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1972/06/27 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第8号
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1972/06/27 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第8号

#1
第071回国会 交通安全対策特別委員会 第8号
昭和四十八年六月二十七日(水曜日)
   午後二時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     戸叶  武君     野々山一三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 関一君
    理 事
                岡本  悟君
                二木 謙吾君
                神沢  浄君
                阿部 憲一君
    委 員
                黒住 忠行君
                橘  直治君
                中村 禎二君
                中村 登美君
                橋本 繁蔵君
                矢野  登君
                野々山一三君
                森  勝治君
                原田  立君
                小笠原貞子君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       秋山  進君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   参考人
       日本損害保険協
       会専務理事    山口 秀男君
       交通遺児育英会
       専務理事     玉井 義臣君
       日弁連交通事故
       相談センター副
       会長       須藤 静一君
       東京自動車運行
       管理指導センタ
       ー顧問      清宮 栄一君
       全日本交通運輸
       労働組合協議会
       事務局長     穐山  篤君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自動車事故対策センター法案(内閣提出、衆議
院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村関一君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 戸叶武君が委員を辞任され、その補欠として野々山一三君が選任されました。
#3
○委員長(西村関一君) 自動車事故対策センター法案を議題といたします。
 本法律案につきまして、本日はお手元に配付いたしております名簿の方々を参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆さまには御多忙中のところを御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆さまから忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査の参考にしたいと存じております。
 つきましては、議事の進行上、山口参考人、玉井参考人、須藤参考人、清宮参考人及び穐山参考人の順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず山口参考人にお願いいたします。
#4
○参考人(山口秀男君) 参考人の日本損害保険協会専務理事の山口秀男でございます。
 本日、ただいま委員長からお話のございましたように、自動車事故対策センター法案についての意見を述べるようにというお話でございます。諸先生方もよく御存じのように、日本の自動車保険の普及というものは昭和三十年後半ごろからでありますが、非常に急速な普及状態になっておるわけで、それは経済の成長ということになるわけでございまするのでけっこうなことではありまするけれども、またその反面、事故が非常にふえるというようなことになっております。ちょうど自動車の台数は日本の人口四人に一台ぐらいあるというような割合になっているようで、ただいまのこの事故が急増というようなことも最近少ししばらく減っているようでございますけれども、最高のときには百人に一人ぐらいなけが人が出ているというようなこともございました。そういうことでございますので、これはもう官民あげてみんながたいへん心配をするところであって、どうしてこれを少なくしたらよかろうかということになると思うのでございます。そこに御着目になりまして、今度提出されましたような法案の作成に当たられました官庁の方々に対しまして、私は敬意を表するわけでございます。また、この法案が当院に提出されましてから、諸先生方には、この法案の審議にあたりまして非常な御熱意を持って御審議に当たられておりますこと、これまたわれわれといたしまして非常に敬意を表するわけでございます。
 私は先ほど申し上げましたように、損害保険事業をやっております者でございまするから、この法案がどういうふうになるかということに対しては深い関心を持っているわけでございまするが、この法案の内容を拝見いたしますると、大きな柱が二つほどあるんではないかと思っております。
 まず一番は、自動車の事故がたいへん起こっておるわけで、これは運転者だけが悪いということではもちろんないわけでありまして、加害者、被害者両方にもそういうミスがあるでありましょうけれども、何をおいても、運転者の方々が、適正にうまく車を運行していただくということがこれは一番大事なことでございますので、その点から見まして、運転者の方々の適性診断ということを大きな柱としてこの法案ができているようでございます。先ほどから申し上げますように、自動車の事故を少なくするために最も大事な柱だと思うわけでございます。このことにつきましては、自動車運行管理指導センターというのがいま全国に九つほどあるようでございますが、そちらでもいままでそういうお仕事をなさっておるわけですけれども、これをもっとさらに広く拡充して、そうして今度の法案みたいなものができたと思うわけでございます。そういうことに関しまして、私どもはこの法案まことに適切な法案であると思っております。
 次に、事故が発生いたしますると、申すまでもなく、被害者の方が非常にかわいそうな目にあわれるわけでございますが、また、残された遺家族の方、そういう方が非常な困窮にさらされるということは当然のことでありますが、そんなことであります。それで今度の法案の中の第二の柱と考えまするが、それは被害者の遺族の方の育英事業というようなことを掲げてあると思うのでございます。このことも被害者の家族がなかなか一人立ちができていかぬと、しかしながら、まだ、特に、若い子供さんたちというような人がそのままで放置されるというようなことでありますると、これはもう日本の将来のためにも非常にやっぱり悲しむべきことじゃないかと思うのでございますが、そういう点を取り上げられまして、育英事業というようなことに関係したことを大きな柱としてございますようですが、この点も、まことにこれはたっといお仕事であると思いまするので、そういう意味で、私どもはこの法案に対しましては、先ほど申しあげました第一点、第二点、ともにりっぱな柱だと思いまして、賛意を表しておるような次第でございます。
 たまたま、この法案ができまするときに、運輸省のほうから大体の構想を承りまして、それでその資金の一部として、若干のものを拠出してでも、この法案はやっぱり通していただくほうがいいんじゃなかろうかというような気もいたしましたので、幾分の御寄贈も申し上げたいというような考えでおります。また、この法案が成立いたしましたならば、これは三年ぐらい続けて資金の予算がついているようでございますが、そういうことに対しましても、お約束をして、御寄贈申し上げたいと、こんなふうに考えております。また、お仕事をおやりになる上におきましても、われわれとしては大事な仕事でございまするので、できるだけの御協力を申し上げたいと、こんなふうに考えておる次第でございます。
 で、われわれのほうからこういう事業に対して資金を出すということはどうであろうかということもあるわけでございまするが、諸先生方御存じのように、四十四年の十月に、自動車保険の審議会がございまして、そこで、自動車の保険料のうちから支払いまでの間にある滞留期間がございますので、その保険料の滞留期間に対しての運用した運用益でございますね、これをどういうふうに使ったらいいかというのが議題になりまして、その答申によりますると、これはその滞留金は保険料を安くするというようなことに使うのがいい。それからまた、自動車事故をなくするための諸方策に対して使うということもいいだろう。ことに緊急医療体制と申しますか、そんなふうなことにも使ったらいいんではないかというような趣旨の答申が出ております。その答申の趣旨から申し上げても、幾分の支出はこれはまあいいんじゃないかというように考えてやったような次第でございます。
 この機会に、ちょっと私どもの仕事を簡単に御報告申し上げておきたいと思うのでありますが、私どもは自動車事故が少なくなるようにと、こういうことは、もうほんとうに念願でございまするので、それに対する一つの処置といたしまして、各保険会社には全国に二千三百ほどの営業所がございまするので、その各営業店に、なるべく人を投入して、そうして、そこで自動車の事故が起こったような場合にはその御相談にも応ずるようにしようと、もちろん、これは無料でそういうことをしなくちゃならぬわけでありまして、そこには、それで各会社とも、大きな支店なんかになりますると、弁護士の方々に顧問になっていただいて間違いのない処理方法をしたいと、こんなふうに考えております。
 私どものこの損害保険協会には、保険事故のための相談室というのが昔からございますが、ことに最近は自動車事故が非常に多くなりまして、そうしてこの自動車事故の保険金の請求事務ということが非常にまあむずかしいと申しますか、簡単にいかないというようなこともございますものですから、そういう意味で、昨年の一月から自動車保険請求相談センターというものをこしらえまして、ただいま全国で二十八ほどこしらえております。これはできるだけ全国的に広がりを持って、そういうものももっと拡充していきたいと、こんなふうに考えている次第でございます。そこに行きまして、これは加害者の方、被害者の方、双方から、どうぞ隔意なくひとつ相談に来ていただいて、そして手続がなかなかわかりにくいようでございますので、そういう点についても御相談に応ずると、こういうつもりでおります。もちろん、そこにも、各地各地の弁護士会の方々と御相談をいたしまして、そこには毎日来ていただくようになっております。弁護士の方々の御支援を得て、そうしてやっていきたいと、こういうふうに考えております。
 あとの部分は、私どもの少し仕事のあらましを申し上げたようなことでございます。
 御清聴いただきましてありがとうございました。
#5
○委員長(西村関一君) どうもありがとうございました。
 次に、玉井参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(玉井義臣君) 財団法人交通遺児育英会の専務理事玉井義臣でございます。
 私は、交通遺児の救済運動を六年やっておりまして、それ以前から交通問題につきましては、いろんな形で、文筆活動なんかをやってきました関係上、その両方の立場で発言さしていただきたいと思います。
 まず、交通遺児の実態につきまして大まかなところをお話し申し上げますと、私がとらえておりますところでは、交通遺児の数は全国でいま約十万人いると思います。で、その九割が父親をなくしております。父親をなくした結果、母親は働きに出ておりますが、生活は苦しくって三人に二人は貧困家庭かと思われます。そして、日々の交通事故によりまして、毎日およそ三十人くらいの遺児が新たに生まれている。一年間に約一万人の遺児が生まれているんではないかと、かように考えております。
 で、私は、このように遺児が多発し、貧困化する原因は、やはりこの十数年間の過程を見まして、政治の責任であると言わざるを得ないんじゃないかと思います。車は本質的に見ますると凶器でありまして、その便益、つまり、便利性あるいは快適性、そして、経済に非常に貢献するという観点から政府が許している乗りもの、つまり、「許された危険である」という認識に立つ必要があると思います。「許された危険」に対して、それではいかなる対策が打たれたかということが、一つは、事故の多発、事故率によって評価されるんではないかと思いますが、この十数年間見ますと、やはり日本の事故率というものは決して低くはないと。事故の多発、それから来る交通遺児の多発というものは、政府の交通行政の立ちおくれであるというふうに見ていいのではないかと思います。そして、生まれました交通遺児に対しましてどういうふうな保障行政をしてきたかということが次に問われると思うんですが、交通遺児が六十数%貧困であるということは、やはり日本の保障行政が非常に立ちおくれていたということになると思います。確かに自賠法は世界に冠たる法律ではございますが、金額があまりにも低過ぎた。三十万円から五十万円、百万円、百五十万円、三百万円、五百万円と上がりましたが、諸外国に比べますと、いまフランスは三千万円、西ドイツは五千万円、イギリスは青天井の保険を課しています。経済――何といいますか、国力といいますか、GNPが自由世界で第二位になったにしましては、あるいは一人当たり国民所得がかなりここのところ上昇しているにしましては、ヨーロッパ諸国に比べて非常に少ないと、強制額が非常に少ないというふうに見られると思います。ですから、交通遺児がいままで多発化、貧困化したのは、やはり政治の責任であるというところから私は次の議論を進めてまいりたいと思います。
 交通遺児、すでに生まれてしまった遺児に対してどういう対策があったかといいますと、これは全く何もございませんでした。今度自動車事故対策センターが生まれましたのが政府としては初めてのものではないかというふうに言っても過言ではないと思います。私はその内容につきましては、八万人から九万人いる中学校卒業までの子供に対して千五百人というのはあまりにも少ないと思いますし、五千円という金額はいまのインフレ下で決して高いとは思いません。しかし、こういういわゆる受けざらがここにできたということは非常に評価していいのじゃないかということで、このセンター案に対しては積極的な賛意を表するものでございます。
 交通遺児に対する行政の立ちおくれということを申し上げましたが、私どものほうで「交通遺児を励ます会」の全国協議会が四十六年九月二十五日、交通遺児と母親の全国大会を催しましたとき、その際、私どもは全交通遺児家庭――そのとき六万人ぐらいの交通遺児名簿を持っていたわけでございますが、その悉皆調査をいたしまして、母親と子供たちの国ないし地方自治体への要望をまとめたものがお手元にある資料でございますが、これはその後内閣、各党、地方自治体の首長に全部送りましたのですが、ほとんど行政面での実現は果たされていないというふうに考えます。今後このセンターあるいはセンターでやれないものにつきまして衆参両院の交特のお力によってこういう要望が次々に実現されることを期待し、かつ強く母親たちにかわりまして要望する次第であります。
 そうして、もう一つの交通遺児の救済団体、それは私たちの財団法人交通遺児育英会でございます。これは貧困な高校生に月額五千円を貸与しまして、高校進学をしてもらっている。いま約三千六百人の子供たちがこの制度に浴して高校に行っております。すでに千七百六十名の子供たちが卒業しております。しかし、私たちとしましては、最近インフレのあおりをくらいまして、教育費が発足当時から五年の間に約二倍になってまいりました。これは四千円台だったのが八千円台、あるいはもう九千円台になろうかというような情勢でありますが、その中で、私たちが各層にわたって募金依頼をいたしまして、いままで三十億のお金を集めさしていただいたわけでございます。この三十億につきまして、募金目標を四十億設定いたし、そのうち十億を自動車工業会からちょうだいしたんですが、残り三十億を自動車を除く財界、そうしてもう十億を広く国民、そうしてもう十億を政府と公営競技関係というふうにしましていままで募金いたしましたところ、募金達成率は、財界が五七・四%、つまり五億七千三百九十六万円。国民が九〇・七%、九億六百万円でございます。それから政府、公営競技関係五四・八%、つまり五億四千八百万円というような数字が出ております。ここで私は、国民からの零細な募金が九億にのぼり、政府からの出資金が九千万円しかないということを強く訴えたいのでございます。ことに国民の九億の中で、全国の学生さんたちが街頭に立ち、あるいは小中高で一円募金をしてくれました金額が政府補助金をはるかに上回ります約一億三千万の多きに達している、この数字を御検討いただきたいと思うんでございます。その政府補助金の増額を要請しまして、最後に第五点としまして、今後生まれる交通遺児たちに対する対策として強く訴えたいのでございますが、いま五百万円の自賠責はあまりにも安い。皆さま方もそのようにお考えと思いますが、私は次の三千万円説を唱えたいんでございます。一つ、その三千万円の中で自賠責を五百万円から一千万円に引き上げる。この中で、従来自損事故に対しましては被害者に賠償金が出なかった。これを自損事故にも出るような――これはアメリカのノーフォールト保険というのがそういう方法をとっておるのでございますが、すべての遺族に賠償金が出るような形で一千万円をまず出す。そして、先ほど申しましたヨーロッパ諸国の金額に近づけるために、あと任意保険の二千万円を強制化する。つまり、自賠責保険一千万円と任意保険を必ずかけさせるという意味での二千万円を合わせて三千万円の補償能力をすべての車につけさせるというふうにすれば、今後生まれる遺児に対して、こんなにも急激に貧困化することは避けられるんではないかというふうに考えております。
 以上、簡単ではございますが、第一回目の陳述にしたいと思います。
#7
○委員長(西村関一君) どうもありがとうございました。
 次に、須藤参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(須藤静一君) 私、日弁連交通事故相談センターの副会長であり、その専門委員会のほうを主宰しておりますが、私どものやっておりますことは、自動車事故における損害賠償問題の迅速なる解決について何かとお手伝いするということでございますので、本日の議案になっておりますうちの業務内容の一、二については特に言う資格はございません。と申しますと、第三十一条でございますが、この一、二については特に申し上げる資格はございませんが、三、四、五について若干申し上げさしていただきたいと思うんでございますが、私ども、この法案そのものにつきまして何ら反対することはございません。全面的に賛成いたしまするが、ただ、実施面、運営面についていろいろ、注文と申しますか、こうやってほしいというようなことがございますので、その点について若干触れさせていただきたいと思うのでございます。
 いま玉井さんもおっしゃいましたが、いまの自賠責はいかにも安過ぎる。この法案そのものの第一条に述べてありますように、自賠責保険というものが前提になっており基盤になっておりますが、現在のものは、死亡につきましての五百万円というのは、たしか四十四年に五百万円になっておりますし、それから傷害の五十万円は四十一年以来の据え置きでございます。据え置きになっている理由につきましてはいろいろ説があるようで、損保側の御意見もありましょうし、また、われわれのほうでもかなり前から上げろ上げろという説もあるんですが、上げたものがはたして被害者のほうへ直接に回るかどうかという点についてかなり疑問がありましたもんで現段階までちゅうちょいたしておりましたが、私どもとしては、本年、日弁連の総会におきまして、各いずれも倍まで上げること、つまり死亡につきましては一千万、傷害につきましては百万までお願いしたいという決議をいたしまして、当委員会のほうにもたしか提出いたした次第でございます。と申しますのは、これはもう私どもが上げてほしいという理由は、自賠責保険の収支が好転したとかなんとかいうことじゃなくて、問題は、四十四年以来ここ五年でもっていかに物価あるいは各自の収入というものが変わってきたか、そういう点からして上げなければならないんだということを理由にいたしております。どうも、収支好転したから上げてもよろしいというのは本末転倒した考え方じゃないかと私自身は思っております。と同時に、現在の裁判所の交通事件におきます損害賠償においての損害金、主としてこれは、実損はどこでも同じでございますが、慰謝料でございますが、この認定につきましても、裁判所はどうも本来独自でやるべきであるにもかかわらず、この自賠責というものをある程度にらみ合わしておるんじゃないかと考えられる節がありまして、四十四年に三百万から五百万に上がりました時点でもってたしか三百万が少し上がってきたという――これは主として東京の例を申し上げます。現在は、その自賠責を基準としているんであろうと思うんでありますが、大体、慰謝料が被害者何人、被害者つまり遺族が何人おりましても全部でもって四百万から四百五十万というのが、これが相場と言っちゃ悪うございますが、定型化した一つの基準でございます。全国の裁判所でいまのところ一番高いのが京都の裁判所でこれが六百五十万、これが一番高うございます。しかし、ほかの、現在の公害裁判の慰謝料とか、あるいは航空機事故による損害の慰謝料に比べますとまことに微々たるものじゃないかと思います。やっぱり裁判所としては、現実に支払われるかどうかということが気になるのでこういう見方をされるんだろうと思いますが、これがもしも自賠責が倍に上がりますれば、おのずから裁判所の認定価額も上がるんじゃないか、かように考えますんで、そういう面からいたしましても、これはぜひ自賠責を上げていただいて、そうして、すべてに有利になるようにお計らいいただきたいのであります。と申します一つの理由は、これは、私どもの追跡調査した判決の結果につきましていろいろ調べたのでございます。これは四十四年の七月から十二月までの裁判所の例を集計いたします。これは裁判所七カ所だけでございますが。それで、判決につきまして、その結果で、任意保険に入っていないという者の率は五八%、半分以上が任意保険に入っていない。それから、和解になった事件では約四五%が任意保険に入っていない。ですから、約半分程度は自賠責だけでもって補償されるというのが実情でございます。ですから、あとでも申し上げますが、判決によってあと取れるか取れないかということは、一にかかってこの自賠責そのものにも非常に影響するわけでございますので、そういう面からいたしましても、ぜひ増額ということをお願いいたしたいのであります。
 ことにまた、一面から申しますと、任意保険でございますが、これは損保関係の方もおいでになるところで言っちゃ何ですけれども、だいぶここで矯正はされましたけれども、事故が多発するようなダンプとかトラックとかあるいはバスとか、ああいうものについて任意保険に加入することをあまり喜ばないという傾向がいままではございました。大体、営業主体と申しますか保有者のほうじゃむろん入りたくないだろうし、受ける側の保険会社側がいやがるというのじゃ、これは伸びることもありません。だいぶ直ってきたという話も聞いておりますが、そういう事実もございますから、これは、ただいま玉井参考人もおっしゃったとおり、これは強制でもって三千万程度まで伸ばすということは非常に大事なことじゃないかと考えております。ですから、そういうことを前提として、自賠責が上がるというたてまえのもとにこの仕事はやっていかなけりやならないのじゃないかと考える次第でございます。
 次に、こまかいことに入りますが、この三十一条の三でございますが、後遺障害に対する貸し付け補償でございますが、御承知のとおり、後遺症というのはどの時点で認定されるかというと、非常にむずかしい問題でありますし、治療が続いている間、後遺症の認定ということは、実際からいうと、ほんとうはできないのじゃないかというような問題がありまして、これの実際の運営面でどういうふうにされるかという点について十分御配慮いただきたいという点、ことに後遺症は御承知のとおり一級から十四級までございまして、最高が保険給付額が五百万で最低が十九万でございますから、それをどの時点でどうやるかという点、それから現在の私ども扱っている事例から見まして、後遺症認定というものはどこでされるのかという点で、算定会側のお考え方とそれからまた被害者側の医者の考え方が違うという例もありますし、その間に、各被害者側においては、いろいろなことでもって情実のような診断を出したりなんかされるので、実際お困りかとも思いますが、そういう点もありますので、これの実際の運営については特に御留意いただきたいと存ずる次第でございます。
 それから、次にこの第四号にちょっと触れたいと存じますが、四号のイ、つまりイによりますと、交通遺児というように了解いたしますが、これ、ちょうだいいたしました資料の「自動車事故対策センター法案要綱」の二の4によりますと、「義務教育終了前の交通遺児」――これは同じでございます――「その他特に」云々とございます。「その他」というのが入っておるようでございますが、これは私、ここで申し上げたいのは、もし法案どおり、条文どおりでいきまして、この貸し付け金が義務教育終了前の交通遺児に限定するとすると少し狭過ぎるんじゃないかということを申し上げたいんです。なるほどそれは交通遺児、これは当然やらなきゃならぬ。しかし、もう一つの問題は、重度障害者の家庭というものがございます。これはいろんな形がありますが、場合によりますと、むしろ重度障害者の家庭というものは、父親をなくした家庭よりもっと悲惨な例が幾つもございます。これは、身動きのつかないような病人をかかえている、したがって、母親も働きに行けないというような例で、この例がおそらく場合によっちゃもっとひどくなりやせぬかと思いますので、この点はもう少し広げて、「その他」というような形でもっておやりいただくほうが適当なんじゃないかと、かように考えております。
 それから口のはうで、これは非常に大事なことなんでございまして、これについて若干述べさせていただきますが、私ども、さっきちょっと触れましたけれども、四十四年の七月から十二月までの判決・和解総数千四百三十五件というものにつきまして追跡調査をいたしました。その結果でございますね、判決は確定、それから和解なら成立でございますが、その後三カ月以内に事件解決、つまり金額が全額支払われたというものは、判決につきましては六一%、それから和解につきましては七三%。まあ、和解のほうが解決が非常にいいようでございます。それからそれ以外に、今度は逆にいいまして、二年経過しても全然支払われていないという例からいきますと、判決の場合は二三%ございます。それから和解については一件だけでございますが、これはどういう理由によるのかちょっと私もわかりかねます。ですから、和解の場合には大体ほとんど全部解決していると言ってよろしいんじゃないかと思います。これは、東京、大阪その他主たるところ七カ所についての交通事件でございますから、全国的にこれを広げていたしますと、いまの履行、不履行のパーセンテージというものは、さらに履行されたものについては下がり、不履行のものがふえるんじゃないかという気が、私、一般事件を扱っていまして考えておりますんで、ですから、簡単に申しますと、判決を得て三カ月内に解決しない事件はまあだめなんじゃないかと言ってもいいと思いますが、これについて何らかの救済をするということはこれは必要というのは十分にわかりまして、ただ、この条文からいきますと、これを貸し付け名義でもって被害者――つまり事件でいいますと原告になります――に貸し付けるという方法をおとりのようですが、これは私、何かちょっと納得がいかないんで、これは立てかえ支払いか、あるいは加害者の存在がわかってりゃ加害者へ貸し付ける形をとって被害者のほうへ回すというような形をとってしかるべきじゃないか。被害者は、まあせっかく判決を得て、まあ国なりこの機関のほうから金を出してもらったが、あとから返さなきゃならないというのは、これ、なかなか容易なこっちゃありません。ですから、これは立てかえ払いして債権を譲り受けるというような形をとるか、あるいは何かの形、いろいろ法律的には手続に問題はあるかと思いますが、そういう方法でもとって、あとは、このセンターのほうが直接加害者である被告に対して請求すると、取り立てるという手続にしていただくのが一番穏当じゃないかと、かように考えます。実際われわれ事件を扱ってまして、取り立てというのは容易なこっちゃございませんから。もしもどうしてもそれができなくて、貸し付けの形をとらざるを得ないとおっしゃるんでしたら、特例を設けて、ある特別な場合には返済を免除することができるという規定は、これはぜひとも入れていただきたいと、かように考えております。
 それから第五の自賠の保障制度の周知宣伝、これは必要なんですが、いままでにおきましてもあまりどうもうまくいっていなかったと、自賠の請求手続というものについて。これはおそらく一つには請求手続がかなり複雑であると申しますか、これはもっと簡素化できるんじゃないかと思っております。これは複雑なもんでございますから、とかく事件屋が介入するとかなんとかいう問題がありまして、トラブルが絶えないようでありますから、これについては特段の御留意をいただきまして、もっと簡素化する方法、大体一般の人は、といいますか、事故に会うような人の遺家族は、印鑑届け一つしているわけでも何でもないんです。それを一々書類に印鑑証明つけろったって、これは印鑑証明とは何だということの説明からしてやらなければわからないんですから。
 それで、さらにこのセンターの制度を十分に徹底させるためには、私どもといたしましては、これは各自ばらばらにやったんじゃだめなんじゃないかと。私どもは、現在私どもの弁護士会でやってます制度といたしましては、交通事故の相談と、それからいまの自賠責の請求手続の代行です。これは若干の費用はいただいてやっております。無料ってわけにいきませんので。――をやっておりまして、ところが、この相談に来られる方の一番の希望と申しますか、は何かと申しますと、事件の解決に何とか骨を折ってくれと、こういうことが一番多いんでございまして、その点からして、私どもはまあ弁護士の紹介といいまする場合、法律扶助協会というのがありますから、それに弁護士の紹介もいたしますが、この際一歩進んで、われわれといたしましては、当事者間の話し合いのあっせんということをやるというところまで私どもは踏み切っております。と同時に、いままでの例といたしまして、その各相談所、これは公的なものもかなりできておりますが、それとの連絡その他が不十分と申しますか、ばらばらなもんで、まことにあっちへ行って迷い、こっちへ行って迷い、大体事故が起きてどこへ相談に行くかというようなことからして始まるんでしょうけども、ですから、これでもって、新しいセンターをおつくりいただくこと、まことにけっこうなんですが、これはほかとの連絡なしにただ自分のとこだけでおやりになるというんじゃ、まことにどうも能率があがらないんじゃないか。ですから、と同時に、このセンターのほうでは事故相談はおやりにならないというようなことを伺っております。しかし、まずもって被害者なりその家族が来るのは、どうしたらいいかという相談から始まるんでございますから、そういうものとひとつタイアップしたようなかっこうで、同じところででもやると、まあ、極端な言い方をしますりゃ、デパートのあの名店街のように、事故の相談はこっちだと、それから貸し付けはこっちだというふうに、一カ所へ来れば、簡単にと申しますか、きわめてぐあいよくぐるぐる動けるようにしていただきませんと、実際問題としての解決に非常にむずかしいんじゃないかと思います。私どもは現在のところ、東京では東京の都とタイアップいたしまして、ときどき定期的に話し合いもいたしまして、その相談並びにいまの示談と申しますか、あっせんについての話し合いをやってその進行をはかっておるんでございますが、まあ、そういう点からいたしまして、そういうものとみんな一緒になって一カ所でもって事の次第が全部片がつくような、そういった体制をとっていただきたいと申しますことが、これが私の一番のお願いでございます。これと同時に、われわれがやってますことは、いろいろやっているんですが、弁護士というものはまことにもって宣伝しちゃいかぬというやかましい弁護士法という規定がありますので、それに押れておりますんで、これ、いろいろやろうとしても手もございませんし方法も知りませんので、こういうものとタイアップしていろいろやれたらより以上の効果があげられると私は信じておる次第でございます。
 ひとつよろしくお願いいたします。
#9
○委員長(西村関一君) どうもありがとうございました。
 次に、清宮参考人お願いいたします。
#10
○参考人(清宮栄一君) 清宮でございます。
 私は国鉄に二十数年間おりまして、運転事故防止並びに傷害事故防止につきまして心理学の面から研究を続けてきたものでございます。最近労働省のほうで失業保険の特別会計をもとにいたしました職業研究所というのが設立されました。現在そこに移りまして心身障害者並びに中高年者の職業に関する研究に従事しながら東京の自動車運行管理センターの御相談役を受けております。本日は運行管理指導センターの顧問といたしまして発言させていただきます。
 自動車事故対策センター法案に対しまして、われわれ交通事故防止の研究に従事しております研究者の意をくみながらその代表的な立場でこれから意見を申し上げます。われわれは、自動車事故対策センターを設置するこの本案に対しまして全面的に賛成の意を表しております。むしろ、こういったものの設置がおそ過ぎたのではないかという感じさえ持っております。賛成の理由は四点ほどございますが、次のとおりでございます。
 第一の賛成理由。本案は人間尊重の精神が基盤ないし原点となってつくられているということ、それは特に第三十一条並びに全般にわたりまして私そういう感じを受けました。
 第二の賛成理由といたしましては、われわれ研究者が意図している人間の側面からの事故防止対策を具現するために必要な条件をこの本案は備えているということ、第三十一条の一、二、六、七、八項あたりのことでございます。
 第三の賛成理由といたしましては、自動車事故対策センターの運営に必要な財政的な基盤を確立してあるということ。
 第四、三十八、三十九、四十、四十一条にそれが述べられてあると思います。
 それから第四の賛成の理由でございますが、事故被害者の保護を増進するための適切な措置を考慮しているということでございます。第三十一条の三、四号に関連したものと思います。
 これからその賛成の理由に関しまして少しく申し上げたいと思います。第一の賛成理由から申し上げます。自動車事故の被害者はもちろん、見方によりますと、加害者でさえも、現代社会における車公害の被害者ではないかとさえ私は考えております。このような被害を抑止するためには抜本的な防止対策を必要といたしますが、毎日毎日事故が発生し、とうとい人命が失われている現状にかんがみて、可能な対策から迅速に実行に移すべきだと私は考えております。言うまでもなく、自動車事故の被害者に対する援助は十分になされなければなりません。これは三十一条三、四号。また加害者になるかもしれない車公害の被害者が、その被害者にならないためには、みずからが安全運転に意を用いるのは当然でございますが、彼らに自覚を促しすぐれた運転者に成長していけるように外から指導、援助するということも必要かと思います。これは三十一条の一号、二号に関連しておりますが、運行管理者に対する指導とか講習を行なうまた運転者対して適性診断を行なうというふうなことは、これに当たるかと存じます。この三点を指向した本案こそは、人間尊重の精神から生まれ出たものと私は考えております。
 次に第二の賛成理由について申し上げます。現在の自動車運行管理指導センターは本案第三十一条第一号に述べられてございます運行の安全の確保に関する指導及び講習と、第二に、同条第二号に述べられてあります自動車の運転者に対する適性診断とを実施して事故防止上多大の効果をあげてまいりました。
 ここで適性診断ということにつきまして簡単に一言申し上げます。適性診断と申しますのは、運転者の適性を医学的並びに心理学的にテストなどを用い、またはインタビューによりまして調べまして、その結果を活用して、運転者に助言を与え、それから安全運転を確保するように援助指導することを申します。そこで、この適性というものは固定化されたものではなくて、本人の努力によって望ましい方向に変えていくことのできるものであります。人間自身は絶えず成長を続けていく存在だと私は思っております。で、安全運転を確保して運転者自身の身を守るということのためにも適性診断ということは意味があることかと存じております。このことにつきましては本案の第三十一条第二号のカッコ書きに載っていることでございます。
 さて、このような適性診断の効果について実例を少しばかり申し上げてみたいと存じます。たとえば運輸省の御援助によりまして実施された昭和四十五年度のわれわれのところの追跡調査によりますと、その適性診断を実施いたしました時点を境といたしまして、過去一年間、それからその後一年間というものを設定して、同一の運転者の発生した事故に関連する事項を、全国的規模で、運転者三千三百四十八名について比較してみました。その結果の一例を申しますと、次のようなきわめて望ましい姿が見られたのであります。事故件数は二七・一%、死亡者数が八五・七%、それから重傷者数が六二・一%、軽傷者数が五七・三%、それから会社で支払いました損害金額が四六・五%というような大幅な減少を示しました。実は私たちもこの結果を見まして一驚を喫したというふうなところでございます。
 それからなお、つとにフランスの国鉄やパリの地下鉄、それから日本の国有鉄道におきましては、事故防止対策の一環といたしまして、適性診断を導入した結果、従業員側に原因のある責任運転事故を激減させた実績を持っております。
 さて、われわれは、追跡調査以来、全力を傾けまして、運行管理を担当する方々に対して適切な指導、講習等を行なうとともに、よりよい適性診断法の研究開発に従事してその効果の向上に努力を続けてまいりました。しかし、現在の自動車運行管理指導センターの運営状況では、われわれの意図するところ、あるいは、われわれの研究成果を十分に実現していく上で多分に危惧の念を感じております。すでに昭和四十六年の八月七日に現センターに顧問として関係している研究者二十一名は、現センターの強化に関し、御当局のほうに要望書を提出しております。
 本案は、単に現センターの強化にとどまらず、現センターの示した事故防止上の効果を全国的規模に拡大しようとする意図があると聞き及んでおります。これが実現いたしましたならば、事故は広域にわたってさらに減少するものと私どもは信じております。本案成立の暁には、関係者に対する指導とか講習はもとより、適性診断業務も飛躍的に発展し、自動車事故防止上さらに多大の効果をあげて得るものと信じております。
 次に、第三の賛成理由について申し上げます。現在の自動車運行管理指導センターは、独立採算制をたてまえとしておりまして、おもに検査料の収入その他によってかろうじて運営されております。幸いなことに、運輸省あるいは日本船舶振興会などからの御援助によりまして、研究開発業務や業界へのサービスが一応続けられている現状でございます。ところが、あるセンターのごときは、資金面で行き詰まりまして、現在閉鎖のやむなきに至るような極限状況にあるところもございます。それならば検査料金を上げたらいいではないかということも考えられますが、この業務の公共性ということにかんがみまして、たとえ現在受検希望者が飛躍的に増しているとは申しながら、現行料金を著しく引き上げるということは困難なように思われます。このような状況のもとにあって、今回現センターを吸収し、さらにそれを発展させた形で自賠責再保険特別会計及び民間出資その他による安定した財政基盤を持った自動車事故対策センターを設置しようとする本案は、事故防止対策業務を遂行し、かつ事故被害者の保護を増進する上できわめて適切なものであるというふうに私は考えております。
 第四の賛成理由については、いまさら申し上げることもないかと思われますので省略させていただきます。
 以上が本案に賛成する理由でありますが、委員会におかれましても、慎重な御審議の上本案に御賛成いただけるならば、われわれ交通事故防止対策の研究に携わっている者の大きな喜びとなることでございましょう。運行管理を担当する者への指導とか講習を通じ、また、人間性を尊重した適性診断によって事故を起こすおそれのあるような運転者を早期に発見して、すぐれた運転者に成長していけるように援助することがわれわれの切なる願いであります。その場を与えてくれるのがこの自動車事故対策センターであると私は思っております。本案成立の暁には、われわれ研究者は、本案第三十一条一、二、六、七、八号の業務遂行に最善の努力を傾けてまいりたいと存じております。
 最後に、本案の第三十一条の六号でございますが、「自動車事故の発生の防止及び被害者の保護に関する調査及び研究を行ない、その成果を普及すること」という項目がございますが、この「調査及び研究」ということは、このような業務を遂行する上でその基盤となる非常に大事なことかと私思っております。ぜひ新しい組織におきましてはそういった調査及び研究に力を注げるような部門を強力に推進していただけますならば、重ねてわれわれの大いに喜びとするところでございます。
 簡単でございますが、賛成の理由四点について申し上げました。どうもありがとうございました。
#11
○委員長(西村関一君) どうもありがとうございました。
 最後に穐山参考人にお願いをいたします。
#12
○参考人(穐山篤君) 穐山です。私は、国鉄あるいはバス、タクシー、トラック、こういった職業運転者を中心とした労働組合の集合体で、当然、労働組合ですから労働条件の改善という運動もやりますが、安全の確保という問題につきましては私どもの重要な運動の目標でありまして、そういう立場からこの法案並びに関連する問題について意見とそれからお願いを申し上げたいと思います。
 最初にこの法案全体の感想について率直に申し上げさせていただきたいのですが、三十一条に業務内容が書かれております。大きくいえば三十一条一項の一号、二号というのが一つの業務であります。それから三号、四号という貸し付け業務、これが一つになる。そのほか全体が一つということで三つから成り立っているわけでありますが、交通遺児の援護救済という新しい発想がありまして、非常にその点につきましては私どもも賛意を表するわけでありますが、三十一条一項の一号と二号と三号、四号では、具体的に業務内容が違うわけです。ですから、一つのセンターで行なうということにつきまして、少しなじみが薄いんじゃないかという感想を持つのであります。
 それからもう一つは、三十一条一項の三号、四号というものについてそれぞれ御意見ありましたように、政治のあたたかい光を当てるとするならば、もっと金額の面でもあるいは適用の範囲におきましても、あるいは手続についても、もっともっと充実したものでなければ人命尊重といいますか、人間性回復という立場から掲げられました本法案の趣旨というのは少し意味が薄れてしまっているのではないかと、こういう心配をします。
 それからもう一つは、交通事故をなくすという立場からいろんな法律があります。交通安全対策基本法あるいは道交法、道路法、いろいろたくさんあるわけですが、新しくこの法律をつくり上げて事故をなくしていく、そういう考え方だろうと思いますが、はたして大幅に交通事故をなくしていくことが可能かどうかということになりますと、率直に私どもとしては疑念を表明せざるを得ないというふうに思うわけです。三十一条一項の一号、二号は、大体が事業用の車、運転者を対象にした業務であります。しかし、いま現に起きております交通事故というものを昨年の実績から具体的に調べてみると、何をやらなければならないかという問題が私は出ると思うのです。去年の交通事故、死亡の場合をとりましても、事故件数一万五千件で、なくなった方が一万五千九百何人。そのうち死亡事故の件数をそれぞれ調べてみますと、営業用、青ナンバーの車が起こした事故というのは九%――バス、マイクロバス、トラック、ハイタク。しかし、マイカーといわれます自家用車、こういうものが六八・二%その他が二二・八%というふうに圧倒的に自家用車による交通事故というのが比重が非常に高いのです。私ども営業用の運転者をかかえておる組合とすれば、当然自分の命を大切にするということもありますけれども、旅客の安全輸送とか荷物の、財産の安全輸送ということを考えます。あるいは経営者側としても社会的な責任を考えるわけですから、年々営業用車の交通事故というものは減ってきているわけです。しかし、決定的に一万五千何百人となくなっている方の大部分が自家用車によるんですね。「走る凶器」か、あるいは「棺おけ」か、いろいろ内容はありますけれども、圧倒的に自家用車が多い。ですから、その問題を度外視をして、三十一条の一号、二号が、これで交通事故がなくなる、あるいは大幅に少なくなるというふうに言われるとするならば、私は重大なこれは問題ではないだろうかというふうに考えまして、そういう意味でいきますと、もっと人間性尊重の哲学に、お互いがあるいは法律をつくられたり、あるいは指導されるそれぞれの分野で哲学をきちんとしなければもうしようがないというふうに思うわけです。
 過日、警察庁が、ことしは一万五千人死亡者が出たけれども、来年はデッドラインとして一万四千人――まあ死ぬ人は気の毒だけれども、一万四千人台で食いとめよう、こういうことで全国に指示をされました。そのことは私は歓迎します。しかし、私どもの調べによりますと、ことし自動車メーカーが――大きな会社ですけれども、十一社が発表しました自動車の生産台数を見ますと、国内の販売が五百三万台ですね。それから輸出が二百三十三万台。まあ廃車もありますから、結果的に両数がふえるのは三百万台ぐらいふえるんじゃないかと思うんです。それから、昨年一年間で自動車の新たに免許を取った人が二百八十万人です。これは一年三百六十五日から日曜日を差し引く、あるいは祝祭日をはずすと、毎日一日に一万人の運転者が量産をされているということになるわけです。ですから、私はお互いの努力あるいは行政の努力によって、一定のところまでは事故をなくしたり、あるいは死んだり、けがをしたりする人は減らすことは可能だと思いますけれども、それを一万人に下げるということは絶対にできない。これはもう一万二千とか三千というのは、もう事故としては起きる問題だと。ですから、ここで抜本的に交通対策といいますか、人間尊重の具体案を出していかなければ、私はもう事故というものは減らないと、そういう立場で御審議をいただきたいと思います。そういう意味で、若干具体的な問題について先生方にお願いをし、あるいは行政官庁に御努力をいただきたいと思うんですが、非常に基本的な交通事故対策の点で、まあ全く欠けていると言えばしかられますけれども、非常に私は不十分の点が多いということをまず指摘をせざるを得ないと思います。
 その一つは、車が約三千万台ありますけれども、マイカーといわれるものが約二千万台ぐらい。しかし、その中には営業類似行為を公然とやっている事業者あるいは運転者がいるわけです。それは白ナンバーの車で営業行為をやっているということなんですけれども、これはまあ旅客輸送についていえば、工員の輸送だとかあるいは旅館の輸送だとか、あるいはトラックにしてみますと、もう東京都内を走っている大部分の大型トラックは私はもう類似行為をやっていると思うんです。この類似行為をやっている者についての規制というものは十分でない。これは運行管理者がその会社におって、十分に安全対策なり企業内教育をやっているわけじゃないんです。ですから、どうしても収入をあげるために無差別にスピード違反をしたり、いろんなことが事件として起こっているわけです。ですから、この際、類似行為の問題について、車の型でおさえるか、あるいはまあいろんな方法が法律的には考えられると思いますが、何か方法をとらなければ事故の絶対数を減らすということにはならないということはぜひ御検討をいただきたいと思っているわけです。
 それから、自動車の免許の問題であります。先ほど申し上げましたように、大体年間通しまして二百八十万人から三百万人の運転者が量産をされているわけです。この免許の交付について私は少し安易過ぎるのではないか。無免許運転あるいは酔っぱらい運転というのは昨年の実績で二%。これをなくしていけば事故は一割減ることはもう完全にはっきりわかっているわけです。この間、自衛隊の飛行機が、無資格者が飛んで事件が起きた。新聞は相当書き立てました。国会の中でも議論されたんですが、しかし、道路交通における酔っぱらいとか無免許運転というのはまあ二行ぐらいで済まされているわけですね。そのくらい、率直に申し上げまして、車という問題について哲学が非常に不足している。これは玉井さんが先ほど申し上げましたように「許された凶器」と。そもそも無資格者が乗るなんということは、あるいは無免許の者が乗る、あるいは酔っぱらいの人間が乗るなんということは、飛行機だとか鉄道という場面ではきわめて少ないです。ところが、自動車の場合には公然と許されている、と言えば語弊がありますけれども、ある意味では放置されている。ですから、私は免許を通して、最初に運転をするという問題について徹底的に究明すれば、事故の一割は確実に減る、こういうことを言いたいわけであります。
 それから、私どものようなところでも過積み、過労運転――これはトラックのところですけれども、過積み、過労運転があるわけです。私ども昨年十月に東名、名神で調査をしました。まあ、青ナンバーより白ナンバーのほうが非常に多く走っていたわけですけれども、約半数以上のトラックは過積みであります。その過積みの程度は二割であるとか三割であるとか、あるいは倍であるとか、あるいは東京近辺に行きますと、晴海の埠頭に行けばすぐおわかりになるわけですけれども、大体倍積むのはセミプロでありまして、プロは三倍積む。これはもう常識になっております。しかし、常識になっていますけれども、それも放置をされている。この過労、過積み運転は必ずと言っていいくらい事故を起こし、あるいはもらい事故も伴っているわけです。で、最近関係官庁の御努力によってかなり締めつけは行なわれておりますけれども、まだ依然としてある。貨物の需要は相当あるわけでありまして、鉄道だけでは運び切れないこともそのとおりであります。で、最近は大手の職業運転手は、賃金にしろ少しずつよくなったり、あるいは労働時間も短縮されるわけです。しかし、そのしわはどこにいくかといいますと、中小零細企業あるいは白ナンバーのトラックに全部それがしわ寄せされているわけです。ですから、事実上の問題としては、もう過積みはいけないということがすべての法律に書いてありますけれども、過積みが横行している、過労運転が行なわれている、そのために事故というのは必ずついている、こういった私は基本的なことについてぜひ先生方の御検討をいただきたいと思っております。
 それから、最近バスなんかの事故が多いわけですけれども、その事故の大部分とは申し上げませんけれども、かなりの部分は道路の欠陥という問題にあります。これはまあ飛騨川事故以来建設省が非常に御努力をいただいて予算配賦をされているわけですけれども、昨年起きました四国の事件とか長野の事件、まあ、運転者に責任が全くないとは言いませんけれども、その前提条件としてはこの欠陥道路がある。ですから、そういったところについて十分チェックをしていただくということが私は必要ではないかというふうに思います。
 それから、この死亡事故の中にどうしても指摘しておかなければなりませんのは、鉄道あるいは民間の鉄道の踏切の事故であります。これは年間三千人死亡しているわけであります。それはいろいろな理由があります。しかし、根本的にはその踏切道のあり方の問題について抜本的な対策が講じられるとするならば、私はこの三千人のかなりの部分は将来事故がなくなると、こういう自信を持つわけであります。ですから、たくさん法律をつくっていただくこともけっこうですけれども、現在ある法律を十分に生かして、徹底的にそれを追及していくことによって私はかなりの部分事故をなくすことができる。しかし、繰り返し申し上げますけれども、道路がどんどんこれからでき上がる。車ができ上がる。免許者がどんどん出てくる。ですから、一定限度以上には、絶対に現在の施策だけでは、事故は減らないということを基本的に考えて、まあ私どもも努力したいし、ぜひ先生方の御検討をいただきたいと思っております。
 それから、今回のこの事業が特別会計の中から一定の部分出るわけでありますが、先ほどから参考人が述べられておりますように、私どもといたしましても、五百万円というのはいかにしても人間の命の値段ではないというふうに思います。ぜひこれは、収支計算でいったら議論の余地はないと思うんです。それは赤字になる見通しは立つわけであります。しかし、私は早急に一千万円というものを日本の常識にしてもらいたい。
 それから、もう一つ、昭和四十四年の十月にこの五百万円にしたときに、八項目にわたりまして審議会が政府に答申をしているわけです。これは各省庁にわたってなかなかなわ張りがあってむずかしい問題だと思いますけれども、しかし、一つ一つ調べてみますと、直ちにやらなければならない問題ばっかしであります。ですから、この法案の審議を通しまして、直ちに昭和四十四年十月の答申が実施の運びになるようにぜひ御検討をいただきたいというふうに思っております。
 それから、最後になりましたけれども、三十一条の四号の適用の金額の問題とか適用の範囲の問題、いまそれぞれからお話がありましたように、やっぱり小・中学校の児童、生徒というふうに限られているようでありますが、昨年の道路交通事故で十六歳から六十歳までの間の年齢の方でなくなっている方が六五%いるわけです。逆にいえば、残された人が、年寄りも、それから生徒も、あるいは幼児もたくさんいるということを数字は具体的に証明をしているわけだと思うんです。ですから、私は小・中学校の生徒というふうに限らずに、もっと、ある意味ではそれ以上、六歳以下とか、あるいは六十歳以上と、こういうところが政治の光を当てなければならぬ時代ではないかなというふうに考えまして、技術的にはいろんな検討の方法はあるんでしょうけれども、ぜひ適用の範囲あるいは金額の問題につきまして充実をする方向で御努力をいただきたいということを申し上げまして、私の意見と要請にかえます。
#13
○委員長(西村関一君) どうもありがとうございました。
 それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○黒住忠行君 皆さんからいろいろお聞きしたいこともあると思いますし、時間の関係もありますので、私はまとめましてお聞きいたしたいと思います。また御答弁のほうも簡潔にお願いを申し上げたいと思います。まことに失礼でございますが、お願いを申し上げます。
 山口参考人にお聞きしたいことは、先ほど玉井さんからもお話がありましたように、任意保険と強制保険の関係でございますが、最近におきますところの任意保険の普及率についてお伺いしたいと思います。
 それから、玉井参考人に対しましては、御説明にありました国なり地方の公営企業とおっしゃいましたが、公共団体等からの補助金の点につきまして、これが十分でないということは、私もおっしゃるとおりだと思うわけです。で、最近におきますところのそれの状況を御説明願いたいと思います。
 それから須藤参考人に対しましてお願いしたいのは、各相談所がいろいろありまして、これが十分打ち合わせをして効果をあげていただくということにつきましては、私も当然そうだと思うわけですが、日弁連でやっておられます相談業務について、いわゆるその弁護業務と相談業務の点につきましてはいろいろ問題があるかと思うわけでございますけれども、その点をどのように整理をして相談に応じておられるかどうか。そして、そのPRの点につきましては、御指摘ありましたけれども、おたくのほうでどのようなPRをやっておられるかということもお聞きしたいと思います。
 それから、四号のロの債務名義の点ですが、これは民事上の問題でもありますし、一つは保険金額との関連だと思うわけでして、こういう制度を導入するということは私は相当前進だと思うわけでございますが、そういう法律問題があるのではないかと思います。その点をお聞きしたいと思います。
 それから、穐山参考人にお聞きしたいことは、いまおっしゃいましたいろいろの御意見、ごもっともの点が多々ありまして、私もたいへん参考になりました。事故防止上適性検査というものは私は必要だと思うわけでございまして、その点につきましては御賛成を得られるものかどうかということをお聞きをしたいと思います。
 以上、取りまとめてお伺いしましたので、ひとつ順次お答えをいただきたいと思います。
#15
○参考人(山口秀男君) お答えをいたします。
 ただいま任意保険の普及状態はどうであるかというお話でございます。大体件数で申しまするとまあ五〇%程度と、自動車台数の約半分近いものが、ほとんど半分ぐらいは入っておるということ、で、これは私どもの努力の足りないということもあると思いますが、まあ、百台のうちに五十台では困るわけでございますので、非常に勉強いたしましてこの普及をはかりたいと思います。
 それから、その金額でございまするが、大体任意保険の金額は、まあ、このごろ裁判所の判決がだんだん上がってまいりましたので、毎年毎年この任意保険の金額も上がりつつあるわけでございまするが、平均して申しますと、大体千五百万ぐらいというふうに考えております。
 まあ、そんなところで、簡単にお答え申し上げます。
#16
○参考人(玉井義臣君) 国及び公営競技関係の団体からの補助金、助成金についてでございますが、国からいただいておりますのは、発足当時の四十四年、四十五年、四十六年につきまして各二千万円、四十七年に三千万円、ことしも三千万円いただけることになっております。つまり、いままで九千万円いただきまして、ことし三千万円いただけると、こういうことでございます。
 それから、日本自転車振興会――これは競輪でございますが、いままでに一億一千七百六十万円いただいております。で、昨年は四千八十万円でありましたが、ことしは六千万円程度いただけることになっております。次に、日本小型自動車振興会――これはオートレースでございますが、いままでに千五百二十八万四千円いただいております。これは大体年間八百万円程度でございます。それから日本船舶振興会からは――これはモーターボートでございますが、いままでに二億七千五百万円、あと二千五百万円いただいて大体三億円になる予定でございます。それから日本宝くじ協会からは、いままでに五千万円いただいております。
 で、先ほど私が申し上げました、国の補助金があまりにも低過ぎるではないかと言いましたのは、資金需要のほうを申しますと、ただいま高校生に五千円、三千六百人から四千人、それから、ことしから大学生に新しく月額二万円、一学年につきまして五十人、これは四年生までで二百人になります。で、もう一つ、新しくこの四月から、教育費の高騰に合わせまして、高校生五千円のを、生活保護を受けている人とそれに準ずる程度に貧困な子供たちに一万円口を新設したわけでございます。本来ならば、教育費が八千円から一万円近いところまで高騰しておりますので、全部に一万円増額したいわけでございますが、先ほど申しましたように、募金額三十億、手持ち資金二十六億、いまの現状では年間奨学金の必要資金が三億くらいでございますが、全部一万円を支給したときは五億から六億になる。五億から六億に対して年間三千万円というのはあまりにも低過ぎるんではないかということでございます。自賠責の不備から生まれました貧困交通遺児に対して自賠責が救済してくれるというのが、われわれとしましては最も筋の通ったところではないか、こういうふうに考えております。
#17
○参考人(須藤静一君) 須藤でございます。
 お答え申し上げますが、私どものセンター――これもセンターなんでございます――といたしましては、相談基準というものを一応設けておりまして、いままでにおきましては純然たる相談業務に終始いたしておりました。で、私どもの仕事は、御承知と思いますが、運輸省からの補助金によって動いておりますが、そのうち、宣伝活動費というものはきわめて少額でございますので、これ、全国にばらまきましてはどうにもなりませんので、重点的にやるという方針のもとに、ポスターとかあるいは小さいパンフレットとかをやり、あと、かっ、これは私どもは全国の弁護士会所在地に各支部を置いておりますので、全国で五十四カ所になりますか、各地にそれぞれの地方的事情がございますので、その宣伝活動その他につきましても、地方にある程度大幅にまかしてあります。非常にうまくやっておりますところの例としては大阪などの例がいいかと思いますが、これは大阪はやり方が非常にうまくて、ポスターをつくりましても、末端は各民生委員のうちにまで配って、そこへ張り出してもらっているというようなやり方をやっているので、全体からいって大阪などは非常に成績があがっているということは言えます。ただ、その私どもの仕事をするところが、どうしても弁護士会の中――弁護士会の中というのは、御承知のとおり、裁判所の中。これは、場所的にいってまことに人が来にくいところでございまして、私どもいろいろ考えておるんでございますが、あまり来てくれないという悩みは確かにございます。と同時に、過去におきまして私どもはその相談だけに専念いたしておりましたが、相談だけであってはどうにもならない。もう行き詰まりというか、一般の要望がどうしても処理、解決に一歩踏み込んでくれというので、私の代になりましてから、さらに進むという点で、今後は示談のあっせん――調停と言うとこれは、ことははおかしいですが――あっせんという点にまで、これから入っていくというところまでまいってきております。
 それから同時に、その弁護士業務と申しますのは、これは私どものほうの相談センターとしてはいたしませんで、その紹介と申しますか、法律扶助協会というのはいわば困窮者に対する弁護士の紹介をしてやりますから、そのほうを通じて弁護士を紹介してやってもらうということは現段階までではやっております。そのほかには、いまの自賠責保険の代理請求をやっているところがかなりございますが、これは、主たるところは、過去においていわゆる事件屋と申しますか、近ごろまた保険士とか、交通事故調査士とか、いろんな名前をつけます人たちがそういうことにタッチしてくることによって非常に事故が多いという点がございますので、それをわれわれの手でもって救済する。ただ、そういうものを排撃するだけではいかぬ、われわれがやらなきゃいかぬのだということで、そのほうも、これはまだ全支部とまではいっておりませんが、かなり手広くやっておるわけでございまして、これについては、実費だけではなくして多少のものはそれはいただいております。ですから、こういった新しい組織ができまして、そっちからでも費用でも回していただけるなら、実費だけでやれるようになるのではないかと思っております。
 それから最後の、いまの第四号の問題でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、任意保険に入っている者については非常にぐあいがいいという点は確かにございますが、これは、過去の例でございますが、訴訟で和解というようなことになりますと、当事者本人は――当事者というか、被告のほうでございますが、自分はいいが保険会社が言うことを――金を出してくれなきゃいけないんだということで、どうしても保険会社が出てきて、あるいは被告代理人に保険会社のほうの方がなるという事例が多かったので、これについては私自身としてもあまりいい感じを持っておりませんで、それで今度は、御承知かと思いますが、保険会社のほうは、新しい保険についてはみずから示談をやるというような保険をお売り出しになるというので、これについていろいろ私のほうでもいま注文を出しているのは、これは過去の自動車保険があまりもうからなかったということをおっしゃるようですが、それのせいかもしれませんが、あまり、われわれとしては、事件を扱って、保険会社の人が顔を出すというといい気持ちがしなかったという点は事実でございます。事件解決に、被害者側に有利に展開させるには大いに努力が要ったという点はございます。しかし、任意保険に全然入ってないという場合よりか、まあ入っていたほうがいいということは確かに言えますです。
 大体そんなことでございます。
#18
○黒住忠行君 いまの点ですけれども、四の口ですね、債務名義の点……。
#19
○参考人(須藤静一君) 債務名義になりますと、これは、要するに、確定判決かあるいは和解調書でございますが、ですから、判決につきましては、これはおそらく保険会社側は文句なしにお払いになるようですが、過去において、これは私の聞いた例ですから全部がそうというのじゃないですけれども、和解について保険会社をタッチさせないでやった。当事者側が、幾ら裁判所が中に入っているからといって、あなた方がきめたものを私のほうはまるまるお払いできませんよということを言われたという例は聞いております。つまり、第三債務者としての保険会社がそういうことを言われたということは聞いております。
#20
○黒住忠行君 ですから、そういう場合等がありますので、今回のこの制度は少なくとも前進じゃないかと私は申し上げたわけでございます。
#21
○参考人(須藤静一君) そのとおりでございます。
#22
○黒住忠行君 で、さきの御意見で立てかえ払いなりというふうな御意見ございましたけれども、民事上の問題もあるし、保険金額等の関係もあるから、今回のこの制度はそういう意味においては前進じゃなかろうかと、こう思って、それに対する御意見をお聞きしたわけでございます。
#23
○参考人(須藤静一君) まさに前進であることはもうおっしゃるとおりでございまして、ですから、三カ月前に六十何%解決したというのは、おそらく任意にお払いになるか、あるいは保険金のほうでもってお払いになるかということでもって、それで済んでいるんじゃないかと思います。したがいまして、三カ月過ぎてというものは、先ほど申しましたように二十何%、全体にからめば三〇%ぐらいありはせぬかと思いますが、これはもう実際強制執行のやりようもないというようなものがたまってくる。ですから、そういうものを何とか救済していただくということは非常に望ましいこっちゃないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#24
○参考人(穐山篤君) 健康診断の問題ですが、私どもは、基本的には免許を取得する際に抜本的にこれは対策を講ずべき問題だと思います。しかし、取得をしたあとの点を先生触れられていると思いますけれども、ドライバー全員について適性検査をされるということにはまずならぬだろうというふうに思います。したがって、適性診断を受ける方については数が非常に少ない。そういう意味では、私はデータというものをどれだけ公表し、どれだけ活用していくかという問題が一つ出るだろうと思います。
 それからもう一つは適性診断をした結果、自分の雇用に重大な影響が起きるというふうな懸念があるかないかということはこの二号を見ますと十分には書かれていないわけです。その点、職業運転手とすれば多少の心配が残る。
 それから三つ目に、これは要望になるわけですが、大学にしろ、あるいは大きな事業者は、企業内の教育としてかなりこの種の問題について研究したりあるいは資料を発表しているわけですね。ですから、十分に、このセンターだけの資料でなくして、ありとあらゆる資料を十分に活用していくということがなければ、事故防止ということについては不十分ではないだろうかというふうに思います。
#25
○野々山一三君 まず、山口参考人、玉井参考人に一般論でお伺いしたいと思いますけれども、この法律そのものは事故対策センター法ですね、事故が起こっちゃったからどうするかという角度でこの法律がとらえられているようなまず印象を持つわけですね。そこで、そのことについての御感想を、まずいただきたい。
 それから第二点。私はもっと根本問題として事故を起こさないようにするためにどうするかの根本を解決せずして事故対策センターがどんなに充実しても、あるいは遺族に幾ら幾ら金を出せばこれでいいんだということを議論してみても、あるいは金がどういうふうに出るということを議論してみても、これは二の次じゃないかなという率直な感じを持つわけですけれども、まず、そのお二人から抜本的な事故をなくするということについてお伺いをいたします。
 それから、清宮参考人に伺いたいんですが、心理学的なという観点から事故管理指導センターというものに関与していらっしゃるということであります。この法律に賛成している立場で御意見をいただいたんですけれども、そこで私率直に伺いたいんですけれども、車を持つのも人間の権利ではないか、免許取るのもあたりまえではないかというのがこれ心理ですね。しかし、これが一体市民としてどういう影響をもたらすかという、心理学的にあなたはどういう御感想を持っていらっしゃるか。そのために、私は時間がないから率直に申しますが、いま車は二千三百三十七万台と公表されましたね。そして運転免許を持っている者は三千万人をこえた。三千十四万幾らです。ね。そうすると、おぎゃあという人から、おなくなりになる前の人まで含めて三人半に一人が免許証を持っている。そうして四人ちょっとに一台車があるということになります。この状態で幾ら道をつくった、やれ歩道をつくれ、事故を起こさぬようにしろと言ってみても問題の解決にはならぬのじゃないか。そこで、意見が先に出ますけれども、たとえば免許証、私は免許証の交付する場合に厳重な規制をしなさい、こういう立場であなたの御感想はいかがか、こういうことです。
 第二に、初心者マーク。あれが、これは警察庁もいらっしゃるけれども、免許証と初心者マークは違いますね。片っ方は一年、片っ方は免許証は三年でございますね。しかも、この初心者マークというやつは、ガソリンスタンドに売っているのでございましょう。なぜ免許証と一緒にしないでそして一年たったらもう一ぺんテストをするということによって運転者の安全をまずチェックするということを通して事故をなくするということを考えなければ、心理学的にもやっぱりこの行政的にも政治学的にもこれは問題にならない議論ではないかというふうに思うんです。これはひとつ清宮参考人、率直な御意見をいただきたい。それから須藤参考人にも、いま申し上げた点について、市民として一体どうするかという角度で御意見をいただきたい。
 ほかにもございますけれども、まずとりあえずそれらを第一問として。
#26
○参考人(山口秀男君) 山口でございます。
 ただいま先生からお話がございましたように、事故ができてからだけではもう困るんだからその前をどうするかということ、これはもう非常に一番大事なことだと思うんですね。ただ、この事前にそれじゃどうするかということでございますが、私どもの業界としては、これは運転者の方はもちろん、それから歩行の人、歩く人についても、それからまた小学校に入った人はどうだと、それから中学にいる人はどういう点を注意したらよかろう、それから各家庭にまあブロック、ブロックの防火班みたいなのがございますから、まあ自動車と火災保険やっておりますから、そういう方面にいろいろな宣伝のビラを配るとか、いろいろなことをして、実はある程度の、何というんですか、運動はずっと続けております。これはしかし、やっぱりみんなが、日本人全部が気をつけてやらなくちゃならぬことだと。
 それから、先生のいまおっしゃったうちで、この法案は事故が起きてからというようなお話もございましたのですが、この適性検査というようなことをおもな柱として打ち出すということになれば、結局これはまあ事故ばかりでなくして、事故の起こる前にもやっぱり注意しなくちゃならぬということになると、こう思うんですね。ですから、そういう意味で申しますると、やっぱりこういう法案ができるということは、一億の日本人全部がやっぱり注意をするということになるんじゃございませんでしょうか。そういうふうに考えております。
#27
○参考人(玉井義臣君) 私は、交通事故防止というのに対しては悲観的でございます。自動車がふえてまいりますと、まあ、自動車だけじゃございません、免許取得者がふえてまいりますと、いろんな人たちがいろんな状態で車を走らせる。そして、日本国じゅうが非常に完備、整備された状況にするということは不可能でございます。ですから、実験室の論理を日本国じゅうに持ち込んだって、事故はそんなふうに計算どおりになくならない。アメリカのモータリゼーション七十年の歴史の中で二百万人が死んでいるという事実、一億人くらいの人がおそらくけがをしている事実を見れば、さっきの私がノーフォールト保険の、自損事故にも補償をしろという論拠の一つになりました。つまり、車は社会の問題児である、これをつくっている限りは事故が起こるんだと、自損事故についていっても、その大半についてはその運転者に責任があると見ていいかどうかわからない。これはアメリカ七十年間の結果の一つの結論ではないかと思います。そういうふうに考えましたときに、私は何百例かの実験的な事故対策によって三千万人の免許者に当てはめるということは、かなりこれは無理がある考え方だと思います。そして、それは膨大な人と金が要ります。この世の中の主人公は何も車ではございません。車がふえたのに応じてものすごいたくさんのお金と人をつぎ込むということが日本の国にとりましてプラスかどうかといえば、これはおのずから答えが出てくると思うのでございます。その辺でやはり発想の転換を迫られている時期ではないかと思います。ただ、私がこの事故対策センターに賛意を表しましたのは、自賠法第一条で掲げられておりますように、自賠法は被害者の救済を第一義としている。ここに「あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする」というふうにあわせて書いてございますが、あくまでこれは被害者の救済ということを第一義にして無過失責任に近い非常に進んだ制度を取り入れられた。先ほどの質問者であられる黒住先生が運輸省時代につくられたこれはわが国が世界に誇るべき法律だと思います。しかし、これも、法律がりっぱであるのに中身は、この交通遺児の多発、貧困化に見られるように、実質は伴っていなかった。こういうふうに考えますと、やはりいまおくればせながらでも、この自賠法が、あるいはいままでの自賠責保険がなし得なかったものの償いをいまからやるという意味で、このセンターの意義は大きいと、こういうふうに考えているわけです。
#28
○参考人(清宮栄一君) 野々山先生の御質問に対してお答え申し上げます。
 私は長いこと交通事故問題に取り組んでまいりましたが、正直なところを申しますと、技術的なほうを幾らつっついても交通事故はなくならないということを最近痛切に感じております。それはどういうことかと申しますと、非常に、穐山参考人も先ほど申されたように、哲学の問題じゃないかというふうに感じているわけでございます。現代の人類が、第一の文芸復興を境にいたしまして、科学技術ということを手段として経済的な成長または人間の生活の便利さというふうなことをねらいましてこのような状況にいまなっております。その結果は何かというと、皆さまも御存じのように、公害問題で非常に苦しんでいる。で、先ほども私は「交通事故も公害の一つであろう」と申しました。そこで、私たち現代の人類というのは、そういう科学技術を基本とした経済成長だけをねらうというふうなことでは、いずれ人類は滅びてしまうんじゃないかということさえ言われるようになっておりますし、私も何かそういう心配が最近非常に強くなりました。そこで、現代のわれわれ人類といたしましては、そういういままでの行き方を反省して、人間とは何か、人間の幸福とは何かということに強い反省を加えて、ここで人類の行き方を転換しなければならぬ。いわば第二の文芸復興の時点に立ち至ったのではないかというふうに痛切に感じております。
 で、そういうことを一つ基盤といたしまして、先ほど野々山先生からお話しのございました、市民としてどういう感覚を持ってやるべきかというふうな点につきましては、私は、そういういま申し上げたようなことをベースにして、その上に立って教育から立て直さなければいけないんじゃないか、単なる知育尊重の教育ではなくて、もっと人間としての教育のあり方はどうあるべきか、そういうところから、回りくどいですけれども、われわれの次の世代の人たちが新しい人間観なり世界観なりを持てるように持っていく。その根本になるところは、やはり自分の命を尊重すると同時に、他人の命をも尊重しなければならないんだ、そこからわれわれの生活というのは望ましき方向に進んでいくんだというふうな、非常に抽象的なお答えですけれども、そういうふうにならなければ交通事故ないしいまの公害問題というのはとうてい解決はできないんじゃないかというふうな気がいたしております。
 それから第二の初心者マークの点でございますが、あれにつきましては、いろいろ私も問題があると思っております。たまたま野々山先生から先ほど御指摘のありましたように、スタンドで売っているということがおかしい。あれは免許を与えるときに同時に交付して、一年間一応運転させてみて、一年後に再チェックをするというふうなことは非常に有効な方法ではないか。そうすることによりまして初心者マークの悪用とか誤用とかいうことも防げると思いますし、また本人の自覚を促すという点でも大いに効果があることではないかというふうに考えております。
#29
○参考人(須藤静一君) これは私の個人としてのあれでございますが、これは現状のままだとどうしたって交通事故というものはなくなり得ないんじゃないか。ということは、一つは自動車をあまりつくり過ぎるんじゃないか。一年ごとにモデルチェンジをして売る。売らんかなでやる、あれがいけないんじゃないか。ああいう点、もう少し考えるべき問題があるんじゃないかという気がいたします。ただ、それは需要があるからつくるんだと言われりゃそれまででございますが、大体自動車を月賦で買える。あるいは中古品だと一番安いのは五万円ぐらいで買えるとかいう話でございます。そういうものに走られてやられたらたまったものではございませんので、その売買方法とか販売方法についてももう一つ考える余地があるんではないかという点が一つございます。それと同時に、「走る凶器」といわれるようなものを売っている。これは売っているほうについてもやっぱりある程度責任というものを負うべき問題じゃないか。というので、私個人として常々考えて、ある一部の方には申し上げたこともあるんですが、要するに、メーカーもそれからディーラーもこれは蔵出し税のような意味でもってある種の保険なりをつけて払うというような制度はひとつやったほうがいいんじゃないかと思うんですが、これはなかなかどうもそういうほうの団体が反対されると思いますけれども、私自身としてはどこまでもそれをやって、そうしてあとの賠償についての基礎をつくっていきたいという気は持っております。
 それから、これは私たまに一あまりやりませんけれども――事件をやってみまして、何べんも事故を起こし、人身事故を起こしているような者に、何べんでもあと免許証を交付するということが、これは本人の生活の問題と言われればそれまでかもしれませんけれども、それでもって被害を受ける人の身になってみたらたまったもんじゃないので、あの辺のチェックというものは一体どういうふうに考えておられるのか、私としては疑問に思うことしばしばございます。何べんも傷害程度ならいいけれども、殺しているような人が、また受けて、また事故を起こす。これはやっぱり何とかしたほうがいいんじゃないかという気がいたします。
 それから、先ほど黒住委員からのお話で、私この三十一条の第四のロにつきまして、私が申しますのは、これは非常にけっこうだと思いますけれども、さらに百尺竿頭一歩を進めまして、貸し付けなんてけちなことを言わないで、立てかえなりなんなりしてくれたほうがいいじゃないかという意味で申し上げたのでございますから、ひとつ御了承いただきます。
#30
○野々山一三君 次に、取り締まりという観点から、事故抑制という角度で穐山参考人、及び保険の山口参考人には保険という角度から、端的に事故があったほうがいいのかないほうがいいのか、商売のサイドから率直にもっと突っ込んだ意見を聞きたいのです。たとえば過積みの問題。私は、過積み、過積みと言って世論がわあわあ言っても、結局過積みをチェックしなければならないのはだれかというと、荷主であり、車の持ち主であり、運転手がチェックしなければいけない。これは制度的にはそうなっていますが、それを客観的にチェックする方法は一体どこか。これは警察以外にないんですね。だから、たとえば率直に伺いたいんですけれども、高速道路のゲート、ここには荷重計なんかをぴしゃっとつける。コンピューターでそれを押える。料金を取るときに押えればすぐに赤ランプがつくという制度をつくれば、悪いことをする人はなくなります。これで事故は相当防げる。これは国道なんかもちろんです。そういうような、車を持っている人、荷物を送ってくれという人、運転をする人だけをチェックするというのではなくて、もう少し客観的にチェックするという制度を考えなければいけないんじゃないか。
 それから車庫規制、相当きびしくなりました。制度的にはきびしくなりましたが、これは、自動車局長も警察の担当の人もいらっしゃるが、東京なら東京で車を買う。いや、車庫の話は私のほうで全部やりますよ。――行って調べてみましょう、私と一緒に行きましょうか。自動車局長にも見解を聞きたい。十台ぐらいしか入らないのに二百台ぐらい入っているということがあります。これは何だ。こういうことで車が一体減るか、事故が減るか。駐車場もないのに道路の端に一ぱい置いてある。これは警察庁にも聞きたい。駐車禁止のところに一ぱい置いてある。本来入る車庫にはちっとも入ってない。そういうことで事故が起こったら、山口参考人、あなたのほうは保険として一体どうなのかという問題を率直に伺いたい。
 それから、いま須藤参考人からも言われましたけれども、私も相当事件に関与してみて思うんですけれども、自賠責以上の任意というやつは、これが実際はほとんど保険屋が――保険屋と言っては悪いけれども――保険会社がイエスと言わないからだめですということになっている事件が非常に多い。これが玉井参考人が指摘されるような貧困な遺族というものが一ぱいできる最大の原因です。社会的責任をとる気持ちがあるのか、率直に聞きたい。うちのほうは保険なんで、メーカーのほうで責任持ってもらいたいということもあるでしょう。そのことも言えたら率直に言っていただきたい。教えていただきたい。
 それから今度は技術進歩という話がございましたね。技術革新、清宮参考人から。私は、数カ月来やかましくテクノロジー・アセスメントというシステムを日本に採用しなければだめだ、外国にはもう一ぱいそういうシステムがあってやっているんです。そういうことをやらないで、車をつくった者が損だ。そこでマスキー法のようなあれで、あるいはロスアンゼルスでは、一定の時間には車を一切入れないというシステムをとりました。イタリーにもそういう一定の時間には車を一切入れないというような規制というものがやられなければ――それは穐山参考人、清宮参考人、哲学的なとおっしゃるけれども、哲学的けっこう、私もそういうことは大好きだけれども、一体哲学で問題解決できますか。やっぱり技術的なことをとことんまで追及していくということを通して、哲学的なものも含めて、社会体制全体の気持ちを変えていく。哲学を論ずる人に限って、私は率直に申し上げて、体制を変えるという思い切った処置をなさらない時代ではないかという点に、何万人の人がなくなるというような事故が起こっておるのではないか。時間がありませんから、いまのことだけを率直な意見を伺って、あとは審議の際に私は皆さんの御要望を重視しながら対処していきたい。
 そこで最後に、お四方がおっしゃったことにけちをつけるわけではございませんが、確かに、事故対策センターというものをつくるということはいいことだという概念でそれを先にずっと出されますと、結局、それの中に埋まっちゃうんです。私はテクノロジー・アセスメントという時代、こういう時代に対して、政府に対しても率直に申し上げて、疑わしきは認めず、許さず、使わずというプリンシプルを確認してもらいました。やっぱり事故は起こらぬほうがいいという角度から対処するという時代が、哲学的にも、社会的にも、構造的にも、教育的にも、概念的にも大事なんじゃないでしょうか。最後に総括的なことを申し上げて、それにも意見がございましたら、どなたでもけっこうです。お願いしたい。
#31
○参考人(山口秀男君) 山口でございます。お答えいたします。
 先生から、事故があったほうがいいか、ないほうがいいかという、まあ保険会社だから仕事を、自動車保険をやっているんだから、それに対してどう考えるかというような非常に手痛い御質問だったと思うのですが、これはないほうがいいにきまっている。これはもう事故はあってはいけません。もう商売が、われわれの商売が全然なくなってもいいから自動車事故は一回も、一つもないというようなことが一番望ましいと思います。しかし、実際はなかなかそうはいかないんですが、これはやっぱりないほうがいいにきまっております。そういうふうに考えております。
 それから、車庫もなくてそういうのがどんどん保険につける人がおるが、それをどう考えるかというようなお話でございます。これは自動車賠償保険は、御案内のように、自動車を持っている人はもう必ず保険につけなければ車が動かせぬということになっておりますためにおいでになるわけでございます。そうすると、それを保険会社はお断わりすることができないということになっておりますから、これはもうどうしても引き受けざるを得ない。そういうことと、それからもう一つは、加害者と被害者がお互いに話し合いをして、そして話し合いがついたんだから保険会社に行く。保険会社がそれを渋るんじゃないかというのが、先ほどいろいろな先生方からもそんなお話が出ました。私どもは渋るというようなことはやらないんです。これはなぜかと申しますと、保険は支払いをできるだけ公平に妥当にやるということがほんとうなんですから、それをわざわざ渋る必要はない。ただ、これは先生方にお考えおき願いたいと思うんですけれども、自賠責は、入ってくる保険料とそれから出す保険金とが一緒になるわけなんですからね、ですから、それを一緒にしなくちゃならぬわけですから、まあ話がついたからというので、保険会社に何も話をしないで、そして自分たちだけでお二人で適当に金額をおきめになるということは、保険会社がかりにそれに対して支払いをいたしましても、そういうことが非常に多くなれば多くなるほど支払いが非常に多くなる。支払いが多くなるということは、結局、百人のお客さんのうちで支払いをする方はまあ二人か三人なんですね。そうすると、あとの方は、九十何人という方は、そのために保険料を高くお払いにならなくちゃならないような結果にもなるわけでございます。そういう意味から申しましても、やっぱり保険会社としては、十分保険会社も立ち会った上で、そして加害者、被害者が円満にお話し合いをつけていただくようにということを考えているわけでございまして、むやみに渋るようなことはいたしませんから、もしもそういうことがございましたら、われわれのほうへもそういうお話もあったということで、同業の者には十分にひとつ注意をすることにいたします。
#32
○野々山一三君 議論になりますから申し上げませんが、しかし、あなたの言うとおりではございませんということだけは率直に申し上げます。
#33
○委員長(西村関一君) いろいろ貴重な御意見がございましたが、時間の制限も若干ございますので、今後質問者の方も、参考人の方も御協力を賜わりたいと存じます。
#34
○参考人(清宮栄一君) 私、ちょっとことばが足りなくて誤解をされたのじゃないかと思いますが、科学技術というものを私は全然否定したわけではございません。ただ、科学技術だけに走っていたのでは人類は不幸になるだろう。現在欠けているのは、それは哲学である。科学技術を生かす哲学をわれわれはここで考えなければいけないだろう。先ほど野々山先生がおっしゃったようなテクノロジカル・アセスメントというふうな一つの動きは、哲学が科学のほうにあるアクションをかけた結果ではないかというように考えます。いわば、技術的なもの、科学的なものと哲学的なものとが車の両輪となって今後進んでいくというところにわれわれの未来があるんではないかというふうな意味で申し上げたのでございます。
 それから、哲学を論ずる人は体制を変えないというふうな御発言がございましたが、非常に私微力でございまして、現在の体制を私個人の力ではどうすることもできないし、非常に悩んでいるんでございますけれども、現在ある姿の望ましくない点は、国民全員がそれをよく見きわめ、反省し、国民全体の力としてそういうものを盛り上げて望ましい方向へ進めるというふうなことが今後なさるべきことではないか。そういう点につきましては先生方の大きな指導力をひとつ発揮していただきまして、われわれ国民を将来幸福な方向へ導いてくださることをこの席をかりてお願いを申し上げます。
 もう一点、よろしゅうございますか。――先ほど黒住先生のほうからの御質問に対しまして穐山参考人のほうからお答えがございましたが、テストというものが、実際に雇用をされている労働者を何かそれから排除していくという、テストの結果が悪いからそれを排除するんだというふうなことはないと、そういうことがこの法律案には明記されてないというふうに御発言がございましたが、私たち適性診断ということを、人間尊重の立場からやっている者といたしまして、そういう雇用に不安を与えるようなことは、私たちが関係している限り絶対にいたさないつもりでございます。むしろ、そういう適格性に之しいような人であっても、本人の自覚により、または周囲からのあたたかい援助によってすぐれた運転者になるように特に助言させていただく、援助させていただくというのが私は本案の趣旨かと存じて、その立場から仕事を進めていきたいというふうに考えております。
 ちょっとつけ加えさせていただきます。
#35
○参考人(穐山篤君) 野々山先生から言われたことの中で、若干気がついたことについて見解を表明したいと思いますが、いろんな地域へ私行きまして交通問題について意見を聞くわけですが、一番素朴な意見としては、車の生産を制限する法律をつくったらどうか、これはもうどこの地域へ行っても聞かれることばです。しかし、なかなか政治的にむずかしいことで、結局はいろんな立場から規制をするということにならざるを得ない。しかし、その規制についても、私はここで哲学がないと申し上げたのは、たとえば交通安全標語の中に、「とびだすな車は急にとまれない」、こういうのがあるわけですけれども、これは人間を大事にした標語じゃないんですね。車を優先させた標語になっているわけです。ですから、そういう意味で哲学が全くないと。ぜひここでお願いしたいと思いますのは、各省庁の権限があって、これは運輸省、これは警察庁、これはけっこうだと思うんです。しかし、やっぱり市民とか地方公共団体の協力を得なければこの規制というのはうまくいかないわけですね。たとえば車庫一つ問題にしてみても、これは調べるなんという能力は行政官庁にはないんですよ。ですから、そういう意味でいうと、具体的に地方公共団体なり市民団体の協力を得られるような方法を考えていただきたい。そうしませんと、私は最近つくづく歩いて感じましたのは、水銀、PCB公害と同じように、市民が自衛手段で、この道路は通さない、こういう運動が具体的に起きているということを感じたわけです。そういう意味では、地方公共団体なりあるいは市民なりの協力をどう具体的に得ていくかということについてこの機会に御検討をいただきたいと思います。
#36
○原田立君 参考人の方々には交通安全のために日ごろ御研究、御努力、ほんとうに御苦労さんだと思います。また、先ほど貴重な御意見をお伺いしましたが、その中で二、三お伺いしたいと思います。
 一番最初に玉井参考人ですけれども、全交通遺児家庭六万人悉皆調査したが、要望書をつくり上げたがまだ実現されていない。こういうことでありますけれども、今回はこうやって政府のほうが自動車事故対策センター法案をつくる。その点に関してこの要望書の中で特にこの点だけはどうしてもはっきりしてもらいたいというのがあったら御指摘願いたい。
 それから、政府で自賠責の金額について、ほかの参考人もみな同じようでございましたが、五百万ではあまり安い、自分は自賠責については一千万円、任意保険については二千万円とこういうふうなお話でございましたけれども、ある人の話では、千五百万円くらいにしてもいいんじゃないか、こういうふうな御意見も聞いております。お三方だったか一千万円という話でありましたけれども、これはもう百尺竿頭一歩を進めて千五百万くらいにしてしかるべきではないか。そうすると、掛け金が高くなったり保険料が高くなったりというような問題があって、ちょっとかけるほうの側になってみればたいへん高くなって困るんじゃないだろうかなとこう思うんですけれども、一般的に見てどう受け取ったらいいのか、そこら辺のお感じ方をお話し願いたい。
 それから須藤参考人のお話の中に、重度障害者の家庭がある、それは最も悲惨なものであり、「その他」という項目のところをもう少し幅広く解釈しろというようにすべきである、こういう御意見がありましたけれども、今回のこの法律の中でどういうふうな点をもし直したならばいいか、もう少しことばを添えていただきたいと思うのです。
 それから、同じ須藤参考人の御意見の中に、これは山口参考人にお聞きしたいんですけれども、保険会社もダンプ等が入ることをいやがる傾向があった、いまはそうでもないというふうな話がちょっと須藤参考人からあったのですけれども、そこら辺の傾向はどうであるか。
 それから清宮参考人に、営業の青ナンバーでは全然事故が少ないけれども、事故の多いのはほとんど白ナンバーだと、白ナンバーのほうのことについてもっと強力な処置を講ずべきだというようなお話でありましたけれども、もう一歩突っ込んだお話が聞かしていただければと思うのであります。
 それから、時間がないですからみんな一緒くたにしますけれども、政府のほうから補助が出ているのが、交通遺児育英会では三千万、日弁連では六千五百万、東京自動車運行管理指導センターでは四千百万と、こういうふうに出ているように聞いております。それで特に交通遺児育英会の場合ですね、三千万でだいぶ金額が一番少ないんですけれども、これではなかなか運営自体がたいへんじゃないか。そこら辺どうなのか、そこら辺も玉井さんのほうから御意見をお伺いしたい。
#37
○参考人(玉井義臣君) お手元に配付させていただきました「交通遺児救済に関する要望書」の中で、特に「生活について」「交通遺児手当の全国での支給と充実を」。二番目に、交通遺児家庭の生活資金の貸し付け充実をと、こういうのが出ておりますが、これにかわるものとしていまの対策センターでの生活資金の貸し付けというものが期待できると思うんでありますが、先ほども申し上げましたように、月額五千円というのがいまの実情にはだんだん合いにくくなっているということでございますので、おいおいその増額をしていただくのと、千五百人という、その八万人、九万人に対してあまりにも少な過ぎる人数に対して、できるだけ早い機会に増員のワクを取っていただきたいということであります。
 それからもう一つ、これは労働省の仕事かもしれませんが、八番にあげております「母親に有給の職業訓練を」というのがございます。これは母親たちは中高年齢層のほとんどの者が資格とか技能というものを持っておりません。この母親たちが一生働くに適する何か職業訓練を与えるほうが国民経済的に見てもプラスではないかということで、もし今後そういうものがやっていただけるならば積極的にやっていただきたいと思います。
 それから十八から二十二まで、補償と救急医療の問題が書いてございますが、この問題につきましては、やはりこのセンターあたりで十分にやっていただけるものではないかと思います。
 それから最後に二十六番に交通遺児の名簿の件がございますが、総理府さんのほうでも四年に一回ぐらい、いままで二回の調査をしていただいておりますが、私たちがこまかく救済の手を差し伸べようと思ったときに一番困るのは、どこにどういう子供がいるかわからないということでございます。一年間に一万人の遺児が生まれるとするならば、そういうものは逐次センターなりどこかで吸い上げられるような体制をつくっていただくことが救済の前提になるんではないかと思います。
 それから第二点、これは私に聞かれたのかどうかちょっと聞き落としましたが、保険金を引き上げたときの保険料の問題でございますが、いま日本では保険料があまりにも安過ぎると、つまり、保険料を安くするために保険金を上げないんだということだと思うんです。たとえばフランスでは、先ほど強制保険額三千万円と申しましたが、九五%の人たちは三千万円じゃなしに青天井の保険にかかっております。つまり、一億なら一億、二億なら二億の支払いに応じられる保険にかかっております。そして保険料のほうは、たとえば二十歳ぐらいの、学生ぐらいの年ごろの者が自動車を運行する場合に、一年に十万円から十二万円ぐらいの保険料をかけております。つまり、それぐらいのものをかけさした後に運転を許すというのが、先ほど申しましたように、危険を許すならばそれだけの対策を国が強制すべきであるということの諸外国と日本との違いではないかと思います。
 それから第三番目の三千万円の補助金、これは先ほど来申し上げていますように、いまのわれわれの事業を継続するにしましても一割に満たない金額です。実態に合った月一万円の奨学金を出せば、五%ぐらいになってしまう額でございます。先年、学生さんたちが街頭募金をしたときに、全国で通行人、つまり募金に応じてくれた人たちにアンケートをしました。これは回答が五千何百人来たわけですが、この人たちの八割が、これはわれわれは確かにあなた方のその努力に対して募金はするけれども、本来これは善意で解決すべきものではなく、政府が救済すべきものであるというふうなところにマルを入れておりました。その救済の限界が今回のインフレによってはっきり出てきた点でございます。そしてこの財団法人交通遺児育英会は実は昭和四十三年の十二月二十日の衆議院の交通安全対策特別委員会で、「政府はすみやかに、」交通遺児の「修学資金を貸与する業務を行なう財団法人の設立及びその財団法人の健全な事業活動を促進するため、必要な助成措置等について配慮すべきである」という旨の決議が行なわれた結果、政府が四十四年一月三十一日に閣議了承をしましてでき上がったものでございます。衆参の交通安全対策特別委員会、参議院では決議されませんでしたが、いわば交通安全対策特別委員会が生んだ法人でございます。政府が閣議で了承している団体でございます。そしてその結果われわれに補助していただいているのがいままでのような金額でございます。まさに生み落としただけの無責任な対策しかないと、これは子捨て時代の風潮は何も未婚の母だけではないという感じでございます。これは衆議院で沖本先生からの御提案で委員会をあげて増額の要請をしようという発言がありましたが、私は、この委員会におかれましても委員会をあげて増額の要請をしていただくように今後取り計らっていただきたい。要望いたします。
#38
○参考人(須藤静一君) 自賠責の倍額増額ということを私ども日本弁護士連合会が申しましたのは、まあ、その程度であるならきわめて容易であろうという点からまいりましたので、倍額が合理的であるとか、それから、それでもって間に合うんだという意味では決してございません。四十四年にきめたんだから、もう物価上昇その他のことを考えてみれば、倍ぐらいで、だれでも容易にこれは肯定できる増額ではないかという点から申し上げただけでございます。
 それからもう一つこれについてお願いと申しますか、傷害を五十万から百万に伸ばすという問題、これは百万で済まない場合もいろいろございますが、これ一つからんでくる問題、つまり医療費の問題なんです。われわれ常に悩みますのは。と申しますのは、まあ救急病院へかつぎ込まれる。そうすると、救急病院のほうで一切その自賠の請求手続の代理委任状を取りまして、あるいはその判をとりまして、全部自分のほうでやっちゃう。そうしまして、はなはだひどい例も聞くことは聞くんですが、五十万円までをちょうど使ったら、ああこれから健康保険に切りかえるとか、あるいはもう満床だから出て行けとかということをやられるという例もございますので、これ、私どもの考え方としては、百万にいたしましたら、中にひとつたなでもつけて、医療費としてはまあ五十万、六十万、幾らにするか別問題として、本人の休業補償とかそれから慰謝料というものと二つのワクを設けていただくとかなりこれ違ってくるのじゃないかと思うんです。本人がそれを承知の上でもって自分の休業補償のうちから医療費に回すっていうんならこれはやむを得ません。しかし、文句なしに、自分のほうに一文も入らないで取っていかれるということは、これは容易なこっちゃないと思います。私、非常にひどい例を聞いたんですけど、とにかく何か一本五万円という注射十本やって、はい、五十万終わりと言われた例があるということを、これは私は実は算定会のほうから聞いたんだから間違いないと思います。ですから、そういうことがあっては困ります。と申しまして、医療が過剰診療になるかどうか私どもは実際はつかめませんけれども、少なくとも本人が任意に払えるような形をとってやっていただきたいということをお願いしたいんでございます。
 それからもう一つの、先ほどの重度身障者の家庭の問題でございますが、これにつきましては、いま運輸省の係の方からして、この問題はいまの三十一条の一項の八号でございますか、でもって「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務」という中でもって解決するということをおっしゃっておられますから、それがはっきりいたしますれば、特に条文を加えなくてもいいかと存じますが、その辺は先生方の御意見でしかるべくお願いいたします。
#39
○参考人(山口秀男君) 原田先生からお話のございました件でお答えをいたします。
 ダンプカーやなんかは保険会社が契約の引き受けを断わっているんじゃないかというお話でございますが、ちょうどあれは昭和四十五年の六月ごろでございましょうか、その時分に、まあ、ああいうダンプカーやなんかの事故が非常に多いんでございますね。そうしますと、あまり多いのを引き受けているというわけにもいかぬので、その保険料を少し高く出してくださいということを申したわけでございます。こちらで。そうすると、たとえば二倍出してくださいとかいうことになると、そんなに高けりゃ入らぬよというようなお話があるわけでございます。しかし、そういうお話がございますと、結局、まあ保険金額に相応するような保険料をということになって、お客さんと保険会社の間がうまく話し合いがつかないということのためにお断わりをしたということがあるわけでございます。そうしますと、それは、いや保険会社は契約を拒否しているというようなことになるわけでございます。で、それをそのままに放置するわけにもいきませんので、私どもは全社で話し合いをしまして、そういう悪い、保険料を二倍、三倍いただきたいようなものはこれはもうわかりますから、ですから、あなたのところは保険料を二倍出してください、二倍半出してくださいというようなことを申し上げるわけでございます。それで、そういうものを引き受けて全社で一つのプールをつくりまして、そしてそこで引き受け、また支払いもしようということをやったわけでございます。それですから、ただいまのところは、それ相当の保険料を出していただくということでありますれば、みんな総合した。プールになっておりますから、その引き受けの拒否ということはないわけでございます。そういうことになっておるということをお答え申し上げます。
#40
○参考人(清宮栄一君) 原田先生の御質問に簡単に答えさせていただきたいと思います。
 確かに事故を多発しているのは白ナンバーでございます。この白ナンバーに対しまして、どのような規制をするか非常にむずかしい問題なんですが、いま私が考えておりますことを二、三申し上げたいと思います。
 第一は、私たちこのセンターでやっておりますことは、青ナンバーの運転手さんを対象にしてやっておりますが、その青ナンバーの職業、それでめしを食っている運転者の方々が運転ということに対してプライドを持っていただく。で、場合によりましては路上で――これはほんとうに理想案だと思いますけれども、路上で妙な運転をしている、危険な運転をしている白ナンバーのドライバーを見ましたらば、それにその場で指導してやるというふうなぐらいにまで私は職業運転者が成長していただきたいと思っております。実はこのことは、アメリカにおきましては、私の聞くところによりますと、実際に行なわれているそうでございます。彼らは非常にプライドを持って自動車を運転しているということも聞き及びました。そういった青ナンバーのドライバーの方々がそういうふうな気持ちになっていくということも私たちこのセンターを通じて育成していきたいというふうに考えております。
 それから第二に、ここに警察の方もいらっしゃるそうでございますが、警察庁のほうにおきましても、免許を取得するために自動車教習所で訓練を受けている際に、科学警察研究所のほうで開発いたしました心理テストを導入して、各自の持っている欠点を指摘し、それをドライバーがドライブするときに表に出さぬようにというふうな指導も行なわれているやに聞き及んでおります。まあ、何ぶんにも非常に数が多いんでたいへんなところだと存じますが、そういった教習所の力を拝借しましてそういった対策を立てておるやに承っております。
 それから第三番目に、これもアメリカの例でございますが、防衛運転ということを強力に彼らは推進しておるそうでございます。これは非常にシステマティックな方法でございまして、各自が手弁当で地域のドライバーに対し講習会を催す。それは非常にシビアな講習会でございます。それにつきましても科学警察研究所の小林技官があちらに参りましたときに、身みずからそれを受けまして、体験をして戻っております。それに対しまして私は、交通安全協会あたりが中心になりまして、そういった運動を全国的に普及していくということもいい方法ではないかというふうに考えております。
 第四番目に、交通事故防止に関しまして、私たち心理学並びに医学のグループが各所で研究並びにその実施に当たっておりますが、そういったものをひとつ強力に結びつけまして、それぞれの各持ち分はございましょうけれども、交通事故防止に対する心理学並びに医学の側面から力を合わせて仕事をしていくということが私大事じゃないかと考えております。それにつきましては、日本交通科学協議会に運転適性部会というのが設けられておりまして、各機関のこういったことに関心のある人たちが集まりまして、新しい適性診断はどうあるべきかというふうなことについての研究を進めて、協力体制を強化しようというふうな動きもございます。
 その四点、簡単ではございますが、お答え申し上げます。
#41
○小笠原貞子君 きょうチラシをいただきまして、「どうなるの私たち母子は 物価高!でも内職の手当は上がりません もう教育にまで手がまわらなくなりました ほんとに疲れました」、この短いことばの中に、私はいま交通遺児をかかえた母親の大きな嘆きがあると思います。そうしてまた「ほんとに疲れました」というのは、玉井さんもほんとうに疲れちゃったんじゃないかと思って、私はそのこともたいへん気になりました。いろんな法律が出されて、いろんな対策が立てられるとしても、ただそれだけでは問題の解決はつかないわけなんで、やはり一体こういうような交通事故というものがここんところ急激に多くなってきた、そうして、しかも、それは突然のことで、子供たちに大きな貧困化の中で苦しみが与えられるというような問題を考えたときに、先ほど玉井さんは、これはまさに政治の責任だと、行政の責任だと言われた点、私はほんとうに大事なことだと思うんです。こういうことが起こりましたのは、やはりいまの経済成長政策のもとでのモータリゼーションの結果起こった。きょうおいでいただきました参考人の方々、それぞれの立場でそれぞれ御苦労なすって一生懸命やっていらっしゃるけれども、一体これがどこの責任で起こって自分たちは何のあと始末をだれにさせられているのかと、そういう点がはっきりしませんと、いつまでたっても御苦労のかけっぱなしになってしまうのじゃないか、そういうことを第一に感じました。
 そこでまず玉井さんにお伺いしたいんですけれども、そういうほんとうに交通行政の責任、ひいてはいまの自民党政府の政治の貧困の中から起こってくる責任だということをはっきり先ほどおっしゃいましたし、私もそれはそうだと思うんです。そういうことを政府といろいろ交渉なすったときに、それを感じているというふうにお受け取りになったでしょうか。もし政府がほんとうに責任を感じているなら、よもやこんなわずかばかりのお金で済ますということはできないはずだと思うんです。交渉なすったときにどういうふうな印象をお受けになったかということをお伺いしたいと思います。
 それからまた、私も交通遺児の問題が一番頭に残りまして、いろいろと政府や総理府の交通安全対策室ですか、お話を伺いに行きましたら、そこでいつでも言われることは、交通遺児だけが遺児ではない、いろいろ労働災害もあるし、病気で死んで遺児になっている人もいる。だから、交通遺児だけを特別に補償する、優遇するというようなことはできないということで、いつもほんとうの対策らしい対策というのが立てられてこなかったわけなんです。そういう点について玉井さんが一生懸命にいままでやってらしった中で、交通遺児に対してはどうしてもこういうふうな補償が必要だと言われる根拠、きっとお感じになっているんじゃないかと思います。その辺のところをひとつはっきりさせていただきたいと思います。
 それから、自賠責も黒字になったというような話がこの間出てきておりましたが、まあ、黒字になったから出せばいいというようなものじゃないけれども、当然そういうお金は育英資金にでもどんどん優先して回すというようなことが考えられてもしかるべきではないかと、そう思うわけなんですけれども、玉井さんのほうのお考え、それについてはどうお思いになっていらっしゃるでしょうか。まず、その点を玉井さんからお伺いしたいと思います。
#42
○参考人(玉井義臣君) いや、ほんとうに疲れました。
#43
○小笠原貞子君 そうでしょう。そう思ったわ、私。
#44
○参考人(玉井義臣君) まあ、四十二年からこの運動に入りましてから六年たってるわけでございます。募金三十億というのは、やはり民間団体としては空前のできばえではないかというふうに自画自賛しておりますが、たまったとたんに教育費が二倍になって十五億円が木の葉になったというのが実情です。そして、その十五億円というのは、もうこれから先、募金する気力は私にはございません。そしてこんなふうに教育費が上がったとすれば、もう善意の限界というものはありありとして出てしまっているというふうに思います。
 で小笠原先生からの御質問でございますが、まあ、政府との交渉の過程でといいましても、私が総理大臣に交渉したわけでもございませんし、大臣とも話し合わないわけですが、大体においてそのいままで出ている金額が答えでございます。政府はそういうふうに思っていない。政府の政治の責任があるということならば、必要資金の一〇%程度ではおさまってないのじゃないかという気がします。で、そのつどいわれる議論は、交通遺児だけが遺児ではないと言われるわけですが、私は、交通遺児だけが遺児ではないけれど、交通遺児は普通の遺児とは違うというふうに考えております。これは病気でなくなった方の遺児と交通事故の遺児をそれでは一緒にするのかというふうに私としては反論したいわけですが、私は交通遺児というのは明らかにGNPをふくらませる過程でその犠牲になった最たるものであると思うんです。何となれば、自動車産業というのは非常な幅広いすそ野を持つ、言ってみれば、GNPを引っぱってきた花形産業であります。たくさんつくることが経済を豊かにする、そして、たくさんつくるためにはできるだけ安く使えるようにしなければならないということで、保険料は押えられました。あるいは事故対策に対しましても十分な対策、つまり、道路整備とか安全施設の整備とか、取り締まり――まあ取り締まりのほうだけが先走っていたと言ってもいいと思いますが、あらゆる交通事故対策が立ちおくれる中でどんどん車が生産された。その結果、車の単価が安くなり、競争力がつき、ますますもって加速がついて車も伸び、世界第二位の生産高になり、日本の経済も第三位になった。そしてグラフをかいてみますると、GNPの伸びと車の伸びは指数的にはほぼ同じでございます。そして、少し下のほうで交通事故の死傷者が影のように慕って伸びているわけです。私はやはりGNPの犠牲者としての交通事故被害者、交通遺児というものを直視せざるを得ないと思うわけです。あのマスキーがせんだって、GNPが公害の指標である、と端的に示しましたように、GNPを伸ばすということは、必然的にあらゆる種類の公害が出てくる。それをうまくGNPも伸ばし公害も減らすというようなことは事実上は無理で、これは私は二律背反ではないかと思っております。そういう中で交通遺児がGNPの犠牲にされた。そして一般の人たちは少しふところにお金を入れた。つまり、所得が上がった。交通遺児は補償もされずに、その所得の上昇にもついていけなかった。何となれば、母親たちは中小企業で単純労働に携わっている。こういう重工業中心の経済成長についていけないところで働かされている。そしてついには教育費が上がって高校進学も断念しなければならないようになってきた。私は、二重に交通遺児たちはこの経済成長の中で被害を受けたんではないかというふうに考えるわけです。これを、病気で死んだ遺児あるいは労働災害でなくなった人の子供と同列に扱うのはいかがかと思うわけです。やはりその辺ははっきり、よって生まれたところがそういう政策の中から出てきたということを明らかにしておかなければならないんではないかと思うわけです。ですから、この救済に自賠責を充てるといいますのは、先ほど申しましたように、自賠法がりっぱなのに自賠責保険が――中身が整わないために救済し得なかったものを、いまあらためていままでのできなかったものを償うという形で当然やるべきだと思いますが、そういう先ほどのGNPの犠牲であるという観点からしますれば、これは政府がいままで言ってきたように、交通遺児だけが何も遺児ではないから一般の財源を使うわけにはいかない、一般の財源を使うならば、他の遺児との不公平が出てくるというような議論もおかしいと思うんです。道路に対しては、何もガソリン税だけで道路をつくっているわけじゃございません。三兆円ものお金が道路に使われる。一般の財源も使われるわけです。そういう中で、どうしてそのために出てきた犠牲者にお金が使えないのか。私は自賠責も当然、一般財源もけっこう、とにかく日本の発展をささえ、そのために犠牲になった者に対して、国が国の金を使ってだれから文句が出るのかという気がいたします。そういう点で、私はやはりこれは政治的救済というのは、育英会がお金がなくなったからつていうんじゃなしに、これは政治の責任であるから政治が救済すべきであるというふうにはっきり申し上げたいと思います。
#45
○小笠原貞子君 まことにおっしゃっていただいたとおりだと、また再確認せざるを得なかったわけでございます。
 それでは時間もございませんので、次々とお伺いをしたいと思いますけれども、穐山さんにお伺いをしたいと思います。
 いろいろ具体的な面でお仕事をなさっていらっしゃる上で、いま玉井さんのお答えになりました点ですね、こういうような問題が起きるのは、やはりこれは政治の貧困の中から起こってくると、その政治の責任であるという点についての御意見がもしおありでしたら、それについての御意見を伺って、そして具体的な次の問題に入りたいと思います。
 さっき営業用のほうには事故がわりあいに少ないというデータ、確かにそうだろうと思います。しかし、その営業用のほうの中にもいろいろ問題点があると思うんですが、たとえば四十四年の十一月二十一日の物価・交通対策閣僚協議会のタクシー料金値上げの際に、労働条件改善の決定というものがされております。そして、それが三年たって四十七年にまた同じ協議会で再び確認決定されているということは、具体的には進んでいなかったからそういうことになったんじゃないかと私には考えられたわけなんですけれども、実態はどうなっているのかということをお伺いしたいと思います。で、特に賃金の水準の引き上げや累進歩合制の完全禁止などとともに、保障給部分の引き上げというのが出ているんですけれども、この部分はどういうふうに改善されてきているか。労働時間の短縮などの問題もほんとうに改善されているかどうか。こういう点が交通安全事項の問題から考えてもひとつ大事な問題だと考えられるので、その点について実態をお伺いしたいということと、それから専門にいろいろと検討された中で、先ほどおっしゃいましたマイカーの事故の問題について、どういう点が一番いま対策として必要な点かというところを具体的に伺わせていただきたいと思います。
#46
○参考人(穐山篤君) 政治の貧困という問題ですが、考え方はいま玉井さんが言われたものとほとんど変わりがないわけでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、人口の調整とか、いろんな、たとえば米の生産の調整、そういう部分では政治の力が加わっている。しかし、どうして自動車の部分についてだけ十分でないかというのは、だれでも考えることです。ですから、これは一般的な抽象論でなくて、もっと私は具体的に問題解決に当たることがいいんじゃないかなというふうに思います。
 それからタクシーの問題が出ましたが、タクシー業界及びトラック業界はいま労働力不足であります。タクシーの場合、東京都内でもどこでもそうでありますけれども、法人のタクシーに雇用をされようという人は非常に少なくなった。これはタクシーの労働条件、あるいはもっと社会的な地位、あるいは魅力というものが非常に少ないということで、相当法人については休車をしております。ところが一方、個人タクシーにつきましては、御存じのように全国的に認可がどんどんされているわけです。私どもは、タクシーも大都市におきましては公共的輸送機関だと思いますから、これを確保するためには、法人、個人を含めまして共存ができるような、そういった政策が必要だと思います。タクシー業界にまかしっ切りというふうなことではないと思いますけれども、現状としては非常に政策に乏しいというふうに言わざるを得ないと思います。
 それから労働条件の問題ですが、最近顕著な問題としては、賃金の支払いがオール歩合制というのが非常にふえてきました。あるいは名義貸し的、あるいはリースという、そういうところが出てまいりました。これは雇用にしろ、賃金が十分安定していませんから、結果的に走りまくる。で、ノルマを十分果たさなければ賃金がもらえない、こういう状況にあるわけでありまして、まあ、これだけ高度成長しました各種の産業の中で、私はトラックとタクシーが一番最後まで労働条件その他の点でも取り残されるんじゃないかという心配を現にしているわけであります。最近、週休二日制というふうな、あるいは労働時間の短縮というお話があるわけですけれども、どうもトラックとタクシーについては、労働時間を延ばさなければ賃金が、まあ一定の賃金が入らないという、これは道路交通の渋滞だとか、いろんな要素が全部含まれているわけですけれども、非常に悲惨な状態にある。ですから、抜本的に公共的輸送機関であるタクシーのあり方については検討を必要とするんじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 それから自家用自動車の問題ですけれども、行政的に見ますと、事業用の――事業用というのは免許を受けるわけですから、ある意味で掌握がしやすいわけですね。しかし、自家用車というのはもう掌握のしようがない。あるいは、掌握をしないつもりでいるとは言いませんけれども、そのくらいな状況に現実はなっているわけです。ですから、私どもは、冒頭にも申し上げましたように、事故を少なくし、あるいは人間の命を大事にしていくという見地からいえば、もっと根本的な規制をしなければいけないというふうに思うわけですす。
 少し話が長くなって恐縮ですけれども、自動車教習所の労働者も私どもの組合に入っております。そこの労働者の言い分も十分に聞いてみるわけですけれども、やっぱり自動車教習所というのは民間の会社です。これは営利を度外視してやっていくわけではないわけです。ですから、そこでは自動車教習所の所長あるいは社長と指導員なり検定員の考え方とは非常に食い違っているわけです。最近、自動車教習所にも過密過疎問題というのがありまして、あんまりきびしくやっていると人が集まらない。甘くやっていれば人が来るけれども、今度はそれが消化ができない。じゃ、それに対する指導が十分であるかといえば、法律上は指定をしておりますけれども、目が十分に届いていない。やっぱり基本的には免許、自動車の教習免許のところからマイカー問題についてはきちんとしていかなければ、私はもう絶対に事故は減らない、決定的な数字は依然として残るというふうに言わざるを得ないと思います。それから、先ほども他の参考人からお話がありましたように、酔っぱらい運転をしておっても、あるいは免許停止を食っても、なおその後免許が交付される。まあ、そういった事柄を含めて、きちんとする必要がある。それから、冒頭にも申し上げましたけれども、旅客についても、貨物につきましても、白ナンバーのうち青ナンバーと同じ仕事をやってるのがあるんです。私はきょう資料を持っておりますけれども、ことしの三月に青森で交通事故がありました。これはその会社は限定の免許を受けておりますけれども、青ナンバーが五台、白ナンバー十台持って事業をやっている。本来ならば白ナンバーではいけないんです。だけれども、白ナンバーで日本国中を運行しているわけですけれども、この死亡事故は新聞にも大きく――これは青森県の新聞ですけれども、一週間、青森を出発して四国、九州に回り、最後に高知県からミカンを青森まで持ってきた。一週間余、もう出たっきりなんです。それも一人運行であります。ですから、こういう点をもう少し厳格にすれば、これはヨーロッパにも例があるわけですけれども、もっと事業用の運転者の労働条件についても、労働基準法以外に交通安全という立場から特別の立法が各国でされているわけです。そういうふうにしていくことによって労働条件もよくなるし、さらには交通事故も少なくなっていく。こういうふうに私どもとしては具体的な事例でしみじみ感ずるわけです。ですから、一般論ではなくて、ぜひ具体的な問題でお詰めといいますか、御検討をいただきたいというふうにくれぐれも申し上げておきたいと思います。
#47
○小笠原貞子君 もう最後ですから、まとめてお答えいただきたいと思います。
 清宮参考人そして須藤参考人にも、やはり一番私が固執するようですけれども、こういう事故についての責任は政府の政治の貧困さの中にあるという点について御意見同じであるか、それともそうじゃないとおっしゃるか、その辺のところをまず確認をしていただいて、そして、それぞれ具体的に御相談に当たられた中でどういう件数が一番多くて、どういう問題で一番お困りになっていらっしゃるか、具体的にそれらについてはどうしたらいいというふうな御要望がおありになるか、そういうことをお二人から伺いたいと思います。
 それから山口参考人のほうにお伺いいたしますけれども、先ほど、ワクはないという――ワクじゃない――押えるというようなことはないということをおっしゃっていまして、私もそう信じたいんですけれども、たとえば任意保険で一千万入ったと、それで事故起こして殺しちゃったと、自賠責五百万、任意保険一千万入っているから、それじゃ千五百万円補償しますということで話し合いがついて、いざもらおうとなったら全然そのお金は出てこないということで、善意で約束して示談で解決したのに、そのお金は個人が責任を持たなければならないというような、まことに加害者にとっても一大悲劇が起こるというような問題が現実にございますですね。先ほどは、そういう人が当事者同士で話し合いをきめないで保険会社も入ってきめれば、というふうなことをおっしゃってましたけれども、もしもそういうことであるならば、保険会社がそこに入ってでなければ相談して金額をきめてはいけませんよというような何か法的な根拠というものがあるのかどうか。もしあるとすれば、宣伝されなければならないし、さっき言ったような例は非常に善意で一生懸命お金も積んで一千万の任意保険かけてあるから一千五百万払いますと言ったのに対して、保険会社からそれだけもらえないということになれば、悪くいえば、保険会社のペテンにかかったようなもんなわけですよね。だから、お宅のほうは商売なんだから、こういうようなときにはこれだけ出るんじゃありませんよ、これだけしか出ませんよというような、きちっとした宣伝をしておおきにならないと、加害者も非常に困ることが起きてくるわけなんですね。その辺のところを実際の問題としてどういうふうに考えていらっしゃるのかということを具体的な問題としてお聞きしたいと思います。
 それから須藤さんと清宮さん、もう一つ忘れましたけれども、二十五日に東京都総合交通対策専門委員会から、都市から自動車を締め出すいろいろな諸方策が講じられて、やはり居住環境ゾーンをつくることがいま根本的に必要だというようないろいろな具体的な案が出されましたが、その問題について皆さんどういうふうにお考えになっていらっしゃるかという点をつけ加えてお答えいただきたいと思います。
#48
○参考人(清宮栄一君) 小笠原先生から、具体的な話でということでございましたが、はたしてそれのお答えになるかどうかわかりませんが、一応お答え申し上げます。
 責任は政府の中にあるかどうかということでございますけれども、私は政府であるとかなんとかということではなしに、これは全部現在先進国といわれているところに住んでいる人類全体の特に責任があるんじゃないか。非常にばくとした表現でございますが、やはりわれわれすべての人間が経済成長ということを指向してここ百何十年か生活してまいりました。そういった経済成長だけを指向したわれわれを含めたその一つの領域として、その中にやはり政府も存在するんじゃないかと思いますが、単に政府だけの責任というふうに私は考えられないで、むしろ非常に自虐的な言い方ではございますが、いま申しました人類全般にその責任はある。それから、困っていることを具体的に、というお話でございましたけれども、私がほんとうに困っておりますことは、その個々の具体的な問題を越えまして、そういった個々の具体的な問題が出てくる人間存在そのもの、すなわち人間自身が望ましいほんとうに人間として存在していく方向をいかにしてわれわれが身につけるか、どういうふうにしてそれをはかるべきかというふうな点に私は非常に悩んでいるところでございます。
 最後の私の結論は、先ほども申し上げましたように、私は教育からスタートしなければならないというふうな考えを持っております。お答えになったかどうかたいへんあれですが、申しわけないんですけれども、どうも具体的な問題をここ一二十年ばかりやっておりましたら、最後にそこへ突き進んでしまいまして、そして悩んでいるというのが現在の私の心境でございます。
#49
○小笠原貞子君 それから東京都の問題……。
#50
○参考人(清宮栄一君) 東京都の問題でございますね。
 私はその居住環境ゾーンをつくるということは非常に大事なことだと思っております。私自身そういう交通の非常に激しい中に住んでおりまして、日夜車の騒音に悩まされ、排気ガスに悩まされておりますので、少なくとも安んじて居住できるというふうなゾーンをつくることに対しましては全面的に賛成でございます。そういうことは、また逆に申しますと、現代の日本の方向に対してある規制がなされるのではないかというふうにも、あわせて考えます。
#51
○参考人(須藤静一君) われわれ弁護士というのはまことに理屈の多いものでございまして、あらゆることについてあらゆる批判をいたします。ある物事が起こりやこれはすべて何が悪い、かにが悪いということを言っておりますが、私はまことに次元が低いものでございまして、弁護士は文句は言うけれども、一体どうすりゃいいんだということをさっぱり考えない。したがいまして、私自身としては、この交通事故相談センターをやっています上におきましては、現在起こっている各種の事故に対する相談と処理ということについて、もっぱら頭を悩ませているのでございまして、一体火事になったような場合に、私どもはもっぱら火を消すことに専念いたしておりまして、これが隣からのもらい火なのかそれとも放火なのかということは、それがある程度おさまったところで初めて考えるべき問題でございまして、ただいまの御質問について、政府だけが悪いと言い切るだけの自信もございませんし、政府に全然責任がないということを言うだけの気ももちろんございません。しかし、それ以外に幾つかのファクターが重なっているのじゃないか、教育の問題もあろうしいろいろあると思います。ただ、私どもとしては、もっぱらその火を消すことに専念いたしておるというふうに御了解いただきます。
 それからでございます。私どもの扱っております相談内容でございますが、これは主たるところが、まあ要するに損害が発生した、その損害賠償をどうしたらいいかということに始まりまして、それについては弁護士をあっせんしてくれという問題、あるいは何とか示談というか話し合いをはかってくれというような問題で、したがいまして、いままで相談だったのが、一歩進んでそこまで立ち至っていくというのが私どもの今後のあり方であり、これはまあ多少資金に目当てもついたような気がいたしますので、そっちへ入っていくつもりでおります。
 大体その相談に来る人というのは、まあわけがわからぬから来るということが一番だろうと思います。これはどうしたらいいんだというんですから、それをこまかく内容分析して、あなたはどうしろ、こうしろというので、それについては、先ほど申しましたように、ほかの窓口へ行けというんじゃこれは話になりませんので、一カ所でもって全部やれる。しかも、それがまあ足場のいいところというのがこれは絶対必要なんで、その辺についてお考えいただきたいというのが私の切なるお願いでございます。
 それから、いま住居区域の問題ですが、これはごもっともです。まさにそれは私だって、私んとこはすぐ向かい側が高速道路でございますんで、夜中の三時ごろまで、私はなれましたけれども、なれない人がお客さんに来たら寝られません。ですから、何とかしたい、いいとこへ行きたいとは思いますが、まあ、そういうことをやりますと、今度は続いてまた逆にそこから通勤というような問題をどうするかってえことがまたもう一つ重なってくるんではないか。その辺の悪循環をどういうふうにしてよろしいものやら、そういうものが望ましいことはわかりますが、そうすると、またここに自動車というものがふえてくるおそれがありゃしないかという点をどうしたらいいかという点で、望ましいが、どうしてやるかという点については確たることは申し上げかねます。
#52
○参考人(山口秀男君) 小笠原先生のいまのお話でございますと、自賠責五百万、任意一千万円ついている、ところが、加害者と被害者ではもう千五百万で話がついたのに保険会社が払わないというようなお話、たぶんそんなことはないと思いますけれども、先生のお話で実際にそういうこともあったでございましょうから、なにですが、そういう場合に私どものほうで、保険会社が承諾をしなければ払わないというのは、実は契約をするときに、保険約款とか、それをわかりやすくしました保険の契約のしおりというようなものに書いてございますが、結局お払いになる加害者の方が、われわれの保険会社に対してどのくらいなものを払うんだという話し合いをされて、それから相手の方にお話をしていただかないと、払うほうの側が、保険会社が知らないのにお二人だけでうまいぐあいにやっていただくということだけではこれは困るわけですね。そういうふうなことから、われわれの保険会社の意見も聞いてくださいということを申し上げているわけでございます。ですから、そういうことを申し上げたからといって、必ずしも保険金額を削減するとかということを意図しているわけではないんであって、やっぱりお客さんの加害者と被害同士の方が円満にお話し合いをされる、それについて保険会社もそれを知っていて、そして何といいますか、妥協がうまくできるということを考えておるわけでございます。しかし、先生からそういうお話もございましたですから、実際にそういうふうなことの起こらないように十分注意をするということにいたします。
#53
○小笠原貞子君 徹底していないのですね。しろうとじゃなくて、それ専門にやって何十年運転している人たちたくさんかかえているある場所なんだけれども――それ、ちょっと言えないけれども、そこでもそういう事故が起こって、それでそういうわけで保険会社は五千万かけたからといって出してくれるわけじゃないからそういうときには気をつけろということをいまやっているんですよ。
#54
○参考人(穐山篤君) 最近、東京都の総合交通が答申をされまして、新聞にも発表されました。それで、私の組織から一人専門委員に出てまして、私どもの立場から意見を出してもらってあります。で、中身はたくさんありますから、こまかいことは申し上げられませんけれども、結局、今回の答申を見てみますと、東京都は東京都であると同時に首都でもあるわけです。そういう意味からいいますと、交通問題についての地方公共団体の予算にしろ、あるいは権限にしろ、いろんな問題について都民をどう守っていくかという立場で非常に問題が多いということを指摘をしているわけです。なかんずく、私は、地方公共団体が国の交通政策についての抵抗の文書ではないかというふうに感じているわけです。内容的には、結局地方公共団体とすれば、あるいは都民とすれば、都民をどう守っていくかという具体的な立場であり、日本の国全体をどうするかという一般論ではなくて、東京都のここはどうするかということを地方公共団体は考えるわけです。ですから、そういう意味でいきますと、政府なり行政官庁の考え方と具体的に対立をし、あるいは摩擦が起こるのは当然だと、それを十分に調和をしていただくのが今日の時点ではないだろうかというふうに思います。最近発表されたばかりでありますから、こまかいことは申し上げることはできませんけれども、考え方としては、都民の精一ぱいの私は自衛意見ではないかというふうに思っております。
#55
○委員長(西村関一君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
 参考人の方々には、本日は長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表してあつくお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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