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1947/10/03 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第10号
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1947/10/03 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第10号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第10号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○亞炭採掘中止に関する請願(第六十
 七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣送付)
○亞炭採掘中止に関する陳情(第三百
 五十号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する請願(第二百三十三号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月三日(金曜日)
   午後一時四十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれから本日の委員会を開会いたしたいと存じます。前回の委員会におきまして、商工大臣から臨時石炭鉱業管理法案の補足的な説明がありましたのでありまして、本日は委員の皆樣方から御質疑をして頂くことに相成つておるのでありますが、只今商工大臣が見えられることと存ずるのであります。
 その前に一應お諮りいたしたいと思うのでありますが、この前石炭公聽会開催のことに関しましては、会期の関係上会期が大幅に延長さるる場合は別として、取り敢えず参議院の鉱工業委員会としては公聽会を開かないことにしようではないかというように御決定を見たのでありまするが、衆議院におきまする公聽会の手順につきまして、一應報告を申上げておいた方が、何かの御参考になると存じまするので、その点を申上げます。参議院の鉱工委員会の公聽会は、委員会が九月の二十七日に公聽会を開くということを決定いたしまして、九月の二十九日に議長の承認を得まして、新聞公告は大体十月の三日に朝日と毎日にこれをやる、そうして締切りを十月の九日といたしまして、公聽会は十月の十三、十四、十五、十六の四日間これを開く。こういう段取りに相成つておるようであります。公述人の数は四十二名ということに相成つておりまして、公述人の選定方法は、原則として推薦團体を決定いたしまして、当該團体から推薦せられた人を委員会において決定する、それで一般のみが公募者から選定する方法をとるというふうにいたしておるようであります。推薦團体から推薦せられる方といたしましては、石炭業の関係者を大体十四人、経営者側から石炭工業者連盟に推薦團体を含めまして七名、それから労働者側から全炭協に依頼しまして七名、次に関連産業が十名、鉄鋼、電力、輸送、機械、坑木、セメント、そういつたところから労資各一名ずつを選ぶ、こういうことになつております。参加金融事業で全國の銀行業会並びに全國銀行組合連合会の各労資の方から各一名ずつ二人入る。それから食糧関係が二名、学識者二名、これは石炭増産協力会議から推薦を受けるということになつております。それから報道関係では新聞協会が一、新聞單一が一、これで合計四十二名であります。それから一般経済外斷團体、これは日産協と同友会から各一名ずつ、労働者團体として産別会議並びに総同盟から各一名ずつ、それから一般人から公示によりまして應募せられた者の中から四名を選ぶ、こういう形式でやつておるわけでありますが、先般の委員会におきましては、参議院としては公聽会を一應取止めて置こうという御決定を見たのでありますが、こういつた形で衆議院の方で進行いたしておるのでありますが、今一應当委員会におきまして衆議院と同調して合同公聽会を開催するか、それとも前回決定の通り飽くまで別個の立場で、会期が延長されるという場合には改めて公聽会を開くという形を取りますか、或は又公聽会という形でなくて、関連の産業或いは石炭工業の労資双方の方などに來て頂いて、御意見を聽くことにいたしますか、その点について一應御協議を願いたいと存ずる次第であります。如何でございましようか。この点ではこの前、大屋さんから御意見があつたようですが……。
#3
○大屋晋三君 あれは割に時間はかかりませんね、この間二十日たつぷりかかるということでしたが……。
#4
○委員長(稻垣平太郎君) 今予定を調べさせておりますが、割合にかかつておりませんね。
#5
○大屋晋三君 この間皆さんの御意見は、参議院は参議院で独自の公聽会を開く、会期さえたつぷりあればという御説でしたね。開かないというのが前提じやなかつたですね。
#6
○委員長(稻垣平太郎君) さうです、会期の関係で……。
#7
○大屋晋三君 だから私はやはりやつた方がいいのじやないかと思つております。
#8
○委員長(稻垣平太郎君) 衆議院の形でやりますと、二十七日に始まつて大体十三日に開けるのですから、この前のお話よりも四、五日少くて済む見当になりますね。十五、六日ということに相成るように思います。如何でしようか。今大屋委員から日にちが少くて済むなら開いたらどうかという御意見でありますが……。
#9
○中川以良君 先般申上げた通りに、衆議院と同調ができなければ、これは参議院として手続上まだ余裕があるのだから開いて置いた方がいいのじやないか、こういうふうに存じます。
#10
○川上嘉市君 私は成るべくなら衆議院と一緒に開いたらどうかということは、これは重複することになつて、両方で成るべくなら一緒にやれば、それが重複しないで済む。公衆の意見を聽くということで……。
#11
○委員長(稻垣平太郎君) 今川上さんからは合同してやつたらどうか、大体同じだという御意見でありますが…。
#12
○大屋晋三君 私はそういう意味で、こういうふうに考えておるのですが、衆議院とダブらないように人を変えたらいいと思う。公聽人の選定のときに、例えば或る組合から甲という者が出たら乙に参議院に來て貰うというように公聽人のメンバーを変えてやる。こういうふうに考えておりますが。
#13
○下條恭兵君 私は前回も申上げましたように、只今大屋さんのお話にあるように、人を変えましても、労働團体は勿論でありますが、産業團体としては大体團体としての意見が一定に方向づけられておるとすれば、人が変りましても、意見はそう違いがないと思います。大屋さんの御意見のように人を変えても余り変つた意見というのは現れないかと思いますので、そういう意味で川上君のように、衆議院でやるならば合同してやる方が手続的にも万事いいのではないかと思います。
#14
○委員長(稻垣平太郎君) 他に御意見はございませんか。今大体衆議院と合同してやるという御意見と、それから別個にやるという御意見の二通りあるようでありますが。
#15
○小林英三君 私はやはり大屋君のいうように参議院は人格が違うのですから、殊に石炭の國管問題は非常な重要な問題でありますから、参議院の名においてやはり別の人を呼んで公聽会を開いた方がいいと思います。
#16
○委員長(稻垣平太郎君) 他に御意見はございませんか。
#17
○中川以良君 先般お願い申上げて置いたのでございますが、衆議院と同調してやるという件はどうなんでございましよう。手続上まだ可能性があるのでございましようか。
#18
○委員長(稻垣平太郎君) それはこちらから若し向うへお話を申上げれば、衆議院の方としては、委員長のお話では喜んでそれに應じたいという御意見であります。但しこれは衆議院の方へまだお諮りにはなつていないようであります。
#19
○中川以良君 同調ができまして、両方合同してやるというのなら私はいいと思います。ただ傍聽人程度では参議院としては工合が惡いと思います。
#20
○委員長(稻垣平太郎君) 喜んで應じようというお話でありました。
#21
○林屋亀次郎君 私も中川君の意見に賛成しております。
#22
○清水武夫君 私も衆議院と同調して、やはり連合してやつていいと思います。
#23
○委員長(稻垣平太郎君) 如何でございましよう。両方の御意見があるようでございますが、今商工大臣も見えておりますから、この問題は御質疑を終つた後で、もう一遍はつきり決めることにいたしまして、質疑に移つたら如何でございましよう。そうしませんと折角商工大臣が見えておりますのにお待せしてもどうかと思いますから……
#24
○委員長(稻垣平太郎君) それではこの問題は後で御討議を願うといたしまして、これから本法案に対しまする質疑を始めたいと存じます。質疑は予備審査の間はむしろ御自由にどこからでも御質疑を願う方がよろしいと思うのでありますが、商工大臣もお忙がしいと存じまするので、できるだけ商工大臣への質疑は逐條的な問題よりも、大綱の問題についてお聞きを願つた方が時間の経済じやないかとかように考えておるのでありますが、これは私の老婆心から申添えて置きます。それではどうぞ御質疑をお始め願いたいと思います。
#25
○川上嘉市君 この第一條にありまする産業の復興と、経済の安定に至るまでの緊急措置をお伺いしたいのでありますが、産業の復興と経済の安定はどのくらいの期間になるのか分りませんが、これは本当にいつたら五年かかるか十年かかるか分らんと思いますが、この点について御説明を願いたいと思います。
#26
○國務大臣(水谷長三郎君) 経済安定本部なんかと相談いたしまして、商工省としては五ケ年間の出炭計画というものを作つておりまして、それによりまして大体の目安を、例えば國内的の産業復興、或いは貿易の輸出入のバランスというようなことを決めたのであります。その五ケ年間の大体の計画といたしますると、昭和二十三年は出炭高は三千三百万トン、現在設備による出炭高が三千二百八十万トン、新鉱開発によるものが二十万トン、カロリーは五千六百ということになつております。二十四年度は出炭高は三千六百万トン、現在設備によるものが三千五百五十万トン、新鉱開発によるもの五十万トン、カロリーは五千八百、二十五年度は出炭高が三千八百万トン、現在設備による出炭高が三千六百五十万トン、新鉱開発によるものが百五十万トン、カロリー五千九百、二十六年度が出炭高が四千万トン、現在設備による出炭高が三千六百八十万トン、新鉱開発によるものが三百二十万トン、カロリー六千、二十七年度が出炭高というものが四千二百万トン、現在設備によるものが三千六百三十万トン、新鉱開発によるものが五百七十万トン、カロリーが六千ということになつておるのであります。只今川上議員の御質問でありますが、この産業復興と経済の安定に至るまでの緊急措置、産業の復興はいつできるか、経済の安定はいつできるかということは、これは非常にむつかしいので、我々といたしましては年限を切るということはなかなかむつかしいのであります。というのは最初の三党首会談のときには、産業復興と経済の安定に至るまでの緊急措置という含みのある期間にしたのでありますが、その後閣議でいろいろ檢討されて、年限を付すべしというような議論が出まして、年限を付するならば大体商工省としてはこういう考えを持つておりますので、五年間というような考えを持つておつたのでありますが、それに対していろいろの意見が行われまして、三年間ということになりました。但しその期間満了の際における経済事情によつてはこれを延ばすことができるというような決定になつたのであります。そこで我々といたしましてたマッカーサー元帥の片山總理に対する書面もありますので、この五年間でやることをできるだけ一つ三年でやるというような馬力を掛けまして、そうして三年間一生懸命にやつて参りまして、然る後におきまして又期限の問題を続けてやつて行くかどうかということを考えたいと思うのであります。御趣旨のように嚴格に申しますと、このいわゆる産業復興、経済の安定、その時期はどうかということはなかなかむつかしいのであると思いまして、これまでの経緯は……経過はそのようになつておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
#27
○川上嘉市君 そういうふうにいたしますと、炭鉱の國家管理という問題について、実は産業の復興だとか、経済安定だとかいろいろの問題が外から沢山入つて來るのです。資材の問題、或いは金融の問題、いろいろな問題が入つて、これは炭鉱法の前置きとしては不正確過ぎる。だからして石炭がどれだけ予期のところまで來る、こういうふうにすれば明瞭でありますけれども、他の原因などで若しこれが遅れるようなことになると、この法律としては不完全なものになると考えます。でもう少し明瞭な文句を使うように……
#28
○國務大臣(水谷長三郎君) 御趣旨極めて尤もでございますが、從つてこの法案におきましては、関聯産業に対する供出命令、そういうようなことになりまして、非常に石炭だけで産業復興、経済安定なんということはできないのでありますが、併しながら産業の復興と経済の安定の基本の力は石炭であるということは何人も異存のないところでありまするから、こういういわゆる法律に対して文句を使うということは私は差支えない。というよりもむしろ必要であるのじやないかとこのように考えております。
#29
○小林英三君 私は水谷商工大臣のこの國管問題について抱いておられまする概念につきまして、この間本会議の席上で大臣から提案の理由の説明がありました中で、現状においては十分でない政府の現場把握を強化して、増産第一主義の障碍となる事情を除き、増産の推進力でありまするところの経営者及び從業者の生産意欲を増大するということが絶対に必要である。このために炭鉱の國家管理をするということを言つておられるのでありますが、この問題につきまして、ちよつと御説明願いたいと思うのでありますが、成る程その増産の隘路でありまするところの金融であるとか、或いは資材であるとか、或いは労務者の生活必需品であるとか、そういうようなものを國民の各方面のあらゆる消費を抑えても、犠牲にしてもこれを廻す。そして石炭の増産のために打込むということはこれは必要でありましよう。併し國としてすべてのこれらの面を強く把握して行きたいというために國管にするということであるならば、若しこの國管問題というものが石炭の増産ということが目標でありますならば、私はこれらの資材、資金、その他のものは、これが隘路でありますから、この部面だけを打込むだけで目的は達する。然るに國家がこれらの資金、資材というものにつきまして、その他の問題につきまして、現場を把握するということは、何も國管にしなくたつてこれを徹底さすためには他にいろいろの監査報告その他があると思う。何の必要があつて私は強いてこういう面倒な國管をやろうとせられるのであるかということを一つ伺つてみたい。
 もう一つは生産を増強するために生産意欲を増強するということを言つておられますが同感であります。併し私はこれらの國管をしたために経営者並びに從業者の生産意欲が本当に向上するかどうか。増産意欲の推進が國管をするためにできるかどうか。どういうわけでこの國管をしたならば事業者並びに從業者の生産意欲が起つて來るのであるか。私はこの点についてはむしろ反対の意見を持つております。先ずこの二つの点につきまして水谷さんの抱いておられまする方針を聽いてみたいと思います。
#30
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御質問でありまするが、資金、資材さえ流し込めば別に國管にする必要はないじやないかという御意見であります。これはよく業者が好んで用いられるところの言葉でありまするが、我々が現在の乏しい資金、資材のうちから、石炭第一主義に資金、資材を流し込むのは並大低のことではないのであります。石炭の外の産業並びに外の國民生活というものに対して多大の深刻なる影響を與えておることは事実でありまして、我々はそのようにして四苦八苦の下に工面いたしました資金、資材というものが、果して國家目的のために流れておるかどうかということを十分掴まなくてはならない責任というものは、國家として当然あるのではないかと思ひます。その資金、資材が正しく流れない場合において、國家は外の産業並びに國民生活に対して、如何なる責任を取れるかどうかということをよくお考えを願いたいと思う次第でございます。更に又國家管理をなぜしなくてはならないかという点に関しましては、その他の点に関しましては、本会議におきましても、お手許に差出しました資料におきましても、十分述べておりまして、御指摘の点に関してはそのように考えておる次第であります。
 更に又この石炭企業というものは、他の基礎産業と異りまして、七割五分までが労働力に依存するものであります。今日從業者がこの國家管理に対して、如何なることを要望しておるかということをお考え下さるならば、この國管というものが、少くとも労働者の生産意欲を昂進さすものに役立つことは、これはもう誰しも異存のないところであります。更に経営の面におきましても、いわゆる從來の本社におられる資本家というのでなしに、山で現場に働いているところの経営技術家というような人も、大体これは國管を支持しておると、私は各地のいわゆる事情を聞いて知つておる次第であります。そういう点から考えましても、我々はこの國管こそは石炭企業の生産力の七割五分を担当しておるところの労働力というものの、労働者の生産意欲というものを十分増す所以であり、経営者の側におきましても、経営技術家は、この法案に対して相当の関心と賛成を持つておられるということは、これは動かせない事実である。このように考えます。
#31
○小林英三君 今の私の質問に対する水谷さんの御答弁は、私は甚だもの足りない感じがいたします。一体この石炭の國家管理、炭鉱の國家管理というものをおやりになるには、どこに重大な私は基礎があると思つておるかというと、石炭の、戰爭前、支那事変以後において一番増産の上りましたのは、月産が四百万トンということを当局から聽いております。戰時中でも三百五十万トンを取れたということであります。それが最近におきまして非常に増産が低下したところの原因というものは、第一番に價格が軌道に乘つていなかつた。資材の輸送がうまく行かなかつた。金融がうまく行かなかつた。それから労働者の生活状態が、物價の非常なインフレーシヨンによつて工賃その他の問題がうまく行つていなかつた。それから生活必需品その他のものが潤沢に廻つていなかつた。住宅問題が解決しなかつたというような、その他戰爭中乱暴にこれを掘つたというようなこともあるでありませうが、それが今日非常に生産が減つて來ている。而も今日の炭鉱におきまする從業員の総数というものは、戰爭中の四十万人に対して殆ど変つていないということを我々は聞いておる。戰爭中に十五、六トンの平均の採炭能率があつたものが、今日危機に六トンか、或いは六トン何分になつておるというようなことにつきましては、これは、増産の根本問題といえば、私は價格を適当にやる。資材並びに輸送方面を適当にやる。金融を適当にやるその他職工の待遇問題を適当にやるということさえ十分にやれば、私は戰爭中に十五、六トンの採炭能率のあつたものが、今日六トンなんぼになつておるものは簡單に解決ができると思う。既に今日石炭の單價も或る程度まで解決いたしましたために、九州方面におきましても三千万トンの増産の部面を受持つて、而もそれに余りあるくらいになつておるということも聞いておる。何が故に急にこれを三千万トンにするために石炭の國家管理をしなければならないかという、その根本の問題をはつきり仰しやつて頂きたい。
#32
○國務大臣(水谷長三郎君) 私は石炭三千万トンを完遂するためにこの國家管理をやるということは言つておりません。この第一條にありますように、いわゆる日本の産業の復興と、経済の安定を図るということを目的にしてやつておるのでありまして、單に石炭を三千万トン掘り出すというだけとは、何も言つておりません。先に申しました表によりましても、いわゆる昭和二十三年度から、二十七年度に至るその現有設備における出炭のカーブの上り方を御覽になればよく分ると思うのです。いわゆる現有設備によるところの出炭のカーブの上り方は、実に微々たるものであります。これから四千万、五千万と出るときには、新鉱の開発によるところが非常に大きいのです。ところが現在のような経済事情の下において、私企業において果して新鉱の開発ができるかどうかということは、よくお考えを願いたいと思います。
 更に又経営の面の妙味というものは、経営者みずからが、自分の力で資金と資材を工面するところにおいて、初めて経営の妙味というものがあります。ところが現在のいわゆる石炭の企業において、個々の企業家が如何に力を発揮いたしましても、いわゆる資金と資材とが果して満足にやつて行けるかどうか。その大部分は國家の力に依存しておるのであります。そういうことをよくお考え下さるならば、私は只今の御質問というものは、十分にお答えができるのじやないかと、このように考えております。
#33
○中川以良君 石炭の増産問題と申しまするものは、今日の日本の経済の機構の基盤をなすものでございまして、私共は重大なる関心をこれに持ちなければならんと存ずるものでございます。そこで先般本会議において、その管理法案の提案の商工大臣の御説明の中に、これは全く石炭増産に対する緊急の処置であつて、特に特定のイデオロギーを押し付けるものではない。更に又この法案を作るためには、各方面の意見なり意向なりを廣く吸收包擴したものであるということをお述べになつたわけでございまして、私共誠にさようであるべきものであると存ずるのでございます。この法案を審議をいたしますにつきましては、我々は飽くまで公明に、厳正に、冷靜に、そうして各方面から各角度からこれを科学的に分析をいたしまして、先般マツカーサー元帥の書輸を以て示されましたる如く、私共の責任の重大なるを痛感いたしまして、今後の國政、國策を誤らないようにしなければならぬと存ずるのであります。然るに最近商工大臣の、從來の各方面におきますところの御言動に基きまして、いろいろ風評があり、誤解があり、又各方面いろいろ臆測を逞しうしておるというようなことが感ぜられますことは、誠に遺憾といたしますところでございまして、私共はこの石炭の増産のためには、目覚めたる経営者、熱意のある技術者、労働者が運然一体となつて、この増産に全精神を傾倒すべきであろうと存じます。さような氣持で以て、皆が増産にいそしんでおります際に、只今申しましたような、大臣の御言動に基きまして、國管問題を中心として、ややともすれば、これがいわゆる政爭の具に供せんとしあり、又折角渾然一体となつておるところの、労資の間の対立を煽るというような感なきにもあらずと思うのであります。ここにおいて私はこの法案を一應審議いたします前に、かような点について商工大臣の御所信をもう一遍はつきりとお示しを頂いて、世間に誤解があればこれを一掃し、臆測があればこれを正すということにいたして、私共が先ず公明にこの法案の審議に突込んで行きたいと、かように考えるのであります。これは新聞に出ておりますことを申上げることは甚だ恐縮でございますので、私自身といたしましても、過般七月十七日に、北海道におきます石炭復興会議に、商工大臣が御出席になりましたときに、列席をさせて頂いた者でございますが、その際に、大臣の御発言は、この度の國管は、いわゆる國有の前提となるところの國管である。更に又かようなる國管は、実は石炭鉱業だけを國管にしては眞の目的は達し得られないのだ、將來は金融業をも國管としてこれを徹底しなければならんのだというようなことをお述べになつております。又本社と現場との機構につきましては、本社の機構というものは、唯單に経理と人事を扱えばいいので、本社の人間は、大半石炭廳なり、その他に入つて行けばいいのである、本社を管理の対象とすることは、これは徒らに資本の救済をする以外に何ものもないのであるというようなことをお述べになつておられます。又商工大臣のお立場とされまして即ち石炭復興会議におきまして、社会党の水谷であるということを強調せられ、商工大臣の誇りより自分は社会党の党員たるをもつて誇りとするということを御強調になりまして、政府案はこうであるけれども、社会党案はこうである。諸君は社会党案を望むならば、只今の片山内閣でなく、眞の社会党内閣を作らしめるようにというようなことも大いに御絶叫になつております。若しもこの法案がうまく行かなかつた場合は、現内閣は重大なる決意をしなければならんというようなことも更にお述べになつておられます。かような意味を、いろいろのことを考えますると、すでに一部政爭の具に供せられておるのではないか、又これが徒らに社会党イテオロギーを固守されておるのではないかというような臆測なり誤解が出て來るのではないかと存ずるのであります。商工大臣とされましては、この程度の國家管理というものは大臣御自身の御理想とは余程懸け離れたものであつて、將來は社会党内閣において是非とも國有國営をやるべきであるというお考えをお持ちになつていられるのか、又金融機関、その他に対しましても、將來國管なり國営に進むべきお考えでおいでになるのか、或いは又この度のこの臨時措置を以ちましてこの管理法案を実行いたしまして、石炭の増産ができればこれでいいのだ、これを以て必ず初めの目的を貫けるというような御決意を持つておいでになるのか、こういうような点を一應一つ明かにして載きまして、この機会にいろいろな誤解とか揣摩臆測のようなものを、うやむやを一掃して頂きたいと、私は存ずるのであります。
 それからもう一つ承りたいのは、先般マツカーサー元帥の書簡が参りましたのでありますが、あの書簡の中の各事項は全く尤もなることでありまして、私は大いに啓発されたのでありますが、この書簡に対しまして、各樣各種の取り方はおのおのにしております。これに対して商工大臣といたしましては、如何にこの書簡を御解釈になり、或いはこの書簡に対しまして、如何なる御決意をお持ちになつておりますか、どうかという点も一つ明らかにして頂きたいと存ずるのであります。
#34
○國務大臣(水谷長三郎君) この法案は責任ある本会議、或いは委員会等でこれまで述べましたことが目的となつておる法案でありまして、他に他意はございません。私が北海道或いは九州で言つたことに対していろいろ一部で誤解がありますが、私自身としても非常に迷惑で、私の言わないことまでも言つたと、又私が五言つたことを十にも十五にも取られて言つておるような点で非常に迷惑と思います。只今中川議員の御指摘の点は社会党は天下の公党といたしまして、基礎産業或いは金融機関に対して一定の方式を持つておることは、これは何も隠しもいたしません。ちやんと天下に発表しておることでありますから、隠しも何もいたしません。その社会党の綱領政策をばこの列立内閣でやるかやらんかということは、これは問題が別であります。
 例えばこの石炭の問題に対しましても、昨年の大会におきまして、社会党は國有國営を前提とする石炭の國家管理の法案を発表したが、併しながら今度の片山内閣が成立するに先立ち、四党政策協定の時に、西尾君が社会党を代表して政策協定に参加しておる。基礎産業の中で必要なものは國家管理をやる。併しながら國家管理というものは、そういう國有國営を前提とするようなイテオロギー的な国家管理ではなしに、飽くまで増産を目標とした國家管理であるということは、これは政策協定の時にはつきりしておるのであります。よく私らが山に行きまして、この法案の不徹底である、社会党の公約と違うじやないかという時に、社会党のいわゆる政策を説明したところ、現内閣の政策であるようにごちやごちやに解釈されて誤解を招いておることは事実であるのであります。
 從つて今中川議員が、私が仮りにそういうようなことを方々一讓つて言つたと仮定いたしましよう。そのときに一体労働組合は。どういう質問をしたか、それに対して水谷はどういう答弁をしたかということを、両方ともはつきりお考えにならないと、ただ私の答弁でけを取り上げて、薮から棒に私がそういうようなことを言つたかのような取扱いをされるということはこれは非常な迷惑なんですから、そのときは両方、質問した人はどういうことを質問したか、それに対して水谷はどういう工合に答えたかということを両方とも一つ言うて頂かんと、非常に誤解の因になると思うのです。そこでこの法案でございますが、これはあくまでも臨時立法でございまして、そして三年経ちました後にこれが又続けてやられるか、或いは三年で打ち切られるかということは、そのときの國会みずからが決定すべき問題でありまして、我々はこの法律の文字をば忠実に解釈し、守らなければならんのであります。從つて一應先に我々は日本経済再建安定のためには大体年限を決めるならば五ケ年くらいでなければ計画が立たないという工合に考えておつたのを閣議のいろいろの相談の結果三年と、そして但し必要のときは云々と決まつたのでありまして、この法案が三年で止まつてしまうか、或いは又続けて行われるかということは、それはそのときの経済状態並びにそれに対應する國会が決定すべき問題でありまして、今から誰もそれはば予想して決めるわけには参らんという工合に御了承願いたいと思います。
 更にマツカーサー元帥の書簡でございますが、商工大臣はどのようにこれを見るかということは、これは私としてもどうお答えしていいのか分らんのでありまするが、解釈は各自立場々々によりまして違うか知りませんが、私はこの書類に盛られた事実を有りの儘に認めまして、それに素直な対策を立てるということだけを今考えております。これが國管賛成の書面であるとか、或いは國管反対の書面であるとかそういうようなことを私らは只今考えておりません。幸にして今日の閣議でこの書簡に盛られたところの問題に対する対策が決定いたしまして、正午に西尾官房長官が新聞発表されたことでありますから、明日十分に御檢討願いたいと思いますが、念のためここで述べて置きたいと思います。石炭非常増産対策要綱という案になつておりまして、前文はありまするが、基本方針ということを謳つて、それから要領としては、二十四時間制の推進ということ、更に又職場規律の確立と給與制度の改善ということを謳つております。更に労働組合の健全化、四は紛爭、爭議の早期平和的解決、五は炭鉱生産設備の緊急補修整備、六は技術その他專門技能の最高度結集、七は新炭鉱、新炭層の開発、八は前記増産対策に関連して処置すべき事項というようなことを盛りまして、大体あのマツカーサー元帥の書簡に盛られたる対策に対して一應内閣としての決定をしたのでありまして、我々はあの書簡に盛られました増産対策に素直に率直に対策を打つということだけを考うべきでありまして、それが國管賛成の手紙であるとか、或いは國管反対の手紙であるとか、そういうようなことを内閣としても考えるのは間違いではないか、このように考えておる次第でございます。何か言い残した所がありましたが、これで終ります。
#35
○細川嘉六君 石炭の増産ということは、これは問題のないことであります。三千万トンはおろか、この一年の中には六千万トンも掘らなければならない。そうしなければ日本の経済の安定も、発展もできない、これははつきりしたことであります。その増産の問題について彼れ此れイデオロギーだというように非難されている、イデオロギーとは一体なんであるか、イデオロギーを非難する人もイデオロギーを持つておる、資本家的イデオロギーというものを……。イデオロギーが問題ではない。如何なるイデオロギーが一番増産ができるかということが問題である。それでそういう下らんことは抜きにしまして、先程來問題にされておるこの管理案の根本観念は何かというのでありまするが、この根本観念は水谷君が先日述べられた臨時石炭鉱業管理法案提案理由説明の中に、労働者の経営参加はこれによつて法的に確認されるのでありますし、石炭増産の最も大きな要素である勤労意欲の格段の増大と、その責任の明確化とが期待され得る云々と述べておられる。労働者の勤労意欲というものは、炭鉱業においては根本的のものである。これを忘れては増産も何もできるものじやない。賃金にしましても日本では石炭生産費の五、六割は賃金の方で占めております。誠に低賃金であり、そうして機械化されない労働でありまするが、それ程沢山の部分を占めております。これは今水谷君も指摘されたように、日本の労働力というものは、炭鉱業において七割五分も占めておる、こういうわけであります。そうでありますから、勤労者の勤労意欲というものが根本問題です。これは御存じかと思いまするが、一九二五年に英國の議会の石炭國営國有問題、それの調査の中でも、生産費の労賃の占める割合は七割、こういうふうになつておる。それでその場合にも國有を主張した労働者側の方は、炭鉱の勤労意欲というものは、如何に重大であるかを指摘しております。これは尤もである。今日英國において炭鉱があの曲りなりであります、本物ではありませんけれども、國有まで持つて來た。これにはわけがある。これは從來の炭鉱主ではどうともならない、それであるから國有まで來ております。併しながら本当にこの労働意欲というものを盛り上らせるだけの規定を、この國有法の中に置いていないものだから、今日問題を起しておる。十分なことはできませんです。こういうことは我々よく考えなければならんけれども、今日炭鉱主側、又それを支持する人達は、官僚を盛んに非難する、官僚は無力だ……。成る程官僚は無力である。然るに資金、資材というものは政府ができるだけ出しておる。又それを受けておるじやありませんか。それをどうして使われておるか、これについて明細な報告がまだできておらんようであります。我々はそれを知りたいと思つております。どのようにして資金資材を扱われたのであるか、労働者は今日石炭が掘れんというので、非難ばかり受けておる。それは大間違いである。第一炭鉱の内部の設備を見て御覽なさい、どんな状態であるか。ひどいものです。戰爭中に大いに濫掘されて、そのあとはそのままになつておる、殆どそのままである。それでありまするから、今日労働者というものは炭鉱にいつかない。最近の重大な出來事としまして、熟練工の話である。長年炭鉱に勤めておる者が段々職農を離れて來ております。これはあとで又私は詳しく申上げます。厚生設備がろくでもないということ、これはもう連合國から注意を受けておることであります。現に参議院から炭鉱が視察なさつた方の多くは厚生設備が成つておらんことを指摘されておられる。これは本当に地方の産業の場合と違つて、炭鉱というものは特殊なものであります。その中でどうして働きますか。設備が不十分なために、命が何時取られるか分りはしない。そうして地上においては、そんならば食べるだけのものが與えられておるか、それは漸く多少の手当はついておりますけれども、特殊の労働に対する手当というものは適当に與えられておりません。
#36
○委員長(稻垣平太郎君) 細川君、御発言中ですが、質問の要旨をはつきりして頂きたいと思います。
#37
○細川嘉六君 今質問に入るところです、私は今日の炭鉱業の危機、日本の経済危機の根本は國営人民管理でなければならんというところの主張でありまするが、現に新鉱の開発、この問題だつて、これはもう今の企業ではどうしてもやつていけない、將來非常に心配になる。本当に炭鉱が儲からんというならば、今日傳えられておるように、國管法案をめぐつて、炭鉱業者が一千万円とか、二千万円ばら撤いたという噂はできる筈はなかろうと思う。問題は重大であります。そこで今日の國管案でありますが、この國管案というものは全く骨抜きです。水谷君は大分先程から非難を受けておるようですが、社会党としてはあの公約は、本当にこれは國営人民管理で以ていこうというあの公約は、あれは本当に炭鉱問題に触れておる、それが行われない。細かい規定にいつて一々質問し討議する場合に申しますけれども、あれでは本当に労働者の勤労意欲……あなたが非常に尊重しておられるところの、当然に尊重すべきことでありますが、勤労者の労働意欲というものはあれではいけません。経営協議会を通して、諮問を経まして、本当に責任を持つてやるという氣はあれで起きますか。私はそれは非常な疑問に思います。のみならずあの経営協議会のいろいろの問題というものは非常に局限されておる。大事なことを触れさせない。それでありまするから、本当に働く者、特殊の労働に從事する者は炭鉱の地上勤労にしようが、坑内勤労にしようが、これを本当に自分らに責任を負わされておる、これを約束した通りに掘らなければならん、こういうことを考えさせるには、誠に不十分である。殆ど経営の問題に参加する、こういう形だけは與えられておるが、実質は與へられていない。こういうものを炭鉱管理案だとしては誠にいかん。これは政府が金を出しておるから默つておるわけにいかん。管理するという建前だけではいかん。これは本当に社会党も当初考えられたような根本問題を打開するための管理、こういうものとは全く離れて來ておるわけであります。それで私は今日この國管案ですらこれはもう駄目だ。資金、資材を出せば炭鉱はいくらでも石炭を掘れるんだ。これはもう一撥ねで撥ねられて行くようなものとしか思われない。私はどうしてこれを今日の炭鉱の危機、産業の危機を打開するための法案としてお出しになるのか、その意味が分らない。それはどうなさるのか。
#38
○國務大臣(水谷長三郎君) 現在の経済情勢の下におきまして、例えば一つの法案を出す場合におきまして、百パーセント労働者の立場に立つことが問違いであると共に、又百ハーセント資本家の立場に立つことも間違いである。このように我々は確信しておる次第であります。このいわゆる労資双方の立場のどこにどういう線を引くかというところが現実の政治の要請でありまして、そういう意味から申しまして百パーセント労働者の立場に立たれる細川君の政治的立場からは、この法案が不満であるということを言われるのは、これは尤もであろうと思います。又これと同じように百パーセント資本家の立場に立たれる方から、この法案が行き過ぎであるというような御非難のあることも、これ又私は御尤もであろうと思います。併しながら現実の政治というものは、いわゆる労資双方の立場のどこに線を引くかというところが一番大事な点でありまして、我々はそういう諸般の事情を斟酌して、こういうような法案をこの程度に纒め上げたような次第であります。御指摘の生産協議会というものは、これでは一体勤労意欲を起すわけにいかないじやないかということでございますが、それではこれまで單に経営協議会の名によつて資本家の諮問機関に過ぎなかつたところの労働者の立場、このたび法制化された生産協議会の立場において、單に労務計画でなしに生産計画までこの生産協議会によつて議論される立場に置かれた労働者の立場とその差はどれだけかということを現実に比較を願いたいと思います。この生産協議会は御案内にように單なる諮問機関ではございません。生産協議会の議を経なければならないことになつております。若しこの場合細川君の立場から言えば、その生産協議会において議を経ることができなければどうすることもできないというところまで行かなくてはならないというのが細川君の立場であろうと思います。いわゆる決議執行機関にしなくてはいかんというのが細川君の立場であろうと思います。併しながら我々の立場はそれとは異りまして、議を経なければならないと申しましても、その議が一致しない場合には石炭局長の裁定を受けて、そうして公平なる裁定によつて辷り出し行こうということを我々は考えておるような次第であります。この法案に流るる全体の調子、更に今御指摘の生産協議会の機能というものと現在炭鉱の労働者が置かれておるところの地位と立場とを比較されるならば、この法案の進歩性、從つてこの法案におけるところの労働者の勤労意欲の振興ということは十分に御了解を願えるんじやないか、このように考えております。
#39
○平岡市三君 大臣に二つの点についてお伺いいたしたいと思うのであります。すべての企業体におきまして、その経営方式を変更するということは、必ずその生産性を望んでおるからであります。即ち生産能率を上げるために、経営方式を変更するわけなんであります。一般に企業経営者というものは、この経営方式を変更する場合には、必ず予算案というものを立てまして、これによつてどれだけの現実の生産数量なり或いは價格において、或いは利潤において増加することができ得るが、こういう確信を持たなければ、絶対に経営方式というものを変更するものではありません。そこで私は大臣におきましては、この國管を提出するに至るまでに必ずやこれによつて、これだけの現実に増産ができるものであるという数字的な研究をなさつて、そこに確信があつたからこそここに出されたのであろうと思うのでありまして、必ずやここに私は計画予算案というものが作成し得ると思うのでありまして、どうかその予算案を至急提出して頂きたいのであります。およそ新聞その他の議論を聞いておりますと、抽象的な議論でありまして、現実に生産できるのかできないのか、それを眞に我我は把握できない現状にあるわけでありまして、どうかこの予算案を提出いたしまして、國民が本当に納得の行くような説明を聞かして頂きたいとこう思うわけであります。
 第二番目は大臣の説明書にもありますし、或いは法案の第一條にもありますが、政府、経営者及び從業員が三者渾然一体となつて増産に邁進する、こういうことを言つておるのでありますが、政治は現実であります。現実の問題といたしまして労働者が全部この國管に賛成しておるかどうかと申しますと、私の知る範囲では賛成者もありまするし、或いは不賛成者もある、即ちまちまちであります。経営者は殆ど全体が反対の態度を表明いたしておるようであります。そこでこれを立案いたした政府はどうかと申しますと、政府自身におきまして意見がまちまちの現状でありまして、ここに出されたところの法案そのものも政府閣僚全体の一致していない法案であるというのは周知の事実であります。このような賛否まちまちである現在において、この國管を推進するということは却つて増産を妨げるものではなからうかとこういうふうな危惧を懐くわけであります。この二つの点について御答弁を願いたいと思います。
#40
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の第一の問題ですが、数字的に具体的にその増産の内容を示せという御注文ですが、これは私も笑い話で、北海道で言つたのですが、そういうような質問を受けましたので、それじや一つ私の方からも注文を出すから聽いて呉れ、國管をやらなければどうして増産できるかということを一つ数字的、具体的に示して貰いたい。それができればそれに應じて私の方から数字を出そうというようなことを言つたのであります。これは一つの山々によつて、國管ができればどうだということを具体的に数字的に出せと言はれることは、これは非常に無理じやないかと思うのであります。大体先程申しましたように五ケ年計画におきまして、最高的にこういうことを出せるということは申せますが、一つの山々によつて数字的に出せということは、これは言う方が無理であつて、國管をやる場合と、やらない場合と、どちらが増産になるかならんかという結局の比較論になるのじやないか。このような考えております。そういう比較論の上に立ちまして、私も衆議院の委員会におきまして、岡田委員の質問に関しまして、なぜこうやれば増産ができるかという理由を述べたのでございまして、恐らく新聞を通して御案内の通りでございます。そこで私らといたしましては、いわゆる國管をやらなければ、なぜ増産がなるかということを数字的に、具体的に示すことが無理であるならば、國管をやるならば、なぜ増産になるかということを一つの山々によつて数字的に具体的に示せといわれることも無理ではないかと思うのでありまして、それは先申しましたように、國管をやる場合と、やらない場合とは現在の経済情勢の下においてどちらが増産になるかといういわゆる比較論より外に私は方法はないじやないか、このように考えておる次第であります。
 それから第二の問題でございますが、内閣においてもこの法案に対して不一致があるじやないかという御質問でございますが、それは私は大きな間違いであろうと思います。去る七月一日の片山総理大臣の施政方針の演説におきまして片山総理は石炭増産のために國家管理をやるということを施政方針の演説に言うております。その施政方針の演説は各閣僚が一致して賛成したものでありまして、閣内におきまして、これに対して不一致の議論というものは七月一日以前に遡つてもすでにないものであるという工合に御了承を願いたいと思うのであります。或いは資本家は一致してこの法案に反対であるということを言われましたが、私は先申しましたように、それは間違いであると思います。或いは労働者側においても反対があると言われますが、四十万組織労働者の單一機関である全炭協がこれに対してはつきりした意思をば発表しておるのでございまして、労働者側の意見は一致しておると我々は考えなければなりません。勿論その個個の一人々々に対して程度としていろいろの差がございますが、併し苟も四十万の炭鉱労働者が一つの組織体を持つて、その組織体が正式の機関によつて天下に発表したところの意思というものは、これは信じなくちやならないのではないかと思います。そこで問題はこういうように、賛否両論に分れた時に、これを出せば減産になるのではないか。よく世上では資本家の生産サボというようなことが盛んに言われ、そういうことの心配ならば私の方から更に一つの仮定として問題を出したいのでありますが、ここまで問題が爭われ、そうして組織労働者全部がこの法案に賛成しておる時に、少数の資本家の反対に押されて、この法案が闇から闇に葬られた時に、それがいわゆる労働組合、労働者にどういう影響を與えるかということをやはりお考えを願いたいと思うのであります。恐らく私はこの法案通過によつて資本家の陣営の今日生産サボが恐ろしいか、或いは又この法案が闇から闇に葬られて、石炭生産事業の七〇%を占めるところの労働者側の生産意欲の低下が起つたがための結果が恐ろしいものかどうかということを比較してお考えを願いたいと思います。併しながら我々はそれにも拘わらずマッカーサー元帥の書簡の趣旨に副いまして、この法案が幸い皆さん方の御協力によりまして、通過いたしました曉におきましては、この法案に対して反対された人、賛成された人、そういうような区別を一切拔きにいたしまして、反対された人に対しては、一層政府みずからが誠意を披瀝して、この法案を中心にした増産態勢に御協力を願いたいという工合に準備をしておるのでございます。今日民主主義の時代でありますから、一つの重要な法案が現われた時に賛成、反対の意見が出るのは当然でございます。戰爭時分の憲法政治とは違つて、それは現在の民主主義政治の下においては当然である。だからこの法案がいわゆる最高の機関であるところの國会が決定するまでは賛否両論が、分れることは、これは別に不思議ではないのでございまして、荀も民主政治の下における國民は経営者といわず、労働者といわず更に國民といわず、國家最高の機関である國会が意思を決定した曉には、その意思に服從するということは、これは民主政治下における國民の私は義務であろうと思うのであります。從つて政府はそういう観点に立ちまして皆さん方の折角の御助力によりまして本案が通過いたしました曉におきましては、経営者、労働者、そういうような人のみならず、石炭関係者だけでなく、全國民の協力によりましてこの法案を中心にして、石炭増産に邁進したい。そのために政府は十分の用意と決心と、覚悟を持つておるという工合に一つ御了解を願いたい、このように考えております。
#41
○帆足計君 只今石炭鉱業は、経営者と労働組合の皆さんの非常な御努力の下に進んでおりますが、併しそれにも増して非常なる國家的保護を受けておることは事実でございます。危機を突破しまするために、國の統制力並びに石炭鉱業に対する助力を非常に強化する必要のあることは、誰しも認めるところであります。そしてそれから又石炭鉱業の持つている社会的性格、公共的性格を何らかの形で明らかにして貰いたいということも、國民一般の希望であろうと存じます。こういうような点を考えまして、恐らく修正資本主義を主張される民主党におきましては、五大産業の民主的な國家管理という項目が綱領にあるように私も拜見します。そうして同じく國家管理を主張しておられる社会党との連立政権におきましてこの問題が当然日程に上ることは私どももかねて予期したところでございます。又この問題は單に日本だけでなくしてヨーロッパにおきましても、又資本主義の殿堂と言われましたイギリスにおきましてももつと強い形態において歴史の日程に幾つております。從いまして國家管理の問題は時代の課題であります。これにつきましての愼重な科学的檢討は、そこらあたりのビラにありますような、國管即赤化というような、馬鹿々々しい観点からでなくして、マッカーサー元帥の書簡にもありますように、國民が愼重なる態度で、特に國会がこれをあらゆる角度から科学的に檢討せねばならんと私は考えております。このような観点から考えますると、問題の点は二点ございます。一つは企業における経営協議会の問題、もう一つは石炭國家管理の主体である、管理する主体の組織と能力の問題でございます。私は時間がございませんから、この後者の問題につきまして一言お尋ねしたいのでありますが、石炭國家管理をします主体、その組織機構につきまして石炭局長、並びに地方の管理委員会のことが五十條前後に出ております。これを拜見しますると、中央の委員は三十名、地方の委員は四十二名でございます。そして從來の官僚政行政の傳統からいたしますと、現在まだ日本の官僚機構は少しも民主化されておりません。議会は出発したばかりでございます。官僚政治の傳統は牢固のものでございます。ここ数年に亙つて國民はこの官僚政治を人民の政治にしますために非常な努力を拂わなければならん。今過渡期であろうと観察いたします。そういうような歴史的背景の下におきまして、管理委員会並びに石炭管理機構というものにつきまして、十分にして、深刻な檢討が加えられ、そしてこれが民主的に運営されるような形になつておりません。名は國家管理と申しましても、実は官僚管理ということになるのではなかろうかと存じます。この問題につきましては、労資双方から一致した一つの要望が発せられておるように私は観察いたしております。從いまして当然この参議院の委員会におきましても、今後数次に亙りまして御檢討が続くことと存じますが、本日は大臣から、この管理委員会につきまして、どういうふうにお考えか、私はこれがときどき集つた片手間の委員会であつてよいかどうか疑問としておりますし、その他その組織機構運営につきましては、まだこの法案だけでは少しも分りませんので、十分に檢討が加えられなければ、この條項につきましては俄かに賛成しかねるような印象を受けております。本日は先ず大臣の一般的なお考の程を承わりまして、審議の材料にさして頂きたいと思います。
#42
○國務大臣(水谷長三郎君) よく世情の一部に、この法案を官僚統制であるという御批判を聞くのでございますが、私の考えるところによりますと官僚統制というものは、これは戰爭時分の官僚統制と世間の人はいうのでありますが、大体二つの要素があると思うのであります。私はそれは一つは、軍部の背景があるということと、今一つは指導者原理によつてその統制が行われる、この二つが大体その戰爭時分の官僚統制の特徴をなしておつたと思うのであります。どんなことでも無茶でもやつていいという軍部の背景があることと、ナチス張りの指導者原理によつて運営されるという二つの要素がありますが、その二つの要素は、現在のこの法案には殆ど一片と誰も影を認めさしておらないと私は確信しておるような次第でございます。例えば御指摘の石炭局でありますが、これは形式的には商工省の機構の一つでございますが、併し実質的にはこれまでの官領機構とは似ても似つかない、実質的には民間機構といつてもいいのではないかと思います。即ち法の上におきましても石炭局長は民間人でなくてはならないということを謳つておりますし、更に又石炭局の過半数は民間人でなくてはならないと謳つております。而も私自身といたしましては、この石炭局長というものは商工大臣が選任することになつておりますが、私は運用の面におきまして、例えば九州なら九州の石炭局長という者は九州地方における経営者のいわゆる組織、それから労働者の組織、そういう方に共同推薦をして頂いて、労資双方から共同推薦をして頂いて、労資双方納得の行く人をば九州の石炭局長なら局長にして貰う、更に又石炭局員もそれに準じまして、労資双方、協議の上において数を決められまして、或いは経営者から何人、労働組合から何人、或いは拔術者から何人、という工合にしてやつて行きたいと、こういうようなことを考えておりまして、形式は商工省の一つの機構でございますが、実質的には民間機構と毫も違いのないものにやつて行きたい、このように考えております。而もこのように実質的に民間機構にした、それと共に管理委員会、中央においては全國炭鉱管理委員会、地方におきましては地方炭鉱管理委員会とタイアップさせまして、お互いに長短相補わさして行きたい、こういうように考えております。恐らく帆足君のお考えの底には、このいわゆる炭鉱管理委員会を單なる諮問機関にせず決議機関にしなければこれは官僚統制になるのではないかというようなお考えが、潜在的にあるんじやないかということを私は考えております。併しながら荀くも商工大臣が生産の責任者になりまして、國並びに國民に対して責任を負うという場合におきまして、全國炭鉱管理委員会というものが決議機関にまでなりますと、責任の所在というものが極めて不明確になると思うのであります。私は責任のいわゆる所在は飽くまでも單数の方がいいと思います。その單数が指導者原理に禍されずに民主的にやられるところに、私は本当の民主的な責任の所在があるのではないか、このように考えております。いわゆる全國炭鉱管理委員会が憲法違反になるかどうかということは、私はまだ研究していないのでありますが、いわゆる憲法上に規定された國務大臣の責任というものは、こういう全國炭鉱管理委員会というものを決議機関として果して円滑に遂行できるかどうかということは相当考えなくちやならんのではないか、このように考えております。こういうことを併せて考えますると、現在のもろもろの制約の下におきまして、非常に十分考慮された民主的な機構じやないかと、このように考えておるのであります。
#43
○田村文吉君 二つのことを商工大臣にお尋ねいたしたいのであります。その一つは、只今の平岡委員の御質問に対しまして大臣から、國管にすればどうして石炭が余計出るかという答弁として、それならば國管にしなかつたならば果して余計出るか、こういうことが答えなれないと同じに答えられない、こういうようなお言葉に承つたのでありますが、それで私はそれに対しては、昭和二十年の終戰の当時の一ケ年の出炭量が二千二百三十三万トンでありまして昨年の出炭量が二千二百五十二万トンと相成つております。今年の四月から九月までの出炭量が千二百九千三万トンこれは九月の下旬のまあ推定でございますけれども、千二百九十三万トン、これを昨年の四月から九月までの同期に比べますと、二割七分六厘の増加に相成つておるのであります。そこで私は只今お話のような國管にすればどうして殖えるかという答弁として、今までのままにして置いたのでは、どうして殖えるか、こういう御質問に対して、現在の状況でさえも二割七合六厘殖えておる、若しこの数字を以て推すことができるならば、今年度の出炭は二千八百五十万トンに相成るような計算が出て参るのであります。そこで若し明年度この率で累加して参りまするならば、三千六百万トンの出炭が望み得る計算に相成るのでありまして、只今大臣の御説明では三千三百万トンを來年度は目標としておると仰せになるのでありますが、この増加率を以て参りまするならば、現在のままでも來年度は三千六百万トンの石炭が出る、こういう計算が一應出て参るのであります。而も今年の上半期と申しましても、実は値段も後決めの状態で、炭鉱業者として余り望ましくないような状態に置かれたのでありますので、必ずしも業者としては一生懸命で努力された出炭量であるというところまで、價格の面からいつても参つておらないのであります。でありますから、若し今後在來のような後決めのような價格制度が改められまして、相当に引合う値段にしてやり、又労働者に対しても十分のお手当をして上げることのできるようにいたして参りますれば、必ずしも國管にしなくても、來年度は三千六百万トンという石炭が出るのだ、こういうことに一應この数字の上から出て参るのであります。これに対して、こういうふうであるのに、なぜ國管にしなければならないのか、こういうことを私は一應お尋ねいたして見たいのであります。而も國管にいたしますためには、大変な議論がありまして、只今も商工大臣からのお話で、若しできなかつたならば、労働者がサボタージュをやるかも知れないというような、こういうような私共聞きますると、さみしいような、又考え方によればおとなしくないような考え方で伺いますことは、非常に遺憾に存ずるのでありまするが、かような問題を惹き起してまで、なぜこの自然に殖えておるこの増産を尚奬励してやるという方法でやつて行けないのか、これをどうしても國管にしなければならない理由はどこにあるか、こういうことを第一にお尋ねいたしたい。
 第二番目に、とかく問題に相成りますことは、今度の國管案の中にあります生産協議会に関する問題であります。これは在來の事業目において経営協議会とかいうようなものでやつておりまするものを、生産協議会の名前で、而も大臣は、これによつて労働者の経営参加を法的に認める第一歩であるということを御強調に相成つておるのでありますが、この点は労資共に、又國会としては最も考えて見なければならん、この際イギオロギーでなしに、冷靜に判断して参らなければならない点と考えるのでありますが、私はこの議論と別といたしまして、商工大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、この生産協議会の方式によりまして、いわゆる労働組合の経営参加ということを認めることが、即ち能率を増進する所以である、こういうことをお考えに相成りますならば、お尋ねいたしたいのでありまするが、例えば日本における鉄道或は逓信事業、こういう國家の経営しておりまする團体には多数の労働組合があるのでありまするが、これらとの團体協約のこれは基準と將來なつて行くと考えるのであります。單り官業だけでない、民業にいたしましても、例えば今度指定炭鉱となさらない、軽度の管理をなさる鉱山に対しても、やはり同じようなものとしてこれが引用される、必ずそういうようなものになつて行くだろうと考えるのでありますが、この間の鉄道或いは逓信等のものに対しても、こういう制度が段々考えられ行くということが正しいとお考えになつておりますか。もう一歩進んで大臣にお尋ねいたしたいのですが、商工省にも職員の組合というものがあります。職員の組合が常に大臣或いは局長等の氣に入らない場合にはこれを拒否する、或は又商工省のこれからの行政に対して、常に炭鉱で職員組合と御相談をなさつておることが、果して能率を増進する所以であり社会秩序を維持する所以であり、又産業秩序を維持して行く所以であるとお考えになつておるのでありまするか、この場合のお考えを伺いたい。こういうふうに前後二点に関する御答弁を承りたいと思います。
#44
○國務大臣(水谷長三郎君) 田村さんにお答えいたしますが、私は具体的に一々の山その他に対して数字を示すことはむづかしいんだが、比較して、どちらがどうなるか、或いは生産のカーブがどのくらい上るか、そういうことまでも不可能であるということを、いうたんじやないんですから、その点は一つ、予め御了承を願いたいと思います。それで更に今田村議員の御質問でございますが、終戰後の増産の足取りを見られて、國管にやらなくとも、來年はこれだけになるじやなかという御議論は、これは一應御尤もですが、御案内のように、戰爭の時分に五千万トン出まして、どかつと終戰の時に落ちたんです。滝が落ちるようにどかつと不自然に落ちた、それが或る程度まで上つて行くのは、これは早いのです。併しながらその上り方を同じ生産のカープで上つて行くということは、凡そ考えられないことである、このように考えております。更にさつき申しましたように、我々が五ケ年計画を立てておる時のいわゆる現有設備の生産計画というものは実に微々たるものであります。勿論我々はさきに出炭三千三百万トンといつたのに、カロリーは五千六百ということをいつておりますから、その点は一つお含みを願いたいと思います。今あなたが三千六百万トンというたときに、カロリーは一体平均何カロリーを指していうておられるか知りませんが、恐らく五千六百で三千六百の出炭があるとはいうておられないと私は思うのでありますが……
#45
○田村文吉君 そのつもりで伺つておるんです。
#46
○國務大臣(水谷長三郎君) そういうんですから、その点はなしにして頂きたいと思います。從つて私らはいわゆる國管をなぜならなくてはならんかということは、なぜそれが増産事業になるかということは、これまで本会議或いは委員会で述べて來た通りでありまして、更にその中において、具体的に数字的にどこの山はどうだということを今いえといわれましても、それは無理であるという意味のことをお答えしたのであります。更に又國管ができれば必然的に労働者の騒ぎが起るようにいつたというのは、それは非常な誤解でありまして、先の御質問者の方に、この法案が通れば資本家がサボをやつて、生産が減退になるんだ……、なるんじやないかという御質問に対しまして、私は、そういう考え方ならば、それじやこの法案が通らなければ、労働者の生産意欲の低下が起れば、それはよけい惡い影響を與えるんじやないかということで答えたのでありますから、その点は一つ両方とも仮定であります。お尋ねになつた方が、この法案が通れば資本家のサボが起るということも、これは仮定だと思います。私は必ずしもそういうようなことが起るとは思うておりません。國会が決定した後も反対陣営が相変らず生産のサボをやるというようなことは、現在の日本経済危機、それに対する我々國民の覚悟の上から申しましても、そういうことは起らんと思います。併しながな仮定としてそういうことをいわれるならば、我々も仮定として答えるという意味でいうたのでありますから、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。
 それから第二番目に、恐らく一口に申しますと、田村さんの御意見は、この生産協議会が行過ぎじやないかというように取れるんですが、そう取つていいですか。
#47
○田村文吉君 いや今の問題ですが、その前に、今のお話の中に、何かあなたの先刻のお話の模樣を聽いておると、國管案が通れば資本家がサボるんじやないか、又この案が通らなかつたならば労働者がサボる虞れがあるというようなふうに伺えたのでありますが、あなたのお心持がそうでなければ結構なんですが、若しそういうことを仰しやつたということになりますと、これは私なかなか穏かでない問題だと考えますので、特に御質問申上げたのであります。尚第二の問題は、いわゆる経済秩序を維持するという点から考えて行つて、労働者の経営参加、こういうことを御強調になつておりますが、これは若しそんなことをお考えになる場合には、鉄道、逓信における労働組合との関係経営協議会或いは又官廳における協議会も皆もつと推すことが能率的であると、こういうふうにお考えでありますと、これはなかなか一つの、炭鉱の國家管理問題だけじやなくて、非常に関係するところが大きい、そこで、大臣はこれについてどうお考えになつておるか、こういうことなんであります。
#48
○國務大臣(水谷長三郎君) 先のいわゆる資本家のサボ、労働者の生産意欲の低下は、田村さんがそういうような御深切なる立場から質問されたということに対しては、私は感謝いたします。それに対する私の氣持はさつき申したような点でありますから、その点はお含みを願いたいと思います。
 更にこの生産協議会によつて経営の参加ということをすると、外の又官公或は鉄道、その他に関して皆その経営の参加ということになる、そういうことが果して生産の能率の上に望ましいものがどうかという御質問だと思うのですが、私ははこれはいわゆる働く者の経営の参加ということは、経済民主化の一つの方向としてですね、これは認めなくてはならんのじやないかと思います。ただその経営参加の内容、程度というものは、それぞれの産業、職場の特殊性によりまして決むべき問題でありまして、私はやはりこういう点でやつて行く方が、粉爭を平和的に解決し、又生産能率を高める所以であろうと思います。ただその石炭企業における生産協議会としてですね、我々が考えておるこの内容がそのまま外の産業に行くという工合に考えておりません。先程繰り返して申し上げましたように、石炭企業においては、機械力二割五分に対して労働力七割五分であつて、非常に労働力の比重が多い、而も石炭を緊急増産をするためには、説明の場合においても繰り返し申述べましたように、いわゆる労働力の振興ということが非常に大きなのでありまして、これは現段階における石炭企業の特殊事情の下において、我々は生産協議会という構想を考えたのでありまして、この生産協議会の構想がそのまま何らの変更なしに、外の産業、職場に拡まつて行くという工合には我々は考えておりません。
#49
○田村文吉君 今生産協議会の問題につきまして、これ以上議論に亘ることをお尋ねすることは遠慮いたしたいと考えますが、ただ私はこれに対して、職員組合は、これは労働力百パーセントでお働きになつておる仕事なんであります。今度の國管案というものが、能率増進のためにお考えになつた組織であるならば、この生産協議会というものも、その意図によつてできた生産協議会である。そうするればあらゆる官業であるところの労働組合との関係も、こう行くべきだと結論がなつて來る。そこで若し商工省の職員組合の諸君が、商工大臣に向つて、こういう團体協約を作つて下さいと申し出た場合に、商工大臣はこれをなさらなければならないような羽目になるんじやないか、そこで私は、そういう場合にどうなさいますかと、こういうことを伺つたわけであります。そういう商工省の職員組合と、炭坑の生産協議会と全然違うのだ。どういう工合に違うかということについてのはつきりしたお考えがありましたら伺いたいと思います。
#50
○國務大臣(水谷長三郎君) いわゆるああいう地下労働における炭坑労働者と、そしていわゆる私的企業の経営者との間に結ばれる團体協約と、そして政府の官廳と、その下に働く官吏との間に結ぶ團体協約は同じものであるとか、或いは同じものでなくてはならないということは、むづかしい説明を加えなくても大体その御了解が願えるのではないかと思うのですが。
#51
○田村文吉君 これ以上は議論になりますから、これで止めておきます。
#52
○大畠農夫雄君 私は過日石炭視察團の一員といたしまして、現地に実地調査に参つた者でありますが、大、中、小の炭坑は齊しくこの石炭用資材と、石炭企業資金の不足ということを訴えておつたのであります。勿論この管理問題につきましては、労働者の出炭意欲、これはまあ別といたしまして、それを抜けば、資材の優先的配分と資金の重点的処理、この二つの帰結するのであります。そういたしまして、先ずその資材の優先的配分ということも、勿論資金に関連するのでありまして、この資金の面でありまするが、私達理論の構成からいたしまして考えなければならんことは、資金の重点的処理ということはどういうことであるか。つまり企業者の自己の計算においてなされるようにする処理を重点的処理とするか。又は國家の補助、援助、國家の責任において資金を與えるということが、重点的処理か。それをちよいとお聽きしたいのであります。
#53
○國務大臣(水谷長三郎君) それは私の説明の言葉でしたら、どの点をお尋ねになつているのですか、もう一度……。
#54
○大畠農夫雄君 つまり石炭企業資金の重点的処理ということです。これが炭鉱屋さんが自分の自己の計算においてなされずにするか。又は國家が全般的に補助するか、或いは貸し付けるか、こういうことなんです。貸し付けるか、補助するかということなんです、重点的に処理するということは。
#55
○國務大臣(水谷長三郎君) 企業形態が今度の國家管理法案においても、企業形態が変更されないものだから、その責任の帰属というものは、飽くまでも企業にあるのであつて、國家がそれに只で金を貸すとか與えるとかいう考えは毛頭持つておりません。
#56
○宿谷榮一君 数次の商工大臣の御答弁で、今回の國家管理法案は、本法は増産が根本的な目的であるということの御説明を伺つておるのでありますが、ここに我々先般來頂戴しております管理案の法案の内容を見ておりますというと、要するにこれは組織機構だけの法律でありまして、全く物を増産するという具体的の内容がこの中に盛られていないような感じを抱いているのであります。一部生産協議会或いは管理委員会というものはありますが、これはもう、一つの機構組織に過ぎないのであつて、かくして増産をして行くのだというような内容を、かようなものを生産するという法律を定める場合には。この中にお加えになることが、我々も安心して協議ができるという感じを抱くのであります。こういう点がこの中から十分酌み取れない、実は感じがしたのであります。尚先程來お話を伺つておりますと、労働力が七五%の労働力に頼るということでありますが、これを施行することによりまして、労働者の生産的意欲というものの裏付けが何によつて出て來るか。又経営者の、これに應じてサボをせずに進んで行く利益というものがどういう所に含まれているか、單に國家管理になつたからというだけであつては、労働者の生産意欲が生じて來ないと思いますが、現実の問題は、労働者の生産意欲、即ち働くことにおいての一つの樂しみと希望と熱意とにおいて、労働力の充実更生が生じて來る、かように我々は考えておるのであります。この中に、單に経営の中に参加するということだけであつて、労働者の生活の充実、生活の水準を上げて行くというようなことが、十分な御説明はまだ伺つておらないのであります。この点を商工大臣のお考えを一つ御答弁願いたいと思います。
#57
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御質問誠に御尤もで、この國家管理法案は、いわば組織法でありまして、これの裏付けは、これまでの構想から申しますと、官業公團というもので裏付けをしようと思つておりましたが、これは諸般の事情によりまして、実現が不可能になりまして、そのあらましの構想は、前の委員会で述べたようなものでありまして、それを併せて一本としてお考えを願いたいと、このように考えております。而してこの法案通過の曉におきましては、マッカーサー元帥の書簡に示された六つのいわゆる政策をば、労資双方の協力によつてやつて行くということが、これ亦絶対要請とされておるのでありまして、かくして労資双方のいわゆる経営意欲、或いは勤労意欲を振起せしめまして、今あなたの御質問になられた点をば実現さして行きたいと、このように考えておる次第であります。
#58
○大屋晋三君 私はこの本案の審議に当りまして果して、この法案通りやることが増産になるか、或いは從來の行き方にもろもろの改正を加えて行つた方がよろしいかという点、それから又この法案の逐條乃至、この文句の使い方、あらゆる点に対して皆さんの質問を傾聽しているのでありますが、大臣も皆さんの質問でお疲れでしようから、最後にただ一点お伺いしたいと思うのであります。
 この質問は甚だ意地の惡い質問のようにお取りになつて貰つては困るのですが、大臣は先程來、責任は商工大臣が負うと、こういうことを仰しやられたのですが、成る程大臣結構でありますが、この法案を通覽して見ますと、どこにもこの石炭局長なり、或いは石炭廳の長官なり、或いは大臣が責任を負うという明確なる規定がどこにも見当らない、即ちいつでも、或る種の法案を審議して、それが実施されて、これが惡法であつた場合、或いは地方の自治体において、市町村において、或る種の取り決めをして、それを実行に移した場合に、それが惡法であり、惡い施設であつた場合に、その損害を被る者は時に人民であり、時には会社であるというようなことがあるのでありますが、苟くもこの石炭の、最も重大なる問題に対しまして、我々がこの議院で審議いたしますにつきましては、ただ現政府がこの増産にこの方がなるなんと言つただけでは我々は満足できない、それをやつて見た結果が惡かつた場合に、誰が責任をとるか、その責任を商工大臣がとると仰しやられても、水谷さんはどういう氣持でその責任をおとりになるか、そこのところを、甚だ私はあなたに惡い意味で質問するのではありませんから、一つフランクに、どういうつもりで責任をおとりになるか、そこを聽かせて頂きたい。
#59
○國務大臣(水谷長三郎君) 大屋さんのやつは少し出発点に誤解があるのじやないかと思います。いわゆる全國炭鉱管理委員会を決議機関にすると現在の憲法その他における國務大臣としての責任、いろいろの上から疑問があるという意味のことを言つたのです。さつき私の責任という言葉は、そこで、それはともかくといたしまして、國家管理をやるというときには責任が國家にあることは。これは明らかなんです。原則といたしまして、國家管理をやつてそれがうまく行かなければ、責任は当年國家が負わなければならんということは、はつきりしておるのでありますが、それでまだ言い足らないでしようか。
#60
○大屋晋三君 むつかしいでしような。
#61
○委員長(稻垣平太郎君) それでは今日は商工大臣に対する御質疑はこの辺で打切りたいと思いますが、如何でございますか。
#62
○委員長(稻垣平太郎君) それでは今日は質疑をこの程度で打切りたいと思います。有難うございました。
 それでは質疑はこの辺で打切りまして、先程開会当社申上げて置きました公聽会の件を続いて御意見を承りたいと思うのでありますが、先程は衆議院と御一緒に合同でやることにしたらどうかという御意見と、参議院で別な立場で公聽会を開いたらどうかという御意見と二つあつたように存じておるのでありますが、この点御質疑をするために中止いたしまして後に残したのでありますが、この点について皆さん方のもう少し御意見を承りたいと存ずるのであります。
#63
○宿谷榮一君 能率的に考えますと、衆議院と同調して衆議院の方で伺うということになりますが、この法案は非常に重大な法案でありまして、我々といたしましても、これの審議を進めて行く上に万全の愼重な態度で審議を進めたいと思うのであります。從つて参議院は獨自の立場から、又衆議院で選ばれた以外の方面の学者等も網羅いたしまして、一般輿論を聞くということも相当重視しなければならないと存ずるのであります。從つて会期の許される限り、参議院は別個に公聽会を開くことを私は切に希望するわけであります。
#64
○入交太藏君 私も今の宿谷さんの御意見と同じわけでありまするが、できれば衆議院と別にその方法なり、又会合いたしますメンバーなども変つたメンバーにいたしまして、できれば独自で参議院はいたしたいと考えます。
#65
○委員長(稻垣平太郎君) 只今参議院は独自の立場でやつたらどうかという御意見が相当出ておるようでありますが、それで取決めましてよろしゆうございますか。
#66
○委員長(稻垣平太郎君) そうでないという意見がありましたが……。
#67
○下條恭兵君 私どもは時日も切迫しておりますから合併でやつたらどうかと思います。この場合一日ぐらい公聽会の日数を延ばしまして、参議院の方の必要とするような角度からの意見を聽取することもできると思いますし、いずれにしてもこれから参議院が新たにやると言えば、衆議院よりも一週間ぐらい遅れて來ると思うので、いろいろな点で会期も切迫しておることでありますから、そういう方法を取つて貰うことが衆議院側で可能ならば合同でやつても聊かも差支ないと考えます。
#68
○委員長(稻垣平太郎君) 中川さん、さつき御意見がありましたようでありますが……。
#69
○中川以良君 私は今の衆議院のお話はどの程度に進んでおるか知りませんが……
#70
○委員長(稻垣平太郎君) 先程申上げたような程度に進行をいたしております。
#71
○中川以良君 こちらは一緒にいたしまして発言権を持ちまして、例えば呼ぶ人あたりの選択もただ衆議院に委してしまうのでは無理だ、衆議院の希望も十分採り入れられまして、そうして合同に同調して行くならばいいと存じます。然らざる以上はやはり單独にこちらで開くべきだろうと思います。
#72
○委員長(稻垣平太郎君) 川上さんどうですか。
#73
○川上嘉市君 中川さんと合じでございます。別に大して意見はありません。
#74
○宿谷榮一君 この公聽会は私は衆議院とダブりましても廣く輿論の実相を酌み取るということがこの本來の目的になると思います。参議院が別の角度から又別の人々を選んでやることは、要するに幅廣く意見を聞くことができるという意味において、私はこちらが別にやるということを主張するだけなんであります。成るべくできるように一つ御配慮を願いたいと思います。
#75
○委員長(稻垣平太郎君) 如何でしよう、下條さんそういう御意見がありますから、皆さん成るべく御意見が、致した方がよいと思いますからどうでしようか。
#76
○下條恭兵君 結構であります。
#77
○委員長(稻垣平太郎君) それでは皆さんの御意見が参議院は独自でやるということでありますから、参議院は参議院として公聽会を開くということにいたしたいと思います。
 そこでどういう人たちを呼ぶかという問題、それから日にちの問題、大体日にちは先程衆議院の例で行きますと、まあ十五六日で済むのじやないかと思いますが、衆議院が十三日から十六日まで開くようでありますが、それに前後することに……これより少し遅くなるかも知れませんが、その辺の日にちですることにいたしまして、どういう人を呼ぶか、そういう辺の問題について御意見を承りたいと存じます。
#78
○下條恭兵君 昨日衆議院と同調するか、或いは開く必要のないということを言つた委員は今日は余り見えておりませんので、何ですが、この別個に開くことに反対だつた意見の中の大部分が特に審議を遷延させるための手段でもあるかの如くに國民から誤解を受けることがないようにというようなことを論拠にしておる意見もあつたようでありますから、開くとなりましたならば特に手続を早めまして衆議院と前後して開かれるように、急速にお手配を願いたと思います。
#79
○委員長(稻垣平太郎君) 速記を止めて。
#80
○委員長(稻垣平太郎君) 速記を始めて。それでは公聽会日取、それからして口述人の数、並びにその選定につきましては委員長及び理事に御一任を願いまして差支ございませんか。
#81
○委員長(稻垣平太郎君) それではさよう取計らいたいと存じます。今日はこれで閉会いたします。
   午後三時四十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           清水 武夫君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           平岡 市三君
           堀  末治君
           入交 太藏君
           林屋亀次郎君
          深川榮左ェ門君
           小宮山常吉君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   商工政務次官  冨吉 榮二君
   石炭廳長官   菅 禮之助君
   石炭廳次長   吉田悌二郎君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
ソース: 国立国会図書館
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