くにさくロゴ
1972/08/31 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第13号
姉妹サイト
 
1972/08/31 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第13号

#1
第071回国会 交通安全対策特別委員会 第13号
昭和四十八年八月三十一日(金曜日)
   午前十時二十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 関一君
    理 事
                岡本  悟君
                二木 謙吾君
                神沢  浄君
    委 員
                黒住 忠行君
                橘  直治君
                中村 禎二君
                中村 登美君
                橋本 繁蔵君
                山崎 竜男君
                野々山一三君
                森  勝治君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  新谷寅三郎君
   政府委員
       運輸省鉄道監督
       局長       秋雷 公正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池部 幸雄君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        阪田 貞之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○交通安全対策樹立に関する調査
 (東海道本線鶴見・横浜間における貨物列車脱
 線事故に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村関一君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、東海道本線鶴見−横浜間における貨物列車脱線事故に関する件について報告を聴取いたします。
 磯崎国鉄総裁。
#3
○説明員(磯崎叡君) 去る八月二十七日の午前九時十八分に東海道本線鶴見−横浜間の貨物線におきまして貨物列車が脱線いたしまして、そのうち二両が転覆いたしました。電柱を数本折りましたために架線が全線にわたって切れまして、約一日に近い間、東海道本線あるいは京浜東北線等をとめまして、非常に申しわけない事故を起こしました。おかげさまで、しかし人身の事故はございませんでした。
 以下簡単に御報告さしていただきます。
 お手元にごく概略なものを書きましたが、その資料の二枚目に簡単な図面をつけておきましたので、非常に複雑なところでございますので、図面でもって御説明申し上げたいと存じます。
 この場所は東海道本線の鶴見と新子安の間でございます。この図面の左側が東京方、右側が横浜方でございます。この場所はちょうど東海道本線と京浜東北の通勤電車がオーバー・クロスをしているところでございまして、同時に、東海道の貨物専用線が新鶴見方から入ってきている、こういう六線のある幅の広いところでございます。この図面でごらんのとおり、左側の一番上が東海道本線の上下線でございますが、これがその乗り越しのところで通勤電車の下をくぐりまして山側に入っております。同時に、京浜東北の通勤電車のほうは、ここでもって東海道線を越しまして海側に出ましてそして新子安の駅に行く、こういうふうな地形になっております。また、貨物専用線は左側の下のほうから参りまして、そしてここでもって東海道線と並行になっておるわけでございますが、ここにはポイントその他はございません。ただ六線が並行して並んでいるところでございます。こういう地形でございまして、この当該列車――八三六一列車、これは新鶴見駅を定時に出まして、この図面の下から二番目の「貨物下り」という線路を左から右に向かって進行してまいりました。ちょうど中間ごろの二十四キロ〇八〇というところに「滝坂踏切」と書いてございます。ここに踏切が一つございます。この滝坂踏切を通過いたしまして直後、七両の貨物が脱線いたしまして、そのうち二両が転覆いたしました。そのちょうどまん中に八三六一列車と書きまして、二両――上に一両、下に一両書いてございますが、これが、上のほうの一両が東海道線の上り線を支障したわけでございます。また、下のほうの一両は、これは貨物線の上り線に近く転覆したわけでございます。あと脱線車両はこれは五両ございますが、大体線路に近いのでこのとおり書いてございます。
 当時、この地域は、この貨物の上下線は、将来と申しますか、大体来年の秋ごろ横須賀線の通勤電車を通すことになっております。貨物線は現在横浜で非常に問題を起こしておりますが、いわゆる横浜貨物線と申しまして、通勤輸送対策のためにこの貨物線を、横浜の別線をつくりまして、そしてこの貨物線を東海道の湘南電車と横須賀線と分けるという工事をいましている最中でございまして、この貨物線はいずれ横須賀線がここへ走ることになっております。現在、横須賀線と湘南電車と長距離の旅客列車が全部この東海道のまん中の二本を通っておりますために非常にダイヤの密度が高いということで、通勤輸送を改善するためにどうしても横須賀線を分離しなければいけないということで、この横須賀線の分離工事を現在この下り貨物線に移すための工事をいたしております。当時も、実はその二十七日の深夜から、この附近の線路の旅客線への転用のためにいろいろ、バラスをふやすとか、あるいはいろいろな工事をやっておりました。いわゆる線路の強化の作業をやっておりました。そういった作業は全部列車をとめてやるわけでございます。それが午前二時三十分ごろに終わっております。その後若干のこまかい手直しをするために、午前九時ごろからまたこの滝坂踏切の少し東、この図面で申しますと、右側のほうで工事をいたしております。ジャッキをかえまして、そして深夜やりました工事のあと始末の手直しをいたしておりました。その手直しの工事のところでもって脱線したのではないかというふうに考えられます。車が線路に乗り上がりました地点その他を詳細に現在検討中でございまして、また車につきましても、この脱線いたしました車、転覆いたしました車並びに脱線車両約三両を工場に入れまして、現在精密な検査をいたしておる最中でございます。実はこの地点は昭和三十八年にいわゆる鶴見事故という事故を起こしたところでございます。その事故の地点は、ちょうどこの図面の乗り越しのところのちょっと下あたりが、いわゆる昭和三十八年十一月の百六十名の死者を出しました鶴見事故の発生した地点でございまして、非常に近接いたしております。三十八年の鶴見事故はいわゆる競合脱線ということで、いまもって実はまだ原因がはっきりいたしておりません。これは、いわゆる競合脱線と申しますのは、車両と線路とスピードと、この三つがいずれも一〇〇%でないというふうなことが偶然に競合して起こる脱線でございまして、これは世界のどの国におきましてもなかなか解明しがたい問題として競合脱線という名前がつけてございますが、先般の事故につきましては、速度の問題はございません。非常にきちっとした速度で走っております。と申しますのは、鶴見事故のころはまだ速度記録計がついておりませんでしたが、今度は全部速度記録計がついておりますので、この地点を何キロで走ったということははっきりいたしております。したがって、速度上の問題はございません。したがいまして、車両か線路かあるいは両方かということでございまして、いま原因はまだはっきり申し上げられませんが、いわゆる三十八年の原因不明の競合脱線とは違って、原因はそうむずかしくない原因として判明するというふうに考えられます。私ども、ぜひこれは原因をはっきりさせたいというふうに考えております。
 以上が事故の概要でございますが、鶴見事故は実は事故発生後のいわゆる併発事故と申しまして、三十八年の鶴見事故はちょうどここで脱線いたしまして、そこへ上りの横須賀線の電車が走ってまいりまして、その上りの電車がその脱線車両にぶつかりまして、今度それが下り線を支障したということで、そこへ下り線が入ってまいりまして、そしてそこで三重衝突を起こした。いわゆる併発事故と申しまして、一番私どものおそれておる事故でございますが、その後、鶴見事故後、いろいろな設備をいたしまして、幸いに今回におきましては、その下にこまかく書いてございますが、関係列車が四本ございましたが、いずれも、乗務員の非常に適切な処置とまた踏切警手の非常に敏速な措置によりまして、鶴見事故後つくりました設備が幸いに全部生かして使われまして、おかげさまで併発事故一切なしに、一番近接いたしました六一〇二列車、これが約五百メートル手前でとまっております。その意味では非常に運がよかったと申しますか、天佑だったというふうに私は非常に感謝いたしておる次第でございますが、幸いにこの四個電車の関係乗務員並びにそばにおりました踏切警手、ほとんど遺憾なく義務を果たしまして、また設備も一〇〇%働きまして、その点はささやかな申しわけになったというふうに思っておりますが、しかし、いずれにいたしましても、こういう事故を起こしまして非常に御迷惑をおかけいたしましたことはまことに残念で申しわけないことでございまして、今後原因のはっきりし次第、全力をあげてそういった原因のせん滅につとめてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
 以上、たいへん簡単でございますが、一応御報告を終わります。
#4
○委員長(西村関一君) それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○神沢浄君 私は、ただいまの国鉄総裁の事故に関する報告について、今後事故防止対策により万全を期してほしい、こういう見地から若干の質問をいたしたい、こう思うんですが、新聞の報道などによりましても、今回の場合は、たまたま貨物車であったし、したがって人身事故などが避けられたことは不幸中の幸いだと、こう言われておりますけれども、いま総裁の御報告の中にもありましたように、かつての鶴見事故を想起させるような内容や性格なしとはしないわけでありまして、そういうふうな点から、私はずぶのしろうとですから、これからお尋ねする上の一応基礎知識を得たいという点からして、さっき御報告の中で競合事故ということばが出てきております。新聞の報道などでも、競合事故の疑いもなしとしないというような報道をしておる面もあるわけですし、さっきちょっと御説明がありましたが、専門的なことですからなかなか理解もむずかしいわけでありまして、競合事故ということについてもうちょっと詳しい御説明をまずいただきたいと思うのです。
#6
○説明員(阪田貞之君) 列車が脱線いたしますときに、先ほどもちょっと総裁の報告の中にもございましたように、一つは速度がオーバースピードになる場合がございます。それから一つは、板ばねとか車両のどこかに欠陥があって脱線する場合がございます。それから、線路の状況が非常に悪くて脱線する場合がございます。それからいま一つ、車の積み荷が、偏積と申しまして、まん中に正規に載っているのがどっちかに、左右に傾いたり動きますと、それが原因で貨車が非常な移動を起こしまして脱線する場合がございます。競合脱線と申しますのは、これは一つ一つ――車両は車両、速度は速度、偏積は偏積、レールはレール、一つ一つとってみても、長い国鉄の経験の中で、これでは脱線するはずがない。脱線限度以内に必ず入っている。いながら、そういうデータがありながら、なお脱線という現象が起こるわけです。それは、先ほども総裁の話の中にございましたように、レールも完全ではない、一〇〇%ではないけれども、脱線するにはまだまだ余裕があると。まあ、車両も完全ではない、ある程度悪いのだけれども、それぐらいでは起こさないと。それらがいろんな列車、何十両つないでおります列車の動きによりまして、そこである弱点と弱点と、それから、そのときのスピードがかりに七十キロだったら六十八キロとか九キロとかというのが、ちょうどそこで振動の――ちょっとそこが一番ポイントの解明できないところなんでございますが、そういうのがどういう理由かによって重なりまして、それで脱線という現象を起こすわけでございます。これはあとからすぐ調査するんでございますが、脱線したあとのレールというのはもう御想像のとおり完全にはもとの姿ではございませんし、車自体も、脱線いたしますと、完全にはもとの姿ではございません。したがいまして、完全にはもとでない姿であるものを個々にずっとはかってまいりますので、その測定誤差もあるかと思いますが、しかし、その後にそういうはかった時点においてはどうしてもこれという原因がない。ないけれども現実に起こっているというような状態のものでございまして、なかなかこれも、特に鶴見事故――前からもやっておりますが、脱線調査委員会というものをやっておりますが、鶴見事故以後、その道の部外の大家の方々に集まっていただきまして、相当長い年限かけ、かつ北海道でも現実に脱線させまして、その究明に当たったのでございますが、いまのところ、まあ八十点程度まで究明できまして、競合脱線という名前の事故は、かつては十件から十三件起こっておりましたのが、昨年三件まで減ってまいりました。今後も極力その面の究明はいたしたいと思いますが、まあ大ざっぱに――ちょっとおわかりにくいかと思いますが、大ざっぱに申し上げました。
#7
○神沢浄君 そういたしますと、まあしろうと流に理解をすることにいたしますと、線路の問題、あるいは地盤の問題、スピードの問題、車両の問題、その一つ一つについては事故原因になる限度内である、事故原因になるまでには至ってないけれども、これが相乗するというか、全部重なり合って、そしてどこに原因があるのかはっきりしないような、まあいわば相乗的原因とでも申しますか、そういうような状況で起こるその状態を競合事故と、こういうような理解でよろしいですか。
#8
○説明員(阪田貞之君) よろしゅうございます。
#9
○神沢浄君 そうしますと、私は、今回のこの事故については、先ほどの御報告によれば、まあ目下調査中であって、いまの段階では事故原因が確認をされていないというふうに受け取っているわけなんですが、私はいまの御報告を聞いて一つ非常に不安に感じますのは、事故原因が非常に明確に出ておれば、これはまだむしろ手の打ちようがあるというか、対策はすぐにもつくわけなんですけれども、競合事故と称するような、いわば事故原因が確認しにくいようなこういう事故が生じてくるという、そのことの原因はどこにあるかという点が非常に私は重大な点のような気がするわけなんです。たまたまこの事故がありましたから、新聞などにおいてもいろいろな報道などもあったんですが、たとえばその一つといたしまして、国鉄の施設全体がもう老朽化あるいは劣弱化してきておるところに、背景というのか、真の原因があるんじゃなかろうか。そういうような状態というものが、この直接の事故原因は明らかではないにしても、いわばこの劣弱化、老朽化、そういう状況の中にどこにも事故原因が潜在をするような状態があるのじゃないか。こういうことだとこれはたいへんなことでありますし、まあ、そういうような点から、たとえば新幹線の問題などについても一つの不安が述べられているようでありますが、まあ新幹線ももう開業以来八年にもなると、こういうことでありまして、したがって、まあ、普通の場合と違いまして超スピードが出されておる。これはもう消耗や老朽の度合いも早いわけでありますが、そういうような状態がもし新幹線あたりにもうすでにあらわれてでもこようということなら、これは容易ならないことだ、こういうことが言われてもいるようでありますが、そういう点については、率直のところ、国鉄としての見解はどうなのか伺います。
#10
○説明員(磯崎叡君) 確かに先生のおっしゃいましたとおり、そういう問題、非常に重大問題でございますし、私のほう自身の生命の問題でございます。例を新幹線におとり下さいましたけれども、ちょうど先生仰せのとおり、ちょうど開業いたしまして十年でございます。やはりものには物理的生命がございますので、ちょうどある意味でいまが一番大事な時期じゃないかというふうに思っております。線路につきましては、すでに浜松附近に非常に大きな工場を、線路専門の工場をつくりまして、現在逐次六十キロという世界最大のレールに取りかえつつございます。すなわち十年たって大体いまの五十キロレールが部分的に非常にいたんできているというところにつきまして優先的に六十キロレールに取りかえまして、約三年ないし五年の間には全線、全部新しいレールに取りかえるつもりでございます。また車両につきましては、これも昭和三十九年に開業いたしました車両はちょうど十年たっておるわけでございます。車両は、実は十年たっておりますけれども、車そのものは全部中身が実ははらわたがかわっております。外見でごらんくださいますあの車両の箱ボディと、それからワクと、これだけはもともとでございますけれども、走行部分と申しますか、車の車軸、車輪、それから台車、これは全部その間に規定の年限をもちまして全部取りかえております。車と申しますのは、外は古い車でございますが、中身は、数年、十年たたないうちに、車は何年、台車は何年というふうな規則がございまして、それで取りかえておりますので、それからモーターなども全部取りかえております。そういう意味で、少なくとも走る部分については絶対間違いのないようにいたしておりますけれども、また同時に、たとえば信号関係、これもほとんど自動運転に近いものでございますので、これがやはり信号関係が生命でございます。これにつきましても、実は昨年ごろから少し事故がふえております。で、ことしの春、例の京都の、大阪におきます新幹線の事故がございました、それを契機といたしまして、大臣から全面的な再検討――と申しますか――が命ぜられまして、それをいま進ましている最中、やっている最中でございますが、そういうふうにいたしまして、線路、車両、信号、電気、その他あらゆる面で全力をあげて再点検し、また間違いのないようにいたしておるつもりでございます。しかし、いまおっしゃったようないろいろな角度から、やはり老朽という問題がないとは申せません。したがって、老朽しやすい点につきましては、根本的に取りかえるという方法でもって現在やっている最中でございまして、決して御心配をかけないようにあらゆる努力をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#11
○神沢浄君 その老朽化の問題だとかあるいは劣弱化の問題だとかいう点がからむと思うのですが、国鉄部内の一部の意見からしましても、これは国鉄経営上の問題なども当然かかわり合いを持つんでしょうけれども、いわゆる保守体制というのが非常にこう弱化してきているんではないか。たとえば保守作業の要員なども、逐次これは、まあ合理化などとかかわり合ってのことでありましょうけれども、保守作業の要員なども非常に減少をしてきておる。現に今回の事故について見ましても、ちょうど線路の補修といいますか――の作業が行なわれてまいったと、それは外注によるものだと、外へ請負に出したものだと、こう言われているわけでありますが、私などしろうとが考えますと、もちろん国鉄もある観点から見れば一個の営業でありましょうけれども、しかし、国民の命を預かっている、これは非常に重大な使命を持つものでありまして、したがって、その安全対策上の条件や措置というものは、これはもう必須の問題であって、もう絶対欠くべからざる点だと思うんです。しろうと考えをすると、これを、しかもその車両が走る土台の線路の補修等が請負に出されている。これも国鉄が直接やるんでしたら責任体制というものがある程度まあとれるわけなんでしょうけれども、請負でやっておるということになりますと、これは監督の問題だとか、あるいはたとえば作業が終わった場合の点検、検収の問題だとかいろんな点がこれはあると思うんでありますが、この外注、請負でやっております場合には、その作業の終了についてはいわゆる検収というような点について、これは万全の体制があるわけなんでしょうか。それとも、まあ作業終了の報告だけでもって終わっておるのか、その辺は私どもいわゆる利用する側からいたしますと、これはたいへん重要な点のように思うわけですが、その辺の事情などもお聞きをしたいと思うんです。
#12
○説明員(磯崎叡君) 先生の御心配ごもっともだと存じます。私どもも実は東海道新幹線をつくりますときに、東海道新幹線の保守を一体どうするかということで非常に勉強いたしました。線路も昔のような線路と違って非常に近代的な簡単な線路になっておりますけれども、その保守を一体どうするかということで非常にいろいろ研究いたしました。結局、いま先生のおっしゃったように、請負にはするけれども、その前後の監督、これも非常に厳格にすると。そしてまず工事をやっている最中の監督と、いま先生の御指摘の、でき上がったあとの検収ということを重点的にやる。最後に、新幹線につきましては初列車を走らす前に一ぺん確認車と申しまして、試運転を必ず毎朝いたしております。そういうことによって作業の結末をきちっと確認するという方法でやれば絶対だいじょうぶであるという確信を得たわけでございます。したがって、東海道新幹線につきましては、そういう方式でいままでやってきております。
 在来線につきましても、いわゆる合理化という、単に人を減らすということよりも、むしろ保線作業という非常に原始的な作業を極力機械化したいというふうな角度からいろいろ検討いたしておりましたが、この場合にも、深夜にやりました大きな工事、踏切を約六十ミリ上げたわけでございますが、その工事が、先ほどの新幹線の工事と同じように、工事そのものは外注でございますが、そこに責任者を、私どもの職員をつけ、そしてでき上がったあとにそれを検収するという体制で深夜の作業を二時何分かに終了いたしておりすす。その後きわめて簡易な手直し作業をやったわけでございますが、まだそこのところ、はっきり申し上げる段階ではございませんが、その手直し作業中の段階のミスがあったかどうかという点が一つ問題だと存じます。それにつきましては、かりに外注いたします際にも、その外注の際の現場における責任者は、必ず経験年数何年以上という厳格な規定を設けまして、そして会社との間に厳重な約束のもとに責任施工体制をとらしておりますけれども、不幸にして、あの事故につきましては、その作業中の事故であったんではないかというふうに思われます。まだいろいろ刑事責任等の問題もございますので明確には申し上げかねますけれども、作業中、列車が来るので一時ちょっと中断した際の誤りであったかもしれないというふうなことが推定されまして、非常に残念に思っておりますが、作業上のちょっとしたミスであったとしたならば非常に遺憾だったというふうに存じますが、先生のおっしゃったとおり、確かに外注にやらせっぱなしということはこれは絶対に危険なことでございます。あくまでも私どもの職員が監督し、検収し、そしてまたかりに外注の会社側につきましても私のほうの仕事の経験のある職員をその責任者にするというふうな約束のもとにさせなければいけないというふうに思っている次第でございます。
 先生の御心配につきましては、十分今後とも具体的に前向きにやらなきゃいけないというふうに思っている次第でございます。
#13
○神沢浄君 ちょっと、こう問題の点があるように思うんですけれども、いまの御説明によると、あるいはまあ作業中に生じた事件かもしれないと、こうおっしゃられておりますが、「作業中」ということは、言いかえればまだ不完全の状態ということになるんですが、そういう不完全な状態においても車を走らしているというのがいまの現状なんでしょうか。
#14
○説明員(磯崎叡君) 私のほうでは、あぶなかったら列車をとめろと、勇敢に列車をとめろということを指示いたしておりますが、この際の事態につきましてはいまいろいろ調査いたしておりますけれども、もし自分がちょっとでもあぶないなと思ったら列車とめればいいわけですから、その点、やはり多少線路保守側としては、列車をとめるということは自分たちの仕事に対する一つの恥だというふうな気持ちもないわけではございません。そういうふうな、いわゆる職人かたぎ的なものがあってこういうことになったとしたら非常に遺憾でございますので、とにかくあぶなかったら列車をとめろと、私のほうはとまれば安全なんでございますから、とにかくとめろということをもっと徹底させなければいけないと。ちょっとした、そう長い時間の手直しではないと。いわゆる本格的な工事ならば列車を全部とめまして、五時間なら五時間の間、列車を全部とめて工事をいたしますが、こういういわゆる大工事のあと始末という程度の簡単な作業でございますので、列車の間合いにやったということになりますが、そういう際にも、もしちょっと時間がおくれたとか、あるいはちょっと手順が間違ったということあり得るわけでございます。そういう際には思い切って列車をとめなくちゃいかぬということをもっと徹底させなければいけないと。どうも私のほうのこれは職員全部でございますが、列車をとめるということは非常に、何と申しますか、いやがるわけでございます。それを、とにかくとめていいんだ、あぶないときにはとめるんだというとの思想をやはりもっと徹底させなければいけないというふうに考える次第でございます。
#15
○神沢浄君 まあ、簡単な問題の応酬でありますけれども、私は御説明を伺いながら、やはりそういう簡単な問題の中にもたいへん重大な問題点がひそんでおるような感もしてならないのでありまして、たとえば線路の補修が外注に出される、請負の作業でもってやられると、その監督というものは国鉄としてこれは責任を持っておやりにならなければならないのでありますけれども、まあ、きょうは時間の関係もあってそこまで詳しくお尋ねをしておる余裕もありませんから、また後日の機会にしたいと思いますけれども、まあ、私などが不安に感じますのは、そういう監督の体制というものが十分にとれるような、いまの国鉄のたとえば保守作業要員などの員数などの点からいっても、そういう十分な体制というものがあるのかどうなのか。まあ、やりたくとも人が足らない、いないというようなことでもって、ついこれはやれなくて終わってしまう。車をとめてそうそうおくわけにもまいりませんから、つい通してしまわなきゃならぬというような事態だっても当然生じてくるわけでありましょうし、こういうふうな状況がかりにあるとするならば、私は、目の前に生じた事故というのはただ一つの局部の問題でしょうけれども、そういうような事故が発生しやすい、必然として発生してくるような、いわば事故現出の背景とでも申しますか、そういう点にこそ、私はこの問題を契機にしてそして国鉄当局自体もほんとに真剣に取り組んでいただかなきやならない点があるような感を一つ受けるわけであります。それが解消しなければ、おそらく今回にとどまらず、今後ともこういう事故、災害を避けていくことは困難じゃないか、非常に危険なことじゃないかというふうな感じがしてならないわけでありまして、内容へ入ってまいりますと、おそらく、よく問題になっておりますところの国鉄の働き過ぎというんですか、いわば経済の成長に対応して国鉄としての使命を果たしていくために、国鉄のその力以上の力を出ささせられているような点だとか、あるいは経営上の理由などもありまして、たとえば必要な員数が充足をされていないような点もあるかもしれませんし、それこそ私は大きな意味においての競合事故だということにこれはならざるを得ないと思うわけなんです。
 いろいろお尋ねをしたいんですけれども、実はちょっと時間に制約をされておりますから、質問は以上くらいでとどめますけれども、私は最後に大臣及び総裁に、要請も兼ねた上でもってお尋ねをしたいと思うんですが、今回の事故を一つの契機にして考えてみた場合に、いま申し上げてまいりましたような、今回の事故の原因が何であるかというこれも大切でしょうが、これは十二分の調査をしていただいた上でもって事故原因を把握をして対策を講じていただくことでなければならないと思いますけれども、むしろ私がこの際問題を提起をしてそして今後への対策、所信等を伺いたいと思いますのは、この目の前に起こった事故の原因――線路がどうであったとか、地盤がどうであったとか、あるいは車両の状態がどうであったとかいうことより、むしろ、いまの国鉄の事業そのものがいわゆる競合事故的な内容を持っているんでしたらこれはたいへんなことでありまして、たとえば請負に出した、監督も十分にできない、したがって、これはたいへん重大な国民の命、財産を預かる仕事でありながら、監督も十二分でないままに走らしてしまうような、検収も万全でもないにもかかわらず走らしてしまうというような、こういう事態が私は決してないとは思えないわけなんです。そうであるとすれば、そういう問題にほんとに真剣に取り組んでいただかなければ、これは今後やっぱり事故の問題というものはこれは解決できない、こんなような感じがしろうとの感覚としてするわけなんです。そういう点で、ひとつ、これからへの所信を大臣、総裁からお伺いをして、質問はこれでおきたいと思います。
#16
○国務大臣(新谷寅三郎君) いまお述べになりました御意見は全くそのとおりだと思います。
 第一には、やはり事故原因はどこにあったかということを探求するのが第一のつとめであると思いますが、その背後に、やはりおっしゃるように、国鉄の運営といいますか、国鉄全体として全職員が責任意識を持って列車の運行に当たれるような、そういうような体制というものが必要ではないかと思います。これについては労使とも非常に努力はしているとは思いますけれども、いろいろのととがありますと、そういった問題につきましても注意が不足であったり、あるいはいろいろの問題の影響が悪いほうに波及していくというような場合がないとは限りませんから、やっぱりいろんな問題がありましても、労使がこういう安全体制というものについては一緒になって取り組んでいくんだというような、そういう体質を早くつくり上げてもらうことが大事だと。いまないとは言いませんけれども、場合によりまして、そういった点についてもう少し考えたほうがいいんじゃないかという点がないことはございませんので、国鉄当局に対しましてはそういう意味で絶えず私は指示をしておるわけでございます。
 それから、おっしゃったような、毎日毎日がフル回転しておりますので、問題がありませんと、つい安易に動きがちな点もあるかと思います。これについては、やはりこれも労使が一緒になりまして、生命を預かっているんだという意識に徹底いたしまして、何をおいてもとにかく安全を第一にして職務に励んでもらう。これは従業員はもちろんのこと、国鉄の幹部諸君も同様であると思っております。
 先ほど御指摘になりましたような問題につきまして、具体的な事故が起こりますと、少しやかましいと思うくらいに運輸省からは国鉄当局に対しまして、その点は早く事故原因を究明しなさい、また新幹線等につきましても、大体物理的に寿命も来ている点があるだろうから、早く総点検をしなさいというようなことを次々と指示をしておるわけでございまして、国鉄当局もそれに対しましては本気で熱心に取り組んでおることはよくわかるんですけれども、なお、こういった原因がわかりませんけれども、前の鶴見事故と同じような場所でそれに類するような事故が起こったということは、結果としましては人命にたいした影響がなくってまずまずよかったという気がいたしますけれども、もしかりにこれが前のようなことになりますとたいへんなことでございますから、今度は特に全般についてそういう注意をいたしますと同時に、この区間につきまして何か特殊なことがあるんじゃないか、それはもしあればたいへんだから、経費をかけましても、絶対に安全なような施設を整備して、乗客が安心して国鉄を利用できるような施設をされて、それを国民に知らしてもらいたいということを言っておるわけでございまして、おっしゃる点はまことにごもっともでございまして、そういう方向でこれからも運輸省も指導をいたしますし、国鉄当局に対しましては、十分気をつけてやっていただくように指導してまいるつもりでございます。
#17
○説明員(磯崎叡君) ただいま大臣もおっしゃいましたが、私どもこの苦しい財政状態の中で、私から現場の職員に至るまで、いわば息の詰まるような仕事をしているつもりでございます。しかし、やはりどんな苦しい中でも、私どもの仕事としては何といっても安全が第一であるということ、これはほんとに私はじめみんな、現場の職員の末端まで全部、これはほんとに骨身にこたえているというふうに存じます。そういう考えから申しまして、私どもも、ついやはり苦しまぎれに、先生のいまおっしゃったようなことにしっぽを持っていっちゃいかぬということにずいぶん気をつけておりますけれども、あるいは御指摘のような点があってはこれいかぬということで、幸いこの事故はほんとに天佑神助と申しますか、また、ここに居合わせた十数名の現場職員の一人一人が全部、私から見れば百点の働きをしてくれたということ、また設備も百点に動いた、これはほんとに私としてはこれほど実はうれしいことはなかったわけでございますが、これを一つの土台といたしまして踏まえて、そして新しい事故防止の体制にどんな苦しくても進んでいくということをはっきり申し上げたいと思います。昨日も実は組合とこの問題を取り上げていろいろ話をいたしまして、非常に私としてはうれしかった、ほんとに関係職員よくやってくれた、ひとつこういうことを土台として前進しようじゃないかというような話もいたしておりますが、そういうような気持ちでもって、どんな苦しい中でも事故防止には万全を期してまいりたいというふうに申し合わせております。
#18
○委員長(西村関一君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト