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1947/10/22 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融・商業・鉱工業連合委員会 第2号
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1947/10/22 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融・商業・鉱工業連合委員会 第2号

#1
第001回国会 財政及び金融・商業・鉱工業連合委員会 第2号
  付託事件
○経済力集中排除法案(内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年十月二十二日(水曜日)
   午後一時三十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○経済力集中排除法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) それではこれより委員会を開会いたします。本日は経済力集中排除法案につきまして審議をいたしたいと思います。御質問の方は御質問を願いたいと思います。
#3
○大畠農夫雄君 先ず質問に入る前に、大体において手続以外の條項に関して説明をして貰つたらいかがでしよう。大変にこの條文がどうも長たらしくて、くどくどしく、読んでもぴんと頭に来ない條文でありますから、手続を拔いた以外の箇條について概略的の説明をお願いしたらいかがですか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#4
○政府委員(佐多忠隆君) それじや主な点について二、三御説明いたします。
 第一條は、申すまでもなく目的を謳つておるのでありますが、特に「平和的且つ民主的な國家を建設する」というふうなものを冒頭に置きましたのは、提案理由のときに説明がありましたように、対日占領政策の基本原則を背景としておるという御説明をして置いたのでありますが、そういう心組を法案に現わしたつもりでございます。眼目は経済方集中を排除することであるのでございますが、その集中の排除は次に揚げてありますように、單に経済を細分化し弱小化してということでなくて、國民経済を合理的に、適正な規模に再編成するにあるのだということをはつきりと謳つて、そういうことによつて民主的な健全な國民経済再建の先ず基礎工事をやるのだということをはつきり示したいつもりで、そういう文句を掲げておるわけでございます。
 第二條は、定義でございますが、これは別に御説明の必要もないかと思います。
 第三條は、そういう経済力の集中に関する指定と排除の問題を一應規定しておるわけでございますが、その指定を行うのは持株会社整理委員会でありますが、それが経済力の集中としてどういうものを指定するかということを後で説明しておるわけであります。即ち排除される経済力の集中とは、一独占的性質の企業、二関連性のない二以上の事業分野において活動している企業、三事業を支配している企業、この三つがいわぱ第一群の企業に当るもの、第四は企業連合、企業結合、企業合同その他の協同行爲、契約等で、独占的な影響力を持つものを経済力の集中と考えておるわけでございます。第五は個人又は家族における富の集中で、独占的性質の企業の支配に用いられている、又は用いられたものというふうに規定しているわけでございます。経済力の集中と考えられておりますのは以上の第一群が企業、第二群が契約協同行爲、第三群は個人又は家族の富の集中ということになるわけでございまして、企業群の方が三つに分れまして、全部で大体五つということになるわけでございます。
 指定をいたしますのは、持株会社整理委員会でございますが、その指定の期間は約一年間、昭和二十三年九月三十日までに指定するということになつているわけでございます。
 それから第六條でございますが、持株会社整理委員会は以下のようないろいろな事情を考慮して、経済力の集中に該当するかどうかを決定する具体的な規準を定めて、これを公示するということになつておるわけでございまして、これはこの法律が通過すると同時に、持株会社整理委員会をして公示させるつもりでございます。
 それから第七條でございますが、持株会社整理委員会は、第三条の規定によりまして、指定された経済力の集中の排除をするに当りましては、次のような権能を持つということになりまして、いろいろな機能を持株会社整理委員会に付與しておるわけであります。持株会社整理委員会の活動は、この権能に基いてこの枠内において行使されるということになると存じております。それから先程申しましたように、経済力の集中を指定するのは持株会批整理委員会でありますが、これが先ず一應経済力の集中の事実のあると覚しきものを一應指定しまして、更にそれを精査した上、どうしても排除しなければならないというようなものに対しては排除の措置を取つて行くわけでございますが、その場合に、例えば第八條に掲げてありますような、企業再編成の計画或いは財産処分その他の計画等々を承認する、或いは作成しようとするとき、その他のことをなすときには指令案は全部利害関係人に通達しなければならない。一人々々に通達することは非常に面倒な場合がありますので、公示を以てこれに代えるということもできることになつております。この通達は一應指定をなす場合にも同じような手順を経ることになつております。
 第九條に謳つてありますように、持株会社整理委員会は、指令案を通達した日から十五日を経過した後に、利害関係人に対し聽聞会を開かなければならないことになつておりまして、この聽聞会で利害関係人が指令案についての異議の申立或いは意見の具申をすということになつておるわけでございます。
 あとは大体手続的な問題でございますが、ちよつと第十二條のところで、「持株会社整理委員会は、企業再編成計画が債権者、社債権者及び株主を公正且つ公平に取扱つていない場合には、これを承認してはならない。」ということになつておりまして、そういうものを公正且つ公平に取扱うことを要求しておるのでございます。そうでございますが、「企業再編成計画においては、債権者、社債権者及び株主の承認を得ないで、これらの者の権利の変更の定をすることができる。」ということになつておるのでございます。
 それから排除の場合には事実の認定を附記しなければならないのでありますが、その事実の認定が実質的な証拠を基礎としていない場合、又は持株会社整理委員会が実質的な証拠を採用しなかつた場合においては、利害関係人は、指令に対して不服の申立を内閣総理大臣になすことができるということになつております。それで不服の申立に若し該当しておると総理大臣が認めたときは事件を差戻して再審査するということになるわけであります。
 それから第十六條でございますが、「経済力の集中は、他の法令の規定に基く場合又は自発的に生じた場合であるかどうかを問わず、この法律の定めるところにより、これを排除することができる。」ということになつております。たとい他の法律によつて経済力の集中が起つておる場合においても、それに対してもこの法律が採用し得るということになるわけであります。
 ただ第十七條に断つておりますように、「國、地方公共團体、公團及び労働組合については、第三條の規定による指定を行わない。この法律の施行は、配給統制に関する法令の適用を妨げるものではない。」というとこだけを断つております。
 それからこの経済力集中排除法案は提案理由の説明にもありますように、臨時的、一時的のものでございますので、この仕事及び職員は指定の一年間の期間が終つた後においては、すべて独占禁止法の運用に当つております公正取引委員会の方に引継がれるという関係になつておるのでございます。その点においてもこの法律が臨時立法的な性格のものであるということを明瞭に謳つておるつもりでございます。特に私的独占禁止法との関係につきましては、第二十七條に、「私的独占禁止法の規定及びその規定に基く公正取引委員会の権限は、この法律の規定及び持株会社整理委員会の権限によつて変更されることはない。」というふうに、独禁法が不変更の原則を掲げております。相共に独立に併行して運用されるのだということをはつきりしたつもりでございます。
 大体簡單でありますが、以上重要な二三の点について御説明申上げました。
#5
○大畠農夫雄君 この持株会社整理委員会というのは、第二條にあります個人の企業の場合にもやはり持株会社整理委員会が排除するわけでございますか。
#6
○政府委員(佐多忠隆君) 個人の場合でございますが。持株会社整理委員会は持株会社の排除と財閥の指定による個人についてはその処分を持株会社整理委員会でやるわけであります。
#7
○大畠農夫雄君 そうしますと、財閥の指定されたものだけでございますね。個人のものは、財閥として指定された個人のもの、こういうわけですか。
#8
○政府委員(佐多忠隆君) 財閥として指定された個人とか家族の場合でございます。
#9
○大畠農夫雄君 第三條に「当該事業分野において影響力を持つている」ということが書いてあるのでありますが、この「影響力」についてちよつと御説明願いたい、どういうのが影響力か……。
#10
○政府委員(佐多忠隆君) お答えいたします。第二條の定義のところで、「この法律で独占的性質の企業とは、独立企業の合併の結果、又は昭和十二年七月一日から昭和二十年九月一日までの間に当該事業分野において從前に比し過当な事業拡張をした結果、当該事業分野において影響力を持つている、又は持つ虞のある「企業を含むものとする。」というように言つております。その影響力の問題でございますが、それぞれの事業分野におきまして、公正且つ自由な競走が行われておりますときには、経済界は或る一定の安定に達する筈でありますが、その安定点に相應して價格が決定される、或いは資金、商品の動きも定まるということになると思うのですが、こういう経済状況を一方的に変更させる程度の経済上の支配力を持つている場合に、それを影響力と考えるということになつておるわけでございます。具体的にいいますと、それらの点は第六條に掲げた諸事項を考慮しまして判断するということになるかと思います。
#11
○大畠農夫雄君 そういたしますと、これが生産力が経済界に及ぼす影響ばかりでなく、資金の面においてもやはり大きな資金は影響力があるというふうに判断して差支えないですか。
#12
○政府委員(佐多忠隆君) 資金の移動を左右するに足るような支配力を持つておる場合には、その事業分野において影響力を持つというふうに考えるべきだろうという氣持でございます。
#13
○大畠農夫雄君 生産力に構わずに資金が厖大であつた場合、その場合は生産力の如何を問わず、資金の面に影響力があると見て決定して差支えない、こういうわけですか。
#14
○政府委員(佐多忠隆君) 大体この場合には、普通の生産会社の場合よりも、むしろ金融機関について言い得るのじやないかと思つております。
#15
○油井賢太郎君 第六條については、実はこれは安定本部長官にお伺いいたしたいのですが、この具体的基準を定めて、これを公示するという條項なんですが、若し政府委員の方でこれについて具体的にお話願えれば幸いだと思うのですが、この法案は具体的基準が持株会社整理委員会によつて定められる。その結果において、我々はこの法案全体というものに対して、一定の観念を抱くということになるわけですが、その具体的基準が決まらない中には、ちよつとこの法案に対しての考え方がどこへ置いていいかという見当がつかないと思うのです。これについて御説明を願いたいと思います。
#16
○政府委員(佐多忠隆君) 具体的基準につきましては、そこに書いてありますように、持株会社整理委員会が大体定めて、これを公示するということになつておりまので、今いろいろ考究しておるのでございますが、大体我々の方としては、その具体的基準をどういうものに考えたいということは、ほぼ構想が纏つておりますので、近い委員会の機会に刷り物にして差上げて、詳しい御説明をした方がいいじやないかと思つております。
#17
○岩木哲夫君 排除後の秩序を確立するについての対策はどういう意図を持つておられまするかどうか。更に、破壤でないと言われておるのでありますが、再編成、更新をなす場合に、自主的な自由制を認めるのか、相変らず政府はこの趣旨を通して再統制をせんとせられるのか、この点を伺いたい。
#18
○政府委員(佐多忠隆君) 排除法による秩序の確立……。
#19
○岩木哲夫君 排除法を適用されて、すべてのものがそれぞれ分解作用を受けました後の秩序というものについては、放任主義か、どういう秩序の建て方を政府は意図せられておるか。
#20
○政府委員(佐多忠隆君) お尋ねの点につきましては、いろいろここに掲げてありますような独占的な企業なり、或いは関聯性のない事業分野における営業なり、或いは他の企業を支配しておる企業なりが、大体過度のものであり、不合理なものであれば排除され、再編成されて行くということになると思うのですが、そのあとの秩序の問題は、排除いたします時に、何がその産業において合理的な形であるかというようなことを、個々の産業にとつて、或いは更には個々の企業にとつて、具体的に精査して貰つて、それによつて個別的に決定して行くというようなふうな考えでございます。
#21
○岩木哲夫君 それは政府がやはり指導するのでありますか。その業界、業種ごとの自主統制に委されるのでありますか、その点をお伺いしたい。
#22
○政府委員(佐多忠隆君) その点につきましては、大体個別の経済力集中の指定及び排除は、持株会社整理委員会がやつて参りますので、大体持株会社整理委員会が各業界の方々の意見を十分に聽いて、個別的に定めて行くということになると思います。
#23
○岩木哲夫君 持株会社整理委員会はやがて解散し、公正取引委員会に移されるということを了承いたしておるわけでありますが、こういう排除法の適用後の各業界、各事業、業種ごとに、相当秩序が紊れて來るといつた場合に、持株委員会が最後までそれを仕上げる役を持つのでありますか。ちよつとその辺に矛盾があるように思いますが、もう一度承りたい。
#24
○政府委員(佐多忠隆君) 中央持株会社整理委員会は経済力の集中と認めらるるものを指定しまして、排除の措置を取るだけでありまして、更にそれに附帶し、関聯しまして、その後の産業秩序をどうするか、経済構成をどうするかというような問題については、尚政府、業界の方々、更には國会の御審議等々によつて審議し、合理的な編成のし方に纏めて行きたいというふうに考えております。
#25
○岩木哲夫君 只今政府委員の御答弁によりますれば、排除法適用後のあとの秩序については、又ゆるゆるそれぞれの專門的な方法によつて審議し、國会であれこれして貰おうという御趣旨でありますが、これは政府においては、排除法を適用すると同時に、当然起る混乱と秩序と申しますか、いろいろな凹凸な不統制を救うような、秩序を直ちに拾收するような対策がなければ、ただ排除のみを指摘して、野放しにして、野垂死さすということでは、政府の意図される健全な民主的な経済復興ということはなし遂げ得られないのであります。從つて政府におかれましては、排除法適用後におきまする経済秩序の混乱に対処して、適当なる措置を講ずべき法律案乃至はその要綱が当然持合せがなければならんと思うのでありまするが、今の話を承りますと、これから後に相談するということは、どうも甚だ日本の経済界の將來について政府の意図せられる民主的な経済復興ということはなし遂げ得られんのではないかという憂慮を持ちますが、重ねて御所見を承りたいと思います。
#26
○政府委員(佐多忠隆君) 御指摘の点につきましては、この経済力集中の排除自体が、先程から申上げておりますように、合理的な形において再編成すべく排除することを努力いたしますので、おつしやるような、生産の混乱、生産力の低下、弱化というようなことを惹き起すことのないように、すでに排除の措置を取る時から考慮したいと、そういう意味でこれに関聯して大きな混乱が起るということは考えませんし、混乱を起さないような運用のし方でなければならないというふうに考えております。
#27
○中平常太郎君 第二條の定義の中に「從前に比し過当な事業の拡張をした結果」ということがございますが、その結果が当該事業分野において影響力を持つておるという場合に限られておりますが、影響力を持たない場合においては、過当な事業の拡張をした結果というものは、何程大きいものになりましても差支えないという意味でありますか。それからもう一つ、それと同時にお尋ねしたいのは、第六條の、先程油井君からも言われましたが、具体的基準が定まらない前に、第三のような「取引額に対する割合と昭和十二年六月三十日以前におけるその最高の割合との比較」というようなことがございまして、要するにこの戰前における事業状態から、鋭意その発達をして來たところの商業者に対しては、どの程度のものがこの問題に触れるのであるかというような基準が、第一同時にこれを示されない限りは、我々どの程度のものを可とし、どの程度のものに向つて異議を唱える、修正をしたいというような気持が具体的に現しようもないのですが、企業の具体的基準というものはいつできるのでございますか。この國会中にやはりお出しになる考えでありますか。
#28
○政府委員(佐多忠隆君) 具体的な基準につきましては、持株会社整理委員会が定めて、これを公示するということになつておりますので、正式にはこの法律が通過しまして、公布されて、それと殆んど時を同じうして出すというようなことになるのじやないかと思います。併しそれでは今おつしやるような審議に支障を來すと思いますので、持株会社整理委員会はどういうものを出すか分らないが、我々としてはこういう構想を持つて、成るべくこういうものを出さしたいと、持株会社整理委員会も恐らくそれに從つて出すであろう基準を近いうちにお示しして、具体的に御説明したい、こういうつもりであります。
 第二條の定義は、過当な事業を拡張をした結果、その事業分野において支配的な、即ちそこの分野における價格その他を左右するに足るような影響力を支配的に持つようになつた場合に、初めて独占的な性質というふうに考えられるというつもりであります。
#29
○中平常太郎君 それではこの具体的な基準というものは、國会にお出しにならん考えか。持株会社整理委員会、公正取引委員会の方でできる、整理委員会の方でできるところの基準というものは、我々これを審議すると同時にお出しにならん考えであろうか。これを決議した後でなければ出ないというのでありますか。
#30
○政府委員(佐多忠隆君) 先程申上げましたように、正式な、合法的なものとしては、この法律が公布されてから出す。併し先程申上げましたように、御審議の便宜に資したいために、大体の構想はこの次の委員会なり何なりで書類にしてお出しして、更に詳しい御説明をし、御審議願いたいというつもりであります。
#31
○委員長(黒田英雄君) その具体的の基準と、あなたの方のお見込ですね、それはでき次第、委員会を開かなくても、皆さんの御審議の御研究になるなんになりますから、一つでき次第、次囘の委員がなくても、委員の手に渡るようにして貫いたい。
#32
○政府委員(佐多忠隆君) 承知いたしました。成るべくそういう御希望に副うように直ちにお届けするようにいたします。
#33
○大畠農夫雄君 具体的の基準でございますが、それは持株会社整理委員会が出すということになつておる、更に政府の方からもそれが出して見るということになるのでありますが、その場合食い違つた基準が沢山出て來たという場合には、どういうふうに取扱うように政府で考えておりますか。
#34
○政府委員(佐多忠隆君) 正式な具体的な基準は、持株会社整理委員会が作つて出しますので、正式なものとしては、それが決定的なものであるというようにお考えを願いたいと思います。併し政府が大体考えております構想は、各方面と打合せて作つたものでございますので、恐らくそれと非常に懸け離れたものが出るというようなことは、実際問題として考えられないというふうにお含み願つて結構と思います。
#35
○大畠農夫雄君 次に第十二條でございますが、「持株会社整理委員会は、企業再編成計画が債権者、社債権者及び株主を公正且つ公平に取扱つていない場合には、これを承認してはならない」大体に了承できるのでありますが、一つ設例を以て具体的に御説明を願いたいと思うのであります。
#36
○政府委員(佐多忠隆君) 大体設例してというまでに具体的に考えておりませんが、それはすべて、持株会社整理委員会の運用に委すということになつておりますが、大体の考え方としては、企業再編成計画、解体の計画なり、再組織の計画を作ります場合に、いろいろなやり方としては、或いは株主を最優先に考えるとか、或いは債権者を最優先に考えるとかいうような、いろいろなやり方もございますが、この場合には債権者、社債権者、株主を公正且つ公平に取扱うというような原則で行きたいということを謳つてあるつもりでございます。
#37
○大畠農夫雄君 それはよく分つておるのでありますが、実際においてこの條文を見ますと、ただぼんやりと分つておるだけでありまして、簡單な設例でもいいのでございますが、一つ設例を以てお話願いたいと思います。
#38
○政府委員(佐多忠隆君) 先程申しましたように、この具体的な運用については、持株会社整理委員会がやることになりますので、その具体的な設例を以てということについては、ちよつと私の方で御説明ができないのであります。
#39
○藤井丙午君 大臣に対する質問は、これからお願いしてよろしうございますか。
#40
○委員長(黒田英雄君) どうぞ。大臣が見えましたから、大臣に対する御質問を願いたいと思います。
#41
○藤井丙午君 本法案は國民経済の現在及び將來に至大な関係を持つものでございまして、政府当局におかれましても、國会提出前に関係方面と非常に愼重な折衝を続けられたやに伺つております。又この法律が持つ特殊事情も我々は十分承知しておるのでありますけれども、この本案の目的及び趣旨につきましては我々は全然賛成のものでありますけれども、この具体的実施面におきまして、その運用を一歩誤りました場合には、現在及び將來の國民経済に非常に大きな影響を持つものでありますので、私共としましては十分審議を盡したい、かように考えるものであります。そこで先ず第一に大臣にお伺いいたしたいことは、本法案との関聯において、実はこの法案を実施に移される場合に、正しい民主化の方向において各企業体の適正規模を決め、民営経済の合理的な再編成をするという建前でありますが、それに先立つて私はこの本法の実施に先立つて、これとの関聯において一應國民経済の全体、就中産業の一定の長期計画というものが用意されて然るべきではないかと思つております。と申しますのは現在の産業経済の実情というものは、まだ戰前の工業生産力に比してその三割程度しか恢復いたしておりません。或る種の産業におきましては、原料並びに生産設備、能力等から相当軌道に乘つておるものもございますが、又一面或る産業におきましては、生産設備能力の破壞の程度、或いは原料関係等から非常に生産の囘復率が遅々たるものがありまして、中には一割乃至一割五分程度しか生産を恢復していないという特殊な事情もございます。從いましてそういう非常なアブノーマルと申しますか、異常な現状におきまして、本法を直ちに現状に即して適用されておる場合に非常に困つたことがある、と申しますのは、將來の産業について非常な影響乃至は弊害を残すような虞れが多分にあろうかと思います。一例を申しますと、例えば鉱鋼業におきましても、現在はまだ戰前の一割五分乃至二割程度しか恢復しておりません。そこでこの鉱鋼業なら鉱鋼業につきまして、將來五ヶ年間なら五ヶ年間に大体どの程度の生産を見通して目途として行くか。その場合に例えば銑鋼一貫作業であるか、或いは單純製鋼圧延を重点として行くか、こういつたような生産の長期計画の目途、及びこれらの具体的な内容によつては、相当製鉄事業なら製鉄事業の具体的なあり方が変つて來るわけであります。從いまして私はこの機会に政府におかれまして、本法実施に関聯しての前提となるべき、特に主要産業等の一定の長期計画が政府当局において御作案になつておられますれば、その外貌を御説明頂ければ非常に結構かと思います。固よりこの問題は特に資源関係、輸出入関係、即ち貿易関係等との非常に錯綜した関係にありますので、政府当局におかれましても、この長期計画の策定ということは非常に困難なことであることは、我々十分了解いたしますけれども、併しながら今申しましたような意味におきまして、一應の五ヶ年計画乃至それ以上の長期に亙つての大体の主要産業等の計画が若し用意されておりましたならば、それを一應伺つて置きたい。突然の質問でございますので、そういう御用意がございませんならば、却つて御答弁を留保して適当の機会に一つお聞かせ願いたいと思う次第であります。
#42
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。この法案の施行に関係しましての長期計画の問題でありますが、日本の経済を再建して行くための長期の計画の必要につきましては、我々としてもそれを痛感いたしまして、長期計画策定の仕事は一應経済安定本部におきましていろいろとやつておるわけでありますが、まだ正直なところ本当の結論には達しておりません。
 それからもう一つ、これはいろいろな関係がありまして、生産性を一体將來どの程度に置くか、それから目標というものを生活水準に一應置くとしても、それをどの程度に、例えば五年計画なら五ヶ年に限られるか、雇傭の点から見てどうなるか、言い換えれば人口の配分の点がどうなつておるか、それから今あなたの御指摘になりました各工業の生産性を考える場合に、その在り方、作業方法といつたようなことについてはどういう形式を前提として行くか、それから國際関係の收支のバランスというものは、その場合にどういうふうになつて行くかというようないろいろな面がありますので、実は各産業部門につきましてそれぞれ担当いたしまして、今実はその作業をやつておるわけであります。それができましてから又全体を引括めて、全体を合せて、それを綜合的な見地からいろいろな矛盾撞著、或いは過程の中から來る矛盾、或いは作業の過程においてできた矛盾などをそこで勘案いたしまして、最終の結論が出て來るのだと思いますが、実は数字的には或る程度の内容を持つたものは我々としては持つておりますけれども、数字的に表明するまでにはまだ至つておりませんので、その点は一つ御勘弁を願いたいと思います。ただお話の点につきましては、私共としても十分に將來の日本の産業の在り方ということにつきましては、片方では考えを囘らしながら、やはり集中排除の処置を実際にやつて行くことに努力して行きたいと考えております。
#43
○藤井丙午君 関聯して……。只今の和田長官の御答弁は実情としては誠に困難なことは十分了解しておるのでありますが、先程も長官が御臨席の前に、この持株会社整理委員会におきまして排除の具体的基準を作成をするということになつておりまして、それがはつきりしなければ実際は実質的な審議もできないではないかという議論も出たわけでありますが、その場合にやはり持株会社整理委員会の運営の適正を期するという目的におきましても、全般的な綜合的な計画はできなくとも、少くとも見通しのつき得る限りの各産業についての計画は御作案になつて、十分持株会社整理委員会等と緊密な連絡をとつて頂きたいということを希望申上げる次第であります。
 それから次はこの法案の第二條の第四項に、これは主として從來の産業経済團体に対する適用の條項がございます。御承知のように各産業経済團体は独占禁止法の実施乃至は例の指定生産資材割当規則の実施等の関係から、殆んど大部分の経済團体が解散若しくは閉鎖機関にしておつたりしまして一部は御承知のように安定本部等の補助機関として指定されて残つておるのでございますが、これも早晩解散若しくは閉鎖機関に指定される運命になつておるのでございます。そこで終戰後今日まで、特に終戰後の非常な混乱動揺のさ中から民間におきましてそれぞれの産業別に自主的な團体を組織しまして、その混乱の收拾に当り、再建の推進に相当の努力をいたして來た事実は恐らく政府当局もお認めになつていると思いまするが、固より本法乃至独占禁止法の建前から從來のごときカルテル的或いはその他のいわゆる統制的な機能を持つ團体は一切許されんことは当然でありますが、併しながら現状におきましては、事業が官職統制に帰一しておりまして、民間のいわゆる創意等を反映する機関が全然なくなるということは、長い將來或いは当面のいろいろな事情からいいましても、十分考えなければならん問題であろうかと思うのでございます。就中各産業におきましても、現在の生産諸條件等、個々の企業体によつては到底解決のできない綜合、有機的に解決しなければならない幾多の問題があるのでありまして、殊に民間におきましても、相互の連絡協調乃至は情報の交換、或いは技術の協同研究改善、或いは調査、そういう意味の團体の必要を痛感しているわけであります。この問題につきまして、恐らく政府当局におかれましてもいろいろお考えになつておろうと思いますが、私の希望といたしましては、この法案の審議に関聯いたしまして、現在及び將來におきましての、この種の産業経済團体の在り方と申しますか、これらの法令に抵触しない範囲においての、その性格機能というものを明らかにして頂けば非常こ幸いだと思います。
#44
○國務大臣(和田博雄君) 只今の点をお答えいたします。この法律はお話のように運営が非常に重要な点でございまして、その運営の標準となる具体的な基準の問題でありますが、その具体的な基準につきましては或る程度のものはありまするが、これは本委員会の御審議の関係しなければならんと思いますので、至急にこれをお配りいたしますよう今手続を取つておりますから御審議願えると思います。
 それから只今の産業團体の点でありますが、藤井委員の御存知の通りの状態でありまして、お話の次第のカルテル、トラストというような、いわゆる独占的ないわば従來の統制的な仕事をやつて來たものに対しましては、今後の法律によつてなくなるわけでありますが、お話のような團体であつて、或いは実情の調査をやるとか、いろいろな点についてやはり團体自体として、その産業界において持つべき機能が統制以外の、又独占的にならないものがあるのでありまして、その点につきましては我々の方としましては今いろいろ努力をして是非そういうものは存立さして行きたいと思つているのでありますが、まだ具体的な最後の決定に至つていないのでありますから、今お話のような点は十分我々としてもそういうものを尊重いたしまして、明らかにいたしたいと考えております。
#45
○藤井丙午君 甚だ恐縮でありますが、もう二、三質問させて頂きます。本法の指定の対象外となる事業につきまして、具体的に御説明願いたい。十七條には國、地方公共團体、公團、労働組合等は第三條の規定による指定を行わないとございますが、今まで新聞等を拜見しますと、例えば鉄道、電力、ガス、こういつたいわゆる公共的な事業、或いは公共的性格の強い事業等は指定から除外されるやに伺つておりますが、その除外されるものの対象の範囲、更に又石炭鉱業につきましては石炭國家管理法案が上程されておるわけでありますが、石炭はどうなるのでありましようか。又鉄鉱業等については、これは一つの例でありますが、イギリス軍占領治下のドイツにおいては、本法とは内容は違うかも知れませんが、集中排除法等から鉄鋼業等は除外されておるようにも伺つております。從つてこの指定を除外される産業の範囲等についてお答え願いたいと思います。
#46
○国務大臣(和田博雄君) 指定の対象の問題でありますが、これはここに書いておりまする國、公共團体或いは公團、労働組合以外の事業は國が直接やつております以外は全部結局指定される対象になるのでありまして、公共事業だから電氣事業がそのまま指定されないということにはならないのであります。その点につきましては十七條の一項の規定のものにつきましては、我我として或る程度の具体的な案を持つておるのでありまして、命令でこれを書くことになつております。例えば國が企業の主体であつて、或るものについて一例をいえば、造幣の事業、或いは煙草、塩等の專賣事業、証券類印紙類の製造、國がやつておる國有鉄道、通信事業、或いは簡易生命の保險事業、そういうものを細かく規定して、これは具体的に決めて行きたいと考えております。ただ公共事業だからといつて指定されないということにはならない点を御了承願いたいと思います。
#47
○藤井丙午君 もう一点お伺いいたしたいのは、本法の実施と企業再建整備法との関係乃至賠償対象産業、これが実は現在の企業再建整備計画においても賠償が具体的に決定しない、そこで非常な難事を來しておる実情でありますが、更に本法の適用を受けまする場合に、賠償の対象となつておる個々の企業におきましては、実際は本法による再編成計画が立てられないというような事情にあるわけでありまして、これには当然何らかの過渡的というか、臨時的な措置が講ぜられて然るべきであろうかと存じすまが、その辺についての御見解を伺いたいと思います。
#48
○國務大臣(和田博雄君) これは指定はされますが、具体的にいえばお話のように実際は再建整備計画が立ちにくいのでありまして、賠償決定がはつきりしないから、実際の取扱いとしてはあなたのおつしやるようなことに進まなければならんと考えておりますが、尚細かいことは研究したいと思つております。
#49
○藤井丙午君 過渡的な措置については別途……。
#50
○國務大臣(和田博雄君) 計画は立てたが、実際上はなかなか計画は具体化しないということになるわけですな。
#51
○藤井丙午君 もう一点お伺いしたいのですが、先程も委員の方から御質問がありましたが、例えば持株会社整理委員会における具体的な基準を作成する場合でも、佐田局長の先刻の御説明では、これは第六條にありますように整理委員会の方で合理的に決めて行くものだ。併し先刻の和田長官のお話にもありましたように、何らかの基準的なものをここに示したい。それで一つこの政府と持株会社整理委員会との関係は一体どういうふうな関係になつて行くか、この辺を少し具体的にお尋ねしたいと思います。
#52
○国務大臣(和田博雄君) 持株会社整理委員会が、結局この六條に書いてありますいろいろな事項を、考慮の上で具体的基準を決めるわけでございますが、その具体的な基準を皆様方のお手許にお配りしようというものにつきましては、これは政府として持株会社整理委員会の方と十分に連絡をとつた上で、でき上つたものを配付しようと思つておるのでありまして、持株会社整理委員会がこの運営に全部当つて行くわけでありますが、併し政府といたしましても、やはり十分それらの点についても連絡といいますか、調整をとりましてやつて行きたいと考えておるわけでありまして、相当な権限が委讓されるわけでありますから、これが結局中心になつて行くということにお考え願いたいと思います。
#53
○藤井丙午君 そうしますと、まあ命令関係とかそういつた関係は全然なしに連絡協調という関係に立つて行くわけでありますね。
#54
○国務大臣(和田博雄君) 勿論監督の立場にあるわけであります。
#55
○中平常太郎君 今の持株会社整理委員会から出される具体的な基準でありますが、これは只今長官のお話では近く参考資料としてお出しになるそうでありますが、この基準というものは我我がこれを議するという意味のものでなくして、確定的のものでお出しになるのであるか。それはそれでもうできたものを案としてこの排除法案を考慮すべきか。それから排除法案を考慮すると同時に、その基準に対しても相当我我考慮を加えて修正し得る権限がやはり國会にあるのかどうか。それからその点ともう一つは第三條の三に役員のことと役員の権限と株式のことが書いてありますが、株式は巷間傳えられるところによると、相互依存によるところの生産分野における会社以外のものは悉く分離しなければならん。これは分つておりますが、それと同時に株式は一株も持ち得られんのかどうか。役員にならんところで会社の株を何程でも持ちうるのかどうか。それは相当持つことができるならば潜在勢力ができて來て、何も役員にならんところで左右し得る力ができるわけでありますが、役員のことは独禁法で相当やかましく出ておりますが、役員にならずとも平株主として相当な潜在勢力を持つことができるのでありますが、それはやはりこの経済力集中排除法案でぴたつとそういうようなことはなし得ないように、いわゆる株を持ち得ないようになつておるのでありますか。それが持ち得ないのであるのならば、これは全國の株式取引所は全く意味をなさないものになつてしまう。取引所を止めてしまわなければならないことになつて來るのですが、この株の持株、つまり相互依存になつていない生産分野における別個の立場における会社の株は一切持てないかどうか。それから第三における書き方は一番終いに「又は有していた企業」とありますから、一番終いに書いてある「企業」の二文字が働いて、いわゆるこういうような株を取得して経営するところの企業体を言うのであろうかと思うのでありますが、その辺を一つ明らかな御答弁をお願いしたいと思います。
#56
○国務大臣(和田博雄君) この基準は大体決まりましたものを参考としてお配りいたすわけであります。併しながらこの委員会におきまして十分御意見は我々として承りまして、そうしてできるだけそれを実現できますように努力をいたしますが、これは持株会社整理委員会が資格を決めたものを参考として出すということになるのであります。株の点は、役員にしても株主にしても他の企業を結局支配する程度の株は持てんということになるのではないかと考えております。
#57
○中平常太郎君 株の数はどの程度ですか、やはり二〇%位のところに行くのですか。
#58
○國務大臣(和田博雄君) 独禁の制限というものが結局適用になる、こういうことになると思います。
#59
○委員長(黒田英雄君) 今大藏大臣が見えておりますから、大藏大臣からこの集中排除と金融機関との関係を御説明を願つた方が便宜と思いますが、いかがですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(黒田英雄君) それではどうぞ。
#61
○國務大臣(栗栖赳夫君) この経済力集中排除法が金融機関に対してどういうふうに適用になるか、或いはどういう結果を齎すかということにつきまして御説明申上げたいと思います。これは実は金融機関の面における適用はどういう範囲になるか、或いはどういうように適用されるかというようなことは、企業全般に対するものよりも尚まだ判明しない点が多々あるのでございまして、只今関係筋ともいろいろ交渉をし、そうしてその適用の方向、形式、範囲その他についても打合せを続けておるような次第であります。それで、ここでいろいろ纏めてはつきりしたことを申上げるわけに参りませんし、今後分り次第成るべく早急に又重ねて御説明を申上げ、又お尋ねも受ける、こういうことに相成ろうと思うのであります。その辺を一つお許しを願いまして、申上げて見たいと思います。
 先ず集中排除法が金融機関に適用になるかどうかという問題は、適用になると申上げなければならんのであります。併しどういうふうに適用されるかというようなことは、先程も申したようにまだはつきり決まつておらんのでございます。只今いろいろその角度から交渉をいたしまして、その関係をはつきりするように、いたしておるような次第でございます。尚若しこの排除法が金融機関に適用されるとすれば、どういう金融機関に適用されるか、こういうことでありますが、併し実はこれもまだはつきりした基準その他が決まつておりませんので、どういう種類、どういうような金融機関に適用されるということはまだ分り兼ねておるのであります。
 それから特殊銀行に適用されるか、こういう問題でありますが、これは実は特殊銀行制度というものは、政府といたしましても別途な観点からいろいろ見直しており、これは制度も改めたいと考えておるのであります。実は大体この企業整備、経済力の集中排除等が完了をいたしまして、日本の産業がどういうスケールで、どういう方向に、どういう形式であるかというような見込を付けて、それに対して日本の金融機関もかくかくでなければならんというような見込を立てるわけでございます。併しながらこの特殊銀行制度というものは、現在におきましては日本銀行、復興金融金庫というものは暫く別にいたしますが、その他の金融機関というものは殆んど全部特別の銀行法というものができておりまして、それによつていろいろな制度があり、特権その他が與えられておるのであります。政府といたしましては、かような特別銀行法によつて特殊銀行を作るということは止めたいと考えておるのであります。いずれ銀行法も改正せんければならんけれども、さような銀行法というものの下に、すべての銀行、金融機関の規定を置きまして、その中の特殊的分野を守りますところの、又分野で営業活動をいたしますところの特殊銀行は、そういう一般の銀行法の中に規定を設けて、そうしてその中でやらして行きたいと思うのであります。銀行の民主化というような点もこの辺りに非常に考慮して実現をいたしたいと考えておる次第でございます。そうして或いはその特殊的分野というような関係から、長期金融をいたす必要がありますものにつきましては、やはり預金による資金の調達というような点に主力を置かないで、債券発行というような特殊なところに主力を置いて、長期資金を集める、こういうような形をも取らしたいと思うのであります。そうしてこの経営でございますが、経営も民主化いたしまして、そうして從來のような会社の主脳部についての選仕の形式その他監督の形式等はすべて止めまして、民主的なる形式の下に、選任とか監督というようなことも行いたいと思うのでございます。
 それからこの信託会社その他の一種の特殊な金融機関につきましても、この際從來の業域より更に本來の信託会社の形式の方に進ましたい。それがために特殊的な金銭信託に主力を置いて、銀行との摩擦を生ずるというようなことも変えたい、かように考えておる次第でございます。
 損害保險につきましては、実は根本の基準その他は決まつておりませんけれども、これは丁度再編成案を出すように只今要求をいたしております。そういうような要求が出ました上で、いろいろ審議の結果、一定の方向を取らしたいと考えておる次第でございます。
 それから経済力集中排除法は五大閥銀行だけに適用になるのじやないかというようなことも間々新聞に出ておるのでございます。政府は未だかような考えを決定して持つておりませんのでございます。新聞にはいろいろ仄聞の記事として出たかも知れませんけれども、かようにはつきりした考えを決めておらんような次第でございます。
 それから或いは銀行の集中排除の結果、分割するというような場合には、地域別にするのか、或いは預金別にするのか、或いは戰時中特殊の銀行が、特定の銀行が合併したものによつて、更に元の銀行に復元するような意味で集中排除をするかというようなこともしばしばお尋ねを受けるのでありますが、まだこの点については全く、先程も申しましたように、方針が決まつておらん次第でございます。そこでこの預金によるとか、地域別によるとか、或いはこの合併によるものを復元分散をして行く、かような、ことなどについてはまだはつきりしたことを申上げられない立場にあるのであります。ただ金融機関でございますから、そういうものの再編成につきましては、およそ一定の方針を立て、一定の方向を定めて、いずれこれはやりたい、集中排除の分散その他をいたしたいと、かように考えておることは、ここで申上げられると思うのであります。
 尚この金融機関はまあ預金、金銭信託その他の預貯金を預つておりますので、この経済力集中排除の結果、分割されるようになつた場合に、預貯金の保護はどうか、薄くなるようなことはないか、かような懸念もあるかと思うのであります。政府といたしましては、金融機関の特殊性というものを十分考慮いたしまして、そうして預貯金の保護、預貯金の安全性というものを害さないようにということについては十分盡したいと考えておるのであります。貯蓄の増強ということが、このインフレ対策の一つの大きな要素であり、増強をするということは、預貯金の安全性を維持、増進して行くということが極めて大事でございますので、その辺は十分考慮してこの実行をいたしたい。かように考える次第でございます。
 尚政府は預金保險制度というようなものについても考究をいたしておるのでございます。この制度は実はこの経済力集中排除法によつて、金融機関が指定を受け、そうして再編成をされた結果、その後の預金というものについては、この保險制度も必要に應じては取つて行きたいと思うのでありますが、集中排除のために、又その対処の策として、預金保險制度を採ろうというようなことが或いは誤傳されておるかも知れませんが、そういうことは全然ないことであります。それ以外の形式を、金融機関本來の建前から、預金貯金の安全性ということは別途に十分保護して行きたい。かように考えておる次第でございます。簡單でありますが、これを以て説明といたします。
#62
○委員長(黒田英雄君) 御質問を続けて願いたいと思います。
#63
○中平常太郎君 この際和田長官の方へ御質問申上げてもよろしうございましようか。
#64
○委員長(黒田英雄君) どうぞ。
#65
○中平常太郎君 先程和田長官からお答えになりました株式の所有の問題でありますが、独禁法を見ますとこう書いてあるのであります。独禁法によるとおつしやつたから、独禁法を見たところが、第九條に「特殊会社は、これを設立してはならない」、特殊会社は株を持つてはならない。これはよく分つております。それから第十條に、「金融業(銀行業、信託業、保險業、無盡業又は証券業をいう。以下同じ。)以外の事業を営む会社は、他の会社の株式(議決権のない株式を除く。以下同じ)を取得してはならない。」こう明らかになつておりまして、会社が、いわゆる企業会社その他の会社の株式は、会社としては一株も持ち得ないことになつておりますが、そうして見るというと、これは明らかになつておりますので、これはもうすでに法律となつております独禁法によるのでありますから、これは問題にするわけに行きませんが、事業が振わず、遂にその会社の株を何かの理由によつて受けねばならないようなふうになつた場合は、相当にこれは経済上の混乱時又は激変期におきましてはあるのでありますが、事実といたしましては、会社が経営困難となつた場合に、役員の持株、或いは又会社でなくして個人の持つておりまする株式を、その個人が自分らの経済の不廻りのために持つておる株式を誰かに賣る。個人に賣ればよろしいけれどもが、会社に賣るということは絶対できないことになつて來るのでありますが、そういうような場合でありましても、一株もそこに持ち得ないものでありますか、その点をちよつとお伺いします。会社としては持ち得ないかどうか。どういうような事情がありましても、会社は他の会社の株は持てないかということについてお伺いいたします。
#66
○國務大臣(和田博雄君) 独禁法に少し規定があるでありますが、十條に……。
#67
○中平常太郎君 もうあの通りである以上は会社は一切持てないのですね。
#68
○國務大臣(和田博雄君) こういう場合は持てないことになると思うのであります。
#69
○稻垣平太郎君 今の問題にちよつと関聯してお尋ねしたいのですが、経済再建整備法に從いますというと、或る会社が第二会社を作る場合において、その株式を持つことができることに規定が相成つておるのでありますが、只今の御説明によつては、独禁法によつて持てないという御説明でありますが、どちらに從うか、それをはつきりして頂きたいと思います。
#70
○國務大臣(和田博雄君) これは互いに侵し合わないということになつておるわけでありますから……。
#71
○稻垣平太郎君 ところが、競争会社の株も、企業再建整備法によつて、いわゆる整備については持てることに相成つておるのであります。そうするというと、從つてこの経済集中排除法によつて第二会社を立てる、成いは別会社を作るということになつても、その株式は持たなければならんと思いますが、この点をはつきりして頂きたい。
#72
○國務大臣(和田博雄君) 特経会社は持てるのですから、それでよいのじやないかと思います。特経会社でなくて外の会社についてのお話だつたと思いますからお答え申上げます。
#73
○稻垣平太郎君 特経の会社の場合につきましては持つてもよいわけですね。
#74
○國務大臣(和田博雄君) さようでございます。
#75
○岩木哲夫君 ちよつと只今の御質問に関聯してお尋ねしますが、独禁法案の適用除外例に準拠すれば、食糧管理法、臨時物資需給調整法に準拠した團体は、この集中排除法案の適用外に置かれるわけですか。これらの法律に準拠されたる機関、團体等でもやはり只今のごとき解釈と同様と思つてよろしいわけでありますか。
#76
○國務大臣(和田博雄君) それは企業独占の集中を排除する場合においても同様であります。除外例にもありますからその通り……。只今稻垣委員のお尋ねと同じであります。
#77
○細川嘉六君 安本長官の和田君に二三お聞きしたいのですが、この法案の目的は「平和的且つ民主的な國家を再建するため」となつておりまするが、実際はこの点については異存は少しもない。尤もなことでありますが、目的はそうしてありましても、この法案の狙うところは経済力の集中を排除するということであつて、この点は歴史の進歩に対して反対のことをやろうとしておることになります。経済力が集中して行くことは、資本主義社会であろうが、社会主義社会であろうが共産主義社会であろうが、これはどうしても人間の経済行動の力はそうなつて來るものであります。これは爭われんこの爭われん方向に対して、この法案は全く反対のことを行のおうとするのであつて、そうして先程來この委員会でも、この法案を施行する前に長期に亘る経済計画がないかどうか、或いはこの集中排除をやつた後はこれらはどうかという心配する意見が出るのは尤もである。経済力の集中を防ぐということが歴史に逆行することであることは言うまでもないことであると思いますが、ともかく日本で行おうというのであるが、目的は平和的な民主的な経済建設をやる手段は全く反対なことになります。今若し経済力の集中したものを排除するということになると、一應は集中したものを切つて行くことはできるが、併しながら今日の集中した経済力の権利を持つておる者、それは依然として権利である。それから人の関係から見ましても、今独占会社に勤めておつた人は引退しなければならん。引退するにしても、人の関係というものはいろいろな繋がりでやはり残つておる。細かく刻まれた企業内にも残つて來る。それでありますから、実際はこの法案を行なつた後いろいろ混乱を生じて、結局やはり眼に見えないところに段々と経済力は集中して行くという方向に出るに違いないと思われるのであります。ですから狙うところは正しいが、手段は間違つておるから、結局経済的集中は排除できない。のみならずこれを今行なつた場合に、企業は段々小さくなつて來る。というわけで、大企業の経済上の利益というものは段々小さくなる。そうしてそこに働く勤労者の、労働者であろうが事務員であろうが、それらの者の地位というものは小さい企業の中に押込められて、労働條件というものは非常に惡くなる。そういうことから社会不安を起して來るという危險があります。それでありますから、この案は無理をやつておりはせんかということになる。そういう社会的困難も起つて來ると思うのであります。これは日本の経済を平和的な民主的なものにするということを本当に考えるならば、重大産業の國営、差当り國営ということと共に、人民管理を行なつて行くということより外にないと思います。本当に平和ということは、働く人間の九割以上の者は平和を欲しておる。今まで戰爭で驅り立てられた我が國民は、戰爭が好きでなかつた、平和を愛好した、そうして安寧幸福を皆望んでおる。そういうものの力が人民管理の中に入つた、これは平和の保障であります。同時に又民主主義の根抵であります。それでこの際日本の本当の建設を考えるならば、こうしなければならんのは当然である。和田君なんかは非常に有能な秀れた能力を持つておられるんだが、さつきいわれたいろいろの、言うに言われん事情もあるようだが、それだけ縮こまつてはいけないのであつて、建設のためには大いなる先の見通しと勇気を出して、本当の民主主義、本当の平和主義の産業の建設というものに行かなければならんと思いますが、この法案をやり替えて、その方を一つ出す勇氣ありや否や、確信ありや否やを御答弁願います。
 次に十七條には「労働組合については、第三條の規定による指定を行わたい。」とありますが、この三項を見ますと、「第一項の規定の適用に関する事項は、命令でこれを定める。」とあります。労働組合は段々発達して全國組織になつて來ておる。これも一つの経済力であります。それで第一項では「行わない」となつておりますが、三項に行くと疑わしくなるのであつて、政府は労働組合の全國組織を全然この規定で、三條の規定の域外に置くということは十分はつきりしておられるのであるか。或いは又今後の発展次第で、労働組合全國組織を地方別の幾つかに細分して行く肚でおられるのか、その点をはつきりさして欲しいのであります。こういう独占等の問題については、アメリカなんかでも一九三〇年代に独占排除の問題が起きたときに、その勢いが労働組合にまで及んだ、そういう例がありますので、今申した点をはつきりさして頂きたいのであります。それから第三條は、経済力の独占的なものを排除するという、労働力もこれは経済力の一つでありますが、こういう法案を施行なさるに当つて企業者側、資本家側の意向はお聽きになるが、労働者側、労働力も経済力の一つであるが、労働者側の意向をどの程度にお汲み取りになるか、この点お聽きしたいのであります。労働力は、労働者というものは、この企業の問題の決定如何に関して非常な関係を持つておるということは申すまでもありません。最後に持株整理委員会、これと政府との関係はさつきお答えありましたが、どうもはつきりいたしません。持株整理委員会というものは政府とどういう関係にあるか。こういう本案に盛られておるような可なり大きな仕事をなすものでありますが、その組織は今後もこのまま持続されるのか、又どれ程のことをやろうとしておるのか、この点更に御説明をお願いしたいと思うのであります。
#78
○國務大臣(和田博雄君) 経済力が自由競争の結果集中して行くのは、一つの経済法則であつて、その集中して行つたものを排除するということは、これは目的がたとえ平和的な民主的な経済を作るという点からいえばいいとしても、どうも自然に反するじやないか、こういう御議論でありますが、この経済力集中排除法案、これは御承知のように所有の集中というものを排除するという考え方なのでありまして、丁度自由競爭の結果、経済が段々所有によつて集中して行つて、そうして過当にここに独占的なる非常な組織体ができた。この今の日本の現実からいつて、そういう状態をやはり一應打開してしまつて、そうしてそこに自由な競爭が行われる一つの地盤を作つて、その後は独占禁止法によつて規定されたあの枠の中で民主的な経済というものが行われて行く、こういうふうにしようというのが、この経済力集中排除の目的であり、又同時にその手段なのでありまして、競爭が余り激しくなつて、そうして非常に集中が過度になる。それが日本の経済自体にとつては一つの大きないわば癌になつておる。それを切開するという意味に御解釈願えればいいのでありまして、所有の過度の集中というものを排除して行く。從つて集中を排除するやり方としては、生産の低下というものを防いで、そうしてどこまでも將來は將來としてのあり方は、独占禁止法というあの枠の中で、公正な競爭というものの原理の上に立つた一つのそこに経済秩序ができて來る。その枠内における企業自体のいわば適正な集中というものについては、何らこの法律というものは制限をしておるわけではないのであります。これは細川さんの立場からは、そういう資本が蓄積され、企業が集中して行く、從つてそれは当然そのまま國家管理、國営にしたり、或いは又あなたの御議論だと人民管理にするのがいいのじやないかという御議論だろうと思うのでありますが、我々としてはむしろそうは考えていないので、今の過度に堆積した経済の独占的な集中力をむしろ排除して、そうして独占禁止法における公正な自由競争の下における、一つのそこに経済秩序というものを立てて行く言い換えればそういう再編成の仕方をやつて行こうというのであります。その点私とは考えを異にしておるし、この法律自体の目的としておるところも私が今言つたような点で盡きると思うのであります。
 それからもう一つ労働組合の点でありますが、これは労働組合法によりまする労働組合は、すべてこの本條の適用の除外になつておるのでありまして、今あなたがおつしやいましたような事柄を政府としてはやつて行く考えはございません。
 それから持株会社整理委員会と政府との関係でございますが、これは持株会社整理委員会は今度の法律によりまして、相当強度の廣汎な権能を與えられることになつて参りまするので、持株会社整理委員会の委員等につきましては、数を殖やすというわけには参りませんが、やはりもつと適当な人には入つて頂きまして、そうして持株会社整理委員会というものが、有能に公平に活用できるように政府としてはいたしたい、かように考えております。で、これは別途持株会社整理委員会令の改正の法律案を出しまして、この点については一應の改正をやつて行こう、こう考えております。
 それから政府は只今の持株会社整理委員会につきましても、委員は内閣総理大臣が任命することになつておるのでありまして、政府としましてはこの持株会社整理委員会については、やはり一般的な監督の立場に立つておることは申すまでもないのでございます。併しながら今度の場合は今までのような状態ではいけませんので、この点は改正いたしまして、そうして政府との間の関係ももつとはつきりといたし、又持株会社整理委員会自身の監査等につきましても、國会の方で一つ何らかの委員会を作つて頂いて、そうして十分に監督をして頂けるようにしたい、こういうような考えを以ちまして、これはやがて法律としまして御審議を願うことになろうかと思いますが、折衝いたしておる次第であります。
#79
○細川嘉六君 持株会社整理委員会、これは命令でお決めなさるような今のお話であつたのですが、こういう重大な委員会の構成、権限というものは、國会の法律で定むべきものじやないか、その点はどうですか。
#80
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。この前は確かポツダム勅令によるものだと思つておりましたが、今度は一つ法律で改正しようと思つておるので、それで國会の御審議を願おうと思つております。
 それからもう一つ落ちましたが、労働者と何との関係でありますが、これは法律にもはつきりいたして置きましたように、再編成計画について異議がありましたときには、利害関係人が異議の申立ができるようになつておるわけでありますが、その利害関係人の中には当然從業者も含むのでありまして、再編成成計画について、聽聞会その他で異議の申立ができる。そういうようになつております。
#81
○大畠農夫雄君 本法の独占的性質の企業ということは、この二條の第四項に定めてある期間内において、過当な事業の拡張をしたということになるのでありますが、この過当な事業の拡張ということにつきまして、具体的に事業上、金融上、経済上における説明をして頂きたいと思うのであります。
#82
○國務大臣(和田博雄君) これは法律に書きますと、結局こういう程度に包括的に書くより外しようがないのでありまして、それと排除する具体的な基準と照し合せまして、その基準を決める場合に、いろいろここに一から十一までの事情を書いて置きましが、これらの事柄は、具体的な基準に從つて、個々の業種についてこれを決定して行くということに実際ではなるのでありまして、法律の文といたしましては、こういう程度に、非常に抽象的でありますが、結局この程度に書くより外にはちよつと書きようがないのでありまして、結局個々の指定をして、その指定をした会社について、いろいろこれをどういう形で排除するかどうかというときに、具体的な問題としてそこに出て來る、こういうようなことになろうかと思うのであります。
#83
○大畠農夫雄君 勿論法律上の構成文面としたらこう書くのが当然かも知れませんが、併し決定するのは、過当に拡張する事業の基準によつて決定するのであつて、その決定の大体の方針が分らなければ、これを書いたところで丸つきり抽象的なものであつて、決定することができないという結果になるのであります。書き方はこうであつても、大体における方針というものが、この文面から当然その基準を割出すことができるのじやないかと思うのであります。例えば金融上の面から行きましたならば、資本金が何万円から何億円になつたならばこれは過当だとか、或いは産業部面から行きまして、今まで十の物を作つておつたのを百になつたから過当だというように、具体的に説明ができる筈だと思いますが、それを一つ御説明願いたい。
#84
○國務大臣(和田博雄君) それは必ずしもそうは行かないのであります。例えば資本金が一千万円の会社でありましても、或る事業分野について、もつと外に沢山の競爭者があれば、それは過当な支配力を持つものともいえないのであります。そこで結局この法律におきましては、一般的な指定はこれはやるわけでありますが、この具体的な基準につきましては指定はやりますが、併しその指定されたものは必ずすべて排除するということじやなくて、その指定された会社について個々の具体的な基準に当嵌めて、そうして個々のものについて檢討して排除するかどうかということが決まつて参るわけであります。ただ資本金が幾らであるとか、或ひは生産高が幾らであるとかいうことだけでは実は決定されないものでありますから、この具体的基準をお示しいたしますと、或る程度もつと具体化すると思うのでありますが、基準そのものを当嵌めるということの問題に結局集約されて來ると、こう我々は考えておるわけであります。
#85
○稻垣平太郎君 三点ばかり御質問申上げたいのであります。第一には、先程藤井君がお話になりました第四條の指定期間に関する問題でありますが、先程賠償指定工場の関聯で藤井君がちよつとお触れになつたように思うのでありますが、特経会社の整理、これは企業再建整備法が十月十五日が十一月十五日まで延期されましたわけでありますが、この指定期日が非常に長いということは、自然企業の整理を混乱せしめるという問題になるのであつて、この間長官のお話でも、成るベく今年中に指定するようにしたいというお話でありました。併し今の特経会社の整理が十一月十五日まで一ヶ月延期になつたのですが、それと歩調を合わすような何らかの御方策は採れないかどうかということをお伺いしたい。或いは企業再建整備法の期日をもう少し延して、今年一ぱい或いは十一月一ぱいということにして頂くとか、或いは仮指定ということで、一ヶ月以内に集中排除される会社の仮指定をされる、これは仮指定でありますから、後で取消されてもよいのでありますから、仮指定をされるとかなんとかいう特段の方法を採らんと、非常に経済界が混乱すると思いますので、この点大藏大臣からも、又安本長官からも御返事を頂きたい。これが第一点であります。
 その次にお寺ねしたいのは、先程から問題になつておりますところの、集中排除をするときの具体的の基準の問題でありますが、第三條において、こういう種類のものを排除するという種類が一号から五号までございます。ところがそれに対して第六條で、左の事項を考慮して基準を定めると書いてありまするが、その事項との間にもなんだか関聯性があるようなないような、甚だ曖昧な点があるのであります。ということは、結局先程和田國務大臣の御返事にありましたように、企業の性質それぞれによつて、資本金においても差があり、或いは企業の範囲においても一定の基準を設け難いというような、いろいろな点があるのであります。併しながら持株会社整理委員会にその決定の権限を與えるということは、丁度戰爭前の総動員法と同じようなものでありまして、経済上の総動員法のような形になるのではないかと私は思うのであります。これは由々しき問題だと思うのでありまして、どうしてもこの法案の上に一定の基準を定められて、先程政府としての基準を示そうという局長からの御返事がございましたが、併し規定としては、特殊会社整理委員会がこれを決めるという規定になつておりまする以上は、政府の出されまするところの大体の御案をここで審議いたしましたところで、実際は無意味であつて、この法律の規定によりますと、どうしても特殊会社整理委員会がこれを決定するということになつておるのであります。こういうことは、私は実際問題といたしまして、特殊会社整理委員会に非常に重大なる権限を與えるということになるのでありまして、どうしてもこの法律の上に基準というものは規定することが必要であると思うのでありますが、この点についての御意見を承りたい。これが第二点であります。
 それから第三点の質問は、第十二條の問題でありますが、第十二條におきまして、「持株会社整理委員会は、企業再編成計画が債権者、社債権者及び株主を公正且つ公平に取り扱つていない場合には、これを承認してはならない。」ということになつております。併しこの企業の整備をいたしまする場合において、債権者、例えば銀行といたしますか、債権者といたしましては、できるだけ企業を細分されないということが、債権者たる銀行にとつては非常に有利だと考えられるのであります。、できるだけ企業が細分される、或いは企業が分けられるということは、或る意味におきましては危險を分担するという意味にもなりまするけれども、或る意味におきましては危險が増大するということになるのでありまして、その意味におきまして、銀行その他債権者は企業を分割するということについて反対する場合が多いだろうと思うのであります。その意思に反して強行しなければ実際にこの集中排除計画というものは立たないのではないか、かように考えるのであります。その場合にこれを公平に云々という文句をどういう程度に、この間の矛盾といいますか、衝突を御解釈になつておるか、その点についても一應お伺いしたい。
 尚その次に、これに関聯しておるのでありまするが、企業の集中を排除するために企業を分割するという意味には、一面におきまして完全雇傭という問題に対する大きな一つの問題を投げ掛けると思うのであります。完全雇傭というような問題が強く一面に叫ばれておりまする場合に、企業を細分化する、ここで整理をする、整理をしなければ実際に細分化されましたところの企業というものは独立してやつて行けないことは事実でありまして、これを機会に、ということは惡いかも知れませんが、これを機会に実際において相当の整理が行われると思うのでありますが、整理を行われることについて、これを是認する意味合の声明を政府が発せられるのでないと、実際にこの企業を細分しましても正常の形に日本企業はなつて行かないだろうと私は思うのであります。これは集中排除をする場合における企業の整備に際しては、或る場合において相当の從業員の雇傭も止むを得ないということを政府において声明されるだけのお覚悟がありますかどうか、この点についてお伺いいたしたい。この三点であります。
#86
○國務大臣(和田博雄君) なかなかむずかしい問題でありまして、この期限の問題でありますが、これは経過をお話いたしますときに御了解願いましたように、最初我々としては非常に短かく実際やりたかつたのであります。長い間、約一年という期間を置いてきますことは、それだけ長い期間経済界を或る意味で不安定な状態に置くことになりますので、できれば今年一ぱいということくらいにいたしたかつたわけでありまするが、さようにもならなくて、まあ一年くらいということで一年といたしたのであります。併しお話のようにこれは我々としましては、できるだけ早く指定をして、そうして片方で進んでおります企業再建整備法との間の調整をとつて行きたい、こう思いまして企業再建整備の方は十一月一日まで延びたわけでありますが、我我の方といたしましても、一つ特別の事情がありますならば、この間両方が無駄に事柄が行われませんように仮指定をやるかどうか、これは方法はいろいろ考えられるわけでありますが、一つその間の調整を是非とりたい、こう考えております。できるだけ早く指定をやりたいというふうに考えております。
 具体的な基準も、これもあなたの御意見のように、法律の中にはつきりと具体的な基準を書くということが一つの行き方であろうかと思うのでありますが、併しこれ又いろいろと交渉しました結果、一應持株整理委員会がいろいろの事情を考慮した上で、この具体的な基準を決めて公示するということに落着いたわけでございまして、この具体的な基準というものも、これはいずれ御報告いたしますが、何としましてもそう綿密な、級密なことには結局書けないのであります。なぜなれば個個の業種によりましてやはりそれ相当の事情が異るものでありますから、どうしてもその最大公約数を取らざるを得ない形になりまするので、抽象的なものになるわけでありまして、あとはその基準に從つての運営の適正ということになるのでございます。併し具体的な基準を決めるについては、やはり個々に……丁度昔小作問題がやかましかつたときに、相当小作料の問題がいろいろ議論になつたときに、小作料というものはこれこれだといつて額を決めることはこれはなかなかできない、何となればそれぞれの田地又はそれぞれの地帶における田圃によつて事情がまるで違つて來るので、小作料自体というものは個々の田圃において決めることはできないのであります。併しそういうものを決めるときに、これこれの條件というものは十分考慮して決めなければならんというような立法で、イギリスの土地法なんかではやつておるので、そういうのと同じように今度具体的の基準の場合も、やはりこれこれの事情を考慮した上に具体的の基準を決めるということも、具体的の基準そのものの考え方といいますか、内容というものが非常にはつきりして参りますが、併しここで相当の具体性を持たせ、そうしてそれによつて実質的に基準を当嵌めて行く、こういうことにして個々の事例によつて適正を期して行く、こういう考え方にいたした次第であります。御意見としましては、我我としても全く最初はそういう主張を強くいたしまして、御同感でありますが、結局今申上げましたような事情でここに落付いたというように御了承を願いたいのであります。こう考える次第であります。
 それから完全雇傭の問題は、これは今の日本の実情で、完全雇傭ということは本当にむずかしいと私は思うのであります。我々が実際にいろいろの計画を立てまする場合と雖も、一部の完全雇傭という議論をいたされるわけでありますが、完全雇傭という理論を、そのまま今の日本の実情に当嵌めて行くということは、結局私はできない、こう考えておるわけでありまして、そうではなくしてやはり今おつしやいました程度の、或る程度の企業の合理化という点については、政府といたしましれは、これは十分その点について考慮いたしました上に、適当な方針なり措置を講じたい、かように考えておる次第であります。
#87
○國務大臣(栗栖赳夫君) この四條と金融機関の関係でございますが、併せてお尋ねがございましたのでお答えいたしておきます。実は金融機関の再建整備ということは、手続、順序から申しましても、先ず企業の再建整備の見通しがついて、それから金融機関の再建整備ということに移るのがこれが自然の成り行きでございますが、併しやはり金融機関といたしましても、いつまでもこのままで、そうして新旧勘定で分けて更に預金を集める、或いは債券の発行をするというような点においても種々不便があり、又支障もあるのでございます。やはり企業再建整備の線に直ぐくつついて、この新旧勘定の分離、それからこの整備計画の樹立というようなことをいたしたいと思うのであります。そこでこの期間も、最後は九月三十日となつておりますが、只今和田國務大臣の説明の通り、我々は成るべく早い機会にこれを実行して、混乱期、不安期の成るべく少いということを望んでおるような次第でございます。
 金融機関は、先程も申上げましたように、預貯金の信用ということを非常に必要といたしますので、速かにこの処理を了えたいと思う次第でございます。
 それから尚一つ、この十二條のところで、金融機関を例に取つてお話になつたのであります。例えば金融機関のごときは大きな債権者であります。それから社債権者も最も大きな債権者であります。私が大藏省に参ります前に、特別加入その他によつて経驗したところを申上げましても、又金融機関に長く勤めておりました経驗から申しましても、必ずしも分割するということが債権者の不利になるということでないのでありまして、未稼働の大きな設備を持つておりまして、そうして稼働の部分が一部であるような場合におきましては、未稼働のものを切落すということが企業再建整備ということにも非常に必要であり、債権者も非常に必要だという場合が多々あるのでございます。それでありますから、金融機関は常にこの分割ということに反対的立場を取るというようなことも申されないと思うのであります。実際は債権者は債権者として、株主は株主として、社債権者は社債権者としてここに集めまして、おのおの意向を集結しまして、更に妥当であり、そうしてその標準としては公正、公平というような線に副うて、大体整理を進めて行くというのが今日までの実際のやり口であります。この十二條もそういう線に副うて各一部の債権者、一部の利害関係人に不当な利益を與える、或いは損害を與えるということのないようにやつて行く、こういう趣意だと思うのであります。
#88
○稻垣平太郎君 只今の和田長官の御返事は了承いたしましたが、それで尚ちよつと申上げたいのでございますが、第一の質問の期間の問題についてできるだけ早くやる御意見のようでありますが、これは本会議の御説明の中にもそうありましたので、私は十分了承いたしておりますが、若しここに規定しております期間を我々の方で修正するという場合には、これを御了承なされますかどうか、ちよつと承つて置きたい。今後のために承つて置きたい。
 それから第二の先程の基準をここで決めることはできないことも、これは私も御尤もと十分了承いたします。第三條と第六條で大体想定はされるのでありますが、併しどうもこの持株委員会にこの権限を大幅に持たしてしまうということもどうかと考えますので、この第三條と第六條にあるようなものを附け合したものを大体の基準として、これによつて定めるということでなしに、これの基準に準じてとか、或いは基準として持株整理委員会で決めるというように訂正するという場合には、どのようにお考えになるか、それをお尋ねしたい。
 それから私が先程申上げました第三点の完全雇傭の問題については御説明非常に了承いたしましたが、これについて私の尚念を押しましたことは、企業整備の場合におきまして、完全雇傭が必ずしもでき得ないということを政府において御声明なさる御意思はないかということを御質問申上げたのでありますが、その点も御返事を頂きたい。
 それから次に栗栖大藏大臣に承りたいのでありますが、成る程企業を細分する場合には、債権者として有利な場合がございます。ただ問題は細分されるところの企業のその債権をどのような形で分け、どのような形で負担させるかということに大きな危險があるのではないかと存じます。この意味で債権者がこれを喜ばないという現象があると思う。この点について大藏省としていわゆる金融業者方面に適当な措置なり、指導なりを取られることが必要ではないかということについての御意見を承りたい。
#89
○國務大臣(和田博雄君) 期間の問題はこれは勿論國会としてそういう御決定をなされることはそれは止むを得ませんが、基準の問題等についてもいろいろの情勢もございますのでその点御了察願います。
 それからもう一つ、企業整備の場合に完全雇傭ができないかの声明でありますが、これは企業というものを合理化するという点が結局今の日本の水膨れになつておるものをやはり健全なところに帰して行くということでありまして、いろいろの方面に相当大きな影響を持ちますので、政府としてはこういう問題を取上げることにつきまして非常に愼重を期しておるわけでありまして、今私がそういう声明をするとかしないとかいうことは、これは御了承を願いたいと思います。
#90
○国務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。実はこの企業に対する貸付金で、それが分散して金業を分割した場合に利益になる場合もありますし、無論債権者として不利になる場合もあるわけであります。例えば企業のアーニング・パワーが分割することによつて非常に減少するということが結局弁済力というものを減ずるのであります。不利になるということがあるのであります。そこでこういうもの及び社債などにつきましては、特別な手続などを、社債権者集会制度その他の制度もございましてこれを纏めるにはいろいろ特別な手続を必要とする場合があるのであります。それでそういう方法について、或いは立法を設けるとか、或いは企業再建整備法の中にこの規定を加えて改正をするとかというような話も出たのでございますけれども、併しこれは止むを得ないものは、この企業再建整備法の改正というようなことも或いは必要に應じてはあろうと思うのであります。今研究をいたしておりますけれども、その他の点におきましてはむしろ金融機関はこの大藏省で大体監督をいたしておりまして、いろいろ指導をいたしてこの整理をして行きたい。それがためには債権者において、例えば一つの貸付金の対象たる企業が三つに割れる、その場合に貸金を直ちに三つに三分するのがよいか、企業の三つの共同債務として一つの貸金として置いた方がよいか、或いはそういうような貸金を更に他の担保はその他に振替えたがよいか、或いは担保の点におきまして、担保の目的物が二つとか三つに割れますので、そういう場合にこのおのおの三つを共同担保にして置いたがよいか、或いは一部の債権には一部の担保、他の債権には他の担保、こういうように分割したのがよいか、個々の場合においていろいろあると思います。そういうものは要綱或いは指導要綱などを纏めまして、そうして金融機関におきまして個々の公正、公平という方針によつてそこを処理するように指導をいたしたい、かように考えて只今研究いたしておるような次第でございます。
#91
○稻垣平太郎君 了承いたしました。
#92
○委員長(黒田英雄君) 本日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(黒田英雄君) それでは、これにて散会いたします。次囘は多分三十日に開こうかと思いますからどうぞ……。
   午後三時三十八分散会
 出席者は左の通り。
  財政及び金融委員
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           岩木 哲夫君
           伊藤 保平君
   委員
           木村禧八郎君
           下條 恭兵君
           森下 政一君
           西川甚五郎君
           山田 佐一君
           木内 四郎君
           櫻内 辰郎君
           深川タマヱ君
           石川 準吉君
           小宮山常吉君
           山内 卓郎君
           渡邊 甚吉君
           川上  嘉君
  商業委員
   委員長     一松 政二君
   委員
           中平常太郎君
           油井賢太郎君
           結城 安次君
           廣瀬與兵衞君
  鉱鑛工業委員
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           小林 英三君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           川村 松助君
           平岡 市三君
           堀  末治君
           入交 太藏君
           鎌田 逸郎君
           小宮山常吉君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           藤井 丙午君
           細川 嘉六君
  國務大臣
   國 務 大 臣 和田 博雄君
   大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   (経済安定本部
   財政金融局長) 佐多 忠隆君
ソース: 国立国会図書館
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