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1984/04/16 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 本会議 第21号
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1984/04/16 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 本会議 第21号

#1
第102回国会 本会議 第21号
昭和六十年四月十六日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  昭和六十年四月十六日
    午後一時開議
 第一 公共用飛行場周辺における航空機騒音に
    よる障害の防止等に関する法律の一部を
    改正する法律案(内閣提出)
 第二 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨
    時特例等に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 公共用飛行場周辺における航空機騒
  音による障害の防止等に関する法律の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 国の補助金等の整理及び合理化並び
  に臨時特例等に関する法律案(内閣提出)
 佐藤農林水産大臣の農業基本法に基づく昭和五
  十九年度年次報告及び昭和六十年度農業施策
  、林業基本法に基づく昭和五十九年度年次報
  告及び昭和六十年度林業施策並びに沿岸漁業
  等振興法に基づく昭和五十九年度年次報告及
  び昭和六十年度沿岸漁業等の施策についての
  発言及び質疑
     午後一時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(坂田道太君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 小林進君から、海外旅行のため、四月二十一日から二十九日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#5
○議長(坂田道太君) 日程第一、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長三ツ林弥太郎君。
    ―――――――――――――
 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔三ツ林弥太郎君登壇〕
#6
○三ツ林弥太郎君 ただいま議題となりました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、大阪国際空港及び福岡空港の周辺地域における空港周辺対策の実施状況等を踏まえて、大阪国際空港周辺整備機構と福岡空港周辺整備機構とを統合し、その業務を一元的に行う組織とすることにより、空港周辺整備計画の実施等を効率的に行うこととするとともに、委託により、特定飛行場の周辺地域において緑地帯等の造成を行うことができることとしております。
 本案は、三月八日本委員会に付託となり、二十九日山下運輸大臣から提案理由の説明を聴取した後、四月二日及び十二日に質疑を行いました。
 その質疑の主な事項を申し上げますと、両機構の統合の是非、新機構の運営のあり方、今後の航空機騒音対策の進め方等についてでありますが、その詳細は委員会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、政府は本法施行に当たり機構の統合によって空港周辺対策が後退することのないよう、新機構の組織、経営等について適切な配慮がなされるよう新機構を指導すること等五項目につき附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案(内閣提出)
#9
○議長(坂田道太君) 日程第二、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長越智伊平君。
    ―――――――――――――
 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔越智伊平君登壇〕
#10
○越智伊平君 ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、国の財政収支の改善を図るとともに、財政資金の効率的使用を図るため、累次の臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえ、国の負担金、補助金等に関する整理及び合理化並びに臨時特例等の措置を定めようとするもので、その主な内容を申し上げますと、
 第一に、地方公共団体の事務または事業として同化定着しているものの補助金等を規定している十二法律について、当該補助金等を整理し、地方公共団体の一般財源による措置への振りかえ等を行うこととしております。
 第二に、職員設置費等人件費に係る補助金等を規定していると法律について、地方の自主性を尊重し、当該補助金等の交付金措置への移行を図ることとしております。
 第三に、補助金等の臨時特例等に関する法律に規定されている六法律による各特例措置は、既に三十年を経過し定着していることから、これらを個別法に移し、恒久化することとしております。
 第四に、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律に規定されている各特例措置について所要の調整を行った上、昭和六十年度まで一年延長することとしております。
 第五に、地方公共団体に対する補助率が二分の一を超える補助金等を規定している四十法律について、昭和六十年度における当該補助金等の補助率の引き下げの措置を定めることとしております。
 なお、この引き下げの対象となる地方公共団体に対し、その事務または事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずることとしております。
 以上がこの法律案の概要であります。
 本案につきましては、去る三月二十二日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、二十七日から質疑に入り、以来、参考人から意見を聴取するとともに、四月五日には三重県及び岩手県に委員を派遣していわゆる地方公聴会を開催したほか、内閣委員会、地方行政委員会、文教委員会、社会労働委員会、農林委員会、運輸委員会、建設委員会との連合審査会を四回にわたり開会するなど慎重な審査を行いました。
 審査の過程におきましては、国と地方を通ずる行財政改革のあり方、地方公共団体への影響と地方財政対策の内容、国と地方の役割分担、費用負担の見直し、社会保障及び教育制度の意義と国の負担のあり方、暫定措置とされている高率補助率の一律削減等の来年度以降の取り扱い、補助金等の整理合理化の方策等各般の問題点にわたり熱心な論議が交わされましたが、その詳細は会議録によって御承知いただきます。
 かくて、去る四月十二日質疑を終了いたしましたところ、堀之内久男君外三名から、自由民主党・新自由国民連合提案による修正案が提出されました。
 修正案の要旨は、山村振興法及び地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限が延長されましたことに伴い、いわゆる行革関連特例法に定める従来の特例措置の継続を行うこととするとともに、施行期日を公布の日に改めるものであります。
 次いで、原案及び修正案を一括して討論に付しましたところ、自由民主党・新自由国民連合を代表して熊谷弘君からは賛成の旨の、日本社会党・護憲共同を代表して渋沢利久君、公明党・国民会議を代表して坂口力君、民社党・国民連合を代表して安倍基雄君、日本共産党・革新共同を代表して正森成二君からは、それぞれ反対の旨の意見が述べられました。
 討論終局後、採決いたしました結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、よって本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しましては附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(坂田道太君) 討論の通告があります。これを許します。戸田菊雄君。
    〔戸田菊雄君登壇〕
#12
○戸田菊雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、本法案に反対し、討論を行うものであります。
 第一の反対は、弱者切り捨ての措置だからであります。
 今回の国の負担、補助等の削減の対象は、もっぱら福祉、教育に置かれております。すなわち、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法を改悪し、定時制通信教育手当国庫補助三分の一を廃止する、公立養護学校整備特別措置法の改悪で旅費の二分の一国庫負担を廃止する並びに教材費二分の一国庫負担を廃止、児童福祉法の改悪で児童相談所が行う相談、調査、判定及び指導に要する経費十分の八負担を廃止、身体障害者福祉法改悪で事務委託経費十分の五国庫負担の廃止、精神薄弱者福祉法改悪で相談負担経費十分の八国庫負担廃止等々であります。国費削減は、法律補助で八千四百二十億円、政令等で一千六十億円、計九千四百八十億円の削減となります。そして、その対象者はすべて弱者に対するものが大半を占めておるのであります。
 また、国庫補助金を廃止し一般財源化される国庫補助金は文部省、厚生省を初め五省庁にわたり、総額で四百二十三億円に上っております。このうち、文部省所管の義務教育費負担金の旅費分は二百十三億円、教材費分百二十九億円、計三百四十二億円で、一般財源化を初め文部省関係費だけで総額三百八十三億円になるのであります。三重県の地方公聴会で保健婦さんは、一般財源化されると保健婦等の予算化はされなくなるのではないだろうか、こういう心配の言を言っておりました。地方自治体によっては、教職員旅費や学校配当の教材費が減額されるおそれ十分であります。
 公共事業費を除く国費削減の二千六百三十八億円のうち、二千五百五十二億円は厚生省の社会福祉関係費であります。その中でも、生活保護費は三百二十二億円、児童保護費六百六十九億円の削減となっております。殊に、生活保護法第一条は、国が生活に困窮するすべての国民に対してその最低限度の生活を保障すると明記されているとおり、一〇〇%国が負担すべきものであります。このように法を無視し、弱者切り捨ての政府の措置を容認するわけにはまいりません。
 第二は、地方自治体に負担を転嫁し、地方財政を圧迫するからであります。
 今回、国民生活関連予算の削減の対象が主に地方財政に転嫁されております。その一つは、一般財源化によるもので、義務教育費国庫負担金の旅費、教材費等予算費目五省庁二十日、四百五十億円を自治体に負担転嫁いたしております。第二は、国の高率補助の一律一割引き下げ、例えば生活保護費は八割から七割に、このために自治体負担金は五割アップとなります。経常経費関係で十一省三十七目二千六百億円、公共事業費関係で七省庁七十七目三千八百億円、計六千四百億円になるのであります。第三には、補助額の削減であります。制度は変えないが、補助額圧縮で四百十一億円削減されております。第四は、児童扶養手当、初年度八十億円の地方負担となります等々が地方財政に転嫁されるわけであります。国庫支出を伴う地方経費は、地方の歳出総額の約半分を占めることを考えますと、補助金削減の影響は広くかつ深いものであります。
 さらに、八五年度予算編成の中で、高率国庫補助金、二分の一以上の補助率を中心とする、この自治省の八四年九月七日の国庫補助金等の補助率見直しの概況、すなわち影響度によりますと、各関係省庁の対象補助金、公共事業費補助金以外のものは合計で四十一件であり、八十四年度予算額で二兆二千八百四十七億円、同年度地方財政計画の国庫補助金十兆三千百二十一億円の二二・一%を占める、に達します。この経常経費補助金の約一割削減は、都道府県八百二十七億円、市町村千五百三十六億円、都道府県の約二倍、計二千三百六十二億円と試算されます。このように、政府は都道府県に、都道府県は市町村に、力の弱いところに押しつけるやり方に反対であります。昨年七月、八月に、全国知事会、全国市長会など地方六団体で組織する地方自治確立対策協議会が反対要望を政府等に出しました。地方負担転嫁反対決起大会を行いましたが、都道府県議会、市議会、町村議会、その八割弱の議会で反対決議を行いましたことは至極当然であると思うのであります。これら地方議会の決議を無視しての今回の政府の態度は、厳しく糾弾されなければならないと思います。(拍手)
 第四は、国会の審議権を軽視し、採決を奪うその不当性についてであります。
 国会は、言うまでもなく国権の最高機関であり、国民を直接代表する機関であります。憲法四十三条。したがって、国会の意思決定手続は、できるだけ国民の意思を忠実に反映するように実質的な配慮がなされなければなりません。そのような配慮がなされることなく、ただ単に国会の意思イコール国民の意思という法的フィクションのみが押しつけられるならば、国民と国会は遊離し、議会制の危機は深まらざるを得ないということであります。国会の運営の問題が今日特に重視されるゆえんは、まさにここにあるわけであります。殊に、委員会制度は、実質的には議員活動の中心であり主役であります。現代国家においては、議院の審議すべき案件は件数も極めて多く、質も高度の専門的知識を要求するようになってきております。五十九案件と六十六項目、八委員会に関係する性格を異にする法案を一括して大蔵委員会で審議しろというのは、まさに審議権を軽視し、採決を奪い、議会制民主主義を破壊する憲法無視の暴挙と言わざるを得ません。強く反省を求めるものであります。
 最後に、生活保護費等は早期に補正予算を組んで現行法で支払うようにすること、また、補助金のあり方については、殊に人為的、恩恵的に交付する予算補助等については抜本的に改善すべきであることを申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)
#13
○議長(坂田道太君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#14
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(農業基本法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度農業施策、林業基本法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度沿岸漁業等の施策について)
#16
○議長(坂田道太君) 農林水産大臣から、農業基本法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度農業施策、林業基本法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度沿岸漁業等の施策について発言を求められております。これを許します。農林水産大臣佐藤守良君。
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
#17
○国務大臣(佐藤守良君) 農業、林業及び漁業の各昭和五十九年度年次報告並びに昭和六十年度において講じようとするそれぞれの施策につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、農業について申し上げます。
 農業所得は、五十九年度に入り、米の豊作等により伸びが高まっておりますが、農産物の需給は依然として緩和基調にあり、農産物の価格は弱含みで推移しております。
 米については、五十九年の端境期における需給操作の問題等さまざまな問題が生じましたが、関係者の協力や五十九年産米の豊作等もあって安定供給が図られてきました。
 一方、日米農産物貿易交渉は五十九年四月に一応の決着を見ましたが、内外の厳しい諸情勢にかんがみ、今後、農業の一層の体質強化に努めることが重要であります。
 農業経営の面では、施設型部門においては生産性が大幅に向上してきましたが、土地利用型部門では立ちおくれております。また、農村では、混住化、高齢化、過疎化等が進行しておりますが、そうした中でもそれぞれの条件を生かした個性的な村づくりへの模索が始まっております。
 このような状況のもとでの今後の農政の重要課題は、総合的な食糧自給力の維持強化を基本として、需要の動向に応じた農業生産の再編成を進め、生産性が高く土台のしっかりした農業の実現に努めるとともに、活力ある村づくり及び二十一世紀に向けての農業分野における先端技術の開発普及を積極的に進めていくことであります。
 以上の観点から、昭和六十年度には、土地利用型農業の体質強化を目指した構造政策の推進、水田利用再編第三期対策の実施等需要の動向に応じた農業生産の再編成、農業生産基盤の整備等を推進するとともに、バイオテクノロジー等先端技術の開発普及と農業情報システムの開発整備、農村住民が意欲と生きがいを持てるよう農村社会の活性化を進めることとしております。さらに、健康的で豊かな食生活の保障、国際協力の推進、農業金融の充実等各般の施策を推進していく所存であります。
 第二に、林業について申し上げます。
 今日、我が国には、約一千万ヘクタールに及ぶ人工林が造成されており、これが適切に維持管理されるならば、近い将来、国産材の供給力が飛躍的に増大することが期待されております。
 しかしながら、最近の林業及び木材産業を取り巻く状況は、木材の需要減退と、これに伴う木材価格の長期低迷に加え、林業経営費が上昇していることなど極めて厳しく、これが林業生産活動の停滞と木材産業の不振を招いております。このような状況が続くならば、将来における国産材の安定的供給と森林の有する公益的機能の高度発揮に支障を及ぼすことが懸念されております。
 このような状況のもとでの今後の林政の重要課題は、国産材を主体とした木材の需要拡大、国産材の流通加工体制の整備、効率的な林業経営の推進、成育途上にある森林資源の適正な管理、山村の振興及び国有林野事業の経営改善であります。
 以上の観点から、昭和六十年度には、国産材の安定供給体制の整備、間伐の積極的な推進、林業生産基盤の整備、担い手対策の強化等の施策を推進し、森林の持つ多面的な機能を高度に発揮させるとともに、林業どこれが主として営まれている山村の振興に努めることとしております。
 第三に、漁業について申し上げます。
 我が国漁業を取り巻く諸情勢は、ますます厳しいものとなっております。日ソ、日米の漁業交渉にも見られますように、漁業をめぐる国際環境は、今まで以上に困難な局面に立たされているほか、燃油等漁業生産資材価格の高水準での推移、魚価の低迷等により、漁業経営は困難な状況に置かれております。他方、水産物消費の面では、昨今の国民の健康意識の高まりに伴い、水産物の栄養的特性が消費者の間で再認識されるなど明るい兆しも見られております。
 このような状況のもとでの今後の水産行政の重要課題は、消費者ニーズに対応した水産物の安定的供給、我が国周辺水域の資源管理と生産構造の再編整備等を通じた経営の改善を図ることであります。さらに、漁村の活性化を推進するとともに、ハイテクノロジーの水産分野への開発導入に努めることであります。
 以上の観点から、昭和六十年度には、漁業生産基盤の整備と活力ある漁村の形成、我が国周辺水域における漁業の振興、経営対策の充実強化、水産物の流通加工、価格、消費対策、漁業従事者の養成確保と福祉の向上、海外漁場の確保と海洋水産資源の開発等の施策を推進することとしております。
 以上をもちまして、農業、林業及び漁業の各年次報告並びに講じようとする施策の概要の説明を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(農業基本法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度農業施策、林業基本法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十九年度年次報告及び昭和六十年度沿岸漁業等の施策について)に対する質疑
#18
○議長(坂田道太君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。細谷昭雄君。
    〔細谷昭雄君登壇〕
#19
○細谷昭雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、農業白書に対しまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 白書を通読して感じましたことは、この白書は、自民党政府による農基法農政二十五年の矛盾と苦悩に満ちた農政失敗の報告書であるということでございます。(拍手)
 中曽根総理は、国会のこの演壇から、私は、農は国のもとであり、農業は生命産業であると思うと表明されてきました。まことに高適な理念であると、総理の農政に期待を持ったものであります。農業は生命産業であるとの表明が、総理、あなたの真心から発したものでありましょうか。もしそうであるならば、六十年度予算の中身は大きく変わっていなければならないのであります。あなたが鈴木内閣の行管庁長官になられ、中曽根行革の旗を振られてから四年、この間、予算の支出総額は五・七%のわずかな伸びにすぎません。しかし、防衛費は何と二一・三%の突出急成長を遂げたのであります。それに比べ、農林水産予算は無残にも一〇・八%もマイナスになっているのであります。この勢いで進むならば、中曽根内閣はやがて東条内閣とともに日本史に残る軍拡内閣に変貌するのではないかと恐れるのであります。
 また、今国会の総理の施政方針演説は一万四千語に上る膨大なものでありましたが、農林水産部門に言及された部分は何とたった二十七文字にすぎません。もちろん言葉の数がすべてではありませんが、これでは三十一文字と言われる短歌にもならぬのであります。生命産業などという美辞麗句を口にはしても、歴代内閣の中でこれほど農林漁業を軽視した総理がおられたでありましょうか。総理に対し強く反省を求めるものであります。(拍手)
 自民党政府による農基法農政二十五年のもとで、農業と農村社会はどう変わったでありましょうか。私は、地元秋田の場合を振り返ってみたいと思います。
 農業の生産性向上とコストダウンを目指した基本法農政のもとで、農民は、基盤整備だ機械化だと農業投資をし、自立経営農家を目指して努力してきたのであります。しかし、米価を初め、生産された農畜産物の価格は徹底して抑制策がとられて、生産費を償えないばかりか、家計のやりくりとかさむ農業負債の返済は、農外収入に頼らざるを得なくなっていったのであります。かくして、専業農家は一種兼業へ、やがて二種兼業の急増となっていったのであります。秋田は雪国であります。地元就労の場もございません。東北、北海道から九州、沖縄に至るまで過疎地の農民は、冬の間半年、妻や子を残して首都圏、京阪神、東海地方に出稼ぎに出かけるのであります。その数は、半減したと言われる現在でも四十万人に上ります。昭和初期、農村恐慌は悲惨な娘売りという社会問題を引き起こしました。そして今、農基法農政の矛盾は、農家の大黒柱の男たちを出稼ぎという名で家族から引き裂いているのであります。これら全国の出稼ぎ農民は、切実に出稼ぎしなくても農業で食える生活を求めています。総理、この人たちの願いにどうこたえるかをまず問うものであります。
 第二に、農林水産業についての総理の基本理念を改めて問いたいと思います。
 第三に、高度経済成長時代に経済合理主義に立って策定された農業基本法農政を、安定成長時代に沿うた新しい国民食糧の理念に立って見直すべきと考えますが、どうか。
 第四に、目下策定作業中と伝えられる第四次全国総合開発計画の中に、農林水産業と農村社会の位置づけをどうなさるおつもりか。
 以上、中曽根総理の農政に対する基本姿勢についてお尋ねいたします。
 次に、国民食糧の米について質問いたします。
 昨年、政府は深刻な米不足の事態を招き、韓国米の緊急輸入にまで発展し、国民に大きな不安を与えたのであります。米不足の原因は、四年連続の冷害、不作によるだけではありません。政府の米の需給計画にゆとりがなく、減反政策が強行されていることにも起因しているものであります。昨年七月、国会は政府に対し、米の安全性と安定供給及び備蓄体制を求める決議をいたしました。国会決議の趣旨に照らし、六十年度以降の米のゆとりある需給計画と備蓄制度をどう進めるおつもりか、施策を明らかにしていただきたいと思います。
 白書は、また構造政策の強力な推進を説いています。問題は、中核農家の形成の過程で生ずる余剰労働力に対し、安定的に就労の場をいかに確保するかということであります。私は、この余剰労働力の地域内での就労を保障する政策として、政府資金を基金に、道府県、市町村の自治体、それに民間企業の参加する第三セクターによる産業再配置計画を主張してまいりましたが、政府は、構造政策のアキレス腱である余剰労働力の解消にどんな方策を持っておられるか、明らかにしてほしいものであります。
 次に、日本農業の中長期展望について質問いたします。
 我が国農業の現状は極めて厳しいものがあります。しかしながら、地球的規模で食糧問題をとらえるならば、アフリカの飢餓やアメリカ農業の陰りがあります。この傾向はやがて徐々に広がり、世界の農産物需給の逼迫を招くことは必至と言われています。したがって、自国の食糧は基本的には自給に頼らざるを得なくなるのは極めて明白であります。こうした中で、我が国の現状は主食の米以外の穀物の大部分を他国に依存し、穀物自給率が三〇%に落ち込み、世界最大の食糧輸入国に成り下がっているのであります。それゆえに、今こそ我が国農業を復興再建し、食糧自給率を高めることが、民族の独立と国の安全保障上最大の課題でなければなりません。かかる観点から、我が党は、向こう十年を見通し、穀物自給率を六〇%にまで引き上げることを提案しているが、総理は、我が国農民諸君に力いっぱい食糧生産に奮闘してもらう展望と青写真を示すべきであります。(拍手)
 あわせて、農業のあり方と食糧自給率の向上に対する国民的コンセンサスの形成に一層の施策拡充を求めるものであります。しかるに、アメリカ政府は、このたび貿易摩擦の解消を理由に対外援助用として一千万トンの穀物輸入を要求してまいりました。これは将来我が国への米の輸入につながるもので、断じて許すことはできません。総理ほか関係大臣の見解を問うものであります。
 林業白書について質問いたします。
 白書は、日本の林業を取り巻く厳しい状況を認めながらも、やがて来るべき国産材時代を展望しております。この展望を実現するためには、森林の適正な管理と培養が極めて重要であります。同時にまた、国産材の生産から流通、加工、販売に至る一貫体制を今日今から整備しておかなければならないと考えます。一方、政府は、緊迫化する通商摩擦の解消策の一環として、合板等の木材関税を三年後に引き下げることを決定いたしました。かかる措置は、現在でも木材需給の三分の二を占める外材の流入を一層促進し、国産材時代到来へのプロセスに取り返しのつかない打撃を与えるのではないか。私は、木材の市場開放の方針には強く反対するものであります。来るべき国産材時代を迎えるに当たってどう対処するか、総理並びに関係大臣の見解を承りたい。
 第二に、国有林野を含む森林整備について質問いたします。
 申すまでもなく、森林は、国土の保全、水資源の涵養、教育、レクリエーションとしての自然と緑の提供など公益的機能を有しております。我が国においては、国有林野を中心に国民ひとしく森林の公益的機能の恩典に浴してきました。ところが、上流山村の衰えにより、この機能の低下が強く懸念されるところであります。ことしは国際森林年でもあります。国有林野の財政上の経営基盤強化も含め、具体的裏づけのある施策を求めるものであります。
 最後に、漁業白書について質問いたします。
 我が国の水産業は未曾有の厳しい環境にあり、その中で各種漁業は必死で構造再編を実施しております。しかし、漁業についての将来展望がないために、その苦悩はまことに深刻であります。この際、政府の努力目標を含む漁業の中長期の見通しを明らかにすべきであると存じます。またあわせて、漁業を食糧産業として明確に位置づけ、施策を展開するため、漁業基本法の制定に踏み切るべきと考えますが、政府の見解を伺います。
 第二に、漁業外交の問題であります。
 二百海里時代の本格的到来に伴い、漁業外交はますます厳しいものがあり、我が国漁業実績の確保が最大の課題となっております。しかるに政府は、国際捕鯨委員会の商業捕鯨禁止決定に対する異議申し立てを取り下げ、商業捕鯨から全面撤退する方針を固めたと言われています。これは、アメリカの理不尽な横車に屈し、我が国古来の伝統産業と食習憤を放棄するものであります。捕鯨からの撤退がサケ・マスヘ、そして二百海里からの撤退につながることを恐れるものであります。かかる事態に対処するためには、沿岸国と対等の立場になることがいよいよ必須の条件となってきたと考えます。我が国は、漁業生産額の三割にも相当する一兆円の水産物の輸入しており、我が国への水産物輸出は、漁獲量の割り当て等相手国の協力の度合いに応じて調整するという対抗措置をとるべきときが来たと考えます。
#20
○議長(坂田道太君) 細谷君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#21
○細谷昭雄君(続) 政府の断固たる決意を問うものであります。若い人々に農林漁業の未来に夢と確信を与えることこそ、今日政治に求められている民族の課題ではないでしょうか。
 中曽根総理並びに関係大臣の誠意ある率直、明快な答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 細谷議員にお答えをいたします。
 第一問は、農業、農村の現状への対応でございます。
 農業、農村を取り巻く諸情勢は、農産物需給の緩和、規模拡大の伸び悩み、労働力の高齢化等の問題に直面して厳しい情勢にございます。私は、かねてから、農は国のもと、農林漁業は生命産業である、そういうことを申し上げて、そのような観点に立って、生産性の向上による農林水産業の体質強化と農山漁村の活性化を進め、農林水産業に意欲と活力を持てるように努力してきたつもりでございます。今後もこのような考えに立って実行してまいります。
 次に、基本法農政の見直しの御質問でございます。
 農業の生産性の向上を目指した農業基本法の考え方は当を得たものであると考えております。私は、いわゆる農業関係の三法、食管法それからこの基本法それから農地法、この根幹はあくまで守っていくべきである、その上に立って内外の諸情勢の変化に対応するように、かつまた、国民に対する食糧の安定供給の確保を図るために政策を推進してまいりたいと思っております。
 次に、農林水産業の基本的理念の問題でございますが、農林水産業は、食糧の安定供給、健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全等極めて重要な意味を持っておるものでございます。行政の展開に当たりましては、食糧自給力の維持強化を基本として、体質強化、農山漁村の活性化を進めるように努力してまいります。
 四全総におきましては、食糧の安定供給、健全な地域社会の維持、良好な国土資源の管理、これらを重要な課題として取り上げてまいりたいと思っております。特に今後の問題といたしましては、先端技術あるいは情報、バイオテクノロジーの応用、これらの問題についても我々は十分配慮してまいりたいと思っております。
 就業機会の問題でございますが、安定的な就業機会の確保を図ることもまた重要でございます。農村工業の導入促進あるいは地場産業の育成等今後とも積極的に努力してまいります。
 次に、農業の展望の問題でございますが、「八〇年代の農政の基本方向」等の長期ビジョンに基づいて各般の施策を展開してまいります。国民の合意のもとに食糧自給力の維持強化を基本として積極政策を行ってまいりたいと思います。
 アメリカからの穀物一千万トンの問題でございますが、米国からこのようなアイデアが提示されたことは事実でございますが、米国が希望しているような多量の米国産穀物を使用することは現在困難でありまして、外務大臣から米側にこの我が方の考えは伝えておりますが、米側の考えは一つのアイデアとして承っておく旨回答いたしております。
 次に、国産材時代の対応でございます。
 戦後営々として造成された人工林は現在約一千万ヘクタールになりまして、逐次伐採期を迎え、二十一世紀には国産材時代が到来するものと期待されております。そのために、国産材を主体とした木材の需要の拡大、国産材の流通加工体制の整備、効率的な林業経営、間伐など成育途上にある森林の適正管理、林業が主として営まれている山村の振興等を引き続き推進してまいります。
 その次に、木材の市場開放の問題でございますが、今回の措置は、林業、木材産業をめぐる現下の深刻な不況の克服に努めつつ関税問題に対処するという考え方に立脚したものであります。木材需要の拡大、木材産業の体質強化、間伐・保育等森林・林業の活性化等を中心に、財政金融その他所要の措置を当面五カ年にわたって特に講じてまいり、その進捗状況を見つつ、おおむね三年目から合板等の関税の引き下げを行うべく前向きに取り組んでまいる所存であります。
 森林整備の施策については、国有林、民有林を通じて、木材供給のみならず、森林は国土の保全、水資源の涵養等多方面の公益的機能を有しております。このような森林を守り育てていくために、国民全体の理解を得ながら、林業生産基盤の整備、国土保全対策の充実、林業の振興に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 漁業の中長期的見通しと漁業基本法の問題でございますが、我が国漁業は国民食糧の供給の点において大きな役割を果たしております。しかし、その環境は極めて厳しくなりつつあります。粘り強く漁業交渉を展開して遠洋漁業の存続に努めるとともに、我が国周辺水域の漁業振興を図ってまいります。漁業振興のための基本法として沿岸漁業等振興法が制定されておりますので、今後とも同法に沿って我が国漁業の振興に努める所存であります。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
#23
○国務大臣(佐藤守良君) 細谷議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、農業、農村の現状とその対応策についてでございますが、農業、農村を取り巻く情勢につきましては、農産物需給の緩和、規模拡大の伸び悩み、労働力の高齢化等厳しいものがございます。このような情勢に対応して、需要の動向に応じた農業生産の再編成、技術、経営能力のすぐれた中核農家や生産組織の育成確保、農業生産基盤の整備と技術の開発普及、活力ある村づくりの推進等各般の施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
 次に、基本法農政についてでございますが、農業基本法制定以後、農業を取り巻く経済社会情勢は大きく変化してきましたが、農業の生産性の向上を目指した農業基本法の考え方は現在も当を得たものと考えております。今後の農政の展開に当たりましては、内外の諸情勢の変化に的確に対応し、各般の施策を推進してまいる所存でございます。
 次に、米の需給計画と備蓄制度についてでございますが、米は国民の主要食糧であり、その安定供給を図っていくため、需給動向に対応した適切な計画を樹立し、これにより的確な米管理を行ってまいりたいと考えております。また、不作その他の不測の事態に備えて、ある程度の水準の在庫を保有しておく必要があり、水田利用再編第三期対策のもとで計画的な在庫積み増しを図ることとしておるところであります。以上のような考え方につきましては、先般定めました米穀の管理に関する基本計画において明らかにしておるところでございます。
 次に、就業機会の確保の問題でありますが、構造政策の推進に当たっては、地域における安定的就業機会の確保が重要であります。このため、農村工業導入については、農村地域工業導入促進法に基づく基本方針に沿って計画的に推進しているところであります。また、新農村地域定住促進対策事業等において農林漁業関連地場産業の育成等を図ることとしております。
 次に、日本農業の長期展望についてであります。
 農政の展開に当たりましては、従来から、「農産物の需要と生産の長期見通し」「八〇年代の農政の基本方向」等の長期的ビジョンに基づいて各般の施策を推進してきたところであります。今後とも、これらのビジョンに興しつつ、特に、生産性の高い土台のしっかりした農業の実現、バイオテクノロジー等先端技術の開発、活力ある村づくりの三点に力点を置いて農政を積極的に展開してまいる所存であります。
 次に、米国からの援助向け穀物の買い付け要請についてでありますが、仮に本件を実施するとしました場合、現在の我が国の食糧援助の中心となっているKR食糧援助の規模をはるかに上回るものであること、またKR食糧援助においては、規約上、開発途上国産の穀物を優先使用すべきとされていることなどの難しい問題があると考えております。
 次に、合板等の関税問題であります。
 今回の措置は、林業、木材産業の深刻な不振の中で、森林・林業及び木材産業の活力を回復させるため、木材需要の拡大、木材産業の体質強化、間伐。保育等森林・林業の活性化等を中心に、財政金融その他所要の措置を当面五カ年にわたり特に講じようとするものであります。関税問題の取り扱いにつきましては、以上の国内対策の進捗状況を見つつ、おおむね三年目から引き下げを行うべく前向きに取り組むこととしております。
 次に、森林の整備についてであります。
 森林の有する公益的機能の高度発揮を図るため、造林、林道等の林業生産基盤の整備、国土保全対策の充実を図るとともに、幅広い関係者の理解と協力を得て、森林を整備する方策の検討や機能の低下した保安林の整備を行うなど各般の施策の推進に努めてまいる所存でございます。また、国有林についても、新たな改善計画に基づき、経営の健全性の確立を図りつつ、活力ある森林の整備に努めてまいる所存であります。
 次に、漁業の振興についてであります。
 近年、我が国漁業は、二百海里体制の定着等により極めて困難な状況に置かれております。このため、今後の水産施策の展開に当たりましては、粘り強く漁業交渉を展開するとともに、つくり育てる漁業の推進等我が国周辺水域の漁業振興を図ってまいる所存であります。
 また、漁業基本法の制定についてでありますが、現在、漁業振興のための基本法としては沿岸漁業等振興法が制定されており、水産資源の維持増大、生産性の向上、漁業経営の近代化等各般にわたる施策の基本的方向が示されております。今後とも同法に沿って我が国漁業の振興に努めてまいる所存であります。
 次に、米国等沿岸国の漁獲量の割り当て等に応じた調整措置についてでありますが、例えば対日漁獲割り当てとリンクした輸入制限を行うといたしました場合には、ガットに抵触するのみならず、相手国との関係全体へ悪影響が及ぶことが考えられます。農林水産省といたしましては、粘り強い漁業外交に今後とも最善の努力を傾注してまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
#24
○国務大臣(安倍晋太郎君) 簡単に御答弁申し上げます。
 米国からの穀物購入要求につきましては、私の訪米の際にブロック農務長官から要請がございましたことは事実でございます。ただ、我が国は、御承知のように、毎年約三十万トンの食糧援助を行っておりますし、また、援助国の相手の要望に応じましてその一部を米国産から使用いたしておりまして、昭和五十九年度におきましては約七万七千トンの米国産小麦を使用しておるところであります。しかし、米側が希望しているような一千万トンというような膨大な穀物の使用につきましては、我が国の食糧援助予算の規模であるとか、あるいは食糧援助規約上、開発途上国産穀物の使用が一般的な目標とされておる、こういう理由から、なかなかこれは困難であると考えております。
 なお、木材市場の開放措置につきましては、今般の対外経済対策におきまして、米国、ASEAN等の要請にもかんがみまして、木材産業等の活力を回復させるための所要の措置を当面五カ年にわたり講ずるとともに、おおむね三年目から針葉樹及び広葉樹を通ずる合板等の関税の引き下げを行うべく前向きに取り組む旨決定をいたしたものであります。
 なお、最後に、漁業外交でございますが、最近の二百海里水域をめぐる国際情勢は大変厳しくなってまいりました。最近の日ソ漁業交渉等にも端的にあらわれておるわけでございますが、今農林大臣が御答弁いたしましたようにひとつ粘り強く交渉をいたしまして、今後とも漁業の分野における協力関係の促進等を図りつつ、我が国遠洋漁業の安定を図っていかなければならないと考えております。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#25
○国務大臣(河本敏夫君) 第一は、アメリカからの農産物の購入問題でありますが、御承知のように、アメリカは四分野の市場開放を強く要請をしておりましたが、最近は、四分野の市場開放と同時に日本への輸出額の拡大を強く求めております。
 御案内のように、そのためには、日本の豊富な資金を動員をして投資の拡大とかあるいは消費の拡大、こういう背景をつくってもらいたい、それを背景にアメリカからの輸出を拡大したい、こういう趣旨のことをアメリカは最近言っておりますが、その一環といたしまして、先ほど来の農産物の購入問題が出てきたのだと思いますが、アメリカが言っておるというのは、必ずしも日本でこれを消化してくれとかあるいは援助だけに使え、こういうことではございませんで、第三国に転売をしてもらいたい、こういう趣旨も込められておるようであります。
 アメリカは、御承知のように、現在高金利であり資金不足の状態でございますので、なかなかアメリカ自身が第三国へ転売することが難しい。そういうことから、第三国への転売等も含めてアメリカの穀物をひとつ処理してもらえないか、一千万トンにはこだわらない、こういうことも言っておるようでありますので、かつて数年前に我が国が大幅な黒字を出しましたときに、我が国は黒字対策といたしまして濃縮ウランを数年分まとめて先買いしたことがございます。フランスとそれからアメリカに対しまして十億ドル以上の濃縮ウランを先買いいたしまして、それをアメリカに保管してもらった、こういうこともございますので、私は、今我が国が世界に置かれております立場、日米関係、自由貿易を守らなければならないという、そういう大局的な観点から、この問題は、理屈の上からいいますと、今お答えがございましたように、できないということを言っても差し支えないわけでありますけれども、総合的な観点から、できるかできないか、第三国へ転売できないか、そういうことについてもよほど研究してみる必要があるのではないか、このように考えております。
 木材製品の問題につきましては、農林大臣がお答えになったとおりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(坂田道太君) 吉浦忠治君。
    〔吉浦忠治君登壇〕
#27
○吉浦忠治君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま報告がありました本年度の農業、漁業、林業の三白書について、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 今、農林漁業という第一次産業をめぐる内外の諸情勢は、かつてない厳しい状況下にあります。しかるに、今年の白書は、部分的な記述はともかく、いずれも現下の危機打開への迫力に乏しく、いわんや未来への展望、それに至るまでの具体的プロセスを提起するための種となり得るかどうかという見地から見ますと、その内容は極めて不十分であり、農林漁業者の期待にはほど遠いものとなっています。
 私は、つい先日、九州から上京した二人の青年に会う機会を得ました。その中の一人は、山村において農林業に全魂を打ち込んでいる青年であります。その青年が語るには、昨今の林業不振や畜産経営の失敗等が重なり、隣り合わせのある二つの集落において、昭和五十二年に十九名いた十八歳から三十五歳までの青年が現在はわずか二名に激減したと報告してくれました。しかし、その話を横で聞いていたもう一人の青年は、たまたま漁村の青年に会う機会の多い青年で、その青年いわく、現在減船等に直面している漁村における政治不信、政治離れは農山村以上であるということでありました。私は、この二人の青年から現場の模様を聞くに及び、これが現在の我が国農林漁業の先行き不安を象徴するものであると改めて痛感した次第であります。(拍手)
 現に、農業の担い手欠落地域というものは、殊に西日本とか山村地域を中心に広範な広がりを見せ、耕作放棄された農地も拡大の一途をたどっている現状であります。また、目を山村に向けてまいりますと、林業白書は今後十数年経れば国産材時代が到来すると言っておりますが、今何らかの抜本策を講じなければ、いざ木を切る段階になって木を切る人がいなくなるという驚くべき事態が創出されるのではないかと懸念されるわけであります。
 そこで、まず総理へお伺いいたします。
 これら農林漁業従事者、とりわけ二十一世紀の我が国農林漁業を担う若い後継者に対して、総理はいかなるビジョンを与え、それを実現するためにどのような具体的政策を用意されますか、明確にお願いをしたい。
 また、総理は、先般の対外経済政策に対する衆議院本会議での質問の答弁において、市場アクセスにかかわる原則自由、例外制限の中の例外には農業も含めて考えるという答弁をされました。このことは、西欧諸国はもとより、米国自身も十三のウエーバー品目を持つなど農産品の多くを自由貿易の例外扱いとしているところからも、それなりに評価するものであります。しかし、総理は、これを今後とも実行するための裏づけとして具体的にどういう政策を準備しているのか、お聞かせを願いたい。また、その政策を実行するためにも、内需の大幅拡大など抜本的な経済摩擦解消のための施策を推進することはもとよりでありますが、工業部門における現在の垂直型の貿易構造を水平型へ転換するための施策を一段と強めねばならないと考えるものでありますが、この点いかがですか。
 なお、我が国非自由化品目の象徴的存在ともなっております牛肉、オレンジについても、今後はこの例外制限の枠内に入れて対処すべきではないかと考えますが、どうですか。また、米国が提起してまいりました一千万トンに及ぶ米国産の過剰穀物を我が国が食糧援助の対象として扱ってほしいという要求にはどう対処されますか、あわせて総理の御見解をお聞かせ願いたい。
 次に、農業の構造政策の基本について農水大臣にお尋ねをいたします。
 農水省はもとよりでありますが、政府は、口を開けば構造政策の必要性を説いております。しかし、果たして農水省は、現在構造政策推進のために確立された総合的政策体系を持っているのかどうか。例えば、構造政策と価格政策との関連をどう考えるか。規模拡大を志向する農家にとって必要な資本蓄積をどう形成させるか。高い地代負担をどう考えるか。補助と融資の事業区分ないし助成の水準をどう考えるか。さらには、これまでの近代化政策によってもたらされたもろもろの矛盾をどう克服するか。規模の経済性の発現はどうか。農産物の安全性はどうか。山村、過疎地の農家や不安定兼業農家、高齢者農家をどう位置づけていくのか。こうした課題に対して、農水省自身、現在のところ各部局がばらばらで対応しているだけであります。
 確かに、農政自体も合理化への努力を払うべきは当然でありますが、しかし、こうした総合的な政策体系が考え方のバックにないままに、農水省自身が構造政策の推進という大きな政策課題についてさえも受け身一方で対処し、財政当局や行政改革という名分の前に後退に次ぐ後退を続けてしまうということは大変問題であります。これでは我が国農業の再建と活性化は望めないし、一億国民の食糧の安全保障確保にも危惧の念を抱かざるを得ないと言わざるを得ません。したがって、農水大臣は、この際、昨今の守勢一辺倒から攻めの農政へ転ずるためにも、構造政策推進のための総合化された政策体系を早急に確立すべきであると考えますが、どうですか。
 また、昨今我が国農業をめぐる諸条件が大きく変化していることから見て、「八〇年代農政の基本方向」並びに六十五年を目途とした「農産物の長期需給見通し」も、今再検討の時期に来ているのではないかと考えますが、そのお考えはありませんか。
 次に、漁業の問題について質問いたします。
 我が国は、大変遺憾ながら、このたび伝統産業としての捕鯨を撤退せざるを得ない事態に追い込まれました。我が国遠洋漁業についても、第二次二百海里ショックとも言うべき時代の到来を迎え、ますます深刻な事態に陥っているのではないかと懸念されます。加えて、米国において鯨問題で一定の成果を得た環境保護団体は、次にイルカやオットセイなど海産哺乳動物を守るため、今後公海上における我が国のサケ・マス流し網漁業に対しても強い制限を要求してくるのではないかと懸念する向きもあります。万一こうした一連の事態が実現すれば、我が国の遠洋漁業はそれこそ壊滅的打撃をこうむることは必至であります。
 我が国政府としては、こうした食文化の違いからくるいわば文化摩擦的要素をもはらんだ課題の解消をも含め、我が国遠洋漁業を守るための一層強力な外交努力を展開すべきであると考えますが、どのように取り組んでいかれるのか。調査捕鯨としての継続の可能性や米国二百海里水域内からの外国漁業の排除規制の行方、米国の環境保護団体の運動についての見通し等も含め、農水大臣の所見を承りたい。
 また、我が国周辺水域における漁業については、我が国沿岸漁業を守るとともに、自給体制を維持する見地からも極めて重要であります。しかも、このような国際環境下であるだけに、長期的視点からも抜本的検討を加え、資源管理型漁業を確立するなど総合的かつ強力な施策を講ずべきものと考えますが、どう対処されますか、あわせて御答弁をお願いしたい。
 最後に、森林・林業の問題についてお尋ねいたします。
 我が国の森林資源を維持造成し、森林の持つ多様な機能を高度に発揮させるためには、人間が森林に対して適切に手を加える必要があります。そのためには森林資源が有効に活用されるという前提がなければなりません。すなわち、木材資源、とりわけ林業白書が強調する国産材への需要増大ということが前提となり、林業並びに山村の活性化が図られて初めて森林は健全に守られるのであります。そのための具体的施策が講じられなければ、林業の若い担い手も確保されないのであり、総理が言う緑化推進という課題も単なる一過性のムードに終わってしまうものと考えますが、総理並びに農水大臣のお考えはいかがですか。
 なお、その場合、木材の需要開発ということが極めて重要な問題になってきますが、残念なことに、我が国においては木材が鉄やコンクリートなどに比べて建設資材としては劣るという先入観念があります。まだまだこの観念が多く支配しております。しかも、我が国の建設行政においても、海外に類を見ないほど木材使用に対する制約は殊のほか厳しい実情にありますが、建設大臣として、この際、木材を建設資材としてより広範に使用するために必要な科学的データを早急に整備してはどうかと考えますが、いかがですか。
 また、本年は、FAOにおいても国際森林年と銘打ち、世界的に森林のあり方を問い直そうとする機運が盛り上がっていますが、本年を国際森林年とした最大の理由の一つは、しばしば指摘されるところの発展途上国における森林破壊ということのみでなく、先進諸国の工業化によってもたらされた大気汚染が、酸性雨などの形でオーストリアや西独など先進諸国自身の森林破壊を深刻なものにさせている実情であります。しかし、この問題は、我が国にとっても単に遠い国の話というだけでは済まされない状況になっており、近年急速な近代化、工業化を遂げている近隣諸国における大気汚染が、我が国にも酸性雨をもたらすことになるのではないかと懸念する専門家もおります。我が国としては、今から重大な関心を払っておく必要があると考えるのでありますが、このことに対し環境庁長官並びに農水大臣の御見解を承り、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 吉浦議員にお答えをいたします。
 第一問は、農業及び農業後継者に対するビジョンでございます。
 農林水産行政の展開に当たりましては、生産性の高い、そして活力のある農林水産業並びに農漁村をつくろうという考えに立っております。このために、経営規模の拡大、生産基盤の整備、技術の開発普及、活力ある村づくり等々各般の施策を推進してまいりたいと思います。先ほど来申し上げますように、新しいバイオテクノロジーであるとかあるいは情報の供給であるとか、あるいはさらに若い人たちのためには配偶者の問題も、農業団体やあるいは地方公共団体と連携して配慮してあげなければならぬと思っております。
 次に、原則自由、例外制限に関する御質問でございます。
 農業の対外経済問題の対応に当たっては、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要でございます。したがって、制限項目はこの目的に従って必要最小限にとどまるべきであり、個々的に検討さるべきものであると考えております。
 次に、貿易構造の転換の問題でございますが、保護主義の抑止、貿易の拡大均衡を目指して、内需の振興、アクセスの一層の改善、輸入の促進等に努めてまいります。一方、アメリカに対しましては、米国の高金利やドル高の是正等を強く主張してまいります。我が国は、国際経済との調和の面から製品輸入等の促進を通じて水平型の貿易構造を形成していくという必要があることは御指摘のとおりであり、政府は、四月九日の対外経済対策において製品輸入等の促進のための施策を決定し、その推進に努力しておるところであります。
 牛肉、オレンジの問題でございますが、肉用牛及びかんきつは我が国農業の基幹作物であり、我が国の食糧の安全保障や国土の保全等の面において極めて重要な役割を果たしております。牛肉、オレンジの輸入問題については、日米間の交渉において自由化が困難な理由を説明し、昨年四月、四年間にわたる輸入等に関し決着を見て、米国も理解しておるところです。現在、アメリカから日本に来ている牛肉はアメリカの輸出量の七〇%に及んでおります。オレンジは大体輸出量の三〇%が日本に来ておる。こういう状況でございまして、この決着を維持していくということであります。
 次に、一千万トンの穀物の問題については先ほど御答弁申し上げましたが、外務大臣から困難であると答弁しておるとおりでございます。やはり我が国は食糧余剰国ではなくて、食糧問題解決のためには、当該国に対して食糧の増産あるいは貯蔵、輸送あるいはがんがい排水あるいは井戸の掘井、このような問題についても協力していくことを重視してまいりたいと思っておるのであります。
 森林の活性化、林業の問題については、国土の保全、水資源の涵養等多方面な公益的機能を有する森林を守って、林業と山村の活性化に努めてまいりたいと思います。このためには、住宅等木材需要の拡大を図り、林業生産基盤の整備、地域林業の活性化を図るなど従来からの林業政策をさらに積極的に行いたいと思います。特に国産材につきましては、木のよさの普及あるいは木材流通加工の改善合理化等により、一層の需要拡大に努めてまいります。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
#29
○国務大臣(佐藤守良君) 吉浦議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、構造政策の推進についてであります。
 我が国農業の健全な発展を図っていくためには、特に規模拡大が立ちおくれている土地利用型農業部門を中心に、総合的な構造政策により経営規模の拡大と生産性の向上を図ることが不可欠でございます。このため、農地流動化等による中核農家等の規模拡大と農地等の有効利用を促進するとともに、その基礎的条件であります土地基盤の整備等の諸施策を積極的かつ計画的に推進していく所存でございます。
 次に、「八〇年代の農政の基本方向」等の再検討についてであります。
 「農産物の需要と生産の長期見通し」につきましては、総じて需給が見通しの方向に沿ったものとなっていること、「八〇年代の農政の基本方向」についても、その基本的課題は現在も変わっていないことから、現時点においてこれを改定する必要はないものと考えております。なお、今後この問題につきましては、農産物の需給動向、農業構造や農村社会の変化などを十分見きわめ、慎重に判断していきたいと考えております。
 次に、遠洋漁業の存続についてであります。
 本格的な二百海里時代に対処し、また捕鯨問題をめぐる国際的な動向に対処し、我が国遠洋漁業の存続を図るためには、粘り強い漁業交渉の展開を図ることが重要であると考えております。
 まず、モラトリアム受け入れ後の我が国捕鯨につきましては、米国を初めとする関係国とも十分協議の上、何らかの形での存続を図るよう努力してまいりたいと考えております。米国における外国漁業排除の動きに対しましては、そのようなことが日米漁業関係全体にいかに悪影響を及ぼすか、情理を尽くした話し合いを行いたいと考えております。また、米国の環境保護団体に対しては、科学的根拠に基つぐ情理を尽くした議論を行っていきたいと考えております。
 次に、我が国周辺水域の漁業振興についてであります。
 二百海里体制の定着等に伴い、我が国周辺水域の高度利用を図ることがますます重要となってきております。このため、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業の振興等つくり育てる漁業の推進、沖合漁業を含めた漁業生産及び水産物流通の基地である漁港の整備等各種の対策を推進して、我が国周辺水域における漁業の振興を図ってまいる所存でございます。
 次に、林業の活性化、とりわけ国産材の需要拡大についてであります。
 これにつきましては、二十一世紀に到来を予想される国産材時代に備え、まず第一に、木材のよさの普及啓発や木材流通加工の改善合理化を進めるなど国産材を中心とした木材需要の拡大を図ることとし、さらには、林業生産基盤の整備と林業地域の活性化等各般の施策を引き続き積極的に推進してまいる所存でございます。
 最後に、酸性雨の問題についてであります。
 我が国においては、現在のところ酸性雨による森林被害は報告されておりませんが、農林水産省としては、諸外国における被害の状況にかんがみ、酸性雨について十分関心を払い見守ってまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣木部佳昭君登壇〕
#30
○国務大臣(木部佳昭君) 吉浦議員にお答えいたします。
 木造建築物は我が国の気候や風土に適しておりまして、しかも、国民のニーズや愛着も非常に大きいものがあります。そうした観点に立ちまして、建設省といたしましては、木材の特質を踏まえながら、木造住宅の耐女性や防火性等の向上のための技術開発を行うほか、民間の技術開発等で防火性能の向上を図ったものにつきましては基準の緩和を図る等の措置を講じ、建築物における木材利用の拡大を図ってきておるところであります。今後とも、これらの施策の充実のために努めてまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣石本茂君登壇〕
#31
○国務大臣(石本茂君) 吉浦議員にお答えいたします。
 現在、酸性雨の問題は欧米諸国で非常に深刻な課題になっておりますが、最近、我が国の近隣諸国の工業化に伴いまして、大気汚染による酸性雨の影響について懸念する向きがありますけれども、このような現象を示す事実は認められておりません。しかし、我が国においても酸性雨による被害を未然に防止する観点から調査研究を行っているところでございます。今後とも引き続き推進してまいります。
 なお、我が国の公害対策の技術、経験につきましては国際的にも役立てていきたいと考えており、今後とも積極的に取り組んでいく所存でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(坂田道太君) 横手文雄君。
    〔横手文雄君登壇〕
#33
○横手文雄君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました農業白書、林業白書、漁業白書について、総理大臣、農林水産大臣、外務大臣に質問をいたします。
 我が国の農林水産業を取り巻く情勢は極めて厳しいものであります。主食である米については、需要の長期的減少傾向の中で減反政策が継続されております。基本法農政のもとに政府によって推進された選択的拡大政策も、また結果として過剰生産を招くに至っております。
    〔議長退席、副議長着席〕
 林業に目を転ずれば、需要の減退と価格の低迷によって林業経営は圧迫され、そのため貴重な水資源である森林は荒廃の危機にさらされております。水産業においては、各国の二百海里内漁業規制の強化や商業捕鯨の全面禁止の決定によって日本漁船は漁場から締め出されつつあり、遠洋漁業はじり貧の状態にあります。さらに、諸外国からは農林水産物の輸入拡大の強い要求が突きつけられております。
 このような状態の中で、日本の農林水産業者は、自分たちの従事する産業の将来展望を失い、生産意欲を減退させているのであります。かくのごとき事態は、食糧の安定的供給と国土の保全という重要な役割が果たせなくなるということであります。そもそも、食糧の安定供給と国土の保全は、単に経済的な活動の結果であるだけでなく、政治が国民全体の安全と福祉のために果たさねばならない重要な課題であります。農林水産業を国民経済の中で、また国政の中でどのように位置づけるかを明確にせぬ限り、個別の対策や財源配分において一貫した方針で臨むことはできません。そのことが農林水産業者に不信感を与えるばかりでなく、国民全体に不安を与えることになると考えます。そこで、まず農林水産業の国民経済の中で、また国政の中での位置づけについて、総理の御意見を伺います。
 次に、農林水産省は、農林漁業の各白書をまとめるに当たり、どのような基本的視点に立ってそれを行われたのか、またその結果をどのようにして今後の農政に反映させていかれるのか、これらの点について農林水産大臣に伺います。
 第三に、食糧自給率の向上について伺います。
 食糧自給率の向上は、国民食糧の安定供給の基本であり、ことしの白書も例年のごとくその必要性を指摘しております。しかし、そのための具体的方策となると、結びの部分に若干の抽象的記述があるだけにすぎません。自給率向上のために具体的にどのような方策をとるつもりなのか。さらに、自給率向上の一環として、我が国主食である米の消費拡大について、我が民社党はあらゆる機会に具体的提案を行ってきたところでありますが、米消費拡大の具体策についてあわせて農林水産大臣に伺います。
 ところで、農産物は天候に収穫が大きく左右され、また輸入農産物の安定度は、他国の凶作や輸送路における国際紛争等によって左右されます。このような農産物の特殊性とその安定的供給の国家的必要性から、主要食糧の備蓄制度を確立する必要があります。我が党は、このような観点に基づいて、食糧備蓄法とそのための特別会計の創設を主張してまいりました。食糧備蓄は、国民の食糧の危機を救い、食糧の安定確保のために避けて通ることのできない重要施策と信ずるからであります。本制度の確立を図るための具体的推進策について、総理にお伺いいたします。
 さて、農業白書は、国際化時代に対応するため日本農業の体質強化は急務であり、とりわけ国際的に比較して生産性の低い土地利用型農業の体質強化が必要であるという認識を示しておりますが、にもかかわらず、今後の方策については、集団的取り組みが必要だという以上に新味のあることは述べられておりません。土地利用型農業の生産性向上のためには、経営意欲のある専業農家への土地の集積が不可欠であります。そのために、個人の営農者を中心とするのか、農家がまとまって土地を出資して規模拡大を図る法人あるいは組合形態を推進するのか、また、白書の中にも例示されております農外からの新規参入者を受け入れることによって大規模専業経営化を推し進めていく必要性、そのための受け皿づくりについて農林水産大臣のお考えを承りたいと存じます。
 さらに、この大規模専業化のためには、農家の方々が土地を放出しやすい条件をつくらなければなりません。白書にも示されているように、我が国農業の零細性は、農業就業者の高齢化と並び第二種兼業農家にあります。老後保障や新たな生きがいの開拓、また就業機会の拡大と安定を図らなければ土地の放出は図られません。目的達成のためにいかなる施策を用意されておられるのか、農林水産大臣にお伺いいたします。
 また、白書には、農業の生産性向上のためにはバイオテクノロジーや高度情報技術の活用が必要であるとの指摘があります。私も同感であります。バイオテクノロジーの研究開発には、体制の整備と持続的な投資、さらに、開発された種の普及や保護する作業も必要であります。また、高度情報技術の利用にしても、データーベースの整備や通信網の高度化のためにこれまた持続的かつ大量の投資を必要といたします。地域INSの整備と農林水産情報システムの関係等について、農林水産大臣の御見解をお聞かせ願いたいのであります。
 次に、農産物の自由化について、今日までの政府の態度は外圧に屈して一方的な譲歩に過ぎると言わざるを得ません。このことについて、白書は必要最小限度の国境調整措置が必要であるとしながら、我が国農業の体質強化が基本であると述べております。これだけでは不安であります。つまり、必要最小限度の国境調整措置の意図している具体的中身は何か。最後まで非自由化を貫く品目と、国内措置を講じて段階的に自由化していく品目との区別をどのような基準で行うのか。さらに、国内措置の内容とそのプロセスはそれぞれどういったものかということであります。これらの点について農林水産大臣の御見解を伺います。
 次に、林業についてお伺いいたします。
 林業の育成、それは国民生活に木材の安定供給を図るという使命のみならず、豊かな国土の保全、また水資源の涵養、空気の浄化のため不可欠の産業であります。にもかかわらず、今日我が国林業が重大な危機にさらされていることは冒頭にも述べたとおりであります。林業白書は、この事実に立脚し、国産材時代に向けて積極的な方向性を打ち出しております。その方針には賛同いたしますが、今後の財政対策について、その財源は今日までと同様一般会計の範囲内で行われるのか、あるいは森林の持つ公共性にかんがみ特別な財政措置を考えておられるのか、総理並びに農林水産大臣にお伺いいたします。
 また、さきに政府は合板の関税引き下げの方針を決定し、あわせて合板業界の体質強化と我が国林業活性化のために特別措置を講ずると発表されました。私は、この際、我が国林業が国際競争力をつけるために、むだを省き、徹底した合理化も同時に推進すべきだと思いますが、農林水産大臣の決意を問うものであります。(拍手)
 次に、水産業についてお伺いいたします。
 日本の漁業は、各国の二百海里内操業規制、とりわけ米ソの規制の強化の中で優良漁場を奪われつつあります。また商業捕鯨も、アメリカの圧力のもとでIWCの全面禁止を受け入れざるを得なかったのが現状であります。まず第一に、水産外交において一方的な譲歩が続いている現状、とりわけ、どこの国の二百海里内でもなく、どこの国の資源でもない鯨についてまで、アメリカの二百海里内の漁獲量とリンクさせるという納得しがたい方法で廃業をさせられた事実であります。国とアメリカと友好を深めることは大切なことであります。しかし、仲よくするということと言いなりになるということは断じて違います。かかる状態について、総理及び外務大臣、農林水産大臣はどのように説明されるのかお伺いいたします。さらに、二百海里海洋法時代の現在、それに対応するため、日本近海における栽培漁業に重点的、計画的な投資を行うべきであると思いますが、その現状と今後の方針について農林水産大臣にお伺いいたします。
 以上、私は幾つかの点について提言を含めて御質問いたしましたが、今日、食糧は戦略的物資として扱われております。ために、食糧の自給率を高めるため、各国ともに農業振興に大いに力を入れているところであります。我が国においても、国際競争力のない農産物はこれを保護し、また必要な助成策を講ずることは当然のことであります。また、助成措置には一定の枠がはめられることも必要ではありましょうが、政策が統制化し硬直化してしまえば、大胆なダイナミックな発想がつぶれてしまうことになります。営農者の自主性を発揮できる弾力的な政策の推進の中に活性化の道もあると思います。
 我が国農林漁業の基本政策について総理並びに農林水産大臣の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 横手議員にお答えをいたします。
 まず第一は、農林水産業の国民経済における位置づけの問題でございます。
 前に申し上げましたように、農は国のもと、農林水産業は生命産業であると申し上げましたが、そのとおりに考えております。農林水産業は、食糧の安定供給を初め健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全等極めて重要な位置を占めております。これらの推進に当たりましては、総合的な食糧自給力の維持強化を基本として、生産性の向上等を図りつつ諸般の対策を講じてまいる予定であります。
 食糧備蓄法の問題でございますが、機動的な米の生産調整が困難になる等硬直的な政策運用を余儀なくされるおそれもあり、第三次過剰米の発生ということも考えなければなりません。その意味におきまして、天候とかあるいは生産状況等を見て弾力的に適切な対応を講じていくことが適当であると考えております。
 林業経営の財源問題でございますが、現下の厳しい財政事情のもとにおきましても、五カ年計画を作成いたしまして、必要な奨励、助成措置は積極的に行いたいと思っております。
 水産外交についてでありますが、二百海里漁業水域が定着をいたしつつあり、沿岸国の主張が著しく強まっておる現在、二百海里水域における我が国の遠洋漁業を取り巻く環境は非常に厳しくなっております。現在こういうことのために協定を結んでおるのは、多国間において九、それから二国間において十三本、このような協定を結ぶことによって遠洋漁業をやっておる現状でありますが、今後とも粘り強く漁業交渉を行うとともに、漁業の分野における協力関係の促進等を図りつつ、我が国遠洋漁業の安定操業の確保に努めてまいります。捕鯨につきましては、米国の国内法の発動をめぐります日米間の衝突も回避し、必要な北米関係の漁獲量を確保する、そういうやむを得ざる事情によってやったものでございます。我が国における遠洋漁業の漁獲量が約二百万トンでありますが、北米関係が百万トンを占めております。そのほかが約百万トンであります。こういう点を考えてみまして、実にやむを得ずこのような措置に出たことを御理解願いたいと思うのであります。
 農業政策の基本的なあり方につきましては、総合的な食糧自給力の維持強化、農業の体質強化と農村社会の活性化を図るために諸般の政策を展開してまいります。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
#35
○国務大臣(佐藤守良君) 横手議員の御質問にお答えを申し上げます。
 農林水産業の位置づけについてでございますが、農林水産業は、食糧、木材等国民生活にとって最も基礎的な物資の供給を初め、国土、自然環境の保全等極めて重要な役割を発揮しております。また、地域社会における就業機会の提供など地域経済社会の健全な発展を図る上でも重要でございます。このため、農林水産行政の展開に当たりましては、総合的な食糧自給力の維持強化を基本とし、農林水産業の体質強化と農山漁村の活性化を進めるよう努力してまいる所存でございます。
 次に、本年度の農業、林業、漁業の年次報告についての取りまとめの視点に関してでございます。
 まず、農業白書でありますが、食糧消費の伸び悩み、農業就業者の高齢化の進行等の中での農業や農村の実態を取りまとめるとともに、農業の体質強化、農村地域社会の活性化等今後農政が取り組むべき課題を明らかにしております。また、林業白書は、成熟化しつつある森林資源を背景にして、二十一世紀に到来が期待される国産材時代に向けて、国産材を主体とした需要拡大、流通加工体制の整備等取り組むべき課題を明らかにしております。さらに、漁業白書は、二百海里体制の定着等我が国漁業が困難な状況に置かれている中で、我が国周辺水域の資源管理や生産構造の再編整備等を通じた経営改善等今後の我が国漁業の方向を明らかにしております。
 農林水産行政の展開に当たりましては、以上のような各白書の分析を踏まえ、各般にわたる施策の積極的な推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、食糧自給率向上の方策についてでありますが、食糧の安定供給と安全保障を確保することは、国政の基本とも言うべき重要課題であります。このため、総合的な食糧自給力の維持強化を基本として、需要の動向に応じた農業生産の再編成、技術、経営能力にすぐれた中核農家や生産組織の育成確保、優良農用地の確保と農業生産基盤の計画的整備、農業技術の開発普及等各般の施策の充実を図ってまいる所存でございます。
 次に、米の消費拡大につきましては、米の需給均衡を図るとともに、米を中心とした日本型食生活を広く維持定着させていく上で極めて重要であると考えております。かかる観点から、学校給食への米飯導入の促進、米についての正しい知識の普及啓発等の施策を長期的視点に立って推進しているところであります。
 次に、土地利用型農業の生産性向上についてであります。
 このためには経営規模の拡大が必要不可欠であり、利用権の設定等を促進する農用地利用増進事業を基軸として各種農地流動化施策を引き続き実施するほか、六十年度からは借地による経営規模の拡大に資するための経営規模拡大資金を新設するとともに、村づくりを進める地域農業整備総合対策等を実施することとしております。
 次に、農家の老後保障や就業機会の確保についてであります。
 農地の流動化に当たりましては、農業者の老後生活にも配意するほか、地域における就業機会の確保が重要であると考えております。このため、農業者年金制度の適正な運用等を通じて高齢者の生活の安定を図るとともに、農村工業導入の促進、農林漁業関連地場産業の育成等による安定的な就業機会の確保を図ることとしております。
 次に、農業への新規参入につきましては、従来より新規参入者についても制度資金の融通、就農相談、農業の研修、教育等において対象としてきたところであります。今後農業の担い手を育成し農業の体質強化を図ることは重要な課題でありますので、他産業からの新規参入者を含め、農業後継者の育成確保に努めてまいる所存でございます。
 次に、バイオテクノロジーと情報技術の活用についてであります。
 バイオテクノロジー先端技術の開発基盤となります遺伝資源につきましては、その総合的な確保、保存を図るため、農林水産生物全般を対象とした農林水産ジーンバンクを整備することとしております。また、情報技術につきましては、農村地域における情報システム化を推進いたしますとともに、農業技術情報ネットワークシステム、人工衛星利用による漁況、海況情報の提供システム等の開発整備を図ってまいる所存でございます。
 次に、農産物の輸入自由化問題についてでありますが、我が国農業の基幹をなす作物、地域的に重要な作物等につきましては、輸入割り当て制度の対象として、国内の需給事情を考慮しつつ、国内生産で不足する分を輸入割り当てすることにより計画的な輸入を行ってきたところであります。今後ともこのような輸入割り当ての趣旨を踏まえて慎重に対処してまいる考えでございます。
 次に、森林整備と林業振興についてであります。
 これにつきましては、従来から木材需要の拡大、林業地域の活性化と生産基盤の整備、総合的な間伐対策の実施、国土保全対策の充実等各般の施策を積極的に推進しているところでありますが、現下の厳しい財政事情のもとにおいても引き続き林業の活性化を図ってまいる所存であります。
 また、林業の体質強化についてでありますが、林業をめぐる状況は、木材需要の低迷、木材価格の下落、低迷、林業経営諸経費の増高等により極めて厳しい状況にあります。このため農林水産省といたしましては、民有林、国有林を通じ、林業生産コストの縮減を図る観点から、林道、作業道等林業生産基盤の整備、林業の機械化の推進等に努めているところであります。今後とも各般の施策の推進を図り、我が国林業の体質強化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、各国の二百海里規制及び商業捕鯨の全面禁止についてでありますが、近年二百海里体制が定着し、沿岸国が主権的権利を強く前面に打ち出し、ますます漁業交渉の難しさが増してきております。また、捕鯨に関する今回の政府の方針決定につきましては、パックウッド・マグナソン修正法等の発動をめぐる日米間の対立を回避するためにはやむを得ざる選択であったと考えております。農林水産省といたしましては、粘り強い漁業交渉を展開し、我が国遠洋漁業の存続に最善の努力を払ってまいりたいと考えております。
 次に、栽培漁業についてでありますが、これにつきましては、最初の国営栽培漁業センターを瀬戸内海に開設して以来二十余年を経過し、全国に国営及び県営のセンターの施設整備を進めているとともに、種苗生産が可能となっております。農林水産省といたしましては、今後、国、県の栽培漁業センターの施設の整備、技術開発の促進、漁業者への栽培漁業の普及定着化の促進等を図り、栽培漁業を計画的に推進することとしております。
 最後に、農業政策の基本的なあり方についてでございますが、我が国農業を取り巻く内外の厳しい情勢のもとで農政を推進するに当たりましては、農業の体質強化と農村社会の活性化を進め、農業に携わる人々が意欲と生きがいを持てるようにすることが重要でございます。このため、総合的な食糧自給力の維持強化を基本とし、生産性の高い土台のしっかりした農業の実現、二十一世紀に向けての先端技術の開発、活力ある村づくりに力点を置いて、各般の施策を展開してまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
#36
○国務大臣(安倍晋太郎君) お答えをいたします。
 最近の日ソ漁業交渉あるいは日米交渉に見られますように、沿岸国の二百海里漁業権についてのいわゆる主権的な主張が大変強くなってまいりました。日本は大変その点で苦慮いたしておるわけでございます。こうした傾向はこれからも続いていくであろうと我々は覚悟をしなければならないと思っております。そういう中で、日本としては、あくまでも漁業交渉を国益を踏まえて粘り強く行う、こういう立場に立って、いわゆる相手国との漁業の協力関係というものも考えながら、我が国のこれまでの伝統的な国際遠洋漁業というものを守っていくためにこれから力を尽くしてまいらなければならない、こういうふうに考えております。
 また、捕鯨につきましては、先ほど総理あるいは農林水産大臣からお話がありましたように、日米両国の衝突を避けるためのやむを得なかった措置であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○副議長(勝間田清一君) 津川武一君。
    〔津川武一君登壇〕
#38
○津川武一君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、農業、林業、漁業白書について、中曽根総理並びに関係大臣に質問します。
 まず、現在焦点となっている対外経済摩擦、その一環としての農林水産物の市場開放問題に中曽根内閣としてどう臨むのか、その基本姿勢を伺います。
 歴代自民党政府は、アメリカと財界の要求を受け入れ、農産物の自由化を進め、我が国農産物市場を次々と外国に明け渡してまいりました。中でも総理、あなたは、昨年の牛肉、オレンジの輸入枠拡大に引き続いて、今度は木材関税引き下げを打ち出し、対外経済諮問委員会の報告を受けて農産物の輸入自由化や関税の見直しに着手しました。国際競争力の弱い我が国の農産物、木材などの市場開放、これはまさに農林業、農山村、国土の荒廃を一層深刻にする以外の何物でもありません。総理は、アメリカの要求にこたえなければ日本の死命を制する重大な事態になるとして今回の措置を決めたと言っています。しかし、あなたの言う重大な事態とは、アメリカが対日輸入制限をする、そうなれば自動車や電機など財界の利益が損なわれるということではありませんか。それを回避するためと称して、自由貿易の名のもとに農林産物の市場開放を進めるのであり、まさに国家百年の計を誤らせるものと言わなければなりません。そうではありませんか。
 一月の日米首脳会談で総理、あなたは昨年の日米諮問委員会の報告を高く評価しました。その報告には、日本農業の構造調整と称して、日本ではお米をつくらせないで野菜や草花に変えるという驚くべき内容が含まれております。また、つい先日、アメリカは新たに一千万トンもの穀物輸入を日本に要請してきました。これは日本国民が一年に消費する米の量に匹敵するものであります。
 総理、アメリカの穀物戦略はここに明らかではありませんか。我が国に対する食糧支配の意図は余りにも露骨ではありませんか。アメリカの要求をうのみにすることは、対日食糧支配を野放しにし、日本農業を崩壊に導くことになるのです。農業は、人間の生存に不可欠な食糧を供給するとともに、国土や自然環境の保全、地域経済や社会のバランスのとれた発展になくてはならない産業です。古今東西、自国の農業を衰退させ、食糧を外国に依存して国が栄えたためしはないではありませんか。総理、それでもなお、あなたは農産物の市場開放を強行しようとするのですか、答弁を求めるものであります。
 ことしは国際森林年です。我が国は世界有数の森林国であるにもかかわらず、最大の木材輸入国の一つになっております。木材自給率は三五・四%にすぎないのです。これは、一方で諸外国から森食い虫と批判されるほど世界の木材を買いあさり、他方で国内の森林を荒廃させてきた結果にほかなりません。総理、あなたがやろうとしておる木材関税引き下げは、これを一層助長するものであります。あなたはそうでないと答えるのですか。はっきりと答弁を求めます。合板の関税率について見るならば、日本はアメリカよりはるかに低く、世界最低の関税率であります。引き下げに応じなければならない理由はどこにもないのであります。結局、アメリカの森林メジャーの利益と、そこからの献金を受けているレーガン大統領の選挙公約実現のためだけではありませんか。総理の納得のいく説明を求めるものであります。
 私は、日米貿易摩擦の解消のためには、農業や中小企業者などを犠牲にするような市場開放政策ではなく、大企業製品の輸出偏重型の日本経済を内需優先に根本的に転換する以外にないと確信するものであります。総理の見解を伺います。
 私は、戦後四十年、農漁民を守るために全力を尽くしてまいりました。農業で食えなくなり、親戚、友人、銀行、農協から借金をしたが、それでも生活ができずサラ金に走っていった農民や、これも農業では生活できず、二十年間も一年のうち九カ月も出稼ぎしている農民の賃金不払いの相談も受けています。そうした農民の苦悩を解決してくれる何かが今度の三白書にあるかと懸命に探してみましたが、むだでした。三白書にはあきれて、かつ、激しい怒りを覚えております。(拍手)
 今日の内外の食糧、農業の現状のもとで、我が国は一体何をすべきでしょうか。それは、何よりもまず農産物の市場開放政策をきっぱりと改め、自給率向上に本格的に取り組むことでありませんか。我が国の穀物自給率は、五十八年度でまたも一%低下し、三二%になりました。これは、世界の最低水準であります。ここ十年来、サミット参加国のほとんどは穀物自給率の向上に努力しております。あの自給率の低かったイギリスも、一〇〇%自給を達成しているではありませんか。その中でひとり日本だけが自給率を低下させていることについて、総理、あなたはどう考えておるのか。異常に低いとは思いませんか。明確な答弁を求めるものです。総理府の世論調査によっても、国民の三人に二人は自給率が低いことを不安に思い、四人に三人は自給率の向上を求めています。こうした国民の声にこたえ、自給力などというあいまいな表現ではなく、きっぱりと自給率の向上を国政の中心課題の一つとすべきと考えますが、総理の所見を伺います。
 また、アフリカ諸国の食糧飢餓が深刻な中で、日本が金に任せて二千三百万トンもの穀物を買い集めることは、国際社会では許されるはずがありません。総理、あなたは経済大国にふさわしい国際社会での役割を強調されております。しかし、それは、アメリカの言いなりになって食糧輸入をふやすのではなく、我が国が食糧自給率を向上させることこそ真の国際社会への積極的貢献と考えますが、見解を求めるものであります。(拍手)
 総理、農民を苦しめ、農業の発展を妨げているものは市場開放だけではありません。あなたの進めておる臨調行革、それは軍備拡大と大企業奉仕の路線ですが、これがもう一つ大きな要因になっているのです。臨調行革のこの四年間、農林水産予算が年々大幅に削減されてまいりました。特に今年度は、農林水産省所管予算が三兆円台から二兆円台に転落し、逆に軍事費が二兆円台から三兆円台に乗り、農林水産省と防衛庁の予算上の位置が逆転しているのです。これはまさに中曽根内閣の、日米安保条約の攻守同盟化のもとでの軍核重視と農業軽視の姿勢を象徴するものにほかなりません。総理は、ただいまも農業は生命産業だ、農村は民族の苗代だなどと称し、あたかも農業を重視しているかのように言いますが、やっていることは農業の縮小であり切り捨てではありませんか。もし農業を本当に大切と考えるのであれば、軍事費は突出、農業予算はマイナス突出という最近の予算の立て方を百八十度転換し、農業予算をふやすべきです。この点での総理の答弁を求めます。
 次に、白書が強調する経営規模拡大と生産性向上の問題について伺います。
 農業基本法制定以来二十年、政府は一貫して構造政策と選択的拡大を追求してきました。今回の白書でも構造政策が強調されております。しかし、それによって育てるとした自立経営農家は、ふえるどころか半減したではありませんか。また、構造政策と選択的拡大の花形と言われてきた北海道の酪農経営は、一億、二億円の負債にあえぎ、離農者が後を断たないというのが今日の実態です。こうしたことでも明らかなように、政府の方向では農家の経営安定につながらないことはもはや国民の常識であります。今日、規模の大きな農家を含め大多数の農家が経営困難にあえぎ、多額の借金に苦しんでおります。これは、農産物価格が不安定だということに加え、政府の減反政策や収入金課税の名によるあの重税攻撃などがもたらしたものにほかなりません。私は、こうした農家の経営の改善と農民生活向上のため、当面の具体的な問題に対して農林大臣の見解を伺うものであります。
 農業基本法第一条の農業政策の目標の項では「農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正する」と言っております。その立場からいっても、再生産を保障する農産物価格政策の充実、借金に悩んでおる農家への抜本的な対策、農用資材の独占価格の引き下げなど積極的な対策をとるべきと考えます。その用意があるのかどうか、農林水産大臣の答弁を求めるものであります。
 最後に、我が国は、気候が温暖で雨も適度に多く、作物の種類も豊富です。米、ミカン、リンゴ、お茶などでは世界に自慢できる農産物を持っております。そして米の収量は世界最高水準であります。私は、農業を日本の基幹産業として位置づけ、この恵まれた条件を生かした積極的施策をとるならば、我が国農業は豊かに発展する希望がある、このことを確信しています。そのためには、農業を荒廃させてきた自民党政治の根本的転換以外に道はないことを強く表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#39
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 津川議員にお答えをいたします。
 まず、農林水産物の市場開放の問題でございます。
 農林水産業の対外経済問題の対応に当たっては、関係国との友好関係に留意をしつつ、国内農林水産物の需給動向等を踏まえ、我が国農林水産業の健全な発展と調和のとれた形で行われることを基本にいたしております。
 次に、木材関税の引き下げでありますが、木材需要の拡大、木材産業の体質強化、間伐・保育等森林・林業の活性化等を中心に五カ年計画をつくりまして、財政金融その他特に所要の措置を講じて、その進捗状況を見つつ、おおむね三年目から合板等の関税の引き下げを行うべく前向きに取り組む所存であります。
 次に、内需優先の問題でございますが、内需、外需ともに均衡のとれた形でさらに輸入の促進等に努めてまいるつもりであり、特にアメリカ側の高金利やあるいはドル高の是正に努めてまいるつもりであります。
 穀物自給率の問題につきましては、国土資源に制約のある我が国ではやむを得ない面がありますが、今後とも自給力向上の必要性の高い麦、大豆、飼料作物等について生産の振興に努めてまいります。
 次に、食糧自給率の向上に関係いたしまして、食糧自給力強化に関する決議の趣旨を踏まえまして、生産性の向上を図りながら、極力国内生産で賄うことを適当とするものは国内食糧自給率の向上に努めてまいるつもりでおります。
 最後に、防衛費と農林水産関係予算の御質問でございますが、双方とも大事な国政上の機能であり、それぞれ適切に対処いたします。イデオロギー的な誇張や宣伝を行う考えはありません。(拍手)
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
#40
○国務大臣(佐藤守良君) 津川議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、基本法農政についてでありますが、農業基本法制定後、我が国農業は食糧需要の変化に応じた生産の選択的拡大や施設型農業部門を中心とする生産性の向上を実現してきたところでありますが、土地利用型部門における経営規模の拡大の停滞などといった面も見られます。今後農政を進めていくに当たっては、このような状況を十分踏まえて、総合的な食糧自給力の維持強化を基本とし、生産性の高い土台のしっかりした農業の実現を目指して各般の施策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、農産物価格保障等の対策についてであります。
 まず価格政策でありますが、近年農産物需給の緩和等のもとでは、価格の上昇による所得の確保は難しくなってきております。今後は構造政策、生産政策の積極的な推進により生産性の向上を図ることが重要であり、価格政策もこれらとの関連に十分配慮しつつ適切に運用してまいる所存であります。
 次に、肥料等の農業生産資材価格についてであります。
 これら農業生産資材の価格は近年落ちついた動きを示しておりますが、農業生産の安定を図るために、今後ともこれらの価格が適正に設定されるよう努力してまいる所存であります。
 最後に、農家の負債問題につきましては、これまで自作農維持資金の活用、酪農経営負債整理資金の融通等の措置を講じてきているところであります。さらに、今回の農林漁業制度金融の改正におきましても、自作農維持資金の貸付限度額を引き上げるほか、新たに肉用牛経営合理化資金を創設するなど対策を充実することとしております。(拍手)
#41
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#42
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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