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1984/02/15 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 本会議 第10号
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1984/02/15 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 本会議 第10号

#1
第102回国会 本会議 第10号
昭和六十年二月十五日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和六十年二月十五日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 石橋政嗣君の故議員白浜仁吉君に対する追悼演
  説
 北海道開発審議会委員の選挙
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  及び租税特別措置法及び所得税法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質
  疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(坂田道太君) 御報告いたすことがあります。
 議員白浜仁吉君は、去る一月四日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る八日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに決算委員
 長予算委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた議員正三位勲一等白浜仁吉君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 故議員白浜仁吉君に対する追悼演説
#4
○議長(坂田道太君) この際、弔意を表するため、石橋政嗣君から発言を求められております。これを許します。石橋政嗣君。
    〔石橋政嗣君登壇〕
#5
○石橋政嗣君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員白浜仁吉君は、御家族皆様の手厚い看護にもかかわらず、去る一月四日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。
 昨年の秋ごろからでしたか、議員会館でも余りお姿を見かけなくなったような気がいたしました私は、何回か秘書さんに御様子を尋ねたのでしたが、「もう随分元気になりました。間もなく出てまいります。」ということでしたので、すっかり真に受けていただけに、突然の訃報を聞いて本当にびっくりいたしました。
 私は、ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと思います。(拍手)
 白浜さんと私とは、昭和二十六年当時、ともに長崎県議会に席を置き、しかも党派こそ違え、同じ野党の議員だったのであります。白浜さんは議長室を根城にした参謀の一人、私は専ら本会議や委員会で知事を追及する前線部隊の一人と、役割こそ異なるものの、いわば同志でございました。今になってみれば、白浜さんと一緒に体験した暁の県会、議長不信任案提出をめぐる虚々実々、どれもが懐かしい過去の思い出になってしまったわけでございます。
 二人が相前後して本院に議席を持ってからちょうど三十年、廊下で会うたびに交わした「どうしとるや、元気かい」「相変わらずたい」というあいさつが何回繰り返されたことでございましょう。選挙のときに五島の立会演説会場で一緒になれば、「五島の票はあんまり持っていくなよ」「おいのいただく分は残っとらんたい」というやりとりも、いつも同じでございました。そんな会話ももうできないのだと思うと、全く感無量のものがございます。
 ここで、いつも笑みを絶やすことのなかった、白哲の、そしてコールマンひげのよく似合う白浜さんを、皆さんとともにもう一度思い浮かべながら、この議場からお送りしたいと思います。(拍手)
 白浜さんは、明治四十一年八月、長崎県五島の、若松町の漁業をなりわいとする家に生まれました。申すまでもなく、五島列島は西海国立公園の中心にあり、風光明媚な景勝の地でありますが、また同時に、電気や水道はもちろん、住民が生活していくには全く不便な僻地でもありました。
 そんな離島の中で育ったあなたは、少年時代、初めて長崎市に向かう小舟の上で光り輝く町並みを眺めながら、「いつの日か我が村も」と、小さな胸をときめかせたとのことでございます。
 敬けんなカトリック信者の御両親のもとではぐくまれたあなたは、貧しくとも心豊かで、しかも利発な少年でしたので、やがて長崎市のミッションスクール海星中学に進学し、さらに東京慈恵会医科大学に学ばれました。
 昭和十年、大学を卒業されたあなたは、長崎医科大学等で研さんを積まれた後、請われて郷里五島の村立診療所長として赴任されました。あなたは、毎日十キロの道のりを往診するなど、労をいとわず日夜尽くされましたので、島民はだれもが、「若くて親切なお医者さん」と敬慕してやまなかったのであります。これこそ、あなたの誠実で温かなお人柄を如実に物語るものと申せましょう。
 昭和十六年、兵役に召集され、二等兵を皮切りに各地を転々とし、軍医として長崎陸軍病院に勤務されていた昭和二十年八月九日、あの原爆の投下に遭われたのであります。爆心地から離れていて無事だったあなたは、すぐに市街地に駆けつけ、瓦れきと人肉の焼けただれた鼻を突くにおいの中で、苦しみにあえぐ被爆者の治療に、昼となく夜となく我を忘れて当たられました。(拍手)
 そんなある日、あなたは、被爆されて死に瀕する我が妻、二人の我が娘を見つけ出されたのでした。そして、悲しみに耐えながら懸命に手当てされましたが、命をつなぎとめるすべはなかったのであります。あなたは、焼け残りの木を拾い集めてひつぎをつくり、とぼとぼと焼け跡を歩いてお墓に納められたとのことでございます。
 うつろな心で故郷に帰られたあなたは、五島灘の一漁民として働いておりましたが、昭和二十二年、長崎県会議員の選挙に際し、漁民の代表として推されて出馬、当選を果たし、ここに政治家としての第一歩を踏み出されたのであります。
 県会議員としての五年余にわたる活躍の後、白浜さんは、郷党の期待を一身に集めるところとなり、昭和二十七年十月に行われた第二十五回衆議院議員総選挙において見事栄冠を獲得され、本院に議席を占められたのであります。
 政治家白浜さんは、表立った活躍をされるという方ではなく、むしろ、御自分の体験の中から会得した深い知識と洞察力に基づいて、着実に政策を国政に反映させていくというタイプでございました。とりわけ、水産、離島振興、医療等の分野で大きな業績を挙げられたことは、多くの人が認めるところであります。(拍手)
 水産の面においては、早くから沿岸漁場に漁礁の設置を推進して漁業資源を確保し、また、スエズ運河接収による石油高騰に際しては、全国漁連に重油の外貨割り当てを実現する等々、日本水産業の振興と発展に大きな貢献をされました。
 また、あなたは、離島出身者としてその振興対策に情熱を傾け、港湾、道路、学校等の整備に生涯を通じて献身され、全国の離島の人々に明るい光を投じられたのであります。(拍手)
 さらにあなたは、医師出身の議員として、わが国医療の健全な発展に尽力されたばかりでなく、過去、再度にわたり、国会の対外医療協力調査団長としてアジア、アフリカの地を歴訪し、今日の我が国の対外医療協力の基礎を築かれるとともに、みずから財団法人日本国際医療団をつくり、資金面で大変な御苦労をされながら、ライフワークとして海外医療協力に心血を注いでおられたのであります。(拍手)
 本院においては、主として農林水産、商工、決算の各委員会において熱心に審議に当たってこられ、与野党からその存在は高く評価されていたのであります。
 この間、あなたは、通産、防衛、建設の各政務次官を歴任し、また、本院の決算委員長、さらに昭和五十一年には予算委員長の要職に当たられましたが、白浜さんは、どのポストにあっても力量を遺憾なく発揮し、その重責を十分に全うされたのであります。(拍手)
 そして、昭和五十三年十二月、あなたは第一次大平内閣の郵政大臣に任命されました。郵政大臣としてのあなたは、放送衛星法案、放送大学法案等の成立に尽力し、また、辺地のテレビ受信施設に対する国庫補助、電話の全国自動化の実現にも大きな貢献をされました。
 かくして、白浜さんは、本院議員に当選すること十二回、在職三十年の長きに及び、その間、国政に尽くされた功績はまことに偉大なものがあります。
 白浜さんは、温かく、清潔なお人柄で、何よりも大衆を愛する政治家でございました。「愛――これが私のモットーであり、人生観そのものでもある。愛こそがすべての原点であり、最終の目的でもある。」あなたは常にこう言っておられました。
 思えば、あなたは、政治家として我が国内外にさん然たる足跡を残してこられましたが、これは、ただひたすらに人々の幸せを念じてきた愛の結晶にほかならないのでありまして、さきに、ローマ法王から聖人グレゴリオ大十字架騎士章を贈られましたが、この栄誉こそ、白浜さんにとりましてまことにふさわしいものと言えると思うのであります。(拍手)
 また、あなたが永年在職議員として本院から表彰を受けられたとき、この壇上で述べられた言葉の一節を私は今でも鮮明に記憶しております。「私は、長崎の原爆により妻子を失い、焦土と化した瓦れきの中で、みずからと、この国の再生復興に思いをめぐらしたことを、いま、きのうのごとくに思い起こします。そして今日、この平和と繁栄の日々にありまして、過ぎし日を思い、帰らざる者をしのびますとき、感慨ひとしおなるものがあります。」
 思うに、白浜さんは、宗教的信条に基づく豊かな人間愛と、この厳然たる原爆体験を胸に刻み込んで政治生活を貫き通されたのでありまして、この政治姿勢こそ政治家白浜仁吉の真骨頂であるとともに、私たち政治の道を歩む者すべてが、もって範とすべきところと信じてやみません。(拍手)
 私は、ここで、白浜さんの霊前にお誓いいたします。
 あなたの御家族を初め実に多くの人を非業の死に追いやった悲劇が二度と再現されないようにするために、反戦、反核、平和の旗を高く掲げて、今後とも全力を尽くすことを。
 あなたの郷里では、長年の悲願であった若松大橋の完成が迫っております。開通のその日には白浜さんに渡り初めをしていただこうと、郷里の人々はだれもが期待しておりました。もはやその願いもむなしくなりましたが、しかしながら、海のかけ橋若松大橋とともに、白浜仁吉の名は、五島の人々によって、いつまでもいつまでも語り継がれていくことでありましょう。
 我が国内外の情勢は極めて厳しく、かつてない重大な時局に直面している今日、日本の激動期に直面して、人間愛を貫き通された有為の政治家白浜さんを失いましたことは、本院のみならず、国家国民にとりまして大きな損失であり、惜しみても余りあるものがあります。
 ここに、白浜仁吉君の生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りしまして、謹んで追悼の言葉といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 北海道開発審議会委員の選挙
#6
○議長(坂田道太君) 北海道開発審議会委員の選挙を行います。
#7
○長野祐也君 北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#8
○議長(坂田道太君) 長野祐也君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、北海道開発審議会委員に
      箕輪  登君    渡辺 省一君
      町村 信孝君    新村 源雄君
   及び 斎藤  実君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  及び租税特別措置法及び所得税法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#10
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣竹下登君。
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#11
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 法人税につきましては、公益法人等及び協同組合等の法人税の負担水準の現況にかんがみ、これらの法人の法人税率を二%引き上げる等所要の措置を講ずることといたしております。
 次に、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 租税特別措置につきましては、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧み、既存の租税特別措置の整理合理化を行うとともに、利子配当等の課税の適正化を図る等所要の措置を講ずることといたしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、企業関係の租税特別措置につきましては、昭和五十一年度以来連年厳しい見直しを行ってきておりますが、昭和六十年度におきましても、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うことといたしております。また、登録免許税の税率軽減措置等につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。
 第二に、利子配当等の課税につきましては、郵便貯金を含む非課税貯蓄制度の限度額管理の適正化を図るため、住民票の写し等所要の書類の提示による氏名、生年月日及び住所の告知、その確認についての証印制度を導入する等の措置を講ずるとともに、総合課税の対象となる利子配当等につきましても、本人確認制度の整備を図るほか、源泉分離選択課税制度の適用期限の定めを廃止する等の措置を講ずることといたしております。
 なお、少額貯蓄等利用者カード制度は、廃止することといたしております。
 第三に、技術研究開発を推進するため、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除額に加えて、基盤技術の開発研究用資産について取得価額の七%相当額の特別税額控除を認める措置を講ずるとともに、中小企業者等の試験研究費について、その六%相当額の特別税額控除を認める措置を講じ、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除との選択適用を認めることといたしております。
 第四に、民間活力の活用等の観点にも配慮しつつ、高度利用地区等における特定の優良な再開発建築物について割り増し償却を認める措置を講ずることとするほか、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例等につき所要の見直しを行った上、存置する等の措置を講ずることといたしております。
 第五に、法人が支払いを受ける利子配当及び割引債の償還差益につき源泉徴収された所得税額については、五年間の臨時措置として当該事業年度の法人税額を限度として控除することとし、控除し切れなかった部分の金額については、翌事業年度以降の法人税額から四年間にわたり繰り越して控除し、この期間内に控除し切れなかった部分の金額は、四年目に全額還付する措置を講ずることといたしております。
 その他、協同組合等の法人税の配当軽課税率の引き上げ等を行うとともに、特定外国子会社等に係る所得の課税の特例制度について所要の整備を行うほか、老年者年金特別控除、農業協同組合等の留保所得の特別控除、交際費等の損金不算入措置並びに揮発油税及び地方道路税の税率の特例措置等適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じてその適用期限を延長する等所要の措置を講ずることといたしております。
 以上、法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  及び租税特別措置法及び所得税法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対
  する質疑
#12
○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。上田卓三君。
    〔上田卓三君登壇〕
#13
○上田卓三君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案並びに法人税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質疑を行うものであります。
 今日、国民が最大の関心を持ってその行方を見守っているのは、言うまでもなく大型間接税をめぐる論議であります。今国会が再開される以前から、政府、大蔵省、自民党サイドからは、税の直間比率の是正や財政再建といった問題にかこつけて大型間接税の導入論議が意図的に宣伝され、一九八七年四月実施だの、大幅所得減税との抱き合わせ実施だの、福祉目的税だのといった話ばかりが飛び交いました。
 しかし、総理は、先般一月三十一日の予算委員会において、我が党の田邊書記長に対し、流通の各段階に投網をかけるような消費税は考えておらず、一般消費税型の大型間接税は導入しないと答弁し、さらに二月六日には、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらない」と、流通の多段階にわたる消費税すなわちEC型付加価値税、取引高税、一般消費税のいずれも明確に否定されました。
 しかしながら、竹下大蔵大臣は、二月五日の予算委員会において、七九年十二月の国会決議で否定されたのは一般消費税(仮称)だけであって、大型間接税の五類型はどれも否定されていないと、強硬に再三にわたって首相答弁の修正を図り、六日の首相答弁後も相変わらずEC型の付加価値税は否定されていないとの趣旨の答弁を繰り返しています。これは重大な閣内不統一であります。また、一般消費税(仮称)の導入は行わないとした国会決議の解釈は、国会が責任を持って行うのであり、政府や大蔵大臣が勝手に解釈できるものではありません。
 そもそも、大平内閣が当時導入しようとして失敗した日本型一般消費税は、EC型付加価値税をモデルにして、これを簡素化したものであります。両方とも原料の供給、製造、卸売、小売の各流通段階で付加価値と見られる粗利益に、それこそ投網をかけるように課税するという基本的仕組みは全く同じなのであります。一般消費税は否定し、EC型付加価値税は否定しないというのは明らかに論理矛盾であります。
 大型間接税の最大の問題点は、低所得者ほど税負担が重く、不公平を助長する逆進性にあります。仮に八六年度のGNPを三百三十兆円とし、一律五%の税率を掛けたとして六兆七千億円、四人家族一世帯当たり年間十八万円という大増税になるのであります。たとえ二、三兆円規模の所得減税が同時に行われたとしても、課税最低限度以下の低所得層には減税効果がないので、年間十八万円の負担が丸々直撃する結果となるのであります。まさに、大型間接税は弱い者いじめ、強きを助け弱きをくじく天下の悪税であります。
 さらに、中小零細業者にとっては税の価格への転嫁が困難で身銭を切らざるを得なくなり、納税の煩雑な事務と相まって経営を著しく圧迫されるのは必至であります。端数切り上げによる便乗値上げと物価騰貴も当然予想されます。昨年の酒税引き上げが酒類の消費停滞を招いたように、消費の全般的な低下による景気への悪影響も避けられません。大型間接税の持つ国民生活あるいは国民経済全般にわたる悪影響というものを一体どう考えておられるのでしょうか。
 大蔵大臣、あなたのEC型は否定されていないという主張は、言いかえるならば日本型一般消費税のような中途半端な増税はしない、やるからにはEC型のより徹底した大型間接税で大増税だと言っているのにも等しいものであります。元首相に刃向かってまで政策集団を旗上げして次の座をねらう勇気ある政治家である大蔵大臣のこの点についての明確な答弁を期待いたします。
 総理は、施政方針演説において、税制全般にわたる改革に取り組む決意を表明いたしました。総理の言われるように、戦後税制の抜本的見直しの目的がもし財政再建と直接関係ないとするならば、本当の目的はどこにあるのでしょうか。総理並びに大蔵大臣の言われる現行税制の持つゆがみや不合理、ひずみは具体的に一体何を指しているのでありましょうか。もし、それがいわゆる直間比率の直接税の比重の高まりを指しているならば、直間比率はどの割合が適正かという理論上の根拠は何一つないのであります。理論的には、逆進性があって税の痛みのない間接税より、応能負担の原則に立ち納税者に税痛を訴える直接税の方がより合理的かつ民主的な税であることは明らかであります。いわゆるクロヨン、トーゴーサンといった業種、職種による税捕捉率の違いというものを指しているとすれば、従来、政府、大蔵省が所得の捕捉についてはそれほどの格差はないと答弁されてきた見解がいつ変わったのか示す必要があります。総理の言う簡素の原則とは、所得税の最高税率の引き下げと法人税率の引き下げであり、選択の原則とは、大型間接税の導入であります。大企業、大資産家優遇の不公平税制を正せという国民の願いに真っ向から挑戦するものであります。
 戦後我が国の税制の基礎となったシャウプ税制の根幹は、応能負担原則に基づく直接税中心主義であり、総合累進課税により税負担の公平を目指す極めて民主的なものであります。総理は現行税制のゆがみや不合理と言いますが、一体全体、シャウプ税制の根幹である総合累進課税制度をゆがませ、不合理にしたのはだれなのでありましょうか。所得税の最高税率七〇%といっても、実際にその適用を受けている者は一人もいないのであります。利子配当所得に対する源泉分離課税三五%という抜け穴によって、高額所得者の実効税率が実際には四〇%程度の低い水準にとどまっていることは周知の事実であります。問題は、総合累進課税の原則をいかに徹底させるか、これに反する税制上、運用上の抜け穴、すなわち不公平税制をいかにして正していくかなのであります。
 不公平税制とは、所得税法、法人税法、租税特別措置法の中に組み込まれた税制上、制度上の大企業、大資産家優遇措置であります。例えば、退職金額の四〇%までの積み立てが非課税で認められている退職金引当金の残高は、八三年で資本金十億円以上の企業で七兆七千億円に達し、膨大な運用利益を大企業、大法人に与えているのであります。今回の改正案でわずかに引き下げられる貸倒引当金の繰り入れ率も、実際の損失率との間にはまだ二倍から三倍の開きがあります。昨年の夏、経団連と大蔵省の間で行われた法人税論争では、大蔵省は我が国の企業の税負担率はそれほど高くないとの論陣を張っておきながら、最近では、我が国税制が企業の活力を低下させていると財界に全面屈服する始末であります。一体昨年の論争は何だったのでありましょうか。しかし、大蔵省がいかに黙り込もうと、経団連の除外している各種引当金を含めて計算すると、企業の実質税負担率は経団連の言う五一・五七%どころか、三九・二二%になるのであります。OECD資料によりますと、法人所得に対する法人直接税と税外負担の割合は、八一年では、日本が四〇・九%、アメリカが四二・二%など、先進国中日本が最低の負担となっております。
 現行税制の総合累進課税制を不徹底にし、数々の不合理、ゆがみを生み出し、これを助長している責任は、挙げて政府にあると言わねばなりません。利子所得の総合課税を目指して創設されたグリーンカード制は、実施延期のまま放置され、ついに今回改正案で廃止の憂き目を見ようといたしております。グリーンカード制を創設したのも凍結したのも、また今回廃止しようとするのも、大蔵大臣、あなたなのです。この責任はどうとられるおつもりですか。
 現行税制のゆがみ、不合理を正し、税負担の公平を図る立場から、我が党は、野党各党とともに、来年度計一兆五百億円の所得税減税、政策減税を要求するものであります。物価調整減税とともに教育費減税、単身赴任減税、住宅ローン減税など、社会経済的変化に対応したきめ細かな効果的な税政策をとる必要があると考えますが、どうですか。
 総理は、今国会においてもたびたび「増税なき財政再建」の理念は堅持するとの決意を表明しておられます。しかし、大蔵省が提出した「財政の中期展望」「財政収支試算」によりますと、九〇年赤字国債脱却の目標を達成するためには一般歳出を今後五年間連続伸び率ゼロにする以外になく、一般歳出の伸び率を五%と想定すると七兆七千億円の不足額が出る、すなわち増税するしかないという結果が示されております。最近の大型間接税をめぐる論議をあわせて考えると、総理は、財政再建のための増税という本音をわざとあいまいにし、隠していると言わざるを得ないのであります。「増税なき財政再建」という方針は守られるのか。国民の租税負担が重くなることはないのか。もし「増税なき財政再建」の政治公約を守るというのなら、その責任ある実行計画を国民の前にわかりやすく示す必要があります。帳じり合わせのからくりとはいえ、三年連続で一般歳出の伸び率をゼロに抑え、公共投資を切り詰め、人事院勧告を凍結し、仲裁裁定を値切り、社会保障費への補助金をカットし、不況を長期化させ、国民に我慢の生活を押しつける、そういう政治をまだ向こう五年間も続けるつもりなのでしょうか。もはや九〇年度赤字国債脱却という目標設定そのものに無理があることは明らかであります。歳出削減一本やりの予算編成では、やがて我が国の潜在成長力すらだめにし、財政を支える経済の力を殺す結果を招きかねません。野党の現実的な対応を踏まえて、財政再建の具体的で明確な方策を示していただきたいのであります。
 日本経済は、アメリカへの輸出の異常な伸びによって回復してきましたが、今後の経済の見通しも非常に不安定なものと言わざるを得ません。一億総中流という言葉とは裏腹に、国民生活は、マル金、マルビの言葉に示される階層化への傾向を強めており、実質可処分所得の伸び悩みによって、個人消費は低迷を続けております。年間二万件にも上る倒産が続く中、中小零細企業は相変わらず苦しい経営を強いられ、大企業だけが輸出でもうけているのが現状であります。
 今日、国民は内需拡大を中心とする経済の回復を心より求めております。昔から、重税を課して栄えた国はありません。大型間接税は、納税者の税の痛みを伴わない、いわば麻薬のようなものであります。一たびそれを導入すれば、ずるずると税率を積み上げ、深みにはまっていくのは必定であります。税痛なき大型間接税は、元祖の欧州で戦争準備に使われてきたという忌まわしい歴史を無視するわけにはいきません。臨調行革の旗のもとで厳しい歳出削減が続いているもとで、軍事費だけは実にこの五年間に三〇%アップの異常突出ぶりを示しております。殊さら軍備増強に熱心な中曽根内閣のもとで大型間接税導入が急がれるその本当の目的が、今後の軍事費の膨張を賄うための財源確保にあると指摘しておくこともむだではありません。
 総理には、敗戦直後の取引高税導入で、当時所属していた民主党が大敗北した苦い経験があるはずであります。故大平首相が一般消費税導入を図り、やはり七九年の総選挙で惨敗し、結果、その命を切り縮めることになった事実は記憶に新しいところであります。現在も計画されている大型間接税の導入が、中曽根内閣のみならず、自民党政権そのものの命を切り縮める結果とならないとはだれも断言できないことを申し添えて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 上田議員にお答えを申し上げます。
 まず、大型間接税の問題でございます。
 私は、衆議院予算委員会におきまして、矢野書記長に対する御答弁の中で、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしないこそういうことも申しておりまして、いわゆるEC型付加価値税との関係について御質問いただきましたが、EC型付加価値税というのもいろいろな態様があります、しかし、その中でも今のようなものに該当するものがあれば自分はやりたくない、そういうことを申し上げたのでございます。私は昭和二十二年以来国会へ出まして、取引高税とかあるいはいわゆる一般消費税(仮称)というものは日本国民の体質に合わないで国民から非常に大きな拒否反応を受けておる事実を知っておりまして、そういうような経験にかんがみまして今のような発言をいたしたのでございます。矢野書記長に対する御答弁で御了承いただきたいと思っております。(「さっぱりわからぬじゃないか」と呼ぶ者あり)
 次に、税制改革の問題でございます。
 税制改革の問題に関しましては……(「やり直せ」と呼び、その他発言する者あり)矢野書記長に対する御答弁というのは、先ほど申し上げたような内容のものであります。すなわち、多段階、網羅的、一般的、普遍的、そして投網をかけるような形で各流通段階に税金をかける、そういうようなもので、いわゆるEC型付加価値税というものでもいろいろな態様のものがあります。したがって、EC型付加価値税のようなものでも今のものに該当するものはやりたくない、そういうことを申し上げておるわけであります。
 次に、財政再建の問題でございますが、「増税なき財政再建」の理念はあくまで堅持してまいりたいと思っております。そのためには、歳出歳入構造の見直しとかあるいは機動的な経済運営あるいは民間活力の活用、それらのいろんな方策を組み合わせまして、いわゆる新しい成長への道ということを模索しつつ、これを実行してまいりたいと思っておるのであります。この理念をもし外すというようなことになりますと、歳出要求の圧力が一遍に噴出してきまして、行政改革や財政改革というものが崩れる危険があると心配しておるからでもあるのであります。
 次に、租税改革につきましては、昭和二十七年でございましたか、地田内閣のころでありましたか、シャウプ税制改革というのがございました。自来三十五年になります。しかし、それ以来、日本の税体系には非常なひずみやあるいはゆがみが出てきておる。したがいまして、今後、税制のあり方について、公平、公正、簡素、選択、こういう観点に立ちまして、幅広く根本的に税体系を見直すことを課題とするときに至った、そう申し上げておるのであります。これは、しかし、単なる増収や財政再建を目的とするものではありません。要するに、今の租税につきまして、国民の間にかなりのゆがみや、そういう問題について不満が出てきております。この不満を我々は十分酌み取って、国民の納得のいくような公平感、公正感、簡素、こういうものに満ちた、そして国民の自由意思による選択というものを考えた国民の満足する税体系に近づけたい、それが我々の念願であります。
 この内容等につきましては、しかるべきときに税制調査会等において十分御議論願いたいと思っておりますが、私は率直に申し上げて、法人税や所得税の減税を実行いたしたいと思っておるのであります。これは、国民の間にもかなりのそういう御要望がありますし、野党の皆様方にも強い御要望がございます。しかし、ことしは残念ながらできません。これは今まで申し上げたとおりです。この大きな抜本的な税制改革を機に、この問題もよく勉強していただきたいと思いますが、赤字公債を出すことによってこれを行うということは、財政再建の理念に反します。したがって、赤字公債によらざる方法でいかに所得税や法人税の減税を実行していくかというようなやり方について、十分御論議も願い、国民の皆様方の御議論も承りたい、そのように考えておる次第でございます。(拍手)
 次に、この公平、公正云々というものはどういうことを意味するかということでございますが、例えば公平感という問題については、所得課税の所得分配機能のあり方はどうであるか、例えば今二百万から六百万ぐらいの間がかなりきついという重圧感がございます。これをどういうふうにするか、不満があることは事実であります。このようなゆがみと申しますか重圧感をどうするか。あるいは所得の捕捉の問題がございます。あるいはさらに、間接税と直接税とのバランスの問題も学者が議論しておるところでございます。こういうような諸般の問題について、公平感あるいは公正感あるいはもっと簡単でわかりやすい税制に変えたらどうか、あるいは国民の自由意思による選択制を認めたらどうか、こういうような点を我々は問題にいたしたい、そう思っておるわけでございます。
 シャウプ税制に対する評価は、三十五年間の経過を見まして、あの当時は戦後の荒廃した中で新しい財政民主主義を導入いたしまして、シャウプ税制は日本の財政史上かなり功績があった税体系であると評価しております。しかし、その後、余りにも直接税の比重が多くなり過ぎはしないかとか、さまざまな問題が起こり、あるいはさらに最近におきましては、不公平税制であるとか優遇税制であるとか、いろいろなそういう新しい措置が講ぜられたりいたしまして、シャウプ税制のいわゆる財政民主主義の理想が曇ってきたという感なきにしもあらずであります。そういう意味におきまして、シャウプ税制は非常にこれを評価いたしますが、現段階において今までの体系を見直すべきときに来た、そう考えておるものなのであります。
 次に、不公平税制に関する御質問がございましたが、これは優遇税制あるいは利子配当課税とか引当金制度であるとか、そのほかの問題について累次改革をいたしております。今後もその面に向かって努力をいたすつもりであります。
 法人税の負担水準につきましては、我が国の企業の法人税負担を主要諸外国と比較した場合に、アメリカ、イギリス、フランスよりは高いが、西ドイツよりは低くなっているというのが報告でございます。
 所得税減税については、先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから、単身赴任の減税とか教育減税とかいろいろ御質問がございましたが、さまざまな国民生活の態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して税制上しんしゃくするということは限界があると考えられております。すなわち、それは公平とか公正原則というものからも考える必要があると思うのであります。ローン減税につきましても、住宅取得控除制度等によりまして、ある程度の負担軽減も既にやっておるところでございます。
 日本経済の見通しにつきましては、後で企画庁長官から御説明がありますが、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、昭和五十八年八月閣議決定、この線をかなり順調に歩んでいると私は思っております。今後も、民間活力あるいは技術開発そのほかの諸般の政策等によりまして、五十八年から六十五年の年平均実質四%程度の成長を達成いたしたい、このように考えております。
 最後に、積極財政運営の問題でございますが、我が国の財政構造が今非常に厳しい状況にあるということは御承知のとおりでございます。行政改革を進めながら、しかも財政改革を着実に軌道に乗せつつ物価の安定を期していくというのがまず基本的な態度でございます。しかし、新しいハイテク時代に備えまして、いろいろなそれらに対する新しい措置等も今回の予算については講じており、公共投資につきましても、事業量においては昨年を上回る事業量を確保するように努力しておるところでございます。今後とも、財政体質を改革すると同時に、機動的な経済運営によりまして所期の目的を達するようにいたしたいと思っております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#15
○国務大臣(竹下登君) 上田議員の意見を交えながらの御質問でございますが、大部分総理からお詳しくお答えがございましたので、重複する面もあろうかと思いますが御指摘の点について私からお答えをいたします。
 二月六日の衆議院予算委員会での総理発言、これは、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしないこういうことでございますので、それと、今御議論になりました課税ペースの広い間接税の五類型の問題について、比較して御意見を交えながらの御質問でありました。
 五類型のうちのEC型付加価値税と申しましても、確かに態様がいろいろ考えられるわけであります。したがって、多段階であるという理由だけで、消費一般に担税力を求めるという税制のあり方を否定する趣旨のものではないというふうに考えております。一般消費税(仮称)につきましては、国会決議のことは私も十分承知をいたしておるところであります。
 それから、いわゆる間接税の持つ逆進性とか、あるいは便乗値上げ、中小零細企業の価格転嫁への困難、消費購買力の低下、こういうことの御指摘であります。
 これは、直接税、間接税を論じますときに一般的に指摘される問題であるということは私どもも承知をしております。したがいまして、今日の段階では、そういう問題をも含めて抜本的な御議論を今後税制調査会等で行っていただく考えを持っておりますので、予断を与えるような御答弁、これは私としては差し控えなければならない立場にあるというふうに考えておるところであります。
 それから、このEC型付加価値税を含めた大型間接税を導入しないと言明できるかどうか、こういう問題につきましては、これまた、どの税とどの税は導入しないと言った場合、税体系のあり方に対しての予断を与える議論ということになりますので、この点はお答えを差し控えさせていただきます。
 それから、臨調答申における租税負担率の問題でございます。
 この問題につきましては、私どもは、「増税なき財政再建」この基本理念というのは、今日振り返ってみましても、財政改革に当たってこの理念は放棄してはならないものであるというふうな考え方に立っておるわけであります。したがって、今後も特に歳出面を中心とした見直しを進めつつも、歳入歳出両面にわたって国民の選択、コンセンサスがいかにあるかということをお互いに見詰めていかなければならないというふうに考えておるところであります。
 租税負担率と税制改正の問題でありますが、いわゆる税制の抜本見直し、こういうことでございますので、増収とかあるいは租税負担率がどうなるとかということは、国民各層各方面の広範な議論を踏まえながら、逐次それらが議論に入っていくという課題であると考えております。
 それから、仮定計算にあらわれた要調整額では全く二者択一を迫っているのではないか、こういう御指摘であります。
 いろいろな御要請に基づいてたたき台となります基礎資料というものをお出ししておりますので、この中には政策的意図が別に込められておるものではございません。要は、国民の選択がどのようなものであるかを見極めながら決めていくべきことであろうというふうに考えます。
 それから、ゆがみ、不合理、こういうことに対しては総理からお答えがございました。確かに私どもは、シャウプ勧告というものに対しての一定の評価を持っております。しかし、その後、経済社会の推移の中で、所得課税の所得再配分機能のあり方とか、あるいは所得の捕捉とか、課税ペースの浸食とか、間接税の課税ペースや税率構造、これらが指摘されておりますので、これらの指摘に基づいて広範な議論がなされることを期待をしておるところであります。
 それから、公平、公正、簡素、選択は、総理からお答えがございました。
 そうして、法人税等についてもお答えがございました。
 グリーンカード制を廃止するという問題についての御意見を交えた御質疑でございましたが、昭和六十年度答申に、「その後今日に至るまでの経緯に照らしてみると、この制度について各層の理解と受入れ体制が十分に整っているとは必ずしも言い難い。また、法的安定性や税制に対する国民の信頼感を確保する見地からすれば、本制度の実施を再び延期することは適当でないと判断せざるを得ない。」こういう御答申をいただいたわけであります。したがって、廃止するという措置を講ずることはやむを得ないともなされておりますので、そのような措置をとらしていただきました。
 ただ、御意見にもございましたように、最初、この制度の少額貯蓄等利用者カード、この法律案を本院に提案したときの大蔵大臣も私でありました。それから、政令をもっていわば凍結したときも私でありました。法律をもって延期したときも私でありました。そして、このたび廃止するときの大蔵大臣も私であります。その意味におきましては、いかなる政策といえども国民の理解と協力なくしては実行に移されないとする政治理念というものを今さらのごとく認識をいたしまして、今後みずから自身の政治家としての糧ともしなければならないということを痛切に感じておる次第であります。
 それから、消費拡大を図るための所得税問題、また教育減税、住宅減税、単身赴任減税、これも御意見を交えての御質問でありました。
 所得税の問題につきましては、総理からお答えがございました。
 その他の問題につきましては、国会でもいろいろ議論のあったところでございますが、いわば「様々な国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して、税制上しん酌するには限界があり、また、しん酌する場合の客観的基準を定めることは困難であること等を考慮すれば、新規の特別控除等を創設することは適当でない」というのが、国会の議論等を正確に伝えた上での今年度の税制調査会の答申、すなわち答えともいうべきものではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 今後の日本経済の見通しにつきましては、私がいつでも申し上げますように、名目成長率六ないし七%、実質成長率四%、消費者物価三%、失業率二%、卸売物価一%程度、この七、六、五抜きの四、三、二、一という数字というものにつきましては、内需等の拡大からしておおむねその線に沿って進んでおりますので、昨年のリボルビングにおきましても、そのようなことが確認されておりますので、安定成長の中でその方向が今後とも維持されるべきであり、政策としてもそれを念頭に置かなければならないものであると考えております。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣村田敬次郎君登壇〕
#16
○国務大臣(村田敬次郎君) 上田議員の御質問にお答えいたします。
 貿易摩擦その他、現在のような貿易の実情にあるときに、今後の経済の見通しあるいは財政の見通しについて私にお問いいただいたわけでございますが、事実、例えば対米貿易におきましても、総理とレーガン大統領の間で指摘をされた四品目あるいは三月末には規制が切れる自動車輸出の問題、また現在アメリカで折衝しております鉄鋼の輸出自主規制の問題等いろいろな貿易摩擦があるのは事実でございます。また、対ECあるいは開発途上国との間にもいろいろな問題があるのは事実でありますが、これは基本的には内需を拡大するという方向で、そしてまた貿易そのものは、保護貿易主義を排し自由開放体制をしっかりしいていくということから、新ラウンドに向けて努力をしていく、そして貿易のバランスを保っていくということにしたい、これが第一であります。
 それから、内需の問題でございますが、先般、一月二十五日に閣議決定をいたしました「昭和六十年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」におきましては、実質経済成長率を六十年度は四・六と見ておりますが、そのうち内需寄与度が四・一%であり、外需寄与度が〇・五%というふうに見ておるのでございます。事実、私どもが調査いたしましたところ、昭和五十九年度の民間設備投資は非常にふえてきており、今後中長期的には技術革新の活発化等によりまして民間設備投資の伸びが期待されることなどから、内需中心の成長を中長期にわたり維持すると見込まれるところでございます。
 持続的な経済成長の達成を図っていきますためには、財政金融政策を含め適切かつ機動的な経済運営が必要でありますが、中小企業の振興を含め今後懸命に努力を続けてまいる決意でございます。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#17
○国務大臣(金子一平君) 上田議員からの御質問の要点は、日本経済の今後の見通しいかんということでございまするけれども、先ほど来既に総理、大蔵大臣等からお話のございましたように、新年度の実質成長率四・六%の達成は確実と私どもは考えておるのでございます。
 と申しますのは、アメリカの経済の動向でございまするけれども、昨年の中ごろ、一時アメリカ経済が落ち込みがきつかったので各方面からいろいろ心配をされましたけれども、最近、消費も設備投資も堅調に推移しておる状況から、五十九年度の成長率は三、四%程度の安定成長になるものと予測する向きが大多数でございます。したがって、この日本経済に及ぼす影響でございまするけれども、多少の輸出の減少が見られることは事実でございまするが、同時に、先ほど来お話のございましたような民間活力のこれからの伸長あるいは新しい技術革新の進展等に伴いまして、今中小企業を通じて設備投資が活発に行われておる最中でございまするし、また、住宅建築も緩やかではございますが着実に伸びております。同時に民間消費も、昨年の半ば以来、可処分所得の増加によりまして、特に年末のボーナスの増加等に伴いまして、年末からことしの初めにかけての消費は格段と増加をいたしておりまするので、先ほど来申しましたような四・六%の成長は確実に達成するものと見ておる次第でございます。
 なお、日本の景気をもっと進めるように積極財政を展開したらどうかという御質問でございまするけれども、既に総理等からお話のございましたように、所得税あるいは公共事業費等について減税をやったり増額を図るということは、現在の厳しい財政事情から到底ことしはできないことは御了承いただいておるものと考えます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(坂田道太君) 坂口力君。
    〔坂口力君登壇〕
#19
○坂口力君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、ただいま議題となりました租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に基本的課題を質問したいと存じます。
 政府が今最も重要視しなければならないのは、国民各層の合意であります「増税なき財政再建」を貫くため、経済の安定成長を持続させることができるかどうかにあります。昭和五十九年度にようやく五%台に達しました経済成長は、各階層がひとしく実感として認識しているものではなく、地域間格差や業種間格差の大きなばらつきの上に成り立った五%台でありました。昭和六十年度においては、少なくとも五%台の成長を実質的にひとしく享受できることを国民は期待をしているのであります。にもかかわらず、政府は内需主導の安定成長に努力しようとせず、国民の期待とは裏腹に増税による財政再建路線へ大きな一歩を踏み出したことは衆目の一致するところであります。
 かつて経企庁は、「五十七年経済の回顧と課題」を発表し、財政赤字の原因を分析し、構造的赤字六割、不況による循環的赤字四割といたしました。当時の実質成長は三%台でありましたが、この分析への努力は高く評価されたところであります。その後成長率も変化をし、行革の影響も考えられますが、最近の財政赤字の論理的実態はどうなっているのか、これらの分析を土台にした経済目標でなければならないと思います。その努力が政府に欠けているのではないかと思いますが、総理の所見を伺いたいと思います。
 また、経企庁は昨年独自の経済成長率を示しましたが、その立場を踏まえて最近における分析の現状と本年の予測について意見を求めたいと存じます。
 大蔵大臣にもお伺いをいたしますが、昨年も経企庁が後平成長率の上方修正をしたにもかかわらず、大蔵省はそれには従わず四%台を主張し続けてまいりましたが、結果的には五・三%の実績見込みに示されますように、軍配は経企庁に上がりました。大蔵省は、科学的根拠よりも増税路線を正統化することを優先をして成長率を決定しているのではないか、そんな印象を与えておりますが、大蔵大臣の意見を伺いたいと思います。
 また、大型間接税につきましては予算委員会で大きな議論になったところであります。先ほども議論がありましたように、我が党の矢野書記長や正木政審会長の質問に答えて、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしない」また「中曽根内閣としてはとりたくないと考えている」と答弁されたところであります。しかし、その後の議論を聞いていますと、日によって答弁に微妙なずれが見られ、ある一般紙が日がわり定食のメニューほど変わると書きましたように、総理の考え方が動揺している印象を与えています。
 ここで改めてお聞きをしたいと思いますが、EC型付加価値税と日本で言う一般消費税(仮称)とは質的な大きな違いはなく、仕送り状を発行するかどうかの違いや、税率、零細事業者除外の程度などの差でありまして、同一性の強い類似のものと認識せざるを得ません。旧取引高税の方は累積課税方式でありまして、これは一般消費税は除外をいたしておりますので、この間には明確な差がございます。
 先ほども議論になりましたように、一般消費税(仮称)とEC型付加価値税との間には大きな差はなく、前者は否定をするが、後者すなわちEC型付加価値税はいろいろの対応があり研究対象にするといった議論は、両制度の内容をよく認識されていない議論と言わざるを得ないのであります。現実問題として、政治的にも事務的にも、一般消費税とEC型付加価値税とを分離をして研究することも議論をすることも不可能であると主張したいのであります。EC型はどのように対応しようとも包括的、網羅的、普遍的でありまして、これ以外はEC型とは言わないのであります。総理の見解を再度求めたいと思います。
 さらに総理は、矢野委員の質問に答えまして、政府税調の結論がどうあろうと、「これに該当すると考えられるものは、中曽根内閣としてはとりたくない」と述べていますが、大型間接税が浮上いたしました背景には、総理が昨年六月政府税調に対しまして、「財政体質の改善に資するため、税制上とるべき方策」としてフリーハンドの諮問をしたことに端を発するのであります。もし中曽根内閣としてとりたくないと真に考えられるのであるならば、「増税なき財政再建」とその中身であります新たなる税制上の措置によって租税負担率の上昇をもたらさないという枠のもとに政府税調に諮問すべきであると考えますが、対応の方法を総理に伺いたいと思います。
 また、その後における予算委員会におきましては、大型間接税の一種が導入された場合を仮定をいたしまして、見返りとして所得税や法人税の減税を行うかのごとき答弁がなされております。見返り減税さえすれば、新税を導入しても「増税なき財政再建」に違反しないと考えられているのではないかという危惧を持つものであります。総理から明確な答弁をお願いをしたいと思います。
 次に、所得税減税についてでありますが、既に我が党が予算委員会で指摘をしましたように、勤労所得税を所得階層別に見ますと、最も所得の多い第五分位は、五十二年九月に比べ昭和五十九年九月におきましては一二七%増であるのに対しまして、所得の低い第一分位は、三〇五%にも増加しているのであります。直間比率の見直しを主張する前に、この所得税内のアンバランスを是正する必要があります。政府は所得税減税の見送り理由として財政難を挙げておりますが、政府の税制改正に見られる姿勢は極めて弱者に厳しく、不公平温存型であります。
 税の公平化を目的としたグリーンカード制度が今葬り去られようといたしております。国民の貯蓄実態は、政府資料によっても明らかなように、サラリーマンには非課税限度額九百万を超えるような貯蓄は見られないのであり、平均しても六百万を超えたところであります。一体、何のためのグリーンカード廃止なのか。今回の法案に盛り込まれましたマル優の限度額管理は、グリーンカード制度の代役が務まらないがゆえに登場した代役とも言われています。一度この厳粛なる本会議場で採決をし賛成多数で成立しました法律を、日の目を見ることなくほごにしてしまった政治的責任もさることながら、みずから税収の道を断ち切りながら、財政難を理由に所得税減税を見送ろうとする矛盾をどう説明しようとされるのか、大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
 最も人口比率の高い低所得層サラリーマンの可処分所得を上げることなしに内需拡大を望むことのできないことは、今さら私が申し上げるまでもありません。今回提出の法案において限度額管理の効果をどのように見ているのか、あわせて答弁を願います。
 法人税についてもお聞きをしたいと思いますが、政府は、法人税率の大幅引き上げは国際競争力、景気雇用問題などに悪影響を与えるとしながらも、五十六年、五十九年、さらに本年も税率を引き上げられ、我が国の法人税負担は先進国の中でも相当高い水準に達しました。五十九年度の引き上げは時限立法であり、六十年度で期限切れになりますが、六十一年からは延長しないつもりなのかどうか、伺いたいと思います。
 最後に、私どもは所得税減税を中心に政府に予算修正を要求するものであり、総理がこの要求に応じられることを期待いたしまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 坂口議員にお答えをいたします。
 第一問は、科学的、論理的分析による最近の財政赤字の実態、経済政策の中期目標を提示する必要はありはしないか、こういう点でございます。
 我が国の財政は、公債の発行残高が巨額のものとなり、その利払い等に要します経費が主要経費中最大の歳出項目となって、国債費というものが登場してきている状態でございます。政府は、経済社会の現状と変化の方向については的確な実態把握と分析に努めまして、中長期的な経済運営の指針として昭和五十八年八月に「一九八〇年代経済社会の展望と指針」を作成した次第でございます。また、昨年十二月には事態の変化に柔軟に対応するためリボルビング報告を取りまとめて、政策運営の基本方向の具体化を図ったところでございます。今後とも内外情勢の変化を踏まえつつ、毎年リボルビングを行う中で経済社会の構造分析、展望、政策運営の指針全般について幅広く検討してまいるつもりでおります。
 次に、EC型付加価値税と一般消費税はどのような質的相違があるかという御質問でございます。
 私の二月六日の衆議院予算委員会での発言は、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網でかけるようなやり方ではしないとし、また、課税ペースの広い間接税の五類型のうち、EC型付加価値税と取引高税は多段階という点については該当する、そう申し上げておるのでありますが、EC型付加価値税といってもいろいろな態様が考えられます。したがって、多段階課税であるという理由だけで、そのような消費税をすべて否定するという趣旨のものではございません。
 いわゆる一般消費税については、五十四年の国会決議もあり、導入する考えはございません。いわゆる一般消費税というものは、納付税額の計算方式としてインボイスを必要としない仕入れ控除方式を採用していた等、EC型付加価値税とは異なる面を持っていると思います。
 次に、政府税調の問題でございますが、今後の政府税調の論議に対して枠をはめるべきではないかという御質問でございます。
 税制調査会は、内閣総理大臣の諮問を受けて税制に関する基本的事項を調査審議することを目的として設置されております。従来から、税制全般について幅広く審議の上、答申をお取りまとめいただいておるところでございます。したがいまして、このような税制調査会には税制全般について広範にわたり検討していただくこととしており、検討の方向をあらかじめ制約することは考えておりません。
 また、「増税なき財政再建」について御質問をいただきましたが、臨時行政調査会におきまする「増税なき財政再建」の定義は、当面、財政再建に当たって、いわゆるGNPに対する租税負担率というものを、新しい課税措置を採用しない、そして基本的に現状を維持する、これが「増税なき財政再建」という臨調の考え方でございまして、政府はその線に沿って、今まで不公平税制の是正とかあるいは若干の手直しとか、そういうものはやって、新しい税目を設けるとか、そういうような臨調が期待しておると違う方向にはこれを持っていかなかったのでございます。
 なお、臨調答申の中でも、中長期的観点からの政策として直間比率の是正を検討すべしという点はございます。しかし、これは今考えておりまするこの税制の根本的改革を税調にお願いする際に、恐らく税調側においてお考えになるかもしれませんが、それは答申を見た上で我々は考えたい、そう思っておる次第でございます。
 残余の御答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#21
○国務大臣(竹下登君) 坂口さんにお答えいたします。
 昨年の経済成長率の上方修正を経済企画庁でいわゆるレビューをなさいましたときに、大蔵省はこれに対して慎重であった、だが結果的には経企庁に軍配が上がった感がする、こういう御意見であります。
 政府経済見通し策定後の経済情勢を踏まえまして、経済企画庁で九月レビューをなさったことは事実であります。当時、我が省といたしましては、経済運営の基本的態度と表裏一体をなす政府経済見通しの性格にかんがみて、見通し自体を改定するには条件がまだ熟していないという考え方を持っておりました。毎年度の経済見通しの策定に当たりましては、それこそことし六十年一月二十五日の閣議決定で、「昭和六十年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」これを決定いたしまして、そして、その結果として、経済企画庁のレビューなさったものが、いわゆる実質成長等におきましては、両省の考え、見方は一致しておる、こういうことであります。でございますから、絶えずレビューをして経済運営その他の指針として出すという考え方も、私どもは否定しておるものではございません。
 それから次に、「五十七年経済の回顧と課題」の問題でございますが、景気動向によって生ずる赤字すなわち循環的赤字、それから歳出歳入構造に基づく赤字すなわち構造的赤字に分けまして論ずるという考え方が確かにございます。ただ、現在の財政が抱えております赤字のうち、さればどの程度が循環的か、どの程度が構造的かということになりますと、なかなか難しい問題もございます。いずれにいたしましても、財政改革を強力に今後推進していく中で体質改善を進めていきたい。その区分して考える考え方があることは私どもも十分承知をしておるところであります。
 それからEC型付加価値税、一般消費税、これは総理からお答えがございました。ただ、私はいつも思いますのは、昭和五十四年十二月二十一日の財政再建に関する決議を見ますと、「政府が閣議決定により昭和五十五年度に、導入するための具体的方策として、これまで検討してきたいわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。従って財政再建は、一般消費税(仮称)によらず、まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することにより財源の充実を図るべきである」こういう御決議でございますので、この決議自体を読みますならば、五十五年度に導入するための具体的な方策として検討してきた一般消費税(仮称)、こういうことになっておりますので、消費一般にかかる税制そのものを否定したという考え方は今日までもとっていないところでございます。
 それから政府税調が結論として出してきたらどうするか。
 やはり、あらゆる予見を与えないということが政府税調に対する政府の建前でございますので、税調の答申については、熟読玩味して、政府のもろもろの政策方針との整合性も考慮して答申の趣旨が生かされるよう努めるべきものであって、あらかじめシャットアウトしてかかるべきものではないという考え方であります。
 それから、所得税減税の財源がないと言うが、グリーンカード制度を実施しておればそれぐらいの増収は見込めたではないか、こういう御質問でございます。
 非課税貯蓄制度につきましては、一つには非課税貯蓄残高が個人貯蓄残高の約六割を占めるに至っておる、郵便貯金を含む非課税貯蓄の限度管理の問題はもはや放置し得ない状態にある等の問題が指摘されまして、その見直しの具体的な方策について検討が行われ、昭和六十年度税制改正において、まず非課税貯蓄制度の適正化を図る観点から、本人確認制度の厳正化を中心とした諸措置を講ずることとしたわけであります。したがいまして、これらの諸措置の実施に伴って、現状に比べ、郵貯やマル優の限度管理の適正化が図られることになるものと考えられます。
 今後における利子配当課税のあり方につきましては、今回の改正の実効性を見きわめながら、六十年度税調答申の趣旨をも踏まえ、引き続き検討する必要があると思います。
 グリーンカード制度につきましては、実施を延期した後今日に至るまでの経緯に照らしてみますと、この制度は各層の理解と受け入れ態勢が十分整っているとは言いがたかったということ、そして法的安定性や税制に対する国民の信頼感を確保する見地からすれば、本制度の実施を再び延期するということは適当でないという判断の上に立って廃止するという措置を講じたものでございます。そもそもグリーンカード制度そのものも、いわゆる増収を目的として考え出したものではないということは、委員も御承知のとおりであろうかと思っております。
 それから法人税の問題につきましては、国際競争力等の観点から見て著しく高い水準になることは好ましくないという基本的認識は一貫して持っておるわけであります。今日、景気や総体として見た我が国企業の国際競争力というものを見ますと、現在いわゆる国際競争力に悪影響を及ぼすという状態にはなかろうと考えるわけであります。
 以上で私のお答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#22
○国務大臣(金子一平君) 「五十七年経済の回顧と課題」におきまして構造赤字とか循環赤字というような言葉を使って分析を行っておりましたことは御指摘のとおりでありますが、これは幾つかの前提を置きまして行った一つの試算にすぎなかった点も御了承いただきたいと思うのでございまして、現在の財政赤字から申しますと、仮に経済が完全雇用の状況にありましたといたしましても、なお相当程度縮小するといった性格のものではない構造赤字の現況であると言って差し支えないと思うのであります。
 それで、中期の経済目標でございますが、先ほど来総理からもお話しのございましたような「一九八〇年代経済社会の展望と指針」に基づきまして運営をいたしておるのでございます。去年の十二月に、新しい時代の要請を考えてリボルビング作業をいたしたのでございますが、その際新たに、行財政改革の一層の推進、民間活力の活用、高度情報化、国際化の諸点につきまして、今後政策運営においてさらに重点を置くような結論が出たわけであります。今後とも内外の経済情勢が極めて多様な変化が予想されておる現状でございますので、こういった状況を踏まえつつ、毎年リボルビング作業を行いながら、中期の経済社会の展望と政策運営の指針全般について幅広く検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
#23
○議長(坂田道太君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#24
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時三十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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