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1947/08/30 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第9号
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1947/08/30 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第9号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第9号
  付託事件
○磐越東線三春、船引兩驛間の要田村
 に停車場を設置することに關する請
 願(第二號)
○鐵道運賃の値上げ反對に關する請願
 (第三號)
○長岡鐵道を國營に移管することに關
 する請願(第四號)
○海運經營株式竝びに船員管理に關す
 る陳情(第十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する請願
 (第十號)
○高崎、熊谷間に電化工事を實施する
 ことに關する陳情(第四十五號)
○鐵道運賃値上げ反對に關する陳情
 (第四十七號)
○磐越東線神俣、大越兩驛間の瀧根町
 菅谷に停車場を設置することに關す
 る請願(第十三號)
○熊本縣人吉市を基點とする三路線に
 省營自動車運輸開始に關する請願
 (第十五號)
○日本通運株式會社の營業權竝びに設
 備を舊關係業者へ還元することに關
 する陳情(第八十五號)
○海運經營方式竝びに船員管理に關す
 る陳情(第九十六號)
○東北本線宇都宮、大宮間日光線宇都
 宮、日光間及び兩毛線小山、高崎間
 の電化實現に關する陳情(第九十九
 號)
○高崎、熊ケ谷間に電化工事を實施す
 ることに關する請願(第三十六號)
○海上輸送力緊急増強に關する陳情
 (第百二十三號)
○海難審判法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○鐵道營業法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○木原線鐵道殘工事の速成に關する請
 願(第五十六號)
○舊鶴見臨港鐵道外三鐵道線拂下に關
 する請願(第六十號)
○中央線高藏寺、名古屋鐵道小牧兩驛
 間に國營自動車の運輸を開始するこ
 とに關する請願(第六十二號)
○山形縣最上郡内に國營貨物自動車の
 運輸を開始することに關する請願
 (第六十四號)
○柳井驛より三路線及び田布施驛より
 二路線に國營自動車の運輸を開始す
 ることに關する請願(第七十六號)
○常磐線松戸、我孫子兩驛間電化工事
 實施に關する請願(第七十八號)
○江差町、速瀬棚村間に國營自動車の
 運輸を開始することに關する陳情
 (第百五十六號)
○日本國沿岸に置き去られた船舶の措
 置に關する法律案(内閣送付)
○學生鐵道運賃の是正に關する請願
 (第九十號)
○東北本線二本松、本宮兩驛間の杉田
 村に停車場を設置することに關する
 請願(第九十二號)
○博多、壱岐及び對馬間の國營航路實
 現促進に關する請願(第九十三號)
○宇部東線電車運轉を山口市宮野地區
 迄延長することに關する請願(第九
 十四號)
○矢島鐵道株式會社の救濟に關する請
 願(第九十七號)
○常磐線松戸、水戸間電化促進に關す
 る請願(第九十九號)
○信越線高崎、横川間電化工事を實施
 することに關する陳情(第二百一
 號)
○道路運送法案(内閣送付)
○舊小倉鐵道線拂下げに關する請願
 (第百三號)
○信越線柏崎驛附近鵜川鐵橋の徑間擴
 張工事施行に關する請願(第百七
 號)
○五條驛、新宮市間の鐵道速成に關す
 る請願(第百八號)
○學生鐵道運賃の是正に關する請願
 (第百九號)
○東海道線沼津、濱松兩驛間の電化速
 成に關する請願(第百十二號)
○九州、四國間の省營連絡に關する請
 願(第百十三號)
○愛媛縣東宇和郡宇和町、八幡濱市間
 に國營自動車の運輸を開始すること
 に關する請願(第百十四號)
○山陰線の電化竝びに廣島、松江兩市
 間直通列車運轉に關する請願(第百
 十九號)
○中央氣象臺牛深出張所設置に關する
 請願(第百二十七號)
○九州、四國間省營連絡に關する請願
 (第百三十七號)
○常磐線松戸、平兩驛間電化促進に關
 する請願(第百四十二號)
○中央氣象臺牛深漁港修築に關する請
 願(第百四十四號)
○第一、第二小委員選定の件
○海難審判法案に關する小委員設置に
 關する件
○國有鐵道の現況に關する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月三十日(土曜日)
   午後一時三十八分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○第一、第二小委員選定の件
○海難審判法案に關する小委員設置に
 關する件
○國有鐵道の現況に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これより會議を開きます。先般委員長に御付託になりましたる請願の取扱いについての小委員を決定いたしましたので、この際指名いたします。小委員を二つに分けまして、委員長、理事はなんどきでもこの小委員會に随時參加するということにいたしまして、これを除きまして現在缺員になつているのでありまするから、各小委員會を十名ずつといたしまして、第一、第二といたして、そうしてこの請願の種類は、御承知の通り陸運、海運その他いろいろの關係がありまするので、これを適當に按配をいたしまして、その請願を分けた次第であります。
 第一小委員會といたましては、村上君、新谷君、北條君、鈴木君、内村君、若木君、小林君、高橋君、淺岡君、西園寺君、第二小委員會といたしまして、飯田君、尾崎君、早川君、小泉君中村君、植竹君、境野君、大隅君、水久保君、中野君、こういうふうに分けた次第であります。この際請願書の發表はどういうふうに分けましようか、それを分けて皆さんにお配りしますか、時間を取りますから、分けました議案はいずれ後でお手許に差上げることにいたします。
 これより海難審判法を議題といたします。
#3
○丹羽五郎君 前に私が第一囘のこの豫備審査の折にお尋をした時は、この法案の私は勸告の點についてもお尋ねしたのですが、この勸告に對しては參審員という新らしい制度ができたから、決して誤審をするようなことは絶對ないという答辯を受けておるのでありますが、この法案の全部を見て見ますのに、その信念が強いものであるならば、最後のこの法案の五十三條を見ますると、これは一種の上告審になつておりますが、最初御説明になつたような考で行くならば、この高等海難審判所の裁決を以て最終の裁決だという、政府にはその立案の所に意圖はなかつたのですか、その點を一つお尋ねしたいと、かように考えております。
#4
○政府委員(有田喜一君) 海難審判所におきましては、勿論參審員制度を設け、又審判官も極めて愼重に行いまして、萬遺憾なきを期したいと思つております。併しながら人間のやることでございますから、全然そこに誤審がないとは斷言できないのであります。從いましてその審判に對する救濟、方法も講する必要があるのみならず、今囘の新憲法の條章に照らしまして、行政處分で最後のことはできない。一般司法裁判所に出訴できるということに相成つております結果、五十三條を設けまして、高等裁判所に海難審判所の裁決を訴えるの途を講じたのであります。然らば勸告制度に對して、その途がないじやないか、こういう御疑問が澤山出て參ると思うのであります。ところが勸告の制度は恐らく今までも政府委員の方から説明しておると思うのでありますが、今囘の海難審判法は海難の原因を探究して、海難防止に主力を置く、こういうことに相成つておりまするが、單に海員を懲戒するのみならず、海難の原因に關係を及ぼす方面におきまして、若しその間の缺陷がございますならば、これに勸告を行いまして、これが是正に當らすということに相成つておるのでありますが、この勸告の制度そのものは、法律的に申しますというとその效果がないのであります。ただ勸告をやりまして、本人、關係者、いわゆる被勸告者に對しまして自己反省の機会を與える。而も輿論の訴えによつて惡いところを直して行く、こういうところを狙つておるのであります。從いまして法律的效果がない結果、この勸告に對しまして若し間違つた勸告をした場合に高等裁判所に訴えることができるかというと、それは訴えることができないのであります。そこに一つの我々の苦心があるのでありまして、高等裁判所へ訴えの途を講じますというと、いわゆる被勸告者に該當する者は海難審判の當事者になつてしまう。當事者にしますというと、それに對する裁決に對して法律的の效果が及ぶのでありますが、法律的效果を及ぼすべき政府からのいろいろな權限と言いますが、特權というものを被勸告者に與えておらない。恰かも海員に對しましてはいわゆる免状の停止とか、或いは剥奪というようなこともできるのでありますが、その他の一般關係者に對しまして、さような途を講ずることができない。從いまして法律的效果はないが、實際問題として相當の效果を狙いたいというところからこの勸告の制度を設けたのであります。非常に潔癖に上告までできるというようにしますというと、いわゆる裁判當事者におきまして、そこに又問題が起るであります。これはいわゆる司法制度の建前からして簡單にそこまで參らない事情がありまして、そうして法律は效果ないが、實際的に國民に訴え、或いは輿論に訴えて海難の防止に當りたい、こう狙つたのが新らしい海難審判の制度であります。この點は一つ御了承願いたいと思います。
#5
○丹羽五郎君 今有田政府委員のお話で新らしい狙いを持つたことが、これの一番の骨子であるということでありましたが、その中に人が物を判斷して行くんだから過ちのあることもあるということを明かにおつしやつたが、前々からも勸告に對しては參審員制を採るから絶對間違いないということを強調されて來て、私は人が物を判斷するのだから誤審のないことはないということを絶えず申し上げておつた。私はその誤審があつた場合に對する一つの對策といたしまして、被勸告者に對して抗辯權を認めることができないか、これが私の過日來の論旨でありますが、今明らかに政府委員から、人が判斷をするのであるから間違いがあるということを立證されたことは、私の今までの主張を十分に裏書ができると、かように考えております。
 それから實はこの問題に對しては他の委員諸君にも非常に私は迷惑を相掛けておるように考えられますが、相當この問題は海難審判法というような小さい私は法案じやなくして、これが即ち刻下の海難を生かすか殺すかというような一つのこれが燈臺であつて、これが一つの羅針盤でなければならんというので、この海運再建のために、私はその意味におきましてこれを重要視いたしておる次第であります。衆議院の方はすでにこれは本委員會を通過し、且つ本會議において過日通過をいたしましたが、衆議院の方はこの法案に對して一つの附帶決議が附いておるのであります。その附帶決議は、本法案第六十二條、第六十三條の勸告は強制力を有しない缺點があるから、これを補うため被勸告者をして勸告の趣旨を嚴格に履行させるよう監督の處置を講ずること、という附帶條件がこれに附いたらしいです。この附帶條件を附けたその衆議院の意圖を見ても、いかにこの法案からこの勸告という問題については衆議院も重要視したかということは、明らかにこれによつても私共は考えられるのでありますから、どうか本委員會におきましての立法は、少くも私は完璧なものにすることが我々の一番重大な責任だと、かように考えておりまして、今日まであらゆる質問をいたしておる次第でありますが、この場合にまだ今日政府の方から政令に對しての過日ちよつと質問をいたしましたことに對して、政令に規定すべき事項ということで、その内譯が書かれた印刷が只今手許に入つたのでありますが、この政令に對しましては、過日の委會員で申上げたごとく、第九條が一番この政令の中の力強い政令じやなかろうかと、かように考えておりましたが、やはり政府の方からお出しになつたものに對しても、第九條が政令の中で一番強い政令のように考えておるのであります。この政令に對してもいかに取扱うかということは、過日の委員會におきまして私も一應委員の間において話をして見たいということを申して置きました。この法案を審議いたしますのに、又他の法案がこのためにつかえても、これはいかんということを考えます上から、何らかここにおいて小委員會が、そういうようなものでも拵えて頂いて、そうしてその小委員會でこの法案を十二分に私は審議をすることが、國家を愛する我々の最大の義務であろうと、かように考えておるのでありますが、委員長の御意見はいかがでありますか。
#6
○委員長(板谷順助君) いかがですか、只今丹羽委員から海難審判法については小委員を設けて十分審議を盡したいという御發議がありましたが、いかがでありますか。
#7
○委員長(板谷順助君) そうすると委員を何名にいたしますか、又委員の選學はどういたしますか、意見がありましたならば……。
#8
○小野哲君 今委員長のお話にあります小委員は大體七名ぐらいにして、委員長の御指名を願いたいと思います。
#9
○委員長(板谷順助君) 委員長の指名に御異議ございませんか。
#10
○委員長(板谷順助君) それでは私から指名いたします。小委員といたしまして丹羽君、小野君、大隅君、橋本君、新谷君、村上君、小泉君、この七名の方に一つお願いしたいと思います。この七名の委員の方が一つ互選の上委員長をお決めになつてお取計らいを願いたいと思います。
 それでは海難審判法に關する問題はいずれ小委員の御報告を求めて、その上で又審議することにいたしまして、鐵道白書の質疑を繼續いたします。村上君、大臣は直きお見えになるようでありますが、今伊能長官がお見えになつておりますが、お始めになりますか。
#11
○村上義一君 大臣もいつ見えるかちよつと分らないでしようし、餘りなにしても……外の方に若しあれば先にやつて頂きたいと思います。
#12
○委員長(板谷順助君) いかがですか、鐵道白書に對する質問は……植竹君、どうぞ……。
#13
○植竹春彦君 本日の新聞に國鉄の大量整理のことが掲載してありまするが、これはこの記事の通りに解釋して差支ありませんか。二十六日の參議院豫算委員會での野田主計局長の發言がここに載つておりますが、見出しは「疑われる協約履行の誠意、大量整理ほのめかす」、こういう見出しで出ておりますが……。
#14
○政府委員(伊能繁次郎君) 新聞は本日の新聞でございましようか。
#15
○植竹春彦君 東京民報に出ております。丁度持つて來てあるのですが、まだそれを讀んでおられませんければ次の質問を申上げますが……。
#16
○委員長(板谷順助君) あなた概要讀んで御覧なさい、概要でよろしうございますから……。
#17
○植竹春彦君 「二十六日參院豫算委員會での野田主計局長の發言から政府の勞協履行の誠意が疑われることとなり問題化そうとしている、野田主計局長は二十六日參院豫算總會で「追加豫算では鐵道通信兩會計において何萬という人員を減らす計畫で進んでいる」と發言して注目をひいたが、これは追加豫算では現在の豫算人員國鐵が」、次がプリントがはつきりしておりませんが、恐らく「六十」という字じやないかと思いますが、「何とか二萬九百、遞信四十七萬を國鐵六十萬四千、遞信四十五萬に削減することを意味したものだつた、ところが國鐵總人員は七月末で六十一萬七千人、自然退職者が月平均三千人から四千人遞信は講習所生徒、特定郵便局長を含め四十萬三千二百十四人であり、これまで總人員と豫算人員との差額は國鐵全遞各勞組の言によれば『各省のやりくり用に使われていただけ』とのことである遞信總人員を作業別にみると共通事務七萬三千五百、郵便八萬六千、電信四萬、電話五萬二百、爲替貯金六萬七千八百、保險四萬九千八百、建設三萬五千八百でこれが勞働協約で定められた勞働條件で働くと十四萬人の缺員となる、又國鐵も驛十五萬四千、機關區八萬七千、保線區七萬一千、車掌區二萬二千、檢車區一萬八千八百、通信區一萬五千七百、工機部四萬八千その他でやはり勞働協約通りに働くと相當數の缺員が出るものと見られている、そのため全遞ではさる三月十四萬の缺員のうちとりあえず七萬だけ補充してもらいたいと當局に申入れ、七萬人だけ新規採用できる樣追加豫算に計上する旨約束を得ていたと全遞高原副委員長はいつている、國鐵でも必要人員を組合と當局で調査する計畫をたてており、又職員局が現在行つている勞働基準量をもととして下から調査する方法によると勞働協約を守れば結局七十萬は必要なのではないかという見方が職員局内部でも行われている。上のように全遞、國鐵では増員を要求しようとしていたや先に豫算人員の減員が明にされ、各省とも増員にたいしては消極的であり、ことに國鐵では新規採用は認めず、自然退職をまつて減員を計る方針だと主計課長がもらしているので、いずれも不滿を表明、近く開かれる經營協議會でこの點について政府を追求することになつた。」と書いてあります。後は全遞副執行委員長高原氏の言葉と、國鐵執行委員情報部長の言葉が載つて記事が終つております。こういう記事であります。
#18
○政府委員(伊能繁次郎君) お尋ねの點につきまして私からお答え申上げます。政府部内におきまして、要するに追加豫算決定に際しまして、全體としての豫算定員を削減をいたしましたことは事實でございます。私先般の主計局長の議會における答辯を速記の内容として拜見いたしましたが、新聞紙上に現われておりまするような人員整理の問題には全然觸れておりません。豫算定員を減らしたということを申しておるようでございます。私共自體といたしましても、現在の國有鐵道の人員が決して過剩なる人員を包容していないということは申しておりませんので、地域的に明らかに過剩人員を包容しておるということは、大臣も本席で申上げたこともございまするし、白書においてもその内容は若干明らかにしておるつもりでございます。ただ地域的に過剩員がありますると同時に、地域的に缺員のありますることも事實でございます。そうしてその全體として果してどの程度が適正な人員であるかということにつきましては、私共も現在の勞働事情の上から、實は明確な結論を早急に出すことが困難でありましたために、白書にもこの内容は甚だ殘念ながら明確な結論としては出しておらなかつた次第でございます。併しながら戰後における能率の低下に對處いたしまして、白書にも掲げましたように、能率低下だけで數萬人の増員を實際いたしましたことも事實でございますので、將來の問題といたしましては、現在の鐵道の當面の運用に必ずしも必要でない人と申しまするか、運營に影響を及ぼさない進駐軍關係の人員でありますとか、能率低下に基ずく人員或いは保守力強化に對する……山陽線、東海道線、北九州等の線路車輛の保守力強化に對する特別要員、或いは鐵道公安官とか鐵道警察官等の特別な増員、それらを合計いたしますと十萬を超えるのでありますが、これらの人員は國有鐵道の運營、國の治安その他經濟状態が平靜化いたしますれば、當然必要のない人間、かように私共も考えておりまするし、又地域的の過員も、現下の國鐵の財政状況から、でき得る限り減らすということは私共として努むべきである。それによつて地域的に京濱間、大阪附近、廣島を中心とした山陽線地域、北九州の小倉管理部を中心とした地域の、特に缺員を多數包容しておる地域に對する配置轉換竝びに緊急職員に對する充足、こういうようなことを考慮いたしまして、七月半ばより新規採用の一應の停止をいたしたような次第でございます。從つて當面の問題として、私共は勞働協約において、今囘第一囘の勞働協約締結期間中は大量整理はしないという協約を締結いたしております。そうしてこの協約は去る二十一日を以て一應大量整理の條文は失效したわけであります。但し協約全體は、新たな協約が締結せられるまでは有效である。併しながらあの整理の條項につきましての法律解釋は、あの條文は一應この期間中ということで特に掲げた態勢上、整理をしないということ自體は效力を失つておる。併しながら經營協議會はその以前に、實は八月中旬に開く豫定でありました。そのことはこの問題についても組合側と協議をするという前提の下に協議期間を定めたのでありますが、議會その他の關係準備の關係から、經營協議會を明後日以後三日間持つことに相成りましたので、この二十一日から明日までの期間中においては、私共勿論大量整理というようなことは考えておらない。ただ新たな問題として新たなる勞働協約の締結に際しては、この問題を組合と共に取上げようではないか、かように申しておりまして、豫算定員においては明確な數字は、何れ豫算を盛つて御協贊を得る豫定となつておりまするので、その際詳細な數字を御檢討願いたいと思いますが、一萬三、四千人の豫算定員を削除いたしまして、六十萬四千強ということで、平均國有鐵道の豫算人員の處理は政府部内で決定いたしまして、このことは只今御指摘の七月末現在人員が、一應私共の調査では六十一萬七千程度に相成つておりまするが、この中實際に何と申しまするか、實働と言いまするか、採用はしたが出て來ない、鐵道に奉職をしながらも、直ぐ最近は俸給その他が安い關係から、新規採用者の歩留りが非常に惡いので、それらの點を考えると、私共の豫想した六十一萬七千という數字は、實際には六十一萬三、四千ではないか、かように想像いたしておりますが、目下これらの内容は詳細に各鐵道局に資料を提出させておりまするが、この六十一萬三、四千の者が、本年度末において六十萬四千數百の豫算定員を以て十分に自給し得るという見通しの下に、私共は一萬數千人の豫算人員の削減を了承いたしたのであります。從つてそれにつきましては、その當時の政府部内の… その當時のでございますが、その當時の政府部内の考え方といたしましては、殊に私共の考え方としては、整理を前提としないでも、一應豫算定員を以て本年度全體は先ず賄い得るというはつきりした考え方は持つております。併しながら最前申上げましたように、地域的に過剩人員が偏在しており、地域的に缺員も持つておりまする關係上、これらの問題について、將來新規採用はでき得る限り減少いたさせまして、自然減少と最小限度の新規採用でなんとか本年度は切り拔けて參りたい、別途この協約の問題については、勞働協約を協議する經營協議會において五十二條の整理の問題は篤と懇談したい、かような意圖を政府内で決定いたした次第であります。
#19
○委員長(板谷順助君) 村主君、大臣がお見えになつております。
#20
○村上義一君 七月四日に政府が發表せられた經濟實相報告書、この中には、日本再建の基盤である交通運輸の實況については殆んど何ら觸れなかつたのであります。若干の説明は勿論ありましたが、凡そポイントを外れた文字のみでありました。然るに今囘運輸省から提供せられましたこの實相報告書は、國鐵に關する限りにおいて要を盡しておると思うのでありまして、御努力に對しては私は深く敬意を表する次第であります。ただ私はこの實相を繰返して拜見しまして、現況がいかにも惨澹たる状態にあるということを知りまして、驚くと同時にこの對策について非常に重大性を痛感する次第であります。この結論につきまして、今御作成中である對策については御作成中であるというふうに思われるのであります。私はこの白書に關しましてお伺いいたしたい事項が數項目あるのであります。勢い今後の對策について憂慮しまする餘りとかく私の質疑はその對策の方に流れて行く傾きがあるのであります。この點御了承を頂き、一つお差支えのない限り赤裸々にお話を承わりたいと思うのであります。
 先ず第一に伺いたいことは、その白書中に毎日の貨物發送量は三十萬トン若しくはそれをオーバーしておる。これは國鐵、私鐵合算してのことである、併しながら滯貨は尚二百萬トンを下らない、極めて最近に二百十萬トンということも伺つております。これは本當のいわゆる滯貨でありまして、この滯貨の後ろに後續した滯貨が相當ある筈であります。この後續滯貨は一千萬トンを下らないと推算しておるのが先ず專門家の常識であろうと思うのであります。從いまして國鐵としては緊急に輸送力の増加を要することは申上げるまでもありませんが、この報告書中におきましては、今急に對應する輸送力を増加することは困難であるということも明記されておりまするし、又石炭事情、又休車率が順次殖えて行くというようなことを考え合せますと、誠に心痛に堪えないのであります。若しこの千二百萬トンの滯貨は、これを先ず一トンの價格が四萬圓と假定しますれば、今日折角生産をされて、而も消費の部面に輸送せられる一歩手前に停頓しておるというものが四千八百億圓に達する。若し五萬圓とするならば六千億圓の價格になる、若しこれらが需要を完全に充するということができれば、今日のインフレーシヨンも非常に緩和せられ、或いはすつ飛んでしまうのではないかということすら考えるのであります。政府は一面において石炭の増産が一般物資生産の基本である、又インフレの惡循環を斷ち切る根本であるという見解から、三千萬トンの生産を目標として他のすべてを……輸送力の増加すらも犠牲として全力を注いでおられるように見受けるのであります。これも結構なことでありますが、併しこの疲弊してしまつた車輛又荒廢に歸しておる設備、又赤字財政、又素質の低下しておる從業員を今日國鐵が抱いておる、そうしてたとい石炭を三千萬トン或いは三千五百萬トン増産しても、その石炭の輸送が果してできるか、少くともこの増産した石炭によつて、一般生産が活況を呈するに至るということを政府は企圖しておるのであります。併しながら輸送力の隘路に阻まれて、一般の生産が活況を呈するに至りましても、その必要なる原料又生産した生産物資を完全に輸送することができんということは、この示された數字から見て明瞭に付度できるのであります。特に今後賠償物資の輸送もありますし、又輸出貿易品の輸送も加わることは明らかであります。從つて私が感じまするのに、どうも現政府が輸送の重要度に關心を持たれることが甚だ微弱じやないかということを痛感いたすのであります。勿論一面においては輸送が日本經濟再建の鍵だとか、基盤だとかいうことを唱えておられますが、實際やられることを注視しておりますると、どうも重要性についての關心が甚だ薄いというふうに痛感するのであります。これは總理大臣なり安本長官に御意見を伺うことが至當であると思うのであります。適當な機會を求めたいと思うのでありますが、今日は先ず運輸大臣のお考えを承わりたいと思うのであります。
#21
○國務大臣(苫米地義三君) 只今村上委員のお話至極御尤もでございます。この國鐵の状態につきましては、とかく世間から十分な認識を頂いておりませんために、汽車は動くもの、而もこれ以上尚動く餘地があるものというようなふうに考えられておるのじやないかと思つておりましたが、その内容を具さに國民の前にお知らせをして、そうして現在非常に國鐵としては危機に面しておると私共考えるのですが、その實情を了解して頂きたいというので、この間その實相を報告申したわけでありまして、私この運輸大臣になりまして、直ぐ考えたことは、實に國鐵の設備、輸送状態その他は丁度病氣が第三期になつておつて、辛うじて動いておる。そうしてそれが稼いでおるものであるから他の人はそれ程危險状態になつておらんというふうに客觀的に考えておるのではないかというふうに思われるのでありまして、その實相報告にもございまする通り、全く線路状態といい、鐵橋の状態といい、又機關車、車輛の状態と申せ、いずれも危機の状態ということは、御覧の通りであります。そこでこの實情を御覧願いますと共に、今の國情では可なり困難でありまするけれども、思い切つてこれに治療の手を加えなければ、いつ何時これがそのまま倒れるという時期が到來せんとも限らんと私は思うのでありまして、この點に對しましては、取敢えず今の健康状態を或る程度囘復するということが一番焦眉の急だと思いまして、それに對する補給の資材、この獲得に向つて全力を盡したいと思うのであります。これに對しては安本及び商工省とも連絡を取つておりまするが、何分にも御承知のように石炭は思うように出ませんし、從つて製鋼も一ケ年僅かに七十萬トン、これも頗る怪しいというような状態でありまして、國鐵に必要なる數量は二十萬トンぐらいはどうしても要ると思いまするが、これは今の状態では殆んど不可能だというくらいになつております。そこで本年度は十二萬五千トンの割當がございまするが、これがさつき申上げるように非常に足りないのであります。然るにその足りない十二萬五千トンが、更に第一四半期、第二四半期を加えまして僅かに二萬五、六千トンしか割當がないというような事情でありますから、尚更この危險状態が日々加つておるのであります。このことはその白書にもございまするように、車の故障及び運轉の故障、それの激増の結果はすでに御承知の通りであります。それでありまするから、何を措いても現在の健康を囘復するということのために、資材を確保するということが絶對條件でございまして、而もその最低限度に對してはいくら要るかということを今正確に調査いたしております。この最低限度の資材を若し國内で入手が困難な場合にはどうするかということに到著するのでありますこの場合におきましては、幸いにクレジツトの設定等もございまするし、何等か海外との特別な方法によつて確保の途があり得るのじやないかという意見に對しましても、この際研究を進めております。そんな工合で、とにかく現在の輸送力を確保するということを前提といたしまして、そうして只今御指摘のように滯貨になつております千數百萬トンとも豫想せられるこの潜在貨物を、一日も早く輸送しまして、これを生産の上に、或いは國民生活の上に、その任務を盡さなければならぬ。こう考えておる次第でございます。甚だ苦慮いたしておりまするが、何分にもその前提となる資材の確保に對しましては、これはこの機會を利用して皆様にもお願いをいたしますが、是非これに對しては、御協力をお願いしたいと、こう思つております。
#22
○村上義一君 いろいろ苦慮御苦心になつておる御事情を伺いまして、誠に御心中をお察しいたす次第でございます。尚この點に對しましては後刻觀點を變えて、少しお尋ね申上げたいと思つておりまするが、
 次に私お尋ね申上げたい點は、海陸輸送の綜合的の問題なのであります。太平洋戰爭以來海上輸送力が急激に減少いたしまして、殆んど潰滅状態という文字を用いてもいいような状態に陷りまして、現在の海運力は、汽船の總保有トン數が百三十萬餘り、又その中でも内地貨物と申しますか、沿岸貨物と申しますか、この輸送に當てられる船は五、六十萬トンを出ない。この船を以て現在國内貨物の輸送をしておられるのが、大體月間最近餘程好成績を御努力の結果擧げておられますが、やはり八、九十萬トンに過ぎない。戰前私の記憶では、陸上一億トン、海が一億トン、大體そういうことを言い得たと思うのであります。これは私の記憶が誤りでなければ、このうち汽船によつて輸送せられるものが六千萬トンあまり、機帆船によつて輸送せられるものが四千萬トン近くであるというふうに記憶いたしておるのであります。然るにそれが今汽船で輸送せられるのが千萬トンか千萬トン餘り、機帆船による輸送が二千萬トン近くにはなつておるだろうと思うのであります。要するに鐵道が一億トンなり一億一千トンなり運ぶにしまして、總計一億三四千萬トンにしか過ぎないのであります。全體として非常に輸送の力が足りないのであります。而も戰時中に石炭を初めとして、その他バルキー・カーゴーが陸上に轉移して、陸上では十八、九年頃は旅客列車を極度に抑制して、月間多い時には千五百萬トンも運んでおられたと記憶しております。現在は一億トン乃至一億一千萬トンだと思いますが、要するにこういう實情でありまするから、とにかく滯貨の山ができるのは當然なことだと思うのであります。只今も申述べますように、戰時中陸上に轉移しましたバルキー・カーゴーが令日におきましても殆んどそのままになつておる實情であります。こういう現状でありまするから、私は外國貿易品の輸送は誓く別といたしまして、國内貨物の輸送につきましても、海運も陸運も單獨に輸送計畫なり復興計畫を立てるということはできない相談じやないかと思うのであります。のみならず今後自動車の發達というものは非常に長足の進歩をすることと思うのであります。特に自動車の長距離輸送或いは大量輸送ということはこれはもう明瞭であると思うのであります。從つて海陸の輸送分野を想定して、更に陸上におきましては鐵道と自動車との輸送分野を想定して、そこに初めて海陸輸送の綜合計画が樹立せられ、交通部門としての綜合復興計畫が初めて立つのだと思うのであります。いずれこのことにつきましては運輸省においてもいろいろ御計画が進んでいるだろうと思うのであります。お差支えない限度においてその大要でもよろしいからお示しを願えれば結構だと思うのであります。
#23
○國務大臣(苫米地義三君) 海陸輸送の綜合的計畫と、その運用につきましては、殊にこの際輸送力の逼迫化に伴いまして、海運當局、陸運當局、各々省内に寄りまして十分に連絡を取つてやつておるつもりでございます。ただ海運力が急激に減りましたのと、それからして各港と陸送との間の小運送その他の事情もありまして、なかなかその運營の能率が十分でない憾みもございますので、折角この點については研究をいたしております。例えば外國から燐鑛石が入つて來る。この燐鑛石は、大低港に工場がありますから、その港へ直接船を囘送さしてやるということは從來の例であります。然るにこの頃では例えば名古屋へ燐鑛石が入ります。その場合に名古屋の工場ばかりでなく、その燐鑛石を更に陸送によつて新潟へ持つて行くなり、或いは伏木へ持つて行く、船で當然廻るべきものを陸送によるというような變態的な事情になつておるのであります。又石炭のようなバルキーなものを、從來ならば常識としても海送によるのでありまするが、今日は荷主の方から言つても陸送を希望すると、又採算の上から言つても陸送を希望する。これから又便利な點から言つても陸送を希望するというようなことで、九州の石炭を東京に持つて來るようなことになる。從つて陸送偏重になつて來るのでありまして、少くなつた海送力は、夏枯れのような状態で多少その方に餘裕を見るというような變態的な傾向があります。これらに對しましては、省内でよく連絡を取つて、そうしてでき得る限り海送の方に陸送の重荷を轉嫁するということに、今折角骨を折つている次第であります。具體的なことにつきましては兩長官參つておりますから説明をいたしますが、まあそういうように努力しておるような次第で御了承願いたいと思います。
#24
○村上義一君 ただこの陸運の過度な重荷を海の方へ轉嫁するという希望は、それはもう非常に尤もな希望だと思うのであります。海運の輸送力の増強ということは、又非常に問題だと思うのであります。どちらからしてもこれは今先刻もお話になりました第三期症の傾向が顯著だと思います。御苦心は眞にお察しいたすのであります。何か格段なる手を打つて頂かんとこの第三期症は囘復できないのじやないかということを痛感いたすのであります。この報告書の中の人件費は多いのじやない、百二十三億の赤字を豫期している、二十二年度の豫算中においても多いのは物件費だというような意味の説明があるのであります。この點若干の疑問を持つのであります。二十二年度の改定豫算の營業費の計數として、人件費は三十六だ、物件費か五十八だ、その他が六だ、こういうふうにも書いてあります。それはその通りでありましよう、併しこの物件費は改定豫算通りに一體使用できるのかどうか、ここが私の疑義を持つ点なんであります。何故なら先刻も大臣からお話のごとく、各種資材の前半期の入手實績というものは三割乃至四割に過ぎない。最も重要な鐵鋼というものも、戰前は年間二十五萬トンくらい使つていた、現在補修鋼材だけに二十五萬トン欲しいのであるが、製鋼事情を勘案して最小限度の必要量十二萬五千トンを要求した。然るに第一四半期一萬一千二百五十トン、第二四半期が一萬千トン、併せて二萬二千二百五十トンこういうことでは三割くらいしかないということになるのでありまして、尤も先日安本の永野第一副長官のお話によりますと、第三四半期は一萬六千トン、第四四半期は一萬八千トンを配給する見込だというお話があつたのであります。この通り現品化されるとしましても、總計五萬五千トンくらいしかないのであります。最小限度の必要だと運輸省が主張せられるものの大體四割ぐらいにしか當らんという状態であります。銑鐵も同じことである。枕木はやや好轉している。この報告書にも書いてありますし、又一般の實情が餘程好轉を告げておりますが、セメントにしましても、カーバイトにしましても、やはり必要量の三、四割しか配給がないという現状であるのであります。從いましてこういう資材の關係で四割くらいの工事しか遂行できません。今のままで進めば、假定いたした石炭費が非常に暴騰しているという關係もありますが、人件費と物件費との營業計數は逆轉するのじやないかというふうに考えられるのであります。又他の觀點から見まして、國有鐵道の營業キロ當りの從業員の數は、この報告書にお示しのものでも最近二十九人二分ということになつております。正に以前と比較しますと驚歎的な數になつております。世界で最に多い數字になつております。ここに現れておりまするこの表は、とにかく實情が非常に異なつておる外國との比較でありますから、單にこの數字だけで判斷することは不穩當でありますが、今日の私鐵、つまり地方鐵道や軌道を引つくるめまして、現在十五人二分に當つておると私記憶しておる。一營業キロ當り約半分に當つておる。こういう點を考えましても、とにかく人件費は相當大きいものになつておるのだということは否定できないと思うのであります。又これは大した數ではありませんが、確か今日勞働組合の役員は千二百人ぐらいおられると思いますが、この人達諸君が全部職務から離れておられるやに伺つておるのであります。そうして組合事務に沒頭しておられると思うのであります。こういうことも今六十萬人に對して千二百人ということは大した實際問題じやないようでありますけれども、これは勞働組合法の精神に鑑みてどうかと私は思うのであります。特に國民の感じが、こういうようなことは、可なり大きく國民の頭に響くと思うのであります。これは運輸省のためにも、即ち從業員諸君のために、これは是非考えて頂きたいと思うのであります。
 尚この報告書中に、勞働基準法を實施する關係上、女子において一萬一千人、年少者において三萬九千人が該當者として職務につけることのできない人ができる。その補充として女子一萬一千人の代りに、約六千人の人を新規採用せんければならん。そうして年少者三萬九千人の代りに約二萬六千人の人を新たに補充せんければならんということが書かれてあるのであります。そうしてこの女子を年少者と、合計五萬人の人達を職場につけるためには、今後二年ぐらいを要する見込だと、こう書いてあるのであります。これによりますと、これらの人は結局クローズド・シヨツプの精神からですか、とにかく職場につけずして包容しておられる。又そういう考えを持つておられるというふうに見えるのであります。この點につきましても相當お考えを願わんければならじやないかということを思うのであります。
 尚これは議會内だとか、控室あたりでの話でもありますし、又豫算委員會等において斷片的に聞くところによつても付度し得るのでありますが、一般にこういう觀察があるのであります、即ち國鐵では、鐵道警察官を作ると、これも結構だが、それが非常に澤山の人を充當している。又旅客關係の改札、出札とか、或いは貨物係とか、構内係、各般の職域に對して非常に多數の人間を配置しておられるのであるが、これは職務の遂行上、作業遂行上の必要から、定員を配置しているのではなしに、餘つている人を消化する目的で、ただ定員を澤山に配置しているんだと、こういう説をよく耳にするのであります。例えば專務事掌のごときでも、以前は寝室車のボーイの補助もありましたが、一列車に一人であつた。然るに今は五人も乘務しているそうだというようなこともつい二、三日前耳にしたことであります。こういう點においても、どうも一般に國鐵の人がこの程度では多いのではないということを、地域的の偏在とか、或いは職種的の偏在とかいう問題は別としまして、とにかく大體論において、人件費が必ずしも多いんじやないというふうの説明が到るところに現われておりますけれども、どうもこの點について、國民は一般にどうしても理解してないと私は思うのであります。それでこういう状態で、若し運賃値上げを更に遂行せられなければならん立場になられるということ、運賃値上げをやるというようなことになりましても、これは國民は絶對に納得しないと私は思うのであります。從つて先刻も、豫算委員會においての野田主計局長との間の問答について問題が出ましたが、この經營の合理化を強力に推進せられる場合に、行政整理ということはどうしても必要な一事項であるということを強く唱えている人が多いのであります。
 長々と事情を述べましたが、この點について餘程愼重に、深甚な御考慮を拂つて頂かんければならんのじやないかと思うのであります。どういうふうにこの行政整理、實はこれは今日、今新聞を朗讀せられましたが、そういう詳しい質疑應答は何らなかつたのであります。
 併しながら今長官がお話になつたように、ただ單に豫算定員というだけにも私は聽かなかつた。これは私の耳が惡かつたのかも知れませんが、けれども今日豫算委員長から、豫算補正第一號を今議會に説明せられる時に、堂々とこれは述べておられる、こういう點も是非御當局は心に留めて、どういうふうなお考えをせられるか、その邊もお差支ない限度において赤裸々に伺いたいと思うのであります。これは私のみならず、皆が實は伺いたいと思つておることだと思うのであります。
#25
○國務大臣(苫米地義三君) 私から一應お答え申上げまして、尚足りないところは長官からお答えいたします。人件費が三六%で物件費との間に非常な不均衡ができておるような數字にはなつております。從來戰前の振合いから申しましても、又各國の振合いから申しましても、大體人件費と物件費はバーバーで行くというようなことであるようでありますが、今囘の新らしい物價が現われて、そうして現在の千八百圓が基準になるとすれば、さような數字になるのであります。この意味は然らばお話されました人件費というものが非常に安いのか、こういうことでありまするが、その安いという中には今お話のように人間の數も必ずしも多くないのか、又待遇も非常に悪いのか、こういう意味にも取られるのであります。待遇の點につきましては一般の官廳その他の振合がございまして、これは必ずしも格段な差があるとは思われないのであります。人間の數から申しますれば先程長官からも御説明申上げた通り、現在の状態においては説明いたした通りでありまするけれども、その白書の中にもございまするように、現在の從事員は非常に若い人で、まだ鐵道というような特殊の技術を要する作業には熟練度を缺いておるというようなことが、相當從事員の人數を餘計にしておるという原因であろうかと思うのであります。それからもう一つは昔の勞働條件と今日の勞働條件というものが相當變つて來ておりますから、この勞働條件の變化によつて必然的に多くなつておる部分も相當數ございます。ドイツの例から申しますれば、やはりこれによつて二割乃至三割餘計になつておる、こう申しております。恐らく勞働條件そのままで考えますというと、戰前と今の勞働條件によりまして時間的には四割ぐらい影響しておるようであります。ただその割合に人は殖えるわけでありませんから、結果としては二割乃至三割殖えておるように聞いております。それから敗戰後のアブノーマルな状態、この状態は恐らく他の仕事には餘り例のない占領軍の特別な輸送その他によりまして、これはもう本當に例外的な人數を要しておる。或いは先程申上げましたように、第三期の病状でありますから、何でも彼でも手を加えて看護する看護人が相當多くなつておるということも考えられるわけでありまして、これらの臨時的な環境が一應除かれ、そうして從業員の熟練度が相當増加して參りますれば、やはり或る程度の人員の調整というものが行われると思います。で一日も早くそういうふうなことを期待するのでありまするが、これは時を假せば今の若い人は段々熟練をして年を取つて行きますから、せめて三年なり五年經てば昔の状態に歸り得ると私は思うのであります。それと丁度自然調整によつて補充さえしなければ段々に減るというのと、熟練度が増して行くというのとマツチして、或る程度の合理的な人員ができるのじやないか、こういうふうなことも考えられまするが、又平和條約でも締結されまして、今の環境が變つて來ると、その場合には相當人員の配置の上においても變つて來る時期があるのではないかというようなことも考えております。從いまして現在のものが絶體にこれはもう減らないというふうには考えておりません。その點は合理的な適正な人員を考えて行きたいということで、折角今その點をいろいろな方面から研究しております。
 それからもう一つは物件費の問題ですが、私はこの物件費の方が相當高いのだと思うのです。この方が高いのでその比率が破れておるというふうにも私考える次第であります。一つの例を取つて見ますと石炭です。現在の石炭を若し我々が希望するような適正炭にこれを置き變えるならば、明らかに五割ぐらい減るのです。研究したのもございます。その適正炭を確保することによつて一番多い石炭というものの物件費、いわゆる材料費というものは、まあ半分にはならんでも四割くらい減らすことは可能だと思います。それぞれ合理的な經營と、それから物の利用を合理的にするということによりまして、物件費の方を相當減すことができると實は考えておるのであります。そこでこの前ここで御説明した中に、今年の豫算は現在の状態で行けば百七十三億くらい赤字が出ると申しましたが、それがいよいよ結末を付けてやつて、最後の結果は百十九億になつております。この五十四億というものは實は鐵道の手持資材が相當ございまして、この手持資材の値上りが約二十二億ぐらいございますから、二十二億はそれで節約する。あとの三十一億の内十億は鐵道の合理的な能率増加によつて、十億くらいそこで稼ごうということが一つ、それかあらとの二十一億は、これは物件費を減らす、合理的な利用をして減らす。それくらいは可能であろうということで、大藏省との間に話合を付けまして、その結果百十九億の赤字にしたわけであります。それこれ考えて見まして、物件費の方に經營合理化によつて節約の途があると考えて、努力しておるわけであります。一應そういう事情でありますが、具體的なことは又長官から……。
#26
○村上義一君 大分長くなりまして甚だ恐縮ですが、もう一問題、只今の大臣のお話によりまして運輸省でいかにお考えになつておるかという大體のことは、ヒントを得ましたが、もう少し伺いたいのですが、それは他日の讓りまして、別の問題についてお伺いいたしたいと思うのであります。この白書の中にも書いておりますような鐵道財政、設備の荒廢、職員素質の低下、その他慘擔たる現状を囘復するために、又企業の獨立採算制を確立するために、今後經營の合理化を強力に推進するということが結論的に書いてあります。そうしてその實行方法としまして、第一に、輸送力増強、第二が能率の増進、第三が物資の節約、第四が電化計畫の遂行、こういう四大方針を掲げられて、明確ではありませんが、大體五年計畫で完成するという御計畫の模樣であります。併し私は國鐵の現状が、先刻來大臣もお話になりますように、又この實相報告書に表われておりますように、悠々五年計畫などは許されないのではないか、又客觀的に申しましても日本の現状がこれを許さないのではないかというふうに考えられますから、この觀點から若干お尋ねいたしたいと思うのであります。これは三點あるのであります。只今大體お話を伺いましたが、二十二年度の百十九億ですか、この赤字はどういうふうに御處理になるというお考えであるのかということをお尋ねしたいのであります。この調書中にも、國鐵は獨立の企業として運營しておるのである、從つて獨立採算制を確立しなければならん、これは理想的の見解を述べておられるのだと思いますが、こういう趣旨を二、三ケ所で強調しておられるのであります。正にこれは當然なことであると私も御同感申上げるのでありまするが、この厖大な赤字を獨立企業として、どうして處理をなさる御方針であるか、お差支ない限度において伺いたいと思うのであります。特に今囘輸入超過の決濟用として五億ドルのクレジツトが設定されましたことは、日本の現状に鑑みて誠に喜ばしいことでありまするが、平和會議が成立した曉には更に巨額のクレジツトを設定するようになる、又設定することが絶對に必要であると考えるのであります。この場合に……ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
#27
○委員長(板谷順助君) 速記をちよつと止めて。
#28
○委員長(板谷順助君) 速記を始めて。
#29
○村上義一君 私は五年と言わず迅速に獨立企業としての採算制を樹立する必要があると思うのであります。素質が下つた、或いは能率が低下した、石炭が高い、赤字が多い、だから運賃を上げるのだということでは、先刻も申述べましたが、國民は所詮承知しないと思うのであります。大臣は日本の優秀な企業家として自他共に認められておられる優秀な經驗をお持ちなのでありますが、こういう事態に對處してどういうふうにお考えになつておりますか、この點伺いたいと存ずるのであります。
 それから第二は、合理化方策の輸送力の増進とか、電化計畫というものの内容は、まだ御作成中だと伺つておりまして、拜見をいたしませんけれども、いずれにいたしましても莫大な資材を要するということは、これはもう明瞭だと思うのであります。國鐵の復舊のためには、或いは數百億、或いは又數千億の多額の資材を要するのかも知れません。然るに今の日本の産業状況や、資材配給の實情を勘案しますると、資材の入手の點におきまして、國鐵の復興は遺憾ながら到底不可能じやないかということを憂うるのであります。この報告書中にも資材不足が長く續くならば、折角軌道に乘り掛けた國鐵も全く再起不能に陷るだろうということを書いてありまするし、大臣も先刻來これと同じようないろいろなお示しがあつたのであります、從いまして先頃クレジツトの設定をし、そうして輸入を圖ることについて研究をしておるという含みあるお話を伺つたのでありますが、先に第一問としてお尋ねしましたこの國鐵の擔保の問題と睨み合せて、思い切つた手を打つて頂く、必要が非常にあると私思うのでありますが、この點についてお差支なければ、もう少し具體的に伺いたいと思うのであります。
 それから第三の點は、經營の合理化方策としまして、國鐵の經營形態の根本に遡つて檢討せられておりますかどうか、この點を伺いたいのであります。即ち從來當の國鐵の問題で何か大きい問題と言えば、軍部方面から軍事上の必要上こうするのだということで、遮二無二決められたということは御承知の通りであります。いわば國鐵は一種の兵器として進歩して來たと言うても過言でないような性格を持つておつたのであります。この性格が全く解消してしまつたということは言えると思うのであります。正に國民からの信託企業だ、公共事業だということは、はつきり言えると思うのであります。それから報告書中各所に國鐵の企業形態が餘りに厖大であるということが書かれております。この觀點から國鐵の經營形態の根本を檢討して見る必要があるのじやないか。更にこの敗戰後、政府の力が強つたというと妙な表現でありまするが、とにかく國民の義務と權利、自由というものが非常に暢達されるように相成りました結果、政府の力は總體的に弱化した、命令、規則の力が弱くなつた。それに反して、從事員の勞働權は非常に強化せられて、特に六十萬の從事員を包容しておりまする國鐵勞働組合の威力は、頗る大なるものがあると思うのであります。そこへ若干時には誤解もあり、行き過ぎもあつたと思うのでありますが、とにかく業務命令が出ましても、組合からの指令が來ないからと言うて業務命令に服從しない、職場の規律を守らないというような從業員がありましても、その上長は何ともすることができなかつたというような事例も少くなかつたのであります。要するに從事員の力と經營の衝にある幹部の力とのバランスが取れなくなつて來た。以前は規則、命令の力が非常に強かつたがために、これに示されたように、數十萬の從事員も規律正しく行動を取つた、それが又、人と人との關係と申しまするか、そういうことになつて、それが主體になつて來た關係上、どうもバランスが取れんようになつたということが、今日の實相であると私は判斷いたしているのであります。それから又獨立採算制を各所で強調いたしておられまするが、これを實現するためには全從業員がそれぞれの獨立企業の運營に携わつておるのだという自覺を持つことが前提要件であると私は考えるのであります。現在のような厖大な單獨直營形態では、この自覺を把持せしむる抱かしむることが非常にむづかしいと思うのである。先に厖大な赤字に惱んで三倍半の運賃値上を計畫せられ、これを發表せられました時に、組合は一面において給與の改善を要求しつつ、他面において運賃値上反對の運動を起されたと記憶いたしておるのであります。この事例のごときは全く只今言う自覺が、獨立企業であるという獨立採算制を確立せんならんという自覺がないことを端的に示しておると私は思うのであります。これは正に現行の經營形態が與つて力あるのじやないかと思うのであります。尚國鐵は現在二萬キロ以上に及んでおりますが、これが日本の津々浦々まで擴がつて誠に厖大な路線を直營しておられる、と同時に地方鐵道軌道の行政をやり、船舶、港灣の行政をやり、又自動車行政をやり、更に小運送行政を遂行しておられるのであり、運輸省が遂行しておられるので、私は更に道路行政をもその傘下に納められ、そうして一元的に交通行政を處理せられることが、日本の交通を綜合的に發達せしむる上に誠に緊要事であると確信するのであります。併し私は國鐵という大企業の經營と、これらの行政とを併存しておることについて深く掘り下げて根本的に檢討して見る必要があると信ずるのであります。地方制度の委員會におきましても、同じく道路行政は運輸省に移管すべきものである、そうでないと道路の發達はしない、交通の一元的綜合發達は持ち來し得ないという意見を強力に持つておられる委員もあるのであります。併し現在の行政と、國鐵運營という企業實行と、この二つが併存しておつて、行政がむしろ國鐵の庇の下で行われておる。こう見られる限りは、どうも道路行政を運輸省に移管することに無條件に贊成することができないという意見も聞いておるのであります。この點深く考えて見なければならぬと思うのであります。第一次歐洲大戰の後に……。
#30
○委員長(板谷順助君) 村上さん、ちよつと御相談いたしますが、今衆議院の本會議で運輸省關係の議案が一つ上程されるので、大臣は直ぐちよつと行つて、又直ぐこちらへ歸つて來られるそうです。
#31
○國務大臣(苫米地義三君) あなたにも私ちよつとお話したいと思いますが、ちよつと今本會議に行つて參ります。
#32
○委員長(板谷順助君) 參議院の本會議は四時頃開會の豫定だそうです。それまでに大臣必らず直ぐ來て下さい。伊能鐵道總局長官がおられますから、伊能長官に御質問がありましたら……。
#33
○村上義一君 實は第一次歐洲大戰の後、ドイツの國有鐵道が、私の記憶が間違いないと思うのでありますが、五十億金貨マークの赤字に惱んで、そうしてあのドーズ案が出まして國有民營を斷行した。その翌年に五十億金貨マークの黒字を出しておるのである。こういうことはドイツと日本の國情が違つておりますので、又第一次歐洲大戰における賠償事情と今囘の日本の賠償事情、これも非常にこの點に大きい影響があると思います。一概には言えませんが、國有鐵道の經營形態につきましては、根本的に考えて見る必要があるのじやないかということを感ずるのであります。國鐵という獨立企業を復奮し、復興する、そうして昔の信用を囘復する。國民に愛される鐵道になるというためには、この報告書の末尾に列擧してあります四つの項目を先立つて、その前提となるこの根本問題を徹底的に吟味する必要があると信ずるのでありまするが、これについて實は大臣及び長官の御意見を伺つて見たい、こう實は思つたので……。
#34
○委員長(板谷順助君) 大臣は今直ぐ歸りますが、長官にでも……委員長からちよつと念のために伺いたいのは、先程參議院の本會議において、豫算委員長が聲を大にして、運輸省における人員整理を、數萬人ということを確か言つたと思います。
#35
○村上義一君 確かに言いました。
#36
○委員長(板谷順助君) それをあなたは豫算面において一萬三千人ということでありますが、大藏省と運輸省の間に相當の喰違いがある、恐らくは聲を大にして、張り上げて言われたのであるから、國民の多數はそれを信じておると思う。その點はどうですか。
#37
○政府委員(伊能繁次郎君) 私が豫算經理においての削減で、當時の協議においては、人員の整理を對象としたものでないということを、政府部内の打合せの内容を申上げた次第でありまするが、結果といたしましてはすでに年度當初五十一萬七千というような超過人員を保有した、そのことにつきまして、これは當初の豫算定員としては六十二萬何千かでございましたので、その差額において豫算上の人員超過をしておるわけではございません。併しながら今囘の追加豫算の決定において六十萬四千數百となりました結果として、現在の人員は、豫算人員にも超過しておる關係上、これを逐次減員をして行かなければならん、かような状況であります。併しこれが減員の内容としては、月々大體四千人前後の自然減耗がある。從つてその自然減耗を今後八ヶ月のものを見ても、自然減耗をそのまま新規採用しないとすれば、三萬二千人程度の減員を生ずる。併しこれでは地域差による過員、地域差による缺員を調整することができませんので、その中相當人員は採用する、採用をするが、年度末の状況においては六十萬四千の豫算定員を割らない、かようなことに相成るわけであります。從つて年度を平均して六十萬四千ということは、年度當初において最初の豫算が六十二萬數千ありましたものが六十萬四千に削られた。而も四、五、六においては豫算定員を超過した人員を保有した關係上、年度末においては六十萬四千以下の人員でないと全體の豫算人員が賄えない、かような結果に相成ると存じます。從つてそれらの見通しにつきましては、我々は大體、六十萬程度の人員の保有を目標として、目下豫算上の各般の措置を講じております。併しこれには更に不安定な要素が加わるのでございます。その内容は今後復員者が何名還るかということが不安定な要素と相成るのでありまして、政府部内の豫算決定の折衝の經過といたしましては、復員者については無條件に何人復員して來ようと、この六十萬四千三百の豫算定員の外として追加豫算的措置を講ずる、かような話合もいたしております。從いまして私は參議院における予算委員長の説明は親しく拜承をいたしておりませんでしたが、運輸省において數萬人の整理をされることになるだらうということは、少々我々の計畫とは内容が違うのではなかろうか、かように私は存ずるのでございます。
 ただ今度の問題として人員整理をしないかするかというような問題につきましては、私共は昨年の二月のいわゆる二・一ゼネスト態勢直後の勞働協約の關係と、一應食糧事情その他は相當急迫はしておりますが、管理者對組合側の態勢としては平和的協調態勢の取れておる今日においては、各般の勞働協約の内容についてすべて變方對等の立場で協約が締結せらるべきものではなかろうか、從つて整理をしないとか、するとかいうような項目を協約の中に入れることは、平和態勢の勞働協約ではない。從つて平和態勢の對等な勞働協約の締結においては、そういつた條項は削除せられることが望ましいのではなかろうか、こういう氣持で私共は明後日以後の勞働協約の締結の對して、大量整理をしないという條項を削除して行きたい、こういう態度で臨んでおる次第でございます。
#38
○委員長(板谷順助君) 尚私が更に伺いたいと思うのは、大體先程大臣も人員整理の餘地のないような意味のことを言つておられた。それから長官の只今の御答辯でも、どうも私は要點を外れているように思うのですが、一般の國民は現在の運輸省の人員の整理を或る程度までせざる限りは、決して赤字の補填ができない。又運賃の先般の三倍半の値上げに對しても、内部の整理をせずして上げるということはどうも甚だ不都合だ、こういう輿論が随分強い。從つてどうも勞働攻勢に對する經營者側が、いかにも私は率直に言うなら弱いのじやないか。だからして最近に勞働協約が更に改定されるということでありますが、あなた方が經營者の立場として、いかに國有であつても、企業體が收支償う、つまり案そのものは收支償う案を立てて行かなければならないのである。この點についてどうも私は只今のあなたの御答辯、大臣の答辯がいかにも手温いような感じがするのですが、どうですか。思い切つた整理ができますか。
#39
○政府委員(伊能繁次郎君) 私共自分のやつておりますことについて責任を持つて萬般の施策に最善の努力をいたしておりますが、對勞働者關係において私共の施策が弱いとか手温いとか考えておらないのであります。決して私共は強いとか弱いとかそういう考え方でなく、假に今委員長の御指摘になりました整理の問題、この問題を率直に取上げましても、勿論整理をするという際におきましては私は整理に對する客觀的な條件がもう少し整うべきだと思つております。失業救濟の問題、退職資金の問題その他政府全般の失業對策がまだどうも熟しておらんように實は私共も考えております、組合側といたしましても、今囘私共が提案いたしました大量馘首條項の削除に對しましては、絶體にこの問題を反對と申しておるわけではございません。政府全般における失業對策能勢の完備するまで、暫らく大量馘首條項を削除しないで置いて貰えまいかというようなことも言つております。旁々最前申上げましたように、國有鐵道におきましては自然減耗を對象といたしましての年間五萬人程度の整理はできるわけです。併しこれを積極的に假に三萬人の整理をいたすと假定したしますと、その際に人件費としては大體年間現在の状況におきまして一人二萬圓と假定いたしまするならば六億圓の節約です。ところがこれに對する退職資金、その他を考慮いたしますと、當該年度においては六億圓は殆んど節約にならんという状況でございます。それともう一つ私どもは心配いたしておりますることは、現實に地域的には相當の缺員を生じている。これが採用難で困つておるというような状況でございますので、これらに對する處理はやはり急速にやりませんと、先般の山陽線における蛇行運轉事故、或いは先月十六日における北九州西八幡における脱線顛覆事故等、全體の施設の貧弱に原因いたします。而もそれらの區間は線路區從事員、運轉從事員等は獲得最も困難で、非常に缺員を生じておる區間において、そういう事故が發生をいたしておりまするので、我々は他面において國有鐵道の社會に對する責任を完うしなければならん、重大な責任と義務とを持つておりまするので、これらに對してはいかなる措置も講じなければならん、一方、他面において、地方的に數數の缺員を持つておる。これらのものを果して現在の状態において整理を以てやり得るか、私共の考えでは石炭を一割節約することによつて十億餘りの金額を節約することができる。併し人件費の方は當該年度に五萬を整理いたしたとしても、翌年初めてその效果を生ずるということで、何が合理化の對象として最も重點に考えられなければならんかというこの觀點に立ちまするならば、輸送力の増強による増收と、經營能率の改善竝びに石炭その他諸物資の節約が當面の問題として國有鐵道の何と申しますか、勞資協調、平和の觀點、而もしばしば社會に迷惑をかけました爭議態勢というような忌わしい事態に持つて行かずして、當面を切り抜けるためには以上の三點を中心に持つて行かざるを得ないのではないか、かように考えておりまするので、以上先般來申上げましたお答えを申上げておるような次第でありまして、假に三萬、四萬、五萬の人員を整理したしたといたしましても、その年度では殆んど節約にならんというような状況にありますることと、現に相當缺員を生じておつてしばしば事故の原因になり、或いは事故を起しておる方面に對する處理、國鐵全體の能率を強力に高めて行くためには、この際勞資の間で爭議的な態勢を助成することが果して適當であろうかという點も、多分の心配を持つておりまするし、又勞働者各位に對しまして、萬一馘首の際において全體の國の失業對策態勢等がまだ十分に整つておらんという點も考慮いたしまして、現状としては甚だ生温るいというようなお話がございましたが、只今申上げた考えで進みたい、かように考えております。
#40
○小野哲君 只今の人員の配置の問題に關聯して私から當局の考えをちよつと聽きたいと思うのでありますが、先般新鶴見の操車場に参りましたところが、現場の職員諸君の話によると構内從事員の缺員が非常に多い。それは一つは給與制度というものがいわゆる官廳給與制度と申しますか、そういうものに制約されるために思い切つたことができない。從つて連結手、或いは轉轍手というような構内作業要員を確保するためには、給與の面において他の職種とは違つた思い切つた措置を講じなければ到底人員の確保は不可能だということを言つておりました。又或る從事員の話によると、當局はいつも人員の配置については配置轉換をやるのだと言つておるけれども、現在の食糧とか交通或いは住宅というようなことから言うと殆んど不可能だ。不可能なことを言われても問題にならないということを私に言つている向きもあつたのであります。そういたしますと人員の問題は一面給與の關係と又諸條件が非常に惡いために、職種別若しくは地域別の人員の配置の過不足の是正もできない、又一面經營者側においては合理的な人員の配置を豫算的にも考えて行かなければならないといふ事情があるにも拘わらず、勿論消極的に自然減耗を入れました人員の整理ということは考えられますけれども、失業對策が立てられなければこれにも手が付けられないということになりますと、經營の合理化の中の人員の問題については殆んど具體的な施策が行われ得ないと私は受取れるのであります。それでは甚だ困るので、今伊能長官が申されたように、人件費の占むる割合は整理によつて特に大きな部分ではない、むしろ退職費その他で却つて經費の増大を來たすといふことは御尤もと思いますが、併し合理的な人員の配置を行う意味で、積極性のある合理的な人員配置といふことについては何らかの手を打つて行かなければならんのではないか、こういう點についてはやはり國民が批判をしているのではないかというふうに、私は先般現場を拝見して痛感したような次第であります。從つて先程村上さんからもいろいろお話がございましたが、これらの事柄も結局國有鐵道の經營形態の根本に觸れて解決して行かなければならない問題の一つではないかと思つておるのでありますが、經濟白書の最後にありますように、目下國鐵再建五ヶ年計畫を策定中だとこう言われておりますが、もつともつとこのテンポを早めて行かなければならない。このテンポを早めるために特段の措置を講するということが必要だと、かように考えておるのでありますが、再建五ヶ年計畫をお立てになつているということを伺つております今日、一體いつ頃になつたら國會へお出しになるのか、この點も附け加えてお見込みを伺いたいと思うのであります。
#41
○政府委員(伊能繁次郎君) 配置轉換の問題についてお話がございましたが、過去における配置轉換は御承知のごとく五千人餘りで、必ずしも成功であつたとは言えないのでありますが、私共現在の情勢に鑑みまして組合側と協議をいたしたいことは、配置轉換が小野さんのおつしやるごとく、現實の問題として不可能であるとは實は管理者側の私としては考えておりません。まだ相當に可能であると考えておるのであります。現に非常に業務量の高い線區地域におきまして轉轍手、連結手、或いは保線、運轉方面のいわゆる特殊勞務職、技術勞務職等に對しては、なかなか行き手がないが、騨の方或いは管理部等においては相當の過員を藏しておる。これらのものについては客觀的な條件を數個設定いたしまして、組合側と協議を行つて、この條件に當て嵌るものについては配置轉換を強制するという態勢にまで實は進んで参りたいと思いまして、これが具體案も經營協議會にかけるつもりでおります。ただ問題は、これを強制して肯かない場合にどうするかというような問題も残りますが、ともかく我々としては客觀的な條件を數個提示いたしまして、これによつて組合側も了承した委員會等を現地に即したものを作つて、そこで配置轉換が至當であると決つた際にはこれは強制するという態勢で參りたい。これにより或る程度の同一地域における配置轉換は可能ではないか、又通勤時間につきましても一時間半若しくは列車の非常に頻繁なところにおいては現在においても甲州の山線あたりから京濱地區へ通勤して來ておる者も相當にあります。從つて最大二時間程度の範圍においての通勤等も考慮し、それぞれその地域、職種における具體的な事情を十分參酌した客觀的な條件を數個作り上げて、その下に配置轉換を行うというようなことも考慮中でございまするし、經營協議會にもかけるつもりでおりまして、それが若し話が整いますれば、私共相當の配置轉換は可能であると、かように考えておる次第であります。
 次に給與の點につきましては、御指摘の通り現在政府全般の職階制の問題が、その進度必ずしも豫期のごとく進んでおりませんので、止むを得ず私共としては國有鐵道だけでも先ず暫定的な職階制度でも組合側と協議をして作り上げ、それに基ずいて給與體系を作つて行かなければ連結手、轉轍手、線路工手、電力工手、通信工手等特殊勞務職、技術職にはなかなか人間が集まらない。現在暫定的な手當制度を以て辛うじて當面の事態を糊塗いたしておりますが、これは世間の客觀的な給與の實情とは副わない低いものでありますので、これらにつきましては急速に何らかの對策も講じなければならん、かように考えております。殊に當面の御協贊を得まする豫算が決まりましたならば、せめてその豫算内において人員、その他を檢討いたしまして、でき得る限り人件費の請負制度的な、報奨制度的な途を採用して能率の増進を圖ろう、かように考えておる次第であります。國鐵再建五ケ年計畫の問題でございまするが、これは御承知のように、目下政府として安定本部を中心に日本再建五ケ年計畫をいろいろな角度から檢討中でございまして、國鐵といたしましても、勿論その一環としての内容を持たなければならないと存じておりまするので、寄り寄り安定本部その他と協議もいたし、意見も交換いたしておりますが、私共の仄聞いたすところによりますと、日本再建五ケ年計畫の内容は相當厖大であり、率直に私が申上げるのもいかがかと存ずるのでありますが、やや樂觀的な内容を持つておりまするので、國鐵の五ケ年計畫を、それにそのまま適合せしむることが果して妥當であるかどうかというようにも考えられまするので、又國鐵自體の問題といたしまして、電化が果して國鐵經濟の上にどれだけの合理化を齎すか否かというような細目の檢討も目下いたしておりまするが、少くとも國民經濟の上からは、生の石炭を六百トンも七百トンも焚く代りに、水力電源を開發することは國民經濟の上からは絶對的に利益である、かような觀點に立つておりまするので、電化の促進による石炭の節約という問題と、最前村上さんからお話のございました輸送力の増強による經濟安定への強力な推進、この二點と、それに最前來各方面から御批判を頂いております國鐵の獨立採算制をいかに調和せしむるかという點が、最大の論議の對象になつておりまして、いろいろな角度から數案作成をいたしておりまするが、未だ基本的な問題に對する檢討を遂げつつるあ程度でございまして、近々のうちにこれが成案を得るということは困難であろうと思いますが、一應の基本的な素案なりとも、その全貌の方向でも明らかに相成りますれば、でき得る限り議會等にも御覧を頂いて、御叱正、御鞭韃を頂きたい、かように考えております。
#42
○橋本萬右衞門君 經營の合理化についてちよつとお尋ねいたします。現在の國有鐵道は、その管理するキロ程に比較して、非常に厖大で且つ複雜多岐を極めておると思います。最近のアメリカの事情はわかりませんが、先年アメリカへ參りまして、ペンシルヴアニヤ・システム、グランド・セントラル・システムを見ましても、おのおのマイル數にしまして二萬二千マイルくらい管理しながら、極めて簡單な組織のように見て參りました。國鐵におきましても、地方鐵道局を廢止するとか、又管理部を廢止するとか、そういつた一段階減らすようなお考えはございませですか。
#43
○政府委員(伊能繁次郎君) ペンシルヴアニヤ・システム、ニユーヨーク・セントラル・システム等におきましても、いずれもデイヴイジヨン・オペレーシヨン・システム、サブ・デイヴイジヨン・オペレーシヨン・システム、これらの二段階制と本社との體系は、私共が採つております鐵道局管理部體制と根本的には違いがないようであります。ただ御承知のごとく、あちらは人件費が非常に高いことと、更に個人々々の能率も同時に高いということで、非常に人員の節約をいたしておる。のみならずニユーヨークでありますとか、或いはシカゴでありますとか、大きな驛におきましては、ユニオン・ステーシヨンで、その驛自體が綜合停車場として獨立會社形體を取る。必らずニユーヨーク・セントラルなり、戰いはペンシルヴアニヤ・レールロードの獨占鐵道ではないというやうな、各般の合理的の措置が取られておりまして、實は私共も戰後のこの復興の形體といたしまして、國有鐵道自身が全部を復興して行く方が相当に長年月を要するので、試驗的には、例えば新宿のような所であるとか、或いは澁谷のような所であるとか、更に小さい中くらいの所、川崎のような所には、そういつたシステムを採用して見る必要もあるのではないか。民間企業力を、民間資金を吸收して、そういつた體制も必要ではなかろうか、かようにも考えておりますが、現在の状況は資金の問題以上に資材の問題が大きな隘路をなしておりまして、これは民間の事業よりも國家の力で資材を吸收し、地方鐵道と國有鐵道とを比べますれば、やはり國有鐵道の方が資材確保はなんとしても強力であるというような觀點もございまするので、そういつたことも私共考慮いたしまして、現在の國有鐵道の人員を合理的に能率的にいかに運用し、最小限度の人員が賄い得るようにするかという問題は、勿論研究はいたしております。最前私申上げましたように、當面の現在の運營に影響のない人員だけでも、十萬人程度のものは使つておるということを申上げましたが、これらの問題もやがて事態が平靜に復しますれば、當然人員は減りまして、合理的な運營體制にもなる、かようにも實は考えておるような次第でございます。
#44
○村上義一君 伊能長官にちよつとお尋ねしますが、先刻大臣は、百十九億の赤字になるというお話でありましたが、これは二十二年度のこの赤字をどういうふうにして豫算上は辻褄を合わされるようになつておるのですか。
#45
○政府委員(伊能繁次郎君) 本國會の御審議を經ました曉におきましては、事業費につきましては、借入金として日銀全體の資金計畫の中ですべてこれを賄うという話合いによりまして、百十九億の赤字を處理して頂くことになつております。一方別途追加豫算を提出いたしております建設、改良、資本勘定の方におきましては、追加豫算額合計で百一億程度に相成つておりますが、これはいずれも公債を以て支辯する。事業費の方は日銀よりの借入金として、今囘の綜合資金計畫の中に入つており、從つて國會で豫算が承認を得ますれば、次々計畫を立てて、二十億、或いは三十億ずつは必ず拜借ができるという形に相成つておるのでございます。
#46
○委員長(板谷順助君) いかがですか、今大臣が衆議院の本會議ですぐ濟むそうです。伊能政府委員に何か御質問がありますか。
#47
○内村清次君 白書の三十六頁でありまするが、この白書において、運輸當局は、現在國鐵の人員は決して過剰ではない、又勞働協約の面や戰災復興の面においても、輸送確保の面においても、不足するという部分があると、こう言つておらるるのでありまするが、一般にこの鐵道の合理的經營、又獨立採算制へというような問題が起つて參りますると、やはり第一に從事員が過剰ではないか、これを整理せなくちやならないというような、まあ公式論的なことを言われる向きも實は度々耳にするのでありますが、この白書の中にありまするように、從事員の絶對數というものは昭和十一年を百として二十一年が二百五十三%になつておる。この状態からしていわゆる輸送キロにおいては相當の増加にはなつておるけれどもが、人トン・キロ當りの指數は昭和十一年度を百として、昭和二十二年度は九十七%であるが、實數で言うたならば、百萬人トン・キロ當りの從事員が五・四で、それが五・三になつておる。即ち一人當りに三・五の貨車で旅客一人を十五キロ運んだという状態であつて、一人當りの仕事量というものは決して減つておらないというのがここではつきりいたしておるのでありますが、若し現在のこの日本の生産指數が戰前の三十%であるとしたならば、電力關係の十四%を除いたならば、百%になる。百%になつておるものはただ國鐵以外にはないというような状態であるが、この状態からいたしまして、いわゆる鐵道が現在のガタ落ちになつておるこの經營状態を、又人員面をうんと減らしたことによつて、やはり日本現在の生産指數のように考えたならば三十%ぐらいに落ちて、そうして日本の幹線が約一日に五本ぐらいしか動かない程の鐵道にするというようなことは、これはどうしても現在の状態としても考えられないことだと思うのでありますが、當局が若しこの人員の整理ということに對して、今申しましたような個人當りの人トン・キロが非常に増加しておる今日において、尚且つ人員整理をやろうというような御方針であるかどうかということが一つと、それから先般大藏省との間において、即ちこれは大藏省の方針として新聞に發表されたのでありますが、この運輸當局が、或いは暗默の中にこの大藏省の整理の方針に對して同調しておるとされるとしたならば、この鐵道の七月末現在の實數が六十一萬人であるけれども、自然減少率というものが年間に八・三%である。從つて年度末には約三萬三千名が減少する。これに對してこの間の復員者が約六千四百名である。更に自然減少に對するところの補充率を二十五%として、年間に八千名補充するとすれば、年度末までに増加人員は一萬四千名となつて、從つて差引約一萬九千名が現在の人員から減少するからして、これで大體豫算を組んで貰いたいというような、即ち自然減少を今後方針として持つて行かれる精神であるかどうか、この點に對して御答辯を願いたい。
#48
○委員長(板谷順助君) 内村君にちよつと御注意をして置きますが、あなたの御質問はさつき出たのだ。出たのだけれども、ただまあ君はおいでにならんから、……折角の質問ですから……。
#49
○政府委員(伊能繁次郎君) 只今のお尋ねにつきましては先般大臣竝びに私から相當詳細に御説明を申上げました。只今内村さんが御指摘になりました點につきましては豫算定員上の措置としては、私共減員を承認いたします。と申しますことはこの白書に説明した状況においては多いようにも見えるが、必ずしも多くないということを私共申上げております。それはあくまで白書の内容を前提としております。ということは從事員の能率が落ちておる。素質が低下しておる。各般の客觀的な條件の下に私共は人員が必ずしも多くない。併し過去における國鐵の能率の健全であり立派であつた時代に比較すれば多いのだということをはつきり是認をいたしております。のみならず本内容におきましても直接國鐵の當面の輸送に必ずしも關聯のない人員、例えば進駐軍關係、或いは港灣事務局その他の關係、或いは列車の保安防護等について嚴格な指示を受けておつたり、乘務員等についても嚴格な指示を受けておりますが、これは必ずしも乘務員等を要しなくても運行には差支ないというような方面、それらの方面をいろいろと取上げて參りますならば、ここにも相當に書いてあります戰災復舊關係の要員、或いは保守力強化の要員、これらは將來經營能率が改善された曉には、當然要らなくなるものである。これらの人だけでも十萬人以上に上る。從つて平當の經營状態、平常の能率状態においては、相當の過員を持つべきだ。持つておると斷定しても差支ない。併し現在の能率の落ち、戰災復舊その他の各般の状況竝びに日本國内自體の輸送状態以外の支障、それらのいろいろの制約の加わつた現在の状態の下において、白書が報じておるような實情では、決して餘りに世間が言われておるように人間が多いとは私共考えておらない。但し地域的には相當の過員を持つておると同時に、地域的には缺員を持つておる。これらの問題をいかに調整するかということは、何を措いても國有鐵道自體の責任でなければならぬので、これらの整理に對して私共は積極的の意圖を持つておる。但し整理とは必ずしも積極的な人員整理を意味しておらないということを私共申しております。そうして大藏省との協定によります六十一萬七千程度の豫算人を、六十萬四千に減らしましたが、これにつきましても、地域的な過員を自然減少によつて處理して頂きたいという大藏省の要求は、私は妥當であろうと考えまして承認をいたしました。と同時に六十萬四千の豫算定員で七月末現在人員として一應の報告を取りましたものが、只今御指摘のように、六十一萬七千餘りになつております。併しこの數は私共二、三千のどうも喰い違いがあるやに存じておりますので、目下精査をいたさせておりますが、これらの問題を豫算定員年度平均六十四萬四千餘りで賄いますためには、年度末においては、四、五、六、七とすでに當初豫算定員においては四十二萬餘りありますしたから、超過はいたしておらないのでありますが、その後の豫算改定によつて六十萬四千餘りに削られた今日においては、六十四萬四千の人員を年度末に保存することは豫算上許されません。從つて六十萬以下の人員となるということが豫想せられるのであります。そうしいその結果として大藏省が算定をいたしましたものが、今御指摘になつたような人員と私は解釋いたすのでありますが、この外に別な條件として復員者については一應の人員を豫想は付けておりますが、樺太關係その他豫測すべからざる事情によつて、復員者が一時に餘計殖えた際には、これは全員別途追加豫算的措置を講ずるというような交渉もいたしております。根本の問題として私共としては、當面の問題、國有鐵道全般の能率を上げるためには、この際積極的な人員整理の問題ということよりも、尚なすべき措置がいろいろあるではないはかという考う方の下に、諸般の人員整理の關係についての施策を廻らしております。併しながら人員整理をするかしないかという問題につきましては、これは單に私共國有の當局者と勞働組合との間に、現在の情勢において勝手に決められるべきことであるかどうかということも、私共はつらつら反省をして見なければならぬ、かように考えております。又先般二月二十一日に締結いたしました勞働協約は、御承知のごとく當時二・一ゼネストを基礎とした鬪爭態勢の勞働協約であつたと私は解釋いたしております。今日勞資協調、平和態勢の勞働協約締結に際しては、雙方が對等な立場において國家再建に寄與する、それを基礎とした勞働協約の締結でなければならぬ。從つて整理をすとかせんとかいうことは、一應勞働協約の面からは削除することが適當ではなかろうか、かような考を私は明らかにいたしております。このことを削除するということは決して積極的な大量整理を意味するものではないということをも、はつきりと私は組合側にも申入れておるような次第でございます。
#50
○委員長(板谷順助君) 村上君、あなたの御質問を繼續して下さい。
#51
○村上義一君 先刻大臣がお立ちになりましたときに、質問の要旨は大體終えかけておりましたのですが、要するにあの問題は三點についてお尋ねいたしたのであります。そのうちの第一點、百九十億の收益勘定の赤字をいかにして賄うかということについては、只今伊能長官から御方針を伺いました。第二の資材入手をクレジットの設定によつて急速に好轉せしめるという御意思があるやに伺つたのでありますが、その時期とか、枠とか又方法などにつきまして、今少し具體的にお話が願えないかということが第二點であります。第三點は、國鐵の經營形態の根本について檢討をする必要をお認めにならんかという點であります。お差支ない限り赤裸々に一つ伺いたいと思います。
#52
○國務大臣(苫米地義三君) 先ず獨立採算制と現在の赤字についてどうするかというお話であります。内閣で發表いたしました經濟緊急對策の中にも、國鐵のような特別會計のものは獨立採算制を採つて行くというふうに發表いたしておりまして、この國鐵の分も獨立採算の取れるような方式によつて經營をして行きたいということは、これは政府の方針であります。ところがその意味で運賃の値上げを考えたのでありまするけれども、今囘の値上げは他の物價の根本的な異動がありまするために、これを運賃だけの計算を土臺として決めるわけには參らなかつたのであります。そこで新物價體系を作る安本にこれを委讓しまして、そうして他の運賃との振合いを決定して貰つたわけでありましたが、御承知のやうに運賃は三倍半に決めたが、外の物價はそれ以上になりまして、結局新物價を練り廻した練り方が足りないとでも申しますか、釣合の取れない運賃だけが彈き出された、こういう状態になりまして、最初考えました獨立採算という安本の一つの計畫がこれに副わなかつたという現實であります。そうしてその結果生れた赤字、百二十億のものはどうするかということでありますが、この始末をいかにするかということに對しましては、國民及び國民を代表せられる皆さんの御審議を俟つて實は決めたいと思うのでありまして、その前に我々は經營合理化によつて百十九億に豫想されるこの赤字を更に壓縮して、その上にこの結果をどうするかということを御審議願いたいと思うのですが、目的は獨立採算制にありますけれども、さて一般物價を堅持して行くというこの社會的な安定を狙います際には、これを又動かすことによつて、他の物價に變動が來るということも國家全般の上から考えられるのでありまして、その始末については、おのずから國民の意思を體してやらなければならんと思うのであります。併しながら經理の取扱といたしましては、差向き借入金としてそれをするのであります。そこでただ借入金だけにして置きますというと、日銀の抱え込みになつて、これは金融面から、財政面から面白くないということもございまするから、或いは國債發行、いわゆる鐵道公債を發行して、そこでこれを民間に資金の分散を圖る、こういうことも考えられるのでありますが、今確定したことになつておりません。まあ私共の考え方としては、そういうことの方が一般の金融壓迫にならないでいいじやないか、こう考えております。
 それからその他の點でありますが、實は私のこの國鐵に對する根本的な考え方をむしろ結論的な考がございますから、それを申上げますというと、おのずからお答えになると思うのであります。私は國鐵の状態については、先刻來繰返し申上げたのでありまするが、ともかくも現在としては資材確保だ、この資材確保は國内的の状態では殆んど不可能の状態ではないか、然らばこれをいつまでも辛抱してやれるかどうかというと、甚だ危險だ、これは幸いに開けて來た海外との關係をこの際利用して、そうして何らかこの打開の途を講じたいというので、今そういう方策を實は考えているのでありまして、これを具體的にこの際申上げるということは、時期でもありませんし、又妥當でないと思いますから、ただ考え方の方向を一つ御了察願いたい、こう思うのであります。それからその次は何といつても經營合理化の方面は、この白書にも書いてありまするように、仕事の合理的な強化というようなことも無論ありますし、消極的な節約、その他合理的な運營の方針というようなことも無論ございますから、この經營合理化を徹底的に一つやつて見るということを今それぞれ考えております。これが當面の問題でありますが、併し國鐵を恆久的に安定するということも、この際として考えなければならんと私は思う。それでは何か重點であるかと申しますというと、これを動かす動力源の確保だと私は思います。動力源の確保とは即ち一方から言えば、數百種に餘る雜然たるこの石炭、これを適性炭を獲得する。而も安定的な確保をするという途を求めなければならんと思います。もう一つは電力源を獲得して、これを強化する、そうして主要線の電化であると思うのであります。私共の今省内で打合せをしておりますることは、幸いに石炭については九州に志免炭鑛をいうのがございます。これは國營の最も非能率的な石炭と世間からいわれておりますが、私も炭鑛を經營したことがございまして、よくあれを檢討いたしまするというと、今が一番惡い時であります。上層炭を殆んど皆掘り盡したものを今漁つているような状態でありまして、これは他の炭鑛とそのまま比較することは、それは無理だと思う。そこで下層炭がございまするが、この下層炭というのは非常に優秀でございます。これに對して堅坑もすでに掘つておりますし、斜坑もついておりますし、これから本當にあの山の眞髓であるところの下層の炭鑛へ掘り進んで行くという状態でありまするから、今の状態であれを國營だから非能率だと即斷することは問違つておると思います。私ならば優秀な炭山として行くことが可なるものと思います。ただ勝田炭鑛と言つて隣りの鑛區と交錯しております、それでありますから國家的に考えて兩炭鑛はむしろ併合してやるべきだと企業的に考えますが、この石炭は七千カロリーでございます。それでありますから鐵道の粉炭といたしては最も適當であります。それからもう一つ北海道でそれに似寄つたような山で、しかもこれから開發しようというような山が若し得られるならば、多少見當もついておりますので、そういう山をも民間企業と提携して開發する。そうしてその石炭を鐵道用炭に確保するというようなことも考えなければならんと思つておりまして、これも具體的に今話を進めようとしております。それからそういうことについて九州に一つ、北海道に一つ足をつけまして、相當の適性炭が確保されるならば、これは非常な強みになると思いまして、その點を考える。それから内地におきましては何と言つても電力だと思います。電力はすでに十二萬キロは信濃川で開發しております。その下流に二ケ所、約五萬キロずつ發電の地點を求めまして、すでに第一期は著手中であります。それでありますからして、若しこの工事が完成いたしますれば十萬キロできますし、これによつて電化の範圍が廣くなり、そうして石炭の節約もできるというようなことを考えまして、この電力と石炭のいわゆる動力源を確保するということは國鐵將來のためにどうしてもこれをやらなければならんことではないかと思うので、頻りに今研究いたしておる次第であります。
 その次は、先刻御指摘になりました國鐵そのものの經營形態なんであります。これは御指摘のように、現在では獨立特別會計によりまして大體分離計算をいたしておりまするが、併し本當に企業經理にはなつておらないのであります。それでありまするから、行政と企業というものを分離するという考え方も一方にはあると思いますが、これは輕々に決めるわけには參らんと思うのでありまして、いかに獨立採算制を取る上において、最も能率を上げて、國家の社會的な大きな事業を能率よくやるには、その經營形態にまで、多少の意見もございましようが、研究をして見る必要があると思いまして、いろいろ調査研究をいたしております。
 それからもう一つは、何と言つても鐵道施設、その他の囘復、それから動力源の確保、それから經營も或る程度まで方法としては合理化された、こういいましても、最後は人の力であります。それに先程お話のありましたように、六十萬の從業者が本當にこの事業の社會的な重要性を考えて、自分らの大きな任務の自覺の上に仕事をして頂くことを希望せざるを得ないのでありまして、私も先般この白書を發表すると同時に、省内の從事員の各位に向つてもう一遍鐵道の内容を再認識して、部分々々には知つておるかも知れないが、綜合的にもう一遍再認識して、そうして本當に祖國の再建は國鐵の復興からという氣持を持つて頂きたい。そうして今こそ勤勞者が本當にそれをやつて頂けば、私は國鐵ひとりの復興ばかりじやなし、實にこれが大きな導きとなつて、國家再建の上に貢献するであろうというような意味のことをお話しして、その奮起をお願いしたような次第であります。そんなわけで國鐵復興の基本的な私共の考は、そういうように今考えておる次第であります。尤も運輸全體の面から申しますれば、先程御指摘のように、海運事業及び陸運の自動車輸送というものに對しましては、將來道路の整備と共に自動車輸送というものに對しては、相當尚研究したいと思うのであります。私の考の一端を申上げまして、御了解を頂きたいと思います。
#53
○委員長(板谷順助君) 諸君にお諮りいたしますが、まだ村上君の御質問も殘つておりまするし、中村君、丹羽君、小泉君からの大臣に對する質問もありますが、本會議も始まつておるようですから、本日はこの程度で散會してはいかがでございますか。
#54
○委員長(板谷順助君) それじや次囘は公報を以て御通知申上げます。
   午後四時十六分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           丹羽 五郎君
          橋本萬右衞門君
           小野  哲君
   委員
           内村 清次君
           小泉 秀吉君
           鈴木 清一君
           中村 正雄君
           大隅 憲二君
           水久保甚作君
           植竹 春彦君
           小林 勝馬君
           高橋  啓君
           飯田精太郎君
           新谷寅三郎君
           早川 愼一君
           村上 義一君
  國務大臣
   運 輸 大 臣 苫米地義三君
  政府委員
   運輸事務官
   (鐵道總局長
   官)      伊能繁次郎君
   運輸事務官
   (海運總局長
   官)      有田 喜一君
   運輸事務官
   (海運總局船員
   局長)     大久保武雄君
ソース: 国立国会図書館
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