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1947/10/01 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 水産委員会水産関係法令整備のための小委員会 第4号
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1947/10/01 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 水産委員会水産関係法令整備のための小委員会 第4号

#1
第001回国会 水産委員会水産関係法令整備のための小委員会 第4号
  付託事件
○漁業法並びに漁業協同組合法の制定
 に関する陳情(第百六十七号)
○沿岸漁業者用加配米に関する陳情
 (第百七十一号)
○機船底曳網漁業取締に関する陳情
 (第百七十二号)
○海中沈沒物速時引揚に関する陳情
 (第百七十三号)
○漁業権の漁業組合共有に関する陳情
 (第二百四号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月一日(水曜日)
   午後一時四十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○沿岸漁業者用加配米に関する陳情
 (第百七十一号)
○機船底曳網漁業取締に関する陳情
 (第百七十二号)
○海中沈沒物速時引揚に関する陳情
 (第百七十三号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(江熊哲翁君) 只今から水産関係法令の整備に関する小委員会を開会いたします。
 本日は百七十一号から百七十二号、百七十三号までお願いしたいと思います。それで今日お諮りするのは、直接法令に関する問題ではないのでありますが、その整備上一應本委員会において処理することにいたしたいと思います。
#3
○丹羽五郎君 百七十一号の陳情に関する件は尤ものことで、断えず私共の考えておつたことであります。結局遠洋漁業者のみが漁業者ではなくして、且つ沿岸漁業者も却つて私共は肉体の労働時間というものは相当遠洋漁業者よりか長いということを考えております。労働時間並びにその労働力におきましても、一つの船において活動するということでなく、その沿岸漁業者は絶えず長時間に亘つて廣汎な漁業を右往左往するというようなことで、この食糧を遠洋漁業者と同樣に加配するということは当然過ずる程当然なことだと私は考えますので、是非これは当局においても採択の上、沿岸漁業者に対して遠洋漁業者の同樣の加配米を出すという決意を以て御実行を願いたい、かように考えております。
#4
○青山正一君 これは只今丹羽さんからおつしやつたように、一つこの陳情第百七十一号、つまり沿岸漁民の加配米の件は極めて必要なことと認めますから、これを参議院規則第百七十條に基きまして議院の会議に付し、後から申上げますが、その意見書案を附しまして内閣に送付することにお願ひしたいと思います。
#5
○委員長(江熊哲翁君) 只今青山委員からの動議がございましたのですが、いかがでございますか。
#6
○丹羽五郎君 私は尤ものことであるから、青山委員の説に賛成いたします。
#7
○青山正一君 大体陳情書の方の関係は、先程丹羽さんがおつしやつたような意味合も多分に折り込んで出した方がよかろうと思いますが、私共の方で腹案を持つております。一つ読んでみます。
 沿岸漁業者も遠洋漁業者と同樣重勞働であります。現在漁業労務者の加配米は二十トン以上のトロール漁業、以西底曳網漁業、鰹鮪漁業、三十トン以上の捕鯨業、魚類運搬業從事者については一人一日二合五勺の定量加配米があります。沿岸漁業者に対しては單に鮮魚白貫供出に対しては二升五合のリンク加配米があるのみであります。沿岸漁業についても漁獲物に対し自家用消費に際し完全供出計画配給を前提とし、加配米制度も改善し、遠洋漁業同樣漁業者に対し定量配給を爲すの要があります。右の理由により参議院は願意の大体は妥当なりと思ふ。仍つて内閣は鋭意これが実現に努力せられたい。ここに國会法第八十一條により別册を送付する。」こういつた意味合の意見書を附しまして、一つ参議院議長から出して頂くようにお願いしたいと思います。
#8
○委員長(江熊哲翁君) 只今青山委員から意見書案というものを朗読されて申出があつたのでありますが、この意見書案によつて処理いたしてはいかがでありますか。
#9
○丹羽五郎君 私は尤もなことだと考えますから、即時意見書を……
#10
○委員長(江熊哲翁君) それでは丹羽委員の賛成もありまするから、さように取計らうことに決定いたします。
 次は百七十二号議案、機船底曳網漁業取締に関する陳情の件でありますが、お手許にある書類によつてこれは御承知願いたい。これをいかが取計らいましようか。
#11
○丹羽五郎君 この問題は終戰後沿岸漁民の非常に声を大にして叫んでおる点でありまして、戰時中は暫定的の措置として、瀬戸内海において機船底曳網漁業をやることを默視されておつたのでありまするが、終戰後やはり相変らず機船底曳網漁船が瀬戸内海に横行をしておりまして他の航行船舶に対して航行上のいろいろの障害を來すと同時に、この瀬戸内海の一定魚類の稚魚をこれによつて全部死減させるということで、最近非常にこの沿岸漁獲がこれによつて低下して來たということはこれは爭われん事実であります。かるが故に沿岸漁民は、是非とも我々の生命線を安るについては、機船底曳網漁船の瀬戸内海の禁止区域に入ることを何らかの方法において喰い止めたいというので、極力自衞策をとつておりますが、その力が貧弱なために、今日尚且つ侵犯漁業者は我物顔に横行しておるのでありますから、この場合に、政府といたしましては断乎これら不良業者の絶滅を期することが、私は最も必要なことであろう、かような意味におきまして、この陳情は採択をせられ、即時政府においてその不良漁業者の取締をやつて貰いたい、かように考えておる次第であります。
#12
○委員長(江熊哲翁君) この際水産局長御列席でありますので、この機船底曳網漁業と沿岸漁業とは極めて深い関係にもあるし、又今日重大な影響を及しておる漁業でありますから、その取締方針について一つ水産局長から御説明を伺いたいと思います。
#13
○政府委員(藤田巖君) この瀬戸内海は從來とも機船底曳網漁業の操業禁止区域に指定されておるのでありまして絶対曳けない区域になつておるのでありますけれども、戰前においても小型の動力船というものが相当隻数現存といたしておりました。又終戰後におきましても食糧事情の竪急対策の関係から関係縣の中には事実上無許可制の操業を默認しておるというような事柄がありまして、最近又極度にこれらの船が殖えて参つております。甚だしきは二艘曳きの機船底曳網漁業の著手をしようとするような者も若干出て來ておるようなわけでありまして、この問題が最近非常にやかましい問題になつて取上げられておるのであります。私共といたしましても、もともと此処は機船底曳網の禁止区域でありますし、お話のございましたように、瀬戸内海は稚魚の繁殖場として、重要な場所でありますので、底曳網のような能率のよいようなことで濫獲をするということは、これは嚴に戒めて取締りをやつて参りたい、かように考えておるのであります。
 併しながら、ざつくばらんに申しますと、これは非常にむつかしい問題であります。現在すでに相当隻数の、想像でありますが、恐らん万を超えるような小さな動力船があり、そうしてやはりこれは機船底曳網漁業に該当する行爲をやつておるように考えております。中には主として「えび」を取るようなものもございます。或いは「たい」のようなものを取るものもあるわけであります。それから又最近は一本釣の漁業者の指定が……やはり最近の傾向といたしましては、例えば動力船に乘り込みまして、「えび」網のようなことをやつておるということであります。現在農林省にはこの方面では取締船が一隻もございません。戰前には内海方面の取締りのために愛媛縣の三津ケ浜に根拠して一隻の取締船がございましてそれが瀬戸内海方面の取締りもやつておつたのでありますが、その後予算その他の関係から、まだ取締船が復旧いたしておりません。從つて現実問題として海上の取締りを徹底的にやるというところの態勢が一つは取られておらない。それから又これらの違反者をいかにして廃業させ、又轉業させるかということと併せて考えて行かなければ、ただ單に、取締りだけでこの瀬戸内海の漁業が徹底をして改善されるということも非常にむつかしいであろうと思いまして、私共としては一方惡質の者はこれを断乎取締つて行く。それから又極力同じ機船底曳網漁業という中に入りましても、程度が非常に違うわけでありますからして、その間よく事情を檢討をいたしまして、それぞれのものについての対策を立てて行くということを併せ考え、そうして一方においては瀬戸内海の資源の維持を図りながら、一方においては又関係業者の失業その他の問題についても十分に考えてこれを処理して行くということが必要じやないかと考えております。從つてこの問題については、最近の機会におきまして関係各方面の意見も聽き、將來これをどうするかという対策を立てるための協議会というようなものを、兵庫縣の肝煎りで行うことにいたしたい。それによつて具体的な対策を立てて行きたい、こういうふうに思つております。
#14
○青山正一君 只今丹羽委員なり或いは水産局長から縷々説明があつた通り、この問題は非常に重要なものであろうと思います。これも議院の会議に付し内閣に送付する必要があろうと思います。
 大体意見書の内容は、
  戰時中食糧不足と漁業勞力不足のため、禁止区域内の機船底曳の黙認は、戰時中の緊急措置であります。終戰後漁業勞力の充実し、沿岸小漁業者の保護、魚族の増殖の見地より、禁止区域侵犯は最も取締をなすの要あるは勿論であります。而して瀬戸内海等の重要なる海面においての取締は、関係府縣の取締船による取締のみに委せず、農林省取締船を常置し、違反漁業の徹底的取締をなすことが極めて重要であります。
  右の理由により参議院は願意の大体は妥当なりと思う。よつて内閣は鋭意これが実現に努力せられたい。ここに國会法第八十一條により別册を送付する。というような意見書を附して、一つやはり総理大臣宛に議長から出して頂きたい、こういうふうに考えております。
#15
○委員長(江熊哲翁君) 只今青山委員の御意見がありましたですが、いかが取計つてよろしうございましようか。
#16
○丹羽五郎君 私も最も適切なことだと考えますので、採択して内閣に送付されることを希望します。
#17
○委員長(江熊哲翁君) 只今丹羽委員からも御賛成がありましたですが、別に御異議がないようでありますから、青山委員から御提案の通りの趣旨により取扱うことに決定いたします。
 次は第百七十三号海中沈沒物速時引揚に関する陳情であります。陳情者は前と全然同じであります。この件は第百七十一号と同じように、大体法令整備の委員会でやるといふことに内部的に決定いたしまして、この委員会において処理いたすことになつたわけであります。さよう御了承をお願いいたします。
#18
○丹羽五郎君 この陳情も最も適切なものでありまして、小さいものは各沿岸漁民が漁場確保の上におきまして取上げたり又引揚げたりして、多少の処理はいたしておりますが、大型船舶の沈沒に至りましては、さようなことが大規模な引揚げ、又その方法においてやらなければならんために、でき得ないのであります。併し一方又考えると、これは極く消極的な意見でありますが、海中に船舶が沈沒しておる所には或る一つの稚魚がそこに発生し、又一つになれば魚溜りのごとく魚が其処へ集まるという一方には利益がありますが、さような小さい利益と、これによつて漁具をなくし或いは又船舶をなくするという大きな損害が現われて來ますので、私はこの大型沈沒物に対しましては、一府縣の力ではなし得ないと思いまするから國家の力において早くこの海中の処理をして貰いたい、かように考えております。一方これは船舶の航行安全の上におきましても、最も緊要なる問題である。少くも現在日本の船舶は極く一定数量の僅かな船舶を以て航行をいたしておりますので、この船が一隻でもさような障害物によつてなくするということは國家海運の上においても私は大いに憂慮をせなければならん問題だと考えますので、この陳情は採択の上至急処理をして見たい、かように考えております。
#19
○委員長(江熊哲翁君) 只今丹羽委員から、大体において意見書の意味を含めて御賛成の御意見がありましたですが……。
#20
○丹羽五郎君 これにつきまして私は内閣に意見書案としての一つの陳情書類の送付をして見たらいかがかと考えまして文案を作成しました。
   海中沈沒物速時引揚に関する陳情
  右の陳情は、瀬戸内海は我が國重要漁場の一つであります。この漁場に戰時中艦船飛行機等沈沒物が多数あり、これがために漁網並に漁具を破損すること甚しく、ひいては漁獲に甚しく支障を來して居りますことは、水産物の増産を緊要とする今日最も遺憾とするところであります。大型沈沒物の引揚げは政府において速かになすを必要と認めます。
  右の理由により、参議院は願意の大体は妥当なりと思う。依つて内閣は鋭意これが実現に努力せられたい。ここに國会法第八十一條に依り別册を送付する。ということを以ちまして内閣に送付をして見たい、かように考えておる次第であります。
#21
○委員長(江熊哲翁君) 只今丹羽委員の御意見がありましたのですが、別に他に御意見ございませんか。
#22
○青山正一君 この問題について、丹羽さんのおつしやつた御意見は御尤もでございます。是非採択して一つ内閣へ送付して頂きたいと思います。
#23
○委員長(江熊哲翁君) 只今青山君からの御賛成もありましたし、別に他に御意見もないようでありますから、さように取計ろうことに決定いたします。
 それでは本日の委員会はこれで閉会いたしまして、尚次会は追つて御通知申上げます。
   午後二時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     江熊 哲翁君
   委員
           丹羽 五郎君
           遠山 丙市君
           田中 信義君
           青山 正一君
  政府委員
   農林事務官
   (水産局長)  藤田  巖君
ソース: 国立国会図書館
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