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1947/11/26 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第40号
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1947/11/26 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第40号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第40号
  付託事件
○酒類配給公團法案(内閣提出)
○物價引下運動促進に関する陳情(第
 九号)
○製塩事業保持対策樹立に関する陳情
 (第十九号)
○織物の價格改訂に関する陳情(第二
 十八号)
○少額預金及び各團体預金封鎖解除に
 関する陳情(第五十二号)
○インフレ防止に関する陳情(第七十
 一号)
○電氣税復活反対に関する請願(第四
 十三号)
○会計檢査院法の一部を改する法律案
 (内閣送付)
○低物價政策上官営事業料金の値上げ
 反対に関する陳情(第百九十号)
○連合兵舎並びに宿舎建設用木材前受
 金の第二封鎖解除に関する陳情(第
 二百十一号)
○賠償税の新設に関する請願(第百十
 八号)
○中古衣類の公定價格を廃止すること
 に関する請願(第百三十八号)
○企業再建整備法並びにこれに伴う諸
 施策に関する請願(第百四十号)
○中古衣類の公定價格制度を廃止する
 ことに関する請願(第二百三十三
 号)
○会計檢査人法制定に関する請願(第
 二百二号)
○失業保險特別会計法案(内閣送付)
○非戰災者特別税に関する陳情(第三
 百三十一号)
○政令第七十四号中憲法違反の條項に
 関する請願(第二百五十七号)
○自給製塩制度存続に関する請願(第
 二百九十一号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税課税外
 とすることに関する陳情(第三百八
 十一号)
○庶民銀行設立促進に関する陳情(第
 三百九十一号)
○通貨発行審議会法案(内閣送付)
○経済力集中排除法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○物品税免税点の引上げ等に関する請
 願(第三百二十八号)
○今次日立鉱山地区の水害復旧特別融
 資等に関する陳情(第四百十二号)
○金属鉱山関業を経済力集中排除法案
 中より除外することに関する陳情
 (第四百十五号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税の課税
 外とすることに関する陳情(第四百
 十八号)
○企業整備に関する陳情(第四百十九
 号)
○自給製塩制度存続に関する陳情(第
 四百二十九号)
○旧軍用施設並びに敷地の無償交付に
 関する請願(第三百五十一号)
○生業資金貸付に関する請願(第三百
 六十二号)
○庶民金融機構の確立に関する請願
 (第三百七十二号)
○木材業者の水害復旧費に対する融資
 並びに國庫補助に関する請願(第三
 百八十号)
○天日製塩実施に関する陳情(第四百
 六十二号)
○経済力集中排除法案に関する陳情
 (第四百八十一号)
○自給製塩制度存続に関する陳情(第
 四百九十二号)
○企業再建整備法の改正に関する陳情
 (第五百六号)
○物品税免税点の引上げ等に関する陳
 情(第五百十三号)
○企業再建整備法等の一部を改正する
 法律案(内閣送付)
○企業再建整備法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○物納せる耕地の公租公課に関する請
 願(第四百六十八号)
○所得税法の一部を改正する等の法律
 案(内閣送付)
○非戰災者特別税法案(内閣送付)
○昭和十四年法律第二十九号災害被災
 害者に対する租税の減免、徴收猶予
 等に関する法律を改正する法律案
 (内閣送付)
○持株会社整理委員会令の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○接收家屋の地租家屋税等に関する請
 願(第五百八号)
○経済力集中排除法案より電氣事業を
 除外することに関する請願(第五百
 三十六号)
○政府に対する不正手段による支拂請
 求の防止に関する法律案(内閣送
 付)
○財政法第三條の規定の特別に関する
 法律案(内閣送付)
○竹材加工業に関する陳情(第五百八
 十五号)
○北海道に在勤する政府職員に対する
 越冬燃料購入費補給のための一時手
 当支給に関する法律案(内閣送付)
○財閥同族支配排除法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月二十六日(水曜
日)
   午前十時三十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○経済力集中排除法案
○特殊会社整理委員会令の一部を改定
 する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。本日は経済力集中排除法案並びに持株会社整理委員会令の一部を改正する法律案、この二つの法律案を議題といたしまして、御審議を願いたいと存じます。企業再建整備法の関係ですが、企業再建整備法の整備計画について、政府で只今拵えておる認可基準については、これはまだ確定しておりませんので、皆さんの御参考に配付しますが、外部にはどうぞお出しにならないように願いたいということですから、お配りしますが、そうお含み置きで御処理を願いたいと思います。それから経済力集中排除法案につきましては、すでに御承知の通り衆議院におきまして修正可決になりまして、こちらに付託になつたのでありますが、修正がありますからその点はどうぞ御了承を願います。
 それから持株会社整理委員会の一部を改正する法律案の方については、修正なく衆議院で可決されてこちらへ参つたのでありますが、この点については多少集中排除案の修正と関連いたしまして問題があると思いますから、これは御注意をお願い申します。ちよつと速記を止めて……。
#3
○委員長(黒田英雄君) それでは速記を始めて……。両法案につきまして、御質疑のおありの方は御質問を願いたいと思います……。それでは暫く休憩をいたします。
   午前十時五十五分休憩
   ―――――・―――――
   午前十一時二十九分開会
#4
○委員長(黒田英雄君) 開会いたします。休憩前に引続きまして審議を続けたいと思います。両案につきまして御質問のある方は御質問願いたいと思います。
#5
○松嶋喜作君 持株会社整理委員会のあれは、法人だとおつしやたのですが、性質をちよつと御説明願いたいと思いますが、あれは役所じやないのですね。そのことについてちよつと……。
#6
○政府委員(佐多忠隆君) 持株会社整理委員会の性格いかんという御質問だと思いますが、持株会社整理委員会は、昭和二十一年勅令第二百三十三号、持株会社整理委員会令に基ずいて設立された特別の法人でございます。從つて政府とは独立した一つの法人格を有するものでありますが、從いまして、政府部内の機関として行政権を行使する、いわゆる行政官廳という性格のものではなくして、飽までも特別な法人ということになつておるわけでございます。併しながら同時に持株会社整理委員会令によります委任に基ずいて、行政権の一部を担当する機関であるということになつておるわけでありますが、このたび御審議をお願いしております改正令によりまして、更に集中力排除に関する行政的な措置を委任されて、それを担当するということに相成るわけでございます。從いまして、最近できましたいわゆる独占禁止法の担当機関でありますところの公正取引委員会は、委員会形式による行政官廳でありますが、持株会社整理委員会は、これとは又異なつたもので、飽くまでも特別の法人であると、行政官廳ではないと、併しながら法律によつて行政権を委任されて、その一部を担当するという性格のものであるというふうに考えております。
#7
○松嶋喜作君 過般の新聞によりますと、持株会社整理委員会の委員の当局から、一時、この持株会社整理委員会を官廳とする、一つの役所とするというような意向が新聞に現れたのに対して、持株会社整理委員会は、官廳になることを好まないと、こういうような記事が出ておつたのでありまするが、私は経済力集中排除法案の内容というものは、非常に委任の部面が多い、行政委任の部面が多くつて、非常な重大な役割を演ずるのでありますから、官廳としてもよいじやないか。むしろ官廳にして、嚴正な立場に立つて行けばよいと思うに拘わりませず、特に特別の法人としてとやられると、特株会社整理委員会の方は、官廳たるの性格を忌避しておるように見えるのでありまするが、その点について、非常に私は解し得ない氣持を持ちますが、なぜ堂々たる官廳として、役人として臨まないかという点について、御意見伺います。
#8
○政府委員(佐多忠隆君) 松嶋委員の御質問のように、持株会社整理委員会が行使する権限は、特に今度の改正令によりまして、更にそうでありますが、行政權の一部でありますので、一應政府内部の機関たる官廳をして、即ち純粹の行教官廳をして行わしめるというのが、普通の構想であると考えるのであります。併し元來持株会社整理委員会の任務としますところは、聯合軍の占領政策の一環としての財閥解体處理等でありまして、これは連合軍の方から見ますれば、政府そのものをして行わしめては、どうしも從來の行きがかり等から見て退嬰的になる虞れが多分にある。政府とは別個のものをして行わしめたらという意向が、聯合軍の方に非常に強くあつたわけであります。特に、更に、持株会社整理委員会が扱う仕事は、今度の集中排力除の担當に関聯しまして、非常に迅速的確を要するので、そういうものとしては、むしろ行政官廳が、いろいろな制約に遭つて、おのずから事務が敏速に行かないというような憂いがあるので、そういう点においては、むしろ法人の方が適当であると、更には、やることが非常に複雜多岐な問題であつて、民間から多数の練達の士を迎えなければならんので、そういう人々が構成する委員会としても、純粹な行政官廳ては、そういう人が十分に腕を揮うことができないというような意味で、特殊法人にしておいた方がいいだろうという見解でございます。財閥等の持株の譲渡しを受けまして、更にこれを廣く民間に譲渡するというような仕事もしなければなりませんので、こういう仕事は、政府自身がその衝に当るよりも、やはり別個の法人格を備えた者をして行わしめることが適当であるというふうな考え方もできますので、非常に特異な構想ではありますが、特別な法人をして、委任の形で、集中力排除の處置をさせるというように相成つておるわけであります。
#9
○松嶋喜作君 そうすると、敏速に、自由にやらせたいというために、特別の法人を作つてやると、政府であれば、手続が面倒であり、遅くなるという憂いがあるように聞えまするが、内閣総理大臣が委員会を作られて、その主宰者になられる。こういうことになつておるようですが、その関係はどうなりますか。
#10
○政府委員(渡邊喜久造君) 内閣総理大臣が委員会の主宰者というふうに御質問でございましたが、現在の持株会社整理委員会及び今度の法律によつての、改正となつた整理委員会も同じでございますが、整理委員会としては、一應内閣総理大臣は、直接その整理委員会の構成員という恰好は取りませんので、内閣総理大臣は、持株整理委員会に、行政権の一部を委任すると同時に、それを監督する地位にございます。その店は從來も同じでございましたが、今度一應その点を法文の上にも明らかにする意味におきまして、今度の改正法律案の中に、第一條の末項に「整理委員会ハ公ノ機関トシ内閣総理大臣ノ監督ニいたしまして、それを明らかにしたい、こういうふうに法律案はなつております。
#11
○松嶋喜作君 それでは、その罰則の方で伺いたいのですが、行政官と特殊整理委員会の委員というものの業務遂行に関する罰則規定の点についてはどういう差違がありますか。それを伺いたいと思います。
#12
○政府委員(渡邊喜久造君) 持株会社整理委員会令の第八條に、整理委員会の職員はこれを法令によつて公務に從事するところの職員とみなす。こういうような規定が現在入ついおります。從いまして職員につきましては、公務員と同じような立場にみなされます。同じものとみなされますから、例えば贈收賄のような問題が出ました場合におきましては、公務員としての取扱いを受けます。それから尚職員、委員に関する罰則の規定としましては、今度の改正法律案におきまして、從來その規定が欠けておつたのでありますが、第三十六條の二に委員、委員長常務委員、それから委員会の職にある者、又はこれらの職にありました者が、その職務に関して知得した事実の漏泄をなしたというような場合におきましては、一年以下の懲役、又は五千円以下の罰金に処す。秘密漏泄につきましては、特別の処罰規定を作る、こういうような規定を設けまして、委員会の委員、職員の仕事が、公正に且つその特殊な地位を利用をしないようにといつたような考慮を拂つております。
#13
○松嶋喜作君 続いて私が質問するのは恐縮ですが、この経済力集中排除法案にあるところの除外例を考慮しておらるるのはどういう仕事であるか。この間銀行等については、別に考慮するようの御当局の御説明でありましたが、それについて重ねてお伺いしたいと思います。
#14
○政府委員(渡邊喜久造君) 経済力集中排除法におきまして、この法律によります指定を行わないという除外例の規定が設けられておりますのは第十七條でございまして、「國、地方公團体、公團(特別調達廳を含む。)及び労働組合については、第三條の規定による指定を行わない。」こういう規定がございまして、結局法律上当然のこの指定を受けない。從いまして、この指定に基ずいての排除を受けないということが、法律の上からはつきり出ておりますものは、國の事業、地上公共團体のやつております事業、公共團体及び労働組合、これだけでございます。從いまして今の御質問にございました金融機関を指定するということは、法律の上からいたしまして別に出て参つておりません。從つて法律の上から見ますと、金融機関につきましても、この経済力集中排除法による指定排除という問題が起り得るということになつております。恐らく今もお話もございましたが、ただこれを実際にそれではどういうふうに活用して行くか、運用して行くかという問題につきましては、金融機関の特殊な性質及びその金融機関並びにこの法律を適用した場合における諸般の影響といつたような問題を考えまして、十分愼重にやる必要がある、從つて具体的にそれはどうなつて行くかというこについては、目下関係方面においても檢討中でございまして、この際お答えする程度になつていないということを申上げましたので、その辺を御了承を願いたいのであります。
#15
○松嶋喜作君 それでは請願が出ております電氣事業についてはどういう御見解でございますか。
#16
○政府委員(佐多忠隆君) 電氣事業につきましても、一應経済力集中排除法の対象になるわけでございますが、あれを具体的にどう措置するかという問題につきましては、まだ今のところはつきりした決まつた考え方はございません。それから具体的にもまだ今のところ問題にしておりません。今後或いは詳細な調査をして、その上で何らかの決定をするようなことに相成るかと思つております。
#17
○松嶋喜作君 憲法第二十四條の規定から見ますると、我々は経済人として、政治的にも経済的にも平等な取扱いをするという大原則が課せられておるのですが、そうやつて電氣はまだ未知数である。この電氣事業を小さく割るとか、或いは縦横に分割するということが非常に経済的に不利であるから、これは除く。銀行は非常にデリケートであるから、これも考慮の中に入れて、一律の排除は行なわん、公のここに示しておるものは、これ亦明確に除外する、こういうことになつて行く。その裁量というものは、持株整理委員会に任してどういう措置か分らんというような状況を考えますとき、我々はこの経済力集中排除法案というものは、根柢において非常な無理があるのではないかという考がいたしますから、重ねて又御質問を申上げたいと思います。
#18
○政府委員(佐多忠隆君) 先程申上げました第十七條の除外する問題は、專ら公共の利益の点から考えまして、あれらは当然に除外されるものというふうに考えておるのでございます。更に今お挙げになりました電氣事業、或いは金融業については、集中力排除法案の根本の考え方でございますところの、一体そういう結合が公共の利益に反するものなりや否や、そういう意味で過度な集中であるかどうかということが判断の基準になりますので、そういう点をいろいろ考えて参りますと、今の段階ではまだ金融業或いは電氣業について、纏つてどういうふうにするという構想ができていないという状況であるとお答えいたします。
#19
○委員長(黒田英雄君) 他の御質問ございませんでしようか。
#20
○松嶋喜作君 この第五條の利害関係人というところには、株主は入つておりますでしようか。
#21
○政府委員(渡邊喜久造君) この利害関係人に株主は入つておると解釈しております。ただ併しこの規定を運用して参ります場合におきまして、文書で利害関係人に通ずるという場合におきましては、各株主に一々通知するということはできないと思います。從いましてその次の項に、公告で以て通知に代え得るという規定がございますので、これはまだ実際の運用上はどういうふうにやつたらよいかという判断は問題になりますけれども、株主とか、そういう実際上一々文書で通知できない人たちに対しましては、公告によりまして通知に代える。この利害関係人は後の方で、聽問会などでいろいろ関係が出るわけでありますが、相当廣く解釈すべきではないかと、かように存じております。
#22
○松嶋喜作君 通知は成ほど公告で分りますが、若し沢山の株主から異議が出ました場合に、これを一々処理しておつては事実上不可能ではないかと思いますが、その沢山の異議について、同時裁判とか、同時措置するということが、事実上許されるものでありましようかどうか。
#23
○政府委員(渡邊喜久造君) 異議がありますときに、先ず問題になりますのは、先ず異議の申立ができます機会は、聽問会が第一であります。聽問会におきましては、いろいろな株主からいろいろな御意見が出て來るのであります。又この利害関係人の中には、例えば從業員などもやはり入る関係になりまして、從業員の人が大勢いろいろな恰好で以て異議申立をして來るというような、意見を言つて來るといつたような場合も考えられますので、そういうような場合をいかに整理し、同時にできるだけそれに措置するかという問題は、いろいろ事実問題としまして相当面倒なことも起り得ると思いますが、この点のにつきましては、現在考えておりますところでは、聽問会の開催の場合における規則を一應作りまして、これは七條の一項の十一号に、必要な規則を定めるという権能が與えられておりますが、この規則を定めまして、適当に整理するということを考えておる次第であります。十分その利害関係人の意思は通ずると同時に、それが余りに錯雜しまして、全体の決定を徒らに遅らせることのないようにという点で整理をするような規則を作るということを考えております。それから、あと内閣総理大臣に異議の申立をする、或いは訴訟になるといつたような問題におきまして、各人からいろいろな立場で以て問題が出ると思いますが、それはもう普通の措置の任せまして、特にそのためにいくつかのものを一緒に併せて審議するといつたようなことは別に考えておりません。
#24
○中西功君 ちよつと速記お止めて下さい。
#25
○委員長(黒田英雄君) 速記を止めて……。
   午前十一時五十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時二十五分速記開始
#26
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて……。
#27
○木村禧八郎君 この法案の実施によつて一番問題になる点、これまでの審議で一番問題になり、そうして各委員から一審危惧されて來た点は、本法案実施の結果、どういう影響を日本の経済に與えるか、その影響について皆非常に心配であるために、本法案について実施の結果を非常に憂慮し、そうして又自信が持てないというようなことで、これまで非常に愼重審議して参つたのでありまするが、大体この基準というものも、具体的ではないのでありますが、一應基準は明示されております。これを実施したならば日本の経済界、或いは金融界、産業界その他についてどの程度の影響を與えるか、そういうお見通しが政府の方にあるのかどうか、そうしてその結果、この法案実施の結果、いろいろな企業が細分されたりなんかする場合です。そのこと自体は、日本の経済力が非常に小さくなれば、これは平和的になる。平和的ということは、即ち戰爭する力がもうなくなる。そういう意味においては或いす平和的になるかも知れないのです。併しながら第一條において、この法律は平和的且つ民主的な國家を再設するということになつておりますので、若しこの法案実施の結果、日本の経済力が非常に疲弊して、そうして國民生活がポツダム宣言に許されておるような生活水準程度以下の非常に惨めな生活水準になる。そういうことになれば、これは民主的な國家再建には役立たないということになると思うんです。從つてこの平和的ということと民主的ということを、どの程度に調整して行くか。即ち日本の経済力の中から戰爭を挑発し、又戰爭の基盤となるようなものを排除しなければなりませんが、それと同時にその排除の結果が、日本の國家の民主的な再建に非常な障害が來るということになれば、これは矛盾するわけであります。從つて本法案実施による影響というものを、どの程度に政府はお見込であるか。まだはつきり分らないでしようけれども、一体これによつて日本経済が民主的に再建し得る自信があるのかないのか、見込があるのかないのか、大まかなところでよろしいのですが、そういう点について先ずお伺いして見たいと思います。
#28
○政府委員(佐多忠隆君) アメリカの対日初期管理方策にも示してありまするように、日本の巨大な産業上、商業上、金融上のコンビネーシヨン、これが日本経済の侵略的な勢力の経済的基礎をなしたものである。それがコンツエルンの形で、財閥の形で侵略主議の基礎をなしたものであるという考え方に基ずきまして、そういう財閥、そういうコンツエルンは解体して、これを民主化するということが絶対に必要である。そういう意味において日本経済の平和化は即民主化であるというふうな考え方を採つておるわけでございます。從いまして、コンツエルンなり、財閥を解体するという方向も、單に企業を細分化するということではなくて、そういうコンツエルンとか、財閥の形において侵略的な勢力の経済的な基礎をなすような限りにおいて、それを解体するということでありまして、若しその結合、その大規模化が本当に技術的な、或いは生産的な意味において生産力増強の必要上存立しておるものならば、そのものを更に細分化しようというようなことは毛頭考えておらないわけでありまして、その点については最高司令官も亦日本経済を弱化し、細分化し、生産力を停頓させ、低下させるようなことは絶対に考えていないし、若しそういう虞れがあるならば、それに対しては愼重な考慮を拂い、万全の措置を採りたいというふうに明言しておりますので、その点においてはなんらの心配はないことだと思います。從いまして日本経済の合理的な再編成とは、今後日本経済が國際経済の一環として國際競爭場裡において有力に競爭し得るような近代的な規模、近代的な形においての産業の再編成を所期しておりますので、そういう点において生産水準なり、生活水準は、少くとも日本経済は、日本國民が自立して成長し、発展し、平和的な世界経済に寄與し得るような形で進めるような方向に再組織、再編成するという心組でございます。
#29
○木村禧八郎君 今のお話はよく分りましたが、もう一試この法案実施に伴つて、日本経済の民主的な再建、それから生産力が非常に落ちるということは、あまり見通されないというお考でございますか。
#30
○政府委員(佐多忠隆君) 御質問の通りでございます。ただ先程申しましたように、國民経済 各企業を細分化し、弱化するということを所期しておりませんので、実際に措置そて行く過程においては、そういう結果ま起らないと思いますが、ただ虞れられることは、これが長きに互つて見通しを與えないで不安な状態に置いて置くという結果は、或いは生産力の停滯というような虞れがなきにしもあらずと思いますので、決定した以上は指定その他を迅速にやつて、見通しを早く明瞭にしたいという希望を持つております。
#31
○木村禧八郎君 只今のお話によつて大体分りましたが、これまで一般の日本國民並びに又経済界の人たちも、この法案実施の結果によつて企業が細分化されて、そうして生産力が非常に落ちるということになるのではないかということが一番危惧された点である。即ちこの法案実施の影響というものは、日本の生産力を非常に停滯させるのではないかということは、一番憂えられたところでありましたが、只今のお話によつて本法案の指定の時期が長くなり、そういうことになつて経済界が不安を抱き、そのための影響はあるかも知れませんけれども、他の経済力も細分化するということによつて、日本の経済力を非常に停滯さすというふうに運用されないであろうというお見通しでありますので、若しそういうふうに運用されるならば、國民は比較的安堵するということになると思うのです。これは私の見解でありますけれども、この法案の一つの大きな目的がこの平和的國家の再建にあるのでありまして、平和的ということは戰爭ま基盤を排除するということにありと思うのでありますが、その点では戰爭の原因になつたものが経済設備、産業設備、そういう設備の集中であつたのか、或いはそういうものの所有権の集中、即ち株式を独占したり或いは企業を独占したり、そういうものであつたのかどうか、考えて見るのに我々の見るところでは、そういう独占の集中にある。それが独占資本、いわゆる独占金融資本、そういう力が戰爭に拍車を掛け、そうして戰爭の基盤になつて行つた。さういうように解釈されると思うのでありまして、この意味合においては、無論設備そのものが集中されている。これが軍事的な設備であつたりする場合には、直接戰爭の基盤になりますが、そういうものは無論戰爭放棄という以上、これは分散されるどころか、むしろ排除され、これがなくされるわけでありますが、そうでない設備能力、そういうものの集中化というものは、近代産業を営んで行く場合には、これはもう当然のことである。世界の大勢でもあり、マスプロダクシヨンの方式というものはこれは当然どの國家でも國民の生活水準を高める上には、採用されなければならない企業の方式であり、形態であると思うのであります。從つて一面においてこの所有の分散化というものは、財閥解体その他において相当進行しており、又独占禁止法によつても徹底されて行くと思われるのであります。
 只今のお話を伺いますと、大体私が考えていたところと余り違わないと思うのであります。今後持株会社整理委員会が、その運用において、只今御答弁があつたような方向において運用されるということであるならば、そう心配したこともないように了承されるのであります。政府におきましても、是非そういうような精神において、日本の生産力を停滯させて、そうして國民の生活水準を非常に窮乏に陷れるということのないように、この民主的な國家再建という方面も十分考慮に入れられて、この運用が日本経済再建の障害にならないように、そういうふうに我々は期待する者でありますが、政府においてもそういう方向に一つ今後とも十分努力して頂きたい。
#32
○政府委員(佐多忠隆君) 木村委員の今の御説のように、大体この経済力集中排除法が狙つておりますのは、所有の集中を排除するということが主たる狙いでございまして、若し集中、或いは大規模化というようなことが近代的な産業の技術的な要請によつているもの、或いは生産の必要上、そういうふうになつているもの、或いは原價計算的に見て、経済的に見てそれが合理的であるというような意味での大規模化、そういう意味での集中を細分化しようということは毛頭考えておりません。ただそういう集中を基盤にして、特定の所有者がその寡頭支配の具に供するために、過度な集中をやつているというようなものを排除して行こうということが主要な狙いでございますので、その点は御説の通りであると思います。尚木村委員の御主張のように、政府としても持株会社整理委員会をしてそういう趣旨でこの法案の運用に当るように、愼重に対処させたいと思いますが、尚持株会社整理委員会は國会における種々な論議を愼重に檢討し、その述べられた意見に照應して処置をするように心懸けておりますから、その点は御期待に副い得ると私共思つております。
#33
○中西功君 この法案が通過してそうして具体的指定がなされて行きますときに、私共一番差当り問題となると思いますのは、大抵の今までのいわば綜合的な企業では、そこの各單位の経営形態というものは決して均一でないと思います。或る中心的な部門において黒字を上げれば、他の單位において多少赤字でも済まして行くというふうな経理関係が現に成立つておると思います。それは物價の関係、公定價の問題その他と絡み合つておりまして、その点は現実には非常に複雜なのです。それで問題はそういうことを切り離す場合に、最近の企業再建整備とかち合いまして、結局企業再建整備の惡い面を非常に強化するということになる可能性を持つておると思います。結局切り離した場合に、尤も今まで経理が惡かつた、條件の惡かつた企業はよろしいが、そうでなく今まで割合に不利であつたという、これは何も経営自体が不利であるというよりも、これは物價の関係から不利になつておる場合が多いと思います。そういう場合或いは又実際にこの企業はもう資本家として切り捨ててもいいと考えておるようなもの、併し実際働いておるものはそれが切り捨てられては結局失業するわけですから、そういうふうな場合にこの集中排除法が非常にいい理由になる、根拠になつてその相当のものが現実上切り捨てられ、或いは切り捨てられないまでも極めて不利な経営状態に置かれて、止むを得ない、それを止めてしまうとそこに働いておる從業者も非常に不利な條件に行かざるを得ないということが現実に起る。これは企業再建整備の惡い面をますます助長するということになり、輪を掛けるということになると思います。そうした場合に、問題は、從業員がこの問題に当面して難局を突破して行く場合、そういうふうないわば資本家の種々のやり方に対して、何らか対抗して行くための保障が法案としてどこかに與えられておるかどうか、どういう條項がそれをセーブしておるか、その点をちよつとお聽きしたいと思います。
#34
○政府委員(佐多忠隆君) 中西委員の仰せの通りに各企業は一つ一つを取つて見れば、採算のいいのもあるし、不採算のものもあつて、それらが相互経営することによつて成立しておるものが相当沢山あると思うのでありますが、若し不採算の工場が日本の生産水準を維持するためには絶対に必要であるということになりますれば、仮に不採算工場であつても採算のいい工場と一諸にして今後保持させて行くということは絶対にやらなければならないことであると思いますし、そういうものを無理に分割しようというようなことは毛頭考えておりません。ただ問題は日本の生産水準を維持するために、從つて又國民生活を維持するために必要であるかどうかという点で、それを整理するか整理しないかの問題が決定されるというふうに考えております。ただ併し今戰時経済を平和経済の方に切り換えるという必要がございますので、専ら戰時経済のために必要とされて膨脹していた企業、工場等々は平和経済に組替えられる必要上、或いは整理さめる等々のことが相当に起るかとも思いまするが、それ以外のものは若し國民生活の必要上どうしても生産水準と睨み合せて存続を必要とするものは決して分割して潰すというようなことはいたさないつもりであります。尚それらの再編成計画に対する從業員、或いは労働組合の意見等々は聽問会において十分に、若し異議があり、意見があれば述べられることになり、そこで爭われる余地を残しておりますから、その点で適当に措置して頂きたいというふうに考えております。
#35
○委員長(黒田英雄君) いかがでしようか、他に御質問がなければ、これで質問は終了ということにいたして御異議ございませんか。どうしてもまだ御質問があれば止むを得ないから明日ということにして、本日は時間も大分過ぎたようですからこの程度にして置きたいと思います。それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十八分散会
 出度者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           伊藤 保平君
   委員
           木村禧八郎君
           下條 恭兵君
           椎井 康雄君
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           松嶋 喜作君
           山田 佐一君
           深川タマヱ君
           星   一君
           高橋龍太郎君
           山内 卓郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
  政府委員
   経済安定本部財
   政金融局長   佐多 忠隆君
   総理廳事務官
   (経済安本部財
   政金融局次長) 渡邊喜久造君
   大藏事務官
   (理財局長)  伊原  隆君
ソース: 国立国会図書館
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