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1947/08/19 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第5号
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1947/08/19 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第5号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第5号
  付託事件
○磐越東線三春船引兩驛間の要田村に
 停車場を設置することに關する請願
 (第二號)
○鐵道運賃の値上げ反對に關する請願
 (第三號)
○長岡鐵道を國營に移管することに關
 する請願(第四號)
○海運經營方式竝びに船員管理に關す
 る陳情(第十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する請願
 (第十號)
○高崎、熊谷間に電化工事を實施する
 ことに關する陳情(第四十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する陳情
 (第四十七號)
○磐越東線神俣、大越兩驛間の瀧根町
 菅谷に停車場を設置することに關す
 る請願(第十三號)
○熊本縣人吉市を基點とする三路線に
 省營自動車運輸開始に關する請願
 (第十五號)
○日本通運株式會社の營業權竝びに設
 備を舊關係業者へ還元することに關
 する陳情(第八十五號)
○海運經營方式並びに船員管理に關す
 る陳情(第九十六號)
○東北本線宇都宮、大宮間、日光線宇
 都宮、日光間及び兩毛線小山、高崎
 間の電化實現に關する陳情(第九十
 九號)
○高崎、熊谷間に電化工事を實施する
 ことに關する請願(第三十六號)
○海上輸送力緊急増強に關する陳情
 (第百二十三號)
○船員保險法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○海難審判法案(内閣送付)
○鐵道營業法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○木原線鐵道殘工事の速成に關する請
 願(第五十六號)
○舊鶴見臨港鐵道線外三鐵道線拂下に
 關する請願(第六十號)
○中央線高藏寺、名古屋鐵道小牧兩驛
 間に國營自動車の運輸を開始するこ
 とに關する請願(第六十二號)
○山形縣最上郡内に國營貨物自動車の
 運輸を開始することに關する請願
 (第六十四號)
○柳井驛より三路線に、及び田布施驛
 より二路線に國營自動車の運輸を開
 始することに關する請願(第七十六
 號)
○常磐線松戸、我孫子兩驛間電化工事
 實施に關する請願(第七十八號)
○江差町、東瀬棚村間に國営自動車の
 運輸を開始することに關する陳情
 (第百五十六號)
○日本國沿岸に置き去られた船舶の措
 置に關する法律案(内閣送付)
○國有鐵道の現状に關する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月十九日(火曜日)
   午後一時三十七分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○船員保險法の一部を改正する法律案
○國有鐵道の現状に關する件
○海難審判法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これより會議を開きます、
 先般政府から説明されました鐵道白書につきまして御質問を願いたいと思います。船員保險法の一部を改正する法律案につきましては、大體先日で質問が盡きているように考えますがなにかありますか。今厚生省の保險局長が見えておりますが、よろしうございますか。
#3
○大隅憲二君 ちよつと質問させて頂きます。
 この船員保險法を施行する場合に費用の點ですが、この費用はどのくらい必要か豫め數字が分つたら伺いたい。それからこの費用の出所はどこか。こういうことが一つと、これを施行した場合の利害關係はどうなるか、この二點を伺いたい。
#4
○政府委員(宮崎太一君) 只今の御質問にお答え申上げたいと思いますが、船員保險に關する費用でございますが、本年の豫算といたしましては、歳入歳出合せまして、二億七千。歳入の合計が二億七千八百十八萬八千圓になつております。それでその内譯を申上げますると、保險料收入が二億四千五百萬餘りでございます。それから運用收入が五百九十二萬圓餘りであります。それから雜收入が五千圓餘りでございまして、それから一般會計から出ます金が二千六百九十二萬圓になつております。それが歳入でございまして、それから歳出といたしましては保險金として八千八百萬圓餘り、業務取扱費といたしまして四百六十二萬圓餘り、それから福祉施設として七百四十八萬圓餘り、諸支出金が約百萬圓ばかりでございます。それから豫備金が二百十八萬圓餘りでございまして、歳出の合計が一億三百萬圓餘りでございまして、その歳入と歳出の差引が一億七千四百萬圓餘りが積立金になつておる。こういうことになつております。これが本年の豫算でございます。
 それからこの保險料といたしましては、保險料は大體十七圓でございまして、この十七圓というのは月收百圓につきまして十七圓でございます。その十七圓の中、船主の分が十圓二十錢、それから被保險者の分が六圓八十錢、こういうことになつておりますが、この點につきましては委員會等で又御決定を願う、こういうことになると思うのであります。これが大體豫算でございます。
 それからこの改正法を實施いたしますためにどういう利害があるかということでございますが、害の方はまあ私の方はないということでお願いをしておりますが、利の方を申上げたいと思います。それで先般厚生大臣から提案理由の説明を申上げましたが、私はその内譯について主なることを申上げたいと思います。第一は被保險者でございます。被保險者者が從來は二十トン以上の船ということになつておりましたが、今度は五十トン以上に變つた。それから三十トン以上の漁船というものの中で限定されておりましたけれども、今度は限定なしで三十トン以上の漁船の乘組員は入るという、そういう範圍が變つたことでございます。それから次に保險給付の方でございますが、療養の給付、これは病氣の場合に治療をするものでございます。それにつきまして變りましたのは、居住地外で療養する場合に、宿泊をしたり食事をしたりする、居住地外と申しまするというと、宿屋に泊つて、そうして病院に通うというような場合、こういう場合に宿泊、食事の金が出なかつたのでございますが、今度はそれを出すようにしたということでございます。それからこの法律は本法の施行地だけに給付しておりましたのを、本法の施行地外でも該當すれば出してやれるということに變えたことでございます。それから傷病手當金でございますが、傷病手當金につきましては、職務上におきましても、職務外におきましても、從來は療養、即ち治療を受けておる間だけやることになつておりましたが、今囘は職務外については現行通りでございますけれども、職務上につきましては療養の給付終了後、更に一ケ月の範圍内にやれるということ、瘉つてから尚一ケ月間傷病手當金が出せるということになつております。それから支給の額でございますが、從來は報酬日額の百分の六十に相當する額ということでございましたが、今度は職務上におきましては療養開始後四ケ月間は報酬日額の全額、即ち百分の六十というのを全額、四ケ月間は……それ以後は百分の六十ということに變えたということでございます。それから職務外は百分の六十というのは前の通りでございます。
 それから養老年金の方でございますが、養老年金は從來は被保險者たりし期間が十五年以上であつて年が五十以上でなければやれなかつたというのが、今度はやれないことは同じでありますけれども、被保險者であつた期間が十五年以上であれば五十歳にならなくても權利だけは與える、併し五十歳になるまでは止めて置く。そういう權利の確保を圖つたという點でございます。それから傷害年金これは怪我した場合の年金であります。これにつきましては、從來はこれをやれる條件といたしまして、職務上の場合には制限がなかつたのでありますが、職務外の場合は被保險者たりし期間が三年以上、三年以上被保險者でなければやれなかつたのが、今度は職務外の場合に被保險者たりし期間が半年以上であればやれる、即ち三年が半年に改まつたのであります。それから支給の金額でございますが、從來は一年につきまして平均報酬月額の五ケ月から八ケ月分やるということでありました。今度は平均報酬月額でなしに最終の平均報酬……。最終の平均報酬と申しますのは、平均報酬というと、初めから終りまでの平均になりますが、最終というと最近の三ケ月なら三ケ月の平均でございますから、この頃は給料が上つておるから、その上つた給料の三ケ月ということになりますと、それの平均でありますので、金額は餘計になるという改正が行われておるわけであります。それから職務外の場合は、從來は平均報酬年額の四ケ月というのを、今度はやはり最終の四ケ月ということで、やはり金額が上つたということでございます。次に最低保障の額は從來六年ということでありますが、今度は職務上の場合は傷害年金の六年、職務外の場合は養老年金の六年ということで、おのおの高いものについてやれるということになつておるわけであります。それから最高の制限としては、從來は一年について平均月收の十二ケ月分というのでありましたが、今度は最終平均報酬月額、前に申しました一番高い方の平均ということに行きます。その點が餘計になるわけであります。それから傷害手當金でありますが、これはやはり職務外の場合は被保險者であつた期間が三年以上の者にやつたのでありますが、今度は六ケ月以上ということに低くなつたということであります。それから支給額につきましても、從來は平均報酬というのを今度は最終平均報酬ということに改まつたということでございます。それから脱退手當金でありますが、これにつきましては從來は支給條件として、被保險者であつた期間が三年以上十五年未滿ということでありましたのを、今度は六ケ月以上十五年未滿ということで、支給の條件が緩和されたということであります。それから支給額につきましては、從來は普通脱退につきまして平均報酬月額の三ケ月分乃至十八ケ月分とありましたのが、今度は半月分乃至十八ケ月分となりまして、これは支給條件が緩和されたために少し變つたということであります。死亡脱退につきましてもその邊の變更があつたということであります。
 それから次に遺族年金であります。遺族年金も平均報酬月額の五ケ月分とか三十六ケ月分と いうのを、今度は最終平均報酬月額という高い標準でやつて行くということであります。そのことが變つたわけであります。それから遺族年金につきましては別に變りはございません。それから遺族下給金につきましては、職務上の場合に支給しますときは、やはり最終平均報酬日額ということで、やはり高い方にやれるようにしたということであります。それから葬祭料には別に問題はございません。それから國庫の負擔についても變りはございません。それから先程申しましたように、保險料の負擔が從來は十圓と七圓であつたのが、十圓二十錢と六圓八十錢にしたということと、それだけが違います。
#5
○委員長(板谷順助君) 他に御質問ございませんか。
#6
○中野重治君 今の保險料の割當ての問題ですが、十圓二十錢と六圓八十錢というのはどこに規定してあるのですか。
#7
○政府委員(宮崎太一君) それは政令に規定することになつております。政令案を決めますとき、委員會等に諮つて決めるわけであります。
#8
○中野重治君 そうしますと、六十條ですね、元の六十條の第一項の「各保險料額ノ二分ノ一ヲ負擔ス」というのを「政令ノ定ムル所ニ依リ保險料」に改め、そうして同項但書を削ることとなつております。そうしますとこれは政令が十圓二十錢と六圓八十錢に決めたということを除いて、法律そのものについて考えて見ますと、前の法律よりもあなたは利益は多く、害は少なくなつておるという話でしたが、前は「被保險者及被保險者ヲ使用スル船舶所有者ハ各保險料額ノ二分ノ一ヲ負擔ス、但シ勅令ノ定ムル所ニ依リ船舶所有者ノ負擔スベキ割合ヲ増加スルコトヲ得」と、ですから半分は必ず背負う。船主の方で勅令が定まればそれ以上背負うということが法律で定めてあるわけですね。今度は二分の一ということを飛ばしてしまつて勅令に皆委してしまつた。それから勅令が定まれば二分の一以上に背負うことができるという但書を削つてしまつた。ですから法律で言えば前よりは非常に惡くなつておると、こう考えるのです。なぜ政令は政令として、なぜ法律そのものをこういうふうに惡くしたかということの説明を伺いたい。
#9
○政府委員(宮崎太一君) お答えいたしますが、それはこの前の政令改正のときに、こういう割合になつておつたのだそうであります。ところがそれは法律を改めないで但書でやつておつたのでありますが、今度は前からこういう割合になつておりますので、關係方面の方でもうそれじや法律もそれに合した方がよかろうと、こういう話で實際に法律を合せたということになつたわけでございます。
#10
○中野重治君 この改めらるべき按分が、つまり實際に現わした按分ということになるわけですか。
#11
○政府委員(宮崎太一君) そうでございます。
#12
○中野重治君 そうすれば、今までは二分の一は少くとも船主の方で背負い、兩方で半分々々持つ。そうして勅令によつてはそれ以上も出す。例えば十圓二十錢より六圓八十錢ということもできたわけですね。
#13
○政府委員(宮崎太一君) はい。
#14
○中野重治君 それを今度は單に勅令とか政令というのじやなくして、法律そのものをその方向へ引上げて行くということになれば、二分の一以上とか或いは三分の二とか或いは全額とかということを、全額、或いは三分の二或いは三分の一というふうに、法律で規定することが、法律を實情に適わせるように引上げて行くことになりますね。そうではなくて、どうして二分の一とか或いは但し書に現われたようなものを、法律として新らしい法律案文に生かさないで、それを削つてしまつたのか。そうすれば法律は政令よりももつとはつきりしておりますから、その方ではそういう規定はなくなつてしまつた。政令にすべてを委して、まかり間違へば、こういう政令ができてはならんし、できる筈もないと思ひますけれども、船主が五分の一を背負い、それから被保險者が五分の四を背負うというような政令が非常な小さな可能として豫想されるわけですね。ですから法律の方がそれをはつきり遮蔽しなければならん。法律の方にこそ規定すべきであるのに、肝腎の法律面からそれを削つてしまつたのは……、全部政令に委讓してしまつたのはどういうわけか。あなたの説明では法律を實情の方へ引上げて來たというような説明だけれども、逆のように受け取れるのですが……。
#15
○政府委員(宮崎太一君) 實は政令の方が、そこに十圓と七圓にずつと前からなつておるわけであります。それを但書を運用してやつておるということになつておるわけでありますが、ところが今度法律を改正いたしまして、大體十圓と七圓ということになります。二分の一ということにならないわけでありますので、それは止めた。同時に船員保險委員會にかけまして、こういう問題が決まるわけでございますので、委員會で民主的にこれを決められるということになりますから法律で二分の一という規定を外しましても、實際において今おつしやるようなことは起らないという考えでこういう改正になつておるわけでございます。
#16
○小泉秀吉君 今のお話を承りますと、五十九條と六十條の所の「政令ヲ以テ之ヲ定ム」或いは「政令ノ定ムル所ニ依リ保險料ヲ員擔ス」というようなことであるが、この政令は結局金額を決めるものということだろうと思うのですが、その金額に對しては、全然この法律の審議からオミツトしてしまつて、今お話のようなふうになんとか委員會というような所でどういうふうに決めてもそれが民主的であるから、この法律の審議には全然入らないという御意思なのか、その點はどういうことなんでしようか。
#17
○政府委員(宮崎太一君) お答えいたします、法律の審議に入らないというのでございませんので、大體政令でお委せ願つて、その政令は委員會等にかけて率が決まる。委員會は被保險者の代表と船主側の代表、公益代表が入つて御審議のなるのでありますので、大體妥當なものができるであらうということでお答したわけでございます。
#18
○小泉秀吉君 もう一つ關連しておりますが、昭和二十二年度厚生保險特別會計船員勘定豫算書というのを頂戴しておるが、この數字は先刻御説明になつた數字なのでございましようか。
#19
○政府委員(宮崎太一君) 只今申上げましたのは、改正されまするとこういうことになる。それから御手許に差上げてありますのは、從來分のでございます。それに改正いたしますと、先ほど申上げたような金額になるということでございます。
#20
○小泉秀吉君 それで一般會計よりの受入が二千二百七十一萬三千圓というような數字になるが、これは保險事務を取扱うために政府がかかる經費であるというように了承してよいのでございますか。
#21
○政府委員(宮崎太一君) 二千二百七十一萬三千圓と申しますのは、これは給付費の國庫の負擔でございます。事務費の方は二百五十六萬千圓でございます。業務取扱費というのです。
#22
○委員長(板谷順助君) 尚この法案は豫備審査でありまして、いずれ衆議院から囘付された場合において正式に會議を又開きますから、その際に又御質問願いたいと思います。それから鐵道實相白書に對する御質問がありましたらこの際……。
#23
○新谷寅三郎君 ちよつとその前に今の船員保險關係でございますから一つだけお許し願いたいと思います。船員保險の關係では第二十一囘の國際勞働總會で採擇せられました船員の疾病保險に關する條約案があるのであります。日本の海運が段々國際海運の仲間入りをして行かなければならんわけでありますが、この條約を批准されますのに、今度の船員保險法の政正で以て十分なのでありますかどうかということ、それから十分なる内容を備えておるかどうかということと、この條約案を現在までに批准しております國はどこどこであるかということがお分りになればお答え願いたいと私います。
#24
○政府委員(宮崎太一君) この次までにお答え申します、批准しておるという點は。
#25
○新谷寅三郎君 今度の船員保險法で大體條約案の内容をいわゆる國内法として完備しておるのですか。
#26
○政府委員(宮崎太一君) 條約案よりこちらが上廻つておるのであります。
#27
○委員長(板谷順助君) それじやこの次に御質問願いたいと思います。
#28
○國務大臣(苫米地義三君) この機會に豫めお願いをいたしておきたいのでありますが、船員保險法の一部の改正と、もう一つ續いて出ます、それは失業保險制度であります。それから同時に又失業手當法も一緒に一括して加えることになつておりまして、今日實は閣議で案を出すことになつております。どうかよろしく續いてお願いいたします。
#29
○内村清次君 運輸當局が今囘國有鐵道の實相報告を發表されまして、鐵道の經理の状態を明かにされて、現在のなみなみならんところの經營の苦心を訴えられました態度に對しましては了といたしまするが、その内容の點において二、三質問をしたいと思います。
 その第一點は鐵道が國民への最も大きなサービスは輸送の増強であると思いますが、併し白書の第四の輸送面には詳しくその實相を報告されておりまするが、これが打開策についてまだ納得できない點があるのであります。旅客列車キロが七一%に減つて、反對に旅客人キロが三三・三%になつたのであるから、四倍乃至五倍の混雜ぶりであるということがはつきりいたします。その原因はなんといつても戰爭であると思いまするが、この戰爭の、即ち戰災を受けた客車が二千二百二十八輛、十九%、次に毎年壽命が盡きて使えなくなるところの車が千九百五十輛、一九%、合計四千百七十八輛、三八%になつておるのでありまするが、來年更に一〇%加えて四八%、全體の半分になることになつておりまして、誠に憂うべき状態であります。これに對してどうしても修繕と新造とが必要で、いずれも鐵鋼その他の資材不足が障害となつておるようでありますが、勿論車輛製作會社の製作能率の向上、又これに對するところの協力ということが大切ではありましようが、先ず資材の配給、それからこの配給の割當に對して當局の現在までの態度、いわゆるどういうような態度で接しておられたか、又安定本部及び商工省などがこの計畫面の即ち官廳が無理解ではなかつたかというような氣がいたしますが、この點に對してお伺いいたしたい。
 又今後の見通しが十二萬五千トンということになつておりまするが、これでは需要の半分にも満たない。これで一體鐵道の輸送増強ということが建て直つて行くかどうかということに心配があるわけでありますが、この點に對する答辯を一つお願いいたします。
#30
○國務大臣(苫米地義三君) 只今の御質問の資材の點ございまするが、これは運輸省といたしましても、全く現在では途方に暮れる問題でございまして、この上の荷物の増送要求及び旅客の要求等に對しまして、この儘では到底遂行ができないというような懸念を持つておるものであります。從いまして今日赤裸々の實態を國民の前に御報告をし、又皆さんのお力によりまして本當にこれでなければならんというような御審議を頂きまして、何とか打開の途を講じたいと、實はこう思つておるのであります。そこでこれは實態の報告だけをいたしておりますが、これに對する本當の對策というものを現在練つておりますので、まだ具體案が纒まつておりませんけれども、いずれ纒まりまして、最少限度この程度なければならんというような數字も持つて參りまして、皆さんの御考慮及びにこれに對しては全幅の御協力を頂きたいと、こう考えております。
#31
○内村清次君 この點に對して質問もありすまするが、措きまして次の點に行きます。サービスの大きなものの中で運轉事故の絶滅というのがあります。この列車事故が非常に多くなつた、これも報告されてありまするが、國家社會に對しまして鐵道の公益性を失墜するのは、この運轉事故でありますが、特に人命財産に關する重大問題は特にお互いに吟味し、この原因についても十分調査してやらなければならんと思いますが、この件數が昭和十一年を一〇〇%といたしまして、昭和二十一年度が件數において二、三倍になつておる。列車キロは走行キロ當が三十倍となつております。でこの中に事故件數が多くして、そうして惡質事故の原因を作つておるのは、なんといつてもこの石炭 …炭質の低下であると私は考えます。
 次に機關車乗務員がこれによつて非常な困難を……現在も惱まされておるが、この食生活が非常に窮屈である、榮養が不足しておる、こういうような條件の下に重勞働と闘つておるところの機關車乘務員の苦痛というものは非常に同情せねばなりませんが、先般廣島文理大の調査した報告を聞いて見ますと、配給によるところの乘務員の疲勞度測定の結果が、現在の給食、この配給食だけでやると、四日間で遂に握力が三分の一に減退して、乘務が不能になるということの報告を聞いておるわけであります。でこれは誠に同情に堪えないところと思いますが、この石炭、炭質の不良の點に對するところの當局の今後の施策の點について一つお願いいたします。
 それから次に施設の不備も同樣でありまして、現在機關車の速度計の不十分である、或いは標織燈がない。それから信號機及びその部品等が完全でないというような點に對しての附帶事故というものも相當件數が上つておるように聞きます。で特に重大事故の原因は、この線路と橋梁の衰弱でありまして、この點は實相報告にも大體詳しく報告されてありまするが、この點の不良であるために列車の速度が向上されない。又、途中で脱線等が非常にある。こういうようなことの原因に對しまして、乘務員が、最近本當に自分の責任感からして、安全運轉をやるんだというような聲をも聞いておるような次第でありまして、小倉監理部管内、又廣島管内あたりではそういうような聲をちよいちよい聞くわけでありまするが、これも全く同情すべきところの空氣であると、こう思いますが、これに對して當局はどんな手を打たれるか、その點一つお伺いして置きたい。
#32
○國務大臣(苫米地義三君) 最初の御質問の事故の問題でございますが、誠に意外に多數になつておりまして、誠に申譯ない次第でございます。大體この原因が私は三つの大きな點があると思いますが、その第一はこの線路の上の老朽、今お話しのレールの老廢、枕木の腐朽、及び鐵橋等の修理の不十分というような、線路の上における老廢の度が相當進んでおるというような點が一つであります。第二にはそれを走りまするところの機關車及び貨車、客車の車の老廢でございます。そこの白書にもございまするようにいづれも超過年限、即ち耐久年限を超過しておるものが相當の割合を占めておりまして、これ又事故發生の大きな原因の一つになつておると思います。
 第三の點は同じように白書に書いてありまするように、從業員の訓練、技術が非常に若くなつておりまして、この技術訓練のいくらか退歩というようなこともあるのではないかと思うのでございまして、これが綜合的に原因し、そうして外部的に、例えば風水害であるとかというような外部的な原因とからみ合つて今日のような多數の事故が發生しておると思うのでありまして、これに對しましても、先程申上げました資材の獲得を是非いたしまして、そうしてこの線路の補修、及び車の補強というものをやらなければならんと思うのであります。内部的には若干從業員の訓練をいたしまして、それ又施設をいたしております。さようなことで復興しなければならんと考えております。それから石炭の點でずいますが、これは全く御説の通りでありまして、その白書にもありまするように、戰前にはカロリーが六千五百カロリー以上ということになつております。然るに今囘は炭種にいたしましても、聞く所によれば二百種以上あるそうであります。從いましてその品質というものは非常に下がりまして、甚しいのは三千カロリーに滿たないというものも入つてくる。でこれらのものを平均いたしまして五千二三百カロリーになつておりまするが、この非常な變化のある品質のものをうまく焚きこなして行くということは、これは容易じやないと思います。そこで入手も餘計かかりまするし、又それによつて灰分が多いのでありますから、この灰分は一定の場所に取れません。從つてレールの上を徹いて歩く。このことは線路を傷め、又工事を頻繁にしなければならんというようなことになりまして、相列んで非常な障碍をいたしております。のみならず、算盤が非常に惡い。例えば石炭の品質が一割違いますれば熱カロリーが一割八分違うということでございます。又二割違えば約半分に下がる、こういうことでありまして、鐵道の運營に對しましては石炭問題、これが最も重大な問題だと實は思うのであります。若し鐵道復興の重大なる問題といたしまするならば、この石炭及び電力の動力を確保する。動力源を確保することが重要な問題であろうかと思うのでありまして、この點に對しましても、今具體的にどうすればいいかということを研究いたしております。詳しい點につきましては又長官から御答えいたします。
#33
○政府委員(伊能繁次郎君) 只今御質問になりました細目につきまして私からお答し申上げます。安定本部との關係、竝びに運輸省が資材を政府全般から計畫に基づいて配當を受けております内容につきましては、只今内村さんからお尋ねの際にお話がありました通りでございます。當初十四萬八千トンの鋼材の割當が十二萬五千トン程度に減少はいたしましたが、これは全體の生産の減少、或いは計畫の如く參らん度合に比較いたしますれば、政府部内、安定本部といたしましても輸送に對してはこれでも格別な配慮をして頂いたのでありまして、現實の生産量につきましては遺憾ながら相當に減少した。主要資材について生産上の減少を來しておるようでございます。併し石炭、鐵を中心といたします傾斜生産を實施する上においては、輸送がその鼎の一つであるという意味におきまして、我々から考えますれば、御説の如く半分にも足りないという状況ではございまするが、國内全般の需給の面から見ますと、最重點の一つに置かれたということが言い得ると存ずるのであります。又先般の山陽線の事故竝びに北九州西八幡の事故等に鑑みまして、從事員方面においても安全運轉の問題も議論の上に乘つておるという點につきましては、私どもも常に組合側と緊密な連絡を取りまして、これが對策を練つております。現在運轉いたしておりまする列車のダイヤは、昭和十七年に編成いたしました戰時ダイヤの殘滓でありましてその後根本的な時刻政正を客貨を通じていたしておりません。從いまして車輛竝びに施設の現状に鑑みまして、それに調和のとれた運轉ということにつきましても、急速に私どもとしては考慮をいたさなければならんと存じまして、實はこの秋を期して通勤、通學竝びに經濟的な輸送列車の設定、その他全般的な時刻の改正を計畫いたしたのでありまするが、御承知の如く秋から冬にかけましては、石炭の需要期に入りますために、時刻改正の時期としても時節がら必ずしも適當でない、かように考えまして、殘念ながら來春に根本的時刻改正を延期するということで、目下組合側ともこれが根本的な方針について協議中でございます。先般白書の御説明を申上げました際、大臣からもお話しを申上げたと存ずるのでありますが、急行列車につきましては三時間餘りも東京大阪で時刻が延びておるというようなこと、又一般普通列車につきましても、常磐線等、石炭列車の輻湊しておる區間、或いは北九州地帶等につきましては石炭の節約を目標に、又輸送力が全體として落ちない限度、この點はいろいろ技術的な研究をいたしておりまするが、現在の輸送力に影響を生じない程度において、列車の運轉時刻につきましてもその時その時の時間別の列車につきまして、一部運轉時刻を若干でも延ばす、又最近におきまして、終戰後の特殊事情に基づきまして各ジャンクシヨンにおける乘繼驛、乘換驛、終端驛等における列車の取扱い時間を相當延長をいたしておりますので、最近は客の流れも大分落ちついても參りましたので、これらの乘換、乘繼驛等における停車時間の短縮と、それに對應する運轉時刻の若干の延長というようなことも考え合せまして、車輛施設の不備と運轉自體の面からも補つて參りたい、かようにも實は考えております。又炭質の向上の問題につきましては、目下政府全體といたしましては、御承知のように炭質向上運動を商工省を中心として強力に展開をいたしておりますが、私どもの方といたしましても粉炭をそのまま使わずに固形化して使う、竝びにピツチの配給をでき得る限り受けましてピツチ煉炭についてもできる限りの増産を圖り、その他乏しい、又比較的種々雜多な石炭ではありますが、春から夏期にかけましては御承知のように石炭の節約時間でありますので、この機會にできる限り貯炭態勢を強化して機關區その他現場における綜合配炭制、或いは混炭制を十分に強化して參るというような方向で、最近相當節約の實績も上つておりまして、現場從事員の勞苦を多といたしまして、これに對する報奨金その他の制度につきましても、成績は可なり見るべきものもありますので、技術の面竝びに從事員の努力の面、又管理者の我々の施策の面等、各方面の見地から合理的な輸送態勢を建てまして、事故の防止等に全力を注いで行きたいと、かように考えております。
#34
○内村清次君 今囘鐵道運賃値上に對しましての運賃値上とそれから從事員の給與の關係について質問いたしますが、白書にも明らかでありますが、鐵道經費中人件費の占むる割合は三六%、而も戰前の五五%に比較して見ると、むしろ安きに過ぎるくらいでありまするが、この職員給與値上が必ずしも運賃値上の最大の要件でなくして、運賃値上の最大原因はインフレによるところの物價昂騰及び今囘政府が作定しました物價改訂であると考えていいかどうか、その點、一つ伺います。
#35
○國務大臣(苫米地義三君) 運賃の値上と物價の値上の比較はそこにございますように、運賃は三倍半に上りましたが、石炭は七倍に上つております。その他使うものは悉く上りまして、その上つた、歩合が尚運賃の値上の方が低いという状態である。それを計算して見ますと大體運賃は昭和十一年度に比べまして、貨物は二十一倍になります。それから旅客は二十二倍餘ということになつておりますが、それに對比いたしまして、我々の使う石炭が百三十三倍になつておる、それから鐵鋼、銑鐵が六十五倍それから枕木が九十六倍と思います。それからセメントというようなものが八十何倍というようなことになつております。物價の値上が非常に大きいといということでありますが、割合から比較いたしますというと、人件費がまだ少ない、そういう比率が出るのでありまして、これは戰前の比率又は諸外國の比率から申しますると、物件費が高いか、人件費が安過ぎるか、どちらかという數字になりますけれども、私共はこの點に對しましては、もう少し物價の落ちつきと賃銀の落ちつきがどういうふうになるかということを見守つて行かなければならんと思つております。ただそういう數字になつておるということを、そのままそこに表しておる次第であります。
#36
○内村清次君 第四點は、鐵道財政方面についてお尋ねをいたしますが、二十一年度鐵道省の財政は、收支バランスを失墜して一六六%となつて五十三億の赤字でございます。二十二年度の豫算は當初から八十三億餘萬圓の赤字が豫定されて、更に今囘の新物價體系の影響から運賃改正に拘わらず、二十二年度の赤字は八十三億から百二十三億に増大する結果になつたと報告されておりますが、そこでまづ考えねばならんことは運賃の問題でありまするが、運賃制度原則として當局が發表しておりまするのは、この物價と給與と竝行した水準にあることが、適當であると述べられて、その時代の國家財政と、經濟政策を睨み合わせて、社會政策的な品目別の運賃賦課率を決定すべきであるということを認めておられます。今囘の運賃は、こういうような即ち觀點からなされたといたしましたならば、我々は或る點了解もつきまするが、併し一點この不可解な點は、若しも獨立採算制の建前から收支のバランスをとるべき目的であつたとしたならば、結果的に見て、八十三億から百二十三億になる理由はあり得ない。こう思いまするが、この點について御方針を一つ承りたいと思います。
#37
○國務大臣(苫米地義三君) 御質問御尤もであります。大體は獨立採算制を堅持するという建前が前の内閣時代からございまして、鐵道自體といたしましては、三倍値上げを計畫しておつたわけであります。ところがその三倍値上げで以て、八十三億餘の赤字が消えると見たのは、物價がそのままの前提で考えたのであります。然るに新内閣ができまして、このインフレーシヨンの立場からいたしまして、新物價を全般的に建て直さなければならんと、こういうことが大きな政策の上に取上げられたわけであります。そこでこの運賃も、運輸省の實態をむしろ離れて、物價という大きな面の中に取り入れられて、安本でこれは計算したわけであります。この計算の過程を申し上げますというと、先ず三倍半にいたしますれば、採算も獨立がややできると、多少は少いけれども、それは經營合理化で補いのできる程度に縮まる。そうして外の物價が戰前の大體四十八倍程度に落ちつくと、こういうことであつたのであります。然らば我々は經營合理化によつてその確か四十億ぐらいと思いましたが、その程度ならば、必ずやり終うせる。こういうふうに考えておつたわけであります。ところがその四十八倍という基準が段々はね返りが來た結果といたしまして、結局六十倍乃至六十五倍ということに安定帶を決めたのであります。そういたしますというと、その比例で運賃を上げれば、又これはそのはね返りが物價へ行きますから、運賃だけはそのままになつた。こういうことで、バランスのとれない物價と運賃との差ができたわけであります。從いまして、獨立採算制を維持するという建前からいたしますれば、その目的がちよつと外れて參りました。この點に對しましては將來どういうふうにするかということは、本當に企業として獨立採算制を採つて行くか、もう一つはこの國鐵の社會性に鑑みまして、この程度ならば外の物價を維持し、生活を安定させるという上から言えば、國の負擔においてやつた方がいいかということは、これは一つ新らしい觀點から又考えて見なければならんと思うのであります。無論一方はインフレーシヨンの問題もありますし、健全財政の面もございまするから、愼重にこの點は考えなければならんと思うのであります。それから尚赤字の金額の問題でありまするが、この前私がこの委員會で御説明を申し上げたと思いますが、最初の豫想からいたしますれば、追加豫算の赤字がやはり八十數億になりまして、結局一ケ年合計して、本年は百七十三億ぐらいあるであろうということを報告申し上げたつもりでございます。然るにこの白書には、百二十三億に落ちついたと、こう書いてございますが、實はその後尚大藏省と折衝一が續けられまして、結局百十九億なにがしとなつたわけであります。この百十九億と、一番最初に私が申上げました百七十三億という間には、五十四億の差がございます。その五十四億はどういうふうになつて減つたかと申しますというと、その中の二十二億は手持品、即ち石炭であるとか、鐵鋼であるとか、その他資材の手持が新價格によつて値上りがあつたというのによりまして、二十二億の補給をいたしたのであります。三十一億は、これは經營合理化というものを眼目にして、一面は運送の量の増加によりまして、收入を高めるという點が約十億以上あつたと思います。それからその他の二十億ぐらいは、石炭その他の節約、先ほど長官から申上げました石炭の節約とか、その他物資の節約、合理化によりまして、三十一億だけは是が非でも合理化の上で成績を擧げたいと、こういう積りで、結局五十四億の差がそこにできたわけでございます。精々この經營の改善に對しては努力する積りであります。
#38
○内村清次君 次に、物件費の中で、特に注意されております點は石炭でありまするが、年間使用五百五十萬トン、六月までは、鐵道用炭には、この石炭に對して價格差補償金というものがあつて、トン當りが百八十四圓になつておつたのですが、新物價體系ではこれが廃止されておる。その結果が、年間使用の石炭代が百億圓にも上つておる。こういうような状態であるが、この石炭買上げによるところの赤字が、もう既に六十八億が鐵道財政に不消化のまま赤字になつておるというような現状でありますが、これに對して政府はそれから國定の會計において石炭に補償金をやるかやらないかこの件を一つお伺いします。
 それから引續きまして、石炭においてかような状態でありまするが、綱鐵、セメント、枕木と、こういうような新物價體系の値上りで、鐵道財政というものが根本的に破壞されているということをここで認められるかどうか。
 それでこういう觀點からいたしまして國鐵のこの現在の赤字というものは、先ず戰災被害によるところの應急復興費と、それから新物價體系によるところの物價の不當な釣り上げに起因するものであると自分は見ます。で國鐵の施設の衰退されたところの第一の原因は、戰爭の十ケ年に亙るところの軍事費、これに吸收された。こういうような感じも考えますが、先ずこの昭和十一年から昭和二十年に亙るところの、戰爭十ケ年間に、七億六千四百萬圓を戰費に繰り入れておられる。このの數字はパーセントにして五七%です。年收入の五七%に相當するところの金額を一般會計に繰り入れておられた。昭和二十二年度の當時、收入豫算が二百七十億の五七%といいますと、百五十三億九千萬圓になりますが、戰爭中に、當然補修費に充當すべきところの金額を戰費に繰り入れた結果である。だから施設の荒廢と、戰災によるところの被害とを合せたならば、七百五十億の財産を喪失したということになりますが、戰災による復舊が今後五ケ年間を要するとしましても、七百五十億を五ケ年繼續工事費として、年額が百五十億であるが、從つて鐵道財政に對しては、政府はこれを一般會計において國鐵に年額百五十四億を補充すべきが當然でないかと思うが、この點に對して、これは大臣に一つ伺いたい。
#39
○國務大臣(苫米地義三君) 只今の石炭の値上りに對して政府が補給金を出すかどうかという點に對しましては、これは今の財政の状態から申しまして、補給金は出せないだろうと思います。又補給金制度を全面的に廢止しようというような一般的な方針もございまするので、今まであつたのを、むしろ中正したということになりまするから、これは鐵道會計それ自身で改善の方法を考えなければならんと思うのです。それから戰時中この苦しい經營を續けまして、そうして黒字があればこれを政府へ納めたというような點も無論でございます。その方の何と言いますか、損害と言いますか、よりかもむしろ戰時中になすべき補強をしなかつたということが累積して、そこに書いてありますように、鐵鋼から申しますれば二十五萬トン、それから鐵橋方面で十三萬トンというような厖大なこの資材が加わらなけければ、元の力が維持できないということになりまするから、お説のように十分な力を國が注がなければならないと思います。そのことと、それから獨立採算制度をどうするかという點に對しましては、これはゆつくり一つ根本的に皆さんの間にも御協議を願いたいと思つて、折角今五ケ年計畫内で、具體的な研究をいたしております。その上で御相談申上げたい。
#40
○内村清次君 その點に對しては答辯が不十分でありまして、もう少しく次次と質問して行きたいのですが、皆さん方の質問も待つておられますようですが、次に職員の給與に對して質問いたしまするが、人件費は先程申しました通りに、鐵道の經營面に對して影響しておるところの部面は、白書の中に昭和十一年が、人件費が五百五十七、物件費が四百四十三、二十年が五百です。物件費も五百、二十一年が五百十八の、物件費が四百八十二、二十二年で千二百圓に引上げて五百六の、物件費が四百九十四、それから新物價體系の千八百圓に對して、人件費が三百五十一の、物價費が六百四十九と、こういうような表になつて、勿論これは數字的にこの表には切上げてありまするが、新物價體系がこの鐵道財政を非常に破壞的に追い込んだということは、先程からの御説明にもあつたわけですが、この鐵道職員の生活を極度に貧困に陷れているということも、一面率から申しますると窺われまするが、このアンバランスに對しまして、いわゆる職員の給與を今後引上げるというような御意思があるかどうか、その點を一つ……。
#41
○國務大臣(苫米地義三君) 總體的な計算から言えば、お説の通りに物件費の方が多くなつて、人件費が少くなくなつておる。さればというつて、その割合で人件費を殖やすかどうかということになりますれば、この頃御承知のように官廳の給與というものは全般的な振合がございまして、一省だけで單獨でやるわけに行きません。のみならず今の物價の體系は千八百圓でとにかく實質賃銀が安定するという建前でやつておりますものでありますから、今そういう綜合的な數字が出るからと言つて、鐵道の方では給與を上げるというわけにも參りません。さればといつて、勤勞者の生活困難は、これは同情に値するのでありますから、全般的な給與問題につきましては、内閣でも今それぞれ考えております。その具體的な問題はなだはつきり分りませんけれども、とにかくまあ、この物價の落著くまてはどうしたらいいかということを今研究いたしております。
#42
○内村清次君 最後の白書の結びについてのことについてお伺いいたしますが、この對策として先ず當局が擧げておられまするのは、次の二點のように伺います。その一點は經營合理化の強力な推進、その中の石炭の節約によるところの列車増發、それから能率の増進、これは人員の適正配置、教育制度の強化、從事員の素質の向上、能率の向上によるところの從事員の節減、こういうような點と、三番が物資の節約、これは經費の二〇%を占める石炭の粉炭の煉炭化、或いは助燃材の發見、乘務員の技術の向上、四番が鐵道の電化計畫、こういうような四つの點が擧つておりまするが、その次の六の項として、目下國鐵の五ケ年計畫の策定中である、こういうふうに申されておる。一と二と、四と五は、これは實際對策をやつておらない。綜合して見ますると、極めて合理化の面も、ただ鐵道の、即ち枠内だけで職場的な合理化で、而も又これは從事員の、即ち勞働力の個人的荷重ということも目的を持つて計畫しておられるように感ぜられまするが、この鐵道白書の内容からいたしましての結びが、これではどうしても國民は納得しないんじやないかと、こう思われます。我々はもうとにかく政黨を超越して、そうしてこの鐵道に新鮮な血液を流したいと、こうやつてお互い協力して行くことは、これは啻に國鐵のことばかりでなくて、國家の産業を興すゆえんであると、こう感じておるのでありますが、運輸當局の責任者が、こうせなくてはどうしても赤字は解消しない。だから即ちこうやつて行くべえというようなことを。もう少しはつきり一つ言い現わされて行かれなくては、どうしても赤字というものは解消しないんじやないか、こう思いまするが、この點に對して一つお伺いいたします。
#43
○國務大臣(苫米地義三君) この白書は現状をそのまま現わしたというのが目的でございまして、この状態に對する對策というものは全然ないわけであります。ただ一番最後に、この考え方の片鱗をそこへ現わしただけであります。それはこれによりまして國民は納得ができないだろうと思います。その方はむしろ今後の對策をどうするかということを具體的に申上げまして、御了解を得なければならないと思うのでありますが、先程來申上げるように、今折角これは檢討中でございます。ただ私達としては、もう急いでおりますのは資材の獲得、これが焦眉の急でございまして、そうしてそれに並行してやらなければならんのは、國民一般の御理解の上から申しましても、經營の合理化をして、そうして我々のやるだけのことをやり盡したというような態度に出て、それともつと長い目でこの國鐵をどうするかという大きな觀點からも、又それに對する具體策も續けて考えなければならんと、こう思つております。どうぞ白書だけでは對策は十分書いてございませんから、不十分でございまするから、もう暫く時を假して頂きたいと思います。
#44
○内村清次君 委員長に一つお願いいたしますが、この白書に對する質問や、又質問に對しての續きあたりも、今後この委員會即ち議題の隙でも宜しうございますが、これを一つ續行をお願いいたしまして、そうして自分達はどうしても國民の立場からもう少しこれを詳細に檢討し、そうして復興に對しての積極的な方法も考えなければならないと、こういうようなことも考えておりまするが、その點に對して一つ善處方をお願いいたします。
#45
○委員長(板谷順助君) 承知いたしました。外に御質問はいかがですか。そうするとこの白書に對する質問は廣汎に亙つておることでありまするから、これで打切りということでなく、又適當の時期に御質問願うということにいたしまして、次に海難審判法の質疑を繼續いたします。
#46
○丹羽五郎君 この海難審判法でありますが、その審議の前に、一つ希望があるのですが、總則の第三條の第四號に「水路圖誌」ということがありますが、船舶運行に關しましては、一番この水路圖誌が大切なものであります。特に日本に、終戰後、又終戰前でも、甚だ水路圖誌が貧弱である。且つ終戰後におきましては、あらゆる沈船浮流物、その他新らしい船舶の航行ができ得ない部面が澤山現われて來たのにも拘わらず、水路圖誌が全然完成したやつができていないのですが、これは至急に當局は、なんとか少くも船舶がこの水路圖誌によつて安全航海ができるように一つ圖つて貰いたいということを希望いたします。
 先般私がここでお尋ねをしましたときに、少し後にちよつと考えた點でありますが、新しく今度、第十四條に參審員を置くということは、これは一應新しい試みである。且つ今度の海難審判法の目的は、その原因がどこにあるかというその原因を突き止めることがこの新らしい海難審判所の一番最大の目的のように考えておりますが、それを審理するについて、この學識經驗ある參審員を置くということは、新らしい考え方で結構だと、かように考えておりますが、この參審員の制度を、陪審法制度が以前ありましたが、その陪審法制度をでき得るならば參照してここに採つて貰いたいということを希望いたします。
 それから今度參審員の資格ですが、第十一條の「審判官は、獨立してその職權を行う。」とありますが、それと同樣に、この參審員は審判官と同一の立場を保有するというように考えてよいのだと、ここに明らかに書いてありますが、一應それをお尋ねしたいと思います。
#47
○政府委員(大久保武雄君) 最初の水路圖誌につきましては、極力整備に努めておりますけれども、この點がお説のように非常に今後における安全上重要な問題でありますから、今後におきましても政府は一層これの整備に努力をいたしたいと思つております。
 尚次にお尋ねの參審員制度でありますが、參審員の制度は陪審員制度よりももう一歩進んだ行き方である、かように考えております。即ち陪審員制度は、裁判長の問に答える權能を附與せられておつたのでありまするけれども、參審員制度は、參審員といたしまして審判に列席いたします場合におきましては、これは審判官と同一の職權を持つことに相成るわけであります。即ち獨立してその職務を行うということに相成るわけであります。
#48
○丹羽五郎君 第十六條の末項に…以前お尋ねした時に參審員の總數は十五名ということを聞いておつたのですが、これは地方海難審判所、それから高等海難審判所、兩方共十五名を置くわけでありますか。
#49
○政府委員(大久保武雄君) 十五名と申しますのは、全國で十五名でありまして、高等海難審判所、地方海難審判所、それぞれ手續の定めるところによりまして所要の參審員を置く、こういうことになります。
#50
○丹羽五郎君 十六條の末項の「參審員二名を以て構成する」とありますが、一應立法の精神をお尋ねいたします。
#51
○政府委員(大久保武雄君) この點は、高等審判所、地方審判所共參審員二名を以て構成する、こういうことになります。
#52
○丹羽五郎君 この二名ということは、地方海難審判所は審判官が三名、それから高等海難審判所は五名ということになつておるから參審員としては二名と、奇數で以てこれを律しておるという考えで二名ということを決められたのですか。
#53
○政府委員(大久保武雄君) これは審判官五名プラス二名、即ち高等審判所では七名になります。地方審判所では三名プラス二名、そういう意味であります。
#54
○丹羽五郎君 それから二十五條の補佐人の關係ですが、高等海難審判所に限り、「補佐人として登録した者の中からこれを選任しなければならない。但し、審判所の許可を受けたときは、この限りでない。」ということにここに書いてありますけれども、私はこの「審判所の許可を受けたときは、この限りでない。」という精神と、第四條の規定の中に、末項に「海難審判所は、必要と認めるときは、前項の者以外の者で海難の原因に關係のあるものに對し勸告をする旨の裁決をすることができる。」即ちその原因がこの海技免状を所有しておる以外の者に發生した場合には、そのものに對する勸告の裁決をすることができるということが、ここに謳つてありますが、これを對照して眺めるならば、私は少くも今後海難審判所の本當の技術的の根據によつて事件を審査し裁定するということになるならば、在來の海事審判補佐人という者は、甲種免状所持者又は機關長免状所持者であつて、或る一定期間船舶に乗つておつた者が、海事審判の補佐人の登録の申請をして登録された者が、補佐人になる資格を持つておるのでありますが、私はこの場合に、審判所の許可を受けたときはこの限りでないという但書に對して、海事特別補佐人制度を私は設けて貰いたい。ということは、これから或いは造船所が作つた船の機關に對しての又技術的の問題が起つて來ようと考えます。又諸般の問題において事ごとにこの在來の海事審判と精神が違つておる上におきまして、補佐人に特別補佐人の制度を設けて、そのエキスパート、その技術者がそれに對しこの技術的の掘り下げた意見を徴して、そうしてそれによつて裁決するということが、私一番合法的な裁決の方法じやなかろうか、而もそのような新らしい海難審判というようなものをここに組み立てた以上は、完璧を期して見たいと思うので、ここに海事特別補佐人制度は拵えて、その事件に對して補佐人の申請をして、その補佐人がそれによつて自己の立場の經驗、或いはすべてにおいて事件を律して行くということに持つて行くことが、極めて合法的じやなかろうかと、かように考えておるのであります。その御意見をお伺いしたいと思います。
#55
○政府委員(大久保武雄君) 第二十五條但書の「審判所の許可を受けたときは、この限りでない。」という條項は、只今のお説のように、刑事訴訟法における特別辯護人と同じように、本法におきましても受審人と特別の關係のある者が補佐する、即ち特別補佐人の場合を考えておるわけであります。只今お話のような點は、この但書によつて解決せられるだろうと考えております。
#56
○丹羽五郎君 海事特別補佐人という項目を一つここに明らかに置いておいた方が、僕は立法の精神を現わすのに非常にはつきりするのじやなかろうかと、かように考えます。
#57
○政府委員(大久保武雄君) この點は、但書の運用に當りまして、只今お答え申上げました通り、特別補佐人の制度を採り入れる建前で運用いたすことに相成つております。御了承願います。
#58
○丹羽五郎君 それからもう一つ、第四十六條の控告の期間ですが、先般私はこれを申上げましたが、「第一項の請求は、裁決の言渡の日から七日以内にこれをしなければならない。」これは裁決の言渡から七日以内と、かように私は考えております。先般これをお尋ねした折は、裁決告知書の到達の日から七日ということを政府委員がら答えがあつたのですが、明らかに第四十四條に「裁決の告知は、審判廷における言渡によつてこれをする。」ということになつている以上、新らしく裁決の告知が出ないものだと、私はかように考えております。尚それにいたしたところが、この七日ということは、實は海員懲戒法の制定された明治二十九年からの七日であつて、今日、過日申上げたこの通信の不備な折に、この七日を以てこれを律するということは、私は非常に、危險なことじやなからうかと、かように考えております。それから舊法と申しますが、舊法の第五章の「高等海員審判所ノ審判」の第四十條に、「控告ノ期間ハ裁決言渡アリタル日ヨリ七日トス缺席裁決ニ對スル控告ノ期間ハ被審人自ラ裁決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ十四日トス」、こういうことになつておりますが、私はむしろこういうように明らかにこちらにこの控告の期間を明示することが必要じやなかろうかと、かように考えております。
#59
○政府委員(大久保武雄君) 甚だ申譯ありませんが、この前、送達の日よりと申上げましたのは誤りでございまして、謹しんで訂正をさして頂きたいと思います。この點は裁決の言渡のあつた日の翌日から起算いたしまして七日以内、こういうことに相成つております。そこで法の建前といたしましては、對審をいたします關係上、受審人の出席いたしておりますことを建前といたしております。そこに一週間の期間を置いておきますれば、大體本人の決心はつき得るものである、かように判斷をいたしているのであります。勿論缺席の場合も考えられますが、法の建前上、缺席ということを成るべくなからしめますために七日ということにいたしているような次第でございます。
#60
○丹羽五郎君 大體七日という古い觀念を以てこれを起案されることは甚だ遺憾に考えます。今日普通速達においても東京都内において、過日も申上げたように三日もかかる時代に、この船員のごとき移動性の職業を持つている者に對して、七日を以てこの控告の期間を切るということは、人權をこういうものによつて拘束するような嫌いが非常にあり、且つ私は七日を以て律することは非常に危險を招來する、かように考えるのであります。
#61
○政府委員(大久保武雄君) 本法は御承知のように海難の原因の根本的探究を使命といたしておりますので、どういたしましても、審判の關係人が出席をいたしておりませんと、實相の探究というものはできない次第であります。本法の精神は對審によるという建前上、受審人の出席いたしておるということを建前といたしまして、かように期間を想定いたしておりますことを御了承願いたいと思います。
#62
○丹羽五郎君 私はこの七日間を固執するわけじやありませんが、この七日を十四日にしても二十日にしても、私は立法の精神には一つも變るところがないと思う。こういうところに、僅が字句の七日と書いたものを固執されるということは、實に明朗な船員局長としてのお答えとしては、甚だ私は遺憾に考えておるのであります。今日の東京都内における通信がいく日かかつておるかを、私は參考に一つお聞きしたい。
#63
○政府委員(大久保武雄君) 缺席の場合を考えますると、七日という期間が、丹羽委員の御説のように若干の問題はあろうかと思いますが、まあ法の精神は對審制度、即ち缺席判決は努めてこれをなからしめたいという、民主的な精神に鑑みまして、出席しておるという前提の下に七日、こういうふうに考えておりますが、その點相成るべくは御了承を賜わりたいと思います。
#64
○丹羽五郎君 私がこれを力説するということは、假に缺席した人が、或いは病氣か、そういうようなことになつて缺席するということもあると思います。そういう人に對して七日ということを、この通信の不備な時期に持つて行くことは、私は非常に控告期間を拵えたという精神から見て、これを十日くらい延すことが、何がそれ程躊躇しなければならんのか、こういうところが極く偏狹な官僚政治の現われであるということを私は申上げておきたい。
#65
○政府委員(大久保武雄君) この點は、丹羽委員の御説御尤もと存じまするが、審判制度は司法機關と違いまして、いろいろ審判の行使上、強制力において若干弱い點もございまして、本當に審判制度の本旨を活かしますためには、當事者の出席というものによる協力がございませんでした場合におきましては、海難の原因の探究という目的の大半が失われるという點もあります。勿論本法はいろいろな場合を想定いたしまして、受審人のない場合における審判も考えておりますが、これ等は殆どその全員遭難というような場合であります。それにいたしましても、關係人の出席は努めてこれを確保いたしませんと、審判の繼續はできないわけであります。かような關係から、法の精神から申しまして、又審判制度の本質から申しまして、關係者の出席というものを強く希望いたしたいがために、ここに出席を前提といたしまして、七日という制度が採られてありますことを御了承願います。
#66
○丹羽五郎君 私はさような貧弱な答辯によつて滿足をいたしません。併し時間の都合もありますから、これは後日に保留して、よくこれを延さなければならん理由を得心の行くように、私はすべての事例によつて御説明を申上げて、私はお教えをいたしたい。かように考えておりますから、この問題はこれで保留をいたしましよう。
 それじやもう一つお尋ねをいたしますが、第六十一條の「免状行使の禁止又は停止を言い渡された者が理事官に免状を差し出さないときは、理事官は、その免状の無效を宣し、これを官報に告示しなければならない」。これは船員としては、海技免状所持者としては、最も重大な問題です。然らばこの六十一條に、そういう免状の行使の禁止又は停止をされた者に對しては理事官に免状を出すということが必要であれば、何日間にそれを出せと、假りにその裁決を言い渡された折りに、免状を持つていない場合もあると思う。併し感情によつて、随分理事官と激論もやるようなときもあろうと思いますが、そういう感情によつてやられるような、この危險な、はつきりしていない、不明實なこの文章は、法律としても、私は六十一條の起案者の精神を疑つて見たい。かように考えております。一應私はこれは、今申上げた最も大切なる、何日間にこれを、何日間に免状を出さなかつた者はその免状の無效を宣するということに明らかにされなければ、これ程危險な條文はないと、かように考えております。そのお答えを得たいと思います。
#67
○政府委員(大久保武雄君) その點も、信義誠實の原則と申しますか、理事官は、免状を差し出させることにつきましては、極力督促をいたしまして、どうしても差し出しがない場合におきまして免状の無效を宣するという建前を採つておりますわけであります。一に理事官の良識に基づいて處斷をいたしたい、かような考えであります。
#68
○丹羽五郎君 ここに明記をしなければならんかような明らかなことのあるのに、ただ一に理事官の良識に委すというようなことは、私は非常に危險であると、かように考えております。かるが故にこの六十一條は、ここに免状を差し出さなければならん時間即ち期日を、私は明記をしてもらいたいということを、ここで要求をいたします。一應私の質問はこれで終りたいと思います。
#69
○政府委員(大久保武雄君) この點は、裁決によつて處斷が決まるわけでありますが、理事官といたしましては、やはり最後まで本人の審判制度に協力する精神によつて提出を求めることにいたしまして、どうしても出さない場合というふうに考えておるわけであります。從來の海員懲戒制度の、懲戒を建前といたしました場合におきましても、この點につきましては、比較的支障なく繼續せられておりましたわけでありますが、又實際上無效を宣するというような事例も、從來もなかつた次第でありまして、法の精神を關係者が本當に理解して協力して貰いましたならば、この六十一條の運用も、從來同樣スムーズに處理し得るのではないかと、かように考えております。
#70
○丹羽五郎君 大分親切に申上げておるのであるが、一向お分りにならんのですが、今日は暑いので、少し政府委員の頭がどうかしておるかと、かように考えておりますが、私は少くも受審人の利益を考えることも私は考えて貰いたい。我々はこの法によつて海技免状受有者のみを律するのではなくして、半面我々自身の當然得る利益をも考えて行かなければならん、かように考えております。それから七日の時間、これは極く簡單に考えれば七日という小さい問題であるが、私は受審人の利益及びこの六十一條の海員免状を持つておる、受審人といたしましては最も危險な法なんであります。
 この法文を私は明らかにせいというたのに何ら目覺めもせずに今のようなお話しを承るということについては、これを以て政府委員は飽くまでこの法案を通するというならば、私は私の一つの考えを以てその非を天下に公明して、この問題を解決して見たい、かように考えております。かるが故に、まだ豫備審査でありますから、十分この終結するまでの間に、よく小さい感情に囚われずに、自己が書いた法文であるからというような小さい見地に囚われずに、もう一遍私はお考えになるように、冷靜にこの法案をもう一遍再考をお願いいたしたいと、かように考えております。
#71
○委員長(板谷順助君) 委員長から政府委員に申上げますが、丹羽委員の御質問に對するもつと了解を得るように、この法の精神がどういうところにあるかということが納得の行くように、必ずしも原案を我々が丸呑みにするという意味ではないのですから、よく了解を得て、若しこれが不都合であるとすれば訂正する權利は我々委員會にあるのですから、その點よく御了承願いたい、よく御研究を願つてもつと納得のいくように御答辯を願います。
 この筋が立たんとすれば、この問題は相當考えなければならんと考えております。實は船員法の改正法案がまだ豫備審査です。我々の委員會においては豫算に關係のないものは、我々參議院としても議決して、衆議院へ廻すのがいいのではないかと思うのでありますが、ところが法案の豫備審査になつておるために、まだ漸く海運協會が一つ片附いただけで、いくつも重なつておるけれども、船員保險法などの審議が濟んでないのに、正式の決定ができないような關係で非常に遺憾に考えておりますが、豫算に關係のないものは豫備審査でなく、正式に委員會にかけてどんどん進行させたいと思いますから、それを一つ御承知おき願つておきます。
#72
○小泉秀吉君 二十五條の但書の「海事補佐人の資格及び登録に關する事項は、命令でこれを定める。」この命令と政令というのはどういうふうに違いますか。
#73
○政府委員(大久保武雄君) 命令は政令又は省令であると考えられますが、この命令は省令で定める、こういうことです。
#74
○小泉秀吉君 ちよつと關連して申上げてよろしうございますか、この前丹羽さんから御質問があつたようですが、「審判所の許可を受けたときは、この限りでない」というのは、具體的に言うと現在はよく船會社のこうした事務を擔當する係の人が補佐人として出ますけれども、この意味はそういう人もこの法案ではやはり一審判所の許可を受けたときは、この限りでない」というような意味で、許可をしようというような立案者の御意見であるか、或いはそれは又別に考えるというようなことでありましようか、その點はどういうふうになつておりますか。
#75
○政府委員(大久保武雄君) 海事補佐人は一定の資格を考えておりまして、例えば辯護士の資格とか、或いは船長、機關長の經歴があるとか、或いは理事官、審判官或いは教官、しかしそういう資格に拘わらず審判所の許可を受けた場合におきまして、お説のような場合におきましても差支えないと、かように考えております。
#76
○丹羽五郎君 只今の六十一條の問題ですが、過日、この委員會において田中政務次官は、これは成る程お説の通りだ、これは改正して、一週間或いは十日というような期日を定めてやることにいたしたい。かような答えがあつたのですが、今日の大久保政府委員のお話しでは、田中政務次官と全然違つて、そういう必要はないというような答えがあつたのですが、或々はどちらの政府委員の答辯を信じて考えて行つたらいいか、ちよつとお尋ねしたいと、かように考えております。
#77
○政府委員(大久保武雄君) 私がお答か申上げておりますのは、この立案の精神を申上げておるので、勿論御審議の結果、法の不備がございまして適當な御修正がありますということにつきましては、全然異論のあるものではございません。
#78
○丹羽五郎君 過日政務次官は明らかに、これは期日を入れてやるべきだということを言つておるじやないですか。それを法の立案だからという。私は法の立案が間違つておるから、それを修正するように話しておる。
#79
○委員長(板谷順助君) 政府委員がなんと言うも、我々委員會の權限で、委員會が正當と認めて修正すべきものであるというならば、政府委員がなんと言うとも構わん。政府委員としては我我の納得の行くように立案の趣旨だけを説明する義務がある。だからあなたの納得の行くようにもう一遍考え直して説明を考えて頂きたい。それでこの委員會で納得のいかなかつた場合はその時で……。
#80
○丹羽五郎君 分りました。
#81
○委員長(板谷順助君) それでは次會は明後日本會議があれば午前一時よりいたすことにいたしまして、本日はこれにて散會いたします。
   午後三時二十八分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           丹羽 五郎君
           小野  哲君
   委員
           内村 清次君
           小泉 秀吉君
           若木 勝藏君
           大隅 憲二君
           小林 勝馬君
           高橋  啓君
           飯田精太郎君
           新谷寅三郎君
           早川 愼一君
           中野 重治君
  國務大臣
   運 輸 大 臣 苫米地義三君
  政府委員
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
   運輸事務官
   (鐵道總局長
   官)      伊能繁次郎君
   運輸事務官
   (鐵道總局總務
   局長)     田中不破三君
   運輸事務官
   (鐵道總局職員
   局長)     牛島 辰彌君
   運輸事務官
   (鐵道總局資材
   局長)     小澤  輝君
   運輸事務官
   (海運總局船員
   局長)     大久保武雄君
   運 輸 技 官
   (鐵道總局施設
   局長)     岡田 信次君
ソース: 国立国会図書館
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