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1947/11/20 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第5号
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1947/11/20 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第5号

#1
第001回国会 通信委員会 第5号
  付託事件
○電話増設に関する陳情(第百九十七
 号)
○「教育振興」特殊郵便切手発行に関
 する請願(第二百四十号)
○特定郵便局廃止に関する陳情(第三
 百七十五号)
○大多喜、千葉及び大原間直通電話線
 架設に関する陳情(第四百七十六
 号)
○北海道富良野郵便局を普通局に昇格
 することに関する請願(第三百八十
 八号)
○郵便法案(内閣送付)
○會津高田駅前に郵便局を設置するこ
 とに関する請願(第四百二十八号)
○栃木縣佐野郵便局の電話局舎新築並
 びに交換方式改善等に関する請願
 (第四百六十六号)
○郵便貯金法案(内閣提出)
○岡山縣勝田郡豐田村に豐澤郵便局を
 設置することに関する請願(第四百
 八十四号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月二十日(木曜日)
   午後一時十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○郵便法案
○郵便貯金法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(深水六郎君) それでは只今から通信委員会を開きます。前回に引続きまして政府の方からの御説明をお伺いして、そうして質疑に入りたいと思います。
#3
○政府委員(小笠原光壽君) 第六章損害賠償のところから御説明を申上げたいと思います。第六章の損害賠償の章は郵便の取扱に関しまして一般の民法の損害賠償責任に対しまして特別の規定を設けておる次第でございます。何分にも多数の郵便物を常時時扱いますことと、又成るべく低廉な料金で、成るべく少い経費を以て郵便事業を運営いたします必要の上から、或る程度一般の損害賠償の原則に対しまして制限を設けておる次第でございます。この第六章の規定は國家賠償法の第五條のその他の法律の規定に該当するものと解釈いたしておる次第でございます。
 即ち第六十八條は損害賠償の事由及び金額を特定いたしておるのであります。損害賠償をいたします事由は、「この法律又はこの法律に基く省令の規定に從つて差し出された郵便物」即ち正規によりまして取扱うところの郵便物が次の二つの場合に該当する場合に限りましてその損害を賠償することといたしました。それ以外の場合は一切損害を賠償しないという規定でございます。その二つの場合の一つは、「書留又は保險扱とした郵便物の全部若しくは一部を亡失し、又はき損したとき。」二は「引換金を取り立てないで代金引換とした郵便物を交付したとき」、これらの場合において賠償金額も亦この法律の規定によりまして特定するのでございます。即ち書留とした郵便物の全部若しくは一部を亡失し、又は毀損したときは百円、但し実損額が百円未滿であるときは、その実損額を賠償する。保險扱とした郵便物の全部を亡失したときは、保險扱の取扱を請求されました際に、公衆から申出されました損害要償額の分だけを賠償いたします。保險扱とした郵便物の全部若しくは一部を毀損し、又はその一部を亡失したときは損害要償額を限度とする実損額を賠償いたすのでございます。この点は訂正書が多分今日お手許に参つておると思いますが、「損害要償額と残存價格との差額」とありますのを、「損害要償額を限度とする実損額」というように御訂正を願いたいと思います。それから引換金を取立てないで代金引換とした郵便物を交付しました場合は勿論引換金を賠償いたします。以上が損害賠償をいたします事由並に金額でございますが、尚第六十九條の規定によりまして、損害が差出人若しくは受取人の過失、当該郵便物の性質若しくは欠陷又は不可抗力に因つて生じたものでありますときは六十八條の規定に拘わらず、その損害を賠償しないという免責の規定を設けたのでございます。
 六十九條の規定は大体現行の通りでございます。
 七十條は無損害の推定に関する規定でございまして、郵便物を交付いたします際に外部に破損の跡がなく、且つ重量に変りがないときは損害がないものと推定いたすのであります。現行法におきましては、郵便法の三十四條によりまして、この場合においては損害のないものとみなされておるのでございますけれども、新らしい法案におきましては損害がないものと推定することにいたしまして、若し反証があります場合には、勿論その証拠によりまして、実際に損害がある場合には損害を賠償する趣旨でございます。
 七十一條は損害の檢査、七十二條は郵便物受取に因る損害賠償請求権の消滅、七十三條は損害賠償の請求権者、七十四條は損害賠償を請求することができる期間、七十五條は損害賠償後の郵便物発見に関する規定でございますが、これらは大体現行と概ね同様でございます。
 第七章は罰則でございまして、七十六條は郵便事業の独占を紊す罪でございます。これは現行法の四十一條に照應するものでございます。現行法におきましては三年以下の懲役及び千円以下の罰金ということになつておりますが、新らしい法案におきましては三年以下の懲役又は一万円以下の罰金ということにいたしております。これは一般の刑罰規定の通例に倣いまして体刑と罰金刑とを選択するように規定いたしたのでございます。二項、三項は現行法にはないのでございますが、一般の経済関係の規定でありますとか、或いは最近で申しますれば、労働基準法の例に倣いまして、郵便事業の独占を紊すということは非常に重大な問題でございますので、特に法人に関する両罰規定を新らしく設けた次第でございます。
 七十七條の郵便物を開く等の罪、七十八條の郵便用物件を損傷する等の罪七十九條の郵便物の取扱をしない等の罪、八十條の信書の祕密を侵す罪、これいずれも現行法と同樣でございます。ただ八十條の信書の祕密を侵す罪におきましては、現行法では郵便法の四十四條第三項に、「本條ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ズ」ということにいたしまして、即ちいわゆる親告罪になつておるのでございますが、新らしい法案におきましては特にこの親告罪の規定を取ることにいたしました。新らしい憲法が信書の祕密を特に強調しております点、又郵便事業の信用を保護する必要から考えまして、又多くの場合におきまして被害者が知らない場合が多いという関係も合せ考慮いたしまして、この親告罪の規定を取ることにいたしたのでございます。
 第八十一條は、郵便禁制品を差出す罪でございます。これは表現が多少変つておりますが、大体趣旨といたしますところは現行郵便法の四十六條と同樣でございます。
 第八十二條は、現行法においては省令の第五十一條で百円以下の罰金を規定いたしておるのでございますが、新らしい法案におきましては、固より法律事項でございまして、法律に挙げますると同時に、その次の八十三條との権衡を考慮いたしまして、罰金額を三千円以下に改めたのでございます。第八十三條の料金を免かれる罪、第八十四條の切手類を僞造する等の罪、第八十五條の未遂罪及び予備罪に関する規定はいずれも大体現行法と同樣であります。
 それから附則について御説明申上げます。八十六條の第一項は特に御説明申上げる程のこともないのでございまして、この法律案が成立いたしますれば來年の一月一日から施行するのでございます。ただこの中で第十條の規定に関しましては、先般御説明申上げましたように、郵便物の運送に関する法律を次の國会に提出いたす予定でございますので、この第十條はその郵便物の運送に関する法律と同時に施行する予定でございますので、それまではこの規定は、その施行を延期いたしました。從つて第十條の規定の施行期日は特に政令でこれを定めることにいたしました。但しその期日は昭和二十三年の四月一日以前でなければならないという期限を明示いたしたのでございます。
 八十七條は現行郵便法を廃止する規定でございます。
 八十八條、八十九條、これは経過規定として当然の規定でございます。
 第九十條は只今申上げましたこの法案の第十條の規定が施行を延期されますのと表裏をいたしまして、現行郵便法第三條の運送営業者の運送義務の規定を、その間効力を特に存続せしめる必要がありますので、第九十條の規定を置いたのでございます。
 第九十一條は、過日御説明申上げましたように、現在認可を受けて郵便切手等の賣捌きをしております者を、この郵便法の三十三條に規定する、法律の定める賣捌き人とみなすことにいたしたのでございます。
 第九十二條は罰則に関しての経過規定でございます。特にこの括弧内の、「第九十條の場合には、同條の規定により旧法第三條の規定がそう効力を有する間」というのは、只今御説明申上げました運送営業者の運送義務に関する規定に対應するところの罰則の規定を、これ亦この新らしい法律におきましては差向きその運送義務違反の問題に関する罰則を規定いたしておりませんので、いずれそれは郵便物の運送に関する法律が制定せられます際に、合せてこの運送義務違反の罰則を考慮いたす予定でございますので、その間においては現行郵便法による運送義務違反の罰則の効力を存続せしむる意味において、この括弧の規定があるのでございます。
#4
○委員長(深水六郎君) 各條文の御説明は終つた次第でございますが、何か御質疑がございますならばこの機会にお願いいたします。
#5
○井上なつゑ君 只今お話にありました第六十八條の損害賠償のことでありますが、私ちつとも分りませんのでございますけれども、二項の一号で「書留とした郵便物の全部若しくは一部を亡失し、又はき損したとき百円」と書いてございますけれども、これは内容の沢山の金額でも入つてありますれば、どうなるのでございましようか。お伺いいたします。
#6
○政府委員(小笠原光壽君) 書留郵便物の全部若しくは一部を亡失し又は毀損いたしました場合は、たとえ書留郵便物の内容がいかに高價なものでございましても、損害賠償はその百円を限度とするのでございます。從いまして、利用者の方が高價のものを送ります場合に、万一なくなつて非常な損害を受ける虞れがあり、何とかしてその損害を最惡の場合においても最少限度に止めたいと思います場合は、保險扱にいたして頂きたいのであります。保險扱にいたしますと、損害賠償額の限度は五千円まででございますから、若し仮りに五千円の保險扱とした郵便物の全部亡失いたしました場合は、それが六十九條の規定によつて免責になる場合でなければ、五千円の損害賠償をお支拂いいたすわけでございます。
#7
○新谷寅三郎君 私もその損害賠償の一群の條文について二三お尋ねしたいのですが、前回逓信大臣御出席のときにお伺いしたのでありますが、はつきりと御回答がなかつたのであります。國家賠償法との関係ですが、今お話のように、郵便法関係の損害賠償については、國家賠償法の適用がない。第五條に該当するものだ。これは了承いたしますが、そこで二三お伺いいたしますのは、國家賠償法の第一條に國又は公共團体の公権力の行使に当る公務員ということが書いてございますが、郵便関係の從業員はこの公権力の行使に当る公務員と解釈しておられるだろうと思いますが、それらはどうでありますか。その点を一つ。
 それから國家賠償法の規定による賠償の責任はない。郵便法による損害賠償の責任があるというのでございますが、尚民法の規定による損害賠償というものは全然考えられないのですか。どうですか。民法七百十五條不法行爲の損害賠償についてであります。これは全然郵便関係の業務につきましては考えられないので、ここにあることだけで、他には損害賠償の責任はないのだと、こういうお考えでありますか、どうですか。この二点を先ず伺いたい。
#8
○政府委員(小笠原光壽君) 郵便の事務に從事いたします者が、國家賠償法第一條の公権力の行使に当える公務員に該当するかどうかという御質問につきましては目下尚研究中でございまして、御承知の通り國家賠償法は先般公布せられまして、これをどういうふうに郵便事業について考えるかという点は只今研究中でございますが、ただ第一條の規定によりまして、第一條の規定が郵便事業についてあると一應私共は考えておりますのは、只今の郵便法案の第十條によりまして運送義務を課する場合、これは明らかに公権力の行使と考えられますので、運送営業者に対しまして運送義務を課するに当りまして、この第一条に規定されておるところの要件を満たす場合には、賠償する義務があるものと一應考えております。尚それ以外に一般的の問題といたしましては、今後愼重に研究いたしたいと考えております。
 それから郵便の取扱について、民法の規定の適用があるかというお話でございますが、私共はこの郵便法の只今の損害賠償に関する規定は、國家賠償法の第五條に基く民法以外の他の法律に該当するものと考えておるのでございます。この損害賠償に関する特則が先ず優先的に適用される、それ以外の、その適用されます郵便法の損害賠償に関する特則が当然に優先的に適用されるわけでございます。從いまして民法による一般の賠償責任は、その限度において制限されるものと、かように考えておる次第でございます。
#9
○新谷寅三郎君 御研究の上いつかの機会に御答弁があるというので結構でありますが、尚私の質疑の趣旨をもう少しはつきり申上げて置きますが、今お話になりましたように、私も大体において、國家賠償法は適用が郵便法にはない、郵便法関係の業務は適用がないと考えるのでありますが、そうなりますと、前に又戻りまして、國家賠償法の第一條の「公権力の行使に当る公務員」というものに該当するのでなければ、そういつたことにならないのではないかと考えておるのであります。それから國家賠償法の第五條では「民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。」とありまして、この郵便法の損害賠償に関する規定が、丁度これに該当するのだろうと思うのです。ところで郵便法案の第六十八条を見ますと、「左の各号の一に該当する場合に限り、その損害を賠償する。」と非常に限定をしておる。そこで郵便の業務の中にはいろいろの行爲が含まれておる。その行爲のおのおのにつきまして檢答して参りますと、こういうふうに公法で以て損害賠償の規定を規律して行くのが適当のものもあるし、一般の私法の規定で規律して行くのがいいのもあるだろうと思います。そういつた行爲につきましては当然民法の不法行爲による損害賠償の規定が適用されて然るべきじやないかと考えます。そういたしますと、この郵便法の損害賠償の規定と民法の規定とか併行して適用らせれるのじやないか、というふうな考えを持つのですが、この点きこの機会に明らかにして置いて頂きたいと思うのであります。そいうう意味でお尋ねしたのでありますから、御研究の上いつか機会を見てその点明瞭に御答弁を願いたいと思います。
 それから先程井上さんのお尋ねに関聯するのでありますが、現行法でも書留郵便物の亡失に対しましては百円の損害賠償、百円を限度とする損害賠償ということになつております。この現行法を制定せられました当時と現在の経済状態は非常に変つております。貨幣價値も変つておりますし、通信の料金が非常に変つておる。然るにも拘わらず、現行法通りの損害賠償額を今度もそのままお書きになつておるのは、これは少し通信の料金の引上げなんかとの点から考えましても、又現在の経済状態からいたしましても、適当でないじやないかという疑いを誰しも起すだろうと思うのであります。その点については、どういう事情で古い明治何年かの、当時の損害賠償額を限度としてお考えになつたのか、何か事情がありますれば伺つて置きたいと思います。
#10
○政府委員(小笠原光壽君) 現行の郵便規則の二百二十五條にございます書留郵便物の賠償の限度の百円は、それは実は昨年の五月まで十円でございましたのを、昨年の五月から百円に引上げたのでございます。それで今回は実は一つには保險扱というものを相当廣範囲に、損害要償額も五千円までの、これまでは物品だけをやつておりましたが、これからは通貨も扱うことにいたしました。全面的に保險扱をいたします関係上、本当高額のものを郵送なさいます際には、保險扱の方の御利用をお願いすることにいたしたいと考えまして、同じようなものが二つ、書留もあり、保險扱もあるというのでなく、高額のものについてはすべて保險扱の方を御利用願うということにいたしたいというのが主で、賠償額を引上げますと、自然料金も引上げなければならなくなりまするので、こうなりますと、一般に必ずしも経済的にそう價値があるわけでなくても、とにかくなくなつたりなんかしては困るという意味の、安全確実な送達方法を御希望になります向きに対しましても、自然料金が高くなるということもございまするので、現行の百円をそのまま踏襲したのでございます。
#11
○新谷寅三郎君 序でにもう一つお尋ねしたいのですが、それは七十九條、これは別に内容について言うのではありませんが、ただ法律上の問題としまして、「郵便の業務に從事する者が、ことさらに郵便の取扱いをせず、又はこれを遅延させたときは」云々という條文であります。ここで「ことさらに」というのはどういう意味でありましようか。頂いた資料によりますと、現行法では「正当ノ事由ナクシテ」ということになつております。「ことさらに」というのは古い言葉ですが、故意にということだろうと思うのでありますがそういたしますと「正当ノ事由ナクシテ」というよりも非常に限定されておる。これは最近実際上通信事業で問題になりました中央郵便局の事件のごとき、この七十九條にぴつたりそのまま該当するようにも思うのでありますが、「ことさらに」というので、そういつた場合は、他の法令で仮りにその爭議行爲が違法でないというような場合に、「ことさらに」という字句だけで、他の法令にそういう規定があれば差支えないということになるのでありましようか。「正当ノ事由ナクシテ」というのであれば、勿論他の法令で許されたことをいたしまして、結果として郵便物の遅延があつてもそれは差支えないように思うのであります。「ことさらに」ということだけでは、労働組合法とか他の法律によりまして、爭議が起つて、その爭議が正当な爭議であるという場合にも、故意にというだけの言葉では、この七十九條に該当するというような虞れがないのでありましようか。これは單に法規の解釈の問題としてその二点を御説明願いたいと思います。
#12
○政府委員(小笠原光壽君) この「ことさらに」と書きましたのは、故意に且つ犯意を以てという意味を「ことさらに」という言葉で現わしたのでございまして、只今例としてお挙げになりました例えば爭議行爲等の場合は勿論、正当な爭議行爲による場合は、労働組合法第一條第二項の規定によりまして、刑法の三十五條が適用せられます結果、この七十九條の罪にはならないわけでございます。
#13
○井上なつゑ君 八十四條でございますが、「切手類を僞造する等の罪」と書いてございますが、これは私共子供の時分に、何か造幣局とか大藏省には、とてもお金のことがよく分る人がいらつしやつて、紙幣を取扱つておる人はこれは普通の紙幣か、これは僞造したものかということが分るという話を聞いたことがありますが、この頃のようにいろいろな記念切手が出ますと、普通の切手か、これは僞造した切手か、本当の切手か分らないようなときもあるのじやないかと思いますが、專門にそういうことを調べておる人があるのでございましようか、それを一つお教え頂きたいと思います。
 それからもう一つ、七十七條の「郵便物を開く等の罪」ということが出ておりますが、これは逓信省に関係しております人たちのためでございましようか。普通の人が若し他人の信書を開いたときは外の法令で罰せられることになるのでございますか。その点を一つ伺いたいと思います。
#14
○政府委員(小笠原光壽君) 初めの御質問の切手の僞造等に関しましては、特に僞造変造の切手があるかないかを專門に常時檢査することを担当いたしておる者というものはないのでございますが、常時特に切手の仕事に関係いたしておりまする者は、多くは僞造のものがございますれば、やはりいろいろの外見或いは手触り、その他の点から発見し得るのが從來の例でございます。それから今日の状況におきましては、郵便切手の金額から見まして僞造、変造のため設備というものが相当の経費を要しますから、今日におきましては比較的危險性は以前よりは……比較的な話でございますけれども、低いのではないか、かように考えておりますと同時に、勿論図案の作製又印刷技術につきましても、僞造、変造の起きる虞れのないようなものを十分注意いたしまして、作製いたしておる次第でございます。
 七十七條の規定は、これは必ずしも郵便從事員のみを対象にいたしておる規定ではございませんので、勿論郵便從事員も仮りにここに書いてあります罪を犯しますれば、適用されるわけでございますけれども、それ以外の人も若しこの規定に書いてある罪を犯しますればやはり適用を受けるのでございます。
#15
○油井賢太郎君 私はこの前出席いたしませんので或いは重複するかも知れませんけれども、二つ三つお尋ねいたしたいのであります。第一番に七十一條の受取を拒んだときの出頭ですが、その出頭が何日以内ということを決めておりませんが、受取を拒んだ日から十日以内に立会のため出頭しなかつたならば云々ということが書いてあります。逓信官署がその何日以内に出頭を求めるということを書いてなければ、前は七日ということが謳つてありますが、今度は書いてありません。そうしますと或いは九日或いは十日経つてから出頭を求めた場合には、出頭するのに非常に不便を感じやしないかと思います。それをお聞きしたい。
 次に七十九條の場合、先般のようなワイルド・キヤツト・ストライキの場合に、今度の新法によつて罪惡となるのですか、どうですか、はつきりとお示しを願いたいと思います。
 それから全般的に見て、この郵便料金で、今後逓信省が運営する上において、果して妥当な料金かどうかということである。これは第一條に「なるべく安い料金」ということを謳つてありますが、安い料金だけに主眼点を置くために、逓信事業そのものがやつて行けないということを招來しては、逓信運営上まずいじやないかと思います。その点について政府の御回答を願いたい。
#16
○政府員(小笠原光壽君) 七十一條に「郵便物の受取人又は差出人がその郵便物の受取を拒んだ場合、逓信官署はその者の出頭を求める」云々と書いてありますが、これは勿論逓信官署は受取を拒まれました場合は、直ちにその出頭をお願いする趣旨でございます。從いまして当該郵便物の受取を拒まれた方は、受取を拒まれた日から十日以内に正当の理由なく立会のため出頭しなかつたというのは、運用上支障がなかろうかと存じます。
#17
○油井賢太郎君 分りました。
#18
○政府委員(小笠原光壽君) それから二番目の御質問はちよつと恐縮ですが、伺い洩らしたのですが……。
#19
○油井賢太郎君 二番目の質問は、第七十九條について先般來行われたようなワイルド・キャット・ストライキのような場合に適用するかどうか。
#20
○政府委員(小笠原光壽君) 七十九條の規定は、その労働爭議の場合におきまして正当な爭議行爲は、労働組合法第一條第二項の規定によりまして違法性を阻却されますので、犯罪にはならないのでございます。然らざる場合におきましては七十九條の適用は法理上あるわけでございます。ただ山猫爭議の場合にはどうかという問題、又具体的の問題を取上げます場合には、それがこの七十九條に書いてある要件を具備しておるかどうかという個々の問題として裁判所によつて認定されるものを考えております。
#21
○油井賢太郎君 三番目の問題……
#22
○政府委員(小笠原光壽君) それから第三番目の料金の問題につきましては、今回は御承知のように実は郵便事業といたしましては非常な財政難にあるのでございますけれども、郵便事業のみならず、通信事業一般を含めまして、今年度におきましては四十数億の赤字があるわけでございまして、非常な財政難にあるのでございますが、先般一般会計から二十数億の経費を通信特別会計へ繰入れて頂くことになりましたので、差向きのところ郵便料金そのものに手を着けず、現行で行くということになりました。そこでこの法律案におきましては原則としてすべて現行の料金をそのまま踏襲いたしておるのでございます。併しながらこの第一條の「なるべく安い料金で」ということは、勿論成るべく安い料金でございますから、特に利益を見るというようなことは考えない。併し独立採算制の原則が維持せられます限りにおきましては、その線に副う程度の料金ということが考えられる次第でございます。
#23
○鈴木清一君 第二條の「逓信大臣はこの法律の目的を達成するため、左の職責を有する。」第二号になつておりまする「郵便局を設置し、又は廃止し、郵便局の窓口取扱時間」というようなことについて大臣がやれるということになつておるのですが、この「郵便局を設置し、又は廃止し」というのは大体特定郵便局とか或いは臨時郵便局というものをときどき作ることがあるのですか、この範囲内はこれを省令でやるというのですね。
#24
○政府委員(小笠原光壽君) この第二号に書いてあります郵便局とございますのは、これは勿論一般の郵便局、即ちいわゆる普通郵便局或いは特定郵便局を指称いたしておるのでございます。
#25
○鈴木清一君 それで窓口の取扱時間というものも大臣の省令によつてやる大臣がやるということなんですね。
#26
○政府委員(小笠原光壽君) さようでございます。窓口取扱時間、それから取扱事務の範囲、これを大臣が定めることができるという趣旨でございます。
#27
○鈴木清一君 分りました。
#28
○油井賢太郎君 第九條の祕密の確保ですが、これは警察権等によつて或いは信書の祕密を開封するというようなことが行われることも多々あると思うのですが、この点はどういう御解釈ですか。
#29
○政府委員(小笠原光壽君) ちよつと恐れ入りますが、もう一度……
#30
○油井賢太郎君 祕密の確保は警察権の発動について……。
#31
○政府委員(小笠原光壽君) 第九條の規定は、この法律の規定に基きまして……法律の規定に基くところの行爲については、それは他の法律の規定によりまして正当の権限を以て調査いたします場合はこれは別問題と考えております。併しながら勿論檢閲に関しましてはこれは憲法が禁止いたしておりますので、他の法律にも檢閲に関してはさような規定があり得ないことは申すまでもない次第でございます。
#32
○油井賢太郎君 そうしますと、從前或いはこれと似たような法律があつたかどうか知りませんが、実際面においては警察権を以て封書の開封などということは実際あつたのですが、今後はそれは絶対にないということになるわけですか。
#33
○政府委員(小笠原光壽君) 戰爭中は國防上、機密等が漏れますことを防ぐ目的から、緊急勅令によりまして、即ち法律に代るべき緊急勅令によりまして、臨時郵便物取締令というものが施行されました。これに基きまして郵便物の檢閲をいたしたのでございますがここれは勿論終戰と同時に取止めになりまして、今後は勿論新憲法が檢閲するということを一切禁じております。さような事態は絶対にないものと考えております。
#34
○油井賢太郎君 分りました。第二條に「法律に触れない範囲内において」という言葉がございますが、「法律に触れない範囲において」というこの点の説明を私は聞き漏らしておつたのですが、ちよつと御説明願いたいと思います。
#35
○政府委員(小笠原光壽君) この「法律に触れない範囲」という字句は実は当然のことなのでございますが、特に主要なものにつきまして書いたのでございまして、例えば第二号の場合には現行法におきましては、郵便局の設置等につきまして、取締りの法規はございません。併しながら例えば郵便局を設置するにしても、それに要する経費等は財政法その他の法規に基いて予算を要求し、これを施行するということになる次第でございます。
 第五号につきましては、例えば労働基準法等、労働者に関する厚生保險施設或いは訓練といつたような事項に関する法律がございますれば、その法律に触れない範囲において実施するという趣旨でございます。
#36
○油井賢太郎君 了承しました。
#37
○新谷寅三郎君 油井君の先程の質問に関聯するのでありますが、先般私からも質問したのですけれども、九條の祕密の確保のところですが、先般この問題については他の法律でそういう権限を與えられておれば、信書の祕密を侵すような場合もあるかも知れんというような御答弁があり、尚郵便物が郵便法の規定に違反しないかどうかを確めるために中を見る、檢閲になりますか何になりますか知れませんが、中を見る場合もあるというような御答弁があつたように記憶しております。それで例えば通貨を送るのに普通の通常の郵便でやりましたり、その他この法律の規定に違反するような場合に、違反しておるかどうかを見るための檢査と申しますか、檢閲と申しますか、そういつたようなことを当然やれるにしましても、この間お聽きしたように、一般の犯罪捜査というような目的のために司法警察官その他当該官吏がその手紙を見せろというようなことで、中を見るようなことを逓信省としては予想しておられるのですか。その点をはつきりとお答え願いたい。
#38
○政府委員(小笠原光壽君) 刑事訴訟法の規定によりまして、正当なる裁判官の発行して令状によります場合には信書の秘密を浸すことも、これも法律の規定に基きましてあり得るのでございますが、それ以外は勿論何人も信書の祕密を侵すことはできないわけでございます。只今申上げました裁判官の発行した令状は、犯罪の証拠が確実であることを認める場合に限つてのみ発せられるものでございます。
#39
○鈴木清一君 前におりませんでしたのでちよつと又重複になると思いますけれども、現行法の第四條、第五條を削除した理由と、それから先程からいわれております七十九條の中に、第三項の方に「重大な過失に因つて」とある、この「重大」に対する一つの何と申しますか、具体的な限界でもお示し下さればと思つたのでございますが、先ずお尋ねします。
 いま一つ序でに、七十七條に「又は受取人でない者に交付した者」に対して「三年以下の徴役又は五千円以下の罰金に処する。」というのがありますがこの受取人でない者にやつたということについての、故意にやつたというようなことの限界がなく、ただ莫然と出ておりまするので、知らずにそういう面に渡すようなことも起き得る可能性もあると思いましたので、ちよつとこの点の解釈もお聽きしたいと思つております。以上です。
#40
○政府委員(小笠原光壽君) 現行法の第四條及び第五條を新法案におきましては、削除いたしました理由は、これまでの郵便事業を今日まで管理いたして参りました経驗から考えまして、第四條又は第五條を実際に適用したという事例はないのでございます。半面この規定は新らしい憲法が特に尊重いたしております自由権、そういうものを或る程度制限することにもなりますので、過去の経驗から見まして、実際に実益と申すものがございませんので、むしろかような権利義務というようなことで規律することは廃止いたしまして、一般の良識によつて処置することによつて、十分郵便事業の運営には交障ない、かように考えまして削除いたしたのでございます。
 それから第七十九條の第二項の「郵便の業務に從事する者が重大な過失に困つて郵便物を失つたとき」と申しますのは、一例を挙げますれば、酪酊いたしましてその結果郵便物をなくしたというような場合が、この一つの例でございますけれども、ここにいわゆる「重大な過失に因つて郵便物を失つたとき」ということができると考えられます。
 それから第七十七條の「受取人でない者に交付した者」ということについての御質問でございますけれども、固よりこの七十七條の罰則の適用につきましては犯意のあることを必要とするわけでございます。本人でそういう犯意なくしてやりました行爲については適用されないわけでございます。
#41
○鈴木清一君 具体的に犯意というのは、やはり常識的にという意味ですか、それとも條文化するというようなあれはないのですか。
#42
○政府委員(小笠原光壽君) 條文化という御質問は、この明文の中に「犯意を持つて」ということを書くか書かないかという御質問のように予解いたしましたが、これはもう書かないでも当然に刑法の一般の例によりまして、犯意がなければ処罰されないわけでございますから、この適用はないわけでございます。
#43
○井上なつゑ君 私おりませんので、これも重複するかも知れませんが、第二條の五の「郵便の業務に從事する者の能率の向上を図るため必要な厚生、保健その他の施設をし、且つ、郵便の業務に從事する者の訓練を行うこと。」これは現行法にございませんが、何かこれから厚生、保健のための施設をなさる御計画がありますかどうかということを一つ伺いたいのと、それから逓信省には沢山婦人の從業員もおられますので、特に婦人のための保健、厚生の施設でも計画なすつておられるかということ、それからこの「訓練」でございますが、訓練というのは業務上の訓練でございましようか。殊に若い婦人に対してのこれからの生活に対する訓練でもなさる御計画でもございましようか。そのことを承りたいと思います。
#44
○政府委員(小笠原光壽君) 第五号に書いてあります事柄は勿論逓信事業のみではございませんけれども、特に逓信事業のように多数の人員を使用して実施しております事業におきましては厚生、保健その他の施設は固より極めて重要な問題でございまして、今日までもいろいろの厚生施設或いは保健……病院でありますとか、その他の施設、そういつたようなものは勿論実施いたしておるのでございます。又「郵便の業務に從事する者の訓練」、これはいわゆる教育ではなくして、業務上の訓練という趣旨でございますが、これは事業知識の習得、法規その他の研究といつたようなことを意味しておるのでございます。勿論女子從事員に対する保健施設通知等に関しましても今日もいろいろと考えて実施いたしております。今後もますますそういう面につきましても努力いたして参りたいと考えておる次第であります。
#45
○堀越儀郎君 第三十一條でありまするが、これはこの前に御説明だけ伺つて質問はなかつたのでありまするが、都の区の存する区域内、同一特別市内又は同一市町村内に発着する小包郵便物、この料金を半額にするということの御説明、料金を半減して小包の收入を吸收して收入を図るという御説であつたのでありますが、現在の小包の到着する日、時間が非常に長く掛かつたり、或いは内容が毀損したり、或いは不着であつたりというような現状から考えて、小包料金を半減して小包を吸收して收入を増すということのみでしようとすれば余り正当なやり方でないように思いますが、他に何か理由があるのでございますか。この前の御説明だけ伺いますと、そうなつておるのでございますが……。
#46
○政府委員(小笠原光壽君) このいわゆる市内小包の制度は、今日の小包郵便の実際の取扱の状況から見ますると都の区の存する区域相互間、或いは同一市町村内相互間に発着いたしますような小包は、今日は実際は殆んど出て來て参つておらないのでございます。從いましてこういう面にも通信の重要性を喚起いたしまして、今日は小包として出て來ていない物を新らしく小包として引受けて扱う、これは勿論或る意味からいたしまして、一面から申しますれば、そういう新らしいサービスを提供することになると思います。又反面、今日の通信財政の窮状から考えまして、少しでもそういうような新らしい分野を開拓して、事業の新らしい收入源を作り出したいということも意図いたしておる次第なんであります。
#47
○堀越儀郎君 つまり料金が安くなれば、それを利用するということを考慮されておるのでありますか。
#48
○政府委員(小笠原光壽君) さようであります。要するに一般の小包の場合には、引受けた所から名宛の所まで輸送いたしまする途中の逓送のための経費というものが相当掛かるわけであります。同一市町村内であります場合はそれが非常に近距離でございますと、その経費は非常に少くて済むのであります。從つて半額までは下げ得るということになつておるのであります。木
#49
○堀越儀郎君 そのお考えならば私が前に申上げた小包郵便の区間制というものを設けられるということと同じようになるわけですが、そのことは実施されないで、同一の理由で遠距離のものも区間制にして料金の差を付けてもよいじやないかと思いますが、それに対してどういうお考えでありますか。
#50
○政府委員(小笠原光壽君) 誠に御尤もでございまして、これも或る意味からいえば、距離の近いものに対して料金を安くするという考え方でございますから、いわば距離制の一つの考え方というふうに申して差支えないと思います。ただ一般的に今日の小包料金を距離制或いは帶域制にするのがいいか惡いかという問題になつて來ますと、これは一つには、どんな山の中でも均一の安い料金で小包が届くという所に又一つの郵便事業としての特色があるわけでございますし、その点は外の鉄道その他の小包物やなんかと非常に違つた特色を持つております。それから仮りに今の距離制域いは帶域制にすることがいいと仮定いたしましても、そのために通信事業の收入が今日より減つては差し詰め困るわけでございます。少くも現在の收入を維持し得る最低の線として新らしい收入を考えなければならんと考えます。それには結局小包が実際どういうような距離のもの距離別に考えてどういうようなパーセンテージになつておるかという先ず実情が把握されなければ計画できないわけでございますが、この辺につきましては尚研究中でございまして、まだここで御説明申上げるような確たる資料という程度までまだ参つておりません。帶域制といいますか、距離制といいますか、その問題につきましては尚研究さして頂きたいと思うのでございます。それから市内小包については今日現実に小包としては、極言すれば全然扱つてないものを新規に扱うわけでございますから、從つてこの料金はいわばそつくり増收になるわけでございます。從つてこの料金を半額程度、少くとも実費を賄い得る程度に決めますれば、今日の小包料金收入を殖やしこそすれ、減少さすという虞れはないわけでございます。それで取敢えずこの問題を提出した次第であります。
#51
○油井賢太郎君 近頃の郵便切手はまだ糊を着けてないようですが、あれは糊を着けたり、或いは線を入れたりする計画はおありになるのですか。
#52
○政府委員(小笠原光壽君) 郵便切手につきましては、終戰後、戰争中の戰災のために生産工場の設備が破壊されたり、又資材の関係等から、或いは糊がなかつたり、ミシンガ入つておりませんで、大変利用者の方々に御迷惑をお掛けいたしましたことは誠に申訳ない次第でございますが、今年の四月以降に発行いたしておりますところの切手類はすべてミシン入りで糊を着けて発行いたしております。ただ特殊の記念切手等につきまして、或いはシールというような恰好で出しておりますものについては糊がついておりませんけれども、一般に今日生産されて新らしく出されておりますものは、今年度からすべて戰前の状態に復帰した次第でございます。
#53
○委員長(深水六郎君) ちよつとお諮りいたしますが、この郵便法は今予備審査中でございまして、大体の説明、質疑というものも大体お伺いしたのでございますが、衆議院から送付されて來ますと、又本審査をいたしますからそのときに質疑應答を讓りまして、付託されております貯金法の説明をこれからお伺いいたしたいと思いますが、いかがでございましようか。
#54
○委員長(深水六郎君) それでは又衆議院から送付して参りましてから質疑應答をいたすことにいたしまして、これから貯金法の説明をお伺いすることにいたします。前回提案理由はお伺いいたしましたので、貯金法の條文の順序によつて説明をお伺いして、そうして質疑に入りたいと思いますが説明に入ります前に総括的な御質問がありますならばそれを伺いまして、そうして第一章から入つて行くことにいたしましようか。丁度政務次官もお出でになつておりますから、総括的な御質問がありますればそれを先ずやりまして、そうして逐條一章ずつ分けて説明して貰つて質疑應答いたしたいと思いますが、どういたしましようか。
#55
○千葉信君 次官もお出でになつておりますから……。
#56
○委員長(深水六郎君) それでは政務次官もお出でになつておりますから総括的な質問をお願いして、それからずつと條文に從つて行きたいと思つております。
#57
○理事(水橋藤作君) 委員長ちよつと用件がありますので、私代らして頂きます。
#58
○藤田芳雄君 戰災その他で郵便貯金の通帳その他が紛失したり、大分分らなくなつたものが沢山あると思われるのでありますが、それらの整理はどんなふうにできておるのでありましようか。それを一つお伺いいたしたいと思います。
#59
○政府委員(村上好君) お答えいたします。戰災によつて貯金事業が非常な損害を被りまして、その復旧に只今鋭意努力中であるのでありまするが、まだ全体の整理が完成いたしません關係で、現に毎日取扱われて出し入れのある貯金すらも実はまだ完全に復旧いたしておらないのであります。本当に戰災のために預入者がこれを忘失し、結局それが最後まで権利の請求ができなくなつてしまうような関係の貯金等に対する調査はまだいたしておらないような実情であります。さよう御承知を願います。
#60
○藤田芳雄君 そういたしますと、從來よく貯金の引取り方がないのが、時効かなんかにかかつて、年々そういう余分なものが出て來ると思いますが、この整理をやると、そうした金が相当多額のものが出て來ますかと思いますが、そういうものは出ませんか。
#61
○政府委員(村上好君) 只今の御質問は我々が貯金の没入金と称しておるものの数字になると思うのでありますが、この郵便貯金の建前が、十ヶ年間預入もなく、現在高証明の請求もなしに睡眠をしていた場合には、それは十ヶ年の後に権利が消滅することに規定されておるのであります。但し直ちには消滅いたしません。一應政府側がその貯金者に対して催告をいたしまして、尚且つ回答のないものはこれを國庫に帰属せしめているしいうことに相成つておるのであります。それでこういう金を称して没入金と申しておりますが、この金は昭和十九年まで分つておりますが、その後の金はまだ調査がそこまで達しておりません。昭和十二年から申上げますと、昭和十二年が百二万二千円、十三年が百一万二千円、十四年から十七年まで略しまして、十八年が二百十三万一千円、十九年が二百二十四万四千円という状態で、百万円、二百万円という数字を示しております。戰災によつてこの数字は相当殖えると考えておりますが、まだそこまで調査が届いておりません。
#62
○藤田芳雄君 それからいま一つ、最近預金の利子というものがちつとも記入されておらないような状態ですが、あれは何かそうした規定でもできたわけなんですか。それとも一時中止しているような状態なんですか。
#63
○政府委員(村上好君) 戰災によりまして貯金局がその復旧に非常に忙殺されております関係上、或る一部の貯金事務に対しては取扱の停止せざるを得なくなりまして、その結果逓信省令を以ちまして各種の事務の取扱の停止をいたしました。その中に利子記入の取扱も停止せざるを得なくなつたのであります。
#64
○藤田芳雄君 実は巷間郵便貯金を出し入れしまして、そうして帳面が変つたりなんかすると、何も自分の方でも分らないので、利子も何も附いておらないが、どうなるのだろう、この前の貯金がずつと継続してやつて來たものが、出し入れされて帳面が変ると、前のものが何もないのでどうなるだろうということを盛んに聽かれますので、勿論それは原簿の方に載つておるでしようから、間違いはないと思いますけれども、貯金者には非常な不安を與えやしないかと考えますので、できるだけ早くそうしたものは復旧して頂きたいということを考えましたので、私申上げたのであります。
#65
○理事(水橋藤作君) 他に何か御質問がありますか。
#66
○新谷寅三郎君 一つお聞きしたいのは、各條のときでもいいのですが、貯金の総額の制限についての問題であります。これは事情は分るので、一應三万円にするということでお決めになつたことにつきましては、いろいろ各方面と交渉され、その辺が一應妥当な数字であるという結論に達したのだろうと思うのでありまするが、從來誰が見ましても、條文にありますように、通帳の冊数の制限をいたしまして、一人一冊というようなことを書いてありましても、実際上はこれは行われていないことが沢山あります。名義を変えれば幾らでもその規定の裏をかけるというのが実情でございます。それから最近農漁村方面で大分貯蓄余力があるということを言われており、政府の方でもそういうものを対象にして貯蓄の増強策を採つておられるように思うのでありますが、ここにはいうまでもなく銀行等は勿論支店もありませんので、結局貯蓄しようと思えば郵便局を利用しなければならん。その場合に三万円というのでは、現在の貨幣價値から行きますと非常に低過ぎるという氣がするのであります。勿論この点は程度問題にもなります。理窟の上からいいますと、何かやはり妥当なことで制限をして行かなければならないということも考えなければならんわけですが、とても貯蓄増強という点からいいますと三万円というものをもつと引上げられましても、先般御説明になりましたように、一般金融機関にそう影響なくして、而も貯蓄増強の目的を達し得るのではないかというような氣が私はするのであります。これはいろいろ交渉の経過もあると思いますが、今度は一万円から三万円になつて、この程度で一應いいにしましても、更にもつとこれを関係方面と折衝せられまして、この限度を引上げるということについて努力せられるかどうか。この点についての政府の方の忌憚のない御意見をこの際伺つて置きたいと思います。
#67
○政府委員(村上好君) この一万円を三万円に上げるまでには相当の交渉の過程を経て参つたのでありますが、実は逓信省といたしましては、この五万円まで引上げたかつたのであります。それで五万円という数字を以て大藏省と折衝をし、又逓信大臣が大藏大臣とも五万円を基礎として協議をされたのでありまするが、遂に三万円でなければ、了解ができなかつたのであります。それはこの郵便貯金がいろいろに特権を持つていることは御承知でありますが、第一に所得税を免除される、その他印紙税を免除されるといういろいろな特点があるのでありまするが、大藏当局といたしましては、五万円にするのもよかろうが、それではこの利子に対して課税をする、これは現行の利子に対しては課税をしているのであります。それで或る一定の限度以上のものは課税をしてもよろしければという向うの意見であつたのであります。ところが、この郵便貯金で仮りに三万円を限界として、それ以下は課税をしない。それ以上は課税をするというようなことになりますと、これは到底厖大な郵便貯金事務の処理としてはその煩に堪えないことに相成りますので、どうせやるならば、全部五万円免税にして貰いたいという意見であつたのでありますが、大藏当局はこの税の点に関しては非常に嚴格な態度で、到底そういう額には應じられないというので、止むなく三万円までは、その点は所得税の免除をするということが一番鍵になつて決まつたのであります。それで三万円を限度として免税をされるのは郵便貯金の外に貯蓄組合というものがありまして、それも三万円を限度として所得税の免除をするということに相成つております。それらの横の関係もありまして、遂にそういうところに落ち着いたのであります。併し逓信省といたしましては、いつまでもこの三万円で満足しているということではございません。段々貨幣價値が下落し、通貨が膨張して参りますれば、これは当然これを引上げなければならん、又一面只今新谷委員の申されるように、貯蓄増強のためにもこれを引上げなければならんということは勿論考えております。
 ただこの貯蓄増強の点では、今一般の貯金は甚だ増加の趨勢が鈍つておりまして、この額の引上げは現在のような情勢では、額の引上げによつては直ちに貯蓄の増強が期待できるということには、現在の経済情勢はなかなかそういうふうではないように考えられます。その点一言現在の情勢を附け加えてお答申上げます。
#68
○新谷寅三郎君 今の政府委員の答弁の通りだと思うのであります。私もこの額を簡單に引上げるだけで貯蓄増強が非常に推進をするとは実は思つていないのであります。併しこれは政務次官もおられますので申上げるのでありますが、只今の日本の経済状況を見まして、何といつても一番大事なのはインフレの防遏の問題だろうと思うのであります。その防遏のためにいろいろな機関を利用し、あらゆる方法をとつておられるのでありますが、その貯蓄を殖やし、浮動購買力とか潜在的な購買力を吸收して行くということにつきましては、あらゆる金融機関があらゆる施策を講じて協力して行かなければならないということは言うまでもないのであります。そのためには事務的な多少の特権があるとか、これは役所でやつている庶民階級を相手にした貯金であるとかいうような事務的な見地を離れまして、本当に日本の経済がどうなるかという瀬戸際に來ている現在におきましては、もつと思い切つて全國的な網を張つている貯蓄機関を活用しなければならない。活用の余地がないかといいますと、私はまだあるように考えるのであります、いずれ具体的には各條文に入りますときに伺いますが、一例を申上げますれば、最近一般金融機関の方でやつておりますが、無記名で以て貯蓄をさせる。これなんかも郵便局の建前として事務的にはできないという結論にはなると思いますが、それを何か工夫しましてやつて行くことによつて貯蓄が殖えるということであるならば、何としても日本の経済的危機を救うために逓信省も一舊発しなければならないと思うのであります。そういつた方法をいろいろ考え合せますと、この三万円というものはどうも今のところ少な過ぎるのじやないかという氣がするのであります。單にこの三万円の限度だけを上げたら非常に増強するとは私は考えておりません。そういう方法を併用することによりまして増強する途はあるのじやないか、かように考えるのでありまして申上げる次第であるます。
#69
○政府委員(椎熊三郎君) 私は先般この三万円に決まる時分に大藏省の政務次官と話合つたことなのでありますが三万円以上は税金を取る、その税の対象としての貯金、その税を大藏省が收入することの國家的利益、定額を上げて置いて民間資金を吸收するという方の國家利益、どつちが大きいのか、私は貯金收入でやつた方が大きいという意見で、素人でございますが、論爭をやつて見たのでございます。政務次官同士は非常に了解は付いたのでありますが、事務当局の方ではそうなるとやはり貯金組合の方のことも考えなければならない。建前が崩れて行く虞れがあるから、今回はこれにして、いずれ又相談の上にということなのであります。貯金奬励の方法については幾多の途が考案されなければならないと思つております。現在の地方の特定郵便局などの顔による貯金の奬励方法等も確かに有効適切な方法と思います。又取扱に対する便宜、サービス、そういうことも十分考えなければならない。或いは富籤に類するようなこと等も幾分役には立つのじやないか、いろいろ工夫しているのでありますが、今の三万円に決められた点につきましては逓信省としても遺憾であつたのでありますが、將來はこのことに諦めずに、尚それ以上のことができるようにしたいとこう思つております。
#70
○千葉信君 ちよつとお尋ねしますが、郵便貯金の決在の総額を承わりたい。
 それからもう一つは資金運用の状況これは郵便貯金だけとして切離してお答えになることはむつかしいと思いますが、大体の状況をお伺いしたいと思います。それからもう一つは資金運用の方法について大藏省のやり方なんかに逓信省の方はどの程度の発言権を持つておるか。それは実は貯蓄奬励の場合なんかにおきましても、的確に從事員が資金運用の実情を掴んでいなければ、現在のように一般の民心が或る程度経済的に非常に自覚が高まつて來まして、自分の貯金による利益ということと、一方においてはこういう大きな庶民階級の零細な蓄積された資本というものが、どういうふうな経済面の有効な部分に使われているかというようなことについて相当な関心を持つように自覚が高まつて來ている。そういう点について、貯蓄奬励なぞの場合にも勿論民心を納得させるための奬励の方法としても、資金運用がどういうふうな形になるかということについて一應逓信省としては発言権も持たなければいけないと思うのです。又どの程度現在のところ発言をしておるか。その点について一つ伺いたいと思います。
#71
○政府委員(椎熊三郎君) 現在の貯金の総額は四百六十五億余りであります。詳しくは四六五億〇〇四六八。そこでその日本の郵便貯金の最初から申上げるまでもなく、直ちにこれは大藏省の預金部に入るということになつておりまして、逓信省がこの貯金の運用方面をもやることができれば逓信省としては非常に有効適切にやれると思うのですが、郵便貯金制度の当初から大藏省が握つておるので、これに対しましては運用の方面に対しては逓信省の発言権はないような実情にあるのです。御承知のように簡易保險の方は旧來は運用方面を我々が担当しておつたのですが、昭和十八年に資金の一元化ということから戰時中大藏省に吸收されまして、戰後一時これが逓信省に戻つたのですけれども、その後資金の一元化ということで又大藏省に取られたという形であります。これにつきましては全國の市町村長会議等の要望等もあり、保險事業自体は募集だけでなくして、資金の運用面をも活用しなければ本当の保險事業にならんというところから、今春來非常な猛運動を続けて、大藏当局の一部分も止むなくではございましようが、同意するに至つたのでございますが、未だ運営をこつちでやるという段階に至つておりません。併し何といたしましても、この簡易保險の方だけは我々は取りたいと思いまして、今尚諦めずにそれぞれ了解運動を続けているようなことでございます。只今御質問の貯金の方はもう今日では絶対と申してもいいほど運用までこつちでやつて行くわけに行かんような状態にあるわけでございます。
#72
○油井賢太郎君 只今次官からお話の四百六十五億にも上る厖大なる預金がどういうように運営されておるかという千葉委員から御質問がありましたが我々最も深い関心を持ておるところでありますが、而も四百六十五億の貯金を吸收するに要するところの人件費、諸費用というものは相当なものと思います。これの運営が果して日歩を拂つても、十分に逓信関係として間に合つておる運営になつておるかどうか、この点を一つ御発表願いたいと思います。
#73
○政府委員(椎熊三郎君) この貯金募集とか、そういうふうの事務費のようなものは、大藏省から拂戻しといいますか、私共が受取つておるのです。それからこの預金の運用の実際はどうなつておるかというば、詳しい説明は大藏省から参つております。ただ運営の政治的折衝とか何とかいうことが、こつちでないということなんです。併し閣議等において國家の財政という大きな面からは、逓信大臣は大いに発言権を持つておるといいましようか。それは種々やつておる筈であります。ただ大藏省と逓信省の事務関係としては、運営面に発言権がないと、こういうような状態にあるので、尚次回までにはどういう方面に活用されておるか等のことについては書類もございますからそれらによつて御報告申上げます。
#74
○油井賢太郎君 只今の利子を拂つても差支えないだけのその補償は受けておりますか、逓信省は……。
#75
○政府委員(村上好君) この貯金の経費、並びにこの貯金の運用利差といいますか、利益といいますか、それらの関係について御説明申上げたいと存じますが、その前に逓信省で貯金運営のために必要なる経費は、大藏省預金部からその事務費は挙げて向うから貰つております。それでその経費と運営利差との関係につきまして申上げますと、只今申上げました貯金の現在高は約四百六十億でございますが、これを年度初頭の数字にみますと四百五十七億九千五百万であります。それで従來これはすでに以前から大藏省預金部で運用された、すでに投資された、殆んど全部が投資されております。それでその運用の利廻りは三分四厘六毛という数字を示しております。從いまして本年度初頭の総貯金が悉く活動しておると仮定しますと、これの運用の利子といいますか、それが十五億八千四百万になるのであります。一方貯金は利廻り約二分五厘で、預入者に利子を支拂わなければなりません。それで二分五厘といたしますと、利子はもつと高いのでありますが、預入した月、拂出した月と利子の附かないときがありますから、結局二分五厘とみます。約十一億四千四百万であります。その片方十五億八千四百万、一方預金者に拂うのが十一億四千四百万、その運用利差は約四億四千万という数字になります。この四億四千万で逓信省へ本年度は二十億五千万円の事務費を逓信省に支出いたさざるを得ないことになつております。又大藏省自体が事務費として約一億円使う、一億円くらいの支出を必要といたします。かようにいたしますと、この郵便貯金の運用のために預金部としては二十一億円以上の支出をしなければならないということに相成ります。かようにいたしまして、運用利子が四億四千万円のところへ二十一億以上の支出をするということは、どうしてもこういう馬鹿らしい民間でいえば銀行業でありますが、こういう引合わない仕事はできないことに相成るのであります。それでかような状態は、実は初めてこういう奇現象が出たのであります。前年度におきましては大体において大藏省預金部はその收入と支出はバランスされていたようであります。本年度かくのごとく厖大な支出の超過に相成つた原因は、最近人件費の厖大なる増加、それから諸物價の値上り、両方の増嵩といつたようなことのためにかような結果に相成つたのであります。これはひとり貯金事業についてのみならず、その他の事業につていも本年度は非常な困難な経営状態に立ち入つたのでありますが、貯金事業としましても、この問題の解決のためには相当いろいろな手を打つて努力しなければならんと考えております。大体以上のところで……。
#76
○油井賢太郎君 只今承ると二十億にも近い大きな赤字が出ておるということですが、これはやはりこの貯金法案に盛つておりますところの零細なる貯金を吸收するという、その零細なる貯金を吸收するに非常な人件費が掛かつておるというように解釈されるのですが、そのためには総体的において今日本の財政的に見て、戰爭前よりは〇が二つ違うというような状況になつておる。そういう意味におきまして、余りに零細な貯金というものを目標にいたします結果赤字も出るものと考えられるのでありますが、その点は政府方面においてはいかがお考えになりましようか。
#77
○政府委員(村上好君) 只今の御質問私大体同感であります。併し貯金事業が國営の事業として、一般國民のすべての普遍的な又公平な民衆的な機関でありますので、この貯金は零細な金でも勿論扱わなければならないと思うのであります。奬励をする場合には、できるだけ高額なものを取つて貯蓄の増嵩を図りたいとは思つております。かような次第で、勢いこの庶民大衆の機関といたしましては、最小限度の貯蓄も政府はやらざるを得ないということをやらざるを得ないと存じます。但し今度の貯金法におきましては、最底額を五円といたしまして、五円以上の貯金ということにして、余りに少額のものは取扱わないということにいたしております。
#78
○油井賢太郎君 以前貯金によつて收支が賄つていた時代の、いわゆる取扱人員と今日の人員の比較はどのくらいになつておりますか。
#79
○政府委員(村上好君) 只今その数字を持つて参つておりません。次会にお説明いたしたいと思います。
#80
○新谷寅三郎君 私も油井君と同じような考えを持つのでありますが、勿論零細な金額でありましても、預入したいという者に対しては、それを拒む理由はないし、これはむしろ積極的にそれを預かるというのが本旨であろうと思います。併し現在の貯金の状況を見ておりますと、逓信省がもう少し考えを変えればもつと整理し得る貯金というのが沢山あると思うのです。これは昨年のあの封鎖の関係から多少面倒な点があるかも知れませんが、封鎖預金の大部分は引出してもうあとに幾何も残つていないといつたものが、やはりそのままになつておるだろうと思います。又自由預金でありましても、從來の例から見ますると、相当長い間睡眠状態に置かれておるといつたような通帳も相当沢山あると思う。絶えず動いておる通帳よりも、そういう半ば睡眠状態になつておる通帳のために、厖大なる人件費を掛けておるというのが実情ではないかと思うのです。今お聽きしたような経営上非常に苦しい立場におられるのでありますから、これはお考えの上で何か適当な方法を講じて、それを止めても、貯蓄増強の点からいつても又一般の金融界に対しましても、大して影響を持たないもので、而も整理することによつて非常に人件費がセーブできるというようなものにつきましては、もつと積極的に貯金局においてこれを整理する方法を立てられまして、原簿の数をどんどん減らしてそうして人件費をセーブして行くというような方法をお採りになりませんと、このままで行きますと。件数はどんどん殖えて行く、そうしてみんな睡つておるというふうになつてしまつてこれはとても人件費のますます高くなる今日やつて行けないことは明瞭だと思うのです。積極的な方向にお向いになるにつきまして、何か現在すでにお考えになつておることがあるかどうか、お聽かせ願いたい。
#81
○政府委員(村上好君) お答えします。只今新谷委員のおつしやることは全く同感でございます。いわゆる睡眠貯金と称するものが現在の貯金のうち約四割前後あると考えられます。それで私はこの睡眠貯金をできるだけ多く整理して貯金通帳を少くし、同時に貯金原簿を少くし、同時に貯金支局の数を少くしろということは考えております。それで只今戰災の復旧で非常に忙殺されておりますので、これを並行してやりますと、非常に事務が錯綜いたしますので、極力それを錯綜させないような方法で、すでに着手しておりますものは、貯金の全拂いと轉記、これは專門的にそういつておりますが、全拂いと申しますのは貯金の全部下げて利子まで取つて、零にしてしまう。それで貯金通帳を打切つてしまうこと。貯金通帳打切り、同時に原簿をなくしてしまうということ。もう一つは轉記で、轉記というのは同一人が甲と乙と二つ貯金通帳を持つておる場合には、乙のやつを甲の中に繰入れてしまつて、記入を轉ずる、轉記と申しておりますが、それを奬励しております。これもそうしますと、二册のやつが一册に減少するわけであります。原簿も少くなります。かようにいたしまして通帳を少くし、原簿を少くし、最後には支局の数も少くして、物件費、人件費をできるだけ圧縮したい。それで戰爭中に非常に厖大な数に膨れた貯金通帳並びに原簿帳の量というものを少くして経営をもつと合理化して参りたい、かように考えております。
#82
○委員長(深水六郎君) ちよつと私からも一つ御質問を申上げたいと思いますが、特別委員会でも多分問題になつたと思いますが、野戰郵便局の貯金の問題、それから満洲國の貯金の問題、それと朝鮮、台湾、樺太等の旧植民地の貯金の問題というのが、その額或いはその取扱方法、その他のいろいろなやり方というものがどういうふうになつておるのかということもお尋ねして置きたいと思います。
#83
○政府委員(椎熊三郎君) 滿洲國において滿洲國に貯金した日本人の軍事郵便貯金、これを日本政府が支拂つてくれというな問題も、実は今日も参議院の同胞引揚の委員会でも問題になつた。この問題は非常に復雜な事実があるのでございますが、細かい点は局長から後刻詳しく御説明申上げたいと思います。あらましの点を申上げますると、滿洲國でやつた貯金は滿洲の元とか角とかという滿洲の金で貯金する。北支の方では貯金した場合は円で換算して貯金をする。それが海外金融取引禁止令に引つ掛かつております。そこで満洲で満洲の貨幣によつて貯金したものは支拂われないことになつておる北支の方は日本金で換算してやつておりますから支拂われる、こういう現状なんであります。滿洲、蒙古方面は支拂われない。北支方面は支拂われる。同じ日本人の同じ時における海外における貯金なんですが、それが敗戰下の現状ではできないことになつておる。併しこのままに放置して置いたのでは甚だ貯金者が迷惑しますから、目下大藏当局とそれについて折衝を重ねておりますが、聯合軍との関係もありまして、果して許されるかどうかわかりませんけれども、一生懸命やつております。殊に同胞引揚の委員会等からは痛烈なこれに対する要求等もありましたし、当方といたしましては一刻も早くこういう点を公平に解決したいと考えて鋭意努力中であります。この細かい点につきましては、数字上の問題等は局長から説明さして頂きます。
#84
○政府委員(村上好君) お答えいたします。先に軍事郵便貯金の方から申上げます。この軍事郵便貯金その他の貯金の計数につきましては、参考書類でお手許に差上げてあると存じますが、その参考書の名前は、郵便貯金業務参考計数というので、それを御覧になつて頂きたいと存じます。その中で、見出しの三が軍事郵便貯金であります。この表で示しておりまするように、軍事郵便貯金は、原簿面の現在高が本年の九月の末におきましては三十一億七千九百余万円になつております。この原簿面と申しますのは、預拂の証拠書類が現地から逓信省に参りまして、逓信省で原簿に付け込んで数字でございます。それで終戰後に非常に沢山預入されておつて、それがいかに預入されたか、その証拠書類が着かないものが沢山ございます。終戰前でもそういう証拠書類が沢山あつて分らないのがあるのであります。併し貯金通帳は皆持つて帰られて相当の貯金があるということが想像されるのであります。それでいろいろな資料に基きまして、然らば原簿面の数字の外にどのくらいの貯金が原簿の外に残つておるかという数字をいろいろな方法で推定して、最も合理的と認められる方法で出した見たのでありますが、それが未登記の分が未だ三十五億円ぐらいはあると見られるのであります。それで登記されたものはここにありますように三十一億七千九百万円、この数字は実は野戰郵便局記号の郵便貯金だけでありまして、日本内地の記号、若しくは朝鮮とか台湾とかいう所で預けたものの記号を持つて行つて野戰郵便局に預けたものが六億八千万円その外にございますので、原簿ではつきりしておるものは三十八億六千万、総体ではそうなります。それで三十八億六千万がはつきりしておつて、蔭に濳在しておるであろうと見られるものが三十五億四千万あるのであります。合せて七十四億というような大きな軍事貯金がまだ残つておるだろうというふうに考えられます。
 それでこれらの野戰貯金を現在どういう方法で拂い出しておるかと申しますと、この表のあとに書いてありますように、預金者一人について、千円までの拂戻をし、残余の貯金は目下これは凍結されております。ところで、千円以上の貯金をいかにするかについては、これは未だその方針が政府として決定いたしておりません。これはいろいろな在外資産の処理その他の問題と並行されて解決されることになろうと思われるのでありますが、かような次第で千円以上のものは、これは完全にこれを沒入するというようなことは決して決めておりません。まだ方針としては決定しておりません。
 実はこの七十四億あるであろうと思われる野戰郵便に対しては、その資金が逓信省に入つていないのであります。それは詳しく申しますと、現地の野戰郵便局、海軍軍用郵便所等で預つた金は、現地の日本銀行を経由してこちらに、逓信省に送られるのが建前でありまするが、日本銀行の手を通じて逓信省に送金をする手続を取つて來ないもの、それから軍の手を通じて逓信省に送金をさせる手段を取つたもの等で、はつきり分つておるもので届かないものが約四十五億円程ございます。それらの関係、その他はつきり分らないもので送金の手続を取つたが、結局分らなくなつたものがまだあるであろうと思います。
 その外に終戰直後のごときは現地で軍が便宜郵便貯金の金を軍資に流用したものも相当あるようであります。分つておるものは復員廳並びに外務省と折衝いたしまして、これを明らかにして処理をいたしておりまするが、それの分らない数字等もあるのであります。かようにいたしまして、原簿面では七十四億もあるであろうと思われるが、実際逓信省に入つた金は極めて少いのでありまして、逓信省といたしましては、事務的にはなかなかこれを金額支拂うということは困難であります。それで將來どのくらい拂われるかという見通しの問題、それからいずれこれは國家の一般会計でこれを救濟しなければならん問題と考えておりますが、幾らぐらいになるか、それらの計数を今折角整理に努力中でありまするが、はつきりいたしません。最後の処理のところにまでまだ事務は進捗いたしておりません。軍事郵便貯金にいてては大体以上の通りでございます。
 その次に一般外地の郵便貯金について申上げます。これもこの資料の前のページの二というところにございます。地域別にいたしまして朝鮮、台湾、関東州、南洋、樺太、こういう地域の終戰時の現在高が十三億九千六百三十二万七千円、その後の預入が二億三千百何万、その後の拂戻が十億五千百万余り、差引現在高が五億七千六百万という数字を示しております。それで最近における預拂の状況を見ますと毎月四千万円から、最近は二千六百万円に減つております。本年度に入りまして二億三千五百余万円の拂出がございます。かようにいたしまして現在の支拂状態を継続いたしますと、先ず一ヶ年前後で外地貯金は全部拂われるという見通しでございます。現在の拂戻の方針は、樺太、南洋群島の分に対しましては、昭和二十年九月三十日以前に預入したものは内地貯金同様に取扱つております。その他の地域で昭和二十年九月三十日以前に預入したものは一家族を通じ一ヶ月五百円以下の拂戻及び租税の支拂いに充てる拂戻の取扱をするという取扱の方法を採つております。大体以上の通りであります。
#85
○委員長(深水六郎君) 他に何か御質問ございませんか。ちよつと速記を止めて……。
#86
○委員長(深水六郎君) 速記を始めて。他に御質疑ございませんか。なければ貯金法の方に入つて行きたいと思います。
#87
○政府委員(村上好君) それでは私から今回議会に提案いたしました郵便貯金法について、その内容について御説明を申上げたいと存じます。提案理由については先般政務次官から説明のあつた通りでございます。私はこの内容について逐條的に要点を御説明申上げたいと存じます。
 本法律案は第一章から第五章までございまして、その條文は七十條ございます。この法律は現在の郵便貯金法の効力を消滅さして、あの法律の改正でなしに、新らしい郵郵貯金法として提案することにいたしたのであります。これは今までの貯金法とはその立法の体裁として著しく違つておりますこと、並びに新憲法の制定されました後に、あれに基いて旧い法律を廃止して新らしい法律にしろという方向に進んでおりますので、そういうことにいたしたのであります。つきましては第一章の総則から、御説明申上げたいて存じます。
 第一條はこの法律の目的を掲げております。これも最近の立法例に倣いまして、先ず法律には法律の目的というものを明定することにいたしておりますので、第一條におきましては、郵便貯金事業の運営に指針を示したものであります。
 それから第二條は郵便貯金の國営及び逓信大臣の職責を示しております。この第二條は現行法の第一條「郵便貯金ハ政府コレヲ管掌ス」ということと同し意味のことを第二條にも示しておるのであります。郵便貯金は國の事業であつて、逓信大臣がこれを管理するということを示しております。それで今回の法律では他の立法例に倣いまして逓信大臣の職責というものを示すことにいたしております。この職責は、この法律に從つて省令を発すること。法律に触れない範囲で貯金を取扱う郵便局を指定する。或いは郵便局の窓口の取扱時間を定めるということであります。法律に触れない範囲といいますことは、例えば労働法におきまして、從事員の勤務時間を労働法等で規定しております、これらに牴触して逓信大臣が窓口取扱時間等を決めるわけに行きません。こういう法律に触れない範囲というような限定をいたしております。その次には法律に触れない範囲で貯金原簿所管廳及び証券原簿の所管廳を設置し又は廃止する。これも逓信大臣は、貯金原簿所管廳と申しますと貯金支局であります、どこに貯金支局を造り、それから証券原簿所管廳と申します、これも貯金支局で扱つておりますが、どこの支局をして証券の原簿を所管せしめるかというようなことは逓信大臣が決める。それで四番目といたしましては、郵便貯金の業務に從事する者とその職務について指揮監督するということで、これは当然なことであります。第五といたしまして、法律に触れない範囲で郵便貯金の業務に從事する者の能率向上のため必要な厚生、保健その他の施設をし、且つ郵便貯金の業務に從事する者の訓練を行うということであります。これはこう決めて置く必要は、逓信大臣が病院を造つたり療養所を造つたり、その他の施設をする場合に、これは少し脱線ではないかという懸念が生ずるのであります。それらをはつきりさせるため、それから訓練を行うということは、逓信省で各種の講習所、その他のいわゆる学校を造ることであります。病院を造る、学校を造る等のことは厚生大臣又は文部大臣の一般的には所管であります。それ故に能率の向上を図るためという制限を附けまして、逓信大臣にこの権限を與えております。第六番目には郵便貯金事業を行うために財政及び会計に関する法令の定めるところに從つて必要な契約をする。これは貯金事業を経営するためには物品を購入し、運送を契約し、その他私法上の契約をしなければならんことは当然であります。これも財政法、会計法等の法令に準処して、これに從つてやるということを定めております。
 第七番目には、前各号に掲げるものを除いて郵便貯金に関し逓信大臣の職責として法令の定める事項を掌理する。これは六番目に掲げてないその他の事項について、郵便貯金事業を遂行するためにどうしても必要なこと、当然しなければならんこと、これは一々列挙するの煩を避けまして、ここで包括的に七号で定めております。
 第三條逓信大臣の職権の委任であります、「逓信大臣は、この法律に定める職権で細目の事項に関するものを、條件を定めて、逓信局長又は郵便局長に委任することができる。」職権の委任であります。この貯金法の中にもこの委任事項がちよいちよい出ております。ここにその根拠を示したものであります。
 第四條には郵便貯金の業務に從事する官吏、これは郵便貯金の業務に從事するところの官吏の身分、給與及び服務に関することは別に法律でこれを定める。これは國家公務員法その他給與法等によることを、その根拠をここに示しておるのであります。
 それから第五條、訴訟について國を代表する者、これは「郵便貯金に関する民事訴訟については、逓信省の貯金局長又はその指定する官吏が國を代表する。」これは現行法もかように相成つております。ところが、只今司法省所管として今議会に提案されると聞いておりますが、國家の訴訟事件は挙げて司法省において所管するという趣旨の法律が提案されることに相成つておりますので、その法律案が成立いたしますれば、その暁には、この五條が修正されると存ぜられます。
 その次に第六條、これは印紙税の免除であります。これは郵便貯金に関する書類には印紙税を課さない。これは現行法の十七條、「郵便貯金ニ関スル書類ニハ印紙税ヲ課セス」、現行法と同じであります。甚だ簡單でありますが、第一章総則の概略を御説明申上げた次第であります。
#88
○委員長(深水六郎君) 第一章について御質疑はございませんか。
#89
○大島定吉君 第二條の五に「法律に触れない範囲において、郵便貯金の業務に從事する者の能率の向上を図るため必要な厚生、保健その他の施設」というようなことがありますが、同し逓信省でこういつたことをやつておるのは、殊更に郵便貯金に関係のある者のためにこういつたようなことを書いてありますが、どういう意味合でありますか。
#90
○政府委員(村上好君) これは各事業の方でかような必要が生ずるのではなかろうかと思われます。例を学校に取つて見ますると、郵便貯金に必要な教育をするために、逓信講習所というものを造るということにしますときには勢いこの業務の主管廳においてこれを示して置く必要があると考えられるのであります。郵便局の場合でも、逓信省の場合でも……
#91
○藤田芳雄君 逓信省の中にこういつた厚生施設というものを別に拵える、郵便貯金に関係のある者だけの施設をするわけですか。
#92
○政府委員(村上好君) これは実際問題としましては、逓信省を打つて一丸とした施設の中にこれが入つて行くことに相成ります。
#93
○井上なつゑ君 第二條の二でございますが、「法律に触れない範囲において郵便貯金の取扱をする郵便局を指定」するとありますけれども、これはどういう郵便局でございますか、お伺いいたしたいと思います。
#94
○政府委員(村上好君) 郵便局で郵便貯金を取扱わない局が中にはあるのでございます。電信と郵便だけを取扱う所がある、こういう局がありますのでかような次第で貯金を扱う局はどこそこだということをここで記したのであります。
#95
○大島定吉君 そうすると第四條の郵便貯金の業務に從事する官吏の身分、給與、そういつたようなことをやはり今いつたようなことで別にここに書いたわけなのですか。法律で別にこれを定めるというのは……。
#96
○政府委員(山戸利生君) この点につきましては、要するに今囘提出いたしました法律案におきましては、この郵便法でもこれはおのおの、郵便貯金法は郵便貯金の根本法だ、郵便法は郵便の根本法だという建前でありますので根本法にすべての必要なものを書く、その根拠に基いてすべての仕事をやるといつた建前で、かく法律に掲げた次第であります。その点御了承を願います。
#97
○委員長(深水六郎君) 他に御質疑ございませんか。……ございませんならば次の章の入りたいと思います。
#98
○政府委員(村上好君) 第二章業務に関する通則であります。これは郵便貯金に関する共通的な事項を第二章において定めてございます。
 第七條は郵便貯金の種類はいかなるものであるかということを示しております。種類は第一に通常郵便貯金、これは一番我々が利用とております貯金で、預入及び拂戻しについて特別の條件を附けないもの、これが第一であります。第二は据置郵便貯金、これは一定の据置期間を定めて、それ以外には預入及び拂戻しについては特別の條件を附けないもの、実はこの第七條は別に現行法と変つたところはございません。積立郵便貯金は一定の据置期間を定めて、一定の金額をその期間内毎月一回集金に應じて預入するもの、第四は定額郵便貯金、一定の据置期間を定めて、分割拂戻しをしない條件で一定の金額を一時に預入するもの、第五番目は特別据置郵便貯金、一定の据置期間を定め、この法律の定めるところにより発行する郵便貯金切手を以て預入するもの、それで現行法ではこの二、三、四、五、これに特別な名称を附けておりませんでしたが、新法ではこの二以下は特別郵便貯金という名称を附けて、以下この法律ではこの名称に從つて呼んでおります。
 それから第八條は團体取扱、これも大体現行法と同一でございます。この團体取扱は、通信官署は省令の定める簡易な手続によつて郵便貯金の團体取扱をする。この取扱い方はいずれ又省令を以て詳しく規定する必要があると存じます。それから郵便貯金の團体取扱については、官公署、学校、会社、工場その他の事業場に属するものが團体を組織して、その團体の代表者の名義で、又は取纏め人を通じて、各別の名義で、通常郵便貯金又は据置郵便貯金をすることができるものとする。新法が現行法と変りますのは、この「学校、会社、工場その他事業場」とありますが、「工場その他の事業場」を現行法では「其ノ他ノ團体」という名称で言つております。その点が違うだけでございます。それからこれは省令の問題になりますが、省令で決めますときには、これは團体取扱は届出主義ということにするつもりであります。現行法は認可主義の形を採つております。それは團体貯金は書類を提出してその承認を受くべしとありますが、これは別に認可主義を採らなくともよろしい存じます。
 第九條、これも現行法と殆んど変りはございません。「(証券購入、保管及び賣却)通信官署は、通常郵便貯金又は据置郵便貯金の預金者の請求に困り、左の取扱いをする。一、貯金の一部で國債証券、その他の証券を購入保管し、又はこれを賣却すること。」これは現行法にもございます。二は、「預金者の所有する國債証券その他の証券を保管し、又これを賣却すること。」これは現行の省令でこれを定めております。從いまして現行法と第九條は変りございません。
 第十條、貯金総額の制限であります。「貯金総額は、一の預金者につき三万円を超えてはならない。但し左に掲げる法人又は團体についてはこの限りでない。」ここに、一、二、三、四、五とずつと「左に掲げる法人又は團体については」と示してありますが、この第十條は現行法と少し異つております。異つておる点は、現行法ではもつと廣い範囲に例外を設けておりましたが、今回はこの範囲を多少狹めたのであります。それは、現行法では、現行法の第四條に「左ニ掲ケル預入金ニ付テハ前條第一項第二号ノ制限ヲ適用セス、一、公共團体、社寺、学校又ハ営利ヲ目的トセサル法人若ハ團体ノ預入金」、この営利を目的とせざる法人又は團体の預入金、この営利を目的させざるという、これが非常に漠然として範囲が廣い、これを挙げて逓信大臣の認定に委すことは、これは民主的でないという立場をとつたのであります。総じて申上げますれば、民法で定めておりまする公益法人が現行法の営利を目的とせざる法人に該当するのでありまするが、今回は公益法人は全部この三万円に対する例外として扱わないことにいたしたのであります。それは公益法人の中にもいろいろあつて、必ずしも郵便貯金の特点を與える必要がない。この特点と申しますと、三万円以上を預けてもその利子に対しては所得税を課せられないという非常に大きな特点がございます。これらの点で結局制限をする。制限をすると同時に、然らばこれを成るぼく列挙して、列挙主義を採るという建前をとりまして、列挙主義を採つて非常に項目が殖えたのであります。
 それで第十條の例外については、一は地方公共團体、これは当然公共團体でありますから該当して差支えないと思います。二は水利組合、水利組合連合、北海道土功組合、耕地整理組合及び耕地整理組合連合会、これは、これらの法人組合は所得税を免除されておる組合法人であり、特別法人税を免除されておるのでありまして、これも公共的性質を持つておるものと見られるのであります。三は國立、公立又は私立の学校及び宗教法人、これが現行法の社寺、学校と同一内容でございます。第四番目は労働組合、これが最近の社会情勢に順應いたしまして労働組合をここに挙げたわけでございます。第五は孤兒院及びこれに準ずる慈善團体並びに健康保險組合及びこれに準ずる相互扶助團体で営利を目的としないもの、公益法人の中に含まれるこういつたような孤兒院とか或いは慈善團体健康保險組合、及びこれに準ずる相互扶助團体と申しますと、共済組合等も入るのであります。こういう團体で営利を目的としないものというようなものは三万円以上無制限に預けてよいという規定にいたしております。それで「前項第五号に掲げる法人又は團体は」、これも逓信大臣の專断で、これを勝手に拡張して指定するこを禁ずるために「省令でこれを定める」ということにいたしたのであります。
 第十一條は貯金の減額、これも現行法と変りはございません。貯金の総額が前の十條の規定三万円の制限を超えたときは、通信官署はそのことを預金者に通知いたします。それでこの通知があつたときには、預金者は貯金総額を制限額以内、つまり三万円以内に減額しなければならないのであります。その第一項の規定によつて通知を発した日から一ケ月以内に預金者が前項の規定によつて減額しないときは、通信官署は三万円以内に減額するのに必要な限度において、その貯金の一部で國債証券を購入保管するという建前であります。三万円以上になつた場合には國はこの規定に基いて、一方的に三万円で打切るために多少の端数は付きます。貯金の一部で三万円以内にするために國債証券を本人の名義で購入し、逓信省がこれを保管するということに相成つております。前項の規定によつて購入保管して國債証券については、逓信官署は預金者の請求によつてその賣却を取扱う。それで逓信省で保管いたしましたこの証券を貯金者が賣却して呉れ、現金化して呉れというときはそれを直ちに現金化して、その金は現金を以てその預入者にお返しするという規定でございます。
 第十二條にこれは利子及び割増金の規定であります。これは現行法では法律第八條で「郵便貯金ノ利子ニ関スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」、ということにいたしまして、郵便貯金の利子は一一法律に挙げない建前を取つております。併し新憲法ができまして、大臣の一方的な專断を防ぐために、成るべく國民に民主的に議会に掛けるという建前から、郵便貯金の利子というものを決定して、これを動かすときには議会の承認を得るという建前を取つたのであります。ここに掲げてあります利率は現行利率と同一でございます。但しここには書いてございませんが、外地の例えば朝鮮、台湾、樺太等で預けた貯金通帳を以て日本で預入しますときは、利子は高いのでありますけれどもこれは現行法では高いのでありますが、今回の改正法律では、それは内地と同樣に一本にする、一律にするという建前を取りました。と申しますのは外地の行政権で、外地に都合のいいような利率を定めたのでありますが、最早その必要がなくなつたのであります。一本にいたしました。
 それでは定額郵便貯金の割増金附の制度につきましては、次回に御説明申上げることにいたしまして、本日の私の説明はこれで終ります。
#99
○委員長(深水六郎君) 今日はずつと引続いてやりましたから、これで今日は閉ぢまして次回にやりたいと思いますが、御異議ございませんか。
#100
○委員長(深水六郎君) それでは次回に後は讓りたいと思います。本日はこれで閉会いたします。
   午後四時十五分散会
  出席者は次の通り。
   委員長     深水 六郎君
   理事
           水橋 藤作君
   委員
           鈴木 清一君
           千葉  信君
           大島 定吉君
           鈴木 順一君
           油井賢太郎君
           井上なつゑ君
           尾崎 行輝君
           新谷寅三郎君
           鈴木 直人君
           堀越 儀郎君
           藤田 芳雄君
  政府委員
   逓信政務次官  椎熊 三郎君
   通信事務管
   (郵務局長)  小笠原光壽君
   逓信事務官
   (貯金局長)  村上  好君
  説明員
   逓信事務官
   (臨時法令審議
   委員会副会長) 山戸 利生君
ソース: 国立国会図書館
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