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1947/11/27 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第41号
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1947/11/27 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第41号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第41号
  付託事件
○酒類配給公團法案(内閣提出)
○物價引下運動促進に關する陳情(第
 九號)
○製塩事業保持對策樹立に關する陳情
 (第十九號)
○織物の價格改訂に關する陳情(第二
 十八號)
○少額貯金及び各種團體預金封鎖解除
 に關する陳情(第五十二號)
○インフレ防止に關する陳情(第七十
 一號)
○電氣税復活反對に關する請願(第四
 十三號)
○會計檢査院法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○低物價政策上官營事業料金の値上げ
 反對に關する陳情(第百九十號)
○連合軍兵舎竝びに宿舎建設用木材前
 受金の第二封鎖解除に關する陳情
 (第二百十一號)
○賠償税の新設に關する請願(第百十
 八號)
○中古衣類の公定價格を廢止すること
 に關する請願(第百三十八號)
○企業再建整備法竝びにこれに伴う諸
 施策に關する請願(第百四十號)
○中古衣類の公定價格制度を廢止する
 ことに關する陳情(第二百三十三
 號)
○會計檢査人法制定に關する請願(第
 二百二號)
○失業保險特別會計法案(内閣送付)
○非戰災者特別税に關する陳情(第三
百三十一號)
○政令第七十四號中憲法違反の條項に
 關する請願(第二百五十七號)
○自給製鹽制度存續に關する請願(第
 二百九十一號)
○戰死者遺族と非戰災者特別税課税外
 とすることに關する陳情(第三百八
 十一號)
○庶民銀行設立促進に關する陳情(第
 三百九十一號)
○通貨發行審議會法案(内閣送付)
○經濟力集中排除法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○物品税免税點の引上げ等に關する請
 願(第三百二十八號)
○今次日立鑛山地區の水害復舊特別融
 資等に關する陳情(第四百十二號)
○金屬鑛山事業を經濟力集中排除法案
 中より除外することに關する陳情
 (第四百十五號)
○戰死者遺族を非戰災者特別税の課税
 外とすることに關する陳情(第四百
 十八號)
○企業整備に關する陳情(第四百十九
 號)
○自給製鹽制度存續に關する陳情(第
 四百二十九號)
○舊軍用施設竝びに敷地の無償交付に
 關する請願(第三百五十一號)
○生業資金貸付に關する請願(第三百
 六十二號)
○庶民金融機構の確立に關する請願
 (第三百七十二號)
○木材業者の水害復舊費に對する融資
 竝びに國庫補助に關する請願(第三
 百八十號)
○天日製鹽實施に關する陳情(第四百
 六十二號)
○經濟力集中排除法案に關する陳情
 (第四百八十一號)
○自給製鹽制度存續に關する陳情(第
 四百九十二號)
○企業再建整備法の改正に關する陳情
 (第五百六號)
○物品税免税點の引上げ等に關する陳
 情(第五百十三號)
○企業再建整備法等の一部を改正する
 法律案(内閣送付)
○企業再建整備法等の一部を改正する
 法律案(内閣送付)
○物納せる耕地の公租公課に關する請
 願(第四百六十八號)
○所得税法の一部を改正する等の法律
 案(内閣送付)
○非戰災者特別税法案(内閣送付)
○昭和十四年法律第三十九號災害被害
 者に對する租税の減免、徴收猶豫等
 に關する法律を改正する法律案(内
 閣送付)
○印紙等模造取締法案(内閣送付)
○特殊會社整理委員會令の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○接收家屋の地租家屋税等に關する請
 願(第五百八號)
○經濟力集中排除法案より電氣事業を
 除外することに關する請願(第五百
 三十六號)
○政府に對する不正手段による支拂請
 求の防止に關する法律案(内閣送
 付)
○財政法第三條の規定の特例に關する
 法律案(内閣送付)
○竹材加工業に關する陳情(第五百八
 十五號)
○北海道に在勤する政府職員に對する
 越冬燃料購入費補給のための一時手
 當の支給に關する法律案(内閣送
 付)
○財閥同族支配力排除法案(内閣送
 付)
○食糧管理特別會計法等の一部を改正
 する法律案(内閣送付)
○關税法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
昭和二十二年十一月二十七日(木曜
日)
   午前十時四十九分開會
  本日の會議に付した事件
○所得税法の一部を改正する等の法律
 案
○非戰災者特別税法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) それでは只今から委員會を開會いたします。昨日申上げて置きましたが、本日は税に關しまする法案、即ち所得税の一部を改正する等の法律案、非戰災者特別税法案、これの施行期日が迫つておりまするので、これを政府の方で非常に急いでおるようでありますから、昨日申上げましたが、經濟力集中排除法案竝びに持株會社整理委員會令の一部を改正する法律案、これは後に廻わしまして、先ず所得税法の一部を改正する等の法律案と非戰災者特別税法案、この二案を議題にいたしまして審議をいたしたいと思います。前囘にも多少御質問がございましたが、御質疑のおありの方は御質疑を願いたいと思います。
#3
○森下政一君 資料として御提出願つてもいいんですが、或いはお分りになつておればこの際お答え頂いても結構ですが、所得税の豫想されておる納税人員というものはどのくらいの數に達しておりますか。これが一つ、それからその中で所得の多寡によつて税率が決つておりますが、各段階ごとにどれくらいの人員が豫想されておりますか。更にもう一つ人員の點で確めたいことは、八萬圓以下の所得で別表による源泉課税によつて月々徴税され、そうして納税しておるという、いわゆる勤勞所得を源泉で改めることになると思われるものがどれくらいの數に達するかお分りであれば知らして貰いたいと思います。
 それから當初豫算における所得税の額に對する滯納が人員にしてどれくらいにあるか、税額にしてどれくらいになつておるか、これをお分りでしたらお伺いしたいと思います。
#4
○説明員(脇阪實君) お答えいたします。今度の追加豫算を含めまして、大體所得税の課税所得は、國民所得は九千億とかいわれておりますが、こちらの課税で掴まえ得る所得金額は、大體四千百七十二億圓程度を豫定いたしております。それから御承知のように基礎控除がございまするので、それを差引きますと、大體三十億圓が課税の對象になるものと考えております。その人員は千三百五十五萬人餘を豫定いたしております。それからその次に、甲種の勤勞所得であるとか、或いは日傭勞務者といつたようなものについてどれくらいの課税を豫定しておるかと申しますと、甲種の勤勞所得につきましては大體七百三十九萬人ばかりを豫定いたしております。日傭勞務者においては二百五萬程度を豫定しております。それによりますと、甲種勤勞所得のいわゆる俸給といつたようなものの所得は八百九十七億圓、それから日傭の方が百四十七億圓程度を豫定いたしております。それは勿論今申しましたように、三千億の中から基礎控除四千八百圓、月々でありますと四百圓を控除したものであります。
 それからその次にお尋ねの所得階級別にはどのくらいを豫定しておるかと申しますと、大體一萬圓以下については四百四十萬人、それから一萬圓を超えて一萬五千圓までのもの三百三萬人であります。それから一萬五千圓を超える者二百六萬人、二萬圓を超える者が百六十四萬人、三萬圓を超える者が九十九萬人、それから四萬圓を超える者が五十七萬人、五萬圓を超える者が三十一萬人、總計いたしまして千三百萬人を豫定いたしております。つまり今囘七萬円以上の所得税の税率を上げておりますが、上げられないものが千三百六萬人を豫定いたしております。それから七萬圓を超える者が十三萬人、それから九萬圓を超える者が七萬四千人、十萬圓を超える者が四萬二千人、それから十二萬圓を超える者七萬六千人、十五萬圓を超える者六萬一千人、二十萬圓を超える者一萬七千人、二十五萬圓を超える者二萬四千人、三十萬圓を超える者三萬六千人、五十萬圓を超える者一萬二千人、百萬圓を超える者二千人程度、即ち今囘税率を上げたものの範圍は大體四十八萬四千人程度と考えております。
 それから當初豫算の滯納人員でありますが、これは御承知の如く申告納税制度になりましたので、今度の程度滯納になり、又人員がどの程度になつておるかということははつきり申上げる資料がございません。ただこの間もしばしば申上げておりますように、現在滯納が九十八億、約百億圓あるということは事實であります。尤もこれは本當に滯納になつておるものを言うのでありまして、滯納という手續を取つていないもので、而も税金が納まつてないものが相當あるということは事實でございます。
#5
○委員長(黒田英雄君) 何か刷つたものはありませんか。
#6
○説明員(脇阪實君) それでは拵えて差上げることにいたします。
#7
○委員長(黒田英雄君) そう願います。
#8
○森下政一君 もう一つ伺いたいのは基礎控除の四千八百圓でありますが、その根據は一體何にあるのでありますか、よく納得し兼ねるのですが、どういうことが根據になつて四千八百圓という額が計算されて、基礎控除として差引かれることになつておるかそれを承知したいと思います。
#9
○説明員(脇阪實君) 四千八百圓即ち月四百圓の基礎控除ということにこの四月からなつておるのでございますが、この四千八百圓、月四百圓というものはどういうことで出ておるかというお尋ねでありますが、これはいろいろまあ觀點があると思います。最低生活費といつたようなことも考慮しなければなりませんし、又技術的に申しましても非常に小さいものから課税するということもなかなか困難であるということもあると思いますし、又少額所得者の負擔が著しく、或る程度の控除をしませんと負擔が大きくなります。最低税率を全部適用するということになると非常に少額所得者に對して酷になるというような觀點、又大きくは財政の需要という問題もあると思います。例えば四千八百圓を一萬圓とか二萬圓にするということになりますと、財政的に特に大きく減收が參ります。その場合に例えば最低生活費で本當の生活を保障するというのであるならば、それは或はもつと高いものでなければならんかも知れないのでありますが、併しその税金四千八百圓を控除するということによつて結局全體の少額所得者に無理のかからない程度、又財政的な面からいつても、或いは納税技術からいつても適當であるというような、いろんな點から結局考えて決めておるのであります。ただ現在四千八百圓でよいかどうかということは、相當問題であると思われるのでありますが、今囘の税制改正におきましても、その基礎控除というものを或る程度考えなければいかんのじやないかというようなことも一應は考えて見たのでありますが、併しこの點には結局少額所得者の負擔ということになりまするので、今囘は必ずしも基礎控除の金額を移動しなくても、例えば扶養親族に對する控除を倍にするとか、或いは殊に現在一番生活に困窮しておると見られる勤勞所得者については、御承知のように現在これは勤勞所得は二割の控除をなし、それから最高は六千圓ということになつておりますが、それを二割を二割五分にし、又最高六千圓を一萬二千五百圓まで引上げるというようなことを講じますれば、全體としてこの程度として、現在としては止むを得ない程度までに少額所得者乃至勤勞所得者の負擔を輕減することができるというので、今囘は四千八百圓については手を觸れなかつたわけでございます。
#10
○森下政一君 まあ四千八百圓についての只今御説明を承りましたが、どうも明確じやないです、根據が。いろいろな點から考慮ということだけで、明確でないので、妥當でないかということの判斷が甚だ困難になつて來るのじやないかというふうに思えるのです。それから併せて私はもう一つ聽いて見たいと思うことは、扶養親族に對する課税が、控除が倍額になります。そういつた扶養親族に對する控除なんかも税額から控除されるものですが、四百八十圓というのは一體どういうところから出て來たものか、何か根據がありますですか。
#11
○説明員(脇阪實君) 今お話のごとく基礎控除の四千八百圓というものは、これは必ずこれでなければならぬといつたような根據は必ずしも見出し得ないのでありまして、まあ非常に曖昧かも知れませんが、今申しましたいろいろな點を考えてやつておるのであります。併し例えば千二百圓のベースが千八百圓になるといつたような、いわゆるインフレの傾向が強まりますれば、それはやつぱり或る程度考慮しなければなりませんが、それかといつて基礎控除というものを最前申上げましたように最低生活費を保障するといつたこと、そればかりの趣旨ではないのでありますから、やはりそれらの各種の事情を勘案して決めるということにならざるを得ないと思います。それから扶養親族の控除の問題についても結局まあ同樣であります。例えば扶養親族の月四十圓の控除を、これを所得にいたしますれば假に三割の税金といたしましても百數十圓にしかならないので、それで生活ができるかどうかというような點のみから議論するならば、これはなかなか理由付けも困難かと思いますが、結局まあ基礎控除の問題といい、扶養親族の控除の問題といい、税負擔を實際はじいて見まして、そうして國庫需要、國庫財政の状況、又どうしても赤字財政を止めて、インフレを止めなければならないというようなことになりますると、やつぱり我慢のできる程度まで上げるといつたようなことになるのではないかと思われるのであります。
#12
○森下政一君 こういうふうな經濟的に非常に動搖を來しておりまするときにおいて、税法の改正が行われるときに根本的に考え直すということが必要なんじやないかと思うのです。只今最低生活費保障ということだけから基礎控除でやるとか、或いは扶養親族に對する控除というようなことが考えられておるじやないか、いろいろな觀點に立つて、殊に政府としては財政需要に應ずるだけの收入をあげなければならぬ。それで我慢のできる限りは我慢をさせ、徴税しなければならぬというお話でしたが、國民のこの最低生活を國が保障するということは、これと當然のことではなければならぬと私は思うのです。尤も最低の生活費というものを、それではどこに置くかということは、これも亦非常にむずかしい問題だと思いまするけれども、一應これが、先ず考えられる最低の生活費だというものを求めて、そうしてそれは税負擔から除外するということをすべきじやないか。例えば獨身者の世帶があるという場合を想定して、最低生活費これこれ、更に扶養家族がある場合においては、その一人を増すごとにこれこれのものを加算するというようなことにしてですね。勤勞所得の中からそれを基本的に控除して、若しそれを超過するというものがある場合に、これに對して課税して行くということなら、原因は容易に分るのではないかということが考えられる。それが先刻仰しやるように、所得の中から今度の改正によると、一萬二千五百圓ですか、というものが控除される。或いは基礎控除がされる。そうかと思うと扶養家族に對しては、税額で控除されるというので、甚だ税法自體といたしましても素人分りのしにくい。裏店のおかみさんが見ても、税法というものはこういうものだということが納得の行くような、た易いものにすることが一番いいのじやないかというふうに考えられるのですが、どうもそういう點から、現在の税法竝に今度改正しようという税法を見ると、甚だ錯雜をして、一貫していないというふうに感ぜられる憾みがあるのでありますが、如何でしようか。
#13
○説明員(脇阪實君) 只今扶養親族の控除について税額控除をやつている。或いは四千八百圓の線に基礎控除をいたしておるということは、いろいろ復雜ではないかと仰しやるのでありますが、最前も申しましたように、四千八百圓の方は最低生活費といつたような考慮もありますし、又技術の問題もあると思うのでありまして、これを税額で決めることはなかなか困難というのでこの所得になつております。それに反しまして扶養親族控除の方は、これは例えば扶養親族について、月二百圓とか、或いは三百圓とか、或いは百五十圓というような控除をすることも考えられますが、技術的にみましても、例えば税額の方が樂なんじやないかという問題もあるのであります。殊に最近、今度の所得税では御承知の如く、今までは五萬圓でありましたものが、今度は八萬圓になつておりますが、少額所得者は別表第一というので、もう表に全部書くようにいたしております。即ち所得が一萬圓ならその税金は獨身者は何ぼ、扶養親族が一人あれば何ぼ何ぼとずつと出ているわけであります。又源泉控除の場合は、全部表ができておるのでありまして、この表なんかを見ますならば、むしろこの税金で、あとの税額で控除した方が便利ではないかと思つて、そういうふうにいたしておる次第でございます。
#14
○森下政一君 そこで四千八百圓のものが、ひとり最低生活費だけではない。外のことも考慮に加わつておるようでありますが、最低生活費を控除して四千八百圓というに至つては言語同斷で、到底理窟に合わんものであると思います。そこでいろいろ御説明を聽きますと、基礎控除の四千八百圓というものについては納得行きかねるものがあると思います。併しこれはあなたと水掛論をいたしましても仕方がないことですから、更に外のことを少し、確かめてみたいと思いますが、先刻納税人員についての御説明を伺いまして、これによつて見ましても、いわゆる甲種の勤勞所得者であるとか、日傭勞務者の所得であるとか、そういつたような所得に對して課税をされ、納税をする人間が極めて全人員の中の多くを占めておることは明瞭であります。而もこれらのものは大體只今御指摘になりました例の別表によつて納税するという階層であつて、源泉で主とて課税されるというものが多いのじやないかと思うのでありますが、そうなつて來ると自然に當初豫算の實績に照してみましても、百億に近い滯納が行われておる。現に滯納になつておるものが百億、而も手續が濟んでいて事實上納まつていないものが或いはその外にもあるということを承わるのでありますが、實際に税を納めておる者は源泉課税をされておる勤勞階級が正直に納めておる。そうでないものの大部分が滯納するというような結果になり勝ちになるのじやないかということを案じられる。そこで今度又税法が改正されて、仰しやる通りに七萬圓以下のものについてはちつとも増徴されることにはならんのだ、勤勞階級はむしろ樂な立場に置かれておる。政府はそういうふうに説明をしておられるが、七萬圓以上の多額の收入のある階層ではいろいろなごまかしが行われ、脱税が行われ或いは滯納が企てられるというふうなことで、正直に納める者は結局源泉で課税する、而も大部分を占めておる勤勞大衆だけではないかということが案じられる。而も一應の計算の上では當初豫算において豫定されたより以上の税收入が所得税で考えられておるけれども、實績においては決して増收にならんというふうな不幸な願わしくない結果が來るのではないかということを恐れますが、その邊について御所見如何でしようか。
#15
○説明員(脇阪實君) 只今仰せになりました源泉課税のものは、原則として毎月なり、毎週なり、その源泉で徴收される。ところがそうでないものは、きちんきちんと取られることがないから、課税の技術の面から見て甚だ不適當でないかとの御説でありまして、その點は誠に私たちも憂慮しておるわけでありまして、一層無論源泉の方も他の徴收について十分監督する必要がありますが、申告納税、殊に營業、或いは農業といつたような所得に對する課税については、更に一段と努力しなければならんということは勿論考えておる次第であります。唯昨年と違いまして、今年の四月から申告納税制度ということになりました。そのために昨年までの如く、五月頃に調査會を開いて政府で決定するというようなことができなくなりましたので、その關係でまあ申告納税の分が可なり遲れておるわけでございます。のみならず、申告納税の趣旨につきましても、いろいろな關係上十分趣旨の徹底を圖ることができなかつた面もありまして、現在までではこれも度々傳えられております如く、申告納税としての金額というものは非常に成績がよくないのであります。そこで政府といたしましては、この申告納税で漸く最近趣旨も徹底いたしておりますし、それから一面丁度昭和二十二年度が經過する時期に立至つておりまするので、この申告しなかつた人、或いは申告が非常に少なかつた人……ちよつと申し上げますけれども、申告納税の成績が惡いと申しますけれども、人員では可なり我々が豫定しておつた人員に近いのでありますが、所得金額が非常に少いのであります。そこで今度現在全國的に所得の更正決定をするべく、もう早い所はどんどん更正決定をいたしておるのであります。それで更正決定をいたしまして、來年の一月三十一日で確定申告で納付することになつておりますが、本年度中にはできる限りこの申告納税の方で馬力を掛けまして、苟くも源泉課税の者が眞面目に税金を收めておるのだ。申告納税の方は惡いのだというようなことのないように努力いたしたいと思つております。そのためには今度罰則もどれもこれも強化いたしておりますし、又最近從來の方針を一擲いたしまして、從來直税につきましては告發といつたような、罰則の適用についてはやらなかつたのでありますが、最近は惡質なものについては告發して罰則を適用することも止むを得ないというように、こういう方向に向つておる次第でございます。尚併しながら何と申しましても現在のこの經濟情勢下におきまして、申告納税というので、十分なる成績を擧げるというためには、どうしても申告納税の趣旨の徹底を圖るということが必要でありますけれども、又國民全體としてもとにかくインフレーシヨンでどれだけ生活の切り下げを受けるか、或いは我慢して税金を負擔して頑張るかということにあると思いますので、そういつた國民各位の協力を求めて行く意味におきまして、今申しました納税の趣旨、制度の徹底と協力を願う意味におきまして、近く大々的のこの國民的な納税強調運動を起してみたいと、かように考えておる次第でございます。
#16
○森下政一君 大藏當局の御苦心は十分お察しいたします。だけれども、納税強調運動ぐらいでは、私はそう効果が擧がるものではないと思う。國民の生活から全く遊離したような税法を定めておつて、いかに笛を吹き太鼓を叩きましても實際の實績が擧がるということは實は困難であると思います。最低生活費さえも侵されて、それをこの際我慢をして國家の需要に應じなければならん。國の要請としては無理からんものがあるかも知れませんけれども、これは強いる方が本當は無理だと思います。所得税を假に納めないといたしましても、そんなら勤勞大衆というものは國の需要に對して何らの責を果たしていないかというとそうでない。現に今日は直接税と間接税の比率がむしろ間接税に重いというくらいにいわれておりまするが、間接税というものは、結局これはいろいろな形で轉嫁されて消費者である勤勞大衆が納めることになる、負擔するということになる。結局これは國家の財政需要に應じておることになるのじやないかと思いますので、所得税を納めていないからといつて、國の需要に對して應分の負擔をしていないということにはならない。こう考えられる。從いまして今日のように日々のように物價が昂騰しておるというインフレの時代において、少くとも最低生活費と考えられるものを勤勞大衆の所得の中から税の負擔以外の圏外に置くということは當然のことでなければならんのじやないか。そうすれば國家としては財政需要を充たすことができんという虞があるかも知れませんが、今日實際に現在の方法を以てしては捕捉していないところの實は厖大なる負擔能力を持つておる者がおる。これに掛けて行くことに努力をするならば、必ず勤勞大衆の負擔というものは免れることができるのじやないかということを私は考える。而も免れることが不合理ではない。極めて合理的なんだというふうに考えられます。そこで一番捕捉し難いところのいわゆる新興階級、新圓階級、インフレによつて厖大な利得を占めておる者これに對して、いかにして課税して行くか、いかにしてその税源を捕捉して行くかということにこそ、私は大藏當局が今こそ努力をなさらなければならん時じやないかと思う。方法がないというふうなことで、漫然これを看過しておくべき時ではないのだというふうに考えるのであります。私は、それがためには、第二次の財産税を徴收することも一つの方法じやないかと思います。そのことのためには、新々圓を發行するということが必要になるかと思いますが、いつぞやもこの委員會で、どなたかから、政府委員の方から、事實問題として、新々圓の發行は、印刷能力その他から困難だというお話を承りましたけれども、これは私は、例えば聯合國に事情を了解して貰つて、その協力を得るということができれば、必ずしも困難ではないと、而も財産税を、相當多額の隱れたるインフレによる利得を持つておると思うような者を狙つて賦課して行くということにし、而もその收入として上つて來ましたところのものは、紙幣通貨は忽ち燒いてしまつて、なくしてしまう。そうして一方においては、インフレの昂進に一つの抑制を加えるというくらいの一大英斷を大藏當局が考えなければならん時じやないかというふうに私は思うのでありますが、御所見如何でございますか。
#17
○説明員(脇阪實君) 只今仰せのごとく、闇所得と申しますか、闇以外でもそうでありますが、いわゆる新圓階層と呼ばれる者に對して、課税の充實を圖らなければならんということは、もう言うまでもないことでございます。その點につきましては、我々としてはできるだけの努力は實はいたしておるのでありますが、まあ實際のことを申しますと、なかなか私は闇所得に徹底的に課税するということは、實に困難な仕事であります。實際問題として、言葉はともかくとして、實際むずかしいのでありますが、併し努力は怠つておらんのでありまして、例えば増加所得税の實績等を見ましても、相當な課税はいたしておるのであります。ただそれで果して完全かどうかということについては、それは議論の餘地があるかもしれませんが、決して怠けておるわけではないのであります。尚今後その點につきましては、更に努力をいたしたいと考えております。そのためには、我々といたしましては、最前も申しましたように、或いは平凡かもしれませんけれども、片一方においては、今申します脱税者に對して、容赦なく罰則の適用もするという半面、決して罰則ばかりでよしとしておるわけではないのでありますが、そういうこともいたしますし、それ以外といたしましては、御承知の如く今年の七月、八月にかけまして、税務署を全國で八十ばかり新設したしました。殊に新興、新圓階級の多いような方面に重點をおいて、創設いたしたのであります。又甚だこういう際でありますけれども、人員も税務職員の増加については、特に留意いたしまして、相當目下充實さしておる次第でございます。と同時に、本年からは税務講習所も一年を二年にいたしますし、又高等財務講習所というものを設けて、税務職員の資質の向上ということも圖つておるし、それから何と申しましても、結局漫然と課税をするというようなことでは、やはり駄目なのでありまして、科學的に各種の資料を集めてやるというようにやつておる次第でございます。それから、でありまするので今後は、なかなか困難ではありまするけれども、要するに税務運營の刷新を圖りまして、その外に今申しました罰則の適用、或いは第三者から通報するという制度を置いておるわけであるのでありますが、そういつたいわゆる投書といつたようなものについても、十分調査いたしまして、これらの所得者の捕捉に努力いたしたいと思つておる次第でございます。
#18
○森下政一君 今日の我國の經濟状態の下において、一番大きな不均衡は、インフレによつて厖大な利得を得ておる新圓階級、さにあらざる者、これの不均衡ということが一番目立つておるものであると思います。而も厖大な利得を得ておるインフレ階級が捕捉されずにいる。おつしやる通り非常に困難だと私は思いますが、困難だからというので、比較的捕捉され易いところの勤勞大衆が、而も源泉で徴税されて、きちきち眞面目に税を納めている、はるかに多額の經濟力を持つている、負擔能力を持つているという、比較的少數であるかも知れないが、インフレに惠まれている階層というものが、毎日の生活は、極めて豪奢を極めているに拘わらず、實は國家の財政需要にその責を果すことが甚だとしいということは、結局私は、いかに大藏當局が、納税強調を云々されても、むしろ最低生活費にまで食い入る程の税の負擔を餘儀なくされるような勤勞大衆は反感をそそりこそすれ、妥當なものとはならないと思います。そこで今日のような、日本を再建しなければならん。日本の經濟を立て直さなければならんという時には、根本的な税法の改正を考え、或いは新税を起すとかして、困難を乘り越えて、その負擔能力を持つている、インフレのために利得しているという階級を抑えるということに私は努力しなれけばならんと、こう思うのであります。
 序ながら、只今政府委員の方から觸れられたので、お尋ねしたいが、そのためには税務機構の擴充強化ということは、一應納得のできる方法だと思います。ところで極く最近まで、税務官吏の待遇が、他の官吏に比較して、一段と惡かつたとういふうなことであつて、最近是正されたとかいうことを聞いておりますが、惡かつたというようなことがあつたとすれば、一體それはどういうわけであつたのですか。なぜそういうふうに税務官吏だけが、外の官吏よりも惡い待遇を受けなければならなかつたのか。どういうわけでそういうまずい結果になつておつたか。又噂だけを承知しているが、最近是正されたということですが、それは間違いないことですか。それを伺つておきたい。
 それから過般本委員會は、公聽會を聞いて、いろいろな人から御意見を伺つたのでありますが、その中に全財の副委員長の福島君が、こういうことを言われた。或いはお手許に要約した印刷物が廻つているのではなかいと思いますが、それにも載つているが、徳島君はこういうことを言つておられる、「今囘の基礎控除引上によつても、例えば五人家族、扶養親族三人の營業者が、年五萬圓の純益があるとすれば、これに對する所得税が一萬三千百五十圓、營業税が九千圓、都民税が二百五十圓、計二萬二千四百圓掛かり、これに對して生活費を年四萬八千四百圓とすれば、差引二萬四百圓の赤字となる。現在納税成績が非常に惡い理由は種々あるが、最大の原因は、現行税法が國民生活から遊離していることにある。」こうおつしやつている。ここで問題は、税金は極めて正確な計算だと思いますが、生活費を年四萬八千四百圓とすると、こう言つておられる。これが妥當であるかどうかということは、一應檢討の餘地があるかと思いますが、併しながら五人家族である。而も扶養親族三人と言つておられるが、五人家族で、年四萬八千四百圓、この生活費が、餘りに生活費として多く見積り過ぎているとは、今日の常識としては、誰しも考えることはできんと思いますが、この生活費一つの假定が妥當性を持つておるとすれば、この論述は正しいので、結局二萬四百圓の赤字になるということになりますが、この議論を政府委員の方では、どうですか是認されますでしようかいかがでございましよう。
 それからもう一つ、その次に徳島君は極めて傾聽すべきことを仰しやつてのであります。これも要約の中に網羅されておりますが、「當初豫算における勤勞所得税は百六億、賦課課税事業所得(法人税、農業税を含む)は三百七億、これを百分率にすれば前者二十六、後者七十四で」、その次が肝腎なところですが、「これに對して國民所得における兩者の比重は前者三十六、後者六十四であつたが、改正法案によれば、勤勞所得税百六十七億、課税事事所得五百二十一億、百分率にして前者二十四、後者七十六となり、これに對して國民所得における比重は、前者二十八、後者七十二となる。即ち勤勞所得税の國民所得の占める比重は減じておる割に税額では減じていない。政府の言うところはごまかしである」。ごまかしであるというのは、勤勞階級に對する所得税の負擔を輕減したと言うておるが、勤勞所得とその他の事業所得との割合、百分率を比較して見ると、當初豫算の當時と今日とでは、却つてその比重が、勤勞所得の方は減つておる割に、税の負擔というものは、輕減されるわけにならんのだということを指摘しておるのでありますが、政府委員のこの點に對する御見解はいかがでございましようか。
#19
○説明員(脇阪實君) 先ず税務職員の待遇でありますが、これが本年のカード調査等によつて、他の一般政府職員よる相當程度底いということは事實であります。どうしてそういうものが生じたかということについては、いろいろ原因があるかと思いますので、まだはつきりここで申上げられませんが、要するに底いということは事實であります。そこで大藏省では最近その凹凸是正をやるというように今進めておるのであります。今手績を進めておりますから、近くやることになると思います。これによりますと税務職員水準が一應……まあこの凹凸是正ということについては議論はいろいろありますが、いわゆる凹凸是正によつて、一般官吏の水準にまで引上げられることになると思います。併しながらこれはそれだけではなかなか税務職員の地位或いは仕事から見まして適當であるとは考えられませんので、或いは最近傳えられております如く、税務職員に對して國税調査或いは滯納處分の場合、或いは危險な仕事に從事する場合におきましては、五割であるとか或いは六割といつたような特別の手當を支給して、そうして税務職員の仕事の特殊性を認めまして、更に一段とこの税務の圓滿なる執行に努力させるようにいたしたいというように考えておりますので、それについての法律案は極く最近に御審議を願うことになると思います。
 それから第二番目の問題は、五萬圓の事業所得者についての御意見でありますが、それはまだはつきり今ここで直ぐに私はそれが正しいとかどうかということは申上げられませんが、恐らく正しいのでございましようが、併し問題は、結局生活費の問題になつて來ると思うのであります。最前からいろいろ御議論もありましたが、最低生活費とはどれくらいかということになりますと、これは御所見の如くなかなか困難な問題であります。果して五萬圓の所得の人が、今仰しやいましたように四萬八千圓の生活をやる場合、その生活費はそんなに贅澤ではないのじやないかと仰しやいました御趣旨も十分分るのでありますが、結局私はこういうふうに考えております。税によつて生活の方の切下げを或る程度我慢してやるか。或いは財源がないとすればなしにしてインフレで生活が切上げられることを甘受するか、どつちかだと思われるのであります。その場合に至つて、それは無理ではないかと仰しやいますが、それは無理な點もあるかと思います。併し現實の今の問題といたしまして、いろいろな歳入を漁つて努力いたしておりましても、今日のまあ敗戰に伴ういろいろな經費その他緊急の經費を十分に滿足させることができないような實は状態でありまして、その點につきまして私はやはりなんと申しますか、或る程度國民に耐乏生活を一つやつて頂くより外に仕方がないのじやないか、かように考えております。固より今後の經濟状勢如何によつては、或いはそれは更に檢討しなければならんことがあるとは思いますが、それはまあその時の場合でありまして、現在としては止むを得ないのじやないか、かように考えられます。
 それから三番目の勤勞所得に對する課税とそれ以外の税金、いわゆる申告納税の場合の税金についてのお話でありますが、國民所得の計算というものは、これはなかなか困難であります。或いは場合によつて國民所得の算定方法について、これは安本でやつておるのでありますから安本の方からおいで頂いて説明を願つた方がいいのであるか知れませんが、私たちが今囘の税制改正によつて勤勞者の負擔を現在の經濟状況の下においては輕減したと申しますのは、必ずしも今申上げましたような國民所得に對する比率で申上げておるのではないのでありまして、現實の問題として各個人の納税義務者の問題といたしまして、扶養親族の控除を倍にする。或いは勤勞所得控除を二割から二割五分に引上げまして、最高六千圓から一萬二千五百圓まで上げますと、實際問題として事業所得九萬二千圓、勤勞所得の人について言いますならば十六萬四千三百圓以下の人は實際の税金の負擔が輕減されるのでありまして、又豫算上におきましても今年度において兩者合せて減收五十一億圓ばかりみておるわけであります。そういう面から申上げておるのでありまして、國民所得の比率から申しますと、或いは徳島君の言われるようになつておるかも知れませんが、必ずしもその面から申上げておるわけではないのであります。
#20
○中西功君 僕も森下さんの問題と関聯して伺います。第一にこのインフレが非常に昂進しておることはこれは皆認めておるわけですが、それならばいわゆるインフレ前の税負擔竝びにインフレ後の税負擔がどうなつておるかというような數字を政府において、そういうような統計を作つたことがあるかどうか、例えば以前千圓の收入或いは千二百圓の收入というふうなところから税が取られておつたと思います。現在又多少はそれが上つておるわけですが、例えば現在一萬或いは一萬五千圓程度で、事業所得にしろ、給與所得にしろ一應その程度から納めておるといたします。そういう人はこれはいわば現在の最低クラスなんですが、それが、それじやインフレ以前において一體どの程度から納めておつたか、而もその物價いろいろな割合から見たならば、一體今それに相當する人、以前と現在との貨幣價値と、これを均衡さして、大體税不擔を考えるということを、そういう統計をとつたことがあるのかどうか、若しあつたら聞かして貰いたいと思います。
#21
○説明員(脇阪實君) 今仰しやつたような點について十分考慮しなければならんことは事實でございますが、今そういつたような計數的にはつきりとつた調査はございません。ただ今仰しやつた一萬五千圓程度で、今どれだけの税金を負擔しておりますかといいますと、給與所得が一萬五千圓程度の人は、扶養家族が三人でございますと現行では七百二十圓、今度の改正によりますと税金は納めないということになるのであります。
#22
○中西功君 私は現在のやつを聽いておるわけじやないのです。問題は、例えば先も森下さんからもいわれた四千八百圓の基礎控除というのが、全然その基礎がないというわけです。何故四千八百圓であつて、一萬圓以上であつてはならないのか、こういうふうにはつきりした基礎がないわけです。それは政府の調査から見てもないわけです。併しそれをいろいろについておるわけでしようが、要するに問題は、そういうふうな事變前と現在の調査と比較した調査がないということ、そこに私は今の財政當局がやつておることが集中的に表現されておると思います。そういうことをせずに、ただ税を組立てる觀點からだけで一定の控除額を考えたり、そうしたことをしておる、そういうことがないなどということは實際私はおかしいと思います。私は教えて上げます。例えばこれは、私今日資料を全部持つて來ていないので正確にいうことはできませんが、現在一萬圓或いは一萬二千圓、或いは一萬五千圓程度納めておる人、これは昔ならば、現在十萬或いは十五萬納めておる人と同じなんです。即ち結論を言えば、現在は十萬或いは十五萬程度の人が昔の最低なんです。而も税率をいえばその以前は百圓について、これはちよつと資料を持つておりませんので……まあとにかく百圓について、私覺えておる範圍では、十二錢か或いは幾らかじやないかと思います。ところが現在は百圓について三圓二十四錢か何かついております。それだけ違つておる、これは事業所得においても、勤勞所得においても同じです。そういう問題を考えないで、ただ控除するとかしないとかいつておる態度が、そもそも私はよろしくないと思います。だからそういう基礎を調査せずにして、ただ四千八百圓の問題をいつておるから説明がつかないわけだろうと思います。實際又そういうことを出して見たら、四千八百圓では駄目であることがわかり切つておると思います。
 第二の問題は、厚生省が生活保護費を支給しておると思いますが、この生活保護費に税金は掛かるのですか、掛からないのですか。
#23
○説明員(脇阪實君) 最前仰しやるような資着が必要であることも、十分仰しやる通りであります。ただ私の最前から申上げておりますことは、物價の昂勝というようなことによつて、例えば從來の百圓が現在では一萬圓とかいうようなことは十分考えられるのでありますが、最前も申しました如く、それは現在の日本のおかれておる地位であるとか、或いは經濟力であるとか、或いは財政の需要というようなことも考えて、結局そこは妥協をしなければならんのじやないか、こういう趣旨で申上げておるわけでございます。
 それから第二番目の、生活保護法の給與につきましては所得税は掛かつておりません。
#24
○中西功君 それでは生活保護の問題は、もう少し次にしますが、先の私からの質問に對して、インフレとか何とか、何か妥協を圖つておるというようなことですが、私はさつきから最低生活費の問題、インフレの問題を聽いておりまして、あなたの議論は根本的に間違つておると思う。インフレだから、例えば最低生活費ということはなかなか決められんということを言つております。例えば全財の人が言つた一月一人四千圓の生活費で、これでやれるかやれないかという、その點はそれはいろいろやり方もあるだろうというふうなことを言つておる。最低生活費というのは、それは計算しようと思つたらこれはわかるわけです。皆とにかく生活しておるわけです。現實に生活して生きておる。我々は生きておるために、生きて行くために必要なものを要求しておるわけなんです。決してむずかしいことでも何でもない。その上に税金で取られるか、或いはインフレで取られるかというふうなことを言つておりますが、ここが間違つておるのです。税金の取り方が、若し本當に新圓利得者から税金を取るならば、それは同時にインフレもなくなることなんです。とにかくインフレによつて苦しめられておる者から税金を取ろうとする。これは是非とも……とにかくこれでは下積みの者は兩方とも困るのです。又現實に兩方とも取られておる。インフレによつても取られており、高率の大衆課税によつても取られておる。いずれかではない、どれかこれかじやない、二つともやられておるのです。而もこれをなくそうと思えば、さつき森下君の言われたように、本當に擔税力のある者、新圓を澤山持つて、而もインフレを煽つておる者、これから取れば兩方ともなくなるわけです。大衆課税もなくなるし、インフレもなくなるわけです。だからそういうあなたの考え方自身が全く間違つておるわけです。ですからそれが又最低生活というものを眞面目に考えない、大衆の擔税能力というものを眞面目に考えないということが、それが又一致しておるのです。ですからただ取り易い所から澤山取らうとする、そうして實際においては本當に取らなければならん所から、取る取ると言つても、これはこういう税を作つて置いて、こういうやり方をしておる限りは絶對に取れない、それは口で言つておるだけです。若し本當にやろうというのだつたら、この税の手續を變えるがいい、それを變えないでおつて、而もやるというのはごまかしです。これを稱して欺瞞というのです。
 更にさつきの生活保護費を貰つておる連中、これが恐らく多数の家族になると一萬數千圓を突破するだろうと思うのです。政府の今のやり方が極めて矛盾しておる。生活保護費を貰つておる人々には課税していないのです。而も自分が働いてそうして一萬圓以上貰う、給與を取る場合には、それに課税なさるのです。そういうふうな矛盾を敢えてしておるわけだと思うのです。ですから現在の税については、とにかく非常に矛盾だらけである上に、非常に惡い。これはもう公聽會においても非常に強調されたのです。税金が非常に高いのです。税率が高いのです。而もそれは取れないだろうということを見越して高いのです。こういうふうにインチキな、もともとインチキになつておるわけです。それでこういうようなことから、大きな所は幾ら税率が高くても平氣なんです。それは適當な手があるわけなんです。税務官吏との適當な結合があるわけなんです。ところがそういう税率が高しのが一番困る。結局金のないものが特別なことができないために、税金を出すために、やはりその點苦しめられるという状態なんです。ですからもつと私はこの税制を本當に徹底的に改正をしなければだめだと思いますが、要するに今私、森下君に對する政府委員の答辯をいろいろ聽いておりまして、非常に當局は不眞面目でと思う、そういうので僕は腹が立つたのです。で、あれをいえばこういう。ああいうばこういうというような、全くのごまかしですよ、今までの答辯は、實際自分たちがやつておること、事實やつておること、そのことは決しと本當のことをいうて、大きな新圓課税だとか、そんなものはやつていないのです。こういうことを言つていてやらないのです。それでやりますやりますとか、ああやらなければいかんと思つていますとか、そういうのが不眞面目なんです。僕はそういう意味で今日は憤慨したのです。
 ですから私が言つたことを要約すれば大體一つは税金でとるか、或いはインフレでとるかいずれかというふうな根本的な考え方が間違つておるということ、で、税制もインフレも、即ちインフレ克服政策も税金政策も、ともにこれは一諸に調和して行くべき、行かなければならぬ、行き得るものなんです。それはあんたたちが本當にこの税制を變え、そうして負擔能力のある者からという體制に切り替えれば、そういうことはできることなんです。それから第二番目は、最低生活の問題が考えられないようなそんな、どこにも基準がないような考か方、こういう考え方でやられたのでは、我々は結局死んでしまうより外はないわけです。どんどんどんどん、とにかく、我々に對する負擔は重くなつて來るのです。それで最低生活、これでぎりぎりだという線がないわけなんです。考えていないわけなんです。だからとられ放題とられて行く、結局においては、非常にもう、最後の場合には、首をくくらなければならぬというようなところまで追いつめられる。そういう限度を政府はちつとも考えていないわけです、だから最低生活は考えによるとか、考えられないとかいうのは、實際ふざけておると思うのです。第三番目は、さつきいつたような生活保護費の處置と、それから實際に本當に働いておる者の處置と、非常に違つておる。矛盾しておるという點、これも政府自身の政策の矛盾です。そういう點で私は、若しこの税制を多少でもよくしようと思うならば、その基礎控除額を徹底的に變えるべきだ。上げるべきだと思うのです。今日森下氏に對する政府のこの課税對象の人員の數それ自身が非常によく示しておると思うのです。例えば今度税率が上げられる。税率は上げられたが七萬から十萬、十二萬という間が壓倒的なんです、いわゆる七萬以上という中で。而もこの七萬から十二三萬まではすでにそういう大口所得者じやないのです。戰前からいえば、いわば最低の事業所得を納めておるわけです。而もここに一番きついのです、今度の税率の引上げは、だから企業においては中小商工業者を一番いじめるのです。これは自分自身の數字がよく示しておるのです。而もその百萬圓以上になつたのが二千人、二千人しかない。だからこれを見ても分ると思うのです。だから税制を本當に考えているのだつたら實際確實に現状を掴むこと、自分たちの數字をもつとよく考えて見ることが必要だと思うのです。だから實はそういう點で若しこれがただ新圓課税をやるとかやらないとかいうようなことじやなく、實際に自分たちのやつたおることが本當に自分たちの言葉と合つておるかどうか、それをよく考えて貰いたい。それで單なるごまかし見たような變ちくりんなことは言つて貰いたくない。以上です。
#25
○説明員(脇阪實君) 只今仰しやつたインフレ利得者について課税をしなければならぬと仰しやつた點については、決して不眞面目に申上げたのではないのでありまして、一生懸命努力いたしておるのであります。又本氣にそういう考えを持つておるのであります。尚今後も一段と努力、現在更正決定をどんどん進めて、やろうと、こういうように、一部はすでにやつておるのでありますから、その點は御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
 それから基礎控除の問題について、最前私の申上げましたのが、多少誤解があるようにも思われますのです。私の申上げましたことは、最前基礎控除の四千八百圓というのは、これは最低生活費が、いろいろ問題はあるけれども、そういうものも考えられるが、こういつた點も考え、技術的な問題も考え、或いは又財政的の需要ということも考えて決めておるのだと、こう申しておるのであります。というのは私はこういうことを申したかつたのであります。即ち例えば二萬圓の人に一人四千八百圓引くのがいいか、一萬圓引くのがいいかということは、いろいろ問題がありますが、問題は四千八百圓だけを取らぬというのではないのであります。その四千八百圓を一應引きまして、その後に或る一定の率の税金を掛けるのでありまして、四千八百圓を超えましたら皆税金を取つてしまうとか、何とかいうのではないので、むしろ具體的に一萬圓の人なり二萬圓の人なり五萬圓の人なりの負擔を見てみるというような觀點からも考えておるということを申上げたかつたのであります。四千八百圓以上の者は、すべて取つてしまうというのではないのであります。最前申上げましたような、技術であるとか、實際の所得者が實際に負擔せられる金額というものも考慮して、四千八百圓とか、或いは扶養親族の控除というようなものを決めておるのであるということを申上げたかつたのであります。
 それから三番目の生活保護法の問題につきましては、たしかこの間生活保護法による金額が上げられたように記憶しておりますが、その程度の……私の或いは間違つておるかも知れませんが、大體の記憶で申しますと、所得税を掛けるといたしましても、殆んど掛かるか掛からんかという程の金額ではないかと記憶しております。若し掛つても、ほんのちよつと掛かるといつたような程度のもので、生活保護法の金額そのものは問題があるかも知れませんが、私の聞いているところでは五人家族が貰うあの金額というものは、所得税の四千八百圓の控除をいたしまして、それから扶養親族の控除をいたしますと、掛かるか掛らんか、或いは掛つてもほんの少し掛かるという程度になつておるものと記憶いたしておりますので、まああれに所得税を掛けんということにしておつても、そう弊害がないではないかと考えておるのであります。
#26
○深川タマヱ君 私は政治家の生命は、その建設的な意見にあると考えております。政府の失策を非難攻撃することはいと易いし、而も目覺しく見えますけれども、そこに建設的の意見が少なかつたならば、その價値は少いものと存じております。如何に地味でありましても、ただ一握りの政策であつても、建設的の意見であつたならば、これは相當高く評價しなければならんものと常に自分を戒めております。これは餘談でありますが。次の所得税と非戰災者特別税につきまして一、二申上げてみます。勤勞所得税でありますが、私は同じ勤勞所得税と申しましても、高い月給を取つておる人からは、家族扶助料などは引くべきではないと思います。又今囘の千八百圓のベース引上げの問題に當つても、一率に低收入の人と同樣に引き上げる必要はないと存じております。その代り最低生活のできない人からは、むしろ全然勤勞所得税などは取るべきではないと考えております。生命に食い込むような税は惡税でありまして、文字通り不健全財政でございますから、その時には勿論廣い肩に重い荷物を背負わせ、即ちインフレ利得者からとることも一つでありますけれども、支出の方をもつと考慮して頂かなければならんと存じます。只今の財政支出について私が今三つ考えていることをちよつと申上げて見ますが、第一の行政整理は暫くおきまして、第二の官行事業のことでございますが、勿論日本の國に資材資金があつたならば、今直ちにいたしても惡い事業ではございませんけれども、今日の日本は非常に資材資金が缺亡いたしております。然るにこの尊とい資材資金を使いまして、不安定な將來の收入を目當てにして、今非常に澤山の豫算を計上しておりますが、これはそう急ぐべき問題ではないと思います。いずれの國におきましても、敗戰後五年ばかりは非常に困窮いたすそうでありますが、只今の日本は二年三ヶ月であります。後二年半ぐらいになりましたならば、南方の米とか、農業生産力が復舊いたすと思います。安い米が輸入されて來るでありましようし、それに代えるに日本の南方向けの安い雜貨の生産力も復活いたして、インフレ克服はできると思います。その項から始めましても決して遅い事業ではないと考えております。むしろ、東北、關東の水害地などは、これは止めることができない事業でありまして、これを直すことならば、當然收入も元通りになりますことでござしましよう。もう少し資金のない時は率の高いものに使用して貰いたいと思つております。
 次は公團の問題でありますが、近項油の公團、それから主食の公團、それから酒、非常に公團が計畫されておりますけれども、物資の少い時に、闇に流れる方を監督する意味で、大いに贊成いたしますけれども、それなれば何故に民間資本を使わないか、疑問に思つております。財政がなくて、國民の生活にまで喰い込む程の重税をかけて、大衆課税を掛けておきながら、ない金で大見榮を張つて、全部の資金を全部國家が負擔するということは不料簡だと思います。今までさえもそういう事業は民間でやつていたのだから、資材設備を買うと同時に、資金も民間のものを使用して然るべきだと考えております。
 その次は、非戰災者特別課税でありますが、これは申告納税の方法が採られているようでありますが、それと、被害者は三割以上の被害者からとることになつておりますけれども、人情といたしまして、納税は餘り好みませんから徴税方法がよろしくなければ、非常に税收に差ができると思います。それにつきまして、申告に當つては個人を監督する必要があると思います。最もその人の事情を知つているのはやはり近所の人であると私は考えております。この税の掛かることを予め豫想をいたしていなかつたために、日常生活の間に、自分の被害の状況を私たちは話していると存じますが、その人たちの手前まさかでたらめな申告もできないのが人情と存じまするので、やはり元の隣組制度のような、あれを利用いたしまして、隣組の組長のところへでも申告書を持つて行つて、あすこで一纏めにして税務署へ届ければよいと考えております。それから、申告を斷わつた人に對する罰則規定がないようでございますけれども、その點はどうなつておりますか、それから封鎖で拂つてもよいのか。もう一つは非戰災者特別税、農村の人も都會の人も、一應賃貸價格の三倍というふうになつておりますが、これは農村は家賃が低いのでございますので、これは農村と都會との負擔の均衡から考えましても、亦農村は非常にインフレ利得者が多うございますので、この際農村への課税というものも加味いたしまして、農村へはもう少し税率を高くしていいと考えます。先ずそれだけでございます。
#27
○説明員(脇阪實君) 第一番に仰つしやいました扶養親族の控除、例えば昔で言いましたならば、三井とか三菱の大所得者についても認めるということの必要はないじやないかという御意見でありますが、それは考え方によつて或いはそうかと思いますが、併し一人當り月四十圓程度でありますので、どつから切るということも問題になりますので認めてよいのじやないかと思つて、今は認めているような次第でございます。
 それから官行事業のことにつきましては私は實はその所管ではございませんので、何れ主計局なり關係の方からお答えするということにいたします。
 それから三番目の公團の問題で、非常に國庫需要が多くて最前からいろいろ問題になつておつて、重税を課して、その金で公團の資金に當てることは不適當でないかという仰せでありましたが、公團は、結局從來のような統制機關では、民間の機關に統制的な權力を與えるということは現在としては非常に適當でないと、こういう趣旨で設けられ、從いまして統制をしないならばいいけれども、統制をするのであるならば、それは政府の一部のようになつて、それが全責任を以て統制に當るという、こういう趣旨からできていると考えております。從つて民間資金を使うことも考えられますが、今申しました趣旨から出資は全部國が出すことにいたしております。併し只今出資は御承知の如くたいした金額でございません。酒で申しますというと、三千萬圓ということに確かなつていると思います。それ以外の資金の問題になりますと、これは復興金融金庫からこれを融通せしむることになるわけでございまして、そうなりますと、結局復金といたしましては相當資金のやり繰り上或いは日銀に頼るということもあるかも知れませんが、復金自體としては成るべく民間のいわゆる蓄積資本、即ち新圓の自由預金の増加に頼るという方向に持つて行くべきであつて、それは復金のむしろ資金の問題として考えるべきではないかと考えております。
 それから最後の非戰災者の税の問題につきまして、この税金が申告納税制度を採つていることはその通りであります。その場合に隣組等を使つたらどうか、こういう御意見であると思いますが、隣組を使うということにつきましてはいろいろな關係上現在は困難かと考えられます。と申しますのは隣組は御承知のように解散を命ぜられて實はいる。それに代るような組織はいけないということになつておりますので、御趣旨は御尤ものように思われまするが、なかなか困難ではないか、ただこの場合に第三者通報制といたつような、いわゆる制度で、お互い何と申しますか、監視的な制度を設けてありますので、それによつてやつて頂いたらどうかとかように考えられます。それから申告しない場合に罰則がないではないか、こういう仰せであります。その申告をしなかつたものについての罰則は御指摘の如く設けてございません。ただ脱税をした。當然故意によつて脱税をしたというものなんかについては五十二條に相當重い罰則が設けてございます。結局それに該當する場合にはそれで行くようにしたいと考えております。
 それから最後に第二封鎖によつて、封鎖預金によつて納めるということについては、この御意見は、これはこういうように考えております。第二十七條にございますが、非戰災家屋税の納税義務者が終戰前に所有しておりました家屋を売りまして、そうしてその賣つた金が實際緊急措置令によりまして第二封鎖預金等になつてしまつたというような場合におきましては、その第二封鎖預金となつた割合だけは第二封鎖預金を以て納めていいということにしてございます。それでは第一封鎖によつて納めるのはどうかという問題でありますが、これは第一封鎖によつて納めるようにいたしたいと、そういうように法令を整備いたしたいと考えております。尚農村の方の賃貸價格は非常に安いから同じく三倍では不適當ではないかというのでありますが、それはおつしやる通りでありまして、全國平均で申しますと、大體住宅で申しますと、一戸當り平均九十圓と百圓との間ぐらいではないかと考えられますが、農村におきましてはそれより遥かに安い、平均六十圓とか、或いはせいぜい七十圓までのものと考えられますが、併しそれかといつて、農村の方だけにこれを高くするということは戰災を免がれた方と、受けた方との均衡の問題としては、やはりそうするのはなかなか困難ではないかと思われるのでございます。即ち家屋賃貸價格というものは、大體時價であり、或いは收益率というようなもので賃貸價格を定めておるわけでありまして、若し都會における家屋というのは實際値段が高い、又いい家屋である。又農村の方はそれよりはずつと落ちる家屋であるというのでありますならば、やはりこの戰災を免がれたということについての課税も安くて然るべきではないか、從いまして、これを都市の三倍に對して農村を四倍とか、三倍半にするということはどうかと考えておる次第でございます。
#28
○委員長(黒田英雄君) 午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から續けて審議いたしたいと思います。それから公報には落したのでありますが、ときによりましたらば或いは失業保險特別會計法の法案を御審議願いたいとも思つておりますから、御用意をお願いいたしたいと思います。それではこれで休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十一分開會
#29
○委員長(黒田英雄君) それでは速記がなくてやつておりましたが、速記が參りましたから、これから速記をつけてやります。
#30
○山田佐一君 只今大臣の御説明で、編成上の御苦心の程は重々お察し申上げます。併しインフレ下に惱む國民といたしまして、最低生活だけは保障して行くということが、國家の義務だと思います。その意味において、所得の免税點を引上げるということは、私今日の事態として、必要缺くべからざる政策じやないかと思います。今日の四千圓の基礎控除ということが、表面聞きますと、誠に低額である。又片つ方の方で、百分の二十五の控除がありまするから、やや免税點は一萬なん千圓になると思いますが、一見いたしまして、四千圓というものが、非常な少額に見える。私は基礎になりました昭和七八年が、基礎控除三百圓だつたかと思います。大體所得税のなには……その頃から見まして、經濟實相報告にもあるように、物價は六十五倍になつておる。その六十五倍を掛けますと、一萬九千五百圓、約二萬圓ぐらいまでは、所得税は基礎控除するということが、物價に順應した見方じやないかと思うのであります。而して今日の國民所得は、九千億という豫想でありまして、非常に殖えておるのでありますから、最高へ行きまして、百萬圓以上のものにも、もう少し段階をつけて行つたらどうか。今日のこの改正税法を見まして、七萬圓以上から百萬圓までの率になつておるのでありまするが、以前の原案が五階級であつたものが、今度は九階級になつておる。貨幣價値が下つて來て、數字が多くなるのに、この段階を又殖やすということが、その金額の間において殖やすということが、いかにもなにかここに細工があるように見えるのであります。私は大體の税率は下げる。そうして收入の實相を掴むということが、一番よいのじやないか。今日百萬圓というと、非常な多額の收入のように見えまするが、今日の新圓所得者は、月に八萬圓とる人が相當私はあるのだろうと思います。實際の面に行きますというと、これは二百萬圓まで行つても、三百萬圓まで行つても、私はよいかと思うのでありまするから、三百萬圓ぐらいまでの段階をつけまして、七萬圓から三百萬圓までの間で、もう少し率を低くして、納税者が出しよいようにして、そうして段階をつけたらいかがと思うのであります。新圓所得者に重税を課するということは、これは世論でありまするし、だれが見ても反對のない議論でありまするが、一朝見付かれば、殆んどその所得を全部取られてしまう。百萬圓の所得がありましても、一朝見込まれて課税せられますと、折角のものが全部取られてしまうということになりますれば、これは折角儲けた新圓所得者も隱そうとする、隱匿しようということは、人情の私は然らしめるところである。又徴税官吏も、そこへ行けば、折角の儲けたものを全部取つてしまうということになると情において忍びんところである。それでありますから、百萬圓の者が凡そ幾人というくらいの御豫想がありませんか、實際に行きますれば、相當の數字になつているのではないかと思います。その點に對して、當局の所見を伺いたいと思います。
#31
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今政府委員から數字について説明さして頂きます。
#32
○政府委員(前尾繁三郎君) 百萬圓以上の納税を見込んでいるのは二千二百人ぐらいであります。
#33
○山田佐一君 いやもう少し、七萬圓から上へ行つて、階段を少くする御意思がないかどうか。
#34
○政府委員(前尾繁三郎君) 御答辯を申上げます。只今お話の基礎控除の問題につきましては、先程大臣からお話がありましたのでありますが、附け加えて申上げますと、結局におきまして、最近物價の事情なり、なんなりから考えまして、引上げはいたして來ておりますが、本年の四月から、根本的な考え方の違いを持つて來ております。それは要するに、すべての人が、外少に拘われず納めて頂く。まあなんと申しますか。たとい十圓であつても、二十圓でありましても、とにかく先ず税を納めて頂くというような考え方からいたしまして、四千八百圓という控除をいたすことにしたわけでございます。月額とすれば四百圓で、勤勞所得につきましては、二割の控除が從來ありましたものを、六百圓、それ以上の人はみんな一應とにかく税を納めるんだ。勿論扶養家族の控除その他がありますので、實際に税金を納めて頂くという人は、うんとそれより上の所得の人から納めることになるのでありますが、結局獨身者というような場合には、非常に低い所から税金が掛かりますが、その代り生活費も非常に少い。先ず國に對して税金を納めて、殘りで生活をするという考え方に變つておるのであります。これはアメリカの税法も、御承知のように、年額五百ドルの基礎控除ということで行つておりますことも、揆を一にしておるわけであります。併し實際の負擔としては、堪え切れないような税負擔ということになつていないのであります。
 それから税率の問題で最近の税率は高いというような感じもありますが、併し戰時中の税率から見ますと、結局階級區分の問題が幾分問題でありますが、最低税率は前は九七%までいつておつたようでありますが、これは特に資産所得というようなものは非常に高率で、殆ど取られる。それを漸次引下げて參つたのであります。今春は七五%、最高税率にまで引下げたのでありますが、御承知のように今囘大口利得者に對する高率課税という命題の下に再び最高税率を八五%ということにいたしたのでありますが、併し最高八〇%で打ち切ることにいたしたのでございます。
 尚勤勞控除竝びに扶養家族の控除を引上げましたことによりまして、實際事業所得に對しましては、今年は九萬二千八百圓の人から初めて税負擔が殖える。それから勤勞所得につきましては、十六萬四千三百圓から初めて税負擔が殖える。從いまして、勤勞所得には今囘の税率引上げで殆ど誰にも關係はないことに相成ります。又事業所得につきましても、大體十萬圓以上の人に幾分の負擔が増すのでありますが、それ以下の人には負擔は増さない。それ以下の人はすべて減税になつて參るわけであります。
 それから只今お話のように階給區分を殖して参つておるのでありますが、現在最高税率八五%を我々は八〇%で打切るというくらいに、もう最高税率は餘り引上げないという考え方をいたしております。以前は營業税がすべて必要經費に控除せられますので、所得税として一〇〇%までいつてよいという考え方でおつたのでありますが、最近は矢張り營業税が必要經費に引かれましても、所得税が1〇〇%までというこは行き過ぎではないかというような氣がいたしておりますので、理論上はともかくも實際として八〇%くらいに打切るというのがいいという考え方からいたしまして、八〇%に止めている次第でございます。從いまして最高税率の方を餘り引上げないということになりますと、中間で多少税率を階級區分を殖やして貰いませんと、累進税率の累進の仕方がなだらかに參りません。そういうような關係からいたしまして、階級區分を殖やしておる次第でございます、それ以外には別に他意にはないのであります。
#35
○山田佐一君 今の階級のなんでありますが、私の言うのは、百萬圓から七萬圓の中で階級を殖やしたのですが、三百萬圓ぐらいまでを持つていきまして階級を殖やす。大體今納税者の幾分か率を安くして、本當の實績を擧げるようにして欲しい。そうしていきますと今の率を半額にいたしましても、實際の收入を把握すれば税額においては違わないじやないかと思います。當局の御見解はいかがでありますか。
#36
○政府委員(前尾繁三郎君) お説は誠に御尤もでありまして、我々といたしましても税率を引上げるよりも、實際の所得を捕捉するということで從來から心掛けておるのでありますが、併し直ちに税率を引下げて、又所得をそれ以上にやるということも簡單には參りません。勿論全般的に引上げるということになりますれば、それは又理由もなくなることであります。從つて特に調査を徹底してやるようにいたしておりますが、從來とまるつきり行き方を變えてしまうというわけにも參りません。税率の引上げは好ましいものとは思つておりませんが、實際の收入という點からいきますと、これは戰時中でも同樣だつたわけでありますし、又將來といたしましても或る程度の税率の引上げということは止むを得ないのじやないかと思つておりますが、ただ最近の勤勞所得の状況から考えますと、この税率でありましても勤勞所得と事業所得者という點から考えますと、事業所得者なり、インフレ利得者に對してこの程度の税率を適用していくというくらいのことで參りませんと、勤勞所得者との關係ということはうまく均衡がとれないというふうに考えておるのであります。
#37
○森下政一君 この機會に大藏大臣の御所見を伺いたいのです。只今年度の途中であり、殊に追加豫算を提出されて、而も健全財政を堅持していこうというので、形式的にも、實質的にも辻褄の合う實效を伴う豫算を組もうという非常な御苦心をなさつたという御説明をしばしば承わりまして、御苦心は誠に敬服に堪えないのであります。ところで問題の所得税でありますが、午前中に政府委員にお尋ねいたしまして、豫想されております所得税の納税人員が千三百五十五萬人、その中で勤勞所得或いは日傭勞務者の所得、それらを納税すると思われる人員が兩方合計して九百四十四萬人、こういうことを承わつたのであります。納税人員の殆んど大部分を占めるもの、一番大きなパーセンテージを占めるものが給與所得による生活を營んでおる者であるということは極めてこれで明瞭であると思うのであります。而も只今局長の御説明にもございましたが、恐らくそれらの大部分が五萬圓以下の所得を持つておる者じやないかと思いますが、それらについては何ら今囘税率の引上げは行なわれておらない。却つて基礎控除が引上げられたということによつて勤勞所得者は負擔が輕減されたという結果になつておる。而も半面に大口の所得者に對しては、即ち給與所得以外の事業所得等によつて新圓成金になつておると思われるような大口の所得者に對しては高額な税率を賦課することになつたというわけで負擔力の乏しい者には輕く、負擔力の多い者には重い税を課せられるようになつた。御説明を聽きますといかにも納得せざるを得ない御説明のわけなのであります。ところで現實の問題といたしまして、然らば勤勞所得によつて生活をしておる。而も年間を通じて五萬圓以下の所得で生活をしておると思われるような、比較的負擔力の乏しい者が税を負擔することによつて、最低の生活の維持にも困難を來たすというような氣の毒な羽目に陷る虞れはないのか、殊に月々かように物價が昂騰して行く、願うことではないのでありますがインフレーシヨンが漸次昂進して行くというような今日のような經濟状態の動搖しておる時におきましては、誠に勤勞生活者の生活というものは非常に不安に暴らされておる。そこで政府が意圖された又説明されるところは非常に美しく合理的な妥當性を持つた如くに響くのでありますけれども、實際においては税を負擔して國家の財政事情に應じた残りのものを以て勤勞階級が果して生活を維持し得ておるかどうか、維持し得るや否やということを考えると甚だ危惧の念を禁ぜざる事を得ないのであります。午前中も政府委員に指摘したのでありますが、本委員會が過日公聽會を開いて、各方面の意見を聽いた中に、全財副委員長の徳島君という人が、極めて傾聽すべき意見を吐きまして、一つの設例を以て説明いたしたのでありますが、その例はこういふ例であります。「今囘の基礎控除引上げによつても、例えば五人家族、扶養親族三人の營業者が年五萬圓の純益があるとすれば、これに對する所得税が一萬三千百五十圓、營業税が九千圓、都民税が二百五十圓計二萬二千四百圓掛かり、これに對して生活費を年四萬八千四百圓とすれば、差引二萬四百圓の赤字となる、現在納税成績が非常に惡い理由は種々あるが最大の原因は現行税法が國民生活から遊離していることにある」こういう一つの例を擧げておるのであります。恐らくこの國税或いは地方税、それらの合計額で二萬二千四百圓という數字は、公述者が税務官吏であるだけに間違いのない數字であらうと思うのでありますが、問題は「生活費を年四萬八千四百圓とすれば」という一つの假定を設けてある。ここにあるのであつて、四萬八千四百圓が普通一ヶ年間のこれだけの五人の家族の生活費に餘りあるものか、もつと少い金額で五人の生活維持ができるということになれば、議論が別になつて來るのでありますが、今日の物價高において五人の家族が年四萬八千四百圓というのは、そう贅澤な暮しじやない。言い換えると五人の生活を維持する最低限に等しいものではないかとこう思うのであります。この最低生活を維持するとしてこれだけの税金を納めると、差引き二萬四百圓の赤字になる、こういうのであります。これでは私は納税ということに對して非常に忠實にその責務を果そうという氣持が國民に乏しくなるという憂いがあるのではないか、かように考えるのであります。そこで午前中もしばしば政府委員と質疑應答を重ねたのでありますが、基礎控除というものがどうも根據がない、やはり最低の生活費というものは税の負擔から控除すべきものではないか、最低生活だけは讓つてやるべきではないかというふうに考えるのであります。そうでないことには、税を負擔すれば最低生活が營めないということになれば、背に腹は代えられんから、事業所得を上げますような者は、いろいろ脱税の手段を講ずる、或いは僞るというふうなことで、税の負擔を囘避しようということになる。そのこと自體が甚だしく國民の道徳的な觀念を低下せしめることになる。かように考えられるのであります。徳島君の擧げました例は、業務所得についてでありますが、五萬圓程度の或いはそれ以下の勤勞所得によつて生活をし、而も五人家族を持つておるというふうな者は、隨分數多いことと思いますので、同樣にこれらの税を負擔して參ります場合には、最低生活が脅かされる。税を負擔した殘りで最低生活というものが維持できないということになるのじやないかということが考えられるのであります。
 そこで基礎控除というものが、どうしてもこの最低生活を護るという線にまで考えを改めて行く必要があるのじやないかということを思うのであります。而も今度の改正税率によりまして、七萬圓を超える所得に對しては、相當税率の引上げが行われておる。而もその大口の所得というものが正直に申告されて、ここに示されておる通りの税率による納税をするということになりますならば、五萬圓以下の所得者はまだ滿足するだろうと思うのでありますが、實は七萬圓以上の、而も上の階層になればなる程大口の所得になればなる程、その階層においては當局が非常に努力しても所得を捕捉するということに非常な困難を感ぜられる。又所得者自らがいろいろ當局を欺瞞するということに努力をするというふうなことで、最も經濟力の豐富な者が、國の財政事情に應ずる責任を果すことに甚だとしい。而も比較的零細なる收入で生活を維持して行かなければならないところの階層が、源泉課税によつて極めて嚴正、正確なる徴税を行われ、國に對する責務を果しておる。こういうことになりますと、いかに當局が納税強調の運動をなさいましても、それはいかに聲を大にして叫んでも國民は踊つて來ないということになるのじやないかということが考えられる。そこで今一氣にこの税を根本的に改正すると申しましても、年度の途中のことでもあり、今度は先刻大藏大臣が仰しやつたように、追加豫算の辻褄を合せるという必要に迫られて、こういうふうな改正をなさつたということの御意向も無理からんことと思うのでありますが、私はここで大藏大臣にはつきり一つ御所見をお伺いしたいと思うことは、次の年度の豫算を編成なさる場合には、これらの税法につきましても、更に合理的なものたらしむべく根本的な改正ということについての御意思がございますでしようかということをお伺いしたいのであります。
 片山内閣成立の當初におきましては、國民の大多數は今度こそ始めて日本に民主手な内閣が生れた。この内閣によつてこれまでの政治とは全然趣きを異にした政治が行われるであろうという多大の期待を繋いだにも拘わらず、内閣成立以來今日まで半歳有餘に亙るところの實績から見ますならば、誠に國民の期待に副うところが乏しかつたと思うのであります。固より國民は、新内閣が生れたことによつて、忽ちにして生活が樂になり、經濟が再建されるであろうというふうな期待を繋いだとすれば、それは國民の期待が誤つておつたものと思うのでありまして、しばしば片山總理の言う通りに頓服藥のように新内閣の性格が一月や二月或いは半年くらいなことで効果を擧げることはできない。その理窟はよく分るのでありますけれども、少くともこの民主的なと期待されている新内閣によつて行われることの中に、これで初めて期待に副うような、少くとも曙光が見えたというだけのことはやつて貰わなければならんと思うのでありますが、そういう意味におきましても、新年度を迎えるに當つての豫算編成に當つては、税法の如きに對しても根本的な改正をして、而も國民の最低生活を侵してまで、國の財政負擔に應ぜよとは言わんというような意圖を盛つた改正を斷行して貰うことはできないか。よしんば所得税の負擔からは免除されるとしても、今日のような經濟的な非常事態の場合においては、理論的な立場から言えば必ずしも妥當だと思われないような税制も、これは國民は甘受しなければならん、即ち比較的直接税の割合が多くて、間接税の割合の少いというのが、大衆課税が少くて大衆が負擔を經減されると言われておるが、必ずしもそういう理想的なもののみを堅持して行くわけに行かん。現にむしろウエイトは今日におきましては、間接税の方が重くなつているということはこれは忍ばねばならない。所得税の負擔は免かれておりましても、間接税の負擔は、やはり勤勞大衆というものは何らかの負擔をして、國の財政需要に應ずるということになる筈だと私は思うのでありまして、そういう意味から直接税である所得税の負擔の如きは少くとも勤勞生活、而も比較的少い收入によつて家族を支えている、生活を支えている勤勞大衆に對しては、その免税點を更に明確にして最低生活を護つてやるということが必要でないか。ここにこそ初めて私はせめても片山内閣に對する國民の期待の一部が報いられ、初めてこの内閣によつて納得の行く控除が行われ、最低生活が護られるということが得心されるのではないか、そうでない場合は折角新内閣が生まれたが、同じようにこれまで同樣に日を逐うて、月を重ねるに從つて、物價が騰貴して行く、インフレは前内閣の時も同じように段々時の進むに從つて昂進して行く、生活は一向樂にならない段段苦しくなる、マル公の大巾改訂などが行われたが、結局當時の闇價格を公定價格と改めたに過ぎんではないか、而も直ちに闇の値段はそれに拍車をかけて上廻つたものが、横行しているというようなことでは、如何に下から盛上る耐乏生活などということに、首相が口の先で口頭禪を唱えられても、國民が一向これについて行こうとしない。これは私は誠に當然のことだと思うのであります。そこで直ちに國民の生活が樂にならんということを得心の行くまで御説明下さる、これも結構でありますが、その半面においては只今申上げますように、極めて合理的な徴税の仕方をする、税制の如きは極めて合理的に納得の行くようにするということがどうしても必要だと思うのでありますが、今直ちにとは申しませんが、せめて次の豫算編成に際しては、そういつたような根本的な改正の考え方を以て臨んで貰うことができるか、特に大藏大臣にお伺いいたしたいと思います。
 それから第二點としましてもう一つお伺いしたいと思いますことは、先般やはり公聽會の公述人の一人であつた井藤教授が、財政學の權威である井藤教授が、經常財産税或いは農業税の如き新税をこの際考慮する必要があると言われましたが、相當示唆に富んだ問題であると思うのであります。新聞の報ずるところによると、大藏當局におきましても、すでに今日までに經常財産税については御調査になつておるというふうな報道がありますので、或いはすでにさような御調査もあり、或いは若し許されるならば、これを實施したいというふうなお考えがあるのかとも思いまするが、今日この片山内閣が眞正面からインフレと取組んでおる、總理大臣はしばしばこれを繰返すのでありますが、インフレと眞正面から取り組んでこれを抑制するということに懸命の努力を拂うということにつきましては、私は租税政策の如きも、正にその一環の方便として、手段として活用されなければならん段階に來ておると思うのであります。それにつきましては、例えば税源として誠に有力な、豐富な税源である、經濟力を豐富であるといわれるところの新圓層、新興階級というものが、實は技術的には捕捉するのに非常に困難なものであろうと、こう思うのであります。大臣はこれがために税務機構の擴充強化ということを唱えておいでになりまして、又著々これを實施されつつあるようでありますけれども他のことと違うことで、より以上一層練達な、同一業務に長年從事して、相當熟練しおるものを必要とするであろうと思われる税務行政の實際におきましては、漸次その待遇の惡いとかいうことのために、退職をする者が相次いで起つて、新規採用をするのにも相當困難を感じておるようである。これらに對する待遇が一般他の官吏に比較してなぜ惡いか、誠に私共は不可解に思うことなのでありますが、そういう事實があるとするならば、これは一刻も早く、他の官吏より以上に優遇をするぐらいに待遇を是正する必要があると思う。而してその道に働こうという人を得意がらしめるような態勢を布いて、税務機構の強化をなさることが必要であると思いますが、ひとり機構の強化だけでなくして、税目において、税種目においてはインフレ抑制のための一大英斷を持つた税を創設されるということが當然この際、租税政策といたしましても、現内閣においてしなければならん、採らなければならん方策だと私には思われるのであります。或いは我が國の通貨に對する信用を云々されて囘避される傾きがあるかも知れませんが、第二次的な財産税の如きも、この際に私は創設し、實施してよいのではないか。そうして技術的には例えば通貨の印刷が非常に困難であるというふうな事情もあるようであります。午前中にも私はそのことに觸れたのでありますが、本當に現内閣がこれを實施しようと思うならば聯合國の好意に縋がつてでも、通貨の印刷ということが必ずしも不可能ではないのではないかということが考えられるので、新新圓を發行してでもこの際大口の負擔力を持つておる者の、言い換えれば、いわば擬制資本であると思われるようなものをこの際税という手段によつて吸收いたしまして、そうして再びこれを一般的な財源として財政需要に充てるというふうなことが非常に必要なことでないか。インフレが抑制されるということによりまして、結局國民生活というものは、幾分でも樂になつて來るということを考えると、現内閣こそかような租税政策を採らなければならんのだと思うのでありますが、その點について大藏大臣の御所見はいかがでございましようか。この二點について御所信をお洩らし頂けたら、非常に仕合せだと思います。
#38
○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今のお尋ねの第一點であります。この税制の理想の形、それに向つてこの現下の諸情勢と睨み合せて進んで行くという行き方については、先程中西委員の御質問に對して私お答えいたしましたような考えを持つておるのでありまして、徐徐にこの理想には諸般の困難もあり、諸般の事情というものに制約されますけれども、進みつつあるのであります。基礎控除その他につきましても、誠に若干ではありますけれども第一歩を踏み出したと、又二十三年度の點におきましては、民生の安定、再生産というようなことも十分考慮しましてやりたいと思う次第であります。中西委員の御質問に對しての答と全く同樣でございます。御趣意というものは全く同感なわけであります。
 それから第二の點であるわけでありますが、經常的財産税、或いは名目的の財産税の點であります、公聽會で産大の井藤教授が言われたというのであります。實はこの井藤教授は昨年末から今年初めにかけての只今の税制の改革の際に、この委員でありました。私も委員の末席を汚しておつた者でありまして、ともに一緒に研究した次第であります。併しながら私はこの問題については相當研究もいたし、井藤教授とも一緒にいたしたのでありますが、これは一方のことでありまして、今囘はその他の政治上の情勢ということも考えなければいかんと思うのであります。昨年三月に行いましたあの圓の封鎖であります。それに伴う財産税であります。これは、私は財務税としては極く特殊な、異例な財産税だと私は思うのであります。ああいう大幅な財産税はそう思うのであります。併しながら日本の國民にはあれが、或いは一般的に財産税だというように言下にとられてはおらんかということを心配するのであります。そうして假に名目的な財産税にしましても、今すぐこの國民の意識が徹底しない現在におきまして又財産税をやる。今度は名目的即ち經常的の財産税、極く比率が低く、アメリカにおけるがごとく低くて、そうして財産の所在を突きとめるために非常に役立つ。それは短期の財政需要に應ずるという意味じやない。こういうような見地からやりましても、非常に他に又あんな財産税が掛かるのではないか、財産を隠匿する。物に換えてしまうというようなことを國民に起しまして、インフレーシヨンの激化について好ましからざる或いは非常な惡い影響を與えるという點も考慮しなければならぬのであります。個人としてはいろいろ研究もし、纒つたものも井藤教授と一緒に持つておりますけれども、この點は私はこの際は取上げるつもりはないということをここで、政治上諸般の情勢と見合わしてそう考えておるということで御了承を願いたいと思うのであります。
 それから新圓の再封鎖でありますが、これも私はいたすつもりがありません。昨年三月の封鎖というものが、間もなくもとに歸つておるのであります。そうして技術的に見ましてもむずかしい點があるのみならず、通貨の信用を壞すということが、この別な大きな面において貯蓄増強その他についての非常な紛淆を來たしております際、根本的に破壞をするというような結果にもなりますし、そうして更に擧げて物へ物へとの換物思想に導くというようなことにも相成りますので、今の政府といたしましては、そういうような考えを採用することは毛頭持つておらんのであります。むしろ正道を踏んで、そうしてこの極く深刻なインフレーシヨンでありますが、徐々ながらも國民と一緒になつて、一歩々々これから脱却して、日本の經濟再建へということに進みたいと思つておる次第でございます。お考え及び御趣意は私もよく分りますけれども、政府といたしましては、今申下げましたような方針でおる次第でございます。
#39
○中西功君 手前中も森下さんから質問があつて、この全財の徳島君の擧げた事例、これを政府は認めるかどうかということを、これを大藏大臣に實ははつきり答えて貰いたかつたのです。實際に私が先程税率の問題を申しましたのも、そういうような實例から申しておるのでありまして、幾ら税率を上げたところで實際取れない。取れないどころか、これでは食い込んでおるわけです。非常に食い込んでおる。實際こういうふうな事實、これを主税局長でもいいのですから、そういうふうなひどい事實を、これを實際認めるかどうか。この點をはつきりして貰いたい。これは大藏大臣に答えて貰うと非常にいいのですが、主税局長でも構わない。
 それからもう一つの點は、さつき山田さんから言われた點の補足なんですが、今度政府は一應七萬圓以上の税率を上げて、これで新圓を捕捉すると、こういうふうなことを言うのですが、これには非常にインチキがあると思います。一つの點は、七萬圓から……例えばこの階級の刻み方です。この刻み方は、これは山田さんも指摘されました。この刻み方を見ればはつきりしている。七萬円、九萬圓、十二萬圓、十五萬圓、二十萬圓、この間が非常に小刻みに刻まれておるのです。そうして反對に百萬圓以上というようなものは、刻まれていないのです。それは一緒になつておるのです。而もこの七萬圓から十五萬圓、これは決していわゆる多額ないま所得者じやないのです。これはもう普通の所得です。而もそこがこれ程澤山刻まれておる。而も政府の説明では、税收を上げる必要ということを言つておるのですが、だから問題が起るのです。こういうふうなところを澤山刻んで、そうしてこういうところに主として税金を取ろうとしておる政府の考え方、それが問題なんです。そういう點が刻み方に出ておるのです。だからさつき山田さんも言われました點私贊成なんですが、もつと太いところを刻まなければいけないと思う。こういうところはむしろこんなふうにせずに、十五萬円以下は上げずに、前のままで据え置いておくといつたような方が、實際に正しいと思います。ですからこの刻み方自身の中に、政府自身が新圓課税をやるなんていうことを言つておるけれども、それは嘘で、大きな所得は取れない。又取らないつもりがはつきり見えておるということを表明しておると思います。
 更に第三番目は非戰災者家屋税の問題ですが、これにはいろいろこの委員會でも質疑があつたと思います。實際又公聽會でもこれが澤山觸れられたわけです。問題はこの非戰災者家屋税を今度取る。而もそれが課税對象いわゆる課税標準、そうしたものが極めて決定がむずかしい。不公平がある。或いは又税の對象自體としても、これが非常に煩瑣であつて、むずかしいというふうなことが言われております。これは別といたしましても、結局私は考えるのに、本當に今の政府竝びに徴税當局が、所得を正確に捕捉するという本當の眞劍な態度があつたら、非戰災者特別税というようなものを設けなくてよかつたと思います。非戰災者特別税が設けられたということは、それ自身においていかに政府當局が自分が取ろうとしておる所得税や、そうしたものに對して自信がないかということを證明しておる。それは所得税の一應見積りには、或いは政府の租税の見積りにはいろいろ澤山の税額が擧つておるけれども、それを本當にとれるとは、政府自身が考えていないということを證明しておるのです。若し本當に所得をがつちり掴むということが可能であると考えており、又それをやる氣なら、こんな非戰災者特別税というようなもの、家屋に對するそうしたもの、或いは非戰災者に對するそうしたもの、これは所得税でとれるわけであります。この點は大藏大臣自身が、常に我々に別の面で同じことを言つておるのです。我々は新圓に對して特別の課税をしないのかするのかということを聽くと、それは新圓は課税しなければならんが、特別な税金は設けない。なぜかと言えば、そんなことをせずにも、所得税をちやんとうまくとればとれるようになつておるから、現行法規をうまく適用して、十分とることができますと言つておる。こういうふうに税法を運用してやられるならば、非戰災者特別税は要らなかつたわけであります。ところが現實にはこれに非常に頼つておるわけです。政府自身が言つておることが一々矛盾しておる。
 私の第三番目の質問は、結局政府が非戰災者特別税というようなものを設けたということ、これはこれ自身惡税であります。惡税でありますが、これを設けたということ自身は、結局自分が計畫しておる所得税やその他がとり得ないということを認めることだ、それを表明することだというふうに受取るのだが、それでいいかどうかという點なんであります。
 以上の三點を要約して言えば、全財の出されたこれを認めるかどうか。これが事實であるか。これを事實とすれば、政府の今までやつておる課税率、或いは又税制全體が、全く何といいますか、インチキだということを如實に示すわけです。とれないものをとろうとしておるということを、はつはり示しておる。第二番目は、七萬圓の問題。全然政府の言つておることは意味がないという問題。第三番目は、非戰災者特別税の特別この度設けたのは、今まで言つておる言葉を裏切つて、而も自分自身の無能を表明しておるという點、要約すればそれだけであります。
#40
○政府委員(前尾繁三郎君) 第一點の徳島君が言いました、私も聽いたのでありますが、正確な税額を記憶いたしておりませんが、恐らく税額をしては間違いないと思います。ただこれで赤字が出るというみとにつきましては、これはその人々の生活如何によるわけでありまして、それが果して正しいかどうかという點については、私お答えするわけにも參りませんが、いずれにいたしましても、現在勤勞所得については、源泉課税として正確にその税率でとられておるわけであります。從つて事業所得者にいたしましても、この税率でとつて、そうしてその殘りで生活して頂くというのが、耐乏生活の趣旨でありますし、若し特別に勤勞所得者のみ別に違つた經い税率ということをやれば、勤勞所得者と事業所得者の負擔均衝ということは、とれないということになつてしまう。若し又それが重すぎるというので、全體の負擔を輕減するということになりますれば、税收が足りないという結論になつて來るのであります。
 第二點といたしまして、七萬圓以上の税率について、而もその階級區分が非常に不規則だ又小刻みだという御意見であります。この點は、先程も申上げたのでありますが、要するに百萬圓超の税率が八五%、それも而も八〇%に止めなければならんという最高税率の限度まで來ておるわけであります。と申しまして、下の方の階級區分は一萬圓刻み、或いは一番低いところは五千圓刻みになつておるわけであります。從つてその税率が、七萬圓を超えました場合に、二萬圓刻み或いは三萬圓刻みになつて行きますことは、これはグラフを書いてもお分りになります通り、スムースな線が出て來るわけであります。この點は、最高税率を抑えましたときに、どういうふうな線を描いて累進税率をとつて行くかという技術的の問題でございます。而も或程度の收入を把握をするというようなこともありますので、それらと睨み合せてやつたので、別に他意のないことは、先程申上げた通りであります。
 それから第三は、非戰災者特別税につきまして、これは所得税で捕捉できないことを裏書きしておるのじやないかという御意見でございます。これは私は全く誤解であると思います。戰災者と非戰災者に對する犠牲の不均衝、これを是正するというのが非戰災者特別税の目的であります。結局、焼けた人と焼けない人では、最近において、經濟的な縣隔がますます大きくなつておる。それで戰災者にいたしますれば、非戰災者は相當惠まれておるのだから、いろいろな税負擔、殊に最近の緊急土木費なり或いは賠償撤去費というような場合に、それを特に負擔して貰いたいという聲は、相當巷に充みておると思うのであります。そういう意味合で、焼け殘つたという人に課税するものであります。所得税は、その後の本年の所得、或いは増加所得でありますと、昨年の所得に對して課税をする。これはあくまで我々としては課税しなければならんと思つておる次第であります。これは全然別個の問題であると考えるのであります。ただ申上げておきたいのは、闇所得が完全に把握されるということ、闇所得自體を完全に捕捉するということは、これは不可能であります。税務官吏としてなし得る限界と申しますのは、結局時期的にはずれて參りますが、何らかの表現財産に現われた場合に、結局財産税に申告されたもの以上の財産があれば、その後の所得によつて構成されたものであるという推定ができるわけであります。それによつて課税をして行く、これ以上のことをやろうということになりますと、結局探聞調査ということになります。勿論我々は、いろいろな世評なり、或いはその人の生活状態を見まして、それによつて、成るべく早期に闇所得を發見しようという努力はいたしておりますが、完全なる把握ということは、結局そういうような行き方をせざるを得ないし、又それにいたしましても、あくまで懐ろに札をそのまま持つておるということになれば、これはなかなか捕捉するわけには參りません。これは警察官吏の立場と税務官吏の立場と非常に違うことがあるので、税務官吏としてなし得る限界というものがあるのでありますが、少くとも第一線の闇所得が警察の取締に引つかからずに行つたその後を受けてのことでありますから、それ以上に闇所得自體を直ちに徴税するということは、これは不可能であります。要するに間接的な消費の面なり或いは財産の面なり、そういう間接的に表現されて來た場合に、尚又直接税のみでは完全な捕捉ができないというような意味合からいたしまして、酒税の増徴とか或いは奢侈的なものに對して増徴するという行き方をして、間接税も兩兩相俟つてやるというところに、税全體について我々の考えておる根本思想があるわけであります。
#41
○中西功君 私の質問しているのは三つとも同じ問題なのであります。それで問題はこの全財のこれを認めるとすれば、要するにこれは課税率が如何に高いかということで、如何に食い込んでいるかということを示している。これを認めるとすれば、最後の非戰災者特別課税という問題も、問題は起つて來るわけであります。これほど所得税として税金が高いわけです。而も戰災者、非戰災者の區別で家がある。家があるから、それに課税する。どんな所得で以てその人たちは納めるのか。これは勿論大きな人たちを言つているのでなく、普通の家を持つている人を言つている。所得税においてこれほど取られている。正確に取られてはこれだけ食い込んで行く、而も尚非戰災者によつて家を持つているということによつつてとにかく税金を拂わなければならい、その所得はどつから生ずる、どこから出すのか、とにかく問題は、僕は恐らく出せる人はあると思う。實際には多少あると思うのだが、併し私の言つているのはそういうことでない。こういうふうな高い課税率をとつている。これは正確に取つたらみんな首を吊らなければならん状態になる。併し尚一方でこういうふうにやつておきながら、一方ではあると見込んで又家屋税を取つて行く。こういうふうなことは自分自身が矛盾しているわけです。それでも平氣でやつているわけです。ですからそういう點が結局、何と申しますか、脱税、或いはごま化し、そうしたものがあるということを前提としてすべてが立てられている。これは丁度政府と人民が化し合い、騙し合いをとているようなことが前提になつて、すべてが行われている。これは人民の政治じやないわけなんです。これは非常に封建的な、或いは非常に壓制的な政治の名殘りなんです。そういう考え方でやつて行けば、確に闇取得を捕捉できない。本當に人民を信頼し、その協力を得るというふうな態勢をとる氣になりますれば、それはできるのです。何にも税官吏だけがやるわけでなくして、そういうふうにみんなが協力し合えば、その隣りの人が一番よく知つているわけであります。そういう氣持も勿論政府にはないらしいのでありますが、要するに私の言つているのはそういう點から見て税の取り方の根本的な建前が違つているということなんです。それから特に第一の問題で私も非常におかしいと思い、聞き捨てならんと思いますことは、とにかく一應税率はこれで正しい、併し生活費の分が年四萬八千圓、即ち月四千圓というものが、これが問題で、食える人もあれば、食えない人もあるだろうというふうなお話なんですが、實際にさつき森下さんも言われましたが、月四千圓の收入は現在において最低で、食えないくらいであります。こういうふうな五人家族だつたら恐らく食えない。こういうことははつきりしていると思います。若しこれで食える人もあるだらうと返事をすれば、この外に闇收入があるということを前提にしていると思います。それは捕捉できていない、捕捉していないわけです。だから何というのか、主税局長の頭はちよつとおかしいと思う、非常に分裂している。だから考え方をもう少しひつくり返して、本當に取るならば取る氣でごま化しのないような態勢を作るなら作る氣でやる必要があると思います。
#42
○政府委員(前尾繁三郎君) 戰災家屋税は飽くまで財産税であります。特別財産税です。從いまして、これは場合によりましては財産をお賣りになつて納めて頂く。ただ實際問題として税額はそんなに多くありません。僅かな節約によりまして、普通の人でありますと、賃貸價格は百圓というのは、これは全國平均でありますから、それによつて自家用の家屋におられますのは六百圓、借家におられるのは三百圓、こういう税であります。そのくらいのものは所得からお拂いになつてもいいのでありますが、結局税の性質は飽くまで財産税です。
 それから次に月四千圓というところに問題があるわけでありますが、我々共は四千圓は貰つていないわけであります。それでも何とかやつて食つて行かなければならんというような、勤勞所得についても同様な惱みがあるわけであります。少くとも千八百圓ベースということが前提にされているわけでありますから、その前提に立つております現在の所得税として税の方で千八百ベースを壊わすという考えは私たちとしては現在ないのであります。勿論私は奬來の問題として千八百圓ベースの基準が壊われるということになりましたら、それはその時の問題だと思うのであります。
#43
○中西功君 千八百圓ベースでは赤字です
#44
○政府委員(前尾繁三郎君) 千八百圓の際に、今囘の改正は從來と違いまして、二千九百五十圓の使途について百三十九圓、大體百四十圓を輕減するということが千八百圓ベースの問題としと我々に對する要請でありますので、それを勤勞所得において二割五分の控除とそういうようなことをやつて來たわけであります。又千八百圓ベースでありまして、事業者につきましては、その人の働きいかんによりまして、それ以上の所得があるわけであります。大いに働いて頂いて、そうして税金を納めて頂きたいということで行かなければ仕方がないだろうというふうに考えております。
#45
○森下政一君 午前中に中西委員なり私が繰返えしてお尋ねしている一つの點は、五萬圓以下、即ち今度の改正によつても増税にはならんという階層が比較的正直に税金を納めているのじやないか。即ち恐らくその大部分が源泉課税で課税されている。給與所得に依存している人々だと思うのでありますが、これは極めて正直な課税が行われている。ところがそれ以上の經濟力の豐富だと思われるところでは實は計算の上では税收入が相當あるべきであるに拘わらず、實際は收入が上つていないということになつているのじやないかと思うのであります。言い換えると、結果において政府はそういう意圖を持つておられないでも、取り易いところからは十分に取られて、そうでないものは負擔が一向課せられておらんという實際的な結果が生れているのじやないか、又そうなるのじやないかと縣念して質疑を重ねているわけなのでありますが、そのことを一つ判斷する資料となると思うので、もう一つ私はお伺いしたいのですが、當初豫算に豫想されております所得税收入の中で九十七億が滯納になつておる、そうですね、約百億、税收入全體で……。
#46
○政府委員(前尾繁三郎君) ええ全體です。
#47
○森下政一君 そこで、税收入全體で約百億、然らば、所得税の中で滯納がどのくらいになつておるか、その所得税の中で滯納になつておる分が五萬圓以下の所得者とそれ以上の所得者との割合はどういう工合になつておるのか、それを一つ知らせて頂きたいと思います。
#48
○政府委員(前尾繁三郎君) 現在の滯納百億というのは七月末のあれですが、その中四十七億九千二百萬圓が増加所得税です。それから財産税が十二億です。それから戰時補償特別税が十二億八千百萬圓、それからその他が二十五億一千九百萬圓となつております。計が九十八億三百萬圓であります。その二十五億のその他の中には勤勞所得税の滯納が確か六億くらいあつたと思うのです。それから入場税、物品税、そういうような滯納が可なり最近出ておりますが、入場税なんかでも相當滯納があります。所得税の滯納としては結局増加所得税の滯納ということになるわけです。増加所得税がなぜこういうふうに滯納になつたかと申しますと結局三月末又四月末に決定いたしまして、第二囘は五月になつてから決定したかと思います。これは督促状を發する税務署の庶務課關係が非常に忙がしかつたのでありまして、これは財産税の物納延納の處理が忙がしいので、殆んど滯納處分ができないというような關係からいたしまして、増加所得税の方の滯納整理ということに手が廻らなかつたのであります。又一つには、相當異議の申立が出ております。この異議申立が出ておる中には全體の處理が、その異議申立を解決しないまでは滯納のままで税金を拂わないでそのままにおくという人が相當あるのであります。そういう人に對しては、やはり税務署としましても、解決してから取つた方がよからうというようなつもりで、滯納のままにしておくというようなものがあつたわけであります。大體において財産税の物納延納の處理が十月には濟んでおると思います。地方では大體において増加所得税は解決して現在收入になつておると思うのでありますが、結局において都會地の大納税者が滯納になつておるわけです。それはいろいろ異議の申立が出たり何かして、解決に骨が折れておりますのと、結局財産税等で一番忙がしい税務署に、やはりこういうような滯納が多いようでありまして、それで遅れておるというのが實情であります。併し増加所得税はそうでありますが、その他の源泉課税の滯納、或いは物品税とか入場税、殊に入場税等におきましては、滯納が出て來るというところに、我々非常に危險なものがあるというように考えておりまして、滯納のことを非常にやかましく申しておるわけであります。
#49
○木村禧八郎君 資料の要求をいたしたいと思います。それは、所得別、税額別、それから人員別のそういう數字ですね。それをできましたら頂きたいと思います。
#50
○政府委員(前尾繁三郎君) 階級別のはありますが……。
#51
○木村禧八郎君 所得別に出ておりますか。
#52
○政府委員(前尾繁三郎君) 所得別ではありません。
#53
○木村禧八郎君 所得別にもできるわけですね。
#54
○中西功君 私も酒の配給の問題についての資料なんですが、簡單にいえば、本年四月以來特配として出されたものの量、竝びにその内譯、主要な配給個所ですね、それを是非至急出して貰いたい。これは僕は前から實は個人的に要求しておつたのですけれども、一向出て來ないですから、この委員會において正式に要求したいと思います。
#55
○委員長(黒田英雄君) それはこの委員會でなくとも、酒類配給公團の方の關係でいいでしよう。
#56
○中西功君 あの小委員會において私は要求しておつたんですよ。だけれども一向出て來ないわけです。だから……。
#57
○委員長(黒田英雄君) それじやそれを一つ……、できますか。
#58
○中西功君 それを至急頼みます。
#59
○委員長(黒田英雄君) それでは本日はこの程度で散會しまして、明日午前十時から開會いたしたいと思います。明日はでき得れば政府の要求もありまして、施行が十二月一日になつておりますので、でき得れば午前に採決ができれば結構だと思いますが、やつてみなければ分りませんが、どうぞそのお含みでお出でを願いたいと思います。それではこれにて本日は散會いたします。
   午後四時十一分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           伊藤 保平君
   委員
           木村禧八郎君
           椎井 康雄君
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           松嶋 喜作君
           山田 佐一君
           木内 四郎君
           田口政五郎君
           深川タマヱ君
           星   一君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           西郷吉之助君
           高橋龍太郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
  国務大臣
   大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   大藏事務官
   (主税局長)  前尾繁三郎君
  説明員
   大藏事務官
   (主税局第一課
   長)      脇阪  實君
ソース: 国立国会図書館
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