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1972/07/11 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第11号
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1972/07/11 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第11号

#1
第071回国会 交通安全対策特別委員会 第11号
昭和四十八年七月十一日(水曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 関一君
    理 事
                岡本  悟君
                神沢  浄君
                阿部 憲一君
                田渕 哲也君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                黒住 忠行君
                橘  直治君
                中村 禎二君
                中村 登美君
                橋本 繁蔵君
                矢野  登君
                山崎 竜男君
                野々山一三君
                原田  立君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       秋山  進君
       運輸省船舶局長  田坂 鋭一君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
       海上保安庁長官  野村 一彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       警察庁交通局参
       事官       寺尾  繁君
       大蔵省銀行局保
       険部長      安井  誠君
       消防庁安全救急
       課長       矢筈野義郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自動車事故対策センター法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○船舶安全法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村関一君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 自動車事故対策センター法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○神沢浄君 理事会が時間がかかっておったから、大臣もちょっといま抜けておられるようですので、先ほど警察関係の政府委員からの御要望もありまして、何か時間の都合でもって先にしてほしいというようなお話がありますから、その関係から入っていきたいと思うんですが、この法案についてかなり審議は尽くされまして、私の質問がしんがりになっているわけですから、いわば落ち穂拾いみたいなもんでございまして、あまり同じようなことを重複してみてもつまらぬわけですし、そこで、きょうまでの皆さん方の御論議を聞いておりました上で、まだどうも若干納得し切れないような、そういうような点だけを拾って私はお尋ねをしてまいりたいと思うんです。
 そこで、まず、いわゆる適性診断なるものの問題ですが、この問題につきましては、いままでの御論議の中でも、どういうことでプロだけをやるのかというようなところが大体問題点の一つだったと思います。それからもう一つは、免許制度との関係がどうも歯切れがよくないと申しますか、そういうような点と、それからもう一点は、プロだけということになりますと、いわゆるプロ運転者の側からしますと、この適性診断というものをされることによって、たとえば雇用の関係とか、いわゆるプロ運転者の立場からすれば生活にかかわるような懸念の点が解消し切れぬようなものがあるようであります。大体この辺の点をもうちょっと詳しくお聞きをしてまいりたいと思うんですが、まず第一点の問題としまして、青ナンバーだけをどうして対象としたのか。いままでの御説明によれば、それは全体的に考えていきたいと思うけれども、いわばそういう条件や体制というものがいまだ整っていないから、とりあえずそこから手をつけていくんだというような印象に私は聞いていたんですけれども、その辺をもうちょっとわかりやすく説明を受けたいと思うんですけれども、何でプロだけが対象になっているのか。
#4
○政府委員(小林正興君) 適性診断が事故防止に非常に効果的な実績をあげつつあるわけでございますので、したがいまして、当然先生御指摘のように、自家用車を含めたすべての運転者にこれを普及徹底するということが非常に望ましいことであるということはお説のとおりでございます。ただ、適性診断の一つは、本質といたしまして、免許の際の必要最小限度の適性検査と申しますか、免許を付与する可否を決定する最小限度の適性検査というものと若干質を異にしておりまして、そういった免許を受けたドライバーに対しましてさらにきめこまかくいろいろ適性を診断いたしまして、その性格とか癖とか欠陥というようなものを十分把握いたしまして、これによって注意を与え、あるいは本人が注意をするということで事故防止に資するという趣旨でございますので、現在免許を持っております三千万人のドライバー全部に普及するということそのこと自体は望ましいことかと思いますけれども、一挙にそこまでにはなかなかいきかねると、こういうことで、したがって、重点的に逐次拡充していきたいという考え方でございます。そういった際には、当然運行の安全確保上いろいろ強い義務規定もございますところのいわゆるプロの運転者――事業用自動車の運転者というものをまず第一義的に適性診断の対象にしていきたいと。したがいまして、当然、自家用でございましても、事業用に準じて、たとえばダンプカーであるとかあるいは大型バスを自家用の形で運行している運転者というようなところには、事業用に準じまして広げていきたいというふうに考えておるわけでございます。それで、事業用の運転手だけをとりましても九十万人おるわけでございます。そういたしますと、前に国会で御質疑がございましたけれども、たとえば一年一回ぐらいきめこまかくやったほうがいいじゃないかという問題がございますが、かりにこれを三年に一ぺん程度九十万人に普及するといたしましても、これは相当な数にのぼるわけでございます。私どものとりあえずの当面の目標といたしましては、九十万人のドライバーについて少なくとも三年に一ぺんというものを現在事務的には目標に置いておるわけでございまして、そのための適性診断施設整備をおよそ三年後にはその程度はカバーすることができるようにということで進めるわけでございまして、理想論であります全般に及ぼすという問題は、またその先の問題として当然積極的に検討すべきことだと思っております。
#5
○神沢浄君 それだけの説明の範囲だけで聞いておればわかるんですよね。とにかくやがてはみんなやるつもりだと。それから、いまおっしゃらなかったけれども、いままでの論議の中でいえば、プロの場合はお客を乗せてるんだから、何たってそれはアマとは違って非常に重要度の違いもあるというような点なんですけれども、いまおっしゃられましたように、三千万からの免許所有者があって、そのうちのプロはわずかに九十万だということになりますと、九牛の一毛と言うか、もうほんとうにごくわずかなところへ手をつけるにすぎないということだと思いますし、私はほんとうにしろうとの考えでもって判断をするんですけれども、事故防止のために適性診断というものが必要だからこうして手をつけていくことになるんだと思います。そうであるならば、いまの話しがありましたが、免許との関係においては、適性検査というのか、内容的にはもっとずっと軽度のものなんでしょうけれども、それは行なわれておると。これは理想として考えれば、事故防止のために適性診断が必要であるならば、やっぱり免許時にやがては適性診断までやるようにしなければ、もうほんとうにこれは事故防止のために役立つことにはならないじゃないかと。プロだけに限ってやってみたところでもってあまり意味がないじゃないかというふうな感じが取り切れません。
 それから、これは大体強制で行なわれることになりますか、実際問題としては。あるいは任意的なものなんでしょうか。その点から伺っていきたいと思います。
#6
○政府委員(小林正興君) 順序が逆になりますが、あとのほうの御質問の、義務化するかどうかという問題でございますが、これにつきましては、私ども考えておりますのは、検査施設、受け入れ設備がきちっと整備されまして九十万人ならば九十万人のドライバーについて、三年に一ぺん確実に実施できるという段階になりました場合に、その義務化の場合に、ドライバー個々に義務を課するか、あるいは運行管理の一手段としてこういった適性診断をやっておりますので、自動車運送事業者にこの義務を課すかという、いろいろ検討すべき点がまだ残っておるわけです。もちろん受検料とかそういったような問題の負担の問題もございますので、そういった点を含めまして義務化する方向で検討をしたいと思います。
 ただ、その際、先ほどの御質問でお答えが漏れておるわけでございますが、この適性診断の結果が職場内において個々の運転者にとって不利益な方向に作用しないかという問題があるわけでございますが、たとえば配置転換のあれにされるというようなことがあるかどうか。こういった点については、義務化との関係でも、そういった点は十分慎重に考えなきゃならぬわけでございまして、私どもは、今日までの実績で見ますと、診断の結果は直接診断を受けたドライバーに注意を与えるということで、個々のドライバーにその診断結果が行くということで、これが別の目的に使われないように、そういった点から秘密保持義務もセンターの役職員に課されておるわけでございまして、そういった点から直接診断を受けたドライバーにその結果というものがわかりやすく示されるというような方向に使いたいと思います。
 また、悪用されるかどうかの問題についての懸念というものは当然あるわけでございますが、こういったことについては、そういうことにならないように、これは十分事業用の場合には事業者に対して私どもとしては指導しなきゃならぬ、悪用することのないように指導しなきゃならぬというふうに思っております。
#7
○神沢浄君 そこで、一応たてまえとしちゃ任意だと、まだ義務的なもんではないと、こういうことになると、任意というからには、希望がなければ応じなくてもいいと、こういうことでよろしいんでしょうか、その点が一つ。
 それから、実際、職業運転者はこのセンター法というものに非常に懸念を持ってますよ。適性診断が行なわれて、結局その結果が自分たちの雇用上の関係、職業上のかかわり合い、そういうふうなものにいずれかの不利益な影響というようなものをもたらすんじゃなかろうかというような、たいへん懸念をされておるんですが、いまの御説明によれば、それは全く、たとえば個人が任意で医者の診断を受けると同じようなもので、別にそれを他に利用されるというようなことは絶対にやらないと、いわゆる、秘密保持というようなものを厳正に履行していくという御説明だったんですが、ここの答弁でだけそのことをおっしゃっているのでは、これはおそらくまだまだ安心ができないんじゃないかと思うんですが、やっぱり指導というようなことだけでなくて、何か政令、規則、そういうようなものの中でもって、これは全くこの秘密は厳正に保持されるもんだというふうな措置がとられぬでしょうかね。その辺はやっぱり一つの問題点だと思うんですよ。
#8
○政府委員(小林正興君) 適性診断の結果が事業者、企業内部の労務管理等において悪用されるということのないように、これは厳重に指導いたすということについては、先ほどお約束申し上げたわけでございますが、いままで約五年間、すでにこの適性診断の効果とか、あるいはそれが悪用されているかどうかというような点について実績があるわけでございまして、過去のテストケース――いわばテストケースでございますが、その間において、こういった問題については、ほとんどと申しますか、全く引き起こしていないような実情でございまして、私どもそういった点については十分注意して指導はいたしますが、まずまず心配はないんじゃないかと思っております。
 それから、一方、これをできるだけ義務化はしなくても普及させるというような方法について現在考えておりますのは、事業者を通じてこういった適性診断を受けることを指導するわけでございますので、たとえば事業についての指導、監査というような際に、その企業の運転者諸君に対して、こういった制度を十分前向きに事故防止施策の一環としてやっておるかどうかというようなことについて私どもはチェックすることができる立場にございますので、そういった点を踏まえまして業界を指導することもできるわけでございます。あるいは、そういった者に対しまして、いろいろ増車その他設権行為の行政処分もございますので、そういった際にやはり事故防止に積極的に取り組んでいる企業というようなものに優先的に認可をするというようなことも考えられるわけでございまして、法制的に義務化をしないでも、この点についてはかなり私どもは普及することについても見通しを持っておるわけでございまして、ただ今日までの経過を見ますと、民間サイドにまかしておいただけでは、やはり事柄の性質上、これ以上全国各地にこれを広げていくということは非常にむずかしいということでございまして、その効果と、それから悪用されないことと、それからなお施設を整備して私ども積極的に普及をすれば、かなり全国的に普及することができるという結論に達しましたので、国が資金を出しましてこういったセンターをつくるということに決心したわけでございまして、義務化については将来の問題として検討してまいりたいと思います。
#9
○神沢浄君 その将来の問題として検討することの基本的な事柄としてですね、まあ私などしろうとが考えると、免許を与えてから適性診断ということが大体これはもうたてまえ論としておかしいと思うですよね。免許を与えちまえばもう運転するんだから、それはとにかくだれにも規制を受けずに運転できる資格を与えるわけですからね、その与えてしまってから適性診断をするというようなことは、そこら辺はちょっと順序が逆のように思えてならないわけでして、したがって、しないよりか、それはすることになったほうがいいでしょうから、そういう点では理解をしますけれどもですね、私は将来にわたっては、いまおっしゃられたように、将来の構想というものの中の一つの基本としましては、免許を与えるときには、やっぱりいまのようなただ内容の検査的なものでなしに、適性診断が事故防止の上に非常に有効かつ役立つものであるとするならば、これはもうやっぱり適性診断なるものを終えて免許が与えられるような制度にこれは変わっていかなければならぬのじゃないか。免許を与えちゃっていて、ただセンターというような仕事のごく一小部分として適性診断を行なうというような、このどうもたてまえというか関係が、実はわからないんです。わかるように御説明があればまあそれを承るし、それから、いや、それは将来はそういう構想のもとにやるんだということであれば、その意味においてもまあ納得もできると思うんですが、どうなんでしょうか。
#10
○説明員(寺尾繁君) 免許のほうは警察でやっておりますので、私のほうからお答え申し上げたいと思います。
 私どもも一応免許のときに適性検査なるものをやっておるのでございますが、これはそれで黒と出たならば絶対免許を与えてはいけないという性質のものでございますので、現在は手の検査であるとかあるいは目の検査であるとかいったようなことについて一応適性検査を行なっておるという状況でございます。
 そこで免許者についての適性診断ということでございますが、私どもこれが一〇〇%確実なものであるならば採用したいと考えております。免許の試験のときに採用したいと考えております。そこで昭和四十一年以来私どもの科学警察研究所においていろいろ研究してまいりました。そうして大体八〇%まで正確だという心理適性検査の制度もでき上がっております。これにつきましては、年齢の差であるとか、いま申し上げたように、大体七、八〇%の確度であるということでありますが、それを応用して指導いたします場合にはきわめて効果があるということでございますので、警察といたしましても、事故を起こした場合の運転者、これを四十六年度で約二十六万人について適性診断を実際にやって指導しております。それから安全運転管理者というのが、事業用自動車のほかに、五台以上の車を持った企業に設けられておりますけれども、その安全運転管理者を通じて約七万八千人昨年度実施しております。
 それから免許を受けます場合に、大体、指定自動車教習所というのがございますが、普通試験の八割以上が指定自動車教習所を経てまいります。そこで、そちらのほうで、指定自動車教習所でこの適性診断を行ないまして、そうして免許を受ける前に指導するというのが昨年度で百五十万人実施してございます。まだそのほかにも私ども安全運転学校においでになって希望によってやっておるのが八万人近くございます。こういったように、主としていま申し上げた免許を受ける前ということになりますと、指定自動車教習所で百五十万人実際実施しておりますけれども、私どもの免許でやりましても、それがたとえばあぶないということが出ましても、それで免許を与えないという制度に結びつかないものですから、いま申し上げたような形で、約二百万人近い方々に対して指導の形で適性診断を実施しておるというのが現状でございます。
 先ほども申し上げましたとおり、将来これが一〇〇%の確実性があるということになりますならば、そうしていま程度のわれわれの心理適性検査であるならば免許試験に十分活用できる。もうしばらく――いまもやっておりますけれども、しばらくその研究をして内容の確度を高めてまいりたいということでございます。
#11
○神沢浄君 いま免許との関係でもって御説明がありましたが、結局道交法の八十八条ですか、いわば免許の取得を許してはならないような者については適性診断なるものを、百二条だったですか、現行の制度の上でも行なっているわけですね。しろうとにわからぬのは、免許を与えちゃって、そして与えてはしまったけれどもどうも適性でないというような者については、いまの現在の制度の中でもそれを処理をしていくようになっておるようですから、そのことで足りるんじゃないかという感じがしてならないわけなんですよ。その上わざわざ何か適性診断というようなことをやっていくというような、その関係はどうなんですか。
#12
○説明員(寺尾繁君) ちょっと事業用自動車の運転者の方々との関係を言いそびれましたので、それを兼ねて申し上げたいと思います。
 私ども、先ほど自動車局長からお話がありましたように、免許者とすれば三千万人が対象になっております。したがって、三年ごとに更新時に来るというのも、すでにもう一千万人近い者がおるわけでございます。そのときに実施するというのも一つの手段でございますけれども、何しろ一千万人ということでそれが実施し切れずにおるという状態でございます。一方、九十万人でございますけれども、事業用自動車はプロといいますか、プロとして一般の運転者の模範になるべきような人でありますし、そして走行キロからいっても普通の運転者の何倍も運転するというような方々につきましては、運輸事業を特に監督していらっしゃる運輸省のほうでいま言ったような適性診断を実施していただくということは、運転者の管理上からいきましても、そういう特定の、特に必要な人について教育をより十分にやっていただくという制度で、警察庁といたしましても非常にけっこうなことだというふうに考えておる次第でございます。
#13
○神沢浄君 どうもぴしゃっとわからぬ点が残っちゃうのだけれども、時間がありませんから次に進みます。
 大臣お見えになりましたから、私はいままでの論議をお聞きをしておりまして、まあこの辺がやっぱりこの法案の一番の問題点じゃないかなあというふうに感じた点をお拾い上げましてお尋ねをしてみたいと思うんですが、この法案は、一つには、いわゆる自賠責の黒字基調の上に立って滞留資金の運用益というのがたまってきておる、したがって、その運用益を目的に沿って活用をしていくための一環としての事業である、こういうように理解をするわけです。そこで、その事業としてはセンターをつくって、一つには事故防止、それから一つには被害者救済、こういうような目的の事業というものをやっていこうということだと思うんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
#14
○国務大臣(新谷寅三郎君) この考え方でございますけれども、結果的にはおっしゃったようなことになるかもしれませんが、これはおそらく運輸省も、いままでも交通事故をもっとなくそうというふうな方向でずいぶん昔からいろいろ研究もされ、またこういった施策を早く講じたいという希望を持っておったことは間違いないだろうと思うんです。ただ、そういったなかなかよい財源を得ることができなかったりするものですから、今日まあ突然こんなものを出したような印象を与えますけれども、そうではなくて、これは本来当然やるべきもんであった、それがおっしゃったように多少財源的にこういう方面にも使えるようなものが出てきたので、十分ではありませんけれども、こういう法律案を出して、とにかくスタートを切らせていただいて、今後のやはり推移を見まして、財源等とも勘案しながらこの事業を将来にわたってはもっと伸ばしていって、国民の方々から喜ばれるようなものにしたいということを考えながら出しているのでございます。方向はおっしゃるとおりなんですけれども、いままでの経緯から見ますと、そういったいままでの経過があり、将来に対する一つのやっぱり希望を持って出しておるというふうに御理解をいただいたらけっこうだと思うのです。
#15
○神沢浄君 そうでありますならば、自賠責の滞留資金の運用益の活用という上に立っている、こういうことでもって考えてみますと、その活用の最も合目的的といいますか、効率的といいますか、使う金のもとであるところの自賠責という保険の意義の上からいけば、この点はいままでかなり皆さんから御論議があった点ですから私深く触れようとはちっとも思いませんけれども、やはりまずまあ第一義的には保険金の限度額の引き上げ、あるいは保険料率の問題こういうようなことにこれはもう第一義的にはやっぱり考えなければならない点で、それをあと回しにして、たまった金を何か有効に使おうというような――それもけっこうですけれども、私はどうも少し順序として本来が転倒するおそれがあるんではないか。その点については、それはもちろんそういうように考えておるというふうにいままでの応酬の中からは私も理解をしております。
 そこで一点だけお尋ねをしておきたいと思いますのは、限度額の引き上げ等を当然お考えになってもおるようですが、私は、この限度額引き上げの実施というのは、やっぱり順序からいけば、この法律が施行をされる時期より先でなければどうも理屈が合わぬのじゃないか。しかし、それはいろいろむずかしさもあるでしょうから、必ずしもどうしても先でなければならぬという言い方をしようとも思いませんが、少なくともこの金を使ってそしてこの事業というものを起こしていくからには、保険の一義的な目的、意義の上に立って、そしてまあ限度額の引き上げというものが少なくともその時期をそれほど前後せずに実現をしていくということでなければ、私はちょっとおかしいんじゃないかという感じを受けているわけなんですが、その点はいかがなんでしょうか。これをどのくらい引き上げるとか、時期をはっきり言えとかいうようなことをいままで皆さんかなりおっしゃっておられますが、なかなかそれをここで具体的に明確にしていただこうと思っても無理なようですから、私はその時期というものはそう狂っちゃならないという、こういう点だけを一つお尋ねしておきたいと思います。
#16
○国務大臣(新谷寅三郎君) 理論的に申しますと、お尋ねのような方向が、これは理論的にいえばうなずけるわけでございます。ただ、自賠責保険の収支がどうも四十八年度に累積赤字を解消する見込みであると、こういうことでございますから、しかし、それを待っておりましても、さっき申し上げたような、いままでのいろいろな経過があり、社会からの要望がありますので、大体こういう見通しがつけば、それに対しまして自賠責のほうの限度額の引き上げとかあるいは料率をどうするかという問題をわきに置いておきまして、こういういわゆるサイドワークみたいなことを先にやるんだということになれば問題でございましょうけれども、そうではなくて、これも最小限度のものをスタートさせていただきまして、そして本来の、いまの限度額の引き上げでありますとか料率の問題には、これは本格的に自賠責保険としては取り組まなければならぬということは言うまでもないんですから、この点については大蔵省とも相談をいたしておりますが、できるだけ早く見通しをつけまして、限度額の引き上げとか料率の問題になりますと、そう朝令暮改みたいにまいりません。よほど将来の見通しをつけないとこれは実行できない問題でございますから、大蔵省とも相談をしながらですが、われわれは早くその結論を得まして、そういう引き上げの問題とか料率問題に本格的に取り組んでもらいたいということをいまも話しておる際でございます。おそらく大蔵省もそんなにこれは時間をおかないで解決するというようなことも言っておられますから、そんなに何年もほっておくというような態度ではございませんで、日ならずしてこれは解決できるんではないかと考えます。ただ、今度の法律案を出しまして、このほうがあとじゃないかとおっしゃると、理屈からいうと、そういうこともうなずけますけれども、いま申し上げたような限度におきまして、社会各方面から期待をしておられる、希望しておられるような点だけ拾い上げまして、とりあえずこういったことをやらしていただきたいというのがこの法律案でございますので、これは、まあ私たちは両方とも何とかしていきたいと、こういう考え方であるということを御了解いただきたいと思います。
#17
○神沢浄君 まあ、そこでおきます。いままで皆さんがかなりからかったあとだから、(笑声)これ以上何しましても、御無理を申し上げてもと思いますので。
 そこで実は、次のことをお尋ねをしていく前に、ちょっと参考までに、いろいろ資料もいただいておりますけれども、なかなか詳しく見ているひまもなかったものですから、ここで簡単に御説明をいただきたいのですが、現代のいわゆるこの事業構想の基盤になっている滞留資金の運用益の状況ですね、いまどんな状態になっているのか。それから、今日まですでにこの運用益を活用をしてこられておるわけですが、その経過、状況、これをちょっと伺ってみたいんです。
#18
○政府委員(小林正興君) 自賠責の運用益と申しますのは、保険料収入が再保険で自賠責の特別会計へ入ってくるわけですが、これが資金運用部へ預託されるということになっておるわけでございます。その資金運用部のほうから利息相当額が自賠責特別会計へ運用益という形でその利子が入ってくるわけでございます。この金額について申し上げますと、自賠責の規模が大きくなるに従ってふえてまいりまして、これは純粋の黒字、赤字とは別問題といたしまして利子収入はふえてきております。昭和四十二年のころは三十四億程度でございましたものが、逐年ふえてまいってきておりまして、四十七年度、これはまだ決算でございませんが、見込みで約百二億ということでございます。四十八年度は百三十億と、こういう状況でございます。こういった運用益の収入がありますので、これの一部を活用してこのセンターの業務を開始したいということでございます。
 なお、後段でお尋ねのございました自賠責会計から民間団体等におきまして交通事故防止事業あるいは被害者救済事業に対して、すでに民間が中心になってやっております事業に対して補助金という形でやってきておりますが、これにつきましては、昭和四十二年から始めまして、逐年補助金額がふえてきております。また、その対象もふえてきておるわけでございます。おもなものといたしましては、金額の大きなものから申し上げますと、救急医療施設整備事業ということで、公的医療機関等に対しましてベッド等の設備費、これを補助をいたしております。これにつきまして四十八年度予算におきましては二億円、それから自動車事故相談事業といたしまして、日弁連の交通事故相談センター、これに六千五百万円、それから高校生以上の交通遺児就学援助事業といたしまして三千万、それからそのほか安全協会に交通安全運動の推進事業といたしまして一千万、それから従来毎年運行管理指導センターに適性診断設備をつくるということに対しての補助金ということで従来やってきておったんでございますが、これらは今後このセンターにおいて直接営むということになるわけでございます。おもなものといたしましてはそういったもので、総計四十八年度予算は四億八千万の補助金を関係団体に交付する予定になっております。
#19
○神沢浄君 四十八年には百三十億くらいが見込まれると、こういう中から活用されておるところの補助金その他の金額というのは四億八千万、こういうようにいまお聞きしたんですけれども、これはたとえば救急医療の問題だとか遺児の問題だとか相談センターの問題だとか、どれ一つ取り上げてみても重要ならざるものはないような目的のものですけれども、これはもっと出せないですか。
#20
○政府委員(小林正興君) 全体の運用益の規模は逐年ふえてまいっておりまして、四十七年度約百億ということでございますので、その範囲内で補助金あるいはこういったセンターに対する財源に充てるということは可能でございますが、やはりこの運用益でございましても、当然これは保険勘定の損益、つまり黒字であるとか赤字であるとかいうことに区別はないわけでございまして、したがって、答申で「活用すべきである」という際にも、やはり保険料の軽減に充てるほか、いろいろ事故防止事業にも活用すべきであるということになっておるわけでございまして、全体百億があるから百億全部出すことがいいかどうかという点については、これはやはり限度額とかあるいは保険料、そういった方面にまず充てるべき部分もあると。ですから、活用でございますので、その一部を――まあ「一部」がどのくらいかということになるわけでございますが、やはり規模が大きくなれば、先生御指摘のとおり、今後そういった補助金なりこういったセンターの事業費に充てる財源というものはやはり拡大されるべきだとは思いますけれども、百億あるから全部というわけにはなかなかまいらないのではないかと思うわけでございます。
#21
○神沢浄君 百億全部出せということじゃないですけれども。そこで、実は私、一つの疑問を持つわけなんですが、いま御説明がありましたように、本来が保険の勘定ですから、運用益といえどもそれをまさか全部使ってしまうということが許されるはずのもんじゃないでしょう。そうすると、やっぱり効果的なといいますか、効率的な益金の活用ということが非常に重要なことになろうと思うわけであります。まあ、センターをつくられて、センターにも若干の金を使うと。それからさっき御説明がありましたように、救急医療などの問題にも金を出していくと。相談センターにもあるいは育英資金の貸し付けなどにも助成をしていくと。どれもみなけっこうなことなんですけれども、しかし、私どもがしろうと考えに考えてみて、懸念が出てきますのは、重要なことには相違ないけれども、何かどれもこれもが中途はんぱみたいなものになってしまったんでは、これは「活用」の名前にふさわしくなくなってしまうわけなんで、そこで私は、この救急医療の問題などまあ特にこれは大切なことだと思いますので、これを一つの例に考えてみたいと思うんですが――消防庁の方お見えになっていますね。実はこの前この委員会でもって救急医療の問題についての調査を現地に出向いてしたことがあるわけなんですが、そういうとき、これは東京消防庁だったんですけれども、現地にはかなりの不満があるんですよ。とてもいまの状況ではこれはもうとうてい十分な事故に対する対応はできないという、かなりの不満がありました。たとえば事故があって、そしてこれはまあセンターとは直接のかかわり合いはないかもしれませんが、まずまっ先にどこへ被害者を入院をさせればよいかというような際に、何か東京都内でもって約十近い指定施設というのがあるんだそうですけれども、端的な言い方をすると、一つとして間に合うのがないと。しかたがないから指定外の大学の附属病院あたりへ持ち込んでやっと収容をしてもらうというようなことの繰り返しだと、こうまあ言っておるわけであります。それから、救急車というのがいまだんだん進んでまいりまして、救急車の中でもって、要するに医員が同乗をして、その現場でもってきわめて応急の措置だけはできると、出血などを避けながら病院に搬送すると、こういうようないま車に変わってきているんだそうですね。ところが、東京消防庁にはわずかに一台しかないと、それが。どのくらいだと言ったら、一億円くらいのものだと、こうまあ言っておる。一億円くらいのものでしたらもっと十分の対応ができるような体制をとってやってもいいんじゃないかということをつくづく感じましたが、そういうような状態のもとに放置されているということを考えますと、もっとやっぱりこの運用益の活用という部面におきましても、何かその考え方というものがあっていいんじゃないか。あちらへもこちらへも総花的に――それぞれがみんな重要なことには相違ないけれども、結果としてはいずれもそれほどの効果をあげ得ないようなことでもって終わってしまうようなことでもこれはぐあいが悪いんじゃないかというようなことを感じもしたわけなんですが、いまいわゆる救急医療体制というのの現状というのをちょっと御説明をいただけませんか。
#22
○説明員(矢筈野義郎君) 消防のほうでは救急搬送業務をやっておりますけれども、救急の実態は、医療機関に患者を搬送いたしまして、そこで応急の措置がとれるという十分な連携が一番重要なことでございまして、御指摘の医療機関の問題は、消防サイドといたしましても非常に関心の深い問題でございます。ただいま東京消防庁の例を先生御指摘なさいましたが、東京消防庁は全国のレベルから申し上げましても非常に一番高いレベルのところでございまして、ドクターが相談に応じながら搬送するという状況でございます。一般的には消防庁が行ないます救急搬送業務というのは医師の判断を要せずして緊急に搬送するという業務に限定されておりまして、救急車に医師が同乗するということもございません。したがいまして、適正な病院にいかに早く搬送するかということでございます。その受け入れ側の医療機関の側に患者の最も要求するお医者を確保するという体制が最も大事なことでございまして、医療機関の整備という問題についてはかねがね厚生省と打ち合わせ研究をいたし、さらに効率よい体制が整うよう努力している最中でございます。現在国立及び公立――これは県立、市町村立でございますけれども、公立のほうで病院の大体四一%ぐらいが国で指定されております緊急時の救急医療機関でございまして、さらにこれをもっとふやして、かつ医師の確保を願うように促進している最中でございます。
#23
○神沢浄君 まあ、そういうようなことをお聞きしようと思ったわけじゃないんですけれども、やっとやっぱり私がさっきも申し上げるように、現地調査で感じたことは、まだまだ救急医療の体制なんていうものは実際問題にならぬということを感じておるんですよ。ですから、もしこの運用益の活用というようなことでもって考えていくならば、そういうような部面にこそやっぱり金は大いに生きるんじゃないかと。ですから、センターもけっこうでありますが、あっちこっち何か十分効果をあげ得ないような程度で終わってしまうよりか、まずその重要な救急医療体制拡充強化というようなところへ集中、重点的にその活用をお考えになるような考え方というようなものがおありなのかどうなのかというような点を実はお聞きをしたいのでありまして、これはどうでしょうか、大臣からお聞きをいたしますか。
#24
○国務大臣(新谷寅三郎君) 関係の省庁と十分連絡をいたしますが、おっしゃることは私も非常に重要なことだと思います。ただ、それを今後どの程度に、どういうふうにやっていくかということについては、これは他の関係省庁の意見は十分これは聞いていかなきゃいけませんので、これからさらに関係省庁との連絡を密接にしながら検討していくことにしたいと思います。
#25
○神沢浄君 時間の関係がありますから、おじゃまにならぬように済ましてまいりますけれども、ただ、要望としては、例の自賠責の審議会の答申の中などには、特にこの救急医療体制の拡充強化というような点をうたっておりますね。そういうような点からしましても、益金の活用と称されるからには、私はやっぱりそういうふうな部面にほんとうに活用を考えてほしいという意味を込めて申し上げたわけです。
 それから、それと同様なことでもってこのセンターの業務の一つとして小中学校の交通遺児に一時金並びに月額分割の貸し付け金を行なうと、こういうことになっておるようでありますが、当初の計画が千五百人と、こういうわけですね。まあ、私どもが調べたところによりますと、大体その遺児数というのが六万をこえておって、六万三百六十六と私がいただきました手元の数字にはなっております。で、小中学校の関係が四万五千だと、こういうのであります。そのうちの生活保護の世帯というのが八・二%でもって、それに準ずるような、これまたもう準要保護世帯というのが二九・一%くらいあると。こうなりますと、一万六千くらいにはなる。一万六千対千五百ということになりますと、これはまあ一〇%未満ということになるわけでありまして、これまたいまの救急医療の問題じゃないですが、それは手始めだから、これがスタートだからということになれば説明にもなろうかとも思いますけれどもね、これは将来どんなようにお考えなんですか。やっぱりいわゆる交通遺児に対してはすべてを包括、かかえてやっていけるような業務になり得るのか、どうなのか。私はそこら辺でもって話がちょっと飛躍するかもしれませんが、繰り返して言っておるように、なるほどセンターをつくって、そして遺児への貸し付け金も行なう、適性診断もやる。まあ、けっこうです。けっこうですが、適性診断はプロだけ。それから遺児への貸し付けは一万六千のうちの千五百というようなことにある以上、私はこのセンターというものの業務が将来ほんとうにそれは適性診断にしても、白ナンバーまでをも含めて、そしてほんとうにその目的を完全に達成をしていけるようなところまで、あるいは遺児への貸し付け金等の――これはまあ金額なんかだってまだまだ不満なものが感じられますが、しかし、数の上においてだけでさえもこれらをすべてみんな包括をしていけるような、ほんとうにそういう事業が成り立つだけの構想と見通しというものを持ってお出しになっているのかどうなのか。それがなくてただまあセンターつくるというようなことでしたらば、それはあまり活用にはならない。むしろ何かその合目的的なその一つの目標に集中をするというようなことのほうが実際にはその運用益というものをほんとうに生かす道じゃないかというようなことを実はきょうまでの皆さんの御論議を聞いておってつくづく感じるので、そういう点を申し上げてみておるわけなんですが、この貸し付け金などについてはどうなんでしょうかね。
#26
○政府委員(小林正興君) 遺児貸し付けにつきまして平年度の現在見通しを立てておるわけでございますが、その際に一億円で約千五百人がこの貸し付け対象としてカバーされるという予定を、長期の見通しといいますか、将来見通しとして立っておるわけでございまして、その際に貸し付けは単に立てかえ貸し付けというものもございます。あるいは不履行判決に対します貸し付けというのもございますが、いずれにいたしましてもそれぞれについて一つの見通しを立てたわけでございまして、非常にその千五百人という数字が高いかどうかとこういう点はむずかしいわけでございます。いままで高校生以上の交通遺児育英会というものも、今日でこそ三千人という者についての貸し付けをやっておりますが、数年たってなってきたわけでございまして、初年度からなかなかたくさんの予算を組みましても一挙に消化できるかどうかというような問題もございます。また、同じ貸し付け金の中でございますので、先ほど具体的に御指摘のありました千五百人という問題については、これは平年度貸し付け金を全体で五億円と、そのうち五分の一の一億円が遺児に回るであろうというような前提のときに、たとえば五千円月に貸すということでやると千五百人カバーされるということでございまして、こういった点は貸し付け金の中での操作ももちろんできるわけでございます。また、当然五千円というような単価等についても現在の予定でございまして、将来の経済事情の変化というようなことで増額の問題等もございますので、全般的にはそれぞれ実態に応じたような予算措置というものを当然各年度年度で講ずるべき問題でございますので、初年度につきましては年度の途中から発足されるというような事情もございまして、先ほど来の問題は一応の現在考えておるめどでございまして、今後実態に合うように、立てかえ貸し付けについて三億五千万ということでこれがはっきりきまっておるわけでもございませんし、五億円の範囲内で遺児のほうに必要性があれば当然そちらに回るわけですし、全体としての足りない場合には予算の増額措置ということもそれぞれの年度において検討していくということにいたしたいと思っております。
#27
○神沢浄君 あと二、三問ですから急いで進めますけれども、そのまた活用の問題点の一つとして、実はこの間中村議員が相談センターのことについて質問をされておりました。私はお聞きしておって全く同感であります。私はセンターもやっぱりその重要な業務の一つとして、ほんとうにいわゆる運用益活用というところに目的を置くとするならば、いま何が求められておるかというふうな点をこれはやっぱり十分に検討、注視をすべきだと思うのですよ。私なども議員の端くれとしてとにかく相談事を持ち込まれていつも苦心をしております。しろうとですからね、なかなかそれは交通事故のいわゆる交渉、和解へのとりなしなどというようなことはうまくいきませんし、また時間も許せませんしするものですから、まあ相談所へでも行ったらどうかというようなことを言うのですけれども、この相談所というのがいまのところほんとうに親切にそれぞれの当事者の立場になってまでやってくれるようなところがないんですね。この間、参考人の御意見を聞きましたら、日弁連の相談所の御説明がありました。なるほど、自賠責のほうからも金を出しておられるようでありますが、しかし、私は、あの程度ではまだまだ不徹底のものであって、できたらばこのセンターあたりの業務の一つとしまして、聞くところによれば、なわ張りみたいなものがあるからなかなかそういう相談はむずかしいんだそうでありますが、そんなことを言っていたんじゃ事故者はとても救われないですよ。いま事故を起こしてそして何が一番困るかということになりますと、どこへどういうふうに相談をかけたらいいのかというようなことが、それは全く事故当事者の最大の悩みのように思います、私どもが持ち込まれるそういう状況から考えてみましても。そういうふうな点で、今後の一つの課題としてなわ張りがあるかないか知りませんが、どうでしょうかね、ほんとうに当事者たちのために親身になって積極的に、そこへあの業務があるから全く安心してまかせられるというような、そういう相談業務というようなものをひとつ手がけてみる、取り上げていくというような、そんな点でのお考えはどうでしょうね。
#28
○政府委員(秋山進君) 相談所につきましては、先般の委員会でも申し上げましたように、現在、都道府県それから指定市その他大都市を中心にその相談所の整備拡充につとめているわけでございますが、今後につきましても、私どもといたしましては、巡回相談の力が十分に出るように、さらには相談所が、いわば各地域の日帰りの距離にも支所が設置できるようにということで努力してまいりたいと存じております。現状ではまだ十分でない点がございますので、この点につきましては関係各省の御協力も得ましてさらに増強してまいれると存じておる次第でございます。
 なお、これが、こうした相談所があるということについて非常にPRが足りなくて、たいへん御不自由をかけている、御不便をかけているという点もございますので、その点につきましては早急に改めてPRも徹底して、気軽に相談においでになれるようにということで努力いたしたいと存じます。
 なお、いろいろな各機関の相談所がございますが、これにつきましてもいろいろたらい回しというかっこうにならないように、やはり都道府県、公共団体の相談所を中心にして緊密な連絡をとって協力し合ってやるということでこれも努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
#29
○神沢浄君 しっかりやってください。私は一つの事例をお話をして質問を終わりますけれども、なかなかいろいろ末端でもって事故を起こして、その当事者というような立場に立てば、ここで論議をしておるような筋やたてまえなんというものとはこれは違いまして、たいへんな問題があるわけですよ。実は三年ほど前のことでありますが、私の近傍の人です。まだ四十何歳、働き盛り、奥さんと子供が二人、ところがその主人が酔っぱらい運転でもってひかれて即死をしたわけなんです。もちろん強制保険はおりました。ところが、その相手の酔っぱらいの加害者は、人の車を借りてきたというようなことでもって、どうもその加害者自身には何ら賠償の能力がないんです。ところが、その車には任意の保険が一千万かかっておったと、こういうんですけれども、それじゃ五百万プラス一千万、一千五百万ぐらいのところでもってというふうに、私も相談を受けましたから、考えてもみたんですが、おっとどっこい、そううまくはいかなかったんです。その一千万については酔っぱらいだから払わないと言うんですよ。それから保険会社へ交渉してみましたら、そのとき保険会社がうまいことを言いましたね。強制保険は被害者保護だけれども、任意保険は加害者保護だと、私は加害者保護ということだから保険会社保護ということだと思うんですが、結局、これは支払いを受けられないんです。そうしたら、そのときに、その奥さんが言いました。まだ三十代ですよ、子供二人かかえてたいへんですよ。もし警察へ行って、そしてそういう話ができるならしてくださいと、あの加害者は酔っぱらっていなかったということにしていただけませんかというんですよ。それは実際考えてみれば酔っぱらい運転なんというものはかんべんできません。これはもう徹底的に処罰あってしかるべきです。しかし、現実にはおそらくあれでしょう、酔ってひき殺した加害者に対して、それこそ腹の中は煮えくり返るようなふんまんの気持ちだろうと思います、家族にしてみれば。しかし、それすらもがまんをして、そうして酔ってはいなかったということにしてもらえませんかと、そうしなければ一千万円入ってこないというわけですよ。いわゆる末端においての相談の内容などというものはそんなことにまでわたるんですよ。これはもうただ単にきまり切った法規をばらばらっとやって相談を受けているなんということじゃ、ほんとうのこれは相談業務にはなりません。私は、したがって、ほんとうに親身になって、そしてその事故者のためにそれこそかゆいところにも手の届くようにしてやるような相談業務というものをぜひほしいと思うんです。それからついでですけれども、その後、酔っぱらい運転にも払うことになったそうでありますが、私はたいした数多いケースでもなかろうから、これはある時点まで遡及するというようなことは指導できないですか、その二点についてお伺いをしたいと思います。
#30
○説明員(安井誠君) ただいまの任意保険におきますところの無免許運転、酔っぱらい運転の問題でございますが、先生御指摘ございましたように、本人が酔っぱらいあるいは無免許で運転したのと、ほとんど故意に近い問題でございましたために、任意保険のときにそこまで保険でカバーしていいかどうかというたいへん議論があったわけでございます。先生、御指摘のような事例も多く出てまいりましたので、各省ともいろいろ御相談をいたしまして、任意保険につきましても昨年の十月一日から、この任意保険の約款改定を機会に酔っぱらいと無免許運転についても保険で一応カバーするということにはしたわけでございます。その際、十月一日から約款の改定をいたしましたので、そのとき以降生じましたものにつきましては、たとえその前の契約に基づくものにつきましても遡及させることにはしたわけでございますけれども、時期を昨年の十月一日以前までさかのぼらせることにつきましては、すでにそういう形で、つまり酔っぱらいないし無免許運転をカバーしないという形で処理がされているものも多いわけでございまして、その辺、いろいろ保険の技術的な問題もありますし、また、制度の改正の措置に伴う問題でもございまして、遡及は十月一日以降の事故から適用するということにしたわけでございます。
#31
○神沢浄君 これで終わります。いまの保険の問題は、別にここでもってやりとりしてみてもしょうがないですから、またあとから研究をさしていただきますが、そこで、飛び飛び落ち穂を拾うように皆さんの御論議をお聞きしながらどうも納得し得ないような点についてだけお尋ねをしてまいりました。
 そこで最後、私は大臣にお伺いをするわけなんですが、さっきも申し上げましたように、どうも診断の問題にいたしましても、あるいは遺児貸し付けの問題にいたしましても、いまの相談業務の問題にいたしましても、何か私はこのセンターの業務なるものは、いまの段階におきましては不徹底というか、中途はんぱというか、これが期待し得るような効果を上げ得られるようなものには、端的に言って、まだ思えません。また、さらに一面は、私は役員の報酬がどのくらいになっているなんというやぼなことはお聞きしようとは思いませんが、思いませんけれども、予算面を見ると一億五千万のうち人件費が一億一千三百万で七五%を占めておるというような数字もあるわけであります。そうなりますと、ある一部の人たちが懸念して言うように、これまた中央官庁きわめてお得意の天下りのための機関をつくったというだけのことでもって終わってしまうんじゃ困ると、ほんとうにこれは目的が十分に生きるようなものであってもらわなきゃ困ると、これはそういう意見というものはたくさんあります。そういうふうな点で、ひとつ大臣の今後への所見というようなものをお聞きして、しんがり質問を終了をいたしたいと思います。
#32
○国務大臣(新谷寅三郎君) 全体を通じましてお感じになりましたこと、何かしら、まだセンターという名前をつけたりいろいろの事業目的を掲げておりますけれども、どれもこれも中途はんぱじゃないかというような印象をお受けになることはごもっともだと思います。私もこれが結局最終的な姿ではなしに、これは発足するんですから、しかも、自賠責保険の若干の益金を利用しまして、そしてこの際、社会の各方面から要望されておることの中で、ほかの機関で十分行ない得なかったようなこと、そういったものをやはり社会の要望にこたえてこのセンターで扱うことにすることはやっぱり意義があると思っております。しかし、これは前にもお答えいたしましたように、これが結局終点ではないんでありまして、今後そういう財源措置も考え合わせながら業務をさらに拡大するとか、あるいはもっと手厚い施策を講じるとかいうことは、これは当然やらなければならぬことだと考えております。
 それから、役員の問題につきましても前にお答えしたんでございますが、何ぶんにもこういった非常に専門的な経験を持ってないと、ただ机にすわっているだけではこの仕事はできないと思うんです、これは。各方面から、専門的な知識を持っている人でそのセンターの業務を遂行するのにふさわしい人を広く集めなければならぬというように考えております。まあ、端的なことばでいいますと、関係各省から役人の天下りのようなことにならないようにという御注意だろうと思いますが、そういう点は十分配慮いたしまして人選を進めたいと思っておりますが、いまのところまだその人選については具体的には白紙の状態でございまして、これといってきまった具体的な人選は私はまだ考えておりません。この法律案が通りました場合にはさっそく準備にかかるわけでございますが、その際には、いま申し上げたような方向で人選を進めたいと思っております。
#33
○神沢浄君 終わります。
#34
○委員長(西村関一君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(西村関一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 自動車事故対策センター、法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#36
○委員長(西村関一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#37
○神沢浄君 私は、ただいま可決されました自動車事故対策センター法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    自動車事故対策センター法案に対する附帯決議案
  自動車事故による死傷者数は、年間九十万人を越えており、これを激減させるための効果的な総合的交通安全施策の推進は現下の急務である。
  よつて政府は、特に初心運転者標識及び免許制度の改善、貨物自動車の過積載の防止、自動車の保管場所に対する規制の実効性の確保及び高速自動車国道における安全走行確保のための規制強化を図るとともに、左の事項に留意し、自動車事故対策に遺憾なきを期すべきである。
 一、自動車損害賠償責任保険の運用に当つては、被害者保護を更に徹底するとともに、保険金限度額の大幅な引上げをすみやかに実現すること。
 二、自動車事故の発生の防止に資するため、自家用自動車の運転者に対する適性診断の実施を促進するとともに、十分な資金を充当して本センターの業務の拡充強化を図ること。
 三、交通遺児に対する資金の貸付けについては、その対象範囲の拡大及び貸付け条件の改善を図るとともに、重度の後遺障害の保護者のもとにある児童に対しても十分な措置を講ずること。
 四、本センターの役職員の選任については、その公正妥当を期すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#38
○委員長(西村関一君) ただいま神沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#39
○委員長(西村関一君) 全会一致と認めます。よって、神沢君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、新谷運輸大臣から発言を求められております。
 新谷運輸大臣。
#40
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいまは、自動車事故対策センター法案について慎重御審議の結果御採決をいただきましてまことにありがとうございました。
 なお、附帯決議内容につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、誠意をもって実施に当たる所存でございます。
#41
○委員長(西村関一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(西村関一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#43
○委員長(西村関一君) 次に、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。
 新谷運輸大臣。
#44
○国務大臣(新谷寅三郎君) ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 近年、海難事故を防止するため船舶の安全性の確保は、ますます重要な問題となってきておりますが、政府におきましては、安全基準の強化等により船舶検査制度を充実してこれに対処してきているところであります。
 小型の船舶につきましては、従来、船舶安全法による検査の対象とせず、一部の都道府県知事が運輸大臣の認可を受けた規則に基づき行なっていた検査を除き、主として使用者側の安全対策にゆだねてまいったのでありますが、最近におきましては、小型の船舶の増加が著しく、特に、海洋レクリエーションの活発化に伴い、いわゆるモーターボート等が急激に増加し、かつ、広範囲に航行する機会が多くなってきたこと、また、漁場の関係から小型漁船が遠方海域へ出漁する機会が多くなってきたこと等のため、それらの船舶の安全性を確保することが強く要請されております。
 このような実情にかんがみ、小型の船舶に対しても安全基準を定めて検査を統一的に実施することとし、その安全性の確保のための施策の一そうの充実強化をはかることが、今回の改正の趣旨でございます。
 次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、小型の船舶に対しても、特定の簡易な構造の船舶等を除き、検査を義務づけまして、小型の船舶は、有効な船舶検査証書を受有しなければ航行の用に供してはならないことといたしておます。
 第二に、小型の船舶の検査事務は、運輸大臣の認可を受けて設立される小型船舶検査機構に行なわせることといたしております。
 第三に、小型船舶検査機構は、全額政府出資の法人としまして、その設立、役員、業務、財務等に関する所要の規定を設けております。
 第四に、小型の船舶に対する検査の実施に伴い、船舶の改造、修理及び整備についての認定事業場制度の新設及び型式承認制度の対象範囲の拡大等所要の規定を整備することといたしております。
 このほか、小型の船舶の検査は、新たに建造されるものについてはこの法律の公布の日から一年をこえない範囲内で別に定める日から、すでに建造されたものについてはその後三年間において、段階的に実施することとするほか、その実施に関する経過措置を規定し、あわせて関係法令の改正を行なうことといたしております。
 以上が、この法律を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#45
○委員長(西村関一君) 以上で趣旨説明の聴取を終わります。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#46
○黒住忠行君 船舶安全法は昭和八年、四十年前にできたのでありますが、今回はその適用範囲を拡大をして小型船舶を行なう。そのために新しい小型船舶の検査機構を設置する。また検査制度の整備をいたしたい。こういうのが、いま大臣の御説明にもありましたように、法律を改正する理由となっておるわけでございますが、ところで、現在の法律では、附則等を入れましても三十数条でございます。今回はこれの法律を章別に分けまして、かつ、第一章から第四章それから附則ということになっております。
 で、いま提案の理由の条文を入れられると同時に、たとえば第一章におきましても相当の条文が加わり整備をされております。また罰則等は今回相当変更をされておる。で、第二章、三章は新しい規定でございますので、第何条の何というふうなことでやっておられますが、第一章はかたかなの法律であり、第二章から以下は新しい形態の法律であるわけです。そうしますと、いまの改正の理由はわかりますけれども、もう四十年前の法律ですから、この際、わかりやすく整理をするというふうなことが立案の段階において問題にならなかったのかどうか。かりにそうではないとすれば、船員関係の改正等もございます。今回の分はレジャーボート等を主たる改正であるとすれば、それを取り出して新しい法律をつくるというのも立法技術上からの一つのやり方ではないかと思うわけですが、まずその法律の構成につきましてどのようにお考えになったかということを承りたいと思います。
#47
○国務大臣(新谷寅三郎君) 船舶安全法は、御承知のように条約に基づいて各国が安全基準を定めておる法律でございまして、これは非常に沿革が古うございます。したがって、現行法のような、非常に古い時代につくった法律が骨子になっておるわけでございます。今度の改正案は条文の数は多いんですけれども、ほんとうにそのうちの一部分でございまして、まだ基本的に船舶安全法の安全基準というものを根本的に改めるというところまではいっていないわけでございます。したがいまして、部分的な一部改正という方法をとったのでありますが、しかし、見にくいじゃないか、読みにくいじゃないかということは御指摘のとおりでございます。しかし、これは過渡的な時代の要求だと思います。他にもまだかたかなで書いた文語体の法律がたくさん残っております。中には太政官布告まで残っておるのですから、やはりそういったものは機会あるごとに整理をするがよろしいと私も考えますけれども、船舶安全法というものは、これだけ見ましても非常に大部な法律なんです。ですから、これを全部書き方を改めるということについては、これはもう相当の時間をかけないとできません。今度はその条文の数は多うございますけれども、内容的にはほんの一部改正、小型船を入れるというだけの改正でございますから、そこまで手が及ばなかったというのが実情でございます。よい機会に、おっしゃるような方向で改正案をつくるのがよろしいと考えております。
#48
○黒住忠行君 この法律は検査関係等が主体になっておるわけでございますが、今回の適用範囲の拡大に伴って、新しい検査機構が新設をされるわけでございます。その前提としまして、船舶局長から現在の船舶検査は技術基準に基づきましていろいろの検査がございます。これの概要とそれを改めようとする点について簡単に御説明を願いたいと思います。
#49
○政府委員(田坂鋭一君) 船舶の安全、船舶の検査、これは原則といたしまして船舶安全法にのっとってやっているわけでございます。そういたしまして、今回の改正の主要点は、先ほども大臣から御説明ございましたように、小型の船舶の安全基準を定め検査を行なうということを主体にしておるわけでございますが、従来までに、現行の安全法によりますと、非常に簡単に申し上げますと、五トン以上の一般の船舶と二十トン以上の漁船が安全法の対象になっておりまして、それらの概数は総計約四万二千隻でございます。今回の改正によりまして、五トン以下の、ニンジンを有し推進機関を有します船舶並びに二十トン未満の漁船その他の船舶約十八万九千隻を対象に安全基準をつくり、かつ検査を執行していきたいというのが安全法の改正の趣旨、大要でございます。そういたしまして、現在の検査につきましては、全国に五十八ヵ所、約六十ヵ所に二百十四名の船舶検査官を配置いたしまして検査を実施しているわけでございますが、このほかに、外国のロイドやABと同様に、わが国にも船級協会がございまして、日本海事協会が、主として保険の見地から、船主の依頼に応じまして、構造等につきまして船舶の検査を実施しております。これは、この検査につきましては、船舶安全法で第八条によりまして、旅客船以外の船舶につきまして、船体の構造、機関、排水設備等の検査に関しまして、日本海事協会の検査に合格し船級の登録を受けた場合は、その船級を有する期間につきまして国の検査に合格したとみなされるということになっておるわけでございます。
 以上でございます。
#50
○黒住忠行君 いまのようにしてすでに検査は行なわれておるわけですが、今回新しく小型船舶等の検査が行なわれる。これは、検査を行なうのは、いわゆるその船の施設面からして、検査を行なうことによって海難事故を防止するという趣旨だと思います。
 それから、職員法のほうを改正をすることは、運航面からいう海難事故を防止をしよう、こういうことだと思うわけですが、海上保安庁で四十二年から四十六年の海難発生状況のこの資料を調査室から私はいただいております。これを見ますと、施設面のほうの事故合計はそう減ってはおらないわけですけれども、まあそれほど急に最近になってふえておるというようにも見えないわけでございますが、海上保安庁で海難事故の発生状況を調べられておるわけでございますが、最近における状況から、検査をやるという必要性について、急にその必要性がふえてきたものか、四、五年前からその必要性があったが、ようやくにして立案になったと、こう見られているのか、ちょっとこの数字から見ると、どのように判断されるのか、お聞きしたいと思います。
#51
○政府委員(野村一彦君) お答えいたします。
 海難発生の状況は、御指摘のように、その対象といたしまして、大型船、小型船、それからまた設備、構造の面に基因する事故、それから運航面に基因する事故、いろいろの見方があるわけでございますが、たとえば、いま御指摘の数字のうち、一番最近の事例を申し上げますと、四十七年の海難船舶は二千六百五十七隻でございます。このうち、普通小型船といっております総トン数二十トン未満の船でございますと、九百九十三隻という数字になっておりまして、総トン数が二十トン以上の船は千六百六十四隻ということでございまして、これは四十七年の数字でございますが、大体最近の――最近のといいますか、この数年間の推移を見てみましても、多少の異同はございますけれども、この数字にあらわれたような傾向が続いております。したがって、これで見てもわかりますように、小型船の海難というものは非常に多いということが言えるわけでございます。しかも、その小型船の海難の原因を別の面から見てみますと、たとえば施設面、船舶の構造、設備に基因する海難というものですと、いま申し上げました九百九十三隻のうち二百五十九隻、全体の二六%が施設面に基因する海難であるというふうに推定されます。したがいまして、もちろん、それと並びまして、運航面に基因する海難の防止ということもやらなければなりませんが、施設面を一そう整備強化する。つまり、安全法に即していいますと、安全法の検査の対象にするということは、何といいますか、海難の防止の一つの大きな要素を是正するということになりますので、私ども海上の安全を担当している者といたしましては、こういう小型船の海難防止の観点からいいまして、この設備面を一そうより安全なものにするための体制をとるということは非常に望ましいことだと、かように考えております。
#52
○黒住忠行君 そうしますと、必要性というのはっとにあった、しかし、さらに最近におきますレジャーボート等のふえ方の状況を見ているというとたいへんなことになる可能性もあるから、この際すみやかに安全法の改正をすべきである、こう考えてよろしゅうございますか。
#53
○政府委員(野村一彦君) ただいまも申し上げましたように、海上保安庁としてもそういう施設面の改善のための検査ということに非常に賛成でございます。
 なお、本日の議題にはなっておりませんが、船舶職員法の一部改正の案もただいま御審議をお願いをしているわけでございますが、これとあわせて、両方――施設の面と人の面と、両方からこの小型船に規制を加えていくことによってより安全が確保されるという見地から、私ども船舶局の今回の提案に対してはこれを積極的に支援をし、また御協力をしたい、かように考えております。
#54
○黒住忠行君 今回の適用範囲の拡大の対象隻数は十八万九千百隻というふうに聞いておりますが、この内容を、いろいろ分かれると思いますが、それの内容を言っていただきますと同時に、主務大臣のきめる特定のものは除くという内容は――主務大臣のきめ方は、従来はどのようなかっこうできめておられるのか。今回はどのようにして、告示その他、どのような方法でもってそれをきめられるものか、あわせてお伺いしておきたいと思います。
#55
○政府委員(田坂鋭一君) まず、今回の新たに検査対象になります小型船舶は十八万九千百隻でございますが、その内訳のおもなものといたしましては、いわゆるモーターボート、これが十万三千四百隻でございます。さらに遊漁船五万九千三百隻、漁船八百隻、旅客運送を行ないます櫓擢舟――推進機関を有しない船でございますが――これが九千五百隻程度でございます。
 次に、主務大臣によりまして除外されます船舶は、省令によりましてこれをきめていく予定にいたしております。
#56
○黒住忠行君 省令でもってきめられる場合におきまして総トン数二十トン未満の漁船に関するきめ方をどのように書かれる予定であるか。
#57
○政府委員(田坂鋭一君) 漁船につきましては、これは、また三十二条に項がございまして、漁船につきましては政令で除くことにいたしておりますが、ただいま御説明いたしましたように、当面検査の対象にいたします漁船につきましては八百隻程度と考えておるわけでございますが、これは検査が最も重要だと考えられます遠距離の操業を行なう漁船に限って、まず当面検査を行なっていくというふうに考えておりますので、そのような業種、六業種ぐらいの漁業に従事いたします漁船以外のものを除く予定にいたしております。
#58
○黒住忠行君 その漁船は政令であるということはこれに書いてあるとおりでございますが、百海里以上遠距離ということは客観的に政令で表示する方法はどのようにして表示しますか。
 それからもう一つは、海難発生の状況を見ましても、小型漁船の海難事故というのは相当あるわけでございますけれども、とりあえずいまのものを対象とするが、将来やはり事故防止の面からいえば拡張すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#59
○政府委員(田坂鋭一君) まず指定いたします漁業の種類といたしまして、さけ・ます流し網漁業に従事いたします漁船、さけ・ますはえなわ漁業に従事いたします漁船、まぐろはえなわ漁業に従事いたします漁船、ふぐはえなわ漁業に従事する漁船、かつおさお釣り漁業に従事する漁船、タイはえなわ漁業に従事する漁船を当面の対象といたしまして、これ以外の漁業を政令で指定がえにするというふうに考えておるわけでございますが、次に今後の漁船に対します検査の適用についてどういうふうに考えておるかというような御趣旨かと考えられますが、現在漁船の数は、二十トン未満の漁船にいたしまして約二十九万隻弱でございます。非常に漁船の数は多うございますし、また、その漁業の実態は非常に多様でございます。従来から、これらの漁船に対しまして安全基準を定め検査をいたす必要があるということにつきましては、先生の御指摘のように、私ども痛感いたしておるわけでございますが、これらの多様な、また非常に多数の漁船に急激に検査を適用いたしますことは、非常にその実態から申し上げまして、混乱を起こす心配もございます。今後、これらの漁船の実態、操業の実態並びにその内容等を詳細に調査いたしまして、また関係省庁並びに関係の業者、漁業者等と十分な話し合いをいたしまして、必要性の高いものから逐次検査対象船舶数をふやしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#60
○黒住忠行君 そういたしますと、今回の対象船舶はレジャー用モーターボート、ヨット、遊漁船等が大きな隻数を占めるわけでございますが、わが国は何と申しましても海洋国家でございますし、海にあこがれるということは非常にたいへんいいことでございますし、また、最近海洋レクリエーションということが盛んになってきておるわけでございます。そうしますと、この健全な発展ということから見ましても、安全を確保していかなければならないということがたいへん重要であると思います。観光レクリエーションと安全ということ、これは運輸省が担当をされておるわけでごいますが、将来ますますレジャーボートはふえてまいると思いますし、安全の確保ということもたいへん重要だと思うわけですが、それらの面から考えまして、今後の海洋レクリエーションに対する方向、お考え方を大臣から承りたいと思います。
#61
○国務大臣(新谷寅三郎君) 仰せのとおりでありまして、国民の所得水準が向上し、自由な時間がふえてまいりまして、都市環境の悪化というようなものも背景になりまして、観光レクリエーションは国民生活にとりまして非常にいま大切なものになってきておると思います。運輸省では、このような社会的な要望にこたえまして、国民の余暇の活動を健全にするという方向で考えております。観光レクリエーション地区の整備とか、レクリエーション港湾の整備、それからレクリエーション空間の提供の面で積極的な施策を実施をしておる次第でございます。その中でも海洋性レクリエーションにつきましては、いまのところ現在の港湾整備五カ年計画の中でレクリエーション用のヨットとか、モーターボートなどを対象としてレクリエーション港湾を整備することにいたしておることは御承知のとおりでございます。また海洋におけるレジャーボート活動というものを推進するに際しましては、安全確保についての配慮がきわめてこれは重要な問題でございまして、この安全確保のために講ずる必要のある要点は、船舶の構造、設備の安全性を確保すること、船舶操縦者に対する免許を義務づけること、それから海水浴客などの安全を確保いたしますために、何らかのこれは施策を考えなければならぬということも大切なことでありまして、運輸省としましては、船舶の構造、設備についではいま御審議を願っております安全法の改正によろうといたしております。
 操縦者に対する免許の義務づけにつきましては、船舶職員法の改正によりたいと思っております。これは先ほど海上保安庁長官が御答弁したと同様でございます。なお、海水浴客等の安全につきましては、操縦免許の際の教育をこれは徹底しないと効果があがりません。そういう点に業に意を用いまして、またマリーナの設置位置の選定にあたりましてのボーティング水面と海水浴の水面との調整も考えなければならぬと思います。海上保安庁による指導の強化等とあわせまして、全面的に安全をはかりながら国民のレクリエーションヘの方向につきまして、これは積極的な立場において指導、誘導しようという考え方でございます。
#62
○黒住忠行君 よくわかりました。
 いま先ほど自動車の関係の法案の審議の際におきましても、事故防止ということがたいへん重要な課題として論じられたわけでございますが、いま大臣も触れられましたように、施設としての般舶の安全性、それからそれを動かす人の運航面からの安全性、それから同時に、陸上の道交法に相当する海上交通法の整備ということ、海水浴の場合もおっしゃるとおりでございますけれども、さらにそれ以上、沖にも出てまいりますし、非常に海上交通がふくそうしておりますので、この面におきますところの、将来交通法の法律改正等につきましてどのようにお考えになりますか。
#63
○政府委員(野村一彦君) お答えいたします。
 ただいま大臣からの御答弁にもございましたように、交通のルール特にレジャーボート等の普及に伴いまして、小型高速船の交通のルールを確立するということは非常に必要なことであると思います。したがいまして、これを法律技術的に可能であればそういう立法を考えるということは私は一つの前進であろうかと思います。当面の問題といたしましては、御承知のように、この検査の対象を拡大するということによって高速小型船、レジャーボートを含む高速小型船に安全の検査をするということでその三本柱の一つは確立されるわけでございますが、現在は御案内のように、いわゆる通称迷惑防止条例といわれております条例が警察庁の指導において三十ほどの都道府県で行なわれております。また、一部の県では水上安全条例というものも行なわれておりまして、これは条例でございますが罰則の定めがあって、強行法規としてのある程度の役割りを果たしておるわけでございます。ただ、これを仰せのように法律をもちましてやるということにつきましては、私どもいま検討いたしておりますが、たとえば、レジャーボートという対象をどういうふうに縛るかという縛り方につきまして、レジャーボートという使用目的だけでなかなか縛るわけにもいきませんというような問題。
 それからもう一つは、その地域につきまして海上一般は私どもの所管でございますが、湖とか、あるいは港に連なりますところの川とか、あるいは一般の海水浴場等を含む海浜で、直ちに陸上と接合して総合的に陸上の安全秩序も考えなければならない問題。そういう地域の問題がございますし、それから海上衝突予防法その他との関係から特殊の航行ルールをどういうふうに設けて、それに罰則をどういうふうにつけるかという、いろいろ法律的技術的な問題はございますけれども、さしあたり現在の条例を活用して警察と連絡をとりながら安全をはかるということでございますが、将来の立法についてはできるだけ前向きに考慮をいたしたい、かように考えております。
#64
○黒住忠行君 レジャー用のモーターボートは相当メーカーもあるわけでございますけれども、最近の毎年の伸び率はどのようになっておりますか。
#65
○政府委員(田坂鋭一君) モーターボート、これは本格的に生産が始まりましたのは昭和三十八年ごろかと考えられますが、さらにその後の技術的な進歩によりまして昭和四十二年ごろから急激にその増加がふえてまいっております。そういたしまして、最近の四十二年以後につきましては大体毎年二〇%ぐらいの伸び率を示しております。今後とも大体二〇%程度の伸び率でいくものというふうに私ども考えております。
#66
○黒住忠行君 今回の新しい小型船舶検査機構は、いわゆる認可法人といわれるものであると思いますけれども、軽自動車の検査の協会、これが認可法人でございます。いろいろの組織その他監督規定等はおおむね考え方は同じであると見てよろしゅうございますか。
#67
○政府委員(田坂鋭一君) そのように考えていただいてけっこうでございます。
#68
○黒住忠行君 今回の検査機構でやりますものは、特定のものを除いて十二メートル未満の船舶ということになっております。都道府県知事が行なう場合もございますが、おおむねこの検査機構で行なうということであると思いますが、十二メートルというものでもって区分をせられた理由を。
#69
○政府委員(田坂鋭一君) 従来はトン数をもっていろいろの尺度としてきた例が非常に多うございます。もちろん安全法の中でも船の長さをもって定めた例も二、三はございますが、今回もその長さによって区分を定めるというふうにいたしましたのは、今回の対象になります船舶が五トン未満のものが非常に多うございます。また、機関を有しないものもございます。これらのものにつきましては測度、いわゆるトン数をはかる制度がございません。そこで、一般に非常にわかりやすいためには長さをもって分けたほうがよかろうというふうに基本的に考えたわけでございます。また、この対象になります船舶のうち、先ほども申し上げましたように、モーターボート、いわゆるレジャーボートが半数以上でございますが、レジャーボートは従来から長さをもっていろいろ基準として使ってきたわけでございます。これらの点からいいましても、長さを使うことが適当かと考えた次第でございます。
 次に十二メートルをその段階といたしました理由といたしましては、小型船舶はその用途ごとに船型が比較的均一化しておりますが、構造、設備もまた簡易でございますが、大型化するにつれましてその構造、設備がその中では複雑、多様化してまいります。そういたしまして、長さ十二メートル前後でこの多様化、複雑化の段階が、統計的に見まして、ございます。たとえばエンジンの馬力が十二メートル前後で非常に格段に大きくなるというようなことでございます。また、十二メートル程度の船は大体総トン数に直しますと八トン程度でございまして、従来国が行なっておりました五トンと八トンということでございますので、大きな差がないということも、一つの勘案されました理由でございます。もちろん、十二メートル未満でございましても、旅客船だとか、危険物ばら積み運搬船だとか、潜水船、あるいはホーバークラフト、ハイドロフォイル等、安全上のまた構造上の問題が非常に多い船につきましては、国が直接検査を行なうことといたしております。
#70
○黒住忠行君 将来当分の間これを変更されるつもりはあるのかないのかということと、それから都道府県知事がここと同じようにやりたいと言う場合におきましては政令で定めることになっておりますが、現在それが予想されておるかどうか。
#71
○政府委員(田坂鋭一君) ただいま申し上げましたような状態でございますので、十二メートルを変更する考え方は現在では全く持っておりません。
 次に、都道府県知事で今後この検査をいたしたいというお申し出がございますところは、滋賀県と東京都でございまして、二件のみでございます。
#72
○黒住忠行君 この機構の業務、第二十五条の二十七の一項の三号に「小型船舶の堪航性及び人命の安全の保持に関する調査、試験及び研究」と、こうありますが、技術研究所で試験、研究等も行なわれておると思いますし、この機構というものは人員、予算等の面から見て、そういう積極的に研究ということが行なうことができる体制になるのかどうかということと、研究所との関係がどうであるかということ。
#73
○政府委員(田坂鋭一君) 機構につきまして現在検討中でございますが、当面の考え方といたしましては、東京に本部を置きまして、本部には相当の陣容を整えたいというふうに考えておるわけでございます。その中に、現在の考えでは、技術部を設けまして、ここに書かれてありますような業務も行ないたいということに考えておるわけでございますが、これは従来から小型船舶につきまして、まあ従来の大型船と違いました性能や装備やいろいろな面がございますので、それらにたんのうな技術者等を集めて、そこで特定された小型船舶の研究、調査等を深く行なわせたいと、それがまた安全基準にはね返ってくるというふうな考え方をしておるわけでございます。
 船舶技術研究所との関連でございますが、もちろん船舶技術研究所は広くあらゆる面の検討を行なっておりますが、何といいましても、その従来からの研究の重点は、比較的従来の船舶安全法の対象になっておりますような船がおもでございまして、小型船舶に関する技術につきましては比較的層が薄いということでございますので、せっかく本機構ができましたら、この機構を中心として研究等を行ない、船舶技術研究所でそれを補完していただくというふうな考え方を現在ではいたしておる次第でございます。
#74
○黒住忠行君 その試験、研究ということは非常に大切なことでございますが、研究所との関係等も十分調整をされると同時に、ここでやるとすれば、それに対する予算、人員等は相当確保していかないと、せっかくの業務に掲げておりましても効果があがらないのではないかと思うわけです。それはまた型式認定等をやります場合の基準等を確立するということもそういう面から言えるんではないかと思うわけです。
 それで、資本金三千万円ということで、あと必要があればふやすことができるという規定になっておりますけれども、これは本規定はほかの例はどういうふうにありますか。最初資本金を掲げてあとふやすという、具体的な金額を掲げてあとふやすという。そして今後のこれに対する見通しと今年度の資本金と、あとはこれは設備、土地等にいくと思いますが、借り入れ金そして手数料でもってまかなわれると思うわけです。それの数字をちょっと言ってください。
#75
○政府委員(田坂鋭一君) まず、従来の例でございますが、先ほど先生のお話しございましたような軽自動車検査協会も本規定と同様の規定がございます。そういたしまして、本機構は基本的には検査手数料をもってこの運営をしていくというふうに考えております。この資本金はただいま先生の御指摘のように本年度三千万円を予定されておりますが、引き続き今後二年間同額の予算が認められる予定になっておりますけれども、そういたしますと総計九千万円、これで検査場の整備を行ないまして検査の合理化の一端にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
 次に、この機構の予算規模でございますけれども、大体本機構の事業が安定いたしますのは昭和五十二年と考えておりますが、五十二年におきまして事業収入といたしまして九億四千四百万円を考えております。一方、五十二年におきましては借り入れ金はやらないで十分運営できるということでございます。一方、借り入れ金のお話でございますが、これは本年度におきましては検査をいたしませんし、事業の収入がございませんので、考えられます支出三億五千万円をまかないますために三億二千万円の借り入れ金を予定しておりますし、四十九年、五十年、五十一年、この三年間にわたりまして逐次逓減をいたしていきますが、総計いたしまして約六億近い借り入れを市中銀行からいたす予定にいたしております。一方これらの返済につきましては、相当に今後レジャーボートを中心にいたしまして検査手数料もふえます予定でございますので、五十四、五年になりましたら完全に返済をいたしまして健全な経営、事業の運営ができるというふうに考えております。
#76
○黒住忠行君 この検査をやる人は技術的、専門的知識を持った人でなければ検査はできないわけですけれども、これをどのようにして確保するか、人数と確保の方法について。
#77
○政府委員(田坂鋭一君) まず確保の方法でございますが、小型船舶に関しましては構造も設備も比較的簡易でございますので、船舶に関する知識が相当にございます方々、それらの方々を十分に確保できると現在考えておりますけれども、ただ小型船舶でございますので、津々浦々に船舶が行きわたっておるわけでございます。これらの船舶の検査にあたりまして受検者に迷惑をかけないためには相当の人数が必要だというふうに考えております。たとえば従来船の乗り組み員であっておかに上がっている方等も対象に考えていくつもりでございますが、仕事量、検査の作業量といたしましては、当面この一、二年間は百五十人程度の検査員がおればまかなえると。もちろん、これは工数の問題でございまして、ただいま申し上げましたように、実際に入れます検査員の数はさらにふえるものと考えます。さらに五十二年、検査の機構が整いまして安定いたしましたころには二百四十人に相当するぐらいの検査の事務量があるというふうに考えております。
#78
○黒住忠行君 その検査員は第二十五条の三十第二項で、運輸省令でもって要件が定められることになっておりますけれども、そこの運輸省令で定められるところの知識経験に関する要件というものは大体どのようにお考えですか。
#79
○政府委員(田坂鋭一君) 知識経験は従来から、先ほど御答弁申し上げました日本海事協会の検査員等につきましても、運輸大臣がその条件につきまして定めることになっておりまして、それらを基準にいたしまして、今後、重要な検査でございますので、小型船といいましても、構造、設備が簡単といいましても適正に行なわれるように条件を厳正に定めたいと思っておりますが、大学あるいは高専等の学校で修得いたしました知識と、それから卒業後の実地の知識とを加味いたしまして、それぞれその知識の程度におきまして定めますし、また、それと同等の知識を有する方々もこの中に含まれるような体系を現在考えております。
#80
○黒住忠行君 今回の検査に伴いまして検査済票を交付するということになっております。従来のものは登録されておる船舶におきましてはいろいろその制度が確立されておるわけですけれども、今回は小型船舶は登録制度ではなくして、五トン以下の場合、まず検査の対象にして検査済票を交付する。で、将来は登録制度というものがこれらの小型船舶につきましても考えられるかどうかという点と、そうなりますと、検査済票というものは性格が変わってくるだろうと思うんですけれども、その間はどういうお考えでしょうか。
#81
○政府委員(田坂鋭一君) 先生御指摘のように、五トン未満の船舶には登録制度がございません。これらに登録制度がしけるということが最も適当なことではないかと考えられますが、先ほど申し上げましたように、非常に隻数が多うございますし、これらに登録制度をしくことは事務的にもたいへんなことになります。そこで私どもは、検査を行なうにつきまして、検査を円滑に進めるとともに、登録制度の重要な目的でございます船舶の識別ということをあわせて効果を得ますために、検査済票の交付とその返還という制度をこの中に取り入れたわけでございます。当面、この制度におきまして十分な効果が得られると現在は考えておりますので、さらにこれらの船舶に登録制度をしくことは現在考えておりません。
#82
○黒住忠行君 今度の検査制度の整備の内容としまして認定事業場を、従来新造の場合に限っておりましたものを、改造あるいは整備ということに拡張をされました。それから型式承認の場合におきましても、小型船舶ということになるというと、同型式のものが相当まとまって生産されるということで型式承認の形式をとられているんだろうと思うわけですけれども、新しい認定事業場制度と型式承認制度につきまして簡単に御説明願いたいと思います。
#83
○政府委員(田坂鋭一君) まず、認定事業場制度でございますが、現行法におきましても、製造事業につきましては認定事業場制度というようなものがございまして、新造につきまして、その工場の品質管理、工程管理等が適正に行なわれておりますものにつきましては、検査の一部でございます製造工場につきまして検査を省略するという制度があるわけでございます。今回船舶の隻数が非常に拡大されるということになりますので、検査の合理化をさらに進めるということから、改造、修理並びに整備につきまして認定事業場制度を設けたいと考えている次第でございますが、まず改造、修理に関します認定事業場につきましては、臨時検査を必要とするような大修理、たとえば船体の引き伸ばしだとか、外板を取りかえるだとか、そういうような大修理につきまして行ないます場合に、認定事業場に認定されました工場は、その工事の現場工事に対します検査が省略されるということでございます。また、整備に対しまして認定を受けました工場につきましては、定期検査または中間検査の前一カ月以内に整備を行ないました場合には、定期検査あるいは中間検査が省略されるということでございます。
 次に型式承認制度でございますが、従来から、大量生産されます法定船用品につきまして型式承認という制度がございました。たとえば船舶に装備いたします船燈だとかあるいは救命胴衣だとかそういうものでございますけれども、これらにつきまして、一定の大量に生産されますものにつきまして、その図面並びに生産されました一番最初の製品につきまして徹底的な機能並びに性能試験を行ないまして、これが十分に安全確保上に役立つということでございましたら、それ以後の検査、それ以後に生産されましたものにつきましては、それが型式承認されました製品と同等であるということ――いわゆる検定でございますが、簡易な検査を行ないまして、一般の詳細な検査にかえてきておるわけでございますが、今回小型船舶が検査の対象になりますにつきまして、これまた検査の合理化ということ並びに受検者の便益ということを考えまして、大量生産されます艇体あるいはエンジン等につきましても、ただいま申し上げましたと同等の制度を適用いたしたいということが今回の改正の要点でございます。
#84
○黒住忠行君 そうしますと、新しくこの制度が設けられることによりまして、認定の事業場等がどのくらい予想されるか。また――自動車の場合は型式(かたしき)承認というのですが、呼び方は「かたしき」と言うか「けいしき」と言うか、同じだと思いますが、型式承認の場合、従来の製造の状態等から見て予想される数量はおわかりでしょうか。認定事業場の数と、それから型式承認を申請するであろうという数は予想されますか。
#85
○政府委員(田坂鋭一君) まず認定事業場のほうでございますけれども、今後検査を円滑に進めていくということから考えますと、全国的に二百工場ぐらいの改造・修理並びに整備の両者を合わせまして認定事業場が必要であろうというふうに私ども考えておりまして、現在その実態の調査をいたしておるところでございますので、直ちにこれが二百工場ぐらい整備できるかどうかまだはっきりいたしてはおりませんが、非常に重要な検査を省略いたすわけでございますので、今後ともこれらの工場を十分指導いたしまして、必要な認定事業場が整備できるように考えたいというふうに考えております。
 次に型式承認のほうでございますが、これはモーターボートの艇体や機関のほかに、小型船舶に装備いたします法定船用品等も同じように新たに型式承認の対象品に入るわけでございますので、当面どの程度の数が出てくるか想像が十分ついておらないところでございますが、艇体につきましては、大体四社から五社ぐらいの数が型式承認されるであろうというふうに考えております。
#86
○黒住忠行君 レジャーボートの輸入でまとまったものがかりにあるとすれば、型式承認の対象になりますか。
#87
○政府委員(田坂鋭一君) 型式承認につきましては、検査の内容が相当に省略されるものでございまして、その生産体制が十分に確保されておるということを確認し、またそれを監督していく必要がございますので、輸入艇につきましては、工場につきましては十分な監督権限もございませんし、形式承認を輸入艇に適用する予定はございません。
#88
○黒住忠行君 レジャーボートは耐用年数がどのくらいか私もよくわからぬのですけれども、たくさんふえてまいりますというと、廃船の問題が起きてくると思います。港湾法改正の審議の場合におきましても廃船の処理というものが非常に大きな問題として論議をされたわけでございますけれども、強化プラスチック船の場合におきましての耐用年数、そして今後予想される廃船というものは相当たくさん出てくると思いますけれども、それらの処理につきまして何か考えておられますか。
#89
○政府委員(田坂鋭一君) ただいま先生の御指摘のプラスチック船舶の耐用年数が長いということでございますが、モーターボート、いわゆるモーターボートの大部分は最近におきましては強化プラスチック――FRPでございます。この強化プラスチックの廃船につきましての御質問だろうと考えるわけでございますが、先生御指摘のように、FRP艇は非常に耐用年数が長うございます。まだこれらのボートが生産されましてから比較的年数がたっておりませんので、FRP艇の耐用年数がどれくらいかということは的確につかめておりませんけれども、十数年間は少なくとも十分腐らず、また老化せずに使えるというふうに考えられます。そういたしまして、先ほども御答弁申し上げましたように、これらのボートが本格的にあらわれだしましたのが昭和四十二年ごろでございますので、現在はまだその廃棄の問題は全然起こっておりません。ただ今後、先ほども二〇%程度の伸びが考えられるということでございますので、順調に伸びますと、昭和六十年度には百万隻程度にはなるだろうというふうな予想もされておる次第でございますので、非常にふえました時点で耐用年数が来ましたら、これらの廃船処理ということが非常な問題になろうかと考えられます。私ども、今後これらの時点に十分に対処できますように、来年度から廃棄処理に対します開発を予算要求をいたしまして十分な対処ができるような準備をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#90
○黒住忠行君 今回せっかく適用範囲を拡大し、検査等を行なうことによりまして安全性を確保していこうということでございますけれども、何ぶんにも小型船舶でございますし、各地に点在をしておるわけでございますので、それを把握するということ、そしてまた検査機構というものがそれらの検査を受ける人に対して能率的に仕事をやっていただくという問題があるかと思うんですが、せっかくこの制度、法律改正をしようとされる場合におきまして、それらの徹底といいますか、法の励行ということについては前もって相当考えておかなければならぬと思うわけでございますが、どのようにお考えであるか伺っておきたいと思います。
#91
○政府委員(田坂鋭一君) 先生御指摘のように、現状の把握並びにその検査の励行を適確に行なっていくということが第一に重要だと考えております。そういたしまして、先ほども御答弁申し上げましたように、その一つといたしまして検査済票の交付と返還を義務づけるということで、検査を受けた船舶のその後の識別、検査の励行につきましては十分な対処ができると考えております。また、これも先ほど御答弁申し上げましたが、津々浦々に行き渡っております小型船舶に対しての検査を円滑に進めますために、検査員を相当広く各地に配置する予定にいたしております。これは各都道府県約一カ所考えられております。地方支部に勤務いたします検査員のほかに、非常勤検査員等を配置する予定にいたしておりますので、これらの検査員が十分に機能を発揮いたしますれば、全国的に分布されました小型船の現状の把握並びに検査の励行につきましては相当適確に行なわれるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#92
○黒住忠行君 陸上の安全事故防止等につきましては、この委員会でも議論がいろいろありました場合におきまして、いろいろと関係官庁がたくさんございまして、それの横の連絡ということがいろいろと問題になるわけでございますが、海運関係の仕事につきましてはおおむね運輸省に一元化しておるわけでございまして、人間のほうの船員法、船のほうの安全法とみんな運輸省所管とされておりますので、今後ひとつ大いに総合的に海難事故の防止、特に今回の対象でございますような船舶に関しますところの海難事故の防止、安全等の確保につきまして、今後一そうの御努力をわずらわしたいと思う次第でございまして、最後に大臣のお考えを承りまして質問を終わらしていただきます。
#93
○国務大臣(新谷寅三郎君) 海上における人命財産の安全を保持すること、これはもうおっしゃるとおりで、言うまでもないところでございます。ただ、今日まで船舶の構造上の安全というものは、相当世界的に長い歴史がございまして積み重ねてきておりますから、よほどとっぴな運航をしない限りは、船舶の構造上から来る安全を阻害するというような事例は起こらないはずでございますが、そういう安全基準に従ってこの構造、設備を維持するかどうかということについては、これはやはり検査のときだけではなしに、不断にやはり船舶所有者あるいは運航者がそれを維持するために努力をしていかなければならぬことは言うまでもないのでありまして、単に検査機構だけ整えたからといって安全が保たれるというわけにはいかないだろうと思います。この点は今後もそういった面についての自覚を喚起するために特別の措置を講じ特別の努力を運輸省としてもしなければならぬと思っております。そういう方面につきましては、これはもちろん人の問題でございますから、法律規則に書いたとおりに運航しておれば海難も起こらないはずなんでございますけれども、つい法律規則の範囲を脱しまして無謀な運転をすると事故につながってまいるわけでございます。この点は船舶職員、それから船の運航者、所有者といったような者につきまして、同じように十分注意を喚起していかなければならぬと考えております。
 それから海上保安庁から御答弁いたしましたが、航法の問題でございますが、これは今日まだ公海における航法というものは海上衝突予防法その他によりまして国際的に規律せられておりますけれども、沿岸の港湾とかあるいは沿岸水域における航法というものは、これは各国ともそうだと思いますが、十分まだ完備されておりません。保安庁長官から申しましたとおり、港の中では港則というものがございまして、港則によって航行のしかたを規律しております。しかし、港以外のところでは地方の、府県の条例によって警察的な取り締まりをしておるというにすぎないのでございまして、レジャーボートが今後百万隻にもなろうかということになってまいりますと、そういう航行のしかたについても何らかのやはり取り締まりを強化する必要が生じてくるのではないかと思います。保安庁長官が申しましたように、これはもう少し実態を見ながら、これを立法化するかどうか、あるいは、何か基準をこしらえて各府県とも共通をした一つの基準によって条例を制定するように指導しているか、これはもう少し事態の推移をながめながら研究をしたいと考えておる次第でございます。
#94
○委員長(西村関一君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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