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1947/11/05 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会海難審判法案に関する小委員会 第3号
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1947/11/05 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会海難審判法案に関する小委員会 第3号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会海難審判法案に関する小委員会 第3号
  付託事件
○海難審判法案(内閣送付)
昭和二十二年十一月五日(水曜日)
   午前十時三十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○海難審判法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小林勝馬君) これより本日の会議を開きます。十月二日第四回の開会をいたしましてからの引続き御質問をお願いいたします。
#3
○小泉秀吉君 この前の最終の小委員会のときにお渡しを願つたあの海難審判法施行規則要綱案抄というのがございますが、これと附随して相当いろいろ御説明や論議があつたので、私も初めてこれ承知して、あといろいろ考えてみたのですけれども、どうもこういうふうなことを附帶にして行くのだということになると、法律案に対して大分大きな制約ができることになるようなんですけれども、これは政府の方ではこれをどういうふうなお扱いになるというおつもりなのか、それを一應伺つて、その上で少し私はこれに対して意見を述べたいと思うのですが……
#4
○政府委員(大久保武雄君) 只今小泉委員から御質問になりました施行規則要綱案の取扱いにつきましては、本案は取急ぎ作案をいたしました次第でありまして、今後海難審判法の改正につきましては改正委員会が設置されて、その委員会に付議いたしますと共に、從來海上労働関係法規及び海難審判法等につきましては常に公聽会を開きまして、その議を経て法律及び政令とも制定をいたしております関係上、從來の手続によつて最終決定をいたしたいかように思います。
#5
○小泉秀吉君 今の政府委員の御説明であると、これは早急に一つの腹案みたようなものを出したのだが、実際する時分には法律が決まれば、いわゆる施行規則の法律に相当大きな根幹をなすのだから、法律を作る時分に掛けた委員会、或いは公聽会でこうしたようなものを更に新たに審議する、こういうようなふうに了承していいのでございましようか、改め諄いようですが政府委員にお伺いします。
#6
○政府委員(大久保武雄君) 本要綱は更に本委員会の御意見及び一般関係者の公論に徴しまして、必要なる分につきましては、適宜な措置を講じまして最終決定をいたしたい、かように考えております。
#7
○小泉秀吉君 念のために……私この要綱案にこだわるようですが、そういうふうな政府委員の御説明なら敢えてこの際私の希望といいまするか、意見といつたようなものを言わんでもいいようなことなんですけれども、政府委員に対する私見として申上げて置きたいと思うのですけれども、この第一のところに、政府の案に……案じやないかも知らんが、一つの腹案によると、十四日以上経過しなければ審判開始にならないというような意味に取れますのですけれども、私共の考えでは、海難審判はできるだけ眞相を最も確実に把握して、いろいろな証拠その他のものを新らしいところで審判するというのが一番便宜でもあるし、又本当の審判ができるのじやないか、私共過去においてこういうことに多年携つておつた時分の経驗からいうても、どうも時期が経つと事実の眞相が非常に明快を欠くようになり、又或いは作意的に事実或いは証拠が歪曲されるというような傾向が必ずしも少くなかつたというような経驗からいたしましても、成るたけ早く審判するというふうにして欲しいと思うのです。だからして法律において決めたのを、今度法律を施行するときにわざわざ十四日以上経過しなければいかんというようなことをここに決めてそこに日にちの余裕を置いて即決即断できるのを、わざわざ遅らす。愼重審議という意味に捉われ過ぎるのではないか。こういうふうに考えまして、私はこの日数はむしろそういう余計なことをしないでも、第四十六條の行き方で差支えないのじやないか又それが海難審判をするというような趣旨にも合うのではないか、こういうようなことを私は考えておるのであります。
 それからこの要綱の中には、正当な事由があれば審判を延期するというような表現もあるようですけれども、その正当の理由というようなことは病気だとか、交通事故だとかというような不可抗力に限定すれば格別、ただ正当な理由というような表現であつて、そうして故意に海難の審判が遷延されるというようなことに持つて來ろ慮れは必ずしもないでもないのですが、もともと海難審判をするというそれ自体が公共の福祉を増進するためであるので、海難の当事者自身であるとか、海難の原因について重大な関係を有する者は、海難の発生防止という公共福祉のため或る程度基本的に制限せられるということも必らずしも不当ではなかろう。憲法の條章からいうても、「國民の権利については、公共の福祉に反しない限り」云々というような表現もあるのですからして、この審判の時期というようなものを選ぶのに、正当な理由があればというようなことで特に延ばすようなことをして欲しくない、こういうのが私の一つの観点であります。
 それからもう一つ別な点は、理事官をしてこの抗告をせしめるというその建前でありますが、理事官は一体公益の代表として審判の開始を申立てて、そうして審判の秩序を維持し、且つ第二審の請求をなす権限を有するということになつておるので、そうした理事官に対して、上司の命令で、理事官の意思に反してでも、被勧告者の意思を第二審に理事官をして傳えせしめるというようなこと、即ち理事官をして異議の申立を被勧告者に代つてさせるというようなことは、理事官自身の職務の、或いは権限からいいまして理事官の独自の見解というものを或る程度制約するという結果になるので、この点は私はどうしても法律の上からいうて、そうした理事官の自由裁量を制約するという規定は面白くないと思うのであります。
 それから第三点であるのですが、これは受審人の立場から申します時分に勧告をされた人の利益、或いは権利といいますか、そういうものを主張し、或いはそれを取上げるために、受審人自身がときによつては非常に有利に立廻る場合もあるかも知れませんが、又反対に迷惑を持越すということもあり得ると思うのです。第一審と第二審が必らずしも一緒になるというようなことは考えられないし、又そう考え得るならば第二審の必要はないのでありますからして、仮りに第二審において被勧告者の抗告によつて、第一審よりもより重い裁量が受審人に與えられた場合は受審人の立場からいえば非常な迷惑であり、非常な困憊に陷る。又そういうことに立至らんにしても、第一審で解消されたものが、被勧告者のために第二審の終了までいろいろそれに拘わり合つたり、煩わされるということが非常に迷惑であり、又この法律の建前からいうても、大体受審人が……海難防止の目的であるというけれども、同時にそれは受審人を主にした大体これは懲戒法であると思うのでありますからして、そういう意味においてやはりこの被勧告者の上告権というものは、この法律の程度に止めて置いてもよいのじやないか。むしろこの原案のままにして、そうしてこうした政令を以てそれに或る制約を加えるというようなことには賛成し兼ねる、こういうのが私の意見であります。
 併し私の意見はどうであろうとも、政府の方のお考えでは、今伺いましたような最も公平な、又関係者或いはそれに堪能な経驗知識を持つた方々の意見をこ参照して、そうして決めるということであるから、私の意見を敢えて特に主張はいたしませんけれども、この際御参考のために委員としての意見を申上げて置きます。
 それで私は全面的にこの法律案、審判法案にはこのまず賛成するものであります。
#8
○丹羽五郎君 今小泉君の御意見一應伺つておると尤もらしいことに見られますけれども、一つの仮定説を行つた議論であつて、何ら議論の根拠が有力じやない、かように考えております。尚この被勧告者に対して云々ということについて受審人が迷惑する。受審人が迷惑する場合には被勧告者も迷惑しなければならんということであつて、ただ私の在来から主張しておつたのは被勧告者を一審において処断すべきものでないというのが私の持論であります。又かくすることが即ちこの海難審判法を拵えた立法の精神であつて、即ち海難を幾分でも防止するというのがこの立法の精神であろう、私はかように考えておりす。
 それからこの被勧告者ということについて、衆議院においてもこの勧告に対してはもう少し強力にやつたらどうかというような附帯條件が附いております。かく程に勧告ということについてはこの法案の中においては、重大な私は一つのこれがポイントではなかろうかかように考えております。仮りに被勧告者に対して、それが責任があればその責任は十分とつて、再びそういうことをしないようにやる。併し又被勧告者のかく程に重大な立場におるならばそれの抗弁権も認めてやらなければならんというのが、私在來の主張であつたのですが、外に小泉君のこの四の点についての意見については、別に私はこれは同君の意見に同調しても差支えない、かように考えておるのですが、被勧告者の立場に対しての抗弁権というものは、絶対にこれは認めてやらなければならん。衆議院においてもこの勧告というものに対しては、この法案として一番これを重点に考えておる点であります。ただ私委員としての意見を述べます。
#9
○委員長(小林勝馬君) どうしましよう、皆さんにお諮りしたいのですけれども、この御希望なり何なり出揃つたようでありますけれども、施行期日の期限という問題はどういうふうにしたらよいでありましようか。
#10
○小泉秀吉君 施行期日の期限は、この前何か政府に腹案があるから、政府の方で調べるということになつたように記憶しておるのですが、何か政府の御意見があるのではないでしようか。
#11
○政府委員(大久保武雄君) 施行期日につきましては、政府といたしましても成るべく本法律案成立の上は速かに実施をいたしますように努力をいたしたいと思つております。最大努力をいたしまして、まあ三月一日までには何とか施行の段取にいたしたい、こういうふうに見通しをいたしております。
#12
○委員長(小林勝馬君) 私からお聽きしたいのですが、これは何か法律の期日をどういうふうにか修正するというようなこの前お話であつたと思いますが、その條文を読み上げて御説明願いたいと思います。
#13
○政府委員(大久保武雄君) 附則「この法律施行の期日は政令でこれを定める。但しその期日は、昭和二十三年三月一日以後であつてはならない。」かようにいたしたらいかがであろうか、かように考えております。
#14
○委員長(小林勝馬君) 皆さん御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(小林勝馬君) 皆さんにお諮りいたしたいのでありますが、これを以ちまして質疑の方を打切つてよろしうございましようか。御異議はございませんか。御異議ございませんようですから、これを以ちまして質疑を打切りまして討論に入りたいと思います。
#16
○村上義一君 いろいろ本法の審議につきましては、御意見が各委員から出たのであります。特にこの本法の施行規則要綱案を当局がお示しになつてから種々の意見が出たようであります。元來この法律は左程厖大な法律案ではないのでありますが、命令に委任してある個所が随分多いのであります。特に当局がお示しになつた施行規則要綱などは、特に重要な事項であると思うのであります。法律の内容が命令によつて左右される場合も少くないのであります。慎重に委任命令は審議をする必要があると思うのであります。
 次に先刻大久保政府委員からの御説明によりますと、この本法立案のために、運輸省内に設けられました特別委員会において、この施行規則の要綱のごときもまだ審議に付してないようであります。それで私は本委員会におきまして、各種の意見が出たのでありますが、これらの意見を十分取入れて、運輸省内における特別委員会の議に付せられて、慎重に審議をして貰いたいと思うのであります。このお示しになつておりまする施行規則要綱の各項目については勿論のこと、その他の委任命令事項におきまして、特に重要なる事項については、運輸省内の特別委員会の議に付して、慎重に審議をして貰いたい。又要すれば、進んで公聽会をも開いて審議の参考に取入れて貰いたいと思うのであります。本法自体は、私としては賛成する者であります。それで本法審議期間満了も切迫しておりますし、只今も申上げましたごとく、運輸省内の特別委員会で、施行規則要綱その他重要なる事項について慎重に審議をせられるということにして、私は賛成をしたいと思います。
#17
○新谷寅三郎君 私もこの法律案には賛成する者でありますが、賛成するに当りまして、一二希望を申上げて置きたい。先般来申上げましたように、この法律案は、海難の原因を探求して、その発生の防止に寄與するのが目的でありますが、発生した海難を調べて、その原因がどこにあるかを探求するまでもなく、現在我が國の海上の安全に関するいろいろ施設は極めて不備であります。政府当局から過般提出せられました資料によりまして見ますると、海上の安全に関する予算としては、殆んど見るべきものがないのであります。この法律案の完全な実施を待つまでもなく、現在早急に着手すべきいろいろの事項があると思うのであります。この法律案の趣旨を生かすためにも、政府は速かに航路標識の増設、或いは修理、又は航路の警戒に必要な措置、細かい問題でありますが、船舶に備え付けます船燈の備付け、或いは船員に対しては海上衝突予防法その他の法規に規定してあります航方の嚴重な励行等につきまして、速かに適切なる措置を取られることを希望するのであります。
 それからもう一つは、委員会でも質疑應答があつた点であるますが、これは相当制度としては重要な問題がありますから、尚多少の研究の余地はありましようが、官選の補佐人と申しますか、特別の補佐人の制度については、從來の海難審判の実例に徴し、又その経驗に徴しまして、自分の費用で補佐人を選任したる、いわば小型船の乗組員の利益を一方で持つと同時に、これらの人々によつて惹起せられました海難の原因を十分に探求するためにも、特別補佐人の制度につきましてできるだけ近い機会にこれを実現するように、政府において考慮せられたいのであります。
 この二つのことを希望意見として申上げまして、この法律案に賛成をする者であります。
#18
○丹羽五郎君 私は先般の委員会において政府の意見を十分に聞き質して、そうしてこの要綱に基くことによつて本案に対して賛成をするということは過日の委員会において十分私は述べておるのでありまして、尚政府において新らしく何か委員会においてこの要綱案を檢討するということでありましたが、在來から主張しております被勧告者の権益を十分に認め、十分に保護してそうしてこの法案を十分意義あらしめるようにして見たい、かように考えておりますから、前の委員会において述べましたごとく、この法案に対しては前委員会の意見を主張いたしまして、この法案に賛成する次第であります。
#19
○委員長(小林勝馬君) 別に御発言もなければ、小委員会といたしましての採決をいたしたいと思いますが、御異議ない方は御起立を願いたいと思います。
#20
○村上義一君 附則の修正の方はどうなりますか。
#21
○委員長(小林勝馬君) 修正は先程お諮りいたしましたけれども「この法律施行の期日は、政令でこれを定める。但し、その期日は、昭和二十三年三月一日以後であつてはならない。」いわゆる二月二十八日までに施行するという意味でございます。それで先程皆さん御異議ないとおつしやつたから、異議ないと思つておつたのでありますが……。
#22
○政府委員(大久保武雄君) さつき三月一日までという表現で説明いたしましたが、「まで」というと三月一日が入つておることになりますので、それは二月二十八日までということに説明を訂正いたします。
#23
○委員長(小林勝馬君) 附則の方は「三月一日以後であつてはならない」というのが成文であつて、説明の方で二月二十八日までという意味なんであります。御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#24
○委員長(小林勝馬君) 満場一致御賛成と認めます。本日の会議はこれを以て散会いたします。
   午前十一時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     小林 勝馬君
   委員
           丹羽 五郎君
           小野  哲君
           大隅 憲二君
           小泉 秀吉君
           村上 義一君
           新谷寅三郎君
  政府委員
   運輸事務官
   (海運総局船員
   局長)     大久保武雄君
ソース: 国立国会図書館
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