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1947/08/05 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第8号
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1947/08/05 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第8号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第8号
  付託事件
○國民貯蓄組合法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
○酒類配給公團法案(内閣提出)
○生命保險中央會及び損害保險中央會
 の保險業務に關する權利業務の承繼
 等に關する法律案(内閣送付)
○物價引下運動促進に關する陳情(第
 九號)
○製鹽事業保持對策樹立に關する陳情
 (第十九號)
○織物の價格改訂に關する陳情(第二
 十八號)
○少額貯金及び各種團體貯金封鎖解除
 に關する陳情(第五十二號)
○インフレ防止に關する陳情(第七十
 一號)
○金融機關再建整備法の一部を改正す
 る法律(内閣送付)
○勞働者災害補償保險特別會計法の一
 部を改正する法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月五日(火曜日)
   午前十時三十八分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○國民貯蓄組合法の一部を改正する法
 律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) それではこれから開會いたしたいと思います。
 本日は、國民貯蓄組合法の一部を改正する法律案、これを議題しいたしまして御質問を願いたいと思います。先ず政府當局から今日の貯蓄奨勵をされておりまする状況、又將來どういうふうにやろうというようなお考えがあるか、そういう點について御説明を願いたいと思います。
#3
○政府委員(福田赳夫君) それでは貯蓄運動を開始してからの状況について御説明申上げます。御承知の通り、昨年の三月三日に金融緊急措置という非常の措置をとりました。あの措置は通貨の信任という問題から論じますと、極めて重大な問題であつたわけであります。大藏當局といたしましては、最後までああいう措置をとるということにつきまして、非常な逡巡をしておつたわけでありますが、諸般の情勢上ああいう措置をとつたわけであります。果せるかな、この措置をとりました後におきましては、通貨に對する信任という見地から見ますると、非常に重大な問題と相成りまして、その後預金をするという傾向が極めて貧弱なものとなつて參つたのであります。從いまして、三月以降におきまして、毎月六、七十億という金額が通貨増發として出まして、そうしてこの勢は決して底止するところなしいうような状況でありますと、結局いつの日にか通貨全體の量というものが非常に多額な量に上る、非常に通貨の増發ということになりますれば、そのこと自體だけでも、通貨の信頼感という見地から見ますと、これは破壞的な問題となつて來るというふうに考えれるのであります。尚、終戰後の經濟全體の建直しの見地から見ましても、國民全體がその日その日の生活から幾らかの蓄積を殘して行く、産業にいたしましても、その日その日の企業經理の結果というものが、何らかの形でプラスになつて行くというこで、これは企業のいわゆる生産擴大ということにはならないのでありますが、さような見地から見ましても、その裏をなすものは、貯蓄ができる、資金の蓄積ができるという問題であるのでありまして、これは貯蓄という問題を進行して行くことが必要であらうということを痛切に感するに至つたのであります。幸いに昨年の夏の議會が開かれております間におきまして、衆議院を中心といたしまして、議會方面におきましても、これは通貨の信任、再建という問題で、非常に關心を拂はなけりやいかんということに相成りました。共産黨以外の當時の五黨の決議を以ちまして、通貨安定決議案というものが衆議院に提出され、その決議を見たわけであまりす。たまたま政府におきましても、只今申上げた通り、さような趣旨のことを考えておりますので、議會、政府一體となりまして、この問題を推進するということに相成りまして、今日に至つておるわけであります。
 さような氣運の起ります時までにおける預金の趨勢というものは極めて貧弱であつたのでありますが、衆議院におきまして通貨安定の議が起りました頃から前後いたしまして、預金は相當増加の趨勢を示しております。即ち十月には七十七億圓の預金の増加を見ておる、十一月には七十二億圓、十二月が百五億圓、更に今年に入りまして、一月に六十八億圓、二月に七十八億圓、三月に百三十四億圓、四月に六十三億圓、五月に九十五億圓、六月に百十億圓、かような數字が出て參つておるのであります。昨年の十一月からこの貯蓄増強ということを本當に計畫といたしてやつたのでありますが、十一月から三月までの貯蓄増加の目標は五百億でありますが、それに對しまして、達成した貯蓄の額というものは四百五十四億、即ち九〇%の成績を收めておるわけであります。尚、本年度におきましては、自由預金の増加目標額を月百億圓と決めておるわけであります。百億圓と決めましたのでありますが、これをいかに使うかという問題でありますが、これは百億圓のうち五十億圓は一般の融資に使う、即ち産業資金としてこれを銀行から貸出す金に當てられるわけであります。それから財政の所要資金といたしましては二十億圓、そのうち國債が十五億圓で、地方債が五億圓であります。それから復興金融金庫の債券を買う資金といたしまして十億円豫定し、それから更に封鎖預金の引出しの財源といたしまして二十億圓を豫定し、合計百億圓というふうに相成るわけであります。かような計畫を以ちまして百億圓の貯蓄計畫をいたしたのでありまするが、その實績は只今申上げた通りであります。
 そこで然らばこの百億圓の貯蓄ができますると、この通貨の増發ということが相當減つてよいのではないかという問題なのでありまするが、この第一四半期、即ち四月、五月、六月という期間におきましては、これは昨年度即ち二十一年度の財政というものが非常に厖大な赤字財政であることは御承知の通りであります。この豫算の尻というものがここへ出て來ておるのであります。その結果といたしまして、通貨の膨脹ということは尚止むことなく引續いて行われたのでありまして、今年四月におきまして六十六億圓、五月におきまして七十二億圓、六月におきまして六十六億圓というような通貨の増發を見ておるのであります。
 そこで、今後におきましてどういうことに相成りますかと申上げますると、今後やはりこの財政の均衡をとりまして、極力赤字ということを避けるという方針で政府は豫算の編成を急いでおるのでありまするが、一面産業資金につきましても、この見地から非常な多額の通貨が出るということにつきましては、相當警戒を要すべきものというふうに考えておるのであります。併しながらその産業界の情勢といたしましては、公價の改訂ということが大規模に行われた今日におきまして、この八月、九月、十月ぐらいの期間というものが、資金的に見まして相當、いわゆる端境期と申しまするか、さような時機に際會しておるのではないかというふうな考えを持ち得るのであります。これに對しましては産業資金の供給の面からも、機動的臨機の處置をとることを要するのでありまして、この第二四半期の山というものに對しましては、これは今後一年間を通ずる計畫とは別個な取扱いをしなければならんというふうに考えておるのであります。そういたしますると、財政の方でも若干の赤字というものは止むを得ないというような状況になるかと思いまするが、産業資金としても相當多額の金が、市中銀行に對しまして、日銀の方から供給されるということに相成ります。從いまして、通貨の膨脹というものを抑制せんとするならば、これは貯蓄の増強ということを更に一段と強化するという必要があろうかと思うのであります。貯蓄増強の手段といたしましては、これは昨年の通貨安定運動が開始されて以來、一貫した思想といたしまして、その基本的な方針は新圓の封鎖とか、新圓の信任に對しまして傷をつけるというような施策は、一切これを行わないということがその施策の根本であります。これに對しましては間渇的にいろいろなデマ等が飛ぶのであります。又しばしば平價切下げのデマでありますとか、或いは新圓登録のことだとか、或いは新圓を半分の價値に切下げるとか、いろいろな意味におきますところのデマが飛ぶのでありまするが、政府の一貫した方針は、新圓は絶對にこれの價値を傷つけるような措置はとらんという固い方針であります。尚これを補佐するに、勿論財政の健全を確保いたしまして、そうして財政面からする通貨の増發を極力抑制して參る、又貯蓄の産業資金供給の面におきましては、これは只今申上げました通り、適宜、適切な措置は必要でありまするが、全體長い計畫といたしましては、これは資金の蓄積の状況とよく睨み合わせまして、そうしてこの面からする過度の通貨膨脹は避けて行かなければならんというふうな方針がとられておるのであります。
 基本的な考え方といたしましては、さようなことでありまするが、これが實行の方策といたしましては、貯蓄運動というものが官製的なものとならず、むしろ國民の盛り上る聲として推し進められるというような形におきまして、この貯蓄運動の推進の主體というものは、衆議院の議員が中心となつてこれをやつて頂いておるという状況であります。尚、これと呼應いたしまして、金融機關が全部、その使命の最も重大なる分野を、この預金の吸收というところに置きまして、これは金融機關が本當に總掛りで、總力を擧げてこの問題に當つておるというような状況であります。尚、或いは、政府におきましても、これらの動きと歩調を共にいたしまして、地方廳にお願いいたしまして、貯蓄運動の援助をして頂くとか、或いは税の方面におきまして相當の特別の扱いをして貰いまするとか、或いは特殊の預金を初め、福徳定期預金というようなもの、或いは無記名預金というような、かようなものを始めまして、そうして金融機關、それから議員各位のやつておられるところの動きに同調の態勢をとつておるわけであります。尚、最近株式等の市場の状況から見ますると、直接株に投資をするというような傾向も相當ありまするので、この機會に、株式に直接投資をいたすという方面に對しましても、積極的な施策をこらしてみたい、かようなふうに考えておるのであります。この貯蓄が集まるか集まらんということは申上げるまでもなく、非常に重大な問題でありますので、大藏省といたしましては、金融施策、これの中心をこの問題においておるというような状況であります。
 尚、今囘提案になりましたところの國民貯蓄組合法の改正も、この線に沿うておるものでありまして、これが提案通りに改正になりますれば、今後の貯蓄増強上極めて裨益するところが多かろうと、かように考えておるのであります。
 尚、この貯蓄運動に對する司令部の見解は如何でありますかと申上げますと、昨年の十月にこの運動が始まる前後におきまして、司令部におきましては、私共行きますと、果してできるものか、できれば非常にいいものである、併しそういう通貨の價値の再建、貯蓄の増強というようなことが大規模にできるだろうかどうかということを、内心は相當危惧を持つておつたんじやないかというように觀察しておつたのであります。實は私共自身におきましても、なかなかむずかしい問題であろうというふうに考えておつたのでありまするが、只今申し上げます通り、實績は相當の成績をあげて來ておる。それからさようなこともありますので、我々としても相當の自信を得ておるのであります。最近におけるところの司令部における態度というものは、この運動に非常な期待をかけておるのでありまして、通貨安定運動、貯蓄増強の運動の行われる會合等におきましても、司令部の係官が出て參りまして、みずから應援をするというような態勢にまでなつて來ておるのであります。
 以上、極めて簡單でありまするが、貯蓄運動開始以來の大體の經過竝びに結果を御報告いたします。
#4
○委員長(黒田英雄君) この法案につきまして、御質問がございますならばお願いしたいと思います。
#5
○深川タマヱ君 この法案の中心目的なるものは、やはりいかにして國民の貯蓄意欲を増大せしむるかということであると存じますが、勿論貯蓄の目的は、申上げるまでもなく、一方におきましては、國民の一部に偏在いたしております資金を動員いたしまして、産業資金なり復興資金なりにいたすのも目的でございましようけれども、より大きい目的は、やはり一時的にでも國民の購買力を封鎖いたしまして、物價の上昇を防ぐことにあると存じます。いずれにいたしましても急を要する問題でございますので、理想を申上げますならば、國民に、今貯蓄をすれば、いずれは國民が早く生活が樂になる原因になるという順序を説くこともいいとは存じますけれども、只今の日本國民の實情を考えますと、一方においては物價がどんどんうなぎ登りに上るし、税金は上るし、必需物資の配給は少くて、實質賃金はどしどし下つておる状態の時に、徒らに貯蓄をせよ、貯蓄をせよと勸めて見ましても、國民がむしろ反感を持つたりして逆效果になると存じますので、この際は貯蓄を奬勵する手段として、むしろ逆の方法を用いまして、いわゆる國民の利已心に訴えるという方法が一番效果的だと存じますので、相當の利廻のいい富籖、實籖の方法によりまして、利子はなくしまして、利子は結局大藏省の手許で同じ計算になるのですけれども、相當大籖をつけた實籖にいたしますとか、もう一つは、相當長い期間貯蓄を据置にして貰うのが大事なんでありますから、例えば一万圓の貯蓄を五年間据置にして下さる人には、一万圓の大籖が當り、又二千圓を二年間据置にして下さる人には二千圓の籖が當る、こういうようなことにいたしますならば、今新圓を持つておる人たちは、少々の利子よりむしろその方に好奇心があらうと存じますので、貯蓄の目的を達するのに效果がありはしないかと考えますが、いかがでしようか。
#6
○政府委員(福田赳夫君) お話誠に御尤もな次第であります。只今貯蓄ということが非常に大事な段階ではありまするが、客觀情勢から見ましてなかなか至難なことで、これは理想的なことではないのであります。この際の方策といたしましては、利を以て貯蓄ということを勸誘するというような方策も合せ採らなければならんというふうに考えておるのであります。お話のような點、今後貯蓄の必要額というものが數字的に多額に要求されますので、いろいろあの手この手と、正常の状況としては考えられないというようなことでも、この際思切つてやつて見たい、かように考えております。
#7
○森下政一君 貯蓄の増強が極めて必要であることは、現在の日本の立て直りのために申すまでもないことで、その必要度におきましては、戰時中に貯蓄増強が必要であつたのと選ぶところがない、否むしろ今日の方が日本再建のために極めて重大なもので、戰時中における貯蓄増強運動より以上の運動が起つていい筈だと思うのであります。ところが、どなたもお氣づきになつておりますように、戰時中に政府の掛け聲によつて、國民が本當に協力するという考え方で、到る所に國民貯蓄組合を結成いたしまして、熱心に貯蓄増強運動に協力して參つたのでありましたが、その結果は、殘念なことに思いがけない敗戰という令嚴な事實に遭遇したために、正直者が馬鹿を見たというふうな感じを、痛切に持つたという結果に陷つてしまつたわけであります。庶民階級の人々が零細な金を勝たんがためにという目的に、日々の生活を削つてまで貯蓄したのでありましたが、その積り積つた結果は、或いは封鎖されて、自分の思う通りに使うことができないというふうなことになつてしまつた。貯蓄増強に協力せずして、これを物に換えておいた者は、物の値段の値上りによつて却つて得をしておるというようなわけで、いわゆる正直者が、馬鹿を見たというふうな結果になつてしまつたのであります。そこで、政府に騙されたというふうな考え方が一般國民の大多數に滲透しておるということが、今日貯蓄増強をどれくらい政府が叫ばれましても、戰時中のように澎湃として盛り上る運動になつて來ないという根本の原因であると思います。同時に又今日のように通貨の價値が段々下つて行く、毎日々々下つて行きつつあるというような状況の下におきましては、貯蓄すればするほど損が行くというふうな考え方が一般國民に多いのじやないかと思う。昨年總選擧が行われました四月頃に、大阪あたりで米の闇相場が一升大體四十圓でありました。今年の四月、一年後に又總選擧を迎へたわけでありますが、その一年の隔りのために、米一升大阪あたりの闇相場は、一年前の五十圓が一躍二百圓見當を唱えておるというような状態である。そこで貯蓄をしておつたとするならば、昨年千圓の貯蓄をいたしました者は、一年の間に、假に米で換算しますると、去年米を買つて置けば、買えたものの四分の一しか買えないというふうな結果になつてしまうというようなわけで、結局貯蓄をすることは損で、物に換えて置いた方がいいのだという考え方が一般に持たれておるようになつて來ておると思うのであります。そこで貯蓄の増強ということが非常に必要だという段階にあることはよく分るけれども、これを澎湃として盛り上る運動として、而も民主的な運動として效果あらしめるということのためには、どうしても通價の價値が安定するということが先決問題だと私共は考える。そうでなかつたならば到底その目的を達成し得ることができないじやないか。只今承つておりますと、昨年十月以後こういうふうな運動が起り、衆議院で通貨安定決議案が可決されましてから、一躍貯蓄増強に對して、國民が關心を持つようになつたというお話でありましたが、私は一向そういうふうな響きが國民全體に行き亙つておるというようには見受けておらんのであります。尚先刻段々貯蓄が増強されるようになつたというお話でございまするが、一面において通貨がどんどん發行されておるということであれば、少々貯蓄が増強されるということは當り前であつて、而も絶對額から考えて見ると、一方で濫發されておる、發行されておる通貨の量と、増強される貯蓄の量とを比較して見ると、果して安心していい状態にあるのかどうかということも甚だ危惧の念を懐かざるを得ないのであります。
 そこで、只今お話がありましたが、思い切つた手を使つて貯蓄の増強に邁往して行かなければならんという御所信のようでありますが、これについて何か具體的な案をお持ちでなかろうか。何か思い切つたことを實施されるにあらざれば、今日只今深川さん御指摘になりましたように物價がどんどん上つて行く、言い換えれば、金の値打がどんどん下りつつあるというときに貯蓄をせよというほど、私は無意味な呼び掛けはない、國民の受ける感じは算盤の合わないことを奬められるという感じを持つて、こう思うのであります。この法案の提案理由の説明を讀みますと、いかにも民主的なものに改組されるというふうに謳われておりますけれども、これくらいのことで私は國民貯蓄が増強して行くなんということに、非常に與つて力があるとは考えられない。況んや町内會、部落會等か廢止されまして、さういつた地域的な組合運動というものが全く今日は遮斷されて、姿を沒してしまつておる状況の下において、戰時中以上の效果を擧げるということのためには、大藏當局が貯蓄増強のためには全く畫期的な手をお打ちになるにあらざれば、その目的を達成することができないというふうに私は懸念いたすのでありますが、これについて何か具體的なお考えがないのでありまするか、お伺いたしたいと思います。
#8
○政府委員(福田赳夫君) お話誠に御尤もなことでありまして、非常に事はむずかしいのであります。むずかしいのでありますが、これをむずかしいからといつて、手放しになりまして、もう貯蓄をせいとも言わない、言えないというようなことになりましたならば、これは極めて重大な段階に突入するのじやないかというふうな感じがするのであります。現在としては、拔本的な對策といたしましては、財政の健全化と、それから日本銀行貸出政策の適切なる運用、この二點にあるのでありますが、尚、先程深川さんからのお話もあつたのですが、そういうような面におきまして、臨時、過渡的ないろいろの方法を講じて見たいと、かように考えております。
 で、只今考えております具體的な案件といたしましては、例えば自轉車でありますとか……。自轉車の日本の生産というものを、貯蓄のために全部使つてよろしいというくらいのことまで實行して見たいというように考えておるのであります。おつしやられる通り、豫金をいたしましても、なかなか物價の騰勢ということは止らんということでありますれば、やはり代償というものが必要であるというふうにも考えられるのであります。これは大體話を纏めつつあるのでありますが、自轉車の殆んど大部分というものを預金の代償というふうなことで使うということも考えておるのであります。それからもう一つ、只今考えておりますのは、無記名預金ということでありますが、先般無記名定期ということを實施したのは御承知の通りであります。この無記名定期の行き方というようなことは、平時においてはなかなか考えられないことでありまするが、これ又臨時な手段といたしまして、これを普通預金にまで擴張したらどうかというような考えもしておるのであります。まだ結論を得ておらないのでありますが、さようなことも一つ近い中に結論に得たいというふうに考えております。また國家資金というものは全國で統合して、これを運用するということが理想でありますが、地方における貯蓄意欲の増強、やはりこれは何といたしましても、地方々々において相當貯蓄というものに力を合せてやつて行つて貰う必要があろうかと思いますので、地方に集つたところの預金、これは地方に還元するというような種々の方法を只今考えておるのであります。その方法によりますれば、これは地方廳は固より、地方公共團體は固より非常な熱心な貯蓄運動の推進力となるので、その方向も極力實現いたしたいというふうに考えておるのであります。只今方針の決定いたしましたのは預金部の預金、竝に一般の預金につきましては、地方債に應募するという、地方債にこれを使用するという際におきましては、これは地方還元の思想であり、そうした地方に集つた預金と睨み合せまして、これを實行するというふうな仕組を實施せんとしておるのであります。尚、九月にはこれは全國的な貿易再開を機會とする貿易再開救國貯蓄運動というものをこれを全國的に一ケ月に亙りまして實施いたしまして、そうして國民の貯蓄意欲の振興を圖るというふうに、衆議院を中心といたしますところの通貨安定對策本部で計畫中のように聞いております。非常にむずかしい段階であるのに拘わらず、ますます多額の貯蓄を要するという状況でありまして、何か名案がありますれば、何でも一つこの際やつて見たい、さような心構であります。
#9
○玉屋喜章君 只今兩議員からお話のあつたことは御尤もと思いますが、私は、政府當局の方に御相談をして見たいと思いますことは、國民の貯蓄の増強は、十分にこれから政府の目的通りに増強することは至難じやないと思います。併しながら國民が貯蓄をするということは、自分が金の要るときに、いつでも間に合うように、その準備のために貯蓄をするのでありまして、貯蓄をして、自分が必要のときに使われん、引出すことのできんような貯蓄を、いかに政府が奬勵しても私はできんものと思います。私共一部庶民金融を擔當しておる、任に當つておりますが、私共の經驗によりましても、この戰爭中に、私らのところの市が、戰火災に罹つたときに、日曜も何も顧みんで、私が方々へ立札を立てて、貯蓄をしてある人は、日曜でも、休日でもして拂出しをやるから、直ぐ通帳を持つて來いというようにして、私はやりましたが、一日、二日、三日ぐらいの間は百萬圓くらいの拂出しがありましたが、もうそれが濟むと、銀行へも、郵便局へも持つて行かないで、私の方へ集つて來ました。もう銀行へも、國營の郵便局へも羨まれるくらい、例えて申しますと、一億からあつたものが、僅か半期や一年のうちに何億というものが集つて來た、そうして誠に繁昌をしておりましたが、例の金融緊急措置令によつて、預けて置いても、その金を出すことができん、こういうことになると、貯蓄をする人が非常に減つて來て、これは貸すべからざる者には貸していけなかろうと思いますが、再建の企業にして必要缺くべからざるものに金を貸してやりさえすれば、皆集つて來る、何でも家の金庫へ入れて置かいでも、あそこへ預けてさえ置けば、いつでも要るときは間に合うというように、國民に安心を與えねば、預けて置いても、あれは出し難いとか、なかなか取れん、取るには七日も、十日も、二十日もかかるというようなことでは、どうしても貯蓄をする人が不安になるものだから、間に合わんものだから、貯蓄をする人が少くなる。最前の議員が申しましたように、富籖をしても何をしても、その儲けた金はやはり貯蓄をする、貯蓄をして置いて、その貯蓄をした金を箪笥の引出しに入れて置かないでも、あの機關へ預けて置きさえすれば、いつでも引出すことができる、そうすれば、一方においては貯蓄の増強の目的は達成することができる、そうして貸出す金は、企業整備とか又は再建復興の役に立つのだからして、十分に金の目的は達すると存ずる次第でありますが、何とかこの大きな金融機關は別として、小さい金融機關の方の金融緊急措置令の一部を改正して貰うことはできますまいか、それを一つお願いいたします。
#10
○政府委員(福田赳夫君) 只今のお話は、要するに庶民金融機關に對する金融緊急措置の適用を免除又は緩和するかと、かようなお話と承つたのでありまするが、この金融緊急措置によりまするところの封鎖制度というものにつきましては、これが現在の段階におきましては、いわゆる新圓であります、新圓と並行して經濟界の流通手段を勤めておると、いう關係上、極めて不自然な現象を幾多出しておるのであります。成るべく速かなる機會に封鎖預金というものを新圓一本にいたしたいということを考えておるわけであります。併しながら只今封鎖預金というものは、全國を通じまして千三百億くらいあるのであります。その中個人々々が持つておりまするところの預金というものが約千億ありまして、會社等が持つておるものが三百億に上るかと考えておるのでございますが、封鎖預金は逐次新圓化して參りたいという、この方針の第一段階といたしましては、先ず重要産業の所用資金に當てらるべきものは、これは速かに新圓化いたしたいというふうに考えております。すでに御承知のごとく、甲の一の産業に屬する資金といたしまして、封鎖預金を引出す必要がある、この際におきましては、すべて新圓化することができるというふうに必要な措置を構じておるのであります。尚、甲の一以外の産業につきましても、その重要度に應じまして、相當この新圓化し得る途を最近におきまして擴張いたしつつあるのでありまして、私共の考えでは、恐らく遠からずして會社の持つておるところの預金というものは近くもう殆どなくなるというふうに考えておるのであります。尚、個人の持つておる方面につきましては、千億という多額な預金でありますので、これを一時に解放するということは極めて重大な問題であろうかと考えておるのであります。やはりこれは貯蓄の増強の大體の調子、その裏をなすものは物價の問題、財政の問題又は物資需給の問題、いろいろありますが、要するに物價の問題竝に預金の集まる傾向等を合せまして、これは徐々にさような方向に向けて行くべきものではないかというふうに考えておるのであります。さような觀點からいたしますると、庶民金融機關だけの封鎖預金を今直ちに自由にするというふうな考えは成り立ち難しというふうに考えておるのであります。併しながら庶民金融機關が重點産業に貸し出すという際には、只今申上げましたようなラインにおきまして、これを新圓化し得るようにいたしたいというふうに考えております。尚おつしやられるような意味におきまして、非常に小口な資金の貸出しというようなものにつきましては、これは特別の扱いをいたしたいとふうに考えております。例えば一萬圓ぐらいな、未滿の金の貸出し、これを封鎖預金で貸すというものもどうかと思いますので、これも何か闇に使うというようなものまでも、これを全部新圓を以て貸すというふうにはできないのでありまするが、事業の性質に應じまして、一萬圓ぐらいな金ならば、金部新圓で貸してもいいだううというふうに、私共の運用上ではさような扱いをいたしておりまするので、その面からは庶民金融機關に對する影響というものは相當多かろうというふうに考えております。結論といたしまして、庶民金融であるから、特別な扱いをしなければならんという段階に只今考えておりません。
#11
○玉屋喜章君 私の申上げたことは、一概に新圓と限つておりません。封鎖預金でも、それは封鎖預金でいい所は封鎖預金で、新圓でいい所は新圓と、とにかく重要な産業に貸すことについては、日銀なり大藏省なりの同意といいますか、許しを得て來た者には貸して頂けるような方法をとつて貰うことができないか、こういう問題なんであります。
#12
○政府委員(福田赳夫君) 只今のお話の、重要なる者に對しましては、成るべく新圓を貸すことができないかということでありまするが、これは全くおつしやる通りの方針をとつております。申上げます通り最重點産業には全部新圓であります。次順位の者につきましては、相當高率な額の新圓の貸出し、又封鎖預金の解消をやるというふうにやつておりますので、御説の通りであります。
#13
○玉屋喜章君 大藏省のお考えと司法當局の考えとは違つておることがありまして、私は非常に迷惑していることが一つあります。それは私共が金を貸したい、貸したいと言つたところが、どうも私の方があまり景氣がいいものだから、投資をしたいと言つて呼ばれて行くと、私は無盡会社でありますが、措置法によると給付はできるけれども貸出しはできんじやないか、それが一つの問題になつておりますが、その調べた結果は十分の擔保も取つておる、十分の無盡にも入れておる、何らやましいところはないが、緊急措置令に引掛かる、こういうことになつております。誠に迷惑をしておりますが、こういうことに立ち至つたときは、何とか大藏省から援助して貰うことができませんか、
#14
○政府委員(福田赳夫君) 只今のお話、どうも具體的な關係がよく分りませんが、できる限りこれは司法省と打合せいたしまして、司法省の意見と大藏省との意見と異なることなからしむるように努力いたします。
#15
○委員長(黒田英雄君) 他の國民貯蓄組合に關する法律案につきまして御質問はございませんか。
#16
○赤澤與仁君 一二お尋ねいたしたいと思いますが、貯蓄増強施策といたしまして、再び國民貯蓄組合を浮び上らせて見ようというお考えに對しまして、現在のような通貨の不安定なインフレ下におきまして、貯蓄の利子に對する非課税の特典を目的とした國民貯蓄組合というものが、自主的に盛り上つて來ると考えられましようか。又現實の問題といたしまして、職域的には少し殘つておりますが、地域的に現在あるかなきかの状態にあります國民貯蓄組合の實態から考えまして、どういう工合に盛り上らせるか、この點を十分考えて頂きたい。
 次は、少し細かくなりますか、一萬圓を三萬圓まで非課税の限根をお引上げになるわけでありますが、これの根據につきましてお伺いをいたしたいと思いますが、いかがでしようか。と申しますことは、それに關聯いたしまして、本年度の國民の總所得をどの程度にお考えになつていらつしやるか、又國民の一戸當りの所得額をどの程度に御覽になつていらつしやるか、又先般の新物價體系に基づきまする給與基準におきまして、家計費の赤を、實質賃金を上げることによつてカバーしようとする際に、この貯蓄の餘力をどの程度御覽になつていらつしやるか、その點についてお尋ねをいたしたいと思います。
 それからもう一つは、この町村農業會におきまして、貯蓄組合と同樣な特典を與えていらつしやると思いますが、それは私はよく存じませんが、法律におきましては、これは追加されたような形態になつているのではないかと思いますが、その當時におけるこれの事由と、現在それを單に非課税團體を整理するからやるということでなく、その當時と現在とで特典を廢止する状態が變つているかどうかという、この邊の御意見をお洩らしを願いたいと思います。
#17
○政府委員(福田赳夫君) 只今お話の第一點でありますが、私共も貯蓄組合というものを再建いたすといたしましても、差當り地域の方はなかなかむつかしいのではないかというふうに考えております。この職域の方に重點を向けなければならんというふうに考えているのであります。職域の方におきましては、これは國民各位の御努力を得まして、相當程度にできるのではないかというふうに期待しているわけであります。
 それから、三萬圓の問題に關聯いたしましての國民所得を幾ばくに見ておるか、又家計というものをどういうふうに見ておるかというようなお話でありますが、三萬圓まで上げたという根據につきましては、只今一萬圓までになつておるのでありますが、その後の物價等の關係から見ますると、相當程廣上げてもいいという議論も立つのでありまするが、一面におきまして成るべく租税收入というものを殖やしたいという要請があるのであります。その邊との一種の妥協點といたしまして、三萬圓というふうに決まつて來たわけであります。只今のところでは三萬圓程度ならば免税してもよかろうかというふうな、税の方の見地から、一般的にさような結論を得ておるのであります。
 それから國民所得につきましては、今年度の當初豫算を編成する際におきましては、大體五千億位の國民所得というふうに豫想いたしておるのであります。今囘公課の改訂に伴いまして、この國民所得というものは非常に大改訂を要するわけであります。それから國民所得の配分計畫におきましても、この一般會計豫算、特別會計豫算、それから産業資金のこの融資の計畫等、只今公課改訂に伴う問題、又豫算の問題の關聯事項として檢討しておるのであります。只今はまだその數字を申上げる段階に至つておらないのであります。
 それから非課税團體の問題でありまするが、これは先般來非課税團體の整理ということをやつておりまして、その際の問題といたしまして、もうすでにこの數年前にこの問題は解決しておるべかりし問題であつたのであります。ところが、今囘一萬圓というこの免税の限度を三萬圓に引上げるということになつて來ますと、又その三萬圓というものが、農業會等にもそのまま適用するかどうかという問題になつて參つたわけでありまして、これは農業會自體といたしまして、さような免税を受けるという理由が乏しくなつた今日におきましては、やはり少し手間がかかるのでありますが、國民貯蓄組合というふうに看板を揚げることによりまして、同樣の特典を享受いたし、又實際問題といたしまして、そううるさいことでもないのでありますから、さようなことによりまして農業會その他の預金が、國民貯蓄といたしまして奬勵を受けるという見地にあらしめたいというふうに考えておるのであります。この國民貯蓄組合という看板を揚げることは手數だということもありまするが、まずそういうことによりまして、貯蓄意欲という方面に對しましては、相當の精神的な影響もあろうかというふうに考えておる次第であります。
#18
○波多野鼎君 國民貯蓄組合法の改正につきまして、貯蓄増強の問題が日程に上つておるわけなんですが、そのためにはいろいろ條件を整えて行かないと、こういう組合法を改正して見たところで効果は擧らないと思うのです。その條件というのはいろいろありましようが、通貨價値の安定の問題が先ず第一番と思います。それから家計の赤字、これは經濟白書で、大部分の國民の家計は赤字になつておるということを書いております。そういう家計の赤字の状態をなくしてしまうというために、そういう闇撲滅の方向に政府が全力を擧げておるということも大事な條件の一つと思います。それから、それはまあ別としまして、ここにちよつとお尋ねしたいのは、今日インフレーションの進行するに伴いまして、金融梗塞状態がひどくなつて參つております。從つて、例えば金融の闇市場なんというものが相當できておるように思うのです。その金融闇市場におきましては、相當高い金利を要求しております。聞くところによると月一割、年にして十二割くらいが、その闇市場の普通の金利だということを聞くのですが、そういう高い金利でも、資金を借りなければならない事業家なり或いは個人があるのですが、そういたしますと、多少でも手許に餘裕のある人は、そういう闇市場の金融機關の方に預金をすることになる。預金利子も從つて高いのですから、そちらの方に預金をすることになりまして、正規の金融機關にはたとい餘裕金があつても集つて來ないという状態がはつきり見えて來ておるのじやないかと思うのです。それで國民貯蓄の問題に關聯して、金融闇市場の問題をどうお考えになつておるか、これをちよつとお伺いをいたしたいわけであります。
#19
○政府委員(小坂善太郎君) 只今の御質問にお答えを申し上げます。先ずこの國民の貯蓄を増強いたさなければならないことは申すまでもないことでありまするが、それと關聯いたしまして、通貨の價値を安定すること、その他一般の綜合的ないわゆるインフレ撲滅對策と相俟つて、貯蓄増強を強力に推進しなければ、その實効を擧げ得ないという御見解に對しましては誠に同感であるのであります。政府といたしましては、極力この闇を撲滅することを初めといたしまして、不健全なる生活を何としても軌道に載せるように、先般來諸般の措置を講じておるわけであります。只今仰せの通り、貯蓄の増強を正規のルートにおいてなすということの障碍の大きな一つに、闇金融という問題を取上げなければなるまいというお説も、誠にその通りであります。我我といたしましては、そういう闇金融が一體あるかどうか、その闇金融を使つても、今仰せの通りに月一割にもなるような金利を拂つても、尚マージンがあるような仕事があるということに、やはり問題があるのじやないかというふうに考えられるのであります、これらの仕事は多く商業的な利潤の追求を目的とした仕事のように思われるのであります。我々としてはそういう仕事があり得るということを先ず考えて。これをどういうふうにしてあり得ないようにするかということにも手を觸れて行きたいというふうに考えておるのであります。いずれにいたしましても、そういつた闇金融の生ずる根本の金融制度というものに對して、計畫的に、合理的にこれを軌道に載せて行くということについて努力を拂うつもりでおるのであります。又現に努力をいたしておるのであります。尚こういうことで、一體、そういつた不健全な國民心理により貯蓄に對抗し得るかどうかということについては、多少疑問があるのでありますが、波多野さんがよくおつしやるような安定價値計算というような考え方を、この貯蓄の面に多少加えまする意味におきまして、物奨附きの新種の貯蓄の制度を勘案いたしておるのであります。これは貯蓄をいたしますことに對して一つの物奨を附ける。物奨というものは一種の確定價値附きのものが來るのでありますから、貯蓄に關聯をして、その賃弊價値の移動を幾らかでも補うということを考えまして、これを實行することに相成つております。更に何といいましても、そういつた現象形態を追うて行くという考え方も、或る一定限度がある譯であります。どうしてもここに貯蓄をして、自分らの貯蓄によつて健全な生産資金を賄う、即ち今貯蓄をして行かなければ、ここにおいて通貨の價値、通貨の信任というものが崩れて行くのだ、そういつたような精神運動の面からも、この貯蓄の必要を大いに強調いたしまして、救國貯蓄運動というものを、この九月から大いに強力に展開いたすつもりであります。國會の皆さんの強力なる御支援を期待いたしておるような次第であります。簡單でありますが、以上お答えいたします。
#20
○波多野鼎君 今、大變よいお話を聞きましたが、尚私一言申上げたいのは昨日の新聞であつたかに出ておりましたが、今後の政府の物價政策というものは、少くとも六ケ月間は變えないといつたようなことを、誰だつたか、大臣が申しておりました。六ケ月は變えない、六ケ月は必ず守るという聲明の裏は、六ケ月過ぎたらどうなるか分らんといつたようなふうになるのであります。六ケ月過ぎてどうなるか、物價が下るか上るかという點について國民が理解するところは、六ケ月過ぎたならば又公定價格が大幅に引上げられるだろうというふうに、今日の情勢においては國民は理解するのであります。そういうことがありますと、預金の増進といいますか、救國國民貯蓄運動というものを起しましても、通貨及び物價の面においてそういつたような曖昧な態度をとつておりますと、なかなか効果は擧らんと私は思います。今度の物價體系を決められた以上は、これを斷乎として守るという決意をはつきり示して、六ケ月は守るなんというような、そういう期限付きの變なことを言わないように、一つ政府を鞭韃して頂きたいと私は思うのであります。
#21
○政府委員(小坂善太郎君) 誠に御尤もな御趣意で、私も誰がそういうことを言つたのか實はうつかりしておつた次第であります。問題は食糧政策といつたようなことで、一部の人の言う一定基準を供出した以後のものについて特別の買取價格を設けるというようなことになりますと、今まで決めた、今度の物價體系の基礎になりますいわゆる賃銀の基準というものがその食糧の獲得の難易によつて相當影響されるということが考えられます。併しそういう動く要素はあるけれども、少くとも六ケ月くらいは斷然物價水準を守るのだという決意を、その人は恐らく表明して、それが逆に國民心理に及ぼす影響については非常に考慮が薄かつたのじやないかというふうに考えます。我我といたしましては、とにかく新物價體系におきまして企業の赤字を埋める、そうして健全な企業の形態を取戻して、そうして増産を急速に進めるという措置を講じます以上、これについては極力不變なものであるというようにいたしまするために、諸般の注意と努力をいたしておる次第でございきす。
#22
○玉屋喜章君 この貯蓄増強のことについては、私は必ずこれは成功すると思います。只今の闇市場の金が月一割だとかなんとかいうことも、これも貯蓄を増強して、そうして何か特別の貯蓄組合なり庶民金融は、少し預金してある人には簡單に貸出しをしてやるということになれば、闇市場で儲けた人も何も全部、その貯蓄組合なり又庶民金融なりに皆戻ると思います。何んとなれば、月一割の金を借りないでも、年一割かそこらで借りられるのだから……。ただそういうものができるということは、銀行も又ほんの庶民金融も同じような法律で縛られて、そうして一億も五千萬も貸すものも、ただの五萬、十萬、まあ百萬以下くらいなものを貸すのも同じような法律で縛られては、どうしても私は貯蓄運動も余り效を奏せんと思います。錢を預けてある人には必ず或る程度まで貸す、又健全な企業に使う者に貸す、そうすれば健全な企業家も又貯蓄して呉れる、ただ今のところは預けていても借りることができない、私は參議院に出てからも、地方の人と附合つて見まするに、農業金庫とか何金庫とかいうところに金があつても、その金を借りるときには縣廳に願いを出さなければならん、又地方で借りるときには一月も二月も掛かるから、玉屋君、政府にお願いして、何とか方法はないものかと、こういう人が月に一囘や二囘は必ず私に話をする。それで私は自分の經驗から言つても、もう金は、十分庶民にも働きがあるのだからありますが、ある金を要るときに出してやるならば、必ず貯蓄は政府の思つておるより以上にあると思います。この證據には、大藏當局が私の方に割當てて來るものはいつも超過をしておる。この間の財産税の支拂までは、政府が百億圓せいと言つたら、私らの全體において大抵百三十億そこらは出ておる。必ず政府の豫想以上に超過しております。又私共が何ケ月にどれ位やれと言つて會社の者に命令しても、必ずその豫定量よりは余計できております。併しながら、この財産税が濟んでから、どうもこの貸出しが非常に嚴になつて來てからは、貯蓄は聊か衰えて來かけております。今の議員のお説では、闇市場の金は月一割だというが、一割の金が掛つてさえも儲けるような方法をして行くのだから、自然と物價は高くなつて行く。故にこれを何とか政府當局がその方へ意を用いて下さつて、そうして中小工業の方々に預けてある金を、簡單に貸出しができるようにして上げたならば、私は自然と物價も低落して行くのではないか知らんと思います。御參考までに申上げて置きます。
#23
○政府委員(小坂善太郎君) 非常に有益な御注意を頂きまして感謝いたします。御趣意の通りであります。我々といたしましては、成るたけ地方でできました預金部資金を、地方に還元するという方針を採ることに努力いたしております。ただ金融というようなものは、大體あるに任せて使うのでは全般の計畫が立ちませんから、結局我々としては、國家を再建する上に基準となる基礎産業から順次順位を付けて、一應それを一つの計畫に乘せて行なつて行くといふ建前でおりまするので、この必要な産業というものから不急な産業というものに至るまで、或る程度の順位を付けて、やはり金融の面においても考えなければならないのではないか、かように考えられまするので、できるだけ地方で預金して頂いた預金部資金は地方に戻すのだが、併しながら貸出しの順位等は、一應中央における國家的な觀點から檢討いたしまして、定めました金融の一つの方式に從つてやつて行くようにお願いをしたいと思つております。
#24
○中西功君 私、この貯蓄運動がどれだけの效果を奏したかという政府委員の話は聽かなかつたのですか、このままで行つては、この國民貯蓄運動はその意味がない、殆ど成果も期待できないだろうと思うのです。で、第一は、一體今貯蓄し得る者が誰かということを考えなければいけないと思うのです。誰に金があるか、今勞働者や一般の市民には殆ど金はないと思うのです。それは分つているのですが、そういう點で、とにかくあるところには非常にある、前に波多野さんからも言われましたように、闇金融があるし、一般の市場や、大きなところには澤山あるわけです。そういうところから取つて來るという積極的な案を立てなければ、これは無意味だと思うのです。第二ですが、さつきそこの委員の方が言われたように、自由に貸出すということになれば皆入れるのだといわれるけれども、それでは結局、現在政府かやろうとする貯蓄の意味がなくなつてしまうと思うのです。即ち今闇をやつている人は澤山金を持つております。そういう人が今度闇をやるのだから、これを又拂出してくれというふうにして闇をやるのでしたら、これはもともと意味がなくなるわけで、そんなことのできる筈はないと思うのです。そういう點から考えても、結局あるところから本當に取つて來るという意味で、取つてくると言うとおかしいですけれども、だから結局今の場合ですと、貯蓄運動というようなことは、すべて強硬手段を以てやらなければ駄目だということになると思うのです。今までの成果がどれだけあつたのか詳しくは知りませんが、これを一生懸命でやつても、結局大なる效果はない、むしろそれよりも今度の總選擧のときに社會黨が公約したような、臨時第二次財産税の問題、新圓登録の問題だとか、そういう問題、或いは銀行の統合、或いは民主的な統制、或いは又國有國營、そういう根本的な問題を考えないと、これは全然意味がないのです。で、現在の日本の危機は、決してそんな多少の修正や技術によつてなし得るようなところのものじやないと思うのです。はつきり申しますれば、現在の日本の資本家は、闇とインフレをやらなければ食つて行けない、そこまで來ているのです。資本家諸君に幾ら説得して、闇とインフレをやらないで置きましようと、こう申しましても、僕は駄目だと思うのです。でありますから、私といたしましては、これを審議いたすにいたしましても、效果はもう分り切つているというような氣がいたしますので、その點皆さんにも、私の意見として一つ參考にして頂きたい、そう思うのです。
#25
○政府委員(小坂善太郎君) 國民貯蓄運動をやつても、效果は分り切つているというような御説でありますが、これは國民が貯蓄をしないならば、貯蓄が殖えないだろうということになるだろうと思うのであります。で、私共といたしましては、中西さんの御説のように、通貨が信任を失いつつある、失つておるのだというような御議論の前提に立てば、これはおつしやる通りだと思います。併しながら、我々としては、何とかしてこの線で以て通貨の信任を堅持したいのだという考えでおるのであります。御説のように、新圓の再封鎖或いは登録というような措置は、一應社會黨もこの還擧に公約として掲げられたわけなんでありますが、こういつたドラステイツクな措置が、今どうしても行い得ない實情にあるので、社會黨も四黨政策協定において、これをやらないと言つておるのでありますから、やらないと言つている以上、國民貯蓄によつて、何といいますか、多少唯心的な運動でありまして、餘りこういうことを言つたつて、實際問題として闇とインフレはどんどん進んでいるではないか。その場合に預金などをして置けば、通貨價値の下落によつて、みすみす損をするのではないかという御議論であれば、これまた立場を異にした一つのお考えであると思いますが、我々としては、どうしてもこの際こういう現象形態を追つては駄目だ、我々はやはり國民運動として、我我自身の力によつて、我々國民の總意によつて、通貨價値の下落を食い止めるような運動に持つて行かなければならない、そのためにたとえ小さな事柄でも、これを採り上げまして、實行の方に持つて行かなければならない、これが大きなことになるというので、この案を提出いたしまして、是非とも御贊成を頂きたいと思うのであります。
#26
○玉屋喜章君 私は、只今の御質問に非常に反對するものです。私はこの貯蓄は、どこまでも政府案の通りに、大いに貯蓄奬勵しなければならんと思います。
#27
○委員長(黒田英雄君) 討論ではないのですから、その程度で、質問の程度で……。
#28
○中西功君 いや結構です。
#29
○玉屋喜章君 御免下さい。私はどうしても貯蓄はしなければならんものと思います。そうして又私は、預けた者に貸すようにしたらいいと思う。要る人には貸してやる、あの所に預けて置けば、いつでも借りられるということになれば、要らん人が非常に安心をして金を長う置いてくれる、あすこへ預けて置くと、いつでも金が借して貰えるということになると、要らん人が非常に安心をして金を置いといてくれる、その金を要る人が使うより、殆ど要らん人の方が多ければ多い程、私共の經驗では金がずんずん集つて行く、預金がうんと殖えて行く、ただそういう方に餘り關係のない机上論だけの考えから言うと、預けたものを貸しては……いつでも貸していいものではない、預けたものを貸せば、使うてしまえば、預金にならんではないかと申しますけれども、經驗のある者から考えて、經驗のある者から申しますと、いつでも出せるというようなことに安心をすれば、何も取りに來るものではない、殆ど安心をして取りに來ない、でありますから、私は貯蓄は大いに政府の言う通りに、我々も草鞋掛けででも、政府の言う通りに貯蓄には努力しなければならんものと思つております。併し又お考えを願いたいことは、私はそのときには、貸出しの方も考慮していて下さいと、こういうお願いです。これは速記に書かれては困りますが……
#30
○委員長(黒田英雄君) 速記を止めて
#31
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて……。本日はこの程度にいたしまして散會いたしたいと思います。次の日はちよつと今決まつておりませんから、決めまして公報でお知らせすることにいたします。それでは本日はこれにて散會いたします。
   午後零時二分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           岩木 哲夫君
           伊藤 保平君
   委員
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           山田 佐一君
           木内 四郎君
           櫻内 辰郎君
           深川タマヱ君
           星   一君
           赤澤 與仁君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           高橋龍太郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
  政府委員
   大藏政務次官  小坂善太郎君
   大藏事務官
   (主税局長)  前尾繁三郎君
   大藏事務官
   (銀行局長)  福田 赳夫君
ソース: 国立国会図書館
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