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1972/07/06 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第10号
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1972/07/06 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第10号

#1
第071回国会 交通安全対策特別委員会 第10号
昭和四十八年七月六日(金曜日)
   午後一時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 関一君
    理 事
                岡本  悟君
                神沢  浄君
                阿部 憲一君
                田渕 哲也君
    委 員
                黒住 忠行君
                橘  直治君
                中村 禎二君
                中村 登美君
                橋本 繁蔵君
                山崎 竜男君
                野々山一三君
                森  勝治君
                原田  立君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       秋山  進君
       警察庁交通局長  渡部 正郎君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
       建設省道路局長  菊池 三男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       警察庁交通局参
       事官       寺尾  繁君
       労働省労働基準
       局監督課長    吉本  実君
       日本国有鉄道理
       事        阪田 貞之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自動車事故対策センター法案(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村関一君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 自動車事故対策センター法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○野々山一三君 私は、先般、運輸省、公安委員会、警察庁、建設省などに関連する主として四点について、各省庁のそれぞれの分野が違うのでというお話でお答えになったのでは困るから、統一した考え方を述べてほしいということで、一つは、初心者マークと免許証の問題それから一つは高速道路に対する規制の問題、それから車庫規制の問題、それから過積みの問題、これを中心にしてこれからどうするか統一した見解を述べてほしいということで留保してあるんですが、この際、まず政府としてどういうふうな考え方なのか、これを示していただきたい。
#4
○国務大臣(新谷寅三郎君) 先日の委員会で野々山委員から御指摘のありました過積みの防止対策、車庫の規制、高速道路における軽自動車の問題、初心者マークの問題につきまして政府の見解を求められたので、私は総理府の総務長官にもその点を伝えまして、関係の局長の方々にもその点を要望いたしました結果、総理府交通安全対策室を中心に関係省庁が協議をいたしまして、当面とるべき対策を策定いたしましたので、その詳細は政府委員から御説明をさせたいと思います。
#5
○政府委員(秋山進君) ただいま大臣から申し上げました件について、お手元に資料をお配りしてございますが、これに基づきましてお答え申し上げたいと思います。お手元の資料の順に申し上げます。
 貨物自動車における過積載の防止について
 貨物自動車における過積載の防止については、特に関係省庁の緊密な連絡を保ちながら、昭和四十七年十一月十日付関係省庁申し合せ及び交通安全実施計画に基づき下記の対策を推進しているところである。
 一、道路運送車両の保安基準の強化等
  昭和四十八年七月において制動装置等について保安基準の改正を行ない、規制を強化した。
  ダンプカーについては、従来から自動車整備業者に対し、さしワクを取りつけないよう指導しているが、今回の保安基準の改正により、ダンプカーのさしワクの取りつけを禁止することとした。今後も、車両の安全に関する昭和四十七年九月の運輸技術審議会の答申に基づき、五カ年計画で保安基準の強化を行なう予定である。
 二、自重計等の改良
  ダンプカーに取りつけられている自重計を平荷台のトラックにも取りつけるべく検討をしているが、自重計には精度、耐久性等に問題点があるので、運輸省が中心となって通商産業省及び警察庁に協力を求め共同で過積載防止装置研究会を設置し、自重計や荷台の改良等について検討を進めている。技術上の問題解決の見通しのついた段階において、制度化についての法制上等の問題について検討を行なう予定である。
 三、車扱い運賃の励行
  営業用貨物自動車の過積載については、運輸省は車扱い運賃の励行について引き続き指導することによりその防止をはかるとともに、過積載の問題は、貨物自動車運送事業者が荷主に対して経済的に弱者の立場にあるところから生まれるものであることにかんがみ、通商産業省、建設省等の関係各省は所管の事業者団体(荷主)に対して過積載の防止及び車扱い運賃の励行について指導を強化する。
 四、重量計の整備による取り締まりの強化
 (1)貨物自動車の過積載については、街頭における取り締まりにより昭和四十七年においては、十四万二千四十二件の違反を検挙している。過積載の下命、容認等雇用者等の義務違反七千百七十四件を検挙しているところである。今後も関係省庁の連絡を密にして取り締まりの強化をはかる。
 (2) 重量計は昭和四十七年度末で約千基整備済みであるが、今後も道路管理者と警察の緊密な連絡のもとに整備を進めることとし、特に、高速自動車国道については、原則として各インターチェンジに設置する。
 (3) また、過積載をはじめ交通違反の取り締まりを強化するため、主要幹線道路に検問所を設けることとし、昭和四十七年度末までに四十九カ所設置済みである。今後も検問所の増設を促進する。
 五、労働条件の改善
  貨物運送事業者における運転者等の労働条件の改善について労働省が中心となって監査指導を強化する。
 六、事業者の監査、指導取り締まり
  運輸省、建設省等の関係省庁が大型貨物自動車を使用する事業所の監査取り締まり等を安全確保の見地も加味して行なう。
 七、地域連絡会等による関係者間の協議
  総理府から都道府県知事に対し指導を行ない、大規模工事が実施される場合、地域住民の安全を確保するという立場から地方公共団体がリーダーシップをとって、地域ごとの連絡会の形で工事施工者、関係行政機関、地域住民等の関係者が資材輸送経路、輸送方法、車両通行時間帯等について話し合い、大規模工事に伴う安全問題に対処する。
 八、自家用大型貨物自動車に対する措置の検討
  特に、ダンプカーを中心とする自家用大型貨物自動車に関し、問題点の検討を進めているところであるが、総理府において運輸省の協力のもとに交通安全意識の高揚等を目的とするダンプカー協会の育成につとめる。次に車庫規制について申し上げます。
 車庫規制の強化について
 政府は、路上の不法駐車や道路の不正使用の追放を目的として昭和三十七年六月自動車の保管場所の確保等に関する法律を制定し、以後、数次にわたる政令改正により、当初の適用地域である東京、大阪、神戸等六大都市から順次適用地域の拡大の適用をはかってきたところである。特に、昭和四十八年三月の政令改正により、本年六月一日から同法の適用地域をすべての市並びに本年十二月一日からすべての町及び市街化の進んでいる村(七十ヵ村)に拡大することとし、車庫規制の強化について鋭意努力している。
 同法の違反事件の取り締まりについては、昭和四十七年中には、六万二百十九件検挙しているが、昭和四十八年七月一日から同法違反事件を交通切符で処理することとして手続の合理化、迅速化により取り締まりの徹底を期するとともに、違法駐車車両の撤去等による取り締まりの強化をはかることとする。
 今後の問題として、関係省庁の協力体制を強化して自動車ディーラーに対する指導等により、同法の実効を確保するとともに、適用地域の全国拡大、車庫の継続的確保等について法改正の検討を進めることとする。
 次に、高速道路における一〇〇〇CC以下の自動車の乗り入れ制限について申し上げます。
 高速道路における一〇〇〇CC以下の自動車の乗り入れ制限について
 現在のわが国の交通事情のもとにおいては排気量が一〇〇〇CC程度以下の車両について高速道路を走行させることはやむを得ないのでその走行を認めているところである。
 現在のところ、一般道路事情等から見て、高速道路におけるこれらの車両の走行を禁止することは困難かと思われるが、国会審議の過程で野々山議員が表明された見解は、交通安全対策上有益であるので、今後はこれらに対する指導、取り締まりの強化、通行区分の採用、道路幅員に対応する制限等による規制や速度警報装置の取りつけ等保安基準の強化の措置について十分配慮することとしたい。
 次に、初心者マークについて
 初心運転者に初心者マークを表示させることとした趣旨は、それによって、回りの交通に注意を喚起して事故の防止をはかるとともに、初心運転者に基本的な正しい運転態度を習慣づけるよう、その自覚を促すことを目的としたもので、この表示義務期間については、免許取得後一年未満の者の事故率が最も高い実情にかんかみ、一年間としたものである。
 ところで、この期間を免許の更新期間に合わせ、更新時に再診断等を行なうことは一そう望ましい制度であることは申すまでもないところであるが、不適当な運転者については、別に行政処分によって排除改善する制度も整備されていることでもあるので、この制度を採用しているフランス、オーストラリアなどの例にならい、当面は現行の一年程度とすることが妥当と考え、推移を見ることとしたものである。
 次に、初心者マークを免許証の交付時に交付することは、原則的にはそうあるべきだと考えている。財源措置の関係で無償で交付する制度はとっていないが、試験場等での販売、指定自動車教習所での記念交付の指導を通じて免許取得時の入手を配慮しているところである。また、ガソリンスタンドなどでの販売は適当でないとの考えはもっともであるが、熟練者が通常はいやがる初心者の表示をすることはあくまでも例外の場合と考えられるのと、悪用者については、無謀運転の取り締まり規定によって担保しているところでもあるので、盗難、紛失、他人の車の借用時等の不時の需要を満たす便宜も考え、販売を制限する措置を特にとらなかったものである。いずれにしても、初心運転者の資質の向上と事故防止をはかるため、初心運転者についての免許期間、適性診断について、すみやかに検討することとしたい。
 以上でございます。
#6
○野々山一三君 率直に言って、いま政府の統一した対処策が述べられたものについて、私自身も若干の具体的な文章上の注文もつけたことでありますんで、くどくはこれについて聞くつもりはございませんが、数点について、この内容を補完的にその考え方を伺いたいという意味で伺いますんで、率直に答えていただきたい。
 最初に、第一ページの三分の二ぐらい下がったところの区切りのところですね、一の末尾、つまり「保安基準の強化を行なう」というんですけれども、保安基準の強化そのものは、大ざっぱに五カ年計画によって保安基準を強化するというんですけれども、試案があるかどうか、あったら資料として示してもらいたい。私は率直に言って、いまの事態で五カ年計画で保安基準を再検討、強化するというのは、テンポがおそ過ぎるという率直な感じを持つ。で、ざっくばらんに言って、運輸省で持っていられる保安基準修正五カ年計画試案とでも言うか、そういうものを私的に伺ったこともあるし、見たこともありますが、これでは速度がおそ過ぎる。つまり保安基準の修正対策がおそ過ぎるというのが率直な私の印象でございます。それを前置きしながら、一体どう考えるか、いまどういうものが試案としてあるか、これをひとつ伺いたい。
#7
○政府委員(小林正興君) 自動車の安全規制につきましては、道路運送車両法に基づきます省令である保安基準というものによって車両検査――新車をはじめ車両検査の時点において監督するわけでございますが、先生御指摘のとおり、技術の進歩あるいは交通環境が非常に変化してきていると、こういったことに対応させて、いかにも五カ年計画と申し上げますとテンポがおそいように感ずるわけでございますが、まず最初に、従来から、この安全の問題については、技術の進歩がいわゆる日進月歩でございますので、現在までに法律制定以後二十七回、ほとんど毎年、多い年には二回に分けても、技術改良が確認された時点において保安基準の改正をしてきておるわけでございます。今回の五カ年計画と申しますのは、特に最近の高速道路等、交通環境が著しく変わってきていると、こういったこと、あるいは事故の態様、こういったことが変化してきてまいっておりますので、この際、自動車の安全確保についての技術的な方策につきまして根本的に見直そうと、こういうことで、運輸省にございます運輸技術審議会に諮問をいたしまして、今後とるべき対策について計画的にこれを推進しようということで五カ年計画を定めたわけでございます。
 これの答申の内容につきましては、詳細な資料がもうすでにできておるわけでございまして、昨年の九月にできておるわけでございます。先ほど総理府の安全室長が読み上げました現に今年度とった対策――ブレーキについてもございますし、あるいはさしワクの問題その他ございますが、こういった点につきましても五カ年計画の初年度としてとった対策でございます。したがいまして、今後、四十八年以降、今後も四カ年間にわたりまして、全体としては六十三項目にわたっておりますが、これらについて目標年度を明確に定めて、一件ごとに明確に定めまして保安基準を強化していくということにいたしておるわけでございます。詳細な内容につきましては、相当膨大な資料でございますので、こういった点につきましては、いずれ資料を提出いたしまして、また御説明を申し上げたいと思います。
#8
○野々山一三君 たとえばですね、ごく最近、あれは五月からですかね、やりました点火時期調整、あれなんかは一つのお宅の指示に基づくものでしょう、運輸省の指示に。実際は、率直に申し上げて、踏切で一たん停止をする、アクセルとクラッチの調和がうまくいかない。いままでの状態と違うわけです。あるいは信号が非常に多いんで、信号でとまる。エンストを起こす。これが実は渋滞及び事故の非常な大きな原因になっている要素があるんです。しかし、私は点火時期調整っていうものを否定するつもりはないんです。だけれども、ああいうようなものを総体的に考えてみますと、やっぱりもとはといえば車をつくったとき、つまり、つくる段階でもう根本的に対処されなければいけない。それが特に初心者などでエンストを起こしたりなんかすることが多いということなどは、考えてみますと、これは一例でございますけれどもね、点火時期調整をやる、やればいいじゃないかというふうにだけしかとられない、印象的な言い方ですけれども、とられないために起こっている。これはもう審議会でもちろん検討されたことであろうと思うけれども、実際にドライブしている諸君の実情と合わないんじゃないかということが一つあるんです。
 それから、今度はもっと率直な話をいたしますが、整備会社で調整をしてもらいますね。レッテルを張ります。一週間ぐらいたったらいらっしゃい、どうもエンストがよく起こったら困るでしょうから、またもとへ戻してあげます。これでは根本的な解決にならないどころか、全くこれは金取り商売の最たるものです。これを監督していらっしゃるのは運輸省なんですね。それで、しかも、これは率直に言って五千円ぐらいとるわけなんです。車をつくった企業、売った企業というのは、もうわかっておるわけですね。まあ、いま二千三百万台を越えるわけですけれども、かりに一社が四分の一持っておったといたしましょうか。五千円としてかける五百万台で二百五十億ですよ。企業の利益を考えたら一体どうかというと、一千億以上の利益をあげている企業が一ぱいあるわけです。つくった、売った、あとは知っちゃいないわ、こういう考え方があの点火時期調整という問題にからみ、これが事故にからんでいるということは歴然たること、しかも不正にからんでいる。つまり、持ってきたらまたもとへ戻してあげますよと、そういうことをやっているが、一体運輸大臣、こういうことに対してどういう行政指導をするおつもりでしょうか。対応策を含めて伺いたい。それが一つ。
 それからですね、というように、保安基準の五カ年計画というものが非常にテンポが社会情勢に合わないということのこれは一例と考えざるを得ない。この五カ年計画をもっと再検討して、促進するつもりはないか。
 第三番目に、点火時期調整イコール排気ガス調整という問題が起こりますね。そうすると、そこで言うならば、アメリカの例をとって申しわけないが、マスキー法というような法律を早急に立法化するつもりはないか。これが根本問題としての一例になるわけですけれども、この三点について大臣率直なひとつ見解を承りたい。
#9
○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的な問題ですから、足りないところは政府委員からあとで補足させます。
 一括して私の考え方を申し上げますと、自動車が急激にふえた。それからそれに対する指導監督の体制が運輸省としては手不足であり弱体だというようなことがやっぱり全体に大きく影響していると思うんです。私も就任以来、この自動車の監督行政について、法制はもとよりですが、そういう、ほんとうにまあ自動車行政を的確にやるための、役所のほうの側から見ての整備ができているかということについては、非常に考えさせられる問題が多いんです。この点は、一、二の問題についておっしゃったけれども、これはやっぱりもう少し新年度にも関係の予算を要求しまして、その体制をつくり直すようにこれは努力しなきゃならぬと思っておるんです。具体的な問題は政府委員からお答えさせます。
 それから排気ガスの問題ですね。これは私の承知しているところでは、いまわが国でやろうとしているのは、これはまあ通産もありますし、環境庁もありますし、いろいろありますが、自動車そのものについては、車両の関係で運輸省令で御承知のようにやっているわけです。これは私は法制的に特に研究したわけじゃありませんが、あえて法律、マスキー法みたいな法律をこさえなくても、道路運送車両法に基づく省令を強化することによりまして、法制的に私は可能だと思っているんです。こういうもんでないと動かしちゃいかぬというんですから、実効をあげられると思うんです。そこで、内容の問題ですが、実はこれは環境庁長官とも相談しましてね、アメリカがああいうふうにマスキー法の実施を一年間延期せざるを得ないと、こういうような結論を出しておるわけですが、それに対応して日本はどうするかいうようなことがすぐ問題になります。私はまあ環境庁長官と相談しまして、いまの状態であればこれは可能であるだろうと、まあ現に一、二のメーカーに対しまして、これはもう非常にわれわれのほうから技術的な指導をしたり協力をしまして、相当いい結果が出てきておるわけです。で、三つの排気ガスの問題について、一体あの環境基準を満足し得るような施策といいますか、そういったのがもうできてきておるわけです。これまだ一年半か二年ありますから、その問われわれのほうも技術開発について援助をし、それから技術的な指導を与えてやりますと、新車についてはあの程度まではとにかくいけるんじゃないかという、私はまあしろうとですけれども、そういう感じがしたもんですから、環境庁長官とも相談して、これは日本は負けないと、本場のアメリカか知らぬけれども、ああいうことでくじけることはよくない。だから、どうしてもこれは五十年にはやりましょうと、環境庁もそれでやってくれと、われわれのほうもそれでやりましょうというので、通産大臣にもその結果を伝えまして、いまとにかく政府の意向としては、まだ発表はしていませんけれども、われわれは当初の計画どおりにやるために最大限の努力をいたしますということをいま表明しているわけでございます。これは私は技術者じゃないですから、個々の排気ガスについての具体的なそれを規制する機械装置とか、そういったのはよく知りません。知りませんが、包括的に聞いておるところは、非常に希望の持てる状態でございます。ただ、現在でき上がっている中古車といいますか、在来車ですね、これをどういうふうにこう変えていくのかというのに相当にこれは時間がかかると思うのです。これにつきましても、新車と並べて技術開発を盛んにいま急いでやっておりますから、すぐにマスキー法並みに全部の車がぴたっといくということはあり得ませんけれども、非常にそれに近づいておりますね。基準をつくってそれに準拠させて、まあ大気汚染については最大限貢献し得るのではないかというふうにわれわれ期待を持って努力をしております。そういうような状況ですから、質問の趣旨があるいは私には答えられない点がありますから、政府委員から補足させますが、大体の方向としてはそういうことでございます。
#10
○政府委員(小林正興君) ただいま野々山先生御指摘のおよそ三点について補足してお答え申し上げます。
 第一の排気ガス対策と安全対策の関係でございますが、もともと安全の点につきましては、従来から、自動車の性能の改良開発ということと並びまして、非常に技術的にも開発が、安全対策が進んでまいったわけでございます。しかし、先ほどもお答えいたしましたように、技術の改良進歩に伴いまして、毎年保安基準を強化する改正をやってきておったわけでございます。公害の問題は、この安全の問題と比べましてまあややあとに最近起こってきた問題でございまして、私もこの問題について技術的には専門ではございませんが、排気ガス対策、公害対策をやる技術的な開発というような点につきましては、ともすれば安全と矛盾する場合があり得るという点が非常にむずかしい点でございまして、排気ガス対策を強化すれば若干の安全問題を犠牲にせざるを得ないというような面があるんじゃないかと、こういうようなことから、当然安全が最も大事でございますので、その安全をそこなってまでというわけにいきませんので、なかなかこの公害対策技術というものの進歩が、どちらかといえば、おくれてきておったと。しかし、最近の排気ガス問題の重大性にかんがみまして、この点については、五十年を目標に、もうすでに環境庁からアメリカのマスキー法の規制基準以上のきびしい基準が示されておるわけでございまして、こういった点について現在技術開発を進めておると、その際に、当然安全の問題はそこなうことなく公害の技術開発をしなければならぬ、これはそのとおりでございます。
 そこで、先ほど具体的に先生が御指摘がありましたこの点火時期調節の問題でございますが、これは排気ガス対策を、オーソドックスな技術開発の手法としては、当然アメリカもそうでございますが、大臣が先ほど申し上げました新車について漸次強化してきておるわけでございます。具体的には四十八年におきましても、新車についての排気ガス規制ということを安全の問題と別にやってきておるわけです。この新車について技術開発に伴って新車の排気ガス規制をやると、この際には安全の問題はさして心配はないわけでございます。しかるに、今回点火時期調節ということを全国一斉にやったと、あるいは東京等の大都市については点火時期調節方式による装置、または触媒式の装置、浄化装置というようなものを取りつけるということを並行していたしましたものでございますので、ここに二つの問題点が起きたわけでございます。
 その一つが、若干安全等そこなうんじゃないか、どうしても、すでにできた中古車、これに急速点火時期を調節したり、あるいは特別の装置をつけるということになりますと、どうしても運転性能が若干落ちるというようなことが言われておるようでございます。そういった点について、政府は慎重な態度で昨年の夏まできておったわけでございますが、先生御承知のとおり、大都市における光化学スモッグ対策というようなものが強く問題になってきておるわけでございますので、技術的改良を進めておる新車規制と並んで中古車にまでも特別な対策を緊急にとるべきだという積極的な結論に達したわけでございます。当時、東京都を中心に触媒式の方式というものが研究をされておったようでございますが、そういった点を含めまして、運輸省としては昨年の秋に今年の光化学スモッグ対策の時期に間に合うように中古車についても排気ガス対策を並行してとろうということを決断いたしまして、点火時期調節方式、それから触媒式方式の二つを含めました中古車対策をいたしたわけでございます。若干の運行性能が落ちると、しかし、これは私どもも慎重に配慮いたしまして、十分注意運転をすれば安全をそこなうことなく中古車対策ができるという確信を得ましたので実施したわけでございます。
 それからもう一つは、よく巷間いわれておりますのは、燃費がかかると、つまり燃料をそれだけ食うということは、また逆に、排気ガス対策にもならないじゃないかというような批判もあるようでございますが、この点については、若干の運転性能と、それから走行性能と、それから燃料費が若干かかるというような問題についても、やはり現下の排気ガス対策の重大性にかんがみまして、あえて踏み切ったというわけでございます。御指摘のとおり、安全との関連で非常にむずかしい問題があるということについては承知いたしておるわけでございまして、これを矛盾なく解決するというところにこの問題が非常に困難な問題があるわけでございます。
 それから第二点の、その点火時期調節方式をとりましたので、この点についてどうしてもすでにできた車に特別な装置を取りつけるというような問題になりましたので、新車の段階からの規制でございませんのでということと、それから急遽そういった方策をとったということでこのステッカー方式をとったわけでございまして、これはあくまで新車規制というオーソドックスな方式に合わせてとった方式でございますので、先ほど先生御指摘のステッカーの不当な、不正な使用というような問題も一部あるいはあったかと思うわけでございますが、そういった点については十分監督を強化いたしまして、この新方式が徹底するように、また適切に行なわれるように指導監督は当然強化していかなければならぬと思っているわけでございます。
 それから第三点の安全基準のテンポにつきましては、先ほどもお答えいたしましたが、従来は毎年そのときにとり得る措置について、いわば部分的に毎年保安基準の改正をいたしたわけでございますが、先ほども申し上げましたように、五年と申しますと非常に長いようでございますが、ひとつ五カ年の目標年度をむしろはっきり定めて、これが公害についてもマスキー法等の考えもそういうことでございますが、目標年度をはっきりし、しかも、五カ年間における各年度ごとに目標年度、しかも内容というものとを具体的に検討、見直しを全般的にいたしまして、そうして今回安全基準の強化拡充方策というものを明らかにしたわけでございまして、先般の当委員会において野々山先生御指摘の、たとえば後写鏡の視界基準というような問題につきましても、これは五カ年計画の二年度または三年度にこれを行なうということについて、むしろ安全基準を強化する技術進歩というものを促進させようという意図でございまして、決して五カ年計画を定めたということが全体の安全規制のテンポをおくらすということにはならないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#11
○野々山一三君 たいへん丁寧に答弁していただくことはけっこうですけれども、時間が長くかかるんで、要点をぴしゃっと言っていただけばけっこうでございますから、よろしく。
 第二に過積みの問題と、それから重量計、軸重計それからそれをチェックするための警察庁としての考え方を伺いたいんですけれども、これによると、だいぶたくさん検挙されていると、こういうわけなんですが、これは検挙という角度でいえば、取り締まりの対象物件という意味でいえば警察庁なんですけれども、これはいわゆるあれでしょう、軸重計のほうですね、警察庁でいえば。それから重量計のほうでいえば、道路局長お見えですね、この前資料を求めたところ、金はあるんで積極的につくりますというお話だったわけで、これによれば、たとえば原則的にインターチェンジにはつくる。これはいわゆる高速道路ですね。幹線道路といういわゆる一級、二級の国道なんかについてどのくらいのスピードで――スピードというか――建設計画ですね、というものはどうお考えなんでしょうか。それから警察のほうでは軸重ですぐやれるわけですね、取り締まりを。ところが、向こうのほう、つまり建設省のサイドでいえば、何トン以上の車は走っちゃ困りますという角度でとらえるわけでございましょう。これが一体化してないわけなんでございます、両省で。そのために第一は、時間がないから言いますけれども、セットする計画がおそ過ぎるんではないか。そのために、これは過積みやっちゃいけないという行政的な法制的な取り締まり、指導ということは当然やってもらうことを前提にして、しかし金はあるんだからつくりますと言うんだが、さて高速道路では原則としてインターチェンジには置くというふうに言われることはたいへんけっこうですけれども、使わにゃだめですね。実際はインターチェンジのゲート一ぱい口があっても使わないでばっかりいるわけです。それでなぜ使わないかと、こう言うと、場所がないから、車をとめておかなければいけないからと、こうおっしゃる。その考え方が私はやっぱり間違いだろうと思うんですね。そういうものをよけい積んでいっちゃいけないんだという概念が市民の中に定着してくる上うにするためには使う。使う、つくる、それが使われる。使われるためには銭を取るときに車種が全部わかるわけですから、何トン以上はだめですということをチェックするようなシステムを一緒にお考えにならなければだめだろう。今度は建設省のほうでは、いや、わしのほうは取り締まりはできませんので、と大臣に逃げられるわけでございます。そこで、警察庁と建設省と両方に伺いたい。私の言うように、設備をセットするという考え方はよけいやらなければいけないことですけれども、やることがいいかどうか。それから今度は、建設省と警察庁とでそれをチェックする体制についてもっと一元的な方策はないのかという二つのことについて伺いたい。考え方はわかりますよ、ここに書いてあることは。わかりますけれども、もっと積極的なチェックのしかたを通して過積みはいけないんだという気持ちを荷主やあるいはオーナーや運転者に認識してもらうということが必要じゃないでしょうかね。そういうことを一体どうお考えなるんですか、少し簡単でけっこうですから、両省から。
#12
○説明員(寺尾繁君) まず最初の、別々でよいかという点でございますが、私ども、建設省でおつくりになったものを共通で使用させてもらっております。で、統一見解で約千基と書いてございますが、あのうちで、前回道路局長から御答弁しましたように、六十基が建設省である。そのほかに高速自動車国道で約二十基ございます。私どもも約六十個所、そのほかに移動性のものが約八百五十基ございます。そうして固定式のないところにおきましては、やむなく移動式のものを用いてございますけれども、固定式の分につきましては、私どもが設置しておる個所、それから建設省の設置されておる個所を通じまして利用させてもらっているわけでございます。このことは同時に次のやり方にもちょっと関係があるんでございますけれども、建設省のほうは、二十トン以上の車は道路を通ってはならない。私どもは、道路の積み荷の重量超過をやっておるわけでございます。私どもがやりますときには、もう二十トン以上はすぐ出てまいるわけでございますけれども、いま一番問題にしておりますのは、この間も運輸省の整備部長とお話し合いしたわけでございますけれども、自動車と積み荷と合わせた重量を自動車の外部に表示することはいかがですかと言って、むしろ運輸省のほうから御質問がございまして、そうした面について、そうすれば非常にやりやすいということで、お互いに検討いたしましょうということを申し上げたわけでございますが、これは運輸省と私どもとの間の取り扱いの統一の問題でございまして、建設省については、いま申し上げたように二十トン以上と、私どもがやります場合は両方が見られるということでございます。
#13
○政府委員(菊池三男君) ただいま警察庁のほうからお話がございましたので、特に私どものほうから足すことはございませんが、ただいま申しましたように、内容は若干違いますけれども、やはりどちらをとっても共通しているものが非常にたくさんございます。そういう意味で、私どものほうも重量計をつくり、また警察も重量計をつくり、私どものほうがつくった重量計を、実際に取り締まりをやりますときに、道路管理者だけでは車は実はとまらないのです。そうしますと、どうしてもとまらないというか、とまってくれない。そうすると、どうしても警察官がいませんとできませんので、私どものほうはいつも警察のほうにお願いをいたしまして、いつも一緒にやっております。それから高速道路の場合に、全部のインターチェンジ、それから特にサービスエリア等におきましても、必要なところにはつくろうということで計画は進めております。ただ、インターチェンジのところにはゲートが、多いところは十も十五もございます。その全部につけることはできませんので、たいてい一番左側のところにつくってございます。そして、大きい車はそこへ誘導し、そこで重量をかけ、オーバーするものは通さない。それでも強引に通る者があった場合には、その重量のメーターとそれから車の番号がすぐ写真でとれるようにということで、そういう、同時にやれないかということでいろいろテストしております。なかなか、ぽっと写真とその重量計と一緒にとることがむずかしいようですけれども、そういうようなことで、証拠も残しながら、もし逃げてしまう者があればあとでそこへ違反の通知を出すというようなことをやろうというようなことも考えております。
 それから先日もお話し申し上げましたように、たとえば国道等につきましては、現在重量計は、建設省でつけましたものと警察でつけましたもの、合わせて国道で約六十カ所ぐらいあると申し上げました。それで、これは直轄で管理をしています大体一万二千キロぐらいについての六十カ所でございますが、さらに八十カ所ぐらいつけていこう。そういたしますと、たとえば北海道のところもその中には入りますけれども、北海道等につきましては、相当間隔がありましてもあんまり問題にならない。関東なら関東地方だけを例にとりますと、もしそれだけのものが設置されれば、大体四十キロか五十キロに一カ所ぐらいにできるようになります。そうしますと、一カ所でつかまえれば、あと同じときに同時にやることは意味がございませんので、それぐらい設置すればだいじょうぶであろうということで、一応いつまでにやるかというお話でございますが、五カ年計画の間にそれは全部設置を終わりたい。これも、非常に五カ年計画は長いからもっと早くやれというお話あると思いますけれども、実は、これは用地が相当ありませんと、ただ重量計だけ置いて横へ寄せてとめても、今度は違反した車の処置に困ります。それから違反した物を、場合によれば、おろさせなければなりません、というようなこともございますので、どんなに少なくてもいま二千平米ぐらいは最低要るというようなことになりますと、そういう用地の取得がたいへん困難である。それから、もしそこへつくりますと、実は取り締まりをやりますと裏道へ逃げてしまうんです。すぐもう十分ぐらいたつとわかりまして、裏道へ逃げてしまう。そうすると、裏道のほうがそういい道路でもないところにダンプが入りまして、そこら辺から取り締まりをやめてくれと言われる、そこで学童、子供たちが危険だというようなことから。そうすると、なるべくそういう裏道のないところ、どうしても通らなければならないところへつくらなければならないという制限がありますので、たいへんむずかしいので、これは先ほど申しましたお金の問題じゃなくて、できるだけ早くそういう問題を解決しながら設置してまいりたいと思っております。
#14
○野々山一三君 時間がなくなっちゃうから、いろいろ聞きたいんですけれども。いまの過積み問題については、やっぱり六十カ所を八十カ所ふやしますと、それだけ聞いているとえらいよけいふえるんだなという感じがするんですけれども、五年かかって八十ふえるということを聞くと、ゆっくりしてらっしゃるなということになるわけでしょう。これは、あなたのおっしゃること、よくわかるんですけれどもね。たいへん土地を買わなきゃいけないからおくれちゃうと、それから逃げ道があっちゃ困る、これがゆっくりする最たる理由になってるんですよ。これは総理府交通安全対策室長、ひとつ、いまの菊池道路局長のお話というのは、私はどうしても聞こえない。これは何も、場所がなければいけないというのは、ちゃんとチェックしておいて、あとで呼び出してこらとやればいい、など、具体策は幾らでもある。すぐ建設省は土地の話になる。土地がなくたって、取り締まりができないかという問題は、これは一ぺん総合的によく考えてごらんなさい。あなた方は知恵がある人ばっかりの集まりなんだから。わしみたいな知恵のないやつだってすぐわかりますよ、そんなやり方ぐらいは。これはぜひ注文として申し上げておきますがね、対策室のほうでも、そういういまの二千坪要ります、抜け穴がありますなんていうお話は消してもらって、早急な処置を講じてもらいたい。これは注文として申し上げておきます。
 その次に、車庫規制の問題は、これは書かれているもの、これで、結論から言うならば、ちゃんとした車庫がなければ車は持っちゃいけませんという考え方、で、路面違反駐車はいけません、それでそういうことをやった者は車を持って行きますという考え方が趣旨だと私は解するわけですけれども、警察庁さように考えてよろしゅうございますか。
#15
○説明員(寺尾繁君) そのように私どもも考えております。
#16
○野々山一三君 次に、初心者と免許証の問題でございます。この前も申し上げたように、初心者といわれる期間というのは一年です。免許証は三年更新でございますね。そこで、ここに記載されているものは、結論を言えば、「初心者についての免許期間、適性診断についてすみやかに検討する」。初心者は一年で免許証は三年ですからね。これは初心者の期間が一年、そのときに免許証を交付する、再交付する、延長するという考え方ですみやかに検討するというふうに法律改正をしなきゃならぬ要素がありますね。そういう前向きで検討するというふうに解釈してよろしゅうございますか。これは警察庁及び運輸省でもその考え方がどうなのかということを両方聞きたいと思います。
#17
○説明員(寺尾繁君) そういうことを含めまして、総合的にできるだけ早く検討したいという趣旨でございます。
#18
○野々山一三君 次に、順番が逆になりますけれども、高速道路の、何というか、規制の問題でございます。これは道路管理者サイドにある建設省にも伺いたいんですが、高速道路に三車線もあるところがありますね。そうかと思うと一車線しかない、これも高速道路だと。そこで一車線しかないような高速道路というものに対する考え方はいろいろ建設委員会でも問題になっていますが、一車線の高速道路というのは、高速道路の概念からいったらおかしいですよね。それがまず第一。そこへ持ってきて、私は一二〇〇と言ったんだけれども一〇〇〇になっちゃったわけですけれどもね、「軽」というのではなくてシリンダーの容量で一〇〇〇ということの概念だろうと思いますが、一車線しかない高速道路などへ小さい車が入ることは非常な事故を誘発する、それから渋滞の原因にもなるということからして、これは管理者サイドから見ても小さい車は入れないということが私は必要だろうと思います。それから今度は二車線、三車線あるところでいうならば、小さい車はここしか通れませんというルートをきちんとさせるということを、制度上もそれから取り締まりの観点から見てもきちっとすることが必要ではないかということを指摘をしているわけで、書かれているものの趣旨も大体そう読み取れるわけでございますけれども、あらためて念のために伺いたいわけです。
#19
○政府委員(菊池三男君) 最初の一車線の高速道路の問題でございますが、これは当初から一車線の高速道路は危険ではないかという議論が相当強くありましたわけでありますけれども、なるべく早く供用を開始する延長をふやして、少しでも利用していただきたいということから、交通の非常に少ないところは、交通容量からいけば十分でありますので、片側一車線ずつの二車線ということでやったわけでありますけれども、非常に交通上危険がある。特に中央道の場合、交通が予想外に多かった場合非常に危険であるということで、現在でも整備計画を出しておりますうちに、片側一車線というのが、全部で四千キロぐらい整備計画を出しているうちの七百キロぐらいございますけれども、これはまた四車にして供用にするという方向で逐次変えていきたいというふうに考えております。
 それから幅の広い三車線のところで、軽自動車のような小さいものは一番左側の車線を使ったらどうかというのは、これは一つの交通の指導の問題だと思いますけれども、これも当初小さい車は高速道路を通すべきかどうかということ、これもずいぶん議論されたわけでありますけれども、一応能力的には八十キロ出してもだいじょうぶな能力を持っておりますので、能力を持っているものは通さないということにはいかない。ただ、そういう八十キロの能力のものが百キロあるいは百二十キロ出しますと、それ以上大きい百キロあるいは百キロ以上の能力のものがスピードをオーバーするよりたいへん危険であるということは確かでございますが、これはやはり運転マナーというようなことのやはり指導ということ以外にはないと思いますけれども、それだからといって、制限することはむずかしいと思いますので、ここに書いてございますような形で、できるだけ端の左側のほうを通ってもらうと、また、事実小さい車は左を通っておるようでございます。そういうようなことで、ここに書いてあるようなことで進んでまいりたいと思っております。
#20
○野々山一三君 警察庁はいかがですか。
#21
○説明員(寺尾繁君) いま道路局長からもお答えがありましたが、ここで「通行区分の採用」と言っておりますのは、三車線の問題でございます。ただ、私どもこの前も御説明申し上げたわけでございますけれども、日本は非常に混合交通が多くて、小さな車の問題と同時に、大型車両が大きな荷物を積んでゆっくり走るというような問題もありますことと、それから昨年――一昨年でありましたですか、三車線道路の通行区分を政令できめておりまして、おそい車は左ということを規定いたしました。それらの問題等もからめて十分検討してまいりたいという趣旨でございます。
#22
○野々山一三君 私が指摘している趣旨は、あなたも一〇〇〇CCという数字をあげられたんですが、結局は小さい車が八十から百までという速度で走るわけですけれども、これはゆっくりした車は左へという、そういう概念の問題ではなくて、これはこの道路は走ってはいけない、小さい車はあぶないから、つまりブレーキをぎゅっと踏んだらひっくり返っていくわけですからね。これが一つ。それから、この前大型車の死角の問題も指摘をしたわけですけれども、大型車の横んちょへ入ってきたら小さい車は見えないわけでしてね、それがマナーだけの議論ではやっぱり――私はそうありたいと思いますけれども――そうじゃないところが大きな原因になって事故を発生さしているということが問題である限りは、マナーに期待をするということだけではなしに、やっぱり規制をするということと両立させて事故を発生させないという概念、そういう思想でとらえていくことが正しいというふうに思いますからね。参事官の述べられたことばだと、書いてあることとちょっとぼけてきているという感じがしますが、これはこれ以上繰り返しませんからね、私の言っている趣旨をよく体してやってもらいたい。すみやかにこの区分なりこの規制なりというものを処置をしてほしいという、これは希望としても述べておきます。これはひとつ、もしそうでなかったら私と一緒に運転して走りましょうよ。私も免許証を持っていますから、いまからでも行きますから。(笑声)どうぞひとつそのつもりでからだを張ってやってみてください、ということを申し上げておきます。
 次に事故対策センターそのものですね、そのものについて私はこの前意見を述べておきました。つまり、言うならば、階層別、業種別、専門別の者によって構成されるセンター、つまりそういうセンターを運営する人ですね、人の構成というものをそういうことで対処していくということでなければいけないという趣旨のことを申し述べておいたわけですけれども、これについてはどういうお考え方があるのか、あらためて伺いたいんです。
 ちょっとつけ加えます。この前申し上げたように、この種のものは全部何とか法人という、まあ法律できめた法人ですけれども、インチキ法人が多い。差しさわりがあるから名前はあげませんがね、ここで。言えば胸にささっと刺さる人がいらっしゃるはずですよ。幾らでも何とか法人というものをつくって、そしてそれが集めた金を適当にというような不法行為が一ぱい起こる、それが一つ。こういうことをなくするためにという意味が一つある。それから、この種のものは、やっぱり申し上げちゃ悪いんですけれども、これは建設省でもそうですけれども、ある審議会がある。直接その審議委員の人に会った。七十七、八で、こうやっていらっしゃる。わかるかね、これ。そういう人が審議会の委員をやって、そういう人が何とかセンターの委員をやって、これだけの、こんな機能の進歩している世の中に間に合うですか。これは私は建設省にも建設委員会で注文をつけるつもりですけれども、ひとり建設省だけじゃない。あらゆる機関がそういうところにある。これは別な機会にあらゆる審議会、そういうものがどういう年齢のどういう経歴のどういう人がという全部の名前を出してもらいたいと実は思っておるんです。そういう意味で――きょうここで資料を要求するわけじゃないですよ――そういう意味で、第二に、何とかセンター、つまり事故対策センターというものの構成をいま私が指摘したようなものでつくる気持ちはないか。ないならない、あるならあると率直に言ってください。あるならあるとして、今後どうするか。これはひとつ大臣に聞いたほうがいいですね。ひとつ率直に伺いたい。
#23
○国務大臣(新谷寅三郎君) 野々山先生のおっしゃるのはよくわかります。運輸省の関係で、私も就任して調べてみますと、非常に関係法人が多いんです。各局ともに相当の数の法人を持っているんですね。これは一面からいいますと、数が多いことが悪いとは思いません。それぞれに、あなたのおっしゃるように、仕事とまっこうから取り組んでやってくれればけっこうなんです。行政の一部分を分担してもらうんですから、けっこうだと思いますが、まあ、中にはもう大体お仕事が終わったんじゃないかというようなものがあるかもしれない。で、私は全部各局のほうから取り寄せまして、私自身がいま点検しているんです。これは、そういう意味でおっしゃるような趣旨よくわかるので、運輸省に関しては私はできるだけ要らないものは整理する、要るものはつくっていくという方向で、これは皆さんにごらんいただいても恥ずかしくないような外郭をつくろうと思っていま努力しておりますから、これはもう少し時間をかしていただかないと、非常にたくさんな数がありまして、こんな厚い本ぐらいになっているんですよ。もう少し時間をかしていただきたいと思います。それはしかし真剣にやっています。
 それからもう一つの御趣旨は、おそらく今度新しくつくる法人の構成がどうだと、はたして理事、監事、理事長以下それがほんとうに適当な人を選ぶのかどうかと、こういうことについての御注意だと思うんです。これは気をつけます。で、いまおっしゃったように、ただだれかにひとつこのポストを与えて、そして何かお小づかいでもというような意味の人事はやらぬつもりです。しかし、現在何か具体的に人事構成の案を持っているかと言われると、私いま持っておりません。これは通りました暁に、なるべく早くこういったものを関係当局からも意見を出させ、私自身も考えて、無用の人をただ顔だけ並べておくというようなことにはしないように処理をいたします。これはお約束してもけっこうです。
#24
○野々山一三君 これはせっかく大臣、お約束をしますと、こう言われているんですから、経過をひとつ的確に私どもにチェックさしてもらいまして、だめならだめということを率直に言わしてもらいます。ぜひ間違いのないように、二度とだめだなんと言われぬようにひとつやってもらいたいことと、運輸省に関することのみならず、これは政府関係機関にいろんな機関がありますね。これはついでの話ですけれども、ぜひ再検討してもらうように、総理府――これは交通安全対策室長にこう言ってもいけませんが、総理府の方がいらっしゃるわけですから、ひとつあなたが関係の機関の責任者に私の言っている趣旨を的確に伝えて態度で示してもらいたい。勉強しています、ではだめですからね。こんな厚いやつを勉強しています、じゃだめですから、一ぺんで明瞭にひとつすみやかに処置をしてほしいということを申しておきます。
 それから最後の交通安全協会、あれはひとつ日本じゅうの資料を出してくださいと注文してありますから、ぜひ出していただくとして、あれはやっぱりチェックしないといけないと思うんです。私はずばり言って、相当改革をしてもらいたい、ああいうもののあるところを。なぜか。免許証をもらいに行くたんびに銭を強制的に取られるわけですからね。ところが、その銭がどこへ行ったか、ちょっともわからぬ。免許証もらいに行くと、このとおり小さな紙で、この半分ぐらいね、つまり、これの半分ぐらいの紙に収入幾ら、支出幾らと書いてあるだけです。これで決算報告書なんというようなことで扱われている仕事、やられている仕事は何をやっているかというと、事故をもみ消す仕事が一番最たるものです。そんな安全協会ってありますか。それじゃかっこう悪いから、今度は交通安全協会(自家用)と書いたパトカーがございますな。あれが世間に対するかっこうを整えているものだというふうに思います。これは交通局長、ひとつどういうふうに処理するか、お考えを伺いたい。
#25
○政府委員(渡部正郎君) 私、まだかわったばかりで詳しい実情を承知しておりませんので、全国的には十分なお答えができないかと思いますが、私も先生御指摘のような地区、ことに地区の交通安全協会の運営につきましては、将来いろいろ問題があるというふうには感じております。御指摘の問題以外にも、やはり交通の情勢が非常に変わってきているわけでございますので、交通安全協会の今後の運営といいますか、それについては検討すべき点が非常に多いんじゃないかと思っております。実は交通局長になる前に私愛知県の警察本部長をしていたんでございますけれども、愛知県の交通安全協会についても実はいろいろ構想を立てている途中でかわったわけでございます。一応愛知県の分は勉強もしてまいりましたので、意欲的にこの問題には取り組みたいと思っておりますので、いろいろ御指導をいただきたいと思います。
#26
○野々山一三君 愛知県のことは勉強してきたというので、日本じゅうのことをひとつぜひあなたの所管として対処しなきゃならぬのがあなたのいまの立場ですから、愛知県の話なんという、そんな話をしないで、率直に申し上げて、かくかくしかじかの方法をもって、世間から変なふうに見られないように、安全協会というものが存在する限り対処しますという考え方をこの委員会に示していただきたい。これは実態の資料は要求してありますが、これからどうするかということを示していただきたいというのが私の注文なんですが、いかがでしょうか。
#27
○政府委員(渡部正郎君) 具体的な内容についてはまだいろいろ検討したいと思いますけれども、先生御指摘のような方向で早急に検討をして改善につとめたいと思います。
#28
○中村登美君 関連。
 少し時間をいただいて恐縮でございますが、時間がございませんので、簡単に伺わせていただきます。
 警察庁の方にお伺いしたいのですが、交通事故防止の一つの大きな要因であるところの免許証の取得のことでございますが、現場の指導員からの声なのでございますが、現在の自動車教習所で免許証を取得する方が大部分の現況でございますので、その現在行なわれております教程数をもう少しふやしていただけたらという希望が出ておりますが、そのようなお考えはただいまのところございませんか、どうですか。
 それから、もう一点は、免許証の書きかえの時期が今度は三年に一回でございますか、その際に、ただいま行なわれておりますような学科の講習みたいなものがございまして、それは点数などは関係なしに、ただ講習ペーパーへ書けばそれで免許証をいただけるということじゃなく、何点以上取らないと免許証を渡さないというぐらいのきびしいことでなさっていただくことが、もう一回交通法規を思い直し、勉強するということで、大事なことではないかと思われますんです。それは、免許証を取ったばかりの方よりも、事故を多く起こされます比率が、日がたってからの方のほうが多いように思われますので、やはり日がたつと交通法規や何かもう忘れて、ほとんど忘れているというような方もあるやに聞いておりますので、免許証の更新の際に、もう一回ある程度きびしい学科の、何点以上取らないと書きかえの免許証渡さぬぐらいのことでやっていただけることがひとつ大事なことではないかと思われますので、そのことについてどんなお考えでいらっしゃいますか。
 それから、もう一つは、交通事故センターの今度できますことでお願いなのでございますが、ここには、起きました事故に対する事故の相談所みたいな窓口はないんでございましょうか。それにつきまして、ぜひそういった窓口をつくっていただくことを御希望するわけでございます。それは、私どもの県で、県会議員の方が事故相談引き受けますというようなことを提唱していらっしゃるんですね、御自分で。そのおたくはもう門前市をなすと申しますのか、とにかく夜も寝られないくらいの相談の方が押しかけているわけなんです、県会議員なんですが。ですから、あれを見ますと、だれでもが気軽に飛び込んでいって示談の話し合いをしてくれる、そういう場所を非常に事故を起こされた方が望んでいるわけなんです。何よりもそういう窓口をつくっていただくことが、事故センターをつくるというような大きなことも必要でしょうが、こまかい一般の小市民の望んでいる、それをぜひつくっていただきたいと私はお願いするものでございます。できれば各県に一カ所ぐらい出張所みたいなものをつくって、これは何県の相談引き受け所だというようにして、だれでもが飛び込んでいって、事故の状況を話して、そして示談の段取りまでつけてくれる。私どもの県会議員は示談書も書く、保険まで取ってやるということまでしてやっているんですね。両方の話し合いの中に入って、示談の成立して保険金の取得まで手続を一切してやるというようなことを、もう自分で無料でその県会議員はしておるわけです、一銭も取らずに。そういう方があるぐらいで、非常に一般の小市民から喜ばれておりますので、事故センターをせっかくつくるんでしたら、そのような窓口をぜひおつくりいただきたいと私は切望いたしますので、お願い申し上げる次第でございます。
 先ほどの二点についてお願いいたします。
#29
○説明員(寺尾繁君) お答えいたします。
 最初の、教程をもう少し長くしたらどうかというお話でございます。実は、この四月から路上試験を実施いたしますについて、教程数を改善いたします。したがって、路上教習、路上における練習も五日間以上やるということになっておりますので、それともう一つは、路上でなくして、教習所の中での練習につきましても、仮合格の制度がございまして、仮合格を経ないと路上に出られません。したがって、従来からも言われているわけでございますが、一般に二十二時間と申しましても、それは普通のかなり能力のいい人の話でございまして、大体年齢ぐらいの時間は練習せなければいかぬということがよく言われるわけでございますけれども、そういうふうにして事実上カリキュラムは一定でございますが、実際に仮合格を受ける段階になりまして、その人の力がついてなければアウト、アウトということで、さらに補習の教習を受けるという形で補習をされておりますので、路上試験も実施しておる際でございますので、いましばらく様子を見たい、かように考えます。
 それから第二点でございますが、これはたいへんむずかしい問題でございます。何点以上取らなければ免許証を渡さないという、強制的なことはいまの法律ではちょっとできないわけでございますが、しかし、御趣旨は更新時講習の中身をもっと濃く、りっぱなものにすべきじゃないかという趣旨での御質問だろうと思いますので、この件につきましては、私どもいままで更新時講習あるいは処分者講習、いろんな面について形はいろいろ整えてまいりました。しかし、中身の内容の充実という点については、今後の重要な課題であろうと存じております。したがって、更新時講習を法律で義務づけましたのも、一年ほど前からのことでございますが、まだまだ軌道に乗っておるとは考えておりません。また、そういう点を通じまして私どもフィルムその他いろんな教材を各府県にお送りする、あるいは交通の方法に関する教則というものを渡しますと同時に、今後は過去三年間に改正になったおもな法律の要点といったものも添えまして、更新時にお越しになる方にお渡しするといったような内容面での改善を通じてやってまいりたいと考えております。
#30
○中村登美君 ただいまのお話でございますが、この四月から教程数がふえまして、たいへん力がついてきたことは聞いておりますのですけれど、二十三時間から二十五時間ぐらいにしていただけたら、いろいろな意味で非常にやりよいという希望を聞いておりますので、また機会などございましたら、お考えいただきたいと思っております。
 それから、いまの免許証の更新のときの講習ですが、ただいまやっておりますのが、あまりにも、ただペーパーを渡して書くだけで、採点も何もしない、それでただ説明して終わりというようでございますので、もし規則でほとんどきびしいことができませんでしたら、もうちょっと何らかの形で勉強していかなければいけないような、もう一回交通法規を練習し直してからその免許証の更新に臨まないと免許証がいただけないというふうな意識を持つぐらいのきびしいものをひとつ形からお指示いただけたらばと希望いたしております。
 以上でございます。
#31
○政府委員(小林正興君) 御質問の第二点の、事故相談の関係でございますが、これにつきましては、現在都道府県あるいは特定の市におきまして公的な相談機関も数多くできておるわけでございます。今回この当センターにおきましては、各県単位に支所を設ける予定にいたしておりますが、その設置する予定のいわゆる県庁所在地あたりでは、いま申し上げましたような公的な相談機関がすでに数多くございますので、事故相談業務をこのセンターが直接手がけるというようなことは現在考えておりませんで、むしろ自賠責保険制度、こういったものの周知宣伝、徹底というものをはかりたいと思います。
 もちろん、先生御指摘のとおり、一つはそういった事故という一つの事柄につきまして、いろいろ保険の面からと、あるいは先ほどお触れになりました示談の面とか、いろいろその事柄によりまして、これは弁護士法との関係等を受ける問題もございましょうし、いろいろ問題もございますので、そういった点についてやはり関係機関の相互連絡協力体制といいますか、そういったことは密接にやっていかなければならぬと思うわけでございますが、センターが第一義的にこの事故相談をするという考えは現在ないわけでございます。それらの点につきましては、現在総理府が全体をまとめておりますが、各都道府県の事故相談所、こういったものとセンターとの連絡体制も強化していきたい、こう思っております。
#32
○政府委員(秋山進君) 交通事故相談につきましては総理府が中心となってこれが充実につとめているところでございまして、ただいま自動車局長からお話がございましたように、公共団体の事故相談所の充実に特に努力いたしておるわけでございます。
 なお、これにつきましては、そのPR方法その他が悪くて一般の方に徹底しない向きもございますので、その方面も含めまして、こうした相談所の充実にさらにつとめてまいりたいと思います。また、そのほかの民間の各種の相談所もございますので、これについての連絡協調は、これらの公共団体の相談所を中心として強化してまいりたい、こう考えております。
#33
○委員長(西村関一君) 中村さん、関連ですから、もう一問だけ簡単に。
#34
○中村登美君 はい。
 公共団体やその他にもございますんですか。何ですか、皆さんが行くというのは、ある程度、県会議員であるから基本的に信用ができるということで飛び込んでいくと思うんですね。ですから、国でやっている事故センターということによって、ある程度安心して飛び込んでいって、すべてを話して相談に乗ってもらえるという、そういう気持ちになってくるのではないかと。私ども、その県会議員のあり方を見ておりますので、そのような形が地方にできたらどんなにか皆さんがしあわせではないかと希望いたす次第でございます。
 終わります。
#35
○原田立君 警察庁のほうにお伺いしますけれども、最近の傾向として交通事故による死亡、負傷ともにその数においてかなり減少していることはまことにうれしい限りでありますが、四十七年の事故発生件数は前年に比べ六・二%の減少、死亡事故件数は二・七%の減少となっているようですが、しかし、その中身を見ると、死亡においては一万数千人にのぼっている。この数字は単に諸外国に比べて多いとか少ないという問題ではなく、生命を大切にするということを最大目標とするならば、死亡ゼロに挑戦してこそ初めて誇れるのではないでしょうか、まあ、一般論でありますけれども。
 そこで、警察庁は昭和四十八年の目標を、死亡事故を――死亡事故を推定するのはおかしな話ですけれども――一万四千人台にはしたいということを言っておられるやに聞いておりますが、この六月に入ってすでにもう六千人をこえている現状から、はたしてその目標どおり事故を抑圧することができる自信はおありなのかどうか。
#36
○政府委員(渡部正郎君) お話しのように、ことしは事故による死者の数を一万五千人以下にとどめるというのを一つの目標に努力しているわけでございますけれども、お話しございましたように、現在すでに七千人をこえる死者を出しているわけでございます。例年後半期に入って事故が増加傾向になるというのが通例でございます。その点から考えましても、この一万五千人以下という目標の達成も決して楽ではないと思いますけれども、今後あらゆる施策を強化いたしまして、少なくも――もちろん、お話しございましたようにゼロが一番いいわけでございまして、一万五千人というのは一応の目標にすぎないわけでございますが、せめてこの目標を達成するために全力を尽くして取り組みたいと思っております。可能性があるかというお話でございますが、なかなかむずかしいとは思いますが、私の個人的な感じから申しまして、決して不可能ではないというふうに考えている次第でございます。
#37
○原田立君 一万五千人台にはのせないように一万四千人台でしっかりがんばろうということのようですが、昭和四十八年はこれからまだ半年もあるわけですけれども、四十九年あるいは五十年という先の見通しについてはどういうふうに考えてんですか。
#38
○政府委員(渡部正郎君) 交通事故の背景にありますのは交通そのものでございますので、交通の状況は年々非常に激しく変わってきております。それで、交通事故の背景にあります交通の状況の予測というのが非常に困難でございます。そういう事情もございますのでなかなか、つまり、まず、ほうっておいたらどのぐらいになるだろうかという予測を立ててそれに対する対策を立てるということになるわけでございますが、その交通状況が非常に変わりますので、事故の発生可能性というものについての予測もたいへんむずかしいわけでございます。
 それともう一つ、県といいますか、場所によりましてモータリゼーションの進展の状況とか、それから事故の背景にあります事情が非常に違う複雑な事情もございますので、全国的な傾向を出しますときになかなかむずかしい点があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、先ほどお話しございましたように、最近わずかながら減少傾向をたどっているわけでございます。来年はもちろん再来年と、できるだけさらに減らしていきたいということで取り組んでいるわけでございます。
 県の各状況を見ましても、ふえているところもございますけれども、非常に減っているところもあるわけでございまして、そういうような状況をよく分析しながらやはり大幅に減らしていきたいと思いますし、まだまだ減らす可能性はあるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 ことに、死亡事故の中でも歩行者、自転車乗りの事故、これは交通弱者の事故でございますけれども、これについてはそれだけに問題も大きいわけでございますので、これは急激に減らしていきたいということで、半減の目標を掲げているわけでございますが、これにつきましては特に努力をしていきまして、いつになるかということはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、できるだけ早い時期に歩行者、自転車につきましてはせめて半減の目標を達成したいというふうに考えておるような状況でございます。
#39
○原田立君 運輸省のほう、いま警察庁が昭和四十八年一万四千件台には何としても事故を食いとめよう、こういうことを言っている。これについてどう心得ているのか、理解しているのか、決心しているのか、こういうわけですな。警察庁だけでやろうたってなかなかできる問題でもありませんし、警察庁と裏表みたいになって、運輸省の自動車局、それから建設省の道路局、そこら辺がしっかりやらなきゃいけないし、それをもう少し大きく取り巻いて通産省の自動車政策というもの、こういうふうになっていくんだろうと思うんですけれども、警察が昭和四十八年度は事故死者を一万四千人台にしようと、ただ警察だけがぼうんと花火を打ち上げたって何もできないと思うんですよ。努力は一生懸命してくれてるんだろうけれども、結果はあえなくむざんにも打ち砕かれたということになってしまう。そこで、総合施策として運輸省あるいは建設省、通産省等を含めてのことになると思う。だから、聞きたいのは、一万四千件台には事故を縮小しようと警察庁、いきり立っているわけだけれども、運輸省はどう心得ているのか、建設少はどう考えているのか。また、今後のことについては警察庁は、せっかく努力すると、こう言ってて、非常にぼかした言い方をしている。だけども、ここいら辺は各省を統括して総理府の交通安全対策室で、むしろ、警察で目標を出すだなんていうのじゃなくて、あんたのほうでしっかりしたものをぼうんと打ち上げて、それで各省は協力してやっていくと、こんなふうにしなければいけないんじゃないか、こう思うんです。まず一番最初運輸省、それから建設省、総理府、こういうふうにしていただきたい。
#40
○国務大臣(新谷寅三郎君) 各省にわたりますので私からお答えいたしたいと思います。
 おっしゃるように、警察は警察、運輸省は運輸省というふうに各省ばらばらにやってたんじゃ、これは効果が半減するわけです。それで、野々山さんの質問がありまして、三つ四つの問題でございましたけれども、これは各省で打ち合わせました結果、これはこの問題に関する限りは、各省の協力によって事故対策が相当前進したと思います。こういうことを不断にやりまして、各省が一つの問題についてお互いの分野から協力していくということが非常にいまの行政の上では必要だと思います。これはたてまえからいうと総理府がやっていただくことになるのですけれども、たとえば私どものほうでも、ここには載せませんでしたが、また、事実上これはやらなきゃならぬことでもありますけれども、たとえば自動車関係業者、まあ業界といいますか、そういったものに対する指導をもっと徹底的にやらなきゃならない。
 それから、免許証を持って車を動かしている人、これはたてまえからいえば警察庁というのかもしれません。しかし、これを使っている、そういう運行をさしているというような自動車業界にやはり十分注意してもらわないと事故対策にならない。私は、そういった点を総合しまして、何も警察庁だけの目標じゃなしに、これは政府として、警察庁の考えておられる以上に自動車事故を減少させるというような目標も必要かと思います。これについては、ちょうどいい機会にこういう事故センターというようなものができまして、こういう機会に関係各省が一致して、絶えず連絡をしながら事故対策に取り組んでいくという姿勢を持ってもらうように関係各大臣にも話したいと思います。
#41
○政府委員(菊池三男君) 交通事故を減らそうということは、先ほども警察庁からお話しございましたけれども、これは単に警察だけの問題ではなくて、私どものほうも同じ問題でございます。これはお互いに協力してというよりは、警察も、それから交通取り締まりも、あるいは私ども道路管理者といたしまして、共通の目標でやっております。したがいまして、いろいろたとえば事故が多発するような場所があるとすれば、これはまた道路上何か欠陥はないか、また、あるとすれば、もう少しそれをどう改良すればいいか、そういうようなことは当然必要でございますので、警察のほうと、これは中央もあるいは出先も、十分緊密な連絡をとりつつ、少しでも事故をなくそうということで現在進んでおります。
#42
○政府委員(秋山進君) ただいま各省庁からお話がございましたとおりで、先生から御指摘のとおり、私どもの任務はたいへん重大だと痛感しております。したがいまして、私どもは、先ほど大臣からお話がありましたようなことにつきまして、さらに努力をいたして、各省庁のそれぞれの施策を総合的に推進いたすように配慮してまいりたいと存じております。
 なお、交通事故の死者の目標でございますが、昭和四十五年の段階で、五カ年計画で半減するということで目標を立てまして、交対本部決定の基本計画をつくりまして、五カ年計画で各省にそれぞれの施策を進めていただいているわけでございまして、初年度、第二年度は大体ほぼ目標の数字を達成しております。四十八年度は第三年度になりますが、警察庁で一万四千台にしたい、一万五千を割りたいというのはまさにわれわれの悲願でもございます。
#43
○原田立君 悲願であるからこそひとつしっかりがんばってもらいたいと、こう申し上げておるところです。
 まあ、よけいなことを一言いえば、やっぱり日本の各省庁縦割りのセクト主義だからいけないんだということは、もう世間で何度も指摘されているところです。やっぱり、大臣が言っているように、横の連携を十分とってやらなければだめだと思う。各省庁各大臣に新谷運輸大臣からきちっと言うというお話をお伺いしまして、これはひとつそのとおり実行してもらいたい。お願いします。
 それから、総理府で調べた調査によりますと、交通事故による死者を出した遺族の三分の一は、一年以上たっても損害賠償金をめぐり加害者との話し合いがつかずに悩んでいる、というわけでありますが、そこで今回の法案では、これらの人たちに対してすみやかに事件が解決できるような対策を講じられてあると思うのでありますが、その点についてはいかがですか。
#44
○政府委員(小林正興君) 事故が起きましてから示談に相当な時間がかかるという問題があろうかと思います。今回御提案いたしました自動車事故対策センターにおきましても、こういった賠償問題につきましては、一つの問題は弁護士法七十二条の非弁活動の禁止条項というのがございますので、直接的にはこれに抵触しないということが必要でございます。こういった点を十分配慮して、たとえば日弁連の交通事故相談センターというところに同じ特別会計から補助金も出しておるわけでございますので、そういった相談センターと弁護士さん方のやっておる交通事故相談センター、こういったところと緊密な連絡をとりまして、しかるべき資格者を紹介するというようなこととか、あるいは自賠責保険の請求、こういった問題につきまして懇切な指導を行なうというようなことをいたしたいと思います。
 また、賠償問題に直接介入するわけではございませんけれども、被害者に対しまして必要な立てかえ貸し付けを行なうということがおもな業務の一つになっておりますので、こういった点からも、結果的には賠償問題がスムーズに解決するということに側面的な協力もいたせるのではないかと思っております。
#45
○原田立君 保険料率と今後の事故防止という点については各方面から注目を浴びている問題でありますが、従来自賠責の収支は赤字続きだったが、四十八年度にはこれがやっと黒字になった。そこで今後問題になることは、現在の保険料率をどのようにしていくかということであろうと思うんでありますが、死者減少の一つの方法として安全ベルトの着用というのが最も効果的であるということが世界じゅう言われておりますが、ひとしく認められているところでありますが、しかし、わが国にはいまだベルト着用率がわずか一%というふうに聞いております。ほとんどベルトに対する関心がない。いまの段階、そこで考えられることは、ベルト着用者には保険料の扱いを有利にするような制度を考えたらどうかと、こう思うんですが、そこら辺の考えはいかがですか、大蔵省。自動車局でいいかな。それじゃあんた。
#46
○政府委員(小林正興君) この安全ベルトの着用が非常に事故防止上効果があるといいますか、あるいは被害を非常に少なくするというようなことで、現在私どものこの保安基準というものにおきましても安全ベルト装着の義務づけを行なっておるわけでございます。ただ問題は、装置を装着しただけでこれを実際に使用するかどうかというような点になってきますと、今後まだまだ問題があろうと思うわけでございますが、先生御指摘の方向で今後も検討いたしたいと思います。
#47
○原田立君 警察庁、これ、いまの自動車局長話があったように、装置するのは義務化されていると。だけど、ちゃんと使うかどうかは義務づけがない。だから、これは道交法の改正が必要なわけですね、安全ベルトの問題については。そこら辺どういうふうにするのか、今後の考えですね、わかったら言ってください。
#48
○政府委員(渡部正郎君) お話しのとおりに、道交法の七十五条の十一というのに、高速自動車国道等での自動車運転をする場合の運転者の装着、それから同乗者に装着させるようにしなければならないということは規定はございますけれども、罰則はございません。訓示的な規定になっているわけでございますが、現実にこの座席ベルトの装着率と申しますか、現実に装着されている状況を調べたものがあるわけでございますけれども、この調査した日の時点におきましては、首都高速道路では二・〇三%、中央高速道路では一一・七%、一般道路では〇・八%。これはことしの四月の五日から十六日まで警視庁で調べた調査でございますが、いま申し上げました数字のとおり、現実の装着率は非常に低いわけでございます。御指摘のように、座席ベルトの装着というのは、ことに死亡事故の減少には非常に効果があるというふうに考えているわけでございますが、法律のたてまえはいま申し上げたとおりでございますけれども、警察といたしましては今後も一そう装着率を向上させるためにいろいろ警察としてやれる対策、キャンペーンも必要だと思いますし、その他いろんな指導的なことも必要だろうと思いますけれども、装着率の向上についてはできるだけの努力をしていきたいと思っているわけでございます。なお、将来装着の義務化につきましても検討してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#49
○原田立君 座席ベルト及び安全枕を死亡率の高い助手席にも備えるように道路運送車両法に基づく保安基準の改正があった。いま、一応座席ベルトの件での話を質問したんだけれども、安全枕、これも装着することは義務化したけれども、利用法についてはまだ別段これという義務化はない。これは一体今度どういうふうにするのか。警察庁、いまの座席ベルトと同じ考え方なのかどうか。その点、どうですか。
#50
○説明員(寺尾繁君) 安全枕につきましては、ベルトのように運転者が、あるいは乗っておる方が手でいろいろやるということでなしに、頭をうしろにささえるものでございますので、若干事情が違うんじゃなかろうかと考えております。義務化という性質にはなじまないんじゃないかと、このように考えております。
#51
○原田立君 新しい法案ができればいままでの運行管理指導センターは当然新しいセンターに吸収されるわけでありますが、ここで問題なのは、職員の教育という面では野放し状態であるように思うんですが、この点について御説明願いたい。
#52
○政府委員(小林正興君) 新しい自動車事故対策センターが適性診断あるいは運行管理指導の講習をいたすというのが非常に大きな業務の一つでございます。現在すでにあります運行管理指導センターというものは、全く同種の業務をやっておるわけでございますので、現在すでにあります九つのセンターはこれに吸収いたす予定にいたしております。
 なお、後段の、この適性診断等に従事するいわゆる専門家の養成の問題につきましては、現在ございます方々は事実上は新しいセンターに移っていただくという予定を考えておりますが、さらに各県に支所ができるわけでございますので、そういった各支所に今後置かれます適性診断に携わる方々の養成については、法案成立後最重要事項といたしまして養成をはかってまいりたいと思っております。
#53
○原田立君 現行の自動車運転免許証の制度について、現在の書きかえ制度は三年ごとになっておりますが、この三年の周期は一体何を根拠にしているのか。まあ、若い人については三年もけっこうだろうと思うんでありますが、四十代、五十代の人については、三年もたてば老化現象が激しく、非常に危険率も高くなるのではないか。そういうところで、三年というのは何か考えたらいいんじゃないのか。このたびの法案により、事故防止のための適性検査制度が従来にも増して充実した制度となることですから、一年に一回ぐらいは適性検査を実施できるようにしちゃどうかと思うが、その点はいかがですか。二点。
#54
○政府委員(渡部正郎君) 免許証の有効期間につきましては、昭和二十四年までは五年間でございましたが、その後二年間に変更されまして、さらに昭和二十八年以降現在の三年間ということになっているわけでございますが、考え方といたしましては、この運転者の身体に欠陥や故障が生ずる等のことで、その者が自動車等を運転するのに適さない状況になっていないかどうかを検査するというのがこの制度の趣旨でございまして、三年というのをどうしてきめたかという点につきましては、まあ過去の経験上おおむね三年ごとに行なうのが適当であろうという判断に立って現在三年になっているようでございます。
 また、この三年に一回行なわれるところのいわゆる定期検査でございますけれども、この定期検査と定期検査の中間にありましても、免許を受けた者が免許の不適格事由に該当するようになったのではないかというふうに疑われる場合には、その者について臨時に適性検査を行ない、もし不適格者となっていればこれは排除するという臨時適性検査制度というのも道交法の百二条に規定されているのでございます。また、御指摘の年齢によって更新期間に差をつけることも考えられますけれども、いま申し上げました臨時適性検査の制度もございますし、それから御案内の点数制度がございまして、ある一定の点数に達すれば運転を制限するという制度もこれと並行してあるわけでございますので、一応私どもとしては臨時適性検査制度と点数制度によって大体現行の三年の制度の運用上大きな支障はないというふうに考えている次第でございます。
#55
○政府委員(小林正興君) 適性診断を毎年一回行なうようにしたらどうかという御質問でございますが、適正診断は運転者に対しますいわゆる交通カウンセリングの業務でございますから、理想からいえば、先生御指摘のとおり、毎年ひんぱんに行なうということが望ましいと思うわけでございますが、現在第一段階といたしましては、受け入れ能力を、適性診断施設をできるだけ早く全国的に整備いたしまして、現在、ただいま警察庁から御説明がありましたが、運転免許の有効期間が三年であるというようなこと等もございまして、できれば第一段階としては三年間に全国のまず第一義的には事業用の運転者がこういった適性診断を受けるようにいたすというのが当面の目標でございます。理想といたしましては、先生御指摘のとおり、毎年行なうという方向に将来持っていきたいと思っております。
#56
○原田立君 中央高速道路調布市と杉並区高井戸間の七・七キロが昭和四十一年から工事を続けてきて、四十五年、都の住宅供給公社烏山北住宅の一部住民が、自動車騒音と排気ガスがひどくなる、これを解決しない限り開通を認めるわけにいかない、こういうことで着工ができずに現在に至っているように聞いておりますが、地元住民にも納得のいくような解決策を出し、そして何らか前進しなければいけないんだろうと思うんですけれども、その点についてどういうようなプログラムがあるのか。過日現場へ行って私も見てきました。そして、七百七十メーターのまだ着工できない区域んとこ見てきましたけどね、自動車局長ね、あれは着工しないほうがあたりまえであって、着工したらおかしな話ですよ、現場としては。約二十ばかりの五階建て、六階建てのアパート、あのまん中にごそっと入るんですからね。どうしてこんな計画を立てたのかなというふうに実はふしぎに思いながら現場を見てきたんです、ほんとうに。だけど、すでに大部分ができちゃっているんですから、何らかしなければいけないんでしょうね、おそらく。私、そうだと思うんです。何らか手を打たなければいけないんだと思うんだけど、ただ手をこまねいて見ているだけではあれはもう解決しませんよ、ほんとうに。何かシェルター構造にした場合は何とかという案も一応拝見いたしましたけれどもね、ほんとうに納得させられるのかどうか、そこら辺の見通しも聞きたいと思うんだけども、おもには日本道路公団がやるんだろうと思うんですが、それを取り扱う係の人というんですかね、こっちの姿勢ではないかと思うんですね、誠意の示し方とでも言いましょうかね。まあ、いわゆるお仕事気分でぱっと通告して、聞かなかったからまたある程度期間を置いてまた通告して、なんてなことを何年もやってたってこれは解決しないと思う。そんなことで、その一連のずっとでき上がった道路を見、それでまた欠けている部分を見て、そしてこんなばく大な予算をかけてこれだけつくったのに、たったこれだけの区域でこれが利用できないというのは、これ自体おかしな話ですよ。もっと積極的な姿勢で解決する方向に努力しなければいけないと思うんです。いかがですか。
#57
○政府委員(菊池三男君) ただいまの中央道の烏山の地区の問題でございますが、私どもも、ただいま先生からお話しございましたように、これはもう早急に解決を迫られておる問題でございます。実はもう前後ができておりまして、まん中の八百五十メートルぐらいがまだ工事が着工できない。しかも、そこが烏山の北住宅の団地の中を通っております。これは歴史的には、同時に計画がございまして、まだ住宅の建たない段階だったんですが、住宅のほうが早く建ちますので、先に入居したということでありますけれども、しかし、それにいたしましても、やはり騒音等によります環境対策は考えなければならないと思っております。そこで、いま先生からお話がありましたように、道路の上に、シェルター構造と申しまして、こう、ふたをかけてしまう。ちょうどトンネルみたいにフードの形で二百五十メートルほどその区間だけフードにいたしまして、そうすれば排気もそれから騒音も直接外に出ないというようなことで、そういう形でやりたい。もしまた、そういう形でやりますと、高架道路の上にそういうフードができますと、いろいろ日当たりの問題やらまた別の問題が出てまいりますので、そういう場合にはまたそれなりに移転ということが必要ならば、またそれに対する措置も講じましょうというようなことで、これは公団とそれから東京都と、それからこれは都の住宅供給公社の建てておる建物でございますので住宅供給公社、それから地元の直接の方々、四者協議会というものをつくりまして、もう第一回が四十六年の十二月ですから、一年半ほど前から話し合いを始めておりまして、そうしてその最終的な、いまのわれわれの考えております範囲では、もうこれが精一ぱいだろうと思いますそういう案を示して、いま地元の方と話を進めております。つい先日、六月三十日にもまた第五回目の打ち合わせがあったようでございます。まだその段階ではオーケーということになっていないようであります。シェルターにした場合に、いろんな細部の問題についていろいろ御質問があり、それに対して道路公団が答えておりますけれども、いずれにいたしましても、現在調布まで中央道ができておりまして、調布でおりた車が、あと国道二十号線が非常に込むもんですから、二十号線あるいはその裏のほうの道へ入って、あの地区が非常にそのために交通事故がふえ、困っておられるという話も承っております。また、首都高速道路の四号線といっておりますが、新宿まで行っておる道路が、ことしの秋ぐらいには環状八号線まで開通できると思います。そういたしますと、この八百五十メートルの区間だけがネックとなってそれが利用できないために、その附近に非常に交通の渋滞が起こる、混乱が起きるということでございますので、これは私どものほうも必死でございます。なるべく早く着工したいと思っております。しかし、直接の地元の方々の御了解が得られないとなかなか着工できませんので、何か、通り一ぺんの話し合いをしておるんじゃないかというようなお話もございましたけれども、公団といたしましては、それどころか、もうせっぱ詰まった段階まで来ておりますので、誠心誠意、話を詰めてなるべく早く着工したいというふうに考えております。
#58
○田渕哲也君 初めに自動車事故対策センターの設立の目的というのは、一つには事故発生の防止ということ、それからもう一つは被害者の保護の増進という、この二つの目的があるようであります。私はこういう問題について取り組むためにこういうセンターを設立されるという趣旨には全く賛同するものでありますけれども、若干疑問の点がありますので、以下順次ただしていきたいと思います。
 まず初めに、この事業の一つの柱である自動車事故防止事業でありますけれども、初めに、現在政府あるいはその他の団体で取り組んでおる交通事故防止対策というものがどのようなものがあるか、これは非常に大きな問題ではないかと思うのであります。かなり多岐にわたって総合的な政策というものが自動車事故の防止には必要であると思いますけれども、現在政府並びに各団体でやられておるものにどういうものがあるか、概略説明をいただきたいと思います。
  〔委員長退席、理事神沢浄君着席〕
#59
○政府委員(秋山進君) 交通事故防止のための抜本的な対策といたしましては、第一は交通事故防止についての長期的かつ総合的な対策を樹立してこれを強力に推進する。これにつきましては昭和四十六年三月、交通安全対策基本法に基づきます交通安全基本計画を作成いたしました。この計画におきましては、昭和五十年までの長期的な展望に立って交通事故、特に歩行者事故による死傷者の抑制をはかるということに重点を置きまして、交通安全施設の整備、交通安全思想の普及徹底、それから安全運転の確保、車両の安全性の確保、交通秩序の確立、被害者救済対策の強化等の交通安全施策の大綱を定めまして、これを積極的に推進することとしております。
 第二には交通安全施設の実施に要する予算の重点的な投入でございますが、この点につきましては、昭和四十八年度当初予算において、交通安全施設の整備を中心といたしまして、交通安全施策に要する予算として総額三千三百四億円、前年度比三〇・四%増を計上しているところでございます。今後とも安全施策の実施に要する予算の重点的な投入については努力いたしたいと思っております。
 第三は交通事故の防止についての国民各層の積極的参加体制の確立でございますが、交通事故防止は政府の施策のみによって達成できるものではなく、官民一体となって交通安全を推進することによって初めてその成果をあげることができると思われますので、全国交通安全運動の強力な推進等、これらの施策によりまして交通事故防止について国民が積極的に参加するよう体制の確立につとめてまいりたいと思っております。
 非常に抽象的なことで恐縮でございますが、さらに御質問がございますれば、御要望がございますれば詳しく申し上げたいと存じます。
  〔理事神沢浄君退席、委員長着席〕
#60
○田渕哲也君 ただいまの御答弁にもありますように、交通事故の防止というのは非常に幅の広い仕事だと思います。そして、それを担当しておられるのは、政府の各省庁をはじめとしまして、各種団体におきましても、自動車の事故の防止事業の中で政府から補助金が出ておるものだけとりましても、東京自動車運行管理指導センター他八センター、それから全国自家用自動車協会、さらには運転者の安全運転推進事業としては、東京タクシー近代化センター、大阪タクシー近代化センター、全国トラック交通共済協同組合連合会、また交通安全国民運動推進事業としましては、全日本交通安全協会、このようにたくさんの団体もあるわけです。ところで、今回この自動車事故対策センターというものができるわけですけれども、こういう広範な交通事故防止事業の中で、自動車事故対策センターの果たす役割りあるいは位置づけというものはどう考えればいいのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#61
○政府委員(小林正興君) 自動車事故の防止体制といいますか、防止施策というものは関係各省にわたり非常に広範である、また、それの実施機関というものも、ただいま先生の御指摘のとおり、直接政府がやるもの、あるいは民間団体がやるもの、非常に幅広くかつ奥行きも深くやっておるわけでございます。そういった際に、当然それらは全体的に総合されて国全体の施策としてならなければならないということで、総理府中心に、全体の施策が総括され調整されて、しかも、できるだけ体系化されておるわけでございます。ただ、それぞれの施策が関係各省によって推進されるといたしましても、やはりその相互間に連絡調整をとるにいたしましても、若干そこに補完しなければならぬようなすき間といいますか、そういった点も考えられるわけでございます。また、運輸省といたしましては、運輸省の交通安全施策というものを、できるだけ先生御指摘のとおり、位置づけと申しますか、体系的にやっていきたいというような考え方もございまして、運輸省の主としてやっております車両自体についての安全、事故防止対策の推進ということが一つございますが、もう一つの点といたしましては、車の使用、まあ運転ではございますが、その運転の取り締まり指導ということでなくて、運行指導といいますか、こういった点につきまして、事業用自動車については道路運送法で運行管理制度というものをすでに設けておるわけでございます。こういったように、物の行政だけでなくて、運行のしかた、あり方というようなものについては、事業用自動車につきましては、単に運転免許行政だけでなくて、もう少しきめこまかい運行管理指導をしていこう、こういうことを従来から考えてきておるわけでございます。今回の事故対策センターの一つの大きな業務として、適正診断を行なう、あるいは運行管理の指導講習を行なう、こういうようなことも、自業用自動車につきましては、非常に運行の態様というようなものが、バスあるいはトラック、それぞれ特殊なむずかしい態様をなしておるわけでございます。単に自動車ドライバーが個々に注意をする、あるいは規則を守るというだけではなくて、一つの運行がシステム化されておるわけでございます。そこにはいろいろな道路状況に即応した注意運転、あるいはバスであればそれが日によって変わるというようなことから、いろいろ点呼あるいは運行管理指導をやっておるわけでございます。また路線トラックなんかで見ますと、夜間高速走行をやるというような問題もあるわけでございます。そこでこの運行管理指導をより一そう強化しよう、こういうようなことで、その一つの手段として個々のドライバーについては適性診断というようなカウンセリングの業務を行なうというようなこと、あるいはすでにきまっております運行管理者というものが事業場ごとに定められておるわけでございますが、こういった運行管理者に対する指導講習というようなものを現在の法制のたてまえでは陸運局長が行なうことになっておるわけでございますが、全国、運行管理者だけでも五万数千人あるわけでございますので、こういったものについてこのセンターが指導講習を強化していくと、こういうところにねらいがあるわけでございまして、一口に申しますと、たくさんの事故防止対策制度があるという中で、この事業用の自動車につきましては運行管理制度というものがすでにとられておる。これをきめこまかく強化していこうと、こういうことがこの事故センターの業務の一つでございますものの位置づけと申しますか、性格かと思います。
#62
○田渕哲也君 もう少し具体的にお伺いをしたいのでありますけれども、三十一条の第一項の第一号、事業用自動車の運行の安全確保をつかさどる者に対する指導、講習、第二号の運転者の適性診断――事業用ですね、それから、第六号の自動車の事故発生の防止に関する調査研究とその成果の普及、この三つだけが事故防止事業としてあげられております。そのほか七号の附帯業務、それから、八号でその他目的達成に必要な業務ということにあるわけですけれども、この、その他目的達成に必要な業務、これは運輸大臣の承認を要するということになっておりますけれども、前にあげたこと以外にどういう業務が考えられておるのかということをお伺いしたいと思います。
#63
○政府委員(小林正興君) 具体的に三十一条に業務を列挙してございますが、それ以外の目的達成業務といたしましては、たとえば事業用自動車以外の自動車の運転者、まあ自家用の運転者、こういった運転者に対しましても適性診断を実施するというようなことの必要性も考えられますので、こういったものにつきましては目的達成業務ということで今後把握していきたい。
 それから、もう一つの業務といたしましては、交通遺児というような被害者に対する貸し付け業務がございますが、まあ、正確には遺児ということにはならないでも、たとえば自動車事故によって不具廃疾となった被害者の子供というようなことも考えられるわけでございまして、こういった被害者の子供につきましては、遺児に準じましてやはり育成費の貸し付けをいたしたらいかがかと、こういったものが現在考えております具体的な業務でございます。
#64
○田渕哲也君 そうしますと、交通事故対策といいましても、このセンターでやろうとしておることは、運行の安全確保をはかるための指導とそれから適性診断ということになるわけでありまして、これは、きわめてこの事故対策の業務の中のごく一部にすぎないと思うんですね。ところが、この名前のほうは、「事故対策センター」といえば、交通事故については何でもやるような感じを与えるわけですけれども、この点はいかがですか。
#65
○政府委員(小林正興君) このセンターの名称につきましては、法律案作成の段階でいろいろ検討をいたしました結果こうなったわけでございます。確かに先生御指摘のとおり、一つの方法としては、具体的な業務内容に即した名称をつけるということが一番わかりいいわけでございますが、このセンターの業務が、事故の未然の防止策というものと事故後の被害者に対する救済策という二つの柱になっておるわけでございますので、こういった点をどうしても総合しなければならないというようなことで、総合した概念といたしまして「自動車事故対策センター」という名称をつけることにいたしたのでございます。
#66
○田渕哲也君 これは、こういう名称をつけられたことからわれわれが感ずることは、当面はこういう業務に重点を置いておっても、将来はもっと広範に事故対策というものをこのセンターでやろうとする、そういう考え方、構想があるのかどうか、この点はいかがですか。
#67
○政府委員(小林正興君) ずっと将来ということになりますと、これは非常にむずかしい問題でございますが、当面は、当然第三十一条の「業務」に列挙してあります業務、さらに先ほど御質疑がございましたが、第八号で目的達成業務というようなもので先ほども御答弁申し上げましたが、具体的な二つの業務、あるいはこの法律の一条の目的から見まして、それにふさわしい業務について今後若干追加されることがあるという程度と考えております。
#68
○田渕哲也君 それに関連して、このセンターの財源の問題に触れたいと思うのですけれども、いまのところ、政府からの出資、補助、貸し付けは自賠責特会から出すということになっておるわけですけれども、将来はどうなんですか、やっぱりそれ以外の政府資金というものを出す考えがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
#69
○政府委員(小林正興君) 国全体のこの事故防止対策については、先ほど来の関係各省の施策、主として一般会計を中心にやっておるわけであります。ただ、道路なんかにつきましては道路特別会計があろうかと思いますが、そういった一般会計をはじめとしましてそれぞれの会計において考えるわけでございますが、今回のこのセンターは、自賠責特別会計の滞留資金の利息というものを出資または補助金、財源といたしましてこのセンターの設立を考えたわけでございまして、これは自賠責審議会の答申の線に沿って、その滞留資金を活用する範囲内でやるべき業務ということで考えておるわけでございますので、一般会計からの手当てということについては考えておりません。
#70
○田渕哲也君 自賠責の特別会計を使うとしますと、これは自賠法との関係というものも出てくるわけです。自賠法の第一条に自賠法の目的が書いてございますけれども、これは原則的には保険による被害者の救済がその本来の目的だと思うんですね。それで、それのもしその運用益なりあるいは資金的に余裕ができるならば、やはり保険金額の引き上げとかそういう方面に使うべきであって、それで他の交通事故防止事業をやるということは、この自賠法の精神から見てどうなのか、お伺いをしたいと思います。
#71
○政府委員(小林正興君) 確かに自賠責審議会の答申におきましても、保険料の引き下げに充てるほか自動車事故対策に活用すべきであるという答申になっていると思います。したがって、先生御指摘のとおり、当然自賠責資金の財源でございますので、これは保険の限度額の引き上げ財源とかあるいは保険料を引き下げる財源、いずれにいたしましても直接的にはそちらに充てるべきでございますが、そのうちのごく一部を自動車事故対策に充てるということでございます。
 先ほども申し上げましたが、適性診断等の業務にこの資金が使われるということは、自賠責の会計に対しましても、これが事故低減効果があるということでいい結果を与えるわけでございますので、その資金を使う許される範囲内かと思います。
#72
○田渕哲也君 四十四年の自賠責審議会の答申にも「責任保険も総合的な交通安全対策の一翼をになうものとして、可能なかぎり事故防止に役立つ制度をとり入れ、」というようなことがあります。そして「間接的には収支の改善に寄与するという効果をも期待すべきである。」、しかし、「もちろん、真の交通事故の防止は、責任保険の範囲を越える問題であり、」ということもあるわけですね。だから、交通事故対策といいましても、この自賠責保険の資金を使ってやるべき分野と、それからそれ以外の施策としてやるべき分野と、これは分かれると思うんですけれども、この自賠責保険の資金を使ってやる交通事故防止対策というのはおのずから一定の限度がなければならないと思うんですね。この点はどうでしょうか。
#73
○政府委員(小林正興君) 確かに、自賠責の財源、資金でございますので、おのずから自動車事故防止対策になるから、あらゆるものについて使われて差しつかえないというようなことは非常に問題があると思います。おのずから財源的な限界もございますし、また、その性格上からも、おのずから限界はあろうかと思うわけでございまして、事故防止になるものについてはすべて自賠責の財源がふさわしいというふうに考えているわけではございません。
#74
○田渕哲也君 そうしますと、やっぱりどっかでこれは線を引いておかないと、たとえばこの自賠責がどんどん黒字になる、あるいはその保険料率引き上げによってどんどん資金的に余裕が出てくる。余裕が出てくると、それで交通事故対策もやればいいというようなことにもなってくるわけですね。その場合に、ほかのたとえば自動車を使っておる人から目的税的に取って交通安全施設をつくるとか、あるいはそのほかの一般財源で交通安全対策を進めるとか、そういう事業とこの自賠責特会との関係というものをどこかではっきり線を引いておかなければおかしいのではないかと思うわけです。この点はどうなんですか。
#75
○政府委員(小林正興君) このセンターをつくりましたときの自賠責特会の運用益のまたその一部を活用するというようなことから、おのずから財源の量においても制限がございますし、また、その財源の性格が自賠責特会でございますので、そういった点から、何と申しますか、おのずからの限定はあろうかと思います。で、現在、この事故防止対策あるいは被害者救済、いずれにいたしましても自賠責特会から補助金等で支出をいたすわけでございますが、そういったものにつきましてはわれわれとしては厳格に解しまして、予算におきましても当該団体が行ないます業務の内容というようなものについてこれは一般会計でやるべきものというようなものについては自賠責特会から支出すべきではないと、むしろ国全体の財源からやるべきものだというふうに考えるべきでございまして、そういった点については個々の問題について、具体的に、しかも厳格に解していくべきだと思っております。
#76
○田渕哲也君 まあ、自賠責制度そのものはやっぱり被害者の救済がその本来の目的ですから、たとえば交通遺児の救済とか、こういう問題についてこの自賠責の余裕資金を使うというのは私は比較的すなおにうなずけると思うんです。ただ、事故防止となれば、ここにあげてある安全運行の確保とか適性診断の程度なら常識的に見てまず差しつかえないのではないかという気がしますけれども、しかし、何らかの限界とかその考え方の区切りというものがないと、ちょっと理屈としても納得できない面があると思うんですが、その辺の限界はどこに置かれるんですか。たとえば自賠責がどんどん黒字になったような場合ですよ。本来は保険限度額の引き上げに充てるべきだと思いますが、今回は限度額の引き上げをする前にほかの事業に金を回すわけですね。だから、その際、一定の歯どめとか限界というものを設けておかないと、黒字がどんどん出てきたから限度額の引き上げに回さないでほかの事業をどんどん拡大するということになると、ちょっと本末転倒するのではないかと思いますがね、この点、いかがですか。
#77
○政府委員(小林正興君) 確かに滞留資金の運用益と申しましても、これは自賠責収支の黒字でございますから、これは限度額あるいは保険料に還元さるべきものでございます。しかしながら、それの運用益の活用方策の一部といたしまして行なうわけでございますので、これらについては今回、たとえば具体的に適性診断業務に充てるというようにすることについては許される範囲内だというふうに判断いたしましたのは、従来から運行管理指導センターに対しましては自賠責特会から補助金を出しておったわけでございます。そういった点から判断いたしまして、財政的な、何といいますか、規模、金額のワクといいますか、そういった点と、それと業務の性質というものと両方から判断いたしまして、このセンターに行なわれます事故防止事業というものをこれに限って認めることにいたしたわけでございます。したがって、今後これがどこまで広げられるかということについては、その事故防止事業そのものの内容によって、先ほど来申し上げましたように、やはり厳格に解していくべきものと思っております。
#78
○田渕哲也君 この事業の範囲については運輸大臣の承認ということになっておりますので、大臣からもこの点についての見解をお伺いしておきたいと思います。
#79
○国務大臣(新谷寅三郎君) いま政府委員から御答弁したとおりでございます。
 それから、やっぱり自賠責の特別会計から出す経費でございますから、自然、やっぱり自賠責保険の目的というようなものからおのずからこれは制限があると思います。したがいまして、非常に黒字が出た場合にそれをどう使うかということになりますと、やはり料率の引き下げとかあるいは限度額の引き上げとかいうようなことにまず第一に手をつけるべきで、ただ、事業の種類をふやしたり、今度のセンターにもっともっと多くの金をつぎ込むというようなことは、これは自賠責保険の特会の本来の目的から第二義的になるんじゃないか、私はそういうふうに考えておるわけでございます。
#80
○田渕哲也君 私は自動車事故対策センターが事故対策についてもっと包括的に事業を拡大していただくというのはいいと思うんです。ただ、自賠責特別会計に依存する限りはおのずから額においても質においても制約が出てくる。したがって、将来においてはこの自賠責特別会計に依存するだけでなくて、もっとほかの財源もつぎ込んで事業を拡大するということが必要ではないかと思うんですが、この点についてはどうお考えですか。
#81
○政府委員(小林正興君) 先ほども申し上げましたが、将来自動車事故対策センターがやる業務というものがこの法案のさらに別に大きなものが考えられるといった際に、それは自賠責の特別会計の財源にはふさわしくない、しかも、ふさわしくないが、しかし、このセンターが行なうことが非常にその業務がふさわしいというようなものが将来出てきました場合には、これは当然法律上の問題でもございますし、また、そういったものについては一般会計から財源を得ましてもなおかつこのセンターが行なうにふさわしいというような業務が出てきました場合に、絶対あり得ないということは申し上げられませんが、当面考えられますのは、具体的に列挙したもののほか、やはり制限的に第一条の目的を達成のために必要な業務、しかも、それは運輸大臣の認可を得て個々に判断をするというたてまえになっておるわけでございますので、現在のところ、一般会計の財源を当てにしてこのセンターが何らかの業務を考え得られないかということについては、現在全く白紙でございます。
#82
○田渕哲也君 そうすると、確認しておきたいんですがね。あくまでも自賠責特別会計というものに限定をして、その範囲内で事業を考えるということでもないと。将来、事故対策センターとして必要な業務が出てくれば、一般財源あるいはそのほかの財源をつぎ込むこともあり得るというふうに解釈していいんですか。あるいは逆に、あくまでも自賠責特別会計の範囲内でこのセンターというものを運営するんだ、だから、それ以外に必要な事故対策事業でも、自賠責特別会計から出すにふさわしくないことはセンターではやらないんだと。どちらに解釈すればいいわけですか。
#83
○政府委員(小林正興君) ただいま先生のお説の後者のほうでございます。
#84
○田渕哲也君 それから、この適性診断の問題ですが、適性診断の効果についてお伺いをしたいと思います。
#85
○政府委員(小林正興君) 適性診断の効果につきましては、現在民間の団体でございます自動車運行管理指導センターが国の補助金を受けまして四十五年度にいわゆる追跡調査というものをいたしたわけでございます。この結果によりますと、適性診断の受診前後一年間に事故件数で二七%、死傷者数で五九%減少の効果が認められております。なお、その追跡調査の中身で、適性診断に基づいた適切な指導、アドバイスというものが具体的に行なわれた場合――そうでない場合に事故防止の効果がさがる――十分な指導が行なわれた場合にはその事故防止効果が非常にあるというようなことも具体的に追跡調査の結果判明いたしております。
#86
○田渕哲也君 この自動車運行管理指導センターのこの結果の記録を見ると、事業用においては死傷者数、事故数、減っておるわけですけれども、自家用の場合にはあんまり効果が出ていないようですが、これはどういうわけでしょうか。
#87
○政府委員(小林正興君) おそらく、現在の適性診断は事業用を中心にやっておるわけでございまして、自家用につきましては、何と申しますか、まだ件数が少ない。特に適性診断の必要が認められて、自家用においても診断を受けようという特別な場合でございますので、あるいは非常に問題が多いというような方があるいは多いかというようなことだとか、いろいろ、何といいますか、ばらつきがまだならされてないといいますか、そういった点で私はおそらく自家用についてはまだはっきりした変化率というものを見届けるには少し件数が少ないんではないかと、こういうように思っております。
#88
○田渕哲也君 この適性診断の行ない方はどういうふうにやるわけですか。事業用については義務づけをするわけですか。
#89
○政府委員(小林正興君) 非常に事故防止上効果がございますので、すべての運転者に受診させることが望ましいと、こういう点から、私どもといたしましては、将来の方向としては受診を義務づける方向でいきたいと思います。ただ問題は、義務づける際に、受診料の負担というようなものもございます。その際に、これは使用者が払うのか、あるいは直接運転者が払うのかというような問題もございます。また、このセンターの受け入れ体制を整備するにも若干期間がかかるわけでございますので、それまでの間に私どもといたしましては受診を義務づける方向で検討してまいりたいと思います。
#90
○田渕哲也君 自家用についてはどうですか。
#91
○政府委員(小林正興君) ただいま申し上げました義務づけにつきましては、第一義的にこのセンターが行なう事業用の運転者に限って考えておるわけでございます。と申しますのは、自家用自動車の運転者、これは二千数百万――三千万近い免許者がおるわけでございますので、そういった方方に対する義務づけということはおのずから別個の問題になろうかと思います。
#92
○田渕哲也君 この適性診断の全般的な効果を出すには、かなり広範囲にわたってやらないと全体的な効果は期待できないと思うんです。それで、たとえば現在免許証を出しておりますけれども、免許証と適性診断と何らかの関連づける方法ということは考えられておりますかどうか。これ、警察庁ですか。
#93
○説明員(寺尾繁君) 現在適性検査というものをやっておるわけですけれども、現在やっておりますのは、目の検査、あるいは手足の運動、あるいは色盲といった点に限定してございます。しかしながら、先ほど局長も申し上げましたが、百二条によりまして、何らかの身体的な欠陥があるという疑いのある者については相当徹底した検査をするという制度が現行の制度でございます。そこで、かつて私どもでもてんかんその他を見分けるために医師の診断書を添えるという制度を設けたことがございます。しかし、これにつきましては、御存じのように、あまり実効があがらないということで、二、三年でやめたわけでございますが、現在、科学警察研究所におきまして心理適性検査のペーパーテストを、ペーパーの研究もほぼでき上がっております。しかしながら、これにつきましてはおおむね八〇%ぐらいの的確率ということで、どうしても一〇〇%というわけにはまいりませんので、私どもとしましては、現在事故を起こしました運転者について中期、長期の講習を行なっております。その講習を行なう際の指導の用具として用いる。あるいはまた各府県に安全運転学校がございますけれども、そうしたところで要望に応じて実施しておる。あるいはまた安全運転管理者を教育いたしまして、その運転管理者が自分の事業所において実施するといったような形で活用してございまして、現段階では直ちに免許の交付あるいは免許資格に影響させるというところまではいってございません。
#94
○田渕哲也君 将来の考え方はどうですか。たとえばこの事故センターで自家用の適性診断をやるといっても、これはなかなか、三千万もいる免許証を持っている人に対してやることは不可能だと思うんです。したがって、この事故センターによる結果をやはり免許証交付の業務の中に何らかの形で反映させていったほうがいいのではないかと思いますけれども、この点について将来そういう結びつけていくというようなお考えはおありかどうか。
#95
○説明員(寺尾繁君) 非常に、何百人という数でございますので、ペーパーテストにしましても、大体、二、三十分で終わる検査が確実にでき上がりましたならば、将来としては私ども採用したいというふうに考えておりますが、その場合には私どもが私どもの施設で実施する考えの方向でございます。
#96
○田渕哲也君 次に、被害者の保護事業のほうに移りますけれども、これも三十一条に各項目で規定をされております。この場合も、主たるものは生活困窮者に対する貸し付けということになっておるわけですけれども、被害者の保護といいましても、そのほかにもやるべきことはたくさんあるわけですね。たとえば総理大臣官房の交通安全対策室の交通事故実態調査によりましても、たとえば交通災害損害賠償問題の解決についても非常に困っておるという人が全体の五六%おります。これは交渉が長引くとか、あるいは交渉が非常にやりにくいとか、さらには公的補償の手続がめんどうだとか、こういうようなこともあげられておるわけです。したがって、こういう面で何かサービスをするようなことを考える必要はないのだろうか。それからそのほか、交通事故の被害者が望んでおることとしましては、未亡人の職業訓練とか紹介、あるいは育英資金の問題、さらには救急医療施設の問題、それから被害者の社会復帰へのリハビリテーションの施設、こういうことを望んでおるわけですけれども、こういう面までこの事故センターが業務を拡大するお考えはないのかあるのか、お伺いしたいと思います。
#97
○政府委員(小林正興君) 現在考えておりますのは、この法律に明記されました、被害者に対する立てかえ貸し付け、あるいは交通遺児に対する貸し付け業務、さらに若干それに準じまして、目的達成業務として準じた業務を考えておる程度でございます。ただいま御指摘のような損害賠償の解決にこのセンターが当たるかどうかというような点につきましては、これは一つの大きな問題かと思いますが、これらにつきましては、事故相談については公的な相談機関というものがすでにできておるわけでございます。そして、事故相談からさらに示談というようなむずかしい問題になってきますと、弁護士法との関係等もございまして、これは事故相談業務の範囲をさらに出るというようなむずかしい問題もあるわけでございます。こういった点で、このセンターは直接第一義的には業務の第五号に書いてございます。「自賠法による損害賠償の保障制度について周知宣伝を行なう」ということを中心に業務をいたしまして、これとの関連で、たとえば交通事故、日弁連のやっている交通事故相談センターとの連絡、協調をいたしまして、弁護士さんの紹介をいたすとか、あるいは事故相談の問題につきましても、貸し付け業務でございますから、事故相談所との連絡、協調体制をはかりまして、そういった面からの貸し付け業務が広くかつ円滑に行なわれるようにいたしたい。いずれにいたしましても、関係の事故相談所あるいは弁護士関係の団体等との連絡をとる必要はあるかと思いますが、直接の業務といたしましては、それは非常に困難かと思います。
 それからもう一つの未亡人の職業訓練、あるいは救急医療施設、リハビリテーション施設の設置、運営についてこのセンターができないかという御質問かと思いますが、これらについては被害者救済、特にそのうち救急医療施設については自賠責の答申にも積極的にうたわれておるわけでございます。また、そういった点から自賠責特会からもすでに毎年約二億の金が補助金として救急医療施設に対して出されておるわけでございます。それからリハビリ施設につきましては、自賠責共済を行なっています農業協同組合あたりでは、すでに二カ所のリハビリ施設を設けておる。それもやはりいわゆる運用益を活用してやっておるというものの一環でございます。現在直ちにこれらの業務について直接センターが行なうということは考えておりませんが、これらについて被害者の保護に当たる問題でございますので、今後いろいろ研究検討をいたしていきたいと思います。
#98
○田渕哲也君 ほかに交通事故の被害者の救済のためのいろいろな団体、民間団体もあるわけですね。これらの団体の業務とこの事故センターとの関係といいますか、競合するものとか、そういう点はどうなんですか。
#99
○政府委員(小林正興君) この法律案策定当時から一番直接関係がありましたのは、交通遺児育英会という機関がすでにございまして、ここにおいてやっている業務と今回このセンターが行なう予定の業務との関係について関係者とも十分協議をいたしたわけでございます。現在ございます交通遺児育英会と申しますのは高校生以上のいわゆる奨学資金を貸し付けする。高校生以上の奨学資金につきましては日本育英会がやっておるわけでございますが、さらに交通遺児というものについては、それに上乗せいたしまして交通遺児育英会が行なっておるわけでございます。これにつきましては同じ自賠責特会から補助金が出ております。したがって、そういった既存の機関とダブるということはまずいわけでございますので、やはり奨学ということに値しない、どうしても谷間と申しますか、すき間になっております中学生以下の義務教育の段階におきます遺児に対しての貸し付けということをこのセンターで行なうということで、その間の問題につきましては十分ダブらないように、重複して決してむだがないように配慮してございます。
#100
○田渕哲也君 将来この事故センターの事業もだんだんこれは充実させていくためには資金というものもふやしていかなければならないと思うんです。これも徐々にふやしていかれる方向ではないかと思いますけれども、それとともに、他の団体の事業とやはりこれは関連がある問題だと思いますので、たとえば先ほどお話が出ました交通遺児育英会ですか、育英会に対する補助金、こういうものをこういう事故センターの事業の拡大と並行してふやしていかれるお考えはあるのかないのか、お伺いをしたいと思います。
#101
○政府委員(小林正興君) 最近の経済情勢といいますか、いろいろな物価等条件が変わってきておるわけでございます。また、交通遺児育英会も数年たってまいりまして、その運用の実績と申しますか、実態と申しますか、そういった点について十分内容を承知した上で、経済情勢に合うように予算の増額等については慎重にまた前向きに対処してまいりたいと思います。
#102
○田渕哲也君 この事故センターの役員等についてお伺いしたいのでありますけれども、これは十条、十九条、二十三条、二十七条、それぞれ規定が設けてあります。この役員の人選について、具体的にどのように考えておられるか。たとえば民間人を選ぶのか、あるいは官庁で運輸関係あるいは交通事故関係に経験のある人を選ぶのか、いかがですか。
#103
○政府委員(小林正興君) 現在具体的には白紙でございますが、考え方といたしましては、このセンターの業務は、事故防止といたしまして適性診断の業務を行なう、あるいは運行管理の指導を行なうということ、あるいは自賠責の財源で貸し付け業務を行なう、自賠制度の周知宣伝を行なう、こういうようなことからいたしまして、それらの業務に精通していると申しますか、専門の方々を選ぶべきであるかと思います。
 もう一つの点は、このセンターが、法人ではございますが、国が出資いたします特殊法人で、たくさんの監督規定があるわけでございます。特に役職員につきましては、兼業の禁止等、あるいは公務員に準じたきびしい規定がございます。そういった点から判断いたしまして、公正厳正に業務が執行できる方々が役員になるのがふさわしいと、以上の二点から具体的には選考することになろうかと思います。
#104
○田渕哲也君 次に、自賠責保険の状況についてお伺いしますけれども、自賠責保険もその収支内容がだんだん改善されてきておるようですけれども、現状、まだ赤字ですね。自賠責保険特別会計。それで将来はこれ黒字になるだろうと言われておりますけれども、まだ黒字になる見通しだけの段階で他の事業に出資するというのはどうなのか、この点、いかがですか。
#105
○政府委員(小林正興君) この点は、このセンターが先か、あるいは自賠責の収支状況にかんがみまして、現在問題になっておりますこの限度額の引き上げあるいは保険料の改訂の問題、こういった問題とどちらが先かということはないわけでございまして、やはり自賠責自体の本質的な問題といたしましては、限度額の引き上げの問題あるいは保険料の改訂の問題、こういった問題が本質的にはあるわけでございます。で、今回のセンターは、金額的にも明らかでございますとおり、特別会計の財源ではございますが、運用益のそのしかも一部というものを使ってセンターの業務を行なうわけでございまして、この点は答申でもいろいろ言われておりますが、そういった点について、四十四年の答申以来逐次具体化してきたものの一環でございまして、こういったものを、本質的な限度額の問題、保険料の問題とを特に先行させるとか、そういうような前後関係はございませんで、あくまで保険全体の問題と並んで、四十四年の答申のまあ具体化ということでこのとおり成案を得たわけでございます。並んでやりたいと、こう思っております。
#106
○田渕哲也君 この限度額の引き上げの問題ですけれども、これも答申にこういうことが書いてあります。「責任保険が最低保障であるという本来の性格にかんがみ、また他の社会保障制度との権衡を考えれば、今後賠償水準の動向のみによって保険金額を改訂していくことは必ずしも適当ではない。責任保険が強制保険であること、及び加害者の賠償責任は本来的には加害者が個人の全責任において果たすべきものであることを考慮し、今後の保険金額の改訂には慎重な態度をとるべきであると考える。」と、これはもちろん限度額の引き上げを否定しておるものではないと思いますけれども、一つの制約がやはりあると思うんですね。一つは最低保障という考え方をとっておる。それから強制保険であるという点がある。こういう点を考えて、限度額の引き上げについての基本的な考え方はどうなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#107
○政府委員(小林正興君) だだいま御指摘の保険金の限度額引き上げの問題でございますが、現在各方面から引き上げの要請が出ている状況でございます。私どもといたしましては、限度額自体についてこれは被害者保護の観点から当然前向きに対処するという考えでございますが、一つの問題といたしましては、従来大幅な累積赤字をかかえておった保険の収支がようやく今年度末に黒字に転ずるという見通しを得たばかりでもございますし、そういった点を慎重に配慮して、今後の保険の事故率というようなものの推移というようなものも配慮する必要が一つあろうかと思います。
 また、ただいま先生御指摘の答申にもございましたとおり、損害賠償の判決額の問題のほか、一般の他の社会保障制度との均衡も保つ必要があるということ。あるいは、強制保険であるという性格から、これが最低限度を担保するものであるというような性格もあろうかと思いますので、そういった点から任意保険との関連というようなものもやはり慎重に検討をしなきゃならぬわけでございまして、そういったもろもろの問題を十分勘案しながら、限度額引き上げにつきましてはなるべく早く専門の自賠責審議会にはかってきめていきたいという基本的な考え方でございます。
#108
○田渕哲也君 まあ、少し抽象的な答弁でわかりにくいんですけれども、たとえば自動車の死亡事故補償の場合にやっぱり問題があることは事実なんですね。たとえば航空機、鉄道の場合は、平均額にして、過去の最近の例を見ても一千万円をこえております、補償額は。自動車の場合は、その交通安全対策室の調査によりましても、四十七年度で大体確定した補償額というものが三百万円ないし七百万円。それで一番多い中位数的なものが五百万円ないし六百万円。航空機や鉄道に比べたら大体半額なんですね。これは非常に問題だと思います。同じ死ぬなら自動車にはねられて死んだら損だと、やっぱり飛行機で落ちて死んだほうがいいということになるわけですね。これは航空機と自動車というだけの理由でこれだけ差がつくというのはやっぱりおかしいと思うんです。こういう点から考えて、もちろん、これは自賠責保険の問題だけではないと思います。総体的に交通自動車事故で死んだ場合には判決あるいは確定額そのものが低くなっておるというのは、やはり自賠責の限度額が五百万円にきめられているということが影響しておるのではなかろうか。この点についての配慮がやっぱり要ると思うんですね。
 それからもう一つは、この最低保障というものの考え方をどう考えたらいいかということですね。やはりこの他の判例というものを参考にして考えるべきなのか。その判例を基礎にして、そのうちの何割は自賠責で負担してあとは個人で負担しろという考え方でいくのか、あるいは、もっと社会保障的な考え方に立って、交通事故で死んだ人はとにかく生活に困らないようにするんだと、だから、収入の多い人は三千万円とか四千万円とか賠償額はなるかもわかりませんけれども、そういうたくさんは出せないけれども、とにかく生活に困らないだけは最低限度保障するという考え方に立つべきなのか。その辺の具体的な額についてはこれから検討を要することだと思いますけれども、その考え方について若干お伺いをしたいと思うんですがね。
#109
○国務大臣(新谷寅三郎君) これはいまの損害賠償とかいうようなものではございませんから、損害賠償額が裁判所でどうきまったと、それと見合っていかなきゃならぬということじゃあないと思います。で、まあ自動車の事故、いろいろな原因によって事故が起こるわけでございますから、この自賠責によって保険金をもらったから、別に民事、刑事関係の法律関係が消滅したというわけではないと思います。でございますから、これはもう少しほかの航空は航空、また自動車は自動車、電車は電車というふうにいろいろ積み重ねられて、そしてその原因が必ずしもこういうふうな保険制度によっているものじゃないんですね。自動車についてはこういう特殊の保険制度ができたわけでございますからね。その点を考えながら、まだこれから先、この保険の限度額を引き上げるかどうかというふうなことにつきましては、なおもう少し基本的に検討し直さなければならぬ部分が私たくさんあると思うんです。これだけ取り上げて、裁判所できまった損害賠償額が幾らだからこれもそれに追随するんだとか、あるいは、一般の民事訴訟を妨げないんだからこれは低くってもいいんだとかというようなことをまだ考えるのには、少し研究題目が多いんじゃないかと、私はこういうふうに考えておるわけでございます。これはいずれ審議会もあることでございますから、もちろん限度額を引き上げますと、黒字になっていればいいんですけれども、単純に引き上げると保険料率の引き上げということにすぐ結びついてくるわけですからね、そういう保険の改訂の内容というふうなものについてももう少し見きわめて、審議会なんかの意見も十分聞いて、いまおっしゃったような非常にこれは基本的なむずかしい問題でございますけれども、自動車の事故というものについては、自動車の事故としてこういう特別の制度ができた上に立って限度額の問題は考えなければなるまい。ただ、一般的に言えることは、政府委員から申しましたように、いまの五百万円とかあるいは五十万円とかいうのは、少しいまの社会事情から見ると低過ぎるんじゃないかということは言えると思います。これについては、もう少し財政状況を見て、できるだけ事情が許せばこれを引き上げるようにわれわれも考えてもらったほうがいいんじゃないかと思いますけれども、いずれにしても、この審議会が基本的にどういう態度をとりますか、もう少し審議会の中で討議をしてもらわぬと、そういった基本的な問題がきまってこないんじゃないかと思うのでございます。
 まあ、当面これはとにかく発足さしていただいて、非常に当面困っている問題がございますから、発足さしていただいて、ひとつ当面の問題に取り組ましてもらいたい、こういう考えでございます。将来、長い先をもって、制度的にえらいこれを見渡して、将来はこういたしますと、ここまでいかなきゃならぬということをきめているのではないんであります。今後十分研究をしながら進めていきたいと思います。
#110
○田渕哲也君 限度額の引き上げとか、それから料率の改訂の問題については、どういう手順でいつごろ結論が出るのか、お伺いをしたいと思います。
#111
○政府委員(小林正興君) これは大蔵省に自賠責審議会というのがございまして、そこにはかってこの問題を処理するわけでございますので、私どもといたしましては、大蔵省と十分事前に協議をいたしまして、なるべく早い機会に審議会に諮問をしていただくように考えております。
#112
○田渕哲也君 終わります。
#113
○小笠原貞子君 この自動車事故対策センターの業務の中に、自動車事故の発生を防止するため運行管理者に対して安全確保上必要な指導及び講習を行なうとか、また適性診断を行なうとかいうような当然の業務が入っているわけです。しかし、交通事故そのものを考えますと、いろいろと指導したりまた適性の診断をなすっても、交通事故そのものが起きないような万全の対策というものが立てられない限り、これはいつもあと始末の問題にしかすぎないのじゃないか。その中でも非常に問題になりますのは子供の交通事故、特に私は母親なんかの立場から考えまして、この子供の交通事故に対して、いまもうおかあさんたち非常に真剣に考えていらして、早急に何とかしてほしいというのがいまの切実な願いなんでございます。そして子供と年寄り、九歳未満の子供、六十五歳以上の死亡率というものを調べてみますと、歩行者事故全死亡者数の五三%という過半数が年寄りと子供で占められているということでございますね。特に子供の場合を各国等調べてみますと、またこれが日本の場合は非常に多うございます。東京の場合には十二歳以下で一五%、そしてニューヨーク、ロンドンは十五歳以下でも多くて九%、モスクワが七%、西ベルリン五%、パリは一%というように、非常に外国と比べて子供の事故というのが多いということが特殊な状態だと思うのですよ。それがどういうところに事故が起こってくるかというところを調べてみますと、やはり裏通りとかいわゆる生活道路、ここでの子供の事故というのが非常に多いわけなんですね。
 そこで私は、質問に入ります前に、考え方としまして、私ども子供のときは道路、まあ家の前の細い道路というのは遊び場でございましてね、そこでろう石で絵をかいたり、陣取りやったり、ケンケンやったりと、まことに楽しい生活の場でございました。ところが、現在どういうことかというと、もうまさに、いつでもわが党が言いますように、歴代自民党政府の大企業優先、「つくらんかな、売らんかな、あとは事故となれ、公害となれ」というような、これはどなたもおっしゃっておりますモータリゼーションの政策の結果、こういうような通路にまで車が入らざるを得なくなってきた。そして子供の事故が多くなってきた。こういうことを考えますと、私はほんとうに事故というもの、特に子供の幼い命を奪うという事故に対しての姿勢の問題ですね、やはり未来の国民である子供たち、最も大事にされてしかるべき子供たち、児童憲章の「児童はよい環境で育てられる」というような、ほんとうに子供を大事にしなければならないという最低の切実な問題が、ここでむざむざと殺されていってしまうというようなこと、たまらないんですよね。私は、やっぱりこういう子供たちの、公園もない、遊び場もないといういまの子供たちのことを考えれば、少なくともそういう子供たちの事故が一番多くなっている細い裏通りというようなものをやはり子供のために返してほしい、その子供のためにこういう道路を返してほしいということが一番切実な願いで、私もそれはもう当然主張していい願いだと思うんです。こういうような子供たちの交通事故を守るためのこの裏通りの問題、特に緊急に必要とされるような状態に対して一体どういうふうな政策で取り組んでいこうとされるのか、まあ、いろいろとなすったこともあろうかと思いますけれども、その問題についてまず最初にお伺いしたいと思います。
#114
○政府委員(秋山進君) 子供の交通事故及び老人の交通事故について、その数が残念ながら最近の交通事故の死傷者数の減少傾向に比しまして、幼児については増加をしておるという状況でございます。また六十歳以上の老人については横ばいでございます。私どもといたしましても、昨年来この子供と老人の交通事故を未然に防止するということを交通安全対策の最重点として、いろいろな施策を総合的に推進していきたいということで努力しているところでございます。具体的には、やはり交通規制あるいは交通安全施設の設置というような対策を総合的に実施していかなければならないのでございますが、特にやはり通学道路あるいは遊戯道路というものの確保ということを実施しまして、いわゆるスクールゾーン対策さらには広めてセーフティゾーンというところまで持っていきたいということで、特に警察あるいは建設省に御努力を願って、さらに私どものほうといたしましては、こうした母親あるいは子供さんたち、教育関係の方々に安全思想の普及ということを推進してまいるということで努力をいたしているところでございます。
#115
○政府委員(渡部正郎君) 警察といたしましても、いまのお話のように、子供と老人の事故がなかなか減らないというのが最大の悩みでございます。もう一つ、御質問にはなかったのでございますけれども、サーキット族といいますか、若い人の暴走、この三つがどうしても減らない。ことに子供の事故の場合には、九歳以下というお話がございましたが、幼稚園にあがる以前の子供さん、これは人口一万人あたりをとりますと非常に事故率が高い。それから老人の方も七十五歳以上くらいの方の人口比の事故率が非常に高いということで、考えてみますと、この三つに共通した一つのあれがございます。何といいますか、コミュニケーションが非常にむずかしい。お年寄りの方はやはり急激な交通状況の変化になかなか追いつかないという点もございます。小さいお子さんはなかなか話してもわかってくれぬというあれがございます。それから若い方はまた違ったあれで、スピードに酔うと申しますか、なかなか話してもわかってもらえない。要するにコミュニケーションのできない層の事故対策というものは非常に一つのポイントになってきているんではないかと思います。それから、そういう点で、安全教育のやり方も、従来とは違ったアプローチのしかたでくふうをこらしていかなければならぬということでいろいろ考えているところでございますが、子供の事故について申しますと、いまお話にもございましたように、やはり道路――子供にとっては道路が遊び場だというのはどうしても否定できない面があると思うわけでございます。これからも――従来もやってまいりましたけれども――交通規制におきましても、基本的にはやはり通過交通と地域交通というものを分離するという考え方に立ちまして、地域交通は安全なものにしていかなければならない。地域交通を主にする地域におきましては、子供さんは、たとえ車が通っていても大きい事故は起こらないぐらいに車の交通というものを押え込んでいかなければならないんじゃないだろうか、そういう観点に立ちまして、地域交通と通過交通の分離ということを組織的に広範囲に実施していきたい。もうちょっと広く申しますと、やはり車が道があればどこを通ってもいいという時代はもう終わったんではないだろうか。やはり日本の道路は非常に複雑な構成を持っておりまして、事故対策上もいろいろむずかしい点はあろうと思いますけれども、やはりその町なら町の道路全体の使い方というものを考え直す必要があるのじゃないだろうか。つまり、交通の流れというものを、より安全でより効率的で、そしていわゆる自動車公害の少ない形で流れを再編成していくと申しますか、そういう、何といいますか、システム的な規制というものをやっている中で、それでやはり交通から生活の場を確保するということをまず大前提としてやらなければならないのじゃないだろうかと考えております。子供さん自身につきましては、ちびっ子広場とか子供公園というのも必要だと思いますけれども、非常に必要なのは、たとえばすぐうちの前に出てちょっと遊ぶとか、ことに三輪車に乗っている子供さんがよく事故にあうわけですが、三輪車を乗り回したりとか、そういうのは離れていてはだめなんでございまして、子供さんの生活の場の近くに三輪車でも何でも乗り回せるところがなければだめだということではなかろうかと思うわけでございます。そういうことで、遊戯道路というようなものを積極的にやってきているわけでございますが、現在全国で八百十九区間あるというふうになっておりますが、私はこれじゃとても足りない。これはもっと飛躍的に多くしていかなければならないんじゃないだろうか。地域交通を主にした生活圏の中で、やはり自動車を締め出して子供さんが遊べる、うちの近くで遊べるという、そういう道路の確保、――名前はいろいろあろうと思いますが、「遊戯道路」というような呼び方をしているところもございますし、あるいは「網の目規制」というようなことで、車が通る中の道路は車を通さないで、そこは子供さんの遊び場にするというような考え方で「網の目規制」というようなことをやっている県もございますけれども、そういう形で、やはり子供さんの生活というものを道路というものの中で確保していくような規制というものを非常に積極的にやってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
 老人につきましても、老人クラブその他での安全教育というのもあるわけでございますけれども、老人クラブにおいでにならない老人の方の事故が非常に多いわけでございまして、県によりましては、年間平均して十回ぐらい、老人の家庭、ことに家族のいらっしゃらないひとり住まい、あるいは夫婦だけの老人の家庭をおまわりさんが訪問して、いろいろ交通のことを中心にお話しするというようなこともやっているわけでございます。老人の交通事故対策についても、うちに引っ込んでいろという考え方があるわけでございますが、私はそれはやっぱりだめなんだろうと思います。老人の方はさびしい毎日を送っておられるわけですから、やはり町へ出て社会の空気に触れてこそ生きがいがあるわけでございますから、老人の事故対策も、ただ引っ込んでろというのではだめだ。やはり安全な道路、安全な通行というのを確保して、老人の方の社会的な生活というものをささえるような形でのことをやっていかなければならないというふうに考えているわけでございます。現状はたいへん不満でございますけれども、いま申し上げましたような考え方に立ちまして、御指摘のございました小さい子供さん、それから高齢者の老人の方の対策につきましては積極的に進めてまいりたいと思います。
#116
○小笠原貞子君 たいへんけっこうな姿勢だと敬意を表するわけですけれども、子供の交通事故の第一が「飛び出し」になっておりますね。その飛び出し事故、いまおっしゃったように自宅から百メートル以内の事故というのが非常に多い。六割から約八割が五百メートル以内での事故と、飛び出しということになって、表では出ていましたんです。いろいろ努力していらっしゃるということは私もわかります。たとえばこういうのをお出しいただきまして――たいへんきれいな本なんで、いいか悪いか評価は別にしますけれども、お出しいただいているということも承知しております。しかし、ここで言わなきゃならないことは、これを出されたときにある大新聞にこう書いてありました。これは「安全教本」と言っているわけですけれども、安全教本を取り上げて、「「政治」にこそ欠陥」だと大きな見出しでこれは批判されているわけなんですね。「この教本は日本の政治が原因療法を怠っているために起っている子供の事故をせめて保護者の力で少しでも減らそうという対症療法の一つにすぎない」と。御努力はわかりますけれども、まさにそのものずばりの指摘がなされているんです。私も中を見ました。田中角榮中央交通安全対策会議会長の自筆のサイン入りで、「両親をはじめ社会のおとなが幼児のどんな行動に注意して保護することが望ましいか」ということを教えるんだということが書いてあって、中身もいろいろ問題はあるわけですけれども、確かに親も注意しなければならないという点はあると思います。しかし、もう親が四六時中子供のあとを追っかけているということはとても不可能なことですし、そして子供自身に幾ら言って聞かせても、子供というのは、先ほどおっしゃったみたいに、衝動的に飛び出していってしまうというようなことでこういう悲惨な事故が起こっているわけなんです。だから、ここで言えることは、母親の注意が足りないから、母親、注意しろということでも済まないと。また、子供を考えてみたときに、ヨーロッパの子供は飛び出さないで日本の子供は飛び出しやすいというような区別があるというわけでもないわけですね。そうすると、先ほどるるおっしゃいましたように、やはりそういうような子供の状態を見、また母親も特にいま共働きが多かったり、いろいろと物価も高くなさいますもんですから、買いものだって一ぺんで買えなくて方々安いところをさがさなければならないというようなことで、子供を追っかけて歩くことができないというようないまの状態を考えますと、先ほどおっしゃった中の、そういう子供に必要な部分というものは、どうしてもここに車を入れないという分離ですね――通過と地域の分離とおっしゃっていました――それをどうしても実行していただかなければ、この事故というのは幾らいままでのような対策立てられても、ほんとうに何にも役に立たないような結果になるんじゃないかというふうに言っていいと思うんですね。スクールゾーンなんかをおつくりになりましたね。それで統計見せていただいたら、スクールゾーンで事故が半減したというような数字も出てますね。そうすると、そういういい教訓があるんだから、だから時間帯を、スクールゾーンの時間というんではなくて、それを一日一ぱいとするとか、そのスクールゾーンを学校のわずかの期間というのではなくて、さっきおっしゃったような一定の、私ども「安全街区」と言っていますけれども、そういうものをつくるというようなことで根本的な療法をここで考えない限り、あくまで対症療法の、あとからあとからという追っかけ仕事になるんじゃないか。そのことは、おたくでさっきおっしゃっていただいたのでたいへんよかったと思いますけれども、そういうようなたいへんいいお考えをお持ちだけれども、それじゃあそれを一体具体的にどういう計画でどれぐらいをめどにしてやっていくというようなそれがないと、姿勢はいいけれどさっぱり立ったままで動かないというんだとこれ、しようがないわけなんですね。そこで、前向きの先ほどの御発言、どの程度前進して進んでいただけるのか、いままでの御計画というようなもの、まあ、年次計画というものをお立てになっていらっしゃるのかどうか、そういう点を伺わせていただきたいと思うわけなんです。
#117
○政府委員(渡部正郎君) 現在具体的な年次計画については検討中でございまして、近く結論を出したいと思っているわけでございますが、最近の、いま申し上げたような関係の規制の進め方、どういうふうに進んできたかというのをちょっと御参考までに申し上げますと、遊戯道路につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、現在の数はあまり多くはございませんが、テンポといたしましては、四十七年の三月と四十七年の十二月の比較の数字をここに持っているのでございますけれども、遊戯道路につきましてはこの期間で約一・八倍ぐらいにふえております。また通学、通園の道路、これも二倍近くに同じ期間ふえております。それから直接子供さんの関係ではございませんが、買いもの道路等も一・二倍ほど、二割ほどふえてきております。これまでも相当テンポあげてやってきた状況は一応うかがえるわけでございますけれども、最近の事故の状況を見まして、先ほど御指摘もございましたし、私も申し上げましたとおり、子供の事故が非常に大きくクローズアップされてきておりますので、早急に具体的な計画を立てまして、やはりあまり長い期間では間に合わないと思いますので、私の心づもりでは、全国的にいろいろ条件も違ってむずかしいとは思いますけれども、少なくも子供の事故の非常に多い地域につきましては、一、二年の間に相当徹底した子供のための交通規制をやってみたいというふうに考えておりますので御了承いただきたいと思います。具体的な計画ができ上がりました際はまた何らかの機会に御説明させていただきたいと思います。
#118
○小笠原貞子君 いま伺えばけっこう努力していらっしゃるという実績のように伺えます。それで、年次計画検討中で、近く結論を出したいというようなお話でしたけれども、その「近く」というのはいろいろとございまして、ひどいのになりますと、五年ぐらいたっても「近く」というのがございますんで、大体「近く」というのはどれくらいをめどにしていらっしゃるのかということをひとつお伺いしたいと思います。
 それから、いろいろの道路、先ほどおっしゃいましたような道路、私も調べてみましたんですけれども、そういう名前がつかなくっても狭い道路、たとえば三・五メートルくらいの道路というところの事故というのは非常に多く出ているわけなんですね。で、この道路でいいますと、市街地の中のそういう事故の起こる危険があるところの延べキロ数に対して、そして現在規制されているキロ数ですね、それが大体どれくらいの率になっているのかということですね。買いもの道路だとか何だとかいうのはいろいろとなすっていらっしゃると思いますけれども、その三・五メートル以下のそういう道路ではどういうような状態になっていますでしょうか。
#119
○政府委員(渡部正郎君) 三・五メートル以下の道路の規制率はどのぐらいかという御質問のように承ったんでございますけれども、ちょっと手元に資料がございませんので、パーセントはちょっとわからないと思います。
 それから、市街地と、それからあんまり交通量のない山の……。
#120
○小笠原貞子君 農村なんかの場合とね。
#121
○政府委員(渡部正郎君) そういうこともございますので、市街地というか、生活圏が問題だろうと思います。一度調べまして研究させていただきたいと思います。
#122
○小笠原貞子君 「近く」というのはどれくらいの近くでございましょうか。
#123
○政府委員(渡部正郎君) これは、その規制の最終目標をどこに置くかということもあるとは思いますけれども、一つは、やはり遊戯道路にいたしましても予算の伴うものでございます。標識その他を立てなければならないということでございます。実際のやり方といたしましては、交通安全施設の予算というのは、国の予算とそれから県の予算もございますので、県独自の計画ということもございます。私のつもりでは、大体全国的な方針を県に示しまして、それに対応して県は県独自の予算がございますので、やれるだけ、その年の年次計画をそれぞれの県に立てさせて、それをまとめたいというふうな考えでおります。その点につきましても、ちょっと具体的にお答えできないのは申しわけない次第でございますけれども、そんな段取りで、たとえば五カ年計画というようなものを立てるにいたしましても、ことしの目標はどこかということを県ごとに具体的にきめて、それで、何かちょっと単にラッパを吹いたというような形にならないような形で、各県の実情に応じた進め方をしていきたいと思います。
#124
○小笠原貞子君 先ほど三・五メートルの資料がないとおっしゃいました。私のほうは実は調べてまいりまして、おたくのほうで伺わせていただいたんだと思います。三・五メートル道路の総延長が約八十九万キロメートルになっております。そのうち未改良の道路――まあ、でこぼこのいなか道みたいなんだろうと思います――それが五十五万キロメートルとおっしゃってました。残ります三十四万キロメートルが大体市街地の細い三・五メートル以下の道路だと、こういうふうに数字を出していただいたわけなんです。そうしますと、三十四万キロメートルが大体そういう事故が発生しやすいと見られる道路でございますね。それで全国的な統計を調べてみましたら、四十七年の十二月――去年の十二月でございますけれども、三・五メートル道路で規制されているのが八キロ弱なんですね。そうすると、そういう道路で規制されているというのを見てみますと、パーセンテージで出してみると、約〇・三%くらいだというふうに計算されてきたわけなんですよ。だから、これではやっぱり、たいへんいいお考えだけれども、それをもうちょっと前進させていただきたいということを私申し上げたいわけなんですね。それで、これはどうしても一日も早くやっていただきたいんだけれども、そうすぐというわけにはいきませんので、いまおっしゃったように、全国的にやっていただかなければならないことですし、そうすると、やっぱり全国的にいまおっしゃったような標識の問題、予算の問題もありましょうから、それなりの時間というのは待たなければいけないと思いますから、それを早急にしていただきたいということと、そのことを全国の各自治体にきちっとその趣旨を、なぜこういうことが必要かということの趣旨を徹底させて、協力をしてもらうということですね、大事な点は。そうしないと、出したけれどもなかなか県から上がってこないから計画がずるずると延びましたというようなことでは非常に困りますので、各自治体に必ずその要望を出して、そうして早急に計画というものを立てていただきたいんです。私たちにとって一番不満なことは、まあ大きな計画というのはどんどん出されるわけですね。道路建設の何カ年計画だとか、それから新幹線何カ年計画なんという、ああいうのはちゃんとできるけど、ほんとうに子供の命を守ってほしいところは、さっぱり何カ年計画というのもいまだに出ていないというのは、口で何と言われても、命を粗末にしていらっしゃるということの裏づけにしかならないと言わざるを得ないわけなんですよね。だから、そういう点を、この際もうはっきりさせていただきたい。必ずそれについての具体的な年次計画を立てて、そういう事故を未然に防ぐということを徹底してお約束いただきたいと、そう思うわけです。その辺のところ、御決意のほどをしっかり――ラッパだけではなくてとさっきおっしゃったけども、さっきはだいぶいいラッパだったですからね、そこのところをしっかりお願いします。
#125
○政府委員(渡部正郎君) 三・五メートル未満の道路の中で自動車の通行禁止をしているという道路、これは百二十六キロほどございます、区間は四百七十八区間でございますが。これは自動車の通行禁止をしているということでございます。
 それから、いまお話のございました点につきましては、御趣旨をよく体しまして、各県にも十分な連絡をとりまして、具体的に計画を進めてまいりたいと思っておりますので御了承いただきたいと思います。
#126
○小笠原貞子君 この問題について最後の御意見を伺いたいんですけれども、過日、東京都の専門委員会の報告というものがございましたですね。「この対策としては幹線道路に囲まれた一定区域を交通事故や車公害から守るため「居住環境区域」に指定し、この区域内の道路では車の通行を最大限に制限するほか時間帯によっては通学、遊戯、買物などの専用道路を設定し、車の運行を全面的に禁止する」というような点だとか、それから「幹線道路以外の裏通りでは、スピード制限、一方通行などのなまぬるいものではなく、各所に柵を設け通り抜け出来ないよう袋小路方式(ゾーンシステム)とする」。これは都心、郊外の住宅地いずれにも適用でき、車減少にたいへん効果がある、というような、都のほうの専門委員会で報告された環境区という問題があるわけで、私はこれはたいへん大事な問題だと、そう思うわけなんですけれども、これについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいましたでしょうか。
#127
○政府委員(渡部正郎君) 生活圏を交通の危害から守るという考え方に立ちまして、従来でも、たとえば大阪府の田辺地区、関目地区のような総合的な交通規制、あるいは愛知県でユニット規制というのをやっておりまして、これはいまお話のございましたような通過交通と地域交通を分離いたしまして、地域交通が主になる地域の生活の安全をはかることを第一に考えた規制、しかも、総合的な組み合わせ規制ということで実施しているわけでございますが、こういうような規制の考え方というのは今後非常に必要だと思うわけでございまして、愛知県でやりましたユニット規制は、これは数はよく覚えておりませんが、相当数やっておりまして、実施前と実施後の死亡事故の発生状況の比較をいたしますと、約六、七割死亡事故が減っているというような状況でございます。そういうことで、やはり生活圏という考え方に立った総合的な規制、これはやはり都市部におきましては、ことに全国的に強力に推し進めるべきであるというふうに考えているわけでございます。
#128
○小笠原貞子君 その点、総理府さんのほうも。
#129
○政府委員(秋山進君) 総理府におきましても、関係各省と協議いたしまして、特に昨年の春以来交通安全運動において子供の交通事故防止を取り上げまして、いわゆるスクールゾーン対策というのを強く推進してまいっております。秋の交通安全運動にも最重点に取り上げまして、これが整備を各都道府県並びに市町村に対しても呼びかけまして、ただいまおそらく安全運動の準備対策が、それが必要でございます。それの目標に向かって作業を進めてもらっているという状況でございます。いま警察庁からお話しになりましたような施策と申しますのは、各都道府県警察、それぞれ相当幅広くやっているところもございますし、試験的にやっているところもございますとうかがっております。これにつきましては、総理府といたしましても関係各省と連絡をとりましてこれが推進に十分力を尽くしてまいりたいと、こう思っております。
#130
○小笠原貞子君 スクールゾーンからもう一歩拡大して、その「生活環境区域」というところに積極的におたくのほうで各省庁と連絡をとりながらやっぱり計画なども御相談いただいて、早急に実行していただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。
 それでは次に、今度は、被害者でなくて加害者になるタクシーの運転手の労働条件なんかの問題なんですけれども、タクシーの運転手が二十四時間ですね、まるまる一睡もしないでハンドルを握っているというような事態があるわけです。そしてその結果もう過労から居眠り運転して事故を起こすというようなことが、ついせんだって北海道へ参りましたら、もうあっちこっちで起きているということがありました。北海道の労働基準局では、四月の中旬に、全道八十四のタクシー会社を監督されたわけなんですけれども、この結果、その八十四のタクシー会社で時間外労働をさせているとかというような、そういう違反の件数というのはどれくらい、何社くらいあったかというような点、いかがでございましょうか。
#131
○説明員(吉本実君) ただいまの御指摘でございますが、北海道局におきまして、四十七年度に監督を実施いたしました事業場は百六十五件でございます。それから四十八年度現在まで、先ほど御指摘のありました八十四件ということでございます。それに対しまして、いわゆるいま御指摘のような労働時間の関係の時間外労働あるいは休日労働の限度を越えているというふうに思われるものがほとんどでございますが、そういった違反事業場は四十七年度につきまして百三十七件、四十八年度につきまして七十五件というふうなことになっております。
#132
○小笠原貞子君 五月十七日なんですけれども、札幌市の「団地タクシー」というのが札幌労働基準局から書類送検されているということを新聞で見ました。この会社の場合は、六十四人の乗務員のうち七人は、一月二十一日から一カ月間、最高五時間、延べ七十一回も時間外労働をさせられたと、その上公休も全然とらせなかったというようになって、非常に悪質だということで送検されたわけなんですけれども、こういうような悪質な違反事項といいますか、こういう条件というのがほかの会社なんかでたぶんあるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺の状態、どういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
#133
○説明員(吉本実君) ただいま御指摘の「団地タクシー」の件でございますが、御指摘ございましたように、これは七人――私どもの報告では男子の運転手につきまして八名、それから女子の運転手につきまして一名についてそれぞれ時間外労働あるいは正規の休日に休日労働をさせておったというようなことで、五月十五日に送検をしているという実態でございます。
 それからなお御指摘の、ほかの事業場についてどうかという点でございますが、現在までのところ、四十七年につきまして先ほど御報告いたしましたような中の三件が司法処分にいたしまして、四十八年につきましてはただいまの一件でございます。
#134
○小笠原貞子君 それじゃ今度は函館なんですけども、六月十八日に函館労働基準監督署長から函館ハイヤー協会会長平形由勝氏あてに要望書が出されているわけです。それは「自動車運転者の労働時間等管理の徹底について」と、この中で「本年度監督実施の結果から見ると、なお依然として連動、長時間の時間外労働等の法令違反の事実が認められ、然もその程度、態様は重大であり、かつ従前の状態に比較し改善のあとがみられないものもあり、加えて労使間の不安定による紛争も認められ、このまま推移するときは、司法処分も考慮せざるを得ない実情であります。」と、だから管理についてしっかりやんなさいというのが出されているわけなんですけれども、こういうものが出されましてから函館の業界のほうでこれをどう受けとめてどういうふうな姿勢に変わってきたかというような、改善されたような面が見受けられるでしょうか。おわかりになりませんか。
#135
○説明員(吉本実君) ただいま御指摘のように、五月十五日付をもちまして四月に管内の事業場に対しまして一斉監督をした結果を地区のハイヤー協会長にあてて文書で警告を発したところでございます。それに基づきまして業界自身としては、ただいま御指摘のような警告を内容に持っておりますので、十分自覚をして今後の処置に当たられると思いますが、その結果につきましては必ずしもまだ把握しているわけではございません。なお、これらにつきましては、さらに適当な時期にその結果等も勘案したいというふうに思っております。
#136
○小笠原貞子君 要望書を出されてもそれがほんとうに生かされて改善されていなければ、せっかくお出しになっても何にも役に立たないわけでございますね。私いろいろと調べさせていただきまして、二十四時間走らせっぱなしという会社もけっこうあるわけなんですね。私、時間があんまりなかったのでわずかのところしかもらえてきませんでしたけれども、三つの会社のタクシーのタコメーターの写しをもらってきたんですけども、ほんとうにほとんど休みなしでやっているわけなんですね。これでは、幾らプロでも事故を起こさないのが不思議なくらいな状態だと、また、運転手さんなんかにも知ってる人がいたら、いや、よくお客さんというのはのんびり寝ているよ、なんてね。もう、いつ、自分寝るかわからない状態だなんて言われるぐらい、運転手さん自身が、もうたいへんな労働強化で、不安に思いながらやっているわけなんですね。そうしますと、こういうような実情の中で要望書が出されたということで、大体その要望書が生かされて改善されてるかどうかというようなあとの点検ですね、出しっぱなしじゃなくて。あとの点検というのはどれくらい時間をおいて点検なさるようになっているのか。それとも、そういうことはしないで、出すだけだという状態でいままでこられたのか。それから、もしそういうことの要望書を出したけれども、言うことを聞かないという場合には、徹底的な処分といいますか、そういうようなことを考えていらっしゃるのか、その辺のところはいかがでございましょうか。
#137
○説明員(吉本実君) こういった警告を発しまして、そのあとのフォローの問題でございますが、自動車の関係の監督につきましては、現在全国的には春秋の交通安全週間を中心にいたしながら実施をし、なお、社会的いろいろ問題がある事業場につきましては特別に監督をし、あるいは労働者側からの申告がある場合にはそれに基づいて監督をする、こういうふうなたてまえでやっております。この函館の場合の後の計画書におきます計画自体を十分把握をしてはおりませんが、おそらくは基本的にはこの秋の安全週間に際してさらにそういった点を調べていくだろうというふうに思いますが、その間におきましてもなお依然として同じような事例が見受けられるというようなことを察知いたしましたらば、それに基づきます監督もやぶさかではないというふうに思っております。
#138
○小笠原貞子君 全国のたくさんの会社に一々こう点検なさるというのはもう限られた人員の中でたいへんだと思いますね。だから、それは無理かもしれませんけどね。たとえば労働者のほうは知っているわけですね、こういう要望書が出されたと。で、自分としてはこれがいつ改善されてくるかというわけですから、労働者のほうがこういう要望書が出されたのにうちの会社はさっぱりそれで改善してくれないよということで、基準局を通してまた再度それについての善処してほしいというようなことが出てくるわけですね。そんなときにすみやかにまた善処していただくということなんですけれども、具体的にはどの程度の力でもってそれを行政指導ということをできて効果があがるものなんでしょうか。
#139
○説明員(吉本実君) 次の安全週間の際に監督を一般的にはやっていくと思いますが、その間におきまして、ただいま御指摘のように労働者側からの申告がございますれば、当然署といたしましては直ちにまた監督をいたします。そういう手はずになってございますから、当然そういう形で進められると思います。
 それから、なお改善の仕組みについて効果がないかどうかという問題でございますが、それぞれのこういった管内の業界の会長にあてましてそういった文書を出したということによります効果というのは、いままでの例でいけばかなりあるのではないかというふうに推測しておりますし、それからまた、悪質と思われる者につきましては送検という形で処理をし、きつい処分も辞さないというような形で進んでおりますので、そういった点をさらに徹底さしていったらいかがかというふうに思っております。
#140
○小笠原貞子君 それじゃ、次に運輸省のほうにお伺いしたいんですけれども、大体、大臣、こんな状態があるというようなこと、御存じでいらっしゃいましたか。
#141
○国務大臣(新谷寅三郎君) 概括的には知っております。
#142
○小笠原貞子君 で、私、ここで申し上げたいことは、これは労働者の問題だから労働省だけの問題だというふうなとられ方で逃げられてはたいへん困るわけなんですね。運輸省としてもこういう状態というものを的確に知っていただきたいし、そして自動車運送事業等運輸規則第二十一条の安全運転のための労働時間を定める規定というものがございます。それから、道路運送法の三十条の二項で改善命令も出せるというような監督官庁でもいらっしゃるわけですね、業界に対しては。そうすれば、こういうのを運輸省として業界がいまどういうような状態なのかというような実情を調査されたことがあるのか、また、その調査がいま言ったような実情なもんですから、当然ひどいというのが出てくると思うわけなんですけれども、それに対して運輸省としての改善命令とかいろいろな行政指導というような具体的な措置というものをおとりになったことがおありでしょうか。
#143
○政府委員(小林正興君) 非常にタクシー事業の労働者の労働条件、特にいま小笠原先生の御指摘の勤務時間の問題、こういったことから、これが私どもの運輸行政としては事故につながる、あるいは利用者のサービスの問題にもつながるというようなことで、古くは神風タクシーの問題、最近は乗車拒否の問題等、非常に全国的にこれが重要な問題になってきたわけでございます。そこで現在の制度といたしましては、直接私どもでこの労働条件の監査というようなことはいたす権限もございませんし、また能力もございませんが、先ほどの労働基準局での春秋二回のきつい監査もございます。そこで基準局の監査の結果を陸運局に通報していただきまして、そしてその通報内容によりまして私どもとしては具体的に特定の会社に対して立ち入り検査をいたすということにいたしております。で、立ち入り検査の結果、当然改善を要するような事態が発見されました場合には、ただいま先生御指摘の道路運送法三十条の二項で改善命令を出す、こういうことになっておるわけでございます。したがって、具体的な個々の案件につきまして、労働基準局の通報に基づいて必要な調査、監査をいたして、適切な処置を講ずることといたしております。
#144
○小笠原貞子君 運賃値上げのときだけ労働条件の改善を運輸省も入ってきめてくだすっているのですけれどね、そのあと実際の会社側がそれをやっているかというと、いまみたいな実態でございますので、たいへんいろいろとお仕事も多くていらっしゃいましょうけども、やっぱり交通安全対策上これは私は非常に大事な問題だと思いますので、労働省から言われてやるというんじゃなくて、運輸省ももっと自主的に労働省に聞いて、そして積極的にこういう問題が起こらないような交通安全上の対策というものをぜひとっていただきたいと、そういうようなことを私はお願いしたいわけで、期待してよろしいですか。
#145
○国務大臣(新谷寅三郎君) 局長から申しましたような監督規定もあります。で、私のほうは自動車局という局があるもんですからね、ほんとういいますと、権限は警察のほうであったり労働基準局であったりするんですけれども、事故がありますと私のうちへ電話をかけてくる人が多いんです。ずいぶんあります。そういうときには自動車局に言いまして、こういう事件があったよと、すぐに調べてくれまして適切な措置をとっております。で、自動車局ですから、何でも自動車のことなら自動車局へ行ったらいいというような多少錯覚がありまして、権限以上にそういう問題についても忙しく取り組んでおることは事実でございますから、できるだけのことはしたいと思います。
#146
○小笠原貞子君 最後に法案とちょっとかけ離れるようでございますけれども、緊急な国鉄の事故がございましたので、大臣もいらっしゃいますことですからちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
 これは七月の四日に、北海道の函館本線で通学列車なんでございますね。満員の列車デッキから女学生三人が振り落とされ、うち二人が頭などを打って即死しました。で、一人がけがをしました。で、ここは電車やディーゼルカーと違って、客車のドアが走行中も開閉できる古い型のために、満員になると終戦直後の混雑のようにデッキにみんなぶら下がるというような状態だったわけなんですね。で、七月四日の午前八時ごろこれで事故が起こったわけなんです。で、美唄署の調べでは、峰延という札幌と岩見沢の間なんですけれども、峰延駅を発車して約三百メートル、まだスピードは出ていなかったが、いつもと違って一たん支線に入り、本線に移ったため、ふだんはゆれないのにポイントの切りかえのところで大きくゆれたと。で、通学列車で峰延の駅から約百人が乗り、いつもほとんど満員の列車だったと。特にこの日は久しぶりの小雨で、生徒たちはかばんやかさを両手に持っていたのと、いつもはゆれたことがないのでデッキの手すりなどにつかまっていなかった人がいたらしいと。助かった一人の子供さん、学生さんがデッキに一番最後に乗ったわけですね。で、いつもは駅員がうしろを押してくれるのだがきょうはいなかったと。二百メートルほど走ったところで突然右側に大きくゆれ、飛ばされたと。デッキには高校生が一ぱいだったと。こういうような状態なんですね。これはまことにかわいそうなことをしまして二人とも死んじゃったわけなんですよね。それで、こういう事故が突然起こったんじゃなくって――ここは私の主人も高校の教師をしておりましてしょっちゅう通勤していましてね、とってもたいへんだと言っていた線なんですね。それで何とかということで、特に美唄の――美唄市というのがございますね、やっぱりその沿線で。その美唄市のPTA、高校、校長の連名で本年の四月、北海道総局にこんな満員じゃ困ると、車両を増結をしてくれと要請書を出しているわけなんです。ところが、その要請書に対して国鉄さんからの御回答というのが出てるわけなんですけれども――これ四月に出ています。三月に要請書を出しました。――中身は、「当該列車の増結については、車両需給、車両運用上、早急な解決は困難であるが、事情は十分承知したので、通学の実態を考慮し、改善に努力したい」というお返事が来たわけなんです。で、三月に出されてすぐにそれで善処していただけば死なないで済んだのにということが私一番残念なんですけれどもね、この列車の状態というのを調べていただきましたら、乗車率二三四%なんですね。特に学生たち、いまかばん重いのを持っていますし、雨が降ったりかさだなんていいますと、もう当然それはたいへんだったと思うんです。それにドアが開きっぱなしという状態で乗ってったんだと思うんです。で、重傷を負って入院していらっしゃる――今橋美枝子さんというんですけども、そのおかあさんがこう言っていらっしゃるんですよ、国鉄だと思って安心していた、というわけですね。私鉄なんかでは事故が起こるけど国鉄さんは宣伝がじょうずだから絶対信頼しているわけだから、まことにそこんところ申しわけないみたいに――国鉄だと安心していたとおっしゃっていましたね。そして、子供は急ブレーキや振動などでこわいときがあるけれども、列車の中に入りたいけれども満員で入るに入れないんだと、そう言っていらしたわけなんですね。そこで、まあこういう状態というのはもう御存じないはずないし、特にPTAや高校の校長先生が連名で具体的にいま何とか通勤列車増結してほしいというような要請が出されていたのにこれが改善されていなかったということなんですね。これはもう私はまさに国鉄の責任問題だと、そう思うんですけれども、それ、どうお考えになりますでしょうか。
#147
○国務大臣(新谷寅三郎君) 国鉄が来ていますから、国鉄から。
#148
○説明員(阪田貞之君) この七月四日の事故につきましては、ただいま先生のお話しのように、若い女学生の方が二人なくなられ一名が負傷されました。まことに私どもとしてざんきにたえず心から哀悼の意を表する次第でございます。
 ただいま先生からお話しございましたように、ことしの三月に美唄の高校、校長先生の連名で、ただいまお話しのとおりのお話がございまして、また同じような回答をいたしました。と申しますのは、ただいま私どもといたしましては車もフルに使っておりまして、車そのものもなかなか北海道内にはございませんでしたし、また、この車の運用というのは、ただここだけを走っているんではございませんで、同じ車をいろんな使い方をしております。そんな関係で、ここだけ増結いたしましても、あるところへ行きますと、これが十五両になってしまったりいたしまして、そこにまた一両増結いたしますと、線路に入らない。じゃ途中で取ったらいいじゃないかということになりますが、取るようにいたしますと、またそれの入れかえ、あるいはその取った一両の置き場、これらが滝川とかその関係のところになかなか見当たらないんで、北海道といたしましては、早急にこれディーゼル車を私ども本社からもらってそれで早く解決したいという立場に立ったようでございます。それでこのような状態のままで推移して今回の事故になってしまったわけでございますが、こういう通勤対策は、全国で各所にございまして、また御要望もたくさんいただいておりますが、なかなか一気にすべての車をそのまま処置するということがたいへんむずかしいために、混雑度の激しいところ、あるいは非常にそれが長距離にわたって御迷惑をかけるようなところを逐次整備してまいりまして、年々よくはなってきているとは存じているのでございますが、まだその過程においてこのような事故が起きたということはまことに残念にたえない次第でございます。
#149
○小笠原貞子君 ちょっとそこはっきりさしてください。車そのものが北海道では足りないということを一つおっしゃいましたね。それから、その列車がどこからどこまでの区間の列車なんですか。だからここでふやしてもよその隣の駅へ行ったらはみ出しちゃったりするということで増結ができないというような意味のことをおっしゃったんじゃなかったですか。それから、それをはずすということになれば、入れかえ作業でたいへんだと、そのできないというところをきちっともう少し、もう一度言ってください。できないところ。
#150
○説明員(阪田貞之君) ちょっと非常に専門的になって恐縮でございますが、この車は小樽の函館寄りの仁木というところから参りまして、それから滝川に参ります。滝川からまた今度は小樽へ帰ってまいります。それで小樽へ帰りましてから今度は札幌行の列車になります。札幌から今度は手稲まで回送されまして、手稲から今度は八三〇列車という列車になります。このときに、現在ここでいま十五両のところに一両増結いたしますと十六両になります。十六両になりますと、いろんな、留置線その他の関係でこれできなくなります……
#151
○小笠原貞子君 何の関係で。
#152
○説明員(阪田貞之君) 留置線の関係で。そこで、ここまで使いますとできませんので、どこか途中の、いま申し上げましたような滝川とかあるいは小樽とかどこかで、この区間だけ一両増結したものをどこかで今度は途中で取りはずさなくてはなりません。そうすると、今度、取りはずすためには、それだけの時間と場所が必要になってきます。それをいわゆる私ども構内作業と申しております。構内作業にいろいろまた問題がございます。そこでさしあたりの対策といたしまして、いま本州側からともかく客車二両を何とか捻出いたしまして……
#153
○小笠原貞子君 ディーゼルを。
#154
○説明員(阪田貞之君) いいえ、客車でございます。
#155
○小笠原貞子君 客車そのものがないから持ってくるというわけですね。
#156
○説明員(阪田貞之君) はい、そうです。本州から二両客車を見つけまして、それを北海道へ送ります。ただ、これは北海道用にできておりませんので、さしあたりはこの夏場の分はともかくこれでしのごうと、本州からともかく車を二両持っていって早急に処置しようと。それから、あと構内作業が、増結のこの一両をあとどこでどういうふうに構内作業を処置するかは北海道総局内でもう一ぺん頭をひねってくれということで、大体その処置をできるという返事をきょうもらいました。それで、さしあたりは増備の車両として、六両編成を七両編成にさしていただく。また、長期的には先ほど申し上げましたように、ここは先ほどの北海道総局としても、早急にディーゼルカーにしたいという計画を持っております。ディーゼルカーにいたしますと、さっきお話しのとびらがあかなくなりますので、こういう事故はなくなりますので、ただ、ことしすぐというわけにはまいりませんので、大体来年の八月ごろまでには入る予定でございます。
#157
○小笠原貞子君 いま、だから私が詰めなかったらわかんなかったわけですよ。さっきのあなたの答弁では、列車が足りません、構内作業がむずかしいですということでできないみたいな話しかなさらなかったわけでしょう。だから、私は、それじゃ、できるまでどうなるんだということでびっくりしたわけですよね。それで私が再度質問したら、そうしたら、車二両入れます、そうして構内作業もできるという返事が来ましたでしょう。なぜ、それ、率直におっしゃらないんですかね。それで――待ってくださいよ――それで構内作業がどうとか言うけども、仁木から滝川へ行くわけでしょう。峰延というのはその間ですからね。だから、仁木から滝川のところで、滝川ではずすというふうな構内作業ができるのはあたりまえなんですよ、それは。そういうことで、結論としては二両持ってきますと、そうして構内作業もできるようになりましたと、だから増結が二両の要求だけども一台できますということなんですね、結論的には。それはたいへんけっこうだと思います。
 それじゃあそういうことができるのに、なぜこの要望が来たときにそういうことを検討されなかったのかというんですよ。
#158
○説明員(阪田貞之君) これは四月に回答いたしましたときは、当然北海道としては冬もございますし、北海道用の車として何とか処置したいといっていろいろさがしたわけでございますが、現実、車一ぱい使っておりますもんですから、そういう車が見当たらない。どうしても使えないというところと、それからいま、滝川で一両取れるのがあたりまえだとおっしゃいますけれども、これはやっぱり一両置くには一両の線を置きますし、また置くための入れかえ機関車やその他の作業がございますし、そういうものというのは、わりあいいま国鉄にはある意味では、何と申しますか、うまくやり過ぎていると言うとおかしいんですが、そういう点ございまして、滝川でただ一両はずせばいいじゃないかと、あるいは峰延から、ほんとうに込むのは岩見沢から峰延、光珠内、美唄、ここまでが、この三区間が極端に込むところでございますね。だから、ここだけすぐはずしたらいいじゃないかというふうに部外の方お考えですけれども、これはなかなか案外簡単にまいりませんので、北海道自体としては、自分のところに第一、車が見当たらないというようなことで、いましばらく努力さしてもらいたいという御回答を申し上げたと思うんです、このとき。それで、いつも事故が起こってからという常におしかり受けますが、これも本社に参りまして、本社の全国の車を調べまして、いま見つけ出したものでございまして、決して総局といたしましては、ディーゼルカーでともかく何とかしょうという意欲は持っていたわけでございます。ただいま先生のおしかりの点は御寛恕を願いたいと思います。
#159
○小笠原貞子君 もう時間だから最後になりますけどね、それは、私はしろうとだから、はずせばいいということに弁解なさいましたけどね、だけど、結局のところは、構内作業も問題なくやれるということが来たわけでしょう、総局から。だから、二両入れるということになったわけでしょう。だから、そこにこだわっておっしゃる必要ないわけですよ。
 それから、汽車は冬の汽車も北海道向けの特殊な汽車が要るとおっしゃったけれども、それじゃ、冬の汽車ができるまで待ってろと言ったからこの事故が起きたわけですよね。そうでしょう、まだ雪降ってないんだから。だから、三月に申し入れされた、そうしたら雪が降るというのは、もう岩見沢なんかでもこのごろ十二月の末にならなければ雪降りませんからね。そうしたら三月から十二月までの間、雪降る車が来ないから待ってろと言うからこういう事故が起こったと私がおこるわけですよね。そこにやっぱり国鉄さんの姿勢がほんとうに、こういう事故が起きてからでなかったらこういう対策を立ててくれないというのが、非常に私はたいへんことばが荒くなりましたけどね、娘さん殺した親の身にしたら、私はたまんないと思うんですよ。だから強く言ったわけなんですよ。だから、いつでも、こういうことが起きてからやられるということがもう絶対ないようにしてほしということですね。
 それから、おたくからいろいろ書類でもらいましたら、そうしたら関係者は電気機関士がだれで、車掌がだれで、駅長がだれだというようなことなんですね。これは私は国鉄の労働者に責任があるというような転嫁は絶対してもらいたくないですね。これはもう国鉄そのものの不十分さがこういう事故を起こしたんだという率直な気持ちで反省していただいて今後の問題を取り組んでいただきたいと思います。
 具体的な質問ですけれども、遺族、重傷の方への補償というものをどう考えていらっしゃるか、今後の対策はどうかということですね、一つ。それはおたくのほうから答えていただきたいと思います。
 それから運輸大臣に申し上げたいんですけれども、いま国鉄――運輸委員会のほうでもめていますけどね、ほんとうにこういう事故を考えると、ますます問題なんですね、今度の十カ年計画の値上げなんというの。大体ああいう日本列島改造のための国鉄再建計画なんというので十兆何ぼですか、十兆五千億でしょう、これから十年間の投資というの。その十兆五千億の投資の中で通勤対策費は幾らだと調べてみたら、水増しありますよ、ほんとうは通勤対策じゃなくて、設備投資に入っているのも含めたって七千億なんですよ。六・七%しかないんですよ。だからこういうことが起きるんですよ。新幹線だとか大企業の輸送ばっかり――共産党得意のところですけどね――そういうことばっかり一生懸命なさるから地方のこういう問題が起きる。また、これ次々どこで起きるかわからないということなんですよ。だから、私は、北海道だけのこの問題を取り上げるということは、こういうことが全国で起きないという保証ないんですよ、いまの国鉄の姿勢を見れば。そうすれば、当然全国的にこういう悲惨なことが二度と起きないような、そういう対策というものを真剣に考えて、値上げするときにいつもおっしゃいますよ、安全運転をしますと。それから、詰め込み、あれ減らしますなんと言うけど、何回値上げされたって、せいぜい二九〇%が二七〇%になったくらいのもんでしょう。だから、そういうような姿勢をもうどうか改めてください。そうして、ほんとうに安全ということを第一に考えた国鉄であってほしいということですね。その辺のところをしっかり大臣の御所見を承りたい。それであと具体的な補償の問題を。
 これで最後にいたします。
#160
○国務大臣(新谷寅三郎君) 値上げの問題、国鉄運賃の改定問題までお触れになりましたが、これは参議院のほうじゃ運輸委員会に共産党いらっしゃいませんから同じようなことをお尋ねになりませんが、衆議院では同じようなことを再々お尋ねになりました。それは十二分に私の考えを述べてございますから、速記録でごらん願いたい。いまお話しになったような単純なことではないのでございます。
 それから、私はいまおっしゃった具体的な事件を見まして、いま聞いたんですが、新聞も拝見しました。どんなことがありましても、いまあなたがおっしゃったように、私はやっぱり航空機もそうでございます、船もそうでございます、自動車も、国鉄も、やっぱり人命の尊重ということがこれはもうどんなことがあっても第一義的に考えるべきだと、しょっちゅうこれは関係者に言っておるわけです。これにしましても、私は具体的に知りませんし、その事件をどうしたらよかったかということについての判断が間違いかもしれませんが、振り返ってみますと、やっぱりデッキのドアがあいていたということが、これが事故につながったんじゃないでしょうか。
#161
○小笠原貞子君 締められないんです。
#162
○国務大臣(新谷寅三郎君) そういたしますと、いまおっしゃったような混雑率を緩和するということも根本でしょうね。しかし、駅員や車掌にもよく話をして、今後デッキのドアについては、これはもうどんなことがありましても、多少乗りおくれしてもこれは締めると、そうして人命を守るんだということを駅のほうでも注意する。同時に、これは地元の方ですから、あなたのほうでもお知り願いたいのは、女子高校生ですから、暑くてもドアをあけないように、これは、やっぱり乗客の御協力もないと、ただ駅側だけ言いましても、なかなかこれは実行ができないと思うんです。で、お互いに、国鉄側も乗客側も協力しまして安全を守るように、さっきお話のあった子供さんの飛び出しなんかも一緒です、これは。お互いに、そういった人命安全というようなものがほんとうに国民全体のはだにつくような、そういうような環境をお互いにこれから努力をしてつくっていかないと、人命軽視と言われますね。だから、その点は、全く私もよくわかります。国鉄に対しましてそういったことは強く指示するつもりでございますが、地元のほうにも、よく、その点、徹底するようにお願いしたいと思います。
#163
○説明員(阪田貞之君) 初めに御質問ございました補償に関しましては、ただいま警察のほうで取り調べが進んでおりますので、その結果を待ちまして、私どものほうとしては誠意をもってできるだけの処置をいたしたいと存じます。
 それから、今後の対策につきましては、私自身、いま安全担当をしておりまして、先般の北陸の事故のときも、朝六時に聞くなり現地に行って――こういうことを言ってはたいへん失礼でございますが、いやというほど、こういうときのお気の毒な姿、それから御遺族の御関係、ほんとうに身につまされて私自身としてはやっておるつもりでございます。そのために、少なくとも、国鉄を信頼し、利用していただいている方々がなくなられるというのはもってのほか、負傷されることすら一件もなくすべく、現在鋭意努力しているわけでございます。ただ、たいへん、なくなられた方にこう言っちゃ失礼でございますが、非常に、全国でこういう通勤緩和の要望もたいへん多くて、十分、地元の御要望を一〇〇%満たすということはなかなかできないんで、相当な程度やってはおりますけども、たまたまやり残した中にこのようなことになって、御遺族の方々にたいへん御迷惑をかけているということはざんきにたえないところでございますが、今後、できる限り、いま以上に人命尊重を第一としまして、安全対策には万全を期してまいりたいと思います。
#164
○小笠原貞子君 一両増結というのは、具体的に、いつから増結していただけるんですか。ディーゼルは来年の八月ごろまで待たなければならないわけですね。いまの増結は大体いつごろ……、一番緊急にしていただいて。
#165
○説明員(阪田貞之君) 九日の月曜日からでございます。
#166
○小笠原貞子君 そうですが、ありがとうございました。
#167
○委員長(西村関一君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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