういう御指摘があったということを私たちも念頭に置きまして、これからまた関係省庁との間でも話題になるでしょうから、ひとつそのときにまたいろいろ考えさせていただきたいと思います。
#39
○安田委員 そこで部長、さらりとうまく答弁していかれましたが、要するに私は、これは皆さん公務員災害補償法をちょっと立て方全体から見直す時期がやはり来るのじゃなかろうかと思うのです。私自身ちょっと不勉強かもしれませんが、どうもこの機能という問題からしますと、ちょっとへんちくりんなところがある。そういう点では見直すときがあるのかと思います。
 そこで、そういう抜本改正のときにということになろうかと思いますが、例えば労災補償保険法の場合には、既に変わっておるわけですね。これは私たちかつて基準審議会関係に参画しておったときには、保険施設という名前になっておったわけです。それが、これは何年前だったでしょうか、今では労働福祉事業ということになって、第二十三条、第三章の二というところに「労働福祉事業」という項目を起こして、第二十三条には一項から三項があって、一項の中に一号から四号まであって、施設の設置、運営というものと、それからお金の場合は必要な事業を行う、例えば学資の援護だとかそういうのは必要な事業を行うということで、ちゃんときれいにだれが見てもわかりやすく条文が変わってしまったわけですね。その点自治省関係の法律の方は、何を伝統にしておられるのか知りませんが、わかりにくい。民間からすると、役所はわかりにくいというのを象徴しているような感じがいたします。
 私は、やはり行革で物を変えられるのなら、こういうところもわかりやすく変えるところからまずやってもらいたいなと思うわけでありまして、これはぜひひとつ将来の課題にしてもらいたいと思います。先ほど部長からその点答弁いただきましたから、そういうことで要望しておきます。
 さて、遺族年金の受給資格が今度引き上げられるということになりました。そこで、これは本来、共済年金が今六十歳に向かって漸次引き上げの経過の途中でありますが、これと横並びするのが当然でないだろうか。死亡という予測しがたいことによって、期待はしないといっても、しかし、先ほど私遺族たる夫の年金問題で触れましたように、それは妻なり夫なりが十年、二十年働く間に家のローンも処理する、あるいは子供を大学にやるというお互いに期待というものを持ちながら、子供なりあるいはそこの親が家計の維持をやっているわけでして、そういう点からしますと、私は、死亡というものは何も期待していない、期待していないことが起きるんだから、これは五年で六十歳引き上げという経過でもいいんだという理屈にはならないのではなかろうかと思うのです。そういう点ではこれは片手落ちではないかと思いますが、どうでしょうか。
#40
○中島(忠)政府委員 共済年金の受給年齢の引き上げというのを十五年間かけてやったじゃないか、今度は何で五年だ、こういうことが先生の頭の中に恐らくあるのだと思います。
 そこで、共済のときになぜ十五年間かけたんだろうかということを考えてみますと、私たちも、もともと長い間五十五歳になれば年金がもらえるぞということで掛金を納めてきて昭和五十四年にまで至ったわけでございますが、そういう人間というのはそれなりに期待権というものを持っておった。だから、その期待権を尊重するという意味におきまして三年間に一歳ずつ上げていこうじゃないか、そして民間に合わせていこう、こういう措置をとったんだろうと思います。
 ところが、今度の災害補償の場合には、実はそういう意味における期待権を持っている人間がいない。今日の時点において二年後、三年後に遺族年金の受給資格を得るのかということはだれもわからないという状態が、共済年金の場合とは一つ大きな違いがあるんだと思います。
 そこで、もう一つ考えなければならないのは、民間の労災におきましては、もう既に六十歳になっておるということでございますので、やはり民間に合わせるという意味におきまして、期待権も今の場合には考えなくていいというので、一年に一歳ずつ引き上げる措置というものをとらせていただいても国民から御了解いただけるんじゃないかというふうに考えて、今回の法案の提出に踏み切ったわけでございます。
 先生の私たちよりも一段高い観点からの御議論は、御議論としては私もよくお聞きさせていただいたわけでございますけれども、今の私たちの考え方というのは、そういう考え方で法案をつくらせていただいたということでございます。
#41
○安田委員 これは遺族年金ですので、公務災害による遺族年金、勤め終わって、昔からいえばめでたい、定年、そして老齢年金をもらうというのとはまた質が違います。皆さんでも、幾らやめろと言っても、政治家でも香典はやめるわけにいかない、幾らそれはだめなんだと法でなっておってもなかなかやめられないのと一緒でありまして、こういう尊厳な死、特に業務上というような場合、あるいは障害を持った人が死なれた、その後の年金という問題になりますと質が違ってくるし、そういう点では国民的コンセンサスからいうと普通の年金の取り扱いとは違う。ましてや部長のおっしゃったように、共済年金の引き上げの経過措置と一緒で、これは五年というもので処理すべきものではないと私は思います。
 さて、もう一つ最後にお聞きしたいのですが、国公災害補償の場合は特別職は別々の法律になって、一般職は常勤、非常勤を問わず災害補償になります。地公の災害補償の場合は、特別職でも常勤の人は全部これの適用になって、一般職は、常勤、非常勤ということについては、非常勤は適用にならない。横並び問題あるいは国公災害補償に準じ、また法律の上では均衡を失しないように、こうなっているわけでありますが、これはなぜ違うのでしょうか。
#42
○中島(忠)政府委員 国家公務員の場合には、常勤も非常勤も同じ法律の適用を受けているではないか、地方公務員の場合には常勤と非常勤は法律と条例の違いがある、こういうことでございますが、国家公務員の場合には非常勤職員の場合でも、もとをただせば任命権者は単一である。したがって、勤務態様も給与も統制がとりやすいというか、一つの基準に基づいて運用しやすいという面があるのだと思います。
 ところが地方公共団体の場合には、非常勤職員については、それぞれの地方団体によって勤務態様も異なりますし給与も違う。その給与が違うことによってこの災害補償制度も適用がされるわけでございますので、それぞれの地方団体において給与と勤務態様が異なってくれば、それぞれの地方団体の条例で定めた方がより適切だろう、こういうふうに基本的に考えるわけでございます。
 ただ、条例で定められるからといって、国の方の法律で決められた内容と異なって、条例の内容がより見劣りがするということがあってはなりませんので、その条例の内容については国で決めた考え方というものを基準にして、これまた適正に指導していかなければならないだろうと思います。
#43
○安田委員 私、余り適切でないと思いますね。横並びするのならするようなやり方、皆さんの場合、特に最近は給与その他かなり接近されるような指導を既に行っておりますし、都合のいいときはあちらを出し、都合の悪いときはこちらを出すでは余り整合性がないような感じがいたします。
 次に、この種の年金あるいは補償年金等いろいろいただいて、さて後の生活ということで利殖を図ろう、いろいろなところに定期で預金をしたりいろいろなのがありますが、そういう中に、最近問題になりました豊田商事、純金の預託といいましょうか、この種のものに預けながら被害に遭うという事例も出ておるやに聞いております。
 そこで、国民生活センターではこれについての苦情がかなり受け付けられております。あるいは地方の消費生活センターにも苦情が受け付けられております。先般来他の委員会でも積極的にこの問題が取り上げられておりますが、さて警察庁として、これは犯罪構成要件がなければ皆さんの方では直ちに動くということにはなりませんが、いろいろな苦情が今日これだけ表面化しておる。皆さんの方では、捜査に入るべきかどうかということについては一定の判断を持って対処しておられるのは当然であろうと思います。そこで、警察庁の方ではこれらの状況について一体どのように掌握しておられるかをお聞きしたいと思います。
#44
○中山政府委員 先生今御指摘のように豊田商事が大きな問題になっておりまして、警察といたしましても、これらの商法が刑罰法令に触れるのかどうか、実態はどうかということを調査しているところでございます。
 なお、警察にも相当数の相談が寄せられております。昭和五十七年以降、ざっとした数字で七百件余りの相談が寄せられているというところでございます。
#45
○安田委員 昭和五十七年以降七百件余りの相談件数があるということでありますが、皆さんの方でその相談されたものについてはどういうぐあいに処理されておりますか。
#46
○中山政府委員 相談の内容によりまして、お聞きして、民事事件として適当なところで御相談になって解決していただきたいというふうに指導する場合もございますし、それが詐欺とか恐喝だとか、そういう場合は検挙するという内容に応じた措置をとっているところでございます。
#47
○安田委員 今度の豊田商事、さらに関連会社の鹿島商事の事件が表面化してまいっております。いろいろな立て方はありますが、法理論上いろいろな難しい問題点はありますが、これだけ世上被害者があって、そして現実豊田商事が三百数十億円、約四百億円前後の大きな赤字を抱えてなおかつこのような商行為をやっておることは、どうでしょうか、この種の取引では詐欺ということにならないでしょうか。
#48
○中山政府委員 お尋ねの件も含めまして、現在全国の警察で刑罰法令に触れる行為であるかどうか実態の解明中ということでございます。触れるかどうかということは、やはり個々の具体的なケースに応じて判断すべきものと考えております。
#49
○安田委員 その具体的なケース、もちろんそれは個別の問題、一つ一つの事件によってでございますが、これだけ全国の各都道府県にまたがって、しかも警察庁自身が五十七年度から七百件のこの種の相談を受け付け、国民生活センター、地方消費生活センター等は昨年だけでも、これは全部じゃございません、掌握しておるところだけでも五百件余りの受け付けをやってこれに四苦八苦をしておる。しかも、今、告発する人あるいはまた当事者の告訴という問題も俎上に上っておるときに、警察庁の方はどうも対応が鈍いように私は思います。もちろん、何でも警察が公権力を発動すればいいという問題じゃないが、現にこの種のもので被害があっているのに、これだけ日本の法治国家で一つも法律の網の目にかからないというのが私は不思議だと思うのですね。皆さんの方で何を逡巡してこれが調査ということで長引いておるのか、その点何か問題があるのでしょうか。
#50
○中山政府委員 具体的なケースに応じて刑罰法令に触れるかどうかというのを調査していると先ほど申しました。その中身につきましては、やはりそういう具体的なケースについてはちょっと今の段階で答弁を控えさせていただきたいと思うわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、末端の勧誘員の違法行為につきましては、傷害や恐喝、詐欺、不退去、威力業務妨害などで十一件、十四名を検挙しているところでございます。
#51
○安田委員 まあ警察のお得意で別件逮捕というのがよくありますが、私は別件逮捕は邪道だと思います。いいことだとは思いませんが、今、恐喝だとかいろいろなことで逮捕したのがあるとおっしゃいます。そこまで皆さんがおやりになりながら解明できない、これだけ現実に被害者があるのに解明できないというのは、私は非常に遺憾だと思います。
 私は何でもかんでも警察が手を入れろと言うわけではございませんが、現実はどうであれ、架空のものでだまされて、現品あるいは現金をとられておるという者があるのに、それが現行法上皆さんで手が入れられないというのは、国民からすれば非常に不自然でなりません。ですから私は、こういう点こそ警察庁は国民の財産なり生命を守る本来の立場から積極的に対処されるべきだろうと思いますし、国家公安委員長としての自治大臣にも、特段このあたりはもう少しきちっと警察庁の対応について行ってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
#52
○古屋国務大臣 御質問の点は、老齢でまた社会的弱者の保護という見地からしても、私も十分了解しております。警察庁が現在各段階においての調査を全国の警察においてやっておるところでございまして、具体的にどうなりますかということは、調査ないしそういう資料収集に基づきまして相当慎重であり、また積極的でなければならぬと私は思っておりますが、法令のどういう適用をするかという問題もございますので今保安部長はそういう答弁をいたしましたが、先生のお話しの気持ちは十分わかっておりますので、私も、各種法令の遺憾ない適用、そういう点の工夫を十分いたしまして対処してまいりたいと思っております。
#53
○安田委員 もう一点警察当局にお聞きするのですが、昨日の朝大阪で、外国人登録法に定められた指紋の押捺を拒否した韓国籍の人、梁容子、李敬宰、この二人の人が逮捕されました。一つは、こういうぐあいに今一番問題になっている、しかも政府も取り扱いでいろいろと対応をやっておられる、もちろん法務省の方は先般強い通達を出しましたけれども、自治体もこれについて何とか穏便に円満に処理したいということで対応に苦慮しておる、こういうときに警察がきのう逮捕ということに踏み切りまして、非常に私は本問題の将来の解決のために遺憾だと思います。
 もう一つ。私が今持っておりますのは朝日新聞のきのうの夕刊でありますけれども、きのう警察が手を入れられる早朝に既に漏れたということを聞いております。あらかじめ逮捕ということが皆さんの方から外の方に漏れたのじゃないかという話も出ておるわけであります。私はこの点非常に遺憾だと思いますが、なぜこういうぐあいに今の時点で強行に逮捕ということに出られたのかお聞きしたいと思います。
#54
○柴田(善)政府委員 指紋制度の具体的なあり方につきましては、現在種々議論がありますことは私どもも十分承知しておるわけでございます。ただ、これと現在ございます法律に反する行為、これに対します捜査とは全く別の問題だと私どもは考えておるわけでございまして、法違反者に対しましてはやはり適正な捜査を行っていくというのが警察の責務であろうと信じておるものでございます。
 そこで、御指摘の二名でございますが、相当長期間にわたりまして任意捜査を続けてまいったわけでございます。ただ、被疑者の両名はいずれも再三の呼び出しをしたのでございますけれども、全然出頭の気配、意思が認められないといったようなことから、これはやはり逮捕の必要性があると判断をいたしまして、昨日裁判官の令状を得まして逮捕した、このような次第でございます。
 そこで、もう一点御質問の漏れたのではないかということでございますが、実は十日の日に先月川崎で逮捕いたしました人につきまして検察当局が起訴をしたわけでございます。この起訴に伴いまして、かねて懸案の大阪についても何か動きが出るのではなかろうかということで多くのマスコミ関係の方が非常に関心を持たれておりまして、近くあるんじゃないかということの中で、きのうも逮捕のときにはかなりのマスコミ関係の方が現場に見えておったといったようなことで、マスコミの方々の、やはり十日の起訴と連動させて考えられた結果のあのような取材ということになったのではなかろうか、これは私どもの推理も入っておりますけれども、そのようなことではなかろうか、したがって漏れたというようなことはないと信じておるものでございます。
#55
○安田委員 これはけじめをつけるということで、皆さんは違反は違反だからと言う。それは確かに法違反、悪法も法なりとかいろいろ言われるところでありまして、現行ちゃんと法があるのですから違反しているのはそれはそのとおり。だが、それがそうだからといって直ちに今逮捕すべきかどうかというのは、皆さんが決してしゃくし定規で判断すべき問題ではないと思う。そのために警察庁の皆さんも、現場の第一線の人たちとは違った行政能力を持つ政治判断のできる方が長官であり、次長であり、それから局長でありという方が配置されておるのだと私は思うのです。そうでなければ、すりを捕らまえたり泥棒を捕らまえたりする専門の人を偉いさんにしていったら、よっぽどあるいはグリコ犯がすぐ捕らまっておるかもしれぬ、しかしそうでないところに警察行政と言われる行政という名のつくものがあるのだと私は思うのです。
 例えば今の場合でも、本人が別に逃亡するとか証拠を隠滅するとかという状況にはもちろんないし、それからこの当該自治体も担当課長が警察署の方に出てそれぞれ今までの事情聴取に応じておるという事情もございますし、また自治体がこの対応にいろいろな苦慮をして、そして説得を続けておるということも警察が承知の上でもあるわけです。ましてや今、国会でもあるいは政府の関係省庁の方でも非常に問題になってこれの対応をやっておられる、こういうときに警察が直ちに逮捕ということは、問題の本質をこじらせることになってこれは私は好ましいことではないと思います。そういう点では、こういうときこそ警察がどのように対処すべきかということについて高度な判断をなして、違反は違反で、何どきでも皆さんが公権を行使すべき状態に置きながら、それをどういう解決をまつかというタイミングもあるかと私は思うのです。
 私、これはことしの前の質問のときにも引用したかと思うのですが、例えば昨年九月二十四日朝日新聞に「警察がなすべきこと」という論文がありまして、一遍一部言うたと思うのですが、味があると思うので改めて披露しておきますと、これはこの十日ほど前に、大阪と京都を結ぶ府道沿いで半ば白骨化した遺体をトランクに積んだマイカーが見つかった。それは二年四カ月もの間近くのアパートの駐車場や付近の歩道に放置されておった。それで付近の困った人たちが警察にどれだけ相談に行っても地元警察は何もしてくれなかったというのですね。それを今ようやく開いたらトランクに白骨化した遺体があった。二年四カ月もうっちゃっていた。警察は何もしてくれなかった。そこで、ここで指摘しておるのです。
  一方で警察は、なすべきかどうか、疑問の残るところに力を入れている。「学警協力」の名のもと、非行対策のために教育の現場に積極的に足を踏み入れようとするなどは、その一例であろう。
 だが警察のなすべきことと、そうでないことを画然と分けることは、なかなか難しい。私もそうだと思うのです。なかなか難しい。例えばこの間また犯人がピストルで撃たれました。私はやむを得ないと思います。決してあれは責めはしません。そうしないと、ああいう気違いじみた犯人がおりますと、相手も刃物を振り回す、警察官だって殺されるのですから、私はあれも職務上やむを得なかったと思いますが、できたらなるべく足を撃って逮捕できるようにもう少し技術を訓練してもらいたいな、こう思うのです。だからなかなか難しいと私は思います。そこで、
  騒音、いたずら電話、少年非行、家庭内の不和――市民社会のなかで起こる困り事、もめ事の件数は近年急増してきている。しかも、こうした事柄について他の公的機関は、てきぱきとは対応してくれない。どうしても身近で二十四時間オープンの警察に相談を持ち込むことになる。
 警察の方はむしろ、こうした市民社会の需要を積極的にくみあげ、地域社会に密着しようとする。だが、市民社会の需要に追われているうちに、いつの間にか警察本来の仕事をなおざりにしてはいないか。その点を、警察として自省してほしい。
 また、市民社会の側にも、自分の力で解決できる問題は自分で解決するという意思がなくてはならぬ。警察の権限や論理が、地域のごく内輪の問題にまで及んでくるような社会は、健全とはいえないと思う。要するに社会と警察の両方に警告しておるわけでありますが、警察のなすべきことについてここで一つの忠告をなしておるわけです。
 今の市民警察と言われる警察には、そうしたここに指摘するようないわゆる思考のゆとりといいましょうか、人間的な幅といいましょうか、そういうものが判断に働いて初めて警察は信頼されると私は思うのです。森永・グリコ犯でも、だめだと言いながら、一方では警察のやり方に何だまた犯人逃がしてといってやんや言うという中には、それは大変皆さんやっておられて御苦労だな――この間も大変御苦労さんでございました。神奈川のあの平野君の事件で早速犯人を捕らえた。ああいうすばらしいことをやっておられる反面、警察と違和感があるというのは、今柴田局長おっしゃった、いわゆるこれは法がこうだからやらなければならぬ、そこらあたりの判断にもう一味考慮すべきものがあって、初めて警察への信頼感ができるんじゃないだろうか。
 大臣はついおとといだったでしょうか、参議院で、この問題については自治体の窓口も苦慮しておるから、ひとつ関係省庁で調整をやってみよう、こうおっしゃったやさき、きのうでしょう。しかも、警察庁を指揮しておられる公安委員長兼任の自治大臣が参議院でおっしゃったそのほんのきのうの朝、早速警察が逮捕、これだと私は公安委員長である自治大臣の親心も踏みにじったというような感じがしてなりません。大臣の所感もお聞きしたいと思います。
#56
○古屋国務大臣 ただいま安田先生から警察のあり方につきましていろいろお話をいただきまして、私も大変感銘しておりますが、参議院で申し上げましたのは、町村役場がごたごたしている、こういう問題について自治省も地方団体を監督する立場から何か考えるべきではないかというお話でございまして、これはもう法務省が機関委任事務でやっております、たまたまそういう結果が町村にあらわれておることは大変残念でございますから、そういう点をひとつ法務大臣と連絡いたしまして、ごたごたができるだけなくなるように私どもも処置したいと思います、こういうことを申し上げた次第でございます。
 今警察の逮捕の問題についてお話がございました。もちろん私どもはこういう問題については、いろいろの世論の流れその他も慎重に考えなければならぬことは当然でございますが、長期間にわたりまして事情を説明して、出てきていただきたいということを相手方に申し上げまして、率直に言いますときのう大阪で起こりました事件は、一人の方は十二回、一人の方は五回、出てきていただきたい、話をしていただきたいと任意にお願いをしておったのでありまして、警察といたしましては、そういう問題について逮捕というようなことはできるだけ避けたいと思うのでありますが、やはり法秩序を維持しなければならぬという責務もございますので、これにつきましてはほかっておけば時効になってしまう、この時効についてはまたいろいろの見解の相違もございますが、そういうことで、恐らくやむを得ない措置として令状を得て検察庁に送った、検察庁はそこを調べて処分を保留しながらきのうの晩身柄を釈放したというような経緯になっておるのでありまして、私どもも先生のおっしゃるように逮捕をしないで済めば一番いいのでございます。
 私もそう思っておりますが、十二回と五回、何回も呼び出し、法理論もいろいろございますが、もしこれで時効ということになりますと、法秩序維持ということについて、余り法秩序の違反が平然として行われるようになりますことは、この指紋問題についての世論の流れというものの今後の動きというものを、かえって変なものにしてしまうようなおそれもあるのではなかろうかと考えておりまして、慎重に慎重に考えた警察の処置でございますが、この法的秩序を維持するためのやむを得ない措置であったというふうに私は考えております。ただいまの先生の御意見は、十分私も頭に置きまして今後対処してまいりたいと思っております。
#57
○安田委員 終わります。
#58
○高鳥委員長 次に、吉井光照君。
#59
○吉井委員 まず最初に遺族補償年金の受給資格の年齢の引き上げにつきまして、具体的な問題をお尋ねしておきたいと思います。
 今回の改正によりますと、例えば母子家庭で公務員である子供が公務災害で死亡した場合、母の受給資格年齢が五十五歳から六十歳に引き上げられるために、その経過措置はあるものの、母は六十歳にならないと遺族年金の支給が受けられない、こういうことになるわけですが、一般に受給資格は稼得能力の有無を基準にするとされておりますが、このように母一人となった場合でもその稼得能力は六十歳まであると判断しているのかどうか、まずこの点をお伺いしておきたいと思います。
#60
○中島(忠)政府委員 現在の制度は、先生御存じのように、今のような件につきましては、五十五歳以上六十歳未満の方は、特別に受給資格が与えられまして六十歳になるまで支給が停止されるというふうな扱いになろうかと思います。
#61
○吉井委員 仮に理論的に稼得能力がありとしたところで、五十五歳から女性一人が新たに働きに出て生計を維持していくことがどんなに困難なことであるか、これは非常に明白なことであります。自治省の資料がありませんので現実にこのような人たちがどのくらいいらっしゃるかわかりませんが、現実の問題として少ない数ではないと思います。労災と公務災害の官民格差の是正かもしれませんが、果たしてこれで母子家庭対策として十分と言えるのかどうか、むしろ逆行ではないかという考えもあるわけですが、いかがですか。
#62
○中島(忠)政府委員 お話しの問題につきまして、ひとり地方公務員災害補償のみの問題ではなくして、公務員災害補償、労災補償、それらにも関連する問題でございますが、今の先生のお話から察しますと、やはりそういうようなことが現実にあるということになりますと一つの検討課題ではあろうかと思います。
#63
○吉井委員 では、次に年金のスライドについてお尋ねをしたいと思います。
 去る四月十六日の参議院の地方行政委員会で、我が党の中野明委員の年金のスライドについての質問に対しまして、大臣が、六十年度においては特例措置として、平均給与額の変動率が六%未満でも初めての年だから年金額の改定を行う、このように答弁をされているわけですが、この趣旨がちょっと明確ではないわけでございます。これは、年金のスライド方式につきまして、今回の法案で年金受給者には一律の改定率を用いるという方式に改めるために、六十年度の年金改定に限って、四月一日に補償を行うべき事由が発生したとした場合の額が、現に支給されている年金の一〇六%に達しなくてもその年金を改定するという意味であるのか、例えば四月一日に補償を行うとした場合の額が、現に支給されている年金の額の一〇一%でもその一〇一%に改定をする、つまりその年金について一%増の改定を行うことと理解をしてよいのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#64
○古屋国務大臣 年金スライドにつきまして参議院で私が申し上げましたのは、六十年度における年金であります補償額の改定につきましては、現行のとおり個々人ごとに行うこととしておるわけでございます。その際、従来は六%を超える給与の上昇がない場合は改定していなかったのでございますが、六十年度におきましては、六%以下の上昇があった場合においても、従来の個々人の平均給与額を改定する方法によって年金額を改定するということでございまして、地方公務員災害補償制度についてもそれと同じような措置をとるということを申し上げたところでございます。
#65
○吉井委員 このような特例的な改定を行うことができる法令上の根拠は何なのか、お尋ねをいたします。
#66
○中島(忠)政府委員 現在の地方公務員災害補償法の第二条第七項に基づきまして、「平均給与額が公正を欠くと認められる場合」に該当するというふうに考える、そして施行規則の第三条第四項に基づいて行う現在と同じ方式によって改定するということでございます。
#67
○吉井委員 今回の改正で、給与改定率を基準としたスライドの六%制限条項が国家公務員災害補償法附則の二十二項に明記されたわけですが、しかしこのスライド六%は、給与の改定方式やそれから共済年金の改定方式に比べて高いということは問題ではないか。また、今回はっきりとスライド分が明記されたことによって、今後は本年の特例的措置のように六%にたとえ達しなくても、一%でも改定できるということが法律上できなくなってしまうと思うのですが、いかがですか。
#68
○中島(忠)政府委員 六%未満でも改定すべきときがあるのに改定できなくなるのではないか、こういうようなお話でございますけれども、その場合にはいろいろな方たちの御意見を聞きながら、もしもその必要があるということになりますと、特別にまた法律を提案いたしまして、そして政策スライドといいますかそういう方途を講じていかなければならないというふうに思います。それはその都度の政策判断になろうかと思います。
 それと六%と五%の話でございますが、先生御存じのように、現在傷病補償年金とか障害補償年金の等級間の格差というのがおおむね一三%でございます。そこで、物価が上昇し賃金が上昇いたしますと、改定せずにそのままにしておきますと、実質一等級下の給付になってしまう、そういうようなときにはやはり改定しなければならないというので、その等級間格差のおおむね半分に当たる六%でひとつスライドしようじゃないかという考え方で、地方公務員、国家公務員また労災もそういう考え方でスライド条項というものを六%にしたわけでございます。
 先生がお話しになりますように、物価スライドを行う国民年金、厚生年金あるいは給与というものにつきましては違ったパーセントが用いられておりますが、もともと考え方のベースが違いますので、そういうふうな数字の違いになってあらわれているというふうに御理解いただけないかなというふうに思います。
#69
○吉井委員 現行の方式だと、在職者とそれから離職者または遺族とでは、そのスライドの方法に違いがあるために、両者間で改定時期やそれから改定幅に差が生じているという不均衡が存在しているわけですが、今回の改正後は在職者とそれから離職者及び遺族のすべてを通じて一律に同時に改定を行うことになるわけですが、このままではこの不均衡が将来一層拡大することになるのではないかと思われますが、先ほどの答弁に加えてもう一度答弁をお願いしたいと思います。
#70
○中島(忠)政府委員 現在離職者の場合には、先ほどから御議論が出ておりますように、平均給与額の改定方式によって改定しておる、それも離職当時の等級号給というものをもとにして行うわけでございますけれども、在職者の場合には在職中の昇給等が考慮されまして平均給与額の計算がなされるというので、今先生がお話しになりましたようなアンバランスが生じてくるということでございます。
 しかし、もともと考えてみますと、スライドというのは、当初の年金額の価値を維持するということにこの年金スライドの意味があるわけでございますので、現在の在職者に係るスライドというのは、この本来のスライドの意味からいいますと、やはり少し外れているのじゃないかという意見が現在専門家の間で多うございます。したがいまして、離職者と在職者との間のそれぞれの今までのスライドというのはそれなりに理由もあり、それなりの合理的な根拠に基づいて行われてまいりましたので、それを前提にして今後のスライドというものをやはり考えていかなければならないのじゃないかというふうに思います。
#71
○吉井委員 では次に、地方公務員の災害補償の基本的なあり方についてお尋ねをしておきたいと思います。
 今回の地方公務員災害補償法の改正は、御承知のように国家公務員災害補償法の改正に倣って行われる、このように言われておりますが、なるほど形式的には両者同時に改正されるでありましょうが、しかし公務員数を比べてみても、地方公務員は国家公務員の約四倍、またその職種も非常にバラエティーに富んでいるわけでございます。先日の地共済の審議におきましても、地共済の審議が国共済におくれることについていろいろ議論があったわけですが、地方自治体は民間企業とは当然異なりますし、また国とも対等の関係にある、こういうことでございまして、今後地方自治の拡充というものがますます大きく叫ばれてくることは必然でございます。
 こうした点から考えますと、地方公務員の災害補償制度の改正が必要であるならば、自治省は、人事院がやらなくても、地方公務員の災害補償の改正をやるという基本的な態度で改正に取り組むべきであると思うわけですが、いかがですか。
#72
○中島(忠)政府委員 地方自治という立場に立っての御激励だというふうに思います。
 ただ、現在の制度というものを御説明させていただきますと、地方公務員法に基づきまして、地方公務員に係る災害補償制度というのは、国家公務員の制度との権衡というものに配慮しなければならない、こういうことになっておりますので、国家公務員の災害補償制度が人事院の意見の申し出を受けて改正される、それに連動して地方公務員の災害補償制度が改正される、こういうことで今日まで来ておるわけでございます。
 そういう仕組みの中で私たちも仕事をしておるわけでございますけれども、先生の今お話しになりましたような考え方は基本に持ちつつ、そして、どうしてもその必要性があるということになりましたら、今私が御説明させていただきましたように、国に対して意見の申し出を行いまして、そして災害補償制度それ自身としてはバランスのとれる制度というものを考えていきたいなというふうに思います。
#73
○吉井委員 このような地方の主体的な考え方からしますと、今回の改正案には、新しいスライド方式がどこにも明記されていないということは一つの問題だと思います。ただ、今回の改正法案の附則七条の三で、国家公務員災害補償法附則二十二項の例による、このようにされているわけですが、スライド方式という極めて重要な内容を地公災法自体に明示しないで、国公災法の規定をそのまま引用するような立法形式は、地方の主体性を欠いたものである、このように極めて遺憾に思うわけですが、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#74
○中島(忠)政府委員 地方公務員災害補償法の規定のつくり方の問題でございますけれども、私たちもその条文を設けるときには、実はいろいろ考えてみました。考えてみましたが、例えて言いますと、地方独自ということで、地方公務員の給与のアップ率といいますか変動率というものに基づいて、ひとつ地方公務員の災害補償基金の改定をやろうじゃないかということになりますと、その実態調査というものに大変な時間がかかります。地方団体というのは全部で五千八百ぐらいございますけれども、その集計というものを終えて、地方公務員全体の給与の変動率というものを出してからひとつ地方公務員災害補償基金の年金の改定をやろうということになりますと、改定の実施時期が国家公務員よりもおくれるということになりますと、これまた年金の受給者にとってプラスにもなりません。
 また、個々の地方団体の給与の変動率に基づいてという考え方もないではないわけでございますけれども、そういたしますと事務が非常に煩瑣になる。今回の改正の一つのねらいに事務の簡素化ということもございますので、そういう趣旨からいたしますと、そういう道もとり得ないということで、やはりこの際現在の規定のような規定を設けさせていただくというふうにしたわけでございますけれども、先生御存じのように、地方公務員の給与というのは国家公務員の給与に準ずるという基本的な立場がございますので、あながち不当なものでないじゃないか、御了解いただけるのじゃないかということで提案させていただいたわけでございます。
#75
○吉井委員 それでは次に、補償の迅速な実施についてお尋ねをするわけですが、地方公務員法第四十五条の第二項によりますと、補償は迅速に実施しなければならない、このようにされているわけですが、五十八年、五十九年度末の公務災害の未処理件数が何件あるのか。また、そのうち受理されてから三年以上五年未満と、五年以上の未処理件数はそれぞれ何件がお答えを願いたいと思います。
#76
○中島(忠)政府委員 公務災害の認定請求の受理事案に係ります昭和五十八年度末の未処理件数は、合計で四百五十六件でございます。受理件数に対する割合は一・二%となっております。そのうち受理後一年以上経過しているものが六十七件でございますが、今先生がお話しになりました三年、五年という数字につきましては、今調べておりますので、次の答弁のときにあわせて御説明させていただければというふうに思います。
#77
○吉井委員 聞くところによりますと、その処理が非常に長くかかっている件数もあるようでございますが、やはり処理というのは短くしていかなければならないことは当然でございます。その間にはいろいろな事情があることもわかるわけですが、そうした長期間未処理のものを少なくするためには、今後どのような手を打とうとされているのか、この点もちょっとお尋ねしておきたいと思います。
#78
○中島(忠)政府委員 どうして処理がおくれているのかということを災害補償基金の方で整理していただきましたら、一つは疾病、例えて言いますと、頸肩腕症候群とか腰痛、そういうような疾病の性格上慎重に検討を要するということで、関係資料の収集というものに時間がかかっておるというのがあろうかと思います。もう一つは、関係資料の収集というものは終わっているけれども、専門医に照会中で、専門医の検討というものの結果が出るまでに時間がかかっておるという二つの大まかな理由があろうかと思います。
 そういうような原因というものに対応いたしまして、この事務処理というものを迅速に行う対応ということを考えていかなければなりませんので、この方策につきまして基金の方で十分対応していただくように私たちも現在基金の方を叱咤督励しているというところでございます。
#79
○吉井委員 次に、先ほどちょっと触れられましたけれども、災害補償実施状況の調査でございますが、地方公務員の災害補償件数は、若干ではありますけれども増加傾向にあるわけです。五十八年度には四万七千四百八十三件で、その額は百三十八億にも達しているわけでございます。
 例えば、遺族補償年金の受給者が二千百六十四名、この家族構成、それから例えば年金で生活をしておるとかそういった家計の状況、また遺族の就業状況はどうなっているのか、死亡後の家庭に対する影響、また住宅の状況、こうした遺族の生活実態が一体どうなっているのか、これらについてもし調査をしておいでにならないと、先ほど非常に難しい問題だとおっしゃいましたが、現行制度の是非が判断できないことになるわけです。
 やはりこうした制度がある以上は、その制度の運用が、またその後の状況がどのようになっておるのか、そうした調査が行われないと、果たしてこの制度が本当に生きているのかどうか、判断も非常に難しくなってくると思うのです。したがって、やはりこうした問題については早期に調査を実施すべきである、私はこのように思うわけでございます。先ほどのお話にもありましたように、これは毎年やるということはとてもじゃないが難しい問題でございますので、せいぜい三年に一回とか四年に一回はこういった状況を把握していくことが必要ではないかと思うわけですが、いかがでしようか。
#80
○中島(忠)政府委員 実態調査というのは、ことしの一月に地方公務員災害補償基金で一応行っておるようでございますけれども、必ずしも先生が今お話しになられましたような観点からの十分なものではないというふうに思います。実態調査というものを必要に応じてどういう間隔で行うかということにつきましても、ひとつ基金の方で検討していただくように私たちの方から話してみたいと思います。
 先ほど、処理のおくれているということに関連いたしまして答弁できなかったわけでございますけれども、三年以上経過しているのが三十五件ございます。おくれまして大変申しわけございませんでした。
#81
○吉井委員 次に、地方公務員の健康管理状況の調査でございますが、人事院の調査によりますと、国家公務員の自殺者は五十八年度で百四十九人、二年続きの大幅増となっております。昨日も大蔵省の役人が自殺をした、こういうこともありますが、地方公務員の状況は調査をしておらないのでわからないということでございます。
 ところで公務員の健康管理は、公務員個人にとっても、また組織の円滑な運営のためにも、さらには公務災害の未然防止の観点からも極めて重要なことであると思います。そのために地方公務員に適用される労働安全衛生法でも、知事や市町村長に健康診断の実施等の責務を課しているわけですが、その健康診断の実施状況、また地方公務員の負傷、疾病、死因の状況等にういて、これは五十一年五月の附帯決議もあることですから、早急に調査をすべきであると思いますが、いかがですか。
    〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
#82
○中島(忠)政府委員 地方公務員に係る健康診断でございますけれども、これは先生よく御存じのように、労働安全衛生法に基づきまして、少なくとも年一回行うように地方公共団体の方に義務づけられております。したがいまして、それに従って各地方公共団体が行っておると思います。
 それ以外にも、それぞれの地方団体の方でもう少しいろいろな健康診断というものをやるべきだということで、地方団体独自で、あるいは共済組合とか互助会と連携しながらやっておる地方団体もあろうかと思います。そういうことで、それぞれの任命権者が、今先生がお話しになりましたように公務の円滑、能率的な運営のためにそういうことは心得ていかなければならないと思いますので、私たちの方でも、そういうことにつきまして任命権者が自覚を深めるようにひとつ機会を見て指導していかなければならないというふうに思います。
#83
○吉井委員 では最後に大臣にお伺いしておきます。
 従来の自治省の地方公務員行政は、どちらかといいますと給与や退職手当の抑制に偏っているように見受けられるわけですが、自治省の昭和六十年度の重点施策にもありますように、地方公務員の安全衛生及び福利厚生についても的確な調査を行って、それに基づくきめ細かな対策を講ずることが必要と思います。このことから、これらの分野についても公務員行政の重点を置くべきではないか、このように思うわけですが、最後に大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#84
○古屋国務大臣 お話しの点は私も全く同感でございまして、安全衛生、福利厚生ということにつきまして任命権者がいろいろ指導しておるのでございますが、今お話しの点もございますので、この御指摘を踏まえまして今後抽出的に実態の把握を行うことも加えまして、任命権者に適切な対策を講じるよう十分に指導してまいりたいと思っております。
#85
○吉井委員 私の質問はこれで終わります。
#86
○平林委員長代理 小谷輝二君。
#87
○小谷委員 地方公務員災害補償基金の運用について初めにお尋ねしたいと思います。
 この基金の財産目録、五十九年三月三十一日によりますと、資産のうちで流動資産として二百六十六億余りがありますが、この資産の運用はどのようにされておるのか。
 それからもう一つ、この法の施行規則第七条「資金の運用」の四号「その他理事長が自治大臣の承認を得て定める運用方法」、こういうふうに運用方法の規定があるわけですけれども、これはどんなことなのか、どんなものなのかお答えいただきたいと思います。
#88
○中島(忠)政府委員 資産の運用につきましては、先生よく御存じのように、有利かつ確実な方法により運用することにいたしております。
 具体的には、五十九年三月三十一日現在の状況を申し上げますと、普通補償経理でございますけれども、今お話しになりましたように二百六十六億というのがございますが、そのうち銀行預金として運用しているものが二十三億七千万ございます。その二十三億七千万のうち二十億が譲渡性預金でございまして、普通預金は一億七千万ということでございます。有価証券として運用しているものが二百四十一億七千万ございます。そのうち地方債が最も多くて二百三十億五千万ということになっておりますが、地方債が多いのは先生よく御存じのように、災害補償基金というもののお金は各地方公共団体の負担金で賄われておりますので、地方公共団体の行政目的にできるだけ貢献していこうという趣旨からそういう運用がなされております。
 特別補償経理でございますけれども、総資産が二十六億三千万でございますが、そのうち銀行預金として運用しているものが六億一千万ございます。有価証券として運用しているものが二十億二千万でございます。やはり地方債が最も多くて十三億二千万、そういう構成でございます。
 それから、先生の次の御質問でございますけれども、施行規則の七条四号に「理事長が自治大臣の承認を得て定める運用方法」というのが定めてございますけれども、それに基づきまして自治大臣が承認を与えた、あるいはまた理事長の方から承認を求めてきたというのは現在のところいまだ例はございません。
#89
○小谷委員 五十八年度の運用益、いろいろ利息とかあると思いますが、この運用益について国税の方の課税はされておりますか。
#90
○中島(忠)政府委員 基金が行います余裕資金の運用によって生じた利益につきましては非課税とされておりますので、預貯金の利息とか有価証券の利息あるいはまた有価証券益に対しましては課税されておりません。
#91
○小谷委員 大蔵省、きょう来ていただいておると思いますが、大蔵省は地方自治体または今のような公共法人、それぞれの資産の運用について課税されておるのがあるのかどうか、これをお尋ねします。
#92
○津野説明員 お答え申し上げますと、公益法人等の資産の運用につきましては、それによって入ってまいります所得につきましては一般的に課税になっておりません。
    〔平林委員長代理退席、委員長着席〕
#93
○小谷委員 自治体の宝くじの収益金、これは市町村の健全な発展を図るため必要な諸事業を行う、もって地方自治体の振興に資するを目的とする、こういう目的でこの収益金が運用されておるわけでございますが、全国市町村振興協会、これは災害時に市町村に貸し付けるという緊急融資事業を行っておるわけでございますけれども、この融資事業の運用益、これは課税対象になっておりますか、どうですか。
#94
○加藤説明員 私ども税務行政を執行する上で、個別の調査につきましては守秘義務の観点がございましてお答えできないことになっておりますので、その辺は御容赦いただきたいと思います。
#95
○小谷委員 では、一般論しかできないとすれば、公共法人が公共団体に貸し付けをする、この貸し付けた利息、金利が入りますな、これは課税対象になりますか。
#96
○津野説明員 公共法人等につきましては、先ほど申しましたように法人税法に定める収益事業に該当する事業、そういうものを営む場合に限りまして、その事業から生じた所得についてのみ法人税が課されるという現行法上の取り扱いになっております。したがいまして、この公益法人等の収益事業課税制度といいますのは、民間企業と競合するような事業を課税対象とする趣旨で設けられている制度でございますが、現行法人税法上は、物品販売業とか不動産販売業とか製造業とか三十三種類の事業について指定して、そういうものを収益事業ということにしているわけでございます。
 そこで、金銭貸付業でございますけれども、これは収益事業の一つとして掲げられておりまして、それに伴う所得につきましては課税対象とされているということでございます。これに対しまして、先ほど言いましたように金銭を預貯金したりあるいは公社債の購入に充てるというような場合に利子等を収受いたします。このような資産を運用する行為、これはいわゆる収益事業の概念になじみがたいということで課税対象としていないわけでございます。
 しかし、この問題につきましては、公益法人等の資産の運用から生ずる果実ともいうべき金融収益というものは、税制調査会の答申でも指摘されておりまして、これは五十八年の十一月と五十九年の十二月の答申でございますけれども、「応分の税負担を求めることについて公益法人等の実態も十分勘案しつつ検討を行うべきである。」というような指摘が行われたところでございます。
#97
○小谷委員 自治体が公益法人に対して公益の用に供する施設、会館、この建設資金、これに補助をした場合は課税対象になりますか。
#98
○加藤説明員 補助金が資産の取得を目的にしてなされておりますものにつきましては課税されないことになっております。
#99
○小谷委員 ではさらに、同じ自治体が公益法人に対して公益性を有する事務員の研修費とか広報費その他、自治体が当然これは補助目的に合致する、このように判断をして補助したものに対して、課税対象になるものはあるのですか、ないのですか、どうですか。
#100
○加藤説明員 現行税法上公益法人等については、先ほども説明がありましたように、法令に収益事業として限定列挙されております物品販売業、不動産貸付業、請負業などのいずれかに該当する事業を営む場合に、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課税されることになっております。したがって、公益法人等の実際に営む事業が、ただいま申し上げました三十三種類の事業のいずれかに該当する場合には、その事業が当該公益法人等の設立の目的となった本来の事業であるかどうかにかかわらず、その事業から生ずる所得に対しまして法人税を課税するということになりますので、収益事業にかかわるものにつきましては、当然益金の額に算入し課税が行われるということになります。
#101
○小谷委員 税務署、大蔵省の方は個々のものについては答えられぬということでございますので、やむを得ぬ、一般論として質問をしてきたわけですけれども、こういう実例がございます。
 大阪府が、地方自治法二百二十二条の二の公益上必要がある場合補助することができる、この定めに基づいて、大阪府医師会に対して、福祉医療振興補助金として老人また重度身体障害者とか母子家庭医療助成事業、この円滑な運営のために補助をしたわけでございます。昭和五十八年度に対し十億八千三百万円助成したものでございますが、その内容に保健衛生会館建設資金積立引当金、五十八年度分だけで二億一千万余が含まれておるわけでございますが、これは、大阪府は当然補助目的として合致するものであるということで監査も終わり、決算の認定も済んだ問題でございます。
 それに対して大阪の地元で税務署が、五十八年度に大阪府から受けた福祉医療振興補助金の使途のうちで、会館建設資金積立引当金の名目の積立金は収益事業として計上すべきものであるにもかかわらず、非収益事業として計算しておるので所得申告漏れと認定して課税する、こういうことで、三カ年合わせて三億三千三百万余円更正決定をしておるわけでございます。そのうち、税はトータル一億六千万ほどになるわけでございますが、このうち府税も五千万円ほど入ってくる、こんな形でございまして、どう考えても、国税を払うために補助をする、こんな補助目的はないはずなんです。こんなことが実例としてあるわけですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
#102
○加藤説明員 公益法人等が地方公共団体から受ける補助金の課税上の取り扱いについてのお尋ねだと思いますけれども、収益事業を営む公益法人等が、その収益事業に関して地方公共団体等から交付を受ける補助金、助成金等については、課税上、これから申し上げるような取り扱いになっております。
 その収益事業にかかわる収入または経費を補てんするものとして交付を受ける補助金等は、その事業を営んでいることに直接関連して発生する収入であるので収益事業の収入になる。それから、先ほどもちょっと触れましたが、固定資産の取得等にかかわるものは、これはその事業そのものから生ずる収入ではありませんので収益事業の収入とはならない。なお、補助金等の交付の目的が、収益事業の収入または経費の補てんのためのものである場合には、公益法人等が仮にその補助金等の額の全部または一部を固定資産等の取得等のための引当金等として経理していたといたしましても、その補助金等は収益事業の収入として取り扱うことになるわけでございます。
#103
○小谷委員 それならおかしいでしょう。この会館建設資金積立引当金というのは、大阪府としては当然な公共性のある補助の対象とすべき会館建設資金である。これに対して税務署は、これは当然収益事業として申告すべきであるにもかかわらず非収益事業という申告をしておる、これは申告漏れだ、こういうことで課税されておる。おかしいじゃないですか。
#104
○加藤説明員 個別の事柄につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として、はっきりそういう固定資産の取得、改良等を目的として支出された補助金と、いわゆる事業を営んでいく上での費用なり収入を補てんするための補助金というものは区別されておりますので、仮にそういう収支差補助金のような形で出ておりますものの剰余分を将来のそういう資産の取得のために引き当てたといたしましても、それは最初からその資産を取得するための補助金というものとはおのずから区別されるものでございまして、やはり収益事業関連の補助金だということに取り扱うことになっております。
 ただ、個別の問題については御容赦をいただきたいと思います。
#105
○小谷委員 それは見解の相違であって、金が余ったからこっちへ積んだ、これは国税の見方かもしれませんけれども、大阪府の方は、これだけの金額は会館の建設資金として補助することが適当です、このように監査委員会も認め、決算も認定されておる。
 これは見解の相違でありますから、ここでそんなこと言ってもやむを得ませんので、自治省の方へお尋ねしたいのですが、自治体が公益法人に対して補助をする、その補助が見解の相違で国税に持っていかれる、それに対して累進的に地方税も入るわけでございますけれども、自治体が法人に対して、国税に持っていかれるような補助目的はないはずなんです。国税を納めるような補助金なんて筋が通らぬ。自治体が仮に、これは補助目的に使用されていない、こういう場合は、当然自治体は補助を出した公益法人から返還を求めるべきである、こう我々は思っておりますが、これは自治省、どうですか。
#106
○花岡政府委員 補助金の目的、使途等につきまして、地方団体が個別に補助金ごとにその内容を決めるものでありますけれども、その補助の条件というものは交付決定通知書にはっきり書いておるのが大体通例でございます。その条件が満たされない場合にはこれをどうするか、これもやはりその交付決定通知書あるいは補助金一般に適用されるような規則にその取り扱いが書いてあるわけでございまして、そのような場合には、やはりこの交付決定通知書なり規則に基づいて適切に措置をしなければならない。こういう補助目的に合致しない使途に用いられた場合には返還させるという規定が通例でございます。
 ただ、私ども大阪府の事例を調べた場合には、医師会の補助申請というものが非常に広範囲な申請をいたしております。それに対して補助金を交付するという形になっておりますので、見た限りにおきましては、この補助金の使途というものが補助目的には一応合致しておるのではないかというふうに私ども見ております。」
#107
○小谷委員 時間も参りましたけれども、これは国税の方の見解で、税法上の問題もあろうかと思います。また、地方自治の定められた補助金の支給の方法もいろいろギヤップがあると思いますけれども、そういうことなら、国税に持っていかれる、そんな補助金なら出せませんということで大阪府が引き揚げるとした場合には税金を還付しますか。
 あわせて大臣、こんな地方の貴重な財源が補助金として公益法人に出された、それを国税が見解の相違、税法上の見方の違いで課税される、こんなことが全国各自治体で起こったとしたら問題です。これは国民の立場から見たら、何をしているんや、こんなことになる。これに対する大臣の見解と、国税の方の、要するにこれを自治体が返還を求めてここから返した場合、国税は還付するのかどうか、この点ひとつお答えいただきたいと思います。
#108
○加藤説明員 補助金の還付が行われましたならば、その時点の損金になります。当該年度の損益計算上の損金になりますので、一般論として、結局そういう形で還付になるとお考えいただいていいかと思います。
#109
○古屋国務大臣 具体的問題について、地方団体の公益法人に対する補助金が、今のお話のような課税対象になるかならぬかということにつきましては、恐らく医師会に対する問題と思いますが、ひとつ自治省と大蔵省の国税庁で十分検討されまして、その上で御報告申し上げます。
#110
○小谷委員 終わります。
#111
○高鳥委員長 岡田正勝君。
#112
○岡田(正)委員 大臣に冒頭にお尋ねをいたしますが、去る五月二十六日、横浜市内におきまして、マグロ師といいますか、抱きつき介抱というのでしょうか、その犯罪が行われたときの勇敢なる四名の大学生の諸君のその功績があだとなって、一人は殺される、一人は重傷を負うというような痛ましい事件が起きました。幸いにいたしまして、警察当局の懸命な御努力によりまして一昨日、十六日ぶりに犯人は全員逮捕というスピード検挙ぶりでありまして、本当に国民もひとしく喜んでおることと思うのであります。
 先般、三十一日の委員会で大臣に私の方からお願いをいたしました。犬死にではない、社会正義を守るための本当に立派な行為であったということが国民にもよくわかるように、ひとつ立派な褒賞をしていただきたい、その措置をとってもらいたいということを大臣に強くお願いをしたのでありますが、それ以後どのような結果に至りましたか、お話しをお願いします。
#113
○古屋国務大臣 これは、岡田先生を初め皆さんから、この委員会におきまして、警察に対する国民の協力、勇敢な行為についても内閣としてぜひ何か考えるべきであるという御意見を受けまして、ここで御論議がありました明くる日の土曜日に、私、官房長官に会いまして、その事実を話して要請したところでございます。
 昨日、平野さんの勇敢な行為に対しまして総理大臣から顕彰状と盾と金一封が出ることになりました。本日の午前十一時に内閣の人事課長が平野さんの遺族のお宅へ参りまして、そして勇敢な行為である顕彰状それから盾、金一封をお渡ししたところでございます。
 それから負傷して入院されております西幹さんにつきましては、国家公安委員長の感謝状を、本日午後二時に神奈川県警の警務部長が病院へ持っていってお見舞いを申し上げるということに相なったわけであります。先生方の御激励におこたえすることができましたことは全く先生方の御協力のたまものでございまして、私からも厚く御礼申し上げます。
 なお、賞勲の方には手続をとっております。事務的にそれがどういうものになりますか、近く決定しましたら御連絡申し上げたいと思います。
#114
○岡田(正)委員 大臣、ありがとうございました。大変適切な処理でございまして、私も心から厚くお礼を申し上げたいと思います。
 それでは次に人事院の方、お越しになっていますか。――それでは人事院の方から先にお尋ねをいたします。
 今回の法改正は、人事院の意見の申し出に基づいて、国家公務員及び地方公務員災害補償制度が改正されるに至ったものと聞いております。人事院はなぜこの時期に意見の申し出を行ったのか、その理由と概要についてお伺いをしたいのであります。
#115
○渡辺説明員 今回の国家公務員災害補償法の改正に対する意見の申し出につきましては、高齢化社会の進展等の社会経済情勢の変化、それから災害補償の官民間の均衡の維持、こういったような面からかねてから検討を続けてきたわけでございますけれども、そのうちの問題三つ、遺族補償年金の受給資格の問題、それから年金たる補償の額のスライドの問題、それから福祉施設の規定の整備の問題、この問題についてもその内容として意見の申し出をしたわけでございます。
 この遺族補償年金の受給資格年齢の引き上げという面について見ますと、既に他の年金制度等は六十歳にすべて措置済みであるというようなことがございまして、他の年金制度との均衡上できるだけ早く改正する必要があるという点。それからスライドに関しましても、他の年金制度におきまして、既にその法律の上で自動スライドの規定が整備されているというような状況がございます。一方、こちらの方のスライドというのは必ずしも法律上の規定ということでスライドしているというものではございませんので、その点の是正を図るという観点から、できるだけ早く措置する必要があるというようなことから、今国会での成立をお願いしたいということでございまして、法案の検討期間といいましょうか、法案の審査期間、そういったようなものを見込みまして本年の二月二十日にその意見の申し出をした、こういうところでございます。
 その意見の申し出の内容の概要でございますが、これは先ほども申しましたように三点ございまして、第一点は遺族補償年金の受給資格年齢の引き上げ、これが第一点でございますが、この中身といたしましては、現在五十五歳以上ということになっております夫、父母、祖父母、兄弟姉妹、これにつきまして六十歳以上に改めるということでございます。ただ、この場合に当分の間の措置ということではございますけれども、五十五歳以上で一応受給資格を与える。言ってみれば、その部分で言えば現行どおりという形になるわけでございますが、年金の支給はただし六十歳からにするという形を考えている、これが概略第一点でございます。
 それから第二点の年金たる補償のスライド制の関係でございますが、これにつきましては、毎年の四月におきます一般職の公務員の給与水準、これが前に改定した年、前年の四月の給与水準との比較におきまして六%を超える変動があったという場合に、人事院規則の定めるところによりまして、その率を基準にいたしましていわば自動的に一律にスライドするという形をとりたいというのが第二点でございます。
 それから第三点でございますが、これは福祉施設の規定の整備、実質的な中身は当面変わるわけではございませんが、規定の整備ということでございます。御承知のように福祉施設の関係と申しますのは、現在の法律上の規定といたしましては、物的な施設というものが重点に規定されているという関係がございます。一方、実態の中身を見ますと、いわば金銭給付が今主体になってきているという実情がございます。そういうような面から、内容に即したと申しましょうか、そういった形での整備を図りたい。
 それからもう一点は、補償本体の方につきましては、民間におきます労災補償法との均衡といったような規定があるわけでございますけれども、この福祉施設に関連する部分にはそういった規定がございませんので、その部分も整備するといったことを内容としているものでございます。
 以上でございます。
#116
○岡田(正)委員 人事院の方、ありがとうございました。結構ですからお引き取りください。
 それでは次にお尋ねをいたしますが、最近の災害の発生それから補償、その傾向は一体どのようになっていますか。
#117
○中島(忠)政府委員 五十八年度におきます公務災害及び通勤災害の認定件数ですが、三万五千五百七十件、そのうち公務災害は三万一千六百三件でございます。警察職員が六千六百五十七件、清掃職員が五千九百六十五件というところが多いところかと思います。
 それから補償件数でございますけれども、普通補償経理におきましては、五十八年度におきまして四万二千二百三十八件、前年度に比べまして千二百四十四件減少しておりますけれども、給付額は百二十七億ばかりでございまして、前年度に比べて三億七千万ほど増加いたしております。
 これを補償の種類別に見ますと、件数、金額ともに療養補償というのが圧倒的に多うございまして、補償全体のそれぞれ件数では九〇・三%、金額では五〇・四%というふうになっております。次いで遺族補償、障害補償というところかと思います。
 概要を申し上げますと、以上のようなところでございます。
#118
○岡田(正)委員 不幸にして職員が被災をいたしました場合に、国家公務員災害補償制度が職権主義をとっているのに対しまして、地方公務員災害補償制度が本人の請求主義をとっていますね。この両制度の差というものはどのような理由に基づいてできたものですか。
#119
○中島(忠)政府委員 地方公務員に関しましては、御存じのように災害補償基金が地方団体にかわって補償業務を行っております。ところが、この災害補償基金というのは個々の地方公務員の使用者ではないというので、職権でその実態を知り得る立場にないというので本人の申請主義がとられておる。片一方国の場合には、各省庁が補償の実施主体でございます。それぞれ任命権者であり雇用者の立場に立ちますので、実態を知り得るということで職権主義ということになっておるというふうに承知しております。
#120
○岡田(正)委員 その説明はある程度了とできるのでありますが、本人が請求するというのじゃなくて、任命権者であります市町村長が基金に請求するということによって十分足りるんじゃありませんか。いかがでしょう。
#121
○中島(忠)政府委員 そういう御議論もあろうかと思います。
 ただ、本人に請求していただくというのは、本人に権利意識を持っていただくという意味において非常に重要かと思いますし、最近のように疾病が複雑、多様化してまいりますと、本人に申請していただいて、本人でなければ知り得ない状態というのがそこから把握できるというメリットもございます。
 実は、国家公務員災害補償におきましては、今先生からお話がございましたように職権主義がとられておるわけでございますけれども、最近の疾病の複雑、多様化ということを考えると、必ずしも職権主義がいいと言い切れないという議論も内部に出ておるという話も聞きますので、これはどちらがいいかというのはなかなか割り切れない問題でございますが、要は、先生が御心配されますように、本人が申請するということを本人が嫌がるといいますか面倒くさがるというか、そういうことで請求が十分行えないということでは困りますので、それぞれの所属長がその本人の立場をよく考えて、本人にかわってそういうことをしてあげるという気持ちで対応していかなければならないのじゃないかというふうに思います。
#122
○岡田(正)委員 それでは、最後に大臣にお尋ねいたしますが、いずれにいたしましても、公務員の方々が災害を受けた、公務で災害を受けられたときに補償の措置があるというのは非常に大事なことでありまして、こういう制度が今後に向かっていささかも後退することがないように、安心して働くことができるように強く要望いたしたいと思うのでありますが、大臣のお考えを伺って終わりたいと思います。
#123
○古屋国務大臣 お説の点は全く私も同感でございます。御趣旨を体しまして十分今後万全を期してまいりたいと思います。
#124
○岡田(正)委員 ありがとうございました。
#125
○高鳥委員長 経塚幸夫君。
#126
○経塚委員 最初に、法改正の問題についてお尋ねをいたします。
 この附則七条三項と五十七条との関係ですが、これは一体どういうことになるのですか。
#127
○中島(忠)政府委員 五十七条と申しますのは、補償を実施すべきだということについての基本的な考え方を示した訓示規定だというふうに御理解いただいていいのじゃないかと思います。
 この規定でスライドができるかといいますと、やはりスライドの基準としてはこの規定では無理だろうということで今回の附則七条の三ということになったわけでございますが、結局、五十七条の規定だけ読みました場合に、何を根拠にいつからスライドをするんだということがこれからは出てまいりませんので、やはり附則七条の三項を設けてその点を規定させていただくということになろうかと思います。
#128
○経塚委員 そうしますと、五十七条ではいつ何を基準にスライドするかということについては具体に明確ではない、したがって七条三項を入れたということなんですが、七条三項は「国家公務員災害補償法附則第二十二項の規定による」、こうなっているのですね。だから、先ほどからも論議がありましたけれども、あくまでも五十七条の、いわゆる本法のより具体化であるということであるならば、わざわざ国家公務員の災害補償法の附則を持ってこなくとも、独自にそういう規定を挿入すれば事足りるわけじゃないですか。そこで私は尋ねたわけですよ。
 五十七条があるのに何のために七条の三項を持ってきたのか。しかも七条の三項というのは、国家公務員に関する規定を地方公務員に関する法の中へ持ってくるというのは道理に合わないじゃないか。あくまでも五十七条を生かすという意味であれば、これは一つの独立法なんですから、独立的な附則を入れれば事足りるんじゃないか。どうなんですか、そこは。
#129
○中島(忠)政府委員 なかなか先生も法律については詳しい御知識をお持ちでございますので、私が御説明して満足いただけるかどうかわかりませんが、先生のおっしゃるような規定の仕方もそれはあると思います。あると思いますけれども、附則の七条の三項で今御提示申し上げているような規定の仕方もある、それは立法技術の選択の問題じゃないかというふうに思います。
#130
○経塚委員 これは単なる立法技術の選択の問題じゃないんじゃないですか。あくまでも国家公務員の補償法の附則を持ってきているわけなんですから、国家公務員のスライドがなければ地方公務員の補償額についてもスライドがないとも受け取れるわけですよ。何でそんな回り回ったことをやらなければならぬのですか、何で国家公務員の枠に地方公務員がはめられなければならぬのですか、こういう疑問が出てくるのは当然でしょう。私は法律に詳しいから聞いているのではなしに、わからぬから聞いているのです。
 だから、おっしゃるとおり選択の技術の問題じゃなしに、国家公務員に地方公務員が拘束されるんじゃないかということで本質的な変化が生まれてくるのですよ、答弁されているのが自治省なんですから。自治省の立場からなぜ五十七条の、いわゆる不十分であれば不十分であるという観点から附則を入れなかったのですか。これは何ぼ議論したってこの矛盾は解決つきませんよ。逆に言うなら、部長はようわかっていて疑問を抱くようなこういう法改正を出してきているから、これは聞かざるを得ぬとなるのですよ。これはどうなんですか。
#131
○中島(忠)政府委員 先生が御指摘されたいことが今初めて出てきたわけでございますけれども、先生が本当に言いたいことは、恐らく国家公務員の給与改定が行われないときには地方公務員の年金改定まで行われない、おかしいじゃないか、こういうことに尽きるわけだろうと思います。人事院勧告が行われ、国家公務員の給与改定というものが期待されるときに、通常の場合というか、どういう場合でも政府としては人事院勧告を完全実施す各ように努めなければなりませんし、また不完全実施とか見送りということがあってはならないことだと思います。
 ただ、そういうような基本的な考え方のもとにおいても、国家公務員が給与の改定を見送らなければならない、あるいは抑制しなければならないという非常に異常な事態におきましては、地方公務員の場合にもそれと同様な歩調をとることが国民の恐らく過半の御意見だろうというふうに思います。そういうことで考えますと、国家公務員の給与改定、地方公務員の給与改定いずれを持ってこようが基本的には同じことじゃないかということで、私たちは現在のような規定をお示ししたということでございます。
#132
○経塚委員 国家公務員の給与改定がなければ地方公務員の災害補償の額の改定についてもないという疑問が一つと、もう一つは、やはり地方自治の本旨にかかわる問題だと思うのですよ。
 国家公務員は、例えば受給資格の年齢の問題にいたしましても、労災だとか、あるいはまた年金の改正については厚生年金だとか、民を対象にして官民格差是正だということで国家公務員の改定が行われる。今度は、地方公務員は国家公務員に倣って改定が行われていくというようなことで、結局は地方自治の本旨にもとるようないわゆる改悪が、制度改正が相次いで行われてきておるから私は問題にしておるのでありまして、これは改めて後の問題でお尋ねをしておきます。
 それから公務災害の問題について尋ねたいと思うのですが、学校給食の調理員の指曲がり症であります。これは長い間学校給食関係の調理員をやっておりますと、手の指がくの字に曲がる。これは今問題になっておりますが、自治省、何かそういう疾病症状について報告受けておりますか。
#133
○中島(忠)政府委員 そういう調査報告が紹介されましたので、私もその調査報告を読んでみました。恐らく先生もよくお読みになったことだろうと思いますが、その調査報告の中ではまだ公務起因性について疑わしめるものがあるということが書いてございますので、私たちもその調査報告というものの今の時点における現代的な意義といいますか、そういうものにつきましては十分留意しなければなりませんが、今後の医学的な解明といいますか、そういうものにつきましても十分その推移というものを注意していかなければならないというふうに思います。
#134
○経塚委員 文部省の方は報告受けておりますか。
#135
○小西説明員 先生今御指摘の件につきましては、実はこのような事実があったということを新聞等で了知いたしまして、その後、各都道府県がこの問題についてどの程度事実を掌握しているかということについて私の方から照会いたしまして、そしてその報告を徴しております。
#136
○経塚委員 これは愛媛県の例です。これも同じ例なんですが、この写真、ごらんになってわかりますように先がくの字に曲がってもとへ戻らないという状況なんですね。この人の場合は指全部がこういう状況になっておるわけですね。この人の場合は、ごらんになってわかりますように腕からずっと全体がはれ上がって、それで曲がってきている、こういう症状なんですね。もう大変深刻な状況です。
 これは岩手県の同じく指曲がり症状に侵されておる人の手紙でございますが、
  十年目頃から少しずつ指先に痛みを感じ始め、中指の第一関節が腫れあがって来たので、整形に行って見ていただいたら、リウマチから来たのではないかといわれ、検査をしたが反応がでませんでした。二年通院致しました。
 あまり痛みがひどいので、手術が出来ないでしょうかと相談したら、この様に変形したのはどうする事も出来ないから切断するより方法がないといわれ、びっくりして、又別の病院に行って見ました。
 今迄に何んでも良いと云うことは行ってみました。だがききめがなく、不安な日が続いておりました。
こういう訴えが来ております。
 文部省の方も報告は受けておるということでありますが、これは岩手県の組合の調査でありますが、二十六市町村中二十一市町村で異常が出ております。指が曲がる、あるいは単に指が曲がるのじゃなしに変型ですね、ねじれとかどうとか。こういういずれかの症状に侵されておるというのが二七・五%なんですね。三割近く症状があるという状況が出ております。
 愛媛県の松山市、新居浜市の調査でも、ここは若干率が落ちますが、一九%と二五・五%ですね。特に、単独校方式よりもセンター方式のところが非常に率が高いというのもこれまた問題だと思うのです。センター方式のところでは、これは岩手県の久慈市と水沢市でありますが、いずれも四一%、こういう症状が出ております。これは大変ゆゆしき事態だと考えます。またこれは公務災害としての認定申請が出るところまでは来ておらないとは思いますが、いずれ早晩、公務災害補償の認定申請が相次いで出される状況にあるやに聞いております。
 したがいまして、自治省と文部省にお尋ねしたいわけでありますが、正確な実態を掌握する必要があるのじゃないか。それからもう一つは因果関係について、自治省の方は先ほどの御答弁では公務との因果関係がなお不明な点もあるということでございましたが、自治労の顧問医の中桐先生の調査では、幾つかの症例を、給食の数だとか調理員と一般事務職の比較だとかいうものをとった結果、これは明らかに因果関係があるという結論を出しておるわけですね。したがいまして、自治省、文部省としてもその因果関係が明確にあるのかないのかということについても結論を出す必要があるんじゃないかと考えますが、実態調査と因果関係についてどのように対処されますか。
#137
○中島(忠)政府委員 私たち公務災害補償を担当している立場からお答えさせていただきますと、実態調査の方は、先ほど文部省の方から御答弁がございましたように文部省で進めておられるということでございますので、その文部省の調査結果をいただいて参考にしていきたいと思います。
 いずれにいたしましても、そういう調査報告に私も目を通しまして、関係資料を収集するように、そしてよく勉強するようにということを私の方から基金の方に連絡してございます。したがいまして、今先生がお話しになりましたけれども、いろいろな大学とか先生などが所見を出しておられるわけでございます。そういうものの収集に努めて、いざというときに仕事が素早くできるように対応をしていただきたいというふうに私たちは基金の方に今伝えておるところでございます。
#138
○小西説明員 私どもが受けました報告によりましても、先生御指摘のように、そのような症状を持った調理師がいることはどうも確かなようでございます。ただ、その数が県によりまして、百名を超すようなところもあればわずか数名のところもあればということで、非常に差が出ているようでございます。
 ただ、学校給食の業務とこの症状との因果関係は非常に不明確な点がございまして、専門家の立場からも因果関係が必ずしもはっきりしないようでございます。私どもも関係の省庁等の御指導を得ながら対応してまいらなければいけないと考えております。
#139
○経塚委員 自治省の方、基金に掌握を指導されるのも結構ですが、同時にあわせて、調理員の身分から考えてみましても、自治省としても各地方団体に対しまして独自に調査をされることが重要だと思うのです。
 それから、文部省の方から今御答弁がございました。私は一、二の例を申し上げましたけれども、公務との因果関係は症例の比較でも明らかになってきているのです。ただ医学的にそのことが解明をされておらない、ここが問題なんですね。
 症例的にと言いますのは、こういう調査結果も出ておるのですね。一般事務職と調理員と比較してみた場合に、指の異常は、三十五歳から三十九歳の数百人の調査では、一般事務職の場合ゼロ、調理員は五%なんです。七年勤務した五十五歳以上をとってみた場合は、一般事務員は五・三%くらいは関節異常が出ているのですね。ところが、調理員の場合は三〇・八%という結果が、先ほど申し上げました中桐先生の調査では出ておるわけなんです。それから扱い給食数を例にとりましても、百五十食以下の場合は異常が一五・九%。ところが二百食以上の場合は一八・八%という症例が出ております。それから手指の異常と頸肩腕症との関連も明確に出ておるのですね。それから給食センターと単独校を比較した場合には、給食センターは二〇・三%、単独校は一六・七%という違いも出ておるわけです。
 だから、症例を比較してみた場合に、明らかに公務労働と症状との関係は浮かび上がってくるし、公務が厳しいほど症状も率が上がってきておるという状況も出ておるわけです。これが医学的に見て、どういう相当因果関係があるのかという解明がこれから重要な問題になってくる。そういう観点からぜひ指導を強めていただきたいと考えております。
 時間の関係がございますので、次の問題に入っていきたいと思います。文部省の方、もう結構でございます。
 公務員部長にお尋ねいたします。先ほどから公務災害の問題で、特に基金の扱いでちょっと年数がかかり過ぎるのではないかという御質問もございました。三年以上かかっているのが三十数件あるということだったのですけれども、私も調査いたしましたが、随分とかかっておる人がおるのです。
 これは岸和田市の例でありますが、河上房子さん、申請を出しまして認定公務外、それから審査請求、棄却、それから再審請求、その棄却決定が五十九年十一月二十八日にあったわけですけれども、最初の申請をいたしましたのが五十三年七月二十六日であります。したがって、再審請求の棄却まで六年一カ月かかっておるのです。特に審査期間が三年十一カ月です。
 枚方市の一例でありますが、これも公務外でありますけれども、申請から認定まで一年三カ月、審査請求棄却までが三年四カ月、そして再審請求が五十七年五月六日でありますが、三年たっておりますけれども、決定がまだおりておらないわけです。これは四年七カ月経過しているのです。これらはちょっと考え物じゃないですか。そこで、労災との比較でお尋ねしたいわけです。
 まず手続の問題、もうちょっと簡素化できませんか。労災の場合は、療養の給付請求書を労災指定医療機関に提出する、そして監督署長の判断でしょう。ところが基金の場合は、認定請求書でしょう、ところによっては現認書でしょう、それから診断書でしょう、規定七条によって所属部局長の証明でしょう、四十五条によって任命権者の意見でしょう。官民格差、官民格差と言いますが、どうなんですか。官の方が民に比べてちょっとでもよければすぐ改正しておりますが、民の方が官に比べていい、逆に言えば官の方が悪いところはそのまま置いておるわけです。これは均衡だと言われしまへんで。均衡やと言う以上は、民に比べて、この場合は労災に比べて基金の方が被災者にとって、申請者にとって不利な面があれば改正すべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
#140
○中島(忠)政府委員 今先生が長期間かかっておる例をお挙げになりました。私たちの方でも長期間かかっておる件について調査をいたしまして、どういう理由で長期間かかっておるのかということを一遍把握してみたいと思います。その結果、今先生が認定請求手続に関していろいろ事例をお挙げになりましたけれども、そういう事例の中でどの部分がとにかく長期間かかる原因にかかわっておるのかということを把握しなければ、この部分は省略いたしましょうとか、この部分は簡素化いたしましょうと軽々に言うわけにいきませんので、そういうことの検討をひとつしてみたいと思います。
#141
○経塚委員 部長、今ごろそんな答弁しておったらあきまへん。これはもう過去において何回か同じことが論議されておるわけでしょう。五十七年五月十三日の地方行政委員会でも同じような問題が論議され、世耕国務大臣が「第一段階としては、その審査に当たる代表者の数をできるだけふやして公正さを期して、その結論をなるべく簡潔、迅速に出していく」、こう答弁されているでしょう。その前は、五十五年にも部長も大臣も同じような答弁をされておるのですね。これは一向に解決がつかぬわけですよ。大嶋政府委員も、適正な認定がなされるように総合的な判断をする、迅速適切な認定がなされるように各団体を指導してまいる、同じようなことを何回も繰り返しているのですよ。
 これは先ほど言いました労災に比べて、一つは手続上の問題、それからもう一つは体制の問題です。ここでも論議されましたが、基金の場合は、地方公共団体に従事する職員をもって充てることができるということになっているのでしょう。審査会についても、労災の場合はあくまで独立したもので専門職ですよ。ところが、基金の支部の場合は専門職がおらぬからなのでしょう、何ぼ言うても専門職を置きまへん。これは日本産業衛生学会の調査報告書でも、「業務上外の認定を扱う行政官が専門的な知識がなく、認定作業に時間がかかりすぎる。」こういう意見が具申されておるわけでしょう。これはどうして専門職の体制をとらないのですか。
 この前私が聞きましたけれども、途中で人がころっとかわりますとまた一からやり直しというようなことで、申請を出して結論を待っている人はたまったものではないという状況が生まれてきておるわけですね。労災は、労災保険審査官または委員は専門職、兼業は禁止する。これが労災の体制なのでしょう。これも民のいいところをとればいいのですよ。民のいいところに倣って、それこそ官民格差是正をやればいいのですよ。どうなのですか。
#142
○中島(忠)政府委員 それぞれの地方団体支部の方では最大限の努力をしていると私は思いますし、基金の方から今までの話を聞きましてもそういう話を伺っております。
 ただ、専門職がいいのかどうかということにつきましてはいろいろな観点からも考えてみなければならない。例えて言いますと、それによって組織が大きくなるとか、あるいはまた人員に関する人件費がふえるとかというようなことも考えてみなければなりませんけれども、そういうようなことを考えながらも、どのようにして認定事務をスピーディーにやるかということの検討というものが、基金の方でもっと真剣に行われるように指導しなければならないと思います。
#143
○経塚委員 それは専門職の体制をとった方がいいのかどうなのかということじゃなしに、長年の経験則でもう専門職を置かないと解決がつかぬということになっておるのです。だから、私が今さら部長がそんなことを言っていたのでは間に合いはしまへんと言ったのは、これは前々から論議されていることです。
 それから、先ほどの質問に対する御答弁の中で、資料収集に時間がかかる、専門医の意見を聞くのにも時間がかかる、こういうことですが、棄却した件あるいは公務外認定という中には、申請書類に添付した医者の意見というのは基金は全く無視しておりますよ。
 例えば、これは大阪支部、五十七年三月十二日に公務外認定として出しまして、今また争っておりますが、枚方市の東良子さんの例でありますけれども、主治医の意見は、業務起因性を持っているとの判断が妥当である。明らかに業務との関連があるという判断を出した。これも無視しておるのです。それから再審請求、五十九年、東海久子さん、吹田市の例でありますが、これも主治医の意見は、本件疾病は公務に基づく障害と判断した、これはついているのです。これも全く無視しているわけですね。それから同じく吉田外科、公務遂行に起因するものであったことを一層確信しておる。岸和田市の例でありますが、これは岸和田市民病院等々の医師の意見もそういうことなんです。こういう医師の意見が全く無視されておるのでしょう。それで専門医の意見を聞くために時間がかかる、こうおっしゃっておるのですが、専門医の意見を聞くために時間がかかるというのは、申請書に添付された、長い間脈をとっておった主治医の意見をどう覆すかという角度からの専門医の意見の聴取ではないかと疑われる節さえあるのですよ。それで時間がかかっておるのじゃないか。
 例えば頸肩腕なら頸肩腕の問題について、公務と疾病との因果関係が明確になっておらない段階では、専門医の意見というのは、申請書に添付されてきた、長年脈をとっておる主治医の意見というのが、まず基金においても審査会においても尊重されなければならぬものだと私は思うのですよ。これが全部無視されてきておる。一体これはどういうことなのかと言いたいのですが、その点はいかがですか。
#144
○中島(忠)政府委員 本部におきましても支部におきましても、それぞれ審査会というのを持っておりまして、その審査会というのは専門家の医者とか弁護士にお集まりいただいて判断しておるということでございます。先生が今お挙げになりましたそれぞれの専門医の意見をいただいて恐らく支部、本部は仕事をしておると思いますけれども、たまたまその意見の背景になっておるものにつきまして、いろいろ審査会あるいは支部の審査会で議論して先生が今おっしゃったような結果になったのだと思いますが、いずれにいたしましても、そういうような意見を重要な参考資料として支部の審査会、本部の審査会の審査が進められておるというふうに私たちは確信いたしております。
#145
○経塚委員 確信をしておるとおっしゃいますが、これは結果としては全然無視した結果になっておるわけですね。だから部長がそういう答弁をされる以上は、添付された医者の意見は十分尊重する、こういう指導をすべきであります。このことを申し添えまして質問を終わらせていただきます。
#146
○高鳥委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#147
○高鳥委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君
#148
○安田委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案に対し反対するものであります。
 今回の改正は、主として遺族補償年金の受給資格年齢の引き上げ及び福祉施設の規定の整備、年金額のスライド制の措置などであります。
 このたびの改正によりますと、遺族補償年金の受給資格年齢を六十歳に引き上げ、引き上げに伴う経過措置が五年間で短く、地方公務員共済組合法の年金受給年齢引き上げの経過措置と整合性に欠けるのであります。これは一連の社会保障の後退と軌を一にし、遺族補償給付の切り下げになるので反対するものであります。
 なお、今後法改正に当たって、制度の改善のため遺族補償年金の受給資格者の年齢制限については、遺族たる夫、子ともに検討を要すると思料するのであります。
 また、福祉施設の一層の整備並びに被災職員と任命権者と基金との関係の整理や災害の認定などについて公務員の適切な救済のため、当局においては運用上の努力をされるよう要望するものであります。
 以上をもって討論を終わります。(拍手)
#149
○高鳥委員長 次に、経塚幸夫君。
#150
○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 改正案は、遺族補償年金受給資格年齢の引き上げ等を内容としておりますが、これは明らかに補償水準の引き下げであります。
 改正の理由として、労働災害保険遺族年金の支給開始年齢が六十歳であるため、国家公務員災害補償法もこれに倣って改正するのに伴う改正と述べております。
 かつて五年前に、共済年金の支給開始年齢を五十五歳から六十歳に引き上げた際にも、厚生年金との整合性を理由としたのであります。しかし、均衡、整合を理由に給付水準の低いところへ合わせていくことが許されるなら、地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとした法の目的が失われ、補償制度の後退に何の歯どめもなくなることは明白であります。均衡、整合を口にされる以上は、地方公務員にとって少しでもよくなるようによいところへ整合を図っていくことこそ真の均衡であり、自治省としてとるべき態度であります。
 最後に、公務に起因すると考えられる健康障害が多発する傾向にありますが、疾病を未然に防止するとともに、迅速かつ公正な補償が確保されるためにも、法改正を含めて対策を検討されるよう要望して討論を終わります。
#151
○高鳥委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#152
○高鳥委員長 これより採決に入ります。
 地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#153
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#154
○高鳥委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、平林鴻三君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。平林鴻三君。
#155
○平林委員 私は、この際、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共
同の五党を代表し、地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について善処すべきである。
 一 年金額のスライドについては、引き続きその改善に努めること。
 二 地方公務員災害補償基金審査会及び同支部審査会の運営の適正化を図るとともに、審査案件の処理の迅速化に努めること。
 三 本法における「福祉施設」という用語については、再検討を図ること。
 右決議する。
以上であります。
 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
#156
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#157
○高鳥委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、古屋自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古屋自治大臣。
#158
○古屋国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#159
○高鳥委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
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#161
○高鳥委員長 次回は、来る二十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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