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1947/10/21 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会社会事業振興に関する小委員会 第4号
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1947/10/21 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会社会事業振興に関する小委員会 第4号

#1
第001回国会 厚生委員会社会事業振興に関する小委員会 第4号
  付託事件
○兒童院設置に関する件
○戰死者遺族の更生対策に関する請願
 (第百十六号)
○拂下げミシンに関する請願(第二百
 十号)
○社会事業共同募金に関する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月二十一日(火曜日)
   午後一時二十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○傷痍者更生援護に関する請願(第百
 九十九号)
○戰死者遺族の更生対策に関する請願
 (第百十六号)
○社会保障制度に関する件
○社会事業共同募金に関する件
○兒童院設置に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山下義信君) それでは只今から開会いたします。前回の委員会で御審議を煩わしました請願第百九十九号傷痍者更生援護に関する請願の件でございます。請願者は全日本傷痍者同盟結成準備委員会委員長藤龍美、紹介議員は矢野酉雄君、河野正夫君でございました。右の件は諸君の御審議を煩わしました結果、この請願は戰爭犠牲の傷痍者として現在何らの保護も受けず悲惨な状況にあるから、全國的に実態調査の上、傷痍者並びに不具者の程度に應じた最低生活費の支給、生活保護法による医療扶助の適用、公益厚生施設等への優先採用、職業の幹旋等適当なる措置を講ぜられたいという趣旨でありまして、参議院は願意の大体は妥当なるものとして、仍つてこれを内閣に送付するよう、本委員会にこの旨を小委員会の審議の結果として報告することにいたします。この点この際御報告いたして置きます。右の通りに本委員会に報告いたしましてよろしゆうございますか。
#3
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記を止めて……。
#4
○委員長(山下義信君) 速記を始めて……。御異議ないものと認めまして右の通り本委員会に報告いたします。
 次は本日の日程にございます請願第百十六号戰死者遺族の更生対策に関する請願、この請願につきまして御審議をお願いいたします。紹介議員が出席いたしておりませんので、便宜上專門調査員から請願の趣旨を説明することにいたします。
#5
○專門調査員(木村盛君) 請願文書表第百十六号の請願につきまして御報告申し上げます。本請願は戰死者遺族の更生対策に関する請願でありまして、請願者は福島縣小名濱町の齋藤晃君であります。紹介議員は橋本萬右衞門君であります。請願の内容は戰爭において夫を棒げ、又父を失つた遺族の者の現状が甚だ窮状に陥つておるから、是非平和日本建設のために努めておる現状に鑑みてその更生の途を計つて貰いたい。かような趣旨であります。その内容として盛つておりまする事柄を十三項目挙げております。一つは遺兒に対して最優先的に育英資金を支給して貰いたい。二が十五歳以下の遺兒に対しては学用品及び衣類の無償配給をして貰いたい。第三は母子寮並びに授産場、託兒所を設置して経費は政府の負担、経営は戰爭犠牲者團体の手で行うようにして貰いたい。第四は、全國の國立病院入院中の傷痍軍人に対し被服を支給して貰いたい。第五が、各府縣免税興業が自由に行えるよう戰爭犠牲者團体に認可して貰いたい。第六が、生業資金を戰爭犠牲者、即ち遺族、傷痍者等に優先的に配当して貰いたい。第七が、傷痍者扶助料の差別待遇を撤廃して貰いたい。第八が、傷痍者の義手、義足の修理は政府の負担でこれをやつて貰いたい。第九が、運輸省、内務省、司法省、逓信省各官吏及び從業員の衣服の加工は、戰爭犠牲者團体に対し最優先的に委託してその作業に当らしめるようにして貰いたい。第十が隠退藏物資を即時戰爭犠牲者に配給する方途を講じて貰いたい。第十一が、戰爭犠牲者を免税の対象として貰いたい。第十二が、同胞援護会は戰爭犠牲者援護を重点としてその事業が遂行されるようにして貰いたい。第十三が、輸出産業を家内工業として戰爭犠牲者團体にその資材を配給する方途を講じて貰いたい。これがその大要であります。以上御報告申し上げます。
#6
○委員長(山下義信君) 御意見がございましたら、どうぞ……。
#7
○塚本重藏君 ちよつとお伺いいたしますが、この戰爭犠牲者團体というのは実際は如何なる團体のことを指しておりますか、組織立つた團体ができておりますか。
#8
○專門調査員(木村盛君) 請願の文の内容にはその團体は指示してございません。
#9
○中平常太郎君 請願者は誰ですか。
#10
○專門調査員(木村盛君) 福島縣小名濱町の齋藤晃という人であります。
#11
○中平常太郎君 只今付議されました請願でありまするが、これは主として在外同胞引揚促進に関する特別委員会の方で戰爭犠牲者の公平なる負担問題、その他あらゆる戰爭犠牲者に対する職業優先就労問題、或いは住宅問題、乃至は授産所更生問題等を実施しておりまするが、こちらの方へこの問題が廻つて参りましたというところは、どういう意味から廻つて來たのでありましようか。ちよつとお伺いいたします。或いは在外同胞の方とは違うのでしようか戰災者とは……。
#12
○專門調査員(木村盛君) これは遺族の更生に関する問題としてこちらの方へ來たわけであります。
#13
○中平常太郎君 そうするとやはりこちらへ來るということにもなりますね。
#14
○委員外委員(塚本重藏君) 先の私の尋ねたことについて、なにか厚生省の方で犠牲者團体というようなもので、なにか全國的に組織を持つておるものとか、或いは地方の状況がどういうふうになつているというようなことでお分りの点がありましたら……。
#15
○政府委員(葛西嘉資君) 恐らく今專門調査員からお話がありましたように、戰爭犠牲者團体と言いますのは、遺族或いは傷痍者の團体というふうな意味ではないかと、これは想像でありますが、そういうことになりますと、この傷痍者関係の團体でございますと、全國的な組織としましては例の共助会というのがございまして、これは中央にも共助会がある。会長は松本學さんがしておられます。これは地方にやはり支部を持つて、大部分の者が元の軍人傷痍者でありますけれども、特に軍人だけのことではありませんので、産業の傷痍者或いは戰災の傷痍者というようなものを含めた傷痍者の全國的な團体でございます。それから遺族の方の團体になつて参りますると、これは東京の武藏野母子寮に本部と言いますかを持ちます戰爭犠牲者遺族同盟というのがございます。これは昨年でありますか、今年になつてからでございますか、ちよつと記憶がぼんやりしておりますが、全國的に各府縣等にありまする遺族の團体を集めて、東京で会議をやつたことが一回ございます。併しこれはなかなか本当にそれらの下部組織を持つた例えば、共助会のごとき組織を持つた團体であるかどうかということは私共疑問であると思います。現に提出者でありますが、齋藤さんからもそういう遺族の方々の日本遺族平和連盟というようなものを作りたいということを言つておりますが、全國的にそういう名義のようなことから申しますと、全國的にそんなふうな團体が現在あるとは認められません。府縣におきましては大体遺族関係の團体というものが終戰後いろいろな混乱があつたようでありますが、どうやらこうやら作りつつある。又縣によつては相当健全に仕事をしておられるところもあるように見受けられます。なかなかデリケートな点もありますものですから、全國的な運びにはまだなつておりません。そんなふうな状態のようでございます。以上想像を交えましての話でございますので、御了承願います。
#16
○專門調査員(木村盛君) 只今の請願の文書の要旨、それに刷つてありますような事柄からいたしまして、三種ばかりの團体名が付いておりますが、これは請願の手続によりまして、法人にあらざる團体の代表がこの請願をするということができません。自然齋藤晃個人が請願者として受理になつておりますから、その点予め御了承おき願います。
#17
○委員長(山下義信君) 委員長から政府当局にお尋ねいたしますが、只今請願書の中に多数十三ケ條に亙つていろいろ歎願しておりまする点がございますが、固より戰爭関係というようなことで差別的待遇のできないことは分つておるのでありますが、この請願しておりまする各種の要求の中で、そういう差別的な意味でなくして困難をいたしておる一般國民という立場の上におきまして、何か特別に当局において考慮なされ、善処なされる余地があるものでございましようか。それらの点を伺いたいと思います。
#18
○政府委員(金光義邦君) 第一の点は遺兒に対し最優先的に育英資金を支給するということでございますが、これも戰死者の遺族だからといつて特別扱いはできないわけでございますが、文部省の育英資金制度の活用により、できるだけの措置をいたしたいと考えております。
 第二は十五歳以下の遺兒に対する学用品及び衣類の無償配給ということでございますが、これも遺兒に対して特別の配給はできないわけでございますが、一般兒童を含めて必要な向きには、必要な物資が得られるように力をいたすつもりであります。
 第三に母子寮並びに授産所、託兒所を設置し、経費は政府負担、経営は戰爭犠牲者團体の手で行うという点につきまして、母子保護のためには母子寮の増設、保育所の設備、授産施設の拡充という諸般の施設を進めたいと考えております。
 第四に全國の國立病院入院中の傷痍患者に対し、被服を支給するという点でありますが、戰傷者に対する特別扱いは御承知のように不可能でございますが、一般傷痍者対策といたしまして、失明寮を初め必要な施設を講ずるとともに、入院患者に必要な被服については十分の考慮をいたします。
 第五に各府縣免税興行が自由に行われるように戰爭犠牲者團体に認可をするという点でありますが、戰爭犠牲者團体につきましては、聯合軍總司令部の指令に反しない團体については、個個に審査の上認可することにいたします。
 第六に生業資金を戰爭犠牲者に優先的に配当するという点でございますが、遺族、傷痍者の生業資金の救済費につきましても、生活保護法の運用により処置いたしております。
 第七は傷痍者扶助料の差別待遇を撤廃するということでありますが、傷痍者扶助料につきましては、恩給局において研究いたしております。
 第八に傷痍者の義足、義手の処理は政府負担のことというのでありますが、義足、義手の修理、修理費等は生活保護法によつて生活困窮者につき措置をいたしております。建前といたしましては金持にはやらないということになつております。
 第九に運輸省、内務省、司法省、逓信省各官吏及び從業員の衣服のごとき加工は戰爭犠牲者團体に対し最優先的に委託する。これにつきましては、各官廳等に戰爭犠牲者を最優先的に採用することは、優先的に戰爭犠牲者に只今の点を認めますことは、聯合軍総司令部の指令によつてできないことと存じますが、個々の実情によつて善処いたしております。
 第十の、隱退藏物資を即時戰爭犠牲者に配給するという点でございますが、先に申上げましたように、戰爭犠牲者に対してのみ優先配給するということは不可能でございますから御了承を願います。
 第十一は、戰爭犠牲者を免税の対象とせよというのでありますが、戰爭犠牲者のみを免税することも、先程來申上げましたような趣旨によりまして不可能でございます。第十二は、同胞援護会は戰爭犠牲者援護を重点としてやれというのでありますが、同胞援護会におきましても、以上申上げました趣旨によつて、最善を盡すように指導をいたしております。
 最後に輸出産業を家内工業として戰爭犠牲者團体に資材を配給せよというのでございますが、家内工業の振興には、関係各省とも連絡をいたしまして、善処いたしますが、戰爭犠牲者のみを特別扱いはできませんが、個々の実情に應じまして、保護、更生に向うことができますよう努力をいたすつもりでございます。
#19
○中平常太郎君 この請願につきましては、請願者が現在戰爭犠牲者というふうに局限いたしております範囲におきましても不明確でありますが、ややもするとこの請願者の考え方は戰爭の犠牲の人は國家が優待せよというような氣持があるのではなかろうかと思うのでありますが、これは政務次官もお話の通り、現在戰爭の犯罪者も出し、又戰爭によつて受けた損害は、戰爭をやつて損害を受けたなれば、戰爭したら損がいく、辛いのだ、だから戰爭は損だ、戰爭するものじやないという建前に今日立つている実情であり、又政治の面におきましても、更生せしめる面におきましても、そういうような建前から政治の面が執られているのでございますので、極めて局部的にはお氣の毒な点があると思うのでございますが、生活保護法一本で救済する場合においては、公平な、國民全体の休戚を考えて、保護をなさつておられる現在の状態におきまして、戰爭の犠牲者ということで、なにかの特権を得ようとする考え方は、請願者の方に多少の誤解がありはしないかと思うのでございます。その点は私といたしましては、このままで採択することは、我々といたしましてもどうかと思つております点がございますので、御一考を煩わしたいと思う次第であります。
#20
○草葉隆圓君 今の政務次官の御説明の中に、聯合軍総司令部からの指示というお話がありましたが、それは一体どういう指示でしようか、いろいろ資料を承りたいと思います。
#21
○政府委員(葛西嘉資君) お答え申上げます。この聯合軍司令部の指示と申しますのは、無差別平等にやらなければならんということでありまして、元軍人であるの故を以て、特別にやつてはならないという覚書が政府に交付されております。それを指すものと、こういうふうに了解して頂きます。
#22
○草葉隆圓君 尤も昭和二十年の十二月二十五日に、軍人恩給停止の指令というものが一つありました。從つて今仰しやつたような意味における指示と関連して考えられると思うのですが、それのためにこのいわゆる戰爭犠牲者は、一般の人達と無差別平等に取扱うということは結構でございますが、その精神がややともすると、日本の関係においてむしろ逆作用を來たしているというような状態にありはしないか、却つて内面的には、誠にお氣の毒である、なんとかしなければならん、一方においては、戰爭中にはなんとかお世話すると言いながら、しておつたが、敗戰後の今になつてからは、むしろそういうことを世話すると、引つかかりはしないかというような意味において、むしろ普通の無差別平等にすべきものですら、却つて逃れておるというような恰好はありはしないか、この請願書は少しそこから出て來ると思うのでありますが、それで実際いわゆる公平な、妥当な意味においてのこういつた人なり、或いは傷痍者なりが、戰爭なり空襲なりで、いわゆる大きな戰爭の痛手を受けている者に対しては、これはどこの國だつて同じようにやつている。それでそのそれぞれの指示によりまする範囲内におきましては、十分そういう、むしろ疑を受けない態度を日本の官憲がとるべきものでないか。最近は大分柔らかくなつて來たようでございますけれでも、そういう印象を與えるような態度がありはしないか、ということを我々はむしろ憂うるわけであります。そこでここには戰爭犠牲者という意味においての陳情が強く出ておりますから、先に中平委員のような御説が出て参ります。私も全面的にずつと十三項を、このまま認めることは事実不可能な問題がありはしないかと思うのですが、併し流れておりまする精神においては頷かれる点もありはしないか。戰爭犠牲者という意味からもう一歩離れた意味においての未亡人なんかの場合におきます遺兒の育英の問題につましては、恐らく今火の付いておる問題だと思います。ここては戰爭犠牲者の遺兒に対する育英の問題を優先にして、十五歳以下にはこうしてくれということになつておるのて、鼻にぷんとついて來るわけてありますけれども、結局夫を亡くして未亡人が子供を抱えて生活困難てやつて行く場合には、殆んどその九割までが戰爭犠牲者でありますから、現実の問題としてはそれをそう考えますときにおいては、遺兒の育英の問題というものは、現実の問題として非常に困つておる問題だと思う。併しこれは現在では文部省の問題でございますから、今日は政府委員としてはお出ましになつていないようでございます。その点は別でございますが、それから今の第五にございます免税興行が自由に行えるよう戰爭犠牲者團体に認可してくれということ、これは無理な話だと思うのであります。併し個々について考えて頂くということなんで、これも結構でございますが、実際上になりますと、地方の税務署で取扱うことで、税務署の方で指令を出して頂かないと無理だと思います。結局今敗戰後の日本の現状につきましては、戰爭の犠牲者も一般の人もよく承知しておりますが、私はただ戰爭犠牲者は戰爭責任者ではない、戰爭指導者ではない。それをよく取扱の上において、戰爭責任者と戰爭犠牲者とは違うという点を、ややもすると地方等におきましては末端の市町村長に至るまで、その考が混乱しておるのじやないかというように思われるような場合がありまするので、そういう点につきましては、一つ余程適当に御指導を賜わると結構だと思うのですが、その中で十一番目に戰爭、犠牲者の免税、これと私の申上げるのは違いますから、今の請願をそのままというわけには行きますまいけれども、請願者の心持と少し似通つておりますが、それは今度の租税の非戰災者に対する家屋税の課税の問題について、殊に未亡人等ですべてを失つたが漸く家一つ残つた。これが今度課税の対象になつてやられる。戰爭犠牲の公平なる分担をやるためにやると、政府は声明しておるけれども、戰爭犠牲の公平なる分担であるならば、我々の方は尚以上公平なる分担のためにその点は免税して欲しいという意見が相当強いようであります、これは一般的に……。それでそういう点につきましてもこれは大藏省関係でありまするから、厚生省関係でもその点を一つお含み願つて御折衡等でも賜わると大変結構だと存じます。私が特にこの中の関連しております問題といたしましては、一の遺兒育英の問題と、それから七の傷痍者扶助料の差別の問題、これは現在將校と、下士官兵との恩給の差別が誠に酷い。同じ傷痍を受けましても、將校は特別公傷で恐らく千六七百円貰いますのに、兵はただ六、七百円だつたと記憶しております。誠にいわゆるこのような平等であるべき時代において、尚階級的なものによつての恩給が相当ついておる。これを一つ直して頂くということにおいては、私は請願者の心持と同じ主張を持つておるわけであります。それだけ申上げて置きます。
#23
○委員長(山下義信君) 外に……。
#24
○姫井伊介君 この問題につきましては、戰爭犠牲者團体というのがさつき塚本委員もお尋ねになりましたが、はつきりいたしておりません。從つて團体を以て仕事をする場合には、どういうものを團体として認めて行くか、ということも考えて見なければならないのじやないかと思います。殊に又名称の中に戰爭犠牲というようなことを用いることも、これは如何かと思います。要するに今草案委員から申されましたように、できる程度におきましてはこの請願者の氣持を汲み、相当の扶助方法を講じて行かなければならんことは無論であります。從いましてこの請願の取扱いにつきましては、その個個のものに当つてできる範囲において適当な処理をするという只今政府のお話もありました。その線に副いましてやつて行くのが適当だという意見みたいなものを付しまして、本委員会に廻すべきものだと思うのであります。
#25
○委員政(山下義信君) 外に御意見はございませんか。それでは中平委員、草案委員、姫井委員の各委員の御意見を綜合いたしますと、この趣旨の中で政府に努力せしめべきものは、差別的の意味でなくして努力させ、殊に草案委員の御意見のごとく、遺兒に対する学資、或いは扶助料の差別待遇の是正というごときは、当局に一段の努力を要請して、その他個々についても当局の善処を要請するという意見を附しまして、この國会法によりますると、議院に送り、或いは内閣に送付するを要しない請願の扱いに相成るのでございますが、そういうふうに決しまして宜しうございますか。
#26
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めまして、そういうふうに本請願は処理することにいたします。
 それではその附帶意見、その他本委員会に対しまする報告は委員長におきまして計らいまして宜しうございますか。
#27
○委員長(山下義信君) そのように計らうことにいたします。
 次は社会保障制度に関しまする問題につきまして、政府当局からこの際所見を承りたいと存じまするから御了承願います。
#28
○政府委員(金光義邦君) 社会保障制度に関しましては、お手許に差上げました社会保險制度調査会の答申案が最近厚生省の方に参つておりますが、厚生省といたしましても、この答申を基礎といたしまして、できることであるならば、特別な機構におきまして社会保障制度というものに檢討を加えて見たいと考えております。併しながらこの社会保險制度調査会の答申に基きます費用を大体計算いたして見ますと、多分お手許に差上げてあるかと存じますが、三千億円近く掛かるというようなことでございまして、それらの点につきましても、刻下の経済状態と考え合わせまして、愼重に考慮することが必要ではないかと存じております。尚社会保障制度に関しましての細かい御説明は、本日保險局長が参つておりませんので、できることでありますれば次の機会にお願いいたしたいと、かように考えております。
#29
○委員長(山下義信君) 只今の社会保障制度に関する諸般の資料は、次回に政府から纒めて配付して下さるそうでございますから、御了承願います。
#30
○姫井伊介君 ちよつとお尋ねいたしますが、この答申案を見ますと、社会保障制度の範囲が、私共が希望するものよりも非常に狹いように考えるのでありますが、政府の方においては、やはりこの程度で御構想なさいますか、或いはもつと廣い範囲において御考えになつておりますか、その点お伺いいたします。
#31
○政府委員(金光義邦君) 厚生省では、只今この社会保險制度調査会の答申が参つたばかりでございまして、これに対しまして、もう少しこれより廣いものを考えようとか、或いはこれでは少し廣過ぎるのではないかというような点につきましては、現在のところ何も考えておらない状態であります。で、そういうことの研究のために、できることであるならば、社会保障制度調査会というようなものを設けたいというふうに考えておりますが、まだ実際には設けておりません。
#32
○委員長(山下義信君) 只今本院の川上法制部長が参りまして、社会事業共同募金の立法化に関しまする参考説明をいたしますはずでございますが、その前に木村專門調査員から、この問題に関しまして研究しておりまする点を参考に聽取したいと存じます。
#33
○專門調査員(木村盛君) 只今のお話によりまして、簡單に社会事業共同募金に関する立法化の問題について調査いたしました概略を御報告申上げます。
 この問題は、当初私の手許まで山下小委員長から御委託がありまして、予め立法化の適当な方法について研究をせよ、かようなことでありました。当時すでに山下小委員長の御手許に一應の御草案があつたのでありまして、それを私拜見いたしまして、数日研究を続けておりましたとき、「偶偶衆議院の厚生委員会関係の方面から、同樣の御趣旨のあることを仄聞いたしまして、段々その方面との交渉を保つておりまするうちに、どうやら問題の狙いどころがこちらと同じ所のように感じましたので、これは両院がそのいずれからか一方的な形において提出さるることが望ましいように、私としまして感じましたので、でき得るならば、この問題は余り多岐に亙らないように、又更にできるならば、両院の意見が当初から一致した姿において進んで行くこと、そうして更には又、委員会等のお諮りを得まして、参議院、衆議院、いずれかの一方において正式な法案を御提出に相成るような方法を講じたいと、かように窃かに念願をしつつ、研究を共同で進めて参つたのであります。その間專ら厚生省当局においてもいろいろと御研究を積んでおられましたので、第三段には、本院及び衆議院並びに厚生省、それぞれの関係方面から同じような事柄について同樣な共同的な研究が進むような計らいで今日までに相成つたのであります。更に一方、先程小委員長からお話が出ましたように、小委員長のお手許から、本院の法制部と御研究が進まれておりまして、一應ぞの案もできたかに仄聞されております。又衆議院の厚生委員会及び厚生省当局においてのお話合いも段段進みまして、まだ本格な案まではできておりませんけれども、大体の要綱程度までは進んでおるような状況に承知しております。そこで若し時間がお許しできますれば、そうしたそれぞれの狙いどころの利害得失に関しまする調査いたしました順末を簡單に申上げ、且つ現在までにできておりまする、要綱案の内容について一應の御紹介をし得たならと思いまするが、本日は必ずしもそれほどのところまで進めないでもよいかとも思いますので、一應現在どの程度が各方面から共同な狙いどころとなつておるかという点につきましてお話を申上げたいと思います。
 社会事業共同募金に関しまする問題を立法化いたしますに当りまして、いろいろ研究いたしました結果は、只今のところ凡そ七つの方法があるやに思われるのであります。その一つは、社会事業金庫法といつたようなものを拵えて、そうした法案というようなものの中にこの共同募金の條項を取入れるという方法であります。
 第二が共同募金を許可するという許可制を中心といたしまして諸般の規定を設けるというやり方。
 第三は共同募金の実施主体、即ち中央團体又は委員会乃至は地方自治体、こういつた実施主体に関しまする型を示して、これをそれぞれ各地方及び中央が任意に作り得るような余裕のあるやり方で立法化して行くという方法、それからその次は、同樣な問題を具体的に実施主体を規定で定めてしまうという、こういつたような立法化のやり方であります。
 第五番目が現在ありまする御承知の社会事業法、これは御承知のごとく社会事業に関しまする謂わば一種の助成法というような形で立法当時は策案されておつたのでありますが、現在は憲法の定むるところによりまして社会事業の助成はできません関係で、この法律は殆んど実行不可能な、謂わばお休みの状況になつておりまする法律でありまするが、併し何分にもこれは社会事業に関しまする基本的な立法でございまするから、この社会事業法の改正をやるという改正による方法で、この共同募金の問題を規定していこう、こういつた考え方であります。
 この社会事業法の改正によりましてこの規定を設けて行きまするやり方では、大体二つの問題を予想されるのであります。一つは、社会事業というものは、この社会事業法では届出主義になつております。そこでこれは共同募金の関係がありまするし、特に許可制にする、そうして共同募金委員会といつたようなものを民法上の公益法人といたしまして、丁度恰も先般御決定に相成りました災害救助法における日本赤十字社と同樣な地位を社会事業法においてこの委員会に付與する、こういつたようなやり方で行くという方法。その次が共同募金委員会に中央並びに地方とも社会事業委員会と同樣な地位を社会事業法において與えて行くというやり方、こういつた問題をここに盛りまして、いわゆる社会事業法そのものの改正法案で行くというやり方。
 第六の立法化の方法は、今まで申しましたる中で許可制を除いた部分を社会事業法に別個な單行法として拵え上げて行くといつたようなやり方であります。
 第七番目の方法としましては、以上申します六つの問題の外に、直接共同募金に関しまして臨時免税の特例に関する立法を主眼として法制化して行く、免税を主眼として法制化して行く、かようなやり方。この七つの方法が考えられたのであります。これらのことからいたしまして、いろいろの利害得失を考慮いたしまして、あれでもいけない、これでもいけないというような事柄をいろいろ勘案いたしまして、先程申上げましたように、一方は衆議院におかれましては、厚生省当局と共同の御研究の下に、又山下委員の方におかれましては、本院の法制部と共同研究の下に、それぞれ今立案中であるということを仄聞しておるのであります。まあ大体かような事柄が今申上げようと思つておりました大要でありまして、余り詳しいことは又機会を見まして申上げたいと思います。以上一應御報告申上げます。
#34
○委員長(山下義信君) 川上法制部長の御説明を聞きたいと思います。
#35
○参事(川上和吉君) 私、参議院の法制部長の川上でございます。お配りいたしました「社会事業共同募金の法制化に関する参考資料」とありまする印刷物を元にいたしまして御説明をいたしたいと存じます。この案は山下さんから早くから御相談がございまして、社会事業の共同募金についての法制化の方法を講じたらどうか、これにはこういつた骨子の案がよかろうということの具体案を含めて御相談があつたのであります。これを元にいたしまして私どもの方で若干整理をいたしましたのが、お手許に差上げたような案に相成つております。ただ問題は、只今も御説明のありました通りに、法制的には全く初めての分野でありまするので、各方面に問題があるわけであります。從いまして本日差上げましたようなことにまで事柄を具体化いたしますることは、いささか懸念いたされるのでありまして、もう少し皆さん方のお話合を願つて、その上でこういつた要綱に纏めるのが適当だと存じたのでありますが、山下さんの御意見もありましたし、皆さん方の御審議の便宜のためのほんの参考の資料として、成るべく詳しくお示しをしたらどうかということで纏めたようなわけであります。從つてこれは表題にも法案についての要綱とかいうような字句を避けまして「法制化に関する参考資料」と題目を打ちましたのも、さような趣旨に相成つております。さような意味合において十分御檢討を願う必要があろうと存じまするし、又今までお話のありましたように、或いは社会事業協会でありまするとか、各方面の意見も更にこの委員会でお聞きを願いまして、この案を整理して頂ければ、誠に好都合だと存ずるのであります。只今も丁度お話がありましたように、法制化につきましての七つの方法があるというお話がございましたが、この案は大体第三番目にお話のありました共同募金の実施主体についての型を示して、これを法制化して行くという方法を取つたのでありまして、恐らく今お話のありました七つの方法というのは、凡そ考えられる全部であろうと思いますが、この七つの方法の中で第三番目の方法というのが、最も本格的な法制化の方法ではないかというようにも考えられるのであります。從いましてこの案の御檢討の途中はおいて、ここまでは取敢えず法制化せんでもいいじやないかというような御意見でありますれば、何時でも他の六つの案に移り得るような状態になつておるかと存じます。さような意味になつておりますることを先ず御了解を願いたいのであります。そこでこの案の骨子は大体三つくらいに分けて申せるかと存じます。先ず第一にこの共同募金についての法制化という問題を考える場合に、募金自体をなんと申すか、法的に非常に統制をすると申しますか、そういう行き方が宜しいか、或いはこういつたものは法的或いは國家的の統制というようなことで運営するのではなくて、成るべく各地方地方の又実際こうした方面に熱心に関心を持つておられる方々の熱意の現われが、そのままに受入れられるというような方向であるべきだと思います。そういう意味から見ると、そういつた中央的な統制というようなことじやなしに、むしろそういつた熱意なり創意がそのままに現れるように、而も幅の廣い枠を示しまして、その枠の範囲においては、相当この運用の幅を残した法制化をすることが一つの行き方ではないか、無論考えようによりましては、別の方法もあると思いまするが、この案はさような意味におきましてあまり窮屈な規定をいたしませんで、相当融通のある幅を持つた制度を作つたらどうかというようなことで、一つの骨子ができておるのであります。これが一つであります。
 それから第二番目は共同募金の問題が、相当多額の資金を集めなければ目的を達成いたしません。その間資金の取扱い等についていろいろ問題が出て参りますので、さような点の合理化、適正化という点については、相当いろいろの角度から檢討し、規定をして行かなければならん、さような意味の資金の募集或いは配分等についての基本的な規定を整備する、こういうことが第二番目の点であります。
 第三番目はこの募金が最も効果的に行き、而も一般公共の迷惑にならんような形に行くというような方法を取りますると同時に、この共同募金についてなんらかの便宜、國家的の援助を與えることが必要ではないかというような点から、募金に対する租税について特別の取扱いをしたらどうかということ、この面によりましての共同募金の促進と申しますか、円滑化を図つて行くというような意図を持つて行つたらどうか、これが一つの点であります。大体以上申上げました三点を骨子にした案に相成つておると存じます。余り長くなりましても如何かと思いますから、簡單に読んで御説明を加えたいと存じます。さようお許しを願いたいと存じます。
 第一章総則、第一
 この法律は、社会事業の経営に必要な金品の寄附の募集(以下募金という。)の合理化と、その次に甚だ恐縮でございますが、ミス・プリントになつておりますので、「合理化と適正化とを図る」「合理化」の次に「適正化」という字を入れて頂きたいと存じます。尚あとにも、急ぎましたので若干ミス・プリントがございまして甚だ恐縮であります。合理化と適正化とを図ることによつて、社会事業振興の基礎を確立することを目的とすること。第一はこの法制化の目的を書いたのであります。これは用語上或いは更にもつと明らかに、又詳しく整備する必要があろうかと存じますが、一應極めて簡單に目的を書いたのであります。
 第二 募金を共同して行うため、この法律に定めるところにより、社会事業共同募金会(以下募金会という)を設立することができること。募金会は法人とすること。この法律に規定するものを除くの外、民法中社團法人に関する規定は、募金会にこれを準用すること。
 第三 募金会の名称中には、社会事業共同募金会という文字を用いなければならないこと。募金会でない者は、その名称中に、社会事業共同募金会という文字を用いてはならないこと。
 第四 募金会に対しては、租税その他の公課は、これを課してはならないこと。
 第五 この法律において受益者とは、社会事業を経営し又は経営せんとする者で、募金会の行う募金による收入の配分を受くべきものをいうこと。
 第一章に書きましたのはごく大綱的な規定及び、この第五に現れておりまするような定義的な規定でありまして、いろいろ問題はございまするが、この際説明は省略いたさして頂きます。尚ただ第二に関連をいたしまして、この法制化をやりまする場合に、こういつた案でありますれば、大体この社会事業の共同募金会に関する法制に相成つておりまするので、或いはむしろこの法制でありますれば、社会事業共同募金会法というのが適当じやないかと思われるような案に相成つております。その点が一つと、それから第四に挙げました租税その他の公課を課してはならないという点は、この法文に整理いたしまする場合には、尚もう少し詳しく書かなければいかん点があろうかと存じます。その点だけを申上げて置きます。
 第二章設立、第六募金会を設立するには、社会事業の経営に必要な金品を寄附しようとする者、その他社会事業の経営に協力しようとする者(協力者又は社会事業を経営し若しくは経営せんとする者(経営者)十名以上が発起人となることを必要とすること。
 第七 募金会の設立の区域は、都道府縣又は主務大臣の指定する市町村の区域によること。前項の規定によるの外、特に必要があるときは、全國の区域により募金会を設立することができること。
 第八 募金会は、全國の区域によるものは主務大臣、都道府縣の区域によるものは都道府縣知事、市町村の区域によるものは市町村長の認可を受けなければならないこと。募金会は、前項の認可を受けたときに成立するものとすること。
 第六から第八までがこの募金会の設立についてのスタートの規定でございますが、これはいくらでも考え方があると思います。ここにありまする通りに、先ず現在の実際からいたしまして、恐らく設立の区域としましては、都道府縣單位が先ず普通じやないだろうか、併し大都市等におきましては、都道府縣と離れて設立をすることも必要じやないか、さような場合に、これは後で申上げる募金の区域とも関連いたしまして、区域が重複をいたしますると、非常に競爭し合つて面白くない結果も來すのじやないか、さような意味から市町村の区域で募集が始まれば、都道府縣の区域は止めた方がいいじやないかということに一應この案は相成つております。併しそういうことは考えないでいい、重複してもいいという御意見も無論あろうかと存じます。さような意味で市町村の区域で募集する場合には主務大臣の指定する市町村に限らずという案にいたしておるのであります。
 尚又先程申上げましたように、募金会を統制すると申しまするか、募金が競合いたしまして、相互効果を減殺するという点から申しますると、一区域に一つということが宜い、又法制化する以上は一区域に一つとすることに限定すべきものだという意見も無論出るかと思いまするが、この案ではさようなことは自然の発達に任せまして、おそらく自然に一つ、併しながら場合によつては二つくらいにはなつて行くだろうというような予想の下に、法律で一つに縛るということは、余りに機械的であるということで、その点を避けております。この点も非常な問題であろうと思いまするので、この辺は一つ御檢討をお願いいたしたいと存じます。
 それから長くなりまするので、朗読を省略いたしまするが、第九は募金会の定款に定めなければならん事項を書きましたので、特にその中におきまして、第九号に書いておりまする点に御注意を願いたいと存ずるのであります。第九号に募金の額、受益者の範囲募金による收入の配分の決定、その他募金に関する重要事項を決定するための委員会の設置、構成、及び委員の任免に関する規定、この募金会の最も重要な、ここに書きましたような事項を決定しまするについては、定款に必ず特例の委員会に設けるということを規定をいたしまして、その間この募金、こうした重要な事項の決定が民主的な方法で講ぜられると同時に、愼重に、又適正に行われるための、必ずこういう委員会を置かなければならんという規定にいたしたのであります。この委員会が極めて大切な役割を持つと存ずるのでありまして、これは單に募金会のこうした定款中の機関ではなくして、もつと公けの機関にしたらどうかという意見も、無論あり得ると思いまするが、この案では、募金会の中の機関といたしまして、併しながら性質上極めて重要なものだという考えの下に、こういう案にいたしているわけであります。
 それから第三章、事業の点に移ります。第十、第十一、第十二が、この募金会の事業の基礎になる規定であります。ただこの第十二に挙げておりますのは、極めてまだ熟しない、而も御檢計を願う余地の多い点でありまして、全くこれは一つの問題として提供したに過ぎないのであります。そこもちよつとミス・プリントを御訂正願いたいのであります。第十二のところの募金会は第十一及び第十二とあるのを、第十及び第十一と御訂正を願います。第十二は詰り募金会は、第十及び第十一の規定の範囲内で、主務大臣の認可を受けて左の各号の事業を行うことができること。
 一、臨時資金調整法による地方宝くじの発行、二、競馬法及び地方競馬法による競馬の施行、三、入場税法による免税の興行、四、郵便法による慈善切手の発行、これは、こうした構想が考えられておりまするので問題を出したのでありまして、法制的に申しまするというと、第三号の入場税法による免税の興行は、格別こういうところへ書きませんでも、当然にできるわけでありまするので、これは法制的には規定の要らん点であります。尚第四号につきましても同様な点がございます。ただ募金会の資金を充実する意味合におきまして、從來からこういう点が非常に採り上げられておりまするので、御参考に書き上げたに止まるのでありまして、私共としては第三号、四号は少くともこうして法文に書く必要はないのじやないかと、こういうふうに考えるのであります。尚第一号及び第二号につきましては非常に問題があります。こうしたことを募金会がやることが適当かどうかということもすでに問題でありまするし、又やる場合にも、こうして特別の法律に書くことが宜ろしいかどうか、地方宝くじの発行は、少くとも現在都道府縣までになつておりまして、市町村ではできない、公共團体でも市長村ではできないような形になつておりまするので、そういう場合に、この点を挙げて行くことがどうだろうかという点がございます。この辺は御檢討を願いたいと存ずるのであります。
 それから第十三、第十四、第十五、この十三から十五までが、実際の募金についての規定でありまして、特にその次の第十三におきまして、先程ちよつと触れました「募金会の行う募金は、設立の区域内に限ること、市町村の区域による募金会が設立されているときは、都道府縣の区域による募金会は、当該市町村の区域内で募金を行うことができないこと。」にいたしまして、この間の地域的の重復を避けて、かようにいたしたらどうかという構想に相成つております。無論特殊の場合に全國を單位とする募金会ができまする場合には、これは重復は止むを得んということにいたしておるのであります。尚第十四のところでも亦一つ御訂正を願いたいのでありますが、「行政官廳」の「官」の字を削除して頂きます。「行政廳」であります。「設立の認可を受けた行政廳」、(以下行政官廳という)の官も削つて頂きまして、(以下行政廳という)ということにいたして頂きたいと思います。それから第十六、第十七も募金についての関聯する規定であります。それから第十八が「募金会に寄附した金品については、課税上左の各号によること。」といたしまして、一号から十号まで書き上げてございます。これは先程も出ました募金会に対して寄附した金品について、所得税、法人税、特別法人税、相続税、贈與税、それから地方税の中の営業税につきましての、要するに課税の基礎に計算をしない、これによつて共同募金会に対する募金を容易にするという構想に相成つておるのであります。併しこの点は國の收入とも関聯をいたしまするし、又税法の根本思想とも関聯をいたしまして、甚だ問題がございます。併し少くとも私はこの中で法人税それから相続税、贈與税につきましては、現在教育関係につきましてこれに近い或る程度の考慮が拂われておりまするので、少くとも法人税と相続税、贈與税につきましては、而も又この二つが恐らく募金会等に対する募金の一番大きな分子に相成ると思うのでありまするが、この二つの点につきましては、現在の税法の建前から申しましても、この法制化は可能じやないかと考えるのでございます。ただその他の所得税或いは地方税につきましては、ここまで法制化することは如何なものだろうか、この点は余程考えものではないかというようにも存ぜられるのでありまするが、この辺も一つ十分に御檢討をお願いいたしたいと存ずるのであります。
 次に第十九から二十二までは募金会によつて募集をしました資金の配分を受けたいわゆる受益者、この受益者につきましての規定を設けたのでありまして、受益者が募金会の募集した資金の配分に受けまする以上、相当の犠牲と又その配分を受けるに相應しい資格を持たなれけばならんと存ぜられるのでありまするので、左様な点の、受益者に対する一種の監督的な規定のような形に相成つておるのであります。
 それから第二十三から二十五までは、募金の後始末につきましての公表乃至届出方法等についての規定であります。
 それから第四章解散、この四章の第二十六から第二十八までは、募金会が解散する場合、或いは他の募金会と合併をいたしまする場合につきましての規定を設けた次第であります。これは、他のこうした法人の場合の規定に準じておるのでありまして、解散、合併につきましての規定であります。
#36
○中平常太郎君 この官廳の官の字をやはり除きますのですか。
#37
○参事(川上和吉君) 行政官廳とありますのは、全部行政廳とお願いいたしたいと思います。
 それから第五章監督、これは募金会そのものにつきましての行政廳の監督の規定を置いたのでありまして、特にこの第三十一の点を一つ御注意を願いたいと思いまするが、これも官を除いて頂きまして、「行政廳が募金会に対し、この法律に基く処分をなすときは、中央社会事業委員会又は地方社会事業委員会に諮らなければならないこと。」という案に相成つております。これは今少し御檢討を願いまして、「この法律に基く処分」は余りひどすぎるかも知れません。この法律の中で行政廳の処分をいたします場合に、どうしても行政廳限りでは不適当で、社会事業委員会等の機関に諮る項目だけに、限つていいかも知れませんが、要項でそこまで拾い上げておりません。いずれにいたしましても、さような重要な処分につきましても行政廳、つまり主務大臣或いは都道府縣知事、市町村長が処分をいたしまするにつきまして、適当なる機関に諮つてやることが必要じやないか、唯この場合現在の中央社会事業協会、地方社会事業協会がその儘適当かどうかという点につきましても、若干問題があろうと思います。この場合これらの委員会に若干のこの目的に合う補正を加えることも、一つの行き方であろうと思いますが、その辺の問題を含めましてかような案にいたしたのであります。
 第六章の罰則につきましては法の性質上必要の最小限度に止めまして、成るべく罰則という形で行かずやつた方がよろしいじやないかということで、最小限にいたしておる次第であります。
 尚附則の第二項に「募金会に対してなす」一定額「以上の金銭の寄付」につきましては、封鎖支拂によつてやることの途を設けたのでありまして、これも全般の金融政策との調整の上から言うと、まだ御檢討を願う余地が相当あろうかと存じます。
 以上申げましたように、問題が随所に残つておりまするが、寧ろ問題を皆さん方の前に御提供をいたしまして、関係の各機関の御意見を皆さん方においてもお聽取りを願いまして、案を網羅して頂き、又私共はその御意見によつて整備をして行くように進みますることが適当であろうという見地から、極めて粗雜な案をお目にかけておるような次第であります。極めて雜駁でありますが、以上御説明申上げます。
#38
○委員長(山下義信君) この際皆樣に御了承願いたいと存ずるのでございます。御承知のように社会事業共同募金が十一月下旬から十二月下旬にかけまして、全國的に行われます。この実情に基きまして、やがて法制化の必要が必至であろうかと考えられます。殊に社会事業大会の御決議の中にも、共同募金についての法制化の必要の決議がありましたように記憶いたしております。先程來、專門調査員並びに法制部長の述べられましたように、図らずいたしまして政府当局、衆議院並びに本院におきまして、鼎のごとくこれが研究をされておりまするので、大体におきまして本院の研究が一歩先に進んでおるやに考えられるのでございます。共同募金につきましては、御承知のように只今各種の團体が、或いは二重になつておる府縣もございまするし、一括して共同募金して、おりまする府縣もございまするが、いろいろこの実績に実行後さまざまの批判があろうかと存ぜられまするので、そういう際に備えまして、只今から御研究を願い、でき得べくんば國会で立法いたしまして、この小委員で成案を得ますれば、厚生委員会に掛けまして、本院で発案いたしましたら如何かと存じます。固より関係各廳の意見も質し、相当各方面とも連絡研究をいたしました上でなければいけないことでございまするが、どうか皆樣のお手許で御研究おきを願いまして、休会開けに徐々に具体的にいろいろと下御審議を願いまして、成案を得られますように御盡力を煩わしましたら如何かと存じます。本日は從來の経過を御報告申上げまして、御資料をお手許に差上げまして、御閲覧を願い、御研究おきを願うという程度にいたしておきたいと存じます。どうぞよろしくお願いをいたします。
#39
○草葉隆圓君 実はこの共同募金のいろいろ法制化の問題もあるようでございますが、それよりも現在の政府が指示しておる共同募金の指導について、相当私疑問の点があるから実はそのことを本日承りたいと思つておつたのであります。大体現在行わんとしておりまする共同募金についてのやり方なり、それから政府の御指導なりについて一つ御説明を願つたら如何かと思います。
#40
○委員長(山下義信君) それは丁度今政府委員がおりませんから、この次にその問題を取り上げることにいたします。
 次には甚だ重ね重ね御審議を煩わしまして恐縮に存ずるのでございますが、丁度本委員会におきまして兒童福祉法案の仕上げが近くございまするので、この小委員会は社会事業振興に関しまする小委員会でございますので、この兒童福祉法案の成立に際しまして、何か附帶決議というような必要がございますれば丁度この小委員会で、これらのことのお纏めを願いまして、本委員会に報告いたしますのが適当ではないかと存じまするので、御意見がございましたらばこの際でき得べくんばお纏めを願いたいと存ずるのでございますが、如何でございましようか。
#41
○中平常太郎君 日本の社会事業が極めて低調である上に、憲法の八十五條によりまして、民間社会事業におきましては教育、博愛、その他慈善の問題は、國家の財政で賄うべきものに対しては、そういう方面に出してはいけない、こういうことになつておりますので、社会事業は低調になる上に、又今後大分困難になると思います。殊に敗戰日本の燒けただれた現在の社会事業というものが、とても戰前に比して、又極めて困難な状態にございますので、これはどうしても社会事業振興に関することに対して、何か決議案を國会において決議し、これを国民に反映せしめ、又こういう方面に対して一般の理解を喚起せしめると同時に、又政府においても積極的にこの方面に援助を與えるというようなふうの氣持をつけた決議案を出したいと思うておつたのでございますが、決議案も沢山今頃でるのでありまして、やはりそれぞれその筋の承認を得なければならんというような態状でありまするし、それから又最近決議案の動向といたしましては、それぞれ決議に要望の具体案を作成してつけなければならない。というようなふうになつております状態からいたしましても、軽々しく決議案は提案できないというような情勢におかれておると思うのであります。それで殆んどこの兒童福祉法案につきましては相当廣く互つて社会事業の分野が採り上げられております関係もありますので、その附帶決議の中へ入れることができるなれば、せめて幸いだと思うのでございます。大体私は國会に、社会事業の振興に関すめ決議案は國会に付議して、國会の議決を以て政府に要望すべきだと思うのであります。誠にこれはつまらん原稿でありますが、この原稿を圧縮いたしまして、又諸君の重要なる御意見を加えて、なにか附帶決議をしたらどうかと思うておりますので、私のこの決議案を大変失礼でありますけれども読まして頂きたいと存じます。
 社会事業振興に関する決議案
 政府は敗戰後の國民生活の不安に備えて、生活保護法を制定し、これによつて要保護者を全面的に救済せんといたしておるが、激動する現下の経済生活の中にあつて、一定の基準による法律が、あらゆる不幸な生活困窮者を遺憾なく保護することは殆んど不可能である。ここにおいて民間社会事業の分野に負荷せられたる責任は実に大きいと言わねばならない。我が國における社会施設は他國のそれに比して極めて貧弱である。歴代政府またその根本理念において、他の政策よりも軽視するやに思われる。敗戰の今日、國民大衆の生活の安定を策するにおいて、まず食糧の確保と勿資の増産に重点を置くべきであることは論をまたないが、又これと同時に、現在窮乏に端ぐ多数の國民に対しては、各方面から直接救援の方途を講じなければならない。これについては政府の行うべき強力なる施策と相應じて、民間においても國民生活の細部に互りて、適切有効なる施設を充実することが極めて必要である。然るに戰前六千有余あつた民間社会施設が戰災によつて殆んで半数に減じた。而も救済を要する対象者、即ち戰災者、引揚者、失業者、多数の遺家族貧困者、孤兒、浮浪兒等は日々増加しつつある。一方失われたる社会施設は、インフレと資材難と建築制限令等のため、復活は非常に困難である。思想は混乱して生産意欲を阻み、希望は失われて自暴自棄に陷り、各種の犯罪は増加して止まるところを知らない。かかる事態において、國家の手の及ばない個々の問題についてこれらを助け、これらに活生の潤いを與え、日本再建の希望を持たしむるためには、主として民間社会事業の発達整備にまつものが多いのである。今や民間においてこれらの社会事業を援助せんがために、共同募金の運動が起りつつあるも、米國のごとき富裕國と違つて、我が國のごとき貧困にして、而も敗戰に喘ぐ民間の現状においては到底滿足なる募金は望み難いのである。政府はよろしく死文化せる社会事業法を改正して、現代民主主義思潮に合致せしめ、優良社会施設は政府の支配に属する代行機関としてこれを援助し、戰災施設については、特別なる方途を講じて、これが復活促進を図り、発達の途上にある有望なる施設に対しては、地方廳をしてその育成に力を致さしむべきである。右決議する。
 というのでありまして、極めて不文でありますが、こういうことを根柢に置いて、この文章を圧縮して、そうして諸君の御意見をも加えて決議案にいたしたいと思う次第でございます。
#42
○草葉隆圓君 兒童福祉法関係には、まだ先般衆議院との合同本委員会を開いて、いろいろ修正の点等も両方から持ち寄つて、それに基いて、恐らく今衆議院の委員会で進められていると思いますが、それが衆議院で議決されて、本院へ廻りまして、その修正等の意見によつて、附帶決議或いは決議等を附けるということが、おのずから直ぐ起つて來ると思うのであります。ただ私は、この兒童福祉法の、只今中平委員のお話のような、全般的なことは今からでも考えられて、内容についての場合におきましては、やはり改正の案を見てからでないといかない場合もありはしないか。殊に最も私共がこの機会を逸してはならないと存じますのは、実は兒童院の設置についての問題でございます。甞ての委員会で、委員長その他の方から、司法省が今回解体になる際に、場合によつては司法省の兒童保護関係と、厚生省の兒童保護関係とを打つて一丸にした、兒童院のようなごときものを作つて、そうして日本の將來の兒童の福祉を進展するようにして行くことが、何を措いてもこの法律の実施と相俟つて、最も必要なことではないだろうか。大体この小委員会及び本委員会におきましても、みんなが心からその実現を期待しておる状態であります。ところが両三日前の新聞を見ますると、司法省の解体後における法務廳その他の制度の中に、これはまだ確定はいたしていないようでございますけれども、保護関係の局等を一括して作つて行くような案もあるようでありますから、一方この際一つ司法省関係、司法大臣その他司法省関係の方面におきましても、或いは厚生委員会或いはこの小委員会におきまして、十分國会の我々が持つておりまする希望を具体的にこの機会に兒童院関係において実現するような一つの手配を進めて行つたらどうか、それを併せて、一方におきましては、この兒童福祉法案の上程と同時に、そういうそれと睨み合せて、兒童院の設置を決議事項の中へ加えておつたらどうか、それと同時に、今申上げたそれ以前に、一つ厚生省並びに司法省との関係における、その兒童関係の法律の一括したる運営のできるような、兒童院の設置を本委員会で大いに促進して行きたいことを、一つ委員長のお力によつてお願い申上げたい。私はこの前の衆議院と参議院との委員会の時に、兒童院の設置というものができ上つた場合における兒童福祉法と、この司法少年の保護法との関係において考えるならば、これは一つ年齢で制限する方がいいのではないかというのが主張の中心であつたわけであります。全然又別でありますると、現行法でも或いはいいとも思いまするが、これが一方におきましては、兒童福祉法の関係なり、一方においては少年教護、あの司法少年保護になると、誠に年齢で区分する方が將來それを扱うには年齢によつていき、或いは十四歳という一つの制限によつてやるというようなのがむしろ妥当ではないか、というようなことでのこんがらがりができずに、最も簡單明瞭に、問題の少年、不良少年、模範少年、或いは犯罪少年となりましても、これは一連の人間でありますから、これもできるなら兒童院というものの前提の上に考えて修正はこの間申上げておつたようなわけでありますから、一つ委員長を初め皆さんたちのお力によつて、この司法省の解体を機会に、兒童関係の保護行政が一本になりますように何とか一つ御活動願いたいと思います。それと合してこの附帶決議を世に訴えて行きたいと、こう考えます。
#43
○委員長(山下義信君) 只今厚生大臣の御出席を煩わすことにいたしましたから御了承願います。
#44
○中平常太郎君 草葉委員の御説は誠に御尤もでございます。私只今申上げました社会事業振興に関する決議案というものは、大体一個の決議案として出す、政府を鞭撻するところの氣持を表示したものでありまして、廣い意味を含んでおつたのでございますので、それと兒童福祉法案に引つつける決議案としてちよつと違つた形において現われておつたのでございます。それで私はこの問題は兒童福祉法案に引つつけることが具合が惡ければ、実際におきまして日本の社会事業を振興さす上におきまして具体案を附けてよければ具体案は何ぼでも附くのでありますから、こうこういうことをやれ、第一條、第二條、第三條と何ケ條でもこういうことを政府はやれということの案は作れるのでありますから、具体的な案を作つて決議案を出すなればよかろうというような氣持が、関係方面にもこの社会事業の問題ではありませんが、他の方面で漠たる決議案はいけない、決議案を出す以上は必ず具体案を出せ、その決議に必要なる具体案を附けなければならんのじやないかというような意見があつたということを聞きまして、それなれば社会事業振興に関する決議案でしたら、何程でも決議案に具体案を附けて行くことができるのでありますから、そうやつて具体案を附けて、結局衆議院、参議院の本会議においてこの決議を出したい、そうして政府を鞭撻いたしたい、國民の輿望を表したいという積りでおることはおるのでございますが、諸君の御同意が得られればそういうような方にお取計らいを願いたいと思うのでございますが、万一そういうところにまでいかないということであるなれば、何かの法案に附帶決議として一部を表して貰うように、その時には草葉委員の仰しやつたような兒童院というような問題などは極めて大事な問題でありますので、そういう方面は主として折込んで行くべきものと考えておるのであります。
#45
○草葉隆圓君 実はさつきの中平委員の附帶決議と申しますか、そのお話は大変結構だと思つておりますが、恐らくこの社会事業関係において、兒童福祉法という大きい見方からしますと、大きい見方の兒童福祉法というのは最近にない大きい法律だと思うのであります。又今後急にこのくらにの程度の法律が次から次へと出そうにもないので、このいわゆる兒童福祉法の通過する機会に、我々厚生常任委員としては國会の名において、政府並びに國民に対して社会事業の進展についての大いなる主張を議決をして置くということは、大変それにつけて必要じやないか、そういう意味において今の中平委員のような大きい問題を合して附けながら、そうしてその後に小さいものを附けて行つたらよいのじやないか、こう思つております。
#46
○中平常太郎君 兒童院のことは大事なことでありますから、是非附けたいと思つております。
#47
○宮城タマヨ君 もうこの兒童福祉法案も段々審議が進んでお終いになりそうになつておりますけれども、初めに私自身から申しますと、もう今度の國会で一番力を入れなければならんと思つて、本氣でかかつたのは、本当のことを言えばこの法案が一番だつたのでございますが、ということは私は新らしい憲法になりまして、社会事業に対する私共の観念は非常に改めなければならないということであります。それでむしろ社会事業という言葉さへも、これからは、言葉はそうであつても、内容は変えなければならない程に考えておりますときに、その核心を成すものは今度の兒童福祉法であろうと思つておつたのでございます。だけれども何かこれで終りになるということになりますと、私自身は非常に淋しいような氣がします。これで若しも私共が考えておりましたような兒童福祉法として出るのであつたら大したことはないんじやないか、そう思わせる一番大きいものは、私は兒童委員の内容でございますけれども、どうしてもこの本当の仕事をする、詰りこの間も申したことでありますけれども、兒童委員というものは今まで日本でやろうとしてやれなかつたケースー・ワーカーとしての行き方を今度しなければ、私は日本の本当のケースー・ワーカーとして働くということはできないだろうと思います。その意味で第一番には保護するということ、これはもう義務でございまして、私共これはお互いに人間としての義務であつて、殊に子供を保護して、よい國民を作りますということは、これは私共の義務であつて、すべての國民の責任だという上から、その意味においてもこの兒童福祉法は大変画期的なものであるというように思いましたために、私共一所懸命力を入れたのでございますけれども、併しこの間から両院で協議いたしましたその修正案を見ましても、どうも私自身が考えておりましたような兒童委員にもならない。私は兒童委員にはどうかして古い思想を持つておりますところの社会事業を食いものにしたり、そうしてお情けにやつてやるというような、そんな大それた考をしておりますような、社会事業ずれのした人達たちを今度全部除けてしまつて、そうしてできるだけ新らしい層を持つて來て、中に学生の層もよいだろうし、青年團の中からもよいだろうし、そうして新らしい小学校の先生方にも大いに出て貰いますといつたように、新らしいものをここに持つて來て、そうしてその人達を以て組織した兒童委員で、少し考の新らしくなりました者を以て組織された兒童委員でございましたならば、本当の仕事ができるということを思いましたことからも、やはり民生委員の大部分を充てられるということも、私としたら非常に不満なんでございます。でございますけれも、まだ十分修正の余地があるならば、この点にもつと強めて考えて頂きたいというような希望を持つております。
 以上申しました理由で、この際兒童委員を作りますということに一つ非常に熱を上げて頂きまして、是非これを実行して頂くような氣運に向けて頂きたいと思います。そうして何処までも兒童福祉法と睨み合せてやつて頂きたいということを私は切にお願い申上げる次第であります。
#48
○姫井伊介君 さつき委員長のお話になりました兒童福祉法案に対する附帶決議、この事項は私の考えは本委員長の方に出してありますが、それは御承知の通り兒童福祉法案の持つ一般兒童の福祉に関する部面が非常に狹く見られますから、それを成るたけ拡げて兒童委員などを活用して行かれるようにということでこれは申してあります。
 そこで今度は中平議員のお話になりました決議案の問題ですが、これは重要な問題でありますから、兒童福祉法案に対する附帶決議というよりも、独立してやはり中平議員の御希望通りに本会議を通しての社会事業振興のための決議案としたいという私は希望を持つのであります。その時機は、これもさつきお話がありましたように、司法省の解体、改組に伴うこの機会を捉えまして、若しそれが遅ければもう少し早い何かの機会を捉えまして、是非決議案として本会議に上せたい、その内容といたしましては、中平委員並びに草葉委員からお話になりましたが、社会事業法を改正するということと、社会事業体系の全國的計画を樹立して、これが推進を図つて行く、今では殆んどばらばらになつておりますから、今申しましたように体系の計画的樹立をやらなければならない、その計画に基いてぐんぐん推し進めて行くということ、兒童委員の設置、その上に社会保險制度の綜合的な確立、こういうふうな重要問題をそれに織込みまして、それを或る程度具体化しまして、これを決議案として本会議に持ち出して頂きたいということを希望いたします。
#49
○中平常太郎君 社会事業の分野といたしましては、今宮城委員が兒童福祉法案に対しまして、極めて大きな希望を持つておられまして、その希望の実現が遺憾の点があるように仰しやつたのでありますが、これは誠に御尤もな点があると存じますが、社会事業と申しまするものは、私は兒童福祉法案に限られたものではないのであつて、極めてもつと廣い範囲を含まれておるのでありまして、社会事業の分野におきまして、古い社会事業ずれのしたものを除けてしまつた、新らしいものというようなお話がありましたが、これは理論といたしましては、そういうことも言い得るかも存じませんけれども、現在血と涙でやつておられるところの社会事業家などを除けて、他に又血と涙でやつてくれる人がどこにあるかということは非常に考えなければならん問題でありまして、今までみずから耕し、一生懸命になつて血と涙でやつておられるところの社会事業家というものは、やはり日本における社会事業のメンバーとして相当多とされるべき價値のある方でございます。尚その上に新らしき人を加えるということならよろしいが、今までの社会事業ずれのした人を除けてしまうというて、ややもすれば社会事業家をごろつきか何かのように仰しやるのは私はどうかと思うので、ずれというような言葉はお愼しみになつた方がいいと思うのであります。
 それから社会事業の分野につきましては、兒童福祉法案のみならず、六百何十万といわれる海外引揚者の救援問題或いは八百万というわれる失業者救済問題或いは全体の勤労階級の九五%もあろうという何千万の家庭の勤労階級の救済問題、そういうふうな面におきまして政府のなすべき大きな強力な施策がある筈であります。その政府のなすべき施策の綻びの間々を縫うて、その手の届かない小さな個々の面に亙つて、あちらを潜りこちらを助け、そうして政府の大きな施策の隅々の綻を我我は社会事業家として縫つて、そうしと完璧を期するということのために、政府は保護をしてその小さい面をやるべきでありまして、これが即ち民間社会事業家の取るべき最も狙いであるのでありますからして、問題が大きければ政府が無論やらなければならんが、小さい事業は民間社会事業の者が、以てこれを自分の分野として大いになすべきものであると存じまして、この社会事業の分野は、決して兒童福祉法案だけの面だけではない。極めて廣い範囲で、全國民の救済問題に当るべきであつて、政府とタイアツプいたしまして、あらゆる部面において、子供の問題ばかりでなくて、或る意味におきましては養老院の問題であろうが、或いは聾唖の問題であろうが、或いは失明の問題であろうが、或いは医療の問題であろうが、樣々の問題に向つて、あらゆる面におきまして政府の足らざるところを補うというところに民間社会事業家の立つべき分野があるのでございますから、ただ一つの兒童福祉法案のみに、その社会事業を局限する必要は絶対ないのでございます。でありますから、その意味におきまして廣くこれを考えて、日本のごとき社会施設の少いところは、どうしても社会事業を起して、政府と共に民間は大いにやらねばならないということを考えておるものでございます。でありますからして、決議案といたしましても、政府のなすべき強力なる分野においては激励しこれを鞭撻し、そうして又民間社会事業に委ねるべき部面につきましては、政府はあらゆる面から援助する、金銭の援助はなくとも、或いは共同募金法を作つて共同募金を裕ならしめる、樣々の方法で援助の途を與え、又発達の途上にあるところの優良な社会事業に対しましては、市町村をしてこれを援助せしめ、或いはこれを樣々育成せしめるというようなことも又政府として考えべきであると思うのでございます。それでありますから兒童福祉法案に附帶して、社会事業の問題をくつ付けるということは、廣い意味におきましては私は不適当であると存じますので、できれば別個の決議案といたしたいと思うておるのでございます。その点につきまして、私は社会事業の廣さを申上げて御了解を得たいと思うのであります。
#50
○委員長(山下義信君) この際お諮りをいたしますが、いろいろ御意見もおありと存じますが、時間の関係もございますので、只今の各委員の御意見を綜合いたしますと、社会事業振興に関する大局的な決議案が是非一つ力強く欲しい、又別個に兒童福祉法案の通過に際しては、それにふさわしい附帶決議が是非必要である、こういう御意見のように大体拜承いたしたのございますが、取敢ず中平委員の御趣旨なり各委員の御希望の点を綜合いたしまして本委員会まで持出します附帶決議の具体案を委員長なり專門調査員なりで一應原案を作つて見まして、次回の小委員会で皆様にお諮りして見ることにいたしましたら如何でございましよう。
#51
○委員長(山下義信君) 尚この際草葉委員から兒童行政につきまして、当局大臣に御質疑があるということでございますので発言を許します。
#52
○草葉隆圓君 今回政府といたしまして社会事業、就中兒童保護事業関係の法律といたしましては、恐らく今までにないような、兒童福祉法というのが提案されまして、而もそれが現在衆議院において審議され、我々参議院の方におきましても予備審査を相当熱心に数回に亙つて今まで進めて参つたのであります。内容につきましては、從來いろいろと檢討いたしますると、更に相当の問題が残つておると存じまするが、併し大局から考えますると、恐らく日本兒童行政の上において今までないような大きい狙いと轉換とを來す重要なる法案だと存じます。丁度こういう際に最近のいろいろ行政機構の変革等におきまして、私どもはこの法案の中で最も憂慮しておりまするのは、從來の少年教護法関係の厚生省における取扱と、司法省におきまする少年法関係の取扱、厚生省におきまする少年教護法関係の取扱、いわゆる不良少年の取扱と、司法省関係におきまする少年法、いわゆる犯罪少年の取扱との関係であります。何とかこれが犯罪少年、不良少年と申しましても違つては参りまするし、刑法上の問題にもなつて來るし、違つては参りまするが、結局は一人の人間が段々と惡いことをする前提の上において、或いは不良をなし、或いは犯罪をなすという過程が多いのでございまするから、できるだけ一つ兒童のこの問題に対する行政を一本にしてやつて行く、又更に進んで法制等も一本にするというのが理想でありまするけれども、そう簡單に行かない場合もあると存じまするが、幸いに今回司法省が新らしく違つた形において、いわゆる解体されて、或いは法務廳その他によつて生れ変つて來るこの機会に、司法省にありました少年法関係の少年保護の問題と、厚生省にあります兒童局関係の兒童保護の行政とを一本にして、そうして日本の兒童行政が強力に進展するようにいたして参り、それが或いは厚生省の外局等の形においてできまするなら尚結構だと存じまするが、丁度好い機会でありまするので、今長らく十数年來の関係者、國民の要望がこの機会に何とかできそうな情勢に相成つておるとも考えられまするが、我々國会関係におきましてはそういうことを実は熱望いたしておる際であります。これに司法省関係の司法大臣にも篤とお願いを申上げますと同時に、殊に厚生大臣にお願いを申上げて、只今申上げまするような方法が何とかこの機会に取られないか、そうすると兒童福祉法においてのいろいろ問題がありまするものも、むしろその小さい字句の訂正以上に日本の兒童に及ぼしまする、いわゆる好結果というものは期して待つべきものがありはしないか、かように痛感いたす次第であります。この点につきまして私どもが最も政治的に尊敬いたしまする一松厚生大臣のお力によりまして、これが何とか実現のできまするように御盡力と御配慮を賜わることができますれば、誠に有難いと存じまするが、この点につきまして特に厚生大臣の御意嚮を一つ拜承いたしたいと思います。
#53
○國務大臣(一松定吉君) 草葉委員の熱烈なる少年の福祉増進のために関する御意見は、私は全然同感の意を表するものでございます。この点に関しましては、過般そういうような趣旨のお話のありました当時に、実は司法大臣に内々交渉して見たのであります。司法大臣も、少年福祉に関する法案がいよいよ成立するということになれば、司法省の少年法関係における少年保護の問題は、自然その方に吸收されるということについては、自分としては異論はないのだ、こういうような二人の間の話合いが実はあるのであります。お話のごとく司法省も今回解体いたしまして、更に新たな機構を以て世の中に生れ出るということになつておりまするので、こういう点につきましては、成るたけ一つ御希望に副うように私も努力して見たいと考えております。私から申上げるのは甚だ恐縮ですが、若し附帶決議でもなさるというようなことであれば、そういう意味のことも決議の中に入れて置いて頂きますれば、司法省の解体に関しまして法律を制定して御協賛を得まするときに、この法案の中にそういう趣旨のことを織り込みまして、そうしてこちらの方に吸收ができるような法案をそれに附属せしめるということでありますれば、余り手数を要せずして目的を達せるのではなかろうかと思うのであります。適当に一つ御処理相成りまして、今、草葉委員の御主張のごとく、兒童福祉に関する保護の規定を一本にして取扱うということは、最も機宜に適したよい方法だと私も考えております。その御趣旨には全然御賛成申上げたのであります。
#54
○草葉隆圓君 只今誠に私どもの胸のすくような厚生大臣の御答弁を頂きまして有難く思います。ただ問題は、これからの設置の問題でありますので、どうぞ本小委員会におきましても、この兒童院の設置についての強力なる附帶決議をして頂きますと同時に、又委員長を初め皆さんたちが、この実現方についての具体的ないい御活動を願いますよう、心よりお願い申上げる次第であります。
#55
○委員長(山下義信君) 速記を止めて。
#56
○委員長(山下義信君) 速記を始めて。それでは別に御意見もございませんければ、本日は非常に沢山の案件を熱心に御審議を頂きまして感謝いたします。御決定になりました通りに取計うことにいたします。それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時二十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山下 義信君
   委員
           中平常太郎君
           草葉 隆圓君
           木内キヤウ君
           波田野林一君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           宮城タマヨ君
  小委員外委員
   委  員  長 塚本 重藏君
  專門調査員
           木村  盛君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 一松 定吉君
  政府委員
   厚生政務次官  金光 義邦君
   厚生事務官
   (社会局長)  葛西 嘉資君
  事務局側
   参     事
   (法制部長)  川上 和吉君
ソース: 国立国会図書館
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