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1947/07/29 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第6号
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1947/07/29 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第6号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第6号
  付託事件
○國民貯蓄組合法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○酒類配給公團法案(内閣提出)
○生命保險中央会及び損害保險中央会
 の保險業務に関する権利業務の承継
 等に関する法律案(内閣送付)
○物價引下運動促進に関する陳情(第
 九号)
○製塩事業保持対策樹立に関する陳情
 (第十九号)
○織物の價格改訂に関する陳情(第二
 十八号)
○特別調達廳法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○小額貯金及び各種團体預金封鎖解除
 に関する陳情(第五十二号)
○インフレ防止に関する陳情(第七十
 一号)
○金融機関再建整備法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
  委員の異動七月二十八日委員和田
 博雄君辞任につき、その補欠として
 石川準吉君を議長において選定し
 た。
  ―――――――――――――
昭和二十二年七月二十九日(火曜日)
   午前十時二十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○酒類配給公團法案
○生命保險中央会及び損害保險中央会
 の保險業務に関する権利業務の承継
 等に関する法律案
○特別調達廳法の一部を改正する法律
 案
○金融機関再整備法の一部を改正する
 法律案
  ―――――――――――――
   午前十時二十五分開会
#2
○委員長(黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。
 本日はまず最初に特別調達廳法の一部を改正する法律案、これについて政府から提案の理由の説明を聽きたいと思います。
#3
○政府委員(小坂善太郎君) 本委員会に付託せられました今回予備審査をお願いいたしまする特別調達廳法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。特別調達廳は既に御承知の如く政府の監督指示の下に連合國軍又は政府の需要いたします建造物及び設備の営繕並びに物資及び役務の調達に関する業務を行うことを目的として法律に基いて設立せられました法人でありまして、近く諸般の準備を完了いたしまして、発足する予定となつております。
 偖て特別調達廳の業務はもともと政府のなすべきものでありまして、從來は主として戰災復興院及び終戰連絡中央事務局を主務廳といたしまして、各地方長官がその実施の責に任じて來たのでありまするが、今回この実施面を特別調達廳に一元的に集中いたすことに相なつたのでございます。併しその契約に対する支拂は一切國庫から支拂をいたしまする建前でありまして、特別調達廳のなす契約に基く支拂は八月から発足するものといたしまして、本年度中に実に二百乃至二百五十億円の巨額に達するものと予想せられております。從いましてこの特別調達廳の業務が適正に施行せらるるか否かということは、國家財政の見地から見ましても、特に重大な関心を拂わなければならないことは申上げるまでもない次第でありまして、政府といたしましてはその責任において特別調達廳の業務計画に万全周到を期する所存でございます。然るに現行法におきましては、監督指導に完璧を期する上におきまして不備の点を認めまするので、ここに本改正法律案を提出いたしました次第でございます。
 改正の要点を簡單に申し上げますると、先ず第一点は、第二十條の二の規定を追加いたしましたことであります。連合軍関係工事等の請負契約につきましては、御承知のようにさきに昭和二十一年法律第六十号の施行によつて檢査を実施し、その契約金額の適正化をはかり、着々と成果を收めて來たのでありまするが、特別調達廳発足以後は、これらの契約はすべて特別調達廳の所掌となるのでありまして、現行法のままでは法律第六十号の規定は特別調達廳の契約には適用がないのであります。併しこれらの契約には契約金額の適正化をはかる必要があることは從前と全く同樣でありまするので、ここに新らしく第二十條の二の條文を設けまして、特別調達廳の契約に対しても昭和二十一年法律第六十号を適用し得ることといたしまして、その契約金額の適正を確保しようとした次第であります。第二点は第一條の改正であります。第一條の規定は元來特別調達廳の目的を規定したものでありまするが、多少不備の点がありまするので、これに関して特別調達廳が主務大臣の指示を受けないではその業務をなし得ないということを規定いたしまして、予算支出の適正を保持しようといたしたものであります。政府といたしましては、この改正によりまして特別調達廳の契約を適正ならしめ、延いて財政の運営に大きな寄與をいたすことを期待しておるものでございます。
 以上を以ちまして提案理由の説明といたします。速かに御審議の上、審賛成あらんことを切にお願い申し上げます。
#4
○委員長(黒田英雄君) これにつきまして御質問がありますれば、この際お願いしたいと思います。
#5
○山田佐一君 特別調達廳法というのは進駐軍用のものの調達でありますか、大体の目的はなにの目的でありますか。
#6
○政府委員(長沼弘毅君) 主として進駐軍の要求に基きます工事作業等でございますが、只今差し当り予定してございませんけれども、將來は政府が指示する仕事ということもあり得るわけであります。一例を申しますと、例えば公共事業の認可はこの調達廳でやらせるというふうな場合も予想はしておりますが、差し当りはございません。
#7
○委員外議員(一松政二君) そうすると今の特別調達廳というのは、政府のやる事業というと、今後起るべき公益事業とか失業救済事業とか一切含むのでありますか。
#8
○政府委員(長沼弘毅君) これは実は政府の行政機構の問題にも関連いたしますが、例えば建設院というようなものができるというふうなことになりますと、どこでやりますか、余程研究して参らなければならないと思います。差し当りは具体的にどういう仕事をやらせるかということを申しますと、主として進駐軍関係の工事を監督するということになつております。
#9
○委員長(黒田英雄君) 只今の御質問は商業委員長の御質問でありましたが、参議院規則によりますと、特別委員長は他の委員会において発言することができるという規定があるのでございますから許可いたしました。さよう御承知を願います。
#10
○木村禧八郎君 質問ではないのでありますが、この機会に資料をできましたらお願いしたいのであります。それは今日まで終戰処理費の使い方が、どれだけ使つて、それでその決算がどうなつておるか、今日までの状況を聽かして戴きたい。これはなにかの資料みたいな形で渡して戴きたいのであります。この終戰処理費の使い方が非常に乱暴であるということをしばしば言われておりまして、これがインフレ激化の可なり大きな誘因になつておると思います。從つてその関係のことをよく知りたいと思うのであります。それから契約の仕方が違つて來ておるように聞いておりますが、その後競爭入札とか、そういうような制度になつたと聞いておりますが、そういう経過も併せて知らせて戴ければ結構であると思います。
#11
○政府委員(長沼弘毅君) 前段の資料の点はできるだけ早く用意いたしまてお配りいたします。後段の契約のやり方につきましては、これは進駐当時は殆ど一種の火事場のような仕事でありまして、制度的にも確実にはつきりした契約を結んでから仕事にかかるということはなかなかできなかつたような状況でございますが、その後司令部と十分密接な連絡をとりまして、我が國の内情、財政の状況、工事の能力、資材の能力その他につきまして、常時連絡をとりました結果、最近本年の四月乃至五月頃から大体競爭入札をするということになつたのであります。それ以前は殆どまあ実を申せば政府でも分らない間に、工事が行われるというような事態も間々なきを保しなかつたのであります。今後はそういうような意味で非常に適正な契約ができますると同時に、金額におきましても可なり節約がこの制度によつて見込まれて参るというふうに考えております。
#12
○木村禧八郎君 それに関連しまして、若しかできましたら大藏省の特殊財務部で相当徹底的に終戰関係工事の費用の内容を調べられておるということを聞いております。新聞には断片的に出たこともございますが、そういう資料がある筈だと思うのでございます。そういう点も参考のために、これは公表はできないかも知れませんが、そういう表情を聽きたいのでありますから、これを資料として差支えございませんでしたら戴きたいと思います。
#13
○政府委員(長沼弘毅君) 只今のお話は進駐軍工事の土建業者の檢査の問題と承知いたしますが……
#14
○木村禧八郎君 さようでございます。
#15
○政府委員(長沼弘毅君) これはお説のように甚だ微妙な点がございますので、抽象的にお話申上げる程度で御勘弁願いたいと思います。概略申上げますと、進駐軍の関係の工事、それは工事と作業とに分けて、その工事の部分でございますが、宿舎の工事、兵舎の工事その他一般の飛行場であるとかいうような、一般の土木工事、大体この三つの範疇に分かれております。この合計大体の件数を申上げますと、本年の三月末におきまして凡そ一万九千件ございます。これを全部檢査をして、金額の適正を図るというようなことは、これは事実不可能に近いことでございますので、成るべく主に古い老舗の相当大きな土建業者の方々、又新興の業者の方々、これは資本金が非常に少なくて、非常に尨大な工事をしておるというふうなのがあるのであります。それからまあ兎角の風評があるというふうな方々もございますし、更に特殊な事情があるものもございます。例えば廣島におきまする害藥であるますとか、爆藥の処理というような、一般にないような特異な工事、こういうようなものもあるのであります。又一般の工事に殆んど共通にあるもの、例えばパイプの敷設とか、衞生設備の工事のようなものはあらゆる工事に殆ど共通しております。こういうようないろいろな角度から愼重に計画を立てまして、それぞれ檢査に從事いたしておるわけであります。何分にも件数が非常に多うございまして、咄嗟に、短期間にやりました工事でございますから、内容の帳簿組織等も非常に不備でございまして、檢査に非常に困難を極めております。できるだけ檢査の適正を図るべくやつておりますが、從來までの大体の状況を申し上げますと、契約金、見積金額の凡そ二割乃至三割程度のものは節約をすることができるのではあるまいか、これはまだはつきりした結論に到達いたしておりませんが、檢査の途中の、中間的な観測をいたしますと、さような数字も一應出て参るのでございます。
#16
○玉屋喜章君 進駐軍関係の工事のことでございますが、只今までに完成をしておる、凡そ見積額の金額も大低決つて、そうして完成はしておるが、まだ査定なさつて金を支拂われてはいない。それで非常に困つておる。そうするとそれを当てにして人は金を借りなければならん。貸すにはそれがはつきりしておらんと貸すことができん。大変困つておる次第でございますが、それは神奈川県方面で、主に道路とか建物とかいうようなものは、やはり特別調達廳で早速檢査をして、そうして査定をして、金を拂うて貰えるものでございましようか、如何でございましようか。
#17
○政府委員(長沼弘毅君) お説のように大部分業者の方々で金詰りしておる実情がございます。これはいろいろな原因がございまして、大藏省の支拂が非常に遅延しておるというふうなことが主たる原因では実はないのでございます。でありますが、何れにいたしましても非常に困る実情にございますので、できる限り早く檢査をいたしまして、今日の窮状を打開して貰いたいと思つております。尚この檢査に從事いたしますのは、調達廳が從事いたしておりませんで、政府がやることになります。
#18
○玉屋喜章君 政府がやるというのは……
#19
○政府委員(長沼弘毅君) これは終戰処理費の、詰り進駐軍関係の工事費の節約という観点からいたしまして、國庫財務に関することは大藏大臣の所管になつております。從つて主として大藏大臣、又その委任を受けた官吏が檢査管理をすることになつております。
#20
○玉屋喜章君 先刻のお話では、二割乃至三割くらいは負けさすという考えですか。
#21
○政府委員(長沼弘毅君) これは繰返して先程申し上げました通り、從來檢査をいたしました中間的な事実に基いて、概略観察いたして見ますると、左樣な数字が出ておるわけでございます。その程度で御了承を願いたいと思います。
#22
○委員外議員(一松政二君) 先程特別調達廳は政府の今後やるべき事業をも含むように承つたし、後の政府の回答は差し当り進駐軍の仕事というふうに承つたのでありますが、その限界をできるだけ一つはつきり承りたいということと、それから特別調達廳はあらゆる資材を殆ど優先的に……。これはまあ事情止むを得ざる点もよく分るのでありますけれども、例えば今日石炭が三千万トンなければならんという國家至上の命令に対して、セメントは殆ど大部分を特別調達廳関係に持つて行かれておる、そしてセメントがないために日本の危機をますます深めておるという事情があるのでありますが、その辺について特別調達廳としては、その資材の配分等について何ら意見を差し挾む余地はないのか。或いは日本の他の産業との振合を考えて、そうしてそういう方面に考慮を拂われておることとは思いますけれども、尚一層そういう方面に配慮をして貰いたいという考えがあるのであります。その二点について伺いたいと思います。
#23
○政府委員(長沼弘毅君) 前段の政府の需要する建造物とか役務というふうな問題と、進駐軍の需要する設営とか役務とかいうものの限界の問題でありますが、これは実は今後の行政機構の問題とも関連しておりまして、今ここからここというふうに非常に明確な線をお示し申し上げることは、聊か困難でございますが、大体進駐軍の命令に拘わらず、例えば政府自体が……。こういう一例をお考え願えれば宜しいかと思いますが、連合軍側の貿易員が日本に來られております。この宿舎、ホテル等は急速に整備して日本政府として提供することが宜かろうと思うのであります。これは必ずしも進駐軍の要求ということじやないのでございますけれども、純然たる民間の事業というわけでもないのでございまして、こういうのはまあ一つの例を申上げると、詰り政府の需要する営造物というようにお考え願えれば宜しいのであります。
 後段の物資の節約ということにつきましては、万々お説の通りでございまして、從來私共実に懸命に事情を具して折衝して参つております。申上げましたように最近競爭入札等の制度を先方から進んで勧奬して参るというふうなことになりましたのも、実は資材等についての節約を十分考えてくれておる一つの証拠かと見られるのであります。個々の物資につきまして非常に詳細な計画を立てまして、一々折衝をした結果、工事に入るように努力いたしております。
#24
○玉屋喜章君 政府委員の御説明の、政府ということは主に大藏省と思つておつて宜しうございますか本委員会では……
#25
○政府委員(長沼弘毅君) 原則として大藏大臣というふうにお考えになつて宜しうございます。それから尚多少誤解を招いておるかも知れませんが、特別調達廳と申しますのは、内閣総理大臣の監督下にある役所であります。そこでこの法律の改正の方に政府の契約とみなすというのがありますが、この政府というのは大藏大臣、内閣総理大臣の管轄に属する特別調達廳のやつた契約を予算大臣であるところの大藏大臣が監督をする、こういうふうになつております。
#26
○西郷吉之助君 この法案の改正案の審議の参考のために、本法案のみならず、一部改正法律案の際はその全文を参考のために御配付願いたい。簡單で少しもよく分らん。全文を至急に御配付願いたいと思います。
#27
○委員長(黒田英雄君) 御尤もでありまして、私も先程現行法の全文を貰いたいと申しましたらば用意がまだないということでありましたが、今後も一部の改正がある場合には、現行法の全文も一つ各委員に御配付して戴きたいということを政府に要求しております。これについても至急配付して戴きたい。
 それではこれにつきまして他に御質問はございませんでしようか。……政府が急いでおりますが、本日ここで採決してしまうのもどうかと思います。が、質問がありますれば又この次の機会にお願いしてもよいと思います。それではこの法案の審議は今日はこの程度に止めておきます。
 次に「生命保險中央会及び損害保險中央会の保險業務に関する権利義務の承継等に関する法律案」、これは予備審査のために付託されたものでありまするが、これにつきまして政府の提案の理由の御説明をお願いいたしたいと思います。
#28
○政府委員(小坂善太郎君) 只今予備審査のために付託となりました「生命保險中央会及び損害保險中央会の保險業務に関する権利義務の承継等に関する法律案」につきまして提案の理由を御説明申上げます。生命保險中央会は、生命保險会社をして戰爭に伴いまして増加する戰爭危險に基く保險金の支拂を継続せしめると同時に、これらの会社をしまして右の支拂に基く経理上の圧迫を免れしむるために、昭和二十年四月一日生命保險中央会法に基いて設立せられました法人でありまして、爾來同法の規定によりまして戰爭危險の再保險業務、戰爭死亡傷害保險業務及び普通生命保險業務を行なつて來たのであります。損害保險中央会は、陸上、海上の諸財産に対する戰爭危險に基く保險を継続し、併せて國内再保險機構の整備をはかることを目的として昭和二十年四月一日損害保險中央会法に基いて設立せらました法人でありまして、爾來同法の規定によりまして戰爭保險、地震保險の業務、普通損害保險の再保險業務及び普通損害保險業務を行なつて來たのであります。両中央会は、戰時中は右の業務を行うことによりまして戰時國民生活の安定に資して來たのでありまするが、終戰後は業務も縮小いたしまして、残務整理の段階に入り、政府補償も逐次実行して参つたのであります。両中央会は終戰に伴いまして今後存続せしめる必要もなく、旁々関係方面の意嚮もありまするので、この際これを整理することといたしまして、生命保險中央会の保險業務に関する権利義務は、これを協栄生命保險株式会社に、損害保險中央会の保險業務に関する権利義務は、これを東亞火災海上保險株式会社に、それぞれ承継させ、以て両中央会の業務を整理しました後に、これを解散することといたしまして、ここに生命保險中央会及び損害保險中央会の保險業務に関する権利義務の承継等に関する法律案を提出いたしました次第でございます。本法案の趣旨を申述べますれば、先ず生命保險中央会の保險業務に関する権利義務は、これを協栄生命保險株式会社に、損害保險中央会の保險業務に関する権利義務は、これを東亞火災海上保險株式会社にそれぞれ承継することにいたしました。從つて協栄生命保險株式会社が生命保險中央会から承継した戰爭死亡傷害保險契約及び生命保險における戰爭危險の再保險契約に関する権利義務に係わる業務によりまして損失を受けましたときは、政府は同会社に対しましてその損失を補償し、その業務によつて利益を得たときは、その利益金を政府に納付しなければならないと規定いたしました。又東亞火災海上保險会社が、損害保險中央会から継承いたしました権利義務にかかわる業務により損失を受け又は利益を受けましたときも同じように規定いたしたのであります。
 右のように中央会から継承いたしました保險の業務に対しましては政府補償の規定がありますから、協栄生命保險株式会社及び東亞火災海上保險株式会社は今述べましたような業務に基く收支を他の收支と区分して経理しなければならないことにしてあります。
 尚、協栄生命保險株式会社につきましては、前に外國保險会社を保險者としていた保險契約に関する財産及びその業務に基く收支を、他の財産及び收支と区分経理しなければならないと規定しておるのでありますが、これは同社が継承することになつておりますカナダサン、及びマニユフアクチユラス両生命保險会社の保險契約者の利益を保護するためであります。
 協栄生命保險株式会社及び東亞火災海上保險会社が両中央会から継承する業務に関する税法上の特例は、從來の生命保險中央会及び損害保險中央会法の規定と同樣であります。
 本法の規定によりまして協栄生命保險株式会社及び東亞火災海上保險株式会社に保險業務に関する権利義務を移轉しました後、両中央会は主務大臣の指定する日において解散することとし、生命保險中央会法及び損害保險中央会法は廃止することになつております。
 以上が本法案を提出いたしましたる理由でございます。本法案が提出になりました節には速やかに御賛成あらんことを切にお願いいたします。
#29
○委員長(黒田英雄君) これに対しまする御質疑は他の機会に譲りたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。
 それでは次に金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、これについてこの際政府の提案理由の説明を聽きたいと存じます。
#30
○政府委員(小坂善太郎君) それでは金融機関再建整備法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明いたします。
 今回の法正案の主眼といたしまするところは、さきに企業につきまして企業再建整備法の改正によりまして、新勘定における増資を認めたと同様の趣旨によりまして、金融機関につきましてもその再建を円滑にするために新勘定における増資をなし得る途を拓くことといたしまして、これがための所要の法的措置を講じようとするものであります。即ち銀行その他の金融機関が金融機関経理應急措置法によつて主務大臣の認可を受けて新勘定において増資した場合におきましては、当該出資をなした株主等は、当該出資に関しては確定損失を負担しないこととすると共に、当該金融機関は株式等が指定時における資本の全額に相当する金額の確定損を負担しなければならないときにおいても解散することなく、そのまま存続し得る途を拓こうとするものであります。
 尚、これに伴いまして右の新勘定増資をした金融機関が市街地信用組合、農業会等組合組織の金融機関である場合におきまして、その会員又は組合員が最終処理によつて指定時における資本の全額に相当する金額の確定損失を負担することとなり、旧勘定における出資金がなくなる結果、会員又は組合員である資格を喪失した場合でも当該金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅後六ケ月を限り從來通り資金の貸付施設の利用、その他当該金融機関の会員又は組合員であると同樣の利益を受けることができることといたします。そうしてこれによりまして会員又は組合員の便宜を図ることといたそうとするのであります。以上を以ちまして本法案の概要の御説明といたす次第であります。何卒御審議の上速やかに御賛成あらんことを切望いたします。
#31
○委員長(黒田英雄君) この法案に対しまする御質疑も別の機会にお願いいたしたいと思つております。
 次に酒類配給公團法案、これはすでに前回に御質問ありましたですが、この法案につきまして引続き御質疑を願いたいと存じます。
#32
○山田佐一君 酒類配給公團法は独占禁止法に基いて御施行になるのでありますが、独占禁止法を出した趣旨は、今までの計画経済から一日も早く脱却して自由経済へ復帰するという大方針、いわゆる自由競爭へ戻そうという趣旨の下に独占禁止法が出たものだと思いますが、それをこの公團法によつて計画経済を更に強固に行うということは、禁止法の出た趣旨に逆行するものではないか、而してこの酒類の原料が主食を使用するものであるからという御説明でありますが、それなれば製造の方をば制限しさえすればあとの需要の方は自由にしたら、販賣の方は自由にしては……、どちらにいたしましても酒類は一種の嗜好物である。明日働くための必要品だという御議論は、そういう議論からいけばすべてのものみな必需品になると思います。かくのごとき嗜好物から第一着手として自由競爭に委ねる御意思があるかないか、その辺の政府の意思のあるところを承わりたいと思います。
#33
○政府委員(前尾繁三郎君) 酒の生産につきましては先程お話のありました通りに需要に比し生産量が非常に少ない。これが自由に製造できますならば自由に販賣いたしてもよいのでありますが、非常に生産量が少ない。而もただいまのお話を我々幾分見解を異にするのであります。成る程酒は奢侈的な嗜好品ではありますが、現在配給いたしておりますのは半分は家庭配給、四割は産業用の特配、即ち農村の米麦その他の供出に対する報奬というような意味で配給いたしております。又石炭の増産等産業用に対する報奬的な意味で配給しておりますものが大部分でございます。從いましてこれを自由に販賣し、金のある人が飮めるということに、只今直ちにそういうことにもつていくわけには、現在の実情から申しましてできがたいのでございます。從來から嗜好品とは言つておりますものの、生産数量が少ない場合におきましては、むしろ労力の、何と言いますか、この慰安、明日の日の生産のために慰安をし、又元氣を回復するというような意味合で使用されておりますものが大部分であります。又家庭配給にいたしましても、必ずしも私は現在の惡平等的な配給がよいとは考えていないのでございますが、現下の実情から申しますると、この現在の家庭用を直ちに廃止するわけには勿論参りませんし、又この家庭用の配給が非常に大きな意味をもつておりますことは、実情をお考え願えれば大体御了承願えるかと私は考えるのであります。そういうような酒の需要から申しまして、直ちにこれを自由販賣に持つて行くということは、理窟から申しましても、事実から申しましても非常に不可能であると我々考えておるのでございます。而も非常に酒が少ないためにいろいろな外の酒類、麦酒或は雜酒、果実酒というふうなものを綜合して、最も必要なところにこれを流して行くという組織がどうしても必要でございます。そういうような意味からいたしまして、生産が自由にできない間はやはりこういうような公團によりまして、統制をして行くということが必要であると信じておる次第でございます。
#34
○山田佐一君 只今のお話が需要と供給とのバランスがとれない、いろいろアン・バランスになつておるために公團法でいかなければならない、ところが今日の統制をやつておりますものは皆そうだと思います。全部品物が需要と供給で、供給が余つておるもので統制をやつておるものはない、足らないから統制をとつておるということは分るのでありまするが、この足らない中にはいわゆる主食を原料とするものだからいかんという意味から行きましたならば、清酒の他に今合成酒、果実酒、いろいろなものがありまするから、これらの造石をもう少し殖やして、そうして或程度の需給のバランスをとつてはどうか、而して又これが明日の働くための必需品だというお説でありまするが、酒に対してましても随分いろいろな非難があります。今日の青少年の犯罪の動機、犯罪者の動機を考えて見まするというと、我々の方から見ますと、煙草を喫む、煙草の配給があつたために煙草を喫む。この喫煙の習慣ができたらこれは止められない。而してこの煙草を闇で買うと相当高い値段である。犯罪の動機が煙草である。その次に酒である。いろいろな利益の点から見ると非常な利益の点もありますが、害の点から見ても非常にあるのであります。こういうものから自由販賣に一歩々々進めて行かなければ全般的にこわすという時はなかなかないと思う。もう少し勇氣を出して自由販賣にして貰いたいと思います。
#35
○政府委員(前尾繁三郎君) この酒はまあ主食を潰しておるわけでありまするが、それで清酒以外の合成酒或いは雜酒、果実酒というようなものを増産すればいいじやないかというお説であります。このアルコール分はどうしても澱粉質でなければなりませんし、從いまして只今合成酒にいたしましても、アルコールを製造いたしておりますのは、芋を主といたしておるのであります。芋はやはり又現在は主食に考えられておるわけであります。それ以外の未利用資源で製造することも一應理論的にはできるのでありまするが、これには非常な石炭を食うというようなことで、到底多きを望むことを得ないのであります。即ちすべて酒の資材となるものは結局主食でございます。で主食の現在の量が窮屈なるときにおきましては、酒も亦増産することができないというような実情にあるのでございます。又後段のお話の如く酒が惡用せられ、或いは犯罪の因にもなる場合も勿論ございまするけれども、酒の又益と申しますか利益、その良い面から考えますれば、先程申し上げましたように、常に増産の基となつておるような次第でございまして、成る程或る程度の惡い面もこれは止むを得ないのでありまするが、併しそれ以上、それと全く比較にならない程現在労務者が酒に対して熱望いたしておりますことは、これは現実の問題として否定することを得ないのでございます。どうしても只今のところこれを産業用に可なりの分を配給し、家庭用にいたしましても、女世帶、或いは未成年者に対しましては、配給をいたしていないのでありまするが、併し女ばかりの家庭におきましても、なかなか酒の配給を要望されまするので、或る都市におきましては、やはり否定することができずに配給しておるような次第であります。酒に対する需要ということは実際問題としては非常に強いのであります。又これを適正に配給いたしませんと、一層犯罪の根源を釀成するようなことにもなると考えられるのでございまして、その点はどうしても公團法式を取る以外には方法がないのでございますから、御了承を願いたいと存ずるのであります。
#36
○岩木哲夫君 私は前回の委員会に欠席いたしましたる次第でありまして、どのような御質問があつたか、若し重複いたしましたる場合には取消しいたしたいと思いまするが、この酒類配給公團法というものは、独占禁止法の趣旨によつて或いは本法案の終りに書かれておりまする理由等によつて、本法案が出されることを政府は述べられておりまするが、これはどうしても政府がこうしたものをこの理由によつて出さなければならんという強い御意思があるのか、或いは関係方面からの絶対支持があるのかどうか、それによつて政府がそういう考えを持つておるのか、どちらかを明確にして載きたいと思います。去る六月三十日の財閥課長ウエルス氏の見解につきまして政府委員からお話を承りましたが、この財閥課長の御意見に照しますれば、必らずしもかような官業独占の事業を敢えて、強いてやろうという趣旨は当局にはないのではないか、こうした独占禁止法に照らして、こうした民業圧迫をして、官業独占の組織体に持つて行くにつきましては、やり易いものから政府が手を着けようということで、先ずこれを取り上げておるのが、その他二三もありましようが、唯需給上の重要性、配給の公正的確を期する上の理想からの建前だと思いますが、その間にどうも割り切れないものがあると思いますので、この点を明らかにして載きたいと思います。若しその筋の財閥課長の御意見のような次第であるならば、これは須からく再檢討を要するのではないかと、かように先ず考えるのであります。この点を承りたいと思います。
 それから第二は若しこれを施行されるという場合に、收支概算の主税局からの資料が出ておりまするが、現行酒類会社並びに組合の收入支出を原則として、その予算を提出されておりまするが、新價格体系による原料、運賃その他あらゆる手数料の影響は、本調査には考慮していないということを書いてあります。然るに政府においては、近く新價格新系によります諸般の改正が行われるに際しまして、概ね政府の專賣商品、專賣物資の総てが民業時代よりは遥かに経費が嵩んで、物が高くなつて來ておることは、万人等しく認めるところであります。本公團法が設立される收支概算の予算は、現在の民業の諸経費を基礎とされておりますが、公團法ができてから後には、今申しましたように、組合の総ての手数料が上り、経費が嵩んで、物が高くなつて來るという傾向があるやに憂慮しますが、そういうことは絶対にないことを政府は保証され得るのかどうか、この点も所信を承りたい。
 それから第三は、かような民業を圧迫し、官業独占の業務を敢えてやられることにつきまして、殊に旧会社、組合の所有物資、施設等を非常な嚴正な制裁規定によつてこれを收用せんとする措置につきましては、相当疑義も生ずるように考えまするが、而もこうした措置につきましては、一般の輿論というものは非常に反対があることは政府御当局も御承知のことだと思います。それでも尚これを強行するという御趣旨は強固におありかどうか等についても承りたい。
 それからもう一つ最後に現在の酒類関係の会社組合等の首脳部は、この公團の役員になれるのかなれないのか、一部噂するところによりますれば、こうして公團法に切り替える場合の、前の統制機関の首脳役員はその公團法の役員にはしないというその筋の意向があるやに聞いておりまするが、そういつた点はどういう御見解と御処置を考えられておりますか、以上を承りたいと思います。
#37
○政府委員(前尾繁三郎君) 第一のこの公團につきましては、政府の意思か或は関係方面の考え方か、関係方面としては寧ろそういうことを希望してはいないのぢやないかという御質問に対しましては、これは勿論我々といたしましても、現在の酒類の配給の適正、或は財政上の收支、歳入の関係、そういうような点から考えまして、どうしても公團の方式によらざるを得ないという結論を持つておりますることは前回にも申上げた通りでございます。又関係方面がこれに対しまして、我々もそれと同樣な考え方をしていますことも申上げて差支えないと思います。財閥関係の問題とはややこの公團の関係は違うのでございます。從いまして先ずできるだけこういうような公團を作りますことは、原則として好ましくないことにつきましてはこれは勿論でございます。又我々といたしましても、この酒類の需給関係の非常に困難な間、即ちこの法で申しますと來年の四月まで、一應区切つて、尚その実情が存続するならば議会の御協贊によりまして存続するというような建前を取つておりますことからいたしまして、これによりまして、できるだけ早い機会にこういうような公團を廃止するということについては同じ意見でございます。併し現在におきまして、どうしても公團によらなければ適正な配給ができないということについても司令部は同樣の意見でございます。この法案につきましては先般も申上げたように逐條的に審査を受け、又指示も受けておる次第でございます。
 次に第二に公團にいたしますと、ややもすると経費が上がるのざやないかというようなお話でございます。收支の関係は今回の物價体系の以前によりましたのでありまするが、当然今度の新物價体系におきまして、これ等のマージン並びに清酒の原價というものは酒類の原價につきましては、引上げを行わざるを得ないのでありまして、それについては只今物價廳と協議中でございます、又当然引上げられるものと考えておるのでございます。併し公團にいたしましたために、特に経費が從來より殖えるということは全然予測いたしておりません。又それにつきましては十分政府が監督をいたすことになつており、又何等利益を生み出す必要がないのでございます。即ち配当する必要もなし、又営業権の償却をやらなければならんというような問題もございません、從いましてこの運営について相当嚴格な、殊に会計檢査院の檢査を受けるというような組織にいたしておりますので、それによつて濫費が行われてコストが上がるということは万々ないと確信いたしておる次第でございます。それから施設その他につきまして、強力にこれを利用し、又買入れることができる規定になつておるのでございます、併し幸いこの酒類配給公團につきましては、御承知のように單なる販賣でございますので、建物その他につきましても、そんなに大きな場所を要しないのでございます。又樽等の問題もございますが、これも現在の日酒販その他によりまして、それを引継げば大体賄い得るのでありまして、特に他の人に迷惑をかけるというようなこともないものと考えておるのであります。次に第四の役員の問題でございますが、只今お話の通り旧役員は原則としてこの公團の役員たることは好ましくないことであるということをその筋から言われております。併しどうしてもその公團運営のために特に必要である人につきましては、そのことは例外が認められるわけでございます。從いまして現在おりますところの日酒販その他の人は、大体公團に引き継ぎ得る承認を得られるものというふうに考えておるのでございます。唯この酒につきましては、生産者並びに販賣業者で特に利害関係のあります方は公團の役職員になれないというような規定もあります。実際問題として現在役職員の方で、公團にお入り願えない方が相当あることは否定できないのでございまするが、それらの関係を除きますならば、その役員としておられます方は極く少数でございます。殊に地方会社については適用にならないものと我々考えておりますが、中央の機関につきましては、極く少数の方がそのために、何と申しますか制限にかかるわけでありますが、それらの方につきましては、只今申上げましたような例外の承認が受けられるというふうに考えておる次第であります。
#38
○委員外議員(一松政二君) 公團によつて酒の配給が公正適正になり、それ以外の方法によつてはそれは非常に困難であるという建前で、この公團法を施行されるやに拜聽したのでありまするが、まず承りたいことは、家庭配給或いは報奬用物資、或いは炭鉱或いは特殊関係のいわゆる関係当局の方、それから官廳、税務署で特に申請のあつた官廳用、或いは大臣その他のいわゆる官の宴会その他において使う、は会とは限りませんが、そういう部分はどのくらいあるか、それから七月一日以前には料理飮食店業者に配給しておつた数量が一体どういう割合であるのか、先ず需要者に対する配分の率を承りたいのであります。それが先ず第一であります。それから当局としても密造があるということを御承知ない筈がないと思いますが、大体主食その他を密造に使用されておる、正確なことは無論分るまいと思いますが、先ず勘で凡そどのくらいあるかということも第二として承りたいのであります。それから第三には報奬用の物資、又は家庭用の配給用としてこれが公正に行われておるという、多少の無論例外はあるとしても、大体において公正だという見方であるようでありまするが、私は必ずしもそれは当らないと思うのであります。七月一日以前、料理飮食店業者に廻つておる酒は、概ねその配給以外の、農家或いは家庭配給の皆轉賣であつたのであります。その点は御承知ないこともないと思うのであります。で公團となれば必ず公正にやれて、これを販賣業者に任せれば、必ず不公平になるということは、必ずしも私は言い切れないと思うのであります。特に私は商業委員長として、公團の如き組織は万止むを得ないならば、万止むを得ないという意味は、議会がこれを否決したらデイレクテイヴでこれが來るかどうか。議会で否決したらデイレクテイヴでやれとまで來るのであるかどうか。この点も承りたいのであります。今日中小商業の問題、いろいろの問題がありますが、酒類の問題にしても営業に携つておる者は相当な数ある筈であります。それ等も一連の商賣の関係として、太平洋戰爭始まつて以來、いわゆる商業関係の人ほど営業権を取上げられ、その他苦難の途を歩いておるものはないのであります。少数の闇物資を扱つておる者は例外であります。正規の業を営んでおる者は、企業整備その他によつて殆どみじめな目にあつておるのでありますから、一日も早く正当な業務に復せられるように、かくの如き公團組織の如きものは、万止むを得ずやるものとすれば、成るべく早くこれを元の状態に復してやるというふうに、お考えになるのが適当でないかと考えるのであります。更に先程主食或いは澱粉質が酒に変る。それ以外のものは特に石炭が要るというお話でありますが、原野に相当繁殖するところの「きくいも」を以てこれに充てる。今の主食の田畑を使わないで「きくいも」の繁殖を目指して、それによつてできた澱粉を以て酒を造るということについて、許可する意思があるかどうか。若しそうすれば相当の増石にもなるかと思うのでありますが、その点について承りたいのであります。以上どうぞ。
#39
○政府委員(前尾繁三郎君) 第一の配給の用途別の割合につきましては前回御手許に資料をお配りしてあります。簡單に申上げますと、特別配給量が六十四万石で三九%、家庭用が八十二万石で四九%、特殊用が六万石で四%、業務用が十二万石で八%というようなことになつております。尚官廳の特配というような量は極く少量でございまして、勿論パーセンテージにも上らない数でございます。殊に大体におきまして特殊用と申しますのは冠婚葬祭、そういうようなことに只今一回二升というような程度のものを出しておるわけでございます。又特に災害等の起りました際の非常時用というようなものに出しております。官廳特配として出しておりますものは、どの程度……ものの千石にも足りない極く僅かなものだと考えております。それから第二の密造酒につきましては、確かに最近非常に密造酒の殖えておりますことは、我々十分承知いたしておりますので、惡質なものにつきましては相当大きな檢挙をやり、又農村等につきましては一罰百戒というような意味合からいたしまして、遵法精神の弛緩しないようなふうにやつておるのでございます。その数量は勿論明確でございません。或る縣で想定いたしましてやりましたものを全國的に引直して考えましたときに、一昨々年でありましたか、六、七十万というような数字が出たのであります。最近は一層殖えておるので、或いは百万石乃至二百万石というような世評も中らずと雖も遠からずというような状況ではないかと考えておるのであります。それに対しましては、我々は、税務署が最近まで財産税その他によりまして忙がしいので、その方に手が廻らなかつたのでありまするが、只今申し上げましたような趣旨によつて取締りをやりたいというふうに考えておる次第でございます。
 次に配給公團につきましては、先程申上げましたように我々はこの方式にどうしてもよる以外に方法はない、これは若しこの公團によつてより適正になるという意味ではなしに、現在やつております販賣会社、即ち大日本酒類販賣株式会社、或いは麦酒配給株式会社、或いはその他の雜酒、果樹酒の卸共販組合というようなものが独占禁止法のためになくなつた場合を想定いたしますと、到底現状のような配給を実行することができない、でその酒の需要につきましては先程申し上げました通りであります。これをこのまま自由販賣にして配給の適正を期し、而も又歳入を確保するということは到底不可能だというふうに考えておる次第でございます。尚現在の配給が、先程お話のありました通り完全なものではございません。併し他の物資に比べてとにかく消費者までは割合適正に行つておるということについてはこれは十分申し上げて差支えないと思うのでございます。ただ消費者に参りまして、一旦消費者の手に渡りましたものが、再びそれが物々交換なり、その他の方法によりまして料理屋等に流れておりますことは、これは否定できない事実だと私は考えるのでございます。この消費者に一遍渡りましたものが、それがいかに処分されるかという点までこれを適正にやる方法は、現在我々としても適当な方法がないと申し上げるよりいたし方ないのでございます。併しとにかく消費者の手に一旦既に配給されておるということにつきましては、これは從來の酒の配給の方式が他の物資に比べてよく行つているということを申し上げて差支えなかろうかと私は思うのであります。
 次に第四の「きくいも」の問題であります。我々といたしましては從來「きくいも」につきまして戰時中から寧ろ奬励するような意味合で随分やつておつたのでございまするが、実際の問題といたしましては、殆ど成功いたしておりません。殊にこれは石炭が相当量要るわけでございまして、その石炭の配給は酒類としましては極く僅かしか配給を受けておらないのでありまして、これを増すということは到底不可能なことでございます。從いまして恐らく我々は「きくいも」を抑えるわけではございませんが、「きくいも」では実際問題としてコストも合わないし、現実問題として成功した例が殆どないのであります。その点酒造の免許に当りましては十分考究なりその計画を審査いたしました上でないとなんとも申し上げられないというような実情でございます。尚この公團法を否決した場合にどうなるかということに関しましては、勿論先程も申上げましたように、公團法につきまして、司令部は非常に賛意を表し、又これにつきまして十分審査をいたしてくれてはおるのでありますが、これを否決しました場合に、デイレクテイヴを出すかどうかという点につきましては、只今我々としては不明であるということを申上げる以外に仕方がないというふうに考えております。
#40
○委員外議員(一松政二君) 今の関連事項で、個人或いは家庭に配給し‥‥消費者に配給されて、それから以後は、その配給を受けた人が消費するか消費しないかについては、多くをその人の自由に任せるといつたような御答弁のようでありますが、これは一方において闇を認めておるということになるのであります。闇が横行しておつたことを確認しておるのであります。それで若し配給の公正を期する……配給というものは、ただ物を配りさえすればいいというのではなしに、消費者の所に行く、消費者に渡つてこそ、それが公正な配給になるのであります。いわゆる自由経済の妙味はそこにあるので、公正に配給する。飲みたい人が飲める、多少値段は高くなるかもわかりませんが……。一方において甘いものを要求しておる者があり、辛いものを要求しておる者があることは御存じの通りでありますが、辛いものを要求しておる者の所に甘いものが行き、甘いものを要求しておる者の所に酒の配給が行つておるのであります。これが本当に公正であるとすれば、甘いものを要求しておる者の所に甘いものが行き、辛いものを要求しておる者の所に酒が行くということでなければならんのであります。併しこれがなかなかその通りにやれないから、止むを得ず今のような方法でやつておることは私もよく了承しておるのであります。これをいわゆる本当の需要者……飲みたい人に飲ませることは、これは一應弊害は無論あるでしよう。けれどもなるべく早くそれを需要者……要る人に飲ませるというのであるならば、これをいわゆる算術的に戸数で割つたようなやり方では、これは絶対に公正は期せられないのであります。眞のイクイテイーは飲みたい人に飲ませるということでなければならないのであります。この点について十分にこういうことをやる時に消費者……ただ一應の消費者という建前、それは眞の消費者ではないのであります。物の要るのは眞の消費者が要るのでありまして、眞の消費者に渡るか渡らないかわからんものを或る仮定の者に渡して、それで責任を遁れておる……遁れておるという言葉は愼しみますが、それで一應解決しておるように考えられることは、私は甚だ遺憾に思うのであります。以上申し上げます。
#41
○政府委員(前尾繁三郎君) 只今の御説は、家庭配給につきましてはさういうことになろうかと思います。家庭配給のいわゆる惡平等の配給は、決して我々として理想であるとは考えておりません。併し他に方法があるかと申しますと、まあ実際問題としてないのであります。又現在の家庭配給というものが一種の國民のなんといいますか、まあ権利という言葉は非常に惡いのでありますが、或る程度の期待を持たれておる。我々としては成るべく只今お話しの通り、家庭配給というような方式を止めて、本当に需要しておる人の方に配給するということは望ましいことではありまするが、それではなかなか一般が承知しないというような、非常なギヤツプに立たされておるわけでございます。又これは各方面のいろいろな人の声も現在私は、家庭配給を成るべく圧縮して行きたいという方針であつたのでありますが、圧縮することすら現在ではできない。各方面の意見は、私はそういうふうに入つておるのでありまして、家庭配給が只今申し上げたように、一般消費者に行つて、それから又他に流れておることは、或る程度認めておるのでありまするが、その家庭配給を廃止するという所までは到底現状におきましては、行かないというのが事実であるというふうに考えております。
#42
○岩木哲夫君 重ねてお尋ねいたしたいと存じまするが、專賣物資を大藏省が主管されると申しますか、專賣行政はこれは当然のことだと思いますが、配給実務についてまで大藏省が携わるということにつきましては、巷間いろいろ議論があるようであります。殊にこうしたような世間でいう水物といつたものを、大藏省が配給実務にまで行かれるということにつきましては相当問題も將來複雜に相成る虞れもあるのでありまするが、この際政府においては、專賣行政は固より大藏省所管に属することは当然といえども、こうした公團法等によりまする配給事務等につきましては、例えば物價関係については物價廳の如く、專賣廳のような特別の官廳にこれを移行する將來考えがおありかどうかを伺いたい。これが第一。それから第二は、第十三條に酒類配給公團の役職員は、酒類の製造、保管、賣買、若しくは輸送を業とする会社の株式を所有してはならない。こうした者は役職員に使わない。これは官業組織の中にでも知識、経驗、はげみというものを持ち出して、せめて活用せねばならんという狙いに逆行するわけでありまして、恐らく現在酒に関係せる者がある一定の製造会社の株を持つておる。又輸送を業とする或いは販賣を業とするといつたようなものの株式を持つておる。或いはこうした方面にいろいろ関係のある者が、一面現在の酒類会社、組合等に関連してこれらを構成しておるのであります。でこうしたものを挙げてこの配給公團から除外するというようなことが、果して先程來政府当局の説明のある如く、適正円滑なる配給業務を実行し得ることと極めて矛盾をするような観が深いのでありまして、全くこれでは至つて経驗も熱意も、亦そうした方面に相当立場も有しておらない方のみで、いわゆる官吏ばかり、固よりこれは全部官吏になるのでありましようが、官吏ばかりがこれをやるということならば、敢えて公團を設立しないでも、大藏省なり、先程申し上げました特別廳がこれの配給計画なり配給業務を指導、指揮すればいいのであつて、こうしたような点もどうも合点が行かないのでありまするが、この辺の所信を明かにしていただきたい。
#43
○政府委員(前尾繁三郎君) 第一の御質問の酒類の配給を專賣する意思はないかという問題につきましては、只今のところ我々は專賣という方式を考えていないのでございます。その理由といたしましては、專賣にいたしますと外の場合と違いまして、酒類には相当品質の違いがありますので、これは技術的に非常に困難でございます。それ以外に生産権、或いは販賣権の買收というようなことになりますと、非常に多額の資金を要する。そういたしませんでもこういうような公團方式、或いはこれは我々は公團でなくても、從來の大日本酒類販賣株式会社というような民間会社でもいいのでございますが、そういうような一手買取、一手賣渡というような機関が必要なわけであります。それで又十分賄い得るのでございます。從いまして只今直ちに非常な資金を要する專賣方式ということは採る必要がないかと思うのでございます。殊にこの公團はいわゆる民業圧迫というお話もございますが、これは卸賣の段階のみでありまして、小賣業を全部なくすることはございません。小賣業者は從來通り置きまして、そうして卸賣の段階を、言い換えれば現在やつております大日本酒類販賣株式会社、それから麥酒配給株式会社、並びに雜酒、果実酒の卸共販組合というものに代るのにこの公團を使うというのでありまして、小賣業者の段階までこれが及ぶわけでは勿論ないのでございます。その点明らかにするためにちよつと附け加えた次第でございます。
 尚十三條の酒類配給公團の役職員は酒類の製造、保管、販賣、輸送というような業と関係のある人であつてはならないという点でありまして、それにつきましては成るほど御説の通り、我我としても成るべく廣い範囲から公團に入つて戴くことは希望いたしておる次第でございますが、ただそういうような利害関係のある人が公團にお入りになるということは、公團のなんと申しますか、公的性格から、又その配給なり、これを何ら漏る所なしと申しますか、いい言葉がありませんが、そういうような適正なことをやるためには、どうしてもまあ利害関係のある人が入つたのでは困るというようなことに相成る次第でございます。併しその運用に関しましては、必ずしも現在株をお持ちの方も、これを他の家族にお讓りになるというようないろいろの点も考えられるのでありまして、必ずしもこれで動きが取れないというようなことに至らないというふうに我々考えておる次第でございます。
#44
○委員長(黒田英雄君) 波多野委員に申上げますが、大藏大臣が見えましたですから、あなたの御要求がありましたが、この酒類公團の御質問はまだあるだろうと思いますが、この次の機会に讓つて戴くことにいたしまして、もう時間もあまりありませんから、今日はこの程度にしまして、波多野委員から大藏大臣に質疑の御要求があつたので、丁度大藏大臣がお見えになりましたからこの際波多野委員に、御発言をお許ししたいと思います。
#45
○波多野鼎君 それでは暫く時間を拜借いたしまして、七月二十三日に大藏大臣が新聞記者に発表されました円通貨の問題に関する談話でありますが、これについて若干質問をさしていただきます。参議院の本会議の自由討議の場合に、この問題に私が触れた関係上、この質問をさして戴く訳でありますが、あの場合にも政府則からは、この円の通貨の價値の問題につきましては、纏まつた御答弁がなかつたために、その後又いろいろの臆説なり、流説なりが行われておるということは事実であつたと思います。從つて二十三日の大藏大臣の声明になつたと、こう私は解釈しておりますが、あの声明をお出しになつたにいたしましても、通價の價値の問題に関する臆説は、まだ一掃されるに至つておりません。何故かならば、あの御声明は、まだ問題の核心にたいして何らお答えになつておらないからであります。御承知のように、この通價の不安は通價の價値に関する不安でありまして、この通貨の價値が一体現在どうなつておるのか、或いは今後どうなるかということに関する不安であります。そうしてそういう不安が、たとえば平價切下説、平價切下ということをいう人は、いろいろの内容をそれに者つておりまして、必ずしも統一的な考えを持つておる訳じやありませんが、兎に角平價切下措置といつたような、妙な流説となつて現われて來る訳であります。簡單に具体的に申し上げますと、問題はこういうところにあると私は思う。昭和九年乃至十一年頃におきまして、金一匁の平均價格が大体八円見当だつたと思いますが、これは一つの事実であります。そうしますと当時の円の價値は、大体八分の一匁の金と等しい價値を持つておつたということになる。ところが今日はどうであるか、去る七月十五日に政府は金の買上價格を大幅に引上げました。一グラム七十五円、一匁に直しますと二百八十一円二十五銭、こういうふうに引上げた、これは新聞に発表したところであります。これは何であるかといえば、今日の一円の價値は、約二百八十分の一匁の金の價値しかないということを、意味するものだと私は思う。即ち、円の價値は昭和九年、十一年頃の八分の一匁の金の價値から二百八十分の一匁の金の價値、約三十五分の一切下つておるということを意味するのではないか、尚金の闇相場、これは巷間いろいろ傳えておりますが、これは大体一匁千円見当だといつておりますが、これは信用はなりませんけれども、一匁千円見当なんということをいいますと、円の價値は、昭和九年頃に比較して、百二十五分の一に切下つておるということを意味するのであります。もう一つ、問題を別の面から考えますと、政府が新らしい物價体系におきまして、物價の安定帶を昭和九年、十年の六十五倍ということに決めたのであります。このことは基準年次において、一円で買えたと同じ品物を今買うためには、六十五円出さなければならんということなんであります。円の購買力の價値と申しますれば、円の購買力は、國内においては六十五分の一に切下つたということだろうと思います。このことを人々は、円の位が下つた、お金の位が下つたという言葉で皆申しております。このように金との関係においては、まあ金の公定價格の関係において約三十五分の一、公定物價の関係において六十五分の一、このくらいに円の價値は下つたと解釈されるのです。この事実を政府はどのように解釈しているのか。この事実からいろいろの臆説が生れて來る。これを円の價値の切下と言わないならば、これを何と見るのだ。これをお伺いしたいのであります。こういう事実があるに拘わらず、即ち平價、パリテイの切下は行わないとか、或いはそんなことは問題にならんと申されるために、ますます何のことか國民は分らなくなつて來るのであります。余りにも國民の常識とかけ離れた声明を出されるということが不安を大きくする原因の一つではないかと私は憂いているのであります。私は実は片山内閣が率直にこの円の價値の問題について纏つた見解を発表される必要があると思うのです。そうして國民の疑惑を一掃される必要がある。そうして片山内閣の政策としては円の價値が今までにこれだけに下つているのだけれども、今後はこの價値のこれ以上の切下を極力防止するのだという決意を表明されることの方が大事であつて、円の平價の切下を行わぬといつたような言葉で今まで切下げられている事実を隠蔽するということは私は欺瞞政策だと思います。國民が円に対する信任を傷つけるようなことをしないと言われる。これは確かにその通でなくてはならんと思います。ところがその信任というのは百の價値のあるものを百として認めて貰う。十の價値のあるものを十として認めて貰うということであつて、十の價値しかないところを百の價値として認めろということは、決して國民の円に対する信任をつなぐ所以ではないと私は思う。物價の問題につきましては政府は極めて大胆な政策を採られた。ああいう大胆な政策を採る以上、私はそれに附随していろいろな手を打たなければならんと思つている。にも拘わらず円の價値の問題に一度問題がかかりますと、実にはがゆいほど臆病であります。なぜもつて率直に國民にお知らせになつて、そうして國民と共に円の價値のこれ以上の切下を防止するという運動をされないか。この点を大藏大臣にお伺いをしたい。以上で私の質問は終ります。
#46
○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今の波多野委員のお尋ねに対して私率直にお答えいたします。参議院の議場におきましては時間のせいか御質問が非常に一部分に限定いたされましたので、單にその一部分に対して御答えをするに止まつたのであります。それからこの間の声明でありますが、これは実に健全財政、地方の財政の健全化、健全の金融、こういうような一連の政策を立てます時に、改めて申上げたい。こういうように考えておりました。差当りの問題を申上げた次第であります。
 只今ここで話がありましたところについてお答えいたします。金の一匁の價値が上つて、これから見た貨幣の実質的の價値が下つたということはお説の通りであります。物價につきましても全く同樣に解しているのであります。併しながら私はこの貨幣の價値が事実上下つておること。そうして更に平價の切下げというようなことは事実上の問題と、或いは貨幣法の改編に纏はります所の法律上の問題と二つに分けてみなければならんと思うのであります。一体各國の貨幣價値の切下その他の歴史をみましても、事實上の動揺ということを一定の見極めをつけて、そうしてあるときに安定をしましたときに切下をしたような例もしばしばあるのであります。我々は今どういうように考えておるかと申しますと、物價の点とか、その他の点において貨幣の事業上の價値が下つておるということは、私は率直に認める。認めざるを得ない、こう思うのであります。併しこれを將來に向つてどういうように安定さして行くか、こういう点になりますというと、これは片山内閣の大きな政策の問題の一つでありますので、只今愼重に考慮しておる次第であります。
 私の今まで考えておる所を申上げますというと、これはこういうような行き方をせざるを得ないと思うのであります。大体國内的な貨幣の價値が事実上に切下がつておる。それとそういうような諸般の情勢と、そしてこの國際的な諸般の情勢、そういうものを睨み合せてみる必要が先ず第一にあると思うのであります。それから更に我々はできることであるならば、この円貨の安定、貨幣價値の問題につきましては、國際のレベルに沿いまして、そうしてこの國際間の協力を得て、最も妥当的な所に安定させたい。こういうように考えておるのであります。叶います所でありますならば、或いはクレジツトの設定とか、その他も將來については十分努力もいたしてみたい。幸いに連合國側からの好意ある援助がありますならば、いたしてみたい。こういうように考えておる次第であります。そういうような諸般の要素を取込んで、この安定をさせたい。こういうように考えておる矢先でありまして、そこで直ちにこの現在の物價の昂騰、貨幣價値の下落というものに直ぐ倣つて切下げその他をしようということは、私はいかなる政策と雖も考えておらん所であろうと思うのであります。貨幣の價値の切下その他につきましては、將來の日本の経済再建に向つて大きな線を描いて、又その発展に向つて大きな力を持つて考えなければならん所でありますので、その辺は十分考えなければいかんと思うのであります。差当りそれならばどうするかという問題でありますが、私はここで率直に申上げます。この物價の安定、この物價と賃金の惡循環を断切りまして、物價の安定ということに行きますならば、そこに先ず事実上の貨幣價値も安定させたいと思うのであります。それから更に將來に向つて海外國際間その他の情勢、その後における日本の経済再建の情勢というものと睨み合して、この貨幣の問題を片付けたいと考えるのであります。
 そこで只今の処、この平價を切下げるとか、そういうようなことは毛頭考えておりませんし、その点を縷々述べた次第であります。この辺は國民貯蓄の増強というような面が、この経済再建に異常な重要なる要素ともなりますので、そういう諸政策を一貫的に、綜合的に併せ考えまして、政府としては平價の切下その他を現在の状態においては行わぬということを考え、又將來直ちに行うということも考えておらない趣旨を國民に徹底する意味において申上げた次第であります。一應お答えいたします。
#47
○波多野鼎君 只今大藏大臣から墾切な御答弁がありまして、大体の点は了承いたしました。唯尚一二点御伺いしたいのる、平價の切下ということを余りに法律的にのみお考えになつておいでになる、そのことが現在既に大藏大臣は認めておられるように、事実上の平價の低下が行われておるにも拘わらず、法律上の平價の切下がないから、又やる積りはないから、だから平價は切下がつておらないとそう仰しやる所に國民が納得できない点が出てくるのであります。私も平價の切下ということが一つの法律上の手続をも含んでいるということは十分承知いたしております。併しその法律がどのように平價を作り、或いはどのように平價を切下げて安定させるかということは法律だけでできることではなくて、現在の又近き將來の日本の経済力並びに國際情勢その他と睨み合して事実が決定していくことであろうと思います。法律はただそれを確認するだけの問題じやないかと思う。問題は貨幣の事実上の價値が問題であつて、法律が何時どの貨値をどういうふうに認めるかということは、そう大して問題じやないと私は思う。そこに多少の喰い違いが尚残つておると考えます。それからどのように日本の新らしい平價が國際的に安定されるかということ、これは勿論私共の予想のつかない点でありまして、今後の我々の努力によつて決まることだと思いますが、それにしても例えば一刄八円見当、或いは一刄十四、五円見当の平價に安定し得るという見込も恐らく立つまいというふうに私は思う。そういうはつきりした点が私はあると思うのであります。一刄五円の平價から比べれば、それだつて相当の切下なんです。そういう点をもう少し國民に納得し得るように政府の方において説明の手段を講じて載きたいと思う。そうでないと今問題となつておる國民貯蓄なんというものだつて成功は覚束ないと思うのであります。私は現在國民が懐いている経済不安に二つあると思う。一つは食糧不安、一つは通貨不安であります。二大不安として現われております。食糧不安についてはいろいろのことをいろいろな機会において当局が説明されて、國民は大体納得しつつある。併し通貨不安の問題については説かれる所極めて僅かでありまして、そのために國民の方ではいろいろな疑心暗鬼が取れない。それを私は心配する余り、いろいろな機会に政府の見解を國民に述べられるようなチヤンスを作つていきつつある積りであります。どうか今後もそういう点につきまして尚一層の御努力を願いたいと思うであります。
#48
○國務大臣(栗栖赳夫君) 重ねて波多野議員のお話に対して私お答えをいたします。平價の切下というようなことが法律上の手続を伴う。こういうことを申上げて、それが究極の所の最後だということを申上げたのであります。法律上の手続に捉われて、事実上の貨幣價値の下落をネグレクトするというような考えは私毛頭ありません。唯事実上の下落も相当安定した所を見究めて、將來の見究をつける、將來への見究めをつけるためには國内の諸請勢と睨み合せる。こういうことが必要でありまして、そういうことの見究めがついた上において初めて貨幣法その他の改編ということに相なると、こういう趣意で申し上げておるのであります。その辺は一つ御了承願いたいと思つております。それから実は今囘の白書に現われました実相、及びこの物價と賃銀の惡循環を断ち切つて、それに安定をさすと、こういう施策の内部には、この通貨の安定への第一歩を踏み出すという趣意を大いに含んでおるのであります。これから一連の政策を考え、経済物價の面において、或いは通貨、金融、財政の面において考えて、時々安定へと、而も安定は生産の増強という面から、物價の下落を取り戻すという方面にも努力いたして見たいと、こういうように考える次第であります。重ねて御答弁申上げます。
#49
○委員長(黒田英雄君) この次は明後日の午前十時から開会いたしたいと思います。この次はでき得ますれば本日説明を聽き、質問もありました特別調達廳に関します法律案と、それから酒類配給公團法案と、この二つは若しでき得れば決議にも行きたいかと思うのですが、併し御質問がありますし、又御討論もありますれば、無論そうは行きませんけれども、若しできましたらばそういうふうにして行きたいと思いますので、なにとぞそのお含みでどうぞ一つ御準備を願いたいと思います。
#50
○委員外議員(一松政二君) この酒類配給公團法につきましては、商業委員会で非常に関心を持つておるのであります。先程岩木さんからもお話のあつたように、いわゆる戰爭が始まつて以來、配給々々という言葉がありましたので、昔こんな配給なんという言葉がなかつた。これはみんな商買です商業に関する……。配給ということは結局商業であるのであります。この商業に関することを財政、金融だけのこの委員会でですね。可決されて、それがそのまま本会議にかかつてしまつて、商業委員会は何らこれに関知しないということに対しては、商業委員会の委員の中で相当意見があるのであります。その意味におきまして、実は今日は私は皆さんに御挨拶を申上げずに、私一人実は伺つて、そうして参つた次第でありまして、若し明後日に採決でもせられるということでありますならば、私も一應委員会の委員の人にその旨を通じてですね、若し場合によつたらば連合審議会か、なんかの形でも一つ、意見を持つている方もあるようでありますから、なんとかその辺について御配慮が願えないかということであります。
#51
○委員長(黒田英雄君) それではその点は尚よく考慮してお知らせいたしますが、まあ決議までは行かないかも知れませんけれども、少くとも特別調達廳の方は政府が急いでおりますので、御決議をできれば願いたいと思いますから、どうぞ。
#52
○西郷吉之助君 その法案の原文はいつ頃廻りますか。
#53
○委員長(黒田英雄君) 遅くも明日までには一つ配付できるように、配付できましよう。
#54
○政府委員(小坂善太郎君) 明日中には一つお届けいたしたいと思つておりますが……
#55
○委員長(黒田英雄君) それでは本日はこれで散会いたします。
   午後零時二十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理 事
           波多野 鼎君
           岩木 哲夫君
           伊藤 保平君
   委 員
           伊藤  修君
           木村禧八郎君
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           山田 佐一君
           櫻内 辰郎君
           星   一君
           小林米三郎君
           西郷吉之助君
           高橋龍太郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
           川上  嘉君
   國務大臣
      大藏大臣 栗栖 赳夫君
   政府委員
    大藏政務次官 小坂善太郎君
     大藏事務官
    (主税局長) 前尾繁三郎君
     大藏事務官
    (管理局長) 長沼 弘毅君
ソース: 国立国会図書館
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