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1947/09/25 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第11号
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1947/09/25 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第11号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第11号
  付託事件
○磐越東線三春、船引両駅間の要田村
 に停車場を設置することに関する請
 願(第二号)
○鉄道運賃の値上げ反対に関する請願
 (第三号)
○長岡鉄道を國営に移管することに関
 する請願(第四号)
○海運経営方式並びに船員管理に関す
 る陳情(第十五号)
○鉄道運賃値上げ反対に関する請願
 (第十号)
○高崎、熊谷間に電化工事を実施する
 ことに関する陳情(第四十五号)
○鉄道運賃値上げ反対に関する陳情
 (第四十七号)
○磐越東線神俣、大越両駅間の瀧根町
 菅谷に停車場を設置することに関す
 る請願(第十三号)
○熊本縣人吉市を基点とする三路線に
 省営自動車運輸開始に関する請願
 (第十五号)
○日本通運株式会社の営業権並びに設
 備を旧関係業者へ還元することに関
 する陳情(第八十五号)
○海運経営方式並びに船員管理に関す
 る陳情(第九十六号)
○東北本線宇都宮、大宮間日光線宇都
 宮、日光間及び両毛線小山、高崎間
 の電化実現に関する陳情(第九十九
 号)
○高崎、熊カ谷間に電化工事を実施す
 ることに関する請願(第三十六号)
○海上輸送力緊急増強に関する陳情
 (第百二十三号)
○鉄道営業法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○海難審判法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○木原線鉄道残工事の速成に関する請
 願(第五十六号)
○旧鶴見臨港鉄道外三鉄道線拂下に関
 する請願(第六十号)
○中央線高藏寺、名古屋鉄道小牧両駅
 間に國営自動車の運輸を開始するこ
 とに関する請願(第六十二号)
○山形縣最上郡内に國営貨物自動車の
 運輸を開始することに関する請願
 (第六十四号)
○柳井駅より三路線に及び田布施駅よ
 り二路線に國営自動車の運輸を開始
 することに関する請願(第七十六
 号)
○常磐線松戸、我孫子両駅間電化工事
 実施に関する請願(第七十八号)
○江差町、東瀬棚村間に國営自動車の
 運輸を開始することに関する陳情
 (第百五十六号)
○日本國沿岸に置き去られた船舶の措
 置に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○学生鉄道運賃の是正に関する請願
 (第九十号)
○東北本線二本松、本宮両駅間の杉田
 村に停車場を設置することに関する
 請願(第九十二号)
○博多、壱岐及び対馬間の國営航路実
 現促進に関する請願(第九十三号)
○宇部東線電車運轉を山口市宮野地区
 迄延長することに関する請願(第九
 十四号)
○矢島鉄道株式会社の救済に関する請
 願(第九十七号)
○常磐線松戸、水戸間電化促進に関す
 る請願(第九十九号)
○信越線高崎、横川間電化工事を実施
 することに関する陳情(第二百一
 号)
○道路運送法案(内閣送付)
○旧小倉鉄道線拂下げに関する請願
 (第百三号)
○信越線柏崎駅附近鵜川鉄橋の径間拡
 張工事施行に関する請願(第百七
 号)
○五條駅、新宮市間の鉄道速成に関す
 る請願(第百八号)
○学生鉄道運賃の是正に関する請願
 (第百九号)
○東海道線沼津、浜松両駅間の電化速
 成に関する請願(第百十二号)
○九州、四國間の省営連絡に関する請
 願(第百十三号)
○愛媛縣東宇和郡宇和町、八幡浜市間
 に國営自動車の運輸を開始すること
 に関する請願(第百十四号)
○山陰線の電化並びに廣島、松江両市
 間直通列車運轉に関する請願(第百
 十九号)
○中央氣象台牛塚出張所設置に関する
 請願(第百二十七号)
○九州、四國間省営連絡に関する請願
 (第百三十七号)
○常磐線松戸、平両駅間電化促進に関
 する請願(第百四十二号)
○中央氣象台牛深出張所設置に関する
 請願(第百四十四号)
○旧播丹鉄道線拂下げに関する請願
 (第百六十一号)
○常磐線松戸、我孫子両駅間電化工事
 実施に関する請願(第百六十四号)
○高知縣香美郡山田、大栃間國営自動
 車を岡ノ内まで延長並びに自動車道
 路開設に関する請願(第百六十六
 号)
○四國循環線の全通促進並びに九、四
 連絡省営航路運航に関する請願(第
 百七十号)
○豊川鉄道及び鳳來寺鉄道拂下げに関
 する請願(第百七十一号)
○肥薩線電化工事に関する請願(第百
 七十三号)
○民営事業と競合する國営トラック運
 営対策に関する請願(第百八十号)
○民営事業と競合する浜坂、八田間國
 営トラック開設反対に関する請願
 (第百八十一号)
○民営事業と競合する姫路、曲間國営
 トラック開設反対に関する請願(第
 百八十二号)
○札沼線中の撤收区間復元に関する請
 願(第百八十四号)
○四國循環線の全通促進並びに九、四
 連絡省営航路運航に関する請願(第
 百八十六号)
○常磐線松戸、我孫子両駅間電化促進
 に関する請願(第百八十八号)
○膽振國富内、十勝清水間鉄道敷設促
 進に関する請願(第百八十九号)
○江差町、東瀬村間に國営自動車の運
 輸を開始することに関する陳情(第
 二百七十四号)
○福島縣安達郡二本松、浪江両町間に
 國営自動車の運輸を開始することに
 関する請願(第百九十四号)
○四國循環線の全通促進並びに九、四
 連絡省営航路運航に関する請願(第
 百九十五号)
○旧南海鉄道山手線拂下げに関する請
 願(第二百三号)
○大牟田駅復興に関する請願(第二百
 六号)
○四國循環線の全通促進並びに九、四
 連絡省営航路の運航に関する請願
 (第二百十二号)
○後藤寺、糸田両鉄道線拂下げに関す
る請願(第二百十五号)
○四國循環線の全通促進並びに九、四
 連絡省営航路の運航に関する請願
 (第二百十七号)
○西彼杵半島の陸海運交通の整備に関
 する請願(第二百二十二号)
○民営事業と競合する國営バス開設反
 対に関する陳情(第三百二十号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月二十五日(木曜日)
   午後一時三十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○道路運送法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これより会議を開きます。先般請願、陳情の取扱
い方につきまして諸君の御同意を得たのでありますが、第一小委員、第二小
委員と分けたのでありますけれども、この中には重複しているのがあります
ので、同じようなものが請願されているというような関係から、割振りにつ
きましては一つ委員長に御一任を願いたいとこう思うのでありますが、別に
御異議はございませんか。
#3
○委員長(板谷順助君) それじやさよう取計らいいたします。それから道
路輸送法案を議題として御審議を願うことにしておつたのでありますが、幸
いここに総務局長が御出席になつておるので、何か御質問がありましたならば大臣のお出でになるまで、一つ何か鉄道に関する御質問があつたならばお尋ね願いたいと思います。では速記を止めて……
#4
○理事(小野哲君) それでは本日は議題となりました道路運送法案の提案の理由につきまして運輸大臣から御説明を願います。
#5
○國務大臣(苫米地義三君) それでは只今から道路運送法案の提案理由について御説明申上げます。
 自動車及び軽車輛が、陸上運送部面におきまして極めて重大な役割を演じつつあります。この運営の良否は直ちに全経済体制の運営に、又公共の福祉に影響を及ぼしますことは、すでに御承知の通りでございます。
 政府におきましては自動車運送事業の重要性に鑑みまして、昭和六年自動車交通事業法を制定いたしまして、自動車運送事業を免許事業とする外、必要な監督の規定を設け、爾來事業の健全な発達を図つて参つたのでありますが、本法は事業法規として自動車運送事業のみを対象としており、すでに陸上運送において重大な役割を担当する軽車輛に対する規定を欠いておりますのみならず、目下の運送の秩序の確立を期する上から見まして必要な規定もございません。最近の産業経済の要請から見ますると、現在の法制は不十分であり、公共の福祉を確保する上からも不備な点が認められるのであります。同時に現行自動車交通事業法は戰爭中の改正を受け、統制組合としての自動車運送事業組合を規定するなど、戰時法規としての色彩をも残存いたしておりますので、これは直ちに改正しなければなりませんのと、その他の点におきましても新事態に即應いたしまして事業運営及びこれに対する監督行政を民主化する必要が認められるのでございます。本法案は前に申上げましたように、道路運送の重要性に鑑みまして、單に現行法制の不備を是正補充するのみならず、更に現下の産業経済の要請を加えまして、又自動車及び道路運送の洋々たる前途に光明を認めつつ企画され、ここに本國会に提出された次第でございます。以下簡單に本法案の骨子を申上げます。
 第一に申上げたいことは、本法案の対象についてであります。即ち本法案は道路運送に関する綜合法規として、次の四つの事項を対象としておるのであります。第一、バス事業、トラック事業のような自動車運送事業と、從來荷牛馬車業とか、或いは乗合馬車とか言われていたいわゆる軽車輛運送事業とを新たに総括した道路運送事業、その二は、十國峠に見るようないわゆる自動車事業、その三は、自家用自動車、その四は、道路運送の基礎を成す車輛の構造、檢査及び整備でございます。
 第二に申上げたいことは、事業の管理についてであります。即ち本法におきましても、自動車運送事業及び自動車道事業は、その公共性が特に大きいと認められますので、主務大臣は免許、認可等のいわゆる行政監督の措置を取ることとしたのであります。併し軽車輛運送事業については、その経営の実情に即するよう免許制によらず届出制とし、且つできるだけ地方で処理できるようにいたした次第であります。尚旅客交通の面において特に考慮しなければならない公共團体、即ち市等の地域内の運輸についてはその公共團体の意見を十分参酌して行政を行う規定をも設けた次第であります。
 第三に申上げたいことは、行政の民主化についてであります。即ち道路運送行政の適当な運用を図るため、中央及び地方に道路運送委員会を置き、重要行政事項に関しその意見を徴する方途を講じまするとともに、免許の基準を設けて免許の適正を期した次第であります。
 第四に申上げたいことは、事業経営の公正合理化についてであります。即ち自動車運送事業における物品運送契約の公正簡易化を図るため、運送約款の制度を設けて契約を定型化すると共に、運送義務及び運送委託を明確にし、その他公共の福祉に反する行爲の取締体制の確立等、事業経営の民主化のため、必要な規定を設けた次第であります。
 第五に申上げたいことは、自家用自動車に関する規定を設けた点であります。即ち運送秩序の確立を期するため、自家用自動車は対價を得て運送の用に供したり、又は貸渡したりすることはできないこととし、その他公共の福祉を確保するため必要があるときは、運輸大臣は所要の措置を取りうることといたした次第であります。
 第六に申上げたいことは、車輛の構造、檢査及び整備について規定を設けた点であります。即ち車輛は道路運送の基盤をなし、これが整理如何は輸送力に直接大きな影響がありますので、車輛の機能及び保安の適正化を図り、輸送力の向上に資することといたした次第であります。
 第七に申上げたいことは、自動車運送事業組合の整理についてであります。即ち從來の統制方式の自動車運送事業組合を解散いたし、自主的團体の設立に委ねることといたしたのであります。尚自動車交通事業財團の制度も、從來余り利用されません関係上、この際これを廃止いたしたいと存ずる次第でございます。
 道路運送の健全な発達を図つて、公共の福祉を確保するためには、是非共この法律の実施を必要とするものと信ずる次第でありまするから、何卒十分に御審議の上御決定下さいますようお願いする次第でございます。
#6
○理事(小野哲君) 運輸大臣から道路運送法案の提案理由について御説明がございましたが、御承知の通りこの法律案は極めて廣汎な内容を持つておりますのと、事柄の性質から又重要なことであると存じますので、政府委員からこの法案の内容についての補足的な御説明を願いまして、委員会の審議の便を図りたいと、かように存じますので、只今から政府委員の内容に関する説明を求めたいと思います。
#7
○政府委員(郷野基秀君) 道路運送法の提案理由に関しましては、只今運輸大臣から御説明がございましたので、私からは、法案の内容につきまして概要を申上げたいと存じます。
 現在の道路運送に関する法律の体系といたしましては、誠に不十分な状態でございまして、ただ自動車交通事業法と自動車取締令とがあるだけでございます。前者は自動車運送事業と自動車道事業に関する事業法規でございまして、自家用運送に関する規定を欠いております。後者は自動車の交通取締に関する警察法規としての性格を持つておるものでございまして、両者間は法制上の連繋等につきましても十分なものがございませんばかりでなく、今日、軽車輛運送につきましては、從來営業取締としての府縣令が見受けられました程度に過ぎないのでございまして、道路運送に関しまして綜合的に整備せられました法律制度は、今日までこれを欠いておつた次第でございます。この法律案は、道路運送に関する綜合法規といたしまして、自動車運送事業及び軽車輛運送事業、これを法律案におきましては総称して道路運送事業と申しておりまするが、これと自動車道事業、自家用自動車並びに車輛の構造檢査及び整備をその対象として取扱つております。
 この法律案は、九章、六十七カ條及び附則九カ條から成つておりまして、比較的大部の法律案でございます。第一章は総則といたしまして、この法律の目的と、この法律の一般に通じまする定義を掲げております。第二章は監理といたしまして、この法律の一般的な運用に関する事項を掲げております。第三章は自動車運送事業、第四章は軽車輛運送事業、第五章は自動車道及び自動車道事業としてそれぞれ事業の監督に関する事項を規定いたしております。第六章は國営自動車運送事業及び國営自動車道事業といたしまして、國営事業の開設運用に関する事項を取扱つております。第七章は自家用自動車の使用といたしまして、自家用自動車に対する適正なる規範の樹立を図りまして、第八章におきましては、これを車輛といたしまして、自動車及び旅客軽車輛の檢査、整備及び自動車の登録に関する事項を規定いたしております。車輛使用の適正化をこれによつて期しまして、第九章におきましては、罰則を規定いたしております。以下この法律案の主要な点につきまして章別に概略御説明申上げたいと存じます。
 先ず第一章の総則におきましては、この法律の目的とこの法律一般に通ずる定義とを規定しております。第一條に掲げておりますこの法律の目的は、同時に道路運送行政の指導理念でもございまして、一見法律の目的は誠に抽象的に書いてございまするが、以下この法律案の各條に規定せられておりますることは、すべてこの目的として掲げられておりまする考え方の具体化されたものと御覽願いたいのでございます。
 第二章でございまするが、この章は監理といたしまして、この法律の運用に関する事項を規定しております。その中特に新たにこの法律案によりまして制度化されるものといたしましては、第七條の車輛檢査官と、第八條の道路運送委員会とでございます。
 この法律案におきまして車輛の機能及び適正化を図りまして輸送力の向上に資するために、第八條におきまして車輛の構造檢査及び整備に関し必要な規定を設けております。
 この仕事は非常に技術的なものでありまするばかりでなく、又必要のありまする時は車庫等に臨檢いたしまして檢査をしなければなりません。かようにいたしまして行政秩序の確立を図りまして公共の福祉を増進しなければなりませんので、この職務に從事いたしまする官吏、吏員は一般官吏、吏員と自ら異なる性格を持つて参りまするので、車輛檢査官の制度を新たに設けた次第でございます。
 次に、第八條の道路運送委員会について申上げます。現行法では事業の免許や、取消、停止等すべて行政官廳の自由裁量の行爲でございまするが、本法案におきましてはできるだけ一般の声を聽きまして行政の民主化を図りまするために、中央及び地方に道路運送委員会を置きまして、行政官廳がこの法律及びこの法律に基ずく政令、命令の制定及び改正、立案、免許、基準の設定及び変更、事業の免許、取消等の処分をいたしまするときには、委員会の意見を徴しなければならないことに規定いたしまして、委員会の組織運用その他必要な事項は政令でこれを定めることになつておりまするが、その組織につきましては大体かように考えております。即ち地方委員会は各都府縣から一人ずつの委員を、北海道におきましては事情が違いまするから数人の委員を、それぞれ知事に推薦して頂きましてこれを組織し、中央委員会は各地委方員会の委員長を以て組織するというふうな構成にいたしたいと考えております。
 次に、第三條の自動車運送事業について申上げます。先ず第十條におきまして事業の種類を一般事業と特定事業とに大別することにいたしまして、それを更に乘合旅客、貸切旅客、積合せ貨物、貸切貨物に分けております。現行法におきましては、法律におきまして旅客自動車運輸事業、旅客自動車運送事業及び貨物自動車運送事業というふうに分けまして、これを更に施行規則におきまして旅客自動車運送事業を普通、路線、團体とに分ちまして、更に又別の省令によりまして特定旅客自動車運送事業を認めております。貨物自動車運送事業につきましては、これを施行規則におきまして普通と特定とに分ちまして、更にその普通を路線の有無によりまして区域事業と区間事業とに分つというふうに、誠に複雜な分類をいたしておりまするが、これを今回の立法に当りましてはアメリカの例なども参酌いたしまして、一般事業即ちコンモン・キャリヤーと特定事業即ちコント・ラクト・キャリヤーという分類に倣いまして、在來に比しまして一段と分り易い分類にいたしました。
 尚且つ今後いろいろな事業の種別が出て來ることを考えられまするが、これを包括的にすべての場合に当嵌まり得るような規定にいたしたいと考えております。尚現在の業者は附則、第三條に規定いたしまする通り、別に命令の定めるところに從いまして、それぞれ新らしい法律に該当いたしまする新種別の業者となるものとみなされるということにいたしたいと考えております。
 次に、自動車運送事業を経営しようといたします者は、第十一條の規定によりまして事業計画を定めて主務大臣の免許を受けなければならないことは現行法と同樣でございますが、本法案では第十二條において自動車運送事業の免許に関しまして妥当な基準を設けてこれを公示しなければならないと定めまして、この基準に適合する申請がありましたときは、申請者が法律に定めた欠格條項に該当いたしますとか、或いはその事業の経営によつて公共の福祉に反する結果を生ずるような競爭を引き起す虞れある場合等を除きまして免許しなければならないことといたしまして、免許の公正を期しておるのでございます。
 次に、第十五條及び第十六條におきまして運送の約款の規定を設けております。運送約款を業者は定めまして、認可を受けました上でこれを公示させ、從來ややもしますれば契約の内容が不明確のために責任の限度等について爭いを生ずることがあつた弊害を改めまして、契約の公正化、簡易化を図りまして公益事業の増進に資したいと考えております。これは現行法にはない規定でございます。
 次に、最近の事情を見ますと、事業の健全なる発達を図りますと共に、公共の福祉を確保するためには、現行法ではいろいろ不備な点が認められますので、この点に関しまして新たに二、三の規定を置くことにいたしました。即ち第十八條におきまして、公共の福祉に反する行爲、事業の健全なる発達を阻害するような競爭を禁止いたしました。第十九條において、法律において定めました特定の場合の外は運送の引受義務があるものといたしまして、第二十條におきまして申込の順序により物品を運送しなければならないことを定めました。
 その他公共の福祉を確保するため、主務大臣は從前通り事業改善の命令、運送命令等を発し得ます外、事業の讓渡、事業の停止、免許の取消、免許の失効等についての主務大臣の監理、業者の権利義務等は在來と変りなく規定せられております。
 次に、第二十五條におきまして二十三條及び二十四條第一項の規定により他業者との連絡運輸、共同経営及び運輸に関する協定につきまして、いわゆる独占禁止法の規定の適用を排除しておりますが、これは独占禁止法第二十二條の規定によりまして、特定の事業について特別の法律があり、事業者がその法律又はその法律に基く命令によつて行う正当な行爲でございますので、同條第二項の規定によりまして本法第二十五條の規定を以てこれを指定したわけでございます。独占禁止法の適用除外はこの二つの場合だけでございまして、同法におきまして公正取引委員会の認可を受けなければならないとされております事項、例えば第二十八條の讓渡合併等につきましては、本法によりまして主務大臣の認可を受けなければ効果を生じないと共に、公正取引委員会の認可をも受けなければならないことになります。
 次に、二十九條におきまして事業区域が東京都の区の区域、又は政令の定めまする市の区域内に限られております乘合旅客自動車運送事業につきまして、免許、運賃料金の認可、事業計画等の変更の認可、運輸に関する協定等の認可、讓渡の認可等をするに当りましては、都知事又は市長の意見を徴しなければならないといたしております。これは市が地方公共團体の中でも特に家族的な繋がりを持つておるという意味に基ずくものでございます。尚道路運送委員会に諮るべきものにつきましては、勿論これらの事項につきましても更に道路運送委員会に諮ることは当然でございます。
 次に、第三十二條におきまして、特定自動車運送事業にはその権利義務について一般事業より軽減した規定を設けておりまするが、これは特定事業が一般事業に比較いたしまして公共性が低いからこれを区別したのでございます。
 次に第四章、軽車輛運送事業について申上げます。軽車輛運送事業とは、第二條に定義いたしまする通り、他人の需要に應じまして、軽車輛を使用いたしまして旅客又は物品を運送する事業でありまして、荷牛馬車による運搬業、旅客自轉車即ち厚生車というようなものがございますが、その営業、人力車の営業等でございます。この事業は、從來は府縣令等に委せられておりまして、法律に基ずいていなかつたのでありますが、年間貨物につきましては約二億トンを輸送すると推定せられておりまするので、陸上小運搬業を初めといたしまして、道路運送の重要な一環をなしておりまするので、道路運送における公共の福祉を確保し、又は事業の綜合的な健全な発達を図る意味におきまして、今回新たに本法案にはこれを取上げて規定した次第でございます。但しその公共性と機動性につきましては、自動車に比較いたしまして程度が低いのでございまするので、これに対する監督行政も余り嚴重といたしませず、主として届出で足りることといたした次第でございます。旅客軽車輛の車輛檢査についても、その檢査事務を市町村長に委託いたしまして、実情に副うようにいたしたいと考えておる次第でございます。
 次に第五章、自動車及び自動車道事業でございますとか、第六章の國営自動車運送事業及び國営自動車道事業につきましては、この規定はいずれも現行法と大差ございませんので、説明を省略させて頂きたいと存じます。
 次に自家用自動車に関する規定、即ち第七章の自家用自動車の使用についてでございますが、現在自動車は道路運送の中核といたしまして、産業経済活動の基盤でございまするに拘わりませず、現状におきましては車輛の供給も著しく不足いたしておりまするし、更に又タイヤ、ガソリン、薪炭等につきましても非常に不足をいたしております。從いまして自動車は現状におきまして、最も使用効率を高めますように、資材の配給その他の面におきましてもこれを裏附けまして、心掛けて参らなければならないのでございますが、ただ効率の点だけから判断いたしますれば、一般的に申しまして、自家用車が業者の車に対しましていくらか劣る傾向にあることは否定できないと存じます。併しながら営業用の車だけでは賄い切れないような用途もございまするので、特に必要な産業の経営のために自家用車の存在の意義を認めておるのでございます。從つて自家用車の使用効率は、場合によりましてはいくらか低いことは爭えないのでございますが、又この自家用車におきまして一部遊休輸送力が生じましても、全体の輸送の運用から見まして、こういう輸送力の無駄の出ますることが止むを得ない事情にあり、又自家用車の使い方といたしまして、迅速適確に必要な生産配給物資を運んでおるという点が認めますれば、それで自家用車の使命は達成せられておるものと考えるのでございます。以上の考え方からいたしまして、自家用車と営業用の車は、それぞれの分野におきまして互に侵すことなく、最高の能率を発揮いたしまして、これを発達させるべきものと考えております。ただ自家用車の遊休輸送力を利用するというような意味からいたしまして、これを営業の範囲に、自家用車のままの性格におきまして進出させるということは、現在の輸送の体系から考えて参りまして、輸送の分野を撹乱し、輸送の秩序を混乱に陷れるものでございますので、この点につきましては十分に実情に應じました制約を加えて参りたいと考えておる次第でございます。輸送力の向上は、輸送の適正な秩序を確保して初めて期し得られるものと考えられますので、自動車の使用効率の向上もおのずからこの秩序の範囲内で図らなければならないものと考えます。本法の第一條に、この法律の目的として輸送の秩序の確立を第一に掲げておりますのもこの趣旨でございます。第七章の規定は、只今申し述べました趣旨からいたしまして、即ち第五十二條に、自家用車は対價を得てこれを運送の用に供してはならないと定めました。第二項に、主務大臣の許可がなければ対價を得てこれを貸し渡してはならないと規定いたしております。これは只今申上げました営業行爲の禁止でございます。又五十三條に主務大臣は自家用自動車の使用がこの法律の目的に照しまして適正でないと認められるときは、その使用を制限し又は禁止できるという規定を設けておりまするのも同じ趣旨でございます。本條におきまして命令の定める定員の乘用車を除きましたのは、小型乘用車等で、その公共性の著しく低いと認められるものにつきましての除外でございます。本章に規定いたしまするところは自家用車の営業行爲、その不適正な使用の規正でございまして、本來の意味の自家用車の適正な使用は産業経済の上から申しましても望ましいのでございまして、この点から申しまして、自家用車の健全な発達に対しましては今後もできるだけの力を拂つて参るべきものと考えております。
 次に、第八章の車輛について申上げます。車輛の檢査は從來警察で行なつて参つたのでありまするが、本法の施行によりまして新たに運輸省の所管となるのでございます。既に自動車に関しまして、車輛檢査以外の行政はすべて運輸省の所管でございまするので、今回この移管によりまして中央から地方に渡りまして窓口が一元化される等、一般の受ける利便は誠に大きいものがあると考えます。第五十四條は車輛檢査の規定でありまして、車輛檢査証、車輛番号等に関しましては從來と同樣でありまするが、第五十五條に車輛の整備の規定を設けまして、車輛の所有者又は使用者に整備の義務を負担させることにいたしました。現在車輛は老朽いたしておりまして、新車の供給の少い時、整備の輸送力の向上の要素でございまするから、この点に特に力を入れたいと考えておるのでございます。行政廳は尚車輛が使用に適しないと認めまするときは、必要な整備を命じ得ることといたしまして、それに從わない者に対しましては、車輛の使用を制限し若しくは禁止することができることといたしたのでございます。第五十六條の自動車の登録は現行自動車取締令の登録と同じ趣旨でございます。尚旅客軽車輛の檢査はその特殊性に基ずきまして、先程も申上げましたように、その檢査事務を市長村長に委任したいと考えております。
 次に、第九章の罰則でございまするが、從來は相当罰則の規定が抽象的でございましたが、刑罰法規はできるだけ具体的に條文に即して規定することが妥当であると認められまするので、かようにいたした次第でございます。同時に又最近の状況に鑑みまして金刑もこれを増額することにいたしました。
 最後に附則でございますが、この法律の適正な運用を図るためには、先ず道路運送委員会を設置いたしました上で、これに諮つて必要な政令、命令を定めて行くことになりまするので、第一條では施行の期日は各規定毎に定めることといたしました。道路運送委員会に関する規定を一番先に施行したいと考えております。第三條は自動車交通事業法又はこれに基ずく命令に基ずいてした処分は、この法律中にこれに相当する規定がある場合には、命令の定めるところによりまして、この法律に基ずいてこれをしたものとみなすことにいたしておりますから、現在の自動車運輸事業はそれぞれ命令の定める通り新らしい種類の業者として引続き営業が認められるのでございます。又軽車輛運送事業者は施行後三ケ月以内に届け出をしますればよいのでございます。尚第四條には、自動車運送事業組合及び同聯合会を解散することといたしております。尚その他必要な経過規定を設けております。
 以上申上げましたように、この法律案では現行法に欠けておりまする重要な規定を設けまして、又新らしい制度もこれを盛り込んでおります。道路運送に関する綜合法規として道路運送の健全な発達を企図いたしておる次第であります。
#8
○理事(小野哲君) 皆さんにお諮りいたしますが、只今政府委員から内容について詳細な説明がございましたが、委員の皆樣におかれて、この法律案を審議いたしますについての各種の資料の御要求があるのではないかと思うのでありますが、若しこの際御要求がありますならば、お申出を願いたいと思います。尚後日においても差支ないと存じまするが、お申出のある方は、本日お願いできれば好都合かと思います。
#9
○内村清次君 内務省解体に伴いまして、從來内務省の所管事項でありましたところの道路運送の諸機構が運輸省に移管されまして、陸上輸送の一元化がなされましたことについては、本員も賛同するところでありまするが、本道路運送法の成立に伴いまして、陸上運送の万全を期することができるかどうかという点、それから未だ多少関係の所管と併立してところの法規があるために、その機能が運用の円滑を欠くというようなことがありはしないかどうかという、この間の事情を詳しく承わりたいと存じます。
 それから次に、現在自動車行政につきましては、内務省所管を引継がれて実施されておられますが、現場行政の面において、その機能及び実際運営をするところの人員の面において非常に僅少な点からして、未だその機能が十分に発揮されておらないというような実情を認めるのでありまするが、これに対しまして当局の責任者におきましても、苦心の存するところは万々承知はいたしておりまするが、本案が通過せなければ、その面の即ち改善ができないのであるかどうか、この点につきましても承わりたいと思います。
#10
○政府委員(郷野基秀君) 從來附縣で行なつておりました自動車の行政事務、これにつきましては、今年の三月に先ず臨時物資需給調整法に基すきまして資材の配給割当事務を実施いたしまするために、各府縣ごとに鉄道局の下級官廳といたしまして自動車事務所の設置を見ることに相成りました。ところがこの資材の割当配給事務は一面から申しまして、輸送の仕事と不可分の関係にございます。從いまして輸送行政も同時に資材割当配給の事務と一緒に自動車事務所において担当することができたならば、この地方におきまする行政の二元化して参りまする点も是正できるのでありして、尚又この自動車事務所で併わせて行政を担当いたしますることは、從來府縣の行政区域が比較的狭い関係上からいたしまして、交通経済の実情に合わないような点もございましたので、こういう点も同時に修正できる、尚大運送との結び付きにおきましても、從來以上にこの関係を見て行政ができるという点を考えまして、その当時は内務省と打合せをいたしまして、これを今年の五月十五日を目標にいたしまして、運送行政も行政事務所で担当することにいたしまして、爾來運送行政の面におきましても、府縣における從來警察で行なつておりました行政事務を、自動車事務所に引継ぎを受けることにいたしたのでございます。
 中央の関係におきましては、自動車交通事業法の実施以來、地方行政の面において、地方長官を運輸大臣が下級官廳として行政を執行さして参つておつたのでございますが、そういう事情で鉄道局自動車事務所の筋におきまして、地方の行政を実施することができるように相成りましたので、やはりその際内務省その他関係の方面といろいろ打合せをいたしまして、從來警察法規といたしまして、自動車取締令というのがございました。そのうちから自動車の車輛の整備檢査並びに車輛の登録に関するものを、新らしく制定しようといたしまする道路運送法案に取入れまして、これを運輸省の所管にするということに話合が付きまして、その方針でこの道路運送法案を立案いたしたのでございます。尚内務省から別に内務省の関係といたしまして、國会に提案になつておりまする道路交通取締法案におきまして、從來自動車取締令に含まれておりました車輛の檢査、その他こちらに移されました関係の事項は削られております。從いまして今後地方におきましては行政事務といたしましては、運輸省の系統で一元的に担当いたして参ることになるのでございまするが、地方の行政との結び付きにつきましては十分に考慮をしなければならないというふうに考えまして、自動車事務所が輸送行政を担当して行く面におきましては、常に地方の府縣の方面と十分に連絡を取りまして、その間十分の協力のできるような運営に心掛けております。
 尚又現在地方自治法の百五十六條の三項によりまして、都道府縣知事は必要のありまする場合は、所管内の行政事務につきまして関係の行政機関の長を指揮監督ができるという規定もございまするので、必要のありまする場合には都道府縣知事の指揮を自動車事務所長に受けさせる考えでおります。
 尚先程申上げました道路運送委員会の委員の選出につきましても、都道府縣の知事の意向は十分にこの面におきまして反映させられるような構成で進めたいと考えております。こういう点におきまして地方行政との結び付きにつきましては、今後におきましても十分に留意をして参りたいと考えております。尚警察はこの輸送行政を移管いたしました結果といたしまして、取締りの見地からこの法律案の実施につきましては、自動車その他道路運送につきましては、新らしい道路交通取締法によりまして担当をいたして参ることになることと考えております。
 それから自動車事務所の定員予算の問題でございまするが、只今御注意頂きましたように、自動車事務所の予算定員の面につきましては、時節柄非常に仕事は多いのでございまするが、又予算の運用につきましても、又その配分につきましても、非常に窮屈な事情のありますることは、誠に止むを得ないところでございます。私共といたしましては、この関係の行政事務を担当いたして参りまする上におきまして、必要な定員予算の確保につきましては、関係の官廳と十分連絡を取りまして、これに努力をいたしております。併しながら自動車事務所の定員予算につきましては、大体一般会計の部分と特別会計の分と二つに分れておるのでありますが、臨時物資需給調整法に基ずきましての資材の割当配給事務は、これは臨時物資需給調整費と申しますか、予算の科目で一般会計といたしまして、多少にもこういう関係の仕事がございまするので、これを一纒めにいたしまして、経済安定本部で運用を図つて行くという方針になつておりまするので、自動車事務所におきましても、この部分は一般会計でございます。從つて一般会計の予算の建前によりまして、私共それぞれ必要な定員予算の確保に努力いたしております。最近御承知の通り、特にガソリンの割当事務が非常に複雜になつて参りまして、その関係からいたしまして、定員も余計要るような実情に相成りましたので、更に定員増加につきましても具体的交渉を進めております。
 次に一般の輸送関係の統制事務でございまするが、これは鉄道事業特別会計で負担することになつております。この道路運送法の実施に対しまして、今年の予算にもこれを予想いたしまして、一部の予算並びに定員が見込んであつたのでございまするが、殊に道路運送の具体的な実施に伴いまして、この関係の予算も必要の限度におきまして考慮をして貰うように只今考えております。
#11
○小林勝馬君 この法案並びに只今の御説明によりまして、自動車の檢査その他を全部自動車事務所に今度移管されるように思いますが、取締りは道路交通取締法を以ちまして、一般警察行政になり、檢査その他は自動車事務所、こういうふうになつて、いろいろ支障その他が考えられると思いますが、その点の当局としての御意見を承りたいと思います。
#12
○政府委員(郷野基秀君) この問題につきましては、警察は保安警察の使命からいたしまして、交通取締の見地から、交通の保安、安全というような点につきまして、主力を注いで、その見地から取締をせられることに相成ります。從いまして道路運送に使用いたしまするにつきまして、必要な交通危險の防止という見地から整備せられた車を使つて行かなければならないという面におきまして、若しもこの道路運送法並びにこれに基ずきまして出されておりまする命令の規定に違反いたしまして、十分な整備がしてないというような場合におきましては、警察におきましてもこれば取締りに当ることと存じます。併しながら私共は又道路運送法並びにこれに基ずく法規によりまして、行政秩序の維持という見地から、事前に、道路に出まして危險を生ずるような車のございませんように、整備につきまして指導監督をして参りたいと考えております。從いまして道路交通の取締り、特に道路上における危險防止その他交通の安全を図るという見地から、警察におきまして道路交通取締り法、又道路運送法によりまする法規につきましても、これと関聯する面につきましては取締りを実施して参ることと存じまするが、私共の行政を担当して行きまする上におきまして、この点におきましては、十分に警察側とも内務省側とも起案の際におきましても、打合せをいたしておりまするし、実際に交通取締りを実施して参りまする上におきましても、おのおの指導の立場は異つておりまするが、両両相俟ちまして道路運送の発達、又道路上の危險防止という点につきまして、效果を挙げて参るつもりでございます。
#13
○小林勝馬君 只今の御説明によりまして分りましたが、道路交通取締り法によりまして、運轉免許その他の免許は今後警察行政の方に入るのじやないかと思われますが、そうすると車体檢査その他の場合と別個に二重にその設備をして今後やらなくちやならないと思いますが、從来は警察行政一本でやつていたため、あらゆる点で両々相俟つてやつて行けたのぢやないかと思うのでありますが、そういう点はいかがでありますか。
#14
○政府委員(郷野基秀君) 車輛の整備、又使用の許可につきましては、結局これは登録いたしまして、車輛の檢査証を交付するということになりまするが、この関係におきましては道路運送法の系統におきまして、一元的にこれを担当して参ります。ただ只今お話のように運轉免許の関係につきましては、これは或いは廣い意味におきまして、道路運送法の関係に取入れて行つていいのぢやないかという議論もありうると思いまするが、車輛が道路運送の面におきまして、輸送力を構成いたしまする要素として、頗る重要な事項でございまするのに対しまして、この運轉免許の関係はむしろ対人的な問題でありまして、交通取締りの対象として考えて來ていいのぢやないかというふうに考えましたので、道路交通取締り法の方に運轉免許の規定を入れることにいたした次第でございます。
#15
○中村正雄君 現在各府縣に自動車事務所がありまして、それと地方鉄道局との権限に曖昧な点があるために、相当業者も困つておる点があると思いますが、本法が施行されるとすると、相当廣汎な権能があるわけでございますが、これとの関係で自動車事務所と地方鉄道局との権限の按配なり、或いは機構自体を何かお変えになるお考えがありますか。もう一つ本法にありまする委員会なんですが、八條ですか、道路運送委員会、これに関する関係は末尾に政令で決めると、こうありますが、これに対する何か構想でもおありでしたら御説明願いたいと思います。
#16
○政府委員(郷野基秀君) 自動事務所の性格でございまするが、これは只今運輸省官制の十七條によりまして、鉄道局の事務を分掌する機構ということになつております。從いまして鉄道局長の担当いたしまする職務權限につきまして、その一部を委任に基ずきまして、自動車事務所長が担当して参るということになつておるまするので、只今御指摘のように權限の問題について十分はつきりしないというような問題が、或いは起り得るのではないかと考えておりまするが、現状におきましては取敢えず自動車交通事業法に基ずきまする省令の規定を改正いたしまして、八月から自動車事務所の担当いたしまする輸送行政についての權限は大体從來府縣で府縣知事が実施しておりまして權限をその儘こちらに移行いたしまして、鉄道局としてはその全体の綜合調整を図り、又必要な指令指示をする。こういう建前でやつております。尚本法の実施に伴いまして、自動車事務所長の權限の問題が同樣に起つて参りまするが、差当り現在の官制のままで道路運送法の実施に入るといたしますれば、やはり現在の運輸省官制の規定に基ずきまして、鉄道局の下級官廳としまして、この事務を分掌するという建前は変らないわけでありまするが、できるだけ地方行政との結び付きも考えまして、鉄道局の下級官廳として自動車事務所がありまする以上、鉄道局との連絡は十分に取れると存じまするので、地方廳との間の事務の連絡、又迅速な事務の処理ということを建前といたしまして、自動車事務所長に引繼ぎまして、相当な権限は鉄道局長の持つておりまするものについて、事実上これに担当させるという行き方で参りたいと存じております。尚今後の道路運送法施行につきましての全般的な行政機構の問題は、私共といたしましては今後いろいろ研究をしなければならない問題であるとは存じておりまするが、差当り現在の地方におきましては、鉄道局、自動車事務所、こういう筋によりまして、今申上げましたように、一般会計と特別会計の両方の負担で自動車事務所を運営して参らなければならないと存じておりまするが、この問題につきましては、中央官廳の機構などが審議せられますに当りまして、地方の問題も更に檢討を加えまして、処理して参らなければならない問題があると考えております。
 それから道路運送委員会につきましては、先程申上げましたように、委員は都道府縣知事の推薦によりまして、運輸大臣の申請に基ずいて総理大臣が任命するということになつておりますが、この委員会におきまして取扱われまする問題が頗る重要な問題でございまして、今後の道路運送行政についての重要なる行政方針その他処分事項につきましては、殆んどこの委員会の意見で左右せられるというようなことになりまするので、この委員の任命につきまましては各都道府縣知事におかれまして、最も適任者を推薦して頂きたい、かように考えておりまするが、大体この委員会につきましては刑余の人でありまするとか、破産者でありまするとかいうような欠格事項に当らない人につきまして御推薦を頂き、尚民間の意見を聽きたい、こういう趣旨からいたしまして、官吏や吏員は除くことにお願いしたらどうかと考えております。それから委員の任期は、大体五年くらいに規定をさして頂いたらどうかと考えております。但し第一回に就任せられまする委員につきましては、その一時に交代せられることを防ぎまする意味におきまして、その半数程度の方につきましては、任期を五年以内に短縮いたしまして、半数ずつ交代のできるようなことを考えたらいいのではないかと存じます。尚委員会におきまして委員がいろいろ職務を執行される上におきまして必要な旅費その他の実費はこの政令によりまして支給をするような規定も当然設けなければならないものと考えますそれから尚この委員会におきまして諮問を受けまする事項でございまするが、これはこの法律に掲げてありまする各項につきまして、重要なものということに相成つておりまするが、実際の運用に当りましては、政治的に見まして、又経済的に見まして重大な意義を持つておりまするけれども、必ずかけるということは当然でございまするが、尚できるだけ重要な事項という解釈は廣くして参りますることが当然ではないか、かように私共といたしましては考えております。そうしてこの委員会におきましてはいろいろな関係者に対しまして必要な報告、情報又は資料を求める権限もございまするし、尚必要がありまするときは公務所、道路運送事業者若しくはその組織する團体又は学識経驗ある者に必要な調査を嘱託するというような規定もございまするし、廣く委員会獨自の立場から資料を調達し、その上に公正な意見を立てることができるように、この法律の規定はできております。尚道路運送委員会は、事件関係人又は参考人に対し出頭を求めその意見又は報告を、第三項の規定による職務を行いまする場合にその報告を徴しなければならないことになつておりまするが、必要に應じまして公廳会も開くということになるかと考えております。それから尚申し殘しましたが、道路運送委員会におきましては、この諮問事項に答えまする外に、関係行政廳に建議をする権限も認められておりまするので、この面におきまして積極的な意見の具申ができ、從いまして積極的にいろいろと活動をすることもできるのじやないかと考えております。
#17
○委員長(板谷順助君) いかがですか、外に御質問は……
#18
○村上義一君 ちよつと只今配布を受けました、この資料の表についてお尋ねいたしたいのですが、六ページの表には、公共團体経営バス事業の概況という題になつておりますが、これは公共團体の経営しておるバス事業の輸送人員が約十億……九億八千万という意味なんでございましようか、ここに合計と全國と書いてあるのですが、この合計というのが公共團体であつて、全國というのは、本当にひとり公共團体の経営バス事業のみならず、すべての民間会社の分も含んでのことじやないでしようか。
#19
○政府委員(郷野基秀君) お話の通りこの全國の欄にありまする九億八千二百八十六万二千余人と申しまするのは、民営を含めました全國バス業者の輸送人員でございます。
#20
○村上義一君 そうしますとこの題の公共團体経営という文字は削つておいた方がよろしうございますね。
#21
○政府委員(郷野基秀君) これは実は二十九條の規定もございまするので、その御参考にもと存じまして、公営の事業の状態を主にいたしまして、この表に掲げまして、そうして全國の民営業者の輸送いたしまするものも合せまして、対比をして頂こうという趣旨でございます。
#22
○村上義一君 尚もう一つ伺いたいのですが、三表、四表のトラックの輸送実績の表でありますが、これは小運送業者の使用しておりまするトラックも含んでおるものと考えるのでありますが、尚その物資は、ここに掲げてありますのは特殊な重要物資だけのように考えられるのでありますが、その他の物資は大体どれくらい輸送しておるという御推定でありますか、推定でも結構でありますが、只今でなくても結構です。この次までで結構ですが聽かして頂きたい。
#23
○政府委員(郷野基秀君) 小運送業者の取扱いまする数字もこの中に入つてあると思いまするが、その点よく確めまして御返事申上げます。尚ここに挙げてありまする数字の中で拔けておりまするのは、いわゆる自家用でございまして、ここは営業用だけを重要物資につきましては掲げてありまするので、この外に自家用によつて輸送せられるものを加えますると、二十一年度の輸送の実績は一億五、六千万トンくらいに達する見込でございます。
#24
○村上義一君 営業用のものは三万三千輛余りでありまして、自家用は四万を超過しておる。勿論自家用車の効率は非常に低いものと推定せられるのであります。今大体一億五、六千万トンというお話でありますが、この営業用のトラックの運ぶ……勿論ここに「其他」という欄が最後の欄にありますが、これは全部を意味しておるんですか。尚その点ちよつと伺いたい。各品種を総括しておりますか。
#25
○政府委員(郷野基秀君) 「其他」の欄におきましては、この欄に上つておりません輸送物資を全部包含いたしております。それから只今お話の自家用の自動車が営業用の自動車の数を超過いたしておりまする状態は、終戰後特に顯著になつて参りました最近の一つの傾向でございます。
#26
○委員長(板谷順助君) 他に御質疑はありませんか。
#27
○小野哲君 只今村上さんから資料の内容についての御質問があつたのでございますが、この資料の外に法律案審議の必要から現行の道路運送に関する中央地方の行政組織を一覽表にでもされましたものをお示し願いたい。それからこの法律案の各章に政令に委任をされておる條文があるのでありますが、政令並びに命令案の要綱が準備されておりましたら、それをお示しが願いたい。尚又先程郷野政府委員からの御説明によりますと、この法律案はアメリカの道路運送に関する法規を参考にされたところがあるように見受けまするので、どういう点を御参考にお採りになりましたか、アメリカの現行法律の内容の概要を若し準備がございますればお示しを願いたいと思います。尚質問の総括的な問題も相当今後あるんではないかと思うのでありますが、委員長いかがでございましようか、尚お続けになりますか。
#28
○委員長(板谷順助君) 本日は初めて上程されて政府側から説明があつたのでありますが、又引続いて質疑應答をやります。
#29
○村上義一君 只今小野委員からこの道路運送法案そのものについての御準備を願いたい事項を御注文になりました。大体私の希望しておるものも盡されておるのですが、ただ一つ政府としては將來日本の道路運送についてのあり方はどうあるべきであるかという意見を前提としてこの法案をお作りになつておるのじやないかと思うのでありますが、從いまして將來日本の自動車事業のあり方、將來の計画と申しますか、これを一つこの次に大要で結構でありますがお示し願いたいと思います。
#30
○委員長(板谷順助君) それでは尚この法案につきましては引続き質疑を行うことにいたします。そこで自動車業の民営か或いは省営かという根本問題について、只今大臣を呼んでありますが、大臣は衆議院の委員会で今答弁しておるのであります。その間暫くお待ちを願つて、小林君が交通委員として先般水害地を視察されたのでありますが、大体でよろしうございますから、小林君から御説明願いたいと思います。
#31
○小林勝馬君 去る十八日院議を以ちまして、農林、運輸交通、厚生、國土計画の四委員会を斟酌して二十名の水害地派遣團を御編成せられたのでございます。丁度私民主党から選ばれまして茨城縣に参りました。十九日に出発いたしまして、二十二日の夜半帰つて参りました。本日の新聞に私共の行動につきましていろいろ皆樣方に御迷惑をかけておることは甚だ申訳なく存ずる次第でございますが、私共といたしましては一点のやましいところもないのでございまして、それはここにおきましては断言申上げることができるのでございます。只今までは水害地の調査その他調査と言えば、ただ挨拶をして來るようなもので、却つて先方に御迷惑をかけるようなことがあるから、今度は國会の方から行くわけで、新國会の立場も考え調査を十分にして貰いたいということは議長から申し渡された問題でございましたために、調査その他につきましても熱が入り過ぎた結果不評を買つたということも考えられるのでございます。私共参りました運輸交通に関しましては、一般的の運輸関係は当局の御発表の通りでございます。從來は水害その他災害が突発した場合は、我が國におきましても軍隊その他がございましたために、いざという場合にトラックも出せるし、軍隊も出せる、こういう結果何ら支障なく早急に手当ができたのでございますが、敗戰後の現在におきまして、例えばガソリンがない、自動車がない、こういうために施設の復旧も非常に遅れておる現状でございまして、例えば栗橋の上流の決壞個所に私共が参りましても、トラックが何台か、本当に何台か動いておるに過ぎなくつて、当局の方にお伺いしましたところ自動車自体を駆り集めても二十台そこそこ間に合せるのに一苦労する、それにガソリンが御承知の通りないためにあらゆる点で困つておるのだ、こういう点を是非國会といたしまして、今後こういう災害のための備蓄と申しますか、いろいろな手当、そういうことを是非やつて貰いたい。尚軍隊がない今日でございますから、警防團その他を掻き集めても結構だけれども、それに使う資材、これをふだんから用意して貰うように是非共國会にお願いしたい。こういうような現状でございました。
 その他、参りましていろいろ私共の運輸交通関係といたしましては、大した支障もなくやつておる現状でございます。以上御報告申上げます。
#32
○丹羽五郎君 今小林君のお話を承わりましたのですが、実は今日小林議員がここに御出席になつております。ところで私一應そのことをお尋ねしたい。かように考えておつたところが、今小林議員から一應の釈明はあつたのです。この新聞記事の問題は二、三日前某縣の知事は、議員の現場視察は平にお斷りをしたいというような極端な記事を出しているため、私共議員として非常に憤慨をしておつたのでありますが、図らずも今朝の新聞を見まして、その行動たるや議員にあるまじき行動を取つたということを羅列し、而もその中に我が交通委員の同僚たる小林議員の名前が掲げられてあつたのを見た折は、聊か私も淋しく感じたのであります。今小林議員の一應の説明によりますると、私は万々そういうようなことはなかろうと、かように考えておりますが、又小林議員の答弁によりますると、そういう事実のないことを深く自分は祈つている次第でありまして、若し不幸にして万一そういうような新聞の記事の事実のことが現われるならば、始めて生れた参議院の面目にかけても、私はこの問題を究明して見たい。かように考えております。今小林君の事前の釈明によりまして、一應私の意見はこれで切つておきたい。かように考えております。
#33
○委員長(板谷順助君) 速記を止めて下さい。
#34
○委員長(板谷順助君) それでは速記を始めて下さい。大臣がお見えになりましたから自動車の民営官営の問題について御質問があります。その根本方針は……小野君。
#35
○小野哲君 今回道路運送法案が立案されまして、その中には一般民営自動車に関する諸般の規定もありまするし、更に又国営自動車運送事業に関する規定も設けられておるのであります。先般來私共の手許には、お聞き及びと存じまするけれども、國営自動車の運営開始につきましての反対意見が各方面から、実は特に一地方におきましては熾烈な反対陳情まで行われておるというふうな現況でありまするし、又正式に本議院に対して請願若しくは陳情いたしておる向きもあるのであります。かような点は具体的の問題でございますので、一々ここで取上げますことはいかがと存じまするので差控えたいと思いまするが、問題はこの道路運送法案が我が國における道路運送事業に関する根本的な法規である。言い換えれば從來各種の法令によりまして規律されておりました道路運送事業が、今回のこの新らしい法律の制定によりましてその秩序が確保されて行く、こういうことに相成ります際に、政府当局におかれましては、我が國の自動車運送事業を將來いかなる形において助長発達させようとされておられるか、更にこれが運営の形式につきましては國営によるべきであるか、或いは又民営によるべきであるか。これらの問題につきましても今後自動車運送事業を助長発達をさせます上から言いましても、根本の問題になるのではないか、かように考えるのでございます。先般も本委員会の開会の席上におきましてこの問題が取上げられまして、委員から質問いたしたような次第でありまするが、本日は運輸大臣御出席の機会を得ましたので、大臣の御所見を伺えますれば大変好都合だと思うのでございます。以上今後における自動車運送事業の運営方針並びに運営形態に関しまする御所見をお伺いしたいと思います。
#36
○國務大臣(苫米地義三君) お答えいたします。從來國営自動車事業を行います方針といたしましては、鉄道を布設するという目的を持つておりながらできないという所へ、その鉄道の代りに運行するというような場合、或いは奥地の開拓のために普通の営業者では採算が取れないという場合に、國の力を以ちまして奥地の開拓のために布設をする。こういう場合とか、若しくは鉄道の補助輸送といたしまして國営自動車を動かすというふうになつておるわけでありまして、重要なる各地の輸送につきましては、大体民間の企業者に委しておつたわけでありまして、その点については現在でも変りがないのであります。併しながら戰時中車輛その他の不足が重なり合いまして、可なり民間の会社が輸送上不自由を地方民に與えておるということが多々ございます。それ故地方民はどうしてもこれを國の力で自動車を動かして欲しいという陳情が方々にございます。折角民営がやつておりまするから、若し出來ればその力を増強いたしまして、そうして地方民の満足を得られるような運行ができることを望むのでありますが、どうしてもその実現ができないという地方に対しては、國営自動車を廻して地方民のために便宜を與えてやりたいというような方針を採つて参つたのでございます。暫くの間やはりそういう方針で行かなければならないと思います。併し大きな考えまして、日本の交通運輸は鉄道と並行して大きな幹線道路の完備と伴いまして、自動車による輸送ということが考えられる時代があろうと思うのであります。その場合には又從來の國営自動車の施設目的とは多少変つた意味で、これを檢討し直す時期があつてもよいのではないかと私は考えておるような次第でありまして、今のところは從來のその形を取り、そうして現実に非常に不自由な所に対しては檢討を加えまして、そうして國営自動車を行なつて行く、こう考えておるわけであります。今度この法案が通りますれば、いわゆる道路運送委員会というものができます。その際には國営の自動車と雖も悉くこの委員会に掛けて審議をして行くつもりでございますから、これからは独断的にやることはないと思うのでありまして、その辺は円滑に行くと、こう考えております。
#37
○小野哲君 只今大臣から國営自動車の運営方針につきましての御答弁がございましたが、根本の問題といたしましては、自動車運送事業が鉄道等の交通機関と相俟つてその使命を十分に果すように政府が指導し、又援助して参るということが必要であろうと思うのでございます。特に現在行われておりまする國営自動車路線の状況がどうかと申しますると、決して十分なサーヴイスを提供しておらない。これは運輸当局の方でも十分是認されるところではなかろうかと思うのでございます。從つて仮に國営自動車の運営を行うという考え方を一應是認するといたしましても、既存の國営自動車路線の整備充実に國としては、政府としては十分力を致しまして、國営自動車を運営するその利用價値を十分に発揮するという方面に努力をすべきでありまして、すでに民営の自動車営業者がある所へ、仮に沿道民の陳情があるからと言つて、直ちに國営自動車の計画を実施するということは、余程愼重に考えなければならない点ではないかと思うのでございます。言い換えれば例えて申しますと、その筋の方面から拂下げた車輛の配分等においても、これらの点を十分に勘案されまして、民営自動車を経営しておる区間の弱い面に車輛その他の充実を速急に図つて行くということによつて、いわゆるこの法律案の望んでおらるる公共の福祉の増進のために行政官廳として御盡力になるということが本來の行き方ではないか、かように思うのであります。本委員会といたしましても請願陳情の中で、國営自動車に関する案件も数々あるのでありますが、政府当局の根本の考え方をも伺いまして、適当に処理いたすようにして参りたいというので、小委員会の御設置を願いまして、目下進行いたしておるような次第であります。さような意味合において國営自動車或いは民営自動車、言い換れば自動車運送事業の根本的な考え方、政府の方針というものが打ち立てられることによりまして、一面國有鉄道の再建計画とも睨み合せて、國営自動車を動員いたしまして、こういう点について眞劍な御檢討を煩わしたいと私は思うのであります。言い換れば單に國営がよいか、民営がよいかという一つの論議ばかりでなく、同時に國営自動車を存置することが國有鉄道との関連において今後必要であるかどうか、又そうしなければならないかどうかというところまで掘り下げた御檢討を煩わさなければならないかと思うのであります。言い換れば更に運輸省内部の機構から申しますと、この國営自動車の問題はひとり陸運監理局の中の問題でなくて、鉄道総局自體が眞面目にこれを取上げなければならない問題である。從つて運輸大臣というお立場におかれましては、綜合的な観点からお取上げを願わなければならないのではないか、私はかように考える者でございます。さような意味合におきまして、從來から國営自動車を運行いたします所はこういう所にやるのだということは、大体運輸当局としこの御方針として決つておるようでありますが、今後の事態並びに將來は必ずしもそれによつては処理できないものがある。運輸大臣もその点についてお触れになつておりますので、私も同感でありますが、從來のような考え方ではいけないのではないか、今日この道路運送法案を御提案になるこの機会に、これに伴う政策の面におきましても、新たなる考え方をお持ちになることが必要じやないか、かように考える次第であります。
#38
○國務大臣(苫米地義三君) 小野委員のお話至極賛成であります。新時代における陸運の交通輸送という面からいたしますれば、從來のような鉄道偏重だけでは足りないと思うのです。どうしても將來は道路の整備と共に、その上を走らせる自動車交通ということに相当大きな重点が置かれまして、その自動車輸送と鉄道輸送とは恐らく姉妹の関係を持つて発達して行かなければならないのじやないかと思うのでありまして、その観点からは從來の國営自動車の運行方針とは変つて來てもよいのじやないか、それには今丁度時期が到達しておるであろうという御意見に対しては同感であります。ただ現在各地方から陳情が頻りに参つておりますところの省営自動車の運行を希望するのは、要するに先程申上げました私設会社では非常に不便を感じておるという点が事実あるのです。それでありますから徒らに民間の事業を圧迫するという事柄でなしに、その民間事業が手を盡しましても尚足りないという面に対しましては、國営自動車を動かすということも考えてやらなければならんと思うのであります。殊に各地方とも一路線一社ということになつておりますので、その弊害の面も現われておる点がありまして、これは監督を嚴重にやればよいのだと言つても、事実そういう不便を民間に與えておるところがありますから、これは実際に即して或る地方には漸次國営自動車を動かすということも考えなければならない、こう思うのでありまして、これは事実問題に即してやることを御了承願います。
#39
○丹羽五郎君 今囘の水害の区域は非常に廣範囲に渡つておりますが、その中で省営自動車が潰滅したというようなことはないですか、又民営自動車の会社は何社ぐらいが再び起つ能わざる被害を蒙つたかということを一應お尋ねしたい。
#40
○内村清次君 只今自動車行政の根本問題について小野委員から大臣の方針を聽かれたわけでありますが、小野委員の御意見の中には、先ず民営論及び國営論の中にありまして大体御意見の強い面においては民営助長論の方に今後進むべきであるというような御意見を拜承したわけであります。これに対して大臣は直ちにその方針は賛成であるというような御答弁がありましたが、私はこの根本問題については現下の資材の非常に遍迫した状態におきまして、取扱うべき重要物資は山積しておる。かような状態において直ちに民営そのものを助長する、今後國策の面から送るべきところの品物をぜひ送らなければならないが、それが採算が取れないという関係の向きに対して、そうして國営みずからこれをやつて、この輸送をするというような点につきましての一部國営を今後勘案して施行して行くというような方針につきましては、私賛成する者でありますが、この問題はやはりお互がよくこの議題を議題として愼重審議しなくちやならない問題であるし、又先程運輸大臣が言われましたように、この行政面については委員会を組織して、委員の即ち公正なる而も愼重なる審議の下において、この行政の企画を審議するというような條件もありましたから、私はこれで大体運営が決定したならばよいのじやないか、かように考える者でありますが、直ちにこの民営助長論について御賛成をされたということにつきましては、將來残るべき問題であるから、その点についてはお考え直しの程を切に希望したい、こう考える次第であります。
#41
○國務大臣(苫米地義三君) 今小野委員のお話は民営助長論とは私聞かないのです。現在やつておるものを特に圧迫してまでやる必要はないじやないかということでありまして、無論今與えております路線及びその運送面に對しては、できるだけ政府も助成しなきやならん。なりませんが、それでも尚且ついかないところ、届かないところがあります。そういうところに対しましては省営をやることも辞しない、こういうことで、必ずしも民営万能で言つているわけじやございません。
 それから特に私の賛成いたしましたのは、この機会に自動車運送というものをもつと大きく取上げたらと思うのです。こういうことについて正に同感を表する次第でありまして、これは多少私の申上げ方が誤解を得たかも知れませんが、そういう意味ですからどうぞ御了承を願います。
#42
○委員長(板谷順助君) ちよつとこの際私からお尋ねしたいのですが、只今大臣の御答弁は大体において分りましたが、その実事務当局が地方で民営でやつておつて、相当の利益が上がるものを狙つておる傾向があるのです。であるからそういう点はつまり止めて貰いたい。それから又鉄道との連絡上止むを得んとか、或いは又奥地開発の上において止むを得んということであるならば、これは別問題でありまするけれども、若し民営がいかないならば、いわゆる監督権があるから、或いはその車体を殖やせとか、或いはできるだけ改良したらいいじやないかということは、あなたの方に監督権を持つている。ところが一般地方民が國営ならばサーヴィスもいいだろう、車体も沢山廻すだろう、賃金も廉いだろうというような狙いなんです。ところが現在御承知の通り鉄道はもう赤字々々が続いているようなわけで、恐らくは省営自動車のこの收支も余程大きな赤字になつていると私は思う。だからこういう点は余程御考慮になつて、別にどうも民営万能というわけじやないけれども、民営はできるだけやつぱり助長発達させるという方針は持つてお進みになつた方がいいじやないか、こう私は考えます。
#43
○國務大臣(苫米地義三君) 私の申上げたのは民営万能論じやない、こういうことを申上げたので、できるだけ國民の便宜になるように政府も助成してやるということは、これはもう当然でありますが、今後はすべて運送委員会というものができまして、それとも協議いたしますから、從來のような弊害が取除けられるのじやないか、こう思いますです。
#44
○政府委員(郷野基秀君) 私からお答え申上げます。省営自動車の路線につきましては、今次の水害によりまして土砂崩壞などで道路が一部不通になつた所がございます。併しながら幸いにいたしまして省営自動車で車庫、車輛などにつきまして特に甚大な被害を蒙つた所はございません。尚道路の復旧に伴いまして、省営自動車はその路線におきまして、大体におきまして運行を開始しつつあります。尚省営自動車につきましては、現在鉄道が不通になつております所もございまするから、迂回輸送などの方法によりまして、連絡の取れまするところは鉄道の連絡輸送をいたしておりまするし、又これからもできるだけそういう状態になつて参りましたならば、連絡輸送に力を入れて参りたいと考えております。尚應急復旧資材の輸送などにつきましても、鉄道の復旧材料などの輸送に只今働いております。
 又民間の自動車運送事業につきましても、自動車の損害は多少ございました。併しながら今度の水害が、大体におきまして徐々に浸水して参りました所が多かつたのでございまして、特に東京附近におきましては、そういう状態でございましたので、動ける車は大抵避難いたしております。從いまして車庫に在りまして浸水その他被害を受けましたものは、現状におきましては一應実動車に入つていないような車が多かつたのでございます。從いましてこれらの車の修繕につきましても、今後尚いろいろと努力しなければならない問題は残つておりまするが、業者の経営から考えましても、再起不能という程度の大きな損害は先ずなかつたのではないかと、かように考えております。尚車の今後の修理計画などにつきましては、部品の調達又修理班の編成などにつきまして、只今具体的に計画を進めております。
#45
○委員長(板谷順助君) 尚この際大臣が幸い御出席になつておるので、請願、陳情の中に、戰時中に強制買收されたる私設鉄道の民営還元の問題が相当にありますので、小委員長の村上君から一つこの点について大臣の所感をお質しを願いたいと思います。
#46
○村上義一君 只今御指名になりましたので、一應折角大臣に御出席願つておりますので、お聽きいたしたいのであります。御承知の通り昭和十八年、十九年二ケ年に亘りました二十二の路線を政府は強制買收をせられたのであります。勿論從來とても地方鉄道の買收という問題は、殆んで年々に行われておつたのでありますけれども、十八年、十九年の問題は総動員法の精神に基ずいて実施せられた。從つて電報一本で買收せられたというような実情であります。而もこれに対しまして、その計算方法は、地方鉄道法に示されておる計算方法であります。從つてその計算の趣旨から申しまして、五分利公債を地方鉄道法は予定しておるのであります。然るに三分半利の公債を交付せられたのみならず、これがすべて登録公債ということになつて、被買收会社はただ日本銀行にその交付せられた公債を預託しまして、ただ一片の預り証を事実持つておるというに過ぎないのであります。更に又これらの会社は解散を許さない。存続すべし、要するに登録公債の保有会社というようなふうになつたのであります。勿論その後におきまして、会社の解散もよろしい。又二週間程前だと記憶しますが、この登録公債も登録を解消するということに運輸省から大藏省へ御交渉の上決定いたしたことは承知いたしておるのであります。とにかくそういつた最初の会社を解散すべからず、そうして登録公債を交付してやるということは、要するに戰時中に戰力増強、戰爭をせんがために強制買收を一時するが、他日還元をするというような当時の心構えで会社の存続を命ぜられたのじやないかとも思うのであります。要するにこれらの会社は、経済的にも非常に窮命を受けておつたことは、又おることは事実であります。でこれらの会社から、全部ではありませんが、確か二十二路線の中で十会社であると記憶しますが、本國会に対しましてそれらの路線の還元を請願して参つておるのであります。勿論この事項につきましては、昨年以來或いは当時の運輸大臣、或いは大藏大臣、或いは又議会に対して、それぞれ陳情請願が出た事項であります。改めて新憲法下の第一回國会に請願となつて現われて來ておるのであります。これは非常に考慮を要する問題であることは申上げるまでもないのであります。勿論戰時中に國家が総動員法に基ずいて種々の緊急処置を取つた、これをすべて元通りに還元することは所詮不可能でありまするし、又かくすることについては勿論意見のあるところと思います。併しこれらの鉄道の中ですでに当時の強制買收の目的が解消してしまつておるというものについては、相当國として考慮せねばならんのじやないかということを痛感する次第であります。又反面におきまして、日本再建のために平和日本の今後の國家活動、或いは民生の安定という見地から、いわゆる平和後の日本として新たに勘案して見て、尚國有たることが必要である。例えば國土計画上において、或いは都市計画上において、その他再生日本のために國有を取つて行くということが必要であるという新たなる目的がここに生じておる路線については、固より國有を持続する必要があろうと思うのであります。又被買收会社にしてすでに解散の許可を得て解散をしてしまつたというような消滅会社に属しておつて路線で、今日還元の希望がないという路線については、固より問題外であると思うのであります。現在尚解散せずに会社がただ單に公債保有の会社として存続しており、而も戰時中に強制買收せられた目的が解消してしまつて、新生日本として新たに考慮して見ても、國有を持続する理由が明確でない。而も更に民有に今移した場合に、その從業員の立場から申しましても、特にこれらの鉄道を利用する公衆の立場から見ましても好都合である、利便である。更に又民有に移した場合、相当のバランスが採つて行けるというような路線については、今後も國有を持続するという理由はないような考えられるのでありまして、近く小委員会においてこれらの請願を審議して意見を定めなければならんことに相成つておるのでありまして、今日大臣の御出席の機会におきまして、運輸大臣の本件についての御意見を伺うことができますれば誠に結構だと思う。
#47
○國務大臣(苫米地義三君) お尋ねの点につきましては非常に民間の方に対しても、又省自体としても、重大な関係を持つておる次第でございまして、戰時中に買收された会社がおのおの還元したいという希望陳情が参つております。そこで省内でも愼重にこれを檢討いたしておりますが、やはり國鉄と綜合的に運営することが必要だという路線もあるようで、それから比較的その関連が少くて切り離しても大した不自由はないという路線もあるようであります。併しこれを還元いたしまするならば、戰時中に買い上げたその價格と今度拂い下げるべきその價格とをいかに調整したらいいかというような点も相当重大な問題でありまするし、旁旁これは適当の機会に鉄道会議にでも意見を徴して見て、そうして省内の研究と相俟つて篤と檢討して見たい、こう考えておりますので、今私の考えではまだ結論が実は出ておりませんわけであります。省有でなく、或いは民間の事業に移した方が能率も上り、或いは地方民のためにいいということが起るかも知れませんが、それらについてもまだしつかりした結論が出ておりませんので、いずれ機会を見てよく方々の意見も徴して見たい、こう考えております。
#48
○村上義一君 只今運輸大臣から御説明を伺つたのであります。鉄道会議などにおいても大いに檢討をせしめて、然る上に意見を定めたい。勿論重大な問題でありまして、愼重な態度を運輸大臣としてお取り下さることは誠に結構であります。併し一面におきましてこの問題はこの國会開会中に是非処理をせんければならん問題でもあります。更に本問をもし請願のごとく解決するとしますれば、たとい一路線であつても、これを解決するとすれば、その解決は立法事項に属すると思います。從つてこの請願の解決をしますについては、直ちに意見の方向によつては立法を要する次第でもあります。鉄道会議の議に付して、十分に御考察、愼重に願うということは結構でありますが、成るべく至急に御檢討を終えられて、御意見を決めておいて頂くことが必要だと思うのであります。この点重ねて希望を述べておく次第であります。
#49
○國務大臣(苫米地義三君) 承知いたしました。
#50
○小野哲君 ちよつと委員長に御相談申上げたいと思いますが、この道路運送法案は非常に重要な法案でございます。内容も廣汎に亘つておりますので、尚総括的な質疑を今後お継続願いたいと思います。
#51
○委員長(板谷順助君) 承知いたしました。それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五分散会
 出席者は左の通り
   委員長
           板谷 順助君
   理事
           丹羽 五郎君
          橋本萬右衞門君
           小野  哲君
   委員
           内村 清次君
           小泉 秀吉君
           中村 正雄君
           淺岡 信夫君
           大隅 憲二君
           水久保甚作君
           小林 勝馬君
           飯田精太郎君
           尾崎 行輝君
           新谷寅三郎君
           早川 愼一君
           村上 義一君
  國務大臣
   運 輸 大 臣 苫米地義三君
  政府委員
   運輸事務官
   (陸運監理管
   長)      郷野 基秀君
ソース: 国立国会図書館
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