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#1
第075回国会 文教委員会 第4号
昭和五十年二月二十八日(金曜日)
   午後零時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     志村 愛子君     戸塚 進也君
     安永 英雄君     秋山 長造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                有田 一寿君
                久保田藤麿君
                久保  亘君
                加藤  進君
    委 員
                斎藤 十朗君
                高橋 誉冨君
                戸塚 進也君
                中村 登美君
                藤井 丙午君
                最上  進君
                粕谷 照美君
                鈴木美枝子君
                宮之原貞光君
                安永 英雄君
                内田 善利君
                矢原 秀男君
                小巻 敏雄君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部政務次官   山崎平八郎君
       文部大臣官房長  清水 成之君
       文部省初等中等
       教育局長     安嶋  彌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   参考人
       福岡県教育委員
       会委員長     田北一二三君
       福岡県教育長   森田  實君
       福岡県教職員組
       合執行委員長   大穂 勝清君
       福岡県教職員組
       合書記長     白石健次郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (福岡県における教育行政に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、志村愛子君が委員を辞任され、その補欠として戸塚進也君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(内藤誉三郎君) 教育、文化及び学術に関する調査中、福岡県における教育行政に関する件を議題といたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には御多忙中のところ本委員会に御出席いただいてまことにありがとうございます。本日は時間的に制約がありますので、直ちに委員の質疑を行うことといたしますので御了承願います。何とぞよろしくお答えいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
 それではこれより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○安永英雄君 参考人の方には本当に御苦労さんでございました。時間もありませんから早速いろいろ質問を申し上げますので御協力を願いたいと思います。
 福岡県の場合、非常に行政処分、こういったものが新聞、マスコミをにぎわしておるほどに非常に多い、こういう状態を私どもが知っておるわけでありますけれども、実際、これは教育長にお尋ねをいたしますが、今日までどれぐらいの処分をなさってきたのか、これをひとつお答え願いたいと思います。これは一応四十二年ごろからが非常に多いようでありますから、そこらあたりから明らかにしていただきたいと思います。
#5
○参考人(森田實君) 公務員の、教職員のストライキにつきまして県の教育委員会が行政処分を実施してまいりましたのは昭和四十二年からでございます。四十二年にはごく一部でございますが、四十三年、四十四年、四十六年、一年飛びまして四十八年、今回の四十九年というように都合六回になっております。延べ対象人員といたしましては約十四万程度の人数になっております。
#6
○安永英雄君 六回にわたり約十四万にのぼる処分をされておるということですが、この処分というのは一つのやっぱり目的があり効果がなけりゃならぬと思うのですけれども、これはひとつ教育委員長の方からこれだけ膨大な処分をやったというものについてどういう効果があったのか、あるいはまたどういう反省をされておるのか、こういう点について、これは簡潔にお願いをいたしたいと言う。
#7
○参考人(田北一二三君) 処分されました教職員の方の数が多いという問題でございますが、福岡県は比較的教職員を多く保有しておる県でございます。加えまして、ストライキの先ほど来申し上げましたそれぞれの回数におきます教職員のスト参加率というものは、全国に比較いたしまして非常に高い参加率を持っております。そういうふうな教職員の数が多いということと参加率が非常に高いというこの特殊性を持ちまして数が非常に大幅な数字としてあらわれるということが一つございます。それから、その効果でございますが、われわれそういうふうな違法行為を重ねて行わないようにということで常々反省を求め、研修活動等でそういうふうな水準の向上を図ってまいったところでございますが、最近に至りまして一部の教職員の中にも非常に反省の意向をお持ちになりまして、新しい教職員の道とあるべき教職員の道というものを踏み求めておられる多くの先生方が見受けられるようになりました。まだまだ残念ながらその効果が多くあらわれていないと申し上げざるを得ない状況でございます。
#8
○安永英雄君 十月四日、文部省の初中局長名で出されました通達、いわゆる「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十八条の市町村教育委員会の内申がない場合の都道府県教育委員会の任命権の行使について」という通達が出たわけでありますが、これを中心にいまからいろいろ質問をさしていただきたいと思うわけです。
 そこで、いまから通達と、この件は申し上げますけれども、この一月五日あるいは一月の十日、福岡県の教育委員会はこの通達の趣旨に従って処分を行われたということでありますが、何という市、どういう地教委が内申がなくて、それをあえて処分をなさったか、その市町村名あるいはその市町村教育委員会管轄下の教職員の処分をされた数あるいはその程度、こういったものについてお伺いをいたします。
#9
○参考人(森田實君) 二月五日付をもちまして行政処分を実施いたしました対象者の数は千四百三十三名でございます。それから、これらの関係市町村名は田川市、大牟田市、行橋市、それから嘉穂郡碓井町、もう一つ行橋と苅田町で組合立の長狭中学校関係の組合立教育委員会というのがございまして、一般的に三市一町と言っておりますが、教育委員会の数からいけば四つになるわけでございます。
#10
○安永英雄君 いやしくもこの処分を行う、こういった場合には、法的な根拠が明確でなければならぬと思うのです。そこで私の聞きたいのは、この地方教育委員会の内申がない場合に処分を行う、こういったことが起こっておるわけでありますが、それについての法的な根拠というものはどこに置かれておるのか、お伺いいたします。
#11
○参考人(森田實君) 御承知のとおり、ストに参加いたしましたものについてのいわゆるストライキ等についての争議行為禁止規定は、地公法の三十七条の定めるところでございます。これに対しまして県の教育委員会としましては、地公法の二十九条を適用して行政処分を実施……
#12
○安永英雄君 三十八条のことを聞いている。
#13
○参考人(森田實君) しておりますが、地教行法の規定の中では、県の教育委員会の任命権を三十七条で規定いたしておりまして、三十八条で市町村の教育委員会の内申の規定があるわけでございます。県の教育委員会が具体的にこの任命権を行使いたしましたのは、地教行法の三十七条で、教育委員会の主体性に基づいて実施いたしたわけでございます。
#14
○安永英雄君 それでは、地方教育委員会の内申がなくても、県の教育委員会が処分ができるというその根拠は、いわゆる十月の四日の文部省の通達ということとはかかわりなく、福岡県独自の教育委員会の三十八条の解釈ということでやられたというふうにとっていいのですね。
#15
○参考人(森田實君) 御承知のとおり、三十七条で県費負担教職員の任命権を、県の教育委員会に属させられております。と同時に、三十八条で市町村の内申を待って……
#16
○安永英雄君 そういうことを聞いているのじゃないのです。
#17
○参考人(森田實君) その任免権を行使する規定がございます。それらの関係におきまして、従来から内申が出てこない場合に、処分ができないということで推移してきた経緯がございます。で、一〇・の四通達が出まして、この通達の中にもございますように、文部省の方で最大限の努力をしたにもかかわらず、市町村の教育委員会が県の教育委員会の通達に基づいて当然なすべき内申を行わないというような異常な事態の場合においては、県の教育委員会は、その教育委員会の判断に基づいて任命権を行使できるという新たな解釈が補充されましたので、この通達に基づいて、基本は三十七条、三十八条でございますけれども、新たなこの解釈に基づいて今回の処分を実施したわけでございます。
#18
○安永英雄君 もう一ぺん念を押しますが、したがいまして、私は端的に聞いているわけですけれども、十月四日の文部省の通達というものを一つの根拠にして、依拠してこれはやったんだということですね。はっきりしてくださいそこを。
#19
○参考人(森田實君) 三十七条、三十八条の規定の上に立って、一〇・の四通達のこの趣旨を踏まえて実施したということでございます。
#20
○安永英雄君 お聞きしますが、十月の、これは細かいことを言いますが、十月の三日、通達の出ない以前というものについて三十八条の解釈は、福岡県教育委員会はどう考えていましたか。
#21
○参考人(森田實君) これは御承知のとおり、この法律が施行されました三十一年の、いわゆる私どもはこれを基本通達と言っておりますが、基本通達並びにその後にいろいろ文部省の方から行政指導がなされた行政実例等を踏まえまして、内申がなければ任命権が行使できないという考え方で、ひたすら内申をお願いしてきたという経緯でございます。
#22
○安永英雄君 わかりました。したがって、十月の三日、いわゆる通達以前は、やはり三十二廣あたりのこの文部省通達、これに依拠して、態度としては持っておったということでありますから、現に福岡の場合は、そういった態度をとるというそれでも内申を出させるということで、これは私は本委員会でも質問をしたことがありますが、いわゆるこの学校建築、施設、そういったものをいわゆるこの補助とかあるいは起債とか、こういったものと絡み合わせて、ぎゅうぎゅうとにかく地教委を絞め上げたと、こういった実例も知っていますが、この期間における福岡県の教育委員会というのは、そういった行動があったと私は確認しますが、そういったことはやったんじゃないですか。
#23
○参考人(森田實君) 私どもは、県と市町村との間の相互の信頼関係、協力関係によって人事行政を適正円滑に実施していこうという考え方を基本的に踏まえております。したがいまして、これらと直接関係のない、たとえば学校の施設、あるいはそれ以外の補助金というようなものについて、これらの内申を出さないならば補助金の交付をしないとか、あるいはそれらのお世話をしないというようなことを実施したことは全くございません。
#24
○安永英雄君 これは時間がありませんから録音テープもとっておるし、これは後日やります。もう一回出て来てもらいます。これは徹底的なことをやっている。地方教育委員会の委員長や教育長はこのために板ばさみになってやめたじゃありませんか幾らでも。現に今度も、後で言いますけれども、今度のこの暴挙に対して声明書を出しております。たとえば鞍手の四町連合で声明書を出していますが、この声明書を後でお見せしますけれども、一番最後の方を見てごらんなさい。なぜ自分たちはこの内申を出したか、これは県教委によって校舎建築等、教育行政に悪影響を与えるということで、万やむを得なく出したんですという証明も出している。この期間においてもこうやっているということははっきりしているでしょう。私はこの点については時間がありませんからあれですけれども、要するに、福岡県教委としては通達が出ない前に、いわゆる十月四日以前はいわゆる指導、助言あるいは出してくださいというやり方をやりながら、そして徹底的にそういった地方教育委員会のいわゆる校舎建築とか施設とか、そういうものと絡み合わせながらとにかくやってきておる。しかし、この間では、その点はその点で究明しますけれども私は、後日。しかし、まだまだ地方教育委員会から内申が出ないのにこの処分はやらなかったということは、私はそれは確認をします。そこで福岡県の教育委員会はそんなことまでやりながら、なかなか内申が出ないということで、文部省にこの点の相談といいますか、そういうことをやったことはありませんか。
#25
○参考人(森田實君) 私の記憶では、昭和四十八年の十二月であったかと思いますが、全国の教育委員長会議が行われております。文部省の招集で行われておりますが、その際、当時の県の教育委員長でありました松尾氏が主管大臣に対する質問あるいは意見開陳の中で、これらの非常に困難な問題があるので、文部省として指導方善処を願いたいという意見の開陳をしたことがございます。
#26
○安永英雄君 私はその際、福岡県教委としては何らか法改正をやってもらうか、何かしなければということで、そういった相談をやったという内容も聞いていますが事実ですか。
#27
○参考人(森田實君) ただいま申し上げましたのは、いわゆる全国の教育委員長の会議という公開の席で発言を求めて、そういう意見を述べたということでございます。その後、若干時間を置きまして、翌年の一月に県の教育委員会が文部省に予算の陳情等をいたしました場合に、この問題についてどういうふうになるだろうかということについての御意見を伺ったということを聞いております。
#28
○安永英雄君 この点は、後で文部省の方にただしてみたいと思いますけれども、先ほど申しましたようにこの十月四日の、もう言いかえますというと、違法な三十八条の解釈を、むちゃなこの解釈をやって通達を出した文部省、私の聞きたいのは、これ以前の問題です。以前の問題で処分をされたのは四十七年から処分をされておる、この管轄下の先生が。私は全くいま言うように十月の三日まで、先ほど申しましたように三十二年の通達、こういった解釈で福岡県教委はきておる。それで十月四日のこの通達が出て、これに依拠してやったというのですから、少なくとも法理論からいけば十月四日以前に起こったこの問題について、この通達でもって処分をできないと私は解釈する、無効だと思うんですが、その辺の考え方というものを教育長からお聞きしたい。
#29
○参考人(森田實君) 御質問の趣旨は、いわゆる通達の遡及の問題であると思います。私どもといたしましては、四十八年の八月の二十八日にこの行政処分を実施いたします際に、当該三市一町の問題も含めて同一の取り扱いをすべきであるという機関決定をいたしておるわけでございます。そこで、関係の市町村の教育委員会に対しましては行政処分が実施された後におきましても、多いところでは行橋市のごときは二十七回もその後出してほしいという指導や、督促等をいたしております。大牟田市は十二回、そういうように非常に側側も何回も繰り返して、全県的に不均衡のない人事行政を行いたいという県の教育委員会の基本方針にのっとりまして、教育長以下でそういう努力を積み重ねてきておるわけでございます。
 今回この一〇・四通達が出ましたので、この通達の趣旨というものをどう解釈するかということで内部で十分検討いたしました。三十八条について新たな解釈が補充されたものであるので、これらの従来の未決の問題、現在継続して督促中の問題につきましても適用し得る、また適用すべきものであるという考え方に立って処分をいたしたわけでございます。
#30
○安永英雄君 これは文部省ともやりたいと思うんですけれども、この点は、先ほどおっしゃったように、福岡県の教育委員会の態度というのは、十月の三日までは、地教委の内申なしに頭越しにこの処分発令ができないんだという立場を終始貫いてきて、その上に立って三十何回、何十何回やろうと、それはその枠内、その法律の解釈内でやってきたことですし、四日以降の問題ならば、あるいは――私どもはこの通達、適用とは思っていませんけれども、まあこの通達の問題を使うとするならば、これはどの法律だって同じことですよ、あるいは通達だって。今後の問題であって、これが今後ずっと前にさかのぼってやれという通達もないわけなんです。この点は、私はまだ争う点があって、ここで福岡県の教育委員会との間に決着をつけようとは思いませんけれども、この点は、私はそういった点からもこの処分は無効であるというふうに考えます。
 次に、この四日の通達を受けて県の教育委員会は、先ほどおっしゃったように、三十八条のこの解釈というものを今度の十月四日に出ました通達、この精神に切りかえて、そして福岡県のこういった処分をやろうというふうに決められたのはいつですか。
#31
○参考人(森田實君) 私どもはこの通達を受けまして、県の教育委員会の中で慎重に検討をいたしました。現実に継続していま督促中である三市一町のこの問題にこれを適用するかどうか、なおこの通達の真意というもの等について十分の検討をいたしまして、私どもがこの通達を具体的に適用するということで協議を、その後約三カ月間にわたりまして内部で検討いたしまして、そして十二月の最終段階で、県の教育委員会でこれらの行政処分をこの通達をもって実施すべきであると、しかしながらこの通達の中に込められておりますところの精神、これは最大限の努力というものをする中で、どうしても最後まで努力してもなおかつ内申が出てこないというような異常な事態というものがあれば、その段階でやはり決断をしなくちゃならぬだろう、しかしわれわれとしては、この一〇・四通達というものを慎重に検討した結果、この通達は尊重して今後行政を実施していくべきであるという考え方をまとめて、長時間かけてこの問題について論議してまとめてきたわけでございます。
#32
○安永英雄君 十二月の何日ですか。
 それから、その会議の模様が言えるならばおっしゃってください。わからなければあとでいいです。
#33
○参考人(森田實君) 協議をしてまいりましたのは、数回の協議をいたしておりますが、年末は最終的には十二月二十六日でございます。
 それから、これらの問題について新たに文書による督促を出して内申を求めるという措置を協議決定いたしましたのは一月四日の委員会でございます。最終的な処分を決定いたしましたのは二月四日でございます。
#34
○安永英雄君 いまおっしゃったことをもう少し詳しくおっしゃってください。十二月の二十六日にそういった態度を決定し、各地方教育委員会にその考え方を明らかにしたのはいつですか。
#35
○参考人(森田實君) 市町村の教育委員会に対しまして、これらの通達をできるだけ適用したくない、しかし、出ておるこの一〇・四通達を移牒しまして、そうしてこの通達を適用しなくてもやれるように内申をしてほしいという指導通達を一月七日の日に市町村の教育委員会を集めていたしましたわけでございます。
#36
○安永英雄君 いまあらゆる方法を尽くしたと、こうおっしゃるが、そういった態度を決定した十二月二十六日以降、各地教委に対しては一番初めにその旨を伝えられたのは一月の七日、一月七日からそれからこれを処分をされた二月の五日、この間の福岡県教育委員会のとった措置というものについて、なお詳しくお話しを願いたい。
#37
○参考人(森田實君) 一月七日に全市町村の教育委員会にお集まりいただきまして、この一〇・四通達を移牒いたしまして、そうしてこのときには四十九年度の処分の内申についてお願いをする、ともに四十八年度等の古い三市一町の問題につきましてもあわせてお願いをするということをいたしましたわけでございます。
 その後、それぞれ関係の、特に三市一町にしぼって整理のために申し上げますが、三市一町につきましては、一月八日以降、それぞれ担当者を派遣いたしまして、また私自身もおいでいただいた地教委の委員長、教育長と御相談をする、お願いをするということをいたしました。さらに、一月の下旬には、私自身、関係の市町村の教育委員会を歴訪いたしまして、そうして重ねてこれらの通達を適用しないでも処分が実施できるようにみずからの主体性に基づいて内申をしてほしいということでお願いをいたしましたわけでございます。
 ちなみに、これらの県の教育委員会がとりました文書によるところの督促、あるいは口頭で関係市町村に指導督促等いたしました回数は、田川市で八回、大牟田市で七回、行橋市十八回、碓井町六回という経緯をたどっております。
#38
○安永英雄君 文書でもって地教委に出されたこの日にちと、どんなことですか、出されたのは。ありませんか。私が承知しておりますのは、一月の七日、この日に一月十四日に出せと、何ですか、これは通達を示達されておる。一月の二十日に一月二十五日まで出せと言われた。一月二十五日に一月三十一日まで、一月二十八日には一月三十一日までという、最後の通告だという通告をされておる。これは間違いありませんか。
#39
○参考人(森田實君) 文書で実施いたしましたのは三回でございます。
#40
○安永英雄君 この間二十日そこそこですね。県の教育委員会が文部省が出している通達そのものを適用して、やりたいという考え方は、一月の七日にこれが伝わっておる、伝えられたとあなたはおっしゃる。そうして一月の三十一日は最後通告、この間わずか二十日そこそこの日にちであります。各地教委に対して、そういった考え方を述べて、地教委の判断、いろんな判断もありましょう、この間、いま何人がどうした、どこの地教委にはどう、だれが行ったとか、回数多く言われたり、あるいはいま三回と、こう言われる、文書では三回と言われる。あなたの言う、いわゆる行政上の取り得る最大の努力をしたとあなたはおっしゃるが、いまでもそう思っていますか。
#41
○参考人(森田實君) 私は、みずからこの内申の提出について、事務部局を総括して指導する責任にございます。本当に精魂を尽くして努力をしたと自負いたしております。
#42
○安永英雄君 身体的な問題とか、精神的な問題とか、そういう努力をするというのは、これは当然な教育長の立場でしょうけれども、受けるいわゆる地教委というものについての文部省の通達については、どのように自分たちは検討するか、どういう態度を打ち出すか、あるいは県の教育委員会はこれについてどういう態度を持ってくるだろうか、文部省の通達について、これは考えたと思うんです。考える期間が二十日そこそこ、そして最後通達出して、これでやりますぞと、こういったことは期間の上から言っても、教育長へたへたになって、精神的な、肉体的な苦労もされたということは、それはいまおっしゃるとおりでありましょうけれども、それでは済まない。三年越し、四年越しのこの重大な処分、しかも寸前までは、これは内申がなければ処分ができないという立場をとりながら、わずかのうちにこの方の態度に切りかえている、こういったのには余りに期間が短過ぎる、こう私は思うんです。
 そこで、文部省にお聞きしたいと思いますけれども、通達の中には、「一定の期限を定めて内申を求め、行政上取り得る最大限の努力をする」というふうに通達の中にあるということ、この点については、文部省は、この通達についてどういう考え方を持っていますか、「一定の期限」というのはどういうことか、「取り得る最大の努力」というのはどういうことを要請したのか、また、通達の中にはどう入っているのか。
#43
○政府委員(安嶋彌君) 「一定の期限」ということでございますが、これは特に何日という限定はないわけでございますが、回答をなし得るに必要な、合理的なやはり猶予期間というものを置くべきである、これが一定の期限であると思います。「最大限の努力」ということでございますが、これは具体的にははなはだ定めがたいわけでございまして、県教委として取り得る最大の努力をなされたということであれば、これはそれで了解をするほかないわけでございます。客観的に何回やればこれが最大の努力であるというようなめどは、特にはございません。これは状況によって判断すべき事柄であると思います。
#44
○安永英雄君 そんな答弁ありますか、法律にもないようなことを勝手に解釈をして、それは越権解釈ですよ。これが発動されればどういうことができるのか、これは教育の根幹にかかわる問題だ、教育行政の。そういった重要な通達をしておきながら、「一定の期限」というのを示しておきながら、一定の期限とはこれは私のほうは言えません、そうして、どれだけの努力をするのかと言えば、それは教育委員会がやって私のほうは関知しませんと、責任逃れもはなはだしいと思う。これだけの混乱を起こしておるのは文部省なんですよ。この通達が出たことによって、福岡県の問題が、こういうことが起こっているんだ。
 私は安嶋局長に聞きますが、あなたは昨年の九月十一日、これはいよいよ一〇・四、十月四日の通達が出る寸前に私どもは心配して、この当委員会においてずいぶんあなたも追及した。そのときに宮之原委員の質問に答えて、いまと同じようなことを言ったんですよ、その当時もう起こらぬ前から。あらゆる努力を尽くすという内容はどうかということを聞いたときに、あなたはこう答えている。「そのあらゆる努力を尽くすという内容でございますが、ただいま御指摘の四十八条、これは「指導、助言」でございますが、内申を出すようにという、そういう督促は、これは四十八条の「指導、助言」に当たることは大臣がただいま答弁をいたしたとおりでございますが、さらに五十二条におきまして「措置要求」という規定もあるわけでございますが、やはりこの規定も何と申しますか適用いたしまして、最大の努力をして、なおかつ内申がないという場合に限定」するということを言っている。最大の努力ということで、福岡県教育委員会は措置要求をやりましたか、この法律の。現行法でまずぎりぎり許される「指導、助言」を四十八条を適用しながら、最後はこの五十二条の「措置要求」という、最後の、あなた方が求めるという、そういう措置が現行法の中にある、これもやってそれからですと、こう言われる。
 福岡県の教育委員会にお聞きしますけれども、「措置要求」という措置をとられましたか、この点簡単に答えてください、やったか、やらないか。
#45
○参考人(森田實君) いま御質問になっております五十二条に定めるところの……。
#46
○安永英雄君 説明は要らぬのです。やったか、やらぬかを聞くんです。
#47
○参考人(森田實君) 措置要求というのは、私どもは実施いたしておりません。
#48
○安永英雄君 文部大臣、ここで私どもは、当然、これが発動されれば起こり得るという予測をしながら最大限の努力をすると、その中に現行法で許される「措置要求」というものも、これは当然やらなきゃならぬと、こう言っておったのが、行われていませんし、あなたは、いま教育委員会が、取り得る最大の措置をやったものと教育委員会が言うからそうでしょうと、こう言うけれども、あなたは逃げられぬところだ、その点、私は無効だと思う。あらゆる手段を尽くしてないんだ、残されておる手段を尽くしていない。あなたは、それを尽くさなきゃならぬと九月の時期から言っておる、やっていない、これは無効だ。あなたは、どう思いますか。
#49
○政府委員(安嶋彌君) 「最大限度の努力」の中には、繰り返し内申を求めるといったような「指導、助言」、それから先般お答えをいたしましたように、「措置要求」、そういうこともこれは私は含まれると思います。ただ、しかし、具体的な適用の仕方といたしましては、いろいろケースがあろうかと思うわけでございまして、繰り返し、繰り返し「指導、助言」を重ねるということもございましょうし、さらに「措置要求」を行うということもございましょう。しかし、具体的に、どこまでが「最大限の努力」であるかということは、やはりこれはケース・バイ・ケースということで理解をしなければならないと思います。つまり、考え方といたしましては、「指導、助言」の繰り返しというものもございますし、「措置要求」をするということもあるわけでございますが、常に「措置要求」という形がとられなければならないかどうか、その辺のところは、私どもは必ずしも常に「措置要求」という手続を踏まなければならないものとは考えておりません。福岡県の場合は、ただいま教育長が答弁をいたしましたように、繰り返し「指導、助言」と申しますか、内申の督促をいたしておるわけでございます。かつまた、伺いますと、最終の段階におきましては、文書で内申を求めたというようなことでございます。そういたしますと、実質的には「措置要求」と変わらないというような見方もできるわけでございます。かつまた、「措置要求」を仮に行いましても、その「措置要求」に従って内申が提出される期待が持てないという状況、判断のもとにおやりになったということも伺っておりますので、それぞれ具体的にどういう努力が最大限の努力であったかということは、やはり個々の事態に即して判断すべきことであろうと思います。
#50
○安永英雄君 これは、初中局長が言うことばじゃないですよ。この事案は、時間がないから言いませんけれども、長い間、奥野さんとの間で手順を踏んでいって、そして一番強い、この現行法では一番強い「措置要求」というものをやって、そしてと、こうあなたは答えておるんですよ。それが行われていないということは、これはあなたの責任だ。福岡県がどうのこうのと言うんじゃない、あなたの責任だと私は思う。あなたはこれについて反省がない。これは今後起こり得る問題だ、この通達を撤回しない限り。またあなた、そういう指導でやっていこうとするのか、責任があなたはあるだろう。文教委員会の席上ではっきり答えているだろう。そういう態度でいながら、すでにこれあなたの責任で出しておる通達についてそんな指導をやっていくのかね、その場限りの。一貫したものがなけりゃならぬ。私どもは新しいこれは新法ぐらいに考えるんですよ、この通達は。明らかに新しい法律ですよ。手続をとらないで勝手に解釈しとる、あなたはどう思いますか。それでもあなたあれですか……。
#51
○政府委員(安嶋彌君) 最大限の努力の中には措置要求ということも私は含まれると思いますし、またそういう手続の踏まれるべき場合もあろうかと思いますが、ただ、常に「措置要求」という手続を踏まなければならないかどうかということにつきましては、つまり、常に「措置要求」という手続を踏まなければ最大限度の努力をしたことにならないかどうかという点につきましては、これはやはりケース・バイ・ケースで判断をすべき事柄であろうと思います。
#52
○安永英雄君 時間がありませんから、これは本委員会としてはこの問題をずっと審議していくわけですから、ここでどうのこうのと言いません。改めて言いますが、あなたは責任がありますよ。頭の一つも下げて、あのときは誤りだったかどうかはっきりしなきゃならぬ立場ですから、次の委員会にははっきりしておきなさいよ、この点は。
 次に、県の教育委員会と地方教育委員会というのは、これはもうがっちり組んで、そうして県の教育を振興していかなきゃならぬ、これが不仲になってはだめなんです。この通達によって五日ないし十日にこの処分を発令をしたというその後の地教委の受け取り方、地教委の反響というのはどんなふうにこれは把握をしておられますか、教育長の方からお聞きをしたい。
#53
○参考人(森田實君) 御指摘のとおり、県と市町村教育委員会というものは、相互信頼の上に立って人事行政を適正、円滑に実施していくべき立場にあると思います。三市一町に限定して申しますならば、県の教育委員会は市町村の教育委員会の内申を待ってやってほしかったという意見が後から出てきたところが二カ所ございます。後、すべきであったけれども内申できなかったという意思の表明だけがあっておるところが二市町村でございます。
#54
○安永英雄君 これは、私は委員長にもずいぶん言ったんですけれども、きょうここに地方教育委員会が入らないと、実際は明らかにならないし、私は近いうちにまた委員会として、これは現地に赴いて調査をしなきゃならぬと思うんです。地方教育委員会の受け取り方を聞きたいわけですけれども、おりませんから、この点、教組の方でどのように地方教育委員会はその後、これが発動された後の受け取り方というのはどういう状態なのかお聞きしたいと思う。これは書記長の方からでも結構です。
#55
○参考人(白石健次郎君) まず、今度の一〇・四通達を適用しての二月五日、それから二月十日に行われた県教委のストライキに関する処分については、これは単に地教委だけではなくて、教育現場にいる校長、教頭、一般教職員はもちろんのこと、地域の多くの人々も、きわめて遺憾な気持ちでいっぱいだというふうに私どもは理解をしています。これは単にストライキが違法であるかあるいは合法であるか是か非か、そしてそれに対する処分が適当であるか否かどうかというような問題を抜きにいたしましても、やはり今回のストライキに関する処分を行う手続というのは、明らかに現行の地教行法三十八条に違反する通達を適用したということで大きな反響を巻き起こしているというふうに思います。
 その一例として、先ほど県の教育長のほうから言われました三市一町を除くその他の地教委の中でも、今回の通達の適用についてきわめて強い反発を示している。先ほど安永議員からも指摘がありましたけれども、ここに鞍手郡四町の地教委が公式に声明書という形で出しているわけですが、この中でも、今回「「地教委の内申がなくても処分してよろしい」という昭和四十九年十月四日付の文部省通達は地教委の内申権を保障した地教行法三八条に違反するものである。」という断定を行うと同時に、「したがってその通達にもとづいて執行された三市一町に対する行政処分は無効であると判断する。」という、これはまさに当該地教委以外の地教委がこういう声明を公式に行うという事態でも明らかだと思うのです。
 その他、三市一町の地教委は、これに対してもちろん公式に明確に反発を示すと同時に、さらに二十都市というのがありますが、この二十都市教育長会の中でも、この一〇・四通達についての意見書をそれぞれ全国都市教育長協議会を通じて文部省の方にも提示をいたしているやに聞いております。
 そういうふうに、福岡県においては、ただ単に教員組合が反対するということではなくて、地教委自体が今度の一〇・四通達を発動しての処分についてはきわめて遺憾な意を表明しているということをこの際申し上げたいと思います。
#56
○安永英雄君 時間がありませんから。
 この参議院の文教委員会におきまして十二月の二十四日、この委員会におきまして、委員長の報告という形で確認をした事項があります。「地教行法第三十八条第一項の解釈についての通達は、地方教育行政制度の根幹にかかわる問題であるので、本件については今後引き続き当委員会において審議を行うものとする。なお、委員長としては、この間、本件に関し各県において混乱の起きないよう最善の努力をいたします。」という、これを確認をしたところでございますし、立法府のこの参議院文教委員会としては、文部省が、私どもに言わせるならば、これは違法な通達を出しておる。あるいはまた違法でないという論もあるわけです。この立法府でこの問題については、これはいまから検討していくという、こういう段階でございますが、この趣旨に基づいて、この文教委員長が教育長に、そういう趣旨に基づいて福岡県のこういった発動がなされないように、こういった一つの慎重さも求めたいということで、上京していただきたい、話し合いをしたいということでありましたが、教育長がこれに応じなかった。その前の教頭あるいは校長の管理職試験の際にもやはりわれわれは心配したのですが、これにも上京されなかった。時間がありませんから、なぜ上京されなかったのか、簡単に説明していただきたい。
#57
○参考人(森田實君) 一月中旬、文部省のほうから、上京の予定があるかということでございました。私どもの県では、御承知かと思いますが、統一地方選挙に当たっておりますために、例年三月中に開かれる議会が二月中に完了するということで、一カ月間繰り上げて諸般の予算編成等の作業が行われておるわけでございます。もうすでに議会は二十五日の夜終了いたしましたが、そういう経緯の中で、非常に私どもは多忙な状況でございましたので、一月中旬ごろのお話では、二月の初めぐらいになればあるいは行けるのではないかということを申し上げておりましたけれども、その後の推移からいたしまして、定数の要求等いろいろな問題が未解決でございましたために、ついに上京することができないという次第で、そういう御連絡を申し上げたわけでございます。
#58
○安永英雄君 先ほども申しましたように、二十日そこそこでこの通達を発動するという態度を決めている。各教育委員会の態度も決まらぬのに最後通告やってやってしまった。あるいはまた、私はこの問題については「措置要求」という措置もあったのではないか。やらなかった。それもやっていない。行政のとるあらゆる措置というものはとっていない。不十分。なおかつ、いま文部省からと言いますけれども、その連絡は、この通達をめぐって参議院のこういった意向もいろいろ話をしたい、こういった、これは行政として、あなた行政官として一つのやはり努力をしなければならぬあれじゃありませんか。私は以上三つ挙げた点で非常に不十分だと思う。あなたはとにかく十分、行政上の責任を尽くして尽くして尽くし上げて、そしてこれに踏み切ったんだということは言えないという私は判断をいまでも持っている。これは委員長が言われる言葉でしょうけれども、私は参議院をこれは軽視しておるのではないかというふうな気もするわけです。これは明らかにまた今後いたします。
 そこで、もう時間もありませんから、福岡県の教育というものは、これは教頭あるいは校長、こういった管理職試験の問題をとってみても、あるいは処分の問題をとってみても、あるいは講習会一つとってみても、あらゆることでとにかく混乱をしておるということは私は言えると思う。決して好ましい状態ではない。この点について、とにかく処分の問題だけじゃなくって、総合的に、県の教育委員会の委員長として、今後どのようなとにかく立場をとられようとするのか、これをおきめようとするのか、そういった基本的な考え方について簡単にお聞かせ願いたいと思う。
#59
○参考人(田北一二三君) 先ほども申し上げましたけれども、たとえばストライキの参加率にいたしましても、全国のトップレベルの参加率を示す、それからいまおっしゃいますように、われわれが優秀な管理職を登用しようとする試験にも、約数千の教職員がその試験場の周りを取り囲まれまして妨害行為に入る、中にはけが人が出る。われわれはこういうふうな管理職の登用すらも、つまり県教委の本来の職務でございますその業務にすらも教職員の団体が反対行動を起こすという、こういう事態をわれわれ県民のために、県民の子供の教育を預かっておる者の一人として断じて許すことはできないわけでございます。われわれは、幼い子供は教育を受ける権利があり、また父母は教育を与えねばならない義務がある、その受けるべき権利をストという形で強奪されておる、こういう子供たちのために、われわれは断固として教育の正常化、あるべき姿というものを求めてまいっておる次第でございます。われわれは好んでストの処分というものをやっておるわけではございませんで、権利の主張のできない子弟たちのために、私どもはあらゆる混乱を乗り越えまして守っていかねばならないという決意に燃えておるわけでございます。幸いにして教職員の中にも、先ほど申し上げてまいりましたが、すでにあるべき姿に目覚められまして、われわれの行います講習会にも組合の反対を押し切りまして、どしどし参加していただきあるいは新たな教職員のあり方を求めて活動を始められたという事情もございます。これからの将来は、福岡県の教育界は次第に明るい方向に向かうのではないかというふうに考えます。
#60
○安永英雄君 私は、そういった硬直した考え方が、私は福岡県の教育を混乱させると思う。私はそういった意味で聞いたわけじゃない。これはやっぱり教育委員長として福岡県のそういった現実にだれが悪いとかかれが悪いとかいうことじゃなくて、現実に起こっている混乱というものは、これはより次元の高い立場から教育委員長としては、この問題についてどういう考えがあるかということを聞いたわけでありまして、その点、事務段階のような答弁をされたらますます混乱しますよ。あなたはもう少し自覚を持ってやらなきゃいかぬというふうに私は考えます。
 時間もありませんので、最後に、この問題は、この次、三月の末には人事異動というものが行われます。これは私ども参議院の場合でも心配しているわけです。教頭試験、今度は処分、この次には人事異動、この人事異動のときに地教委の内申という問題がまたこれ絡らんできて、この十月三日の通達と関連ができてくるわけだが、私は、この問題だけはどうしてもこれを発動しないで、円満に福岡県の三月人事が仕上がるように念願しているわけです。もう少し言いたいこともありますけれども、教育長、今度の三月人事というのは、県議会も終わって定数も何かこう決ったような形でありますけれども、これにあなたが先ほど言った十月四日の通達によって、さらに二段目の通達を発動されると、こういった考え方があるかどうかお聞きしたい。
#61
○参考人(森田實君) 私どもでいま一番心配いたしておりますし、また、行政の側の責任として痛感いたしておりますものは、県内におけるところの人事の適正配置ができていないということでございます。具体的に申し上げますと、長いエネルギー革命の結果、旧産炭地におきましては、現在すでに四百名程度の過員がございます。一方、福岡市を中心といたしますところの人口急増地域におきましては、県が定めましたところの配当基準に達しない百七十名もの欠員を現在抱えております。定数が足らないために補助教諭を置いておるという実態の中で年度末を迎えようといたしておるわけでございます。したがいまして、今回議会はすでに終わりまして定数条例等も決まりましたけれども、年度初めの状態が、過不足状況がどうなるかということを一応検討いたしてみますと、大体五百数十名の過不足が双方に出るわけでございます。そういう中で、県の教育委員会といたしましては、最低限の基準でありますところの配当基準表の人数だけは人口集中地域にも配当しなければならない責任を持っております。他面、過員を抱えておりますところは現在平均年齢が四十六歳になっております、教員の平均年齢が。若い三十五歳以下の先生が全くいないという学校がたくさんございまして、要するに、教職員の年齢構成上非常にいびつな状態が出ておるわけでございます。そういうことを県の教育委員会は踏まえまして、やはり現在の状況ですと、ことし四百八十名程度の新規の増が出ますので、退職者等を考えますと七百名近い新規採用ができるという明るい方向にマクロ的にはそういう状態が出てまいりました。したがって、二万一千人程度の教職員からいたしますならば、大体適正な新陳代謝が確保できる状態が出てきたわけでございます。非常にありがたいと思います。しかしながら、これが地域間に非常にアンバランスになっておりますことはやはり是正していかなくちゃならない責任がございます。今後、関係の市町村の教育委員会とも十分御相談をいたしまして、なお、当面の教組ともこの問題については話し合いをいたしまして、この問題が適正円滑に、県内に不均衡がないように人員配置ができるように努力をしていきたいという考え方を基本に据えてやっていきたいと考えております。
#62
○有田一寿君 いま参考人の委員長が最後に答弁をされておりました趣旨に私は賛成するものであります。福岡県の教育の実態につきましては、ほとんどの方々が声に出す出さないは別として、ほとんど私は承知しているところだと思います。いま伺っておりますと、内申書を出すように要求をした。また、何回も要請をしたが出ない。それでも不十分だ。なぜ「措置要求」をしないんだという手続に議論が集中しておりますけれども、私は、この内申書を出さないように、出してはならぬという圧力を教組がかけたかどうか、それをまず第一に、万そういうことはないと思いますが、念のために大穂参考人にお伺いをいたします。
#63
○参考人(大穂勝清君) いまそのような趣旨の質問がございましたが、これは教組がたとえば指令を発して出すなというような内容のものではございません。
#64
○有田一寿君 私は、ここに福教組が昨年五月十日から十三日にかけて直方市民会館で行いました定期大会の資料を持ってまいりましたが、いまのお答えについてさらに重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
 この定期大会の議案の中に「権利を守り、弾圧をはね返すたたかい」という項目がありますが、その中で「スト権奪還のたたかいの一環として、地教委の処分、内申書提出を阻止し、処分を許さないたたかいを重点としてたたかい、内申を阻止し、処分発令をくいとめた三市一町の成果と、県下ほとんどの支部において、全員動員を背景に徹夜を含む町村単位の団交、地教委の自宅訪問、地区労あるいは自治労との共闘等、多様な取り組みを強力に組織した結果が高く評価される。」と書いてあります。この意味はどういう意味でしょうか。
#65
○参考人(白石健次郎君) まさにそのとおりでありまして、私どもとしては、ストライキに対するいわゆる懲戒処分はあり得ないという基本的な考え方に立っている。それだけに、このストライキに対する懲戒処分は、これは違法不当であるという基本的な立場からこれは行ってはならないし、行わせてはならない。その場合においても、私どもとしては、現行法規の枠内における闘いとしての戦術を行使している。それは現にわれわれの身分にかかわる処分の執行については、先ほどから言われておりますように、地教行法の三十七条の発動については、三十八条を待ってしかこれは行われないという厳とした法律があるわけで、この法律を支えにしながらわれわれの身分を守っていく、こういう運動を展開をしていく。このために、それを地教委に十分理解をしていただく、こういう運動を積極的にいままで進めてきたわけです。その結果が、結果的には三市一町という形に具体的に出てきた、こういうことが言えると思います。
#66
○有田一寿君 議論がもとにさかのぼってストライキということになりますと、これは多くの時間を要すると思いますが、簡単に、ではお尋ねいたしますが、今度のこの内申抜き処分の是非と――是非というよりも手続の是非ということが論じられておりますが、もともとそういう処分というものが起こった根源はストライキというものがあったからだと思います。その場合、地公法というもので公務員のストライキは禁止されておりますが、あなた方のこの書かれた文書によりますと、スト権を奪還するためにはストライキを打つべきである。またいつでも打てる態勢を常に準備しておくべきであるというのが、昨年度の運動方針の根幹であることは間違いありません。間違いありませんと私が言っても恐らく反論はないと思いますが。そうすると、いまの法治国の中で、いかなる理由があるにせよ、子供を犠牲にしてストライキをするということについて、あなたはどうお考えでしょうか。
#67
○参考人(白石健次郎君) ストライキは要求があって初めてストライキが起こるので、われわれの要求を全面的に当局側が理解し、その要求を受け入れていただける場合においては、ストライキはあり得ないわけであります。だから、かつて一昨年十月の四日、さらに昨年の四月の二十七日というストライキ等の想定がありましたけれども、これらについては当局の理解ある態度の中で、このストライキはいわゆる中止をし、あるいは、これを延期をする、こういう形も出てきているわけです。だからストライキというのは、決してストライキのためにストライキがあるわけではなくて、そこには私たちの当然の要求として掲げておるものがある、この要求をどう理解し、受けとめていただくか、このことが私たちのストライキをやめるかやめないかの、いわばポイントになる、こういうふうに理解をしていただきたいと思います。
#68
○有田一寿君 まことに奇怪な議論を聞くものだと私は思うわけでございますが、われわれの要求が全面的に聞かれればストライキはない、聞かれなければある。――何を言っても自分たちの言うことに全面的に賛成がない場合は、ストライキを打つと。しかし、法律はそういうことで決められておるのでしょうか。いかなる人にも、いかなる立場の相違からくる主張、反論はあると思います。しかしながら、法で決められたことには従うというのが、私は法治国の国民の義務であるというふうに理解していますし、また、諸先生方はそういうことを子供に教えているのではないでしょうか。しかし、いまの議論はもう繰り返しません。具体的なことに入ったほうがいいようです。これは大多数の国民がすでに了解していることだと思いますので申し上げません。
 聞くところによりますと、大牟田市の教育委員会の教育長と大牟田市の市教組との、教員組合との間である確認があって、それが内申をするに当たって障害になっていたということを私は聞きますが、そのような確認があったのかなかったのか。あったとすれば、どのような確認があったのかを教えていただきたいと思います。
#69
○参考人(白石健次郎君) 確認は、むしろ大牟田市の市教組と教育委員会との関係というよりも、大牟田市当局と大牟田市職労との間における、いわゆる確認の取り交わしによって、その確認に基づいて大牟田市の教育委員会と大牟田市の教組との間に確認が取り交わされたというふうに私どもは聞いております。したがって、その確認の内容としては、大牟田のいわゆる市職労と大牟田市の間に取り交わされたものでは、労働基本権を当局側としてはこれを認める、こういう立場の回答であったように記憶しております。
#70
○有田一寿君 いまの問題について、森田参考人にお伺いいたしますが、いかなることであったのか、簡潔に正確にお答えをいただきたいと思います。
#71
○参考人(森田實君) 前段の方の内容は、いま白石書記長からお答えいたしましたように、市の市職労と関係者との当事者との間の確認でございます。これは、いわゆる退職協定という文書の中に成文化されておるわけでございますけれども、これらを受けまして、別に当時の教育長が、四十八年の四月二十三日付で福教組の大牟田支部長に対しまして確認書を出しております。内容は、「労働基本権回復に向けて教育長として努力する」という簡単な表現になっております。
#72
○有田一寿君 そのことが内申を出す場合の大変なネックになったというふうに私は了解しておりますが、それは後に譲ります。
 重ねて大穂参考人にお伺いをいたしますが、ここにあります皆さん方のこの大会のときの文書でございますが、読んでみますと、「前段のたたかいでは」、まあそれは略します、いろいろありますが。「七二年度処分発令阻止の成果をさらに発展させるため、四・二七、七・一九ストの処分内申阻止に全力をあげてとりくみました。そして、五・一九の内申阻止を上回る成果をあげることができました。しかし、このような地教委の動向にあわてた県教委は、昼夜の区別なく徹底した欺瞞と強迫態度で内申書を強奪し、北九、福岡市教委とともに昨年八月二十八日、五・一九、四・二七、七・一九ストに対する不当処分を発令しました。」と書いてある。ここで、私はこれは県教委もけしからぬと思うわけですが、「強迫態度で内申書を強奪し」と書いてありますが、どういうふうにして強奪したのか、強奪されたのか、森田教育長の方にお伺いをいたしたい。
#73
○参考人(森田實君) 県の教育委員会といたしましては、先ほど安永議員にお答えいたしましたように、四十八年の七月の二十八日にまず第一回の、いわゆる内申をしてほしいという通達を出しました。その段階におきましては、いわゆる内申を全県的に求めるという形で、全県的な指導をいたしましたわけでございました。その後、八月二十八日に処分が実施された後、三市一町が残りました後は、先ほど御説明いたしましたように、もっぱらその三市一町についての内申のお願いをしてきたわけでございます。新しい通達が出ましてからも、文書で三回の指導、督励等をいたしてございますけれども、私の方では、関係市町村の御了解を求めるということで、四十八条の「指導、助言」をいたしたわけでございまして、これを逸脱するような強奪というようなことをいたしておりません。関係の市町村の教育長さんあるいは委員長さん方とも非常にフランクになごやかに話し合っていただきまして、そうして決してエキサイトするような状態ではございません。その間、関係地教委も非常に平穏の中に数回の教育委員会を開いて、やはり協議をなされておるということでございまして、強奪というようなことを、この三市一町以外の市町村におきましても、そういうことをいたしたことは全くございません。
#74
○有田一寿君 大穂参考人にお伺いしますが、物事というものは、言葉の、特に日本語というものは幅が広うございますから、同じ真ん中の物事を言う場合も、片一方の極端な端で物を言えば意味も変わるということは、教育のある皆様方でございますから、十分御承知のことでございます。いまのような強圧的態度により強奪されたということをすべての組合員に私は訴えるということは、適当ではないのではないかというふうに思いますが、これは、私はそのことは重ねてお聞きいたしません。
 続いて同じく大穂参考人にお聞きしますが、この「内申を阻止し、処分発令をくいとめた行橋市、田川市、大牟田市、碓井町の成果と、政令都市として地教委の主体性を堅持させる福岡支部のたたかいを始め、県下ほとんどの支部において、全員動員を背景に徹夜を含む町村単位の団交、地教委の自宅訪問、地区労あるいは自治労との共闘等、多様な取り組みを強力に組織していった結果であり、高く評価されるところであります。
 後段のたたかいでは、「不当処分阻止・撤回要求」の全国的課題について、福岡を最重要拠点として設定、午前半日ストライキを配置するなかでたたかいを進めました。」。で、私はこの文章から思いますのに、県の教委のほうは一生懸命になって最善を尽くして内申書をもらおうと努力を私はしたと思います。それが少ないか多いかは、それは常識で考えるべき問題でありまして、それが八回では少ない、十二回では少ないんだといえば、何百回やったらいいのか、恐らくこれをあと半年一生懸命に内申を求めて努力を県教委がした場合に、三市一町から出る見込みがあるのかないのか、私はないと思います。ということは、あらゆる重点をここに指向して内申書提出拒否闘争を進めた全福教組との闘いであります。そしてこの三市一町は福教組側の勝ちに終わったと私は言ってもよいと思います。ということは、行橋市の市長は福教組の幹部をしていた人であり、しかも、私はこれもお尋ねしようと思いますが、組合と事前に話し合わなければ内申書は出さないということを行橋市の場合に教組との間で取り決めをしていたというふうに私は承知しておりますが、それは事実でしょうか、大穂参考人お答えください。
#75
○参考人(大穂勝清君) 話の内容が一〇・四にも関係があるようでございますが、いまのこの問題につきましては、先ほど鞍手郡の地教委連絡協議会の会長の石橋さんが声明書を出しております。その中に「県教委は世論を無視し、度々厳罰主義をもって処分を強行し、このことによってもたらされた不利益の回復についても、かえりみようとしないばかりか、更にこの度、一〇・四通達の適用を強行した、このような県教委の処分偏重の行政は、権力の乱用であり、本質的に解放教育の理念にそむくものであるとともに、地方教育行政の正常かつ円滑な運営を阻害するものである。前項の見地に立って当郡教連は内申書の提出を留保する方向で全力をつくした。しかし内申書を提出しなければ「一〇・四通達を適用し協働関係を破棄する」という、県教委の圧力の前に屈せざるを得なかった。これは協働関係が破かいされることによって校舎建築等、教育行財政に悪影響を与えることを憂慮したためであるが、最後迄所信を貫くことができなかったことはいかんである。」これは鞍手郡の地教委連絡協議会の中で話し合ってこの声明が出されたものでありますが、いまのようにすべて私どものこの闘いを支持をしてくれているというふうには私どもも解釈はいたしておりません。しかし、本当に、県の教育委員会の処分行政あるいは権力をかさに着たこのやり方について、必ずしもそれが妥当ではないというような声は満ちております。それは、一つの例といたしましては、一昨年に、福岡県下九十八地教委があるわけでございますが、その中の九十六の地教委がこの過酷な処分行政に対しまして、これではいけないというところの意見表明を九十八のうち九十六もしておるというような実態も明らかでございます。
#76
○有田一寿君 重ねてお尋ねいたしますが、九十八のうち九十六の地教委が県教委の処分行政反対であるという声があるという御報告がありましたが、その前に、福教組が何回もストライキを打つということに対して地教委の方ではみんな賛成という声があるのでありましょうか。これは御返事を求めてもおそらくかえっておかしなことになると思います。われわれの承知しておる限りではその反対でありまして、怨嗟の声が満ち満ちておるというのが福岡県の現状だと言って差し支えないと思います。重ねて、いまの鞍手郡の四地教委が出したこの声明文、これは県教組と話し合ってその声明書に至ったということを私は聞いておりますが、その事実は全然ございませんか、お伺いをいたします。
#77
○参考人(白石健次郎君) これは、鞍手郡の地教連と言いまして、四つの地教委がございますが、この四つの地教委の教育長並びに教育委員長が相寄って協議し声明を発したということで私どもは入手をいたしたわけであります。福教組と話し合ってこれを行ったなどという、そういうものでは全くありません。
 そこで問題は、何か福岡県教組がいわゆるそういう大量の動員によって地教委に対し圧力をかけた、そのことによって内申がとまったんじゃないかというふうな御質問のようにございますけれども、これは、固有の権限をそれぞれ地教委が持っているわけでありまして、九十八の地教委に対して私どもが仮にそういう積極的な働きかけあるいは運動を提起いたしましても、なおかつ、申し上げましたように、三市一町を除く各地教委は全部内申を提出いたしておるわけです。だから、三市一町も、提出しようと思えばできなくはないわけです。なぜそれでは三市一町が提出をしないのか。そしてまた、いわゆる九十八の地教委のうち九十六の地教委が何らかの形で県教委に対して意見を申し出るというような、そういう異常な状態がなぜできるのか。この辺をもう少し理解をしていただきたいというふうに思うわけです。これは、先ほど有田委員もおっしゃられましたように、各地教委が必ずしも全部が全部ストライキに賛成じゃありません。そしてまた、ストライキの処分をしないということに賛成ではありません。おそらく三市一町もストライキについての処分をしないということに必ずしも賛成ではなかったと思うんです。でも、やっぱり三市一町が内申を提出しなかったのは一体なぜか。これは決して、行橋市の市長が革新の市長であるから、あるいはもと教組の幹部であるからというような、そういう単純な理由だけではないと思います。と申しますのは、いわゆる、すべての地教委と言って差し支えありませんが、すべての地教委がいま言っている事柄は何かと言えば、福岡県の教育委員会のいわゆるストライキに対する行政処分は、これはひど過ぎると、あまりにも過酷である、このことはすべて満ち満ちているということをこの際申し上げたいんです。と申しますのは、先ほど教育長から処分の数について発表がありましたが、今日までの処分数約十四万と言われております。日教組全体で言えば約四十万ですが、その四分の一を福岡県教組が担っている。これは何も参加数が多いからというだけではありません。つまり、一貫して全員処分方式をとっているからです。さきに最高裁の全逓中郵の判決があり、その後都教組の判決があり、そして四・二五判決等出てまいりましたが、その間、いわゆる国家公務員の場合においても、一般地方公務員の場合においても、また全国の都道府県の各県教委の中においてでも、全員処分の方式を今日まで貫き通している県教委が何県あるか。この辺を実を言えば私どもは文部省からもお聞きしたいと思うんです。少なくとも今日まで全員処分方式を貫き通してきているのは、福岡を含めてわずかの県にすぎないと思っているんです。そのわずかの県にすぎないこの福岡県において、その処分のほとんどが集中している。そうしてその福岡県の中においてはどうか。この際申し上げますが、同じ県庁に勤めております県職員の場合においてわずかに二千数百名にすぎない。しかも幹部処分である。そして同じいわゆる自治体の職員であるそれぞれの市町村に勤めている自治労の職員に対しても行われる処分は幹部処分にすぎない。これらの問題がやっぱり各地方教育委員会の中における内部矛盾として拡大をして出てきた。このことが、いわゆる先ほど申し上げましたように、大牟田のような事態を生むわけです。これは決して、大牟田市の教育委員会と教組の間でできた確認というよりも、大牟田市職と大牟田市の教育委員会の中で団体交渉を交わしていた際に、大牟田市の教育委員会が陥った矛盾をみずからここで露呈せざるを得なかった。
#78
○有田一寿君 簡単にお願いします。
#79
○参考人(白石健次郎君) そういうようなことがあるから、そういうことがあるから、地教委の中でもやはり処分方針を変更すべきだという声がいっぱいあるわけです。それを無視して、あえて毎回同じように、全国でも最高の処分を行い続けてきたその県教委に対するやっぱりそれなりの反発といいますか、それなりの意見、つまり、みずからの意見が入れられないものに対する抵抗意見、こういうものがやっぱり地教委の内申が出ないという形になって出てきているし、仮に内申をとられた地教委においてでもなおかつ県教委に対する抗議声明なるものが出てくる。これが福岡県の教育界の実態だということをよく御理解いただきたいと思います。
#80
○有田一寿君 処分が過酷である、あるいは人数が多いということは、私は福岡県の県教委自身の姿勢というよりも、これは教員組合と教育委員会との相関関係であると思うのです。私は、教育というものは、一般が真っ白いときに教育だけが黒くなるわけでもないし、またその逆もあり得ません。福岡県の実態は、教組も非常に過激に走る、それが同時に県民の怒りを買い、それが教育委員会の厳正な処分につながっていると、私はそう解釈するのが普通だと思います。さらにまた、法律論は、私は、教育に無関係ではない。第一、地公法に違反した場合に処分するということもこれは法律によっておるわけでございます。しかしながら同時に、特に教育の場合は、私はそれだけでは不十分で、その底に流れる――先ほどは相互信頼という言葉が使われましたが、相互信頼あるいは倫理、そういう観念があって初めて教育というものは少しずつ正常に行われていく。それが、手続が過酷である何である、あるいは何回督促したかと、その大前提になるものは、ストライキをするということ、それを何回も重ねるから処分は何回にもなる。また、あなた方がおっしゃるように、最善の努力をして内申を求める、しかしそれで出ないところをなぜ処分するんだと言いますが、あなた方が全力を投じて内申阻止闘争をやっていらっしゃる。出さないんです。だから、あなた方が勝ったわけです、三市一町に対しては。そうしておいて片一方では一生懸命に出すな、出すなとやっておいて、なぜ内申がないのに処分するんだと言って県教委を責めるというこの姿勢は私は正しいものではないと思うんです。これはどなたが考えても私はおかしなことだ、内申を出せと、努力をせいと、おれも協力するというんなら県教委を責めてよろしい、十回では足らぬ、五十回やれ。しかしながら、反対の努力をしておいて、なぜもっとやれ、もっとやれとやらないんだ、われわれはとめるよと、これは全くナンセンスなことであるというふうに私は理解をしているわけでございます。
 最後に、同じくまた皆さん方の文書で肝心なところだけを私読みますが、「処分内申未提出支部のたたかいを引き続き全県闘争として維持すると共に、七四年春闘の懲戒処分に対しては処分を許さないたたかいに最大の重点をおきます。そのため地教委の処分内申阻止を昨年秋期闘争での確認書」これはたぶん大牟田市とのものでありましょう、「覚書、意見書をもとに地教委の県教委に対する要求行動を結合させて、徹底したたたかいを組織します。」、ちょっと文章が私も読みなれない組合文書でありますので、なかなかむずかしいんですけれども。要はもうお聞きの皆様がおわかりのとおり、全力を尽くして内申阻止闘争をやるんだ、それでこれを突破口にするんだということは、これは異議ないことだと思うんです。だから、私は手続の何日にどうした、その前の日にどうした、何回したということに皆の重点を置いて時間を使うよりも、ストライキというものはやらないほうがいいのではないかということをお互いに研究すべきではないか、で、どうしてもストライキをしなきゃならぬというとき、皆さん方がなさると言えば、私の方はというよりも、県教委では多分処分をすると思います、法律に照らして。だから、その基本的な問題をそれて手続論だけに終始するのは私はおかしい。
 ここで、中間で時間が少なくなりましたから、一回私は文部大臣にお聞きをしておきたいと思いますが、この福岡県のこの今度の内申抜き処分については福岡は特に異常な事態であると、他県には波及はしないであろうと思うという何かで文部大臣が言われた言葉を私は知っておりますが、私は逆に考えておりまして、内申書を出してもらう努力をしても出ない場合、これは当然に私は行政ベースで県教委としては私は処分を発令するのがあたりまえであると思うんです。だから波及をするかしないか、それはそういう内申書未提出、努力しても出さないという事実があったかどうかによってきまるわけでありまして、これは自然に処分されて当然、その基本のこの通達自身がどうであるかということにつきましては、福岡県教組はすでに裁判所に出しておりますので、これは最高裁の判決によって法令についてはこれが違法であるか違法でないかはきめるという時点がくると思いますが、いまの時点では県教委としては出された通達に忠実に従って進めていくという以外に私は何もない、それを責めあげるということは、私はおかしいという気さえしておりますけれども、ここは今後の影響もあることでございますので、文相の明確なひとつ意思を表示していただきたいと思うわけであります。
#81
○国務大臣(永井道雄君) 私は、繰り返し大臣に就任以来わが国の教育におきまして教育を政争から離すことが望ましい、そのために私は全力を挙げて働きたいと申し上げているわけであります。そこで、そのために全力を挙げて進んでいきますためには、これまでわが国に見られた状況というものが終わらなければだめでございます。さて、この福岡の問題につきまして、私は先ほどからの皆さんの御意見も承っておりました。また福岡の事柄につきまして就任以来若干の研究もいたしてまいりました。で、福岡の状況につきまして私が考えまするに、まずストが行われた、さらにまた、内申提出阻止運動というものが行われた、かような状況のもとにおいて内申書の提出を得るということはきわめてむずかしいと考えます。したがいまして、一〇・四の通達というものを軽々しく用いるということは望ましくないこと、また処分を快く先生という人に対してする人はないということ、これも申すまでもないことでありますけれども、しかしながら、内申提出阻止運動があり内申が得られない、そのような状況のもとにおきまして、一〇・四通達に基づく行政が行われますということは、まことに残念であるけれどもやむを得ざるものであると考えております。
#82
○有田一寿君 明快な御答弁をいただきましてよくわかりました。
 次の質疑でございますが、これは森田参考人にお伺いをいたしますが、処分の問題は別として、今後異動を行います際に、今度の通達を軽々に使うということは万ないと思いますが、そういうことによってさらに確執が深くなるということは私どもも好んでおりません。あるいは五年なら五年の間に次の異動に伴う凹凸是正を行うということ、それを一度にやろうとすると、これは相当いろんな問題が派生してくると思いますが、それに関して森田参考人の御意見を伺いたいと思うわけであります。
#83
○参考人(森田實君) この問題は先ほど安永委員の御質問にお答えしたところでございますが、本県におけるところの教職員の定数、配置状況というものが非常に大きなアンバランスを持ったまま現在進行しておるわけでございます。私どもといたしましては、行政の責任として非常にこの問題には痛感をいたしております。また、この日々に流入してきておりますところの過密都市におきましては非常に大きな不満がございます。教員さえ配置できないような教育委員会なら要らぬじゃないかという言葉さえ極論する市町村の教育委員があります。当然のことだと思います。そういう中で、他方たくさんの会員を抱えておるという実態でございますので、これはやはり何としても解決していかなくちゃならない問題であると思います。ただ、いま有田委員御指摘のように、長い間積もり積もってきた問題でございまして、今日一朝一夕においてこの問題が出た問題ではございません。したがいまして、解決するにいたしましても若干の年月を要して、そこの中に計画的な配転というものを実施していく必要がある。そのためには市町村の教育委員会及び関係者の御協力を求めていくという基本の姿勢がありませんと、必ずしもこの問題は円滑にはできないという考え方を持っております。従来からこれらの産炭地の教員の異動につきましては、いろいろ条件整備を私どもはいたしております。福岡市内にすでに三DKのアパートをたくさん建てておりますが、現在空き室が七十以上あります。そうして、これらの空き室があるにもかかわらず協力が得られないというような実態等もあるわけでございます。今後、関係の組合とも話し合いを早速進める約束をすでにいたしておりますが、できるだけこれらの問題を、条件整備をしておりますし、われわれのいわゆる行政の責任というものがございますので、組合との間の話し合いもしまして、そして地教委の御意見等を十分くみ入れながら御協力をいただく、地教委の御協力をいただかないと、この問題は内申という問題にまたひっかかってまいりますので、そういうことで努力をしていきたいということを申し上げておきたいと存じます。
#84
○有田一寿君 スト処分の場合もそうでありますが、さらに異動の場合も同様でありまして、今度の一〇・四通達はまた問題になり得ると思いますが、私はこの際一言明らかにこれお聞きしておきたいと思いますのは、内申は権利である、だから内申が出ないのになぜした、なぜしたと言いますが、これは法の基本に関係する問題でありますから、それこそ私はこれ以上申し上げませんけども、常識としては、内申をする権利があるということは同時に義務もあるということではないかと思うんです。だからこそ権利が生きてくるわけで、義務を伴わない権利だけという考え方は、こういう内申の場合には私はあり得ないのじゃないかと思いますが、これに関して文部省の見解をここで一言伺っておきたい。
#85
○政府委員(安嶋彌君) これは従来からもしばしば申し上げておりますように、特に行政機関に一定の権限が与えられておるという場合は、それを行使すべき客観的な必要があります場合には、それを行使する義務がある。個人的な権利の場合におきましては、いろいろなケースがあろうかと思いますが、行政機関の場合はやはり権限が与えられておるということは、それは同時に適正に行使する義務を含んでいるものであるというふうに従来から考えております。
#86
○有田一寿君 この福岡県の問題につきましては、県教委も私は一〇〇%完全であるとは思っておりません。やはり関係者の心の奥底には、このストライキに対する反感の気持ちもありましょうから、それが言動にあらわれたり、あるいは事実にあらわれたりすることは、私はあったかもわからないということは、私は考えております。が、しかし同時に、文相がいつも言われますように、話し合いをしようと、そうして協調していこうじゃないかと、その精神でお互いに進むとするならば、お互いが憎い、憎いと言っておっても、その間子供は、父兄は常に犠牲になるわけでありますので、県教委もやはり反省、改めるところがあれば私は反省するべきであるし、また教組としても過去の行きがかりはいろいろありましょうけれども、今後の問題については、やはり話し合いをしながら、少しでも教育を中立に持っていくという努力を私はすべきだと思います。ただ、残念ながら現在の情勢は、それこそイデオロギーが対立するいわゆる情報化社会でありますし、こういう中で教育を中立に確保していくということは、きわめてむずかしい問題だと思います。しかしながらそれをだれがやるかといえば教師がやるしかない。だから右偏向に対しても闘うし、左偏向に対しても闘うという闘いの中で中立は確保され、子供はその壁の中で守られるということで、ただ努力が足らずに対話だ、協調だと美しい言葉を言っておっても、私は五年、十年はすぐに経過する。その間に教育の大事なものが見失われるということだと思いますので、こういう機会にやはり私は今後、日本全体でありますけども、福岡県についてもやはり一歩でも前進するという雰囲気をつくりたいものだと思うわけでございます。
 時間がちょうど終わりになって――あと五分ですが、━━━━━━━━━━ここで取り消しがきくものならさしていただきたいと思います。時間は数分残っておりますけども、以上、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
#87
○宮之原貞光君 時間の制約もありますので、要点だけお聞きをいたしたいと思いますから、明確にひとつお答えを願いたいと思いますが、先ほど来から論じられておりますけれども、一〇・四通達の違法性ということは、これは政府・自民党の立場にない限り、公正な判断に立つならば、これは間違いないことなんですよ。そのことは現に永井文部大臣が朝日の論説をやったときも、そういう立場に立っておったわけですから、しかもこれは、当時の朝日の論説だけではないのです。十月四日の読売新聞、十月五日の毎日新聞、十月六日の東京新聞、同じく七日のサンケイ新聞、九日の朝日新聞の各社説を見ましても、あの通達はきわめて行き過ぎで問題が多いということは、すでに指摘されていることなんです。それを大臣は、先ほどはやむを得ませんと、こういう話ですが、なるほどそれは野にあるときと大臣になったときの立場は違うでしょう。しかしながら、少なくとも同じ人間ですから、そういう立場でやはり行政が行われるようにやはり考えてもらわなければ困ると思うのです、このことは。いかに立場が違いますからと、こうやられると困ると思うのです。もしそういうことに終始されるとするならば、これはやはり野に履けレンゲの花ということにしかならないのですよ、永井さんは。したがって、そのことを私は将来のためにも、やはり永井さんの終始一貫したところの態度を私は貫いてもらいたいということを考えるのでありますが、まあこのことの可否は時間がありませんから私は他日に譲るといたしまして、きわめて簡潔に二点だけお聞きしておきたいと思います。
 それは三月の人事異動に関しますところの県教育委員会の態度についてであります。教育長は、先ほど安永委員の質問に答えて、教組とも十分話し合い、適正円満な人事を行いたいと、こう答弁をされている。また、有田委員の質問に答えても、まあアンバラ是正のためには長い時間をかけて関係者とも話し合って進めていきたいと、こういうように答えられておるように私はお聞きいたしました。こういう点から考えますれば、事少なくとも三月の人事異動に対するところの福岡県教委の態度というのは、このストライキ問題に対するところの問題と違って、一〇・四通達をふりかざしたところの人事行政ではなく、従来どおり教組とも十分話し合い、かつ地教委の了解を受けて円満なやはり人事を行いたいという方針なんだと、こういうように理解をしてよろしゅうございますかどうかと、この点をお聞きしておきたいと思います。
 なお、このこととかかわって、この機会に大臣にもお答えを願いたい点があります。大臣は、二月十八日の衆議院予算委員会におけるところの、この福岡問題にかかわりますところの質疑の中で、議事録を私は拝見をいたしますと、つづめて言えば、大臣は、まず通達の適用云々というよりも、通達に依存をしないような形で済む状態をつくり上げていくということが非常に私としては重要に考えるし、そのために努力をしたいと、このようにお答えをされております。したがって、この立場から三月人事異動という問題を、福岡の当面をする――具体的にそのあなたの答弁を考えてみますれば、人事異動のポイントは、先ほども教育長から答弁があったように、産炭地におけるところの過員という問題をどうするかという問題が問題の焦点になっておるわけです。この過員の問題については、産炭地の置かれたところの条件というものを十分考えていただいて、特別に文部省としてはその産炭地の定員については配慮をして、行政上の中でその過員があってもその人事異動上のトラブルというものを来たさないように文部省としては、大臣としては努力するんだと、このことが中身になければ、あなたの衆議院におけるところの答弁は総論あって各論なしということになるわけです、これは。具体化するとすれば、このことなんですがね。このことに対しては、そのように文部省としては適正な処置をして、いわゆるこの問題が先ほどの問題に発展することのないように強力なやはり処置をする、こういうふうに私は理解をいたしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 この二問だけ、私は時間がありませんから、明確に関係者からお答え願いたいと思う。
#88
○委員長(内藤誉三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#89
○委員長(内藤誉三郎君) 速記を起こして。
#90
○参考人(森田實君) 一〇・四通達の趣旨は、これは何も処分の問題だけではなくて、三十八条のいわゆる県費負担教職員の任免その他の進退のすべてにかかわる通達であると私どもは理解いたしております。したがって、人事異動にこれを使うとか使わないとかいうことを論議する必要はないと思います。ただ、この年度末の人事の進め方といたしましては、私どもは私どもなりに最大限の努力をしていこうと、その中で教組の意見も聞くし、市町村の教育委員会の意見も聞いて、適正な人事が行われるように努力をしていこうということを申し上げておるわけでございます。
#91
○国務大臣(永井道雄君) 産炭地の問題、これは人事異動の問題を含みますから、どういうふうに進めるかということについて直ちにきわめて具体的な答えを申し上げるということはできないと思いますが、しかしながら、教育長も言われているように、これは話し合いによって人事が進んでいくということのために文部省としても協力をいたしたいと考えております。
 なお、さらに一言申し上げますならば、私はきょうこの部屋に参りましてそれぞれお立場の違う方々の話を伺いました。しかし、皆様のお気持ちは一致して、やはりこういう対立的な関係でなく、福岡における教育というものを政争の場から離してやっていこうという点におきましては、根本において一致する気持ちというものが根底に流れているということを私自身感じるものでございます。その意味におきまして、文部省も努力をいたしますが、各党の諸先生方の御協力も得まして、そして福岡という場が明るいところになっていくように御理解、御協力をお願いする次第でございます。
#92
○委員長(内藤誉三郎君) 宮之原君、もう時間がないから……。
#93
○宮之原貞光君 ちょっと、一言だけだから。
 時間がありませんから、大臣がいわゆるいま話に出たところの人事異動の問題については円満裏に処理ができるように、文部省としてもこれは責任があるわけですから、通達を出した以上は努力するということで、私は一応この段階は了解をしておきたいと思いますが、教育長の話は、この三月人事異動は場合によってはまた使うこともあるというところに力点があるのか、それともそのような事態のないように最大の努力をするというところにあるのか、どっちにアクセントがあるんですか、あなたの答えは。そこだけ聞かしてください。
#94
○参考人(森田實君) はっきり申し上げまして、現在の時点でこの通達を使うとか使わないということを申し上げる段階ではないと、ただ、私どもは最大の努力をしてまいりたいということを申し上げておるわけでございます。
#95
○内田善利君 私も福岡県民の一人として、現在の福岡の教育界の混乱、非常に遺憾に思うわけですが、こういった混乱はやはり遠因があり近因があると思うんですね。その遠因は歴史的な背景をたどらなきゃなりませんが、今度のこの混乱は私はその近因はどうしても一〇・四通達にあると、このように判断いたします。大臣はいま、政争の場から離していきたいと、こういうことですけれども、政争の場から離していくならば、こういう法律に違反しかねない――法律論私よくわかりませんが、この三十八条をどこから見ても、私はこの法律にかえって違反してる通達だと、このように私は考えるわけですが。ほかの条項云々で反論してこられるかもわかりませんけれども、三十八条を読む限り――私も国語読解力はそうありませんけれども、どう考えてみても地方教育委員会の内申権を奪う、あるいは否定する、そういう通達であると、こう思うんですけれども。この地教行法というのは法律ですね。法律である以上は、市町村教育委員会の内申権を真っ向から否定するようなこういう通達を果たして出していいものかどうか、これは省令事項でもないんですから、通達ですから、この点どうしても疑問なわけですが、この点どうなのかですね。もしこれが事実であれば、これはよくないことであれば、行政府が立法府の権限を侵したことになりかねないと、こう思うんです。この点どうなんでしょう。
#96
○政府委員(安嶋彌君) 御承知のとおり、公立小中学校――市町村立小中学校の教員の身分は市町村にあるわけでございます。通常の場合でございますと、身分のある団体の機関がその任命権を持つということが通常の姿でございますが、地教行法の場合におきましては特にその任命権を都道府県教育委員会に属せしめておるわけでございます。したがいまして、その間の調整の規定といたしまして、御指摘のように市町村教育委員会の内申という制度が定められておるわけでございます。かつて申し上げましたように、人事権の行使につきましては、地教行法は都道府県の教育委員会と市町村の教育委員会が相互に協力する協働関係にあるということを制度の前提といたしておるわけでございます。
 そこで、先ほどもお話がございましたように、市町村教育委員会が客観的に内申を出すべき義務があると判断される場合におきましてなおかつその内申権を行使しないという場合に、都道府県の教育委員会はその任命権を全く行使することができないと理解することが、地教行法全体の制度の理解として果たして妥当であろうかということが解釈上の疑義になるわけでございまして、つまり市町村委員会の内申が出なかった場合には都道府県教育委員会としては全く任命権の行使ができないと理解することが、この都道府県委員会と市町村委員会の相互の協働を前提とする制度の趣旨に合致するものかどうかと、こういう疑問があるわけでございますが、私どもは、市町村教育委員会の内申権というものは都道府県教育委員会の任命権をチェックするほど強力なものでは必ずしもないと、市町村教育委員会が内申をすべき義務があります場合に、内申を出すべく最大限の努力をしてなおかつ内申が出ないというような特別の場合におきましては、都道府県委員会はそうした前提のもとに任命権の行使をなし得ると理解することが制度全体の合理的な理解であり、法文の合理的な解釈である、こういうふうに考えまして先般この通達を出した次第でございます。
#97
○内田善利君 最大限の努力をしたということですけれども、教育長、この通達を受けて二月五日、それから二月十日ですか、この処分をする前に福教組の方々と話し合いの機会を持たれたのかどうか、また何回ぐらい持たれたか、これいかがですか。
#98
○参考人(森田實君) 私どもは、この行政処分という人事の運用の中で最も厳正を要する問題、管理運営事項の最たる問題につきまして、組合側と話し合いをして処分をするという考え方は毛頭ございません。まさに教育委員会の主体的な判断に立って適正な処置をすべきものであるという考え方を持っておりますので、この処分の問題につきましては、組合とは話し合っておりません。
#99
○内田善利君 この通達があって県教組の委員岳は撤回申し入れのほかに話し合いの場を持ちたいということで申し入れをなさったかどうか、またなさっていたら何回あるいはその内容を伺いたい。
#100
○参考人(大穂勝清君) 処分を受けました二月五日に早速その問題につきまして、教育委員会と話をしたいということについては申し入れをいたしました。しかし、それから二月県議会が始まりますまで、全く教育委員会との話し合いは持たれませんでした。そして二月十八日、県議会の代表質問が始まります前の日に教育委員長と二時間ほど話し合いをいたしましたが、そのうちの内容的なものは一時間足らずでございました。
#101
○内田善利君 最大の努力をするわけですから、通達を受けたらこのことについてやはり話し合いの場がほしかったと私はそう思います。
 それと、大臣にまた御質問いたしますが、先ほども大臣は言っておられましたけれども、こういう通達に基づく内申抜きの処分ということはないのが望ましいと、こういうふうに言っておられるわけですが、内申抜きの処分ということはないのが望ましいということは、私はこの通達は望ましくないと、こういう意味だと思うんですがいかがでしょうか。
#102
○国務大臣(永井道雄君) この通達を出さなくてよいような状態であることが望ましいというふうに私は考えているということでございます。
#103
○内田善利君 そして衆議院の質問では、また非常に残念であるが、やむを得ない措置であったとのことですと、そこに諸般の事情があるからとお答えになっているわけですが、その諸般の事情というのは何なのか。こういった事情といいますかの拡大解釈、そういうことが通っていけば大変なことだと思うんですね。したがいまして、時間がありませんのでお聞きしますけれども、福岡の場合非常に残念で、また三月の人事異動についても質問があっておりましたが、的確な御答弁もないわけですが、他県には絶対にこういうことがないように、波及させてはならないと、このように思うんですが大臣いかがでしょう。
#104
○国務大臣(永井道雄君) 他県においても波及させたくありませんし、福岡でもこれが繰り返されぬということが最も望ましいと考えます。
#105
○内田善利君 最後に質問いたしますが、この通達は撤回を求めて運動が行われておるわけですけれども、私は凍結した方がいいんじゃないかと、こう思いますけれども、そういう意思はございませんか。
#106
○国務大臣(永井道雄君) 現時点におきまして凍結を直ちに行うという意思はございません。
#107
○内田善利君 私は、一番最初に申し上げましたように、こういった問題、混乱の原因は遠因と近因があると思いますね。その近因はどう見ても明らかに一〇・四の通達です。ですから、この問題につきましては、政府、文部大臣、責任を持って善処していただきたいと、このようにお願いしたいと思います。
#108
○小巻敏雄君 先ほどからいろいろお伺いをしておったのですが、まず教組の委員長の大穂さんにお伺いをするのですが、昭和四十二年以来六回、十四万人という処分が教委側から言われておるのですが、闘争は昭和四十一年にも行われたのではないか、そのときは一〇・二一闘争にも確かに福岡県教組は参加されたのではなかったか。そのときは処分がなかったというふうに理解をしてよろしいですね。
#109
○参考人(大穂勝清君) はい。
#110
○小巻敏雄君 続いて、しきりに福岡県教組が特に大量、大規模、累年の闘いをする点において全国に例を見ないというのが言われておるのですけれども、これはやっぱり十指に屈するぐらいの各県が大体同規模の闘いに入っておるというふうに私は承知をしておるんですが、それでよろしいですか。
#111
○参考人(大穂勝清君) そのとおりです。
#112
○小巻敏雄君 こういう状況の中で、むしろ私は闘争形態においてはトップグループの一つではあるけれども、そんな特異な形態を福岡県教組が持っておるわけではない。ただ、処分においては全国ただ一つというふうにぬきんでているのが実態だと思う。全員処分であり、その不利益は年々累積をしており、賃金上の不利益は耐えがたいものになっている。これに対して多くの県がまた生涯ついて回らないように是正措置を数年後とっておるというような例が多い、こういうことは行われたことがありますか、不利益是正の措置。
#113
○参考人(大穂勝清君) 福岡においては全くそのような処置はいままでなされておりません。
#114
○小巻敏雄君 はい、わかりました。
 そこで、田北委員長にお伺いをするのですけれども、委員長は直接県民の教育に責任を持たれる新しい憲法のもとの教育委員長だ。そこで、教育の中立性、これを国民に直接責任を持って堅持するとともに教育の自主性、とりわけそれは地方自治を守るということが、これが教育委員長の主な責任になると思うのです。こういう中で四十一年には全国並みであったものが四十二年以降全国でも異様な状態であなたの責任において処分が行われている。この違いは私は知事選挙によって政治情勢が変わったんだと、こういうふうに理解をするわけですが、知事がかわれば教育指導が変わると、こういうような状況があってよろしいのかよくないのか、教育委員長はそういう状態を教育の場で防ぎとめるための最高責任者ではないのか、こういうことを一つはお尋ねをしておきたいと思います。
 続いて申し上げますけれども、あなたのこの処分効果の説明の中で、ようやく第二組合めいたものができてきて効果が上がっているという、これは聞き捨てならぬ発言であるわけであります。こういう状況についてはできれば取り消しを願いたいし、こういうものについては今後是正をしてもらいたい、これは大変政治的中立にも反する行政の方針であります。
 それから地教委の判断を教組に対する屈服と見て指導されておるようでありますけれども、これは実は全国にも例を見ない不当処分のために、それを貫くことに自信を失った地教委が大体教組と論争の結果、そちらの側に加担をする。むしろ提出をしておるところの中に県教委に対する屈服があるのではないか、こういうふうに聞いていくのが本日の流れの自然な姿であろうかと思いますけれども、その点についてもお伺いをしておきます。
 あわせて文部大臣に対して二、三の御質問をして私の質問を終わりたいと思うのですけれども、教育を政争の場から外すということをなし遂げるためには、これはやはり各県の教育行政が一つずつ中立性を守らなければならない。いま私が教育委員長にお尋ねをしたような点について、福岡県は確かに教育行政において特異な性格を持っておる。この点についてやはり是正のための指導、助言の意思を持たれるのか持たれないのかということにかかわってくるわけでございます。それについて特に文部大臣にお伺いしておきたいのは、御承知のとおりと思いますが、就任の前に、前文部大臣奥野文相の時代のことでございますけれども、この通達の背景として、九月の十日の衆議院文教委員会で、十一日には参議院の文教委員会が持たれましたけれども、ここで奥野答弁、安嶋初中局長の答弁は、一面で三十二年通達の趣旨は生きておるとしながら、今時通達の適用は異例中の異例の場合と、こう言いながら、その異例中の異例は何かという質問に対して、日教組が内申を出させないようにする闘いを組んでおる、こうなれば一県でも二県でも許しておくことはできない、こういうことをやって、たとえ内申を出さなくても処分は実行されるということを知らせるために通達を出すんだということを答えておられるんです。いまは少し様子変わっているんじゃないかと思いますけれども、こういう背景で問題が進められているということ。
 それからもう一つは、異例中の異例であるこの福岡のような形態が文部省の指導の中では模範であるかのごとくになっておる。先ほど県教組から答弁もありましたように、全国では十数県ぐらいが大体八〇%程度の突入をやっておるんですね。しかし、福岡に見られるような不利益な取り扱いを決して受けていないんです。こういう状況に対して、それでは他の多くの府県に対しては、幹部処分のみにとどまって混乱を巻き起こしていないというようなところに対しては是正のための強力な指導が行われるのか、それはそれでよろしいのか、あるいはこの処分の全国的な均衡というものをどう見られるのか。特異なものを模範として引き続き教育委員長会議やあるいは人事課長会議で強引な指導を行われるのか、ここらについての誠意ある方向を示していただきたいということを特に申し上げるわけでございます。
 以上のような点について御答弁をいただきたいと考えます。
#115
○参考人(田北一二三君) 四十一年度のストライキ以後の状況につきまして、私は四十七年からの委員でございますので、詳しい事情は、教育長も同席しておりますのでその間をお聞き願えたらいいと思います。
 それから教育の中立性の問題でございますが、これは当然のことでございまして、基本法の十条にもございますように、われわれは国民に直接責任を持ちながらあらゆる不当な介入を避けて排除して進んでいくということでございます。
 また、私の話の中で、処分効果により第二組合的なものが養成されたんではないかというようなお話でございますが、それは誤解でございまして、われわれは、そういうふうな先生方の自分の自主性に基づく運動あるいは活動、教育への姿勢というものは当然あるものでございまして、ただ誤解を生じたと思われますのは、処分というものは後ろに向いているものではなくて、やはり将来を戒めるということがございますわけで、やはり反省をしていただかないことには処分の本当の効果といいますかねらいは失われてまいるわけでございます。教職員が違法を犯したことは事実でございます。それを処分することによりましてやはり反省していただかなければ何もならないわけでございます。
 なお、地教委とわれわれ教育委員会、県教委との間の問題でございますが、われわれは、先ほど来教育長からもるる御説明申し上げておりますように、県教委と地教委との間にいろんな協働関係、手を結んで進んでいかねばならない問題がたくさんございます。こういうふうな協働関係を保ちながら進んでいくことは申し上げるまでもないことでございますので、われわれは、そういう意味で、地教委が教組に屈服したとか、あるいは県教委に屈服した、そういうふうな屈服関係ではなく、われわれは、教組、地教委、県教委と密接な協働関係を握って進んでいくのであるということを申し上げておきます。
#116
○参考人(森田實君) ただいまの委員長の説明に補足をさせていただきます。
 私の記憶に誤りがないとしますならば、日教組が全面的な全国ストを行い始めたのは四十一年度ではなかったかと思います。その際に、私の方では賃金カットを初めて実施いたしました。これは、ここにおられる安永委員がまだ福教組の委員長をなさっておりましたので十分御承知だと思います。それが初めてのことでございましたので賃金カットを実施いたしました。
 四十二年のストにつきましては、二回目でございましたので、さらに反省を求めるために処分をすべきであるといういろんな議論がございましたが、このときには管理職でストに参加した者がございました。これは県立学校関係でございますが、県立学校の教頭の一部がストに参加したのがございましたので、教頭だけが処分されております。一部の者が処分されたというのが実態でございます。全面的な処分等が行われたという事案は、四十三年からの三回目からのストであると記憶いたしております。
#117
○国務大臣(永井道雄君) 三点について御質問があったと考えますので、順次お答え申し上げます。
 第一に、三十二年の通達があるが、そのほかになぜ一〇・四通達が必要であるかということでございますが、三十二年の通達というのは、内申を待って行政を行えというのでございまして、これは通常の状態、そして一〇・四の通達というのは、まことに異常なる事態における場合というのでございますから、これはやむを得ざることでありますが、そういう事態のものでありまして、特にこの際申し上げておきたいことは、それは決して市町村教育委員会の正当なる行政の機能というものを都道府県教育委員会が剥奪してよろしいというような意味合いでないことは申すまでもないわけでございます。
 第二点、福岡県におきまして政争というものがあるからそういうものを模範と考えたりしてはいけないのではないか。私はあえて福岡県というものだけを取り出して議論をいたしたくないと考えますのは、実は各地におきましてやはり政争というものが教育に反映したということについて疑いを持つ人は少ないのではないだろうか。ただし、そのことは人々がそうなることを喜んでやったというのではなくて、善意の努力をいたしまして、それはいろいろのところで善意の努力がありましたが、にもかかわらずそのような状況になった。そこで、今後は教育の中立性というものを守っていくために各都道府県において努力するでありましょうし、また、私たち文部省はそれと協力するということでございます。
 次に、福岡において多くの処分があり、またそれほど処分のないところもあるではないか、この処分というふうなものをどう考えるかというお言葉でございますが、処分というものだけを切り離して考えることはできませんのは、ストライキというものがありますと処分があるわけであります。そこで問題は、私は昨日も槙枝委員長とお話しをしたわけでありますが、ストライキというものがなくなることが望ましいし、また、われわれ行政当局にあります者は、ストライキがなくなるような状況をつくるべく全力を挙げなければいけない。私自身も教師でございましたが、これはだれしも記憶しておりますように、高度経済成長期において教師の、教員の待遇というものがよくなかった。そこでこれをよくすべきということがまず第一のことでございます。これについてある程度の成果というものは上がってきたというふうに私は認識しております。しかし、教員は待遇だけで生きるのではなく、やはり教育という問題についての生きがいを感じるということが非常に大事でございますから、さまざまに異なる意見があるにせよ、これは必ずしも日教組だけでなく他のいろいろの団体もありますが、それと文部省、またその団体相互間におきまして、教育について、自分たちについて考えるよりも、学びつつある子供の立場に立ちまして、共通に教育の問題を議論し、そして内容を深めていくように私は微力ながら就任以来多少は努力をしてまいったつもりでございます。こういう姿でわれわれはストライキをなくしていく条件をつくり上げる、そうするならば、処分の問題を考えることがなくなるではないか、かように考えて私は日日の仕事に当たっておりますので、処分をどうするかというお言葉に対する答えとしては、相互関係にありますところのストライキと処分の関係を申し上げ、そしてわが国の教育というものは、これは私個人の力ではなく、私は国民の中にある多数の人々、その人たちの願うところはきわめて充実した教育というものを争いなく深めていこうとするそうした潜在力があるに違いないということを信じて日々の仕事に当たっているということを申し上げまして私の答弁といたします。
#118
○中沢伊登子君 きのうの御質疑でも申し上げましたとおり、現在のわが国の教育は非常に混乱をし、荒廃をいたしております。教育の場に政争を持ち込んではならないと大臣は言われておられますが、私も全く同感だと思います。そのために教育を第四権として位置づけるようにと、こういう党の方針のもとについても昨日御質問を申し上げたとおりでございます。その点について大臣と意見の異なる点はありましたけれども、教育の場に政治を持ち込んではならないことは当然でございます。しかしながら、きょうの委員会における通達問題や福岡県の人事行政をめぐる問題の質疑をお聞きしていても、国民教育に対する文部省と日教組の主導権争いと申しますか、政治的な対立は激しいものがございます。そして、その背後には与党と野党の対立があるわけで、迷惑を受けるのは明らかに子供たちというほかはありません。まことに残念でならないわけでございます。教育の場に政争を持ち込まない、対話と協調を基本にするという文部大臣の基本姿勢に対しましては国民全体が非常に期待をしていると思います。ましてただいまの御答弁が国民の耳に達しましたときには、大変大臣に対して国民は期待を寄せると思います。
 そこで、第一に政治と教育をはっきり区別することが大事でありますし、第二には、文部省や教育委員会とそして日教組との関係を正常なものにすることが大切であると思います。わが国は法治国家でありますので法律を守るのは当然のことでありますし、法を犯したものは処罰をされるのもまた当然だと考えております。
 そこでお尋ねをいたしますが、まず文部省は今回とった措置、すなわち通達を出されたことは適法だったとお考えになりますか。再三この議論も繰り返されておりますが、再度確認の意味をもちましてお答えをいただきたいと思います。そして通達によって処置をされた今回の処分は妥当なものであったかどうかまずお伺いをしたいと思います。
#119
○政府委員(安嶋彌君) 通達が適法なものであったかどうかという点でございますが、先ほど内田先生の御質問にもお答えを申し上げましたように、異常な事態に対応する地教行法の解釈といたしましては適法なものであるというふうに考えておりまして、こうした解釈をいたします過程におきましては、内閣法制局等とも十分時間をかけて打ち合わせをいたしましてこうした結論に至ったわけでございます。
 それから福岡県教育委員会が行いました今回の処分が妥当なものであるかということでございます。妥当かどうかということになりますと、これは内容の当否の問題になるわけでございます。教員の処分の問題は、私どもの指導といたしましては、ストライキがございました場合に厳正な措置をしてもらいたいということでございます。一々の処分につきましてどういう処分が適当であるかというような指導はいたしておりません。これは都道府県教育委員会の判断と責任において行われるものであるというように考えております。
#120
○中沢伊登子君 そこで、福岡県の教育委員会の方にお伺いをいたしますが、今回教育委員会のとられた処置ですね、これは文部省からの通達を受けてなされたものだと思いますが、同時にまた、文部省と同様のいまの御答弁のような法解釈をされてやられたものでありますかどうかお答えをいただきたいと思います。
#121
○参考人(森田實君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、三十七条の県の教育委員会の任命権に基づきましてこの一〇・四の新しい通達の趣旨を尊重いたしまして、県の教育委員会の主体的判断に基づいて処置いたしたものでございます。
#122
○中沢伊登子君 次に、日教組の皆さんにお伺いをしたいのでございますが、先雄方はしばしば今日まで授業放棄やストライキをされてこられました。これは法律違反だと私は思いますが、先ほど来の文部省の御答弁にもそのようにうたわれておりましたが、私もこれは法律違反だと思います。先生方は憲法を守れとかあるいは法律を守れとか、こういうことを再三人にもすすめられますし、よく口にもされておられますが、御自分たちはこの法律を侵し、そのゆえをもって処分をされるとこれは無効だとかあるいは訴訟に持ち込むとかということをしておられるわけですが、私はどうもその辺がよくわかりません。御自分たち自身の有権的な解釈をお持ちなのかどうか、その辺をお伺いしたい。
#123
○参考人(白石健次郎君) 前にもお答えをいたしたと思いますけれども、私どもとしては、現行の地方公務員法の中に規定されている三十七条という規定は、これは現行の憲法二十八条に違反する法律だと、いわゆる違憲立法だと、こういうふうに考えております。まさにそのことについては、かつて最高裁でもそういう判断を示したそういう最高裁判例もあるわけでありまして、決して私どもが勝手にそういう判断をいたしておるわけでもありません。ただ、最近に至りまして四月二十五日に出されましたいわゆる四・二五最高裁判決等ありますけれども、しかしそれ以前の二つの最高裁判決あるいは四・二五最高裁判決以降におけるその後のいわゆるこれら官公労働者に対するスト権にかかわるいろんな地裁判決が出ておりますけれども、この九つの判決のうち六つはいわゆるそういう違憲の判決を下したそういう地裁判決というものが出ておりますね。最高裁の判決がありながらなおかつ地裁ではそういうわれわれのストライキは合法である、こういう判断を下した地裁の判決がいっぱい出ているというそのことは、やはりこの地公法三十七条あるいは公労法に規定されている、あるいは国公法に規定されている公務員にあるいは官公労働者に対する一律全面的にストライキを禁止する法律というものは、これはやっぱり憲法二十八条に違反するということがやはりだんだんそういうふうに定着をしてきているんではないか、こういうふうに申し上げたいのですね。だから、ただ単にこれは私どもが、これは憲法に違反しているとかなんとか言っていることを申し上げているわけではないんで、裁判所もそういうふうに適宜適正な判断がその後においても下されているということを申し上げたいと思います。
#124
○中沢伊登子君 しかし、私どもの解釈によれば、先生はストライキをやることは違法であると、このように定義づけられておることを私どももよく承知をしているわけでございまして、皆さんはすでに裁判所に提訴をしておられますから、この当否は恐らく裁判所がまた裁判の中で下されるかと思いますが、私どもは、いまのお話ではどうしても納得をするわけにはいかないわけでございます。
 そこで、最後に、時間がございませんから、もう一つお伺いをついでながらしておきたいのは、私は、きょう日教組の先生方とお目にかかることは大変まれなことでありまして、大変私はいいチャンスを与えていただいたと思います。それは、再三、ストや授業放棄によって子供たちや父兄が大変迷惑をして先生に対する信頼を失っておりますが、子供たちと先生の間に信頼感を失って教育ができるとお考えになられるかどうか。時間があれば私はいろいろな例をもって申し上げたいのですが、きょうはその時間がございません。先ほど来お話のありましたように、県と市町村との間の相互信頼関係の中で教育の問題をやっていきたいと、こうお話がありましたが、同様なことが、子供と先生の間にも信頼関係がなければ教育はやれないと思います。そういう中で、この信頼関係が失われているという中で、先生は教育がおできになるとお考えになられるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#125
○参考人(白石健次郎君) まず、お願いをしたいことは、教師がストライキをすることが悪いことだといういわゆるストライキ罪悪論、罪悪感といいますか、これをまずなくしていただきたいと、こう思います。これはストライキをやることは決して悪いことではなくて、もし、そういう必要がある場合については、ストライキでもし得るやはり教師でなければならないと。そういう教師でなければ、また本当の意味での子供たちの健やかな成長を期待し育てていくそういう教師にはなり得ない、こういうやはり確信と実践の中で教育を進めていくべきであるというふうに思います。いわゆる「でもしか教師」では、本当の意味でのいわゆる教育はつくり得ない。本当の子供たちの成長を期待し、あるいは子供たちの本当の将来の平和と民主主義を求めていくような、そういう教育体制というものを期待して教育の実践を進めていくことはできないと思います。
 そういう意味におきまして、私たちは決して、ストライキを罪悪視したり、あるいはストライキは悪いものであるというふうな考え方には立っていません。また、そういう考え方を支持していただける国民大衆というのはたくさんいます。現に、私どもが現実にストライキを行使した場合において、たとえば障害児の学校等において父母の多数の方々が、ストライキに参加する組合員を拍手で送ったり拍手で迎えてくれるような、そういう場面もたくさんあります。
 また、もちろん、あなた方も指摘をされるように、そのストライキを罪悪視されている方々は、教師に対しての悪口雑言等を浴びせるような方々もなきにしもありません、現にあります。しかし私は、多くの国民大衆は、教師が決してストライキを打つことをいわゆる罪悪視して考えるようなそういう態勢はだんだん薄れつつあるのではないかというふうに考えております。
#126
○委員長(内藤誉三郎君) 先ほどの有田委員の申し出の点につきましては、委員長におきまして、速記録を調査の上、適当な処置をとることにいたします。
 この際、参考人の方々にごあいさつを申し上げます。
 皆様には長時間御出席いただき、貴重な御答弁をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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