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1979/12/07 第90回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第090回国会 大蔵委員会 第2号
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1979/12/07 第90回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第090回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第090回国会 大蔵委員会 第2号
昭和五十四年十二月五日(水曜日)委員長の指名
で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
 税制及び税の執行に関する小委員
      愛知 和男君    麻生 太郎君
      熊川 次男君    椎名 素夫君
      白川 勝彦君    中村正三郎君
      村上 茂利君    綿貫 民輔君
      伊藤  茂君    沢田  広君
      塚田 庄平君    山田 芳治君
      坂口  力君    柴田  弘君
      正森 成二君    玉置 一弥君
 税制及び税の執行に関する小委員長
                愛知 和男君
 金融及び証券に関する小委員
      麻生 太郎君    稲村 利幸君
      熊川 次男君    高鳥  修君
      玉生 孝久君    中村正三郎君
      林  義郎君    山崎武三郎君
      川口 大助君    佐藤 観樹君
      島田 琢郎君    堀  昌雄君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      渡辺  貢君    竹本 孫一君
 金融及び証券に関する小委員長
                稲村 利幸君
 財政制度に関する小委員
      稲村 利幸君    大村 襄治君
      椎名 素夫君    高鳥  修君
      玉生 孝久君    毛利 松平君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      伊藤  茂君    川口 大助君
      島田 琢郎君    山田 芳治君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      多田 光雄君    竹本 孫一君
 財政制度に関する小委員長
                高鳥  修君
 金融機関の週休二日制に関する小委員
     愛知 和男君     白川 勝彦君
     藤井 勝志君     坊  秀男君
     村上 茂利君     山口シヅエ君
     山本 幸雄君     綿貫 民輔君
     佐藤 観樹君     沢田  広君
     塚田 庄平君     山田 耻目君
     坂口  力君     柴田  弘君
     渡辺  貢君     玉置 一弥君
 金融機関の週休二日制に関する小委員長
                綿貫 民輔君
―――――――――――――――――――――
昭和五十四年十二月七日(金曜日)
    午前九時三十八分開議
 出席委員
   委員長 増岡 博之君
   理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君
   理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君
   理事 坂口  力君 理事 正森 成二君
   理事 竹本 孫一君
      麻生 太郎君    大村 襄治君
      熊川 次男君    椎名 素夫君
      白川 勝彦君    玉生 孝久君
      中村正三郎君    林  義郎罫
      藤井 勝志君    坊  秀男君
      毛利 松平君    山口シヅエ君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    伊藤  茂君
      川口 大助君    沢田  広君
      島田 琢郎君    塚田 庄平君
      山田 芳治君    柴田  弘君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      渡辺  貢君    玉置 一弥君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  小泉純一郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      福田 幸弘君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        国税庁次長   伊豫田敏雄君
 委員外の出席者
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月七日
 辞任         補欠選任
  多田 光雄君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     多田 光雄君
    ―――――――――――――
十二月六日
 公立高等学校用地確保のため筑波移転跡地払い
 下げ等に関する請願(越智通雄君紹介)(第五
 号)
 同(長谷雄幸久君紹介)(第一七号)
 蚕糸試験場建物の一部保存に関する請願(和田
 耕作君紹介)(第一三号)
 同(粕谷茂君紹介)(第一二一号)
 一般消費税の新設反対に関する請願(渋沢利久
 君紹介)(第一五号)
 同外一件(上原康助君紹介)(第四〇号)
 同(八木昇君紹介)(第一〇八号)
 同(吉原米治君紹介)(第一〇九号)
 一般消費税の導入反対及び不公平税制の改善に
 関する請願(瀬野栄次郎君紹介)(第一六号)
 医業税制の改善に関する請願(箕輪登君紹介)
 (第一〇七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一一号)
     ――――◇―――――
#2
○増岡委員長 これより会議を開きます。
 税理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府より提案理由の説明を求めます。竹下大蔵大臣。
    ―――――――――――――
 税理士法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました税理士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、税理士制度の実情等に顧み、その改善を図り、税理士業務のより適正な運営に資するため、税理士の使命の明確化、税理士業務の対象となる税目の範囲の拡大、特別税理士試験制度の改正、登録即入会制への移行、他人が作成した申告書の審査に関する書面の添付制度の創設、懲戒手続の合理化等の改正を行うこととし、第八十七回及び第八十八回国会に税理士法の一部を改正する法律案を提出したところでありますが、遺憾ながら成立を見るに至りませんでした。
 税理士制度の実情等を考慮すると、税理士業務のより適正な運営に資するためには、以上申し上げました諸点につきまして、速やかに法改正を行う必要があり、ここに税理士法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一は、税理士の使命の明確化であります。
 すなわち、税理士は、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」を使命とすることを明らかにいたしております。
 第二は、税理士業務に関する改正であります。
 すなわち、税理士業務の対象となる税目は、現在、所得税、法人税、相続税等の特定の税目に限定されておりますが、今回、原則として全税目を税理士業務の対象税目とすることといたしております。なお、これに伴いまして、これまで行政書士が取り扱っておりました料理飲食等消費税等の税目につきましては、行政書士は、今後とも税務官公署に提出する書類を作成することを業とすることができるよう措置することといたしております。
 このほか、税理士は、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行等の会計業務を行うことができる旨の規定を新設することといたしております。
 第三は、特別税理士試験制度についての改正であります。
 すなわち、現行の特別税理士試験制度を廃止して、一定年数以上の実務経験を有する税務職員で一定年数以上管理的地位または専門官の地位にあった者のうち、税理士審査会が指定した研修を修了した者については、税理士試験における会計学の試験を免除することとし、税理士試験制度の合理化を図ることといたしております。
 第四は、登録即入会制への移行であります。
 すなわち、税理士登録と税理士会への入会を別の手続とする現行制度を改め、税理士登録をすれば当然に税理士会に入会することとし、これに伴い、いわゆる通知公認会計士制度につきましては、所要の経過措置を講じた上、これを廃止することといたしております。
 第五は、他人が作成した申告書の審査に関する書面の添付制度の創設であります。
 すなわち、税理士が、他人が作成した申告書につき相談を受けてこれを審査した場合において、租税に関する法令の規定に従って作成されていると認めたときは、その審査した事項等を記載した書面をその申告書に添付することができる制度を設けることといたしております。
 第六は、懲戒手続の合理化であります。
 すなわち、税理士の懲戒処分につきまして、懲戒権者を大蔵大臣に改めるとともに、懲戒処分をしようとするときは、税理士審査会に諮り、その議決に基づいて行わなければならないこととして、その手続を一層慎重にすることといたしております。また、これに関連いたしまして、懲戒処分の効力は、他の職業専門家制度と同様に、懲戒処分をした時点から発生することといたしております。
 以上、税理士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容の大要を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いいたします。
#4
○増岡委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○増岡委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
#6
○山田(芳)委員 いまも提案理由の説明にありましたように、この税理士法の一部改正は、去る八十七国会におきまして、昭和五十四年六月一日あるいは六月五日の両日にわたって非常に詳細に質問がなされております。私はこれを全部読ましていただきました。
 そこで、まずお尋ねをしたいのでありますが、いま申し上げましたように、大変多くの委員から時間を相当かけて詳細に質疑応答がなされております。そして、私はやはりこの中の質疑応答の結果を見ても、必ずしも質問者の言うところの疑義と申しますか質問をする内容、あるいは現在これに反対をしている税理士の方々がおられるわけですが、その人たちが必ずしもこれで説得をされ、納得したというふうな形になっていない、こういうところに私は一つ問題があると思うのであります。
 そこで、まず第一にお伺いをしたいのは、先ほどの提案理由も私はいま拝聴しておりましたが、この第八十七国会に出されたときの提案理由の説明とほとんど変わっておりません。全く同じであります。そして提案された法案も全く同じであります。これだけの時間をかけ、これだけいろいろ言われているのですから、しかも一応廃案になったのでありますから、こういう質疑応答を通じて若干でも法律案の修正というか、手を加えるということがなされてしかるべきではないかというふうに考えたわけでありますけれども、そうではなしに、この臨時国会に出されて非常に急いで審議をする、こういう形に実はなっております。後にもっと大事な共済年金その他が控えておるのに、この短い臨時国会の中でまた提案をされる、非常に急がれているという感じがする。こんなに急がなければならないのか。先ほど申しましたように、大変詳細な質疑応答がなされ、やはりもう少し政府当局もそれに耳をかして、言うところの主張を少しでも取り入れて法案の手直しをした上で再提出をされてしかるべき部分がある、こういうふうに思うのでありますが、非常に急いでこの臨時国会に出されなければならない理由は何かということが第一点。
 第二点として、八十七国会と全く同じ内容のものをお出しになって、るるこの大蔵委員会において質疑応答したことを、ほとんどと言うか全く取り上げておられない。全く同じものを出されておるということは、はなはだ残念に思うわけであります。
 そういう点について、まず大臣にお伺いをしたいと思います。
#7
○竹下国務大臣 本法律案をなぜこの短い臨時国会に提出したか、こういうことでございますが、本臨時国会に当たって政府から提案すべき法律というものについて議院運営委員会等でもお話があったようでございまして、その基準からいたしますと、かなりの時間審議されたものという範疇には入るではないか、こういう考え方から提案をして御審議をいただくというようにいたしたわけであります。
 そして、その議論の内容についてもっと念査して、改正すべきものは改正して出すべきだ、こういう御意見でございますが、それにつきましては、十分御議論をいただいた問題で、いま訂正して出すべき要素は総合してない、こういうふうに判断したからそのまま出したということではなかろうかと思います。
#8
○山田(芳)委員 いま大臣おっしゃったように、少なくとも相当の時間をこれにかけているし、言い尽くされるべきものはほとんど言い尽くされているということはおっしゃるとおりだし、私もそれはそうだと思う。ですから、せっかく長時間をかけ、しかもいろいろな論議がなされておるのだから、やはり一点でも二点でも取り入れて、委員会の審議の結果こういう点は確かに前の国会では出したけれども、若干だがこう修正をしたというような跡が見られれば、これは私もなるほど委員会の審議というものは意味があるなというふうに思うのですけれども、取り上げるべき何ものもないのだ、全く一緒でいいのですと言うのは、私は少し委員会の論議というものについて、とにかく質疑応答さえ済んだら後は採決すればいいというような考え方になりはぜぬかということを恐れるわけであります。
 そこで、具体的な問題で質問をしてまいりたいと思います。
 まず第一点は、現実に税理士会の内部において反対者がいるということについては、大臣は御存じでしょうか。
#9
○竹下国務大臣 聞いております。
#10
○山田(芳)委員 そういう反対者がいるという以上、ある程度時間をかけて納得をさせるというか、税理士会連合会を通じてでも結構ですけれども、そういう努力というのは、事務当局はたとえばこの六月から今日の十二月までの段階でなされたのでありましょうか。それは内容的に、考え方の違いは絶対変わらないのだとおっしゃるかどうかは別として、手続的にはこういうふうになっているんだということで、少しは政府の法案その他について納得する手続はおとりになられたかどうか、この期間にですね、廃案になってから今回再提出されるまでの間に。その点はいかがでしょうか。
#11
○福田政府委員 法案につきましては、さかのぼりますと、答申というのが三十八年十二月に、一年かけた期間に十分になされておりまして、それを受けて三十九年に法案が出るということがまずございます。五十一年一月から三カ年にわたりまして日税連当局との事務的な詳細な検討を加えております。また、その後におきまして関係方面――関係方面が非常に多うございますけれども、関係方面との調整、さらに先生方の御意見を拝聴するとかという十分な手続を踏んだ上での法案でございます。さらに、廃案に至りました理由は御承知のとおりでございまして、内容的なことよりも、むしろほかの事情によったかと思います。
 しかし、税理士会の意向がそこで変わることがありましたらわれわれとしては不本意でございますので、その法案内容について一部に異論があることについてどう考えるかということは再三確認いたしております。これは法律に基づく税理士会、さらに法律に基づく連合会、この正式機関の意向を聞く以外にないわけでありまして、その民主的な手続を経た税理士会及び連合会の意向を確かめる以外に一つにはないわけでございます。その中で一部の意見はもちろんあろうかと思いますが、それを踏まえて、税理士会及び連合会の意見に沿っており、また外部の公認会計士等の意見もそのまま尊重しながら、これは関係の証券局その他に確認をとりながら再度提出したということでございます。
#12
○山田(芳)委員 ちょっと認識が違うのです。税理士会の内部に反対のあるということはいま申し上げたとおりでありますが、税理士会自体が、もちろんこの法案でやむを得ないとは言うてはいますけれども、ベストのものである、百点満点だとは言ってない。できればこういう点は改正してほしいんだけれども、いまの段階ではなかなか大蔵当局から認めてもらえないので、やむを得ない、まあまあというかっこうになっておる。これは御存じですね。
#13
○福田政府委員 それは存じております。それはいままで申し上げました検討過程で意見を十分交換いたしております。
 ただ、立場上いろいろ意見があるのはおのずからやむを得ないところでありまして、現時点における最善のものとして合意したものであるということであります。今後どういうステップを踏みながらたどるかは、これは法一般の問題であろうかと思います。
#14
○山田(芳)委員 そうしますと、一番最後に質問すべきと思いましたけれども、申し上げたいのは、そういうベストではない、まあやむを得ない、次善の策である、ベターであるという連合会の意見があることはもう御存じである。立場の相違だ、こう言うわけです。しかし、できるなら時間をかけて、先ほどなぜそうお急ぎになるのかということを大臣に質問をしたわけでありますが、少しでも時間をかけて、一歩でも二歩でもよりよい法律案を出されて、そうであれば、また各党も異論なしに短時間で審議が了すると思うわけであります。繰り返しの質問になって恐縮ですけれども、なぜ一歩でも二歩でもそういう点を譲ってというか、立場の違いはあっても、少しでも彼らの言う意見を入れる余地はなかったのかどうか、もう一度お伺いしたい。
#15
○福田政府委員 審議の過程で、現時点で両者合意し得る最善のものを提出したということが政府提案の趣旨でありまして、今後さらにいろいろな意見を交換しつつやってまいりますけれども、訂正もしくは修正すべき政府案としての問題点はないとわれわれとしては考えております。
#16
○山田(芳)委員 私たちは、そういう立場から言うと、それは非常にかたくなな考え方だというふうに思います。
 そこで、時間もございませんので具体的な問題に入っていきますが、先ほど申しましたように、相当程度論議をされておりますから、ある意味においては繰り返しになるわけであって非常に恐縮ですけれども、しかし、片一方、われわれの立場も必ずしもこの六月の段階においての審議において説得をされているというか、納得をする形で私どもは考えておりません。そういう点がありますから、再度確認をしていくという意味で質問をしたい、このように思います。
 第一番目は、もう言われております税理士の使命であります。改正案におきましては、税理士の使命は、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場」、ここが問題になっていることは御案内のとおりであります。私たちの立場から言うならば、税理士の使命、役割りというものは、納税者の権利を擁護してというふうに書くべきではないかということを主張しております。ところが、過般の委員会の会議録を読んでみますと、税理士というのは、納税者からも、あるいは政府当局、徴税当局からも独立をした一つの専門的な立場だ、こういうわけであります。私たちは、むしろ行政権、権力に対して、税の専門の知識もない一般の人の立場に立ってその権利を擁護するという立場が税理士の役割りではないのかというふうに考えるということを強く主張しているのですけれども、納税者の権利を擁護しという言葉はどうして使ってはならないのか、使わないのかという点、私たちはなぜそれを使えと言うかというと、昭和二十四年の第一次のシャウプ勧告等の税務行政に関連してのことはもうここで申しませんけれども、そういう言葉を引用するならば、納税者の権利を擁護するという立場を明確に書いて一体どうしていけないのかということがわからないのでありますが、この点について明確に御答弁をいただきたいと思います。
#17
○福田政府委員 第一条につきましては、従来「中正な立場」という言葉につきましていろんな意見がございましたので、明確にするということから、「税務に関する専門家」と書きましたのは、税理士の地位を明確にするということで、あとの税目、ほかの専門業種との調整という意味では非常に重要な規定であろうと思います。しかも、税務の専門家であるということから、おのずからその使命の範囲が決まるわけでありますが、税務といいますのは、納税義務の適正な実現ということ、すなわち行政における税務の特殊性からきておりますので、権利の擁護という司法概念にはなじまない点は、これはやむを得ない点だろうと思います。
 そこで、専門家として、独立した公正な立場であるということが、適正な納税義務の実現ということを通じて、また依頼者の信頼にもこたえるわけでありまして、適正な納税義務ということが権利の擁護そのものを中に含んでおります。これは外国の立法例を見ましても、独立不偏というドイツ法の考え方、またアメリカ法におきます適正な申告書の作成に協力するという言い方、さらにシャウプも、正しい申告書を書くように援助をするということを考えましても、この第一条の趣旨を、税務の専門家として援助しながら適正な納税義務の実現に資するというのは、税務の専門家としての税理士の特殊性であろうかと思います。
#18
○山田(芳)委員 もう一度、権利を擁護すると書いたらどういうところがなじまないか、もう少し……。
#19
○福田政府委員 権利と申しますのが具体的にどういう権利を意味しますか、司法の場合は権利を直ちに侵害されておるところから出発いたしますけれども、納税義務というものを適正に実現するというのが税務の執行における税理士の立場でありますので、権利というよりも、その税務の執行過程において――適正というのは、過大に課税してはいけない、過少に課税してはいけないということを意味しますので、その過程において納税者の立場が擁護されるということが適正な納税義務の実現ということで、おっしゃる趣旨もそういう形で含まれておると考えます。
#20
○山田(芳)委員 だから、そういう過程の中で権利が擁護されるのだというならば、権利を擁護してと書いて悪いことはないのではないか。確かに適正な納税というか、適正な法の適用というものを援助するのでございます、いまのお話だと、こういう主張のように思うのですが、そのことが納税者の権利を擁護することにつながるのではないか、私はそう言っているのですが、その点はいかがでしょうか。
#21
○福田政府委員 権利と申しますのは、繰り返しますが、具体的に何を意味するかという問題がまず第一点でございます。
 それはやはり司法と行政の差からくる問題でありまして、納税義務が前提にございますので、権利の擁護というよりも適正な納税義務の実現ということが税理士の性格及び使命に沿うものであろう、こう考えます。
#22
○山田(芳)委員 この点がわれわれとしては、納税というのは義務だけであって、そこにあるものは義務なんだから、権利というものが侵害されるということはあり得ないという立場をとっておられるようですけれども、そうではなくて、正しい納税をするためには、やはり納税者の権利というもの、それは納税に当たっていろいろの主張あるいはいろいろの事実というものを主張する権利というものを保有しながら、税務当局と、税理士が間に入って何が正しい法なのかということを主張し合う、そういうところで徴税の義務も私はスムーズに行われると思う。したがって、一方で権利を擁護していくという立場に立つべきだというふうに私どもは考えておる。そして、その点についていま何遍申し上げても同じ言葉しか返ってこないというところに考え方の違いがある、こういうふうに考えておるわけであります。この点はもう少し議論をしたいと思いますが、時間がございませんから、次へ参ります。
 次に、対象税目を拡大をした、いままでは確かに限定列挙主義であったのを包括列挙にいたしました、こういうことであります。その点については、確かにそうではあろうと思いますが、二つだけ質問をいたしたいのですが、具体的に包括列挙、包括的に今度は税目の対象範囲を広げたということで、行政書士がやるところの自動車税とか自動車取得税、地方税でもありますが、そういうものを含めてくるので、そこで行政書士との業務範囲の調整を行っているということになっているわけでありますが、税目が拡大をされて、具体的なメリットと今回の改正で考えられているところの税目は何かということが一つと、第二点として、それならばなぜ法定外普通税を税理士業務の範囲から除外したのであるかという、この二点について。
#23
○福田政府委員 包括規定にしたということは非常に今回の改正の重要な点でありますが、先ほど申し上げました第一条の税務専門家ということからくると、これは当然の規定だろうと思うのです。従来の規定は、御存じのとおりに限定されていまして、国税ですと、所得税、法人税、相続、贈与ということで、それ以外は扱えないことになっています。地方税も事業税、市町村民税、固定資産税、こうなっております。これはやはり考え方が、当時古い考え方と申しますか、申告納税の範囲に限定しておったわけでしょうが、申告納税の範囲が広がってきたということ及び税目もふえております。その過程において事務所事業所税が設けられた。その際にも、いまの規定でいきますと行政書士にいってしまうわけでありますが、これはやはり税務の専門家である税理士にいくというのがたてまえ上正しいわけでありまして、これは前回三十八年の十二月の答申においても、税に関しては税の専門家が扱うというのが納税者のためであるということを書いておりまして、前回の改正法も同じことが書いてあります。したがって、これはたてまえ論として正しいと思いますが、具体的に何かと申しますと、今後どういう税目が発生するかわかりませんけれども、過去の最近の例は、いま申し上げました事務所事業所税、こういうものができた際に、これが当然のことながら行政書士にいってしまったということを経験として持っております。またどういうものができるかは、これは仮定の問題でありますが、税として名のつく専門的な知識を要するものであれば、これは行政書士でなくて税理士さんにいくというのが正しいやり方でありますし、第一条の趣旨に沿う、こう思います。
 それから法定外普通税の問題は、これは前の答申にもありますが、やはり全国に普遍的な、または税理士さんが終始関与する実益のあるものに限定すべきであって、地域的に特殊な援助を要するかしないか非常に特殊の性格を持つ法定外普通税、現在ありますいろいろ限定された性格のものまで取り込む実益はないということで、前回の答申もございまして、今回もそれを受けております。前の法律もそうなっております。
#24
○山田(芳)委員 私は、法定外普通税も入れてやっていいんじゃないですか。その地域地域において、まあ今度は一局一会制、地域的に各国税局単位に税理士会ができるわけですから、地域の特色というのがあるはずです。法定外普通税というのは大体都道府県ですね。たとえば私などの経験によると、自動車取得税というのを法定外普通税でやったことがかつてあるわけですが、これは法定税に取り入れられていったという経過、そういうことを考えますと、やはり法定外普通税も当然、業務範囲の拡大をした、税目の対象を広くしたということが、これは鳴り物入りというと言葉が適当かどうかわかりませんが、今度はとにかく包括規定をしたのですよと盛んに言われておる、メリットの最大のものはこれが一つだ、こう言っているわけですから、それはやはり法定外普通税は入れるべきだと思います。それは税調の答申と言われますけれども、都合のいいところは答申にという隠れみのをやる、そうでないところは、たとえ答申があっても勧奨も採用もしない、こういうわけですから、何も答申がどうあろうと、政府独自でひとつ判断をしてやるべきだと思うので、私は、法定外普通税なんか、当然包括列挙をしたという趣旨から言うならば入れるべきだというふうに思いますが、そういう点も少し検討しておくべきではなかったかと思うのです。ひとつもう一遍お答え願います。
#25
○福田政府委員 おっしゃる趣旨、よくわかります。現在あります法定外普通税が、砂利採取税とか、御存じのとおり地方に非常に限定的なものしか法定外になっておりませんので、税理士さんの包括的な税目として挙げて一般的な税理士法の規制をかけることがいいかどうかという問題があるかと思います。しかし、今後どういうふうな法定外普通税が一般的に発生するか、その辺の過程は十分検討したいと思っております。
#26
○山田(芳)委員 先ほど、包括して対象税目をふやした、こうおっしゃるわけであります。ところが、具体的に何ですかと言うと、先ほど言った事務所事業所税というものがふえた、それがたまたま入ってなかったから、これからそういうものを含める趣旨である、こう言われて、将来何が出てくるかわからないからそれは包括だ、こういうわけでありますから、法定外普通税として包括的に業務範囲に含めておくということも、同じ趣旨である、私はそういうふうに理解をするわけですが、もう一遍そこを……。
#27
○福田政府委員 先ほど包括規定の趣旨でもう少し補足したい点がございましたが、それは間接税系統が申告納税に移っておりますので、そういう意味での包括規定の必要性があったということが一つございました。今後、法定外音通税がどういうふうに税理士さんの本来的業務に沿い、またその基本は、納税者の立場を擁護するというか、その利益を確保するために援助する必要があるかという税の性格によろうかと思います。いまあります法定外普通税が基準的に非常に限定されたものでありますので、いまのところ法定外普通税を一般的に包括規定の税目としては考えられませんが、今後どういうものが一般的なものとしてあらわれてくるか、それとの関連で検討したい、こう思います。
#28
○山田(芳)委員 いま一つ言いましたように、本当に税理士の役割りを拡大していこうというのだったら、私はやはりそこまで検討して今度の法律案に書いてくるべきであったというふうに思うわけであります。
 次に参りますが、次は業務の問題であります。
 従来、この税理士の業務の範囲というのは新しく規定をされている部分もあるわけであります。したがって、業務の内容がふえたのかというふうに考えておるわけでありますが、どう見ても、この会議録その他を見てみると、むしろ逆に縮小したのではないかとさえ言われるような部分がある、こういうふうに言われています。それは何かというと、いままでならば、いろいろと税理士がつくる書類についての限定がなかったけれども、今回は、大蔵省で定めるという形になって、大蔵省令の定める範囲によっていままでよりもその業務が逆に縮小されるのではないかということについて、非常な不安を持っているというのが現状の法律案であるというふうに思います。
 質疑応答から見ると、従来から何ら税理士の業務の範囲については変更はございませんというのが、当時国税庁次長の米山さんやあるいは福田さんのお答えのように拝見をしておるわけでありますけれども、それでは、大蔵省令とは一体どういうふうに決めるのか、こういうふうな点について質疑応答を見ますと、それはこれからでございます、こう書いてあるわけです。この点も税理士の皆さん方は非常に不安に思っておられる。要するに、税理士の業務の範囲というものが少しでも前向きになるのかどうか、この点についてひとつ確認する意味で、もう一度ここで明確にお答えをいただきたい。
#29
○福田政府委員 税務書類の作成業務の対象となります申告書等の件であろうかと思いますが、「申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類で大蔵省令で定めるもの」、こうなっていることは御承知のとおりでございます。これが従来の規定では非常に漠然といたしておりまして、「申告書、申請書、請求書その他税務官公署に提出する書類を作成すること。」これを法律的に明確に「租税に関する法令の規定に基づき、作成し、」ということに変えておりますが、実体的には、従来扱われております税務書類の範囲と実質的に変わるものではありません。大蔵省令のところでそこをさらに明確にしていくことが従来以上にその範囲の明確化に資すると思いますが、これはたとえば明細書で、財産債務明細書とか、さらに減価償却に関する明細書とか、この辺をはっきり書いていくということでございまして、規定の明確化ということでございますので、従来扱っておられます税務書類の作成の範囲を実質的に狭めるものではない。法律である以上は、そこをはっきりさせませんと、これは独占の問題と絡みますので、その点を法律的に明確にしたということでございます。
#30
○山田(芳)委員 そうすると、明確にしたというだけであって、広げるわけでもなければ狭めるわけでもない、こういうことでございますか。
#31
○福田政府委員 具体的には従来と特に変わりがないものと考えます。
#32
○山田(芳)委員 そうなると、大蔵省令の案というものは大体できているというか、案は考えられておると理解してよろしいですか。
#33
○福田政府委員 もちろん法律を書く段階で政令、省令と書きます際には、審査の過程におきまして何を考えるかということは当然想定しておりますので、いま例示しましたようなことを省令の段階ではっきり書きたいと思いますし、その際は、十分意見を聴取したいと思っております。
#34
○山田(芳)委員 そうすると、逆に税理士の業務の中で、いま言われている税理士の業務というものは、明確化はしていくけれども、ふやしていかない、これ以上はない、こういう考えでありますと、先ほども少し触れましたけれども、税理士自身としての一つの権利と申しますか、強く主張するという部分があってしかるべきだという税理士側の要求というものがあります。たとえば更正前に税理士の意見を聞く、あるいは証拠資料などの閲覧というようなもの、そういうようなものについて、もう少し税理士が納税者の代理人となって守っていく、そういう点について、もう一度ひとつ政府当局の考え方をこの際明確にしてほしいと思います。
#35
○福田政府委員 第二条に関します税理士の業務は、税務代理というのが一つ、これが基本でございます。これは税務官公署との折衝ということですから。第二点が、税務書類の作成。ここで、税務書類とは何かというのを明確にしませんと、独占の業務に絡みます。それから税務相談の範囲、これが第二条の問題であります。
 おっしゃる点は、第二条と別の、執行面を含みます税理士さんに対する更正前の意見聴取とかいう問題であろうかと思います。これは庁の方で答弁をさせますが、いずれにしましても、税目を拡大する、さらに、ほかの条文にあらわれますように、他人のつくった申告書に税務的なチェックをした書面をつけて、それを税務当局が尊重するというような、この種の拡大的な規定が別なところにございまして、ここ第二条自体は、独占業務に絡みます税理士の業務を明確にしたということで、ここ自体で拡大するという問題はございませんが、いまの問題については、別な第二条以外の問題であろうと思いますので、国税庁の方から御答弁いたします。
#36
○山田(芳)委員 もう一遍終わりの方を……。
#37
○福田政府委員 税務代理とか税務書類とかいう問題は、その範囲を明確にするというのが独占権の問題でございます。したがって、ただいまも申しましたように、税務書類はこれこれ、また条立中に、税務代理はこういうものであるということを、従来の規定が明確でございませんので、そこをはっきりさせておくというのが税理士業務の明確化。これはまた、納税者の保護の問題、独占権に絡む問題でございます。これで拡大はしてないと申しましたが、それ以外の拡大の問題は、税目が拡大されるとか、他人のつくった申告書に審査書面をつけるというのは拡大規定でございます。これは別なところにあらわれます。
 御質問の点は、意見聴取とか事前に通知するという問題でございまして、執行が関係しますので、国税庁の方で答弁いたします。
#38
○伊豫田政府委員 意見聴取とか事前通知の聞賭につきましても、基本的には従来の線と変わっておりません。それは、この段階におきましても、またわれわれもいろいろ協議し、検討しておりますけれども、実際問題といたしまして、事前通知を必ずやるというふうなことも、いろいろ実際上の問題も出てまいりまして、税務の執行上適当でないというふうな問題もある。それじゃどこまで事前通知を行うかという具体的な範囲が切れるかというふうなことをいろいろ検討いたしましたが、結局のところ、現段階におきましては、従来と変わらないというような考え方を持っております。
#39
○山田(芳)委員 従来と変わらないなら、確認的な意味においてそういう点を明確に書いていくということもよいのではないかと思うんですね。そういう点はどうでしょうか。
#40
○福田政府委員 いまの問題は、法律の改正部分にないということは、従来どおりであるというしうに解します。御質問の趣旨はよくわかりますが、この辺、税理士業務が実体的にどういうふうに充実されていくかという問題に応じながら、今後法制としても対応していく問題、また執行としても尊重していく問題であろうかと思っております。
#41
○山田(芳)委員 次に、いまお話があった添付書類。書類を添付するということが制度化されているわけですが、その第二項、他人の作成をしたものについて審査をするという形が書かれておるわけですね。この点について、何か税理士の職務と若干違う税務監査といいますか、会計士が監査をするのと同じような形になる新しい要素を引き入れている。ある意味において税理士の業務の変質につながっているのではないかというふうにも見られるのですが、いまそういうお話がありましたが、その点についてちょっとお伺いをいたします。
#42
○福田政府委員 いまの御質問、三十三条の二の第二項かと思いますが、これはまた前回の答申を引用いたしますが、税理士の地位向上の一環の問題であります。
 これの規定の趣旨は御存じのとおりで、税理士さんが自分でつくった申告書でなくて、たとえば会社の経理部でつくった申告書等がございます。しかし、それはそのまま税務署に提出されてくることもございますけれども、税理士さんのところで一回租税の法令に基づいておるかどうかをチェックしてもらう。そうしますと、書面添付ということになりまして、これは更正決定の前に御意見を聞くとかという慎重な手続になってくるわけです。したがいまして、そこで第一条の税務専門家という立場でその申告書が租税法令に基づいておるかということを、そのこと自体を審査されるという業務は、専門家の立場を非常に尊重し、地位が向上していく、税務監査という言葉でも私結構だと思うのですが、その申告書を自分がつくらなくても、人がつくった申告書であっても、専門家として目を通す、それをまた税務官署はそれなりに尊重するというのが、地位向上また納税者に対する援助の一つの進歩のあらわれであると思います。
 したがって、この規定は納税者にとりましても、特に税理士さんの今後の性格から見ても重要な規定であると考えています。どう今後運用されるか一できるだけ活用していただきたい、また税務官署もこれを尊重する態度をとるべきであろう、こう思っております。
#43
○山田(芳)委員 そうしますと、いま言った税務監査的な性格と、第一条、第二条に言うところの納税者のいわゆる代理を税理士はする概念というのは相対立する概念だ、このように思うのですが。
#44
○福田政府委員 御質問の点は、第二条の税務相談の範疇に法律的には入る問題であろうかと思います。
#45
○山田(芳)委員 ちょっとそこが理解しにくいのですが、相談に応ずるという点と同様、もうちょっと……
#46
○福田政府委員 申告書は本人がつくっておるということで、本人が税務署へ持っていくかと思います。ただ、それに専門家の書面がついておるということで、その内容に正確性が保証されるといいますか、または税務署もそれを尊重するような規定になっていきますので、そういう意味で、そこは相談に行って書面をつけてもらう、審査をしてもらうという意味では、法律的にはこの第二条の相談の方に入ります。代理自体は、そこでは税理士さんが代理人に移行する場合もあろうかと思いますが、この書面添付行為自体は相談業務という中でも非常に専門的な分野であろうか、こう考えます。
#47
○山田(芳)委員 時間の関係がございますので、ちょっと試験の問題について質問をしたいと思います。
 今度新しい税理士の資格取得の要件を変更したわけでありますが、もうすでにことしの九月に行われました一般の試験の受験者の数と合格者の数をちょっと明らかにしていただきたい。
#48
○伊豫田政府委員 五十四年に行いました試験につきましてはただいま採点中でございますが、その受験者数を申し上げますと、四万一千五百六十五名が一般税理士の受験者でございまして、科目別の延べ受験者数にいたしますと、六万八千四百十人という計数となっております。
#49
○山田(芳)委員 それは最終的にはいつごろわかりますか。
#50
○伊豫田政府委員 この十二月の二十五日にその発表をすることをただいま予定しております。
#51
○山田(芳)委員 大体どのくらいの合格率かまだわかりませんか。
#52
○伊豫田政府委員 いま申し上げましたとおり、本年度はただいま採点中でございますので、どの程度の合格率かということは全くわからない状況でございます。
#53
○山田(芳)委員 四万人から受けられたわけですけれども、恐らく合格率は非常に厳しいだろうというふうに思うわけですね。
 さあそこで、問題は、新しい資格を付与する中で、この間の会議録の中でも指摘をされているわけですが、国税なり地方税なりそれぞれ二十三年とか二十八年おれば税目の科目は免除するだけではなくて、簿記なり会計学、経理の面を免除する、そのためには一定の研修を行う、こういうふうになっているわけであります。その研修は、これは国税庁が行うというふうに言われているわけですね。国税庁が責任を持ちまして現在の税務大学校等の研修機関を活用していろいろやっていきたい、こういうふうに考えております、というのが米山政府委員の答弁であり、地方税務職員については自治省と地方団体とが税理士審査会の認定を受けてやるのです、こういうことを言っているわけですね。在職中の人ならばそういう研修を受ける便宜が与えられるわけですか。
#54
○福田政府委員 研修をもって試験科目の免除ということで会計の実務のところが外れるということは御質問のとおりですが、この研修自体は、今後この基準が定められますけれども、これは庁の方でお答えいたしますけれども、税務大学校で研修いたしますのが中心になりまして、その内容を審査の上、会計学研修に実力を備えた者として免除に相当するかは、税務大学校、また通信教育も入るかと思うのですが、相当の時間をかけておりますので、その課程を修了するということは試験の免除に匹敵するということを基準に定めることになっております。具体的には庁の方からお答えいたします。
#55
○伊豫田政府委員 内容をどうするかにつきましては、ただいま福田審議官が申し上げましたように、今後の検討問題でございますけれども、そのレベルというものは、その研修によって税理士たるにふさわしい会計についての実力を備え得る者という線から十分検討するつもりでございます。
 それから、先ほど御質問のございました趣旨、ちょっと理解できないで恐縮でございましたけれども、在職中の者が研修を受けるについて、その扱いを勤務時間内の問題にするか勤務時間外の問題にするかという問題は、今後の問題として十分検討させていただきたい、このように考えております。
#56
○山田(芳)委員 私の質問した理由は、一般の受験者は四万人も自分の力で一生懸命勉強して受けるのに、在職中の人ならば、税目によって違いますけれども、二十年とか二十三年とか、地方税職員なら二十八年とか、税の科目を免除しますと、こういうわけですね。そして簿記とか、そういう会計学にかかわるところのものは一定のレベルで高いのですと言うのですから、それは信用するとして、それを研修を受ければ無試験で税理士の資格を与えます、こういうことですね。間違いありませんね。
 ところが、その研修を受けるのは在職中の人でしょう。在職中の人が税務大学校なり何なりのレベル程度のものを国税庁なり、地方の職員については自治省がいろいろ関係者と相談して決めた研修を受けさせますよ、こう言っているのでしょう。そうすると、一般の人は自分で一生懸命勉強して、しかも四万人の中から非常に少ないところでやっと税理士になるのに、国税庁やその他におる人は何か在職中に非常に便宜な、ちょっといまも話があったように、時間内にするか時間外にするか程度のことはあっても、非常に便宜な優遇的な措置で、研修さえ受けて一定レベルの試験さえ合格すれば何もなしに税理士になれるというのは、在職中というか、税務官署に勤めている人に余りにも有利ではないか。私も長いこと役人をやってきた人間ですから、二十数年も勤めて、その先やはりやってきた仕事で生活をしていくということについて、相当理解を示す立場に立ちますけれども、余りにも一般の受験者との間に差別がありはせぬかということです。私は、恐らくこの研修というのは本当に自分で金でも出して、そしてどこかで行われているのに時間外というか自分の勉強として行くんだ、こう考えておったのですが、この議事録を読むと、どうもそうではなくて、在職中の人が非常に便宜を与えてもらってこの会計学の講習を受けに行けるような、そういう答弁をこの間されております。だから、これはちょっとどうかな、こういうふうに感じて質問をしているわけなんですが、その点どうですか。
#57
○福田政府委員 これは税務の実務に関与しておる専門家と申しますか、そういう人をどう考えるかという一般的な問題から始まると思いますが、税務の問題というのは、税法及びそのプラクティスというか、実務が非常に大事な分野であります。したがって、この経験を経た方がそういう資格を持つということは、これは各国とも、むしろ無試験をもって長期在籍した者についてはそういう地位を与えておるのは、その実力を評価しておるからだと思うわけであります。ドイツについてもアメリカについても同じであります。
 また、ほかの専門分野、わが国の専門職におきましても、弁理士にしましても行政書士につきましても、一定年数そういう仕事をやってさましたら無試験で資格を得ておりまして、いまの税務の資格の評価といたしましては、今回の改正は二十三年も勤務し、さらに、これは年数がいままでより延びておりますが、さらに五年間管理的地位または専門官の地位にあるということも条件といたした上で、税法の方はその途中の年数で免除になりますが、会計というのも税法の執行に当たっては当然の前提になる基礎的な分野でありますので、内部研修としてやらざるを得ない、やる必要のあることでありますので、それを含めたところで会計学の資格を持つものとして認定するのは当然であろうかと思います。
 ただ、一部そういう会計学に余り関連しない分野の仕事をやっている人もいますので、その方を補充的にそこで研修を加えるということをあわせ行いながら実務経験の尊重をするということは、むしろ税務の性格から見て、そう言われるほどの問題ではない、むしろ諸外国との比較及び他分野との均衡の問題から見れば、十分ではないかという気は私なりにいたします。
#58
○山田(芳)委員 ちょっとそこはわからないのですが、一般の人だったら、やはり会計学で二つ試験に合格しなければいかぬわけですね。それは、いまおっしゃるように、二十三年、二十八年税務行政に携わってきた人、それぞれ条件はありますが、その人たちについては、国税庁なりあるいは自治省なりが特別に講習会、研修会を開いて便宜を与えてやって、そしてその認定をする、こういうことですね。それなら、一般の人だってその講習会に参加できるぐらいの便宜を与えてやるということがあってしかるべきだ、そのことが税理士の資質を高めていく、こういうふうに思うのですがね。それを税務行政にある者だけが当局による非常な便宜を与えてもらえる。何かちょっとぼくは差別じゃないか、こういうふうに思うのですが、それは考え方が間違いですか。
#59
○福田政府委員 おっしゃる趣旨もよくわかります。ただ、税務職員が仕事の必要上行う研修の中に会計のコースは必ず欠かせないものでありますので、その課程を経た者を試験にかわる資格を持つ者として認めるということは、それなりの理由があろうかと思うのです、それは内部研修の結果がその試験に匹敵するものでありますから。内部研修は仕事をやる以上必要なものであるということからきていまして、その仕事の必要からきた研修の結果を試験というものに匹敵するものとして考えるということは、これは当然であろうと思います。
 また、別の話かもしれませんが、研修自体は今回の改正の重点になっていまして、研修を合格後も一般的に強化していくということは考えられております。
#60
○山田(芳)委員 合格後の問題は大いにやっていただいて結構だけれども、いま言っているのは、私は、税務職員と、そうでなくて一般の人が受ける場合における扱いです。片一方は認定をするのですから、便宜を与えてやるけれども、一般の人は自分の力で勉強して、そして試験を受けなさい、こういう形では非常な格差がある。確かに、試験における税務の科目を免除するということは、これはわかるのですよ。だけれども、会計学について、そういう在職の人が自己研修だ、あるいは職務にも関係があるのだ、さっき聞いていますと、関係のない部分の人に研修をする、ちょっと自己矛盾した言い方だと思いますが、あえてそれは言いませんが、とにかくそれだけの便宜を与えるなら、一般の人にもそういう講習を傍聴できる、あるいはそれも一緒に参加ができるというぐらいの便宜を与えてやらなければ余りにも――私も役人の出ですから、役人の将来のことについてだれよりも考えている立場だと思いますけれども、それでもぼくは、このような考え方は余りにも税務の職員の人に有利な扱いをし過ぎるのじゃないかということを、もう一遍重ねてお伺いをして次にいきます。
#61
○福田政府委員 研修は、税務職員の仕事を行う上に必要な研修を内部的に行っておるわけでありまして、その結果、その水準が試験に匹敵するものとして認定されるというものであろうかと思いまして、研修の必要性自体は税務の実務をやるために必要なものでありまして、外部の方との関係は別に考えるべきもので、試験そのものよりも内部の職員の仕事をやるために必要な研修であり、その結果がその水準であるということであろうかと思います。
#62
○山田(芳)委員 何ともうまいぐあいに言い抜けているけれども、実態は私は外部の人も、税理士になろうという人にそういうものを公開するというか、参加をさせてやればいいじゃないですか。何もそう税務職員ばかりが内部研修、自己研修だということだけでなしにやってほしいと思う。そういう点ひとつ、時間がありませんから、その程度にしておきます。
 次に、助言義務の問題を取り上げようと思ったのですが、もう時間がないので、助言義務の問題についてはまた後の方が触れられますので、一つだけ、例の使用人等の監督義務ですね。たとえば資格の喪失なんかは他の士法との横並びでございますと言いながら、使用人等の監督義務などというものが特にこの法に書いてあるという積極的な理由は何ですか。どう見ても理解ができないのですがね。
#63
○福田政府委員 これはやはり税務代理の特殊件からくると思うのですが、個人的に税理士さんが責任を持ってやられるわけでありますけれども、事実上、補助的な仕事が多いというか、必要でおるということは税理士業務の特殊性であろうと思うのです。その際、やはり関与される件数が相当多うございます。したがって、その辺、補助業務の重要性は納税者から見ても重要なことでございまして、どういうふうに個人代理という問題と関与件数が多い問題を調整するか。これは現在の立法例で申しますと、司法書士のところで、司法書士一人が五人以内の補助者しか雇えないということがございます。過程ではいろいろ検討いたしましたが、関与件数を制限するということも、これは自由職業から見れば問題であろうと思うのですね。それから税理士法人によって相当多くの件数をこなすという問題も、税理士業務の個人代理的な性格からいくとやはり問題がある。それから補助者の人数を制限するのも問題がある。それから勤務税理士的に、そういう方を雇うことを強制する、これもまた問題がある。いろいろ検討いたしまして、使用人が多くおられ、それの補助のもとに税理士さんが個人的にやっておられることの、納税者から見てのいろいろな期待に沿う点から――また非違事件の、正直に言いまして、いろいろなにせ税理士その他の問題が発生する場合もございますので、使用人監督ということで、これは事務所の独自性をもちろん前提にいたしておりますが、そういうことで補助者の立場が納税者からも理解され、信用されるということはあってしかるべき税務代理の性格であろうと思いますし、前回、三十九年法でもこの問題は法文として成っておりまして、あと運用の問題は常識的な範囲で行われるというふうに考えております。
#64
○山田(芳)委員 もう時間がありませんので、いま私は、短い時間でありますが、ざっと問題点を拾っていったのでありますが、今度の税理士法の改正の中で、第一点としては、税理士の使命について権利の擁護ということを明確に打ち出すべきだというのが私どもの考え方であります。第二番目は、試験制度について、西ドイツやアメリカに確かに例はあると青いながら、税務職員として勤めた者に対して非常に便利な扱いをされていて、一般の人にももう少しそういった点も取り扱っていくべきだということを考えるとともに、この点はいろいろ問題があるというのが第二点。第三点は、ちょっと触れませんでしたけれども、助言義務の問題であります。それからまた、資格喪失の問題等々、いろいろ問題点がここにあります。そして、その点については先ほども冒頭に触れましたように、いまのところ必ずしも納得が得られていない。当局としてはこれがベストだと言うけれども、われわれとしては、あるいは税理士の人たちから言うならば、決してベストであるというふうに考えていない。だから、こういう法律は確かにむずかしい問題があります。
 他の士の分野との調整とか、新しくこういう制度を確立していくについてはいろいろ問題があるのですけれども、大臣、最後に、こういう問題点がいろいろありながら急いでやるというところに私は非常に疑問を持っています。余りこれ以上は触れませんけれども、そういう点で、やはりもう一遍この問題を、通るか通らないかは別として、フランクリーに悪い点がある一なら直す。もう一遍、できることなら少し前向きにでも直す。たとえば業務の問題にしても、いま話がありましたように拡大をしたようなかっこうはしているけれども、現実はちっとも拡大をしていない。税目は包括的にやりましたと言うけれども、税目もこれからのことでございます、こういうことなんですね。そんなに積極的にこれを直さなければならぬという理由は私どもは見当たらない。むしろ、ある程度時間をかけていいものをつくっていくということをやった方がいいんじゃないか、こういうふうに私は考えているのです。しかし、政府として提案をされた以上、通したい、そういうことになるでしょうが、これはもう一遍見直していくということについて、最後にひとつ大臣、いま問答を聞いておられてどのようにお考えになるか、聞かしていただきたい。
#65
○竹下国務大臣 長い歴史的経過の中で種々問題点を詰めてこのように提案したわけでございますので、提案責任者としては可及的速やかに議了していただきたいという立場にあるのは当然のことであります。
 いま山田委員と政府委員との質疑応答の中でいろいろ指摘された問題につきましては、今後の運用の中で生かせる問題もあるではなかろうか、このような感じを私自身は持ったわけでございます。いずれにしても、貴重な御提言として受けとめさせていただいたということであります。
#66
○山田(芳)委員 では一言だけ。
 そういう点で、また後の同僚議員も申し上げるだろうが、いろいろの点でやはり問題がある。だから、反対者があるという現実と、反対者の意見にも耳を傾けてやるというやはりある程度の度量というものを持ってこういうむずかしい法律は対処していくということを心から希望をいたしまして、私の質問を終わります。
#67
○増岡委員長 沢田広君。
#68
○沢田委員 税理士法が今回再度提案をされたわけでありますが、まず第一にお伺いをいたしたいと思いますことは、この前の委員会にも諸問題の提起はいたしてそれぞれ質疑をしたわけでありますが、いま国民の納税に対する義務というものをどのように理解をされているか、まずお聞きをいたしたいと思うのであります。
 いま税理士法が俎上に上っておりますが、言うならば、国民の権利というものがどうあるかという基盤の上に立って、税務署と国民の権利というものとの調整を図っていくという立場、あるいは技術的な専門的な立場でこれに寄与する、これが一般的な表現を使えば税理士法、税理士さんの業務の本旨であろうと思います。ところが、国民の納税の義務は非常に強権的なんであります。刑法よりも厳しい。いわゆる本人に不利益な陳述は強いられないのが刑法上の特典であります。ところが、税法はそうではなくて、これはもういやおうなしに、待ったなしにぶった切られる。こういう強権的な体質に国税通則法なりあるいは国税徴収法その他の法律の規定の精神はなっておる。ですから、まず国民の納税に対する意欲を盛り上げるということは大切なことであるけれども、同時に、現在国税の不服審判あるいは行政不服審査法という法律はあるにしましても、これは非常にむずかしい。だから、裁判でも民事訴訟になれば大体示談だとかなんとかという件数が圧倒的に多い。そういう条件を考えてみると、国税について税理士さんの占める役割りというものは、国民の権利それ自体がもっと浮上されないと、この税理士法の運用というものはきわめてむずかしい問題になるんじゃないかと考えます。確かに憲法で納税の義務は負っておりますけれども、それは同時にまた権利が保障されなければならぬ、こういうふうに思いますが、その点、まずお答えをいただきたいと思います。
#69
○高橋政府委員 先ほど来、納税者の権利の擁護ということを明足すべきかどうかという御質問であろうかと思います。
 戦後、日本の税制は基本的に変わりまして、申告納税制度というものを間接税についてもただいま取り入れているわけでございます。申告納税制度というのは、申し上げるまでもないのですが、納税者の方が御自分で課税標準を計算して、税法の規定に従って申告をしていただくということを基礎としております。いわば納税者の方々がすべて良心に従って課税標準をみずからお決めになる、それで国との間の税務上の権利義務が確定いたすということを本旨としておるわけでございます。ただ、所得の計算につきましても、そのほかの課税標準の計算につきましても、それから税法の適用につきましても、往々にして非常に技術的な複雑な規定もございますので、それを納税者のために一種の支援をしていただく、そういう業務として通常税理士さんが国税当局と納税者の間に立って円滑な納税関係を維持し、つくり出していくというふうに機能していただいておるというふうに思います。
 その場合に、先ほども福田審議官から申し上げたことでございますが、やはり真正な課税標準、それから真正な税法の適用関係、客観的にそういうものがあるわけでございましょう。それよりも過大な納税義務を負うということがあってもいけないし、過少な納税義務を負うということがあってもいけない、そういうことを適正な納税義務の実現という言葉で第一条の中に表現いたしておるというふうに私は解釈いたしておるわけでございます。
#70
○沢田委員 過少な場合、過大な場合、これはいろいろ判定の違いがそこに起きるわけですね。そこで提案等を含めて考えられるのでありますが、どこの法律でもそうですが、もう一回、国税不服審判所にいくまでの間に、これ税理士法ができるわけですから、税理士会を含め、あるいは税務署の職員も含め、あるいは第三者も含めてあるいは審判所の小型版といいますか、そういうようなものを置いて、ワンクッションを置いて懲罰規定に入るなら入る、これはまず納税者に対して不服を申し出る権利というものを擁護していく基盤というものをひとつつくる必要があるのではないか。一足飛びに国税不服審判所までいってしまう、ところが、この審判所の構成も、これはお役人だけでやっていることであるから、ほとんどこれも役に立たないという形でありますから、ここで税理士法を考える場合は、全体的なもののバランスというものを考えていかないと、どうしてもそこにゆがみができる。ですから、まず国民の権利というものが、ある意味においては納税に対して異議の申し立てばできるにしても、それでは応ぜられないという、それをわりあいに苦情処理機関的に処理できる方法を考えられないどうか、それには税理士さんの団体の公正な方あるいは第三者の弁護士の方とか、いろいろそういう人があると思うのです。そういう人たちを含めてまずそういう方法を考えていく方途は考えられないだろうか、これはひとつお答えをいただきたいと思います。
#71
○高橋政府委員 税理士さんが現実にやっておいでになるお仕事というものを表現をいたしますと、いわゆる決算、帳簿の作成、そういう自由業務から始まりまして、そのでき上がった決算に従って税法の適用関係を明らかにして申告書を作成なさる、それで申告していただく、それで大体の租税関係というのは通常そういう段階で終了してしまうと思うわけでございます。税法の適用に関連する所得の計算が不十分である、また税法の適用について認識が誤っておるということで、税務当局との間でまたいわゆる調査という段階でいろいろ御意見を交換する、そこで初めて税務代理というのですか、そういう仕事が始まってくると思うわけであります。そういうことをどういうふうに適正にやっていくかというのは現実の税務行政の積み上げでございます。その積み上げの中で、委員から御指摘のある権利の擁護というのですか、過大な納税義務の実現ということを防止していく、そういうふうなことが現実的に行われておりますし、現行の法律もそういう制度をよりよくつくり上げていくために今回改正を御提案申し上げておるというわけであります。
#72
○沢田委員 私の言っているのは、たとえば税理士さんが申告をした、ところが税務署で調査をして過少申告である、こういうふうになって重加算税まで課せられる、そういう事態になったときの税理士さんの立場というものは、言うならば信用を失墜する、こういうことになりかねない。税理士さんは税理士さんとして納税者の立場を考え、あるいは税務署の立場も考え、社会通念上の常識において判定をして申告をしたものだと思うのです。それを今度は税務署が内部に入って調査をしたら、これは過少申告だからといって税務署がしたら^税理士さんの商売は成り立っていかないじゃないですか。もしこういう法律を考えるならば、そういう立場をある程度、ある程度という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、守られる条件整備というものは当然必要になってくるのじゃないか。そして一方的な助言義務の違反だからといって罰則だけを考えるのではなくて、税理士さんを信用していく、そういう姿勢が前提条件としてなければならぬのではないか。税務署が調べたら過少だといって重加算税がつく、こういうことでは一般の国民は税理士さんに頼んだって当てにならないじゃないか、こういうことになるわけでありまして、この際一兆九千億円から二兆何千万円も税が増収いたしましたけれども、現在の税理士さんが扱っておる、あるいは青色申告が扱っておる、あるいはまた同時に公認会計士が扱っておる、それを若干件数別に、いま現在の税制の体系の中でどういう状況になっているのか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
#73
○伊豫田政府委員 初めに計数を申し上げますが、現在税理士一人当たりの関与件数につきましては、最近のデータが残念ながらございません。三十四年、三十六年、これは国税庁が調べました。昭和四十二年と四十八年につきましては日税連が調べたものがございます。それによりますと、一番最近のものでございます四十八年につきましては、税理士一人当たり個人、法人の関与件数は七十八件余となっております。なお、その個人、法人が一体どのくらいの大きさのものであるか、それからどういう報酬をもらっているか、こういうことにつきましては残念ながらデータがございません。
 それからもう一点でございますが、公認会計士あるいは弁護士、こういうものとのバランスでどういうふうに考えるかという御質問でございますが、公認会計士、弁護士さん等につきまして取り扱い件数についてのデータを残念ながら持っておりませんものですから、この点につきましては、公認会計士あるいは弁護士さんのそれぞれの業務の特殊性というもの、また税理士の業務の特殊性というものと、それぞれ特殊性があるので、その件数の比較というものはなかなかむずかしいのではなかろうか、このように思っております。
#74
○沢田委員 いまの報告で、今度はあなたの方で考えて、現在の税理士さんが扱っている件数、あるいはその規模、あるいはそれによって得られる納税額、そういうものは社会的に見てどういう程度とどういう位置にあると考えておられますか。
#75
○伊豫田政府委員 件数はすぐ調べますが、私の記憶しておりますところでは、個人の営庶業につきまして税理士の関与割合というのは大体三三・九%でございます。五十二年の計数でございます。
 それから法人につきましては八三・六%という関与割合がわれわれの手元にございます。そういう意味におきまして、税理士の持っている税務の中におけるウエートというものは相当のものがある、このように考えている次第でございます。
#76
○沢田委員 大体このガイドラインといいますか、日本の税がどういうふうに変わっていくかは別として、当面、現状の段階において望ましい状態というもの、描いているビジョン、たとえば税理士さんが扱うもの、公認会計士さんが扱うもの、青色申告が扱うもの、そういうものをいろいろ業種別、業態別あるいは階層別、それらをかんがみまして、これからの納税を円滑に進めていく上において理想的な形態というものはどういう割合であると判断をされておりますか。一応これは勘になりますけれども、あなたの方でも計画はないと思いますが、後でまた若干つけ加えますけれども、大体どういう状態を望んでおられますか。
#77
○伊豫田政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、私うまくお答えできるかどうかわかりませんが、私が考えますのに、現在の国税と申しますのは、主として申告納税制度をとっております。したがいまして、申告納税を、みずから申告書を調理し、申告できるということが、われわれ国税に携わる者といたしましては一番望ましいことは言うまでもございません。しかしながら、実際の問題といたしまして、税務書類の作成というものはなかなか専門的なものでございます。ただ、非常に小規模のものにつきましては、やはり小規模なりのいろいろな帳簿のつけ方もございますし、申告書の調理も必ずしも複雑でないという問題もございます。そういうことをすべて考え合わせますと、たとえば公認会計士さんはどういう範疇のものをやるべし、税理士さんはどういう範疇のものをやるべし、こういうふうなことをこの席上私が申し上げるべきものでもないと考えます。やはり全体の従来の経緯を踏んだ流れの中においてできるだけ適正な申告が行われることが、私の望ましい姿と考えているもののすべてでございます。
#78
○沢田委員 若干どうも時間を食いそうな答弁なんでありますが、この間政府が閣議決定した新経済社会七カ年計画、これはすでに計画は崩れているという条件はあります。あるにいたしましても、第一次産業は大幅に減って百五十万ぐらい七カ年後には削られて、第二次産業も三%以上減ってきて、五千八百万の総就業人口の中で、結果的には第三次産業がその主体をなしているというのが、昭和六十年度における経済企画庁が考えている日本の産業構造のビジョンですね。それを考えていってみたときに、やはりそこに起点を置いて、それは税理士であろうと公認会計士であろうと、申告制度を持っているからこれは自由競争である、だから、これは行き当たりばったりでいいんだというんならそれで一つの回答であると思います。しかし、そういう計画を立てた以上、それぞれの産業分布の中においてどういう役割りを果たしていく人たちが必要なのか。やはりそういう位置づけをきちんとしないから、結果的には今回の改正についてもいろいろ疑義が出てくるということになるんじゃないかと思うのですね。だから、いまの政府が考えている六十年度はそのとおりいかないと私は思いますよ。また、GNPがあのとおり進んでいくとは思いません。しかし、第
 一次産業があれだけ減らされて、第二次産業も減っていって、第三次産業だけがふえていくという形態になると仮定をすれば、結果的に、五百万人ふえますから、五千八百万の総就業人口の中で、第三次産業の割合が五〇%を占めてしまう、こういう状況の中で、このそれぞれの役割というものがどういう位置づけをするか。それにはガイドラインがどうあるべきか。これは別に統制経済をやれと言っているわけじゃないですけれども、あえてそういう点を、あなたも知っていて言っているのか、知らないで言っているのか、あるいはこれは無差別に自由競争だからそれはそれでいいのだと言っているのか。その辺だけははっきりしてお答えをいただきたい。
#79
○福田政府委員 制度の問題として考えますと、申告納税の場合、個人が申告するのが一番正しいと思いますが、今後おっしゃるようないろいろ複雑な経済の実態の中で企業活動が行われますと、どうしても専門家の援助を要するという分野は長期的に展望されると思います。その際、やはり税の専門家である税理士さんの活動分野が自由職業として伸びていくということは考えられると思います。その際、税務の代理、税務書類の作成、税務相談というはっきりした分野は、税理士さんが税務署の関係でおやりいただくということであって、公認会計士の方は別の分野、すなわち監査業務が主力でなければいけないと思います。したがいまして、今回の改正におきましても、税理士業務を明確にするということをしておりまして、公認会計士は例外的に扱い件数の少ない分野についてのみ当分の間やれる、こうなっておりますのはその辺の分野の考え方から出ております。
 それから青色申告会等の問題は、これはいろいろな指導等の分野でございまして、あくまで独占分野である代理を中心にします、税務書類の作成を中心にします分野は税理士さんがやはり独占的に、しかも困難な今後の経済実態の中で専門家として活躍してもらいたい、こう思っております。
#80
○沢田委員 ここにこの国会を通じて大分反対の陳情書をたくさん私も受け取りました。一番疑問として解消していかなければならないことは、一般消費税導入の一つの前提条件の整備である、こういう意見であります。これをどういうふうにつなげて解釈するかということはありますけれども、ともかく一般消費税導入の地ならしである、こういう形でとにかく反対であるという意思表示もされております。この点は当局としてはどう考えておられるのか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
#81
○福田政府委員 法律的な面から申し上げますと、第一条で税務専門家という立場を明らかにしましたことを受けまして、包括規定ということで税目が書かれております。したがって、これは前回の三十八年答申及びそれを受けた三十九年の改正案がとりました包括規定の考え方でありまして、ある特定税目を想定したものでないことは当然であります。そういうことで、一般消費税というような具体的な税目を考えての法改正ではないということは、明確に申し上げられると思います。
#82
○沢田委員 それがいま質問もありましたけれども、その理由としては、税務職員を無試験で大量に税理士にふやしていくから、結果的には八千人も一般消費税では税務職員がふえる必要があるのだ。だから、ふえる必要があるところへ無試験の認定をすれば、どんどん税理士がふえてしまって、結果的には、一つには税理士の競争が激しくなるという心配がある。もう一つは、一般消費税を入れる体制をつくるためにやっているのだ、こういうことだと思うのですね。それについてお答えいただきたいと思います。
#83
○高橋政府委員 いまの御質問の後段の部分は、ただいま福田審議官からお答えを申し上げたとおりであります。
 研修を条件として、あとは税務の経験に応じて税理士の資格を税務職員の経験者に付与するという点につきましては、三十九年の改正案では口述試問をやって資格の認定、特に会計学に関する試験免除というようなことを考えておったわけでございますが、そもそも納税者の支援業務と申しますか、税理士さんのお仕事というのは税務に関する経験、それから税務また会計に関する知識とその二つが相まって円滑に行われるべきものであろう。したがって、どこの国でも税務に関する経験というものをかなり尊重した税理士制度の資格付与という規定がございます。ただ、この仕事が格別に納税の秩序の中で重い地位を持っておるということから、経験年数については今度は二十三年ないし二十八年というふうに延長いたしまして、かつ管理監督的な地位に相当期間おった者というふうに非常にしぼったわけであります。
 それから研修につきましても、会計学の試験の合格者と同等の資質が得られるような研修というものを税理士審査会において今後基準を決めて指定をして、それを修了した方だけに資格を付与するということにしたわけでございますから、今回の制度で、言葉が悪いのですけれども、私は税務職員の卒業生を税理士として乱造するという趣旨を持っておるものでは全くないということをお答えできると思います。
#84
○沢田委員 こんなに厚くたくさんいただいておるので、当局の方も、大蔵省もごらんになっただろうと思うのでありますが、要すれば、そういうことに対して不安を与えない条件を整備することも重要な一つの仕事だと思うのですね。ですから、こういう形においていろいろ言われていることに対して、それはわれわれも賛成する者もあります。疑問に思う者もあります。しかし、いずれにしてもそういう形に対してそれぞれ回答をしていく、こういう姿勢はきわめて必要だと思いますから、要請をして、次に入らせていただきます。
 この助言義務の問題は先ほども山田さんから残されましたけれども、先ほども述べましたように、これは精神的な条文である。たとえば自動車の運転免許の場合に、飲酒を勧めたり、あるいは酒を与えてはならないというふうな規則が道路交通法にはあります。しかしながら、その裏づけとなる罰則はないのでありますが、道路交通法にはそうなっております。酒を勧めたり、あるいは飲ませたりしてはいけない。しかし、飲んだ者は罰則を受けます。勧めてはならぬという法律はあるけれども、そのことは言うならば罰則規定に当たっていない。それと同じように助言義務というものは、いろいろ細かくやると時間がかかりますけれども、要するに、相手の立場を考えて税理士がやっていけば、ある意味においてはこういうことになりかねない場合も多いと思うのです。しかし、なるべくその姿勢を正して、正しい申告をしてもらいたいという、これは政府の要望条項である、言うなら倫理規定である、そういうふうに私は受けとめて、これが直ちに懲戒処分その他に及ぼすものではないと考えたいと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。
#85
○福田政府委員 御指摘のとおりでございまして、社会的な、国民一般の税理士に対する批判というのも、これは厳然としてあるわけであります。したがいまして、今回の改正につきましても、社会的な責任、したがって社会的な地位の向上がそれに貫かれておりますので、この規定は罰則を考えておるものでは毛頭ございません。まして罰則は書いてございませんし、懲戒処分の問題になりますが、脱税相談的な強い懲戒処分は外してございます。したがって、一般の法令違反の問題になりますが、おっしゃるようにこれは懲戒処分自体を目的にしたものではないわけでございまして、税理士さんが社会的批判にたえて地位を確立され伸ばされるということに趣旨がございまして、これはあくまでおっしゃるとおりの趣旨の規定でございます。(発言する者あり)
#86
○沢田委員 それは、いまもこちらで言われておりますけれども、この前も私が言いましたように、それは政府の答弁です。だから、今度はこれをどう具体的に生かすかということが大変大切なことなのです。裁判所に行けば法律はひとり歩きをするということになります。ですから、立法の精神そのものが裁判所で生かされる場合はなかなかないのです。それとはまた別な解釈が社会秩序、公共の秩序という条件の中からひとり歩きをしていく可能性が強い。ですから、この内容は、ぜひ政令であるとか、そういう立場のものによって明確に具体化して出しておいていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#87
○福田政府委員 この運用は、あくまで懲戒に関する場合は懲戒審査会の問題でございますが、そこに至ることはとうてい考えられない。考えられるとすれば、脱税相談もしくは不真正な故意による申告書の作成問題にかかろうかと思いますが、これ自体の助言義務の問題が万一ございましても、懲戒審査会のところでの運用基準で、その辺が税理士及び依頼者の立場を損なわないよう担保されるように検討したいと思っております。
#88
○沢田委員 それから、先ほども若干触れられました使用人の場合の義務違反の問題でありますが、これも保険業務その他は若干触れましたけれども、会社を代表する者として扱われております。いわゆる外交ですね。外交の使用人は会社を代表してその権利と義務を担うというふうになっておりますから、この意味においても使用人等に対する監督義務違反というものが、その義務に違反したからといって直ちに連動的に懲戒処分というような形にならない調整がこの場合は必要だと思うのです。いわゆるセールスなんかの場合とはおのずから違って、それぞれ個々の判断の物差しが違ってくる場合があると思う。でありますから、そういう意味において使用人等が間違って犯した場合――これは選挙違反なんかでももっと連動性を強くしろという意見もなくはないくらいでありまして、選挙違反で百人も出したら、それでは五十人がいいか三十人がいいかという議論があります。とにかくそういう者を出したら議員も連座したらいいのではないか、こういう意見もありますが、いまのところは助かっていますね。そういうことから見ると、使用人に対する監督義務違反というものによっての連動性を通達その他で、それはこういう場合ですよというふうに具体的に示してもらえると解釈してよろしゅうございましょうか。
#89
○高橋政府委員 御提案申し上げております今回の改正案では、税理士の使用人の監督に関する規定はまず税理士会の会則でお決めいただく。いわば税理士会の内部自治としてどういう形で監督を行っていくべきか、仰せのように倫理的な規定、または業務運営的な規定でございますから、まず内部自治の規則として決めていただく。そして、これに違反した場合にどうするかということにつきましては、先ほど審議官からも申し上げましたように、それは懲戒審査委員の仕事の進め方についての規則またはルールの問題だと思います。いずれにしても、慎重を期してまいらねばならぬことであるというふうに考えます。
#90
○沢田委員 話は若干もとへ戻りますけれども、国税徴収法の百八十七条に「情を知って」という条文があります。この「情を知って」という条文とここの助言義務とはどういう関係にあると解釈されますか。突然ですから、もしなになら後でいいですよ。
#91
○福田政府委員 間違っていましたら後で訂正するかもしれませんが、四十一条の三では、故意といいますか、その脱税の意図が客観的事実によって明確にわかるということでございまして、一知る以上に仮装、隠蔽という客観的事実は明確であるということを優先して書いてございまして、したがって、主観的意思が当然に予想されるということでありますので、徴収法の「情を知って」ということよりも、こちらの縛りの方がもっと厳しい構成要件になっておるかと思います。
#92
○沢田委員 これは突然質問したわけですから、お答えが不確実であったり不鮮明であるとまた誤解を生じやすいので、いまのお答えで間違いないのかどうか。私は「情を知って」とだけしか言わなかったですけれども、一応法文を見てその点を明確にお答えいただきたいと思います。
#93
○福田政府委員 この四十一条の三そのものに書いてございますのは、「故意に」とか「情を知って」ということを使っておりません。「事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、」「仮装し」と、こう書いてありますので、実際のものにかわる仮装の借入金を設けるとか、別口の預金が明確にあるという種のだれが見ても間違いのない客観的事実を言っていまして、主観的意図をもって、そこで紛争が起きることのないようにというふうな書き方になっております。
#94
○沢田委員 質問の趣旨は違うのでありますが、助言義務の方は、これは精神条文だということになったからいいのです。ただし、国税徴収法の百八十七条には「情を知って」と書いてある。片っ方は精神条文になりました、そうします。ところが、国税徴収法の百八十七条の「情を知って」で縛られたのではせっかくの精神条文が精神条文でなくなってしまうおそれがあるから、これは法律ですから、その点はどういうふうに扱われるのですかということをお聞きしたわけです。片っ方は精神条文にしますということですから、もう故意であろうと隠蔽であろうと、そういうことはいまのところはいいのです。ところが百八十七条ではそうは書いてないから、それとの関連で、あなたの方では二重に縛るという形が生まれてきやしないかということを私は指摘をしているわけです。
#95
○高橋政府委員 突然の御質問でございましたので、あるいは十分なお答えができない点もあろうかと思いまして、お許しを願いたいと思いますが、この百八十七条は「滞納処分の執行を免かれる目的で」財産を隠蔽、損壊、または国の不利益のために処分をするという場合に、本人と通謀してその行為の相手方になった、つまり財産を買った、または自分の財産と名義を仮装して滞納処分を免れようとしておる納税者を助けた、そういう人についての罰則の適用の問題だと思います。取引について、いわゆる通謀して虚偽の表示をしたという民法の規定がございますけれども、それと同じような条文について、国税滞納処分を免れるために行う、いわば悪質な行為を罰するという規定でございますから、先ほど来福田審議官からお答え申し上げております四十一条の三とは条文の適用関係も違いますし、また解釈としても違っておるということであろうと考えております。
#96
○沢田委員 若干また一番当初に戻りますけれども、いままでの質問を通じて戻るわけですけれども、刑法でも本人の不利益な陳述はしなくてもいい、こうあるわけでありますから、百八十八条にある質問と検査権、これはこのまま否定しようとは思いません、否定しようとは思いませんけれども、本人が著しく不利益をこうむると思われるときに対する抗弁権というようなものは与える必要性があるのではないか。そういう条件の中で第三者機関、あるいは訴訟をやってもいいでしょうが、そういう中で正当な判断をする、そういう一つの機関運営というものが必要になるのではなかろうか。いまの状態でいけば、質問があります、検査権があります、立入調査があります、それでいやおうなしに処分をいたします、そして文句があるならば不服審判所に行きなさい、こういう形で、昔の武士道じゃありませんけれども一刀両断に首を切られてしまう、こういうのがいまの税体系ですよね。だから、そこでワンクッションを置いて、さっき述べたような方法というものを検討していくという構え方、これはいまのこの法律でできないかもわかりません。できないかもわかりませんけれども、そういう物の考え方に立って、納税者と税務署あるいは税理士さん、それぞれの立場のバランスがとれるような仕組みというものを考えていく必要があるのではないか。国税不服審判所に直ちに行けという形だけでなしに、ワンクッション、苦情処理機関的なものを置くという発想はないかどうか。これはぜひつくっていただきたいと思うのです。
 私がいろいろ扱っている問題の中からの実態例に応じても、そういう機関をつくることによって紛争を避けていく、片っ方はどうも行政権力を利用するという形になって、弱い老いじめの形態がどうしても出てくる。だから、何かそこで代弁ができる機関、そういうものを考えていくことによって――何も税をまけろなんて言っておるのじゃないですよ。税をまけろなんて言っておるわけじゃないですけれども、本人の不満、不信、そういうもののはけ口というものがなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに思うのです。実際に皆さん方扱っていないからわからないのだろうと思うのですけれども、私はそういうことを痛切に感ずる。
 じゃ、どこへ頼みに行くかといえば、税理士さんへ行く。ところが、税理士さんへ行ったって、それで立入検査権なんかでやっても、決定されてしまえばもうどうしようもない。あとは裁判をやる以外にない。しかし、裁判をする勇気はなかなか一般の庶民にはないですよ。税というものは弱みがありますからね。たたけばほこりが全然出ないというわけにはいかない。弱みがあるから、どうしても裁判までかけて闘うという勇気は現実問題としてないのですね。ですから、もっと安易な機関、安易というか簡単な機関において、簡易裁判所みたいな機関で調整をできる仕組みというものを考えて、そこへ税理士さんも意見を述べられる、あるいは第三者も聞くことができる、家庭裁判所みたいなことになるかもわかりませんが、そういうものを発想として考えていく必要があるのじゃなかろうか。第三次産業がふえていくという状況の中でいけば、私はなおさらそういう条件が必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。
#97
○福田政府委員 お答えになるかどうかわかりませんが、おっしゃっている趣旨はよくわかります。
 それで、税の専門家という第一条の立場で、課税関係のところで「納税義務の適正な実現」、その場で専門家として税務当局の主張に対して十分な反論ないし的確な指摘をしていただく、これが非常に大事であろうと思います。
 したがって、納税者を代理して専門家として主張される税理士さんと税務当局の間は対等で、しかも緊張した関係で事実関係及び法律関係の論議がなされる、これが基本であろうと思うのです。そこでお互いに尊敬し合い、そこに本来の信頼関係が生じ、それが納税者のまた信頼になる、また国民全体がそこで税理士制度を評価する、こういう問題でありますのでおっしゃる趣旨は税務折衝の過程で十分に主張していただくという専門家の立場を貫いてもらいたい。あと、いろいろな食い違いが出てきました場合には、いまあります異議申し立て、さらに不服審判所の機構をまた十分に税理士さんが活用していただく、またそれだけの主張を十分にやっていただくということであろうかと思います。
#98
○沢田委員 あなたの言われているのも現行法規上よくわかります。だから、今度税理士法が新しく生まれ変わった、あるいは生まれ変わってこれから動き出す、そのときに、次の問題として、この法律ができた次の問題を考えていくことがわれわれには必要じゃないかと思うのです。ですから、そういう立場から見ると、税理士さんの社会的な地位の向上ということを考えての法律だ。それならば対等になるという条件を確保することである。対等になるという条件を確保することは、また少なくとも納税者の対等な条件を確保することである。その考え方には間違いないですね。
#99
○高橋政府委員 お示しのように、納税者の方々と国税当局との間の円滑な関係を保持していくということが財政のために一番必要であることは、私どもも痛感しております。
 ただいまもお話がありましたけれども、納税者と税務署とは対等の関係に立っておる、これは現在もそうでございます。対等の関係に立って、真実の課税標準、税法の適用というものについて相互に意見を交換していく。そのプロセスを税理士法という範囲で考えまして、現在までにまとまったベストな案として御提案を申し上げておるわけでございます。何とぞ御理解をいただきたいと思います。
 なお、今後税務行政を円滑かつ限られた職員で正しく行っていきますためにどういう工夫が必要か、私どもも日夜その点については考えをひねっております。いろいろな方面の御意見を聞いて、さらによい税法の適用、納税義務の実現ということができますように努力をしてまいりたいと考えます。
#100
○沢田委員 あと二、三お伺いして終わりたいと思いますが、第二条に規定している税務書類の範囲等に関して、商工会や商工会議所が行っている業務については、今回の改正によっては実質的に影響は受けない、こういうふうに理解してよろしいのかどうか。
#101
○伊豫田政府委員 そのとおりでございます。実質的な影響はないと考えております。
#102
○沢田委員 それから懲戒処分の除斥期間の問題については、先ほども質問をいたしましたけれども、他の法律などの例にかんがみて、今後税理士の地位の安定という立場から懲戒処分の運用に当たっては一層考慮をして、直ちに段平を振り上げるということではない、これには何段階かのクッションを置いて処理していく、こういうことと考えてよろしいですか。
#103
○福田政府委員 おっしゃるような運用をいたしたいと思います。
#104
○沢田委員 それから税理士さんの法人については、社会的な必要性の度合いや社会的な業務というようなものから、この扱いというものについて、さらに社会的な地位を上げていく、こういうようなことも考え、あるいはいま言ったようにばらばらなかっこうでなくて、もう少し統一的にできればなおさら運用は実が上がっていくのじゃないかと思いますから、それは当局においても御検討をいただきたい、こういうふうに要望をしたいと思うのですが、いかがですか。
#105
○福田政府委員 税理士の性格及び社会的ニーズに応じまして、御指摘の点は今後十分検討を総合的にやりたいと思っております。
#106
○沢田委員 それから続いて、都道府県ごとの税理士会の結成については、現在の一局制度にかかわらず、その都度の必要性に応じて構成が可能である、こういうふうに考えていいですか。
#107
○伊豫田政府委員 そのとおりでございます。
#108
○沢田委員 きょうの新聞等によりますと、大蔵委員その他与野党の議員が政治献金によってということで、このことはこの審議を一層妨げるものではないとは私は確信をいたします。そのことによって、私も別に関係はありませんけれども、大蔵委員会のこの税理士法の審議がゆがめられたり、あるいはまたそれによって偏ったりすることは、これは許されることではないと私は思います。これは議員の方に向かって言う言葉かもわかりませんけれども、当局においてもそういうことによって――あなた方の方もあるいは接待を受けたかどうかわかりませんけれども、そういうことによって税理士法がゆがめられたり、あるいはそれによって解釈を狂わしたり、そういうことのないということをお互いに誓い合ってこれは私たちも審議をしているつもりであります。そういうことでありますから、私は自信を持ってそう申し上げられると思いますから、その立場でお答えもいただきたいと思っております。
 最後になりましたけれども、税理士の助言義務の問題は一応片がつきましたから、税理士さんのこの法律の扱いとして、今後運用は、この政令なりあるいは通達なりというものの準備ができる時期はいつごろになるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#109
○福田政府委員 今後の検討は、法律というものは常時検討すべきものでありますので、御指摘の点、またわれわれの考えております点を今後引き続き検討したいと思います。
 それから、先ほど若干接待という問題がございましたが、名誉に関しますので釈明します。
 一回もそういうことはございません。内容は前回の答申及び法律を受けておりますし、最近の社会的批判を踏まえておりますので、誤解のないようにお願いします。
#110
○伊豫田政府委員 国税庁サイドからも、同様のことを申し上げます。
#111
○沢田委員 私の方に言い過ぎがありましたら、それは謝ります。その点はひとつお許しをいただきたいと思います。ただ、新聞の報道でああいうふうに出ておりますので、そのことによって国会の審議の方向が狂ってはいかぬ、そういう心配で申し上げたことでありますので、その点は御了承をいただきたいと思います。
 それでもう一つは、先ほど述べたガイドラインとの問題等を考えまして、私は、長年経験した国税職員の方が必要に応じて税理士になることを否定するものではありませんけれども、いま言っている、試験を受けてやっている者と、山田さんの意見とは違ってきます。ゼロにしろとは私も言っていない。だから、そういう意味においては違いますけれども、それはそれなりの実績があるのですから。しかし、社会的な均衡をとっていくということが政治の上において大変必要なことである。ただ、試験に合格した人だけが万能であるとは私も思っておりません。また、しかし税務署の職員から出てきた人だけがすべて万能であるとも思っておりません。やはり、それぞれがそれぞれの長所を生かしながら納税者を守ってもらえる体制をつくってもらうことがわれわれの希求する姿であります。ですから、そういう条件において、このことの運用については、いわゆる世の中の情勢等を十分勘案しつつ、その均衡を図るということについてひとつお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#112
○高橋政府委員 ただいまお示しのことは、私どもそのとおりに思っております。今後、税理士審査会で会計学に関する研修の条件を定めてまいる、また全体としての税理士制度を育成していくという点につきまして、十二分に戒心して努めてまいりたいと思います。
#113
○沢田委員 以上で私の質問は終わります。
#114
○増岡委員長 古川雅司君。
#115
○古川委員 ただいま議題となりました税理士法の一部を改正する法律案につきまして、若干質問をいたします。
 最初に、提案をされました経緯を踏まえまして、大臣に基本的なお考えをお伺いしてまいりますが、政府は税理法改正案を提案するに当たりまして、先ほど提案理由の説明の中で「税理士制度の実情等に顧み、その改善を図り、税理士業務のより適正な運営に資するため、税理士の使命の明確化」等々を挙げて所要の改正を提案しておられるわけでございます。
 第八十七国会、第八十八国会に提案をされましたけれども成立を見なかったという経緯があるわけでございますが、いろいろと努力はしていらっしゃると思いますけれども、全体的に税理士の立場が、第一条の使命から始まりまして、監督義務、それから報告義務など、税理士の立場から見ても全部が全部賛成し切れないという疑問があるわけでございまして、事実、私のところにも関係各方面から、今度の改正案の内容を見ると、税理士をやっているのがいやになるということを訴えてくる人までいるわけでございます。この改正案がもし成立をするということになりますと、当局においては、特に運用上非常に神経を使わなければならない点が数多くあるのではないかと思いますが、その点についての大臣の基本的なお考えをまずお伺いしたいと思います。
#116
○竹下国務大臣 法律というものは、常時注目していなければならない問題でありますし、なかんずく、その運営につきましては税理士の皆さんのみならず、社会的ニーズの中で絶えず運営に対しましては適切を期するように心がけていなければならぬ、基本的にそのような考え方であります。
#117
○古川委員 前々国会から引き続いての今回の御提案につきましては、何よりもその法改正は、端的に言って、税理士とその周辺各界におけるいわゆる利害調整が主たるものではないか。したがって、この問題に対する取り組みというのは、やはりその利害調整に重点を置かれたのではないかと考えるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
    〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕
#118
○福田政府委員 まさしく御指摘のとおり、立案過程で、政府提案といたしまして各省との折衝という手続を踏みながら関係先との調整をやったわけでありまして、その基本的スタンスとしましては、税理士の性格というものを筋を通していくということをもって各界との折衝をやりまして、公認会計士の関係、それから行政書士の関係、これが最大の問題点でございました。これはしかし、前回答申及び前回法にのっとった合理的解決になっておると考えます。
 あと、内部的には問題がございましても、むしろ問題は対外的調整にあった、それは合理的な調整を関係各省と終えたというふうに御説明申し上げます。
#119
○古川委員 法律でありますから、改正案の内容がまたきわめて事務的にきめ細かくなっていくということも当然でありましょうけれども、その一つ一つについて、いわゆる当事者である税理士の方々が今後その運用に当たって全面的に協力をし、あるいは納得をしてくださるという配慮が果たしてどこまで行われたか、特に利害関係の調整という、非常にむずかしさはありますけれども、青色申告会であるとか公認会計士協会あるいは行政書士の皆さん、あるいはまた東京税理士会の皆さんからもいろんな御意見が出ているわけでございます。合理的な関係調整をされたということでございますけれども、きょうこの時点において、なおこうした諸団体の中には非常に大きな不満が残っているわけでございまして、果たして、その努力をされた関係調整はいかがなものであったのか、もう少し詳細に御説明をいただきたいと思います。
#120
○福田政府委員 業法の改正と申しますのは至難のわざでありまして、従来この法律が古い形のままで放置されてきたのもそこに原因があろうかと思います。
 法律は二十六年にできまして、その内容は相当古いままで運用されておるというところに、現時点において古い衣になっておるということでありますが、そのよって来るところは関係業界との調整がなかなかむずかしいということであります。これにつきましては、ちょっと振り返らないと沿革がわかりませんので、調整という意味で申しますと、三十六年の六月に附帯決議が参議院でございまして、全体的な見直しをしろ、こういうことでございました。これが出発点で、三十八年の十二月に税調の答申がございますが、これは一年以上、学者、それから関係方面全部入られて、現地調査までやられた、相当これは徹底した調査であったと思います。それを受けましたのが三十九年の法律でございます。これは合理的な内容を持っておると、われわれは、政府としては考えるわけであります。その後これは廃案になりましたが、これは税理士会の中でいろいろな意見が、試験制度をめぐって反対の意見が強くなったということからきたわけでありまして、やはりこの業法を通すことが業界の中でまとまった意見でなければむずかしいということがわれわれの過去の経験であります。したがって、このまま放置してはいけない、これは税務行政の基本に関する制度でございますので、しかし、そのスタンスは、それは税理士さんから見ても、また税理士会から見ても、依頼者から見ても、それから税務当局から見ても、それから特に国民から見ても合理的であるということが政府提案の基本であろうかと思います。そういうスタンスで関係方面との折衝を放置することなくやってまいりましたが、特に五十一年の一月からこれは約三年にわたりまして、五十三年の十二月まで約十五回以上の打ち合わせを税務、税理士会連合会と行っています。
    〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
税理士会連合会は法律に基づく団体でありまして、これは各国税局単位の税理士会、東京税理士会を含みます各税理士会の上に立つ連合会であります。したがって、その中にはいろいろ意見がありましても、税理士会連合会というものがいろいろな手続を踏みながら、理事会、総会、正副会長会議その他を何回もやりながら、またわれわれとも折衝をやりながら、それをまた図っていくという手順を踏んでまいりましたことが、調整過程としては十分な手順を踏んだと考えるわけであります。それで内部的には、いろいろ意見はこれは当然あろうかと思いますが、そういう正式機関がわれわれと長期間具体的な問題をやってきたということはやはりお考え願っておきたいと思います。
 ほとんどの問題を細部について詰めました。しかし、一挙にすべての問題が解決するということは、法律全体を通じてやはりむずかしい問題でございまして、やはり現時点でわれわれもいいと思いますし、相手もこれでいいと思うもので、ここで改善を図るということでなければ、この法律はいつまでも十年、二十年放置されたままであろうと思います。したがって、ここで意見が最大公約数でまとまったところで法案を提出しまして、その過程でおっしゃいました公認会計士の問題、これはまた御質問があれば付言しますが、税理士はやはり税務の問題を処理する専門家である、公認会計士は例外的な立場で始まった通知公認会計士制度でありますので、この際、すっきりしたいというのが基本的な税理士と公認会計士の調整のスタンスであります。それから行政書士は、税務専門家という意味でいけば、これはやはり税理士が優先するということが処理の中心でありまして、既得権の調整を同時に行うというようなことで、その辺との調整は各省を通じながらやっていく、また証券局とも調整していく、非常にこれは苦労しまして、その間わが当局としては批判を受けないように身を厳正に保ちながら、正しい法律として仕上げるということに専心してまいりましたので、この内容については、現時点では私としては最高のものと思います。
 ただし、今後いろいろな社会的な変動がございます。経済的な事情の変化もあります。それに応じながらよりよい税理士の地位の向上、そして諸外国の、特に英国その他の公認会計士に近い税理士の地位の尊重ということ、りっぱな税理士さんの持ってこられたものはフリーパスで通るというような信頼関係まで持っていく必要がある。それはやはりステップを踏まなければいけませんので、今回の改正は現時点で社会的な評価にこたえてその地位が実質的に向上する段階のものとしては、いまの時点ではこれ以上のものは調整できない。ここでこれがまとまらなければ、当分われわれとしても調整する力はないというふうに考えております。
#121
○古川委員 くどいようでありますが、今回の改正案の提案をされたもう一つ大きな疑問として、臨時国会の十六日間というきわめて短い会期の中で、委員会の審議日程も制約されておりますが、その中で五本という法律案の提出がされたわけでございます。なぜそのように今回この改正案の提出を急がれたか。来るべき通常国会でも遅くなかったんじゃないかという疑問が一つ起こります。
 と申しますのは、先ほど来御説明をいただいております関係団体との調整をここでもう見切りをつけたのか、これで終止符を打って提案に踏み切ったのか、まだまだ調整の余地はあったのではないかというふうに私たち考えるわけでございますが、その点いかがでございますか。
#122
○福田政府委員 調整の問題は、先ほど申しましたように、十分な時間をかけて、現時点、政府提案としては、調整が終わったものとして提出をいたしております。この提案に至るまでには、その間にいろいろありましたけれども、法案を出す以上は、関係各省の調整、閣議を経てくるというところで調整を終わったと考えざるを得ないわけであります。一部の異見はあっても、それはやむを得ないわけでありますが……。
 それから、この法案をなにしていただいておりますのは、前回十分に御審議をいただいておるとわれわれも考えますし、それをあえておくらせる理由もない。それなりにやはり内容に即した御検討をいただいて御処理願いたいという以外のものではございません。
#123
○竹下国務大臣 これは法律案を提案をいたしました責任者といえば私ということになるわけでございますが、確かに今度の臨時国会でどの程度のものが議了していただけるかというようなことも、提出者という立場を離れて、また議員として私もいろいろ考えてみたわけであります。結局、最終的には議運、国対等におきまして、ある程度審議の進んだものというような範疇に属するものではなかろうかという判断をいたしまして提案をさしていただいた、このように御理解をいただきたいと思います。
#124
○古川委員 関係諸団体との調整は、政府側としてはもう終結をしたという御判断をいま伺いましたが、繰り返して申し上げますけれども、税理士を初め関係者の中にはまだまだ根強い不満が残っている、決して関係の調整が終結したものではないという意見をつけ加えておきます。
 以下、これまでの議論と多少重複するかもしれませんが、政府の御答弁も踏まえて逐条的に何点かお伺いを進めてまいりたいと思います。
 最初に、第一条の税理士の使命についてでありますが、現行の法律では「中正な立場」となっているわけでございますが、改正案ではこれを「独立した公正な立場」と変えているわけでございますけれども、改正案の中全体にいわゆる税理士の職業専門家としての独立した立場というものがどう生かされていくのか、その辺をまず御説明をいただきたいと思いますし、また、この「公正な立場」――「中正な立場」から「公正な立場」ということになったわけでございますけれども、中立、公正というよりもむしろもっと納税者の権利の擁護という点に重点を置く表現ができなかったものか、その辺の運用もあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#125
○福田政府委員 先ほど御質問の、各界のいろんな御意見は、今後とも十分に参考にしながら検討していきたいということを付言します。
 それから、ただいまの御質問は「中正な立場」でございますが、これは言葉が非常にわかりにくいと申しますか抽象的に過ぎたということを、むしろ「税務に関する専門家」ということが、その地位を明確にすると思います。特に、ほかの職業と違いまして、公認会計士とかほかの職業と非常に密接に関連するところがございますので、その地位はやはりはっきりする。弁護士さんは別に書くことはないのですが、この税理士さんの場合には、ほかの分野と似ているというか、問題が起きやすいものですから、税務に関する専門家という地位をはっきりさせるということがこの実益のあるところでありまして、したがって、税目の拡大とか、あと、他人のつくったものについて、申告書を審査するとか、あちこちその関連があらわれてくるわけでありまして、言葉だけの問題ではないだろうと思います。
 それから、「納税義務者の信頼にこたえ」ということはそのままございますので、これは、おっしゃる趣旨は、ここにございます、さらに先ほどから申し上げていますように、「適正な実現」ということは、過大な課税に対してその専門家として主張を十分されるということを踏まえておるわけであります。
 また、この第一条は使命でございまして、もともと代理関係というものは民法上の代理関係として納税者のためにあるということは当然にあるわけであります。
#126
○古川委員 この「税務に関する専門家として」という表現について、これは公認会計士の間から、おっしゃるとおり非常に批判が強かったわけでございますが、これまで議論がございました。この点について、公認会計士の皆さんが十分納得をするだけの調整はもうお済みになったわけでございますか。
#127
○福田政府委員 公認会計士との間は、公認会計士協会及びそれを監督する立場にある証券局と長い間相当突っ込んだ意見の交換をしてここに至っております。
 最初の「税務に関する専門家として」のところについては、特に問題としては提起されませんでしたが、あと問題になりましたのは、通知公認会計士制度の問題、これが最大のポイントでありまして、あとは付随業務としての会計業務、それから書面添付の問題、この三点が調整の問題でございました。「税務に関する専門家」、これは当然の規定であろうかと思います。
#128
○古川委員 税理士の業務に関する改正でありますけれども、全体の税目ということについて対象となる問題、これは当然な考え方だと思いますけれども、これまた公認会計士、それから行政書士の方々の一部において現在いろいろ意見があるわけでございます。これはいわゆる守備範囲の問題になってくると思うわけでございます。この辺、果たして明確になっているのかどうか。
#129
○福田政府委員 税目の問題は、包括規定というのが税理士が税務に関する専門家である以上当然の規定でありまして、公認会計士が税目について云々する立場ではないと思います。行政書士につきましては、既得権の問題がございますけれども、その調整を除きますと、同じく税務の専門家である税理士が税と名のつく本来のものについては扱うというのが納税者のためであり、またその税の性格に即したものであろうと考えます。
#130
○古川委員 そこで、その既得権の調整が一番の問題になるわけでございますけれども、できれば一つ一つ具体的な事例を挙げて調整の仕方、合意のできた点、まだできない点について御説明いただきたいと思います。
#131
○福田政府委員 調整の関係の御質問でございますので、関係別に申し上げますと、行政書士でございますが、税理士業務の対象となります税目の範囲を拡大したのに伴いまして、従来から行政書士が取り扱ってきました申告書等の作成に関する業務については、既得権ということで今後とも従来どおり行政書士の名において行うことができるということで、その既得権の調整を図りたいと思っております。その範囲はこれから確定したいと思いますが、今後税目が出ました際、原則として、包括規定の趣旨からいってこれは税理士さんが扱うことになる、しかし、行政書士の方から、それは行政書士の職に沿うということでお話があれば、その間の調整はいたしますけれども、従来扱っておられたものについては既得権として例外的にやっていただきますけれども、原則はやはり税理士である、こういう調整であります。既得権を維持するというのが行政書士、それからいまの規定でありますと、何か税目ができますと、当然に行政書士にいってしまうという限定列挙になっているというのが法律として一番欠陥のあるところであったかと思います。したがいまして、先ほど申しましたように、事務所事業所税とか、わりに専門的な知識を要しますけれども、法律上これは当然に行政書士にいってしまうというのは明らかにおかしかった、こう思います。
 それから、公認会計士でございますが、今回の通知公認会計士制度の改正に伴う経過措置という形では、改正法の施行日前に国税局長に通知をして税理士業務を行っていた公認会計士たる税理士、これを通知公認会計士と申しますが、施行日以降三年間は従来どおり税理士業務を行うことができるという一般の経過規定に合わせまして、公認会計士は当分の間――これは本法の附則にございますが、当分の間、これは国税局長の許可でございまして、許可を受けてその行おうとする税理士業務の規模が小規模なものとして、委嘱者の数等が一定の規模の範囲内であるという小規模の場合には、これは当分の間、許可を得て公認会計士として行うことができるという調整規定が入っております。これが公認会計士との間で行いました調整の結果であります。
 この考え方は、税理士と名のる以上これは税理士会に入っていただくという、登録即入会というほかの業法にあります考え方をそのまま原則的にとったわけでありまして、例外的に公認会計士が通知をするだけで税理士を名のり税理士会に入らないというのは、税理士行政としてもまた税理士会としてもこれは地位の問題も絡みますので、税理士と名細る以上は入っていただく。これは弁護士さんの場合も、税理士と名のられる以上は、登録される以上はやはり税理士会に入っていただく、登録即入会というのが今回の改正のポイントでありまして、あとの弁護士さんの関係は、弁護士会との調整も終わっております。
 それから青色申告会の関係は、これは国税庁の方から答弁があろうかと思います。
#132
○伊豫田政府委員 青色申告会との関係につきましては、従来と取り扱いはこれによって変わることはないというふうに従来も何遍か答弁させていただいておりますし、その点について問題はないもの、このように考えております。
#133
○古川委員 既得権の問題でございますが、税目の問題、それからもう一つ御答弁のあった通知公認会計士制度の廃止の問題、特に、付随業務とはしながらも税理士の方々が会計業務を行うことができるという規定をされていることについて、従来相当強い不満があったわけでございます。この公認会計士協会を初めとしてそうした強い不満を持っている方々に対して、本当に合意ができたのか、合意されていない今後の調整に任される部分がむしろかなり多いのじゃないかというように私は思うわけでございます。細部にわたって今後調整をしていくという御答弁でございますけれども、むしろこれから調整する部分に大きな不満が残っているのじゃないか、不安を持っているのじゃないかというふうに考えるわけでございます。この点、いかがでございましょうか。
#134
○福田政府委員 御質問は第二条第二項の点であろうかと思います。
 この第二項におきましては、「税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。」こうなっておるわけであります。これは、こういう会計帳簿及び財務書類の作成は自由業務でございまして、書かなくてもいいという議論があるかもしれませんが、税理士の業務自体はその会計業務の延長線上というか、それを踏まえて税務の申告が作成されるわけでありますから、非常に重要な分野を占めております。したがって、自由業務とは言いながら重要な仕事をやっておられることを明確に対外的に表示するということは、これは何ら法律的にやっていけない問題ではないと思います。また公認会計士との間で問題の生ずることではございませんで、後段にありますように、他の法律に書いてある場合は除くというので、監査業務がこれに抵触しないことは明らかであります。また、三十九年法においてもこの趣旨はそのまま書かれておりまして、さらに今回は税理士業務に付随してということまで念のために書いたわけでございまして、これは当然の規定でございまして、公認会計士との間でも、これは協会及びそれを監督する証券局では調整済みでございまして、問題は残っておりません。
#135
○古川委員 そうなりますと、今後の運用の問題として残ってくるわけでございますが、附則の三十七にあります当分の間、第五十二条の規定にかかわらず、小規模なものとして大蔵省令で定めろ範囲内である場合に限り、税理士業務を行うことができるとなっているわけでございますけれども、この附則の中にあります当分の間、それから小規模、それから範囲内、この点につきましては、前々国会における審議の答弁を見ますと、余り誠意のある答弁はないようであります。そのときの答弁は、いまの段階ではわかりませんという答弁を繰り返しておられたわけであります。今回提案をされましたいまの時点で、この点はいかがでございますか。
#136
○福田政府委員 税理士法改正の趣旨から、先ほどから申し上げておりますように、第一条の税務専門家ということから考えますと、公認会計士との調整はその趣旨に沿って解決されるべきでありまして、通知公認会計士の問題は、登録即入会という原則を通したわけであります。あと経過規定を調整規定として御指摘の附則の三十七項がございますが、これは先ほど申し上げました当分の間、小規模なものとして省令に定める範囲のものは、公認会計士は公認会計士でやっていいという例外的な規定であります。
 それで、当分の間というのはこの附則の方に書いていまして、これは今後どういうふうに運用されるか、すなわち扱い件数が相当の件数税理士業務をやっているという方が税理士を名のっている以上は、税理士会に入るのは当然であろうと私は思うのです。ですから、この辺が、次第に税理士業務を多くおやりなる公認会計士の方がふえてこられたということが今回改正の一つの大きな理由でございましたので、これを調整いたしたわけでありますので、ただ、その間、そういうことでおやりになっている方が多いわけでございますので、その辺どういうふうにこれを法律の趣旨に沿って運用されるかは、当分の間という期間を限らないで、経過を見ながら、実態を見きわめたいということであります。
 同じくその小規模と申しますのも、扱いになられておる件数が相当部分を占めており、件数も非常に多いというものは、常識的にこれは税理士業務が本来業務でありますので、税理士会にお入りになるということで、また税理士会の中で御活躍願えればいいことでございまして、その辺の件数は、やはり実態がどのくらいの扱い件数の分布になっておるかを詳細に調査いたしまして、証券局及び業界の意見を十分調整して定めたいと思っております。
#137
○古川委員 そうしますと、八十七、八十八国会の審議で答弁をされた、いまの段階ではわかりませんというのは、これは答弁の間違いであって、今回提案をされたいまの時点でもはっきり御説明がいただけないわけでございますが、今後ともこれははっきりと規定しないという意味にとってよろしいわけでございますか。
 ただ、その現状を見ながら、経済や社会情勢を横にらみにしながら考えていくということになってしまいましょうか。ただ、いままでの審議では、いまの段階ではわかりませんとおっしゃっているものですから、いつの段階でわかるのか、その点をはっきりさせていただきたい。
#138
○福田政府委員 これは法律が幸い通過しましたら、この辺の、当分の間は変わりませんけれども、件数については具体的に定めなければいけないということでありまして、それは通りましたら早急にやるということでございます。これは法律の通過を待って定めるべきものでありますので、同じ答弁を申し上げているわけであります。
#139
○古川委員 同じようなことでもう少し伺いますが、現行法での通知制度というのを外しているわけでございますが、これは現実にこの通知制度によって重大な弊害が生じて改正に踏み切ったのか。もしそういう御認識であれば、その弊害という点についての具体的な内容をひとつお示しをいただきたいと思います。改正の意図を御説明いただきたいと思います。
#140
○福田政府委員 先ほどから申し上げますように、公認会計士との調整は、通知公認会計士の制度になるわけでありますが、公認会計士は、通知をすれば税理士を名のっても税理士会に入らなくてもいいということになっておるわけであります。
 それで、公認会計士の方の税理士業務をお扱いになる件数がだんだんふえてこられる。またそういう方も人数がふえていくという傾向にあるわけでありますが、いまの通知公認会計士制度は、沿革的に言って例外的に設けられたのではないかと思います。それが恒久化し、また扱い件数、自分の仕事のほとんどが税理士業務であるにかかわらず、しかも税理士と称しながら税理士会に入らないということは、筋論として、ほかの立法例から見ましても、独占業務としてのその業務をやるという肩書きをとった以上は、法律に定める団体に入るというのが、これはほかの各公認会計士法につきましても、弁理士法につきましても同じ立場でございまして、登録をしたら入会するという本来の業法を貫いたというふうに法律論としてはお考え願いたいと思います。
 次は、弊害の問題でありますが、これはやはりうらはらでございまして、本来業務をそういうふうにやっておられる方が税理士会に属さないで活動されるということは、やはり税理士会というものが法律の団体でありまして、いろいろな法律上の監督を受け、また会則によって縛られて、いろいろ公共的な活動をされておられるのに、その会以外のところにおって、しかも実態は、税理士と同じことをやっておられるということはいかにもおかしいという問題、これがやはり弊害というよりもおかしさといいますか、そういうことで、そのおかしい点をもっと具体的にと言われますと、またこれはいろいろ差しさわりがございますけれども、たとえば申告の時期になりまして、いろいろ税理士会は会として中小業者の援助その他について協力をされるわけであります。これはむしろ公共的な立場からの自発的な面がありますけれども、それ以外に税理士の業務をたくさんやっておられる方がそのらち外にあるというのは、税務行政から見てもおかしいし、税理士会に入っておられる税理士の方から見てもおかしいということであろうと思います。弊害と申せば、一例はそういうことであります。
#141
○古川委員 その具体的な弊害についての指摘についてはいろいろ差しさわりがあるという説明、よくわかるわけでありますけれども、地域によっては全くその弊害が生じていないという認識、したがって、あえてここで改正をする必要はないじゃないか。部分的に地域的に非常に強烈な意見本あるわけでございます。ある団体の中の部分的な一方的な事情の説明に乗せられたんじゃないかという意見もあるわけでございます。その点についての御弁明をいただきたいと思います。
#142
○福田政府委員 これは答申ばかり引用しますけれども、われわれ政府でありますので政府答申を引用させていただきますが、これも同じことを言っておりまして、税理士業務をやる以上は税理士会に入るべきである、これが法理論であろうと思います。したがって、それは各地域でどうなっておるかという人間関係の問題よりも、法律自体の問題であろうと思います。むしろ、税理士会にお入りになって活動されるということの方が税理士の地位向上になるわけで、自分たちの方が税理士より地位が高いのだ、したがって、入らないという趣旨の考え方はむしろおかしい、こう思います。
#143
○古川委員 次に、いわゆる助言義務についてでありますが、これはさまざまな御議論がありましたが、一応確認のためにお伺いをいたしておきます。
 四十一条の三の後段に「全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装している事実があることを知ったときは、直ちに、その是正をするよう助言しなければならない。」となっているわけであります。なぜあえてこういう取り上げ方をしなければならなかったのかということが、これまたいまだに尾を引いている議論として残っておるわけでございます。明確に御答弁いただきたいと思います。
#144
○福田政府委員 これは先ほどから申し上げている点でありますが、非常に常識的と申しますか、社会一般から見まして、税理士の方がそういう客観的な脱税の事実、しかも非常に限定して仮装、隠蔽の事実そのものがあった場合に注意をするというのを期待しておると思うわけであります、最近のいろいろな脱税事犯に絡みますけれども。こういうことがないと、脱税相談、それから故意の不真正な申告書の作成というものに至るわけでありますが、やはり納税者の立場としても、そこで注意してもらって、真正の申告書を出すということが本当の信頼関係が納税者と税理士さんの間、またわれわれとの間で保たれるというわけでありまして、その辺を書くこと自体がなぜいけないかという疑問さえわれわれ持つわけであります。特に社会的な批判の目の厳しい現在において、こういうあたりまえの規定がなぜいけないか。これはアメリカ法におきましては、こういう場合における脱漏、それから法律に沿わない、ノンコンプライアンスといいますか、エラー、オミッションというものに対してはアドバイスする義務があるというのは当然のこととして書いておるわけであります。これが懲罰に至るか何かというのは別の問題でありまして、こういうことをやはり注意していただく。そこが後で事実関係になってさましたら、注意されて直されれば当然それで済みますし、直さないで続けておやりになれば脱税相談及び不真正申告書の作成の方の問題に移りますので、これ自体、たまたまこういう非常に悪質のものがわかったときにアドバイスされるというのが本来の第一条からもくるものであって、何ら税務署的なことをお願いするというものではありませんで、税理士さんに対する社会的な評価を高めるということでは、むしろ積極的に御理解願いたいと思っております。
#145
○古川委員 この助言義務について今回特に取り上げられている理由でございますが、いまの御説明で大体わかりましたけれども、もしこの改正案が成立した場合に、具体的にどういう形でこの改正案の効果が表面に出てくるのか、あるいは税理士の業務の上においてどういう変化が起こってくるのか。当局としては当然そういった点の予測、見込みをつけて御提案なさっていると思うのでありますが、その点いかがでございますか。
#146
○福田政府委員 これによって直ちに脱税の問題が表に出たり、重加算税がふえるというようなことは考えられない。むしろこれは良心の問題として、税務書類作成相談の過程において、正直言ってその辺の秩序、モラルの問題を社会的な批判の目として受けとめていただきたいという以上のものはございません。これによって何か懲戒件数がふえるとか、税理士さんの方にお願いして脱税の事犯を多く摘発してもらうということは毛頭考えておりません。
#147
○古川委員 そうしますと、この規定は、いわゆる良心の問題であるとか、社会的なモラルという御説明であったわけでございますが、精神的な規定として終わってしまうわけでありますか。
 私がお伺いしたのは、その実効として具体的に何か出てくるのではないかという感じがするわけでございますが……。
#148
○福田政府委員 そういう問題として終わることを期待するものでありまして、これが懲戒処分に至るということが実際あってはいけませんし、われわれはそういうことを考えておりません。
#149
○古川委員 そうしますと、この助言義務の範囲についてもう少しはっきりしておいていただきたいわけでございますが、御答弁を伺っておりますと、その内容につきまして、脱税というところに非常に重点を置いた。精神的であり、社会的なモラル、良心を期待した規定であるにせよ、脱税に関する範囲なのか、あるいはもっと幅広い範囲になるように考えての規定であるのか、どのくらいの範囲のものを対象としてお考えになっているのか、その点御説明いただきたいと思います。
#150
○福田政府委員 現在、三十七条に信用失墜の規定があるわけであります。それは一般的な規定でありまして、それは具体的に何かということを明確にする一つの規定であると解することもできますし、決していままでのものに付加される問題ではないと思います。
 それから、あとは脱税相談の問題に移りますが、これは懲戒が厳しいわけでありますが、そういう扱いでなくて、普通の、現在三十七条にあります信用失墜の規定と同じ性格のものがこの規定の趣旨であります。新たな義務を課すというよりも、従来の信用失墜の中身は、税理士さんに関しては具体的にはこういうことであるということであろうかと思いますが、ここで書いています後段のところは、税を免れようとしたというのが最初ございましたけれども、読みますと「国税若しくは地方税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装している事実があること」という非常に厳格な規定になっていまして、主観的な意図で免れようとしたというようなことは入らない。具体的な、別口預金とか仮装の借り入れとかいうことがわかったときに注意をされるのは当然であるということをここに書いていまして、その辺の構成要件を非常に厳密にいたしております。
 また、これは立案段階においては、最近の脱税事犯における税理士の関与の問題が出てまいりまして、罰則を設けるべきであるというのがある関係省から出たわけでありますが、これは行き過ぎであるということで、構成要件を明確にすると同時に、罰則はもちろん行き過ぎであります。また、脱税相談という積極的な相談に乗っておる場合の重い懲戒処分は、使うべきでない。不真正な申告書の作成、これは積極的行為でありますから、たまたま目についたときに注意するというこの三十七条的な内容を当然意味していますので、脱税相談とかいう種の重い懲戒ではない。一般の法令違反、いまの三十七条違反と同じものである。しかもそれは、言ったか言わないかという議論の起きるような性格のものでないので、特に新聞とかを見ますと、芸能人をめぐるいろいろな問題があります。これはここでは余り言いたくないのですが、しかし、こういう改正を業法について行うときに厳しい規定があるということは、社会に対するわれわれとしての責任であろうかと思っております。
 しかし、これは今後税理士さんの地位が向上するというか、実力がなにしまして、また、われわれもそれなりに謙虚にこの問題を今後処理していく過程においてそれなりの進歩的な、発展的な解決が図られる、その種の問題であろうかと思っています。私どもは、理想としては英国その他におけるような、税理士の地位が高く、その申告書が信頼されるということを目指すべきであろう、こう思っています。
#151
○古川委員 そういたしますと、この規定が御説明のようにいわゆる社会的なモラルの向上を期待するものであるということになりますと、助言義務を怠ってもさしたる影響力はない。そうなりますと、この助言義務を果たさなかったことについての故意性といいますか、あるいはまたその反対に過失性といいますか、その辺の判断をする基準についても明確なお考えはお持ちでないわけでございますか。
#152
○福田政府委員 これは具体的に申しますと、そういう明確な隠蔽と仮装があった場合に、積極的行為でなくて、たまたまその過程において発見したときに良識的に注意をするという意味でありまして、そこでたたされれば九〇%直されると私は思います。それはそれで終わりであります。その次に、それを相手が直さないのに続けられるというのは、これは脱税相談に移行するわけであります。さらに、不真正な故意による申告書の作成という問題に移行しますから、そっちの方の問題として処理されますので、これ自体は、途中の過程としてはありますけれども、それは後の脱税相談の問題の方に吸収されていくという種の問題であろうと思います。また、注意したけれども相手が聞かなかったというとき、おやめになれば、これはそれ自体でもう終わっておりますので、社会的な問題としてはそれで終わりであろうと思いますので、おっしゃるような故意、過失とか、立証が非常に困難でありますのを強いて挙証しながらということは、審査委員会を通る問題でもありませんし、そういうことは常識的に考えられない、こう思います。
#153
○古川委員 この助言義務のいわゆる遡及期間の問題でございますが、さかのぼってどれだけの期間を考えていらっしゃるのか。過去にさかのぼって適用するということについての期間の問題でございますが、これをはっきりしていただきたいと思います。
#154
○福田政府委員 非常に御心配いただいて、そこまでお考えになるのはわれわれも非常に心苦しいのでありますが、これは、調査されているその調査年度の問題として目につけばということでありまして、税務署の係ではありませんので、そこを昔にさかのぼって――もちろん時効は問題ありませんが、たまたま申告に関して相談を依頼され、申告書をつくり、税務代理をやるそのもの自体の問題であろうと思いまして、さかのぼってまでという問題は、問題意識としては全然持っておりません。
#155
○古川委員 助言義務についていろいろ伺ってきたわけでございますが、ただいまの御説明を伺っておりますと、何か非常にあいまいとして、まるで空気のようなつかみどころのない規定になってしまうのではないか。先ほど私は四十一条の三の後段の部分を読み上げましたけれども、この条文とは何か非常にうらはらな感じがするわけでございます。したがって、この段についての御提案の意図がまるで薄れてくるわけでございます。提案者である大臣の助言義務に対する明確な姿勢を御答弁いただきたいと思います。
#156
○竹下国務大臣 適正な納税義務の実現に資するという税理士制度の目的からして、社会的に見て許されることではないというようなことにつきましてその是正を求めるべきであるということは、いわば税理士の当然の責務であります。こうして税理士の社会的責任を明確にしたということ自体が、この助言義務等に対応する姿勢をあらわしたことになるのではなかろうかというふうに私は考えております。
#157
○古川委員 助言義務について、特に脱税相談ということが問題になってくるわけでございますが、いままでの御答弁では、ともかく当事者の良心にまつ、あるいは社会的モラルの向上に資するようにこの運用をしていきたい、そしてまた、もしこの助言義務に支障があった場合には注意を与える。何のためにこの条項を提案されているのかその点非常に不明確でございまして、大臣のただいまの御答弁でもその点ははっきりしないのでありますが、あくまでもこうしたモラルの向上ということを期待してだけの御提案でございますか。
#158
○福田政府委員 おっしゃる趣旨が倫理的規定であるかということであれば、そういう規定であると思います。これの規定があってはいけないということの積極的理由はわかりません。国民から見てそういうものは当然のことであるという期待をされている規定がいけないと言われることは、いまの実態をどう考えるかということを示すかと思いますが、そういうことではないと思いますので、やはりこの規定は、今後とも予防的な脱税相談に至らないための規定としてはそれなりの社会的な評価を受けるものであろうと思います。ないことの方が社会的な批判を受ける規定ではないかと考えます。
#159
○古川委員 くどいようでありますが、この四十一条の三の後段、もう一回読みます。「全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装している事実があることを知ったときは、直ちに、その是正をするよう助言しなければならない。」ということでありますから、これは相当きつい表現であると私は受けとめているわけであります。単なる精神的、倫理的な規定にとどまるものではない。その運用については非常に問題がありますけれども、あいまいにしていいことではないというふうにも考えるわけでございまして、大臣、その点明確に御答弁いただきたいと思います。
#160
○高橋政府委員 大臣から御答弁があります前に、やや繰り返しになるかもしれませんが、お許しを願ってお答え申し上げておきたいと思います。この規定をつくりました趣旨は、先ほど大臣から申し上げたとおりでございます。規定の表現も三つの場合、不正に賦課を免れたことを知った場合、不正に還付されたことを知った場合、また課税標準について仮装、隠蔽をやった場合、こういう場合について、それを知ったときは直ちに是正するように助言しなければならぬという義務を書いております。そういう意味では、単にそういうことが期待されておるということとは規定の性格は違います。
 ただ、先ほど来仰せのありますことは、要するにそういう義務規定を設けたら、必ずその違反を処分するのか、懲戒に持っていくのかということかと思います。これは先ほど来お答えいたしておりましていささかくどくなるのですが、現行の申告納税を基本とする税制を維持して、それによって国の財政を支えていくという場合に、納税者の信頼にこたえて納税者を助言して――一般的な意味の助言でございますが、納税者を支援して正しい課税標準及び税法の適用についてサポートする、そういう税理士さんのお仕事を進めていく、それによって税務全体が円滑に進むことを期待する、そのために設けられている助言義務の規定でございますから、そういう意味では義務規定であります。
 ただ、それを逸脱した場合に直ちに懲戒に持っていくかどうかということにつきましては、これまた先ほど来御答弁申し上げておりますように、それはいろいろ考えなければならぬことであろうと思います。ですから、懲戒にならないケースというのが――一般的な法令違反として、他の品位保持規定とか、そういう規定に違反した場合に、特に情状の重いものについては現在も懲戒の対象になりますけれども、ただし品位保持規定に違反して懲戒になる、法令違反によって一般懲戒の対象になる、こういう助言義務規定について一般懲戒の対象になる、その場合に、これは広い意味での品位保持規定の一例をここに特記したというふうに考えていただいてよろしいのだと思います。(発言する者あり)
#161
○増岡委員長 静粛に願います。
#162
○高橋政府委員 そういう意味で、懲戒処分の対象となるケースが少ないことを期待いたすわけでございます。
#163
○竹下国務大臣 私は、社会的責任を明確化したものが本来の法律のたてまえでございますので、いわば身分法の場合そうしたもの自体が正当ではないかと理解をしております。
#164
○古川委員 そうしますと、これは助言義務となっておりますけれども、義務という表現そのものも疑問になるのじゃないでしょうか。しかも、この四十一条の三の後段の規定の中のそういう事実があると知ったときにという表現になりますと、知らなかったということで十分逃げられる。この全体の規定が非常に甘いという感じを受けるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
#165
○高橋政府委員 構成要件を厳格にして、この義務規定の運用について誤解を生じないために「知ったときは」と書いたわけであります。税理士が関与事案についてそういう仮装、隠蔽という事実を御存じなくて助言に至らなかったという場合まであえて助言の義務規定に違反するというふうに考えないわけでございます。
#166
○古川委員 もしこの改正案が通りますと、今後法律の運用については特にこの条項を中心にしていろいろまた問題が残ると思いますが、その点は慎重なお取り計らいを期待いたしまして、次に移ります。
 経済情勢、社会情勢に合うような形で見直しをしたという御提案の理由でございましたけれども、こういう非常に変化の激しい経済社会情勢の中では、これはきわめて近い将来にまた内容の検討を迫られるのではないかという感じが幾つかの点でするわけでございますけれども、その辺についてはどういう御認識をお持ちでございますか。
#167
○高橋政府委員 二十六年以来の税法、税務の執行、社会経済情勢の変化ということに思いをいたしまして、関係の業界と種々協議をし、税理士制度の正しい育成のためにどういうことが必要であり、また可能であるかということをきわめて、ただいま御提案申し上げておる今回の改正案ということにしたわけであります。その内容につきましては、先ほど来るる御答弁を申し上げました。法律は、まさに経済、社会の実態に応じて改正を行っていくべきものであります。今回の改正も、ただいま申し上げましたように、その趣旨で御提案を申し上げておるわけであります。
 そういう意味で、今回の改正は暫定的というように私どもは考えておりませんけれども、実態面の変化に応じて改正の必要が生じてくる場合がありますれば、また広範な検討を行い、協議を行って改正を行うべき必要があろうというふうには考えます。
#168
○古川委員 最後に、多少法案との関連から外れますけれども、十一月十日、総理府は税金に関する世論調査の結果を発表したわけでございます。ごらんいただいたと思いますが、全体の六割の人たちが税金そのものに対して非常に高い関心を持っておるという結果が出ております。その世論調査の中でも、ことに脱税に対する怒りの声が四五%もあるわけでございまして、その辺の世論を大臣としてはどうお考えになっていらっしゃるか。脱税そのものに対する今後の大蔵省当局が臨まれる基本的な姿勢も含めて御答弁をいただきたいと思います。
 特に、大臣は、先般申告漏れということでマスコミをにぎわされました。脱税に対する国民の怒りの声、関心の高さ、そしてまた今回の税理士法改正案の中に見られて、先ほど質疑をいたしました助言義務等にかかわる問題等も含めて、非常に大きな関心を集めているところでございます。大臣からはっきりと御答弁いただきたいと思います。
#169
○竹下国務大臣 いま御指摘の税金に関する世論調査、総理府広報室から出したものでございますが、いま御指摘のとおり、「脱税者にひどく腹が立つ」というのが四五%、「まだまだあるはずなのに、税務当局はなまぬるい」というのが四三%、それから「こんな多額の脱税者がいるのであれば、正直に納税する気がしない」二六%、非常にそういう高い率を占めておることは、これは御指摘のとおりであります。
 大蔵省といたしまして、そういうことに対しては、正直者がばかをみたという印象を与えないためにも、徹底を期して峻厳な態度で臨まなければならぬというふうに思っております。
 私自身の問題も御指摘のとおりでございまして、私にとっては古くて新しいとでも申しましょうか、確かに四十八年、四十九年、五十年、この三カ年間にわたる修正申告をいたしたことは事実であります。そして、五十二年の三月十四日にすべてを終了いたしましたが、どういうことでございますやら、選挙前に一斉に報道されました。しかし、一部週刊誌は別として、せめてもの救いは、脱税という言葉は正規な報道機関では使われなかったということだけは、私個人にとってはせめてもの救いでありました。
 しかし、私自身考えてみますと、総理官邸へ入りまして大蔵大臣をやってもらいたいと言われたときに、脳裏を直ちにかすめましたのはその問題であったことは、これは事実であります。しかし、それをいかに受けとめるか、やはり手続によって選ばれた、国会の指名によって選ばれた総理大臣からの依頼という方が比重として高かったから謹んでお受けをした、こういうことになります。したがって、私個人も将来にわたってやはり身を引き締めていかなければならない課題であると深く反省をいたしておるところであります。
#170
○古川委員 質問を終わります。
#171
○増岡委員長 午後一時二十分再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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