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1972/06/20 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第6号
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1972/06/20 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第6号

#1
第071回国会 交通安全対策特別委員会 第6号
昭和四十八年六月二十日(水曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         戸叶  武君
    理 事
                岡本  悟君
                二木 謙吾君
                神沢  浄君
                阿部 憲一君
                田渕 哲也君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                黒住 忠行君
                橘  直治君
                中村 禎二君
                矢野  登君
                野々山一三君
                原田  立君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       秋山  進君
       運輸政務次官   佐藤 文生君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       警察庁交通局参
       事官       寺尾  繁君
       大蔵省銀行局保
       険部長      安井  誠君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自動車事故対策センター法案(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(戸叶武君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 自動車事故対策センター法案を議題とします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。
 新谷運輸大臣。
#3
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいま議題となりました自動車事故対策センター法案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 わが国の自動車事故の発生率は、幸い二、三年来若干低下しておりますが一なお九十万人余の新たな被害者を年々生じていることは、国民福祉の上からもきわめて重大な問題であります。
 このような事態を解消するためには、まず自動車事故の発生そのものを未然に防止することが肝要でありますが、この点につきましては近年運行管理指導の強化及びその一環としての運転者に対する適性診断の実施の必要性が強く認識されているところであります。
 また不幸にして事故にあった被害者に対しましては、自動車損害賠償保障法による保護を一そう厚くするよう目下検討を進めておりますが、最近におきましては、この制度の改善とともに交通遺児対策の充実など、きめこまかな救済措置を講ずることが強く要望されているような実情であります。
 このような実態にかんがみまして、今回自動車事故の発生の防止に資するとともに事故による被害者の保護を増進するための業務を行なう自動車事故対策センターを設立することといたしまして、自動車事故対策センター法を制定しようとするものであります。
 なお、自動車事故対策センターに対しましては民間出資が予定されておりますが、政府といたしましても自動車損害賠償責任再保険特別会計から出資するほか必要な助成措置を講ずることとしております。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、自動車事故対策センターは、自動車事故の発生の防止または被害者の保護について学識経験を有する者が発起人となり、運輸大臣の認可を受けて設立されることとなっております。
 第二に、自動車事故対策センターのおもな業務といたしましては、自動車事故の発生を防止するため、運行管理者に対して安全確保上必要な指導及び講習を行なうとともに、運転者に対して安全運転上必要とされる適性の診断を行なうこととしております。また、被害者の保護を増進するため交通遺児その他生活に困窮している被害者に対し必要な資金を貸し付けるとともに、自賠法による保障金等の支払いを受けるまでの間の資金を必要とする者に対し貸し付けをすることとしております。
 第三に、自動車事故対策センターに対する政府の出資、監督等につき、所要の規定を設けることといたしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(戸叶武君) 以上で趣旨説明の聴取を終わりました。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○黒住忠行君 ただいま趣旨説明がありましたが、一点だけ大臣にお伺いしたいと思います。
 自動車事故は若干減少してきておりますけれども、なお楽観を許しません。自賠責制度は昭和三十年にできまして、そのスケールは約百倍になってまいった次第でございます。ところで、前回には死亡ないし後遺症等の保険金額は五百万円になりましたけれども、負傷の場合におきましては五十万円で据え置かれたわけでございます。で、あとで数字的にはお伺いしますけれども、保険勘定等におきましても好転してまいっておりますのでまた被害者保護の面から考えましても保険金額の改定ということが種々論議されておるところでございまして、政府におかれましても御検討と思います。その点につきましての御所見を承っておきたいと思います。
#6
○国務大臣(新谷寅三郎君) お尋ねのございました保険金額の引き上げの問題について簡単にお答えいたします。
 自賠責保険の保険金額の保険金の限度額は、死亡につきましては四十四年の十一月に五百万円、また傷害については四十一年の七月に五十万円に引き上げられまして以来、今日まで据え置かれているのでございます。このため、最近におきましては、この保険金の限度額を引き上げてくれという要請が各方面から出ていることは事実でございます。この問題につきましては、被害者保護の観点からいたしまして積極的に対処することにいたしておりますけれども、従来非常に大幅な累積赤字をかかえておりました自賠責保険の収支がようやく黒字に転ずる見通しを得たばかりの状況でございまして、今後、保険収支が非常に悪化することがないように配慮をしながら、また損害賠償の判決額でありますとか、他の社会保障制度との均衡、その他限度額引き上げの各方面に与える影響というようなものを十分勘案しながら、これはいずれ自賠責審議会にはかった上できめることにしたいと考えている次第でございます。
#7
○黒住忠行君 次に、警察庁のほうにお伺いをしたいと思いますが、先般、いわゆる交通事故白書が発表をされまして、いろいろと書かれておるわけでございますけれども、その内容を拝見しますというと、大都市以外の地方におきまして事故がふえているということであります そして これは当然のことでございますけれども、自動車がふえてまいりますというと、人対車の事故よりも、車対車の事故というものがふえ方が大きいのではないかと思います。そして、依然として子供、老人等の死傷事故というものがある。これに対する対策等は真剣に考慮していかなければならないと思うのでございますけれども、今回の昭和四十七年の交通事故の概況につきましての警察庁の所見と、それに対していかに対処されんとするかについて承りたいと思います。
#8
○説明員(寺尾繁君) お答えいたします。
 まず、交通事故の実態でございますが、幸いにしまして四十七年度は発生件数、死者、負傷者とも減少してまいりました。二年連続でございます。また、本年に入りましても、昨日現在でいずれも減少しておりまして、死者につきましても昨年よりもややベースを上回って減少しておるという状況になっております。ただ、その中身でございますけれども、東京、神奈川、北海道といった大府県では減少を見たのでございますけれども、いま先生御指摘のございました特に中規模県、観光県、通過交通の多い県といった、たとえば埼玉、長野、新潟、岐阜、岡山、広島といったようなところではなお非常な増加を見ておるわけでございます。
 死者をとってみますと、先生御指摘のとおり、歩行者、自転車乗りの事故が相変わらず多く、約四八%を占めてございます。自動車同士のものもふえているのじゃないかということでございますが、これはおおむね横ばいでございます。ただ、歩行者事故は日本は非常に率が高くございまして、相変わらず半数近くが歩行者、自転車乗りである。しかも、歩行者事故のうちの六割以上が老人と幼児で占められておるというのが現状でございます。しかも、昨年度は幼児と低学年の小学生――一、二、三年の小学生の段階の死者が絶対数においてもふえたということは、わずかではございますけれども、はなはだ残念なことだと思っております。参考でございますが、これらの死者は国道で四三%、五・五メートル以上の道路で八三%というような状況でございまして、きょうも関係ございます営業車によるものはおおむね一〇%ということでございます。なお、残念なことは、全体的には減っておるのでございますが、市町村道で人対車、いわゆる歩行者、自転車乗りの事故が若干ずつふえておるということは警戒すべきことだと思います。
 なお、原因別につきましては、酒酔い、無免許がやや増加しておるということでございます。
 以上が大体事故の簡単な実態でございますけれども、これに対しては、私ども基本的には道路とか車といった技術的なものが完璧になる、道路につきましては歩車分離、できれば、立体的な状態で歩車分離ができるといったような道路の構造がよくなること、あるいは車がよくなること、それが中心でございますけれども、しかし、現状をとってみましたならば、これは基本的なものといたしまして、警察といたしましては、いま申し上げたたとえば道路というような技術的な問題につきましたならば、交通規制でそれを実施していく歩車分離を交通規制によって歩行者と車との分離を交通規制で実施していく、歩道のないところに左側帯を引き、あるいはスクール・ゾーンといいまして歩行者用、特別の車以外は一切通さないといった歩行者の専用の道路をつくっていくといった政策をまず第一義的にやってまいりたい。あわせて今日の交通混雑の実態に備えましてバス専用レーンであるとかあるいは都心部における駐車規制を通じまして、自家用車の絶対数を抑制していく、大都市においては抑制をしていく政策もあわせて行なっているところでございます。
 また、交通の取り締まり面におきましても、昨年度約七百三十万件の取り締まりを実施しております。うち八割が反則制度でございますが、無免許、酒酔い――無免許が四%、酒酔い一・四%という状態でございますが、そうした悪質な違反を中心にいたしまして取り締まりをやっていく、それを通じて交通のルールが守られるように秩序づけていく、あるいは交通規制が守られるようにしていくということを第二番目の柱だと思っております。
 第三番目は、人の教育でございますけれども、まず新しい運転者を出す場合の指定自動車学校の教育あるいは免許試験といったものを厳格にやっていくといったようなこと、あるいは違反者に対する講習あるいは運転者を雇っておる企業の安全運転管理者の講習をやるという教育、そうした人の教育の面でも今後重点を置いて、さらに総理府でやっておられます幼児の教育につきましては、特に母親、保護者を巻き込んだ安全教育を安全協会ともども実施してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#9
○黒住忠行君 次は自賠責保険でございますが、四十八年度の予算書によりますというと、保険勘定におきましては歳入歳出が五千五百四十一億強それから保障勘定におきましては二百三十九億強ということになっております。そして保険勘定におきまして雑収入が百三十一億七千三百五十五万円、それから保障勘定におきましては十一億三千三百九十九万八千円と、こういうふうに予算書に予定をされております。そして、四十八年度におきましては、保険勘定等において累積赤字が解消するというふうにいわれておりますが、ただいま警察庁のほうから御説明があり、四十七年の事故の概要等を見まして、この予算関係の推計数字の変更が予定されるかどうか、運輸省のほうから承りたいと思います。
#10
○政府委員(小林正興君) 最近の自動車事故が減ってまいりましたということから、四十六年度から単年度で保険の収支が黒字になってきております。四十八年度におきましては、このような事故の減少傾向というようなことを推計いたしまして収支予算を編成いたしておるわけでございますが、それによりますと、まず保険勘定におきましては、四十八年度の見通しは七百三億円の黒字を予定されております。四十七年度末、これは決算見込みでございますが、累計の赤字が四百五十三億ございますので、四十八年度末には差し引き二百五十億の黒字になる、四十八年度中に保険勘定の累積赤字が解消すると、こういうように見ております。
 保障勘定のほうにおきましては、若干事情が異なっているわけでございまして、従来から比較的安定して黒字基調であったわけでございまして、四十八年度におきましても、当該年度三十五億円の黒字でございまして、この見通しにつきましては今後そう大きな変化はないと思っております。
#11
○岡本悟君 関連。
 先ほど黒住委員の御質問の中にあったのですが、自動車損害賠償保険ですね、保険金額の改定についてのお尋ねであったのでございますが、大臣の答弁によりますと、累積赤字もあるが、非常に保険財政は好転しておるので、近く自賠責の審議会にも諮問して改定をしたいというふうなきわめて抽象的な御答弁があったのですが、政務次官、この問題は非常に重要だと思うんですね。そこで、せめて、こういう日程でいつごろ諮問して、いつごろ実施したいというふうな腹案がございましたらこの席上で明らかにしていただきたいと思います。
#12
○政府委員(佐藤文生君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣が御答弁なさいましたとおりに、死亡につきましては昭和四十四年の十一月に五百万円、傷害については昭和四十一年七月に五十万円、こういうぐあいに引き上げられました。しかし、現在の時代の要請と経済情勢の推移に伴いまして、死亡によるところの五百万円という限度額というものが適正であるかどうかという問題点、傷害についての五十万円の限度額というものが適正であるかどうかということは当然問題になりまして、いろんな面からその引き上げについての要請が強く出ております。御承知のとおりに、航空機事故におきましても、アメリカを出発点にし、アメリカを経由した旅客に対しての補償金額というものは三千万円近くになるし、現在日本の航空業界が加入しておる制度によりますというと一千二、三百万円ぐらいであると、こういうぐあいに死亡事故につきましてもいろいろとその限度額についての国際的な論争がやはり航空業界にもあるわけであります。そういうものに比べまして、自動車事故についての五百万円の限度額ということをこのままにしておくということは適切でないという強い御意見がございますので、その限度額の引き上げにつきまして、先ほど大臣が自賠責審議会等の意見を聞きまして前向きに検討する、こういうことでございますが、その時期につきましては、あるいはその限度額につきましては、損害賠償の判決額とか、他の社会保障制度との均衡とか、こういったような点が十分配慮されねばなりませんので、そういう点を十分に配慮いたしまして、一番近い時期における審議会において、この問題を十分いま検討中でございますので、提起をいたしまして決定していく、こういうことになると思います。その時期について、いつごろにあるかということについては、自動車局長、見通しがあればお答え願いたいと思います。
#13
○政府委員(小林正興君) 昨年の自賠責審議会におきまして、この限度額の問題がほかの問題と関連いたしましていろいろ関係の委員の先生から御発言があったようでございます。関係方面の御意見が、一般的に申し上げますと、限度額引き上げの方向の御意見が多いようでございまして、現在私どもといたしましては、事務的にどの程度限度額を引き上げることができるかということを、収支の面から、あるいは保険料の改定というような問題とも関連しながら、こういった点の事務的な検討を進めておるわけでございます。したがいまして、今後大蔵省とも十分よく密接に連絡をとりまして、なるべく早い機会の自賠責審議会にこの問題が諮問されるのではないか、こういうふうに思っております。
#14
○岡本悟君 なるべく早い機会に、ということなんですが、一応目算はあるんじゃないですか、たとえばことしの九月ごろまでに開いてかけたいとか。これ、非常に重要な問題ですから、国民が大きな関心を持っている問題なんですから、なるべく早くやってもらわぬといかぬと思うんです。
 それで、先ほどもあなたが御答弁なすったように、保険勘定の財政状況も非常によくなっている。四十八年度には黒字に転化するというふうなことを御答弁なすったんですが、そういうこともありますから、見通しとしては非常に保険勘定も健全化に向かう見通しであるわけですから、早い機会にやってもらいたい、こういうことを希望しておきますが、言えませんか、どうしても、時期は。
#15
○政府委員(小林正興君) 現在いろいろ審議会に諮問した際の細部の数字についてできるだけ資料を集めておるわけでございます。たとえば事故率とかあるいは収支状況の見通しというようなもの、あるいは保険料の制度の問題、いろいろ万般にわたって準備を進めておるわけでございまして、できるだけ早くと申しますのは、見通しでございますが、年度内に大体累積赤字が消えると、こういうことでございますので、年度内のなるべく早くに、というつもりでおるわけでございます。できれば今年内にもこの問題を正式に審議会で御審議願うように取り計らいたいという希望を持っております。
#16
○岡本悟君 もう一問。
 政務次官、先ほど来いろいろお話がございましたが、もうこの資料を集めるとかなんとかいうことは――わかるんですよ。わかるんですが、大体もう御指摘のように、大体このぐらいだろうということは一応のコンセンサスはできているわけなんですからね。ですから、もうあとはやっぱり保険勘定の見通しということにかかると思うんです。まあ、その作業もそうたいして私は時間はかからぬと思いますから、ひとつ国民の強い要望ですから、事故対策センターも重要でございますけれども、ひとつこの自動車損害賠償保険の保険金額の改定を早急にやってもらいたいということを強く要望しておきます。
#17
○黒住忠行君 いまの場合に、従来からこの自賠責保険と任意保険の関係をどう考えるかという問題があるわけでございます。保険金額の改定におきましてもその問題を考えなければならないわけでございまして、自賠責保険はいわば最低保障であると思うわけです。したがいまして、ノーロス・ノープロフィットという原則になっておるわけでございますけれども、私はいまのように自賠責保険というものは最低補償であると観念をしたいと思うわけです。法律的には自賠責の法律では三条がいわゆる民法に対する特則でございまして、相対的無過失責任主義と、こういうふうになって、挙証責任の転換等が行なわれておるわけでございますが、一歩進めまして自賠責の範囲内においては無過失責任主義にする、その運営につきましては現在の三条を原則にして両者をはっきり分野をし、そうして両方が相まって発達をしていくということも考えられるのではないかと思うんです。そういう面につきまして、まず任意保険の関係もございますので、大蔵省の見解を承りたいと思います。
#18
○説明員(安井誠君) 自賠責保険と任意保険の関係につきましては、実はこの自賠責保険をつくられたときの起案者でありまする黒住先生があるいは最もお詳しいかとも思うのでありますけれどもいま先生御指摘のように、自賠責保険と任意保険ともに自賠責保険法の三条による、何といいますか、相対的な無過失賠償責任になっておりますが現実には、自賠責保険のほうの運用は、ほとんど無過失賠償責任に近い形の運用が行なわれております。具体的に申し上げますと、過失割合が七割をこえませんと過失相殺いたさない。七割をこえて二割、八割をこえて三割、九割をこえてやっと五割の過失相殺という形でやっておりますので、過失相殺が適用になるケースと申しますのは、全体から見しますと一%にも及ばないような状況でございます。そうなりますと、この過失相殺を行なわないということは、被害者の救済のためには非常に有効な制度でございますが、同時に、加害者にいたしますと、被害者がたとえば赤信号のときに飛び出してきたというような場合でさえ、いわゆる加害者のほうで責任を負わなければいかぬという問題がそこに出てくるわけでございます。したがいまして、任意保険のほうは同じ自賠責法の三条の適用はあるわけでございますが、この過失相殺を諸外国に――あるいは一般の民法よりはこの三条は少しきつくなっておりますけれども、諸外国並みの運用をしているわけでございます。私ども自賠責保険の引き上げにつきましては、先生も御指摘になりましたように、あるいは運輸大臣もおっしゃいましたように、四十四年の自賠責審議会におきましても、自賠責保険の限度額というものは最低保障であり、またあるいは他の社会保障制度との関連を考えながら検討すべきであるということになっているわけでございます。最近の、しかし、各方面での自賠責の限度額の引き上げというのは、当然最低保障であり、かつ、社会保障制度の一環としての自賠責保険の限度額の引き上げに対する御要望が非常に強いのだというふうに私どもは理解いたし、この自賠責保険の限度額の引き上げには前向きに処理をしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 任意保険のほうも、現在昭和四十四年度の自賠責の改定前は、対人補償が大体四六%ぐらいの付保率だったわけでございますが、自賠責限度が引き上がったこと、あるいは自動車重量税等の賦課等もございまして、現在この率が四〇%ぐらいに下がっております。自賠責保険だけはとうてい完全な賠償責任のカバーができないわけでございますので、私どもとしては任意保険のほうの普及も大いに徹底してまいりたい。現在任意保険の付保額の平均が大体一千万円ぐらいでございます。したがいまして、自賠責保険と任意保険と相まって賠償制度の確立ということに持っていくのが一番望ましかろうと、かように考えているわけでございます。
#19
○黒住忠行君 自賠責の保険金額が上がるということによって、任意保険の付保率が低下するということは、一つは原因があるかと思いますけれども、自動車の所有者側から見まして、任意保険のいわゆるサービスといいますか、もう少し利用しやすい保険でなければならぬと思うわけでございます。これについてはいろいろと改善努力を行なわれると思うんでございますけれども、いまや自動車は二千三百万台、原付を入れますと三千万台をこえておるわけでございますが、その一翼をになう任意保険に対しまして改善努力を最近やっておられるかどうか。大蔵省、いかなる指導をされておるか承りたいと思います。
#20
○説明員(安井誠君) 任意の自動車保険につきましても、他の損害保険、たとえば火災保険などと同様に、常に保険会社、具体的に申しますと、損害保険料率算定会であるとか、あるいは自動車保険料率算定会に対しまして、料率の検証等をさせているわけでございます。昨年も自動車の任意保険につきまして全面的に約款の変更を求めまして、たとえば付保範囲を拡大する。具体的に申しますと、昨年までは自賠責と違いまして、任意保険のほうは、酔っぱらい運転とか無免許運転については任意保険はカバーをしていなかったのでございます。ところが、どうも被害者の立場から見ますと、自動車が酔っぱらいの自動車であるか無免許の自動車であるかもわからないわけでございますし、議論もあったのでございますが、この際、自賠責保険も踏み切っていることでもありますし、そこまで担保範囲は任意のほうも広げたらよかろうということでありますとか、あるいは、自動車と自動車とがぶつかりましたときに、双方に過失がありまして、過失相殺をいたしますときに、差額だけを支払うというようなことではどうも補償として十分ではないということから、それぞれの立場で、何といいますか、支払うべき金額を交互に支払い合うというような形での補償範囲を広げるというようなことで、私ども、この料率に換算をいたしますと、一〇%をこえる程度の担保範囲の拡張ができた、かように考えておるわけでございます。今後とも自動車任意保険につきましても、十分いま先生の御指摘のように、サービスとして契約者が満足をするような形でもってまいりたい。
 具体的に現在進んでおります一つの問題点は、事故が起こりましたときに、欧米の自動車保険でございますと、加害者、つまり契約者でございますが、契約者にかわりまして、保険会社がその被害者との間の示談を取りまとめることをお手伝いしておるようでございます。したがって、保険会社のほうがいろいろ詳しいわけでございますし、むしろ事故の損害賠償金額等の決着も早くつくようでございますので、それを日本でもぜひ取り入れていきたいということで現在検討し、弁護士会等とも話し合いを続けておるというのが現状でございます。
#21
○黒住忠行君 次に、現在運行管理センターというのがございますが、これの中の重要な仕事の適性検査等を、今回の法案によりますところの自動車事故対策センターで行なうことになるわけです運行管理センターの活動というものが必ずしもいままで十分じゃない。それで今度はこれの制度を改善拡張して新しい対策センターをつくろうというわけでございますが、どうももう少し、一挙につくったらどうかと思うわけでございまして、年次計画的に考えられておるようでございますけれども、まずその年次計画を簡単に承ると同時に、なぜ思い切ってもう少し早く全体的にやられなかったのか。
#22
○政府委員(小林正興君) 運輸省の従来から行なっております交通事故防止対策につきましては、一つは物の面についての、車両についての保安の確保ということが一つあったわけでございます。これにつきましては、車両検査制度あるいは点検整備の強化というようなことでやっておったわけでございますが、ドライバーの面、これについては運転免許制度、これは警察庁の所管でございまして、全般的に交通取り締まりあるいは交通指導ということが行なわれておるわけでございますが、この自動車の運行管理というような点に着目いたしまして、道路運送法におきましては事業者は運行管理責任者、運行管理者を置きまして、そうして日常のドライバーの運行管理の指導をするということになっておるわけでございます。その際の一つの手法といたしまして、運転者の適性診断というようなことが必要ではないかというようなことで、数年前から、ただいま御指摘の自動車運行管理指導センターというものを各陸運局所在地に逐次つくってきたわけでございます。現在、全国九カ所の陸運局所在地に運行管理指導センターがございまして、そこで事業用運転者を中心に運転者の適性診断と、それからその結果に基づく指導運行管理者の運行管理についての指導というようなことを事業としてやっておるわけでございますこの運行管理指導センターにおきます各種の診断機器等について、自賠責の特別会計から一部補助を出して今日に至っておるわけでございまして、この効果というようなものも、その後の調査で非常に認められて実績があがってきたわけでございます。現在までに毎年受診者は逐次ふえてまいりまして、四十七年度の実績では六万一千人という数にのぼっております。これの効果というものが非常にございますし、そこで、これ以上この適性診断業務というようなものを普及し発展させるということにつきまして、やはり事柄の性質上、なかなか民間の資力だけではできないということでこのたび自賠責の特別会計の滞留資金の運用益というものの一部を活用いたしまして、新しく事故防止対策センターの主要な業務の一つとして、従来の運行管理指導センターの業務を実質的には引き継いでいこう、こういう計画を立ったわけでございます。もちろん、一挙に実施するということが一番望ましいわけでございますが、先ほど来の自賠責の収支の点で御説明申し上げましたとおり、今年度中に赤字が消えるというような収支状況でございますし、したがって、新しいセンターに対します予算の手当てというようなものにつきましても、やはり逐次充実さしていくという方針をとりまして、具体的には今後三カ月間に全国各都道府県庁所在地にこのセンターの支所を設けまして、そこで適性診断業務と、さらに、法律案にございますとおり、被害者に対する貸し付け業務というものを行なうように計画してあるわけでございます。
#23
○黒住忠行君 いまの場合に、運用益というものが相当あるわけです。単年度分でも百二十億以上あるわけです。したがいまして、四十八年度の予算はもう決定しておりまするので、ひとつ来年度ぐらいに全部完成するようにやるべきだと思うのでございますが、政務次官、どうでございましょう。
#24
○政府委員(佐藤文生君) 来年度に対策センターを一挙につくるということについての御質問でございますが、これを三年間でやるということにいたしましたのにはやはりそれなりの理由がありまして、御承知のとおりに、この事故対策センターがまず第一に事業用の自動車を第一義に取り上げて、そして事業用の自動車の事故というのがやはり非常に発生率が大きくて、貴重なお客さんの生命、財産を輸送しておるという公的な任務を持っておるということで、それを中心に適性診断を行なったり未然に防止をし、それから被害者に対するところの補償措置をやっていくというためには、一挙に単年度でもってそれを全国的に普及するということについては若干の無理が出てくるわけであります。しからば自家用のほうは全然取り合わないかと、こう申しますというと、自家用のほうも受け入れの能力がこれまた一挙にできかねておるということで、なかなか自家用運転者全員に対して受講、受診をさせるということもこれまた不可能であるということで、第一義、第二義的にそれを考え、そしてそれに見合うような施設もやはりつくらなくちゃならないと、こういうことで、予算があるからといって一挙にやるというところにはやはり無理があると。また、指導、講習の内輪の体制もつくっていかなくちゃならぬと、こういうようなこともございまして、三年計画でこれを完成していくと、こういうことにとったわけであります。なお、自家用自動車の運転者に対しましては、御承知のとおりに、各県の公安委員会において講習制度もございますので、それとの連携もはかりながら、落ち度のない事故防止対策を横の連絡もとりながらやっていきたい、こういうようなことで、単年度は少し無理である、したがって三年計画でこれを完成していくと、こういうぐあいに考えたわけでございます。
#25
○黒住忠行君 その点は極力スピードアップをしていただきたいと思います。
 いま業務の内容に触れられましたが、自家用の関係は三十一条の一項の第一号で読めるのかどうか。そして七号と八号に、七号では「前各号に掲げる業務に附帯する業務」、八号では「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務」、こういう表現になっておりますけれども、七号、八号の具体的な内容を御説明願いたいと思います。
#26
○政府委員(小林正興君) 法律案第三十一条の第一項七号に附帯業務、それから八号に目的達成業務というものが掲げられてあるわけでございます。まず、この七号につきましては、六号までの「前各号に掲げる業務に附帯する業務」ということでございまして、具体的には、たとえば、一号、二号で運行管理者に対する指導、講習、あるいは事業用自動車の運転者に対する適性診断、これが一号、二号でございますが、こういったものに附帯する業務として、指導、講習の受講者、適性診断の受診者という者の利用に供するための食堂、休憩所あるいは必要な売店というようなものを経営するというような場合にはこれは附帯業務に入るかと思います。また、たとえば、六号で調査、研究の実施をいたすことになっておるわけでございますが、この調査、研究の結果をいろいろな広報紙でPRをするというようなこと、あるいは調査、研究の結果を出版物として販売するというようなことも必要になるかと思いますが、そういった際はこの七号の「附帯業務」に当たるわけでございます。
 次に、八号の関係の目的達成業務は、「前各号に掲げるもののほか、」ということになっておるわけでございまして、具体的に一号から七号までに列挙したもの以外に一条の目的達成にふさわしい、また必要な業務というようなものにつきましてはこれは、なお、第二項で運輸大臣の認可を受けるわけでございますが、現在、具体的に考えておりますものとしましては、先ほど政務次官から話がございましたが、当センターは第一義的には一号二号で事業用の運転者の適性診断、指導というようなことをいたすわけでございますけれども、当然、事業用自動車に準ずる自家用――ダンプカーであるとかその他大型バスであるとか、いろいろ自家用であっても事業用に準じて必要度の非常に強いものにつきまして適性診断等をいたすことにいたしておるわけでございまして、そういった自家用自動車運転者に対する適性診断の実施につきましては、一号に掲げるほか、第一条の目的達成に必要な業務でございますので、八号の業務として考えられるわけでございます。
 それからそのほか、たとえば、このセンターが貸し付け業務におきまして交通遺児に貸し付けするというような業務がございます。これについては具体的に明文をもって定めてあるわけでございますが、交通遺児に準ずると申しますか、父兄が不具、廃疾状態になったというような場合に、たとえば、厳密に言えば遺児ではございませんけれども、そういった際の被害者の児童というような者に対して交通遺児に準じて育成費を貸し付けるというようなことも考えられるんではないかと。そういった際には、この八号によりまして、そういった業務が計画された際には、第八号の目的達成業務として認可をし実施いたすことになるわけでございます。
#27
○黒住忠行君 先ほどちょっとお話がありましたが、警察庁関係の運転免許の際の適性診断、それから今回のセンターにおきますところの適性診断ちょっと見ますというと同じような感じのように見れるわけでありますが、これに対しまして、運輸省と警察庁では両方の制度を十分活用するような打ち合わせはなされたと思いますけれども、運輸省側と警察庁側からその点をお聞きしたいと思います。
#28
○政府委員(小林正興君) この法案を作成いたします段階で、当然、関係官庁といたしまして警察庁と十分協議をいたしたわけでございます。私どもの今回考えております適性診断というものは、現在、公安委員会で行なっております運転免許試験に際します適性検査とは本質的に異なるものでございます。公安委員会で行なっております運転免許試験あるいは三年ごとに免許更新の際に適性検査というものを行なっておるわけでございますが、これは運転に最小限必要な一定の適性要件――視力であるとかあるいは色盲、聴力、四肢に支障があるかどうか、そういったことにつきまして検査をいたして、これに合格するかあるいは不合格するかと、こういうことで免許を与え、または免許を与えないということに相なっておるわけでございまして、こういった運転免許の際の適性検査と、今回センターが「適性診断」と称していたします診断は、運転免許保有者、運転に必要な最小限の一定の適性要件を備えた者、運転免許保有者に対しまして、さらに非常に精密な心理学的なあるいは医学的な方法によりまして、運転者、ドライバーの性格、適性、欠陥等につきまして診断をいたすわけでございます。具体的には脳波計あるいは処置判断測定器、速度見越反応測定器というようなものを利用いたしましてその当該ドライバーの適性についての一つの性格判断をいたしまして、それによって運転に際してのいろいろ注意を与える。こういうことでございまして、合格とかあるいは不合格というようなものをこれによって決定するわけではございません。こういったふうな理解のもとにこのセンターで適性診断を実施するということにいたしたわけでございます。
#29
○黒住忠行君 警察のほうの方は何か。
#30
○説明員(寺尾繁君) いま自動車局長がお答えありましたとおりでございますが、警察が行なっておる大部分のものは、総理府の規則によりまして、視力であるとかあるいは色盲の検査であるとか、あるいは耳の聴力、運動能力といったようなことを免許試験ないし三年ごとの更新で行なっておるわけでございます。今度の運輸省と同じようなことをやりますのは、法律の百二条で「臨時適性検査」という規定がございますが、何か大事故を起こしてこれは問題じゃないかといったようなこと、あるいはてんかんらしいといったようなことになれば臨時の適性検査を行なう。そのほか約三十五万人ぐらいの悪質な交通違反者について長期、中期の講習を行なっておりますけれども、その際にも心理的な適性検査あるいはシュミレーターなどを用いての検査などをやっております。そのほか府県に安全運転学校がございまして、希望があれば、そのいま申し上げました器材を用いまして適性診断をやっております。これはほぼ今度の法案の場合と似た検査だと思います。
#31
○黒住忠行君 今回のセンターの立てかえ貸し付け、これは自賠責におきますところの仮渡し金制度のない保障金の関係、あるいは後遺症の関係等を救済しようとするものであると思いますが、その内容については第三十三条の業務方法書でもって事前に認可を受けるようになると思いますけれども、それに間違いないかどうか。そうしてまた、具体的にどのようなことが予想されるかどうか承りたいと思います。
#32
○政府委員(小林正興君) 三十一条の業務のうち第一項第三号にこの立てかえ貸し付けの規定がございます。これにつきましての、貸し付け額であるとかあるいは貸し付け期間、償還期間等につきまして、これは業務方法書で当該センターが計画を立てまして運輸大臣が認可をいたすということに法律第三十三条でなっておるわけでございます。現在予算編成時に一応の見通し、めどといたしまして考えておりますのは、立てかえ貸し付けにつきましては五十万円以内、償還期間につきましては、保険金または保障金が支払いの際に一括返済をする、利率につきましては年利三%というのを一応考えております。
#33
○黒住忠行君 交通遺児の問題は非常に深刻重要な問題であると思います。現在高校生までの場合六万人をこえているようでございまして、中学生以下で四万五千人、さらに最近ではふえているかと思いますが、その中で生活保護世帯八・二%、準要保護世帯二九・一%ということでございまして、現在交通遺児育英会、あるいは日本育英会等の貸し付けの制度がございます。しかし、私はこの点につきましては十分でないと思いますし、今回の制度は、それらの育英会の制度との関係においては、おそらく十五歳未満の遺児を対象にしておると思っております。それから交通遺児育英会に対する国の助成が、四十八年度は三千万円となっておりますけれども、これらの金額ではもちろん十分ではない。で、今後その交通遺児に対してどのようにして助成をして保護していくかという点につきましては、たいへん大きな課題であると思うわけでございますけれども、今回の制度の発足を機会に、これを飛躍的に拡大していただきたいと思うわけでございますが、政務次官の御見解を伺います。
#34
○政府委員(佐藤文生君) 先生もごらんになったと思うんですが、私もつい先般、交通遺児がいま赤トンボの自転車に乗って全国一周をしておるテレビを見まして、交通戦争によって両親がなくなって遺児となって、明るい笑顔を取り戻しながらがんばっている姿を見て、私自身といたしましても胸の迫るものがありました。私は、今度のセンターの趣旨が、交通遺児に対して少しでもあすへのエネルギー源になるようにということで貸し付け制度を設けたわけでございます。御承知のとおり、この法案の内容は、義務教育終了前の交通遺児に対する貸し付けでございまして、一時金六万円以内、貸し付け終了後一年据え置きで二十年返済、無利子と、こういう制度で貸し付けをやる、こういう概要でございます。対象は非常に数としては少ないなという私は印象がありますが、とりあえず約千五百人の交通遺児に対して実施していきたい。これを全国的に見るというと、ほんとうに対象数が少なくて、何だこれしきかという御批判も衆議院の委員会で受けました。将来にわたって貸し付け対象のワクの拡大については考え、またがんばっていきたいと、こういうぐあいに思っておりますが、とりあえず千五百人前後を対象とする。そして、貸し付けの制度といたしましては、遺児本人に不利益にならないように親権者、後見人を連帯保証人にいたしまして、遺児本人に対する奨学資金的貸し付けのための無利子ということで、遺児が不利益を、そのために自分の知らないうちにそういうことをやったとかなんとかいったようなトラブルが将来起こらないように、そういうような親権者なり後見人を連帯保証人にして実施する。あるいは交通遺児貸し付けの将来にわたって返済が不可能になったような場合にはどうすべきか、あるいは返済困難になった場合にはどういうことを考えたらいいか、こういうことも十分配慮いたしまして、あらゆる状況で返還が不可能になる状況判断が出た場合においては返還免除、あるいは返還困難な状況になった場合においては返還の猶予をするとか、こういったような問題点も十分配慮いたしまして交通遺児対策を実施しようと、こうするものでございます。
#35
○黒住忠行君 この種の制度を一般に知っていただくという努力が従来足らなかったのではないかと思うわけでして、周知徹底ということが非常に大切だと思います。それにつけましても、現在、都道府県、市町村あるいは日弁連等におきまして、交通事故相談所がいろいろあるわけでございますけれども、事故にあった被害者がどこに相談に行ったらいいかということにつきまして、どうもはっきりしていない。おのおのの相談所が活動が十分でないということは否定できないと思うわけです。現状におきまして、交通事故相談所がどのようになっているか、そして、全体的にこの局面をいかにして打開しようとするのか、総合的に総理府のほうから承りたいと存じます。
#36
○政府委員(秋山進君) 各種の交通事故相談所の現況につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたように、各府県の交通事故相談所というものがございます。この相談所につきましては、さらにこれを拡充いたしまして、政令指定市及び人口三十五万以上の市にもこれを設置いたしまして、これが中心となって交通事故相談に当たっているわけでございますが、このほかにも市町村においては、市民相談の一環として交通事故相談を行なっております。また、行政機関としては、各警察署等において、末端においてそれぞれ交通事故相談に応じている。さらに、法務省の人権相談あるいは行政管理庁の行政相談というようなものがございます。このほか、民間の機関としては、専門的な相談に応じている日弁連の交通事故相談センターをはじめとして、全日本交通安全協会、損害保険協会、全国共済農業協同組合連合会、自家用自動車協会の諸団体が各地に相談所を置いて相談活動を行なっております。こうした相談所につきまして、私どもといたしましては、やはり地方公共団体が地域団体の、特に府県が中心になっております関係上、地方公共団体並びに市町村の相談所をこれらの相談の中心といたしまして、これを中心に各相談所との緊密な連絡をとって、こうした被害者の援助あるいは救済というものに遺憾のないように努力している次第でございます。
#37
○黒住忠行君 日弁連の交通事故相談所がありますが、これの存在をわりと知らないのではないか。先般も地方に本委員会で調査に行きましたときに聞いてみましても、そういうものがあるということを知らない向きが多いような感じがいたしましたが、せっかく補助金等も出しておるわけですから、運輸省はこれに対してどのような指導をされておるか。
#38
○政府委員(小林正興君) 交通事故相談の一般的な問題につきましては、総理府から御答弁がありましたとおり、都道府県あるいはその他一部の市町村におきまして相談所を設けておるわけでございますが、いろいろな方面、特に法律問題につきましては、日弁連が中心となって各県に事故相談所を設置しておるわけでございます。それの個所数は八十四カ所にのぼっておりまして、かなりの利用者の方がおるわけでございます。
 運輸省といたしましては、事故相談をいたします日弁連あるいはそれ以外にも法律扶助協会等ございますが、こういった方面に対してその業務活動というものをできるだけ積極的に、活発に行なっていただくというような観点から、自賠責の特別会計から補助金を出しておるわけでございます。昭和四十二年度から補助金を出しておりまして、最近は年間六千五百万という金額を出しております。それ以外に法律扶助協会というところにも出しておるわけでございますが、こういった方面に補助金を出しまして、いわゆる事故相談というようなものが、何といいますか、非常に簡単に弁護士先生方に相談ができるように、そういった体制について整備するということで、日ごろからこの補助金を大いに活用して、そうして日弁連の事故相談活動というものを活発にする、たとえばPR活動をもう少し強化するというようなことについても指導をいたしているわけでございます。
#39
○黒住忠行君 それで、承りましたのは、具体的にそういう相談所があるというようなことについてのPR、弁護士のところですと、普通の弁護士のあれだと、もうこの相談所であるということを認識をしてもらわなければならぬわけです。そういうことをどのようにやっておられるかということ。
 それから、いま相談がいろいろあるという御答弁ですが、年間どのくらいの件数になっておるか。
#40
○政府委員(小林正興君) 日弁連が行なっております事故相談は、最近の実績で申し上げますと、年間三万六千人の利用者があるようでございます。
 事故相談につきましては、先ほど申し上げましたとおり、各都道府県とか市とか、あるいは安全協会、自家用自動車協会、損害保険協会等、いろいろな方面でこの事故相談というような看板を掲げてやっておるわけでございまして、こういった点について、先生御指摘のとおり、一般にはなかなか知られてないというような点、あるいはいろいろな方面で事故相談をやっておりますので、これらについてもう少し秩序立って、まとめてどこに行ったらいいのかというような点についての周知徹底がはかられてないのではないかというようなことかと思うわけでございます。このセンター法案におきましても、そういった点について法案作成の段階で十分検討、配慮いたしたわけでございまして、事故相談が法律専門家の日弁連で行なわれ、あるいはそれぞれ各地方公共団体で行なわれ、いろいろな方面で特色を生かして事故相談が強化されることは望ましいわけでございまして、そういった点については補助金等の措置を講じまして充実強化をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。今回のセンターにおきましては、むしろ自賠責の制度そのものを積極的に周知宣伝するという点に一番主眼を置きまして、なお、関係の事故相談所との連絡というようなことが業務上非常に多く起こってくると思うわけでございます。たとえば、先ほど来の貸し付け金の問題等におきましてもこの事故相談所にいろいろ問題が提起されておるというようなことから、このセンターに問題が移されるというようなこともたくさんあるかと思います。あるいは立てかえ貸し付け制度にしても、交通遺児の貸し付けにいたしましても、そのほか適性診断業務等にいたしましても、現在交通事故を扱っておりますいろいろな機関というようなところと密接に連絡をとりまして、そういったところに宣伝のパンフレットあるいは申し込みの手続資料というようなものについて、関係の相談所にもお願いをいたしまして、このセンターの業務が積極的に行なわれるように配慮していきたいと思っております。
#41
○黒住忠行君 いまの件について総理府でひとつ音頭をとられて運輸省とよく相談して一目りょう然の相談の方法、内容、場所等につきまして、パンフレット等を作成をして、各相談所、都道府県その他の自動車関係の団体等にすみやかに周知徹底するような方策を具体的に至急とっていただきたいと思いますけれども、総理府はどう考えますか。
#42
○政府委員(秋山進君) 先ほどお答え申し上げましたように、都道府県、市町村の公共団体の相談所は各地の地域の相談所のいわば中心となって相談事務の円滑な推進をはかっているところでございまして、私どももそれを推進する立場にございますので、そうした関係の相談所がそれぞれの機能を持っております。それぞれ有効な働きをいたしておりますので、これが一般の国民の方にそうした機能、内容が周知徹底されるよう十分努力を私どもとしても努力をいたしたい、また、都道府県並びに市町村の相談所においてもこうした関係の努力をするように推進してまいりたいと存じます。
#43
○黒住忠行君 事故防止あるいは被害者の保護という事後処置等につきましては、関係の動きが非常に多いわけでございまして、いわば、いわゆる総合的対策というものが特に必要であると思うわけです。また、本制度におきましても、救急対策でありますとか、リハビリ対策でありますとか、それらも事後措置としましてもさらに前進すべき課題があるわけでございまして、それらの点につきまして、本制度が発足するということを契機に一段と前進をしていただきたいと思います。政務次官の御所見を承って質問を終わります。
#44
○政府委員(佐藤文生君) 交通事故防止対策につきまして先ほどから述べましたとおりに、とかくいままでは適性検査を行ないまして、そして一定の合格点に達しないものは免許証をやらない、達したものはやるというような制度で、免許証――私自身も免許証持って運転をいたしておりますが、それならば現在運転して適性であるかどうかというような制度というのは元来なかったわけであります。まあ、やっておったけれども非常に不完全であった。それが、今度の事故センターが先生方の御了解によりまして成立した暁においては、全国的にこれができますというと、その免許を持った者を対象に毎回ひとつ適性を見てやろうというぐあいで、連携した事故防止対策の未然の防止ができる体制がようやくできるわけであります。先般来より航空事故なんかを見ましても、たとえばいろいろ試験、検査をするけれども、心理学的にあるいは肉体的にそこまで適性検査をやらないというと航空事故が未然に防げない、こういうデータも出まして、具体的にいえば、梅毒患者であるならばもうパイロットとしての資格ない、こういうところまで出てきているわけで、そういうところの検査というものを適正にやっているかどうかというところまで実は突っ込んでやろうとしている次第であります。なお、自動車の運転手もいろいろこういう面で、専門家に聞きますというと、三年目か四年目ぐらいに大体事故が多いようである、免許をもらってから。その理由、いろいろたくさんな理由があるけれども、これは可能か不可能かわかりませんが、トヨタならトヨタを運転しておって五年間、六年間続けるのがいいのか。トヨタの車種から三年目にニッサンにぽっとかわるというと事故率が減るそうであります。要するにいままでなれた車からまた新しい車にかわることがかえって危険じゃないかと思うとそれは逆であって、心理的には新しい装置、新しいブレーキ新しいハンドルもあるのでまた緊張してやっていくというような面も出てきますので、そういったようないろんな適性検査を免許証の取得前から取得後における継続した体制ができてくるということ、それから、先ほど先生から御指摘ありました、事故が起こった場合のあとの保険金の操作でいろいろめんどうなことがありまして、一千万円自分は入っているから一千万円やろうという約束をすぐ示談でやる。ところが、実際保険金をもらうようになったところが五百万しか出なかった。あとの五百万は一体どうしたらいいもんだろうかというような、簡単にいえば、そういうような問題点が非常にありまして、日本の保険制度が、保険に入っておる制度になっておるけれども、諸外国に比べてそういうような面で非常に落ち度があるという面がございますので、こういう点を十分に配慮いたしまして、交通事故の未然の防止と、交通事故が起こったあとの対策について加害者、被害者ともどもに自立ができるようなそういう体制をとっていくように今後ともがんばってみたい、こう思う次第でございます。
#45
○委員長(戸叶武君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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