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1947/10/15 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第24号
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1947/10/15 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第24号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第24号
  付託事件
○酒類配給公團法案(内閣提出)
○物價引下運動促進に関する陳情(第
 九号)
○製塩事業保持対策樹立に関する陳情
 (第十九号)
○織物の價格改訂に関する陳情(第二
 十八号)
○少額貯金及び各種團体預金封鎖解除
 に関する陳情(第五十二号)
○インフレ防止に関する陳情(第七十
 一号)
○会計檢査院法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○電氣税復活反対に関する請願(第四
 十三号)
○低物價政策上官営事業料金の値上げ
 反対に関する陳情(第百九十号)
○連合軍兵舎並びに宿舎建設用木材前
 受金の第二封鎖解除に関する陳情
 (第二百十一号)
○賠償税の新設に関する請願(第百十
 八号)
○中古衣類の公定價格を廃止すること
 に関する請願(第百三十八号)
○企業再建整備法並びにこれに伴う諸
 施策に関する請願(第百四十号)
○中古衣類の公定價格制度を廃止する
 ことに関する陳情(第二百三十三
 号)
○会計檢査人法制定に関する請願(第
 二百二号)
○貿易資金特別会計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○失業保險特別会計法案(内閣送付)
○非戰災者特別税に関する陳情(第三
 百三十一号)
○政令第七十四号中憲法違反の條項に
 関する請願(第二百五十七号)
○政府職員に對する一時手当の支給に
 関する法律案(内閣送付)
○自給製塩制度存続に関する請願(第
 二百九十一号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税課税外
 とすることに関する陳情(第三百八
 十一号)
○庶民銀行設立促進に関する陳情(第
 三百九十一号)
○通貨発行審議会法案(内閣送付)
○経済力集中排除法案(内閣送付)
○物品税免税点の引上げ等に関する請
 願(第三百二十八号)
○今次日立鉱山地区の水害復旧特別融
 資等に関する陳情(第四百十二号)
○金属鉱山事業を経済力集中排除法案
 中より除外することに関する陳情
 (第四百十五号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税の課税
 外とすることに関する陳情(第四百
 十八号)
○企業整備に関する陳情(第四百十九
 号)
○自給製塩制度存続に関する陳情(第
 四百二十九号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十五日(水曜日)
   午後一時五十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○通貨発行審議会法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) それではこれから委員会を開会いたします。本日は政府職員に対する一時手当の法案を御審議願うつもりでありましたが、大藏大臣が今日はどうしても差支えで出られないそうであります。これは本日はあとに廻しまして、通貨発行審議会法案につきまして御審議を願いたいと思います。先ず政府委員より提案の理由の説明を求めたいと思いまま。
#3
○政府委員(佐多忠隆君) 通貨発行審議会法案につきまして提案の理由を御説明申上げます。
 申すまでもなく通貨の過度の増発は物價の騰貴、延いては生産活動及び國民生活の実体に極めて重大な影響を及ぼすものでありますから、通貨対策といたしましてはこの点は最も愼重でなければならないと存じます。通貨の増発を抑制するためには、政府といたしましては放出された通貨吸收の一方策としまして、目下展開されております貯蓄増強運動の成果に多大の期待を懸けておりますことは勿論でありますが財政資金及び産業資金の放出面におきましても、これを可及的に抑制することが肝要であると存じます。そのため財政につきましてはその健全化、收支の均衡に極力努力いたしております。又事業資金につきましては通貨の増発を抑制しつつ、尚重要産業には極力資金を供給する趣旨から、融資規制の実施によりまして、金融機関の運用資金は原則として市中より吸收した蓄積資金の範囲に限定し、日本銀行よりの借入依存の傾向を排すると共に、不急産業に対する資金の貸付けは極力これを抑制し、重要産業資金の供給を重点的に行なつているのであります。
 かくのごとく通貨の過度の膨張を抑止するためには、財政金融政策をこれに即應せしめることは当然でありますが、他面通貨の発行自体についてもその規制を図り、その発行量を我が國現在の経済的諸情勢に適合したものたらしめる必要があるのでありまして、両両相俟つて適切な施策を講じ、以て現下のインフレーションの昂進を阻止し経済再建を速やかならしめたいと考えております。
 これがため政府においては、さきに昭和二十二年法律第四十六号を以て日本銀行法の一部を改正する等の法律を制定し、通貨発行審議会をして通貨の発行限度等通貨量の適正な規制に参與せしめることといたしたのでありますが、今般同審議会の組織権限に関し規定を設けるために、通貨発行審議会法案を提案することと相成つたのであります。尚從來は通貨発行審議会その他これに類似する委員会等の官制は勅令又は政令を以て定められていたのでありますが、新憲法の下におきましては、特にその官制を法律によつて定める必要があると認められますので、ここに法律案として通貨発行審議会法案を提案いたした次第であります。
 以下本法案についてその内容の主なる点を簡單に説明いたします。
 先ず第一に、通貨発行審議会は、日本銀行法の規定によつてその権限に属された事項、即ち日本銀行劵の発行限度の決定、三十日を超える日本銀行劵の限外発行の決定、限外発行の日本銀行劵の発行税の最低割合に決定、及び日本銀行劵発行保証物件の充当限度の決定につき議決を行うのでありますが、これらはすべて廣く全般的な経済情勢に照し、又汎く各界の声を聞くことによつて、財政金融経済を通ずる最も綜合的な見地よりなす必要があり、更に又財政金融経済の極めて、重要な問題と考えられますので、内閣総理大臣の所轄に属せしめたのであります。
 第一に、通貨量を適正に規制するには、これと並んで現在通貨増発の原因をなしている財政金融経済に関する諸施策を檢討する必要があると考えられますので、特に通貨金融政策の基本に関する事項については、これを審議の上内閣総理大臣に建議することができるものといたしました。
 第三に、通貨発行審議会の組織でありますが、この点については只今申上げましたように、通貨の規制を最も綜合的な見地より行う必要があり、又事柄が極めて重要でありますので、内閣総理大臣を会長といたし、金融界を代表する者四人産業界を代表する者三人その他の学識経驗者三人、都合十人の民間人を委員に選定して、内閣総理大臣がこれを命じ、更に職務上の当然の委員といたしまして大藏大臣、経済安定本部総務長官たる國務大臣、日本銀行総裁の三人を加えまして、民間、政府発劵銀行当局を通ずる十三人の委員によつて組織することといたしました。尚民間委員の選定に当りましては特定の地域における利益の代表に偏しないように特にこれを法文に明記いたしましたし、又その任期は二年として半数ずつ交替させる趣旨で、法律施行後最初に任命される委員に限りまして、その半数については任期を一年といたしたのでございます。
 以上申述べましたように、只今上程されました通貨発行審議会法案は、現在の金融情勢の推移に鑑みまして、日本銀行券発行の適正を期するために必要なものでありますので、何卒御審議の上速かに御協賛あらんことを切望いたす次第でございます。
#4
○委員長(黒田英雄君) それでは御質疑に入ります前に、もう少し詳しくこの説明をして貰つたらどうかと思うのであります。尚現在の金融状況につきましてもお話を願つたらどうかと思います。さようにいたしたいと思います。
#5
○政府委員(佐多忠隆君) 先ず簡單に最近の通貨金融の状況をあらまし御説明いたします。
 昨年三月に実施いたしました金融緊急措置令によりまして、その頃六百億円でありました日本銀行券の発行高が一時は百六十億円に減退したのでありますが、その後いろいろな事情から、各月更に増加して参りまして、昨年度末即ち本年の三月末でありますが、千百五十七億ということになりました。今年度に入りまして四月からも増加の傾向は引続きありまして、九日末現在では千五百六十四億ということになつております。通貨発行の足取を見ますと、昨年度中は月平均大体八十億円程度ということになつておりましたが、今年度に入りましてからは四月に六十七億円、五月七十二億円、六月に六十六億円、七月に七十四億円、八月に六十九億、九月に五十七億圓と、各月概ね一定の増加をして参つたのでございます。その結果本年度上半期即ち四月から九月までの間には四百七億の通貨増になつております。月に平均いたしますと、六十八億ということになつているのでございますがこれを昨年度に比較いたしますと、二十一年度上半期は四百五十六億、從いまして増加の額が約五十億だけは去年と比較して減少しているということになります。月平均といたしましても、昨年は七十六億ということになつておりまして、それに較べて今年は六十八億若干少くなつているということが認められるのでありますが、増加は若干少くなつたにしろ、尚絶対量としましては、相当大きな増加を來しつつあるというのが現在の状態でございます。
 こういう程度の増発は一体どういう原因によつて出たかということが、問題でございますがこれを概括的に申しますと資金の需要の側をなしますところの財政資金、並びに産業資金、両方の合計額が、資金の供給面をなしますところの預貯金の増加よりも多かつたということに原因があると思うのでございます。即ち第一に財政收支の方で赤が出たということだと思うのでございますが、一般会計につきましては、御承知のようにすでに本年度の予算において收支をバランスするということになりますので、年度を通じましてはそんなに赤が出ない筈でございますがただ歳出については大体各期を通じまして平均して出るのでございますが、歳入の方は年度初めにおいて比較的に少くて、年度末に片寄つているというような関係がございますので、そういう点で一般会計においても若干の赤が出ておるということでございます。それから特別会計につきましては、独立採算制をとる建前ではございますけれども、尚鉄道、通信等には損益勘定においてすでに赤字がございますし、その外施設の復旧建設のための工事に相当な支出が行われておりますので、工事勘定の方においても赤が出ておりますのみならず、貿易資金の特別会計なり、或いは食糧管理の特別会計等におきましても、賣買の價格差その他の関係で相当の收入不足がありまして、これに更に地方財政の赤字を入れますと財政資金全体において相当の支出超過が行われているということであります。
 産業資金の方について申しますと、先般來融資規制を行つて参つたのでありますが、それでも尚且つ石炭、肥料などの重要産業を初めとしまして、生産を維持し拡大して行くためには、どうしても相当巨額の資金が必要でございますし、今囘の價格改訂によりまして、從來のような赤字資金は一應原則的には消滅したのでありますが、價格引上げによる運轉資金の増大とか、最近におきましては公團の運営の活溌化によりまして、資金の一時的重複等の関係もございまして状況は段々改善されつつあるとは思いますが、未だ所要資金が減少するまでには参りませんし特に復興金融金庫を通じまして巨額の融資が行われておるにも拘わらず、復興金融金庫債券の中には大部分が日本銀行の資金に依存しておるという状況でございます。一方にそういうふうな資金の需要が相当多額に上ります反面におきまして、貯蓄の状況が非常に好成績であつてこれで資金の需要を全部賄うということになれば問題はないのでありますが、最近におきましては相当貯蓄の状況はよいのでございますけれども、全体として更に需要資金全部をカバーする額に達しておりません。即ち貯蓄の状況について考えて見ますと、去年の秋以來救國貯蓄運動が展開されまして、これによつて自由預金増加は昨年の九月頃から段々多くなつて参つたのでございますが、各月七十億円を越すぐらいになりますし、最近の実績では四月が六十二億円、五月が九十九億円、六月が百二十二億円、七月が百二十億円、八月が百四十一億円、九月が百三十二億円ということになりまして、当初月額百億円を目標にしておつたのでございますが、この目標を突破する好成績でございます。他方におきまして封鎖預金の減少は各月とも相変わらず減少を続けておりまして、四月は財産税の関係等もありますが、九十八億円、五月が六十二億円、六月が三十二億円、七月が五十六億円、八月が四十二億円、九月が四十一億円とそれぞれ減少いたしまして、この自由預金の増加と封鎖預金の減少とを相互合計しその結果できましたところの純資金の増加が、先に申しましたように財政資金と産業資金との需要資金全体を賄うには不足して、それだけが日本銀行券の増発となつたという関係でございます。
 これを上半期の数字についてもう少し申上げますと、今の資金需給綜合実績の問題でございますが、財政資金といたしまして需要されたものが、今年度上半期、即ち四月から九月の間に二百九十五億円ということになつております。これはその中の二百九十三億円が國庫財政の問題でございますし、二億円が地方財政でございます。それから産業資金融資増加額は上半期六ケ月で五百二億円ということになつておりますこの中一般金融機関からは二百七十九億円、復興金融金庫から二百二十三億円出ておるという勘定になります。財政資金と産業資金両者の合計で資金需要の総額を見ますと、七百九十七億円ということに相成つております。それに対しまして資金供給の面でございますが、一般自由預金の増加が六ケ月の間に六百七十五億円、第一封鎖預金の減少が三百二十六億円ということになりまして、両方を合計しまして計三百四十九億円ということに相成るのでございます。それで先申上げました資金需要としては七百九十七億円あつたのに対して、資金供給の面は三百四十九億円ということになつておりますので、ここに資金不足として四百四十八億円が出て参つたのでございますが、この資金不足の殆んど全部が通貨増発というような形になつた結果になつておりまして、先申しましたように、大体六ケ月間の通貨増発に四百六億ということに相成つたわけでございます。
 先程通貨増発の金額を各月別に申上げたのでございますが、そのときお分りのように、大体最近時に九月において通貨増発の傾向が鈍つて來ておるという事情が見られるのでございます。これは第一には政府資金の撤布が從來より若干増加しておるのに対しまして産業資金の貸出しが予想外に少いということ、それから自由預金の増加が先申しましたように相当好成績であるということが言えるのであります。のみならず、全体的に見ましては、生産は必ずしもそんなに上昇しておるとは申せませんが、聯合軍当局の厚意によりまして、食糧の大量な放出があり、又は通貨の増発が鈍つたこと等によりまして、流通秩序確立の施策の効果もあつた。或いは闇取引、闇價格が、相当抑えられておるというような点も考えられるのじやないかと思ふのでございます。
 これらの減少の中で特に顯著なことは、金融機関の融資が非常に引締められておるということであると思うのです。これは第一には先申しましたように、融資規制をやりまして、不急不要なる部分には資金の貸出しを抑えておりますので、この政策が効果を挙げて、來つつあるということが一つ。それから最近公團資金の需要が非常に大きくなつて参りまして、復興金融金庫からこの貸出しを行つておるのでございますが、金融機関からはこの面の貸出しがなくなつて來た、のみならず反対に融資の囘收が行われまして、それらが市中金融機関の方に預金となつておるというような事情もございます。それから價格改訂によりまして、赤字融資が相当減少したこと等によると思いますが、更に大きな原因は最近の経済力集中排除関係、その他企業再建整備法の結果による整備計画等々の問題で行先き氣迷い状態があるというので、或いは閉鎖機関関係の問題があるというので、そういうことによつて融資が手控えられておる面も少くないというようなことがございまして、それらいろいろな事情が重なり会いまして最近通貨の増発の傾向が鈍つたということが言えるのじやないかと思います。
 ただこの通貨増発の傾向は、大体九月中には鈍つていたと見られますが、更に九月の末から、特に九月の下旬から若干増加に轉換しまして、その勢いは十月も引続いておりますし、十日までの間に相当増加いたしておりますので、すでに昨今では千六百億台を越しつつあるというような状況でございます。
 以上簡單でありますが、金融情勢を御説明申上げます。
#6
○委員長(黒田英雄君) 昨日御要求の資料は大体できておるそうであります。お手許には明日までには配布できるそうでありますが、この場合御質問がございますればお願いしたいと思います。
#7
○松嶋喜作君 昭和二十二年法律第四十六号日本銀行法の一部を改正する等の法律に伴つて今度は何ができて來たのでございますか、この昭和二十二年法律第四十六号をちよつとお読み願えませんか。
#8
○委員長(黒田英雄君) それでは銀行課長に説明員として説明をして頂くことに御異議ございませんか。
#9
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。
#10
○説明員(西原直廉君) 只今お尋ねがございました日本銀行法の一部を改正する等の法律案を一應読み上げます。
  日本銀行法の一部を次のように改正する。
  第十六條中「勅裁ヲ經テ政府」を「内閣ニ於テ」に改める。
  第三十條第一項中「主務大臣ハ」の下に「通貨發行審議會ノ議決ニ基キ閣議ヲ經テ」を加える。
 これが只今お尋ねの「通貨發行審議會ノ議決ニ基キ閣議ヲ經テ」という関係から、通貨発行審議会を置くことについて必要になるという意味の條文が出て來たわけでありますが、第三十條と申しますのは、御承知のことと存じますけれども、「第三十條主務大臣ハ前條第一項ノ銀行券ノ發行限度ヲ定ムベシ」というのが元の規定でございます。從いまして、この関係で直しました條文といたしましては、「主務大臣ハ通貨發行審議會ノ議決ニ基キ閣議ヲ經テ前條第一項ノ發行限度を定メル」ということに相成るわけでございます。
 その次の條文から改正になりましたのは第三十一條、これは全部が改正になつております。読み上げますと「日本銀行ハ必要アリト認ムルトキハ前條第一項ノ發行限度ヲ超エテ銀行券ヲ發行スルコトヲ得但シ十五日ヲ超エ其ノ發行ヲ繼續セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ日本銀行前項ノ規定ニ依リ三十日ヲ超エテ前條第一項ノ發行限度ヲ超ユル銀行券ノ發行ヲ繼續セントスル場合ニ於テ主務大臣前項但書ノ認可ヲ爲スニハ通貨發行審議會ノ議決ニ基クコトヲ要ス」これが全部改正に相成つております。
 この後は第三十一條の二という新しい條文が入つておりまして、「日本銀行ハ十五日ヲ超エテ發行限度ヲ超ユル銀行券ノ發行ヲ繼續シタル場合ニ於テハ十六日以後ノ發行限度ヲ超ユル銀行券ノ發行高ニ對シ其ノ日數ニ應ジ主務大臣ノ定ムル割合ヲ以テ發行税ヲ納ムベシ但シ其ノ割合ハ通貨發行審議會ノ議ヲ經テ主務大臣ノ定ムル割合ヲ下ルコトヲ得ズ」この三十一條の二で限外発行の場合における発行税を規定いたしたわけであります。
 その次は第三十二條の現在の條文に一項を加えまして、「主務大臣ハ通貨發行審議會ノ議決ニ基キ第二項第一號乃至第四號及第四項に掲グルモノニ付各別ニ保證ニ充ツルコトヲ得ル金額ノ限度ヲ定ムベシ」そうしてこれによりまして、補償準備金額の限度を定めることに相成つたわけであります。
 その次は第四章に次の一條を加える三十六條の二というのを新らしく設けられたのでございます。これが只今御質問の点に関することと存じますが、「通貨發行審議會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ということに相成つておるわけであります。この点で先程御説明がありましたように、通貨発行審議会は当初勅令を以て定めることに予定されていたわけでありますが、新憲法の公布されましたあとといたしまして、法律を以て定める方がよいということに相成つた次第であります。
 尚日本銀行の只今の改正はまだ次のような改正があります。第三十九條の第三項といたしまして、そこに第三項を次のように改めることになつております。「日本銀行は剩餘金中ヨリ拂込出資金額ニ對シ配當ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ但シ其ノ配當ハ年五分ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ」、こういうような規定もこの前の法律のときに定められておるわけであります。まだ若干ございますが、直接関係ないと思いますから、これで終ります。
#11
○松嶋喜作君 それではこの通貨発行審議会を法律の議を経て置くということは、この非常に膨脹する通貨つまりインフレーシヨン対策の一環を狙つて愼重に通貨の限度を決める。こういうような狙いであると解してよろしいのでしようか。
#12
○政府委員(佐多忠隆君) その通りであります。從來は主務大臣が單独に銀行券の発行限度を定め、その他のことをなしていたのでありますから、それらを愼重にいたすために通貨発行審議会を設けて、その議決に基いてそういうものを決めて行くという考えでございます。
#13
○松嶋喜作君 それではこの通貨発行審議会の構成員というものが非常に重大な役割をなすと思います。先程もお話にありましたように、通貨の膨脹ということは、産業と財政の二つでありますが主として現在の通貨膨脹は財政支出の膨脹にあるように思います。御説明のように……。そうしますと、財政の膨脹というものは政府の意図するところでありまして、從つて政府が事業をなし、赤字の公債を発行するというところに基因するのでありまするがそれを批評し、阻止する委員会としては構成員が非常に政府に対してブレーキをかける、政府に対して嚴格な批判をするという役割を演ずることが肝要だと思うのですが、併しその構成員は総理大臣、大藏大臣、安本長官、日銀総裁、それから学識経驗者と申しましても、私は純正なる立場に立つものとしてはいつも力が弱い。銀行の出身もありますが、それも金庫等については半ば政府の任命によつておる。一言にして申しますれば、審議委員会の委員なるものは概ね政府の息のかかつた人が多い。こういう委員会の構成では所期の目的は達し得られない。私はこういう委員会ができても大きな國家財政の波というものは防ぎ切れない。審議会で愼重を期するといいましても、その構成員については余りに政府色が強過ぎるのじやないか、なぜ國会議員を入れないか、少くとも下院は別としても参議院議員をこの審議委員会に入れないかという不審があるのであります。この点はいかがでありますか。
#14
○政府委員(佐多忠隆君) 今のお尋ねにお答えいたします。第一点のなぜ議員をこの審議会に加えないかというお尋ねでありますが、これは御承知の通り通貨発行審議会は政府の一つの機関でありまして、言わば行政機関の補助的なものになると思いますので、そういう意味におきまして、行政機関的な性格を持つておる審議会なり委員会に、國会の議員を委員になつて頂くということは不適当である。飽くまで行政と立法は別にして置きたい。殊に政府の機関でありますし、総理大臣の所轄に属し、総理大臣の監督に属することになりましたから、立法者が行政機関の長の監督を受けるということは不適当と思いますので、そういう意味で國会議員の方々の御参加は願わないことにして、國会による審議は別途國会において、特にこういう委員会等において十分御審議願いたいという意味で國会議員をこの委員の構成員にいたしておりません。
 第二点の民間代表の委員を選ぶ場合の考え方でございますが、これは先程申しましたように、成程政府の機関ではありまするが、非常に独自な見解を持つた機関と考えておりまして、委員といたしましても、先程申上げましたように、金融界から四名、産業界から三人、学識経驗者三人、合計十人、これだけを民間の豊富な学識経驗を持つた練達堪能の士を以てこれに当てるということにいたしまして、政府の委員は大藏大臣と安本長官、それから別に日本銀行総裁ということになつておりまして、むしろ数から申しますと、民間委員の方が遥かに多数でございます。從つてそういう方々が政府の意向とは完全に独立に、自由闊達な氣持でいろいろ御審議を願い、特に通貨発行に対しての議決をお願いしたいというのがこの委員会の狙いでございます。
#15
○松嶋喜作君 國会議員の方はそれで分りましたが、ここに日銀総裁が審議会に加つておる。これは重大な役割を演ずるものかと思います。ところが、この日本銀行法なるものは、確か昭和十七年でありましたか、非常な改正をやりまして、そうして戰爭目的に副うように國家目的の達成のために大藏大臣日銀はいかなることでもできるような法文になつておると記憶しております。然らばその末である委員会を構成して非常に通貨の膨脹面を嚴正に規正するというようなお建前は誠に結構でありまするが、もつと遡つて戰時中の総動員法実行にも匹敵すべき非常に強力な日本銀行法、一條二條三條で大藏大臣の命令があればいかなることでも金融面においてもできるというようなこういう大きな改正をなぜ狙われないか、私は不思議に思うのであります。それはどういうのでありましようか。
#16
○政府委員(佐多忠隆君) お尋ねの点でございますが、日本銀行法は御承知のように昭和十七年にできたのでございますが、当時は申すまでもなく戰爭中でございまして、その戰時中にできた立法に対しましては、この間の議会でいろいろ審議をお願いしまして、特に差当り必要な問題については、先程申上げましたような改正法を御審議願つて決定して頂いたわけでございます。そのときの考え方は、特に主務大臣が單独にできることにいたしておりますことについて、それでは余りに單独な趣意に走り過ぎる嫌いもなきにしもあらずと思われまして、國会の御意見或いは各方面の輿論を取入れまして今申上げましたような通貨発行審議会を設け、これの議決に基いて重要な点は決めるというようにいたしたわけでございます。尚御指摘のように、或いは第一條において國家経済総力の適切な発揮を図り、或いは國家目的の達成を使命として運営せられるとかいうような文句がございますが、これらの点は、大体中央銀行としての使命を一應謳つたつもりでございまして、それ以上は特別に戰時的な任務なり何なりを規定しているというふうには考えていないのでありますが、更に御指摘のように、成る程日本銀行制度自体についていろいろ論議し探究さるべき問題も多々あると思うのでございますが、これは只今一般金融機関の再建整備が行われつつある状態でございまするし、あの考え方の場合にも一應再建整備法から日本銀行を除きまして、一般の金融機関において、再建整備がなされた後において日本銀行の問題は制度的な問題として考えたい。そのときに同時に日本銀行法の根本的な改革の問題も考えられるであろう。從いまして時期的に見てもう少しあとの問題にいたしたいという意味で一應このままにしてある次第でございます。
#17
○松嶋喜作君 全然前の質問と趣旨が変るのでありますが、この通貨審議委員会が設置されて段々貿易再開という問題が起つて來て、外國貿易、從いましてこの通貨の安定、爲替相場との操作とかいうことも必要になつて來るのですが、いずれの國でも皆プレトン・ウツヅ協定に参加して、この國際的の通貨協定に参加するということを敗戰國でも目的として、イタリーのごときはもうすでに入つたように聞いておりますが、こういう國際通貨の安定というようなことの狙いについての何か関係は少しもありませんですか。御用意はあるのかないのか、その点……。
#18
○政府委員(佐多忠隆君) お答えいたします。國際通貨との関聯における通貨安定の諸方策につきましては、爲替の問題、外貨の問題等々関聯いたしましていろいろ審議はいたしておりますが、今直接に直ぐそういう問題に対してどういう態度を取り、どういう方策で参加して行くということは直接的には未だ具体的に策を立てておりません。ただそういうふうに國際的な通貨安定に参加します第一條件は、何と申しましても國内通貨の安定、從つて國内経済の安定にあると思いますので、專らその点の施策を急ぎまして、先ず國内経済を安定せしめ、通貨を安定せしめ、それに目度が付いて、更に世界的な情勢を睨み合して、國際経済への参加を急ぐというような方向に持つて行きたいというのが現在の考え方でございます。
#19
○松嶋喜作君 最後にこの民間の委員の選定が非常に重要な意義であると思いますから、この御選任については十分な考慮を拂われたいという希望を附して質問を終ります。
#20
○委員長(黒田英雄君) 本日はこの程度にいたしまして、次会に更に質疑を続行するようにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。――御異議ないものと認めまして本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           伊藤 保平君
   委員
           下條 恭兵君
           木村禧八郎君
           森下 政一君
           西川甚五郎君
           松嶋 喜作君
           山田 佐一君
           木内 四郎君
           星   一君
           石川 準吉君
           小林米三郎君
           高瀬荘太郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
  政府委員
   総理廳事務官
   (経済安定本部
  財政金融局長)  佐多 忠隆君
  説明員
   大藏事務官
   (銀行局銀行課
   長)      西原 直廉君
ソース: 国立国会図書館
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