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#1
第075回国会 文教委員会 第16号
昭和五十年六月二十四日(火曜日)
   午前十時四十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤誉三郎君
    理 事
                有田 一寿君
                久保田藤麿君
                久保  亘君
                加藤  進君
    委 員
                高橋 誉冨君
                藤井 丙午君
                最上  進君
                粕谷 照美君
                鈴木美枝子君
                宮之原貞光君
                内田 善利君
                小巻 敏雄君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部大臣官房長  清水 成之君
       文部省初等中等
       教育局長     安嶋  彌君
       文部省大学局長  井内慶次郎君
       文部省社会教育
       局長       安養寺重夫君
       文部省体育局長  諸沢 正道君
       文部省管理局長  今村 武俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       警察庁警備局公
       安第三課長    柴田 善憲君
       文部省初等中等
       教育局審議官   奥田 真丈君
       通商産業省基礎
       産業局基礎化学
       品課長      石原 純徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (当面の文教行政に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○内田善利君 せんだっての当委員会で、わが党の矢原委員からリジンの問題についてその安全性を問う質問があったわけですが、この問題について、せんだっての委員会では、まだ安全性が確立されてないと、厚生省の方でもまだ検討中であると、こういう答弁があったわけですが、ところが二十日の日に文部省としては安全であるという結論を出されて、各県の教育委員会に通知をなさっておりますが、私はこの点につきまして、この安全性の問題について二、三質問をしてから本論に入っていきたいと、このように思います。
 この問題は非常に大事な問題だと思うんですね。子供たちの成長を促進しなきゃならないという立場と安全であるか安全でないか、そういった食品添加物を果たして子供たちに長期間与えていいのかどうかと、こういう問題を含んでおると思うんですが、この問題についてお聞きしたいと思います。
#4
○国務大臣(永井道雄君) リジンの安全性の問題は、子供に関係がございますから、非常に社会でも関心を持っており、また、その不安というものを取り除くことが文部省としても非常に大事でございますし、さらにまた、国会においてもこの問題についていろいろ御論議がございましたので、当時も私たちは努力をいたしておりましたが、その後いろいろ調査結果がまとまりまして、そして発表いたしましたから、これにつきましては詳細政府委員から御答弁さしていただきたいと思います。
#5
○政府委員(諸沢正道君) ただいま御指摘のように、文部省といたしましては、去る六月の二十日に学校給食用L−リジンの安全性についてということで各都道府県教育委員会に通知を出したわけでございますが、その内容につきましてかいつまんで申し上げますと、まず第一点は、先般、東大の高橋晄正医師が和光市におきまして、リジンの中に3・4−ベンツピレンが検出されたと、そして、そのことからして、このリジンの原材料に抗生物質でありますところのノルマルパラフィンを使っている疑いがあると、こういう御指摘がございました。「がん」との関連で非常に御父兄の方等に不安を与えたかと思うんでありまして、その点についての解明ということで、第一点は、学校給食用L−リジンの製造原料につきまして、これは決して石油系物質であるところのノルマルパラフィンを原材料にしたものではなくして、糖みつまたはでん粉でありますところのいわば自然食を原料にしておるんだということを申し上げておるわけでありまして、その根拠として、一つには、文部省の担当官並びに自学給の係官、それから国立大学の醗酵学の専門教官帯同していただきまして、リジンの製造工場を現実に見ていただきまして、その材料が、いま申しましたように、糖みつまたはでん粉であるということを材料購入の伝票等を通じて確認し、かつ製造過程を現実に見ていただきまして、それらの物質を原材料として製造しているところを確認していただくということをやったわけであります。
 それから、その次に、いま申しましたベンツピレンの摘出でございますが、高橋医師の発表によりますれば、A社のものは〇・八三ppb、B社のものは〇・二四ppbという発表がございましたが、同じ会社の製品につきましてそれぞれ一ロットずつ検査をいたしました結果、A社につきましては〇・〇六ppbと、高橋医師の検査結果より約十分の一ということになったわけであります。B社のものは〇・三Oppbということで、ほぼ同じような結果が出たわけであります。
 そこで、今後の検査予定として、つまり、後ほど申し上げますけれども、この結果からしても、ごく微量であり、安全性において心配はないというふうに考えますけれども、しかし、なお念のためもう少し検査をしてみたいということで、いま申しましたように、今回依頼しました日本食品分析センターの分析は、それぞれの社の製品につき一ロット十キロずつの中から採取した検査でございますんで、さらにもっと多くのロットについて検査を続行しております。一方、国立の衛生試験所にもこの分析をお願いいたしておりまして、まだ結果は出ておりませんけれども、それらの結果が出ましたならば、あわせてまた発表をいたしまして一般の御安心を願いたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 次に、従来から言われておりまするところのL−リジンの安全性の問題でございますが、これは、急性毒性の試験、亜急性毒性の試験、それから慢性毒性試験というふうに、投与の仕方によって毒性試験のあり方があるわけでございますけれども、従来からわが国におきましては急性毒性試験の結果はございますが、亜急性ないしは慢性の試験については公にされた試験結果がなかったわけでございまして、ところが、ちょうど去る十九日の日に、日本におきましてもいまの亜急性及び慢性の毒性試験の結果がアミノ酸研究委員会の手によって発表されましたので、それらをあわせて発表いたしまして、日本において毒性試験をした結果においても安全であるということを明らかにしたわけでございまして、同時に、諸外国における従来の慢性毒性あるいは催奇性試験の結果、あるいは外国におけるインバランス試験、つまりリジンを大量に一時投与した場合の試験等の結果を連絡いたしまして、一般的に摂取する限りにおきましては慢性、急性ともに心配はないということを申し上げたわけであります。
 その次に、先ほど申しましたこのベンツピレンとの関係で安全性はどうかということでございますが、去る六月十九日の国会におきまして厚生省の環境衛生局長から3・4−ベンツピレンは天然食品等にも存在しており、最高三十ppb程度含有するという報告がある。高橋晄正氏が今回検出したと発表した量、先ほど申し上げました〇・六三あるいは〇・二四ppbはきわめて微量であって、安全性の面から問題はないと考えていると、こういうような発言がありましたので、その点も明らかにし、要するに、食品添加物としてのリジンについての所管官庁であります厚生省の見解を明らかにしていただいたわけであります。さらにまた、民間のがん学者の見解といたしまして、癌研究所主任研究員であります蕨岡小太郎博士の言われるところも直接聞いてまいったわけでありますが、それによりますれば3・4−ベンツピレンをppb単位で摂取しても医学常識から見て問題にはならない。われわれは現実に日常数十ppb程度をあらゆるものから摂取しているが、食品中の3・4−ベンツピレンのバックグラウンドレベル、つまり自然に存在するものの値の範囲内に入るような程度の量の経口摂取による、つまり食物からとる発がん性については学問的には何ら証明されていない。今回、検出されたという数値はバックグラウンドレベルの範囲内に十分おさまる数値であり、問題はないと思うと、こういうふうなことを言われましたので、それもあわせて御連絡申し上げます。
#6
○内田善利君 もういいです。
 そういうことはみんなわかっているわけです。ただ、問題として聞きたいのは、バックグラウンドにそういう3・4−ベンツピレンのような発がん性物質があると、自然食品の中にあると、それに加えて、こういうはっきりと発がん性物質があると、存在していると、たとえ微量であってもあるというものを全小学校の学校給食に加えていっていいのかどうかという、私はこういうことを聞きたいんです。いまおっしゃったことは、通知の何といいますか、根拠をおっしゃっているわけですが、通知の根拠についても私は後で質問しますけれども。そういう自然界にもあるいはバックグラウンドの中に自然食品の中に含まれている。だから、L−リジンも加えていいんだと、こういうことでいいのかどうか、これが一問です。
 もう一つは、この通知の中に、まだ、先ほども答弁の中にありましたが、ワンロットだけの調査でもういいんだと、高橋晄正先生よりも下回っているから大丈夫だという考え方。これに対して、これにも書いてありますけれども、「別途国の専門検査機関においても分析結果が近日中に発表される予定である。」と、こう書いてありますね。それならば、国の専門検査機関でも近日中に発表されるならば、それを待ってから私は発表すべきじゃないか。万一ですよ、まあ将来のことですからわかりませんが、万一、3・4−ベンツピレンが多量に国の専門検査機関で出た場合は、一体文部省はどういう責任をとられるんだろう、こう思うわけです。
 三番目は、この通知で国民は安心したと思っておられるんですか。国民の市民感覚はこれでよくなったとお考えなのか、この三つお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(諸沢正道君) 第一点の、まあ微量であっても摘出された以上、添加するのはまあ言ってみればやめるべきではないかという御趣旨であろうと思いますが、まあ高橋晄正医師も申しておりますように、この3・4−ベンツピレンというものは、一般の野菜、たとえば高橋氏の発表によってもホウレンソウ等には〇・二六、あるいは三・三ppbというベンツピレンがありますし、その他コマツナ、シュンギク、シイタケ、ネギ等々、まあ自然界においてつくられた植物あるいは肉のようなものにも一般にベンツピレンが微量であるけれども含まれておる。そういうことでございまして……
#8
○内田善利君 ですから、それを上回るものを加えていいかどうかという質問をしているのです。
#9
○政府委員(諸沢正道君) したがいまして、まあおっしゃる趣旨は、添加物であるからそれはやめたらどうかと、こういう御趣旨だと思いますけれども、しかし、添加物と申しましても、その原材料は糖みつまたはでん粉でありますし、その量も、まあ言ってみまするならば一般の野菜や果実等に含まれておるものに比べまして、パン一個について〇・一六グラムのさらに〇・幾つppbという単位でございますから、これを通常の検量単位に直しますならば、一千億分の一ないし五というようなグラム数になるわけでございますので、いま申しました今日自然界における汚染を考えましたときに、それは決して望ましいことではございませんけれども、一方リジンの効用を考えますならば、その程度の含有がありましてもやはり添加をするのがよろしかろうと、こういう判断に立っておるわけでございます。
 第二点の、その他の検査、たとえば衛生試験所の検査を待って発表するべきではなかったかということでございますが、私どもはできるだけ早く検査結果の出たものから発表することによって少しでも関係の方々に早く理解をしていただき、安心をしていただきたいということで、その第一次の食品分析センターの検査結果をまず発表いたしたわけでございます。
 そこで、これでまず大丈夫であろうというふうに専門の方々からも伺っておるわけでございますが、いま申しましたように、さらに、念を入れて検査をするという趣旨でございますので、専門の方に伺いましても、この検査結果を大きく外れて大量に検出されるということはまああり得ないというような御意見もございましたので、いまの資料をもとにしてそのような判断をした次第でございます。
 第三点のこのような発表によって関係の方々の安心を果たして得られたかどうかということでございますが、もちろんわれわれといたしましては、各県の実情等を県の教育委員会等を通じましてお聞きするわけでございますけれども、今日までのところではいまのベンツピレン発見と同時に各地で盛んに照会があり、不安の声を聞いたわけでございますが、今日におきましてはもちろん一部の県等におきましてはまだ十分不安が解消していないようでありますが、全国的に見ますならばかなり御理解をいただいておるというふうに判断しておるわけでございます。
#10
○内田善利君 最後にもう一つそれから最後の三問御答弁がありませんが、この通知によって国民、市民感覚はどのようになっていると判断されているかということですね。それともう一つは、こういう問題は慎重にやらなきゃならないと思うのです。千四百万人に上る生徒に与える添加物ですから慎重にやらなきゃならないと思うのですが、長期に、こういう微量ではあっても発がん性物質をやることはどうなのかという、もう少し科学的な経口試験、毒性試験をやる必要があるのじゃないかと、その結果、安全性が確立して初めて与えるべきじゃないかと、疑わしきは与えないという姿勢が厚生省あるいは農林省よりもむしろ文部省にあっていいんじゃないかと、このように思うのです。それとこのリジンが果たして添加物として国民の栄養向上、児童の栄養向上のために果たしてどうしても必須な、必要なものであるのかどうか、そういう根拠は何なのかですね。聞くところによりますと、発展途上国には欠かせないものであっても日本のような食品生活が豊かな国ではそれほど必要なものじゃないのじゃないか、どうしても必要であるというものじゃないということのようですけれども、この辺はどのようにお考えなのか。
#11
○政府委員(諸沢正道君) リジンそのものが食物として摂取したたん白質を体たん白化し、その質を向上する上に不可欠であるということは今日どなたも疑いないところだと思いますが、しからば、現在の日本における学童の給食においてリジンを添加する必要があるかどうかという問題になるわけでございますが、その場合に、このリジンというものは専門家の話を聞きますと必須アミノ酸と言われる八種のアミノ酸の一つでありまして、いま言ったような高い効率を上げてもらうためには八種の必須アミノ酸をバランスよく摂取をしなければならない、こういうことであります。そしてまた、いまのリジンというものは主として動物性たん白質には多く含まれておるけれども、穀類等には含まれる量が少ないということも明らかなことでございます。そこで、具体的に学校の給食の献立というものを私ども百例ほど調べまして、その献立に即応した食事をつくった場合に、一体たん白質がどのくらいあって、そのうちのリジンを含む八種の必須アミノ酸の構成はどうなるかということを計数的に検討をしたわけであります。
  〔委員長退席、理事久保田藤麿君着席〕
そしていま申しました八種のアミノ酸がバランスよく摂取される状態にあるかどうかという、そのバランスというものを何を基準として判断したかと申しますと、それはFAOとWHOの特別専門委員会におきまして、一九七三年にいまの八種のアミノ酸の摂取量のパターンというものを決めておるわけでございます。そこで、これは試案でありますけれども、今日国際的に見ましても、最も信頼できる数値であるというふうに聞いておりますので、そのパターンによっていまの実際の献立の八種アミノ酸の配分を見ますると、全献立百例のうち約六〇%のものにつきましてはやはり七割は、リジンが一番少ないという結果になっておるわけでございまして、リジンが一番少ないということはリジンのその量の限度まで他の必須アミノ酸の作用がむだになるということでございますので、これにいまのパン一個について〇・一六グラムのリジンを添加いたしますと、それでもまた、全般的に見まするとリジンが一番少ないものになっておる例が相当あるわけでございますが、ある程度八種アミノ酸のバランスが保てる、こういうことでございますので、そのような考えの上に立ちましてこの添加を必要というふうに判断をしておるわけでございます。
#12
○内田善利君 この通知によって国民感情あるいは市民感覚をどのようにとらえておられるか。
#13
○政府委員(諸沢正道君) 先ほど申し上げましたように直接一般の方々から意見を伺うという機会は少ないわけでありますが、私ども、教育委員会等を通じまして各県の父兄等の方々の動向をお聞きしておるわけでありますが、当初ベンツピレン発見というニュースがありましたときは、各県から頻々として照会の電話等あり、非常に不安を持たれる父兄の方があることは十分承知したわけでありますが、いまこの通知を出し、それと関連して直接電話等で県教育委員会を通じ十分関係の方方にお話をしてもらいたいということを再三連絡いたしておりますので、今日の時点におきましては特定の県等でまだいろいろ議論のあるところもあるようでございますけれども、全般的に見まするならば、私は、大体この結果というものをお認めいただいているのではなかろうか、こういうふうに判断しておるわけでございます。
#14
○内田善利君 この問題はこれで終わりますが、まだ、安全性がはっきりしないものは、やはり慎重に文部省はやっていただきたい、そのように思います。せっかく国の調査機関でやっているのに、発表してしまうという、そういうことでなしに、近日中に発表になるならば、それを待って私は発表すべきものだと、このように思います。それと、慎重にこういう問題は対処していただきたいということを要望いたします。
 その次に、今度PTA関係についてお伺いしたいと思うのですが、まず、大臣にお伺いいたしますけれども、わが国のPTAのあり方、基本的な性格、戦後三十年の経過等についてお伺いしたいのですが、また、諸外国でのPTAの現状等、どうなっておるのか、日本と比較してまず簡単にお伺いしたいと思います。
#15
○国務大臣(永井道雄君) PTAは戦後できたものでございますが、PTAと言っていますように、先生方とそれから御両親とその両者が協力をいたしまして、そして学校における子供の教育というものを助けていく上で活動するという趣旨のものでございます。戦後発足いたしましたときに、新しい組織でございますから、そういう点が十分理解されない向きもあったと思いますけれども、それ以後相当の時日を経る間に、私、PTAというものは相当わが国の社会に定着したかと考えております。ただ、もちろんすべてのPTAに問題がないというのではなく、やはりこのPTAのいま申し上げました目標との関連から申しますと、幾らかPTAの目標に外れて、Tのいわゆる教師の方は余り入らず、Pばかりで固まりまして、そして教育ということより後援団体みたいになったりしている、そういう問題が生じていることもございます。諸外国との比較でございますが、私も諸外国のPTAを全部知っているわけではございませんけれども、そもそもこれはアメリカから入ってまいったものでございますが、アメリカ合衆国の場合について幾つかの例、そうしたものを見学いたしたりいたしましたが、アメリカ合衆国の場合にもやはりこのPTAというのは、Pの方に傾斜してしまうということから起こるいろいろな問題もあるようでございます。しかし、もちろんわが国よりは古くやってまいりましたのですから、したがって、たとえば大学の授業課程の中にもPTAをどうやって組織化するかというふうなことは教員養成の中にもございますから、わが国より一日の長があるという点はやはり認めるべきではなかろうかと考えております。他のヨーロッパ諸国などにつきましては、私、詳細に存じておりませんが、もし必要がございましたら、これは調べてお答えしなければならないと思っております。
#16
○内田善利君 次に、具体的にお伺いしたいと思いますが、昭和二十三年の小学校PTA「参考規約」というのがございますね。これはPTAの活動方針として、第七条にこのように書いてあります。「本会は、教員、校長および教育委員会の委員と学校問題について討議し、またその活動をたすけるために意見を具申し、参考資料を提供するが、直接に学校の管理や教員の人事に干渉するものではない。」とあったわけですね。ところが、昭和二十九年の同じPTA参考規約には、その前半部分、先ほど読みました「本会は」というところから「参考資料を提供するが」というところまでを削除して学校の人事その他管理には干渉したいことだけになっておるわけですが、この前半部分のPTAの積極的な意味をことさら削除した理由は何なのでしょう、その経過を説明していただきたいと思います。
#17
○国務大臣(永井道雄君) 政府委員からお答えさせます。
#18
○政府委員(安養寺重夫君) まことに恐縮ですが、ただいまの御質問の資料を持ち合わせがございませんので、調べまして後で御答弁いたしたいと思います。
#19
○内田善利君 資料がなくても、いま言ったことですよ、あなた方専門家ですからすぐおわかりだと思うんですが、第七条は「本会は教員、校長および教育委員会」と学校運営について「討議し、またその活動をたすけるために意見を具申し、参考資料を提供するが、直接に学校の管理や職員の人事に干渉するものではない。」とあったわけです。これは昭和二十三年の小学校PTA参考規約。ところが、昭和二十九年にこの規約が前半部分が削除されたわけですね。削除されて「学校の人事その他管理には干渉しない。」というところだけが残ってしまっておる。この前半部分が削除された意味はどういうことでなくなったのかということです。
#20
○政府委員(安養寺重夫君) まことに不勉強で申しわけございませんが、重ねて同じことを答弁させていただきます。
#21
○内田善利君 質問がおわかりにならないのですか。
#22
○政府委員(安養寺重夫君) ただいま調べておりますから、後で御答弁させていただきます。
#23
○内田善利君 それ調べているというと、後の質問に……、このことおわかりにならないですか、いま質問した意味は。昭和二十三年の小学校PTA参考規約、これはおわかりですね。
#24
○政府委員(安養寺重夫君) はい。
#25
○内田善利君 その第七条に、この「本会」というのはPTAですね、「本会は教員、校長および教育委員会と」学校運営について「討議し、またその活動をたすけるために意見を具申し、参考資料を提供するが直接に学校の管理や職員の人事に干渉するものではない。」、こういうふうにあったわけですね。その前半が昭和二十九年になくなったのはどういうわけですかと聞いておるわけです。
#26
○政府委員(安養寺重夫君) はなはだ恐縮なんですが、いま資料に即して調べておりますから、後で答弁させていただきます。
#27
○内田善利君 それでは、その答弁は後でしていただくものとして、次に移りますが、ちょうどこの二十九年ですね、二十九年にPTAの規約がこのように改悪されておるわけですけれども、昭和三十一年は御承知のとおり、教育委員会の任命制が導入されて日本の民主教育の牙城が大きく崩れていったわけですけれども、諸外国のPTAのあり方もここで持ってきておりますが、これによりますと全然こういったことはないわけですね。二十九年にこのPTAのこれも改悪されておる、三十一年には教育委員会の任命制が導入された。このように二十三年の規約が二十九年の規約に変わったわけですけれども、この二十三年の規約には、PTAの会員はその学校に在籍する児童の父母だけでなく、その地域に住み教育に情熱を持つ者はすべてはいれると、このようになっていたわけですね。第十条ですが、「その地域に在住し、特に教育に関心を持つものは、希望により入会を認められる。」と、だから子供の父兄でなくてもはいれるようになっていたわけです。ところが二十九年には、それが、児童の父母だけになってしまったと、こういうわけなんですけれども、この辺の経過もあわせて質問したいと思います。
#28
○政府委員(安養寺重夫君) 重ね重ねで恐縮ですが、その点も調べさせて報告します。
#29
○内田善利君 これも後ほどですね。
#30
○政府委員(安養寺重夫君) はい。
#31
○内田善利君 昭和二十九年のこのPTA参考規約、また昭和四十二年の社会教育審議会の答申、その両方に、PTAは父母と教師が一緒になって学校教育、家庭教育について相互理解を深め、あるいは地域の教育的な環境の整備を図るもので、学校後援会みたいな性格になってはいけない、先ほど大臣からもおっしゃっておりましたが、学校後援会みたいな性格になってはいけないと、こうなっておるわけですね。寄付行為等父兄負担をさせることは厳に慎まなければならないと、こうあるんですが、この点について、大臣は先ほど後援会みたいなかっこうになっていってはいけないと言っておりましたが、寄付行為等父兄負担をさせることは厳に慎まなければならない、こうなっているわけですね。現在でもこの方針に変わりはないのかどうか、お聞きしたいと思います。
#32
○政府委員(安養寺重夫君) 現在もその方針に変わりございません。
#33
○内田善利君 それではお伺いしますが、いわゆる公立の小学校のPTA会費の児童一人当たりの年会費平均額と、文部省直轄下の国立大学附属小学校のPTAの児童一人当たりの年会費平均額、おわかりでしたらお答え願いたいと思います。
#34
○政府委員(井内慶次郎君) PTA等の納付金の状況でございますが、昭和四十八年までの数字が一応把握できておりますので、昭和四十八年の数字で見てまいりますと、入学時におきまするPTA等の入会金あるいは寄付金におきまして、付属学校が四十八年千五百十三円、公立学校が二百九十四円、それと経常的なPTA等の会費が、付属学校が九千五十四円、公立学校が一千八十六円、これが四十八年におきまする小学校におきます付属学校と公立学校のPTAの、入学時のものと経常的なものとでございます。
#35
○内田善利君 こうなりますと、公立の方に比べて国立の方は約十倍ということになりますね。そういった点からいきますと、文部省の監督下にある国立の付属小学校で約十倍ということになりますと、この点について大臣はどのようにお考えになりますか。
#36
○政府委員(井内慶次郎君) PTAにつきましては、国立の場合にいたしましても、公立の場合にいたしましても、それぞれの自主的な立場から活動の方針を定め、必要な会費を拠出しておるものでございますが、会費の額、活動の範囲等にもおのずから広狭がございまして、国立大学の付属学校におけるPTA等の会費は公立学校の場合に比べると、ただいま申しましたように小学校で見まして高額となっております。小中高と比較いたしますと、小学校のところが一番差があるようでございます。PTA等の狭義の運営費のほか、児童生徒の福利厚生、図書、課外活動等の経費等におきまして、公立学校の場合は直接実費弁償的な形で、PTAを経由しないで学校に出されておる経費等につきまして、付属学校の場合、PTAに対しまする会費という形で経理されているという事情もひとつそこにあるようでございます。なお、付属学校の場合、従前の沿革からいたしまして、独自に施設を持っておる場合とか、こういったもの等もあるようでございます。実費弁償のような形で直接学校に納めまする経費、一応学校納付金というふうに分類をしてみますと、学校に直接持ってまいりまする学校納付金とPTA等の納付金とその二つを両方足してみますと、四十八年に吹きまする付属の経費は両方足しますと、大体三万五千円くらいに相なりまして、公立学校の場合は大体三万円くらいに相なっておる。PTA等の納付金で扱っておる経費が、付属の場合と公立の場合が若干ずれておるという点も一つの原因かというふうに私ども考えております。しかし、先ほど来大臣からもお答えいただきましたように、PTAの本来のあり方からいたしまして、付属学校が施設設備の整備費や運営費あるいは研究費等の援助を受けるという形はきわめて不適切でございますので、特に昭和四十四年以来父兄の負担による施設等の寄付受け入ればこれを禁止するという方針を出し、付属学校のPTAのあり方につきまして特に父兄負担の軽減を図るようにということで指導をただいま鋭意いたしておるというのが現状でございます。PTAの経費で扱っておりまする範囲の広狭がある。これは本来やはり公立学校のPTAの方向に、付属のPTAもやはり改善を図りたい、かような考え方でございます。
#37
○内田善利君 昭和四十三年、福岡教育大の付属小学校での入試に際しての一大汚職事件があったわけですが、その際に非常に不当に高いPTA会費、入学金の問題が指摘になっておりますね。その後、現状は先ほど四十四年から父兄負担の軽減をするよう指導しておるということですが、少しも是正されていない、こういう現状なんですが、どのようにお考えになりますか。
#38
○政府委員(井内慶次郎君) 付属の小学校だけでこれを見てまいりますと、入学金におきまするPTA等の入会金あるいは寄付金が昭和四十四年三千九十八円でございましたが、この点につきましては五年、六年、七年、八年というふうに若干ずつダウンしてまいりまして、四十八年千五百十三円ということに相なりました。また、経常的なPTA等の会費につきましては四十四年が八千三百四十六円でございました。これは極力減少するいうことで指導してまいっておるのでございますが、四十八年九千五十四円でございまして、現在までの結果では、増額を食いとめてきているというのが現状でございます。
 なお、ただいま御指摘があった点でございますが、付属学校の基本的なあり方といたしまして、父兄からの寄付金等の問題につきましては、ある意味では入学者選抜の適正を期するためにも特段の配慮をやはり必要とする事柄でございますし、私どもとしましては、付属学校の基本的あり方といたしましても、父兄負担の問題は何とか改善の実を上げるように引き続きあらゆる機会を利用いたしまして、各付属学校の方に指導を加えなければならぬ事柄だ、かように考えております。
#39
○内田善利君 指導を加えなければならない事柄だということですが、現実はそのようになっていないわけですね。元宮地大学学術局長は昭和四十三年九月二十六日、通達されておりますが、それによりますと在学校生徒の父兄からの寄付金の抑制については、かねてから御配慮のことと存じますが、入学者選抜の適正を期するためにも特段の御配慮を願います。こういう通達が出ております。それから昭和四十四年の十一月六日には教育職員養成審議会の会長名で文部大臣に建議がなされておりますが、それによりますと、PTA会費、寄付金等の父兄負担経費については自粛の傾向は認められるが、現在でも付属学校が公立学校に比して高く、家庭環境のよい子供しか入学できないと批判される原因となっている――現在でもそうなのですが、さらに、付属学校の関係者がその教育条件の改善に払った努力は評価されるべきであるが、PTAに依存して校費の不足を補うことは厳に戒心し、公立学校における父兄負担に比して過度の負担をしていることのないよう一層の配慮をする必要がある、こういうふうに次から次に指示、通達がなされておるわけですが、現状は一つも改善されていない。具体的に例を申し上げますと、広島大学の付属小学校ですが、昨年の例で申し上げますと、PTAの会則の中にはっきりと明白に教育助成金の項目がある。入学時に児童一人につき三万円、また付属の中、高校でも教育内容充実実習費という形で入学時に入会金一万五千円程度のものを取っている。これは特別積立金という名目のようですが、そして、この決算を見てみますと、学校運営費、研究実験費、施設設備の補助、そういったものに使われていることがはっきりしているわけですが、これだけの通知、通達が出されておるにもかかわらず、また、これは指導していかなければならないと言われておりますが、このような実例があるわけですけれども、この点をどのようにお考えでしょうか。
#40
○政府委員(井内慶次郎君) ただいま広島大学の付属学校につきまして具体の御指摘がございましたが、広島大学の、特に旧千田地区、南町におきまする付属学校のPTAの会費と申しましょうか、父兄負担の問題が具体の問題として私どもも問題を発見をいたしましたので、大学を通じ付属学校の方にいろいろと私どもも指導、助言に努めまして、昭和五十年から次のように一応減額するという措置をとってただいまやらしております。幼稚園につきましては三万四百円を七千二百円に減ずる。小学校におきましては四万一千六百円を三万九千六百円に減ずる。中学校におきましては三万二百円を一万五千二百円に減ずる。高等学校につきましては三万二百円を一万五千二百円に減ずるということで、まだいろいろと問題は多いのでございますけれども、広島大学の付属につきましては、四十九年から五十年にかけまして一応このような減額措置を付属のPTAの方で講じたところでございます。先ほどもお答えいたした点でございますが、付属学校全体として見ますと、学校に直接実費弁償のような形で持ってまいりまするいわゆる学校納付金とPTAの納付金等の両方をトータルしてみますと、小学校の場合も、PTAの会費だけで比較するよりも国立と公立の差は縮まっておるというのが現状でございます。私どもは、先ほど申し上げましたように、何とかPTA等の納付金の経理する範囲の問題でありますとか、こういった点について全般的にとにかくこれを減ずる方向に引き続き努力をしてまいりたい、かつ個々具体の問題につきましては個々具体に私どもも強く指導、助言をしてまいりたい。広島大学につきましては、ただいま申し上げたようなところまで五十年に一応減額をさせることと相なりました。
#41
○内田善利君 これを一つ一つ例を挙げて申し上げますともう時間がありませんので申し上げませんが、要は、局長のお話はPTA会費と高校納付金を一緒にすれば国公立余り差はない、縮まってくる、そういうことですけれども、そういうことから、この程度の減額が昭和五十年からなされるということなんですね。昭和五十年から幼稚園の場合は三万四百円から七千二百円、小学校の場合は四万一千六百円から三万幾らというふうに減額するという、PTAの納付金といいますか、会費を減額するというのですね。
#42
○政府委員(井内慶次郎君) 広島大学付属のPTAの問題につきましては、ただいま先生も申されました金額に、五十年の納付金につきましてはただいまのような金額に減ずるということで広島大学の付属のPTAも五十年の会費納入とか会の運営をいたしておるところでございます。
#43
○内田善利君 社会教育局長、まだ答弁できませんか。
#44
○政府委員(安養寺重夫君) 二問質問いただきましたが、後段の方は一応わかりましたのですが、前段の方は一応いま調べております。
 後段の方といいますのは、在来会員のメンバーを在校する子供たちの父兄に限らなかった、それを限定したのではないかという御質問でございますが、これは開設に熱心な人は参加をしていただいてもいいのではないか。在来の言い方が何かこういう人は参加をしなければならないというような言い方が誤解を招くということで、言いあらわし方を改めたのだというようにわれわれ理解をいたしております。
 前段の方は、いままだ調べておりますので御容赦願いたいと思います。
#45
○内田善利君 広島大学の例を挙げたわけですが、もう少し詰めていきたいと思うのですけれも、そうなりますと、減額なさったということは、結局国立大学の付属小学校、中学校、高校PTA会費が非常に父兄負担が大きかった。だから減額した、こういうことですか。
#46
○政府委員(井内慶次郎君) PTAの方に諸経費が依存する形で付属学校が運営されておる面もございますので、こういった面につきましては国費で見るべき点は当然見てまいらなければならないわけでございますし、かような意味で、父兄負担の軽減という方向でいま付属学校のPTAの経費につきましては指導を加えておるところでございまして、その一つの具体の問題といたしまして、広島大学の付属のPTAの納付金につきまして四十九年から五十年にかけまして、ただいま申しましたような改善がなされた、このように私ども考えておる次第でございます。
#47
○内田善利君 特にいま申し上げますと、幼稚園の場合は三万四百円であったものが七千二百円に軽減されるわけですが、いままで付属幼稚園に出していた方々は非常に大きな負担をしていたわけです。五十年から七千二百円になる、こういうことですが、いままでそういった高額を幼稚園に出しておった方々、こういう方々に対してはどのような配慮をお考えでしょうか。
#48
○政府委員(井内慶次郎君) 広島大学の付属の場合、特に幼稚園につきまして四十九年三万四百円というPTAの会費でございまして、五十年にこれを七千二百円に減ずる改善をいたしたのでございますが、既往において入園された子供に関しまするPTAの納付された経費につきましては、やはりPTA自体の一応財源と相なっておりますし、この点につきましては私どももPTAにすでに入った金としてPTAでやはり御活用になるのではないだろうか。文部省の方から特にどうということはただいまのところ考えておりません。
#49
○内田善利君 とにかく、国立の付属幼稚園ですからやっぱりいままでPTAについての考え方ですね、その誤りがあったということを私は感ずるわけです。もう少し具体的に申しますと、今度は東京学芸大学の付属中学ですけれども、ここでは入会金が一万円、それからPTA会費が月千円、ほかに新入会員には設備充実費として八千円を徴収しておる。そのほとんどが学校後援費となって大体年間一千万ぐらいを国が受け取っておる、こういうことになるわけですね。また、広島大学の付属の方では、中学、高校は合同PTAを結成して、これには入会金が二千円、会費が月二千円、教育内容充実費として入会とともに一万五千円を積立金として協力を要請しておる。この積立金は食堂建設の資金ということのようですが、このことについては新聞にも投書されておるし、投書した方がみずから文部省にも行かれておるわけですけれども、これに対してはどのように対処なさっておるのか、この点をお聞きしたいと思うんですが。
#50
○政府委員(井内慶次郎君) 広島大学の付属のPTAの納付金の問題につきましては、ただいま内田先生から御指摘のありましたようなこともあり、文部省としましても、広島大学の付属の方につきまして、PTAの納付金を減ずべきであるという指導を行いまして、その結果として、ただいまのところ、五十年から先ほど申し上げましたような減額がなされたと、こういうふうに御理解賜りたいと思います。
 先ほど御指摘の点で、ただいま答弁を漏らしましたが、東京学芸大学の付属の問題につきましても具体的な御指摘をいただいたわけですが、東京学芸大学の付属学校につきましては、特に今年三月に二度にわたりまして付属学校の関係者等の来省を求めまして、その軽減についての検討を強く私どもも助言をいたしておるところでございますが、東京学芸大学の付属のPTAにおきましては、目下なお検討中でございまして、五十年に直ちに具体の改善の案がまだ私どものところにも出てきていないということでございまして、この点はまことに遺憾に存じますが、引き続きまして、東京学芸大学の付属につきましても一層その改善に私どもも努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#51
○内田善利君 時間がだんだん迫ってまいりましたので、先に進みますけれども、大臣、学校教育法の第五条には、「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。」すなわち、国立大の付属校なら国が全部その経費を負担すべきであるということだと私は思うんですが、「法令に特別の定のある場合を除いて」というのは、まあ緊急事態だろうと思いますが、国立大学の付属校なら国が全部その経費を負担すべきであるということだと私は思うんですが、先ほどの広島大学の付属の例、東京学芸大学の付属の例を挙げましたけれども、この例は皆学校教育法第五条違反じゃないかと、このように思うんですけれども、この点はどうなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
#52
○国務大臣(永井道雄君) いま先生から第五条を御指摘になりましたが、確かにこの付属学校のPTAにいろいろ問題がございまして、そのことは、先生が先ほどから御指摘になったとおりでございます。ただ、この付属学校のPTAという場合に、何々会というようなことを言っておりますが、若干公立と違っておりますのは、たとえば、同窓会というような性格をあわせ持っているケースもあるわけでございます。相当そういう性格を持っているところから、その学校の古い先輩なども入っていて、伝統があるとか、そういう成立の事情などもございますので、性格を一律になかなか論じにくい側面があるかと考えております。しかしながら、であるからといって文部省といたしましては、国立の付属のPTAというところが学校のいろいろな施設などについて補助をする、あるいは援助をするというようなことではこれはおかしいことでございますから、これにつきましては先ほどから大学局長が申し上げましたように、そうでない方向に持っていくようにわれわれとしても努力をする、つまり、学校の施設などについては十分文部省としてこれは財政的な措置をしていく、それで、そういう形で御父兄の負担というものが軽減されるようにしなければいけないと考えておりますが、その点、先生の御指摘のとおりと思いますが、ただ、PTAの性格にちょっと一律に論じにくい性格も含まれているように考えております。
#53
○内田善利君 もう一つ申し上げますと、地方財政法第二十七条の三と四、それから施行令の第十六条の三、これには、地方自治体は学校施設、設備費について、直接であると間接であるとにかかわらず、その負担を住民に転嫁してはならない、こうあるわけですね。国は地方に対し、住民に学校の経費の負担を直接、間接を問わず転嫁してはいけない、こうあるわけですね。そのように指導し、法令化しているわけですから。国の行政府である文部省がPTAという間接的なものを通じて住民に学校経費を負担させておると、こういうことになると思うんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
#54
○政府委員(安養寺重夫君) 先生の御指摘の御趣旨は、先ほど来大学局長からも申し上げましたように、文部省としては督励をいたしておるわけでございます。基本的なものにつきまして父兄負担、そういうことは……。ただまあ事柄によりまして、PTAの本来の活動の趣旨に沿うような経費の支出とこの分解がいろいろめんどうなことでございますけれども、それをわれわれとしては、できるだけ厳正にはっきりさせて、公費の負担をすべきものは優先してそういうようにさせるということで努力をしておるつもりでございます。
#55
○内田善利君 まあ努力しておるということですけどね、あるいは答申がありあるいは通達がありされておるようですけれども、現実にはそうなってないわけですね。アメリカ等では、まあ諸外国の例いろいろありますが、アメリカが一番よくPTAのあり方については進んでおるようですけれども、フランスなども――フランスにはいわゆるPTAはない、西独と同じように父母会あるいは学校友の会、そういうものができておって、学校の仕事を理解し、父母間の親睦を図るのが目的で、寄付金集めなどはしないかわりに学校に口出しもしない、時に父母が開く懇談会、映画会、講演会にも教師は参加しないと、ただ、父母会の連合体として全国父母合同体連合会、そういうものがあって、全国大会では政府の教育改革に対する意見を求めたり実際行動を起こしたりすることはあると、そういうことのようですね。英国でも、学校教育には口を出さないという姿勢であると、ソ連にしても大体日本のようなことは行われてないと。そして、いま先ほどからずっといろいろ質問してきたわけですが、学校教育法の第五条あるいは地財法の第二十七条あるいは施行令の第十六条等にもあるように、やはりこれは当然国立である以上は国が負担していくべきであると、こう思うわけですね。まあ努力しておりますというこしですけれども、こういった法律に違反するような金をどこが受け取っているかというと、国が受け取っておることになるわけですが、私はここにやはり問題があると思うんですね。もう少し文部省の方できちっとした指導をしてもらいたい。こういう疑わしい、法律に違反していると私は思うんですけれども、そういう金を学校が受け取ってはならないと、強い姿勢が必要なんではないかと、こう思うんですが、一部先ほどから例外があると、あるいは同窓会、大臣からは同窓会のような形でやっているところもあると。そういうのがいろいろありますけれども、基本姿勢としてはきちっとした文部省の強い姿勢がないからこういうふうにあちこちでこういった問題が起こっているんじゃないかと、こう思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。
#56
○政府委員(井内慶次郎君) 付属の場合につきましても、特に全国の付属学校のPTAの連合会というのがございまして、
  〔理事久保田藤麿君退席、委員長着席〕この連合会とも御相談をし、いろいろしておるわけですが、特にこの連合会におきましても、五十年度の運動方針のまず第一に、学校と家庭における教育の理解とその振興、児童生徒の校外における環境の改善などについて活発な学習を展開するといったことを五十年度特に付属学校のPTAの連合会におきましてもまず第一に掲げて努力をしてまいろうということで、ただいま御指摘の点につきましては付属学校のPTAの基本的なあり方につきましても積極的にその改善に文部省としましても取り組んでまいりたい、かように考えております。
#57
○内田善利君 それでは受け取ってもいいわけですね。いまの答弁聞いてますと、法律にはこう書いてあるけれども、改善していきたいということですが、受け取ってもいいんですか、受け取ってはいけないんですか。この辺をはっきりおっしゃっていただきたいと思うんですが。
#58
○政府委員(井内慶次郎君) PTAの会費につきましては――会費と申しましょうか、PTAの納付金につきましては、それぞれのPTAの活動の方針をPTAでお取り決めになられて、それに必要な会費を拠出されておるわけですが、五十年の付属のPTAの連合会におきましても掲げておりまするように、PTAが社会教育関係団体という本質的性格から、みずからの事業として展開されるという面がその基本にあるわけですが、付属のPTAにつきましては学校に直接持っていって、公立学校では相当行っておりまする福利厚生でありますとか、あるいは課外活動等の実費でありますとか、こういったもの等がPTAの方の納付金という形で一応取りまとめられて使われておるという面もあるようでございますし、この辺は先ほど来お答えいたしておりまするように、PTAの会費ということで賄うものについてはPTAの本来のあり方の方向にできるだけやはり整理をしてほしいといったこと等も行っておるわけでございます。付属学校の運営に必要な経費は国の経費で賄うのが当然でございますけれども、従前ただいま大臣からもお話いただきましたように、後援会的な性格が沿革的にも存しておって、特定の施設も持っておるとか、いろいろそういった面等もございまするので、その点は、実情に即しながら改善を図っていきたい、こういうことでございます。
#59
○内田善利君 大体、答弁される局長の意向はわかりますけれども、地方財政法第二十七条、それから学校教育法第五条、これには抵触しないんですね。
#60
○政府委員(井内慶次郎君) 付属学校の場合で申し上げますと、設置者として必要な付属学校に対しまする予算の計上と申しますか、予算措置も年年その改善に努めておるところでございますし、必要額はそこで国費で賄ってまいる。これに対しましてPTAの方で従前の沿革もあり、さらにプラスアルファーといいましょうか、そういったことが行われているという現実もあります。この点についてはできるだけそういった点は国費で必要なものは計上して、PTAの経費はPTAが社会教育関係団体として本質的な活動をなさる経費の方にやはり整理をしていただく。かつ子供が教育を受けるに必要な実費を学校に納めるということもございますが、こういったものについてはできるだけPTAを経由しないで学校に直接という方向に指導も今後やってまいりたい。この辺がいろいろと事情がございまするので、ただいま申し上げましたような方向で改善を私どもとしては極力努力してまいりたい、こういうことでございます。
#61
○内田善利君 以上でこのPTA会費の問題終わりますが、こういう実態が起こらないように十分ひとつ指導助言していっていただきたいと、このように思います。
 それでは、あともう少し時間があるようですから質問いたしますが、最近、体育の授業中、それから技術の授業中等に災害が非常に多いわけですが、新聞等でもたびたび報道されているわけですが、この学校災害の実情をまず教えていただきたいと思います。
#62
○政府委員(諸沢正道君) 学校の管理下において、授業中あるいは登下校の際等に各種の災害に遭われる児童生徒の件数ということになりますと、私ども正確な数字はつかんでおりませんけれども、日本学校安全会がそのような災害、疾病、死亡、廃疾といったような事態に対して療養費あるいは死亡見舞金、災害廃疾見舞金を給付するわけでございますが、その給付の対象となった件数を申し上げますと、昭和四十九年におきまして、八十五万三千件ということでございまして、これは前年の四十八年の八十一万九千九百七件というのに比べますと、三万件強の増加を示しておる、こういう数字が出ております。
#63
○内田善利君 四十九年度事件総数が八十五万三千件ということですが、非常に多いわけですね。死亡が四十八年度が二百二十八件、廃疾になった児童が三百七十三件、合計六百一件と、このようになっておりますが、非常に災害が多い。四十九年度の交通事故でも死傷者数が約六十六万人と、このように聞いておりますが、学校における災害で児童が八十五万三千人も一年間に事故を起こしている。こういうことなんですが、これに対する対策ですね。学校安全法というのがありますけれども、学校安全法は相互扶助的な互助会制度で非常に治療費も安い。一ヵ月に五千円未満の治療費で十分の三支給、五千円以上で十分の四支給、廃疾の場合は等級があって、四万五千円から二百四十万、死亡の場合が二百万、こういうことなんですが、交通事故でも今度保険が一千万円から一千五百万円になろうとしておるわけですが、憲法二十六条の義務教育は無償とするという観点から見ても、こういう学校災害に対する補償、これは国でめんどう見ていくべきじゃないかと、こう思うんですけれども、この点はいかが対策を講じていかれますか、学校安全会法だけでいかれるのか。
#64
○政府委員(諸沢正道君) 御指摘のように、すべての災害、死亡等に対しまして相当額の見舞い金なり賠償金を支払うということが可能であれば、それも一つの考え方ではあろうかと思いますけれども、現在の考え方は、学校におけるあるいは学校の管理下の事故につきましても、施設設備の管理に瑕疵があった場合、あるいは教員の指導において故意過失があった場合というように、設置者側において責任のある場合にのみ損害賠償をするというたてまえは、学校に限らず、国家賠償法の根本的な考え方でございます。
 そこで、いま申しましたように、一律無過失の場合もすべて公の側においてその補償をするということは、現時点におきましては非常にむずかしい問題でございます。ただ、御承知のように、最近におきましては、町村会におきまして保険会社と契約をいたしまして、この町村会を通してこれの保険に加入した町村については、設置者に過失のある場合におきまして一件二億円、一人に対して二千万円を限度とする損害賠償の保険契約を締結するというところまできたわけでございまして、これによりますれば、設置者側の方としては、事故が起こった場合に一々財源の心配をしなくて済むということでありますし、また、被害を受けたお子さんなり家族の者にとりましては、裁判という煩瑣な手続を経ないで賠償金がもらわれるというようなことでございまして、その意味では一つの進歩であろうと思うのでありまして、私どもこの制度を町村会加入の全町村にさらに普及するように、また、市長会やあるいは県立学校の場合につきましても同じような方策がとられますように関係の方々に検討をお願いしておるところでございます。
#65
○内田善利君 いまの安全会の給付が低い場合は訴訟によって争うということになるんですけれども、国家賠償法にしても、民法にしても、争う場合、やっぱり学校の校長あるいは先生を被告席に立たせて、その責任を追及していくということになりますと、自然に報告がなされなかったり、隠されたり、そういうことも自然に起こってきがちなんですね。ですから、過失責任主義をさらに無過失責任主義に切りかえていくべきじゃないかと、このように思うんですが、この点はどうでしょう。
#66
○政府委員(諸沢正道君) 確かに一々事故について過失責任ありや否やということを裁判所の判断にゆだねるということになりますと、非常に煩瑣であり、関係の方々は苦心をされることはよくわかるわけでございますが、さらばといって、直ちに学校に関する限りはすべて無過失責任主義だというふうにいたしますことは、先ほど申しましたように、現在の法制度の上から言っても私は非常に困難であるというふうに考えておるわけでございまして、そのような問題につきましては、今後の検討課題として検討はしていかなければならないと思いますが、いま直ちに無過失責任主義に転換をするということは考えていないわけでございます。
#67
○内田善利君 一番最初に申し上げましたように、非常に学校災害が多いわけですね。例はたくさんありますが、こういう災害が起こった場合に、やはり国がしっかり補償していくという制度が必要だと思うんです。あの光化学スモッグが特に東京都内でたくさん発生しているわけですが、これも、公害病としてはまだ認定されません。ですから、どうしても、この安全会による補償ではまた低額だし、やはり何らかの方法で公害病としては認定されない、学校では非常に重症な子供も最近は出てきているように聞いておりますが、これに対する補償などはどのようになさっているのですか。
#68
○政府委員(諸沢正道君) 学校管理下の事故と言いますのは登下校の場合を含むわけでございますから、そういう際に、いまの公害病と言いますか、まあ疾病にかかり、あるいは負傷したというような場合には安全会の治療費の給付を受けられる、こういうことになっておるわけでございます。
#69
○内田善利君 安全会の給付は非常に低額であるわけですが、何らかの方法で学校災害の児童に対する補償を考えなければならないと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
#70
○政府委員(諸沢正道君) 安全会の給付の金額そのものの基礎でございますが、これは安全会法の定めるところによって国民健康保険法というところの給付を限度として支給をしておるわけでございますから、一般的に医療費が相当高くなっているという現実を踏まえ、それに他の健康保険とのバランスを考えながら定められておるというのが現状でございます。
#71
○内田善利君 私は、大気汚染防止法によって、あのたくさんの児童がばたばた倒れるわけですから、当然、公害病として認定できると思うんです。公害対策基本法にもきちっと大気汚染による被害というものをうたってあるわけです。ところが、依然として環境庁としては公害病の認定はしておりません。それは、非常に軽微だとか、軽度だとか、一過性だとか、そういったことを言って認定しないわけですが、やっぱり、文部省として、このように学校の児童が非常に被害を受ける率が多いわけですから、何らかの方法を講ずべきじゃないか、こう思うんですけれどもいかがですか。
#72
○政府委員(諸沢正道君) 確かに、光化学スモッグによる被害というようなものは、環境庁におきましては一過性の被害であるというような判断をしておられるようでございまして、それに即応して、しかし安全会の方としてはいまできる限度において療養費の給付をする、こういうかっこうでございまして、御指摘のように、子供を預かる教育という特殊な場であるからそれはもっと文部省等において積極的に考えるべきだという御指摘であろうかと思いますが、その趣旨とするところはよくわかるわけでございますが、やはり、こういう公害病の認定あるいはそれに対する措置というようなことになりますれば、公害全体の問題として考えていかなければならない側面もあろうかと思いますので、なお、今後も検討させていただきますけれども、いま直ちに特別の手厚い処置を講ずるということはむずかしいかと思うのでございます。
#73
○内田善利君 手厚い補償はできないとおっしゃいますが、何らかの方法で水洗――水道施設をよくするとか、すぐ飛んでいって顔を洗えるような措置をするとか、あるいはきれいな空気を呼吸できるような施設をつくるとか、何か文部省の方でそういう対策を講ずるとか、また、そういう被害が起こった場合には何らかの方法で、何と言いますか、医療といいますか、補償といいますか、そういう考え方がないものかどうか、安全会だけではこれはもう本当に低額であるし、どうにもならないと思うんですね。何らかの方法を考えていけないものか。もう光化学スモッグが発生し出してから何年かたったわけですが、この問題については何ら解決方法がない、こういう実情ですが、大臣どうなんでしょうか。
#74
○国務大臣(永井道雄君) いまの学校における災害、これについていろいろな問題が含まれておりまして、先生の御指摘の重要性は私としても全く同感でございます。法律上、学校が設置者として責任を負うような事故につきます場合にも安全会では非常に金額が少ないと。それをいま全国町村会の場合には保険制度を利用して、一人につき二千万円ですか、そして一事故について二億円限度という形で保険活用の方向が出てまいりましたから、私は、この方向というものをやはり進めていくことがよいということで、実はこのことを省内においても話し合ってきております。できればこれを市にも広げていきたいし、県にも広げていきたいということでございます。それは一つは金額の面でございますが、もう一つ、公害病の認定の問題に関連いたしますと、これはただいま体育局長も答弁で申し上げましたように、やはり公害の、学校だけに限らないものが含まれておりますから、どの種のものをどう認定するかということについてはやはり環境庁などとも十分話し合って決めていかなければいけない、そういう面が含まれているかと思います。なお、また、先生がおっしゃいました公害の種類によっては少し学校の施設を工夫することによって、水をすぐ飲めるようにするとか、そういうことをおっしゃいましたが、こうした具体的な問題というのは、私も承っておりまして、われわれとしても、今後の具体的な問題として検討していくべきことではなかろうかと。ですから、いま申し上げましたように、金額の問題、それから公害の病気の種類の問題、それからまた対策の問題と、こう多岐にわたっておりますので、そういう幾つかの面についてはいま申し上げたように考えている次第でございます。
#75
○政府委員(安養寺重夫君) 先ほど来の先生の質問にお答えをいたしたいと思いますが、昭和二十二年から二十五年ごろにかけまして全国の小・中・高等学校にだんだんにいわゆるPTAが設置されてまいったわけでございます。二十七年ごろから文部省にございました関係の審議会が二十三年に示しましたPTA参考規約の再検討を始めました。二十八年の六月には改正の最初の案を公表いたしまして、全国のPTAあるいは都道府県の教育委員会、その他関係者の意見を聞いたわけでございます。その結果、二十九年の二月に小学校PTA参考規約というものにまとめまして、これを発表したわけでございます。二十三年の規約、二十九年の規約という御指摘は、そのような経緯でできたわけでございます。
 改正の主なねらいどころは、昭和二十七年の十一月一日、全国の各市町村に教育委員会ができたわけでございます。そういう事態に当面いたしまして、いろいろとPTAなり婦人会、青少年団体等々から教育委員会とのかかわり合いについての照会が来ておったというようなこともございますし、また、PTAの規約それ自身に対する関心というものを高め、責任を深めるといういい契機でもあるから、在来のいわゆる与えられた規約というよりも自分でつくる規約というようなことで、再検討というようなことを一緒にやろうという作業をしまして、結果になったわけでございます。小学校に形式は固めたわけでございますが、地方の実情により即応できるようにというような趣旨でいろいろと大筋を書き上げたというようなかっこうになっております。御指摘の在来の規約には、PTAは、「教員、校長および教育委員会の委員と学校問題について討議し、またその活動をたすけるために意見を具申し、参考資料を提供するが、直接に学校の管理や教員の人事に干渉するものではない。」、後段の趣旨は、文言そのまま残っておるにもかかわらず、前段が消えておると、削除されておるというのは何か理由があるかというところをいま調べたわけでございますが、当時の公式の文書に、こうだというような説明をそれに即してしたものはございませんけれども、たまたま、二十七年の十二月に、文部省から社会教育関係団体一般と教育委員会との関係について通知を出しておりまして、その中で多少似たようなことを言っておりますので、この趣旨をそのまま敷衍したのではないかと私、理解をしておりますので、その点において御説明をさしていただきたいと思うのでございます。
 それはどういうことかと言いますと、「教育委員会は、合議体の行政機関であるから、社会教育関係団体としての、教育委員会への意見具申、要望、情報提供、行事への招待等は、すべて教育委員会の教育長を通じて、なすべきであり、教育委員と直接個人的なかかわりにおいて行うことは望ましくない。」と、こういう項目が入っておるわけでございます。これにはもちろんいろいろございまして、教育委員会は、公正な行政の衝に当たる民主的な機関で、社会教育団体は自主的な民主的な団体であって、両方が強制にわたるような、そういうことをやってはいけないとかいろいろなことが書いてあるわけでございますが、そういうような前提におきまして、ただいま申し上げましたように、教育行政機関への対応の仕方としてはこのようにやりなさい、と。先ほど、規約には、「教育委員会の委員と学校問題について討議し」云々というように規定がありましたので、このあたりを多少整備をしたんではないかと、かように理解をしておるわけでございます。
 お答え申し上げます。
#76
○委員長(内藤誉三郎君) 午前の質疑は、この程度にとどめ、午後一時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十八分開会
#77
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化及び学術に関する調査中、徳育の振興に関する件について、六月二十六日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(内藤誉三郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#80
○委員長(内藤誉三郎君) 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#81
○小巻敏雄君 二、三の問題について、文部大臣並びに文部省関係者の方々にお尋ねをいたします。
 まず最初に、最近非常にジャーナリズムをもにぎわしておる学習塾の問題などがございますが、大都市の子供の六〇%以上の子供が通うとも言われ、また、企業が教育産業に進出をするんだと、子供は聖徳太子に見えるというような、これは教育的な意味とは別の聖徳太子のようでありますけれども、こういうようなことが言われております。子供の生活の小さくない部分が塾で費やされておるというのが、今日の実態でありますが、私は、学習塾の問題はいずれまたお尋ねする機会もあるかもしれませんけれども、いま「おけいこ塾」と俗に言われるそういう問題に関連をしてお伺いをするわけです。
 そろばん塾と一般に言われるような塾がございますが、いま全国で二万とも言われ、そこには百万ですか二百万ですか、相当数の子供がそこへ通うわけでありますが、これらの塾はエリート型の進学塾とはまた違って――大学ではそろばんは教えませんしね、多くの場合、勤労階級の子供たちがここで技能も高めるという教育的な雰囲気の中で余暇の時間を過ごさせようという親の願いも含めてこういうところで生活をしておるというふうに私は把握をしておるわけですが、この塾に大きな影響を持つ団体として、社団法人全国珠算連盟という団体、組織がございます。たしか文部省の認可の団体であって、会員八千と言われますから、これが多く塾頭を中心にして加盟しておるということを考えますと、こういうそろばんの塾の中でもシェアは三分の一を超えるというような最大の団体であろうかと思いますが、文部省が奨励をし認可をして、そして活動しておるこの団体の趣旨あるいは主要事業、主な役員といったふうなものについてお伺いをしたいと思います。
#82
○国務大臣(永井道雄君) 説明員から御答弁させます。
#83
○説明員(奥田真丈君) 全国珠算教育連盟についてでございますが、まず連盟の認可の経緯あるいはその事業内容について御説明申し上げます。
 全国珠算教育連盟は昭和二十九年の七月に創設されまして、三十一年十一月に、社団法人全国珠算教育連盟として文部省が認可した団体でございます。この法人の目的といたしますところは、産業教育の振興を図るために珠算に関する調査研究と、それに必要な指導助言を行い、関係諸団体と緊密に連携し、もってわが国の珠算教育の普及向上並びに発展に寄与することとなっております。
 なお、この目的を達成するためにやっております事業といたしましては、一つには珠算教育に関する調査研究、二番目には全日本珠算選手権大会、三番目には全国珠算研究集会、四つには検定事業等の種々の事業を行っております。現在、全国各地に会員は約八千名を有しておると言われています。
#84
○小巻敏雄君 大きな団体で、歴代の文部大臣を名誉会長、会長顧問と、こう控えて、権威のある珠算検定試験を行う団体であろうかと思いますが、この団体が認可をされてから二十年近くなろうかと思いますが、この間、監督官庁から注意を受けるような状況が二、三あったかのように聞いておりますけれども、それらの問題、それからもう一つは、実際上の最大の事業である珠算検定試験、この団体が行っておる検定は、年間どのくらいのまた人数を対象にしてやっておるのかというようなことも伺いたい。
#85
○説明員(奥田真丈君) いままでこの団体が、言うなれば、法人目的外の活動をしたがために指導を行いました事例について申し上げますと、文部省に相談なく会員相互の扶助を目的とした互助会というのを設置いたしました。これは昭和四十七年八月解散いたしまして、ただいま清算業務中でございます。それから株式会社育全を設置いたしました。これは昭和四十七年七月に貸付金の回収済みということになっておりますが、そういうものを設置し、運営するということが過去にございましたが、その都度、文部省の方から指導をいたしております。すでに四十六年ごろからは法人設立の目的及び事業の範囲外にあるということでございますので、文部省は行政指導を行ってきたわけであります。そうしまして、公益法人としての姿勢を正して、正常な活動を行うよう指導してきておるところでございます。
 なお、検定の事業費でございますが、約五億円となっております。それからまた、人員は年間約百万人が受験しておるということを聞いております。
#86
○小巻敏雄君 この団体が年間六回だと思いますが、大体一回ごとに三十万ぐらいの検定受験者がある、こうなりますと、百万よりはもう少し大きい範囲で受験をしておる、大体、六級以上くらいは中央直轄事業になっておって、現在のところ段位認定は千円。それで一級は七百円、かなり莫大な検定料がこの団体で一括収受をされる、これが大きな事業になっておると承知をしておるわけですけれども、会の趣旨に従えば、これらの事業の利益を目的にしてあるいはこの収益を事業費に充てて事業を行うというようなことは会の趣旨に相かなわない。しかし、そういう点からして逸脱にわたる事例が過去にはあったけれども、現在は是正をされておる、こういうことですか。
#87
○説明員(奥田真丈君) そのとおりでございます。
#88
○小巻敏雄君 この問題につきまして、確かにこの検定は、合格証書は、(実物提示)こういう姿で出しますので、永井先生の名前などちゃんとこう入っておりまして、一般に受験をする者にとって言えば、教育と言えば文部省、文部省が認定をしておるのだから中身もよかろう、こういうことで権威づけられて合格証書が出される、それはほかの同種の団体に比べても、かなり大きな組織としての検定事業になっておりますけれども、聞くところでは昭和四十七、八年ごろ、これらの蓄積された原資をも利用しながら、いわば銀行法違反といいますかねどういうことで互助会というのを設けて、経済活動をかなり盛んに行われた、こういうことであって、脱税容疑で一時は警察の取り調べをも受け、不起訴にはなっておるけれども、文部省の行政指導の中で、これらのことが互助会解散に至ったというふうに聞いておるのですけれども、その後継団体というふうにも見える珠算教職者共済会というのが改めて発足をしているという事情については御存じですか、また、それを御存じならその内容はどうなっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#89
○説明員(奥田真丈君) 互助会というものにつきましては、大蔵省並びに文部省が解散指示を行いまして、昭和四十七年九月に業務を停止したわけでございまして、現在は積立金は五十年六月までには全額償還して清算業務を完了させるように努力中でございます。また、貸付金についても回収を急いでいるところでございます。ただいまお話しの珠算教職者共済会ということだと思いますが、この珠算教職者共済会と申しますのは、珠算教育に従事する者の相互扶助と福利増進を図ることを目的として、昭和四十九年の七月に発足したものでございます。全国珠算教育連盟としましては、この互助会の解散のこともありますが、この運動を一応進めております。しかし、文部省の方でも適時指導をいたしておりまして、全国珠算教育連盟の組織と一体化することは考えておりません。組織上役員等も別機関として、あくまでも珠算教職者の集まりとして任意に加入したもので運営する団体にするべく指導をし、運動を進めております。
#90
○小巻敏雄君 珠算教職者共済会とこの全珠連とは別の人格を持つ全く別途の団体であって、その間には組織的その他の関係はない、こういうふうにとらえておられるわけですか。
#91
○説明員(奥田真丈君) そのとおりでございます。
#92
○小巻敏雄君 それが実際上、表裏一体の関係をなしているというようなことがあればそれは不届きなことになると、こういうことになるわけですか。
#93
○説明員(奥田真丈君) 不届きなことになると思います。
#94
○小巻敏雄君 実は、これそんなに古い問題じゃなくて、昨年、全珠連、珠算教職者共済会の発足に当たってのニュースが、これは全珠連の組織で発行している厚生委員会というのが発行しておる厚生ニュースに記載をされておるわけですね。これは共済会の発行したものではないわけですね、珠算教職者共済会。中を読んでみると、社団法人全珠連の社員として過去二十年間にわたっていろいろやってきたと、しかし、この全珠連をもってやりたくてもできないことがあるというのが幾つか挙げてあるんですね。全珠連の経済的基盤を拡充すると、こういうことは団体の性格上できない、老後保障対策、災害疾病対策、教育施設設備改善の拡充の問題、これを法人としてやれないから、しかもどこからも援助をしてくれないからひとつそれを実行する組織をつくろうというのが、ここに書いてあるわけです。しかしながら、互助会というのをやったら、大蔵省と文部省と両方からしかられたので、法令に違反することなく事業を継続するための改善を前提として、一時的に互助組合の業務を停止し、弁護士や会計士の指導を受けて総力を結集した表裏一体の組織をつくって、全員加盟を一大前提として発足をするというふうに書いておるんですけれども、御説明と実態とが違うんじゃないでしょうか。
#95
○説明員(奥田真丈君) この共済会というものは、先ほども申しましたように、珠算教育に従事する者の相互扶助と福利増進を図ることを目的とした会でございます。珠算連盟は珠算連盟として設立の趣旨もございますが、その際に、珠算教育に従事する者の福利厚生あるいは相互扶助というためには、こういう共済会の組織運動ということが当然考えられるわけでございまして、そういうものの運動、相互扶助あるいは福利増進を進めていくということにつきましては珠算連盟も恐らく理解しておることだと思います。しかしながら、珠算連盟の組織と一体化するということにつきましては全然別問題で考えなければならない、こういうことで組織上役員等も別機関、こういうように考えておるわけでございます。
#96
○小巻敏雄君 文部省の御指導の筋は法に従ってされておるようでありますけれども、実態は、形式を整えたら内容は表裏一体の運営をするというふうな事実がみずからの出す発行物に書いてありますので、この点は厳重にお調べになって、もしそういう事実があれば当然是正をするなり何なりされなければならぬのではないでしょうか。この点は、この団体は前歴があって繰り返し繰り返し行われているというところに問題があるのではないか。これについてお調べになったら、もし私がいま御指摘をしたような、これ全珠連自身のニュースに掲載をされておることでありますから、そういう実態があるならこれはそのままにおくわけにはいかないのではなかろうか。そういうことを、それでは形態を整えて看板とたてまえと内容が違うというようなことをやろうとするのであるなら、しかも、互助会のときに問題があって再度繰り返して問題があるというふうなことであるなら、この認可の趣旨にも合致しないのではないかと思うわけですけれども、まあ後ほどにでも私の方までお尋ねの趣旨についてはさらに調査の結果をいただきたいと思うわけです。
 なお、いまもお触れがありましたけれども、株式会社育全という、この団体についてもまさに全珠連の機関紙であるところの全珠連会報に、その結成当時にこれは全額を全珠連から出資をして、そうしてその印税は、これは出版を行うわけでありますけれども、大体その印税は全部全珠連が収納するというふうなことがすべて全珠連の機関紙に記述をされておるわけであります。それがそのとおりに運用されておるのなら、ダミーをつくってそして会則、趣旨と違うことを実際上は全珠連が行っていっているということになるのではないかと、その点についても念を押しておきます。
#97
○説明員(奥田真丈君) 教職員の共済会につきましては、ただいま実態の資料等も存じませんので後ほど調べて適切な指導をしていきたいと思っておりますが、育全につきましては、これはすでに先ほども申しましたように、いろいろと指導を文部省では重ねてきております。現在の状態を少しく申し上げますと、公益法人としての性格上、全珠連と育全との関係を断つよう行政指導も行いました。それから各貸付金は昭和四十七年七月に回収いたしました。また、役員としての代表取締役に理事長が就任しておりましたが、現在は辞任いたしております。今後もできるだけ早い機会にこの育全と全珠連の正常化につきまして文部省といたしましても指導していきたいと、こう考えております。
#98
○小巻敏雄君 私がいまほど指摘をしたこの全珠連会報六十五号の問題、昭和四十六年時点の問題ですけれども、この一種の怪物商法ほどではないかも知れませんけれども、この商法というのは、同種の日本珠算教育連盟その他の方から抗議文を送られるというような状況もあり、かなり猛烈ぶりがあったと、その後の問題についてよく指導をしておるということですので、これも後の御報告をもう少し聞いてみたいと思うのですけれども、大体、行政指導を受けたら、法律顧問等に相談をして、運用と実態は温存をして組織的に立て直しを図るということが繰り返し行われるということは、もそっと抜本的に問題にメスを入れていただく必要があるのではなかろうか。昭和四十七年時点でのあの互助会問題でも相当数年間これをやり通してきて、そうして八月段階で国税庁の指摘を受けて書類送検まで行ってようやく是正に着手をすると、こういうような状況であり、そうして、何におごっておるのか、そういうことをかなり平気で自分の機関紙に書いて、そうして指摘をされたらすれすれのところまで下がってきて、その前には相談をする大物がいるというような態度は、こういう文部省認可の団体としてとうてい許すことができないものではなかろうかと思うわけです。
 さらに、最近の事情についてもお伺いをするわけでありますけれども、この団体の傘下、これは都道府県別に支部を四十七都道府県に持っておるようでありますけれども、東京の支部の中で頻々とこの団体の手による経営指導という名義のもとに、統一をして塾の授業料の値上げが指導をされ、授業料値上げに応じない者は懲罰をされたり除名をされたりしておるというような事実が聞かれるわけであります。なお、珠算検定を受けるために一つの塾から百人のノルマを完遂せよというようなことで、ゼロの報告をした者に対しては、これは総会で糾問をされて脱退勧告が行われると、脱退をさせられれば、この永井先生の権威のもとに出されるこの検定は受けさせないというのでありますから、経営が打撃を受けるわけですね。そういうふうな性格を持つ団体になってきておる。そういうふうに私は掌握しておるわけですけれども、その点についてはどうですか。
#99
○説明員(奥田真丈君) 全珠連の事業につきまして、珠算教育を普及するために受験者数を増加すると、こういうことは珠算教育普及の目的にもなるわけでございますが、そのために下部の組織に対しまして受験者を割り当てるとか、あるいはノルマを課すと、こういうようなことが行なわれているといたしますと、いま御指摘のように、私どもも望ましいことではないと感じます。でありますので、実情等につきまして、十分調査いたしまして、このような事柄のないように指導していきたいと、こう感じております。
#100
○小巻敏雄君 望ましいことでないけれども、しんぼうできる程度のことであるのかどうかいろいろあろうかと思いますけれども、その点については、またまたここの東京都の支部は公正取引委員会から注意を受けているわけですね。それはあなた方御存じないようにおっしゃるのですけれども、全国珠算教育連盟の東京支部の大田区の大田地区という、全珠連大田地区は毎月地区名でもって保護者各位に、直接塾にやってくる子供たちのところへ、一ヵ月二千五百円から三千円に上げるんだというのを一括して出して、このことを履行しない塾頭は非常に圧迫を受けておるんです。特に何とかして特定の地域のなじみの深い父母との間をつなぐためにというので、苦肉の策で、三千円にしろというのを、五百円特待生名義で善意に割引をした者というようなのがつるし上げに食らうとか、糾明を受けるとかひどい状況が起こっておりますし、割り当ての百名を送らなかった者というのは、それは支部総会の議案に付せられて、そして受験者数ゼロの先生についてはというので懲戒措置がとられ、その理由を明らかにさせ、今後どういう措置をとるかということを引き続き追及するというようなことが全体討議に諮られている。こういうふうな団体が、いま受験塾なんかで企業が乗り出すとか、育全じゃありませんけれども、物品販売の道具として塾が使われると、これを悪徳商法とか、こうジャーナリズムがこれに対して批判をするわけですね。そういう状況が文部省認可の団体で文部省の権威のもとに、ほかの団体であったらとうてい行うことのできないような上からの指導が行なわれる。こういう実態について文部省が御存じないということになれば、私はやっぱり監督怠慢の責めを免れないと思うわけですね。この問題についても実に徹底しておりまして、この授業料値上げについてなかなか応じない者に対しては、こうしたはがきで、(資料を示す)どんどんとやられるわけですね。さらに割り当てのノルマの検定者が出てこないところには、来る五月の地区会で、本年度最後の検定受付がありますから、先生においては年間百名を割っておりますので、念のためにお知らせをします。あなたは四十九名しか出していないというような手紙が行くわけです。それでもゼロでやるような、気骨があると言いますか、偏屈なのかどうかわかりませんけれども、そういう者は懲罰を受ける。こういうことが繰り返されておって、ようやく公正取引委員会の指導によって、こういうものはやめろという通達を出しておるんですね。一括指導するのは目に見えるからやめよというのですけれども、こっちの方は目に見えないわけですね。だから徹底的に指導を受けつけるのはマヌーバーを学ぶのであって、内容において反省の色がないというのがおおよその実態ではなかろうか。再度申し上げますけれども、そろばん塾に通う子供というのは、大学教授の子供や大企業の幹部職員の子供やこういう人たちが行くところではありません。塾頭の方で産をなしたというのは聞いたことがない。名もなく清く美しくと、自分の技能を中心にして、いわば町の中の子供たちに憩いの場所を与え、励みを与えておるのでありますから、こういう中に、国の権威をかさに着た、こういう言わば悪徳商法のはしりのようなことが行われるということについては、文部省の名を冠しておるものでありますから、厳重にひとつ今後監督をしていただいて、実情をつまびらかにして私どもの方に報告をいただきたい。きょうのところは、そこでとどめたいと思いますので、その点について御要望をしておきます。
  〔委員長退席、理事久保田藤麿君着席〕
大臣も、名義も貸しておられるわけですから、ひとつ心にとめていただいて、後まで見守っていただきますように、一言御意見をいただきましょうか。
#101
○国務大臣(永井道雄君) ただいま小巻先生がおっしゃいますように、そろばんの塾は経済的にもなかなか楽でない御家庭のお子さん方が、あるいは若い人たちが勉強するわけでございますから、その趣旨に沿って、そういう人たちに役立つようなものでなきゃいけないというのは全く先生のお言葉のとおりであると思います。そこで、いまいろいろ問題になる事例を先生お示しになりましたが、そういうことでありますと本来の趣旨に反することになりますから、私たちといたしましても、これは実態をよく調べまして、そして、その実態を調べた上で適切な指導をするなり、この団体というものが趣旨に沿っていくのにはどうしたらいいか、私たちとして、行政上この問題に取り組むようにいたしたいと考えております。
#102
○小巻敏雄君 続いて質問をいたします。
 去る三月来、日本の教育界で大学教育が大きな比重を占めていると、こういう現状の中で、法政大学、早稻田大学等でしばしば授業日数が失われ、ゲバルトの名のもとに多くの学生の学ぶ権利が奪われる、暴力がばっこするというような問題について、大臣の所信もただすところがあったわけですけれども、前進をした答弁をいただいたと思っておりますが、従来に比べて。にもかかわらず、現実の方が改善十分にされておるとは思えないという事実がございます。引き続いて、大阪で具体的に起こっておる大阪市立大学の問題について御質問をいたします。
 まず最初に、六月四日朝七時四十分ごろ、ここで革マルと中核の争いが発生をして、ここで三名の死者、三名の重傷者を出しているというようなことが新聞紙で報道されておったわけであります。この件について、ひとつこれは先に警察の方にお伺いをしておきたいと思うわけですけれども、事件の概要と、そこの捜索、どういう凶器がどこでどのぐらい出てきたのかというような問題、そして、その前後の事情、状況等について簡潔にお伺いをしたい。
#103
○説明員(柴田善憲君) お尋ねの六月四日の大阪市立大学における内ゲバでございますが、同日の午前七時半ごろに通行人の方からいま長居公園で着がえをした白ヘルの三十名ばかりが鳳行きの電車に乗ったという一一〇番が入りました。そこで、これは大阪市立大へ向かうのではないかということで、直ちに所轄の住吉署員、これを市立大へ向かわせまして状況を見さしておりました。同時に、杉本町駅で降りることになりましたので、機動隊一個中隊を直ちに阪和線の杉本町駅付近に急派して検問実施、警戒に当たらせようとしたわけでございます。その結果、七時五十分ごろになりまして、市立大の構内に、革マル派と後には判明するわけでございますが、白ヘルの集団が三十名余り入っているということがわかりました。そこで、直ちにこのことを視察員が報告かたがたさらにその動きを見ておりましたところが、八時十分ごろになりまして、突然教養部の三号館の中から、後に中核派と判明いたしますが、中核派と見られます集団五十人ばかりが飛び出しまして、いきなり持っておりました鉄パイプ等で革マル派集団に襲いかかったわけでございます。この両者はそこで乱闘になるわけでございますが、視察員はこの状況を見まして直ちに応援を求めたわけでございます。
 そこで、まず府警では所轄署から部隊を出し、さらに杉本町に到着して検問に当たろうとしておりました機動隊を急いで配置転換をするということで、八時二十三分ごろに機動隊が現場に到着いたしました。それで直ちに同大学の構内に入りまして、倒れております者の救護、それから乱闘をやりました者どもの逮捕に当たったわけでございます。六人倒れておりまして、これを病院に収容いたしました。これはいずれも革マル派でございましたが、そのうち二人が間もなく病院で絶命をいたしました。もう一人は翌々日の六月六日に、これも亡くなっております。さらに残りの三人は重傷という状況でございます。
 一方、逮捕の方でございますが、乱闘を終わり、警察部隊の出動で逃走しておりました被疑者のうち五人を建造物侵入、暴力行為等処罰に関する法律で現行犯逮捕をいたしまして、それぞれ送致をいたしております。
 なお、捜査の方でございますが、警備部長を長といたしまして特別捜査本部を設けまして、これは約百名の態勢でやっておりますが、目下鋭意捜査中でございます。
 それで、この先ほど申し上げました五名は革マル派であったわけでございますが、その後さらに中核派の一名を、これも殺人、殺人未遂、凶器準備集合罪ということで逮捕をいたしまして、これは現在勾留をつけて取り調べ中でございます。
 なお、押収捜索の状況についてお尋ねでございますが、同日の午後、大阪地裁の裁判官から押収捜索許可状と検証許可状をいただきまして、大学の教養部の構内、これを差し押さえ、検証いたしました。その結果、教養部のボイラー室二階のロック研究室から鉄パイプ五十二本、そのほか現場周辺の教養部構内の芝生正門付近から鉄パイプ七十三本、旗ざお百十四本、ヘルメット三十八個など、合計千八百点の品物を押収しておるという状況でございます。
#104
○小巻敏雄君 この逮捕をし、送検をされた者は、革マル派が五名と、それから中核が一名、こういうふうに言われたのですね。
#105
○説明員(柴田善憲君) そのとおりでございます。
#106
○小巻敏雄君 それの中には学生がいるのか、いないのか、氏名もここで明らかにされるなら、してもらいたいと思います。
#107
○説明員(柴田善憲君) 革マル五名でございますが、これは一人だけ名前が判明しております。これは学生ではございません、三十三になる男でございます。あと四人は氏名不詳でございます。
#108
○小巻敏雄君 それで現在も勾留中ですか。
#109
○説明員(柴田善憲君) これは六月六日に処分保留で検事釈放になっております。
#110
○小巻敏雄君 氏名不詳のままで釈放したわけですか。
#111
○説明員(柴田善憲君) さようでございます。
 それから中核派は、これは勾留中でございますが、これは阪大の工学部中退二十八歳になる男でございます。
#112
○小巻敏雄君 この押収された場所なども、一番初めのところはボイラー室付近というのがあったですね。
#113
○説明員(柴田善憲君) はい。
#114
○小巻敏雄君 これは大体黒ヘル、中核のアジトになっているところじゃないですか。
#115
○説明員(柴田善憲君) この教養部のボイラー室というのは、三号館東側の別棟、そこの二階に音楽の研究室がある、その音楽研究室から鉄パイプが発見されておると聞いております。黒ヘルのアジトであるというふうに私、ちょっと聞いておりません。
#116
○小巻敏雄君 いま言われたように、非常に凶暴な事件が予知された状況の中で起こっておる、ここにこの問題は特徴があると思うのですね。すでに警察では予知をし、祝祭員を派遣をして、そうしてパトロールをやっておるうちに問題が起こっておる。私の聞くところでは、六日に中核が学校の中で学校の施設を――貸すのですな、市大というのは妙なところで。貸したのを、学外の者だというふうに、やられてしまうと、これは学外の集会だと、こう言うのですが、それに施設を貸しておる。中核が現代史研究会などと名前をつけて、学内におるほんの二、三の中核の諸君を中心に場所を借りて、そこで日韓問題についての学習会をやるという看板を張り出した。「中核派」がこれを粉砕をするというので、立て看をこわし、そうして四日に気勢を上げておるところに――そういう状況であるから学校ではすでに予知をして警察でも警戒に当たっておったところ殺人事件が起こっておるわけです。むざむざわかっておるところで、そして学内の者が引き入れて学外の者が入っておるという状況がわかっておる中で、学校は施設を貸し、そしておびえ上がって警察に頼む。そういう中でむざむざとこの殺人事件が起こっていっている。しかもその中で出没する核マル系の人物は、その前にも何回も問題を起こして名前も上がっておるわけですね。この市大事件の特徴は、この中の相当数の人物は、渦中の人物は氏名も多くの学生たちの間にかなりつまびらかだった。こういう状況の中で氏名不詳のままで釈放されるというような状況が起こっておるわけですけれども、これが特徴になっていると私は把握をしております。
 ひとつ報告を受けられた範囲で、文部省の方としては、この状況をどうとらえておられるのか、そして、その後の大学の処置等について御説明をいただきたいと思う。
#117
○政府委員(井内慶次郎君) 六月四日の件につきまして警察庁の方からの御説明もございましたが、私どもの方といたしましては、文部省として、従前から学園における暴力行為の根絶につきまして、諸会合あるいは個別指導等を行いまして大学当局の努力を促してきておるところでありますが、この大阪市立大学の件につきましては、文部省としましては、特に次のような諸点を大学の方に連絡をし、指導をしておるところであります。
 第一は、暴力事件が発生した場合またはそのおそれがある場合、平素から警察当局との連絡を密にすること、第二が部外者の立入制限、禁止の措置、場合によっては大学当局によるチェック体制の必要もあるであろう。第三点は、学内に鉄パイプ等の凶器類を持ち込ませないこと、第四点は、暴力行為根絶のための趣旨を学生、教職員に周知徹底させること、第五点は、暴力行為等のあった学生等に対して厳正な措置をとること、第六点は、無許可の集会等は即時解散させること等を具体の問題として大阪市立大学に連絡、指導も行ったところでございますが、大学といたしましては、警察との連絡、通報等につきまして一層努力をするということが一点、第二点は、学外者の立入の禁止等につきまして、部外者立入禁止の立て札等も掲示し、守衛による巡回のほか、教職興の早朝出勤による監視、並びに状況によりましての学生証のチェック体制等も市立大学としてとる、第三点は、凶器類の持ち込み禁止の掲示を出し、携行している者があれば教職員がそのつど注意することとし、夜間において教職員が泊り込みを実施しまして構内を現在巡視等のことも行っております。
 第四点としまして、特に大阪市立大学では、今回の事件にかんがみ、暴力行為禁止の趣旨徹底につきまして、学長告示等をもってその周知徹底を図っております。
 第五点としまして、学生の措置の問題でございますが、この点につきましては現在なお検討中ということでございます。また、集会の許可につきましても慎重を期し、トラブルの予想されるときはこれを許可しないということで努力すると、こういうふうなことで、ただいま大阪市立大学当局におきましても、大学としての努力を一層私どもも期待し、大学当局も努力をしておるところでございます。
#118
○小巻敏雄君 いま文部省としての大学への指導六点にわたって述べられたわけですね、この六点にわたって述べられたところは、一般的に各大学に通知してあるところを言われておるのか。この市大の事件に関して具体的に指導された内容を言うわれておるのか。それはどうなんですか。
#119
○政府委員(井内慶次郎君) この種事件に関しまして、文部省といたしまして、一般的に大学に特に注意を喚起しておりますのは、ただいま申し上げましたこととおおむねダブルかと思いますが、一応五つの点で各大学には助言をしております。第一点は、学生その他の者による宿泊等の場所として大学の各種施設が使われるということがあってはならない、特に学寮の正常な管理という点に注意するということが第一点。第二点は、学内における薬品等の危険物について暴力行為に利用されることのないよう、その管理に万全を期すること。第三点が、鉄パイプ、角材、ヘルメット等、暴力行為に利用されるおそれがある物品が学内に持ち込まれ、準備、隠匿されることのないよう、各種施設の管理の適正を期するということ。第四点は、大学間の連絡も密にして、過激派集団の動向の把握に努め、必要に応じて学内立ち入り等の制限の措置もとること。第五点が、最近の事例を見ると、学内学外を問わず、過激派集団の行動は計画的かつ敏速であり、その上、凶悪化しているため、一瞬の逡巡が重大な結果を招くおそれが多いので、不穏な気配が認められた場合には速やかに警察当局に通報する等、迅速、的確な措置をとられたいこと。
 以上五点を、特に四十八年以降私どもとしましては、基本的な五つの点として各大学の方に助言をしておるところでございます。
#120
○小巻敏雄君 いま言われたことは私も通達として承知をしておりますけれども、今日のような段階で、特に問題が起こった大学に対する指導としては、やっぱりその学校の特色をもとらえて具体的な指導をされる必要があるのではなかろうか。特に、この種の大学というのは、市大の例に漏れず、学生自治会はないですね。二部の方にはちゃんとあるようですけれども、一部の方では自治会と言えるものはない。学生の総意は結集の場を失っておる。押し返すだけの、いわば暴力一掃のための力を高める自治の基礎が学生の中で破壊をされている。こういうような状況に対して、障害を取り除いていく責任は大学の側にあるのではなかろうか。一般的に厳正な措置をとれと言っても、それはすでに中教審等でもこれらの問題について言及しておる点がありますけれども、その暴力行為の具体的に明らかな学生及び学生団体に対して具体的な措置をとること、この問題に関しては、学則なんというのは死文と化しておるような点がかなり見られるわけですね、各大学において、説得をするなどと申しまして。そういうような点が見られる。これらの点については具体的な指導をしておられるのか。暴力行為等のあった学生及び学生団体に対して厳正な処分を行うということについての注意ですね。あるいはもうほとんど学業を放棄して、半ばプロのようになっておる明らかな暴力学生について学則はどのように作用するのか。これらの問題についても見ておられるのか。この点重ねてお尋ねしておきます。
#121
○政府委員(井内慶次郎君) 大阪市立大学につきまして、私どもも大学各学部ごとの自治会の様子を大学にも照会いたしておりますが、四十四年以降自治会が実質的に役員組織もできず消滅したような形になっておるという現状は私どもも聞いております。自治会の問題なりあるいは学生に対する処分の問題なり等につきましては、各大学のそれぞれの学部等にもよりますけれども、いろいろな状況が非常に相違いたしておるようでございます。文部省としましては、従前から学生に対しまする厳正な措置につきましては、かねて指導しておるところでございますが、たとえば四十九年で具体的に見てみますと、国立大学で四十九年度の学生に対する措置を十二名の者について行っておりますが、それ以外の者につきましては各大学からの報告をいただくに至っていないという状況でございまして、この辺等私どもといたしましても、なお個々具体の問題が起こっておる大学等につきまして、一層その大学の実態の把握にも努め、また、それぞれの大学の状況に応じました各大学の努力が具体に実りますように一層の助言、協力をしなければならない、かように考えております。
#122
○小巻敏雄君 私は、この問題について十二日ごろに文部省学生課からかなり具体的な指導が行われたかに聞いておるんですけれども、その点では、いまの御報告を聞くと、何か定かでなくて、一般的な指導を行われたように受け取れますね。いま説明された六つの項目の説明についてもかなり一般的なものである。もう少し明白に、処分の問題もあるでしょうし、学内での集会等の問題については適切な措置をとること等について行われたのではなかろうかと思うんですけれども、どうなんですか、その点は。
#123
○政府委員(井内慶次郎君) 大学に対しましては、直接電話をもちまして担当の方から状況の把握にも努め、こちらからも助言をいたしたのでございますが、事柄といたしましては先ほどお答え申し上げました六点でございまして、この六点の個々につきまして、市立大学の現場の状況でありますとか、文部省の具体の話でありますとか、そういったものはやりとりとしてはもちろん付加されていようかと思いますけれども、事項といたしましては、先ほど申し上げましたような角度から六点にわたって助言をいたした次第でございます。
#124
○小巻敏雄君 続いてお伺いをするわけですが、実はこの六月四日というのは、たまたま三名の死者をその場で出しておりますけれども、その前後に引き続いて問題が起こっている一環になっておるわけですね。これは警察にお伺いをしておくのですけれども、二月一日に、この暴力学生の方から学友に対して駅の待合のところで窃盗行為を働いたり、あるいはその周辺で集会中に暴行をふるったりして、そして告発を受けて追及をされておる事件があるんじゃないですか。
#125
○説明員(柴田善憲君) お尋ねの二月一日の事件でございますが、同日の朝八時四十五分ごろでございます。阪和線の杉本町駅前に、被害者、これは後に告訴してまいりますが、被害者いずれも大阪市立大生四人が人を待っておりましたところ、駅の改札から数人の者が出てまいりまして、いきなりこの被害者四人に殴りかかったわけでございます。そこで被害者のうちの三人が五日から一週間ぐらいの傷を受けまして、それで逃げ出しました。かばん等を置いて逃げたわけですが、その置いていったかばんをこの殴りかかった連中が奪い取って、これまた取って逃げたという状況がございました。この状況は、同日の夜になりましてから被害者たちが所轄の住吉署へ出頭してまいりまして、こんな目に遭ったという被害申告をしましたので、初めて警察としては知ったわけでございます。そこで、四人から早速事情を聞きまして、その後、いまのは一日でございますが、四日になりまして、四人がお医者さんの診断書をつけまして、増井邦広という大阪市立大生外、氏名はわからないけど、五人ぐらいであったという告訴状を出してきたわけでございます。そこで、その後、この被告訴人の自宅その他をいろいろ押収、捜索等をする等の捜査を続けまして、五月の二十二日になりまして、この増井邦広に対します傷害、窃盗罪の逮捕状の発付を受けて行方を捜査しておりましたところが、六月六日になりまして、同大学の教養部正門前でビラを配布しておりますのを発見いたしまして、傷害窃盗罪で逮捕いたしまして検察庁に送致いたしております。なお、他の共犯、氏名不詳の五人につきましても、現在、鋭意捜査中でございます。
#126
○小巻敏雄君 事件の関係もございますので、最終的にお伺いをするわけですが、この事件が起こった後にようやく学長は、今回の事件は、まだ、学外の者ではなくて学内の者だというのは、不十分な事態把握をしながらも、明らかな暴力学生に対しては、これは断固として臨むという態度と、それから学外の不当な者たちに対して施設を貸さないというようなことをようやく声明をしておるわけでございますけれども、これまで、そういう状況でそのまま打ち過ぎて来たということがある。四月からすでに起こっている、このいま述べられた増井というような犯人に対しても、どのような措置もとられておらず、繰り返し犯行を重ねておる。こういうふうな大学の態度が、この問題の解決を非常におくらしておるわけであります。しかも、その後、五日、六日には引き続いて事件が起こっておるわけであります。特に五日には、暴力一掃のためにというので、ようやく全学的に暴力一掃の空気が広がるという状況の中で、クラス内で討論をしておるところにさらに暴力の者たちが入って暴行をふるっておる。六日には、初めから予定をされておった中核派の集会、こういうものは、大学当局は当然解散させるべきでありますけれども、この状況に対して、不当な者に対して貸した会場の取り消しをするのではなくて、授業を一斉に中止をしておるわけですね。こういうふうな状況で、全体の授業を非常に安易に切ってしまって、そうして正義の立場から暴力一掃に立ち上がる学生、こういう力が伸びてくれば、自治会再建の方向も必ず生まれてくると思うのでありますけれども、それに対する態度と中核、革マルに対する態度に非常にあいまいなものがある。これらの点につきましては、六点の指導、これは市大のいままでの指導で足りないところをかなり補うものがあると思いますので、その後、的確な御指導をされて、報告を求めて、一層指導を強化される必要があるだろう。なお、特に市大の場合には、この教官の一部あるいは事務所にもこれらの諸君と心を合わせるような要素があって、公然たる中核は殺人犯ですから、森というような赤軍派の学生もここから出てきておるわけですからね。これに対して、中核はいけないけれども、黒ヘルは中核でないとか、さまざまなことで学生の暴力が温存をされている、こういう面について厳正な指導をしてもらわなければならぬということを強く求めて、次に移ります。
 さらに、大阪教育大の問題についてお伺いをするわけであります。言うまでもなく、教育大というのは教員を養成する目的を持って設置をされておる。ここのところですべての学生が教員の免許状を取得をしようとするわけですけれども、教員免許状を取得するためには、これは教育実習を受けなければならない。何としても免許状を得ようとする学生に、そのために必要な教育実習ということを文部省は保障をする、大学当局に保障させるという責任があると思うのですけれども、この点について問題が起こっております。大阪には同和教育推進校と呼ばれる学校があり、同和地区を含むそういう学校がございますけれども、大阪教育大においては特にいまなかなかこの実習校を見出すのがむずかしいという学生の状況の中で、一つのサークル、同実組と言われるサークルが学校の公認団体としてこのサークルに加盟することを条件として、そうしてこの同和校実習が保障されているという実態があり、これに対してさらに行われておる財政措置についても一般の学生との間に別途の措置が講じられているというような実態があるわけですけれども、その点について承知をしておられるところを述べてもらいたい。
#127
○政府委員(井内慶次郎君) 大阪教育大学におきましては、四年次の学生につきまして教育実習を行っておりますが、同和教育推進校における教育実習を希望いたしまする学生に対しては教育実習についての一般的なオリエンテーションのほか、特に同和教育についての理解を深めるための研修を行い、その後に各推進校に実習学生を配属させるように配慮いたしております。ただいま御指摘のございました同和教育推進校実習生組合というものは、これらの同和教育推進校における教育実習に参加するところの四年生以上の学生が年度ごとに自主的に組織するサークルであって、大学当局の承認を得たものであり、研修活動等を行っているものと聞いております。また、大学当局としては、同和教育推進校の教育実習を希望する学生については、いわゆるセクトあるいはクラブ、そういったいかんを問わず、この組合を結成し、研修会等に参加するよう指導しておるというふうに聞いております。
 なお、教育実習を含めまして、大学の教育課程の編成、実施や学生のサークル活動に対する指導につきましては、大学が自主的に判断し、実施すべき性格のものでありますが、文部省としましては、このような大学の判断を尊重するたてまえを基本的には持っておるところでございます。
 なお、大阪教育大学において学生の教育実習の受け入れを行いまする公立学校に対しましては、国費により謝金を支払っておりますが、特に同和教育の推進校に委託する場合につきましては、教育指導の一般校におきまする場合よりも困難な度合い等を配慮いたしまして、一般の学校に委託する場合よりも若干多額の謝金を国費で支出しております。これらの謝金は、受け入れ校に対して支出されるものでありまして、学生に対するものではございません。
#128
○小巻敏雄君 幾ら払っているんですか、金額も言ってくださいね。
#129
○政府委員(井内慶次郎君) 一般学校の場合に学生当たり二千八百円、同和教育推進校の場合二千八百円に三千六百円をプラスしまして六千四百円、これをそこに実習に参りまする学生の数に乗じましたものを謝金として受け入れ校に支出をいたしております。このほか、いずれの場合におきましても、その学校当たりに四千円という積算をプラスして受け入れ校に支出いたしております。
#130
○小巻敏雄君 いまの御説明では、同実組と俗に呼ばれるサークル、自主的組織で、同和実習に行く者は、ここの組織に加盟することが好もしいとして大学の側で認めて公認団体としておると、こういうふうな御説明でしたけれども、公認団体としてのこの同実組、並びにそれに加盟していない者も、同様に大学から同和実習、同和校の実習を受けようとしたら、受けるということは平等に保障されておるわけですか。
#131
○政府委員(井内慶次郎君) 大学の方にその点を照会もいたしておるのでございますが、大学といたしましては、同和教育推進校におきまする教育実習を希望する学生には、この略称同実組というものに加盟して、そこでの研修、研究等もサークル活動として行って教育実習に出るようにという指導をいたしておるようでございまして、そういうことでおおむねこの問題に対しましては四十六年以降実質対処をしておると、こういうふうに報告を聞いております。
#132
○小巻敏雄君 そういう、まあ失礼ですがね、そういう浅薄な把握では、ここの学校で行われておる不当な学外の部落解放同盟と呼ぶ、大阪府連と呼ぶ団体の大学介入、それに基づいて特定の主張を意に体したサークルが大学に対して迫って、窓口一本化をやって、この団体に入らなければ同和実習はできないということをつくり出した教育介入の内容を知ることができないし、同時に是正することができないと思うわけです。
 もう一つ、すでにお渡しをしておきましたけれども、それにも明らかなように、同和校実習生組合の趣意と規約というのがあって、この中に記述されておる趣意はことごとく特定団体の特定の主張であります。解放同盟と連帯をし、その正しい方針と運動のもとに闘いを進める、さまざまな糾弾闘争が矢田問題を初め行われてきたことによって成長をしてきた解放教育を学び進めるというようなことが書かれてあって、そしてこの趣意書が規約の中に取り込まれて、規約の十一条によって、これが決定と同時に効力を有するとされている。どうしても、この同和実習を受けんとする者は、この趣旨に賛同し、この会に所属することなしには大学からの便宜を受けることができないと、こういうふうになっておりますし、学生課及び学長声明等を通じて、この団体を特に学校の公認団体として学校の責務を委託をしておるわけですね、この団体に一部。こういうことは非常に乱脈なことだと一目瞭然であります。それにあわせて、どこから持ってくるのか、学内の費用とそうして国費による謝金あるいはその他の消耗品費などについても、一般の学生との間には著しい差別をした取り扱いが行われております。
 先般、奈良教育大の件について御質問をしましたけれども、あの大学の場合には、不当性が顕在化しておって是正がむしろ容易な点があると思うんですね。ところが、この大学の場合には、これが巧みに隠蔽をされて長期にわたって行われており、非常にこの点についての是正がむずかしくなっているのが特色になっておる。それだけ悪質であります。これらの問題については、今日不当な支配が大学をさまざまな点でむしばんでいる。こういう状況に対して文部大臣も一定の決意を表明されておるのでありますから、内容を明らかにして、いやしくも特定団体の方針を国立大学が受け入れて、そしてそのものに対してみずからの責任の一部を分与する、そして、それに対して批判を行う者の意見を顧みないというような状況が行われてはならない。
 まあ時間も来ておりますので、なお関連質問を残しておりますので、ここで私の質問を終わるわけですけれども、それについてぜひとも文部大臣の決意をお伺いをしておきたい。
 なお、私は本日、今日のような大学の問題を根本的に直す状況として、管理者の責任が強く問われておりますし、文部大臣の方からも私学、国立を通じて、それについての意思表明は一定の範囲で行われてきたと思うのです。しかし何としても、大学の自治の中の大きい要素として、学生が自治能力を持つかどうか、その自治能力をどう発揮させるのか、一般サークルと違って大学自治会というのはどういう性格を持つのか、これらについて指導とそして学生の成長が必要とされておると思うんです。
 私、大臣の書かれた文章を幾つかこう拝見をしておるわけですけれども、残念ながら、いまこの問題について、教授としての永井、あるいはジャーナリストとしての永井の論文をまだ目にしておらぬのですね、この件については。しかし、今日の急務として問われるところではなかろうか。あの大学紛争が一番厳しかったときに、中教審の報告書はさまざまな問題を述べました。しかし現実には、学生の立ち上がりは、加藤学長代行と六学部共闘というのは、こういう結合の中で一定の前進を示した経過もあります。こういう私は、正義の立場をとり、自治を進めようとする力を伸ばすというような立場での決意と見解をお聞きをしておきたい。
 あわせて、この同実組の問題については、究明をし解決をするという姿勢を聞かしてもらいたいと思うわけです。
#133
○国務大臣(永井道雄君) 大学における学生の自治の問題でございますが、それはやはり大学の基本的な存在理由というところに基づいたものでなければならないと思います。大学の存在理由というのは、学問の研究並びに教育というものを進めていくに当たって自由でなければいけない、そして大学自身は教官の人事やあるいは研究教育について自治の立場をもって臨むわけであります。で、学生の自治というのは、それと直接結びつくものではありませんけれども、そういう、学校で学問の研究や教育を自由にやっていくという中で、学生諸君もやはり学問の研究教育の自由を尊重していくように成長していく、そういうものとして自治がなければならないのであると考えております。と言いますことは、学生自治というものが行われます場合、今日しばしば見られますことは、一つは暴力であります。こういうものが論外であることは申すまでもございません。しかし、暴力が用いられない場合にも、学生自治というものが、特定の政治的目標を掲げてセクト的になるということがあります。これは私は、学生の自治というものは、大学におきまして、学問の研究、教育の自由というその場において学生が発展していくためのものでありますから、そうした角度から学生の自治というものを強化しなければならないのであると考えます。
 それが原則でありまして、遺憾ながら、現実におきましては、暴力といい、あるいはセクト主義といい、いずれも学生の自治を発展させていく上で阻害要因となるものが各所にありますので、私たち文部省は、そういう阻害要因となるものを、ある場合には警察の力をかり、またある場合には文部省と大学の運営の責任者と協力をいたしまして、阻害要因を除いていかなければならないと考えております。
 なお、先生、御指摘の大阪教育大学におきます組合でございますが、大学当局の立場を文部省から尋ねましたところ、この組合というものはセクト的なものになってはいけないのであって、どの立場の学生というものもやはり同和教育の実習ができるというものとして認めているということでありますが、しかし、すべてこうした問題につきましては、先生の御指摘のように、文部省は引き続き実態をよく調べまして、そして、それぞれの大学が申しておりますようなそうした趣旨に沿って果たして実態というものが事実あるのか。そういうことをよく検討いたしまして、初めに申し上げましたような学生の自治というものが本来学問の自由につながっているということとの関連において生かされていきますように、実態把握、そして必要に応じて、それがゆがめられている場合には阻害要因の是正に努めたいと考えております。
  〔理事久保田藤麿君退席、委員長着席〕
#134
○加藤進君 私は、去る二十一日、永井文部大臣に対して、給食用の小麦粉に対して添加されるリジンの問題について申し入れをいたしました。これは、このリジンの添加が果たして安全かどうかという点について非常に疑惑を持っておるわけでございますから、この点の確認を厳格に行っていただくこと、そして、その確認が行われるまでは一時的にもリジンの使用を中止すべきである、こういうことを申し入れたわけであります。
 その前日に文部省は、「学校給食用L−リジンの製造原料について」という文書を公表されました。これは、ノルマルパラフィンが使用されているという疑いが一部にあったが、調査の結果は、L−リジンの原料はでん粉または糖みつであるということが現場において確認された、こういうものであります。しかも、同時に、そもそもリジンの国内生産量についてはこれこれであり、また、その使用量についてはこれこれであるという点からも、リジンの原料は糖みつまたはでん粉であるということが重ねて言及されておるわけであります。
 そこで、お聞きしますけれども、ノルマルパラフィンは使用していない、これはわかりました。わかるという意味では、点検の結果そのような結果が出たというわけでありますから。では、糖みつまたはでん粉を使用しているのであって、その他のものは使用しておらないんだ、こういうことは確認されておるのでございましょうか、その点をお伺いしたいと思います。
#135
○政府委員(諸沢正道君) その点はもちろん外部から参りましての検査ですから限度はあるわけでございますけれども、調査した者の報告によりますと、この資料にもございますように、A社九州工場及びB社中国工場へ赴いて発注伝票等関係帳簿及び原料倉庫を検査してございますが、要するに、糖みつ、でん粉ともに輸入品でございまして、それを発注し、そして現実に幾ら幾ら買い入れたというその伝票、原簿を確認し、また、その在庫の倉庫を検査する等できる限りの調査をし、その結果として、それ以外の原料を使っている疑いはない、こういうふうな確信を得たわけでございます。
#136
○加藤進君 通産省から来ていらっしゃいますね。
 通産省にお尋ねしますけれども、リジンというのは、ノルマルパラフィンのほか糖みつ、でん粉以外の原料からはつくれないものかどうか、いま企業はこういういま挙げましたような原料以外のものを使っておらないかどうか、その点はいかがでしょうか。
#137
○説明員(石原純徳君) いまお尋ねございましたが、ノルマルパラフィンは、私どもの調査でも一切使っておりません。ただ、食品添加物には、先ほど文部省の方からもお話がございましたように、糖みつ、でん粉以外にも一切使っていない点は私どもの調査と全く一致いたしております。ただ、飼料用のリジンというのが食品添加物以外にございまして、これにつきましては一部原料として酢酸が使われております。
#138
○加藤進君 その一部、酢酸が使われておるという問題を私はきょう問題にしたいんです。
 これはいまも通産省からお話がございましたが、ここに「化学工業」という、これは通産省の監修の本です。この「化学工業」の百三十四ページを見ますと、こういう記述がございます。それは酢酸の生産量、用途別に見ると、酢酸ビニール、テレフタル酸用の占める割合は大きく需要も伸びているが、注目すべきはその他の用途における大幅な需要の伸びである、その他の用途についてリジン生産用の酢酸も爆発的に伸び、その他の用途の七〇%を占めている、その他の用途というのは、酢酸ビニールとテレフタル酸以外の用途の七〇%を占めている、こういうことがあるわけであります。すると、酢酸を原料としてリジンは生産されておるけれども、その生産は、実は爆発的に今日伸びている、こういうことが言われておるわけでございますが、そこで、メーカーはリジンをつくるのに糖みつを使っているのか、それとも酢酸を使用しておるのか。その酢酸を使用することによってできるリジンであるか、それとも糖みつあるいはでん粉でつくられたリジンであるか。その見分けというのは、文部省としても、これははっきりできるわけでございましょうか。
#139
○政府委員(諸沢正道君) 具体的製品を酢酸を原料にしたか、糖みつを原料にしたかということを見分けられるかどうかという点につきましては、私、恐縮ですけれども、いま即答はできませんので、また日本学校給食会の方に十分連絡して、その点は検討してみたいと思います。
 ただ、一つつけ加えさせていただきたいのは、この工場を実地に当たって視察をしたという前段階として、日本学校給食会が買い入れますリジンは糖みつまたはでん粉を原料とするということが買い入れ品の規格として定められ、かつ、日本学校給食会とリジン製造者の間で契約の条項となっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、さらに、そのような疑いが持たれましたので、現場において検査もしたわけでございますが、それ以上はやはり現在の体制では製造業者の信義誠実の立場を信頼してやる以外はしようがないのではなかろうか、そういうふうに思うわけでございます。
#140
○加藤進君 そこまで注意をしておられるなら、なぜ酢酸についてもこの文書の中に触れられておられんのでしょうか。酢酸からリジンをつくるのも、あるいは糖みつからリジンをつくるのも、その生産工程から言うと、同じバクテリアを使うわけです。同じバクテリアを使うという意味は、バクテリアを変位させて、そして使えば、同じバクテリアが使用できる、こういうものなんですね。したがって、企業でリジンをつくった。これは糖みつからつくったのか、あるいは酢酸を原料にしてバクテリアを変えてそうしてつくったのかという見分けは、私は、しっかりとした証明がなければ、これははっきり確認できないことだと思うのです。その点について、文部省は、いままで一度も酢酸によるリジンの製造という点については触れられておりませんが、通産省は、はっきりとそのような需要、そのような生産量が多く伸びている、しかもそれはリジン生産用である、こう言っておるわけでございますけれども、文部省の学校給食用に使われるものはみじんもそのような疑いはない、絶対にこれは酢酸などを使っておるものではないということが確実に証明されるかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
#141
○政府委員(諸沢正道君) 確かに、御指摘のような点に着目して調査をしたことはないわけでございまして、私どもはあくまでもその契約が糖みつまたはでん粉を原材料にするということでございますので、糖みつまたはでん粉を原料としてつくっているかどうかというその一点にしぼって確認をしたわけであり、そうして、その結果としてほかのものは材料に使っていないというふうに判断をした、こういうことでございます。
 なお、つけ加えさせていただきますならば、その時点におきまして関係会社からは、自社の製品について糖みつまたはでん粉以外のものは一切原料として使用いたしませんということを、一札として念書を取っておるわけでございます。
#142
○加藤進君 私は、なお、この問題について慎重を期さなくちゃならぬ、厳格でなくちゃならぬ、こういう点から申し上げるならば、その酢酸のいわばリジンを製造するに当たっての使用量、非常にふえているのは昭和四十四年からです。その昭和四十四年というのは、全国学校給食連合会がリジンをあっせんするその開始の年なんです。こういう相関関係があります。その点では、数字は明確に出ておりますが、私はきょうは時間がありませんから、これには触れません。こういう相関関係があるということ、企業は、こういう学校給食会との間に契約があるからまさか契約に違反するようなことはやるまい、私はそう信じておられると思います。しかし、今日の企業は、決してそれだけの信頼度を置けるような事態にないということもまた私たちは見ていかなくてはならない問題なんでありまして、私は、その点についてあえて申し上げるならば、果たして、酢酸からの製造したリジンではないということ、もしそのようなことがあるならばこれは契約違反です。企業は決してそのような契約違反をしておるものでないということについてまだ調査をしておられないわけですね。おられないとするならば、その点の調査をしっかりやってもらわなくちゃいかぬ。なぜか、あえて申し上げるならば、酢酸というものはもとをたどればそれは石油からの製品なんですね、これは。石油たん白の問題が出たわけです。だからことによったらリジンもまた石油製品ではなかろうかというような不安が一般にあるわけです。そうではないという証明をやっぱり文部省がやらなければ、この問題についての不安はなお解消できないわけです。そこで、私があえて言うのは、私があえて疑わざるを得ないのは、余分な疑いかもしれませんけれども、このような酢酸からの製造したリジンではなくて、これは企業との間にきちっと契約したとおり、でん粉または糖みつから生産したものであるという証明をしてもらわなくちゃならない。証明をするためには、もっと調べてもらわなくてはならない。私は調べるということが文部省として責任ある態度だと思いますけれども、その点いかがでしょう。
#143
○政府委員(諸沢正道君) ただいまも申し上げましたように、実地調査の結果では、でん粉または糖みつ以外の原材料は使用していないという判断をしたわけでございますから、その点では私ども石油系の合成物質を使った疑いはないと思いますが、せっかくただいま御指摘がありましたように、特に酢酸という点にしぼって調査をしたわけではございませんから、その点はさらに念を入れて調査をいたしたいと思っております。
#144
○加藤進君 ぜひひとつ調査をしてください。
 これは何も危険だという意味から言っておるわけではなしに、今度起こった問題というのは、まさにそういう不安を解消していくための文部省のいわば措置だと思うのです。その措置はやっぱり忠実にやってもらわなくてはいかぬということが一点。もう一つは、こういう一つ一つの調査がしっかり完了して、これで大丈夫だということがおわかりでございましょう、こういう責任ある立場で文部省がはっきりとこの点の証明ができるまでは、何とかこのリジンの使用を一時的にも中止する程度の措置は私はとられるべきではないかと思いますけれども、その点の御見解はいかがでございましょうか。かたくなに、依然としてあくまでこのリジンの使用を固執される、こういうことになれば、私はますます文部省自体に対する不信というものがさらに高まっていくのではなかろうかと心配するわけでございますけれども、その点ひとつ十分に御考慮の上で御回答いただきたいと思います。
#145
○政府委員(諸沢正道君) 先生の御心配は、要するに、特にベンツピレンという発がん性物質をごく微量であっても含むものを食品添加という形でやるのはどうかという御趣旨であろうと思います。確かに、ごく微量であっても、そのような物質が含まれますことは決して望ましいことでないことは私ども重々わかるわけでございます。ただ、リジンそのものが特に成長期の子供にどうしても必要であるという栄養学上の見解というものは、これは当然尊重しなければならないし、そして昭和四十三年以来今日まで小麦粉に添加をしてきたという実績があるわけでございます。
 そこで、一つの判断として、そのような必要性と、ごく微量であっても添加するのはどうかという、プラス、マイナスの両面を考えましたときに、いま申し上げましたように、少なくとも私どもいままで検討した結果では、原材料としては糖みつまたはでん粉というようないわば自然に生成された物質をもとにしてつくったものであり、その含まれますベンツピレンの量も、パン一個について言いますならば、千億分の一ないしは五グラム程度の、本当に微量なものであるということであり、かつ、がん研究家、がん学者等の御意見を聞きましても、われわれ今日の汚染された社会において食生活をするについてはさまざまな形でこのベンツピレンを数十ppb程度はどうしても取らざるを得ないんだ、こういうようなことも聞いておりますので、それらを総合判断しました場合に、やはりこの際、リジンの添加というものは継続してまいりたい。しかし、その問題について、またその必要性その他いろいろ議論もあるようでございますから、それらの点につきましては引き続き関係の方々と十分お話し合いをして、理解をいただくように努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#146
○加藤進君 最後に、リジンをつくるのに酢酸からでも、あるいは糖みつからでも、その生産過程はほとんど同じ。原料を変えればいい、バクテリアを使ってやるわけなんですから。こういう点から見ても、企業の立場から言うなら、どちらを使おうとそれは企業の選択によるわけでありますから、私はこの点から見て、企業が学校給食用だけには絶対に酢酸からのリジン製作はいたさないなどというようなことは、私は今日の状況のもとでは確かめ得ないと思うのです。それを確かめてもらわなくちゃならぬ、こういう問題を私はきょうは提起したわけでございますから、この問題の提起は、事柄は学校給食会と企業との間の契約に正しく従っておられるのか、それとも、これに違反した行為が企業の側において行われるかという問題にもかかわる重大な問題でございますから、この点の十分な責任ある調査をぜひやっていただきたいということ、これは重ねてお願いいたしますが、同時に、私は、このようなリジンの問題について世論が大きく高まっておるときに、なぜあえてこれにも抗しながらリジンの添加をあくまで固執されるのかということについて、私は本当に理解しがたいものがあるわけでございますけれども、この点につきまして最後に文部大臣にひとつ御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
#147
○国務大臣(永井道雄君) ただいま加藤先生が御指摘の酢酸の問題につきましては、契約がございますけれども、しかしながら、なお先生、そうした問題について契約違反があり得るからそれについて調査せよというお言葉でございまして、これは私たちとして、先生の御指摘の点を十分配慮いたしたいと考えております。
 なおまた、リジンの問題が起こりまして、そこで中止してはどうかというふうな先生の……。
#148
○加藤進君 一時的にですよ、一時どうかということです。
#149
○国務大臣(永井道雄君) はい、一時的中止についての御意見があるわけでございますが、私たちもいろいろな可能性を検討したのでございます。大変かたくなに見えるようですと実はいささか不本意でございますのは、相当いろいろ調査をやりました。そして、この二十日のときの発表の書類はごらんのとおりでございます。実は二十日の書類を出しますことによりまして、その後、各自治体におきましてどういうふうな反応が起こったかということは今朝体育局長の方からこの場所でも御報告申し上げたわけでございますが、二十日の書類というものが私たちも検討いたしますと相当整備して説得性を持ち得るものであり、そしてまたその書類を送りまして、そして、その後の反応というものを見ておりますというと、実は不安現象というものが相当減ってきているというプロセスがあるわけでございます。確かに、その間に先生からも要望書を二十一日にちょうだいいたしました。これは重要な御意見と思いますが、私たちは、以上申し上げました二点でございます。つまり調査ということに信頼を避けるということと、それから心理的な要因につきまして二十日以降の経過というものをこれは漸次不安解消の方向に向かっているという、そういう勢いでございますので、さらに、注意はしなければいけません。その中にはいまの先生の酢酸の問題もございますし、それから衛生研究所における調査もございますが、念には念を押すというやり方をいたしてまいりますが、この段階でこの方法をとっていくということで不安解消に向かえるのではないかというので、大変かたくななようでございますが、念を押しながら進めておる次第でございます。
#150
○加藤進君 酢酸の調査をしていただくということは、そのとおり結構でございますから、その調査の結果はぜひ御発表いただきたい。よろしくお願いします。
#151
○政府委員(諸沢正道君) いまの件は、調査いたしまして、また御報告申し上げます。
#152
○有田一寿君 いままでいろいろ具体的な問題についての審議がございましたが、私は少し教育政策、教育制度の基本的な問題について、現在そういうものの底を流れている考え方あるいは将来の方向というものについて一問一答式でお尋ねして、問題点をはっきりさしてみたいと思うわけでございます。
 ここに私アジア・アフリカ地域諸国における高等教育機関の在学者の専攻分野別の表というもを持っておりますが、これは以前から考えていたことですけれども、ここにインドについて見ますと、大学生が大体二百万人、その中で人文科学部門の在学者が約八二%、自然科学が一八%ということでありまして、このことから考えさせられますのは、これだけ多くの者が大学教育を受け、そしてインドの現在の社会状況というものを考えますときに、何かちぐはぐなものを考えさせられるわけでございまして、果たしてインドの教育政策は間違っていないかどうかということでございます。教育というものは、社会構造あるいは社会の要請がこれを規定、引っ張っていくものか、教育制度あるいは教育内容が先行的に社会構造に変革をもたらしていくというものであるか、まあいずれも重要ではあると思いますけれども、このインドの場合について、私はどうもこれは正しくないんではないかという考えがしてならないわけでございます。あとでわが国のことについてお尋ねいたしますけれども、文部大臣のこれに関する所見も伺ってみたいと思います。
#153
○国務大臣(永井道雄君) インドの事例を引いてのお言葉でございますが、インドはやはり外国でございますから、私はインドに限らずどこの国の、外国の制度それ自体につきまして私の立場としてとやかく批判を申し上げたくはないんでございます。そこで、一般論の姿になりますが、やはり高等教育というものが非常に進んでまいりまして、世界的にそういう現象でございますが、ところが高等教育の発展というものと産業の発展というものがちぐはぐになっているという場合は、実は世界的に方々に見られることだと思います。わが国の関連で申しますと、わが国はもちろん産業は相当発展いたしましたが、その間における高等教育は量的拡大はございましたけれども、たとえば、国公立と私立の比率というようなことで申しますと、国公立の方が追いつきませんでしたために、非常に私立がふえて、大体八割の学生がそうである。ところが私立の相当数が実はいま先生の御指摘のような文科系ということで、これまた非常に文化尊重の文科系ならばよろしいんですが、実はなかなか理工系というものを充実してつくりにくいというような事情もあって、そういうふうな私立の文科系もふえていったと、そこでいま内容をどうするかというむずかしいところに向かってきておりますから、何か高等教育の発展と、それから産業の発展というものは、どうもちぐはぐになっていることが、諸国にも見られますが、わが国もやはり例外でない問題をはらんでいると私は考えております。
#154
○有田一寿君 終戦後のいわゆる第二の教育改革、今日までこれによって教育は行われてきましたが、いまそれがいろいろな部門において反省されて第三の教育改革が必要だという声がほうはいとして起こっているのが現状でございます。中教審に諮問されて答申を得たというのも、その一つのあらわれであろうと思うわけでございますが、この戦後の教育改革というものを考えてみますと、私はまず一つには占領軍、すなわちアメリカが行った政治革命の一環として、これは権力的に上から行われたといってもいいと思います。それから教育自体の立場から盛り上がって改革されたものではないということも言ってもいいと思うのです。その内容について考えてみますと、アメリカの思想、制度、そういうものをモデルにしたために、わが国の伝統が軽視されたり、あるいは敵視されたという面もあったと思います。これはもう私自身、終戦後、福岡県の教育委員を八年勤めましたが、その初期の段階で占領軍の教育情報官がしばしばディストロイ・ザ・トラディションというような言葉をしばしば使ったわけでございまして、校名を変えるとか、いろいろいままで伝統的であったものが帝国主義につながるおそれがあるということで、一切払拭しようとしたいうことは、これは歴然たる事実でございます。考えてみますに、米国のデモクラシーはアメリカがこれは諸民族の集合国家でありますから、民族という概念がない、その民主主義というのは各構成民族の伝統を越えた、あるいは無視した人類不遍の原理の上に立たざるを得なかったと思うのです。ところが日本ではそうではなくて、国家と民族に結びついた民主主義が求められていると思います。たとえば、国旗にいたしましても、アメリカがいわゆる国旗を大切にする、あらゆる機会に国旗を掲げるという意味は、これは私は必ずしも自然感情からではない、いわゆるばらばらの民族からなっている、このアメリカ国家、すなわちユナイテッドステートという合成国家、その団結を図りたい、国旗のもとに一体化を図るという意味が半面あったと思います。現在もあると思います。国家の伝統と風土、そういうものを無視して、いわゆる国家の個性を私は無視したという面が、戦後三十年あったと、これは指摘しても間違いではないと思うのです。これは多分永井文相もその点においてはそう御異論はないと思いますから、続いて次のことで御質問をいたします。
 たとえば六・三・三制一つとってみましても、これはアメリカでは五〇%強ぐらいの州が、六・三・三・四制をとっておると思います。あとはそれぞれ州独自の考えに基づいてやられておる、日本のような教育熱心で、学歴主義の国で、この単線型の教育制度を強行していけば、これは入試が激化しますし、高校の技能学科が軽視される、あるいは教育制度が実質的に崩壊することにもなりかねないということを言っても、私は極論ではないのではないかと思うわけです。だから、いわば木に竹を接いだ、しかし、水は上がってこなかった、接ぎ目から水がむしろ漏れて出た、そのうちに上に接がれたはずの竹が腐っていくという、少し極端な例ではありますけれども、そういう現象も現在あらわれていると思うわけでございます。今後の改革では、私は、国家意識、民族意識、そういうものを育てる必要があると思うわけです。この日本の風土と長い伝統を無視して教育改革が成功することはまずないであろう。ところで、教育制度を整備していく場合のことでございますが、目先の現象や要望に重点を置き過ぎますと将来収拾がつかなくなる危険性がある。横のバランス、すなわち教育、文化、政治、経済、環境等の調和のとれた社会ということを念願に置かなければならないと思いますが、同時に、未来の日本のあるべき姿、世界のあるべき姿、そういうものを想定して、そこから現在の施策が生み出されなければならないと思うわけです。いわゆる教育の長期計画でありますが、少なくとも、私は三十年程度の長期展望で策定されなければいけないのではないか。子供が入って大学を出るまでに十六年かかります。その効果を追跡調査十年するとすれば二十六年ですから、少なくとも三十年程度の展望が必要であろう。それと、日本では所得水準に比べて教育水準が高いわけです。しかし、教育の中身はまことに貧弱です。生涯教育ということで若干逃げているような気味もありますが、学校が主体でなければならないと思います。学校が提供する教育サービスは内容が十分精選されておりません。学生、生徒一人当たりの教育費を比べてみるとこれもわかるわけで、ここにOECDの教育調査団の報告書そのものというよりも議論の経過がございます。これは永井文相がずいぶんとお世話をなさって、実質上の日本代表的存在で参加されたわけですから、十二分に御承知のことでありますが、これに、「日本ではGNPの着実な上昇が予想されるにもかかわらず、教育支出はGNPの五〜六%というように従来の水準をこえそうにない。他の諸国の例をみれば、経済発展につれて国民所得中の教育費の比率も上昇するのがふつうである。ところが、日本はそうではない。教育の社会的役割がこれほど重視されているのに、不思議な話である。」「こうした教育投資のコストと、それがもたらす利益とを計算する場合には、効率の低さがもたらすコストにも留意しなければならない。日本の現在の教育投資額や、単位教育費用の低落傾向を考える場合、それを教育投資の減少とみるか、それとも教育の効率の上昇とみるかの二通りの見方がある。いずれの見方が正しいかを判断するには、結局、教育制度の成果を評価する、はっきりした基準がなければなるまい。」ということで列挙した項目が二、三ございますが、たとえば「単に「商業主義的」な、メシのタネ的な資格取得を学校から締めだすことである。」「十年ないし二十年後の社会の要請を予測し、これに教育を適応させること。いいかえればいまの社会で許される限り「社会を先取りすること」である。」「絶え間なくすすむ改革」を妨げるような政策に頑迷に固執しないことである。」こうして「ひとたび教育目標が決まれば、教育的効率を計量する指標を開発することも可能になる。」「教育の目標は社会の発展に従って変わる。」ここで、「日本は同一の才能をもった人間には平等の機会をあたえるという原則をきわめて公平かつ厳格に守り、それに応じた制度の建設に努めてきた。日本の教育の問題点の多くは、こうした努力の結果として生れたのである。「公平」を基礎につくられた教育機会の差別は、不平等を大幅に制度化した社会をもたらす危険性をひめている。」と書いてあります。私は、このOECDの教育調査団の報告については必ずしも全面的に賛成ではありません。抽象的であったり、日本の風土の認識が若干足らなかったりという面があるように思いますが、しかし、反面、非常に適切なるアドバイスであると思って、傾聴しなければならないという面もあるようでございます。
 そういうことについて、私がお伺いをしたいのは、教育目標という言葉がここに出ておりますが、教育目標がはっきりしなければ、教育の効果を測定することはできない。ことに現在の日本の教育の姿を見た場合、特に高等教育、それから後期中等教育を見た場合に、どうもそこがぼやけているような気がしてならないのです。ですから三十年後を展望して、言いかえれば三十年後の日本の経済社会構造、その姿はどうなっているかということを類推して、そこに仮説を立てて、それから逆算して現在の教育政策が立てられなければならないと思うのですが、その展望するについても、やはり教育の目標ということがその未来社会との関連においてここに浮かび上がらなければ、現在の教育制度の改革とか、教育政策の設定ということは私は考えられないと思うのです。そこら辺どうしてもぼやけているのじゃないかという気が私はしてならないのです。それは永井文相だからすべておわかりのことですから、そこら辺をちょっと教えていただきたいと思うわけでございます。
#155
○国務大臣(永井道雄君) 先生のお言葉ですが、私だからわかるというそこのところは全くそうでないのでございますが、しかし、先生がその前にいろいろ列挙なさいました問題が非常に重要であるということは、私は全くそう思っております。実は、大臣に就任の後になぜ「文明問題懇談会」をつくったかという理由は、いま先生がお述べになったことと非常に深く関連があるわけでございます。と言いますのは、そのうちの諮問事項の幾つかございますが、一つが、わが国の伝統との関連において将来をどのように考えていくかというのがあるわけでございます。まだこれが――実は毎月議事録をとってございますからいままでのところの議事録を必要に応じてお手元に届けることもできるのでございますが、本にいたしますのは、一年が終わった後に全部まとめて本にする計画でございますが、今月も先月も、日本の伝統の中にいろいろ積極性がございます。それを諸先生方に論じていただきまして、それは細かいことは省かしていただきますけれども、日本の大衆の中に非常に積極的な勤労性というようなものが徳川時代にもあったというような、そういうふうな問題、あるいは日本の庶民の中にもただ勤労というだけでなくて公正を重んじて仕事をしていくというような考え方が明治以前からあった。そういうものはやはり今後に引き続いていかなければならない。まあそのほかたくさん御指摘がございましたが、そういうことを論じていただいているわけでございます。
 なお、ただ、しかし伝統との関係だけで将来は考えられませんで、三十年先の社会を見通すということが必要ではないかというお言葉でありますが、それはできれば非常にいいことだと思います。そこで、それもなかなか簡単にわかりませんので、諮問事項の、あと二、三を申し上げますと、今日まで科学技術というものに非常に依存して社会が発展してきましたし、将来も科学技術は重要でありましょうけれども、しかし、科学技術というものと人間との関係というものが、従来は人間がともすれば手段化されましたが、変わっていくのではないか、これを論じていただきたいというので、これについて一回会議をしていただきました。今後また引き続きお願いする考えでございます。
 さらに、いままでは量的拡大ということを、GNPにつきましても、国民の生活水準についても目標にしてまいりましたけれども、むしろ質的充実ということを今日言っておりますが、そういう質的充実とはどういうことであるのか、これをお考え願いたい。これはいわゆる道徳の問題とか、そういう問題にも関係してまいりますが、御検討願っているわけでございます。そういうわけで文明問題懇談会というのは、実は非常に迂遠なように見えるところもあり、そういう御批判もいただいた向きもありますが、私の考えはまさに先生が御指摘になりましたように、どうしても教育のときには、いまの子供あるいはいまの学生でも本当に活動しますときは、十年、二十年先でございますから、そこで、そういう見通しを持ちませんといけないということで、そこから一応出発しているわけでございます。
 なお、先生お述べになりましたことで、いろいろの問題点があると思いますが、OECDの報告書の中に、わが国のGNPの伸びと、それから教育投資の伸びとがアンバランスであるという指摘がございました。これは全体的に言いますとそうでございますが、それをなお細かく分けて考えますと、先生が最後におっしゃった点と関連いたしますんですが、わが国の場合義務教育、つまり小学校、中学校というところをとりまして、そしてGNPとの伸びとの関連をとらえますと相当よろしいと、伸びているわけです。最近は人確法というようなものもできましたから、むしろ他国よりもよくなってきている面もあるかもしれません。ところが、わが国で一九六〇年代、勧告書が使いました材料は六〇年代の材料ですが、非常にアンバランスなところが高等教育に対する投資、それから後期中等教育、つまり高校のところでございます。そこの投資というものとGNPとはアンバランスになっているということでございますので、先生がおっしゃいますように、やはり私は、わが国の教育の場合に、相当投資上も問題があり、さらにまた、内容の点からどうも目標がはっきりしないで混乱を生じておりますのは、小中のところではなくて、むしろ高校のところと大学のところと、かように思っておりますので、私たちもちろん文部省ですべての学校教育に力を注がなければいけないんでございますが、取りわけ注意を払って、どう考えていくべきかというところでいま力を注いでおりますのは、まさに、後期中等教育と高等教育のところでございます。
#156
○有田一寿君 私も、その点は全く同感でございます。サービスは悪いが、なぜ進学率が高いか、これはまあ学歴社会であるというだけでは回答にならないと思うんです。ヨーロッパのことを考えてみましても、現実の社会の階層、構造の反映に過ぎなかった、ヨーロッパでは。早く言えば、学校出ると親の職業を継ぐケースが多かったと思います。ところが、日本では社会階瞬間の移動を促進したと、この任務を組織的に果たすのが学校制度であったと思います。いわば日本は、ある意味では非常に開かれた私は社会であるということを言ってもいい。ヨーロッパではとうてい考えられないことであった。これは私は長所だと思うんです。ところが、まあそれは必ずしも長所だけでなく、入試その他裏目になって出ておりますけれども、そういうことは言えるでしょう。で、今日では社会における競争条件をよくしようとして学校に入れても、中身が貧弱であるということがだんだんわかってきました。だから、所得増大によって親は学校に入れますけれども、効果的でなければならないから有名校に殺到するということが言えると思うんです。入試が集中的に激化する理由は私はそこにあると思っております。だから一番いいのは質も量もともに拡大すれば一番いいと思います。それは高校全入、その次は大学全入、しかしこれは文教委員会で以前も議論になりまして、私も意見は述べましたので、ここでは述べませんけれども、どちらかを選ばなければならないとすれば、私は質的充実の方をこれから選んでいかなければ意味がないのではないかという感じがするわけです。
 ところで、きょうの主題は、職業教育のことについてお尋ねをしたいと思いますから、職業教育のことについて入りますが、日本では現在、職業教育というものについて、若干の誤解があるように思われます。技術が発達すればするほど労働が単純になって、熟練とか技能とか、そういうものが要らなくなる。機械化によって、機械が人間にとってかわる。しかし、その機械をつくらなければならない、これに熟練した労働が必要だと思う。労働力の需要は私は減らないと思います。社会構造が変化していく過程で、教育をそれに従属させるか、すなわち、教育は単なる変数であるか、教育が主で社会構造が従であるか、この問題は別に二者択一であるとは思いません。これについてもOECDのこの調査団の報告には書いてございます。しかし、これはもう常識として、どちらかでなければならぬとはだれも思っておりませんから、このことについてはお聞きしませんが、ただ、いま世界各国を見ても、日本だけでなく、イギリスにおいてもドイツにおいてもアメリカにおいても、この教育制度の問題については、みんな悩みを抱えておると思います。御承知のように一九六三年ですか、ロビンス報告がイギリスで出て、あのポイントをなしているものは、やはり高等工業専門学校を大学に昇格させる、あるいは総合大学では、従来よりいわゆる理工学部の教育を重視するようにすると、政府もそれを受け入れたわけでございます。この背景をなすものは、私は英国については、こういうふうに考えております。少し乱暴なつかまえ方で、これは御批判を仰ぎたいのですが、これは自分の書いたものですが、「イギリスでは世界的な発明発展が数多くなされている。たとえばロールスロイスのエンジン、繊維のテトロン、薬では、ペニシリン、原子力発電、なお古くは、産業革命にあたってのスチーム・エンジン等、これらはみな英国の学君の開発したものである。然るに、それを工業化し、量産してゆく面では遅れをとっている。これは数学、物理、化学等の理論学科を伝統的に重視し、社会的にも高く評価するのに比して、それを応用し、実際化する学科については、一段下に見て軽視する風潮がある。もっとはっきりいえば、それらのことは、職人の領域だという観念がありはしないか。これが災いしていると私は指摘したいのである。
 要するに、中世以来の「学問」というものに対する価値観が固定していて、近代技術社会の激しい動き、およびそれにともなう価値観の変化についていっていないという見方もできよう。煉瓦建ての校舎を大学の理想だと思っている人たちは、エセックス、サセックス式の大学あるいは、ヨーク、ケント等の大学に対して好意的でない。むしろ、冷笑して」見ている風潮がある。だからこれが英国の近代化を妨げている。今後も妨げるであろう。フランスも同様だと言っても、私は間違いではないのではないか。それに比べると、日本、アメリカは、私は非常に近代化に目をつけてきた。これは、明治年間に伊藤博文が日本に帝国大学をつくったときに工学部を設けましたが、士農工商という、ああいう階展的な社会になれた日本が、いち早く工学部を取り入れたということは、私は大変な先見の明であったと思いますし、森有礼がその後実業教育振興令を出して、大変これを盛んにしたということも、日本のような社会では私は大変よかったというふうに思うわけです。高校の職業学科に学ぶ者は大体普通科と比べてそれを含めてその中の約四割である。ところが、四十七年度には三五%に落ち込んでいるというふうに開きました。職業学科からまた大学進学者も増加しつつある。そうすると、この進路選択について生徒の能力適性に基づくよりも、成績の点数で志望校や志望学科が決められているのが現状だと思いますが、今後この高校の職業課程――商業、工業、農業、水産課程とございますが、これをどういうふうにして充実、定着させていくかということについて、恐らく幾つかの方策を考えていらっしゃるのではないかと思いますが、それをお聞かせ願いたいと思います。
#157
○国務大臣(永井道雄君) ただいま先生の御指摘の点、順を追って申し上げますと、いまイギリスの例がございましたが、私は全く先生のおっしゃるとおりであって、この大学というのは、基礎的な研究をするのはよろしいんですけれども、しかし、実際を軽視した理論だけに傾斜していくということから、やはりイギリスは相当苦しんだと思います。現在もその問題があるかと思います。わが国の場合は、伊藤博文という人が非常に先見の明があったわけでありますが、またアメリカも偉い人は多かったと思いますが、実は現在では私は、アメリカもわが国もイギリスも含めまして、高校で申しますと普通課程を職業課程より尊重すると、そして、大学でも高専的なものよりいわゆる大学というのを尊重するというような風潮が非常に強いと思います。ということは、実習とか実験とか労働というものを比較的軽視いたしまして、そしていわば研究室中心で仕事をしていくというのでいいという考え方が強いと思います。これはどうも私の考えでは、一九六〇年代、いわゆる第三次産業、さらに第四次産業というような言葉で情報化というようなことを申しましたが、そういうものが拡大いたしました。その間いわゆるホワイトカラーのマーケットが拡大いたしましたために、それに見合ったような形で大学ができる、そしてその大学へ進学する、そのための普通課程ということであったんだと思います。私は今後の予測ということを考えますと、変わっていくんだろうと思っております。つまり、もっと労働をしている人が尊重される。つまり、そういう意味ではブルーカラー的な人も尊重されるという社会に次第になっていくんではないか。つまり、デスクワークだけをやっている、そういう人、あるいは第三次産業のホワイトカラー、これはもうマ−ケットが狭隘化してくる。そこで教育でございますが、教育の場合にどういうことを私が考えているか。これはまだ抽象的なレベルでしか申し上げられませんが、教員の養成とか、あるいは工学者の養成とか、エンジニアの養成、あるいはお医者さんはもちろんでございますが、そういうところでもっと実験、実習、臨床、そういうふうなものを大学でも強化しなきゃいけないと思っております。これをやりませんというと、机上の空論と言いましょうか、そういうふうなものにばかり傾斜するおそれがある。よくこういうことを言いますと一般教養軽視じゃないかという人がいるんでございますけれども、私は必ずしもそう思いませんのは、本当に実験、実習、労働を通しまして、一つの仕事を通して獲得していく教養というものは形式的教養より非常にすぐれているということがございますから、私はそう思っておりません。
 そこで、いま大学のことを申しましたが、高校の場合でございますが、これはいま教育課程審議会でもいろいろ検討していることですが、いままでの勢いでは、要するに、非常に大学のようなところでも高専――いわゆる労働や実験をやるところが軽視されているという勢いが高校では一層強かった。そこで、普通科主義――職業課程の方はもうみんな低いと思われている。幸いなことに、本年度の労働省の調査を見ますと、いわゆる学歴別によります賃金差がことしは狭まってきております。これは非常に新しい傾向でございます。先ほど先生がおっしゃいました昭和四十七年という段階のところではずっと職業課程の人は減ってきております。それからいまのところまで横ばいで来ておりますが、私は今後望ましいことは、これが横ばいでなくて少し上向きになる方向はどうやって探れるか。この場合に、職業課程の方だけをいじってできるんではないんだと思います。むしろ、普通課程の中に私は実験や実習やあるいは職業的な訓練というものも相当入れていく、そういうものが普通課程である。いままでのような教科書中心的なものだけで考えない普通課程というものが必要なのではないであろうか。ただ、これは当然審議会で御審議願うことでありますから、審議会で目下御審議願っているわけでありますが、こういう方向というものも十分考えていきたい。そうなりますと、いわば本当に労働――手足を動かして労働をする人、高卒の、いわゆる職業高校の卒業生というものも社会的待遇の上でも前よりはよくなってきますし、また、事実私は人間の学習の方法として、その方がすぐれているという側面も出てくる。でございますから、いままでのとらえ方は、こう普通課程と職業課程と言うと上下関係で、ここで格差と言いますが、私はこれを格差ではなくて、むしろ対等であるが多様化という方向に持っていかなきゃいけない。その多様化に持っていきますためには、普通課程というふうなものの内容の中に職業的なことや実験的なこと、こういうものをなるべく入れていく必要があるのではなかろうか。もちろん、社会の待遇も――労働省のことしの統計のような勢いが今後盛んになってまいりますと非常に学校としてやりやすいですが、そういう意味合いにおきまして、締めくくりで申し上げますが、先生が社会と学校は相互に関連しているというふうにおっしゃいましたが、全くそうだと思います。私は、学校だけで社会を変えるわけにはいきませんし、また、社会だけの力によって学校が変えられるというのでなく、相互関係があると思いますが、今後の日本社会がもっと労働を尊重するという方向に動いていくということを私も望んでおりますし、また、そういう方向に動いていくといたしますならば、私は学校教育においてもいわゆる机上の空論的な教科書主義という方向を相当変えていけるんではなかろうか、かように考えている次第でございます。
#158
○有田一寿君 いまの御指摘のこの実験、実習、いわゆる座学でなくて体験的学習をふやすということは私もそうだと思います。やはりいままだ不十分、このよってくるところは設備が十分に行き届かない。いわば金を食うということもありましょうし、あるいは実験の指導教官の問題もあるかと思いますが、それはやはり一つのポイントであろうと私も納得いたします。それから大学に進学できないということ。単位の関係で大学に編入ができにくいということ。これは一年下がっても私はいいのじゃないか、もともと完成教育を受けることを覚悟して入っておるわけですから。それが次に大学に行きたいという気持ちになったとき、一年私は下がってもこれは当然ではないかと思いますが、それがどうでしょうということと、それから、この水準が普通高校に比して、そう言ってはおかしいですけれど、それ以上の素質の生徒が入っているとは現在は私は思えないのに比べてカリキュラムの方は逆に高くはないか。ということは、この学問体系だとか、そういうことからカリキュラムが割り出されている面がありはしないか。要は、ついていけないというのは小中学校の話じゃなくて、職業高校の場合に私は多く言えることであろう。だから、これをもう少し内容を精選するというか、やわらかくするというか、そして実験、実習をふやすというか、そういうふうにする必要があるのではなかろうかというふうに思います。それについてもお聞きいたしますが、この四十七年のこれ調査ですけれども、普通科に入って、自分は納得して入ったというのは一四%以下、工業高校では二四%から三九%の間、商業高校では四五%から五一%、その程度が早く言えば心ならずも入ったということで、普通科と商業科ですから近いといえば近い。しかし、これも将来問題になるんではないかと思うわけですが、きょうは工業のことに私は、重点を置きます。それでついでにもう一つこれも質問してお答えをいただきたいと思いますが、この今後の産業構造、経済構造を考える場合にどういう姿に日本はなるであろうか。これはいまおっしゃいましたように、三十年後は余りはっきりわからない。これは当然のことですけれども、しかし、私はある程度類推する必要があると思うんです。そうしなければ、いずれにしても、教育政策をここで決定していかなければならない、お互いに立場にあるわけですから。そうしますと、ここにある統計で見ますと、一次産業と二次産業と三次産業に分けまして、日本で現在三次産業に従事している者というか、むしろ三次産業に就業している者の数でのこれは比例ですけれども四六・の七%、アメリカは六二・の五%、イギリスが五一・九、スウェーデンが五一・七というようなことでありますが、これはアメリカ型になっていくのではないかと。この三次産業というのは御承知のようにテレビ、航空、レジャー、輸送、情報、文化、教育、サービス、そういうものはすべて三次産業と言ってもいいと思うんです。そして、一次産業は非常に減ってきてますが、日本はまだ高い、一九・三%、アメリカは四・の六%、イギリスは二・九%。二次産業はほとんど変わっておりません。ほとんど三〇%余りで、これはほとんどどの国も余り変わらない。一次と三次の入れ変わりが激しい。そうすると日本の将来の、資源のない国としての日本の将来の行く道は、私は多国籍企業の方に大きく動いていくのではないか。そのときに多国籍企業といった場合には、たとえば資源保有国は資源と労働力を出す。そうすると技術のある国は技術を出す。資金のある国は資金を出す。そこで三ないし四の国がそれぞれ共同しながら仕事をしていく部面が非常に私はふえてくる。その場所は必ずしも日本である必要はないし、カナダでもよければ、トルコでもインドでもどこでもいいわけですが、そのときに日本は何を出すといえば、私は技術あるいは技術マネージングそういうもの以外にないんじゃないか。だからいわば知識集約型の産業にだんだん行くであろう。そういうことを考えますと、現在の高校の技術教育というものは、よほど私は考えなければ職人仕事じゃないかというようなべっ視的な考えが残っていてもなりませんし、それから大学に行くためには、普通科の方が便利だもんなあという程度の考えで私は放置しても、これはいけない。だから社会の構造が教育制度を引っ張るのか、教育制度が社会構造を変化させるのかということは、先ほど申し上げましたが、未来が現在を引っ張るということは、これは私は言っても差し支えのないことではないか。では、その未来とは何だと言えば、そういういろんなイデオロギーを別にすれば、共通の広場、いわゆる未来の日本の像というものがそこに浮かび上がるであろう。それを想定して、教育制度をいまから考えていくということでなきゃ、また、第三の教育改革も再び誤りを犯すのではないかという気がしてならないので、したがって、この職業教育に関しましては、非常に私は危惧の念を深く持っておるわけでございます。決して産業界と教育制度が癒着だとか、そういう近視眼的なことで考えておるのでは決してありませんけれども。しかし、経済とか産業を悪のように見る見方もまた偏見であろう。だから技術というものは、私はまだ未開発である。いま公害が出るといいますけれども、これはもっと科学技術が発展したら公害は出なくなるのがあたりまえで、まだ途中である。したがって、もっと技術を発展させることが、日本の幸せにつながることではないかということを考えるわけでございます。したがって、くどいようですけれども、いま職業高校を改変し、これをよくていく場合に、いま御指摘の、実験、実習以外にどういうことが具体的には考えられましょうか、それをお伺いしたい。
#159
○国務大臣(永井道雄君) まず三点に分けて申し上げます。
 第一に、私は職業高校を重視すると申しましたし、大学レベルでは高専というものも重視していかなきゃいけないという考えであります。そういたしますとそれを重視すると、そこは袋小路になっていいかという議論が当然あります。私はそういう意味で申しているのではありません。でありますから職業高校を出た人が今度は大学へ行きたいという場合に、先生は一年おくらしてもいいんじゃないかとおっしゃいましたけれども、むしろ大学の入学試験制度の方を変えて、そしてまた、変える努力をしておりますが、希望する人は乗りかえていくという姿で、つまり必ずそこが袋小路になって、行き場がなくなるということがあってはならないと、こう考えております。
 それからその次に、現在の職業高校におけるカリキュラムの内容がむずかし過ぎるんじゃないかというお言葉でございますが、これは実は私は普通科、職業科両方を含めて高校はむずかし過ぎるんだと思います。どうしてそうなるかといいますと、いままでの高校のカリキュラムをつくりますのは、いずれにいたしましても、高校の生徒の人口が相当少ない。つまり中学のところまでは大体の人が来るけれども、高校は少数の人が来るという前提で進んできておりまして、そこで奥野文部大臣の時分に、教育課程についての諮問があったわけですが、その三つのうちの一つは、やはりその問題に触れておられるわけです。つまり、高校はいまや学生人口が非常にふえてくる。ふえてくるという段階で高校とは何かということをもう一回問い直さなきゃいけない。私はその点では先生おっしゃいますように、職業高校だけではなくって、高校のカリキュラムの見直しというものが高校人口がふえた。そこで高校とは何かという基本的な問題との関連で見直すべきものと思っております。
 次に、産業の中で、一次、二次、三次の雇用人口、これがアメリカ型になっていくんではないか。そこで多国籍企業というふうな形でいきます場合に、わが国は結局第三次産業の人口が急速に増大して、さらに第一次のところが減っていくのではないかという、こういうお言葉と、それから科学技術の将来というものは無限ではなかろうかという、こういう問題でございます。これは私は、いまたとえば、来年度のことをどういうふうに考えているかということを申し上げたいと思います。つまり、三木内閣が成立いたしましたのは昨年の十二月でございます。昨年オイルショックというものがございましたけれども、いままで一応わが国は、高度経済成長という姿で進んでまいりました。科学技術なりあるいは雇用人口の変化なりそういうものも、すべてそういう形で進行するという前提のもとに動いてきたと思います。
 ことしから来年にかけてはどうかというと、大体、経済長期計画というものがまだでき上がっていない段階で、経済企画庁はそれいろいろ考えているわけですが、まだない。そうすると、私は来年の考え方というのは、一種の実験的中期計画というような考え方で教育についても考えていくべきだと思っております。その意味合いは何かということを申しますと、まず、安定成長というものにわが国は移っていくならば非常に望ましいことでありますが、それを前提にすると、そうするとそこから起こってくる問題でありますが、まあ私、アメリカ合衆国などの場合、いままで急速に第一次産業人口が減りまして、そして第三次に行った、これは事実でございます。今後も行くかどうかという問題、そこで多国籍企業というお言葉がございましたが、多国籍企業というのは私は必ずしもすんなりどうも今後発展しないんではないか。というのは、国連の中にも多国籍企業というものが持っている積極的な面とそれから問題が生じやすい面というものについての検討がいま始まっております。ということは、多国籍企業が発展いたしますと、どうしても科学技術、資本、そういうものを持っている国が発展しやすいわけですけれども、現在世界に大体百ぐらいの開発途上国があると、そうすると開発途上国の場合には自分の国の経済ナショナリズムというものが非常に強いですから、御承知のように方々でそういう点では多国籍企業というものに対する抵抗があって、国有化運動というものが事実起こっておりますし、また、こういうものも進行する可能性もあるんではないかと、そうするといままでアメリカが進んできたような形でわが国が多国籍企業という方向で動くかどうかという、これは一つの違う問題がそこに含まれているように思われます。
 それからもう一つの問題は、そういうことに関連いたしますが、これはもう現在すでに農林省が言っていることでございますけれども、食糧自給力の増強ということを言っているわけでございます。これもまた、実は世界的現象であって、食糧というものの確保をどうするかという問題になってきております。いままではすべて有無相通じて完全に自由貿易でうまくいくという前提で経済成長発展期に進んできたんでございますけれども、さて、わが国ほどそれをある意味では信じて進んで来た国はないと言ってよろしいんですけれども、まあたとえば大豆の問題が起こるというようなときに、相当の危機感が生じてくるということでございます。農林省はそういう角度から自給力の増強をどうするかということで計画を立てておられる。そういたしますと、第一次産業の人口の減少ということはやっぱりあると思います。といいますのは、機械化がやはり引き続きあると思いますから。しかし、かつてアメリカに起こったように急速に起こるかどうかということについては、私はちょっと疑問を持っております。
 それから、ということは、いまの三つの産業、三種類の産業の発展を考えて、私はこういうものの発展を考えて教育を考えるということは決して悪いこととはもちろん思っておりませんし、教育計画上、それこそ資本主義、社会主義の別を問わず、計画をやりますときに欠くことができない要件と思っておりますから非常に重要だと思いますが、なぜいまこの一種の実験的中期計画が必要と申し上げたかといいますと、いままでアメリカが伸びてきたような形で今後わが国が伸びるのではなくて、やはり世界情勢が相当変わっている、それからそういう状況の中でどうしていく、しかも、そういうところで安定成長で進んでいくということになりますと、安定成長で進むということと世界情勢が変わっているということから、私はアメリカ型に一、二次、三次産業が急速に動くいうことはないかもしれないと思っております。そこで、そういうふうに考えると、その学校教育をどうするかという問題につながってくるわけですが、私は、先生の最後に言われた点、もちろん労働実験、実習、これを軽視してはいけない。軽視してはいけないということから非常に近視眼的な職業教育に傾斜してはまずいと思います。そこで、やはり余り狭い分野に限定してしまわない、それからまた、完成教育ということよりはむし将来を考えながら発展していける能力を職業課程などでもつけるような方向、これを、すでに細かいいろいろ要綱が審議会からも出ておりますが、小分野に限定しない、これがやはり非常に必要になってくるんではないかと思っております。
 といいますのは、社会の変化は相当これからも激しいだろうと思います。科学技術は進んでいくんですけれども、しかし、一例を申しますと、自動車よりは飛行機がいいと、そこまでは来たわけですね。飛行機よりはジェットがいいと、ジェットよりはスーパージェットがいい、超音速機がいいというところまで来たとき、超音速機は結局やめた方がいいというところに来たというのは、また否定できない事実だと思うのです。そうしますと、今後も科学技術は進みますけれども、環境とのバランスをどうするかといういわゆる技術査察問題というものが非常に重要になってまいります。そうすると、学校教育などで考えていく場合、実は先般も技術士学会から御要請があったんでありますが、工業高校あるいは高専、大学の工学部で技術史というようなものを絶対に教えるべきではないか、なぜかといいますと、単なるエンジニアになってどんどんどんどんつくればいいというようなことをやっていきますと、環境とのバランスの問題などに直面したときに非常に困るし、それから、技術査察ですね、テクノロジーアセスメントの能力を持つような人間が育たない。そういうものも育てていくべきだという要望が技術士学会からございましたが、私は、こういうものも実は関係各局にいま渡して検討してもらっているわけでございますが、そういうことが必要になってくるのではないだろうか。ですから、工業高校に限定して考え、また高専に限定して考えますという場合に、その中の教科の構成の仕方というのはいままでのように非常に狭いものであってはいけないし、そしてやはりこれからの技術と環境とのバランス、そういうふうなものに対処し得るような、まあ私はたとえば、社会工学というのを東京工大にいたときに設計をしたんでございますが、まあ設計どおりいっているかどうか、いろいろ問題点ありますけれども、必ずしもああいうものも大学レベルだけでやるんではなく、高校のあたり、あるいは高専などにも必要なんではないか。なお、いろいろ具体的なことはございますが、基本的な考え方として以上のように思っているわけでございます。
#160
○有田一寿君 多国籍企業ということを考えますのは、一つには、理想的なというか、希望的な観則も若干含んでいるわけでございまして、まあ現代のように数ヵ国が核を保有して、決してナショナリズムの壁は低くなっていないという現実の姿から将来を見ますと、そこに多国籍企業というものを考える余地は少ないというふうに考えられますが、同時に一面また考えますと、多国籍企業ということは国際分業でありまして、小麦のできないところも段々畑を耕して小麦を無理につくらなければ食糧がどうだ、それから石油が来ない場合はどうだ、すべて、貿易武装というか、自立武装しなければならないというようなことではどうにもならない。したがって、善意を信じて、自由貿易というものがこの世界で続き得るということを考えれば、それは自由に要るものが買える、そうして自然調和的に世界が立ち行くということですけれども、いまのままの姿では、石油ショックがありましたように、そういう楽観論は考えられないとすれば、皆ナショナリズムの壁を高くしていく。しかし、その次に来るものは、私は、そうであってはならない。まあ文明懇談会の議論のようなことで恐縮ですけれども、それは核はどうせ一ヵ所に貯蔵されなければならないんだということもありますし、多国籍企業といった場合、国内商法を適用する、そうして資源、労働力を提供する国が損するというようなことは考えられないので、それとか、それを警備する力を幾らに評価するかと、まあ株で言えば何%の株にそれを評価するかと、その配当を幾らやるかということで、私は南北問題というものも、この線から解決していかなければならないんじゃないかと、そうすれば、多国籍企業であれば、輸出する輸入するといっても、自分が出しているその国ですから、そこに逆に輸入する、外国から入れるんじゃなくて、自分の生産したものを自分が使うという姿になるので、多国籍企業、国際分業、これはやはりはるかかなたには私はあり得る、だからその希望をわれわれは捨ててはならないんだと、そうしなければ人類の未来になかなか希望がないわけでございますから、いま文部大臣のおっしゃったこと、よくそれはわかります。中期計画でいき、いまの私が申し上げたのは超長期計画ぐらいかもわかりませんけれども、まあバラ色の夢を描いておるというわけでございます。未来の技術と未来の社会構造ということで、じゃ何をおまえ考えているんだといえば、これは個条的に申し上げますと、省力化技術、これはオートメーション、ロボット、コンベアシステム、コントロールするためのコンピューター、あるいはシステム技術、これもまあいま学際という言葉がはやりますが、異分野の専門家がそれぞれの知識を動員して新しい技術に挑戦する、コンピューターの導入の仕方だとか、パターン認識技術とか、こういうものが今後開けてこなければならないであろう。それから次には公害防止技術、これは画期的に私は伸ばしていかなきゃならない。だから、環境汚染監視技術が先行すると思いますが、その次には汚染源の除去技術でありましょう。さらに、その次に、汚染源の基準値の理論的研究が最後には完成されなければこれは問題の解決にならない。また、汚染の人体に及ぼす影響というようなものは、私は十年以上かかるであろうと思います。それから海洋開発技術あるいは原子力、宇宙、レーダー、超低温等の技術が今後あり得ますが、
 そこで大学を考えたときに、環境衛生工学科というようなものを実は私は自分の工業大学にそれをつくろうと思って、九年前にいろいろアメリカから資料をとったりしてやって、今日に至ってまだ環境衛生工学科というものを設置し得ないわけですけれども、それは私学でこれをやるということはなかなかペイしませんね。ということは、これは内訳は、化学から建築、機械、全部関係するわけでございます。そうすると、それをいまの大学設置基準でいってやるとき、教授がわずかの時間数持っても全部要りますし、そういうところからなかなかペイしない。しかしながら、これは私は国公立の大学では環境衛生工学科というようなもの、少し幅広くなりますけれども、未来を考えた場合にこれはやはり検討する必要があるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。それにつながって高等学校もまた何らかのそれに伴う系統が生まれ出なくてはならないのではなかろうか。しかし、少なくとも、高等教育機関において今後相当私は深く広い意味で、そういう環境工学科のようなものが逐次設置されていく必要があると思う。いま三つか四つあるように聞いていますが、いかがでしょうか、それをお知らせ願えたら。
#161
○国務大臣(永井道雄君) いま大学局長からそれを御説明申し上げる前にちょっと申し上げておきますと、実はアメリカの学者とも会っても同じことを言うんでございますが、非常に社会の変化が激しいものですから、先生がおっしゃいましたような環境の問題というのを学術的にどんどんやらなければいけない。ところが、なかなか大学が追いつかないというのは、実はアメリカでも非常に頭が痛いけれども、日本は名案があるかということを言われているわけなんです。実は日本も名案がなかなかない。ですから、環境について申しますと、大学の方は、いま局長から御説明申し上げますが、わが国の環境庁に公害問題研究所というのができました。これは五ヵ年計画で整備しておりまして、大体五百人ぐらいの所員ができますが、あれは英語の訳の方は環境問題研究所になり、日本語の方は公害問題研究所になっているわけです。そこで、あそこができますと世界で一番環境問題を研究するところではスタッフの数の多い大きなものになるというわけでございます。
 ですから、私はアメリカの人にも言ったんですが、どうもわが国の場合でも、非常に早急な問題、そして、どうしても大事な問題というものに取り組むときに、なかなか大学が追いつかないので、そういう形で対応しているというのが実情である。問題はそういうふうな大学以外の研究所が伸びていきます場合に、それをどう大学に反映していくかということだろうと思います。大学についてはある程度の動きがございますから、政府委員から御説明申し上げます。
#162
○政府委員(井内慶次郎君) 特に四十九年、五十年、国立大学の学科等の整備におきましてある傾向が出てきております。その傾向と申しますのは、第一は、環境、公害関係の分野の拡大、第二は情報関係学科の拡大、第三は資源エネルギー関係の分野の拡大、第四は国際交流、地域研究と言われるものの拡大、第五は海洋関係に関しまする拡大、こういった分野等が特に四十九年あたりから各大学から出てまいりまする拡充計画につきましても出てきておりまする傾向でございます。
 そのうち、ただいま具体に御指摘のございました環境、公害関係の点で若干の例を申し上げてみますと、大学院レベルにおきまして、博士過程コースとして衛生工学専攻、それから修士過程コースで都市工学専攻、環境工学専攻といったよう専攻をつくってまいるということ、それから大学、特に学部学科の点で見てまいりますと、北大、京大等の衛生工学科、それからたとえば帯広畜産大学の畜産学部等で畜産環境学科、それから千葉大学の園芸等で環境緑地学科とか、ただいま大臣からお話のございました社会工学科、こういった何らかの意味におきまして環境問題、公害問題に取り組もうとする具体のプランが四十九年あたりから特に各大学からも出てまいりました。こういう分野につきましては、文部省といたしましても、重点的に大学の要望に応じ、学科の開設等に努力をしておるところでございます。
#163
○有田一寿君 ありがとうございました。大体よくわかりました。
 あと六分時間がありますので、個条的に問題だけ提起させていただいておきますけれども、別にいま御返事も要りませんし、いつの日かまた機会がありましたとき、一つ一つについて私はお尋ねをしてみたいと思っております。九つほどありますが、きょう一つ済みましたからあと八つ。
 一つは、教育行政の中央集権化と分権化の問題が一つ。
 それから二つ目に、核融合についての共同研究が必要な段階に来ているんではないか。いま聞くところによると、どうもなかなか文部省はそれに対してはうんと言わないということですが、まあ果たしてうんと言わないのか、別に事情がおありなのではないかと思いますが、これは核融合に限らず大きなプロジェクトを組んでいく場合に官学産の協同、あるいは産学協同、そういうようなものを虚心坦懐にやらなければ私は科学技術は発展しないと。どうも日本の大学にも官庁にも民間にもあるかもわかりません、セクショナリズムがあるように思います。
 それから三つ目に、これはドイツでアルバイツディーンストということを以前やっておりましたが、言葉はそういう言葉を使うと誤解を招きますけれども、さっき文部大臣も言われた汗を流す教育だとか勤労というようなこともおっしゃいましたが、そういう大学に入る前に半年だ、三ヵ月だ、あるいは一年、あるいは大学出てから、いずれかの時点で、私はそういう心身を鍛えるそのインターバルが必要なのではないかということでございます。
 それから次に四番目に、集団訓練というものは軍国主義につながるということで排除されておりますけれども、これは地震、火事等の災害のときの避難をする場合でも、集団訓練をしておればはるかに助かるものを、それがしてないがために助からないという例もあるわけでありまして、集団訓練といっても、整列するとか列をつくって前進するとか、これは何も軍隊、軍国主義につながるからと、戦後三十年たって、いま目に角を立てる必要はないのではないか。そういうことも精神を緊張させたり、そういう社会生活をする上に私は必要ではないかと考えるのですけれども、これも提案にすぎません。
 それから、学童の体格と体力がバランスを失してきておる。体格は大きいが体力がない。それを私は追求していけばいろいろなここに問題が出てくると思いますが、たとえば背骨がどうだとか、前かがみの癖があるとか、首が曲がっているとか、いろいろ癖のある子供がありますが、これがわりに精神に影響を与えているということは医学者が指摘している。そうすると、学童の机、腰かけの話ですけれども、六年間と三年間義務教育段階、背骨が前かがみの子供はこの机、腰かけの背面を少しそれに応じただけ傾斜をつけておけば、まあ九年間すわり続ければある程度矯正ができるのではないかとか、体格と体力というものをデータによって追求しておられるかもわかりませんが、それを今後の課題に私はする必要があるのでないかと思う。
 それから次に、給食について、これは専門的なことでは一切ありません。全く素人意見で乱暴な意見と思いますけれども、弁当を持っていくということは、非常にいろんな意味で子供の思い出にもつながりますし、母親とつながる一つのものであって、すべてをオートメーションのように全部学校がやるんだ、それは無料でなきゃならないということだけでいくのではなくて、やはり母親でも姉さんでも三十分か四十分早く起きて弁当をつくってやって、やはり毛糸の編み物でつくった袋に入れて持っていけばずいぶんと思い出に残るのではないかというようなことも考えます。別に農林省から頼まれて米を多く使えということとつながるわけじゃないんで、別の意味ですが、そういう気がするわけです。そういう声がわりに多いのですよ、現在。
 それから、母親教育ということをよほど考える必要があるのではなかろうか。これはテレビを利用する、その他ありましょうけれども、何といっても母親だと私は思います。私は、先ほど生涯教育ということで逃げてはいかぬ、学校教育を忘れちゃいかぬと言いましたが、矛盾したことを言うようですけれども、母親教育だという気がするんです。
 それから、英才教育が必要ではないか。いまは弱者、弱者――弱者はもちろん手を差し伸べなければなりますまいが、弱者ばっかり多くなったとき、強者が手を出して引き上げなきゃならぬわけで、その強者の教育について考える必要があるのではないか。これはなかなか問題ですけれども、私は絶対にやるべきだと思うんです。
 以上、個条的に申し上げまして、問題のある点、御批判のある点、多々あると思いますが、一切御返答は要りません。いずれかの機会に、ひとつまたいろいろとお聞かせを願いたいと思います。まことにありがとうございました。終わります。
#164
○粕谷照美君 ただいま教育の根幹に触れるような非常に貴重な御意見と御答弁を伺っておりまして、私たちもできればこれに参加をさせていただいたら非常に実りある審議になるんじゃないだろうかと、こう思いながら伺っていたわけですが、私は、もっと現実的な問題についてひとつ集中的に文部省の考え方をお伺いしたいわけです。
 それはさまざまな可能性を持っている子供たちが未来に向けて幸せに育つようにと父母を初め教育関係者は一生懸命になって教育に努力をしているわけですが、最近学校における事故が激増しているということがマスコミの上でも取り上げられておりますし、マスコミだけではなくて、具体的に市町村段階、父母の段階でも大きな運動が起きているということは大臣も御承知のとおりだというふうに思います。先ほど内田委員からのお話もありましたように、昭和四十九年度で、もう八十九万件も学校安全会の給付が起きている。四十八年の廃疾と死亡者を合わせてみますと五百七十八人ですから六百人近い、何というんですか、前途を断たれてしまった子供たちができているという、こういう現実があろうかというふうに思います。それで、先日できました高等学校の学校安全に関する調査を見ましても、高校生だけで昭和四十八年に十四万五千九百五十四人も給付を受け、廃疾になったのが百二十五人、死亡したのが六人という、これはもう亡くなった子供たちにとってみても、まことにお気の毒という以外ありませんけれども、特に亡くなられた子供たちや廃疾者となったそういう子供たちの、御本人は当然のことですが、御両親及び身内の方々の嘆きというのですか、胸中はいかがでありましょうかと、私も一人の母親として思いやらないわけにはまいりません。けれども、これは一人の人間として考えると同時に、また一方、教育に関係した者としてこの問題を見るときに、非常に頭の痛い気持ちがするわけです。鹿児島で給食のときに子供が空きびんを運んでいた、先生はそのときに牛乳がこぼれたのでそれをふいていた、子供は自発的にその空きびんを一人で持っていったんですけれども、そこで転んでびんのガラスが目に入って、そして失明をした、それに対して学校の中で起きた、しかもその使用者である市はこれを補償すべきだという訴訟が起きて、最終的には子供に七百万円の賠償を払うということで話し合いがついたというふうなことが載っておりますけれども、こういう学校安全会の給付がこの二、三年激増しているというこの問題を、原因は一体どういうところにあるんだというふうに文部省としては理解をしていらっしゃるんでしょうかということが第一です。
#165
○政府委員(諸沢正道君) ただいま御指摘のように、安全会の給付件数は大体年々増加の傾向にあるわけでございまして、ただ死亡及び廃疾の見舞い金の件数というのを見ますと、これは小、中、高全部を通じての件数でございますが、四十五年、死亡二百九、廃疾見舞い金三百八十七で約六百ということになるわけですが、四十六年、二百三十一、四百十三、四十七年、二百五、三百七十七、四十八年、二百二十八、三百七十三、四十九年、二百十四、四百四十ということで若干増をいたしておりますが、おおむね横ばいのような状況にあるわけでございます。
 そこで、一般の給付件数が四十九年八十五万に対し前年が八十一万九千ですから相当ふえている、この原因は何かという御指摘なんですけれども、実は私どもの方、一つ一つの事故の実態についての調査というのは、現時点では件数も非常に多うございますので、安全会にただしましても必ずしも明確ではない、その意味ではなぜふえたかという明確な御説明はむずかしいわけでございますが、考えられることは、たとえば、いまの安全会の疾病あるいは負傷による療養給付というものは、一回の疾病または負傷に要する療養費が五百円を上回るものは給付の対象にしますと、こういう定めになっておるわけでございますが、最近の医療費の引き上げによりまして五百円という基準はほとんど全部の疾病事故について、負傷について給付の対象になるというようなことであろうかと思いますので、そういうことからいえば、ごく軽微な負傷等も含めて給付対象件数が全体的に増加したというようなことも考えられるのではなかろうかという、これは推計でございます。
 なお蛇足ですが、つけ加えさしていただきますが、そういうようなことで、現時点では必ずしも明確でないということもございますので、実は昭和五十年度の安全会の予算におきまして個々の徴収原簿をいわゆるマーク・カード・システムというものを採用いたしまして、まあ徴収原簿を電算機にかけて分類整理ができるというふうなことにいたしたいと思いまして、現在その作業をやっておるわけでございます。したがいまして、まあそれができ上がりますならば、いまの事故の解明等につきましても、もう少し、突き詰めた実態解明ができるのではなかろうか、かように期待しております。
#166
○粕谷照美君 私も、いまのは一つの理由の非常に大きな理由だというふうに思いますけれども、もう一つは、やっぱり父母の権利意識が非常に高まってきたということが挙げられるというふうに思います。これはたとえば森永砒素ミルク事件にしても、サリドマイドの事件にしましても、いままでだったら、これ、しようがないというふうにあきらめていた。しかしやっぱりその闘うというんですか、訴訟に訴えても自分たちの健康を守っていくんだという、こういう考え方が国民の中に出てきたから、やっぱり学校安全会に対してもきちんと自分たちが保障されている権利というものは使おうじゃないかというような気持ちが出てきたんではないだろうかということも一つの理由に思いますし、いままで教員の関係で言えば、学校内で起きた事故はなるべく穏便に済ませたいというふうなことでいたんですが、学校安全会というものがやっぱり共済制度だということがきちんと徹底をして、正しくこのことを利用するというふうなことが生きてきたんではないんだろうかというふうに思っているんですが、こういう事故に対して、私は何か学校安全会の給付だけでは非常に足りないんではないんだろうかという声が起きていると思うんですけれども、このことについてどのようにお考えですか。
#167
○政府委員(諸沢正道君) 学校安全会は、御指摘のように児童の父兄と設置者であります市町村が分担してこの掛け金を負担いたします共済制度でございまして、義務教育の段階におきましては、年額百八十円という掛け金でございますから、そこにどうしても給付の金額におのずから限度を設けざるを得ないという実態でございます。ただ、最近の実績を申させていただきますならば、死亡見舞い金にいたしましても、四十八年度は五十万でございましたけれども、四十九年度にこれを百万に引き上げました。さらに五十年度から二百万といたしたわけでございます。また、廃疾見舞い金の一番重いものにつきましても、五十年度においては二百四十万といたしました。これまた四十八年度から比較いたしますと、おおむね四倍程度に引き上げておるわけでございまして、これらはたまたま健康保険法等の改正がありまして、その安全会の負担する割合が従来よりも少なくて済んだというようなこともございまして、そのような改正も可能になったわけでございますが、趣旨といたしましては、その負担金の余裕ある中で、できるだけ配慮をしたいと思いますが、繰り返して申しますが、おのずから限度があるのはやむを得ない事態であると、かように考えておるものでございます。
#168
○粕谷照美君 そのことだけで見れば、なるほど限度があるのはやむを得ないというふうに思いますけれども、本当にそういう子供を持った親にしてみればやむを得ないでは済まないというふうに思うんですよね。ここに大宮市議会で満場一致でいろいろなことを、学災法を制定しようということでやっているんですけれども、その中で災害の実例について話があるわけですが、いまからもう十四年前になる昭和三十六年の五月の九日に大宮市内の一つの中学校でクラブ活動をやっているときに、柔道をやっているときに脳内出血をやって全身麻痺になった。安全会から一年間の給付をもらって、その後は打ち切りなんですけれども、そういうことでは困るというんで、家も田畑も、土地も売ってしまって、一切のお金をその子供のために出した親がいるわけですね。それに対して、市長さんも市議会でも一生懸命に努力をされたし、特定の善意あるお医者さんが、じゃそれを診てあげましょうということで四回ぐらい治療というんですか、手術をして、そしてようやくこのごろ立てるようになったという、こういう悲惨な例が報告をされていて、そのことが一つの契機になって議会でもまた全国的な運動を展開しようということになったというふうなのが出ておりますけれども、また先日も、ちょっと私ほかののを調べてみましたら、草加市でやっぱりこういう制度について非常に熱心に取り組んでいらっしゃるわけですね。その例は、先生が体育の時間に宙返りを、回転をやらせた。ところがなかなかやれないんで先生が非常に激励をして、やってごらんというのでやったところが引っくり返ってしまった。まあ亡くなられたということがあるのですがね。それは、なぜそういうことになったかといったら、脊椎分離症という病気を持ってたというのです。その病気を知らない。先生も知らなかった、当然校長先生も知らなかった。しかし、その事故が起きた。そのときにやっぱり補償していこうというふうに、親としては補償してもらいたいということで、親としては運動を起こしていった、こういうことが出てくるんだというふうに思うんですがね。そうしますと、一体その責任は脊椎分離症であるということを知らないでその体育をやらせた教師にあるのか、学校側にあるのか、市にあるのかというようなことになりますと、非常にめんどうな問題になろうかというふうに思うわけですね。特にまた、そういうような大変な病気を持っているということがなぜわからなかったんだろうかという問題になっていきますと、毎年毎年身体検査やってるじゃないか、学校へも来て診てるじゃないか、私もしょっちゅう身体検査のときには見てましたけれども、もう大体一人につき三十秒とか一分ぐらいでいいところですよね。忙しいお医者さんに千人からの子供たちが診てもらうわけですから。はい前向いて、後向いて――それで大体もう熟練をされていらっしゃる先生ですからOKが出ていくわけですけれども、それでは本当の私は健康診断にはなっていないというふうに思うんですよね。ですからこういう問題点を考えてみますと、本当にじゃ責任はどこにあるんだかということになると大変めんどうなことになる。学校安全会の限度もこういうことだというようなことになりますと、親としてはそれでは満足できない。だからやっぱり管理責任者である市町村を訴えるということになってくるんだというふうに思うんです。先日も、新潟から私帰ってくるときに、車中で知り合いの弁護士に会ったんですけれども、新潟県内のある大きな市の市長を相手取って一千万円のやっぱり損害賠償を起こすんだけれども、非常に気が重いということを言ってらしたわけですね。訴訟を起こしますと、結局校長先生を証人として出してくる、その先生を証人に出してくる、そういうことになりますと、親としても弁護士としても非常に気持ちの落ち着くひまがないんで、できればこういうような問題は、事故が起きたら裁判に訴えるところまでいかなくてもちゃんと補償ができるように、交通事故程度のことは最低限やってやるというようなことが必要じゃないんだろうかというふうなことを言っていらっしゃったわけです。その話をいろいろと伺っておりましたら、私も一人の教え子である母親から聞いたんですけれども、筋ジストロフィーの子供がことし入学をした。校長先生に筋ジスなんですけれどもというお話をしましたら、学校へ来ないで一年間猶予をしてもらえないだろうかという、こういうお話があった。なぜかといいますとね、もし学校の中で転んだりして事故でもあるとそれは学校の責任だからといって教育権を否定されるようなことをおっしゃられたというのですね。その母親は、こういう問題についてもずいぶん一生懸命に運動として、取り組んできて、大変成長している人ですから、私も一緒に行きますというので、子供と一緒に毎日毎日学校へ行ってるわけなんですよね。こういうことを考えてみますと、学校教育者も、ビビってるという言葉おわかりでしょうか、非常に憶病になってきてるんじゃないだろうか、プールに連れていくこと自体も問題じゃないだろうか、林間学校に連れていくこども大変じゃないんだろうか、海水浴に連れていくことも大変なんじゃないだろうか、こういうことで、本当に憲法や教育基本法に決められております一人一人を大事にしていくというような教育ができるんだろうかという、こういう心配がないわけでもないわけです。それで、私は文部省として、こういうようなことを、この辺のところどういうふうにお考えになり、そして今後どのようにして対処をしていこうというふうに考えていらっしゃるかということについてお伺いをしたいと思うわけです。
#169
○政府委員(諸沢正道君) 児童生徒の学校管理下における事故といいます場合に、大きく分ければ、要するに、施設設置者において学校施設の管理に瑕疵があったとか、あるいは教師の指導に手落ちがあったとか、法律的に言えば、要するに、故意過失等の責任があった場合と、学校設置者の方において全く無過失の場合と、二様の対応があろうかと思うわけでございます。
 そこで、前段の、施設あるいは教育活動指導の際における故意過失があった場合の問題ですけれども、従来でありますれば、そのような御指摘の事故がありました場合に、損害賠償をしてもらおうと思えば最終的にはどうしても訴訟に訴えざるを得ないということで、当事者双方とも大変御苦労をなさるということは私ども十分承知しておるわけでございますが、そのようなケースにつきましては、最近町村会においては、町村会がその加盟の町村の申し込みを受けまして民間の保険会社と合同契約を結んで、学校の管理下における事故――それは児童生徒のみならず、学校に来ておる一般人等も対象にしておるようでありますが、それにつきまして、管理者の方において賠償責任がある場合には、一人について最高二千万円、一件について最高二億という賠償金を支払うという契約を結んでおるわけでございまして、なお、プールの事故とか高所から落ちたというような、言ってみれば、管理上無過失責任に近いような責任を負うべきケースにつきましては、この管理責任を問わずに賠償するというような契約の内容のようでございますが、そういうふうな損害賠償の保険契約を結ぶということによって、一部の町村ではすでに発足をしておるということでございますので、私どもは、現在まだ全部の町村がこれに加入していないようでありますから、さらにその制度を他の町村に同じように加盟していただくようにいろいろな機会にお願いをしておると。また、市長会の方につきましても、これは市によっていろいろ財政事情その他が違いますのでなかなかむずかしい問題のようでありますが、ひとつ前向きに検討していただきたいということをお願いをいたしておると。また、県立の学校につきましても同じような考えで、ひとつ県の方でも検討していただきたいというように申し上げておるわけでございまして、そのような制度でなおできるだけ多くを対象とする普及を図ることによってその損害賠償の問題はひとつ考えてまいりたい。
 なお、無過失責任と申しますか、全く管理者に法律上責任がないというような事故になりますと、これは現在の法制上は非常にむずかしい問題でございますので、まあ今後の検討の課題としてまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  〔委員長退席、理事有田一寿君着席〕
#170
○粕谷照美君 私も、それを見ましたので、非常にまあ一歩前進だというふうにして喜んではいるんですけれども、やっぱりプールの事故と高所から落ちたということだけが無過失ということで補償される制度になっているわけで、その他のことはないわけですよね。やっぱりまだ親にしてみますと、まあやっぱりこれは市の責任じゃないんだろうか、やっぱり先生のまだ落ち度があったんじゃないだろうかと思うことだってあるわけですよね。幾らこちら側で無過失だ無過失だと言ったって、親にしてみればそう思うことがあるだろうと思うんです。そういう場合には、やっぱり訴訟に訴える。その訴訟に訴えたときに、受けて立つ側としてのいわゆる裁判費用を出すというふうになっていますから、私はまだこの制度も、前進ではあるけれども、親にとってみればまだ万全な、気持ちとすれば万全なものではないというふうに思っているところです。ですから、逆にいえば、一律無過失の補償をやってもらいたい、こういう要望にはやっぱりほど遠いというふうに思いますし、これに入っていない町村は、まあ、お入りなさいということで多分入るということになろうと思いますけれども、まだマイナスがありますし、それからまあ県立の問題にしたってまだ十分ではありませんから、私は大臣が先ほどの内田委員に対する答弁で、できたら市から県にも広げていきたいという御答弁がありましたけれども、私はまだ、文部省としてというんですか、国としての基本的な姿勢がちょっと足りないように思うんです。――ちょっとなんていう言い方じゃまことに申しわけないんですけれども、足りないように思うわけです。町村会はもう文部省――国が動いてくれないから自分たちで、もう大変で大変でつらくて、一生懸命に考えたあげくこういうふうになったというふうに思いますが、国に本当に責任がないんでしょうかという問題点が出てくるというふうに思うんですよね。たとえば学校でいろいろなことを教師がやっていく、文部省のその指導方針とその教師のやったこととは一体どのような関連があるのか、全然国としては関連がありませんということでいいのだろうかという、その辺のところはいかがでしょう。
#171
○政府委員(諸沢正道君) 国が、そういう事故の場合、教育活動の指導方針を示したという関連においてどの程度責任を負うべきかというようなことになりますと、個々のケースについて判断をしなければ、一般論で申し上げることはちょっとできないかと思うわけでございまして、結局そういう場合には大変お互いにいろいろ苦労をするわけでございますが、最終的には、裁判所の判断を仰がざるを得ないというようなケースになろうかと思うわけでございます。
#172
○粕谷照美君 まあ原則的にいえばそういう答弁しかないだろうというふうに思うんですけれども、教育基本法の十一条を考えてみましても、教育の高い理想実現のためにやっぱり必要な法律をつくっていくという、そういう姿勢が国民の側から出るということは私は非常にすばらしいことだというふうに思うわけですよね。だからこそ、いま教育法学会のあたりでもこの問題についてきちんと検討を進めていきましょうという、もう非常に新しい、しかも専門的な動きが出てるということを、文部省はどのようにつかんで、この点についてどのように文部省としても考え方を述べ、あるいは協力をしていくというような姿勢があるのかということについてお伺いをしたいと思います。
#173
○政府委員(諸沢正道君) 現在、教育法学会等におきまして、言ってみれば、国の立場における無過失責任制度といったようなものを検討すべきではなかろうかというような意見があるというようなのが、新聞の学芸欄等で私拝見いたしております。
  〔理事有田一寿君退席、委員長着席〕
ただ、この問題につきましては、現在の法律制度というものが、国家賠償法にいたしましても、要するに、国あるいは地方公共団体の公権力の行使に関連する国民あるいは住民に対する損害の問題はやはりその故意過失というものが前提になっておるという立法例が、立法的な考え方が基礎にあるわけでございますんで、それは学校という特殊の場であり、子供さんを預かるという非常に大事な場であるという、その考え方に立ちますれば、先生のお指摘のような考えも十分私は考え方としてあると思うんでございますけれども、現実に私どもが関係方面といろいろ話をしておりましても、なかなかこの原則はそう簡単に破れないというのが現実でございます。
#174
○粕谷照美君 破れないというのは現実だろうというふうに思いますけれども、しかし、こういうような問題についての判例なんか考えてみますと、「ジュリスト」にも載っていたわけですけどね、大正十四年ごろから大きく前進をしてきているというふうに思うわけで、私は、この問題に文部省が積極的に取り組むことは国民の大きな賛成を得ることになるだろう、文部省に対する信頼がうんと大きく高まってくるだろうという考え方に立ちまして、ぜひ積極的な取り組みをお願いをしたいというふうに思うわけです。
 さて、そういう考え方を持つと同時に、また、朝日新聞の論調ではありませんけれども、そういう救済よりもまず防止を考えることが優先するだろうと、こういうことを言っているわけです。私は「よりもまず防止」という考え方にはどうも賛成がし切れないんですが、やっぱり事故が起きないように防止対策を整えるということは非常に大事なことだというふうに思いますが、先ほどの有田委員のいろいろな御質問の中にも――たとえば学校給食の話がありました。私は、行管庁が指摘している、食中毒事故の中でそのトップをなしてるものが学校給食の中毒関係だったという、こういう資料を見たわけですけれども、考えてみますと、やっぱりいろいろな点で私たちの側にもこの防止政策についての非常な手抜かりがあるんじゃなかろうか。それは一つは、精神的な注意が一つ必要であると同時に、やはり物理的な注意といいますか、教育条件を整えるという意味では非常に教育予算が足りないという面もあろうかというふうに思うわけです。子供たちの安全を確認する先生の、教師の定数の問題もありますし、非常にたくさんの問題がありますから、その辺のところも積極的に文部省として、今度の予算に対する基本的な考え方をあらかじめ御討議をいただいて、実りある成果が得られますようにお願いをいたしまして、時間がまいりましたので、私の質問及び意見を終わりたいと思います。
#175
○久保亘君 私は、教科書の問題について少し質問をしたいと思います。
 初中局長にお尋ねいたしますが、最近、初中局長の方で教科書発行者に対して編集業務に関する調査を行われた事実がありますかどうか、お答えいただきたいと思います。
#176
○政府委員(安嶋彌君) 去る五月二十七日付をもちまして教科書発行者の編集業務等に関する調査を実施をいたしております。各発行者に調査を依頼いたしますとともに、教科書協会の会長あてに調査実施についての協力を求めております。これは調査の趣旨にもございますように、新教育課程の実施にかかる教科書の編集に備えまして、教科書発行者の編集の実態を把握するとともに、教科書の質的な改善と適正な編集体制の育成維持を図るべき措置につきまして意見を聴取いたしましたり、その実態を調べたりする、そのことによりまして文部省の教科書に関する行政施策の改善に資することとしたいということでございます。
 六月十四日までに提出していただくようにお願いをいたしまして、六十二の発行者からすでに提出を見ておるのでございます。
#177
○久保亘君 この編集業務に関する調査というのは従来も行われた例がありますでしょうか、今回初めて実施されたものですか。
#178
○政府委員(安嶋彌君) この調査の内容はいろいろございまして、たとえば、教科書の発行の種目数でございますとか、あるいは発行種目数等の種類、発行点数、需要冊数、売り上げ数、それから売上金額等につきましては別途従来も調査をいたしておることでございますが、新しい事柄といたしましては、社外の執筆者あるいは編集協力者の状況でございますとか、あるいは教科書の発行者の調査研究の組織の点でございますとか、その他意見聴取といたしまして教科書の内容の改善維持をするための研究調査組織についてどういうふうに進めていきたいか、あるいは文部省に対して編集発行その他に関してとるべき措置があればそれを申し出ていただきたい、こういったような点は今回新たに調査をお願いしている事項でございます。
#179
○久保亘君 今回新たにと言われている部分が主として「教科書発行者の編集業務等に関する調査」、こういう表題になったものだと思うのです。それでこの教科書発行者の編集業務等に関する調査は、法的にはどのような根拠法令に基づいて行われたものなのか御説明をいただきたい。
#180
○政府委員(安嶋彌君) 御承知のとおり、教科書の発行に関する臨時措置法という法律がございまして、その第十条の第三項におきまして「文部大臣は、必要に応じ、発行者から報告をとり、又はその業務の履行の状況を調査することができる。」という規定がございますが、この規定に基づいて調査をいたしたわけでございます。
#181
○久保亘君 この教科書の発行に関する臨時措置法は、その第一条に、この法律制定の目的をちゃんと定めておりまして、そしてこれは言ってみれば当時の経済情勢にかんがみて教科書の需給調整とか子供たちの教育に間に合うような迅速な発行が保障されることとか、適正な価格を定めていくとか、そういうためのものであって、教科書発行のための資材、原材料が十分に確保されるように調査が決められておると思うのであります。今回、文部省が実施をされます編集業務の内容にかかわって報告を求めるような調査というのは、この教科書の発行に関する臨時措置法の定める目的からは明らかに逸脱をするものであると思います。そして、この教科書の発行に関する臨時措置法施行規則の中にも第二十四条に「文部大臣は、必要に応じて、発行者に、用紙その他の資材の入手、保管、消費の状況又は教科書の製造、供給の状況について報告を求め、」そして、そのことに関して職員を派遣して調査をすることができる、となっているのであります。今回のこの編集業務の中身に立ち至っての調査は、この臨時措置法に定められた文部省の調査権限をはるかに越える一方的なあなた方の判断に基づく調査ではなかろうかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#182
○政府委員(安嶋彌君) 教科書というのは、御承知のとおり、ただ単なる印刷物ではないわけでございまして、それが児童生徒の教育にふさわしい内容の高い水準のものであることが必要なわけであります。でございますから、従来の定価の問題等を扱います場合におきましても、主として紙がどれくらい値上がりをしたかとか、あるいは印刷製本費がどれくらい値上がりをしたかといったような経済的な関係だけを重視してまいったわけでございますが、ただいま申し上げましたように、教科書というのは、ただ、そういう物的な経済的な側面だけではなくて、いかにすぐれた内容が教科書の中に盛り込まれるかということが非常に大きな問題でございます。それは言葉をかえて申しますれば、各発行者におきまして適切な編集体制が確立されておるということが必要なわけでございます。発行にはただ単なる物的な供給ということだけじゃなくて、その物的なものの中にどういう実質を盛り込むかということが非常に大きな問題でございます。そういう意味におきまして、今後教科書の発行を考えます場合は、ただ単なるそういう物的な面だけではなくて内容的な面についての各社の体制というものを調査をしておくことが必要である。と同時に、各社がそうした面にどれくらい投資をし経費を充当しておるかということも調べておく必要がある。今後定価問題等を考えます場合には、繰り返しになりますが、紙代というような事柄だけではなくて、編集費のあり方というものについていろいろ検討する必要がある、そういう意味で編集に関する全体的な体制について調査をお願いをしたい。広い意味ではやはり教科書の発行、供給ということにそれは含まれるというふうに考えるわけでございます。
#183
○久保亘君 現在まで一度も行われなかった、そのような調査が今回あなた方の法律の拡大解釈に基づいて行われるということに対して、いま教科書の問題が非常に大きな協議会における問題となっておりますときに、非常な危惧を感ずる点があるわけです。教科書の中身については、あなた方は検定制度を持っておられて、そして、その文部省のしかるべき組織によって検定が行われるわけであります。その教科書を編集をする段階、発行者が研究する段階、調査する段階、そして、発行者が教科書をつくり上げている段階まであなた方が細かく中身を調査をして、そしてその内容について改善点などを意見聴取という形で書面をもって提出をさせる、しかも、その意見聴取の中には明らかに文部省が一定の考え方を持って、その考え方に刻する発行者の半断を求めるような設問もあります。そういうような形でおやりになることが、教科書の発行の段階においてまるごと文部省の意図する方向に統制していこうという考え方につながる恐れはないのか、その点についてあなた方のこの法の拡大解釈が果たして許されるものであるかどうかということなのです。大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#184
○政府委員(安嶋彌君) 大臣のお答えの前に私がちょっと申し上げますが、教科書の内容の問題は、ただいま先生が御指摘のように検定という手続をとって行われるわけでございます。どういう立場、内容のものが教科書の内容として盛り込まれるかということはきわめて大切なことでございますが、それは別途の手続をもって審査をいたしておるわけでございます。この定価の問題は、これはそういう内容の問題ではなくて、私どもが今回調査をいたしましたその主眼は、いい教科書をつくるためにはやはり編集体制に相当のお金をかけることが必要であろう、したがいまして、そういう面からの調査でございまして、そこで中身自体を云々しようということではございません。編集にやはり適当なお金をかける必要がある。そのお金というものはやはり定価に適切な形で反映していくということが必要であろう、そういう前提での調査でございます。調査をごらんいただきましても、編集の体制等について紹介をいたしておりますが、個人的な氏名等はこれは一切書いてございません。ただ、単に年齢でございますとか、人員の数でございますとか、学歴等が書いてあるだけでございます。思想的な内容には一切立ち入っておりません。個人名詞が出ておりますのは、この調査表の作成の連絡者の名前が出ているだけでございます。なお、外部の研究団体等との関連については、これは若干固有の名詞が出ておりますが、これも一般に知られておることを改めて正確性を期するために調査をしたということでございまして、特別な内容が報告書として出てきておるわけではございません。
#185
○国務大臣(永井道雄君) 先生、御指摘のように、教科書の内容という問題は、これは検定の問題でございますが、先ほど御指摘になりましたように、教科書会社に対して、こういう調査をいたしますのは、需要供給の関係という一条の目的に沿っていなければならないわけです。現在問題になっておりますのは、教科書の価格の問題が問題になってきているわけです。ところが、価格を決めていく上で、編集業務費がどのくらいかかってくるかという問題が当然入ってまいります。そこで、そうすると編集業務費を落として、ただ、価格を維持すればいいかというとそうはいかない。やはり編集業務費というものが相当充実していて、そして価格とのバランスがとれるかどうかという問題が現在生じておりますから、そういう意味合いにおける私は今回の調査であるというふうに考えている次第でございます。
#186
○久保亘君 私は、ここにあります写しは、文部省が社団法人教科書協会を通じて教科書の発行者に送付をされた、六十何通か返事が返ってきたその文書の写しだと思うのでありますが、ここにあります中身は、いま大臣や初中局長が言われたようなそういう単純なものじゃありません。編集業務等に関する調査という表題にふさわしく、中身はそんなことじゃないのですよ。そして編集者や研究者の名前などは固有名詞では挙げさせていないと言われておりますが、この調査表を記入した人の氏名とその電話番号を最後に書き込むようになっておるのです。だから、この書かれた内容について今度紹介しようと思えば、これはどういう意味であるかということを尋ねることは容易にできる。しかも、発行者と文部省の関係だという立場を前提に置いて考えるならば、容易にそういうことは可能になっくるわけであります。しかも需給の関係だけというのに、ここにありますのは社外執筆者編集協力者の状況、これはどこの大学の教員であるか、高等学校の教員であるか、それから教科書に名前が記載されている者が何人で、記載されていない者が何人、そういうことまで詳しく書くようになっているのです。しかも、原稿執筆に携わった者何名、教材研究何名、資料提供をした者何名、意見を提供したもの何名、校閲に立たった者、何名というところまで細かく報告するようになっているのであります。そして今度は研究組織などというところ、あるいは調査組織などというところには、教科書の編集発行に果たしている役割りというのを文章で記入するようになっております。
 それから今度は、意見聴取の段階になってまいりますと、研究調査組織等の組織運営等について現状でよいと考えるか、改善強化する点はどのような点か、あるいは各社共同等、各社の単位も越える教科書研究調査組織等の設置についてどう考えるか、こういうようなことをかなり広い欄をとりまして文書回答するようになっておるのであります。いろいろな改善点とか問題点をずっと書かせるようになっております。こういうことが教科書の需給の関係とどういう関連があるのでしょうか。そして、こういうものを書かせる場合に、提出する方は、あなた方が教科書の発行について指示する立場を持っておる発行者の人たちなんです。その発行者の人たちが文部省の意に沿わないようなことをここへ書いて出すことによって、どういう結果になるかということは百も承知の上でこういうものは配られているわけです。そうするとこのような調査に対してどういう回答が返ってくるか想像がつくでしょう。返ってきた回答をもって、発行者の意見の集約という形で文部省が新しい教育課程に対応する教科書の編集に当たってのあなた方の一つの方針を決めていかれるということになれば、教科書のでき上がったものを検定をする今日の制度にも問題があるんです。そういう問題を越えて、今度は教科書をつくっていく段階から、文部省が自分たちの意図どおりに発行社を通じて統制をしていくことができる、こういう危険性を持つと言われても、私はこの調査のやり方から見るならば全くあなた方が反論する余地はないと思うんですよ。そういうことになりませんでしょうか。これは大臣が言われるように――大臣これごらんになったことがありますか。この調査票というのを。そこにあるんですね。これごらんになって臨時措置法の第一条の目的に沿った調査ですということを大臣はやっぱりお考えになりますか。私がいま申し上げましたようなことについて、もし何か大臣が違った見解をお持ちならお聞かせいただきたいと思うんです。
#187
○政府委員(安嶋彌君) 先ほど来申し上げておることでございますが、大手十社の実績で全発行経費のうちの編集費の比率を見てまいりますと、これがかなり低額になっておる傾向がございます。昭和三十七年度におきましては、編集費が三%でございましたものが、五十年度では一・九%というふうになっております。この比率につきまして、これは少な過ぎるではないか、教科書の質的な充実を図るとすれば、この種の経費をさらに充実をする必要があるのではないかというのが教科書発行者の意見でもございますし、文部省もそういう点はさらに検討してみる必要があるというふうに考えておるわけであります。したがいまして、この編集の体制がどういうふうになっているか、あるいは編集関係の諸経費がどういうふうに充足されているかという点について調査をしたいということが、この調査の主眼でございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、調査の内容といたしましてはまさに抽象的に大卒が何人とか、あるいは大学教授が何人とかいったようなことを調査をいたしておるわけでございまして、それ以上、内容に立ち入った調査はいたしていないわけでございます。
 なお、連絡者の氏名は書くことになっておりますが、これは一般に調査といたしましてはその表の作成責任者の氏名を明らかにし、そして疑問等がありました場合にはそこのところを照会をする便宜のためにそういう扱いをするということは通常のことでございまして、特に、この調査に限ってそういう方法がとられているわけではございません。
 それからまた、私どもは個々具体の人についてどうこういう質問をしたいというような気持ちも全くこれは持っておりません。この調査に上がってまいりましたものを集計をいたしまして、全体的な編集に関する発行者の体制について知識を得たい、こういうことでございます。
#188
○久保亘君 あなた方は初めからこの調査によって発行者の思想調査をやるとか、ある種の統制を加えるというようなことがあからさまになるような調査をやられたらその瞬間にあなた方の責任が問われるんですよ。だから大変巧妙なやり方でそういう方向へ向かって進むような調査が行われてくるわけなんで、これはいままでの歴史を振り返ってみれば、すべてそういうやり方で進められてきているわけです。そして、いまやっておられる方々はわれわれにそういう意図はないと言われるかもしれないけれども、これだけの調査をやることによって、またその調査の結果を掌握することによって使いようのあるものになってくるじゃありませんか。だから教科書協会は出版労連の抗議に対して編集業務に関する調査は定価政策との関連で文部省と話し合って了承したと、こう言っているんです。そうすると、教科書の定価についても、あなた方の方が決定の権限を持っておられる。そうなってくると、教科書協会としてはこの調査に対して何がしの疑問を持ったとしても協力しないということは言えないわけですよ。それで教科書協会は、あなた方の言われるこの調査に対して全面的に協力せざるを得ない。そうすると、教科書協会が協力して各発行者に配付をすれば、出さないわけにはいかない仕掛けになっているでしょう。法的な根拠から言っても、私がさきに申し上げましたように、臨時措置法の法的根拠によってこの調査が行われているとするならば、明らかにそれは不当であり、法の範囲を逸脱した調査だと私は思います。だからこそ、いままでこのような調査が一遍も行われたことがないんです。今度初めてこのような調査が行われるわけです。法の私は拡大解釈だと思う。しかも、この調査の結果は、文部省の調査にしては非常に速いスピードで行われた。五月二十七日にこれが決められまして、六月十四日までに提出されるようになっている。たった半月でもってこの調査は完結するようになっている。半月でもって完結されたこの調査の結果というのは、いま文部省でいろいろ集計されていると思うんですが、この調査の結果というのは、そうすると一定の集約を行って、そしてわれわれにも参考のためにお見せいただけますか。
#189
○政府委員(安嶋彌君) 概要につきましては、御説明を申し上げたいと思います。
#190
○久保亘君 この調査が、それじゃなぜこの調査表はマル秘扱いになったんですか。調査は、これは調査表はマル秘扱いにされておりますでしょう。それは、あなた方が言われるように、教科書の需給に関するきわめて普通の調査で別に他意はないんで、こんなもの書いて出したってどうということはないんだというんなら、何もこの調査がマル秘になる必要はない。どうしてマル秘調査になったんですか。
#191
○政府委員(安嶋彌君) 編集の体制等はこれは各社いろいろ工夫をこらしてやっておられるところであります。したがいまして、これが外に漏れまして、ある社の情報が他社に流れるというようなことがございまするとやはり問題であるというふうに考えたものでございますからマル秘扱いというふうにいたしたわけでございます。
#192
○久保亘君 そうすると文部省が、各社の企業秘密に属するような問題を、あなた方がこういう調査をもって、そして権限をもって、法律の根拠によって調査事項として提出させるということができるんですか。これはそうすれば任意なんですか。出さなければ出さなくてもいいものなんですか。
#193
○政府委員(安嶋彌君) この報告は提出してもらいたいと思いますけれども、出さなかったからといって別に罰則があるわけではございません。
 それからマル秘の問題でございますが、これは文部省が照会をいたしまして、それを教科書会社が任意に答えてくれているわけでございます。文部省にならば報告をしてよろしい、そういう立場で報告をいたしておるものと思います。
#194
○久保亘君 それじゃ、いま概要については報告ができるということでありましたが、このあなた方の教科書発行者の編集業務等に関する調査の概要を取りまとめて御報告いただけるのはいつごろになるでしょうか。
#195
○政府委員(安嶋彌君) まあ早くて一ヵ月後ぐらいということでございます。
#196
○久保亘君 その際、私はこの報告がどういう形で提出されたか、少し詳細にいろいろお聞きしたいと思う。しかし、問題は、あなたがいま出さなければ出さぬでもいいということを言われた。しかし、出さなければ出さぬでもいいというのは、あなた方にこれを強制提出させる権限はないんだという意味で言われたと思うんですがね。しかし、文部省と教科書協会と発行者という関係を見た場合に、これ出さぬで済む問題じゃないでしょう。文部省からこの調査を求められて、発行者が私はぐあいが悪いから出しませんといって済む問題じゃない、それぐらいのことはよくおわかりだと思います。だから事実上は、これはあなたも言われるように、臨時措置法の調査権限に基づいてやっていくと言われるのだから、法的な根拠もあってやられる調査でもありますし、また文部省とその教科書発行者という関係から言うても、出さずに済む問題ではないんです。そういうような力関係の中で、かなり教科書編集の組織やその内容に立ち至っての調査、しかも、今後の教科書編集体制の改善点とか、そういうようなことを、意見聴取という形でもって、実際は個々に自己改革を行わせようとする意図を見てもいいわけなんです。というのは、こういうものを書いて出させるということによって、発行者が、何でいまの文部省の教科書のあり方について批判的な意見を書くことができるでしょうか、そういうことはできないんです。そうすると、ここに書いて出すとすれば、彼らはどうしても、ここに文部省の意に沿うようなことを中心にして書いて出すことによって、今日の教科書発行者間の競争にも勝たなければならぬでしょう。そういう点では、非常に巧妙な、意見聴取という形の教科書編集発行に対する文部省の一つの誘導であるとさえも考えられるわけなんです。だから、この点は、私はどう見ましても、最初にお尋ねいたしましたその法律の根拠という点から見ましても、明らかに行き過ぎであるし、だから、いまこの問題をめぐって、これは出版の自由に対する文部省の一つの抑圧であるとか、あるいは教科書の編集等に対するある面では思想的な干渉、こういう点についての危惧がいろいろな人たちから提起されておるわけでして、これらの点について、私は文部省は、この調査は大変慎重を欠いた、権限を超えたやり方ではないかと思うんです。だから、私は、この調査については、すでに非常に早いスピードで集められておりますから、いまさらこの調査をとりやめろと言っても、現に完了しておられることでありますから、この調査の内容については、これを公表をすることによって、そしてこの調査が文部省の意図するとしないとにかかわらず、いろいろ危惧されているような方向に使われることがないようにしなければいけないと思うんです。
 最後に、大臣にお尋ねいたしますが、いま私と初中局長の間でいろいろと応答をいたしました。それらの点をお聞きになりまして、やっぱり臨時措置法の権限内の調査にとどまっているとお考えになりますでしょうか。この点については、不必要な調査である、あの法律に基づくならば不必要な調査が行われた――行き過ぎたと言えば大臣も答えにくいでしょうから。不必要な調査が行われたとはお考えになりませんか。
#197
○国務大臣(永井道雄君) 私もあの調査表を見たんでございますが、やはり編集業務というのは、私は新聞社におりましたけれども、かなり込み入っておりまして、たとえば、調査組織がどのぐらいでき上がっているか、それに伴って価格が変わってまいります。それから社外者執筆――これは新聞の場合でいま申し上げます、社外者執筆の数と、社内者執筆の数、それによりましても価格が相当変わってまいります。そこで、相当これは多岐にわたっておりますから、先ほど先生がおっしゃいます危惧を持たれる方もあるのはわかりますけれども、しかし、私がたまたま新聞社の方の編集業務の方しかよく存じておりませんが、しかし、出版会社の編集業務という場合にも、これはやっぱり必要項目がここにあるというふうに理解いたしております。ただ、先生が御指摘の、危惧を持たれる方々がありますと、それはわれわれの意図するところに反することになりますから、先ほど申し上げましたように、このまとまりましたときに、その概要というふうなものを、先生並びに諸先生に御説明申し上げるようにして、危惧を持っていただかないようにしなければいけないと考えております。
#198
○久保亘君 今後の取り扱いについては、また、概要の報告を受けました後、私どもいろいろ意見を申し上げたいと思いますが、私は、このような調査が今後も引き続き行われるということになれば大変問題だと思っております。それで法的な根拠が明確でない、このような、思想や出版の自由に対して干渉をするおそれのある調査を文部省が実施をされることに対しては、よほど慎重でなければならないと思いますので、この調査の取りまとめと同時に、今後のこの種の調査についての、文部省の十分なひとつ検討をお願いをしておきたいと思います。これについては、私どもは大変異議を持っておりますので、今後も引き続き、この問題についてはお尋ねをしたい、こう思っております。
#199
○委員長(内藤誉三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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