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#1
第075回国会 文教委員会 第6号
昭和五十年三月二十七日(木曜日)
   午後三時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     最上  進君     藤川 一秋君
     小巻 敏雄君     内藤  功君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     藤川 一秋君     最上  進君
     内藤  功君     小巻 敏雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                有田 一寿君
                久保田藤麿君
                久保  亘君
                加藤  進君
    委 員
                山東 昭子君
                志村 愛子君
                高橋 誉冨君
                中村 登美君
                最上  進君
                秋山 長造君
                粕谷 照美君
                鈴木美枝子君
                内田 善利君
                矢原 秀男君
                小巻 敏雄君
    発議者         久保  亘君
    発議者         粕谷 照美君
    発議者         鈴木美枝子君
    発議者         内田 善利君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部政務次官   山崎平八郎君
       文部大臣官房長  清水 成之君
       文部省大学局長  井内慶次郎君
       文部省学術国際
       局長       木田  宏君
       文部省管理局長  今村 武俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
 確保に関する法律の一部を改正する法律案(鈴
 木美枝子君外一名発議)
○図書館法の一部を改正する法律案(内田善利君
 外一名発議)
○義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇
 に関する法律案(粕谷照美君外四名発議)
○学校教育法の一部を改正する法律案(久保亘君
 発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず政府から趣旨説明を聴取いたします。永井文部大臣。
#3
○国務大臣(永井道雄君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概容を御説明申し上げます。
 この法律は、昭和五十年度における国立の大学の新設、学部の設置及び短期大学の新設並びに分子科学研究所の新設等について規定しているものであります。
 まず第一は、富山医科薬科大学及び島根医科大学の新設についてであります。
 これは、近年における医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処するため、無医大県の解消を図る施策の一環としてこれらの大学を設置し、医師養成の拡充を図るとともに、医学研究の一層の推進に資そうとするものであります。
 なお、富山医科薬科大学につきましては、富山大学の薬学部を移し、医学部及び薬学部の二学部として、医学と薬学が連携して教育研究を推進することといたしております。
 第二は、千葉大学の看護学部の設置についてであります。
 これは、看護の分野における指導的人材を養成するとともに、わが国における看護学の教育・研究の推進に資そうとするものであります。
 第三は、弘前大学、京都大学及び鳥取大学の医療技術短期大学部の新設についてであります。
 これは、近年における医学の進歩と医療技術の高度の専門化に伴い、看護婦の養成及び資質の向上に費そうとするものであります。
 第四は、分子科学研究所の新設についてであります。
 これは、分子の構造、機能等に関する実験的研究及びこれに関連する理論的研究を行う国立大学共同利用機関であり、これにより化学、物理学、生物学等関連分野の発展に寄与することが期待されるものであります。
 以上がこの法律案を掲出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案(参第六号)を議題といたします。
 まず発議者から趣旨説明を聴取いたします。鈴木美枝子君。
#5
○鈴木美枝子君 ただいま議題となりました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 去る第四十六回国会における本法の一部改正によって、女子の実習助手が法の適用対象に加えられ、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園に勤務する女子教育職員のすべてが、この法律の適用を受けるに至りました。その結果、いまや、学校教育の現場に勤務する教職員のうち、ひとり学校事務職員のみが本法の適用の枠外に置かれることになりました。
 学校事務職員は、その名称の示すとおり、学校の事務を担当しておりますが、その事務の内容は、文書の起案・整理、職員給与、共済、物品・教材の購入等を初めとして、統計作成事務、学校給食事務、施設、設備の管理事務などきわめて多方面にわたり、教員の教育活動と相まって学校運営を有機的・一体的に進めるために重要な役割りを果たしております。
 したがいまして、たとえば、女子の学校事務職員が一人のみという学校で、本人が出産のための休暇に入った場合、その仕事はすべて教員に肩がわりされることになります。ところが、教員は、元来そのような事務に不なれなため、病院あるいは自宅で休んでいる学校事務職員のまくら元へ仕事のことでいろいろと聞きに行くこととなり、本人は事実上、安心して産休を完全にとれない状態であります。また、教員が学校事務を分担させられることにより、教育活動に手不足を生じ、教育の正常な実施が阻害されているのであります。
 なお、一部の県では、学校事務職員が産休をとった場合、学校内の事情に通じている当該学校の教員を学校事務に当たらせ、その結果学級担任、または教科担当の穴埋めには、産休補助教員を充てるという措置をとっているのであります。
 このようなやり方は、いずれも学校事務職員に対する産休補助職員制度が認められていないために生じた苦肉の策であり、これでは専門的な学校事務の遂行に円滑を欠くばかりか、子供の教育にも支障を来し、学校内に二重の不正常な事態を引き起こすものであり、看過できない問題であると思います。
 ところで、学校事務職員の男女別割合を見ますと、女子事務職員の占める割合は、幼稚園で六五%、小学校で七〇%、中学校で六二%、高等学校で四五%、特殊教育諸学校で四六%という高率であり、国公立のこれらの学校に勤務する女子事務職員の総数は約二万九千二百名であります。これら多数の女子事務職員は、さきに申しましたように、その出産に際して、代替職員の臨時任用制度がないために、その大半が労働基準法で保障された産前六週間の休暇がとれない状況であります。
 このような不合理な実情を改め、かつ母体及び生児の保護と教育の正常な実施を確保するために、県はそれぞれ独自な形で代替事務職員を置くことを認めざるを得なくなってきているというのが今日の実態であります。最近私どもの調査したところによれば、代替職員の予算措置を行っている県は三十八県調査のうち二十九県に及んでおりますが、これは、当然速やかに制度として全国に及ぼすべきであると考え、ここに本改正案を提出した次第であります。
 次に、改正の内容としては、第一に、法第二条第二項に新たに「事務職員」を加えております。これによって、女子の事務職員の出産の場合も補助職員の任用が可能になります。
 第二、法の題名及び本則中の「女子教育職員」を「女子教職員」に改め、「補助教育職員」を「補助教職員」に改めております。これは、従前、本法の適用対象とされていた者が、教育に直接的に携わる「教育職員」に限られていたのに対して、今回、学校事務職員を加えるために、その字句を教育職員と学校事務職員の総称である「教職員」に改めるものであります。
 なおこの法律は、実施のための準備期間の必要性を考慮して、公布の日から起算して三ヵ月を経過した日から施行することといたしております。
 本法案は第七十二回国会参議院本会議において全会一致をもって可決されました経緯もありますので、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、図書館法の一部を改正する法律案(参第七号)を議題といたします。
 まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。内田善利君。
#7
○内田善利君 ただいま議題となりました図書館法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 近年目覚ましい経済成長と技術革新の進展により社会構造は急激に変化し、複雑高度化してきております。その結果、一面では物質的生活はある程度豊かになり、余暇時間が増大し、学習、レジャー等物心両面での行動選択の範囲が拡大しつつあります。しかし、その反面、いわゆる人間疎外、世代間の断絶、交通災害、自然環境の破壊等人間の存在自体にとってきわめて深刻な問題が発生しているところであります。過去百年間の目覚ましい物質的繁栄は人類史上未曾有ではありましたが、今日では、従来の経済優先主義が深刻に反省され、人間性の回復、人間性の尊重が強く要請されるに至ったのであります。この激しい社会の変貌の中で、すべての人間が生涯を通して、あらゆる年齢段階に応じ人間としていかに生きるべきかを求めざるを得なくなっているのであります。
 さらに、社会の加速度的変化とその複雑化の進展は新しい知識、技術の学習をも必然ならしめているのであります。
 このような意味において最近とみに生涯教育の必要性と重要性が強調され、国民の自発的な学習活動としての社会教育の意義が再認識され、その制度的確立と充実が現下の緊要な課題となっているところであります。特に、図書館は国民すべてのきわめて多様な学習、研究及び調査の要求にこたえる手段、方法として、また、情報社会の進展に伴い、複雑高度化、専門化した知識や情報の洪水を分類、整理し、容易かつ的確に住民に提供し、主体的人間、考える人間を育成する場としてその果たす役割りはきわめて大きいのであります。
 最近ともすれば一部で低俗なテレビ番組や週刊誌のはんらんに見られるように社会が軽薄に流れているといわれておりますが、その底流に向学心がみなぎり、明日の文化日本を形成し、世界平和の実現に貢献すべき潜在力を強く備えているものと確信します。いまこそ、これを助長するため、図書館の整備充実等これを助長する手段方策を講じなければ悔いを千載に残すことになりましょう。
 戦後、わが国の再建を国民の教養の向上を期するため、社会教育が重視され、またその中で図書館の占める地位の重要性が認識され、昭和二十四年に社会教育法が、昭和二十五年には、図書館法がそれぞれ制定され、その後年に公共図書館の充実の努力が行われてきたところでありますが、いまだきわめて不満足な現状であります。
 すなわち、第一に昭和四十六年における公共図書館の設置率を見ますと、都道府県は九六%、市(区)は六六%、町は一〇%、村は三%という現状であります。
 第二に近年図書館の施設設備の技術革新は著しく、また図書資料も急増しているにもかかわらず、きわめて不備なまま放置され、市民に対するサービスの不十分な図書館がほとんどである実情であります。
 第三にこのような結果、関係者の努力にもかかわらず、図書館利用の実態はきわめて貧弱で、図書館本来の役割りを十分に果たしていないばかりでなく、さらには急激な社会の変貌と情報化社会の進展に適応した情報センターとしての役割りをも積極的に果たし得ず、時代の要求に立ちおくれているのであります。
 今後、人間開発を推進し、人間性を土台とした高度福祉社会を創造するためには、時代の要請にこたえる新しい図書館の整備充実こそ現下の最も重要かつ緊急の課題と考え、本改正案をここに提案した次第であります。
 次に、本改正案の内容について簡単に申し上げます。
 第一には、図書館の設置を推進するため、当面都道府県及び市(区)に図書館の設置義務を課すことといたしております。
 第二には、地方公共団体の住民に対する図書館奉仕が十分に行われるように、司書または司書補の数、図書館お施設、図書館資料及び設備について、地方公共団体の人口に応じて公立図書館の設置に関する基準を政令で定めるものとするとともに都道府県及び市の設置する図書館はこの基準に適合するものでなければならないこととしております。
 第三には、国は基準に適合する図書館を設置する地方公共団体に対し、当該図書館の館長、司書及び司書補の給与、施設、図書館資料及び設備に要する経費等についてその二分の一を補助することといたしております。
 第四には、図書館の役割りを十分に果たすためには、司書及び司書補がきわめて重要であるにもかかわらず、従来必ずしも十分に処遇されていない現状にかんがみ、また司書等に人材を誘致するため、その待遇について特別の措置を講じなければならないものとしております。
 最後に、上述の第四の点に関する規定は公布の旧から施行し、その他の規定は、昭和五十一年四月一日から施行するものといたしております。
 なお、都道府県及び市の公立図書館の設置に関する基準に適合する図書館の設置義務に関する規定が効力を発する昭和五十二年四月一日までの間は、その設置を促進するため、国の図書館の施設、図書館資料及び設備に要する経費に対する補助を拡大強化すべきものと考えております。また町村等の図書館の整備充実についても今後一層の促進を図るべきは当然であります。
 以上、本法律案の提案の理由と内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する法律案(参第八号)を議題といたします。
 まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。粕谷照美君。
#9
○粕谷照美君 日本社会党、公明党、日本共産党、民社党並びに二院クラブの共同提案によって、ただいま議題となりました義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、わが国においても、生涯働き続けようという勤労婦人の増加が著しく、特に教育界においては、女子職員の占める割合が大きくなっております。すなわち、昭和四十九年度における教員総数のうち女子教員の占める割合は、幼稚園九四・三%、小学校五四・〇%、中学校二八・八%、高等学校二八・八%、障害児教育諸学校四四・四%となっており、この比率は今後さらに増加することが予想されるところであります。
 また、配偶者を有する女子教員も年々増加し、小・中学校女子教員の七五%を占めるに至っております。ちなみにその出産状況を見ますと、出産率六・一%で年間約二万人にのぼっております。
 ところで、これら母親教員たちの育児状況は、その生児を親族に見てもらったり、子守を雇ったり、他人に預けたり、数少ない保育所や私設の乳児施設に頼んだりして、教職の継続に努めているわけでありますが、こうした育児の手段を持つことができず、やむなく退職する人々も相当数にのぼっているのが実情であります。
 このたとは、わが国の教育水準の維持向上の見地からも、また女子教員の職業生活の保障の立場からも見過ごすことのできない重要問題といわなければなりません。
 第一に、保育の方途がつかずやむなく退職する人々が多いということは、せっかく熟練度も高く、人間的に成熟した女子教員を失うことであり、教育上の損失ははかり知れないものがあります。また、幸いに教職を継続することができた女子教員も、乳児のための保育所がきわめて不足している現状等から、乳児期の育児が不安定であり、そのため十分に教育に専念できないような面が出てくることもあり、これまた教育上大きな問題であります。
 さらに、保育のためやむなく退職した女子教員が再就職を希望した場合において、わが国の雇用制度のもとでは非常に困難であることも十分留意する必要があります。
 第二に、保育のため本人の意に反して退職のやむなきに至らしめることは、婦人の基本的な働く権利を阻害するものであり、憲法に示された基本的人権を侵害するものと言わねばなりません。
 次に、この問題についての経過を振り返ってみますと、女子教員から育児休暇制度の創設を望む声が起こってから約十二年、参議院文教委員会においてこの問題が具体的に法案として提出されてからすでに八年を経過しております。この間二度にわたって育児休暇制度を創設する法律案が参議院で可決されながら、衆議院において審査未了となっております。
 すなわち、女子教員の強い要望を受けて、女子教育職員の育児休暇制度の創設に関する法律案が第五十五、第五十八、第六十五の三国会にわたって提出されましたが、審査未了となりました。続いて第六十八国会に至り、この問題に関する小委員会が本委員会に設置され、鋭意検討の結果、成案が得られ、文教委員長提出法律案として、参議院本会議においても全会一致で可決されました。しかしながら衆議院において審査未了となりました。第七十一国会においても、同じ内容の法律案を社会、公明、民社、共産の四党共同で提案し継続審査となり、第七十二国会において参議院では可決されましたが、再び衆議院で審査未了となり、またもや全国の多数の女子教員の悲願は無残にも打ち破られたのであります。
 さて、この間におけるわが国の勤労婦人福祉対策推進の状況を見ますと、昭和四十七年に勤労婦人福祉法が制定され、脚業主に対して育児休業の実施等の努力義務を課し、また昨年成立した雇用保険法は雇用構造の改善について定め、これに基づいて昭和五十年度から育児休業奨励金制度が設けられる予定であり、民間における育児休業制度の一層の普及促進が期待されることになったのであります。
 一方、国外に目を移しますと、一九六五年のILO総会における「家庭の責任をもつ婦人の雇用に関する勧告」の採択や、一九六六年に採択されたILOとユネスコの共同による「教員の地位に関する勧告」などに基づいて、女子教員の育児休暇制度の創設等その福祉対策に真剣に取り組んでいる国々が増加している現状であります。
 以上のような見地からも、女子教員の育児休暇制度の創設は緊急な課題であると考えます。時あたかも国際婦人年を迎えております。ことしこそ全国約四十万人の女子教員の強い希望にこたえるべきであると考え、本法律案を提案した次第であります。
 本法律案は、義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する制度を設けることにより、その継続的勤務を容易にするとともに、当該学校における教育の一貫性を確保し、もってその教育水準の維持向上に資することを目的とするもので内容の主な点は次のとおりであります。
 第一に、幼稚園から高等学校までの国公立学校に勤務する女子教育職員で、一歳未満の子を育てる者が育児休暇を申請した場合、任命権者は、特別の事情のない限り、これを承認しなければならないこと。
 第二に、育児休暇期間は、産後休暇終了の翌日から生児が一歳に達する日の属する学期の末日までを原則とすること。
 第三に、育児休暇を承認された女子教育職員はその間身分を保有するが、職務に従事せず給与は支給されないこと。ただし、任命権者は、教育上特に必要があると認めるときは、育児休暇中の女子教育職員に対し、一月に三日以内の勤務を命ずることができることとし、その場合には相当額の給与を支給すること。
 第四に、女子教育職員は、育児休暇により勤務しなかったことを理由に不当に不利益な取り扱いを受けないこと。
 第五に、任命権者は、育児休暇を認める女子教育職員にかわる教育職員を臨時的に配置すること
 第六に、退職手当、復職時の俸給調整、公務災害補償、労働基準等、他の法律関係につき所要の規定を定めること。
 第七に、私立学校の設置者は、育児休暇制度を実施するように努めること。
 第八に、この法律の施行期日を昭和五十年四月一日からとしたこと。
 第九に、本法施行前六月以内に産後休暇を満了した女子教育職員で、法施行後一月以内に育児休暇を申請した者には、本法が適用されることを経過措置として定めたこと。
 以上であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#10
○委員長(内藤誉三郎君) 次に、学校教育法の一部を改正する法律案(参第九号)を議題といたします。
 まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。久保亘君。
#11
○久保亘君 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 昭和二十二年、学校教育法が制定された際、教育基本法第一条が教育の目的は「心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と定めた趣旨に基づいて、学校における健康及び健康教育の重要性が強く認識され、小・中学校には児童生徒の養護をつかさどる職員として養護教諭を置かなければならない旨が規定されました。言うまでもなく、養護教諭の制度は、戦後急に確立されたものではなく、大正年代における学校看護婦の普及、昭和四年学校看護婦令を経て昭和十六年の養護訓導としての制度化、いわば学校教育における学校保健の重要性が認識され、教育の一部門として正当に位置づけられる歴史の歩みの中で確立されたものであります。
 しかしながら、養護教諭はきわめて専門性の高い職種でありますので、学校教育法制定当時、直ちに全学校に有資格者を得ることができず、また養成が緊急に間に合わない事情もあって、当分の間は小・中学校に養護教諭を置かないことができるとの経過措置がとられたことは御承知のとおりであります。
 ところが、学校教育法制定以来三十年近い年月を経過した今日においても、養護教諭の配置は遅々として進んでおりません。この間、昭和三十三年に学校における健康管理を教育の重要な一部門として位置づける学校保健法が制定され、また国会においても、しばしば本問題が取り上げられ、参議院文教委員会では養護教諭の養成確保について数度の決議が行われたのであります。それにもかかわらず、養護教諭の重要性に関する認識不足と財政上の理由等によってかかる事態を今日まで放置してきた行政上の怠慢は責められなければなりません。ちなみに、昭和四十九年度における養護教諭の全国的な配置率は、小学校五六・五%、中学校五五・四%、高等学校七五・七%であります。第七十二回国会で行われた定数法の改正に基づいて、昭和四十九年度から発足した教職員定数改善五ヵ年計画が終了する昭和五十三年度においても、学校数の約七六%の養護教諭の定員が確保されるにすぎないのであります。
 養護教諭の職務については、残念ながら十分に理解されているとは言えない現状でありますが、学校保健計画の立案、学校環境衛生の維持改善、学校給食に関する衛生管理、健康診断、疾病の予防の管理と指導、救急看護、安全の管理と指導、健康教育への協力、学校保健組織活動への協力、保健室の整備、運営等きわめて広範かつ重要な職務を行っているのであります。特に、近年都市においては過密化の進展と自然の破壊、公害の発生等による生活環境の破壊、農山漁村においては過疎化の進行と出稼ぎ、内職の恒常化等による生活環境の悪化が著しく、さらに、自然や遊びの喪失、入試準備教育の過熱など子供の健康を阻害する要因が増加しているのであります。ために、近年児童生徒の体格は著しく向上したが体力の伸びがこれに伴わず、肥満傾向児が増加しており、疾病についても、う歯、近視などが増加し、さらに心臓、腎臓などの疾患、ぜん息などの呼吸器疾患、情緒障害、公害による健康障害などまことに憂うべき状況が指摘されているところであります。このような状況の中で、子供の生命と健康を守るため、父母等から養護教諭の必置を求める切実な声が起こっているところであります。
 このような父母等の要請に対処するため、近年養護教諭の相当数が困難な数校兼務を強いられ、山越えで行かなければならないような遠隔地の学校との兼務、十校近い多数の学校の兼務など想像を絶する事態が発生しております。そのため、流産や健康障害、交通事故などの危険にさらされ、子供の健康管理が十分に行えないばかりか、養護教諭自身の人権にかかわる問題が表面化するに至っております。また、最近広島県のある小学校において、採用後四ヵ月にして過労で死亡するという痛ましい事態が発生しております。このような実態が、養護教諭の確保の困難性を一層増大させるものであることも見逃がすことはできません。
 さらに、ここで留意すべき問題は、養護教諭にかえて養護助教諭が配置されている問題であります。すなわち、現在養護教諭の増員計画が進められているところでありますが、その養成計画の不備等から有資格者が得られず、安易に資格を持たない養護担当教員が配置される傾向が目立ち、教育現場に混乱と問題を生ずるに至っていることであります。言うまでもなく、養護教諭は子供の生命と健康に直接かかわる専門性の高い職種であり、また助教諭の場合と異なり各学校に一人しか配置されていないため、他の養護教諭の指導等を受けることができず、その影響は一層深刻であり、早急な解決を迫られているものと言わなければなりません。
 次に、高等学校については、学校教育法上養護教諭は任意設置のたてまえになっておりますが、高等学校に養護教諭を必置する必要性があることは小・中学校と同様であります。またこのことは、高等学校における養護教諭が全日制の課程と定時制の課程の兼務を余儀なくされて労働過重になっている事態を解決するためにも必要であります。
 以上述べましたような見地から、昭和五十三年四月一日以降、すべての小学校、中学校及び高等学校に養護教諭の必置制を実現しなければならないこととするため、本法律案を提出した次第であります。
 このことを促進することとあわせ、日本社会党より別途標準定数法の一部改正を提案の予定でありますが、なお、養護教諭の必置制を実現するためには、第一に各都道府県の国・公立大学に最低一ヵ所の四年制の養成機関の設置、国立養護教諭養成所の充実改善、その入所者の大学編入策を講ずるなど養護教諭の養成制度の拡充整備を図る必要があります。
 第二には、養護教諭の身分・待遇について優遇措置を講じ、その地位と職務の一層の確立を図るとともに、広く潜在的資格者から人材を誘致することが必要であります。
 以上、特に付言しておきたいと存じます。
 以下、法案の内容について申し上げます。
 第一は、高等学校に置かなければならない職員として養護教諭を加えるとともに、特別の事情があるときは、養護教諭にかえて養護助教諭を置くことができることとしております。
 第二は、小学校、中学校及び高等学校に養護教諭を置かないことができる期間を昭和五十三年三月三十一日までの間に改めることとしております
 第三は、政府は、速やかに、養護教諭の不足を解消するため、その養成計画を樹立し、これを実施しなければならないことにしております。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#12
○委員長(内藤誉三郎君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次席発言を願います。
#13
○有田一寿君 福祉社会の実現ということは、日本の現代の情勢からいって、国民ひとしくこれを望んでおるといっても過言ではないと思います。福祉社会というものの内容につきましては多岐にわたると思いますけれども、健康な生活を維持するということがまずその基本的要件であると思います。そのためには、医師というものがそのほとんどの役割りを担っているということもまた事実であろうと思います。その医師を量、質ともに十分考慮されたそういう姿で確保されていくということがまた一番大切なことであろうと思います。このわが国における医師の充足状況というものを考えてみますに、ここに一つの資料を持っておりますが、人口十万人に対して各国々でどれぐらいの医師を持っておるかということ、これは一番充実しておるのはアルゼンチンであります。これは百八十九名、端数は除きます。二番がイタリア百八十人、三番が西ドイツ百七十二名、アメリカ百五十七名、スウェーデン百三十六人、フランス百三十三人、その次、七番目が日本でありまして、百二十八人になっております。また、歯科医師につきましても、もう数字は詳しく申し上げませんが、一番は十万人に対して八十三名のスウェーデンでございます。日本は六番でありまして四十名でございます。
 さらに看護婦について見ますと、一番充実しているのはアメリカで五百三十三人、次がスウェーデンの五百八人、次がイギリスの三百二十七人、日本は次の四番目で三百十四名となっております。日本のこの統計の場合はもちろん准看護婦を含んでおります。この看護婦の数字は四十七年度末の数字でございます。したがいまして、先進諸国の例を見ましても、日本はまだまだその拡充に努力していかなければならないということが言えると思います。それについて各県で医科大学のないところに医科大学を設置しようということで、今度提案された国立学校設置法でまずスタートが切られているわけでありますけれども、これは昭和四十五年までは大した医大の増設はなかったと思いますが、それ以降、昭和四十九年末までで、たしか十五の私立医大がふえておるというふうに理解しておるわけであります。この無医大県に対してその解消ということは非常に大切なことであると思いますが、それについて計画をお伺いをしたいと思います。
#14
○政府委員(井内慶次郎君) ただいま御指摘ございましたように、わが国の医師数は四十九年現在で十四万一千人、人口十万人に対しまして百二十八・九人ということに相なっております。医師の数につきまして、厚生省の方で昭和四十五年にわが国の医師の総数をどのように確保してまいるかということにつきまして、いろいろの検討が行われ、人口十万人に対し医師百五十人程度をおおむね昭和六十年を目標といたしまして確保する必要がありという試算をし、文部省の方に対しましても要請がございました。この目標数は現在国の施策として進めつつございまする無医大県解消のための今回御提案いたしました二大学を含め、国立医科大学の増設により、昭和六十年までにおおむね達成できる見込みでございます。しかし、このような人口比による医師数の確保のみで、必ずしも国民の医療需要に対応できない面がございまするし、先ほども御指摘ございました医師の地域的偏在の問題とか、医療水準の向上等のことを考えますと、文部省といたしまして人口対比のみでよろしいのかどうか。こういった人口十万人対百五十人という厚生省からいただきましためど、そのものも今後さらに厚生省の御意見も承りながら検討しなければならない課題かと存じております。
 なお、今回の国立学校設置法の一部改正案として御提案申し上げ、御審議を賜っておりまする五十年度の問題につきましては、富山医科薬科大学及び島根医科大学を本年創設し、明年四月、学生の受け入れをお願いいたしたいということで御提案申し上げておりますが、さらに高知県、佐賀県及び大分県の三県につきましても、四十九年に引き続き、創設準備の仕事を取り進めさせていただきたい。なおさらに、山梨、福井、香川の三県につきましては、創設を前提とする準備調査の仕事を五十年度予算でお願いいたしたいと存じております。
 なお、無医大県の中で、沖繩県につきましてはいろいろな事情がありまして、保健学部を先に創設し、附属病院もただいま設置運営をいたしておるところでございますが、琉球大学に医学部を創設するという前提で保健学部を創設し、ただいま運営をいたしておるわけでございまして、琉大の医学部につきまして四十九年に引き続き設置調査の仕事を進めてまいりたい、かように文部省といたしましては、無医大県解消の計画をただいま取り進めておるところでございます。
 なお、無医大県の解消により医師の養成確保の施策を文部省として進めるに当たりまして、医師養成とともに看護婦等の医療技術者の養成確保という問題が非常に深刻な課題でございます。その養成数の確保は厚生省の施策にもまたなければなりませんし、文部省といたしましても、資質の高い医療技術者の養成確保ということで無医大県の解消と符節してこの施策も進めてまいらなければならない課題と心得、五十年度千葉大学の看護学部創設、弘前、京都、鳥取の三大学に医療技術短期大学部の創設ということで、御審議をただいまいただいておるところでございます。無医大県の解消に関連いたしまして、看護婦等の確保の問題もあわせて、文部省といたしましては施策を進めたいと存じております。
#15
○有田一寿君 いまの計画についてはよくわかりました。
 ただ、これは医大に限らず、一般高等教育について言われておるところでありますが、量はふえるが質が落ちるということ、これは学生、生徒もやはり量がふえたというか、入学者の数がふえたことによって質が落ちると、いわば学歴と学力が伴わないという傾向、これは憂うべき現象でございますが、同時に、そのよって来たるところは、教授、教諭等教える側の力不足あるいは熱意不足、そういうものによって教育水準の低下がなされておるということもまた指摘できるところでございます。したがって、いま御説明がありましたが、医大を設置する場合に、一番考えなければならないのは教官の確保ができるかどうか。仮に、昭和六十年までに十万人について百五十人の医師を確保するということ、これは大変望ましいわけでございますが、同時に、教官の確保あるいはそれに伴う人員、それの確保についてお見通しがあるのかどうか、それをぜひともお伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(井内慶次郎君) 新設の医科大学等の教官確保の問題でございますが、国立の新設医科大学の教官につきましては、三十講座相当分の教官陣容を確保するという計画で取り進めております。発足時に三十講座全体につきましての予定者を決定し、全教官につきまして大学設置審議会の審査を経るということを行いましてスタートを切らしていただいておるところであります。四十八年に創設をいたしました旭川、山形、愛媛につきましては、ただいま申し上げましたように、大学設置審議会で審査をパスしました教官予定者につきまして、十五講座分をただいま発令確保をいたしました。四十九年度創設の浜松及び宮崎の各医科大学につきましては、入講座分を充足いたしておるところでございますが、三十講座相当分を学年進行に応じまして、五年間で確保するということで、ただいま計画を進めておるところでございます。この新設医科大学の教官確保の問題につきまして私どもも一番努力をしておりますのは、方法といたしましては、創設準備をお願いしておる大学で全国的な公募の方針をとりまして、公募によりまして候補者を集め、それを創設準備をお願いしておる方々で選考していただいて、それを設置審議会の方に持ってきていただいて審査する、そういうやり方をとっておるところでございます。そのような公募の方法をとっておるのでございますが、既設の医学部の教官の充足が一体どうなっておるかという点が教官供給のいわば母体、供給源でございまして、その既設の医学部の教官の充足状況を見ましたときに、全般的に大学におきましては、常時の欠員率が若干ございます。これは教官の専攻でございますとか、専門分野でございますとか、いろいろなことがございまして、選考等に時間もかかるということもございますし、若干の欠員率は大学の場合はどうしてもあるのでございますが、医学部関係の場合は、平均的に他の学部よりも特に基礎の教官において欠員がやはり多いという現象がございます。今回、御審議を賜るに当たりまして、特に看護学部、医療短大の創設をお願いいたしておりまする千葉大学医学部、弘前大学医学部、京都大学医学部、鳥取大学医学部の四医学部につきまして精査してみますと、助手まで含めまして現在、充足率が九三二%でございまして、これも他学部よりも少し欠員が多うございます。さらに問題は、教授、助教授の欠員のうちで、法医学等を中心とし、基礎系の講座の特に助教授の欠員が多いという点を私どもも非常に問題としております。こういった点につきましては、ただいま申しましたように、全国の公募により適任者を最大限の努力をいたしまして確保をいたしたいと思っておりまして、ただいま富山医科薬科大学につきましては、すでに四月に入りまして、間もなく公募に入ります。島根も同様でございます。このような医学部あるいは医科大学の教官の確保の問題につきましては、関係者による努力に期待し、私どももできるだけそれをお助けするということだけではやはり処理できない問題が一つございます。と申しますのは、国家公務員で医療職の俸給表の適用を受けまする医師の初任給の処遇と教育公務員で医学関係の教育に従事していただく教官の方とで非常に給与上の相違がございまして、この点につきましては、昨年の国会でもいろいろと御指摘を賜りまして、四十九年度の人事院勧告に当たりまして特に大臣から人事院総裁にも強い要請等をいたしたのでございますが、四十九年度の人事院勧告で、初任給調整額として二万五千円をプラスする、二十年間漸減していくということの措置を勧告いただき、そのような措置をとらしていただきましたが、医療職(一)の俸給表の適用を受けまする国家公務員の医師との間にはまだ相当額の開きがございまして、この辺等も私ども今後なお引き続き努力をしなければならないことかと存じます。医科大学の創設に当たりまして質の問題等を考えます際に、優秀な教官の確保が先決であり、そのために、基礎・臨床を含めまして、公募によりできるだけの適格者を集めて、それを大学設置審議議会で審査を経るということにつきまして十分な努力をすると同時に、ただいま申しましたような点につきましても引き続きの努力をしなければならない課題である、かように考えております。
#17
○有田一寿君 待遇改善の問題はいまおっしゃったとおりであろうと思います。教員人材確保法案によって、義務教育諸学校の教職員の場合はある程度の待遇改善の見通しがついたわけでございますが、大学等、特に福祉に直接つながる医師の養成の基本をなすものはやはり待遇を離れては考えられないと思うわけでございまして、これはわれわれも努力をしなければならないということをよく認識をいたした次第でございます。
 なお、もう一つ次に伺いたいのは、私立医科大学、これは入学金が非常に多いということは先般も質問があっておりましたが、これは国民ひとしく知っているところでございまして、文部省もそのことは承知していると思いますが、いろんな事情から恐らく黙認しているというのが現状ではないかと思います。ただ、今後国立医科大学だけですべてが充足していけばよいが、あるいは私立医科大学に依存しなければならないという点もあろうかと思いますが、果たしてそうであるか、今後は国公立医科大学でそれを処理できるということでありましょうか。先ほどおっしゃられた十万人について百五十人というものを昭和六十年までに達成するという場合には、それは国立だけの計算であるのか、私立も考慮に入れられての計算なのかが一つ。
 それから私立医科大学の認可でございますが、これについてもよほどの方針で臨まなければならない。しかし、余りむずかしくすると目的を達し得ない。しかし、これを少しでも認可基準を緩やかにして、極端に言えばいいかげんにすると、よくない医師が生まれれば福祉社会実現に逆コースをとることになるという板ばさみのむずかしい問題があると思いますが、今後の医学教育については、国公私立を問わず、国の福祉社会の未来を考えて、やはりよほど見通しのある方針というものが医学については設定されなければならないと深く考えるところでございます。その見通しについて率直なところをお伺いをしたいと思います。
#18
○政府委員(井内慶次郎君) 先ほどお答え申し上げました、人口十万人に対しまして百五十人の医師の確保がおおむね昭和六十年をめどに達成できる計画と相なっておりますというふうにお答え申し上げましたが、その際の数値は、今後つくられるものは無医大県解消ということで、国立でつくられるものの数値をカウントいたしまして、そういう計画に相なっております。ただいま今後の医師の養成、医学教育という観点に立って、国公私立の関係について、どのように考えるのかというお尋ねもございましたが、昭和四十年から五十年、この十年間の医科大学あるいは医学部の数、入学審貝の変化を見ますと、昭和四十年に四十六の医学部がございまして、入学定員が三千五百六十人でございました。これに対しまして、先ほど先生からも数値の御指摘がございましたが、昭和五十年、六十九校に相なっております。六十九校に相なっておりますが、その増加いたしましたのは、国立で九校、私立大学で十五校、公立医科大学は、三重県立医科大学が国立移管をいたしまして減が一立っております。そのような数値になっておる次第でございます。
 医学教育の質の問題を並行して改善、充実するということを考えなければならないという御指摘もございましたが、ただいま文部省として非常に大きな宿題であり、努力しなければならないことの一つは、昭和四十五年以降新設されました十五の私立の医科大学等の内容が、大学設置審議会等におきまする認可の際の条件を完全に満たし、質的にりっぱな医学部に育てていただけるように、このアフターケアをどうするかという問題が非常に大きな問題としてございます。ただいま毎年、大学設置審議会が学年進行を完成するまでの間、特に新設の医科大学、歯科大学等につきましては、現地を調査し、教官の充足の状況、研究教育の状況等につきまして設置審議会の方の視察を経て、毎年、当該大学に対しまして改善の必要点を御指摘し、教官の充足等に一層の留意を賜っておるところでございます。新設の医科大学につきましてそのようなことをやりながら、ただいま申しましたように、五十年六十九校、入学定員七千二十人と相なっておりまする現在の医科大学・医学部の教育がその水準を低くしないように、これの水準を確保し、改善を今後どう図っていくかという面における努力を文部省としてはやはり全般の問題としてはしてまいらなければならないであろう。私立の医科大学の設置認可の問題につきましては、特にこの二年間、従前は一年で審査して認可しておりましたか、特に医科大学、歯科大学等につきましては、これを丹念に慎重に審査する必要があるということで二ヵ年審査ということにいたしまして、管理局の方で担当を願っておりまする私立大学審議会における法人関係の審査、大学設置審議会等で行いまする教官の審査と、これを二ヵ年にわたって慎重に審査するという態度でただいま対応しておるところでございます。
#19
○有田一寿君 大学の新設の認可の方針その他についてはよくわかりました。ただ、一般高等教育に対する考え方として、最近は大変議論が二分してきている状況でございます。すべて高校を出た者は大学に全入を図るべきである、それによって国民の教育水準が上がるわけだから、学生が多少質が悪いとか、教授の質が悪いとかいうことを一々こだわらずに考えるべきである。そうすることによって入学試験の受験地獄も解消するではないかということも一方叫ばれております。ただ反面、いわゆる選抜であって、大学教育を受けるにふさわしい者が大学に入学するんだと、そして、それをよく教育をして社会に送り出すことが社会の進歩につながるという、いわば極端に言えば二つに分かれております。だから、前者の議論でいけば、なるほどパスの運転手も、あるいは駅の改札する者もみんな大学卒である、板前さんもそうだし、ボーリング場の受付もそうだということになれば、なるほど知的水準の高い日本の国家はできるという考えはありましょうけれども、私は、そういう考えをとらないわけでありまして、日本のこの九十数%、資源を海外から導入しなければ、そして加工賃経済で必死に働かなければ本当の日本の福祉もできないと、もちろん経済発展も不可能であるという状況を考えますと、どうしてもそこにはそういう知的エネルギーのロスを見逃すということはできない。やはりもっと真剣に、大学教育というものは受けるにふさわしい者を大学に進ませるということの方が私は正しい議論であろうと思うわけでございます。
 この医学教育について、最近特に私立の医科大学について入学金をよけい、極端に言えば裏口入学のようにして納めた。そのために、はっきり言えば、質のよくない学生がそこに入る。それが国家試験を通ったとはいうものの、私は医師の国家試験がむずかしいと思っておりませんから、それが大事な生命を担当することになるということを考えると、はだにアワを生ずるような思いがするわけでございまして、特に医科大学、薬科大学等においては私は大衆教育だという考えは一てきして、本当によい者を確保していく、しかもよい者が少なくて済むんじゃなくて、よい者が多くなければいけないという、これは二律背反の問題でございます。これをあえてその両面を追求していかなければならないのが、今後の医学教育の問題であろうと思うわけでございます。言うはやすく行うは私はかたいと思っております。だから、そこら辺のことについて、先ほどから大学局長の御答弁がありましたように、やはり待遇の問題、あるいは待遇だけでなく、精神的な優遇の問題、あるいは叙勲のときによき医師を優遇するとか、そういうこともあわせ考えて、あらゆる面で私は医師というものに対しては皆が尊敬できるような、そういう立場を国民が認めてやって、そして日本の福祉につなげていかなければなるまいと思うわけでございます。一般教育から、その中における医科大学の教育、その教授の確保、どういう生徒を入れる、そういうことを含めてひとつ簡潔で結構ですけれども、いま考えておられることをここで述べていただきたいと思うわけでございます。
#20
○政府委員(井内慶次郎君) ただいまいろいろと御意見賜りましたが、医学教育の関係者の間で最近非常に議論に相なっておりますのは、医における倫理の問題が非常に関係者の間で議論に相なっております。このことは、現在、医学教育が学部教育六年ということでございまして、医進課程が二年、専門課程四年ということに相なっております。先般の法改正で六ヵ年、医進課程、専門課程を通じましての一貫教育が可能になりますような法改正をお願いをいたしましたが、特に医学教育における一般教育の理念、人間の基本的な生命の尊重であるとか、人間の生命の前にひれ伏す医師としての気持ちをどう養うかとか、一般教育を、医進課程のときのみならず、ある意味では六ヵ年全体を通じて何かそういった人間教育の必要があるのではないかとか、こういった問題が非常に指摘をされておりまして、医学部の医進課程の教育を担当しておられる先生方の中で、相互に一体今日の医学教育の中で医進課程の教育はいまのままでよろしいのか、どう改善しなければならないのか、こういった問題について非常に熱心ないま研究、研修が展開されつつございます。
 わが国の医学部関係の教官の方々の間にも、高度の診療を行う、高度の研究を行うという点についての努力と、質的に非常に高い教育を行うという面と、特に質的に高い教育を行うという面におけるわが国の大学教官相互の従前の共同研究とか共同研修とか、こういう面においてやはり非常に国際的に見た場合に立ちおくれがあるのではないかということが、ただいま関係者の間で非常に指摘されておりまして、関係者の間で、医学教育関係の学会の結成、その活動というものもいま活発化しようとしておるように承っております。
 既設の医学部が長い歴史を持っておりますが、講座制が非常に厚い壁に逆になり過ぎておるという面もございますし、また、診療科の立て方にしましても余りにも旧態依然としておるのではないかという点もすでに指摘されております。長い歴史を持つ医学部も、それぞれのあり方について、いまやはり本格的に現在の医療に対応し、また、今日の医学教育に対応し得るような、講座の弾力化とか診療科の立て方とか、こういった面について関係者の努力により改善を図るべき時点に到達しておるのではないか。文部省にございまする大学設置審議会の医学関係の委員会におきましても、現在までやってまいりました医学部の講座の立て方とか、こういったものをもう少し弾力化して各大学の創意工夫が生かされるような基準に改定すべきであるということで、試案がつくられてただいま関係者の間でも検討されておるところでございますが、長い歴史を持つ明治以降の医学教育にやはりある転機が今日来ておるのではないか、かような考え方を私ども持っておりまして、関係者のただいま申し上げましたような努力が実りますように、文部省といたしましても、できるだけの助力を申し上げなければならぬ、かように考えておるところでございます。
#21
○有田一寿君 最後に、きょう提案になっておりますが、分子科学研究所、これは衆議院で附帯決議がついて、私大も共同利用するということのようでございますが、分子科学研究所というもの自体について科学知識の乏しい私はちょっとなかなか理解できかねる点もあるわけでございますが、その分子科学研究所の性格、仕事の内容、ひとつこれをわかりやすく説明をしていただいて、そして今後運営上問題があるとすれば、こういうところを気をつけていきますよということを御説明いただきたいと思うわけですが、お願いします。
#22
○政府委員(木田宏君) 分子科学研究所は名前のごとくでございまして、分子科学の研究を総合的に行う研究所でございます。
 分子科学というのは何かということになるわけでございますが、私もちょっと受け売りのようなことになりますので恐縮でございますけれども、物質の一番基本単位になっております分子、その分子が今度は原子に分かれる、原子が一番物の基礎であるということなんですが、原子の数がいまのところ九十二ありまして、その九十二の原子が集まりまして分子を構成する。分子の数というのは、専門家に聞きますと五百万個もあるんだそうです。日常のいろんな物質あるいは生き物、個体そういうものを構成しておりますのが通常五万個ぐらいの種類の分子で構成されておるというふうに言うわけなんでございますが、従来の化学ではいろんな物質の化合というような現象を通じまして化学のいろんな研究を進めてまいりました。今度、その化学の研究の基礎になっております分子というものの一番本質的なものを、その分子の構成単位であります原子の段階でどのように組み立てられておるか、また原子は、原子核と電子という二つのものででき上っておりますが、その電子のいろんな電子的な構造というものが分子の本質作用にどのような影響を及ぼしておるか。こういう、分子の持っております本質を原子的な構造とかあるいは電子的な構造に基づいて明らかにいたしまして、そして物質の物理的・化学的性質というものを分子を中心にしながらあらゆる角度から総合的に考えてみよう、こういうことなんでございます。
 さらに、それをもう少しこう最近の通常のわれわれ生活に近いところの例で申し上げますと、私も、ああそういうことかと思ったりしたんでございますが、電子レンジというのが家庭の中にいろいろと入っておりまして、非常に短時間の間に、電気のスイッチを入れますと高温にお料理ができ上がる。その際に、その入れ物の陶器はさっぱり温かくならないんですけれども、中にあります料理だけが、水分を含んでおりますために、瞬間的に非常に熱を発する。それは、水、H2Oというようなことで言われております水の、このHが二つ、Oが一つくっついておりますくっつき方の中に電位差があるんだそうでございます。そこで、電子レンジのあの電磁石でもって電位差を揺すぶりますと、水の分子がものすごい振動をいたしまして、中からその振動熱によって瞬間に温かくなる。これは結局、H2O、水の分子の持っておりますHが二つ、Oが一つというものの結びつき方、その原子と原子、要するにO原子、H原子のこのつながりのいろんなあり方、その中にあります電気的な何といいますか、性能というものが、一つの場合とかあるいは集団で分子が集まった場合にどういうような性質を帯びてくるか、そういうことの研究から出てきた成果を活用したものなんだそうでございます。
 この領域の研究は、日本でもかなりのいい水準にまで進んでおるわけなんでございますが、物質の本質を究明いたしますために、その分子構造というものを、原子の核と電子の集まりぐあいとして考えたり、あるいは今度は分子がどのように集まるかというような集合論を考える。そのことは結局、従来化学が考えておりましたものに、物理学的な理論、原子核の問題でありますとか、あるいは光の解析の問題でありますとか、化学の世界に物理学の手法をかみ合わせて、そして物事の本体を考えていこう、これが従来先ほども大学局長からちょっと話がありましたが、日本の大学が物理の系列、化学の系列というふうに別々になっておりまして、なかなか両者の関係がうまく力を合わせながら研究していくということについて十分な体制になっておりません。これは大学の研究体質にもよることなんでございますけれども、それらを化学と物理をかみ合わせた手法で物質の根源を研究しよう。その研究に対しましては新しい解析の装置その他も要るわけでございますし、かなり精密な体制をとらなきゃなりませんので、それらを個々の大学ごとに考えろというのではなくて、研究所にいろいろな研究部門、基礎理論を研究いたします系列とかあるいは分子の構造、先ほど申し上げました原子核の原子の集まりぐあいを考えるもの、分子の構造を考えるもの、あるいは電子の動きぐあいを考える系列、あるいは一つ一つの分子が大きな集団をなしました場合に、水になったり氷になったりいたしますが、そういう集団としての性格というようなものを系列別に考えていこう、こういうことをねらった研究所でございます。
 そこで、お尋ねがございましたそういういろんな専門領域の研究者が、結局物質の一番根源的なものを目指しましてあらゆる手法を用いて研究を突っ込んでいくということになるわけでございますが、その際に、いろいろな大学、研究所の研究者が共同で利用できるようになっておらなければならない。国立でつくりますために、これを国立大学の共同利用の研究所として今回設置していただくようにしてあるわけでございますが、しかし、現実には国立大学以外の研究者の方々にも広く共同で使っていただくということを考えて、その共同利用の研究所としての体制をそれに合うように持っていきたいというのが私どもの希望なんでごごいます。その間には、国立大学であることと、それから国家公務員でない人との利用の関係その他いろいろと工夫をしなければならない点もございますけれども、それらの点をいろいろと努力をして、研究者の共同の研究の場として運営できるように努力したいと、このように考えておるところでございます。
#23
○委員長(内藤誉三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日は、これにて散会いたします。
  午後四時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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