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1947/09/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 決算委員会 第12号
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1947/09/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 決算委員会 第12号

#1
第001回国会 決算委員会 第12号
昭和二十二年九月二十五日(木曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 竹山祐太郎君
   理事 竹谷源太郎君
      片島  港君    河合 義一君
      高津 正道君    辻井民之助君
      戸叶 里子君    馬越  晃君
      中曽根康弘君    西田 隆男君
      松本 一郎君    冨田  照君
      宮幡  靖君    受田 新吉君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
 出席政府委員
        法制局長官   佐藤 達夫君
        總理廳事務官  前田 克巳君
        行政調査部公務
        員部長     淺井  清君
    ―――――――――――――
九月二十三日
 商工省窯業課を窯業部に昇格の請願(早稻田柳
 右エ門君紹介)(第六九三號)の審査を本委員
 會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 國家公務員法案(内閣提出)(第五四號)
 國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏
 の任免等に關する法律案(内閣提出)(第五八
 號)
 決算委員會、勞働委員會、財政及び金融委員會
 連合察査會開會の件
    ―――――――――――――
#2
○竹山委員長 これより會議を開きます。
 國家公務員法及びほか一件については、十九日に齋藤國務大臣及び法制局長官より政府提案理由の説明を承りまして、引続いて本日からこの審査に當たりたいと考えます。非常に關係する部分が廣汎でありますが、特に労働委員會の方よりは連合審査の希望の中出もありますので、本日は總括的に本委員會において御審議を願い、明日労働委員會との連合審査を十時より開きたいと思いますが、御審議がなければさように決定をいたしたいと思います。
 なおこれは決定的なものではありませんが、財政、全融の委員會との關連は、まだ財政金融の委員長と正式に話合いをしておりませんので、後刻話合いの結果あるいは同時に連合審査をお願いする方が適當であるかもしれぬと思いますので、これもあらかじめおふくみおきを願つてご了承願います。
 なお本法案の中には附則において臨時人事委員を十月一日より設置することに政府原案がなつておるのであります。これはきわめて廣汎かつ重大な法律で付託以來各政黨とも極力御審議をいただいておつたのでありまして、影響するところきわめて重大な法律でありますだけに、十分な審議をいたさなければならぬのでありますが、政府原案によりますれば、十月一日より臨時人事委員をおくということになると、この法案の審議にはなはだ拘束を感ずるのであります。もちろん本委員會において皆さんの御趣旨よつて修正をし得るわけでありますが一應かような政府原案を出された政府の準備その他に關連をして、政府の意向を一應伺つて、われわれの審査の心得といたしておきたいと考えます。この點について政府の見解をあらかじめ伺つておきたいと思います。
#3
○佐藤(達)政府委員 本案はごらんの通りの畫期的の改革案でありまして、しかもその實現は一日も早くなされねばならぬ性質のものでございます。從いまして本件の實施準備をいたしまする役所をして臨時人事委員會を設けて、その臨時人事委員會を設けるのは十月一日からという形で規定いたしておるわけであります。その趣旨は、ただいま申しましたような、根本の考えからいたしまして一日も早く施行に著手したいという氣持からかようになつておるのであります。從いまして政府といたしましては、その氣持で十月一日ということにいたしておるのであります。時日の關系もよほど切迫いたしておりまして、實際上不可能なことをお願いするわけにもいかないというように考えている次第でございます。
#4
○竹山委員長 それではこれより質疑に入りたいと思います。片島君。
#5
○片島委員 政府案の發表が私たちが考えているよりも遅かつたためにこの法案の内容を十分に研究審議することができなかつたのでありますが、私たちの方では、黨といたしまして政務調査會で特別委員會をつくつて、二箇月以前から案を審議しておつたわけであります。その骨子となりますものは、憲法第四十一條にいう國會は國權の最高機關であるということ、竝びに第十五條にいう「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の權利である。」というようなことを骨子といたしまして、日本の官僚制の特殊な性格、すなわち明治この方育成されきたつた傳統的な官僚制の特權的な地位と、特權的な體系を一囘民主的に打破することが先決問題であるというふうに考えまして、いろいろと案を進めておつたのであります。政府案が提出になりまして、内容を研究いたしてみますと、獵官制、すなわちスポイルズ、システムの人事行政の校正と、能率化を要望するということの目的が非常に強く現れているようでありまするが、まだわが國の官僚制というものは非常に根強く温存をせられているのでありましいて、この法案をこのまま、すなわち人事院の權限と性格といつたようなものを、そのままあてはめるとするならば、かえつてこの官僚制の特權的な地位をますます強化していくのではないかと私たちはおそれているのであります。こうなつては新憲法によつてわれわれが期待をした、官僚制の民主化ということに相反する結果にもなろうかというふうに考えております。私たちは公務員法案の中心をなすところの人事院制度といつたようなものについて、大まかに次のような修正意見をもつているのでありまして、この委員會で發表いたしまして、委員各位のご了承も得たいと考えているのであります。
 その一つは、人事院というのが政府からあまりにも超然としていて、政府と別格みたいな性格をもつているように考えるのでありますが、私たちの考えでは、この人事院が非常に民主的に運營をせられるということは政府の方からも説明があつたのでありますけれども、むしろ機構そのものから根本的に變えまして、内閣總理大臣の所管のもとに、人事委員會といつたようなものを置きまして、政府案によるところの第三條の人事院の權限を、この人事委員會にもたしていく、そうして人事委員會の事務機關として、人事局といつたようなものを内閣に設ける。人事委員會の權限は、政府案の第三條の人事院の權限のほかに、試験によらないところの一定職階以上の公務員の任用、第三十七條の第二項による昇任の場合の選考の官職というようなものを含めるのでありますが、同時にこういう職階の高いところの人事について、試験を用いない場合における任用についての選考をも、人事委員會において行う、また人事委員會規則を制定、改廢する。もちろん内閣總理大臣の承認のものとに制定、改廢をする權限を加えたと考えるのであります。
 人事委員會の構成でありますが、これを民主的にするためには、あまりにも少人數ではぐあい悪いのでありまして、これを五人程度にしまして、またこの構成についても、単に内閣で適當に人選をして、兩院の承認を得るというだけでなく、構成そのものを法律によつて一應きめておつたらいいのではないかと考えるのであります。案といたして考えておりますのは、内閣官房長官、これは一名であります。それから學識者から二名、それから現に十年以上一級官、これは現在の制度における一級官以上の官吏の地位にある者、あるいは退職した者でも過去十年以上官吏であつて、退職の際一級官以上の地位にあつた者、こういう要するに高級官僚である者、あるいは高級官僚であつた者の中から一名、今一つさらにこの委員會を民主化するため、官公廳の下部職員の、たとえば三級官以下の地位にある、しかも相當永年勤續をしているといつたような優秀な人から一名を選ぶ會計五名くらいにしたらいかがなものであろうかと考えているわけであります。
 次にこの委員會の任期は、政府案による人事官と同じように、六年程度にいたしまして、ただ内閣官房長官はその在任期間ということにしたならばいいのではなかろうか。人事委員會の委員に權威をあらしめるために、政府案にいう人事官と同樣に天皇が認證をする。そういたしまして人事局は人事委員會の事務機關として設けることになるのでありまして、この考え方からいたしますならば、政府案にいう人事官及び事務總長は置かないということになるのでありますが、人事局長は一般職といたしまして人事委員會の監事となり、また人事主任官會議の議長となるというふうにいたして、各省との連絡及び人事委員會とのつながりを十分にするようにしたらいいのではないかと考えるのであります。さらに、前に私の方ではすでに發表もいたしたのでありますが、政府案によりますと、自由任用の制度がないようであります。もちろん試験によらないで選考によるという任用もありまするが、私たちが考えております自由任用というのは、民間のエキスパートを登用するために、相當上の方の、たとえば局長、課長級のところにも民間のエキスパートをどしどし登用するということが、官僚制の民主化のために非常に役立つのみならず、また官廳の能率を上げる上においても非常にいいことであると考えているのであります。從つてこの相當上の一定の職階以上につきましても、政府案にいう第三十七條第二項による選考の官職、そういうものについては新たに民間から自由任用を認める。但しこれは申し上げました人事委員會の選考によつて内閣において任命をするこのような案を考えておるわけであります。これについて政府側のご意見も承り、また各委員のご意見も承ることができれば結構と思いまするが、この根本的な問題はいろいろ小さい條文についてはあるのでありますが、今度の公務員法案の根幹をなすところの問題については、まず御審議をお願いいたしましたら幸いと考えるのであります。
#6
○佐藤(達)政府委員 いろいろ御所見を拜聽したのでありますが、これに對しますに政府側の考えと申しまするか、むしろこの法律案につきまして政府が考えておる根本の立場というものを申し上げて、御了解を願いたいと存ずる次第であります。ただいま最初にスポイルズ・システムからの用語というものを非常に主眼にしているようにみえるというお話がございましたが、實はその面も一つの要素に確かになつております。しかしながら、われわれのこの立案の根本の態度と申しますのは、單刀直入に申し上げますと、非常に卑近なたとえでございますけれども、この公務員というものは一體いかなる内閣のもとにおいてでもその使用する内閣の機械にたとえますと、その運轉するところに從つて活動すべきもので、この機機が圓滑に動きますためには、これを構成しておりますいわゆる部分品と申しまするか、一人々々の役人はこの部分品にあたるとたとえて申し上げてよかろうと思います。その一つ一つの部分品は完全な規格品でなければならぬ。規格に合つたものでなければ動きがうまく動かない。その一つ一つが完全な規格品であると同時に、これらの部分品同士が相互に齒車のように、うまくかみ合つて圓滑な活動のできるような仕組みになつておらなければならぬ。言い換えますならば、公務員に對しまして高度の技術性と專門性というものをひとつ要求して、それを實現していきたいというのが、その本來のねらいであります。從つて高度の技術性、專門性というものをねらいとしていきますに伴いまして、觸れましたように、だれが、どの内閣がその使用の側に立つても、ある内閣の場合には動かしやすい、ある内閣の場合には動かしがたいというようなことがあつては、本來の精神に反しますから、そういうことがないように、しかもこの機械であるところの公務員は、そういう事柄にはわき目もふらずに、しかも安定した組織のもとに、これに安んじて職務に專心するというようなことでなければならぬという根本の趣旨のもとに、この法案が組立てられているわけであります。これは一口に申しますと、公務員の科學性と合理性、中立性というようなことに、これはとつさの言葉で、完全なことではありませんが、大體そういうなことが一つの要點になつていると思うのであります。從いまして、たとえばこの人事の中枢機關でありますところの、人事院というようなものの組織の仕方につきましても、この法律案ではさような見地からでき上つているわけであります。たとえば前囘も御説明申しましたように、人事官になる人の資格要件というようなものも、相當積極的に規定を設けていること等もその一つだろうと思います。また、今申しましたような觀點から、人事管理というものは非常に科學的な仕事になつてまいりますので、政治的というよりも實務的なねらいから、人事院という中央機構が組立てられなければならぬということも出てくるわけであります。しかしながらすべての公務員關系の行政というものは民主的でなければならぬことが一番大きな要請でございますから、この人事院の機構を民主的ならしめることに重點をおきまして、たとえば人事官の任命についても、内閣が特に國會兩院の同意を得て任命をするというような形にいたしておるわけであります。先ほど五人というようなお話、あるいはまた構成員として例示されましたような御案も、確かにこれは傾聽に値いする御案であろうと思いますけれども、しかしわれわれの考え方から申しますと、今のような大筋から申しまして、極力少數の人が、高い識見のもとではあるが、實務的にこれをやつていただきたいというような形をとりまして、人數を三人といたした次第であります。
 それからまた、この委員であるべき人も、他に本職をもつておらないような、專心人事院の仕事に打ちこみ得るような人というようなねらいで、この組織を設けておるわけであります。
 それから人材の登用に遺憾なきを期するために、いわゆる自由任用として選考制度のもとに適材を登用する道を考えておらないかというお話でありましたが、この點に關しましては、實はこの法案におきましても、大體結論は同じ結論になり得るような構えになつておると考えておる次第であります。たいへん不十分でありますが、一應お答え申し上げます。
#7
○中曽根委員 一つ一つ質疑いたしたいと思います。大體の本案の構想といたしましては、アメリカ流の官吏であるとか、あるいは能率であるとかいうことを重んじて、畫期的な、また妥當な構想であると見ておりますが、文章の一つ一つについてはかなりの疑點もありますので、これから質問いたしたいと思います。
 まず第一は、第一條には「國家公務員には、國會議員を含まない。」という言葉がございます。地方議會の議員は當然含まないと解するが、それはどうですか。
#8
○佐藤(達)政府委員 地方議會の議員、それから地方團體の職員も同樣でありますが、これは公共團體の職員と考えておりまして、國家の職員とは考えておりませんので、最初から頭においておらぬというふうに申し上げてよろしかろうと思います。
#9
○中曽根委員 第二に、第二條の特別職でありますが、公安廳長官というようなものは、これは警察を握つておるので、非常に時流に對して敏感に動いておるものだろうと思いますが、これが一般職にはいつておるのはどういう理由でありますか、伺いたい。
#10
○佐藤(達)政府委員 御指摘のような例は他にも相當ございます。本法において特別職にあがつておりますものは、大體政策決定と申しますか、いわゆる政務官にあたるようなものをあげておるわけであります。公安廳の總裁というようなものが、この面に照らし出しました場合においては、これはやはり政策決定機關の統轄のもとにおいて働く、むし實務的な性格の方が濃厚であろうと考えられるわけでありまして、さようなわけで特別職としてはあげなかつた次第であります。
#11
○中曽根委員 それから人事院規則というのは、法的な性格でありますか、政令でございますか。それとも法律として出されるものですか。
#12
○佐藤(達)政府委員 人事院規則は政令とは全然違うのでございます。政令は、御承知のように、内閣と申しますか、閣議で決定いたしまして制定されるものを申すものであります。人事院規則はその法律によつて認められました一つの法規の形式でございまして、たとえば總理廳で總理廳令というものを出すことになつております。あるいはまた各省で何とか省令というようなものがございますが、むしろそれらの方に近い性質のものであると申し上げてよろしいかと存じます。法律によつて認められた規則ということでございます。
#13
○中曽根委員 そうしますと、法律の委任を受けられる、法律の下位にある一つの規範という意味でございますか。
#14
○佐藤(達)政府委員 法律によつて認められました法律より下位のものでございます。仰せの通りでございます。
#15
○中曽根委員 第十三條その他に現れておると思うのでありますが、人事院規則に委任する範圍が、かなり庫汎にわたりすぎておるのではないかと考えるのであります。たとえばここに書いてございます通り、第一項に「人事院規則の定めるところにより、地方の事務所を置くことができる。」あるいはそのほか大分ありますが、この點に關して政府の御見解を承りたい。具體的な條文をあげますとかなりありますが、たとえば二條、十三條、三十三條、三十六條、四十二條、四十四條、七十四條、などを私は感じております。
#16
○佐藤(達)政府委員 この法律案につきまして、ただいまおあげになつたように、人事院規則云々という言葉は、實に目ざわりなほどたくさん出ておりますことは、私どももその感じの上において御同感に存じますが、これは一つの理由がございますので、要するに先ほど申しましたような趣旨から申しまして、この人事院規則できめられる實態はどういうことかと考えてみますと、大體技術的な事柄であるわけであります。それからもう一つは、法律でくぎづけにするに適しない事柄が實態として考えられるのであります。そこで非常にたくさんありますが、これを實は一々御説明するまでもありませんけれども、人事院規則できめられるものとして法律に書いてありますものは、他の觀點からみますと、これは特に法律で人事院規則の定めるところによりという文字を書かなくても、法律の執行のために必要なる規則として、政令か何かほかの規則で當然書き得る事項が、ほとんど大部分であります。なぜ一々「人事院規則の定めるところにより」という言葉を入れたかという一つの理由は、この法律の執行細則に嚴として政令できめないで、人事院規則できめるものである、政令によらないで、人事院できめるのだという面に意味がむしろあるというふうに申し上げ得るのであります。なぜ政令をそんなに排除するのかということは、最初に前囘提案理由の説明の際にもふれましたところであり、先ほどもまた申し述べたところでありますが、比較的合理的な人事管理を意圖するわけであります。本法の趣旨から申しまして、この法律の施行上の細則は、先ほど申しましたその方面の有識者をもつて組織せられておる人事院に任すことが適當である。それからまた先ほどの問題にふれるのでありますが、中立性という見地からいたしまして、規則そのものも中立を確保しなければならぬ。それを確保する上からいたしましても、中正なる構成をもつております人事院が、その規則をつくることが適當であろうというのが、根本の考え方になつておる次第であります。
#17
○中曽根委員 今の御答辯でありますが、今までの日本の官僚制度の大きなキー・ポイントはどこにあつたかというと、私は試験制度というものに多分にあつたと思います。その試験の制度によつて任用が行われている。そういうことから見ますと、たとえば試験科目の選擇であるとか、あるいはこれをきめる方法であるとか、あるいは任用の基準に關することであるとか、これはぜひとも國會の法律でもつてきめるべきものでないかと思いますが、ご意見いかかですか。
#18
○佐藤(達)政府委員 ごもつともに存じます。この法案によりまする試験は、結局職階制度に對應することになるのであります。職階によつて非常に細かく精密に分類されることになるのでありますが、分類されましたおのおのの種類の官職ごとに、特有の試験科目が結局設けられて、試験も別々に行われることになるわけであります。結局その科目はただいまの高等試験令あるいは普通試験令に書いてあるような、全面的にすべての官職に通じての科目ということにはならないわけであるます。從いまして職階の分類を緊密な連繋をとつて、よほど技術的に考えなければならぬ性質のものになつておりますので、これは本法に直接規定いたしておりおません。但しこの試験を行うについての主眼、原則は本法で直接取上げられまして、これはその官職の實務に適應したものでなければならぬという指導精神をこの法律ではつきりうたつている次第であります。
#19
○中曽根委員 第十八條に給與の支拂を監理するとありますが、そうすると會計檢査院と人事院との關係はどういうふうになりますか。
#20
○佐藤(達)政府委員 會計檢査院の方の仕事の主眼點は、申し上げるまでもなく、違法の經理はないか、會計經理の表から違法の面がないかということを主眼として檢査が行われるわけであります。この人事院の十八條に書いてある監理はこれはむしろ人事行政を適正ならしめるという建前から、支拂を監理することになりますので、おのおのの主眼點と申しまするか、立場を異にした仕事になると存じます。
#21
○中曽根委員 そうしますと、會計檢査面に關しては、監理はやらないのでございますか。
#22
○佐藤(達)政府委員 實際上給與の支拂を具體的に見ております場合には會計經理の誤りにも氣がつく場合も確かにございます。その場合におきましては、會計檢査院に移して適當の處置をとることに相なると存じます。
#23
○中曽根委員 官吏の再教育に關する制度がどうも見當らないようでありますが、監理を再教育して、質を高めていくことがどうしても大事だと存じます。この点に關しまして御意見を承りたいと思います。
#24
○佐藤(達)政府委員 この法案の策七十三條に「人事院及び關係廳の長は、職員の勤務能率の發揮及び増進のために、左の事項について計畫を樹立し、これが實施に努めなければならない。」ということをうたつてありまして、その第一に「職員の教育訓練に關する事項ということをあげております。これはまさに今御指摘のようなことを大いにやらなければならぬということをうたつている次第であります。
#25
○中曽根委員 この條文がございますが、たとえば中央にそういう職員の教育訓練に關する機關、學校のようなものをおくとか、あるいは監察制度というものをもつと精密につくりあげる必要があるのじやないかとおもうのですがこの點はいかがでしようか。
#26
○佐藤(達)政府委員 われわれも、國費の關係その他がもしも許しを得ますならば中央にこの職員のりつぱな訓練機構を設けたいいうことは、かねがね4念願しているところでございます。それから監察制度の方の問題は、御承知のように、ただいまとりあえずの措置といたしまして、行政監察委員會で大いにやつているわけでございます。またその成果いかんによりましては、あるいはこれを人事院に移して、人事院でやつてもらうということにならうかとも考えております。
#27
○中曽根委員 その成果いかんによつてやられるのも結構ですがどうしても私は中央並びに地方に、民間人によつて官吏の業績をコントロールする機關が必要だろうと思うが、その點に關してご意見をひとつ……。
#28
○佐藤(達)政府委員 先ほど由しました行政監察委員會というものが發足いたしたばからでございますのでこれの運營の状況を見まして、ただいまお示しのようなお考えをも取入れて立派なものをひとつ考えていきたいと存じております。
#29
○中曽根委員 官吏の身分保障の點でございますが、たとえば懲戒免官になるとか、そういう場合に、免官にならない前にその説明書をもらつて、免官にならない前に自分の立場を辯明して、地位をつながしておいてもらう、そういう意味でこれは規定されているのでありますか。それとも免官になつてしまつて職を離れてから自分の立場を辯明するという方法でございますか。その點をひとつ……。
#30
○佐藤(達)政府委員 これは職員の辭令なら辭令を渡しますときに、同時にその説明書を渡すというようなことになりす。
#31
○中曽根委員 そうしますと、説明書をもらつて言い渡されたときに、地位は喪失するわけでありますか。
#32
○佐藤(達)政府委員 さようなことになります。
#33
○中曽根委員 そうしますと、どうも地位が不安定なような氣持がするのですが、説明書をもらつてから一定期間というものは、たとえば休職とか何とかいう形で身分をつながしておいた方がいいのではないかと思うのですが……。
#34
○佐藤(達)政府委員 これは考え方でございますけれでも、地位は一應不安定のように見えますけれども、この法律におきまして結局審査の請求というものを認めており、そして人事院がこれを愼重に審査いたしまして適當の處置をとるという、そのうしろの一つの保障がございます。從いまして、この處分權をもつているいわゆる任免權者の方から申しましても、うしろにそういうものがあるということを念頭におきつつこれをやらなければならぬということになりますので、おのずから不公正な處分はなされないという保障をここにもたらすというふうに考えるのでございます。今までもいろいろ例がございましたが、一定、すなわち減俸以上の懲戒をやります場合は、事前に必ず懲戒委員會にかけなければならぬとなつておりましたためにだれが見てもこれはひどいという懲戒事犯を犯しましたものにつきましても、一々精密なる資料を整え、懲戒委員會にかけて審議を經た後でなければ、今言いましたようにだれが見てもひどいというものですらもやり得ないということの弊害を、實は痛感しておつた部面があるのであります。そういう點から考えますと、信賞必罰ということを勵行する上からいつて、ちようどここに考えておりますようなところが、ほどよいところではあるまいがというふうに考えている次第であります。
#35
○中曽根委員 勞働組合との團體契約の内容にわたりますが、上司の任命あるいは異動の權限と、團體契約をやる團體交渉權の交渉の範圍はどの程度をお考えでありますか。
#36
○佐藤(達)政府委員 團體交渉との關係は、この法律案とは全然別系統の問題として考えているわけで、現行法においても同樣でございます。從いましてこの人事權をもつている人の、この法律その他政令に基いてもつております裁量權の幅というものがありますれば、その裁量權の幅の中で實際上の運用によつて處置せられべき事柄のものであるというふうに考えている次第であります。
#37
○中曽根委員 保障の問題ですが、恩給などに關しまして、現在のようなこういうインフレが襲來してくると、今までもらつたような恩給ではとても老後の安定を期せられないという事態が方々に見受けられておりますが、こういう特別な事態を豫期して、たとえばこういう場合にはスライド制をとるとか、そういうような用意をするお考えはございませんが。
#38
○佐藤(達)政府委員 恩給の問題は、現在においてすら、御指摘のように相當考慮されなければならぬ問題であると存じますが、本法案におきましては、これを全面的に刷新していこう、新しい制度を立て直そうという意氣ごみで、恩給に關する條文をおいているわけであります。從いましてこの法案の問題といたしましては、恩給制度はさような心構えをもつて人事院が早速その調査研究立案に著手しなければならないという形にしておりまして、人事院の研究に大いに期待するということに相なつている次第であります。
#39
○中曽根委員 第一條の條文を讀んでみますと、はなはだ難解であつて、一般國民にはわからないような感じがいたすのであります。譯文臭が濃厚であつて、第一條としてはどうも適當でないと思うのですが、もつと簡明にわかりやすいように書き直す必要はありませんか。
#40
○佐藤(達)政府委員 文章の上手下手の問題と申しますか、その感じの問題は、これはむつかしい問題でございまして、見るお方お方によりましていろいろなお感じをおもちになるのはやむを得ないと思いますが、われわれといたしましては、そう大して大威張りでというところまではまいりませんけれども、これでよいのではあるまいかというふうに考えている次第であります。
#41
○受田委員 まとめて御質問したいと思います。順を遂うてお答え願いたいと思います。
 第一が、この國家公務員法に對して全般の規定がどうも拘束的な法規のような感じがする。もう少しせつきよくてきに身分を保障し、保護するような規定を設ける必要がないか。特に勞働組合の立場を十分尊重して、その意見を取上げるような規定を設ける必要がないか。一例をあげるならば、保障の條講に、八十五條に勤務條件に關する行政措置の要求の項があるのでありますが、これに對して、要求することができるというような非常に微温的な規定をあげている。もつとこれを積極的に保護するような規定を設けてはどうか。この點何だか勞働組合運動の進展を塞ぐような感じがいたさないとも限らない。八十九條の審査請求の期間のごときも、三十日などということはどうもあまり短か過ぎる、もつと餘余をもたせて、少なくとも六十日以内ぐらいに延期する必要はないか。また今の公務傷病に對する補償制度の制定がされるのであるが、これについて現に團體協約、勞働協約において、結核を公務傷病とちやんと見ているのであるから、これなども十分考えていただきたい、こういうふうに考えます。
 さらに服務の條項において、第百一條でありますが、職員は云々、この條項で政治的行動の制限をしているのでありますが、これらはこれほどにも民主化されている時代において、何らか制限を加うべきのものでない、削除すべきものであると考えます。また恩給の問題ですが、これは全廢をして、少なくとも退職手當とか社會保險制度の確立をやつて老後の生活を保障する途を講ずるべきであると思うのです。
    〔委員長退席、竹谷委員長代理著席〕
なお分限の項へ戻つてお伺いしますが、本人の意に反する休職、この場合一律に俸給の三分の一として規定されてありますこれは七十九條ですが、休職の期間中俸給の一部を受けると改めてはどうか。事情によつてでは、俸給の全額に近いものを支給できるような途を講じておくべきではないか。この點きちんと三分の一ときめるという點において、その融通性を缺くおそれがあると思うのであります。また八十條の規定ですが、これは第三號です。豫算の減少によりという項があるのですが、こうなると豫算がないというような建前で、とかく首をいたずらに切りたがる傾向が起つて、身分保障などはまことに心細くなるというような感じがするのであります。これは一應削除してはどうか。こういうふうに考えるのであります。また八十條の四號の規定、職階制による官職の云々、この規定を決定する際には、勞働組合に相談をするというような方法にしてはどうか、こういうふうに考えます。
 大題目の質問の第二項として、附則の意見でありますが、これを見ますと臨時人事委員の任命は特別なこの規定でやるようになつておりますが、これについて臨時人事委員というものは、人事官と同樣な立場をとるものでありますから、そのスタートであるから、少くとも人事官の任命と同樣の方法によるべきであつて、例の附則の第二條の規定による任命は、「兩議院の同意を得て」を除いて、兩議院の同意を得ないで濟むような規定でどんどんやつてしまうということは實に危險である。殊に人事院の設置までのきわめて重大なる業務を擔當するものをこういうぐあいな規定で任命するということを、特に考えなければならないと思うのであります。この點最初の第一大項目の御質問とその内容について、順を遂うた御答辯、さらに第二の附則による例の規定の修正の考えをもつておられないかの御意見を伺いたいと思います。
#42
○佐藤(達)政府委員 勞働組合との關係のことを最初にお觸れになつたのでありますが、もちろん申し上げるまでもありませんが、この法律案がその完全なる成果を發揮するためには、官廳内部に設けられております勞働組合の健全なる活動というものが加わつて、これがりつぱな成果をもたらし得るものと考えるのであります。しかしながらこの法案の建前といたしましては、組合の問題は正面から取上げておりません。これは組合の法制その他の勞働關係の法制の部面の事柄として、しかもその運營等においてはただいま申しましたような根本の趣旨からいたしまして、今までのような形で法制化されない實際の形において運營していきたいというような頭でいるわけであります。たとえば身分の保障その他先ほどちよつとお觸れになりました職階制の場合などに、組合に相談したらどうかというような事柄についても、法制の表からは取上げておりません。申すまでもなく、この法制としては一應全國民の奉仕者としての立場における公務員を取上げております。從つて身分保障の關係にせよ、すべての取扱いというものは、全國民の前に出して恥しくない公正なる形でなければならぬという建前で一貫しているわけであります。ですから第八十五條の關係で要求することができるという言葉についてのお話がございましたが、これはそういうりつぱな權能をもつているということをできるという言葉で現わしたのでございまして、御趣旨とそう變つているものとは考えておりません。それから請求の關係の三十日云々ということがございましたが、これは事柄の確定を一日も早くいたしますことが第一の要請でありまして、これは早くやりませんとほかの方の既成事實というものが、固まりますと、すべての審査の結果の處置がやりにくいことになりますから、これは早い方が本人の得になるということで三十日にしておる次第でございます。
 それから公務傷病の關係で具體的の問題についてお取上げになりましたがこれはこの制度を布くときの問題でございまして、別にこの法律上の問題拜聽いたしまして將來の参考にしたいと考える次第であります。
 それから服務紀律の關係の第百一條の問題でありますが、これは政治的活動の制限の關係であります。これも本日一番最初に私がちよつと申しましたような考え方が根本になつておるのであります。公務員である以上は全體の奉仕者としてわき目もふらずに専心仕事をすべきであるという建前からいたしまして、一應かような制限を必要とするというふうに考える次第であります。
 それから恩給關係の事柄は先ほどもちよつとお答えいたしましたが、これはいろいろな考え方があると思います。その意味で人事院がここで根本的な調査をするという建前にいたしておる次第であります。
 それから休職の場合に休職給の三分の一というようなものについての問題でありますが、これは三分の一くぎづけの問題はどうだろうかというお話でありますけれども、休職になります場合は法律に列記してあります通り「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」と「刑事事件に關し起訴された場合」ということにいたしてあります。むしろあまりスライデング・スケール式に考える餘地は乏しいのではないかというふうに考えるのであります。もつとも心身の故障というものが先ほど申しました公務上の傷病等による場合もあるわけであります。その方は先ほどの保障の責任が働いてまいりますから、結局においてただいまお話のような妥當な結論になるのではないかと考えている次第であります。
    〔竹谷委員長代理退席、委員長著席〕
 それから豫算の減少の場合身分保障が心細くなりはしないかというお尋ねでありますが、それは結局身分を保障するために豫算が殖やせないという、逆を言えばそういうことになると思いますが、豫算の問題は結局國會において御審議になることでもありますので、これらの關係をもにらみ合わせて適當なる豫算の議決があるものと考えますから、これはその方にお任せしていいではないかということが言い得ると存じます。
 職階制の關係につきましては、先ほど組合關係で全面的に申し述べたことに畫きると存じます。
 臨時人事委員會は人事官の任命と同じ手續で議院の同意を得るようにしたらどうか。これはごもつともな一つの考え方だと思いますけれども、これはいろいろないきさつもございましたが、要するにこの臨時人事委員會というものは、本法が完全に實施になるまでの調査準備機關ということが本來の性格になつておりますので、言葉は悪いかもしれませんが、本格的な人事院よりも多少手軽な形で行い、またこれで弊害はないのではないかという考えでかような案になつておるのであります。
#43
○受田委員 ただいまの御答辯でちよつとお伺いしたい點があるのであります。今の第百一條の政治的行為の制限のことであります。先ほど私遲れましたので、御説明を拜聽する機會がなかつたのでありますけれども専心この職務に從うということはこれは當然のことでありますが、國民に與えられた選擧權、被選擧權というようなものが、公務員であるがために制限を受けるということは實に嘆かわしい。ある一定の期間のみがそういう政治活動に轉換されるのであつて、決してそのために職務をゆるがせにするような結果は起らない、また起らざるように本人の努力でなり得ると思うのであります。こうして禁止規定を設けておくと、非常にわくにはめられた特殊社會のような感じがする。人材もここへ集まり得ない。優秀な政治的能力をもつて官公吏はもちろんやめて出ればよいということになりますけれども、その間の手續その他に非常に手間どるというようなことで、結局こうして現職をもつて立候補し得るような規定を殘しておいても、それで全部が立候補するわけではない。その規定を設けたからといつて公務に非常に支障が起るというわけはないので、この點においてこの規定を設けなければ、秩序を保つ上に、公務員の仕事を遂行する上に大きな支障があるという非常にはつきりした根據があれば別ですが、それがないならばこういう特別な規定を削除したらどうか、これを私はお伺いしておるわけであります。これがあつて効果がある場合とない場合がはかりにかけて考えるべきであると思います。
 それとつけ足してお伺いしたいのですが、先ほど中曽根委員からお尋ねがあつたことでお答え願つたうちに、懲戒委員會のごときものに一々かけるということが非常に複雜になり、手間どり、信賞必罰が思うようにならないという御答辯がありましたが、そういう賞罰のはつきりしている場合は、これはただちにその措置をとるべきであつて、そのほかの場合において懲戒處分に付するときは、事前に審議するとすれば懲戒委員會のようなものが民主的に設けられる必要がありはしないか。特に今囘の水害などで、官吏がその職務を遂行するのに忠實であるという立場から、なるべく無難な途を選んで、當らず障らずの行き方をしようという考えが官吏に相當濃厚にあつたと思います。この點、この規定の百四條に「職員は、職員として法令による職務を擔當する以外の義務を負わない。」という規定があるのですから、法令による職務を擔當するというのはどれになるか、その判斷をはつきりすればいいと思う。これは自分がやるべきだと思うときには、官吏でも地方の公吏でももつと積極的にやらなければならぬ。責任の轉嫁とか責任の他への囘避とかいうことが行われることは實に憂慮すべきことで、この際この規定において何らかそうした信賞必罰の線をはつきりするような規定を設ける必要はないか。そうして懲戒委員會などで自己の立場を辯明する餘裕を與えてやる必要はないか。この點吏道の印新の立場から思い切つた條項を挿入する必要はないかと思うのであります。
#44
○佐藤(達)政府委員 先ほどお話申し上げたのは、卑近な例を引きまして、機械の部分のようにわき目もふらず專心その仕事に從事すべきものであるという面をここで取上げて申し上げたわけでございます。要するにこの政治關係の問題は、今度の公務員法がねらつておるところの政治と行政の分離ということにも觸れてくるわけでありまして、この公務員法によつて公務員としてきてもらいたいと期待している人は、わき目もふらずに專心その仕事に打ち込んでくれるというような人を期待しているわけであります。そういう氣持が主となつてこの百一條というものが出てきているのであります。もう一つは、いろいろな派閥とか學閥というようなものについて、民間から色目をもつて見られるというおそれを避ける必要があろうということも一つの理由になつているのであります。
 それから懲戒委員會、懲戒の手續の問題につきましては、實際の運用の問題としては、懲戒事犯というものはピンからキリまでいろいろの種類の雜多な事件がある。たとえばこれはもうだれが見てもはつきりしているからと口に申しますのはやさしい。實は私自身そういう言葉を使いますけれども、具體的にこういう事件の場合は委員會にかけてもいいということになりますと、これは實際上不可能の事柄でございます。それで吏道の印新ということについての御趣旨はきわめて御同感でありますけれども、今の懲戒の手續等の關係についての御意見は、これは法文の問題としてはむずかしい問題でありますということをお答えしなければならぬと思います。
#45
○松本(一)委員 先ほどもお話がありましたが、畫期的なるわが國の官吏制度の改革に關する法案を、はなはだ短期間に審議しなければならぬということは遺憾に思うのであります。しかしともかくこの案の内容の三、四の點についてお伺いしたいと思うのであります。
 まずその一つは、第七條に「人事官の任期は、六年とする。」とありますが、この六年というのはどういうところからお考えなされたのかということであります。それから第五條に、人事官は「兩議院の同意を經て、内閣が、これを任命する。」とありますが、これと關連いたしまして、兩議院と言つても、參議院はともかくも、衆議院は時たま解散されるのであります。これから政黨政治も確立されてまいります。先ほども政治と行政とを分離しておるということを言われておりますが、私どもは政治と行政は渾然として一體となるベきものであると確信しているのであります。これまでのような墮落せる政黨政治の時代はともかくも、新憲法のもとに新しく發足せんとするこれからの政黨政治は、政治と行政とは必ず一體となつていかなければ、政府が何を考えても行政の衝に當る公務員がこれと離反するごとき行動があつては、また考え方があつては、わが國の政治は末端まで國民の利福に副うごとく行えないのであります。この點を考えてこの人事官に任期、竝びにこの推薦ということについて一度お伺いがしたい、かように思います。
 その次は、第三十三條の試驗制度でありますが、先ほど中曽根君からお話がありました。これはもつとも、この法には學力試驗のみとは書いてありません。經驗だとか、いろいろなことを斟酌してということが書かれておりますが、私ども心配いたしますのは、これまでのわが國の試驗制度は、もう學力、すなわち知力一方に偏しておつたことは御承知の通りであります。おそらくこれからの試驗も結局歸するところは知力にまた重點がおかれて、從つて學校教育も徳育、人格教育というよりも、依然として知育に偏するような過去の誤りたる教育方針がとられていくのじやないか、かように考えるものです。文化國家、平和國家の將來の日本は決して知育にのみ重點がおかれるベきものではないということは御承知の通りですが、これが人事院規則によつてその内容をきめるということであり、先ほど法制局長官から一應のお話お承りましたが、いま一度、どういうふうに具體的に試驗はやるのか、さらに人事院規則はどういうふうにつくる考えであるかということの御方針を承つておきたい、かように思うのです。
 それからその次は、「退職後二年間は」という百二條でありますか、いわゆる公務員であつた前の職務には歸職ができない、これであります。これは根本の御方針がどこか間違つておりわせぬか、とこう思うのであります。すなわちこれからは商工業關係の仕事ならば努めて商工業關係のエキスパートを公務員に採用しなければなりません。また農林關係の仕事であれば、すなわち農林關係に仕事の實務に明るい、そうして相當な人格と識見がある人を採用しなければ行政の完璧は期し得られぬと思いますが、そのときにこういう制度が一面ありますと、そういうエキスパートが得られるかどうかということは實際問題としてこれは疑問だ、こう私は思うのであります。たとえ退職してもまたもとの仕事につけるというのでなければならぬのじやないか。すなわちこの法の精神はこれまでのいわゆる官職在任中に、將來を見越して、あるいは個人の利益を得さしめるごとき供與を與えるがごとき行動のあることを慮られて、おそらくこの法ができた、考え出されたものであると思うのでありますけれども、しかしこれはこれから先の日本人の人格、いろいろなことから忖度して、少しく人格を無視しておりわせぬか、また實際問題として眞にその道のエキスパートが得られないのじやないか、かように私は考えるのです。
 それから最後は、先ほどこちらから御質問になりました恩給制度であります。今度の公務員制度は畫期的な法案であり、新日本建設のために、恩給制度というものは過去の官僚制度のこれは非常に悪い反面があつたのでありますから、思い切つてなくされるのが當然じやないか、こう思うのです。こういう制度があることが、すなわちせつかく恩給年限に達してきたんだから、恩給だけとらしてやらなければ氣の毒だというような、能力のあがらぬ人を三年、五年しんぼうしなければならぬというような實際問題もできてきます。また日さえ經てばそれでよい、無事に事なかれに上役の御機嫌取りに盡していけばよいというような、くだらぬ事なかれ主義の考え方をもたしむるのはこの恩給制度だつた、こう思うのです。ですからこれから眞に國民のためになる、公僕としての仕事をやつていこうという精神であるならば、こういう制度はなくしてしまつて、先ほどもお話の、退職金とか、あるいはそういう一時的の方法で將來その人の安定を得さす。しかもその人の過去の能力に應じて、輕重をもつてその人を待遇したらよいのではないか。その方が能率向上という、この法をつくられる根本精神に副うものじやないか。依然として恩給制度を殘されるということならば、この法をつくられる根本精神というものが沒却されるものではないか、こう私は思うのであります。御意見がお伺いしたいと思います。
#46
○佐藤(達)政府委員 松本さんの最初の、人事官の任期の六年ということについてのお尋ねでございましたが、これは人事官はその仕事の性質から申しまして、身分は保障しなければならぬという建前と、それからもう一つ、保障はしてよろしいが、適當な新陳代謝というものは考えないと、固定的になつてしまうという場合と、この二つを組合わせまして、押しつめたところ六年というところに任期を限つておる。もちろん再任はできる。そうして三度再任をして十八年になつたらやめてもらうというような結論で、この法律案の條文ができました次第であります。趣旨はただいま申し上げましたような趣旨であります。なぜ六年としたか、五年でよくはないかというような點については、それほど嚴密な意味があつて六年としたのではございません。しかし大體六年というところがよいのではないかという趣旨でございます。
 それから任免について兩議院の同意を經ることについてお話がございましたが、この趣旨は先ほど觸れた通りでございます。ただ政治と行政との分離というお言葉がございましたが、これは私の使いました言葉で、政治と行政の場合の分離という言葉が非常に誤解のある言葉だということを、ただいまのお言葉によつて實は反省したのであります。私の申しました分離というのは、政治に携わつてしる者と、行政に携わつている者との、人と人との關係の分離ということを申し上げたのであります。その分離の結果が結局松本委員仰せのような渾然一體たる政治と行政との圓滑なる活動が期待される――非常に逆説的な言い方でありますけれども、さような趣旨で人の分離ということを申し上げたのであります。その期待するところは、政治と行政との融合した活動というものを期待しておるという趣旨でありますから、御了承願いたいと思います。
 それから試驗制度の關係につきましては、先ほど申しましたように、この法案としては實務に即應したものでなければならぬという建前を揚げておるわけであります。あと實際上の試驗科目をどうするかという問題は、もう少し人事院に研究さしてこれは科學的な立場でつくり上げさせたいという氣持でおる次第であります。
 それから百二條の關係で、退職後二年民間の地位につくことの制限は間違いではないかというお言葉でありますが、ただいまの仰せの部分には、ごもつともと申し上げる部分がはいつております。しかしながら一面におきましては、いわゆる官吏の天降りというものが非常な弊害をもつ、天降りを禁止しなければならぬという大きな要請が一つでございます。實はただいま仰せになつた要請と、天降りを禁止しなければならぬという要請とは正反對の事柄であります。それをどつちかに偏つてきめてしまつては、結果において立派な制度ということはできませんから、そこに多少ゆとりをおきまして、事柄の實態に應じて適切なる處置がとられなければならぬというところから、實は苦心をいたしたのでありますが、百二條のただいまの條文には人事院規則の定めるところにより所轄廳の長の許可を受けた者にはこれを適用しないということをもちまして、ただいま申しましたような悪い意味の天降りを禁止する。こういう場合は承認の基準を嚴格にしなければならぬ。それからただいま仰せられましたような何人も納得し得る場合は、これは緩やかにしてもよろしい。これはそういうゆとりをつけておるわけであります。
 それから恩給制度の問題はこれは大きな問題でございまして、恩給制度を存置するにいても保險計算的にやつて、いつて社會保險的のものにすべきではないかといういろいろな御意見を伺つておりますが、特にただいまの御意見も一つの重要な参考として承るのであります。これらのことは先ほど觸れましたように、本法の關係の恩給の問題は、人事院にあらゆる觀點からひとつ立案してもらうという考えでおるわけでございます。
#47
○松本(一)委員 なおほかのことを、今御答辯願いましたことに關してさらに申しますと、討論になりますから差控えますが、ただ、今お話の二年間、前に職にあつた者が就職できないということを官吏がこれまでやつた。私どももそういうことがしばしばあつて、これは官吏道の大きな弊害であつたと思つております。しかし二年間その職務につくこと禁止したから、そういうことをこれからやらないということは、ちよつと事實上として想像しかねるのです。二年間職務につくことができなければ、二年間失業しなければならぬというようなことなども想像して、在職中に二年間分をともかく利得するというようなことも一面考えられるのであります。ですからこれはいかがなものかと私思いますがこれ以上、申しますことは討論になりますから差控えます。これで質問を打切ります。
#48
○竹山委員長 先ほど片島君の質問を中斷した感がありましたが、片島君。
#49
○片島委員 さきの問題は根本的な問題でありまして、なお後ほどもつと審議をお願いしたいし、また質問して政府の御意向を承りたいと思うのでありますが、先ほどの質問のほかにいろいろな各條にわたつての部分的な問題について今まで御質問がありましたので、私もその點について各條項についての御質問を二、三いたしたいと思うのであります。
 試驗制度でありますが、試驗をしないで任用するには、前に發表された要綱によりますと、部課長などのごとくというふうにしておりますが、部課長をこの法案でも豫定しておられるのであるか。あるいは東大の法科を出た者だとか何とかいつた者を豫定しておるのであるか。そういたしますと、また學閥といつたような問題を、勝手に人事院規則によつて温存するというような弊も現われるのでありますが、この試驗をしないで任用あるいは昇任するところの範圍をひとつお伺いしたいと思います。
 それから立候補の問題でありますが、なるほど御答辯がありましたところによりますと一應ごもつともでありますが、ただこの末端の方の大衆的な、たくさんの公務員がおるのであります。中央における局長あるいはそういう高層なところにおる公務員は、もちろん、これは仰せの通りかもしれませんが、やはり末端におつて國民大衆とともにやつておるような人たちは、むしろ地方議會あるいはあるいはその他の公職に立候補いたしたい。立候補してもし當選ができないという場合にはその期間中だけ休職といつたような形にしてこれを一定の職階以下の末端の公務員について認められるということはできないものであるかどうか。
 それから同じ政治活動の制限の問題で、政黨及び政治的團體の役員というのはどういう程度まで考えられておるのであるか。地方支部などにおけるところの執行委員とか、あるいはいろいろな代議員とかいつたものがありますが、どういう程度までここで考えられておるのか。
 それから憲法第十五條によつて、公務員を罷免することは國民固有の權利であるということが言われておるが、この法案には國民が罷免をする、たとえば彈劾權といつたようなことは全然うたわれておらないようでありますがそういう手續については別途法案を考慮しておれるのであるか。
 それから天降り人事の問題が先ほど言われましたが仰せの通りであるならば、ただ單にいろいろな會社の重役といつたようなものでなく、在職中の地位を利用してやるところのもの、たとえば檢事をやつておつて、その土地でいろいろとわたりをつけておいて、ぽつとやめてすぐに辯護士になるといつたようなものは、この法案には含まないのであるかどうか。仰せの通りであるとすれば、そういう會社の利益代表者というものでなく、自分の職業として、在職中の地位を利用し得るような職業も禁止すべきではないか。これだけの點について御質問いたします。
#50
○佐藤(達)政府委員 第一は試驗制度のことに關連して試驗によらずして選考でやる場合を御指摘になつたように拜聽いたしました。そしてまず部課長というような制度を設けるつもりかというお話がございましたが、職務をとつていく上におきましての官廳内部の係統的な組織というものは必要でございますから、局長もあり部長もあり課長もあるということは、これは今後とも同樣であろうと存じます。この場合に競爭試驗によらないで採用する場合と申しますのは、課長がどうということまで申し上げるのは何でありますが、上級の職員についてはその必要があろう。殊に專門の知識經驗を要するような官職につきましては、現在までにおいても例がございます。民間の專門家に來て役人になつてもらうという場合は、實際の例から申しますと、むしろ政府の方から三顧の禮をとつてぜひ來ていただきたいというような形で來ていただく場合が多いのであります。その場合に競爭試驗ということは問題になりませんから、そういう場合の措置として試驗によらない。あるいはまたタイピスト等一定の技術を辨えておることがはつきりしておるものについては、試驗の必要がなかろう。そういう場合は豫想いたしましてかような途を設けた次第であります。
 それから立候補の關係は、これはいろいろとお尋ねがあるのでありまして、相當私は重要な問題であろうとは存じますけれども、要するにこの根本の考え方は先ほど申し述べましたようなことでありまして、一口に言えば俗な言葉でございますが、なるべくわき目もふらずということ、これに盡きるではないかと思うのでございます。役員の範圍につきましては、支部長がどうであるとかいうことは具體的に規定することはなかなかむずかしいであろうと思います。また政黨法というようなものがかりにできるとしますと、そういう關係のことも考えなければならぬし、これは人事院ではつきりしたことをきめなければならぬというふうに考えております。
 罷免の問題はまさに憲法に公務員選任、罷任は國民固有の權利であるということがはつきりうたつてございます。この趣旨は申すまでもございません。また御承知であると存じますけれども、具體的に國民が選任をするとか、あるいは國民が罷免をするというような現實的な面を押えての條文ではございませんので、その選任、罷免の權利の根源が國民から發するのであるという趣旨でございます。從いまして、現實の問題として、罷免權を國民に與えなければならぬということを、憲法が要請しておるわけではないのであります。ただし憲法におきましては、これも御承知でございましようが、國民に對する請願權の一つとして、公務員の罷免について請願をすることができるというようなことも書いてある。このような働きによりまして、國民の實際上の彈劾というものが、この人事權をもつている側の方へ響いてくることは當然でありまして、それをまた全體の奉仕者としての公務員を預かつている方の側といたしましては、それらのことをよく頭に入れて、適當な人事權の運用をしなければならぬであらうと存ずるのであります。ただいまお示しになりました具體的の罷免權といいますが、彈劾權と言いますか、そういうものを法制上に取入れるということは、これは技術上的立場から見て非常に困難であります。のみならず大きな目から申しまして、政府の人事權の運營ということは、國民代表としての國會が常に上から監視しておられるのだ、國民の意向というものは國會がこれを反映して監視してくだすつているのだ、その方でまた彈劾の措置をとる途はあるということから見ましても、個々の彈該の手續というものを認めるのはいかがであらうかというわけで、實は踏切りのつかぬ立場でおるわけであります。
 それから天降りの關係につきましては、御指摘のような例は考えればいろいろあると思います。それらのいろいろな場合を一々拾つておりましてはたいへんなことであります。要するに今まで一番弊害があると叫ばれておりましたのは、經濟關係の統制の立場にいる役人が、經濟界の實際の企業にはいつていく、これが顯著なものでありますから、それを一つつかまえまして、この法律としては取上げているのであります。
#51
○竹山委員長 時間の關係上一應ここで休憩して、殘餘の質問は午後行いたいと思います。午後は一時半から開會いたします。
 これにて休憩いたします。
    午後零時十三分休憩
   ━━━━◇━━━━━
    午後三時十一分開議
#52
○竹谷委員長代理 ただいまから會議を開きます。受田君。
#53
○受田委員 午前中政府委員にお尋ねした事柄に關係するのでありますが、政府委員の御答辯に、例の服務規定の立候補禁止規定、これでありますが、これはいかに繰返しても同樣の結論になるかと思います。あくまでも公務員は、純粹な公務に從事するという、その精神はまことに結構であるけれども、この規定がここで取上げられて影響するところは、一切の行政官は政治に關與できないということになり、關與をしないことは當然結構だと思うけれども、現在のような行政府がまつたく政治を知らない。むしろ官僚獨善の空氣が濃厚な日本の段階では、もう少し政治的な空氣に觸れさせ、また優秀な政治的能力をもつておる者は政治界に出させるという意味で、この規定を設けなくとも決して行政府の尊嚴を傷つけるものでない、こういうふうに考えます。しかも多數の者が立候補して官界が混亂に陥るということは、夢想だにできないことである。現に本年の總選擧その他の各種の選擧においても、公務員の職務が怠慢で支障を起しておるということはないのであります。この點重ねてこれを設けることと、設けざることとのはかりの分銅をどちらへおくかという點で、政府當局の御意向を今一度お尋ねしておきたいと思う。
 第二に官吏の職務の範圍でありますが、百四條、これは午前中お尋ねをしたことに對して、すこぶる簡單な御答辯があつたのですが、「職員は職員として法令による職務を擔當する以外の義務を負わない。」というこの規定を設けたことは、官吏の自分の職務の範圍がはつきりして、實に結構に見えますけれども、一方責任逃れをやる官吏が依然として横行するであらう。先般の水害で堤防を決壞するか否か。ここの堤防を決壞することによつてこのあたり一帶の何萬という住民が救われ物資が助けられる。こういうことになれば思い切つて決壞を命ずるというような行き方がなさるべきであるにかかわらす、中央官廳と地方官廳との權根爭いで傍觀をして、遂にあのような慘害をあえてした。これは天災でなくて人災であると言われておるが、こういう點についておれの權限でないのだと都の方では言う。内務省の方ではそれへ手が及ばない、こういうような場合が起るので、その際に都の職員がこれは中央官廳の權限ではあるが、この場合自分がここで措置をとることによつて、幾十萬の人が救われ、物資が救われるという半斷を下したときには、そこで佐倉宗五郎にある氣持で斷固たる處置をとるという行き方、すなわち、「職員は職員としては法令による職務を擔當する以外の義務を負わない。」けれども、そうした積極的な職務以外の場合におけるある種の人道的な義務を負うような規定を設ける必要はないか。それがなくても、いくらでもその場の處置でやれるのだ、こういうことが言われるかもしれませんが、しかしながらこういう規定を設けることによつて、官吏の責任がただ單にきめられた範圍の職務でなくて、もつと自分は公に仕える國家の奉仕者であるという立場から、積極性をもたせるという認識を與える上において必要であると私は考えるのです。今までこういう規定は設けられてなかつたにかかわらず、公務員法に初めて職員の職務の範圍が堂々と揚げられている以上、そうした面の公共の福祉安寧を保持するために必要なる職務外の義務を負う場合を規定する、義務として、むしろその場合における人道的な立場における責任をもつというふうな規定を設ける必要がないかと考えるのであります。これはきわめて大事な問題でゆるがせにできない、こう考えまして、特に今囘の水害を偉大な教訓としてああした地方官憲と中央官憲の權限争いのために、みすみす天災を人災たらしめたこの嘆かわしい事實を機會に、泣いて馬謖を斬る規定をここに設けられたらどうかと考えられます。まことによい機會が來た。敗戰後新秩序を平和的に築く日本として、健全なる社會をつくる最もよい機會が生れておるんだ。こういう際にこうした點に吏道の刷新のよすがとして、この公務員法に何らかの明るい規定を設けていく必要がないかと考えます。そのほかの規定は御答辯を願つて御質疑申し上げることにいたします。
#54
○佐藤(達)政府委員 先ほどの受田委員の御質疑に對してお言葉數が少し少なかつたので、私御趣意をよく了解しておりませんでした。そのために御答辯が不十分でありまして、これはただいまのお言事でよくわかりましたから、私の考えるところを述べさしていただきたいと思います。
 第一點の例の政治關與の關係の問題は、これは議論といいますか、どちらも一つの考え方として成り立ち得ることであると思うのでありますが、この點は先ほど申しました以上に私の方として申し上げることも別にないわけであります。なおさらにこまかいお尋ねがありますれば別でありますが、一應さきに述べましたような趣旨で、ほんとうに立候補して政治界に乗り出したいというような人ならば、役所の方をやめるなりしてやつていただきたいというような建前に、一應してあるわけであります。ただし條件が一つありまして、人事院規則で除外例をきめ得ることになつております。この法律といたしましては、實は私どもの考えでは、人事院規則で除外いたしますのは、たとえば農地委員でありますとか、選擧運動によつてそう熱中して役所の時間をむだにするということもないし、あるいはまだ政治的の色彩というものも乏しいだろうというようなものにつきましては、一々許可を受ける必要なしというので、人事院規則で除外するつもりでおりますが、なお今受田委員のおつしやるようなことに關連して、人事院規則をつくる場合に考慮に入れる必要はあるだろうということを申し上げておきたいと思います。
 それから第二の點は、先ほど堤防の決壞のお話がありまして、よくわかりましたが、要するに百四條の職員として法令による職務を擔當する以外の義務を負わないという條文をわれわれが書きました氣持は、一つは御指摘になりましたように、職務の範圍、責任の範圍というものをはつきりしたいということがねらいであります。もう一つのねらいはたまたま職員であるがために、身分上の拘束と申しますか、身分的という言葉が近ごろはやつておりますが、職員であるがために實はその地位に關連して、卑近なことで言えば、上官からいろいろな私事の頼みを受けるとかいうようなことを豫想いたしまして、そういうことをする義務はないという面と、二つの面をねらいとしてもつておつたのでございます。ところで、御指摘の場合の問題は、私どもはかように考えておるのであります。すなわちこの法令によるその職務ということは、要するに職權を含んでのことでありますが、法令で職權、職務のきめ方をいかようにきめるか、すなわちある現場の人たちに、一々中央なり、あるいは上司の指揮を受けんでも、こういう場合には臨機の措置をとつてよろしいという權限を與える、その權限の與え方の問題であろうと存ずるのであります。私どもは市民生活をやつておりまして、都電が故障になつて、たくさんつかえている。途中で折返し線があるのにかかわらず、一臺くらい折返してもらつてもよさそうに思つても、一向折返してくれないので、實にいらいらした感じをもつのでありますが、これは要するに、運轉手にこういう場合には臨機の措置をとつてよろしいという權限を與える。すなわち授權ということですむことだろうと存ずるのであります。卑近な例を申し上げて恐縮でありますが、御指摘の事柄はそういう性質のことであつて、これは法令で職權職務をきめるときの問題であろうというふうに考えるわけであります。ところが、さてそれでは法令でそういう職權をきめる段のことを考えてみますと、これはそういう臨機の處分權を與えるという與え方の問題でありまして、一歩を誤りますと、濫用の基いとなり、あるいはまた官僚專斷、屬僚の專斷ということになりますので、これは非常にむつかしい問題になろうと思いますけれども、この法律の上の御説明としては、先ほど申しましたように、法令による職務の方の問題であると申し上げたいと存ずる次第であります。
#55
○受田委員 先ほどの第一の質問に對しての御答辯の中に、人事院の規則で特別の規定を設けることができるということに、はつきり了承ができたわけですが、その際に今のような、たとえば農地委員會のように直接政治に關與の少い職種については別途に考慮する、そういうことでありました。そのことで一例をあげれば、教員のような比較的政治的色彩の薄いものに對しての範圍がその範圍へ入るかどうか。こういう點についてもさしあたり政府委員としてのお氣持からお答えを願いたいと思います。
 それから今の職務の範圍の問題は、これはそうした權限の付與についての規定を、別途に法令で設けるようなことも、それは結構であると思いますが、しかしこの公務員法という畫期的な法規に、それを何らかの積極的な解釋において責任をはつきりするようにしておかれる必要はないか。今の百四條に附け加えて、何らかそこへ、たとえば公共の福祉のために必要により積極的に責任を負うというような規定を設ける必要はないかということをお尋ねしておきます。
 續いて御質問申し上げますが、午前中の質問に關連しておるのですけれども、人事官の彈劾についてであります。これは内閣總理大臣が訴追權をもつておるように規定してありますけれども、このことは人事官の任命にあたつて、兩議院の同意を經て内閣がこれを任命するのでありますから、その彈劾についても内閣總理大臣は國會、すなわち兩議院の同意を經て人事官の彈劾の訴追をするというふうにやられたらどうか。そうしないと、その間におきまして總理大臣の獨斷があまり強過ぎて、思わぬ結果が起ると考えますので、彈劾についての規定も重ねて兩議院の同意を經る、こういうふうにありたい。
    〔竹谷委員長代理退席、委員長著席〕
 さらに附則の問題でありますが、午前中の御答辯に、暫定措置であつて、諸調査をするために臨時人事委員會を設けるのだからというお言葉でありましたが、しかしその附則第二條の規定に、「兩議院の同意を經て」を除くということをせぬでも、兩議院の同意を經ることは實に簡單にできるのですから、これは別に大げさでないから、兩議院の同意を經るということにおやりになつても、あそこで總理大臣が一應お諮りくださればいいのでありますので、この點について、これを除くことにいかなる效果があるかということを、もう一度御考慮願つたらどうかと考えます。
#56
○佐藤(達)政府委員 例の第百一條の關係で、私が農地委員云々と申しましたが、もう一遍はつきり申しますと、農地委員の選擧のように、選擧運動にさして役所の時間を空費することもあるまい、また政治的の色彩も農地委員の場合はそれほど他から誤解を受けるような程度のものもあるまいというような意味で、農地委員などは人事院規則で除くという一例として申し上げたのであります。ただいま例におあげになりました學校の教員の方々についてどうするかという問題は、これは實はこの場で私一存でお答えをするだけの勇氣をもつておりませんので、この學校の先生の問題につきましては、やはりいろいろな觀點からの面もあり、かたがた先生だけを取上げては、ほかのこれに類するものはさらにどうするかというようなことにもなりますし、教員という形の具體的な例をとつてのお答えは、實はお勘辨願いたいと思うのでございます。人事院で考えて、適當な人事院規則ができると思うということで、ひとつ御容赦を願いたいと存ずるのであります。
 それから、さらに重ねて先ほどの百四條についての問題でございますが、われわれ法律なり、何なり起案するものの側といたしましては、非常にはずかしいほどの臆病なものでありまして、たとえば、側におあげになりましたような、公共の福祉のために、必要がある場合には積極的に責任を負うというようなことも、ある面においてはやれないこともないと思いますが、先ほど申し上げましたように、一歩誤ると濫用ということが考えられますので、内容の問題をも考えなければ、その手がかりを與えてはいかぬという懸念等もありまして、まずかような形にしまして、そしてその説明としては、先ほど申し上げたような、これは職務の範圍の問題として取扱うことにいたしたいということを、繰返して申し上げるほかはないのでございます。
 それから人事官の罷免の問題は、一應ごもつともな御心配であると思いますけれども、われわれとしては必ずしも任命の場合の手續を、罷免あるいは彈劾の場合の手續と歩調を合わせるべきものであるという一つの理窟はないと思うわけでありまして、これは罷免の場合におきましては、少くも一種の非行と申しまするか、あるいは身體の缺陥であるとかいうような具體的な事實を取上げての訴追という問題になるわけであります。これはむしろ専門的な公正な立場におる人に判斷してもらうのが一番公平な結果を得るであろうという建前から、最高裁判所の方で訴追をしていくという形にいたしておるわけであります。
 それから人事委員會のお話は、先ほども私はまことにごもつともということを申し上げたのですが、相變らずまことにごもつともなことだと實は考えておりますけれども、いろいろな經緯もありますし、また先ほど申しましたように。これはとにかく調査機關として準備機關として出發するのでありますから。この選任方法について本格的の人事官ほど、悪い言葉でありますが、そう嚴格にやる必要はないと思つて、かようにいたしておる次第でございます。
#57
○竹谷委員 委員長にお願いしますが、他數の項目をごく簡單に質問するので、その都度政府から御答辯を願いたいと思います。坐つたまま申しますので、答辯もまた坐つたままお願いいたしたいと思います。國家公務員というのは新しい言葉ですが、これの包含する範圍をちよつとお聽きしたい。概要で結構であります。
#58
○佐藤(達)政府委員 本務として國家の公務を擔任しておる者ということになりますから、國家のサービスを對象として國家から使われている者といういうようになると思います。非常に漠然たるお答えでありますが、さようなことで申し上げるほかないと思います。
#59
○竹谷委員 そうしますと、府縣市町村の吏員というような、こうした地方公共團體の公務員ははいらないということになると思います。教員は從來も官吏になつておりますが、これはどうなるか。また警察官は地方警察、國家警察というふうにわかれて、縣もしくは市というような公共體の警察職員ができた場合に、かようなものは國家公務員であるか、あるいはそういう言葉はあるかどうかしりませんが、いわゆる地方公務員になるのかどうか、この點お伺いいたします。
#60
○佐藤(達)政府委員 ただいま御指摘の通り、教員は現在のところ官吏ということになつております。すなわち官吏というのは、先ほど申しましたように國家の公務に從事しているということになりますから、依然として國家公務員であるということになります。警察の關係もただいまのところでは國家公務員であります。しかしただいまお話のように、かりに自治體の警察ということになりますれば、その職員の身分もおそらく公共團體の公務員ということになつて、國家公務員ではないということになると思います。
#61
○竹谷委員 地方公務員と申しますと、そういう國家公務員以外の公務員に關しては、政府は何らかの法律案を提出する御意向があるか、またさような準備があるかどうかお伺いしたいと思います。
#62
○佐藤(達)政府委員 これは非常に大きな問題でございまして、政府としては法制上何らかの規定を必要とするというふうに考えております。ただし御推測のように、地方自治というものと國家の公益というものとの調整の問題が一番根本に横わるむずかしい問題になつておる次第であります。その意味におきまして、どの程度まで國家が立入つて規則をつくることができるか、どれから先を自治體にお任せするかという線の引き方になります。從いまして、何らかの立法は必要であろうということは考えておりますけれども、今の具體的の法案の建前をどうするかということにつきましては、今後いろいろな事情をも見きわめまして十分研究していきたい。しかも速やかに善處したいという心構えでおります。
#63
○竹谷委員 大體國家公務員というものを包含する職員内容及び職種等について了解したのでありまするが、國政事務であつても、また地方公共團體の事務であつても、これはひとしく國家公共の事務であると私は思います。しかるに一方國家公務員として官吏という名稱を與えられておる。一方地方公共團體の公務員はやはり國家的な公共の業務を行つている職員でありながら、國家公務員ではなくて何か他の公務員となり、また公吏というような名稱で一般に呼ばれている。そこに何か官吏と公吏との間には大きな差別があつて、官吏の方がえらくて公務員の方は劣るというように考えられる。これは地方公共團體に優秀な公務員を獲得する上において非常に障害になると思うのであります。しかるに新憲法におきましても、天皇の國事に關する行為という條文の第五號かと思いますが、その中に國務大臣その他法律に定める官吏は天皇が任免すると書いてありまして、やはり相かわらず公吏と區別する意味の官吏という言葉が憲法にも存在している。かような官吏というような言葉は、いろいろな意味でいい意味のことも悪い意味のことも含まれているのでありますから、この際官吏あるいは公吏というような差別的な言葉はやめて、畫一的に國家公共の事務を扱う者は同じ名稱で呼ばれ同じ待遇を受けるという精神で、從つて國家公務員法と地方公務員法とわけないで、一つの法制で同樣に取扱うということに將來は考えた方がよろしいのではないか。かように私個人として思うのでありますが、政府委員のお考えをお尋ねしたいと思います。
#64
○佐藤(達)政府委員 まことに適切なお尋ねであると拜承するのでありますが、この官吏あるいは公吏という言葉は、從來さかんに使われて、まさに今御指摘の通り憲法にもあるのでありますが、われわれの氣持といたしましては、この法案をごらんになつてもわかりますが、法律以下の制度においては、少くとも官吏について申しますと、官吏という言葉なしにすませたいという氣持をもつて臨んでいる次第でございます。從いましてこれを總稱して國家公務員という言葉を用いてきているわけでございます。ただ今お話の點は、かりに自治體公務員と國家公務員という二つのものに觀念をわけて考えなければなりませんが、ただいまのお話でいきますと、私の言う國家公務員であろうと自治體の公務員であろうと、法制上一本に取扱つてしまつていいのではないか、というお話のように拜承するのでありますが、その點になつてきますと、最初にお話したように、國家公務員を法律で規律する規律の實體と、自治體の公務員を、法律で規律する規律の實體は、先ほど申しました地方自治權というものの要素を取入れてまいりました場合に、むずかしい問題が存するであろう。從つてただちにこの法律の國家公務員法というのをただ公務員法とやつて、自治體の職員も國家の職員も全面的に適用になるという形は、かりに若干の特例を置くにしてもやはりできがたいのではないかというふうに考えている次第でございます。
#65
○竹谷委員 次にお伺いしたのは、現在國家公務員法の適用を受ける公務員の數が概算どれくらいであるか。またそれ以外の特別職となるものの數はどれくらいであるか。おわかりでしたらお知らせいただきたい。
#66
○佐藤(達)政府委員 これは豫算の定員についてお答えさせていただきますが、それによつて御推察できるだろうと思います。私どもの調ベましたのは昭和二十二年五月二十三日現在の豫算定員でございます。これは實は國會職員を含めてのものになりますが、總定員が二百二十二萬九千人であります。そのうちの百十七萬四千人というのが特別職にあたるものであります。この特別職の中には國會職員などもはいつております。それから一般職員にあたりますものは、百五萬五千人という大體の見當であります。
#67
○竹谷委員 人事官を選考する方針が大體法律に書いてありますが、この場合たとえば高等學校が一高であつて東大を出た人と、高等學校は三高であつて大學は京都帝大という人がかりにあつたら、これはそれぞれ一緒に人事官として任命を受けても差支えないことになりますか。
#68
○佐藤(達)政府委員 差支えないことになります。
#69
○竹谷委員 三人の人事官をどういう方面から選ぶ方針でこの法律を立案せられたか。
#70
○佐藤(達)政府委員 これは實は本格的な人事官の任命ということは多少先のことになりますし、また第五條の條件を物さしにして探すということになりますから、今ただちにこういう思いつきの人があるということを申し上げるに至つておりません。その點は御了承を願うほかないと思います。
#71
○竹谷委員 人事院については十月一日ということでありますから、この選考方針というものができておると思いますが……。
#72
○佐藤(達)政府委員 これは大體の見當をつけております。ただある方面が非常な關心をもつておられますので、それとの關係がありまして、これは思う通りいきません。非常にむつかしいと思います。
#73
○竹谷委員 もつと具體的に御答辯願えませんか。
#74
○佐藤(達)政府委員 ただいま行政調査部というものでこの準備の仕事をやつておりますが、できるならばなるベくそれらとの連絡がつき得るようにしならどうかと一應考えております。
#75
○竹谷委員 人事院に推薦しようとする人の所属する階層、あるいは團體、職業というようなことの政府としての大まかな方針を伺いたいと思います。
#76
○佐藤(達)政府委員 これはちよつと大まかと申しましても、どういう方向で申し上げていいのかわかりませんが、本格的な人事官を任命する場合の尺度に準ずるような尺度ではかつて選考いたしていきたいということが一應のねらいであります。それ以上のお答えは御勘辯願いたいと思います。
#77
○竹谷委員 次は人事主任官のことについて承りたいのですが、人事主任官といふものは各省だけですか。それとも各省の下に特別地方行政官廳その他の機關がたくさんありますが、それらの機關にもそれぞれ人事主任官というものを置くというのであるか。もし置かないとすれば、そういう各省の下の各機關の人事主任官のような仕事をだれに行わしめるか、これを伺いたい。
#78
○佐藤(達)政府委員 人事主任官ということについての條項を特に設けましたのは、一般の行政事務の必要から置く人事主任官という面よりも、むしろ第二十六條に現われております人事主任官會議の構成員となるという面から規定いたしておるのであります。從いましてこれらの二十六條等の問題を離れまして、一般行政上の必要から考えますれば、御承知のように相當小さな地方の役所におきましても、少くとも係長あるいは課長というような形で人事の主任官がおるわけであります。それらのことをここで申し上げているのではございませんで、むしろ人事官會議に出席するような者をここで具體的に押えよう。非常に話が逆の方から申し上げて恐縮でございますが、はつきり言えばそういうことなのであります。
#79
○竹谷委員 午前中の會議で片島委員から質問いたしたのに對しまして、政府委員は、公務員は高度の技術性と專門性をもたなければならない。そういう意味合いでそういう公務員を適正に任免その他人事行政を行うベきような組織をもちたい。かような意味合いから公務員法を組立てたというようなお話でありましたが、この點はわれわれも贊成であります。しかしながら現在の官僚の状況におきましては、獵官の弊風を防止するということの前に官僚の封建性や派閥性というものを官界から一掃するのでなければ、官僚の民主化というものが期待できない、かく確信をいたすのであります。從いまして人事院の行政、立法府等に對する獨立性というようなものは、もつと官僚が民主的であり、そうして正しい方向に向つてからでよろしいのであつて、現在の段階においては、官界の派閥的な封建的な弊風を一掃するために、國家公務員法の考え方も現在の段階に應ずるように規定されなければならないのではないか。すなわち人事官というものの人事官會議の構成、人事院の組織というような問題について、官僚の派閥性の打破を最初に行い得るような、こうした組織にしなければならない。それができ上つた上で、初めてこの法律の原案にあるような人事官の制度等でいくベきではないかと考えるのであります。もう一遍政府の所見を承りたいと思います。
#80
○佐藤(達)政府委員 派閥性、封建性の打破ということは、當然必要なことでありまして、それはなるベく早い機會に完成させなければならないことであろうと思います。それを徹底いたしますならば、一齊に、總ざらいに現在ある役人を全部やめて新しく入れかえるということが、空想的には一番徹底した手段であろうと思います。それはとうてい實行上の問題としては不可能でありますから、この公務員法におきましては、少くとも新しくここにはいつてくる者は全部この關門といいますか、公務員法を通して官界に人を導入していくという形において、その革新をはかつているようなわけであります。特に附則に明らかにありますように、部長、局長という國の中堅級以上の者はなるべく短い期間に入替えをやるという構えをつくつているわけであります。そこで新しく取入れる方の人人についての、その機構というものは、この案にありますような人事委員というような形によつて、あるいはこの案にありますような試驗等の方法によつて、これを導入していくということが結局實効的であり、かつ一番適當な方法ではないか。あくまでもねらいは今までの官吏の悪いところを叩き直そうということでありますが、やり方としてはそういうやり方でいきたいと考えております。
#81
○竹谷委員 政府委員の考えも、午前中に片島委員から申し上げた人事官の獨立性というものに何らかの變改を加えて、そうして現段階において必要な官僚の派閥性打破の方に相當力を入れなければならぬという考えのようでありますが、しからば片島委員から意見のありました、五人の人事委員制によるところの人事行政の運營というものが、たいへん適切ではないかと思うのでありますが、もう一度政府委員の見解を承りたいと思います。
#82
○佐藤(達)政府委員 先ほどの片島委員の御提案の中にありました一つの會議體をという考え方も、これは成り立ち得る考え方ではあらうと思いますけれども、非常に現實的なことを申し上げて恐縮でありますけれども、先ほどちよつと伺いましたところでは、その構成員は大體ほかに本務をもつている方々が大部分であるように拜承したわけであります、この人事行政というような、割合に政策、立案というような方面の性格より、實質的と申しますか、現實的な方面の仕事に携わる、しかもそれが先ほど申し上げましたような、科學的な、また合理的な一つの立場で行わなければならぬというような事柄につきましては、いかがであろうかというような感じをもつわけであります。
#83
○竹谷委員 片島委員から提議したのは、内閣官房長官はほかに重要な職務をもつている人でありますけれども、たとえば一定職階以上の官吏から選任する、あるいは官公勞働組合の中から選任する、こういう人は現在は公務員でありますけれども、これに選任せられた以上むろん退職をする、そうして專門の人事委員として活躍をする。また學識經驗者の中から二人選ぶということを申し上げてありまするが、これもむろん現在何らかの職業についておりますならば、それをやめて、專門の人事委員になるという考え方でありますから、この點誤解のないようにお願いいたしたいと思います。なおこの公務員法によつて公務員を新たに採用します場合は、原則として試驗制度によることになつておりますけれども、現在のような待遇の状況では、なかなか公務員法が要求しているように國民がみな公務員となることを志願する。そうして志願人が殺到してこれに對して試驗を行つて優秀な人を採用するという考え方のようでありますが、これはなかなか現實には法律の希望するようにはなつてこないと思うのであります。從いまして、これは他の委員からもいろいろ御意見もありましたが、やはり相當人事委員による公正なる人材登用の手段を講ずる必要が、一層必要ではないかと考えるのであります。同じような質問でありますが、なお新たなる觀點から御答辯をお願いいたしたいと思います。
#84
○佐藤(達)政府委員 ただいまのような給與の状態では、志願者はとうてい十分には來ないだろうという御懸念は、私どもも一應もつ點でございます。ただ、餘談を申し上げて恐縮でありますけれども、去年と今年と、やはり高等文官試驗をやつたのでありますが、その志願者の状況を、そういう觀點からどのくらい志願者があるかと私は見ておつたのでありますが、これは私の懸念するところとは多少違いまして、從前と變らない數の志願者が参りました。これは質が悪いのだろうということになるかもしれませんが、それはまだ採點の結果を見ないとわかりません。これは餘談でありますが、そういう懸念は一應もつております。もう一つは人材登用の手段というお言葉でございますが、これは先ほどもちよつと觸れたかと存じますが、選考というか、競爭試驗によらざる選考の途を設けておりますので、その方の運用で目的を達し得るものと考えております。
#85
○竹谷委員 職種及び俸給、職階制のやり方等について、ごくわかりやすく簡單に御説明を願います。
#86
○淺井政府委員 職階制と申しますのは、きわめて簡單な言葉をもつて申しますれば、一種の分業と申しましてよろしいかと存じます。從來わが國の官廳におきましても、事務官、技官、教官と申すような分業もあり、またおのずから仕事の内容と責任のきわめて重大なるものもあり、きわめて簡易なものもあるというふうになつておりましたけれども、たとえて申しますれば、これは大福帳でやつておつたようなもので、職階制はこれを簿記に改めて、きわめて精密にやるということに歸著するだろうと存じます。そこでまず碁盤の目のようなものを御想像くださればよいのでありまして、縱の線は職種の線でございます。すなわち仕事に内容によりましてこれをきわめて精密に分析をいたします。それから横の線が等級の線と御承知くださればよいのでございまして、きわめて簡單な仕事の繰返しをやるものから順々に、その復雜と責任の度を増しましたものに、上の方に等級をつけてまいります。そういたしますと、横の線と縱の線が交りました碁盤の目がこの職階制の基礎になり、分類となつてくるわけでありまして、この職階制がございますれば、すべての官職をこの碁盤の目のいずれか一つに入れるということになつております。この法案が官職の格付と申しておりますのは、これをさしたものでございます。行政調査部におきましてすでにやりました方法は、一人々々の公務員に調査表というものを渡しまして、これに自分がどういう仕事を毎日やつているかということを精密に記入させまして、それを集めましてただいま申しましたような分類をおる次第でございます。行政調査部におきましては、およそ三千人の公務員に對しまして、試驗調査をやりまして、その結果いろいろの官廳においてもこの職階制の實施ということが可能であるということを、確信いたしている次第でございます。簡單に申しますればさようなことでございます。
#87
○宮幡委員 お尋ねをいたそうと思いました各項目はほとんど各委員によつて質疑されまして要旨を盡しておると思います。殘つておりますきわめて事務的なことにつきまして簡單にお尋ねいたしたいと思います。たびたび出てまいりました第五條の第五項と第六項の關係でございますが、第五項に「政黨の役員であつた者」といたしまして、第六項に「同一政黨に屬し」という字句がありますが、これは政黨の役員でなければ政黨に所屬しておつても差支えないという意味になりますでしようか。一つ一つお答え願います。
#88
○佐藤(達)政府委員 その通りでございます。政黨の役員でなければよろしいということになります。
#89
○宮幡委員 次は第二十五條、これもたびたび出たようでございますが、人事主任官ということでございます。この人事主任官の地位もおそらく中立性を保たせることが適當だろうと考えます。それでこの人事主任官の任免權なり、あるいは身分保障の點に若干の思いをいたすべきではなかろうかと考えておりますが、その點について當局の御所見を承りたいと思います。
#90
○佐藤(達)政府委員 この人事主任官に當ります役人は、結局この法律を通して採用になつた人であるわけでございます。その意味で身分關係あるいは採用の公正なる手續ということは、すべてこの法律の適用を受けてそれを潜つてきた人間でございますから信頼に足るものであろうというふうな考えでおるわけでございます。
#91
○宮幡委員 次には第二十八條の情勢適應の原則でございますが、その第二行目に「國會の定める手續に從い」とございますが、その國會の定める手續についての御腹案を承りたいと思います。
#92
○佐藤(達)政府委員 これはこの條文の明らかにしておりますように、社會一般の情勢に機動的に適應した給與等が行われなければならぬという役人の立場を保障した條文でございます。そのために機動的にやるということになりますと、結局法律の委任というようなむずかしい問題になつてまいります。この場合にはこの委任は、かりに給與法というものができて一定の委任をするでありましようが、その委任をする場合には一定の條件をつけて濫用にならぬような方法による委任をしなければならぬという趣旨をここに浮び上らせておるのでございます。
#93
○宮幡委員 ただいまのところ御當局としての何か具體的の御腹案はございませんでしようか。明日十時から勞働委員會と財政及び金融委員會との合同審査になりますから、私も財政及び金融委員の一人でございますが、情勢適應原則が話題の中心になりと思います。それで國會の定める手續ということの範圍、ちよつと御腹案がございましたらお示しを願えれば結構だと思います。
#94
○佐藤(達)政府委員 この條文に關連しての腹案は、正直に申しましてございませんが、一般的にこういう場合を想像して、われわれの頭で考えておるところを思いつきとして申し上げますと、たとえば一つの條件として、先般もこちらのごやつかいになつたと思いますが、一つの處分をやるときに、常任委員會なり常任委員會に對して、御承認を求めるとか、御了解を求めるというようなことも一つの方法ではあるまいか。それに類するような事柄はなおほかにも考え得ると思います。
#95
○宮幡委員 ただいまの點は了承いたしました。
 次にこれも度々繰返されました私企業からの隔離の問題であります。第百二條が中心でございます。そこには「私企業を營むことを目的とする會社その他の國體の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら營利企業を營んではならない。」とございますが、かようなことはもちろん禁止規定を設くベきでありまして當然と存じますが、實はこの運用につきましては、少しく御考慮を拂つていただかなければならぬのではなかろうかと、各委員の御質問のまにまに考えたのであります。かような名前を使うから禁止するのだということよりも、事實は無名におきまして實際役員なり顧問あるいは評議員以上の私企業に對する關與、參畫をいたしておるのが現状であります。そこに官僚の獨善であるとか横暴であるとかいうような聲が聞かれるわけでありまして、この點はむしろ禁止規定よりも、禁止規定に現われないものを實際面につきまして十分考慮を願うベきだと考えております。つきましては百二條はあまりに禁止がはつきりしておりますので、先に各委員からもこの點においていろいろお尋ねもありましたが、退職後二箇年を置くというようなことの方が、あまりに公務員に對しまして御窮屈で私は氣の毒だろうと考えております。官職にあります當時の實際の弊害なき、國に對します奉任者として義務を盡していただくことは強く強要してよいと存じます。退官後におきましてはもつとこれを緩和いたしまして、自由な面にその特長を生かすことが適切ではなかろうかと存じます。前委員の發案のありましたように、退職後二年というようなことについて相當御緩和を願いたいという希望をもつております。もつとも自由黨といたしましては、政務調査會の議にもかけて、本案の贊否あるいは修正につきまして意見の一到を見ておりますが、ただいまはまだ質問中で討論をいたしませんので、贊否はいずれとも申し上げませんが、さような意味でこの點を一應御考慮を願つた方がよいじやないかと思います。それとも私的企業のうち營利團體と非營利團體とは區別いたしまして、非營利團體の方は許可をすることになつておりますが、これも禁止するなら双方禁止し、許可なら双方許可主義にした方が當つておると思います。もつとも非營利團體の方がかような面から考えまして事實上弊害が多いわけであります。營利企業の上においてはかような禁止規定がなくても、表面的にはほとんど現われない。非營利企業の中にはお役人の方が顧問とか評議員とかいう名前でどしどしと浸透していき、許可を與えられる、こういうことになりますれば、ただかような條文は一種の空文に歸してしまうというおそれが多分にあるわけであります。この點につきまして御當局の御再考を願いたいと存じます。何か教えを受けます御意見がございましたらお漏らし願います。
#96
○佐藤(達)政府委員 お氣づきであろうと存じますけれども、ただいまの百二條の方でございますが、この二年云云の條文のすぐあとに、「前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄廳の長の許可を得た場合には、これを適用しない。」という規定がございまして、營利企業の以外の場合の一應の形は、この許可という點においては締括りは同じことになつております。ただ先ほど來御説明いたしましたように、營利企業の場合は事柄の實態から言つて法律の勢いでありますから、勢いとしては強い勢いになつておるということを御了承願います。
#97
○竹山委員長 なおほかにありませんか。――冨田委員。
#98
○冨田委員 ごく細かいことでございますが、第三十八條の五に「日本國憲法施行の日以後において、日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政黨その他の團體を結成し、又はこれに加入し者」とあります。この團體を結成し、あるいはまた加入した者であつて、もし脱退した場合はどうなりますか。
#99
○佐藤(達)政府委員 脱退した者も加入した經歴をもつわけでありますから、一應これにはいると思います。
#100
○冨田委員 その次に四十三條に、その終りの方に「官職に就く能力を有しない者は、受験することができない。」とありますが、官職に就く能力を有しない者の認定はどうなんでありますか。
#101
○佐藤(達)政府委員 ただいま御指摘のこれは、實は第三十八條に「官職に就く能力を有しない」ということで、一、二、三、四、五としておるわけであります。これを押えまして、こういう者は試験も受けることができないということを言つたものであります。
#102
○冨田委員 その次に、第五十六條の採用の場合でございますが、試験における高點順の五人の中からこれを行うものとする。高點順の志望者は五人あつて、その五人の中から高點順に採用なさるつもりですか。それともこの五人にはいつておれば、あるいは抽籖なり、選考なり、適宜その中から抜いていくことができるわけでありますか。
#103
○佐藤(達)政府委員 これは後に仰せになりましたように、五人の中から好きな人を選んでよろしい――任免權者が選ぶ範圍を五人に縮めておるわけであります。その中からどれでもよろしいわけです。
#104
○冨田委員 それから六十二條についててお尋ねいたしますが、職員の給與のことですが「その官職の職務と責任に應じてこれをなす。」その職務と責任、これは先ほどの御説明にもありましように、職階制でまいりますと、その職種と職階が定まつてしまつて、そうするとその職種なり職階に應じまして給與というものがきまつてまいります。この場合には、その給與が機械的になりまして、そうしてその者を優遇する場合には階を上げるよりほかに手がない、こういう結果になろうと思いますが、これは外國の例にもあつて、すでに御承知のことでございましようが、たとえば學校の教員にいたしましても、平教員として働かしておきますときわめて善良な教員であるが、これを首席教員にしたとか、あるいは校長にしたことによつて非常に不適任な場合がございます。その地位においてこれを優遇するということは、この公務員法の初めにございますきわめて能率的なやり方と、私はこういうように考えますが、その點そこに融通性はないものでございましようか。
#105
○佐藤(達)政府委員 これは冨田委員仰せの通りの氣持をもつておるわけでありますが、ここに言葉として現われましたところは、職務のむずかしく、また責任の思いものには結局給與はよけいにいく、職務がやさしく責任の輕いものには割合に給與は少なく濟むというようなことの精神をこれは言つておるのでございます。この具體的の給與の額をきめます場合におきましては、先ほど關係部長から説明されましたように、職階表によりまして官職の分類ができまして、一つの基盤の目のようなものができるわけであります。その分類の結果できました一つの基盤の目の中で、ずつと幅のある給與がまたきまるわけであります。その幅のある給與の額をきめます場合には、ほとんど冨田委員仰せのように、その地位に止まつて十分なる給與が得られるようにというねらいで、できておるというふうに私どもは考えております。
#106
○冨田委員 それからちよつと前にもどりますが、この六條に、人事官は最高裁判所長官の面前において宣誓書の署名するということがございます。これはどういうことを宣誓なさるのか。それからまた最高裁判所の長官の前で宣誓するのは人事官だけでございましようか。
#107
○佐藤(達)政府委員 最高裁判所長官の前で宣誓をいたしますのは人事官だけでございます。この宣誓という制度は實はわが國といたしましては、昔は一部の職務にありましたけれども、今度初めて公務員法におきまして、人事官に對する關係と、一般の公務員が就職いたします場合にも宣誓ということを要求しておるわけであります。ただ最高裁判所長官の前で宣誓いたしますのは人事官だけということにいたしております。その宣誓の内容は人事院規則で詳しく文書の形できまると存じますが、要するに人事官の職責に顧みて、嚴正公平にこれを施行するというようなことに重點がおかれてくると存じます。
#108
○冨田委員 最後に一つ。それは今さら申し上げることもどうかと思いますが、臨時人事委員會が十月一日から實施される。今日はすでに九月二十五日であります。政府の方のお見透しは、一體このような重大な國家公務員法というものを今御提案になりまして、これが無修正で衆議院を通過し、そうして參議院も通過し、十月一日に間に合う、もしもこういうお見透しでもつてこれをお進めになつておるとすれば、まつたくこれは國會の審議權に對して輕くごらんになつておるのではないか、こういう氣持を私どもはもちます。これは先ほど來ほかの社會黨の委員の方からもお話がありまして、われわれ非常に傾聽しておりました、その中にはいわゆる人事院なるものに對して根本的な改正、あるいは修正を意圖されておるようなことも承つております。このように國權の最高機關たる國會において、あのような根本的な修正と申しますか、改組と申しますか、理念的にも違つたものをお考えになつておられるが、それを受入れる餘裕を、時間的に短くして、これを審議せよ、明日は連合委員會だ、十月一日にはもうこれを實施するのだということで、私どもはこの會議に臨みまして、一日も休まぬつもりで出ておりますが、このような押しつけがましいことをなさるということは、あなたに申し上げるのではありませんけれども、政府の當局が、こうした重大な、國家公務員法案というような畫期的な議案を御提出になりまするときに、われわれにもう少しゆとりのある、そうして外國の制度等も十分研究でき、お互いに黨の内部においても練り合い、それから政府當局の方に御意見もゆつくりお伺いできるように、そういうことになりませんと、われわれは國民の前に――そしてまたあの公務員を志願して、大學の門を出まして高文の試驗を受けた者が、今度また公務員の試驗を受けますが、そういう若い人の前途に對して試驗制度というものが非常な力をもつておる。われわれは約四十年も教員をしておりますが、たつた一つの國家の試驗制度というものが、幼稚園にはいるにも、小學校の入學にも影響してまいります。かつて與謝野晶子さんは、今の時代でたれか本郷の誠之に入學を希望しない者があろうか、親としてたれか府立四中に入れたいと希望しない者があるか、たれか一高に入れたいと希望しない者があろうかと言つたが、高等學校は一高に入れたい。そうして東京帝國大學を卒業させたいというのが親心である。現在の官吏の登用が公務員法によることになれば、天下の秀才はここに集まる。親心から言つていとし子を一歩ここを通してみたいと思う。この國家公務員法の中に盛られておりますところの試驗制度、あるいはこういつた條文というものは、全日本の親心に影響します。教育者の教育方針に影響します。非常に私は及ぼす影響が大きいと思う。單なる法律とか、官吏の服務規定をきめるのではない。官吏の服務規定なら勅令で出ております。もつともつと根本的なものをお考えになつて、もう少しゆとりのある方法をもつて御提案になりませんと、第一囘國會という名前はりつぱで、民生化という言葉はきれいだけれども、少しもその實があがつてこないと思う。そういう點においてこれを今政府委員の方に申し上げてもむだかもしれませんけれども、影響のきわめて大きいということもお考えくださつて、この法案の審議に對して極力お骨折りあらんことをお願い申し上げます。
#109
○竹山委員長 冨田委員の御發言はきわめて委員會としても重大に考えてます。私もきわめて同感に存じます。その點については政府にも責任がありますが、どうか審議に對することは、あくまで國會の權威にかけて言うべきこと、修正をすべきことは全力をあげて進みたいと考えますので、委員會としては御同感の氣持は十分もつておりますが、それだからといつて審議をなおざりにするというわけでは決してないのであつて、どうぞその點御承知置き願いたいと思います。
#110
○竹谷委員 ただいま冨田委員から質問のあつた第三十八條の第五號に「政府を暴力で破壞することを主張する政黨その他の團體を結成し」とありますが、暴力革命を主張するという判定は、どういうところでせられるのであるか。政黨の綱領にはつきり書いた場合であるのか、その他の濳在的な場合も含んでおるのか、これをお伺いします。
#111
○佐藤(達)政府委員 政黨の綱領にはつきり書いてあります場合はもとよりのことであります。その政黨の實際上の行動によつて、あたかも政黨の綱領に書いてあると同じようなものと認められ得る場合もここに含むというふうに考えております。
#112
○竹谷委員 政府を暴力で破壞するということは、武力、腕力のみならず――いわゆる文字通りの暴力を意味するばかりでなく、大衆の壓力によつて政府を不當に顛覆さすような場合も含んでおるのであるかどうか。
#113
○佐藤(達)政府委員 非合法な力によつてというふうに御了承願いたいと思います。
#114
○竹谷委員 今私の言う場合も含んでおるわけですか。
#115
○佐藤(達)政府委員 そうです。
#116
○受田委員 委員長にお尋ねしますが、先ほどからしきりに言われておる最重要法案を明日合同審査會へかけるということであるが、行政組織に關する事項を審議して態度を決定すべき決算委員會として、何らその政府原案に對する修正の程度をいかにするかという態度を決定しないうちに、合同審査會に臨むということは、非常に殘念に思うのであります。しかしながら事すでにここに至つて、明日にそれを開くということになれば、これはまつたく猶豫のない現在でありますので、何らかここに具體的な緊急措置をとる必要がある。わけて午前中から私も特に強調して質問した事項の中に、臨時人事委員會の問題ですが、これがさしあたり諸調査などをするという暫定措置のような政府當局の御説明もあつて、非常にこれは簡單に考えられておるようであります。しかしながら附則二條にははつきりと、人事院の職權を行うということが規定されておるのであつて、もうりつぱに人事院の職權は、この臨時人事委員會でやられることになつておる。そういう際に臨時人事委員の任命については實に槙重を期さなければならぬと思うのであります。この槙重を期さなければならぬものが、十月一日から出發するということになりますと、これは政府當局に原案があるということでもありますが、實に差迫つてあいまい模糊の中にこのことが進められるような氣がしてなりません。願わくば十月一日が十一月一日に延期されて實施されるような運びになりますれば、われわれはあまりにもこの中に多い人事院規則によりという、いささか封建的な規定を、もう少し民主化させて、この人事院規則をもつと狹めてもつとわれわれで審議して、もつと法文に表わしておいて、そうして先ほど冨田委員も言われたような、國民を納得させ、將來官吏になろうとする人たちにも一應の希望を與えるよう、審議に餘裕を與えたらと思うのでありますが、この點について委員長のお氣持からどういうような措置がとれるのであろうか、お尋ねするわけであります。
#117
○竹山委員長 ただいまの受田委員の御説はまことにごもつともであります。明日連合審査會にかける前に、決算委員會としての考え方をまとめておいたらということはまことにごもつともでありますが、理事の方々と御相談をいたしましたのは、今までもそういうことがありましたが、決算委員會が付託を受けて全責任を負つておりますので、連合審査會にかけまして、他の委員會の意見を聽きますが、またもどつて、最後の決定は決算委員會においてなさなければならぬ筋合でありますから、なるベく他の委員會の別な立場での意見は早く聽いて、そうしていれべきものはいれ、それをいかに決定すべきかということを重ねて、あらためて、また決算委員會の決定を願うことが、この際としては必要であろうという考え方で、明日連合審査會にかけることにお諮りをいたしたような次第でありまして、義した當決算委員會の審議を早く終らせるという考え方で出發いたしたのではないのでありますから、その點どうか御了承を願います。明日他の委員會から意見を十分聽いて、その上決算委員會がお話の通り審議決定のために餘日がないということであれば、もちろんこれは政府にあらためて交渉をせざるを得ないわけでありますから、やつてみた上でとうてい事實上間に合わないということであれば、これは明日でも明後日でも政府にそのことを申入れをし、委員會の趣旨を政府がいかにせられるかということの最後の決定は、國會においてなすということは當然のことだと考えますので、一應審議の進行はさよううな順序でいたしていきたい。かように考えておるわけであります。どうかさよう御了承を願いたいと思います。
#118
○片島委員 大體各委員からの意見は出たわけでありますから、この程度にして、制府委員の方が退場せられてから、委員だけ懇談會の形で大體の決算委員會としての意見を委員長の方で調整していただいたらよいのではないかと考えますが、いかがですか。
#119
○竹山委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕
#120
○竹山委員長 速記を始めて……。それでは本日の委員會はこの程度で散會をいたしたいと思いますが、今日は早くから長時間の御審議をいただいたのでありますが、各委員とも審議をいたしていけばいくほど、この問題は國民全體に影響するところきわめて重大でありまして、なかなか時間的に非常な心配をもつわけであります。從つて委員會の最初に私から政府に申入れをいたしたごとく、十月一日という附則の處置はいかにも困難なことと推測をいたします。もちろん委員會としては最善の努力は拂いますが、一應政府としてもこの事態をよく檢討されて、委員會に對して最善の處置を講するよう十分御考慮をいただきたいと思います。本日はこれにて散會をいたしまして、明日は十時から、さきにお諮りをいたしましたように、あらかじめ關係ある勞働及び財政金融の委員會との連合審査會を開くことにいたしまして、他の方面の委員會からの意見を十分取入れまして、再び決算委員會にもどつて、最後の御審議をいただきたいと考えます。
 本日はこれにて散會をいたします。
   午後四時三十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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