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1947/08/21 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第6号
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1947/08/21 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第6号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第6号
  付託事件
○磐越東線三春、船引兩驛間の要田村
 に停車場を設置することに關する請
 願(第二號)
○鐵道運賃の値上げ反對に關する請願
 (第三號)
○長岡鐵道を國營に移管することに關
 する請願(第四號)
○海運經營方式竝びに船員管理に關す
 る陳情(第十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する請願
 (第十號)
○高崎、熊谷間に電化工事を實施する
 ことに關する陳情(第四十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する陳情
 (四十七號)
○磐越東線神俣、大越兩驛間の瀧根町
 菅谷に停車場を設置することに關す
 る請願(第十三號)
○熊本縣人吉市を基點とする三路線に
 省營自動車運輸開始に關する請願
 (第十五號)
○日本通運株式會社の營業權竝びに設
 備を舊關係業者へ還元することに關
 する陳情(第八十五號)
○海運經營方式竝びに船員管理に關す
 る陳情(第九十六號)
○東北本線宇都宮、大宮間日光線宇都
 宮、日光間及び兩毛線小山、高崎間
 の電化實現に關する陳情(第九十九
 號)
○高崎、熊ケ谷間に電化工事を實施す
 ることに關する請願(第三十六號)
○海上輸送力緊急増強に關する陳情
 (第百二十三號)
○船員保險法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○海難審判法案(内閣送付)
○鐵道營業法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○木原線鐵道殘工事の速成に關する請
 願(第五十六號)
○舊鶴見臨港鐵道外三鐵道線拂下に關
 する請願(第六十號)
○中央線高藏寺、名古屋鐵道小牧兩驛
 間に國營自動車の運輸を開始するこ
 とに關する請願(第六十二號)
○山形縣最上郡内に國營貨物自動車の
 運輸を開始することに關する請願
 (六十四號)
○柳井驛より三路線に、及び田布施驛
 より二路線に國營自動車の運輸を開
 始することに關する請願(第七十六
 號)
○常磐線松戸、我孫子兩驛間電化工事
 實施に關する請願(第七十八號)
○江差町、東瀬棚村間に國營自動車の
 運輸を開始することに關する陳情
 (第百五十六號)
○日本國沿岸に置き去られた船舶の措
 置に關する法律案(内閣送付)
○國有鐵道の現状に關する件
  ―――――――――――――
  委員の異動
八月十五日委員兼岩傳一君辭任につ
き、その補缺として西園寺公一君を議
長において選定した。
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十一日(木曜日)
   午後一時三十分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○船員保險法の一部を改正する法律案
○日本國沿岸に置き去られた船舶の措
 置に關する法律案
○國有鐵道の現状に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これより會議を開きます。船員保險法の一部を改正する法律案につきまして、先般大體豫備審査を終つておつたのでありますが、今囘衆議院から正式に本院に送付されましたので、この案を議題といたします。
#3
○政府委員(宮崎太一君) 先日の當委員會におきまして、船員のための疾病保險に關する條約についての御質問がございまして、本日お答えすることになつておりましたのでございます。その時の御質問は、批准した國はどこであるかという御質問でございます。批准をいたしましたのはイギリスだけでございます。我が國におきましては、この條約の内容を採入れまして、船員法を改正し、又今日の改正を加えまして、船員保險につきましてこの趣旨を採入れておるわけでございます。
#4
○委員長(板谷順助君) 他に御質問ありませんか。
#5
○小泉秀吉君 少し細かいかも知れませんがお答えをして頂きたいと思います。第九條でございますが、「行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ」云々というのですが、「被保險者ヲ使用スル船舶所有者ノ組織スル團體」というのでありますが、この團體に對して、改正命令案要綱を見ますと「法第九條關係(告示)」というようなことで、第二に「海運組合法により組織された海運組合」という前の方を消して、「海運組合」と書いてありますので凡そ分りますが、この船主團體というものは、今度は例の海運組合法が廢止されてしまつて、自由に新らたに作るということに相成つたのでありますけれども、こういう海運組合というものは幾つもできると思つておりますが、そういうようなものをどういうふうにお取扱いをして行かれるか、いわゆる認める團體ということにするおつもりでございますか、それに對して御見解を伺いたいと思います。
#6
○政府委員(有田喜一君) 便宜私からお答えいたしたいと思います。實はこの間御審議を願いました海運組合法は廢止されまして、その後當委員會に御説明いたしましたごとく、政府とそれから新らしくできる任意團體としての組合と、この間いろいろ折衝を重ねました。今日のところでは大體從來の海員組合法による組合が任意團體として、勿論内容は變りますが、大體同じ構成員でできるような目鼻がついておるわけであります。實は本日も全國機帆船の結成式がありましたが、やはり同じような内容でできております。從いまして、大體扱う團體というものは任意組合でありますが、從來の海員組合に代るべき團體、かように御了解願えればよいのじやないかと思います。
#7
○小泉秀吉君 今の政府委員の説明によると、いわゆる地區組合というようなものは相當大きく纒まるようになる御見込のようなんですが、私が聞いたところによると、相當多數に纒まるように聞いておるのでありますが、これは小數に纒まるものと了承してよいのでございましようか。
#8
○政府委員(有田喜一君) 地區組合はやはり三十數個の組合ですが、その組合の聯合會という程強いものではありませんが、とにかく任意でありまするが、互の連絡を圖るための一つの任意組合というものができるわけであります。さようなものを對象としておるわけであります。
#9
○小泉秀吉君 そうしますと、そういうものを對象にしたいという御意向で、なるたけそれにお努めになるということに了承してよいのでありますか。
#10
○政府委員(有田喜一君) さように御了承を願いたいと思います。
#11
○委員長(板谷順助君) 他に御質問は……。
#12
○小泉秀吉君 第十七條の被保險者は、船員法第一條の規定は船員ということに限定されておるのですけれども、いわゆる船乘りであつてこの船員法第一條に包含されていない船乘り、といいますか、船員といいますか、そういう者は相當多數あるのですけれども、そういう者はこの船員保險法からはオミツトされる、それに私は只今異存があるのではないが、そういう船乘りであつて……第一條の規定は、船員でない者がやはり船員保險法によつて保護されるといいますか、バインドされるというようなことを希望する機會があれば、そういうことも將來は包含するというような御意向があるのかないのかといつたようなことを、一應御當局の御意向を伺つて置きたいと思います。
#13
○委員長(板谷順助君) 只今の御質問に對して説明員から御説明申上げたいということでございますが、これを許すことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(板谷順助君) 御異議ないと認めます。どうぞ。
#15
○説明員(岩瀬繁一君) お答えいたします。第十七條は船員法の適用を受ける船員のみに對しまして本法を適用するという形に今なつております。お尋ねのように、いわゆる船乘りの方々でありましても、若しそれが船員法第一條の規定は船員の埓外に出ておる、船員として船舶所有者に雇用されておらん、こういう關係になりますと、この保險の適用を受けないという形になるわけであります。ただ尤もそれは資格關係に關する部分でありまして、實際問題といたしまして、保險給付、この保險によります利益を受けるかどうか、こういう點は別問題になるわけであります。具體的に申しますと、船員である當時に病氣になつた、ところがその後船舶所有者から解雇をされて船員たる資格を失い、從つて又船員法の適用も受けなくなつた、そういう者に對しましても、勿論船員保險の被保險者資格はなくなるわけでありますが、給付を受けるという點についてはおのづから別個な問題になるわけであります。十七條は保險者資格を規定いたした條文でありまするので、その點は別問題になるわけであります。十七條の關係からいいますと、船員法の適用範圍と本保險法の適用範圍は一致させるという建前でありまするので、私共立案、又管掌いたしておりました當時の考え方を申しますれば、將來におきましてもそういつたものを包含させるという氣持はございませんでした。ただその次のページに第二十條というのがありますが、これは七年以上船員といたしまして、船員保險の資格を持つておつた方々が船員でなくなつた場合に、引續いて船員保險の被保險者たる資格を附與したいという希望があり、その希望を申出ました場合には、引續いて船員保險の資格を持つことができるという規定でございます。從つて只今お尋ねの一部につきましては、第二十條の適用によりまして、船員法の適用を受けなくなつても保險法の適用を受け、その資格を繼續して持ち得るという場合もあり得るわけであります。二十條以外につきましては、お尋ねのような氣持は持つておりません。
#16
○小泉秀吉君 少し私の表現がまずかつたため的が外れて恐縮ですが、私の伺つた要點は、船乘りであるが五トン以下の船に乘つておる船乘り、或いは三十トン以下の漁船に乘つておる船乘り、或いは港内だけを航行する小蒸氣、或いは曳き船等に乘つておるような船乘り、そういう船員をも、例えば舊法でいうと、前項に掲ぐるものの外勅令を以て指定するものというような意味において、これにはないのだが、他日何かそういうようなものをも包含する御意向であるか、或いはそういうものに乘つておつて、みずから船員と稱し、船乘りと信じておる者をも、船員法以外の船乘りではあるが、そういう者をも船員保險法によつて包含して、適當な機關といいますか、いつか知らんが、そういう機會があれば包含したいという意向、或いは包含し得るのだというような御意向かどうかということをお尋ねしたつもりであつたのであります。
#17
○政府委員(有田喜一君) 實は船員保險法は、その適用範圍につきましては、現在の船員法と裏表をなしておるのでありまして、原則といたしましては、今日の船員法でいうところの船員という意味のものを對象としております。ただ併し今日の船員法の適用範圍は、果してそれでいいかどうかということは、相當疑問でありまして、例えば漁船三十トン未滿の船員は船員法の船員でないということになつておりますが、これも船員法制定の當時相當議論がありましたように、或いは五トン以上にすべきである、或いは二十トン以上にすべきであるというような、いろいろな議論が出ました。又船員法の五トン未滿は船員でないという扱いをするのも、相當疑問の餘地があります。これは他日船員法を全面的に改めますときに、その適用範圍を研究したいと思つております。船員法で船員という取扱いができます限りにおきましては、いわゆる船員、いわゆる被保險者の對象として扱いたい、かようなことにいたしたいと思います。
#18
○小泉秀吉君 これは豫備審査のときに一遍お伺いをしたのですけれども、第二條の第二項と申しますか、竝びに第六條の二ですね、船員保險委員會又は船員保險審査會の兩方の委員の中に、公益を代表する者というのが兩方にあるのですが、それは主務大臣がそれを委囑するということになつております。この公益を代表する者ということですが、これはこの前のお話だと官吏をも含むのだということであつたのですが、もう一つは、私のそのときお伺いしたのは、例えば日本海員財團だとか、或いは海外掖濟援護會だとかいうようなもの、或いはそれに準じたようなものを公益を代表する者だという御見解であるかどうかということを伺つたのです。改めて政府の方の御意向を伺つておきたいと思います。
#19
○委員長(板谷順助君) 厚生大臣がおいでになりましたが、公益代表ということについてこの間疑問がありましたので、主務大臣としてのあなたの御意見はいかがですか。
#20
○國務大臣(一松定吉君) 政府委員からお答えいたさせます。
#21
○政府委員(宮崎太一君) 只今の御質問でございますが、この間も申上げましたが、この公益を代表すると申しますのは、被保險者側でもなければ、又船舶所有者側でもない、中立的な立場の人を選ぶという意味におきまして公益代表ということになつておりまして、具體的に申しますと、只今仰せになりましたように、學識經驗者だとか、或いは官吏だとかいうものがこれに該當すると思うのでございます。只今仰せになりました團體等は、被保險者側の方であるか、或いは船舶所有者側の方か、どちらかに關係することになると思うのでございますが、そういう方面で代表が出されるから、そういうことに關係のない中立の立場の方を選ぶ、こういうつもりで立案ができております。併しこの運營につきましては、この前申上げましたように、運輸省で今後所管をされることになれば、運輸につきましては運輸省でお考えがあることと思いますが、立案の氣持はそういうことでございます。
#22
○委員長(板谷順助君) よろしうございますか。
#23
○小野哲君 この船員保險法の一部を改正する法律案を施行するにつきましての經費は、どうなつておりますか、この點を伺つて置きたいと思います。
#24
○政府委員(宮崎太一君) この間經費のことを少しく詳しく申上げたのでございますが、二十二年度の豫算といたしましては、二億七千八百十八萬八千圓の歳入を見込みまして、それから歳出の方は一億三百三十一萬二千圓を見込みまして、その差引きの積立金といたしまして、一億七千四百八十七萬六千圓の積立をするということになつておるわけでございます。それでそれの保險金としましては八千八百萬圓、この業務の取扱いの費用といたしまして四百六十二萬圓餘、それから福祉施設として七百四十八萬圓餘、その他諸支出金、豫備金、こういうことになつております。
#25
○委員長(板谷順助君) 他に御質疑はありませんか。この法案は、御承知の通り、先般豫備審査において大體終了いたしておるというようなわけでありまするが、御質問がなければ、この法案につきまして討論に移ります。討論について何か御意見ありませんか。
#26
○中野重治君 この前質問のとき質問した件にも關しますが、これに書き出しておる點で、第二條の今ちよつと他の方から問題がありましたが……。
#27
○委員長(板谷順助君) 中野君、討論ですか、質疑ですか。
#28
○中野重治君 いや質疑ではありません。意見です。……船員保險委員會の構成の問題がありましたし、それの繋がりとして船員保險審査會の構成の問題があると思いますが、いわゆる中立委員、この中立委員というのは非常にデリケートな地位にあるものであり、又立たされるものなので、これについては勞働組合連合團體の承認を得たものとするということをはつきり書き現わす必要があると考えます。このことは今言いましたように船員保險委員會だけでなく、船員保險審査會の方も同樣にする必要がある。それから全般的に見て船員の勞働というものは、特に日本の場合いろいろな經濟的及び歴史的條件から、他の仕事よりも苛酷な點が非常にありますから、被保險者の傷病手當の場合、これは第三十條二項に關係して來ますが、「職務上ノ事由ニ因ル疾病又ハ負傷ニ付テハ四月ノ範圍内ニ於テハ」云云という點は四ヶ月を六ヶ月に少くとも延ばす必要があると考えます。それから「報酬日額ノ百分ノ六十二相當スル金額」を與へるという點は少くとも百分の八十にする必要があると考えます。
 それから第三十條第二項の三號の「職務上ノ事由以外ノ事由」、いわゆる職務内の事由という問題は、船員の場合は仕事を休んでおる、或いは病氣という場合にも、船の中に生活しておるのであつて、そういう根本條件を十分考慮する必要がありますから、この場合やはり百分の六十というのを百分の八十に引上げるということが必要と考えます。
 それからやはり同じ基本的な事由から、殊に疾病等や何かから見ても分るように、船員は何といいますか、早老といいますか、早く參つてしまう、そういうことが事實統計に現れておるのですから、第三十四條の「十五年以上被保險者タリシ者ガ」という問題は十年に縮める必要があると考えます。從つて「五十歳ニ至ル迄其ノ支給ヲ停止ス」ということになつておりますが、成るべくこれを五年繰上げて四十五歳に引上げる、こういうことが必要であると考えます。
 これは話が外れますけれども、單に海上勞働者の生活が、物質的に計量される面で非常に苛酷だというばかりでなく、それに結び付けて、この間の姦通罪廢止の公聽會なんかに、九州の方から船員の代表がわざわざ出掛けて來て、姦通罪廢止時期尚早論を話しておりましたが、私は姦通罪廢止時期尚早論には反對ですけれども、姦通罪は廢止すべきものであると考えます。併しあの場合、船員がいろいろな、この船員の陸に上つての生活、海と分離された家庭生活、それに對して非常に多くの惱みを抱かされておる、そのことから尚早論などが出て來て、そういう精神上の問題を、船員の勞働の苛酷性と結び付けて、この際は考える必要があると考えます。それでそういう點から五十條の遺族に屬する養老年金の支給の問題、これについては、その一の「養老年金ノ額ノ二分ノ一二相當スル金額」を與える、この二分の一というのはもつと引上げて八〇%ぐらいする。それから二の項も同樣である。それから三の項も同樣。四の項は「二月半分ニ相當スル金額」というものを「三月」に引上げる。五の項は「五月分」を「六月分」に引上げる。その次も「前項第四號又ハ第五號ノ場合ニ於テ十五年以上被保險者タリシ者ニ關シテハ其ノ遺族ニ支給セラルル遺族年金ノ額ハ十五年以上一年ヲ増ス毎ニ其ノ一年ニ對シ平均報酬日額ノ三日分ニ相當スル金額ヲ同項第四號又ハ第五號ノ金額ニ加ヘタル金額トス」というのですが、これを「七日分」に引上げるというふうにしたいと思います。
 更に第六十條の保險料の負擔の問題ですが、保險料というものは生産費の構成部分なんですから、船舶所有者の全額負擔とすることをはつきりと決めて頂きたいと考えます。
 第六十五條の保險審査會のことについては、最初に申した通り、同樣これが一つの意見であります。
 更に六十八條の罰金の問題ですが、五百圓の罰金を五千圓に改めるというふうに案にはなつておるんですが、これは現在の物價の實情から考えると五千圓というのは不適當であつて、一萬圓の罰金というふうに引上げる必要があると考えます。
#29
○委員長(板谷順助君) 中野君にお伺いいたしますが、只今の御意見は、希望意見でありますか、或いは又これを修正しようというお考えでありますか。
#30
○中野重治君 後者です。
#31
○委員長(板谷順助君) 修正しようという……。
#32
○中野重治君 そうです。
#33
○委員長(板谷順助君) そうすると大分廣範圍ですが、委員諸君の御意見を一つ承つてみて……。只今の御意見に對して贊成の諸君の御起立を願います……。あなたの御意見に對しては別に御贊成がないようでありますが、どうですか。希望條件として御明示になつて、或いは修正するような必要があるならば、適當な時期に又御判斷を願うということにして頂く……。
#34
○中野重治君 結構ですね。
#35
○委員長(板谷順助君) それじやどうかそういうふうに願います。外に討論ありませんか。……別に討論がないようでありますから討論終結とみなします。
 これより本案の採決に入ります。原案に贊成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#36
○委員長(板谷順助君) 大多數贊成であります。本案は可決したものとみなします。
 尚、本院規則第百四條によつて、本會議における委員長の報告の内容については、豫め多數意見者の承認を經なければならんことになつておりますが、委員長において本法案の内容及び本委員會における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することの御承認を願いたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(板谷順助君) 御異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には、多數意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とする方は順次御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#38
○丹羽五郎君 議事進行についてちよつと申上げたいと思います。この新らしい今度お出しになる「日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する法律案」、これについて一應説明をお願いいたしたい、かように考えております。
#39
○委員長(板谷順助君) それでは丹羽さん、一應この引揚船の問題について説明を求めて、それから鐵道の白書に對する質疑、これはずつと繼續になつておりまして、政府委員の方もおいでになつておりますから、これの説明を伺うことにして、質疑はこの次にして頂きたいと思います。
#40
○丹羽五郎君 結構です。
#41
○委員長(板谷順助君) では一應御説明願います。
#42
○政府委員(有田喜一君) それでは「日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する法律案」の提案理由について御説明申し上げたいと思います。
 終戰後朝鮮その他日本水域外から日本に到著いたしましたと推定される船舶で、現在尚所有者が知れないままに置き去りになつておるものが相當多數あるのであります。これらの船舶の中で不法入國や或いは密貿易など犯罪に供せられたことの明らかなものにつきましては、連合軍の指令に基くポツダム勅令、即ち不法入國につきましては勅令第三百十一號、密貿易につきましては勅令第二百七十七號があるのでありまして、これらのポツダム勅令によりましてそれぞれ處分されておるのでございまするが、これらの勅令の公布前に、殊に終戰直後の混亂の中に日本に到著いたしました船舶が相當あるのであります。又先程言いました勅令の公布後におきましても、船舶の所有者又は乘組員が知れないために、不法入國のものであるか或いは密貿易の犯罪に供せられたものであるかどうかということが全然手懸りのないものがあるのでありまして、これらのものにつきましては、法理上右の勅令の適用がないか、又はこれを適用することができない状態にあるのであります。從いまして、これらの船舶には從來何らの法的措置を講ぜられないで放置されておりまして、その一部につきましては、事實上海運局や警察署でみずからこれを保管いたし、或いは適當な海運業者、海運組合などに一時保管使用させまして、僅かにその價値保存を圖つておるに過ぎない現状であるのであります。
 併しこのような措置では海上輸送或いは漁業等各方面における船舶の活用は勿論のこと、保管すら十分に行われるものではないのでありまして、中にはそのまま腐蝕したり或いは無價値のものとなる虞れもあるのであります。
 ところが、一方におきまして、我が國の今日の海運竝びに漁業方面では、戰爭による壊滅的打撃と、新造船も資材その他の關係でなかなか困難なために甚だしく船腹の不足に惱んでおるのであります。この際右の置き去られた船舶の不確定の状態を速かにこれが結末を付けまして、或は海運或いは漁業方面に活用を圖る必要があるのであります。
 これが本法案を提出する理由であるのであります。どうか御審議の上、御協贊あらんことを切望する次第であります。
#43
○委員長(板谷順助君) 丹羽君に御相談いたしますが、この質疑應答は又次の機會にお讓りを願うことに御承知を願いたいと思います。
#44
○丹羽五郎君 結構です。
#45
○委員長(板谷順助君) 先般の鐵道の白書に對する質疑を繼續いたします。
 尚、船員保險法の一部を改正する法律案についての署名漏れはありませんか。……署名漏れはないと認めます。
#46
○北條秀一君 私は採決の時におりませんでしたので、今の案には署名をいたしませんでした。反對でありませんが、採決に加わりませんでしたから、署名を漏らしました。
#47
○早川愼一君 白書を讀みました感想は、大變詳しく又よく分るように鐵道の現状が書いてあることは、その勞を非常に多とするものでありますが、ただ私共非常に遺憾なのは、どうも鐵道の經營の分析が少し足りないように思うのであります。というのは、例えば、この戰爭中から、或いは昭和十一年からの各部門別の營業計數が、どういうような趨向を辿つておるかというような點について、餘り詳しく書いてありませんので、現在この鐵道の經營が一體どこが惡いかという點が甚だ材料に乏しいように思うのですが、その點は何かもつと詳しいものをお出しになる御用意があるのでしようか。
#48
○政府委員(伊能繁次郎君) 大變御尤もな御意見でございまして、私共も當初實情報告、實相報告書を立案いたしますに際しましては、でき得る限り詳細に事態を明らかにする必要があると存じたのでありまするが、餘り浩瀚なものになりますると、それがために却つて御理解が願いにくくなる點もありはせんかということも虞れまして、でき得る限り實情を滑らかに書上げるという點に力を注ぎまして、今御指摘のごとき國有鐵道の財政上の經過の實態ということにつきましては、やや詳細を缺いた嫌いがないではないのでございます。この白書の中でも、大體御承知が願えるかと存じまするが、昭和十七年までの國有鐵道の運營は、旅客を中心とした沿革的に健全な運營状態でございました。それが十七年以後におきましては、貨物を中心にした運營體制に切替えられておるということで、ここで國有鐵道の運營の根本の方針が轉換を見ております。從いまして、その時を轉機として、御指摘の營業係數のごときも逐次惡い状態に相成つておりまするが、これでも他の諸外國に比べまして、全體としては惡くはなつておらなかつた。併し正常な經營状態ということを前提として判斷をいたしまするならば、旅客については明らかに輸送力が低下し、新車輛を補充をしなかつたというような點、又急行列車の削減、寢臺車、二等車の削減、減少というようなことによりまして、サービスは明らかに落ちておるという點も事實でありまするので、その意味において、當面の營業係數が十七年以前において餘り落ちてはいないということだけから、國鐵の經營が健全であつたとは申上げ兼ねるのでありまするが、全體として、國自體の戰爭目的遂行と申しまするか、戰爭上の事由によつて、運營の根本の方針に轉換を見たという事實は明らかでございます。併しそのために戰時中特に國鐵の運營が危殆に瀕したという事態は全く起つてはおらない。これらの事態につきまして、御指摘のごとくやや詳細を缺いた嫌いはあるかと存じますが、全般を御通覽願いますならば、それらの點も御諒得が願えるかと、かように存じまして、餘り浩瀚になることもいかがかと考えまして、この程度に止めたわけでございます。
 將來これらに對する何らかの措置、或いは内容の發表等について考えがあるかというようなお尋ねでございましたが、この點は先般大臣からも御説明申上げたと存じまするが、私共目下國鐵の經營合理化の根本方策につきまして、鋭意研究中でございます。從つてこれが一環としての國鐵再建整備計畫、その内容もいずれ關係方面……と申しまするのは、部内におきましては勞働組合竝びに大臣の諮問機關であります鐵道會議その他の、廣く民意を反映した形で、國鐵の再建計畫について御批判を仰ぎ、健全な方向へ進めるために、これが運輸省としての案もいずれは公にいたしたい。その内容には、そういつた財政上の根本に關する經營合理化、經營改善の根本問題である財政上の問題につきましても、十分詳細な内容を盛つて、皆さんの御批判、御鞭撻を頂きたい、かようなつもりで研究中でございます。
#49
○早川愼一君 ちよつと重ねてお伺いいたしたいのは、この白書を讀みますというと、結局經營の合理化、或いは能率の増進、その他いろいろやられることは澤山あるのでありますが、併し振返つて見ますというと、結局は運賃を上げなければどうにもならないという面が多分にあるように思います。併し又、經營の分析をもう少しやつたらどうかと申上げたのは、この白書にあります通りに、大體今列車の數が少くて、定員の四倍も五倍も乘せて、非常になんといいますか、一人キロ當りといいますか、一トンキロ當りといいますか、そういうものからいえば、一番最少の經費で現在においては賄つておる形になるわけであります。それで今後經營の合理化、或いは輸送力の増強によりましてやられましても、これは結局何といいますか、報酬から申しますというと、漸減する。計畫報酬遞増という、現在の極めて少い設備、不足な列車で、餘計なものを運んでおる状態からいいますというと、一番收益力はなければならんときであるわけであります。そうしますというと、結局今後いろいろやりましても、まあ餘程の經濟界の變化がないというと、國鐵の立ち直りはできんという結論になるように思えるのであります。
 それで、一體一般の經濟白書にありましたように、國家の企業を獨立採算制を採られるという、あの獨立採算制というのはどういう意味でありますか。結局國鐵ならば國鐵の賄う經費は、收入を以て補うというのが、獨立採算制という意味に御解釋になつておるのでありますか。又今後借入金が殖えて行きますというと、現在の國有鐵道の國有資本なり何なりはいかなる状態になつておりますか。現在の損失というようなものは現在持つておるもので十分カバーできる、普通の會社ならばそういう形態が採れるのでありますが、國鐵においてはそういう形態は採れないとしますれば、獨立採算制もおのずから意味が違うようにも思うのですが、それはどういうふうに御解釋になつておられるか。
#50
○國務大臣(苫米地義三君) 私からお答え申上げます。御指摘のように、鐵道單獨の今の力を以ていたしますれば、獨立採算を本當に完遂するということは困難だと思います。併し今囘のこの値上げという性質が、日本の全面的な物價を改變するという大きな面から取上げられましたものでありまして、三倍半には上りましたけれども、そのことは、全般の物價をそれによつて安定しておるという一つの基礎の上に立つておるわけでありまして、そこで鐵道だけを切り離して考えますれば、獨立採算制を探るということは、これ亦政府の採つておる方針なんですが、今囘の分に限りましては、外の物價を維持するために、この運賃を更にいじるというわけにはちよつとまいりませんです。そこで、できるだけ經營合理化その他によりまして、健全なる經營に戻して、然る上に、尚且つ運賃の値上げによるのでなければ經理の健全化ができない、こういうことになりましようと思います。そこでその場合に、運賃を値上げいたしまして、利用者に全額負擔して頂くことになるか、或いは交通運輸の社會性に鑑みまして、これは一部國民が負擔して、そうして全般的な經濟の安定に資するかということは、その時の經濟情勢、或いは財政情勢等に應じまして、もう一遍檢討して見る必要があるかと思うのであります。實はその邊に對しましても、その推移につきましても、皆さんに御報告申上げまして、又皆さんの御意見を拜聽したい、こう思つております。
#51
○中村正雄君 大體四點お尋ねしたいのでありますが、第一點は、現在石炭事情のために列車の運行キロが制限されておると一般に言われておりますが、若し石炭を自由に使用し得るとして、現在持つておる機關車、客車等の設備で大體何萬キロ程度の列車増發ができるかということをお伺いいたしたい。
 二つ目は、資材の面で、特に枕木でございますが、白書を見ますと、各資材が非常に入手困難であるという點は肯かれますが、枕木の件につきましても、これはレールと同じように大事なものであるということは當然であります。電力、資金、その他あらゆる隘路のために運行がむづかしい、こういうふうに書かれておりますが、我々常識上考えて見て、今日本の國内から見て、又國有林その他がある場合に、枕木入手ということがそう至難だとは考えられない。又枕木の確保についてどういう方法を採られておるかということを、これをお聽きしたいと思います。
 第三點は、人員の關係でありますが、現在の國有鐵道で、大體何十萬人くらいの人員が妥當なものだとお考えになつておるか。もう一つ、これは地方新聞でありますが、先般運輸省が大藏當局との豫算の折衝の際に、人員整理をしなくちやいけない、こういうことで大體一萬人ぐらいの人員整理を押し付けられたということが、地方新聞に載つておつたのでありますが、これについての眞相を聽かして頂きたい。
 四番目は、人件費の關係でありますが、大體運輸業の人件費と物件費との割合は、營業費からいいまして、大體人件費が半分程度というのが常識になつておりますが、今度の物價體系からいつて、白書にもありますように、人件費が三十九%となつており、物件費が六十一%となつておる。非常に人件費が今までの均衡から低くなつておるということは、いわゆる從事員の給與制度そのものが非常に低いということを意味するのじやないかというふうに思つております。その點についての見解を聽きたいと思います。
 以上四點についてお伺いいたします。
#52
○政府委員(伊能繁次郎君) 現在の石炭事情が假に解消したとして、今直ちに現有勢力を以てどの程度の輸送力の増發ができるかという問題でありますが、貨物輸送につきましては、私は餘り多くは期待できないと考えております。併し現在貨物輸送は一日二十三萬六千キロ程度の列車運轉を繼續をいたしております。現在の状況におきまして、籍すに石炭を以てするならば、二十八萬キロ程度のものはやり得る、三十萬キロまでは無理ではないかと、かように考えております。旅客列車につきましては御承知のように一日二十一萬キロの列車キロを運行しております。この外に、御承知のように、相當量の進駐軍竝びに復員列車がございますが、純粹の旅客列車としては一日二十一萬キロの運行をいたしております。これは列車を動かすことによつて、必ずしも機關車を餘り多くを必要としない區間がローカル・ライン等においては特に多いと思います。從つて私共は現状において同じく二十七、八萬キロまでは動かし得る、かように考えております。
 第二段の枕木の確保の状況についてでございますが、御指摘の通り鐵道の資材は、いずれも確保困難でございまするが、そのうち枕木については、國内問題として尚私共が努力をすべき餘地が殘されておりはしないかというお尋ねでございましたが、大變御尤もでございまして、從來枕木につきましては、價格決定の當初におきまして、いろいろな沿革から一般建築用材、一般材に比較しまして、やや値上り率が低いのが例になつておりまして、私共、枕木確保の觀點からは、値段が低い方がベターではありまするが、實際問題として、他の用材との關係竝びに枕木適材の木取りその他の關係から、枕木だけが他の用材に比較して安いということでは、熱意を以て枕木を作る者が減少するということを虞れまして、一般材と餘り權衡の取れない價格決定は困るということで、農林當局その他ともしばしば折衝いたし、物價廳とも折衝いたしておりまして、最近兩度の枕木に關する價格の値上りがございまして、今囘の値上り價格では、ほぼ一般材とやや權衡の取れた價格に相成りまして、又戰時中いろいろな事情から、枕木の配給に關する統制機構その他も種々な変革を辿りましたが、最近の自由主義時代において自主的な枕木生産業組合の結成等も各府縣に可なり根を卸して、古くから枕木を作つておつたような人々が又この事業に從事するというようなことに相成りましたために、最近の枕木の確保の實情は極めて良好でございます。他の資材に比較いたしましても著しく良好でありまして、第三・四半期におきましては、昨年度に比較いたしますと、倍以上の確保を枕木については示し得たのでございます。從いましてこの分で參りまするならば、本年度は必要最少限度の五百萬挺程度は何とか確保できるのではなかろうか、かような非常な希望と意氣込を以て、目下これが調査に當つております、殊に北海道方面の枕木につきましては、壱岐丸その他運輸省鐵道總局の自家用船を北海道へ出航せしめまして、これによつて關西方面の枕木の足らんところへ送り込むというような措置も取りまして、ここのところ非常に順調な状況で推移をいたしております。
 第三の、現在の國有鐵道の運營をやるのにどの程度の人間が必要であるかという點は、理論的にも又實際問題としても、非常にむつかしい問題でございます。私共目下勞働組合側とも折衝もいたしておりまするし、現場末端における作業の實體から定員査定基準を作り上げて、下から積上げて見て一體どのくらいに相成るであろうかという研究と調査を實際に行なつております。又過去の沿革的な方法によりまして人瓲キロ當りの人員、列車キロ當りの人員、又營業キロ當りの人員、具體的に新らたな仕事の配分、例えば進駐軍關係の仕事でありますとか、港灣事務局、鐵道警察官、旅客係、警備係の仕事でありますとか、又食糧増産關係の仕事でありますとか、各般の、白書の内容に書いてございますような、戰時中には豫想しなかつた新らたな人員を別にいたしまして、純粹に現在の業務だけを遂行するとしたならば、どの程度でいいかという問題を、演繹的にも既存の資料を以て精査をいたしております。現状につきましては大體御承知かと存じまするが、二十一年度末、この三月末で五十八萬人近い現在人員を持つておりまして、その後、八時間勞働制、十時間から九時間、九時間から八時間勞働制の實施によりますと、五萬人餘りの増員、竝びに勞働基準法に關する人員というようなものの定員面の増員、その他考慮いたしまして、定員としては現在資本勘定、中間勘定、收益勘定、この三者を合計いたしまして約五十八萬程度に相成つておるかと思います。現在實際の人員は六十一萬を超えております。從つてその間の差額四萬に近い者は過員になる。併しこの五十八萬近い者が果して合理的な定員であるか否かということにつきましては、今後十分實質的な調査と研究をいたさなければなりません。過去の沿革的な定員に加うるに、八時間勞働制の問題、勞働基準法に關する問題等を假に定員査定の基準として繰り入れた結果になつておりますが、終戰後の新らしい現在の事態に處して、果して何人が妥當であるかというような、本當の理論的な根據にまではまだ私ども到達をいたしておりません。併し地方的には相當な過員……札、仙、新、門、この四局には相當な過員のあることも事實でございます。從いまして一方又東京鐵道局、名古屋鐵道局、大阪鐵道局、廣島鐵道局、この東海、山陽筋の四局には現實に數千人の缺員のあることも事實であります。從いましてこれらのものを具體的に、各現場においてどの程度の人員を以てやり得るかということを一々目下積み上げて、合理的な定員査定基準を作つて行かなければならん。問題は我々戰後における從事員の熟練度の低下ということでありまして、この熟練度の低下による定員の暫定的な増加ということも認めております。これが査定員だけでも二萬人を超えているというような状況で、又熟練度の低下による東海、山陽筋の定員の補充限度を確保するための特別定員ということも暫定的に設けられております。從いまして、これらの者を全部洗つて、現状において合理的な人員がどの程度になつておるかということは、今後の經営合理化の問題に關聯いたしまして至急決定をいたしたい、かように考えております。
 次に御質問に關聯いたしまして、今囘の豫算査定の際に人員を整理するような内容が押突けられておるのではないかというようなお話がございましたが、そういうことは大藏、運輸當局の間にはなかつたということをはつきり申上げて置きたいと思います。
 それから最後に、人件費と物件費の關係でございまするが、この問題につきましては、國有鐵道の從事員の人件費が從來大體五十對五十であつたものが、三十九對六十一になつておる。これをして直ちに從事員の給與が餘りに低いという結論にはならないかと思います。併し一般論といたしましては、國有鐵道の從事員の給與水準が各官寮全體のランクの上におきましても、半ばよりやや低いところにあることは事實でございます。併しながら鐵道運賃が先般御説明申上げましたように、貨物二十一倍強、旅客二十二倍強に引上げられましたが、そのラインにおいては國鐵從事員の賃金水準より二十數倍、平均して二十數倍に引上げられておるということで、今囘の新物價體系における物價水準と賃金水準とが、鑛工業千八百圓水準、官吏についても千八百圓水準が適當である、從つてそれによつて新物價水準との調整をとつておるというように政府としては考えておりまするので、その角度から考えまするならば、七月以後の官吏の給與水準につきましては、一應千六百圓水準から千八百圓水準に政府においても考慮中であるということで、全體の均衡は今囘の政策としては一應取れておる。併し實體的に國有鐵道の從事員の給與水準が高いかと申しますれば、これについては決して私共高いとは考えておりませんが、今囘の政府の政策としては、一應首尾一貫しておるということは申上げ得るのではないか、かように存ずる次第であります。
#53
○國務大臣(苫米地義三君) 只今の御質問の中、ちよつと人の數の問題だけ補足をいたして置きたいと存じます。これは實際省内でもいろいろ研究をいたしておりますが、下の方から段々積み上げると却つて多くなる。そこでこれは省内だけで研究するのも一つ、それからして別に今度鐵道復興委員會のようなものを作りたいと思いますから、その專門委員會でも作りまして、内部の方と、又經験のある外部の方々にも寄つて頂いて、そうしてもう少し内部的からも、或いは社會的、客観的な立場からもよく一つ檢討して見て頂いて、そうしていずれ皆さんにお諮りするのでありますけれども、そういう資料として、もつと合理的な、具體的な案を見付けて行きたい、こう考えております。どうも社會では、國鐵の赤字というものは、國鐵の人間が餘り多いから、これさえ整理すれば直ちに整理ができるのだというような一つの誤つた感じもございますし、さればといつて、數字の上では確かに戰前の二倍半以上になつておりますから、この點は考えなければならんと思います。ただ白書にございますように、現在の從事員の素質の問題であるとか、或いは今の戰後の社會の客観的情勢であるとか、そういう環境の下において、幾らあればいいかということは、本當に冷静に研究して見なければならんと思いますので、これは内外について一つ調査をして見たい、こう考えております。
 それから待遇の問題でありますが、數字が物價の昂騰によりましてそういう數字になりますけれども、一人々々の待遇につきましては、今長官から話された通りでありますが、世間では交通費が高くなつたので、むしろ國鐵從事員がバスを持つておるということで、非常に今その點をかれこれ申しておるようであります。又國鐵内に持つております厚生施設即ち病院の施設であるとか、或いは共濟組合であるとかいうようなものを綜合いたしますれば、必ずしも外の官廳に比べて惡いとは思われないのでありますが、これらは社會の進歩もございまするので、それに遲れないように行きたいと思つております。
#54
○小野哲君 大臣が御出席でございますので、白書と關聯いたしまして、若しくは白書を基礎といたしまして、政策的な面についての御意見を拜聴したいと思うのでございます。
 先ず第一は、この白書の結論からみますというと、經營の合理化を強力に推進するというところに重點があるようでありまするし、又この白書の事實について五ケ年計畫をお立てになつて、國鐵の再建整備を圖るという強い意思を表明いたされておるように見受けられておるのであります。偖て併しこの經營の合理化、特に輸送力の増強を基盤とした經營の合理化を圖る、これも了解ができると存じますが、併し經濟白書そのものの内容から考えますというと、少ない資材、或いは窮屈な資金の範圍内においてどの程度の輸送力の増強ができるか、而もこの輸送力の増強なくしては經營の合理化は圖れん、こういう前提の下における經營の合理化は、誠に困難な問題ではないかということを心配しておるのであります。特に國有鐵道のような大きな企業、國の動脈になつておりますものをできるだけ早く再建して行く、從來までは殆ど假復舊の程度でありまするので、これをいよいよ本格的な再建をするということが又日本の經濟の再建の基盤になりますので、國鐵の再建の速度を高めるということが、經濟の再建の速度を早める。こういうことになると私は思うのでございます。ところが資材とか、資金とか、或いは從業員の質の問題から申しまして、特に資金資材關係から考えると、一體自力で以て復興し得る可能性はどこまでであるか、假に五ケ年計畫をお立てになりましても、經濟事情その他の關係から自力復興の可能性の限度というものが起つて來やしないか。その場合に一體更に特別の措置を講ずる必要があるのではなかろうか。取分け將來行われようとする賠償との關係から考えまして、特段な措置を講じなければ再建整備計畫を立てましても、その實施が非常に困難ではないかということを懸念いたしますので將來の事態を豫想いたしまして、何らか特別の措置をも講じようというふうなお考えを持つておられるかどうかということを伺つて置きたいのであります。
 第二點は、國鐵の五ケ年計畫をお立てになりまして、再建整備を圓られますることにつきましては、今申しましたように全く我々も同感であり、且つ亦切にその成功を祈つておる者でございますが、併し國の輸送力全體を高めて行きますためには、國鐵自體の再建だけでは十分ではありませんので、自動車或いは小運送というふうなその他の陸運事業、又陸運と海運との綜合輸送力の向上も圓つて行くというふうな工合に、全體の輸送力の増強を圓つて行くための計畫が立てられなければならないと思うのでございます。勿論政府におかれては、先ず以て國鐵の再建整備計畫をお立てになり、これと併行し、若しくはこれと續いて自動車、小運送、その他の陸運の面においても同様の措置も講ぜられ、或いは又海運においてもこれと呼應して、再建整備計畫をお立てになる、言い換えれば運輸省全體として綜合的な計畫をお立てになりつつあるのではないかと思うのであります。この點に關しての御準備はいかにお進めになつておられるかを伺つて置きたいと思います。特に將來の各種交通機關の相互の關係から考えますというと、戰時中におけるがごとき、いわゆる事業の統制のみを以て推移するということは困難であろうと存じます。政策上から申しまして、種々その間に變革を生じなければならない面も起つて來るのではないか、その場合に各種交通機關相互の綜合調整と申しますか、こういうふうな點も考慮の中に入れなければならん、特に自動車の問題につきましては、これが道路上の運送事業として將來非常に有力なる地位を占めるのではないか、その場合に現状のような制度でよいかどうか、從つて自動車等の道路運送事業の整備について、政府としてはどういうお考えを持つておられるか、又先程も觸れましたが、鐵道と前後において重要な役割を持つておる小運送、即ち通運の仕事、これらにつきましても、今までと同じようなやり方ではいけないのではないか、これを整備して行くということが、國鐵と相俟つて、輸送力を増強する所以になるというふうにも考えられるのであります。通運事業に對しまして、これを改善整備するためにどういう御研究をお進めになつておりますか。
 この二點について大臣から御所見を承りたいと思います。あともう一點はお答えと申しますか、御説明を伺つた後に御質問申上げたいと思います。
#55
○國務大臣(苫米地義三君) 第一點の國鐵の復興計畫に對する今後の考如何ということでありますが、先般來御説明申上げますように、補修すべき復興資材等の入手困難のために、すベてがその活動を阻害されておることは御承知の通りであります。從いまして復興計畫を立ててはおりまするが、これらは資材の相當の入手ができるということを前提として考えておるのであります。然るに現實の問題といたしましては、鐵鋼も本年度七十萬トンよりできないということであります。然る場合におきまして、國鐵に割當てられまするところの數量というものは、豫定では百二十萬五千トン割當られておりますが、その入手さえ甚だ覺束かないと思うのであります。さればと申して國内生産が足りないのでありますから、これ以上取るということは或いは困難かも知れません。そこでこの鐵道輸送を安全に保持し、そうして少くとも現状の能力を維持するためにも、これは或いは國内の鐵鋼その他の資材の生産力にのみ頼つておつては、これ以上危險が増すようになるかも知れんと思うのであります。そこでこの事實に鑑みまして、皆さんの御意見も拜聽して、どうしてもこれは國内の力では最早この危機は突破できないというようなふうに一致いたしまするならば、或いは外國からレールその他の資材を取入れて、この急場を救い、そうしてその次に起る國内生産のものを補給して、將來の復興計畫に當る、こういうことにもなり得ると思うのでありまして、その第一段の措置としてこの經濟白書を取敢えず皆さんの前に御提供したわけであります。これは段々後でその計畫を具體的に申上げますが、然らばこの資材をどうするかという問題になつて參ります。そういたしますれば、國内生産の鐵鋼は幾らしかないということになつて、發展的な意見がそこに出て來るのじやないかと思うのであります。私共もその考えは心底には持つております。どうかさよう御了解願いたい。
 それから第二點の輸送の全般的計畫でありますが、御説の通り、鐵道による陸送及び海運の復興による海送竝びに近年の交通發展の上から申しまして、いわゆる道路運送というもの、どうしてもこの三本建で行かなければならないと思います。空輸がない日本といたしましてはこの外にはないと思うのであります。船舶については現在のところ占領軍にすベての船が管理されておりますから、十分に我々の思うような復興計畫を建てることができませんが、豫めこれに備えて今研究いたしております。それから道路の運送につきましては、それぞれ研究もいたしますし、今までの戰時的な法制等がございますが、道路運送業法というものと通運業法というものを成案いたしまして今議會に提案する段取になつております。提案されましたら十分御審議願いたいと思います。
#56
○小野哲君 もう一つ伺つて置きたいことは、これは大臣の御答辯を要求しませんが、今日は丁度伊能長官、電氣局長もお見えになつておりますので、お伺いしますが、この經濟白書の結論の中にもちよつと首を出しておりますが、鐵道の電化計畫につきまして、當局が持つておらるる計畫の内容を大體のところで結構でございますが、電化計畫、又電化いたしまするについての基準等につきまして、この際白書との關聯において御説明願いたいと思います。
#57
○國務大臣(苫米地義三君) 具體的なことは電氣局長からお答えしますが、私は國鐵の復興に對してまず根本的な動く力、この動力源を擴充することが最も重要だと考えております。そこで今のように非常に種類の多い二百種以上に上るようなこの石炭を、このまま我々が今までのように當てにして行くということはいかんと思うのです。そこで鐵道では適正炭に依存するということを眼目といたしまして今計畫をいたしておりますが、若しでき得るならば、石炭の國家管理をやるという今段階にもなつておりますし、この際に適正炭の確保、北海道と九州くらいで相當の適正炭の確保ということに對して考えて行かなければならないと思つております。それから内地につきましては幸いに發電の權利も持つておりますし、今後その權利を開發いたしますれば、信濃川で十萬キロ、天龍川で三萬キロございます。この兩方を開發いたしまして主要線路の電化をいたしますれば、經濟の面においても相當餘裕がつきますし、運搬その他のサービスについても相當貢獻すると思いまして、國鐵全體の復興の大きな問題としては動力源の確保ということを大きく扱つて行きたいと思つております。具體的なことは電氣局長から説明いたさせます。
#58
○政府委員(伊能繁次郎君) 只今大臣から總括的な方針について申上げましたが、具體的な問題として私共が電化について考えておりますのは、何と申しましても石炭の消費節約と電化による輸送力の増強、この二點が國鐵電化の根幹であろうと存じております。從つて石炭の節約の對象となる線區は、最も輸送量の多い箇所、其處において最も石炭の節約が餘計考えられ、同時に電化による輸送力の増加が畫期的に考えられる、かような角度から、主要幹線の輸送密度の最も稠密な所から電化をやつて行く、これが電化方針の根本の原則に相成つております。その他大都市附近における通勤旅客の調整緩和を目標に考えております。又特殊な線區における電化の開發、例えば非常な勾配線、山線、隱道區間等において、輸送力の増強竝びにサービスの改善を圖るための電化、これらの角度から現在私共が案として考えておりますものは、東海、山陽の全線電化、東北線の白河附近までの電化、常磐線の平附近までの電化、上越線は長岡まで全線、その他信越線の一部、中央線の一部、これらについて將來電化を進めて參りたいと思つております。更に力が許しますならば、それに竝行して主要都市間の電車化の推進という問題も考えて參りたい、かような方面で進んでおりますが、ここで重要な難點に逢著いたしておりますのは、只今大臣からも御説明がありましたが、自家用電力の火力の問題であります。信濃川の第三期、第四期のごときは、現在の第一期、第二期の水をそのまま利用して極めて經濟的に十萬キロの電力を確保し得るのでございます。又神奈川縣川崎市における、火力の、戰災を被むつたものの復舊にいたしましても、若干の金を掛ければ相當の出力が囘復し得るという状態にありますが、何分にも現在の見通しにおいては、資材の問題竝びに國有鐵道自體の經濟上の問題、營業費自體に非常な赤字を出しておる矢先、資本勘定として厖大なる投資をすることが……先程早川さん竝びに小野さんからもお話がございましたが、厖大なる投資をすることが、經濟の合理化の上から適當であるかどうかというような、ひとり日本政府部内のみならず、關係方面においてもそうした意見もございます。併し私共は電化については石炭の節約、年間百億圓以上の石炭費を生まで焚く代りに、水力にすれば、それよりも遥かに低い動力費を以て列車運轉ができる、又火力におきましても、現在の川崎の火力は石炭の數分の一で濟むというような點から見まして、鐵道電化は、經營合理化の上にも當面の若干のイニシヤル・コストが餘計掛かるというような問題は別といたしまして、經濟的にもはつきり引合うものであるということを強調いたしておりまするが、相當厖大な資材が要るという點で、可なりの難點に逢著いたしておるような状況でございます。併しながら私共はこの點についてはあらゆる努力を傾け、萬難を排して推進をして參りたい。本年度におきましても米原・大阪間、長岡・石打間、水上・高崎間、大宮・熊谷間、米澤・福島間というような、五六ケ所の電化區間の工事を實施中でございますが、そのうち一、二は資材その他いろいろな状況から一時停止しなければならんという殘念な状況でありまするが、來年度におきましても、何とか電化自體は推進をして參りたい、かような心組で準備をいたしておるような次第であります。
#59
○委員長(板谷順助君) 小野君の御質問に對して、私は關聯して伺いたいのでありますが、只今政府委員は五ケ年計畫を立てて何とか案を立てるというお話でありますけれども、今の國鐵の現状では、現在のままでは到底私は案は立たんと思う。ということは、全體を包含して、とにかく今のやり方では放漫に流れて收支が明らかでない、損益の計畫關係がない、私共は先般大井の工場を視たのであります。大井の工場の現場の者は收支償うようなことを言うが、本省から出張した人は赤字だと言う。これは赤字が當然でありましよう。ところが、その計算が明らかでない。從つて又受入制度をやつておりますけれども、この受入制度というものが、能率の増進の意味も含んでおるかも知らんが、計算の上において極めて不徹底である。であるから、私はこの鐵道を整理をすることについては、先ず第一に附屬の工場を獨立經濟にする。御承知のように現在の國鐵は資本に對する利子も取つておらん、償却もしておらん、それでこういう工場が赤字が出ておる、だからして到る處の各工場を獨立經濟にして、そうして競爭意識を起させると同時に、生産意欲を高める、從つてその成績が各工場に比較してどういうような状態にあるかということを明らかにする必要がある。それを一つ私は考えて貰いたい。
 それから又鐵道も、成る程日本の鐵道は軍事上の要請によつて全國を統制した、或いは連絡の上において必要もあつたか知らんが、日本は島國であります。例えば九州、中國、四國、或いは本州、北海道のごとき、これらも或る程度までこれを分けて、適當にその方面における獨立の案を立てて、人員の整理においても、或いはその他の問題におきましても、こういう大掛かりで以てこれを將來統制して、收支償うように考えて見たところが、私は現在の状態では到底不可能だろう、又人員の整理もできはしません。この點について政府當局はお考えがあるかどうか。
 それから又戰時中に、御承知の通り國家總動員法によつて強制買收した私設鐵道もあります。これらもやはりこの平時になつた以上はこれを地上に還元して、そうしてできるだけやはり民意によつて發達させるというふうならば、却つて腰掛けて以て、整理もつき易いのじやないかというように私は考えておりますが、大臣はそれに對して、大雜把な議論でありますけれども、御意見を伺いたいと思います。
#60
○國務大臣(苫米地義三君) 今のお話は至極御尤もです。そこで私共は從來豫算會計の方式を大分採つておつたのであります。それではどうも面白くないから、獨立會計を採るべき立場からしますというと、いわゆる企業會計に振り替えて、そうしてこのバランス等をはつきりさせる、又損益計算もはつきりさせるというふうにやつて呉れと云つて、今その樣式を準備中であります。從つて今豫算會計で行つた工場は儲かると云う。或いは儲かるかも知れない。或いは本部から行つておる者は、全體的に儲からんから儲からんと言う。これはどちらも本當かも知れませんが、それを調整しまして、本當の企業會計の收支の状態をはつきりさせたい、こう思つております。
 それから第二番目の問題も研究いたして置きます。
 それから私設鐵道のことは、これは私設鐵道側からもいろいろな陳情がございまして、これらに對する綜合的な方針はいずれ案を具して、この委員會にも御相談したいと思つております。
#61
○尾崎行輝君 大分前に委員長までお願いして置いたのでありますが、例の鐵道で出しておるパスのことであります。白書を見て行く中に大體あるだろうからということで、白書を大體見て來ましたが、どうも私の求めるものがここに書いてないのであります。私のは鐵道省で出しておられるパスの種類とその數量、どれくらいのものを、又どういう種類のものを出しておられるかということを、はつきり表にでもして、素人にもはつきり分るように出して頂きたい。これは今鐵道に對していろいろ非難のある中の一つであります。よく地方へ行くと聽かれます。私は必ずしも當局をこれによつて責めようというのではない。當局はこういう無理のない出し方をしておられるからと云つて、一般國民を納得して頂くための資料として欲しいのであります。できるだけよく分るようなものをお願いいたします。
#62
○委員長(板谷順助君) それからさつき尾崎君のお話の、進駐軍の專用車に、二等以上のパスを持つておる者は便乘差支ないということが、何か昨日あたりから實施されておるということでありますが……。
#63
○政府委員(伊能繁次郎君) それは私から御説明申上げますが、單なる電車區間に限つております。東京竝びに大阪附近の電車區間において、進駐軍のホワイト・テープの車に、運輸省から發行したパス若しくは第三鐵道司令部によつて發行せられた乘車證、或いは指定區間における二等の乘車券を購入した人々につきましては、座席に餘裕がある場合においては乘車を差許す。その際進駐軍の職員が乘車して、座席に餘裕がなかつた場合には、日本人は立つ、そうしてその後座席に餘裕が依然としてない場合には車外へ出る、こういうような非常に制約された條件が附いております。私共今日から實施をせよと言つておりますが、實施に準備が必要でございます。從いまして、まだ我々自身としては乘車券も賣つておりませんが、皆さんがお乘りを下さることは、これは御自由でございますが、鐵道の取扱いとしては、まだ公式に出しておりません。從いまして横須賀線、或いは中央線等でお乘り下さることは差支えございませんが、そういう非常に何と申しますか、不自由な條件にあるということだけは御了承を願いまして御乘車を願いたいと思います。從つてラツシュの際には殆どお乘りになる餘地はなかろうと存じます。お乘りになつた後から退去を命ぜられては、非常に不愉快な御氣分になるだろうと思いますから、その邉は私共取扱いの要領を出したり、又部内職員については通勤若しくはその他の勉勵乘車證を以て乘ることはいけないというような措置を講じようかと思つておりますが、何分にも電車區間、列車區間におきましては、沼津、御殿場間というような極めて限極された區城でありますから、實際問題として皆さんの御利便にはなるまいかと思います。
#64
○尾崎行輝君 私は極く少數の中の利便を得ておる一人であります。逗子から通つております。大隈さんなどと毎朝一緒に通つておりますが、今朝から早速これで乘りました。今までも乘つておつたのでありますが、今日から乘れるということを知りましたので安心して參りましたら、横濱でMPが窓から見せろと言う、それを見せたら日本語ばかりで讀めない、要するに國會議員だということを言つたら、向うは直ぐに可なり尊敬するような態度で我我は許されました。そこでお願いがあるのでございますが、これにフアースト・クラスという英語を、ゴム版でも、よろしゆうございますから印刷して頂きましたら、大變我々便利で、今日から使えるのでございますから、皆さんにもできるだけ御承知を願つて、利用なさつたらいいかと思います。今まで曾て立たされたことはありません。非常に工合よくやつております。
#65
○政府委員(伊能繁次郎君) 特別な乘車證で乘つておれば立たされることはない、併し皆立つておる際には立ち退きを命ぜられるということがございます。それだけは御承知置きを願いたい。
#66
○尾崎行輝君 よく車掌と顔馴染になつておるとそういうことはない。
#67
○委員長(板谷順助君) 外に御質疑ございませんか。
#68
○早川愼一君 さつきの資材の輸入について何か御交渉になつたことはありませんか。
#69
○國務大臣(苫米地義三君) まだございません。
#70
○早川愼一君 これは見込みがあるのじやないでしようか、いかがでしようか。
#71
○國務大臣(苫米地義三君) あればよいがと思つておりますが、まだ……。
#72
○早川愼一君 今度のはクレジツトの中には無論入らないのですね。
#73
○國務大臣(苫米地義三君) あれは輸出を土台としたクレジツトの利用ですから、あれには直ぐには入らないと思います。
#74
○中野重治君 二つありますが、簡單な質問です。
 一つは白書の合理化の問題、今後極力人員を節減して行く、それから差當つては絶對に必要な特殊の職員以外は採用を禁止する、要するにできるだけ減らして殖やさないという問題ですね。これは事柄としては非常に結構ですが、差當つては絶對に必要な特殊の職員以外は一切採用しないというのですが、絶對必要な特殊の職員というのがこれが明らかにされないと、人は減らす、後は補充しない、つまりそれだけでは人件費はすでに發表されておる通りですし、勞働強化ということになる。是非これを明らかにして頂きたいこれが一つ。
 もう一つは、これは今の政府より前の問題ですが、白書にも出ておるように、事故が非常に多いわけです。それはいろいろ原因があります。それであの八高線の事故を思い出すのですが、あの場合ああいう事件が起つたことについては、つまり乘務員の訓練度ということが非常に低かつたこと、速度計その他必要な備品が備わつていなかつたということ、そのような運輸内部の問題があり、更に大きな政治的問題として、一方に芋が山になつておる、こつちでは胃の腑が空つぽでいる、それだからどうしても押し込む、運轉する人の氣になれば、危ないと思つていても、何とかこの連中が食えるだろうと思えば無理をしても運轉をやつて見る氣にもなる。というようなこともあるだろうと思います。それでそういうふうな運輸系統内の樣々な原因と、それから更に大きな政治的原因がこれに作用しておる。ところが、事件が起きて見ると、運轉手だけが懲役に行くということになる。こういうことについて今後も訓練というものは、そう何かが決まつたからといつて、一日で訓練が積まれるわけでもないのですから、仕事をする人がそういう場合に、自己の責任が外の大きな原因に附随する責任とうまくバランスを取られて處理されるならば、安心して懲役にも行ける。併しすべてがその時にたまたま乘つておつた運轉手に皆轉嫁されてしまつて、大臣も運輸局長も政府もこれを見殺しにしておるというようなことであれば、今後人員が減つて、絶對必要な者以外は雇わない、そうして何とか仕事をやつて、而も國鐵を盛り返さなければならないという立場に立つ從事員としては立つ瀬がない。それで今後こういう問題が起つた場合、政府としては今までの諸政府のような、ああいう事故に際して當事者を見殺しに見送るというような方式をとられるかどうか、それとも別のやり方でその間に善處されるつもりであるかどうか、その點承りたい。
#75
○政府委員(伊能繁次郎君) 非常に根本的な問題の御質疑でございまして、前者の差當り新規採用を停止して、必要な最少限度の人員を採用するということにつきましては、白書に書いた通りでございます。然らば最少限度の人件費は何かという點でございますが、現在私共が考えておりますのは、特殊技術職竝に勞務職を最少限度の人員と考えております。例えば運轉關係における庫内手、機關助手、見習、線路關係において線路工手、電力關係において電力工手、通信工手、又驛關係において轉轍手、連結手その他各種の技術職、重勞務職につきましては炭水手、清掃手といろいろ種類がございますが、それらの現在非常に缺員を生じており、又採用に非常に困難を極めておるというものにつきましては、採用の途を塞いだわけでは毛頭ございません。併し一般の出札係であるとか改札係であるとか、驛手であるとか、その他小荷物係、貨物係等、これらの關係竝に一般事務系統の職員につきましては、地域的にも又職務的にも相當過員を來しておりまするし、これらは仕事の配置轉換も比較的容易でございます。從つてこれらの者については採用を差當り禁止をする、こういう措置を採つております。勿論御指摘のごとく、勞働強化を目標としたという考え方は毛頭持つておりません。八時間勞働による規定勞働時間を目標にして採用の禁止をいたしたわけでございます。從つて我我は經營合理化の内部的な問題としての能率の増進、職場規律の確立というような事態と同時に、單位時間あたりの作業量を能率を擧げるということに重點を置いて行こう。從つて高能率、高賃金の原則は何ら捨てておりませんし、これによつていよいよ高能率高賃金制を發揮したい、かように考えておるのであります。
 第二段の問題は根本的な問題でありまして、たまたま八高線の事故の例をお採りになられましたが、あの事件につきましては、御指摘のような點もございまするが、あの機關士はすでに八高線區間の運轉を十五囘、規定の試運轉試乘期間も十分に完了をいたしております。但し技倆の點においては甲というわけではありませんが、乙の上という程度のものでありまして、當時たまたま御指摘のごとく、手荷物の輕積みであつたという點と、一般の藷買出しの乘客が非常に多く、他の列車に比べて三倍以上の乘車人員であつたために、連結器の噛み合いが十センチ近くも喰い違つておつたというような状況にございまするが、少くとも下り勾配において相當のスピードが出ておつたということは實際でございまして、これらについては今後の問題、竝びに過去におきましてもひとり從事員自體の責任だと私共は考えてもおりませんし、これが處理に當りましては、財政上の各般の問題、辯護その他の措置、竝びに殘された家族の問題等につきましても、國有鐵道全體として採るべき措置については怠りをいたしておりません。又今後のああいう事態竝びに事故の原因等につきましては、從來のような形でなく、組合側とも協議を遂げた審査委員會制度等も開きまして、事態の糾明に萬全を期すると同時に、そういつた事故の責任についても、全體的なものとして、單に當該事故發生者、その原因自體が明らかである場合は、勿論問題はないと思いますが、原因について、いろいろな事情の輻湊しておるものにつきましては、それに對する事態の糾明、竝びに對裁判所關係等につきましても、運輸省として責任ある態度をとり、處置をとりたい、かように考えております。
#76
○委員長(板谷順助君) 諸君にお諮りをいたしますが、鐵道白書に對する質疑は一旦この程度に止めておきまして、今後委員諸君から通告がありましたらば、政府の出席を求めることにいたしたいと思います。それでよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○委員長(板谷順助君) それでは本日はこれにて散會いたします。
   午後三時二十三分散會
 出席者は左の通り
   委員長     板谷 順助君
   委員
           小泉 秀吉君
           丹羽 五郎君
           中村 正雄君
           大隅 憲二君
           高橋  啓君
           飯田精太郎君
           村上 義一君
           尾崎 行輝君
           早川 愼一君
           小野  哲君
           新谷寅三郎君
           北條 秀一君
           中野 重治君
           若木 勝藏君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 一松 定吉君
   運 輸 大 臣 苫米地義三君
  政府委員
   厚生事務官
   (保險局長)  宮崎 太一君
   運輸事務官
   (鐵道總局長) 伊能繁次郎君
   運輸事務官
   (海運總局長) 有田 喜一君
   運輸事務官
   (電氣局長)  西村 英一君
  説明員
   厚生事務官
   (年金課長)  岩瀬 繁一君
ソース: 国立国会図書館
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