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1947/07/29 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 水産委員会漁価に関する小委員会 第2号
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1947/07/29 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 水産委員会漁価に関する小委員会 第2号

#1
第001回国会 水産委員会漁価に関する小委員会 第2号
  付託事件
○魚價に關する問題調査
  ―――――――――――――
昭和二十二年七月二十九日(火曜日)
   午前十一時五十四分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○魚價に關する問題調査
  ―――――――――――――
#2
○委員長(尾形六郎兵衞君) それではこれから魚價對策小委員會を開催いたします。魚價の問題は八月の上旬に政府から發表になりますので、緊急を要する問題であります。この問題は漁民にとつて正に死活問題でありますので、本委員會としても早く態度を決定したいと思います。これに對する皆さんの御意見を一つ忌憚なく開陳して載きたいと思います。
#3
○江熊哲翁君 私は昨日、全國漁民大會の實行委員の連中が陳情に來たのにお會いしたわけなんですが、その際の陳情委員というか、實行委員の方たちの意向では、魚價は相當大幅に引上げて貰わなければ、到底やつて行けないのだということを切實に訴えておる。ところが又一方、我々が新聞などによつて聞くところによると、その人たちの氣持とは違つて、存外低いところでもいいのだといつたようなことが報じられておる。これは衆議院の小委員會の意向であるということが傳えられておるのです。それは御承知のように一・九四という率なんです。ところが、陳情の實行委員の連中の意向では、そういうものなどは思いも寄らぬ低率であるというようなことなんです。我々が從來沿岸漁村でいろいろ聞いた實例から見るというと、正に私どもも漁民と同感なのです。その際やはり何とかしなくてはならないと思うのですが、御承知のように資材が全然手に入つていない。比較的大きい業者には、それは約半分に近い資材というものが手に入つておるかも知れないが、沿岸の小漁業者の場合には二割か、よく行つて二割五分程度です。所要量に對するその程度しか手に入つておらないというような實情である。而も最近は大變集出荷の統制ということが嚴重にやられて、沿岸漁業者たちは、もう非常な犠牲を拂つて資材を手に入れて、僅かばかり獲つた魚が、今日のようなやかましい統制になつては、到底やつて行けないと悲鳴を擧げている。これは到るところの漁村の實情なのです。そういう點から判断して、私たちの氣持としては、いま少し調査もして、相當大幅に引上げたらどうかと、こういうようなことも考えているわけでありますが、果してそれが實現できるかどうか、資材が手に入らないということは、餘りにはつきりしているので、私どもはむしろ資材の對策委員會というようなものでも作つて、この際積極的な漁業用資材の獲得ということに對する方策なども、併せて考えなければいけないのではないかという氣持も持つているのですが、皆さんの御意向はどうか、一應私もそういう愚意を法ベて皆樣の御意見も承りたいと思うのであります。
#4
○青山正一君 大體今度の魚價というものは、これは物價廳の一・六倍、これから衆議院の一・九四倍の原案というものは、これは大體昭和九年、十年、十一年、三ケ年を基本として、見たのではなく、ただ單に昭和十一年の一ケ年のみを、それも六大都市の一つである東京魚市場の卸賣相場を參考として、原案を作つたものと解釋されるわけであります。現在のところ、魚價は早急に決めなければならんという建前にあるわけでありますが、若し假に衆議院の原案をこのまま承認するならば、或る嚴重な附帶條件を附けて決めか方がよかろうと思います。只今江熊さんからいろいろ意見もあつたわけでありますが、これには全面的に賛成いたします。
#5
○委員長(尾形六郎兵衞君) 他に御意見のある方ありませんか。
#6
○田中信儀君 只今江熊さんのお話の通り、我々の地上の漁民の要望としては、少くも三倍というようなことに……、結局それは資材が廻らなければ何にもならない、若し一・九でありますれば、資材の裏附が完全にならないと、九月の漁獲期に入りますと、七千圓近いマニラ・ロープを手に入れるより、むしろ休んだ方がいいではないかというような心持を持つております。そうすればこの重大な食糧資源の漁獲の減少を來すわけであります。若し傳えられておるように、一・九にストツプされるということになりますれば、相當の資材の裏附がなければ到底やつていけない。それに對しまして、只今江熊さんのお話の通り、資材委員會でも作りまして、少い資材、或いは隱匿資材を徹底的に取纏めて、漁民に配給する以外に方法はないと思う。江熊さんの只今の委員會設置、殊に相當あると言われておるロープなんかの蒐集の問題もこの委員會の手でやりまして、資材の裏附をしてやるということになれば、一・九でも納まりますが、それでない以上は増産し難い。委員會設置に全面的に賛成いたします。
#7
○江熊哲翁君 只今私が申上げました委員會設置というのが、もう最大の條件のように、皆さんちよつとお聞き取りのようであるが、しかし必ずしもそうでない。考えて見ると今假りにどんなことが資材問題において約束されようが、つまり必ず出すと言つて見たところで、我々が今要求するものの食糧としての魚類に對する要求というものは、今日明日の問題で、資材なんというものは世界の何處かにあるかも知れないが、そんな物を持つて來るということは相當日にちがかかるわけでありますから、私は極端に言えば、政府が假りに約束したからといつても、信用ができんという氣持が恐らく漁民の皆にあると思います。そういうところに、もつとはつきりした態度を政府自身が示さなければ、漁民としては割切れないものが、今まで相當あると思います。他にいろいろの問題、約束したことが一句實行されないという實情はんだから……。殊に漁業用資材の問題のごときは我々は最もよく知つておるが、一部にあるのではないかと言われており、又實際においてあるらしきものがあるが、果してどの位あるかということは我々には見當が付かないといつた状態であるのですが、この魚の値段はもう近日中にいやでもおうでも決めなければならんということになつた場合に、そういう不安をもつたものを基礎にして決めるということは、なかなか漁民として納得がし兼ねると思います。僕はこの際、條件というものは從來あり勝ちのように、出來るだけ世話してやるとか、それは何とかしますといつた條件でなくして、必ず確保するということをはつきり約束して、そして行くということになるか、今までない手を打つて貰わなければ、これは方法がない。納得しません。この點を特に主張したいのです。委員會を作つて見たところで、それは再前私が言つた言葉を多少食むような意味になるかも知らんが、委員會を作つて見たところで、がたがた委員共が動いて仕事をして行つても、いつ出て來るか分らんという氣持もするのです。これは我我も大いに責任があるわけですが、政府はもつとはつきりした態度を以てやつて行くようになるならばともかく、何とか漁民の納得も今のところ行くのではないかというような氣はしますが、併しどうも今まで資材は貰つていないのですからね。そうして置いて、一般生産者たちが欲しいという物については何とかしようというのが從來の説明の仕方なんです。そうして一向貰つたことはない、何も生産に役立つ物は貰つたことはないのですからね。ところが、そういうことが許されない今日の實情なんですから、私はいま少し思い切つた、例えばこういう物がありはせんかというふうにして、探すにしてももつと徹底した探し方をする。そうしてある部門に政府自身が集めておる物を、一應食糧の危機突破のためにその資材を一手を漁業用資材に廻す。廻すということによつてはある部門の人といたしましては相當不平もあるかも知れんが、併しそれだけの勇敢なる手を打つ。とにかく今まで滿たされないところの生産漁民に對して、納得の行く果敢なる手を打つということを約束するということが、私は非常に必要だと思うのですね。私はそういう氣がするのです。
 從來餘りに漁民の實情に接し過ぎておつて、聲を聞き過ぎておるから、私の言い方は徹底し過ぎておるかも知れんが、まあそういう氣がいたします。
#8
○青山正一君 私は漁業というものは、ただ單に農業とか或いは中小工業、これらとやはり同様で、どうしても資材の裏付というものがないと、いかに公定價格を二倍にしても三倍にしても、これは絶對に増産できないという部面があるのです。最近いろいろやかましく言われておる世耕事件の問題にしましても、その他終戰物資とか、隠退藏物資の摘發というような問題も、結局は横流れとか、闇を封ずるというような意味合の下に、非常にやかましく言われておるわけなんであるが、魚價という問題も、資材の裏付けがないことには、これは二倍になつても三倍になつても結局歸するところは、それと同じような意味のことを又次の機會に繰返さなければならんということなんですからして、この際、議會で隠退藏物資というものを非常に大きく取り上げておるわけなんですが、そういつた物をはつきりと正式ルートに載せて、それによる利益を漁業者に收めさせることによつて解決して行かないことには、その魚價をただ單に六割なり、或いは九割位上げたところで、恐らく漁業者というものは承知しないと思います。そんな點について特に政府の方では十分に研究しなければならん、こういうふうに私は考えておるわけなんです。
#9
○委員長(尾形六郎兵衞君) 外に御意見の方はありませんか。
#10
○田中信儀君 青山さんの御説は、資材の問題、やはりこれも政府の言明のみに信頼せず、強力な委員會を作りまして、漁民の納得の行くような對策を工夫しなければいけないと思います。私はやはり資材委員會、政府或いは業者との構成による委員會の設置を切望いたします。
#11
○委員長(尾形六郎兵衞君) 六體皆さんのお話を纏めまして、一つ魚價の具體案を作りたいと思います。異議ありませんか。
#12
○江熊哲翁君 その點はどうせ決めなければならん運命だから、いいこともないのだが、併し私はくどいようだが、今青山君の言われたように、資材がなければ二倍や三倍程度に上げて問題が片附くものじや絶對にない。五倍にしたからといつたつて、資材がない限りはこれは片附かん。まあ田中君からもそれに對する御意見があつたようだが、これは本當に、ここのところが大事なポイントなんですね。だから魚價問題を議論することは末節に囚われ過ぎておるんじやないか。必要のものだから、それを捕えて議論するのは當り前のようだけれども、それと不可分の關係にあり、絶對必要條件である資材問題は何ら今まで議論されていない、研究されていない。僕はその點において政府自體が怠慢だと思うのです。そういうことについて、はつきりしたことは一口も言うておらん。そうしておいて、魚價問題ばかりが緊急に決定されなければならん問題だといつたようなこと、食糧増産が最も重要な問題だというだけであつて、それと不可缺な關係にある資材のことは、どの程度御心配しておるのやら、どのことを今しておるのやら、漁民も知らない。ここに出て來ておる人間も知らないという状態にしておることが、私は非常に殘念だと思います。あなたが今委員長として、皆の意見を綜合し、ここに案を決定されるということは、これは結構ですけれども、その重大な問題を決して忘れられてはならない。そこにところを一つはつきり腹の中に入れて置いて決めて戴きたいと思うのですな。
#13
○委員長(尾形六郎兵衞君) お諮りいたします。
#14
○青山正一君 衆議院の方では、大衆的な魚の値段を下げる、こういうふうな意向があるようにも見受けられるわけなんですが、私らの考えでは「いわし」「あじ」「さば」「ぶり」とか、一般國民の口に相當入るような品物はできるだけ、せめて等級を上げて、價格を全般的に睨んで、外の品物より少し上げた方がいいんじやないか。こういう點を一つ含んで今度の委員會に善處して戴きたい。「いわし」「さば」「あじ」「ぶり」、こうした一般操作用のものを等級を上げて戴きたい。
#15
○委員長(尾形六郎兵衞君) それでは皆さんの御意向を綜合しまして、委員長から具體案を出していかがですか。宜しいですか。
#16
○委員長(尾形六郎兵衞君) で、今囘魚價を早急に決めなければならん場合に當りまして、本委員會としましては、大體において昭和十一年度の魚價の六十五倍という價格は丁度現在の一・九四倍になりますので、その程度で決めたい。但し昭和十一年度というのは非常に魚が多く獲れて、値段の安い年であつたので、その價格を基準にして決めることについては、當時の状況を考えてみて滿足するものではない、又魚價の問題よりも、資材があるかないか、ということが生産を興す根本問題であるから、政府においては、資材を確保するということを約束すること、次に魚種別による魚の價格に對して相當程度の考慮を拂うこと、もう一つは、資材を政府から貰わない沿岸の細かい漁師が獲るところの「たい」「えび」「すずき」等の魚類についてはマル公を外すこと、このような條件を附けて現在の價格の一・九四倍の價格を認めよう、こういうことで決めて異議ありませんか。
#17
○江熊哲翁君 今委員長は「決めてよろしうございますか」と言ひ、「よろしうございます」と言うたのだから決めたわけなんですが、又御相談なさるのですか。
#18
○委員長(尾形六郎兵衞君) 大體今の案でやりたいと思います。著しく今の案に皆さんが異つた御意見がなければ、これでやつて行きたいと思います。
#19
○青山正一君 江熊さん、どうですか。資材の裏付けということを最も嚴重に、やはり附帶決議として、はつきり謳つて置かんことには……
#20
○委員長(尾形六郎兵衞君) ちよつと待つて下さい。青山さん……
#21
○青山正一君 さつき言つた通りですね。資材の裏付けという關係をいま少しく嚴重に現す意味合をその中に織り込んだらどうかと思います。ただ附帶決議というふうな簡單な文字で、取上げてもいい、取上げなくてもいいというふうな簡單な、いわゆる今までの附帶決議のような氣持じやとても漁師が落ち著かんだろうと思いますな。
#22
○江熊哲翁君 贊成ですな、青山君の意見に、全然贊成だ。
#23
○青山正一君 附帶決議じやなく、主體決議にしなければいかん、それを持つて行かなければいかんと思います。
#24
○田中信儀君 今の委員長の案に附加えて戴きたいのは、漁業資材の重點的確保のために、業者を委員とする委員會を作つて戴きたいということを條件にして戴きたいと思います。
#25
○委員長(尾形六郎兵衞君) 田中君の話の資材の委員會というのは、魚價の問題を決定するのと別にして、これは水産の常任委員長に要望することにしたいと思います。
#26
○田中信儀君 お頼みいたします。
#27
○委員長(尾形六郎兵衞君) 今の青山さんの御意見の資材の問題は、今直ちにここで決めるわけに行かないと思いますので、魚價の問題は魚價の問題として資材問題を強調して、附帶決議にして決めるしか私は方法はないと思います。如何でしようか。
#28
○委員長(尾形六郎兵衞君) それでは……
#29
○江熊哲翁君 別に異議ありません。
#30
○委員長(尾形六郎兵衞君) 先程申上げた三つの附帶條件を附けまして本會の決議といたします。じや今日の委員會はこれで閉じます。
   午後零時十九分散會
 出席者は左の通り。
   委員長    尾形六郎兵衞君
   委員
           寺尾  豊君
           田中 信儀君
           青山 正一君
           江熊 哲翁君
           三好  始君
ソース: 国立国会図書館
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