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1947/08/28 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第8号
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1947/08/28 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第8号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第8号
  付託事件
○磐越東線三春、船引兩驛間の要田村
 に停車場を設置することに關する請
 願(第二號)
○鐵道運賃の値上げ反對に關する請願
 (第三號)
○長岡鐵道を國營に移管することに關
 する請願(第四號)
○海運經營方式竝びに船員管理に關す
 る陳情(第十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する請願
 (第十號)
○高崎、熊谷間に電化工事を實施する
 ことに關する陳情(第四十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する陳情
 (第四十七號)
○磐越東線神俣、大越兩驛間の瀧根町
 菅谷に停車場を設置することに關す
 る請願(第十三號)
○熊本縣人吉市を基點とする三路線に
 省營自動車運輸開始に關する請願
 (第十五號)
○日本通運株式會社の營業權竝びに設
 備を舊關係業者へ還元することに關
 する陳情(第八十五號)
○海運經營方式竝びに船員管理に關す
 る陳情(第九十六號)
○東北本線宇都宮、大宮間日光線宇都
 宮、日光間及び兩毛線小山、高崎間
 の電化實現に關する陳情(第九十九
 號)
○高崎、熊ケ谷間に電化工事を實施す
 ることに關する請願(第三十六號)
○海上輸送力緊急増強に關する陳情
 (第百二十三號)
○海難審判法案(内閣送付)
○鐵道營業法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○木原線鐵道殘工事の速成に關する請
 願(第五十六號)
○舊鶴見臨港鐵道外三鐵道線拂下に關
 する請願(第六十號)
○中央線高藏寺、名古屋鐵道小牧兩驛
 間に國營自動車の運輸を開始するこ
 とに關する請願(第六十二號)
○山形縣最上郡内に國營貨物自動車の
 運輸を開始することに關する請願
 (第六十四號)
○柳井驛より三路線に、及び田布施驛
 より二路線に國營自動車の運輸を開
 始することに關する請願(第七十六
 號)
○常磐線松戸、我孫子兩驛間電化工事
 實施に關する請願(第七十八號)
○江差町、東瀬棚村間に國營自動車の
 運輸を開始することに關する陳情
 (第百五十六號)
○日本國沿岸に置き去られた船舶の措
 置に關する法律案(内閣送付)
○學生鐵道運賃の是正に關する請願
 (第九十號)
○東北本線二本松、本宮兩驛間の杉田
 村に停車場を設置することに關する
 請願(第九十二號)
○博多、壱岐及び對馬間の國營航路實
 現促進に關する請願(第九十三號)
○宇部東線電車運轉を山口市宮野地區
 迄延長することに關する請願(第九
 十四號)
○矢島鐵道株式會社の救済に關する請
 願(第九十七號)
○常磐線松戸、水戸間電化促進に關す
 る請願(第九十九號)
○信越線高崎、横川間電化工事を實施
 することに關する陳情(第二百一
 號)
○道路運送法案(内閣送付)
○舊小倉鐵道線拂下げに關する請願
 (第百三號)
○信越線柏崎驛附近鵜川鐵橋の徑間擴
 張工事施行に關する請願(第百七
 號)
○五條驛、新宮市間の鐵道速成に關す
 る請願(第百八號)
○學生鐵道運賃の是正に關する請願
 (第百九號)
○東海道線沼津、濱松兩驛間の電化速
 成に關する請願(第百十二號)
○九州、四國間の省營連絡に關する請
 願(第百十三號)
○愛媛縣東宇和郡宇和町、八幡濱市間
 に國營自動車の運輸を開始すること
 に關する請願(第百十四號)
○山陰線の電化竝びに廣島、松江兩市
 間直通列車運轉に關する請願(第百
 十九號)
○中央氣象臺牛深出張所設置に關する
 請願(第百二十七號)
○九州、四國間省營連絡に關する請願
 (第百三十七號)
○常磐線松戸、平兩驛間電化促進に關
 する請願(第百四十二號)
○中央氣象臺牛深出張所設置に關する
 請願(第百四十四號)
○國有鐵道の現状に關する件
○小委員會設置に關する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十八日(木曜日)
   午前十時三十六分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○小委員會設置に關する件
○海難審判法案
○國有鐵道の現状に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これより會議を開きます。
 かねて專門委員としてこの總會において諸君の御同意を得、又本人におきましても内諾を得ておりました福原君、小倉君今囘内閣より正式に發表されましたについて、この際御紹介申上げます。
#3
○專門調査員(福原敬次君) どうぞよろしくお願ひいたします。(拍手)
#4
○專門調査員(小倉俊夫君) どうぞよろしく……。(拍手)
#5
○委員長(板谷順助君) それから尚諸君にお諮りして置きたいと思いますが、實は豫算關係の附随しておるものは勿論衆議院において先議權がありますけれども、その他の法案に對しましては、皆豫備審査になつておりまして、正式にここに決議するというわけには行きません。從つて委員會としての仕事も捗りかねるようなことでありますが、今後は豫算關係にないものは成るべく早く質疑を終了し、討論が終つたならば採決をするような順序にしたい、こう考えておるわけであります。實は先般海運組合法につきまして政府側から、衆議院がまだ決まらんから四、五日延ばしてくれという話があつたけれども、豫算關係がないからできないと言つて、諸君の御決議を願つたような次第であります。今後もその點につきまして政府にこういう申入れをしたいと思つております。別に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○村上義一君 今お話がありました點に關聯することでありますが、委員會の運營についてちよつと申上げたいと思うのですが、よろしうございますか。
#7
○委員長(板谷順助君) よろしうございます。
#8
○村上義一君 實はこの公報を見ますと、多數の請願建議等が出ておるのであります。これらは從來の議會と違つて愼重に審議をし、取扱わなければならんということは、以前に開かれた委員會でも御意見が出ておりましたのですが、聞くところによりますと、一方において暫く自然休會が或いは休會に入るということも伺いまするし、休會に入る前に小委員會でも作つて頂いて、そうしてこれらの請願建議等の原案作成と申しますか、處理方についての原案を作つて頂くことが必要じやないかと思うのであります。幸いに御贊成願えるならば、委員長において五名乃至十名の委員を一つ御選定願うことにいたしたいと思いますが、いかがでございましようか。
#9
○委員長(板谷順助君) 實は請願の取扱いにつきましては、運營會におきまして一々紹介議員の出席を求めて説明をして貰つて、その上で適當に審議をするということでありましたが、委員長の考えといたしましては、專門調査員が決まりましてから、これらの方々に大體下調査をして貰つて、その上で小委員會でも設けてこれをお諮りしたいというふうに考えておつたのであります。幸いに專門調査員も今囘正式に發表されたことでありますから、諸君が御贊成であるならば、いずれ小委員を設けて、專門調査員に一つ下調査をして貰つて、更によく御協議をする、そういう運びにできるだけやりたい。殊に運輸交通の請願は、見ますると、豫算が併うし、事件が多いのであります。そんな關係でありますから、小委員を設けることについて皆さん御異議がないならば、そういう取計らいをいたしたいと考えます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(板谷順助君) それじや委員長に一つお委せを願つて、適當に取運びたいと思います。丹羽君、司法省の刑事局長が御出席になつておりますから……。
#11
○丹羽五郎君 私今この海難審判法をいろいろ研究いたしておるのですが、實はこの法案が成立いたしました場合に、この海難審判法の受審人たるべき海技免状受有者は、假に過失があり、海難審判法によつて責任を負う點あれば、これによつて責任を問われ、而して又人を殺傷したというような問題のときには、刑事被告人として刑事上の訴追を受ける、海技免状受有者はこういう二つの制裁をここで受けなければならんのであります。
 今日までの行き方を見ておるのに、海員が海上において行う行爲というものは、すべてが自然力と對抗して行かなければならんことでありまして、事件によつてはそれが自然力に壓倒されて行くというものも相當あるのであります。これを今日の新らしい海難審判法はすべて、受審人を被告の地位にして取調べるのでなくて、その事件の眞相を把握するということが、今囘提案された海難審判法の趣旨のように考えておるのでありますが、でき得べくんば、この場合における事件に對しては、審判先行というような意味合におきまして、海難審判法によつてその受審人を取調べた結果を普通裁判に持つて行つて貰うことができれば、非常に受審人の立場も得るところが多いじやなかろうか、かように考えておるのですが、その點は前の海員懲戒法の現行法におきましても、司法省としては相當了解をされて、運輸省と司法省との間には一つの文書が取交わされておるのであります。それは大正四年五月二十日に、司法省法務局長の豐島氏から全國の檢事總長を除く檢事に宛てて、船舶職員に關して、職務上の過失に對しては、刑事訴追の取扱いに關しては、尠くも現行の海員審判所において懲戒されたその後においてやつて貰いたいという通達がありますが、非常に私はこれは機宜の處置を得た通達だ、かように考えておる次第であります。
 今囘新しく生れた海難審判法は、先程も申上げたごとく、受審人を被告の地位に置いて、刑罰主義においてそれを取調べるのでなく、事實の眞相を探究して、再びそういうような技術的結果を起さないようにやつて行くというのが、今度生れんとする海難審判法であるのでありますから、でき得べくんば、この審判の事件の取扱いを海難審判所に掛けることを裁判の先行として規定して頂いたら、非常に都合がよくなる、かように考えております。但しここにこういうことは考えなければならん。一例を擧げれば、船長が密輸入をするためにその港へ入らんとして、そこでその船を暗礁にのし上げたというような場合には、その船長の航行の目的が不法行爲である以上は、こういう者に對しては、これは少くとも刑事裁判の方を先行にして、そうして今度はその船を海難に陷れしめた原因を海難審判所において取調べるということをやつて行くことが必要じやなかろうかと考えております。そういう持段な場合を除いた以外は、でき得べくんば私はこの今度生まれる海難審判所の方を審判の先行にして頂いて、この刑事の訴追問題はそれによつて後でやつて頂くということが非常にいいんじやないか。一例を擧げれば、船長が不可抗力によつて船を沈没させて多くの人命をなくしたという折に、直ぐに刑事訴訟の訴追によつて船長は勾引をされる。そうして留致されるというようなことによつて、事件の眞相を把握することについては、非常に時が遲れるために、把握のできる眞相も掴みにくいというような技術的の問題が生じて來るのであります。その點を一つ十分司法當局においてもお考え置きを願つておいて、前御通達があつたごとく、今度生まれんとするこの海難審判法においても取扱いを願いたい、かように考えております。
#12
○政府委員(國宗榮君) お答えいたします。只今の御質問誠に御尤もなことと存ずるのであります。現行法は、三十四條におきまして、懲戒審判に對して、刑事裁判の先行ということを規定しておりましたが、實際の運用におきましては、先程御指摘のありました通牒によつて審判の方を先にいたしまして、成るべく刑事裁判の方は後にやつておつたというこれまでの實情でございます。その理由といたしましては、今御指摘になつた取りであります。海難が複雜な航海上の諸條件の下に發生するものでありますから、これらの事の直相の究明は、海難審判所の方が適當であるという考えの下に通牒が出ておつたと考えておるのであります。今囘の場合におきましても、法律の目的が只今御指摘になりました點に重點が置かれるようになりましたので、尚一層この審判所の審判の事實に基いて刑事訴追を起すのが適當と考えておりますから、そこで現行法にあります三十四條の規定を削除することにいたしまして、刑事裁判の先行主義ということを法律上止めにいたしました。實際の運用において海難審判所の審判の事實に從つて刑事裁判を動かして行くという運用に改めたい、かように考えておつたのであります。
 ただ併し海難審判が非常に長期に互つて長くかかる場合が豫想されるのであります。さような場合は刑罰權の不安定な状態を生ずる虞れもありますし、時效の虞れもありまして、從つて審判先行主義ということを明定しておりませんが、その場合は特例といたしまして、刑事裁判を先にやる、或いは審判の起らない場合に刑事裁判を進めて行く場合があろうかと思うのであります。併し原則といたしましは海難審判所の審判を先にいたしまして、その結果によりまして、刑事裁判をやつて行くという建前を私の方は採りたい、かように考えております。
 從いまして、大正四年に出ております通牒は甚だ古い通牒でございますが、今度海難審判法が施行になりましたならば、改めて全國檢事に對しまして、その運用について通牒を出したい、かように考えております。
#13
○丹羽五郎君 今の御説明で非常に私の目的も得た次第でありまして、どうか是非新らしく生れる海難審判法の本當の運用のできるように、司法省においても十分御協力をお願いいたしたい、こういう希望を述べまして、この問題についての質問を打切ります。
#14
○委員長(板谷順助君) 丹羽君、安本の次長がおいでになつておりますが、何か御質問がありますか。
#15
○丹羽五郎君 私の方はちよつと安本の次長にはありません。
#16
○政府委員(田中源三郎君) 昨日あなたから御請求もありましたから……。
#17
○丹羽五郎君 私の方からは……。
#18
○委員長(板谷順助君) 丹羽君じやない、内村君です。
#19
○小野哲君 今日内村君はお見えになつておらないようでありますが、大體内村君の前囘からの御質問の内容を聞いておりますと、問題は國鐵の白書に示されておる中で、資材の問題を非常に重要視されておつたように思われます。恐らく内村君が御出席ならばこの點をお聞になりたいのではないか、かように思いますので、この點を付度いたいまして、私から安本の方に資材の問題について一二お伺いして置きたいと思います。
 この經済白書の中で、特に鐵道が鋼材に依存しておる、それに拘わらず年年鋼材の配當が非常に少くなつて來ましたために、建設は勿論保守にも事缺くような状態になつておる。ここに國有鐵道の弱さの一面が現われておると思うのであります。從いまして、國有鐵道が經濟復興の先驅をなすものであるという點に考えて見ますと、どうしても資材を餘計に食わせるということが根本の條件にならざるを得ないので、この點について經濟安定本部といたしましてはいかなる御措置をとられつつあるか、又將來の國有鐵道が再建計畫を實行いたして行く上につきましても資材の確保は是非行わなければならない前提でありまするので、將來の對していかなるお見通しを持つておられるか、又國有鐵道に對して特別なお措置をおとりになる御意思があるかどうか、この點を鋼材を例に取りまして伺いたいと思います。
 それからもう一點、序でに伺いたいと思いますのは、とかく國有鐵道が終戰以來多數の人員を包容しておる、こういう世論があるのであります。而も國有鐵道を合理化して行かなければならない、經營の合理化を圖つて行かなければならないということは、經濟白書の中にも結論として現われておりますし、又輿論もこの點に對しては大きな關心を持つておるように見受けるのであります。從つて安本におかれまして國有鐵道の人員についてどういうふうなお考えを持つておられるのか、この人員を整理するという方向に對しての安本としての御意見もこの際併せて伺つて置きたい、かように思うのであります。
 以上二點について私からお尋ねいたします。
#20
○政府委員(永野重雄君) 只今、國有鐵道の最近の資材面から見た非常に行詰つておる状態について非常に御關心を以て御質問頂いたのでありますが、この問題につきましては、我々の方面でも非常な關心を持ち、又輸送力というものが日本經濟再建のための動脈的役割をもつておる重要な事業であるということもよく考慮いたしておりますので、只今のような點につきましては全然同感でございます。ただ何分にも終戰以來日本の各般の産業がひどく痛み、又衰えて來ておる。特に御承知のように石炭が最も産業の基礎物資であるにも拘らず相當これもひどく生産が落ちておる。その結果としまして石炭に最も多く依存する製鐵事業が非常な制約を受けるに至りまして、最初に申上げましたように、國有鐵道に對して或いはその他の鐵道事業に對して非常な關心を持つておるに拘らず、配當量において要求に十分に副い得ないというのを甚だ遺憾に存ずる次第であります。御指摘のように、需要量に對して何分の一しか配當できず、又その配當についもなかなか思うに任せない面があるという點につきましては我々甚だ殘念だと存じておりまするが、何分にもさような状態でございまして、先ず生産の總量をどうしても確保いたしまして要請に副いたいものと考えております。
 現に手近い例をとりまして見ても、昭和二十二年度は鋼材は七十二萬トンを配當する、生産はそのうち七十萬トン、在庫量等を織込みまして七十二萬トンを配當するという計畫を立てております。ところが、年初に立てました計畫通りの内地の石炭、又製鐵に最も大きな關係を持つておりますいわゆる強粘結炭、支那の海南方面から來る石炭を二十八萬トン、又北樺太の石炭も相當期待しておつたところ、いずれも思うに委せず、極めて少量しか入り得ないような状態でございまして、その結果現在のところ一應の見通しでは七十萬トンは愚か、六十萬トンを相當食い込むような數字になりはせんかということを案じておる次第であります。さような意味合を以ちまして、折角御配慮を頂き又我々としても深い關心を持つております鐵道に對する、鋼材の配當の少い結果になつておりまして、この點一つ御了承を願いたいと思う次第であります。
 次に、鐵道の事業の從事しておる從業員が甚だ多いと思うがどうだというような御質問のように拜聽いたしました。この件につきましては産業はいかなる面から見ても合理化すべきは當然でございまして、交通業も合理化は當然考えなければならん。ただ合理化は必ず直ぐそのまま人の整理ということには密着いたさないのでございまするが、以前の數字から見ますと、今日の人員が多いということは數字の示す通りであります。ただ勞働基準法とか或いは終戰後の特異事情によりまして相當量の人數の從業員を要求するということは、常識的にこれを考えまして、どの程度の人數が最も實情に即した人であるかということにつきましては我我としても檢討せんければならんし、又非常に關心を持つておる問題でございまして、只今その點についていろいろ研究はいたしておるわけでございまするが、御指摘のように、この程度の人間が妥當であつて、現在はどの程度餘剩であるかということにつきましては、現在のところ成案は我々としては持ち合せておらないわけでございます。ただ今後新らしく採用する場合に、それを考慮に入れた措置をするということは勿論當然必要だと思いまするが、尚又仕事の上、或いは實地的に見まして、過剰な面を足りない面に振向ける配置轉換も當然必要なことであります。
 それから先程の諸施策につきましては、十分な研究、又世間の實情に即應した措置を採る以外にはいたし方がないと考える次第でございます。この點もさような意味合において御了承願いたいと存ずる次第であります。
#21
○中村正雄君 安本の副長官がいますので、今度の運賃値上げについてのお尋ねをしたいと思います。と申しますのは、運賃値上げの前におきましても國鐵は相當な赤字であつたという點はよく承知しておりますが、運賃値上げ前と後とを赤字を比較して見ますと、運賃値上げ後の方が赤字が多くなつておる。言い換えれば、一般の重要物資の公定價格の改訂は國鐵を犠牲にしてやられたというふうにしか見られないという點があるように思いますが、この點につきまして安本の方ではどうお考えになつておるか。
 それともう一つ、人件費につきましても、大體運輸業の物件費と人件費の關係が振合いが取れていない。ところが、今度のマル公の値上りで大體營業費の物件費と人件費の割合が、人件費が三十九で物件費が六十一になつておるという點から見ましても、この度の公定價格の改訂が、非常に重要物資を重點的にやつた關係で、國鐵はどちらかと言えば、却つて今度の運賃値上げということは、一般の物資との割合が非常に振合いが取れておらなかつたと私は考えておる。これに對しましてどう考えておるかお伺いしたいと思います。
#22
○政府委員(永野重雄君) 只今運賃と一般物價の振合について御質問がございましたが、今囘立てました物價體系の場合、只今のような點は十分考慮いたしまして、物件費と人件費及び運賃との間の兼ね合いを檢討の結果、あれが最も妥當だと考えまして制定したわけでございまして、ただその後の赤字の實情が必ずしもそれに副つていないというような御指摘もございましたが、この點につきましては、まだ特殊の資材等について公定價格の制定しないもの等については、相當高い物も使わざるを得ないようなこともあつたのじやないかと想像いたすわけであります。全部が想定しますような配給ルートに上り、すべてが公定價格で以で手に入る、又それが使えるような状態になりますれば、想定いたしましたような段階に段々と近付いて參るんじやないかと考えておる次第でございます。
 それから人件費と物件費の割合について御指摘になりましたが、これも人件費が直ぐ物件費の基になり、又物件費が人件費の基になる、共々原因となり結果となる因果關係をもつておるのであります。この點につきましてはいろいろ研究は勿論いたさなければならんのでありますが、この點につきましても、現在のところはすべてがルートに入れば、我々の想定しておりますような配給の途を通つて物が流れる、又それが次の生産の基になり、人件費の基礎になるという段階を考えますると、人件費と物件費の割合等につきましても、妥當なところに落ち著いて来るのじやないか、丁度前の御質問と同じようなことを申上げるようでありするが、今日のところはさよう考えておる次第であります。
#23
○委員長(板谷順助君) 内村君からこの間鋼材の御質問がありましたが、安本關係の方がおいでになつておりますが、今あなたがお見えにならんために、小野君があなたの意思を付度されて質問されたのですが……。
#24
○内村清次君 白書によりますと、運輸省が今度の鋼材が千百二十萬五千トンである、而もこの需要においては、車輛の修繕も、或いは又線路の補修についても、軌道の取替えについても、到底見込がない旨を赤裸々に示しておりまするが、現在の赤字の状態を見ますると、鐵道は戰爭の犠牲によつていわゆる崩壊の状態になつている。これは前の安本の計畫においても、亦商工省の割當計畫においても、全く鐵道に對して需要に充たないところの計畫の杜撰が私は多分にこれに含まれておつたと思う。現在において、安本がいわゆる傾斜生産を重點に置いて、石炭三千萬トンを是非とも獲得しなければならんという一應の計畫を立てているけれども、石炭が出ても輸送ができないということは、これはもう現實の問題である。どうしても鐵道の復興、而も又鐵道が部分的に立上ることができない、輸送も止めなくちやならないというような現實のデーターというものが、もう各職員の面から出ている。而もこれに從事しているところの職員の人たちは、皆いかにして自分の責任を盡すかという面において非常に悲壮な、而も又非常に苦心の點を訴えてしるのです。これに對して、どうしても三千萬トンを獲得するために、この方に重點を置いてやらなければいけないというような、只今のただ一片の安本關係の責任者の答辯では濟まされないと思うのです。この點に對して先ず我我は國民の立場からいたしましても、すでに事故が頻々として起つているところのこの現實面において、又重大事故が起らんとする現實面において、いかに安本がその責任を感じて配給を確保するかという點について、もう少し一つ責任ある答辯をして頂きたいと思います。
#25
○政府委員(永野重雄君) 鐵道事業に對する鋼材の割當が現段階に即應して甚しく少いという御指摘でございまするが、これは全く仰せの通りに、現在の鐵道の現状及びその現状から來る要請量に對しましては、明らかに少いことは我々もよく存じております。現に二十一年度の數字につきまして御參考までに申上げて見ますと、國鐵の要求量二十一萬三千餘トンに對しまして、配當は五萬四千七百トンという數字でございました。又全運輸業を通じて考えましても、三十一萬五千餘トンに對して六萬三千餘トンでございました。さようなことと同時に、二十二年度に入りましても、國鐵は二十一萬二千トンばかり、私鐵、小運送を通じて二十八萬餘トンの需要に對して、本年も遺憾ながら十分な配當が出來得ない現状でございます。それは先程も申上げましたように、石炭の生産不足及び我々の計畫いたしておりました海外よりの輸入炭が計畫通りに入り得なかつた、これはいろいろな國際情勢等によりまして、止むを得ずそういう結果になつているわけでございますが、さような意味におきまして、鐵に最も必要な石炭が思うように製鐵面にとれなかつたということが、生産減の主な原因をなしておるわけでございます。從つて全産業いずれも鐵の必要でない産業はないわけでありまして、それを綜合的に勘案いたしまして、なけなしの鋼材ながら、最も妥當だと思う數字を今年も鐵道に向けては配當いたしておるわけであります。今年に入りまして第一・四半期には一萬一千二百五十トン配當いたしております。第二・四半期には一萬一千トン、第三、第四・四半期には、只今のような事情もございますので、多少とも増量をいたす必要があると存じまして、第三・四半期には約一萬六千トン見當、第四・四半期には一萬七千トン乃至一萬八千トンの割當をしたいと考えておる次第でございます。いずれにいたしましてもこの需要に對する配當割當は甚だしく少い。これを補う途は一に生産増強でございまして、この點につきましては、萬難を排して諸手段を講じたいと思つております。例えば海外からできるだけ石炭を買入れる、或いは石炭に代る燃料としまして重油、これもできるだけ懇請をいたしまして、大量に輸入したいと考えております。又内地炭の配當につきましても、いろいろの意味において最善の考慮を拂いたいと考えておるわけでございます。
 尚鐵道に對する配當減の主な原因は要するに生産減にあるわけでありますから、鋼材としましても、何とか獲得の方法はないかと考えまして、今囘設定されましたクレヂツトの使途を考究いたします場合、そういう點を考慮に入れまして、鋼材を輸入したいものだと考えております。ただこの鐵道事業に對します施設用の資材は今囘のクレヂツトの條件になつております。輸出原料に充てるということが條件になつておるわけであります。尤もこれは資本の五〇%以上になつた場合には内地の消費に充てるべきではありませんが、それ以外におきましては、一五%、基金の一八以%上のものは内地の消費には充て得ないことになつております。ただ輸出産業をしようとしても、輸送を離れた輸出産業はないわけであります。關聯事業と、こう解釋いたしまして、クレヂツトに鐵道用の鋼材も考えております。又石炭増産の一つの手段としまして、坑内用の坑木代りに古軌條を相當使うわけであります。これも古軌條が足りないので、一部新らしい軌條を石炭のために割愛せざるを得ないような事情も過去にはあつたのでございます。從いまして、これの補いを付ければ鐵道に對する軌條等の割當が非常に樂になると考えます。同時に直接に、地方で餘り重要な線でない方面には、或いは輸入した古軌條がそれに使えるのじやないかと考えますが、そういうような意味合で目下この點等につまましても研究をしておる次第であります。
 いずれにしましても、御指摘のように輸送量の確保至難の状態であると同時に、諸資材、特に鋼材が足りないという事情は我々もよく存じておりますのでいろいろな手段で以て御趣意に副いたいと、目下研究している次第であります。
#26
○内村清次君 只今第三・四半期における配當が二萬六千トン、第四・四半期が二萬七千トンの配給見込があるんだという御答辯がありましたが、これで運輸當局は、現在の不良軌條、或いは又不良機關車に對する生産割當に對して、もうこれで十分であるか。現在すでに、一昨々日委員會で發表したように、小倉管内だけにおいても、延長八十七キロのうち二十八キロがもうすでに取り替えをしなければあぶないという現状、これは幹線の各所においても往々こういうような不良な状態が累積していると思いますが、これで一體完全な保守ができるのであるるか。或いは又生産ができるのであるか。この點を一つ伺いたい。
#27
○政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。今安本から割り當てられますところの資材によつて、現實に日本の輸送量を確保すべき鐵道の各種の改良に十分なりとは言い得られんということ、これはもうすでに繰返し事務當局からも、或いは大臣よりもお答えしておる通りであります。併しながら日本の現状において、それ以上の要求が不可能な場合におきましては、これに代るべき、枕木の補強を十分にいたしますとか、或いはその他の各種のあらゆる手段を盡しまして、大體において事故の發生を防止するように努めて、來たるべきこの鐵材の、資材の相當要求量の割當を受ける時代に至るまでしのいで行きたい、かようにお答えするより、私共はそれ以上のお答えはいたしかねるような實情にあることを率直に申上げて置きます。
#28
○新谷寅三郎君 物動計重の問題だけでありますが、ちよつとお聽きしたいと思います。この問題は誰しもが痛感している問題で、長い間前から言われておる問題であります。極く單純なようで、而もなかなか實行されない問題であります。つまり物動計畫が遅れる、このために非常に生産を阻害しているのではないかと思います。今日まで、この資材難の際に、物動計畫を確立されることだけでも非常に御苦勞が多いと思います。併し第一・四半期の物動計畫の決定は第一・四半期の中頃になる。第二・四半期も同樣の結果であります。今後ともそういうことになるのではないかと思われる。その結果は、生産業者から申しますと、いずれも見越生産をやる以外にない、その結果、場合によりましては、非常に不急不用の物も造られるという結果になるのではないかと思います。又物動計畫の決定がありませんために、切符を切ることができない、從つて必要な所にそれを使うことができないというような結果になるのでありまして、インフレ防止のためにもあらゆる方面の生産を興さなければならんと言いながら、一方で生産を阻害しているような結果になつているような次第でありまして、非常に遺憾に思うのであります。少くとも物動計畫は三ヶ月か、できれば六ヶ月前に決定をされて、その後の修正はありましようが、一つの枠を決めて、それによつて計畫をして行くというような方法をおとりになることが必要であると思うのであります。今後の物動計畫の決定に對して、安本はどういうふうな考えを持つておられるか、伺いたい。
#29
○政府委員(永野重雄君) 物動計畫の決定につきましては、只今の御指摘のように、從來ともすれば、その期の計畫がその期に入つてからというようなことは事實ございました。それではその資材を當てにして次の事業を營まれる方々に非常な御不便をかけ、又生産業者自身もやはり困るわけであります。全く御指摘の通りであります。この點につきまして實は少しでも早く計畫を立てる必要があると考えまして、第三・四半期の配當計畫につきましては大體一わたりの見通しをつけて、前にも數字の一端に觸れましたわけでありますが、約一ヶ月前に政府の計畫を立てたいと考えておるのであります。十月から第三・四半期でありますが、これも九月初めには何とか立てたいと考えております。ただ今日の物動の諸計畫は、我々の方だけでは片付かない點があるわけでありまして、そういう關係方面の折衝に若干の日取をとつて、時期の遲れることも間々從來もあつたわけでありますし、そこは今後も折衝の如何によつてはさようなこともあり得るわけでありますから、この點は我々も最善の努力を盡して、さようなことのないように努力をいたしたいと考えております。
 それから今年につきましても、一年の計畫は一應は立ててみたわけであります。これも餘り短期の物動計畫は、それを材料にする各方面には廣く御迷惑を次々に掛けて參るわけでありまして、できるだけ大枠で前廣にやることは當然だろうと考えておるわけでありますが、先程も鐵の例でも申上げましたように、七十萬トン割當のものにつきまして五十數萬トンしかできないというような非常に大きな違いができるわけであります。このままで行けば結局各方面に御迷惑をかけるようなことになつて、仰せのような空割當、空切符を常時起すようなことになり、又延いては闇の因になると考えまするので、甚だ殘念でございますが、やはり短時日の實情に即應した計畫は不便はあるけれども、その反面又數字が小さいだけいいじやないかと考えまして、やはり各期毎の計畫を中心にいたしておるわけであります。これは石炭の量、或いは諸物資の量等が長期に策定し得るような時期になりましたら、少しでも各方面の御不便を少くする意味におきまして、長期の計畫を成るべく前廣にいたしたい、かう考えておるような次第であります。
#30
○委員長(板谷順助君) よろしうございますか。それでは議案は順次進めて行きたいと思いますが、先ず海難審判法に對する質疑を繼續いたしたいと思います。
#31
○丹羽五郎君 私は先般留保して置いた點から申上げて行きたいと考えております。この海難審判法の第四條の末項の問題でありますが、「海難審判所は、必要と認めるときは、前項の者以外の者で海難の原因に關係のあるものに對し勸告をする旨の裁決をすることができる」、この勸告の裁決でありますが、これは無論その原因を探究するということは非常に結構であつて、又その勸告の裁決をすることも結構だと私は考えておりますが、若しも裁決が不當であつた場合には、これに對して抗辯をすることの立場を保有させることが私は最も必要なことであろうと思います。同時に私の理想を言うならば、ここで勸告の裁決をするならば、その裁決に對して或いは異議の申立のできるようにしても……海難審判法は二審制になつておりますから、地方海難審判所から高等海難審判所に異議の申立をして、新らしく又高等海難審判所においてこの審判をするという制度にして貰うことを、私は先ず第一に要求をしたいのであります。
#32
○政府委員(田中源三郎君) 只今の丹羽さんの御質疑に對してお答えいたします。第四條の第三項に對する勸告に對する裁決ありたる場合におきましての抗告の途を開いたらどうかということでありまするが、これは勸告を受けるということに對しましては、大體においてその事業に對するすべての檢討が行われた結果に基きまして裁決が行われ、勸告が行われて來るのでありまするからして、これに對して勸告を受けたる者の各般の關係者に對しては自然信用その他の利害關係が伴うて來るものと想像されます。或いはその名譽等につきましても社會的の問題が伴うて來るものと考えまするが、これはその事態に對してはつきりとそれだけの手落ちがあつたのでありまするからして、當然私はそれが起きて來ても當り前であろうと考えられるのであります。ただこの場合に抗告することを認めるか認めないかということの範圍を開くか開かないかというに過ぎないのでありますが、これらの場合は、今後の政令等の場合におきましては一應考慮をいたしてみたいと考えておりまするが、大體におきましては、勸告に對するところの抗告の途を開くところの必要はないかと考えておるようなわけであります。
#33
○丹羽五郎君 今の田中政務次官のお話では、勸告をする。その結果が惡い結果であるから勸告をするという、勸告をせなければならん立場の者としての前提條件からお話になつておりまするが、私はこの海難審判所で勸告をしなければならんということ、そのものが或いは誤審になつた場合に、その誤審により受くるその者の損害ということを私は考えてやらなければならん。ということは、それに對して勸告をするならば、親が子供に勸告をするならば、又は子供が親に勸告をするならば、そこに一つ抗辯權ということを私は認めなければならん、この抗辯權のない勸告は、一例を擧げれば丹下左膳の拔打ちで一刀で切捨てるというような觀念、この觀念が現在ここに海難審判法という新しい法案を以て海運行政を取扱つて行こうというこの法案の改正の趣旨にも戻るものであると、かように考える次第であります。
#34
○政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。第四條第三項に對する重ねての丹羽さんの御意見竝びに御質疑等に對しましてお答え申上げたいと思います。只今の御意見の中には、誤審に基く抗辯權を設定する必要がある、これによつて誤まれるところの審判に對する正しき立場を與えて行かなければならんというお説でありまするが、又その前に、勸告そのものは、一定の被告として斷定した上において勸告をする、こういうふうに解釋をなさつておられるようでありまするけれども、先ず海難の事態を一審、二審、三審の審判所において、各方面から詳細に且つこれを誠實に審判を行いました結果に基いて、そこに勸告をすべき事態が發生して來るのであります。詰り勸告すべき事態とは、各種の調査竝びに審判の經過に基いて勸告の結果が生じて參りまするのでありまするから、これによつて決定されました勸告を受けるところの方々が、社會的その他の方面におきまするところの損害を被ることは、これは當然であろうと思われるのであります。すでに三審において勸告が決定したということは、即ちその半面において事態の眞相が明確に社會的にも發表されておるのでありまして、これに伴うところの刑事上の問題につきましては、改めて上級裁判所においてこれが又再審査を行う、刑事上の面に向つても再審査を行うことになつておりまするから、只今丹羽委員の仰せられるごとくに、決して誤審に基く抗辯權をここに設定をいたさなくても、誤まれる審判は起らないし、又その勸告者に對する不當なる損害を與えるところの事態は發生しないものと考えておるような次第であります。
#35
○丹羽五郎君 今の政府委員のお話は至極どうも私うわずつたようなお話のように考えます。人が人の行爲を眺めて判斷を下そうとする折には、現在日日の裁判所においても誤審ということは絶えずあるのであります。その誤審を防ぐために、日本の法律におきましても、裁判所においても、上告審まで持つて行く、誤審なきものとすれば、上告審まで持つて行く必要はないのであります。この海難審判法というものは民主主義によるべきものであるからこれをやるのだという前政府委員のお話を聞いておつたのでありまして、そのために、私は少くも勸告は結構である、併し得べからざる勸告に對しては、私は當然抗辯する途を與えることが必要であると、かように考えております。
 一例を擧げるならば、さような意味において立案されるならば、私は現在のこの海難審判法というものを今ここにおいてやらなければならん理由がどこにあるかということをもう一遍考えて見たい。現行法の海員懲戒法というものは、明治二十九年に制定されたのであります。その當時の日本の船舶トン數というものは、二十トン以上のものが五百二十八隻、即ち三十三萬一千トンを持つておつた日清直後におきまして、初めてこの海員懲戒法というものが制定されて、そうして終戰前殆ど世界の一大海運國と言われた六百六十萬トンの大きな船腹を持つておつた當時においても、この海員懲戒法において十分に海運行政は完璧を期せられて來たのであります。今日その六百六十萬トンの船が終戰によつて百三十萬トンに減り、而も八十萬トンから九十萬トンの稼働船腹に對しての海運行政ということから行きますならば、私は改めてここに大勢の人を、或いは相當の費用を掛けて、假に今度新らしく海難審判法で行くならば、五十二名の新らしい人を入れて、そうして經費を使つて、この海難審判法というものを、この多事な場合にこの法案を出す必要はないと思う。
 結局この法案は、本當に民主的にすべての人の自由を認める。前海員懲戒法においては、被告の地位としてそれを拘束することがある、その拘束を廢して、被告の地位じやない、受審人としての地位、本當に民主的にその人の自由を認めてこの海難審判法というものは樹立されたように考えておる。それで私はこの海難審判法に最大の敬意を表して、今日までこれをよく考えて來たのであります。今のごとき抗辯權を認める必要がないというようなことになつて來ると、私はこの海難審判法の精神とは反しておると思う。それならばこの現行法の海員懲戒法で十分に私は事が足りると思う。
 又もう一つ申上げるならば、少くもここに二審制があるならば、この海難審判法のこれを置かんとする目的は、その事件の本當の眞相を握つて、技術的眞相を握つて、再びそういうような技術的缺陷の發生しないようにやることが最大の目的であります。さすれば、その勸告を受けた者は、それに對しての一つの又相當の技術的抗辯權を與え、二審制を設けてその抗辯を十分に聞いて行くことが……私は人と人との意見の結合が即ち進歩、進化であると考えておりますので、そういう意味におきまして、私は第四條に勸告の條項を置いておかれるならば、これに對しての抗辯權を認めて、高等海難審判所においてこれを抗辯する餘地を與えてやることが必要であると思いますので、重ねてこのことを申上げて置きます。
#36
○委員長(板谷順助君) 諸君の御同意を得まして、長屋説明員から答辯があるそうであります。
#37
○説明員(長屋千棟君) これは前囘から丹羽委員よりいろいろとお話がございましたことであります。その際にも政府委員から説明申上げましたのでございますが、勸告ということは、これは審判所の、申して見ますれば觀念の表示に過ぎないのでございまして、それに對する何ら法律上權利義務の變更を來すような處罰というようなものでございませんので、それに對して法律上個人の一般勸告を受ける者の自由を束縛し、又は權利義務上變更を來すというようなことはない、法的の根據がない處分でございますので、それに對して特に第二審の請求というようなことは必要がない、こういう工合に感じておるわけでございます。
 それで利害關係を伴う場合が可なりあると思います。例えて見ますれば、或る船が難波した、その原因が造船の缺陷にあつたというので、こういう點が惡かつたと、今後その點を改善しろというような勸告をする旨の裁決をいたしました場合に、その船舶所有者から造船會社に對して、この海難の原因はその造船の缺陷にあるという勸告を受けたからして、この損害はお前の所で拂え、こういうことは起るかも知れません。これは非常な大きな利害關係を生ずる事柄でございます。こういう場合には、民事において損害賠償ということは爭われるわけでありまして、強いて海難審判法においてこれを取上げる必要はないという工合に考えております。法的に何か非常にきつい處分とかいうことになりますと、それに對しては、丹羽さんがおつしやるような措置をとらなければならんと思うのでございますけれども、取扱上非常に愼重を期しまして、これには參審員という專門家を參加させるというような措置をとつて愼重に審議して行きたい、こう思いますから、その點で第二審の請求は必要がないように思つております。
#38
○丹羽五郎君 私は今この勸告採決というものは行政處分ではなくて、一種の行政措置と考えております。併し假に誤つた勸告を受けた場合には、今長屋君は民事訴訟によつてそれをやつて行く途があると言われたが、これはもう今改めて拜聽しなくてもよく分つておりますが、その場合に誤つた勸告を受けて、民事訴訴によつて生ずる損害を言われた場合に……私は恐らく民事訴訟というものはこの勸告の黒星がすべての判決の一大骨子をなすべきものであると考えております。先程私は刑事局長を呼んで話をいたしましたのもその點てあります。即ちこういう海員に對する、又海難に對する問題というものは、第一線を相手にして闘うべきいろいろなデリケートな問題があるから、私はできるだけ技術的にそれを探究して、再びそういうようなことをしでかさないというのが、この立法の精神であろうと思う。さすればこの勸告をした場合に、或いは勸告を受けた者がそれに對して銘々立派な抗辯があるかも分らない、それをやはりこれで聞くということも、一つの技術の眞相を見る最大の理由ではなかろうかと私は考えております。又因つて生ずる損害の範圍は民事訴訟でやつたらいいじやないか。やつた場合に、假に誤つた勸告を受けた場合には、私はそれが一つの裁判の黒星の骨子になつて行くということは、これは恐らく常識的に考えても明らかな事實であろうと思う。少なくもかような立派な法案を出すならば、個々の勸告を受けた者に對しても、私はこの人の抗辯のできる、抗辯權を認めてやるということが、私はこの法を活して行く最大の理由であると考えております。今長屋君は、この勸告を受ける者は海抜免状受有者を對象としておるということが長屋君の掴みどころのように考えております。過日政府から出された「海難審判法案について」という參考書類の中にも、私が申上げる重大なことは明らかに書いてあります。これの第二というところに「審判の對象を海技免状受有者の非行に限らず敗戰の結果船舶の大部分を失い、而も建造修理能力を著しく制限された我國の現状に鑑み、海難の事實そのものを審理の對象としその原因を明かにし以て海難防止に寄與するため廣く海難一般を審理の對象とし」ということが書いてある。「海難一般を審理の對象とし、その際海難が免状受有者の故意又は過失に出た場合には、これを懲戒し得ることとした事又その際情状によつて懲戒を免除し得る旨の規定をも設けた。」、「海難が審理の結果海技免状受有者以外の者の責に歸すべきものである場合には、必要に應じその者に勸告をし得る如くした。勸告は、拘束力を持たぬものであるが、」無論勸告は拘束力を持てる勸告というものは私も聞いたことがない。「英國に於ける勸告制度の實績に照らし社會的壓力を喚起し、海難防止上多大の效力を期待し得る所である。」、社會的壓力ということは何を意味しておるかということを申上げてみたい。成るほどこれには一つの拘束力は何にもないということを今長屋説明員から話があつたが、政府自らば我々に與えた「海難審判法案について」という書類の中に「拘束力を持たぬものであるが、英國における勸告制度の實績に照らし社會的壓力を喚起し」とある。社會的壓力まで喚起して、この勸告をするものに對しては、私はこれに對して當然抗辯權を認めてやることが必要である、かように考えます。
#39
○政府委員(田中源三郎君) 丹羽委員のお説明に尤もな點もございます。それは先程長屋説明員の説明の點について、足らざる点がございましたか存じませんが、當然海難の原因全般に亙つての勸告でございますから、從つてその勸告によつて社会的の壓力が生ずることは当然であります。だからその當然に生じて來る壓力に對抗して、いわゆる勸告を受けた者が抗辯するところの抗辯權を與えるのは當然じやないか、と仰せられるところの御意見も一應御尤もだと思います。この點は政令等によつてその途を開くことに考えて見てはいかがかと思われるのであります。そういうふうにいたして行きますならば、先程のお説の通り、本人に勸告して、拘束力を持たないといたしましても、海難をすべて未然に防止する大きな建前からの法の精神でございますから、これに對してすべての船舶に關するところの關係者が、海難を未然に防止する心掛け以てこれに對處して頂きますならば、それで目的を達成されます。併しながら事件が發生した時において、その審理の結果に基くところの勸告は當然或る一定の壓力、社會的壓力を受けることは當然であります。でありますから、そういつた面に對する抗辯の問題は、政令等においてよく考慮いたすことにいたしてはいかがか知らんと思つております。
#40
○丹羽五郎君 議事進行につきまして……。この第四條はまあこの程度に止めまして、保留して置きます。
 それからここでもう一つ質問いたしたいことは、實はこの海難審判法には政令という字が六項目ほど使つてあるのであります。ここの委員の小野委員はこの政令の指摘者であつて、現在問題を起しておるような状況でありましたが、この政令につきまして私いろいろ見て來ましたが、私の考えといたしましては、この中で第九條と第十條、第十四條、第十七條、第十九條、それから附則の前項に政令という字が使つてあります。その中でわれわれが一番重く見なければならん點は、第九條の「海事審判所は、地方海難審判所及び高等海難審判所の二とする。地方海難審判所の名簿、位置及び管轄區域竝びに高等海難審判所の位置は、政令でこれを定める」という點が、この中の政令の使い方では一番強い意味の政令じやなかろうかと考えておりますが、この政令に對して私はこれを取消して、新らしくここで「政令で」というふうにして、法律案をここに出せという建前にしてはどうかという意見を持つておりますけれども、成るたけ早くこの海難審判法を出して、現在の海運行政を一時も早く安定をさせて見たいという考えから、この政令に對しては一應私は他の委員の意見を微して見たい、かように考えておる次第であります。
#41
○委員長(板谷順助君) 丹羽君に御相談いたしますが、先程委員長が意見を聽いておりますというと、あなたの御質問に對して政府の答辯がどうも十分徹底しておらんように思うのですが、この問題については政府當局と懇談的によくお話合いになつて見られたらどうか、こう考えます。それから本日は丁度衆議院とぶつかつて、海事關係の政府委員が此處に御出席がないのであります。この點私は非常に遺憾に考えております。又鐵道の白書その他の問題もまだ質問が繼續しておるのでありますが、大臣は横須賀に御出張になつたということで、又その他の諸君も此處にお見えにならんので、議事が割合に進行せんのを非常に遺憾に考えております。今有田長官が見えるそうであります。それでありますから、若し御質問なさるならば、委員會でやつて頂きたい。或いは又懇談的に一つ御相談を願つて、更に又正式の委員會に御質問願うということも亦一つの方法じやないかと、こう考えております。
#42
○丹羽五郎君 私はこの政令問題については一應他の委員とまだお話合いをしておりませんので、他の委員の意見を一應微してから自分の意見を纏めて見たい、かように考えております。で、私は今日は質問はこの程度において打切つてよいのであります。
#43
○委員長(板谷順助君) 村上さん、大臣は今日來られないそうですが、總局長官は來ておりますが、大臣の出席まで待ちますか。
#44
○村上義一君 もう時間がないですし、次囘に一つやつて頂いたらどうかと思います。
#45
○委員長(板谷順助君) 承知いたしました。そうすると海難審判法について御質問がありまするならば……。
#46
○小泉秀吉君 第四十六條と四十七條の讀み方をちよつと、私はつきりしないからそれを伺いたいのですが、四十六條で、「理事官又は受審人は、地方海難審判所の裁決に對して、命令の定めるところにより」云々とありまするのと、この四十七條の「理事官又は受審人は、裁決があるまで、第二審の請求を取り消すことができる。」というのは、これはどういうふうに了解するのでしようか。
#47
○説明員(長屋千棟君) 四十七條の「裁決があるまで、」と申しまするのは、裁決があつたらもう第二審の請求ができない、こういう意味であります。
#48
○小泉秀吉君 そうすると、地方海難審判所の裁決が出て來ない前に、高等審判所に請求をしろということなんですか。
#49
○説明員(長屋千棟君) いや、そうではございません。これは高等海難審判所の裁決があるまでには取消せる。裁決があつてしまつては、もう取消せない。つまり第二審の抗告を取消すというのです。
#50
○小泉秀吉君 第二審というのは抗告なんでしよう。
#51
○説明員(長屋千棟君) そうです。
#52
○小泉秀吉君 そうすると、抗告がなくても、高等審判所は裁決をすることがあるのですか。
#53
○説明員(長屋千棟君) いや、ございません。
#54
○小泉秀吉君 そうすると、抗告をしておりながら、裁決以前に抗告を取消すことができるという意味なんですか。
#55
○説明員(長屋千棟君) というのは、理事官又は受審人が抗告はいたしましたが、これこれの理由でもう取消します、こういう取消なんです。
#56
○小泉秀吉君 ああそうですか。
#57
○説明員(長屋千棟君) 理事官の取消なんです。
#58
○小泉秀吉君 そうですか。それからさつきの丹羽さんの第四條に關聯してのことなんですが、政令でお決めになることも考え得るという政府委員の御説明もあつたようですけれども、この四十六條の第二項ですが、「補佐人は、受審人のため、獨立して前項の請求をすることができる。但し、受審人の明示した意思に反してこれをすることはできない。」と、こういうようなことがここにあるようですが、四十六條の理事官又は受審人の外に、補佐人も受審人の意思に反しなければ獨立して高等審判所に審判を請求することができるのだというと、この第四條の海難の原因に關係のある者で、歡告を受けたような方が、受審人でもなし、理事官でなくても、補佐人をうまく使えは、やはり抗告ができるのだ、こういうふうに私は思うのですが、そういう思い方は間違つておるのでしようか、いかがでしよう。
#59
○説明員(長屋千棟君) それは先般來丹羽さんにお答えいたしました通りに、法律的に根據がございませんから、一應第二審の請求は、本人もできないことにいたしてございます。從つて補佐人と雖も第二審の請求はできないということにいたしております。
#60
○小泉秀吉君 いや有難うございました。
#61
○中村正雄君 ちよつとお尋ねしますが、五十三條の「高等海難審判所の裁決に對する訴は、」というこの訴えの内容は、第五條に書いておる懲戒というふうに解釋していいのですか。
#62
○説明員(長屋千棟君) これは裁判所法によります、それから憲法の改正によりまして、應急措置法というのがございまして、これによつて行政處分の手續上違法な場合に、それに對する訴えでございまして、事案そのもの、或いは衝突事件とか、乘上げ事件とか、海難の事件、その事案そのものではないのでございます。その法規の取扱い又は手續、その他において、何か間違がある、違法な裁決である、こういうことに對して、受審人あたりから訴えを提起するわけでございます。
#63
○中村正雄君 納得できないのですが、そうすると五十三條のこの訴えというのは第五條にある懲戒の内容ではなくして、手續關係の違法という意味なんですか。
#64
○説明員(長屋千棟君) その通りでございます。
#65
○中村正雄君 そうしますと、懲戒處分については、高等海難審判所で最終審であるというふうに解釋してはいけないでしようか。
#66
○説明員(長屋千棟君) さようでございます。併しながら、その證據の取り方とか、手續上に法規に違反したところがございますれば、再びやり直すという形になる場合がございます。あくまで司法裁判所では事實の内容に亙つて、これはこつちがいいのだとか惡いのだとか、或いはこの原因はこうだからこれにこういう免状の停止をしろとか、或いは歡告をしろということは全然タツチしないわけであります。
#67
○小泉秀吉君 もう一つ伺います。この前に丹羽さんからの御質問があつた四十六條の末項の「第一項の請求は、裁決の言渡の日から七日以内にこれをしなければならない。」というこの七日の問題が非常に問題になつておるように覺えておりますが、五十三條の高等海難審判所の裁決に對する訴えは、裁決の日から三十日以内に提起しなければならないということであるので、一方は七日でなくちやいけないし、一方は三十日まで餘裕をおいてあるという、この法的根據とでもいいますが、何か理由をはつきり承りたいのであります。
#68
○説明員(長屋千棟君) お答えいたします、民事に對する應急措置法におきましては、この訴えの期間は六ケ間ということになつております。特にこの海難審判所の裁決に對する不服の訴えは三十日ということにいたしております。それでなぜこういう工合に、地方海難審判所で裁決いたしましたものについて第二審の請求をするのは七日であつて、これを高等裁判所へ持つて行く場合は三十日というように違うのかという御質問に對しましては、海難審判所は、言葉は變かも知れませんが、同種類の審判所、地方海難審判所から高等海難審判所へ行くので、内容もよく分つておりますし、手續萬端比較的簡易でございますから、從來から七日あれば十分と考えておりました。ただこの行政處分に對しまする不服の訴えは行政官廳つまり海難審判所でやりました裁決に對して、今度は種類の違つた司法裁判所へ持つて行きますために、手續萬端相當日にちを要するだろうというので三十日ということにいたしましたわけでございます。
#69
○小泉秀吉君 さうしますと、要するに書類を作製して、官廳から官廳へ持つて行くということのために、兩方の間に二十一日間の大きな相違があるのだというようなことが私は肯かれないのだが、そう了解していいのですか。
#70
○説明員(長屋千棟君) 大體そういう考えで一應決めました。それでこの前から丹羽さんの御意見では、七日では非常に短いんじやないか、今の通信その他が非常に不便であるから、もつと長くすべきではないかという御意見がございましたが、現行法におきます海難審判は、理事官が審判の開始を申立てました場合に、審判所におきましては、何等そこに制限をしておりません。直ぐ審判所の都合で開廷の期日を決めまして、いつ何日開廷するかという呼出しをさせておりましたが、海難審判法におきましては、その海難の原因を研究するというのが目的でございますので、その責任者たる受審人が審判に出て參りませんと、事實その原因の探究ということは非常に困難でございます。それで飽くまで事前にも手を盡しまして、十分本人が出て來られるようにいたすように、命令を以て理事官が審判の開始を申立てた場合には、審判所は申立てましてから十四日以上を經過しなければ開廷することはできないという工合に、命令で決めるつもりでおります、それで飽くまで本人の都合を聞きまして、必ず出廷できるように措置する考えでおります。それから受審人は或る海難を惹起した責任者と目される者でございますから、その海難審判法の精神に從いまして、飽くまで審判廷に出廷いたしまして、そこで原因を明らかにする、自分はこういう工合にやつたためにこうなつたんだということを明らかにする。海難審判に協力をする義務があるものだと思います。それが正當の理由があつて出廷できない場合には、飽くまで出廷できるように、本人の都合を以て開廷の期日を決めてやる、それで、本人で善意を以て出廷する豫定でおりました場合に、不可抗力その他の止むを得ない正當な理由がありまして出られないときには、開廷を延期して、飽くまで本人が出られるようにしてやる、それでなければ原因の探究は非常に困難である、飽くまで本人で出廷した上で審判するということを建前にいたしておりますから、本人が出て來ない場合は、何か惡意があつて、逃げて出ないとか、その原因の探究に協力しないという場合に限るのでございまして、それに對しまして、缺席をしたから特に本人が抗告できるように、第二審の請求ができるように或る特典を與えてやるということは考えておりません。特典を與うべきじやないと解釋いたします。特典を與えないようにいたしてあります。從つて七日が長いか短いかということは、本人が審判に出席した場合に、長いか短いかということを考慮すればいいんだと思つております。若し本人が出ますれば、これは證據の取調べから言渡しまでに亙つて、それが審判でございまして、審判がいよいよ言渡されたときに、本人が出廷いたしておりますれば、これは非常に自分の責任を問われておるけれども、こういう點が不服である、採決の仕方が惡いということを自分で判断する、或いは他人に相談をいたしまして、その場で口頭ででも第二審の請求はできるわけでございます。又それをいろいろ考えておるのにも、そんなに長い日々を要しないと私は思うのでございます。それで、從來通りにやはり七日あれば十分第二審の請求をする餘裕がある、こう考えておるのでございまして、これが遠方におります者に、こういう裁決をしたぞということを通知いたしまして、その通知を受取つてから、又抗告の手續を書類か何かでやつておりますれば、それは今の通信状況におきましては、二十日か或いは三十日を要するかと思いますけれども、本人が出廷しておつて、一應口頭を以て、どうも不服であるから抗告をするという意思表示をいたしますれば、あとは書類を後日に出せばいいわけでございますから、七日を以て十分だ、こういう工合に考えておる次第でございます。
#71
○丹羽五郎君 私は今日はいろいろの關係上、その質問を打切ろうと思つて、質問をさつき打切つたのですが、又七日の問題が出ましたが、どうも政府の考え方は、すべてに惡意があつた場合というようなこと、先程の場合においても、政務次官の話においても、すべて一方的な見方によつてものを判斷する、こういうことに私は考えられる。ただ惡意、善意でなくして、結局現在の通信状況において、七日という日がこれがどうであるかということを私は以前申上げた。而も、それは恐らく、私は七日という日をお決めになつたその頭の中には、現在我々の通信郵便物に對しては、絶えず檢閲ということがあるということを、恐らくこの七日の中には織込んでいないと私は考えております。私はその點は今日は申上げたくないと思つておつたのですが、惡意の場合と考え、惡意の行爲であると考えておつても、或いは善意であつたかも知れない。それはその結果において判斷しなければならない。これをすべて事毎に、さつきの問題でも一方的な斷定においてこれを律して行くということは、非常にこの進歩した法案を拵える上において、信念的に私は遺憾の點を持つておるのであります。
#72
○委員長(板谷順助君) 丹羽君に御相談申上げますが、今委員長が承つておれば、本人が必ず出廷をする前提の下に、政府委員が説明しておるように思うのであります。併し質問はこれで打切るわけじやありませんので、御承知のごとく、まだ豫備審査でありますから、それで正式にこの委員會に議長から廻つて參りますれば、改めて又その質問を繼續する。併し大體において質問もほぼ盡きておるように考えておりますので、尚事務當局とあなたよく御懇談になつて、更にこの委員會において質問を繼續なさるようになさつたらいかがでしようか。今幾ら御議論になつても、どうも意見が盡きないように考えます。
 それで皆さんに御相談したいのですが、實は今日の委員會でも、三日前からすでに廣告をしておるわけであります。然るに衆議院がそれらに構わず、本日衆議院とかち合つておるようなわけで、政府委員も思うように出席がないので、甚だ私は遺憾に考えるのでありますが、明日やはり繼續をしたいと考えますので、やはり午後でないとどうもちつと工合が惡いように思いますが、いかがでしようか。午前じやどうも……。
#73
○丹羽五郎君 明日やるんすでか。
#74
○委員長(板谷順助君) 明日やつたらどうですか。明日本會議がありますね。本會議があるとすれば午後ですね。丹羽君どうです。
#75
○丹羽五郎君 明日は水産委員會が一時からずつとあるのです。
#76
○委員長(板谷順助君) それでは明後日にしますか。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#77
○委員長(板谷順助君) 速記を始めて……。
 それからさつき請願に對する小委員會を設けることの御承認を得ましたが、これを二組ぐらいに分けますか。或いは人數は何人ぐらいにしますか。一應委員會に諮つて決定して頂きたいと思います。やはり二組ぐらいに分けますか。二組ぐらいに分けて、委員は五人か七人か。
#78
○小林勝馬君 五人ぐらいで三組ではどうですか。
#79
○新谷寅三郎君 私は、海運もあり、鐵道もあり、いろいろありますけれども、そういつたものを統合して、一つの小委員會で統合的に行つた方が結論が出易いと思うのであります。小委員會をお拵えになるのでしたら、一つの方がいいと思います。
#80
○委員長(板谷順助君) いかがでしようか。三組ぐらいに分けるという御意見も、一組がいいという御意見もありますが、又二つがいいという……。
#81
○小林勝馬君 一つにするなら、人數が多くなるから、結局本委員會と同じになるのですから、二組か三組にして、早く濟まして行きたいと思います。
#82
○新谷寅三郎君 全體が集まらなくても、數人の方でも、豫備的にやるのですから……。
#83
○委員長(板谷順助君) どうですか、新谷君、その折衷案で二組ぐらいにして、七名の方に、全部寄られるかどうか分りませんが、二組にしては……。別段御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(板谷順助君) 御異議がなければ、あとで理事會を開いて決定いたします。どうかお委せを願います。それでどうでしよう。明後日の午前十時、必ず大臣その他が出席をするということで……。今日はこれにて散會いたします。
   午後零時十九分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           丹羽 五郎君
          橋本萬右衞門君
           小野  哲君
   委員
           内村 清次君
           小泉 秀吉君
           鈴木 清一君
           中村 正雄君
           若木 勝藏君
           大隅 憲二君
           水久保甚作君
           植竹 春彦君
           小林 勝馬君
           飯田精太郎君
           新谷寅三郎君
           村上 義一君
           早川 愼一君
  政府委員
   運輸政務次官  田中源三郎君
   運輸事務官
   (海運總局長
   官)      有田 喜一君
   司法事務官
   (刑事局長)  國宗  榮君
   經濟安定本部副
   長官      永野 重雄君
  説明員
   高等海員審判所
   審判官     長屋 千棟君
ソース: 国立国会図書館
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