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1947/10/14 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第23号
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1947/10/14 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第23号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第23号
  付託事件
○酒類配給公團法案(内閣提出)
○物價引下運動促進に関する陳情(第
 九号)
○製塩事業保持対策樹立に関する陳情
 (第十九号)
○織物の價格改訂に関する陳情(第二
 十八号)
○少額貯金及び各種團体預金封鎖解除
 に関する陳情(第五十二号)
○インフレ防止に関する陳情(第七十
 一号)
○会計檢査院法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○電氣税復活反対に関する請願(第四
 十三号)
○低物價政策上官営事業料金の値上げ
 反対に関する陳情(第百九十号)
○連合軍兵舎並びに宿舎建設用木材前
 受金の第二封鎖解除に関する陳情
 (第二百十一号)
○賠償税の新設に関する請願(第百十
 八号)
○中古衣類の公定價格を廃止すること
 に関する請願(第百三十八号)
○企業再建整備法並びにこれに伴う諸
 施策に関する請願(第百四十号)
○中古衣類の公定價格制度を廃止する
 ことに関する陳情(第二百三十三
 号)
○会計檢査人法制定に関する請願(第
 二百二号)
○貿易資金特別会計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○失業保險特別会計法案(内閣送付)
○非戰災者特別税に関する陳情(第三
 百三十一号)
○政令第七十四号中憲法違反の條項に
 関する請願(第二百五十七号)
○政府職員に対する一時手当の支給に
 関する法律案(内閣送付)
○自給製塩制度存続に関する請願(第
 二百九十一号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税課税外
 とすることに関する陳情(第三百八
 十一号)
○庶民銀行設立促進に関する陳情(第
 三百九十一号)
○通貨発行審議会法案(内閣送付)
○経済力集中排除法案(内閣送付)
○物品税免税点の引上げ等に関する請
 願(第三百二十八号)
○今次日立鉱山地区の水害復旧特別融
 資等に関する陳情(第四百十三号)
○金属鉱山事業を経済力集中排除法案
 中より除外することに関する陳情
 (第四百十五号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税の課税
 外とすることに関する陳情(第四百
 十八号)
○企業整備に関する陳情(第四百十九
 号)
○自給製塩制度存続に関する陳情(第
 四百二十九号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十四日(火曜日)
   午前十時三十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○政府職員に対する一時手当の支給に
 関する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) それではこれより委員会を開会いたします。先ず最初に政府職員に対する一時手当の支給に関する法律案、これにつきまして質疑を続行いたしたいと思います。御質問のおありの方はお願いいたしたいと存じます。
#3
○山田佐一君 本案は最も職員の方の事情をお察しして一日も早く通過せしめなければいかんものと思いますが、衆議院の方は通過いたしたのでありますか、まだそのままになつておりますか。
#4
○委員長(黒田英雄君) 衆議院はまだ通過いたしませんので、明日委員会を開いて決定するという予定のように聞いておりますが、こちらでも予備審査でありますが、只今お述べになつたような事情があるだろうと思いますので、御質問があれば早くなにしましてですな、更に衆議院が通過しましたら、こちらでも早く御決議を願つた方がいいのじやないかと思つております。
#5
○山田佐一君 それにつきまして、私は丁度この期間中が政府が遲配欠配をした時だと思います。二十八日乃至三十日の欠配をいたしまして、生きて行かんがためには闇の米も買つておつたのだろうと思います。して見ますと、僅かに三月の間に六百円、月二百円では本当に一時支給とはいいながら、その穴埋めをする金額にも足らないかと思うのであります。職員諸氏も非常に事務は煩雜であり、社会不安と両方で尚一層國務のために御盡瘁願わなければならない際に、余り金額が少額に過ぎやせんかと思うのですが、その辺に対する当局の御意見を承りたいと思います。
#6
○政府委員(今井一男君) この七月の物價体系の改正によりまして、一應千八百円ベースというものは政府におきまして確立されたわけでございますが、官公吏につきましてはその以前千六百円という水準を採つておりましたので、千六百円水準を新物價体系の見地から合せますと千八百円になる。そこでその差額の二百円というものをもつて來たわけでありますが、千八百円水準そのものにつきましては、労働組合側におきまして正式にこれを承認するというふうな段階になつておりませんので、御承知の通り只今官公廳の給與はすべて組合側との協議によつて團体交渉の形で進めて來ておるのですが、それが千八百円水準を正式に承認するということに相成りませんでしたので、併しながらとにかくこの場の急を凌ぐために、政府においても支拂いを異存のない金だけは取敢えず受取つてはどうかと申出で、組合側でもこれを是非欲しいということでこの案ができたわけであります。でお話の点はそういう説もございますが、これが政府の七月立てた新物價体系と賃金との関聯性におきまして千八百円ベースにどういうひびが入るかというような観点から、賃金を殖やすという方向よりは、実質的に配給面に努力いたしまして、マル公の部分を殖やし実收を増加するという方向に、とにかく折角作つた新物價体系を盛り立てて行こう、こういうことが政府の現在の方針でございますので、只今のところお話のような点につきましては結論を得るに至つておりません。
#7
○山田佐一君 そういたしまして、その六百円の收入は一時手当でありますか。これに対しても勤労所得税はやはり課税されるのでありますか。これに課税されて行きますとすると、本当に職員の給料というものは、今の千八百円ベースとか何とかいろいろ理窟をいうだけで、本当は生活の維持のできない給料じやないかと思うのでありますが、これに対しましても根本的にもう少し檢討して見る御意思はありませんか。これで本当に千八百円ベースで職員の方は生活がして行けるというお見通しでありますか。
#8
○政府委員(今井一男君) これにも勤労所得税は課かります。ただ一時の所得に相成りまするので、税率は別の率、即ち一六%という低い率であります。
 尚これで食えるか、食えないかという問題でございますが、私共の全國的に調べたところによりますと、非常に地区的には大きな赤字を出しておるところがあるが、又黒字の出ておるところもある。全体を突込みまして無論赤字の方が多いことは認めなければならんのでありますが、ただこの赤字を直ぐ埋めるという考え方が果して実質賃金を増加させる、或いは折角立てました物價と賃金の同時安定という方策をぶち壊すということに相成りはしないか。そこが実質賃金の面における努力の方向に、政府といたしましては現在極力千八百円の堅持という方向に努力しておる次第でありまして、この物價体系そのものは、從來のように物價と賃金というものが全然別にばらばらに定められておる際ならば議論は別でありますが、とにかくこういつた新らしい方式によりまして、一つの大きなインフレに対する防塞を築いたこの際といたしまして、この問題か軽々に扱い兼ねて、目下愼重な態度を関係各省におきまして檢討いたしておる次第でありまして、恐らくこの問題についての御意見その他は來る追加予算の本予算の際に責任大臣その他から十分御説明を申上げ、又御意見も伺うことに相成ろうかと考えております。
#9
○山田佐一君 そういたしますと、物價体系で決めたのであるから、この二百円で決して満足ではないけれども、一應政府の政策がそういう政策だからこれで我慢するのだ、こういうように御意見を拜聽いたしました。我々は実際今日の物價体系を決めたその場合にも不満があるのでありますけれどもこれは追加予算のときに申上げることといたしまして、御当局が仕方がないということならば我々は何ら意見がないのでありますが、本当は職員の方には生活の安定ができず、その日の生活に脅威を感ずるというような待遇に置いて置くということは決して政治の根本方針じやないと思うのであります。その辺をただマル公で全部行ける、又以前には十一月になると黒字になるというのが、今日この項の新聞で見ると十一月も赤字であるという、而も遅配欠配は数字の上では埋め合せがつきますが、闇で買つた人が後から遅配を埋められたからといつて銭を返すわけに行かないのでありますから、その辺の十分下級の官吏の方に御同情をして頂くような施政方針でやつて頂きたい、かように存じます。
#10
○森下政一君 支給の枠の問題について只今山田さんからお話がありました。これはいろいろ議論のあることだと思いますけれども、一應際は政府の説明が、從來の月收千六百円水準と七月以降の月收千八百円水準の差額ということになつておるので、一應これを先ず前提として考えるといたしまして、その支給をするのに、地域によりまして支給の率が五段階くらいに分れておるということは過日頂きました資料で明瞭なのであります。特地の京阪神地方が十二割、最高を支給することになつておりますが、これは恐らく各地域における生活費の実情というものを御調査になつて、その基礎の上に勘案された率であろうかと思いますけれども、一見いたしまして、非常に支給率の差が格段に附いておるように感ぜられるのであります。こういうふうに率を設けられた基礎になつておる資料というものは一体どういうものであり、又どういう結果が出ておるか。例えば生計費を基礎にしたということであれば、各々地域における生計費の実体がどういう数字を持つておられるか、それによつてこういうものを一應お出しになつたか、その点を先ずお聞きしたいと思います。
#11
○政府委員(今井一男君) 地域差の問題は非常に困難な問題でございます。私共現在やられます各方面の資料は絶えず連絡をして纒めておりますが、この資料の中で特に主な権威のあるものというものを二三申上げますと、去る六月の給與審議会におきまして問題の千八百円が決定になりました際に、この工業暫定業種別平均賃金を彈くに当りまして、労資、中立竝に政府側と四者合議において決定しました地域差というものがございます。これは府縣單位になつております。府縣單位になつておりますので政府の分と少し樣式が違いますが、その場合甲、乙、丙の三段階に府縣を分けまして、甲と丙の差は百対七十五即ち三割三分の増でお話が纒つております。その際の甲地は六大府縣の外福岡も入つております。ただその基礎になりました点を、厚生省、今の労働省で調べました地域別の賃金の比率によりますと、甲と丙の差は、労働省については百と六十九、即ち前の差よりもいま少し廣く四割五分程度の開き、これは一般府縣と七大府縣との間の現実の賃金差でございます。それから昨年一年間の労働省調査の生計費の差を見ますと、一般町村を六十四として場合に六大都市は百、即ち五割以上の開きが出ております。尚この公共事業の労働者の標準賃金が一般の都市における相場を基礎にして立つておりますので、この賃金は又生計費を反映しておるものと考えられるのでありますが、これによりますと、比較的安い地方を百といたしますと、京阪神は大工、人夫共に百八十というような指数になつております。ただ私共が一番重きを置きましたのは、昨年四月以來総理廳の統計局で司令部の統計課の指導の下にやつております消費者價格の調査であります。この調査はこのサンプリングの取り方におきまして、日本の生計費調査に一新生面を開いたものでありまして、最も嚴格に科學的にやつておりますので、この数字が私共一番重んずべきものと考えておるのでありますが、これによりますと、最近におきまして生計費の差は、乙地を百といたしました場合に甲地が百二十五、特地が百三十二、京阪神が百八十という数字になつております。これは総生計費でございますが、飲食費だけを拾い上げますと、乙地方を百とした場合に甲が百四十五、特地が百六十一、京阪神が二百三十、かような開きになつております。事実昨年末以來本年度に入りましてから、地域差は益々附く傾向にございます。無論この地域差を全面的にそのまま認めることがよろしいかどうか議論の余地がございますので、私共の今囘立案しましたラインは丙地を百とした場合に乙地が百十三、甲地が百三十一特地が百五十、京阪神が百五十九、実は十二割と二割と申しますのは三ケ月分でこれを三で割りまして一ケ月分の金額を出し、その一ケ月分の金額を現在におきまして一ケ月分の月收に積み重ねまして、そこでその開きを考えますと、只今のような数字になるのであります。即ち具体的に絶対数を申しますると、京阪神が一ケ月分が二千二百二十八円、特地が二千九十七円、甲地が千八百三十五円、乙地が千五百七十三円、丙地が千三百九十八円、指数は百から百五十九、今のごとき開きは大体現在の生計費を基礎として考えますと、先ず適当なラインではなかろうかというところから、こういつた割合を出したのであります。この割合だけを積み上げますと非常に開くのであります。毎月の月收の上に重ね、それを一ケ月に割つて考える。こういう観点に立つて載けばさほど大きな開きではなかろうと考える次第であります。
#12
○森下政一君 尚お尋ねいたしますが、只今の御説明で基礎になりました資料については詳細了承いたしたのでありますが、こういつた支給率の決定について労働組合か何かに交渉なされたでしようか。
#13
○政府委員(今井一男君) この問題は八月の初めから組合側に提示したものでございます。実は二・一スト以後、名前は官公職員待遇改善委員会準備委員会という名前でございますが、実質的に團体交渉の機関が設けられまして、給與に関する問題につきましては細大となくこの委員会に掛けまして、結局團体交渉の形式を実質を持ちまして交渉を続けて参りあらゆる問題がそこを通らないで決まつた問題はないのであります。又その中で決まらない問題も幾らも現在まで残つておりますが、この問題は八日の初めに政府側から提案いたしましたところが、同時に提案いたしました凸凹調整の問題につきましては組合側は非常にいろいろに意見を言われまして、結局押問答の結果、妥協案が具体的にでき上つたわけであります。ところが千六百円の方の問題は、組合内部の統制困難な立場と、もう一つはこの配分に協力することが千八百円水準を承認したというような虞れを生ずるというような意味合いと、両方から是非これは政府側の方で一方的に決めてくれ、こういう主張が出まして、私共幾度か非公式にでも協力が欲しいということを申出たのでありますが、結局一任されまして、正式に先月の十九日覚書を交換しまして、一方的に政府案によつて実施して貰う。それに対して組合側は異議を申述べない、かような約束でこの案ができました。この案そのものの具体的な内容は正式に協議を経たものではありませんが、政府の方に任せるということを、政府の方で一方的にやつてくれということを團体交渉で決めましたので、やはり團体交渉に基くものと存じておる次第であります。
#14
○木村禧八郎君 只今今井給與局長のお話ですが、賃金の地域差を附けるときの統計の資料として最も権威あるものは、総理廳統計局の消費者價格調査ですが、この地域差を附けるときにこういう非常に権威のある資料を使つておりながら、千八百円ベースを作るときに、この前安本の方から伺つたときに、このような権威のある資料がありながら、別の資料によつて、即ち東京都の実際の生計調査、それによつてお作りになつたと言われたのですが、実際に、そのように権威のある総理廳の統計局の消費者價格調査によれば、現在の賃金水準は到底千八百円では足りないはずになつておると思うのです。そこでお伺いしたいのは、こういう権威ある資料があり、千六百円のベースをお作りになるときはその総理廳の消費者價格調査を使いながら、千八百円のときは何故使わなかつたか。若し今後又賃金改訂なんかせられるような場合にはどういう資料によつてそれをお考えになるか。その点一つ政府側の御意見をお伺いしたいのです。
#15
○政府委員(今井一男君) 千六百円ベースはこの総理廳統計局の数字を根拠にして考えたものでございますが、尤もこれが正式に決まりましたのは官公吏だけであります。ただ千八百円ベースの問題は、これは観点を異にいたしまして、現在でいいますれば、六月当時におきまして大体一般的に行われておる給與水準、それを基礎にすることが結局において労資の間に問題がないのじやないか。無論生計費調査も今は大きな参考にもなるし、又総理廳の統計局の調査が一番日本において先ず権威のあるものとしなきやならんと確信するのでありますが、ただそれらにつきましても組合側としてはいろいろの意見もございますので、從つて現在貰つておる賃金、その賃金を掴まえまして、その賃金を貰つておる際における生活内容、実質賃金の面からそれを確保して行こう。現在行われておる実際賃金の基礎は千六百円だ、千六百円をそのまま新物價体系の労銀の基礎にしてもよろしいわけでありますが、ただ千六百円を越しておる業種も若干ありましたので、その余裕等を考えまして、これを二百円引上げたので、一應千八百円という水準で算盤を置きまして、そのはね返りの大きくなつた点は配給の増によつてカバーする、或いは勤労所得税の遞減によつてカバーするといつた方式で出しましたものが千八百円でございますので、この生計費の狙いは、日本は現在労資双方に、或いは何人も納得するような、そういつた生計費の調査がないことがいつも粉議の因になる点に鑑みまして、司令部の勧奬によつてできた生計費でございますけれども、又これがそういつた段階にまだ至つておりません関係から、一應現在行われておる賃金というものを基礎にして、その実質賃金を確保するという工合に話を決めよう、そういつたことで決まりましたのが千八百円でございます。從いまして、スタートが異つておる関係から、只今お尋ねのございましたような食い違いを生じました次第でありまして、現状においてはやはり止むを得ないところじやなかろうか。組合側がすべてこの統計というものに納得するような段階になりますればもう別でありますが、その点はまだまだその段階でもございませんので、一應給與審議会におきましては別の方向をとつた次第であります。
#16
○木村禧八郎君 それから今の、今後給與の問題を考える場合に、どういう統計を基礎にして行くかということですね。
#17
○政府委員(今井一男君) 失礼しました。生計費ばかりを基礎にしていいかどうかという根本問題が若干問題かと思うのでありますが、生計費を基礎にいたします場合におきましては、現在のところにおいては、総理廳統計局のこの調査が一番権威のあるものとしなければなるまいと思うのですが、ただこれが工合が惡いことは、相当纏まるのが遅いのでございます。最近統計局においても非常に努力いたしまして、只管その速かな発表を努力しておられますけれども、それにしても若干遅れるのであります。その関係から利用價値が現実の問題を処理する場合に失われる、減らされる虞れがあるのでありますが、いずれにいたしましても、生計費調査としては、政府としましては特に官公吏の給與問題につきましては、生計費を取られます場合にこの資料を一番の中心にすることが新らしい行き方だと存じております。
#18
○木村禧八郎君 それではそういうお考えから、今度の増額については一時支給ですか、六百円の……六百円についてはまあ総理廳の統計を主としてその他のことを勘案して地域差を附けたというのですが、今後そういうお考えでありましたら、この千八百円ベースを、この総理廳の消費者價格調査ですね、これに基いて考え直してみる御意向はないか。これは大藏大臣或いはその他労働大臣あたりに聞かなければ分らないかも知れませんが、まあ今井給與局長でお答えできる範囲において御答弁を願いたい。
#19
○政府委員(今井一男君) お話の通りそういう問題は責任大臣から申上げる筋の問題だと思うのでありますが、ただ私共事務の立場から申しますと、お話のような御意見も從來ならば特に問題なく御賛成申上げるところじやなかろうかと思うのでありますが、今囘はこの七月に新らしく物價と賃金というものを同時安定という方式を取りましたので、そこで生計費が上つたから直ぐどうというような簡單な考え方ができにくい場面があるのじやないか。そこでこの問題もいろいろな角度から議論されながら只今のような状態になつておる。若しこれがそれ以前のようなマル公と労銀というものが遊離しておるような状態におきましては、全く御説の通りやるべきである。又やる以外に方法がないのじやないかと思うのでありますが、そこに新らしい大体のものができましたので、そこで問題は簡單に行かない。まあかように実は私共考えております。
#20
○木村禧八郎君 それでは佐多金融局長にお伺いしたいのですが、今度の物價と賃金の枠と決めたこと、それによつてインフレの惡循環を防ごうという趣意の根幹は先ず物價が動かないということが主眼であろうと思うのであります。六十五倍に引上げた物價をそこで安定させるということがその主たる目的であろうと思うのであります。そうしてみますれば、物價の上に影響しない限りにおいては、賃金の引上げをしてもいい筈である。その趣旨と相反しないと思います。そこで先ず安本側にお伺いしたいことは、現在の賃金を引上げても、少しでも引上げても、直ぐ物價の六十五倍のなにに影響するものかどうか。或いは又相当引上げても物價の安定に影響のないものか。その点について先ずお伺いいたしたいのであります。
#21
○政府委員(佐多忠隆君) 今のお尋ねに対しましてお答えを申上げますが、その当該の労銀が一般的な或いは支配的なものである限りにおいて、それを若干でも引上げるということになれば、直ぐ賃金一般從つて物價一般に影響して來ると思います。併しなからこれをもつと個別的な具体的な問題としまして、或る特定の産業、或る特定の企業において非常に増産をやつた。そのためにその増産に酬ゆるための特に労賃を相当高く出すというような問題としてならば、むしろ、それは増産を通じてその供給量が殖えて來る。そういう関係で一般物價への影響はないものと考えております。そういう場合に限つては労銀をその特別な企業において引上げても、それは差支えないかというふうに考えております。
#22
○木村禧八郎君 こういう場合はどうなるでしようか。例えば六十五倍の引上げというのが実際の生産費を賄う以上に多かつた。その場合には例えばそれが二割多かつたか或いは三割多かつたか分りませんが、そういう場合には賃金を仮りに多かつた部分だけ二割三割引上げてもその物價の安定帶を維持するのに差支えない、そういうふうに考えられないでしようか。
#23
○政府委員(佐多忠隆君) その点の場合は、若しそういうふうに安定帶に余裕がありましたら、それはむしろそこで決めたことの方が間違いであつて、そういう場合にはむしろ物價を引下げるということに方向が物價政策の一般問題としては取らるべきだろうと考えております。
#24
○木村禧八郎君 若しそういうことが可能であるとしたら、今の段階において物價を引下げるということは非常に困難な問題である。実際問題としては物價を安定させるということが実際の政策上取り易い政策でもあるし、從つてそういうことが分つたならば、物價を引下げるよりもその賃金を物價にアジヤストする、調整するということが実際問題であろうと思う。從つて若しそういう幅があるならば、二割乃至三割であるならば、これは千八百円のペースを或る程度まで引上げる余地がある、その点を若しかそうであつたならば、物價の維持に、物價を崩さずして賃金を上げることは可能である。これは事実であるかどうか知りませんが、すでに安定帶を作るときにこの引上げについては若干の余裕があるのであるということを言われたことを私は聞いておるのであります。若しかそうだとしましたならば、この物價体系を崩さずして賃金水準を上げ得るとすれば、こそは実際問題として私は実行でき得る、そうして混乱を起さずして又インフレの惡循環を招かずして、一應この物價の安定という所期の目的を達成しながら、而も千八百円の賃金水準を引上げ得る、そういうふうに思うのですが、その点についてはどうでしようか。
#25
○政府委員(佐多忠隆君) 先程の問題は、理論的にはこれは六十五倍なり六十二倍で、その物資の價格を決めたことに間違いがあるので、さつき申上げましたように、物價引下げの方法を取らなければならないというのですが、今おつしやつたような、仮りに具体的に個々の企業の賃金政策の問題として考える場合には、若しそれがお説のように、一般物價に対して影響を及ぼさない限りのものでありますならば、現在の具体的の諸情勢を考えて、賃金の引上げも又やる可能性があるということは考えられると思います。併しそれらの点については、特別具体的に個別に精査して政策を決めて貰いたいというのが政府の希望でございます。
#26
○川上嘉君 大体歳入歳出の総予算を組まずに、こうしてぽつぽつ一つずつこうした案を出すというのが非常なごまかしだ、大体急を凌ぐためにという理由によりまして、こればかりの僅かの金を一時手当の形で支給するということは、明らかな数字のごまかしによつて、全官公労組の血の出るような極めて愼ましやかな要求を眞つ向から退けて、千八百円ベースを無理に押し付けようとしておるものだと解釈されます。大体現在のままでは殆んど仕事はできません。官公廳におきましては、人間としてでき得る限りの全力を盡しましても、幾ら努力をやりましても、現在の待遇のままでは結果から見ましていい加減な仕事、不公平なる仕事に終らざるを得ないと思います。大体政府におきましても、綱紀の蕭正とか吏道の刷新とかいうことを叫んでおりますが、現在のままでは吏道の弛緩を黙認しておるようなものであります。現在の國民経済の実相は今更私が申上げるまでもなく、もう破綻し掛けておると申上げるよりか、すでに破綻しておる、こう言わざるを得ないのであります。國民の八〇%以上の人は殆んど闇をやり、或いは闇行爲をやらなければ食つて行けない。買つたとか賣つたとかの形におきまして闇行爲をやらなければ食つて行けない。公定で買える物だけではどうしても生活して行けないというのが現在の実相であるのであります。この実相を無視したすべての企画、すべての法律案というものは全く無である、かよう断定せざるを得ないのであります。然るにこれで仕事をやれということは結局いわゆる職権を濫用して適当にやつて食つたらいいだろう、こういつたことを許しておるようなものじやないか、かように考えるのであります。これでは幾ら公僕、いわゆる新憲法の下、形は國民の公僕ということになつておりますが、実質において果して公僕としての務めを果たすことができるかどうか、公平な仕事ができるかどうかということは今更申上げるまでもないことであります。恐らく國民におきましても、又國会議員の一人としてこの千八百円で食つて行けるとお考えになつておられる方は一人もないと思います。或る所で先日もあつたことでありますが、千八百円というのは家族一人当りで千八百円という意味ですか、こういうことを聞いたのでありますが、全くこれほど千八百円というものは普通の常識では判断できないのであります。現在の経済実相下において四人半の家族で大体千八百円ぐらいの俸給が貰えるということでありますから、普通の常識では判断できない。今申上げました通り、この家族一人当り千八百円ぐらいなら、現在の情勢下におきまして何とか仕事をやつて行けるということも考えられまするが、少くとも総收入千八百円ベースではどうしても食つて行けないということはこれは常識でいつてもどうしてもできないということは分り切つたことであります。ここで何とか思い切つて、全官公吏の待遇を改善せない限りは仕事ができないということは勿論でありまするが、言うところの綱紀の蕭正も吏道の刷新も、又外國から見て本当に日本官吏としての信用を保つて行く、もつと大きくいいますというと、國民経済の立直しといつたことも全然望まれないことだと考えるのであります。先ずこの案に見ましても、恰かも官公吏が現在の要求を呑んだ形で、千八百円を呑んだという形においてその支給方法を提案しておるようでありますが、その支給方法を提案する前に、千八百円ではいいかどうかという綜合的の問題をもつと考えて貰いたい。特に希望いたします。
#27
○政府委員(今井一男君) 千八百円の水準を組合側に押し付けたとか、或いは組合側に呑んで貰つたということはございません。組合側とは正式に話をいたしまして、この水準は組合側としては全然不満足であつて承認するわけに行かない。併しながらこの問題を中心にいたしまして議論を重ねて行きますと、結局政府の方でもうそこまではとにかく金の用意をしようという金までが貰えなくなることは、現在本当にその日々に困つておられる官公職員の方々にも極めてお氣の毒でありますので、取敢えず両者がその線までは異存ないというところだけは別に一つ持つて行つたらどうか。こういう話合いで、それはもうこちらも是非欲しいというお答えでありましたのでそこで纏めまして、こういつた案にいたしたようなことでありまして、從つて公におきましてもはつきりと組合側の方は新らしい基本給の権利は全部留保するということを明文に謳いましてでき上つております。從つてそういつた團体交渉の問題はまだ後に残されておる。御承知の通り只今はその大部分が中労委に提訴になつております。從いましてこの問題が纏りましたからと申しまして、政府として千八百円水準が押し付けられたものというふうには毛頭考えておりません。その点ははつきり申上げたいと思います。
#28
○川上嘉君 それでは現在全官公労組で要求しておる要求事項は、家族一人について一千円、本人について二千円の一時突破資金、それからあとの千八百円のベースを破れということですが、これができないということは財源がないということですか。どういう理由によるのでしようか。
#29
○政府委員(今井一男君) その点は先程木村委員に対する御説明の中に申上げましたように、新らしい物價水準というもの、その基礎として決めました千八百円でありますが故に、こういう世界にも珍らしい物價と賃金の同時安定という方式によつて、とにかくこのインフレを何とかしよう、こういうことでスタートいたしました新物價体系でありますので、この名目賃金を上げるということは、即ち物價、マル公を又引上げるということになります。そういつた点から千八百円水準というものを動かさない、又実質的に物の裏付けのある賃金なら勿論問題は別なんですが、その点は官廳職員の方々は極めてお氣の毒な立場に立つわけでありますけれども、民間の方の物の裏付けが左程はかばかしくない今日、赤字補填の金を出すということも、これも千八百円ベースにひびの入る問題でありますので、そこで赤字補填の問題につきまして残念ながらできない、ベースを破るからできない、こういつたことが第一の理由として取上げております。更にそれを裏返しまして、別に財政上の問題も述べておりますが、財政上の問題よりもより大きな点は、そのベースに引からまることによる折角の同時安定をぶち壊すという点がよい強い、より根本的な根拠になつております。
#30
○川上嘉君 成る程新物價体系が樹立され、それが安定するその期限は、大体いつ頃であるか、そうしてそれができ上るまでは、その足りない分をどうして補充するかということは、足りない分は暫く適当にやつておれ、こういうように解釋してよろしいのですか。
#31
○政府委員(今井一男君) この千八百円というものは実際なかなかこれを堅持して行くことはむずかしいことでありますが、とにかく何とかここで一つ凌いで、これを崩さないように努力する、國民に御無理をお願いしてこれを盛り立てて行く、何とかして崩さないように努めるということが、結局において現在におけるインフレを止める唯一の途じやないか。そういつた考え方から難きを特に官公廳職員については政府としてお願いしておるわけであります。
#32
○川上嘉君 足りない部分はいつ頃までに……。それで食つていけない人は適当にやらざるを得ない。それができない間は、政府においては綱紀の粛正とか、吏道の刷新とか、或いは下級官吏が弛緩しておるということを絶対に言うて貰いたくない。これに対する見解はどうですか。
#33
○政府委員(今井一男君) 食える食えないというような問題になりますと、非常に主観的な又個人々々の個別的な事情、地域的な事情、いろいろな事情が入つて参りますので、一概に申すわけにはいかん次第でありますが、とにかく只今政府の方で見ておりますところによりますと、國全体がとにかく赤字である、残念ながら生産が復興しない、そこで國民全体も遺憾ながらこの赤字の生活を少しでも赤字を少くして行くということで努力すること以外に途はなかろうと思うのであります。ただそれと官吏の吏道との関係は、勿論関係もございましようか、併しながら名目賃金というものだけが官吏の吏道というものを左右するというようなことまでの関聯性を附けられることはいかがか、かように考えます。
#34
○川上嘉君 今の赤字の話ですが、國民の場合、赤字を続けると、その赤字を何らかの形によつて補填をする、外に商賣替えをするとか、何とかの形でやりますが、官吏の場合には赤字補填をどこから持つて來るか、職権の濫用によつて感つて來るか、現在一月から六月までの赤字補填の意味で、本人一人二千円、家族一人一千円、この赤字補填の意味ですが、これに対する見解はどうですか。
#35
○政府委員(今井一男君) 一月から六月までの赤字問題につきましては、政府の方で公式にまだ意見を述べたことはございませんが、私、給與局の立場からこれを檢討して見ますと、官公廳全体を通じましては、これは勿論土地によつて違いますし、個人的に違いますから、一概に申せませんけれども、先程申上げました統計局の消費者價格調査を中心に考えますと、千六百円のベースが一月から六月まで支拂われました関係から、全國を突つ込みにすれば、殆んど大きな赤字にはならない。ただ併し地域差が余り附かないために、大都会等においては相当大きな赤字が出ておる。併しながら少くとも乙地の水準以下においては黒字が出ておる。ただそれが地域の関係から大都会の諸君に非常にお氣の毒になつておることは認めるのでありますけれども、それかと申しまして、この給與全体が團体交渉の方式でやつておりまして、地域差というものも組合側で認められた範囲しか認められないという立場から止むを得ず起つた点でもありますので、結局これは地域差の是正の方向に持つて行つて解決する外に方法がないのじやないか、全体といたしまして突つ込みますと、赤字が全然ないということは言い切ることは私もいたしませんが、組合側の要望しておるようなああいう大きな赤字はないということは、これは達観しもて申上げられると思います。千六百円と申しますのは、消費者價格調査によりまして、本年の四月の水準に近い数字でありまして、從いまして四月から六月までに二割しか生計費は全國的に平均しまして増加しておりません。むしろ一月から四月までの方が遥かに増加率は高いのであります。そういう達観的なところから申しましても、私は全國を突つ込めば給與水準としては決して不当なものではなかろう、かように考えております。
#36
○松嶋喜作君 先程から段々御説明を伺つておりますと、政府側局も、又お尋ねになる方の側も誠に尤もと思いますが、併し私は政府の物價賃金同時決定、誠に理論としては結構で、非常に苦心をされてそういうことになつた、それはインフレを防遏する、こういう目的に重点があると思うのであります。併しながらその御苦心の案というものは、絶対に守り得ない。川上さんもおつしやるように、外の方もおつしやるように、千八百円では食つて行けない、これも私は事実であると信じます。そこで早く賃金を増額して、官吏といわず、労働者といわず皆食えるようにするということが國民一般の希望であり、そう伺わねばならん。で、ここで私は形式的の理論というものを尊重する裏において、どうしても物を造る。先程も佐多さんのおつしやつたように、形式の労働の量を要求しているが、量とか質とかは努力によつて非常に殖えるのじやないか。具体的にいえば職工が一日の八時間労働を非常に緊張してやるということであれば、怠けてやるよりも非常な生産量が殖えるのじやないか。その労働の内容の質を向上し、増産というものに対しては何らか賃金を増す、こういう増産に向つては賃金を増すということの考え方は、何かおありかどうか。私はこの面において刺戟をするにおいては、政府又民間、要求される方と要求する方、両方の希望を満足させるのではないか。だから同時決定とか或いは千八百円ベースとかいうことは形式であつて、その裏に増産の刺戟をする方法をお考えかどうか。増産する面については形式以上に渡すか。労銀を増す、俸給を増すといつたような何かお考えがないか。私はこの点が一番問題打開の重要点と考えているのでありますが、その点について御意見承わりたいと思います。
#37
○政府委員(今井一男君) 私の直接の所管ではございませんが、給與審議会にも関係しておりますのでお答え申上げますが、千八百円ベースを決めました際にも、お話のような点は十分考慮に入れまして、決して物が殖えた、増産がある、只今のような倍の増産があれば、それなら倍に賃金を上げたらいい、簡單に申せば、そういつたようなことは、千八百円水準を決めました際にも給與審議会で政府の方からはつきり申したところであります。從つていかに物が殖えても賃金は釘付け、そういうことはありません。ただ物價を動かさない範囲ならば、團体交渉によつて上げることは如何樣にもよろしいということを、給與審議会で政府側の各大臣がはつきり答弁しております。
#38
○松嶋喜作君 その物價の上る上らんということは、結局物の出るか出んかということで決つて來るのであつて、物價というものは人爲的に上るものではなくて、國民の生産の総量によつて物價というものは決まつて來るのでありまするから、幾ら働いても物價が変らんとかという前提は意味をなさんので、働いて増産すれば物價は下つて來る。それから又千八百円ベースを決めた時に、労働者の量というものは不変であるとか、一定の量の定つたものが予定されているのか。それとも非常にその倍も働くという考慮が拂われているのであるか。その点どうですか。質問はちよつと分りませんか知らん。物價というものは結局物の量によつて決まるのだ。だから幾ら働いて量を余計出しても物價の変らん限りは賃金は上げない、その点は考慮に入れてあるとおつしやるが、若し二倍を三倍に働けば物價は下る筈である。私はそう信じます。その三倍に上つた場合どうなるのか。それでもそういう三倍に働かせ得るという考慮が入れてあるのかどうか。
#39
○政府委員(今井一男君) 千八百円というのは、生産者が物を生産する前に労銀コストが御承知の通り決めてあるものでありまして、現在の能率というものを基礎にしまして、正確に申しますと、多少先まで見ております。二月三月先まで見ておりますが、それを基礎にして彈いた労銀の範囲であります。從いまして、お話のように能率を上げまして、今まで百造つたものが百五十造れるようになるということに相成りまして、それは物價を引下げるというふうに持つて行くことも勿論一つの考え方でありますが、千八百円を決めますときの政府の発表、説明ではそれを五十上つたものを労働者に還元する、賃金を余計貰う、そういう方向に話を持つて行くことは少しも差支えない。物の裏付けのある賃金の値上げは毫末も拒もうという考えをしていないということをはつきり申しているのであります。
#40
○中西功君 少し沢山質問するのですが、最初にこの法律案ではただ一時手当を支給することが書かれてあるだけで、千八百円と千六百円のそれが差額であるということは全然書かれてないわけであります。併し説明においては政府ははつきりと、これが千八百円ベースということを言つているわけであります。何故この法律案の上にそういうことを書かないで單に一時手当ということにしたのか、その理由を最初にちよつと聽きたいと思います。
#41
○政府委員(今井一男君) 先程川上委員からのお話のときにも出ましたように、千八百円水準というものは組合側は非常に不満なのであります。そこで千八百円、千六百円の差額云々ということを法律文にまで書くということになりますと、先程川上委員のお話のような誤解、その他もできる虞れもありますし、又とにかく話の纒つたのは、この三月間の六百円というのが纒つているのでありまして、千八百円水準というものが二百円ずつの差額を今後続けてどうということまで纒つた形でもございません。そこで旁々又國会の方におかれましても、千八百円水準の問題につきまして根本的のお話もあろうということも考えまして、実体はそういうところから出発したにも拘わらず、法文の上ではそういつた文字を使うことを避けたのであります。
#42
○中西功君 それで非常に結構だと思うのでありますが、そうしますと、政府のそういう説明は一應千八百円ということが前提になつているわけですね。そうして我々がここでこれを賛成いたしますると、我々の賛成はやはり千八百円ベースを一應承認した上の賛成かどうか。だから千八百円と千六百円との差額、二百円をこういう形で支給したということを我々もやはり承認するのかどうか。それはどうでしようか。
#43
○委員長(黒田英雄君) それは中西君どうですか。委員会の決定をする場合に、その千八百円というものを承認したのではないかというような意味のことが決議に現われれば差支えないのじやないですか。あなたの御心配は……併し政府委員は答弁しますが……。
#44
○中西功君 それが結局千八百円については組合側も異論もあり、ここにいられる方は大抵の人は反対とまでは行かなくても何とかしなければならないという氣持は持つていられると思うのであります。それで私は率直に申しますと、いろいろ理由がありますが、この千八百円問題とは別個のものだと思う。ここに法文に書いてある通り、正眞正銘一時手当なんだということがはつきり……政府委員の言明が可能ならば問題の解決は極めて樂なんです。
 それで、これはもう少し私いいますと、四つの理由があるのであります。その第一は、ここで質問なされておる皆さん方の質疑ではつきりしておるように、千八百円問題については意味が立つていないということは周知の事実だ、これが一つですが、その上にもう一つは、組合側がこれを承認していない。この問題は極めて大きいと思うのであります。なぜかと申しますと、組合と政府は團体交渉権をもつておりまして、そこで決める。その決めたものを國会に持つて來て、そうして政府の責任において國会の承認を得るというのが極めて順当なんであります。この問題は衆議院の予算委員会でも一昨日非常に大きな問題になりまして、労働大臣の米窪氏が非常に曖昧な答弁をして、自由党の植原氏から突つ込まれておつたわけでありますが、それは実際大きな問題なんであります。政府として責任を以てことに当るならば、やはり團体交渉によつてはつきり纒め、そうして持つて來るというのが一番いいわけであります。ところが、こういうふうに組合自身も承認していないものを我々の方に持つて來る。持つて來るとなりますと、これは実は國会が責任を負つてしまうということになるわけなんであります。國会自身が今度は官公廳の労働者の承認もしないことを我我が承認してしまう。そうなりますと、そもそも團体交渉権というのはどうなつてしまうかということにも問題がありますが、政府の責任が非常に稀薄になる。いわばもつとずるく言いますと、政府は自分の不始末を國会に責任を轉嫁するというふうなことにもなつて、予算委員会におけるああいうふうな動議にもなつて來る。ですから、これでとにかく組合が承認していないということは極めて重大なる事実だと思う。少くとも組合は千八百円は承認していないわけであります。これを貰うということは一應承認しておるものならば、その点を尊重する、これが第二の理由であります。
 更にこの地域割当の割当方を見ましても、この割当方は明らかにこれは一時手当という原則に立つて割当てられておるのであります。若しこれが千八百円と千六百円の二百円の差額ならば、当然從來の地域的差に應じて配分されるのが当り前で、わざわざこういう特別の割当をする必要はない。ですから若し我々がこの地域割当自体に可なりの問題があるとしましても、とにかくこういうものを我々が認める場合におきましても、これはやはり一時手当ということにならないとこれは認められない、それが第三点。
 第四点は、実は私が安本から出しましたあの十一月黒字説の資料をあのまま前提としまして、そうしたもので最近のいろいろの物價の値上り、そういうものであの内容を修正して見ますと、実に千百十七円でしたか、十分まだ計算しておりませんではつきり申上げられませんが、とにかく千百十七円のマイナスなんであります。それから十一月において三百九十九円のプラスということを発表した。ところが現在いろいろ上つております。理髪も上つておる。或いは風呂屋も上つておる、いろいろ上つております。或いは藷の闇價格も上つております。そうしたものを計算いたしますと、千百十七円のマイナスになる。こういうふうに行きますと、政府自身があの表ではつきりと示しておりますように、千八百円に抑えたところで現実は千八百円に行つていないんです。千八百円にしたところで八月に百五十三円、九月に百四十円幾ら十月七十円幾らという赤字を政府が認めておる。これは先程川上君の質問もありましたが、これはどうするこうするというのでなく、むしろ政府自身がこの月はこれだけ赤字になるということを認めておる。又現に現在の物價によつて計算すれば、十一月でさへ、政府が黒字だという十一月でさへ実際千円以上の赤字になる。ですからこれは当然政府自身の言質からしても、一時的な補給金的なものを與えなければならんということは否定することはできない。逃れることはできない事実だと思う。
 その上に若し給與局長から、即ち給與局長の御得意のあの權威ある数字、即ち消費者價格で出された、GHQの援助を得られてやつたあの数字を給與局長が発表されれば、いかに千八百円というものが本当にいつて現実に掛け離れておるかという数字も分ると思う。これはあとで発表できたらお願いしたいと思うんです。六月分ぐらいまではあると思う。そうすればその数字を出して貰う。そうすれば、いわゆる六月において一應千八百円ということを決定したわけですから、それがいかになつておるかということの実際の数字として分つて來る。こういうふうに見ましても、何らかの形でいわゆる政府職員に一時給與をしなければならん必然性ははつきりしておる。
 ですから、こういう事情からして、私共の希望は千八百円問題には当然関係なくて、それは否定したとも賛成、反対だということもなくして、これは一時資金という形式にして、これをやつて貰えないか。そうするならば今までのややこしい問題が非常に片付くじやないか。これは決してむずかしい問題じやなく、いわゆる法律案の額面をそのまま受取るわけです。そのように政府も説明し、我々も聞いておる。そのようにやつて貰えないかという質問です。
#45
○政府委員(今井一男君) 前段の点は御尤もに存じ上げます。先程申しましたように、千八百円水準は組合側もはつきり留保しておるのでありまして、この問題につきましては実はここで覚書を読上げますと、これは六ケ條からできております。一、二は凸凹に関すること、三はこの案件に該当しております。「千八百円水準は組合としては不満であるが、生計費の不足を幾分でも補うため、早急に現金を受取る焦眉の急に迫られているので、七月乃至九月の三ケ月分について、右水準による増額分を、政府の責任において支拂うことに対し、組合は異議を有するものではないこと。」、「五、前各号の措置は、新基本給の決定について何ら拘束するものではないこと。」と最後に確認しておるのであります。從いまして千八百円水準というものは組合側が承認しておらない水準でありますことは、政府の方でもはつきり確認しておるところであります。從いまして、この案によりまして、國会が千八百円の水準の賛成をしてくれたという解釈は、絶対に政府の方からも申上げることはあるまい、閣僚諸公からも申上げることはあるまいと確信いたします。お話の通り法文にはわざわざそういつた点を私共使うことを避けておりますので、只今委員長のお話の通り或いはそれを留保して頂いても結構でありますが、とにかく六百円という金をこの際政府の責任において、政府の案によつて至急分けろ、それを組合としても異議なく受取る、こういつた約束だけが現在の立場であります。それで法案もその建前ででき上つております。
 それから最後に、消費者價格の現在の数字から、水準がどういうふうになつておるかというお話でございましたが、この点は私概算は見ておりますけれども、相当正確に申上げませんとあれでありますから、調べまして後程申上げます。
#46
○中西功君 それでこれは政府委員というよりも、委員の皆様にむしろお諮りしたいのですが、今政府が読まれた覚書の千八百円ベースを認めるものではないが、至急現金の必要に迫られておるので、政府の責任において支給せよというふうな團体交渉による覚書が了解がついておるわけですが、これをこのまま正直に受取つて、政府の責任ということについて、いいか惡いかということについて我々は審議するというふうなことにして貰つて、これは千八百円問題とは一應無関係というふうにして頂くと非常にいいと思いますが、これは今までの予算委員会におきましても、或いは衆議院の財政金融委員会におきましても、全部やはり千八百円問題と一緒になつておるのです。それで我々は承認することがやはり千八百円問題を承認することになるわけです。それでは非常に困るのです。それでこれは改めてはつきりとそういうような建前に立つて審議して頂けば非常に幸いだと思うのですが、皆さんの御意見をお聞きしたいと思います。
#47
○委員長(黒田英雄君) ちよつとその前に、先日の貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案の審議の際に、永井長官の御発言に対して、波多野委員からお申出でがあつたのであります。本日永井長官がちよつと見えましたので……。波多野さんからお話がありますか。それでは御異議がなければちよつとその方をいたしたいと思います。
#48
○中西功君 先の話を先に片を附けて頂きたいと思いますが……。
#49
○波多野鼎君 この前の委員会におきまして貿易資金特別会計の借入金総額の問題を議した場合にいろいろ問題がありました。その中で私が一つお尋ねして長官の御答弁を求めた問題がありまして、その問題につきまして長官は、その点については懇談会で説明した、あなたは懇談会に出ておられたかというふうなお言葉があつたわけであります。私はあの問題が非常に急いで決定しなければならん事情にあつた関係上、この点については、その席上では何とも申上げなかつたのでありますが、私は非常なる委員会における議員の審議権を無視するようなお考えが、そのお言葉の中に現われておるということを非常に遺憾に思つておるのであります。御承知のように、懇談会は國会法上正式の機関ではありません。我我議員が正式の機関として質疑應答するのはこの委員会であります。委員会の公開の席上において答弁なさることが不都合であるような問題であるならば、それは委員会を秘密会にして答弁なさるのが正当だと私は思う。この点について長官が何か誤解をしておられるような感じがいたします。我々は國会議員としての職責を盡す上におきまして、納得の行くまで政府の説明を要求する権利があると思います。政府はそれを拒否することはできないと私は思う。何度でも説明なさるのが当然と思います。この点國会運営上相当中心問題になる点と思いますので、永井長官から釈明を求めたい。その意味で委員長に私が長官に出て頂くことを要求したのであります。
#50
○政府委員(永井幸太郎君) 只今波多野委員の御指摘の点は、私も一〇〇%承服をいたします。先般貿易資金特別会計法の御審議を頂く場合に、私はもともと本当の野人でありまして、町人が役人になつたために、そういうことをよく知りませなんだのと、一つは衆議院でお話申上げたのと、参議院で申上げていなかつたので……衆議院の委員会で申上げたので、もうお聞き下さつておるということを、当時いろいろ多忙であつたもので、衆議院と参議院とちよつと間違えておりましたのと、午前中に懇談会に行つて申上げたので、或いは正式のものでなかつたのでありますが、一度申上げてあるからというような考えでああいうふうに申上げましたので、私は毛頭委員会を尊重することを怠つたわけではなかつたのであります。ただ甚だ申訳ないことでありますが、衆議院で申上げたことを、参議院の委員会で申上げましたようにちよつと当時頭が錯覚を起しておりましたのと、午前中の懇談会というもので、何だか正式のお答えをしたような誤解を持つておりましたので、只今の御指摘によりまして、私の誤つておつたということがはつきり分りましたので、全面的に波多野委員の御指摘になりました点を承服いたしまして、御容赦を願いたいと思います。一つは野人礼に習わなんだというようなことで御了承願いたいと思います。
#51
○波多野鼎君 その部分に関する速記録の取消しを要求したいのですが、どうぞ一つお諮りを願いたいと思います。
#52
○委員長(黒田英雄君) いかがですか皆さん、波多野委員から先般の貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案の決議の前に、少し前でありましたが、只今波多野委員が述べられたような、私はその記録を見ませんとはつきりしたことが言えませんが、懇談会で話した、波多野委員は御出席がなかつたのだ、それでは困るというふうな言葉があつたと思うのです。それらは、これから審議をいたします上において、只今波多野委員が述べられた通り、非常に差支えを生ずることがありまして、どこまでも委員各位は、十分に政府の所見を開き審議を盡さなければならんのでありますから、今後さようなことがないことを只今長官からも釈明がありましたし、そう願いたいのでありますが、只今御要求の点はいかがでありますか、取消してよろしうございますか。
#53
○委員長(黒田英雄君) それではさように計らいます。
 中西君の先程お話になりました千八百円の問題を論議しておると、この問題が進行ができないので、それでそれは丁度組合側との協定もありまする通り、千八百円の賃金問題はこれは別として、この審議を進めて貰いたい、そういう御希望の御動議ですね。
#54
○中西功君 ちよつと違います。これは審議をする先の問題、この委員会としてどういうふうに審議をするかということじやなくて、私の提案はこの問題の性質を、いわばこの法律案の性質をはつきりさせたいと思うのです。そのはつきりさせるという意味は、今までの政府の答弁はこの点については実は極めて曖昧なんです。例えば以前の第一囘の委員会では閣議決定の表が配付されまして、そうしてこれが千六百円、千八百円の差額であるということが明記されておるわけです。同時に大藏大臣の説明にもこういう点があつたわけです。ところが大藏大臣自身あのとき、これは千八百円とは関係がありませんというような言葉も使つたのです。この点を見ましても非常に曖昧なわけです。又その他の政府委員の方々の話を聞いておつても極めてここが曖昧です。だから法案の性質自体が極めて曖昧なんです。それで私は若しこの法律案がその表面では一時資金と書いてあるけれども、政府の見解としては、千八百円と千六百円の差額を支給するのはこういう形式でやるに過ぎないのだというふうな建前だと、先程申上げたようないろいろな点で問題が出る。ところが、これはそうでなくして、正眞正銘この法律案の表面に書いてある通り千八百円問題を離れて、差当りとにかく困つておるからこれだけ一時資金を支給するのだ、而もそのことは官公廳の労働組合とはつきり覚書さえ提示されておる、若しできるならばあれらの審議は官公廳と政府が團体交渉によつて締結した、その締結したことを中心に、政府の答弁もはつきりこういうふうに組合と團体交渉において締結して、これだけの締結をしたから一時資金をやつて貰いたいとはつきりした答弁といいますか、提案理由の説明をして貰う、そういうふうになりますと、非常にこれは我々として賛成し易くなる。そういうふうにして頂きたい。こういう意味です。
#55
○委員長(黒田英雄君) それでは今日は大分時間も経過しておりますから、次囘に開きまして、大藏大臣の出席を求めて置きまして、大藏大臣からあなたの御質問に対してはつきりした答弁を一つ願つた上で、今の審議を続けることにいたしたらどうかと思います。それでよろしうございますか。
#56
○中西功君 私は結構ですが、成るべく早く……。衆議院の方はどうなつておるのですか。
#57
○委員長(黒田英雄君) 衆議院の方はまだ議決に至つておりませんが、明日あたりには決まるのじやないかという噂ですが……。
#58
○中西功君 それで委員長に一つお願いしたいのですが、衆議院の方と会つて頂いて、できましたら問題の性質をこういうふうにするというような意見が参議院の方にあるのだが、衆議院ではどうだろうかという連絡をとつて頂くわけには行きませんでしようか。
#59
○委員長(黒田英雄君) 衆議院の方でもいろいろ議論があるように聞いておりますが、衆議院は衆議院として決議するのですから、どうも余りこちらから註文を出すことはどうかと思うのですが……。
#60
○中西功君 それでは結構でございます。
#61
○木村禧八郎君 ちよつと資料をお願いしたいのです。この賃金の問題についての資料ですが、これは安本の方にお願いしたい。昭和十年、十一年、十二年を百とする労働人員指数と、それから賃金指数、それを乘じたものです。それから卸賣物價指数、それと生産指数を乘じたもの、これは成るべく最近の数字についてお願いしたいのです。
#62
○波多野鼎君 私も資料の要求ですが、通貨発行審議会法案についての資料なのですが、これを拜見しておりますと、どうも少し足りないような氣がしますが、特にこういう点を追加して出して頂きたいと思います。大藏省証券の発行の増減の月別のもの、それから日本銀行と市中銀行の貸出しの関係、つまり月別の数字、最近貸出しがだんだん減つているような傾向があるようですが、こういうのは一体どういう理由で減つているのかということを私伺いたい。できれば期間別にお願いします。
#63
○中西功君 給與局長のさつきの、いわゆる小さなやつですね。あれを委員会にだけでも詳細に皆に配つて貰うというわけに行かないのですか。
#64
○政府委員(今井一男君) 先程森下委員にお答えしました資料だけは実は今も持つておりますが、消費價格の一月から六月までの月別のものを用意しておりますが、御入用なら、直ぐお配りしてもよろしうございます。
#65
○中西功君 若しできれば配つて下さい。
#66
○委員長(黒田英雄君) 本日はこの程度で散会いたすことにいたします。後で公報で御通知しますが、できれば明日午後一時半から続いていたしたいと思つております。それは政府と交渉した上で確定いたしますけれども、今日はこれにて散会いたします。
   午後零時九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           岩木 哲夫君
           伊藤 保平君
   委員
           下條 恭兵君
           木村禧八郎君
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           松嶋 喜作君
           山田 佐一君
           赤澤 與仁君
           九鬼紋十郎君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           西郷吉之助君
           高橋龍太郎君
           山内 卓郎君
           中西  功君
           川上  嘉君
  政府委員
   貿易廳長官   永井幸太郎君
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   総理廳事務官
   (財政金融局
   長)      佐多 忠隆君
ソース: 国立国会図書館
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