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1947/12/03 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 決算・司法連合委員会 第3号
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1947/12/03 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 決算・司法連合委員会 第3号

#1
第001回国会 決算・司法連合委員会 第3号
  付託事件
○最高法務廳設置法案(内閣送付)
○國の利害に関係ある訴訟についての
 最高法務総裁の権限等に関する法律
 案(内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年十二月三日(水曜日)
   午前十時四十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○最高法務廳設置法案
○國の利害に関係ある訴訟についての
 最高法務総裁の権限等に関する法律
 案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(下條康麿君) それでは決算及び司法連合委員会を開きます。最高法務廳設置に伴なう法令の整理に関する法律案が付託になつておりますが、まだ説明がございませんでしたから、当局から説明を願いたいと思います。
#3
○政府委員(佐藤藤佐君) 最高法務廳設置に伴なう法令の整理に関する法律案の提出の理由を御説明申上げます。政府は先に最高法務廳設置法案を國会に提出いたしましたが、最高法務廳の設置により、司法省及び法制局は廃止されることになりますので、これに伴ない、関係各法令に所要の変更を加える必要が生ずるに至りました。よつて、政府はこの法律案を提出いたした次第であります。
 改正の要点を申上げますと、第一は、司法省及び法制局を廃止し、関係法令によりこれらに関する規定を削除し、「司法省」、「法制局」とあるのを、必要に應じて「最高法務廳」と改めた点でありまして、第一條乃至第三條、第十一條及び第十五條がそれであります。
 第二は、從來司法大臣に属していた権限は、最高法務総裁に移されることになりますので、関係法令中「司法大臣」とあるのを、「最高法務総裁」と改めた点でありまして、第七條、第十二條、第十三條及び第十五條の規定がそれであります。
 第三は、從來内務大臣に属していた國籍、外國人登録、昭和二十一年勅令第百一号の規定による各種團体の結成の禁止及び解散等に関する事項等に関する権限が、最高法務総裁に移されますが、内務省解体に関する法律案において、これらに関する法令中、「内務大臣」とある部分は一應「主務大臣」と改められることになつておりますので、更にこの法律によりまして、関係法令中、「主務大臣」とあるのを「最高法務総裁」と改める点でありまして、第十四條の規定がそれであります。
 第四は、法制局長官は廃されますので、関係法令中よりこれに関する規定を削除し、尚これと関聯して、今回最高法務廳に置かれる各長官の職を、その地位職責等に鑑み、國家公務員法に言う特別職といたした点でありまして、第四條、第五條、第九條乃至第十一條の規定がそれであります。
 第五は、從來裁判所法及び檢察廳法において裁判官及び檢察官の任命資格の中に掲げられていた司法次官、司法事務官及び司法教官が廃されますので、これを任命資格の中から削除し、これらに相当するものとして、最高法務廳に置かるべき各長官、最高法務総裁官房長、最高法務廳事務官及び最高法務廳教官を裁判官及び檢察官の任命資格の中に加えることとし、又この法律施行前における司法次官、司法事務官及び司法教官の在職は、これを裁判官及び檢察官の任命資格の年数に算入することといたし、尚大正十二年勅令第五百二十八号、これは司法警察官吏及び司法警察官吏の職務を行なうべき者の指定等に関する件でありますが、これに「司法事務官」とあるのを、以上と同様の趣旨で「最高法務廳事務官」と改めた点でありまして、第六條、第七條、第十二條及び第十八條の規定がそれであります。
 第六は、警察法及び官吏懲戒令の各細部を改正して、國家公安委員会の警備すべき官廳の中に、最高法務廳の名称を加え、又内閣及び総理廳に設置せられる官吏普通懲戒委員会の委員長には、内閣官房長官を、最高法務廳に設置せらるべき同委員会の委員長には最高法務総裁官房長を充てることといたした点でありまして、第八條及び第十一條の規定がそれであります。
 以上がこの法律案提出の理由であります。何卒慎重御審議の上、可決せられんことをお願い申上げます。
#4
○委員長(下條康麿君) 只今総理大臣がお見えになるそうでありますが、大変御多忙で、外の委員会からも要請されておりますから、十分くらいで願いたいということでありますから、どうぞ……。速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(下條康麿君) 速記を始めて……。
#6
○國務大臣(鈴木義男君) 昨日深川委員の御質問に対して私の追放事務に関する希望を申述べて置きましたが、追放事務は日本政府だけで処理できることでありませんために、私の希望が必ずしも達せられるということは確約申上げ兼ねまするから、その点を一つ御了承置きを願いたいと思います。
#7
○中川幸平君 いろいろお尋ねしたいことがありますけれども、総理大臣非常にお忙しいというので一点だけをお尋ねしたいと思います。
 先般外の委員の方からもお話ありましたが、官廳が幾つもある際に、一番上の官廳を最高という名前を附けるのが通例と思います。これを法務廳が一つしかないにも拘わらず、最高法務廳と、最高という字を附けた。これが適当かどうかということと、又長官といいますと、官廳の最高の方を長官と通俗的に申しておりますが、この法務廳には総裁以下に五つの長官を設けた。これは果して名前が適当であるかどうかということを考えるのであります。それにつきまして現内閣が組閣された際に、政務官の存廃ということが非常に
喧しくなりまして、その際に政務次官だけを暫定的に置こうということになりました。その後行政調査部の顧問を立法府から任命された際に、衆議院では賛成をいたし、参議院では否決をいたしたのであります。
 申すまでもなく新憲法によつて立法府、行政府の混淆を避けはつきりせよというので、私共もさようにいたしたのであります。その後國政の現状を見まするに、本当の民主政治が未だしという感じがいたすにつきまして、ここに想いを新たにせんければならん。申すまでもなく、立法府から行政面に余程強くタツチをして、本当の民主政治を行うということが余程必要ではないかという考を持つに至つたのであります。申すまでもなく、各省の参與官は一人も二人も置くとか、或いはかような最高法務廳の長官というような名前を廃して、立法府からそれらの参與とか、何とかいう政務官を入れるということが非常に民主政治を行うために必要なことでないかという考を持つようになつたのであります。これに対する総理大臣のお考をお伺いいたしたいのであります。
#8
○國務大臣(片山哲君) 我が國の政治を民主的に徹底せしめることは最も必要なことでありまして、只今中川委員の言われました通りであります。それで大体は政党内閣制を採つておりまする我が國の新憲法下における立法府と行政府との関係でありますから、アメリカ流に三権分立を截然と明らかにいたしまして、それぞれ混淆を來たさないようなやり方に徹するという方法と、英國式の方法と二つあると思いますが、その中間を行つておるような形であります。我が國におきましては、やはり政務官を或程度必要と考えまして、現内閣におきましては政務官制を採用いたして臨んでおるような次第であります。併しこれはこの方法を方々に適用いたしまして、立法府と行政府との混淆入り混りを來さしめるということは避けたいと思つて、政務官制度のみに限定をいたしたいと思つておる次第であります。のみならず通常議会の終るまでということを政務官を設置する場合におきましても期限を定めたような次第でありまして、ゆくゆくは立法府と行政府とを截然と区別いたしまして、民主政治の徹底を図りたいと考えておるような次第であります。從いましてこの最高法務廳法案におきましてもその関係を明らかにいたそうと思つております。長官には立法関係の方々は関係なさらないで、これは行政の仕事である。こういうふうに截然と関係を明らかにいたす予定でございますから、立法府の方々を参與でありますとか、長官であるとか、顧問であるとかそういうような方面には採用しないで、別々の建前で立法行政の関係を明らかにして進んで行きたい、こういう考で目下のところ進行いたしておるようなわけであります。
#9
○中川幸平君 先般当院の行政機構の改善策という自由討議の際、私所見を開陳した際に、両院にも行政の監査を兼ねた行政機構の改善の特別委員会を設置したらどうか、そういたしましてあらゆる角度、観点からいろいろ立案をしまして、それを政府に要望するという仕方にしたらどうかということを申したのであります。と申しますことは、政府からかような行政機構の立案を提案されまして、一々調べて見ますと非常に修正をいたしたいという点がありましても、なかなかそういうことは実際問題としてやりにくい状態になるのであります。さような立案の際に、立法府からもタツチするというやり方にいたして頂きたいということを、私共痛切に感ずるのであります。これに対して総理大臣としてのお考はどうであるか。又委員長といたしましても、どうか衆議院の方と打合わして、さような運びになることにお考を願いたいと思うのであります。
#10
○國務大臣(片山哲君) 行政事務の監査を立法機関においてされることは結構であろうと思います。行政事務は眞に國家本位に、國民のために進んでおるか、官吏としての本分を全うしておるか、綱紀粛正が断行されておるかどうか。これらの問題については十分に立法府において監査されることは誠に必要なことであつて、そういうことに対しましても、現政府におきましても、十分その監査の行われるような途を開きたいと思い、現に又そういう方法を採つておる次第であります。併し入り乱れて、機構において紛更を來すというようなことは、いろいろ問題を起す因となりますので、機構としては截然と区別を立てて置く必要があろうと思つておる次第であります。
#11
○委員長(下條康麿君) 他に総理大臣にお尋ねになる方はございませんか。
#12
○松村眞一郎君 総理大臣の最高法務廳に対するお考は、行政大臣と同じようにお考になつてはいないのでございますか。この総裁というものに対して、その意味はこの最高法務廳なるものは、行政各部と御覧になつておるかどうかということと、政務次官お置きにならんだろうと思いますが、どういう関係になりますか。大臣がないのですからその関係も非常に……。総理大臣にお尋ねするよりも、まだもう少し事務的にお伺いしたいと思いますけれども、今の心持を伺いたい。
#13
○國務大臣(片山哲君) 御承知のように、この内閣法によりましても、又新憲法によりましても、総理大臣の職責が実に拡大せられまして、責任も大きくなりまして、又その仕事も非常に拡大されました。総理廳の仕事が最近非常に殖えまして、殊に警察事務、自治問題、地方財政の問題、内務省の解体に伴いまして、各般の問題が複雜になりました。從つて法規上の問題等におきましても、亦非常に煩瑣な事務になりましたので、これらの法律問題や或いは又行政上、機構に関する各般の問題、殊に又新憲法下によりまして、國家を相手として訴訟を起すというような仕事もこれから相当殖えて來るであろうと思つております。これらの事務を担当するためには、どうしても特別の機構が必要であろうと思います。そのために各省とは別個に法務廳を設置しなければならない。内閣の最高法律顧問とでも申しまするか、最高というと、又いろいろと問題になりまするけれども、統轄した綜合的な法律、顧問としての一つの機構を必要とする。こういうような意味で法務廳を設置するということになりましたので、綜合として、内閣総理大臣の下にあつて特別の任務に從事すると、こういうような意味です。それから政務次官は官制の上では置き得ることになつております。又それもそのまま存置しようと思つておりまするが、今回は政務次官は採用しない。こういうつもりであります。
#14
○松村眞一郎君 問題は細かくなりますから、私は総理大臣にお尋ねするよりも、あとで法制局長官に伺いたいと思いますけれども、私の考は、今度できます最高法務廳の中に法務行政長官というものがありますが、その中に民事局というものがあります。それで檢察局というものは、これは昔の刑事局ですね。つまり昔の司法省の民事局、刑事局、行刑局というものがすべてこれに入つておる。その司法省には政務次官があつた。今度はその行政事務については、政務次官がなくなるという状態になりますから、國会では非常な不便を感ずると思う。ですから行政各部ということのお考にして頂いた方がいいのじやないか。こういう考を私は持つておるのです。あとで法制局長官に御質問申し上げますが、その点よく総理大臣におかれてもお考え願いたいと思います。
#15
○中川幸平君 敗戰後の民主國家再建のために行政機構の改変も当然であると存じます。この最高法務廳もその一つであろうと存ずるのであります。先般の労働省の設置やこの最高法務廳の設置については、いずれも非常に理想的にできておるようでありまするが、今日我が國は敗戰國であり、生産は極度に破壊されておる貧弱國であるのでありまして、かような厖大な官廳を拵えるということが、果してどうであるかという感じもするのであります。この最高法務廳は司法省、法制局、又内務省の一部を包含されるものと存じますが、そうして予算の補正をやる際に、新たにどれほどの予算を必要といたしますかということを、先ずお尋ねいたしたいと思うのであります。私が申上げる事は、ただ大きな象のようなものを拵えるよりも、虎か獅子のように、自由自在に機敏に活動できる官廳を拵えて貰いたいということを特にお願いするのであります。先ずどれだけの新規の予算を必要とされるかということをお尋ねしたいと思うのであります。
#16
○國務大臣(栗栖赳夫君) この予算と行政機構の新設という関係でございますが、これは閣議でも、私は常に人員の増加とか費用の増加ということにならないように、能う限り圧縮するようにいつも発言いたしておるのでありまして、この最高法務廳の問題につきましても、只今その筋の財政の関係の方と連絡をとつて、今明日の中に金額も決まると思うのであります。最小限度の予算ということにおいていたし得るつもりであります。そうしてこれはできれば本議会に追加予算の形式でお願いいたしまして、そうして御協賛を得たいと思つておるものでございます。司法省の現在の経費というものが、一部要らなくなりますし、そうして新たな人員につきましても、極力配置轉換その他ということによつて行なつて貰うようなことにいたしておりますので、経費は非常に大きな数字には、今年度は相成らんのであります。今後につきましても、一般に行政機構の新設その他ということは、これは昭和二十三年度の予算などについては、むしろ行政機構の改革に伴う整理という面に強く力を入れまして、そうしてこの予算編成をしなければ、これは到底健全予算が立たんわけでありますから、その趣意は十分貫きたいと思つております。その線に副つて最高法務廳設立についても話し合をし、方針が決まつておるわけであります。又二十三年度の予算についても、十分その点を考えていたしますので、予算に大きな圧迫を加えるというようなことは、避けておることを申上げたいと思います。
 尚これは、数字等は、今日検討を非常にしております、急いでおります。多分本臨時議会に提出ができると思いますが、それまではちよつと決まりませんので、申上げかねると思う次第であります。
#17
○中川幸平君 この設置法案と一緒に、この予算ができるのが本当ではないかと思うのでありますが、まあそれはそうといたしまして、この設置に伴つて一言お尋ねしてみたいと思いまするが、とも角大藏大臣は健全財政を堅持すると申されまするが、なかなかさよなう厖大な租税は、國民の負担に耐えかねるという現状にあることは、私から申上げるまでもないことであります。ただ税務機構を拡充強化する。税務署の職員を殖やして、それで直税、間税の脱税を徹底的に取締る。成るほど各地において、毎日のごとく業者は税務署に呼ばれて、そうして直税、間税の脱税の処理に大童になつておることを、私共目撃いたしておるのであります。無論脱税は、当然取締らなければならんのでありまするが、さようにして、できれば、増収は結構ではありまするが、さようなゆとりのないことをして、本年はそれでいいといたしましても、來年からの財源をどうするかということを余程考えて貰わなければならんと思うのであります。即ち税の源を枯らしてしまうという現実にあるのであります。
 又六・三制を実施されまして、それに伴うところの國庫負担をされるという関係上、小学校も、又中学校も、それぞれ父兄その他関係者に寄附を強要して歩いている現状もあるのであります。さようにして、理想的に、教育といい、この行政機構の改善をされることは結構でありまするが、必要のない官廳、それを先ず整理すると、然る後にこの必要な官廳を拵えるということに持つて行かなければならんということを痛切に感ずるのであります。
 これについても大藏大臣のお考をお伺いいたしたいと思う次第であります。
#18
○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今財政のあり方、殊に二十三年度の財政のあり方ということについてのお尋ねがあつたのでありますが、今お述べになりましたように、私もさように考えておる次第でありまして、ただ今回の追加予算というものは、前内閣で作りました本予算の追加でありまして、それから生ずる賃金、物價の引上げによる経費増というものが、非常に大きく働いておるわけでありまして、それがために、既に予算を執行しております中途から、それを打ち切るというようなこともできない点が多々あるのでありまして、そこで極力この歳出は、この金額を少なくする、歳入は、それにマツチすることのできるだけ取るというような、比較的ゆとりのない追加予算というものに相成つたのでありますが、これは追加予算の性質上、又インフレーシヨンがこういうように昂進して参りました過程においては、これは止むを得ないと思つておるのであります。六・三制の如きものにつきましても、前内閣で僅かな経費だけを計上いたしまして、そうして出発いたしたのでありまして、その出発は、全面的に出発しておるのであります。そこで早速問題になつたのは、校舎をいかにするかという問題でありまして、それがために、寄附を募つておると、その寄附が、大きな地方民にも負担になつておるということは、重々政府も認めるのでありますが、併し校舎なくして、もう既に出発した六・三制を、如何ともすることができないので、今回は、この融資と政府の補償とを合せて、三十一億余を計上せざるを得なかつたような次第であります。こういうように、六・三制でもそうでありますが、本予算に一部上つて決まつておりまして、そうして追加予算の性質上、それを受けて立たなければならないという関係があるので、片山内閣としての本來の政策などを実行するのに、非常な制約を受けるというようなことになつたのであります。
 併し二十三年度の予算は、これは片山内閣で、それは始めて本予算を組むわけでありますので、今御趣旨の点などを十分考えて、私は、この二十三年度の予算については、行政機構の改革に伴う整理とうことを相当徹底的にいたしませんと、予算は組めないと思うのであります。そうして歳入の点においても、この屈伸力のある、この税制その他というものにいたしまして、そうして将來への備えをいたしたいと思うのであります。勿論こういうようにインフレーシヨンが進んでおりますから、その理想を実現するためには相当の困難もあり、又相当のところで、この二十三年度も我慢しなければならん点もあろうと思いますけれども、併し理想に向つては、一部でも実現したい、然るべく実現したいと、只今二十三年度の予算編成について、いろいろ考究もし、努力をいたしておるような次第であります。
 そういうような趣意でありますから、新規の官廳を設置するというようなことにつきましては、相当深い檢討をしておるのでありまして、そうしてこれはその筋とも、財政の関係の方と独立して連絡をとつておるような次第であります。この予算につきましても、本案と同時に提出するわけでございますが、むしろこの緊縮した財政をとるという建前で、先方も非常に檢討をいたしておりますので、若干延びるということに相成つた次第でありますが、御趣旨の点は、十分我々も考えておる次第でございますので、御了承を願いたいと思うのであります。
#19
○山下義信君 ちよつと、両大臣がお揃いで、私は好い時と思いますので、伺いますが、段々と現業廳のことにつきましては、独立採算制の適否についていろいろあると思いますが、関聨いたしまして、行刑方面の機能のことでありますが、私なども素人で、よく分りませんが、承わりますに、相当刑務所の仕事というもの、事業というものが、いわゆる企業形態を以ちまして、なかなか盛んに行われておりますので、それらに要する物資、或いは生産、或いは販賣、相当大きな企業形態のような形を持つております。この行刑というもののあり方を将來、いろいろ司法大臣もお考があろうと思いますので、國家が養うというようなことでなくして、彼ら、みずから事業を営む、或いは生産を増強し、そうして立派な社会人になるという、そういう行刑政策と併せまして、刑務所の囚人がやりまする事業の方の会計というもの、これを法務廳という役所の、行政廳のただ会計課というようなものでやりまするか、或いはそれをいわゆる独立採算制という企業形態のところへ持つて行きまして、そうして面目を一新するというようなやり方もあるのじやないか。こう考えるのでありますが、この点について御研究下さいますかどうか、大臣のお答を願います。
#20
○國務大臣(栗栖赳夫君) この行刑方面で、殊に作業場についてのお尋ねでありますが、これはこの、例えば鉄道特別会計、或いは通信特別会計における官業というものと聊か性質を異にいたしておるものと思うのであります。そこで大藏大臣として考えておるところを申上げますというと、作業場について、独立採算制を採るというようなことは今考えておりません。併しながら作業場が相当の能率を上げて、この國家財政について寄與しておられるという点は、一つの事実を申上げたいと思います。それは先だつて御協賛を得ましたあの九百二十一億という追加予算でございます。あの中の、政府といたしましては収入財源の中で、雜収入の中の一部はこの刑務所における作業場の利益というものが計上されておるのであります。これは日本銀行の納付金とか、そういうようなものを合せて計上いたしておるのでありますが、その中に刑務所で上つた利益が入つておるのであります。これは勿論営利行爲でないのでありますから、独立採算制というようなことは採りにくいのでありますけれども併しそれと、いつたつて法外な、こういう時勢にノミナルな利益を掲げるということもこれは理でないと思いますので、適当なところに引上げて頂いて、それが國庫財政のこういう場合の手助けになつておるという事実を申上げて置きないと思うのであります。その代り、又我々といたしましては刑務所の費用、殊に経費等についても、追加予算で若干の増加をいたしておるような次第でございます。今後も財政等の関係においては、そういう趣意によつて、この財政を助け、又財政によつて助けられるという、こういうことの趣意は貫いてやつて行きたいと思うのであります。ただ官業におけるがごとく、この鉄道、通信におけるがごとく、独立採算制というものを強く主張するということは性質上むずかしいかと存ずる次第であります。
#21
○松村眞一郎君 大蔵大臣にお伺いいたしますことは、もうこれは重大な問題であります。それは法律と予算との関係で、今度の案というものは非常に厖大なものである。司法大臣と大蔵大臣がおいでになるときに、これは言明して置く必要があると思います。それは矯正総務局であるとか、成人矯正局とか、少年矯正局とか、局が非常に多いのであります。こういうような局に一々局長を置かれたならば非常に厖大になることは当然であります。そこで司法大臣は或ものは兼務でもいい、一人か二人のものもあるといつておられるのでありますから、それで法律に書いてある通り、局長を一人ずつ置けば大変になると思いますが、その意味で大蔵大臣にお尋ねしたいのは、法律の趣旨をよく了解されて、予算をお組みにならんと、表面だけでお組みになれば大変厖大な金額になつてしまう。恐らく法律が成立すれば、この最高法務廰の総裁はこの法律の通り予算を要求して来ると思います。それはこの委員会で言明しておられるのであつて、そういう厖大なものは作らないということになつておりますが、法律と予算との関係はどういうふうなことにお考えになつておりますか、法律に規定しておるその法律をよく見て、予算をお組みになるときに、どういう態度をおとりになるのでありますか、
#22
○國務大臣(栗栖赳夫君) それはその法律ができる前に、國家の財政その他について閣議でも随分述べておるのでございます。それがただ単に今まで一度も大蔵省ではこういうような窮迫した現状におきまして、単に法律で局長が、単独なものがどんどん置けるようになつておるからといつて、それを予算として鵜呑みにするというようなことは一回もないのでございます。実際は殆んど事務当局は非常な激論までして、その経費の点を議論をいたしておるような次第でございまして、その点は法律があるから、直ちに予算を要求されるということは決して考えておりません。予算というものは、法律がありましても独立にそこは考えられなければならんのでありますので、その点は十分考えておりますから御了承願いたいと思うのであります。現に今数字が決まらんためにここで申上げられないのであります。数字が決まつたならば、十分私の申すことが成るほどそれぐらい努力しておるかということがお分りかと思います。只今関係筋の方に出ておりまして昨日もやり、今日もしきりにやつておるのでございますが、遅れるところだけは御了承願いたいと思います。
#23
○松村眞一郎君 私の申しますのは、法律の方を尊重して貰わなければならん。予算の方で金が足らんと云つて、折角決めても予算をすつかり削つてしまつては、法律の存在の価値がありませんから、法律の方と予算の方と十分よく意味を疏通するようにやつて頂きたいということを申上げて置く。案それ自身が非常に厖大なものであるから、このまま認められて一々局長を置かれるということは、我々は想像していない。併しながら法律を無視されては困る。その点十分に……。
#24
○國務大臣(栗栖赳夫君) それと同時に、予算の方も法律によつて無視されては困るのでありまして、両方共十分これは議論もし、練つたところを漸くその筋へ持つて行つておるような次第でありまして、その点は十分考えておりますから、よろしく一つ……。
#25
○國務大臣(鈴木義男君) 先程から承つておりました内、中川委員から総理大臣にお問いの内、お答がなかつた点を補充して置きたいと思います。第一は、最高という、下がないのに最高というのは変ではないか。これはこの役所及びこの官職に権威を持たせるために附けた形容詞でありまして、他に適当な言葉があればそれでもよろしいという程の意味を持つておるのでありますから御了承願いたいと思います。それから長官という言葉を、一番上でないのに使うのはどうかというお言葉がありましたが、これは多々例がありますので、やはり法制局長官のようなものがこの一部に入つて参りますので、今更これを局長というような言葉に直すこともいかがかということで、すべて長官ということを使つたのでありますが、併し他の役所でも、鉄道省には鉄道総局長官、海運総局長官というふうな名称で呼んでおりまするし、或いは台湾総督府には総督の下に総務長官があり、或いは興亜院総裁の下に総務長官があつたというようなわけで、必ずしも長官という言葉が最高のものでなければならんということはなかろうかと存ずるのであります。それから政務次官についてお尋ねでありました。政務次官のことはまだ実は決定しておらないのですが、官制の上では無論存在しております。この役所の建前は、政務次官というものを必ずしも予定せずに作つてあるのであります。御覧の通りでありまするが、併し現実の問題として政務次官を置くか置かないかということは、まだ確定いたしません。今後閣議において相談をした上で決めることになるというふうに御了承置きを願いたい。
 それから刑務企業を独立採算制にする気持はないか。これは私共も大蔵大臣と同じように、独立採算制にまでするつもりはないのでありますが、少くももつと能率を上げ、採算の取れる企業にして行くことが必要である。今年度も相当……今ここに数字を持つて来ておりませんが、相当厖大な利益を挙げております。相当財源を國家に御提供申上げておるつもりであります。それで一方受刑者を改過遷善すると共に、これに生産的な仕事をさせて、企業としても十分そろばんの取れるものにするということは、望ましいことと考えまして、それぞれ専門家の企業家等を顧問といたしまして、この企業の改革に努力いたしておるということを申上げまして、御諒恕願いたいのであります。
 それからこれはちよつと誤解があつては困るのでありまするが、この新らしくできる役所は、厖大なるものである。見たところは成るほど厖大でありまするが、人件費はそう割合に食わないということを私は申上げて、説明をいたしたのでありまして、関係方面と交渉の際に、そう無闇に局があつては困るのではないか、ということを私の方から申上げたところ、そんなことを遠慮するに及ばないし、又考える必要もない。こちらではデビジヨンセクシヨンと言つておるが、たつた二人でやつておるセクシヨンもある、百人でやつておるセクシヨンもある、それと同じことで、今度できる役所も局だから、何でも百人も百五十人も人員が揃わなければならんというような考え方はいかん。少しでもよろしい。こういうことを申したことを、先日私が引例として申上げたので、この局にはまさか二人で間に合う局は一つもないのでありますから、それは関係方面において、そういう説明をされたということを申上げたのでありますから、どうか誤解がないように願いたいのであります。
 それから実際問題として、兼任できまするものはいたしたいと考えておりまするが、併し予算の上ではやはりそれぞれ局長を置くという建前で、これは組まなければならんことは、当然のことでありまするから、予算に現われまするときには、そういうふうに可能であるということも一つ御承知願いたいのであります。一見厖大に見えまするが、他の役所と違いまして、現業的なものがないのであります。無論司法省の中の部局で現業的なものは、そのまま残りますが、その他の新らしくできますものは、皆ブレーンの、頭脳だけの仕事をする人たちの集りでありまして、十人、十五人、二十人等でやれる部局でありますから、人件費は決して他の役所のように沢山食わない。そういう意味において、私は予算が厖大にならないということを申上げたのでありますから、その点も松村委員におかれまして、御了承置きを願いたいのであります。
#26
○松村眞一郎君 今司法大臣はこれだけの局を設置して、一々局長を置くということでありますが、そういうことは予算の上で許されるかどうか。それは予算委員が考えることでしよう。私はそれに対してかれこれ申しません。とにかく非常に沢山の局を置いておるということは、他の官廰とは比例の取れないということを申上げたのであります。官制常識でありますから、官制常識としてこういうふうに一々局長を置くということは昔であれば通りません。今日の法制局はこういうことを極く簡単にやつておりますが。そこで問題は、人権擁護局というのはどういうことをなさるのでありますか。人権擁護と書いてございますけれども、どういう方法でおやりになることになりますか。そのスタツフはどういうものであつて、どういうところからいろいろの調査なり蒐集をされるのか。
#27
○國務大臣(鈴木義男君) お答えたいします。この人権擁護局というものは、今回この機構における最も特徴ある部局でありまして、これを立案いたしまするとき、この局に本当の新らしい法務廰の生命があるのだということを申したような次第でありまして、非常に重要性を置いておるのであります。そのやりますことは、本来からいうと、民間でやるべきことであります。新憲法におきましては基本的人権というものをこの上なく尊重いたしておるわけであります。人権を擁護すること至れり盡せりであると申してもよかろうと思うのであります。但しこれをやはり擁護する気魄を以て國民が当らなければ画に描いた餅になつてしまいますから、そこで民間において一つ大いに基本的人権を擁護するための運動なり、組織なんか拵えることを希望し、希求いたしておるのであります。幸に最近民間の有力者がお集りになりまして、殊に曾つて牢獄に投ぜられ、或いは権利を侵害された経験のあるお方々が中心となられまして、自由人権協会というものをお作りになりまして、それぞれ活動を開始せられたようなわけであります。歐米におきましては、夙にシヴイル・リバーテイス・ユニオン、人権擁護連盟とでも申しましようか、そういう種類のものがありまして、数十万からの会員を擁して活発に活動いたしておるようであります。我が國では遺憾ながら新憲法施行後まだ日も浅く、國民の意識も十分に発達しておらないから、そこで官廰方面で扱うことはむしろいかがかと思われるのでありまするけれども、これを助長し発達させると同時に、官廰独自の見解から行政各部において人権蹂躪等の事実があるのではないか、あつたならば敏活にこれを調査して現状回復を図る。或いは懲戒に付するべきものは懲戒に付する。それから民間のこの種の運動も助長するために力を貸してやる必要があろう。それから憲法上の基本的人権を絶えず擁護するように監視しておる。人身保護に関する事項とありまするのはそれでありまするが。それから貧困者の訴訟救助、刑事の方で申しますれば、貧しいために弁護人を附することのできない者には國選弁護人を附して、そうして冤罪等に陥ることのないように、擁護してやる。民事上の事件で、費用がないために正当な権利を獲得することができない虞れのある者には、訴訟救助の手を貸す。そういうふうなことをいたすのがこの部局の主たる仕事でありまして、私共はこの部局に非常な価値を置いておるということを申上げたのであります。
#28
○松村眞一郎君 この事柄に対して価値を置くということに対しては同感でありますけれども、私のお尋ねしまするのは、調査情報をどうしてお集めになるかということをお尋ねしておるのであります。その意味は、警察法と関係があるからお尋ね申上げておるのでありまして、警察法というものは個人の自由権利を保護するためにできておる法律でありますから、私はむしろその方面でやるべきものじやないか、いろいろの情報は……運動を助長するということは、これはいいでしよう。人身の保護に関する問題、これはハビアス・コルプス・アクトがありますから、そういうことはここでいろいろ御研究になることはいいと思います。併しながら平生の調査情報というようなことは、この役所ですることよりも、むしろ警察の方でやられた方が適当と考えております。警察法との関係はどういうふうにお考になつておりますか。
#29
○國務大臣(鈴木義男君) そのことも議題になつたのでありまして、警察が元のような中央集権的な組織でありまするならば、情報を警保局のようなところに集め、そうして適当な方法を取ればいいということもいわれるのでありまするが、原則としてばらばらになるわけでありまするから、自治体警察が主となるのでありまするから、どうしてもこの情報、蒐集につきましては、新らしくできる法務廰のようなものが中心になつて集める。無論警察の手を借りなければならんので、緊密なる連絡において情報は蒐集しなければならんと思いまするが、従つて公安委員会の方にも参るでありましよう。参つたならばそれを直ぐに法務廰の人権擁護局に移牒するとか、それらの組織については、今後更に細かい法令において、確立いたすつもりでありますが、緊密な連絡においてやるつもりである。こういうことを申上げておきます。
#30
○北村一男君 私、公務員法の時もお尋ねしたのでありますが、総裁は「その地位に最もふさわしい者の中から」、内閣総理大臣がこれを命ずる。公務員法の時も、後で直りましたけれども、原案では、人事官が人格が高潔で、それから能率的の運営に熟達した者とか、いろいろの條件をつけて、私はこんな資格を持つておるのは日本中にない。自分の子供に嫁、聟を迎えるのに、いい加減のところで我慢するのに、そんな一々面倒な條件をつけては、そんな人間はあるものではないということを質問しましたが、廣い日本の中だから、そんなのは一人くらいありそうなものだという、極くざつとした御答弁で、私はこれは見解の相違になりますから、それ以上お尋ねせんかつたのですが、「その地位に最もふさわしい者の中」というような字句をおつけになることは、これは、当然のことでありますが、こたをつけると、今度は地位に最もふさわしいか、ふさわしくないかという問題が起きて来るのでありますから、これは総理大臣がこれを命ずるとしても、差支えないのではないか。勿論総理大臣が選ぶには、最もふさわしい者の中から選ぶのは当然のことであります。こういうことを特におつけになるという論拠はどこにあるか。山来どうも私はこの法律を誰に読ませるかということを、いつもお尋ねするのであります。誰がためにこういう法律を作るのか。國民のために作るのならば、こんなややこしい問題が起きないように、はつきりして貰いたい。これをおつけになつたという理由は、どういうのであるか。それをお尋ねしたい。
 それから今松村委員のお尋になつた人権擁護局でありますが、今司法大臣の御説明を聞いておるというと、まだ官廰が人権を蹂躪する、そのために擁護してやる局が必要であるんだ、というような印象を私は受けるのであります。そうすると、これは一最高法務廰の問題ではなくして、政府全体の問題でありまするから、法務廰にこんなものを置かんで、内閣全体としてそういうものを矯正するような、むしろこれは政府の側にあるのでありますから、官権万能の思想がまだ抜けない政府のやり方に、人権を蹂躪することが多いのでありますから、内閣全体としてこういう制度をお考になつてはどうかと、こういうふうに考えるのでありまするが、御見解を伺いたいと思います。
#31
○國務大臣(鈴木義男君) 最初のお問に対してお答えいたしまするが、「その地位に最もふさわしい者の中から」という言葉は、なくてもよろしいわけでありまして、いやしくも或官職につく人を選びまするのに、ふさわしくない人を選ぶはずはないのでありますから、お言葉の通りでありますが、この最高法務総裁というものは、第一條にありまするような、極めて重要な仕事をいたすものでありまして、殊に検察権の行使、國の利害に関係のある争訟をいたしましたり、人権の擁護を任務とするというようなことであります。殊にそういう見地からふさわしい人を選ぶ。政治家として卓越しておるというようなことだけでなく、そういう方面に注目して先ず選ぶ。本来から言えば、國務大臣を十人なら十人、十一人なら十一人選んで、そうしてそのうち誰か適当な人を法務総裁にすればいいわけでありまするが、そういう選び方でなく、先ずこの人は法務総裁として選ぶのだ。こういう心構えを以て、そうしてその人が同時に國務大臣になるのだ。こういう建前で行くところに、他の国務大臣と違うところがあるのだ。こういうことを示す意味を以ちまして、特にこういう言い現わし方をいたした次第であります。
 それから人権擁護局、これは私の説明が少し足りなかつたと存じまするが、決して官廰だけが人権を蹂躪するのでなくして、街の暴力團とか、いろいろそういうようなものに相当いじめられておる実情にあるのでありまして、今後一日も早くこういうものがなくなる。こんな局の必要がなくなることを私共希望いたしまするが、少くも民間同士でも、やはり権利、名誉、信用等を侵害せられ、或いは侵害の脅威にさらされるというような場合もあるのでありまして、そういう検察の方は、検挙する方が専門であります。そういうものをむしろ守つてやるという方面に力を注ぎたい。そういう意味において、こういう部局の存在理由がありはせんか。先程申上げたようなことも無論ありまするが、官廰は、好んで人権を蹂躪するものではありませんけれども、事実としては、ときどきそういうことが起るということも、これは否定することができないのでありますから、絶えずこれを監視する部局がありますることは、無きにまさること万万ではないかと存ずるであります。
#32
○鈴木憲一君 私は、先程山下委員から、行刑のことについて、大蔵大臣、司法大臣に御質問がありましたが、それに続きまして、少しお尋ねしたいと思うのであります。
 先程、刑務所の生産方面やなんかに、非常に予算上も重大視されておるようなお話があつたのでありまするが、刑務所の実態は、なかなかそうでないようでありまして、現在大体見通しのつく生産をてし行く上に、非常に物資等の人手に困難を感じておるようであります。而もその生産を上げて行くために、物資を入手する等につきましては、行刑局と官房会計課との対立が非常に強いようでありまして、会計を一切賄なつて行くところの官房会計課の方では、行刑に携わつておる者が実際物資を入手しようと思いましても、会計の方で、なかなかそちらを通さなければいけない。間に合わないものであるから、刑務所におります八万人か九万人かの多勢の者に、失業させずに生産を上げて行こうというためには、相当物資を入手するために困難を感じておるようであります。
 そういうような面から考えましても、行刑の仕事というものは、今のところ、刑務所の復旧というようなことも大きな仕事であると思うのでありまするし、こういう生産面の方を考えましても、尚新らしい憲法下に労働基準法或いは警備力の充実というようなことを考えますると、刑務所に収容せられる者が現在八万人おりましても、これが倍加するというようなことも考えられるのであります。そういうような面から考えますると、今のところのやり方であつては、予算に相当数計上ができるというような、ゆるやかな考え方では、とても実際はそうなつて来ないので、刑務所が破産するのではないかというふうにまで心配されるのであります。そういうようなことから、更にもつと考えてみますると、刑務所というものは、どうも我々が見ておりますると、裁判とか検察とかということを中心主義に考てえおるようでありまして、行刑事務というようなものは、その中心主流から外れておるように思われる。そういうようなことから、常に行刑の仕事というものが重大であるにも拘わらず軽視されて、二次的に扱われておるのじやないかというふうに考えられるのであります。そういう点を今度の新らしい法務廳法案によつては、いかに刑務所の自主性というようなものが尊重されるかということについてのお考を、先ずお伺いしたいと思います。
#33
○國務大臣(鈴木義男君) そのことは昨日もお答え申した積りでありまするが、この新らしい機構におきましては、今まで行刑局保護課という一局一課でやつておりましたのを、三局にいたしましたくらいでありまして、非常に重要性を置ているのであります。そうして行く行くは、この保護と行刑とを、本にいたしまして、行く行くはではない。ここの建前は、本にした建前なんであります。そうして三つに分類したに過ぎないのでありまするが、行く行くは独立の外局として仕事をして行つて頂くようにしたい。そういう気持でおるということを昨日申上げたのであります。何故それじや直ぐやらないかと仰せられるかも知れませんが、只今は御承知のように、刑務所は、極度の戦争によつて破壊せられまして不備である。少年審判所にしても、矯正院にしても同様でありまして、今のままでこれを独立させ、そうして新らしい施設、増設、いろいろそういうことをやりまするのに、馴れない人々が直接大蔵省と交渉し、或いは政府と交渉して計画を立てて行く。こういうことは、なかなか言うべくして行うことがむずかしかろう。或程度までこれを充実さして、相当な施設を整えた上で独立させることの方が将来健全にこの事業を発達さして行く所以ではないか。こういうような気持から、暫く内局として存置させるということにいたしてあるわけでありまして、そういう点をお考え下さいますならば、御質問の、決してこれに対して重要性を置かないわけじやない。今まで確かに多少重要性を軽く扱つたということは私も認めます、けれども、今後は十分にこれに重要性を置いて、他の部局に比して、優るとも劣らない考え方を以て対して行くということを申上げたいと思います。
#34
○鈴木憲一君 只今のお話で大体分りましたですが、できるだけ早く外局として独立をせしめて、大事な行刑事務の自主性を十分に発揮さして頂きたいと思うのであります。それにつきまして、更に行刑に関係いたしまして部外の一般の者から行刑事務に対する批判、或いは意見を取入れて、刑務委員会というようなものを将来設置して行くことが、非常に行刑事務を根本的に民主化するいい方法ではないかと私は考えているのであります。この点に対する大臣の御見解はいかがでございましようか。
#35
○国務大臣(鈴木義男君) 御説の通りでありまして、鈴木委員の指摘せられますような刑務委員会というものを、明年度から中央、並びに各管区毎に設置することになつております。それから更に私の希望に基きまして、これは予算を要求しておりまするから是非御協賛願いたいと思うのでありまするが、各刑務所所在地毎に、民間の有識者を以てする行刑委員会を拵えまして、絶えず実際の行刑が正しく行われておるかどうかということを監視して頂く。又適当な忠告をして頂くように、そういう委員会を刑務所の在るところ毎に設ける。こういう気持を持つている次第であります。
#36
○鈴木憲一君 本年度の司法関係の予算を見まするというと、大体十四億、その中の六億が行刑方面の予算のようであるようでありますが、これでは非常に時節柄弱体ではないか。予算が少いのではないか。今少しこの方面を特別に重視して何か操作をして行く。予算が通つた後で、これではどうも現在の全國にあるところの刑務所関係に少いのではないかと思うのでありますが、何か外からこれを補充するような途はないものでありますか。
#37
○國務大臣(鈴木義男君) 実は刑務所の予算の足りないのは非常に悩んでいるのでありまして、この間も追加予算におきまして、三億五千万円程要求いたしたのであります。それでないとどうしても過剰拘禁の状態を緩和することができない。又戦争によつて受けた打撃を回復することができない。併し國家財政の現状は到底そういう大きな金額を支出することはできんからということで、僅かに最初は二千万円だけお認めになつて、私が決死的な御要求をいたしました結果、辛うじて七千万円に殖やしていただきまして、更に七千万円、合計一億四千万円だけはとにかく臨時的に刑務所を増築するために何とか捻出しようという言質を大蔵大臣から得たような次第であります。私共理想からいえば、もつと厖大きいことを希望いたしますが、明年度の予算においては是非もつと殖やして行きたいということを固く決意いたしておりまするが、今のところ具体的数字は、どの程度まで上るかということについてはちよつと申上げ兼ねますけれども、そういう気持だけは持つているということを申上げておきます。
#38
○齋武雄君 最高法務廳は現在においては極めて必要な重要な職であると私は考えているのであります。何故そうかというに、政府は憲法の解釈を統一する必要がある。それから國家賠償の制定によつて今後訴訟事件は起こるのじやないか。こういうふうにも考えるのであります。又先程から問題になつております人権擁護局というものは基本人権の尊重から見て極めて必要な局でありまして、こういう観点からこの最高法務廳というのは極めて必要な官廳であると考えているのであります。先程予算のことで問題になつたのでありますが、私はこの法務廳ができても予算の上に、予算を破壊するような厖大なものではないと考えているのであります。それは何故かというに、司法省の予算或いは法制司の予算、又は内閣の一部の仕事、内務省の一部の予算がこの方に廻ると考えているので、健全財政を破壊するようなものにまで至らんじやないか。こういうふうに考えているのであります。ただこういうことを憂うるのでありますが、予算の関係でこの最高法務廳が弱体化することを惧れているのであります。有名無実になることを惧れているのでありまして、私は最高法務廳は強力なものにして貰いたい。こういう考を持つているのでありまして、若し他の関係において緊縮されることがあるならば、それらの予算も法務廳の方に廻わして貰つて弱体化せないようにして貰いたいという考を持つているのであります。有名無実にならんように御配慮を願いたいと思うのでありますが、この点に関する司法大臣の御意見を承わりたいのであります。
#39
○國務大臣(鈴木義男君) 誠に理解あるご質問で全く同感であります。折角このよい行政廳を作りまして、佛作つて魂入れずというようなことになることは非常に残念だと思うのでありまして、是非國家財政の許す限度内において充実させたいということは政府として希望しておるところでありますが、実際問題としては、そんなに現在では予算より殖えるものではないのでありまして、仰せらるる通り司法省の旧予算、それから法制局の予算、内務省の調査局の予算、そういうものを、或いは将来、ここに齋藤國務大臣もお見えになつておりますが、行政調査部の仕事なども将来は譲り受けるようなことになるかも知れないのでありますが、そういう場合には、それの予算も結局は國家として使つておつたものが譲渡されるわけでありまして、そう新らしい予算を組むということは殆んどないのであります。ただ法務局だけであります。これは訴訟の世話をするだけでありまして、費用を沢山食う筈はないのであります。そういう意味において、そんなに厖大だ厖大だというお言葉で恐縮でありまするが、今までの財政負担を非常に殖やすというような虞れはないと信じておる次第であります。
#40
○委員長(下條康麿君) 中川君、斎藤國務大臣お見えですが……。
#41
○中川幸平君 大体の質問は済みましたけれども、折角ですからちよつとこの最高法務廳の設置法案が提案されましたが、無論司法省の立案であろうと存じまするが、各般の行政機構と睨み合わして、行政調査部でこれを審議されてあるかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。と申しますることは、独立した一省ができますと、役人根性というか、どういうか知りませんが、どうしても幾つかの局がなければ物足りないというようなふうに思えるのであります。又局ができますと、その下に幾つかの課が、二つや三つの課ではどうも物足りないというような行き方になつておるのでありまして、先般の労働省の設置にみましても、少年婦人局とか、調査局とかいう局を特に拵えて、その下に又幾つかの課を設ける。この法務廳の設置法案をみまして、長官という名前をおかしいということを申上げたのもそこにあるのでありまして、長官という名前の下には幾つかの局がなくてはいかない。その局ができるというと、又その下に幾つかの課を拵えるというようなことで、非常に厖大なように見えるし、又現司法大臣はさような心構えでおつしやりますが、こういう工合にちやんと官制ができますると、今後その長官の下に局を二つやそこらじや少ない、もう一つなんか局を拵えようじやないか、というようなことになりやせんかということを考えて、この長官という名前がおかしいのじやないかということを申しておつたような次第でありまして、これらの点につきまして行政調査を担当されております齋藤國務大臣のご意見をお伺いしたいと、こう思つておつたのでありまして、これだけお伺いいたします。
#42
○國務大臣(齋藤隆夫君) 行政調査部は昨年の十二月の初めに発足いたしまして、行政調査部の使命に基きまして、行政機構の改革と、公務員制度の確立並びにその運用ということについて、これまでいろいろ研究して参つておりまするが、この最高法務廳のことにつきましては、実は行政調査部は関係しておりません。これはいろいろの事情がありまして、すべてこういうような行政機構の改革は、悉く行政調査部でやるというようなわけのものではないのでありまして、行政調査部を離れまして、ほかの関係からして行政機構の改革が現われて来ることもあります。例えば内務省の解体のごときも、これも行政調査部でも相当に研究をいたしましたけれども、行政調査部ばかりでやつているのでなくして、他の関係からそういうことが現れたのでありまして、すべてのことについて、調査部が関係しておるという実情にはなつておりませんのであります。政府の方からして、こういうことを調査しろという命令がありますというと、その命令に基いていろいろ内外の制度を調査研究して、それに又伴うて具体案も拵えております。議会に出したものもありまするし、これからして又出そうとしておるものもあるのでありまするが。お尋ねのこの法務廳のことにつきましては、行政調査部は関係しておりませんからして、そういうことを御了承願います。
#43
○委員長(下條康麿君) ちよつとお諮り申上げますが、決算司法連合委員会はこの程度に止めて置きまして、若し司法委員のお方で修正する御意見があります方は、今日中に委員長まで御意見を御提出願いたいと思います。そうして決算委員会におきましては、そのお方は御出席頂きまして御意見をお願いいたしたいと思います。
#44
○松村眞一郎君 私はまだ重大なる質問が残つておるのですが、修正案に入る前に、内閣法との問題でお伺いしたいのですが……。
#45
○委員長(下條康麿君) 今なさつたらどうですか。
#46
○松村眞一郎君 それではお尋ねいたしますが、最高法務廳はどこに置くということが書いてありませんが、これは内閣に置くのでしよう。法務廳の方は書いてない。総裁は内閣に置くわけです。法務廳はむろん内閣に置くことは当然と思いますが、そうでしよう。
#47
○政府委員(佐藤達夫君) おつしやる通りに考えております。
#48
○松村眞一郎君 そこで伺いますが、「内閣官僚第十二條について」と、どうしてお書きにならんのですか。「内閣に内閣官房及び法制局を置く」とありますが、内閣に置くならば、なぜ「内閣に法務廳を置く」とお書きにならんか。お書きになつてもいいじやないですか。その意味は、昨日のお話では、臨時のようなものは別に書くのが本当だけれども、併せて書いたという御議論をしておられるのでありますから、それであるならば、内閣に置くものは総て内閣官制にお決めになつたらいかがですか。
#49
○政府委員(佐藤達夫君) この内閣法十二條に丁度御指摘のように官房及び法制局云々の條項がございますが、まあ我々の気持では既に御説明申上げましたところによつても御推測ができると思いますが、ここにいう内閣官房、法制局というようなものよりも、何と申しますか、この法務廳、法務総裁というものは、もう少し大きなものというふうに考えるわけであります。内閣法に繋がりを求めますとすれば、この十二條の末項でありますが、「内閣官房及び法制局の外、内閣に、別に法律の定めるところにより、必要な機関を置き」という條項がございますが、まあ強いて申上げますれば、その方に引つ掛りのあるものと考えます。
#50
○松村眞一郎君 少し大きいからというのでは意味をなさんと思います。私の伺うのはこの法務廳というものは、内閣の外局であるか、内局であるかということを伺うのですが、内局ですか、外局ですか、
#51
○政府委員(佐藤達夫君) この内閣にと申しておりますそもそもの第一條の趣旨ということに相成ると存じますが、まあ本来の趣旨はこの法務総裁が各省全般に亘る総括的の仕事をするという意味で、内閣に直結して置かれるものである。この内閣と申しますのは申すまでもありませんが、行政部の最高の機関としての内閣というのを言つておるわけでありますが、その最高の機関としての、即ち会議体をなすところの行政機関である。内閣に直結をするものであるということを言つておりますのと、それからもう一つは、内閣と横に対立するものではない。やはり政府部内の機構としてあるのであるというようなことを言つておるわけであります。この外局なりや内局なりやということになつて参りますというと、実はこの内閣というその会議体そのものが、先程申しましたように行政部の一番首脳の地位にあるわけでありまするから、見方によりましては、例えば各省というようなものも、いわゆるキヤビネツトである内閣から見た外局なりや内局なりやという観点からの一つの論議の対象になり得るようにも思うのであります。今までの、元の考え方におきまする内閣というものと、今度の憲法によります内閣、或いは内閣法によります内閣というものと、ここのところに少し感じの問題になるかも知れませんが、少し違つた事情があるのじやないかというふうに考えますので、外局であるか内局であるかと申しますよりも、内閣に直結する機関であるというふに申上げるのが一番間違のないところではあるまいかというふうに考えております。
#52
○松村眞一郎君 極めて曖昧で、何のことだか分りません。そういうことを伺つておるのではなく、内か外かということを伺つておるのです。その意味は、他の官廳におきましては、外局と内局ということは、はつきり分つておるのです。内閣に置くという場合には内局になつてしまう。内閣総理大臣の監督に属するというのならば外局になるわけです。それを言つておるのです。どういうことになるかというと、この内閣総理大臣に直属するものは総裁でしよう。その下に法制局長官がおりますが、それでは伺いますが、今度できる法制局長官の本属長官は誰なんですか。
#53
○政府委員(佐藤達夫君) 直接の本属長官は最高法務総裁ということになります。最高法務総裁の輔佐機関でありますから……。
#54
○松村眞一郎君 それでありますというと外局であります。総裁は総理大臣に直属ですか。総裁は総理大臣の輔佐機関でありますか。
#55
○政府委員(佐藤達夫君) この外局、内局という観点が、我々の今までの気持から申しますというと、例えば総理廳、即ち総理大臣の機関でございますところの総理廳というものを押え、或いは各省というものを押えると申す場合に、今まで実は外局というものと、内局というものというふうに区別しておつたのであります。例えば統計局、恩給局が総理廳の内局、或いは戦災復興院が総理廳の外局、これは松村委員只今の仰せになる通りでありますが、この新らしい内閣法によります内閣というものを押えて、内局であるか、外局であるかということは、少し今までの考え方の尺度から申しますというと、新らしい問題に属するのではないかという気持がいたします。これは松村委員によくお分り願えることと思うのでありますが。そこで今度の法務総裁というものは内閣直結の、言い換えれば今あります法制局的の面が主でありましよう。併しそれに合わせまして司法省的の面も合わせて持つておるわけであります。その点は曖昧と仰せられれば誠に曖昧という外はないかも存じませんけれども、特殊な新らしい型の、ここに役所ができたというふうに御了解願う外はないのではないかと考えております。
#56
○松村眞一郎君 そういう新らしいといつても意味をなさんと思います。そういう御答弁では……。この第十二條ではこの内閣の中に置くということは明瞭であります。例えば今度の案の第十三條を御覧になりましても、「法務廳の職員及び廳外機関」ということがあります。廳の内外ということがあるわけです。廳について内外ということがあります。そうすると内閣もそうです。どういう意味かと申しますと、例えば農林省に現在農務局というものがあつて、別に食糧管理局というものがあります。食糧管理局は外局であることは誰でも分つておる。官制上……。その場合は本属長官は勿論大臣でありますけれども、次官に直接の関係はありません。専賣局は局というけれども、大蔵大臣省の外局であります。新らしい古いでなくて、現在はそうであります。新らしくも古くもない。現在大蔵省には主税局というものもあれば、外に専賣局というものもある。専賣局は外局である。その観念はやはりここに持つて来なければならん。最高法務廳というものは専賣局の性質であるか、主税局の性質であるかということを伺うのであります。
#57
○政府委員(佐藤達夫君) この内閣法によります内閣という、これは役所と申上げてよいと思いますが、この内閣という組織体はこれは申すまでもありません。総理大臣及び國務大臣のみから成り立つておる機関であります。でありますから、総理大臣、國務大臣から成り立つておるその機関の中に割り込んでの別の組織体というものは一應考えないわけであります。そういう機関にくつつくものとして、即ち直属するものとして内閣官房と法制局が繋がつて来るということになります。でありますからして、むしろ今までの考え方から申しますというと、強いて言えば外局的なものに近いということになろうかと考えておりますけれども、内閣官房なり法制局というものは、内閣の中に割込んでおるものでなくて、内閣に直結しておる瘤のような輔佐機関であるということになります。今度の法務廳、法務総裁は、むしろそれに近い性格を持つ、それから先程のと合せて司法省的の性格を持つということになります。
#58
○松村眞一郎君 答弁明確でないということを申上げて置きます。これ以上言つても分りませんから……外局であるか内局であるかということを聴いておる。内でも外でもないということであつては……現在すでにあるんです。大蔵省にある、今申しました通りに……。それと同じように考をしなければならないから言つておるのでありますが、それでは内閣法の第八條の、「行政各部の処分又は命令を中止せしめ、内閣の処置を待つことができる。」という内閣法の適用はどうなるのでありますか。法務廳において、法務廳のなした処分を中止せしめなければならん場合に、総理大臣に直属しておれば、自分が自分に命令することになるんですが、どうですか。
#59
○政府委員(佐藤達夫君) 八條の「行政各部」の中には、法制局も「行政各部」として入つておりましようし、司法省も入つております。この法務廳の如きも「行政各部」という中へ入るものと考えます。
#60
○松村眞一郎君 そうしますと、自分が自分に命令するんですか、内閣総理大臣は「内閣の処置を待つことができる。」これは内閣に直結しておるということでしよう。直結しておるものが間違つた処分をした、内閣は内閣の処置を待つということはどういうことになりますか。
#61
○政府委員(佐藤達夫君) これは、例えば例で申しますと、内閣総理大臣の輔佐機関として総理廳というものがございますが、総理廳の処分については、やはり八條が適用になつて来るわけであります。この内閣の処置というのは、いわゆる会議体としての内閣の処置を待つということになりますから、ここで内閣総理大臣が中止させる、内閣総理大臣は、一個の内閣総理大臣おちう國家機関であります。処置を待つ、処置をして呉れるのは内閣という、先程申しました会議体の機関ということで、立場は違うわけでありますから、筋はそれで通るものと考えます。
#62
○松村眞一郎君 中止せしめるということは、内閣総理大臣は、内閣総理大臣に中止せしめるんですか、それは会議体ではありません。この「行政各部の処分又は命令」というのは今度の法務廳がやるんです。法務廳に対して総理大臣が命令するんですか。
#63
○政府委員(佐藤達夫君) ちよつとその前提が私の申上げることとちよと食い違つておるのでありますが、この法務総裁は内閣総理大臣に直結するというよりも、法務総裁が内閣という機関に直結しておるのでありまして、別に総理大臣に直結しておるということにはならないわけであります。丁度農林省というものは総理大臣に直結しておるというよりも、内閣に直結しておるというふうに我々考えております。これは内閣に直結しておるのである。制度としてはそうなつておると考えております。
#64
○松村眞一郎君 それでは第八條の解釈が、最高法務廳は行政各部となると、そう承つて置けばよろしいのですか。
#65
○政府委員(佐藤達夫君) さように考えております。
#66
○松村眞一郎君 それでは次に伺いますが、案の第二條で、最高法務廳で最高法務廳令というものを出す場合に、どういう肩書で出すのですか。例えば今司法省令をお出しになるというと、司法大臣と書いて出すわけですね。今度はどういう肩書でお出しになるのですか。
#67
○政府委員(佐藤達夫君) 最高法務総裁という肩書で出すことになると思います。
#68
○松村眞一郎君 それではどういうことになるのですか。最高法務総裁が出すのではなくて、「最高法務総裁たる國務大臣は、内閣法にいう主任大臣とする。」ということになつておるので、主任大臣として出すわけですね。
#69
○政府委員(佐藤達夫君) 丁度司法大臣が内閣法にいう主任大臣として司法省令を出すというのと、その点は同じことになると考えております。
#70
○松村眞一郎君 そうしますというと、この原案の解釈は、法務総裁は主任大臣となると、こういう意味ですね。法務総裁が主任大臣になるのであるか。法務総裁たる國務大臣が主任大臣になるとここに書いてある。この條文を見ると、法務総裁たる國務大臣が主任大臣になるのであつて、法務総裁がなるのではないのです。
#71
○政府委員(佐藤達夫君) 只今の、司法大臣たる國務大臣が、内閣法にいう主任の大臣であるのと結局同じことであると、こういうふうに考えております。
#72
○松村眞一郎君 それであれば、省令をお出しになるときには國務大臣としてお出しにならんといかんでしよう。私の考では、この書き方であれば、法務総裁、國務大臣と書いて出すべきものだと思うのです。
#73
○政府委員(佐藤達夫君) この法務廳令の方の問題は、行政官廳法の四條乃至七條の関係のこと、即ちこれは第六條の関係のことでありまして、行政官廳法の規定しております部面は、國務大臣たる面でなくて、各省大臣たる面を押えて、この官廳法自身ができておるわけでございます。従つて官廳法の関係においては、裏のその人が國務大臣であるというその面を使いませんで、表に衣を着ておりますところの司法大臣なり、農林大臣なりという面を押えておりますから、省令の場合は、やはり農林大臣という各省大臣たる名前で出すということになるわけです。それを今度法務総裁の方に準用しておりますから、先程お答えしましたように、法務廳令については、法務総裁というのが表に出て来るということになるわけです。
#74
○松村眞一郎君 議論になりますから申上げませんが、法務総裁たる國務大臣が主任大臣になるのでありまして、法務総裁が主任大臣になるとは書いてないのです。この案がそう書いてあるのですから、これはよく御覧になつたらお分りでしよう。法務総裁が主任大臣になるのではなくて、法務総裁たる國務大臣が主任大臣になるのです。主任大臣は國務大臣がなるのです。法務総裁と國務大臣とは別な人なんです。ただ法務総裁は國務大臣でなければならないということになつておるのであつて、主任大臣になるのは法務総裁がなるのではないのです。法務総裁たる國務大臣が主任大臣となると書いてある。だから主任大臣として廳令を出すのならば、國務大臣として署名をなさるのが、私は当然だと思います。私がここで議論をしておるのは、まだ後に議論の余地があるから申上げておるのです。結論を申上げますと、だから法務廳というのを止めて、法務省になさいという、こういう議論なんです。そうすると問題がすつかり綺麗になる。こういうことなんです。私の結論を早く申上げると、こういうことにしておるから面倒なんで、最高法務廳ということを止めて、法務省ということにしようじやありませんか。それで私は修正案の理由を申上げております。
#75
○政府委員(佐藤達夫君) 恐らくそういう御趣旨だろうと思つておるのでありまするが、お話のように簡単に法務省としてしまえば、「最高法務総裁たる國務大臣は、内閣法にいう主任の大臣とする。」とか、『「最高法務廳令」と読み替えるものとする。』というような必要もありません。これはよく分るのであります。主任大臣を法務大臣とし、或いは法務省とするとかしないとかいうことは、これは又別の角度から十分御説明しなければならんこであると思つておるわけであります。
#76
○松村眞一郎君 その次は検察長官の問題でありますが、私は司法大臣に、検察長官という名前は甚だおかしいと申上げたのであります。なぜかというと、これは申上げるまでもなく、検察廳法の中に、「検察官は、云々」ということがありまして、その中には、検察長官というものは勿論ありません。後からできたからないというのではなくて、この検察長官は検察官ではないということを御説明されておる。総裁自身も、検察官ではない。検察官でない者を検察長官と言うのは、どうしてもおかしい。これは組織をなんとか変えなければいかん。総理大臣としては、御相談になるわけですが、何か良い名前があれば変えようじやありませんかということでございますから、檢察長官が一番間違いなんですから、どんな名前を附けましても、檢察長官という名前よりはよいことになります。だからなんと書いてよいか分らんから、監察長官ということを提案いたします。その意味は、檢察長官という長を取れば、檢察長官という長を取れば、檢察官になるのですが、檢察官ではないということを言つておられるし、憲法にも、檢察官というものは最高裁判所の命令を受けることになつておる。今度の総裁というものは、その命令を受けるつもりじやないのです。だからやはりこれは檢察長官という名前は止めて頂きたい。私は監察長官という提案をいたします。
#77
○委員長(下條康麿君) 松村委員に御相談いたしますが、まだ御質問ありますか。
#78
○松村眞一郎君 それから尚私はここに補足して置きますが、先程いろいろ、矯正総務局、成人矯正局、少年矯正局ということで申しましたが、私の趣旨はこういうことであるということを司法大臣に御了解願いたい。ただ局を羅列しまして、一人や二人の係官をお置きになる局をお作りになるよりも、一局であつても十分充実して貰いたいということが私の趣旨であるということを申上げたい。ただ看板だけ掲げましても、こんな局は要らんじやないかということで廃止される原因になる。そいう意味であるということを御了解願いたい。一人くらいの局を置いたつて仕様がないということで、むしろ廃止される虞れがあるから、看板ばかり廣くするよりも内容を充実して頂きたいというのが私の意味なんです。そうしないというと、先だつてから議論があるのであつて、この法務廳の内容はどこにあるかというと、行政事務にある。私は行政事務に重点を置いて、從來の民事局、刑事局、行刑局が中心になつてこの仕事は進んで行かなければならん。即ち行政各部として充実したものとしなければならんというのが私の要点なんです。ここに、「最高法務総裁は、法律問題に関する政府の最高顧問として、内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し、意見を述べ、又は勧告する。」とあるのでありますが、これは御承知のごとく、弁護士の仕事なんです。大臣は、アトーネイということを言うておりますが、アトーネイということは、弁護士ということなんでありまして、憲法の英訳を見ても、アトーネイということを書いてあります。それでありますから、弁護士というものは、どこの國でも、プラクテイシヤン、実務者でありますから、これは研究する人ではない。研究をするというのは、いわゆる法制局で研究するのであつて、アトーネイというのは実際問題を取扱う人間であるのですから、それは仕事の要点ではない。むしろそういうことよりも、行政事務を充実して頂きたいというのが要点でありますから、徒に局を羅列するよりも、内容を取つて頂きたい。そうしてこの行刑の実を挙げて頂きたいというのが私の要点であります。こういうようなものを見ますと、世間は誤解して、非常に厖大なものを作つたように考えます。局長ばかりにお取りになつても何にもならんということを言うのです。それでありますから、大蔵大臣に対して、予算について考えて頂きたいということが、そういうところになつて要点を外れたことになる虞れがあるということが、私の非常な心配なんです。それですから、私はむしろこの局の数を減らして、ひよつと見るというと、そう厖大なものでないということになつて、内容を充実したことにせんと、一人や二人の、お話のあつたような局では、先程申したような、逆の結果になるということを心配するのです。ちよつと見ますと、何というこれは大きな局を作つたのだろう。お役所を作つたのだろうとどうしても考えます。一番つまらないのです。そうして得るところは非常に少い。それが私の要点であるということをよく御了承願いたい。
 それともう一つは、デパートメントという字はいけないということを大臣はいわれたが、アメリカの司法省なんです、司法省は何というかというと、デパートメント・オブ・ジヤステイスですから、これを法務省とされてもちつとも差支ない。アメリカがそうです。最高という字を附ける必要もなければ、法務省とされれば、即ちデパートメント・オブ・ジヤステイスという字を日本語に訳した場合には法務省と訳して一向差支ない。そういう意味でありますから、これから結論を申しますと、これは法務省と改むべきである、すべての問題はそれで明瞭に解決される、それでさつきの法制局長官と問答をしました第四章の如き問題は、法務省とやつて置けば法務省は外局というよりすべての行政各部になります。非常に観念も明確であるし、省令を出すときは止むを得ませんから法務総裁という名前が必要ならば、私の案は法務総裁國務大臣何某と書けばいいと思います。何ら疑がない。ただ私の遺憾に考えるのは、これは法制局というものが、非常にこれでは局の名前が羅列されたのであつて、私の先程申しました空のものになるという虞れがあると思う。私が非常に心配するのは、法制局こそ外局にしたい。從來は法制局は内閣の職員ではない。法制局長官というものは非常な力を持つておつた。今度法制局というものは一局、二局と非常に看板ばかり大きくなつて、その実質は非常に下なものになつてしまつておる。現在内閣総理大臣に直属しておるのが、今度は法務総裁の下についてしまう。看板ばかり大きくて内容が充実しなくなるという虞れを持つておるのでありまして、私の本心からいいますと、法制局、調査局をやはり内閣に残して置きたい。そうして法制局は外局にして、法制局長官というものを別に置いて、それを充実して行く。これは内閣全体に亘るすべての役所に関係する問題です。それで行刑局、民事局從來の刑事局というものは行政各部に当るものでありますから、それはやはり大臣を置いて、私が先程質問しておる政務次官を置かないといけません。
 この省には元政務次官があつたのですから、私は省にして、やはり政務次官を置いて、中を充実して貰いたいというのが要点であります。法制局と調査局は内閣に置いて、それをもつと大きくなさい。法制局長官は昔の法制局長官にならなければいかん。私はそれを憂うるが故に、ここに質問なり、意見を申しておるのであつて、その意味において修正案を出します。私は法務省としてやりたい。若しこれを練り直されるならば私はそういうふうに改めたい。会期切迫の際で決算委員長は非常に急いでおられるようであるが、こういうものは急ぐ必要はない。もう少し練つて良いものにしたい。そうして内閣の法制局として充実したい。むしろ法制局総裁を置いていい。そうしてこの方は法務省にして、今申したように内を充実して頂きたい。矯正局というものは一つでいい、中に沢山の人を置いて、そうして予算をその方で取ればいい、そういうことが私の質問の要点であり意見の要点でありますから、その趣旨において修正案を出します。それだけ申上げて置きます。
#79
○委員長(下條康麿君) それでは松村さん明日午後一時から決算委員会を開きますから御出席、御提案を願いたいと思います。
 それではこれで連合委員会を閉じて散会いたします。
   午後零時三十五分散会
 出席者は左の通り。
  決算委員
   委員長
           下條 康麿君
   理事
           西山 龜七君
   委員
           岩崎正三郎君
           今泉 政喜君
           北村 一男君
           中川 幸平君
           谷口弥三郎君
           平野善治郎君
           深川タマヱ君
           小野  哲君
           鈴木 憲一君
           千田  正君
  司法委員
   理事      鈴木 安孝君
   委員
           齋  武雄君
          大野木秀次郎君
           奥 主一郎君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
           岡部  常君
           松村眞一郎君
           山下 義信君
  國務大臣
   総 理 大 臣 片山  哲君
   大 蔵 大 臣 栗栖 赳夫君
   司 法 大 臣 鈴木 義男君
   國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局次長   井手 成三君
   司 法 次 官 佐藤 藤佐君
   司法事務官
   (民事局長)  奧野 健一君
ソース: 国立国会図書館
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