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1947/08/20 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 皇室経済法施行法案特別委員会 第2号
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1947/08/20 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 皇室経済法施行法案特別委員会 第2号

#1
第001回国会 皇室経済法施行法案特別委員会 第2号
  付託事件
○皇室經済法施行法案(内閣送付)
○日本國憲法第八條の規定による議決
 案(内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年八月二十日(水曜日)
   午前十時二十一分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○皇室經済法施行法案
○日本國憲法第八條の規定による議決
 案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(徳川宗敬君) これより皇室經済施行法案の特別委員會を開きます。まず初めに齋藤國務大臣より提案の理由を御説明願いたいと思います。
#3
○國務大臣(齋藤隆夫君) 只今から御審議をお願いいたしまするところの皇室經済法施行法案、これについて御説明を申上げたいと存じます。この法案は皇室經済法の施行に必要な事項を規定いたすことを内容といたしておりますので、先ずこの法案に關連する限度におきまして、皇室經済法の御説明をいたしましてから、この法案の内容を大體御説明いたしたいと思います。
 新憲法施行前は皇室の經済は國の經済の外にあるものとして、ただ年額四百五十萬圓が國庫から皇室に支出せられまして、その經費の一部に充てられる外は、帝室林野會計による收入等にまつて賄われておる獨立の經済となつておりました。然るところ日本國憲法はその第八十八條において「すべて皇室財産は、國に属する。すべて皇室の費用は、豫算に計上して國會の議決を經なければならない。」旨を規定いたしまして、皇室に関する經濟が國の經済の一部となるべきことを明確にいたしておるのであります。又その第八條におきまして「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜與することは、國會の議決に基かなければならない。」旨を規定いたしまして、皇室を一方當事者とする動議の授受について制限を設けました。
 皇室經済法は主としてこの二ヶ條に基いて規定することを要する事項を中心とし、皇室の經済關係に關する事項を取り纏めて規定しておるのであります。その第二條におきましては憲法第八條の規定を受けまして、皇室を一方當事者とする財産の授受について、その授受の性質の點から考え、或いはその財産の價額の點から考えまして、一件ごとに國會の議決を要せずに行い得るもの、又國會の議決は必要としないが、皇室經濟省議の議を經ることを必要とするものについて規定いたしましたが、その一件の價額は別の法律を以て規定すべきものといたしております。更に伺條におきましては一件ごとの價額としては、只今申上げましたように一定の制限額を超えないが、これが短時日の間に反復して行われるようなことがありますれば、法の趣旨を没却するに至るべきことを考えまして、かかる事態を防止すべき規定を置いておるのであります。
 次に第三條におきましては豫算に計上せられる皇室の費用は、内廷費、宮廷費、皇族費の三つであることを規定し、第四條以下の三ヶ條におきましてこの三つについてそれぞれの規定を設けております。即ち内廷費とは、天皇竝びに皇后、皇太后、皇太子、その他内廷にある皇族の日常の費用その他の諸費に充てられるものとして國庫から支出すべきものと定めましたが、その年々の定額は、別の法律で定めることに規定いたしておるのであります。次に宮廷費は内廷諸費以外の宮廷諸費に充てられるべきものと規定しておりますが、その金額は短年度の豫算により定まるものであります。又皇諸費につきましては皇族に封ずる年額として支出されるべきもの及び皇族がらの身分を離れる際に一時金額として支出されるものと、この二つがあることを規定しておるのでありまするが、これはいずれもこれらの方々の品位保持の賢に充てられるべきもので、その金額はこれ又別の法律によつて定められる定額を基礎として計算されるべき旨を規定いたしておるのであります。
 以上申上げましたように皇室經濟法におきましては別の法律で定めるべきものと規定いたしました諸點を規定すると共に、その他同法施行のため必要な規定を集めたのが、只今より御審議を仰ぎまする皇室經済法施行法案であります。
 この施行法につきましては、政府といたしましては、先般の第九十二回帝國議會に提案をいたすべきものかとも会議録第二号考えたのでありますが、事柄の重要性に鑑み會期の都合その他を考慮いたしまして、本格的な法案は、これを第一回國會に譲ることとし、先の議會では取敢えず暫定法であります皇室經濟法の施行に関する法律案を提出して、これが議決されたのでございまして、本格的な立法はこれを第一團國會に讓つたのであります。この點は右法律の規定中にも「日本國憲法施行後の最初の國會において定められるまで」こういうような字句を以て明らかにされておるのでございまし、て今回ここに皇室經済法施行法案の提出をいたし、御審議を仰ぐことになつたのは、こういう次第から來ておるのであります。そこで以下本法案の逐條につきましてその内容の大體を御説明申上げたいと思います。
 先ず第一條にはこの法律目的を明らかにいたしまして第二條には皇室を一方常事者とする財産の授受の内、その一件ごとの價額として國會の議決も皇室經済會議の議決をも必要としないものの金額を五萬圓、皇室經済會議の議決は必要とするが、國會の議決は必要としないものの金額を十萬圓と定めたのであります。いずれもこれは従前の賜與進獻の實際と、現下の物價状況等を考慮いたしまして定めたのでございます。次に皇室經済法の第二條第三項によりますれば、一件ごとの價額としては、この法律の第二條に規定した金額の制限を超えないものについても、これが反復的に行われる場合において、一年に満たない期間内において一定の價額に達した時以後は、個々の授受ごとに、國會の議決を要することと定めているのでありますが、皇族一人についてその一定の價額を十五萬圓と定めましたのが、この法律案の第三條であります。これ又現下の物價、その他諸般の事情を考慮じて決定した額であります。第四條においては天皇及び皇后、太皇太后、皇太后については、第二條において十萬圓と定めた金額、即ち國會の議決を要せず皇室經済會議の議決のみで授受し得る財産の償額を十萬圓の三倍三十萬圓と定めました。これの立法理由は、天皇及び三后の特別の地位を考慮いたした結果であります。第五條においては天皇及び内廷にある皇族については個々の授受について國會の議決を要せずして行われ得る賜與進獻の通計額の一年内の限度を百二十萬圓といたしました。このように一般皇族と異り、天皇及び内廷にある皇族については、御一人御一人でなく全員を通じて計算するものとした理由は、内廷費についても皇族費と異なりこれを一括して計上しておりますように、天皇を中心とする一つの御世帶を中心として事柄を考えることを適當と考え、又、實際上賜與の場合に天皇皇后兩陛下からいつたものが多くその内部的分擔を明かにするのは、却つて實状に即しないものと考えたことによるものであります。又金額の點は、第二條に規定した一年間における財産譲り受けの通計額の限度である十五萬圓に天皇及び内廷皇族の方々の數を乗じてこれを定めたものであります。第六條は皇室経濟法中において一年間における財産授受の合計額とか、同一の考について一年間に行われる財産の授受というような規定がありますので、その始期、終期を明かにして運用の適切を期せんとしたものであります。第七條及び第八條はそれぞれ内廷費及び皇族費の定額の規定であります。いずれも從來の實際物價の状況、今後の皇室のあり方等を綜合勘案して算出いたした額であります。ただ皇族費の定額は暫定法たる皇室経済法の施行に関する法律においては、一應十五萬圓とせられておりましたが、物價の現状その他諸般の事情を考慮いたしまして、皇族費の定額がこの法律においては二十萬圓といたすこととなりました。
 第九條は、この法律により内廷費及び皇族費は、具體的に定額を定められるわけではありますが、その金額が豫算に計上せられ國會の議決を経た後に初めて支出せられ、支出手続がとられるべきものである旨を規定したものでありまして、憲法第八十八條後段、すべて皇室の費用は、豫算に計上して國會の議決を經なければならない。」との規定に對應するものであります。
 その他附則においては、昭和二十二年度についてはこの法律が八月一日から適用されることその他施行上必要な規定を設けております。
 以上概略の御説明を申上げました。何分の御審議を御願いいたします。
 次に日本國憲法第八條の規定による議決案提案の理由を説明いたしたいと思います。先刻より御説明いたしました皇室経済法施行法案第五條によりますれば、これらの方々が一年内になされる賜與又は譲り受けの財産の價額が百二十萬圓、(本年度は八十萬圓でありますが、その額に達しますれば、その後の期間においてなされる賜與又は譲り受けについては、その價額の多寡に拘わらず國會の議決を経ることを要するものとなつております。併しながら天皇初めこれらの皇族が特に災害の場合の罹災民に封ずる御見舞、或いは各種の御奬勵のために賜與される價額は今後明年三月末までの期間において、百二十萬圓近くに上ることが見込まれておりまして、上述の八十萬圓をその他の一般的な賜與に充當いたしますとすれば、これら御見舞、御奨勵のための賜與は、その度ごとに個々に國會の議決を煩わすことになるのであります。然るにこれらの賜與は災害に封する御見舞のようにその都度實際の必要に當面して一々國會の議決を経ることが事實上困難である場合も多く、又その賜興せんとする目的も定まつていますので、豫め價額を限り一括國會の御議決を頂きたいと存ずるのであります
 皇室経済法施行法案第五條の價額中に、これらの目的の明かな賜與即ち御見舞、御奬勵のための賜與の價額を加え、國會の議決を要しない通計額の限度を高めることを法定することも考えられるのでありますが、日本國憲法第八條の趣旨にできるだけ副う意味でこれらの賜與については、今後各年度ごとに一括して國會の御議決を煩わすという方法によりたいものと考えた次第であります。
 以上が御議決を願う理由の大要でございます。どうぞよろしく御審議の上御決定あらんことをお願いいたします。尚この法案の内容は数字に亙りまして、大分細かいことでありまするからして、法案の内容につきましては政府委員よりお答えいたします。
#4
○委員長(徳川宗敬君) 今日は法制局關係の方が關係方面に行かれておりますので、御出席になつておりません。宮内府関係の方がおいででございますから、御質問がございましたら、どうか御質問願いたいと存じます。
 尚資料等につきまして御要求がございますれば、委員長までお申出を願いたいと思います。
#5
○山田節男君 今頂いた資料、宮内府の方がいらつしやるのだつたら、ちよつと伺いたいのですが、第二表の……これは舊皇室財産處理に關する調書第二表が數字的におかしいのですが、お分りの方がいませんか。第二表の土地に關する坪と町との通算、これがどういうふうになつておるのか、ちよつとこの数字だけでは合わないのですがね。
#6
○政府委員(塚越虎男君) この表を作りましたのは、坪數と町とに分れておりますが、その坪に當るものを町に直しまして、その合計をいたしたものを合計の欄に掲げたのでありますが。
#7
○山田節男君 いやそうすると合わないのですがね。総計で二、七四六町一八〇九となつておりますね、これは合いませんよ。
#8
○政府委員(塚越虎男君) そうですか。
#9
○山田節男君 ちよつと一つ精算して坪なら、坪とはつきりしておいた方がいいですね。
#10
○委員長(徳川宗敬君) 山田君に申上げますが、數字のことでありますから、もう一度よく檢討してからお答え願うように取計らうようにしたいと思います。
#11
○中川幸平君 その次に金額が出ておりますが、この法律で十萬圓とか十五萬圓とかいう金額が載つておりまするが、これは皆國民同様に所得税の對象になるものでありましようかということをお尋ねいたします。
#12
○政府委員(塚越虎男君) 今度の施行法案によりまして、皇族が國から受けます歳費は二十萬圓が基準でございます。この二十萬圓というものにつきましては、所得税法の中に除外例を設けまして、これについては所得税はかからないということになつております。
#13
○河井彌八君 皇室經濟法の第三條によつて豫算に計上してある皇室の費用は、内廷費、官廷費及び皇族費と分かれておりますが、二十二年度ですか、二十二年度の金額はどういうふうに見積られておりますが、それを御説明願いたいと思います。
#14
○政府委員(塚越虎男君) 昭和二十二年度の豫算に計上されておりまする内廷費、官廷費及び皇族費の額でございます。内廷費につきましては、八百萬圓という年額の十二分の十一、つまり十一ケ月分、七百二十三萬圓はかりを計上いたしております。宮廷費は千五百二十四萬圓を計上いたしております。皇族費につきましては六十八萬八千圓を計上いたしております。
#15
○河井彌八君 この外に宮内府の費用というものはどういうふうになつておりますか、どんな額になつておりますか。
#16
○政府委員(塚越虎男君) 宮内府の費用につきましては、一般の行政官聴と同様の豫算を計上いたしておるのでございまして、宮内府費といたしましては、千九百大高圓を計上いたしております。
#17
○大隈信幸君 日本國憲法第八條による議決の中で本年八月から來年三月末までに百二十萬圓を超えない範囲で出すことができる、その百二十萬圓の大體の内容について御説明願います。
#18
○政府委員(塚越虎男君) 百二十萬圓は大體先程、提案の理由の中にも國務大臣からお話のありましたように、災害等の場合の御見舞の費用、それから各種の御奬勵の費用というもので御下賜になる豫定でございます。これは大體從來の實績等によりまして計算をいたしたものでございますが、先ず災害等に封ずる御見舞の関係といたしましては、風水害、火災、津浪或いは鐵道事故等の場合におきまして、罹災民に對して御思召しによつて賜るものでございます。次に御奬勵金、各種の御奬勵のための御下賜金でございますが、これは非常に多岐に分れておりまするが、この中主なものといたしましては、通例は紀元節の際に賜わりますところの社會事業資金、又は年末に賜わりますところのやはり社會事業團體に對する御下賜金というものが主なものであります。その外に日本赤十字祉でありますとか、或いは結核藤防協會、日本キリスト教愛隣會、福善會等の各種社會事業團體に對しましての御下腸金があります。その他には、例えば學術御奬勵の思召しを以て發明協會或いは帝國學士院等に對して御下賜になる。或いは古技保存のために例えば雅樂とか和歌とか或いは蹴鞠、そういうような昔からの古技を保存するために賜わるような御下賜金もあります。
#19
○大隈信幸君 そういたしますと、當然年々そういうふうなこの規定以外に御使用になる金額が出て來ると思うのでありますが、先程國務大臣の御説明もございましたように、その點をこの規定では百二十萬圓と決めておいて、而も年々こういうふうに、更に別に議決によつて御使用金を殖やすという意味をもう少し敷衍して御説明頂きたいと思います。
#20
○政府委員(塚越虎男君) 先程國務大臣からの御説明もありましたように考えといたしましては、施行法の中に百二十萬圓,の他に大體そういう豫定せられておりまする金額を加えまして、その金額を法定して議決を願うということも考えられるわけであります。大體できるだけ憲法の八條の趣旨に副いたいという意味におきまして、一應法律の中に決めてありまする金額は、最小限度のものといたしておきましてそれ以上の金額、又それははつきりと目的の定つておるものにつきまして又いろいろ事情も變りますることもありますので、原則に基づいて國會の御議決を願うのが適當であるという趣旨からこういう手練をいたしましたのであります。
#21
○山田節男君 今の御説明に關連してですが、そういつたように前に天皇からそういう御下賜金を賜わる。從來はいわゆる御内給金というものがあつて、それからお出しになり、又財産もあつてその一部を以て向けられるということもできたのでありますが、こういうふうに皇室經済法というものができて、皇族費、内廷費というものがはつきり決まつて豫算で生活するとなれば、從來のようにやはり社會事業團體に御下賜金になるということが、結局國民の税金をただ名を變えてやるだけであつて、これはイギリスの皇室なんかを見ても、そういうことは見ることができない。特來やはり宮内府費としてはそういつたような國民の税金を取つて、そのあるかなしかの金を陛下の名前を通じて御下賜金の名前に鍵ずるということは妙な話だと思います。特來やはりこういつたような一定の豫算生活、國民の税金がこれに充てられるということになれば、宮内府においても從來のそういう御内帯金から賜わるというようなことは、或いは又國民の現金をただそれを途を通じて出したに過ぎないということは、意味がないと思う。こういうことは英國の皇室のことをよく研究されて、ただ名稱に過ぎないこういう一種の虚禮はむしろ廢してもよいのじやないか、この點は特に今後の皇室経済の全般に亙つて從来の陳腐な、封建的なことを一つ一掃して頂いて合理化して貰いたい。これが又憲法並びに皇室經濟法或いは皇室經濟會議のできた一つの目的でもありますから、この點は宮内府におかれて十分一つこの新しい憲法と、これによつてできておる皇室經濟に関する諸法律によく何と言いますか、マツチするように、適應するように一つ御改革願いたい。こういう御希望を申上げておきます。
#22
○政府委員(加藤進君) 只今の御希望は宮内府として承りました。時世の變りに應じまして、今仰せがありましたように改革をすべき點はあると存じますし、現に又いろいろ考えおるのでありますが、今お話のような點を考えまして、實は憲法八條によりまして、只今ここに出ておりまする百二十萬圓というものを議決をお願いした次第であります。お話の點は非常に御尤もでありまするが、やはり陛下からお慰めなり、お勵ましなりを賜りました場合、可なりそれが實に慰められ、又鼓舞されて勇氣を起すという場合もありますので、お話の線に副うべきでありますが、やはり全然これをなくするというわけに参りません。いろいろな點を考えまして、憲法八條によつて特にこれを議會の議決案件として出すことが適當であると考える次第であります。
#23
○河井彌八君 皇室經濟法第六條の皇族費の内容と言いますか、分け方について大體その割合は書いてありますが、一體どの位な割當を支出するものであるか、それを承りたいと思います。
 それからもう一つは皇族の身分を離れる方に射して一時金を支出する。これも割合が書いてありますが、一體どのくらいな金額が差上げられるのであるか、それも承りたいと思います。具體的の数字を承りたい。
#24
○政府委員(塚越虎男君) 年金としての皇族費につきましては、先程齋藤國務大臣の提案理由の御説明の際にもございましたように、皇室経済法の施行に関する法律によりましては、定額が十五萬圓となつておりまして、それを今度の皇室経済法施行法案によりまして、その後の物價騰貴等の状況を考えまして、その定額を二十萬圓といたしたのでございます。從いまして七月までの分と八月以降の分につきましては、数字が違つて参るのでございます。先程本年度の豫算として、皇族費が六十八萬八千圓であると申上げましたのは、當時において皇族方の臣籍降下の関係が、新憲法の施行前に豫定せられておりましたので、新憲法施行後の國の豫算による皇族費につきましては、御直宮御三方の皇族費を計上するという建前からいたしまして、六十八萬八千圓という金額を計上いたしたのでございますが、皇族の臣籍降下の關係が握れましたために、實は今度の第一囘國會に射しまして、この皇族費の追加要求をいたしております。これにつきましては不日國會に御審議を願うことになろうかと思うのでありますが、それによりまするというと、年金たる皇族費につきましては、七月までの分を定額の十五萬圓といたしまして、それから八月、九月分につきましては、定額を二十萬圓といたしました。而も九月までの分につきましては、現在の皇族方が全部皇族としておられてお受けになる。そうして臣籍降下の関係が九月に實現せられるものと豫定いたしまして、十月以降につきましては、御直宮御三方の來年の三月までの經費というものを計上いたしたのでございます。そういう計算によりまするというと、全艦の金額が二百十一萬一千四百五十五圃ということになりまして、その中すでに本豫算に計上されておりまするところの六十八萬八千圓を差引きましたところの百四十二萬三千四百五十五圓というものを、今回の國會に追加豫算として御審議を願う豫定でございます。具體的の例で申しまするというと、定額の二十萬圓を基準にいたしました場合におきましては、例えば秩父宮様は、秩父宮様と妃殿下と御二方でありまして三十萬圓ということになつております。
 次に一時賜金として、つまり皇族が御降下の際に賜わる賜金の額につきましては、皇室經濟法によりまして、定額を十五倍したものの範囲におきまして、皇室經濟會議の議を經て決めるということに相成つておりまして、從つてこの金額につきましては、皇室經濟會議の議を經た後でございませんというと、確定したことは申上げられたのでございますが、一應宮内府として豫定をいたしまして、追加豫算として大藏省の方に現在要求いたしておりまする金額は、総額が四千七百四十七萬五千圓でございます。これは定額二十曹圓の十五倍という金額にいたしますれば、もつと金額は上るのでございますが、現在の一應の考え方といたしましては、御當主である宮様方につきましては年金定額の一一、二五倍、その他の宮様方につきましては年金定額の七、五倍というものを豫定いたしまして、結局只今申上げましたような數字として、現在大藏省の方に追加豫算の要求をいたしております。
#25
○河井彌八君 皇族の御身分を離れられる皇族、つまり以前の言葉で言えば臣籍降下ということになると思いますが、一體その皇族は、幾宮家と申しますか、幾家、幾家族になるのでありますか、それを伺いたい。これはもう既に宮内府においてそれぞれ決定しておるのでありますか、只今の御説明によると決定しておるように見えるのでありまするが、その點いかがですか。
#26
○政府委員(加藤進君) 御直宮秩父宮、高松宮、三笠宮、三家を除きました十一の宮家はすべて御降下に相成ります。そうしてこの宮家に属しておられます方は、御當主初め皆様方が皇族の列を離れる御希望を持つて表明しておいでになりまするので、先ず我々としてはこれを確定的なるものとして扱つておる次第であります。宮家の數は十一ございまして、御方数は五十二方であります。
#27
○河井彌八君 その皇族の身分を離れられる方は、只今政府委員の説明せられましたように、総額四千七百何萬という金額をお受取りになるわけでありますが、将來の生計ということについて何か適當ないい方法が立てられてあるのでありますか。普通の者でありますれば身分が變りましても、この劇しい世の中に何とかして行く途もあると思いますが、皇族の身分を離れた御方としては、随分これは悲惨なる境遇に陥ることがめに見えるように考えるのでありますが、それらに對していい適當な方法が立てられておるのでありましようか。その點は如何でしようか。
#28
○政府委員(加藤進君) 御尤もな御質問でございまするが、可なりに苦しいこともおありだろうと存じます。但し宮内府といえしましても從來の御縁故を考えまして、又将來とも國民から尊敬を受け、且つその尊敬にふさわしい御生活、御態度をお執りにならねばならんと存じますので、極力お世話を申上げるつもりではおりまするが、と申しまして法的にこの皇族の列を離れました宮様方を拘束するということも相成りません。これは勿論宮様方で御降下になりました皆様の御自由の意思を尊重せねばなりません。その邊の調和を考えまして、世間の然るべき忠告に威るべく從い、安全な途をお採りになるようにお勧めするようには考えております。
#29
○河井彌八君 一應の御説明承りましたが、これは非常にむつかしい問題で、若し不幸にして生活等に非常にお困りになつて來る場合がないとも限りませんが、そういう場合等に處する方法を十一分に法的ではありませんが、何か講ぜられておるではないかと思うのですが、それらについて尚具體的に承りたいと思いますが、如何でしようか。
#30
○政府委員(加藤進君) 各宮様それぞれに事情を異にいたしておりまするので、又これは御降下後のいわば私事にもわたりまするので、餘りに一々の宮様の御内情、或いは将来の御方向を申上げることも如何かと存じますので、全くのこれは報告であります。但しこれは宮家との話合なので、世間の然るべき經験有識の方々にも御相談いたしまして、できるだけのことを考える。又宮様方はできるだけそれに從つて頂くというだけのことしかお答えできないように存じます。
#31
○徳川頼貞君 只今河井さんのお話になつたことと關連しておるのでございまするが、今度いわゆる皇族の身分を離れられる皇族方におかれましても、各宮家々々において御財産のいろいろ程度と申すか、差がおありになるのではないかと思いますが、そういう際にこの一時賜金というものが、今お話によれば頭數といつてはどうかと思いまするが、考えていらつしやるのですが、そういうような場合に、宮内府としてはどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。そういうことは別に考慮にお容れにならないでおいでになるのでありましようか。
#32
○政府委員(加藤進君) これも非常にむつかしいお尋ねでございまするが、從來のように皇室が皇室財産を所有せられまして、その處分が皇室としてできるという場合でございますれば、只今お尋ねのような點は十分斟酌する點かと存じます。但しこの度はこれは國の費用を以ちまして豫算を取り、法律に基づきましていたしまするので、從來の財産の高でありますとか、或いは宮家の各御一人方の事情等を考えますることは非常に困難と思いますので、この點は當主という、いわば一應法制的に特別の方は特に見ておりまするが、外の方は皆それぞれの法に從つて平等に扱つております。只今お話のような特殊の事情は将來とも宮内府、或いは世間の宮様方をお世話申上げようとする方々の間におきまして、そういう方には特に愼重な考慮を拂うということに相成ろうかと存じます。
#33
○委員長(徳川宗敬君) お諮りいたしますが、今日は法制局關係の方もおいでになりませんしいたしますから、本日はこの程度で止めておきまして、又他日もう一度委員會を開きたいと思います。如何でございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)}
#34
○委員長(徳川宗敬君) 御異議ないと認めます。それでは次會はいずれ委員長におきまして各方面交渉の上決定いたし、御通知申上げます。それでは本日はこれにて散會いたします。
   午前十一時二十分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     徳川 宗敬君
   理事
           山田 節男君
           徳川 頼貞君
           大隈 信幸君
   委員
           中村 正雄君
           今泉 政喜君
           中川 幸平君
           中山 壽彦君
           大島 定吉君
           櫻内 辰郎君
           河井 彌八君
           小宮山常吉君
           島津 忠彦岩
           町上  嘉君
  國務大臣
   國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
  政府委員
   宮内府次長   加藤  進君
   宮内府事務官
   (内蔵頭)   塚越 虎男君
ソース: 国立国会図書館
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