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1947/09/19 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 決算委員会 第11号
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1947/09/19 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 決算委員会 第11号

#1
第001回国会 決算委員会 第11号
昭和二十二年九月十九日(金曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 竹山祐太郎君
   理事 竹谷源太郎君
      片島  港君    河合 義一君
      高津 正道君    辻井民之助君
      戸叶 里子君    西田 隆男君
      松本 一郎君    岩本 信行君
      冨田  照君    水田三喜男君
      山崎  猛君    受田 新吉君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
 出席政府委員
        法制局長官   佐藤 達夫君
        法制局次長   井手 成三君
        總理廳事務官  前田 克巳君
    ―――――――――――――
九月十六日
 國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏
 の任免等に關する法律案(内閣提出)(第五八
 號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 國家公務員法案(内閣提出)(第五四號)
 國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏
 の任免等に關する法律案(内閣提出)(第五八
 號)
    ―――――――――――――
#2
○竹山委員長 これより開會いたします。
 本委員會に付託になりました國家公務員法案について審議を進めたいと思います。民主政治の上において、天皇の官吏であつた今までの制度の根本的な改革が國會を通じてしばしば要求され、政府もその準備を進めておつたのでありますが、ようやく今囘その要求に應じて法律が提案になつたのであります。これは國會はもとよりのこと、國民全體が非常に重大なる關心を拂つておる問題でありまして、本委員會としても重大なる決意をもつて審議に當りたいと考えております。なを審議の先にいきまして必要に應じて勞働委員會等と共に同審査をいたす場合が起ろうと思いますので、その點もあらかじめ御了承を願つておきたいと思います。
 ではこれより齋藤國務大臣の提案の理由の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○齋藤國務大臣 この委員會に付託せられましたところの國家公務員法案につきまして、大體提案の理由を説明いたしたいと存じます。
 わが國現在の官吏制度は御承知の通りに明治以來多年の傳統の上築き上げられてきたものでありまするが、日本國憲法の施行せられました今日、ここに舊來の傳統を一擲し、新憲法の精神に則つて、新たな基盤の上に國家公務員の制度を打ち立てるということは、現下の必然的な要請であり、またこのことは新日本建設の大事業を完成する上におきましても、喫緊の要務と存ずるのであります。以上の見地からいたしまして、政府におきましては先般來鋭意これが研究を重ねてまいつたのでありまするが、ここに成案を得まして、國家公務員法案を立案し今期國會の御審議を煩わすことと相なつた次第であります。
 本案は、國家公務員につきまして適用せらるべき各般の根本基準を掲げ、科學的、合理的な基礎の上に民主的な方法で國家公務員を選擇し、かつ指導すべきことを定めまして、眞に國民全體の奉仕者として有能誠實な職員を確保し、もつて國民に對して公務の民主的かつ能率的な運營を保障することを目的とするものであります。
 次に、本案の要點につきまして御説明いたしてみたいと思います。まず本案の適用範圍についてでありますが、本案は國家公務員の職を一般職と國務大臣その他の特別職とにわかつこととしまして、この法律は一般職に屬するすべての職にこれを適用することといたしております。
 次に、この法律運營の中樞機關といたしまして本法の完全な實施を確保し、その目的を達成するため、内閣總理大臣所轄のもとに人事院を設置することといたしました。しかしてこの人事院は、公務員の職階、任免、給與、恩給その他の公務員に關する人事行政の綜合調整に關する事柄等を掌ることといたしましたが、その組織につきましては、人事行政を民主的ならしめると同時に、これが運營の嚴正公平を期するがために、これを構成する人事官の選任方法、身分の保障等に關し所要の規定を設け、本法の趣旨の達成に遺憾なきを期しておる次第であります。
 次に、官職の基本といたしまして、まずすべての國民はこの法律の適用について平等に取扱われ、人種、信條、性別、社會的身分または門地によつて差別せられないという根本基準を定めました。またこの法律においては、從來の官吏の身分的區別はこれを排除することといたしまして、國家公務員の職について、その職務と責任の度合いとに應じた精密なる職階制を採用することとして、國家公務員の任用、給與等はこの職階に應じてなさるべきものといたしたのであります。また職員の採用、昇進等は原則としてすべて試驗によることとして、殊に採用試驗はすべての國民に對して平等に公開せらるべきものといたしまして、任用の公正明朗を期することといたしたのであります。
 次に、國家公務員の能率増進をはかりまする見地から、能率考査の制度を實施し、また教育、訓練、保健、安全保持その他職員の能率増進、福利向上に必要な各般の施設をなすべきことを定めたのであります。
 次に、國家公務員の分限及び懲戒に關しましては、本人の意思に反して罷免その他不利益な處分を行うのは、法律に列擧する事由に該當する場合に限るものとし、なお國家公務員に對する保障として、これに對する不利益な處分について異議があります場合には、これを人事院に訴え、審査を要求し得ることといたしておるのであります。
 次に國家公務員の服務に關しましては、國家公務員は國民全體の奉仕者として公共のために勤務し、その職務の遂行に當つて、全力をあげてこれに専念すべき旨の基準を掲げて、この精神に基いて諸般の服務上の紀律を掲げたのであります。
 以上國家公務員法案につきましてその概要を説明いたしたのでございますが、なおこの機會に、國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏の任免等に關する法律案の趣旨を御説明いたしたいと思います。すなわち國家公務員法の規定は各官職について順次その適用を見るのでありますが、その適用がなされますまでの間の官吏の身分取扱いに關しまして、法制を備える必要があるのでありまして、暫定的の措置でありますので、おおむね從前の例によることといたしたのであります。併せて御審議の上、議決あらんことを御願い致します。
 なお詳細の點は、これより法制局長官から説明をせられることに相なつております。よろしく御審議のほどをお願いいたします。これをもつて大體の説明といたします。
#4
○竹山委員長 引續いて法制局長官佐藤君よりの内容の説明を求めます。佐藤法制局長官。
#5
○佐藤(達)政府委員 それでは私から本案の内容につきまして、少しく詳細に多少の時間を拝借いたしまして、御説明いたしたいと思います。
 この法案は本則が百十條、附則が十四條から成り立つております相當な大法典であります。その内容を大きくわけますと、大體三つの眼目にわかち得るのでありますが、第一は總則、すなわち本法の目的とそれからその適用範圍に關する事柄であります。第二の眼目は、この法律實施のための中樞機關でありますところの人事院に關する事柄であります。次に第三の眼目、これは國家公務員制度の實體をなすものでありまして、これが實體たる各般の根本基準を定めたというようなことに相なる次第であります。
 そこでまず第一の眼目の點でございますが、これは法律案で申しますと、第一章に該當するものであります。まずその劈頭におきまして、この法律はいかなる目的をもつものかということを掲げております。本法は官職についての諸般の基準を定め、職員が公務の遂行に當つて、最大の能率を發揮し得るように民主的な方法でこれを選擇し、かつ指導すべきことを定めまして、もつて國民に對し公務の民主的かつ能率的な運營を保障することを目的とするものであることを明らかにいたした次第であります。
 次にこの法律の適用を受けまする國家公務員の範圍につきましての問題であります。これは法律の第二條に大體あがつておりますが、國家公務員の職を一般職と特別職とにわかちまして、特別職は本法の適用からこれを除外しておるわけでございます。そして何と何とがその特別職に該當するかということは、第二條にその職を全部列擧しておるわけでございます。その列擧された特別職の中の主なるものを申し上げますると、第一の種類としては、從來の自由官職として任されておつた官職、すなわち國務大臣でありますとか、あるいはその他の政務次官、祕書官、これらをまず掲げておりますが、それらを掲げておりますと同時に、なお各省のいわゆる事務次官、それから建設院、終戰連絡中央事務局、これらの役所の長、それから宮内府の長官、これらのものを本案において加えておるわけであります。第二の種類といたしましては、たとえば會計檢査院の檢査官のように、その任命につきまして國會の選擧であるとか、あるいは國會の議決もしくは國會の同意を必要とするというようなことになつております職員、これを特別職として掲げてあります。第三のグループといたしましては、現業廳、それからいわゆる公團等の職員の職を特別職といたしております。第四の種類といたしましては、單純な勞務に雇傭されるものを特別職といたしております。これらの職員は、その仕事の性質が一般の行政職員と違つております。從つてその任用、分限、服務、給與等につきまして、この法律をそのまま適用することは必ずしも適當でないと認めたによる次第であります。なお國會職員、裁判官等もただいま申しましたと同様の趣旨から、これを特別職の中に算えております。
 以上は特別職に屬します主要なものを列擧して述べたのでありますが、これらを除きました國家公務員、すなわち特別職でないもの、これが一般職に屬するもので、この法律の適用を受けることに相なるわけであります。もつともこの一般職の中に含まれております官職の中でも、たとえば外交官、領事官、學校の教員、裁判所の職員あるいは檢察官などにつきましては、その職務の特殊性に基きまして、本法の適用上若干の特例を要するということも考えられますので、これらにつきましては、法律または人事院規則をもちまして、例外規定を設けるの途をこの法律の附則の方で規定いたしております。
 次に、第二の眼目でありますところの人事院に關する諸規定について御説明を申し上げます。この關係の規定は、法律案で申しますと、第二章に當つております。人事院は、この法律の完全な實施を確保し、その目的を達成するために設けられるものでありまして、これは内閣總理大臣の所轄に屬することといたしております。
 まずその組織について申し上げますと、人事院の首腦部は三人の人事官をもつて構成せられまして、その三人の人事官の一人が總裁に任命されることといたしております。この三人の人事官が人事官會議を構成いたしまして、その会議によつて人事運營の重要事項をきめていくという建前にいたしております。
 そこで人事官の任命につきましては努めてこれを民主的ならしめまするとともに、内閣の專斷を避けようという意味で、これらの任命については特に兩議院の同意を得て内閣が任命するということにいたしました。人事官は天皇の認證官といたしまして、相當高い地位を認めておるわけであります。しこうしてその任期は六年といたしております。
 次に人事官たるべき者の資格要件をこの法律では相當詳しく掲げまして、人格が高潔であり、民主的の統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の處理に理解があり、かつ人事行政に關し識見を有する年齡三十五歳以上の者たるを要するというふうに規定いたしておるのでありますが、かような條件を特に掲げましたのは、人事行政の民主的なかつ中正なる運營及び科學的、合理的な人事管理を主眼といたしておりまして、本法案の趣旨の達成に遺憾なきを期せんとするに出でたものにほかならないのであります。なお本案は人事院の公正中立を確立いたしますために、人事官同士の間に同じ政黨に屬する人でないように、あるいはまた人事官同士の間に同じ大學學部の同じ學科を卒業した者でないように、所要の制限を設けますとともに、人事官の身分を保障いたしまして、その退職の事由は法律をもつて列擧いたし、またその罷免の場合につきましては心身の故障、職務上の義務違背等の場合におきましては、内閣總理大臣の訴追に基く最高裁判所の彈劾裁判を必要とするということにいたして、身分を保障いたしておる次第でございます。
 以上がこの人事官の關係でございますが、なお人事院にはこの人事官の下に事務總局を設けております。この事務總局には事務總長以下所要の職員を所屬させまして人事院の事務を掌らしめることといたしております。
 次は人事院の權限についての事柄であります。人事院の權限は一口に申し述べますれば、この法案の第三條にも簡單に掲げてありますが、各廳職員に關する人事行政の總合調整及び職員の試驗に關することを掌るということになるのでありますが、要するに人事院は本法施行の中樞機關でありますからして、その個々の具體的の權限というものは本法の隨所に現われておる次第でございます。そのうち主要なものについて申し上げますと、まず人事院規則の制定、改廢の權能であります。すなわち人事院はこの法律の執行に關しまして必要な事項について内閣總理大臣の承認を得て、人事院規則を制定し得ることといたしております。本法案におきましては、本法實施の細則は別に法律で定められますもの以外は、おおむね人事院規則をもつて定むべきものと考えております。これは主として人事管理上の諸準則が專門技術的な性格のものであるということによるのであります。傍ら人事院の總合的、中立的の立場を基盤として、これらの諸準則の一元性及び公平中立性を期待せんとするによるものでございます。右のほか人事院の具體的權限といたしましては、おもなるものとしてこれはまたその場その場で後に申し述べる機會があるのでありますが、簡單に申し上げてみますと、まず職階制の立案、給與の關係で給與準則の立案、試驗及び選考の實施、恩給制度の立案、公務傷病等に對する補償制度の立案、職員からの不服の申立てについての審査、人事行政に關しての勸告等の權限があるわけでございます。
 以上は人事院の組織權限についての大要でございますが、なお人事院と各省との緊密な連絡をはかりますために、各省の人事主任官、たとえば人事局長とか、人事課長というような各省の人事主任官をもつて構成いたします人事主任官會議というものを設けることにいたしまして、人事行政全般の圓滑なる運營を期しておる次第でございます。
 次は第三の眼目であります國家公務員制度の本體をなす事柄について、この法律案におきましては、第三章として種々の規定を設けておりますが、それらについて御説明をいたしたいと思います。
 すなわち第三章におきましては、職員の試驗、任免、給與、分限、懲戒、服務、恩給等に關する事項を定めておるわけであります。まず第一點といたしまして法案で申しますと、第三章の第一節にあげておりますが、まず通則として「すべて國民は、この法律の適用について、平等に取り扱われ、人種、信條、性別、社會的身分又は門地によつて、差別されてはならない。」という旨の原則を掲げて國民が官職を占めるにあたつて日本國憲法第十四條の趣旨が堅持せられなければならぬということを明示いたしますとともに、他方この法律に基いて定めらるべき給與でありますとか、勤務時間でありますとか、その他勤務條件に關する基礎事項は、社會一般の情勢の變化に即應すべきものであるという旨の原則を定めておるのであります。
 次は職階制に關する規定であります。これは法律案で申しますと、第三章第二節に掲げております。この法律は職階制をもつて人事管理の基準としておると申し得るのでありまして、この職階制の骨子はすべての官職を職種と等級、この二つに區分いたします。すなわち縦横に區分をいたしまして、職務と責任の類似性によつてこれを科學的に分類をいたし、かくして精密に分類せられました官職にして同程度の資格要件を必要とし、または同程度の給與を與えるようにしなければならぬということがその骨子なのであります。御承知のように、現在の制度で申しますと、役人の種類といたしましては事務官、技官、教官と大きく三つにわけ、また等級の面から申しますと、一級、二級、三級というように非常に大まかな分類がせられておるのでありますが、今後はただいま申しましたように、職階制によつて非常に精密な分類がなされることになるわけであります。この分類作業はきわめて困難な事業でありますために、とうてい一朝一夕に全面的の職階制の確立を完成することは困難であります。從つて職階制の確立は人事院の最も重要な任務でありますが、實施の面については可能な部分から實施をしていつて、逐次すべての官職に及ぼしていこうという建前にいたそうとしておる次第でございます。
 次は試驗と任免に關する事柄であります。法案の方で申しますと第三章の第三節に掲げてございます。この任用と申しますのは、新規の採用、それから昇任、轉任、降任、この四つの場合を含んでおるのでありますが、いずれの場合につきましても、情實を排除いたしまして、もつぱらその者の實際の能力、すなわち試驗の成績、勤務の成績その他能力の實證に基いて適材を適所にすえてこれを活用することが根本基準であります。爾餘の諸規定はいずれもこの根本基準に則つて定められておる次第であります。
 職務に對する任命等の人事權は、等級に應じましてあるものは内閣で任命する。あるものは内閣總理大臣が任命する。あるものは各省大臣その他各役所の長が行うのでありますが、官職に缺員が生じました場合にこれを補充する方法といたしましては、任命權者は、先ほど申しました採用の方法によつて補充する、あるいは轉任の方法によつて補充する、あるいは昇任の方法によるもの、降任の方法によるもの、いずれによることも自由であるという建前にいたしております。ただ特別の場合には人事院が任命方法を指定することがあるということを示しております。
 そこで職員の新規の採用の場合を申し述べますと、これは競争試驗によることが原則になつておりまして、その試驗は官職の分類に應じまして人事院の定める試驗機關がその試驗を行う。これにつきましては最低限度の受驗資格を設けることは認められておりますが、それ以外においては公開の原則によりまして、何人も受驗し得るようにしなければならぬということを定めております。かように競争試驗によることが新規採用の原則でありますが、もつとも人事院の承認のありました特別の場合には、公開の競争試驗によらないで選考の方法によつて採用する途が開かれております。
 次に先ほど申し述べました昇任の場合であります。これも原則として下級の在職者の間における競争試驗によることにいたしておりますが、この場合につきましても、競争試驗を不適當とする特別の場合におきましては、在職者の從前の勤務實績に基く選考等の方法によることもできることといたしております。
 以上のように競争試驗によつて採用あるいは昇任を行おうとする場合においては、任命權者が一人の缺員を補充しようという場合には、まず任命權者の方から人事院に候補者の推薦を申し入れるわけでございます。そうしますと、人事院はあらかじめ成績順でいわゆる任命候補者名簿をつくつて人事院にもつておりますからして、一人の缺員に對して補充の申込みが任命權者の方からございますと、人事院といたしましては、最高點の者から五人の候補者をただいま申しました名簿の中から選びまして、これを推薦するのでありまして、任命權者はこの五人の中から一人を選ばなければならないという拘束を受けるわけであります。
 なお新規採用の場合におきましては、原則として職員の採用は一應六箇月の期間は條件附きの任命をするということにいたしておりまして、その條件附き任命の期間中に、その者がその官職についての適格性を示しました場合に初めて本任用となるという建前にいたしております。これは新規採用の場合だけであります。
 以上申し述べましたのが本來の任用手續でございますが、緊急を要する場合など、この本來の手續によることのできない場合も想像できますので、さような場合は一定の條件のもとに、臨時に職員としての任用を行い得るという途、一種の臨時職員の任用の特例を設けております。
 次に申し述べますのは、職員の給與に關する事柄でございます。これは法案におきましては、第四節としてあげております。まず給與は、官職の職務と責任に應じたものでなければならぬという根本基準を掲げました。この趣旨はできるだけ速やかに、かつ現行制度に適當な考慮を拂いつつ、可能な範圍で達成せらるべきものであるというふうに定めておるのであります。しこうしてこの給與は、法律で定める給與準則に基いてなさるべきものといたしまして、人事院は職階制に適合した給與準則の立案の任務を有するということといたしております。なおこの給與準則には、俸給表を規定すべきことといたしましてその俸給表には、職階制による一つ一つの等級ごとに一定の幅をもつて俸給が定められる。かつそれは、生計費、民間における賃金その他の事情を考慮して定めらるべきことを要求しておるのであります。なお給與に關しましては、人事院は適法かつ公正なる給與の支拂が行われることを確保いたしますために、各廳を監視する任務を與えられておりまして、給與簿を檢査し、必要があるときには、その取扱いの是正を命ずるというような權限を有しておるのであります。
 次の事柄は職員の能率に關する事項でございます。これは法案で申しますと、第三章の第五節として規定いたしております。この職員の能率に關しましては、これが十分に發揮され、かつその増進がはかられなければならないという、根本基準を明らかにいたしました。これがために勤務成績の評定、竝びに能率増進計畫の樹立及び實施等について規定いたしております。從來職員の能率増進に關する科學的ないし計畫的な措置は、遺憾ながらきわめて不十分でありましたので、この缺點を是正いたしまするために、本案におきましては、まず人事院の定めるところに則つて、所轄の行政廳の長はその職員の執務について、定期的に勤務成績の評定を行う。昔ありました考課表というものに似たようなことになると思いますが、勤務成績の評定を行い、職員の勤務に遺憾なきを期することといたしました。しかしてこの成績表をもつて職員の昇給、昇任あるいは降任免職等の際の公正なる扱いの基礎資料としようというわけであります。他方、先ほど觸れましたように、積極的の施設といたしましては、人事院の總合的の企畫のもとに、關係各廳の長は、職員の教育訓練、保健、元氣囘復、レクリエーシヨン、安全保持、厚生に關する事項について、具體的計畫の樹立及び實施に努め、積極的に職員の能率向上、福利の増進に資せなければならぬということといたしておるのであります。
 次は職員の分限、懲戒、公務傷病に對する補償に關する事柄でございます。これは法律案としては第六節としてあげております。まずこれらの事柄はすべて公正に行われなければならないという根本基準を明らかにいたしまするとともに、分限に關しましては身分保障、缺格による失職、本人の意に反する降任及び免職、本人の意に反する休職、その休職の效果等についてそれぞれ規定いたしました。申すまでもなく、職員は國民全體の奉仕者として安んじてその職務に專念できるようにいたさなければならないのでありまして、これがために本法案におきましては、法律に定める事由による場合のほかは、本人の意に反して降任、休職、または免職されることはないということといたしまするとともに、俸給を降すすなわち降給の場合におきましては、人事院規則に定める事由に該當する場合にのみ降給されるということといたしまして、職員の身分を保障いたしたのであります。たとえば免職降任の場合の理由といたしましては、法律をもつてその理由を限定いたしまして、すなわち勤務成績の不良の場合、心身の故障の場合、及び官職に對する適格性を缺如している場合、これを掲げました。また休職の事由といたしましては、心身の故障のために長期の休養を要する場合、それから刑事事件に關して起訴された場合を法律で列擧いたしております。しかして休職の場合、休職者につきましては、その休職期間が一年を經過いたしますれば、當然退職するということにいたしております。なお懲戒に關しましては、懲戒處分は、免職、停職、それから減給または譴責、この四つの種類といたしました。懲戒原因といたしましては三つを掲げております。すなわち第一は、本法または人事院規則に違反した場合、第二は、職務上の義務違反、または職務怠慢の場合、第三として、國民全體の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合、この三つを掲げておるのであります。從來官吏の懲戒につきましては事前の手續として、原則として懲戒委員會に付議することと相なつておつたのでありまするが、本案では懲戒原因があります場合には、任命權者がただちに處分を行い得るものといたしました。後に述べまする人事院の事後審査による救濟是正の途を設けまして、處分の公正を期する建前といたしたのであります。以上は原則でありますが、先ほどちよつと觸れました臨時的職員、それから條件つき任用期間中の職員等に關しましては、その立場の特殊性に鑑みまして、分限の規定を適用しないことにいたしております。
 次は保障に關する規定であります。職員の勤務條件、あるいは職員の意思に反する不利益な處分に關しまして、職員に對して發言の機會を與え、分限及び懲戒等の公正な運營を確保いたしまするための裏づけといたしまするとともに、すべての職員をして欣然として積極的に職務に專念することを得しめようとの趣旨から、保障に關する規定を設けておるのであります。その内容は實體は二つございますが、一つは職員が俸給、給料その他の勤務條件に關しまして、人事院に對して、人事院または所轄の役所が、適當な行政措置を行うようにとの要求を申し出る途を開くことといたしました。そうしてこの要求がありました場合におきましては、人事院は、事案を審査判定いたしまして、必要があるときには、一定の措置をとるべきものといたしております。
 それから保障の第二のものといたしましては、職員がその意に反して休職される、降給される、降任される、あるいは免職その他著しく不利益な處分を受けました場合、あるいは懲戒處分を受けました場合におきましては、その處分の際に處分の理由等を記載した説明書を本人に交付する。そうして一定の期間内に本人から人事院に審査の請求を求めることができるようにいたしました。この審査の請求がありました場合におきましては、人事院は事案を審査いたしまして、處分の正當なときはこれを確認いたします。それからもとの處分が正當でないときには、これが是正について所要の措置をとるべきことといたしておる次第でございます。なお保障の一つといたしまして、公務傷病に對する補償について所要の規定を設けております。
 次は服務の關係、いわゆる服務規律の關係の事柄であります。まず第一にこの關係におきましては、「すべて職員は、國民全體の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に當つては、全力を擧げてこれに專念しなければならない。」ということを根本基準として明らかにいたしました。さらに服務の宣誓でありますとか、法律命令、それから上司の命令に從う義務、信用失墜行為の禁止、祕密を守る義務、職務に專念する義務、政治的行為の制限、私企業からの隔離、他の事業または事務の關與制限等について規定を設けております。大體この職員の服務に關しましては、從來官吏服務規律にも相當詳細に規定があつたのでありまして、今囘の規定の中にも、趣旨においてこれと大差ない事項も多いのでありますが、次の諸點につきましては、さつきもふれました服務の根本基準に照しまして、特に規定を設けました。すなわち國家公務員の自覺に徹せしむるために、新たに宣誓の義務を規定する。それからまた國民全體に對する奉仕者として、純心に中立な立場で職務に專念すべしという、公務員としての本質に鑑みまして、政黨または政治的目的のために、寄付金その他の利益を求め、またはこれを受領するというような種類の行為を禁止いたしました。さらに特別の場合のほかは公選による公職の候補者となること、それから政黨またはその他の政治的團體の役員となることを禁ずることといたしております。さらに職員に對しましては商業、工業等の營利を目的とする、いわゆる營利企業の役員、顧問、評議員等の兼職を禁じまするとともに、みずから營利企業を營むことを禁止いたしております。なお職員の在職中における職務執行の公正をはかりますために、退職した後二年間は、原則としてその者が退職前二年間に在職しておつた官職と密接な關係にある營利企業を代表する地位に、就職してはならないということを定めております。また營利企業の關係におきましては、株式所有の關係でありますとか、その他の特別の關係によつて、當該營利企業の經營に參加し得る地位にある職員につきましては、職務遂行上特に留意する必要がございますので、本人の株式所有の關係その他の企業との關係について、報告をとることができるというふうにいたしまして、人事院がこの報告をとりまして、これに基いてその企業との關係の存續が適當でないと認めまする場合には、その旨を通知し、さらに進んでは職員がその企業との關係を絶つか、あるいは官職の方を退くか、どつちかしなければならぬというようなことといたしておる次第でございます。
 次は恩給に關する事項でございます。これは法案の方では第八節としておりますが、恩給制度は公務員として相當期間忠實に勤務して退職した職員の、老後の生活に資するために、必要な所得を與えるというようなことを、主要な眼目とするものであります。現行の恩給制度の趣旨にほぼ類似したものでありますので、受給者の範圍でありますとか、その内容等につきまして、今後十分人事院におきまして研究を重ね、現行制度の改むべき點は改められていくということになると考えておる次第でございます。
 以上が大體實體についての御説明でございますが、以上のほかにこの法律は第四章として、所要の罰則を設けております。
 さらに最後に附則をもちまして、本法の施行期日、その他本法の施行について必要な經過的措置等を規定いたしております。これについて一言御説明申しますと、すなわち本法の施行期日は明年の七月一日といたしております。そして最初に觸れました人事院は、昭和二十四年の一月一日には遲くとも設置されなければならないということにいたしておるのでありますが、その本格的の人事院の設置されますまでの暫定的の措置といたしまして、本年の十月一日から臨時人事委員會というものを、内閣總理大臣の所轄のもとに置くことにいたしております。この臨時人事委員會は委員長、それから委員二人、すなわち委員長を併せまして三人のメンバーをもつて組織されまして、これがこの法律の施行に必要な範圍内で、人事行政一般に關する調査、その他本法實施の準備の事務を掌ることにいたしまして、明年七月一日になつて本法が施行されました後は、すなわち七月一日以後は、この法律に定めておりますところの人事院の職權を行うものとされておるのであります。
 なお附則の問題といたしましては、任用制度等、この法律によりましての新しい制度の切替が行われる。その制度の切替の際においての現職の役人についての處置の問題であります。この現職者の處置につきましては、人事院の指定する日に、その指定する官職に在任する者、これは簡單に申しますと、その制度の切替の日に、ちようど切替の行われる官職に在任しておる者というような趣旨でありますが、その者はこの法律によつてその官職についたものとみなされるということにいたしております。すなわちそのままその職に留まるという形になるわけであります。ただ各省の局長でありますとか、あるいは部長でありますとか、次長であるとかいうような特定の官職に在任する者につきましては、扱いを別にいたしまして、それらの人はその際に臨時的職員に任用されたものとみなすということにいたしました。新舊制度の移り變りに伴う人事運營上の支障を防ぎつつ、しかもこれらの主要な地位におります者につきましては、少しでも早く新しい制度による人事の更新がなされることを期しておるわけであります。以上國家公務員法の概要を御説明申し上げたのであります。
 なお先ほど大臣から御説明がありましたもう一つの簡單なる法律の方でありますが、これは公務員法の條文が本格的に適用になりますまでの間は、從前の法令によるということを定めました暫定法であり、別に取立てて御説明するまでのこともないと存じますので、公務員法案と併せまして御質疑に應じまして、お答えをすることといたしたいと存じます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#6
○竹山委員長 ただいまの説明に對しての御質疑は、次囘の委員會において行いたいと思います。特に齋藤國務大臣に對しての御質問等があれば、この際御發言を願います。
 別にないようでありますから、本日はこれにて散會をいたします。
   午前十一時三十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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