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1947/10/09 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第12号
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1947/10/09 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第12号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第12号
  付託事件
○石炭生産確保に關する陳情(第二十
 一號)
○自轉車の價格改訂に關する陳情(第
 三十四號)
○石炭増産運動に關する陳情(第四十
 四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 百七號)
○亞炭採堀中止に關する請願(第六十
 七號)
○炭鑛國家管理に關する陳情(第百四
 十四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 百八十三號)
○石炭政策審議會設置に關する陳情
 (第百九十五號)
○石炭國家管理反對に關する陳情(第
 二百四十九號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 二百五十六號)
○臨時石炭鑛業管理法案(内閣送付)
○亞炭採堀中止に關する陳情(第三百
 五十號)
○亞炭増産に關する請願(第二百七十
 一號)
○配炭公團を即時廢止することに關す
 る請願(第二百八十四號)
○石炭生産損出補償金支拂促進に關す
 る陳情(第三百七十九號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月九日(木曜日)
   午後一時二十九分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○亞炭採堀中止に關する請願(第六十
 七號)
○亞炭採堀中止に關する陳情(第三百
 五十號)
○石炭非常増産對策要綱に關する件
○臨時石炭鑛業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれから委員會を開會いたします。先ず下條鑛業小委員長から同小委員會に付託されました請願についての御報告を承ることにいたします。
#3
○下條恭兵君 小委員會に付託されております亞炭の採堀中止に關する請願一件と亞炭の採堀中止に關する陳情と二件ございましたのでありますが、これは内容は全く同樣なものでありまして、福島縣大沼郡赤澤村大字赤留字中山というところの者で、請願の方は宗像熊八外十二名、陳情の方は宗像熊喜外四十四名という連名で出ておるのでありますが、問題は一小部落の亞炭採堀による陷没に對する、亞炭鑛の事業主と住民との間の紛爭でありまして、專門調査員として調査せしめた結果から見ますると、數年來の紛爭であるようでありますが、これは一地方の問題でありまして、縣當局、或いは所轄の鑛山監督局で解決すべき問題であるという結論を得ましたので、小委員會としては二囘に亙つて審議いたしましたが、採擇しないことに決定いたしまして、委員長名を以て所轄の鑛山監督局竝びに關係者にそのように決定し、且つ速かに解決に善處する旨の要望をして頂く、そのように決定した次第であります。以上御報告を申上げます。
#4
○委員長(稻垣平太郎君) 只今小委員長は、本委員会で採擇すべきものでないという御報告でありますが、御異議はございませんか。
#5
○委員長(稻垣平太郎君) それではさよう取計ろうことにいたします。尚、採擇はいたさないということで皆樣方の御承知を得たわけでありますが、本問題は地方の問題と存じますので、仙臺の商工局長に宛ててこの件を囘付するという形を取りたいと存ずるのであります。この點も一つ御承知を願いた
 本日は前囘に引續きまして一般の質問をいたしたいと存じておるのでありまするが、その前に先日石炭非常増産對策要綱の御説明を中途で打切りまして、そうして商工大臣への質問に移つたのでありますが、今日はその石炭非常増産對策要綱についての説明殘りについて、先ず渡邊生産局長から御説明を願つて、そのうちに商工大臣が見えると存じますから、一般質疑に移るようにいたしたいと存じます。
#6
○佐々木良作君 今の説明に入る前に政府に對する希望を申上げたいのですが、よろしうございましようか。
#7
○委員長(稻垣平太郎君) よろしうございます。
#8
○佐々木良作君 この前説明は基本方針のところで濟んでおりまして、第二の要領から入ることになつておつたと思いますが、第一の基本方針の中で、この間の質問が出ておりましたが、最後の四の給料その他の措置について特別の措置を講ずるということ、特別の措置についてもう少し具體的な案があればお示しを頂きたいということ。從つて四から始めて頂きたいということでございます。それから後の方の説明について、でき得る限り具體的な事例を要點的に述べて頂きまして、重點的に説明をお願いしたいというように私考えます。
#9
○政府委員(渡邊誠君) それではこれから前囘に引續いて石炭非常對策要綱を御説明申上げます。
 只今方針の第四について、そこから始めよとのお話しでございましたが、この方針の一應具體的になつた項目が要領の方に出て參りますので、要領の方で四に該當するところの御説明を申上げることにいたしたいと思います。そういう意味で要領に入らして頂きたいと思います。第二要領の一の二十四時間制の推進。これは切羽の遊休時間を有效に使うということにあつて出炭力を増そう。遊休と申しますか、つまり切羽で、堀り場で以て作業していない。炭が堀られていないという時間が一日の中であるのを、その時間を堀れる、或いは堀る準備をする時間に全部を使うようにいたしたい。それからもう一つは、切羽の進行速度を殖やしたい。採炭をいたして參りまして、順次堀りますから、前進をいたして參るわけでありますが、現在のところ大體これを平均いたしまして長壁式の拂等では、一ケ所の堀進が〇・九メートル程度、これを一・二メートル程度に差當り延びるようにいたしたい。こういうことを考えておるわけであります。
 それから作業の正常化による能率の向上を圖る。こういうようなことをして、作業の無駄といるものがないようにして行く。大體炭鑛の通常の姿といたしましては、三交替の形で行くというのが普通の姿で、中には二交替を適當とするものもあると思いますが、大體は三交替の姿でこの切羽を遊ばせないということで、そういう意味で二十四時間制の内三交替を採ることにしたわけであります。で、三交替制と申しまするが、炭鑛の堀り場の關係上、三交替の中の二交替だけは採炭をする。全部採炭をやればよさそうでありますが、どうしても先程申し上げましたように、一メートル程の進行をいたしますので、炭鑛を御覧になつて御承知と思いますが、堀られた炭をコンベヤーに積込という作業をいたしまするのに、堀つておる場所とコンベヤーのある場所とがあまりに距離が離れて參りますると、シヤベルで積込むのに無理が來るというような關係上、切羽の採炭が進行して行くのに連れて、適當な時期に運搬設備であるコンベヤーを切羽に近い所に移轉するということをどうしてもやらなければなりませんので、通常のやり方といたしましては二方堀りまして、一方次の堀つた炭を運ぶ準備のためにコンベヤーの移轉、竝びに天井を落ちないように坑木をそれに入れるというような作業をする。つまり三交替の中二方が掘つて、一方はそういう移轉、採炭準備をやる。こういうふうにいたしたい。同時に掘る方の速度が早くなりまするので、掘られた炭が炭車に積み込まれて運び出されるためにございます運搬坑道、つまりカタバと申しますか、掘られた炭がコンベアから送り出されて炭車に積まれるという、その炭車を運轉いたしておりまする運搬坑道の進行も早くなければ、掘方だけが先に行くというわけには行かない。從いまして現在若し一方採炭であるのが、二方になるようなことがあれば、勿論坑道を堀進する方も三交替で堀進をやる、二方堀進ということにしなければならないというので、これは二方採炭、二方堀進というのは相關連しておるところであります。そういうふうなやり方をしたい。これに必要な資材資金は配當したい、こういうことであります。この資金や資材を送りまするのには、從來と多少趣を異にいたしまして、能率の向上して行く炭鑛という方に對して優先的に行くようにやりたい。尚三交替制を實施すると申しまするが、現在三交替制を採用しておる炭鑛も多數あるわけでございまして、まだやつていないようなところは三交替制にしようと、こういうわけでございます。そこでやつていないところが三交替になりまするとすれば、一應それに應じた一方だけ増加された人員は、採炭堀進というような直接夫の人員の増加を圖らなければならないというのは、これは當然の歸結だろうと思います。そこでその増加する人員、これは山の實情によつてそれぞれ違つて參りますから、三交替をやらないところも出て來ると思いますが、大體これを大掴みに掴みまして、三萬程度の増加、圖らなくちやならないのではないかと思つております。それに對しまして、どういうふうにして坑内の直接夫を殖やすかという方法につきまして、それはただ人員を募集すればよかろうという行き方ではいけない。それは現在炭鑛の住宅はもう一杯である。そうして住宅を今増加しつつございますが、その家はなかなか資材資金等の面からいつて、殘念ながら制約を受けております。炭鑛の住宅を優先的に建てると言つておるが、その住宅さえも非常な制限を受けて、十分に滿足することができないという實情にあるので、同時に又急に家を建てるということは時間的に考えましても、やはり六ケ月乃至七ケ月、八ケ月というような期間を要する。從いまいて、先ず三萬人程の人員を充足するといたしました場合、住宅を殖やさないで何か智惠を出して、少しでも充足する方法はないかということを考えなければならん。そのために坑内夫の増員は原則として職場轉換等の強力な推進により補う。先ず第一に坑外夫から坑内夫に轉換する餘地はないか、又轉換できるかどうかという點を考えるのが、妥當ではないか。これにつきましては、長年の過去の記録實績等から見まして、まあ戰爭當初或いは戰爭前頃には、坑内夫が七割を占めておつた。それに對して、現在は五割六分しか坑内夫がおらない。大體坑外夫の方が、非常に坑内夫に對する率が從來の状態に比べて多い、いろいろ現在の炭質が落ちたから坑外夫が要るのだという説もございますが、兎に角炭鑛の状態を知つておる人たちはみんな坑外夫と坑内夫の比率がこれではいけないということを承知しておるのでありますから、どうしてもできるならば先ず第一に坑外夫を坑内夫に換えるというような處置を講じて、この資材、資金等を逼迫しておる國情のなかで、坑内夫を殖やして増産を圖るという手段を先ず採るべきである。その他に例えば切羽の集約というようなことも考えられる。それはどういうことかと申しますと、坑内の人員が足りませんために、例えば五ケ所の掘り場がある。その五ケ所の掘り場は、一ケ所に百人なら百人の採炭夫が要るというところで、どうしても坑内夫、採炭夫が足りないために、百人要るところを七十人でやつておるというような、はんぱな作業をしながら切羽を各所に分散させて持つておるというような場合に、當面の措置としては、そのうちの一ケ所を保存しておいて、その方から浮いて來た人員を他の殘りの方の切羽へ集中して、そうして充實を圖るというようなことをすれば、切羽の數が減つても、一時的には現在よりも能率が上つて行くと同時に、三交替制を採つて行くこともできるというような場所もあると思われますので、そういうところは又そういうような創意工夫をそれに應じて凝らすというようなことをして、尚且つ切羽があるに拘わらず人員が足りないとか、或は住宅もゆとりがあるというようなところには、それに應じまして坑内夫の充實を圖つて行く。こういうふうにしたい。そういうことを、一番末尾のところで、原則として職場轉換等の強力な推進によつて補う、こういうことが書いてあります。そういう順序で行くべきであるということを言つておるわけであります。
 それから第二の(ニ)は、勞働時間に關して、次のような作業方式のいずれかを採るように勞働協約でやつて欲しい。これは今申上げましたように、住宅も少い、而も炭を出さなければいけない。三交替制をやりたいけれども、人員が足りない、それを入れるには家がないというような現状を見まして、差し當つての手段としては、(ニ)に書いてある現場、作業場に八時間、そうして現場、掘り場で交替する。そうして三交替をやる。その代り現在行われておる七日目に一日、つまり一週間のうち六日働いて七日目に休むという行き方を、むしろ四日働いて五日目に一遍休むというようなやり方に切り替えてでも、こういう切羽をあかさないようなやり方を考えてはどうかという一つの姿を示しております。(ロ)は坑口から入つて坑口へ出て來るまで、現在は八時間ということになつておりますが、これを國情に鑑みて、三交替で一時間を延ばす。それから(ハ)は、諸般の事情からいつて、三交替を今採ることはできない、或いはそのやまの特殊性からいつて炭層の條件とか、その他の自然的條件等から見まして尤も二交替の方が能率がいい。三交替やることは却つて惡いのだというようなこともあると思いますし、又現在直ぐに三交替制の(イ)或いはこの(ロ)というような方法を取ることが現實にできない。而も何とかして増産をしようというときに甚だ苦しい勞働の強化であるけれども十時間に延長して、そうして二交替制で行くというような方法、こういうような種類の方法を是非經營者竝びに勞働者の救國の熱意に訴えて一つ勞働協約によつてそういうことをやつて行きたい。これは現在の勞働基準法では坑内の作業につきましては坑口へ入つてから出て來るまでを八時間、拘束八時間ということになつておりまして、この勞働協約によつて整つた場合には、二時間までは延長することができるというふうに決められておるわけであります。その二時間と申しますと、八時間でございますから、(ハ)に書いてある十時間がマキシマムだということになります。現場八時間と申しますのも、これは作業場で八時間作業をするわけでありまして、坑口から作業場へ行き或いは戻る時間が、若し片道で一時間以上か往復一時間以上かかるいうことになりますれば、この八時間制というのではできないわけです、現在の基準法に基きますと。又八時間やりまして往復一時間というところは現場八時間をやりまして、三交替で坑口からの時間は九時間ということになる。この三つのものを選んであるのは、その山の實情に應じて最も良い方法をお取りになつたらよかろう。選んだらいいではないか、そういうふうにやつて欲しいということを言うておるわけでありまして、劃一的にただ一時間延長しろとか、二時間延長しろということを要望しておるのではない。併しまあ何れも延長を要望しておることは明かに要望しておる、時間を延長することを。
 右方式の誠實な實行をなす坑内直接夫(採炭、充填、掘進、仕繰夫)でございますが、こういうような種類の直接の人たち及びそこに從事しておる坑内の現場係員に對しましては、現在行なわれておる現場給食を繼續する。尚本方式を實行することによつて能率の向上が圖られて行くであろう。それには所得も殖えて來るであろう。そういう所得に對しては一定の基準以上に達した場合には、その所得税について又持別の措置を講ずる。特別の措置とはどういうことかという點については、只今私はまだ説明いたし兼ねると思います。それは關係方面の方も御檢討を願つておるような次第でありまして、只今これをはつきり申上げられないことであります。これはまあそういう現場給食の方は、現在までに坑内夫に關しまして六合、三合という平均の炭鑛の主食の配給の外に、或る一定のそれぞれ指示された一定の目標を達成するために、或いは時間を延長し、或いは非常な努力をするという必要があるであろう、そういう場合に、作業現場でもう一時間頑張るには腹が減つて力が出ないというところに、丁度一合に相當する乾パンを配給しておるわけであります。その一合に相當する乾パンのことを現場給食と言つておるわけであります。その現場給食が、中には坑外の方に使用されるというようなことがあつたりするように見られまするので、そういう點もはつきりこの際いたさなければならない、こういうことを言つております。
 職場規律の確立と給與制度の改善。職場秩序を確立して作業の正常化を圖る、これは職場規律、秩序と申しますのに、いろいろの面があると思います。職員が正しい保安上又は生産上やるべきことを十分徹底して、その現場の勞務者に言えない、そうしてやるべきことが、紊れておるというようなものもございましようし、又勞働協約を結んで一定の八時間の、拘束八時間なら八時間の勞働をやる、それに對してそれに應じた賃銀を受取つておりますから、それだけの約束をしておる、責任を持つた作業を果さないというような場合もある、又逆に果さないに拘わらず、そういう賃銀を取つておるというようなこともあります。そういうことは拂つてる方もいけないし、受取つている方もいけない、そういうことは明確にきちんと秩序を立てなければならない、これは保安の問題、生産の問題、いずれから言つても重大な點であつて、而も保安に關する點等に至つては、生命にも關する問題だから、人命に關する問題だから、はつきりさせなければいけない。非常にこれは順次よくなりつつありまするが、はつきりここで皆反省し合つてやり直そうではないかという、こういうことでありまして、そのためには就業に對する規則というものをはつきり炭坑毎に定めて、それに反するような、或いはおのおのが責任を果しておらないような場合、或いはそれに反するものとしては、その炭坑のそれぞれの懲罰委員會、その他で處分いたされることが必要ではないか、こういうことを言つてるわけでありまして、この點は内容の點になりますると、今勞働省の方で準備を進めておりまするので、私のところから、ちよつと就業規則とはどういうものかということについても、内容は私には御説明できません。
 それから右による誠實な勤勞に對しては、その熱意と效果に相應する報酬を與えるように賃銀制度を合理化する。この點についても今そういう研究と申しますか、準備を進めております。併しながらこういう問題は、從來から勞資の間で全體としては全國の團體で大掴みな相談を、協約をなさなければならないと存じまするが、個々のやまの賃銀委員會というようなところでやはりどうしても増産をやつて行く上には、かくあるべしという制度を具體的にお決めになつて、そうして納得し合つて行くようにしなければいかん。ただみずからの都合がいいということで、せつかく全體が困つておるこの石炭状態に對して無關心でいるというようなこともいけない。こういうようなことも含まれて來るわけであります。この賃金制度の合理化というのは、昔はいろいろな手當々々で、もう受取る方も働いておる人も一體自分はいくら貰えるのか分らん、取れるのか分らんという状態にあり、拂う方の人も複雜で徒らに手間が掛かり、人手も要したということでありますが、それも相當全國の勞働組合の代表者と經營者側の代表者との間に整理をされまして、餘程すつきりしたものになつておりますが、やはり今度のこの對策の根幹をなすものは、やはり能率を上げて行く以外に方法はないという所から來ておりますので、能率的給與というものについての點をここで檢討される、こういうことになつております。
 それから第三、炭鑛從事者に對する生活物資、これの特配分というものにつきましては、特配分と申しますと、例えば主食ならば二合五勺、これは普通の成年であります。それが平均六合ということになつておりますから、三合五勺が特配分に相當するわけです。家族につきましては二合五勺の所を三合というので、五勺が特配分であります。又酒についても、國民として皆が頂いてる酒の超過分というような種類のもの、そういうふうなものは徒らに惡平等に配ることなく、やはり特配というのは國民の貴重な、非常に苦しい中から割出されて、そうして炭を掘つて貰いたいからこそ、割いて、期待をして、我慢をしておる。受取る方も、渡す方も、その點を眞劍に考えて、すつきりした配り方をして、それが炭になつて行くような、又なつたのを裏づけするようなやり方にしなければいかん、これは當り前のことでありまするが、現在やはり亂れておるという所もある。ここではつきり勞働組合も經營者側も又官廳側も、ここで反省して、新たな氣持で徹底的にこれを、その目的に合わないものは是正するように勇氣を持つて進めて行かなければならない。こういうようなことであります。
#10
○委員長(稻垣平太郎君) 渡邊生産局長のお話はそこまでにいたしまして、あと只今の勞働關係の問題は、勞働大臣が出席されましたので、尚今まで渡邊生産局長からの御説明の點について、詳細にお伺いいたしますと同時に、あとの勞働關係の問題についてお話を承りたいと思います。
#11
○國務大臣(米窪滿亮君) 大體今までの所は、渡邊局長の御説明と私が申上げるのと大差ないと思いますが、この一の基本方針については、ここに書いてある通りでございまして、何ら私が説明を附け加える必要はないと思います。
 第二の要領の點でございまするが、要領の中の一の二十四時間制の推進というのは、關係筋の方から特にこういう表現を用いて參つたのでございます。從つて現在この要領の一の二十四時間制の推進、その中の括弧した二の所に交替制を大體豫想し得るものを、ここに掲げたのでございまするが、二十四時間制で行くということは、やはりこれは如何なる交替制を採るべきかということに歸著するかと思うのであります。現在は大體において勞働基準法で定めた拘束八時間、坑口において交替、三交替という制度を採つておるやまが大體全體の六割だと聞いております。その他の點では極く一部に六時間四交替という所もあるのでございまするが、殘りの四割の大部分は坑口において拘束八時間二交替というのが多くないかと思うのです。勿論勞働基準法においては、この拘束八時間という勞働時間を十時間にまで延長することができるのであります。彼此考え合せまして、取敢えず第一、第二、第三、イロハとあるいわゆる切羽における所の面交替八時間、そうしてこれについては三交替制、そうして四日働いて一日休む、こういつた交替のやり方、第二は坑口において拘束九時間で三交替この場合においては六日働いて一日休む。第三には勞働基準法の除外例を適用しまして、坑口において拘束十時間二交替、やはり六日働いて一日休む、この何れを採るかということは、法令でこれを定めるよりもむしろこれは勞働組合の自主性によつて經營協議會なり、生産協議會で以て、團體協約でその山の事情によつて交替制を採り得る樣式が變つて來る、こういう前提の下に、それは勞資の間に一つ決めて貰う。こういう方式を採る。これは何故そういう方式を採つたかというと、上から決定して強制すれば、いわゆる勞働強化になつて、却つて増産の實は上らない。それよりもむしろそのやまそのやまの事情によつて、例えば坑口から切羽まで非常に長い距離があるというようなやまもあるでしようし、或いはその反對のやまもあるだろうから、それはその山の事情によつて、切羽の交替制の何れかを採るというように自主的に決定していくことがむしろ増産の目的に適うだろう。こういう趣旨でここにこの交替制を掲げたわけでございます。
 職場紀律の確立と給與制度の改善、この點については、一の就業規則については勿論勞働協約によつて決定するのでございまするが、その基準になるものを目下勞働者で勘案しております。これは本日ここでこれについて御説明申上げる資料はございませんが、いずれ近いうちにこの委員會において發表できるだろうと思います。それからこの賃金制度を合理化するということがここにあるのであります。これは今日やまで行われておるものは生活給でございまして、これに對していろいろの手當があるのでございまするが、一定の基準生産量を超えたものに對しては、やはり能率給を決めまして、やはり出來高拂ということにして行くことが増産の目的に副うのではないか、こういうことも考えております、但し問題はその増産された量に對する出來高拂が今日の勤勞所得税との關係において、勤勞所得税は御承知の通り累進課率になつておる。或る點に行くと寧ろ掘らない方が收入が多いという奇現象が起る。即ち掘れば掘る程税なしの實收入というものが減つて來るという、こういう奇現象が起るのでございまして、この點は出來高拂いによつて、即ち能率給を加味した給與制度を實施しましても却つて結果は、そんなつまらないことになるならば掘らないという、謂わば生産に對する意欲が減退するということであれば、これはいわゆるナンセンスでございますから、この點は大藏當局とも目下交渉しまして、この累進課率に關する點については一種の特例を一つ開いて貰う、目下この具體的のことを發表する自由を持つておりませんが、關係筋と目下交渉中でございます。いずれにしてもどういう方法を採るにしても、基準生産量以上に増産を上げて、それによつて勞働者の收入が殖えた場合に、その收入が却つて減少するという結果にならないよう、即ち勞働者の負擔にならないような方法をとつて參りたい、こういう點を考えております。
 この二の(三)の點は、これはここに書いてある通りでありまして、特に私の説明を追加する餘裕がないと考えております。三の勞働組合の健全化、これは勞働者は生産者であると同時に一方においてはやはり國民の一人として、殊にこの敗戰日本の産業再建を擔うところの中心になる力になつて貰わなければならないのであつて、從つて能率を上げたものに對しては、これに對する報奬をやると同時に、勞働者は自分の社會的な立場をよく自覺をして、そうして勞働者としてなすべき社會人的義務を大いに發揮して貰う、こういうことが、即ち權利と義務とが兩立して行かなければならん、權利のみを主張して義務を怠るようではいけないという考え方に立脚したものでございまして、この具體的の施策については、目下急速にこれを決定するために勞働省においてその案を書いて研究しておる状態でございまして、幸い商業規則と同じように、近くその具體的の方法について發表し得ると思うのであります。大體の趣旨は私が申上げた通りであります。
 それから紛爭議の早期平民的解決でございます。これは實は勞働關係調整法が昨年審議された當時に、第八條において、如何なる事業が公益事業だかということが非常に問題になつて、當時においては一應運輸、通信、電氣、そういつた直接その事業が止まればその日からして公共の利益に反するというような事業を公益事業と指定しまして、そうしてその公益事業については紛爭議が起つて、これを勞働委員會の調停に付するように提訴した場合において、これが受理されてから調停期間の間は勞資双方ともストライキ或いはロツク・アウトをしない、こういう規定になつて、私としては石炭は當時のいろいろの議論があつたのですが、當時に情勢においてはこの公益事業に指定するところまで皆さんの意見が行つていなかつた。併し今日この石炭というものは昨年よりも遥かに重要性が増加しまして、石炭の採炭が遲れれば相當公共の利益に反することになるのでございまして、勞働大臣は第八條の二項によつて、勞働委員會の同意を得れば、勞調法で決められておる公益事業以外の事業も公益事業として指定する權利を持つておる。從つて今でも直ぐ石炭というものを公益事業に指定し得る權能を勞働大臣は持つておりまするが、併しそこまで行かずして、そういう法的措置を講ぜずして勞働者の自覺に訴えて、石炭事業或いはその他の重要産業は、たとえ勞調法で公益事業でなくても公益事業なみに、自發的にこの紛爭議が起つたときにおいては勞働委員會にそれが提訴されて、或いは勞働委員會によつてそれが取扱われて、調停にそれが入つておる期間中は、公益事業なみに勞働者もストライキをしない、經營者もやまを閉めない、こういうことに行きたい、これが私の抱懷しておる産業平和論でございまして、紛爭議の平和的解決でございます。先ず私のこの理想を炭鑛へ一つこれを當て嵌めて行きたい。今晩炭鑛夫の勞働者代表者とも會いまするが、私は再び改めてこの考え方を訴える積りでおりますが、この石炭増産對策でこういう精神で行つて尚且つどうしても公益事業に指定しなければ紛爭議がどうも起る危險がある、こういうような現實の問題に當面したときには又改めてその場合に考えて、第八條の二項を、勞働大臣の權限を以てこれをやり得る、いつでもやり得るのでございますから、そうして參りたいと考えております。尚この外にそういう紛爭議が起つたときは、勞働大臣は強制調停を勞働委員會に勞働大臣みずから提訴することができる。これは使用者及び勞働者がしなくても勞働大臣ができる權限を持つております。これは事實において勞働大臣の強制調停にするということができる。そういうことで大體法的措置を待たずしてやつて參りたいということがここの紛爭議の早期平和的解決、こういうわけでございます。大體勞働大臣として本法に關連して御説明申上げる部分は以上申上げた點だと思うのでございます。甚だ簡單でございまするが、私の説明を終ることにいたします。
#12
○委員長(稻垣平太郎君) 只今勞働大臣の御説明を承つたのでありまするが、それについて何か御質問ございますれば、御質問を願いたいと思います。御質疑がありませんければ、前からの繼續で商工大臣に對する質疑を續行したいと思いまするが、何か勞働大臣に御質問ございますか。
#13
○玉置吉之丞君 炭鑛に働いております保護坑夫と申しますか、婦人と十八歳未滿の者は勞働基準法が定まりますれば、當然坑内に入つて働くことができないでしよう。そうするとこの増産が非常に叫ばれておる際に、私どもの聞いておるところによると、その數約七八千人の人がその仕事から離れるということに相成るわけであります。これが今御説明にあつた三交替制を實施するのにも相當數或いは三萬乃至五萬の人を増さなければならんという現状におきまして、人が減るということは相當増産に影響するものと思う。そこで勞働基準法の定めておるこの炭鑛に對する只今申上げました保護坑夫の問題についてはこの人を増すために相當の設備をせんければならない。即ち住宅その他の設備が整う間一二ケ年これを除外して頂くということは増産の上に私は必要と思いますので、それに對する一つ勞働大臣の所信を伺いたいと思います。
#14
○國務大臣(米窪滿亮君) お答えします。婦人の坑内勞働については、昨年の三月これを禁止するということになつておるのでございまして、勞働基準法の實施を待たずしてこれを禁止することになつておりますから、恐らくこれは坑内で婦人を使用しておるものはないと思います。ただ問題は、いわゆる年少勞働者でございまするが、これを増産のために勞働基準法において特例を開いて、即ち除外條項を設ける、即ち勞働基準法の改正というようなことは今のところ考えておりません。それは何であるかというと、私、現場の實情はよく分りませんが、先程渡邊局長の御説明によると、或るやまでは坑外夫が坑内夫との比率において非常に多いのであります。そういうようなやまにおいては、坑外夫を勞務の配置轉換をして、そうして坑内と坑外との仕事を振り換えることができる、或いはそういう年少勞働者は選炭のような坑外作業に使用せしめることによつて大體勞務の配置轉換で行くのではないか。と申上げるのは、坑夫を増員することはお説の通り、住宅その他において直ぐ壁にぶつかる、今日のように住宅が非常に窮屈なときにおいて、又全然やまの仕事に慣れない者を持つて來ても、質の上において慣れない者を連れて行つても能率は上がらない、こういうことで大體商工省の考え方も、現場の諸情勢を勘案しまして大體勞務の配置轉換で行けるのじやないかと、こう考えておりますので、今のところは勞働基準法を改正するという考えはないのであります。
#15
○佐々木良作君 二、三點御質問したいのですが、第一は「二十四時間制の推進」云々のところに、特に時間制の(イ)、(ロ)、(ハ)の前のところの「勞働協約により實施する樣要望する」ということになつておりますが、實際問題としては、當事者双方にこういうような勞働協約がスムースに成立するかどうかということは、非常に問題があると思うのでありますが、その場合にスムースに成立しないと認められる場合に、どういうふうにされるお考えであるか、どういう措置を考えておるか。
 それからもう一つは、「職場基準の確立と給與制度の改善」という項の賃銀制度の合理化の問題ですが、今勞働大臣の言われました賃銀制度は、能率給を主として言われましたわけでありますが、この能率給は現在の生活保障―生活保障を或る程度認めた上でのその上にカバーされる能率給の意味であるか生活給をすべてひつくるめて能率給化するという意味であるか、一つ承りたい。
 それから三番目の「勞働組合の健全化」とありますが、ここに先程勞働大臣から御説明がありましたけれども、勞働組合員の義務と權利との關係云々と言われたと思いますが、これは勞働者の在り方として言われたのだろうと思いますが、それを政府の施策によつて指導するといいますか、それが目下政府で立案中であるということでありますが、その立案の内容になる性格、その立案されるものの性格、勞働組合はこの方針によつて運營すべしというようなことになるのか、目下立案中であるものの法的というよりも實質的な性格はどのように考えておるかということを伺いたい。
 それから四番目の爭議の平和的の解決という點につきまして御説明を承りましたのは、これを公益事業に指定すると同樣な効果を自律的に方法によつて認めたいということであつたと思います。それは直ぐに爭議ができない恰好の調停期間中の爭議の制限の問題と思いますが、それと最後に書いてある「特別の勞働委員會を設置する」、この特別勞働委員會の意味、例えば海員の勞働委員會というような、ああいう別途のものを考えられておるのか、現在の勞働委員會の中の運用かなんかを考えておるのか、その特別の勞働委員會と言われるその特別の意味、以上四點をちよつと承りたいと思います。
#16
○國務大臣(米窪滿亮君) お答えします。勞働協約でできなかつた場合はどうするかということですが、それは大體この程度でこの三つの内いずれを選ぶかということを勞働協約で話ができると、こういう確信を持つております。從つてそれができない場合はどういう方法を取るかということは考えておりません。
 それから賃銀制度の合理化という點で私が大體先程御説明申上げましたことを繰返すようでありますが、これはいわゆる生活給を含めて、更に一定の基準生産量を超えた者に對しては出來高拂いその他の能率給をそれに附加えて行こう、こういう考えで兩建で參りたい、こう考えます。
 それから第三の勞働組合の健全化の法的根據はどうかというようなお尋ねであつたと思いますが、これはやはり法的でこうしろ、ああしろというような、例えは政府が行政措置であるとか、或いは法律の制定であるとがいうようなことでやるべき筋合のものでなくして、政府が勞働組合に對して現下の日本の國情、或いは石炭増産の必要性、こういつたことに鑑みて、先程申上げましたような精神でやつて貰いたい、こういうことを主として懇談會或いは文書、こういうものによつて勞働者に要請して行きたい、こういう考えであります。
 それから第四の「紛爭議の早期平和的解決」、この點については特別委員會というお尋ねであつたのでありますが、大體それはこの勞働組合法の施行令の第三十七條第三項による臨時委員を一つ北海道、福島、山口、福岡の勞働委員會に設置して參りたい、即ち勞働委員會の中にこういう特別委員會を設置して貰いたい、目的として、現下喫緊の要求である増産實效を確保するために、炭鑛勞働爭議の適切且つ合理的な調整をはかる目的を以て、石炭に關する權威ある特別の勞働委員會を設ける、こういうのでございまして、即ち勞働委員會の中に石炭に關する權威者を特に委員として委囑して參りたい、こういう考えであります。
#17
○中川以良君 只今のお話の中に勤勞所得税に關しまする點につきましては、大臣におかれましてもこの奇現象をお認めになつて、何とかこれを改め、特別な措置を講ずるということでございますが、これはただ單に石炭鑛業のみについてお考えなのか、それとも全産業、全勤勞者に對してお考えなのか、その邊を一つ承りたい。
#18
○國務大臣(米窪滿亮君) こういつた奇現象は勿論石炭ばかりでなく、他の重要産業へ私の先程申上げたような能率給を當て嵌めて行く、即ち出來高拂いでやつて行くということになつた場合には當然起つて參ります。ただこれを私の理想としては、少くとも石炭、製鐵、肥料等の重要産業にはこれをやりたいと思つておりますが、國の豫算の關係や或いはその他の事情、或いは報奬物資等の絶對量の少いというようなことで、今一遍にこういう産業にこの生産増強という我々の理想業を實現するようにせずに、取敢えず石炭をやる、そうして段々と今申しましたような産業を特に指定して參りたい、その場合においては当然今言つた税制の特別措置は講じて行きたい、こういう工合に考えております。
#19
○細川嘉六君 勞働大臣にお聽きしたいのですが、さつき佐々木委員から聽きました就業規則、それの法的根據でなしに、佐々木君のいつたのは、その性質、その内容だと思います。私もそれをもつとはつきり伺いたいと思います。
#20
○國務大臣(米窪滿亮君) 佐々木さんは就業規則についての法的根據でなしにその性質、内容について御質問になりましたが、それは先程御答辯申上げた通りでありますが、勞働組合の健全化というようなことについても先程申上げましたが、就業規則については目下勞働省で研究中ですから、不日それは發表いたします。
#21
○細川嘉六君 それでは次にお尋ねいたします。就業規則が一體どういう性質、内容を持つているものか、それからその規則によつてここに義務と責任とを決定する。その決定をするものは何によつて決定するか、如何なる機關によつて決定するのか、そういうことについて大體の腹案があるのですか。
#22
○國務大臣(米窪滿亮君) 大したことはございませんが、勞働基準法に基くところの勞働者の就業の規則竝びに勞働條件、こういつたことを石炭のやまに適合するように決めて行きたい。こういう工合に考えております。
#23
○佐々木良作君 先程の税金の問題と關連する同樣な問題ですが、今の給與制度改善のところの生活物資の特配に關する問題ですが、これの生活物資の特配に關しては、非常にいろいろな好い點と惡い點とがあるのですが、特に私感じて現實的に困つた點は、九州の炭鑛、北海道に對してもそうなのですが、炭鑛竝びにこれと同じ産業なみに扱われている工場を、これと直結している例えば電氣の發電所、實質的に見れば、重點工場と重點工場の部分工場みたいな恰好になつている、こういうところが實際の勞働者の仕事が完全に一緒であるものが、特配によつて非常に差がある。片方は特配の米を貰う。片方は貰つていないというために、いくらハツパを掛けても力が出せないという奇現象がある。非常に困つた現象が出て來るのであります。それについて今後炭鑛從業者に對する生活物資の特配ということと關連して、どのような他の重點産業なり、關連産業なりについて腹案を考えておられるか、これをやる場合に非常にお考えにならなければならないと思いますが、どういうように考えておられますか。
#24
○國務大臣(米窪滿亮君) 現在加配米特配、勞務者用特配については、安本で大體案を立てて、特配をすべき物資の總量というものを大體商工省の關係、農林省關係でほぼ決めて、それを安本で割當計畫を立てて、それを商工省關係は、商工省でクーポンを發行する。農林省は農林省、現業廳、通信、電氣の方はそれぞれそういう方面でするというようにやりますために、アンバランスが起つて來るわけであります。そこで私は折角勞働者ができてその下に勞働監督署があり、更に職業安定所があつて、勞働者の生活に密著する組織を持つているのであるから、今度は安本の割當計畫を直ちに勞働省一手に一任して貰いたい。そうして勞働省で以て更に各現業官廳等に、これをその現業官廳の範圍内にあるものは、そちらへ廻わす。こういうことにすれば、勞働事情のよく分つている勞働省が、そういうアンバランスを是正することができるという意見を私の方は持つている。これは勞働關係閣僚懇談會にも出したのですが、まだ決定にまで行かない。行く行くはそういうふうにして參りたいと思つております。
#25
○宿谷榮一君 ちよつと勞働大臣にお伺いしたいのですが、平和的爭議の解決という御精神に對しては私も至極同感であります。およそ爭議の發生する原因というものは、御存じの通り生活が苦しくなつて爭議が如何なる場合も起つて來る、その場合のいわゆる一つの精神運動が徹底しておらなくて、どうしても爭議が解決がつかんというような場合も生ずるのではないか、假に勞働大臣の先程仰せになつたいわゆる公共の事業としての強權を發動する場合があるということで、更に勞働者全體がそれで納まり得るか否かという點も一應心配になる點でありまして、無論立案者の方ではこれで行けるというように御答えになるのがこれは當然でありましようが、私としてはそういうことが生ずるであろうということが一等心配になるのですが、如何なる場合でもやはり實質的な生活を行わせることに爭議の解決があり、又爭議の生じないという原因をなしておるのであります。そういう點に關して勞働大臣は爭議の發生しないようなことを豫想されておられるか、或いはそういうこともあるであろうとお考えになつておるのであるか、そういう點を一つ伺いたいと思うのでありますが、問題は生活を十分にさせてやるということが根本ではないか。一方これによりますと單價も當分上げない、生産の増強によつてのみ事業の經營がうまく行く、勞働者にも十分に賃金を與えるような工夫をするということが、この構想の中に入つておるようですが、どうも今の社會情勢から見ますと、爭議が起りそうな氣がする虞れの方が多いのではないかという感じを今抱いておるのでありますが、その場合、即時強權を發動なさるお氣持であるか、或いはその收入をうんと増してやるような方法を講じられるのか、そういう點についての御所信を伺いたいと思います。
#26
○國務大臣(米窪滿亮君) 收入を増してやるということは、結局は最低の生活費を保障するという方向へ政府がどれだけ努力するかということだと思います。今、やまの勞働者その他の勞働者と雖も、名目の賃金を殖やして貰つてもインフレーシヨンが止まらなければ、決して總體的な、實質的な賃金は上つて來ない。それでやまに對しては、本人六合、家族三合という加配米もやつておるようなわけで、甚だ大膽な言い方かも知れませんが、やまに關する限りは、他の勞働者に比べて比較的に、生活が安定とまで行かなくても、それに近付いている。その上に更に、ある一定の基準生産量を超えたものに對しては、出來高拂いというような能率給も加味して參りたい、そう考えておりまするから、大體やまだけの考え方でなしに、他の勞働者と比較して勞働者がその重要性を考えるならば、私は爭議を起さなければならない理由、客觀的條件が段々少くなるのじやないか。併しさればといつて、勞働爭議が起らんとは斷言できない。如何なる場合、如何なるきつかけでそれが起るか分りません。併しこれと同時にマツカーサー元帥からいつて來ておるところの至上命令というものを仰がなければならん、又そうでなくても今日日本の現状から見て、只今石炭の三千萬トンという一種の至上命令である。どうしてもこの三千萬トンが生産できないというときには、これは止むを得ず勞調の八條くらいの適用はやらなければならんことになるだろう。併しこれは最後まで避けたい、こういうふうに考えております。
#27
○細川嘉六君 この生活物資の特配、炭坑に對する特配は、何か一般生活、獨立的なもののように表面では考えられておるようだが、實際は與えられている物は、勞働者が働いて行くには不十分だというのが一般的のことじやありませんか。特配というのは、本當の他の勞働者に比べて特配のようになつておりますけれども、炭鑛という、殊に坑内勞働ですね。こういう特殊な重勞働では、特配でもなんでもなくて、漸く働くだけの、生活力を出すにさえ足らないものであるのが現状だと思います。それでさつき他の委員も質問なさつたように、私も生活の點から、相當多く炭坑内には爭議が起きて來る危險が多分にあるのじやないかと思うのです。能率給云々とこう言われる。大體食つて行けないような賃金を貰つておつて、その上の能率給というものを與えて、それて片づくように考えるのは、非常に危險じやないかと思いますが、その點どうですか。
#28
○國務大臣(米窪滿亮君) 先程からのお答えと大體同じようなお答えをする外に方法がないのですが、勿論これで十分だと思いませんが、他の勞働者と比べると勞働も非常に重勞働ですが、待遇も私は比較的よくはないかという工合に考えております。さればといつて、勞働爭議が起らんとは思いませんが、併し政府としては、細川さんの言われるようにそれは當然なことで、特配なんて名前を付けちやいかんと言われますが、一般の國民の配給に比べれば特配なんですから、ただ基準生産量を超えた者に對しては、今現在やつておる勞務加配米、或いは勞務用物資の外に表彰制度を布いて參りたい、こういう工合に考えております。
#29
○細川嘉六君 重ねて伺いますが、石炭という重大なこの産業で、増産をやろうという大變なところへ來ておるわけですが、その場合他の生活賃金にならないものに比較して、それにくつついている必要はないと思います。うんとそれに生活保障を與える。能率給を與えて思い切つてやるべきものじやないか。今仰しやるのは他の産業との比較ですけれども、増産をやるというのには、それくらいのことはやらなければ效果が擧らんのじやないか。
#30
○國務大臣(米窪滿亮君) 大體お説の通りだと思います。これは生産協議會なりその他の勞資の間の委員會がありまするから、そこで決めて、團體協約で決めて行かれることに異議ありません、政府としては。
#31
○委員長(稻垣平太郎君) 勞働大臣の御質問はその邊で打ち切りまして、この前の繼續といたしまして、商工大臣に對する本法案の一般的質疑に移りたいと思います。
#32
○堀末治君 商工大臣にお尋ね申上げたいと思いますが、番日來御説明を頂きましたこの石炭非常増産對策の要綱に盛られましたあらゆる事項は、この今上程されておりまする國管案の成否に拘わらず、これはおやりになるお積りでございましようか。
#33
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今のお尋ねの點、現在やれるものからやつて行こうという心組みでおります。國管法は幸い國會を通過いたしましても、或る程度の期日がかかりますし、石炭の増産というものは、一日も休むわけに參りませんので、マツカーサー元帥から片山總理に與えられました手紙にあるサゼツシヨンの中、できるものからやり、そうして又できないものはできるだけ速くできるようにするという方針でやつて行きたいと思います。
#34
○堀末治君 そういたしますと、もう一遍お尋ね申上げたいのでありまするが、先日御發表になりました五ケ年計畫の數字は、これは政府が國管案が成り立つてからの生産の數字でございましようか。
#35
○國務大臣(水谷長三郎君) これは國管の成否を前提としないものでありますから、國管通過の曉におきましては、更に再檢討せねばならん、このように考えております。
#36
○堀末治君 これはそうしますと、今の御答辯から行くと、かように考えてもよろしいのでございますか。現在の諸企業における状態において、政府が先程來發表になつたその要綱に盛られた各手段を盡して、現在の諸企業のままでこの數字が出ると、こういう數字と考えてよろしいのでございましようか。
#37
○國務大臣(水谷長三郎君) 今の國管の六ケ條の問題は、見る人によつて、國管をやらなくても、あれをやれば増産が伸びて行くという見方の方もございましようし、又あれをやるというためには、國管をやらなくてはならんという、それは意見は兩方どちらにも通ずると思いますのですが、私らの考えは、とにかくやれるものからやつて行くということは先申した通りであります。そうしてお尋ねのこのいわゆる先に發表いたしましたものは、大體再檢討せねばなりませんし、更に又この國管の年限が三ケ年ということになつておりまして、これは五ケ年計畫ということになつておりますから、できるだけこの五ケ年計畫をば三年でやろうという工合に考えております。
#38
○堀末治君 そういたしますと、この數字は國管に拘わらず、今の増産要綱がつぎつぎと行われた後において、これだけの數字は達成し得ると、かように政府はお考えなのでございましようか。もう一遍はつきりその邊をお伺いしたいと思います。
#39
○國務大臣(水谷長三郎君) これは私の言葉が足らなかつたかどうか知りませんが、この五ケ年計畫というものは、こうして數字を出しますれば、いとも簡單のように見えますが、非常に努力も拂わねば五ケ年計畫というものはむづかしいということを、一つ御了承をおいて頂きたいと思います。ここで幸いに國家管理法案が通りますれば、こういうような出炭計畫というものは、よりやり易くなりまして、できるだけのことをやつて行こうと、このように考えております。
#40
○堀末治君 もう一遍お尋ねいたしますが、どうも私頭が惡いのか、大臣の答辯よくのみ込めませんが、そうしましたら、別な方面からお尋ね申上げますが、いわゆるマツカーサーからの至上命令のようなあの手紙に對して、生産目標を改訂してということを、特に強調しておらるるように思うのでありますが、そういたしますとその中國管案の審議の間に、この數字の外に、國管案が行われればかくかくの數字が殖えるのであるということを、的確に數字をお示し願われましようか。
#41
○政府委員(平井富三郎君) 只今お示しいたしました五ケ計畫の數字は、現在のいろいろな生産諸要素及び來年度における生産諸要素、或いは勞働者の數、能率等を勘案しまして、一應の見通しを立てたわけであります。從いまして、この五ケ年計畫を達成いたしますために、どういう手段をとるべきかという問題も出て來るわけでございます。それで國營をやりますれば、直ぐそれの一割殖えるか、或いは五%殖えるかというような結論にはまだ到達しておりませんが、マツカーサー元帥からのいろいろの諸對策をこれから逐次實施されまするし、又國管を實施いたしました場合に、いわゆる必要な資金、資材というようなものが、或いは今後打ちまする各種の施策の效果によつてこれがどれだけ増し得るか、これは現在愼重に檢討しておるところであります。さよう御了承願います。
#42
○堀末治君 そうすると、只今の答辯によりまして、只今愼重に御檢討中だと仰せられることでありますから、いずれ遠からずお示しは願えることでございましようね。
#43
○政府委員(平井富三郎君) 只今打とうといたしておりまする増産對策、これらの政府の見通し等も相當關係して來るわけであります。政府といたしましては、あの對策をこの國管の如何に拘わらず、できるだけ早く手を打ちたいという覺悟でおりますので、それらの見通しも勘案させて檢討しておるのでありまして、できるだけ早くその見通しを立てたいというふうに努力はしております。できますれば、勿論一日も早く御報告申上げたいと思つております。
#44
○委員長(稻垣平太郎君) 今の堀委員の御質問に關連して、私から質問申上げたいのですが、五ケ年計畫で實際上に第二年目から新鑛開發では五十萬トン、三ケ年目で百五十萬トンといつた形で五ケ年目で五百七十萬トンの増産を新鑛開發によつて期待されておるのであります。これで大體一割六、七分のものが増産になる。で從來の鑛山の採炭は五ケ年のおしまいには三千六百三十萬トンということでございまして、二割以上の増産が期待されておる。で新鑛開發に要するところの資金、資材、そういつた面、それからして現行の、從來の鑛區による増産の資金費用、そういつたようなものの内譯も尚一つこの次でよろしうございますが、お示し願わんと審議の上に不便じやないか、かように存じますから…。
#45
○政府委員(平井富三郎君) これをこの昭和二十三年度以降の各種の生産を確保いたしますための資材、資金等につきまして、これと合せまして、各種の點から檢討を續けておるわけでございますが、衆議院におきましても、二十三年度分について少くとも資材等の見通しについて資材の要求がございまして、これを近く配付の豫定にしておりますが、この資料は同時に參議院にも御配付したいと、かように考えております。ただ新鑛の具體的な問題につきましては、これは現在如何なる新鑛を開發するかという點について、いわゆる一般の炭田調査でなく、開發いたしますための具體的調査を今後もやつて行かなければならんというような點もございますし、又どの程度の、どの地區においてどういうような新鑛を開發して行くかという點につきましては、尚相當考究すべき點もございますので、現在分り得る範圍におきまして、御期待に副う資料を調製いたしたいと考えますが、何分先の五ケ年計畫でありまして、これに絶對に通するものを今から出し得るということは……、非常に假定の多い數字になると思いますから、二十三年度につきまして、現在編成しつつあります計畫で一つ審議を願つたらどうかと、かように考えております。
#46
○委員長(稻垣平太郎君) 私の資料の御提出を希望した所以は、新鑛の方では五ケ年ということになると二割以上出る、從來の鑛區の開發で二割以上出る。新鑛の開發よりも從來の鑛區をそのまま開發する方が資金その他の資材の上において非常に少くて濟むのじやないか。新鑛を開發するということによつて僅かに一割七分しか出ないので、資金資材がもし假りにそれに對して倍も掛かるということでありますと、今日の傾斜生産をやつておるといういわゆる非常に資金資材の乏しいものをこれに注ぎ込むという場合において餘程考えなければならん問題が起きるのじやないかという點についてはつきりした審査の標準を得たいのでありますから、少くも若し五ケ年が不可能であれば、三年なり先の計畫についての數字を出して頂きませんと、皆さん御審議の上に都合が惡いのじやないか、そういう點について御疑念があるのじやないか、こういう意味合であります。
#47
○政府委員(平井富三郎君) まず第一の問題は、この出炭高の數量でありまするが、これに關連しまして現在設備による出炭高、それを新鑛開發による出炭高二つあるわけであります。なぜ新鑛開發をして行かなければ困難かという説明に必要な資料を提出できると思います。それから細かな資金等の推定は一應可能でございますが一應資料を作りまして御相談いたしたいと思います。
#48
○大屋晋三君 只今の堀君の質問に對する御答辯がまだ私も頭にそれがよく分らないのですが、餘り理窟に走るようですけれども、つまりこの間の五ケ年計畫の數字は大體政府のお考えは、あれは國管が通つたならばかよう、或いは國管が通らないで私企業の形ではこうというようなことを別にそう取立てて考えずに、かような生産量を意圖しておる、こういうお考えじやないですか。そこをもう一遍承りたいのですがね。どうもちよつとさつきしばしば言葉を費されたけれども、國管をせられたらこうなるのか、私企業の形でこのままでいろいろな改善を加えて行つたならばこうなるか、いずれかということがどうもはつきり承れないように考えるのですが、あの數字を擧げられた當時のお考えですな。
#49
○政府委員(平井富三郎君) この五ケ年計畫の生産の計畫を立てます際におきまする見通しとしては、やはり現在の勞働者の能率がどの程度高め得る、或いは資金資材はどういう程度のものをこうである、或いは又各地區別の生産力の伸び方等についてどういうふうな見通しを持つかというような、いわゆる技術的な檢討からこの五ケ年計畫が一應できておるわけであります。この國管の制度は例えば、今申上げました資材資金というものを確保いたしますための手段でございます。従いまして國管とこの數字を見比べました場合に、國管によつてこの五ケ年計畫達成に必要な資材資金というものが國管をやつた場合とやらん場合といずれの場合が容易に且そ的確にその資材資金が調達できるか、或いは又國管をやつた場合とやらん場合に、勞働者の意欲がどういうふうに違つて來るかというような點で檢討されるものでありまして、この五ケ年計畫を編成しました場合は、一應所要のこれだけの鋼材なら鋼材は確保できる、こういう前提の下に立ちましたものでございまして、その點から、國管をやれば一割増しとか五%殖えるとかいうような點がなかなか言いにくいように思います。
#50
○大屋晋三君 それで分りました。
#51
○宿谷榮一君 今度の増産對策要綱によりましても、この中に入つておりますが、相當坑内も坑外も荒れておりますから、それに對しては増産をして行くのには、相當施設が改善され、新規施設も必要だろうと思います。これらの資金は、政府の資金によつてやるのか、或いは企業者の借入等による資金によつてやられるのか、この設備資金というものをどういうお取扱いになさるお考えであるか、その點をちよつとお伺いしたいと思うのであります。
#52
○政府委員(平井富三郎君) 今度の擴充、或いは坑内の整備等に要します資金の大部分は、主として復金の資金に仰ぐことになろうかと考えておるわけであります。
#53
○宿谷榮一君 復金の資金というと、やはりその事業經營者の責任においてこれを借りることになるわけですね。
#54
○政府委員(平井富三郎君) 復金からの借入については仰せの通りであります。
#55
○委員長(稻垣平太郎君) 外に御質問はございませんか。
#56
○細川嘉六君 この對策要綱の第二に、八時間とか九時間とか十時間とかありますが、この時間の取決めを勞働協約によつてやる、その場合、勞働大臣の説明では、これは何も故障なしに行われるものと考える、勞働組合側はこれに對して反對し、ストライキなんかやるということはないように説明しておられましたが、併しこの場合、最後のところに「故意の妨害者に對しては斷乎たる方針を以て臨む。」というえらい文句を使つてありますが、こういうようなことは、大體こういうことによつていざこざが起きることを豫想しておるのか、若し時間の問題について組合側の代表者が反對したりなんかすると妨害者になるのですか。長時間働かせるということは、勞働者側の負擔になるのは當然でございますが、勞働者側がこういう對策に對して反坑した場合には妨害者ということになるのですか。「故意の妨害者に對しては斷乎たる方針を以て臨む。」という意味はどういう意味か、ちよつと伺いたい。
#57
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の細川さんの御質問は、マツカーサー元帥の書翰にも、その圓滿なる遂行を故意に妨害する者はこれを巖に訴追することという言葉もあります。我々はそれを受けてこういう工合に進んだのでありますが、故意の妨害であるかどうかということは、これはその時々の具體的事實に對して社會的、政治的のものさしで判斷するものであつて、今から豫想いたしまして、これとこれとが故意の妨害であるというようなことを決めるのは無理ではないかと思います。
#58
○委員長(稻垣平太郎君) 速記を止めて。
#59
○委員長(稻垣平太郎君) それでは速記を始めて。
#60
○細川嘉六君 この石炭非常増産對策要綱に「炭鑛の生産設備の荒廢が直接出炭力を低下せしめて居るのみならず、それがために勞働者の生産意欲をざ折しておる實績」である。そう述べてありますが、これは又實際である。そこで勞働者に先程來勞働時間の延長を勸めておることになつておるが、坑内の運搬その他の諸設備が現状はどうなつておるか、どうすべきか、こういうことは商工省でもう調べ上げてあつて指圖するようになつておるのかどうか。技術その他專門技能家を最高度に動員して行く、炭鑛の實際に當らせるということも、ここに述べてありますが、實際はこれは單に紙の上で述べてあるのか、實際こういういろいろの現状炭鑛における諸缺點を調べ上げて、どこの炭鑛がどんな生産設備を怠つているか、資材を隱匿しておるか、遊ばしておるか、そういうことを調べ上げて、そうしてどうすべきかということはちやんと案が立つて、更にここに專門技術家を動員して案を立てて、そうしてこれを即座に炭鑛に對してその必要なところを實施する、行わせるそういうような段取りになつておるのか、なつていないのですか。これは單にこういうつものだけでは實際の效果が上らないと思いますが、そのあたり商工大臣の御答辯を願いたいと思います。
#61
○國務大臣(水谷長三郎君) どうお答えしていいかちよつと分り兼ねるのです。先程他の方にもお答えいたしましたように、即座にやれるやつはやる、即座にやれないものはできるだけ早くやるというために、こういうことをやつたので、單に文字の上で作文したのではなしに、これは實際やるつもりであるし、又現にやりつつあるものもある。さように御了承を願いたいと思います。
#62
○細川嘉六君 炭鑛の實際設備がどんな状態であるか、そういうことも我々に明かにされて欲しいです。そうせんと勞働者が如何に働くかという問題について十分の判定ができない。設備の非常な缺陷がひどく勞働者の生産意欲を抑えておることでありますから、こういう點は十分はつきりさせる。のみならずこういうことは一般に公にして各炭鑛の責任を問うてよろしいことであろうと思いますが、そういう實際の面をはつきりさせて欲しいし、それを又公にして炭鑛側も反省しなければならんというところまで持つて行かなければならないと思いますが、商工大臣はそういうことについてはどうでありましようか、實際やれるだけのことはやつておるということでなしに、そこをはつきりと怠つておるものは怠つておる、それを責めるものは責める、公に責める。そういうような手は打てないのでしようか。
#63
○國務大臣(水谷長三郎君) 一つ一つのやまを何するということはちよつとなかなか困難であるかも知れませんが、大體の概要は生産局長におきまして次の機會に説明さしたいと思つております。
#64
○玉置吉之丞君 この際現場の規律ということについて商工大臣のお考えを伺つて置きたいと思います。石炭の掘れない原因には幾多問題があると思うのでありますが、私は現場の規律が紊れておつて、そのために勞働意欲が伸びないということに大きな原因があるのではないかしらん。この規律の立て直しと思しますか、これをどうするかということは一番大きい問題であると思います。それに對してあなたは九州から北海道の端てまで大抵のやまを最近御視察になつたようであります。現場を親しく目撃なさつたのでありますが、これに對してどういうふうに一つその規律を改正するか。ざつくばらんに一つお考え方を伺つて置きたいと思います。
#65
○國務大臣(水谷長三郎君) 玉置さんの御質問でございますが、ちようど今は戰爭時分の強制勞働の下における規律と民主的な職場の規律との過渡期になつておりまして、それは除々に終戰當時に比べれば囘復いたしておりますけれども、やはり現在の生産増強の上から申しまして、職場規律の確立ということが必要であるということは、やまにおきましてもそれぞれの責任ある立場の人も十分に確認しておるような状態であります。ああいう戰爭時分のような形における職場規律が崩壞いたしまして、そうしてその後に戰爭時分のあの強制勞働の反撥といたしまして、非常に、まあ一口に申しますならば、勞働運動の行き過ぎというようなものが行われまして、規律というものが相當紊れたことは事實であります。併しながらその後月日が經つに從いまして、その行き過ぎの勞働運動の自己批判ということも行われて參りまして、徐々ではありまするが、職場規律というものが一歩々々確立しておるというのが現状であろうと思うのであります。從つて我々はそれではただ單に手を拱いて待つておるかというと、そういうこともできませんし、又そうかといつて、無理に天降り的なことでそれをやる譯にも參らんと思います。幸い國家管理が通過いたしますると、生産協議会というものが確立いたしまして、これまで經営の面に殆どタツチできなかつたところの勞働者が、經營の面までタツチできるところまで上つて參りまして、勞働者が自分で自分の問題、自分で自分の運命をば處理できるという立場に立たされて參りますので、そういう點から申しまして、生産協議會の適切なる運用というものが、職場規律の確立ということに非常に役立つのじやないか、このように期待しておるような次第であります。
#66
○玉置吉之丞君 只今の御説明では私は得心が行かんのでありますが、つまりこの職場の規律の紊れておるというのはどんなたちのものであるか。私はやまの問題について深いことは知りませんのですが、大體どこでも不良の徒がいろいろなことを煽動したり、そうしてそういうものは、口も立つし、筆も立つ、仕場の職場にも餘り出ないで月の半分ぐらいしか稼がないというような人間が非常に邪魔をしておる。これを根本において芟除しなければ片づかないけれども、お話のようなふうに國管が通う、勞務者も生産協議會の中に入つて相談するようになれば、皆の意欲が高掲するというようなことは、それは皮相な上面の話であつて、現實に困つておるこの時局を認識せずして、石炭の増産というものがどのくらい國家再建のために必要であるかということを、分つておるのか、分つておらないのか。それはその人の立場において非常に傳統的に、何というか、やまなり職場において邪魔したりする者を、今日の情勢においては經營者がこれを排除することも解雇することもできないという實情に置かれておる。この際マツカーサー元帥の總理に宛てた手紙の中にあることも、それらの根本の問題に對して斷案を下すということをやらなければならんということを私は含んでおるかのように考えます。當局の大臣としてこれに對して一日も早く、國管が通るか、通らんかという、そういうような問題でなくして、そういう癌があるとすれば、この癌をどう芟除するかということについての、私は考え方を伺つておるのであります。これに對してはどういうお考えでありますか。
#67
○國務大臣(水谷長三郎君) 玉置さんの仰しやるのは、恐らく九州地方でよく新聞にも出ました暴力團の横行とか、そういうようなことを指されておると思いますが、成る程それも一つのいわゆる原因です。併しながら本當のこのやまの職場規律というものが、下から燃え上つた民主主義的な方法で作らなければ本筋の職場規律はできないと思うのです。だから私が申しましたのは、その本筋のことを考えて言つたのでありまして、今あなたが御指摘のようなことがないとは言つておりません。併しその點はやはり内務省、司法省なんかの協力でも得まして、前のようなことはないように、そういう點も或る程度改善されておるということは、玉置さんも御案内の通りであろうと思うのであります。それはそれとして本筋のいい職場規律、いわゆる生産増強のための本筋の職場規律というものは、このようにして確立しなければならないということを述べたのでありまして、只今の御指摘の點に關しましては、石炭廳なんかも非常に心配して、然るべく關係官廳とも連絡を取りまして、或る程度防ぎつつあるというような状態であります。
#68
○佐々木良作君 今の大屋さんの質問と關連するのですが、最近ややもするとすべての生産の減退、或いは生産の増加が豫期通りに行かない原因が、ややもすると勞働者の協力がないためというふうな恰好に置き替えられておる見方が非常に強くなつて來ておるのじやないかと思います。この生産増強のポイント、或いは現在の生産減退のポイントが、あらゆるいろいろな方面にあるということは御存じの通りであると思いますが、問題はこの勞働者を如何にして本當に生産意欲を出すようにするかということであり、そのためにい飽くまでも現在の勞働者が本當の勞働意欲に徹底する。勞働意欲というか、これまでの封建的な奴隷的勞働者から市民的な勞働者に轉換することに、この問題の解決があると思います。この國管案の問題の場合でも、私共はむしろこの國管案に對して勞働者の發言權の低いこと、或いはそれの效果が適當なところでどこかへ行つてしまうのじやないかということを非常に心配しておるわけであります。尚更に國管案について私最も根本的に疑問に思つておる點は、これが三ケ年という期限が切られまして、その三ケ年の實績を見て、又その後に石炭問題をどうしようということになつておると思うのであります。その期間に、私がむしろ心配するのは、この三ケ年の期間に資本家側の協力が足らなくて、この罰則などを見ると、消極的な協力しか規定してない。命令に違反した場合云々というような消極的協力しか規定してない。積極的な協力を命ずる何ものもない。勞働者側は積極的な増産對策など、非常に求められておるに拘わらず、資本家側にはそれがない。そういうことから、逆に三ケ年の間に國管案でやるのは實際は駄目だなんという實績を作つて、三年後に又元通りにしようというような行き方が、この法案からは資本家側になさるのじやないか、ということを心配しておるのでありますが、こういう點について、この炭鑛國管案を今實施しようとする立場の商工大臣の、ぱつきりとした基本的なお考えを承りたいと思うのであります。
#69
○國務大臣(水谷長三郎君) この期限の問題は非常にむづかしい問題でありまして、最初三黨首會談のときには、日本經濟の再建に至るまでの臨時措置というふうにして、期限を何ケ年なんというふうに區切らなかつたのですが、その後いろいろ議論を經まして、遂にこのように期限が決つたのであります。佐々木君の仰しやるように、この期限の間資本家が生産のサボをやつて、國管というものはこんな非能率なものだということを示されたらどうかというような御質問であるようでございますが、私はそうは信じたくないのであります。成る程今經營者側は全面的に反對しておられますが、これは又經營者の立場として一應反對されるのも、私は無理からんことであると了解しております。併しながら苟しくも最高の國家意思を決定する國會の決定というものが、右左どちらかに決りますならば、それに從つて生産増強のために勵むということは、これはもう誰しも日本人として、現在の苦しい經濟危機の下において、日本人といたしましては當然やらなくちやならんところの問題であると思うのです。性は善であるか、惡であるかということは、これはもう何千年前から議論された問題でありますが、少くとも私はこの場合においては、性は善であるという考え方に徹しまして、今如何なる立場におられる方も、國會が決めたところの結論には欣然協力して貰えるものである。又貰わなければならないという具合に考えております。從つてこの法案が通りますならば、生産は却つて減退して、その原因が資本家のサボによつて行われるというようなことは、私の今の立場として微塵も考えておらないような状態です。從つてこの國管が通りますならば、先に示しました五ケ年計畫の線に副うて生産増強は必ずできるものだという工合に確信しております。
#70
○入交太藏君 今の御質問に關聯をいたしておりますが、元來石炭の増産が急務なわけでございますので、政府は石炭の増産のために石炭の管理をやる、こういうことでありまするが、この管理法案を見ます時に、直接増産に關係いたしまする事柄が出ておらないように考えるのであります。本當の増産に對しまする直接の對策としましては、今囘出ております石炭非常増産對策とか、或いは又先刻質問がありました五ケ年計畫の案ということによつて、私は増産ができるわけだと考えるのでありますが、段々の政府からの御答辯によりまして、この法案とそうして五ケ年計畫なり、或いは非常石炭増産の對策なりを含めての、増産に對しての施策というように伺つたのでありますが、尚又この法案を通しまして、そうして具體的にどの程度の増産になるかということの御答辯に對しましては、まだ政府としてもはつきりした數字が出ておらないような御答辯であるのでありますが、併しながらこれを行いますにつきましては、この現在非常な場合に一番重大な石炭の増産に對しましては、ここに確乎たる自信のある具體的の見當がつかなければ、餘程問題と考えるのでありまして、この點につきましてこの法案が通ればどうとか、通らなければどうとかいうことはないと考えるのでありますが、この點につきまして大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 それからもう一つは法案の中にありまする管理をする炭鑛の指定炭鑛という、こうなつておりますが、この管理は大體一般の炭鑛に管理をされるように承知しておりますが、この指定炭鑛と、指定を受けない炭鑛との區別を、どういう線において行われるのでありますか、この點を伺いたいと思います。
#71
○國務大臣(水谷長三郎君) 第一の質問に對しましてはさつき政府委員の平井君がお答えいたしました通りでありまして、できるだけ早い機會に資料を提出いたしましてよく御相談したいということを一つ御了解願いたいと思います。
 第二の點は、これはいわゆる指定炭鑛、一般炭鑛の中から指定炭鑛を拾う基準は、この第十四條にありますように、全國炭鑛管理委員會に諮つてこれを決めるということになつております。或いは五萬トン、或いは十萬トンで線を引くか、或いは解體財閥のやまを對象にするか、或いは特殊炭鑛、非能率の山を對象にするか、いろいろ議論はございましたが、我々といたしましては、飽くまでも増産の立場からこういうやまを指定すれば増産がどれだけ伸びるのだ、そういう緊急増産の場立から指定炭鑛というものを決めたい、このように考えておりまね。
#72
○入交太藏君 それでは今の指定炭鑛を決めまする線がまだはつきり決まつておらんわけでありますね。
#73
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今のところはその基準は決まつておりません。全國炭鑛管理委員會に諮つて決めるということになつております。原案では去年の前期の下期一年を通じて〇〇トン以上というようなことを一應は發表いたしましたけれども、それはいろいろ論議の結果、なかなかその基準が決まりにくくてあのようになりまして、その時の實情に即して全國炭鑛管理委員會に諮つて決めようということになつておりますが、併しその大きないわゆる綱を飽くまでも増産という建前から決めたい。こういうやまを指定すればこれだけの増産になる。從つて二十三年度の目標ならば目標を達することができるという、そういう建前から一つやりたい。このように考えております。
#74
○委員長(稻垣平太郎君) 本日の質問はこれで打切りまして、又次會に續行することにいたしたいと思います。本日はこれにて散會いたします。
   午後三時三十五分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           清水 武夫君
           濱田 寅藏君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           林屋亀次郎君
          深川榮左ェ門君
           鎌田 逸郎君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
   勞 働 大 臣 米窪 滿亮君
  政府委員
   商工事務官
   (石炭廳生産局
   長)      渡邊  誠君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
ソース: 国立国会図書館
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