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1947/08/18 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 文教委員会第三小委員会 第1号
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1947/08/18 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 文教委員会第三小委員会 第1号

#1
第001回国会 文教委員会第三小委員会 第1号
  付託事件
○岐阜農林專門學校を農林大學に昇格
 することに關する請願(第十四號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第十六
 號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 一號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 二號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 三號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 四號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 五號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 六號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 七號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 八號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第二十
 九號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第三十
 七號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第三十
 八號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月十三日(水曜日)
文教委員長において、左の通り小委員
を選定した。
           梅津 錦一君
           森下 政一君
           小野 光洋君
           高良 とみ君
           仲子  隆君
           河野 正夫君
           矢野 酉雄君
           岩間 正男君
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月十八日(月曜日)
   午後三時七分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○岐阜農林專門學校を農林大學に昇格
 することに關する請願(第十四號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第十六
 號)、(第二十號)、(第二十一
 號)、(第二十二號)、(第二十三
 號)、(第二十四號)、(第二十五
 號)、(第二十六號)、(第二十七
 號)、(第二十八號)、(第二十九
 號)、(第三十七號)、(第三十八
 號)
  ―――――――――――――
   〔岩間正男君假委員長となる〕
#2
○假委員長(岩間正男君) それでは只今から小委員會を開催いたします。この前の委員會でこの第三小委員會に二つの案件が委託されたのでありますが、第一の岐阜農林専門學校を農林大學に昇格する件、それから第二は六・三制教育制度の經費を全額國庫負擔とすること、この二つの請願について、今日は小委員會の意向を纒めたいと思います。第一の岐阜農林の問題から御討議願います。この岐阜農林の問題について單獨に岐阜農林だけを取上げるか、それとも他の、宇都宮とか、三重とか、盛岡とか、それとの連關において、更に今度の學制改革というようなものと連關させてこれを取上げる。そういうところが非常に論點になるのだと思いますので、今日の委員會の論點について、ちよつとまあお諮りをする。
#3
○河野正夫君 今お諮りのように、結局これは岐阜農林だけ論じてみても始まらないので、小さい範圍に言えば、一般に實業大學、その中の農林關係ですが、大學というものが、將來日本でどういう地域制乃至は程度で、どう置かるべきかというようなことで一般論がされなければならない。もつと廣く言えば、一般に新制大學そのものの在り方というようなものが論定せられて、初めてこの請願が論ぜられることになるだろうと思います。それで結局まあ文教委員會としても特定の學校のことだけを取上げるという行き方は、叫んだ人だけ得になる、或いは損になるかも知れないが、面白くないと思います。だから御説のように一般的に論じて行くという方法でいいんじやないかと思います。それでこの前文部省のいろいろお話も伺つたんですが、結局新制大字の基準設定が委員會でできて、更に今度は大學設置委員會というものができるということなので、まあ文教委員會としてはそういうやり方が、行政當局でやつておるやり方を認めるか認めないかということが意向として述べられるならば述べられる。まあそれがいいということになれば、結局ここに請願になつておるような事件についても、そういう大學設置委員會との關連をどうするかということについての國會、或いはこの委員會としての意見を確定すればいいんじやないか、こう思うんです。
#4
○假委員長(岩間正男君) 外にございませんか。
#5
○森下政一君 河野さんの言われることも私全く同感なんです。若し私の記憶が間違いなければ、この間の委員會のときに、紹介者も新らしい學制による大學という積りのような説明があつたように思うんですが、そうなつてくると、當然現在の岐阜農林と同じランクにありますところの高等農林學校というものは、一樣に考えられるときがくるのじやないかと考えられるが、今請願になつたといつて、岐阜農林だけを取上げてこれを昇格とかなんとかいうことは、ちよつと私は委員會の態度としてはどうかと思うので、綜合的に全般的な考え方をして、委員會の態度を決めて行くべきものじやないか。こういうふうに考えます。
#6
○假委員長(岩間正男君) 只今河野さん、森下さんから單獨でこれを取上げないで、綜合的に考えるべきだという御意見があつたのでありますが、いかがでございましよう。
#7
○小委員外委員(松野喜内君) 私も一つ日本全體としては六・三・三・四ということを考えたときにおいては、これはやはりその基準を一つ作らなければならんと考えます。そうしてその基準に合うたものを昇格せしめるということに行くのが公平であり公正であると考えます。それを一つ申し上げたいと思います。もう一つは、各個をつまり運動によつてすぐ昇格せしめる云々ということについては、或いは不公平なことが起らんとも限りません。こういうことを心配する者であります。併しながらこの本件、岐阜農林におきましては、恐らく私は基準ができましても、その基準に合するものと認めます。私の見たところにおきましては、この前申した通り設備といい、或いは内容といい、それが基準ができてもその高いところにくらいするものだと、見てきた意味においては、私はこれは昇格すべき學校と認める一人であります。今直ちにできなかつたならば、そういう基準ができてから後に、その基準に合わして頂きたいというような考えを持つております。
#8
○小委員外委員(河崎ナツ君) 森下さんの仰しやいましたような立場から立つて行つて、今松野さんが仰しやいま
    
   したような、大變見ていらした結果として宜いというならば、きつと基準ができたときに昇格するに違いないのですから、やはり松野さんもそこまで今仰しやつておられますから、これはこの問題一つとして取上げない方がいいんじやないか。きつと又外でもそういう所があつても、まだ申し出てない學校もあるでしようから、これを單純に一つとして取上げることについては愼重に考えるべきでないか。森下さんのような立場に私も立ちたいと思います。
#9
○梅津錦一君 專門學校がそうした昇格するかしないかの問題は、恐らく一つの水準ができればそれで決定するのだから、この問題は極力昇格させる。そのためには政府において設備の足りない所は設備を完備させる。尚學校當局においても昇格させるようなふうに努力を拂つて貰いたい。こういうことによつてそうした政府竝びに學校當局の努力が足りなければ、恐らく昇格できないだろうと思うのですが、そういう意味において現在あるところの專門學校は、農林關係ばかりでなく、その他各種の專門學校は將來大學にまで發展して行く。その發展過程を考えるときに、そうした政府竝びに學校當局の努力によつて、そうしてその水準に逹したものは、先程森下さんから出たと思いますが、そうした學校委員會の決定を待つて昇格の基準を定める。その基準に合つたものを決定して行く。こういうふうなことで凡そ結論が出るのじやないかと思うのですが、それ以上ここで一つの個々の問題を取上げて論ずることは、これはできないのだ。岐阜の農林學校だけを取上げて考えて見たり、或いはその他のいくつかの學校を取上げて考えて見たところが、それは個々の問題であつて方程式の問題でないから、ここには一定の方程式を作つて、その方程式に合致した學校を昇格させる。この方程式を作ることは學校委員會ですが、將來できるところのそういう組織に任して行く。それ以外に我々としては考え得ないとこう思うので、結局この問題の結論を私は早くこの委員會において見出して貰いたいとこう思います。
#10
○假委員長(岩間正男君) 外に御意見はございませんが。
#11
○森下政一君 今日高局長おいでですから念のためこ一遍お伺いして見たいと思うのですが、今話に出ております新制の大學ですね。そういつたもののいわゆる基準というか、梅津さんのいう方程式ですね。それの設定についての文部當局の用意というか、或いは現在どういうふうな所まで準備が進んでおるとか、或いは將來のお見透していうものはどういう状態にあるのか。
#12
○政府委員(日高第四郎君) 新制の大學の設立の基準は、實は昨年の十一月の初めから協議會を設けまして、これは非公式でありますけれども、討議して參つたのであります。初めは新制の大學でありませんので、從來の大學の内容の改善の意味の協議會、十二月の終にいわゆる六・三・三・四の新制の大學の制度が大體決りましたものですから、それに合はせるように、途中から方程式を變えまして、今年の五月くらいまでの間に大學として持たなければならない最低限度の基準というものの一般的なものは定まりまして、それからさらに文科的な大學ですね、法科とか經濟、文科、そういつたような文科的の大學、それから工科、理科、農科、醫科、そういつたような理科的の大學の基準、それから、女子の大學の基準、これを分科會を設けまして、討議中で、大體成案を得ております。今年の秋頃にこれを法制化して發表したいと思います。その發表いたしました上でこの前に申し上げましたように、學校法に決められておりますように、大學設置委員會を法制上作りまして、それに一々の高等專門學校から大學に轉換したいという志望を聽きまして、それを具體的に檢討した上で、基準に合つたものを文部大臣が認可して、そういう手續きを經たいと思います。その大學設置委員會の案も實は調査して進めております。今のところ大體四十名ぐらい入れまして、その中には先程どなたかお話になりましたように、國土計畫的な配分というようなものも考慮するように國土計畫審議會とか、或いは國會の方の、そういう關係のお方とか、そういう方に入つて戴きまして、そうしてそうういう方面を十分考慮いたしたいと準備は進みつつあります。大體の檢討をして來年の二十三年度の初にそういう委員會が活動できるようにしたいと思つております。二十四年度から轉換するのに間に合わせるようにしたいと考えております。
#13
○假委員長(岩間正男君) それではお諮りしたいと思いますが、結局これは綜合的な立場から取上げるということになるので、參議院規則の百七十條のに項によりますと、内閣に送付するものと、それから要しないものということがあるのでありますが、その第二項の方の要しないものに該當すると思うのですが、そのように決定してようございましようか。
#14
○高良とみ君 その前にちよつと御質問を兼ねて伺いたいのですが、今囘特に岐阜高等農林がそういう請願書を出しました理由は、私ちよつとこの前おりませんではつきり分らないのですが、その外にも、例えば上田蠶絲專門學校とか、密かに聽いておりますが、その外にも、そういう請願が來ておるのでございましようか。又これは文部省にお伺いしたいのですが、そういう傾向があるとすれば、この際綜合的に、これは各學校でそういう運動をし、そういう請願をするということは、相當に事務的に、又時間的に無駄があると思いますので、今後そういう文教の政策上、あまり刺戟しないようにこういうふうに決定しておるというように御公示願えるような方法がないかということをちよつと文部省からお答え願いたいと思います。
#15
○政府委員(日高第四郎君) お話のような請願は岐阜ばかりでなく、その外からも出る傾向が十分あります。現に金澤の方に綜合大學を作りたいというような請願も出ております。その外に、若しこれは採揮されて有利に事が運びますと、續々出て來るということは必ず期待すべきだと思います。文部省といたしましては、この前にもお話がございましたように、いわゆる昇格運動で時も金も勞力も無駄をすべきときでない。今囘のあれはごく少數の學校の昇格問題ではなくして、大體、統計によりますと專門學校が三百三十二ございますし、高等學校が三十二ございますから、約三百六七十の學校の運命に關することであります。このことはたまたま運動をしたものが效を奏し、そうでなかつたものが非常な不利に陥いることのないことが願わしいのであります。文部省といたしましては校長の會議のときにも、又陳情に來た人逹に對しても、できるだけそういう、いわゆる昇格運動が效を奏しないような手續や順序を考えておるのでありまして、その積りでいてくれと、若しそういう餘力があるならば良い教育をするように骨折つてくれ、學校の内容を充實するように骨折つて貰いたい。それが後日轄換の問題等に有利な條件になることは、むしろ期待してもいい。併し空騒ぎをして、大きく昇格運動のための寄附金募集なぞということで、學生が學生らしくない、教師が教師らしくない運動をすることは好ましくないから、できるだけそういうことを愼しむようにして欲しいということは、繰り返して申しておるのでありますけれども、併しただそれだけでは不安だと見えまして、やはり一つの學校が有力になるというと、側についておるものがそれに刺戟されて、默つていては不安であるから運動を超す傾向も相當強いと思います。こういうことについて、參議院等で政府に対しても、十分な警告を與え、學校當局者にも十分自重するように、又その代りに公正妥當な判斷をするように十分監督するというようなことでも、御決定して頂けると、お互いにまずいことをしないで済みやしないかというふうに考えております。
#16
○高良とみ君 只今お答え頂きましてよく分りました。私の最近の觀察でありますが、その他の專門學校及び中等學校等が、その運動に影響されまして、隨分基金獲得のために映畫、キヤンデー賣りその他をやつておりまして、女子のもはいつております。甚だしいのはいかがわしい映畫なども、隨分使つて、夏休みを稼いでおるところがあると思います。こういうことは只今當局からお話もありました通り、はつきりした態度を示してゆくことが、文教の政策の存在を明らかにするのに、非常に大事だと思いますので、私共といたしましても昇格運動、復興運動等に對して、餘り甚だしい極端な運動をし、請願等によつて左右されるということが、冷靜な文教の發展のためにならないと思いますが、適當な意思表示をなさいますことを、只今の請願書の採擇を、囘送を要しないと決定するほかに、希望いたします。
#17
○河野正夫君 今の高良さんの御意見を同じになるかも知れませんが、その前に日高局長のお話に關連して申しますが、學生、學校職員、或いは後援者が昇格運動をすることが、學生らしくないように日高局長が仰しやいましたが、私はその反對で、昇格運動も亦大いに結構だと思う。けれどもこの際は新學制のために、これは國家全體のことで、一つの學校のことぢやなくて、全體に關する改燮だからこういう場合に昇格運動をするのは面白くない。私はそう思う。それで今、高良さんが仰しやいました現實的には基金の募集とかいうことは、具體的に設置委員會に假に昇格の申請をするような場合でも、先立つものは金で、而も國家なり自治團體でそれだけの金が出せないというような場合であるとすると、當然そういう運動が愛校心のある者に起つて來ると思う。私はこれは免れ難いものと、あながち學生の道を逸脱しておるとは考えられない。その方法が非常にいかがわしい方法を取つたら、これは別ですけれども、それはそれだけの意見を一應述べて置きまして、結論としては結局、だからこの際職員、生徒、後援者の不安を一掃する意味で、本委員會なら委員會としては、岐阜農林、乃至その他今後出て來る昇格請願に對する處置としては、先程からお話のような意味で、特段にこの請願としてこれを受理するわけじやないけれども、一般に今後こういう昇格の問題は基準設定を急ぎ、それを速やかに公表し、最も民主的な昇格判定委員會、言つて見れば大學設置委員會の決定によるべきものと認める。文部省としても所轄廳としても、管下學校の不安を一掃するように然るべく示達することを望むというふうな意味の、そういう内閣送付案を作つて、それで結論としたらいかがかとこう思うのであります。
#18
○森下政一君 私今參議院規則を手許に持つていないから、ちよつと記憶が明瞭でないのでありますが、今まあ委員長のお讀みになつた條文ですね、それは採擇すると決まつたものについての扱いが二通りあるというのじやないですか、そうでなかつたかと私記憶するのですが……。
#19
○假委員長(岩間正男君) 一項の方に「議院の會議に付するを要するとするもの」それから「議院の會議に付するを要しないとするもの」この二つあるわけですね。それでこれは會議に付するというのは、委員會ですか。
#20
○河野正夫君 本會議に公表すべきかすべからざるか、そういう意味です。ここに付託をされたら、これを本會議に報告をしていいか惡いか、それが一つ。もう一つは行政廳、詰り内閣に送付すべき必要がありや否やということの決定。この二者の關連ですね、今の森下さんのは……。
#21
○森下政一君 そうです。
#22
○河野正夫君 私もそれはよく分らない。
#23
○假委員長(岩間正男君) これは事務局で分りますか、どういう關係になつておりますか。
#24
○小委員外委員(松野喜内君) 今河野さんの仰やつた御意見に私は贊意を表するのでありますが、結局不安を一掃することが、何と言いましようか、我々文教委員會がこういつたことに對する希望聲明書的なものを發布するようなことになると思いまするが、やはり昇格運動をする方の側におきましても、前途に希望或いは又空騷ぎせずに、而も内容等に精進するような氣持を持つのです。前途に希望を持ちつつ實際に一定のことに安心しておらしむるためには、どういつた國會等の空氣であろうというようなことは知りたいと思いまするから、今この河野さんの仰しやつたようなことを何かの形で一つ示して頂きたい。それには本小委員會はそういつた意向を持つておるということを、一つ今度の文教全員の委員會にお持ち出しを願いまして、そこで今の本會議の方へ送るのか、先の内閣の方に送付すべきものかすべからざるものか、そこで決めたいと思つております。
#25
○河野正夫君 私は意見を訂正しなくちやいけません。成る程ここには議院の會議に対するを要するという場合に、内閣に送付するかどうかの第二次の決定がある。そうすると、これを本會議に報告するかしないかということについては、相當問題があると思いますね。ですから、私も只今直ちに意見を申し上げ兼ねる。さつき私は別途の決定ができると考えておつたために……。
 序でですが、松野さんが第一小委員會の委員長なんですが、小委員會では大體結論的な話合はしても確定はしないで、委員會全員なり總委員會に持つて行く方が宜いんじやないか。詰り小委員會の決定として報告しても宜いわけなんです、權能としては……。ですけれども、その運營上大體の結論が出たら、それを決定したということにしないで、大體の空氣を小委員會が……。
#26
○假委員長(岩間正男君) 詰り委員會の方に提出する技術的なもんですね。その事前に大體の意向を纒めて行くことは必要だ。その報告の技術の問題ですな。これは併し大體話合が、皆のお話が餘り食い違いがないように思いましたので、皆の意見を纒めても宜いんじやないかと思つた立場から、そういう處置をしたのでありますが、結局そうしますと、議院の會議に付するを要しないものということになりますが、それに附帶事項として河野君から提出されましたような條項を附する、こういうような決定で宜うございましようか。
#27
○河野正夫君 結局私は訂正すればそうなんです。議院の會議に付するを要しないと、私自身の氣持はそうなんです。けれども、ただそれだけだと、今後いろいろなこともあるので、これに關係する意見を、何程かの意思表示をする。併しそれは議院の會議に付するを要しないと決定したものについては、内閣に送付する必要があるかないかの決定權がないとすれば、それは私には分らない。ないとすれば、ただ文教委員會の一つの決議として、そうして本會議に報告するのでなくて、決議として文部省に通達する。意向として……。それが何程の效力があるかは知らんけれども、そういう方法もあり得るんじやないか。とにかく、だから第百七十條第一項第二號に該當するもの、言い換えると、議院の會議に付するを要しないものという大體の意向として、併し何らかの方途によつて昇格運動等の不安を一層する方途を講ぜられたき旨の文部省に對して何らかの意思表示をする方法を見出されたしというのが、私の提案なんです。
#28
○假委員長(岩間正男君) 河野君の只今の提案がありましたが、いかがでありましようか。
  (「賛成です」と呼ぶ者あり)
#29
○假委員長(岩間正男君) 御異議ないように思いますから、只今のように決定いたしたいと思います。
 それから直接今日の中心の問題ではありませんですが、設置委員會に對する希望の發言がありましたのでこれに對してこの文教委員會としてどういうような態度を持つかというようなことも話合つて行くことはむだでないと思いますので、取上げたいと思います。
#30
○小委員外委員(松野喜内君) 大學設置委員會は、文部當局でも段々案を練つておられると伺つておりまするが、確かにこれを促進して頂きたい。我々は獨自に考えもあるのでありまするが、何がしか參考として聽き得るならば、參考として伺いたいという氣もいたします。
#31
○政府委員(日高第四郎君) このことについてはちよつと御了解を得て置きたいのでありますが、初めに申し上げましたように、大學設立基準協議會というものを去年の十一月から始めまして、それが設立についての基準ができますのと殆ど時を同じくして、大學基準協會というものが別にできております。その大學基準協會というのは、新らしく自分たちで作りました基準を從來の大學にみずから適用して、文部省の手によつて、上から適用されるのでなくて、自分たちの間でみずから適用して、大學の内容を充實させて行きたいという、いわば民間の大學のアソシエーシヨン、そういうものが、これは司令部のサゼツシヨンもありまして、アメリカの例も考えて成立しておるのであります。でその間にいろいろ司令部と文部省との間に話合がありまして、大學設立委員會というものが法制でできます。大學設立委員會というものができる曉には、民間の團體である大學基準協會から、その委員の約半數を出すようにしたらどうか、そういう勸奬がありまして、私共もそれには大體異存がなかろうと思うということを申したのであります。ですから今の文部省の案といたしましては、約四十名の中二十名ぐらいは、現實にある大學の、比較的充實したものによつてでき上つております大學基準協會というものの代表者を半分ばかり入れる豫定あります。後の半分は學識經驗者というものを、文部大臣から委嘱して委員になつて頂く積りであります。その中に先程申しましたように、國土計畫の方面についてのエキスパートも入つて貰う積りであります。多少は財政關係その他のこともありますので、例えば大藏省の責任者等の代表者も入れるといつたような、そういうことを考えております。それからただ半分はその大學基準協會から入れますとしましても、まあ謂わば審判を受ける方の高等、專門學校の代表者が全然それから抜けてしまうということも多少問題があるかと思いますので、學識經驗者というものの中には、專門學校や高等學校の代表者も若干は加えて行くので程當ではないか。そういうふうな考え方をいたしております。
#32
○假委員長(岩間正男君) 何か御質問はありませんか。
#33
○梅津錦一君 その今の委員會の構成メンバーは幾名ぐらいですか。二十名ぐらいですか。
#34
○政府委員(日高第四郎君) 全體は四十名、その半數を大學基準協會というものの推薦したものから選ぶのです。
#35
○梅津錦一君 四十名の半數を選ぶのに對して、大學基準協會ですか。この大學基準協會が選ぶ對象は、學識經驗者ということにお聽きしたのですが、私はここのところで是非欲しいのは今全日本の教員組合が小學校部、中等學校部ですか。或いは專門學校部、大學部と、こういうふうに四部に分れておるから、各小學校部、それから中等學校部或いは高等學校部ですか、現在は專門學校部もありましようが、そうして大學と、こういう各層からの代表者を、その中に是非入れて貰いたいと思うのです。と云ふ理由は、こうした小學校から大學に至るまでの教職員は、お互いに繋がりを持つておるのだからのこの縱の繋がりの人が寄ることによつて、公正に設備竝びに内容が檢討されて行く。こういう意味から教員組合の方の各層の代表者を、是非この仲間に追い込んで貰いたい。そうすることによつて、今まで官僚的に見られておつたそうした組織が民主化されて行く。こういう點からも特にそうした團體を、それからもう一つ、これに加えるのに各父兄も或程度混ぜて貰いたい。學識經驗者という中に入つても結構だと思うのですが、特に教育に對して熱心な第三者的な父兄を入れて貰いたいと思う。この中にはきつとおのおの自分の贔負にする學校、或いは自分の目標にする學校を昇格するために必ず葛藤があると思う。公正な審判が下されないということがあれば、少くも學校昇格に對する汚點を殘す。こういう意味でこの昇格に當つては教員組合の各層の專門委員をそこに入れて貰うことと、尚學識經驗者の中に、ただ學識經驗者というばかりでなくて、子を持つところの親を、特に教育に對して熱心な父兄を、この中に交えて貰いたい。でき得るならばこれに全然素人である者、そういう者が欲しいと思う。味噌の味噌臭いというのや、教育者の教育者臭いのは相當嫌われておつたのですから、ここに味噌の味噌臭くない、現在あるところの勞働組合の代表のような人をここに追い込んで貰いたい。こういうような何ら學校に關係のない公平な者の見方が欲しいと思う。恐らくこの大學の昇格問題に對しては相當の運動が起り、この運動に伴う暗い蔭ができるということが想定さるのですが、こういうものを一掃するために、萬全の策を講じて貰いたいということを、希望意見として申し上げます。
#36
○假委員長(岩間正男君) これに對して何かございますか。
#37
○政府委員(日高第四郎君) 最後の點から申し上げますが、いわゆる父兄の代表というものは、私共實は考えないのじやないのです。いかにすればそれを父兄の代表として認めることができるか。これは非常にむずかしい問題でありまして、大學の學生の父兄ということになりますと、實に範圍が廣くて、いかなる人を父兄代表として認めていいか。これは根據がちよつとむずかしいのであります。その意味で成るべく教育者だけで以て固めるというようなことのないように、廣く學識經驗者というものの中に、そういう父兄代表に當るような人を選ぶというようなことで考慮いたしたい。そういうふうに考えております。それから組合の代表というようなものもお話がありましたが、これは私共も實は考えないのではなかつたのでありますが、いろいろ意見も論議もされまして、まだ決定には至つておりませんけれども、御希望の點はよく考慮して討議して見たいと思います。それから若し教育というものを生産業に比較して考えて見ますと、造る方ばかりでなくて、消費者の側とか、卒業生を使う方の側、或いはそういうものを受け入れる側とかいうようなものの代表者も、これは必要だと思います。その邊は從來も考えております。今後も十分重點を置いて考えて行きたいと思います。
#38
○小委員外委員(松野喜内君) 今の、文部省で考えておいでの四十名というものの組織分子をどういうふうにしたらいいかといふ點について御意見を伺つたのでありますが、各方面から仰しやることは私も贊成なので、教員組合ができておるのだからその方からも參加するように、而も大學の方の問題ではあるが、縱の方の關聯を持つて、小、中、大というように關聯を持たせたい。その方の關聯を持たせるということに贊成です。又父兄代表もと言われたが、局長は贊成ではあるが事實選ぶのに困難だと言われた、それも御尤もであります。
 ちよつと横道に入りますけれども、私はP・T・Aの今日まだ途中にあることを、實にもどかしく思つておる者でありまするが、これが確かに父兄の方、こういつた力が教育に關心を持つ、それが組織化されるときにおいて、父兄會というものがその大きな役目をすると思います。若しそういうものができておるとすれば、全國のそういう父兄會の代表として現れるということになつて來て、そこに局長が今御心配になつておられるようなこともなくなつて來ると思う次第であります。今は途中でありますからいけませんが、若しできたときにおいては、やはりお言葉の通り、父兄代表というようなものも結構だと思うし、又受入れ代表というようなことも仰しやつたが、それも亦結構だと思います。或いは又文教その他に專門委員ができるので、凡そ教育に關する專門的に公平に調査研究をする、こういつた專門委員ができるからには、そういつた方にも入つて頂くということが、いわゆる第三者的に公平なる按配ができるのではないかと思います。又原案には四十名と仰しやつたが、どういうところから四十名ということが出て來たのか存じませんけれども、必らずしも四十名に限つたことはないと思います。若し必要によつては殖すことも結構だと考える次第であります、
#39
○假委員長(岩間正男君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#40
○假委員長(岩間正男君) 速記を始めて。外に御意見もあることと思います
が、この問題はまだ先もありますし、文教委員會でまだ檢討する機會があると思いますので、外のまだ重要な案件が残つておりまするので、この邊で打切りまして進みたいと思いますが、いかがでございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○假委員長(岩間正男君) 御異議がなければ、第二の付託されております案件の、六・三制教育制度の經費を全額國庫負擔とすること、という案件に移りたいと思います。これはこの前の委員會において、殆ど論議なしに本小委員會に委託されたものでありますが、御承知のように、現在請願書が大體百五十萬というような形で集まつておるのでありまして、六・三制に對するところの國民の完全實施への要望の端的な表現と見ることができる重要な問題と思いますので、この點につきまして十分の御討議を頂きたいと思います。
#42
○河野正夫君 この問題のありかたですが、これはもう自明の理のようだが、よく考えて見るといろいろ問題がある。請願そのものでも、六・三制の遂行を全額國庫負擔でやれというのは、六も三も兩方を全額國庫負擔、或いは新制中學の、普通平凡に最近の問題として考えられておるのは、新制中学の建築とか設備を充實することを國庫でやれ、こういう意味にも取れるのですが、又實際に請願者はそのいろんな意味を含めているのじやないか、はつきり考えていない點もあるのじやないかと思う。本委員會としても、そこらをはつきりさせる必要があるのじやないか、結論はいずれにしましても、そこをはつきりさせておいた方がいいのじやないか。
 第三に、更に六・三・三の三までもというようなことを考えている人さえもあるのじやないかと思うのですが、その意味をはつきりさして置く必要があると思ひます。
#43
○高良とみ君 私もやはり質問でございますが。それは今囘閣議決定になつたのですか、半額地方起債ということに對しては……やはり反對の意向からそういうことが出ているのでございますか。それともそういうことの決まる前の事前の措置なんでしようか。地方起債というようなことを國庫と見てるのか、全然一つ素人の立場から御説明頂きたいと思います。
#44
○河野正夫君 普通にならばこれは廣くも狭くも取れるのですが、そうして最も有利にこの請願を考えるならば、小學校設備も人件費も全額國庫負擔、新制中學設備も人件費も全額國庫負擔、こうなるのが最も有利な場合ですね。けれどもそこまでは實際の國家財政の現状や慣習上から特に今日の教育制度の方向から考えて、地方の負擔、例えば設備やなんかは地方の負擔でいつておるのですが、只今國家では人件費の半額國庫負擔となつておるのじやないかと私は思うのですが、その意味ではいけないから、全額國庫負擔にせよという要求であるよりも、新制中學に關連しての問題として起つているのだろうと思うのです。だから極く狭い意味に取れば、新制中學の設置に伴なう費用、新設に伴なう費用……經常費ではございません、設置に伴なう費用を全額國庫負擔、こういう意味でございます。
#45
○高良とみ君 分りました。
#46
○河野正夫君 この間どなたかが説明されたのも大體その趣旨であつたと思いますが、岩間委員長にも一つ、違うところがあつたら説明して頂きたい。
#47
○假委員長(岩間正男君) 結局これはいろいろ解釋は成り立つと思うのでありますが、この六・三制の請願されておるのは、現實的に初等中學を始めてみたところが、大混乱が起つた。それでこれに對して應急處置を執つてもらいたいというのが父兄の直接の聲だと思うのであります。併しこの父兄の考え方も、もつと我々文教委員會は單に六・三の初等だけ、三だけが解決されても教育體系としては解決されない。従つてこれを應急措置として並行して恆常的な措置をどうするかというようなことに、この問題を發展させて、そうして取上げることが、國家の將來の文教政策に對して非常に重要なんじやないか、こういうふうに考えられるわけでございますから、これを綜合的に論じていつていいのじやないか、こう思いますので、こういう観點から廣い意味で討議を願つていいのじやないかと思いますが、いかがでございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○矢野酉雄君 委員長はそれについての意見をそういうふうに述ベる場合には、席を外して問題が議決されるまでは……委員長の越權ということになるから、そこのところをうまくやらんと。……
#49
○梅津錦一君 その人件費の問題は、これは六・三の問題には絡んでないと思う。それは官吏の給與規定では大藏省の直属になつてしまうのだそうですが……。
#50
○河野正夫君 人件費じやなくして、それは給與の額の問題であつて……。
#51
○梅津錦一君 支給は文部省が支給するじやないと思うのです。これは大藏省の方から直接來ることに變つたように思うのです。
#52
○矢野酉雄君 それは日高局長の大體六・三・三の三の方の教員給はどれだけ補助することになつていますか、
#53
○政府委員(日高第四郎君) 半額國庫負擔であります。
#54
○矢野酉雄君 そうすると、それは結局文部省豫算で取つて、そうして市町村に補助を與えることになりますか。
#55
○政府委員(日高第四郎君) そうなつて來るわけであります。
#56
○梅津錦一君 じや從前の通りですね。
#57
○矢野酉雄君 そうするとこれは各委員同士の結局意見を交換し合つたり、或いは文部省側でも局長が來ておられますから、この意味するものが、教員給全額をも國庫が支辨すべきものとしてこの問題を解釋すべきか。或いは建物を建てる與算の全額を國庫が負擔すべきであるというふうにこれを解釋すべきか。最前河野委員からも御質問もあつたようですけれども、その態度を我々委員會はどの線まで我々の委員會としては高めて行くかということを決定して、そうしてその請願をどういうようにして採擇して行くかというふうに運ばなければならぬと思いますね。それについての、どうですか。文部省は將來に對してどういうような大理想と小理想をお持ちですか。六・三の三、殊に三については。
#58
○政府委員(日高第四郎君) 今囘の追加豫算等でも、文部省の原案といたしましては、全額國庫負擔で要求いたしたのであります。それが國の財政上負擔し切れないというので。半額は地方費負擔でも止むを得ないというので、それに讓つたわけであります。文部省といたしましては、これは義務教育を當然國家で、あらゆる面において負擔するのはいいか惡いかということにつきましては、多少の論議は文部省内部にもあつたのであります。併し現在の地方財政その他の點から申しましても、それから義務教育を本當に徹底させる建前から言いましても、この際は國が全額負擔することが一番適切であろうという結論に制達しまして、それで要求したわけであります。財政上の見地からそれができませんので、約半額の國庫負擔ということで落ちつきました。今後も財政上許すならば、前の方針に歸つて要求いたしたい。
#59
○矢野酉雄君 所見を述べたいと思いますが、この問題はいろいろ小さいところまで思考を繞らして行くというと、澤山の問題が出て來るのですけれども、本委員會としては根本的の態度を決定して、そして澤山の請願を、その根本的態度の線に沿つて採擇するようにして、これを本委員會に報告するというように僕は運びたいという希望を持つております。然らば、その根本的態度はいかようなものであるかというと、これは結局、日本をいかに建設して行くかという、大きなる一つの民主日本建設という根本的理念から演繹せらるべき問題であると私は信ずる。その立場から考察を繞らして行きます時に、私の理想は六・三・三の三まで實は國家の義務教育とすべきであるという主張者である。併し現在の日本の國情というものから鑑みて見て、六・三・三の三は姑くこれを除外するとしても、六・三はともに國家が、その公共營造物、國家の建造物竝びに、教職員の待遇も全額これを負擔するというその大いなる理想を固く打ち建てて、そして全國民のこれに關するところの意識を結集し、又その實現に對するところの熱意と努力を凝集せしめて、よしんば國家の財政上一度にその期する目的を貫徹することができないとしても、本年より來年、來年より再來年というように結局近い將來において今申し上げました國家が義務教育の費用というものを全面的にこれを負擔するというような、いわゆる文化國家というものの建設によつて、民主日本を作り上げて行くというその理念を具體化して行くというふうに、私共は運ぶべきだという主張を僕の信條としておるが故に、多くの請願をそういうような根本的態度において全部採擇して、そしてこれを本委員會に報告するというようにしたいと思います。このために多くの時間を費したところで、さまで私は違つた結論に到達しないと思います。以上
#60
○高良とみ君 私はこの請願は初からそういうことを考えておつたから御質問申し上げたのでありますが、請願それ自身がはつきり謳つていない點があるのでありまして、その根本の思想を分解して見ると、幾色にも分解できると思います。その點で私はこの請願の根據に横つておるものをこれから文教委員會がどういうふうに扱うかということは、只今矢野委員の仰しやつたように大事だと思います。ただ私自身の解釋いたします新憲法及び民主主義というものは、少しく矢野委員とは違う方向に行くのが、教育の將來のためにいいじやないかと私は不斷から考えておるのでありまして、それは國家主義の教育、取り替えて言いますならば、國庫が全額負擔ということであつて、これは義務教育でありますけれども、そして國家になんでも、おぶさつて行つたならばそれで教育ができる。曾ての陸海軍の費用にかけたものを教育にかけるというような思想が隨分ありますけれども、本當の民主主義の教育というものは、もう少し根深い人民の中から湧き出して行くものでありたいし、人民という言葉を國家と取り替えて考えて見ますと、その負擔は皆いずれも自分逹にかかつて來るのでありますから、財政的に言いましても、それ程中央に集中した財源から行かないで、もつと根深い民間から湧き上つたものを育てるように國會なり、政府なりが努力いたしまして、できるだけ地方の實力と、地方の教育の事情に適した、いわゆる教育の自活ということをもつと考えて指導して行くことが非常に大事ではないかと私は思つておるのであります。これは御批判を頂いて結構でありますが、そういう意味で世界のいろいろな國の義務教育制というものを見ましても、必ずしも國庫から建物を皆建てて貰う、或いは教員の俸給も保證して貰うという形で國家におんぶして行くというようなことよりも、アメリカのごときも最近までの統計では四六%ぐらいのものは各村の經濟事情、産業事情に應じまして一教室、一教師で結構六・三・三の義務教育をやり拔こうとしておるところに又美しい努力があると思いまするので、國家の教育方針は大體においてこう行くんだということを精神的方面で示して、そこには學識經驗者、或いは民族の總意というものが國會を通して決定されましようけれども、それを一々もうこういう制度になつたんだから國家ですべきもんだというようなのは、その裹に他力本願的なものがありはしないかということを將來のために心配するものであります。從つて矢野委員の仰しやいました六・三・三の後の三まで義務教育にするということは美しい理想ではございますが、そういうふうにしてでき上つて行つたその兒童なり教育者というものがやはり又國家におんぶされて國家に就職を求めて行くとか何とかいう考え、もうこの際はそういう行き方でなく、もつと自活的な、自發的な、自治的な、そういうものを育てて行くことが本當のデモクラシーであると私は考えておるのでありまして、この點一つ私ははつきりと國家主義的な教育と、それから民主主義的な教育との違いを私共は研究して見たいと思うのです。更にソ連のようなところにおきましても義務教育というものは非常にはつきりしていますけれども、それはもつと言葉を換えて言えば人民管理である。人民の自治であるというようなことから、できないものに對しても國庫の補助によつてやるというようなことは本當の義務教育制でないと思うのでありますが、そういう點で、私は今囘の請願をなすつた、それが數が多いということがどういう意味を持つておるか知りませんけれども、はつきりした見通しをもつて困難な敗戰後の日本の教育機關でありまするから、建物なども國家によつて皆建てて貰う、たとえ財政が許さなくてもというような思想でなく行きたい。そこに、國民の貧乏な生活の中に、涙と共にパンを分つて行く。ボロ教室でやつて行く中から本當の教育の意味を見出すように行く途があるというふうに私不斷から考えておりますので、その點明かにして置きたいと思います。
#61
○矢野酉雄君 高良君の意見はこれは根本的に考えが違つておるのであつて、教育内容を民主化するというようなことを國家が財政的にこれを負擔することがこれが恰かも國家主義であるというふうな考えが非常な間違いであつて、且又私立學校、私立教育というものを國家が財政的によしんは負擔するからといつて、これを否定するという思想でも何でもないのであつて、石炭さえも國管をしなければならんという思想はとこから生れたか、七十幾つの都市が殆んど灰燼に歸し、鹿兒島の垂水のごときは農村に至るまで一軒の家もないまでに灰燼に歸しているこの際、一自治團體に對して國家がこれを我れ關せず焉としてそうして各自で建物もやれ、教員の奉給も負擔せよ、それが民主主義であるというようなことを言うならば、八億しか豫算を取らなかつたのに、今度我々微力ながら大いに奮鬪して、文部當局も大藏當局も鞭撻して三十一億二千萬圓に漕ぎつけたこと自體も、今の論理を發展せしめたならば實に非民主的な一つの行動であると斷定しなければならんのであつて、民主化するか、反民主化するかという問題は、國家が義務教育制度という制度を設けたこと自體が、以前のいわゆる軍國主義的の國家というような理念の下に成立つておるならば、國家が財政的にその義務教育の財政を負擔するということが一種の反民主主義であるというふうに言われるかも知れないが、新らしい憲法の下に、ここに新らしい國家が發足して、そしてその國家を双肩に擔うところの國民を大いに教育して行こうとするときに、國家自からこれに對して財政を負擔するということこそ、それが民主主義であると言わなければならんと思うのであります。高良委員の考え方、教育の内容を民主化するということと、國家が義務教育に對して費用を負擔するということが直ちに反民主的であるというようなその考え方が私は根本的に何か感違いをしていらつしやるのぢやないかと思うのであつて、私達は飽くまで民主主義的教育をここに實施せんとすればする程國家として教育を重要視して、これに對して大いに負擔を大にして行くというふうにして、飽くまでもその線に沿うて足並を揃えて行つて、輿論をここに歸一させて行きたいという希望をますます私は持つ者であります。以上
#62
○河野正夫君 私も高良君の御意見には聊か承服し兼ねるところがあるのであります。一體アメリカのものの考え方では地方自治が自治の根本である。詰りデモクラシーの根本であるということは御尤もであるけれども、日本とアメリカとは國情が違うと思う。アメリカではステートが集つた一つの連邦國家で、國家というものそれ自身が市民の直接の國家ではない。だから市民の直接の國家のステートが權力を持つ。そこで本當のデモクラシーになる。日本の場合で言えば今後地方自治からいつてそうなるかも知れませんけれども、日本の場合ではアメリカと國情が違つているのだから、アメリカ流にステートに全部の權力を持たせるということは無理じやないかと思う。況んや今の矢野委員の仰しやつたように、國土が荒廢しておる。非常に不均衡に富も財政状態も違う。こういうようなときに、各地域の自由に任かせてこれがデモクラシーだ、こういう考え方は言つてみると十八世紀的なデモクラシーである。要するに自由主義を銘々認めて勝手におやり、勉強できないものはできなくてもかまわない。貧乏人は非常に程度が低くても構わない。その市民が不熱心であり、能力がないからである。父親が、詰り財産がなければ子供が學校へ行けません、それは親のせいで自由であるから仕方がないじやないか、全く十八世紀的なデモクラシーに他ならない。今日の日本は他人の財政状態までお互いが責任を持たなければならない、そういうような時代になつて來ておるのです。特に敗戰後の日本はそうだ。而も新學期の實施の状況はどうであつたかというと、地方の自治團體で欲すると欲せざるとを問わず、舊制の國民學校は小學校に改められ、その上に三年の義務教育をやれという至上命令でやつて來ておる。財政の負擔がなければできないものは仕方がないじやないか。自然發生的に任せて置いては到底できない。この際は便宜的にもそうだと思うが、この際は時に今囘の新制中學に開する限りは、國家の負擔に當然すべきものだ原則論としては……財政上どうするかということは技術論としては別であるが、原則論的には國家の負擔とすべきだと私は信ずる。
#63
○高良とみ君 私も少し申し上げ過ぎたかも知れませんが、私もその事情はよく分りませんが、別に敢えて十九世紀、十八世紀に後戻りする意味ではありませんが、戰災に因る負擔の均等化ということは復興の途上必要なことである。私の申上げように思つたことは、ですからその復興が勿論十分にはできませんけれども、併し今囘の新制度に對して、或いは昨年非常な要求のあつたことは妥當であり、それから今囘僅かながらできましたものを半分國家で負擔し、あとは地方で負擔するということが丁度よい行き方だと私は思うのでありまして、今後は戰災の負擔が段々いつまで經つても輕減化しませんでしようけれども、段々地方に、先程仰しやつたステートに、一つの縣に、縣といいますか、地方に自治を任せて、或いはその地方の自治委員會に任せて、そうして國家中心から更にこれを補助するというような形を段々少くして行く方がデモクラテイツクな行き方であるというように私は考えるのでありまして、その點で今囘に限り、これを義務教育に制定したのだから、これを必ず國家が全部負擔すべしという意向に對しては、先程お話の中にもう一つの行き方があつたかと思いますが、矢野委員が仰しやつたように、今後教育のやり方を全部國家的にやる、或いは石炭國營のような、あのような行き方、或いはソシヤリステイツクな行き方、それに對しましても、もつと地方の盛り上つて行く力を動員して行く必要を痛感しておるのでありまして、その意味で文部省が大きな豫算を戰い取られるその御勢力は多とするのでありますが、地方の學務課なり、或いは教育委員會というものが、もつとこれに對して、こういう教育の實施に對して特色を持ちつつ、熱心に縣民を激動して行くのでなければ、その財源は同じく國家から來るのだから、そういう意味で文部省の豫算は、地方が目覺めて來れば來る程段々負擔も分擔されて行くものであるというように私は考えておるのであります。
#64
○梅津錦一君 今の地方財源の問題に對して地方費十六億二千萬という大體の數字ですが、これを地方配分にしたときに、地方はいかなる方法でこれの裹付けをするか。大藏省においては裹付けをするところの財源はない。そこで某縣における現在の惱みは今のところに掛つておる譯です。私は不祥事を起しやしないかと思つて非常に憂えておるのですが、又々兒童をこれに動員しようとしておる。暑中休暇を利用して、小學校の生徒子供を動員して復興籤を賣らせようと考えておる。若し茲に文部省大藏省の裹付けがあるならば、地方は何らかの方法で出し得る。併し大藏省においては裹付けをすることができないという。裹付けするならばまず地方において郵便貯金なりを奬動する。或いは郵便貯金なり、或いはその他の勸業債券とか、何かここにおいて、地方において、地方の預金がない限りにおいては、大藏省は裹附はしない。こういうことを言つておるのですが、そのために某縣においては子供を又々使おう。街頭に立たせて使おう。これが果して子供の童心を傷つけるか、傷けないか。恐らく若しこれで集まらなかつたら非常措置をとり、又ちんどん屋のようなことを子供にやらせる。敢えて言えば街頭に立つて、教育のためですからどうぞこの三角籤を買つて下さい。私逹のためです、こういうような乞食のようなことをやらせなければならない。こういうことを考えるときに、私は何處までも子供にそういうことまでやらせたくない。ただこれは苦學生の立場ですが、全部苦學生の立場をとるということも一應考えられる。併し方法が行詰つたときにどうするか。苦學生として簡單に集まればよい。簡單に集らなければどうするかというようなことを考えると、六・三制完全實施の問題は現在においても、將来においても、こういうことのために國家がこれを賄う。私ははつきり申すならば、誰でも受けられる所の最高教育は國家の手によつてやらなければならない。金のある者は大學を出られる。貧乏の者はどうしても出られない。いかなる能力があつても出られないという、そんな姿があつてはならない。私は生れることにおいて同一價値を持つておる我々人類が、特に日本人自體において、現在大學に行ける子供と行けない子供の差は何處にあるか。なんによつてその差があるかというと、恐らくそれは金の差、冨の差です。これをなくすることによつて教育の機會均等が叫ばれる。そういう意味において大學に行けるまでの全部の學費は國家において賄う。ここに廣く人材を日本全土から求めて、高度なる文化國家を建設される。そういう立場から考えれば、總て教育費は全部國家で賄う。ここに高度なる文化國家の建設の基盤が築き上げられる。こういうことを申し上げたいのです。高良君と反對ですが、この教育も問題に對しては絶對に國費でやらなければならない。現在非常に可哀そうに思つておるのは勤勞者です。勤勞者の子供は上級中學さへ出られない。ここになんの教育の機會均等があるか。而も敗戰の事實の中に日本が立ち上ろうとしているこのときこそ、教育費こそ全額國庫負擔六・三・三・四まで全額國庫負擔、そうして廣く人材を日本全土から求める。教育は特權階級のみに委せることはできない。こういう意味で私は全額國家負擔こそ眞に教育の機會均等である。こういう意味がデモクラテイツクの行き方であると考えておる。冨の非常にあるアメリカにおいては、構わずに冨の力でどこまでも行かれるのです。然るに日本とアメリカと國情が違うから、特に子供のために割いて、誰でも最高の教育を受けられる、教育を人民の手に取戻すということによつて全額國庫負擔ということを私は叫びます。
#65
○小委員外委員(松野喜内君) それぞれの御意見を拜聽して、日本の將來の教育を思えばこそいろいろ仰しやられるのでありますが、思えばこの御意見を共に含味しなければならんと思う次第なんであります。先ず今日の問題はこの請願書をどういうふうに取扱うべきかという議題であつて、これが根本的の態度として矢野委員からもこれは是非採擇してやりたい。財政面のことが困難とはいえ、これ究進し、せめては年次的にでも段々推進したいという御意嚮、これは第一に贊意を表したい。こういう國民の心持を、民主的というか國民の意を體して、我々は教育を議せなければならない。凡そ今囘の請願書のかくのごとき厖大なる國民の陳情、こういう強い請願を受けては、私共はその心を以てこれを議しなければならんとすれば、どうしてもこれを採擇し、突進し、動かして見たいという氣持が湧いて來るのであります。ですからこれは矢野議員の言われたように、文部當局もできるならばその意嚮で以て邁進されたい次第で、ただ健全財政の意味から大藏當局と相客れないということは、大藏當局としては豫算もあることでありましよう。けれども我らが文教の方を充實せしめたい、新制中學をば完全にしたいという熱望から、又P・T・A、父兄の聲から言えば、どうあつても我ら文教委員も、文部當局も一體になつて、大藏當局に迫りたいというような氣さえ起る次第であります。この意味で贊意を表したいのであります。併し又高良委員の言われたことにおいても、我々は大いに考慮せねばならんと考えます。一體人に依頼心のみを持つということも、亦一面において戒めなければならんことで、國家に依頼し、政府に依頼し、人に依頼するというようなことよりも、自分の力によつて、自己でやり、自立でやり、自力でやるということに行かしむることが望ましいことである。教育の面から言いましても、學校經營の面から言いましても望ましいことである。なかんづく私立學校において、殊に然りと考えます。私學にこそそういつた自主自立の特徴、特性を持つて來る次第でありますが、分けても今囘のような敗戰後の状態にありましては、國家のために受けた損害、それをさしもの私學、自分自力で以て經營を建前としておる私學すらも、今日やはり臨時の助成を受けなくては立還らないという情勢なんです。事平時であつたならば、斷じて人に依頼をすべきではありませんけれども、政府に依頼をすべきではありませんけれども、こういう不況の際でありますが故に、私學も亦頼らざるを得ない。現在教育金庫法が生れて來る次第なんであります。ですからそういう意味からも國家教育もろとも、この際はこの新制中學を決定させたいためには、國民の多數のそういう熱望を容れていきたいという氣持を持つ次第であります。けれども一面高良委員が仰しやる通り、どうしても更にこれが復習の曉と申しますか、私學といえども復習した後には、自力でも何でもやり得るのであります。自治的に、自律的にやる、こういうふうに人に、政府に頼らないという氣持を以て特性個性を發揮して欲しいということは主張していかなければならんと思います。こういうふうに教育の意義を考えれば、高良さんの仰しやること御尤もと思うのですから、どうか先の我が國の將來のためには、高良さんの仰しやる意味も大いに高めなければならんと考える次第なんです。併し今この請願をどう扱うかという問題においては、矢野委員、河野委員の仰しやる通りに、文部當局と協力の上、我々文教委員の希望、熱意、意のある所を一つ大藏當局とも強く接して見たい。事成らずしては年次的と言われるようにとも思い及ぶ次第であります。以上私の考えを申し上げます。
#66
○小委員外委員(河崎ナツ君) 高良さんの仰しやいました事柄、それからいろいろ出まして、今の全く反對の立場に立つて梅津さんが仰しやつたのでありますが、松野さんが全體を綜合して今仰しやうたこと、國家に頼るという言葉をお使いになりましたが、とにかくそういうふうな立場で全額國庫負擔の立場でいかなければならん。けれども頼つていくということはいけないからおいおいは高良さんの仰しやるようにやつてもいいというふうに松野さんのお話を伺いましたが、教育に關してのものの考え方において、私はそういうことであつたらならんと思うのであります。だから高良さんの考え方は民主主義という言葉は大變綺麗に聞えますけれども、民主主義でないと思います。この國家に頼ると申しますけれども、これは國家の運營は經濟的な一つの動き方につきましては、これは頼るのでなく、人民の總意においてこの經濟的な一つの基礎によつて人民が或支柱をそこに置くのでありまして、その運營の仕方は人民の總意によるところの手によつて運營して行くのですから、その經濟の動き方も、今までの國家というものから經費を出して貰つておつたということと、これからの國家というものの内容も違つて來ますから、それも一つありますし、殊に民主主義的な教育をやつて行くという上においても運營の仕方と、それから教育の又内容と、そういうものの方からこそ民主主義的に行かなければならん。そこに民主主義的な教育がなされるのでありまして、そういう經濟的な面におきましてはそれこそ全國民がどこの山の中の寒村の教育におきましても、國民として一人前になる基礎のあるところまでは、この間までは六年まで、私は四年であつたのですが、今度六・三まで行つてまあ少くとも十八歳までに心身共に人間としての一人前の基礎ができるところですから、そこまでは人民が結集して、そうしてお互いの教育面を結集した力で支えて行くときには、そこまではお互いがどの地域の國民も安心して經濟的には、その大きな結集した力による經濟の支柱の上に結びつくということは、力を頼るのでなく、自分達の打ち建てた、結び付けた大きな寄つた力の上に自分達が立つのであるのであつて、他人さまに頼るという考え方というものは、今までの考え方であつて、決してそういう心配はありませんから、決してそういう考え方をしないで、おいおい中央集權というような考え方というものははつきり止して、そうしてやはり教育の問題は全人民の經濟的結集をあずかるところが國庫ですから、そこから人民の教育のことに關しての、殊に或一定の人民の基礎教育をされるという意味におきましての、この經濟的の基礎を國庫が考えるということにつきましては、これはもう一番正しいことであります。こういう意味においてこの問題を考えて行きたいと思うのでございます。
#67
○矢野酉雄君 随分論議も盡されましたからこの案を長い、私達みずから殆ど血のにじむようないわゆる小學校の教員をしておるときから國家が義務教育というものを課しておるならば、當然國家はこれを負擔して行くベきであるというその思想が更に今お話したように、主權在民、我々の國家、私達の國家、國家自身が教育を義務として要求したら自分達自身がこれを負擔するというようなことが最もデモクラシーであり、實に高良さんが仰しやることを本質的に實現して行くことにも、論理上も當然そうなるんですが、私は議論の餘地はないと思います。この初めに私提案しましたように、本當にこのままで行きおると、請願と陳情の檢討だけでも三週間も四週間もかかつても尚日足らずというような技術上の問題もありますので、そういうものは須らく滿場一致で六・三制の教育費用は全部國庫が負擔するというようなふうに結論を見出して委員會に答申するように一つお運びを願いたいと思うのであります。
#68
○河野正夫君 私は高良さんの御主張のある部分は認めなければならんと思いますが、矢野さんの動議があつて結論に急ぎますけれども、というのは教育が各地方々々にバラエテーを持たなければならんと、それを強く高良さんは主張なすつたために、そうなつたと思いますが、その意味で各府縣で新制中學でなくて、ほかの學校をやりたいときはやれるという制度も必要ですけれども、今のような置かれた日本のスチユエーシヨンからいつて、而も新しい學制をやるということは、そのために全額國庫負擔をすることはいいのでしよう。
#69
○高良とみ君 私地方の自治に關係いたしました經驗から申しましても、皆さんいろいろ御經驗おありでしようが、地方自治、縣とか市とかいうものに餘り期待をかけないと、そんな市立の學校なんていうふうにお考えになるお方もあつたと思うんです。併し私共としては成るべく地方自治を發達させたいと思つておりますが、殊に教育の責任も半額ぐらいは自分達の責任であると、今日戰爭の結果を均等化することは別にしましても、若し坂程のお話から申しますと、私共あらゆる國民に教育の機會均等を與えたいということは、決して人後に落ちないのでありますが、そうすると義務教育というものは皆國庫負擔になると、大學までも國立になつてくると非常に結構でありますけれども、それでは教育は生活である、何も決まりきつたものを上からあれするのでもなし、制度もこういう組織であると考えないで、もう少し創意が欲しいと、それが本當の日本の教育を育てることだと思うのであります。その意味から將來官立學校にしてもゆきたいと思うくらいでありますから、私といたしましては先ず完全にレッセ・フエーヤという意味ではございませんが、戰後の日本の實状からいたしましても、全額國庫負擔ということの思想の裏にあるものが、若し日本の教育者が教育を國庫負擔でやれ、義務教育であるものは全部中央集權にして、分けて國庫の俸給を貰うことが非常に光榮であるというふうにお考えになるのが民主主義、〔「それはあなたの考え方がちがう」と呼ぶ者あり〕
それならばこの時期としては今日のあれと同じ……
   〔議場騒然〕
#70
○假委員長(岩間正男君) 今高良さんが發言中ですから……。
#71
○高良とみ君 その意味で私は文部當局がどうしても今囘、ああいう半額國庫負擔がいい、半額は地方の負擔になすつたかということを、一應局長から御説明を伺えれば宜しいのですが……。
#72
○假委員長(岩間正男君) 高良さんのそういう希望がございましたから、質問ありましようか。
#73
○矢野酉雄君 全額負擔ということを理想としますが、財政上こうだつたからここまで行つておりますということを、はつきり仰つしやつたじやありませんか。それを更に文部省を追求しなくてもいいでしよう。
#74
○政府委員(日高第四郎君) ちよつと申し上げます。高良さんのような、或意味において自由主義的な、民主主義的な考えを持つておる者も文部省の中にもあるのであります。併し私共はそれが社會主義的、民主主義的というような意味において、今の日本においてはそれが必要でもあるし、適切でもあるという結論に到達しまして、全額國庫負擔ということを要求したのでありますが、財政上許さないという意味で、半額ということでも、まあ今のところ我慢せざるを得ないという意味で折れたわけであります。
#75
○高良とみ君 分りました。
#76
○假委員長(岩間正男君) それでは大體討論も盡きたのじやないかと思うのでありますが、要するに解釋の違い、それから時代の認識の相違というようなところから、議論が岐れたような點もあるのでありますが、これは大體結論が見えて來たと思うのであります。それで先程矢野委員から提案がありましたように、全額を國庫負擔ということを認めて、そうしてでけるだけこれに對して努力して行きたい。本委員會は努力して行きたいということで、この案を採擇して議院の會議に付するということに決定してようございますか。
   〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
#77
○假委員長(岩間正男君) 御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○假委員長(岩間正男君) では皆さんの賛成を得まして、小委員會はこのように決定いたしたいと思います。更にこれに次ぎまして、會議に付すると、そうしますというと、内閣に送付を要するものと、要しないものと二つあるのでありますが、その中どのように計らいましようか。
   〔「第一案」と呼ぶ者あり〕
#79
○假委員長(岩間正男君) 第一案という提案がありますが、内閣に送付を要するものということで、非常に重要な案件と思いますので、そのように採擇いたしてようございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○矢野酉雄君 その内閣に送付するのにはそれぞれ手續きや法規なり必要ですから……。
#81
○假委員長(岩間正男君) この手續きは事務の方でやりますし、尚これは小委員會の決定によつて全部決めるわけに行きませんので、當然これは文教委員會に諮りまして、それで手續きを本式に決定するとこういうふうになつております。そのように、取り計らいたいと思いますが、大體意見書を内閣に送付する場合には、意見書を附すということになつております。それでその意見書の大體草案が、本小委員會によつて作られておつた方が、事務の進行上便利じやないか、こういうふうに、考えられますので、この點いかがでございましようか。
#82
○矢野酉雄君 それはこの委員長におにて適當に、その方面においては百戰練磨の士ですから、大體小委員長が適當に意見書の草案を樹ててもらつてそうして本委員會にそれを報告をする前に一應議に諮つて頂いて、それから正式の報告とすると、こういうふうにしたらいかがでしようか。
#83
○假委員長(岩間正男君) 實は原案がございますので、ここでちよつと、事務的にできておりますので、それを讀み上げたら、これは事務局で認ためました起案でございますが、「崩壊寸前にある六・三制を完全に實施するため、絶對必要な豫算を、全額國庫負擔として計上可決されたいとの趣旨であつて、參議院は願意の大體は妥當なものなりと思う。よつて内閣は鋭意これが實現に努力せられたい。ここに國會法第八十一條により別册を送付する。」こういう原案です、これに今日の討論の中にあつたと思いますが、できましたら、これは希望でありますが、統一的な學制改革の體系を、立てるということですね、それを年次豫算をはつきり確立するというようなことが、最も六・三制の問題を實質的に進める具體的な手がかりになると思うので、そういう點をこれに附加して、一應訂正したらというような腹案を持つております。いかがでございましようか。
   〔「異議なし」、「是非そうして貰いたいと思います」と呼ぶ者あり〕
#84
○假委員長(岩間正男君) この案文で非常に結構ですが、そういうことを附加すると、内閣に對して具體的な方針を指示するということになると思いますが、いかがですか。この點をお諮りいたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#85
○假委員長(岩間正男君) それじや今の件を可決しまして、それを附加いたしまして、いずれ案文を本委員會の方に提出いたしたいと思います。
 それじや、その前に、請願第十六號、請願第二十號、請願第二十一號、請願第二十二號、請願第二十三號、請願第二十四號、請願第二十五號、請願第二十六號、請願第二十七號、六・三教育制度の經費を全額國庫負擔とすることに關する請願、若木勝藏君外三十六名紹介の件、〔二十八號と二十九號が殘つている」と呼ぶ者あり〕、以上の件につきましては、院議の會議に付するを要するものと、本小委員會は決定いたします、更に内閣に送付を要するものということを決定したいと思います。
#86
○矢野酉雄君 緊急動議です、議事進行について、今日はこれにて散會にして欲しいと思います。
#87
○假委員長(岩間正男君) 今御提案がなくても、そのように取り計らいたいと考えておつたところでありますが、今日は大變重要な、實に國家の文教の將來に對して重要な問題でありますにつきまして、非常に熱心な御討議を、火花の散るような御討議を展開されましたからして、このような請願が小委員會において取り上げられたということは、非常に喜ばしいことと思うのであります。今日展開されましたお互いの立場からにおけるところの、隔意のないこの討論の中にこそ、今後の我が文教委員會の發展の方向があるということが窺われまして、非常に嬉しい氣持でございます。これを以て本日の小委員會を終りといたします。(拍手)終り。
   午後四時五十九分散會
 出席者は左の通り。
   假委員長    岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           森下 政一君
           高良 とみ君
           河野 正夫君
           矢野 酉雄君
   小委員外委員
           松野 喜内君
           河崎 ナツ君
  政府委員
   文部事務官
   (學校教育局
   長)      日高第四郎君
ソース: 国立国会図書館
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