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#1
第093回国会 大蔵委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十五年九月二十九日)(月
曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の
とおりである。
   委員長 綿貫 民輔君
   理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君
   理事 小泉純一郎君 理事 山崎武三郎君
   理事 佐藤 観樹君 理事 沢田  広君
   理事 渡部 一郎君 理事 竹本 孫一君
      相沢 英之君    麻生 太郎君
      今枝 敬雄君    木村武千代君
      熊川 次男君    笹山 登生君
      椎名 素夫君    白川 勝彦君
      中村正三郎君    平泉  渉君
      平沼 赳夫君    藤井 勝志君
      毛利 松平君    森田  一君
      柳沢 伯夫君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    与謝野 馨君
      伊藤  茂君    大島  弘君
      川口 大助君    塚田 庄平君
      戸田 菊雄君    平林  剛君
      堀  昌雄君    柴田  弘君
      鳥居 一雄君    玉置 一弥君
      正森 成二君    簑輪 幸代君
      柿澤 弘治君
―――――――――――――――――――――
昭和五十五年十月十四日(火曜日)委員長の指名
で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
 税制及び税の執行に関する小委員
      麻生 太郎君    今枝 敬雄君
      大原 一三君    木村武千代君
      笹山 登生君    椎名 素夫君
      白川 勝彦君    平沼 赳夫君
      柳沢 伯夫君    沢田  広君
      塚田 庄平君    戸田 菊雄君
      渡部 一郎君    玉置 一弥君
      正森 成二君    柿澤 弘治君
 税制及び税の執行に関する小委員長
                大原 一三君
 金融及び証券に関する小委員
      大原 一三君    熊川 次男君
      笹山 登生君    中村正三郎君
      平泉  渉君    平沼 赳夫君
      森田  一君    山崎武三郎君
      山本 幸雄君    川口 大助君
      佐藤 観樹君    堀  昌雄君
      柴田  弘君    竹本 孫一君
      簑輪 幸代君    柿澤 弘治君
 金融及び証券に関する小委員長 山崎武三郎君
 財政制度に関する小委員
      小泉純一郎君    椎名 素夫君
      平泉  渉君    毛利 松平君
      森田  一君    柳沢 伯夫君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      与謝野 馨君    伊藤  茂君
      川口 大助君    平林  剛君
      柴田  弘君    竹本 孫一君
      簑輪 幸代君    柿澤 弘治君
 財政制度に関する小委員長   小泉純一郎君
 金融機関の週休二日制に関する小委員
      相沢 英之君    麻生 太郎君
      今枝 敬雄君    越智 伊平君
      熊川 次男君    白川 勝彦君
      中村正三郎君    藤井 勝志君
      与謝野 馨君    大島  弘君
      佐藤 観樹君    塚田 庄平君
      鳥居 一雄君    玉置 一弥君
      正森 成二君    柿澤 弘治君
 金融機関の週休二日制に関する小委員長
                越智 伊平君
―――――――――――――――――――――
昭和五十五年十月十四日(火曜日)
    午後二時二分開議
 出席委員
   委員長 綿貫 民輔君
   理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君
   理事 小泉純一郎君 理事 山崎武三郎君
   理事 佐藤 観樹君 理事 沢田  広君
   理事 渡部 一郎君 理事 竹本 孫一君
      相沢 英之君    麻生 太郎君
      今枝 敬雄君    木村武千代君
      熊川 次男君    笹山 登生君
      椎名 素夫君    白川 勝彦君
      中村正三郎君    平泉  渉君
      平沼 赳夫君    藤井 勝志君
      毛利 松平君    森田  一君
      柳沢 伯夫君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    与謝野 馨君
      伊藤  茂君    大島  弘君
      川口 大助君    塚田 庄平君
      戸田 菊雄君    平林  剛君
      堀  昌雄君    柴田  弘君
      鳥居 一雄君    玉置 一弥君
      正森 成二君    簑輪 幸代君
      柿澤 弘治君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局審議官    廣江 運弘君
        経済企画庁物価
        局審議官    齋藤 成雄君
        経済企画庁総合
        計画局審議官  戸田 博愛君
        大蔵政務次官  保岡 興治君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  繁君
        大蔵省主計局次
        長       吉野 良彦君
        大蔵省主計局次
        長       矢崎 新二君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省証券局長 吉本  宏君
        大蔵省銀行局長 米里  恕君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆司君
        国税庁次長   川崎 昭典君
        国税庁直税部長 小幡 俊介君
        国税庁調査査察
        部長      岸田 俊輔君
 委員外の出席者
        大蔵省銀行局保
        険部長     松尾 直良君
        厚生省年金局企
        画課長     長尾 立子君
        中小企業庁計画
        部振興課長   横田 捷宏君
        郵政省貯金局第
        一業務課長   小倉 久弥君
        参考人(日本銀
        行総裁)    前川 春雄君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月九日
 辞任         補欠選任
  正森 成二君     不破 哲三君
同月十一日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     正森 成二君
    ―――――――――――――
十月七日
 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出第一〇号)
 公共企業体職員等共済組合法及び昭和四十二年
 度以後における公共企業体職員等共済組合法に
 規定する共済組合が支給する年金の額の改定に
 関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 小委員会設置に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 国の会計、税制及び金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○綿貫委員長 これより会議を開きます。
 まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の会計に関する事項
 税制に関する事項
 関税に関する事項
 金融に関する事項
 証券取引に関する事項
 外国為替に関する事項
 国有財産に関する事項
 専売事業に関する事項
 印刷事業に関する事項
 造幣事業に関する事項
の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○綿貫委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 先刻の理事会で協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十六名よりなる
 税制及び税の執行に関する小委員会
 金融及び証券に関する小委員会
 財政制度に関する小委員会
 金融機関の週休二日制に関する小委員会
を設置することとし、各小委員及び小委員長は委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもって、お知らせいたします。
 なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 また、各小委員会において、参考人の出席を求め意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#8
○綿貫委員長 次に、国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、金融に関する件について、本日、参考人として日本銀行総裁前川春雄君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#10
○綿貫委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
#11
○戸田委員 企画庁の方来ていると思いますが、まず最初に、景気動向についてお伺いいたします。
 九月五日の経済閣僚会議での景気対策要綱はどのようなものか、その内容について説明を願いたいと思います。
#12
○廣江政府委員 政府は九月五日の経済対策閣僚会議におきまして、今後の経済運営に当たりましては、機動的政策運営の態度のもとに物価の安定と景気の維持を図ることとするとともに、次のような八項目にわたります対策を推進することを決定いたしました。
 「1 公共事業等の円滑な執行等」でございまして、下期においては前年度に比し相当程度の伸び率を確保することとし、当面第三・四半期の契約額を対前年同期比三〇%増程度とする。この場合寒冷地等の地域の実情に配慮するとともに、地方公共団体においても上記措置に対応して適切な事業の執行を図るよう要請する。
 「2 金融政策の機動的運営」内外経済動向及び国際通貨情勢を注視しつつ、機動的に運営する。
 「3 中小企業対策の円滑な推進」 政府系中小企業金融三機関を通じた融資、倒産関連保証制度等の運用を通じ中小企業に対する円滑な融資、倒産防止対策の機動的運用に努める。また、中小企業向け官公需発注について本年度目標の達成等を図る。
 「4 住宅建設の促進等」住宅金融公庫による融資の的確な実施等を図るとともに、都市計画法に基づく線引きの見直し等を進める。
 「5 民間設備投資の推進」省エネルギー投資、石油代替エネルギー開発・導入投資等に配意しつつ、金融面を中心とする投資環境の整備に努める。
 また電力投資の計画的実施を進める。
 「6 エネルギー対策の推進」石油節約、石油備蓄、石油代替エネルギーの開発、導入等の促進を図るなど、本年度に予定しているエネルギー関係諸施策の円滑な執行を図る。
 「7 調和ある対外経済関係の形成」漸進的な国際収支の改善を図るためプラント輸出の伸長、輸出入先の多角化、製品輸入の促進等を進める。
 また、経済協力の促進等を図る。
 「8 物価対策の推進」
 (1) 生活関連物資及び国民経済上重要な物資の需給、価格動向の調査、監視と供給の確保、行き過ぎた減産が需給の逼迫を生じさせないよう配慮。建設資材の需給、価格動向の調査、監視の強化、独占禁止法の厳格な運用と同調的値上げの注視。
 (2) 石油製品の元売り、小売を通じた価格監視と円滑な供給の確保。
 (3) 生鮮食料品の価格の安定と供給の確保。特に野菜供給確保緊急対策や冷凍水産物調査の実施等。
 (4)公共料金の厳正な取り扱い。
 (5)地価動向の厳重な監視と土地取得関連融資の自粛の徹底等。
 (6) 地方公共団体への協力要請。
 以上でございます。
#13
○戸田委員 結局、いまの答えですと、八項目、これによって当面の景気対策等々を進める、こういうことだと思うのですが、それに対していまの回答ですけれども、従前は物価最優先ということで来たと思うのですね。ところが、今回、どうも私の受ける印象では、いまの答弁でもそうですが、物価対策よりも景気対策に若干ウエートがかかっておるのじゃないだろうか、こう思うのでありますが、その辺の見解はどうですか。
#14
○廣江政府委員 先ほどお答えをいたしました九月五日の経済対策閣僚会議で決定を見たいわゆる物価と景気の双方を両にらみする経済運営の姿勢は、最近の経済情勢にかんがみ、物価の安定をより確実なものとするとともに、今後の景気の動向に細心の注意を払い、機動的に対処することが必要であるとの判断からとられたものでございます。
 もとより物価の安定は国民生活を安定させる基礎条件であります。この考え方は総理がすでに施政方針演説においても強調されたところでございます。この趣旨から、今後とも物価の安定を図るため最大限の努力を傾けてまいる所存であることには変わりございません。
#15
○戸田委員 「経済の現状と経済運営の基本方針」、これにかかっていることはわかるのですよ。だから、それ以外のことをぼくは聞いているのですから、ひとつ明快に、簡単に回答していただきたいと思うのです。結局、これでいきますと私はそのように理解をするのでありますが、大臣、これまでの物価上昇の要因、これはどういうふうに理解していますか。
#16
○齋藤政府委員 御存じのとおり、物価の議論は卸売物価と消費者物価に分けて議論をするわけでございますが、最初に卸売物価について申し上げますと、御存じのとおり、昨年の暮れぐらいからことしにかけまして特に海外の商品市況が著しく高騰いたしました。それからまた、御存じのとおり円安が進行いたしまして、ことしの四月ぐらいまで続いているわけでございます。そういう意味で、卸売物価を押し上げておりました要因というのは大きくはその二つであったと思いますけれども、四月以降情勢が変わってまいりまして、国際商品市況も次第に落ちつきを取り戻しておる。それからまた、円安の方は円高に移行しつつございます。そういう意味で、卸売物価は流れとしましては次第に安定の方向に移ってきておりまして、卸売物価の指数の動向を見ましても、ことしの四月に対前年同月比で二四%に達しましたけれども、それ以降対前年同月比は次第に縮小をしつつあるという状況にございます。
 それから消費者物価でございますけれども、消費者物価はこれも昨年の秋からことしの初め、三月ごろまで、御存じのように昨年夏の長雨とか台風の影響を受けまして野菜が著しく高騰いたしまして、そういった季節商品の影響というのが大変大きかったわけでございます。それも本年度に入りまして、四月の電力料金、ガス料金の値上げが行われてから後は次第に鎮静をしておりますし、それから為替レートの問題も御存じのように円高の方向に移りつつございます。したがいまして、消費者物価につきましても、これも本年度四月を境に次第に安定の方向に向かいつつあると考えてよろしいんじゃないかと思います。
 ただ、最近の冷夏の影響がこの九月の東京都区部の消費者物価指数速報には大きく出ておりまして、そういう意味で、今後の冷夏の影響の問題あるいは依然としてイラン・イラク戦争その他、油の問題というのについては必ずしも明らかでございませんので、そういった問題についての十分な配慮が必要であるということは考えておりますが、先ほど申し上げましたように、方向としては、趨勢としては消費者物価も次第に安定の方向に向かいつつあるというふうに考えております。
#17
○戸田委員 ちょっと教えてもらいたいのですが、一つは民間の企業の設備投資はどのような状況になっておるか、それから二つは輸出の状況、三つ目は国民の個人消費状況、この三点についてちょっと数字的に。上半期で結構ですから。
#18
○廣江政府委員 実質民間消費支出等すべて実質値で申し上げますが、さきの国民所得統計速報によりますと、四月―六月までの数字が出されておりまして、実質民間最終消費につきましては四月―六月で対前期比〇・一%増でございます。
 それから設備投資につきましては、五十五年一―三月期が季調済み前期比で一・六%の増、続きます四月―六月期が一・四%の増と非常に堅調な伸びを示しております。
 輸出でございますが、季調済みの通関輸出をドルベースで申し上げますと、四月−六月が三百十九億ドルでございまして、対前期比一〇・二%の増、七月、八月では合わせますと二百十八億ドルの増でございます。
#19
○戸田委員 今日まで七八年以来の石油価格の上昇は、通関ベースで原油輸入単価が七八年はバレル当たり大体十三・ハドル、これが八〇年、五十五年四月には三十二・五ドル、こういう原油値上がりにちなんで大企業の価格つり上げがあったと思うのですね。そういう影響で卸売物価が七八年対七九年は一〇・九くらい上昇している。あるいは八〇年一月は一九・三%、二月から六月が二〇%、これはまさに異常物価上昇だと思うのです。あるいはまた円相場の円安基調というようなものがありましたから。それに民間の設備投資が非常にふえてきた。これらがいままで物価を押し上げる要因になっていたと思うのです。それが今日においては、いまの回答じゃないですけれども、やや鎮静をしておる、こういう見解のようですが、実際そういっているのでしょうかね。いま回答がありましたように、経済企画庁の国民経済計算によりますると、民間設備投資、七八年対前年比で名目で一〇・三%伸びている。実質は、一一・一%。七九年が一七・六%、実質が一三%、八〇年、これは長銀の調査でありますが、二二・八%の増になっていますね。こういうものが卸売物価を押し上げて、消費者物価を押し上げてくるということはいままでの循環作用としてあったと思うのです。こういう傾向がいま解消したとは私は思わないのでありますが、この点の見解はどうでしょうか。
#20
○齋藤政府委員 お答え申し上げます。
 先般の九月五日の総合経済対策を策定いたします際にも、この経済対策が物価に悪影響があってはならないということでいろいろ検討がなされたわけでございます。あの時点におきまして、現在もそうでございますけれども、産業の稼働状況は大変ゆとりがある、簡単に申しますれば供給力に十分ゆとりがあるという状況でございまして、そういう意味で、設備投資が進んだからといって直ちにこれが価格の押し上げを図るという情勢にはないというふうに考えております。
 ただ、先般の経済対策が決まりました際には、景気を配慮して公共事業の執行などが促進されることになったわけでございますけれども、その場合にも建設資材その他の価格面で悪影響がないよう十分監視をしていくということがあわせてうたってございまして、そういう意味で、現在におきましては物価に悪影響を与える状況がございませんし、今後につきましても、監視その他必要な措置をとっていくということになっておりますので、問題はなかろうと考えております。
#21
○戸田委員 時間がありませんから簡単に私は聞きます。回答も簡単にしてください。
 そういうことであれば、いまのお答えのような状況でいけば、政府約束の六・四%は確実に実現できる、こういう見解ですか。
#22
○齋藤政府委員 お答え申し上げます。
 政府の経済見通しでは、御指摘のとおり消費者物価については六・四%程度ということに定めておるわけでございますが、これまでの上半期の足取りを見ますと、卸売物価の波及その他の問題がございまして、大体七月を除きますと八%台の上昇を示しております。そういう意味で、上半期につきましてはかなりきついような印象が生ずるかと思いますけれども、昨年の五十四年度の消費者物価の動向というのは、先ほど冒頭にも申し上げましたように、後半におきまして円安でございますとか、あるいは季節商品、野菜類の暴騰というような状況が非常に消費者物価の押し上げをしておりますので、今年度はそういう問題がないとすれば、つまり野菜等についても暴騰のような問題がない、あるいは円レートについても引き続き円高が続くということになりますれば六・四%はまだ可能であるというふうに考えております。
#23
○戸田委員 これは大蔵大臣にお伺いしますが、景気浮揚の三大要素というのがあります。一つは設備投資、一つは輸出、輸入、一つは国民の消費。いま国民の消費は非常に停滞ぎみですね。そういうことが前途の景気浮揚にブレーキにならないかどうか、この点が心配なんですが、大蔵大臣はどのようにお考えですか。
#24
○渡辺国務大臣 それは御指摘のとおりでございます。したがいまして、景気の後退を招いてはいけない。だから、物価ということについては最大の注意を払っていかなければならない。したがって、景気にかげりがあっても、それらの景気刺激策というようなものは物価に悪影響を及ぼさない範囲でしかやらないということを政府は措置しておるわけでございます。
#25
○戸田委員 ことしの春闘、賃上げですね。これは全国平均で六・七%。ところが、消費者物価の上昇は先ほども回答があったが八%台。そういうことになりますと、実質賃金はマイナスですね。だから、生活の中身はずっと下がっていく、こういうことになっておるわけです。生産と消費のギャップが生じて、結局稼働率を低下させて景気後退になっていくのではないでしょうか。そういうところの原因が、対策要綱も言っているように、いま、やや若干かげりを差してきた、こういう見解をとっているのではないでしょうか。大臣はどうですか。
#26
○渡辺国務大臣 私はこう思っておるのです。実は昭和四十八年ごろの狂乱物価のときは、国民が買い占めあるいは売り惜しみ、非常にそういうことがあって値段をつり上げてしまった、そういうふうな経験がありますから、今回はむしろ物価が高いので買い控えの状況があるのではないか。また、金利水準が非常に高いというような点から貯蓄というようなものが案外行われておる。したがって、私はやはりここらに問題があるのではないか。だから、物価が鎮静化の方向に向かうのを待っておる。したがって、物価の鎮静化の方向が確実に出れば買い控えという点は少し緩やかになってくるもの、さように考えております。
#27
○戸田委員 具体的な数字を申し上げるわけにまいりませんが、いままでは企画庁長官がじかに出席すると思っておったのが、事務当局ですから政策的な問題は省きます。
 そこで、大蔵大臣に本格的にお伺いをしたいのですが、八一年予算の編成方針について、この問題についてどのようなお考えを持っておるか。いままで「歳出百科」あるいはゼロリスト、いろいろな前ぶれがありましたが、これは国民に余り評判がよくないですね。これはどう考えるのですか。ねらいは何ですか。
#28
○渡辺国務大臣 「歳出百科」及びゼロリストのねらいは何かということでございますが、「歳出百科」につきましては、かねて国民の間から、どうも国の財政というのは予算書などを見てもわかりずらい。もっと何かわかりやすいものができないかというような御要望がございまして、大蔵省財政当局において比較的平易に、できるだけわかりやすくというようなことを念頭に置いてつくったものでございます。
 また「財政再建を考える」というパンフレットにつきましては、三万三千部ばかりいままで増刷いたしましたが、さらに「歳出百科」の中でも、こんな厚い本で読めない。もっとパンフレット的な、多少正確さを欠いても、もっと財政の実態、特に何でこのような大きな国債の発行がされたのか。それがどういうものに使われたのか。そしてこのままこの状態を続けるということになることは非常に困る問題が起きはしないか。あるいは来年自然増収があったとしても、その自然増収だけでは一般の当然増というような要求にもなかなかこたえられないというようなことなど、重立った問題点についてそれを図解あるいは漫画とか、そういうもので表示をしたわけであります。
 ねらいは、これによって少しでも財政の内容について国民の理解が得られる。そしてこの財政再建ということは、本当に国民全体の問題であるというような認識をいただくための資料として作成したものでございます。
#29
○戸田委員 過日、大蔵主計官等に来ていただいて、八一年予算編成についてのあらましの骨格をお伺いしたわけです。その結論は、結局一つは各種合理化による歳出の節減だ。もう一つは何らかの形で国民に負担増をお願いしなければいけない。前二者のミックスだ、それしか今回の予算編成の骨格はあるまい、こういうことを言われているのですが、大臣の御所見はいかがですか。
#30
○渡辺国務大臣 私も同様であります。
#31
○戸田委員 そこで、財政再建というものが何としても中心になるわけでありますが、いろいろ大蔵省が出した資料を見ますと、結論はやはり増税の実施、それから公共料金引き上げ、そういうことで財源不足をひとつ賄っていこう。もう一つは防衛費予算を別枠でとりました。しかし、これは政府として手をつけない。それから歳出の抑制、これは福祉関係の切り捨てにあることは間違いないと思うのですが、こういうところに行かざるを得ないのではないでしょうか。どうですか。
#32
○渡辺国務大臣 予算は財源がなければ組めないわけでございますから、財源の確保ということは当然なことでございます。われわれとしては、しかしながら現在の歳出にすでに目的を果たしたり、効果が少なかったりというようなものがないかというようなことで行政管理庁と一緒になって行政の改革を一方で進め、経費の節減合理化、洗い直しをまず徹底的にやってみよう、そしてその上において、それでもなおかつどうしてもこれは伸ばさざるを得ない、結局増額せざるを得ないというようなものがあるとすれば、それをのむ場合の財源の調達をどうするのか。一部負担ということもございましょうし、あるいは別な税金に頼るということもあるかもしれない。しかし、その前に、抑え込めるものはできるだけ抑え込んでみようというようなことを考えておるわけであります。
 したがって、この間、財政審議会の要求によって出しましたゼロリストは、抑え込むだけ抑え込むというが、四兆円程度の自然増収では一般財源の伸び率は確保できない、そのときにはどういうような問題点があるかということも例示的に出したのは、何らかいい知恵が皆さんの方からも出てこないものかというようなことも考えて実は出したわけであります。
#33
○戸田委員 これは総理府統計局の家計調査報告でありますが、五十五年の上期、勤労者世帯の実収入は名目で前年同期比で六・五%の増。しかし、物価上昇を引きますと実質収入において一・四%の減少ですね。片や国税庁の発表でありますが、大企業三千八百七十九社、五十四年度における申告所得額、総計で前年度比一八・九%増、額にして十兆四千億円に達しているのです。いかにいまの勤労者が相対的に――所得税を払っている人が大体三千万以上、こういう対象の人たちが実質的には実入りもマイナス。三年間の減税凍結でもって、社会党の試算によりますと、賃上げ七%の名目収入のアップでいった場合には一・七%、税金は二・四倍。倍くらいですね。そのくらい高額の税金を負担している。こういうことになっているわけなんです。これはどう考えますか。
#34
○渡辺国務大臣 企業とそれに従事する従業員との関係につきましては、政府がこれに一々どうこうというような立場にはございません。
 ただ、戸田議員の御指摘のように、数年間課税最低限を据え置いておりますから、その間における物価の上昇分を計算をいたしますと、実質的に税金はふえているではないかというような御意見はあろうかと存じます。
#35
○戸田委員 そういういわば税金の不公平とわれわれは考えますが、そういうものに対する手当て、是正、そういう考えはございませんか。
#36
○渡辺国務大臣 企業の収益がふえるということになれば、当然それは政府の収入も半分近いものは法人税で吸い上げるわけでありますから、企業の収益がふえたといっても、それだけで税制の不公正だということには直ちにつながるものではないと考えます。
#37
○戸田委員 私も長いこといろいろな角度で調査あるいはこういう審議にも携わってまいりました。何回かいままでも私たちは質疑をしているのでありますが、そういう点については全然耳をかさないですね。やはりもう少し謙虚に、一つでも二つでもやったらいいのじゃないかと私は思います。
 たとえば、租税特別措置法の中に確かに中小企業にいろいろと手当てをしているものも相当あります。額にしても二千数百億あるでしょう。しかし、不公平の最大と言われる分離課税、これはようやく五十九年ですか、若干この手直しをするということになっておりますが、やはり一番不公平だと思うのは、たとえば法人税と所得税の――直間比率大体七、三でありますけれども、こういうものの中にある交際費課税、あるいは今回物品税を上げるのかどうかまだわかりませんが、そういうものに対してもう少し見直しをして適正な課税というものをやるべきだ、こういうふうに考えまするけれども、そういう面の内容について、何か予算編成に当たって一つでも二つでも改善すべき内容というものを持っているのですかどうですか、その辺をお聞かせいただきたい。
#38
○高橋(元)政府委員 いまのお尋ねは、企業関係の租税特別措置というものについてまたそのほかの御指摘のような項目について、さらに税制改正によって増収を図るように工夫すべきである、こういうお示しであろうと存じます。
 例示なさいました交際費でございますが、これは五十四年に税制の期限が参りまして見直しをいたしまして、当時の否認率が八五%でありましたものを九〇%に引き上げております。したがいまして、企業が五十五年に支出すると見込まれる交際費が三兆一千億と考えておりますが、その中で大体課税される部分は四八%ぐらいに相なろうかと思います。改正前の五十三年、これは会社標本調査からとった数字でございますが、その当時の否認率が三六・六でございますから、資本金基準を飛ばし、定額基準を削減をいたしまして否認割合を八五から九〇に上げるという改正によって交際費に対する課税はかなり強化それたというふうに思います。五十六年三月をもってこの措置の期限がまた切れますので、五十六年度税制改正において交際費をどのようにお扱いいただくか、これは十二月になると思いますが、税制調査会でさらに御審議をいただくわけでございますが、しばしば御指摘のあります実額課税と申しますか、たとえば飲み食いに使いました実額を全部否認してしまうという仕組みにつきましては、日本の法人の数が欧米に比べますと飛躍的に多いものでございますから、したがって、それが執行上可能な方法としてどういうものがあるかという点も含めて御検討を願うことになろうかと思います。
 そのほかのいままで御指摘のありましたような項目としましては、たとえば貸倒引当金がございます。これは残高が五十三年度末でたしか三兆円ぐらいいま残っております。正確な数字は後から調べて申し上げますが、これにつきましては五十四年度改正で金融保険業以外のものの引当率を二割カットさせていただきました。それから金融保険業につきましては、五十二年でありますか、五十二年改正で従前の千分の八を千分の五ということに引き下げて、ただいま経過期間中でございますが、五十五年中に恐らく千分の五まで皆到達いたすと思います。したがいまして、今年度中にも金融保険業につきましてはさらに引当金への繰入率を削減いたすという措置を講じたいと思います。
 なお、貸倒引当金は三兆六百四十九億円。
 それから、あと大きな項目といたしましては退職給与引当金、これは六兆を超えておりますが、本年度お認めいただきました税制改正によりまして、従前は自己都合退職金の増加額の二分の一まで退職給与引当金に繰り入れることができるようになっておりましたのを四割に削減いたしております。これによりまして現在ほとんどの企業は退職給与引当金の新規の積み増しはできないことになっておろうかと存じます。
 そのほか、各種の企業関係の租税特別措置につきましては、従前からいろいろ御指摘のありますことも踏まえまして、今後とも目的に沿ったもの、有効であるものを厳選してまいるという立場で年度改正に向かってまいりたいというふうに考えます。
#39
○戸田委員 それから価格変動準備金はどうなっておるかちょっと説明をいただきたい。
 続けて、八月二十六日の税調ですか、この中で新間接税、一般消費税、こういったものが審議の中心に据えられたと聞いているのですが、これはそういう内容でございましょうか。これは大臣にひとつ。
 それから法人税の引き上げは今回検討されておりますか、あわせて御回答を……。
#40
○高橋(元)政府委員 価格変動準備金を申し落としまして失礼いたしましたが、これも五十四年度の改正で今後十年または五年の期限を切って廃止まで持っていくということで、〇・四%または〇・三%ずつ毎年洗いがえの積立率を減らしております。したがいまして、約七千五百億ぐらいございました価格変動準備金は、そのほとんどがあと三年でなくなるということになろうと思います。
 それから法人税率についての御指摘でございますが、これはたびたびお答え申し上げております中期答申の中で、わが国の法人税率は欧米諸外国に比べてやや低いように思われる、適当な機会をとらえてその引き上げについて検討をする余地があると書いてございます。五十六年度の税制改正全体、個々の税目をどう取り扱うか、いまだ税収の動向なり経済の情勢なりというものも明らかでございませんし、歳出の今後の節減合理化の動向を見なければなりませんので、その辺、総合的に大臣の御指示でこれから運ぶわけでございます。一つの検討課題であるということはかねがね申しておるところであります。
 それから、八月二十六日から税制調査会で中期税制の御検討というのを始めていただいております。本年の十一月十日で税制調査会の三十人の委員の方々の任期が切れるわけでございますが、任期が切れます前に今後数年を見通した中期税制の方針について御答申をいただくというならいでございまして、今回も八月二十六日から精力的に既存税制の、及び歳入構造の徹底的な洗い直しということで作業を始めていただいております。現在まで部会四回、総会三回開いて審議をしておりまして、現時点では間接税、直接税、既存税目につきましてのあらましの見直しというものを五十二年の中期答申を踏まえてやっていただいておりますが、全体の方向づけがどうなるかはこれからの御審議によろうかと思います。
#41
○戸田委員 時間がありませんから、三点一括質問して終わりたいと思いますが、最後に対策の関係で――日銀総裁、忙しいところどうもありがとうございました、おいででなかったものですから飛ばしたのですが、大蔵大臣、景気対策要綱の中で金融政策の機動的運営を行う、こういうことを言っておるわけですが、具体的にはどういう内容でございますか、これをひとつお伺いしたい。
 それからもう一つは、経済閣僚会議で当面の景気対策を決定いたしましたが、これによると物価優先から景気対策にウエートを置いているように私は考えるのでありますが、物価安定の見地から日銀総裁としてはどう考えているか、公定歩合の再引き下げの問題についての見解、これをお聞かせ願いたいと思います。これは大臣も同様、見解をお示ししていただきたいと思います。
 それからもう一つは、予算編成で防衛予算の別枠、この扱いについてカーター・故大平会談あるいはアメリカのバーソロミュー政治軍事局長、一九八一会計年度の国防総省支出権限法案の附帯決議、これでNATO、日本に対する軍備増強を、いまの〇・九ではだめだ、もっと上げなさい、こう言われたわけです。前途、防衛整備計画の中でそういうものをどういう取り扱いをして――これを押し切れないでしょう。大臣、どうですか。このまま受諾してやっていくかっこうになるのでしょう。その辺の見解をひとつお聞かせ願いたい。三点。
#42
○渡辺国務大臣 金融の機動的運営という問題については、せっかく日銀総裁がおいででございますから、日銀と大体意見が一致しておりますので、日銀総裁の方から答弁をいたします。
 それから、防衛の別枠の問題につきましては、これは前にも発表いたしておりますが、外国との条約に基づいてすでに決まった国庫債務負担行為または継続費、これについては外国との関係もございますので、その分は七・五%の一般歳出の要求の別枠として要求することを認めたわけでございます。しかしながら、要求があったからといって、それは全部認めるという筋合いのものでありませんし、他の経費と区別することなく厳正に査定をしてまいりたい。真に必要なものはつけますけれども、見送っていいものあるいはそれは必要ないと思われるものは当然減額をするということであって、結論が出ておるわけではございません。
#43
○前川参考人 お答え申し上げます。
 金融政策は、機動的に運用できるところが金融政策の特徴でございます。そういう意味で、金融政策の運営、従来も機動的にやってきたつもりでございます。これからも機動的にしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 金融政策の基本的な考え方をどういうふうに考えておるかということにつきましては、もちろん私どもの金融政策、昨年の初め以来金融の引き締め政策に転じたわけでございますけれども、御案内のように、原油価格の上昇に伴う海外からのコストの上昇ということが国内の物価を押し上げてくるということでございます。それに対してどういうふうに対応していくかということでございまするが、そういうふうな海外からの輸入インフレと申しますか、コストの上昇が国内でさらに増幅されるということがないように、そのコストの上昇を極力国内で吸収していただくということが物価政策の基本であろうというふうに考えております。そういう意味におきまして、総需要を適正な水準に維持していく、そういうことによりましてコストの上昇分が容易に製品価格、最終価格に転嫁しにくいような環境を維持していくということから金融の引き締め政策に転じたわけでございます。
 幸いにいたしまして卸売物価につきましては、コストの上昇分が製品価格に転嫁される前にかなりの部分が吸収されてまいったわけでございますが、まだ消費者物価への波及は終わっておりませんので、物価状況につきましては、まだ手放しで楽観ができる状態ではないというふうに考えております。
 公定歩合その他どういうふうに考えるかという御質問でございました。金融政策を遂行して機動的に運営してまいりまするに当たりまして、判断いたしまする材料といたしましては、物価もそうでございまするが、経済活動一般、それから最近は国際収支も非常に大きく影響を及ぼしてまいります。為替相場も物価には非常に大きな要素になってきておりますので、為替相場への影響ということもやはり考えていかなければならぬと思います。そういうふうに経済活動、物価並びに為替相場、国際収支等いろいろな要素を総合的に判断いたしまして実施するわけでございますが、現在、いますぐ公定歩合をどうかという御質問でございますが、現在のところは全く白紙の状態であります。
#44
○戸田委員 二分ありますから、二点だけ大臣に。
 予算編成に当たって、さっき言いましたように、何らかの形で国民負担、これは増税につながっていくと思うのですが、そういうことだけではなくて、先ほど私も質疑したように不公平税制と思われる内容等についても、大臣、実力者大臣ですから、不公平の是正について一つでも二つでも実行してもらいたい、これが一つであります。
 それからもう一つは、公定歩合の上げ下げを私は質問いたしません、いま物価対策の見地から総裁の見解をお伺いしましたから。ただ、先ほども私は話をしましたように、大企業三千八百七十九社、これに対して一八・九%の増益ですよ。一方勤労者は、全部減量経営その他首切りまでやって、大手鉄鋼等は七〇%の稼働でしょう。こういうところまでひどい状況になってオーバーロードもはなはだしい。失業者は百十七万人もいる。パートも五百万人を超えるだろうと言われている。決してこれは安定的な状況じゃないですね。こういうものに対して、さらにこの重税体制というものはどうも私たちは納得がいかない。同時に、そのことによって、前回の公定歩合の引き下げで、私たちの計算でいきますと約二千億、この軽減措置をとられているのですね。それは国民にも全然ないとは言いませんよ。あります。ありますが、割合としては非常に懸隔、差がある。こういうものをやはり一つずつ是正をしつつ、財政再建を図りながら、なおかつ景気の安定対策に持っていって国民生活を安定させるということが私は必要な時期だろうと思いますから、ぜひひとつ実力者大臣の渡辺大臣にその面の実行も含めてお願いをして、質問を終わります。
#45
○渡辺国務大臣 私は実力者ではありません。ただ誠心誠意やらしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
 不公平の税制については、私は大きな不公平というのはあると思ってないのです。しかしながら、私は、やはり小さなものであっても、御趣旨を踏まえまして極力そういうものは是正をするという方向でやってまいりたいと存じます。
 なお、法人税の問題につきましては、先ほどそれらの点について主税局長から説明があったとおり検討をしておるところでございます。
 以上でございます。
#46
○綿貫委員長 沢田広君。
#47
○沢田委員 大蔵大臣、連日でありますから、御苦労さまであります。予算委員会における答弁のようにひとつ歯切れよく御答弁をお願いいたします。
 まず最初に、来年度の予算編成に対しては国民はひとしく関心を持っているわけでありますが、行政改革あるいは行財政の改革、こういうことがまず求められている。小さな政府とか安上がりの政府とかというような要望が強い。そのことをまず行った上での増税論議ということが当然の発意でなければならぬだろうと思うのであります。言うなれば、これは並行的に提案されているのでありますが、大臣としては行政的なものの見直しをまずやって、それでどこまで下がるかという目鼻をつける。その次に、いま言った議論がされているような形のものに段階を踏む。それで不公正の是正をやる。それでも足らないときにどうするかという設問でなければならぬと思うのでありますが、その考え方だけについての順序をひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
#48
○渡辺国務大臣 あなたのおっしゃるとおりでありまして、私が別に説明しなくても、いま言ったとおりやる、こういうことでいいのじゃないかと思います。
#49
○沢田委員 たとえば、これは一つの例でありますが、自動車の免許証なんかは三年ごとに交換しているのであります。むだなことだと思うのです。六十歳まで、あるいは永久に持たしている国もある。わざわざ三年ごとに書きかえてお巡りさんを使っているというのは、むだの最たるものだと思うのであります。そういうところを直さないでおいたのでは――六十まであるいは一生持たしておいたっていいじゃないですか。それを三年ごとに書きかえて一日暇をつぶし、講習で暇をつぶす。えらい国民の損害であるし、これは行政改革の一番手始めに簡単にできることであります。
 こういうことを考えてみても、まずそういうものをやっていっていただく、あるいは許認可事務の問題について同じことが言えると思うのでありますが、その一例だけ。大臣としては、これは管轄が違うかもしれませんが、その程度のことは直していけるだろう、こういうふうに思いますので、財政再建の一歩としてまずそれからやってもらわなければならない。どろぼうをつかまえることの方をもっと専門にやってもらいたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#50
○渡辺国務大臣 私の所管外でありますから、これは何年にするというようなことはお答えできませんが、おっしゃるようなことは行政改革として一つの大きな柱じゃないかと思っております。ただ、行政改革というのはすぐには効果が出ないわけでありまして、五十五年度等においても、かなりの行政改革を実施しておっても、行政管理庁の推計によれば二千数百億円ぐらいだ、こういうことが言われておるわけであります。ですから、それはそれとして、これは速効性のものではないが、遅効性のもので大切なことでありますから、もう手抜かりなくやっていかなければなりません、かように考えております。
#51
○沢田委員 心強い発言と期待していいのかどうかわかりませんが、ひとつ期待をしておきましょう。
 それができる。その次は、いま戸田委員からもお話があったように、不公正の税制を直す。たとえば増税をする場合においてもしない場合においても、不公正の是正は小さくても大きくてもともかくやらなければならない課題である。それをしなければ、いろいろな問題を提起しても、言うならば犯人みたいなものかもしれませんが、どろぼうに追い銭みたいな、一千万円の退職金を払ったり年金を支給したりするようなことにもなりかねないのでありまして、あのことだけでも裁判所がいかに不信感を持たれたか、これははかり知れないものがあるだろうと思うのであります。ですから、そういうように一事が万事、緻密ないわゆる不公正是正というものをやらなければならない、こういうことになるだろうと思うのです。
 これは税制小委員会その他がありますから言いますけれども、土地の譲渡所得の分離課税あるいは医師の優遇税制、それから法人税の資本金別是正、この三つについてはやはり不満の多い問題でありますが、大臣としてあるいは当局として、これからこの不公正是正としての立場をどのように踏まえて考えていくつもりか。特に医師の優遇税制は大蔵大臣の悲願でもありますから、ぜひここできちっと全部改めて、七二%なんというのはもうなくす、こういうようにひとつ発言をされて御答弁をいただくようにお願いをいたしたいと思うのであります。
#52
○高橋(元)政府委員 大臣からお答えがあります前に、いままでの改正の経過等を御説明申し上げたいと思います。
 いま三点お挙げになりましたが、土地の分離課税でございますが、これは御案内のとおり、五十一年の改正で四分の三の総合課税という制度が広く導入をされております。もちろん、公共土地の収用でございますとか、そのほか土地の取得を円滑にすべき部分、たとえば三大都市圏、特に首都圏における市街地の地価の水準、それから宅地供給の実態を考えて、円滑な宅地供給と土地の有効利用を促進するために、長期譲渡所得課税について昨年度及び本年度の税制改正で御審議をいただきまして改正を行っておりますが、そういう政策的な考慮を別といたしますと、土地につきましては、いま申し上げておりますように総合課税という方向で進めておるわけでございますし、本年度改正をいただきました土地税制につきましては、安定的な土地税制の確保、それによって宅地の円滑な供給を図ってまいる、ひいては地価の安定に資するということから、その税制の確保を最重点にするという意味で適用期限を付さないという体制をお願いいたしておるわけであります。
 第二番目に医師についてのお尋ねでございますが、医師につきましては五十四年度改正で改正をさせていただきました。これにつきましては、現在五二%という実額に近い経費率を五千万円以上の社会保険診療報酬を受け取ります診療所については適用しているわけであります。これは実額課税そのものでございます。ここに係る部分というのはだんだんふえていくわけでございます。したがいまして、中小規模の診療所についての社会保険診療体制の確保という意味で現在講じております五千万円未満の社会保険診療報酬に係るいわば一種の軽減というものについてどう考えていくのかという問題がございますけれども、大もととして、医師課税につきましてもその基本におきまして総合課税、実額課税という線は貫かれておると思います。
 法人税でございますが、法人税は中小法人の方が税負担が高いのではないかという御趣旨のお尋ねだと思うわけでありますが、実際は資本金一億円以下の法人の税負担率は三五・六でございます。それから、一億から百億円未満の法人の税負担率は三九、百億円以上の法人の税負担率は三八・六、この点は予算委員会に資料として御提出、この委員会にも御提出申し上げているところでごらんいただきたいわけでありますが、中小企業の軽減税率制度というものが設けられましたときに、当時四〇%の税率に対して三五%という軽減税率が設けてありましたが、その後の税制改正の推移を通じまして、現在の通常の法人税率が四〇%であるのに対して二八%まで中小法人の軽減税率が下がっております。過日の税制調査会の企業課税小委員会の御報告の中では、そういう経緯もあり、法人の税負担としては、中小企業の税負担率について、いまの御質問とは逆の意味で見直しをしていったらいいんじゃないかという御指摘をいただいたことでもありますが、今後総合的に考えてまいりたいというふうに考えております。
#53
○沢田委員 大蔵大臣、医師優遇税制は。
#54
○渡辺国務大臣 ただいまの主税局長で大体もう説明が尽きておると思いますが、医師税制につきましては、御承知のとおり、もう二十数年来改革ができなかったものを昨年改正してその是正をしたわけであります。これを全部なくしてしまえという御議論もあるんですが、これは昨年改正をしたばかりだということが一つの問題だと思います。
 それからもう一つは、税制の公正ということも大事でございますが、やはり出入りの方も私は考えなければならぬ立場にございまして、医師会等で、いろいろな公共サービスに協力しているじゃないか、たとえばいろいろな予防接種とか、あるいは学校の校医とかその他いろいろなことで協力をしているんだ、年間七万とか八万しかもらってないとか、いろいろ言っているわけです。そいつをそれでは正当報酬をよこせという話になってまいりますと、どっちがプラスかマイナスか、財政上の問題も考えなければならぬものですから、そこらのところで全廃するのはいかがなものかと思って考えてもみたり、ちょっと迷っているというのが実情でございます。私は、去年直したばかりだから続けざまにいま直すことはいかがなものであろうか、はっきりしたことは答えられないということであります。
#55
○沢田委員 貴重な時間ですからあれですが、大臣になってから迷い出したんですか、それ以前は廃止ということだったのか。その点だけちょっと明らかにしてください。
#56
○渡辺国務大臣 私は前からであります。
#57
○沢田委員 ゼロリストの例がありますけれども、増税という案を出すならば、あえて私は皆さんが言いにくい問題を提起するわけですが、公共事業を減速にしたらどうだ。たとえば十四兆七千億の今年度の建設省の要求、国費で四兆九千七百五十八億要求されている。これは財投もありますけれども、道路財源としてその中で四兆円使われる。道路は少しくらい悪くても命にかかわりはない。それは直した方がいいに決まっていますけれども、増税をすることと一年延ばすこととどちらを選択するか、こういう問題はゼロリストには載ってない。公共事業と財投の関係において、公共事業の見直しについては検討するということを予算委員会ではお答えになったようでありますが、私は立場が違うわけです。私は財政再建という立場に立って、公共事業を減速運転に変えたらどうだ、五カ年計画のものであれば七カ年計画に延ばす、九カ年計画のものであれば十一カ年計画に延ばす、そういう一つの決断が求められているのではないか。もし増税ならば、どちらを国民は選ぶかと言えば、減速の経済の方を選ぶだろうと私は思うのであります。
 だから、そういう意味において、公共事業を、政府主導型の予算編成から民力を活用するという鈴木総理の発言は、その中に生かしていかなければならぬのではないか、こういうふうに思いますので、私はあえて、公共事業という分野を見直すのじゃなくて減額をして、そして一、二年は国民に若干のしんぼうはしてもらう、そのかわり増税はいたしません、そういう形に提案をするのが今日的な課題ではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#58
○渡辺国務大臣 一つの考え方であります。御承知のとおり、本年度の予算は公共事業はゼロリストなんです。去年と大体同じということで公共事業はすでにゼロリストをやっているわけですが、あなたの御提言はさらにこれを小さくしろというようなお話でございます。これは景気との関係が実は出てまいるわけであって、私どもとしては、七カ年計画の公共事業をそっくりそのとおりやれるかどうかについてはすでに企画庁においてもこのフォローアップをやっておることでありますから、それらの結果を踏まえた上で最終的には判断をしなければならぬ、こう思っております。
 ただ問題は、公共事業の方の起債といいますか国債発行の額を減らして、そして赤字国債の方は減らさぬでいいんだということはこれはやはり大きな問題があるわけであって、われわれとしては全体の国債の問題も当然でございますが、その中で消費的に使われるもの、これにつきましては、本来ならば税金の、国民の負担の中からそれはサービスをされなければならない。それが臨時的に赤字国債の発行というような形で不足分を賄ってきたというのが事実でございます。それはそれなりの意義があったと思いますが、今後も続けて一般の消費的経費に充てるために赤字国債を発行し続けるということは、これは大問題が実はあるわけでございます。したがって、これらにつきましてはやはり特例国債を減らしていくということに重点を置くということが財政再建の上において必要ではないか、かように考えておりますし、公共事業の問題についても決してこれは例外ではございません。したがって、いまその規模等については云々できませんが、経済の成長というものと合わしてどこらの点がいいのか、これから予算編成にずっと向かっていく過程において十分に検討してまいりたい、かように考えております。
#59
○沢田委員 そうお答えになるだろうということでレクチュアに来たときも言っておきました。
 それでは現在の二百四十八兆円のGNPと言われているものへ二十兆円の財政投融資を使った中で、一割、二兆円を削減して経済成長率にどれだけの影響があるのか、経済企画庁を呼んでいますので、ひとつその点を、今年度並みの十八兆円で、二十兆円の財投をたとえば十八兆円に二兆円削ったと仮定して経済成長率にどれだけの影響があるのか。いま景気に影響すると言われましたが、私は比率としてはないと思う。
 たとえば可処分所得は、前年度対比でありますが、五十一年が九・〇、五十二年が七・八、五十三年が六・八、五十四年が六・一、五十五年が四月現在でありますが五・三、こういう状況で来ています。鉱工業生産についても、五十三年が七%、五十四年が九・三%、五十五年が七%、建設工事の請負においても、五十二年が一二・九、五十三年が一〇・九、五十四年が一四・六、五十五年が一三%台、こういう建設工事の発注、請負の状況から見ても、今日のところ二兆円が経済成長率にそれほど大きな影響を与える要素はない、私はそう断言してはばからないのであります。その点ひとつ経済企画庁からお答えをいただきたいと思います。
#60
○廣江政府委員 政府投資削減の定量的経済成長に与える影響いかんという御質問でございますが、先生御承知のように、それが経済成長に与える影響につきましては、そのときの経済がどういう状況にあるのか、内需の状況はどういうふうであるのか、あるいは外需はどういう状況にあるのかといったような要素を勘案しまして検討しなければなりません。御承知のように、来年度の経済見通しにつきましては、今年末に予算編成の前提となるものとしていろいろ私が先ほど申し上げましたような要素を勘案いたしまして決定するわけでございますが、現在の段階ではそういうものは未定でございますので、せっかくのお尋ねではございますが、定量的に把握することはきわめて困難であると思います。
 ただ、御参考までに申し上げますと、本年度の公共投資は国民総支出に占めるシェアがほぼ九%程度でございます。
#61
○沢田委員 ですから、いま言われた参考の例から見て、大蔵大臣、それほど景気の方向に影響を与えるという条件ではないし、また鈴木総理の言っている民力の活用ということを考えれば、それは十分また活用が可能である。たとえば、今度の発表になりました各企業の長者番付で四千億を超えるアラビア石油、以下ずっと挙げてまいりますと、これだけ円高によって利益を得ている業界は石油業界を初め鉄鋼業界、とにかく相当なものがあるわけです。ですから、そういう状況からして、この民力をもっと利用していく、こういう発想に立てば私は十分それは可能である、こういうふうに考えますので、まあ公共事業のこれを質問しようとすると、道路議員がいたり農協議員がいたり、あるいはいろいろな議員がいるからなかなか抵抗が多い、しかし、それをあえてやるのが自民党の責任じゃないか、それを安易に増税によって逃れていくということはひきょうである、こういうふうに私は思いますので、あえてこの点は大蔵大臣に強く要望して、次の問題に入ります。
 グリーンカード問題でありますが、銀行のロール作戦であるとかなんかでたくさん陳情も受けましたし、いろいろ出ております。このグリーンカードは、郵政にもおいでをいただいておりますが、大銀行として少しお粗末じゃないかという気がするのであります。そんなになぜこの郵便貯金がこうふえたのか、その背景になった原因はどこにあるのか。その点をまず銀行の方と郵政の方、それぞれから簡潔にひとつお答えをいただきたい。今日、郵便貯金に信頼性が高まったあるいはそういう方向へ向いたという、国民の志向した原因はどこにあったのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#62
○米里政府委員 御指摘のように、最近非常に郵便貯金が伸びております。個人預金のシェアを見ますと、郵便貯金は四十年度末が大体一五・九%という数字でございましたが、五十四年度末に二七・五%という数字になっておりますし、さらにことしの上半期、本年四月から九月までを見ますと、増加額が郵便貯金の場合には前年比大体五五%増、それが民間の場合には都市銀行、地方銀行などなべて三〇%あるいは三五%ぐらい増加額が減というような状態になっております。
 一体どういう理由でこういう状態になっているのかということでございますが、制度上のいろいろな問題が考えられます。たとえば店舗の数が郵便局は非常に多い、全国に二万二千ございますが、都市銀行、地方銀行合わせましても約八千ぐらいでございます。そういったような問題あるいは商品性の問題、非常に長期で利回りの高い、また仕組みの有利な商品を持っているというような問題もございますし、あるいはまた税制という問題もあろうかと思います。
 こういったようなことで徐々に郵貯がふえてまいったわけでございますけれども、特に本年度に入りましてから著しく伸びておりますという理由の中には、金利のいわゆる先安感ということから長期の商品が志向されるというようなこともあろうかと思います。そういったような状態に対しまして、私どもとしてはできるだけ競争条件の平等化あるいはそれに対する金融機関のサービスの向上ということで対処していかなければならないというように考えております。
#63
○小倉説明員 郵便貯金は明治初年に創設されまして以来、国民の簡易で確実な貯蓄手段ということでございまして、もっぱら個人の預金者の方にそういう貯蓄手段を提供するということを専一にこれまでやってまいりまして、そういう預金者サービスに徹してまいったわけでございます。それからまた私ども内部でもいろいろ経営努力をいたしまして、できるだけ経費率を低めるとともに、他方収益性と流動性とを兼ね備えました定額貯金といいますような貯金を提供いたしまして、こういうものが利用者の方に非常に愛好されまして現在の五十六兆円というような金額に至ったのではないか、このように考えておるところでございます。
 また最近では、特に高額所得者のみならず一般の預金者の方々でも非常に金利というものに対します関心というものが深うございます。そういうような点から特にこの二、三カ月でございましょうか金利の天井感と申しますかそういうようなものから、郵便貯金のみでないと思います、国債とか金融債とか、また一部銀行の定期預金なども伸びておるようでございますけれども、長期に現在の非常に高い利率を享受できますそういう貯蓄に個人の貯蓄が移行しておる、こういう感じを持っておるところでございまして、そういうようなものをトータルいたしまして郵便貯金が、郵便貯金だけじゃございませんけれども、個人の方々にも非常に愛好されておるのじゃないか、このように考えておるところでございます。
#64
○沢田委員 私は、この問題は郵政省と大蔵大臣が合意をされたようでありますが、郵便貯金が五十六兆円で現在三一%、農協が二十五兆円でありますから大体二〇%くらいでありますか、銀行の方でもマル優で九十兆円くらいある、こういうことのようでありますから、まあドングリの背比べよりも、やや郵政の方が落ちている、こういうことであって、何もこんなに大騒ぎして銀行ががたがた騒ぐほどのこともないんじゃないか。しかも選挙の中傷合戦じゃないけれども、わざわざこんないろいろなことで、二千円の商品券を配ったとか、いやどうだこうだというような資料までわれわれのところに持ってくるということでは大銀行としてお粗末じゃないか、もう少し誇りと自信を持ってサービスで勝負をする、そういうようなことで、相手をいじめたり突っついたりして、そして相手をけ落とそう、こういう発想では、大蔵省の監督下にある銀行としてあるまじき行為であると私は思うのであります。だったら、サービスで勝負したらいいじゃないですか。そういうことをもっと指導の骨幹に置いて、こういうことをやらせたという責任の方が私はより重いと思います。こういう文書をどこから見つけてきたかわからぬけれども、中傷文書で名刺までくっつけて、そしてこういうことをやった、ああいうことをやった、こういうことをそれぞれの都市銀行その他を含めてやらせるということは、これは大蔵省はどうなんですか、幾らグリーンカードが五十九年から始まるにしても、そこまでやらせた責任というのは私は大蔵省としてはきわめて遺憾なことではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#65
○米里政府委員 最近グリーンカードの実施に伴いまして、その預金者心理に及ぼす影響と申しますか、そういったようなことから相当の金が民間金融機関から郵便貯金に流出しておるのではないかということから、御指摘のような金融機関が非常にその事態を憂慮しておったわけでございます。おっしゃいますように、確かに相手の欠点を、やり方を具体的に非難するというやり方が決して適切でないということも私どもはよく理解できます。一方、民間金融機関としては、そういった預金者の心理に与える影響から考えまして、グリーンカードの取り扱いについて、郵便貯金と民間預金との間のイコールフッティングをぜひ実現してもらいたいという切なる気持ちがあるということも理解できます。その運動の仕方について適正でないという点がございましたら、そこは十分に注意したいと思います。
#66
○沢田委員 注意したいのではなく、注意いたしますという答弁じゃないですか、もうやった後のことだから。いかがですか、これから注意しますということではなく。どうですか。
#67
○米里政府委員 いままでやりました中で適正でない方法があればそれは十分注意いたします。
#68
○沢田委員 そういう言い方をされると、やはりまたこれを出して見せなければならぬのだけれども、こういう書類が果たして妥当だと思いますか。もう時間がないので忙しいのだけれども、現在「外務員を通して定額貯金へ預入の方には百万円預入につき二千円の商品券を進呈致しております。是非この機会に大切なお金は安全、有利な定額貯金へお願い致します。」こういうようなものを持って歩いている。それから「安全・有利・秘密 申告不要の郵便貯金 お得意様係」、名前は省略しますが何の何々、こういうようなことまでわさわざわれわれのところに――これはまるで選挙の中傷ビラと同じだ。こういうようなことをくっつけている。注意しますではなくて、こういうことをやらせること自身が大体大蔵省としての監督が十分でない、大銀行としてあるまじき行為だ、こういうふうに思うので、もう少ししっかりした答弁をしてください。
#69
○米里政府委員 過去のやり方について適正でないやり方は十分注意いたしますし、今後のやり方はできるだけフェアにするように指導したいと思います。
#70
○沢田委員 時間の関係で大蔵大臣大変ですが、人事院の給与勧告の実施であります。これは国鉄、郵政あるいは国家公務員含めてでありますけれども、非常に遅くなっておくれている。原則的な考えとしていろいろ法案とのつながりがあるかもしれません。しかし、金を担保にして、おまえらの給料は払わない、この法案を通さなければだめだというようなことはまさか考えていないだろうと思いますけれども、ともかくルールとしてフェアでないと思うのです。だから、ともかく払うものは速やかに給与勧告どおりあるいはその他の裁定どおり支払ってやる、これはひとつ断言して、とにかく大蔵省が渋っているんだ、こういうようにわれわれ聞いているわけですから、大蔵省としては、給与改定に伴う差額を十月中には支給するんだということの見通しをひとつはっきりしていただきたい、このように思います。
#71
○吉野(良)政府委員 人事院勧告の取り扱いについてのお尋ねでございますが、先生御承知のとおりでございまして、一般会計だけでも千六百億を上回る追加財源を要するという実態でございます。御案内のような財政状況でございますから、これを勧告どおり実施することにつきましては、やはり国民の皆様方の御納得を果たしていただけるものかどうかといったような点も含めまして十分に慎重に考えなければならない問題でございます。
 したがいまして、率直に申し上げまして、現時点におきましていつまでにこの勧告の取り扱いを決め、そうしましてまた関係の法律案を国会にお出しできますかどうか、見通しを申し上げられないというのが偽らざる状況でございます。
#72
○沢田委員 偽らざる状況だというのは余りにも無責任じゃないですか。やはり、自主憲法の問題が議論されていましたが、これはマッカーサー命令によって政令でスト権もとられた、そういうようなことも議論の発生の点になるのでしょう。政令二百一号の問題もあります。だから、そういうことで人事委員会ができ、仲裁委員会ができ、そうした歴史的な背景の中で、それをお互いに尊重していくことが労使のルールになるんだ。不信感を持たせないことがこれからの日本の財政再建につながるのではないですか。
 これは事務当局なんかのへっぽこが答えたって話にならぬのだよ。だから、大蔵大臣が政治的な判断として、とにかくこれはやらなければならぬ、これはやって皆さんの協力も仰ぐ、こういうような大乗的な立場で判断して決断をしてもらう。せっかくの委員会で、次は来月の七日まで大蔵委員会は開かれないのですから、ひとつ大蔵大臣として今月中に払う、こういうことの決断をお願いいたしたい。
#73
○渡辺国務大臣 私も心情的にはあなたと同じなんです。同じなんでありますが、千六百億という大金、なかなかいま工面できない。どういうふうなことをしたら工面ができるのか。いま次長が言ったように、また一方においては国民の理解というものも得なければならぬ。極力これは得るようにしなければならないと思っております。したがって、目下いつまでという期限を切られましても、私がいますぐここで、手元不如意の折、今月末というようなことを言い切ることがなかなかできないのはまことに残念であります。
#74
○沢田委員 それこそきわめて残念であります。残念でないようにひとつ対処されることを望みます。
 次に、さっきもちょっと質問いたしましたが、土地が物すごく騰貴をいたしております。この騰貴を抑えていくという政策は税制上とれないのかどうか。これはいろいろな言い方はあるでしょう。てにをはの問題じゃないのです。この土地の騰貴を抑えていくということを税制の中でやる以外に道はないんじゃないか、こういうふうに考えますが、その点だけ、やる気があるのかないのか、それだけで結構です、お答えいただきたいと思います。
#75
○高橋(元)政府委員 土地税制は、各般の土地に関する基本的な実態的な政策と相まって初めて効果が出てくる、これはかねがね申し上げておるところであります。各年度地価の安定と宅地供給の円滑ということを図るための税制改正をお諮りしてまいりまして、先ほどもお答えしましたように、現在は五十五年度に改正していただいた。それは、三大都市圏における地価の抑制と宅地供給の増大を図るためには、そういう税制を安定させることによって、土地の供給を円滑化し、ひいては地価の安定に資する、そういう方向で検討を進めております。
#76
○沢田委員 時間が大分進みましたので、あとまとめて質問いたします。四つあります。
 一つは年金の問題でありますが、成熟度がきわめて高いものあるいは成熟度が弱いものあるいは厚生年金との関係、いろいろな問題が今日課題として残っているわけであります。さっきも戸田さんの質問の中にも、現在われわれのいわゆる可処分所得になるべき額は何%ぐらいが妥当なのかというところに一つ起点があると思うのでありますか、大体皆さん――皆さんというか一般の庶民の税金を支払っている割合は約一〇%、一割です。この一割に加えて長期と短期の共済と健保、これを加えますと二三%ぐらいになってしまう。それ以外に生命保険やあるいは火災保険という貯蓄性のものを加えると、実に国民の平均貯蓄率を超えて三割近くにもなってしまう。言うならば可処分所得は七割に下がってしまう。こういうことに現在の公務員なりその他の関係の職員の生活がなっているわけであります。そういう立場から構えて、年金の掛金の限度というものをある一定限度に抑えなければならぬのではないか、こういうふうに考えます。それで、だんだんとこれからは老齢化が進み受給者がふえる、そういう状況の中で三割も超えるような負担割合にならぬような配慮が必要なのではないか、こういうふうに考えますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
 それから次の問題は、この前私が質問しましたときにはいわゆる事業外収入、学校法人であるとか特殊法人であるとか、いろいろ税負担の対象になっていない団体がありまして、その場合の事業外収入というものについては確定申告がされるべきであるし、またしなければならぬ義務を負っているものである。その点については、十分にやります、こうお答えがありましたが、その結果をお知らせをいただきたい。
 それからもう一つは保険の契約書の裏面でありますが、非常に見にくいということで、これも訂正する、こういうことで約束をされたのであります。岡山あたりでは今度は条例をつくってその内容をさらに明細化するというような動きもあるようでありますが、それが実行されていないのはいかなる理由か。さらに内容の不明確性を明確化させるということに対するその処理についてお答えをいただきたい。
 最後に、河野商事事件の問題について聞きました際にはフジタ工業とは関係がない、実はこういう当時の答弁がありました。ただ、その後裁判の結果を見ますと、やはり裏金づくりの一角であった、こういうふうに裁判の中では示されております。まだ判決は出ませんが、いわゆる証言をされているし、フジタは否定をされているようであります。これは税法上の問題としてそれをどのようにとらえているのか、その点の結果についてひとつお答えをいただきたい。
 以上をもって私の質問を終わります。
#77
○吉野(良)政府委員 最初に公務員の年金の掛金のいわば限界いかんというお尋ねでございますが、これも先生御承知のとおりでございますが、共済年金制度もいわゆる社会保険方式をとっているわけでございますから、そのいわば財源率はやはり給付の水準、これとの見合いで決まってくるということになるわけでございます。その限りで申し上げますれば、財政的な限界はないと抽象的にはなるわけでございますけれども、しかしながら組合員の個々人にとりましては、御指摘のように、所得との関係からいいまして無制限に高い掛金を前提にするということは現実に非常に問題があるわけでございます。したがいまして、組合員の負担をある限度の中に抑えようといたしますと、給付の水準もその負担で賄い得る範囲の中におさめてできるだけ効率的にやっていくということが必要になる、こういうわけでございます。
 そこで、現在の制度を前提といたしまして、年金の将来推計をいたしてございますが、これによりますと、二十年後の昭和七十五年ごろには財源率が二三%程度、それから掛金率が一〇%弱というような程度の水準ということで予想がされているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後の負担と給付水準のあり方につきましては、御案内のように現在共済年金基本問題研究会におきましていろいろ御審議をいただいておりますので、その結論を参考にいたしながら今後十分に検討していきたい、かように考えております。
#78
○小幡政府委員 ただいま御質問ございました宗教法人、学校法人等を含めます公益法人につきます課税の実績でございますが、昭和五十三事務年度の実績がまとまっておるわけでございまして、件数といたしましては一万三百十九件、課税所得金額が六百四十三億円、税額で百四十七億円ということになっております。
#79
○松尾説明員 第三点の保険の契約内容が大変わかりにくいではないかという御指摘の点でございますが、保険の契約内容、権利義務をはっきりさせるという意味におきまして、正確を期するということから、どうしても法律的にかなり細かいことまで規定をするというところから煩瑣になりがちな点を持っておるわけでございます。保険審議会等におきましてもかねてから御指摘をいただきまして、一方におきましては契約約款をできるだけ平明にする、あわせて、なかなか一般の契約者の方が細かい約款を一々読むということがどうしても少ないものでございますので、実質的に約款に盛られております事項を御契約のしおりというような形でもう少し簡易に書いたものを募集の段階において契約者に渡す、あるいはパンフレット等におきましては極力大きな活字を使うとか、ときにはイラストと申しますか漫画と申しますか、そういったものを取り入れてわかりやすくするということをここ何年来努めてまいったわけでございます。
 今後ともこういった内容の平明化と、同時に文書だけ平明にいたしましても、大事なことはそれを正確に募集の段階で契約者に説明をするということも大事なわけでございますが、そういった面での外務員教育ということを今後とも十分指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#80
○岸田政府委員 先ほど先生御指摘のフジタ工業と河野商事の関係でございますが、二つの企業の関係と申しますといろんな角度からございまして、河野商事はフジタ工業の下請でございますから、商取引その他できわめて密接な関係があるということは間違いないと思います。
 ただ、河野商事の脱税事件に関係しまして、それから発生いたします所得の帰属の問題につきましては、これはフジタ工業には関係がないというふうにわれわれは理解をいたしております。
#81
○沢田委員 また入ったんだろう、フジタへ。
#82
○岸田政府委員 いえ、入っておりません。ただ現在これは裁判係属中でございますので、その結果でごらんいただければわかるかと思います。
#83
○沢田委員 終わります。
#84
○綿貫委員長 柴田弘君。
#85
○柴田委員 大臣、どうも御苦労さまでございます。何点かについて質問をいたします。
 まず、先ほども議論になっておりましたグリーンカード制の問題について御見解をお伺いしておきたいと思いまして、ここでお尋ねをするわけですが、このまま郵貯への民間金融機関からのシフトが起こればどんな事態になるか。
 まず第一に、民間金融機関の貸出資金の枯渇という問題が起きるのではないか。第二点に、金融機関の国債引き受けへの影響、これが出てくると思うのです。それから第三点は金融市場における短期資金の枯渇の問題、この三点が将来の問題として起こってくる、あるいはまた現実に起こっている問題であるかもしれませんけれども、その辺のところをひとつ明快にまず大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#86
○渡辺国務大臣 私は、郵貯がある程度伸びることは結構なことだと思うのです。しかし、それはやはり民間金融機関と同じような形で伸びるというのならいいけれども、ここ半年間の伸び方は非常に異常である。この異常な状態が続けば、いま柴田議員がおっしゃったような問題が出てくることは当然でありますし、なおこれがもっと大きくなるというようなことになると、片一方は十年間という長い期間がありますから、一般の金融政策に重大な影響を及ぼすということになります。また政府のコストの方が、仮に預金金利がある時期において下げるというような事態になっても、郵便貯金に現在積まれたものが下がらないということになれば、財投資金のコストが民間資金よりも高いという状態になりかねない。したがって、こういうような異常なシフトというものは是正されなければならない、かように考えております。
#87
○柴田委員 このシフトの是正の問題でありますが、その前に銀行局長にお尋ねをしておきます。
 いま、私の聞き間違いかもしれませんが、そのシフトの起こる原因として、あなたは要するに商品の問題のことをおっしゃいましたですね。これはどうですか、もしそうであるならば、私は思いますことは、いわゆる郵貯と民間の金融機関が競合できるようなそういった預金というものを認められたらどうですか。私はそう思いますよ。それで、一遍御見解をまずお伺いしたい。
#88
○米里政府委員 柴田先生御指摘のように、私が先ほど申し上げましたのは、こういう金利先安感というようなものが一般的に持たれております時期において、非常に長期かつ高金利の商品を郵貯が持っておりますので、それによって民間預金よりもそちらが選好されたというような面もあるのではないかということを申し上げたわけであります。おっしゃいますように、私どもも、できるだけ民間の郵貯に対抗し得るような商品の開発を急ぐべきであるという考え方は同様に持っております。
 ただ、これは民間の際には非常にコストが問題になりますので、そういった郵貯に対抗し得るようなコスト高のものをつくれるかどうかということは十分検討しなければならない。しかし、その点を踏まえまして、できるだけサービスの強化になるような新商品の開発ということについては、前向きに対処していきたいというように考えております。
#89
○柴田委員 そこで、大臣も心配されておりますシフトの問題についてお伺いしたいと思います。
 このグリーンカード制度の導入につきましては、これはあくまでも公平な課税を期すということ、それから社会的公正の確保をしていく、これが私は大前提だと思います。そういったことで、実はさきの通常国会におきます本委員会におきましても、あるいは私ども再三これは要望してまいったところでございます。
 そこで、今回大蔵大臣と郵政大臣との間に、二点にわたる合意事項がなされました。この点につきましては、私はこういったことについて非常にと申しますか、一応の評価はさしていただきたい、このように思うわけでございます。しかし、果たしてこの合意事項だけで、大臣が心配なされているシフトの問題が一切解決されるかどうかという問題なんですね。この問題について、これは私なりに何点か指摘をいたしまして大臣の御見解をお伺いをしていきたい、こういうふうに思います。
 まず第一に、私は、これは大臣は確認されましたから、その確認事項はよく知ってみえると思います。第一番目の郵貯の本人確認を払い戻しのときに行う云々とありますね。この方は私は次の三つの理由から、この払い戻しのときの本人確認では厳正な管理と適正な課税というものは非常にむずかしい問題をはらんでいるのではないか、こういうふうに思います。
 と申しますのは、まず一つといたしまして、現在、大臣も御承知のように、定額貯金の一口当たりの最高預入額というのは五十万です。そして、限度超過が起こった場合に、この五十万で切って、そしてこの郵便貯金は多数の口数とか証書枚数というものになっている。私はこういうふうに思うわけですね。そして、それが今度払い戻しをされますときに、これはやはり何回かの回数にわたって分割して払い戻しをされる、こういうふうに私は思います。だから、その場合に仮に郵便局の方でオンラインによる郵便貯金の名寄せ体制が整備をされておりましても、これはやはりグリーンカードによって厳正な本人確認が行われないと、やはりこれはまた限度超過が出てくるのではないか、また、その判定も不可能になってくるのではないか、こういうふうに思うわけなんですね。
 それから、それにあわせて、租税債権という問題があります。国税通則法の第七十二条だと思いますが、この時効が五年間になっております。だから、最長の場合は十年間ですからやはり消滅するケースも出てくる、こういうふうになりますね。これはやはり課税の公正化という問題からいかがかというふうに私は思うわけですね。
 それから、ずっと言っていきますから、よく聞いていただいて、御所見を伺いたいですね。
 それから第二点の問題は、要するに限度超過の郵貯ですね。郵便貯金した場合には限度超過は、所得税法第九条の二の第三項によって、これは課税対象になります。しかし、この場合、所得税法の施行令の第十八条というのがありまして、これは課税対象となる場合には「預入者の故意又は重大な過失により」云々、こういうふうに法律で規定されておる。ですから、もしこの預入限度を超えた貯金に限定している場合、課税対象とするためには、故意または重過失によるという立証が必須条件になってくるのではないかと思いますね。こういった場合、この立証というものについてやはり困難な問題が発生してくるのではないか。この点を憂慮するわけであります。この点、いかがでございますか。
 それから第三点、最後でありますが、これは仮に払い戻しをしてくれ、こう言ってきた場合に、本人確認ができないことを理由に、郵貯の場合、果たしてこの支払いを拒否することができるかどうか、実はこういった心配も出てくるわけなんですね。
 私の考えていることが私の取り越し苦労であれば、これにこしたことはありませんが、こういった諸問題が実はあるわけなんです。だから、せっかく税の公平化、社会的公正の確保ということを至上命令とするならば、私は郵貯の場合に、これは既存の貯金についてもいわゆる五十八年十二月三十一日までやはりグリーンカードによって再確認を行っていく手続が必要にはなるのではないかなというふうに思えてならないのであります。これは私の考え方でありますので、そうでないとおっしゃればそれで結構でございますし、そのとおりだとおっしゃればそのとおりで結構でございます。ひとつ大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
#90
○渡辺国務大臣 一つ一ついま例を挙げられましたが、それらにつきましてはいずれも心配のあるところであります。それらについては主税局長から答弁をさせますが、私は、郵便貯金というものはもともと国がやっているわけでありますから、それは零細な貯金をする人の便宜ということを考え、またそれを擁護してやろうということで非課税措置をとっておるわけです。それを乱用して――すでに国税でも幾つかつかまえておるのはありますよ、百万円を何十枚持ったとか、それで何千万円とか。こういうようなものが、結局、国では非課税で見てやろうということを乱用されたのでは大変なことになるのであって、ああいう三百万円以上は一人について預かりませんという規則になっておるわけですから、その規則どおりに郵便局が徹底してやっていただけば、文句は何もないのです、問題は。ですから、その気にさえなってもらえばいいわけでありますから、そのためには国税においてもグリーンカードで便宜を与えましょう、お手伝いもいたしましょうということでございますので、まず根本問題はその気になってもらうことが先決なんですよ。その気になってもらわないことには、これはどうしようもない話ですから、国税で追っかけるにしてもなかなか大変だ。しかし、私は、やはり郵政省も国家の機関でございますから、その気になってもらえると信じて疑わない。したがって、これらの手続についても、いろいろ一遍に一度にというわけにはいかぬでしょう、実務上の問題もございますから。それらについては、いろいろと両方で工夫をし合って、不当に、不正に利用されないようにいたしましょうという話し合いを目下進めておる最中でございます。
#91
○柴田委員 郵政省がその気になってもらえればできる、こういうふうに大臣の方からお答えをいただきました。
 それから、また同じ答弁が返ってくるかもしれませんが、この第二項の合意事項ですね。この場合、具体的方法云々と、こうありますね。これはやはりグリーンカードできちっとやられるわけですか。この点の確認だけしておきたいと思います。
#92
○高橋(元)政府委員 ごらんのように、グリーンカード制度実施前に預入された郵便貯金の限度管理に万全を期する見地から取り決められた両大臣の合意事項によりますと、昭和五十九年以降の郵便貯金の限度管理についてグリーンカードによって行うことを大蔵、郵政両省間で検討の上、早急に具体的方法を決める、こうなっております。五十九年一月一日以降グリーンカードがなければ郵便貯金の預入ができなくなるわけであります。したがって、それ以前に預金しておった人が五十九年以降預金に来るときには、必ずグリーンカードの交付があるわけでございますが、五十八年以前に預けておられても、五十九年中に預入がなければグリーンカードがない場合もあり得ます。いまお話のありましたように、五十九年以降新旧を通じてグリーンカードによって本人確認と名寄せをするということが大原則でありまして、そういうことを両大臣の間でお決めになったわけでございます。既往の預金も五十何兆とすでに二億四千万口という大きさになっておりますし、にわかに一年以内にこれが全部できるか、新しいグリーンカードの交付申請があるかということになりますと、そこは技術的にいろいろな詰めてまいらなければならない問題があるわけでありますけれども、現在オンラインのシステムの施設を郵政省が五十八年度末までに全国にわたって完備しようということになっております。大臣からもお話のございましたように、国の義務として限度管理をきちっとやるという趣旨に従ってそのオンラインのシステムを運営していくということでございますから、私どもはできる限り本年度の予算編成までに細目を詰めて、将来にわたって不公平である、またシフトが起こるというような危惧のないようにぜひ措置をいたしたいというふうに考えております。
#93
○柴田委員 グリーンカードでやられるわけですね。そのように理解しておきます。
 それでは、次の問題に移ります。財政の問題でお伺いをしていきたいと思います。
 五十六年度の財政事情の試算というものを大蔵省が出されました。大臣もよく御承知だと思います。これで昭和五十六年度を見てまいりますと、税収が三十兆七千億ありますね。簡潔で結構でございますから、これの積算の根拠をお聞かせをいただきたい。
#94
○高橋(元)政府委員 三十兆七千億は本年の五月につくりました数字でございますから、五十四年度の税収の実績も実は判明しておらなかったわけでございます。五十四年度税収実績が補正後予算に対して五千億円増収に相なるという目算を立てまして、それから五十五年に向けて一二%、五十六年に向けて一二%、こう伸ばしてまいりまして、それで得た数字でございます。もちろん若干の平年度化の調整はいたしております。
#95
○柴田委員 租税弾性値の問題で議論しようかと思いましたが、時間もありませんのでなんですが、要するに、これは一・二で積算をしている。ところが五十二年度は一・三、五十三年度も一・三、五十四年度の見込みが一・五と、これは大体の予想ですが、私も承知しておる。だから、こういった中でこの問題は、私はこの税収についてはやや低目ではないか、こういう一つの考え方を持っているんですが、きょうはここでは議論をいたしませんが、これに合わせて計算をしていった五十五年度の税収見込みというのは一体幾らになっているのか。これは私の積算によりますと二十七兆三千二百九十九億円、このようになると思うのでありますが、この辺の確認をしていただきたいと思います。
#96
○高橋(元)政府委員 これはいまもお断り申し上げましたように、実は五十四年度の税収の実績が判明しない段階での五十四年度の決算税収を推計をいたしまして、それを一二%で二回伸ばしたわけでございますから、したがって五十五年度中に幾らの税収になり、それが五十六年度に向かって幾らふえるかという年度区分まではしておりません。したがいまして、計算をいたしますと、逆に三十兆七千億から一二%で戻しますと数字が出てまいるかと思いますが、そういうことを税目別に年度別に積み上げた数字でないものでございますから、したがって、五十五年度の自然増収が幾らかということを前提にした計算でないわけでございます。
#97
○柴田委員 私は自然増収のことを言っているのではないのです。こういう計算、私も実はきのうレクチュアを受けて、私なりに計算をしてみました。確かに一二%云々という話がありましたが、私の計算に間違いなければ、いまも申しましたように二十七兆三千二百九十九億円になるわけですが、どうですか、これは。
#98
○高橋(元)政府委員 計算の問題といたしますと、五十四年度の税収を二十三兆八千九百六十億としてそれを一二%伸ばしてまいりますと、いまおっしゃった金額になりますが、五十五年度の税収としてそういう金額を頭に置いておったわけではないわけであります。
#99
○柴田委員 それで、自然増収の問題に入っていきますが、確かに、これは機械的に計算したものだからこの自然増収の見込みはわからぬ、こういう答弁でございますが、自然増収がないことはないでしょう。
 それと局長さん、いまあなたの答弁が、そういうふうに機械的に一二%でやっていったと言うならば、ゼロリストというのは何を根拠につくられたのですか。というのは、私が申し上げたいのは、この五十六年度試算の中で、一般歳出は三十兆七千六百億になっております。これは前年度から三百億の増加をしている、こういうことになるわけです。いわゆる歳出の伸びゼロ、こういうあれでしょう。きのう私がいろいろとレクチュアを受けた範囲内においては、これがいわゆるゼロリストのきっかけになっておるのだ、こういうお話があったのですよ。だから、もしいまあなたが機械的に計算をしたのだというだけのお話をおっしゃれば、せっかくいま大臣がいろいろと答弁された、国民にその実態をわかってもらうためのゼロリスト、いろいろな批判があるにしてもそのゼロリストの根底というものは、ここで覆されることになるのではないでしょうか。
 それと、もう一つ言いたい。公債金の収入は五十六年度で十二兆二千七百億円だ。これはまさしく、いま政府が考えておる五十五年度に対して公債減額二兆円をやっているわけですが、そういったものを一切根底から覆していくことになるのではないかと私は思いますよ。
 だから、私の言いたいのは、確かにいま自然増収は非常に予想がつきにくい。だが、大蔵省当局として、この自然増収は御期待なさっているのでしょう。ゼロということはないでしょう。私はそういうことをお聞きしたいわけなんです。だから、そういう答弁を終始されるのであるならば、私はあくまでゼロリスト撤回と、せっかくつくっていただいたのですが、この財政試算の撤回を求めたい、こう思うわけなんですよ。これは大臣どうですか、大臣にお聞きしたい。
#100
○渡辺国務大臣 五十五年から五十六年についての自然増収、特に五十六年度の自然増収を見てないわけじゃないのです。あなたの持っているあれにも書いてあるとおり四兆二千九百億円、四兆三千億円くらいのものは出るであろうという前提で、そのほか税外収入も千九百億円くらいよけいに出るであろう……(柴田委員「五十五年度ですよ大臣、私の言っていますのは」と呼ぶ)だから、ゼロリストは、そういうような五十六年度の想定のもとに計算すると、約四兆円からの自然増収があっても、これを公債の減額に二兆円充てますよ、あとの一兆五千億円は国債費の方でよけいにふえます、地方交付税に残りの分が行きますから、結局自然増収分はそれだけ消えてしまいます。したがって、一般財源の歳出の伸びはことしとほぼ同じ程度のものになります。つまり伸び率はことしよりも伸びません。伸びた分は消えてしまうからという意味で出したわけです。
#101
○柴田委員 再度お伺いしますが、大臣、五十五年度の自然増収、これは物品税の問題あるいは酒税の問題等々ありますが、先日発表されました大蔵省の八月末の税収についてもたしか前年度比一四%ぐらい税収が伸びている、こういうふうに私も理解をしておるのですが、そういった経済状況の中で、私は何遍も言いますが、五十五年度は見通しは非常に暗いかと思うのです。暗いというのか、つきにくいのかもわかりませんが、やはり御期待なさっているのであろう、こういうことなんですが、それはどうなんですか。
#102
○高橋(元)政府委員 八月末に、全体で七兆四千六百七十七億税収が入りまして、前年の同月末の累計に比べて一四・六%上回っておる、これはいまお話しのとおりであります。予算全体に対して二八・三%、前年が二七・五でございますから、八月末までの税収は前年よりはまだ好調に入ってきておる、それは事実でございます。ただ、三割足らずの税収で今後三月末といいますか、来年の五月末までに幾らの税収になるかという見通しをちょっと立てがたいわけでございます。お話のございました円高の問題もございますし、間接税がそれほど好調とは言えないという問題もございますし、来年三月期の法人の決算の問題もございます。そういうことの情報がもう少しはっきりいたしませんと、いまの段階で年度内にどのくらいの自然増収があるか、こういう公的な場で話せと仰せられても、ちょっと私どもはそういう資料を持ち合わせておらないということを御理解いただきたいと思います。
#103
○柴田委員 自然増収を御期待なさっている、こういうふうに私は思います。
 それで、これは大臣にお伺いしたいわけでありますが、自然増収の使い方、大臣としてはやはり国債減額に充てていこうというお考えであるのか。あるいはまた、今日、先ほども議論に出ておりました米価対策の問題もあります、あるいは冷害対策の問題もあります、あるいは中小零細企業の切実な実態による倒産問題、こういった問題もあるわけです。そういった方向での考え方もあるのではないかと私は思いますが、財政当局としての大蔵大臣にこの自然増収についての今後のお考え方というものはどんなものか、まずお聞きをしたいと思います。
#104
○渡辺国務大臣 これは公務員のベースアップもできなくて足踏みしているというような状態ですから、自然増収があれば私は大変助かるわけであります。必要なものがあってどうしても財源が足りないという場合には国会と御相談をするということでありますが、自然増収で金が余るというようなときには国債発行を予定しておるものをその分少なくするということが一番原則的な考え方ではないか、私はこう思っています。
#105
○柴田委員 あと三分程度ですが、最後に中小企業対策、特に零細企業に対する融資の問題でお伺いをしていきます。
 御承知のように、今日中小零細企業の倒産が多い。これは大臣もよく御承知だと思います。それで、年末融資について大蔵当局としてはどう考えていかれるか、国金を初めとする政府系三機関の融資の考え方、これをお尋ねをしておきたいと思います。
 それから、同じく中小零細企業対策で、私調査をいたしたのですが、もし間違いがなければということでありますが、農業にはいま一般会計から約二兆円の予算が計上されています。これは私はどうこう言うつもりはありません。しからば中小企業にはいまどのくらいのお金が出ているかというと、これは二千億。もちろん財投から約五兆円ありますが、これは返済をしていかなければならない金だ、こういうふうにあるわけです。しかも政府系三機関の融資量というのは、いまは中小零細企業向けの一三%にすぎないわけであります。こういった実態であります。そこで、私は、やはり国が施策として融資を中心にしてどう中小零細企業の立場に立って融資の問題に今後対応していくか、これは大きな問題であるというふうに思うわけであります。
 以上、二点質問をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#106
○米里政府委員 まず、中小三機関の第三・四半期の貸付枠でございますが、三機関合計で対前年実績比二六%増、一兆六千五百二十億円というものを予定しております。
 内訳を申し上げますと、国民公庫が九千百三十五億円、これは対前年実績比一九・一%、中小企業金融公庫が四千八百八十億円、対前年実績比四・三%増、商工組合中央金庫、これは純増ベースでございますが二千五百十億円で対前年実績比二三一・一%という資金枠を用意いたしております。それで年末にどうするかということは、この第三・四半期の枠に関連いたしまして年末までの推移を見て、もしその段階で必要があればまた年末に決めさせていただくということになります。
 それから政府関係金融機関一般の中小零細企業に対する融資でございますが、こういった時勢で、御指摘のように倒産件数もかなり高水準で推移という状態でございますので、政府関係金融機関におきましても現在の制度を最大限に活用して行き届いた融資を行うということを方針として努力しております。
 具体的に一、二の例を申し上げますと、去る九月五日の経済対策閣僚会議の決定を受けまして、九月十九日に大蔵省銀行局長、中小企業庁長官連名の通達を出しまして、業種別、地域別のきめ細かな貸し出し、あるいは返済猶予などの既往債務の条件変更、担保の徴求、そういったような問題について弾力的に行うということを通達いたしておりますし、あわせまして倒産防止対策の制度の機動的な運用に努めるように指導しておるという状態でございます。
#107
○綿貫委員長 竹本孫一君。
    〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
#108
○竹本委員 渡辺大蔵大臣には、戦後、財政再建の最も厳しいときに大臣に御就任され、大変御苦労さまで、就任以来の御努力のことも新聞その他を通じて見ておりまして、大いにがんばっていただきたいと思う。口を悪くして言えば、こういう困難なときに大蔵大臣を引き受けられるということはよほどの物好きかあるいはよほどの信念のある人でなければならないと思うのですね。大臣の場合には強い信念を持ってこの困難に当たられるということでございまして、ぜひひとつ最後までがんばっていただきたい。そういう意味で二つほど要望を申し上げたい。
 一つは、財政再建についてちょっと私不思議に思っているのだけれども、主体性がはっきりしない。先ほどもゼロリストの資料をいただきました。予算委員会においてもこのゼロリストが配られまして、大出さんが何だこれは、ということでかみつかれた。どういうことになるのかと思って私も見ておったのですけれども、この資料をもう一遍取り返してさらに改めて財政演説でもやって、それからこれを出すのが本当じゃないかという意味だったと受け取っているのです。私はそれが本筋だと思うのです。この困難な財政再建をやるということになれば、本当にこれは命がけだ。しかも、それはゼロリストの二つの資料をどことなく配っておくというようなことから財政再建のエネルギーは出てこない。本当に財政再建をやろうと思うならば、鈴木内閣はこれだけの決意をした、渡辺財政ではこれだけの構想と決意のもとに財政の再建をやろうとしておるのだ、その一つの資料としてこれを配るということであってほしいと思うのです。
 ところが、ゼロリストの表を配って、これを配ったけれども一体だれがどうしようというのだ。読み人知らず。私ならこれだけのことはやれない。こんなむちゃなことはできない。ゼロリストにはすることはできないのだ。だから、こうしようと思うという、そちらが先で、その参考資料、こういうことじゃないかと思うのです。これは内閣としては政治的判断ももちろんいろいろ要るでしょうし、特に大平さんが増税問題ではつまずかれた苦い経験もありますので、増税ということを言わないことも一応はわかりますけれども、もはやこの段階まで来て、なおかつ明確に財政再建の基本的な決意なり方向なりということを示さないままに、何となくゼロリストを配って、後はどうだ、君らが考えてみろというようなことでは、本当の意味の財政再建はできない。要するに、われわれはこうやるんだ、鈴木内閣はこうするんだ、渡辺財政の再建はこういう基本方式だということをもうぼつぼつ打ち出してもらってもいいのではないか。
 そういう前提に立ちますと、たとえば来年度の予算編成についても、大臣、これは大変御苦労があると思うのですけれども、国債の元利支払い等の問題あるいは地方交付税、どちらも七兆円超えておりますから、一兆五千億円くらいは国債利子の支払いがふえる。一兆円近くのものが交付税としてふえる。二兆五千億円でしょう。そして二兆円国債発行の減額をする。中身についてはまた議論があるが、二兆円減額するということになりますと、大体考えられる自然増収四兆五千億円としてとんとんというのか、差し引きゼロですね。そうすると、その後、来年度一体どういう予算編成をするかということになれば、ことしは大臣の方からも厳しい通達というか意思表示があって、七・五%以上のものを要求するなということで、各省としても従来の行きがかりにある程度目をつぶって七・五%に抑えたものが二兆六千億あるというのでしょう。そのほかに三千億円、一方でまた七百億円くらいその他で要るから、合わせてみると、二兆六千三百億に三千七百億だから、ぴったり三兆円要る。この三兆円については財源が全然ないのでしょう。
 そうなりますと、渡辺財政として、鈴木内閣としては、この三兆円はもうそんな値切って、七・五に値切った結果なおこれになったのだから、全額認めざるを得ない。そうなれば、これは増税でいくか、経費の節減、既定経費の削減でいくか、二つに一つしかないのだ。したがって、三兆円全部増税でいくか。あるいは半々にして一兆五千億は思い切って切る。一兆五千億は増税だ。少なくともその辺までは結論を示していただいて、その上でそれに協力をしてくれ。もしそれに協力しなければこれこそゼロリストだよ。こういうような行き方がぼくは順序だと思うのです。ゼロリストの方が先へ出て、後は国民に考えろということになると、極端に言えば、責任転嫁みたいなもので、国民の方は当惑してしまう。あるいはこの間はおどかしだとか、恐喝だとかという議論も出ましたが、いずれにしましても、真剣に財政再建をいまの段階で考えるとなれば、もうここまで来れば三兆円の要求を半分に削るか、あるいは増税をするかということにしかならぬと思うのです。
 だから、この辺で、いままでの資料とかあるいは政府の言い方というものは、私はこうする、これ以外にはないのだという、自分の信念を吐露するというのではなくて、ゼロリストではこうなります、何となくこういうような零囲気をつくるというのか、あるいは増税環境をつくるというのかわかりませんが、そういう意味で主語がない、主体性がないと思うのです。
 私は、この意味において、渡辺蔵相、もうこの辺でひとつ主体性をはっきりしてもらって、こういう線でいくのだということを、当分解散もないようですから、安心して出してもらうということが必要ではないかという点が一つ。
 それから、もう一つの要望は、ここまで来れば増税ということも私は避けることができないと思うのですが、そうなれば、やはり今後の中期財政展望というものが必要になってくる。したがいまして、ことしの足らないやつはこれだけだというようなことだけでは困るということを、けさの新聞で見ると、経団連のどなたかも言っておったけれども、これは一応もっともだと思うのです。したがって、やはり中期財政の大きな展望を示す必要がある。
 従来、収支試算というようなものが出されておりますけれども、これは一応の資料であって、どれだけ信憑性と拘束性があるかということになると、問題があります。やはり何かの拘束をするような基本的な財政計画というものが要るのではないか。ところが、いま考えますと、いまから来年の財政計画を立てろと言ってもちょっとむずかしい。そういう意味も含めまして、もうこの辺で改めて中期財政計画というものを考える、また、その前提条件として、ドイツでやったような財政構造改善という法律をつくるか方針を決めるか、そういうことは法律によることを必ずしも必要としないと思いますが、法律をつくってもなお結構。そこで、私は、中期展望が必要だということの上に立って、ドイツの財政構造改善法というものをぜひひとつ大蔵省でももう一遍真剣に、いままでもやられたかもしれませんが、検討してもらいたい。あのとおりのまねをしろとは申しませんけれども、なかなか参考になることが多い。
 たとえば第一は、日本の補助金も大いに切ってもらわなければならぬと思うけれども、八割以上が法律に縛られておる。その法律を一つ一つ直すということは大変ですから、ドイツの財政再建法では御承知のように一括改正でいっておる。それから、歳出についても、七五年くらいのときは一二%以上であったと思いますが、その歳出をだんだん減らしていって、最後のねらいは五%まで持っていく、日本は七・五%ですから、もう一押し、やはり五%くらいまでに抑えていかなければ財政再建はむずかしいだろう。国債の問題につきましても一、先ほど来御議論がありましたけれども、自然増収を上げて国債の償還に持っていくというようなことも考えておるようですけれども、それも賛成だし、同時に、国債依存率も七五年に二一・二%であったものが、ことしはたしか一三・三%くらいですね。そういうふうにして国債依存率も減らしていく。そのためには、一方で付加価値税その他の増税も考えておる。さらに、歳出面の方も、いま申しましたように、思い切って減らすし、のみならず、その結果、収支の改善というのは、私が計算してみると、四年間で大体五兆円くらいの収支改善をやっている。日本もこの辺で前後五兆円くらいの収支改善を考えないと、財政再建は軌道に乗らないと思うのです。
 そういう意味で、ドイツのまねをしろとは申しませんし、事情も違う。特にあの財政構造改善をやるときには、社民党は幹部の二、三人が考えて、決めて、押し切ったのですね。ドイツでさえもあれだけの決意でなければああいう法律は通らない。いまの日本ではそういうことはなかなかむずかしいとは思いますから、その法律をそのまままねしてくださいとは申しませんけれども、少なくともドイツが真剣に財政再建に取り組んだあの姿、あのやり方というものはもう少し参考に取り入れてもらいたい、この二つが要望なんです。いかがですか。
#109
○渡辺国務大臣 非常に含蓄のあるいい話を聞かしていただきまして、これもやはり私は、こういうような非常事態のときに、長らく財政に携わってこられた竹本先生ならではの感を一層深めておるわけでございます。
 実は、学者先生などからも同じような批判を私は受けました。大平総理大臣は、どうも言語、語尾不明確なところがあった、しかしながら結論がはっきりしていた、渡辺大蔵大臣は言語明断でよくしゃべるが、結局何を言っているのだかわからぬという御批判を受けた。それは具体的に言えば、竹本先生のいまおっしゃった話そのままそっくりじゃないかという気も私もするわけであります。
 御承知のとおり、主体性を発揮させて増税路線を打ち出したらどうだというような御意見でございます。私は、それも一つの考え方だと存じますが、しかしながら、やはり財政再建をするからには何のために財政再建をしなければならないのか、それから、いままでの七十一兆円という国債残高は何のために使われてきたのか、こういうことについての国民の理解と協力というものがまずなければ、ただ政府が騒いだからといってうまくいくものではない。したがって、私は、ある程度時間をかけても、いろいろ御批判は御批判としていっぱいちょうだいをする、そしてわれわれも反省すべきところは反省しなければならぬ。そのためには、何といっても国民の大多数の声は、政府がむだ遣いをやめなさい、それから行政改革をやりなさい、経費の洗い直しをしなさい、そこからがスタートだというのが大方の人の声であります。したがって、私といたしましては、まず徹底的な行財政経費の洗い直しというものを一番先にやっていくということをはっきりと言っておるわけであります。
 それから、そういうふうなことをした後において何をやるか。いま御指摘のように四兆五千億円ぐらいの自然増収ではことしの予算以上に増額はできないわけでありますから、できないとすればどういうような問題点が出てくるかということについて、財政審からの要求もあって、機械的ではありますが、こういうふうなことになります、公務員のベースアップもできなくなりますとかいろんな、いわゆるゼロリストといいますか、そういうものを参考資料としてこしらえてみただけのことでございます。
 それから、この「財政再建を考える」という資料にもあるように、ともかくそれ以上に収入が――財源がなければ何もできないわけですから、収入を一体幾ら伸ばせるのだ、それで三兆円というようなものの収入が果たしてできるのか。とてもそんなものはできないということになれば、必要があるといえばあるがなくても済むではないか、こういうような御時世でこれだけの問題があるときだから、いままでのようなわけにはいかない、これはある程度がまんしてもらわなければならぬという経費については、やはり切るものは切らざるを得ないだろうし、あるいは足踏みせざるを得ないものも出るだろう。そういうことで工夫をして、要するに、どれくらいの経費の節減になるのか、そういうようなものを両方集めればうまくできるのかということについて、実はまだはっきりした政府の方針がないわけです。
 したがって、今回財政演説をやらなかったという理由は、そういうようなこれでいこうということがまだ決まっていない、そのために財政演説を見送らせていただいたわけでございます。しかしながら、これもあと二カ月ぐらいのうちには予算編成をしなければならぬ、いやおうなしに結論はどちらかに決めていかなければならぬ。また、現在の段階では来年の経済見通しを得るための数字も手元にないという状態でもありますから、それらを見きわめながら、予算編成時期までには先生の言うようなことも十分に念頭に入れて、どれが一番国民のためになるか、どれが一番理解を得られるかというような観点から、やるべきことはやっていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
#110
○竹本委員 渡辺さんには渡辺さんの行き方があることも当然でございますし、私の意図するところもおおむね御理解をいただいたと思いますので、次へ参ります。
 次は公定歩合の問題です。鈴木内閣ができましてから経済政策についてどれだけの総合的検討が行われているか、私ははなはだ疑問に思うのですけれども、真っ先に出てきたのが、公定歩合を引き下げろ、公定歩合を引き下げろという大合唱である。これはそれ自身景気刺激政策に一つの役割りがありますから、私は全面的に否定するものではないのです。しかし、公定歩合引き下げということは、それだけがすべてではない。政治的意思表示にはなりますけれども、経済的に見れば、それに伴って貸出金利が市中において下がらなければいかぬ。ところが、貸出金利を下げるためにはコストも下げなければ銀行もつぶれる。そうでなくても国債を持ってまいっておるからつぶれてしまう。そういうことになれば、最後は預金金利の引き下げというところまでいかなければならぬ。そうなれば、また、いま問題の郵便貯金の利子も下げなければならないでしょう。そういう意味で、公定歩合を下げるというのは簡単だけれども、その後に続くものというのは一連のシリーズがありますから、いろいろ困難がある。そういうことを一体どの程度読み取って公定歩合の引き下げが叫ばれておるのか。日銀総裁もきのうも参議院で、いまは白紙だと答えたようですから、それで結構です。ただ、私は公定歩合引き下げ論の大合唱に若干の疑問を持っているので、その点で申し上げるわけでありますが、後に続くものはどんなものだということが一つ。
    〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕
 さらに、日本では余りそういうことを考えていないようですけれども、やはり公定歩合を下げるときにはアメリカの金利の動きというものをよほど真剣に考えなければならぬと思うのですね。御承知のように、アメリカは一三%、一六%、それが一〇%まで下がったけれどもまた一一%に上がってきておる。プライムレートも二〇%であったものが一〇%前後に下がったけれども、またいま十何%ぐらいに上がったり下がったりしている。こういうことでございまして、アメリカの金利はどんどん上がっている、またアメリカのインフレを考えれば、カーターさんも上げざるを得ないと思うのです。そういうときに日本だけが金利を下げていくということがわが国の為替レートやその他の金融関係にどういう影響があるかということも考えなければいかぬ。そういう意味で、日本の金利引き下げについては、最近は両にらみという言葉がはやって景気も考えます、物価も考えますという両にらみになっておる。それはそれで結構なんです。しかし、私は日本国内の事情だけではなくて、やはり世界経済、特にアメリカ経済、アメリカ金利の動き等も考える内外両にらみをやってもらいたい。そういう意味で、公定歩合引き下げ論というものは内外も含めた両にらみでやってもらわなければならぬ。そういう意味の慎重さが要ると思うが、大臣の感想はいかがですか。
#111
○渡辺国務大臣 全くそのとおりでございます。御承知のとおり日本も経済大国というようなことで、しかも多くの貿易をやっておる。しかし、石油の値上がりによって日本の国際収支はいままで相当大幅な、特に経常収支は赤字を続けておって、どうしてその手当てをするかということが大きな問題だった。幸いに国際収支においては、海外からのいろいろな資金流入ということに応じて支払い準備も何とか保てるという状態にあるわけです。これは御承知のとおりいろんな要素があるわけでありますが、その中に一つ大きな問題は、金利という問題、国内ばかりでなくて、外国との金利差という問題が、資本金が入ってくるか出ていくかという大きな問題になるわけでありますから、それは当然に現在のフロート制の中では、しかも非常に多くの産油国等の資金が世界じゅうを駆けめぐっておるというような状態の中では十分に考えなければならぬし、その金利水準がまた為替レートに影響してくるということは当然にあり得ることであります。したがって、国内ばかりでなくて、今後の金利問題というものはそういう四方八方に目を配ったものでなければならぬ、仰せのとおりでございます。
#112
○竹本委員 時間がありませんから、次へ参りまして、銀行法の改正についてでございます。
 これは前国会で通る、あるいは法案が出るということであったのだけれども、審議日数その他の関係でこの国会に延ばされておる。この国会では必ずその法案が出てくるだろうと思うのですけれども、その点について大臣の考えを伺いたいというのが一つ。
 それからもう一つは、銀行局長に伺いたいのでございますが、いまの銀行法は、昭和二年ですかにできたカタカナ銀行法というので、もうよく言われておるとおりでございますが、世界の情勢、特に日本の情勢も非常に変転きわまりないもので、情勢は毎日のように変わっておる。そういうときに銀行法だけは五十年、非常にいい法律であったかもしれないけれども、五十年間もその生命を持っておるということはどうも期待できない。したがって、やはり新しい時代に適応した銀行法を早く出してもらいたいという願いを私は持っておる。日銀法もそうですけれども、あれも昭和の戦争中にできた法律ですよ。とにかくこれだけ情勢が変わっても法律の方は変わっていないということは、これは一方からいえば役所の怠慢である。あるいは国会の怠慢である。われわれにも責任があるかもしれません。そういう意味で、とにかく私は世界の情勢が刻々変わる。戦後、特に最近は油の問題もありまして大きく変わるというときに、日本の大事な法律があるいは十年前、あるいは五十年前の法律ということは余りにもギャップができ過ぎる。
 そういう意味で、余談になりますけれども、たとえばイギリスの労働党の政策をわれわれ関係があるから読みます。一番たくさん出てくる言葉はチェンジという言葉なんですね。変化、変革だ。変えなきゃいかぬ、変わるんだ。びっくりするほどチェンジというのが出てくる。この前、フランスの社共の大統領が勝つか勝たぬかといったときのフランスの新聞に一番よく出た言葉というのもやはり変化というシャンジュマンという言葉であったということを聞いておる。さらにまた、この間新日鉄の社長さんがヨーロッパを回ってきて、あちらへ行って一番大きく勉強になったことは何かというのを東洋経済であったと思いますが書いておりました。それはやはり構造改革ということであった。リストラクチュアリングという言葉だということを言っておられる。
 とにかく機構なんというものは鉄筋コンクリートみたいにつくってそのまま何十年も適応ができるのではないので、社会の生きた機構というものはむしろ極端に言えば毎年、日に日に変わらなければいかぬ。それをコントロールしていく法律もやはり五十年というのは余りにも長い。変化をしなければならぬと思うのでありますが、そういう意味で、私は新しく出される銀行法がどれだけ時代の要請に応じたものであるかということにまた非常な関心を持っておるわけですが、銀行局長の方では、そういう法案もいろいろ用意されるということについて、最近先進国の金融制度の改革されておる点はどういう点に特徴があるかという、その特徴のところだけを承りたい。
 以上です。
#113
○渡辺国務大臣 銀行法の問題については、御趣旨のようなことで目下大蔵省内においては審議会等にもかけ、その結論を待っておるところでございます。
 委細については銀行局長から答弁させます。
#114
○米里政府委員 先生御指摘のように、ここ数年世界主要国で金融制度改革がかなり大幅に行われております。
 ごく簡単にその幾つかを申し上げますと、まずアメリカでございますが、一九七八年に国際銀行法というものが制定されまして、これは主として外国銀行に対する規制の強化でございます。それから一九八〇年に金融制度改革法というものが新たに制定されまして、これは金利規制の撤廃あるいは貯蓄金融機関の業務範囲の拡大といったようなことが主たる内容でございます。
 それから、イギリスは御承知のように長い間法令の規定はなかったわけでございますが、一九七九年になりまして銀行法が新たに制定されておる。この中で免許制度の導入などのいろいろな規制が行われておりますし、あるいはまた預金保険制度というものが新たに創設されておる。
 西ドイツは一九七六年に信用組織法を改正いたしまして、大口信用規制の強化あるいは監督当局の権限強化というような内容を盛っております。
 フランスは法律の改正ではございませんが、政令レベルでかなりの改正が一九七九年に行われておりまして、これは一つは貸出準備比率というものの創設をいたしております。一言つけ加えますと、この貸出準備比率というのは自己資本の与信総額、与信残高に対する比率を決めるというものでございます。それから大口融資率がいままでなかったわけでございますが、これを新たに創設しておるということ。それから預金金利規制の緩和などが行われております。
 あと、まだいろいろございますが、御承知のように現在カナダでは銀行法改正案が審議中という状態でございまして、これは主として外国銀行に対する門戸の開放というような内容のものでございます。
 これらを通じまして非常に共通の点が多々ございまして興味のあるところでございますが、簡単に四点ばかり共通のバックグラウンドをしぼって申し上げますと、第一点は、オイルショックの後の金融市場における資金の流れの変化が各国ともに非常に著しいという点でございます。これは端的に申しますと、オイルショック以後各国がインフレに悩みまして高金利がやや定着してきておる。その場合にもろもろの金利規制というものが業種によってかまされておるものでございますから、そういった金利規制をそのままに置いておくと高金利時代に業種間の資金のシフトが発生して、ごく大ざっぱに申しまして商業銀行の地盤沈下ということがかなりはっきり出てきておるということが一つ。それから公共部門、個人部門が与信面で企業部門に比べてかなりのウエートを増してきておるというようなこともございまして、概して業務の多様化あるいは諸規制の撤廃という傾向がございます。
 二番目が金融の国際化の進展、いわゆる内外金融機関の相互乗り入れの問題でございます。
 三番目が金融業務における技術革新の問題にどう対処していくか。
 四番目が、各国でわりあい金融機関の破綻がございまして、非常に激動する時代にもっと健全経営のルールをはっきりさせておかなければならないというような点であろうかと思います。
 以上四点が大体共通の点でございまして、その四点のバックグラウンドを受けまして、先ほど申しましたようなかなり共通性のある改革が世界的に進行しておるという状況でございます。
 こういったバックグラウンドはわが国にも非常に共通の点があると思いますし、御指摘の昭和二年以来の銀行法もこの際新たな情勢に即したものに変革する必要があるというようなことで、先生御承知のとおり銀行法全文改正ということを目下検討中でございます。次期通常国会に提出させていただき、御審議願いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
#115
○竹本委員 まだ質問したいことはたくさんありましたけれども、時間が来ましたので、民社党は時間を守りますから、この辺で終わります。
#116
○綿貫委員長 簑輪幸代君。
#117
○簑輪委員 きょうは余り時間もありませんので、二、三の基本的な問題についてお伺いしたいと思います。
 私は衆参両院の代表質問、予算委員会の質問などをお聞きしておって、政府の基本的な姿勢が、物価高や増税、賃金抑制、福祉の切り捨てなどによって年々国民の生活が悪化している中でさらにそれに追い打ちをかけようとするような国民生活圧迫の方向に大きく傾いていこうとしているのではないか、そういう危惧を持っております。
 そこで大臣にお伺いいたしますけれども、財政再建のためには福祉の切り捨てや、あるいは増税というのはやむを得ないものであるというふうにお考えなのかどうか、その点をちょっとお尋ねしたいと思います。
#118
○渡辺国務大臣 福祉の問題につきましても、財源がなければ福祉の充実はできないわけでございます。また国民生活を安定させるためには、財政は財政なりにいつでも出動してお手伝いができるという体質でなければならない。したがって、いまのような状態では、むしろこのままの状態が続けば国民生活にとってプラスにならないというような判断のもとに、財政の体質改善、再建を図っていこう、こういうようなことでございます。
#119
○簑輪委員 ちょっと納得できない点もありますけれども、私は、予算委員会でわが党の同僚議員が取り上げました「歳出百科」の問題について指摘したいというふうに思います。「歳出百科」では、「わが国の年金水準は、国際的にみても遜色がなく、むしろ高いということができます。」というふうにして、福祉の切り捨てとか国民負担増強の根拠として使われているように思うわけです。これは一体何を基準にして比較されているものなんでしょうか。
#120
○渡辺国務大臣 給付水準等を比較しておるわけですが、これには条件がございまして、たとえて申し上げますというと、日本の厚生年金とドイツのそれとの比較をすると、大体似たような給付であります。しかしながら、掛金の状態を見ますと、日本の場合は千分の九十一とか、ドイツの場合はその約倍の千分の百八十というような状態でありますし、また支給開始年齢を見ても、ドイツでは六十五歳、日本は六十歳、こういうような条件を比べてみますというと、決して日本の年金は劣っていない、こういうことを言おうとしておるわけであります。
#121
○簑輪委員 この「歳出百科」では「年金給付水準の国際比較」というような表を二カ所にわたって載せております。しかし、この国際比較には問題点が幾つかあろうかというふうに思うわけです。
 まず第一に、わが国の年金水準について、わずか百七十万人にすぎない民間労働者を対象とする厚生年金の、それも老齢年金だけを取り出して、やっと月額二万円になったにすぎない約四百万人の老齢福祉年金というものを除外している点です。
 ここで厚生省にちょっとお伺いしますけれども、老齢年金受給者のうち厚生年金受給者の比率というものは一体どうなっているのか。また、この比較に使用されておりますアメリカ、イギリス、スウェーデンの三国は、労働者、自営業者あるいは農民などを含むもので、ほぼ国民の年金受給者全体の平均と見ることができるものではありませんか、お尋ねいたします。
#122
○長尾説明員 お答えを申し上げます。
 まず最初に、厚生年金の老齢年金受給者がわが国の公的年金の老齢年金受給者中どのくらいの比率を占めておるかというお尋ねでございますが、五十四年三月末現在で老齢年金受給者のうちの一四・八%ということになっておるわけでございます。
 次のお尋ねは、ここに出ております西ドイツ、フランス、スウェーデン、イギリス、アメリカにつきまして、それぞれの制度がどれくらいの有業人口をカバーしておるか、こういうようなお尋ねかと存じます。
 この制度のうち、西ドイツは制度のいわば分立をやっておる国でございまして、各それぞれの職域ごとに制度ができておるというふうに申し上げてよろしいかと思います。労働者年金、職員年金はいわゆる被用者でございますが、このほかに自営業者に対しますもの、商工業者とか、それから鉱山労働者というふうに分かれております。全加入者に対しまして、この労働者年金、職員年金合計いたしまして八六%になっておるわけでございます。
 次にフランスでございますが、これも制度の分立をしておりまして、農業者等はまた別の制度でカバーされておるわけでございますが、ここで一般制度と言っておりますものは、フランスの全加入者のうちの六四%になっております。
 次のスウェーデン、イギリス、アメリカの三カ国は、公的年金としては一応全国一本の体系でやっておるというふうに申し上げてよろしいかと思います。
 スウェーデンの場合は、公務員等は別の制度になっておるようでございますが、一応全有業者はこの国民保険に入っておるという状況でございます。
 イギリスにつきましては、公務員につきましてもこの国民保険にいわば二重加入をしておる、こういう形になっております。
 アメリカは、公務員とか鉄道にお勤めの方は別の制度になっておるようでございまして、有業者のうちの約九〇%程度がこのOASDIと言われる制度によってカバーされておるというふうに承知しております。
#123
○簑輪委員 私がお尋ねしましたアメリカ、イギリス、スウェーデンがほぼ年金受給者全体の平均と見ることができるというふうに理解できると思います。
 それで第二点ですけれども、各国の年金制度の実態が隠されているという点があります。私の調べたところでは、このフランスの労働者年金については、一般制度とあわせて企業の強制加入とされている補足年金制度による給付があって、一般制度による給付額の約五〇%に及ぶ付加的給付があるのに、これが意識的に落とされているという点です。それからまたスウェーデンでも、基礎年金のほかに全居住者対象の補足年金制度というのがあって、基礎年金とほぼ同額の給付が付加されているというふうになっているのではないでしょうか。
 これらの点について、厚生省の方からまた簡単にお答えをいただきたいと思います。
#124
○長尾説明員 いま先生からお話がございましたフランスの年金でございますが、私ども承知しておりますのは、法律上の根拠はないようでございますけれども、労働協約によりまして、幹部職員といいますか、ホワイトカラーとブルーカラーとそれぞれ別々の全国単位の企業年金があるというふうに承知しております。この年金の水準でございますが、両方をいわば加重平均いたしまして考えますと、大体いまここにお示ししておりますものの水準の三八%ぐらいの増しになるかと思います。私どもは、実はこれは法律に基づいておりません企業年金でございまして、企業年金というものを入れるかどうかという問題がございますが、そういう意味で、これを入れて比較はいたしておらないわけでございます。
 次のお話のスウェーデンでございますが、確かに法律に基づきまして付加年金制度というものがすでにスウェーデンにおきまして行われておるわけでございますが、この場合、付加年金の額が少ない者に対しまして補足手当というようなものが出ておりまして、先生おっしゃるように、ある程度の水準のものを保障するという体系になっております。
 問題は、私ども、その補足手当なり付加年金の平均額というのは承知しておるのでございますけれども、法律上はそれぞれがいろいろな形で組み合わさるというようなもののようでございますので、現実に労働者の場合にどれくらいの水準のものを受け取っておるかということはちょっと把握ができませんので、入れておりません。
 念のために、補足手当だけを考えまして補足手当の平均をもって考えますと、夫婦のところで見まして、現在のスウェーデンの基礎年金の上に大体二一%ぐらい加わるような額が出ております。付加年金の場合にはこれの三八%増しぐらいが加わるような年金が出ておるという統計がございます。
#125
○簑輪委員 お答えで、そういう表示されているもののほかに付加年金とか補足年金とかあるというのがこの表では落とされているということが明らかになったと思います。
 第三点ですけれども、国際比較に当たっては各国通貨の円換算というのをやっているわけですけれども、これは最近の円高による為替レートで行われていると思うのです。為替レートというのは、各国通貨の国内での実質購買力を反映したものとはちょっと言えないものだと思います。それで、たとえば一九七八年に労働省が試算をいたしましたドルとマルクの購買力の平価によると、円の購買力というのは対ドルで七〇%、対マルクで九〇%であるというふうにされておるようです。
 こういうふうに、こうした問題点を含んでいるこの年金の国際比較の表に基づいて、わが国の年金水準は国際的に遜色がないなどというようなことはできないと思います。むしろ、劣悪な日本の年金の実態を隠して国民を欺いているというふうに言わなければならないと思うわけです。
 国際比較については一度ならず本院でも取り上げられておりますし、さきの九十一国会の衆議院予算委員会で、わが党の工藤委員の購買力平価で比較すべきではないかという質問に対して、当時の経済企画庁長官が、検討するというふうに約束をしておられます。大蔵省としても国民に公正な数字を示して、公平な数字を示してその是非を問うというのが誠実な態度ではなかろうかというふうに思います。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、購買力平価での比較を今後検討していただく、そして国際比較をしていただくということをぜひお約束をいただきたいというふうに思うわけです。いかがでしょうか。
#126
○渡辺国務大臣 先ほどちょっと私、言い落としましたが、年金の比較をする場合、負担の方も比較してもらわぬと困るのでして、出す方は出さないで、もらう方だけの比較をされても年金の比較にならぬわけですよ。したがって、スウェーデンあたりのたとえば社会保障費と租税の負担率というものを国民所得に当てはめてみますと、国民所得に対する負担率というものはスウェーデンが七二%なら日本は三一%だ。税金でも、日本で三百万円で子供二人の人が地方税と国税の直接税十一万円しか払わないならスウェーデンでは八十六万円払っているとか、そういうものも全部ひっくるめた中で御批判をいただかないと、ただ給付水準だけの話をされましてもそれは困るのです。
 それからもう一つは、いまのお話でございますが、これはなかなかややこしい話でして、実際は結論的には非常にむずかしいのです。あなたのおっしゃることはなかなかむずかしい。むずかしいけれども、その理由については専門家からいま説明をしてもらいます。
#127
○簑輪委員 できない理由というようなことは結構でございまして、ぜひやるという方向で御検討をいただきたいというふうにお願いしておるわけでございます。
 それともう一つ、ただいま大臣は負担の比較の方もしなければならないとおっしゃるわけですが、それはそれでまた別に比較をしている表がございます。私がお尋ねしておりますのは、この給付水準の比較の中でごまかしがあるのではないかというふうに申し上げているわけですから、その点誤解のないようにお願いをしたいというふうに思うわけです。
 そこで、同じような問題として課税最低限の比較を国際比較でやられることも間々あるわけですので、その点もお伺いいたしますが、鈴木総理は減税をやらない理由の中で、課税最低限が諸外国に比べて高いということを挙げておられるようです。しかし、これは先ほど申しましたように、変動の激しい為替レートによって比較したものです。ですから、私は課税最低限の比較についてもやはり生計費指数に基づく購買力平価で行うのが妥当ではないだろうかと思います。
 たとえば、日経連でもいろいろ試算しておるようですが、日経連の生計費指数で比較すると、一九七八年の数字では、日本の課税最低限が二百一万五千円に対してアメリカは三百五十四万一千円、西ドイツ二百二十二万四千円、イギリス二百五万九千円、フランス三百万九千円というふうになってまいりまして、日本は課税最低限が高いどころか逆に一番低いというふうになってくるわけです。したがって、為替レートによる比較だけでもって財政再建中減税はできない、減税は見送らなければならないという理由にされるということはとうてい納得できないわけです。
 そこで、為替レートでやられるのは結構ですが、このような購買力平価での国際比較というようなものもあわせてやった上で国民に指し示すのが誠実な財政再建への道ではないかというふうに私は思うわけです。大臣の御見解を重ねてお伺いし、購買力平価での比較というのをお願いしたいと思うのです。
#128
○渡辺国務大臣 購買力平価とか、生活費の比較とかいろいろやり方はあると思いますが、外国人と同じ生活をしているわけじゃありませんので、日本人は日本人の生活をすることで比較しなければいかぬわけですよ。アメリカで日本の生活をするとなったらやはり高くついちゃうわけですよ。ですから、そこのところはレートで比較するのが一番いいのじゃないかと私は思いますが、念のために専門家の意見をひとつ聞いていただきたいと思います。
#129
○簑輪委員 簡潔にお願いします。
#130
○高橋(元)政府委員 前の国会で小泉政務次官から、そういう比較のためによりよい方法がある、また別の方法があるというなら、その基準を参考にするという意味において大蔵省もどしどし取り入れた方がいい、こういうお答えをしておりますが、実はいまお話しの日経連の生活費指数、それから賃金・労働時間の国際比較ですか、これの基礎になっております各種の比較を見てみましても、国連の職員が外国に行って現地人と違う生活をしたらどうなるか、どのくらい金がかかるか、それからスイスのユニオンバンクのものを見ましても、ヨーロッパ人だったら外国でどういう生活をしてどのくらい金がかかるか、「日経ビジネス」にしましても、日本のビジネスマンがニューヨークなりどこかへ行って生活をしたらどういうことでどういう金がかかるか、こういう基準で全部やられておるようであります。
 したがって、いま大臣からお答え申し上げたように、こういう生計費比較というのは、いわば通貨の対外価値を国際的に比較するということでございますから、その基準になるものは大変むずかしくて、先ほど小泉前政務次官の答弁も御紹介申し上げたわけですが、その基準を参考として取り入れるというところまでいっていないというのが私どもの考えであります。
#131
○簑輪委員 引き続き検討いただくようお願いをして、次の問題に移りたいと思います。
 いわゆる主婦のパート税制についてのお伺いですけれども、低賃金、高物価の中で私たちの暮らしも大変になってきておりますが、生活を支えるためにパートや内職に携わる婦人が増加してきております。そういう中でパートタイマーの課税最低限は五十年以来ずっと据え置かれたままになっておりまして、その引き上げを求める声が非常に強くなって、国会へも一度ならず請願が提出されておるわけです。時間給四、五百円の低賃金、社会保険の適用もなく、不安定な労働条件のもとで一生懸命働いております。パートタイマーは、いまや日本経済の一端を支えていると言っても言い過ぎではないというふうに私どもは思っております。いわゆる婦人パートタイマーは昭和五十四年に二百三十六万人と言われております。ことしは国連婦人の十年の中間年にも当たりますし、この際、ぜひこういう働く婦人の課税最低限を引き上げるなど、温かい政治の光が当たるようにしていただくべきではないかと思いますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。
#132
○高橋(元)政府委員 いま七十万円とおっしゃいましたのは、実はその七十万円を超しますと配偶者控除の適用が受けられない、こういう意味でおっしゃったのだと思いますが、その七十万円を分解しますと、給与所得控除が四割、それを最低保障を五十万円にしているということと、それから配偶者の扶養控除適用要件を二十万円ということで限っており、その二つからできておるわけです。したがってパートタイマーの方であっても、要するに給与所得が百二十五万円以下は全部五十万円で最低保障をしておる。それをさらに引き上げるということができるかできないか。配偶者控除につきましても、他に収入のない方に比べて、二十万円までの所得があれば二十九万円の配偶者控除をするという一般の制度の中の問題でございますから、現在のような財政事情のもとでそういう点について引き上げを図るということについては大変困難な問題がある。御理解をちょうだいしたいと思います。
#133
○簑輪委員 おっしゃることはわかっておりながらなおかつお願いをしておるわけでございまして、大臣の御所見を重ねてお伺いしたいと思います。
#134
○渡辺国務大臣 せっかくの簑輪議員の初質問で、私も実はいい答弁をしたいのですが、できないこと、本当に済みません。
 以上でございます。
#135
○簑輪委員 私どもは引き続き要求をし、お願いをしていくということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。
 政府の方としては現行税制の枠内で増収を図るというようなことを言われておりますけれども、御存じのとおり中小企業の倒産が相次いでおりまして、非常に深刻な事態になっているというふうに思います。その中で一握りの大企業は史上最高の利益を上げているわけですけれども、今日最優先で政府が取り組まなければならないのは、大企業、大資産家優遇の不公平税制の抜本的是正ではないかというふうに思います。
 同時にまた、先ほどのお話を承っておりますと、法人税の引き上げ問題が検討されているということでありますが、大企業の法人税の引き上げは当然だとしても、いわゆる中小企業の軽減税率の引き上げを行うということは、現在の中小企業の実態から見てとても承認できるものではないわけです。それで私は中小企業の軽減税率というのはぜひ据え置くべきだというふうに考えておりますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。
#136
○高橋(元)政府委員 現在年七百万円まで二八%に軽減しておるわけですが、大体全体の八割の方がその中に入っておられるわけであります。しかしながら、この二八%の軽減税率につきましては、先ほどほかの委員にお答えしましたように、税率としてその格差が余りに大きくなってきているのではなかろうか。昭和三十年に四〇に対して三五という形で始まったものが、その後法人税率は上下がございましたけれども現在四〇に戻っておりますが、中小法人の方は二八というところまで軽減幅が拡大されてきておる。そうなりますと、法人の形をとった場合の税負担と個人の形をとった場合の税負担というもののバランスということも問題になってまいります。税制調査会の企業課税小委員会からは、そういう意味で基本税率の格差を縮小する方向で検討することが適当であるという御意見もちょうだいをいたしておりますが、いずれにいたしましても、法人税全体を五十六年度税制改正でどう持っていくかということにつきましては、今後大臣の御指示をいただいて具体的な税制改正として構想をしてまいりたいと考えます。
#137
○簑輪委員 きょうの新聞等にも九月の倒産がことし最高であるというようなことが報道されておりまして、中小企業の深刻な事態というのはだれしも否定することができないような状況になっていると思います。そういう中で、先ほどの中小企業の軽減税率の問題については引き上げる方向でというようなお話は、ちょっと実態にそぐわないのではないかと私どもは考えるわけで、重ねて大臣の御見解をいただきたいと思います。
#138
○渡辺国務大臣 中小企業もいろいろございまして、非常にもうからないというところとかなりもうかっているところがあるわけです。御承知のとおり、法人税は倒産をするようなもうからないところにはかからないわけですね、純利益が出たところにかかるわけですから。したがって、いま主税局長からお話がありましたように、同じ法人でありながら格差がうんと開いた、したがって、このままでいいかどうかも含めて今後検討をしなければならないということでございます。
#139
○簑輪委員 現在の私どもの生活の状態、それから深刻な財政破綻をともに打開するということが必要だと思いますけれども、そのためには何よりもまず私は軍事費の増強などそういう問題にメスを入れなければならないというふうに考えておりますし、そのことを強く指摘しておきまして最後の御質問に移りたいと思います。
 冷害対策についてですが、御存じのとおり記録的な冷夏、長雨などの異常気象のために農産物の生育のおくれや収量の減少、病虫害の発生などで被害が急速に広がってきております。被害額が農水省の調査でも戦後最悪の五千六百七十九億円が見込まれるなど非常に深刻な事態を迎えておりまして、いろいろな要望が相次いでおるわけです。
 この問題について、総理大臣も所信表明で、実情に応じた万全の対策を講じるというふうに言明しておられます。そこで、財政当局として救農事業の実施、共済金仮払いの早期支払いなど、各自治体や省庁などの要望や施策というものに対してぜひ前向きにこたえていくべきであるというふうに考えますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
#140
○渡辺国務大臣 これはいい答えができるのじゃないかと私思っておりますが、実際はまだ具体的な被害金額総計が出ておりませんけれども、非常に厳しい財政事情の中ではございますが、関係省庁に対してできる限り工夫、努力をして協力をしてやりたい、かように考えております。
#141
○簑輪委員 積極的な態度をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#142
○綿貫委員長 柿澤弘治君。
#143
○柿澤委員 美人の後で……。
 最後でございますが、十分間と時間が限られておりますので、二つだけ御質問を申し上げたいと思います。
 一つは中小企業の承継税制の問題、もう一つはグリーンカード実施に伴う郵貯の問題でございます。
 中小企業の事業主が亡くなってその息子さんが跡継ぎをしようとする場合、地価の値上がり等が影響しているわけですけれども、事業用資産の相続税というものの負担が非常に重くなってきている。その意味で、事業の円滑な継承と後継者対策という意味で、ぜひ中小企業の事業用資産の相続税について農業者に認められていると同じような特例を認めてほしい、こういう声が各地の中小企業団体の一致した要望事項になってきているわけでございます。最近の新聞を見ますと、通産省でもその点を検討を始めたということでございますが、今後の検討の方向とタイムリミットその他、簡単に通産省の方針をお伺いしたいと思います。
#144
○横田説明員 先生御指摘のとおり、中小企業の事業用資産の承継の問題につきましては、現在主要な中小企業団体の共通した要望課題という形になっております。もとより中小企業の事業が円滑に承継されていくということ、これは非常に重要なことであると私ども思っておるわけでございますが、他方相続税等の税制面におきますと、これも先生御承知のとおり、一般個人とのバランスの問題あるいは農業者の場合の土地、農地等の事業用資産との差異の問題といろいろな問題がございますので、私どもつい先般中小企業団体でございます全国商工会連合会に委託いたしまして、専門家、学識者から成ります中小企業承継税制問題研究会を委託調査という形で発足させました。この十月から審議を始めましたが、私どもといたしまして中小企業の相続の実態の調査から始めまして、現行の制度あるいはその運用の問題点、こういったものを中心になるたけ本年度中に一応の検討結果がまとまるようお願いしておる、こういうことでございます。
#145
○柿澤委員 今年度中に結論を得たいということでございますから、それであれば来年度の税制要求といいますか、その中には入ることになろうと思うのですけれども、そうした形で通産省から要求が出てきた場合、大蔵省としても前向きに考えていただきたいと思うのですが、その点について大蔵省のお考えを伺いたいと思います。
#146
○高橋(元)政府委員 これは五十二年の税制調査会の中期答申の中では、中小企業者の事業用財産は農地と事情が異なるので、農地と同様の特例を設ける必要がないとされているところであって、新たな租税特別措置を設けるというような考え方はとっていないわけでございます。現在中期答申をもう一度十一月までにつくっていただくために全面的に各税にわたって徹底的な再検討をいただいておるわけですが、その中の一環としてこの問題も御審議をいただくことを予定しております。どういう答えになりますか、恐らく五十二年以降農地について所有と経営の不可分という法制上の制約がある、しかし中小企業についてはそれがない、そういう基本的な事情についての差がないということが重要なこの問題のポイントであろうというふうに考えておりますが、税制調査会の御審議のことでございますから、その結果を中期答申でどういうふうにいただくかということで参考にいたしたいというふうに考えております。
#147
○柿澤委員 もう一つは、取引相場のない株式の評価額の問題。これも純資産評価方式ということになっておるわけですけれども、最近の地価の値上がり等を見ますと、相場のあるものに比べて非常に割り高になっておる、これは事実だと思うのです。相場の立っているものは含み資産という形でかなり持っていますから、その点でも現実に遊離した形で中小企業の相続税の方が大企業の相場のあるもので評価される場合よりずっと高くなっている。そのアンバランスについてもぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#148
○川崎政府委員 先生御指摘の評価方法は、個人と全く同じような小企業に適用される純資産価額方式ということをおっしゃっておられると思いますが、この方式は、いわゆる中小企業、中企業をまたさらに分類して大中小というふうに分けておりますが、中企業また小企業それぞれの態様に応じて検討をして時価の評価をこういうふうに行うということでやっておりますので、御要望の点も踏まえて今後検討はいたしたいと思いますけれども、さしあたって急激に変化するといったようなことは考えられないのじゃないかという気持ちも持っておるわけでございます。
#149
○柿澤委員 いまの大蔵省御当局の御答弁ですが、人情大臣として渡辺大臣、中小企業に温情のあるお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#150
○渡辺国務大臣 なかなか税金に情をかけるというのはむずかしいことでしてね。温情では税金関係はどうにもなりませんが、私は、柿澤議員の言うのは、物によってはそういう矛盾のあるものもないとは限らない。したがって、いま国税庁次長が言ったように、どういうところに問題点があるかを含めて検討課題にさせていただきたいと思います。
#151
○柿澤委員 それでは、時間がありませんので、郵貯の問題を一つ伺っておきたいと思います。
 実は、予算委員会でもこの問題を質問したわけですけれども、特に大蔵大臣、郵政大臣の九月二十六日の合意事項に関して、その二で名寄せの問題に関して「五十九年一月一日以降の郵便貯金の限度管理につき、少額貯蓄等利用者カードによって行うことを大蔵、郵政両省間で検討のうえ、早急にその具体的方法を定める。」こうされているわけですが、できるだけ早くやってほしいという私の要望といいますか質問に対して、山内郵政大臣は、まあ五十九年一月の話だからそう焦ることはない、じっくり慎重にとおっしゃっておられたわけですけれども、五十九年一月一日までにやればいいのか、私はそうは思わないわけですよ。
 一つは、この合意事項と一緒に出されました官房長官発言要旨というのの中の一でございますが、「郵便貯金の確認と限度管理について、大蔵、郵政両大臣の御努力で解決する方向の合意ができたことは大変結構である。この上は、一日も速やかに両省間で具体的方法について詰めを行い、金融資産の急激なシフトに歯止めをかける必要がある。」一日も早くやるということの中に、金融資産の急激なシフトに歯どめをかける必要があるからだという説明をしているわけです。だとすると、当面の問題が非常に大きな問題になる。そういう意味で、五十九年一月一日まで待つわけにはいかない。今年度内中にでも具体的方法の骨子は両省で詰めてもらいたいというふうに思うわけですけれども、その点の解釈について、大蔵大臣、どうお考えでしょう。
#152
○渡辺国務大臣 これも閣内不統一にならないようにやはりやっていただきたいということで交渉をしてまいりたいと思います。
#153
○柿澤委員 その点、閣内不統一がどうもあるようですからお聞きしているわけでございまして、郵政省の御見解はどうですか。
#154
○小倉説明員 先般の大蔵省と郵政省の合意につきましては、郵便貯金に対します懸念を払拭いたしますために郵政省といたしまして最大限の措置を講ずるということにしたものでございまして、これによりまして、グリーンカード制度におきます郵便貯金の取り扱いについての問題は大筋決着をしたというふうに理解しております。特に大蔵大臣からも閣議でその旨御披露ございましたし、また報道関係にもいろいろと発表されております。また国会でも、これの合意によりまして、郵便貯金の限度額管理につきましては十分に徹底するもの、そういうことで、いろいろの誤解あるいは懸念というものも払拭されるであろう、このように述べておられるところでございます。
 そういうことでございますので、あと私どもといたしましては、残っておりますのは、実施に当たっての具体的な方法など、非常にシステム技術的なあるいは実務的な事項の検討が残されているわけでございますけれども、これらにつきましては、すでに検討を開始しておりまして、今後事務当局におきまして一つずつ個別に詰めていく、こういうふうに考えております。そういうことによりまして、鋭意遺漏なきを期して詰めていきたい、このように考えておるところでございます。
#155
○柿澤委員 それはだめですよ。大筋決着を見たところでございます、これで万々歳ですということなら、官房長官はなぜ「この上は、一日も速やかに両省間で具体的方法について詰めを行い、金融資産の急激なシフトに歯止めをかける必要がある。」終わったのじゃないんですよ。これからこれをやって歯どめをかける必要があると官房長官はおっしゃっているのです。官房長官の発言を郵政当局は否定しようとするのですか。どうですか。
#156
○小倉説明員 私は、先ほど申し上げましたように、両大臣が合意されましてこれを御発表になりますことによりまして、各方面での懸念というものが払拭されることが非常に大きく期待されている、こういうことを申し上げたわけでございます。
 あと、いま申し上げましたように、決して逡巡しあるいはまたいたずらに遅延して検討を延ばそうということじゃございません。非常に技術的なあるいは実務的な事項がいろいろとございます。そういう細部でございますので、たとえば、非常に専門的に相なりまして恐縮でございますけれども、現在国税庁からカード番号制度の体系その他いろいろとお聞きしておるところでございますが、私どもの億を超します郵便貯金の名寄せに番号を用いるという方向は決定したわけでございますので、その技術的なやり方、たとえば入力方式がどのようなやり方で入れていくか、あるいは億を超します名寄せの場合に、現在御予定いただいております国税庁の方の十一けたの番号でそのまま使わしていただいて問題ないかどうか、あるいはコンピューターシステムの更改、改造等の問題、そのようなものにつきまして相当技術的あるいは実務的に詰めてまいらなければならないということでございますので、早急にわれわれも努力はいたしますけれども、いま申し上げたようなことでございまして、大筋は、先ほど申し上げましたように、両大臣の合意と御発表によりまして、世の中の懸念というものが払拭されることをわれわれは大きく期待しておるものであることを申し述べますとともに、また郵政省といたしましては、今回の合意に従いまして鋭意限度額の管理の強化に努めてまいる所存であるということを重ねて申し上げさせていただきたい、こう存ずるわけでございます。
#157
○柿澤委員 ちょっと歯切れが悪くて、この官房長官の発言要旨とどうも違うような気がするのですが、まあとにかく、やりますということですから、一日も早く具体的方法を詰めていただきたいと思うのです。
 もちろん、そのコンピューターの入力のやり方であるとか、そういう問題は、それは最後までいろいろかかるかもしれませんけれども、基本についていまの制度のままでいけるのかどうか。まあ人によってはといいますか、考え方によっては、法律の改正が必要なんじゃないかという議論すら出てきているわけですよ、世の中には。ですから、そうなると、法律改正が必要だということになってしまったら、五十九年一月一日の実施も延ばさなければならないということにならないとも限らない。こうなっては、総合課税への大蔵省の努力というものに水を差すことになるわけですし、その点は決して好ましいことでもありませんので、そういう意味で一日も早くやっていただきたい。年度内にやります、大筋は大蔵省と話し合いをいたしますというようなお答えをいただけませんか。
#158
○小倉説明員 先生ただいまお話しございましたように、私どもも最大限努力をいたしまして早く詰められるように努力をしてまいりたいと思います。
#159
○柿澤委員 それでは、最後に大蔵大臣にその点御所見を伺って終わりたいと思います。
#160
○渡辺国務大臣 先ほども私お答えしたように、郵政省は国家の一部分ですから、政府の一部分ですから、政府の方針に違ったようなことをやるはずがないし、ただ技術的な問題やなんかで多少の時間を要することはやむを得ないことだろうと思っております。いずれにしても、郵貯が大口の脱税に乱用されるというようなことでは非課税にしておくということに問題が出てくるわけでありますから、そういうことのないように両方で協力をしてやってまいりたい、こう考えております。
#161
○綿貫委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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