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1947/10/07 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第11号
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1947/10/07 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第11号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第11号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○亞炭採堀中止に関する陳情(第六十
 七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○石炭國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣送付)
○亞炭採堀中止に関する陳情(第三百
 五十号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する請願(第二百三十三号)
○亞炭増産に関する請願(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損失補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月七日(火曜日)
   午後一時三十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公聽会に関する件
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する請願(第二百三十三号)
○石炭非常増産対策要綱に関する件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより開会いたします。本日はさきに閣議で決定に相成りました石炭増産非常対策要網の説明を願いまして、続いて商工大臣に対する臨時石炭鉱業管理法案の質疑を継続いたすことにいたしたいと存ずるのでありますが、その前に二、三御報告なり御審議なりを仰ぎたいと存ずる次第であります。
 先ず第一にこの前の委員会で御決定を願いました公聽会の問題でありまするが、その公述人その他のことにつきましては、委員長並びに理事に選定その他につきまして御一任を受けましたので協議いたしました結果、衆議院におきましては四十二人の公述人を決定いたしたようでありまするけれども、衆議院におきましてはこれを二十二名にいたしまして、その内容を次のように決めたいと存ずるのでありますが、それは推薦によつてお願いする公述人は現場の担当者といたしまして経営者側から四人、労務者側から四人、計八人をお願いする、それはそれぞれ石炭鉱業会、全炭協に御推薦を願うことにいたそうと思つておるのであります。それからその次に学識経驗者、これも労資各二名ずつそれぞれ石炭鉱業会、全炭協から推薦を願おうと存じておるのであります。それから新聞報道人から四人、これは日本新聞協会へその推薦方を依頼いたしまして、そうしてでき得れば賛否各二名ずつの方に出て頂くということにいたしたい、かように考えております。それから公募の方は一般人から六人ということにいたしまして、計二十二名、期日はこの十六日と十八日の両日ということにいたしたいのであります。衆議院におきましては尚関連産業部門からも公述人を出して頂くことになつておるのでありますが、この部門は資金なり或いは資材なりの関連でありますが、直接石炭増産の如何に影響を受ける部面でもありませんので、多くの人を集めるよりも、少い数で実際的な御議論を願つた方が我我の参考となると存じまして、数を二十二名といたしたわけであります。この公聽会に関しまする案につきましては、議長にその承認を願い出たのでありますが、昨日の議院運営委員会におきましては、私も出席いたしまして、この公聽会につきましての説明をいたしたのでありまして、本日議長よりこれを許可するということに相成つたのであります。ただ公募の方の人につきましては、この公募の中からどういう人を選定するかといつたようなことは、尚應募者が定まりました上で当委員会にお諮りをして決定いたしたい、かように存ずる次第であります。この点別に御異議がなければ、私が只今申上げましたような順序で進んで行きたいと思いますが、それでよろしうございましようか、御異議ございませんか。
#3
○委員長(稻垣平太郎君) それでは御異議ないものと存じましてこのように取計ろうことにいたしたいと存じます。
 次に御協議を願いたいことは、鉱業小委員会に審査を付託いたしました北海道における家庭燃料の價格に関する請願につきまして、下條小委員長から報告方を求められておりますので、これを許可いたしたいと存じますが、よろしうございますか。
#4
○委員長(稻垣平太郎君) それでは下條委員から御報告を願います。
#5
○下條恭兵君 十月の四日に鉱業小委員会を開催いたしまして、北海道における家庭越冬用燃料の價格に関する請願、請願の二百三十三号でございます。これを審議いたしまして採択することに決定いたしましたので、以下審議の経過を御報告いたします。
 先ず請願の内容を申上げます。煖房用燃料は北海道冬期における道民生活の絶対必需品であることはいうまでもないことでありますが、最近における石炭及び薪炭の大幅價格引上げにより、一世帶の平均煖房用燃料費は約八千七百円に達しておるのであります。而もこれは配給分のみの計算でありまして、冬期諸計費の嵩む時期にかような多額の失費は到底一般消費大衆の負担できないところで、現に配給実施分に対して購入不可能を申出るもの続出の状態であります。よつて石炭につきましては國庫において適当額の補償、即ち重要産業並びに一トン六百円程度を國庫において補償して貰いたいということ、次に薪炭については政府の買上價格と消費價格の幅を縮減すること、かような措置をなして道民の生活を安定して貰いたい、こういうのでございます。
 問題は、現行の價格体系の根本にも影響するところでありまして、簡單に可否を決定できないのでありますが、北海道におきまするところの冬期の燃料事情は、全く特殊なものであり、又全國画一的な消費者價格には尚再考の余地がありますので、更に又薪炭の價格差につきましては、單に一北海道のみの問題でもありませんので、以上の諸点を勘案しますとき、一應本委員会におきまして請願を採択して、政府の善処方を促すのが適当と存じた次第でございます。この問題につきましては紹介議員でありますところの堀議員に出席して頂きまして、北海道鉱工業の事情を詳細御説明願いまして、以上のように決定をした次第であります。右御報告いたします。
#6
○委員長(稻垣平太郎君) 只今の下條小委員長からの報告は、懸案の請願を採択すべしということでありまするが、採択について御異議はございませんでしようか。
#7
○委員長(稻垣平太郎君) それでは御異議ないものと認めまして、そのような手続を計ろうことにいたします。次に請願が参つておるのでありまするが、一つは亞炭増産に関する請願、紹介議員は小杉、岡田、安達三氏でありまして、亞炭増産に関する陳情に相成つております。
 次に西郷議員の紹介で亞炭公團を即時廃止することに関する請願が出ております。この二つの請願につきましてはこれを鉱業小委員会に付託することにいたしたいと存じますが御異議ございませんか。
#8
○委員長(稻垣平太郎君) それではそのように取計ろうことにいたしたいと思います。
 それから次に陳情書といたしまして石炭生産損失補償金支拂促進に関する陳情、これは日本石炭鉱業会長から出ておるのでありまするが、これは前例にならいまして、石炭小委員会と鉱業小委員会の連合で御審査を願うことにいたしたいと存じまするが、如何でございましようか。
#9
○委員長(稻垣平太郎君) それではそのように取計ろうことにいたします。
 次に大臣は今暫く経ちますとお見えになるそうでありまするが、その前に先程申上げました石炭非常増産対策要網についての御説明を石炭廳生産局長から承ることにいたしたいと存ずるのであります。お手許に要網案はお配りいたしたと存じまするが、これについて尚口頭の御説明を得たいと存じます。
#10
○政府委員(渡邊誠君) それではこれから石炭非常増産対策要網について御説明を申上げます。
 先般マッカーサー総司令官から総理大臣に宛てられて書簡に應え、政府の今回それに基いて決定いたしました非常増産対策要網について御説明申上げます。
 第一の基本方針のところでございますが、「石炭増産に関する最重点主議は今後に於ても引続き一層確実迅速に推進する。特に既定の施策の実績を檢討し不徹底且つ不充分な点は各所管官廳に於て責任を以て急速に改善実行する。」これは基本方針の第一は從來からも進めて参りました。石炭鉱業に対しては資材資金その他のすべての生産に必要なる條件を、この苦しい國力の中から、最重点主議を以て賄つて來た、それを今後も確実に実行を継続するということを改めてここに断つておるのでありまして、從來もその通りでございます。ここにただ一層確実迅速という字がございまして、今までやつていたよりももつと、ただ実行ができたというだけでなく、資金が石炭鉱業に何程か決定されたのが、迅速に山元に到達する、或いは設備資材その他が山元に到達するという時間を早めるというようなことについて、今まで以上の努力をする、それが確実迅速という言葉で表しておるわけであります。こういうふうに「特に既定の施策」以下のところのことでございまするが、これは例えば一つの例の考え方として申上げますると、炭鉱に対しては平均食糧を、主食を本人の六合、それから家族に三合の主食を供結いたしております。その外に特に時間を延長する、或いは生産に対して非常な努力をした場合は、さぞ腹が減るであろうというので最後の上り際には、一時間も延長するときには間食を食べる、そうしてもう一度働く力を出して欲しいという、努力する人のために感謝をして、又力づけるという意味で一合に相当する甘藷というものが炭鉱に対しては支給されるということに既に決定して実行されておるわけであります。
 例えばそういうものが順次その根本の精神を失いまして、やはり貰えない人はぐずぐず言う、或いは欲しいためにそういう根本の精神を崩して、目的と違う人なんかにも配るためにそのようなことになつておる現場もあるように思われますので、そういうような点にそれぞれの、それを監督し、或いはそういう責任を持つておる官廳或いはその山元の経営者側、或いは労働組合自身の反省を促すというようなこともせねばならん、又從來からのやり方が中央で以て考えたのと、地方の官廳で考えたのと違つて、現場で実情に即すというやり方をやつておる。そのやり方というものは一律に中央で決めた通りではいけないので、山としてそれぞれの実情に即した最も特別な施策が能率を挙げるということは、炭鉱に委せる、或いはその地方の商工局というような、監督、或いは指導する官廳に委しておつたのでありまするが、そういう点についても、勿論現場として最もいい能率を挙げるように改善して、中央の方針をうまく展開して行くというのではなくて、そういうことを逆に却つて改惡になるような轉換の仕方をしておるというようなものもないではない。こういう際に一つ十分檢討いたしまして、そういう点の中央の精神、或いはその目的に合わないような不徹底なところを是正したい、こういう意味でありまして、それに基づいて中央側としても反省すべきものがあれば反省をいたしたい、こういうことでございます。
 第二は「我が國経済の実勢に鑑み現在の物價並びに賃金水準はあく迄これを堅持するものとし炭價の引上は当面これを行はない。從つて経営の收支均衡、労働賃銀の増收は、專ら炭鉱経営の徹底的改善及び生産効率の向上による生産の増大によることとする。」これは経済安定本部の方で、その根本のところは御説明されるべきものだと思いますが、ここで一應私の方から書いてある言葉をそのまま……もう御覽の通りだと思いますが、多少御説明申上げるとすれば、最初に書いてございます通り、現在の我が国の経済状勢に鑑みて、炭價の引上げは差当り行わない、現在の炭價のままで行きたい。従いまして炭價の方が現在のままで引上げを行わないといたしますると、若し現在赤字を出しておるというような山があるならば、経費を切り詰めるとか、或いは生産能率を上げるということによつて、收支の合うようにして行かなければならん。同時に労銀の点につきましても、現在のままでは、生活が仮りに苦しいといたしますと、生活費を生み出すという方法はないのではなくて、生活費を生み出す方法としては、どうか一層の技能の向上とか、或いは作業意欲の昂進と申しますか、もつと頑張つて、そうして能率を上げることによつて收入を殖やしてどうか賄うようにして欲しい、そうしなければ炭價を引上げる、或いは労働賃銀を引上げることによつて炭價を引上げるということになる。まあその前提として炭價の引上げは当面行わない。それじやどうするかということを公團の方で説明しておることになるのであります。
 第三は「生炭能力を最高度に発揮せしめる爲坑内設備及労働力の充実、労働規律の確立並びに廿四時間制の完全実施を強力に推進する。」これは一度に沢山のことが盛り込んでございまするが、結局出炭能率を増加して行くという根本は、何と申しましても設備を改善して行くというのが根本でございますので、設備の改善のために、機械或いは修繕資材、或いは新たに発展するための設備資材というようなものを、十分この乏しい中からも炭鉱については十分送りつけるように、一つ充実を図るように、強力に推進いたしたい、同時に労働力の充実、これは後の方で順次出て参りますが、結局労働力と申しますものの充実は、全体の労務者の在籍数を殖やすという方法と、炭鉱の場合、その他配置轉換による労働力の充実と二つでございますが、大体ここで申しておりますやり方は、現在の住宅その他がなかなか増設できないという現状から申しまして、現在の又炭鉱の実情から申しまして、坑内労働力というものがもつと充実されなければいけない。それによつて生産能率が上るというような意味から、坑内労働力の充実ということを狙つておるわけであります。労働規律の確立と申しますのは、これは読んで字の通りでございまするが、現在やはり終戰後の各種の敗戰のどん底から起ち上る際に、現場の職員というようなものが非常に力が弱くなつて、現場における各種の保安に関する規律、或いは生産に関する規律というようなものが守られなくなつて來ておるという現状もある。又八時間の仮りに労働時間といたしまして、その時間内に時間一杯働らく、一應適当であるなしは別として、一應の賃金というものが決定されて、そうして約束されておるに拘わらず、その時間に十分な時間一杯の責任を果さないというような場合も、或いはそういう人もあるというようなことで、就業規定というようなものを設けて、そういうことを確実におのおの責任を果して行くというようにいたしたい。特に保安の問題に関しては、本当に人命に関するような問題も炭鉱においては伴なうから、特にこの規律を確定しなければならない。
 それから最後のところにある「廿四時間制の完全実施」ということになつておりまして、大体三交代制を布く、こういうことでございます。大体の現状といたしましては、三交代というのが炭鉱としては能率のよい形でありまして、切羽の掘場を空かさない、切羽を空けておりますと、天井が落ちるとか、緩むとか、いろいろな危險も伴なつて参りますし、同時に掘場を壊されてしまうというような虞れもございますので、切羽を空かさないようにして、常にあの炭鉱の作業の如きは、切羽の保持というようなことをやつて行くのが最も能率がよいわけでありまして、そういう意味で三交代制を実施いたしておりまするけれども、やはり三交代制とは申しまするけれども、必ずしも二十四時間制と申しますか、或いは二十四時間実労働を三交代でいたしておるというわけではないのでありまして、又そういうことを一部でやつておる山も、その六割くらいの中にはあるわけでありまして、普通の考え方から申しますと、四割程度の山に実施を新たにする。二交代の山も三交代にするということになつております。これを強力に推進して行く、「高能率を発揮する労働者特に坑内労働者を優遇する爲給與其の他の処遇について特別の措置を講ずる。」これは書いてある通りだと思いますが、今度の書簡に應えて、増産を図るという根本的に大切な点の一つといたしましては、坑内労働の充実ということが一番大切な点でありまして、あの坑内の作業というものは、御承知のように普通の地上労働と違つて、なみなみならん労働でありますので、これに対して相当以上の、特別な、坑内に働らくという氣持の起るような姿にして行くということが必要であると考えられまするので、坑内の労働者に対しては特に給與その他の処置を講じて特別の処置をして行きたい、尚坑内に限らず非常に高能率を発揮した、又しておるような労働者諸君に対しては、特別の感謝の意味で又激励の意味で給與その他の特別の処置をして行く、こういう四点によつて、大体の方針が構成せられて行く、こういうふうに思つております。これまでにしておきます。
#11
○委員長(稻垣平太郎君) 尚只今渡邊局長から御説明を伺つておる途中でありまするが、商工大臣が見えましたので、商工大臣、時間の御都合で、余り時間を長く割いて頂けないようなでありまするから、生産局長の御説明は後でお伺いすることにいたしまして、一應これで打切りまして、そしてこの前からの継続の質問をお願いするということにいたしたらどうかと思いますが、よろしうございますか。
#12
○委員長(稻垣平太郎君) それではそのようにいたしたいと思います。それでは前回に引続きまして、臨時石炭鉱業管理法案の質疑に移りたいと存じます。
#13
○小林英三君 商工大臣に御質問申上げまする前に、私は大臣に希望したいことがあるのであります。前回の我々の質問に対しまして大臣の答弁は、ややもいたしますると、的を外れた答弁であります。それから非常に私どもは………水谷商工大臣はそう思つていらつしやいませんでしようけれども、我我はどうも答弁が神経質的になつておるような感じがいたします。又議員の質問に対して揚げ足を取られるような傾きのあつたことを甚だ私ども遺憾と思います。我々は石炭の増産ということにつきましては、眞劍に議員の本分を全うして、將來この國管案を中心として如何にしたならば石炭を増産できるかということを眞劍な態度で我々は審議しております。先般の平岡議員に対する大臣の答弁の如きは、私は揚げ足取りではないかと思います。平岡君は、石炭の増産ということが國管問題に関連して具体的の案があるかどうかということを質問した。それに対して大臣は、反対の揚げ足取りのようなことを言つておられた。私は若しそれが具体的の案がないならないでよろしいから、國管問題に対してはこういうような利益がある、こういうように増産が上がるということは、具体的でなくても答弁して然るべきじやないかと思う。我々はこの問題に対してはどこまでも眞劍でやつておるつもりです。例えば私が質問いたしましたにつきまして、全く的の外れた答弁であります。私は國管問題に対する大臣の本会議におけるこの説明を見まして、國民の犠牲を拂つても資材資金の面において打ち込みたい、それにはこれを現場においても把握したいということを言つておられる。それはよく分つておる、分つておるが、把握するには別に監査の方法があるのじやないか、何が故に國管をして監査することが目的か、或いは増産が目的か、その監査することだけならば、外の方法があるじやないかということを聽いたのでありますが、大臣の答弁としましては、確か、本当に必要な國にないような資材や資金を注ぎ込むんだから、それを掴むためには國管をやるのだという答弁しかなかつた。その方法が外にもありはしないか、方法は幾らもあるのじやないか、併し何が故にそれがために國管をするのだということを私は御質問した。平岡君の質問に対して又後程その質問に関運した質問がありましたが、私の第二段にお伺いしました質問も、大体それに似ておるのであります。成る程國管をしたならば、具体的にこういう増産が起るということは言えなくても、それでも今まで戰時中には、現に月に四百万トンも出ておる実績がある、これは國管じやなかつた、今までのやり方で四百万トン上つて來た、戰時中でも三百五十万トン平均上つておつた。ところが終戰後において非常にそれが落ちて來た。その落ちて來た理由というものは、私はこれはこの間御質問の中に申上げましたように、資材が十分に廻らない、或いは資金が十分に廻らない、或いは労働者の待遇云々というようないろいろな原因があつた。國管では確かに増産できるという実績がなくても、今までのやり方でやつて行けば、実績はあつた、年に五千万トンの実績があつた。その惡い部面だけをぶち込んで行けば、國管にしなくても増産が上がるじやないか、それに対する大臣の御意見はどうかということを私は質問したのですが、極めて的の外れた御答弁であつた。我々は議員としてこういう重要な問題を審議する上におきましては、初めからこれに反対するという態度で臨んでおるのではなく、愼重な態度で臨んでおる。それに対しては大臣として、責任者として、もう少し愼重な態度で答弁して貰いたいと私は思う。このことを最初に私は水谷さんに御希望申上げたいと思います。私のこの間の質問に対しまする的の外れたと考えておりまする点について御答弁願いたい。
#14
○國務大臣(水谷長三郎君) 戰爭中にあれだけ炭が出ておつた、而もそれは國家管理でなかつたが、あれだけの炭が出ておつた、別に國家管理をやらなくとも、あれだけの炭が出るのじやないかという小林さんの御質問の点ですが、これは御承知の通り戰爭中の労働というものは、主として朝鮮の人なんかを中心にいたしまして、憲兵政治の下の強制労働というようなものが行われておりまして、それに反したならば、直ぐに生命もあぶないというような強制労働が行われておつた。新らしく憲法が変りまして民主主義の世の中になつたときに、戰爭中にやつておつた強行生産というようなものは、これは絶対できないのでありまして、労働組合も組織されまして、その力も相当強くなつて行く、こういう場合におきまして、戰爭時分の強制労働でできたことをば、何らの工夫なしに今の時代にそれだけ働かすということは、これはなかなかむつかしい問題ではないか、このように私は考えております。更に又監査だけでいいじやないかということですが、これは勿論今度の國家管理法案におきましては、指定炭鉱と一般炭鉱とがありまして、いわゆる監査といなものは全部の山に行うことになつております。併しながら現在の経済事情の下において、資金、資材、食糧、その他の点が絶対的に欠乏しておるときに、計画的な生産をやらなければ、重点生産が行われないという今日におきまして、單に監査だけで小林さんの仰しやるような目的が達せられ、生産の増強ができるかどうかということは、これは大いに疑問ではないかと思うのであります。即ち現在のいわゆる乏しい経済事情の下におきまして、資金、資材、食糧その他が絶対的に不足である場合におきまして、石炭に対する最重点の施策をやつて行く場合におきましては、御説ではございまするが、監査というものだけでその目的を達するということは、これは絶対に不可能ではないか、このように考えております。
#15
○深川榮左エ門君 考えて見ますと、終戰後我が國の労働組合法が制定せられまして、我々産業界はいわゆる労働攻勢が非常に頻発されたのであります。そうしてやはり我が國産業は労働攻勢によつてかなり労働者と資本家の対立が非常に激しくなつたのであります。その後二ケ年たちまして、資本家の方も、今まで通りのいわゆる利潤追求ではいけない、或いは労働者の方も、爭闘一本ではいけないということになりまして、お互いに助け合つて日本の再建のために努力しようじやないかという精神が燃え上つたのであります。石炭増産協力会議におきましても、たまたま事業家と労働者はお互いに三千万トンの確保に努力しようということで、手を握り合つて、お互いにその増産を決議したのであります。そのときに当りまして、いわゆる炭鉱の國管問題が起きたのでありまして、折角事業家も労働者も増産に向つて懸命に努力しようというとたんに、いわゆる國管問題が起きたのでありまして、それを契機に事業家の方とそれから從業員の方とは又相反目した形勢に立ち至つたのであります。それでこの國管問題が、いわゆるその増産ができつつあるときに國管問題が起きたのでありまして、それが本当に増産のためか、或いは社会主義のイデオロギーのためかというのがはつきりしないのであります。どうしても今後のいろいろの点を審議するにつきましても、その点を先ず一つはつきりして、もう一遍お伺いしたいと思うのであります。
 それから炭鉱におきましては、労力が七分通りかかつておる、後の三分がいわゆる機械力その他の力であるということであります。まあ炭鉱は七分通りは労働の力であるましようが、それだけ労働の力を要すると言われるのであります。又資本家の方の精神的の一致も必要であろう。いわゆる労資の精神的な結合によつてのみこれは増産ができるのではないかと思うのであります。いわゆる労働者のみでもいけないということは明らかでありますので、只今の國管問題は、資本家はそれに反対しておるのでありますから、その辺をもう一度、労資の精神的結合の必要である点を強調して、それに対する商工大臣の御意見をお伺いしたいと思うのであります。
 それからたとへ國管問題におきまして、國管が通過しまして、そうして当面は増産ができるとしても、それが月日をたつに從つて、從來の鉄道や或いは逓信と同じような工合に、やはり能率が下りはせんかという考え方があるのでありまして、その点も商工大臣としての所信をお伺いしたい、その三点に対して伺いたいと思います。
#16
○國務大臣(水谷長三郎君) この法案は、繰り返して申しましたように、社人党のイデオロギーに出発したものでございません。これは飽くまでも増産を目標としてやつて來たものでありまして、私はこれは繰り返し繰り返し説明しておるのです。然るに拘わらず、相変らずイデオロギー、イデオロギーと言われるのは、これはざつくばらんに申上げますならば、そういう質問せられておる方が、又別のイデオロギーの立場からそういうようなことをしつこく言われるのではないかと思つて、私は遺憾であると思うのであります。私はこの法案説明の場合におきましても、いろいろの場合におきましても、この法案は増産のためであるということを言つております。若しイデオロギーであるということを言われるならば、例えば、これは社会党の去年の大会で決定いたしましたように、國有國営を前提としておる國家管理ということをやるならば、イデオロギーであるということを言われても、これは差支えないし、又我々もそれを甘受せねばならんと思います。ところが片山内閣成立に先だつ四党政策協定のときにおきまして、いわゆる基礎産業に対して必要なものは國家局理を行う、更に又六月十一日に発表いたしました緊急経済対策におきまして、私企業において責任の取れないものは、國家が直接責任を取る形態を取るということを言つておりますので、その線でこういうことをやつたのでありまして、これはもう素直に、イデオロギーの問題ではない、いわゆる増産のためのものであるということを、素直に一つ御了解を願いたいと、このように思つております。
 それから第二の問題でございますが、成る程炭鉱資本家が反対されておることは、我々もよく承知をしておるのであります。併しながら膝つき合せい話しますときに、炭鉱資本家全部の方が反対しておられるというわけには、我々に経驗によつても、取つてはおらんのでございまして、幸いこの法案が通過いたしました曉におきましては、賛成者、反対者、そういうようなものは、一切過去の立場をさらりと流して、一つこの最高の國家意思の決定機関である國会の決定に服從して頂く、そのためには政府といたしましても、過去において反対されておつた人に、できるだけその誠意を披瀝いたしまして、その御協力を願うという、その立場に立ちたいと思います。繰り返して申しますが、民主主義の時代でございますから、賛成、反対、これは自由でございます。併しながら一旦國家意思の最高の決定機関である國会が決定いたしまするならば、それに対して國民が全部素直に服從するというところに、私は民主主義のよさがあり、又民主主義國家における國民のいわゆる義務があるのじやないかと、このように考えておる次第でございます。
 それから第三の問題でございますが、これは五ケ年計画を前に発表いたしましたときにも、御案内のように、月日を逐うてこれはその生産のカーブを上げて行くことになつております。よく志免炭鉱の場合であるとか、或いは鉄道、或いは逓信の場合を例に取られて、よくいろいろこの法案を非難されるのでございますが、この法案は御案内のように、國営ではございません。國家管理であります。國家管理というものは、いわゆる公の企業と私の企業とのいいところを合せて、能力的にそれを組み合すというところに特徴があるのでございまして、企業形態のなんらの変更にもなつておらないのでございます。從つてこれまでの國営事業に関しましては、いろいろの何がございましよう。勿論私はこの頃の鉄道、この頃の逓信というものと、更に又鉄道と遞信が能率的に多くの黒字を挙げて一般予算に貢献しておつたそのときとの区別を考えなければならんので、こういうような経済事情の下においては國営といい、私営といい、そういうような事業というものは非常に経営がむつかしいものでありまして、昔の能率的に働いておつた時代のことをば考えずに、只今の國営事業というものを無慈悲に蹂み躪るということは、私はこれはどうかと思うような次第でございます。從つて我々はこの私企業と公の企業のいいところを能率的に噛み合せて行きまして、飽くまでも増産のための國家管理の使命をば達成して行くというところに一つ全力を注ぐつもりでございまして、さよう一つ御了承を願いたいと思います。
#17
○平岡市三君 私は前のこの委員会におきまして、石炭工業管理法によりまして石炭の炭鉱の経営方式が大幅に変更せられる場合において、政府はいかほどの増産が期待せられるかの見積り数量を具体的にお示しできたらお示し頂きたいと、こういう質問をいたしたのでありますが、商工大臣はそういう具体的の数字は示すことはできない、こういうふうにお答えになつたわけであります。併しながら今全炭鉱に対して國管施行によつて生ずるところの増産への見積り数量というものは、たとい挙げられないといたしましても、私から申しますれば、一つの炭鉱、例えば北海道の三井の美唄炭鉱なら美唄炭鉱を考えて見たときに、この國管によるところの業務計画によつて、これにいかようの資材を注ぎ込み、いかようの資金を注ぎ込んで、これを國管方式によつて経営したらこれだけの増産ができ得るか、こういうふうな見積り計算というものは実際問題としても可能であります。又そのくらいの実際計算をいたしてこそ確信が得られるわけで、私が常に申しまするように、どうも多くの新聞紙上を見ましても、雜誌を見ましても、或いは大臣の御答弁を伺いましても、常に國管が増産になるとかならんとかいうことは抽象的の問題で、よくお分りにならんで、普通事業計画を事業家がやる場合に、必ずこういう見積り計算をやつて見て、確信を得て初めて経営方式の変更をいたしておるわけでありまして、この意味においてお伺いいたしておるわけであります。大臣は本会議におきましても、経営機構を変更することによつて減産は免れない。こういうことをおのずからお認めになつておるわけであります。私らはこの國管によつて増産ができるという確信が得られなければ、これによつて若しも機構を変更され、その期間中減産があるようなことになりますれば大事であると存じて、こういう具体的の数字をお伺いいたしておるような次第であります。
 その次の点はこの管理法案を我々が拜見いたしますと、例えば一つの業務計画の説を我々が見ましても、非常な業務計画というものが煩雜な方法によつて決められておるのであります。即ち石炭局長が地方炭鉱管理委員会を召集して、そうしてこの地方炭鉱管理委員会におきまして、業務計画は作成上の基準事項を定めまして、そうしてこれを指定炭鉱の炭鉱管理人に指示を與えることになつております。そうしますと指定炭鉱の炭鉱管理者は生産協議会を召集して、この生産協議会におきまして、前の指示に從つて業務計画案の原案を作成する順序になつております。そのでき上りました原案を今度指定炭鉱の事業主に示しまして、事業主はこの原案を基礎として又業務計画を立てるわけであります。立てられたその業務計画は必ず又生産協議会の議を経ることになつておるのであります。漸くでき上りましたものが今度石炭局長に廻されまして、石炭局長はこれを地方炭鉱委員会に諮つて当該炭鉱業務計画が始めて決定して、これを事業主に指示するような極めて煩雜な方法になつておるわけであります。一般に國管乃至國営が民営に比して非能率であると、こういう非難の大きな点はどこにあるかと申しますれば、大体いろいろの会議を開いて、そうして大勢の方の認め印を貰つて歩く。言葉を換えて申しますれば、繁文縟礼と申しておりますが、その繁文縟礼が即ち非能率の大きな原因になつておるわけであります。今日各種の人々が集つて協議をする。これが民主主義であるが如く考えておるようでありますけれども、以上のような煩瑣な手数を掛けておるようでは、到底能率的な経営はできないと自分は考えておるわけであります。從いまして尚いろいろ炭鉱の方々にお伺いいたしますれば、炭鉱の特殊性と申しまして、その同一炭鉱に二三年以上も働いておらなければ、その炭鉱の特殊性は分らない。こういうふうな特殊性のある炭鉱であるにも拘わらず、いろいろの方々が集つて、そうしてこういう煩瑣な業務案を決定する。或いはむしろ今のままで置けば政府が積極的に増産の援助の手を伸ばして、やまの事情に明るい、精通した事業主、労務者、職員、こういう方々に本当に自由闊達に経営を委す方が却つて能率的であると、こう考えるわけでありますが、どうかこの二点について本日は大臣の答弁をお願いいたしたいと思います。
#18
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御質問の第一点でございますが、これは昭和二十三年以降五ケ年間出炭高、その出炭高を現有設備による出炭高、新鉱開発による出炭高、更に平均カロリーというものを何して、衆議院の委員会で発表いたしましたことは新聞によつて御承知であろうと思います。そこで大体地方別に今衆議院の要求によりまして二十三年度を地方別にずつと出炭高をやろうということで、明日あたりその結論ができますので、それを一つ御了承願いたいと思うのでありますが、今申しましたように、一つの鉱山鉱山にこれだけ資材を何する。こういう資材をこれだけ、ああいう資材をこれだけということはできないということをさつきお断りしたのでありまして、大体の生産計画というものは、これはお示しできるし、又お示しせねばならないと思つております。
 それから第二の点でございますが、これは現在の経済状態の下において計画経済をやつて行かなければならないか、或いは自由経済がよいかという根本論になろうと思うのでございますが、成るべく自由闊達に業者にやらすということが一番生産を挙げる所以であるというお説は、これは或る前提の下においては考えられると思います。併しなから今いかなる業者といえども、資材資金というものをば自分の手で賄い切れずに、國家の計画によつて配分されておるというような状態、而もそれは他産業、國民生活を犠牲にして確保されておるというような、状態の下におきまして、自由経済の原則的に行われておるような時代のような自由闊達ということは、これはなかなか言うてやれないのではないかと思うのであります。從つて我々といたしましては、その計画経済と自由経済とを如何に調和さすかというところに現在の基礎産業の生産増強の途があるのでございまして、あなたの仰しやるのも、なんでもかんでも自由勝手にやらしてくれという意味じやないと思います。又私の申しまする國家管理というのも、すべてはその計画経済であつて、そしてややこしい手段方法をやらなくちやならんというのではなしに、そのいわゆる両者のどこに線を引くかというところの調整如何の問題にあるのじやないか、このように考えております。
#19
○堀末治君 私は二つの点について、一つはお願いし、一つはお尋ね申上げたいと存じます。
 その一つは先日大臣がお示し下さいました提案理由の説明の中に「石炭超重点主義を採用して、乏しい國力の中から他産業及び一般國民生活に相当の犠牲を拂いつつ、最大限度の生産諸要素を投入して参つたのであります。」こういうお言葉がございました。その説明のあとで、「昭和二十一年度以降石炭部門主要資材割当入手状況」、こういう表題のものを頂いたのでありまするが、これはこの石炭のために投じられた資材の割当と、入手状況だけを記載してございまするが、資金の融通された分というのがこれにございません。でき得るならば、この期間どれ程の資金が投ぜられたということを一つお示しを願いたいと存じます。
 尚又「他産業及び一般國民生活に相当の犠牲を拂いつつ」とこういうことから考えますると、他の産業と比較いたしまして、これらの投入された諸要素がどんな比率になつているか、他の産業をどれ程押えてこちらの方へどれ程廻して、その結果がかくかくであるという数字を少しお示しを願いたい、かように存ずるのであります。これは先程平岡君がお尋ね申上げました、いわゆるなかなかに細かい需給計画はできないということのお話でございまするので、でき得るならばせめてこれまで投じた実績によつて、多少とも私共そういう方向を勘案して見たい、実はかように申しまするので、これは直ちにできなければ直ちでなくてもよろしいのでございまするから、成るべくならば他の重要産業乃至は國民生活の相当の犠牲、かようなこともございまするので、それを具体的に一つお示しを願いたい、かように存ずるのでありまる。
 それからもう一つは、或いはこれはこの國管法案と直接の結び付きはございませんかも知れませんが、実は國民の一人とし、又國会議員の一人として、石炭の増産に尠からざる関心を拂つておる者でございまするが、特に私は北海道から出たという関係で、特に北海道の石炭増産が他の地区に比べて非常に成績が惡い。このことにつきまして國民とし、議員とし、特に北海道道民といたしまして非常に心配いたしておるのであります。各方面にその原因について尋ねては見ておりますが、なかなか私の氣持にぴつたりする御返事はどこでも頂けません。でき得ることならばこの点につきまして、政府の方から御返答頂ければ誠に有難いことだと存ずるのであります。
#20
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今堀さんの第一の御要求でございますが、これはできるだけ早くお手許に差上げたいと思つております。
 それから資金の点でございます。これまでお廻ししました中にちよつと出ておりましたが、第二・四半期で四二%ほどの数字が出ておるということは何しておりましたが、その他のいわゆる原材料が外の基礎産業に比べての比率、これは今度出したいと思います。
 それから第二の点でありますが、これは私も非常に遺憾に思つております。北海道のああいう若い山が、ああいう九州、宇部なんかの老朽な山に比べて非常に伸びないということは、これは遺憾に思いまして、北海道の何を考えて、九州、或いは山口の労働者、業者の方に誠に済まないと思つておりますが、いろいろ考えて見ますと、北海道の出炭減の最大の理由は、生産意欲の低下以外には何物もない、このように考えております。勿論資金、資材生活物資の不足の点もございますが、現在の入手保有状況より見まして、一割以上の増産を期待することは決して困難ではないと思つております。從つて北海道の出炭を増嵩せしむるためには、労働者の生産意欲を思い切つて挙げる方法をとるより方法はないのであるから、その方法として大体次のようなことを考えております。
 第一は北海道では経営者側におきましても、労働者側におきましても、北海道の出炭減の理由として資金資材の不足を表面に立てて主張しておりますが、実際は北海道に対しましては、從來も現在も他の地方以上の資金資材は出しておるのでございます。実際これが炭坑に如何に入手されているかということは、十分に明らかにではないですが、この際北海道に対する資材資金等の供給状況を詳細に調査いたしまして、明確にこれを公表……新聞その他でこれを公表いたしますと共に、今後におきましても要求に應じて思い切つて北海道に重点的に資金資材を、生産物資を注ぎ込みまして、彼等労働者が資金資材の入手難のために生産を挙げ得ないというようなことを絶対に言わせないというような方法をとりたいと思います。例えば煖房炭の問題でも六十万トン以上出れば、それは全部煖房炭に廻すということを繰返し言つておるのでありますが、その生産が伸びない。だからそれをばやま以外の道民の方に、やまの事情を公表して、そうしてやま以外の道民の方が深切に炭坑労働者に呼びかけるという工合にいたしたいと思うので、取敢えず前申しましたような公表主義をとりたい、これが第一考えておる点でございます。それから第二には、この際北海道の炭坑、特に生産の挙つておらない炭坑を速かにその実態を調査することにいたしまして、これはこの月中に全部やりたいて思つております。二十日或いは二週間滯在いたしまして、即決主義でやりたいと思います。即ち石炭廳の係官、学識経驗者、炭坑経営経驗者、学者、炭鉱技術者、金融業者、こういうような方で調査班を二つぐらい組織いたしまして、生産能力、それから技術管理、資材資金の状況、経営の実態等を診断いたしまして、その増産を阻害しておる点は即座に処理すると共に、炭鉱労資双方に対してこれを明らかにして、出炭の向上を図り、強力に要請する、いわゆる診断をいたしまして、有無を言わさずにいわゆる炭を出すことを要請したい。このように考えておるのでありまして、これは大体全部この月中に埓をあけたいと考えております。
 三には北海道炭鉱で目下特別に不足しておるのは塩でございます。この塩は速かに供出することにいたしまして、その供出に当りましては能率をば十分に考慮して配給したい、このように考えております。尚北海道の特殊事情に鑑みまして、特に労務者用物資は期日前に且つ的確に確保をして行こうと思つております。更に又勤労所得税の問題を至急解決したい。これは單に北海道だけじやございませんが、これはどこに行きましても、これが非常に生産の隘路になつておりますので、これは全國的なことでありますが、特に解決したいと思います。それから五番目には北海道の特殊事情に鑑みまして、越冬資金をば先手を打つてこの際解決しようということを考えております。
 それから六番目におきましてはマッカーサー元帥の片山総理に宛てられたあの石炭増産要求に対して、石炭非常対策をやりましたですが、あれを特に北海道には重点を置いて一つやつて行きたい、大体今さしずめこういうことを考えまして、北海道の生産増強ということに馬力を掛けたいと、このように考えておりますので、御質問者のごとき立場におられる方の側におきましても、やまに直接間接の関係あるなしに拘わらず、一つできるだけこういう運動をやつて頂きたい、このように考えております。
#21
○帆足計君 先程イデオロギーという問題につきましてお話がございましたが、私はこういう重要な時期の経済政策というものは、やはり理論体系を持つて考えられねばならんのではなかろうかと考えております。これは反対する側の方も、又主張される方の側も、相当の理論体系を持つてこの実際問題を考うべきであろうと存じます。これに対しまして大臣のお答えはほんの常識論としてお答えになつたものと私は拜聽いたしましたが、参議院には多数の理論家、学者並びに專門の職能人もおられることでありますから、私は参議院の理論的名誉という点から考えまして、やはり理論体系を極めて重要視して、それとの連関において物事を考えることが必要でなかろうかと存じております。併しながら只今來論議されておりましたイデオロギーという意味は、抽象理論という程の意味にお使いになつたものと理解しておりまするが、いずれにしましても、國家管理は手段でございまして、生産の増強のためには、資材、資金、炭價、労賃、労働條件等の合理的な確保が必要でございます。從いまして、私共の最も深く檢討いたしたいと存じておりますることは、國家管理の人事、組織並びに運営機構等の問題でございまするが、現状におきまして、例えば大きな炭鉱筋では、資材の入手にしましても、三〇%くらいを闇で獲得し、中小炭鉱に至りましては、五、六〇%を闇で獲得しておるように聞いております。これは一昨日も鉱業連合会の代表の方からお示しになつた数字でございまするが、まあこういう闇の世界において自由闊達に資材を集めて統制の弱点を補つておるというようなお話でございました。若しこの数字が現実そのようになつておるといたしまするならば、國家管理という監査の下におきまして、こういう自由闊達な行動はできなくなり、それだけでも資材入手の制限のために三、四割の減産は不可避である、こういうようなことも聞いておりまするが、私共統計を持つておりませんために、これに対して判断に迷つておる次第であります。從いまして、國家管理後における資金、資材の獲得の問題につきまして、話府としてはどのように見通しを持つておられますか、伺いたいと存じます。
#22
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の帆足さんの御質問でございますが、私らの調べました点におきましては、いわゆる資材が闇で、大きな炭鉱は三〇%、中小炭鉱は五、六〇%、そういうような調査になつておりません。併しその特別な副資材というようなものでは、相当入手が困難であるということは聞いておりまするが、基礎資材に対しましては、大体その要求に應ぜられておるというふうな状態でありまして、さて今帆足さんが、どこのやまにこういう資材が何パーセント、こういう資材が何パーセントという工合にお示し頂けば、私の方も調査したやつと対照いたしまして、その点はつきりさしたいと思つておるのであります。
 それから第二の問題でございますが、國家管理制度によつて資材の供給は増大又は円滑化するかという御質問であろうと思いまするが、これは我が國の産業経済が、資材不足のために現在縮少再生産の非常に切迫した事態に追い込まれておるということは、これは言うまでもないのでございまして、これが打開のために、基礎資材である石炭の緊急増産を企てまして、すでに乏しい資材の中から、他の産業部門及び國民生活への配分を或る程度犠牲にしてでも、最重点に石炭の方に対する資材割当を確保しておるのであります。これまでそのようにやつて來ました。從つて國家管理になつたからと言うて、今直ちに非常に沢山の差があつて、從來よりも石炭部門に対する資材の割当の総量が急激に増すというようなことは、これは率直に言うて、相当困難ではないかと私は思います。これまでが最重点的にやつて來たものでありまするから、急激に増すということは、これは率直に向うて、むづかしいのじやないかと思います。併しながら國家管理の有効適切な実施によりまして石炭の生産が増大いたしますならば、それは炭坑用資材の供給増大も約束されるものであることは勿論でございまして、又國家管理によつて石炭局の設置、それから現場管理機構が整備拡充されますと、炭鉱における資材の需給状況が的確に行政面に反映して來るのでございますが故に、必要な資材を必要な時期に機を逸せず迅速に供給するという措置が可能であろうと思います。又資金の供給の円滑化に対する措置と相俟ちまして、資材の供給をより円滑化することもできるであろうと存じます。更の又その分量が同じでありましても、重点的にあちらのやま、こちらのやまという工合に計画的に資材を廻すことができると、このように考えております。更に又この法案におきましては、協力命令という規定がありまして、これは運用は協力官その他を使つてやろうということになつておりますが、そういう点に関しまして、この石炭に対する関連産業に対する協力命令の発動によりまして、これまでよりも資材があわゆる円滑に行くのではないか。大体、國家管理によりまして直ちに協力命令があつたといえども、これまでも最重点主義をやつておりますから、非常に急に伸びるということは、私は正直に言つて、言えないのではないかと思いまするが、併し同じ分量でありましても、先に申上げましたように、的確に増産に役立つようにできると、このように考えております。併しこれは抽象論でございまして、もう少し時日を仮して頂くならば、もう少し具体的にこの点は明らかにしたいと、このように考えております。
#23
○細川嘉六君 水谷商工大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、この前の委員会のときには、私の質問に対して不深切にお答えなさつたわけではないでしようが、外の場合と違つて何もそうは感じませんが、よくお分りになつて私にお答えになつたとは思われないので、又質問するわけですが、この國家管理、果して商工大臣として責任が持てる程の成果が挙がるということをちよつてお尋ねするわけであります。この前そういう質問がありましたが、何も又そういう意味で言うのではありませんが、この管理案というものは、大体根本的には、今までの私資本の炭鉱者側というものは全然増産の力はないということがはつきりしたから起きて來る問題であると思うのです。沢山の資金、資材、一億内外も注ぎ込まれておると思いますが、それにも拘わらず、新鉱の開発というものはできておらん。炭鉱の將來というものは、誠に心配すべき状態になつてきておる。坑内はどうかというと、この前もちよつと申しましたが、運搬その他通風、排水、それらの設備は全く投げやりになつておる。そういうようなわけで資金、資材は國家ができるだけのことはしているが、炭鉱主側はこれにふさわしいほどの設備をし、それから採炭をやつているかというとそうはなつておらん。そこに問題がある。そこでこう申しますと、イデオロギーから言うのだと多くの人はお考えになるでしようが、そうではない。炭鉱の問題はこの前申しましたように、勤労者、これがどの程度眞劍になつて働くかに懸つている。それで今まで炭鉱主側にのやつたことは、これを眞劍に働かせるほどの設備もしなければ、厚生その他食糧なんかの問題において十分なことをやつておらない、ここからきておる。そこで問題はこの勤労者の意識をどう高めるか、ここにあるにも拘わらず今度の國家管理というものは、全國管理局、地方管理局、それから現場の問題にしましても、これは官僚に権力が非常に強くなり、官僚支配になつておる。從來炭鉱主側のこの管理案に対する反対というものは、官吏独裁でいかん、あれは無能でいかん、そういうことに重点がおかれておつたものであります。それは私から見ますれば、資金、資材は十分要りたいほど申し出る。それからしたいと思えばそれは幾らでも補充して貰える。そういうような存條件の下に生産しておつた。そうして更に官吏がどうとかこうとかいうところへ論点を向けていつている。見当違いではないか。自分らの責任を十分果していない。
 そこでこの國管案は後で逐條討議になるときに私は一々御伺いしたいと思うのでありますが、勤労者の意欲というものを昂めるというより官僚統制を高めて行くというここに來ておる。私はなぜ社会党の方で國営人民管理と言わないでも、現在の政治に当つてなさろうとした、現場を重んずるというあの炭鉱の管理、あの方式をなぜ棄てたか、私はそこに非常に遺憾に思うのであります。
 水谷君のお答えは深切で要領がよいと言われるが、私は水谷君にお尋ねしますが、現場を中心にした管理案がなぜ出來ないのか。あの点をなぜ主張しないのか。私は商工大臣水谷君のために將來を考えまするのに、この國家管理案にあなたは責任が持てるか。炭鉱主側は勿論反対している。労働者もこれに反対するに相違ありません。これは受けません。私はなにもそういうことを望んでいるのではありません。一々案を見ますと、これはうんとは言いませんよ。それで私はあなたに無理な責任を問うわけではありませんが、ここで一つお考えになつて、この案をもつと修す、その方へ修すことの大勇氣を出して頂きたいと私は主張するのである。持てますか、責任を。
#24
○國務大臣(水谷長三郎君) 荀くも内閣を組織いたしておりまして、こういうような重要法案を出す場合において、責任の持てないものを出すというようなことは、これはあり得ないことでございまして、我々はこの法案において十分増産の目的を達することができるというその責任の上に立つてこの法案を提出いたした次第であります。
 成る程細川さんの仰しやるように、或いは労働者、これは労働者と言いましても意識の非常に高い労働者もあるし、或いは中くらい、或いは意識の低い労働者諸君もおりますが、併し平均いたしまして、例えば労働者の勤労意欲を百パーセント奮い起さすことができなくても、五十パーセントぐらい奮い起さすことができればそれで増産に役立つのであります。例えば今共産党から出しておられる人民國家管理、これは理窟の上から申しますならば、或いは徹底した案であるかは知りませんが、併しながらこういうような徹底した案が一体それでは日本の政治の現状に照らしていつできるかというと、これは細川さんも來年再來年できるとは断言できないと思うのであります。それじやこの案を一体これまでの從來のような形、やまの形にしておいてよいかどうかということがこれは大きな問題であつて、それは氣持の上においてはオール・オア・ナッシング、氣持は好いか知れませんが、政治の上で全か無かということでもいけないのでありまして、少しでも前進の方向に向つておるならば一〇〇%を捨てても、五〇%、場合によれば三〇%でも辛抱しなければならんじやないか、これは私決して殊更に妥協政治家としての立場ではなく、現実的に政治というものを眺める場合におきましては、これは私の立場は了解して頂けるのではないかと存じます。
 更に現場管理の問題でございますが、これは細川さんの仰しやるように現在のいわゆる緊急増産をやる時には、やまをば的確に握るために現場管理というようなものをこれは重視せなければならんことは言うまでもございません。従つて法案におきましては、本社並びに現場というものを二本建にいたしまして、この條文をよくお読み下さるならば、今日は午前衆議院の委員会におきまして、これほど現場を重んじた案はけしからん、これじやまるで本社というものを無視しておるじやないかとお叱りを蒙つた。ところが午後はここに來ますと、細川さんから、この法案は現場を少しも考えておらないじやないかというお叱りを蒙つた、この立場は両方とも正しいのでありまして、その両極端の立場にどこに線を引くかというところに我々の苦労があるということを一つ御了承願いたいと思います。
#25
○細川嘉六君 水谷君の私の方に対する理解は、この前も申上げたが今もその通りである。百パーセント労働者である、企業家の利益というものは少しも認めない、そういうふうに取つておられる。これは水谷君に限らず、西尾君もそういうように共産党を思つておるようだが、それは間違いで、現に私は現場の問題について、現場の問題は企業家の方はちよつと待つて下さい、これは從來やつたことが駄目だから遠慮していなさい、あとの技能経営者、労働者、これらを主体として働くわけであります。企業家を何も全然排するというわけでなく、待つてくれというだけであります。それでありますから何も労働者百パーセントで、あとのものは認めない、そういう極端論のようなことを言われるのは非常な間違いで困ると思う。それで共産党は國営人民営理を主張して空論をやつておるというが、今日の客観的な日本の状態というものは國営人民管理が一番よい。併しそれは皆納得しなければならん。それは私らも納得なしにでもやらなければならんというそういう乱暴なことは決して言わない、そういうものより早く眼が醒めて欲しいという主張であります。そこをよくあなたは理解しておいて下さい。
 それから今日の國家管理の問題は、これはこの案を今日の現状において最も有効に行うがための討論である、私はそのために参加しておる。何もこれを全然ひつくり返してどうというわけではない、どつちかというと、社会党が初めて内閣を組織されて考えたあの案、あれば一番妥当だと思う。それを何故捨てたか、それで責任が持てるかということをあなたに心配しておるのです。
#26
○國務大臣(水谷長三郎君) それは社会党としては社会党の案もあるし、民主党は民主党としての案があります。國民協同党としては國民協同党の案がありまして、その両者の案のいいところを合せて、そして或るところに線を引くということが、やはり現在のような内閣としては当然取らなくてはならん案でございまして、現在の連立内閣の下において社会党の案を百パーセント強行することも間違いてあり、民主党の案を百パーセント強行するわけにも行かない、又國民協同党の案を百パーセント強行するわけにも行かんのでありまして、そこに妥協しなくてはなりませんし、併し私らは十把一束の妥協ということはしておらんのでございまして、大体讓るべき点は讓りますが、併し讓つてはならない一線は民主党にも、社会党にも、國民協同党にもあるのでございまして、皆三党が讓つてはならない一線の上にでき上つたのがこの案であります。從つて我々はこの案に対しまして、社会党といたしましても十分に責任が負える、これによつて増産ができるということは考えております。この法案が通過した後におきましては、マツカーサー元帥より片山総理に宛てられましたあの書簡の趣旨に副いまして、増産は十分にやつて行けるという工合に考えておるのです。
#27
○中川以良君 石炭のこの國営問題を繞りましてここ数ケ月の間、政府当局は石炭問題に関する限り、この國管問題に憂身をやつし、自前緊急に打つべき種々の方策を忘れていたのではないか、この点が誠に私は遺憾に思うのであります。先般も商工大臣の御言動が種々誤解を招き、いろいろ批評をされておる点を御質問申上げたのでありますが、これに対する御答弁は極めて的外れな御答弁で、私は承服し得ないのでありまして、ややともいたしますと折角労資協調いたしまして、生産人として今日産業の復興に努力しておる中に溝をこの問題を以て付ける、又労資の対立を煽ふるというようなことに相成るが如く見受けられるのでありまして、この点は商工大臣とされまして、飽くまで嚴正に愼重なる御態度を以て各方面に対せられんことを切望する次第であります。
 それから今回マッカーサー司令官より片山総理に宛てられた書簡を見ますると、それにありますことは、尤ものことばかりでございまして、私共は前から直ちに、今打つべき手は國管問題と一應切り離してお打ちにならなければいかんということをしばしば申上げておつたのであります。かようなることが皆ちやんとマッカーサー司令官の手紙に載つております。そうして政府は急に急いで一夜作りの石炭非常増産対策要綱というものをお作りになつてお示しになつたのでありますが、なぜこういうような要綱をもつと早く、内閣が組織されました直後に直ちにこの手をお打ちにならなかつたかということは誠に残念でありまして、そして今もお話を承りますと、この要綱は管理法案が通つて後に初めてこれを実施するのであると仰しやいましたが、これを拜見いたしますと、何も管理法案が通らなくても、今日直ちに実施のできる要項が私は沢山あると思います。これは熱意をもつて政府が経営者に協力を求め、又労務者に納得せしめるならばこれは容易にこの要項は実施できるものが沢山あると思います。この法案が通つて初めてこれを実施されるのか、それとも打ち得られる手は今日直ちに実施される御決意があるのか、その辺を一つ承りたいと存じます。
#28
○國務大臣(水谷長三郎君) 政府は國管に憂身をやつして、打つべき手を打たないとお叱りを蒙りましたが、これは少し残酷なお叱りだと思います。打つべき手は打つておる。その証拠は七、八、九月の生産を見れば吉田内閣において達成できなかつた生産目標を達成することができたということは、これは片山内閣として、炭價或いは物價の改訂、その他の点におきまして打つべき手は打つたということは、七、八、九月の石炭の生産の上昇によつて現実にこれは立証しておるように考えております。更に又マッカーサー元帥の書簡のことは、なんだかあなたが私の言うことを誤解されておるのか、私の言葉が足りなかつたのか知りませんが、これはやれるものは直ぐやる。すでにやつておるものもあります。しかし今直ぐやれないものはできるだけ早くやるようにするということであります。國管が通らなければ、この六つの対策は少しも手をつけないと、そういうような考えは持つておりません。
 それから又重ねてお叱りを蒙つたのでありますが、実はざつくばらんに申しますと、実際私の言動として言わないことが言われたり、或いは私が十くらい言つたことを十五にも二十にも取られるというような場合がありまして、例えば私がこういうことを言うたことに対して、相手がどういう質問をしたときに水谷はどういうふうに答えたかというように合わせて考えて頂くとその事情がはつきりするのでありますが、直ちに私の言うた片言隻語を促えて非常にお叱りを蒙むるということは、これは極めて遺憾であるのでありますが、併しそういうようなことでも世間を刺戟したということになれば、これは私の不注意でありますから、今後は氣を付けまするが、丁度私は中学時代に物理学を習つて、皆忘れてしまいましたが、ただ一つ覚えておることは無から有を引出すことはできないというあの原則だけを覚えておりますが、只今のお叱りにこの物理学上の法則を超越して、無から有を引出したようなな叱りが多いのであります。この点も一つ私の立場を御了解願いたいと思うのであります。
#29
○細川嘉六君 今日出た石炭非常増産対策要綱の点に触れるのでありますが、水谷君がおいでなつておるから一つお聽きしたいと思うのであります。二十四時間制を労働協約で行わうとしておられるようだが、これは労働者側が言うことを聞かなかつたらどうなるのですか。
#30
○國務大臣(水谷長三郎君) この二十四時間制はA、B、Cと三つに分けて、その中やまの現場に應じて、これは労働者の協力によりましてやつて行きたいというので、彈力性ある意味においてこれは三つあるのです。承知しなければどうかということでありますが、昔の例えのように鳴くまで待とう「ほととぎす」という手もあります。又鳴かして見しよう「ほととぎす」という手もありますので、政府はあらゆる手を打つて労働者の協力を求めるように一つ万全の策を講じたいと、このように考えております。從つて承知しなかつたらどうかという仮定論は今のところお答えしない方がいいのじやないかと思つております。
#31
○細川嘉六君 更に引続いて、この中に特別の労働委員会を作るとありまするが、「特別の」ということは一体どういうことをあなた方は考えておられるのですか。鳴くまで待とう「ほととぎす」ということで、この「特別の」ということがあるのですか。それがどういうようにして構成されるか。どういうことを任務とされておるのか。
#32
○政府委員(渡邊誠君) 只今の御質問の「特別の」というのは、爭議に関する特別の委員会という意味でございます。現在そういう委員会というものは中央と地方にございますけれども、これはすべての工場或いは工業、すべてのものについての委員会でありまして、現在のような石炭事情に應じて、石炭の関係だけについて扱う特別の労働委員会――專門委員会みたいな形の特別の委員会を設ける。石炭だけについて扱う特別委員会を別途設ける、こういう趣旨です。
#33
○細川嘉六君 私のお聽きしたいのは、どういう人で構成され、どういう権能があるか、そういうことをお聽きしたいのです。
#34
○委員長(稻垣平太郎君) 今商工大臣が時間があつて退席したいというのですが、あなたの質問よろしうございますか。そうでなければこの次にして頂いたら如何でございましよう。
#35
○細川嘉六君 この次においでになりますか。
#36
○國務大臣(水谷長三郎君) ええ、それは……。
#37
○委員長(稻垣平太郎君) 今日は商工大臣に対する質問はこれで打切りたいと存じます。
#38
○玉置吉之丞君 やまの問題について今日でなくてもよろしうございますが、この計画について一つ伺いたいと思います。御答弁は要りません。住宅問題です。石炭を三千万トンから四千五百万トンに殖やすには、住宅をどれだけ建てなければならんか。それから三交替性を実施するにはどれだけ要るかという計画ができる筈と思いますから、それを表にしてお示しを願いたい、それだけお願いして置きます。商工大臣に対する質問は次にいたします。
#39
○委員長(稻垣平太郎君) この次までに出して頂くことにして置きます。質問はこれで打ち切りたいと思います。それに先程要綱案の説明途中になつておりますが、商工大臣が帰られた後で引続いて説明を伺いますか、それともこの次にいたしますか。
#40
○玉置吉之丞君 この次にして頂いたらどうかと思います。
#41
○委員長(稻垣平太郎君) それじやこの次にいたしまして、今日はこれで閉会いたします。
   午後三時十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           中川 以良君
   委員
           カニエ邦彦君
           清水 武夫君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
          深川榮左エ門君
           楠見 義男君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   商工事務官
   (石炭廳生産局
   長)      渡邊  誠君
ソース: 国立国会図書館
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