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1984/01/28 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 本会議 第7号
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1984/01/28 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 本会議 第7号

#1
第102回国会 本会議 第7号
昭和六十年一月二十八日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和六十年一月二十八日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(坂田道太君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。石橋政嗣君。
    〔石橋政嗣君登壇〕
#4
○石橋政嗣君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、一昨年末の総選挙以来一年有余にわたる間の中曽根内閣の足跡をたどりながら、施政方針演説に関する質問を行いたいと思います。(拍手)
 総理、あなたは前回の総選挙において、あなたの率いる自民党が国民の厳しい批判を受けたことを、よもやお忘れではありますまい。あなたは選挙直後の総裁声明の中で、敗北の最も大きな原因は、いわゆる田中問題のけじめが明確でなかったこと、政治倫理への取り組みについて国民に不満を与えたことなどであったとはっきり認め、田中角榮氏の政治的影響力からの脱却と政治倫理の確立を国民に公約しました。そして、政権維持のために、新自由クラブと田中問題の処理を条件に協定を結び、連立政権をつくったのであります。あれから一年、これらの公約は一体どうなったのですか、まず最初に、この点をお答え願いたいと思います。(拍手)
 政治倫理協議会の話し合いは、間もなく一年の期限が来ようとしている現在も、自民党の横車によって肝心のところは全く進展を見ておりません。それどころか逆に、自民党による司法に対する介入ともとれる動きすら表面化しているのであります。防衛や教育、果ては貿易摩擦といった問題にまで積極的に身を乗り出している総理が、なぜこの政治倫理確立の問題となるとそっぽを向くのか、その理由をはっきりさせていただきたいと思います。(拍手)
 社会党は、議会制民主主義の根幹にかかわる問題を、これ以上引き延ばされるのをじっと指をくわえて眺めているわけにはまいりません。総理は、政治倫理審査会の設置について、また、審査会が一審で有罪を宣告された者を含む有責議員に対する辞職勧告を行う権限を持つことについて、どのように思っているのですか。再びロッキード事件のようなスキャンダルが起きないようにするためには、どうしたらよいと考えておられるのか、明確にお答えを願いたいと思います。この点に関しては、納得できる措置がとられないならば、他の野党にも働きかけ、再び田中角榮議員辞職勧告決議案を国会に提出する考えを持っていることを、ここに明らかにしておく次第であります。(拍手)
 次に、昨年の特別国会冒頭における私の質問に答えて、総理は政治倫理問題のほかにも国民に対して多くの公約をされました。例えば、臨時教育審議会に対して政治的に介入するようなことはしない、なかんずく、現行の教育基本法には触れないという約束、「増税なき財政再建」の約束、司法の側から違憲判決が下されている議員定数の不均衡是正を適切に行うという約束、婦人差別撤廃条約の批准条件を確立するという約束、防衛費の対GNP比一%枠を維持し、軍縮、核軍縮の実現に向けて努力するという約束。ちょっと挙げただけでもこのようにたくさんございます。
 総理、あなたは、これらの約束、言いかえれば国民に対する公約を実行しましたか、現在もなお実行する意思はおありでございますか、それを伺いたいのでございます。(拍手)
 まず第一は、臨教審に関する問題でございます。
 臨時教育審議会は総理の強い希望によって設けられたのでございます。それだけに、教育が権力の手中におさめられ、ゆがんだ方向に進むのではないかという懸念を持ったのですが、いわばあなた好みの人たちが多数委員に選ばれ、審議会をリードしている現実を見ると、それが単なる杞憂でなかったと言わざるを得ません。
 そこで、お尋ねしたいのですが、その一つは教育基本法とのかかわりでございます。
 臨教審は、設置法によって教育基本法の精神に即して教育改革を行うことになっています。ところが、教育基本法を改正すべきだと公言してはばからぬ委員が現にいるということは、人選そのものが違法ではないのでございますか。なお、もし臨教審の答申の中に、教育基本法の精神を侵したりあるいは教育基本法そのものを改正すべきだといった内容が含まれていた場合、どう対処されるのかということでございます。
 二つ目は、総理の施政方針にも述べられ、総理のブレーンと言われる人たちを中心に議論されている教育の自由化の問題でございます。
 自由化というが、一体何の自由化なのか。教育内容の自由化というのならば、実質的な検閲と批判されている現在の教科書の検定制度はやめるということなのか。それなら結構です。それとも教育行政の自由化のことですか。それならば中央集権的管理主義を根本から洗い直し、教育現場に自由の風を吹き込み、教育の活性化を図るということになります。それならば、これもまたよしと言うべきでありましょう。
 しかし、教育制度の自由化だというのであれば、一部の委員が主張するように、民間活力の利用を含め競争原理を一層導入し、かつ、父母や子供の学校や教師の選択権を認めるということになります。そんなことをすれば、学歴社会を背景とした義務教育の受験準備中心教育は一層激化し、非行、暴力を初め教育の荒廃は進み、教育の機会均等をうたった憲法、教育基本法にも反するものになるのではございませんか。総理の明確なお考えを聞きたいと思います。(拍手)
 総理、あなたの手法は、第二次臨調の場合もそうでしたが、常に審議会をつくり、財界人や特定の学者等と手を結んで大枠を決め、それがあたかも動かすことのできないものであるかのような雰囲気を巧みにつくり出し、その枠の中でつくられた法案等を国会に提出するというものでございます。このような行為は、まさに国会審議を空洞化させ、国会を単なる追認の機関にしようとするもので、議会制民主主義の基本にかかわるものとして断じて見逃すわけにはまいりません。私に言わせるならば、今回の議長選出をめぐる不明朗きわまりない動きなども議会無視の最たるものであり、国会形骸化を示す象徴的な事件のように思えて憂慮にたえないものでございます。
 そこで私は、国会の権威を回復するための一つの提案を行いたいと思います。
 現在、各省で策定され法律や予算のよりどころとなっている各種の中期、長期の計画は、国会において論議し承認を得たものに限るという制度を確立する案でありますが、ぜひ検討していただきたいと思います。
 次は「増税なき財政再建」という総理の公約についてであります。
 今日の我が国の財政危機は、歴代自民党政府の無定見、無責任な財政運営によってもたらされたものであり、中曽根内閣になってからはさらに防衛費の突出という要素が加わり、急速に悪化の度を増してきたことによるものであります。しかるに、中曽根内閣は、財政危機はまるで自然現象でもあるかのように悟然としているばかりか、臨時行政調査会の権威をかりて、福祉を切り捨て教育予算や公共事業費を削り、なし崩し的な勤労者に対する増税を実施し、超緊縮予算を編成し、勤労国民や自治体に犠牲を押しつけ、一時しのぎをしているのであります。
 私どもは、このような財政のあり方は、一方において国が行うべき仕事を放棄するものであり、我が国の持っている潜在的な経済成長力の十分な活用を怠り、国際的には貿易摩擦を引き起こし、もう一方では財政再建の展望をも開き得ないものであると批判し続けてまいりました。今、事態は我々の指摘したとおりとなっておるのであります。来年度予算案におきましては、さまざまななし崩し増税を拡大するとともに、生活保護費のような国民生活の最低保障部分にまで手をつけているのです。そして、いよいよ次年度以降の予算編成は事実上困難との理由を掲げ、直間比率の見直しという名のもとに大型間接税の導入やむなしのキャンペーンを開始いたしております。(拍手)
 そこで、総理にお伺いいたします。
 第一に、昭和六十五年度までに赤字国債に依存しないという意味での財政再建を達成するという目標を今もなお堅持しているのかどうか。第二に、赤字国債の借りかえを行うのかどうか。第三に、福祉税、一般消費税、付加価値税、その他名称のいかんを問わず、大型間接税導入の意思があるのかどうか。第四に、以上の三つ以外にどのような財政再建のための具体策を持っているのか。以上の四点でございます。
 いずれもこれまでの総理の公約とかかわりのあることですが、特に第三の大型間接税の問題は、我が国の経済活動のあり方全体に影響を与えるものであり、国民各層の関心も非常に強い問題でありますので、あなたの在任中は絶対に導入するつもりがないならないと、はっきりお答え願いたいと思います。(拍手)
 なお、ここでお聞きしておきたいのは減税の問題であります。本年度の所得税減税は、税率の改正を伴った一兆円規模と宣伝されましたが、国民の重税感、不公平感は少しも解消されておりません。それは、最近の世論調査の結果を見ても明らかであります。
 そこでお伺いしたいのですが、所得税と住民税の負担調整を図る目的と、教育費の増大、婦人パートの急増、単身赴任者の経済負担等に対応するために、この際一兆五百億円程度の政策的減税を実施する意思はないか。国民の熱望にこたえる積極的なお答えをぜひお願いいたすものであります。(拍手)
 次に、総理が強調している地方行革の問題についてお尋ねいたします。
 第一に指摘したい点は、総理が言う地方分権の推進とはまさに口先だけであり、実態は、憲法の示す分権自治とは似て非なるもの、全く逆行するものだということです。現に、自主財源の充実どころか、全く逆に、六十年度においては五千八百億円に上る国庫補助金が地方負担に転嫁され、地方との約束を破って、行革特例法による補助削減の延長すら打ち出されているではありませんか。
 さらに重要なことは、削減される補助金は、生活保護、失業対策、老人児童保護など国民の最低生活の保障に関するものが中心だという点です。私は、このような理不尽な削減措置を直ちに撤回することを要求するものであります。(拍手)
 次は、衆議院の定数是正についてであります。
 問題は、今さら指摘するまでもないことですが、一票の重みに格差がある現状は明らかに憲法違反であるという裁判所の判断が下されているにもかかわらず、これをいつまでも放置してよいのかということです。聞くところによると、自民党は六名増・六名減というこそくな案を考えているということですが、本年に予定されている国勢調査の結果によって、すぐに三対一という格差を生むことが確実なごまかしをなぜするのですか。私は、国民の怒りにも似た気持ちを背に総理の反省を求めるとともに、少なくとも我が党が主張する二倍ないし二・五倍の線で手直しをするよう求めるものであります。
 なお私は、衆議院の定数是正が実現しないうちは内閣による解散権の発動は当然制約されると思うものであります。なぜならば、現在のような状況のもとにおける解散、総選挙は、必ずや司法によって無効という判断が下されると思うからです。首相の本問題についての見解をもあわせてお伺いいたします。(拍手)
 次は、婦人差別撤廃条約の問題であります。
 総理は、本年開催される世界会議までには批准したいと約束されたわけでございますが、国内法制等諸条件を整備した上での批准が本当に可能なのかをまずお尋ねいたします。
 同時に、政府提出の男女雇用機会均等法は、男女の差別をなくすための有効なものとは到底考えられないということを指摘し、女子の働く権利を基本的人権として認め、雇用のすべての面において差別を禁止し、差別をなくすための実効性を確保することを明記したものに改めるよう要請いたします。賃金にしても、男子一〇〇に対し五二・二、ILOの報告によると、この十年の間に賃金格差の拡大しているのは日本だけだと言われているのです。来年度予算案を見ても、婦人関係の予算はほとんどすべての項目で本年度以下に削減されております。総理、これでもあなたは本当に婦人に対する差別をなくそうと思っているのですか、明確にお答えを願います。(拍手)
 なお、総理は施政方針演説の中で、ことしは国際森林年の年であると言っているのですが、二十一世紀に向けての人類の最大の課題の一つとも言うべき平和な環境づくり、森林資源と自然環境の保全のためにどのような具体策を持っておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 また、本年はいよいよ国鉄の抜本的改革に取り組むときだとも言っているのですが、国有鉄道をここまで危機に陥れた政府及び国鉄当局の責任について、いまだかつて一言も反省の言葉が述べられたことがないということは、何としても承服いたしかねます。みずからの責任を棚上げして、経営の失敗をすべて労働者に転嫁しようとするような態度を取り続けるからこそ、一方で分割・民営をうたいながら他方で新幹線の計画を進めるといった無定見が、この期に及んでなおもまかり通るのではありませんか。総理の誠意ある反省の弁を期待するものであります。(拍手)
 次は、防衛費をGNPの一%以内にするという問題でございます。
 総理、あなたは口ではこの閣議決定を守ると言いながら、実際には突破やむなしと思っているのではないのですか。現に来年度予算案では本年度より高い六・九%の伸びが認められ、予測されるGNPの一%との差額はわずか数十億円となっております。他の項目の減額なしに給与の引き上げを実施すれば、年度内突破はほとんど必至と言われているのであります。このような防衛費の突出が総理自身の裁断によるものである以上、結局はあなたが先頭に立って枠突破の布陣をしいたということではございませんか。一%というといかにも小さな数字のように聞こえますが、仮にGNP一%枠が維持されたとしても、数年のうちに日本の軍事力は核兵器を持たない国の中では文字どおり世界のトップに立つことは確実なのです。一%枠を突き破るということは歯どめがなくなり、軍事大国への道をまっしぐらに進むことを意味しております。私どもはどうしてもこれを認めるわけにはまいりません。(拍手)
 加藤防衛庁長官は、一%枠突破に備えて早くも、その際は閣議にかけ承認を得る必要があるという見解を明らかにしているのでありますが、総理、あなたは、この加藤談話に対する見解をも含めて、GNP比一%枠は今後とも必ず守る意思があるのかどうかをお答え願いたいと思います。(拍手)
 なお、この問題に関連してぜひお尋ねしておきたいのは「防衛計画の大綱」についてであります。
 それは、一つには、総理の私的諮問機関平和問題研究会が、一%枠同様、大綱についても見直しを打ち出しているからであり、二つには、「防衛計画大綱」は昭和五十一年十月二十九日、三木内閣当時の閣議で決定されたものでありますが、その一週間後に一%枠も決まっていることを見ても明らかなように、両者は密接に関連した問題だからであります。
 政府は、これまで、大綱水準の早期達成が目標であり、大綱の見直しは考えていないと言い続けてきたわけですが、その考えは現在でも変わりありませんか。もし変わりないというのであれば、私は、「防衛計画の大綱」とは一体何だと改めて問いかけざるを得ません。自民党国防関係の部会でも、国際情勢が変化し安全保障についての考え方も変わらざるを得なくなった以上、当然大綱は改められるべきだという意見が圧倒的になっていることは御承知のとおりであります。
 総理、あなたの言うように、大綱の水準、すなわちそこに示された量だけが問題だというのであれば、量を決定した背景や防衛の基本方針などはどうでもよいというのですか。それとも、大綱の基本となっている基盤的防衛力構想を現在もなお支持するというのですか。私から見れば、シーレーン防衛や西側の一員としての任務遂行といった考えは完全に大綱の枠をはみ出していると思われるのですが、いかがです。量的な水準だけが問題なのだというのなら、「防衛計画の大綱」などと仰々しい打ち出し方をしているが、もろもろの情勢分析や理論、方針などは単なるつじつま合わせにすぎず、本当のねらいは、アメリカの武器を購入すること、国内の軍事産業をもうけさせること以外の何物でもないという批判に対し、反論の余地はないのではないかと思いますが、いかがです。明快な答弁をお願いいたします。(拍手)
 私は、本年以降、米ソの対話が始まり、紆余曲折はあっても、遅かれ早かれ国際情勢は緊張緩和の方向に向かうであろうと見ております。あなたも、ことしを軍縮と平和の年にすべきだと言っております。それが口先だけでないというのなら、そのあかしとしても、対GNP比一%枠は今後とも厳守すると言明していただきたいのであります。(拍手)
 そして、飢餓線上にあえいでいる多くの人たちを救うためにも、政府開発援助を量質ともに強化して、国際的取り決めであるGNPの〇・七%の目標達成に努めるべきだと思うのですが、いかがでございますか。
 国際情勢といえば、ことしは第二次大戦が終わってからちょうど四十年という節目の年になります。この節目に当たって二十一世紀を展望するとき、私たちは今二つの大きな課題に直面していると思うのです。その一つは核軍縮の達成であり、もう一つは今触れました飢餓と貧困の追放であり南北問題の解決です。これは決してばらばらの問題ではなく、相互に絡み合った裏腹の問題であります。
 総理、軍縮と平和を口にするのであれば、防衛費を突出させたり、ヨーロッパに中距離核ミサイルを断固として配備すべきだと主張したり、アメリカの戦略防衛構想、スターウオーズの研究開発に理解と支持を約束したりするのはおかしいのではありませんか。あなたの頭の中では一体これらがどのように整理されているのですか。よくわかるように御説明を願いたいと思います。
 あなたは、スターウオーズ構想は非核、防衛的だからということを理由にしているようですが、SDIが大量破壊兵器となり攻撃的兵器に変わる可能性はないと本当に信じているのでございますか。また、SDIが相手側にそれをしのぐ攻撃兵器の研究開発に向かわせることは、過去の歴史からも明らかではありませんか。なぜ、日本の非核三原則や宇宙の平和利用の国会決議を踏まえて、はっきりとSDI反対を表明しなかったのです。国民とともに厳しくたださざるを得ません。(拍手)
 総理のこのようなあいまいな態度は、大洋州訪問の際にも見られます。ニュージーランドのロンギ首相が核積載艦艇の寄港を拒否するという断固たる方針を説明したとき、あなたはなぜアジア・太平洋の非核化のために共通の努力を払うことを約束しなかったのです。逆に、あなたは懸念をすら表明したというではありませんか。不可解千万でございます。日本と同じくアメリカの同盟国でもあるニュージーランドは、その非核の姿勢を貫くために、独自に核兵器の積載の有無を判断するとすら言っているのです。日本も真に非核三原則を貫くつもりなら、これに倣うべきであります。(拍手)
 総理、あなたがここでまたもや核抑止論を持ち出すのでしたら、あなたは昨年の夏、長崎の原爆忌の式典に参列されましたが、被爆者の霊に何を語りかけ、何を誓ったのですかと尋ねざるを得ません。よもや、あなた方を死に追いやったアメリカの核のおかげで平和と安全が守られていますと報告したわけではございますまい。(拍手)
 なお私が主張したいのは、本年を軍縮と平和の年にするというのなら、まずは対話の年にしなければならないということです。総理は、一月の日米首脳会談で米ソ交渉を勧めたと言われますが、他国に向かって言うからには、まず、みずからが行うべきではありませんか。現在、日ソ漁業交渉は難航し、多くの漁民を初め関係者に大きな不安を与えております。これ一つとっても、日ソ両国が相互依存の関係にあることは歴然としております。政府は、この際、善隣友好の立場に立ち、まずは積極的に漁業外交を展開し、政治決断をもって対ソ交渉に当たり、引き続き両国の関係改善のために努力すべきであります。我が党は全面的に協力する用意のあることをも申し添えておきたいと思います。(拍手)
 なお、朝鮮は南北に分断され激しく対立していますが、これがアジアにおける国際緊張の大きな要因となっていることも明らかな事実であります。しかも、我が国が北半分とはつき合いすら拒否しているということがどれだけ対立を助長しているか、わきまえるべきだと思います。
 総理、かつて長期にわたって敵視政策をとってきた中国と国交を回復し友好関係を急速に発展させてきた教訓を、日本と朝鮮民主主義人民共和国との関係に生かす気持ちはありませんか。朝鮮民主主義人民共和国が日本、アメリカ、そして韓国との関係改善を真剣に望んでいる現在こそ、まさにチャンスのはずであります。鳩山内閣が行った日ソの国交回復、田中内閣の手による日中国交回復は、我が国の歴史に輝かしい業績として記されております。
 総理、あなたは、我が国が世界でただ一つ国交を持っていない国、朝鮮民主主義人民共和国との関係改善に取り組み、朝鮮半島の平和と安定、アジアと世界の平和に寄与し、朝鮮民族に対する罪の償いを果たし、歴史に残る足跡を印すべきであります。
 私は、次の三点は総理としても異議のないところではないかと思うのですが、いかがですか。すなわち、一つ、朝鮮民族は一つである、二つの朝鮮の陰謀に加担しない。二つ、朝鮮の自主的平和統一を支持する。三つ、朝鮮半島の平和と安定に寄与する。以上の三原則についての見解と、この原則に立って朝鮮民主主義人民共和国との関係改善に取り組む意思はないかをお尋ねする次第でございます。あわせて私は、あなたにその意思があれば、どのようなお手伝いをもいとわないことをここにはっきり申し上げておく次第です。(拍手)
 最後に、韓国の金大中氏の帰国問題についてお尋ねいたします。
 御承知のとおり、金大中氏は帰国を決意し、二月七日成田に一泊、翌八日ソウル着という日程を既に発表しております。改めて申し上げるまでもないことと思いますが、金大中氏は穏健な民主主義者であり、私は彼が安全に帰国できることを心から願う者の一人でございます。韓国の民主化は、南北朝鮮の対話路線の定着のためにも朝鮮半島情勢の真の安定のためにも、欠くことのできない基本的な条件でございます。金大中氏の安全な帰国と政治活動の自由が保障されるならば、私は韓国の民主化は飛躍的に発展するものと確信してやみません。日本政府は、金大中氏拉致事件の解決に誠意を持って当たろうとせず、その責任を放棄したまま現在に至っています。本来ならば、金大中氏の日本通過に際し、政府の責任ある意思表示があってしかるべきだと思うのですが、その気持ちもないというのならば、せめて同氏の帰国日程が希望どおり、かつ安全に進められるよう、責任を持ってあたるべきだと思いますが、いかがですか。
 以上の点をお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 石橋委員長から重要かつ膨大な質問をいただきましたので、若干時間をいただきまして、一つ一つ御答弁申し上げたいと思います。
 なお、ことしは社会党結党四十年でございまして、まことにおめでとうございます。(拍手)
 まず政治倫理の問題でございますが、政治倫理の問題につきまして、委員長からは、まじめにこれを推進するのかという御懸念の御表明がございました。
 我々は真剣な態度でこの問題に臨んでまいりたいと思っております。既に政治倫理協議会も設定され、また政治倫理に関する綱領も決定されまして、今行為規範につきまして各党で真剣な討議が行われておるところであります。
 なお、政治倫理に関する審査会の設立につきましても真剣な御討議を願いまして、我々は各党の合意を得て、できるだけ早期に結論を得るように努力してまいりたいと思っております。
 第二番目に、自民党総裁声明は守られております。
 自民党は公党でございますから、党機関中心によって動かされておるのでございます。そのように御了承願いたいと思いますし、なお、政治倫理につきまして、資産公開も本年また引き続いてこれを実行したところでございます。
 なお、自民党は司法権に介入するようなことは行ってはおりません。人権あるいは法秩序の維持等の調査につきましては、国会議員として当然検討もし調査もしておるところでございます。
 次に、政倫協につきましては、ただいま御答弁申し上げましたが、国会法等改正要綱が八月総会によって決定され、議長に答申されております。したがいまして、今後政治倫理協議会における各党の合意、協議を見守ってまいりたいということでございます。なお、政治倫理の着実な実現は、制度的にも精神的にも努力してまいりたいと思っております。
 次に、公約について御質問がございましたが、いろいろお挙げになりました約束は全部守っておると思います。(拍手)
 臨教審につきまして。臨教審は、二十一世紀を担う青少年の育成を期して必要な改革を図るために国会で御成立を認めていただいた重大な審議会でございます。広く国民の理解と協力を得て審議を進めることを基本として、主体的、自主的にやっていただいております。国民各層にあるあらゆる意見があそこに反映されますように、そして、自由にして多様な活発な論議があることを期待しておるのでございます。今後ともそのような論議を国民が注目しつつ、また国民皆様方がいろいろ御判断して、相ともに立派な教育改革ができるように御協力してまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、教育基本法の改革問題について御質問がございましたが、審議会委員は、人格識見ともにすぐれた方々をお願いしておるのでございまして、政府は教育基本法の精神にのっとって取り組むことといたしております。
 臨時教育審議会におきましては、しかし言論は自由でございますから、また国民の皆様方にあるあらゆる議論をあそこで代表して白熱的討議を行っていただいておるところでございまして、我々は、これらの議論がいかに収れんされていくかということを注意深く見守ってまいりたいと思っておるところでございます。
 教育の自由化に関しましては、審議会におきましていろいろ議論がされておりますが、これはやはり国民の皆様方の中にも、どうも今の教育というものは硬直性を持ち過ぎてはいないか、閉鎖性を持ち過ぎてはいないかという批判があるわけでございます。また、人間主義的な教育方法としてはいささか考えるべき面があるのではないかという議論もございます。そのような国民にあります御議論がそこに反映されて行われているものであり、今後その審議を見守りたいと思っておる次第でございます。
 次に、審議会中心の政治の運営は直す必要があるという御質問でございますが、各省庁におきましては、行政運営上の必要から中長期計画を作成しておりまして、審議会の御意見も求めております。しかし、これらの審議会の中には非常に有効な御議論をしていただいているのも多々あるのであります。例えば社会保障制度審議会であるとかあるいは原子力委員会であるとか地方制度調査会であるとか、非常に的確な御意見をいただいておるところでございますが、これらは、それが法律あるいは予算になるという場合にはいずれも国会において十分御審議をしていただいておるのでありまして、私は、この方法が国民世論を反映する上においても適切であると考えております。
 次に「増税なき財政再建」を守るかどうかという御質問でございますが、今後、高齢化社会あるいは高度情報社会あるいは国際社会、こういう時代を迎えまして、財政改革を強力に推進していく必要があるのであります。「増税なき財政再建」は財政再建の基本理念であると考えておりまして、今後財政改革を進めるに当たりましては、この理念が果たしている役割を念頭に置きながら対処してまいるつもりであります。
 防衛費につきましては、六十年度予算におきましては、歳出の徹底した節減合理化を図りました。そして、福祉、教育あるいは生活関連予算につきましても十分配慮をし、老人問題あるいは障害者対策あるいは保健事業の推進あるいは高齢者の就業機会の確保、教育環境の整備等について、きめ細かく努力したところでございます。なお、防衛予算等につきましては、他の諸施策との調和を図りながら、必要最小限ぎりぎりの経費を計上し、GNP一%を守ったということでございます。
 次に、六十五年までに赤字国債に依存しないような目標は堅持できるかという御質問でございますが、我が国財政は中長期的に見て極めて厳しい状況に置かれておりまして、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却という、この努力目標の達成は容易ではございませんが、実行してまいる所存でございます。
 次に、国債の借りかえの問題の質問でございます。
 中期的に見ました我が国の財政事情は極端に厳しい状況に置かれており、経済や国民生活への影響を考慮しつつ財政改革を進めていくためには、特例公債の償還財源としての借換債の発行は行わざるを得ません。このことは、昨年度の国会において法律的に御承認をいただいているところでございます。しかし、特例公債につきましては、その残高をできるだけ速やかに減少させるよう今後も努力して、そしてできるだけ早期償還に努力してまいるつもりであります。
 次に、大型間接税の問題でございます。
 今後、税制のあり方につきまして本格的な見直しを進めるに当たりましては、直接税、間接税等も含めまして、将来の課題として税制全般にわたる検討を行うことが必要であると思っております。しかし、その趣旨は、戦後長い間行われてきました日本の税制のゆがみとか不合理性を是正する必要を強く感じてきておりまして、それは増収のためとか財政再建のために税制の改革をやろうというのではありません。この税制を合理的なものに改めて、国民の納得のいく、国民の歓迎する方向にひずみを直し、不公正を直していきたい、こういう念願でもって行われておるのであります。(拍手)したがいまして、私は、公平、公正、簡素、あるいは国民の選択、こういう原理を中心にして、我々将来の課題として検討していくべきではないかということを表にしておるのでございます。
 なお、いわゆる一般消費税というようなものは中曽根内閣がある限りは導入しないと言いましたが、この約束は守ってまいるつもりでおります。
 次に、財政再建の具体策でございますが、先ほど申し上げましたように、高齢化社会、高度情報社会あるいは国際化社会を迎えまして、財政はかなり厳しい状態のもとに、やはり強力な改革を必要としております。したがいまして、臨調答申の線に沿いまして、歳出面における諸般の政策あるいは歳入面における諸般の強力な改革等も考えなければならぬときになっております。そして、六十五年度、赤字公債依存体質から脱却するということ、それから臨調答申の線に沿って改革を行っていくということ、そのほか税外収入の確保あるいはいわゆる民活の活用による景気の支持、回復を図る等々の諸般の対策を含めまして、弾力的に実行してまいりたいと考えておるところであります。
 次に、いわゆる一兆五百億円の減税を行うべきであるという御質問でございますが、所得税につきましては、昭和五十九年度税制改正において所得税、住民税合わせて初年度一兆千八百億円の本格減税を実行したところでございます。政府税調の答申でも、厳しい現下の財政状況にかんがみて昭和六十年度においては所得税、住民税の減税を行う余地はないと言っておりまして、御理解を願いたいと思うのであります。
 次に、地方行革の年に関しまして、地方自治、国民の生存権について御指摘がございました。
 地方行革の推進は今や不可欠の段階に入っておりまして、地方公共団体によりましては国に先駆けて懸命に取り組んでいるところもございますが、政府としては地方公共団体全体に対して地方行革大綱を策定いたしまして、ことしは特に力を入れてまいりたいと思っております。これは、現下の厳しい行財政環境下におきまして、経費の節減を一方行うと同時に、活力ある地域社会づくり、住民福祉の増進を図るためにさらに積極的に行革を進める必要がある、国民世論にこたえる必要がある、そのように考えて、地方の自主的な努力を我々は期待しておる次第なのでございます。政府におきましても、地方に対する国の関与あるいは必置規制等の整理合理化に続き、機関委任事務の見直し、地方への権限移譲等今後とも強力に推進する考えでおります。
 次に、国庫補助金の地方転嫁あるいは分権自治の推進に関する御指摘でございますが、昭和六十年度予算における国庫補助負担率の引き下げに伴う地方負担の増加につきましては、交付税の特例措置一千億円、それから地方債の増発四千八百億円によりまして万全の措置を講じて、地方公共団体の財政運営に支障がないように対処しております。今後とも国、地方を通ずる行財政の簡素合理化と地方公共団体の自主性、自律性の尊重等の観点から、国、地方の役割分担及び費用負担のあり方について幅広く検討してまいるつもりであります。
 次に、補助金につきまして御指摘がございました。弱い者いじめではないかという御指摘でございます。
 六十年度予算は、厳しい環境にありまして、臨調答申の指摘を踏まえて補助金等の徹底した整理合理化に積極的に取り組んだところでございます。補助率の引き下げは国、地方の間の費用負担等の見直しを行うものであり、これにより、生活保護であるとかあるいは失業対策であるとか、そういう問題については個々の施策の水準が国民に直接影響を与えることはない、そういうように措置しておるのでございます。要するに、中央地方の団体の間の負担区分の調整を行ったのでありまして、国民の皆様方に直接影響はないのであります。また、地方財政への影響についても万全の措置を講じまして、地方公共団体の財政運営に支障が来さないように措置しているところでございます。
 次に、定数不均衡の問題の御指摘でございます。
 衆議院の定数配分については、五十八年十一月の最高裁の判決において、違憲状態にあるので速やかに是正するよう判示され、引き続いて五十八年十二月の総選挙に関する定数訴訟では、各高裁の判決において違憲であると判示されておる次第であります。政府としても、衆議院議員の定数是正は緊急かつ極めて重要な問題であると認識して努力しております。今国会におきましても、定数是正が実現するように最大限努力してまいります。
 次に、いわゆる伝えられる自民党案というものでは問題は解決しない。本年の国勢調査でまた格差が広がることをどうするかという御質問でございますが、自民党では現在、総定数をふやさない、最小限度の是正にとどめる、また最高裁の方針に沿う、そういう考えに立ちまして鋭意検討しているところでございます。事柄は各党間の基本ルール、政治の基本ルールに関することでございますので、各党間で十分論議を尽くしていただきまして、今国会において定数是正が実現するように最大限努力してまいるつもりであります。
 次に、解散権に関する御質問でございます。
 解散権の行使につきましては、本来、解散権は憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能であります。憲法上、解散権の行使を制約する規定はございません。したがって、解散権は法律的に制約され得るものではないと考えております。
 次に、婦人差別撤廃条約に関する御質問でございますが、政府としては、いわゆる女子差別撤廃条約、婦人という名前は我々は呼ばないで、女子という名前を使っております。女子差別撤廃条約については、所要の国内法制等諸条件の整備を十分行った上で、世界婦人会議までに批准すべく最善の努力を傾けてまいりたいと思っております。
 なお、男女雇用機会均等法につきましては、政府としては、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するために、現段階における最も適切な措置として、いわゆる男女雇用機会均等法案を前国会に提出したところでございまして、本気にこれはぜひ早期成立を願っておるところであります。本法案におきましては、指針の作成を初め種々の措置が規定されており、これらの措置により、その実効を確保していく所存でございます。
 次に、国鉄の問題でございますが、国鉄経営のこの苦境の原因は、基本的には公社制度が持っておる欠陥あるいは全国的一元的な運営に起因し、また、輸送構造の変革、モータリゼーションとか航空輸送の活発化、これらに的確に対応することができなかった等にあると認識しております。政府としては、この認識のもとに、現在、効率的な経営形態のあり方、長期債務の問題等の抜本的対策について国鉄再建監理委員会に審議をお願いしているところであります。今後、その結論を尊重して、国鉄の事業の再建に全力を傾注する考えであります。
 国際森林年につきまして御質問をいただきましたが、森林政策は極めて重視すべき段階に入ってまいりました。環境保護、国土保全、水源涵養、国民休養、あらゆる面におきまして森林政策は重要であると考えております。国内森林資源の保護、生産基盤の充実、国際的協力の推進等を今後とも進めてまいるつもりであります。
 次に、防衛費についての御質問でございます。
 第一問はGNP一%の関係の問題でございます。
 我が国の防衛の整備は、平和憲法のもと専守防衛に徹し軍事大国にならない、他国に脅威を与えない、そういう基本方針を堅持して行っております。防衛費の対GNP一%に関する閣議決定、これらにつきましては、昭和六十年度予算編成につきましても枠内を堅持したところでございます。今後ともできるだけ守るように努力してまいりたいと思っておりますが、しかし、一方なるべく早く「防衛計画の大綱」の水準を達成するように努力する必要もあります。今後の見通しにつきましては、六十年度の人事院勧告、GNPの伸び等現時点では不確定な要素が多く、今確固たることを述べることは困難であります。将来、仮に上記の方針を変更せざるを得ない事態が生じた場合には、そのときに対応措置を検討してまいります。
 さらに国際情勢に関して、軍縮の問題、防衛の問題について御質問がございました。
 国際情勢は依然として厳しい状態でございますが、米ソ間で新たな軍備管理、軍縮交渉を行うことが合意されたことを大いに歓迎するものであります。私は、年初来申し上げますように、本年は世界の平和と軍縮の年にすべきであり、全力を我々は尽くしたいと申し上げておるとおりであります。そして、ジュネーブにおきましてスタートを開始したこの交渉ができるだけ早く実を上げるように、我々は側面から努力してまいりたいと思います。
 GNP一%につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 なお、一%に際していかなる手続をとるかという御質問でございますが、将来仮に上記の方針を変更せざるを得ない事態が生じた場合には、もちろん閣議の問題にもなりますし、国防会議で討議する必要もございますし、いわゆる新しい節度のある防衛力のあり方についても十分討議することになる、そのように考えております。
 次に、平和問題研究会の意見等に関して、大綱水準の問題に対して御質問がございました。
 「防衛計画の大綱」は、我が国の防衛力の整備、維持及び運用に関する基本方針を示すものでございます。一方、防衛力の整備につきましては、なるべく早くこの「防衛計画の大綱」の水準を達成するよう努力しておる最中であり、その必要がございます。しかし、現在大綱を見直すことは考えておりません。
 次に、大綱の水準に達するという、その背景あるいは防衛の基本方針に変化はないのかという御指摘でございますが、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準にできるだけ早く到達しようという努力はしておりますが、国際情勢あるいは背景等については、策定当時と変化があったことは事実でございます。しかし、現在、内外情勢等をよく見まして、この早期達成に努力していくことが妥当であると考えておる次第であります。
 次に、基盤的防衛力構想について御質問をいただきました。
 「防衛計画の大綱」は、我が国が保有すべき防衛力について、限定的かつ小規模な侵略事態に原則として独力で対処する、さらに、情勢に重要な変化が生じたときには新たな防衛力の態勢に円滑に移行し得るよう配意された平時における基盤的なものである、こういう考えに立っております。このような考え方は現在も維持されておるものであります。
 シーレーン防衛構想について御質問がございました。
 シーレーン防衛を含め我が国の防衛力整備は、「防衛計画の大綱」に基づきまして、我が国防衛に必要な最小限の範囲で自主的に実施しておるものであります。このような努力を行うことは、日米安全保障体制の信頼性の維持強化にもつながり、結果的には総合的安全保障のもとに、東西の軍事バランス面において、またアジア、ひいては世界の平和と安全に貢献しているものと考えております。
 次に、武器購入、軍需産業の育成について御質問をいただきました。
 現在の国際情勢のもとで、「防衛計画の大綱」に従って正面と後方のバランスのとれた質の高い防衛力を着実に整備し、社会保障あるいは教育あるいはそのほかの各般の経費とのバランスも考え、必要最小限の経費を我々は捻出したものなのでございます。我が国の防衛力整備は、米国からの武器購入や国内防衛産業の育成のために行っているものではありません。国際情勢あるいは兵器の進歩あるいは総合安全保障等を考慮した必要最小限の質と量を考慮して行われているものであり、国内生産力あるいは科学技術あるいは価格、安保条約の効果的運用等総合的に検討した結果の兵器体系であると申し上げる次第であります。
 次に、戦後四十年に当たって大事な仕事は、一つは核軍縮であり、二つは飢餓と貧困の追放、南北問題の解決であると申されましたが、全くこれは同感でありまして、この点は賛成いたすものでございます。
 我が国は人道主義の観点に基づき、また相互依存の認識から南北問題を極めて重視しておりまして、開発途上国の経済社会の発展、非同盟中立諸国との友好関係あるいは世界経済の活性化、これらのために努力しております。
 特に飢餓、貧困の問題は、人類社会の直面する最大の問題であります。飢餓と難民の問題こそ我々人類の一員として胸を痛めておる問題でありまして、アフリカあるいはアジアにおけるベトナムあるいは中近東におけるパレスチナ問題等々、これらの困難な諸問題については誠心誠意努力しておるところであり、今後、国際社会の有力な一員として、この問題の解決に積極的に貢献していくところでございます。
 次に、戦後四十年たってこの危機的状態から抜け出すためには、軍縮時代に転換させよう、そして、軍縮、軍縮と言っているけれども、アメリカの戦略防衛構想の研究開発に理解を与えるということは矛盾しないかという御質問でございますが、矛盾はいたしておりません。この欧州へのアメリカの中距離ミサイル配備は、ソ連のSS20配備による中距離核の分野における不均衡を回復して戦略的安定を目指すものであり、NATOの努力あるいは自由世界における世界的安全保障の努力、これらの結果もありまして、米ソ交渉に到達したと考えておるのであります。今後とも有効かつ現実的な核軍縮を進める必要があると思っております。
 いわゆるSDIは、第一に非核兵器であるということ、第二番目には防御的手段であるということ、そしてこれは核攻撃を行う弾道弾、ミサイルを無力にするものであるということ、そしてそれは最終的には核兵器を地球上からなくそうという目標のものであるということ、そして現在は研究の段階であるということ、かかるものとしてアメリカの研究を理解したということでございます。
 次に、いわゆるスターウォーズについて、非核三原則や宇宙の平和利用の国会決議等と矛盾しないかという御質問でございますが、政府は、戦略防衛構想の研究を進めることについては理解を示したのです。そして、今後アメリカ側からは情報の提供及び必要に応じた協議を受けるようにし、先方の承認をいただいた次第であり、今後、平和国家としての基本的な理念を踏まえて、政府としての対応を自主的に検討していくつもりであります。いわゆるSDIは、二十一世紀に至るまでの過程の極めて長い長期的な構想でもありまして、現時点で見通しや具体的対応について申し述べることは差し控えたいと考えております。
 次に、ニュージーランドのロンギ首相との会談でございますが、ロンギ首相に対しましては、全世界的協力によって、ことしは平和と軍縮の年にぜひともおたしたいという考えをまず私から申し上げたところでございます。なお、我が方の防衛政策も詳細に説明いたしまして、専守防衛、非核三原則、他国に脅威を与えるような方策は行わない等々の我が方の節度ある防衛政策を説明しまして、そして了承と支持をいただいたところであります。
 先方からは、いわゆる南太平洋フォーラム会議の際に非核地帯構想の草案づくりを南太平洋の諸国で行っている、それで意見が一致している、今草案づくりをやっている、そういうお話が先方からございました。
 右に関連いたしまして、我が方より、それがこの地域の合意となるのであればそれはこの地域の御判断であり、干渉する立場にはないけれども、我が方といたしましては、非核地帯構想が現実的なものになるためには、いわゆる有効な検証制度であるとかあるいは公海の航行の自由であるとか、国際法上の問題等についても留意する必要があり、種々の条件が満たされる必要があると我が方は考えている、そのような意見を表明した次第であります。
 なお、先方に対して、ニュージーランドの政策はニュージーランドが自主的に決定すべきものであって、我が方がこれを干渉すべきものではないとはっきり申し上げて、いわゆる懸念を表明したということは絶対にございません。
 次に、ODA、政府開発援助の問題でございます。
 政府開発援助につきましては、我が国も努めて努力しており、国際的にも評価を受けておるところであり、今後ともODAの質、量の充実に向かって努力してまいります。ODAの対GNP比O・七%目標については、引き続きその達成に努め、当面これを速やかに先進国水準にまで高める努力をいたしたいと思います。昨年度は予算の中におきまして、厳しい中で九・七%増加させまして、本年は一〇%増加さした次第でありまして、懸命な努力を今後も続けていくつもりであります。
 次に、軍縮と平和の年ということであれば、まず対話の年にすべきであるというお話でございます。
 世界の平和と軍縮にとって、相互に信頼し得る安定的な東西関係の構築がまず基本的に重要であると思います。そのためには、やはり安全保障というものは世界各国が協力して、世界的レベルで安全保障政策が論ぜられ、また特にアジアや日本の犠牲においてそれがなされるということは絶対に避くべきであるという考えを私は持っております。
 なお、米ソ間の新たな交渉は、最近三月十二日に米ソ交渉がいよいよ具体的に始まるようでありますが、我々はこれを歓迎し、早期に実質的な成果を上げるように我々も側面から努力してまいりたいと思います。
 次に、ソ連と北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国に関する御質問がございました。
 ソ連との関係においては、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、重要な隣国であるソ連との間の真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することが一貫した我が国の基本方針であります。したがって、その間の交流、対話を今後とも維持強化して、実りある両国関係の構築に努力いたします。
 北朝鮮につきましては、我が国は外交関係は有しておりませんが、これを敵視しているものではございません。ラングーンの爆弾事件のような不幸な事件がありましたから我々は対応措置をとらざるを得なかった点もございますが、これは本年解消しているところでございます。朝鮮半島に対するこれまでの基本的政策のもとで、今後とも経済、文化等の分野における交流は維持していくものであります。しかし朝鮮半島の問題は、何といっても北と南が直接対話して、北と南が自主的にみずから解決するということが基本ではないか、そのように考えております。
 次に、日ソ漁業交渉の問題でございます。
 日ソ二百海里漁業交渉は再開されましたが、漁獲割り当て量や操業条件等について極めて厳しい状況にあり、我々は懸命な努力をしておるところであります。我が国にとって伝統のある北洋漁業に従事する多数の漁業者の切実な気持ちを体して、最大限の努力を今後も傾注してまいります。そして、妥結を図るべく努力してまいりたいと思っておりますので、御協力をお願いいたしたいと思っております。
 次に、いわゆる私の言う西側同盟結束論につきまして御批判をいただきましたが、世界の平和が力の均衡により維持されているのは現実でございます。安定的な東西関係の維持が今日の世界の平和と安定にとって最も緊要であり、したがって自由民主主義諸国としては、結束を維持しながら軍備管理、軍縮を中心とする東西間の対話を促進し、東西間の均衡の水準を確実な保障のもとに可能な限り引き下げていく努力をしていく必要があると思います。
 軍縮については、ともかく両方がテーブルに着くことがまず第一であります。次に、あくまで粘り強く交渉してテーブルを去らないということが第二に大事であります。第三番目は、具体的な検証措置等を伴うことによってそれを削減していき、ついにはこれを廃止するというところに向かって懸命なる努力をする必要があります。そのためには、あくまで協議を継続するということが重要であると考えております。
 次に、朝鮮民主主義人民共和国との関係改善についての御質問があり、御提案がございました。
 朝鮮半島の平和は、南北のバランスを基礎とした国際的な枠組みに支えられております。北朝鮮との関係につきましては、かかる国際的枠組みや南北の微妙なバランスに、特に両国の意思というものに注意を払い、従来の民間交流は維持するが、目下政府間の関係を持つ考えはありません。
 御指摘の三原則については、朝鮮半島の問題でありますので、何よりもまず南北両当事者の判断にまつべきものであると思っております。もとより両者の自主的な平和統一、それから長期的な平和安定、そうして一つの朝鮮を達成するため、これを究極目標としての努力、これらについてはもちろん異議はないのでございます。我々は、これらの環境醸成に努力し、特に八六年のアジア・オリンピック、八八年のソウルの国際オリンピックの成功を念願してやまない次第であります。
 次に、韓国の民主化について御質問がございました。
 政府としては、他国の内政に干渉するという考えはございません。他国の内政に対する評価という問題についても軽々に論ずることは差し控えた方がいいと思います。いずれにしても、現在は中断しているものの、昨年来の南北対話の趨勢が維持されることが重要であり、我が国はまず南北対話の環境づくりに引き続き貢献してまいりたいと思います。
 金大中氏の問題につきましては、政府としては金大中氏が無事に帰国されるということを望むものでありますが、この帰国問題及び帰国後に同氏が韓国国内法上いかなる立場になり、またいかなる扱いを受けるかについては、韓国の国内問題であると考えております。
 次に、金大中氏の拉致事件の解決に関する問題でございますが、金大中氏事件はまことに不幸な事件でございました。この外交的決着については、その当時の日韓双方の最高首脳が日韓関係の大局を考えて高度の政治的判断を下したもので、現在の内閣もこれを引き続き尊重してまいります。なお、刑事事件に関する捜査は引き続いて続行しておるところでございます。
 次に、同氏の帰国日程に関する問題でございますが、金大中氏が帰国するということになるならば、政府としても同氏が安全に帰国することを希望しておる次第でございます。旅券の内容等も見まして適切に処理すべきものと考えております。
 以上で答弁を終わらせていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(坂田道太君) 三塚博君。
    〔三塚博君登壇〕
#7
○三塚博君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、中曽根総理の施政方針演説についてお伺いをするものであります。
 総理、あなたは昨年十月三十一日自由民主党総裁に再任をされたのでありますが、このことは佐藤総裁以来のことでありまして、極めて画期的なことであります。また、時あたかも本年は我が国に内閣制度が施行されて以来百年目であり、また我が国国会も九十五年の節目を迎えようといたしております。そして戦後四十年、自由民主党立党三十周年を迎えるに至りました。内外まことに多事多難、総理・総裁の使命、責任もまた極めて重大であると言わざるを得ません。宰相とは、いかに過酷な条件下にありましょうとも、国家と国民の安泰のためには鋭い分析力と透徹した洞察力をもって事に処さねばなりませんし、同時に、次の世代に対し自由と民主主義のたいまつの火を確実に引き渡す責任があると信じます。二十一世紀をにらみ、大いなる政治の節目と人類の転換期に立って、中曽根総理はいかなる感懐と決意をもって臨もうとしておるのか、お伺いをいたします。
 次に、政治倫理と党風の刷新についてであります。
 五十七年十二月二十四日の総裁声明は、第三十七回の総選挙の結果を踏まえ、党員はもとより、全国民に向けて総理・総裁たる中曽根氏の今後の政治運営の基本的な理念を述べられたものでございまして、その実現こそが中曽根政治の原点であると存じます。総理は、その後、閣僚の資産公開を初めとして、政治信頼の確立について努力をされてこられましたが、残念ながら、いまだ不十分と言わざるを得ません。昨年十月末の総裁選出をめぐる党内の動きは、このことに対する厳しい反省であったと思います。党においては、役員会、総務会はもとより、最高顧問会議においても、党と党首のあり方について、深刻かつ苦渋に満ちた協議が幾たびか行われ、その結果の再選決定でありますだけに、今こそいわゆる金権的政治からの脱却と政治倫理の高揚を図り、公明かつ正大な常風の確立に向けて一層の御努力を願わざるを得ません。(拍手)
 我が党は、去る二十二日、立党三十周年の党大会において、中曽根総裁を先頭に、「わかりやすい政治、さわやかな行動」を今後の運動方針の基調に決定いたし、決意を新たに行動することを誓い合いました。総理は、政治倫理の確立と党風の刷新についてどのように進められようといたしておりますか、お伺いをいたすものであります。
 次に、定数是正についてであります。
 議会制民主主義の根幹は選挙制度にあります。よって、国会議員の選挙定数問題は選挙区制とともに選挙制度の根幹をなすものでありまして、一日もないがしろにすることのできない問題であります。我が党も、ここ一年余鋭意作業を進め、そしてその結論を得ようといたしております。六・六案と言われるのがまさにそのことでありまして、どうか、このことは国会全体の問題でありますだけに、各党も、一つの点の協議の結集の中でいち早い結論を出すことにより、政府の対応を早めさしていただかなければならぬと思うのであります。本件についての総理の決意を伺うものであります。
 次に、我が国外交の基本的な理念についてお伺いをいたします。
 私は先年、自由民主党を代表いたしましてキューバを訪問いたしました。その際、キューバ共和国のロドリゲス副首相と二日間にわたりまして、中米問題と世界の平和、また日本とキューバの問題について会談をいたしたのでありますが、ロドリゲス氏は、一九七六年訪日をいたした折、福田元首相との会談の中で、核競争の激しい今日、あなたは人類の未来についてどう考えるかという哲学的な問いを行われ、非常に感銘を受けたと冒頭話されました。自来彼は、政治の原点はイデオロギーを超えた人類愛であり、そのためにこそ平和、核廃絶、核軍縮はすべての政治家の目標でなければならないと熱っぽく語りまして、非常な共鳴を覚えたことがあります。まさに核廃絶、少なくとも核軍縮の達成こそが人類の悲願であり、我が国外交の基本でなければならないと信じます。(拍手)
 先般、ジュネーブにおける米ソ外相会談は一年ぶりに再開にこぎつけたのでありますが、私どもはその成功を願っております。しかし、その帰趨はまことに予断を許さないものがございまして、寒心にたえないところであります。総理は、施政方針で強く平和を訴えられておりますが、世界の指導者の中で日本国の総理ほど、その環境づくりの適任者はないと思います。世界平和の達成と核廃絶、核軍縮について、総理の決意を改めてお伺いをするものであります。
 次に、安全保障、防衛についてであります。
 米ソ外相会談の再開があったとはいえ、現実の国際軍事情勢を見ますと、依然としてソ連の一貫した軍事力増強が続いております。特に、我が国周辺地域におけるソ連の軍事力は、ソ連全体の四分の一ないし三分の一に相当する核及び通常戦力がこの地域に配備されておりまして、その質量両面にわたる増強は、我が国の安全にとってまさに潜在的脅威と相なっております。
 このような情勢のもとで、世界第二の経済大国であり東西両陣営の接点に位置する我が日本としては、情勢の変化に対応できる防衛力の充実に努めるとともに、日米安全保障体制の一層の効率的な運用を図り、国家と国民の安泰のために万全を期さなければならないと考えます。(拍手)以上の認識から、六十年度予算編成においては、防衛力の整備は、国家政策の基本として、専守防衛、非核三原則、GNP一%以内という五十一年の閣議決定を踏まえ、政府・与党一体となって決定をいたしたものであります。
 私は、ここで一%問題について言及いたしたいと思います。
 もともと国の防衛予算は国家の最高の政策として決められるべきものであり、いつまでも不安定な国民総生産という基準を設けまして決定をすることは、合理的かつ実際的ではないと思わざるを得ません。五十一年に一%に関する閣議決定を行いましたのは、その直前に閣議決定をいたしました「防衛計画の大綱」が、平時における基盤的防衛力の整備を目指したものであり、専守防衛の範囲を逸脱するものでないこと、また他国に脅威を与えるものではないことを予算面から保障するとともに、当時の経済見通しから見て、一%以下の経費でも「防衛計画の大綱」達成は可能であるとの判断に基づいたものであります。
 しかし、本年は決定から九年を経過し、この間、国民総生産の伸びの鈍化を初め、内外の諸情勢は目まぐるしく動いておるわけであります。この上限決定方式が実情に合わなくなってまいりましたことは、議員各位の御了解するところでなければなりません。いつまでも従前の一%の枠に固執しているのでは、現態勢の維持はもとより、大綱の達成すら困難となり、国民の負託にこたえることができないのではないでしょうか。もちろん、基準を見直す場合でも、我が国は決して軍事国家を志向するものではないことを確実に保障する、実効ある歯どめの措置を講ずべきだと考えます。総理の御所見をお伺いをいたします。
 次に、人口問題と経済協力についてお伺いをいたします。
 昨年の八月六日から十四日までの九日間、メキシコで百四十九カ国の政府代表による国際人口会議が開かれました。引き続き、人口国際議員会議が七十二カ国の国会議員団の参加で開催をされました。我が日本からも超党派の議員団が福田団長を中心に参加をいたし、福田団長がこの会議の初代議長に選ばれて会議を主宰されました。会議においては、発展途上国における人口増加の問題は、途上国自身のみならず世界にとっても非常に深刻な問題であり、その解決のためには、それぞれの政府を督励し、なおかつ国際協調の中で事に当たることを決議いたしたのであります。(拍手)
 現在、世界の人口は四十八億人であり、二〇〇〇年には六十一億人になるものと見込まれております。しかも、人口増加の大部分は発展途上地域に生ずると予想されており、これらの地域では既に人口爆発が起きておるわけでございます。その結果、食糧難、疾病多発、早死に等が続出をいたし、アフリカ諸国ではこの世の地獄が現出をいたしており、まさに人道上の問題を超えて人類の生存が問われておるのであります。また、韓国、中国、シンガポール等の国家においては高齢化が進み、人口の逆ピラミッド現象が生じ、新しい深刻な問題となっております。二十一世紀においても人類を乗せた地球号が無事航海できますように、我が国の経済力や技術力、マンパワー等の援助を行い、国際協力を進めていくことが、我が国外交の最も重要な課題であります。(拍手)
 政府は、今般六十年度予算において、厳しい財政状況の中で政府開発援助につき対前年度一〇%増と特段の配慮を行ったことは高く評価されるところであります。(拍手)その結果、我が国の政府開発援助は、今や量においてアメリカ、フランスに次いで世界第三位の水準に達しましたが、今後さらに引き続き政府開発援助の拡充に努めるべきだと思います。また、援助資金は我が国民の血税でありますので、開発途上国の自立に真に役立たせるという観点に立って、質の改善と重点化を図っていくことが肝要であります。また、援助が被援助国の開発発展に寄与するためには、プロジェクトの選定もさることながら、海外青年協力隊の成果なども踏まえ、東京中心の援助事業体制を現地重点の体制に改め、現地企画執行体制の強化を図ること、なお、そのため人材の養成に力を入れるなど一層の改善努力を行うときにきたと思いますが、総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 次に、経済運営についてお尋ねをいたします。
 我が国経済の現況は、不況から立ち直り、おおむね堅調な歩みを続けておるとはいいながら、その内容を見ますと、幾つかの問題を指摘せざるを得ません。
 その一つは、依然として外需依存度の高い状況が続いておるということであります。昭和六十年度の経済見通しによると、前年度に引き続き経常収支で約三百四十億ドル、貿易収支で四百四十億ドル程度と大幅な黒字が見込まれております。本年は米国の景気後退が予想されるし、また欧州諸国も依然として厳しい雇用情勢にあり、我が国の膨大な黒字が諸外国の保護主義の引き金になることが懸念されるのであります。
 第二の問題は、部門により景気の拡大にばらつきが見られることであります。実質家計所得の伸びの低迷を背景として、個人消費や住宅建設の伸びが依然として頭打ちであり、また建設関連業種の景況改善もおくれております。
 これらの問題点に対応するためには、何よりもまず内需を中心とした景気の持続的拡大を図ることが重要であります。政府は、機動的かつ適切な経済運営により、少なくとも六十年度経済見通しの実質四・六%、名目六・一%の経済成長率を確保し、経済の安定成長と国民生活の向上を期すべきものと思うのでありますが、その見通しについてお伺いをいたします。(拍手)
 また、これに関連し、さらに米国から我が国に対し、一層の市場開放について強い要望がなされておりますが、どのように対応されるおつもりか、総理の見解をお伺いをいたすものであります。
 次に、財政改革と六十年度予算についてお伺いをいたします。
 国民の負託にこたえ、国政の全般を円滑に遂行していくためには、健全な国家財政の存在こそが欠くことのできないものと信じます。国債残高を見てまいりますと、残念ながら六十年度末で百三十三兆円、国民一人当たり百十万円の借金という姿に相なっております。こんな運営を続けていくならば、私たち大人は、子と孫の世代に膨大な借金のみを残すことになり、後世から大きな批判と断絶を招くことに相なります。幸い国民経済は明るく小康状態にあるとは申せ、国家財政は未曾有の困難に直面をいたしておるのであります。よって、我が党は、ここ数年来政府と一体となって、すべての分野について見直しと改革を進めてきたところであります。
 六十年度予算も、この結果、一般歳出を三年連続横ばいに抑え、公債発行額は一兆円減らすことができました。その中身においても、補助金整理の多角的な展開、また国際的立場の認識に立っての重点施策の計上など、めり張りのある姿になっておると思います。総理は、財政改革の過程の中で、この予算をどのように位置づけ、いかに今後の展望を開いていかれるおつもりか、所見をお伺いをいたします。
 さらに、これからの財政は、国債の大量償還期を迎え、今後の予算編成は一層厳しい局面になると思います。これは、二次にわたる石油危機を乗り切るために財政構造の上に残した後遺症の大きさを示すものにほかなりません。六十年代を迎え、我々は改めてそのことの重大性を想起し、健全財政の確立のため、引き続き腰を据えて取り組んでまいるほかないのであります。
 しかし、一方では、いつまでこのような緊縮政策が続くのだとか、もういいかげんにしろという悲鳴に似た声まで聞こえてまいります。政府は、この国会の論議を通じ、いつまで辛抱すれば展望が開けるのか、また、財政の展望と再建の筋道を明らかにし、国民の抱いておる不安感を払うべきだと思いますが、どのように対応するつもりか、お伺いをいたします。
 また、財政改革を推進していくためには、歳出の構造は引き続き厳しく見直す必要がありますし、社会経済の情勢の変化に即応した行政部門の改革もこの際思い切って進めるべきであります。また、国と地方の役割と費用分担についても、さらに真剣に問い直すべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、税制改革についてであります。
 私は、まず受益と負担のあり方について総理の見解を求めるものであります。すなわち、負担なくして国家は成り立ちません。したがって、社会保障、教育等のすべての公共サービスは、国民の負担によって裏づけられてこそ初めて確保されるものであります。今まで、ともすれば国民と国家、政府と国民とは別次元であり、かつ対立の構図でとられがちでありましたが、政府と国民とは実は一体であります。政府の財産は国民の財産であり、政府の借金はすなわち国民の借金であります。まさに税は国民に対する公共サービスを賄う財源でありますので、税のあり方については、国民の自由闊達な討議を経て、公平、適正な税負担を求めていくことが民主主義の国家の基本でなければなりません。(拍手)
 我が国の税制の歴史を振り返ってみますと、昭和二十四年、戦後の混乱の中で、経済の立ち直りと社会正義の確立を目指して、税制全般にわたるシャウプ勧告が行われております。その内容は極めて思い切ったものでありましたが、時の政府また国会はこれを制度化し、今日の税制の基本といたしました。そのことが戦後の復興を助け、今日の繁栄の一因になったことも議員各位周知の事実であります。
 しかしながら、シャウプ税制以来既に三十五年を経てまいりました。そして、税制全般について種々の批判が出てまいりました。またそのあり方について、政府税調はもとより、自由民主党、各党からも、それぞれの観点は違いますが新しい問題提起がなされておるのであります。
 すなわち、諸外国の税制に比して累進構造が際立って急な我が国の所得税制は、今や国民の納税、勤労、貯蓄等の意欲を低下させ、なおかつ脱税など不道徳をすすめる結果に相なり、深刻な問題を投げかけておりますが、所得税制はこれでよいのか。その対応策はどうするのか。また、俗にいうクロヨンやトーゴーサンといった言葉に象徴されますような給与所得者を中心とする税の捕捉についての不公平感に対して、今後一体どう対処していくべきなのか。また我が国においては、家計ないし個人の税負担は先進国の中でもかなり低いのに対し、企業に対する税負担は毎年強化され高い水準にあり、このまま放置しておくと、将来企業活力が損なわれ、結果として税の減収になるのではないかという指摘、また全法人の五二%が欠損法人として納税を免れているなど、今後における企業税制のあり方についてどのように考えるべきなのか。一方、生活水準の向上、生活様式の多様化、消費のサービス化、ソフト化が進行する中で、今後我が国の間接税体系をどのようなものとして位置づけるべきものであるのかなとなど、論議さるべき問題は山積みいたしておるのであります。
 このような状況を勘案するとき、私は、今こそ原点に立ち返って、新しい時代に対応できる税制、すなわち、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる抜本的な検討に着手すべき時期に来ていると確信をいたすものであります。私は、二十一世紀にあと十五年という大きな節目に当たり、特に次の世代への責任の上からも、大局的観点から今後財政改革を強力に推進する上でも不可欠の条件となってまいりました税制改革について、総理の見解をお伺いをするものであります。(拍手)
 次は、社会保障制度についてお尋ねをいたします。
 我が国は、今まさに医学医術の驚異的な進歩、保健医療供給体制の充実、国民皆保険体制の実現等により、日本人の平均寿命は大幅に延び、今や人生八十年の時代を迎えるに至ったのであります。まことに喜ばしいことであります。
 反面、世界一の高齢化社会の実現は種々の問題を提起いたしております。その一つが、人口構造の逆ピラミッド化であります。すなわち、昭和五十九年現在、六十五歳以上の高齢人口は総人口の約一〇%、千二百万程度でありましたが、二十一世紀当初には総人口の一五・六%、二千万近くに達すると見込まれております。また、最近目立ってきましたぼけ老人、寝たきり老人問題は、その家庭を危機に追い込み、深刻な社会問題と相なっております。
 社会保障制度についても、人口高齢化に伴う受給者の増加により、年金や医療保障等の社会保障給付費は年々増大していくことが確実であり、この結果、国の財政負担も国民の社会保障負担も増加していくことは避けられません。
 こうした諸問題に適切に対応し、社会保障制度が国民の生活の確固たる支えとして有効に機能させるためには、制度の見直しに積極的に取り組んでいくことが必要であります。昨年実施されました医療保険制度の改革も、こうした観点に立つものであります。また、現在参議院において審議中の年金制度の改革もまたしかりであります。その早期成立が望まれるゆえんであります。
 一方、人生八十年を迎えるに当たって、国民の側に、将来に対する不透明感から来る漠とした不安感が存在するように相なりました。私は、政府として、こうした国民の気持ちを十分に酌んで、国民が安心して生活設計ができるよう、今後の社会保障の方向について確固たる考えを示すことが政治の責任であると信ずるものであります。総理の基本的な御見解をお伺いをいたすものであります。(拍手)
 次に、科学技術の振興についてであります。
 二十一世紀に向けて、我が国が活力のある経済社会と安心で豊かな国民生活を築いていくためには、頭脳資源を生かして科学技術の振興を図り、科学技術立国への道を歩むことであると信じます。我が国経済は戦後の荒廃の中から出発しましたが、国民一人一人の真摯な努力によって、今日見られるように国民総生産は世界経済の一割を占めるように相なりました。そうした経済の発展は、海外からの技術の導入あるいはその改良発展によって生産技術を中心に技術開発を促進し、社会的、経済的ニーズに効率的にこたえることを通じて実現をされたものであります。しかし、基礎的研究あるいは研究開発を支える基盤面において、また総合的なソフト技術の面でも相対的に立ちおくれが見られておるのであります。諸外国を見ますと、エレクトロニクス、情報通信、バイオテクノロジー、新素材開発など、新たな技術革新のうねりの中で科学技術の振興にしのぎを削っておるというのが現状であります。
 以上のような現況から、私は、創造性豊かな科学技術の振興を我が国における基本政策の重点とし、このため、未来の技術革新の芽を生み出す基礎的研究を強力に推進するとともに、産学官がそれぞれの特色を発揮して英知を結集し、研究開発を推進していくことが極めて重要であると考えます。(拍手)こうした技術開発の促進こそが真の意味での将来への大いなる遺産となり、二十一世紀へのかけ橋になると信ずるものであります。科学技術の開発促進に対する総理の基本的考え方、そして具体策をお伺いをいたします。
 次は、二十一世紀の日本を担うにふさわしい人材の養成についてであります。
 二十一世紀はさまざまな可能性に富んだ時代でありますと同時に、我が国経済社会も急速に成熟の度合いを深めてまいりましょう。国内に見るべき資源を持たない我が国にとって、そうした社会の急速な変化に柔軟に対応し、輝かしい未来を築いてまいりますためには、情操豊かで、しかも多様性と活力にあふれ、国際性に富んだ日本人の養成こそが肝要であります。そのためには、今こそ教育のあり方を原点に立ち返って洗い直す必要があると思うのでありますが、総理の所見を改めてお伺いをいたします。
 次に、農林漁業、中小企業政策についてであります。
 国の総合安全保障の大きな柱は、国民食糧の安定供給であります。しかるに、我が国は昭和四十年代以降自給率が急速に低下し、五十八年には総合で七一、穀物では三二と、いずれも前年より一%低下しておるのであります。食生活の変化による輸入食糧の増加や、さらには農産物輸入の完全自由化を求める外圧もありますが、食糧の安定供給を図るということは、国内政策の重要な柱でなければなりません。
 また、中小企業は我が国経済社会において量的にも質的にも重要な地位を占めており、中小企業の振興なくして我が国経済の発展はあり得ないのであります。しかしながら、中小企業は大企業に比べ、企業体質や資金調達の弱さ、生産性や技術水準の格差など、不利な条件にあることも事実であります。この不利な条件を克服し、変革期に積極的に対応し得る中小企業の育成を図るためには、近代化及び構造改善のための諸施策をきめ細かく推進することが重要であります。
 農林漁業の振興、中小企業の育成に対する総理の基本的なお考えをお尋ねするものであります。(拍手)
 次に、国鉄問題についてであります。
 国鉄は、今や昭和五十九年度末で累積赤字は十二兆円を超えました。また借入金残高は本年度二十二兆円に達しておるのであります。しかも、赤字は年々二兆円ずつふえ、借入金も依然としてふえ続けておりまして、六十年度予算において見ますると、二兆五千億円の借入金を行わなければ予算が組めない状況に立ち至ったのであります。しかも、六十年度の国鉄予算の内容の中で、この借入金は直ちに元金償還に約一兆円、利子分として一兆三千億円、計二兆三千億円を支払わなければなりませんものですから、手元にはわずかに二千億円しか残りません。このまま推移をいたしますと、六十一年度予算においては、償還と利払いの合計額がついに借入金を上回ることは確実でありますし、借金経営はここで完全に破局を迎えることになるのであります。国鉄経営はまさにかつてない危機に直面することになったのであります。
 ところで、一月十日国鉄が独自の再建案を発表されましたが、これは詳細に検討いたしますと、これまで数次にわたり発表いたしました再建計画と全く同じ延長線上にありまして、甘い計画と言わざるを得ません。
 その第一は、全国一本の民営化案であるということであります。その第二は、六十年度予算で国庫補助金は六千億円計上いたしたのでありますが、この計画では今後毎年二兆円の補助金を見込んで収支を計算しておる点であります。その第三は、労働基本権は当分そのままとするということであります。まさに、顔は民営化でありますが、全身はまず公共企業体そのものであり、すなわち現行制度そのものであると言っても過言ではないのであります。
 このような六十五年度まで問題を先送りをいたしまして本質からすべて逃避した計画では、国鉄の改革、再建は全く絶望的と言わざるを得ません。経営者の皆さんが国鉄の置かれておる現状認識についてこの程度でしかないとすれば、大変深刻な問題ではないかと憂えるものであります。総理の国鉄改革についての御所見をお伺いをいたします。(拍手)
 次に、いわゆるグリコ・森永事件について一言触れておきます。
 グリコ・森永事件は、昨年三月に江崎グリコ社長が誘拐されて以来、犯人グループは江崎グリコにとどまらず、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家など大手食品企業に対して次々とその脅迫の対象を広げ、さらに昨年十月には店頭に青酸ソーダの入った菓子を置くという、国民の生命に危害を及ぼしかねない、かつてない悪質、残虐な犯行にまでエスカレートしてまいりました。
 この事件は、今や単に個々の企業に損害を与えるだけではなく、一般市民の日常生活を人質にとり、恐怖と不安に陥れ、食品業界や流通業界はもとより国民全体に深刻な影響を与えつつあり、今や社会問題というより大きな治安上の問題になってまいったのであります。
 かねてより我が国の治安のよさは国際的にも定評のあるところでありますが、この事件が発生して以来既に十カ月余を経過しましたが、今なお犯人グループが逮捕されないばかりか、警察と社会をあざ笑うがごとき行動まで展開をいたしております。警察当局はもとより、国家の威信まで問われかねない事態に相なったと思います。まことに遺憾、重大なことであります。政府は、この事件に対する徹底した検討、分析を急ぎ、新しい形の犯罪としてとらえ、積極かつ有効果敢な対策を講じていくべきだと思うが、いかがでしょうか。(拍手)
 私は、このように極めて悪質残虐な犯罪に対しては、本件に限り断固として重刑を科すとか、また検挙方法についても新たな法措置を講ずるべきだと思いますし、また被害企業に対しても救済措置を講ずるなど、所要の法制を整備すべきだと思います。既に我が党においては議員立法を目指し、その検討作業に入っておるところでありますが、総理の本事件に臨む決意をお伺いをいたします。
 最後に、一言触れておきたいと思います。
 四十年前の昭和二十年八月十五日は敗戦の日でありました。そのとき日本の都市は焦土と化し、農村もまた荒廃の極にありました。そして四十年後の今日、我が国は世界の経済大国にのし上がったのであります。さらに、二十一世紀の日本の姿はどうなっておるのだろうか、この問いにはだれも正確に答えることができないのではないでしょうか。なぜなら、二十一世紀は全く不確実の時代であり、不透明の世紀だからであります。しかし確かなことは、核戦争が防止され、なおかつ議会制民主主義が健全な足取りで進んでおりますならば、そこには私どもの子や孫が喜々としてたくましく生き続けておることは間違いございません。
 総理、あなたは歴史の転結手として、祖先から受け継いだ日本のたいまつの火をあなたの燃えるような使命感と責任で確実に次の世代に引き継がれんことを希求いたし、我々もまたこの目標に向かってともに前進することを誓い、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 三塚議員にお答えをいたします。
 まず第一は、二十一世紀をにらんでいかなる感懐と決意を有するかという御質問でございます。
 本年は戦後四十年に当たりますが、平和と自由、民主主義の価値をじっとかみしめて、静かに話し合うときではないかと思います。平和の問題につきましては、米ソの軍備管理交渉が開始されたことはまことに欣快にたえません。核廃絶を目指してあくまでも努力をすると同時に、世界じゅうにおける地域紛争の解決に向かっても我々は努力してまいりたいと思います。
 民主政治の問題については、議会政治がますます有終の美をおさめるように、お互いに協力してまいりたいと思っております。特に大事なことは、政策を中心にして公開の場で国民の納得のいく形で政治が運行されるということであると思います。民主政治の基礎は国民の信頼にありますから、そういう意味において、我々は国民の信頼を得るように常に営々と努力してまいる必要があると思います。
 なお、政策につきましては、かねて唱えておりまするいわゆる三大改革を推進すると同時に、二十一世紀への渡り廊下を準備してまいりたいと考えております。
 なお、発展途上国や非同盟諸国あるいは飢餓に悩むアフリカその他の国民に対する国際国家日本の役割も、十分果たしてまいるように努力してまいりたいと思います。
 政治倫理の問題について御質問していただきましたが、民主政治は道徳性の上に立脚すべきものであると考えております。それは政治家個人の道徳性あるいは政党、政界の道徳性、すべて道徳性というものが基本になければならないと思います。その一つとしても、やはり政党が立党の精神あるいは立党の基本綱領あるいはこれを改革する場合には改革したもの、それらに対して、あくまで忠実に国民に対する公約を守っていくということが基本でなければならぬと思いますし、政治の運営その他は公明正大に行われる必要があると考えております。
 政党間におきましては、あくまで競争と協力ということが基本原理にあるものであると思い、政策的協調をさらに進めていくように努力してまいりたいと思います。しかし、民主政治におきましては、最後は、やはり最終の審判者は国民であり、国民の意思に従ってすべては決せられていくべきである、そのように考えております。
 次に、定数是正の問題でございますが、五十八年十一月の最高裁の判決あるいはその後五十八年十二月の各高裁の判決等もよく念頭に置いて、緊急かつ重要な課題としてこれが解決に努めてまいりたいと思っております。もとより、これは各党間の基本的ルールづくりの問題でありますから、各党間で十分論議を尽くして、今国会において定数是正が実現するように努力してまいりたいと思います。
 次に、平和と軍縮、核廃絶の問題でございます。
 私は、前から申し上げていますように、核兵器というものは業の兵器である、これを一たび握った者は、相手が持っている限り放すわけにいかないし、あるいは負けないためには増殖も辞せず、こういう形で、これが大きくなっていけばなっていくだけ、一番苦悩しているのは、これらの超弩級兵器、核兵器を持っておる国の首脳部ではないかと私は考えております。みんな人類としての良心を持っているからであると思うのです。日本国民は特に広島、長崎のあの悲痛な経験を経た国民であるだけに、この核兵器の廃絶に向かっては、本当に心から努力してまいらなければならぬと思いますし、私もそのように努力してまいるものであります。
 しかし、この核廃絶、削減を実現していくためには、現に持っているものをどうして減らし、なくしていくかという現実的方法がなければできません。単なる演説で核兵器はなくなるものではないのであります。そういう意味において、着実にこれをなくしていく現実的方法を模索することが政治であります。(拍手)それはどうしてできるかといえば、みんなが安心できる確実な方法を、お互いが研究し合い、出し合い、承認し合うことであり、それが出てきているのが検証という問題であります。お互いが確かめ合って、安心し合うというやり方であります。私は、このような現実的立場を踏まえつつ、一歩一歩着実に、核兵器廃絶に向かって今後も努力してまいる考えでおります。(拍手)
 次に、GNP一%の御質問でございますが、これは先ほど申し上げたとおりでございまして、できる限り今後も守っていきたい。しかし「防衛計画の大綱」の水準を達成するよう努力することも我々の公約であり、今後の人勧あるいはGNPの伸び、これらによりまして不確定的要素が多く、今確たることを述べることはできないということです。
 しかし、来年度予算を見ましても、一般会計全体が五十二兆でございますが、国債費に案に十兆二千億円、地方交付税交付金に九兆六千億円、これで約二十兆とられてしまっているわけです。税収は三十八兆であります。税収三十八兆のうち二十兆とられてしまえば、十八兆というものがいわゆる一般行政費ということであり、やはりやむを得ずある程度公債に依存しなければならぬ。急激な変化を避けるためには、やむを得ずそういう措置をとっております。
 しかし、ほかの経費につきましても、できるだけむだを排除して、効率的な運営を心がけておるところであり、社会保障費が九兆五千億円、文教及び科学振興費が四兆八千億円、防衛費が三兆一千億円であります。これを見ますと、社会保障費の大方三分の一程度が防衛費でありまして、いかに防衛費を我々が節減しているかということは、数字的にも私は公にできると思うのであります。(拍手)
 この一%を決めましたときの経過を見ましても、GNP一%を決めたのは実は昭和五十一年でございますが、このときの経済計画は、昭和五十一年五月十四日の閣議決定で昭和五十年代前期経済計画として決められたところでありまして、五十一年から五十五年までには成長率は名目で一三・三%を平均予想しておるのです。ところが実際は、五十一年から五十五年までは九・一%です。一三・三%が九・一%に激減をしております。実質的には六%強が前提となっておりますが、これは結果は五・一%です。したがいまして、これに想定された防衛費というものは、絶対額は大きくなかったわけであります。GNPが上がれば防衛費も多くなるわけでありますが、期待どおりの数字は出なかった。そういう意味で、ある意味においては一%以内というものは、これはある程度ずっと続いてきたわけでございますが、「防衛計画の大綱」の水準を達成するという意味においては、時間がかなりかかってきているというのが現実でございます。
 こういう事実と、では、アメリカや外国がどの程度の費用を出しているかといえは、アメリカがGNPの大体五・五%、ソ連は一二%から一七%と言われております。NATO諸国が三%から四%です。我が国は今日〇・九九七%であります。しかも、我が国の防衛費の中では、人件糧食費が四四・六%であります。こういうことを見ましても、いかに防衛費について、我々がこれが節減、効率化に努力しているかということをここで申し上げたいと思っておる次第なのでございます。
 防衛費については、先ほど申し上げましたように、四つの要素がある。なるたけ守っていきたい。しかし、一面において「防衛計画の大綱」の水準というものをやはり実現したい。しかし、人勧やあるいは今後の景気によるGNPの伸びがどうなるか、不確定要素があるから今は確たることは申し上げられない、こういうことでございます。
 では、それが変わるときにはどうするかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、その時点において、閣議なり国防会議なり、十分審議もいたし、そして、いわゆる節度ある防衛力のあり方というものについて十分検討もすべきである、そのように考えておるところでございます。
 次に、政府開発援助の問題でございますが、いわゆるODAは我が国の重要な国際的な仕事であると考えており、質量ともに、さらに効果的にこれを実行するという点におきましても努力してまいるつもりであります。御指摘のように、在外公館及び援助実施機関現地事務所の企画、執行体制の一層の強化、必要な人材の養成にも引き続き配慮してまいります。特に、これは側面的でございますが、海外青年協力隊の活動等については目覚ましいものがございまして、大いに感謝をすると同時に、今後も奨励してまいりたいと思っております。
 次に、国際収支の問題でございますが、六十年度におきましては、景気はなおばらつきを見せておりますが、全体としては拡大しつつあると認めます。六十年度は、物価の安定を基礎としつつ、民間需要を中心として景気の着実な拡大を図りますし、機動的な経済運営に努め、民間活力が最大発揮できるような環境を整備してまいりたい。最近特に設備投資と消費需要が着実に回復していることを、我々は、さらにこれを持続するように努力してまいりたいと思います。
 六十年度の経済成長率は、名目で六・一、実質で四・六%になる見込みで、達成を期しておる次第であります。
 市場開放につきましては、米国は、先ほどのロサンゼルスにおける会談におきましても、東京ラウンドの合意に沿った関税引き下げの繰り上げ実施の決定等については非常に高く評価しておりました。しかし、電気通信、エレクトロニクス、医薬品、医療機器、木材製品の分野における我が国の一層の努力を要請したことは事実であります。今後とも、保護主義を抑止し、貿易の拡大均衡を目指し、さらに景気の持続的拡大を図るという中におきまして、内需の一層の振興及び市場の一層の開放、輸入の促進等に努力していきますが、一方において、ロサンゼルスでもこれは特に強調したのでございますが、アメリカにおいて保護主義的傾向に対して、政府は断固として反対してもらいたい、世界経済に対する激変を回避するために、いわゆる軟着陸、ソフトランディングをやってもらいたい、米国の高金利、ドル高の是正等についても協力してもらいたい等について強く要請したところでもございます。
 なお、当面、具体的な対応につきましては、政府の閣僚協議会あるいは対外経済問題諮問委員会等々の議論も踏まえまして、十分着実に推進していくつもりであります。一応三月末を目途に国内的調整、成案を得るように努力してまいるつもりでおります。
 次に、財政改革について御質問がございました。
 六十年度予算につきましては、行財政改革を強力に推進するという一貫した方針でこれを編成いたし、一歩前進し得たと考えて有ります。すなわち、補助金の整理合理化、歳出の削減合理化、一般歳出を三年連続で対前年度減額、歳入面では、税外収入の可能な限りの確保、一兆円の国債の減額あるいは電電公社や専売公社等の株式の公債償還財源への繰り込み、これらのことを実行いたしまして、着実に展望を開くように努力しております。
 なお、新しい仕事であるハイテクあるいは留学生の増加あるいは地方行革大綱の推進、地方との調整、これらの問題についても、新しい努力として努力してまいるつもりでございます。
 次に、財政の展望と再建の筋道を明らかにすべきである、このような御質問でございますが、中期的な展望を持って財政運営を考えていることはもとより必要でございます。したがって、六十年度予算を踏まえた中期的な財政事情の展望を作成して、近くお示しすべく準備を進めております。今後の財政改革の具体的な進め方につきましては、そうした試算も参考に、国会等の御議論も踏まえ、幅広い角度から検討を進めてまいります。もとより臨調答申を尊重し、これを実行していくということは当然のことでございます。
 次に、財政改革を進めていく上については、行政部門の改革のほかに、国と地方の役割分担等について是正すべきであるという御質問でございますが、まさに同感でございます。日本は、高齢化社会、情報化社会、国際社会の進展に対応するためにも、財政改革を強力に推進し、特に政府と民間の役割分担、国と地方の機能分担、費用負担を見直す、これらの連年の努力をさらに進めてまいりたいと思っております。
 次に、社会保障について御質問をいただきました。
 国民が真に必要とする各種公共サービスの確保は、基本的には国民の負担によって裏づけらるべきであるということは、御指摘のとおりであると思います。今後の財政改革を進めるに当たりましては、歳出面におきましても、制度、施策の見直し等連年の努力を踏まえ、その節減合理化にさらに積極的に努力いたしますと同時に、歳入面におきましても、社会経済情勢の変化に即応して、公平、適正な税制のあり方につきまして、あるいは税外収入の確保等につきまして、幅広い角度から検討が必要であると考えております。
 次に、税制の改革の問題でございます。
 我が国税制につきましては、社会情勢の変化により、種々の問題が指摘されるようになってきており、国民各層における広範な論議を踏まえながら、幅広い視野に立った税制全般にわたる改革を今後の課題として我々は検討していくと申し上げたとおりであります。この検討作業の進め方、内容等につきましては、今具体的に申し上げる段階ではございませんが、今後、税制調査会等を中心に各方面の論議を十分に見守り、かつ研究してまいりたいと思っております。先ほど来申し上げましたように、税制改革を志しますのは、税の増収を図るとか財政再建に資するということを目的としてやるのではなくして、終戦以来の税のひずみ、不公正を是正しよう、国民の納得する税体系に変えよう、そういう考えに立って行い、公正、公平、簡素、選択、こういう原則を中心に考えたらどうであろうかということを申し上げているとおりなのでございます。
 次に、高齢化社会に対する我々の政策、社会保障に対する政策でございますが、高齢化社会の到来に対応いたしましては、やはり社会保障制度を揺るぎないものとして長期的に安定させること、世代間の公平感を充実させる制度として持続すること、これが現在大事なところであると思っております。
 現在、年金制度の抜本的改革を含めて、給与と負担の適正化及び制度の効率化等を引き続き推進してまいります。「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきましても、長期的な社会保障の基礎を固めつつ、それを、重要性を強調しておりますが、今後も二十一世紀を見据えた長期的な観点から、勇断を持って制度の整備、改革に取り組んでまいるつもりでございます。
 次に、科学技術に関する御質問でございます。
 科学技術立国の御発想には、私は全く同感でございます。昨年十一月末の科学技術会議の答申のとおり、次の三つが基本であると認識しております。第一は、創造性豊かな科学技術の振興、第二は、科学技術と人間及び社会との調和ある発展、第三が、国際性を重視した展開ということでございます。この答申におきましては、原理、現象に立ち返った技術シーズの創出を図る等、独創的な基礎的研究の強化を指摘されております。さらに、産学官の研究開発組織の柔軟かつ多様な組み合わせ、活動展開を指摘されております。政府といたしましては、今後この答申の線に沿って政府みずからの研究開発を進めると同時に、大学等における研究の一層の充実を図るとともに、民間活力が最大限に発揮されるように基盤を整備する等科学技術の振興に大いに協力し、国際性も大いに努力してまいりたい、国際協力も努力してまいるところでございます。
 次に、二十一世紀の日本を担うにふさわしい人材養成、教育のあり方についての御質問でございます。
 今回の教育改革は、二十一世紀を担うたくましい心豊かな青少年の育成を目指して、教育の諸課題を踏まえつつ、社会の変化や文化の発展に対応する教育の実現を期して行わるべきものであると考えます。臨時教育審議会における十分な審議を期待しておりますが、日本文化の新しい創造、世界文化との融合、新しい文化の創造と、そして海外からも尊敬される日本人をつくり上げていく、そういうような日本のアイデンティティーを踏まえつつ、世界性を持った日本人をつくっていく、こういうことがやはり中心でなければならないと思います。
 次に、農林漁業政策でございますが、農は国のもと、農業は生命産業であると私は前から申し上げておるとおり、農林水産業の推進につきましては、全力を尽くしてまいります。総合的な食糧自給の維持強化を基本としつつ、生産性の向上を図りつつ、農業生産の再編成、それから生産性の向上、各般の施策を展開してまいるつもりであります。
 中小企業の問題につきましては、中小企業はわが国の経済の基盤であり、今後とも中小企業施策の一層の充実を図ってまいりますが、それに当たりましては、機動性を十分に発揮させ、環境変化に積極的に対応し得る創意と活力ある中小企業の育成を進める一方、中小企業が持つ不利を是正する、そういうことが大事であります。そのために、高度情報化への大きな趨勢の中で立ちおくれないように、技術力や情報力の供給と人材の養成が不可欠であり、これらの点を踏まえたきめ細かい政策並びに金融強化策等を実行してまいるつもりであります。
 国鉄経営について御質問をいただきました。
 国鉄事業の再建は国政上最重要の課題の一つであり、政府としては総力を結集しており、三塚君の今までの努力に大いに敬意を表する次第であります。国鉄事業再建に関する効率的な経営形態のあり方、長期債務の問題等の抜本的な対策については、現在国鉄再建監理委員会で鋭意検討中であり、本年半ばごろには意見が提出されると承っております。今回国鉄が明らかにした再建案には種々の問題があると考えられております。一般的にどうも親方日の丸主義が改まっていない、甘えがあるとか指摘されておりますが、国鉄再建監理委員会において、この案も一つの参考として最終的な意見を取りまとめることになると思いますが、国鉄が同委員会の審議に積極的に協力して適切な結論が得られるように期待をしておるところであります。政府としては、監理委員会の結論を尊重して国鉄の事業の再建に全力を注ぐ所存でございます。
 グリコ・森永事件等の新しい型の犯罪に対しましては、その防圧、検挙のための有効適切な諸施策を積極的に推進してまいります。なおさらに、法制上の問題については、自民党及び関係当局において検討中でありますが、できる限り早期に対応してまいりたいと考えております。なお、それらの企業に関する救済等につきましては、関係各省庁政務次官による連絡調整会議を設置いたしまして、森永製菓に対しては職域販売に支援協力するとか、関連菓子業界に対しては金融、雇用対策を実施している等の措置を実行し、今後も可能な限りの努力をしております。
 なお、二十一世紀への三塚議員の御決意に対しては大賛成であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(坂田道太君) 渡辺三郎君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔渡辺三郎君登壇〕
#10
○渡辺三郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、去る二十五日に行われました中曽根内閣総理大臣以下四国務大臣の演説に対し、質問を申し上げます。
 まず最初に、どうしてもたださなければならない問題は、先ほどの石橋委員長の質問に対して、防衛費のGNP対比一%枠の問題で、総理は、できるだけ守りたい、こういう趣旨の御答弁がございました。これは、これまでの総理の政治公約であり、さらにまた昨年の暮れに我が党首との間に行われました際の発言から見ましても、明らかに二枚舌ではございませんか。明確に総理の再答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらにまた、石橋委員長の質問に対しまして直接お答えになっておらない点が数点ございます。私は、この際、次の三点に絞って明確な答弁を求めるものであります。
 その第一は、教育基本法に関する問題であります。
 石橋委員長の質問は、もし答申の中で基本法の精神を侵したり法そのものを改正すべきだといった内容が含まれていた場合、総理はこれに対してどのような態度をおとりになるのか、こういう質問でございますから、これに対しては明確にひとつ答えていただきたいのであります。(拍手)
 その二番目は、大型間接税の問題であります。
 これは幾つかの税の項目を申し上げながら質問をしたのであります。ところが、これに対して総理は、一般消費税はやらない、これに限定してお答えになりました。どのような名称であれ、大型間接税の導入はやるべきでないという立場からの質問でございますから、これに対してもさらに明確にお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 その第三は、国鉄の問題であります。
 一方で分割・民営をうたいながら、他方で新幹線の計画を進めるといった無定見を含めて、総理の誠意ある反省の弁を求めたのでありますけれども、これに対しても十分な答弁は行われませんでした。これについてもひとつ明確にしていただきたいのであります。
 私は、二十五日の総理の演説をじっくりと聞かせていただいて強い印象を受けましたのは、多彩な形容に飾られてはおりますけれども、内実の政策説明は極端に抽象的であることです。もっと平易にわかりやすく、国民の抱いている軍拡への警戒や不安、生活上の不満、環境への心配などに応じて、国民の胸にずしんと響く政策展開をなぜ訴えられないのか。仮に、財政危機の乗り切りのために今が一番苦しい瀬戸際に立たされている、こういうのであれば、それなりの誠意を傾けた国民への話りかけと、それを克服する段取り、手法、そして時期を明示した到達プロセスを虚飾することなく示すべきだと思うのであります。それができなかったのは、つまるところ中曽根内閣の基本政策が、言葉とは裏腹に軍拡と財界奉仕に貫かれているからだと思わざるを得ませんでした。(拍手)
 そうでしょう。軍縮をうたいとげながら軍備拡大に狂奔し、増税なき行財政改革をにしきの御旗にしてきたあなたが、その実大衆増税の準備を整えようとしていること、さらに加えて、再三にわたりアメリカの核戦略のお先棒を担いで回る外遊を続けるような内容が報ぜられるに至っては、国民に向かって政府を信用しろと言っても、それは無理な話ではございませんか。(拍手)総理自身が錯覚しておられるほど諸外国の人々は必ずしも評価していないのではないですか。
 さて、我が党の石橋委員長が当面の最も中心的な内外の政治課題について政府の姿勢を追及されておられますから、私は、同じ二十五日、正式に国会に提出をされました昭和六十年度予算政府案をも念頭に置きながら、経済問題を中心に中曽根内閣の内政について質問を申し上げます。
 第一は、まず我が国経済の現状と見通しについてお伺いをいたします。
 政府の見通しによりますと、昭和六十年度においては実質四・六%程度の成長を前提としているようであります。しかも、その中身は、外需の寄与度が低下し、内需が全体として順調に増加するとともに、個人消費や住宅寄与を高めるなど、内需の中身も、よりバランスのとれた姿になるとしているのであります。政府が考えているように事態は果たしてそううまく運んでいくのでしょうか。
 確かに、自動車、家電、コンピューター、通信機器、半導体電子部品、工作機械等の各業種は、昭和五十九年に引き続きこれからも好調が予測されるでありましょう。しかし、造船、海運、セメント、アルミ、食品、医薬品、建設などは、その業績が停滞をしたままであります。内需にウエートのかかった健全な経済成長をうたいとげる根拠が一体何なのか、総理のしかとした答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、私は経済企画庁長官にお伺いをいたします。
 内需拡大にとって大きな要因となる民間最終消費支出や企業の設備投資に大きな期待を寄せていることは、長官の経済演説でも明らかであります。そのことは当然でありましょう。また、長官の思惑の中には、アメリカ経済の動向を頭に置いて、恐らく我が国内金利の低下を期待しておられると思うのであります。しかし、アメリカ経済における民間の資金需要が引き続き増加することに変わりはなく、加えて公的資金需要も増加することを考慮すれば、資金需要が緩和して金利が低下するとは考えにくいと見なければならないのではないでしょうか。我が国が米国の金利低下に連動して国内金利の低下を期待しているとすれば、その点はちょっと甘過ぎるのではありませんか。
 ところで、政府は、一体所得増加にどのような施策を持っておられますか。雇用者所得増加の基調となるいわゆる春のペースアップをどのくらいに見積もっておられるのか、また、常用雇用、臨時・日雇い雇用の顕著な伸びを想定しておられますか、明確にお答えいただきたい。
 例えば、民間の設備投資についても、五十八年から五十九年まで極めて旺盛な設備投資によって全体の投資に大きな寄与度を示してまいりました中小企業関係の動向が鎮化の傾向を見せていることは否定できない事実であります。ハイテク化投資は引き続き高い水準で推移することは間違いないと見られますけれども、しかし、さきに挙げた所得増、特に可処分所得の増加の実態、雇用趨勢、また公共投資や住宅投資の問題、そして、ただいま申し述べました民間投資動向を一べつしても、現在の政府の施策には何ら見るべきものがなく、いたずらな言葉の羅列にすぎないことを指摘せざるを得ません。(拍手)
 二十五日に行われた各大臣の演説の至るところで民間活力が言われておりますが、内容は極めて抽象的で具体性に欠け、むしろ傍観者的なあなた任せにさえ聞こえてなりませんでした。政府自身確固たる方策を示して、もっと積極的な内需中心の経済政策への転換を図り、低迷を続けている消費経済の活性化、国民所得の向上、安定策を大胆に推し進めるべきことを強く要求するとともに、大臣の答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二の課題として、私は、政府の市場開放問題、通商摩擦への対応について総理並びに外務大臣に質問をいたします。
 まず第一点は、さきの日米首脳会談でレーガン大統領が日本に対して強く求めたと言われております通信機器など四分野の市場開放措置について、どのように対処をされるのか。アメリカ側の試算によれば、これによってアメリカの年間対日輸出は約百億ドルふえるとされております。
 第二点は、木材製品の関税引き下げ問題であります。一説によれば、アメリカは最終的に年間約十億ドルの市場確保を目指しているというのでありますが、これに対する総理の考えを伺いたいのであります。
 また第三点として、これら市場開放に関しては、我が国内産業との関連が極めて重大であります。それらとの調整についての基本姿勢を明らかにしていただきたい。
 第四は、この日米市場開放問題は、五月に開かれるポン・サミットまでに決着をつけるのかどうかという点であります。
 次いで第五点として、アジアを中心とする発展途上国との間の懸案問題への対応の基本姿勢についてであります。例えば、タイからの骨なしチキン、またインドネシアからの広葉樹合板など、いずれも国内産業との関連で重要な問題を含むものであることは御承知のとおりでありますが、ただ、これらの関税問題で、アメリカからの輸入の場合と比較をしますと、それぞれ五%程度の差を設けているのは一体なぜなのか。発展途上国の対日批判には、こうした日本の対米偏重、途上国軽視の現実的内容が込められているのではないのですか。どう考えられます。
 以上、五点については、中曽根総理からそれぞれ具体的に答弁をしていただきます。(拍手)
 この問題項目の最後は、外務大臣に質問をいたします。
 既に本日から開始されます日米次官級会議の性格と協議内容について、また、これに臨む日本側の基本姿勢についてお答えをいただきたいのであります。
 次に、中小企業対策について、また、そこでの労働問題も若干含めて、これは総理大臣に質問をいたします。
 中小企業をめぐる経済環境は依然として厳しいものがあり、多くの困難な問題を抱えていることは御承知のとおりであります。今後、情報化の進展、価値観の多様化、高齢化社会への移行など社会経済の急激な変化が進行する中で極めて大きな比重を占める中小企業の健全な発展を図ることは、従来以上に重要な政治課題として認識をしなければならないと思います。また、経済運営の面から見ましても、内需中心の経済成長達成のためには不可欠の課題と言わなければなりません。しかるに、その対策実態は極めて不十分であります。その端的なあらわれが中小企業対策の予算であります。すなわち、六十年度でも約二千二百億円、一般会計予算に占める比率で見ましても〇・四三%とコンマ以下であります。しかも対前年度の伸びは、五十七年度が横ばい、五十八年度以降はマイナスで推移しているのであります。総理の中小企業対策に対する認識を改めて伺うものであります。
 以下、中小企業対策の具体的な問題点について伺いますが、その第一は中小企業金融についてであります。政府系三機関においても、現実に企業が必要とする低利長期の資金需要に十分こたえているとは言いがたく、特に意を用いなければならないのは、政府の今後の行財政改革の中で仮にも制度の後退があってはならないと考えます。また中小企業金融については、調度の錯綜によって十分利用し切れないという実態の改善が必要だと思料されるのでありますが、これらの点について伺うものであります。
 第二は、倒産防止対策についてであります。既に総理もご承知のように、企業倒産の状況は五十九年一月から十二月まで件数で二万八百四十一件、前年対比八・八%増。過去最高を記録しております。今後も中小企業を中心になお高水準で推移することが予想されます。施策の拡充が求められておりますが、どのように考えられておるか、具体的にお伺いをする次第であります。(拍手)
 第三は、政府や地方自治体が発注するいわゆる官公需についてであります。これまでの実績を見てまいりますと、国などの中小企業向け割合は三七%台で推移し、法制定当時、当面五〇%を目標とするという政府の答弁には遠く及ばないのであります。官公需の確保は政府みずからできることであります。また、中小企業庁が適格組合として証明する制度もあり、これら組合を最優先的に活用すべきであり、何はともあれ五〇%以上の官公需が中小企業に発注されるよう、法の精神に沿った積極的取り組みこそ必要であり、その決意を伺いたいのであります。
 第四は、中小企業退職金共済制度であります。五年ごとの見直しの線に沿って、労働省は当然制度の法改正を考えておりましたが、大蔵省の抵抗に遭ってつぶれたと囲いております。高齢化社会が進む中で、中小企業で働く労働者の老後の安定をどのように考えているのか。この誤った施策を政府は速やかに改めるべきであります。英断ある総理の回答を求めます。(拍手)
 第五は、大規模小売店舗の出店調整問題ですが、各地区の混乱、紛争を一々述べるまでもなく、現行大店法では十分な対応ができなくなっておること極めて明白であります。どう対処されるのか、政府の態度を明確にしていただきたいと思います。
 第六に質問を準備しておりました税問題については、先ほど来の質疑がございましたから重複は避けますけれども、もし大型間接税または類似の大衆課税が導入されるようなことがあれば、景気後退を余儀なくさせるばかりでなく、中小小売商の経営をも大きく圧迫すること必然であり、我が党は断じて容認できないことを強く付言をしておきます。(拍手)
 中小企業問題の最後に、そこに働く労働者の問題も含めて、下請中小企業問題を取り上げたいと存じます。
 この部門は、二度にわたるオイルショック後の景気後退下における企業経営の減量化、効率化に伴い、最も強くそのしわ寄せを受けたところであります。今日景気が上向きになったとは言え、単価の据え置きや切り下げは続き、その厳しさはいささかも変わっていないのであります。資金不足から、不可欠の設備更新もままならず、さらに金利に追いまくられているのが実情であります。したがって、そこに働く労働者の賃金格差あるいは福利厚生施設等の劣悪さは政府労働省調査資料が明らかに示しているとおりであります。どうしても抜本的改善対策を進めなければならないと思います。通り一遍でない総理の答弁を求める次第であります。(拍手)
 私は、我が国の農林業に対する関心をもっと高め、かけがえのない重要な役割について政府がその認識を根本的に変えるべきだと考えるものであります。高度成長以来、そして、とりわけ最近の臨調行革の中では、ともすれば経済合理性、言葉をかえて言えば、財政的に収支償わないものはすべてが悪、切って捨てるべしという誤った風潮があらゆる分野に広がってきたのではないかと危惧を強くするものでありますが、特に農林業に対してのそれは、まことに憂慮すべきものを感ずるのであります。
 そこで私は、幾つかの点について政府の考え方と具体的施策について質問をいたします。
 まず第一は、昨年七月に本院において全会一致で決議された米の需給安定に関する決議にかかわる問題であります。既に、第九十一回国会においても食糧自給率向上の決議がなされておりますが、私ども日本社会党は、一昨年以来、国会の多くの審議の場を通じて米需給逼迫の危険性を取り上げて政府当局に警告し、追及をしてきたのでありましたが、あの韓国米輸入という緊急事態発生の直前まで、政府は事実を否定し、警告を無視してきたのであります。その結果があの騒ぎになったことは、いまだ記憶に新しいところでございましょう。(拍手)
 世界の先進諸国における主要食糧品の自給率と比較するとき、日本の場合ずば抜けて低い率を示していることは今さら指摘するまでもありません。まさに政府施策の怠慢と言わなければなりません。第百一国会における決議の内容は極めて重要であり、かつ国権の最高機関における全会一致の意思でもございます。政府は、誠心誠意これに沿った施策を進めるべき責任を負うことは当然であります。そうした経過を踏まえて、私は次のことをただすものであります。
 その第一は、米の安全性について、政府はその後いかなる基準を定めたのか。第二は、米需給計画についての見直しと水田利用再編第三期対策の転作面積の緩和をどのように行ったのか。昭和五十九年産米は幸い天候に恵まれ豊作になったとはいえ、構造的な米の需給逼迫は依然として続いている中で、六十年度の対策では全国でわずか二万六千ヘクタールの減反緩和にすぎず、これは明らかに国会決議の無視に通ずるものであり、再見直しを図るべきものと考えますが、どうですか。第三の問題は、ゆとりある需給計画のもとに、不測の事態に備え適正な在庫の積み増しを行い、備蓄体制の確立に努めることが国会決議となっておりますが、どういう体制確立を準備しているのか。
 具体的に、以上三点について総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 農林政策についての第二の質問は、林業対策についてであります。
 二十一世紀に向けて人類が避けて通れない課題は、資源と環境の問題であると言われております。我が国は国土の七割が森林であり、資源の再生と環境の保全はまさに林業の活性化を通してこそ達成されると言っても過言ではないでありましょう。しかしながら、我が国の森林、林業は、七割にも及ぶ外材輸入と住宅建設の落ち込みによる国産材の不振、価格の低迷、林業労働者の高齢化と減少等によって林業生産活動が停滞し、森林の荒廃、資源の減少をもたらしているのが現状であることは、総理自身つとに御認識のはずであります。
 我が国森林、林業の中核的役割を担うべき国有林野事業も、日本林業全体の停滞の中で財政が危機的状況に陥り、単に自主的努力中心をうたい文句とする改善計画では、経営の再建は到底不可能と言わざるを得ません。我が国の国有林、民有林を通じて重要なことは、将来にわたって外材にのみ依存することはできないということであります。つまり、今日、地球的規模で緑資源の枯渇が問題化しており、森林を守り育てることが国際的にも緊急、切実なものとなっているからこそ、今年一九八五年は国際森林年とされたのでありましょう。今こそ我が国が世界に先駆けて緑豊かな森林をつくるために、思い切った国の財政負担を含め重点的に取り組むべきであると考えるのでありますが、このことに対する総理の所見を伺いたいのであります。(拍手)
 この国際森林年への対応としては、林野庁も幾つかの事業を計画しているようであり、その中には、広く国民に対して、また生徒児童などに対して、人間生活と森林の結びつきなどの啓蒙活動を行うなど大切なことも含まれてはおりますが、それにしてもODA拠出金五千万を入れて全体でわずか一億一千六百万円という予算では、とても問題にならないのではありませんか。
 さらに私は、間伐の促進の緊急必要性について触れたいと思います。
 今間伐を必要とする面積は、総人工林面積一千万ヘクタールのうち四百六十万ヘクタールとされております。そして、そのうちで初回間伐を緊急に必要とする面積は百九十万ヘクタールであります。これに対する年間間伐実行面積は約二十五万ヘクタールにすぎません。林野一般会計の間伐予算はわずかに五十億。我が党は、少なくとも五年程度でこの百九十万ヘクタールの間伐を実施しなければ、状況はますます悪化することを強く指摘するものであります。そのためには民有林の間伐に対する政府の助成増額が絶対に必要であり、総理の熱意ある答弁を求めるものであります。また、あわせて間伐材の需要開発が不可欠と考えられますが、これについて具体策があれば、この際あわせてお示しいただきたいのであります。
 地方行革の問題につきましては、既に石橋委員長がその内容の不当性について追及をされました。そこで私は、具体的に次の三点に絞って総理の明確な答弁を求めます。
 第一は、補助金の一律カットは一年限りに絶対間違いないのか。第二は、地方負担増に対して後年度手当てをはっきりと確約できるのか。第三は、六十一年度以降新たな地方負担増、社会保障給付の切り下げ、増税を行わないことについて約束できるか。きっぱりとお答えをいただきます。(拍手)
 次に私は、簡潔に社会保障、福祉関係について二、三の提言を行い、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 我が国の場合、個人年金や疾病保険を含む生命保険契約総額の対国民所得比が既に世界第一位であり、まさに国際的にもまれに見る自助努力型の福祉になっていると言えます。そこで問題は、これ以上の自助努力を基本とした日本型福祉の展開は事実上無理であり、したがって、所得、雇用、健康、介護、環境などにわたる国民生活の公的な底支えに最重点を置くべきだと考えます。また先進諸国の動向から見ましても、母子家庭の優先雇用制度及び公的な介護者派遣制度をぜひ創設すべきだと考えるのでありますが、これらの点について総理の所見を伺うものであります。
 さらにもう一点、高齢化社会を展望した保険制度の改革は、保険料の引き上げや給付条件の改悪に走る前に、厚生年金等の積立金四十五兆円を培養すべきであり、大蔵省への預託金利七・一%を引き上げるのが先決と思うのでありますが、これに対する大蔵大臣の考えを問うものであります。
 次に、労働問題については、時間短縮、人勧問題、所得税を中心とした減税等について、それぞれ増的に質問をいたします。
 我が国の労働条件の中で最大の恥部の一つとして今日においても絶えず国際的問題になっているのが労働時間の問題であることは、政府も先刻御承知のはずであります。今や週四十時間、完全週休二日制の実施、年間二千時間の達成は時代の趨勢と言えましょう。この実現のための労基法等の改正を急ぎ準備すべきだと考えます。さらに、正月三日の休日、太陽と緑の週設置による五月の連休もまた大きな要求になってきております。総理の積極的な取り組みの姿勢を強く求め、答弁を伺うものであります。
 人勧完全実施の問題は、今さら言を費やす要もないほど、これは完全に政府の抗弁が一切通用しない問題であります。何はともあれ、直ちに完全実施を回復する責任があるはずであります。精神論や弁解ではなく、どうするつもりなのか、その段取りを含めて、詳細、具体的な答弁を求めるものであります。(拍手)
 私は、さきに、内需拡大の問題と絡んで所得税減税に触れました。総理は、先ほど石橋委員長に対して、減税の意思なしと述べられたようでありますけれども、我が党は、この際重ねて、所得税五千五百億円、住民税千七百億円の物価調整減税を行うとともに、政策福祉減税三千三百億円減税を強く要求するものであります。総理の言う軍備競争の停止や国民生活の安定向上がもし本音であるのなら、我々の要求に当然こたえるべきだと考えるものでありまして、確たる答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、国連の世界人権宣言に関する問題について、一、二質問しておきたいと存じます。
 この宣言が採択されて以降、既に二十にも上る人権に関する条約が採択されておりますが、我が国では、わずか六つの条約しか批准しておりません。中でも、国際人権規約の完全批准、女性差別並びに人種差別撤廃条約の完全批准は差し迫った課題となっておりますが、総理の決意をお聞かせ願いたいのであります。(拍手)
 最後に私は、戦後処理問題についてお伺いいたします。
 戦後処理問題は、御案内のとおり、昭和五十六年十二月、政府・自民党の合意事項として、問題処理は一切完了したと確認されてまいりました。しかし実際には、その後従軍看護婦に対する措置等が行われ、五十七年六月三十日には総理府に戦後処理問題についての懇談会が設置されて、延々今日まで続いてきたのであります。この間、民間側の運動は極めて活発に展開されてまいりました。このようにして、今回ようやく一億五千七百万円予算計上されたのでありますが、どうもその中身があいまいであります。議員の一部では、これによって対象者への補償に完全に道が開かれたかのような誇大宣伝を行う向きもあります。
 そこで明確にしていただきたいのは、この予算措置の中身として、いわゆる強制抑留者個人に対する補償のための実情調査費が完全に含まれているのかどうか、混乱を招かないためにも明確に答弁をしていただきたいのであります。
 以上をもって私の質問を終わりますが、ぜひできるだけ具体的に、国民の皆さんにもわかるようお答えいただくよう強く要請をして、終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 渡辺議員にお答えをいたします前に、石橋委員長に対する御答弁について補足させていただきます。
 まず防衛費についてでございますが、先ほど申し上げましたように、六十年度予算におきましてはGNP一%以内を守って約束を実行したと申し上げたとおりであります。
 将来の問題につきましては四つのことを申し上げました。できるだけ今後も守っていきたい、しかし「防衛計画の大綱」の水準にできるだけ早く近づけたい、それから、人勧あるいはGNPがどういうふうに伸びていくかということにもより条件は不確定です、そして結果が出てきたときに、それに対していろいろ対応を考えます、その対応の中には、閣議における協議あるいは国防会議における検討あるいはいわゆる節度ある防衛力のあり方等についていろいろ討議することになると思いますと、そのとおり申し上げる次第でございます。
 次に、教育基本法の問題でございますが、政府は、この教育基本法の精神にのっとって審議が行われることを期待しておるわけであります。しかし、言論の自由を否定するわけにはまいりません。したがいまして、答申がいかに出てくるか、政府はじっと見守っておるところであり、答申は尊重するともまた法律に書いてあるわけであります。そういういろいろな条件も踏まえ、最終的には、答申が出てまいりましたときに国会の御議論や国民の世論等もよく勘案しながら慎重に検討するということにいたしたいと思います。
 次には、税についてでありますが、大型間接税に関する御質問でございました。
 私は、先ほど来申し上げましたように、総合的に根本的に検討する、そういう課題を受けた時期に入ったと申し上げております。しかし、その検討というものは、増税やあるいは財政再建のために行うものではない、むしろ、公平、公正、簡素、選択、そういうような国民の不便を直そう、そして公平な、より公正な税体系にして戦後のひずみを直そう、もっと簡素なものにできないものであろうか等々という面から総合的に御検討願いたいということなのでございます。その内容につきましては、検討の結果がどういうふうに出るか、政府税調もございますし、自民党の中における税調もございますし、そういうような検討の結果を慎重に我々は見守り、かつ結果を検討するという考えでございます。いわゆる一般消費税というものはやりませんと前から申し上げておるとおりであります。
 次に、国鉄の問題でございますが、我々は、まず基本的には、監理委員会の答申を尊重するという基本的態度を持っておりますが、新幹線、いわゆる整備新幹線につきましては、六十年度予算において事業費を計上したところでございます。今後のその実施方法あるいは地方線との関係あるいは監理委員会等の答申、こういうような諸般の問題等を調整いたしまして、そして対処いたしたい、こういうように考えておる次第でございます。
 次に、私の海外出張について、渡辺議員から、まず冒頭御質問がございましたが、私は、国際友好あるいは平和、軍縮の確立あるいは日本に対する理解の増進、これらの目的のために、外務大臣とともに外国を訪問してきておるのでございまして、国民の御支持は十分得ているものと考えております。(拍手)
 次に、政府は昭和六十年度予算で実質四・六%の成長が果たしてできるかという御質問でございますが、物価の安定をあくまで堅持しつつ、国内の民間需要あるいはさらに今の設備投資や消費需要の増大、この弾みをつける、そういうような考えを持ちまして、持続的な安定成長を今後図っていき、この六・一%、実質四・六%は達成可能であると考えております。
 次に、市場開放について御質問をいただきましたが、アメリカ大統領との会談において米国側は、まず、我々が東京ラウンドの合意に沿って関税引き下げその他について繰り上げの実施あるいはGSPの拡大等を行ったことを非常に高く評価しておったところであります。そのほか、電気通信、エレクトロニクスあるいは医薬品、医療機器、木材製品等についての一層の努力を要請いたしました。
 我が国としては、保護主義の防圧それから貿易の拡大均衡、それと同時に、アメリカの政策がいわゆるソフトランディングを行って、保護主義に負けない、それと同時に急激な変化を避ける、ソフトランディングによって世界経済に急激なショックを与えないように、保護主義に圧倒されないように、金利を下げるように、そういう要望を強くやってきたというところでございます。
 今後の処理につきましては、私から閣僚協及び閣議におきましても十分努力を依頼いたしまして、河本長官を中心に内部の調整を行い、対外的には安倍外務大臣とシュルツ国務長官との間で総括的に対外交渉を行う、そういうことで今始まろうとしておるところであり、我々はさらに外国の日本に対する猜疑心を除く、不透明性に対する誤解を解く、そういう意味において、思い切って胸襟を開いて、そして正面から取り組んで逃げない、そういう態度で堂々とやるように各事務次官に指示しておるところでございます。
 木材製品につきましては、木材需要の低迷あるいは林業の問題、国土保全の問題、水資源涵養の問題、環境整備の問題等からして、やはり慎重に十分情勢を考えて行わなければならないと考えております。
 市場開放と国内産業との調整の問題につきましては、自由貿易体制を堅持すること、そして調和ある対外経済関係の形成と世界経済活性化への貢献ということを考えなければなりません。そのために市場開放、輸入の促進等に今後とも努めてまいるつもりであります。
 次に、アジアを中心とする発展途上国との問題でございますが、発展途上国の立場につきましては十分配慮し、我々は数次にわたり市場開放、特恵関税制度の特別措置を講じております。特に、昨年十二月十四日の対外経済対策におきましては、非常に困難な情勢のもとに、韓国、ASEAN等開発途上国の関心品目にもできる限りの配慮を行ったところであり、今後とも引き続いて努力をしてまいるつもりであります。
 中小企業について特別の御関心をいただいて、いろいろ御指摘をしていただきましたが、政府系中小企業三機関の貸し付け規模の適正化あるいは経営基盤の強化のための出資あるいは資金調達の便宜、その他制度にかかわるいろいろな問題につきましても改良、改善を図ってまいるつもりであります。
 倒産防止につきましても、倒産防止共済制度の改正を初め、倒産対策貸し付けあるいは倒産防止特別相談事業等諸般の政策を充実してまいります。
 さらに、官公需の増加の問題につきましても、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づき、毎年度の方針を閣議決定いたしております。今後とも、国、地方の末端に至るまでこの方針が徹底するよう努力してまいります。官公需の適格組合を優先的に活用すべしという御議論については賛成でございます。十分配慮してまいるつもりでおります。
 退職金制度について、この改正、見直しについて御質問がございました。
 この制度の改善につきましては、退職金共済審議会において引き続き検討をお願いをいたしております。昭和六十一年度を目途に法改正を図る所存でございます。
 大規模小売店舗の進出の問題につきましては、特に周辺中小企業、小売商の関係の意見も十分に聴取いたしまして、適正かつ円滑な調整を図るようにいたしたいと思います。大規模小売店舗法に基づく調整制度の適当な運用に今後とも万全を期するとともに、引き続き事態の監視を続け、事態の推移に適切に、機動的に対処してまいります。
 大型間接税の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
 税制の問題につきましても先ほど申し上げたとおりでございます。
 次に、下請中小企業振興法に関する御質問でございます。
 下請中小企業振興法に基づき、下請中小企業及びこの関係の近代化あるいは協会を通ずる取引あっせん、苦情処理等の政策については特に今後力を入れてまいります。特に、技術開発力の培養促進により親事業から自立し得る中小企業の振興を図っていく、こういう政策を努力してまいりたいと思います。
 次に、中小企業の労働者の福利の問題でございますが、中小企業関係の労働条件、労働福祉の向上を図るために、経営体質の強化、生産性の向上、労働政策面での労務管理の改善、労働者福祉の向上、これらの施策をさらに強化してまいりたいと思います。
 次に、五十三年産米の臭素問題に関する御質問ます。
 国際森林年につきましては、地方公共団体、民間団体等の協力を得て、啓発、緑化事業、海外林業協力の充実等幅広く行い、我が国及び世界の林産資源の保全、涵養に積極的に努力していくつもりでございます。
 なお、間伐につきまして御質問がございましたが、戦後営々としてつくってまいりました人工造林の大半がいよいよ間伐の時期に入ってきております。森林の健全な育成のためには、間伐の適切な促進が非常に重要であります。したがいまして、間伐促進総合対策等、補助、融資にわたる諸般の政策をことしは強く推進してまいるつもりであります。
 次に、林政審答申の公約実施についての御質問でございますが、林政審の答申に沿いまして国有林野事業改善特別措置法の改正を行い、これによる新たな改善計画により取り組み中でございます。御指摘以外に、残された事項につきましても、国有林野事業の置かれている状況等を考慮しつつ、真剣に検討しておるところでございます。
 次に、補助金の一割カットの存続の問題でございますが、今回の高率補助率の引き下げは、六十年度における措置として実施いたしたものであります。六十一年度以降の取り扱いにつきましては、今後所要の検討を行い、推移を見守りつつ適切に対応してまいるつもりでおります。
 地方負担増につきましては、今回の国庫補助負担率の引き下げに伴う地方負担の増加については、地方交付税、地方債の増額等により万全の措置を講じておるところであります。なお、地方債の元利償還などの後年度の地方財政負担についても、国として必要な措置を講じ、適切に対応する所存でございます。
 次に、六十一年度以降新たな地方負担はしないと約束するかという御質問でございますが、六十一年度以降の予算編成につきましては、今後とも財政改革を強力に推進するという考えに立って、歳出歳入両面の努力を図ってまいります。このうち歳出につきましては、政府と民間の役割分担、国と地方の機能分担、費用負担を見直すなど連年の努力を踏まえ、その節減合理化にさらに積極的に取り組む所存であります。
 さらに、六十一年度以降社会保障給付の切り下げはしないかという質問でございますが、社会保障については高齢化の進展等社会経済の変化に対応して、今後とも各種施策が長期的に安定的に、かつ有効に機能するよう制度を維持していく必要があります。このため、六十年度社会保障予算においては、給付の重点化、負担の適正化を行うとともに、社会経済的に弱い立場にある者に対しては、重点的かつ効率的に福祉政策を推進するように配慮しております。六十一年度以降におきましても、さきに述べた考えに立って、諸般の事情を総合的に勘案して対処してまいるつもりであります。
 六十一年度以降の税問題について御質問がありましたが、今後は、歳出面における制度の見直し等連年の努力の上に立って、さらに節減合理化に積極的に取り組みます。歳入におきましても、各種公共サービスの確保は国民の負担によって裏づけられるべきであるとの基本的認識のもとに、社会経済情勢の変化に即応して公平、適正な税制のあり方について幅広い角度から検討いたします。先ほど来申し上げているように、税の総合的見直しということは、増収やあるいは財政再建のためにあるのではない、不公平や簡素化、そして国民の皆さんが満足いくような改革が必要であるという観点から行おうとしている、このことを重ねて申し上げるものであります。
 次に、年金等につきまして、自助努力型の福祉社会、これ以上自助努力を基本とした福祉政策の展開は無理である、こういう御質問でございますが、今後の高齢化社会に備えるためには、公的な社会保障制度、雇用の安定を図るための対策が国民の基礎的ニーズを満たすことができるよう、引き続き制度や対策の効率化、安定化のために努力を続けます。しかし、近年における国民のニーズ、価値観の多様化等を踏まえ、我が国社会を活力あるものとしていくためには、今後とも公的部門と個人の自助努力を適切に組み合わせた制度を構築していくことが適切であると考えております。
 母子家庭の雇用の問題でございますが、この環境条件の整備を図ることが重要であると考えます。職業相談、職業訓練の充実に努めるとともに、事業主に対する雇い入れ助成等にも努力してまいります。
 なお、公的な介護者派遣制度を創設すべきではないかという御質問でございますが、在宅の寝たきり老人等に対しては家庭奉仕員を派遣して、逐年その増員に努めており、今後とも充実に努力してまいります。
 次に、所得税減税を行えという御質問でございますが、昨年、一兆千八百億円の本格的減税を行ったところであります。政府税調の答申でも、現在の情勢では所得税、住民税の減税を行う余地はないと指摘しておりますので、御理解願いたいと思うところであります。
 次に、二千時間、週四十時間、週休二日制並びに五月の連休完全実施等の御質問でございます。
 労働時間の短縮については、週休二日制度の普及、年次有給休暇の消化促進等を重点に今後とも努力してまいります。ゴールデンウィークにつきましては、法制化によるものではなく、労使に対する働きかけ、広報等により、民間主導という関係で逐次普及していくことが現段階においては望ましいと考えております。
 政府は、雇用は伸びると考えているかという質問でございますが、今後についても、適切かつ機動的な経済運営による景気の持続的な拡大と雇用対策の推進を図ります。大体、現在、就業者数が五千八百五十万、雇用者数が四千三百六十万でありまして、外国に比べれば、この雇用状態は非常に良好な状態にあるわけであります。六十年度の政府経済見通しにおきまして、就業者数一・一%程度、雇用者数一・八%程度の増加と、五十九年度の伸びを上回る見込みでおります。
 六十年度の人事院勧告についての御質問でございますが、勧告制度尊重の基本姿勢に立ちまして、勧告が出されれば、その段階で、国政全般との関係を考慮しつつ、勧告の実施に向けて最大限の努力を尽くす所存でございます。
 人権に関する条約につきまして、国際人権規約、女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約、この三条約に対する決意を御質問いただきました。
 国際人権規約につきましては、我が国は既に批准をしておりますが、同規約の国会承認の際の要望決議等を十分踏まえ、今後とも鋭意検討してまいります。いわゆる女子差別撤廃条約については、本年七月、ケニアで開催予定の世界婦人会議までに批准すべく、最善の努力を続けてまいります。人種差別撤廃条約については、その趣旨及び目的は、これまで表明したとおり十分理解して支持しておりますが、本条約の締結に当たっては解決しなければならない問題もあります。早期締結に向け引き続き鋭意努力中であります。
 シベリア強制抑留者等に対する措置につきましては、戦後処理問題について戦後処理問題懇談会の報告を受け、六十年度予算案において総理府に、戦後処理問題に関する基金の検討費及び実情調査費として一億五千七百万円が計上されているところです。検討、調査の方法については、六十年度予算の成立を待って具体的に検討してまいりますが、同懇談会の報告におきましては、いわゆる戦後処理問題について「これ以上国において措置すべきものはない」とするとともに、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から、基金を創設することを提唱しております。政府としては、この趣旨を踏まえながら、今後具体的に検討してまいるつもりであります。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
#12
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私に対する御質問は、今開かれておりまする日米次官級会議について説明しろというお話でございます。
 実は、けさウォリス米国国務次官を初めとして米国側の関係各省の次官が私を訪ねてまいりまして、第一回目の議論をいたしたわけでございますが、本件日米ハイレベル協議は、先般の日米首脳会談を受けまして、両国間の貿易経済関係のより均衡のとれた発展のための日米相互の努力につきまして、共同でフォローアップを進めるために開催をされたものであります。今回の協議では、主として今後の協議の進めぶりが話し合われることになっておるわけでありますが、電気通信分野につきましては、二十九円及び三十日に協議をすることとなっておる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#13
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、いわゆる国の制度、信用を通じて集められる公的資金、もとより保険料の積立金もそれに当たるわけでございますが、これは資金運用部資金として一元的に管理されておるわけであります。それをとにかくもっと有利に運用しろ、こういう御趣旨でございます。
 確かに、公共的運用とのバランスを考慮しつつも、できる限り有利運用を行うということで努めたわけでございますが、さらに臨調答申等は、公共性の観点も重要であるとした上で、これまで以上に有利運用に配慮しろ、こう述べられております。それを体して対応していかなければならぬと心得ておりますが、今御意見としてお述べになりました預託金利の問題であります。これは御案内のように、預託金利は融通金利でございますので、預託金利を上げますと、今度は住宅公庫でございますとか国民公庫、中小公庫、これらの貸出金利の引き上げ、また補給金の増大ということから一般会計からの支出の増大を招くという点もございますので、一概に今の例示として申された手法をとるわけにはまいりません。基本的に、申された有利運用に最大限の努力を払うべきであるという考え方は私も同感であります。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#14
○国務大臣(金子一平君) 政府は六十年度の実質成長率を四・六%程度と見ておるが、実現可能かという御質問でございまするけれども、個人消費は、引き続いて所得が順調に増加し、また景気拡大が続く中で消費マインドに明るさが増すと期待されますので、前年度に比べまするとその伸びを高めるものと考えております。また、住宅投資も着実に増加するものと考えております。
 設備投資につきましては、輸出の伸びの鈍化で影響を受ける分野もございまするけれども、他面、技術革新関連投資は引き続いて活発に行われており、また、個人消費の着実な増加に伴って卸、小売業のようなサービス関連産業にも動意が期待されますので、引き続いて設備投資は順調に増加するものと考えております。
 特に六十年度予算におきましては、極めて厳しい財政事情のもとではございましたけれども、一般公共事業の事業費につきまして前年度を上回る水準を確保したり、あるいは税制面で基盤技術の研究開発促進や中小企業の技術基盤強化等の措置を講ずることにしております。また、民間活力を最大限に発揮できるような環境整備をするために、各種の規制の緩和につきまして今後も強力に推進する考えでございます。
 六十年度の雇用者所得につきましては、景気の着実な拡大を反映しまして、一人当たりの雇用者所得が前年に比べて五%増、雇用者数が一・八%増と高まることによりまして、雇用者所得全体としては六・八%程度になるものと私どもは考えておりますので、内需主導による実質成長率の達成は可能であると確信しておる次第でございます。
 また、金利についても言及されましたけれども、長期金利は昨年十月の長期プライムレートの引き下げを受けて引き続いて低下の傾向にありますし、短期金利も緩やかながら低下を続けております。マネーサプライも八%程度の落ちついた動きを最近やっておりますので、総じて金融は緩和基調にあると考えていいかと思うのであります。
 ただ、御高承のとおり円相場が安定しておりませんので、今後こういった内外の金融情勢を十分に見きわめながら、必要な金融政策をとってまいりたい。そうして現在の金融緩和基調を維持していくことが適切であると考えております。
 以上でございます。(拍手)
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#15
○長野祐也君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#16
○副議長(勝間田清一君) 長野祐也君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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