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#1
第075回国会 文教委員会 第3号
昭和五十年二月二十七日(木曜日)
   午後五時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     山東 昭子君     斎藤 十朗君
     秋山 長造君     安永 英雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                久保  亘君
                加藤  進君
    委 員
                斎藤 十朗君
                志村 愛子君
                高橋 誉冨君
                藤井 丙午君
                最上  進君
                鈴木美枝子君
                宮之原貞光君
                内田 善利君
                矢原 秀男君
                小巻 敏雄君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部政務次官   山崎平八郎君
       文部大臣官房長  清水 成之君
       文部省初等中等
       教育局長     安嶋  彌君
       文部省大学局長  井内慶次郎君
       文部省社会教育
       局長       安養寺重夫君
       文部省体育局長  諸沢 正道君
       文部省管理局長  今村 武俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山東昭子君及び秋山長造君が委員を辞任され、その補欠として斎藤十朗君及び安永英雄君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(内藤誉三郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化及び学術に関する調査のため、明日二十八日の委員会に参考人として、福岡県教育委員会委員長田北一二三君、福岡県教育長森田實君、福岡県教職員組合執行委員長大穂勝清君及び福岡県教職員組合書記長白石健次郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(内藤誉三郎君) 教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○鈴木美枝子君 文部大臣の所信表明、その前後における新聞の発表を読ましていただきました。その新聞の発表にあります文明を見直す懇談会、そしてまた文明問題懇談会、その発表の記事は各紙に出ておりましたけれど、大別しまして懇談の問題あるいは受験の問題、新聞には公約と書いてありました。大臣がこれを大きな焦点とおとらえになって、歴史的な文部省行政の中でこのことを重要に考えていらっしゃるということを、私は所信表明でもこの新聞でも感じることができます。この点について私は質問したいと思います。時間をかけて大臣と話し合いをしたいのですけれども、私に与えられた時間四十分。それで、この中に書かれている内容の中で、「文明懇談会」の中では「対話と協調」、それから「受験体制の改善」、この二つのことを土台にしながら、また細かくは、科学技術の発達は生活を向上させるためだ、向上させる反面、核兵器や公害を生んだ、映像文化がどのように人間形成にかかわり合うか、過去の伝統から何を学ぶべきか、生活の質の向上とは事実上何を意味するのか、こういう細分化された中で問題提起をしていると私は思います。問題提起されたことと、現実に行われてきた教育の流れといいますか、骨子になっている問題を大臣はこの提起された中で改良し改革し、発展しようとしていらっしゃるんだということがよくわかります。私は文化の面について申し上げますと、一九六二年に池田・ケネディ会談の折、日米の教育、文化の促進の中で、文化の面ではロックフェラー、フォード、アジア財団法人等で日本の文化的な方法論というものが生まれてきていると思うんです。
 現実的に言えば、私たち芝居の俳優たちの中にも作用されまして新劇人の中に分裂を起こした一つの要素の中にも、アジア財団法人の出した金というものがあると思うのです。文部大臣は御存じと思います。その分裂の一つの例をはっきり言いますと、「文学座」と劇団「雲」の分裂、一九七〇年まで金が出ていた。現在は中止になりましたけれど、一九六二年以後に出た金、一年に二百万円、その経済によって賄ってきた。金が出なくなって分裂していったという事実がございまして、この事実は演劇に大きな影響を持ち、文化の面では大きな変化を持ったということがございます。そして、一カ年に二百万円出ている金は、一九七〇年沖繩返還と同時に中止されました。金が中止されると同時に方向が変わった。方向が変わったということは、やはり若い俳優さんたち、芸術家たちの方向が変わった、どういう方向に仕事をしてよいのかということの問題点がいっぱいございます。これは演劇における文化のありかたです。文化全体に対する大きな影響力をアジア財団法人は持ったと、私は思っております。
 文部大臣は、映像の問題も言っております。映像の問題を抜きにして語ることはできないほど世界は映画とか映像の問題をあらゆる面に有機的に使っております。たとえば中国のように、農民の生活を映像に映して、言葉や文章よりも端的にわかる、目で見ることができる、そのものを大いに活用している国もございます。日本のように映像はそのまま娯楽の位置づけをしておいて、そしてエロ映画や、ギャング映画のようなものを自然発生的につくらしておいて、そして、それ自体を娯楽の位置づけに持っていく、そして大衆の影響がどうあるかというところを考えないというような映像の方法論の中に位置づける。大臣が映像文化がどのように人間形成にかかわり合うかという問題を提起したことは、私はこれは重要なことだと、自分の専門の仕事を通しながらも思ったわけでございます。この提起した問題をどういうふうに活用していくかということが、いままでの文教政策の流れの中でここまで追い込まれた文化政策の中でどうするかということは非常に提起された問題の中では重要な要素を持っております。まず、その面についてお答え願いたいと思います。
#7
○国務大臣(永井道雄君) 一つは劇団「雲」と「文学座」の問題、それから映像文化のことを御指摘になりました。「雲」と「文学座」が分かれていった経緯というのは私もある程度は知ってはおりますけれども、しかし、いろいろ複雑な要素もからまっているように理解しております。そこで、その内容について、ここで私が知っていることをあえて立ち入って申し上げることはないと思うんでありますが、それ以上にやはりそういう演劇と言い、あるいは映像と言い、それは非常に国民の生活に、あるいは考え方に大きな影響を持っているということをやはり文部省としては十分に考えるべきだということで、文明懇談会の諸先生方にはこの問題について御討論を願って、その諸先生方から私を初め文部省が教えていただきたい、こういうふうに考えたわけです。そこでいろいろな考え方が出てくると思います。たとえば、現在NHKの最近の調査ですというと、一日平均三時間テレビを見ているということになります。そこで、日本人の寿命で計算をいたしますと、大体七年から八年、生涯にテレビを見ているということになるわけです。また、とりわけ幼少児の場合にはまだ幼稚園に行く前からテレビを見ますから、いろいろ性格形成に影響があると思います。そこで、そういうテレビというものの内容が悪質でございますならば、これは学校で幾らやっても実はテレビの内容によって相当左右される、そこで、テレビをどうしたらいいかというようなことも議論しなければならないんだと思います。さてそこで、文部省が具体的にどうするかということでございますが、私はこの種の問題について文部省としてやるべき考え方は次のようなことであるかと思います。つまり、いまのような文明懇談会で御議論を願う先生はこれは文部省の公務員ではなくて、国民を代表して、そして、そういう問題を長く考えてこられた方々であるわけです。そういう先生方からお考えを聞く。また、そういう先生方のお考えが国民に伝わる。国民の間からテレビについての考え方、あるいは演劇、観劇関係者を含めた方々の中から日本の将来の新劇というものがどうあるべきかということの議論が一層盛んになる。文部省が上から命令をいたしまして、演劇はこうなった方がいいでしょう、テレビはこうなった方がいいでしょうと言うのは、これは民主的社会でもないし国民に対する信頼を欠いていると思います。文部省としていたしますべきことは、いろいろそういう考えがある道筋というものを、そういう問題についての本当に長くお考えになった方たちに示していただいて、それによってわれわれも考えますし国民も考えるという、そういう形で国民自身の中からよい演劇を育て、またよいテレビ番組を育てていくという、そういうことができていくようにわれわれは働くべきものだと思います。そうでないと独裁的なことになってしまうわけです。しかしほかに文部省がやるべきことと言いますと、これは文化庁の中でいろいろ演劇の問題、そういう問題についても考えておりますが、なるべく本当に質的にすぐれていると思われるもの、そういうものをでき得る限り文化庁でお助けして、そして発展を図っていく。ただその場合にどういう質のものであるか、この場合にも文化庁の長官やあるいは文化庁に勤めている者がその質を決めるんではなくて、そこで文化界で長く御活動になった方々に集まっていただいて十分討論をしていく、で、そこで演劇にいたしましても、あるいは芸術祭の参加も、これ各面にわたっておりますが、そういうものについてもいろいろ考えていただく、そして一方でどんどん質のいい文化というものを広めていく、そういう形で国民の中から、国民の力によってよい演劇、よい映像文化をつくり上げていくように働くというのがわれわれ文部省におります者のすべきことであり、私はそういう方針で仕事を進めたいと考えております。
#8
○鈴木美枝子君 その趣旨はわかるのでございますけれど、いま申し上げたように、私は経済の問題の介入の仕方がどういうふうにして文化を破壊しようとしているかということを言いたかった。その一つの例としてアジア財団法人が新劇の中に出してきた劇団「雲」に出してきた年二百万の金が沖繩返還と同時に中止されたこと自体がこれは政治だと思うんです。けれど金が出なくなったときから分裂をまた起こしてくる、この金の作用における文化的な問題を私は文部大臣に申し上げたかったし、そのことが教育の問題の中で影響を持っているということを文部大臣はよく御存じだろうと思うからこそこういう所信表明をお出しになったんだと私は思っているんです。
 で、教育の問題。特に教育の予算の中での私学の問題なんでございますけど、私大助成金千七億円、私たち、専門の人間でない者が見たら大きいように思いますけど、これ自体は税金でございますから、私はその私大の経営がうまくいかなければ文部省が税金である予算をよけい出すのはあたりまえのことなんだ、こう思っております。だけど、大臣がこれを出したということにより、いままで出さなかったのをよけいに出したというところに政治的な配慮があるんでしょうけれど、実際に、私学の人たちが本当に学問というものをまさしくとらえることができない限り、幾ら金を出してみてもしようがないんだという思い方を持ちながら、このたびの私大助成金千七億円の金が、まだ私大の方へ回ってないんでしょうが、いままでは各大学に渡す金に対して、私が調べたところによりますと、いままでの大学のやってきた経過において渡すというふうになっております。それは本当でございますか。いままでの大学が、学生運動などを激しくやったところには金を押えていくとか、そういうようなことを大学自体から聞いているんです。そういうことは本当でございましょうか。
#9
○政府委員(今村武俊君) 過去五年間私立学校の経常費の補助金が出ておりますが、その補助要綱の中で条件がいろいろ書いてございます。その条件の一つに、紛争校等において私立大学で授業を行わなかった場合、その日数に応じて経常費補助金の金額を削減するということになっております。
#10
○鈴木美枝子君 それじゃやっぱりあることはあるんでございますね。文部大臣はその点についても多分お悩みになっていらっしゃるというふうに私は思うんでございます。その金を出すということによって押えていくというような形が、受益者負担という問題の定義を出したところにもうすでにあると思うのです。この助成金と同時に私大の値上げの問題がございます。もし根本的にそういうことがないとしたらいま値上げをするはずがないと思うんですね。助成金を出す。一千七億円の金と同時に私学の値上げ、これが同時に併行して行われているわけでございます。その同時に行わなきゃならないというところのもっと底にあるねらいというものがあるんじゃないか。一九六六年に早稲田を中心にするところの授業料値上げがございました。あのときのことを私は忘れることができないのです。あのときの総長大浜さんが、早稲田の月謝値上げ、授業料値上げを反対した学生が燃え上がったときに姿を消してしまったんですね。そのときたまたま私は沖繩のお母さん方から招かれて行きました。そして沖繩の八重山というところに参りました。八重山で大浜さんの銅像の除幕式があったんですね。あれはたったの十日の経過でございました。その辺のところは政治だと思うんです。大浜総長は火をつけたままいなくなった。そして、その後の私学の値上げを中心にして行われた学生運動のあの形が一九七〇年ごろまであって、そして今度再び私学の値上げが行われているということの中に、もう一つのねらいは何だろうと思わざるを得ないんです。そして、私は各大学の方たちに会いました。その各大学の方たちに会いましたところによると、あのころ一九六六年の学生は十三年たってますからもうすでに三十歳以上になってるわけです。そしてまた新しく出てきた十八歳から二十二歳ぐらいの学生さん、これは日本の未来だと思うんです、若い人は未来ですから。その人たちが今度の値上げに対して何を感じ、どうしているかということは、いま社会的な物価の値上げの中で、その親たちの負担と同時に、全部細かく調べますと、下宿料から本代から衣服費から小遣いまで計算して三千円ぐらいしか残らない。どうか月謝を上げないでくれということを学校当局、もう先生も御存じでしょうけれど、教授と生徒の間はもうこの間の学生運動を通して一つの遊離を持っている。その遊離の形の中にこの私大の助成金が人件費として出されている。教授なんかに、どこへその助成金は行くんですか、学校の中で、この私大助成金は。
#11
○政府委員(今村武俊君) 私大経常費といわれるものの内容になりますが、教員の人件費、職員の人件費、それから教育に要する物件費、そういうものに向けられるわけでございます。
#12
○鈴木美枝子君 授業料値上げ、それは一体どこへ行くんですか。
#13
○政府委員(今村武俊君) 授業料は収入の方でございますが、これは歳出面に着眼いたしまして経常費に対して国が補助金を出すという関係であります。
#14
○鈴木美枝子君 芸術系統の大学生に会いました。国立音楽大学の例をあげてみます。授業料、入学金、施設拡充費を含めていままで四十八万円の月謝、それから寄付金が二口以上、こうなっている。寄付金も値上げされているわけですね。そしてどのぐらい上がったかと言えば、いままでが五十八万円年間、それが七十八万円になっているんですね。授業料というふうに、授業料だけじゃなくて入学金、施設拡充費まであって、音楽学校のことですからピアノを借りるのに三百円。ピアノを借りるのに三百円取らなければならないという、音楽学校でですよ、そしていままで寄付金というんですから、寄付というのは自発的な発想を持っていると私は思うんです。これさえも否定してきている。いままでは二口以上でよかった。それをその二口以上はちゃんと決めて払わなければいけないという、値上げの中にそういう問題も含まれている。だから受験の問題もございますが。受験の問題では高校から音楽学校の専門学校へ入るんですから小さいときから声楽やピアノを習っていなければ入れないという状態も生まれてきている。そこへ持ってきて授業料が値上げ、施設拡充費が値上げ、寄付が値上げ、そして値上げされた金をもし払ったにしてもピアノを借りるのに三百円ずつ出さなければピアノを弾くこともできない。こういう状態の中で私大助成金千七億円という金とこの授業料値上げ、このギャップ。このことを文部大臣からお伺いしたいのでございます。そのことについて大臣はきっと悩んでいらっしゃると私は思うのでお聞きしたいのでございます。
#15
○国務大臣(永井道雄君) 日本の私立大学の経営というのは、非常にむずかしい状況にあります。これは私は鈴木さんに御理解願えると思いますが、私立大学というものができましたのは大正七年でございます。それまで実は私立専門学校であったのですが、当時大学令というものができまして大学に昇格をいたしました。しかしながら、それは当時日本の産業が相当拡大いたしまして、そして高等教育の卒業生が必要になったからでありますが、ただ、当時臨時国民教育会議というものも開かれたんでありますが、専門学校の大学昇格は決まりましたけれども、しかしながら国庫助成をするということはありませんでした。そこで坂田文部大臣がこの国庫助成という方向を打ち出されるまで約半世紀たっております。したがいまして、わが国の私学の経営状況がかなりむずかしいところにきたというのは長い歴史があるわけです。そのほか、昨今はインフレに伴いまして、これは先生方の給与の問題もございますが、物件費も上がってくるという形でなかなか私学が経営難であるということは御理解願えると思います。
 そこで、坂田文部大臣の新しい方針が出ましてから私が本年度御審議願っている予算案を皆様に御提出申し上げるまで、実は年月から申しましてもせいぜい五年を経ているだけでございまして、それで御指摘のように千億円を超えまして、前年度予算に比べますと五七・四%の増でございますが、しかしながら五七・四%の増というものがありましても、必ずしもそれで直ちに私学の財政難が解決するというほど状況は簡単でないということは、いまの半世紀の問題もあり、それからインフレの問題もありますから、なるほどそうであろうというふうに御理解願えると思います。ですから、助成があって授業料値上げがあるのはどういうわけかと、こうおっしゃるんでありますが、それは助成があって授業料値上げしないで済むような状況ならよろしいんですけれども、ちょっとそういうふうには簡単にはいかない。インフレというものもだんだん抑制をいたしまして、そうして年次計画を進めていくうちに次第に助成による財政の立て直しというものがしやすい状況になっていくんだ、こういうふうに御理解願いたいわけであります。
 さらに、助成によって学校の教育内容とか、あるいは研究内容が変わっていくんではなかろうかというような御懸念があるようでありますが、これは私ども、全然そういうことを考えているわけではありません。確かに、紛争がありまして学校は授業をやっていないというところに補助をするのはおかしいと思います。なぜかならば、補助といいましても、これ、国民の税金なんです。国民の税金でございますから、これは一銭一厘といえども大事に使わなきゃいけないんでありますが、学校が授業をやってないというところにやはり授業をやっていない分についてさらに補助をするということでありますならば、責任を持って国民の税金を使っていくということになりませんから、これは別に学校教育内容あるいは研究内容というものをとりわけどちらかの方向にしようということとは関係のないことであると私は考えております。したがいまして、なるべく早い将来にいまのようなインフレというものが抑制されまして、そして授業料というものもそれほど本当に大変な負担になるという状況が私はなくなっていくことを望んではおりますが、しかし、御理解願いたいのは、それは一年、二年で、少なくもことし簡単にできるというふうなものではない、当分はやはり私学の経営を私学でお考えになるのを、われわれ政府にいる者はできる限りの補助をして、そして私学の経営というものが健全な状態になっていくということを希望して長期的に進むべきものだと、こういうふうに考えます。
#16
○鈴木美枝子君 その私学の、大臣は新聞にも発表されてるんですけれど、「よい私大に多く補助を出す。」これは新聞に出しているくらいですから、これは本当のことだと思うのです。予算の私大助成金千七億円に対して、教育研究条件の整備率が高ければ補助金は多く、低ければ少ない。そして、新年度からは体質のよしあしについての判定を一層厳しくしていく。この発表が月謝値上げとどう絡らみ合って出てくるかという問題が大学を調べるとあるんです。どうあるかと言いますと、いま申し上げた音楽大学の場合、この問題が新聞に出る二日前に値上げするんです。そうすると、その生徒の方たちは、なぜ値上げするのかということを、ただ簡単に反対するんじゃなくて、聞きたいわけですね。つまり、大臣が発表した話し合いですね。大臣が二大公約をなさるほどの重要な問題の話し合いです。なぜ値上げするのかを聞きたいんだという申し込みをしますと、文書で交換するということが生まれてきているんです。これは各大学が文書でするのですから、このことは、文部省と私大の話し合いの中で行われているとしか思われないんですよ。話し合いはちょっと待て、待てという中で学生運動のいままでの過去があるかもしれないけど、永井大臣の公約の一つである懇談と話し合い、民主主義の復活をしようとしていらっしゃると思うんですよ、学生の間に。それを助成金のたてまえとよい私大に多く補助をするというこの二つの考え方が、どうして値上げるのか、話し合いをさしてくれと言うと、いや話すことはできない、文書の交換しましょう、そうして文書の交換を各大学がやっているわけです。文書の交換、つまりレポートの提出です。それはしたがって何を生み出しているかというと、文書の交換で各生徒に一人ずつ文書を学校側が送り込むことによって、自治会というものを破壊していく要素を持っているんですね。自治会がなくなったところはありますよ。それは学生運動の中でなくなった中央大学などあります。だけれど、この音楽大学のように、芸術をやりたいという生徒さんの集まりの中にどうして値上げをするのだと話し合いをさしてくださいと言う。大臣がいま一番言っていらっしゃるそれこそ二大公約の一つでもある対話を求めているのに、若い学生が求めた中で、いや話し合いはだめだ、文書の交換だ、レポートを提出させる、これが私の会いました各大学の中で行われていることです。レポートの提出、文書の交換となりますと、自治会は必要じゃなくなるわけです。そして郵送で、各家一軒ごとに送るということなんです。この文書というものは開封することができない。そうすると、一軒ずつばらばらに文書が交換され、そしてそれは必然的に自治会がなくなり、そしてそれを吸い上げていく形の中で授業料は上がっていく。だから、若い学生にとっては、若い未来の人たちにとってはいまの経済状態の中で、日本全体の経済状態の中で学問をするということの中で、つまり言葉、対話を失う。学生がひとりひとり孤独なりかねない問題を持っているわけですね。このことが起きたのが助成金の問題と、「よい私大に多く補助を出す」という、この言葉の持っている圧力が教授の方たちと、あるいは自治会の問題が自然消滅的に崩れていく中で、法律で決められた筑波大学の問題が関連してくるのです。筑波大学でその法律が強行採決されたときに自治会はもうないわけです。自治会がない大学をつくっておいて、そして私大にある自治会を自然消滅的に一つのレポートの交換によってばらばらにしていくということが感じられる。文部大臣は二大公約である受験の問題、そしてまた対話の問題という大きな骨子をお出しになったのは、いままでの学問の経過、私学の経過を御存じだからお出しになったと私は思うんです。その経過をいま現に細分化されたところで学生がばらばらになり、その筑波大学という法律の中で自治会をなくした大学を一つつくっておいて、そして私大の中で全部自治会をなくし、自然消滅的になくなっていくということは日本の民主主義にとっても大変な問題だ。間違いだと思う。そのことを訂正するには、この助成金ですね、助成金をよい私大に多く出すというこの考え方を私大の理事のところへこの問題を持っていくことと月謝の問題とのかみ合わせの中で変えなければならないんじゃないか。変えていただきたいと思うんですね。助成金出すのはいいんです。税金ですとおっしゃったのは、私も大臣と共通な問題を持っています。金を出すけど口も出す、その口の出し方の中の何かと言えば、よい私大に多く補助金を出す。このたった一つのこのことが、いまのインフレの、先生方のつらい生活の中で、より口がきけなくなる方向の中で、今度は生徒が自治会というものをごく自然消滅的にレポートの交換の中で一つずつばらばらにされていっているという経過の中で、永井文部大臣がお出しになった未来の問題、文明の問題をお出しになりましたが、文明の問題はこれからでき上がる問題で、だけど現に行われることを一歩ずつやっていかなかったら大変だと。だから、よい私大に多く補助金を出す、これをおやめになることをもう一回新聞で発表なすったらどうですか。そのことによって自治会をまさしく正しい方向に持っていくか、まるで自然消滅的になくしていく。この重要な問題一そのことについてお答えください。
#17
○国務大臣(永井道雄君) 私は、ただいま鈴木さんがお話しになっていることを承りまして、非常に参考になりました。なぜかといいますと、大学紛争以来、大学の中に非常に緊張があります。で、そこでその緊張というものをだんだんなくしまして、そしておっしゃいますように、こうみんなが自由に話をしていくと、そしてお互いに納得をするような学校をつくっていかなきゃいけないと私は思っております。私は本当にそう思っているんです。そう思いまして、いろいろ計画を立てるんですが、どうも鈴木さんにも私の意図がわかっていただけないきらいがあるような感じがするんですね。で、そこで鈴木さんとまず対話をしなきゃいけないとこう思うんです。つまり、よい学校にお金を出すという話をなさいましたが、これはどういうことかと申しますと、傾斜配分というのがありまして、学校によって、これはもう鈴木さん非常にいろいろなところにおいでになりますからよく御承知と思いますが、学校に定員というのがあります。この定員の何倍もとっているところがあるのです。
#18
○鈴木美枝子君 水増しということ。
#19
○国務大臣(永井道雄君) ええ。そうすると、学生が学校に行きますと、教室に入れなかったりするのです。こういうところにそのまま補助金を出しますというと、これはちょっと経営体質が悪い、これは教育内容の問題あるいは研究内容の問題というのじゃないのです。で、いまよい学校、悪い学校とおっしゃいましたけれども、私どもが考えて、つまりそういうふうにあんまりたくさん定員を上回っている学校には補助金をそんなに出さないようにするというのは、教育の内容ではなくてどう考えても経営内容が悪い。ただそれをどうも文部省はいろいろ教育内容を規制しようということで傾斜配分をやっているらしいというふうに学校でとられているようだということをいま鈴木さんがおっしゃったし、あるいは鈴木さんもそう思っていらっしゃるのではないかとさっきから聞いていて感じたんです。で、私、全然そういう感じありません。全然そういう考えございません。ですからまずやはり対話は大事であって、鈴木さんが納得していただくと影響力きわめて大であります。ひとつどうか私に全然そういう気持ちがないということを鈴木さんのお力によりまして広く天下に知らしていただくということがありますといいんです。全然その考えありません。
 次に、私はこのそれぞれの学校で、いろいろおいでになった学校で、学校と学生が文書で意見を伝えるようにして、話し合いをしないというふうにおっしゃいました。これは別に文部省の方針でないのです。これもはっきり申し上げます。そうして、私は実はついこの間まで、つまり文部大臣をやりますまである私立大学の理事をしておりました。そこではちゃんと学生と学校側が話をしております。普通に口で話をしております、文書でなく。それからそういう学校が相当ございますのです。ただし、その上に文書を出していることがあります。なぜかといいますと、お金の話ですから数字をちゃんと向こうにだれにでもわかるように伝えるときに、話だけだとどうもあいまいになるので文書で伝えているケースもあるんです。しかし、確かに文書に依存する傾向が紛争以後の緊張のある状態の中であるんでしょう。これはおっしゃいますように、どうもそういうことから緊張が解けなくなったり、あるいは自治会解体を目指して文書を出しているというふうにとる人が多かったら、これは望ましくないことと思います。文部省としましては、もちろん学校というものが自分の方針で進んでいく、そして自治会というものも盛んになっていく。ただし、この自治会の人が最近暴力を使いますね。この暴力を使って学校というものが荒廃をいたしますと、これはとてもどんなにいい教育をやろうと思ってもできません。この暴力は絶対に排除しなければいけない。これは鈴木さんも賛成してくださると思います。そこで、しかしながら、よいそういう意味において話し合いをするようなそういう学生の会、そして先生方、それがお互い話し合いをしていくということが望ましいというのが私どもの考えでございますから、この点もどうか御理解を願いまして、決して文書によって話し合って自治会を解体させる方針を文部省が持っているというようなことは夢夢ございませんから、まず、鈴木さんに御理解を願いますというと私は非常に心強いですから、どうかよろしくお願い申し上げまして私の答えといたします。
#20
○鈴木美枝子君 時間がございませんので。いま「御理解してください」というだけでございましたが、いまの私との対話を新聞に発表してください。よい私大に多く補助金を出すという、税金である私大助成金千七億円のこの金、この二つの問題が作用してくる問題があるということの中で、口出しはしないんだ、金を出すけれども口出しはしてないんだということを議事録だけじゃなく永井大臣の声として発表していただきたい。発表していただけますでしょうか。
#21
○国務大臣(永井道雄君) 私いまここで申し上げていることは、私の公の意見でございます。必要に応じて幾らでもその意見を表明いたします。
#22
○鈴木美枝子君 そして、こういう形の中で、月謝値上げ、この補助金で口を出す形の中にサンドイッチになっているいまの学生さんの苦しみを、これは背後にある月謝だけじゃなくて、その家庭もインフレの中で苦しんでいる。そしてまた、アルバイトの少なくなっている現状の中で若い人たちが苦しんでいる。大臣のお出しになった文明論も、その枠に細分化された中で人間の中に影響することをお願いいたします。
 終わります。
#23
○久保亘君 私は、最初に、永井文部大臣に対して、所信表明の中で述べられている「国民の教育、特に学習に励む児童、生徒、学生の立場に身を置いて考えるとき、教育の場に政争を持ち込むようなことがあってはならない」という大臣の表明についてお尋ねしたいと思います。
 三木首相が本会議でも述べられておりますことは、民間人の――あえて民間人という言葉を使わしてもらいますが、民間人の永井さんを文部大臣に起用した意味の一つは、教育を政争の外に置きたい、こういうことであるという意味のことを述べられております。あなたもまた所信表明の中でそういう言葉を述べられたのでありますが、これは大変抽象的であります。具体的に、教育の場に政争を持ち込まないということをどのようにお考えなのでしょうか。その点について最初にお尋ねいたしたいと思います。
#24
○国務大臣(永井道雄君) 具体的には、まず基本的な立場というものを、憲法、教育基本法というわが国の教育を基本的に規定いたします原則がございますから、この原則というものに基づいて施策をいたしますならば、まず、わが国において相当立場を異にする人たちもお互いに話し合えるはずである。この点をまず明確にしていくことであります。さらに、政争を教育に持ち込まないということは、たとえば日教組との関係におきましても、これまで十分な話し合いをいたしまして教育内容の充実に務めるということが乏しかったわけであります。で、日教組の考え方、あるいは文部省の考え方というものが完全にすべて一致するということは全くあり得ないことでありまして、それは違う考えというものがそこに残りますけれども、そしてまた残るのが当然であると思いますが、事教育に関して、具体的な例を申し上げますならば、たとえば受験体制の過熱化ということがございます。さらに、それを具体的に申しますというと、非常に大学入学の試験というものもむずかしくなっている、こういうふうなものをどうするか、あるいは小中校の教科をどうするか、こういうことについては、政治の立場に基づく争いから離れて話し合っていこう、こういうことでございます。
#25
○久保亘君 いま教職員団体である日教組との関係について少し具体的にお話しになりました。私も文部大臣と日教組が会ったということや、会うということがニュースになるというようなことは、これはやはり教育の中に政争が介入する異常な状態の一つのあらわれだと考えております。だからぜひこの教育を政争の外に置きたいということでありますならば、文部大臣と日教組が会ったということが国民の関心になったりニュースになったりすることではなくて、文部大臣と日教組が何を話をしたかということが国民の関心やニュースになるようなことでなければいけないと考えるのでありますが、その点については御同意をいただけますでしょうか。
#26
○国務大臣(永井道雄君) 御同意申し上げます。
#27
○久保亘君 そうすると、何を話し合ったかということになってまいりますと、一つは、教育労働者としての身分や待遇や勤務条件などに関する要求についての側面があると思います。もう一つは、教育の現場の実践者としての立場から、あなたが所信の中で述べられました国民の教育というものが実現をしていくために、それを目指す教育内容などに関する意見や提言、これらのものも当然に話し合われてくる、そこから私は大臣が求められておるようなものが生まれると考えるのでありますが、そのように理解をしてもよろしゅうございますか。
#28
○国務大臣(永井道雄君) 私、考えておりますのは、ただいま御指摘がありましたように、待遇の問題というようなものについて教職員組合と話をする――これは意見が一致することもまたしないこともあると思いますが、そういうことを話しております。ただ、教育の内容というものについてどういうふうに話し合いを進めていくかと申しますと、日本教職員組合の場合に教育研究集会、あるいは教育制度検討委員会、あるいは教育課程検討委員会というようなものがありまして、そこには組合の役員の方たちが直接リードをするということを避けているわけです。で、これは組合として当然だと思います。そういうところには学者、教育者という人たちが討論を重ねていくという形をとっております。そこで私たちが教育内容を議論いたします場合にも、文部省もこれまた教育内容のきわめて詳細なところにまで役所それ自体が関与すべきでないという考えをとっておりますから、やはり審議会というものを設けて、そこに学者、教育者などにおいでいただいて議論を願っているわけであります。したがいまして、教職員組合の場合にはそういう学者、教育者の方々、そして、それらの方々が審議会の方々と意見を交換なさる、こういうふうな形で進めていくのが妥当であると考え、教育課程審議会にはすでにそのような形で教育検討委員会の先生が意見を述べられるというふうに進めている次第でございます。
#29
○久保亘君 大臣の基本的なお考えについて私も理解できることがたくさんあります。きょうは時間がありませんので、それらの問題についてさらに具体的に詳細にお話しを伺うことができませんけれども、一つだけ昨日から本日にかけて報道されております中に、京都府教育委員会が教育の評価について相対評価から絶対評価へ、前進させると考えていいんですか、改めていくという方針を明らかにいたしておりますが、このことがまとまってくる過程の中でも現場の教師や学者の研究に基づいて一つの基準をつくってきた。そしてこれからの現場教師の実践の中で改善をしていかなければならないであろう、このようなことを教育長でしたか、教育委員長でしたか、お述べになっております。この京都府教育委員会がいま取り上げようとしている絶対評価の問題について、その価値判断とそれからこの絶対評価を生み出すについての一つの考え方というものについてどのような御見解をお持ちになっておりますでしょうか。
#30
○国務大臣(永井道雄君) 教育評価というのは非常にむずかしい問題でございます。そこで、これまでわが国では相対評価という考え方で進めてきたわけでございますが、そしてまた全国的にそういう方針というものを堅持いたしませんと非常に混乱するというのが現状であることは御理解いただけると思います。しかし、これに対して絶対評価という方がよいのではないか、またそれが少なくも検討に値するという見解が京都から出ているわけでございます。で、私たちは当然その考え方というものも参考にして検討いたしたいと思いますが、しかし、それは直ちに相対評価を捨てるということではないと思います。
 また、もう少し広げて考えますと、相対評価、絶対評価のいずれでも実は完全にいい教育評価というふうに言い切れるかどうか、非常に教育評価というのはむずかしいと思います。
 そうした事柄につきましては、より広い視野から文明問題懇談会に私がお願いしております問題の一つとしても、人間の評価というようなことは一体どうやってやるのであるかというようなことを御議論願いたいと思っておりますので、現在の相対評価の考え方、そしてその実施というものをこの段階におきまして変えるという考えは持っておりませんけれども、しかしながら、評価の方法というものは非常に重要な問題でありますから、京都の考え、試みというものも含めまして、またそれだけでは足りないかもしれませんから、一層検討を続けていくというふうにいたすべきであると考えております。
#31
○久保亘君 教育評価の問題につきましては、いずれまた少し時間をかけて初中局長のお考えもお聞きしたいと考えております。
 きょうは私に与えられております時間が非常に短いので別の問題へまいりますが、所信表明の中で、高等教育、つまり大学の教育についてのくだりでは、「国民の期待にこたえ得る改革の実現」という非常に抽象的な言葉で述べられているだけで、後は新たな大学の構想とか、そういう面が主として述べられております。しかし、私は、高等教育の拡充整備というテーマで語られる場合に、いま忘れてはならないのは、現在の大学の研究体制が十分に整備されているのかどうかという問題であろうと思うんです。
 で、私がここでお尋ねしたいと思いますことは、国立大学に現在臨時職員の数がどれぐらいあるのか、その数は国立大学定員の何%に当たるのか。この点について大学局長ですか、お答えいただきたいと思います。
#32
○政府委員(清水成之君) ただいまの点、官房でまとめてお答えしたいと思います。
 四十九年の七月一日現在の数字でございますが、国立学校全体で一万四十九人の非常勤職員でございます。これは定員の十一万三千に対しまして八・九%の割合に相なっております。
#33
○久保亘君 そうすると、この一割に近い一万人以上の臨時職員の中で、三年以上の長期にわたって臨時職員として働いている人たちがどれぐらい存在するのでしょうか。
#34
○政府委員(清水成之君) ちょっと足し算をいまいたしておりますが、年次別に申しますと、三年以上四年未満が一三%、四年以上五年未満が八%、五年以上が一五・三%、合わせて大体三六%何ぼ、こういうのが三年以上でございます。
#35
○久保亘君 そうすれば、概略その三千六百名くらいの人たちが三年以上臨時職員として国立大学の中で働いていることになるわけですが、これらの人たちの人件費はどのような形で予算措置がなされておりますか。
#36
○政府委員(清水成之君) これは一律ではございませんで、正規に賃金職員として計上されたものが一つございます。それから御承知のように、大学におきましては教官研究費というものがございまして、これは弾力的な運用ができるわけでございまして、教官の研究の必要性から教官研究費用の運用によってこの非常勤職員を雇っている、こういうような実態もございます。そういうものを合わせて、ちょっとその振り分けにつきましてはいま数字を持っておりません。
#37
○久保亘君 これらの膨大な臨時職員の人たちは大変低い賃金で、しかも常用的に大学の中で働いている。しかも、いまも言われましたように研究費の中に包含されるものもあるということで、私が聞いておりますところでは、関西のある国立大学では、法学部三十七講座に対して四十九年度予算として割り当てられた図書費が一千三百万円、それで、そのうち継続的な雑誌の購入費が六百万、学部全体として発注してある分が六百万、残り百万を教授を初め助手を含む四十人の教職員が図書費として使わなければならない。したがって、こういうような状態にありますために、定員外の職員が三名退職をしたにもかかわらず、その補充を行わず、研究費の総枠の中でそれを研究費に操作をする、こういうことをやらなければならないと聞いております。このことは、大学の新たな、いろいろな大学院構想とか放送大学の構想とかいうことも検討に値するのでありましょうけれども、既存の大学が研究さえも思うに任せず、しかも既存の大学の中で一万人以上の職員が臨時職員として働いている。このような状態の中で研究の水準を引き上げていくということは大変むずかしいのではないかと思います。
 それだけではなくて、いまインフレと物価の高騰の中で大学の側の意見を聞きますと、図書で大体五〇%ぐらい上がってくる。それからひどいものになりますと、実験用の動物などでは二〇〇%の上昇である。特殊な研究に要する教材、資材などは、一般の物価の上昇をはるかに上回る上昇率を示している。その中で、この五十年度の予算の中に組まれております大学のこれらの費用のアップ率は三〇%台である、三五%程度ではなかろうかと思うんであります。そのような状態ではとうてい従来の研究の水準を維持することも困難である、こういうような意見がたくさん寄せられているのであります。
 私は、そのようなことを考えてまいりますと、言葉で「高等教育の拡充整備について」「各大学の自主的な努力を助けて、国民の期待にこたえ得る改革の実現に力を尽くします」と言うことの前に、もう一つ、文部行政の責任としていま直ちに手がけなければならない問題があるのではないか。これらの非常勤職員の長期に及ぶものを定員化をする、それから、定員外職員の給与については、研究費とは完全に別枠にして、研究費の中で職員の生活が操作をされたり、あるいは職員の生活費でもって研究費が補てんされたり、そういうようなことにならないようにしていく緊急で具体的な措置が文部省の責任としてあるのではないかと、こう考えるのでありますが、大臣の御意見を伺いたいと思います。
#38
○政府委員(清水成之君) 大臣からお答えいたします前に、ちょっと事務的に申し上げておきたいと存じます。
 ただいまお尋ねの件でございますが、また後ほど大学局長からもお答えがあろうかと思いますけれども、現在おります非常勤職員自体を直接定員化するということにつきましては考えておりません。それはまあ適当ではないという考え方でございます。と申しますのは、制度的に申しまして、非常勤職員自体は御承知のとおり季節的なりあるいは変動のある時期にするものでございまして、制度的に見ました場合に、それを直接定員化というふうに結びつけるのはどうだろうか。そこで、ただいまもお話が出ておりましたが、図書館のレファレンス業務の職員なり、あるいはまた入試担当の職員なり、あるいはいろんな大型装置等が最近は入っておるわけでございまして、これらの運転操作要員がなお不十分でございます。こういうものの増員を図る。その際にひとつしかるべき形で定員化をしていくというのが本筋であろうと、かように考えておるわけでございます。
#39
○久保亘君 この大学の研究体制の整備の問題については、大臣、緊急に検討されて、何か前進する具体的な措置をおとりになる考えはありませんか。
#40
○国務大臣(永井道雄君) 私は、今後新しいいい大学をつくっていくことが大半と思っておりますが、しかしながら御承知のように、わが国の経済というものも決して楽な状況にありません。そこでそういう状況に踏まえ、またそういうことがなくても現在存在しているものを充実していくことがきわめて大事であるという点におきまして、先生の御見解に全く賛成でございます。そこで、その場合に大学の自主的な改革を望んでいるということをいまの大学内の研究費などの関係について申し上げますと、次のようなことがあるわけです。これは御案内のとおり、大学に対する研究費というものは講座単位積算ということをやっております。そこで、それぞれの講座というものが算額を受け取っているわけなんでありますけれども、それは実を言うと学内において相互に融通しまして、有機的に使っていくという方法が可能でございます。それを非常に模範的にやりまして能率を上げましたのは、日本の歴史では理化学研究所でございます。この場合には国立でございませんけれども、非常に内部に融通をいたしまして、相互に譲り合いまして、重点的にことしはぜひこの人の研究というものをみんな助けていこうというような体制をとったわけでありまして、ところが現在におきましては、大体において積算基準講座単位で学校にお金が参りますというと、非常に厳格にそれを守るんです。そうやっていない大学の例もございますが、私はこういう点を私の希望といたしましては、自主的ということを申したのは、大学の内部でも相当お考え願えるとありがたいし、またそのことがそれほど金額をふやさないで、現在の金額というものをより有効に使う非常にいい方法だと思っております。それがまた研究関係の職員の問題にも関連してまいります。と言いますのは、それぞれの講座内で研究関係の職員を雇用いたしまして、絶対そこの講座から動かさないということにいたしますとなかなかむずかしい問題を生じますのは、一定の研究を達成するために雇員を組んでありますけれども、その研究が終わった後、ある程度その人に時間があくということがあるんです。ところが、講座内の雇員でございますからそこに残る、それにつきましても、もっと機動的な人員配置ということを考えていくということになりますと、現行の予算の範囲の中で、また現行の人員の範囲の中でも相当能率的に私に大学の運営ができるんではないかということを私自身の過去の経験から考えておりますし、また実はそのように考えられている大学の先生方も相当おられるわけであります。しかし、なかなか内部から過去の慣行というものを変えていきますのはむずかしいということも私は了解いたします。しかし、何と申しましても、私、繰り返して言うようでありますが、これは国民の税金でありまして、国民の税金というものには限りがあるんです。それで先ほどから私学助成の話が出まして、これも大事でありますが、私は国立の場合、よほどやはりお考え願わなければいけないのは、国立はこれまた完全国補依存なんでございます。で、完全国補依存というところからきわめて能率的な予算の配分方式についての学内討議というものが、もちろん評議会などで相当行われてきておりましたが、もっと自主的に進んでいくということになりますというと、大学の研究の充実ということに相当役立つのではないか。これを申し上げているのは決して逃げ口上で言っているのではない。そうではなくて、やはり年ごとにこういう予算の費用というものを文部省は考えていくべきだと思いますが、同時に、有効に研究費というものを使っていく方法を特に国立大学において自主的にお考え願って、いろいろ改革の方向というものをお示し願えればきわめて幸いである、このように考えております。
#41
○久保亘君 残念ながら時間がもうあと十分少々になりましたので、私はきょう緊急にお尋ねしたいと思っております問題が一つありますので、いまの問題は引き続きまた次の機会にお尋ねしたいと思います。
 それは、本日、新聞で報道もされておりますが、財団法人日本武道館が内紛によって訴訟事件などを起こしておりましたが、本日、和解金――聞くところによれば、数百万をもって話し合いをつけた、このように聞くのでありますが、監督官庁であります文部省はこの和解の内容について御承知になっておりますか。
#42
○政府委員(諸沢正道君) 和解の内容につきましては、本日、文書を取り寄せましたので承知いたしております。
#43
○久保亘君 和解金は幾らですか。
#44
○政府委員(諸沢正道君) そこのところを読んでみますと、「被告は原告に対し和解金として金六百万円也を支払う。」と、こうなっております。
#45
○久保亘君 私が大変理解できません点は、この日本武道館の紛争につきましては武道館の運営にかかわる非常に大きな問題があるようであります。この和解金が、国の資金十億が投ぜられ、国有地の上に立っている建物を基本財産とし、毎年、数千万円の国費がこの財団法人日本武道館の運営に投入されているにもかかわらず、あいまいな和解という形でもって国民の税金も含む武道館の会計の中から六百万円が和解金として支払われるということについては、私どもはどうしても理解しかねる問題があるんです。特にこの日本武道館は、最近数年間にわたって多くの問題を起こしているだけではなくて、四十七年ごろからは大口利用者である二つの興行社を中心とする数業者から未徴収金が累積し始めまして、その未徴収金の累積額は千万単位の金に上っていると聞いております。しかも特殊な興業社に対しては定められた使用料を大幅に割引をいたしまして、その割引額は四十六年以降だけで数千万に達すると言われております。しかも、この武道館は国有地の上にありながらその借地料すら滞納を続けていたはずであります。で、その団体に対して、財団法人に対して、国は決算書の提出も求めることなく――求めるというのは悪いですが、決算書を提出してもらうこともなく、予算を組んだからということで補助金を支払っているという経過があります。だから私は監督官庁の文部省として、まず一つは、定款の寄付行為十条によります事業計画及び収支予算の編成と提出の義務、文部大臣に対する、十一条による収支決算書の提出の義務が完全に履行されていたのかどうか。
 それからもう一つ、この日本武道館は、途中において武道振興会館の建設に着手をいたしておりますが、その際に、寄付行為八条の基本財産の担保提供禁止の規定があるにもかかわらず、日本不動産銀行から六億融資を受ける際に、その担保に基本財産を提供しております。このことも寄付行為に対する重大な違反であります。しかも、十七条によって評議員会、理事会が役員を解任する権限を持ちながら、解任されたはずの役員が武道館の貴賓室を占拠して、数年にわたってかなり高額なる常勤役員としての給与を受け取っております。そのことに対して、この財団法人武道館の理事会は、三年ぐらいたった後支払われた給与を追認をするということをやったと聞いております。これらの乱脈をきわめる武道館の経営の実態の中で、和解金が一体どこから支払われるのか。それから、この日本武道館の未払い金の実態、未収金の実態について文部省は承知されておるのかどうか。年次のこの事業計画や収支予算書、決算報告書などについては、規定どおりちゃんと受け取っておられるのかどうか。それらの点についてお答えいただきたい。
#46
○政府委員(諸沢正道君) 武道館につきまして、ただいま御指摘のように幹部職員及び役員の人事等をめぐって紛争が続きました。そのため正常な業務の運営に渋滞を生じ、今日に至ってやっと当事者の間で訴訟にまで至った問題が和解ということになったわけでございますが、文部省といたしましては、その間武道館の事務処理の適切化というためには再三文書または口頭等で警告を発しましたし、また御指摘の補助金の問題にいたしましても、毎年計上されております補助金をその金額どおり交付するのではなくして、毎年度の事業実績等を見まして、それを減額し、あるいは昭和四十七年度におきましては全く交付をしないというような措置を講じて反省を促してきたわけでございますが、結果として今日までこの解決が延引されましたことはまことに残念なことだと思います。
 ところで、ただいま御指摘のございました決算の問題でございますけれども、実は昭和四十六年からの決算書がずっと出ていないという事態があったのは事実でございます。ただ、その事由につきましては、私ども再三武道館に督促をしたわけでございますけれども、武道館としましては、いま申しましたような各種の内部の内紛による訴訟事件等がありまして、必要な書類を検察当局へ持っていってしまわれたためになかなか提出できないのだと、こういうような説明もございましたが、いずれにいたしましても、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、四十八年度までの決算書は全部提出させたわけでございます。ただ、いま御指摘のように、この中身を見ますると……
#47
○久保亘君 いや、わかった。時間がないからもうよろしい。
#48
○政府委員(諸沢正道君) 未収金あるいは未徴金の問題がございます。私どもは、この点について直接早急な事態の解決を要請しますとともに、近日中会計検査院におきましてもこの問題を直接検査をしようと、こういうことになっておるわけでございます。
#49
○久保亘君 私が聞いているのは和解金、だれが払うんですか。
#50
○政府委員(諸沢正道君) そこで、その和解金といいますのは、いまの解職になった事務局長、常勤理事と武道館側との最終的話し合いにおいて和解金として六百万円を支払うと、こういう中身になっておるわけでございますが、実は和解金というのは一体何だというのが私も疑問に思いまして、早速問うたわけでございますが、どうもその全部の文脈を読みますと、いま御指摘のように、武道館側としては四十六年の七月に一応解職したわけでございますけれども、本人は解職の手続が適正でなかったということで四十九年の七月、去年の七月まで、つまり新執行部が発足するまで事実武道館に行っておったわけでございます。そこで和解でございますから武道館側もその解職というものが一応四十六年の夏あったわけですけれども、その手続について必ずしも十全でなかったというように一部認めておるのであろうと思います。そういう意味から考えますと、和解金と申しますけれども、これはあるいはその間十年ほど勤務したわけでございますから、それに対する解職金の意味であるのか、退職金であればそれは定款を、あるいは会計規則を読めば支出することができるわけでございますが、その辺……
#51
○久保亘君 もういい。
#52
○政府委員(諸沢正道君) 性格がよくわかりませんので早急に検討したい、かように思っております。
#53
○久保亘君 性格のわからぬような金を、国の金を使った基本財産を持つ、しかもあなた方が監督して毎年補助金を出している団体が、自分ところの内部紛争の後始末に払うということならば、四十九年度の日本武道館に対する補助金、五千六百八十一万円は執行を停止すべきである、並びに五十年度の日本武道館に対する補助金は私は認めることができないと考えております。きょうは時間がありませんので、この問題については引き続きお尋ねをいたしますが、特にこの日本武道館の寄付行為を見ますと、この事業内容というのが明確にされているにもかかわらず、いまの日本武道館の運営実態というのは寄付行為の事業内容と全くかけ離れたものとなっております。それらの点についても監督官庁である文部省の責任を私は免れることはできないと思っております。それだけではなくて、武道館というスポーツとしての武道に対する青少年たちの一つの夢というもの、そういうものをこの日本武道館自体がぶちこわしている、このことが私は問題だと思います。したがって、この理事会の構成のあり方、なぜこれが財団法人として今日のような運営をしてきたのか、それらの点についても十分検討の上、文部省として責任ある措置をとられるよう、私の方からお願いをしておきますが、大臣、よろしゅうございますか。
#54
○国務大臣(永井道雄君) 和解金の問題を中心にこの問題は早急に検討いたします。
#55
○内田善利君 私の持ち時間は二十分でございますので、大臣の所信表明を聞きまして、これに基づいた大まかといいますか、柱的な質問をしていきたいと思います。
 まず第一番目に、この所信表明をお聞きしまして第一に感ずることは、「養護学校教育の義務制を昭和五十四年度から実施することといたしておりますので」云々とございますが、これは非常に重要な問題だと思います。「そのための諸準備を中心に、特殊教育の拡充整備を計画的に進めるとともに、これら児童生徒の実態を的確に把握し、適切な教育方法の研究を推進するなど、きめ細かな措置を講じてまいる所存であります。」と、このとおりと思いますが、これは非常に大事な問題と思います。義務教育にするということは言葉では簡単でございますが、具体的には非常に大きな問題を含んでおると思います。母親、両親の了解を得なければならない問題もございますし、あるいはスクールバスの問題あるいは先生方の確保の問題、そういう問題がございますが、昭和五十四年度から実施するということについて、大まかにどういうことに配慮していかれるのかお聞きしたいと思います。
#56
○国務大臣(永井道雄君) 詳細には初中局長から御答弁いたします。
#57
○内田善利君 大臣の所信表明を聞きたいわけですから、局長さんからは具体的な問題をお聞きする必要はありません。
#58
○国務大臣(永井道雄君) それでは私から申し上げます。……これは五十四年度に義務化というのを実現しようというわけでございますが、年次計画で進めていく考えでございまして、特殊学級の方は十カ年計画、そして養護学校の方は七カ年計画ということで進めているわけでございます。その進め方というのは、一つは、それぞれの都道府県における養護学校の内容の充実、内容の充実というのは、当然まず教員の確保、それからカリキュラムの再検討、特にわが国におきまして、これまで特殊教育というものが十分に重視されてきたとは考えられませんので、そういう点を十分配慮いたしまして進めていくと。その過程におきまして、特殊学級あるいは養護学校だけを切り離して考えるのではなくて、一般の学校の一般教育、そういうところとの交流連携というものも強化して進めていくと。さらに、またいろいろバスの話なども考えますが、そのほかにいわゆる訪問教師の充実というようなものも考えていく。そういう形で現在家庭についてまだ養護学校の充実が足りないために来られないという人たちと、それから義務化が進みまして、そして学校ができましてもなおかつ医学的な理由で来られないというような人を訪問教師の制度によって非常に明確に突きとめ、学校に来ることができる人は全部収容するように、そういういろいろな角度から、この七カ年計画を養護学校について、また特殊学校については十カ年計画を進めている次第でございます。
#59
○内田善利君 次に、第二の高等学校の、高等教育の拡充整備についてですが、この中に「教員大学院大学、技術科学大学院の創設準備や、放送大学の実施調査、あるいは大学院の拡充整備等の諸施策を適切に取り進めてまいりたいと存じます。」ということですが、大学院をこうして拡充整備していくということなんですけれども、現在の大学の学生数と大学院の学生数の比率、これはどのようになっているのか。そして、このように大学院大学を創設準備、充実していく場合に、大学院が生涯教育あるいは再教育、こういった場所にされていかれるのかどうか。それから他の大学部の学生ですね、あるいは外国人学生、こういった者も大学院大学に門戸を開いていくべきじゃないかと、このように思いますが、この点はどうなのか、この二点お伺いしたいと思います。
#60
○政府委員(井内慶次郎君) 私から数字の方を御説明申し上げます。大学の学部学生の数と、大学院の学生の数の比率でございますが、わが国の場合、学部学生の二・九%が大学院学生ということになっております。
 大学院の入学の問題につきましては、学部卒あるいは学部卒と同様な能力を持っておるということで、若干の指定をいたしておるものがございますが、現在の大学院にはそのような学部卒並びにこれに準ずるものとして認定された者を入れるということでございます。なお、外国の留学生との関係におきましては、学部留学生として受け入れております者と大学院の研究留学生として受け入れております者と二様がございます。
 生涯教育という観点からは、大学が公開講座を行いますとか社会教育的な機能を果たしておる面はございますけれども、広く一般に開放するという点では正規の大学の学制といたしまして通信教育の学生制度を利用するとか、そういったことを現にやっておるわけでございます。なお、この数年間調査費等をいただき、あるいは実験番組を放送いたしまする経費等もいただきまして、テレビ・ラジオ等を利用いたしまして広く大学に学ぶチャンスを与えようということで放送大学の創設準備の仕事をやっておりますことは御案内のとおりでございますが、この点、五十年度におきましても既定の方針に従いまして実験番組を出しますとか、あるいはそういう問題に対しまする社会的需要がどういうふうにあるかとか、また、そのような形で大学教育をこなしてまいります際に教育的な問題としてどういう点を解明してまいらなければならないか、こういった問題等につきまして五十年度も調査研究を取り進めてまいりたい、大体そのように考えております。
#61
○委員長(内藤誉三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#62
○委員長(内藤誉三郎君) 速記を起こして。
#63
○内田善利君 次は、私学の問題ですけれども、その予算案によりますと、私立高等学校等経常費助成費補助という欄に都道府県による高等学校、中学校、小学校、幼稚園の経常費助成拡充のための誘導措置としての補助、こうなっておるわけですが、この経常費というのは、授業料については含むのか含まないのか、人件費あるいは学校にかかる経費ということだと思うんですが、東京都あるいはその他のところでは授業料の一部を父兄負担の軽減のために補助しているところがあるわけですね。そういうところを私は文部省としては非常に高く評価すべきだと思うんです。父兄負担の軽減ということから、また私学と公立高等学校との関係では非常に父兄負担が格差があるわけですから。そういった意味で今度のこの経常費補助というのはこういった面も含んで補助すべきであると思うんですが、いかがですか。
#64
○政府委員(今村武俊君) 高等学校以下について今度創設します経常費の補助金に関する経常費の定義はまだ確定的にきめておりません。しかし、私立大学等に関する経常費の補助が過去五年間予算計上されてきたこととの均衡において経常費の範囲についてはおのずから限定があろうかと思っております。私学に対する助成を考えます場合に、基本的に二つの方途があるように思います。一つは、学生及び保護者の経費負担という側面でございますし、他の一つは、学校法人の経営の改善に役立つ方策、そういう二つでございますが、経常費補助のねらっております力点は学校法人の経営費、経営を援助するという性質のものでございますので、学生あるいはその保護者に対する対策としては育英奨学事業その他の関係でございまして、今回の措置とはまた別個の問題として考えてよろしいのじゃないかと考えております。
 なお、八十億の配分の方法については、誘導策としてという抽象的な方向が決まっておりますだけで、なお具体的な問題については目下検討中でございます。
#65
○内田善利君 そうすると、父兄負担の軽減ということで授業料の補助といっても、学校法人に渡しておるわけですから、私はこれも含めて考慮していただきたいと、このように思うんですが、いかがですか。
#66
○政府委員(今村武俊君) この前、都道府県の私学の主管課長会議を開きましたときも、この経常費の範囲の問題をめぐりまして同じような問題をみんなで討議いたしました。それを経常費の範疇に加えてしかるべしという御意見もございましたが、過去五年間の私大経常費との兼ね合い、あるいはいま申し上げるような二つの考え方から、経常費に入れることは無理ではないかという議論もございました。目下、そういう点についていろいろ問題もございますし、配分の方法も、初年度のことでございますので、検討をしておるところでございます。
#67
○内田善利君 じゃ、そういった点も含めて検討しておられると、こう受けとめてよろしゅうございますね。
#68
○政府委員(今村武俊君) 検討の材料としては含めて検討いたしております。
#69
○内田善利君 その次は、私立大学と国公立大学との格差の問題ですけれども、いろいろな問題があろうかと思うんですが、まあ物価がこのように狂乱、非常に上がってきたことはひとしく国民皆が認めているところですが、文部省の四十九年十二月二十六日の調査では、平均四五%授業料その他の私立大学の学費が上がっているわけです。四五%と言いますと物価指数の値上がりをずっと上回っているわけですが、この点から考えてみましても赤字解消にはとうてい及ばないわけですが、こういった父兄負担の増大という面について文部大臣はどのようにお考えになっておりますか。また、その対策はどのようにお考えになっておるんでしょうか。
#70
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの授業料値上がりの比率というものが物価値上がりの比率よりも上回っているという御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございます。
 そこで、それはどうしてそうなるか。これは、それぞれの学校に当たってみないとよくわからない、また事情も違うところもありますが、一般的な点としては次のようなことがあるかと思います。つまり、私学の場合、もちろんいままでの赤字を解消して、そして新しい会計年度で均衡のとれた予算を編成したいという考えを持っているわけでありますが、同時に、私学の教育研究の内容が相当問題をはらんでおる。と言うのは、充実しておりませんでしたから。そこで、この際、年ごとに内容を充実していこうという要求もあるわけでございます。また、これまでの赤字の解消というものを考えなければならない学校もございます。そういうことが、補助金がありますにもかかわらず、授業料値上がり率というものが物価の値上がりの率よりも上回っている、そういう重要な要因であるかと考えております。
 そこで、父兄の負担をどうするかという問題でございますが、これはもちろん私たちが考えますことは、国・公・私、どこに学生が行っておりましても父兄の負担が本当は同じようであるということが望ましいわけでありますが、それに簡単には到達できない。そこで、現在は私立大学に対する経常費の助成を行っておりますが、他方、こういうことも考えるわけです。それは、私立大学で勉強いたします学生諸君に対する奨学資金というものをことしは学部段階におきましては、国立では大学院だけ考えましたが、私学の場合には大幅に増加をいたしました。それはやはり経済的な面において学力優秀であるにもかかわらず勉学がしにくいという学生諸君に対する国家の補助でありまして、こういう形で、政府としてでき得る限り父兄負担、特に社会的公正が重要でございますから、家計上苦しくなおすぐれた人材があるようなそういう人については経常費助成のほかにさらに育英資金というものを考えて、私学の学生が機会均等に近い状況に少しでも近づくように、こういうふうに考えて施策いたしておる次第でございます。
#71
○内田善利君 これは大臣がおっしゃるように、いまは非常に教育の機会均等が破れておるわけですが、憲法の二十六条、教育基本法の第三条は「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」このように決めておるわけですけれども、現状は非常に差別が大きいわけですね。こういったことから考えても、いま大臣はそういったことを少しでもなくするために対策を講じておるという答弁を承ったわけですが、私は今度幼稚園に至るまでの助成ということになったわけですが、これをまた五カ年で二分の一補助まで持っていくという構想ですが、教育の機会均等ということから私学助成ということでなくて、もう私学の国庫負担という論理にまで飛躍していくべきじゃないかと、高揚していくべきじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか、何か問題がございますか。
#72
○国務大臣(永井道雄君) 私はいまの御見解というものも非常に重要と思いますけれども、ともすればわが国で私学を充実しよう、あるいは国庫補助をしようというときに、国立に右へならえという考え方が強いのであります。そこで、国立のようになればよろしいということでありますけれども、私はそれに若干の疑問を抱いております。と言いますのは、国庫に完全に依存するという姿で大学の自主的運営というものが果たして万全を期し得るかという疑問があるわけです。したがいまして、ただいまの御提言は国庫負担、まあ完全負担というふうにはおっしゃいませんでしたが、負担というふうにおっしゃいましたが、私は、大学を充実していく方向といたしましては、私学を国立のようにしてしまうというのではなくて、やはり補助はしますが、でき得る限り自主的経営ができるようにする。また、中教審答申の新しい大学と設置形態の中に、国公立についてもいままでとは違う姿を考えるというのがございまして、四十六年に答申が出てから今日までこの案というものは具体化されておりませんけれども、しかしながら、そういう方向を考えていくということもきわめて重要であるかと考えております。
#73
○内田善利君 私学に対する寄付金ですね、この問題を文部省はどのようにお考えなのか。もう少し安定した方法で、寄付金によってもう少し財政を安定していくという考え方はどうなのか。
 それともう一つは教育控除、税対策として教育控除みたいなものをつくる考えはないかどうか。
 この二点をお伺いしたいと思います。
#74
○政府委員(今村武俊君) 前段の私学に対する寄付金は、現在の制度では日本私学振興財団を通じて私学へ寄付されるものについてはすべて免税となっております。寄付金が私学に対して行われるような習慣がもっともっとできればよろしいと思っております。なお、昨年一万円以上の私学に対する個人の寄付金についても免税とされました。
 次の問題は何でございましたか。
#75
○内田善利君 教育控除。
#76
○政府委員(今村武俊君) 教育控除の問題につきましては、年々歳々税制改正の問題として文部省としては提案をし、大蔵省の検討を願っておるところでございます。
#77
○矢原秀男君 時間の関係で一点だけにしぼって質問したいと思います。
 いまどこへ行きましても、御父兄の方といろんなお話をしておりますと、高校入学に対するそういういろんな子の心配をこの一カ月間相談を受けたわけでございます。これは全国的に見ても非常に大変な状態でございますが、高校生の実態を見ておりましても、高校の生徒数が四百二十八万一千人おります。このうち全日制が四百万二千人、前年より〇・六%ほど高いわけでございます。こういう中で国立が〇・二%、公立が六九・二%、私立が三〇・六%でございます。学校数についても、四千九百十六校あるわけでございますが、文部省の高校以下の四十九年度学校基本調査の結果を見ておりますと、小学校にベビーブームの波が訪れて、十年ぶりに一千万人の小学生ができた、こういう報告があるわけでございます。また、中学校については、四百七十三万六千人、こういうふうな事態でございますが、まず、ここで一番心配することは、中学の浪人というものが量産される危険性があるのではないか、こういうことでございます。
 で、この問題については、私の調査もまた名古屋大学助教授の潮木先生のいろいろ言をかりておりますと、中学浪人量産の危険性として、公立高校の入試を締め切ってみたところが、たとえば不合格者が出てくる。こうなってくると、私立高校が公立のあぶれたものを押しつけられてはかなわない、こういうことで私学をそういう形で公立の補完物と考えることはけしからぬ、こういうふうなことは、われわれがいつも聞くことでございます。そういう中で文部省の私も報告を受けておりますと、現在中学より高校への進学率は、確かに九〇%を超えるように高いものを示しております。これは私がおります兵庫県でも九二%になっております。きょうの各新聞見ておりますと、東京都でも将来は九五%から九七%にいくのではないか、こういうことを報道しております。こういう中で中学浪人の四十七年、四十八年度の実態を少しだけ伺っておりますと、四十九年の三月、中学校の卒業者数が百六十二万三千五百二十七人、そうして入学志願者数が百四十九万七千九百六十六人、四十九年の四月に入学した方が百四十七万三千八百四十五人、結局この大ざっぱな数字だけでも進学はしたいけれども落ちていく人が二万四千百二十一人という数字が出ております。これ以外に細かい分析をいたしますと、こういう物価値上がりの中で私学にいけば家計がもたない、そういうことで学校の内容等は別といたしまして、お金の面から見ても、できれば公立にいって家庭の負担を少なくしたい、こういう数を推定を入れますと、非常に大きな量になるわけでございます。そういう問題を考えておりますと、まず、文部大臣にお伺いしたいのでございますが、こういう中学浪人量産の危険性というものが数字的にも明らかになると思うのでございますが、その実態の中から将来どういうふうに考えていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(永井道雄君) 現在、高等学校の進学をいたします人たちの数は九〇%に達しましたが、高等学校に入学したいけれども、収容し切れないというパーセンテージは二%でございます。これが将来二%以上になって、そしてさらに公立学校というものを非常に急速に必要とするんではないかという説もあります。
 で、名古屋大学の潮木先生からの御引用がございましたが、これにつきましてはいろいろな角度から考えなければいけないと思います。といいますのは、かつて昭和三十七年から四十年の段階におきまして、学校新増設が必要でありましたのはベビーブーム時代でございます。これは全国的現象であります。今日問題になっておりますのは、人口急増地域における問題であります。そこで、人口急増地域における高校進学者がどうなっているかということを考えながら長期計画を立てるわけでありますが、この長期計画を立てるときに、二つぐらいの基本的な要件というものがございます。一つは、将来の人口急増地域における人口動態、すなわち農村地域から大都市への集中というものがこれまでと同じように起こっていくと、すなわちこれまでと同じようにどんどん大都市地域の人口はふえる、ふえるかどうかという問題であります。で、潮木先生のお考えは、推計はこれまでのふえ方と同じようなふえ方をするという上での推計を行っておられますが、この人口動態の今後の推計というものは他の角度からすることも非常に必要でございますのは、今日わが国の経済が安定成長期に入って、また他方、都市からの工場、会社の分散ということも考えられておりますから、従来の人口動態の上に推計するのでなく、従来とは違う基準による推計というものも考えなければなりません。
 次に、もう一つの要因というのは、要するに上級学校への進学率の伸びというものが従来と同じような姿で伸びていくということで一つの推計ができますが、これにつきましても、果たして従来と同じようなふうにふえていくかということを十分計算しなければならないと思います。と言いますのは、私は潮木先生の考え方を全部否定しているというのではなくて、その二つの要因から推計するということはきわめて重要だと思っておりますが、これは今日の社会経済が相当の変化の時期に入っておりますから、推計というものは、諸要因を勘案いたしましてきわめて弾力的に行いながら長期計画を立てなければならないと思います。で、私どもでは、いまそのような形で推計試算というものをいろいろ行っておりまして、必要に応じて御説明申し上げますが、われわれが立てております推計でまいりますというと、現在これから起こってくる、また現在起こっております公立高等学校新増設に対する措置といたしましては起債を考えておりますが、この起債で十分賄い得るというところまで予算を立てまして進んでいるわけでございます。そこで、中学浪人というものが非常に深刻になるんではないかと、現在も二%は進み得ない人がおりますから、そういう人たちのことは十分考えなきゃいけませんが、しかし、非常に深刻になるという事態を防ぎ得るのではないかというふうに考えております。
#79
○矢原秀男君 まあ文部大臣は、今後の高校入学に対してはやはり新増設、建設の問題、そういう中で起債で十分賄えるとの考えというものを披瀝していただきました。私も、こういう入学難の中からやはり高校というものは増設をしていかなくてはならない、こういう考え方です。そういう意味から、昭和五十年度の文部省の公・私立高等学校新増設、建物の整備の予算要求をかつて大蔵省にいたしました。そのときに補助として、初めてでございますけれども、七十億三千六百万円を要求したわけです。これが大蔵省でゼロになった。私は、文部省として、三木総理のもとで初めて永井文部大臣が大きな非常に脚光を浴びながら、文教というものが中心という政治の印象を受けたわけでございますが、肝心の高校に対して七十億の予算要求をしながらゼロにばっさりやられている。こういう問題を考えると、私、これは文部大臣もう少し腰を強く、そうして政府に向かってやらなくちゃいけないんじゃないか。要求そのものが私は画期的で非常によいと思うんです。そうしないと、実際にいま楽観的に文部大臣は、中学の問題そういう件から高等学校に対してのいろんなお話を私そういうふうに受けとめたわけでございますけれども、実は予算要求のこの額だけを見ましても非常に事は重大でございます。そのゼロについてなぜ大蔵省にこの問題については国民が皆この入学難、進学については注目しているわけですから、なぜゼロ査定の中で引っ込んでいったのか、その理由というものを伺いたいと思います。
#80
○政府委員(今村武俊君) 今回の高等学校の急増問題が全国的な問題ではなくって、人口急増地域の局地的な問題であることは大臣が御説明したとおりでございますが、しかし、それにもかかわらず、局所的に見ると相当な問題でございます。したがって、従来は、高等学校につきましては、設置者である都道府県あるいは市等の責任においてなされることを前提として起債措置等について措置をしてまいったわけでございますが、この際、国庫補助金を予算要求してさらにその勢いを促進する必要があると考えて予算要求はいたしました。七十億、三分の一補助でございますから二百十億の事業規模を想定したわけでございますが、しかし、予算折衝の経過において、多くの予算項目のうちで取捨選択をしなければ予算折衝が成り立ちません。その経過の中で、大蔵省、自治省とも協議いたしまして、従来のたてまえである都道府県が財源措置をするということを前提にしながら、二百十億の規模を、なお実態を考慮して三百億の起債の枠をつける。しかも、起債の地方債計画の中で一本柱を立てるということにいたしまして決着にしたわけでございます。三百億をもってすれば当面の緊急の場はしのげるのであろうと予測しておりますが、結局、地方公共団体にいくお金は三百億ということでございまして、それで現実にしのげる、従来の体制も維持できると。補助金を出すことによって関係者の注目も引いたというあたりで、結局、予算の取捨選択の中での裁量として最終的に決定をしたわけでございます。
#81
○矢原秀男君 文部大臣も、先ほどは起債で賄えると、そして、いまも起債の面で三百億を確保したと、こういうことでございますが、高等学校における地方債については、昭和四十七年には二百億、四十八年が二百六十四億ですね、起債は。四十九年はちょとあれですけれども、そして、五十年度は三百億円と、こうでしょう。これは、地方債というのは、いままでの学校建設の中で、やはり、こういう激化する受験争以前の問題の中ですでに地方債というものが五十年度の地方債は認められた金額よりは少しはパーセント的には少ないけれども、すでにこれは当然増としての枠組みの中なんです。その枠組みを承知の中で補助金七十億というものを要求しているんだから、文部省はっきりしているじゃないですか。それを七十億がだめだったから逆に三百億の地方債を受けている、こういうふうなニュアンスの考え方はこれは進学の子供さんを持っている国民の方々に対して私はちょっと軽はずみな言葉である、誠意がない、こういうことを感じるわけです。と申し上げますのは、全国の知事会がまとめた高校の新増設の昭和五十年度分の建物面積は七十九万二千二百十五平方メートルを要求しているのです、第一線では、一カ年ですよ。しかし、文部省のデータを見ると、五十年と五十一年の二カ年合わせて二十五万平方メートルとして計算しているのです。単年度で見れば全国知事会の六分の一弱しか見ていないのです。このようになぜ文部省の考え方と現地のそういうふうな第一線の父兄の声を吸い上げたそういう都道府県の考え方が大きな違いがあるかというのです。その説明をしてください。
#82
○政府委員(今村武俊君) 初めに、起債の枠の問題でございますが、昭和四十九年度は地方債計画の中に一般単独事業、その中に細項目である一般事業の備考欄に高校急増対策として六十億という枠が書かれていたわけでございます。それを今回は一般事業と並んで新しい柱を一本起こして前年度の六十億に対して二百四十億円増の三百億円の枠を設定したわけでございます。これは事実関係でございますから申し上げておきたいと思います。
 それから知事会の予算積算要求は私ども拝見をいたしました。そして事務的にいろいろ細目を検討いたしました。知事会におきましては高等学校の学級数、既存の学校における学級数の増などを相当大幅に見込んでございましたが、私どもとしては、そういうものについては都道府県の財政事情その他考えてみて、まだ高等学校の建物の建設費について都道府県に負担能力もあることでございますし、それに伴って必要なすべての経費を国庫補助する必要はないというので、建物の新設に伴う経費を主として積算をいたしましたために面積が違っておるわけでございます。
#83
○矢原秀男君 いま私は、第一線の都道府県の要求、それから自治省、文部省の三百億円の起債の計算方法、こういうものを比べておるわけでございますが、自治省と文部省ではやはり一般単独事業債のこの高等学校整備事業三百億円の内容について計算方法を見ておりますと、やはり少し算定の仕方が、どこで狂っているのか、違っておりますね。で、自治省のほうでは五十一万平米掛ける単価の八万四千四百円掛ける充当率が〇・七、これで三百一億三千万円を計上しておりますね。ところが、文部省のほうのこの計算で一つだけ見ておりましても、すでに充当率が〇・八とこう見でいるわけですね。ここでもすでに違いがきている。そしていま高校の地元の全国知事会の調査によっても、いま学級数の問題を出されましたが、学校の建設だけにいたしましても五十一年度の開設校だけでも文部省では四十八、そうして地元は六十九校要求している。二十一校のマイナスがあるわけです。ですから、四十九、五十年、五十一年度の開設の地元の要望が百九十四校、文部省は百七十二なんですね、二十二枚足りないわけです。このいうふうに、文部省や自治省や、そうして地元の考え方というものは非常に差が出てきているわけです。私はこういうふうな傾向の中で、いまお話がございましたが、都道府県は高校教育に対する建設に対しての余力がある、力があると言われておりますが、これは、私も市会、県会におりまして、非常にたいへんな財政負担である、こういうことをはだの上から認識をしておりますので、一様にそういうふうに簡単に言われておる、そういうことは納得できないわけでございます。
 こういう中で、私が結論的にお願いしたいのは、高校が九〇%を超えた現在、全入制をとるべきではないか、こういう考え方でございますけれども、簡単に文部大臣、このことだけを答弁していただきたいと思います。
#84
○国務大臣(永井道雄君) 全入制というのは、先ほど申し上げました二%ですね、つまり志願する人の九八%が入っておるわけですが、後の二%を収容しきれないという問題でございます。これはもちろん、二%を収容しきるようにわれわれは都道府県と協力して、努力していくべきものだと考えております。
#85
○矢原秀男君 じゃ最後に、時間も過ぎておりますので、最後にまとめて質問いたしますが、そうなってまいりますと、明確な五カ年計画を、都道府県にやはり話し合いをすることが一つはやはり必要だと思います。
 それから二点目には、どうしても財政的な国の負担、そういうふうな経費の問題について、たとえば校舎の新築及び増築に対する経費は、国の負担として、経費の二分の一を見なくてはならない、そういう点をどういうふうに考えるか。
 それから屋内運動場の新築及び増築に対する経費も、やはり将来は二分の一ぐらいは見ていかなくてはならない、また、危険物の改築に要する経費も二分一までの線までは持っていくべきではないか、そうしていま地元が要望しておりますのは、地方の特別交付税に対する所要の措置をさらにやってほしいと、いま学校にはございませんね。そういう特別の交付税というものを要求しておる、この点についてお願いしたいと思います。
#86
○政府委員(今村武俊君) 私どもが計画を立てます場合も、単に抽象的に全国的な推定をしたのでは実態に合いませんので、都道府県から五カ年に関する見通し、計画をとった上で計算をしたわけでございます。今後の事態に即応いたしまして、補助金の問題補助率の問題あるいは特別交付税の問題等々、具体的な実態の推移に応じて、いろいろ検討してまいりたいと存じます。
#87
○加藤進君 文部大臣は今年度の教育行政の最重点として、私学問題を取り上げられております。これは結構だと思います。所信表明によりますと、その私学問題とは私学助成に尽きるというような感じを持つわけでございまして、ほとんどが私学助成にいわば言い尽くされておるわけであります。
 そこでお聞きしますけれども、私学助成さえしておれば私学そのものの振興はできると、こういうふうにお考えになっておるかどうか、その点をまず最初に確かめておきたいと思います。
#88
○国務大臣(永井道雄君) もちろん財政措置というものは非常に重要でありますから、それに力を注ぐわけでありますが、私学振興というのは、本来私学というものは、基本的に建学の精神というものを持って、特色ある教育を行うわけでありますから、建学の精神に基づいて特色ある教育ないしは研究を行うのにふさわしい、また、それを行いやすい条件をつけるという意味において財政援助をいたしているわけでありまして、私学振興というのは、ただ金が私学に渡れば済むというものとは考えてはおりません。
#89
○加藤進君 そこで、私はこの私学がそれぞれの特色を生かしながら、しかも管理運営、教学について誤りなき、やはり方向を進めていかなくてはならない、こういう立場から、きょうは特に去る二月十五日に起こりました多摩美術大学の学長解雇という問題についてお尋ねしたいと思います。
 文部省からの事情聴取によりますと、理事長側の説明では、昭和四十九年四月二十五日で真下学長の任期は終了したと、こういうことになっています。昨年です。しかも、その後正式に学長は決まっておりません。学長代行はといえば学長代行も決まっておらないわけであります。つまり、理事長側の話によると、昭和四十九年の四月から今日まで多摩美術大学には学長も学長代行もいない、こういうことになるわけであります。ところで学校教育法第五十八条においては、御承知のとおり、「大学には学長、教授、助手及び事務職員を置かなければならない。」と定めています。理事者側の説明のとおりだとすれば、このように学校教育法に「置かなければならない。」と規定されています。しかも、学生の入学、退学などというような重大問題においては、その責任を持ち、学校の校務をつかさどる最高の責任者である学長でございますが、これが十カ月にわたって存在しない、こういう大学があってもいいのかどうなのか、文部省の御見解をお尋ねしたいと思います。
#90
○国務大臣(永井道雄君) 政府委員からお答えいたします。
#91
○政府委員(今村武俊君) 学長のいない大学はあってしかるべきではないと思います。
#92
○加藤進君 そこで、一体文部省への届け出では、多摩美術大学の学長はだれになっておるんでしょうか。
#93
○政府委員(今村武俊君) 現在のところ、その文部省への届け出は、私はまだ確認いたしておりません。
#94
○加藤進君 大学側からそのような書類は全く出ておらないと、こういうふうに理解していいですか。
#95
○政府委員(今村武俊君) 学長を定めたときは報告があることになっておりますが、まだ私がその書類を見ていないというだけの事実でございます。
#96
○加藤進君 ここに多摩大学から文部省に対して提出した書類がありますよ。名称、多摩美術大学、代表者職氏名学長真下信一、これ文部省の書類ですよ。これわからないというのですか、知らないというのですか。
#97
○政府委員(今村武俊君) たまたま私がそれをまだ見ていなかったというだけでございます。
#98
○加藤進君 文部省の担当者がそういうことを見ておらないということで、これ国会の審議済ましてはこれ大変だと思うんです。直ちに連絡して、そういう事実があるかどうか明らかにしてください。
#99
○政府委員(今村武俊君) 文部省に来ているはずの書類でございますから、見て、次の機会に御報告いたします。
#100
○加藤進君 私はすでに数日前に、文部省の方々から事情聴取をしたんです。文部省はその点は御存じだと思うんです。私がどのような問題に関心を払っているかということについては少なくとも御存じのはずです。それに対して十分答えられるべき基本資料も持っていない。こういうようなことでは私は困ると思うんです。
 そこで、話を続けますけれども、理事長側では、一方では、真下学長は昭和四十九年四月二十六日以降学長ではない、学長はいない、こう言いながら、もう一方では、学長を真下信一氏として届け出を現に文部省に出している。そもそも理事長みずからがこれを行っておるんです。つまり、理事者側の説明どおりだとするなら理事長は文部省に対してこれは二枚舌を使っておると言わなくちゃならぬ。そうでしょう。うそを言っているか、それともまた文部省への届け出は正しくて、理事者自身がこういう事実でないことを外部に言いふらしている、そのいずれかであると思う。こうした態度が大学を運営し、あるいは大学の法人を担当しておる、責任を持っておる立場の理事長としていいのかどうか。
#101
○政府委員(今村武俊君) 先生がこの問題について関心をお持ちのことはあらかじめ知っております。私も関係者から事情はまあ自分自身としては十分聞いたつもりでありまして、学長の関係者の言うには理事長が理事長でないんだと、理事長のほうが言うには学長は学長でないんだと、こう言いますし、それぞれまた理由も根拠もあるようでございまして、実にまたわからない話だと思っているようなところでございます。
#102
○加藤進君 全くそうでしょう。しかし、文部大臣、大学の学長の所管はこれは大学局じゃないですか、大学局長はどうしているんです。黙っているんですか。
#103
○政府委員(井内慶次郎君) 大学局の方で把握いたしておりますのは、多摩美術大学の学長は、昭和四十九年四月二十五日に真下氏の任期満了に伴い、同年四月二十六日に同大学学長選考規程により、選挙人委員会において真下氏を学長候補者として選出したが、学校法人の評議員会において理事長より選挙手続等に疑義があるとの指摘があり、決定を保留し、今日に至っておるというふうに理解しております。
 なお、昭和四十九年の四月二十六日以降学長が欠け、大学の業務に支障を来たすので、理事会では後任学長決定まで真下氏を学長として扱うこととしておると、このように私どもは承知しておるわけであります。
#104
○加藤進君 全くこれはおかしいことじゃないですか。理事長はもう学長が選ばれてもそれは認めていない。しかし、そうしておけば都合が悪いから、まあ事実上は学長として認める、こういうことが、事、私立大学に――これからは大いに私学を振興させる、そのための助成を行わなくてはならぬ、こう言っておる私立大学において行われておる、こういう点について、永井文部大臣どういうふうにお考えになるでしょうか。
#105
○国務大臣(永井道雄君) この問題は、私が理解しますのでは次のようなことであります。
 昭和四十八年度の入学者決定の際に不正があったという投書が各理事にあって、大学で調査して不正の事実判明、そこで本年の二月十五日査問委員会を開催いたしまして、この事件に関与したものとして真下信一教授、山脇国利教授を多摩美術大学教職員任命規則第十八条第五号の規定によって解任することと決定し、査問委員会の決定により、同日、理事長は両氏に対し解任する旨を通知いたしました。ここまでですと単純なんですけれども、それ以外のことがあるわけです。一方、五人の理事は、二月二十五日、理事会を開催いたしました。これは査問委員会の十日後であります。査問委員会の設置、教員の解任は、理事会、教授会に諮らず行われたものであり、無効であると決定いたしました。そこで、今回の解任処分について真下、山脇両氏が昭和五十年二月二十五日、東京地方裁判所に対して地位保全の仮処分の申請を出しております。そこで文部省といたしましては、こういう問題についてどういうふうにするかというと、いまのような形で理事会の内部に二つの決定が行われておりまして、そして裁判所に仮処分の地位保全の要求が出ているわけでありますから、これをまず見守らなければならない、かように考えております。
#106
○加藤進君 その点につきましては、結論的にそういう文部省の見解が果たして成り立つかどうか、こういうことがわかってくると思います。
 そこで、いま申し上げた問題の第一点は何かと言えば、昭和四十九年四月の学長選挙についてであります。理事長側の説明によりますと、任期終了後学長選挙によって真下氏が学長として選ばれて、そうして評議員会の同意を得るという段階で理事長からこれにクレームがついた、そしてそのままになっているということであります。そのままです、クレームがついたままになっている。しかも、その後何らの決着もつけられないままそれが放置されている、こういう一つの問題があります。
 第二には、今回の解雇についてです。これも理事者側の説明によりますと、多摩美術大学の教職員任命規則第十八条第五項です、先ほどの、これに基づいて解雇をしたとされています。そこで、しかもそれは理事長が教授会や理事会に諮ってやったんじゃないんです。諮ってないんです。独断で査問委員を委嘱したんです。教授会、理事会にはこのことを諮ることなく解雇を決定したわけであります。しかも理事長名で解雇の通知はなされておるわけであります、理事長名で。こういう二つの点から明らかになっておることは何かという点であります。
 学長選挙で送ばれた者が、理事長のクレームでそのまま放置される。学長に選ばれた者が、理事長のクレームがあればそのまま放置される。しかも長期にわたって、十カ月にわたって選挙結果が無視されておる。これが第一点です。その上に、決着をつけるための理事会は、理事長が開こうとしていない。開いてないんですよ、理事会を、招集してないんです。
 また、いやしくも大学の学長、教授が、教授会や理事会の全く知らないところで、理事長のみの判断で解雇をされる。理事長の判断ですよ、理事会じゃないんです、招集してないですから。こういうことが、およそ大学としてこの状態をいいと思われるのかどうか、正常だと思われるのかどうか、こういう点についてはっきりと見解をお伺いしたい。
#107
○政府委員(今村武俊君) 大学局長と管理局長と、それぞれ所管事項が違うような点もございますし、また似たような点もございますので、私の方でも若干お答えしてもよろしいんじゃないかと思っているわけです。
 というのは、管理局の仕事に、学校法人の管理について指導、助言を与えることというのがございます。理事会の運営とかあるいは学長の任免とかいうことについて指導、助言をする権限が法制上あるように思いますので、私からお答えしてもよろしゅうございましょうか。
#108
○加藤進君 簡潔にお願いいたします。
#109
○政府委員(今村武俊君) はい。
 国立学校の運営になれている――そのことについていささか承知している私どもの観点から見れば、意外な事実が私立学校にはございます。しかし、私立学校の管理運営については、私立学校の自治が尊重されなければならないので、私どもが持っている常識をもって直ちに私立学校に一々干渉するというようなことになりましてはまた大学の自治に関する干渉になり過ぎるのではないだろうかというようなことで、任免規則、学則その他の規則を点検いたしてみますと、これまた、それらに、あちこちに脱漏があると申しますか、教授会にも諮らないで免職にすることができるような根拠規定もあるわけでございます。まあ言葉が悪いんですけれども、妙な、まあ私どもの常識ではわからないようなことがあり縛るような根拠のある学校になっておるように思います。
#110
○加藤進君 そこで、そんな状態でいいのかということなんです。たとえば、ここでいま出されました教職員任免規則というのがあります。確かにそれを読むと、何かその理事長の権限でやり得るようにも書いてある。そこで私が聞くのは、そういう事柄は全部私学の自主性に任せるんだと、文部省は何らこれに対して関与できない、やれば内政干渉だなどということが言われるのかどうかと。私は教職員任免規則、この任免規則を生かすための前提があると思うんです。法人としては何でございましょうか、これは。寄付行為でしょう。法人としては寄付行為じゃないのか。前提には寄付行為があります。学校としては、大学では学則がありますよ。そうでしょう。この法人としての寄付行為、大学における学則、この位置づけが問題なんであります。こういう前提の上に、これと矛盾しない体系の中でこのような教職員任免規則ができておるというならこれはまだわかります。しかし、全然矛盾したことがやられている。となれば、一体どちらを取り、どちらを基準にしたらいいかという問題でしょう。どうですか、どちらを基準にしますか。
#111
○政府委員(今村武俊君) 私立学校法、私立学校法に定める寄付行為、あるいは学校教育法の体系で定める学則、そういうものが基本になると思いますが、その次に、学校の内部で定めておる規定を一々私どもが取り上げてそれがどうのこうのといってよろしいものだろうか悪いものだろうかというのが、まあ指導、助言の内容になるわけでございますけれども、本当に私はこれはむずかしい問題だと思います。非常にデリケートな問題で、いま事情を聞いて、お話を伺いながら、そしてまあ驚きながら、指導、助言の内容をいかにすべきかということについて考え込んでおるという感じでございます。
#112
○加藤進君 私は、教職員任免規則が、実は私たちの手元にないとか、あるいは十分目を通してないとかということはあり得ると思うんです、これは文部省としては。しかし、文部省は、絶対にこれは存じませんと言えないのは、法人においては寄付行為、それから大学においては学則でしょう。これにもとるかもとらないかという観点だけは、どのような指導、助言をやるかは別ですよ。指導助言をするという立場に立つ文部省からいうなら、学則を尊重し、あるいは寄付行為を尊重する、こういうたてまえは当然とらなくちゃならないし、立たなくちゃならぬと思いますが、その点はどうですか。これは文部大臣、たいへん恐縮ですが、文部大臣にひとつお答え願いたい。
#113
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘の点、いまおっしゃいました点までまことにそのとおりであると考えます。
#114
○加藤進君 改めて申し上げますけれども、多摩美術大学の寄付行為によると、次のような明文があります。「本法人の業務の決定は理事会において行う」と、理事会ですよ。「理事会において行う」という当然なことが規定されている。個人じゃないんです。理事長個人が法人の業務の決定を行うことは、これは許されないと思いますけれども、この寄付行為に照らしてどうでございましょうか、その点。
#115
○政府委員(今村武俊君) 寄付行為に書いてある事項はまさにそのとおり考えられなければいけないと考えます。
#116
○加藤進君 御名答でございます。理事会なんですよ、これはね。そのとおりです。
 もう一つ、学則によりますと、「各科の科長をもって協議会を組織し」、その協議会で「教授及び助教授等々の任免に関する事項を審議する。」となっています。審議するんですよ。これは寄付行為や学則に明記してあります。しかもその寄付行為や学則は文部省の認可、届け出事項になっておるはずでございますけれども、それはそのとおりでしょうね。
#117
○政府委員(今村武俊君) そのとおりでございます。
#118
○加藤進君 しかも、そういうことになりますと、教職員任免規則というのは学則の中の細則である、こういうふうな位置づけをして私は当然だと思います。法律で言うならば、各法というものは憲法に基づいて定められなければならないし、各規則は各法に基づいて定められなくてはならぬ、これがやっぱり基本だと思います。これと同様に、学校法人にあっては寄付行為、大学にあっては学則に基づいて各規則が定められなくてはならないのでありまして、この点について、もしこの寄付行為や学則にもとるようなことがあり、あるいは発生した場合には、文部省はどのような指導、助言を行われるのであるか、この点をお聞きしたいと思います。
#119
○政府委員(今村武俊君) まさにその点が私は問題だと思っているわけでございます。車道、歩道の区別のない道路では右側を歩くべしという規定があるけれども、左側を歩く人もいる。寄付行為にはこう書いてあるけれども、それでない慣習があると、そういう話は私どもは正式には届け出も何もないわけですから、ある人からの情報によって聞くわけです。その情報を聞いた場合に、あなたのところでは寄付行為や学則に違反することがあるのではないかと言って調査に行くというようなことをしてよろしいものであろうか、その辺がいままで余りケースのないことだけに、私はこのケースは、この多摩美大の問題はおかしいと思いますけれども、これを一般に他に適用した場合に文部省の態度としてよろしいのであろうか、どうだろうかと、よほど慎重に考えなければいけないんじゃないかというところで、いま考え込んでおると申し上げておるわけでございます。
#120
○加藤進君 文部大臣、担当官がそんなところで慎重に慎重にと言って足を一歩も出られないという状態では、これは指導、助言にはなりませんね。私はもう少し真剣にやってもらいたいと思います。文部省がしっかりと、これは認可した、あるいはこれを認めた、こういう学則や寄付行為に対して、これにもとるようないわば細則ができたり、それに基づいて遠慮会釈なく独断専行が行われるなどというようなことを許しておいたら、これは事教学の基本に関する問題ではないでしょうか、そこを私は強調したいと思います。そこに今回の問題があるということなんであります。越権行為をやっておるわけであります。当然守るべき規定に基づかないで、そのもとでつくられた細則に基づいて、しかもこれは理事長の都合のいいような、つくられた細則に基づいて処理すると、こういうことは私は許してはならぬと考えます。しかも今回の解雇は、学校法人については理事長が理事会の決定もしないで、あるいは理事会を無視して、独断で事を進めたということ、大学にあっては教授会、協議会の決定、審議もしないで一方的に大学の人事に介入するということが行われたわけでありまして、この点は私は重大だと思います。その点に対して文部省は一体どういうふうな態度をとられるのか、もしこういうことを文部省が許されるとするならば、事柄は私は重大だという点から見て、私学の問題は単に助成の問題というふうに限るべきものではないと、一番最初に申し上げたのはその点なのであります。
#121
○国務大臣(永井道雄君) 先ほど管理局長がちゅうちょして考え込んでいると言われましたが、真剣に考えているわけであります。そのことは申し上げておきたいと思います。と言いますのは、私立大学というものの自主性というものは非常に大事である。お言葉のように寄付行為、学則に基づきまして学校の理事というものが当然理事会において討論をいたしまして、そして学校の方針というものを決めていく、こうした事柄に対して文部省というものが干渉したりするということは厳に慎まなければなければならないわけでございます。しかし、御指摘のように今回のケースというのは非常に特異なものがあるということは私たちも十分に認識しておりますから、管理局長は、従来の文部省がとってまいりましたそうした原則的な立場、それとの関連においていかにすべきかということを申し上げたのだと私は考えております。
 そこで、この問題につきましてどうするかということでありますが、これにつきましては、私はやはり何よりも実情というものを明確に把握するということがきわめて大事だと。特に今日の御質問を伺ってさように思いましたので、まず私たちとしては、実情の十分なる把握に努めました上で、その上でどのように文部省として対処するか、こういうふうな手順で進めたいと思います。これは、私もですからそういう意味において考え込んでいるという面を持っておりますが、しかし、それは消極的な意味でなく、やはりわが国の私立大学の自主性、これに対する文部省の関係というものは非常に慎重でなければなりませんから、だからといって何もしないということではない。しかし、そうしたいままでのあり方というものに仮に反するようなことで前例になるようなことがあるといけませんから、まず実態の把握に努めたいと、かように考えております。
#122
○加藤進君 多摩美術大学の細則の中にこういう文句があるという、「大学とは理事長をいう」。こんなことを大学の細則の中にうたわせるなどということを放任しておいては、「大学とは理事長をいう」というのですから、理事長は大学について遠慮会釈なくこれは介入できますね。こういうことを許しておいたら、一体私立大学における教学とは何であるかと言わなくてはならない。そういう点が今度の問題としてきわめて明確になっておるという点が私は指摘できると思うんであります。そこで、言うまでもないことでございますけれども、大学の代表者は理事長ではなく学長であることはこれは明白ですね。その点明白なようですけれども、一言お答えください。
#123
○政府委員(今村武俊君) 教育機関としての大学とその大学を設置する学校法人、その二つに分けて考えた場合に、大学の代表者は学長であり、その設置する法人の代表者は理事長であるというのが通念でございます。
#124
○加藤進君 ですから、理事長個人がどのように考えられようと、大学は自分のものだと考えておられようと、しかし、教授会や協議会を離れて独断で大学の教員の人事を左右できるような規定というのは、これは私は放置しておけば学問の自由、大学の自治に直接かかわる重大問題だと思うんです。これは一大学の私事であって、こんな問題について文部省は手が及ばぬなどというようなことで私は済ましてはならぬと考えますけれども、その点を憲法、教育基本法の精神に基づいてどうあるべきかという観点に立つならば、私は、このような点についての指導、助言は文部省として当然なさるべきである、こういうふうに考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#125
○政府委員(今村武俊君) いろいろ常識では考えられない事態が起こってまいっておりまして、学長が当初任命されたときは理事長が独断でという形になりますが、選考委員会の議を経ずして、学長選考の手続を経ずして任命されておる。そして任期があるようなないようなことで、二年ごとに学長選考の手続を経ている。当初は学長の任命の手続を経ないで任命される、更新のときだけ手続を経ているというようなところも不思議なわけでございまして、そのあたり本当にもう少し実態をこの規則等に照らして慎重に審査する期間を与えていただきませんと、いま物を言うことがかえって災いになるのではないかと心配いたします。
#126
○加藤進君 私が最初に永井文部大臣に、私学の問題は私学助成に限るのかとあえて言ったのは、このような問題が今日私立大学の内部にはあるのであって、しかも多摩美術大学だけに限ることではないと、こういうことを私たちは銘記しなくてはならぬと思うのです。そのために、文部省としてとるべき道は何かといえば、そのようなことが憲法と教育基本法の精神に基づいて許されるかどうか、これが学問の自由と大学の自治にもとるものではあるかないか、私は、基準はそこにあるのでございまして、そこでちゅうちょ逡巡するなどということは、これは文部省当局としてもとるべき道ではない、こういうふうに考えますけれども、重ねてその点で大臣の所信をお聞きしたいと思います。
#127
○国務大臣(永井道雄君) 憲法、教育基本法に示された教育の原則が重要であるということは申すまでもございません。また、そうした原則に基づきまして、私学に助成をいたします場合に、私学の建学の精神を重んずべきであると、最初に申し上げたことは、私が非常に重要であると考えておる原則でございます。しかしながら、本日のような重要な問題が提起されたわけでありますから、これにつきましては、ちゅうちょなく実態を調査いたします。
#128
○加藤進君 局長も、文部大臣にひとつ続いていただきたいと思います。
 そこで、特に最後にお尋ねしたいのは、緊急を要する問題があります。それは、入学試験を行っておるわけでありまして、いわゆる入学試験と入学問題です。多摩美術大学は三月一日には合格者の決定をしなくてはなりません、告示されておるわけですから。その後、四月には入学期を控えるわけです。入学者を迎えなくちゃならぬ、こういう状況にあります。学校教育法の施行規則第六十七条によりますと、学生の入学、退学、転学あるいは卒業は「教授会の議を経て、学長が、これを定める。」、こうされています。そうですね。学長、あるいは代行がいなくても、入学試験の決定ができるのかできないのか、その点が実は重要な問題だと思うのです。学長がいなくては入学についての決定はできないと思いますけれども、その点についていかがでしょうか、文部省。
#129
○政府委員(井内慶次郎君) 大学におきます入学者の決定は、ただいま先生御指摘のように、「学長が、これを定める。」、こうなっております。学長がもし欠けておりまする場合には、学長の職務を行う者を当該大学で決めまして、その者が行う、こういうことでございます。ただいまお話ございましたように、多摩美術大学の本年の入試の関係でございますが、三月一日合格発表ということでございますれども、そのこともございまして、学長の地位保全の仮処分の訴えがもう出ておるのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、三月一日の合格発表日に学長あるいは学長の代行、仕事を行う者が取り決められまして、合格者発表に遺漏のないようにぜひ大学にも私どもも強く要請しなきゃならぬ、かように考えております。
#130
○加藤進君 ところが、理事長はもう一歩進んでおるのです。これは教授会にはもちろん諮らず入試本部長を決めたんですね、入試本部長を。これは決めないとできないんだから、入試本部長を決めたわけです。決めたのが何と事務局員なんです。事務局員を任命して入試本部長にして判定を行うというんです。これはいかがですか。入試という問題は、これは教授会の決定事項でしょう。これを事務職員に委嘱して入試本部長として入試判定をやらせる、こんなことを許しておいていいでしょうか。
#131
○政府委員(井内慶次郎君) ただいまの点は、学校教育法の法体係のもとにおきまして、学校教育法施行規則第六十七条で、「学生の入学」は「教授会の議を経て、学長が、これを定める。」という明示がございます。したがいまして、先ほどお答えいたしましたように、学長が定めるか、あるいは学長の職務を行う者と当該大学で定めた者が行うか、このいずれかと思います。
#132
○加藤進君 そこで、なお念を押して聞きたいのは、事務局員を任命して入試本部長にすると、そうして入試判定を行うということは許されるかどうか、その点だけ確かめておきたいと思います。
#133
○政府委員(井内慶次郎君) 入試本部長の職務といいますか、どういうところまでを入試本部長にやらせるようにしておるのかということは、ちょっといま私どもはっきりいたしませんので、その点ちょっと返事を保留させていただきます。
#134
○加藤進君 その点はひとつ確かめてください。ただ言えることは、教授会の議を経て学長がこれを決めるというのが入学試験問題、そうですね。合否の決定あるいはその他の重要な学事なんでございますから、その点が十分に整って、そして滞りなく合格発表ができるような状態にあるかどうかということにつきましては、これは単に学内問題とは言えません、社会問題になっておりますから。社会問題にならない前に、ともかく私は文部省としても腹を決めて申しますとオーバーでございますけれども、この問題について正しい指導、助言をしていただかなくてはならぬ、こういうふうに考えるわけであります。この点はよろしゅうございますね。
#135
○国務大臣(永井道雄君) 正しい指導、助言をいたす考えでございます。
#136
○加藤進君 結論でございますが、私学助成、これを強調されること、また、いま力を入れられること、これは当然なことでありますけれども、しかし、重要なことは助成の目的にもあるように、私学を公教育として正確に位置づけるということ、私学教育を振興させる、こういう立場を私は基本にしなくてはならぬと思うのです。そのための私学助成であると、こういう点から私は文部大臣の今後の施策について見守っていきたいと考えています。私学といえども、言うまでもなく憲法、教育基本法の原則に立ってその管理運営、教学がどのように行われなければならないか、これはもう明確でございまして、こういう上に立っての今後的確な指導、助言、この点について私は文部省が単に私学の自主性を尊重するとか、伝統があるからということではなしに、それが憲法と教育基本法の基本に基づいて教学が確立されているかどうか、その点についての私は十分な指導、助言をいただきたい。そのための大学の自治、学問の自由が阻害されることのないということはわれわれ全国民の問題でもございますから、その点についての十分な覚悟を持ってこの問題に対処していただきたい、心からお願いを申し上げます。
 時間も参りましたから、私はこれで終わりますけれども、委員長に一つお願いしたいのは、この問題を審議していきますと、理事者側がこう言ったということだけで私は議論いたしましたけれども、本来ならば解雇されました学長自身にも証言を求めなくてはならぬというような私は問題だと思うんです。その点につきましては、ひとつ委員長が今後適当な機会に理事長、それから学長を参考人としてこの委員会にお呼びいただくような措置をとっていただきたい、このことをお願いしておきます。
#137
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまの加藤さんの御発言については、後刻理事会でよく検討さしていただきます。
#138
○中沢伊登子君 文部大臣には朝から衆議院の分科会、引き続いて夜遅くまで大変御苦労さまでございます。最後でございますから、ひとつよろしくお願いをいたしとうございます。
 私は、この間なされました文部大臣の所信表明について二、三お尋ねをしたいと思います。大臣はその所信表明の中で、「学ぶ者、教える者、それぞれの自主性と個性を尊重しながら、文教施策を推進したい」このように述べておられますが、まさに私もそうあるべきだと思います。教育課程審議会による教育の内容の検討もその一環でございましょうが、私は現在の学校教育の状況を見ますと、非常に不安を感ずる者の一人でございます。教師も生徒も受験体制という枠の中で詰め込み教育に終始せざるを得ないのが実情でありますし一これは高等学校以下の教育を大きくゆがめているように思います。たとえば、英語は耳の訓練が重要であるにもかかわらず、テープレコーダーやLL装置等の教育機器はほとんど使用されなかったり、あるいは理科の最も基本であるべきはずの実験や観察がないがしろにされたり、オルガンもほこりをかぶったままで、ペーパーテスト用の授業のみが進められていると言われております。また、先生方が先徒一人一人の個性を尊重した教育をしようと思っても、四十五人の児童、生徒を相手にしてどれだけのことが行い得ると言えるのでしょうか。現に、塾や家庭教師が高額の月謝を取って大繁盛しているというのはそのあらわれと言えると思います。このような中で、大臣は自主性と個性を尊重する教育をどのように推進されるおつもりでございますか。教師と生徒それぞれの立場に立ってお答えをいただきたいと思います。
#139
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘がございましたように、個性と自主性を、学ぶ者、教える者のために尊重するというためにはさまざまな努力が必要であると思います。御指摘ありましたように、とりわけこの受験体制の過熱化ということが非常な妨げになっております。実はLLが学校に置かれているところでも十分に利用していないというようなことも起こっているわけでございます。ところで、この受験体制というものの過熱化でございますが、これはなかなかよって来るところ複雑でございまして、そういう複雑な諸要因というものをやはり突きとめまして、いろいろな角度から考える。ですから、たとえば大学の、先ほどから私学の話も出ておりますが、これは単に私学を助成するというだけではなくて、でき得る限り大学間の格差をなくしていくということも一つの問題の解決であろうかと思います。また、大学の入試の方法を改善するということも重要であろうと思います。さらにまた、学校以外の社会の御協力を得てわが国の学歴偏重の風潮を改めていただくようにしていただくことも大事かと思います。かように考えますと、一朝一夕にすべての問題を解決し得るというほど単純でないということを改めて考えるわけでございますが、以上申し上げたような事柄、さらに、そのほかの事柄も含めまして総合的に私はそれぞれの問題の解決に向かうことによりまして、先生方、それから学んでいる人が、より個性、そして自主性というものを持って学習できるようにしなければならないと思っております。これに関連して塾のこともございますし、また、教育課程をどうするということもございますが、そうした事柄も一つ一つ検討して少しでもよい方向に向かっていくようにしなければならない、こう考えております。
#140
○中沢伊登子君 先ほどほかの委員からも御質問がありましたけれども、文部大臣は教育の場に政争を持ち込んではならない、このように述べられておりますが、これは具体的にどのようなことを意味されるのか。そうしてもう一つは、この教育の場に政争を持ち込まないための具体的な施策はどのようなものでございましょうか、この点についてお答えをいただきたいのですが、私もたった二十分でございますから、続いてもう一点お尋ねをしておきたいと思います。
 まあ全体主義体制の中では教育に対する政治の優位が認められて、政治が教育を支配し、それを自己の手段として奉仕させる仕組みとなっております。民主主義体制ではできるだけ教育を政治やその他の分野からの支配から独立させようとしております。教育基本法の第十条は、この精神を示したものでございますが、ただ不当な支配の主体は何かをめぐって鋭い意見の対立がございます。私ども民社党では立法、行政、司法の三権のほかに、第四権として教育を加えて現在の行政から教育の独立を主張しておりますのも教育の場に政争を持ち込まないばかりか、政治団体やあるいは宗教団体、行政府、労働組合等かちの支配を受けないようにして、もって教育界に自主性、自律性、創造性を制度的に保障しようと考えているわけでございます。大臣は、この民社党の主張に対してどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
 以上三点についてお答えをいただきたいと思います。
#141
○国務大臣(永井道雄君) 民社党でお考えになっている、この教育の第四権という考え方のところから申し上げさしていただきますが、私は、一つの問題を解決していくときに、新たに制度を変えるという方法もあるかと思います。それが第四権の考え方でありまして、これは相当、法律上重要な変更を行わなければ達成し得ない一つの方法かと思います。
 もう一つの方法は、現行制度というもの、これも人々が苦労をしてつくったわけでありますが、なかなか現行制度に書かれているものに実は実態が及ばないということがございますから、現行法制に書かれているとおり実態というものを変えていくべく努力するという方法があるかと思います。私は後者をとっております。民社党のお考えもよくわかりますけれども後者をとります。
 そして、次に、そのように考えますと、教育基本法において、わが国におきましては教育が不当なる支配に屈してはいけないということがございますが、その意味内容というのは、教育界の強い力、それは主として党派的力を私は意味すると理解いたしておりますが、そうしたものによって教育が変えられないということを意味するんだと考えております。そういうものによって左右されずに私たちは教育を進めていかなければならない。
 そこで、具体的に私が一体どのように政争から離れた教育をやっていくかという第三の問題でございますが、以上のような原則に基づき、またわが国の法制の中におきましていろいろのことが実はできるわけであります。できるというのは、第一問にございました、たとえば受験体制の激化というようなことがございますが、こういうことにつきましては、党派を離れて各界の方が、この部屋で、それぞれ異なった政党に属しておられる方方も教育の問題をお考えいただいているわけでございますが、この部屋の内外を問わず、そして仕事の別を問わず、受験体制の激化というような問題は、これは子供にとりましても教える者にとりましても重大な問題でありますから、こういうものについてまず話し合って、そして最低限の合意を得ることによって問題を一つ一つ解決していく、これが私の考えでございます。
#142
○中沢伊登子君 私どもも、教育を進める中で、これはいまおっしゃったように、党派を超えて本当にこれからの日本の教育のあるべき姿をお互いにコミュニケーションを持ってやっていくのが一番望ましいと、このように考えておりますが、どうか、いまおっしゃったように施策を進めていただきたい、このように存じます。
 そこで次に、時間がないものですから飛び飛びに三つ目の質問を申し上げたいと思いますが、文部大臣は、対話と協調を基本とする――これも先ほど来どなたかの委員が質問されたわけですが、こういうふうに述べられておりますが、特に日本の教育界では、文部省と教員組合との間で激しい対立が続いております。OECD教育調査団の報告の中でも、対立者間の協力がほとんど行われていないということを指摘しております。実は私もゆうべこの本をずっと読ましていただいたんですが、新しい文部大臣の対話と協調の姿勢を私はたいへん高く買いたいと思っております。具体的にはどのような方策を進めていかれますか、お答えをいただきたいと思います。
#143
○国務大臣(永井道雄君) 対話と協調というのは、先ほどからも申し上げましたように、特に日教組との関係におきまして過去二十四年、対話というものがなかなか持たれなかったということがあるかと思います。間々話し合いがありましたけれども、それは数えるほどであったということがございます。こういうことをはやはり教育を受ける人、あるいは先生としては非常に困ることだと思いますから、それを解決していく。いまOECDの報告書から御引用になりましたが、私は実はこの日教組との関係だけでなく、いろいろなところでOECDの報告書が言っておりますように対話が断たれているように思います。それはたとえば大学相互間――ここに国立も私立も公立もございますが、そういうところの対話も必要でございますし、また、先ほどから話に出ました先生と学生、そういう対話も必要かと思います。でありますから、なかなかどれ一つだけというふうに言い得ないほどある意味では状況がよろしくないというふうに言うほかはないんでございますが、きわめて微力でございますが、わが国一億を超える国民というものはひとしく教育を憂えているのでありますから、これは意見、立場の違いがあってもどんどんこれから話し合っていくということに私はお役に立ちたいと思っているわけでございます。
#144
○中沢伊登子君 その次にもう一つ、教育内容の改善について、特に道徳性の涵養について言及されておられますね。戦後三十年、経済第一主義のもとに心の問題を軽視してきたうらみもありまして、現在のわが国は残念ながら心の豊かな道徳性の高い社会だとはお世辞にも言えない現状でございます。したがって、今後物心両面ともに豊かで道徳性の高い国家社会の建設に取り組むことはきわめて重要な課題であると思いますし、同時に教育の果たすべき役割りはもう最高に重要だと思います。そこで未来の社会を築く青少年の道徳性をどう涵養するのか、これをまずお伺いしたいと思います。また道徳教育の中身やそのやり方についてもいろいろ意見が分かれるところでございますが、具体的内容について大臣はどう理解されておられるのでしょうか。これが第二点。
 さらに道徳性の涵養について、家庭教育、学校教育及び社会教育はそれぞれどのような役割りを持っているのか、そしてどういうふうに連携を図るべきなのか、その進め方についても御意見を伺いたいと思います。
#145
○国務大臣(永井道雄君) 私まず最初に、先生の言われました、わが国におきましては高度経済成長のもとよく働きましたけれども、心が貧しくなったという状況があるという御指摘がございましたが、まことに遺憾ながらそうであると私も考えます。そこで、道徳教育というものは非常に大事でありますが、具体的にこれをどうやるかということになりますと、三番目に御指摘になりました学校、家庭、社会の教育ということと関連いたすと思いますので、二点と三点をあわせて申し上げさしていただきたいと思います。
 学校につきましては、これは道徳教育の時間というものも特設してそこで道徳教育というものを特に重視するわけでございますが、道徳というのは、また言葉をかえて言えば生活それ自体であると言ってよろしいわけでございますから、実は学校教育全体が道徳教育の場である。学校におきましては知育もあり体育もございますが、その知育、体育というものがそれぞれ道徳に関連しているわけでございまして、あらゆる場、それは学校の朝、朝礼からあるいは給食から、そうしたものも含めて道徳教育を考えなければならないんだと思います。他方、家庭教育につきましては古くからわが国で三つ子の魂百までということを申しておりますし、また、われわれの祖先も常にしつけというものを重んじてきたと思います。で、こうしたことをいまも熱心にやっておられる御両親もありますけれども、しかしまた、核家族化あるいはテレビにたくさん時間をとられるというような状況の中で変化も起こってきておりますから、こういう事柄については御家庭の協力を得るということがきわめて大事であるかと思います。しかし他方、社会に子供は実は家庭にいるときからさらされているわけでありまして、ある意味におきましてテレビというのはどこの家にも社会が入ってきているという私どもが子供のときと違う状況であろうかと思います。そうしてテレビの映像を見ますというと、なかなか大人というのはおかしなことをするものであるという番組もございました。そしてまた、大人は喜んでそれを見ているというような状況もあるかと思います。で、私はわが国におきましてまず人を教えるよりみずから教えよという古くからの教えもございます。そして最もよい教育というものはお説教するよりも無為にして化すということもあるわけでございます。したがいまして、道徳教育の根幹ということを申しますならば、私は大人がえりを正すことである、かように考えます。そのことが実は最も有効なる道徳教育である。とりわけ百の説教より一つの実行ということであろうかと思います。しかしもちろんそれだけでは不十分でございまして、現在特に大都市における子供は自然からも切り離されまして、そして人間と自然とのあるべき関係というものも失っております。そういう子供たちのためには「少年自然の家」、これも国立、公立いろいろございますけれども、そういうところでほんとに子供がよい経験を積んで、この体験こそが人間の生活なんだということを早いときから覚えていく、具体的に申し上げますならば、道徳とはすなわち生活でございますから実に万般に及ぶわけでございますが、そういう角度から私は道徳の教科というものを行っていきますならば、必ずや伝統あるわが国におきましてりっぱな子供が育つはずであると、かように考えている次第でございます。
#146
○中沢伊登子君 最後に取りまとめて御質問申し上げておきます。
 いま大変私どもにとっては胸を打たれるようなお答えをいただきました。どうか勇気を持ってそういう施策を次々にやっていっていただいて、本当に子供たちが円満な心の持ち主に育っていくように御助力をいただきたいと思います。
 ところが、その学校の教育の中でもそういったような道徳教育が重視されておりますけれども、それがまだ必ずしも十分な効果を上げていないと思います。道徳性を涵養するための教育方法や内容もまた十分だとは私は思っておりません。そういう点についてもこれからどうか力を入れていただきたいと思いますのと、それからいま、いろいろお話の中にありましたように、現在の子供の道徳性を涵養するためにいろいろ困難な条件が社会的にもございます。きのうもいろいろ政府委員の方とお話をしておったのですが、週刊誌というようなものや子供の見る漫画にも大人のわれわれがどきりとするようなものが平気で書かれてあったりいたしておりますが、そういう問題やらいまの映画の問題ですね、テレビの問題これも時間がありますればいろいろ例を挙げてみたいと思いましたけれども、もう時間がありませんのでもう例を挙げるまでもございませんと思いますけれども、そういったように、わが国ではまだ十分に社会的な道徳のルールが確立をされていない、このように思います。これも今後の問題として十分御一緒に社会的に道徳のルールを確立していかなければならぬ、それは私どもにも責任があると思いますが、その上に、先ほどおっしゃいました入試地獄ですね。この入試地獄の存在が、学校においても家庭においても受験準備教育を中心にさせておりますから、友情とか社会連帯性等の育成にも大きな障害になっていることもまた、私どもはこれをよく知らなければならないと思います。こういったようないろいろな問題の解決をこれから大臣にもいろいろやっていただかなければならないと思います。
 その次には、やっぱり閉鎖性の強い日本人、これが今後ますます国際化の進む、言うならば地球社会、この中で生きていくための能力や特性をどう涵養していくか、こういうこともまた緊要な課題だと思います。それらいろいろひっくるめて、最後に一言お答えをいただいて、私の質問を終わらしていただきます。
#147
○国務大臣(永井道雄君) 先生、教育の重要性につきましてわが国の人々が国の中でも協力しなければいけない、あるいは地球時代にふさわしい人間にならなければいけない、いろいろ多面にわたって重要な点を御指摘になりました。そしてまた、私に実行するようにというお言葉であったかと思います。私はすべて先生が御指摘になった点に御同意申し上げます。本当に地球時代になりまして、われわれは日本人であると同時に人間でございますから、そういう考え方というものが幼少のときからでき、そしてまた学校に入りますとそういう考え方が具体的に何を意味し、また何をすべきかというようなことが学習できる状況になることが望ましいと思います。そのような決心で私並びに文部省は一致いたしましてわが国の教育というものが一歩でも前進し、そして子孫のためになるわが国の社会文化をつくりたいと努力をいたしてまいりますが、しかし文部省ないしは文部大臣の力によって、それだけによって道徳が興り、あるいは文化が興るというのではないと思います。私たちが考えますことは、われわれとしてなすべき職分は、国民のすべての方々がこうした問題についていろいろお考えになっていますが、そのお考えになっていることを十分、十二分に発揮して本当にわれわれの祖先に恥じないりっぱな社会をつくり上げていく、そういう御活動ができますように、そのためにお役に立つということがわれわれの仕事であると考えまして、全力を挙げたいと思っております。
#148
○委員長(内藤誉三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 あすの委員会は、午後零時四十分開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後八時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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