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1947/09/22 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 文化委員会観光事業に関する小委員会 第2号
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1947/09/22 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 文化委員会観光事業に関する小委員会 第2号

#1
第001回国会 文化委員会観光事業に関する小委員会 第2号
  付託事件
○觀光事業に關する調査
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月二十二日(月曜日)
   午後一時二十四分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○觀光事業に關する調査
  ―――――――――――――
#2
○委員長(高田寛君) それではこれより觀光事業に關する小委員會を開きます。觀光事業に關する小委員會をつくりまして以來、三囘に亙りまして打合會を開いて觀光事業の調査について必要な項目をそれぞれ打合せたのでありますが、今日はその中の觀光事業を推進するについて、特に必要な項目につきまして、政府の關係の當局者に來て頂きまして、ここでそれぞれの問題についての現状なり、又將來計量なり、或いは豫算に盛られておる模樣、こういうものを説明を願つて檢討したいと思つております。最初にお諮りいたしたいことは、今日來て頂いた方々は大體專門の擔當の方であります關係上、政府委員になつておりませんが、こういう説明員の説明を求めることに一つ皆さん方の御同意を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(高田寛君) それでは最初に、風到林の保護或いは又森林樹木の濫伐防止ということが觀光事業のために必要な問題であると思いますので、これより農林省林野局の計量課長野村進行君の御説明をお願いいたします。
#4
○説明員(野村進行君) この國有林におきましては、從來保安林に基く風致林、それから國立公園法に基いておるところの國立公園、この二つについて特殊の森林施業をやつておるのでありますが、一般の風致林、特に國立公園地域外風致林につきましても、成るべく風致稚持のために、可なり專門的な用語になりますが、山を坊主にするというようなことは一切避けまして、大部分は斫伐作業、いわゆる抜伐らによつて風致を維持するように努めております。これは別に強い法規にはよつておりませんですが、施業案その他によつて、それ以上の伐採を禁止することになつておるのであります。又國立公園に關しましては、昭和八年に厚生省と山林局とが兩者の協議によりまして、この特別地域と普通地域とに對しては、森林の伐採は風致上の觀點から、極力皆伐とか或いは大面積の伐採を避けるようにしまして、風致上遺憾のない施業をしておるのでありますが、ただ戰時中におきまして、主として航空機用材を出すとか、その他止むを得ざる必要のために、この協定事項を越えて一部代採した所がありますが、著しく風致を害したという程には行つていないのじやないかと思います。尤も十和田の一部とか或いは瀬戸内海の宮島などについては、多少非難もあるように聞いておるのであります。この風致關係の森林につきましては、戰爭中多少伐つたところがありますが、今後はやはり國際觀光その他の觀點から見まして、この風致林の伐採ということは極力避けたい。又進駐軍方面からも非常にこの點がやかましくて、京都附近の森林の伐採については、嚴重な注意もあつたような次第でありまして、木材の需要はなかなか安閑としておれない程、非常な大きな需要でありまして、又風致林、なかんずく國立公園の區域というものは非常に大きく、今後も亦擴大するように思いますので、全然伐らないということは困難でありますが、十分風致の點を考えて、決して間違いのないようにしたいと思います。それから今のところ林野局としましては、風致上の特別の豫算は出ておりませんのですが、來年度の豫算にできるだけ國立公園の中で國有林である場所、そういうところには、大きな豫算も組めませんが、休養施設とか或いは一部遊歩道路とか、そういうものを計上したいたいと思いまして、今その準備をいたしておる次第であります。
#5
○委員長(高田寛君) 何か御質問はありませんですか。
#6
○團伊能君 只今の農林省のお考を拜聽いたしましたが、實際問題といたしまして、相當目に餘ることがあると思います。只今伐らせないようにしておる。或いは注意をしておるというお話でありますが、實際は私一々實見したわけではございませんが、非常にひどい状態でありまして、間伐と稱して、殆んど全部坊主にしておる。非常に多々例を見るのですが、それからまだ伐らないところで、この度農地法その他の關係で伐採命令等が出て、耕作可能地の中にそういうものが隨分、私行つて見ませんがあるそうです。十和田湖なり奧入瀬の溪谷は全部伐つてしまつた。或いは北海道の層雲峽、宮島もそうです。それは何か御當局で伐らせたくないというお考は非常に我々御同感でございますが、一遍當局から現地の調査をして頂くような方法はございませんか。例えば手近な話といたしましては、國立公園の中で箱根の、水害の危險も含んでおるようでございますが、箱根の小塚山一帶は殆んど坊主になつております。今鐵索を掛けて、鐵索で搬出してどんどん材木を伐り出しております。風致保安林でございますが、殊に國立公園の中でございます。東京の某會社で、實際のそこの監督官との間に、或いは縣當局との間で、どういうお話になつておりますか知りませんが、鑛山みたいな形で伐り出しております。あすこは非常に有名な「さるすべり」の森林である。その他實際にそういう問題が起りましたときに、實際の現地に即して調査員を出して事情をお調べになり、尚進んでこの法律がそういう行爲を止める一つの實際の力があるものでございますかどうか存じませんが、その邊多少の御考慮を頂けませんでしようか。例えば三好博士が非常に支持をせられた富士山麓の樹海の一部に伐採の命令が出ておりますことも聞きますが、その邊のところを御調査のみでなく、實際にこの點を禁止させるなり停止させるなりの方法をおとりになることが、農林省としてできるものでございましようか。できないものでございますか。ちよつと法制上のことを伺います。
#7
○説明員(野村進行君) これは戰前までには風致林、又國立公園については、非常に嚴格にいろいろな方法も取り、又一般の人間もそれを守つていたのでありますが、この戰爭中になりますと、もう殆どそういう制限はあつてなきが如き状態になりまして、現在相當に風致關係の森林が荒れておるということは認めざるを得ないと思います。それについてはこれは厚生省とも十分協議して見なくちやならないと思いますが、何かやはり相當に強い力でこれを押えなければ、今のままでは容易に、伐採の禁止が困難でないかと思つております。
 それから開拓關係の問題は、これは又非常に壓力が強いのでありまして、風致よりも先ず食うことということで、なかなか開拓の方面は押え樣が困難じやないかと思います。
 それから多少餘談になりますが、京都附近の森林が一番荒れておるということで、やかましいのでありますが、これは殆ど京都の市民の燃料が不足しておるために、全部集團で盜伐するのでありまして、これは防ぎようがなくて、最近も巡視が一人殺されたというような状態でありまして、なかなか今の世情では普通な方法では、風致關係の森林の荒されて行くのを防ぐということについて、非常な困難を感じておる次第であります。
#8
○團伊能君 その他につきましては、京都の周邊につきましては、前知事が相當責任もあられるようなことも聞いておりますが、尚只今日本の森林の中で、今日まで殆ど森林の保護といたしまして、又政策といたしまして、一番理想的であつた帝室の林野局の森林がございますが、これらがまあ一番完全な形で殘つておると思いますが、これに對して將來御保存なり御整理、御監督の方法はいわゆる一般林と同樣に取扱うのでございましようか。特別な御考慮があるものでございましようか。
#9
○説明員(野村進行君) 今のところ、やはり普通の從來の國有林と同じ方法で取扱うということになつておりますが、この皇室の森林については今まで一般の地元民その他が非常に好意を持つて、これをよく保護したのでありますが、今度これが農林省に移管になつたこの機會に、やはりこれを拂下げろ、或いは伐採しろということで、今まで皇室の財産だつたから皆が大事にしていたので、普通の國有林になつたならば、從來の國有林と同じように、或いはそれ以上に、その土地の交通上とか、或いは森林の伐採を非常な勢いで要求しておるというのが現状であります。
#10
○委員長(高田寛君) 外に御質問はありませんか。
#11
○小委員外委員(山本勇造君) 必要なのはやはり、我々の生活で伐ることはちつとも差支ないばかりでなく、大いに伐つても宜いのでないかと思う。同時に又戰時中の伐つたことが、今非常な水害で困つておりますけれども、あれとの關連がございませんか。それともそういう伐つたことは今度の水害とは何ら因果の關係はございませんか。
#12
○説明員(野村進行君) これは非常に専門的なことになりまして、森林を伐採したということは今度の水害の相當重要な因子であると思いますが、一般の人が考える程強い影響があるかどうかということについては、疑問を持つております。森林を伐採した場合、山の機能としましては、水を貯えて小出しに出す森林涵養の機能と、もう一つ洪水防止の機能というものと、二つ考えておるのでありますが、この洪水防止の機能と申しますと、大體雨が落ちて木枝で支えてくれるのと、それから地表を流れて來るのを押えてくれるのと、もう一つ地面の中に入つた水を抑えて呉れるとか、こういう三つの機能があるのでありますが、相當大きな雨になりますと、丁度あのスポンジに水を滿したようなもので、或る程度までは森林が抑えて呉れますが、それから先はもう水を止めるという力は殆ど無力になります。今度のように二一百五十ミリ以上の雨になりますと餘程その點においては森林の機能は、伐つた伐らないということについては、その絶體的なものじやないと思いますが、ただ伐つたためにその土砂が流れて川底が上つたということと、それから水の中に土砂が澤山入つて來るということが洪水に非常に大きい原因となりますので、結局山を伐つたということよりも、山を伐つた結果山の地肌が荒れるということが洪水の大きな原因になつております。その點さへ氣を附ければ相當に、こういう木材の非常に需要の多いときでありますから、皆が恐れる程地肌の土砂の崩壞を防げば、まあもう少し、伐つても差支えない。もう一つは矢張り一ケ所にかためて伐るというのは、どうしてもいけないのですから、やはり隨所にばら撒いて伐るようにした方がいいと思います。ただ今の輸送關係でどうしても便利なところから伐つて、不便なところを伐らないものですから、自然山の地肌が荒れるというのが一番の原因だと思います。
#13
○大隈信幸君 參考に伺つて見たいのですが、森林保護に關する法律は何々がございますか。
#14
○説明員(野村進行君) これは森林法があります。
#15
○大隈信幸君 一つだけですか。
#16
○説明員(野村進行君) ええ一つです。
#17
○大隈信幸君 それには罰則があるわけですか。
#18
○説明員(野村進行君) 罰則は、例えば森林法の保安林ですね。それを伐つた場合、こういう時は伐つた人間に植えさせる。それを植えない場合には國がみずから植えて植栽費を取るというのがありますが、これは恐らく一度も發動したことがないと思います。
#19
○團伊能君 只今の御説明で分りましたが、然らば今その濫伐をしておるのを防止するについて、農林省は如何なる方法をとつてこれを止めるかという實行方法はお考になつておりますか。
#20
○説明員(野村進行君) 今のところ勸奬程度で、強力にこれを抑える方法はありません。
#21
○小委員外委員(山本勇造君) 今の問題ですね。團さんが問うた問題は非常に大事な問題です。勸奬ということでいいかどうか知りませんが、今度の洪水にしても土砂が大きな原因をなした。そのために土砂が崩壞したというのは、伐つたところの問題から起つておるのですから、伐る方の問題をもう少し、餘程何かのあれでもできて、しつかりさせなければいけないのじやないか。且同時に、又一方で植林に當るような方法をとられておられるのですか。それらのことを伺いたい。
#22
○説明員(野村進行君) 植林の方法は、今度の次の議會にも出すようにいろいろ助成、或いは國みづからが植えるという方法をできるだけ、非常にまあ豫算の關係に縛られまして、なかなか思うようには行かないだろうと思いますけれども、その點は大いにやつております。もう一つは私個人の意見になるとも思いますが、やはり國有林、民有林ということを離れて、日本の森林全體についてもつと強力な計畫性と、それからそれに對する色々な法律的な措置を講じなければ、今の程度の彌縫策では、この問題は解決できないと思います。
#23
○小委員外委員(山本勇造君) それはあなたの個人の意見でなくて省の意見、或いは國會の意見になるように進めたらいいですね。それから同時に聽きたいのは苗木がそれだけ育て上げて行けますか。そういう方の手當の問題はどうなつておりますか。
#24
○説明員(野村進行君) 苗木は去年は非常に種の不作でありまして、もう一つは戰時中官も民も苗圃を全部食糧増産に向けて、殆ど苗木の養成をしておりません。去年からこれはもう大變だということで、戰爭を終ると一緒に始めたのですが、昨年は殆どどの木も種が凶作で實がならなかつたのですが、今年は割合になつておるようですから、全力を擧げて金のことは氣にしないで、最大限度の種を取れということで今やつておりますが、御承知のようにこれが山に出るのは後二、三年かかります。まあ二、三年たてば困らん程度に今年は種は取ることになつております。
#25
○團伊能君 今の苗圃のお話に連關いたしまして、苗圃として土地を持つておる農家は、これに耕作地と同様に供出命令が參つておりまして、苗圃としては認ておりませんものですから苗圃の段別に供出が來て、その供出をよそから買つて出しておるというような實情が隨分ございますが、その點の考え方は。
#26
○説明員(野村進行君) それは隨分聞いておりますが、農地法と關係もありまして、苗圃自身の所有の關係も非常に面倒なことになつておりまして、その點農政局その他と、林野局がもう少し融通のきくように折衝をしておるようですが、私の方は所管外のものですから、その結果はどうなつたかよく知りませんけれども、この間から可なりそれで大騷ぎしております。
#27
○委員長(高田寛君) 外に御質問はありませんか。それでは次に國立公園の保護開發につきまして、厚生省の三木政府委員の説明を願います。
#28
○政府委員(三木行治君) 國立公園法の目的といたしますところは、御承知のように國立公園を指定いたしまして、その風致を保護するということと、利用開發ということの二つの面があるのであります。そうしてそのために必要な統制を加えるということになつておるのであります。そこで昨年度指定いたしました伊勢志摩を併せまして十三の國立公園がございます。戰爭前に指定いたしました十二の國立公園につきましては、國立公園計畫というものが十分ではございませんが、それぞれできております。伊勢志摩につきましても計畫に着手いたしております。尚終戰後の新情勢に照し合せまして、國立公園の開設計畫につきましては更に建直さなければならない。かように考えておるのでありまして、國立公園關係の機構の改革に伴いまして、充實した國立公園利用開設計畫を樹立すべく努めておる次第であります。只今御質問のございました保護等についてはどういうふうな手段を講じておるかということでございますが、御承知のように國立公園法におきましては一般地域と特別地域とございまして、特に風致を守らなければならない要めの土地は、これを特別地域ということに指定をいたしております。地形上の變更は勿論、耕作物を作り、或は樹木を伐採することにつきましても、それぞれ所要の手續を要することに相成つておるのであります。併し先程もお話が出ておるようでありますが、今日の終戰後の混亂に乘じまして、法令輕視の風と申しますか。道義の頽廢と申しますか。そういう點につきましては國立公園につきましても、遺憾の點が多々あることは先程のお話の通りであります。これらの點につきまして私共といたしましては、地方廳に十分注意いたしまして、連絡をして貰つて、現地における監督につきましては勿論のこと、その重要なるものにつきましては、本省に連絡をして貰いまして、それぞれ適切な措置を講じている積りであります。併し只今お話のございました奥入瀬溪谷等につきましては、甚だ迂闊でございますが、私どもまだ知らないのであります。富士山の特別地域にあります「はりもみ」等につきましては、これは私共の方から關係官が出て參りまして、現地におきましてこの施業案と同時にやつて頂くこと、及びその風致を害しないように間伐をやつて貰うというようなことで解決をいたしたこともあるのであります。又更に國立公園候補地につきましても、例えば宮島の如きにつきましては、要塞地帶が撤廢に相成りますると同時に、非常に濫伐をやつた。そういうものを護るという意味合からも、國立公園の指定を早くして呉れというような希望もありますので、我々としては、所要の調査をやつておるというような状況であります。尚今後これらの國立公園の先ず保護でありますが、次いで利用開發につきましても、更に現地の實情に即するように所要の目的を達成いたしますために、來年度におきましては、各國立公園に管理事務所を設置いたしまして地方廰と十分なる緊密なる連絡の上に、これらの保護及び利用開發につきまして、適切なる手段を講じて行きたい。かように考えている次第であります。以上簡單でありますが……。
#29
○委員長(高田寛君) 御質問はありませんか。
#30
○團伊能君 國立公園の御指定が段々多くなりまして、又地域が非常に廣く、この分で行くと、日本中國立公園になるような噂もありますが、その中で國立公園の御指定が多くなり、又今日の候補地が全部國立公園になりますと、非常な面積でございますが、その中で重點的にお考えになるお考えはございませんでしようか。それから尚もう一つ人間の足を踏み入れない地域でも、地圖の上で國立公園になつておりますが、人が通過する、まあ觀光ルートと申しますか、そういうものの兩側を國立公園にして、長い道の兩側だけを或範圍、國立公園に指定して行く。その間を觀光ルートにするというような方法はどうだろうかというようなことを觀光委員會でお話がありましたが、その點お考はどうでありますか。
#31
○政府委員(三木行治君) 御指摘になりましたように、國立公園の候補地が相當に澤山出ておりますが、これらにつきましては既設のものと合せまして、どういうふうな計畫を持つておるかという御質問でありますが、勿論政府の豫算はそう莫大なものを目下期待するわけに参りません。さればといつて民間資本におきましても、やはりそういう事情があると存じます。そこで私共といたしましては、差當り御指摘になりましたように重點的な行き方をして行きたい。例えば富士、箱根、日光、雲仙といつたような、或いは瀬戸内海というような、やはり三、四の國立公園に先ず手をつけて、施設の利用開發面を充實して行きたい。かように考えておるわけであります。尚第二番目の御質問の觀光道路のことでありますが、これはアメリカ等におきましても現在實施しておりますように、ナシヨナル・パーク・ウエイというような考え方で行きたい。かように考えております。
#32
○徳川頼貞君 こういうように方々に國立公園ができる曉には、やはり觀光ホテルも建つと思うのでありますが、そういうような場合に、そのホテルをどういうように監督されるか。どういうふうにされるかという點について、大體でも伺いたいと思います。
#33
○政府委員(三木行治君) 國立公園の中には、國立公園計畫に基きまして、勿論さような施設も必要に相成つて來るわけであります。それで國立公園法によりますと、先ず國がやり、次いで地方公共團體、次いで民間團體というように相成つておるのでありますが、現状といたしましてはいわゆる外客を誘致するような大ホテルを國家財政で以て賄うというようなことは如何なものであろうかと考えまするので、差當り私どもの方で來年度豫算に考えておりますのは、山小屋程度のもの、日本の特徴を活かした、スコツトランドにありますような土地の農民の家なんかの模樣をできれば大いに採り入れる。改造のものがあれば採り入れて行きたい。これは國が建設いたしましたものにつきましては、大體運營のやり方といたしましては、國費で半額を賄う。地方公共團體で半額持つておる。ですから經費的に見ますというと、國と地方との半分づつ、そうして運營はできるだけ民間人の手で運營して頂くというふうにやつたらどうか。尚國立公園にできます觀光會社につきましては、計畫に合致する位置及び内容等につきましても、私共としては、それを指示いたしたいと思います。その外につきましては一般觀光事業としての立場から、或いは從業員の教育、訓練というようなものをやつて行く、尚衛生取締という面から、當然防疫、或はその他の疾病豫防、及び飮食物衛生というような観點からも取締をやつて行く。こういう所存であります。
#34
○三島通陽君 今の國立公園の中のそういうホテルの建築と總ての建築物、建造物、それから廣告等のようなものの取締の方法はどういうものですか。
#35
○政府委員(三木行治君) 國立公園法の第八條第二項に、廣告等に關する制限規定がありますがそれによつて取締つて行くという方法であります。建築につきましても同樣であります。
#36
○委員長(高田寛君) 一つ私からお伺いしたいのですが、國立公園の中の開發計畫、施設の計畫、こういうようなものについて、豫算と關連して一つ、もう少し御説明願いたいと思います。
 では、説明費の公衆保險局の飯島調査課長から説明を聽くことについて御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#37
○説明員(飯島稔君) 私から、一應細かいところを御説明申上げます。今私共の方で考えております國立公園の開發計畫といたしましては、先ず現在の國立公園は大體施設の面におきまして、内外人の利用に對して、まだ自然の状況を保存する程度でございますので、早急にこの開發計畫を立てなければいけないという観點の下に、目下それぞれ計畫を進めておるわけでありますが、その中具體的に來年度或いは今年度において實施されるであろうと考えられますもの、又豫算を若干認められておりますものについて、概要を申述べますれば、先ず國立公園の保健衛生施設を完備しなければいけないという司令部からの要求、その筋のお話もございまして、國立公園を訪れる人が先ず快適に何處ででも綺麗な水が飲めて、又排泄その他が非常に汚物を残留しないような施設でなければならない。こういうようなことを言われておりますので、先ず第一に上水の給水施設と汚物の拝泄施設を考えたいと考へております。これは若干本年度の追加が豫算で認められるものと考えております。第二番目に簡單なる道路の案内施設でございますが、國立公園を訪問する人は、何處へ行けば何があるかということが全然分りませんので、入つた人がすぐこの國立公園の特徴は何處にあるか。ここからそこまではどれくらいあるかという指導標というものを作つて貰いたいと考えまして、先ず國立公園の主要なる入口に國立公園の概要を説示する圖面、竝びに解説を作る。プラカード式のものを立てて行きたいと考えております。それと同時に、道路の分岐點なんかには、これは何處から何處まで行く道であつて、どれくらいの距離があつてというような指示をするものを作つて、自動車で行こうが、ハイキングで行こうが、誰でもこの國立公園は何處に特徴があるか、どういうふうに利用すればいいかということが分るような施設をしたいと考えおります。第三番目には、國立公園へ行きましても、大體野外で何ら休憩するところもございませんし、展望するところもございませんのでベンチその他の休憩所を相當作つて、そこへ行つた人がそこで十分自然に親しむことができて、國立公園の本當の保健休養、文化というものの面において、深い省察を加えると共に、科學的な知識を獲得するような方法を講じろということでございますので、ベンチと展望臺というようなものを備えまして、特にここはどういう特徴があるといいますか、地質學的にはどういうところであるか、植物學的にはどう、動物學的にはどうであるというようなことを解説するものを作つて、そこで國立公園の利用者に便宜を共與したいというふうに考えております。尚國立公園の景色を更に綺麗にするために、先ず門、入口の施設を作つたり、或いはその他の施設物の美觀を呈するように、尚同時に森材伐採等の注意、してはいけないという國立公園法に關する注意のプラカードを作つたりして、國立公園の保護ということをさして行きたいと思います。只今申しましたところは、大體豫算で承認されそうな施設でございますが、尚來年度において考えていることは、先程局長からお話がありましたが、ロツジ或いはヒユツテ式なようなもの、そうした内外人に利用できる宿泊施設を作りたい。それ以外に、交通施設を擴充し、衞生施設を擴充し、尚そこに或程度の休養保健的な施設をする。船遊びと言いますか、休養施設、キヤンピング・フイールド、ヨツト・ハーバー、乘馬施設のようなものを、それぞれ廣場式なところに集團的に施設をするように目下計畫をいたしておりまして、豫算を又お願いしなければならないかと考えております。大體のところは、目下そういうようなことで開發を進めて參りたいと考えている次第であります。道路の開發につきましては、最も根本的なことでございますので、道路の開發計畫につきましても、國道、府縣道というような重要道路につきましては、それぞれ道路所管の方と相談してやり、尚それ以外のパーク・ウエイというようなものにつきましては、國立公園の利用に適するように、ハイキング・コースというようなものを施設しなければならないというように考えている次第であります。
#38
○團伊能君 私は自分で行つたことはございませんけれども、最近アメリカの兵隊が來まして、富士山の山小屋は非常に不潔なものでありまして、どうも不潔でたまらないというようなことを聞きますが、私共、非常に利用者の數が多いところとは存じますが、これらは來年の夏までに何とかお手入れになるようなお考はありませんですか。
#39
○政府委員(三木行治君) その點につきましては、私共話を聞いておりまして、誠に困つたことであると存じまして、D・D・Tその他の消毒劑を撒布するというようなことにつきましては、注意をいたしておりますが、もとよりああいう地域でございますので、根本的なことはできないでも、一つ是非改善いたしたい。かように考えている次第であります。
#40
○三島通陽君 今、團委員のお話がございまいたので序に申上げますけれども、富士山に馬で登りたりというアメリカの兵隊さんが大分ありまして、よくそういうことを聽かれて、實はそれを二、三御紹介して上げたのですが、すると本人はあまり何とも思いませんでしたけれども、あとで聞くところによれば、非常に高いので馬が氣の毒だということを言つております。こんなことも今のことについて序にお含みを願いたいと思います。
それから今の國立公園のお話についてでありますけれども、ハイキング・ウエイみたいなものを作りまして、それから山火事が起つたというような例がありますかどうですか。大分關西の方では、よくハイキングの連中のお蔭で山火事が起きたということを聞いて、マツチなど登山の入口で調ベて取上げていたようなところがあつたようでありますが、そういうことは、甚だ残念なことでありますが、ハイキングする人のそういうハイキング道徳に缺けている點なんで、甚だ面白くないとは思いますけれども、そういう例が幾らか御記録等にありますか。
#41
○政府委員(三木行治君) 山火事、特に國立公園地域内のものにつきましては、只今私共の方に資料がございませんのでございますが、尚十分調査をいたしまして申上げることにいたします。
#42
○三島通陽君 このハイカーの道徳が非常に面白くない。ハイキングを奬勵されることは、非常に結構なことであるし、小さい道が國立公園等で非常に必要だと思うのでありますが、大きな道は、まあドライブ・ウエイみたいなものは或程度ついたとしても、何か非常に「つつじ」なら「つつじ」のいい山があつて、そこへ行くのには小さい道がないので、折角そばまで行つてもそこへ行かれないということがあるので、小さい道が澤山できると大變いいのですが、その小さい道が澤山できると、今のようにハイカーが不道徳だといけない場合が澤山あるから、この點を御考慮頂きたいのと、それからキヤンパーが問題で、これはあらゆることにこういうことが出るのですが、キヤンプをするのにキヤンピングを知らないでやる。それから道徳心がないというようなことから、折角の國立公園を汚してしまう場合が非常に多いのですし、折角外國から觀光にこられた人達にも、惡い感じを與えることがある。
 それから山火事を起すというような、殊にキヤンプをやるために山火事が非常に怖いからして、その點十分御考慮あろうと思いますが、ちよつと思い出したのですけれども、キヤンプの獎勵の歌の中に、こういう歌があります。「キヤンプ張つて、キヤンプ張つて、白樺、どんと焚いて」という歌があるのでありますけれども、併し山のキヤンプに白樺をどんどん焚かれては非常に迷惑で、キヤンプ道徳というものを知らないから、こういうような例が澤山あると思うのですが、そういうことを併せて御考慮頂きながら施設もされ、又そういうことにならないようにして頂きたいと思います。
#43
○委員長(高田寛君) それじや風致保護の見地における廣告物取締の問題竝びに一般觀光地における道路計畫の問題につきまして、内務省國土局の樺山計畫課長から説明をお願いいたします。
#44
○説明員(樺山俊夫君) 順序が逆でございますけれども、觀光地におきまする道路の關係につきまして、簡單に御説明を申しあげたいと存じます。只今委員長のお話で、道路ということを御指定になりましたが、大體道路が中心でございますけれども、道路以外にいろいろ公共施設の關係を同時に計畫をいたしましたり、實施をいたしておりますので、その關係も併せて便宜申上げたいと存じます。内務省の國土局計畫課といたしましては、都市計畫法によりまして、都市計畫の施行區域におきまする道路、その他觀光に關係いたしまする公共施設の事業を計畫いたし、或いは又この事業を實施するという仕事をやつております。大體觀光事業と都市計畫の關係につきましては、先ず觀光の中で、國立公園の關係につきましては、大體國立公園に指定をされておりまする地域の一部分には、都市計畫法が實施されておりまするが區域的に言いまして、一應別であるというふうに考えて頂いていいと存じます。大體觀光事業につきましては、厚生、運輸、文部、内務の四省の間におきまして、毎月、連絡會議を開いておりまして、そこで大體のお互の計畫を話合をいたしまして、歩調を取つて行くというようにして今まで來ておるわけであります。
 極く今までの内輪で話合いいたしましたことを申上げますと、大體觀光といたしましては、國際觀光地帶というものを先ず最初に考えて見たらどうか。その次に國内の觀光地帶というものを考えて行つたらどうか。先ずこの國際觀光地帶といたしましては、私共事務局で話合をいたしておりますのに、北は松島から南は長崎に拔けまする國立公園、その他の觀光地帶を通じまするルートを一應想定をいたしまして、これを中心に、このルートに重點をおきましていろいろな施設をやつて行きたいということを話合つておるのでございます。松島、日光、三浦半島、伊豆、富士、輕井澤、蒲郡、伊勢、志摩、それから奈良、京都、大阪、神戸、それから瀬戸内海、宮島別府、阿蘇、雲仙、長崎、こういつたようなルートを一應想定をいたしておるのでございます。
 それから國内の觀光ルートでありますが、これは今のところまだ十分話合をつけるところまで行つておらないのでございますが、私共の考えております極くアウト・ラインだけ申しますと、六大都市におきましては、半徑約百キロという地點を想定いたします。それからその他の縣廳所在地につきましては、半徑五十キロという地帶を想定いたしまして、ここに國内觀光ルートというものを作つて行つたらどうかというようなことを、内輪で現在考えておるのでございます。只今の申しました國際觀光地帶と國内觀光ルートと、この兩方を併せまして、大體箇所にいたしまして九十五ケ所というものを現在一應考えておるのでございます。
 それからその次に問題になりますのは、只今申しました觀光地帶、これはその地帶自身が觀光に適するという意味のものでございますが、申上げるまでもなく、それを繋ぎますいろいろなルートが必要でございまして、例えば東京、大阪、名古屋、こういつた大都市等につきましては、一應一番最初に申上げました國際觀光地帶というものの中には入つておらない。觀光地帶という概念では考えておらないということになつております。併しながら觀光いたしますためには、これらの觀光地帶を廻ります途中において、大阪、京都、名古屋というような地帶におきましても、やはり一つの觀光的な意味合が非常にあるのでございまして、これらの地帶を私共は便宜觀光都市、或いは又觀光基地というふうに名づけておるのでございます。大體この觀光都市の關係につきまして、大雜把に申しますと、この都市は、私共の擔當しておりまする都市計畫法の施行されておる地域というものと大體一致しておる關係もございまして、これらの觀光都市というものを整備して行くという考を中心に仕事を進めて行つたらどうかというふうに私共考えておるのであります。それには無論道路の關係がございますし、その他廣場、公園、運動場、公衆便所、上水道、下水道というような公共施設が附帶をいたしておりますが、これらのものを整備いたしまして、觀光都市というものを綺麗なものに、立派なものに造り上げて行くということをやつて行きたいと考えておるのであります。從來私共の所で實施をして來ております仕事、終戰後におきましては、大體道路の關係を先ず一番最初に取上げまして、觀光道路ということを重點にして進めて行きたいというふうに考えて來ているのでございますが、現在におきましては、觀光道路という名前の下に實施をいたしました道路の改修、或いは改設という計畫は、殘念ながら今のところはないのでございまするが、ただ現在の道路の改修の重點といたしまして、生産の増強ということが最も第一の順位となつているのでございまするので、生産の増強と觀光と兩方兼ね合せて行けるというような道路につきましては、生産道路というような名前を以ちまして、觀光道路を併せて施行して行くというようなことでやつて來ております。これは私共としましては、甚だ不十分でございまするし、殘念でございます。從いまして來年度におきましては、この觀光都市の整備という事業の名の下に觀光道路というものを十分採上げまして實施をして行きたいというふうに考えているのでございます。來年度といたしましては觀光都市の整備事業のために、これを施行いたしまする都市の數が二十四、施行の箇所の數が百八十四、事業費が二億八千八百萬圓、それに國庫の補助二分の一を見込みまして國庫補助額が一億四千四百萬圓という計畫を今立てているのでございます。それによりまして先程から申上げておりますところの觀光都市、或いは又觀光基地というものを整備として行く。それらの觀光都市におきまする道路、それから驛前の廣場、公園、運動場、公衆便所、上下水道、こういつたものを整備して行く事業をやりたいというふうに現在考えておるのでございます。大體國土局の計畫課といたしまして、從來のやつて來ましたこと、或いは又將來豫定しております事業は以上のような點でございます。
 それから次は、廣告物の取締り竝びに風致地區の關係でございますが、廣告物の取締りにつきましてはつい最近、從來警察の關係で扱つておられましたものが移管になりまして、私共の手許で最近やることになつたのでございます。廣告物の取締りは、明治四十四年にできました廣告物取締法という法律によりまして實施をして來ておるのでございます。廣告物の取締法は四條からでき上つております。極めて簡單な法律でございます。これは御承知のように廣告物の風致、美觀を害するものを制限する。或いは又危險を防止するというような二つの觀點からいたしまして、制定をされました法律でございまして、この法律を受けまして、各都道府縣におきまして、縣令を以て廣告物取締規則を作つて實際運營をいたしております。この廣告物の取締につきましては、現在極めて簡單な法律でございますけれども、この四條から成つておりますところの法律がある。これによりまして一應實施して來ておりますので、差當り法律がないから困るというようなことではないのでございますが、何しろ非常に古くできました法律でございますし、新しい時代に即應いたしまして、新しい情勢の下に、これを再檢討いたしまして、改正をいたす要がないであろうかという點につきまして、現在研究をいたしております。
 それから次の都市計畫法によりまするところの風致地區の問題でございますが、都市計畫法によりまして風致地區を指定することができることになつております。その風致地區と指定された地區内におきましては、風致を害する行爲を制限することができるのでございます。これも實際の運營は都市計畫法の根據の下に、各都道府縣令によりまして細部の規定が作られておりまして、その規定によつて現在運用されております。これは目下のところ、改正するというような必要はないようにも認めるのでございますが、ただ全般の觀光或いは都市の美化、こういつたような點からいたしまして、この風致地區の問題、又或いは廣告物の取締りの問題、いろいろ關連いたします問題がございますので、それらの關連におきまして、綜合的に何か考えておく必要がなうかということを目下研究いたしているのでございます。大變簡單でござうますが……。
#45
○委員長(高田寛君) 何か御質問ありませんか。
#46
○大隈信幸君 廣告をいたします場合に縣令によつて豫め屆けなければいかんとか、或いは屆けてなくても、いろいろな細目がございますが、風致地區の場合は屆出るのでございましようが、それ以外の場合勝手にやれるものでございますか。
#47
○説明員(樺山俊夫君) お答え申上げます。廣告物取締規則は府縣令によりましてできておりますので、必ずしも一樣でないのでございます。大體標準を決めまして、例えば禁止地區みたいなものを決めまして、その地區内で廣告をやる場合には許可を受けるということになつておりまして、いろいろ基準を決めまして、大體許しているもの、禁止しているもの、その中間にあるものは、その都度許可を受ける。こういうような取扱をいたしております。
#48
○大隈信幸君 全然許可を受けないでやれるところもあるのでありますか。
#49
○説明員(樺山俊夫君) そうであります。
#50
○團伊能君 ちよつとお伺いしたいことがあります。この前の委員會からいろいろお話を承つておりますが、全國の鐵道沿線の驛の構内のようなものを除きまして、或指定したところを除いて、一般として、全國の鐵道沿線に廣告するというような考が國土計畫局におありになりますか。
 第二に鐵道が都市に入つて行くところが極めて醜惡でございますが、これについて都市計畫その他が何か御考慮をお拂いになつておりますか。
 第三は強制疎開になりました鐵道の兩側の土地は、その後再び元に還して建築さしておいでになりますが、どういう事情になつておりますか。現に私鐵の兩側は從前通り家を建てております。あれはどういうお取扱になつておりますか。
#51
○説明員(樺山俊夫君) 鐵道沿線の廣告物の取締でございますが、これは私、先程申しましたように、觀光ルートという總合的の目から見て行きます場合には、やはり觀光地帶或いは又國立公園というようなものの地域内に入つておりませんでも、觀光ルートの途中にありますもの、美觀を害うものというような點から考えましても、これは好ましくないのじやないかというような觀點からいたしまして、或程度これは制限をして行く方向に考えた方がいいのじやないかというような方向で、今研究をいたしております。ただ具體的の場合になりますと、どういうものを出すかという技術的にも可なりいろいろ問題がございますので、この標準をどういうふうに決めるか、取扱の方法をどうするかという問題もございますので、これは今研究をいたしております。
 それから鐵道沿線の附近を強制疎開をいたしました跡地に對する建築の問題でございますが、大體私共の取扱といたしましては、この鐵道沿線の周圍の強制疎開の跡地は、大體公共用地にいたしまして建築を成るたけしないというような方針で行つております。ただ具體的な事例といたしましては家が立つておるというものもございますが、これは實は戰災地になりますと、戰災復興院の方でいたしておりますので、その點は私から確信のあるお返事もできませんが、大體同じ途を行つておりますから申しますが、大體鐵道沿線に限りませず疎開跡地におきましては、現在の住宅難を緩和いたしますために、宅地化ということも或程度考えなければなりませんが、やはり公共の安全或いは又土地の美觀といつたような、いろいろの公共的な目から見まして、相當建築を制限いたしまして、折角できた空地でございますから、これを最も有效に使つて行くということを、私共はむしろその方を強く考えておるのでございます。兩方睨み合せまして、實際の解決をして行くという方向で今いたしております。
 それから都市に入ります鐵道沿線の周りでございますが、これも大體普通の都市に入らない田園地帶の分と大體同じ考で、この廣告物といたしましても、その他常識を外れない限度においてこれを制限して行くというような方向で考えて行きたいと思つております。
#52
○團伊能君 只今のお答は了承いたしました。この前の委員會でお話になりました東京市の都市計畫が行われた計畫の中に、市内に引込まれる鐵道路線の周邊に當つておるところの都市計畫として何らかの醜惡のものを取除くが如き、直ちに都市計畫をお運びになつておりますかどうか。それは別に御考慮に入つておりませんか。都市計畫の……。
#53
○説明員(樺山俊夫君) 東京都の場合でございますか。
#54
○團伊能君 各都市の場合でございます。
#55
○説明員(樺山俊夫君) 大體都市計畫の實際の計畫は、地方の各委員會で作つておりまして、私共の方は直接關係いたしておりませんので、具體的な例はちよつと御返事申し兼ねると思いまするが、大體の行き方としましては、やはりその他の都市なり、或いは將來の都市計畫という點を考えまして、そういう點は、例えば私鐵が市内に乘り込んで參ります場合に、その周圍をどうするかという問題はできるだけ空地を廣くとつて行くという方向には行つておる。これは全般の行き方なんでございます。ただ實際といたしまして、いろいろの支障がございますので、どう調節して行くかという問題が減つておりますので、大體の方針といたしましては、やはり周圍を廣くとつておくという方向で進んでおります。
#56
○金子益太郎君 これまで二三囘開かれた打合會の各委員の、大體の廣告に對する考え方、これは廣告はいろいろな方法があるので、何も汽車の沿線なりに、わざわざ見つともない大きな看板を行列さす必要はないじやないか。從つて廣告する方にも大した迷惑をかけることもないし、あたかも顔に泥を塗るような感じであるから、この際そういう一切の廣告は止めてもらいたいという、大體の一致した希望意見が述べられたわけなんです。
 その各縣の廣告料、縣に入る廣告料も大したものでないでしようから、この際そちらにいろいろお考もあるようですが、立法は我々がすることになるのでしようが、そちらに廣告についてお考があるようでありますから、そういうふうな方向に成るべくお考を進めて貰いたいと思うのであります。一言希望として申上げます。
#57
○委員長(高田寛君) 尚廣告につきましては、この警察關係の方を擔當しておる警保局の原公安第二課長から、何か補則的の御説明があればお願いしたいと思います。
#58
○説明員(原文兵衞君) 廣告物の取締につきまして、警察で關係しております事項につきまして、只今計畫課長からの御説明に補足いたしたいと思います。
 廣告物、看板その他これに關するような物件について、警察で關係しておりますのは、それに危險の虞があるとか、或いは安寧秩序を害するとか、或は風俗を亂るような虞のある場合に、行政官廰としての府縣知事なり、警視總監が、その除却を命ずる。或いはその他必要なる處分ができるということになつておるのであります。が、過去におきまして、實際にその除却なり或いはその他必要な處分というようなことは、あまり行われていないようであります。そういう行政處分でなくて實際に危險の虞があり、或いは風俗を害する虞があるというような場合には、行政處分の前における話合において、殆ど事が處置されておるので、從つて處分の實例がどのくらいあるかというようなことは、ここに詳しい資料を持ちませんけれども、殆どないと申上げて差支ないと思うのであります。
 尚道路並びに一般交通の用に供する場所に、廣告物を設置することにつきましては、交通上からその設置につきまして危險があります。それは即ち警察署長の許可を受けて、交通上支障がないという場合だけ、その設置を許可されておることになつておるのでありまして、この點を一言附加えさして頂きたいと思います。
#59
○團伊能君 只今の御説明によりまして、梅毒、痳病の廣告は風俗を害しないという警察のお考でございますか、今迄のお取扱いは……。
#60
○説明員(原文兵衞君) これは一警察が、こういうことは風俗を害す、或いは害しないということを決定すべきかどうかということになりますと、更に根本的に相當問題があろうと思いますが、只今お話のような、梅毒とか淋病等の治療機關なり、或いは治療築の廣告、更に最近映畫とか或いは演劇等の廣告、看板等に相當ひどい、なんと言いますか、挑發的な、殊に藝術味もなにもない、ただ煽情そのもののような裸體の看板を出す廣告が、目に餘るようなものが多くなりつつあるのでありまして、これらの點につきましては、兩院の文化委員會の方々の御意見も聽き、連絡もとりまして、私共も廣告なり看板なり、それらの取締を更に進めまして、これ又關係方面と連絡しなければならんのであります。今日のこのあれとは若干離れるかと思いますけれども、文化委員會でありますので、一應將來の御協力を得る意味におきましてお話申上げておくのでありますが、それらの映畫、演劇等の廣告だけでなく、その内容があまりひどいものにつきましては、このままに放置しておいてよいかという問題があるのであります。私共も實は關係方面と話を進めつつあるのでありますけれども、尚これらも全部關連する問題でありますから、將來又御協力願い、研究を進めたいと思つております。
#61
○三島通陽君 今のお話につきまして、私共は先般來の第二小委員會の金子委員のお話もありましたが、御趣旨は廣告全般の意味だけではないと思うのです。汽車に乗つて、都市に入つて來る。或いは自動車に乗つて東京なり、横濱なりに入つて來る。その入口があまりに不潔であると、折角文化日本、觀光日本に入つて來るお客さんに對して、非常に惡い感じを與えはしないか。又日本將來のためにお客様を迎える意味においても、甚だ面白くないのではないかという意味で、特にそこに留意されたのではないか。勿論廣告の内容等にも段々觸れて來るとは思いますが、その前に例えばロシアのごときは、初めは首都に入るとき、非常に汚かつたが、最近のロシアはそういうことに氣をつけてか、非常に綺麗になつたということで、イタリアのローマなんかもそうだつたと思います。私隨分汚いと思つたのはパリーなんかで、田舎から汽車で來て、折角の藝術的な都の入口が隨分汚いのでがつかりするというようなこともありましたが、最近はいくらかよくなつたということですけれども、ドイツなんかもひどかつた。併し戰爭前のドイツは丁度ベルリンの入口あたりに花園かなんかそういつたものを作つて、いくらか三十年前行つたときよりはよくなつたような感じを持つたものですが、日本の東京でも、神戸でも、京都でも、入口が皆汚いということで非常に氣になるが、これは都市計畫の上にも、又都市を藝術化する、美化するという上においても考えなければならない問題ではないか。こういう意味のお話だつたように思います。そういう考が、なにかこれは委員會でも設けて、そうしていろいろ關係方面の專門家とお諮りになれば……、お役所だけでお決めになれない問題だろうと思いますが、なにかそういうお考があるかということをお尋になつたのではないかと思います。それから今の看板のことは、あるべきところにあるのだつたら、それはまあ差支えないと思うのです。丁度金子委員も仰つしやつたように、顔に泥がついているからいけないので、足に泥がついているなら、なんともない。あるべきところに看板なりがあるということは、大變便利なこともあるし、これも取扱によつては却て面白いこともある。例えばニユーヨークの夜の電氣のきらきら、いろいろ燮るのなんかは、誰もがニユーヨークに行くと一遍は見るというように、非常に見ても面白いし、名物になつているということもあり得るのですから、それはそういう場所等をいろいろ考慮して貰いたい。こういう意味だつたのだと思います。
 それから今の演劇やレヴユーなどの、エロの問題ですが、これも委員會に大分今までも雜誌等の問題で採り上げられて、實は數囘この點は論じられておりまして、政府の方にも協力して頂いて、我々もこの點心配しなれけばなりませんから、又他日この委員會でないときに、十分にお諮りしたいと思いますが、丁度芝居の話も出てきましたから、序に申上げますが、芝居なども、これは劇場によつて多少のいろいろ差異はあつてもよいのじやないか。例えば淺草の場末の、あまり學生等が行かないような場所のバーとか、キヤバレーのような所は、或程度のものがあつても差支ないのじやないか。それが歌舞伎座とか、東劇、或いは帝劇というような所で、あまりひどいものをやるということは、それは場所柄ということも多少辨まえてよいのじやないか。
 雜誌の如きも、少し話が餘談になりましたが、我々が始終子供に安心して見せる、例えば婦人畫報のような、お孃さん逹學生逹が持つていても恥しくない雜誌に、非常にエロなものが書いてあつた場合には、これは犯罪公論とかいう、或いは名前は當つていないかも知れませんが、エロを標榜して立つておるような雜誌に書いてあるのとは、少し違うのじやないか。例えば雜誌屋の店頭に立つてもエロの雜誌などはちよつときまりが惡くて我々は買うのも嫌な氣がするし、お孃さん、女學生逹が買おおと思つても、やはり手を引かれるだろうと思います。女學生や中學生が平氣で買える雜誌に、又家庭で持つていてもお父さんやお母さんがあまり氣にしないような雜誌に、妙なエロの記事が記載しておるとすれば、それは非常に氣を使うということにもなると思いますので、やはり場所柄とか、なんとかが相當關係するのじやないか。
 今の廣告の問題も、又前に還つて、そういう意味があるのじやないかということを皆さんが伺おおとされたのじやないかと思います。
 それからもう一つ、私ちよつと聽きかけて止めてしまつたが、單に廣告ばかりでなく、いろいろな建造物、或いは建築というようなものは、特に觀光日本というような面から觀た場合には、いろいろ氣をつけなければならない場合が多々生じてくるのじやないか、同じホテルを作るにしても、そのホテルを作る場所によつて、大いに藝術的にというか、美術的に、そこらの風景とマツチするような建物を造らなければならない。廣告等も藝術的にそこの雰圍氣に非常にマツチするようなものであつたら、却てよいものがあり得るかも知れないし、そういうことをどうお考えになりますか。こういつた意味で皆さんも御質問になつたのだと思いますし、一般的な看板をただ取締るというような意味ではないのじやないかと思います。こういう點、どうお考になつておりますか、くどいようですが……。
#62
○説明員(樺山俊夫君) 只今のお話、全くその通りであると思うのでありまして、大體廣告物にしても、今一應法規がございまして取締る建前になつておりますが、實際は、例えば鐵道沿線の場合につきましては、府縣令で鐵道沿線の廣告物をする場合には許可を受けるというようなことで大體縛つてあります。從つて今の法規の下におきましても、例えば今御指摘になりますような特に眼につく場所、而も眼につけば非常に工合が惡い場所、こういつたものにつきましては、許可の申請がございましたときに、只今お話になりましたような觀點から審査をいたしまして、その適否を勘案いたしまして、許可をするなら許可をする。或いは又それを許可する場合でもこの美感に合致するようなことに燮えさして、許可をするというような色々な方法があると思うのでございまして、只今御指摘になりました、例えば東京の入口に入つて來る途中に、汚い廣告物があるというような點につきましては、これは今お話になりました通りでございます。この點は十分今後廣告物の取締をいたしますにつきましては、十分私共注意をいたしまして、そういう方向に計らつて行きたい、こういうふうに考えます。
#63
○委員長(高田寛君) 廣告關係、觀光地の道路計畫外に御質問はありませんか。それではその次に觀光地における衛生施設の實情について、三木政府委員から御説明を願います。
#64
○政府委員(三木行治君) 觀光地と申しましても、私は國立公園關係につきまして申上げたいと思うのでありますが、既設十三ケ所の國立公園につきましては、實は衞生施設と申すべきものは格別のものは何もございません。甚だ殘念でございますけれども、その通りでございます。ただ國立公園の地域は、國立公園指定の要素といたしましては、これは健康地でなければならんということに相成つておるのでございます。從いまして折角この健康地に參りまして、疾病に感染し、或いは又不愉快なる生活環境でホテル住いをしなければならんということは甚だ不適當でありますので、來年度豫算におきまして、その衞生施設といたしまして、重點的に上下水道及び汚物清掃の施設をやりたい。かように考えまして、固よりこれはいわゆる水道條例、或いは下水道法というようなものによるところのものでなく、簡易な上下水道でありますが、そういう施設をやりたいということで所要の豫算を要求すべく只今準備を進めております。尚これらに關連いたしまして、その地域におきまする住民の保健衞生という面は、これは又非常に重要であり、且は又外來客が非常に出入りするということは、外來傳染病が持つて來られるという虞もありますので、それらの點からこの地域に對しましては疾病豫防、特に傳染病豫防、性病豫防というような點につきましては特段の注意をいたして行きたい。かように考えておるのであります。尚ホテルにつきましては、これらの許認可の際におきまして、そのホテルの衛生施設という面につきまして、十分留意して監督をして行きたい。從來はこれは警察命令で以てやつておつたのでありますが、只今は丁度新憲法に伴いまして、新しい法律が必要と相成りまして、これらのホテルに關する取締と申しますか。指導と申しますか。そういう面も目下手を付けておりますので、その點で十分に盛り込んで行きたい。かように考えておる次第であります。これらの國立公園地帶におきまする。國立公園の殊に集團地域と申しますか。そういう基地におきましては、以上申上げましたように主として環境衞生の方面及びホテルの衞生施設竝びに住民に對する衞生的な豫防方面を十分にやつて行く。兼ねてこれらの觀光客に接する人々がよき衞生習慣を持つて行けまするように、衞生知識の普及徹底というような面につきましても、所轄の保健所をして十分にやらせて行きたい、かように考えておる次第であります。
#65
○委員長(高田寛君) 衞生施設に關連して御質問はありませんか。それでは次にこの國寶竝びに重要美術品の保存、保護、それから史蹟名物、天然記念物の保存保護これの問題につきまして、現在の實情なり現行法規の施行状況、又豫算に關連しての御説明を一つ願いたいと思います。
#66
○説明員(兵藤清君) 私共の文化課で擔當いたしております國寶、重要美術品、史蹟名物、天然記念物の主として保存に關する消極的な面でありまして、保存行政は三つの法律によつて行われております。それは皆様のお手許に差上げました國寶保存法、それから重要美術品ノ保存ニ關スル法律、それから史蹟名勝天然記念物保存法、この三つの法律であります。この保存の状況を申上げますならば、先ず國宝の保存は今日まで國寶として指定されておる建造物は一千八百五十五棟であります。寶物類といたしまして指定されておるものは、五千五百九十六點の多數に及んでおります。而してこの寶物類を更に細別いたしますと、繪畫が一千百七點、彫刻が二千百十八點、書蹟、文書、典籍などが一千三百二十點、工藝品が五百三十點、刀劍が五百二十一點となる次第であります。文部省はこれらの國寶の維持修理費のため、昭和二十一年度までは補助金として、經常的に十九萬五千圓を計上しております。又臨時的に法隆寺伽藍の修理費といたしまして、十二萬五千圓を計上して、緊急修理を必要とする建造物及び寶物類に對して、修理を實施して參つたのであります。かような僅少な豫算を以ちましては到底國寶の全般的な保存には困難でありました。たまたま連合國最高司令部の美術及び記念物係の指示もありまして、昭和二十一年度から應急修理五ケ年計畫を立てまして、二十一年度におきましては建造物の維持修理費の補助といたしまして八十八萬圓、寶物類の維持修理費の補助といたしまして、二十萬圓を計上いたしました。次いで本年度におきましては建造物の修理費補助として三百三十七萬二千圓、寶物類の修理費補助といたしまして百四十四萬圓を計上して、目下修理を續行しておる次第であります。昭和二十一年度より本年度に亙りまして修理實施中のものは、建造物におきましては二十七件でありまして、それが五十二棟になります。寶物類におきましては二十一年度には八十五點であります。二十二年度には三百四十六點、計四百三十一點と相成つております。次に國寶建造物の維持修理といたしまして、昭和九年度以來毎年度繼續して實施いたしております法隆寺伽藍の修理費について申上げますと、昭和九年度より昭和二十一年度までは、毎年度十萬圓乃至十二萬五千圓を補助して實施して參つたのでありますが、昭和二十一年度におきましては、更に二十七萬九千圓を計上して同伽藍の聖靈院修理のために増額補助することとなつて、この工事は漸く竣功いたしたわけであります。次いで昭和二十二年度におきましては、百五十萬圓を計上して、目下五重の塔の根本修理のため解體工事を實施しておるところであります。尚金堂の根本修理につきましては、文部省といたしましては、最も愼重を期する意味におきまして、その對策を考究中であります。
 更に國寶建造物の維持修理として、昭和九年度以來、毎年度繼續事業として實施いたしておりますものに姫路城の修理があります。この城郭の修理費として、毎年度四萬圓内外の僅少の經費を支出しておりますが、今日ではこの少額では、ほんの應急修理の程度でありまして、根本修理は目下のところ困難であります。尚大體明年度におきましては、この増額を豫定いたしておる次第であります。
 尚重要美術品として今まで認定いたしておりますものは、繪畫が千三百九十六件、彫刻が四百九件、文書が三千六百二十六件、工藝品が千七百七十九件、刀劍が千八十五件、建造物が二百四十件、合計八千五百三十五件でありまして、これらの重要美術品の保存に關しましても、國寶と同様に保存上遺憾のないように努力はいたしておりますものの、何分にも豫算の僅少でありますために、十分にその目的を達し得ないでおることを非常に遺憾に存ずる次第であります。
 その次に史蹟名勝天然記念物の保存について申上げます。今日まで指定いたしておりますものは、千九百三十件に達しておりまして、これを大別して見ますと、史蹟が九百五十三件であります。名勝が二百三件であります。天然記念物が七百七十四件であります。これらの指定物件の保存上、毎年度豫算を計上してその維持、修理と顯彰上、保存施設を實施しておりますが、これも昭和二十一年度より應急修理五ケ年計畫を立てまして、二十一年度に九萬圓を計上して、二十二年度におきましては二十八萬五千圓を計上して、この管理者に補助を與え、修理又は保存施設を實施しておる次第であります。現在その補助を行い又は補助を豫定しております件數を申し上げますと、史蹟においては二十件、名勝が七件、天然記念物が三件であります。
 尚今次の戰災の被害状况を申しますれば、國寶建造物におきましては六十二件、三・三%になります。國寶及び重要美術品の寶物類におきましては、四十五件、これは〇・三%であります。史蹟名勝天然記念物におきましては、五十七件でありまして、三%に當ります。併し國寶及び重要美術品の寶物類の被害件數は、これは不正確でありまして、これが調査を進めて行きました場合には、尚増加する見込であります。以上被害を受けましたものには、全燒いたしましたもの、大破のもの、中破のもの、小破のものもありまして、復舊可能のものにつきましては、できる限り古い元の材料を尊重いたしまして修理を實施するため、當初戰災復舊費として、若干の豫算を計上いたしましたが、その後前述の五ケ年計畫を以て復舊に努めておる次第でございます。
 尚最近國寶、重要美術品等の海外流出の件が非常に重要視されまして、八月三十日の衆議院におきましても、緊急質問が行われた状況であります。これには先ず第一に豫算の増加を圖ることが、これは緊急必要なことであり、更に法律の不備な點は、これを改正して行かなければならないとも考えております。
 尚最近史蹟、名勝などの現状燮更の件について、いろいろの問題が起つております。例えば名勝地の分を伐り拂うとか、天然記念物の洞窟の附近の鳥糞を取るとか、いろいろな問題が起つております。これは法規上の建前から言ひますと、地方長官の許可事項になつておりますけれども、本省といたしましては、できるだけ本省に連絡をするということを慫慂いたしておる次第であります。
 以上を以ちまして、國寶、重要美術、史蹟、名勝、天然記念物の現状、法律、豫算の面について御説明申上げた次第であります。
#67
○委員長(高田寛君) 御質問はございませんか。
#68
○來馬琢道君 國寶のようなもの、重要美術品の類は多少まだこれから法規が修正されるところがあるだろうと思いますが、例えば、寺院の住職とあるのは、主管者に直すとか、多少燮更があるべきものだろうと思うもので、これにはまだ間に合わないものがあるかと思います。
 それからこの保存につきましては、宗教上の差別によつて保護の差別というようなことは絶對ないのでございましようか。
#69
○説明員(兵藤清君) 只今の御質問に對してお答え申上げます。
 現行法規にお話の、不備な點、改正を要すべき點のあるということを御指摘になりましたが、それは御尤もでありまして、例えば國寶保存法にも、そういう點が多々ある次第でありまして、今度の改正には、是非その點は修正いたしたいと考えております。
 第二の宗教上の差別という點でありますが、そういう點は絶對にないわけであります。
#70
○來馬琢道君 聞くところによりますと、東京都内における建築、或いは寺院等の保有しております寶物の類を、大層この頃急いで修理をしておる。これについて私の方へ尋ねて來た人は、講和會議の時の賠償品として取立てる都合があるので、ああいうものは大層GHQ‥…と言つてはいけないかも知れません。或關係の方面ではよく監督しておるのだというようなことを言つていましたが、私はそれは實に意外な言葉である。京都、奈良等を爆撃しなかつたという指導者があつたことなどを考えて見ても、そういういまわしい考を以てこの問題に處してはいけないと言つて、四日ばかり前に釋明をして置いたのでありますが、私の言つたことはその儘政府委員の方でも認められることでしようか。
#71
○説明員(兵藤清君) 寶物類を修理しておるのが賠償の對象となすために修理しておるのだというようなそういう噂があるそうですが、その點は司令部の方の意向も私連絡をいたしましてよく知つておるのでありますが、決して賠償の對象とするためでなく、それを十分に保存する。そういう點においては、決して野心はないということをはつきり申上げます。
#72
○三島通陽君 建築物等の國寶のものの丁度背景になつておるような、例えば森とか山とか橋とか河とかいうような、背景というか、それの美観をますます添えるにふさわしき周圍のものとか或いは内のものとかいうようなものは、この國寶保存法では別に制限できないけれども、例えば今度お寺が一つの宗教法人になつて、勝手に森などが伐れるようにようになつたり、又周圍のいろいろの壓迫等で、急に森を伐らなければならなくなるというようなことになつて、折角の美しさをそれによつて失わすようなことがありはしないかというようなことが懸念される。
 それからこれは國寶ではないかも知れませんけれども、例えば伊勢の神宮に我々が詣りますと、一種の莊嚴な雰圍氣がありますが、ああいうようなものが將來段々汚くなつて行くことから、或いはバツクの山の森などが伐られたりすることから、そういう自然的な莊嚴さというものが失われて來るというようなことも又心配されることなんです。例えば明治神宮なども一つの神社宗教としての存在になつた場合に、一つの美しい公園として考えるというような観念なり、道徳的な頽廢からこれを非常に荒してまうというようなことが考えられるのですが、こういつた心配をどういうように文部省あたりではお考になつていらしやいましようか。殊に私の申上げたいのは、國寶の建築物の周圍及びその附近を損うようなものが出て來はしないか。そういう憂いがありはしないか。今私こういう例という例を思い出せないのですけれども、そういうことも考えられる。
 それから今度財産税などで國寶等を所有していた人が所有ができなくなつてしまつて、轉々と人に渡つて行つて、その在りかは文部省でおわかりでしようが、それを保存する人が燮つたことによつて、これを愛護する氣持というようなものがまるで燮つてしまつて、例えばここに徳川家の立派な國寶がある。これを徳川家が所有しておられる場合には、非常に大切に愛護されて子孫に傳えられるであろうけれども、これを全然見ず知らずの他人の新圓階級なら新圓階級の人が持つたというような場合には、その愛護の仕方が違つて來るのじやないかというようなことが心配されるのですが、何かそういつた場合に、何とか國家がこれを完全に保管して行くというようなことが考えられないものであろうかどうであろうか。又それを外國人等にどうやつて紹介したらいいかというようなことも、観光日本としては一應考えるべき問題だろうと思いますが、そういうことを文部省の方ではどうお考えになつておりましようか。
#73
○説明員(兵藤清君) 第一の御質問の、環境も同樣に整備しなければならんという御意見につきましては、全く同感でありまして、私の方の建造物の修理などをいたしております者も、單に建造物だけでは駄目だ、どうしてもそれに伴う周圍の整備というものが是非必要だ。それを法律にでも規定することはできないか、という熱望が強いのであります。その點につきましては法律にどの程度それを現わすことができるか問題ではありますが、これから先、その建造物と共に環境の整備というような點について、一般の關心を喚び起す。當方といたしましても、できるだけ補助などいたしたいということを考えております。
 それから第二の所在者の燮更に伴つて愛護心が喪失するというような、そういう點でありますが、それも同感でありまして、現在實際所有しておりながら財産税などの關係で、戰災のために燒失したというような屆を出して、その寶それを巷間に流しておるということを聞いております。それにつきましては國立博物館に本年度は五百萬圓の買上費を計上いたしまして、これで寶はそういうものも買上げておる次第でありますが、その金額につきましては、將來必要の場合は大蔵省當局からも相當出して頂けるというような見込がありますので、そういう點もできるだけ買上げるというようなことにいたしたいと考えております。尚そういう點も法律にどの程度規定することができるかというようなことも考慮いたしまして、例えば市價と大差ない金額で委員會などの意見を聽いて買上げるというような方策も考えて見たいと思つております。それからこの寶物類の紹介でありますが、現在におきましては國寶と言うと、なんだか非常にこわい物のように感ぜられ、特別なもののように考えられておりまして、國民に親しみというものがない状態であります。今後は我々の文化財であるという、そういう觀念を國民一般に持たせるよう、所有者に對しても單にそれを死藏しておるだけでなく、一般に公開して國民に親しませる。それと共に所有者に對しては、何らかの特權を與えてやるという方向に進めて行きたいというようなことを考えております。
#74
○委員長(高田寛君) 國費、重要美術品の保存法、史蹟名勝天然記念物の保存法、これに關連して御質問はございませんか……。それではその次に移りまして、觀光施設の方の第一番に、旅客交通機關の實情殊に鐵道の交通機關の現状竝びにこの改善策というような點につきまして、運輸省の今井田旅客課長から御説明を願います。
#75
○説明員(今井田研二郎君) それでは簡單に私から、旅客輸送の現状と、その將來の對策、關連しまして觀光對策と申しますか、そういうものについて申上げて見たいと思います。旅客輸送の現状につきましては、すでに先般實相報告をそれぞれ御關係の向にお配りして置きましたので、もう十分御承知だと思うのでありますが、主として石炭事情のために、最近非常に削減されまして、人間的な旅客輸送をしておらないということは御承知の通りであります。現在動かしております列車キロは、總計で約二十四萬キロということになつておりまして、その中で一萬八千キロばかりを進駐軍輸送に專門に充てておるのであります。この二十四萬という數字は、戰爭中も、ずつと以前の數字でありまして、これは國鐵のなんと申しますか、昭和十一年以降には、かような數字で旅客輸送を行つたことのない數字であることも御承知の通りであります。それに對しまして客車の状況はどうかと申しますと、現在國鐵が持つております客車は、全部で約一萬一千輛ということになつております。その中で進駐軍に廻しております車が大體九百輛ばかりございます。その中には優等車、いわゆる二等以上の車が約四百輛占めております。これら側、日本則の手に管理しております優等車は現在約二百五十輛足らずであります。從つて優等車の大部分、大體三分の二程度が現在進駐軍側によつて使われておるというような状況にあることをお分り願えると思うのであります。かような情勢でありますので、列車キロも非常に短くて、一般的な旅客輸送も十分賄えないような状況にあり、而も又優等車も殆ど大半といいますが、優秀なものは全部進駐軍輸送の專用に充てられておるというような實情にありますので、今日只今直ぐこれを觀光輸送の方に振り向け得ないことは、これはもう御想像に難くないところだと存じます。無論我々はこの状況に滿足しておるのではないのでありまするので、最近省内におきまして、五ケ年計畫というものを作りまして、昭和二十六年度ぐらいまでの間に、どの程度に輸送キロを増加し、或いは客車を整備するかというふうな計畫を目下立案中でありまして、まだ豫算的にも或いは資材的にも、具體的に決つたわけではないのでありますが、大體その全貎をどういうふうに考えておるかと言いますと、まあなんと言いますか、我々のまあ勘といたしまして、國内輸送一般の最低所要列車キロはどの程度かと言いますと、大體三十四五萬キロ程度が最低じやないだろうか。これは昭和十九年の秋頃の列車の運行状態でありますが、これが最低限度だ。從つて昭和二十六年度の終には、是非この三十五萬キロ程度の列車キロは使うようにしたい。運轉できるようにしたいというふうに考えまして、そういう標準で一切の計畫を立てております。その際にはこの三十五萬キロの外に、先程申上げました進駐軍に現在使つております列車キロ、一萬八千キロでございますが、これは別枠といたしまして考えております。恐らくいろいろな状況の燮化が起りましても、進駐軍關係の一萬八千の列車キロは要することはないだろう。若し要らないような状態が參りますれば、この列車キロをその儘觀光客の輸送のために充ててもよろしいというような二本建の考えから、昭和二十六年度には三十五萬プラス一萬八千、この一萬八千は今申上げましたような兩建に使い得るような建前で考えております。無論これには石炭が伴わなければならないことは申すまでもないことでありまして、國鐵の今年使いました石炭の量は、御承知のように七百五十萬トン程度でございますが、この二十六年度の三十五萬プラス一萬八千という列車キロを出しますためには、八百五十萬トン程度の炭をどうしても確保しなければならないのでございます。これも驚く數字ではないのでありまして、大體昭和十九年から平年度にはこの程度の炭を平氣で使つておつたのでありますから、敢て驚く數字でない。大體におきまして昭和十九年程度の規模に、二十六年度において復したいというふうに考えておるのでございます。
 その際に客車の状況、即ち觀光輸送に最も關連のあります優等車の状況でございますが、客車は全體として、先程申上げましたように現在一萬一千ございます。これを二十六年度には大體一萬四千ぐらいに殖やしたいと思つております。その中で最小限觀光客の輸送に充てまする車を約八百輛、正確に申しますと七百七十八輛ということになつておりまして、この數字は先般觀光課の方からそれぞれ資料として提出申上げてあると思うのでありますが、大體八百輛程度の觀光專門の優等車は、是非この増加される三千輛の中に加えて行きたい。その外に國内輸送、一般用として優等車も相當量加えて行きたいというふうに考えております。
 そういうふうにしまして輸送キロ三十五萬キロになり、更に一萬八千キロの場合によれば觀光輸送專門に充てるようなキロも増加することができる。客車も今申しましたように約八百、それから進駐車が現在使つております九百輛の中の優等車の四百輛、この中の一部分を充てるということにいたしますと、大體恐らくその時代、即ち昭和二十六年頃、我々が想定いたします觀光客の國鐵による輸送につきましては、大體事缺かずして輸送し得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。極めて簡單でございますが、現状と將來の對策につきまして申上げます。
#76
○委員長(高田寛君) 何か御質問はございませんか。ちよつとお伺いするのですが、そうするともう一年後、二年後くらいでは、現状と大した燮化は見られないということになるのでしようか。一二年後にも現状より幾分よくなるという見透しは付けられませんですか。
#77
○説明員(今井田研二郎君) お答え申上げます。無論除々にそういうふうに上昇して參るわけでありまして、二十六年度に今申上げたような状態になるわけであります。數字は持つてきておりますけれども、多少燮るかも知れませんので、大體現在の二十五萬が三十五萬に五年間でなりますので、その間大體二萬くらいづつ殖えて行くというふうにお考え願つて結構だと思います。それから客車の方も年度によりまして燮化がございますので、大體五分の一程度に殖えて行くというふうに考えております。
#78
○委員長(高田寛君) 御質問ございませんですか。なければ次の問題に移ります。
 ではホテルの問題に移りまして、このホテル營業の現在の状況竝びにこれの改善に對する見透しについて、日本ホテル協會の高久理事長から御説明願います。
#79
○説明員(高久甚之助君) 私お話し申上げたいと存じますことを、お手許に差上げました刷物に認めておきました。就きましてはこれを大體朗讀さして頂きます。所々必要な箇所に、説明を加えることをお許し願いたいと存じます。初めにホテルと日本旅館との區別、一、宿泊料金統制要綱設定及び統制組合設立の場合の區別、それから註に、「ホテルトハ室料制ニヨリ料金ヲ定メ原則トシテ左ノ條件ヲ具備スルモノヲ稱ス」一から五までその條件が書いてあります。尚日本ホテル協會の會員資格というものも御參考にそこに述べました。尚將來のホテルと日本旅館との區別をいたします場合には、これは私の勝手の考でありますけれども、ホテルの主要目標が外客である。外人の旅客を取扱うことが主である。そういうことを、尚先程申上げましたホテル料金統制要綱の決りますときの標準とか、ホテル協會で決めておりますときの標準というものの設備、その他の條件として、日本旅館との區別をする。こういうようにして行きたいと、こう思うのであります。一般にホテルと、こう申しますと、普通の日本宿屋もホテルという名前がついておりますので、ちよつとその區別がしにくいということがございますが、先年商工省の物價局でここにございますような宿泊料金の統制要綱を決めます場合には、先程申上げましたような條件を土臺にいたしまして、一般日本旅館のものと區別いたしまして、その後尚統制組合を作ります場合にも同じ標準で區別いたされました。これは只今この兩方は物價廳が面倒を見ているわけでありますが、そういうふうにして何故區別しなければならんかと申しますのは、次に申上げます區別の理由と書きました。國際觀光事業發展のため特殊使命を有するからである、こう考えます。こういう區別をいたしてこれを國家として十分育て上げて行くとか、保護するとが、十分に監督するという必要がございまして、一般日本旅館と區別することが必要であろうと考えられるのであります。
 次にホテル事業の現状でありますが、これはホテル宿泊料金統制要綱の適用を受けておりますようなホテル、こう申しますのは、その中でそれは合計五十三でございます。室の數が三千九百七十八、收容人員が七千三百二十六、こうなつております。ところがその中進駐軍の接收になつておりますものが四十一のホテルとそれから室數が三千四百四十六、收容人員が六千二百二十となつております。殘りの十二ホテルだけは自由營業を認めておるのであります。
 次に二番に書いてありますが、貿易廳直營ホテルでありますが、これは今度貿易業者が日本に參りますに對しまして貿易廳でいろいろな建物を利用いたしまして作り上げましたホテルであります。これは貿易廳が直營いたしておりますので區別をいたしまして、それは東京に二つ、そうしてその室數が百四十九で收容人員が二百九十八であります。名古屋に一つ、三十九の室、四十一人の收容、それから京都は一つで七十一で百四十九、大阪は一つで五十五の收容人員であります。合計五つで以て三百十四室あつて、五百四十三人收容できるというのが現状であります。これがホテルの現状でございます。將來につきましては四番にございますような主要ホテル網というものを運輸省の觀光課全日本觀光聯盟、日本交通公社及び日本ホテル協會の關係者が集りまして、調査研究をして作りまして、その案の概要を申上げますと、戰前にありましたのがホテルが百十二で收容人員が九千四十二ありましたが、戰後それが數が七十三に減りました。從つて收容人員が六千七百三十七、これに對しまして新しく加えたり増築をしたりするというものを加えますと百三十五のホテル數と一萬六千二百人の收容人員であります。それからそれらを合計いたしまして、將來でき上りますホテルを豫想いたしますと、二百八のホテル數、それから收容人員が二萬二千九百三十七、こういうわけであります。新増設いたしますものの中緊急に増設をして貰いたいと考えておりますのが十二であります。收容人員が二千三百ということになつております。
 尚貿易廳の直營ホテルとか、それから進駐軍があちらこちらのビルデイングなり或いは日本旅館を改良いたしまして宿舎に充てております。こういうものは新増設をする場合に考慮しなければならんところのものであろうと考えております。以下いろいろな點につきまして私共の希望しておりますことを勝手に述べさせて頂きたいと思うのであります。
 五番の資金及び資材につきましては、先ず第一、資金關係につきましては、低利資金を考えて頂きたい。これにつきましては金融順位を丙種から甲種に引上げて頂きたい。それから同時に中央金庫のようなものを拵えまして、そこから長期の低利貸付をできるようにして頂きたい。それからその次は政府又は地方自治體等で建設して頂きましてその經營を民間に委任して頂くということであります。それからその次に外資の導入であります。外資はこれを入れて、アメリカの方面の新規な機械を使うとか、或いは經營の能力をも利用するということをいたしたいと思いますが、この點につきましては成るべく經營自體は日本の手に殘るようにいたしたい。日本人が經營方面から排除されるということでは困るというふうに私は考えているのであります。それから次に資材關係でありますが、これはホテルの國策的な重要事業ということをお考え頂きまして、特殊必要な資材につきましては優先配給をお願いいたしたい。
 その次は經營上の助成を六番に申上げます。それはホテル用品の優先配給、それから資金の融通、それから勞働基準法の除外令制定、公課公租の減免等をして頂きたい。この勞働基準法の除外と申しますのは、そう大きく考えて申上げているのでありませんが、ホテル從業員の勤務時間或いは勤務内容というものは一般の工場その他におきまするものとは大分に異なつておりますので、その點の考慮を基準法適用の場合に十分考えて頂きたいということなのであります。
 それから次の主務官廳の決定と申しますのは、このホテル事業につきましては、衞生、保安、風紀或いは料金關係等の謂はば監督につきましては、それぞれ衞生は厚生省、保安風紀は内務省即ち警察、それから料金關係に物價廳というふうにございますが、この事業を助けて立派に育てて行くといういわゆる助長行政につきましては、まだ監督官廳、主務官廳がないように思われます。就きましてはこれはホテルの事業は、廣い意味における交通事業と考えていいと思われますので、運輸省において助長行政をやつて頂くようにしたいということを私共は願つているのであります。實はこの社團法人の日本ホテル協會は、その主務官廳を運輸省としておりますのであります。これは御參考に附加えて置きます。それから次はホテル事業法というのを制定していただきたい。これはホテル事業の重要性に鑑みまして、將來の發達を期するために監督、助長、保護という途を開いていただきたいと、こう言うのであります。それから最後にホテル從業員の養成問題でありますが、只今現に甚だ微弱でありますけれども、從業員の養成のために行なつております事業を擧げましたのは、一から八までであります。その中に富士屋の支配人をやつておりました故山口正造氏の記念育英資金というのがございまして、立教大學でその資金を以てホテル講座を去年十月から始めております。尚日本キリスト教青年會におきましては、戰前から國際ホテル學校を設けておりましたが、戰後直ちにそれを再開いたしまして、この九月に再開後の一囘卒業生が出る譯であります。尚その他富士屋ホテルとか、帝國ホテルとか、ニユー・グランドとか、そういう方面におきましては、或いは自分のところの從業員或いは日本旅館の子弟など、それぞれ自分の手許で養成して參りましたのであります。帝國ホテルが只今各方面のホテルへ支配人を供給し得るのは、全く以前そういう幹部級の從業員養成に力を盡された結果であると私は考えております。尚從業員を指導して行くためには、いろいろ教養資料というのが必要でありますので、これを整頓いたしますとか、或いはアメリカの有名なウオールドーフ・アストーリヤの主人をしておりますブーマー氏の著わしましたホテル・マネージメントを飜譯しまして、それをこういう方面の參考にしようといたしております。かように微力ながら各方面の方々が從業員の教育に力を注いでおられますけれども、まだまだこれでは足りませんので、どうか一つ國家におかれましても、一つ直接の教育機關を設けられるとか、或いは關係の學校に適當の補助金を出されまして、アメリカのコーネル大學のように、或いは又スイスのホテル實務學校のようなものをお作り下さいまして、強力なホテル從業員養成機關を完成していただきたいと思うのであります。尚その外に將來ホテル事業に従事する青年で有望な者は海外に派遣することも必要でありましようし、又外國から適當な人を招聘いたしまして日本ホテル事業の指導を頼むことを大事であろうと思います。尚一般に教育を普及せしめるために、通信教授のようなものも考えなければならんと思うのであります。以上甚だ簡單でございますけれども、現状と、こういうふうにして頂きたいと存じております點を腹藏なく申上げました。失禮いたしました。
#80
○委員長(高田寛君) 引續きまして、日本旅館の現況、竝びにこれの改善計畫について、日本旅館組合聯合會の吉田専務理事から御説明を願います。
#81
○説明員(吉田團輔君) 戰爭前におきまして、ちようど昭和十二年現在でありますが、當時におきまする日本旅館の總數を申上げますと、概數にいたしまして四萬三千あつたのであります。それがその後徴用、それから強制疎開、震災というようなことによりまして、段々段々となくなつて參りまして、戰爭直後におきましては約三萬でありますが、三萬をちよつと切るぐらいの數字になつたのであります。その後段々復興をいたしまして、現在におきましては、これも概數で申上げますというと、三萬五千ということを申しておるのであります。併しその後殖えました五千というものについて見まするというと、復興建築を許されまして建てた家が、資材それから資金というような關係で非常に小規模のものができ上つておりますのは、これはもう御承知のところと存じまするが、それから個人の住宅を兼ねて營業しておるものもありますが、これは營業用にできてない建物でありますから、收容力というものは非常に少いのであります。無駄なスペースが多いということになつております。それからその後におきまして、高級料理店でありますとか或いは待合でありますとか、最近におきましてはあの政令によりまして、料理屋方面の轉業というようなものがありまして、以前の戰爭前の旅館というものとの相當建物の設備におきまして、考え方の違つたものが現われて參つておりますので、戰前に四萬三千ありましたときの收容力は、これは概算いたしまして約百二十八萬という數字を私共出しておるのであります。今日その後復興いたしましたものを入れまして三萬五千ということになりまして、これは百萬あれば大變都合がよいと思いまするが、或いは百萬臺を割るのではないかというようなことを考えておるのであります。甚だ残念でございまするが、的確な數字はまだ得ておりませんので、極めて大雜把でございまするが、こういうふうな状況になつておるのであります。就きはして外國からのツウーリストを日本旅館を迎え入れなければならんということになつておりますことは、別段申上げるまでもないことと思いまするが、最近その實例といたしまして、目下來ておりますバイヤー、これの常設ホテルが現在の儘の外に、産業視察旅行でありますとか、或いは觀光旅行でありますとか、或いは週末の休養旅行というものにつきまして、日本旅館を相當に利用するということで、貿易廳それから日本交通公社、尚私共の方も御相談に與からしていだきまして、バイヤー用のそういう旅館を設けたのであります。これは旅館の、只今申上げました三萬五千ありますのが、物價廳と御相談をいたしまして、大體六階級になつておるのであります。その中の一位に位するものでありまして、普通これを一級旅館と申しております。それが只今のところ總數の先ず三割と見まして千二百軒、その中から觀光地、或いは産業地の附近の足場になるようなよい所でありまして、只今のところ旅館といたしまして八十三軒、それから休憩用といたしまして九軒を擇んで、これが貿易廳の指定旅館で日本交通公社の契約旅館ということになつております。日本交通公社におきましてクーポンを發行して、その旅館を利用するということになつておるのであります。ところが、これにつきましての施設でございます。御承知の通り、戰爭中は殆ど荒れるに委しておつたのでありますが、戰後におきましても資材というものが思うように手に入らないのであります。修理するとしまするというと、非常に大きな闇になつて、致底その負擔に堪えないということになつております。その千二百軒の中から約百軒というものは、大體現状の儘でバイヤーに、お泊めすることができるだろうということで擇んでおるものでありまして、具體的に申しまするというと、水洗便所でありますとか、或いは風呂場のシャワーでありますとかいうようなもの、それから衞生方面では蠅を防ぐ防蠅設備というようなものもできておりまして選んだのでありまして、それにしても尚且不十分なことは免れないのであります。私共といたしましては、將來の日本の觀光事業の一つの捨石になるというような覺悟を以ちまして、一同心を揃えてバイヤーをお迎えして、できるだけいい印象を與えてお歸ししたいということで努めておるのでありますが、何分にも今申上げましたように、千軒の中からよりまして百軒にいたしましても、尚且いろいろな點で不備があるのでありまして、これにつきましていろいろと貿易廳の方にも御相談したのでありますが、聞きまするというとそういうような資材、その地につきましては、地方廳で特に考慮するといつたような御指示が出ておるということであります。お考え下さることは誠に有難いことでありますが、お考えはなかなか實現するに至りますまでには、相當……將來に知りませんが、今日までは時間がかかつておつたのであります。これらの點につきまして、現にもうすでに受けなければならない問題であります。特別にこういう資材の手配というようなことにつきまして、いろいろと御盡力願いますれば誠に仕合せに存ずる次第でございます。大體只今まで最も欲しまする資材はシーツ類……繊維品、これらは誠に困つております。それから蒲團類にいたしましても相當いたんでおりまして、その後の補修ができていないのであります。それから浴衣なんかにしましても、日本に來ましてから衰問着を持つておりましても、浴衣というものを着てみたいという向きもあります。これらも大分破損いたしまして、旅館といたしましては浴衣は一年しかもたない。これの配給がないのでありますから、一反千八百圓から二千圓くらいの闇のものを買つて間に合しておりますが、それをなかなかそう今ないものでありますかにできません。差當りの問題といたしまして、私どもの方でせめてバイヤーをお泊めする旅館だけでも、そういうもののお手當を願いたいというふうに考えております。幸いに食事の方は縣の方で最近貿易廳の方からお話で或程度のお手配ができるというようなことになつたのであります。最初はこれもバイヤーがレーシヨンを持つて行かれるから、私どもは部屋を提供するだけでいいということになつておつたのでありますが、三度の食事を全部提供しろということになつたのであります。誠にこういうお席を拜借いたしまして恐縮でございますけれども、そういうことに關してお考を願いたいと思う次第でございます。
 それから一般の國内の旅客につきましては、只今申上げるように數が相當殖えましたけれども、收容力が以前のようにないのでありまして、全國各地におきまして旅客に非常な御迷惑をかけて、誠に申譯ない次第と存じておるのであります。まあ現在の旅館を利用する旅客の數から言いますと、相當數の旅館を増加いたしたいと存ずるのでありますけれども、せめて昭和十二年程度くらいまで増して頂きますならば、旅客も非常に助かるのではないかと、かように考えておるのであります。といたしますと大體あと七千軒ぐらいなものでありますが、五千軒くらい……、せめて四萬くらいにしたならば、現在の宿屋なんというものが大いに救濟されるかと思うのであります。業者といたしましては建設をいたしたいということで、いろいろ無理をしても準備を進めておりますが、これも御承知の通り建築方面の制限で旅館を造つてはならないということはなつておりますので、甚だ困つております。最近又これの轉用も許さないということになつたようであります。この點につきましても、一日も早く旅館の方の緩和ということについて實現するように、私どもの方として祈つておるような次第でございます。それからさつきホテル協會の高久さんからお話がありましたが、こういう建築をいたしたり、バイヤーを招かれる建築のいろいろな補修をいたします。完全ではありませんが、取りあえず補修といたしましても、バイヤーや外國のツーリストを迎えるといたしますと、いろいろ議維品の方でマル公に近く見積つて最低十萬圓は計上しなければできないのであります。それが千二百軒の中から選ばれた百軒で比較的設備の充實しておるというところで、そういうことになるのであります。
 それから融資、金融の面におきましても、さつきお話になりました丙種になつております。聞きますれば劇場などは乙種になつておるようでありますが、せめて、旅館か劇場より以下に置かれておるということは、ちよつと私どもは甚だ自分勝手な話でありますけれども、せめて他所樣はどうというわけではございませんか、劇場と同じように見て頂いてもよいのではないかと思つております。
 それから勞働基準法に關しまして勞基準局に参りまして、旅館のサービスということ、旅館の勞務ということにつきましていろいろ御説明申上げたのですが、よく事情はお分りのことと思います。いろいろなことでやはり一般の工場その他の勞務者と同一の適用を受けるというようなことになつておるようであります。ただ勞働時間だけは一時間延ばして九時間ということになつております。この點についてもホテル協會同樣の希望を私共として持つておる次第であります。以上であります。
#82
○委員長(高田寛君) それでは引續きまして、ホテル、日本旅館の現況竝びに改善策について政府側として運輸省の間島觀光課長から御説明願います。
#83
○説明員(間島大治郎君) 現状につきましては只今ホテル協會とそれから旅館組合の方からお話がございました。省の持つておりましたホテルにつきまして、ちよつと補足的に御説明申上げますと、御承知の通り戰前には運輸省ではホテルを或程度直營いたしておりました。終戰後これを民間の手で運營いたした方がよいという方針に燮えまして、日本交通公社の方へ委託經營するということになりまして、現在十和田ホテル、それから奈良ホテル、熱海の觀光ホテル、これは元の萬年ホテルでありますが、この三つの經營をやつて頂いております。東京都では東京ステーシヨン・ホテルと山王ホテルは戰災に提りまして、東京の方はこれを復舊する計畫を立つております。大體今年中にできる筈でありましたが、資材資金の關係で延び延びにしております。規模は大分小さくなりますが、東京の方は或程度復活するという計畫で進める。それから今後譯なんかを本格的に復舊いたしまする場合には、できるだけ民衆の利便を考えた施設をするという方針を立てておりまして、少くとも中都市以上くらいの都市には、都市の譯を本格的な復舊をする場合には、小規模ながらも旅客の宿泊の方も整えたい、そういう考えでおります。それからホテルの整備計畫につきまして、さつき高久さんから御相談がありましたが、假に案を立てたのでありますが、更にこれを具體的な實施計畫を作りたいと考えまして、いろいろ關係方面の御意見を拜聴いたしております。經濟安定本部の方にもすでに資料を提出いたしておりまして、來年度から是非この中の一部分でも計畫に上して頂きたいということでお願いをいたしておる次第であります。それから現在考えておりますこの整備計畫のホテルの運營形態という問題でございますが、勿論ホテルにつきましては、民營でやつて頂く積りでおるのでありますが、併しその道の専門家の方々の御意見によりましても、現在の經濟情勢では民間の手で作つて、そうして經營するということは非常に困難である。少くとも何らかの形で政府の援助がなければ、急速なる整備をするということはできないというふうな御意見でありますので、これに對する金融方策、或いは又場合によつては國で作つて民間の手で經營して頂くというふうな問題につきましても、目下研究を進めております。
 それからホテル關係の法規の問題でありますが、これにつきましてはホテルのみならず觀光事業全般についての法規が非常に不備であります。殊に事業の助成關係の法規が非常に不備でありますので、前々からいろいろ研究はいたしておるのであります。最近におきましても私らの方で、觀光事業振興に關する法律案というふうなものを練つておるのであります。又その法律の體系をどうするかということについても非常にむずかしい問題でありますので、そう急にはできませんが、兎に角ホテルにつきましても、ホテルの助長、保護、それから或程度の監督というようなものを内容にしたものを法律にしたいという考で、折角研究をいたしております。
 尚これ以外に現在考えておりますのは、先般申上げました通譯案内業、これは從來内務省令で出ておりますので、罰則を伴つておりますので、どうしても今年中に法律化をせねばならないことになるます。この方は日本通譯協會というふうな民間團體の御意見も十分拜聽いたしまして、大體成案を得ておるのであります。又改めてこちらの方にも提出いたしまして、御審議を受けたいと思つております。簡單でございますがこれで……。
#84
○委員長(高田寛君) 更にホテル、日本旅館の問題について、御質問はございませんか。では御質問がなければ次に、この種々の觀光施設についても問題になるのは、いつもこの資金と資材の關係でありますが、この觀光關係の施設の資材の割當の實情がどうなつておるか。この點につきまして、經濟安定本部の建設局の伊藤計畫課長から御説明願いたいと思います。
#85
○説明員(伊藤剛君) 經濟安定本部で扱つておりますのは公共事業と申しまして、昭和二十一年の九月から司令部の命令によりまして、各省が扱つております建設事業關係の豫算を取纒めておるその公共事業の枠内だけのお話しか申上げられないのであります。それで二十一年の九月以降本年まで觀光事業に對して、實は國庫補助及び資材の放出はしておりませんです。その他の部面でしておるところがあるかも知れませんが、公共事業の枠内では今申上げましたように資金も資材も放出しておりません。それから二十三年度以降はどうなりますかと申上げて見まするに、内務省關係から觀光道路、それから厚生省關係から公園とかホテルとかその他の施設、それから運輸省から今お話がありましたいろいろな設備、或いは港、觀光港として施設の計畫が出ておりますが、これはまだ實は審議を始めておりませんです。それで水害とかその他緊急にやらなければならん仕事が非常にあるものですから、この二十三年から急に大々的にこの方面に資金、資材を導入する情勢には立至らないだろうと考えております。大體以上で……。
#86
○委員長(高田寛君) そうすると今、二十三年の計畫として各省から、そういう要求が一應出ておるわけですか、そうですか。
#87
○説明員(伊藤剛君) そうです。
#88
○委員長(高田寛君) そうすると結局枠の中に入らないと、公定價格で資材の配給を受けられないということになるわけでございますな、實情は……
#89
○説明員(伊藤剛君) この枠の中に入るということは國庫補助が出るということでありまして、一般の各省でやつておりまするその他の豫算でも、やはり事業をやることができ得るのであります。公共事業と言いますと、失業救濟をするとか、そういう面で強く要求されておる仕事なものですから、觀光事業は必ずしも公共事業でなければいかん。そういうことはないので、通路施設とか、港の施設、こういうのは、公共事業に必ず入れるべき問題と考えます。
#90
○委員長(高田寛君) そうすると國の補助を貰わないで、民間でやる例えばホテルの建設のような問題でも、やはりこれが必要と認めれば資材を公定價格で配給するという枠の中に入れることはできますか。
#91
○説明員(伊藤剛君) それはできます。それは資材の枠は、必ずしも補助事業だけに限つておりませんし、一般の産業施設にも相當多量に出しておりますから、そつちの方で十分賄つております。
#92
○委員長(高田寛君) そうすると、この資材の割當計畫は、やはりこの安本の建設局の方でおやりになるのでありますか。
#93
○説明員(伊藤剛君) 補助事業以外、公共事業以外の方の資材の割當は、生産局でやつております。
#94
○委員長(高田寛君) 安本の生産局ですか。
#95
○説明員(伊藤剛君) そうです。
#96
○委員長(高田寛君) 御質問はございませんか、今一つお尋ねしたいのですが、いろいろな重要國寶になつておる建造物の修理などの問題も、こいう資材などはやはり公共事業の中に入るのですか。國寶になつておる大きなお寺がある。これの修理のようなものには、相當大きな材木が必要であろうと思うのですが、こういうような資材の割當などは……。
#97
○説明員(伊藤剛君) それはたとえ補助があつても、公共事業には入らないと思います。ただ公園なんかですね、國立公園とかなにか、それの道路施設とか、或いは裏の方の森林の施設、そういうのは公共事業に入るのです。
#98
○委員長(高田寛君) 他に御質問ございませんか。
#99
○來馬琢道君 今の委員長からのお話にあつた國寶となつておる建築物に對することも、今安定本部の方で取扱つていらつしやるのですか。
#100
○説明員(伊藤剛君) いないのであります。
#101
○來馬琢道君 そうすると、そういうことが若し國會からでも申出があれば、それを取扱うことになるようにするには、又我々が外かの方法で心配しなければならんのですね。
#102
○説明員(伊藤剛君) 公共事業以外に補助法で資材の割當のできる方法がありますから、そちらの方でそういう特殊な建造物はすべきじやないかと考えます。
#103
○委員長(高田寛君) それでは最後に觀光觀念の昂揚、又交勤道徳の昂揚、こういう問題につきまして、文部省の教科書局の第一編修課の保柳事務官から御説明を願います。
#104
○説明員(保柳睦美君) 交通道徳につきまして最初に申し上げます。交通道徳というような方面は、從來の教科課程でございますと、修身、公民というような方面で多く主として取扱われて參るべき筋のものでございます。今までの修身や公民という授業は、先生が、極端に言えば、教壇に立つて説教するというような形態をとつて參つたのであります。終戰後の新しい教科課程におきましては、そういう修身、公民というようなのがなくなりまして、又地理とか歴史とかいうようなものもなくなりまして、新聞などに出ておりますように新たに社會科という教科が生れたわけでございます。この社會科におきまして、實はこの交通道徳というような方面は多く取扱つておるのでございます。新しく生れました社會科の行き方といたしましては、今までのように先生が生徒にいろいろ教えるというような行き方とは少し違いまして、いろいろな社會生活上の問題を捉えて參りまして、そうしてその問題を生徒が自分自身でお互に話合い、或いは調べたりなんかして解決して行く。こういう方向をとるのでございます。この社會科におきましては、今までの先生が生徒にいろいろ説教するというような方面は極めて、少いのであります。生徒自身が、それはどうすればよいか。この問題はどうすればよいかというようなことをお互に研究して行くのでございます。交通道徳というような方面におきましても今までのように、こうしなければならないものであるということを先生が教えませんで、その代り交通道徳というようなことを表面から取上げませんで、小學校におきましては、安全な生活をするのにはどうすればよいか。こういうような問題が、いろいろな學年に繰返して出て參ります。その安全な生活というようなことに關連いたしまして、交通事故の防止、或いは交通の混亂をどうすればよいかという問題。そういうことをいろいろ子供が調べて、そうして當然これから交通道徳というようなことが生まれて來る。その他、他の教科でもこんなような行き方になつておるようなわけでございます。交通道徳というようなものを取上げておるのはございまするけれども、社會科におきまして、これが最も多く取上げられておりす。中學校へ參りますと、やはり同じく社會科がございますけれども、もう少し正面から、この交通問題などに直面いたしまして、例えば大きな問題といたしまして、この交通機關の發達がどのように今なつて來たかというような大きな問題があると、そういう問題に關連いたしまして、生徒自身がいろいろ調べ又現に自分の住んでおる社會にいろいろ見られる大きな現象について調べて行く。ただ調べるだけでなく、實踐をやる。郷土の交通状態を調べて、又交通の混亂を見て、一體どういうふうに解決して行くかについて、交通整理というようなことが當然出て參ります。みんなで交通整理というようなことに協力して、生徒としてそういう仕事に協力する、こういうような實踐の面も行なわれるわけでございます。こんなふうにして交通道徳という方面は、むしろ裏の方から、今までのように正面からでなくて、裏の方から取扱われて、そうして今まで以上の效果を納めるというようなことをやつておるわけでございます。
 それから觀光のことでございますが、從來の教科課程でございますと、觀光というような方面は、なかなか取上げにくいと申しますより、丁度それが取上げられるようないい教科があまり見當らなかつたのでございますが、今度社會科が生まれまして、そうしてこの社會科に、觀光方面が又澤山取上げられておるのでございます。併し小學校におきましては斷片的に、この觀光というようなことについて、生徒の調査事項として出て來る程度でございますが、中學校へ行きますと、この觀光がかなり正面的に又取上げられて參つております。例えば先程もお話に出ました都市の美觀というようなことに關しましては、都市生活をどういうふうに改善したらいいか。こんなような問題がございまして、そういう問題に關連いたしまして、都市の美觀、清掃、或いは美觀、美しくするにはどうすればいいかというような問題が又幾つも出て參りまして、これについて生徒がお互に考える。或いはできることは實行するというような方面が、取入れられて參つておるのであります。
 それから又天然資源を最も有效に利用するにはどうすればいいか。こんなような問題も中學校の方にございまして、その天然資源の中で、例えば鑛産資源であるとか、或いは水産資源であるとか、森林資源であるとか、いろいろございますが、その中に風景資源というのを新たに取入れて參りました。最初に話題に出ました森林の濫伐云々というような問題につきましても、この天然資源の中の森林資源という項目の中で、森林というものが如何に社會生活に重要な關係を持つておるか。又森林を濫伐することによつてどういう惡影響が現われるかというようなことが、澤山取扱われております。
 それから觀光につきましては、實は風景資源という所で、これも觀光を中心にして取扱つておるのでございまして、如何に觀光事業というものが大事であるか。これは國内的にも、又國際的にも、この觀光事業が如何に重要な意味を持つかというようなこと、それから又日本の風景というようなものが、これは自然も主體でございますが、その中にいろいろな建造物その他の風景も含みまして、如何に日本の風景というものが勝れて、又勝れた特色を持つておるかというようなこと、それから國立公園というようなものがどういう意味を持つておるのか。日本を觀光國にするためには、どういうふうにしたらいいか。こういうような問題を取上げられまして、そうしてそれぞれのことにつきまして、生徒自身の勉強、又その生徒自身の勉強をする手助けになるところの教科書が出るわけでありますが、その教科書の頁數の許す限り、交通につきましても、或いは觀光につきましても、知識をできるだけ盛つておる積りでございます。
 そんなふうにいたしまして、從來の教科と違いました新しい社會科につきまして、今日問題になつております交通とか、或いは觀光とかいうようなことが、主に取扱われております。外の教科におきましても、國語その他におきましても、多少それに觸れることがございますけれども、社會科がこういう問題について中心になつておるというように御了解頂いて宜しいと思います。
#105
○委員長(高田寛君) 只今學校教育の關係のお話がありましたが、これと竝行しまして社會教育の方面のお話を一つ、社會教育局の深見事務官からお願いいたします。
#106
○説明員(深見吉之助君) 最近の交通道義の低下いたしておりますことは、誠に遺憾の極みでございますが、この原因を考えて見ますと、終戰後におきます一般道義の廢退、或いは交通事情又生活に關するあらゆる買出し等の問題、又子供達が大人の風を見習つて、そうしてその惡い風が自然に子供達の純眞な精神を蝕ばんでおるといつたようなこと等が擧げられて、今日の交通道徳の弛緩を來たしておるのではないかと考えます。社會教育部面といたしまして、これらを特に今日交通道義の昂揚という點においてのみ取上げるよりも、寧ろ一般生活道義の昂揚といつた方で先ず取上げて行くのが先決問題ではないかと、こう考えまして、過般全國におきまして社會教育研究大會を開催いたしました節、いろいろ道義の昂揚についての協議もいたしました。又公民館を全國に設置を奬動いたしまして、ここにおいて村人或いは青年等が集まり、自分達の生活道義の昂揚についての協議をして、そうして改善をお互の自發的精神の中に努力をして頂く。或いは又社會教育委員制度がありますが、從來あまり活動が行われておりませなんだのを、今後大いに社會教育委員のこの方面における活動を促進して行く。又最近青少年團體が非常な勢を以て各地に結成されつつあるのでありますが、これらの團體が自發的に社會生活道義の昂揚を圖つて行くようにし向けて行くといつたような點におきまして、社會教育部門といたしまして、この方面の解決策をとつて參りたいと、こう考えております。特に今日觀光國家として交通道義の昂揚ということは非常に大事な問題でありますので、特に青少年團、從來戰前におきましては青少年團は積極的に交通道義の昂揚運動に乘り出しておつたわけなのでありますが、これらの團體を今後ますます助成いたしまして、これらの人人が率先自發的に交通道義の昂揚を圖つて行くようにし向けるべきだと考えております。これを文部省が中心になりまして、青少年團の在り方についての指導指針のようなものを作つて頂いておるのでありまして、これは民間の各委員の方々等によつて作つておるのでありますが、この中の問題としても當然こういう問題が今後取上げられて來ることと期待しておるわけでありまして、これらによつて社會教育部門全體、特に生活道義の昂揚を通じての交通道徳への發展というような意味において考えて行くのが今日の過程であろうと存じます。將來はますます交通道義の復興と觀光國家といつたような點を結び付けまして努力をしたい。かように考えております。尚觀光觀念の問題でございますが、これも非常に今後取上げらるべき重要な問題、從來社會教育方面においてあまりこういう方面は接觸をしておらなかつたように存じますけれども、今後大いに努力をしなければならんと考えております。實は明年度の計畫といたしましてまだ未定でございますけれども、運輸省等とも協力いたしまして、全國の列車或いは自動車、列車と自動車の二つの案を持つておるのでありますが、移動文化展覽會といつたようなものを以ちまして、あらゆる文化資材を積んで主要な驛その他において展覽會のようなものをして、これによつていろいろ國民の文化昂揚を圖りたいと考えております。これらも恐らく觀光觀念の昂揚には十分役立つ企てになることと信じております。その他青少年團を通じて、又公民館等の活動を通じて、今後觀光國家としての素地を建設するための努力を社會教育部門といたしまして、大いに努力をいたしたいと、かように考えておる次第であります。直ちに只今積極的にこういうことをしておるということはあまり申上げられないのでありますけれども、全般問題として、常に努力しておるということを申上げて置きます。
#107
○委員長(高田寛君) 御質問はございませんか。
#108
○三島通陽君 質問というほどでもないのですけれども、今の文部省のお話を伺つて、抽象的には誠に御尤もだと思うのでありますし、御努力に對して敬意を表しますけれども、それを伺つておる間にちよつと氣が付いたことなんですけれども、交通道徳というようなことを具體的に指導する上において、私はやはり何か少年を指導するというような時には、一地少年のサイコロジーというものを考えることが先だと思うのですけれども、それについてちよつと私が最近或調査をした時のことを思い出す。それはこの浮浪兒がどこに一番多いかというのを、私は實は昔の少年團の連中を使つて集めさしたその數字が出て來たのですが、今ここにその數字を持つておりませんが、一番多かつたのが停車場なんです。その次が公園、公園も、而も賑やかな公園でなくちやいけないのですが、それから又銀座とか淺草という所なんですが、一番多いのが、常に數字に多くなつて來るのが停車場、その停車場の中で又汽車に只で乘ることを面白がつて浮浪して歩く性質を持つ子供というものが相當出て來る。甚だしいのになつて來ると、岡山ぐらいまで無賃乘車で行つたり來たり、行つたり來たりしておるという子供が出て來る。こういうようなことに熱心な少年團の指導者がありまして、相當詳しく調べておつて、私の所に持つて來たのを思い出した。これはなぜ子供が停車場に多く集まつて來るかということなんですが、停車場というものに對して魅力があるものだと思う。子供の心理というようなことに、丁度ああ言つた所に魅力を感ずる心理があるのだ。それから無賃乘車というようなことに、やはり非常に魅力があるのであります。こういうようなことを考えて來ると、何か子供のそういつた氣持をよい方に善用して、そういうようなものから交通道徳というようなものを指導する一つの大きな材料があるように思うのであります。こういうようなことを文部省とされても將來大いに考えて頂きたい。青少年團の教育の材料としても、それから又いろいろな教材にも、そういつたところに何か大きな材料が轉がつておるのじやないか。こう思うのです。そういうような意味から、この觀光日本の交通道徳というようなものを教育する材料をいい方に一つ使うということを考えて頂いたならばいいのじやないかというようなことを、今お話を伺つていながらちよつと考えますので、何かそういつたようなことで、丁度今の列車展覽會ですか。それは相當大きいいい效果を生むだろうと思います。そういう意味でも、何か外にもお考がありますか、どうですか。
#109
○説明員(深見吉之助君) 只今その點につきましては、特に具體的のものは持つておらないのでございますが、青少年團の指導書等におきはして、十分にその御意思を取入れたものを作つて頂くようにしたいと思います。
#110
○説明員(保柳睦美君) 只今の社會科という新しい教科におきまして、只今お話下さいました實際の方面の特に停車場の調査というようなことがよくあるのですが、そうしてよくいろいろ交通に關係して停車場を調査して、それを材料として持つて來る。そうして停車場の交通状態にどういう缺陷があるというようなことを先生と一諸に調べて行くというような方法をとるのでございまして、今までみたいに、こういうようなものだというような、書物の上で持つて參りませんで、生の材料を持つて參るのでございます。社會課の方の行き方には、さういう方面が多分に含まれておるわけでございます。
#111
○委員長(高田寛君) 外には御質問ございませんか。
#112
○團伊能君 只今社會教育局の方のお話を承りまして、私質問じやございませんが、極めてつまらないことでございますが、ここに實情を一つ申上げて、又御考慮を煩わしたいと思うのであります。
 最近私或所で、観光地におきまして旅館關係の座談會を催しまして、旅館におけるサービスが甚だ戰爭以來衰えておるということ、女中は立つたままお膳を出して置いて行つたりするというようなことがありまして、サービスの話をいたしましたときに、その中で一番若い、或旅館業者の旅館の主人ですが、立つて手痛く私に反對をして、自分は實際宿屋を營業する際、サービスなんということは言つておられない。それよりも毎朝その女中に教えておることは、お客を見たら泥棒と思えということである。お客が發つ前には必ず身體檢査をする。そうしないと先程も繊維品のお話がございましたが、浴衣でも、シーツでも皆持つて行つてしまう。中にはお客の一人が二階に泊つて、外のお客の内通しておる人が往來にいて、蒲團まで擔いで持つて行かれてしまつて、置物でも何でも一つも殘つておらないというような状況でありまして、今日の旅館業は最も危險なる仕事でありまして、宿屋の者は、女中も番頭も一諸になつて、泥棒を如何にして防ぐかということについて努力しておるというような事情を承りました。これは社會教育局の範圍でないかも知れませんが、或いは青少年の教育にも、そういうような慘澹たる實情を少し御了解頂きたいと思うのです。大人を教育することも何か機會がありましたら、ホテルよりかお客の教育をお願いいたしたい。この邊も實際問題でございまして、事實これが外國人と混つて泊るようなことになりますと、又いかなることが起りますか。その點御參考までに申上げて置きたいと思います。
 尚私は先日田舍道を歩いておりまして、その田舍のタクシーに乘つておりましたら、運轉手が言ひますのに、非常に石をぶつける。昔は、これは非常に封建的な話ですが、非常な本當の田舍でありますが、自動車で行くと最敬禮をする、お辭儀をしていたということです。近頃は石をぶつけて窓硝子を割つてしまう。そういうことは非常に卑近な例でございますが、話がありましたので、私は經驗だけを申して置きたいと思います。
 尚一つ御質問申上げたいのは、先程ホテルのとき御一緒にお話を承りましたが、高久さんの御報告の中にございます點で、ただ一つでございますが、ここに外資の導入ということが書いてございます。今日若しも大藏省理財局の方がおいででございましたら、こういう問題が果して言葉の上では拜聽いたしますが、大藏省の政策の實際におきまして、勿論まだ講和會議は參りませんが、講和會議が來た曉におきまして、御賛成であるものかどうかという御意見をちよつと承つて置きたいと思います。
#113
○委員長(高田寛君) 丁度今大藏省の理財局の經濟課から宗事務官が見えましたから、宗事務官から御答辯を願うことにいたします。
#114
○説明員(宗知武君) ちよつと私共の方から申上げます。本日はちよつと局長が外の會議に行つておりまして、出席いたし兼ねますので、私代りましてお答え申上げます。
 観光事業につきましては、全般的に資金の點について申上げますれば、現在の物資資材の需給状況、こういう點から申しまして、資金の面においては全面的に乘り出すという點までは、ちよつと行き兼ねると存じます。一應は將來に備えまする準備的態勢といたしまして、適當なる方々の企畫されておる適當なる事業には御協力したい。こういうふうに考えております。それで具體的な例といたしましては、一應運輸省の観光課で主管せられておられまするホテル協會で具體的にお寄り願いまして、そのパスしたものは、臨時資金調整委員會において、尚その案の内容、具體的な事業計畫、それから經營能力、資金の調逹方法、こういう點に鑑みまして、實行能力あり、且將來に備えあるものについて、認可及び許可の方法を以て御協力いたしております。六月以後でございますが、觀光事業の會社の設立及び増資關係につきましては、大體今までに處理いたしましたものは七社、金額にいたしまして、五千六百萬圓くらいになつております。
 それから只今御質問頂きました外資の點につきましては、實は私ここでお答はいたし兼ねますが、いずれにしても、現在の状況においては不可能だということは申上げられると思います。講和條約後の問題といたしましては、ちよつと私からは本日お答えいたし兼ねます。
#115
○委員長(高田寛君) それでは只今の交通道徳、觀光觀念の普及、この問題につきまして御質問ございませんか。
#116
○金子益太郎君 この間も委員會で話しましたのですが、今團委員の話されました石をぶつける、あれは惡意でなく、田舍の子供は半分面白がつてやるのだろうと思いますが、あれで樣々な不幸な問題が起つておる。明らかに申しませんけれども、非常に不幸な問題が起つておる。そういうこと、これはゆつくり社會課が教育をなさることの問題もあるでしようが、早急にやはりやらなければならない、當面するそういう問題ですね。これは、こういうことをしちやいかん。そういうことをやることは、從來の教育のやり方でしようけれども、或場合は、教育はそうしてもよいと思うのです。
 それからもう一つ、いつでも國辱的に感ずるのは、やはり列車が汚れておることです。あれはどうしても今の日本の大人では直せないという僕は氣持を持つておるのです。どうしても次の時代の青年、少年に期待するより仕樣がないと思う。列車も我が家のように綺麗にするということですね。これも亦恐らく取入れられておると思うのですが、社會課の方の科目に是非少年、青年の力を以て、汽車を綺麗にするということを一つやつて貰いたいということをお願いいたします。
#117
○説明員(保柳睦美君) 社會課の企畫といたしましては、勿論先生がこうしちやいかんとか、ああしちやいかんとかいうことは、なくなつたわけではございません。今おつしやるような、そういう問題につきましては、勿論先生が先頭に立つて指導するということで結構だと思います。
 それから例車の綺麗というようなことにつきましても、社會課の學習活動の中に十分取入れて行くつもりでございます。
#118
○説明員(木宮乾峰君) ちよつと補足して、先程からお話がございましたのですが、新しい教育におきましても、教材の選擇は前に御質問がございましたが、子供逹のサイコロジーというものは十分考えられておりまして、そのためのいろいろな子供達の性格上の調査も相當廣範圍に始めまして、その點から教材等も、例えば交通道徳の問題につきましても、低學年と高學年というふうに、その扱い方も彼らの心理に合うようなふうにして扱うことになつております。それから只今お話の列車の中の問題もそうでございますが、現在國語の教科書の中に、列車の中の、車中の教材が入れてございます。どうしたら樂しく旅行できるか。非常に混雜して難儀なところでございますが、そこは國語え、子供達の正しく旅行のできるようなことが入れてございます。こういうものの扱い方は、各學校で紙芝居を作るとかいたしまして、實感を子供達が持つて、交通難のときに樂しく、朗かにできるようなふうに、學校で指導しております。ちよつと附加えて置きます。
#119
○來馬琢道君 只今出ました問題につきまして、私は、運輸省ですかが心配しておられるばかりで、文部省などがもつと外の方面、例えば各地方廳等においても協力することが必要であるということを痛感いたしております。例えば「一降り・二乘り・三發車」の標語のごときは、誠によくできた言葉であります。あれはどこへでも貼つて置いて貰いたいくらいな言葉です。それから鐵道關係で貼りつけました標語で非常にうまくできていたものは、「降りる時は聲をかけて出口へ」ということでございます。この混雜しているところを往來している私達は、平常の生活の上で、次の屏で、停留場で降りようとする人があまり早くてはいけませんが、必ずその前の驛で、列車が出たところで、この次に私は降りますとこういうことを宣言し、そうして出口の方に向つて行くということは、今の混雜しておる時でありましても、とにかくそれは車内に乘つております人に好き感じを與えるものであります。あれは降りたいと思うから頼んでおるのかというように考えられるのです。私は必ず新橋で降りますから通して下さいと豫め言つて、二三遍言います。そうすると前の、現に自分が降りようとしておる人が後を振り返つて、私も降りますと、こういう聲を出すのですが、誠に愚な話なんでありまして、私はあなたにいつておるのじやないのです。こう言います。もつとあなたはその言葉を傳えて下さい。前の方の降りない人が、少しでも私達に便宜を與えるようにして下さい。こう私は言います。それは私は執念深く言います。そうすると、ああそうですか、といつて、又前の人は少しどく氣持になります。これはくどいようですけれども、私は鐵道省で出したあの「降りる時は聲をかけて出口へ」という言葉は、鐵道に貼つてありましたですが、これは非常に好い言葉であつて、且いつでも實行すべきものだと思います。ところがもうこの貼り札は何處かへ行つてしまいました。ああいう標語の中でもよく研究して貰いまして、教科書に入れるとか。或いは社會教育というような方面に、あらゆる機會に使うというようなことをもつと深切に考えることが、當局としては必要ではないか知らんと思います。隨分長い間に出ました標語の中には、本當に千古の金言とも思えるような好い言葉がありますのが、それが直ぐに忘れられてしまう。國民の忘れる方はこれはどうも生長して行くのですから仕方がありませんけれども、政府の方の人が、非常た好いものがあつても忘れてしまうということは、どうも少しく深切が足りないのじやないか知らんと思つております、今何か思い出しませんけれども、我々の生涯を指導しておるような標語も、なかなかあの鐵道に貼つてあつた言葉の中にあるとまで思つております。できることならば、標語の歴史も考えられて、それは鐵道ばかりじやありませんが、日本の國に、殊に近代にできました標語のようなものをもう少し調べて、我々の不斷使います手帳とか、日記とかいうようなものにも入れるようなことにしたならばいいと思つて、その邊私は殊にこの交通道徳の問題及び觀光觀念昂揚について御心配を願いたいと思います。アメリカあたりでも「汝の」という言葉を盛んに使つておつて、「汝の公園を愛せ」、「汝の道路を愛せ」、「汝のシテイを愛せ」というような言葉を使つておることも、私ども觀光客として行つておる時は何とも思わなかつたのですが、日本に歸つて見ると、どこにも貼つてないので、これは「汝の」という言葉で以て言うことは、民主主義になつた國としてはいいことだと今でも思つております。皆國民はどうせ駄々子が多いのですから、それを慈愛ある心持で導いて行く方に盡力して貰うことが、今日のこの問題についても皆様の心掛くべきことじやないかと思うのです。
#120
○委員長(高田寛君) 大藏省の宗事務官に一つお尋ねしたいのですが、先程ホテル協會の理事長のお話にも、觀光施設に對する金融の順序は甲乙丙があるが、現在丙になつているのを甲にして貰いたいというような希望が出ておりましたが、この點をどう考えておられますか。
#121
○説明員(宗知武君) 産業資金貸付優先順位では、現在觀光施設は、設備においては乙、運轉資金においては丙と、一應こういうふうになつております。只今お話がございました改正については、私はまだ承知いたしておりませんが、大體貸付優先順位の變更につきましては、主として安定本部が主管にやつておりまして、それに私共の方の銀行局及び私の理財局、この三つが關係してやつております。それでその改正の點につきましては、現在のところ、私はまだ積極的な御希望が出ているということは、具體的には實は承知いたしておりませんが、その點、尚歸りまして、局長初め皆様に諮つて置きたいと思いますが……。
#122
○委員長(高田寛君) 安本はどこで扱つておりますか。
#123
○説明員(宗知武君) 財政金融局であります。
#124
○委員長(高田寛君) 外に御質問ございませんか。それでは今日の觀光小委員會はこれを以つて閉會といたします。
   午後四時五十一分散會
 出席者は左の通り。
   小委員長    高田  寛君
   委員
           金子益太郎君
           團  伊能君
           徳川 頼貞君
           大隈 信幸君
           藤森 眞治君
           來馬 琢道君
           三島 通陽君
  小委員外委員
   文化委員長   山本 勇造君
  政府委員
   厚 生 技 官
   (公衆保險局
   長)      三木 行治君
  説明員
   經濟安定本部建
   設局計畫課長  伊藤  剛君
   内務事務官
   (警保局公安第
   二課長)    原 文兵衞君
   内務事務官
   (國土計畫課
   長)      樺山 俊夫君
   大藏事務官
   (理財局經濟課
   勤務)     宗  知武君
   文部事務官
   (社會教育局文
   化課勤務)   兵藤  清君
   文部事務官
   (社會教育局社
   會教育課勤務) 深見吉之助君
   文部事務官
   (教科書局第一
   編修課勤務)  保柳 睦美君
   文部事務官
   (教科書局教材
   研究課勤務)  木宮 乾峰君
   厚生事務官
   (公衆保險局調
   査課長)    飯島  稔君
   農 林 技 官
   (林野局計畫課
   長)      野村 進行君
   農 林 技 官
   (林野局計畫課
   勤務)     木場 眞澄君
   運輸事務官
   (業務局旅客課
   長)     今井田研二郎君
   運輸事務官
   (業務局觀光課
   長)      間島大治郎君
   日本ホテル協會
   理事長     高久甚之助君
   日本旅館組合連
   合會專務理事  吉田 團輔君
ソース: 国立国会図書館
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