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1947/07/31 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第4号
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1947/07/31 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第4号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第4号
  付託事件
○石炭生産確保に關する陳情(第二十
 一號)
○自轉車の價格改訂に關する陳情(第
 三十四號)
○石炭増産運動に關する陳情(第四十
 四號)
○炭鑛實地調査班の報告
  ―――――――――――――
昭和二十二年七月三十一日(木曜日)
   午前十時十一分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○炭鑛實地調査班の報告
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれから開會をいたします。
 今囘の三班に分れました石炭調査につきましては、皆様非常に御苦勞様に存じておる次第であります。大體御報告書もお纒めになりましたように承りましたので、本日はその大要を御報告を願いたいと思いまして本委員會を開きましたようなわけでございます。但しいずれ報告書にしてお差出を願いまして、都合によりましては、これを飜譯して必要な方面へ持つて行くといつたようなことも考えられますので、いずれ報告書は後程戴くことにいたしまして、大要だけをそれぞれの班の方から御報告を願うようにいたしたいと存ずるわけであります。
 先ず常磐が近いから堀さんからお願いいたします。
#3
○堀末治君 それじや御指名によりまして、常磐の方に參りましたから、常磐の方を御報告申上げたいと存じます。私の方は稻垣委員長と私と二人でございました。これから本論を申上げます。
 只今の我が國は、産業復興竝に民生安定のために、三千萬トンの石炭を必要とすることは、今更改めて私が申上げるまでもございませんが、これは國家至上の命令として、朝野を擧げてこれが達成に總力を傾けておるのであります。從つて、炭鑛の國家管理問題も又、最も重要にして喫緊なる課題として、周到なる檢計を加え、以て國家百年の大計を誤らんようにせねばなりません。さような見地から、私どものこの國會におきましても、この問題解決のために重要なる資料を得るため、九州、宇部、常磐及び北海道の各地區にそれぞれ實地調査班を派遣することとなつたのであります。
 私は、當鑛工業委員長の稻垣さんと、院議に基いて常磐地方視察の命を被つて、去る十三日から十八日まで六日間に亙つて常磐地方の四つの炭鑛を實地調査いたして參つたのであります。
 以下、各項目に分類いたしまして報告することといたします。
 尚、幸いに本院から同地方出身の油井賢太郎君が案内旁々私どもの方の一行に參加をしていろいろ便宜を圖つて戴きました。尚又、奥むめおさんも、勞務者の厚生方面の視察を兼ねられて、増産激勵のため途中から參加をせられましたし、尚衆議院の方から山口六郎次さんも、私どもと同様な目的で行を共にせられたのであります。
 日程といたしましては、先ず第一日の七月の十三日の當地に發ちまして高萩に到り一泊いたしました。第二日目の午前中は、高萩炭鑛の北方鑛業所を視察いたしまして、午後は經營者竝びに從業員諸君と座談會を催し、その晩は湯本に泊りました。第三日は、午前中常磐炭鑛を視察いたしまして、又午後は經営者竝びに從業員の諸君と座談會を催した次第であります。第四日目は、古河好間炭鑛を午前中に視察いたしまして、午後は同じく座談會を催したのであります。第五日目は、上山田炭鑛を午前中に視察いたし、午後とも申されませんが、丁度晝頃座談會を催しました。そこで、あとで申しますが、ちよつと小名濱港を視察した。かようなことから急に豫定を繰上げまして、その日小名濱港を僅かの間でございますが視察いたしまして、そして翌日上野へ歸つて解散をいたしました。かようなことでございます。
 調査の概要といたしましては、先ず最初に生産實績を調べたのでございますが、昭和二十一年度の實績竝びに遂行率は、常磐炭鑛は六十九萬トンに對して實績が七十三萬二千九百五十トン、遂行率が一〇六%ということになつております。古河好間炭鑛は二十九萬トンに對しまして二十八萬百五十二トン、九十七%を示しておりました。上山田炭鑛は三萬四千九百トンに對して四萬二千四百五十四トン、一〇七%の遂行率を示しております。高萩炭鑛は十四萬六千トンに對して十五萬四千四百七十九トン、一〇六%、かようなことでございます。
 本年度の第一四半期におきましては、常磐炭鑛は四月が六萬五千トン、五月が六萬五千四百トン、六月が六萬二千トン、合計で十九萬二千四百トン、丁度生産豫定數に對して一〇八%の比率を示しております。それから古河好間炭鑛は同じく四月に二萬一千六百トン五月には二萬六千二百トン、六月には二萬三千五百トン、合計七萬一千三百トンで、一〇二%を示しております。上山田炭鑛は四月に二千百九十九トン、五月には二千四百三十三トン、六月には三千二十九トン、合計七千六百六十一トンで、これは七〇%という非常に低率なことでございました。高萩炭鑛は四月が一萬三千九百六十四トン、五月が一萬二千七百トン、五月が一萬三千六百五十トン、合計四萬三百十四トン、九十二%、かようなことでございます。
 第二・四半期におきましては、常磐炭鑛は十七萬六千四百トン、好間炭鑛は七萬三百トン、上山田は一萬三千トン、高萩は四萬四千四百トン、かようなことになつております。
 總じて同地方は、常磐とか或いは古河好間のような大炭鑛は、前年度竝びに今年度第一・四半期とも割當を突破いたしておりますが、中小炭鑛はこれに比して成績が不良の状況を呈しておるのであります。第二・四半期も又同様の成績を呈するのではないか、かように私共は思うて見て參りました。
 その次は、資金關係でございますが、設備資金といたしましては、現在の設備の補修程度に止めるのならば、餘り多大の資金を要さない、しかし將來増産を目指すためにはなかなか莫大の資金を要する、かようなことでございまして、常磐炭鑛竝びに好間炭鑛は、これに對して非常な精密な計算をいたしておりました。あの方面の炭鑛の特徴といたしましては、皆様方も既に御承知の通り、非常に常磐炭鑛のごとき坑内の温泉の湧出量が多いのでありまして、その水の汲み上げには非常に努力をしておりました。好間炭鑛も同様でございます。常磐炭鑛のごとき水位を千五百尺下げることによつて非常に大きい増産ができるというので、その計畫の下になかなか綿密な計算をいたしております。
 而も本年の一月の物價水準を基礎として計算をいたしておりましたので、凡そ四億五千萬圓ほどかけると、これから申上げる非常な大きい増産ができると、こういうことを申しておりましたが、それは計畫を遂行した場合におきましては、昭和二十二年度の出炭量は七十八萬トンになり、そうしてその單價は凡そ四百四十六圓位に上がるであろう。固よりこれには排水の企業費百一圓を含んでおるのであります。そうして若しもその計畫を遂行せない場合は、出炭量は七十三萬トンで終るであらう、凡そ五萬トンの減産を見る、かようなことであります。
 二十三年度におきましては、計畫遂行の場合には、凡そ九十萬トン堀り出すことができる、そうしてその單價は四百三十五圓に上ぼるであろう、ちよつとこの邊の數字は明瞭でありませんでしたが、排水企業費百七圓をその中には含めておる、かようなことであります。而してその計画を遂行せない場合は六十四萬トンに落ちる、二十六萬トンの減産になる、かようなことであります。尚、二十四年度におきましては、計畫遂行の場合におきましては百萬トン取れるであろう、そうして單價は凡そ四百二十七圓、而もそれには排水企業費の百三圓を含む、かようなことであります。その計畫を遂行せない場合は出炭量は五十二萬トンに下がる、丁度四十八萬トンの減産になる、段々場所が狭まつておることでありますから、水が冠ぶるようなことが起つて減産になる、かようなことであります。
 又同じく好間炭鑛においても、示し合したように、同じ計畫をいたしておりました。ここは常磐炭鑛よりも年度も一年長く、尚十年間の計畫をして見たい、こういうことでありましたが、現在持つておるポンプだけでは年に六十尺位下つたらもう見込みはない、水位が凡そ八百六十尺位でありまして、ここで又一億二三千萬圓をかけると、水位が千二百尺位まで保つことができて、その出炭量は非常に増える。そうしてここも二十二年度におきましては、二十八萬五千トン、丁度四萬トンの増産ができる。二十三年度におきましては三十萬トンになつて九萬トンの増産ができる。二十四年度におきましては三十三萬五千トンで十五萬トンの増産になる。二十五年度におきましては三十五萬トンになつて二十萬九千トンの増産になるということでございました。それをせない場合の出炭量は、二十二年度におきましては二十四萬五千トンで、二十三年度におきましては二十一萬トンになり、二十四年度におきましては十八萬五千トンになる、二十五年度におきましては十四萬一千トンに下がる、かようなことでずつと漸減して參る、かようなことになつております。これは同じく本年一月の立案に属するので、それ等の經費がやはりトン當り十年間を通じて百三圓の割合だ、かように申しておりましたので、殆んどこの數字は常磐方面の炭鑛と似寄つておるように思つて參りました。
 かようなことでございますので、こういう點については大分大きい金が要るものでありますから、これは國家としても十分に考究してやらなければならないことではなかろうか。實はかように存じて參りました。
 次は、運動資金竝びに赤字資金の問題でありますが、これは大体この間單一單價が決められ、前拂制度が改正されて、略々解決濟のようでありますので、これは今になつては必要のないことでありますが、ただ原價計算主議を採つて、後で清算するという制度に對しては、各炭鑛とも非難囂々のものがございました。併しこれは今となれば解消いたしておるような次第でございます。
 次に資材關係でございますが、これはもう私共改めて申上げるまでもなく、各炭鑛とも、それぞれの品種に於ては非常に違いはございますけれども、不足を訴えておることは申すまでもございません。それが又増産の一大隘路になつておることは改めて申上げる程のこともございません。ただ總じて、どこの炭鑛も異口同音に申しておりましたことですが、折角割當てられた資材が、ちぐはぐに、跛行的に入手せられるため、本當に役立つのは非常に遅れるということについてこぼしておりました。尚又中小炭鑛でも、木炭鑛に比してそれらの關係が非常に惡い、或いは人的の關係とか、或いは東京あたりに本店、支店、出張所をもつ、或いは金融の關係、こういうようなことで非常に不足をして、その入手率のごとき、上山田炭鑛のごときは……その數字はどうも少しどうかと思いましたのですが、向うの言うままに聞いて參りました。それによりますと、需要量の百パーセントに對して割當量が六十パーセント、現物の入手量は僅かに六パーセント、こういうことであります。どうもこの六パーセントというのは少しどうかと思うて聞いたのですが、とにかく向うの資材關係の從業員がそうだと言うておりましたので、それをそのままそうかといつて實は聞いて參りました。とにもかくにもその外の資材を皆闇で買わなければならないというのは非常に困るということを縷々申しておりました。と同時に、各炭鑛とも、先に行われておつたあの丸炭制度をどうか復活して貰いたい、あれがあると、この跛行的の、資材の入手なんかのためには非常に便宜がよい、さようなことで、今のような制度でまずいのならば、どうかせめて割當量から、この増産した部分だけでも何らかの名目で、その丸炭制度を復活して貰うというと、それによつて急ぐ資材、乃至はどうしても入手の困難なものに對して、いわゆるパーターによつて稍々公定價格に近いものによつて入手が出來るから、何とかこの制度を復活するようにして欲しいということを各炭山とも申しておりました。これは直接資金とは關係がありませんガこれを御報告の中に一つ加えて置きます。
 その次には坑木關係でございますが、これは先般ここの會議その他で皆さんお聞き及びの通り非常に不足をしておる。表を見れば、多少まだ手持のあるような表が出ておりますが、實際はその實物は規格に合わないのが多い、公定價格の關係で、業者の方がその炭鑛にぴつたり合うのばかり届けてくれればよいが、どうもなかなかそうは行かないので、意外に實際に間に合わないような支障が多い、これは非常に困る、然るに、あの方面は福島縣を主としてやつておるのでありますが、いずれは岩手縣、或いは秋田、青森方面からまでも貰はなければならないということになるであろうから、これらについてはやはり政府の方面でも十分にその手段を講じて置く必要があるのではなかろうか、實はかように見て參りました。
 その次に、勞務關係の方でございますが、勞務關係ではあまり問題がないようでございました。賃金問題も大分ああいうふうに改正されましたので、別にこの問題では特に從業員組合諸君から私共に愬える點はございませんでした。ただ、そこで私ども非常に異樣に感じましたのは、先般この席上で從業員諸君の幹部諸君から承つたことでありましたが、つまり後になつて賃金を決められて、それを何ケ月か遡つて支拂う、その金を徒らに飲み食いその他に使つてしまつて、一向に自分らの厚生方面に使われないというようなことをお話があつたのでありますが、從業員の幹部諸君は、聊かもそういうことがないとはつきり言明しておりました。しかし實際聞いて見るというと、現場の人方が成るべくああいう賃金の拂い方はして貰いたくない、どうも一遍に金が入ると、つい何だかんだと、飲むとか食うとかというようなことにばかり力が入つて、それがために休むことが多いから、成るべくその月その月に支拂われることを希望する、かようなことを現場の勞務員諸君が言つておりましたので、私ども非常に異樣に感じました。
 その次は、職場規律の問題でございますが、これらは今度行つて見まして、いわゆる炭鑛の從業員勞務者諸君も、非常に國家の現状をよく認識いたしまして、殊に炭鑛勞務者に對して國家があらゆる優遇をして呉れるという點について、心から感謝をしておられました。從つてその優遇に對して酬ゆるところがないでは相濟まん、こういう氣持が各方面に見えましたことは、私共として非常に意を強くすると同時に、又有難く感じたことであります。
 その次に、食糧關係でございますが、主食を六合配給を受け、家族も又三合といふように、いわゆる一般國民に比して非常に優遇を受けておる、この點について前の問題と同様に非常に感謝いたしております。そようなことで、どうしてもこういうふうな優遇に對しては、増産を以つて應える外ないということを皆が申しておりました。ただ最近になつてどうもいろいろちぐはぐの配給があるのだが、これは何とか一つちぐはぐにならないような配給をして貰いたいということを申しておられました。その外主食以外のいろいろな物資については、特にあの坑内では温泉が涌いて熱いものですから、鹽分を要求することが多い、從つて味噌醤油の配給をどうかもう少し十分にして貰いたい。常磐炭鑛のごとき、それがために日曜一日を特に皆で精出して掘つて、それぞれの了解を得てそれを味噌醤油の交換に當てる、しかしその交換物資も十分入つて來ないので、どうもこれには困ると言つておられました。幸い私共が行つたので、そういうような物資が、圓滑に入るように御配慮願いたいということを申しておりました。尚又鹽を嘗めて稼ぐのですから、その鹽の配給も特配を一つやつて貰いたいということを熱望しておられました。尚又ここで、もう一つ、私共本當に感心して聞かされたことでございましたが、勞働者側の人方から、いわゆる現場の職員に對しても、私らと同樣な一つ食糧、主食の配給をしてやつて欲しいということを言うておられました。これはもう私共炭坑に入つたときに見たのでありましたが、やはり素つ裸になつて、褌一つになつて、職員の方が各現場を廻つて、それぞれいろいろな仕事をしているのを見て參つたのでありますが、その人方は當り前の、いわゆる職員なみの待遇より受けておらない、さようなことでこの人方に對しては非常に氣の毒に思うから、どうか一つこういう方面に對しても、特に私共と同樣な待遇をしてやつて呉れることについて御考慮を願いたい、こういう申出でがございましたから、これも特に皆樣方に報告を申上げて置きます。
 その次に厚生關係でございます。
 第一番目に醫療その他の施設でありますが、大炭鑛はまあ相當にそれらの設備が、完備しておる所もありました、又それぞれに施設のできた所もありますが、中小炭鑛は殆ど皆無、又はもう極く不安全なものでありますので、これらの設備の新設、完備を是非ともやらなければならない、かように見て參りました。その次に、住宅問題でございますが、新らしい炭鑛は、割合に最近になつてから社宅を何本か建てたものですから、少いながらも割合に工合よく行つております。併し古い炭鑛ほど、いわゆる昔の理念で、小さい建物を建て、殊に今になれば腐朽して、誠に氣の毒な慘状でございます。殊に最近この疊の表替えができない。從つて藁ばかりになつて、のみや南京蟲、しらみなどが出る、これらのために誠に寢苦しくて、小さい所に大勢寢て、それらに攻められるから翌日の勞働力を阻害することが甚だしい、殊に睡眠不足は一番怪我の因をなすというようなことで、どうかそういうものに對しても、特に御配慮を願いたい、尚又疊表のようなものが急にできないならば、何とかしてD・D・Tのような物の配給を一つ御配慮願えないか、これはもう各炭鑛とも一樣に希望しておりました。
 その次に生活必需物資でございますが、これについては特に纖維製品を訴えておりました。中でも一番私共見て氣の毒と思いましたのは、選炭婦用の軍手のないことであります。これは大部分女でございますが、好間炭鑛のごとき、それから上山田炭坑のごとき、全部素手で選炭をしておつた、これは誠に氣の毒でありました。中にはいやもう夏だから、無理にやつた、手袋もはめないといつた者もありますけれども、實はないのではめない、寒くなつてはこらえ切れないから、できるだけ夏の中に節約して、おかなければならんので、今ではやつていない、軍手だけは是非一つ心配して貰いたいというのであります。その次に坑内夫の、これも丁度水谷さんが新聞記事に出ておつた通り、褌一本で入つておつたが、私共もその姿で入つております。これはとても著物を著て入れない、四十二度の温度で、そこへ行くと一遍に汗になる、全部はだか、これは隨分もう褌なしの連中もありました。それらについては、どうか褌と手拭だけはなんとかして十分に廻して貰いたいということであります。それから厚生物資としては、もうどこでも痛烈に申しておつたが、蒲團のかわが痛んで來る、綿にそのままくるまつて寢ているという状態であります。それと蚊帳がない。中でも薄團がわは到る所でなんとか都合して欲しいということを申しております。續いては蚊帳ということでありました。
 その次に輸送關係の方でございますが、輸送關係は、現在のところは特に甚だしい隘路になつているということを認めませんが、もう少し、今申すような、先に申したような設備が整えられ、尚又あの附近の新炭田が開發されるということになつて來れば、必ず隘路を生じて來る。今の鐵道の輸送量では隘路を生ずるのではなかろうか。これは現地の、特に現地の小鑛業の連中が、このことに對して非常に心配している。山元に貯炭ができるということになつて來ると、増産意欲を阻害して、直ぐ坑夫諸君が休んだり、働かなかつたりするから、山元に貯炭を置かないということは増産の大切な條件だから、今のうちからこの輸送の問題について十分に考究をして戴きたい、こういうことであります。
 海上輸送については、後で又申上げますが、あの附近の炭田がずつと開かれて行くと、今の鐵道の輸送力ではおつつかないから、縣下唯一の小名濱港があるのであるから、その小名濱港を利用して京濱に持つて來るということが大切なことではなかろうか、實はかようなことも思つたのであります。そういうふうなことでちよつと豫定を早めて、私ども小名濱港に行つて見たのでありましたが、行つて見ましたら、辛うじて表の防波堤ができ、内港設備は突堤が一つでき、五トンのクレーンが一臺ある、まあかような程度でありまして、内外の設備が完全でございません。今直ちに利用することは、これは到底できないことだと思いますが、併しあの附近の炭田が今後開發されるということになれば、どうしてもあの港を通して輸送するということが考えられるのではなかろうかと、まあかように思いまするので、この問題については至急に研究して置く價値があるものだと、實はかように思つて參りました。
 その次に小運搬でありますが、これらは各炭鑛ともトラツクの部分品及びタイヤの不足に惱んでおる。このこともどうか一つ特に御配慮を戴きたいということでございました。
 その次には電力關係でございます。これはまあ余り別に皆樣に御報告申上げるような問題が一つも出ませんでした。ただ併し電線と電球が不足しておる、特に電球の不足、坑内はどうしても明るい程作業にいいわけであります。できるだけ坑内を明るくして作業を容易にし、危險率を低くするためには、どうしても電球が澤山要るから、これもどうか一つ澤山廻すようにして貰いたい、こういうことでございました。
 その次に技術關係でございますが、私共が見た四つの炭鑛で古河、好間はなかなか機械化されておりました。ちよつと行つて見て何かの機械工場のような感じのするような設備をしておりました。併しあとの炭鑛はもう全部原始的なやり方で、殊に常磐のごときあれ程大きい炭鑛でありながら、機械力が殆ど利用されておらない。或は炭層の淺いというような關係もございまするか知れませんが、殆ど原始的な採掘法を持つておつたということについては、私共も聊か意外に感じたのでありますが、それについても、それならそれのようないわゆる技術的研究が大切じやなかろうかということに思つて、獨りこれはそういう炭鑛ばかりに任せておくべきものじやなく、何か別な指導教化の方法を考える必要があるのではなかろうかということを痛感して參りました。
 その次に鑛區の整理統合の問題でございますが、これは高萩炭鑛で既にこの問題が起きておるのであります。あとはまだそれらの問題はございませんが、高萩炭鑛でその問題がございました。尚又あの附近でこれから澤山の炭田を開發するということになれば、この問題が九州同樣次々と起つて來るのではなかろうかと、實はかように思いまするので、これらの問題についてはこの度の國管がどうなるか分りませんが、それらの有無に拘らず、何らか強力な解決の方法を考えておく必要があるものだと、實はかように思つて參りました。
 その次に最後で國管問題でございますが、これは高萩竝びに常磐では、經營者は申すに及ばず、勞働組合側もその必要を認めないということをはつきり申しておりました。常磐のごときは、もう國家管理などというような要らないことを言うて我々を刺戟してくれるな、私の方は今の大越所長あたりに委せて置けは、出せと言う數字は必らず出すのだから、餘りそういうようなことで刺戟をして欲しくない、こういうようなことまで申しておりました。それから好間炭坑では、經營者側は反對をはつきりと表明しておりましたが、勞働者側はなかなか理論的に申しておりました。まだ國管というてもその案の内容が明瞭でないのだから、今直ちにそれに對して批評を加え賛否を言明するということはできない、併し從來のような官僚統制ならば絶對に御免を蒙むる、併し私共の意見を十分に取入れて、いわゆる勞働者の地位を尊重するという眞に民主的な方法であれば賛成するに吝かではない、こういうことをはつきりと申しております。又上山田炭坑は、經營者は明瞭には申しておりませんが、言外には反對の意を現しておりましたし、勞働組合側は、ここはまだ勞働組合の結成の日が淺いものでありますから、組合員全員の訓練も十分行き届いておらないのが看取されました。從つて國管の問題なんかよりも當面の問題、増産に絡んで、或いは資材の入手が惡い、配給物資が圓滑に來ないというような、こういう當面の問題ばかりに深く關心を持つております。殊にこの炭鑛は小さいのか、もう一つには不便なのか、今までいろいろ視察團等があつても、この山にはどなたも行つておらないようであります。私どもが訪ねたということに對して、業者の側も、又今の勞務者側も非常に喜んでおりまして、どうかこういう小さい山だけれども、機會があつたら度々一つ來て、いろいろと我々の希望も聞いてやつて欲しいし、又あなた方のいろいろなことも聞かせてやつて欲しいということで、私共の行つたことを非常に喜んでおりました。
 最後に申上げたいことは、あの方面には鮫川炭田というのがあります。これは推定埋藏量が大凡三千萬トンあるだろう、かように申しておりますが、この開發に伴つて輸送力を解決する必要がある。現に今、上山田炭鑛、その外にまだ二三あるのでございますが、これが六キロの間輕便鐵道を敷いて、植田驛に持つて來て、植田驛で積み換えて初めて貨車に積む、かようなことをいたしております。その僅に六キロの間の輕便鐵道があの方面の住民の唯一の交通機關になつておりまして、どこでも止めてくれというところで止めて、女の人と言わずあの附近の人を乘せて行つたり來たりしておるような状況であります。さようなことで、なかなかあの附近は物資の相當に出る所のように見えましたので、あれを植田驛から水郡線の石川まで連絡する鐵道支線を敷設するということになれば、それらの炭鑛の開發と相俟つて、非常に附近の開發にも利便を持ち來すことであろう、實はかように思つて見て參りました。尚又植田から湯本の間あたりに藤原という炭田もございます。それから又泉というような炭田もございました。かようなことで、こういう炭鑛もそれぞれ増産に伴うて開發せられることだろうと思いますから、從つてどうしても鐵道輸送だけでは、あの附近の完全な炭田開發には輸送力一つ間に合うまいとつくづく思うたのであります。從つてどうしても小名濱を利用して、海上輸送ということは必至の問題となるだろうと、かように思つて參つたので、これは今のうちから十分にこういうような委員會において研究して置く必要があるであろう、實はかように思つて參つたのであります。
 以上申述べまして私の報告を終ることにいたします。非常に簡單でございますが、あと又細かい資料は、澤山戴いたのを持つて來ておりますから、必要に應じて又御報告申上げることにいたしたいと思います。御清聽を感謝いたします。
#4
○中川以良君 私は北海道の方に參りました者でございまして、本院からは私の外に一二御同行を願う筈でございましたが、いろいろな支障がございまして、私一人が參つておりましたのでございますが、衆議院の方からは岡田、谷口、三好三代議士が參りまして、これらと一緒に行動をいたしました次第でございます。
 七月の十二日に東京を出發いたしまして、十四日に札幌に到着をいたしました。商工局といろいろ打合せをいたしまして、直ちに炭鑛に向いまして、最初に東幌内、それから美唄、奔別、砂川、芦別の五箇所を視察をいたしまして、この間十七日には三井砂川におきまして商工大臣一行と共になりまして、北海道石炭復興會議に臨んだ次第でございます。二十一日に炭鑛視察の後、小樽の港灣施設を見まして、二十一日に札幌に歸つて參りまして、札幌の商工局におきまして、金融關係、或いは資材關係、勞務關係、食糧關係、その他保安關係等の各關係の官民のお方にお集りを戴きまして、私どもが視察をいたしました結果をいろいろお話を申上げ、各方面の御意見等を承りまして、大體私どもも視察の結果の裏附をいたしまして、結論を纏めたような次第でございます。二十二日に出發をいたしまして、歸つたのでございますが、途中丁度東北のあの水害に遭いまして、まる二晝夜東北で以て止められまして、二十五日にやつと東京に歸つたようなことでございます。
 北海道の出炭量は三千萬トン、出炭に對しまして本年の割當は八百四十三萬六千トンでございまして、實に三千萬トンに對しまして二八%の割當を受けておるのでございます。これに對しまして本年の第一・四半期の結果を申上げますると、目標が百八十一萬六千五百トンでございまして、これに對しまして出炭は百六十八萬一千二十九トン、九二・五%になつております。これに對しまして北海道の石炭復興會議は、これでは申譯ない、是非とも第二・四半期においてこの不足分を取返す、更に第二・四半期の目標を是非突破しようという意氣込で、只今懸命なる努力をいたしておる次第でございます。で第二・四半期の七月の上旬の成績を申上げますると、七月の上旬におきましては、目標數に對しまして九七%九まで向上をしております。それから中旬におきましては九七%に落ちたのでございますが、まだ百%まで行つていないという點は甚だ遺憾に存ずるのでございます。
 私どもが北海道の炭鑛を見まするにつきまして、まず北海道の炭鑛の特異性ということに對しましていろいろ檢討を加えたのでございまするが、北海道におきましては只今五十五の炭鑛がございます。これが九州においては二十一年度では百五十九の炭鑛があることになつておりまするが、この一炭鑛當りの昨年度の出炭量を見ますると、北海道は大體十萬五千トン、九州は七萬七千トンになつておりまして、北海道の方が大體粒が揃つて、相當な規模を持つておる炭鑛が多いようでございます。ただ北海道は炭鑛が山間僻地にございまして、非常な急斜面を利用されておりますので、炭鑛の諸施設の不足、その他建設につきましては非常なる困難が伴つておるのでございます。それから炭層におきましても非常に急傾斜の炭層が多うございまして、甚しきは七十度乃至八十度の急斜を持つた炭層がございます。これがために出炭の採炭作業というものは極めてこれ又困難を伴つておるような現状でございます。それから炭坑内におきましては、これは九州常磐等とは違いまして、ガスが非常に多い。それからガス突出、それから炭塵、石炭のほこりでございますが、これが非常に多いので、これに伴いまする爆發が頻発にある。九州常磐と違いまして保安上に特別の注意を要する特段のいろいろな施設を要するという點が異つておる點であると存じます。それから又北海道は御承知のごとく、冬の期間が非常に長いので、他の地區と違いまして、作業その他輸送面におきまして、この季節の關係上いろいろと制約を受けておるという點を考えなければならんと存じます。但し北海道は御承知のごとく非常に埋藏量が多く、且つ又處女炭鑛が多いのでございまして、今後日本の石炭増産におきまする北海道の擔いまするところの役割というものは非常に廣大であるのでございまして、この點は、北海道に今後大いに力を入れなけれどならんと存ずるのでございます。いろいろこういうような北海道特異の事情があり、これがために、生産上の隘路等もございまして、他の地方とは又別の困難性も伴つておるのでございます。こういうような見地からいたしまして、いろいろ特別な處置を、北海道には講ずる必要があるように存じます。かような點をまず考えまして、逐次各事項につきまして調査を進めたのでございます。
 まず、資金の問題でございますが、これは先程來お話がありまするごとく、資金は極めて窮屈でございまして、國全體から申しましても、北海道の炭鑛の資金、これに伴いまする関發の資金というようなものは、或る程度他の炭鑛より特異性を認めまして、額を殖やすべきではないかと考えられるのでございます。それから資金の決定が非常に遲れておる、これがために今日まで増産を妨げておるのでございまして、すべての點、計畫をいたしましても、資金がないために、仕事が非常に停頓をして、いろいろな計畫上の齟齬を來しておるという點は各所にこれが認められるのでございます。一つの例を申上げますると、北海道炭鑛汽船、いわゆる北炭におきましては、只今夕張地區ほか四つの鑛山を持つておるのでございまするが、これに對しまして支拂の未濟代金というようなものが一億一千五百萬圓ございます。その中事業用品が二千百五十萬圓、木材が四千五百萬圓、需用品代千五百萬圓というようなことになつておりまして、折角いろいろな資材を見ながら金がないために増産ができない。殊に勞働組合が一生懸命で増産をすると、もう直きに坑木の點において行き詰まるというような大きな矛盾を來しております。この四月におきまするこの会社の資金等も大體一億二千萬圓の送金を見込んでおつたのでございまするが、七千四百萬圓しか來ない。それがために計畫が非常に狂つたというような例がございまして、こういうことは三井、三菱、その他住友の炭鑛においても皆同じ例を見ております。こういうような譯で當初の資金の繋ぎなんかも、地元銀行でも、中央で以て額が決定しないがために、どうしても出してやれない。折角いろいろな配給物があつても買えないというような本當に私共想像もつかないような馬鹿げた現状が各地に見られるのでございます。それから資金のルートが非常にまちまちでございまして、たとえて申しますると、坑木とか或いは炭鑛の機械とかいうようなものは、資金が甲の二になつておりまして、他のものと併行して資金の融通が行われない。これがために炭鑛の作業がちぐはぐになる。それから炭鑛住宅の建設にいたしましても、住宅の資金は出ても、これに附隨いたしますところの學校の施設とか、或いは水道の敷設費とかいうようなものが、全部資金の枠が別のために、炭鑛住宅というものが一貫して宏成ができないというような誠に矛盾した結果を招いております。
 それから炭價の問題でございますが、炭價は、先程もお話がございましたごとく、從來は後決の炭價であつたために、これが生産を阻害した大きな原因であつたのであります。この赤字金融が十分ついていない。今日やつと前決め炭價になつたので、各炭鑛は非常にこれに對しまして安心をし歡迎をしておるのでございますが、ただ從來の赤字資金の始末がどうなるかという點は、まだ皆目判然といたしておりません。これもはつきり結末をつける必要があるのではないかと存じます。それから、折角今度は先決めの新公定價格が決めるのでございますが、各炭鑛別、炭種別、地方別の炭價がまだ今以て決つておりません。石炭全體の價格というものが示されましたけれども、各地區の價格が決つておらない。一月にもなつて決つていないということは、非常に生産意欲を阻害しておるように存じます。こういうことは、政府は一刻も早く手を打つて、早く決めてやつて安心感を與え、増産に邁進させなければならんのじやないかというふうに考えるのでございます。
 それから資金につきましては、更に新鑛開發に對しまする資金は、これは北海道においては、たとえば三菱の芦別、三井の芦別、或いは幌内等は非常に有望な新鑛でありまして、こういうものに對しましては、十分に割當を別箇に考慮をすべきように考えるのであります。
 次は食糧問題でございますが、糧食につきましては、北海道は今日百日になんなんとする遲配があるのでございますが、炭鑛從業員竝びにその家族に限つては、遲配は絶對にないのでありまして、大體九月末までの食糧は、今日炭鑛關係は確保されております。併し九月以降につきましては、まだ見通しが全然つきませんので、これに對しまする不安を各從業員は感じておるのでございまして、これも早く手を打ちまして、それ以後の食糧に對しまして、萬全の策を講ずる必要があるように存ぜられるのでございます。主食はかように大變いいのでございますが、副食につきましては、たとえて申しますると魚介類とか或いは調味料の味噌、醤油、それから鹽等は、まだ十分に行つていないように感じます。殊に北海道は、鹽は漬物の時期には相當量が要りますので、こういう時期を誤らないように、こういう物が配給される必要があると存じます。それから酒につきましては、炭鑛勞務者は非常に酒を喜んで配給を受けておるのでありますが、割當がありましても、これの現物化がなかなか容易ではない。これは各釀造所等に對しまして石炭その他の資材の割當が別に行つていないために、思うようにできないというような結果があるようでございまして、これは一つ現物化するようにいたしたいものと考えるのでございます。尚味噌、醤油につきましては、北海道の道廳において特別の考慮を拂いまして、炭鑛用としてこれを特配をいたしておるのでございますが、炭鑛の協同組合の方におきまして、各炭鑛に資金がないために組合費が拂えない、そのために、これは毎月三百五十萬圓程の味噌、醤油に對する仕込費用が要るのでありますが、この金が十分に行かないために、折角のそういう特段の考慮を拂つても味噌醤油が炭鑛に廻らない。これも資金に絡み合いまして非常に殘念なる現状でございます。
 次は炭鑛住宅の問題でございますが、只今北海道は各方面にこの炭鑛住宅の計畫的建設が著手されておるのでございます。御承知のごとく、北海道は、もはや十月になりますと、寒い關係上工事が出來ないのであります。それにも拘わらず、炭鑛の住宅の計畫が中央において決定をいたしましたのが四月の中頃でございまして、これが北海道の復興院の出張所において道内の割當をしましたのが五月の初め、これに對しまするところの所要の資金、第一・四半期に要しまする資金が來たのが、もはや六月の半ば過ぎというような状態で、これも資金計畫がうまく行かないために、炭鑛住宅の建設もいろいろと困難を來しておるというような現状でございます。これは北海道は氣候の關係上、是非第一竝びに第二・四半期において全部宏成させるように、他の常磐、九州は多でもできるのでございますから、北海道の方に先ず最初にそういう枠を廻して、實質的に成果を擧げるようにいたされたいものと思います。それから炭鑛住宅が折角できましても、先程も申しましたごとく、これに附隨いたしまするところの學校とか、水道の施設とか、病院だとか、或いは購買所とか、浴場、娯樂場、集會所、又私設鐵道の驛というようなものが、みな資金が別でございますので、一緒に並行して建設が進まないのであります。例えて申しまするというと、三井の芦別のごときは集團的に住宅を建てておりますが、學校ができない、水道施設がないために、そこに無理に從業員を入れることができないというような結果を招いております。こういう點は、なんとか政府において考慮すれば、直ちに改善ができるのではないかというふうに考えられたのであります。尚炭鑛住宅に附隨いたしまする建物の補修、増築等につきましては、これが一々臨時建築物制限令に引かかりまして、その手續のために非常に無駄な時間を使う。こういう手續は料理屋とか、その他不急不用の建築物を建てるための制限令でありますので、炭鑛關係は一刻を爭うのですから、こういうものを法的に改正する特別の處置が採らるべきであろうと考えるものであります。それから北海道の炭鑛住宅建設に當りましては、やはり非常な急斜面を利用して建ててあるところが多いのでございまして、從つて、これに對する建設費も他よりは餘計みなければ無理があると存じます。尚この炭鑛住宅の建設に當りまして、用地の確保でございまするが、これが最近非常にむずかしくなりまして、いわゆる農地調整法によりまして、農地委員會にかかります關係上、委員會ではなかなか承知しない、これは何としても法的に解決の手段がないのでありまして、ただ行政的に道廳なり商工省が間に入つて纒めるというようなことで、非常に長い日數がかかるのであります。こういうようなことは一つ何か法制的の處置を、炭鑛の用地買收については、講ずる必要があるのではないかというふうに考えられたのでございます。
 次は勞働關係でございますが、先ず給與の問題につきましては、只今のところ新物價體系が發表されまして、これに基きまするところの實質賃金が果して得られるかどうかというところに、非常た不安と疑念を持つておるように考えられます。政府はこの實質賃金の約束を勵行するように一段の努力を要すべきではないかと考えられます。
 それから現行の所得税法によりまして、六萬圓以上の年收の者には綜合課税がかけられます。こういうことは炭鑛の勞務者は全然知らなかつたのでありますが、この度そういうことが分りまして、非常に各方面ともシヨツクを受けまして、馬鹿らしいから毎月五千圓程度働いた方がよいというような者が各方面に出て參つております。これは何とか一つ免税點の引上げ等の考慮を一應研究する餘地もないのではないかというふうに考えられます。甚しきは勤勞所得税も撤廢しろと言つておりますが、これは當然國民が負いますところの義務でございまして、これまで云々をするのは、これは無理であろうかと存ぜられるのであります。
 それから炭鑛におきまして、從來石炭を各家庭に現物給與をいたしております。最近税務署の方から現物給與に對しても課税をするという通諜が各炭鑛に廻りましたので、これ又非常なセンセーシヨンを起しまして、勞務從業員側は、これは大變だ、石炭が今度は値上げになつてトン少なくも千二百圓以上になる、こういう冬においては食糧より大事な石炭を、從來炭鑛から支給を受けておつたのが、課税をされるということになると、我々としても考えなければならんということでいろいろな議論が出ておりました。これをこのまま放置をいたしますると、今度は盜炭――炭を盜み出すというような結果になるのではないかというふうに憂慮をされております。この點は札幌の税務署關係のお方にもお話をいたしまして、十分善處して戴くようにお願いをして參つた次第であります。大藏省の方にも一應札幌の方から紹介をされて、できるだけ善處をしようというふうなことに只今いたしておりまするようでございます。
 次は職場規律の問題でございますが、職場規律に關しましては、勞働組合の健全なる成長によりまして、最近は非常に自粛反省をされまして、よい結果のように私共は見受けまして非常に意を強ういたした次第でございます。ただ最近そういうふうに各組合がございまして不良な者、十分に働かないような者はこれを解雇をしておるのでございまするが、その解雇をされました者が炭鑛住宅を占據をいたしましてなかなか出ない、炭鑛住宅におりまするというと、ともかくも一般民の配給は遲配がないということで、そこに頑張つております。而もその人間は今度は炭鑛住宅を相手に闇商人となつて闇をする、或いは賭博をする、こういう者は、善良なるところの從業員を段々惡くしておるというような傾向がございます。この點は非常に遺憾に存ずる次第でございまするが、特に甚しき例は、三井の芦別におきましてこういうような者が三十世帶ほどございまして、段々とその住宅地帶の風紀を惡くする、これに對しては勞働組合におきましても、經營者側においても、度々石炭廳長官が來たときも陳情し、又先般は水谷商工大臣にも陳情をしたのでありますが、道廳にも、商工局にも、又警察部にも言うが、一向埓があかん、強制的に立退きをさせる方法がないということで以て、假にこれを何處かに家を作りまして、大きな立退料をやつて立退かした場合には、それに味をしめた場合には大勢が眞似をするというようなヂレンマに陷つておりまして、何とかこれを國の力で解決して貰いたい、今日の警察力を以てしても何ともならんということは非常に遺憾だということを言われておりまして、これが解決ができたならば、職場規律も明朗になつて、恐らく二三割方の増産ができるということを、勞働組合長自身が申しておつたような次第でございます。
 それから暴力團の跳梁でございますが、これは北海道は九州ほどまだひどくはないように考えますが、上歌志内の炭鑛あたりでは、相當こういう暴力團がおりまして困つておるようでございます。この根絶につきましては、九州で執られた處置同様に、やはり強力な處置を講ずる必要があるように考えておる次第であります。
 それから勞務者に對しまする炭鑛の指導員、いわゆる係員の統制力がないという點を認められるのであります。それは學校を出たての技術者等は、やはり戰爭中は十分な勉強もしておりませんために、どうも勞務員に馬鹿にされる、これを十分指導して行くだけの技能もないというような點がありまするので、こういうものに對しましては、今後技能の再教育をいたして、立派な指導者を作つて行く必要があるであらうと存ぜられるのであります。
 次は資材關係でございまするが、大體資材につきましては、北海道においては、終戰後只今まで一番順調に行つておるようでございます。いろいろな困難はございまするが、大體順調に行つてるようでございます。ただ問題は、その資金の面と輸送の面に制約をされまして、それが實際化することができないという難點がございます。坑材、その他坑木にいたしましても、室蘭その他各地區に相當帶貨があるという状態でございます。坑木については、大體各山とも一ケ月分位のものは持つておりまするが、しかし適材適所の物がやはり乏しいので、所によると、そういう特別な坑木は最早四五日分しかないという所もあります。これはやはり輸送の面において特段の改善が必要のように考えられます。それから坑木の値段も、從來マル公は無理があつたので十分出廻らなかつたという點がございますが、これは近く改善されるというので、恐らく圓滑に行くのではないかというふうに考えられるのでございます。
 尚只今北海道で困つておりますのはセメントでございまするが、北海道ではセメント工場が一つだけございまして、このセメントの生産量の約五割というものが大體炭鑛に割當られておるのでございますが、最近現物化されておりますのは、それの約三割位しか現物化しておりません。このセメントはいろいろの新規の建設にも要りますが、北海道は先程申した如く、瓦斯爆發等もございますので、炭坑内の通氣を良くするために、密閉作業等も始終やらなければなりませんので、どうしてもこれは絶對必要なものであるように考えられます。これらもセメントの増産をいたしまして、炭鑛の増産に協力をすべきであらうと考えられます。
 それから電力の問題でございまするが、只今北海道の井別の發電所は賠償に指定されておるので、近く撤去されると思います。これが撤去された曉は、相當電力が不足して參りますので、各炭鑛の自家發電をできるだけ活用しなければならんと存じます。ところが、自家發電の設備が古くなつておりまするので、これの補修復舊に對しましては相當な資材が要る、これが又容易に資材が廻つて來ておりません。こういう特別な、こういう發電裝置に對しまする資材を、支障なく迅速に北海道には廻す必営があるように考えられます。
 その他炭車が相當不足しておりますので、これに對する資材、新車竝びに補修に要するもの竝びに薄板とか、ゴム製品、それからパイプ、ケーブル等これは相當にやはり困難を感じております。こういうものも迅速に廻してやりたいものと考えておるのであります。
 次は輸送の問題でございまするが、北海道におきましては、輸送は陸上の鐵道輸送が非常に大きな隘路になつております。海上關係は小樽の港灣施設も視察をしたのでありますが、只今のところでは十分ゆとりがございます。陸上の鐵道輸送能力は只今所要のものは一月に百八十萬トン要するのでありまするが、これに對して現在百二十乃至百三十萬トンの能力しかないのであります。全線各驛に滯貨をしておりまする荷物は、約百四十萬トンございます。この中木材が、これは殆ど坑木關係でございまするが、百萬トンからあるのでございまして、三年前に出した木材がまだ驛に積み重ねてあるというような所が各地に見受けられるのでありまして、この石炭の輸送に關しては、札幌鐵道局は他の物資を犠牲にいたしましても、優先的にこれを取扱つておるのでありますが、この輸送の必然的にできるところのアン・バランスが、これが却つて綜合的に北海道におけるところの經濟上の破綻を來しまして、結局石炭の増産にも非常な支障を來しておるというような状態でございます。現に北海道札幌鐵道局に保有しておりまするところの機關車は、七百あるのでありまするが、この七百輛のうち二百三十輛は修繕工場に入つております。又貨車は九千輛ありまするが、九千輌のうち昨年の十一月には七百輛だけが修繕工場に入つておつたのでありまするが、現在のところは實に二千五百輛が修繕工場に入つております。而もこれは札幌の苗穗の工機部におきましては、非常に能率が惡くて、聞くところによりますると、その從業員の殆ど六割位が職場を放棄しておるというような誠に殘念な状態でございまして、國營事業であるところの鐵道の現状は石炭の増産に對しましてもつともつと革新をして貰つて、協力をして貰わなければならんように痛切に感じたのであります。この状態は全國に比べまして、札幌鐵道局が一番惡いようでございます。只今貸車が全國で十一萬輛あるそうですが、そのうち修繕をしておるのは約一萬輛だそうです。その一萬輛のうち二十五%が北海道のものだという、實に驚くべき數字が出ております。これはでき得べくば、今後北海道の増産がだんだん進行いたしますに連れまして、この輸送で以つて非常に行詰りが參ります。例へて申しますると、本年の末には石炭公團の調査によりますると、貯炭は六十八萬トン位になるのじやないか、山元貯炭が六十八萬トン位になるのじやないか、こういうことになりますと、折角炭鑛で一生懸命に働きましても、生産意欲きいうものはどうしてもこれは落ちるのであります。これは鐵道の運輸の刷新を是非ともしなければならんと考えます。これについては鑛工業委員會でなく、運輸交通委員會の方にも通知いたしまして、一應特に北海道の鐵道の鐵道輸送の點を專門的に檢討して貰う必要が私にはあるように思われるのであります。
 それから技術の問題でございまするが、北海道の炭鑛は、先ほどお話申しましたごとく、ガス、炭塵等の自然發火がございまして、非常に危險性が多いのであります。技術的に保安の確保ということを第一條件にしなければならんのでございまするが、それがまだ十分に行つておりません。炭坑の中には炭塵の爆發を防止をいたしまするために岩粉、粉なんでありますが、岩粉を撒いております。これは大體石炭一トンに對しまして、只今二キロ程度を撒いておりまするが、專門家の技術者に言わせますると、どうしても六キロを撒かなければ危險でそうであります。この岩粉は取得がなかなか容易でなく、一本千五百圓位するものがなかなか取れませんので、この岩粉工場を夕張、岩見澤、瀧川邊に是非作るべきでないかということが檢討されたのであります。
 それから坑外の施設はいろいろ技術的に改善されておりまするが、坑内の切羽の延長は只今一萬三千メートルあるようでございまするがこれほ技術的に見まして一萬八千メートルに是非ともすべきであるだろうと存じます。尚進行速度は只今七十五センチであるようでございまするが、これを理想的にいたしまするならば、一メートル二十までには是非とも引上げる必要がある。尚坑道の總延長に對しまするところの切羽總延長の比率は、只今一・四パーセントでございまするが、これは是非とも三%を目標に取らなければならんと存ずるのであります。尚坑内に使つておりますところのワイヤーロープ、ベアリング、チエーン等が非常に最近は品質が落ちておりまして、このために事故が頻發をしております。從來十年も持つものが最近は一年や二年で以てもう故障が起きる、これは關連産業が本當に精神のこもつた製品を造つてない證據でありまして、石炭の増産を圖るとすれば、關連産業も是非とも立派な製品を造つて、石炭の産業に送るべきであろうと考えます。
 それから坑内の片磐運搬の裝置が北海道は概して非常に非能率的でございますので、これらは是非とも機械化をする必要がある。これも資材その他資金の制約を受けてなかなかうまく行かないようでございますが、良くする必要があると思います。
 それから炭坑内における人道でございますが、これが北海道は概してよく設備ができていない。戰爭中荒れたままになつております。殊に人車の設備等が餘り見受けられません。これは是非とも人車を作りまして、その設備を増して、能率を高めるようにすべきであると存じます。現在三井砂川のごときは、約二十度位の傾斜を三キロ以上も歩かなければ現場に到達しないというような有樣で、往復に非常な時間を費さなければならんというような現状に置かれております。
 次は福利厚生施設の問題でありますが、これは醫療關係が、北海道はどうも山間僻地に炭鑛がございますので、うまく行つておりません。醫者の数がどうも足りないように存じます。例えて申しますと、三菱美唄のごときは、一人の醫者で毎日六十五人から八十二人の人を診ているという状態でありまして、全國平均で申しますと、一人の醫者で二十七八名だそうであります。こういうような有樣で、病院のごときは廊下に患者を收容しているような状態であります。
 それから作業衣、軍手、地下足袋、こういうような衣料品は、北海道は氣候の關係上冬季が長いのと、坑内も常磐地方と違つて凉しいのでありまして、はだかで以て仕事ができない。こういつた點で、こういつた衣料品を或る程度潤澤に供給しなければならんと思います。この衣料品についても、最近當てがわれるところの作業衣のごときは、實にひどい品物が渡つて參りまして、その寸法も切り詰め、又品質も惡くなつて、折角もらつたけれども、どうも窮屈で着られない、又直ぐ裂ける、足袋なんか直ぐ裂けるというようなことを到る所で耳にいたしました、これも坑材の製品を同じように。やはり良心的な氣持で繊維關係でも是非造つて戴きたいと念願するのであります。
 それから住宅の中の疊とか、その他の資材でありますが、北海道はやはり寒い時期が長いので、屋内で生活する期間が長期に亙りますので、是非この疊の補修材料とか、その他に特段の注意を拂う必要があります。消費用のDDT等も或る程度多量に供給する必要があると思います。
 それからやはり病人も相當おりますのですが、只今炭鑛の療養所というものが殆ど見受けられない。北海道には温泉地帶もございますので、温泉地方にやはり療養所を設けるべきだと思います。
 更にこれは山の中でございますので、書籍雜誌等もなかなか手に入らない、都會まで行くのは大變である、この從業員、勞務省の向上心を滿足させます上において、こういつたような雜誌、書籍等を或る程度特別に配給してもろうような御配慮が必要ではないかと考えられたのであります。
 その他、北海道で最近問題になつておりますのは、家庭用の炭であります。これは大體本年は百七十五萬トン位を配給する豫定でありますが、最近その筋の話等もございまして、石炭の増産ができなければ、家庭用の炭は配給しないというような噂が傳りまして、各方面に非常な問題を起しております。冬は食糧よりも燃料の方が北海道では大切でありまして、むしろ食はなくても死なないが、燃料がなくては凍えてしまうという現状でありますので、これは何とかしなければ、一般道民の石炭増産に協力する態度を鈍らせるというようなことになりはせんかと考えております。殊に只今まではこの家庭用の炭は大體上半期におきまして半分位は配給しておつたのでありますが、本年は漸く七・九%しかまだ配給をしておりません。そういたしますると、寒くなつて配給をいたしますと、農作物の出廻期になり、又石炭の増産されたものを運ぶとか、いろいろな面に鐵道輸送がますます隘路をきたすようになり、非常に憂慮されているのであります。
 それから行政の面におきましては、やはり行政の一元化ということが各方面に要望されておりまして、大藏省、厚生省、復興院、又石炭廳といろいろとまちまちになつている困る。これらは是非簡素なものにして貰いたいということでありました。殊に最近勞働省ができますと、勞働基準局が各地區にできまして、勤勞行政と保安行政がそちらに移りますと、石炭の増産の推進責任機關としての石炭廳が、勤勞行政を手放して果してうまくいくかということに、非常に懸念をもつているような次第であります。
 それからもう一つは、これは全國的に申されるのでありますが、大體主要なる炭鑛はすべて財閥企業の傘下になつております關係上、制限會社としてのいろいろな制約を受けまして、資金の面やその他計畫の面におきまして、一々許可に日數を要しまして、思うようにいかない、これがやはり非常に隘路となつておりますので、こういう點は最近殆どよくなるようでありますが、政府當局が司令部の方にも十分現状を話して折衝いたしまして、こういつた手續が簡素に適時に迅速に執られるようにされたいものであると存じたのであります。
 最後に國管の問題でありますが、これは各地の意向を大體綜合いたしますると、經營者側は、これは今日の政府案と稱せらるる、新聞その他等が見えておりますものに對しましては反對を唱えております。勞働者側は、大體産別系統の者は、これはむしろ國營まで行くべしという積極的な意思表示をいたしております。その他の勞働組合等はまだ國管の内容というものが十分に示されていないので、研究もできていないので、判然と態度が決められないように見受けられたのであります。ただ各地の職員組合におきましては、大體今の國管政府案というものではどうも非常に心配だ、少くも國管をするならば、經營の民主化を阻害しないこと、それから官僚統制の弊に陷らぬこと、尚勞働者の自主的勤勞意欲の昂揚を招來するような機構がほしいというようなことを申しております。
 私ども大體以上のように觀て廻つたのでありますが、尚政府案に對しましては、各方面において、これが實際に三千萬トンの増産に直接繋がりがあるかどうか、どうも直接繋がりがなさそうに見えるというようなことが、各方面で聽かれたのでありまして、少くも政府案を作るからには、地方石炭復興會議とか、政府が多大の費用を拂いまして、石炭關係の專門家を集めておりますところの石炭増産協力會等に正式に諮問をして、もつと愼重に案を練るべきではなかつたであろうかという叫びがございました。
 尚、石炭の増産につきましては、國管案を考えますると共に、私どもはただ國管案を論議して、それに浮身をやつしておる間に、刻々に石炭の増産は進んで行くのでありますから、打つべき焦眉の急の問題は、國管案とは一應切り離しまして、今どんどんその手は打ちまして、毎日の石炭の増産に支障を來さないように努力をじなければならんということを考へるのであります。それと同時に消費者の面におきまして、例えば鐵道の消費量等も最近は非常に蒿んでおりますが、從來は投炭競爭等を催うしておりましたのが、最近は炭質が惡いという名目の下に、そういう技術的の面が考慮されていないのであります。こういつた消費の面におきましても鐵道に限らず、一般工場、會社等におきましても、この石炭の消費の節約という點につきましても、もつと強力なる施策が講せられなければならんではないかというように考えられた次第であります。
 甚だ簡單ですが、以上を以て御報告といたす次第でございます。
#5
○大屋晋三君 私は山口、九州班の御報告を申上げます、實は橋上保君が班長として本團に加つておりましたのですが、同君が視察の翌日に病氣で倒られまして、今尚療養中なので、私が代つて御報告を申上げる次第であります。
 この九州・山口班は、去る十二日に東京を出發いたしまして、ずつと山口から九州に入りまして、二十二日の夕刻に三池の炭鑛の行事を終えまして、爾來順路を經てそれぞれ團員歸京いたした次第であります。
 尚又本日、私は具體的な數字的は御報告は避けまして、これは目下調製をさせておりますので、詳しいデーターを澤山持つてまいりましたから、それに詳細な數字的な内容を盛りまして、後刻プリントにして皆樣方に御報告したいと考えておりますので、本日はごくあらましをかい摘んで御報告申上げたいと存ずるのであります。
 尚又、この視察團には本院から大畠農夫雄君、濱田寅藏君、深川榮左エ門君、橘上保君、それに私が參加いたしました。尚丁度同時に、山口、九州班の視察が衆議院の方で企てられましたので、同一地方に參ります關係上、衆議院の連中と終始行を共にいたしました。即ち十二日から最後の二十二日に至るまで、衆議院の視察団と全く同一の行動を取つて次第でございます。尚衆議院の方の團員諸君の順觸れを申上げますと、庄忠人君、長尾達生君、生越三郎君、いずれもこれは民主黨の諸君であります。尚又社會黨から大矢省三君、衞藤君、この五人の方が參加された次第であります。
 そうして私達は去る十二日に東京を出發いたしまして、翌日山口縣の宇部に到着いたしました。そうして宇部における沖宇部、沖の山という兩炭鑛を視察をいたしました。それから九州に參りました。九州では先ず第一に高松炭鑛、次いで赤池、三井の田川、東豐、嘉穗、志免、これは運輸省の經營しておる志免炭鑛、三菱の經営しております隣接の勝田炭鑛、それから更に寶珠山の炭鑛、それから最後に三井の三池の炭鑛、これを視察いたしました次第でございます。そういたしまして結局十一ケ所の炭鑛に參りまして、そのうち五ケ所は坑内に入坑いたしたのでございます。又各地におきまして經營者側乃至は勞働者側を膝を交えて墾談すること實に二十一囘に及んだのであります。ときには非常に話に花が咲きまして午前二時までもやつた場合もあるのでございます。
 そうしまして、私達のこの視察の方針はこういうふうに打合せをいたしました。墾談會をいたすと、最初は樣子が分らんものですから、經營者の側からも、或いは勞務者の側からも、いろいろな石炭行政に對しまして手きびしい質問やら或いは難詰やらいろいろな意見やらを求められたのでありましたが、私達はそれらの人々に對しまして、我々の使命は、國會議員一行であつて、炭鑛の運営に對してどういう隘路があるかというような問題につきまして、且つ三千萬トン増産に對して實情が如何ように相成つておるかということを、諸君の現地の聲を聞きに參つたのであつて、我々は政府の役人ではないのであるから、いろいろさような意味合において、諸君の眞實のありのままを私達に聞かして貰いたいというような方針に臨んだ次第でございます。さような考でまる十日間二十一囘の座談會を開きまして、いろいろな意見なり實情なりを觀察乃至視察をいたしましたのですが、本日申上げますることは、私達の意見は一切省きまして現地で聞きましたいわゆる聲と申しますか、それをありのまま、生地のままに要約いたしまして、極く簡單に申上げる次第でございます。
 先ず炭鑛共通の資金の問題でございますが、やはりこれは資金調整法によりまする資金の調達の許可がとにかく遅れ勝ちなのでありまして、そのために炭鑛の復興でありますとか、或いは炭住、即ち炭鑛の住宅計畫の實現が思つたように進歩いたしません。又炭代の入手にやはり時間を要するような關係で、資金で手許に枯渇いたしまして、いろいろな發注品の引取だとか、或いは勞務者の生活物資の購入というようなことにも事缺くというような状態でございます。又大手筋の炭鑛におきましても、最近は賃金、給料等の支拂に非常に苦心があるのであります。結局各炭鑛とも運轉資金に難澁するということを一律に皆異口同音に申しておつた次第であります。
 次に資材の點でございまするが、これは山口、九州兩地區を通じまして、この第一・四半期におきましては、おしなべて割當の四〇%程度しか入手できておらないのでございます。機械類は戰時中の酷使の關係にもよりますが、故障が増加いたす傾向にあるようでございます。そうして修理の材料なども段々ストツクが減つて參りまして困つております。又緊急の所用の資材といたしましも、釘ですとか針金、亞鉛鐵板、ワイヤロープ、レール、抗枠レール、ケーブル、鋼管、鑄鐵の管類、又ベルト、油類、特にこの油類では絶縁油でございます。又セメント、カーバイト、炭車というようなものが必要なのでありまするが、これ又十分ではない。又坑木も手持が不十分であり、段々不便を感じて參り、不適當な坑木が五%乃至一五%もあるというような状態でございました。
 次に賃金の問題でございますが、これは最も勞務者側で關心を持つておる問題でございまして、あれらの人々が賃金と物價とのアンバランス、これをどうしても是正して貰いたい。こういうことを申しております。そうして例のスライド制をやつて貰いたい。こういうことを非常に強く主張しておりました。又このスライド制を實施するまでの前提の處置といたしまして、何か處置を講じて貰いたいということを非常に強く言つておりました。又只今の北海道の御報類にもございました通り、勤勞所得税の累進課税の問題を強く愬えておつたのであります。即ち五千圓以上で働いても手取が餘り殖えませんから、五千圓位でとにかく止めておこう、餘計働いても收入が殖えない、今更のごとくにこの税が彼等勞務者諸君に非常なシヨツクを與えておるということは、只今北海道の御報告にあつたと同じように、九州でも強く主張されております。これらを是非改正して貰いたいということを盛んに言つておりました。又この職員側の給與も勞務者竝みに早く増額を決定して貰いたいという聲か到る所の炭鑛でございました。
 次は食糧の問題でございますが、この主食の遅缺配ということはないように認められました。担しその主食の率でございます。大體その率が五對五、米が五であとの雜穀を五とするか、或いは少くとも四對六という位のことを當局と約束して、さような配給を希望しておるのでありまするが、實際といたしましては三對七、四對六というのもなかなか實現がむづかしいというようなことを各所で愬えておつたような次第であります。主食の遅缺配はないのでございまするが、所によりますというと、この加配米の遅配というのは認められたのであります。五日乃至十五日程度の加配米の遅配という問題は、これは認められた炭鑛がございました。又その主食以外の物資につきましても、中央で決定したことが現地にはそのまま實際に行われていないという非難が随所にございました。この食糧問題は、言うまでもなく、現在の炭鑛經營に對しては非常に重大な問題なんでありまして、十分にこの點に對して適切なる處置を打たねばならんという點を痛感した次第であります。
 次にこの厚生、福利の關係につきましては、大手筋の炭鑛には適當な相當の施設をした病院がございまするが、これとてもその醫藥品に相當困つております。又中小の炭鑛に至りましては、十分なる施設がございませんので、所によりましては、共同の病院の設置がして貰いたいというようなことを申しておりました。又勞働基準法、勞働者災害補償保險法というようなものを早く實施して貰いたい、こう申しております。そうして又御承知の通り炭鑛は非常な危險の多い面も重勞働でございますので、いわゆる勞務者が安心をして長く炭鑛に止まるというためには、どうしてもその死後乃至相當の年配まで勤めた後の生活の保證、いわゆる退職金の制度の確立と申しますか、これを是非やつて貰いたいというような聲が到る所にございました。この問題も速かに解決をしなければ相成らんというふうな印象を強く持つたのでございます。
 次に炭住即ち炭鑛住宅の問題でございまするが、大體において大手筋の炭鑛におきましては、相當の設備が施されておりますのでありまするが、中小の炭鑛に至りましては、現在でも尚十分とは申されない、獨身寮の不足、或いはその新現な計畫も資金難のために進歩しない。共同便所であり、或いは共同水道であり、殊にそのひどい住宅ごときは三味線疊という稱も私聞いのて參つたのであります。疊がぼろぼろになりまして、或るものは糸ばかりであり、三味線疊の中に住んでおる。又婦人の勞務者の代表の一人は、私たちの議員さん、私たちの炭鑛を視察においでになつたならば私たちの家に泊つてほしい、我々の住宅は家族が數人あるにも拘わらず、六疊と三疊で、而もその疊はぼろぼろで、その上で鶏が卵を産めば、そのまま疊の上で雛に孵化するというような、疊に一遍泊つて貰いたいというふうな表現で言つておつれ所もございます。さような關係でこの住宅問題は、特に中小の炭鑛におきましては十分でないという聲を聞く。且つ又實際に私どもその住宅自體を見て參つた次第であります。
 又この石炭の行政の一元化という問題を非常に要望しておつたのであります。新らしい炭價がこの七月に決りましたが、その炭價が決つた現在では、物價の方が既に先へ先へと上つてしまつたために、現在の折角決つた新炭價も、既に適正の炭價でなくなつてしまつておるという現状にあります。又この炭價の決め方についても、在來は原價主議の方針が採られておりまする關係上、コストの安い、一生懸命骨を折つて、コストを下げて安く出した炭鑛の炭價が安く決められる。そうしてコストの高い炭鑛が高く決められるというような問題は、これはよろしくないという意見がございました。
 かように炭鑛經營上のあらゆる點につきまして、それぞれ檢討いたしましたのでありまするが、いずれも十分とは申されない。担しこれを綜括いたしまして、私たちが非常に氣強く感じましたことは、勞務者側におきましても或いは經營者側におきましても、今日既にこの石炭増産が如何に重大であるかということを十分に認識いたしておりまして、いわゆる生産意欲と申しますか、生産意欲の問題に對しましては、私どもが視察いたしました山口の炭鑛、九州の炭鑛全部が、この點に對しては非常に張り切つておるということを皆樣に申上げて置きます。
 最後に隨所で、或いは經営者の側から、或いは勞務者の側から、國管問題に對する意見を向う樣から我々の意見を求められた。從つて我々もこの問題に對しては、それぞれの立場から相當の意見を開陳しましたのでありますが、山口、九州の十一炭鑛に參りまして、二十一箇所の座談會をいたしたのでありますが、その經營勞務兩面の人々の國管問題に對する考え方を御紹介申上げます。
 まず第一に業者側の意見を澤山拜聽したのでありますが、その中の意見を三つほどに分類して申上げますと、まず三千萬トン出炭に對しましては、既に勞資協調の上で現在復興會議を決めまして、そうして決議をいたしまして三千萬トン増産に邁進しておりますので、この際殊更に機構を變更するのは混亂を招いて、その結果は減産になる、こういうのが業者側の一つの考え方でございます。それから第二の考え方は、この國管という問題は官僚統制への逆行ではないか、官僚統制の弊害はしばしば戰時中から滿喫しておる、今日國管に石炭を持つて行くということは、官僚統制へ再び逆行をするのではないか、という點を非常に心配しておるのであります。これが第二の業者側の考え方であります。次に國管を強行する場合には、或る程度の所に線を引いて、例えば五萬トン以上或いは十萬トン以上とか、そういう所に線を引いて、或るものは國管にする、或るものは國管にしないというような線を引くということはよろしくないことである、こういうのが業者側の意見であります。只今申上げました一、二、三、業者側の意見を綜合いたしますると、こういうような意見を申しておりました。
 次に勞務者側の意見といたしましては、國有國營を前提として徹底的にやつて行くならば贊成をする、という考え方の勞務者側の意見が一つありました。又次のカテゴリーの考え方は、三千萬トンの出炭が可能であるならばどんな方法でもよろしいと、こういうふうに考えるグループがありました。又第三には勞務者側の意見といたしましては、生活の安定、社會的地位の向上が得られるならば國管でも國管でなくてもどつちでもいい、こういう考え方のグループがあつたのであります。これが勞務者側の意見を三つに分析して見すまるというと、只今申上げたように相成るのであります。
 更にこの兩者を通じまして、業者側、竝びに勞務者の兩者に共通の意見といたしましては、一つ、本問題を政爭の具に供して貰つては困る、國家的見地に立脚して愼重に取扱つて貰いたい、こういうのが兩者の共通の一つの意見でございます。更に共通の第二の意見といたしましては、國管を實施いたした場合に、資金、又は資材、或いは生活物資というようなものが直ちに好轉し得る、直ちに良くなるというが、どうもさようには考えられない、國管をやつても、急に資金、資材その他の隘路が直ちに好轉するとは考えられない、こういうのが勞務者竝に業者側の共通した意見でございました。
 以上を以ちまして私の報告を終ります。
#6
○委員長(稻垣平太郎君) 只今各三班の方々から御報告を得ましたわけでありまするが、これに對して皆樣方御質問なり御意見なりもあろうと存じまするが、大分時間も經過いたしておりまするので、御質問なり御意見なりにつきましては後の機會に讓ることといたしたいと存じます。お含み置きを願いたいと思います。
 尚、委員長宛に、あちらこちらから、いろいろ國管問題につきまして御意見が參つておるのでありますが、一應それを申上げて置く必要があるかと存ずるのであります。
 石炭増産協力會からは伊藤卯四郎會長の名前でこのように參つております。
  石炭政策審議會設置に關する建議
 石炭は現下の日本において産業再建の基盤であり且つ天然資源の中では最も惠まれたものである。それだけに、これに關する施策はあらゆる意味において最も愼重且つ計畫的でなければならない。
 然るに現在における石炭問題は兎角表面的に取扱はれ、却つて問題の本質と焦點を見失い、政策の矛盾、業界の混亂を惹起する虞れなしとしない。これを未然に防止するため政府は須らく石炭増産に關する當面の施策を強力に實施するとともに、問題の核心に遡り、石炭鑛業の全般に遡り全面的檢討を加えて、恒久策としての、石炭政策を立てる必要がある。
 石炭増産協力會右の見解に基き、さきに當面の對策として石炭増産緊急對策を決議し、又石炭生産力の維持培養の見地より新炭坑開發に關する建議をしたのであるが、更にここに石炭生産の恒久對策を樹立するため各方面の權威者を網羅して石炭政策審議會を設置せられんことを建議する。こう言つた意味の石炭政策審議會設置に關する建議として送られて參つております。
 尚、日本商工會議所からもやはり石炭問題について參つておりますが、簡單でありますから讀みます。
   炭鑛國家管理に關する意見書
         日本商工會議所
 炭鑛國家管理の問題はあくまで石炭増産、本年度三千萬トン生産目標達成の見地から眞劍に考慮せらるべき問題であつて、主義のためにこれを實現せんとするものであつてはならない。増産目標達成のためには炭鑛事業の全機能を完全に發揮し得るものでなければならんのであつて、企業の經營者を排除せんとする如き方法は決して増産の目的を達成し得るものではない。又たとえ民間の經驗者を採用するとは言え官廳機構による經營が能率的でないことは現在までしばしば經驗されたところであつて、而も切換えに相當の日時を要しその間に生ずる停滯動搖のために能率低下を來たし生産を減少し生産費の高騰を招く虞れあるにおいては崩壊に瀕する我が國産業の復興のために眞に遺憾に勘えないこととなる。
 今や炭鑛經營上これまで改め得べくして改められなかつた炭價及びその支拂方法がここに改善せられ、而も石炭復興會議により自主的民主的に勞資が相携えて増産目標達成のために懸命な努力を拂いつつある現状において國會及び政府はこれに應え増産達成のために資材資金等について萬全の施策を急速遂行するようその全力を集中せられんことを要望する。こういつた意味のものが日本商工會議所から參つております。
 尚北海道石炭鑛業同交會から「炭礦國家管理に對する聲明」といたしまして、(水谷商工大臣本道炭礦巡察の際提出せる寫)として送つて參つておられます。これの大要を申上げますと、
 片山内閣において企圖する炭礦國家管理の實施は、石炭生産の實際問題より見て極めて不適當にして、且つ民主國家建設を阻害するものとして絶對反對を表明する。
 一、官營事業が非能率であることは、我國における幾多の實例が明示するところである。
 二、政府は識者及び業界の反對と一般國民大衆の危惧とを押し切つて、敢えて國家管理を斷行せんとしつつあるのは、その辯明如何に拘らず、經濟問題に藉口して社會黨獨自の政治的イデオロギーの實現を強行せんとするものと言わざるを得ない。
 三、政府は、その標榜する民主主義的立場からしても、公正なる民意に問うため國會の議決によるべきに拘らず、これに魁けて抜打的に
 國家管理の強行を聲明した。こういつた三つの點を掲げまして北海道石炭鑛業同交會から委員長宛に寫が參つておりますので、これを御報告申上げて置きます。
 尚日本産業協議會におきまして炭鑛國家管理に關する御意見が纒つたので、この委員會に報告をなさりたいという御希望がありますが、時間の關係もありますが、いかがでしようか、承りましようか。
#7
○帆足計君 今日は時間がありませんから皆樣御迷惑ではないでしようか。
#8
○委員長(稻垣平太郎君) それでは、御手許にこの意見書が配つてございますから、どうかそれを御覽置き願いたいと思います。
 これは日本産業協議會において御檢討なさいまして國家管理に對する意見を纒められたものだそうでございますから御覽置き願いたいと存じます。
 それから次に、この本委員會の專門調査員の問題でありますが、二、三候補者につきまして、先般理事の方にお集りを願いまして御意見を承たのであります。その中から取敢えず御一名の方をお願いしてはどうであろうかという理事の方の御意見であつたのであります。その方は山本友太郎さんとおつしやる方ですが、藤井委員の御紹介に相成つた方でありまして、只今日本鐵鑛協議會の關西支部長をやつておられる方であります。先般藤井さんの御紹介によりまして私お目にかかりまして、お人柄その他について十分お話を承つたのでありますが、適當な人であろうかと存ずるのでありますが、この履歴書をお廻しいたしましようか、いかがいたしましたらよろしうございますか。
#9
○玉置吉之丞君 專門調査員の件は委員長に一任いたします。
#10
○委員長(稻垣平太郎君) それでは今日はこの程度で散會いたします
   午後零時十分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           川上 嘉市君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           清水 武夫君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           平岡 市三君
           堀  末治君
           入交 太藏君
           林屋亀次郎君
          深川榮左エ門君
           鎌田 逸郎君
           楠見 義男君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
ソース: 国立国会図書館
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