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1974/06/03 第75回国会 参議院 参議院会議録情報 第075回国会 文教委員会 第11号
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1974/06/03 第75回国会 参議院

参議院会議録情報 第075回国会 文教委員会 第11号

#1
第075回国会 文教委員会 第11号
昭和五十年六月三日(火曜日)
    午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                有田 一寿君
                久保田藤麿君
                久保  亘君
                加藤  進君
    委 員
                山東 昭子君
                志村 愛子君
                高橋 誉冨君
                中村 登美君
                藤井 丙午君
                最上  進君
                秋山 長造君
                粕谷 照美君
                鈴木美枝子君
                宮之原貞光君
                内田 善利君
                矢原 秀男君
                小巻 敏雄君
                中沢伊登子君
    発  議  者     粕谷 照美君
    発  議  者     鈴木美枝子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部政務次官   山崎平八郎君
       文部大臣官房長  清水 成之君
       文部省初等中等
       教育局長     安嶋  彌君
       文部省大学局長  井内慶次郎君
       文部省社会教育
       局長       安養寺重夫君
       文部省体育局長  諸澤 正道君
       文部省管理局長  今村 武俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局審議官   奥田 真丈君
   参考人
       私立学校教職員
       共済組合理事長  加藤 一雄君
       私立学校教職員
       共済組合常務理
       事        三浦 勇助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和四十四年度以後における私立学校教職員共
 済組合からの年金の額の改定に関する法律等の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
 確保に関する法律の一部を改正する法律案(
 鈴木美枝子君外一名発議)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (当面の文教行政に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として私立学校教職員共済組合理事長加藤一雄君及び同常務理事三浦勇助君の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(内藤誉三郎君) 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○粕谷照美君 本改正案と関連して最初にお伺いしたいことは、さきに社会保障長期計画懇談会が年金制度改革のための中間報告書を出していると思います。それを受けて政府部内において、昭和五十一年度にはわが国の年金制度についての総合的な対策の検討が進められていると伺っているわけですが、私学共済も当然それに関連して大きな変革が行われるのではないかと、こう考えております。私が考えるところ、問題点は財源負担の適正化と、各制度の分離と、給付格差の是正にしぼられているというふうに思いますけれども、現状がどうなっているかということ、どのような点が変わっていくかということについてお伺いをしたいと思います。
#6
○政府委員(今村武俊君) 本法案を社会保障制度審議会に諮りましたところ、その答申の中で次のように述べられております。「昭和五十一年度には、わが国の年金制度の総合的な見直しが行われると伝えられているので、共済年金関係も当然それに応じた大幅な改正が行われなければならないことを付け加える。」このことは、厚生年金及び国民年金両制度が財源の再計算を昭和五十三年度から五十一年度に繰り上げて実施し、その際、抜本的な制度改善をあわせて実施しようとしていること、また、今国会に提案されております国家公務員共済組合の年金改定法案に対する国家公務員共済組合審議会の答申の中で、次のように述べられておること等を踏まえて答申があったものと理解しております。
 その答申では、「現行の共済組合法は、恩給法と旧共済組合法とを併合するため昭和三十三年とり急ぎ制定されたものであるだけに、その理念が明白でないばかりでなく、その後の経済社会の変動や、社会保障制度の進展に即さない面は、相当散見される。これらに対し、政府は従来のテンポを速め、根本的再検討を昭和五十年中に完了せられるよう特に強く要望する。」、かようなことでございますので、共済組合制度全般について大きな変革がなされなければならないという気配が漂っていることは、まさに先生のおっしゃるとおりでございます。
 ところで、その具体的な改正の内容でございますが、現在、こういう年金制度の母法と言われる厚生年金制度にあっては社会保険審議会で、国民年金制度にあっては国民年金審議会で、それぞれ検討が行われ始めたところであります。また、国家公務員共済組合制度にあっても、厚生年金制度等の制度改善の動向を見守りながら根本的な制度改善のための検討を始めたばかりでございまして、恐らく問題点は、先生の御指摘の点のようなことであろうかと思いますが、私どもこれらの動きを見守りながら、恐らくその影響はあるであろうということで、次の検討を始めなければならないわけでございますが、まださような事情でございますので、的確に問題点を把握して検討を始めておるという段階には至っていないというのが現状でございます。
#7
○粕谷照美君 非常にのんびりした話ではないだろうかというふうに思うわけですけれども、五十一年から実施する、もう非常な大変革だというふうにおっしゃっていらっしゃるのに、まだ検討を始めたばかりだということでは、私は非常な不安を覚えないわけにはまいりません。
 それとあわせまして、すでにもう政府の方では、私たちから考えますと非常な問題点だというふうに思っているんですけれども、とにかく食べられる年金を支給する、つまり高福祉――福祉を高くするという意味では高負担が必要なんだ、つまり掛金も大きくしなければならないんだという、こういうキャンペーンを張っているような感じがしてなりません。そのことでは私は本質を突いていないんではないか、この年金制度改革について、そういう考え方を持ちます。
 たとえば日本のサラリーマンは、住宅や公園や、あるいは動物園、植物園、あるいは美術館、博物館などの公共サービスやあるいは施設から疎外をされているという、そういう統計が出ているわけです。なるほど政府が言うように、四十九年度の厚生白書を見れば、西ドイツの社会給付は二一・八%、負担率は一四・二%、それに比べて日本は六・一%の給付率、そして負担率が四・四だと。だからもっと高い給付率を、給付をするには高い負担が必要なんだと、こういう意図を持ったとしか思われないような白書を出しているということ自体が大変な問題だというふうに思いますし、いま私が言いました住宅や公園や動物園、植物園の問題にしましても、イギリスとの比較で言えば、十万人当たり、たとえば博物館、美術館、動植物園は、イギリスを一〇〇とした場合に日本は五六・三だし、公共図書館あるいは蔵書類が一〇〇対三六・八だというふうに統計が出されているわけです。これは何も私たちの統計ではありませんで、国民生活審議会が「社会指標」中間報告書に出しているわけですから、そういう意味から考えても、私たちは日本のサラリーマンはみずからの購買力でそのような不足をカバーしようとしているというふうに考えているわけです。ですから、高福祉、高負担を言うならば、勤労者の生活実態と行政の仕組みを正しく認識した上で論ずるべきであろうかというふうに思いますが、そのことについての時間がありませんから、私は文部省がお先棒を担いで高福祉や高負担でなければならないんだというふうなことではなくて、国庫負担を増額すべきだという観点に立ってがんばっていただきたいというふうに思うわけです。
 その意味で、当委員会で再三附帯決議を行ってきました長期給付の国庫補助引き上げについて文部省のとってきた態度、それから今後の見通しはどのようになっているかということについてお伺いをしたいと思います。
#8
○政府委員(今村武俊君) 長期給付に対する国庫補助は現在百分の十八でございます。国会の附帯決議ではこれを百分の二十に引き上げるべきであるということでございます。昭和五十年度の予算編成の際にも、附帯決議の御趣旨を尊重して百分の二十に引き上げるべく予算概算要求をし、それをもとにして予算折衝をしたところでございますが、他の共済制度との比較権衡もあって目的を実現することができなかった次第でございます。
#9
○粕谷照美君 そうすると、他の共済制度との関連でできなかったという意味では、文部省は何も私学共済だけが努力の対象ではなくて、その他公立学校共済組合の関係もあるわけですよね。公立学校共済組合の方は私学共済よりは国庫負担が少ない。そういう意味では、公立学校共済組合の国庫負担が少ないということが私学共済に対する補助の足を引っ張っているというふうにお考えですか、いかがですか。
#10
○政府委員(今村武俊君) 私ども予算折衝いたしますときに、私学共済が百分の十八、厚生年金が百分の三十であるということで、高い方にそろえるべく努力をしたわけでございまして、百分の十五の公立共済の低い方をとって上げなくてもいいという主張をしたわけではございません。
#11
○粕谷照美君 また、私学共済の長期給付に対しては、ほかの共済制度にはない文教政策上の補助措置というのがありますね。それは一つは日本私学振興財団の整理資源に対する助成金でありますし、またもう一つは、都道府県からの補助金だというふうに思うわけです。四十五年度から国及び都道府県が私学振興の観点から人件費を含む経常費補助を実施していることと関連しまして、今日の私学共済事業に対する都道府県の補助の実態はどういうふうになっているかということをお伺いしたいと思います。
#12
○政府委員(今村武俊君) 私立高等学校等経常費補助金は、従来地方交付税上の財源措置がなされてきており、都道府県ではこれを基礎にいたしまして、それを財源といたしまして私立高等学校に補助金を出しておるわけでございます。その一つとして、私立学校共済組合の掛金に対する千分の八相当の補助金がございます。現在、都道府県は私学共済組合に対し私立学校が教育上果たしている大きな役割りにかんがみまして、昭和二十九年度以来、長期給付の掛金のいま申し上げる相当額を補助しております。そして組合員及び学校法人の掛金はこの分だけ軽減されておるということになっております。
 それを計数的に申し上げますと、都道府県の補助金が昭和四十八年度においては十五億二千九百万円、昭和四十九年度においては二十一億三千三百万円、昭和五十年度においてはまだ一部未計上の県もございますが、大部分の県においては千分の八相当額が計上されております。あるいは計上する予定でございます。
#13
○粕谷照美君 ちょっとお伺いいたしますけれども、いまの御答弁の中で財源として私立高校に出しているというふうにおっしゃいましたね。そうすると、この私学共済が補助をする対象というのは私立高校の組合、いわゆる共済組合員だけですか。全部そうなっていますか、すべての県が。
#14
○政府委員(今村武俊君) 交付税の積算の基礎では、高等学校以下の学校についてのみ積算してございますが、沿革的に高校以下だけではなくて、その都道府県の中にある大学、短大――私立学校でございますが、これらについても沿革的に都道府県の補助を出している県が多うございます。
#15
○粕谷照美君 積算基礎として私立高校にだけだというのは、説明はわかりました。
 それでは、その大学や短大に積算基礎を上回って出している――逆に言えばどちらが多いかということですね。大学、短大に出さないという県の方が多いのか、大学、短大に出しているという県の方が多いのか、もしわかればその県名などもお教えいただきたいと思います。
#16
○政府委員(今村武俊君) 大勢としては大部分の府県において、およそ私学について千分の八相当額の補助金を出しておりますが、次のような例外かございます。岩手県では大学、短大分については補助がありません。京都府では大学分についてのみ補助がありません。北海道、福岡では学校法人ではなくて組合員に対してのみ千分の八負担を軽減いたしております。東京都では大学、短大、高専は九カ月の補助、補助はするが十二カ月ではなくて九カ月、こういう例外がございます。
#17
○粕谷照美君 それでは、文部省ではなくて、運営の責任者である私学共済の理事長に五十年度の見込みについてどういうふうな把握をしていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#18
○参考人(加藤一雄君) ただいま局長から説明がありました、大体それと同じでありますが、四十九年度におきましては先ほどの岩手、京都等でありますが、五十年度におきましてはややそれ以上に、いま問題になっております二、三県のところがまだその段階に至っておりません。したがって、これから努力をしてぜひいままでどおりにという運動を展開しております。
#19
○粕谷照美君 二、三県がふえたということですか、大学、短大に補助をしない県が。
#20
○参考人(加藤一雄君) さようでございます。
#21
○粕谷照美君 これから努力すればもとへ戻る可能性があるわけですか。
#22
○参考人(加藤一雄君) いまのところ折衝いたして、私も先般参りまして交渉はしています。近くまた参りたいと、かように考えておりますが、地元の私学の先生方は非常に不安感を持っておるようでございますが、しかし全然だめだということでもないわけでございまして、もうしばらく時間をかしていただいて努力してみたいと、かように考えております。
#23
○粕谷照美君 大変な問題だというふうに思いますので、理事長の一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。
 しかし、理事長の説明でもちょっと理解ができないところがあるわけです。重ねてお伺いいたしますけれども、都道府県の補助は共済組合法の三十五条の三項を根拠として出されているというふうに思いますけれども、間違いありませんか。
#24
○参考人(加藤一雄君) いまのお説のとおりでございまして、組合法の三十五条の三項によって組合の業務に対して補助をすることができると、こうなっておりますが、当初各都道府県から、自分の管轄内の私学の先生方に直接負担を軽減していきたいと、こういうことから掛金の方にその補助が回されてまいりまして、学校側が千分の四、組合員が千分の四と、かようになってきております。ところが、その後、その情勢で今日までまいっております関係上、大学、短大、高専の方は地方自治体からの管轄はないのだから、こちらの方はその予算の関係上出せないというような空気がありますので、われわれとしてはそうでなくて、根源は業務の補助ということになっているから、学種別に考えずにすべての学種に出していただきたいと、こういうふうに要望をいたしておるのでございます。
#25
○粕谷照美君 そうしますと、その大学や短大に出さないという県ですね、先ほど名前をおっしゃった岩手や京都あるいは今年度ふえるであろう二、三の県、それは私立の高等学校と違って、うちの県としては共済業務には関係してないから出さなくてもいいんだ、つまり組合法の三十五条の三項は県には該当をしないんだという考え方に立って出されないというふうに考えてよろしいですか。
#26
○参考人(加藤一雄君) そうでなくて、やはり財政上非常に窮迫しておるので直接管轄にある高等学校以下だけは何としてもしなければならぬけれども、大学、高専の方まで力を伸ばす現状でないというようにわれわれは解釈しておりますので、それは学種別で分けてもらっちゃ困る、全部の学種に出してもらいたい、こういう要望をいたした次第でございます。
#27
○粕谷照美君 ただいまの御説明で補助金は組合員の掛金を低くしよう、とにかく一人一人を大事にしようという観点に立っていままでずっと出されてきた内容であるということはよく理解ができました。けれども、ほかの共済制度にはなくて私学共済にだけ都道府県が補助金を出すというその立法趣旨から考えてみれば、文部省としても、各都道府県に対して学校種別に関係なく補助を出すようにというその努力、指導してもよろしいんじゃないかというふうに思いますが、そういうことで指導なされたかどうか、それから今後の見通しについてはどうであるか、指導するお気持ちがおありなのかないのかということも含めてお伺いをしたいというふうに思います。
#28
○政府委員(今村武俊君) 文部省といたしましては、昭和四十八年度、四十九年度、五十年度の実績、その傾向を見ながら、地方財政上いろいろ問題があるにもかかわらず都道府県が私学共済組合に対してしかるべき援助をなされることを期待しておるわけでございます。したがいまして、私学の担当課長を三月の末、一週間ほど文部省にこもごも呼んで、私学の予算全般について相互に意見交換、お話し合い、いわゆるヒヤリングというのをやったわけでございますが、その際にも、各県ごとにいかなる積算の内容になっておるか、予算折衝の状況はどうか等々を伺いまして、従前以上に私学共済に対する措置を懇望したところでございます。また、私学担当者の会合を開いて、福利課長はそういう会合に出かけて、従前に比べて措置が手薄くなるような県について個別に指導といいますか、懇願といいますか、依頼といいますか、それを行っておる現状でございます。
#29
○粕谷照美君 文部省の努力はわかりましたけれども、財政が窮迫をしているからということであっては、すべての県が窮迫をしているわけですね。この県だけが大変潤っていますなんというところはありませんから、やっぱり私は姿勢の問題だというふうに思うわけです。一層の御努力をお願いをしたいというふうに思います。
 さて、最後にお伺いいたしますけれども、非常に大きな額を持っている共済の運営についていろいろな階層から運営審議委員なるものが出ているというふうに思います。その運営審議委員のいわゆる何といいますか、代表的立場といいますか、それは一体どのような形で何名出ていますか、お伺いいたします。
#30
○政府委員(今村武俊君) 私立学校教職員共済組合法の第十二条に、私学共済組合の運営審議会に関する規定がございます。組合の業務の適正なる運営を図るため、運営審議会を置かれますが、運営審議会の委員は二十一人以内とする。三者構成になっておりまして、一つが組合員、二つが学校法人の役員、三つが組合の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者いわゆる学識経験者、その三つの分野の中から文部大臣が委嘱をするということになっております。
#31
○粕谷照美君 現在、その割合はどんなふうになっていますか。
#32
○政府委員(今村武俊君) 組合員関係七名、法人役員関係七名、そして学識経験者関係七名となっております。
#33
○粕谷照美君 この運審の任命権といいますか、文部大臣が委嘱をされるんだというふうに思いますけれども、この二十一名の中に婦人の代表というのは一体何人入っていらっしゃいますか。それからどの階層から入っていらっしゃいますか。
#34
○政府委員(今村武俊君) 婦人の代表は一名も入っておりません。
#35
○粕谷照美君 それは非常な問題だというふうに思うんです。この共済組合の組合員で、婦人の組合員というのは一体何人ぐらいいらっしゃいますか。
 それから、公立共済の各県の運営審議委員あるいは中央の運営審議委員に婦人代表というのが入っているかいないか。公立共済では婦人の代表が入っている入っていないかという現実の問題について、文部省はどのような考え方を示していらっしゃいますか。
#36
○政府委員(今村武俊君) 私学共済の運営審議会の委員を選ぶ場合は、組合員、法人役員、学識経験者ということで選考することになっておりまして、婦人代表を特に選ばなきゃならないということではないわけでございますので、私学の団体からの推薦に基づき委嘱をいたしておりますが、たまたま現在のところ婦人がいなかったというだけのことだと思います。
#37
○粕谷照美君 そういう感覚だから困るんです。共済組合費の掛け捨て、現実に共済組合の恩恵を受けない、ほとんどと言っていいくらい掛け捨てになっている実情が婦人組合員にあるときに、この婦人組合員が共済組合の中でこういうふうにしてもらいたい、こういうふうにしてもらいたいという要求がたくさんあるわけです。ですから、各県でもできるだけ婦人の代表を出そうということで、ほとんどと言っていいくらい、出さないというところはもう数少ないくらい運営審議委員が出ていますし、中央においても出ているわけです。その辺のところをお考えいただいて、この私学共済に私が婦人組合員が何人いますかということについてのお答えはありませんでしたけれども、ちゃんと入れるようにしていただきたい。それは文部大臣の委嘱なんですから、指導性をあわせてお願いをしたいというふうに思います。
 さらに、問題点は、組合員の代表というのは一体どういう観点で選ばれるかということになろうかと思います。個人的になるほど組合員であるからあの人が出ていけば申し分ないということがあろうかと思いますが、しかし、組織的に大体の人たちがどういうふうなことを考えているのか、組織的にどのようなことをやっていった場合に本当に大ぜいの人たちが恩恵をこうむるのかという、こういう討議の場所を一体持つような人たちが組合代表として入っていらっしゃるのかどうなのか。もっと具体的に言えば、いわゆる法的に認められた労働組合の代表がその運営審議委員の中に入っているかどうかということについてお伺いをしたいと思うんです。これは各県においてはほとんどと言っていいくらい入っておりますし、中央においても出ていますから、その辺の指導性をきちんと出していただきたいというふうなことについての質問をいたします。
#38
○政府委員(今村武俊君) 先ほど答弁漏れでございました私学共済の組合員の男女のことでございますが、四十九年度の数で言いますと、男子十二万四千三百四十八人、女子十三万六千九十七人となっております。私立学校共済組合の組合員という組合員の観念は、法人の理事、法人の職員、それから私学の教員を含みます。したがって、労働組合の組合員とは範疇を異にするということはすでに御承知のことでございます。法の規定は先ほど読み上げたとおりでございますが、従来長い慣行として、文部大臣が委嘱するに当たりましては私学側の意向を十分くむために私学共済組合の発足以来私学団体の推薦によって委員を委嘱いたしております。全私学連合から委員の推薦を求めております。全私学連合は法人の関係者だけではなくて、校長、教職員を含むいわば学校自体を加盟員とする包括的な団体でございますので、その推薦をもって足りるとして従来扱っていたわけでございます。しかし、先生のおっしゃるような御議論が国会の速記録を読んでみますと前にも出ておりましたので、今年度はそういうことで一月の十六日に全私学連合に運営審議会委員の候補者の御推薦を依頼するとともに、同日、福利課長から日教組の私学部長へ電話をさせまして、日教組の私学部の方で判断をなすって、いまのところ正直に言って全組合員の中で日教組私学部に属している人の数は少ないようであるけれども、一つの意見を持っておられるようであるから、全私学連合とお話し合いをしてしかるべき代表者の推薦をされる希望があるならばしてほしいという話もいたしました。そして全私学連合から後任の候補者の推薦文書が二月の一日に出されたわけで、二月の十五日に文部大臣が委嘱したわけでございますが、その後日教組の委員長から文部大臣に対して推薦文書が出されたというようなことになっておりまして、手続の面で少しずれがあったというようなこともあり、また、日教組の私学担当者と私学連合会とのお話し合いが必ずしもスムーズにいかなかったという事実はあったようでございます。
#39
○粕谷照美君 速記録を見ますと確かに前向きの姿勢で取り組むという意味では文部省の御努力は私は高く評価をしたいというふうに思いますが、結果的には入らなかったわけですね。手続の面だけではない、何物かがあるというふうに思えますので、必ずこの次にはその代表が入れますように皆さんの御努力を心からお願いをし、私の質問を終わります。
#40
○内田善利君 私は、理事長に主としてきょうは質問したいと思いますが、昨年、私学共済二十周年を終わりまして、本年新しい出発になったわけですが、理事長も本年初頭にある雑誌に次のように述べておられます。「人間は常に一つの機会をとらえて、それを飛躍台として将来に前進するきっかけをつくるか、それともその機会を惰性に追われて簡単に見送ってしまうかによってその前進が左右されるのと同様、私学共済はこの機会を重大に考えねばならぬと思う。」と述べておられます。二十周年記念に際して、この機会を重大に考えねばならぬと、こういうことでございますが、したがいまして私は、理事長の私学共済の今後のあり方についての抱負をお聞きしながら、その実態をお聞きしたいと思います。
 まず第一に、私立学校の場合、公立高校とその実態がいろいろな点で違いがあるだろうと思うんですが、私学共済の運営に当たってその特殊性をどのようにお考えになっておるのか、まずお伺いしたいと思います。
#41
○参考人(加藤一雄君) 大変御丁重な御質問を受けまして恐縮に存じておりますが、御存じのように、私学共済は幼稚園から大学といった非常に適用範囲が広うございまして、しかも、先ほど話がありましたように、女子の教職員が半数以上組合員として籍を置かれておるという問題それからいま一つは、年齢分布から申しますと高齢者が非常に多い。この点につきまして、この高齢者の比率をほかに比べますと、かなり他共済に比べますと多いということはやはり負担が非常に多いということにもなりますし、また、全体の給与の平均というものが他共済、ことに国公立の共済に比べますと、私学共済の方は諸手当を加えたものが給与になって、いわゆる算定の基準になっておりますが、国公立の方では基本的な給与だけにとどまって、その平均におきましても大体私学の方では全体十万三千円程度でありますが、これを国公立に比べますと、四万円程度の格差があるように思いますので、こういった私学共済におきまして他の共済に比べまして非常な弱点を抱えておるというところに、私学共済が今後非常に考えていかなきゃならぬ面がある、かように考えております。
#42
○内田善利君 その特殊性が特に他の共済に比べて悪い、特に国公立の場合よりも四万円程度低いというようなお話ですが、そういった特殊性に対して今後の対策ですね、どういうふうな対策を講じていかれるおつもりなのか、その見解をお聞きしたいと思います。
#43
○参考人(加藤一雄君) いま申し上げました点につきまして考えなきゃならぬ点一、二点申し上げますと、短期の医療費は別として、これは皆同じでございますから別といたしまして、年金給付、それから短期の現金給付、こういうことはすべて給付算定の基礎が給与にかかっておりますので、どうしても給与の格差というものをわれわれはなくしていくべきじゃないか、これは私が年来から申しております、同じ教育をやるのに、国公立が高くて、私立が安いということはどうもおかしいじゃないか。同じ教育の面に接しておりながら格差があることをどうしてもこれはなくさなきゃならぬ。こういうことで政府の方も非常に御努力を願いまして、最近は給与がだんだん助成されてまいりまして、正常化しつつありますので、これを非常にわれわれとしては高く評価して今日まいっておるわけです。
 それから、もう一つ、その正常化するということに期待を持つと同時に、われわれとして今度の私学の将来に対しましては、先ほど申しましたように、高齢者というものを抱えておる。私学におきましては国公立からやめてそうして私学にお出になるという方は、国公立の年金をもらいながら私学の給与を受けられておる。ところが、私学の方はわりあい年齢が長く勤められておりますが、定年になりますとやはり任用がえをされて給与がダウンする、それでも別に年金は出ませんわけでありますから、これは何とかしてそういう方にも幾らかの年金を与えたらどうか、こういうふうな考え方をわれわれは持って、こういう高齢者でしかも私学に全魂を打ち込んでやっていこうという方に対して定年以後の生活問題も絡んで、年金を一部渡したらどうかということについて、いま部内でも検討を進めておるというのが現状でございます。
 それから法定給付の問題につきましては、これは同じでございますが、そのほかの付加給付という問題についてはやはり私学は私学として考えていかなきゃならぬと考えますが、これは先ほども申しましたように、現状では財政的な面が必ずしも安定しておりませんので、これについて附帯決議などによって私学の共済の状態の悪い面をカバーしていただく御努力を願っておりますので、これができますればさらにわれわれといたしましても、先ほど申しました女子の多い私学共済、高齢者の多い私学共済、こういう方に対してどういうふうな面をよりよく付加給付をしていくかという点においてこれもいま部内で検討中でございます。
#44
○内田善利君 管理局長、私学におって定年になって在職中年金制度と言いますか、そういう制度についてはどのようにお考えですか。国公立から来られた先生は年金をもらいながら私学に勤めると、ずっと私学におられた先生方が定年になってそしてダウンするときに年金をもらいながら勤務できるという制度をいま考えておられるということですけれども、そういったことについてはどのようにお考えになりますか。
#45
○政府委員(今村武俊君) いま理事長の方から国立学校から私立学校へ移る人、私立学校で定年になってその後なお私立学校に勤めておる人、その両者の取り扱いに不均衡のあることの指摘がございました。そこで問題は、私立学校で定年退職後はどういう身分取り扱いをなすっておるかということにかかっておると思います。制度的にむずかしいところで、私立学校に勤めておって年金をもらいながらなお私立学校の正規の職員としてというようなことは制度的に矛盾を来たしてくる、したがって、いまのところ私立学校で定年後の身分取り扱いが恐らく各私立学校ごとにいろんな配慮から出ておるように思います。まともな議論をしますと定年延長といったようなことに落ちついてくるような気がいたしますので、いまとっさの御質問でまことに恐縮でございますが、深く研究しておりませんので、具体例について研究さしていただいて正確な方針を見出したいと、かように考えます。
#46
○内田善利君 給与の面では国公立と四万円の格差があると、定年になった場合に国公立をやめた先生方は私立にかわる先生方もいらっしゃる、これは年金をいただきながら私学に行く、私学にずっとおった先生は一遍任用がえになって給与がダウンすると、そういうことなんですが、その任用がえになって給与がダウンするときに在職中の年金ということになるわけですが、そういった点は、いま理事長の方ではお考えのようですけれども、文部省としても御検討いただけるものか、大臣、いかがでしょうか。
#47
○政府委員(今村武俊君) 先ほども申し上げましたが、定年退職後のその雇用関係の性格ですね、それをこう明らかにしなければ、共済組合員の組合員としてなお身分が継続しているのかあるいは継続していないのか、その辺が明白でございませんので、恐縮でございますが、その点を検討さしていただきたい。その検討なしには次の段階へ話を進めていくことができないわけでございます。
#48
○内田善利君 次に、給付の面については先ほどの質問からもよくわかりましたが、昨年の参議院当委員会で附帯決議もつけたわけですが、この福祉事業について現状はどういうふうになっておるのかお聞きしたいと思います。
#49
○参考人(加藤一雄君) 今年の計画でございましょうか。
#50
○内田善利君 そうです。現状です。
#51
○参考人(加藤一雄君) それじゃ、常務の方からでよろしゅうございましょうか。
#52
○内田善利君 結構です。
#53
○参考人(三浦勇助君) 福祉事業の問題は、全国に三大分布いたしまする二十二万の組合員を対象としているわけでございまするので、公立共済のように、それぞれ都道府県に支部を持つというわけにはまいりませんのでございまして、やはり組合員全体に均衡のとれた充実した福祉をやるということでございますれば、その体制をまず固めていく必要があるということでございまするので、全国を七ブロック程度に分けまして、そして、そこに会館といったようなものをつくりまして、そこを私学振興の拠点とするというような体制に持っていきたいというのが現在の希望でございます。ただいまのところ、これは北海道と、それから東京とそれから名古屋とそれから福岡には土地を買いまして今年度施工実施に入るわけでございますが、大阪にも最近土地を買収いたしましたので、あとは仙台、岡山あたりにこの会館を設置したいというふうに考えております。
 それから宿泊所、保養所、海・山の家といったようなものが現在のところ合わせて十七程度でございます。これはいかにも二十五万の組合員、それから扶養家族二十二万を入れますと四十七万の家族を対象としての福祉施設の体制としては貧弱であるというふうに考えますので、充実の方向に努力してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
 それからもう一つ、医療施設といたしましては、東京にただ一つの病院を持っております。これも本来のあり方といたしますると、全組合員に均てんするような治療対策を考えなければならないのですけれども、一つではどうにもなりませんので、最近でございまするが、日本医師会の方の御協力、それから私立医科大学協会のごあっせん等もございまして、ブロック別に私立の医科大学の病院に御協力を得まして、私学教職員の健康相談の日といったようなものを設けて、できるだけ組合員全体にこの医療面の福祉業務、事業が均てんするような方向を考えていこうというふうに計画しているわけでございます。
 それから、できますならば将来の問題といたしましては、これは老人ホームということになりますると現組合員ではありませんので直接の対象にはならないと思いまするけれども、やはり私学に生涯をささげたというような方々が安心して余命を送れるようなものも事業の一つとして将来考えていってもよろしいのではないかというようなこともあり、組合員の要望等も踏まえて、そうして運営審議会の福祉小委員会といったようなところに諮問いたしまして、その結論を待ちたいというふうに考えるわけでございます。
 医療の方は、たとえばコンピューター検診であるとかというようなことも実施しておりまするし、それから組合員、直接には家庭薬品箱といったようなものを贈るというようなことも考えています。なお、細かいことはございまするけれども、そういうような形での配慮をいたしているわけでございます。
 以上でございます。
#54
○内田善利君 病院が、直営の医療機関が東京に一つということでございますけれども、全国に組合員が二十八万ですかいらっしゃるわけですが、いまコンピューター検診とかいろいろやっていらっしゃるように聞いておりますが、人間ドックでも四十六年度は百七十一人、それから四十七年度が四百四十五人、四十八年度が五百九十人ということですが、非常に利用状況が少ないように思うのです。それからコンピューター検診も、これによりますと四十七年度が五万九千人、四十八年度が五万二千人、こういうふうになっておりますが、組合員の数からいっても、もっともっと充実すべきじゃないかと思うのですが、医療機関は一つのままでいかれるのかどうか。病床数も二百五床のようですが、こういったことに対する対策はどのようにお考えでしょうか。
#55
○参考人(三浦勇助君) この問題につきましては、福祉事業は、私学共済の法定給付以外のきわめて大きなウェートを占める事業でございまするので、十分に今後のあり方等につきましては検討をしなければならないと考えております。いずれにいたしましても、東京の真ん中に病院一つということでは、幾ら知恵をしぼりましてもどうにもならない問題でございます。つまり少科、少ない医療部門で広域、広い地域をねらうか、それから多科狭域と申しましょうか、多い医療部門で、狭い地域を対象として持っていくか、これは財政との面もございますので、鋭意検討をしなければならない問題であると存じます。そして、もしどうしても病院の数をふやすことができないということでございますれば、組合員全体に背番号のようなものをつけて、そして、これもコンピューターの厄介にならなければならないと思いまするけれども、条件を提示いたしまして、健康管理センターの中央医療施設といったような性格をいまの病院に付帯していくか、そういったようなことも考えているわけでございます。
#56
○内田善利君 最後に、この五十年度の福祉事業の計画と今後の私学共済の長期展望についての抱負なりを理事長にお聞かせを願いたいと思います。
#57
○参考人(加藤一雄君) 本年度の新築問題を申し上げますと、先ほど常務から申し上げました福岡に二十三億四千五百万程度の会館をつくりたい、これも先ほどもちょっと説明がありましたけれども、何といっても、やはり私学のよりどころがありませんと、一々東京に出て来るということは非常に支障がありますし、また、地方的に私学がお互いいい意味において競争し合う、そういう場をやはりつくっておく。それからまた、研修を一々東京に来なくとも、現地で東京のいい先生方をそちらに招くといった形で、会館というものを生かしていきたい。こういうことから先ほども常務から申し上げましたように、七ブロックぐらいに会館を早急につくりたいという希望を持っておりますが、金のかかることでございますが、現在は九州会館ということで、一応福岡に設ける。これにはやはり地方の有力者あるいは私学等の援助を得まして、そして建設いたしたいと、かように考えております。
 それから宿泊所といたしましては、那須に土地を持っておりますので、ここに保養所をつくりたいと、約七億七千万程度のものでございます。それから志賀高原の山の家は大変希望者が多いようでございまして、狭隘を感じておりますので、今年度、文部省の御指示もありまして、増築するということになりました。それから北海道には会館維持のために従業員を向けておりますが、やはり住宅問題というようなことで、ここに一部の住宅を新築いたしたいと、かように考えております。
 それから医療の問題で補助ということで人間ドッグの経費、この補助を九千六百八十一万程度組んでおりますし、それからこれをさらに範囲を拡大していきたい、いわゆる補助の拡大をいたしたいと、かように考えております。
 それから指定旅館、まだ施設が十分でございませんので、国公立と比べまして非常に施設が貧弱でありますので、それを補うために指定旅館というものを設けまして、ここに補助をいたしながら、組合員が利用するような、そういう方法をとっております。なるだけ指定旅館を多くして、いい指定旅館を多く指定していきたい、こういう方針で、これにも予算を千二百九十九万円組んでおります。
 それから、さらに、物資の購入の割引といった面、それから葬祭に対する割引、こういうのがたまたま東京、名古屋等で実効を上げておりますので、これは組合員に非常に喜ばれておりますんで、これをできるだけ大きな都市の方に向けまして、組合員が物資を購入する場合に、幾らかでも安く買えるような方法、あるいは葬祭に対してできるだけ安く、一例を挙げますと、東京などは半額でそれが行われておるということを全国的に向けていきたいと、かように考えております。
 それから住宅問題でございますが、これは住宅貸し付けということでいま現在やっておりますが、これを金額を上げていきたいということ、さらにこの貸し付けに対しては、非常にいままではいろいろ抵当権設定等のトラブルがありましたので、貸付保険を導入をして、安易に借りて、そして共済にも負担のかからないような、そういう制度をことしから導入していきたいと、かように考えております。それから、さらに一般の貸し付けをふやしていくとか、災害貸し付けも考える、それから償還の回数は反面においてできるだけ延長していきたい。
 それから先ほども申しました健康相談を各私学の、二十数大学ありますので、そこともよく話し合いをいたしまして、できるだけ私学の先生方の健康に対して相談に乗っていただくと、こういう方法を今年度から取り組んでいきたいと、かように考えております。
 以上でございます。
#58
○小巻敏雄君 この法律案自身につきましては、これは年々国公立に準じて行われる措置であって、これは当然これをやらなければ大変な格差になってくるわけですから、この趣旨自身についてはこれは賛成するわけです。しかし、この法律案についても、これは私学に対する公教育としての充実を願うために行う措置であり、いわば教職員の待遇の一環として、やっぱり教育充実のための一つの重要な要素だと、そういうような観点からこの法の趣旨を全体として遂げるためには、やっぱり私学についてのそもそも論をやらなければならぬ、こういうような観点で二、三お伺いをしたいと思うわけであります。
 日本の教育が充実し発展するか否かという問題は、現実に大学では八〇%まで私学、高校でも三分の一に近いと、こういうことですから、私学が充実するか否かということが、これが現実の教育効果が全体で遂げられるかどうかという問題に深くかかわっておる。その中で教育事業というのは、人の要素が教育条件の中の最も中心部分であり、最大の問題であるという点から、教職員の待遇というものは、計画的に具体的に格差是正のために着々と手が打たれなければならない。これを一般的に言うときには、あまり反対をする人がないという状況であろうと思うんです。そういうふうな点からながめて、今日の私立学校共済組合に対して行っている国の補助というものが、どういう位置づけを与え得るか、こういう問題になると思うんです。実際にはかなり立法以来年月も経ておりますし、逐年以前のようなひどい状況が改善をされているという点があることは否定をするものではありません。しかし、やはりいまもなお大きな格差が存在をしておるこの状況に目を覆うわけにはいかぬ、こういうような点につきまして、この改定がなされたとしても、存在をする格差についてひとつ参考人にお伺いをしたいんですけれども、受給者の一人当たりの退職年金額ですね。それから組合員一人当たりの短期給付費、これは現実に公立学校の共済組合との関係で比較するときに、どういう姿になるのか、これをひとつお伺いいたします。
#59
○政府委員(今村武俊君) 統計資料でございますから私からお答えさしていただきます。
 受給者一人当たりの長期給付、退職年金の額でございますが、私学の方が六十二万二千五百二十二円、公立共済の方が七十七万一千六百二十五円、これは昭和四十八年度の実績でございます。
 それから短期の組合員一人当たりの給付額が、私学共済では五万八千三百六十三円、公立共済の方で七万一千四百九十七円、そういう結果に相なっております。
#60
○小巻敏雄君 付加給付についてもお伺いをしておきたいのであります。
 関係者に聞くと、入院付加金だとか結婚手当金だとか出産付加金について、これをやっぱり公立と等しく受け取りたいという要求はかなり熾烈なものでありますし、文部省の方でも概算要求では要求を上げられたというような事情があったわけですけれども、この格差の状況についてもお伺いしておきたい。
#61
○政府委員(今村武俊君) ただいまの資料で昭和四十八年度の付加給付の実績を申しますと、組合員一人当たり私学共済の方で一千四百四十二円、公立学校共済組合の方で六千八百八十八円となっております。
 その差異の出てくる理由を申し上げます。付加給付の種類及びその内容が公立と私立とでは違うわけでございます。公立、私立ともに共有しておる付加給付の項目を申し上げますと、家族療養費、育児手当金、埋葬料、家族埋葬料、災害見舞い金、これは公立、私立ともに共通に付加給付となっておる項目でございます。その内容については若干の差がございます。公立共済で付加給付を出しており、私学共済の方で付加給付を出していない項目として、療養の一給付、出産費、配偶者出産費、傷病手当金、結婚手当金がございます。これは私学の方にはない付加給付であります。私学の方にあって公立にない付加給付としては、弔慰金と家族弔慰金がございます。項目だけで分類しますと、共通なもの、一方だけにあって他方にないものと、こういうような違いがあり、その内容に相違がございますので、四十八年度の実績で先ほど申し上げたような計数の差異が出ておるわけでございます。
#62
○小巻敏雄君 まあ、格差をなくしていくということを望みながら、現実にはこれだけの格差が存在しておる。とりわけ、やっぱり一番基本的な問題は退職年金額、こういう問題で現に六十二万円と七十七万円というようなかなり大きな開きがあるわけですね。この原因については先ほどの質問の中でも一部触れられておったと思うわけですけれども、これは根本的には、平均賃金の違いといいますか、平均給与の月額の違いになる。やっている仕事はおおよそ同じことであり、公立学校でもそれは内部で、各県によって、まあさまざまな格差ありますけれども、その格差に比して公私の格差というのはやっぱり断絶的に大きな格差であると。この問題をどう埋めていくかというのは、これはこの法の中で解決できる問題でないにしても、どうしてもこれらの問題があわせて進められなければこの趣旨を遂げられることができないと。それは一体どうしたらなくすることができるのかというような点について、簡単に言えば、私学の教職員の給与が国公立に準じて水準を維持していくと、こういう問題について何が隘路になっており、どうすればいいのかというようなことについて参考人の方からお伺いしたいと思います。
#63
○参考人(三浦勇助君) 先ほども理事長より申し上げましたように、私立学校教職員の置かれている立場の特殊性というものがやはり前提になっていると思うのでございます。私学経営の面からまいりますれば、やはり経営面での財政の基本は授業料その他の収入ということに相なると思います。授業料収入を上げることは、現在の私学経営の面からいくときわめて至難なわけでございます。そして、そのしわ寄せといたしましては、やはり公共性を踏まえての差別のない教育を行っている私学教員の処遇の上に、きわめて圧力のような形での処遇の非薄さというものが出てまいると思います。それから一方には、私学の性格からいいまして、共済の組合員であるものの中には三万人程度、宗教学校関係者のように奉仕的な立場でその業務を行っている、仕事を行っているものも含まれているわけでございまするから、そういったような形での――それからもう一つは女子組合員の多いという現実、これもやはり給与の手薄さにつながる問題だと思います。
 こういったような基本的な私学自体が抱えている悩みというものを解決することなしには、なかなか解決の方法は見当たらないと存じます。何といいましてもこの根底になります問題は、国公私立の教職員の処遇の格差ということでございまするから、これを是正する方向で国もまた現在のところ大変な御努力をなすっているとは思います。たとえば、私学に対する経常費の助成、それから人材確保のためのベースアップにつながります私学自体の処遇の改善といったようなこと、これはその方向としてはきわめて有効には動いているとは思いまするけれども、時間のかかる問題でございます。ですからやはり年々とその処遇はよくなってまいってはおりまするけれども、基本的にはそこに横たわる壁を排除することなしには解決できない問題だと存じます。処遇を菲薄にしておいて、教育は聖職であるからといってこれをやれよと言いましても、ただやれよというだけでは戦前の号令に終わりますと思います。だからこういうことをやってやるからこうしなさいということを言うことなしにはできないことでございまして、こうやるということが即政策であり、行政施策だというふうに考えられます。
#64
○小巻敏雄君 私が現実に見聞するところでは、公私の格差というのは見かけ以上にあるように思われるわけですね。私はまあ大阪に住んで来たんですけれども、たとえば同志社の香里高校といえばこれはかなり有名私学ですね。大体待遇は国公立に準じて低くない、年齢相応にね。そういうふうに見えるんですけれども、大体一学級当たりの生徒数は多いですね。それから平均時間数は公立よりも二時間ないし三時間、持ち時間数が上回っておりますから、労働の集約度その他に比べれば、教員労働とペイの関係でいけば一層格差は大きいということもいえると思うわけですね。これらとあわせてやっぱり改善の必要はかなり全体として存在をしておる。こういう中でいま授業料を上げない以上、やっぱり私学としては急速な賃金改定というのはむずかしい。しかし、授業料負担は限度になる、これは国じゅうみんなわかっていることですね。この中でやっぱり人件費補助、経常費補助がどういう比重をとるのかというのが今日の問題であろうと思うわけです。すでに私学振興財団がつくられたときに五年計画で人件費は確実に五〇%補助をいたしますという話であったわけです。現在二〇%くらいに当たっているかと思いますが、これが五〇%になった場合には一定の改善が見込まれるというようなことであるのかどうかですね、参考人に一言お伺いをしておきたいと思います。
#65
○参考人(加藤一雄君) その問題、直接共済組合と関係ございませんし、私学全体として考えるべき問題だと思いますので、私から適当な御回答ができかねると思いますので、申しわけありません。
#66
○小巻敏雄君 参考人が答弁をなさらぬでも憲法違反にはならぬと思いますからそのくらいにしておこうかと思いますが、実は文部省でもこれらの問題については、問題認識はかなり早くからあって、私学振興財団法が七〇年につくられたときには私学助成五カ年計画、この中に三つの柱を立てて文部省は問題提起をしておった。現在私学の学費負担は限界に来ておる、これに対して学費アップにストップ効果を上げるものとして私学の補助を行っていくんだということと、私学の財政基盤が衰弱をしておるから、これを救済強化する、三番目には、教育研究条件の公私格差を是正する、三つの柱を立てて当時の岩間管理局長、いまは事務次官をなさっておりますが、明治百年以来の画期的な措置であって、恐らくこれをやれば授業料引き上げはいたさなくても済むと言うて文教委員会でみえを切っておられるわけです。一体、それは現在どういう状況になっておるのか。また、今村管理局長も昨年の文部時報など拝見をいたしますと、りっぱな理屈をこねる、こう申しまして、なかなかりっぱな意見を出しておられますね。公費助成はどこまでやるかというのは理論的には限界はない、結局、財政力の限度、税配分の優先度の判断の問題にかかわっておる、こういうふうにも述べられておる。こういう状況の中で今日の格差が叫ばれることは多かったけれども、すべての分野で残され、詰まるよりもまた広がろうとする気配までもあるわけですね。こういう状況の中で一つ年金額の問題をとってみても、すべて根本に目を向けなければ目的を遂げることができない、こういう点からするならば、一体、今日ですでに五カ年計画が終了した段階で一千億の補助金がわずか二〇%を保障しておるという状況をどういう計画で積み上げを行われようとするのか、授業料引き上げをほとんど受け入れかねる国民の状況がある中でどういうふうに考えておられるのか、これひとつ文部大臣にお伺いをしておきたいと思います。
#67
○政府委員(今村武俊君) 私学共済組合の長期給付の算定の方式等については公立と全く同じでございます。したがって、その給付の単価に差があるというのは原因はいろいろございます。勤務年数の差だとか各学校ごとの給与体系が違うとか、あるいは年齢構成が違うとかいろいろございますが、しかし大観しまして、先生のおっしゃるように、公立学校の教員に比べて私立学校の教員が同一学歴、同一勤務年数の場合に給与が低いということに大きな原因があるであろうということは同じような感想を持っております。一方また、私学の財政収入を考えてみますと、授業料か補助金か、借入金もございますが、借入金も結局は授業料に還元されてしまうので、分けてみますと、授業料、補助金、寄付金といったようなことに分類されると思います。その授業料や寄付金に依存する割合が将来見込みが非常にないとすれば、国庫助成、県費助成の増額に頼らざるを得ない、そういうことでございまして、しかもその国庫助成、都道府県費助成の限度が私学の公共性に対する国、地方公共団体の当局者の理解の程度あるいは税収入、財源の程度、そういうことによって決定をされるであろうことは私感じておるわけでございますが、そういうことで過去四十五年度から五カ年計画でもって、教員の専任教員については給与の二分の一を補助対象となる学校については保障しておるわけでございます。事務職員につきましてはことしが三年目でございまして、三年かかって十分の五ではなくて十分の三まで、十分の一、十分の二、十分の三と、十分の三までを補助対象にするようにしてまいりました。そんなことで前年度の六百四十億が今年度は大学について一千七億となったわけでございまして、私学財政全般から見ますとまだ不十分でございますけれども、国の財政的な努力としては私学に対して相当なウエートをかけて予算の努力をしたからこそ六百四十億が千七億になったのだと思います。なお、今後の問題といたしましては、私学の財政の状況あるいは学費負担の国公私立の父兄の均衡、満足、不満足の感じ、そういうもの等を勘案いたしまして、十全の努力をさらに加速度をつけて努力をしていくべきものと考えておる次第でございます。
#68
○小巻敏雄君 実際には、千七億円というのは、今日の内閣の一つの目玉商品のようにさえ言われたのですけれども、現実には五年前に五〇%を五年計画で満たすというそういういわば公約をなされたことについて五分の二しか実際には果たしていないわけなんですからね。経済計画なんかなされた場合にはしばしば五年あるいは六年で超過達成をしておるのですね。ところが、この教育の場合にはとかく初めは脱兎のごとく終わりは処女のごとしというようなことが多い。処女というのはこの場合にはほめて言っているわけじゃないのですからね。こういう状況をどのように脱皮していくかという姿勢を確立することを抜きにしてはこの法の定めておる目標を全体として到達することができない。特に鉄は熱いうちに打てとも申しますけれども、去年からことしにかけて私学問題は飛躍的に高めなければ、またチャンスが遠くへ行くというような私は情勢下にあるように思うのですけれども、財政問題優先で、そういうような点で非常に熱い鉄に水をかけるようなことが今日かえって逆流的になってきておる、そのことを私は強く指摘するとともに、この法に即して特に長期についての国庫補助金を厚生年金並みにという問題ですね、これは農林関係などもあるのかもしれませんけれども、百分の二十への増額は七十一国会で特に満場一致で決議をされておる。これについては、やはり特段に努力をされなければならないということを申し上げておきます。特に、予算概算要求に上げられたこの短期の給付の問題ですね、これらもやや項目が違うとは言い条、ことごとくやはり水準差としてとらえなければならない。賃金の問題でも、一人ずつ比べればわからなくなるのであって、これはやっぱり水準差であると、この問題をどうしてもとらえなければならないと思うわけであります。この点、最近の状況で、私、文部大臣の大学の問題、高校の問題についての御意見も新聞、テレビ等でもお伺いをするのですけれども、やっぱり今日の私学問題の拡充ということは、地方大学の拡充とあわせて焦眉の問題である。やっぱりこの東大病とか、いわば受験過熱の問題は結果であって原因でないということをどうしても行政にはとらえてもらわなければならないと思うんです。何か東大病が原因であるかのような対症療法をしても、私は根本がおさまるものではないと思いますし、高校の学区制その他の苦しみに満ちた各県の取り組みなどは、集中をして文部省でこれらの成果を取り入れて、方策を正しく進められる必要があると思うんです。こういうふうな一般の問題とかかわることなしに個別の問題は解消できないだろうと思うわけです。この法案自身については私どもとしても賛成をいたします。しかしながら、この私学問題全般に対しては、私どもは、今日、去年までの状況から非常に後退した印象を受けて、危惧の念を持っておりますので、これについては特に一段と御努力を願いたい。文部大臣の所感を聞いて質問を終わりたいと思います。
#69
○国務大臣(永井道雄君) ただいま先生が御指摘になりましたように、私学共済の問題は、ただそれだけを切り離して改善できる性質のものでなく、非常に広く関連しているというお言葉でございますが、私もまことにそのように考えます。したがいまして、私学の先生方の待遇の問題をどうしていくかということは、これは授業料収入とあるいは公費による補助というものとの関係というものをこれからどうしていくかという基本的な問題にかかわってまいります。他方、さらにまた、国立大学などの拡充のやり方というものと私学との関連、そうしたものも究極的には私学の共済の問題に関連していくという点につきましても私もさように考えますので、これを、決して共済だけが切り離されて解決し得るあるいは改善し得る問題であるというような角度ではなく、全般的に問題をとらえる、とりわけ私学というものの助成につきましては、先ほど管理局長が申し上げましたように、助成額というものもふえてきておりますが、しかしながら、これは当時の岩間政府委員が申し上げましたように、確かに私学に助成をするという方向に踏み切りましたのは明治以来であったと思いますけれども、しかし、その目標は達することがきわめて困難な状況でございましたので、今後一層の努力をいたしまして、所期の目的をでき得る限り早く達成していくというふうに努力をいたしたいと考えております。
#70
○中沢伊登子君 文部大臣にお尋ねをしたいと思います。
 国公立学校の教職員と私立学校の教職員とは同じ公教育に携わる者であって、設置者のいかんを問わず、教員は全体の奉仕者としてその身分は尊重され、待遇の適正が期せられなければならないことは言うまでもありません。しかし、今日教職員の身分保障や待遇の面で国公立の教職員と私立学校の教職員とでは制度的保障の点において非常に大きな隔たりのあることは御承知のとおりでございます。すなわち、国立教職員にあっては国家公務員法あるいは教育公務員特例法により、また、公立の学校教職員にあっては地方公務員法、教育公務員特例法の身分法が制定をされておって、これらの法律を根拠に給与法、共済組合法、災害補償法、退職手当法等が制定されて、身分保障、待遇あるいは福祉厚生施設等が完備されております。そうであるのに、私立学校の教職員にあっては、同じ公教育に携わる者でありながら、一般の民間企業と同様な取り扱いを受けて、わずかに昭和二十八年に制度化されたただいま審議中の私学共済制度があるのみであります。こうした中で、国公立学校の教職員との比較において大きな隔たりがあることは申すまでもありません。
 そこでお伺いをするわけですが、基本的な考え方として、私立学校の教職員は国公立教職員と同様の制度が適用されるべきたと考えるべきなのでしょうか。それとも今日のように、一般民間団体と同じように、労働基準法などの一般労働法が適用されるべきだとお考えになられるのでしょうか、どちらでしょうか、これが第一点。
#71
○政府委員(今村武俊君) 大変にむずかしい御質問で、ちょっと歯切れの悪い答弁にならざるを得ないと思いますが、国公立学校の教員とそれから私立学校の教員がともに全体の奉仕者であって、公教育に従事するという点ではまさに先生のおっしゃるとおりであると思います。教員が法定の免許状を備え、学習指導要領の基準に従い、あるいは各種の設置基準に従って学校が設置されるといったような意味合いで、私立学校といえども私塾ではないわけでございまして、私立の学校が公教育に基づく学校でございますから、公共性を持つということはまさに先生のおっしゃるとおりでございます。しかし、だからと言って、今度は身分、取り扱いが国立学校、公立学校、私立学校みんな同じだということになりますと、今度国立、公立、私立という概念を立てる意味合いがなくなってしまうような気がいたします。そういう意味で、国公立学校の教職員については、いま先生の御指摘になったような法律制度をつくることによって、法令による身分保障をするその代償、そのかわりと申しますか、団体交渉権が制約を受け、ストライキ権が禁止されると、こういうことになっておりますけれども、今度は、私立の先生はそういう制度の仕組みではなくて、いわゆる労働三権を保障して、使用者と労働者の間のいわば交渉によって給与体系、身分制度を確立していくという制度ができておるわけでございまして、これはそれなりに意味のあることで、戦後そういう制度がずっとつくられて今日まで至っておることを考えてみますと、そういう現在の仕組みの方を多くの人が肯定してきたんではないだろうかという気がいたします。したがって、公教育に従事する、しかも、教育に従事するというこの共通性だけをとらえて、したがって、身分、取り扱いも全く同様にとまではおっしゃいませんでしたけれども、そう聞こえましたけれども、そういうような御議論には、ちょっと歯切れの悪い、現在の制度を肯定するような意味合いで御返事を申し上げる次第でございます。
#72
○中沢伊登子君 そうしますと、私立学校はその教育事業において、国公立学校と同じように、教育基本法、学校教育法などの公教育としての法的規制を受けておりますね。また、私立学校の教育職員でも義務教育である小中学校の教職員は国公立と同じように政治活動を法的に禁止されておりますね。これは公教育としての一貫性を維持することからは当然のことでございまして、教職員の身分保障、待遇の面においても国公立学校と私立学校とは均衡を図るべきものだと、このように考えるんですけれども、もう一遍お答えいただきたい。
#73
○政府委員(今村武俊君) 先生のおっしゃる限度のことについては、私は何ら反論はないわけでございます。おっしゃるように、公教育に従事するという性格から来る限度においては全く同じ取り扱いがされなければならない。しかし一方、身分制度という点から考えていきますと、公務員である者とそうでない者というものの労働関係の取り扱いについては先ほど申し上げるような差異があり、それが現在の法律制度になっていて、戦後長い間人々がそれを肯定しておるということを考えますと、公務員とそうでない者との間には、そうでないその性質の違いを基礎として身分取り扱いの差別があってしかるべきではないだろうかと考えるわけでございます。
#74
○中沢伊登子君 労働省で、将来、私学の教職員にも完全適用をしようと考えているのに、労災保険法、雇用保険法の適用がございますね。これはこれで当然よろしいと、こう考えていらっしゃるわけですか。
#75
○政府委員(今村武俊君) これまた、少し歯切れの悪い答弁をせざるを得ませんが、まことに恐縮でございます。
 二つの法律を御指摘なさいましたので、それぞれについて申し上げます。
 労働者災害補償保険法は、業務上の理由により労働者が災害を受けた場合に、公正な保護をするため保険給付を行うこととしております。現に私立学校の教員についても法律上は適用されるたてまえとなっております。これはしかしながら、私立学校の教員の教育者としての勤務の事実関係を克明に考えてみますと、教員の場合は他の労働者の場合と違って、業務上災害の発生の状況や態様が違うこともまた事実であり、その面においては国公立学校の教員との類似性、一般性の方が強いわけでございます。それで率直に文部省としての意見を問われますと、他の労働者と同様に一律に同法を私立学校の教員に適用することについては考えなければならない問題点があるんじゃないかと、かような感想を持っておるわけでございます。
 次に、雇用保険法でございますが、雇用保険法は、労働者が失業した場合に必要な給付を行い、その就職を促進し、労働者の能力の開発向上などを図るということを目的といたしておりますが、一般の労働者の失業の場合と教員の失業の場合とでは、事実関係においてその態様、類型を異にするという感じがいたします。失業して新たな能力を開発して教職以外に職を求めるというケースはわりあいに少ないわけでございまして、能力の再開発、職業訓練、再就職といったような事実関係、それを想定した同法の各種の規定に必ずしも十分なじみがたいものがある。したがって、教員であることの特殊性を考慮し、特別な配慮をすることが必要なんではないか。つまり、一律に同法を私立学校の教員にも適用することは必ずしも適当ではない問題点があるんじゃないだろうか。したがって、事情に応じまして、同法第六条による適用除外の規定がございますが、適用除外の規定の細目等において考慮を要する点があるのではないかと、かような感想を文部省のサイドとしては持っておるわけでございます。
#76
○中沢伊登子君 大変歯切れの悪いお答えでございますけれど、私どもは、私立学校の教職員独自の災害補償制度、あるいは退職手当制度、給与制度、こういうものを考えてしかるべきではなかろうかと、こういうふうに思ってるんですが、その点はどうですか。
#77
○政府委員(今村武俊君) 先ほども申し上げますように、給与制度そのものについては労使の交渉によって決めていくというたてまえでございます。私学共済組合制度が法定されておるのは、その労使の関係で個々の学校法人ごとに決めていくべきものではなくて、全体が相寄って相互救済の制度をつくるということであり、それに対するまた国の関与もございますので、法律を必要としたのだろうと思います。
 それから、やや細目に入りますが、いま御指摘がございました退職手当制度などにつきましては、現実に個々の学校法人ごとに退職手当制度について労使の間で交渉しましても、たとえば、その教職員の定数規模の小さな学校法人等では毎年起こるわけではなくて、ある時期に多額の退職金を必要とするケースが年を隔てて起こってくるというようなことがございますので、むしろ、共済制度になじむような形で全体としてのいわばプール計算において措置をするというような必要が起こってくると思います。そういうことがございますので、文部省に設けられました私立学校問題懇談会におきましても、特に退職手当制度を取り上げて、私立学校の関係者が共同して組織的に退職手当の支給を講ずるような場合には国はこれに援助の措置を講ずることとする、そういう仕組みを研究する必要がある、というようなことが指摘されておりますので、いま私どもとしましては局内で、私立学校のそういう方面の専門家にお願いをいたしまして、私立学校に共通の退職手当制度を検討してみたらどうかというので、検討を進めておるような段階でございます。何せ少ない職員で仕事をしてまいりますので、思うように話が進みませんが、少なくとも、数回の専門委員会の審議は目的の方向へ少しずつ歩みつつあるような感じがいたします。そのような現状でございますので、災害補償制度についても、これまた一時に多額の金を要するといったような、プールして物事を考えるような必要性は感じておりますけれども、まだ具体的な日常の事務の作業日程に上せる段階には至っておりません。かようなことでございます。
#78
○中沢伊登子君 それでは最後にいまの、専門委員会を発足させて一生懸命で二、三回会合を持っている、実現のめどは大体どのころですか、それをお伺いして質問を終わります。
#79
○政府委員(今村武俊君) その専門委員会を開く前に、局内で私を中心にして、局内の少し専門家らしい者を集めて討議をいたしまして、ややめどをつけてから専門委員の方をお集まりいただいたわけですが、文部省の机の上では考えられないような、個々の学校法人の特殊事情がいろいろこう出てまいりまして、その意見の調整に実は思ったより困っておるわけでございます。したがいまして、まあここ、なるべく早く、できたら数年のうちに、もう本当に願いとしては一両年のうちに形をつけるようにしたいと思いますが、各学校法人の給与体系の違い、各学校法人ごとの特殊事情などを調整してまいりますと、大変な問題でございますので、まあいまここではその目標はよくわかりませんと申し上げておく方が一番正確じゃないかと存じます。
#80
○委員長(内藤誉三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時八分開会
#81
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#82
○中村登美君 ただいま議題となりました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、本法律案の提案者並びに文部省に質問をいたします。
 まず、学校事務職員全般の問題について質問をいたします。
 公立学校の事務職員の数は全国で何人ぐらいおられましょうか。また、そのうち女子職員の数はどのぐらいでございましょうか、文部省にお伺いいたします。
#83
○政府委員(安嶋彌君) 公立の小中高等学校及び幼稚園並びに特殊教育諸学校に配置されておりまする事務職員の総数は、四十八年の五月一日現在で約四万七千人でございます。そのうち女子職員は約二万六千人でございまして、全体に対する比率は五五%ということでございます。
#84
○中村登美君 文部省の四十七年度学校基本調査報告書の中に、その他の学校事務職員が多いという実態に対して文部省はどのような見解を持っておられますか。文部省にお尋ねいたします。
#85
○政府委員(安嶋彌君) その他の事務職員といたしまして、約九千人の学校事務職員が統計上上がっておるということは、これは事実でございますが、この職員の身分は学校の設置者であるところの市町村にございまして、給与は市町村から支給されております。したがって、その職員の人事等は当該市町村の教育委員会によって行われているということでございます。
#86
○中村登美君 その事務職員が多いというその実態に対するお考え方を伺いたいと思います。
#87
○政府委員(安嶋彌君) 状況はただいま申し上げたようなことでございますが、こうした職員の設置につきましては、御承知のとおり、地方交付税における基準財政需要額の中にも事務補助職員という形で財源措置が行われておるわけでございます。したがいまして、国・地方を通ずる全体の措置といたしましては、こうした職員が学校に配置されるということも、これは予想されるところでございまして、特に、学校事務職員のいわゆる標準定数に基づく配当数が少ないという理由でこうしたものが置かれているということでは必ずしもないと思います。御承知のとおり、義務教育諸学校の事務職員の定数につきましては、標準法におきまして第四次の改善が行われることになっておりまして、昨年度からその五カ年計画が進行いたしておるわけでございます。それが完成いたしますれば、小中学校の本校の七五%に事務職員が配置されるということになるわけでございまして、ただいま計画が進行しておるわけでございますが、この標準法に定めます定数のほかに申し上げましたような基準財政需要額という形で事務補助員が積算をされておりまして、すべてがその標準法に基づく事務職員の配置されている学校に置かれているということではないと思いますが、そういうものも含めまして約九千人の職員が配置されておるということでございます。なお、事務職員の配置につきましては、ただいま申し上げましたように、第四次計画で七五%まで配置をする計画を進めておるわけでございますが、計画が完成をいたしました段階におきまして、さらに、その後の充実については検討してまいりたいというふうに考えております。
#88
○中村登美君 次に、提案者にお尋ねいたします。
 学校事務職員は一般の行政事務に従事している事務職員と比べますと、どのような特殊性があるのでございましょうか、この点お伺いいたします。
 また、現行制度の中で学校事務職員と教員と処遇上同じに取り扱っておられる事例があるかどうか、これは文部省の方にお尋ねいたします。
 まず、最初の方を提案者にお尋ねいたします。
#89
○鈴木美枝子君 いまの御質問の前に、先ほど局長のお答えになりました事務職員の人数でございますけれども、いま局長さんが四万七千五百十七名とおっしゃいましたけれど、五十年度現在、それから約一万人ふえまして五万八千四百九十五人、これは男女計でございます。そういうふうに私は調べました。そして女子でございますけれど、これも必然的に人数は前よりふえておりまして、二万九千二百人、男子は準じて二万九千二百九十五人、こういうふうに五十年度今日までのを訂正さしていただきまして、そしていまの御質問に答えさしていただきたいと思います。
 学校事務職員に従事している仕事の種類としては、一般の行政事務に従事している人と同一なところもございますけれど、最も違う点について特殊性と申しましたら、学校のことでございますから子供のいる毎日の中で子供を見ながら事務を賄っているということでございます。そしてその同一な事務の中でも、形式的には一般行政事務と同じに、給与の計算、文書発信事務や人事事務、契約事務、それから物品の整備、施設の管理事務などが同じようにございます。そして予算の配分や契約の事務や学校の授業計画を先生と共同で結びつけていかなければならないし、そして学校の予算、これがまた私がじかに会った事務職員の人に聞きましても、計算のことが一番大変だと言っておりました。大体全国の小学校には一名ずつ、中学校は一名から二名のところもあるそうでございます。一名でこれだけのことをやるというようなことになっているそうでございます。そうしてまた、先ほど申しましたように、ほかの行政事務と違うところは、毎日が学校、教室、その他全校の中で、子供と接することによって生ずる特殊性が行政事務とはまるで違うんじゃないかという点を御説明させていただきたいと思います。一般の行政機関の事務職員でございましたら、大体は自分と同年輩あるいはそれ以上の年齢の方、その方たちの中で仕事をしておりますし、事務職員がたった一人ということはございませんので、職場に入ったばかりは先輩の人に仕事の内容を聞いたり、そしてまた助け合ったりということができると思うのですけれど、一名では、学校内における事務職員でございますと、子供を客体にしながらものを進めていかなければならないというようなことがございまして、私が調べましたところによりますと、たとえば学校の窓ガラスが壊れた、子供が壊した場合に一番気になることは、ガラスではなくて、子供がけがをしたかどうかということでございます。そうしてまたガラスの処理をし、それを書類につけ、そうしてまた、ガラス屋さんへ電話しという、この一人でやっている仕事が子供を関連させながら付属してくる。その点については教育者である先生方と共同でやらなければならないし、そして子供のけがその他について子供に指導する点についても先生方と共同になる場合が多々ございます。その点について、いま御質問にありました行政事務一般――警察も職員がいるわけですが、各行政事務の人はいろいろあるわけでございますけれど、児童、生徒を抱えた学校の特殊性の中での事務、これは言葉に言い尽くせないほどあると私は思っております。
#90
○政府委員(安嶋彌君) ただいまのお尋ねは、事務職員と教員との違いということであったかと思いますが、学校事務職員の身分は、公立学校につきましては、市町村立学校につきましては市町村の公務員ということでございます。教員も市町村立学校につきましては市町村の公務員でございます。身分的にはしたがいまして同じということでございます。
 それから適用される法規といたしましては、これは地方公務員法が第一義的に適用になる。これは共通でございます。教員につきましては、御承知のとおり、教育公務員特例法というものがさらに重ねて適用になるという関係がございます。
 それから俸給表について申しますと、これは教員の場合は教育公務員特例法の二十五条の五に基づきまして国の基準によるということでございます。国の基準といたしましては、国家公務員たる一般職の職員の給与に関する法律がその基準になっております。事務職員につきましては教育公務員特例法の二十五条の五のような規定がございませんので、地方公務員法に基づいて、各地方公共団体の判断によりまして給与の水準が決まると、こういうことでございます。同じ点ないしは違う点を大まかに申し上げればそういうことかと思います。
#91
○中村登美君 ただいまのは、処遇の問題で同じに取り扱っておる事例があるかどうかということを伺ったわけなんでございますが、簡単にお願いいたします。
#92
○政府委員(安嶋彌君) 処遇の点で同じかというお話でございますが、処遇と申しますと、身分上のですか。
#93
○中村登美君 そのような例があるかどうかということで伺ったわけでございます。
#94
○政府委員(安嶋彌君) ただいま申し上げましたように、処遇と申しますと、身分上の扱い、これはあらかた同じかと思いますが、給与につきましては、教員は教育職の俸給表が基礎になっておりますし、事務職員は行政職の俸給表が基礎になっておる。内容はかなり違うわけでございます。同様に扱っておる例はこれは恐らくはないと思います。
#95
○中村登美君 次に、学校事務職員の産休に関する問題について御質問いたします。
 教員以外の公務員について産休代替職員の任用を法律で定めている例がありましょうか、提案者にお伺いいたします。
#96
○鈴木美枝子君 事務職員においては法律で定めているということはないと思います。
#97
○中村登美君 学校事務職員は現在年間にどのぐらい産休をとっておりましょうか、その実情を提案者からお伺いいたしたいと思います。
#98
○鈴木美枝子君 先ほど申しました数字の、女子は二万九千二百人、現在いるわけでございます。そのうち、産休者は四十九年度一年間の調べにおいて百六十名と、こうなっております。五十年度半期を含めますと、二百名予定されていくんじゃないかということでございます。
#99
○中村登美君 次に、提案者にお伺いいたします。
 学校事務職員の職務に相当の特殊性があり、職員の配置状況から見て御苦労が非常に多いということは理解できるといたしましても、学校の事務職員についてのみ産休代替職員の制度を設ける理由がよく納得できないわけでございます。女子公務員全体の問題、さらには、女子勤労者全体の問題として考えるべきではないでしょうか。仮に問題をしぼって考えましても、社会教育施設の女子職員、この中には事務職員だけでなく、青少年の指導に当たっている職員もいると思われますが、このような職員についてさえ産休代替措置の講じられていない現況においては、これらの職員と学校事務職員との処遇が均衡を失することにはならないでしょうか、御意見をお伺いいたしたいと存じます。
#100
○鈴木美枝子君 先ほど各事務職員について御説明申し上げたんでございますが、生徒を扱っている学校において、小学校、全国平均いたしまして一校当たり事務職員が一名でございます。中学校が一名か二名と先ほど申し上げました。そして、その特殊性について申し上げました。学校以外の他の職場との比較になりますと、他の職員の方でございましたら児童と違って大人の方が多数いて、また先輩、後輩がいて事務関係を助け合った処理するということができますけれど、多数の生徒を抱えた特殊性の中にあります学校事務職員たった一名いらっしゃるところの例で私は申し上げたいと思います。
 これは岐阜県の神岡町というところでございました。学校事務職員二名の方に会いました。学校に八年間勤めている事務職員でございます。神岡町は僻地です。当地の学校は、小学校、中学校九校あるそうでございます。九校ある小中学校で、五校は事務職員が一名ずついる。四校は事務職員が一名もいない。ということであります。僻地のことでございますから、生徒数が小学校百人台、または中学校二百人台の学校には事務職員は一名もいないのであります。事務職員が一名もいなければ、当然産休ということにはならないわけでございます。事務職員がいなければ、学校事務は先生方がやるということになります。事務職員のいるあとの五校の中で八年間勤めている人の経験を私は伺ってまいりました。その経験はどうかというと、二年、三年前に「産休」をとりましたそうでございます。そのときに、県の教育委員会の、岐阜県でございましたから、六カ所教育事務所がございまして、そこへ申し込んで、産休をとりたいから代替の人を要求するということでありますが、教育事務所には産休のための代替を探すための指導員が一名もいない。だから指導員をつくれと求めているわけなんですね。学校の事務職員の仕事が繁雑で、近ごろは事務計算が電算化していますので、だから、一日だけ来てすぐに覚えることもできない。そしてまた労働基準法により、産前六週間、産後六週間はとれることになっていても、事実は産前も産後も六週間、六週間の休みはとれない。つまり電算化の関係、それからまた、先ほど申しましたように、子供の関係、事務の処理というもの、ところによっては校長それからあるいは教頭がかわって産休にするということもあるそうでございます。私が会いました事務職員の場合は、十日前まで仕事をしていたそうです。十日前まで仕事をして、かわりの人が来るということを待っていたけれども、なかなか来なかった。自分が探しに行きたいんだけれども、仕事があってなかなかそれもできなかったという状態を報告しておりました。これは僻地での問題でございます。このような実情について、私は多々聞いております。学校事務職員のお産での苦しみ、そのような例はいっぱいございます。
#101
○中村登美君 そのような教育事務職員には特殊性があるから、他の女性の職場とはどうだというような御見解でございますか。いま、他の女性の職場とは均衡を欠くのではないかと思うということについて御意見を伺ったわけなんでございますが、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#102
○鈴木美枝子君 他の職場と学校での職場のお産ということになりますと、すべての女性というようなことを中村委員はお聞きになっているんでしょうね、そのために学校事務職員の特殊性について、先ほどから第二問でも私は申し上げました。そうして代替、つまりお産の間のかわりの事務をとる人ということになりますと、学校の場合は、先生の立場と事務職員の立場とが違いますので、一校に一名だけではお産することもできません。労働基準法で六週間ありましても、また中村さんも女性だから御存じのとおりに、女性のお産は産まれるときだけが体に影響があるわけじゃございません。九カ月、八カ月ぐらいになりますと、もう足がむくむとか、歩いて学校に通うだけでも大変でございます。女性ならだれでも御存じだと思います。それが産れる十日前まで仕事を続けるというのは事務職員が一名しかいないということだと思うんでございます。
#103
○中村登美君 いまの御説明ですと、均衡を欠いてもやむを得ないというような御見解と解釈いたします。
 次に、学校事務職員が産休をとっても代替職員が配置されない学校ではどのような障害が出ているのでしょうか。特に教育上の障害について提案者からお願いいたします。
#104
○鈴木美枝子君 教育上の障害となりますと、事務職員は教壇に立っているわけじゃございませんが、事務職員のお産の期間を先生が代替いたしましてその事務を担当する、事務が多量にあるために、先生、校長、教頭の人が担当しましても、なかなか電算化されているので覚え込むことができないのでございます。電算化されているので、いきなり行ってもわからない。その練習期間とか、その他がございます。そしてまた、事務がよくわからないものですから、どうしてもお産で休んでいる事務職員の家へ行ったり、寝ているまくら元で事務の処理をしたり、もう産後の六週間休むどころか、お産後三日目から仕事をする。ゆっくり休んでいられないと言う。そういう障害が多々あるそうでございます。
#105
○中村登美君 提案の理由によれば、二十九県が学校事務職員の産休に対して、代替職員について何らかの予算措置を講じていると述べられておりますが、その実情について提案者からお伺いしたいと存じます。
#106
○鈴木美枝子君 いま御質問になりました二十九県というのは以前のお調べだと思うんでございますよ。最近私が調べたところによりますと、三十三県が県の予算措置をしているということでございます。そしてあと十二県と北海道一道となっております。これらがまだ予算措置をしていないということでございます。
#107
○中村登美君 提案者にお伺いいたします。
 提案者は学校事務職員の職務の特殊性を強調されました。そのような職務を一人、あるいはきわめて少人数で処理し得るような人材が三カ月程度の任用期間である代替職員として就職してくれるでしょうか。また短期間のアルバイト程度のつもりで応募してくるような人に、慣れている者でもむずかしい経理事務などを任せることができるでしょうか。どのような方法で代替職員を確保するのか、その見通しについてお伺いいたしたいと存じます。
#108
○鈴木美枝子君 この法案が通りましたら、各県教育委員会、そして先ほど申しましたように、これは岐阜県の場合でございましたが、教育事務所があるわけで、事務所があっても指導員がいない。指導員を確保すること。そして、産休の事務職員の代替人にはいままでお産をして子供を育てるためにやめた方たちに代替職員になってもらう。子供を生み、職員の母親のいるところでしたら子供を見ていただけるが、ところが家に母親がいない、あるいは地方の僻地に行きますと、ゼロ歳児を預かる保育園がないというところがずいぶんございます。ですから、どうしても子供を生みましたら、そのままやめていく人が多かったと思います。そのやめていった人たち、それは全部各学校で記録されているわけでございますから、子供さんが大きくなって、事務職員の経験があって働きたい方は多数ございます。その方たちにやっていただくことも一つの案でございますし、また、この法律が通りましたら、教育事務所、教育委員会から各町、市にわたる事務所の中に指導員を置いていただきまして、そしてその指導員に事務経過についての指導をしていただきたい、これはみないま現在働いている女の方たちの大きな希望でございました。
#109
○中村登美君 その他の学校事務職員のほとんどが市町村が独自に配置したものであり、したがって、任命権は県の教育委員会ではなく、そのために国庫負担の対象となりません。しかも、この数は女子だけで八千人以上もおりますし、これに対する産休代替職員の確保について提案者はどうお考えでいらっしゃいましょうか。
 また、本法施行に要する経費二千四百万円の根拠についても提案者のお考えを伺いたいと存じます。
#110
○鈴木美枝子君 先ほど局長さんが九千人の事務職員ということをおっしゃいましたが、ただいまの御質問で、女子だけで八千人と中村さんは申しますが、その八千人は学校でなくて行政の職場職員です。学校事務職員じゃありません。先ほど事務職員は男女計五万八千四百九十五人いらっしゃいまして、この九千人というのは用務員あるいは臨時雇いの方でしょう。用務員、臨時雇いの方九千人のうち、女子が八千人はちょっと多いのじゃな心かと思っておりますが、その前後おります。そうしてこの用員、臨時雇いの方は中学卒業ということになっております。事務職員の人は、いま短大卒の方が多いわけでございます。大学卒の人もいらっしゃいまして、ここに一つの例がございます。徳島県の事務職員、これは予算措置はとっていないのでございます。こういう例がございます。徳島県の事務職員総数が百七十七名で、男子が二十六名、そうして女子が百五十一名おります。女子が百五十一名いるということは、これは若い人がこのごろ多うございますから、産休を求めているということにもなると思うのでございます。そうしてこれは、行政職の俸給表一表八等級七号俸と八号俸の中間で、月給が六万八千六百円ということ、これが一番最初の収入だそうでございますけれども。男子三等級は二名いると、そうして四等級五名、五等給が三名、六等給が六名で、七等給が十名、これは男子でございます。女子の方が等級からいいますと、三等級が二名、四等級はもう全然いないと、だから収入の高いところでは女子はいないわけでございます。それは、私はお産の関係があるんじゃないかと思っております。そうして五等級四名、六等級九十七名、男子の方では六名しかいないのに、六等級が九十七名、七等級が四十八名、男子の七等級は十名しかおりません。それだけ女子が多くて、いま御質問になった事務職員、女子八千人というのは、事務職員でなくて私は用務員、臨時雇と思うのでございます。用務員の仕事と申しますのは何かといいますと、給食、いま全校の学校が給食の仕事をしているわけでございますけれど、この八千人、たとえば全国八千人いるとしまして、給食の作業をしている人々を、お産のことでございますから、はい、臨時雇を代替人にするから日曜に生まれるようにというわけにはいかないわけでございまして、その点については、赤ちゃんが生まれるという日を、都合よく代替人のために勝手に決めるわけにはいきませんね。給食で毎日働いている人を転換して、その方たちを代替人にするということは、なかなか無理な作業ではないかと私は思っております。どうしてもこの法案を通していただきたいのは、その点にございます。
#111
○中村登美君 その予算の見通しはいかがでございますか、約二千四百万必要とすると言われますが。
#112
○鈴木美枝子君 本法施行に要する経費二千四百万円と、提案のところに記してあったのでございますけれども、四十九年一月一日から同年十二月三十一日の産休者は約百六十名と先ほど申しました。五十年に二百名になるかもしれないという予定がございます。その中で、一人当たりの産休補助職員にかかる経費の基礎額を行政職給料表の一表の八等級の七号俸と八号俸の中間をとって、六万八千四百円となっております。公立学校分につきましては、国庫負担法により、必要経費の二分の一に相当する二千三百五十九万円、それに国立学校の分を加えますと、本法施行に要する経費は、全部でおおむね二千四百万円ということだそうでございます。
#113
○中村登美君 その予算はわかりますのですが、その生み出す目安が、お考えがございますかどうかということを伺いたかったわけでございます。
#114
○鈴木美枝子君 もしこの法案が通りましたら、各県ごとの教育委員会で予算措置が三十三県もできておりますので、この法案が通りますと、この予算措置をどういうふうに運営し、どういうふうに補助職員に払っていくかということが県ごとにもやはりやりいいことが出てくるということを私は聞いております。
#115
○中村登美君 終わります。
#116
○中沢伊登子君 いま中村委員からいろいろ詳しく御質問がありまして、私の質問しようと思ったことも相当重複をしておりますので、簡単に二、三お伺いをしたいと思います。
 まず初めに、提案者にお伺いをいたしますが、この提案理由のところに「事務職員の出産の場合について、」「職員の臨時的任用を行うこととする必要がある。」と、こう書いていらっしゃるわけですが、臨時的任用を行う場合には、その身分はどういう位置づけにされるのですか、たとえばアルバイトとかなんとか。
#117
○鈴木美枝子君 現状ではアルバイト、臨時雇いという形になっているわけでございますので、産休できるためにどうしても変えていきたいということが私の提案理由でございます。そして、それを変えていくということは、補助職員、まあ先ほどから申し上げているわけでございますが、いままで現在います事務職員と同じ身分、給与にする。私はこう思っております。
#118
○中沢伊登子君 多分そのために事務職員あるいは今度の名前の呼び方を変えていく、そこに意義があろうかと思います。当座はもしもこれが通っても臨時的ですから、アルバイトとか臨時雇いとか、そういうことになるんだろうと思いますね。
#119
○鈴木美枝子君 そうでしょうね。
#120
○中沢伊登子君 それから二番目に野党四党と二院クラブが合同で提案をいたしております育児休暇法ですね。この育児休暇法には、事務職員は含めませんでした。この件についていまこの法律案を提案されますと、その育児休暇法案とこの提案との兼ね合いはどのようにこれから取り扱われるんですか。
#121
○鈴木美枝子君 事務職員が含まれなかったということは、大変に私は残念に思っております。女性がお産をするということは特別なことではないと私は思っております。特別なことじゃないことを正常にしていくにはやはり教師と同じように、学校の場合は、また他の場合もそうでございますが、教師の産休と同じように事務職員としてもお産が楽にできる。そのためにいろんな問題が出されているわけでございますよ。職業や身分によって女性のお産が差別されないことが私の一番願いでございます。どうするつもりかという質問には、やはり補助職員を身分化して、そして、その人たちもアルバイトや臨時雇いでないという行政をとっていただくためにこれを提案したわけでございます。ぜひ通していただきたいと思います。
#122
○中沢伊登子君 そうすると、この法律案を先に通して、それから臨時雇いではなくて、ちゃんと身分をつけて、そして近い将来、この育児休暇法もまだ成立をいたしておりません。これにまたいろいろ問題がございますね。自民党の方からこれは女子教員だけではなくて、あるいは看護婦さんあるいは保母さん、いろんなものを皆含めようというようなお考えがあるやに伺っておりますが、そういう法律案に変わるときには、ぜひともこれを早く通しておいて事務職員もその中に加えていきたい。これが提案者の私は御希望だと思うが、そう理解してよろしゅうございますか。
#123
○鈴木美枝子君 そうです。改正していただきたい問題点でございますが、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律ですね、いま一部改正しようとして提案しているわけでございます。この改正する以前の「女子教育職員の出産に際しての」昭和三十年八月五日第百二十五号中第一条について括弧つきで「目的」と書いてあります。第一条を読ませていただきます。「(目的一第一条 この法律は、国立又は公立の学校に勤務する女子教育職員が出産する場合における当該学校の教育職員の職務を補助させるための教育職員の臨時的任用等に関し必要な事項を定め、もって女子教育職員の母体の保護を図りつつ、学校教育の正常な実施を確保すること等を目的とする。」、これが最初にありました括弧つき(目的)でございますね。次に第二条、第二条の最初に(定義)と記されてあります。私は、これを文部省の方にお聞きしたいくらいなんでござますよ、読ましていただきましょう。この「第二条この法律において「学校」とは、」のところは「小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園」となっております。そして第二項中での(定義)でございます。「この法律において「教育職員」とは、校長(園長を含む。以下同じ。)、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師(常時勤務の者に限る。)、実習助手及び寮母をいう。」、この「定義」でございます。私の提案いたしましたところのこの法律の一部を改正ということは「及び寮母を」というところに「事務職員」を加えていただきたい。これが長い間の提案理由でございます。この長い間というのは、第四十八回、五十一回、五十五回、五十八回、六十五回、私が知りましてからも六十八回、七十一回、七十二回の各国会に提出されておりまして、今回含めて九回目でございます。特に私いままで申しましたけれど、昨年の第七十二回国会では、七十一回国会から引き続いた審議がされまして、本法案が参議院で可決されました。衆議院では審査未了になっております。このように長い間提出されたものだけに十分おわかりいただけるんだろうと思います。私の申しました目的は「出産に対して母体の保護を図る」ということでございました。そして定義のところで「事務職員」を抜いてあります。このことについては、昭和四十三年の五月九日、参議院の文教委員会におきましても、これは自民党の楠正俊委員から質問がこの問題についてございました。そして、それに対して、政府の岩間さんの答えは何もありませんでした。(定義)と(目的)についてです。母体を守るということ、そしてその事務職員を抜いたここに女子事務職員と書いてないので、私は事務職員は男子かとも思いました。これを調べましたところによりますと、女子の方が二万九千二百人おります。多分これは男子だけを抜いたんではなくて、事務職員だけを「定義」づけて言ったんじゃないかと思っております。その点について岩間さんがお答えになっておりませんので、ここで一度お聞きしたいとも思うのでございます。女性の母体保護について時間がありませんので……
#124
○中沢伊登子君 政府側にお尋ねしますが、なぜこれ九回も出して通らなかったか、その理由、お聞かせいただきたいと思います。
#125
○政府委員(安嶋彌君) この法案に対する政府の態度でございますが、昨年この文教委員会におきましてこの法案の御審議がございましたときに、奥野前文部大臣から意見を述べておりますが、その内容は「一般類似の事務職員との関連性から見まして、当面困難であると考えられます。」と、こういうことでございます。学校の内部におきましても、先ほどお話がございましたように、給食従事員の問題でございますとか、用務員の問題等がございますし、また、教育委員会の事務局職員あるいは一般官庁の女子職員、女子の事務職員等との関連を考えますと、ただいま提案者の側からいろいろお話がございまして、私どももその趣旨につきましてはもちろん理解できないことではないのでございますが、他の一般の事務職員との関連から考えますと、この法案につきましては直ちに実現することについてはかなり困難があるというふうに考えておる次第でございます。
#126
○中沢伊登子君 そこで、先ほど私がお尋ねしたように、野党四党及び二院クラブの提出をいたしております育児休暇法案ですね、これもなかなか通らなかったというのは、これに対して今度は自民党さんの方からいろいろ考えていらっしゃる、その他いろいろたくさん幅広いものを含めよう、こういうようなお考えがあるやに私どもも伺っているわけですが、恐らくそれと同じように、一般類似の事務職員をのけているというところに一つの問題があろうかと私も推察をするわけです。
 そこで、わが党の宣伝をするわけではありませんけれども、いまの目的のところを鈴木先生がお読みになりますと、出産に際して母体の保護云々という言葉がありますね。そういう中で私はやっぱり、この間私が社労で提案をいたしました母性保障基本法、こういうものがまず通るべきではなかろうか、こういうふうにいま実は考えているわけですが、そういうものや何かを引っくるめて今後皆さんといろいろ御相談をしながら、国際婦人年でございますから、婦人の、男の人にできない出産の問題をいろいろ取り扱っておりますこういつた法律案はぜひとも皆さんの御協力の中で通したい、成立をさせたい、私このように考えているわけでございます。
 そこで、政府にもう一つ二つお尋ねをしたいんですが、去る国会で教頭職法制化法案を審議をしておりましたときに、事務職員の完全配置をするように附帯決議をつけたはずでございます。小中高校の中で事務職員が完全配置されていないように聞いておりますが、それはどれぐらいあるんですか、事務職員のいない学校。
#127
○政府委員(安嶋彌君) 県費負担事務職員の配置されておる学校の割合でございますが、小学校について申しますと、四十九年度でございますが、五一・四%、中学校でございますと七二%ということになっております。
 事務職員の学校の配置につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたが、標準定数法におきまして第四次の五カ年計画が発足をいたしまして、本年度が第二年次ということになっておるわけでございますが、これが完全に実施されますと、大体、本校数の七五%につきまして事務職員が配置されるということになります。
 現状はただいま申し上げたような率でございまして、逐次改善を図ってまいりたいということでございます。
#128
○中沢伊登子君 いまのお答えのように、まだその五カ年計画をやってみても七五%ぐらいしか完全配置ができないと。そうなりますと、いまこの法律案を審議している以前の問題だ。だからこの法律案を通す以前にやっぱり政府としてその事務職員を完全配置する方をひとつ急いでもらわなければいけない、こういうふうに考えますが、そうかといってお産をされる事務職員、こういう方は待ってくださいというわけにいかないですからね。この法律案も非常に急ぐわけです。何とかしてこの法律案を通すために私どもも一生懸命で努力をしなければならないと思いますが、提案者とともどもにこれは各党全員の力で一日も早く通したい、このように考えているわけですが、附帯決議にもありましたことですから、事務職員の完全配置に対しても政府の方としても十分の努力をしていただくように要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
#129
○秋山長造君 もう中村さん、中沢さんの両委員から相当詳しい御質問がありまして私の言うことはなくなってしまったんですけれども、せっかく質問の通告をしておりましたので、今後のこの法案の扱いについて一言意見を交えて御質問を申し上げたい。
 この産休法ができましてちょうど二十年になるわけでして、ちょうど昭和三十年に議員立法でこの参議院の文教委員会で仕上げたわけで、そのとき私もその提案者の一人になっておった記憶があるんですけれども、自来二十年の経過がある。昭和三十年に産休法を議員立法でつくり上げるときにもずいぶん手数がかかりまして、さらに、そのときから何年かさかのぼったいろんな経緯があったことを記憶するんです。とにもかくにも産休法というものが日の目を見たわけであります。当時から事務職員をどうするかという問題は議論にもなり、また、当然近い将来にその必要が起こってくるということは予想された問題なんです。何分にもその産休法を通すということ自体が非常な問題だったんで、とにかく内容の問題は時の経過とともに漸次改善していくとして、とりあえず、この法律だけでもつくろうということで出発したと思うんです。それが出発しましてから、もう間もなく事務職員に適用云々の問題が起こってきまして、先ほど鈴木提案者から申されましたように、具体的な改正案の形をとってこの委員会出てき出してからもうすでに十年あるいはそれ以上になるかもしれない。回数にしてももう九回目ということになってきたわけですから、内容につきましては、いろいろ細部の問題については問題が全然ないとは言えません。それはいろいろそれぞれの立場によって若干の問題はいまだにあるとは思いますけれども、しかしたてまえとしては、大筋としては、これはもういまや既定の事実のようなことになってきたことは、現に昨年の七十二国会でこの委員会の共同提案によって参議院本会議でも満場一致で可決されたという事実をもっても明らかだと思うのです。そこで、これはもうたとえばどの党にしても、どなたにしても大筋としては異存がないと思うのですよ。だからこれを一体参議院で今後どうするか、さらに、衆議院でどうするかということですね。そういう政治的な扱いの問題が中心になると思いますので、その点について、文教委員長は特にこれはもう文部省におられた当時から、この問題のそもそも発足当時からよく御存じだと思います。委員長にたまたまこうやってなっておられる。特に委員長の意気込みいかんによってこれはできるかできぬかというところまできておると思うので、委員長としてのひとつお考えをお伺いいたしたいということが一つ。
 それからもう一つは、安嶋局長、さっき前の国会で奥野前文部大臣がこの件について云々という御発言があったということをいまおっしゃったんですが、私はこういう奥野さんの御発言に限らず、いまの安嶋局長の御発言にしても、こういうように受け取ってきたんですよ。それは文部省としてもこれはもうここまでになってくれば第一、事務職員の充足計画を年次計画でずっとやってきておられる経過からしましても、これはもう反対とか何とか、趣旨に御異論はないと思うんですよ。ただ本来ならば、文部省自身が積極的にそこまで手を出したいところだけれども、この産休法そのものが議員立法でそもそも最初からできたような経緯があるものですから、しかも、毎国会こうやって参議院の文教委員会を中心にこの問題が論議されておる経過があるから、その経過に敬意を表し、遠慮をされて、まあまあ国会でそうやっておるのだから国会で結論が出るのを待ってということで、賛成はしながらも、またそのお気持ちは持たれながらもこの参議院での扱い、国会での扱いということに対して遠慮をされて、ちょっと積極的に手出しをされることを手控えておられるのじゃないかというように、私は非常に善意に受け取ってきておるんですがね。前回の国会で、参議院でもそれこそ各党一致共同提案、満場一致可決されると。衆議院だって、それはもう別に反対だから流れたというわけじゃないんで、会期末、いろんなほかの事情が出てきたために、その巻き添えを食って流れたということが私は実態じゃないかと思います。ですから、先ほどの局長のお話を聞いておりますと、多少聞きようによっては、文部省のお立場なりお気持ちなりに対して誤解を生ずるおそれがあるような感じもしないでもないんですけれども、私は誤解をしておりません。あくまで積極的なお気持ちでこの国会での扱いを見守っておられるんだというように依然として受け取っておりますが、そこら辺をひとつ局長からもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#130
○政府委員(安嶋彌君) 先ほども申し上げましたように、提案の趣旨、理由につきましては十分理解ができるわけでございますが、この法案は国の負担を伴う法案ということでございまして、そういう観点から昨年も内閣意見を申し述べておるわけでございますが、その申し述べた中身は、先ほど申し上げましたように、他の類似の事務職員等との関連、均衡の問題もございまして、当面この問題について御賛成申し上げかねるということを申し上げたわけでございます。文部省の立場、あるいはさらに広く政府の立場として申し上げるということになりますと、昨年度この法案について申し上げた御意見を再度申し上げざるを得ないということでございます。
#131
○委員長(内藤誉三郎君) 文教委員長への御質問がありましたので、お答えをいたしたいと思います。
 前回、参議院は満場一致で法案が通過いたしましたので、私もそうあってほしいと思ってせいぜい努力いたしますが、いずれにしても、この問題は理事会でよく御相談をいたしたいと思います。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#132
○委員長(内藤誉三郎君) 速記をつけて。
#133
○鈴木美枝子君 定数法はありましてもいま現に実行されていないわけでございます。まあこれは先ほどからずっと申し上げておりますが、委員長のおっしゃるとおり、各学校一人では産休にならなくても事務上の仕事で足りないという現実がございます。一つ例を申しますと、東京都の産休の場合、事務職員が病気になりましても、学校一名以外に三十人プールしておりまして、そして足りないところへ回っていくという方法、そして産休がありましたときにはすぐに労働基準法の産前、六週間前のところで間に合わすという例もございますので、その例を踏まえながらやっていただきたいと特にお願い申し上げます。
#134
○加藤進君 各委員からこの法案の成立についてきわめて積極的な御意見が出されました。私も、この法案の提案趣旨に対して賛成の立場で若干とりわけ文部省に質問をしたいと思います。
 いま文部省の見解の中に学校の事務職員といえども事務職員に変わりはない、こういうやはり見解があると思います。しかし、学校教育を真に守っていくために事務職員の持っておる役割りというもの、これは一般の事務職員とは全く違うものであるという、こういう認識に立っていかなければこの法案に示されたような問題の提起は私はないと思う。数は、一つの学校にないところもある、あるところでも一人、多くても二人。しかしこの一人、二人がどれほど学校教育そのものを支えて、子供たちの学習権を守っていくために不可欠な役目を果たしておるのかと、私はこの点についてはっきりとした御認識を持っていただく必要があるのではないかと思います。ところが、そのような学校事務職員の待遇はどうかというときわめて劣悪であります。身分はというと、社会的にはきわめて軽視されています。文部省も軽視しておると思う。そして、しかも、このような学校事務職員に対して、出産の場合はどうかというと、出産の場合には一般の学校勤務員とは違った差別待遇が与えられている。放置されている。法の適用に至るまで差別を受けている。まあ、こういう状態が今日あるわけであります。この点について、文部省は果たして学校教育の中で事務職員の果たしておられる役割り、任務について一体どのような認識を持っておられるのか、その点の基本認識をまずお尋ねしたいと思います。
#135
○政府委員(安嶋彌君) 学校教育の円滑な遂行のために事務職員がきわめて大事であるということにつきましては、ただいま御指摘のとおりでございます。文部省もそのような認識を持っておるわけでございます。したがいまして、その学校事務職員を軽視いたしますとか、あるいは差別いたしますとか、そのような考え方は毛頭持っておりません。今後ともこの事務職員の充実あるいは尊重ということにつきましては努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#136
○加藤進君 そこで、この学校事務職員の状態について今日どのようなことが起こってきておるか、いろいろ私も調査もし、お聞きしました。働きがいのある職場だとは皆さん考えておられないんです。四、五年勤めて、もうやめた、こう言ってやめられる事務職員の方たちの数は何と四割にも及ぶじゃないですか。これが職場の現状なんです。こういう現状は一体どうして起こるのか、それほど尊重されるならどうしてこの現状が今日存在しておるのか。私はそのことをしっかり考えていかなくてはならぬと思います。その点につきまして昨年の七月三日、奥野元文部大臣は人事院総裁に要望をされております。学校事務職員の仕事は複雑困難である。複雑困難であるということが文部大臣自身の言葉から当時指摘されたわけであります。御存じのとおりですね。一体どういう内容なのか。私は時間がございませんから申し上げることは差し控えますけれども、これは提案の趣旨説明の中にきわめて明確に出ています。まさに複雑困難な任務を一人、二人の事務職員が負っておられるという現状であります。
 そこで、私は文部省に提案します。もう少しこのような複雑困難な実務、事務の状態に対して、事務職員の職務内容を検討して明確な基準を出すべきじゃないか、基準を明確化すべきじゃないか、そして仕事がやりやすく、学校は事務職員にとっても働きがいのある職場だと、こういう状態を私はつくっていかなければ問題の解決にはならぬと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
#137
○政府委員(安嶋彌君) 事務のあり方あるいは処理の仕方について基準を設けたらというお話でございますが、お話の趣旨が十分のみ込めない点もございますけれども、学校事務はお話しのように非常に複雑多岐でございます。こうした事務が能率的、効率的に遂行されますように、事務の処理の仕方についての改善を図っていく、あるいはむだを省いていくというようなことは、これはきわめて大切なことであろうかと思います。私どもといたしましてもいろいろな機会をとらえまして、そうしたことが合理的に進められるよう指導をし、努力してまいりたいと思います。
#138
○加藤進君 私が提案しました趣旨も、このような複雑困難な実務をできる限り改善して、効率ある適切なものにしていく、こういう趣旨でございますから、その点につきましては文部省も御確認いただいたと思います。
 そこで、ではこのような改善を現実に図っていくためにどうしたらいいのか。私は、まず第一になすべき問題というのは、やはりすべての学校に事務職員を必置させるという課題だと思います。この点につきましてはすでに御説明がありましたように、今日努力はしておるけれども七五%程度だと、あと二五%は事務職員はない。なくしてしかも公教育としての学校教育を支えていかなくてはならない、このような状態を私は放置してはならぬと考えるわけでございますし、とりわけ第七十国会におきまして定数法審議において、この文教委員会は全会一致で養護教諭とともに事務職員の全校配置という附帯決議をやっておるわけでございますけれども、このような当文教委員会の決議の趣旨に対して文部省はどのように具体的な努力を払われ、全校必置を目指して進んでおられるのか、その点をお聞きしたいと思います。
#139
○政府委員(安嶋彌君) 標準法に基づきまする第四次の充実計画が現在進行中でございますが、これが五十三年度に一応の目標年次に達するわけでございます。したがいまして、五十四年度以降新しい計画を策定するということになるわけでございますが、その際におきまして、ただいま御指摘の事務職員の充実の問題でございますとか養護教員の充実の問題でございますとか、あるいはさらに一般教員の配当基準を高めるかどうかといったような問題、あるいは学級編制基準をどうするかという問題、そういう問題、これは全部定数にからむ問題でございますが、そういう問題を総合的に検討してまいりたい、前向きに充実を図るように検討してまいりたいというふうに考えております。
#140
○加藤進君 可及的に全校必置を実現する、こういうふうに理解してよろゆうございますか。
#141
○政府委員(安嶋彌君) 第五次計画におきまして直ちに全校必置にするかどうかという点につきましては、ただいま申し上げましたような総合的な観点からその時期におきまして検討してまいりたい、しかし前向きに検討してまいりたいということでございます。
#142
○加藤進君 給与の問題につきましても、当文教委員会においても言うまでもありませんが、第七十五国会、今国会における内閣委員会でもやはり同じような趣旨の附帯決議が行われています。学校事務職員の給与改善についても配慮するという意味の附帯決議の決定でございます。この点についてやはり今日の学校事務職員の皆さんの給与改善について文部省はそれなりに検討しておられるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#143
○政府委員(安嶋彌君) その点につきましては努力をいたしておるつもりでございますが、内容としましては三つございまして、一つは、適正な格づけが行われるということが一つございます。それからもう一つは、任用配置に工夫をしてもらいたい、相当年輩に達せられた場合には、一般の事務職員でございますると、これが係長になり、あるいは課長補佐になり、課長になるというようなコースを通常歩むわけでございますが、学校の場合は、先ほど来お話がございましたように一人配置あるいは二人配置ということでございます。したがいまして、必ずしもその格づけが適正に行われてないという面がございます。学校事務職員につきましては部下の数、そういったことにかかわりなく本人の経歴等にふさわしい格づけが行われるようにしてもらいたいということを指導いたしております。それが格づけの問題であり、それからそういった方につきましては、教育委員会の事務局あるいは役場あるいは県の教育委員会、そういったところと人事交流を促進をいたしましてしかるべきポストに任用するような工夫をしてもらいたい、これが第二点でございます。それから第三点は、時間外勤務手当、これは勤務の実態に対応して適正なものを支給してもらいたい、この三点を基本といたしましてかねて指導いたしておるわけでございますが、先般、第二次の教員給与の改善が行われました際にも特にこの点に言及をいたしまして事務職員の処遇の改善に努力するよう指導いたしておるところでございます。
#144
○加藤進君 全校必置と給与の改善の問題は、これは現場の学校事務職員の皆さんの切実な声であることは言うまでもありませんが、同時に、本院における決議である、こういう点を十分に尊重されてせっかくの御努力を前向きに賜りたい、このことを強く要請しておきます。本法案の趣旨である産休の補助教職員の問題についてでありますけれども、この法律が成立した昭和三十年以来すでに二十年たっています。ところが、依然として先ほども指摘されましたように、事務職員は除外されている、こういう現実がございます。国がこのような措置をとらないために、いま県や市町村では独自で代替職員制度というものを実施せざるを得ない、こういう現状になっていることも御存じのとおりでございますけれども、これは本来、国がそれだけの措置をとって、このような代替職員の配置をすべきではないか、こう考えますけれども、その点について文部省はどうお考えになりましょうか、重ねてお尋ねしておきます。
#145
○政府委員(安嶋彌君) 先ほどこの法律案に対する考え方を申し上げたわけでございますが、他の類似の事務職員との均衡の問題もあって、当面こうした措置をとることについては困難だと考えるということでございます。したがいまして、文部省の態度といたしましては、当面は困難だということでございますが、提案の趣旨その他これは理解できるところでございます。今後ともこうした事態の推移につきましては十分注意を払ってまいりたいというふうに考えております。
#146
○加藤進君 そこで提案者にお尋ねしますけれども、ただいまの文部省見解についてこの法案の提案者である先生はどのようにお考えになりましょうか、御見解を賜りたいと思います。
#147
○鈴木美枝子君 私は先ほどから申し上げているのでございますが、各学校一人ずつでは、産休をするにも代替もいない、こういう状態の中で文部省の局長さんの話でございますが、私はこの法案を通すことは当然なことだと思っております。
#148
○加藤進君 私も提案者の趣旨に全面的に賛成でございます。
 最後に、文部省とまた法案の提案者に一つお尋ねして終わりたいと思いますが、わが党はこの問題について次のように考えています。産休、妊娠中の職務軽減、育児休暇など授業に支障が起こらないようにするために、こういう育児休暇とか職務軽減のために授業に支障が起こらないためにどうするかと言えば、休暇に入る三カ月前から必要な正規な補助教職員を確保しておく必要がある、こういうふうに私たちは考え、そのためにも今後努力するつもりでございますけれども、文部省は、こういう私たちの主張に対してどうお考えになりましょうか。また提案者は、その点についてどういうふうにお考えになりましょうか、その点をお伺いしたいと思います。
#149
○政府委員(安嶋彌君) 先ほど来この法案に対しまして当面困難であるということを申し上げておるわけでございますが、その点からいたしますと、ただいま御提案のように三カ月前から代員を用意するということはさらに困難な課題であろうかと思います。
#150
○鈴木美枝子君 これはやはり三カ月前から困難という御発言は、男性だから出てくるような発言で、女性にとっては残酷な御発言だと私は思います。
#151
○加藤進君 文部省だから出るんです。
#152
○鈴木美枝子君 文部省の三カ月、労働基準法で産前産後がございましても、先ほどから再三申しましたように、まさか生まれた子供をおぶって学校へ行くわけにいきません。親があるところはいいと申しました。東京のようにゼロ歳児から預かってくれる保育園があるところは全国にはそうございません。ですから、どうしてもこの三カ月だけでも私は足りないくらいだと思っております。生んだ結果だけを言っているわけで、その総合的な生まれた子供とそれから母親を守るということに対しては文部省では大いに考えていただかなければならないことだと私は思います。加藤先生のいまの御質問、代替を定期にするということ、私はそのために、この提案をしているわけでございます。
#153
○委員長(内藤誉三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#154
○委員長(内藤誉三郎君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
#155
○山東昭子君 ことしイギリスの保守党では初めて女性党首が誕生し、国際婦人年にふさわしいニュースとなりましたが、わが国においても女性の職場でのさまざまの問題が叫ばれております。日本の各分野における女性の専門職、管理職の進出状況はどんなものか、先進諸国と比較して明らかにしていただきたいと思います。
#156
○政府委員(安嶋彌君) ただいまの御質問は、学校の校長、教頭等の管理職ということではなくて、非常に広いお尋ねであったように思いますが、私ども実は手元に持っておりますのは学校関係の資料でございます。それについてお答えを申し上げたいと思います。
 女子の校長、教頭の数でございますが、昭和四十九年度の学校基本調査速報によりますと、小学校では九百九十五人、これは校長、教頭の二・二%に当たります。中学校では七十人、これは全校長、教頭の〇・四%に当たります。高等学校では二百一人、これは校長、教頭全体の二・二%ということになっております。現況はそういうことになっております。
#157
○山東昭子君 今日先進諸国の間に共通している差別は、人種差別と男女差別であると言われております。日本におきましても、昔から比べますと女性の地位も大分向上してまいりましたけれども、まだ本物ではございませんし、家庭内でも男女差別の意識があるようでございます。大臣は、教育面で差別意識をなくすためにはどのように考えていらっしゃるか、対策を具体的にお示しいただきたいと思います。
#158
○国務大臣(永井道雄君) 具体的に考えていきます上では、非常に詳細なことが実は必要だと思います。私は女子学生を教えたことがありますが、女子学生を教えます場合に、男子の学生と同じようなテーマで、そして同じように卒業論文を書いてもらいますと、たとえば、心理学とか社会学の場合に非常に不利になる場合が多いんです。どうしてそうかといいますと、幼少期のころから男女はいろいろな意味で違った形で成長してまいります。そうしますと、たとえば女子の場合に非常に詳細に子供の発達を記述いたしまして、そうしてその非常に具体的な事実に基づいて論文を書いたりいたしますと、男子の学生はそれほど観察力を持っていないということがあります。ただ、抽象的な理論を聞きますと、男子の学生の方が上手に答えるという場合があります。そこで、いろいろ大学の教育などの場合にもそういう点に配慮をいたしましたときに、これは大学などに来るまでの女子と男子の性格の形成に違いがございますから、いまのような点に配慮をいたしました結果は、女子学生がむしろ男子学生をしのいで、非常にすぐれた成績をとるケースがあります。また、男女差を考えての教育の問題がありますが、一般に十歳前後までに女子の方が骨格の発達がほぼ一年ぐらい早いと言われております。そういうことから、いろいろ会話が早く発達するというふうなことがありますが、そうして国語能力が伸びてまいります。そのおくれを男の子が後に追い越そうとしたりすることがありますが、そういう特色というものがある場合に、単純に平等という方向を考えませんで、その特色というものを十分に生かしながら、むしろ女子というものの発展を男子と同じように考えて到達目標を工夫していく。
 また、これまでの女子と男子が世界的にどういう形でいい仕事をしてきたかということを調べますというと、たとえば形而上学とかあるいは数理、そうしたもので女子の方で世界的な業績を残した人は比較的少ないのです。キュリー夫人のような例はありますが、これは少ない。しかしながら、たとえば文学の場合、わが国でも文学史上世界的に最高の人として残っているのは女性でございまして、男性はむしろ二流の人物として記録されているわけでございます。それから、あるいは音楽の場合、作曲は男性の方にございますが、比較的女性にございません。しかし、演奏という方では女性に世界的にすぐれた方が多いのです。
 こういう職業上の女性のこれまでの大きな貢献についていろいろ研究しているものがありますが、私は、こういうものに配慮をいたしまして、自分で授業をやったことがありますが、非常に女子というのは社会の偏見にかかわらず実に発展する能力を持っているということを知りました。こういうことは一つの研究事例にすぎませんけれども、ほかにもいろいろそういうことを研究しておられる方がありますから、私は、非常に単純な意味での平等ということを考えますというと、かえってそれぞれの持ち味を生かしてそうして十分な発展を図るということがむずかしい場合があると思いますけれども、特色を十分に考えながら、しかも平等というものを達成していくということが非常に必要であるかと考えます。
 職場といたしましても、たとえば女の先生方の職場というのは、これは教育上も非常に重要でございまして、先ほど初中局長から申し上げた数字につけ加えますと、幼稚園の段階などでは管理職は非常に女の方にたくさんありますが、そのこともやはり女子が幼児の教育というものに非常に適していままで成長してきているという文化的な背景がございますから、こういうことは見逃すべきではないと思います。
 具体的にどうするかというお尋ねでございましたから、なるべく事実に即して申し上げたわけでございますが、その他具体的な問題ということになりますと、いろいろな職場で重要な業績を上げておられる女の方が多いのでございますが、省略させていただきますが、以上のような特性と文化と、それと平等というものを組み合わせるというような考え方が非常に女の方の活躍によって社会、文化の内容を豊富にしていくのに役立つものと私は考えております。
#159
○山東昭子君 女性の職業の中でも、次代を担う青少年を育成する立場にある女子教員の育児休暇については、私自身もたくさんのお手紙による訴え、あるいは現場で働いていらっしゃる先生方からもいろいろとお話を伺いました。女子教員の方々にはよりよい待遇、環境を与え、正しいしっかりとした教育をしていただきたいと思うのでございますが、他の職業とのバランスの問題であるとか、数々の御意見もあると聞いておりますので、大臣御自身のこの女子教職員育児休暇制度についてのお考えと、並びに最近の教育界、特に小学校では女子教員の比率が高まってまいりましたが、その理由は何か。また一般の父兄の中には、自分の子供の担任が女の先生に決まると、わあはずれたとかおっしゃって大変がっかりなさるということを聞きましたけれども、私も女性の一人として大変不本意なんでございますが、果たして、この実態を文部省は把握していらっしゃるか。また、そうだとしたら、どんなことが原因なのでしょう。
#160
○国務大臣(永井道雄君) 女子教員の比率が高まってきた理由でございますが、先ほど申し上げましたように、大学などの場合でも女子の方が世界的に非常にすぐれた行績を上げられているのは、医学、児童心理学、あるいは文化人類学などの領域に多いのでございます。それはいままでのいろいろな文化的な背景と関係があるかと思います。教育というのもその領域の一つでございまして、世界的に見まして、教育の場面というところにおける女性の活動、その職務というものが女性の方々にとって非常に魅力がある仕事であるというふうに考えられていることが、一つは女子教員の比率が高まった理由かと思います。他方、高等教育の拡大化に伴いまして、男性の仕事、いわゆるホワイトカラーを中心といたします職場の拡張がありましたから、男性がいろいろな職場に散っていったということが、他方、裏側でございますけれども、男性の教員の数が減ったという、そういう事情もあるかと思います。
 さらに、女の先生方についてとかくの批評があるということでございますが、それは何に基づくかということでございます。まあそれは偏見のようなものを伴っている場合も多いかと思いますが、一般に男の先生、女の先生のお仕事の内容を見まして、それを客観点に評価いたしまして、そうして女の先生の方がある種のものにおいて非常に劣っているから、したがって評判が悪いというふうな証拠はございません。そうではなくて、まあ強いて申しますというと、女の先生方が出産、育児、家事などの理由によって男の方よりも職場を離れる、そういう時期があるのではなかろうかという危惧を一部に持たれる方々があるというようなことが一因になっているかと思いますが、具体的な個々のケースに当たってみますと、そういう場合にも非常に慎重に振る舞って、良心的にお仕事をなさっている方々もあるわけでございますから、私は一般に人々の批評いたします場合には、少数の事例をもって全般的な一般化を行うということが多い一例が、女の先生に対する社会的批判という形で出てきている場合も多いのではないかと思います。
 なお、女の先生方の育児休暇の問題でございますが、これはわが国では勤労婦人福祉法にも「育児休業」というものがうたわれておりますから、学校教育というものの一貫性を確保する上でも非常に重要なことであると私は考えております。ただ、これをどう実現するかということにつきましては、私の理解いたしますところでは、国会でもいろいろ御審議になっているところでございますから、われわれといたしましては、その御審議がどういうふうな形で展開していくかということを非常に注意して、そうしてその発展というものを私たちとして見守っているという、そういう立場でございます。
#161
○山東昭子君 現代は変化の時代であると言われております。毎日、新しい知識、情報がつくり出され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの情報メディアによって広範囲に私たちに伝達され、その中でもテレビは現代を揺るがす力の一つとして、非常に私たちの日常生活の中に入り込み、深いかかわり合いを持っております。昭和四十七年のNHKの調査によれば、全国の受信者数は二千一青五十万世帯を超え、四人に一台の割りで普及しているそうです。とにかく、テレビは国民生活にとってなくてはならない存在になっていることは、言うまでもありません。しかし、子供の教育とテレビということになると、とんでもない、テレビを見ていたのでは勉強なんかできるものかという親御さんが多いのではないでしょうか。現在、学校教育の一環としてテレビを利用している学校もあるとは聞いておりますが、生涯学習という立場から、どこでも、いつでも学習できるような教育システムを実現していくために、テレビを十分利用することを真剣に検討するところにきているのではないかと思うのでございますが、大臣はこのテレビを通した教育というものについてどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
#162
○国務大臣(永井道雄君) テレビの教育ないしは文化に与える影響というのは年ごとに非常に大きくなっていくと思います。とりわけ重要であると思いますのは、平均視聴時間でございますが、NHKの一番新しい調査では、男女老若を平均いたしますと、三時間七分か八分ということになりますから、これを生涯に直しますと七、八年になるということになりますので、そういう点から、一体これだけの視聴時間が果たして妥当かどうかという問題が一つ出てまいります。さらに、その内容分析をいたしますと、娯楽の時間が相当長いので、それはそんなに長い時間を――娯楽は大事ですけれども、テレビ娯楽というものに費やしていいかどうか、非常に受動的になるのではないかという疑問がございます。で、私はこの疑問は疑問として非常に重要な問題を提起していると考えております。しかしながら、ではテレビというのは全く消極的な意味しかないかということになるわけですが、むしろ、テレビはこれをどうやって使っていくかという点におきましては、たとえば活字・印刷文化が生まれましたときにも同じような問題が提起されたように思います。
 そこで、たとえば諸外国の事情でございますが、そういうふうなものを私たちの時代には、私なぞは子供の時分にはとうてい現在のアフリカの事情というものをテレビで見ることはできなかったのでございますが、そういうことをいまは、たとえば地理の授業でも十分に用いることができますし、特に理科の自然観察などにおいては非常にすぐれた効果を上げております。こういうことは、NHKなどでも教育番組で非常に御苦労になっておりますが、そういうふうな形でテレビをこれからの教育にどのように生かしていくかということについてのいままでの努力というものに基づきまして、これを教育の中で活用する方法を工夫することが非常に大事であると思います。
 ただ、もう一つのことは、たとえば幼少の時分に非常にすぐれた音楽というものをみずから学習した人の場合に、俗悪である番組、そういうものになじまないということがございます。ある民間放送会社の主催で全国十万人ほどの子供が非常にいわばりっぱな音楽の学習――これは小中高でございますが、全国的なコンテストをやって、そうして最後にすぐれたものを選ぶということをやっておりますが、こういう子供たちの場合、非常にすぐれた音楽を知っておりますために俗悪な番組にさほどなじまないという結果も出ております。また、同じような調査がイギリスにもございます。
 そこで、いま音楽のことを申し上げましたが、絵画などについても同様な事情がありますので、私はテレビと並行いたしまして、芸術あるいは美術の教育というようなもの、こういうものを本格的に強化するということがテレビの番組からの選択能力を高めるということにも役立つ重要なものであると思っております。そういうふうに申しましても、なかなか油断ができないテレビからくる悪影響の問題もありますが、これは子供だけではなくて、むしろ、大人の社会でもこの問題を考えて取り上げていくという、そういうことが他面にありませんというと、子供だけの問題としては解決しにくい、このように思っております。
#163
○山東昭子君 いつぞやテレビの放送で大ぜいの子供たちを集めていろいろ質問をしておりましたが、司会者が、「あなたは日本の国を好きですか」と聞きますと、一人の子が、「ぼくは日本はきらいです」と、「それは公害があるからです」と発言をしますと、ほかの子供たちもほとんどが判で押したように同じ答えが返ってきて、「日本は自分の生まれた国だから好きだ」とか、「四季の変化があるから」と答えたのはたったの三、四人しかいなかったのです。これを聞いて、私は、子供たちの答えは、あるとき学校で先生がおっしゃったことや家庭内での親たちの発言の受け売りで、子供たちの内部から出てきたものではないということを感じました。過去において大臣はアメリカにお住まいになり、各国の子供たちと接しられて、日本の教育水準はどの程度なのか、また、日本の子供たちとの比較をお聞かせ願いたいと思います。
#164
○国務大臣(永井道雄君) 各国の教育水準の比較というのは非常に実はむずかしい問題でございます。といいますのは、教育の中身の問題が入ってまいりますので、中身というものを非常に比較しにくいということがございます。ただ、普及度の比較というふうな、そういうもので見てまいりますと、詳細必要でありましたらこれは政府委員の方から申し上げますが、わが国は、義務教育はもとよりのこと、幼稚園の教育、さらに高等学校の教育から高等教育に至るまで非常に普及度がすぐれている、そういう少数の国に入ります。
 また、その中身でございますが、先生一人に対する子供の数、これもある時期には相当子供の数が多過ぎたんでございますけれども、いまはどうにか大体先進工業国並みの段階に到達いたしました。では学力はどうかということになりますと、世界的に比較ができます学力、たとえば算数などにつきましては一九六七年のユネスコテストがございますが、こういうものでは世界的に一、二を争う国でございます。しかしながら、いま先生が御指摘になりました、それぞれの子供が自分で考える能力があるかという、そういう一つの番組からの御引用であるかと思いますが、そうしたものにつきましてはなかなか国際比較を行いにくいので、水準と申しますと、そういうなかなかつかみにくいものも入っておりますから、そういう点では簡単に申し上げにくいものが含まれているかと思います。
 ただ、一般に申しまして、先生と学生、学習者との比率あるいは施設の充実度などについて申しますと、わが国で一般的には下ほどいいという言い方ができるかと思います。逆に言えば、上ほど悪いということになりますが、つまり小中校はすぐれている、高校はそれより劣っておって、大学が一番問題を含んでいるというふうに申し上げれば大局は当たっているかと思います。そういう点にわが国の教育水準の相当注意しなければいけないゆがみがあるかと考えます。
#165
○山東昭子君 戦後三十年、アメリカの置きみやげである六・三・三制について是か非かという論議が高まっているようでございますが、もうそろそろわが国でもいままでの制度を思い切って改革するときが来ているような気がするのでございますが、大臣はこの六・三・三制について一体改革なさるお気持ちがおありでございましょうか。
#166
○国務大臣(永井道雄君) 六・三・三の制度、さらにそれに伴います六・三・三・四でございますが、これにつきましては、中央教育審議会も長い時間をかけて御検討になりまして、基本的な骨組みについてはこれをいじらないというお考えであると理解いたしております。また、それがわが国に定着いたしまして相当な成果を上げてきた。しかしながら、だからといって完全に全部満足すべき状況であるかというと、やはり問題があるのではなかろうか。とりわけ、中教審の答申で指摘しておりますのは、幼児教育の段階からもう少し本格的に取り組みをいたしまして、先導的な試行をいたしまして、いままでの六・三とは違う形をとってみてはどうかという提案があったわけでございますが、これについてはいまだに研究段階という、そういう状況でございます。
 その中教審の指摘にもございましたように、やはりこれから考えるといたしますと、幼児教育の段階の問題、それから高等学校の六・三・三の最後の三の段階、これが事実上非常に普及いたしてきておりますけれども、そのカリキュラムというふうなものは普及以前の考え方によって組み立てられてきておりますから、こうしたものは、いまの段階であるいは今後に向けまして相当十分に検討していかなければならない。そういう問題を含んでいるかと考えます。
#167
○山東昭子君 最近、少年少女の非行が増加していることは各方面で指摘されております。特に中高生の間に乱交、アルバイト売春など、性の乱れも目立っております。その背景を考えますと、青少年の体の発育状況もさることながら、最近の少年少女の雑誌の内容にも問題があるのではないでしょうか。読んでみますと、まるで恋人がいなければおかしいとでもいうようにあおったり、性の問題も興味本位にとらえる記事がはんらんしております。そうした少年少女の非行の傾向とその原因、また文部省は非行少年少女にどのような対策を講じるのか、述べていただきたいと思います。
#168
○国務大臣(永井道雄君) 少年少女の非行の問題は、先進的な工業国で世界的な現象でございます。わが国の場合に世界と若干違いがございますのは、まず大人の犯罪について見ますと、工業化、都市化現象が起こるのに並行して犯罪の増加現象が見られずむしろ逆に減っているというのが、見られる非常に特殊なケースでございます。ただ、その中で、御指摘のように少年少女の非行は増加いたしております。とりわけ少女の非行が増加しているというところにわが国の統計上の特色がございます。これはどうしてであるのか。恐らくその問題は、いままで日本の女子は男の子と同じようにわがままに振る舞うということはなかったわけですが、いまは男の子と同じようにわがままに振る舞うようになったというそういう解釈もあるのではないかと言う人がございます。そこで、わが国の場合も注意しなければならない段階に明らかにきているわけでございますが、これをどうしていったらいいかということは、これは学校について申しますれば、いわゆる道徳教育なんですけれども、しかし、道徳教育といいましても特定の道徳の時間だけではなくて学校教育全体がそうでございますから、その全体というものの中で、これはもうあらゆる学校の各層を含めまして文部省の方でも繰り返しその問題についての道徳の角度からの配慮というものを学校にお願いしているわけでございます。
 ただ、この非行的傾向が生じてまいりますのは、学校だけではなくて広く社会の問題があり、御指摘のような雑誌などの問題がございますが、そういう社会と関連して重要なのは家庭の問題がございます。そこで、こういうことは、私はやはり、むしろ大人の社会の問題として相当考えていかなければならない、つまり、大人の社会の文化というものがどのぐらい健康なものになり理想に満ちたものになっていくかということが非常に家庭ないしは子供の文化にも強い影響を与えるわけのものでございますから、これを自主的な民主的な力で強めていくということが非常に必要であるかと考えております。
 そうしたことで文部省がどういうことをやっているかということは必要であれば申し上げますが、文部省の立場といたしましては、とても、社会教育局というようなところのすべての予算を動員して建物をつくれば解決するというような考えではございません。そういうことも必要でございますが、むしろ社会にありますいろいろな団体活動、そうしたものの自主的な発展活動というものを盛んにすることにお役に立つという角度で、そういう形でわが国の社会の文化が本当に健康に発達していく、そのことが、家庭を含めまして非常に青少年非行化に対する重要な防波堤になる。また、しかし、暴力的傾向があります者については、厳としてやはり、警察の力をかりなければならない問題についてはこれをかりる、そうして、そうしたものを押しとどめていく、排除していくということがきわめて必要であると考えております。
#169
○山東昭子君 時間がなくていろいろお話を伺えませんでしたが、いままでのようなかたい構造の教育システムから、もっとソフトな弾力性のある教育システムヘ、一歩一歩永井大臣のお力によってぜひとも進めていただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#170
○宮之原貞光君 今後の教育の課題と展望の若干問題についてお伺いいたしたいと思いますが、まず、大臣にお伺いしたい第一点は、例の文明問題懇談会というのを設置して、何か「文部広報」によりますと、二、三回討論をされておるようですが、いままでの政党大臣には見られなかった長期展望を踏まえた日本の教育施策を樹立しょうという意欲からだとは思うのでございますけれども、このような懇談会を設置された基本的なものの考え方、それをまずお聞かせ願いたい。
#171
○国務大臣(永井道雄君) 私は、現代の社会における問題といたしまして、いわゆるイデオロギーの対立、そういうものもあり、資本主義的な体制あるいは社会主義的な体制のいずれをとるべきかという重要な問題もあると思います。しかし他方、非常に重要な問題といたしましては、産業革命以来、科学技術の進歩というものについては、人々がほとんど絶対的にこれを信頼してきたという事情がございますけれども、科学技術がもたらした非常に重要なものの一つがたとえば原爆の発明であったということは否定することができないことであるかと思います。そこで、それがもっと日常的な場面にあらわれたものといたしましては、公害というふうな、そういう問題があります。そこで、それに伴いまして技術査察といいますか、テクノロジー・アセスメントというような問題も起こってきている。そこで、一体科学技術とたとえば自然との関係、あるいは文化、人間との関係をどうするかというような問題は、今後世界的な問題としてやはり考えなければならないし、私たち文教に当たっている者が十分学習すべきであるというようなことが一つの問題でございます。
 もう一つの問題は、やはりわれわれ日本人が今後生きてまいります場合に非常に重要なこととして、日本人でございますから、これは日本の古くからの文化というものの中で私たちが生きていくことは間違いのないことでありますが、同時に世界の諸国民とともに共存していくということを考えていきます場合に、そういう伝統的な文化と将来の世界的な人類共有の文化との関係をどうするかというような問題もございます。
 さらにまた、わが国のみならず、高度な工業国家におきましては、非常に専門化された職業活動というようなものが行われておりますが、そういう中で人間というものがもう少し広い視野で考えていくというようなことも、これまた世界的な問題になっていくのではないだろうか。そういう意味合いにおきまして、文明というものの根本的な問題というものについて、こうすれば答えが出るというような形で先生方も私たちに命令をしてくださるというようなわけにはなかなかいかない厄介な時代だとと思いますが、しかしこうも考え、ああも考えるというところに問題の重要性があるということをわれわれ文部省で働いております者に対して教えていただくということは、基本的に将来を考えていく上にきわめて重要であるという考えに基づきまして、いまのような問題との関連において先生方を御委嘱申し上げまして、そうして今回まで三回の会を開いて先生方のお話を承っている。ただ、これが余りその会だけにとどまってしまいますというと、やはり現代の公開の原則にも反しますから、記録にいたしまして、そしてさらに先生方に手を加えていただいて何らかの形で公開をしていく、そういうことを文部省で私たちが学習をしているということを国民の方々にも知っていただくというふうにしたいと考えているわけです。
#172
○宮之原貞光君 大臣が上智大学で講演をされておるその中身から判断をいたしますと、大臣は、「今までの科学技術を中心にした専門家主義というものに大修正を加えなければならない時代が来た」、こう言われ、さらにまた、文明問題懇談会については「もっと基本的な意味において、歴史的転換を考えていただくために」こういうものを設置をしたと、こういうことになると考えられるんですね。そういたしますと、いままでの日本の教育のあり方がいわゆる高度経済成長に見合った人的な能力主義と申しますか、人的資源能力主義、こういう問題が浮き彫りにされたところの学校教育というもののあり方についてやはり転換期に来たと大臣は考えられている。したがって、これらの問題について具体的な施策の中に生かせるならばこれをどういう問題点があるかという点をこの文明問題懇談会に求めておられるのではないだろうかと大臣のこの講演の中身からうかがえるのですが、その点、どうなんですか。
#173
○国務大臣(永井道雄君) 文明問題懇談会は、直接に文部省の施策に対してこれをああせい、あれをこうせいという形の具体的な提案はないわけでございます。
 では、いま宮之原先生がお読みになりましたのは上智大学で私がしゃべったことでありますが、それは文明問題懇談会で学習していることと関係がないかというとあると思います。やはり、これまで高度経済成長を遂げてまいりました間、たとえば、具体的な例を申しますと、農業に従事してそうして自然の中で生産を営んでいくというような人々が経済的にもまた文化的にも軽視される傾向があったかと思いますが、そういうふうな状況というものは、これは世界的にも変わってまいりましょうし、また、わが国においてもその方向を目指すべきものであるかと考えております。さらにまた、都市において活動いたします人々の場合でも、やはり能力と言いましても、非常にいろいろな形で産業構造が変わってくる。そういうふうな中で何が必要であるかということになりますと、能力の多様な要素というものを考えなければいけないようになってまいりましょうし、また、国際的な協力というものが今後必要になってまいりますが、その場合にも、いままではとかく西欧との関係を国際関係と思っておりましたが、今日以後は、西欧も大事でございますが、西欧以外の諸国とわが国との協力というふうなことも大事になりますから、いずれの面を取り上げましても、いままで考えておりましたような形の能力、そのまた学習ということでは足りないことになってくると思います。そこで、もっと多様な能力、また適性というものを重んじて教育をやっていかなければならないと私は考えております。それを少しずつ教育政策の上に具体化していかなければいけない、こう思っているわけです。
#174
○宮之原貞光君 もちろん、懇談会ですから、中教審みたいに特定の問題について答申を求めておるという問題ではないことはわかる。しかしながら、それがやはりいろいろな議論の中から今後の日本の教育の施策に反映しないということでも、これは永井さんお一人の一つのサロン会みたいなお好みということにしか私は終わらぬと思うのです。少なくとも、やはり文部大臣としてこういうものを持たれる以上は、そこで出たところの問題点を今後の日本の基本的な教育のあり方に反映されなければ意味がないと思うのです。そういう点から見ますと、たとえば、これは文部省のつけた表題ですから、第二回の文明懇談会の表題を見ると、「科学万能論は疑問、人間尊重を諸科学に」、こういう見出しがついている。言うならば、従来経済発展に協力をする、成長にまた見合うところの学校教育というものから、少なくとも、そういうものではなくて、歴史的な転換期に来ておるのだから、もう一回日本の教育のあり方というものを、過去どういうところに問題点があったか、あるいは今後どうしなければならないかという問題が当然ここであらわれていかなければ私は意味がないと思うのです。しかもその方向は、先ほど私が一、二申した大臣の講演の中にあらわれておるところの大臣の基本的な物の考え方を大臣としてはひとつ踏まえてこの問題について取り組んでおると、こう理解をいたしたいのですが、そのように理解いたしてよろしゅうございますか。
#175
○国務大臣(永井道雄君) 実は、その会に出席いたしておりますのは、私は欠かさず出ておりますが、ざっと申しますと五、六十人、文部省の次官、局長以下みんな出ているわけです。ですから、実は私だけの趣味で学習しているというわけではございません。そうではなくて、非常に多数の者がずっと出ておりまして、出ました後、また省内で討論をいたします。たとえば自然との関係というものをもう一回復活しなければいけないという御意見を先生方から出していただきました。そういう御意見は、私たちがお願いしたのではなくて、自然に出てきたわけです。そうすると、たとえば今後のスポーツのあり方、こういうものをどうしていったらいいか、そういうことをたとえば体育局長とその後討論をいたします。まだ具体的な成案の段階ではございませんから、そこまで申し上げられませんが、そういうことを考えていく。そういうふうに個別的に、懇談会の問題はかなり抽象的なものがございますが、みんなで出ているわけでございますので、その後ほとんど、時間がありますときは連日といってよろしいと思いますが、討議をいたしまして、それを具体的な政策の上にどうやって生かしていくか。いま一例だけ申し上げましたが、もう一つ例を加えますと、たとえば国際交流というようなことがございますが、こういうようなものをどうしたらいいかというようなことを討議をして、これは先生方は教育行政者ではないわけですからいろいろお考えになる。私たちは教育行政というところに具体的にそれを実現するためにいわばお話を伺っている、そういうことでございます。
#176
○宮之原貞光君 私は、この物の考え方は基本的には賛成なんですよ。というのは、従来各官庁の審議会というふうなものは、端的に申し上げますれば一つの政策を持っておって、それを審議会という隠れみのに隠れさせて、すべては官僚で大体大きなあれは書いておいて、それを審議会の議を経たのだといって法律をつくっていくというのがいまの日本の官僚機構の一つの大きな問題点なんです。欠陥なんです。したがって、そういう意味から見れば、そういう課題を与えない、言うならば、フリーな立場から、しかも巨視的な立場から日本の教育あるいは日本の文明はどうあるべきかという問題を議論をされるということは、これは私はやはり永井さんにして初めてなし得るところのものの構想だと思う。ただ残念ながら、新聞の囲み記事等に伝えているところによりますと、真偽のほどはわかりませんけれども、文部官僚の幹部の中には、冷ややかな目で永井さんのおもちゃみたいにしていじっておるというふうな見方をしておると伝えております。私はそうではないと思いますけれども、しかし、そういうことでは困ると思うんです。少なくともやはり、大臣がそういう巨視的な立場から、いろいろないままでの行きがかりにこだわらないで、いろいろな、さまざまな意見を聞いてそれを生かそうとするならば、私は名前は懇談会でもいいですが、単に大臣だけ出席するのじゃなくて、終わったらやはりそれらの問題点を首脳部の間でいろいろ議論をし、その中で教育の施策の中に生かす点があるとするならばどうすればいいか、こういうような角度にこの懇談会というものを生かさなければ意味ないと思うのです。でなければ、失礼な言い方ですけれども、大臣の寿命というのはそう長くないわけですから、いままでのそれぞれの――永井大臣は知りませんよ。しかし、少なくともいままでの文部大臣はね。文部大臣の任務が終わったならこれで終わりということでは私は困るので、こういう一つの物の考え方というものを提起されるなら、それが今後の日本の教育の政策の中に反映できるような方向性というものをぜひともひとつ大臣の時代に打ち立てておいて、それで官庁のいわゆるお役人のおえらいさん方もひとつ真剣にこの問題に取り組んでいただくように、ぜひとも文部省として取り組んでいただきたい、こう思うのですが、そこらあたりの大臣の御決意のほどをお聞かせ願いたいのです。
#177
○国務大臣(永井道雄君) どうも宮之原先生に非常に期待の言葉を言っていただきましてまことに感謝申し上げます。文部省の人も私以外多数出席しておりますが、あれは大臣の趣味だからといって冷ややかに言っている向きがあるというようなことが新聞に出たりもいたしますが、実は私は文部省の役所の方が文明懇談会に出たら非常にみんな感銘して、これで直ちに教育政策をやりましょうというようなことでは官僚として非常におかしいのではないかと思います。やはり官僚には官僚の立場があり、そしていろいろ考えがあるわけでございますから、私のやっていることに十分の批判を持つべきであり、また、文明懇談会の先生に対してもやはり官僚として生きてきた人生に基づいて毅然たる態度をもって批判すべきものは批判する、そういうものでなければ私は国民に対する奉仕の立場を徹することはできないと考えております。さような意味において、私にもどうも話がまだろっこくてああいうのは具体的政策に生かせませんねというふうに言ってくれた私たちの文部省の人もおりますが、むしろ、私は率直にそういう意見が出てくることを歓迎いたしております。しからばどこがまだるっこいのですかと私が言いますと、なるほどまだるっこいところもあるのでございます。これは学者の集まりですからそうでしょう。そういう姿で私たちは議論をいたしてまいりたいと思っております。
 ただ、終局の目的は、先生がおっしゃいましたように、具体的な日本の教育政策をよくしていきますことが私たちの務めでございますから、これを怠ってはならないと思います。そういう意味合いにおきましては、文明懇談会はもとよりのこと、国民各位の声に耳を傾けまして、私たちは文教行政を国民のための奉仕の立場において具体的にしていくということを理想とし、目的として生きるべきものと考えております。
#178
○宮之原貞光君 次に、具体的な問題に入りたいと思いますが、十五の春を泣かせるな、いまこういう言葉がはやっております。言うならば、第二期のベビーブーム時代に入ってきた。そういう中から、やはり高校の増設問題というのが非常に重要な政治的な課題になってきておるわけでございますが、この点、文部省はこの問題に対するところのどういう基本的な構想をお持ちなのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
#179
○政府委員(今村武俊君) 公立高等学校の生従がいま全国のある特定の都市で非常に急増しております。そして、その具体策についていろいろ問題がございますがために高等学校の不足が叫ばれており、文部省としても、あるいは政府としても、その対策に精力を使っておるところでございます。その概況についてまず申し上げ、対策について次に述べたいと思います。
#180
○宮之原貞光君 基本的なところだけでいいですから、時間がありませんから、簡単にひとつお願いします。
#181
○政府委員(今村武俊君) 今後、四十九年度から五十三年度までの五カ年の計画を都道府県教育委員会からとってみますと、三百三十余校を増設しなければならない計画になっております。このうち昭和五十年度に建築見込みの新設高校が百七十二校であります。この百七十二校に関する建物の経費を積算の基礎として、五十年度は三百億円の起債措置を講ずることにいたしました。昭和五十年度は一応これで都道府県の計画が実現できることと思い、一応は小康を得ておるわけでございますが、五十一年度以降の問題につきましては、単に高等学校の建物ということでなくて、高等学校制度の内容そのものにもわたる問題点を含んでおるように思いますので、五十一年度以降についてはまだ決定的なものを持っておりませんが、単に文部省でも管理局だけではなくて、初中局、管理局の連携の問題として、今後の問題として研究しなければならないと思っております。そういう状況でございます。
#182
○宮之原貞光君 だから、私は管理局長じゃなくて、本当は大臣あたりから一番、これは管理局だけじゃなくて、初中局にもわたる大きな基本的な問題だけにお答え願いたいと思っておったんですがね。たとえばこの問題は、御承知のように、大都会を中心とする人口急増地帯に特に大変な問題になっておるわけですね。これは最近いわゆる四大紙と言われるところの新聞が高校問題、いろんなものを特集をやっておるわけですね。その特集記事を見ましても、五十六年に予想されるところのものとして、四十八年に比べて埼玉の一・五二倍を筆頭に、神奈川の一・五、大阪の一・四三、千葉の一・三四等、十五府県がこれは大幅にふやさなきゃならないという状態になってきておるんです。東京の場合を見ましても、都教委は八十八校と、こう言っておりますけれども、高校組の皆さんのはじくところによると、百二十六校が五十八年までにはぜひ必要なんだと。こういうように非常に大きな問題が起きているんですよ。いまの管理局長のお話によりますと、五十年度は後からふえますけれども、三百億の起債で云々、これでまあ何とかなったと思いますという答えですけれども、いわゆる文教政策というのはその日暮らしでは私は困ると思うんです。しかも、もう子供がふえてきて、五年後にはもうこういうふうにふくれ上がるということは、これは目の前に見えておるわけですから、いまの高校進学率から言えば。少なくとも、将来に対する高校急増に対して文部省としてこうというやっぱりひとつの方向性、施策というものがないことには、これは私は全くどうにもならぬと思うんですがね。その点、再度聞きますけれども、五十一年以降も含めて大臣としてはどういうお考えですか。
#183
○国務大臣(永井道雄君) 五十一年度以降について考えておりますことは二つの面がございます。
 まず一つは、将来予測でございます。ただいま管理局長から申し上げましたのは、本年度の状況でございますが、今後五カ年間にわたりましての資料というものを各都道府県から資料を集めまして、そうして全体の将来予測を行っていくという作業を進めております。
 ただ、この場合にも、もう一つの面がございますのは、経済社会五カ年計画当時の経済社会の発展と学生人口の並行増加現象というものがございましたが、現在、経済社会五カ年計画それ自身が修正をこうむっております中で、果たしていま集まってまいります将来予測計画というものをそのまま考えていくことが妥当であるのか、あるいはもっと職業社会に早く出ていって学習する人口というものが増大することもあり得るのではないか。そういう側面についてのもう一つの要素、その情勢を十分に集める必要がありますので、その問題は、主として管理局におきまして、現在調査に基づいて将来予測の基礎的資料を集めていくということをやっております。
 他方、高等学校の普及に伴いまして、高等学校で学習していかれる方々が、いままでの指導要領ないしは教科書というようなものは必ずしも適当でない、もっと実情に合ったものにしたほうがよろしいという声もございますから、この問題は初中局におきまして、そういう問題というものを、これは教育課程審議会でも引き続き御検討願っておりますが、なお、実情をつまびらかにいたしますために、きょう付で視学委員を東京に二人設けましたが、しかしそれだけでは足りませんので、全国ブロック別に視学委員を設けました。きょう付で東京では海後宗臣先生と上田薫先生に視学委員になっていただきましたが、東京だけで全国の情勢を考えていくということは妥当でございませんと考えまして、全国をブロックに分けまして、ブロック別に視学委員を設けまして、そうして教育の現場の状況というものを調べていただきまして、それを文部省に集めてくる。そういう方法をとることによりまして高等学校の教育内容というものの検討の基礎的データを固めていく。したがいまして、先生御指摘のいわば人口増加、それから入れものの問題、それから他方では内容の問題、現状におきましては、その両方の材料がございませんと長期計画が立ちませんから、予算編成を目指して、現段階においてはその双方の情報を集めるためのチャネルを一応完成して進めている、そういうところであるということを御報告申し上げる次第でございます。
#184
○宮之原貞光君 なかなか慎重で結構ですと言いたいのですが、言えないのですよ。これは文部省のいままでの施策を見てみると、非常にイデオロギー的なやつは五年展望、十年展望と、与党から言われてどんどん先急ぐけれども、目に見えて明白なやつに対するところの手だてはきわめておそいのですよ。何も大臣が経済社会発展計画の長期計画を手直しされておるのだから、それを待たなければわからないと、こうおっしゃってみたって、進学率がいまよりも急速に低下するということはあり得ないのですよ、これはだれが考えたって。もういまや高等学校は普通教育になって、義務教育化ということまで論争にされておる時代なんですからね。そういうことを考えますれば、この問題も、私は何よりも先に文部省の具体的な手だてとしてやってもらわなければならぬことだと思うのですよ。
 現にあなた、人口急増地帯の中で、もう来年の高校を増設するために一番頭の悩みは用地の獲得の問題ですね。用地の取得をどうするかという問題さえもこれは非常に大きな問題で、すでに小学校、中学校の用地獲得の問題もここで議論されておるとおりです。したがって、こういうものに私は時間をかけなければならぬという理はないと思うのです。現在のままでいくとするならばすでにこれだけかかる、一応それを想定をする中で一つのやはり具体的なものを組み、予算要求を積極的にやっていくという、その施設に対してきわめて積極的な私は姿勢でなければ、この高校の急増対策問題ということはできないと思うのです。たとえば、先ほど管理局長は三百億の起債のワクを云々と言われた。けれども、地方自治体に言わすと、すでにことしでも二千億に広げてもらいたいという要求が出ておるのですよ。これは超過負担の問題とも関連をしますけれども、事ほどさように三百億やりましたらもう大丈夫ですと言わんばかりの話では、これは管理局長さん、これでは済みませんよ。これはあなた方は、高等学校はそれは府県の設置の責任だからと言って突っ放せば突っ放せるかもしれない。日本の教育の一つの一番基本的なものの施策の方向としているところの文部省が、この問題に対して私は余りにも冷淡過ぎると申し上げたい。もちろん文部省は大蔵省には弱いでしょう。弱いけれども、弱ければ弱いなりに、こういう文教委員会等に、実は高校の問題これだけ金がかかるんだと、皆さん方にも与野党にひとつ協力をしてもらいたいぐらいの積極的な私は意欲を見せてしかるべきだと思うんです。したがって、私はこういう点から見ますれば、どうもこの高校の急増対策に対しますところの、いま大臣がお答えになられたところの問題では、また間に合わなくなって、また来年、また十月ごろになってまたぞろこの問題を私どもやらなければならないという形になると思うんです。その点、もう少し急ぐような方策をやっていただくところの手だてというものに対するところのお考えはありませんか、意欲のほどは。
#185
○国務大臣(永井道雄君) いま私はこの二つの面を申し上げましたから、非常にまどろっこく聞こえたかもしれないのでございます。しかし、その一番初めの基本的な集計の問題は、これはもうきわめて早い時期にできるはずです。五カ年の予測計画というものができますので、その段階におきまして、その五カ年の見通しというものに基づいてどういう財政計画が立つか、これはしばらく時間をいただきたいですが、決して非常に先ということではございません。
#186
○宮之原貞光君 とにかく、これらの問題については、私は緊急の課題として文部省は積極的に急いでもらいたい。いま多くの新聞がこの高校の問題を取り上げているというのは、文部省がこれはまどろっこしいからですね。これはやっぱり世論の背景を受けてそれを急いでもらいたいということをこれは私は要求していることだと思うんですよ。たとえば、私学の問題について関連していっても、今日、私学問題と言うと、あたかも大学問題かのごときこの物の考え方、理解する人が多い。私は確かに、大学教育――高等教育に占めるところの私学の問題も後ほど触れたいと思いますけれども、私立高等学校に対するところのこの急増地帯におけるところの依存度というものもきわめて高いということは、皆さん御承知のとおりだと思うんです。これは四十九年度の文部省の基本調査を拝見いたしましても、私立高校への依存度は、東京では学校数で七八二一%、生徒数で六一・五%、京都で六一・四%、生徒数で四六・七%、神奈川で五一・六%、生徒数では四七・七%、大阪では三九・一%、四六・二%と、これだけもう私立の高等学校におんぶしなければどうにもならぬようになっている。今日のような状態になりますればなるほど、地方自治体の財政の硬直化を云々し、自治省からはまた、地方財政はけしからぬけしからぬというキャンペーンが張られる。こういう中では、もう高等学校に対して、公立の増設をするというこの資金、財源がないとするならばなるほど、私立高校に対するところの依存度というものは非常にかさむんですよ。それを八十億何がしの金を取ったんだからこれで満足なんだと思われたんでは、これはとんでもない話なんだ。したがって、私は高校急増対策の問題については、この私立学校に対するところの依存度が高けりゃ高いほど、これに対するところの手だてをどうするかという問題についても、十分なひとつ手だてを講じてもらわなければならないと思います。なお、はしょって申しますけれども、高校の施設の問題も、そういうような急増期であるだけに、非常に施設設備の方では、これは文部省の基準に示されたところ以下なんです。これは一番管理局長がおわかりだと思いますけれどもね。東京の例を挙げてみましても、いわゆる基準以下が普通科では六割、商業科では七・二、それから工業科では六・三と、こういうことです。校庭に至っては、なおはなはだしく基準以下なんですね。こういう施設設備という問題について、いわゆる条件整備という問題について、積極的に私は取り組むということが、とりもなおさず先ほど来問題になりましたところの日本の高等学校教育、一番かなめになっていくわけですからね。そこに対するところの十分な手だてもできなくなると思うのですがね。こういう問題等について、積極的に来年度の予算要求ではしようという意欲のほどがあれば、若干お聞かせ願いたい。
#187
○政府委員(今村武俊君) 諸般の事情は先生の仰せられるとおりでございますが、若干数字を言わしていただきます。
 私学の高校に依存する度合いが高いことも全くそのとおりでございます。ただ、国としては、八十億の国庫補助金をもってそれがすべてではございませんので、地方交付税の積算の基礎で、高等学校以下に対して六百八十六億円の経常費の補助金を考えておるということ、そして都道府県が主体となって高等学校以下の私学に助成をする、その都道府県間のアンバランスを調整するために八十億の国の補助金が計上されておる、これは一言添えて御説明申し上げておきたいと思います。
 それから各都道府県、と申しましても、今回の人口急増は、特に東京周辺、関西周辺の七、八の府県における特別な現象が目立っておるわけでございますが、今後、将来の五カ年にわたる土地購入費、それから学校の建築費それから教員の人件費その他物件費等集計をしてみますと、本当に大変な計数になってまいります。これが一方、国・地方を通ずる財政負担として考慮しなければならぬ。それからまた都道府県が計画を立てる場合に、中学から高等学校への進学率を九五%ないし九六%を目標にして考えておるということ。一方、特殊教育の該当者というのが四%弱だと言われておりますが、特殊教育学校に在学する者以外の者はほとんど全部高等学校に入るようになっているということ。この高等学校の教育の内容の質的な変化、こういうものがここ数年の間に、あるいは十年以内の間に急激に変化してきておりますので、その質的な変化に対応するためには、非常に異常な覚悟が重要でございますが、単にこれは物的側面からではなく、先ほど大臣が言われたように、両面から考えていかなければならない問題でございまして、近く来年度の予算編成に対しまして省議が連続開かれることになっておりますので、そういう席で、大変に重要な問題として討議されるべき課題になっておるわけでございます。
#188
○宮之原貞光君 お尋ねしたい点がたくさんありますので、はしょって先へ急ぎますけれども。
 今度はその高校教育のあり方の問題ですね。私は高校教育の問題の中で特に指摘をしておかなければならぬ問題点は、いわゆる学校格差とか、学力格差という問題から来るところの多くの弊害の問題だと思うのです。そこで、ことしもまた従来と同じように出てきたんですが、都立高校の合格者の五万九千五百十八人のうち、一二・六%に当たるところの七千六百九人の入学辞退者がことしも出ておるわけですね。一体、この問題を文部大臣はどう見ておられるかということなんです。これは昨年のちょうど三月のころでしたけれども、新聞に四十九年度のこの入学辞退者の七千百六十五人が大々的に報道されたときに、当時の自民党の橋本幹事長は、あれは過激な学生があの高校の卒業生に多いからだとか、あの学校の先生方が日教組に入っておるからああいうふうに辞退者が多いのだと、こういうようなまことに的外れな開き直ったものの言い方の談話を発表しておったことがあるんですよ。こういうようなものの見方では、私はこの問題の本質を見失うと思うのですが、その点大臣は、この問題をどう見ておられるんですか。
#189
○国務大臣(永井道雄君) 公立高校に合格してしかも辞退をしたという生徒の数が非常に多数に上りましたことは、昨年の大問題でございますが、これについて私が考えておりますことを申し上げますと、二点あると思います。
 一つは、これは先生も常々御指摘の点でございますが、わが国の受験体制というものは過熱化いたしておりまして、そしてやはり、いわゆる受験有名校というものができ上がってきている。しかも、そういうものは相当私学にございます。そういう関係から、いわゆる学区制の中で、その要求が満たされない人の場合に私学の方にかわっていくということが一つ非常に重要な問題でございますから、これはわが国の受験体制の過熱化との関連において考えなければならないことかと思います。
 もう一点は、そういう状況の中で学区の編成の仕方が果たして妥当かどうか、これは東京都の場合にもすでにずっと引き続き御検討中でありますけれども、かつて小尾教育長が御苦心になってつくられました学校群というものが持っておりますいろいろな問題、まだ結論が出ておりませんですけれども、この学校群の編成方式というものが結局のところ、いまの受験体制の状況の中で、せっかく公立学校に入ってきた人をとどめにくい、そういう条件を持っているのではなかろうかという、そういう角度からの御検討というものが進んでいると思いますが、私は、当然これは東京都の学校群の問題は東京都において御検討になるべきことと思いますが、より広い受験体制の方に関連いたしましては、私たち、文部省の方にさらに大きな責任があると考えておりますので、その二つの面というものをにらみ合わせながら、いま先生が御提起になりました入学辞退者の問題に対処しなければならないと考えております。
#190
○宮之原貞光君 私は確かに大臣からお答えをいただいたように、本質的な問題は、やはり学歴社会のもたらすところの一つの影響としてのこの受験体制にあると、もう一つは、学校群のあり方ということになると、これは言葉をかえて言えば、いわゆる高等学校の学校区の設定の問題に私は関連をしていくと見ておるんです。ですから、新聞を見る限り学校群をさらに細かく区に区分をしていくと、こういうようなものの構想のようですけれども、ただ、現在の東京の学校群を見てみますと、私は大学区制、中学区制、小学区制の学区制で見れば、大体中学区制ぐらいに当たっておるんじゃないだろうかと思うんです。けれども、都立の三鷹高校の例を見ますと、三多摩地区で一つの大きな区の中の一校なものですから、結局、学校群の中の有名校の三鷹高校に集中をするというような一つの大きな欠陥が出てきておるんです。東京はそうですけれども、今度は広島の例を見てみますと、広島はいわゆる大学区制なんですよ。全県下を三つに分けておる。したがって広島の高校進学率は、御承知のように九七・一%という全国でも一番高い進学率なんですけれども、結局、公立の普通科と家庭科の生徒の四万三千八百人のうちの一〇%の四千人が、通学時間が一時間以内で、あとは通学不能とか、寮生の生徒というのは相当数やっぱりおるわけなんですね。これなどは私は典型的に大学区制のもたらすところの弊害だと思うんですよ。たとえば広島県の福山、あそこに名門校の福山高校がありますね、藩校の。あそこのごときはもう広島の近くから来るという、そういう状態で、結局下宿をするか、寮に入らなければその学校に来られないという、私はここにまたいびつな問題がある。なるほどこの根本は何かというと、大臣さっきお答えになったとおり、受験万能主義、ここにあるんですけれども、しかしそこの根本を手直ししなければ、学区制の問題は再検討されぬのでは私は困ると思うんです。したがって、やはり今日の高校教育のあり方の問題点としての学区制という問題、この問題について、私は、それぞれの県の自主性に任せます、主体性に任せますと、いつまでも手をこまねいて待っているところの時代じゃないと思うんですが、その点どうお考えになりますか。
#191
○国務大臣(永井道雄君) 御指摘のように、東京、広島、いずれの場合につきましても非常に問題がございます。東京の方で申しますと、学校間の格差ではなく、むしろ群の間の格差というものが出てきたというのが第一点と思います。
 次に通学上の不便を感ずる者があるということ、あるいは先ほど申し上げたように志望する高校に進学できない、あるいは都立高校を入学辞退して私立に行く者、そこで、広島の場合も先生御指摘のように、全く大変な大学区でございますから、下宿している人がいるとか、それから、また特定有名校に集中するというふうな現象があるわけでございます。文部省は手をこまねいて待っていてはいけないのだと思いますか、ただし、いずれの場合におきましても、東京都の場合には、この六月をめどとして最終的な、六月中旬でございますが、協議会の最終報告が出てくるというふうに私たちは知らされております。しかもその場合に、いまのようなむずかしい問題に対しまして、全くいまの受験体制というものの激化を省みずに学校の学区制度を変える問題を考えていくというのでなくて、ずいぶん真剣に考えておられる、いわば前向きの取り組み方だと思います。東京都の場合には学校区を現在も縮小するという方向、そうして二番目には、学校間の格差是正、そういう方向を打ち出しておる、その二つの柱で制度の改善というものを御工夫になっているというふうに承っております。また、広島の場合につきましても、通学地域を狭める方向で考える。そうして学校選択の余地も失わないように配慮する。それから地域によって、通学区域と同時に選抜方式を考える。これも非常に前向きの方向と思いますが、それを五十一年度実施を目標にしておられるということでございますから、私たちが考えております基本的な方針、文部省が考えておりますのは非常に大きな大学区というのではなくて、中学区というものを指導している立場でございますので、私は各地域の自主性を重んじると申し上げましたが、だからどうやっても結構ですというのではございません。そうではなくて、むしろ中学区というふうな形、そうしていまありますものよりも狭めて、それぞれのところを、各区の中でも格差をなくして、充実をしていくという方向でございますから、そういう意味において自主性を重んじていく、それも相当先ではなくやっていくということでありますから、その線が妥当ではなかろうかという意味で申し上げたわけです。
#192
○宮之原貞光君 文部省の指導のあり方としては、私は小学区制とまで申しませんが、中学区制、その中学区制もできるだけやっぱり小さく分けて、それで、その学校の格差を是正していくという方向にやっぱり指導するところの考え方なんだと、こう理解してよろしゅうございますね。
#193
○国務大臣(永井道雄君) いまの先生のお言葉のとおりとお考えいただいていいと思います。
#194
○宮之原貞光君 次は、職業高校のあり方の問題ですがね。これまた五月十日付の新聞に出ておったのですが、愛知県のある県立水産学校のことしの春の卒業生の進路調書、百五十五人の卒業生中、漁船に乗ったのは三人だと、あとは商船に七人、それから、あとは曳船ですか、あれに一人。それで大体百人前後がこの学校と全然関係のない陸の上に上がっておるという一つの調査報告を報道しておったんでね。これ私はこの高校だけじゃなくて、今日の職業高校のあり方を示すやっぱり端的な一つの事例だと思います。したがって、私はやはりこの職業高校のあり方という問題はもう数年来叫ばれてきておるところの問題ですけれども、少なくとも、現在のような職業高校のあり方というものについてはもう抜本的なやっぱりメスを入れる必要があるんじゃないか。その一つは、大体もう入学するときで子供が余り入りたがらない好ましくないと思うところのやっぱり時代が始まっておるんですね。これはよく言われる富山の三・七体制の問題、事例だけじゃないですけどね。テストによって中学のころからもう仕分けをされて、それで大体商業あるいは農業とか、工業というような仕分けをされていく。あるいはまた入っていくと専攻の科目がもうすぐに決められる。それでもう工業科では専攻科目は百を超える。農業科でも五十近く、全体でよく言われておるように二百五十七もあるというこの小分科ですね。ここの問題。あるいは大学への進学をする場合に、いわゆる教育課程の問題と関連をして全然進学できないというこの袋小路の問題、非常に多くの問題点を持っておる。これらのやはり問題点が先ほど一つの事例として上げたところの事象を私は引き起こしておるところの大きな要因だと思うんです。政府としては、この職業高校のあり方、職業課程のあり方という問題について、どういう方向でこの問題についての是正の手だてをしようとお考えなのか、まず物の考え方をお聞かせ願いたい。
#195
○国務大臣(永井道雄君) 職業課程の問題は非常に重要な問題であるにもかかわらず、いま先生が御指摘のような諸問題が輩出していることは、これ私が改めて申し上げるまでもないところでございます。審議会におきましてもこの問題を引き続き検討してまいりまして、昨年まで出ましたところでは四つの問題点というものがあるわけでございます。一つは、学科を小さく分けてしまいますというと、いま先ほどの先生の事例もそうだと思いますが、非常に特定の技能というものに結びついてまいりますから、産業構造の変化に伴いましてより柔軟に対応していくということがむずかしいということ、つまり小学科にしては困るということ。二番目の問題は、基礎的な教育が重視されていなかったということ。三番目の問題といたしましては、実験、実習というふうなものがこれまで十分に重視されていなかったということ。最後の第四番目の問題といたしましては、いわば職業課程にまいりますというと、あるいは職業高校にまいりますと、袋小路になっていってしまいまして、大学に進んでいくときに大学の方の入り口の方がそういう人たちを受け入れないようになってしまっているという、いわば四つの問題点が指摘されております。
 そこで、この問題点というものを踏まえまして問題解決の方法というものを求めなければなりませんので、第二次の審議会ではこの四つの問題というものを掘り下げまして、その解決の方向というものを求めることの御審議をお願いすることになっておりますが、私たちの考え方も、この御審議の基本的な方向、以上申し上げました四点というものはきわめて重要であると考えますから、そうした方向に基づきまして行政にこの問題点の指摘と解決のあり方というものを生かさなければならないと考えております。
#196
○宮之原貞光君 その問題点は、私も大臣が指摘されたのは問題点として理解できるのですがね。もう私は初めから職業課程と普通科課程と入学時から載然とこう分けて、その真ん中の者がどうもやっぱり行き来できないというような、いまのやはり高校教育、この教育課程のあり方という点でもうメスを入れていいころじゃないかと思うのですよ。それで、少なくともこの共通の基礎教科ぐらいは一緒にして、あるいは、たとえば自分は専門科目としては農業とこう選んだけれども、どうもやってみてね、これはこっちの方、商業に移りたいとかなんとかという、ある程度この専門課程の間の行き交いもできるような、これはまあもちろん大学に行けばなおそういう問題もあるわけですけれどもね。もう高等学校も、言うならば、私は世の中にあるところの総合制高校とまで申しませんけれども、そこらあたりはやっぱりめどを目標にして、この言われておるところの問題点のよさを積極的にやはり取り入れていくという姿勢を示さない限り、この問題は私は改善できないという気がしておるのですがね。たとえば、先般の産業教育強化調査委員会ですか、ここでまあ一つの報告が出ておる。そうすると、ここではもう専門各教科を必要最小限度に精選をするということになっておる。言うならば、現在、たとえば、農業の教育課程の中でも四〇%はカットできるのだとかあるいは工業や商業の場合の三十六科目も二十四ぐらいの科目に減らすことができるのだということさえももう言っておるのですね。それならば、やはりこういうことも踏まえた中でやはり普通高校とやっぱり職業高校との接近を図る中で、もう少し有機的な高校教育というものができるようなやはり方向を私はもう積極的に検討する時期に来ておると思うのですが、その点いかがでしょうか。
#197
○国務大臣(永井道雄君) いまの問題について、教育課程審議会でも検討していることでございますので、政府委員の方からお答えさしていただきます。
#198
○説明員(奥田真丈君) 現在、教育課程審議会は小中高の教育課程の改善につきまして審議中でございますが、高等学校の教育課程につきましては、その審議の中でも一番大きな問題の一つに考えられております。現在までのところ、総会におきまして大所高所からいろいろな御意見が出ておりますが、いま先生御指摘のような御意見も審議の過程においては出ておりました。たとえば普通教育を主とする学科、つまり普通科でございますが、高等学校の普通科とそれから専門教育を主とする学科、つまり農工商水産等の職業関係の学科とございますが、そういう両学科の、まあ俗な言葉ですが、歩み寄りを検討すべきではなかろうかというような問題、あるいはまた、高等学校の生徒も普通・職業すべてにわたって共通に学ぶべき教科科目の内容等について、教育課程のいわゆる編成の仕方あるいはその教科科目の履修の仕方、こういうもの。さらにその際の単位の数、こういうものについてもより一層改善すべきである。あるいは教育の内容につきましても実習とか体験を非常に重視して、そういう体験学習ができるような教育内容あるいは学習活動を展開すべきである、こういうふうな意見がさまざまな角度から出ております。教育課程審議会といたしましては、全体的に小中高を通じた形において教科科目のあり方を検討いたしますとともに、さらに、職業教育に関する改善会議というものが別途持たれておりまして、そこでもっぱら職業教育の改善のあり方について検討されております。その内容は、ただいま大臣が申された内容が主要な観点でございますが、そういう点について検討がいま審議中でございますので、これが詰まってまいりましたならば、その教育課程審議会の方で職業教育の改善会議の方からの報告等を受けて総合的にこれからの高等学校教育の教育課程の改善の基本方向をまとめる、こういう段階になっております。
#199
○宮之原貞光君 いま奥田審議官から話がありました教育課程審議会ですね、新聞は、近くまあ総合的なまとめを行ってその後、課題別の小委員会でも具体的な作業に入るのだと、こういうふうに報じておるのですがね。いわゆるその最終答申の出る昭和五十一年秋ですか、まあ教科書が出るという五十五年までの間に大体どういう時期的なめどの中でこの問題は最終的なまとめに入るのですか。まず、日程的な問題を少しお聞かせを願いたい。
#200
○説明員(奥田真丈君) 教育課程審議会の今後の日程でございますが、ただいまのお話のように、総会で大所高所からの一般論が大体終わりまして、その中で特に重要な問題につきまして、さらに、専門的に少しく深く精細に審議する必要があるという問題が二、三ございますので、いまお話のように、課題別検討委員会というような専門委員会をこれから二、三カ月かけて、専門委員会でその課題について専門的に審議する予定になっております。その専門委員会の課題別の検討が終わりましたら、これを総合的に小学校段階、中学校段階、高等学校段階と、それぞれ学校段階別に全体の教育課程、教科科目につきまして、各学校種別の分科審議会で具体的な改善方策が審議されます。それが大体この秋ごろから始まると予定しております。そして各学校段階別の具体方針がまとまりまして、それがいわば教育課程審議会の答申案としてまとめられてくるのが恐らく来年のいまごろではなかろうかと思っております。そういうまとめができますと、これを答申案として中間発表いたしまして、一般の意見を広く聞きまして、その中間案に対する意見、改正意見、こういうものを十分に聞いた上で審議会として最終的には来年の秋に答申をする、こういうのが審議会の方の日程でございます。
 文部省の方はその答申を受けまして、直ちに学習指導要領の作成作業を文部省として実施いたします。これは大体小学校、中学校、高等学校、それぞれの学校種別に学習指導要領というものができておりますので、その作成作業にかかるわけでございますが、まずは小学校の方からかかりますと、それが一年ないし二年かかります。学習指導要領というものが告示されまして、今度は教科書の作成作業が起こるわけでございますが、教科書の編集、検定、採択は約三年かかります。そういう日程を見ますと、ただいまお話のように、昭和五十五年から新しい教科書を使って小学校の新教育課程の実施ということになるわけでございます。しかしながら、それまでまだ大分期間がございますし、さらにまた、学習指導要領というものが告示されてでき上がりますと、これに基づいて教科書はまだできてないけれども、現場の各学校における学習活動においては、改訂された教育課程の方向に向いて学習をすること、これは私ども移行措置と呼んでおりますが、スムーズに新教育課程に移らせるために準備期間を用意しております。それが大体小学校で申しますと五十三年ぐらいから――五十三年、四年、五年と三年間くらい準備期間を持ちまして、そして新しい教科書ができれば一勢に新教科書に移っていくと、こういう段取りになっておるわけでございます。したがいまして、五十五年から新教育課程で改善、改訂されるということにはなるんでございますが、現場の実際の学習におきましては、五十三年から新しい教育課程の方向に向いて、移行措置としてやはり学習が展開される、こういう段取りになっております。
#201
○宮之原貞光君 近く総合的なまとめが出ると言われておる教育課程審議会の審議されておるところの特徴的な問題点というものはいま説明できませんですか。詳細に述べてくださいとは申しませんが、たとえば、こういう点が問題になっておる、それはもちろん奥野前文相時代に答申の問題点は提起されておるわけですがね。ですけれども、その問題点に沿った非常に特徴的な問題点があったならばちょっといまお聞かせ願いたいのですが、現在の段階で。
#202
○説明員(奥田真丈君) 教育課程審議会に対します文部大臣の諮問の中に三つの大きな観点がございます。高等学校の教育内容、それから十二年間の一貫した教育内容、それからもう一つは、教育内容の精選、こういう大きな観点がございます。
 今後の教育課程の改善の中心的な課題もまさにその三つの方向から見られておりまして、どの教科も、たとえば国語にしろ数学にしろ社会科、理科等におきまして、十二年間一貫の教育内容構成をしようと、あるいはまた、その中に盛るべき事項は、基本的な事項あるいは基礎的な事項に徹底的に精選した内容を盛ろう、こういう方針はもう共通理解になっております。
 その方針に基づきまして各教科のあり方を検討、審議されておるわけでございますが、今日までその中でも特に学校段階ごとに見ますと、小学校の低学年の学習のあり方、あるいは低学年の教育課程、これにはいろいろな角度から、学校教育の基礎ではあるにかかわらず、現行の教育課程に問題点がある、これについて一層精細な審議を必要とすると、こういうような問題が一つあります。
 それからまた、中学段階におきましては、中学校の教育課程の編成の仕方で必修教科と選択教科というものが設けられておるわけでございますが、現実の学習実態をながめますと、職業に関する教科の選択というものはほとんど行われておらないような状態にありますので、必修教科と選択教科のあり方について一つ大きな問題として取り上げられておるわけでございます。
 中学校の教育課程は当然高等学校の教育課程と非常に連携がするわけでございますが、高等学校の教育内容につきましては、先ほど来問題になっておりますように、多くのほとんどの者が進学する状態にあるから、いままでのように一部の者あるいは選ばれた者だけの教育内容として置くのではなくして、全体的に見直して、そして必修教科として特に普通科、職業科を通じ、共通に必修すべき教科科目は何か、その内容はどういう程度、範囲を用意すればいいか、こういうことが中心問題となって審議されることになっております。それからまた、高等学校のそういう用意された教育内容、教科科目をどのように履修させていくかと、こういうことも大きな問題になっております。
#203
○宮之原貞光君 審議会がブロック別の懇談会をやっておりましたですね。その際に、たとえば指導要領の内容が非常に盛りだくさん過ぎるとか、とにかく授業日数の二百四十日というのは世界で一番多いんですから、これを西欧並みに二百日ぐらに減らせという声が圧倒的だということを報じておるんですが、そういう問題については、たとえば授業日数を思い切って減らして精選をするとか、これは共通の理解になっていませんですか、どうですか、そこらあたりは。
#204
○説明員(奥田真丈君) 授業時数につきましては、いまお話しのような観点からも再検討を要するということで審議会の重要課題になっております。ただいままで出ております御意見の中では、いまの授業時数を少しく学校にゆとりを持たせ、また、それぞれの学校でいろいろ地方の実情に応じて学習活動ができるように少しくゆとりを持たせる必要があるんじゃないかというような観点から、授業時数はいまよりも縮減したらいいんじゃないかと、こういう御意見が多く出ております。
 それからもう一つ答えさせていただきますが、地方のブロックの懇談会等におきましても、授業時数につきましては、いまのように縮減した方がいいんじゃないかという御意見もございます。しかしながら、また、それに対しまして、いまの授業時数でもっと中身を精選してしっかり学習を定着させた方がいいと、こういう御意見もございました。
#205
○宮之原貞光君 ただ、その授業日数を私は減らせという声が圧倒的だと理解しておるんですよ。ただ、それぞれの教科になると自分の教科エゴを出して、授業日数は減らせ、自分の教科だけはふやせという意見があるということは、それは一つの大きな矛盾点ですけれども、やっぱりあるということは私も理解していますけれども。いまの授業日数を絶対に確保しょうということぐらいの物の考えで、先ほど来問題になっておるところの教育内容の先生の詰め込みをやめようということの中からは、私はやっぱり教育の方向性というものは出てこないとこう思いますよ。
 もう一つ聞きますが、この教育内容の精選の一つの方向の問題として、小学校低学年をいわゆる読み、書きそろばんと申しますか、そういうものを主体にして、たとえば理科とか社会科というものを思い切って減らせ、廃止せよ。こういう意見があるんですよ。現に、全国の連合小学校長のアンケートにもそういう賛成が多いみたいですがね。こういう問題はみんなの大体のおおよその意見としてまとまっていませんか、どうですか。そこらあたりどうですか。
#206
○説明員(奥田真丈君) ただいまの問題は、先ほど申しました課題別検討委員会で、より専門的に精細に審議をされる予定にいまなっておりまして、いままで総会で出ております意見としては、たとえば低学年の社会科、理科の統廃合がいいという意見もございますし、また、やはり全人的教育を図っていくのには社会科、理科等を廃止してしまうということは望ましくない、こういうような意見が両論ある段階でございます。そういうわけで課題別検討委員会でより一層精細に審議する、こういう予定になっております。
#207
○宮之原貞光君 問題が審議会で議論されておる問題ですからね。それは余り中身をはっきりしてもらうように言ってみたって無理かと思いますがね。これ以上はもう申しませんけれども、これは大臣にお聞きしたいんですがね。三月十二日の新聞報道ですが、審議会が四人の教育学者の意見を三月十一日に会合があって聞いたようですね。その中でお一人を除く他の三人が異口同音に現在の指導要領は拘束性がきわめて強いと、もう少しこの問題について現場教師を信頼をして自由裁量の幅をうんと広げたらどうかと、こういう意見が四人のうちの三人から、いわゆる教育学者として在野の審議会のメンバーでない皆さんから出た。私は、これは正論だと思うんですよ。また言われている、指摘されておったところの問題点ですがね。この問題について大臣としては、これは少なくとも審議会の問題じゃなくて政策の問題としてのやはり大臣として、どうこの点をお考えになりますか。
#208
○国務大臣(永井道雄君) 拘束性が強いというふうな問題は、それは三月十何日かの四人の先生のうち、お三人が指摘されたのは、先生の御指摘のとおりでございます。これは私は見方として次のような観点も大事だと思います。指導要領というのはいわばかなり基本的な問題を示しておりますから、したがいまして、それを現場で生かしていくという場合に、いわば批判的活用というような角度がやはり出てくることが、私は望ましいと思いますんですけれども、しかしながら他方において、やはりまた基準というものがあるということが、この全国の日本の教育を高めていく上では望ましいんではないか。そこで基準を示すとすぐそれが拘束的になってしまうということでは、それは非常に困るわけで、基準があると同時に批判的活用というものがうまくそれと結合していくことが望ましい。ただいま先生がお挙げになりました四人の先生のうちの一人である上田薫先生に、きょうから視学委員をやっていただきますが、上田先生にも以上のような指導要領の生かし方などの問題について、われわれ教育行政に携わっております者に対して、どういうふうな形で基準というものを重んじながら、しかも各教室においてそれを活用していくかということについて、いろいろな角度から現場の観察、そして経験に基づいて、どうやっていくかということについて教えていただきながら進んでいきたいと思っているわけです。
#209
○宮之原貞光君 私は、この問題も今度の教育課程が全面的に改定されるところの段階の中で、もう一回やっぱり検討してみる必要があると思うんです。これはもう大臣も御承知のように、従来、三十二、三年までは指導要領案であったわけなんです。ガイダンスですね。それを当時のいろいろな政治情勢も反映したでしょう。それはもうとっちゃって非常な拘束性を強めている。拘束性が強いという人とそうでないという人もおるのですけれども、これは上層部はそう思ったって、下の方はそう思わぬのですから、拳拳服膺していますよ。はしの上げおろしまでですよ。しかもそれに基づいて教科書がたくさん、盛りだくさんのものがつくられている。教科書もそれは先生の裁量権があるのだというけれども、これだけ受験競争が激しければ、教科書のどこから出るかわからぬだけに、その教科書をみんなやっぱり教えるんですよ、これ、自然に。そういうやはり非常な悪循環を来しているんですよ。私は一つの基準というものは全廃せよとは申しません。しかしながらやはり大枠だけを決めて、これは一つ自主的にここのところは裁量を働かして生き生きとした教育をやると。ここのところにメスを入れないでおって、私はこの問題はこのままにしておいて、幾ら教育課程審議会で下の意見を聞いたといって簡素化をし、精選をしてみたって、いまの問題の抜本的な解決はできないと思うのです。したがって、これは大臣、直ちに答えてもらいたいとも申しませんけれども、十分ひとつ意にとめて、この問題については真剣に検討してもらいたいと、こう思います。その点は検討するのはよろしゅうございますね。
#210
○国務大臣(永井道雄君) 十分に検討すべき問題だと思っております。
#211
○宮之原貞光君 次は、大学関係の二、三の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、これはこの大学関係の問題と関連をした、いわゆる先ほど来申し上げたところの受験教育態勢、この問題の根本は、私のこれは持論でもあるんですけれども、学歴社会の問題が一番ネックになっておるということは御存知のとおりです。しかも、この点は、大臣も在野時代から指摘し、いまでもそれを強調されているんですがね。私は、ここであえてお尋ねしたい点は、その永井さんを任命されたところの三木さんの物の考え方が、私はどうも腑に落ちないんですね。これはこの間の予算委員会のところの問答を、大臣もそばでお聞きになられたと思う。いわゆるこの学歴社会の問題について、依然として御自分のことしか考えない。私は私学の出身ですから、私学の人は初めから官庁などには入りませんよ。官僚には魅力がありません。したがって、いまの言われておるところの官庁の学歴社会という一つの指摘されたところの問題点は、あれは能力主義なんだから、力があって入ったんだんだから仕方がないんですと、こういうやはり物の考え方なんです。
  〔委員長退席、理事久保田藤麿君着席〕
これでは一国の総理として、今日の御自分のそれは物の考え方で、自分として初めから民間を選ばれたとか、政治家を選ばれたというのはわかります。しかしながら、少なくとも、永井文部大臣が幾らわらじがけで、いわゆる民間の会社に行って、学歴社会というものについて打開するところの方途をやってくれとこう言われても、それだけでは私は困る。同時にやはり今日の官僚機構の中の、東大をピラミッドにしたところのこのやはり学歴社会体制というものにメスを入れない限り、この問題に対するところの抜本的な私は手だてというものは出てこないと思う。けれども三木さんは依然としてそういうものの考え方。この点は、前の田中さんの時代とまさに百八十度違う物の考え方。その点、私はこの間の三木さんの私の質問に対しての答弁を聞いてがっかりしたんですが、大臣どうですか、それは言いにくいかもしれぬですがね。これちょっと私はやっぱり三木さんは、物の観点を間違っておるんじゃないだろうかと思いますが、いかがですか。
#212
○国務大臣(永井道雄君) 別に言いにくくないんでございます。三木総理大臣は私学を出られた。そして明治大学でありますが、そういう明治大学とかあるいは早稲田とか慶応とか、非常にはつらつとした私学の時代の方であります。そして政界に出られましたが、そうでない人もいろいろおり、やはり私は当時の日本の私学というのは、非常にはつらつとしていたものだと思います。その信念に基づいて生きてこられた方の一人でありますから、やはりそういう伝統というものを後の世代に伝えたいという意味において自分は私学出だと。しかし、いわゆる官尊民卑の事大主義をとらなかったということを言われることは、
  〔理事久保田藤麿君退席、委員長着席〕
非常に意味があると思います。ただ、私がそれとまた同じ考えをとるかといいますと、そういうことも非常に意味があると思いますが、それだけで足りないというのが現状だと思います。そこで、問題はどうなるかということになりますと、先生御指摘のように確かに企業だけに話すのでは足りませんので、官庁においても公平の原則というものはきわめて重要でありまして、そこで東大出でない人の方が何らかの公平でない原則によって右利になってしまうということがあってはならないと思います。しかし、公平の原則に基づいてどこを出ている人も本当に力を生かし得るように私はなっていかなきゃならないと思います。また、先々週になりますけれども、労働省と文部省と連絡会議をいたしまして、今後のブルーカラー、ホワイトカラーの問題に関連いたしまして、労働省の方もいままでホワイトカラー、ブルーカラーとの間に学歴並びに賃金格差がきわめて顕著でございますけれども、そういうものを是正していきたい、そしてそれを学校教育の今後のあり方と関連していきたいということでありましたので、私たちも全くその点は同じ考えでありますから、いまの学歴主義に対応してまいります上には、三木総理のような御年輩の方が、かつて自分たちが信じてきたそして自分らの私学の時代の信念というものをやはり若い世代に伝えようと思って努力されることも大事である、その方たちが自分らは誇りなき人生であるというようなことを言ったのでは非常に困るのでありまして、私はやはりその信念は貫いてほしいんですが、他方、われわれやや若い世代に属します者は、現代の構造の中で企業、官庁あるいはブルーカラー、ホワイトカラー、そうした問題全体を踏まえまして、そして社会における学歴主義偏重、そういう方向というものを打開しながら学校教育の方向を変えていかなきゃいけない、かように考えております。
#213
○宮之原貞光君 私は、いま大臣が指摘されたように、総理がどう否定をしようとも、日本の社会体制が今日では東大を頂点とした典型的な学歴社会であるということ、これは否定できないと思うんです。私は、そこからいわゆる東大解閥論というものが出てきておる。ナショナルの松下さん、ソニーの盛田さんあるいは亡くなられたところの川端康成さん、こういう財界あるいは有識者の多くの中から解体論が出ておるんです。これはそのねらいはまた松下さんのは一風変わったものですから、いろんな独特のものがあると思いますけれども、少なくとも、やはり私は東京大学のいわゆる学問研究のレベルを低めようと言っているんじゃない、しかしながら、東大を出なければ高い地位にいけない、すべてが東大へ東大へという物の考え方の今日の学校、高等教育体制というものは思い切ってメスを入れる必要がある、こう思っておるし、またいろんな、大臣がよくテレビ等で言う富士山よりも八ケ岳をというのもねらいはそこにあるんじゃないだろうかと、こう見ておるんですが、したがって、これは先般の新聞にも出ておったんですが、いまのようなものをやはり一つ一つ政策の中に生かしていく必要がある。とするならば、今後の日本の高等教育のあり方の問題についてのこの大学の格差是正と申しますか、東大中心というか、その頂点主義というものには相当思い切ったてこを入れる必要があると思いますが、それはもちろん抵抗もあると思いますけれども、私はいまの永井さんの時代にこそこの問題を手がけるべきだとこう思うんですが、その点について何か物の考え方があればまずお聞かせ願いたいと思います。
#214
○国務大臣(永井道雄君) ただいま宮之原先生の御指摘にありました東大を偏重する傾向というものをどうしていくか、これはもちろん社会における問題が一つでありますが、大学改革の中においても生かしていきたいと思っております。ただ、ここで誤解がないためにまず最初にお断りしておきたいことは、大学改革を行っていく場合に、われわれ文部省としても当然いろいろな施策を必要といたしますが、同時に、大学それ自体における改革の意欲御努力、そうしたものを尊重しながらわれわれは大学改革というものを進めていく考えでございます。さて東大とか京大とか、そういう日本の主要都市における主要大学との問題に関連して考えておりますことは、やはり地方大学の整備充実の問題でございます。現在わが国の人口の上では二〇%を占めております大都市における高等教育機関の数を申しますというと、高等教育機関の方が四〇%でございまして、人口二〇%のところに四〇%が集中しておりますから、そういう状況というものはどう考えても変えていかなければならない。そこでどうするかといいますと、やはり地方大学というものを拡充するということが一つの重要な方向であるとわれわれは考えております。そこでわずかでございますけれども、昭和五十年度の入学定員の増員措置について、東京都について見ますというと、東京は減っておりますが、その他の地域では二千百三十五人ふえている。こういう方向は各大学においてもだんだん考えておりますし、また、文部省がお願いいたしております高等教育懇談会あるいは大学院問題懇談会においても考えておられますので、こういう方向を強めていくというのが富士山よりも八ケ岳の一つの考え方でございます。しかし、他方、それだけではもちろん足りませんから国連大学という問題、これは国際的な問題でございまして、大変時間がかかりますけれども、これは重要施策といたしまして各党すべての御協力をいただいており、ますけれども、この九月から東京に本格的な本部をつくりまして、これを将来は日本における重要な大学、まあ世界的にも重要でございますが、そういう大学にしていくということでございます。
 また、私学につきまして、私学全体の財政的基盤というものを強化することが大事であることは申すまでもございませんが、しかし、他方におきまして、非常に特色のある私学というものを何とかして強化したいという考えがあるわけでございまして、先ほど先生が御引用になりました上智大学の場合にも、必要でございましたらその詳細について御披露申し上げますが、上智大学がきわめて特色ある教育を行っているということを私たち判断いたしまして、上智大学につきましては他の大学にないような姿のその特殊性を助長するそういう補助を行っている。したがいまして、まだ八ケ岳はできておりませんけれども、小さな二つ、三つの峰は少しずつでき上がりつつある。こういう方向というものを強化していきますことによりまして、最終的にはわが国に幾つかの峰というものがあり、また、そこに特色があって、若い人たちが生きがいを持っていろいろな大学に行き、また、そこで誇りを持って学習をしていくというふうにしなければならないと考えているわけでございます。
#215
○宮之原貞光君 なかなかそれは大臣としてはそつのない答弁ですけれども、私がお尋ねしておるのは、そういう一般論に埋没させるんじゃなくて、ちょっとあなた予算の面でもそうでしょうが、たとえば四十八年度の決算を見ても、国立大学でも、四千八百二十億のうち三百九十億が東大、二百三十億が京都だという予算の投入の仕方を見たって、これは何といっても東大拠点主義ですよ。いまの局長さんの中では、みんな東大ですから、木田さんだけが京都でしょうが。まあ、もちろんそれだけの理由からじゃないんだけれども、とにかく東大へたくさんつければいいというこの物の考え方から変えていかなければ私はおかしいと思うんですよ、やるとするならば。なるほど大臣の言われた私立大学云々もよろしい。しかし、それならば、いわゆる来年の構想の中から、そういう頂点的な物の考え方でないとするならば、いわゆる地方大学の拠点になるような特色のあるところの大学に予算を重点的に配分するぐらいの思い切ったやはり施策というものをやらない限りは、私は、この問題はまた百年たっても同じことになると思う。それぐらいの強い積極的な意欲を大臣はお持ちでしょうか、どうでしょうか。ここのところを私はお尋ねしているのです。どんなものでしょう。
#216
○国務大臣(永井道雄君) 東大解体論という議論がございますが、私はこれはとりません。しかしながら、東大に対して、ないしは京都大学、これは実は私は両方ともいままでおりました旧職員でございますけれども、しかしながら、そういう大学における重要な研究、これは尊重していかなければいけませんが、しかし、今後そういうものを拡大していく方向ではない、解体という意味ではございませんが、拡大していく方向ではないということは申し上げてよいと思います。しからば具体的にほかのことはどうかということでありますが、私はこれは非常な方向転換が必要だとおっしゃいますが、なかなか簡単に全体の方向が変わるということではなく、ちりも積もれば山となると申しますが、実はわが国の東大頂点の学校教育体制もちりも積もれば山となったわけでございますから、今後私たちは根気よく努力していかなければならないと思います。
 地方大学について申しますと、広島大学は総合科学部を設置いたしまして、そして非常に特色ある一般教育をやっておりますから、これを私たちはぜひ助けていきたい。また、北海道大学は法学部の再編成をやっておりますから、これも私たちは重視していきたい。大阪大学は言語文化部、名古屋大学は語学センターをつくっておりますから、こういうものはきわめて重要なものと考えていきたい。東京工業大学において総合理工学研究科ができましたから、こういうものを予算の側面を含めまして重視していきたいという考えでございます。また、上智大学のことを具体的に申しますというと、実はこれは先生方にもぜひ御理解願いたい点でありますが、あそこに外国人の神父さんが百二十人おります。そして、それらの方は二十四カ国から見えているわけです。さらにまた、外国人学生が千人おります。それは五十カ国から来ております。そうして、その国々が社会主義、資本主義あるいは高度工業化あるいは開発途上の別を問わぬ世界各国から見えているわけでありますが、そういう中で、日本の学生諸君が非常に重要な経験を持って勉強しておりますが、実を申しますと、その百二十人の神父様方は妻子を持っておられませんので、毎月自分の給料の約半分を大学に寄付しておられるわけであります。その寄付の総額は、昨年度の会計年度では年額二億円になりました。その二億円によって上智大学が改善されてきたというのが実情であります。私は、日本が高度工業国家であり、GNPの面におきましても世界的に相当高い場所にあるといいますのに、なおかつ外人の寄付によって特色ある教育というものが改善されているという段階はすでに過ぎてしかるべきものであると考えましたから、そうした大学については全くいままでの寄付に値しますものについては文部省が積極的に補助をする。そして、特殊的な、特殊性を持った教育を強めていただくということをもうすでに決定をいたしました。
 そこで、そうなって一体東大がどうなるのかという、この教育の問題につきましては、それは本四架橋のようなふうに一つのことをやれば明日結果が出るというわけのものではないので、そこに一つのむずかしさはあると思いますけれども、私は根気よくわれわれとして努力をいたしまして、そしてわが国のいろいろな場所に、わが国民には大変な実力がございますから、その特殊性というものを生かすために根気よく努力をいたしていきますならば、必ずや多様な峰をつくることができる。それを一挙に本当に変えてみせるというようなことができませんのは残念でございますが、しかし、他面考えますのに、また、そうしたことはかえって弊害を伴うこともあり得るのでございます。でありますから、私としては、着実にそうした特殊性あるいは地方大学の強化、そうしたものを重んじて、具体的に変えていくということで、決して先ほどから申し上げていたことは一般的な方針ということだけを申し上げていたのではないということはここでぜひ御理解願いたいと考えております。
#217
○宮之原貞光君 地方大学を充実をしていくというのは原則的に賛成ですが、そのことと大臣が在野時代に書かれた大学公社論とはどういう形になりましょうか、いまのと組み合わせて考えてみた場合に。ちょっと所見を伺いたい。
#218
○国務大臣(永井道雄君) 実は私、大学公社論というものを考えましたのは、大学をもっと開放的にしていって大学の先生方だけが大学を運営するのではなくて、社会の声も取り入れるということが一つ。それからもう一つは、経営上もっと責任を持って、そして弾力的に経営をしていく、それから長期計画を自分自身の力で持つというようなこと、そういうことを眼目といたしたわけでございます。
 実を申しますと、それとほぼ同じ案が中教審答申の一部にも取り入れられまして、さらに、民社党もほぼ同じ案を提案されました。それからほぼ四、五年を経ているのでございますけれども、この案というものを検討したことがいろいろな場面であるのでありますけれども、どうも実ってきていないというわけでございますから、いま私は、この地方大学などをつくり上げる上で必ずしも大学公社案という前の考えにこだわってやっているわけではありません。しかし、前のような形で大学の構造というものを引き続き考えていくことは大事であると思っておりますから、今後私の議論のどこが足りなかったかということは勉強したいと思っておりますが、地方大学の充実というところでは必ずしも大学公社案と結びつけては考えておりません。
#219
○宮之原貞光君 私も公社論の地方住民に大学を開放する、こういう基本的な考えは結構だと思う。しかし、私に端的に言わしめれば、大臣がわかりやすい言葉でいわゆるパ・リーグとセ・リーグとか、あるいは新幹線と在来線というような言葉を使われて、別個の構想で大学を、今度新しいイメージによるところの大学を地方につくっていくのだという、これは田中さん時代の、あの人のあの列島改造論の中でははやったかもしれませんけれども、いまのような中では、私はちょっとこれは構想が実際的じゃないと思うんです、物の基本的な考えは同じにしても。それだけに、私は現在をするところの地方大学をどのようにしてやはり充実をさせていくか。いわゆる駅弁大学といわれるぐらい大学の数は多いのですから、これをやっぱり相当充実するという視点がとられるべきだと、こう思うんです。その場合に、ただ画一的ないわゆる地方大学の充実論でいいのかどうかということについては私も疑問を持つのです。
 たとえば、四十九年度の都道府県の高等教育の進学状況を見ると、東京が五九・五%で最高、最低は青森の一八%。同年度の進学者の県外流出率は滋賀が九四・一%です。それで最低は東京の一九・六%。同年度の学生の地域分布を見ると東京地区が四二・六%、京阪地区が一六・九%。また、同年度の専門分野の学部の分布状況を見ますと、教育学部以外は非常なアンバラが出ている。こういうような状況ですけれども、私はやはり地方大学の充実といった場合に、それぞれ、ただ総合大学にみんなすればいいんだと、そういう考え方ではどうだろうか、そういう考え方では問題があるんじゃないだろうか。この点は、現に清水義弘さんの著書あたりもこの問題には疑問を出して、います。少なくとも、それぞれのやはり地域の特色のある大学で、農業ならたとえば鳥取の大学に行けばこれはやっぱり最高のものがそこで勉強できるとか、あるいはそのうちの林業がどうだというような、何も私は戦前のそれぞれの高等専門学校の例を言うわけじゃないですけれども、少なくとも、やはり地方の大学にもそれぞれの特色を持たせたところの大学をつくり上げていくということこそが、いま申し上げたところの学生の分布状態を変え、県から流出をしていくという人間を防ぎ、あるいは各県間の学生の交流というものがやはりできていくところの問題点になるんで、そこらの問題はやっぱり十分踏まえて検討するところの問題点じゃなきゃならないと、こう考えているんですが、その点、大臣の考えがあればお聞かせ願いたいと思う。
#220
○国務大臣(永井道雄君) この点、具体的に大学局長から御答弁申し上げます。
#221
○政府委員(井内慶次郎君) ただいま宮之原先生から府県別の高等教育への進学率の御指摘もございましたが、高等教育に進学します子供たちの出身高校別に府県別の進学率を見ますと、五割以上から二割弱までのそこに差がございます。ただいま御指摘になりましたような府県別に見ました進学率の状況、また府県別、ブロック別に見ました専攻分野の構成の状況、こういったものを特に今回各国立大学にも具体的な計数をつけて全部示しまして、各大学の方で明年度以降の予算を、予算と申しましょうか、明年度以降の各国立大学の計画を練ってまいります際にも、ただいま申し上げましたような計数を具体に踏まえて、各大学がそれぞれの特色を出し得るような案を検討してほしい。その際は、各大学個々だけでは足らないかと思いますので、大学相互間が学部ごとにやはり相互にプランを練り合うということも必要であろうということも特に注意をいたしまして、各大学の方で目下検討を始めていただこうとしているところでございます。
 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、地方国立大学の整備充実の問題は、幾つかの計数なり、幾つかの方針を文部省から示して、それを大学の方に提供し、大学の方で具体にそれを検討して文部省の方に持っていき、そういう行き来を相当やりながら具体的な案を練り上げてまいりたい、そういうことでただいま仕事を展開しているところでございます。
#222
○宮之原貞光君 時間の制約がありますから先へ急ぎます。
 大学臨時措置法の問題です。先般、予算委員会で私が質問したときには現在検討中ですというかつこうで逃げられておる。ところが五月四日の各新聞を見ると、政府は延長もせず、あるいはまた継続も、新法に基づくところのものもしないで、そのままもうやりっ放すんだと、こういう方針であると報じられている。これは私は非常に問題があると思うんですよ。去年の衆議院本会議では、これは大臣ですか、「通常国会では何らかの法的措置をします。」と、こうお答えになっている。これをそうやっておいてそのままやりっ放しておいて、今度はそのまま置いておくんだというのは、私はこれは無責任きわまる話だと言わなきゃならぬと思う。これは一体どうなっているのか。これは大臣ですね。
#223
○国務大臣(永井道雄君) ただいま宮之原先生御指摘のように、私がこの問題は検討して結論を出したいというふうに予算委員会で申し上げました。きわめて遺憾でありますけれども、なお、検討中であります。それは、わが国の大学の事情、それからまた大学をめぐる暴力の事情、そうした問題がきわめて慎重に考えるべき諸側面を持っておりますから、そうした意味合いにおいて、引き続き検討させていただいている次第でございます。
#224
○宮之原貞光君 きわめていまの答弁、私はひきょうだと思うんですよ。いわゆるあの立法当時あれだけ騒がせた、しかも、そのときの説明は、五年間のこれは時限立法なんですと、くどいほど政府・自民党は国民に宣伝しておったじゃありませんか。ところが検討中、検討中で、去年の八月で切れたものがもうずっとそのまま生きておると称しておるんでしょう、あなた方の解釈は。言うならば、附則の中に「廃止するものとする。」というのは、あれは訓示規定なんだから、したがって、政府が廃止すると言わない限りいつまでも長い間生きておるんだと。これは私は国民をあざむく三百代言だと言われてもしようがないと思うんですよ。それをそのままにしておいて検討中だ検討中だと。あの法案が必要ですと言うならまだ話もまたわかる。それならそれで出しなさいと私どもは言う。生かしも殺しもしないと言いながら、この中身は、これは効果を生じておるんですという物の言い方なんでしょう。こういうことでいつまでも逃れるつもりですか、どうされます。検討中だということだって、あの法律が生きておるということなんでしょう、あなた方の解釈では。どこを押せば現在生きておるという解釈が出てくるんですか。これはだれですか、大学局長ですか。
#225
○政府委員(井内慶次郎君) 臨時措置法につきましては、御指摘のように附則で「五年以内に廃止するものとする。」という規定に相なっております。したがいまして、五年以内に廃止するということに向かってのいろいろな法的な措置をどう講ずるかということが伴うわけでございますが、「廃止するものとする。」という規定だけによって法律は廃止にならないで、法律の廃止そのものには廃止法をやはり制定しなければならない。法律の理解、法律の附則の読み方といたしましてはただいまのようなことでございます。
 ただ、法におきまして、現行の附則におきまして「五年以内に廃止するものとする。」とされている以上は、何らかの措置をとるべく引き続き政府としても鋭意検討いたしておると、こういうことでございます。
#226
○宮之原貞光君 これぐらい私は国民をばかにするものはないと思うんですよ。ことしの八月で切れるから検討中でありますというなら世の中はわかるんですよ。もうあなた、去年の八月で切れておるんでしょうが。それをまだ検討中だ、検討中でございますと、一年近くたってもまだそのまま逃げておる。私は、あの立法当時あれだけ国民にこれは五年の時限立法だと言ったのは、全くこれはごまかしだということをあなた方ははっきり国民の前に言い切れますか。このことが一番、また、これは問題は元返りますけれども、文部行政と申しますか、本質的な体質というのは直らないということなんですよ。これは例の地教委の内申問題と同じです。あの当時は予想もしなかった、立法当時は予想もしなかったんだ、しかしながら、その後異常な事態ができたからといって御自分の都合のいいように法律解釈を広げて妙な全くおかしな通達を出す。あれは幾らあなた方ががんばったって裁判では負けるやつです。そういうのを出して、それと大体似たような姿勢じゃありませんか。それなら念のために聞いておきますが、今後いろいろな議員立法やいろいろな問題が出てくるときに、たとえば「五年以内に何々するものとする。」というものは、みんなこれはしり抜けの規定ですか、そういうことの解釈ですか、その点、念のために聞いておきます。
#227
○政府委員(井内慶次郎君) 先ほど大臣からもただいま検討中と申し上げましたのは、「五年以内に廃止するものとする。」という現行臨時措置法が制定され、現行臨時措置法の規定の趣旨を踏まえながらあくまでも今日の時点でどう対応すべきかということを検討中ということでございまして、「廃止するものとする。」という規定の持っておる意味は十二分に踏まえながらやってまいるべき事柄と存じます。したがいまして、「廃止するものとする。」ということ、あるいは「何々するものとする。」一という法律の規定は、政府といたしましては、あくまでもその趣旨は最大限尊重しながらやってまいる事柄と存じます。
#228
○宮之原貞光君 これはあなた先ほどから言うように一年になっておるんだから私はくどく言うんですよ。一、二カ月ならまだ話はわかるんですよ。それをあなた十二分に踏まえたって、だれがこれ常識的に考えてなりますかね。これはおたくはより高次なところの、政党からひもをつけられておるので答えにくいかもしれぬけれども、こういうものは筋通しなさいよ。延長するなら延長するらしく、やめるならやめるらしくしなさいよ。ここのところがあなた方毅然と言えたら、私は文部省のお役人もえらいんだと敬意を表しますよ。こういうものはやっぱりきちんと言ってもらいたいんだよ。だから私は先ほど念のためにと言ったが、それならもう一問聞きますよ。恐らく衆議院にも法案があるそうだけれども、「何とかするものとする。」という附則のついたものがあるそうだけれども、これ絶対認めませんからね。それだけは申し上げておきます。こういうインチキきわまるものを出して、われわれ国会を、あるいは国民をごまかすようなことだけはやってもらいたくない。それだけはもう明確に申し上げておきますよ。
 なお、大学問題にかかわるところの問題では、このほかたくさんこれは議論をしなきゃならぬ問題があります。教員養成大学の問題、入試改善の問題と、たくさんありますけれども、時間の関係もありますので、これらは次の機会に譲りたいと思いますが、特にこれは委員長にお願いしておきたいのは、例の大学入試の改善問題ですね。これはこの間、ちょこっと人を呼んできて、委員長私案というのを何かまとめていますけれどもね。そういうことじゃなくして、私は自由討議とは申しませんけれどもね、お互いがこれを議題にして議論をし合うところの場をやはりこの問題をつくっていただきたいと、これだけを申し上げておきたい。
 なお、きょうは私の持ち時間からすればまだあるんですけれども、実は人確法に伴うところの給与問題を私はひとつ大きな課題にしておりましたけれども、人事院総裁が折あしく病気で入院の手前だと聞きましたので、先般の予算委員会でも人事院総裁は私の質問のときに病気されておるので、これはどうしてもやっぱり人事院総裁でなきゃぐあいが悪いので、この質問だけは保留して、一応きょうのところは私の質問は終わります。
#229
○委員長(内藤誉三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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