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1947/11/28 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第42号
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1947/11/28 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第42号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第42号
  付託事件
○酒類配給公團法案(内閣提出)
○物價引下運動促進に関する陳情(第
 九号)
○製塩事業保持対策樹立に関する陳情
 (第十九号)
○織物の價格改訂に関する陳情(第二
 十八号)
○少額貯金及び各種團体預金封鎖解除
 に関する陳情(第五十二号)
○インフレ防止に関する陳情(第七十
 一号)
○電氣税復活反対に関する請願(第四
 十三号)
○会計檢査院法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○低物價政策上官営事業料金の値上げ
 反対に関する陳情(第百九十号)
○連合軍兵舎並びに宿舎建設用木材前
 受金の第二封鎖解除に関する陳情
 (第二百十一号)
○賠償税の新設に関する請願(第百十
 八号)
○中古衣類の公定價格を廃止すること
 に関する請願(第百三十八号)
○企業再建整備法並びにこれに伴う諸
 施策に関する請願(第百四十号)
○中古衣類の公定價格制度を廃止する
 ことに関する陳情(第二百三十三
 号)
○会計檢査人法制定に関する請願(第
 二百二号)
○失業保險特別会計法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○非戰災者特別税に関する陳情(第三
 百三十一号)
○政令第七十四号中憲法違反の條項に
 関する請願(第二百五十七号)
○自給製塩制度存続に関する請願(第
 二百九十一号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税課税外
 とすることに関する陳情(第三百八
 十一号)
○庶民銀行設立促進に関する陳情(第
 三百九十一号)
○通貨発行審議会法案(内閣送付)
○経済力集中排除法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○物品税免税点の引上げ等に関する請
 願(第三百二十八号)
○今次日立鉱山地区の水害復旧特別融
 資等に関する陳情(第四百十二号)
○金属鉱山事業を経済力集中排除法案
 中より除外することに関する陳情
 (第四百十五号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税の課税
 外とすることに関する陳情(第四百
 十八号)
○企業整備に関する陳情(第四百十九
 号)
○自給製塩制度存続に関する陳情(第
 四百二十九号)
○旧軍用施設並びに敷地の無償交付に
 関する請願(第三百五十一号)
○生業資金貸付に関する請願(第三百
 六十二号)
○庶民金融機構の確立に関する請願
 (第三百七十二号)
○木材業者の水害復旧費に対する融資
 並びに國庫補助に関する請願(第三
 百八十号)
○天日製塩実施に関する陳情(第四百
 六十二号)
○経済力集中排除法案に関する陳情
 (第四百八十一号)
○自給製塩制度存続に関する陳情(第
 四百九十二号)
○竹材加工業に関する陳情(第五百八
 十五号)
○北海道に在勤する政府職員に対する
 越冬燃料購入費補給のための一時手
 当の支給に関する法律案(内閣送
 付)
○財閥同族支配力排除法案(内閣送
 付)
○食糧管理特別会計法等の一部を改正
 する法律案(内閣送付)
○関税法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
○食糧の輸入税に免除する法律案(内
 閣送付)
○慈善事業團体のため臨時資金調整法
 及び相続税法等を改正することに関
 する請願(第五百四十一号)
○戰死者遺族を非戰災者特別税課税外
 とすることに関する陳情(第五百九
 十四号)
○企業再建整備法の改正に関する陳情
 (第五百六号)
○物品税免税点の引上げ等に関する陳
 情(第五百十三号)
○企業再建整備法等の一部を改正する
 法律案(内閣送付)
○企業再建整備法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○物納せる耕地の公租公課に関する請
 願(第四百六十八号)
○所得税法の一部を改正する等の法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○非戰者特別税法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和十四年法律第三十九号災害被害
 者に対する租税の減免徴收猶予等に
 関する法律を改正する法律案(内閣
 送付)
○印紙等模造取締法案(内閣送付)
○持株会社整理委員会令の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○接收家屋の地租家屋税等に関する請
 願(第五百八号)
○経済力集中排除法案より電氣事業を
 除外することに関する請願(第五百
 三十六号)
○政府に対する不正手段による支拂請
 求の防止に関する法律案(内閣送
 付)
○財政法第三條の規定の特例に関する
 法律案(内閣送付)
○薪炭需給特別会計の廃止に関する陳
 情(第五百九十七号)
○北海道留萠支廳管内の旧御料林拂下
 げに関する陳情(第六百二号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月二十八日(金曜
日)
   午前十一時三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○所得税法の一部を改正する等の法律
 案
○非戰災者特別法案
○失業保險特別会計法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(黒田英雄君) それでは只今より委員会を開会いたします。本日は所得税法の一部を改正する等の法律案並びに非戰災者特別税法案を先ず議題にいたします。前回に引続き御質疑をお願いしたいと思います。
#3
○中西功君 沢山あるのですが、一つの問題は、給與所得税と、それからその他の所得税、例えば地主の山林所有から來る利益に対してかかる税金並びに事業所得税、この三つを收入三万円として大体どの程度違うか、それを数字を少し示して欲しいと思います。
 その次に、大体國民所得が安本の発表で九千億、或いは正確にいうともつと少いでしようが、九千億ということになつておる。これが即ち國民所得になつておる。この所得に若し平均の所得の課税をかけたら一体どうなるかということなんです。若し平均して四割五分というふうな率を引用するとすれば、ここからは千四百億を超える税金が取れて來るはずなのです。ところが実際において所得税は、それ程取れていないわけです。その関係は一体どうなんですか。
#4
○政府委員(前尾繁三郎君) 九千億の所得の算定は、生産されたものとか、そういうようなものが基準になつて計算されておるのであります。我々の方の課税所得というのは、実際に幾らこれを机上で作りましても、到底取り得ないものまで予算に計上するというようなことは勿論できません。從いましてその間に或いは一千億とか二千億くらいの食い違いは常にあるのであります。今回はまだ計算をいたしておりません。当初予算の時に確か一千億くらいの食い違いがあると思つたのであります。併し結局におきまして九千億なら九千億が背部それに対して直接税で捕捉するということは困難であります。從いまして間接説等によつて補完さして、そうして取つて行けば、現在千三百億、それからそれに專賣收入等を入れまして大体二割が取られるということになるわけであります。直接税一本、いわゆる單税制度で取るということは、これはもう如何なる國においても不可能であつて、從つて間接税なりその他の直接税的な補完税というようなことで捕捉して行くというのが複税制度の根本趣旨であり又止むを得ないところであります。國民所得に対する税負担の比率ということは常に税額を総体としてお考え願うよりいたし方ないというふうに考えておるのであります。
#5
○中西功君 そこが問題なわけです。政府委員の説明でも一千億円くらいの差はあるだろうというふうな話ですが、だから今の所得税の税率で以て而も所得を確定に捕捉して行けば、それだけで一千四百億を超える、もつと多いと思います税金が実際出るはずなんです。若し安本の九千億という國民所得の大体の標準が、それが不確実である。頼りにならんということであれば、これはもう何をか言わんや、政府自身が嘘を言つておるということは明瞭なんです。併しそれが一應標準として採用されるとすれば、とにかくその課税率と、それから実際に取れると見越しておる政府の見込みとの間には、それ程の差があるわけです。ですからさつき言われたように差があるのは、その他の間接税、或いは補完税によつて取るというふうな体制が出てくるわけです。だからここに政府自身が所得税を取るというときに本当に正確に所得を捕捉するという努力が明らかにもう放棄されている。最初から放棄されておるということは極めて明瞭で、而もそれが百億、二百億の差ならまだいいと思いますが、その所得額に倍するような、一千億というふうなものが、とにかくはつきりそういうふうに見逃されておるということになるわけなんです。だから政府のこの財政方針、徴税方針自体の中に大きな穴があるということを、これはよく示しておるのです。で、こういうふうな結果が、結局どういうことになるかといえば、これはもういうまでもなく小さいものが非常にいじめつけられる。その税率によつて非常にいじめつけられるということ、而も大きなものが簡單に逃げて行くということは、これは明瞭な話なんですが、それを一應別にいたしましても、この税率を謂わば非常に下げても、結局所得さえ十分に捕捉すれば、それだけの所期の目的は達せられるということを、この数字が非常によく示しておると思う。
 それで序でに、関連してもう一つ質問いたしますが、これは公廳会のときの、税務官吏の石川榮一氏が言つておることでありますが、これは基礎控除を一万円にしても、一つも税金は減じないという意見なんですが、そのときの説明に、現在の課税技術上税務署では税額から逆算して所得を算出する方法をとつておる。これが事実かどうか。こういうやり方をしておるのが事実かどうかということを先ず聞きたいのですが、即ち税額から、あそこからなんぼ取ろうという税額をさきに決めておいて、そうして税率を今度は逆算して所得はいくらにするというふうなのが、あれが支配的になつておる。こういう税率が正しいかどうか、或いは実際、この人は実際こう言つておるわけですが、先ずそれを聞きたいと思います。
#6
○政府委員(前尾繁三郎君) 第一段の先程の複税によつて、捕捉するのだということは、決して所得税によつてこれを徹底させるということを放棄しているわけでは勿論ありません。併し事実上不可能だということの場合に、その他の税で補完するということは、これは世界各國どこでもやらざるを得ないことであります。又お説のように大きな所得が脱けるというばかりではありません。これは小さい所得も非常に小さいために捕捉できないというものは多々あるわけです。決してこれは大きい所得が脱けるというようなことでは毛頭ありませんし、我々としても大きな所得に対して目をつけてやるということについては非常に努力は拂つておるところなんであります。決して我我は意職的に見逃すというようなことは決していたしておりません。
 それから第二段の税額から逆算して所得を決める、そういうことは絶対にやつておりません。少くとも一般的な方針としてそういうことは絶対にやつておりません。併し能税者の方は結局税額の負担ということが、主になつておりますから、いろいろ審査の請求なんか出ました場合に、どれくらいの税金なら拂えるとか何とかいうような話合をやることは、間々ないとは申上げられませんが、決して税額で逆算して所得を決める、これはもう勿論煩にも堪えませんし、そういうことは、一般的にやつておるという事実はありません。
#7
○中西功君 私はその主税局長の答弁がおかしいと思うので納得いたしません。実際に我々が沢山の税務官吏がら話を廳いたり、石川君の公述だけでなくて、皆そう言つております。大体これぐらいの税金は取らなければいけない。この税金を取らなければいけないとすれば、例えばこれは二つの場合があるわけです。若しあの人の所得が十万円だとすると、それを今の所得税率で算定すると、あの人は食えなくなつてしまう。だからもう少し税金を下げて、このくらいの所得にして置こうというような算出をやる、こういう手心を加える算出の立て方もあります。或いは又別の場合においては、大体さつき言われたような、組合というような所に諮つて、大体これぐらいにしようということにして、それから所得を割出す場合もあるわけです。これが現実なんです。方針として取つておるか、取つていないかということは、これには口ではそういうことをしろという法令は出ていない。指令は出ていないかも知れませんけれども、実際にそうなつておることは事実です。なぜこうなるということはこの税制或いは税率自体に矛盾があるからそうなるわけです。本当に正確に捕捉したら中小商工業者は食えないことになつております。ですから手心を加えるということが起つて來るのです。実際の問題はそういうような指令をしておるかしないか。成文で書いて出しているかいないかではない。これが現実なんです。この現実を尚政府即ち主税局長としてこれを否定するのかどうか。はつきり言つて貰いたい。
#8
○政府委員(前尾繁三郎君) 現実としても一々その人が税負担が幾らになるかということで所得を決めたら、迚も煩に堪えないのでできないので、從いまして全般的にそういうことをやつておるということは決して事実上もございません。
#9
○中西功君 今度この年未或いは來年の三月四月という時期に、実は非常に沢山な税金がかかつて來る。その時期に取らなければいけない。ところが今までの実績においても、政府ははつきり言つておるように、所得税、特に源泉課税を除いたものは、謂わば私の報告を受けた範圍では、聞いた範圍では、二十八億とか、そういう数字だと思います。源泉課税が、現実の実績が、現実の收入が五十三億、今まで、今までと言いますと八月九月、九月末頃の数字だろうと思いますが、それが二十八億、それは政府から受けた数字でこういう実績なんです。六百億に近いものを今度十二月或いは三月に取らなければいけない。そういうときに、今までの申告が今は非常に少い。これはもう政府自身が認める。今度更正決定と称して厖大な税を課けて行く。政府自身が決定して行くわけです。その決定の仕方が問題であると思います。例えばこれが現実の例でありますが、浅草の税務署管区では、増加税のときに二億円ほどあすこは出せた。今度は七倍の十四億円ぐらい出さなければいけないという檢定をして、上から決めて、そうして大体振り割つておるということをこれは現に私は聞いております。ですから現実の問題として今後申告制度が破算した。そうして更正決定をしてやつて行かなければいけないというときに、結局それじや上から天降り的に決定する以外に手はないということになると思うのです。そうなれば結局さつき言われたようなことに現実になつて行かなければならんと思うのです。今後この十二月末、或いは三月、四月において政府はこの厖大な所得税その他の税金を取る場合に、それじや実際どんなふうにするのか、それをお聞きしたいと思います。
#10
○政府委員(前尾繁三郎君) 只今のお話は割当で前年の何倍を取らなくちやならんというような式な割当をやるというようなお話でありますが、割当をやるという事実はないのであります。唯例えばその業種の状況によりまして、恐らくどの程度になるだろうということを予想しなければ予算は立たないのであります。從つて或る程度のこういうふうな額になるであろうというようなことはいろいろ指示し、又財務局といたしましては地方的に強弱があるということではいけませんので、いろいろな業種等におきまして足並を揃えるというようなことは勿論やつております。併しそれは決して割当というようなことではありません。理窟があれば当然減つて参りますものもあり、殖えて來るものもあるわけであります。又どういうふうにして更正決定をやるかということにつきましては、これは全部一々その家へ行つて帳簿を調査するというわけには参りません。この更正決定を要する範圍が非常に少い場合は別でありますが、こういうふうに多くの人が殆んど実際の所得を申告していないという、場合になりますと從來やつておりますようなその家の業種毎に或いはその家の状況毎にいろいろな順位なり、又は我々は権衡調査と申しておりますが、いろいろな権衡を見て、特に又大きな所得者に対しては、その家へ行つて調査をするというような從來のような方法を取らざるを得ないというふうになると思います。
#11
○中西功君 從來のような方法を取らざるを得ないというその從來の方法というのがはつきりしないわけです。だから私はさつきから、從來の方法をいろいろ聞いておるわけですが、今度の実際問題としてとにかく一時にべらぼうな税金がかかつて來るわけですから、その場合に税務署において或る額を決定して、そうしてそれを強行する所存なのか、それともこれが決定額が妥当であるか否かということを、何か大衆に聽く民主的な方法を取る具体的な措置があるのかどうかと、いう点なんです。
#12
○政府委員(前尾繁三郎君) 御承知のように所得調査委員会というのが、本年四月に廃止になつたのであります。その趣旨は申告納税というように民主化されたのであります。併し現在のように多くの更正決定をやらなくちやならんというような場合におきましては、その業種々々等に通曉しておられる人に協力をして頂きまして、いろいろその意見も、課税する團体に対して一應團体の意見も聽いてみるというような方法を採用するわけであります。
#13
○中西功君 現実の問題として、大きい所は別として、五万円とか十万円とか、小さい所で非常に沢山な問題が起る。これはもう当然起る。そういうときに、大衆の間から税金をまけろという要求がどんどん起つて來ます。これはもう來年になれば非常に大きく沢山起つて來ます。起つて來たときに、政府は一方において罰則を強化するということを非常に強調しておるのでありますが、或いは又大藏大臣も、或るときには強力な手段を用いるということも言つておりますが、そういうふうな行き方で行けば、結局上からの天降りの決定ということと同じことになつて、それを押し付けるということになるわけです。そういうふうな大衆が実際にその更正決定に服せずにいろいろ実情を述べて、その税金をまけて貰うというふうなことを起した場合に、政府としては、税務当局としては、そういう事件に対してどういう態度を執るかということですね。それに対して勿論答えとして正当なものはまけると言いましようが、現実の問題としてこれはもう非常に沢山起つて來る。非常に大衆的な運動になると思う。そういうときに僕の非常に懸念するのは、罰則の強化とか、或いは強硬の手段、いろいろの手をもつてこれを抑圧する。確か政府はそれをすると思う。そういうことをうまく解決し得るという確たる政府は約束ができるかどうか。
#14
○政府委員(前尾繁三郎君) 審査の請求が相当出ることは予想されるのであります。併しそれに対して審査の請求の中には眞面目に審査の請求をされておる方もありますし、されていない方もあるわけであります。その判別はこれは我々税務実務に当つております者は、或る程度はつきり分るのであります。從つて理窟のある者とない者によつて非常に違うわけでありますから、理窟のあるときにおいては飽くまで公正に聽き、理窟のない者に対しては飽くまで断乎として行くということが、当然我々として爲すべきことであり、又それに從つてやるように指導して行つて從來から來ておるわけであります。
#15
○中西功君 若し実際に政府の更正決定が非常に苛酷である。どうしてもこれを出してしまつたのじや破産せざるを得ないというふうなときに、而も政府としては尚当然出せる。これだけは正しい税額だと、こう考えておるときに、政府としてはそれを強行して取る場合にはどんな処置をとるのでありますか。
#16
○政府委員(前尾繁三郎君) 現在滯納に対しまして、國税徴收法によつて滯納処分差押えをやつて競賣をするという方式があるわけであります。併しその滯納処分につきましては、実際にその人が、例えば、儲けてもそれを消費してしまつたというような場合におきましては強行にやるべきであります。又非常に氣の毒な事情があるという場合には、それを幾分の手心を加えて、直ちに競賣処分をするというようなことをしないというようなことは、行政の運営として円滑にやつて行くべき問題だと思います。
#17
○委員長(黒田英雄君) 文化委員長から、今回の税の改正について質問があるのでありますが、この際お許しいたします。
#18
○委員外議員(山本勇造君) 只今発言のお許しを頂いて有難うございます。この委員会として順序があるだろうと思いますので、突然私が飛込みまして、外のことを申上げますることは非常に恐縮に存ずるのでありますが、私の方の文化委員会にこの演能会観覽税免除に関する請願というのが寶生九郎という人から出ております。それから映画入場税輕減に関する請願というのが山崎修一という人から出ておるのであります。私の方の委員会といたしましてはここにおいでになる主税局長に來て頂きまして、それらの問題につきましては、すでに十分質問をいたしております。從いまして今日は私としては質問を申上げるというよりも、我々の方の委員会におきましていろいろ審議いたしましたことにつきまして実は決議をいたしたいというような人もあつたのでありますが、私の方の委員会の決議をいたしまして、又こちらを違うようなことになりますと、いろいろ面倒もあると存じましたので、決議の形にいたしませんで、私が出て参りまして、私の委員会の空氣を申上げまして皆さんの御考慮を煩わしたいと、かように存じまして、ちよつと発言を許して頂きたいと思うのであります。できるだけ極く簡單に申上げたいと存じます。
 一体文化國家ということがしきりに叫ばれておりまして、文化の方のことにつきましては政府としては、むしろ保護してくれていいのじやないかと我我は考えるのでありますが、とにかく敗戰のために保護どころか、むしろ圧迫されておるかのような感があるのであります。殊に演能会のお能の方の問題、演能会は今まで税がとられておらなかつたのが、今度とられるようになるというので、宝生さん辺りが大辺困つておるようであります。
 一方の映画の入場税という問題は皆さん御承知のようなわけで、從來の十割のものが十五割になつたというので、非常にこれも國民として問題にしておるようであります。映画とか能とか、直接あれにはなつておらんかも知れませんけれども、併しながら、國民に非常な関係を持つておるところの新聞であるとか雜誌であるとか、ラジオであるとか、これらのものは前から税がございません。これは結構なことだと思うのであります。ところが映画のようなものは、例えばニユース映画などは相当に新聞雜誌等と性質が近いものでありますが、こういうものにも十五割の税がかかるということは、どういうことでございましようか。その点暫らくおくといたしましても、例えば美術品のような場合、これは相当金のある人でなくては買えないものでありますが、それの方の税は二割で、或いは毛皮のようなものは、高級な生活をする人でなければ殆んど着られないと思うのでありますが、そういうのは八割というのに、映画のようなものは大衆が見るので、千八百円ベースの人がなけなしの金をはたいても、自分の一日の慰めを得たいというので出て行くのが十五割だというのでは、非常に税が公平になつていないじやないか。美術品のようなものはなかなか税が取りにくいと、併しながら映画のようなものは取りいいので、取りいい方から取るが、取りにくいものはそのままにしておくというような不公平なことがありますと、どうも僕は今後の税の上から見まして、正直者が馬鹿を見るという思想が出て來やしないか。そうしますと税全体のみならず、國民の思想の上にも大きな影響を及ぼすと考えられますので、私どもの立場といたしましては、もう直ぐにこれを撤廃しろというような窮窟なことを申上げなくて、又伺いますと來月の一日からこれを実施する。從つてこれは今日にも何か御採決になるやに伺つておりますので、ここで余り無理なことを私の方として申上げるのではありませんけれども、こういう税の不公平があることは非常に歎かわしいことでございますから、來年度の予算の場合におきましては、それらの点についてこの委員会として十分御考慮を願いたい。且又政府においてもその点について十分な御考慮を願いたい。それだけを申上げておきたいと思います。
#19
○政府委員(前尾繁三郎君) 入場税の五割の引上は、我々決して好んでやつておるわけでもございません。併し現在御承知のように今囘の増税にいたしましても、可なり無理をいたして増税をやつておるのであります。殊に酒とか入場税というような、何と申しますか、生活必需品でない面について、耐乏生活から或る程度の負担をして貰うということは、止むを得ないと思うのでありますが、又現在入場料が十円といたしましても、二十五円になるわけでありますが、二十五円ということでありますれば、現在他のいろいろな物價からいたしましても、止むを得ないというふうに考えておる次第でございます。
 物品税との比較が出たのでありますが、現在毛皮等の奢侈品は十割であります。唯物品税につきましては物品の價格が非常に上がつております。又現在の物品税は前の奢侈品にだけ課税するという建前でなしに、即ち廣い範圍に課税いたしておるわけであります。從いまして現在奢侈品というものは、殆んどできていないのであります。それで別に税率の引上はいたさなかつたのであります。課税物件といたしましては、物品税等の消毒物件は非常に減少しつつある半面におきまして、興業等の娯樂的消費の方が次第に殖えて参つております。そういうような意味合からいたしまして、間接税の税源をここに求めるということも止むを得なかつた次第でありまして、その点は御了承願いたいと思います。
#20
○委員外議員(山本勇造君) 只今主税局長からの御答弁がありましたが、それはこの前私たち聽いて存じておりますのですが、我々はそれに滿足しなかつた意味で実はこちらにまで申上げておるのでありまして、併しながらそれをここで一問一答いたしておりますことは、これは今後の皆さんの方の議事の進行の妨げになると思いますから、我々の方としては先程のような意味で皆樣の御考慮を煩わし、併せて政府の御考慮を煩わすということにいたしまして、私はこれで……。
#21
○中西功君 僕は小坂政務次官……。
#22
○委員長(黒田英雄君) 会期切迫の際でありますから、成るべく簡單に……。
#23
○中西功君 実はさつきこの参議院の財政金融委員会の公聽会で、税務官吏の石川榮一君が公述された事実、即ち現在の課税技術上、税務署では税額から逆算した所得算出方法を執つておるということが書かれておる。これは公述人のお話では、謂わば実情だ。これが実情である。これは全部こうやつておるという意味ではありません。これは大体の実情がこうなんであるというお話であります。それを主税局長に聽いたら、そういうことは絶対にないというお話……。そうなりますと、この公述人が僞りを言つたのか、或いは主税局長が僞りを言つておるのか、どちらかだと思うのです。それでこれは公述人が僞りを言つたということは、これは非常に我々の問題であります。若し主税局長が嘘を言つておるということならば、これは忽せにできない問題であります。この問題をはつきりさして貰わなければ困る。公述人は恐らく宣誓をしてやつておると思います。おろそかにそういうことを言つておるのじやないと思います。ですからこの点をはつきりさして貰わなければ、これは非常に重大なる問題であると思います。
#24
○政府委員(前尾繁三郎君) 私としては先程申上げたことは、決しい僞りを言つておるわけではありません。それから先程の税負担でありますが、三万円の所得の場合に、給與所得につきましては、扶養家族のない場合におきまして四千三十円、扶養家族三人の場合が二千五百九十円、山林所得は、扶養家族のない場合は二千五十円、扶養家族が三人あります場合が六百十円、それから事業所得におきましては、扶養家族のない場合には六千五百七十円、扶養家族三人の場合は五千百三十円……。ちよつと御注意申上げて置きますが、山林所得というのは永年の所得の累積でありますので、一時にそれが出るという場合からしまして、課税標準は半額で綜合するという行き方をいたしております。從つてこの中では山林所得が一番税負担が安いことになつております。
#25
○委員長(黒田英雄君) 中西君、先程の公述人が嘘を言つておるかどうかという問題でありますが、これは要領だけでは分らないし、これは速記ができれば、どういうことを言つておるのか、もう一遍よく調べますが、あれは……。ちよつと速記を止めてくれ給え。
#26
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて……。公述人は勿論証人ではないのですから、各自の意見を言うのも……。どうも述べておるのだと思いますが、先ず初めこの問題でもありますし、もう少し速記を調べて、又これに対してはどういう処置をするものかというようなことを、少し考究したいと思いますが、如何でしようか。
#27
○中西功君 私は、公述人は決して嘘を言つておるのではないと思います。これは僕の知つておる知識からいつても、これは実情なんです。問題は、それを頭から否定しておるという主税局長がおかしいと思うのです。まあそれは尚速記をよく調べて貰つて、そうしてそれは後でも勿論結構でございますが、私はこの税務、税制関係の質疑をずつとやつておりまして、実に政府委員の答弁がのらりくらりしておる。実に憤慨しておるのです。本当は点言いますと……。だから、私はその問題を出したわけなんですが、だからこれは委員長のお説に從つて、私は後程又ゆつくり速記を調べた上で……。調べて貰つて結構だと思うのです。これはほんの一例なんです。あらゆる問題を出しても、それをまともに答えようとしない。問題をいつもそらしておる。適当にごまかしておる。これがいつもこの問題に対する政府委員の態度です。だから、私はそれをはつきりして貰いたいと思うのです。それは結構ですが、尚先きの事業……。
#28
○委員長(黒田英雄君) ちよつと待つて下さい。只今のことは、先程私が申しました尚よく考究することで、皆さん御異存ございませんか。何か御意見があればお述べを願いたい。
#29
○委員長(黒田英雄君) それじやまあ御異議ないと認めまして、尚よく委員長におきまして考究いたすことにいたしたいと思います。それじや中西君。
#30
○中西功君 そうすると、先の問題は、一應この委員会の問題として、今後改めて考究して貰うというふうに了解して宜しうございますか。
#31
○委員長(黒田英雄君) そうです。
#32
○中西功君 尚先の三万円の問題で、勤勞所得、山林所得、事業所得のこの数字ですが、これは正確でしようか。先のは間違ありませんですか。例えば問題は事業所得が六千円何ぼということになつておりますが、それで間違ありませんですか。
#33
○政府委員(前尾繁三郎君) 間違ありません。勿論この改正税法によるもんでありますが、この十五條の規定による所得税額表の別表第一を御覧になれば、出ておるわけなんです。
#34
○森下政一君 私が知らないので、教えて貰いたいのですが、この非戰災者特別税法案の中の非戰災家屋税並びに非戰災者税共に、家屋の賃貸價格が課税標準になつたのでありますけれども、前者は「旧家屋税法第五條に規定する家屋台帳に登録されていた当該家屋の賃貸價格」それから後者は「家屋台帳法第五條に規定する家屋台帳に登録されていた当該家屋の賃貸價格」、こういうふうに示されておるので、両方のものが同じものだとは考えられないのですが、その区別はどういうことになつておるのか、教えて貰いたいと思います。
#35
○政府委員(前尾繁三郎君) それは同じものであります。ところが非戰災家屋税の方は、終戰時を調査時期として、その時を取つております。そのときには家屋税法でやつたわけであります。ところが非戰災者税の方は、本年の七月一日を、課税時期として、それを基準といたしております。從つてその間に、本年の三月の税制改正によりまして、家屋税が地方税に移管されましたために、今度は國で持ております台帳は、家屋台帳法という法律ができまして、それによつておりますので、今度そういう書き分けをしておるわけであります。
#36
○森下政一君 それではその台帳に登録されておる賃貸價格というものは両者全然同じものだと、こう解釈してよろしいのですね。
#37
○政府委員(前尾繁三郎君) さようでございます。
#38
○森下政一君 そうしますと、その賃貸價格というものは、一体いつの決定になつておるものでありますか。
#39
○政府委員(前尾繁三郎君) これは昭和十五年を基準といたしまして、そのときから二年間調査をいたしまして、その昭和十五年を基にして作られたものであります。併しその後に家屋が建てられたり、何か異動がありました分は、そのときの昭和十五年を基準とした賃貸價格に比準して決定するということになつております。
#40
○森下政一君 追加予算も、財政收支に應ずるためにあらゆる財源を漁つた、よんどころない結果だつたかと思いまするけれども、この非戰災者特別税のごときも、全く私はそういう必要に迫られて新たに考案されたというものの一つだと思うのでありますが、それだけに如何にも合理性に乏しいという感じを多分に持つのであります。昨日の政府委員の御説明によつても、この税金は飽くまで財産税であるという見解を示しておいでになる。而も政府の提唱するところは、戰災者と非戰災者の犠牲の不均衡を是正するということを謳うて、おいでになる。そういう観念もその中に盛り込まれておるのだということを示しておられるのでありますけれども、戰災者と非戰災者の犠牲の不均衡の是正というのには、余りに課税標準として取られておる賃貸價格なるものがふさわしくないのじやないかという感じを多分に持つ者であります。殊に只今伺うところによると、昭和十五年を基準として二年間に亙つて調査をして決定された賃貸價格、それを今どき課税の標準として取上げて來る。而もその課税率は百分の三百である。その課税をしたことによつて、戰災者と非戰災者の犠牲の不均衡が是正されるということは、常識から考えて見ましても、ちよつと滑稽なくらいに私は思うのであります。如何にも、終戰当時においては罹災を免れて褒然として家屋が存在しておつたというものについて見ましても、その後の経済情勢の激変に伴いまして、戰災は免れたけれども、今度はインフレのために、経済事情の変化のために、全く生活が窮乏のどん底に陷つておる者も現実にはあるに違いない。戰災は遭うたけれども、家屋は失うたけれども、闇をすることによつて、或いは今日インフレの波によつて、却つてインフレのために非常な新興成金として栄華を極めておるという者がなきにしも非ずであるというようなことを考えて見ますると、今どき私は戰災者と非戰災者の犠牲の不均衡の是正というようなことのために、この家屋の賃貸價格を対象とするというがごときことは、誠に当を得ないところの課税標準ではないか、かように考えるのであります。
 私はむしろ、終戰直後であるならばともかく、今日となつては、その後における経済事情の変化というふうなことを多分に考慮に入れまして、むしろかようなものを賦課するよりは、昨日も申しまするように、どこまでも新円成金といつたような所に、これを万難を排してその税源を捕捉して課税をして行く、そうして財政需要を充して行くということの方が、妥当性の多いものだというふうに考えられるのであります。課税標準の甚だ妥当でないということについて、政府はよんどころなくかような税を創設せんとしておられるが、必らずしも妥当でないということは、十分御認識になつておるのじやないかと思うが、その辺御所見如何でありましようか。
#41
○政府委員(前尾繁三郎君) 非戰災者税の方につきまして、家屋の賃貸價格を採用しておるということについては、我々もこれ以外の良い方法がありましたら、勿論採用すべきであつたと思つております。併し御承知のように、四十万世帶の課税をいたしました財産税におきましてすら、動産の調査ということは非常に困難を極めたのでございます。況や何百万人という納税人員を持つております非戰災者税におきまして、動産を一々調査するということは不可能であります。從いまして賃貸價格を採用したのでありまするが、財産税のときに、御承知のように、賃貸價格にいろいろな倍数を掛けまして財産價額を出したのでありまするが、その倍数は所によつて違えております。ところが今回はむしろそのままを採用した方が実情に適しておる、ということは、結局賃貸價格は当時收益率で考えて行つておつたのでありまするが、從つてその中に入つております動産というものと大体において比例いたしておるのであります。農村に低く都市に高く、又店舗に高く住宅に低くというような点は、大体においてその中に終戰当時あつたと想定されます動産に比例しておるというところからいたしまして、この課税標準を採つたのであります。又三倍、三倍というような率でやりましたのは、実際に数百軒を実地調査いたしましても、その中に入つておる動産の價格、それから家屋の價格との比率を出して、大体において中にある動産の方が幾分高いという実績を得ましたので、これは勿論給料者の場合も同樣でありますが、それに從つて同一の倍数ということにいたしたのであります。非戰災家屋税の方につきましては、これは当然、家屋の賃貸價格を採用したということが当然であつたわけであります。
 それから御指摘の第二点は、結局これは一種の財産税でありまするが、その後のいろいろな新円階級その他に対して課税を決定するということは、これは当然のことであります。これも取り、而も課税の充実ということも一面においてやらなくちやならないのであります。終戰後の利得者というものは、財産税によつて課税を受け、又その後の増加所得税において課税を徹底させるということで行つたわけであります。この非戰災者特別税につきましては、できるだけ手数を省いて自動的に納税ができるようにということでありまして、殆んどこれに熟練者を要しないというような行き方もいたしておりますわけであります。
 お説のように我々は飽くまで最近の所得者の課税の充実ということに努力すべきだということについては、御趣旨と同樣な考えを持つておる次第であります。
#42
○森下政一君 小坂政務次官がお見えになつておるので、一つお伺いしたいのですが、昨日來この委員会に付議されております法案の審議に伴うて、私個人として昨日大藏大臣に申述べました見解も、今度は追加予算の國家財政上の需要を滿たすために、理論的に考えると、必らずしも合理的だと思えんような増税が行われておりましても、これは止むを得んものかと思うけれども、併しながらどこまでも現内閣としては、國民の待望しておつた初めての民主的な内閣であるために、例えば税にいたしましても、今こそ財政政策の上において、或いは租税政策の上において、インフレを克服するという観点に立つた政策が断行されなければならんのじやないか、そういう意味においては例えば第二次の財産税を大幅に賦課する、そうして新円階級の持つております、而も今日の税務技術を以てすれば捕捉に非常に困難とされておりますような厖大なる経済力というものを一挙に捕捉して、これを殲滅するということの方が、國の経済を安定せしめ、インフレの昂進を抑制し、物價をこれ以上の騰貴から阻むということになるのではないか、おのずからそこに民生の安定ということが考えられるが、そうはお考えにならんかということを質したのでありますが、大藏大臣は、預金封鎖を伴うような前回みたような方法による財産税ということは考えておらん、どこまでも通貨の信用を保持するために新円の封鎖をしようとは考えておらんということを言明されました。私は決して新円封鎖をしなければならんとは考えておりません。假りに社会党の申しておりました新円登録などというような方法で、封鎖するにあらずして單なる登録で、どこに一体大なる経済力が存在しておるかというその所在を突き止めることが成功する方法があるならば、それによつてでも甚だ結構なので、目的は達成し得るわけでありまするが、とにかくそういうところに、財政政策、租税政策の動向を向けて、インフレと取り組む、これが第一次的に任務だと総理大臣が言つておるが、現政府の使命を果すべく努力をせんければならんのじやないか、こう思うのであります。ところが大藏大臣は國民の協力を得て徐々に正道を歩んでインフレを克服して行きたい、こういうことを仰しやつたが、一体現内閣が成立してから今日までやつておりまするところの財政政策というか、租税政策というか、その中に一体國民の協力を得て徐々に正道を歩んでインフレを克服することに邁進しつつあるところの政策というものは一体どれでしようか、私は分らんのです。これがそれなんだということを一遍、事務当局に聞くよりは、政治家であるあなたにお尋ねして、教えて貰いたいと思うのであります。
#43
○政府委員(小坂善太郎君) いろいろ御尤もな御意見でありますが、一体租税の大原則と申しまするのは、入るを計つて出るを制すると申しますか、大体國家財政における收入の限度を計りまして、歳出を見合せて行くというのが原則でございましようが、この長い間の縮小再生産、而もその後に來ました敗戰という現実からいたしまして、我々は余りにも多くのやらなければならないものを持つております。これをしも手をつけんで置きまする場合には、やはり全体の國民心理の上から申しまして、敗戰後の再建というものはできないのじやないかということが瀰漫して参りますれば、我々はその後において何をなしても、國民の氣持に明るさがない以上、國家の再建というものは望めなくなるというような見地から、止むを得ざる支出も考えて行かなければならない、その限度において止むを得ざる收入、今あなたの仰せられましたような、そうした納得行きがたいが併し止むを得なかろうという收入もまた考えて行かなければならないと思うのであります。例えば今回におきまする煙草の値上、或いは酒税の増徴、こういうものはこれまた止むを得ないことであると私どもは考えておるのであります。そういう際にも政府といたしましては、何とかしてインフレーシヨンを撲滅したいということを第一義に考えておるわけであります。ただこのインフレーシヨンを撲滅するやり方にも相当ドラスチツクな、例えば人工的な恐慌を作るというようなやり方を考えることもできます。併しこういつた人工的な恐慌現象を作るということは、又その半面においては非常ないわゆるリアクシヨンを伴います。例えば新円の封鎖を伴うような、國民の所得を洗いざらいに出して行つて、そうしてその上での所得の吸收というようなことも、一方から見ますれば、通貨に対する信任というものを國民が失う危險がありますし、こういういわゆる荒療治というものが相当に今、十数年も無理な経済状態が引続いて來た後の日本において、果して適切であるかどうかということは、相当愼重に考えて見なければならないと思つておるのであります。これは國内のことでありまするが、一方國際経済の中に今日本が回復して入つて行こうという状態になつておるのであります。國際的な目から見まして、日本が立ち直りつつあるという印象を與えるか、或いは日本は絶望的な足掻きをやつておるかという印象を與えるかということも、相当に考慮しなければならない問題だと思うのであります。我々予算を編成する際に一番考慮いたしましたことは、この世界的な規模から見た日本の財成をどう持つて行くかということでありまして、我々といたしましてこの際取りましたのは、バランスト・バゼツト、均衡を得た予算をここに作るということであつたのであります。日本自体といたしまして、日本國内の総力を結集して、そうして日本の再建を図ることは固よりでありまするが、これは日本單独ではなし得ませんし、どうしても外國の好意ある援助を期待しなければならん。或いは資金の面において、資材の面において、その援助を期待しなければならん面が多分にございますので、私どもといたしましては、第一歩といたしましていわゆるバランスト・バゼツトを強行する、そうしてその建前の下において國民に協力して耐乏してこの固難な時機を切り拔けて頂く、こういうことを申しておるわけであります。第二段階といたしましては、恐らく私どもは今度は更に國内的な経済界に目を注ぎまして、今回或いは我々の手の足りないために等閑されたようなものを拾い上げて、そうしてこれから財源を見付けて行くということが、今後の課題であろうと思うのであります。我々の目的というものは、飽くまでインフレーシヨンの撲滅することであります。併しながらこれはあらゆる見地からいろいろと綜合的に見なければならないことでありますし、又一氣呵成になし得ないことであるのであります。私どもはこの際におきましても、更に來年度の本予算を組むことを課題としております。この本予算を組む際におきましては、十分今森下さんのお述べになりましたような考え方を考慮に入れて参りたいと思つております。ただ飽くまでもその際に通貨の信用を堅持するということだけは、私どれは堅持して行く氣持でありますから、我々の技術面の許す限りにおいて、國民所得を正確に捕捉して行くということをやつて参りたいと思います。これは一つの例でありますが、只今國民所得は、生産國民所得におきまして大体九千億と言われておるようなわけであります。又國民総資力の観点から見ますると、これは一兆億を超えると思われるのであります。こういう際においてそれだけ税源として捕捉し得れば、これは著しく大衆の負担というものは軽減されるわけであろうと思います。勿論九千億そのままを捕捉することは困難でありまして、流通過程にある所得というものも相当あるのでありますから、少くとも現在我々が捕捉し得ると考えられますものよりも、もつともつと技術面においてこれを專念し、或いは努力を増強することによりまして我々は捕捉面を拡大することができる。こう思つて、そのような方向に進みたいとこう思つておるわけであります。
#44
○森下政一君 御意見はよく分ります。ただ我々の憂えることは、方針として日本の財政というものを健全財政というところに主眼を置いて、インフレを克服しようということが先ず第一義的の問題として取り上げられたのだ。今度の追加予算を見ましても明らかにその辻褄を合わされておるのみならず、当初予算における四十七億近くかの赤字さえも埋めるというような予算が組まれておるという、如何にも只今の御説明なり御方針の趣旨に則つた予算と思うのでありますが、これは本会議の議場でもいろいろ論議がされました際にも各議員諸君から御説がありましたように、形式的なバランス・オブ・バゼットというだけではインフレというものは克服できない。実質的な健全性を持つておるかというところに非常な疑問があるというふうな質疑が続々出ておつたのに徴して見ましても、私は問題はそこに実はあるのじやないかということを考えるのでありまして、例えば増加所得税のごとき、明らかにこれは新興、新円階級を捕捉しようという狙いで創設されたものであり、而もかくすることによつて國の財政需要をそこから税源を漁つて充たして行こうという、明らかに新税として創設されたものと思うのでありますが、今日滯納されておる百億に近い税金の中で一番大きな部分を占めておるものは増加所得税の滯納である。昨日の御説明では五十億に近い。今日詳細な数字を頂きましたが、とにかく五十億に近い。増加所得税として当初から見込まれておるものは六十億ぐらいじやないかと思いますが、違いますか。
#45
○政府委員(前尾繁三郎君) 百六十億です。
#46
○森下政一君 そうすると約三分の一弱ぐらいなものが滯納になつておるというようなわけでありまするが、肝腎のところで、これは若し当初の御見込通りに徴税することができれば、それこそ私の言う租税政策がインフレ克服の面に矢を放つておるということに該当する一つと思いますが、実際においては実は実績が挙つていないということになつて、折角政府の企図されておるいわゆる健全財政がその効を発揮しないことになるのじやないかと思うということを憂うるわけであります。後程尚所見を申上げたいと思いまするけれども、私は、只人政務次官の御説明にもありましたが、折角一つ來年度予算を編成されるときには、一切の財政政策、金融政策、就中租税政策のごとき須くインフレ克服というところにその鉾を向けて努力を結集して頂きたいということをお願いして置きます。
#47
○中西功君 政務次官にちよつとお聞きしたいのですが、それは実に昨日から僕はいろいろ問題にしておるのは、非常に簡單なことなんです。それは税金がいいとか惡いとか、勿論これはあります。問題はそれじやなくてこの税制なんです。で今の税制の体系が全く不合理であるだけでなくて、矛盾しておるのです。明らかに矛盾しておるのです。現在の税制が……。それを僕は問題にする。それで歳出面において沢山な支出があり、そのために歳入が租税の方で沢山取らなければならんという事情、それを僕は問題にしておるんじやないのです。問題は税制そのものの中に論理的な一貫性がないわけなんで、極めて簡單なことを私は問題にしておるわけなんです。例えば結局結論を言えばです。今の税制は政府と人民が騙し合いをしておるわけなんです。そういうふうに作られておるのです。お互いが嘘を言い合うといいますか、掛け値を言い合つておる。こういうふうに作られておる場合には。いくら政府が納税について大衆の協力を要求してもできないように作られておるという点なんです。例えば一つの点は、若し所得税を今の税法によつて正直に取つて行つたならば、これは確実に赤字が出るのです。これは公聽会において出された資料ばかりでなくて。もつと沢山あります。例えば五万円の場合にはさつきの話しで二万円からの赤字が出ますが、八万円の者でも実際は残るのは、月收に直しますと二千八百六十六円しか残らないのです。十三万円のものはやはり月收に直しますと、残るのは三千四百六十六円なのです。三十万円の所得者に至つて初めて月收が五千円ぐらいになる。こういう状況なのです。で要するにこういうふうに一方において現在の所得税を確実に取つて行くと食えないというふうなことは現実にあるわけなのです。ところがもう一つの問題は、政府が実際に所得税によつて取ろうとしておる予定数量、それから安本が出しておる八千億、或いは九千億という國民所得、そういうものを所得税の税率で掛けて見ると、遥かに大きな量が出て來る。実際に確実に取れれば一千億を超えるものは確実に取れる一方に計算が成り立つておる。ところが実際においてそれだけは見込んでいないわけである。而も本当の税率で掛けて行つたならば、その所得税だけで皆が食えなくなるというだけに高率なのです、ですからそこに明らかに矛盾があるのです。私は現実どうこういうよりも、そういうふうな矛盾のある税制、ここに根本問題があると考えるわけなのです。実際に一口で言えば正直に取れば皆が食えなくなるというふうな高い税率、而も実際に所得税の徴收高は政府自身が認めておるように一千億は抜けておる。これが矛盾しないかどうか。これは理窟は立つておるかどうか。そこを聽きたいわけなのです。一つ政務次官よりはつきりした、それは單に論理的な問題ですが……。
#48
○政府委員(小坂善太郎君) 税制というものはできるだけ簡潔にして、而も捉え得る限りのものは捉えて國家財政を裕かにするというために設けられておることは申上げるまでもないことでありますが、併しながら現在の状態におきましていろいろと一般の流通秩序も確立しておりませんし、又國民心理の側におきましても、必らずしも健全なるものありとは言えない現状でありまするので、税務当局としては非常に苦勞をしておるわけなのであります。今までどういう論議が交わされましたか、私は不幸にして衆議院の方に出ておりましたので、実は伺つていないわけなのでありまするが、この中西君のお説を伺つておりまして、その間の事情を付度いたしまするに、税制の税率等についての御意見は中西さんと主税局長との間にいろいろ論議があつて恐らく盡きておるのではないかと思つております。私どもこの点につきまして、非常に税制そのものが矛盾しておるという御議論でありますが、この点ちよつと伺つて見まして、折角のお話でありまするが、どうも私には合点が行かないので、相当高率であるということは、今の國家財政の現状からいたしましていたし方がないことかと思いまするが、その間に矛盾があるというふうには思わないのであります。できるだけ税制というものを簡潔にいたしまして、複雜なものにしない。即ち技術的に容易に徴收し得るような体系を整うべきものであるということは、私も主税局長も全く一致した意見でやつておるのであります。御趣旨のように、非常に矛盾した税制であるからこれは幾らやつても税が取れんのだというふうには、私は考えないのであります。この程度にお答え申上げます。
#49
○中西功君 それで、矛盾というのはこうなんです。例えば五万円の所得者にしろ、七万円の所得者にしろ、今の税金は今の税率で課けて行けば、これは食えないような状態になつておる。正確に取ればこれはもう明らかなのです。それで五万円の場合においては二万円の赤字さえ出るという状態なのです、この数字は正しいと思う、間違いないと思うのです。ですからそういうふうな高い税率を実際に課けておる。而も若しこういう税率で國民所を計算するならば、それに関連さして所得税を計算するならば、遥かに多い税金が取れる。併し実際には取つていない、そういうことを見込んでいない。これが一つです。
 もう一つ現実の矛盾としては、実際にこの税率で若し所得を正確に把握して行つて取つたら、みんな駄目になつてしまう。明らかに駄目なんです。だから現実の場合に手心を加えられてあるわけんです。加えられてあるから、結局実際に税務官吏が言つているように所得を正確に把握するということよりも、むしろ税金は大体決めて置いて、そうして所得額を逆算するというふうな実状が出て來る、それは矛盾から出て來るわけなのです。若し正確に所得を把握するということになつており、而もその税率が或る程度やはり最低生活費を考えておるということであつたならば、そんな現実の所得額を逆算するようなことは起つて來ない。だから矛盾というのは帳簿面或いは机上における計算と現実の間の矛盾でもあり、又政府自身の計算における矛盾でもあるわけです。つまりやり方の矛盾です。一つの矛盾がそういうふうにみんな逆なことになつておる。そういう結果がどういうことになるか、政府としては成るたけ沢山更正決定をする。一般大衆としては成るたけ脱税をするように脱税をするようにと心掛ける。こういうような矛盾として現われる、そういう点、一貫しておるわけなんです。ですから若し本当に政府が協力を得ようとするならば、その矛盾を根本的に直すということをしなければ駄目なんだ、僕はそう思うのです。ここに根本的欠陷がある、これは敗戰後の事実伝々というのじやなくて、戰時中から日本の税制はこうだつたのです。戰時中そういう反人民的な政治体制があつた。その反人民的な政治体制を裏付けるものとして、こういう税制があつた。それは敗戰後、殊に民主的になつた日本の今日においても、尚継続されておるというところに、矛盾がある。決して税金の絶対的な量を私は今ここで問題にしておるわけではない。そういう矛盾が依然として何も直されていないそれを問題にしているわけなんです。
#50
○政府委員(小坂善太郎君) お話のように税の本質から來る矛盾がこの課税技術以上の問題になつておるというふうには私は折角のお話でありまするが、考えたいのであります。私の観測を以て言わしむれば、今所得を捕捉するのが税務署の役目ではありまするが、これは單に税務署だけができるものではないのでありまして、いわゆる闇というものがある。闇を摘発しこれを絶滅するということは、勿論警察行政の面にもあり、又司法行政の面にもあり、又その課果として大藏行政の面にも関連を持つて來るということなんでありまして、そのために大藏省として税の捕捉が十分に行かない。即ち経済状態が不安定であり、國民心理が混乱しているために、捕捉が十分に行かないので、それで課税技術上、いろいろな困難が起きて來るというようなことが現状なんであります。私ども大藏省だけでこの闇の問題が解決できるのなら大変結構なことでありますが、これはどうも全般の國民経済なり、國民思想なり、或いは國家行政全般の問題なりとして、その一環としての財務行政というふうにお考え願いたい。こう思うわけであります。この問題につきましてはいろいろと根本的な社会観というようなものも関係いたしますると思いまするし、この問題はいずれ又ゆつくり一つお話申上げることにいたしたい。こう思うのであります。
#51
○中西功君 この問題はこれ以上余り言つても発展はないと思います。そこで私はもう一つ聞きたいことは、実際に財務次官並びに大藏当局において、闇とインフレを絶滅する氣があるといたします。或いは又大口所得者を本当に捕捉するという考えがあるといたしました場合に、それならば私は税務官吏から依然として預金の調査をしてはいけないというふうな指令が出ているということを聞いたのですが、銀行の預金の調査権については、税務官吏自体がそれを非常に要求しております。本当に大口所得者を捕捉するという実際の意見があるならば、当然これは許さるべきだと思うのです。ところが本当はそういう調査をしてはいけないというふうな命令が出ておるわけなのであります。主税局長にはそういう指令を出されたことがあるかどうかということをお聞きしたいのですが、その税務署からの要求に対して大藏大臣の答弁は極めて曖昧なものであつたのです。若し本当に大口所得者を補らまえようとする、そういう自分の言葉が嘘でなかつたならば、何故この税務官吏の下からの要求を容れないのか、預金の調査権を與えないのかという点なんです。
#52
○政府委員(小坂善太郎君) 預金の秘密性ということに関しましてた、実はこの通貨の信用を堅持して、貯蓄を増強して貰い、その一般蓄積資金によつて産業を復興し、旁々インフレーシヨンを撲滅する素地を作りたいというような一連の政策と、只今の闇インフレを捕捉するために、一体どのくらい闇利得がなされたかという一つの調査手段として預金の在り高を見たいという、そういう考え方と二面があるのであります。現在のところ一般的に預金を調査するということにいたしますることが、どうも反作用の面の方が強く参りますように思いまするから、そういうようなことはいたさないようにいたしております。ただ殊特の場合におきまして、どうもこの人の所業にはいかがわしい節がある。從つて預金も是非この際この人に限つては調査したいというような要求がありました際には、預金を調査することは、何等差支ないことになると思うのであります。一般的の定めとして個人の預金を誰が行つて見ても宜いというような、税務官吏は所得をどんどん調べても宜いという、そういう調査指令は、これは出せないと思います。そういう意味においてそういうようにお考え願つたらいいのじやないかと思いまするが、私どもとしてはただそういつた二つの面を持つ預金というものについて、相当愼重な扱いをして行かなくやちならんということを考えております。
#53
○中西功君 ですから、これは下からうんと実際の税務をやつておる人たちから起つて來た要求であつて、これは長い間こういう声が起きておると思うのです。結局そういう預金の保護という面からこれが與えられなかつたわけですが、実際預金を……秘密預金というようなものも設けられておるわけなんですが、そういう面から見ると、確かに秘密預金とか預金の秘密性ということは或る程度必要かも知れない。併し現実の問題として、貯蓄増加に預金の調査権を税務官吏に與えないことがどれだけ役立つておるかということは、十分資料を持ちませんが、私は実際においてそれ程役立たないと思います。與えないことが預金の増強には殆んど役立たないと思う、といいますのは、現にそういうふうな怪しいような不安のような預金というのは殆んど闇金融としてもうすでに政府の金融と余り違わないような力を持つて今はびこつておると思います。幾ら政府が一方においてそういうことをやつたところで、闇金融は闇金融としてどんどん発展して行く、今までは現実に調査権を與えなかつたけれども、そのことによつて闇金融の跋厖しておることを抑えることはできなかつた、それだけを見てもはつきりと分るのであります。でこれは勿論調査権を與えるというようなことは小さいことです。小さいことで、それは本当に新円の大口利得というものをもつと捕捉しようと思つたらそれだけでは足りない。ただ問題はそういうふうに一方において何とかの理屈によつてそういうもの、調査権というようなものを制約して行くというふうな態度、それが結局もつと大切な、本当に闇とインフレを克服するという政策を取らせない全政策の氷山の頭みたいなものです。それだけに私は言うわけです。
 最後に私は一つ酒のことをお聽きしたいのです。それは今年度の造石高、それから一般配給と特配、それは大体どういう予定になつておるのですか。
#54
○政府委員(前尾繁三郎君) 本年の全体の酒の配給数量は、これはすべてビール等は生純酒に換算してやつております。百六十三万石であります。その中特別配給即ち産業用等に配給しておりますものが六十六万七千石、それから家庭用が五十万三千石それから特殊用即ち冠婚葬祭等に配給しておりますものが六万石、それから業務用酒に廻しておりまするもの、それから特價販賣として賣出すもの、これ等が大体四十万石であります。
#55
○中西功君 それで、私は、この特配が、一般配給より多くなるようですが、その特配の今年の四月から最近までの、大藏省本省管轄内において特配された内訳、それを要求しておいたのですが、その資料を、今ここで言つて貰わなくてもいいですが、今日、明日ぐらいに願いたいと思います。これはずつと前から要求しておるのです。
#56
○委員長(黒田英雄君) 他に御質問がございませんければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
#57
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。然らば所得税法の一部を改正する等の法律案、非戰災者特別税法案、この二案につきまして、討論に移りたいと思います。御意見のある方はお述べを願いたいと思います。
#58
○森下政一君 私はこれ等の法案に対しまして、不本意ではありまするけれども、よんどころないものと考えて、賛成の意を表します。現在のような経済界の不安定な状態の下におきまして、理想的な、理論に適うた税制を布くということは、これは相当困難を伴うと思います。從いまして経済の非常事態である現下の情勢の下におきましては、理論的には必らずしも理想に違うということのできない税制でありましても、これを容認しなければならんということは了承できるのであります。同時に又殊に今回の税法の改正は、追加予算に盛られておる数々の財政需要に充てるための收入を捕捉することが主眼であると考えられまするので、税の理想からいえば、甚だ遠いいと思われるような手段を取られたことも止むを得なかろうと私は考えまして、今回の措置を了承したいと思うのであります。併しながら昨日も大藏大臣に私見を申上げた次第でありまするが、願くば來年度の予算を編成される場合におきましては、できるだけこれ等の点を考慮に入れられて、理想に近いものに是正するということに御盡力が願いたい。殊にこの理想に近いと私が申しますのは、現内閣が最大の使命としておるインフレの克服、このインフレ克服ということに、財政政策も金融政策も租税政策も、すべてがその矛を向けなければならんと、かように考えまするので、そこに重点を置いた財政政策を採る、租税政策を採るということを、一つ來るべき新年度においては、是非とも重点的に考えて頂きたいと思うのであります。忌憚なく申しますと、今度のこの大藏省の企て、政府の企ては、取り易いところから税を挙げる、取り易いところを先ず着眼するという態度に出られたと考える、煙草の專賣益金を上げるとか、或いは酒税を増徴することによつて、收入の途を図る、更に時機的には甚だ手遅れだと思われる而も課税標準の妥当性を著しく欠くと思われる非戰災者特別税のごどきを設けて、相当多額の收入を挙げる、或いは先刻文化委員長が出て來て御意見を述べられたが、入場税のごときに増收を求めるというがごとくに、比較的容易く收入を挙げ得る途を選んで、收入を挙げて、そうしてその申訳のために所得税法に手を著けて、或いは基礎控除を引上げる、或いは扶養親族に対する控除を引上げる、そうして比較的收入の乏しい勤労階級の負担を軽減したというような、先ず世間を納得させるような一つの口実を設けるために、わざわざ所得税法に手を著けられたというような感じをさえ私は持つのであります。そうして政府の言うところは、財政需要の増大に対應して、收支の均衡を図り、財政の強化に實すると共に、経済諸情勢等の推移に應じ、國民租税負担の公正を期する等のために、税制改正を行う、こういうことを言つておられるが、実はそうではなくて、本当は得易い所に收入を挙げて、今回の財政需要を充たすという財源をあさり、その申訳の私は如何にも合理的に聞えそうな説明を、所得税の改正に手を著けたことによつてなさつておるというふうに取られるのであります。私は取り易い所から取るというふうな、安易な方法にのみ頼るということは、結局正直者に馬鹿を見さすということになるじやないか。政府が租税負担の均衡をはかつたといわれていわゆる勤労大衆の負担が軽減されたという今度の税法の改正にしましても、その半面に煙草の値上げが行われ、或いは酒税の増徴が行われておるということであつては、決して勤労階級は負担が軽減されることにはなつて來ない。のみならず今日依然としてインフレが継続して、物價が高騰しつつあるという現段階におきましては、自動的にもその生活は段々苦しくなり、負担が重くなつて來るということになつて來るわけであるのでありまするから、將來におきましては、やはりインフレの克服という所に重点を置いて、それがためには如何なる租税政策を採るべきかということを勘案されて、その趣旨に適うような英断を以て施策を是非やつて頂きたい、かように考える次第であります。私は昨日大藏大臣が申されましたように、日本の通貨の信用を維持するために、新円再封鎖の意図はないと言われた。
 誠に御尤もだと思います。從いまして新円の再封鎖を断行しなければならんとは申しませんが、そうせずに、而も尚今日インフレによつて厖大なる経済力を把握しておる人々に、これを巧みに捕捉して、それらの持つ経済力というものを吸收して、これを殲滅することを考えるにあらざれば、日本のインフレというものは容易に克服できないのだ、こう考えるのであります。先刻大藏政務次官が荒療治をやるか、そうでない手段を選ぶかということにも、今日の國際情勢下における日本の再建ということから考えて、よく慎重を期すると言われたが御尤もであります。お説として私は御尤もだと思うのでありまするけれども、常道を歩んで徐々にというふうな考えに拘泥しておる間に、遂にはインフレが克服されずして、却つてインフレの昂進のために國民生活が破局に陷るという段階に一歩一歩近付いて來るのじやないかということを處れまするが故に、願くば大藏当局は特にそれらの点に重点を置いて、來るべき年度におきましては、一大英断を以ての施策を断行されんことを特にお願いをいたしまして、今回のこの法案につきましては賛意を表することにしたいと思います。
#59
○委員長(黒田英雄君) 他に御発言ありませんければ……。
#60
○中西功君 私は、並びに日本共産党は、この二つの法案に反対であります。反対の理由はいろいろありますが、先に森下さんが言われました理由に盡きておると思うのですが、ただ私たちの考えでは、今日本の情勢が非常に危機である。そして歳入の面において非常に沢山な歳入を計上せざるを得ないいろいろの理由があるとすれば、余計に國民の本当の協力を得なければならないとすれば、更に大衆が協力し得るような税制を作らなければいけない。その必要は歳入が増加し、そして又日本の経済が危機であればある程必要だと思います。でありますから私たちはやはり今こそこの税制の根本的な建直しを要求しなければならないと考えるのであります。ところが現実に所得税法の一部を改正されたその改正は、一つは勤勞所得税の控除額を引上げられた、並びに事業所得税においては、七万円以上の所得者に対して税率が引上げられたという改正が主体となつておりますが、これでは現実の問題として何等の改正になつていない。從來の戰時中に極めて非民主的な、反人民的な税制が今日においてそれだけ残されておるだけでなくて、この度は更にもう一つ非戰災者特別税という極めて煩瑣な租税法が又附加えられておる。或いは又現実の問題としては、酒、煙草というふうな間接税が非常に増徴されておる。結局二つの線において多少の修正があつたが、差引すれば遥かに惡くなつていると見ざるを得ないのであります。この現在の税法を特徴ずけますと、一つは從來の非常に反人民的な租税体制がそのまま残つておるというだけではないのです。それに加うるにインフレーシヨンが現実にいろいろの変化を及ぼしております。そのインフレーシヨンの影響さえこの税制には含まれていない。その一番よく現われているのは基礎控除です。單にインフレという要因だけを我々が考えたとしても、基礎控除は当然二万円ぐらいの所に行くべきなんです。それさえこれには含まれていない。だから結局戰前、或いは戰時中の税制がインフレによつて更に倍加して、堪えがたいものになつているということが言えるわけであります。これは結局政府の施策としては、インフレが進んで行くに應じて、税制を適應さへしていない。税制をインフレと闇の克服のために向けて行くということでなくて、インフレが進んで行くというその途に適用していないということが言えると思います。更に税率の問題、或いはそういうよう意味においてはさつきから私が言うように、極めて矛盾に富んでおります。一般的に極めて高い、恐らくどこの國にも見られないような高い税率があります。而もこういう高い税率があつて、現実に決してマツチしないような状態から、何が起つて來るかと言いますれば、結局少額利得者に対しては、徹底的に徴收する、併し大口利得者に対しては、適当にやれるという余地を與えている。それだけでなく、政府と人民が騙し合いをしているような、そういうような極めて憂慮すべき状態が起つて來る。それで結局、これはこういうことでやつていつた場合には、國民の協力なんか絶対得られない、この決定が進んで行くに應じて、恐らく人民大衆の中からは、大きな反抗運動、即ち惡税反対は勿論、天降り的な決定に対する大きな反対が起つて來る。これは必然であります。これはこれが必然であればあるだけ、我々は、私たちとしては、取れないようなこの税制に賛成して、そうしてこれを大衆に押し付けるようなことはできない。まあそういうもつと理由を言えば沢山ありましよう。要するにこの税法は、戰前、戰時中の税法を、或いはその内容から見ましても、結局非常に惡化しておるのです。インフレさえ適用していないのです。從つて勿論インフレを克服するようなものでなく、この税法自身がインフレを激化して行くのです。激化して行く要因になつておるのです。そうして又最後には、これが又大衆の非常な反抗、怨嗟の的になる。これは必然であります。それで我々は、本当にそういうふうなこの非常に苦しい、嚴しい税制の下で、非常に沢山な人々の非劇が起る、非常に沢山な人々が零落しなければならん、そういうふうな怨嗟、或いはそういう苦しみを平氣で見ておられる人だけが、この税制に賛成できると思う。私たちは、残念ながらそういうことはできない。だから我々日本共産党は、これに絶対反対するわけであります。以上私の反対理由です。
#61
○委員長(黒田英雄君) 他の御発言はないようでありますから……。
#62
○木内四郎君 私は民主党を代表いたしまして、両法案に賛成の意を表する者であります。両法案につきましては、いろいろの問題が勿論あります。又意見もないではありませんけれども、現下の財政の大局、又ここに処するところの政府当局の御苦心の点を諒といたしまして、我々といたしましては、この両法案に賛成する者であります。ただ我々は、たびたび申しておりますように、この税法、又その根本の税法につきまして、よくその内容を國民に周知するようにして貰いたいという希望を重ねてこの際申上げておきたいと思います。
#63
○委員長(黒田英雄君) 他に御発言がございませんければ、討論はこれにて終結したものといたして御異議ございませんか。
#64
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。直ちに採決をいたしたいと思います。所得税法の一部を改正する等の法律案、非戰災者特別税法案、この両案につきまして採決をいたします。政府提出の原案通り賛成の諸君の御挙手を願います。
#65
○委員長(黒田英雄君) 多数であります。仍つて両案共原案通り、大多数を以て可決せられました。
 それから次に、失業保險特別会計法案がありますが、これをここに議題にいたしまして、御審議を願いたいと思いますが御異議ございませんか。如何ですか。
#66
○委員長(黒田英雄君) ではさようにいたしたいと思います。本案はすでに政府の提案の理由の説明があつたのでありますが、御質疑がございますでしようか。それでは私ちよつと、この失業保險特別会計法案は、もう本院を通過しました失業保險法並びに失業手当法案に基くものでありますが、これの特別会計を設けられるということは止むを得ないことと思いますが、すでに政府は特別会計の多数あつたものを整理して、二十四ですか、に整理されたのでありますが、段々特別会計が殖えて來るようですが、將來、整理されたところの趣旨と段々反して來るようですが、どういうふうにお考えになつておりますか。この点を伺います。
#67
○政府委員(小坂善太郎君) 只今委員長の御指摘のように、政府は、この程特別会計の数を整理いたしましたのでありますが、本特別会計は、御承知のように、過ぐる十一月一日、失業保險法を可決願いまして、これに基きまして、同法運営のためにおける特別会計でありますが、これは政府が、今回新たに失業対策を一つの最重要施策として取り上げておりまする関係から、この法案に限つて、特に特別会計を持つて頂くよう、お願い申上げておる次第であります。この特別会計を設けます理由は、失業問題を最も科学的に整理いたしまして、そうして國家の再建に資したいと思う趣旨に外ならないのであります。さよう御承知を願います。
#68
○委員長(黒田英雄君) 他の御質問ございませんでしようか。御質問がなければ、質問終了といたして御異議ございませんか。
#69
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。討論に入りたいと思います。失業保險特別会計法案につきまして、これには衆議院で修正があつたのであります。十七條に、「この法律は、昭和二十二年十月一日から、これを施行する」とありますのを、「この法律は、昭和二十二年十一月一日から、これを適用する」というふうに修正になつておるのであります。その修正案を議題にいたします。修正になつておりまする失業保險特別会計法案を議題といたしまして、討論をいたしたいと思います。別に御発言がございませんければ討論は終結したものとして御異議ございませんか。
#70
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないもと認めます。失業保險特別会計法案は衆議院の修正されました修正案によりまして、採決をいたしたいと思います。即ち原案について採決をいたします。原案に御賛成の諸君の御挙手を願います。
#71
○委員長(黒田英雄君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。どうぞ御賛成の方の御署名を願いたいと思います。
 尚本会議におきまする委員長の口頭報告は皆さんの御承認を得なければならんことになつておりますが、これは委員長でこの法案、又前の税法につきましても、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨、表決の結果を報告することにいたしたいと思います。御承認を願うことに御異議ございませんか。
#72
○委員長(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それから前に出した三案共参議院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出します報告書につきまして、多数意見者の御署名をすることになつておりますから、本案を可とされました方は順次御署名を願います。
#73
○委員長(黒田英雄君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   理事
           波多野 鼎君
           伊藤 保平君
   委員
           下條 恭兵君
           椎井 康雄君
           森下 政一君
           西川甚五郎君
           山田 佐一君
           木内 四郎君
           深川タマヱ君
           星   一君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           西郷吉之助君
           高橋龍太郎君
           山内 卓郎君
           渡邊 甚吉君
           中西  功君
  委員外議員
   文化委員長   山本 勇造君
  政府委員
   大藏政務次官  小坂善太郎君
   大藏事務官
   (主税局長)  前尾繁三郎君
ソース: 国立国会図書館
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