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1947/10/04 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会第一小委員会 第3号
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1947/10/04 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会第一小委員会 第3号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会第一小委員会 第3号
  付託事件
○長岡鉄道を國営に移管することに関
 する請願(第四号)
○鉄道運賃値上げ反対に関する請願
 (第十号)
○木原線鉄道残工事の速成に関する請
 願(第五十六号)
○旧鶴見臨港鉄道外三鉄道線拂下に関
 する請願(第六十号)
○学生鉄道運賃の是正に関する請願
 (第九十号)
○博多、壱岐及び対馬間の國営航路実
 現促進に関する請願(第九十三号)
○矢島鉄道株式会社の救済に関する請
 願(第九十七号)
○鉄道運賃値上げ反対に関する陳情
 (第四十七号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月四日(土曜日)
   午前十時二十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○博多、壱岐及び対馬間の國営航路実
 現促進に関する請願(第九十三号)
○長岡鉄道を國営に移管することに関
 する請願(第四号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(村上義一君) それでは請願に関する小委員会を開会いたします。お諮りいたしますが、都合によりまして発表の順序を変更して、請願第九十三号を第一に取上げたいと思うのでありますが、御異議ありませんでしようか。
#3
○内村清次君 この問題は社会党の清水君が出しておるはずですが、清水君は昨日是非この委員会に出席したいというようなことを言つておりましたのですが、どういう理由でしようか、なにか專門委員の方でよく調査しておりますか。
#4
○委員長(村上義一君) 相当調査をしてあるはずですが、それでは一應専門委員の説明を聽きましようか、御異議ございませんか。
#5
○委員長(村上義一君) それでは御異議ないようでありますから、請願第九十三号、博多、壱岐及び対馬間の國営航路実現促進に関する請願の件を御審議願いたいと思います。先ず請願書の本文を朗読いたさせます。
  博多、壱岐、対馬間國営航路実現
  促進に関する件請願
 鉄道局に於て、國鉄の延長として、博多を起点とする壱岐、対馬航路を新たに開設し、八百トン級の船舶を日航として配置方御高配相成度請願いたします。
  理由
 由來離島における産業、経済、教育、文化の発達は、一に本土との海上交通機関の完備に俟つを要することは申すまでもありません、而して壱岐、対馬は、九州本土と六十六哩を距る甚だ遠隔の島嶼で、交通頗る困難であつたが、曾て博多、壱岐、対馬間は縣の命令航路として九州郵船会社の睦丸(五百トン)及び珠丸(七百トン)の二隻の配船、交互に日航し、何等の不便も感じなかつたのであるが、前記二隻の船舶は、相前後して遭難沈没し、以來僅かに同会社の三日トンの発動機船功丸にて隔日に就航し、最近に至り右会社の阿多々丸(三百トン)と交互に壱岐、対馬、博多間を日航することとなつているがかくの如き小型船では、海上風波に際して、五日乃至一週間の欠航を見ること屡々であつて、島民の不便困難は言語に絶するものあり、從つて島の産業、経済、文化の進展を阻害されるのみならず、これら小型船舶を以て貴重なる島民の生命財産を托し、名にし負う玄海の荒波を乘り切るには、極めて危險不安を感ずる次第にして、年來島民は、この航路改善を絶叫し、右九州郵船会社にも再三これを要求せる結果、同会社においては、その要望に應ずべく、目下八百トン級の汽船(貨物船)入手奔走中の趣きなるも、現在の経済情勢下において、民間営利会社の手によりて、これが実現は甚だ至難の事業と信ぜられます。然るに鉄道局においては、國鉄の延長として博多を起点に、壱岐、対馬に八百トン級の汽船就航の計画ありと聞き及ぶのでありますが、これが実現の曉においては、両島民の便益は勿論、その産業、経済、教育、文化の発展に、至大の效果を齎すべく島民は挙げてこれが急速実現を願望せる次第にして、右國営航路の実現促進に関しては、客年十二月長崎縣会においても全会一致を以て知事に意見書の提出を議決し、尚当組合においても、島民の要望として、本年三月貴衆両院議長宛陳情書を更に本島民中より同十五日帝國議会に請願書を提出したのでありますから、冀くば島民の不便困難の事情御考察の上、速かに國営航路開設の実現に関し、格別の決裁をお願いいたしたく本書に及ぶ次第であります。請願者長崎縣対馬嚴原町対馬総町村組合管理者、寺山齋
#6
○委員長(村上義一君) 請願の本間はお聽き及びの通りであります。今日紹介議員である清水武夫君がまだ御出席ないのであります。御出席あられましたら説明を伺うことにしたいと思いますが、先ず專門調査員の調査報告を聽くことにしたいと思います。
#7
○專門調査員(福原敬次君) この問題につきましては、海運総局の方でいろいろ御心配になりまして、いろいろな措置に採られたように聞いておりますので、一應その事実を委員会としてお聽き願つた方が順序がよくはないかと存じますが如何でございませうか。
#8
○委員長(村上義一君) 何れにしても政府委員の意見は伺う積りであるのでありますが、專門調査員の調査報告は後が都合がいいでしようか。
#9
○專門調査員(福原敬次君) 海運総局の採られました措置を基礎として私申し上げた方が萬事都合がいいかと思います。
#10
○委員長(村上義一君) それでは政府委員からの意見を伺いたいと思います。
#11
○政府委員(秋山龍君) 御説明申し上げます。博多、壱岐、対馬航路には先程請願書にもございました通り、戰前五百総トン級の般二隻がございまして、その連絡には不便はなかつたのでございますが、これが戰爭で徴用せられまして、戰災によつて沈みました関係上、その後功丸、阿多々丸、この二隻でございましたが、阿多々丸は大体総トン二百三十九トンでございます。功丸は百八十一トンの船でございます。この二隻を以ちまして、毎日一囘の運航をいたしておつたのでございますが八月になりまして、同航路を受持つておりまする九州郵船という会社で、長崎、壱岐、対馬間の命令航路を履行いたします関係上、阿多多丸がスピードがございますので、これは一隻で一日一往復折返運轉ができるので、功丸を抜いたのであります。そういうことを聞きましたので、その運航によりますというと、対馬を朝五時に出まして、壱岐に八時に著く、博多に十二時に著くのでありますが、それから一時間博多におりまして、十三時に博多を出まして、途中壱岐に寄り、二十時に対馬へ歸着します。こういう運航をいたしたのでございます。これは非常に無理なスケジユールでありまして、船員に対する労働状態も非常に苛酷になります。又定員も僅か二百四十名程度の船でございまして、これでは來るべき冬に対しまして到底航路が維持できないというふうに見ておられたのでございます。そこで東京灣気船の、今は東海汽船と申しておりますが、東海汽船の菊丸という船が、これは七百六十トンの立派な純客船でございますが、これが帰還輸送をして帰つて参りまして、差当り東海汽船といたしましても確たる計画がなかつたようでありますから、直ちにこれを同社の間に斡旋いたしまして、この七百六十トンの菊丸をこの航路に入れることに手配いたしました。関係方面の了解もやつと得まして、十月の二日にこの菊丸が就航いたしております。これは七百六十トンの純客船でございます。併しこれは何分にも人の船でございまして、いつ返さなければならなくなるか分らないのでございまして、定期運航には非常に不安でございますから、この請願書にもございます上陸用舟艇でございまするが、SSという型の船が一時使用の許可をされるということになつておりましたので、同社にこれも斡旋いたしまして、一年間だけの一應一時使用を許可いたしたのでございます。このSSと申しますのは八百八十トンの船でございまして、上陸用舟艇に設計されております。汽罐が九百馬力でございまして、大体十一海里の航海速力がございます。而もこれは帰還運送に從事しておりました当事に約七百人の旅客を運んでおいつた実績を持つております。併しこれは帰還輸送で何分相当の無理をいたしておると思いますが、これを適当に改装いたしますならば、さした経費もかからないで、相当程度の旅客の收容が可能になるのでございます。これを菊丸の就航中に目下改装いたしまして、いつでも配給できるような態勢に置くように努力されております。大体三ヶ月くらいで改装ができ上る予定になつております。担当社であります九州郵船の計画でございますが、その外にこれはずつと早くから計画いたしておつたのでありますが、この航路に一隻純客船を入れたいと思いまして、大阪商船がこの計画があつたものですから、これに許可をいたしまして五百トン級の客船の新造を計画いたしております。これも関係方面との間にいろいろトラブルもございましたが、最近許可を得まして、大体本年末竣工する見込で工事を進めております。かような状態になつておりまするから、例えば新造船が遅延するというふうなことがございましても、この航路の安全ということは極めて確実なものである、この冬は絶対に島民に御心配をかけることはない、かように確信をいたしておる次第であります。この事実につきましては地元からも非常に急いで手当をして貰つてありがたい。かような電報を頂載いたしております。さような次第であります。
#12
○委員長(村上義一君) 今政府委員から関連して補足したいというお話であります。
#13
○政府委員(田中源三郎君) 博多、壱岐、対馬間の國営航路実現促進に関する請願に関して、現状と民間企業の今後のあり方につきまして今船舶局長から御説明を申し上げた通りであります。大体この航路につきまして省営にしろということでありまするが、今政府委員から説明申し上げましたような方法で、民間の方で十分にやり得る見込が立つておるのであります。万一如何なる方法を取つて見ても民間ができないというような場合に省営を考慮すべきものでありまして、こればかりでありません、他の方面におきましても大体この省営というものに対して非常に熱望されております向もございまするが、運輸省の方針といたしましては民間にできるだけの資材を與えて、できるだけの助成をして完全に民間企業をして機能を発揮せしめたい。それがいけない場合、又特殊の事情がある場合、又國家的の見地からどうしても國家がやらざるを得ない、こういつたときに省営というものせ考慮して行きたい。かように考えておりまして、現在のこの航路等のごときも、これから各場に向いますこの航路に対して三百トン級の船では非常に困難である。これは尤もな話でありまして、菊丸も入れておりますし、大阪商船の五百トン級の新造船も入れる。万一それができないし、又この会社が新造することも不可能でありますならば他の汽船会社の船をチャーターせしめる、こういうようなことによつて決して民間の困難な実情を放置せしめるようなことはなく、航路の確実を期して行きたい。今後一應民間の各航路汽船会社を近く招集いたしまして、根本的に航路の確立をいたすように嚴命をいたす所在を持つております。この機会に補足いたして各位の御了承を仰ぎたいと思います。
#14
○小林勝馬君 只今の御説明でよく分りましたが、例えば民間会社の船を使用するという政府当局のお言葉でございますが、これは命令航路とかそいううようなものでおやりになるか、会社に御一任で会社が勝手にやる航路としておやりになるのか、そういう点をお聽きしたいと思います。尚今菊丸でございますが、就航さしておるというお言葉でございますが、これは一日一航海の航海をやらしておいでになるかどうかということでございます。
#15
○政府委員(秋山龍君) 博多、壱岐、対馬航路は九州郵船会社に対する命令航路になつております。それから就航囘数の件は菊丸が一航海、阿多々丸が一航海で、二航海になつております。
#16
○新谷寅三郎君 今の御質疑に関連しましてお伺いしたいのでありますが、段々補助金或いは助成金というものを無くして、努めて少くして行こうという傾向が計画面に現われております。併し貨物船は別として、旅客船につきまして余程成熟した航路でない限りは殆んど收支の計算は立たないと思うのであります。日本のように幾つもの小さな島嶼がありまして、本土と連絡しなければならんという所では、離島航路というものは請願にもありますようにどうしてもこれは維持しなければならん。そうしますと、これは何か航路の助成でありますとか、何かの方法で以て國家が助成しませんと、この航路が致底收支が償わない。從つて地元民の満足するような経営はできないということになる。この航路の助成に関する將來の御方針につきましてお伺いしたいのであります。
#17
○政府委員(田中源三郎君) 御尤もな質疑と存じます。離島航路は一種の國道と考えて差支えないのじやないかと私は思う。それに対して從來から命令航路において、或程度の助成をしておつたのでありまするが、終戰前におきましては台灣航路、或いは大連航路でありますとか、関釜連絡線のような特殊なところを除く以外におきましても、相当に考慮すべき点があつたものを、漸次その航路を、命令航路というものに対しても助成金を削減して、民間の自主的な企業として行くというような傾向を辿つて行くように思われる。これが終戰後において、船舶はなくなるし、非常な最近の経済情勢における各種の労銀、物價の昂騰、燃料の昂騰から、ますます立ち行かないような情勢に追い込められて行く上に、船もない、こういつたようなことが、民間から漸次國営要望の原因を作つて來ておると思うのであります。そこで今日は一應先に申しましたように、各やつておりまする航路の現状並びに最近の造船計画及び將來の造船計画というものを各会社に樹立せしめまして、これに対する、一定の出すべき助成は國家が出してやつてもいい。そうして離島航路を初めといたしまして、日本の現在の領土内におきまするところの舟航というものを確立して行きたい。かような考え方を以て、近く民間会社を一應私の手許まで集めて意見を聽ぎ更に又これに対するところの政府の考え方も話をして見たいと、今その準備を進めておるところでありまするが、お説のごとくに離島航路に対しては命令航路たる現状、私が承知いたしておりまする限りでは、数字に誤りがあるかも知れませんが、十五六万円ぐらいしか金を拂つていないのじやないかと思います。最近に石炭に対する價格差補給金等も一部廃止せられるというような向も見えて参りましたので、これでは非常な民間企業会社が困難に陷るであろう。延いて國家の産業経済の上に非常な惡影響を來して來るのじやないかということで、この点とも睨み合せまして、何かここに考えまして、民間企業の確立をいたして行くと同時に航路の安全確保をいたして行きたい、処置をとつて行きたいと今考えておるようなわけでございます。いずれ具体的にその考え方がつきましたならば、改めて委員会に報告する機会があると存じております。右樣御了承願いたい。
#18
○小林勝馬君 少し立ち入つた質問でこの機会にお伺いするのがいいかどうか分りませんけれども、只今の政務次官のお話に関連いたしまして、一つお伺いしたいのであります。それはこの航路でもそうでありますが、他に日本では相当に沢山地方的な航路がございます。で、そういつた航路の経営に関しまして、從來しばしばその地元民と会社との間におきまして、いろいろの紛議を起している例が沢山あるのであります。で、この地元民の方でも海運業というのもに対する認識が足りなかつた場合もありますし、又会社の方でも、命令の航路であつて、独占的な企業になつておりますために、ややもするとその経営の仕方が独断に流れるというような傾向もないことはないのであります。そこで、これは必ずしもすべての航路に共通している考えであるとは申せませんが、地方の小さな航路を経営いたします会社の内容でありますが、できるだけ地元の人達をその会社の経営に参加させるような組織、機構というものを作るような方向に導かれるお考えはないかどうかお聽きしたいと思うのであります。そういたしますと、海運に対する地元民の認識も深まりますし、会社も地元民と一体になつてその航路を維持経営し改善して行くということについて、努力して行くということになると思うのであります。そういつた会社も現在あることはありますけれども、指導方針としてそういうことをお考えになつていらつしやるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
#19
○政府委員(田中源三郎君) 海運の民間企業について、特に本土との離島航路、並びに本土と重要島嶼間におきますところの連絡航路等の、民間企業に対する地元民との企業の合同化といつたような面についてどう考えるかというような御質疑と承りました。御尤もと存じます。併しこの日本の今の状態を見まして、劃一的なる企業と、個々の企業とあると思うのであります。これを瀬戸内海に取つてみますならば、各島嶼を連絡しております小型フェリー・ボート機帆船によるフェリー・ボート或いは四國本土間を繋ぎますところの百トンから三百トン・クラスのいわゆる汽船の航路、或いは九州四國間におきますところの航路、四國沿岸航路、瀬戸内海各種沿岸航路、こういうようなものが、從來は御承知のように大阪商船経営のもの或いは又地方々々の土佐商船であるとか阿波商船である。或いは石崎汽船でありますとか、相生汽船でありますとか、宇和島運輸でありますとかいうような、地方々々にローカルの民間企業がありまして、そうしてお互いにこれが協定をして、できるだけ貨客の便宜を図つて、交通経済に寄與して來つておつたのであります。又九州におきましても五島、壱岐対馬、又天草方面においてもかような企業がありまして、内海航路と同じようなことをやつておつたのでありますが、戰時中にこれが統制されまして、瀬戸内海におきましても一つの合同企業になつたのでありますが、戰後におきましてもまだ残つておるものもございます。併し壱岐でありますとか、或いは隱岐島でありますとか、或いは佐渡でありますとか、或いは淡路明石間でありますとか、淡路大阪間でありますとか、又民間企業だけでなく、その他縣、地方自治体の経営によつて、又は地方廳監督の下に、その助成によつてやつておる企業もあるのであります。こういうような合併いたしましたもの、或いは獨占的な企業というような面においても、いろいろな陳情等も出て参つておりまするが、一應現在の会社を今後個々にその内容を檢討いたしまして、そうしてその会社の業務状況及び配船運行状況等をよく精査いたしまして、個々に成り立つて行きますように指令をいたしますと共に、今後におきましては、その地方々々等におきますところの運輸会社と地方民とのなじみを持たせる。船になじみを持たせ、又企業になじみを持たせるということが必要であろうと思うのであります。お説のごとくなじみを持たせて行くということは、非常に結構なことと思いまするが、現在におきましては非常に船價が高くなつておりまするし、これが企業を図ります上において容易ならん企業投資を必要とするのでありまして、この際は現状の企業をそれぞれに、個々に精査いたしまして、成り立つて行くような方法を講じますのと、或いは又別個に増資、その他の企業の拡大に必要なる場合においては、地方民に呼びかけて株式の増加を図る。この資本増加は、地方民とその企業会社との合体によつて行くというような方針を採られて行くことの方が、企業の健全性を保たせて行く所以ではあるまいかと考えておるようなわけであります。画一的に申し上げますことはできませんが、個々の会社の企業の情勢をよく精査いたしまして、その上で御趣旨のように、その地方に即した行き方において、今後の企業増資において、民官合同との指導を図つて行く方がいいのじやなかろうかと、かように今日考えておるようなわけであります。
#20
○小委員外委員(橋本萬右衞門君) 私大変遅刻して参りまして、私が申上げることが或いは重複するかも存じませんが、今の壱岐、対馬間の航路のことでございますが、新谷さんの御意見のように、やはり私は地方資金の導入が必要じやないかと思う。私は全く海運のことは素人でございますが、孤島壱岐、対馬間か確か九州郵船会社の経営と心得ておりますが、近く八百トン級の船を入れるようなことをちよつと耳にしたことがあるのでございますが、或いは地方民と会社との間に感情の問題のために、こんな話が出たんじやないかと思うのでありますが、今の新谷さんの御意見並びに政府委員の御意見を承りまして、是非共地方資金の導入ということに進みたいというような考えを持つております。ちよつと愚見でありますが申し上げます。
#21
○委員長(村上義一君) 他に御質問はありませんか、御意見を伺いたいと思いますが……。本問は如何に処理いたしませうが。
#22
○新谷寅三郎君 只今の政府委員の御説明によりまして、この航路は現在すでに請願の出ました当時よりも、改善せられている。尚近く相当高い程度の改善が行われるように承つたのであります。これは理想的に言えば、尚改善すべき余地もあるでしようが、只今の我が國の海運状況から判斷いたしますと、先程政府委員から説明の程度で、この航路は一應満足すべき状態にあるのではないかと思うのであります。尚経営形態の問題につきましては、只今政務次官からお話もありましたが、そういういろいろの点を考慮せられまして地元民に満足を與え得るような内容を持つた企業で、又そういう経営方針で運航せられるならば、敢てこれをこの際に長年苦心經營しておりました会社から國営に移す必要はないかと私は考えます。
#23
○委員長(村上義一君) 新谷議員の御意見は、本問は議院の会議に付するを要しないものとして処理しようという御意見なんですか。
#24
○新谷寅三郎君 そふでございます。
#25
○委員長(村上義一君) 他の御意見はありませんか。
#26
○内村清次君 私は本問は請願者のいわゆる補足説明を本小委員会としては一應承つて、そうして決定をしたい。同時に今直ちにこれを採決して、そうして本会議に諮る、或いは又政府に送付をするというようなことの意見のようでありますが、一應この小委員会で補足説明を聽くか、或いは又運輸交通の委員会でこの補足説明を聽いて、そこで決定をして頂きたい。こういうふうに考えます。
#27
○委員長(村上義一君) お諮りいたしますが、只今お聽きのような御意見がありまして、いずれにしても紹介議員清水君から補足説明を伺うということを必要とするという御意見でありました。その伺う時期を小委員会にすべきか、又運輸交通に関する委員会にするかということは、いずれでもいいという御趣旨であると思うのでありますが如何でせう、これは紹介議員の補足説明を聽くのは、やはり本小委員会で伺つた上にこの小委員会の意見を決めた方がいいと思うのでありますが、從つて本問の決定は次囘に讓つたらどうかと思うのでありますが、如何でありませうか。
#28
○委員長(村上義一君) それでは本問は次囘に讓つて、紹介議員の補足説明を聽いた上に決定することにいたします。
 次に請願第四号、長岡鉄道を國営に移管することに関する請願、本問を取り上げたいと思うのであります。先ず請願書を朗読いたします。
 社線長岡鉄道國営移管に関する請願惟うに地方文化の進展は、海陸交通運輸の発運に俟つこと大なるは論を俟たざるところである。社線長岡鉄道は、本縣中央部西長岡駅を起点とし、北は省線大河津駅を過ぎて寺泊港に至る。南は省線來迎寺駅に連絡、即ち南北延長三十九粁二分にして、本縣三島郡を縦断する本郡の動派にして、その沿線区域廣潤にして、沿線所在なる官公衙、学校、工場、事業場等尠からず、本鉄道により往來発着する旅客貨物数量等、並びに本郡における農水産物高は別表の如くなるが、殊にその終点たる寺泊港は、明治維新後、文化の発達と交通機関の変革に伴い、昔日の殷賑を見ること能わざるも、明治四十年新潟港の副港として、百数拾万円の工費を投じ修築せられ、越佐航路の捷路として近海航路船舶地として重きをなすに至れり。又省線長岡駅とは本鉄道兼営のバス運行十五分にして旅客手荷物の省社連絡運輸を保ち、表裏日本從貫線の補助線として國有鉄道の各幹支線との連絡運輸交通の要衝となりおれり。然るに同社線は國有鉄道に比し運賃高率且速度敏活を欠き、運行囘数又粗雜、尚昨今は会社全体の経営困難にして去る五月二十日の株主総会において同社西長岡、來迎寺線の鉄道事業廃止を決議せられ、この区域の鉄道用資材を取外し、以て西長岡、寺泊の修理するの止むなきにして、この非常手段をなさずば会社全体の経営不可能となる状態なり。又開通以來三十有余年を経たる現在にても尚沿道住民の希望を充すに足らず、古來資源に富む同地方の開拓に相伴はざるを甚だ遺憾として、先に関係住民の熟望によりしばしば國営移管の請願を行い、すでにその趣意至当なりと認められ、貴衆両院において採択ありしも、いまだこれが移管の実現を見ず、ために天惠の空しく朽に委するもの尠からず、これは関係住民の損失に止まらず、新日本再建は産業増殖を必順とし、交通運輸は産業の動脈であり、文化の物指しであるという事実に徴し、ますます本線全体の國営移管の重要緊急性を認むる次第であり、希くば前陳の実情に御明鑑を垂れ給い、速かに沿道住民の熱望総意による社線長岡鉄道を國営に移管せられんこと関係市町村長連署の上ここに謹みて請願する。
  昭和二十二年六月二十日
 新潟縣三島郡西越村長以上新潟縣の各郡町村長の連署がありまして、その他に新潟縣長岡市長、長岡商工会議所会頭、長岡鉄道株式会社取締役社長、かような連署になつております。
#29
○委員長(村上義一君) お聽きの通りの本問でありますが、続いて紹介議員の田村君から本請願の敷衍説明を伺いたいと思います。
#30
○委員外議員(田村文吉君) 皆樣のお許しを得まして、紹介議員であります私から長岡鉄道の國有移管に関する請願の趣旨を敷衍させて頂きたいと存じます。本問題は今から三十余年前にこの鉄道ができまして、間もなくすでに國有移管の問題が出ましたので、たびたびこの問題につきましては、貴衆兩院に請願をいたして参つておつたのであります。本鉄道が重要な鉄道でありますということは、すでに三十有余年前に、社線としてできました鉄道であることからお考え下されましても、すでに相当の重要性を持つた路線であるということが御判断ができると考えておるのであります。併し遺憾ながら当時いろいろ政爭の問題がございまして幾度か國有になりそうであつてついにならず、そのために所属代議士が党籍を変えたり、いろいろなことがあつたのでありまして、この鉄道の國有問題がしばしば政爭の具となつておつたことは事実なのでございます。成るべくして成らなかつた大きな原因はそこにあつたのではなかいと考えておるのであります。申すまでもございませんがこの鉄道は長岡市から寺泊という海岸の町に参ります鉄道でございまして、尚省線に一ヶ所連絡を必要とする意味から、長岡市から更に來迎寺という駅において省線に連絡いたしておりますので、約四十キロに近い鉄道でございます。寺泊という町は新潟縣即ち越後と佐渡の文化の発祥地でありまして、一番新潟縣で古い港であり、町であつたのでありまして、順徳天皇がお流されになりますときも、日蓮上人が佐渡に渡られるときにも、すべて佐渡との交通は、皆寺泊から出て寺泊に到着するようなことになつておつたのでありまして、從いまして歴史的の各然の遺跡が多いのみならず、佐渡との交通においては最も近く、最も便利な港として在來利用されておつたのであります。のみならず佐渡方面の海産物、かようなものを新潟縣下及び長野縣等に移出いたし、又魚類の集散地に相成つておるような関係がございまして、誠に重要な所と相成つております。今後國内港が段々発達いたしまするに伴いまして、最も重要な國内港の一つとして残つて行き、又発展さるべき運命を有する港であると考えるのであります。さような線でございますに拘わりませず、信越線と、海岸にございます越後線とに囲まれた新潟縣の中で、この長岡鉄道のございます所が一番肉幅の厚い所でございますが、更に長岡鉄道に対して三條から西吉田まで越後線に連絡ができ上りましたのと、柏崎、長岡に縱に線がございます関係上、眞ん中にある長岡鉄道というものが、非常に経営上の脅威を受けて参ることに相成つて参りましたので、それでなくてもなかなか私鉄の経営は相当に困難な場合でありますに拘わらず、越後線が三條と西吉田まで連絡しており、又柏崎と長岡に線があるというような関係上、非常に経営が樂でなくなつて参りました。殊に今日の資材の不足して参りました状況からいたしまして、その経営上、止むを得ず來迎寺と長岡の鉄道を引外して、その費用で長岡、寺泊間の線路の補修をしなければ会社の経営ができないというような今日は苦しい状況に相成つておるのであります。地方民といたしましても、越後は雪の多い所でございますが、長岡線はそう著しく雪の多い所ではありませんけれども、先ずちよつと雪が二尺か三尺も降りますると省線ならばどんどん雪を除けて運轉を継続されるのでありますが、この線は雪が深いというとすぐ止つてしまう。でありますから、沿道の三、四十万の人達が常に冬になりますと歩くより途がないというようなことで、非常にこの線が不十分であるということについて遺憾に考えておるのであります。長年貴衆両院に対して御採択を願つておつたのでありまするが、この際新らしい國会として、この問題を是非御採択を頂くことによりまして、又この國有が一日も早く達成、完成されまするように希望して止まない次第でありまするが、即ち本請願書を提出いたしました次第であります。どうぞ御明快を以ちまして、何卒本案の御採択の願われまするように、紹介議員として特にお願い申し上げる次第であります。
#31
○委員長(村上義一君) 政府委員から説明及び意見を伺うことにいたします。
#32
○政府委員(田中源三郎君) この長岡鉄道の國営化につきましては、只今紹介議員の田村さんから詳細御説明がございましたが、大体地方におきまして國鉄と連絡をしておりまする重要な産業開発上必要な路線であるということは申すまでもないことでございます。現在この線路は與板、寺泊間が十六キロ八、與板、西長岡間十四キロ八、この区間と、西長岡、來迎寺七キロ六、合計三十九キロ二でございまして、これの軌間は一メートル・六七になつております。動力は蒸氣及び内燃機を使つておりまして、資本金は百二十万円の会社であります。配当はいたしておりませんが兼業といたしまして自動車業をいたしております。別に鉄道の予定線との関係というものは何もございません。この鉄道の資本金に対しての建設費を見てみまするというと、昭和十九年に百五十七万九百六十三円、昭和二十年の建設費が百四十八万六十一円、二十一年に百五十四万九百十九円、合計して四百五十九万千九百四十三円というものでありまして、営業收支の合計が二百五十六万四千五百九十三円で、営業費が二百六十八万九千九百八十六円、差引、赤が十二万五千三百九十三円、大体こういつたような営業成績が出ております。これを若し買收いたしまするというと、この建設費から、いわゆる鉄道営業法の買收算定法によつていたしますというと、その價格は百五十四万円程度になるのでございます。御承知のごとく、政府は戰時中買收をいたしました鉄道に対しましても、目下民間に、拂い下げろ、これを返せというような御意見が相当あり、民間から國会に宛てて相当請願も出て参つておりますし、私共の方にもいろいろ陳情を受けておるようなわけで、國鉄の現状は過日來白書を以て御説明申し上げまして、すでにその面において十分なる知識と経驗とを有せられる当小委員会において御承知の通りの実情にあるのであります。かような実態によりまして当鉄道の請願に対しては、地方の方々に対する御心持というものは十分にお察し申すこともできるのでございまするが、政府自体の財政並びに國鉄の現状等からいたしまして、本鉄道を買收するということは、誠に今日は困難なる実情にある。はつきり申し上げますれば、差し当り買收するということは困難な現状である、かように考えるのであります。
 本鉄道は、西長岡、來迎寺間七・六キロというこの鉄道を撤去いたしまして、そうして残存区間の與板、寺泊、與板、西長岡約三十一キロ間のすべての路線の補修強化に撤去いたしました資材を充当いたしますと同時に、撤去区間におきましては、バス事業をこれに行いまして、通行の業務の支障なからしめるように指導いたして行きたいと、かように考えておるようなわけでございまして、誠に今日の國鉄の現状並びに國家財政の見地から、地方の御要望に副いかねることを遺憾とするのではございまするが、以上申し述べましたことによつて、当委員会も御了承をお願いいたしたいと存ずるのでございます。
#33
○委員長(村上義一君) 続いて專門調査員から伺いたいと思います。
#34
○專門調査員(小倉俊夫君) 調査いたしましたのですが、その調査の内容につきましては、只今の請願書並びに紹介の方のお話で全く委細を盡しておる次第であります。
 それで意見といたしましては、結局國鉄になりましてそれが現在よりも好くなるかどうかという点にあると思います。現状におきましては、勿論沿道の住民の方々が非常に困つておられるというようなことはよく分るのでありまするが、さてこれが國営になりまして果してより好くなるかどうかという点につきましては、只今政務次官からのお話がありました通りに、國有鉄道自体が現在線の改良補修に手が廻りかねるという現状でありまして、レールにつきましても非常に不足しておる。重要路線の建設におきましても、全く古資材を使つてやつておる。それから車輛につきましても、幹線の車輛が非常に不足しておる。それで輸送力も、最近におきましては、十数年の昔に及ばないというような点から考えますると國営に買收されても決して好くはならないのではないか。却つて現在の運営の強化を図つて行くという方が捷径ではないかというふうに考えられます。それから又現在國鉄自体が非常に赤字を背負つておりまするので、この上赤字の多くなるというようなことについては、極力避けなければならん立場でありますし、又現在の社会通念としてできるだけ運営を強化して行くということが通念であるといたしますれば、今俄かに本請願の鉄道を買收するということは、なかなか難点が多いように調査の結果判断いたしたような次第であります。
#35
○委員長(村上義一君) 尚質疑があれば……。
#36
○内村清次君 專門委員の方或いは紹介議員の方にお伺いしたいのですが、現在の状態でいわゆる長岡鉄道というものが國営に移管せられない場合においては、この経営というものが衰亡して全く採算が立ち行かずに、この三、四十萬の地方民は全く交通文化から遊離するというような事態に立ち至るというようなことはないかどうか、その点について一つお伺いしたいと思います。
#37
○專門調査員(小倉俊夫君) それにつきましては、更に会社の内情を精細に調査しなければ軽々に今申し上げるわけには行かんと思いまするが、私といたしましては、現在まで運行しておりまするし、この赤字が出ましたのは最近の年度でありまするからして、そこを経営の合理化その他を図られたら直ちにその交通が止るというようには考えておりません。
#38
○委員外議員(田村文吉君) 私から状況を申し上げます。実は今年になりまして路線の中の西長岡驛から來迎寺に至る線、この線を取り外してそうして本線の補修に充てようと、こういう問題が出て参つたのであります。それはどういうわけかと申しますと、実は枕木も腐つて來ておる、ところが枕木一挺買うことができない、こういうような非常に経営上困難な状況に立ち至つておりますので、止むを得ず西長岡から來迎寺までの線を取り外そうということを会社側で考えたのであります。ところがその沿道における三、四ヶ村の人達からは猛烈たる反対がございまして、今日ある鉄道を取り外すとは何事だ、さようなことを鉄道に如何に請願されても、我々はそれがために足をさらわれるから絶対に困るということから非常に反対が出て参つたので、今日まだその問題は決定しておらんで、鉄道の方にもお願いを会社としてはしておられるようであります、又反対の陳情も各村落から鉄道に対してお願いしておるはずであります。さような状況で、今日では枕木も満足に買えない線路の補修もバラスも十分に入れるということはできん、こういうような非常に苦しい状況にありますので、若しこれが段々進んで参りましたならば、線路は引つくりかえろうとどうなろうと、会社は責任が持てない、こういうように少々荒々しいことまで当事者は言つておりましたのであります。実情はさような工合で、今後このままで行くことは地方民としては非常な不安を持つておるということだけは事実なんであります。
#39
○委員長(村上義一君) 他に御質問ありませんか。御質疑がなければ、御意見も同時に伺います。
#40
○内村清次君 政府の方針を聽きますと、政府は大体指導方針にしても、この鉄道の公益性を認め、同時に又今後の地方民の要望も相当考えるし、又民営に対してもその足らざるところにおいては助成をする、こういうようなお話もあつたのでありますが、今、紹介者からのお話によつて、この経営状態を考えて見ますと、このまま推移したならば、全くこの鉄道というものは遊離してしまう、衰亡してしまう、同時に地方民は相当このために文化の恩惠にも浴しない、日常の交通にも不便を感ずるというような状態が現出するというようなことになつたならば、國営自体のこの根本方針にも悖ることになりやせんか。いわゆる國営はたとえそこに採算のとれないところの鉄道があつたとしても、これは地方文化に及ぼすところの問題については、或いは損益を度外視してもこれをやるというのが、これが國営の本当の建前ではないかとも思われるのであります。勿論國営自体においても、現下において物價の昂騰によつて赤字が出ておるというようなことは、萬々承知しておりまして、経営自体においても、経営の合理化によつて或いはその赤字の補填を強度に考えて行くというようなことも、政府当局においては現在十分考えておられることとは信じまするが、この地方民の國鉄に対するところのこの希望は、すでに前議会においてもこれは請願が可決されておるというような思想において、この問題はこの委員会においては採択をして、國営移管の時期というものは相当研究する余地はあろうといえども、この請願を本委員会で採択されんことを私は希望いたします。
#41
○委員長(村上義一君) 他に御意見ありませんですか。
#42
○新谷寅三君 意見ではありませんが、政府委員に質問してよろしうございましようか……。私、鉄道については全然素人でありまして、何にも分りませんが、御説明を伺つておりましてこの鉄道の問題に関しまして、運輸省としては、國鉄を自分で経営して行くという面と、それから陸運の管理監督をやつて行くとうい面と、二つ持つておられるのでありますが、國鉄を経営して行く面からいたしますと、仰せの通りに、國鉄自身が今非常な危機に立つておるので、そこまで手は伸ばせんということは御尤もだと思うのでありますが、陸運を監督管理して行くという面から申しますと、私ども長岡鉄道が現在のままの経営規模を維持して行くのがいいのかどうか、或いはもつと内容を整理して或いは路線なんかも整理して、結局企業の合理化をやりまして、そうして更正する途があるならばそういつたことに対しても、管理監督される面からは、運輸省としては十分に力を入れて頂く必要があるのじやないかと思います。又これが、是非この規模のままで陸上交通のために必要であるという結論でありますれば、場合によりましては、これをこの請願の趣旨のように國営に移管されることも亦一つの方法ではないかと思われるのであります。事柄の実態をよく知りませんので、迂遠な質問になつたかも知れませんが、そういう二つの面、監督面と経営面との二つを持つておられます運輸省としまして、両方の立場から見ても、これは会社がなんかとして自分の力でやつた方がいいというような結論になるのでありましようか。その点をお伺いしたい。
#43
○政府委員(田中源三郎君) 御質疑の趣旨は非常に大きな意義を持つ、又意味を持つ御質問だと思います。現在運輸省の持つております現業と監督の面でありますが、これは根本において私共は、現状では企業と監督を両方面から切離さなければいかんと考えております。そうして現業の方は原則としては、飽くまでも私企業と同様に、経済的にこれが合理的な経営ができるということに根本を置かなければならんと思います。そうしてそれから公共性を考えて行くようにすベきだと思います。この現業と全く離れた面において監督の行政が行われなければならん。一つの運輸省内において現業と監督の二つの面があるということ、私はこれは誤つた行き方である。例えばこれは一例でありますが、ここの委員会だけとしてお聽きを願いたい。これは私個人の意見に過ぎないかも知れませんが、例えば鉄道公團、鉄道院とかいうもののなんでもよろしいから、一つのものをこれを現業を別個にしてやらせる、同時にバスも、國営の自動車全体もそういうふうにやる、つまり企業の面にあるものは、監督の面からはつきり離れた企業として存在、而もその企業が採算の取れる、そうして同時にそれが國家企業としての形態で歩んで行く、これが本來の行く道であると思うのであります。それで監督面から見ての考で企業の面を見るならば、現在の私鉄を買收するというようなことについては、余程國会に必要な面がある線以外には、買收ということは私はできない、なぜか、運輸省自体の赤字そのものを先ず一應据置いておいて、更にこれの合理性のために一定の企業資金というものを國家から借りなければできない、政府から借りなければできないという状態になつて來ておりまするときにおいて、尤もこれが今後の鉄道におきまする運営上、業務上必要であるという点があつて、又それが他の面においても必要である、こういつたところにおいて初めて私鉄を、私企業というものを買收するという考え方は出て参りまするが、現在においてはおそらく先ず自分自体の行政面から私企業の本体に深く立入つて、そうしてこれを先ず合理的な経営というものに置いて、然る後に考えて行くのが正当でなかろうか。
 それから監督面でありますが、私企業の中においても、儲かつておる私企業もあるし、儲からん私企業もあると思うのです。そうしてその又重要性というものもあろうと思いますが、おそらく今後におきまして、自由に燃料が輸入されて参りますならば、五十マイる未満の鉄道というものは、これは仮に民間のバスと対抗しても、どうしても経営が成立つて行きません。私は過去において八十マイル近い鉄道を経営して來た経驗を持つておりますが、本当に燃料が自由に輸入されるような時代において、その並行線であるとか或いはこれと最も経済的関係の多い地方にバスが経営されますならば、おそらく五十マイルや六十マイルの鉄道はバスに倒されてしまう。私共はそういう意味から、並行してバス企業をやつた過去の経驗もあるのでありまして、殊に雪國地方におきましては、冬季においては雪という自然に圧迫されて営業收入が減るということ、これに対應するところの営業を続けて行くところの設備も持つて行かなければならん、こういうことになるのでありまして、これは会社の内容も、亦十分に考課状等も見て参りませんけれども、線路のキロ数から只後御説明申し上げました営業收入から見て行きまするならば、もつと私は企業の合理的な経営の面において、打開して行く途があるのではなかろうかと思われます。例えば或必要な線のみはこれを專用軌道にして、トレーラー・バスを動かす、トレーラーを動かしまするならば、百数十人の旅客を積むこともできまするし、そうして時間的にも非常に得であろうと思います。実地に見ておりませんから分りませんが、これをバス企業に轉向してそうしてトレーラー・バスとトレーラーのトラックとを引張りまするならば軌條や枕木でやるよりも、むしろ專用軌道を使つて、経営の面の合理化ということが考えられるのであります。会社としても一体民間の企業がそういう場合に立ち至つたときは、先ず以て企業の番ち行きまする途を、経営形態を考うべきだと思います。そうしてその方においてできるだけ國会が援助して行くことを考えるということにいたせばいいのでありまして、経営が成り立たんから買收してくれというのと、それから買收するにの國鉄にとつて價値あるものとの両者がありまして、まだ私共鉄道についてはつきりとした意見を申し上げるわけには行きませんが、先ず私企業としてもう一歩自分自体の経営面の合理化を考えて行く必要があるのではあるまいか、その上において会社が成立たんということであるならば、先ず私企業としての会社の企業の経営の最後のラインというものお考え出して頂かなければならんと思うのであります。そうしい又公共性を持つ私鉄に対して、そういう立場に立ち至つたときに、初めて私共はこれをどうするかということを考えて行くことがいいのであらうと思うのでありまして、到底現実の政府の財政及び今の國鉄においては、余程それがなければならん問題でも、買收をするとか、國営に移管するということは、経済上困難なことであります、この面から見て、まだ私共は、どうしても、やつて行けない私企業としては、もう一歩堀り下げて研究して行く余地が残されているのではなかろうかと考えておるのであります、將來におきまする私企業に対しましては、今後そういう氣持で当分進んで行きたい。企業が成立つて行くということについては、民間自体から考え出して貰いたい。そうしてそれに我々ができるだけの援助をいたす。例えば金融上のお世話をするとか、資材のお世話をするとかいうことによつて、飽くまで私企業を成立たせて行くという工夫をいたして行きたい、こういうふうな考え方で、根本から申しますと、甚だ御質疑に対して当を得ないお答えをいたしたかも知れないと思いますが現状から見た國鉄と國鉄の今後の歩んで行く行き方と、私企業に対する採り方、又こういつた監督の面から見まして、そういつた行き方をいたして行く方が正しい行き方ではなかろうか、又今日そうせざるを得ない実態にあるのではなかろうか、かように考えておるようなわけであります。
#44
○新谷寅三郎君 只今の政務次官の御答弁で大体当局の方針は分つたのでありますが、國鉄の持つております公共性というものと、又経営者としての、只今お話のような、企業性と申しますか、その二つの性格をどの程度に調和するか、これは非常にむずかしい問題でありまして、なかなか的確な結論を出すことは困難でありますが、その点は又後日に讓りまして、只今問題になつております長岡鉄道の問題につきましては、政務次官のお話のようでありますと、買收をする余裕はないから、長岡鉄道はやはり私鉄会社で経営することを本旨として、それに対してその会社が成り立つようにできるだけの援助をする、こういうように承つたのでありますが、そういう趣旨でございますか。
#45
○政府委員(田中源三郎君) さようでございます。
#46
○内村清次君 今政務次官のお話でありますが、地方鉄道に対しては、運輸省といたしましても陸運管理部があつて、相当地方鉄道の監督にも当つておられることだと思うのであります。これは相当長い間、いわゆる監督面からその鉄道の状態も見ておられたことだと存じますが、この長岡鉄道自体としては、もうあらゆる方法を、民間業者としてのあらゆる方法を執つたけれどもが、どうしてもこれは自然の暴威のために、相当経営も困難であるし、こういうような観点からどうしても立ち行かないというような悲愴な考の下にこれも國会に対して前々から請願が出たことだと信ずるが、こういうふうな問題に対していわゆる監督の面にあつたところの陸運管理部は、本当に公的立場から如何なる考えを持つておられたか、いわゆるその間において十分この私鉄が成り立つような助成をやられたかどうか、こういう点を十分あの議論を聽きまして、その辺のことを私は聽きたいと思います。
#47
○政府委員(田中源三郎君) 從來私共鉄道に執つておりました事柄につきましての行政監督面に対して、或いは指導面に対して政府の執つて來た事柄は概略文書で後程委員長を通じて内村さんのお手許に報告いたしたいと思います。併しながら私企業というものにも公共性を帶びていることは当然でありまして、経営者自体が今日まであらゆる努力をいたして來たと、こう仰せられますが、併しながら私はまだ努力の一歩が足りないのではなかろうかと思うのであります。併しこの会社が、一体この面から見まするというと、投資資本が百二十万円でありまして、四百五十九万一千円の建設費を要しているというならば、少くとも本線は相当な借款が行われて來ているのだろうと私は思うのであります。少くとも投資資本から数字的に見ますると、三百三十万円以上の負債が生じて來ているのではないかということは、数字的に現われて來るのであります。そうして営業收支において、年間十二万五千三百九十数円という赤字を出しているのであります。これは二十一年度の赤字であります。そうしますと月に約一万円の赤字であります。一万円の赤字で、二十二年度の物價の刎ね上りがありまして経営の面において困難でありましようが、もう少し手を打つならば、十二万円や十五万円は数字的に見るならば、私が見ましても、これはもつと合理化できると思うのであります。その点をもつと掘り下げて見なければならん。併し枕木を買う銭がないということでありまして、請願の紹介職員の田村さんの意見もありまして、借款することができない。その後の物價の刎ね上りで、或いは営業が手一杯で、社員の俸給もこの支拂いに事欠くというようなことになつておるのでありますが、私は詳細なことは存じませんが、二十一年度の十二万五千円の赤字、月一万円の赤字というのであるならば、経営の面においてもつとやつて行くことができると思うのであります。私共はその日の旅客運賃收入を債権者から差押えられたような過去の経驗を以て最後にそれを切り抜けて來たこともございますが、やり方によつては如何なることでもなし得られると思うのでありまして、企業がいかんから政府に買收してくれということであるならば、私は企業に対するところの経営者の熱意というものが足りないと思う、今日いけないというものは、單に鉄道ばかりではありません。公共関係において赤字を出しておるものは沢山あるのであります。今一歩会社が掘り下げて貰いたい。そうしてその面についても改めて一應又関係官を派遣いたしまして、会社の実情も調査いたして、その結果も委員長を通じて内村委員に御報告したいと思います。私は私鉄経営というものは先ず最善の努力を私企業がいたすべきである。然る後私企業に対して援助の手を差し延ばすべきであると思うのでありまして、御質問の趣旨と或いは反している御答弁をいたしたかも知れませんが、御質問に対する調査は今まで輸運省が取つて來た経過を報告書を以て御報告いたしたいと思います。
#48
○委員外議員(田村文吉君) 紹介者から一言発言をお許し願いたいと思います。
#49
○委員長(村上義一君) 田村君。
#50
○委員外議員(田村文吉君) 紹介議員であります。私は実は長岡鉄道というものには全然関係を持つておりません。ただ沿線町村及び新潟縣全部の人達の輿論の声としてお願いをいたした次第であります。実は会社が引き合わないから買つて頂くというようなことは、当業者自体はむしろこの際はやめていいものならやめて頂いて、線路は線路で引つぱずして賣つてしまつた方が、今百五十万円という話でありますが、一千万円以上に賣れるかも知れません。業者自体から言えば、企業という独立体から問題を判断しますならば業者はそういうことを言うのであります。でありますから、來迎寺から西長岡の線は引つぱずしてしまう、こういうことを申しているのであります。それでは沿道の人が困る。又縣下の産業の上に非常に影響がある。こういうことからこの請願書を出しましたような次第であります。この点について政府委員の御説明を聽くと、十分にその心持が通じていないと、こう考えますので、一應申し上げる次第であります。
 尚私は時たま長岡鉄道というのに乘りますが、このくらい軽便な、実に從業員の数が少くて、殆んど駅の切符を賣る人も改札も駅長一人くらいでやつているのであります。これ以上に切り詰めようにも切り詰めようのないくらいにやつているのであります。御承知のように一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月と周囲の運賃が上つております。國鉄がその範を示しております。そういう際でありますから、私設鉄道はそうそう安くて我慢してくれろでは通せない。そういうような状況であります。これは平常の場合における企業の経営如何ということを論ずる前に、今日は非常の場合でありますので、特にそういう点について余り企業者をお責めになることは無理な問題じやないかと私は考えるのであります。左様な点を御了解頂きまして、尚本線が先刻も申しましたように、省線の競爭線に非常に圧迫を受けておりますことは事実なのでありまして、かような点から考えましても亦こういう地方発達のためにする意味において國有にして頂くということは決して意義のないことではないと考えまして請願に及んだ次第であります。一言申し上げておきます。
#51
○委員長(村上義一君) 政府委員にちよつとお尋ねいたしたいのですが、只今田村紹介議員からもいろいろお話がありました。思うにこういうふうに物價が非常に高まつて、自然人件費も高まつている。一面において資金の調達は非常に困難を極めている。又資材の入手も、資金以上に入手が困難を極めておるという今日の実情におきまして只今田村君のお話のような内情にある私設鉄道が相当数あるのじやないか全國には……、ということを考えさせられるのであります。先刻内村君の御質疑に対して文書で報告しようという御返事もあつたのですが、私の御尋ねは次囘の機会で結構でありますが、伺いたいと思うのであります。
#52
○政府委員(田中源三郎君) 次囘に一つ総括的にお答えをいたします。
#53
○委員長(村上義一君) 結構でございます。
#54
○淺岡信夫君 只今政務次官並びに田村紹介議員の話を承つておりまして、これはなかなか簡單な問題ではないと思いまするが、今政務次官のお話によりますと、私企業として、私設鉄道としてはできるだけの点をもつと努力したらどうかという点もありますし、又一方田村紹介議員の話を聞きますと、切詰めるだけのものは切詰めておるのだ、それを処理しようと思えば鉄道を引つばずすより仕方がない。唯その沿線におる住民の産業開発ということを考えた場合にということを言われたのでありまして、こうした場合におきまして陸運を監督される運輸省におきましては、運賃の引き上げというような点については一應監督官廳としての立場から許可されるというようなふうに私共は承知しておりますが、そうした場合に、例えば運賃を上げるとかいうようなことに対しましては、ここに考慮を政府としては願えるのでしようかどうかということを一つ政府委員からの御囘答をいただきたいと思います。
#55
○政府委員(田中源三郎君) 運賃の引上げにつきましては、大体の基本というものがあることはすでに淺岡委員も御承知だろうと思います。併しながらその会社の私企業の内容によりまして出願して参りましたものにつきまして必ずしもその私企業の、私設或いは公設の鉄道においてそこまで値上げをする必要がないという段階に立ちましたならば、出願の賃金引下げを許可する場合もございまするし、一應よく会社の実体も公共性とを考えまして、鉄道運賃との比較を考えまして誤りのない許可方をここに取つておるようなわけであります。個々の企業に対しましては鉄道建設をいたしました当時から会社によりまして大体においてそのキロ当りの料金がまちまちになつておりますのでございます。或いは又東京都電でありますとか、六大都市の都電でありますというようなものに対しましては、大体の一定の標準率もございますから、その面においていたしております。大体大まかな面はそういつた面で今日許可しておるような次第であります。
#56
○小委員外委員(小野哲君) 私は発言のお許しを得たいと思うのでありますが、只今の政府委員の説明なり、或いは紹介議議の説明その他質疑應答の内容を伺つておりますと、本案は愼重に御審議願わなければならない事柄ではないかと存じます。尚又委員長からも御要求がありましたような点につきましても、政府当局から説明を伺わなければなりませんでしようし、内村委員に対しても政府当局からの御答弁が書面によつてあるようにも伺つておりますので、次の機会にこれらを綜合的に政府の御所見を伺いつつ処理することの方がよいかと思いますので、一言私の意見を申し上げて御参考に供した次第であります。
#57
○淺岡信夫君 小野委員の御提議に賛成する者であります。
#58
○委員長(村上義一君) 只今小野君からの御意見、お聞きの通りであります。本日はこの程度に止めて次囘に政府からの説明及び報告書もよく檢討して、決定をしたらどうかと思うのでありますが、御異議ありませんか。
#59
○委員長(村上義一君) 御異議ないと認めます。それでは本問題は次囘に継続することにいたします。本日はこれで散会することにいたします。
   午後零時七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     村上 義一君
   委員
           内村 清次君
           淺岡 信夫君
           小林 勝馬君
           新谷寅三郎君
  小委員外委員
          橋本萬右衞門君
           小野  哲君
  委員外議員
           田村 文吉君
  政府委員
   運輸政務次官  田中源三郎君
   運輸事務官
   (海運総局海運
   局長)     秋山  龍君
  專門調査員
           福原 敬次君
           小倉 俊夫君
ソース: 国立国会図書館
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