くにさくロゴ
1947/11/05 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第15号
姉妹サイト
 
1947/11/05 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第15号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第15号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百四十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣送付)
○亞炭増産に関する請願(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損失補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に関する陳情(第四百六
 号)
○國立亞炭研究所を山形縣新庄町に設
 置することに関する請願(第三百四
 十四号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 四百八十号)
○東北地方鉄鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○國立亞炭研究所を山形縣新庄町に設
 置することに関する請願(第四百四
 十五号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月五日(水曜日)
   午後一時三十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○東北地方鉄鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○國立亞炭研究所を山形縣新庄町に設
 置することに関する請願(第三百四
 十四号・第四百四十五号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより本日の委員会を開会いたします。請願その他陳情が参つておるのでありますが、第一は東北地方鉄鋼業振興に関する請願、それから第二は、釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に関する請願、以上二件は東北地方が製鉄立地上、極めて好條件に惠まれておる点を強調して、政府は当該地方における鉄鉱増産のために適切なる措置を講ずべきことを要望した請願であります。藤井議員それから千田議員が御紹介になつておるのでありますが、これは一括いたしまして、重工業小委員会に審議をお願いすることに御異議ございませんか。
#3
○委員長(稻垣平太郎君) それではさよういたしたいと存じます。
 それから第三に國立亞炭研究所を山形縣新庄町に設置することに関する請願が、小杉委員の御紹介で参つております。これは、前囘これと同じような請願がありましたと存じまするので、鉱業小委員会に審議をお願いすることに御異議ございませんか。
#4
○委員長(稻垣平太郎君) それではさよういたしたいと存じます。それから陳情の部でありますが、生産合作社法制定に関する陳情、これは日本生産合作社理事長杉山慈郎氏外三團体から勤労者が組織する生産組合的な企業形態を生産合作社と名づけて、これが制度化に関して、國会の協力を求められているものでありますが、これは只今までありまする小委員会にいずれにもちよつと付しがたいように思いまするので、この点については別に特定な小委員会でも開いて審議を願うということにいたしたらどうかと存じますが、如何いたしましようか。生産合作社法制定に関する陳情ということでありますが……ちよつと変つておるのですが、勤労者が組織する生産組合的な企業形態のもの、これは特別の委員会でも作りまして、御研究を願うということにいたしたらどうかと存じますが如何でございましようか。
#5
○委員長(稻垣平太郎君) よろしうございますか。
#6
○小林英三君 今委員長の仰しやつた生産合作社とはどういう意味なんでございますか。ちよつと意味が……。
#7
○委員長(稻垣平太郎君) 大体の案は勤労者が組織する生産組合的な企業形態、これを生産合作社と、こう言うのであります。これは、大体趣旨といたしましては、勤労者がそれぞれある意味において株主になつて、そうして、一緒になつて組合的な生産形態でやつて行こうということで、生産合作社というような名前になつているのじやないかと思うのであります。
#8
○堀末治君 これは経営者と……。
#9
○委員長(稻垣平太郎君) 経営者ということでなしに、勤労者が集つて、そうして一つの企業形態を作つて行こう全部が株主になつて……これは政府が先に発表されました経済緊急対策の中で言明されている勤労者が組織する生産組合的な企業形態を制度化して、これを助長すること、こういう例の項目に対して、これを早急に実現されたいということが陳情の趣旨であります。これをただ政府では緊急対策の中で今の生産組合的な企業形態を制度化し、そうしてこれを助長する。こういつたように書いてあるのだが、これを法制化したい。制度化したい。こういうのが全体に趣旨のようであります。そういつたような形態のものを合作社と名づけて、そうして失業対策、又引揚者の生活援護、そういつたようなもののために、こういつたものを至急に拵えたらどうか。その外中小零細工業の整備再建の方策といつたような問題として、これを採り上げたらどうか。相当問題としては大きな問題だと存ずるのであります。それでありますから、特別委員会を拵えまして、そうして新たに研究したらどうか。かように考えますが、如何でございますか。
#10
○小林英三君 今のその問題につきましては、只今委員長の御発言のように臨時の特別の委員会を設けて審査することにお願いしたいと思います。
#11
○委員長(稻垣平太郎君) 特別小委員会を拵えまして、審査するということに御異議ございませんか。
#12
○委員長(稻垣平太郎君) それでは委員その他につきましては、その御指名を委員長にお委せを願うということにいたしては如何かと思いますが、よろしうございますか。
#13
○委員長(稻垣平太郎君) さように取計らいまして、後程申上げることにいたしたいと思います。
 本日は商工大臣もお見えになつておりまするので、臨時石炭鉱業管理法案のこの前の質疑を継続いたしたいと存じます。まだ一般質疑を打切つておりませんので、一般的の御質疑がある方は、引続き御質疑を願いたいと存ずるのであります。
#14
○佐々木良作君 質疑の内容じやないのですが、このような一般質疑は、まで継続されることになるのでしようかどうでしようか。
#15
○委員長(稻垣平太郎君) 大体今日まで五囘ほどこの臨時石炭鉱業管理法案の委員会を開きましたし、尚二日に亙つて公聽会を開きましたわけでありまして、若し一般的御質疑が、いわゆる総括論的な御質疑がない場合には、この前申上げましたように逐條的な質疑に移りたいと思うのでありますが、これについては一應御相談申上げたいと思つたわけですが、聞くところによりますと、衆議院においては政府の原案に対して相当の修正をいろいろ論議されておるように伺つておるのであります。從つて仮に修正されるというような場合には、本院に参りました場合に、又もう一度逐條的に繰返して論議しなければならんということに相成りまするので、これは私案でございまするが逐條的の審議ということの代りに題目を決めましてこの問題について予め皆樣方の質疑をしといて頂く。そういたしますと衆議院から囘付されましたときに、審議が速かに行われ易いのではないか。かように考えておるのであります。そういつた方法では如何かと思うのでありますが、私の考えておりまするのは、大体こういつたようなテーマにつきまして、一應商工大臣なり政府の委員から御説明を願いまして、それに対して御質疑をするという形をとつたら如何かと考えておるのであります。私の考えておりますのは、先ず本法案における商工大臣、石炭廳長官、石炭局長の権限の問題、第二に全國の炭鉱管理委員会及び地方炭鉱委員会の構成、性格並びに権限の問題、第三には指定炭鉱の指定の基準、第四には指定炭鉱の業務計画、第五には炭鉱管理者の性格並びに権限、第六には生産協議会の構成、性格、権限、第七には企業権に與える所の影響、こういつたようなものに分けて、一つそれぞれ質問を運んで行つたらどうか。そうなりますと逐條的の審議をやりまして、向うから修正案が参りました場合に、又逐條を繰返すということを避けることができるのじやないか。かように考えておるのでありますが、そういつたような運び方は如何でございましようか。
#16
○佐々木良作君 一應私個人としては結構だと思います。ただ実は委員長も御存じのように、水曜日の午後は特に緊急の用事がない限り委員会を開かないようになつておるのですが、各会派とも、いろいろ相談をやる筈になつておる。私も相談に行かなければならんのでありますが、それによつて私は出られないとしても、それが済んでしまつて、問題が轉換してしまつたら困るという意味で御質問をしたのですが。
#17
○委員長(稻垣平太郎君) 佐々木委員の仰しやつたように、水曜日には各派の打合会があるので、午後は委員会を開かないということになつておりますが、本日は予定が変つて、実は午前中、議事散会後に開くことになつておりましたが、変更をして本日この時間に及んだわけでありますからその点惡しからず御了承下さい。ただ商工大臣も御多忙のようでありまして、偶々御出席を得たのでありますから、できれば質疑を続行したら如何かとかように考えておるわけであります。
#18
○佐々木良作君 結構ですから、これで全質疑を打切らず、今の問題を轉換されずに、少くとももう一囘ぐらいやつて貰いたい。
#19
○委員長(稻垣平太郎君) 一般的な質疑を……。
#20
○佐々木良作君 そうです。というのは、ちよつとここに出て聽くだけであとここに私はおれんことになつております。他の委員でもそういうことが沢山あろうと思います。
#21
○小林英三君 佐々木君の御意見に賛成ですな。
#22
○委員長(稻垣平太郎君) 然らば如何でございましようか。一番初めは、一般質疑のことについて御意見の方はということを申上げたわけであります。佐々木委員のような仰せもありますから、さつきのようなことを申上げたわけですが、それでは一つ、引続き大臣に対する概念的、総括的の質疑を行いたいと存じますが、御質疑のある方は一つお願いいたしたいと存じます。
#23
○堀末治君 これはこの國管案に直接の問題ではございませんですが、先般も大臣にちよつとお尋ね申上げたのでありますが、北海道の石炭の不振の原因であります。当時大臣から、できれば調査班を一班乃至二班を作つて、できるだけ速かにその結末をつけたい。できることなら先月の中にでもその結論を得たい。こういう御答弁がございました。もう大分日にちも経つておりまするし、今日は十一月の五日になつておるから、恐らくその結果がお分りになつたのではなかろうかと思いますが、お分りでございましたら、この機会にちよつと承りたいと思います。
#24
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今お尋の点のことは、私は言明いたしましたが、派遣委員になつて頂く方のいろいろの御都合によりまして、下旬に三班に分けて出発して頂きまして、大体皆一日から三班とも山へ入つておる予定になつておりますので、非常に遲れましたが、三班ともの結論は、大体この月の下旬になるのじやないか。このように考えております。
#25
○堀末治君 議会開会中にお聽きできましようかしら。
#26
○國務大臣(水谷長三郎君) これは國管案の審議といろいろ関係もありますので、仮令全部が御報告できなくとも、できるものから何いたしまして、参議院の審議期間の中には、大体全部の御報告ができるようにしたい。このように思つております。
#27
○清水武夫君 商工大臣にお尋ねしたいのは、日本再建のために三千万トンの採炭が必要であるという予定は、どういう方面にその三千万トンが配炭される予定でありますか。昨年実際に取られた石炭がどういうふうに又配炭されておるか。それをお聽きしたいのであります。
#28
○政府委員(平井富三郎君) 本年度の配炭の概況を申上げたいと思います。配炭の計画作成につきましては、現在では安定本部が各方面からの需要を聽きまして、それと生産を見合わせまして、各方面の割当を決定いたしまして、石炭廳においてこれを実施して行くという建前になつております。それで例えば最近の第三・四半期、十月から十二月までの第三・四半期の例で申上げますと、先ず第一に消費規正のむずかしい部門と申しますか。或一定のベースはどうしても確保しなければならん。こういう部門があります。これは第一は山元消費であります。山元消費は御承知のように、炭を出すために必要なものが大部分でございまして、これは所要量を見込みまして、その儘これを配当する。尚山元消費の節約については、勿論努力しておりますが、これは大体所要量その儘計上しておるという部門であります。これが約五十六万トンございます。それから進駐軍の必要といたしまする、これは直接進駐軍が使いまする量でございまするが、これが約三十四万トンであります。それから輸出関係でありますが、これもやはり香港、朝鮮に現在輸出しておりますので、これも指示のありました数量をその儘計上いたしまして、これがつまり第三・四半期におきまして二十二万トン程度であります。それから輸送の関係でございますが、これも大体年間の輸送計画というものと睨み合わせまして、陸運、海運合わせまして二百十六万トン程度を現在配炭をいたしております。それから電力につきましては、第三・四半期の予定におきましては、六十四万トンであります。
 こういう以上申上げましたような需要は、産業に重要な関連は勿論持つわけでありますが、生産それ自体について直ちにそれが鉄の生産を増すとかいうようなことではございませんで、いわゆる特殊な用途及び補助的な、生産に基礎的な意味は持ちますが、生産自体ではございませんで、まあ補助的な部門に対する配炭が今申上げましたように相当数量あるわけであります。それ以外のものが各産業にばら撒かれておるのであります。
 尚申し落しましたが、この冬場以降、北海道の煖房炭の問題がございまして、これも産業には直接関係がございませんが、計画といたしましては一・四半期六十万トン程度を配炭したいということで、現在いろいろと努力を続けておるわけでありますが、それ以外のものは大体におきまして産業部門に配炭される。このうち最も力を入れておりますのが、食糧関係といたしまして硫安肥料の製造に相当力を注いでおります。それから鉄鋼、これも石炭の生産維持のために必要といたしまする重要な原材料といたしまして鉄鋼、それからコークス及びガス、これはコークス関係でありますが、重要な生産材料としてこれに重点的に力を注いでおるわけであります。その他重要な資材といたしましては、セメント等につきまして、良質のもの及び量的にも努力を続けておる次第であります。
 從來の関係から考えまして、先程申上げました山元消費から煖房炭という数量が、これは一つの、所要量が生産量以下に拘わらず充足しなきやならんという関係で、今申上げました硫安、コークス、鉄鋼、鉱山、一般の窯業関係、化学工業等につきましては、その残りが配炭されておつたというような関係でございまして、これが二千三百万トンから三千万トンに上りまして、その大部分の増加というものが一般産業の方に余計に廻されて來たということで、一般の生産物資の生産については相当寄與しているのだ。かように考えておるわけでございます。この部門別の数字はいちいち申上げることにいたしましようか。
#29
○清水武夫君 知りたいのですが……
#30
○政府委員(平井富三郎君) 申上げますか。或いは表にいたしてお配りしてもよろしゆうございますが……
#31
○清水武夫君 そう願います。
#32
○政府委員(平井富三郎君) 部門が多うございますから……
#33
○委員長(稻垣平太郎君) それじや表にして……
#34
○清水武夫君 できれば前年度のやつも……
#35
○委員長(稻垣平太郎君) 尚、今御質問の途中でありますが、木下盛雄さんが見えましたが、川村松助さんがこの鉱工業委員を御辞任になりましたので木下盛雄さんが鉱工業委員になりましたから御紹介いたします。
#36
○木下盛雄君 私木下盛雄でございます。川村君に代つて鉱工業委員になりました。どうぞよろしく。
#37
○委員長(稻垣平太郎君) どうぞ御質問を……
#38
○小林英三君 私は前々囘の委員会でありましたか水谷商工大臣に質問いたしました。それは石炭の國管案というものを御提案になりました理由につきまして御質問したのです。商工大臣の御答弁にはこの提案の理由には、現場を完全に把握すると、もう一つは生産意欲を向上さすと、この生産意欲の向上については、私は全然提案された政府の考とは反対な考え方をしておるのだ。むしろ生産意欲が落ちるのではないか。こういうことを御質問したのでございますが、水谷さんは、企業家の方では反対しておるけれども、全國の四十万の從業員、少くとも組織労働者は全部これに賛成しておるのであるから、むしろ生産の意欲が向上されて目的が達するのだ。こういうふうな御答弁があつたように聞いております。然るところ先般十六日でありましたか参議院におきまして鉱工業委員会におきまして公廳会を開いた。そのときに確か労働者側の代表者でありますところの四人の人々が意見を申述べました。それらの意見を綜合いたしますと、現在提案されておるところの國管には少くとも全面的に賛成していないということがはつきり分つた。それはその主張するところは、少くともこの國管案に対しましては、全炭鉱を管理して欲しいという。それから生産協議会はどこまでも決議機関でなくてはならんと、この二つの問題は最後の一線であるということを四人が四人とも労働者の代表、綜合労働組合の代表者としてお話があつた。而もそれらの從業員組合代表が東京に集まりましたときに、この二つのことを最後の線として守ろうじやないかということを決議されたということを公聽会の意見の中に言つておられました。私は最後に委員といたしまして、これらの四人の方に質問したのです。それではあなた方は、この政府の提案しておるところのこの國管案には反対なのか。賛成していないのか。こういうことを言つたのでありますが、それは反対ではないが、併し少くともこの最後の二つの線が守れない以上においては、我々は労働者として石炭の増産という上に責任が持てないのだと、二人の方が御答弁になつた。私は残つておつたお二人の方にも意見を聽きましたところ、全く同じ意見である。若しこの二つの点が今度の國管の修正として、守れない以上は我々は、石炭の増産として責任が持てないのだということを代表者の人が私にはつきり答弁をしたのです。そういうことになりますと、私がこの前承わりました御答弁とは大分変つて來ておるように考える。少くとも提案する上におきましては、大臣が提案の理由としてその一方の理由として、この國管案は確かに石炭の増産の目的を達せられる。生産意欲のために達せられるのだということとは大分違つております。國管案が出されるにつきましては、石炭の増産というものが目的でありまして、この増産が責任を持てない。全國の四十万の、少くとも組織労働者の代表の方々が決議までして、責任が持てないということを公の席上においてはつきり声明しておる以上は、私共は大臣の提案の理由として薄弱であるように考えるのでありますが、これにつきましては商工大臣は商工大臣としてのこれに対しての考があると思います。私共は公聽会におきまして、それを聽きました上におきましては、どうも我々に御答弁なさつた大臣の言葉と実際問題としての労働者の代表者の考え方と、大分違つておる。その点に対しまして一つお考を承つて置きたいと思います。
#39
○國務大臣(水谷長三郎君) この法案を提案するに至りました目的は、本会議におきましても述べましたように、第一は石炭の増産に対する各般の施策を石炭生産に関與する者に十分滲透徹底せしめること。第二は行政と経営と労働の三者が渾然一体となつて増産第一主義を実行し得る民主的体制を整備すること。第三は資材資金等の生産諸要素の最も効率的な活用を図ること。この三つがこの法案を出しました点でございます。只今小林委員から私がいろいろの説明の中において、この法案が通過すれば炭鉱労働者の生産意欲を振興せしむるということを言つたことをば、この法案提出の最大の理由のように強調されましたが、私がこの法案を提出いたしましたのは、只今読みました三つの理由で提出したような次第でございます。その点は予め御了承を願いたいと思います。更に又現在の資本主義経済組織の下におきまして、一つのこういうような産業に関する法案を出します場合におきましては、一〇〇%労働者の立場に立つた法案を出すことも間違いであると共に、又一〇〇%経営者の立場に立つ法案を出すことも、これは間違いでございまして、この法案がいわゆる経営者の希望と労働者の要求とのそのどこに線を引くかというところに、政府のいわゆる任務があるのでございます。労働者の立場からは國管は原則として賛成だ。是非やつて貰いたい。併しこの二つの点が最後の生命線であると言うことは労働者の立場として言うことは何ら差支えないのであつて、これは当り前のことであろうと思います。これに反して経営者の側からこの法案が行き過ぎであるとかいろいろ御批判のあることもこれ又当り前のことであります。西尾官房長官がこの法案が閣議で決定されたときに、政府を代表して発表して、この法案は労働者並びに経営者側から反対を蒙るところの案であるが、それでいいのだ。いわゆるどちらかの立場から全面的に賛成できるような案ならば、それは政府として出すのは間違いだというような意味の声明をしたのも、その点に外ならないのでございます。そこで我々は結論として申上げますが、今この法案は非常に論議の中心になつております。併しながら私等民主主義日本の國民の務めといたしましては、この法案が出るまでにいろいろの立場からいろいろの批判或いは攻撃が行われることは、これは当り前でございまして、東條時代のように、政府が出せば、全部がそれと一致してこれをば面從腹誹式に支持するというのが間違いであります。併し我々の現在の日本の國民の務めといたしましては、この法案が國家の最高意思を國会が決定するまでにいろいろの案が行われまして、そのいろいろの案に基きまして、一度國会が國家の最高意思を決定いたしましたならば、如何なる立場の者も粛然と襟を正して、その國家の最高意思の決定に從つて、石炭の生産増強に当る当らなければならないというのが、現在のこの民主日本における國民の往くべき道であろうと思うのであります。從つて労働者諸君の代表が、この二つの案をば最後の線のところは護るのだと言うのは、この法案が最後の決定を受けるまでには労働者の立場としてこれは当然言うべきところの主張であるというように私は考えております。
#40
○小林英三君 私が今御質問いたしましたのは、國管案を提出されました上におきましては、これは増産を目的にされたのだ。然るに労働者の各位はこの二つの線が守られなければ責任が持てないということを言つているのである。この責任が持てないということを言つているのは、労働者としては自分の意思としてそういうことを主張するのは当然であると今仰しやいましたけれども、それではこの前商工大臣が、資本家は反対しているけれども、全國の労働者がこの法案の通過に対しては全部賛成しているのだ。こういうことになりますと、それではどつちが正しいのか。労働者は勝手にそういうことを言うからということでありますれば水谷さんが言うように、全國の労働者がこれに賛成するということも勝手に言つておろと言えるのであつて、水掛論になるのじやないかと思います。
#41
○國務大臣(水谷長三郎君) 大体労働組合の方でも、一部の急進的な人々の考は、政府の案は不徹底であるということを言われておりますが、私らが九州その他の各地を廻りまして、只今出しておるこの政府の案ならば、これによつて十分増産をやつていけるということは今言つております。併しながらこの法案が不幸にして労働者の意思に反した若干の修正が行われた場合にはどうなるかということになりますと、多少労働者は失望するかも知れません。併しながらその失望した労働者を又振い起して、この法案を出して石炭の生産増強に邁進せしめるところに政府の努力と任務があるのでございまして、いわゆる労働者の代表の一部の者がこの二つの線において責任が持てない。ああそうですかと政府が引下るようであれば、政府の存在價値はないのでございまして、そういうように一時落胆いたしました労働者を引締めて又生産増強をやらして行くというところに、政府の努力と使命があるという工合に御了解を願いたいと思います。
#42
○下條恭兵君 只今小林委員から、公聽会のなにを取り上げて御意見が出たのでありますが、公聽会には委員の出席者が割合少かつたのでございますし全体として御存じない方もあるのじやないかと思いますが、その意味で公聽会の速記録を至急印刷せしめて配付するようにお願いしたいと思うのであります。只今の小林さんの御意見は最後の質問だつたのでありますが、私はその席に終始おつたのでありますが、労働者の諸君は組合の代表者ではありますが、そういう組合が協力するとかしないとかいう重要問題に対して即答し得る権限を以て出て來ておつたのじやありませんから、私の見るところによると、小林委員の疊かけての質問に対して答弁に当惑しておつたのであります。翌日私のところに來た一人の代表は、大変困つたのだと言つておりましたが、速記録を見なければはつきりしたことは申上げられませんけれども私の聽いておつた印象におきますと、四人が四人とも少くともそうはつきりこの二点が通らなければ協力しないとは言つておらなかつたと思うのであります。ただ労働者の立場におきまして、これより讓歩しても、お前達は協力するかと言われて、もつともつと讓歩しても協力しますと言うのは、組合の代表であれば立場上からこれは言え筈はないと思うのであります。そのような事情だつたということを附加えまして、速記録を至急審議の参考に役立つように御配付願いたいと希望する次第であります。
#43
○委員長(稻垣平太郎君) 公聽会の速記録は今印刷中ですから、もう直き皆樣方にお配りできるだろうと思います。
#44
○細川嘉六君 私も公聽人に出ておつた方ですが、労働者側の意見というものは正確なことは私もここに言えないが全体の感じとしては責任は持てないということを言つたと思います。水谷君にお聽きしたいのは、この前にもこれを問題にしたのでありますが、労働者の労働意欲というものを今までにない程に盛り上げさせなければ、これは炭鉱の成績も挙らない。そうして又政府の発表なさつた石炭に関する文書の中にも、労働者の勤労意欲というものを相当重視しておるわけです。そうしてそれは、そうなければならない。それがこの國管案におきましては、労働者の責任は重くして、実際は生産の奮起するという程のイニシアチーブを発揮させるものがない。ここに重大な欠点がある。この間からこの委員会においても、この國管案を行うとなれば現実に増産ができるかということについて他の委員からいろいろ質問が出ておるのです。それについて商工大臣水谷君の返答は、質問者に確信を與えるようなものではない。それは一つの点を抜かしておるからだ、労働者の勤労意欲が空前の程度において揚がれば、こうなるのだということを証明されれば、これは目的を達することであろうと思います。その点は全くぼやけておる。実際この法案がその点については何らの刺戟を勤労者に與えるようなものにはなつておらん。それで労働者側が必ずこの法案を支持するだろうと、水谷君が言われたのですけれども、実際は労働者というものは少くとも懷疑的に見ている。そうなつて來ますと、この増産を目的とするこの法案というものは、少くともこの重大な欠点を持つておる。目的を達するには少からざる障害をそれ自身持つておると見るより外はない。で、私は重ねて水谷君に質問するのですが、果してこれで増産ができるか、この法案を実施することによつて増産ができるかということであります。自信を以てそれは言えることであるかということをお伺いしたいのであります。
#45
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の点は、これはいわゆるこの法案が通らなかつた場合と、そうして通つた場合とどちらが生産増強になるかという、これは比較論でありまして、飽くまでも相対的なものであつて、絶対的なものではないと思うのであります。そこで前も細川さんにも私お答したのでありますが、この法案は或いは共産党の立場から、不徹底なものであるというお叱りを蒙ることは、これは尢もであろうと思いますが、それはこういうような法案がない現在の労働者の社会上、経済上の地位と、不徹底ではあるけれども、共産党の立場からは不徹底であるけれども、この法案が通つた場合におけるところの山における労働者の経済上或いは社会上の地位と、どちらがどうかということもやはり比較論になると私は思うのであります。この法案が通れば、こうだこうだということはそういう絶対的に言えるものじやないのでありまして、そういうふうにして比較をいたしまして、そうした例えば向うが五であるのに対して或いは七である。或いは八であるという工合に言えるのでありまして、私は只今の細川さんの御質問に対しまして、この法案が通らない場合とこの法案が通つた場合と比較して、私はこの法案が通つた場合が生産の増強になるということを比較的に申上げるだけのことでございます。
#46
○委員長(稻垣平太郎君) 他に御質疑はございませんか。
#47
○細川嘉六君 重ねて申しますが、労働者の生産意欲が十分揚がらなければこれは増産はできないというのが私の考なんであります。この法案では労働者が奮起するようなものは與えれらておらん。それにはこの法案というものは、前に社会党の方で作つた労働者を本当に立ち上らせる。イニシヤチーブを発揮させるようなもの、ああいうものがこの中に織り込まれなければ私は目的を達せられんと思うのだが、どういうことか社会党のあの案は段々と影を潜めてしまつて、そうして段々直し直しして今日のこういう案ができたのであつて、そうして労働者の代表というものは、この間の公聽会は総てではないが、他の組合代表の樣子を見ましても、これに対して熱意を以て迎えるというものではない。そうするとこの案は、更に炭鉱業者側もこれに対しては賛成しておらん。労働者側も賛成しておらん。両者両方から嫌われてしまつておる。そうするとこれは増産にはならない結果と見なければならんと思うのであります。誰も本氣になつてこれを扱わん。それは大事な点を落しておるからである。勤労者の労働意欲を本当に高めるようなものになつておらんからそうなるのである。そこのあたりは十分責任を持つて増産を考えられる場合には考えなければならん点じやないかと思う。実際において炭鉱のことについては、労働組合がよく組織されて、考え方もちやんとしておるところと、してないところとは出炭量も違つておる。そういうところから見ますと、はつきりしたことではないのですか。殊に石炭の生産價格の大部分は労賃によつて占められておるという関係において、本当に労働者というものが立ち上るというものを與えなければ全く増産意欲を高めるということは口だけのことになりはしませんか。何も共産党は極端なことを言うておるわけでない。これは一般勤労者と炭鉱労働者の生産意欲というものは、どうして持上るかということについて考慮することから言つておるのであります。全く現状から懸け離れてはおらないのであります。労働者の勤労意欲を眞に盛り上らせるという点が非常に大事な点と思うが、この案は全くこれと離れておる。どうも、責任を持つて政府は増産をこの案によつてやると言うが、誠にこれは危險じやないかと思うのだが、どうですか。
#48
○國務大臣(水谷長三郎君) それは細川さんと仰しやるように、眞に労働者の勤労意欲を振興さすことができればそれはそれに越したことはありません。併しながら一〇〇%労働者の勤労意欲を振興さすことはできなくとも、仮令七〇%でも五〇%でも振興さすことができれば、それだけ生産増強に役立つのでありますから、政治というものは諸般の事情を斟酌いたしまして、やはり落着すべきところに落着くのであります。從つて私はこの法案は絶対的のものでなくて相対的のものであるということは、そういう点を指すのでございまして、我々は一〇〇%或いは労働者の勤労意欲を振興さすことができなくとも、仮令七〇%でも、或いは時と場合においては五〇%でも労働者の勤労意欲を振興さするに役立つことができるならば、その法案を採るというように我々はせねばならんのじやないか。このように考えておる次第であります。例えばもつと突つ込んで具体的に、それは生産協議会なら生産協議会の場合に、こうすれば一〇〇%振興さすことができるのだという具体的な例を細川さんがお示し下さいますならば、私はそれに答えて、こうしておるから七〇%振興さすことができるのだという工合に、具体的にはつきり答えることができると思うのでありまして我々はそういうような絶対的な立場に立つておらないで、相対的な立場に立ちまして、この法案というものを眺めなくてはならないのではないかと、このように考えておる次第であります。
#49
○堀末治君 この質問は前にも一度お尋ね申上げたのでございましたが、どうも私大臣の御答弁ははつきり呑み込めません。当時大屋君からも、どうも私もその答弁は分らない。こういうのであります。当時はもう時間がないのでそれでその時は終つたのでございますが、甚だ恐縮でございますけれどももう一遍重ねてお伺いして見たい。
 それはこの十月三日、マツカーサー元帥の片山首相に対するこの國管問題に対する書簡に対して、政府は急遽増産非常対策要綱というものを発表せられたのであります。この対策要綱は國管を前提としての要綱であるか、若しも國管案が成り立たないで、在來の私企業の形におかれても、政府としてはこの対策要綱をこの儘に推進するのでございますが。私かように尋ねたのでございますが、当時の大臣の答弁はどうも私呑み込めませんでございましたが、今日もう一遍、この点についてはつきり聽かせて頂きたいと存じます。
#50
○國務大臣(水谷長三郎君) それは前にもお答えいたしましたように、このいわゆる石炭非常増産対策要綱というものは、いわゆる國管と関係のあるものではございません。併しながら私の信ずるところによりますならば、この石炭非常増産対策要綱を強力に推進さして行くためには、只今御審議になつておる國管が必要である。このように考えております。これは私個人の意見であります。
#51
○堀末治君 それでお考の程は分りましたが、私思いまするのに、この片山内閣が成立いたしまして、当時すでに石炭の増産が強く叫ばれておつたのであります。私共この鉱工委員として初めてこの席に出席いたしましたのは、確か六月の十四日……三日か四日だつたと思いましたが、その時に石炭廳の吉田次長並びに生産局長が見えて、縷縷石炭の生産の状況の御説明がありました。と同時に、非公式ではあるかというて、まだ一向決まつておらないかというて、吉田石炭廳次長からこの國管案の大体の骨子についてお話がございました。それ程政府が重要な政策としてこの石炭の増産を取り上げておつて、六月、七月、八月、九月、十月、約この期間四ケ月程ございまするのでありまするが、その間とても、石炭の増産が政府の思うように、又國民が思うように増産されておりません。然るにも拘わらず、マツカーサー元帥からこの國管案の上程に対して書簡を頂くまで、なにもこの増産に対して政府自身が手を打たないでおられた。この点私は甚だ遺憾に思うのでございまするが、これらの点については如何なる事情がございましたが、それらについて御答弁願いたいと思います。
#52
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今堀さんは七月、八月石炭の増産に対して、政府は何ら手を打たなかつたというお叱りを蒙りましたが、手を打つたか打たないかは、七月、八月、九月の石炭の生産増強の現実が示しております。現に國会においては七月に石炭増産に感謝決議をした。この事実は、その裏面において政府が如何に大きな手を打つて、日本の石炭増産をば初めて一〇〇%を突破せしめたかということを雄弁に物語つておるのでありまして我々はそういう主観的な感情論でなく動かすことができないいわゆる事実を以て、政府が如何に石炭の生産増強に手を打つて來たかということを雄弁に立証したい。このように考えます。
#53
○玉置吉之丞君 只今までの質問なり應答を伺つておりますと、これがやはり増産になるかならんかということが私共の一番狙い所でありますし、又皆さんもそうであろうと思うのでありますが、経営者の側において全面的に反対をしておるということは、これは公知の事実であつて、すでに我々の手許にいろいろな陳情が來ておることに徴しても明らかであろうと思うのであります。又一面労働者の方の側の公聽会その他の場所における話等を総合いたしますと、これも亦肚の底からこういうものに賛成をしておらん。或いは見方によれば、ないよりましかも知れんというような考え方をしておるような話合もあり、又先刻小林君から御指摘になつたように、この間の公聽会の労働者側のお話は、要するに炭鉱全部を対象にせんけすれば、これは意義をなさん、又この生産協議会というものが一つの決議機関であつて、それが権威のあるものでなければ、我々としては認めないというよふな議論をしておりました。そうすると、政府が考えておるように経営者は固より喜ばない。又只今細川君からもいろいろ、これは細川君は又別の立場においての御議論もありましようが、労働者の労働意欲を高めるようなものは織り込まれていないじやないか、こういう質問に対して大臣は、それはもう一〇〇%は行かんが、三〇でも五〇でも、それだけ満足させられるようなことを申しておりますけれども私はこの國管案がそういうところに狙いをつけて、果してこれが増産になるかどうかということに、多大の疑問を持つのであります。
 一体生産の面において、生産を増強するというこの目的を達成するためには、経営者側も労働者側も渾然一体となつて、この重要なる石炭の増産をせんければならんという意欲を増すためには、こういうような政治の機構の一部をいじるとか、政治の改革をするということだけではいかないことは固よりでありますが、大臣は度々経営者と労働者と政府とが三位一体となつてこの増産に邁進する、こういうことを高調されておりますけれども、私共は戰爭中によく軍官民が一体となつて云々ということを聞いて、軍部の人が我々の工場に出て來ていろいろな話をし、又素人考から工場の中へ入つて管理に等しいような指導をした。その結果は今私が喋々申上げるまでもなく、各業界においてその面に当つた者が非常に迷惑し、而してその結果が増産どころでなくて、非常な減産を來しておるという事実は、これは私はここで時間を要しますから申上げませんけれども、そういう事態に考えて、淡い夢を見るような、政府の力というものはどういうようにお考になるか知れませんけれども、私は内閣というものが迭ると政府の要路の大臣が迭り、そうすると前にやつたことが又変つて來るというような点で、一貫して、あなたが考えておるような熱意のある商工大臣ばかりならばいいが、石炭の問題に対して熱意を持つても考え方が違うというような人が出て來て、そこに又その人の考の盛り込まれたような指導原理を以て政府が石炭の炭鉱に対して、いろいろなことを干渉するということは、却て増産を阻むというような結果になりやしないか。現に官業である鉄道なり逓信省の仕事その他等の点を考えてみますと、國家の管理に移すということが先ずこれは國営の前提でもありませんが、そういう國家管理に移すというようなことによつて、労働者が非常に自分の地位が高められ、又親船に乘つたような、なんだかこういう氣樂な氣持になるような考え方をして來はしないかという憂いを持つておるものでありますが、こういう点に対して、もう少し増産ということの面から考えて、こういう案を、経営者も喜ばない、労働者も喜ばないというようなものを持つて行つて、政府がそれをいろいろ資材その他資金の面を積極的に世話をする。そういうことによつて増産ができるということの説明も聽きましたけれども、私は今政府が七月からずつと十月までに手を打つたから増産ができておる。こういうことを堀君の質問に対してお答になつたのでありますが、これを事実に徴しますと、資金に面にいたしましても、今日の貨幣價値から申して僅か二千万円か三千万円の金を借入れるために、九州の端なり北海道の端から炭鉱経営者が上京して來て、我我のお世話をしておる石炭協力会等にも、いろいろな協力を求めて來ておりますが、私は今日のこの貨幣價値において三千万円や五千万円の資金を、石炭増産に必要な資金を借りるため、東京へ業者が上つて來るような、そういうようなやり方で以て果して政府は積極的に炭鉱の業者に対して石炭の増産に向つて資金の面の世話をしておるというようなことは言われないと思うのであります。これらのことはよろしく日本銀行の北海道の支店もあり、又附近に商工局の出張所もできておるのでありますから、そこらで以てそういうことを賄つてやるという手を先に打つことが私は増産であると思うのであります。殊に炭價の問題を決めるに当りましても、それをどのくらい、重要な産業の本をなす石炭の價格を決めるその機関にしても、当業者なり又その各界各方面の権威者を集めて委員会でもつくつて、石炭の値段を直ちに決めて行つて上げ下げをみて行つてやる。こういうような價格の面に対しても後決めをするというようなことをした結果が、減産を來たしておるという最大の原因をなしておる一つの事実に徴しても、政府は打つべき手を打つということでなければならん。例えば九州において十五万キロの電力が炭鉱の面において要るということに対して、十三万キロしか電力が出ない。もう二万キロ出るなにかの手を打てば、十分増産できる。同じ商工局の管理下におけるこの炭鉱の電力がもう二万キロ増すということにおいて増産ができるというこの問題に対して、電力をもう二万キロ増す手を打てば打てるということを私は聽いておる。それに対しても幾度か会議を開いて今にこれが決定できないというような、こういう生ぬるい手を一方に打つておつて、ただ國管案によつてこういうやり方をすれば増産ができるというようなことは、私は少し腑に落ちないのでありますが、そういうことに対して、もう少し深く穿つた、一つこういうことによつて増産ができるのであるという得心の行ける大臣の御説明を伺つてみたいと思います。
#54
○國務大臣(水谷長三郎君) 玉置さんの得心を得るかどうか知りませんが、先に小林さんの御質問に答えましたように、三つの点を挙げて、今度の國管をなぜやらなくてはならないかという点を挙げておるような次第であります。いろいろ石炭の点に関してお叱りを蒙りましたが、併し前の私の関係しない内閣の時分のことを言われましても、これは私として答えようがないのでありまして、私らといたしましては炭價の先決めをやつたのでありまして炭價を先決めせずにずつと放つて置いたのは、前の内閣の時代でありまして私らの方といたしましては、内閣を取りまして、直ちに六月十一日に経済緊急対策を開き、そうして物價の改定をやりまして、炭價の先決めをやつたような次第であるのであります。又その電力の点に関しましてもいろいろ議論がありまして、それはもう私らも十分分つておることでございますが、併しその電力の供給ということに関しましても、直ぐに資材にぶち当るのでありまして、なかなかこういうことをやりたいと思いながらも現にやれないので私らの調査によりますと、現在の既存の火力、水力をばフルに囘復するにおいても、現在の資材関係では約三ケ年かかるというような状態に置かれておるのであります。更に又石炭の増産或いは資材の面に関しても、いろいろの点を今御批判なされましたが、併しながらこの石炭というものが、外の重点産業と言われておる鉄、肥料或いは電力、そういうようなものに較べてさえも資金、資材に対してどのくらい優先的に扱われておるかということをお考え願いますならば、その点は十分御了解願えると思います。勿論我々はこの石炭産業というものは最重点企業と言つておりますが、現在のこの乏しい経済事情の下においては、そのいわゆる最重点主義においても限度があるのでありまして、一〇〇%石炭企業の要求が資金、資材その他の面において應じ兼ねるのは、すべてそういう点であるのでありまして、その点は一つ御了承を願いたいと思います。
 尚この國家管理法というものは石炭増産の組織法でありまして、いわゆるこの國家管理というものの法律一本で石炭の増産ができるものではございません。即ち石炭の増産に対しましてはペニシリンのような特効藥はないのでございまして、あの手この手を打たなければ、この石炭の増産というものはできないのであります。この法案はいわゆる石炭増産の組織法でございまして、この組織法にいろいろな施策を噛み合せて、やつて行くということで、初めて石炭の増産というものができるのでございます。私といたしましてもこのいわゆる國家管理法案というものは、これが石炭増産のペニシリンであると、そういうようなことは私は考えておりません。これは一つの單なる組織法であつて、この組織法を中心にいたしまして、いろいろの増産対策を織り込ますことによりまして、石炭増産対策というものができるという工合に、さよう御了承を願いたいと思います。從つて政府といたしましても、石炭非常対策要綱を発表し、更に又最近の炭鉱の資金の問たに関しましては炭鉱特別運轉資金融資要綱というようなものも考えております。更に又石炭非常増産対策実施に関し、推進議関設置の件、こういうようなものを考え、又最近いろいろの手も考えておりましてこういうものがすべてこのいわゆる組織法の國管を中心にいたしまして運轉されまして、ここに初めて石炭の増産というものが期待できると、かようにまあ私は考えておる次第でございます。
 更に又玉置さんから、経営者或いは労働者も一〇〇%喜ばない法を無理矢理に出す必要はないのじやないかというお叱りも蒙りましたが、これは玉置さんも恐らくお子さんがおありでございましようが、いわゆる子供が駄々をこねたときに、親は自分の言うことが正しいということを考えなければ、子供の駄々を退けることができん。親は子供を教育して行かなくてはならんのでありまして、子供が駄々をこねたから直ぐそれに……親の思う通りに行かんというようなことでは、結局その子供をスポイルさすだけでございます。我々は労働者並びに経営者それぞれの要求を聽きながら、どこに線を引くかということを一つ國家的な大きな立場の上に立つてやつて行くところに、いわゆる國家の使命というものがあるのではないかと思うのでありまして、その点は一つ御了承を願いたいと、このように考えております。
#55
○玉置吉之丞君 今大臣のお答を聽いておると、この案はペニシリン程には効かんというように仰しやつておるのですが、そこが私共と見解が違うので私共はこれは胃散くらいな、毒にも藥にもならんくらいの、ひよつとすると毒藥か劇藥じやないか知らんと思うのであります。あなたの言われるペニシリンの話も聞いておるけれども、私は実はまだ注射したことはないのでありますが、死にかかつておる者でも治るというくらいな藥だそうでありますがそういう考え方と私共の心配しておるところは全然違うのであります。その根拠は、私は別にペニシリン程効くとは思いませんが、それ程大事なことでないこれが毒藥になつて、石炭増産に惡い作用を來しやしないかということを心配いたしておるのでありますが、こういう問答を繰返しておつても、商工大臣はなかなか練達堪能な弁士でありますから、口では我々太刀打ちできん。それはそれとして、一体新鉱開発による石炭が、五ケ年計画でこれだけのものが堀れるということをお出しになつておるのでありますが、これには深い根拠があつて、何処の地区にはどういう炭鉱が幾らで、どういうふうな工合だという根本数字を……別に大臣の答弁を求めておるのではありませんが、資料があれば、この根拠を一つお示し願いたい。これは漠然とこういうものを出して我々を喜ばして呉れておるんでは詰らんと思いますので、根拠をお示し願いたいと思います。ただ私はそのお答を望んでおるのは、毒藥にならんということをもつとはつきりと聽かして頂きたい。こう思うのであります。
#56
○政府委員(平井富三郎君) 新鉱の計画で、昭和二十三年度に二十万トンと計上しておりますのは、大体対象地区として七地区を考えております。北海道の遠幌地区、三井福住地区、太平洋地区、赤平地区、沖ノ山地区、小倉一坑杵島五坑地区を考えておる次第でございます。これはすでに現在著手しておる分が大部分でございまして、これによつて來年度二十万トン程度は見込み得るのじやないかと、かように予定しておる数字であります。
#57
○國務大臣(水谷長三郎君) 尚附加えて置きますが、新鉱の問題は二十三年度におきましては、出炭炭鉱七、堀進炭鉱二十二、それからこれによる出炭はここにありますように二十万トン、二十四年度は出炭炭鉱十七、堀進炭鉱三十一、出炭高五十万トン、二十五年度においては出炭炭鉱二十七、堀進炭鉱三十七、出炭高百五十万トン、二十六年度におきましては、出炭炭鉱三十七、堀進炭鉱三十七、出炭高三百二十万トン、二十七年度におきましては、出炭炭鉱三十七、堀進炭鉱三十七、出炭高五百七十万トンという工合に予定しておりまして、二十三年度における出炭炭鉱は、只今政府委員が御説明申上げた通りでございます。
#58
○委員長(稻垣平太郎君) これは何ですか、新鉱開発による大体資金が幾らというような御予定は分つておりましようか、二十七年度までの御予定であります。ということは、前にも私ちよつと数字を頂きたいということを申上げたのでありますが、大体三千万トンに対して、現在設備による出炭高は二割何ぼ殖えるのに対して、新鉱開発によつては一割何ぼしか殖えない。これに対する資金の割合はどれくらいお使いになるか、それによつて一体新鉱開発に力を入れるのがよいか、或いは現在設備をもう少し充実するのがよいかという問題もあろうかと思いますが、その点の数字を頂きたいということをこの前私ちよつと申上げて置いたと思うのでありますが、この数字というのは、数量の意味の数字でなしに、金額的にどれくらい掛かるかということを承知いたして置きたいと思つておつたのでありますが……この資材にありましたので分りました。
#59
○政府委員(平井富三郎君) お配りしました資金計画の表に、起業設備資金といたしまして、昭和二十三年度が約百二十八億程度が計上してございますが、これの算定の仕方でございますが五年度に亙ります新鉱の出炭の予定及び一般炭鉱からの出炭の予定、及びこれに伴なう資金、資材の予定を一應立てましたのでありますが、この数字の中で、いわゆる現在設備による出炭高で、新鉱からの分と二つ別けておるわけであります。その中の現在設備によります分の出炭高というのは、現在稼行しておりますものからの出炭と、それから現在の設備を利用しまして、新しい地区の採炭に……例えば現在採つておるものは段々と下層に移るために新しい施設をして堀つて行くというような点も含んでおるのでありまして、要するに現在の設備を基本にいたしました現在の復興地区からの出炭というものは、今後むしろ漸減して來るという傾向に相成るわけであります。即ち第一表でございますが、現在設備による出炭高というものは、二十七年度におきまして、二十六年度よりむしろ下降する傾向になつて來ることになるのでありまして、大体におきました現在採堀しております箇所が相当行詰つたのでありまして、現在設備によります分ま相当な危機を含んでおるわけであります。而して石炭の需要から申しますと、二十七年度におきましては、どうしても四千万トンを超えた数量を以てしなければ、日本の経済の平衡を得るということは困難でありますので、その面からやはりいわゆる新鉱にも相当現在から着手して行かなければならん、こういうような情勢で新鉱の計画を立つたわけであります。將來現在の設備を一〇〇%利用して、尚且足らん。どうしても新鉱に移つて行かなければならんという観点から、この新鉱の計画を立つたのでありまして、その点はこの計画を立てました根本の建前であります。それから資材につきましてもその観点から現在の設備を基本にいたします出炭と、新鉱開発による出炭と分けてありますが、資金の計画につきましては、これは計算をいたしますれば出るわけでありますが、大体におきまして資金の関係においては、総括的にどのくらいの資金が要るかということが根本の問題になりますので、この資金計画におきましては、大体現在のコストの内容その他を見まして、所要資材、或いは所要人員等から総計費を出しまして、経費で落すべき分を落して、いわゆる純起業費というものを彈き出したわけでございます。大体そういうような計算方法になつております。
#60
○委員長(稻垣平太郎君) 外に御質問はありませんか……御質疑がありませんければ、今日はこの程度で閉じたいと思いますが、よろしゆうございますか。
#61
○委員長(稻垣平太郎君) それでは本日はこれで散会いたします。
   午後二時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           清水 武夫君
           荒井 八郎君
           木下 盛雄君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           鎌田 逸郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト