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1947/11/27 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第20号
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1947/11/27 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第20号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第20号
  付託事件
○石炭生産確保に關する陳情(第二十
 一號)
○自轉車の價格改訂に關する陳情(第
 三十四號)
○石炭増産運動に關する陳情(第四十
 四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 百七號)
○炭鑛國家管理に關する陳情(第百四
 十四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 百八十三號)
○石炭政策審議會設置に關する陳情
 (第百九十五號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 二百四十九號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 二百五十六號)
○臨時石炭鑛業管理法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○亞炭増産に關する請願(第二百七十
 一號)
○配炭公團を即時廢止することに關す
 る請願(第二百八十四號)
○石炭生産損失補償金支拂促進に關す
 る陳情(第三百七十九號)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に關する陳情(第四百六
 號)
○釜石製鐵所銑鋼一貫作業再開促進に
 關する請願(第三百七十九號)
○生産合作社法制定に關する陳情(第
 四百四十七號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 四百八十號)
○東北地方銑鋼業振興に關する請願
 (第四百二十四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 五百六十四號)
○炭鑛民主化に關する陳情(第五百七
 十九號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月二十七日(木曜
日)
   午前十一時三十五分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○臨時石炭鑛業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより本日の委員會を開催いたします。昨日の委員會におきまして委員各位より御希望がありました衆議院の速記録を調査して欲しいというお話でありましたが、その件につきましては、松平議長を通じまして衆議院の速記録を拜見さして頂いたのであります。それによりますと、二十五日の本會議席上における松本七郎氏の修正案提案の説明には「詳細はお手許に配布されております印刷物によつて御了解願うことにいたしまして、極く主なる點のみ申し述べたいと思います。」と速記してございました。尚原案の三十三號及び原案の第五十三條は説明が省略されております。次に原案第六十九條は印刷物は訂正されておりませんが、説明には「この法律の施行の日から、と改めたのであります。」というように明かにお話になつておるようであります。それから第六十四條でありますが、これについては説明が省略されておるようであります。但し第八條に對するこの條文は罰則でありますから、修正案において第八條は「その他の政府職員」は削除され、「檢査」は「監査」に訂正されておるようでありますので、説明を省略されたのではないかと想像せられるのであります。速記録を調査いたしました結果は、さような次第でありますから、これを御報告いたして置きます。尚議長を通じまして、當方の事務總長から衆議院の事務總長に照會いたしました結果、當院に囘付されておりまするところの案が即ち向うの正式の修正案であるという御答辯でありまして、本日皆さまのお手許に配布されておるものが即ち衆議院を通過しました原案竝びに修正案であるということであります。それによりまして審議を續行して行きたいと、かように存ずる次第でございます。さよう御了承をお願いして置きます。それで昨日の松本氏の御説明についてのこれから質問を續けて行きたいと思いまするが、御質問のあるお方は御質疑を願いたいと思います。
#3
○堀末治君 質問に入るに先立ちまして議事の進行について一言お伺いいたしたいと思います。よろしうございますか。
#4
○委員長(稻垣平太郎君) はい、どうぞ。
#5
○堀末治君 實は法案の審議に先立ちまして、まず委員長の御意見を一つ承りたいと存ずるのであります。只今本院に付議せられました臨時石炭鑛業管理法案は頗る重大な法案でありますることは、改めて私申し上げるまでもございませんのであります。又そうしてこの法案なるものは我が國の再建の途上におきまして誠に喫緊不可缺の要請であることもまた敢えて私が申し上げるまでもございませんのであります。私どもはこの鑛業委員會におきまして政府から大體の國管問題の構想を承りましたのは、確か本年の六月十四日の本委員會であつたと存ずるのでありますが、その後大臣初め政府の當路のお方々が、北は北海道から南は九州各地、竝びに常磐各地の炭鑛を隈なく御視察になり、大臣の如きにいたりましては褌一本になつて自ら地下二百尺の切羽の現状まで詳細に御研究になり尚又私ども兩院の議員諸公もこの政府の熱に呼應いたしまして、それぞれ調査班を作つて各方面に亙つて實地調査をし、この施策をして誤りなきを期したのでありました。併しその後法案の作成に當つては、最初政府が脱兎の如き勢いを以て熱意を示して、法案の作成にかかつておられたようでありますが、その後いわゆる處女の如くと言いますか、漸くその法案が提出されたのは九月の末と存じております。同時にマツカーサー元帥からあの法案に對して誠に痛烈な批判的な希望條項を附して首相に書翰を寄せられたことは改めて申上げるまでもなく、お互いに今尚記憶に新たなるところでございます。その後衆議院の審議の状況を見ますと、誠に遲々といたしておりまして、二ケ月を經た數日前、漸く衆議院を通過した、かような状況でございます。その間の審議の状況は誠に我れ人ともに心外に堪えないような状況を呈しておりまして、これは誠に遺憾に存ずるのでございますが、さような状況で漸くこちらの方に昨日廻つて參つた、かようなことでございます。その間凡そ當委員會としては殆ど何らの審議を盡すこともなく、徒らに六ケ月間に餘る大切な會期を過ごした、かような状況でございます。當委員會といたしましてはこの間僅かに特許法案が一つ審議されただけで、後は何もいたしておらない。僅かに數件の請願竝びに陳情の審議をしました。かような状況でございます。他の常任委員諸君はなかなかに重要法案を澤山抱えて非常に忙がしくも亦精勵せられておるにも拘わらず、當委員會だけは何らの法案もなく空しく過ごしておつたということに對しては、非常に不成績を遺憾に存ずるのでありますが、從つて今この會期が今明日に差迫つた今日におきまして、この重要法案を審議する。而も参議院のその審議の状況を見ますと、委員會においては殆どこの重要法案を審議を盡されておらない。而もその審議の結果は大多數を以て否決と決められたのでありますが、その否決と決められた法案が本會議において僅か四十分の論議において採決になり、遂に可決になつて本委員會に廻つて來た。私ども初心の議員といたしましては、どうもその邊の經緯が甚だ了解に苦しむものがあるのであります。私といたしましては、かねて本委員會においても申上げました通り、イデオロギー的にはかような法案には不賛成を唱えるものでありますけれども、併し商工大臣は、たびたびこれはイデオロギーから出ておるものではない。徹頭徹尾増産を目的とするものである。かように仰せられますので、若しも眞に増産を目的とするものでございまするならば、尚又本當にこの法案が果して増産が可能なりという見透しがつくものでございますれば、私といたしましても決して本案に賛成することに吝かでないものの一人でございますが、この點につきまして僅かにここ二、三日の會期を以て、この重要法案の審議が本當にできるかどうか、この點について非常な懸念するものであります。私どもといたしましても貧弱ながら産業陣の一人として、いろいろな事業經營の經驗を持つておることでございまするから、飽くまでもこの法案が増産閣能なりという、いわゆる計數的の事業目論見が附随せられておらなければならない。固より法案そのものは大臣も仰せられた通りこれは組織である、こういうお説でございまするが、組織ばかりでは仕事ができないことは、敢えて本員の説明を待たないのでありまして、どうしても組織に伴うに詳細なる計畫がなければならない。實はかようなことでございまするが、それらのことについても遺憾ながら衆議院において政府當局の御説明を承ることはできなかつたように思うのであります。
 さようなことでそれらのことをこの短い期間で果して審議ができるかどうか。現に本委員會におきましても先般衆議院の審議が遅々として進まないのに對して、當理事會の決議を以て本月十日までに囘付をして貰わなければ困るという御相談になつたことを承つておるのでありますが、その後理事會のいいろな御相談で、十五日までということで、その後も遅れるということになれば、本委員會は責任を持つてこの審議に當るわけには行かない。こういう希望申入を衆議院にいたしておるのでございまするが、その後衆議院がああいうような状況で遅れ遅れて、漸く昨日本院に廻つて參つた、かようなことでございます。
 さようなことで誠に重要な法案を審議するにつきましては、定められた會期は今日、明日、明後日三日よりない、かようなことでございます。聞くところによれば會期の延長をするということでございまするし、なお又昨晩委員長自身もラジオでそれらの點について、御放送遊ばされておつたということを聞くのでありまするが、私どもといたしましてはこれを本當に愼重審議するのには、餘程十分に時間を與えて頂かなければならない、實はかように思うのであります。
 殊に衆議院を審査の状況に照して一層その感を深くいたす者でございまするが、これらに對して委員長といたしましてどういうふうにお考えを遊ばされておるか、それらを承りまして自分の心構えを決めて本案の審議に當りたい、實はかように存ずるのであります。從つてこの點について委員長の御腹臟ない御意見を承りたいと、かように存ずるのであります。
#6
○委員長(稻垣平太郎君) 只今堀委員から審議の期間の問題につきましてお話がありましたのでありまするが、その中に昨日放送云々のお話がございましたが、私は放送いたしておりませんからこれは訂正を願いたいと思います。何らこの問題について私自身發表いたしたこともございませんし、お話を申上げたこともないのでございます。その點はお含み置きを願いたいと存じます。
 尚本案につきましては、お話の通り本會議を除きますると、今明日しかないという状態に相成りまするのでありまするが、昨日議院運營委員會におきまして、西尾長官も見えまして、會期の延長についてお話合いがありました。尚常任委員長會議を開催いたしましたときにも、各委員會の審議の状況を、實は議長より聽かれたのであります。それにつきまして私といたしましては、相當の審議期間、只今堀さんのお話になりましたように、十分參議院の當委員會といたしましては、十分審議を盡した上で本当に態度を決めたいとも存じまするので、相當の期間が必要であると、常任委員長會議には申出して置いたのであります。
 從つてどのような決定が……、いずれ本日の運營委員會で衆議院と折衡の結果、何日か会期が延期されることと存じまするが、私といたしましては常任委員長會議において、相当の期間の延長がなければ、審議が困難であろうということを申出しておりまするので、それを考慮されて相當期間の會期の延長が實行されることと思うのであります。會期が延長されるということが決定いたしました場合におきましては、一つ皆さま方に時間的に御勉強を願つて。できるだけ十分の審議を盡し、尚且つ本法案に對する當委員會の決を決めたい、かように考えておる次第であります。そのお含みでできるだけ迅速に尚且つ愼重に御審議を願いたい、かように存じます。
#7
○小林英三君 私はこの修正案を審議いたします場合に、この問題の原案の提案者でありまする商工大臣が、修正案に對してどんな御意見を持つておられるかということについて承わりたいと思います。
 尚この機會におきまして、委員長にも、この審議の上におきます一應の希望を申上げて置きたいと思います。國管案が論議されておりましたのは、確か片山内閣が成立いたしましてから、六月に入つてから、商工省案としての石炭の國管案が新聞紙上に出たのであります。その後我々は安本案といたしましての國管案、いろいろのものを新聞紙上で承知しておつたのであります。本委員會におきましても、確か六月十四日頃かと存じまするが、石炭廳の次長が參られまして、商工省の考えておる炭鑛管理法案につきましての、一應の御説明を拜聽したと思つております。
 その後いろいろ新聞紙によりまして、與黨三派の間におきまして、この國管案を繞りましていろいろな意見が出まして、そうして結局確か九月の末あたりだと考えておりまするが、いろいろな經偉を辿りまして、そうして原案が國会に提出されたというように考えております。ところが原案が國會に提出されまして、與黨三派の間におきましても、いろいろその立場の上から、この原案が論議されまして、そうして結局とどのつまりが先般の民主黨の案を三派の共同提案として、國會に修正案として出すというような運びになつたように私共は考えております。
 私はこの際水谷商工大臣にお伺いいたしたいと思いますることは、この原案が、とにかく三派の間に妥協ができまして、協定ができまして、あの原案が國會に提出されましたときに、水谷商工大臣は、確か九月二十七日かの衆議院の本會議におきまして、國管案の提案の理由を説明されております。その中で、私はこの委員會におきましてもちよつとお尋ねしたことがあるのでありますが、水谷商工大臣のこの國管案の提案理由の中に、こういうことが言つてあるのであります。最初は省略いたしまするが、「一方インフレの前途は容易ならんものがありまして、このまま放置いたしまするならば、我が國經濟の前途は重大なる事態に立ち至る虞れがあるのでございます。而して經濟安定の手掛りといたしましては、石炭の増産をおいて外にはないと信ずるものでありまして、この故に石炭増産のために格段の措置を講ずることが必要となつたのでございます。即ち現状におきまして、十分でない政府の現場把握を強化いたしまして、増産第一主義の障害となる事情を除き、増産の推進力でありまするところの經營者及び從業者の生産意欲を増大するということが絶對に必要であると考えておる次第でございます。炭鑛の國家管理は、このような實際の必要を滿足させるために緊急の措置として考えられたものであります。」、こういうことが述べられてあるのであります。この説明といたしまして、第一、第二、第三というような工合に商工大臣は説明をされております。
 私は、このいろいろな經緯を通つて來た原案が、修正案として衆議院を通過して、參議院の本委員會に付託されたのでありますが、この原案に對するお考え方、政府はこの非常に大幅な修正をいたされましたるこの修正案に對して、尚且つ右炭に對する増産が可能であるか、石炭の増産ということができるかどうかということに對する信念をお伺いしたいと思います。
 序でに私は、只今私が水谷商工大臣の提案理由の一節を申述べましたが、このことに關しまして尚一應お尋ねしたいと思うことがあるのであります。それは現場の把握を強化いたしまして、そうして増産第一主義の障碍となる事情を除き、増産の推進力であるところの經営者及び從業者の生産意欲を増大するということが絶對必要である。炭鑛の國家管理案は、このような實際の必要を滿足させるために緊急の措置として考えられたものであるということを言われております。この生産意欲の増大、現場把握ということに對しては、私は商工大臣のお考えになつておるところと全然反對の考えを持つておるのでありまするが、この經營者及び從業者の生産意欲を増大するということが、この炭鑛國家管理案、原案を通じ修正案を通じてできるかどうか。殊に私はこの原案を御提出になりました當時におきまして、事業主はこの問題に對しては絶對に反對をしておる。一方勞働者は、水谷商工大臣の第二囘目でありましたが、この委員會におきまして説明されたところによりますると、事業者は反對をしておつても、全國の炭鑛の組織勞働者四十萬の人達は絶対的にこれを支持しておるのだ、この國管案を支持しておるのだ、だからして、大きな澤山の數の人間が支持しておるのだから、生産意欲の問題に對しては、缺けないというように考えるというような御答辯があつたと思います。この前の委員會でも私は水谷商工大臣にお尋ねしたのでありますが、我が委員會におきまして、確か十月の十六日でありましたと思いますが、公聽會を開いたときに、公聽會の公述人として賛否兩論の人々が參つておりまして、委員會の委員の方が皆聽いておられたわけでありますが、勞働者の代表の方がこもごも立ちまして、炭鑛國管案に對する賛成の意見を述べられた。併し私がその中で特に深く感じて聽いたことは、我々はこの國管案に對して最後の線を確保しなければならん。その最後の線というのは何であるかというと、全炭鑛を管理の對象にするということと、そうして現場の生産協議會というものは、協議機關に非ずして決議機關でなくちやならん、この二つの線というものは、我々の最後の線としてこれは守つて行かなくちやならんということは、勞働者の代表の各公述人がこもごも立つて、そのことを特に言つたのであります。そうして自分たちの炭鑛勞働者の組合といたしましても、全國的に決議をしてこれをやらなくちやならんということを、これを明らかにせられておつたのであります。それについて私はこの委員會におきまして、水谷商工大臣の意を質したことがあつたのであります。併しながら今日この參議院に廻つて參りました修正案というものは、この原案に對して、事業主のいわゆる經營權を認めました。事業主の權利を更に主張されましたところの修正案となつて參つたのであります。昨日のラジオによつて聽きまするというと、この衆議院を通過いたしました修正案に對しましては、全國の炭鑛勞働組合は絶對に反對の決議をするということで、大きに騒いでおるそうであります。私は水谷商工大臣にこの際承わりたいと思いますことは、今私が申上げましたこの國管案を提出せられる根本の理念といたしまして、現場を把握するということ、經營者及び從業者の生産意欲を増大するということが絶對に必要であるから、この炭鑛の國管案というものは、そういう實際の必要を滿足させるために緊急の措置として出したのだという、こういう原案に對する提案理由の根本の考え方として出されておりますが、私の考えるところによりますというと、今日原案にいたしましても、修正案にいたしましても、國家管理という問題は、全國の事業者が全部反對しております。而も勞働者もこれに反對する。方向は違いますけれども、とにかくこういう意味の國管案には絶對に反對だ、こういうことを表明いたしております。こういうような状況におきまして、果して私はこの經營者竝びに從業者の生産意欲を増大することができるかどうか。經營者竝びに從業者の生産意欲を増大するということが、國管案に對する大きな考え方の一つになつております以上は、私はこの點に對して、又原案をああいう大幅な修正をされて、修正案となつて參つております修正案に對して、現在の水谷商工大臣の心境は、原案を出しました當時と同じような考えによつて、石炭増産が完全にできるというようにお考えになつておるかということを承わりたいのであります。
 尚私はこの機會におきまして、委員長に御希望を申上げたい。この修正案が提出されまして、あの衆議院の議場が、殆んど古今未曾有と申すべき大混亂を續けておつたときに、私は鑛工業委員會を傍聽に參りまして、私の見たところによりますと、特に私は本會議、二十三日でありましたか、二十五日でありましたか、衆議院の本會議におきまして、この修正案は二十四日の午前までに鑛工業委員會において審議をさせて、そうしてこれを本會議において決定するということが本會議において決められましたときに、私は確かその日の午前十一時頃でありましたか、この委員會に參りまして、我々も鑛工業委員でありますから、その審議の模樣を見たいと思いまして傍聽に參りました。ちようど十一時四十五分ごろに委員會が始まれまして、その前にいろいろ理事會なんかでごたごたしておりましたが、伊藤委員長が委員長席に著かれまして、そうして委員會が始まりました。そのときに私は、とにかく修正案というものは、それまで全然委員會において審議されていない。原案につきましては、九月の末に提出されました原案が、相當熱心に委員會においても審議されたと思う。ところが大幅に修正された修正案に對しては、委員會において少しも審議されておらない。而も今日午前中までにこれを審議して午後の本會議に出すべしということを本會議において決議をして、その修正案が委員會にかけられ、午前十一時四十五分になつて委員會が漸く開會された。そのときに伊藤委員長がどういうことを言つたか。私は實に傍若無人な委員長であると思つた。實に委員會におきまする審議の責任者である委員長がこういう態度をとるということは、誠に不埓だと考えたのであります。こういうことを言つております。勿論それまでには、委員長の不信任案が出、又委員長の懲罰問題が出、いろいろなことがありましたが、併しその前に委員長の報告によりますと、衆議院の松岡議長から、委員長の不信任案を決議したときの委員會というものはこれは違法である、從つて委員長の不信任案というものは、これは意味をなさないのだ、從つて委員長の中間報告に對する懲罰問題が出ておりましたが、この中間報告も衆議院の本會議において決議したことであつて、要求されたことであるから、これも何ら懲罰に付すべきことではないということはこれは私どもも了承されるのでありますが、委員長は、皆さんによつて決められたところの私の不信任案は、松岡議長の通告によつて、違法であるということがはつきり分つたから、私に對する委員長不信任案というものは成立しない。それから私の中間報告に對する懲罰ということは、これは當然委員長として本會議から要求された義務であるから、これも何ら意味をなさない。懲罰は意味をなさない。それだから皆さんがこの懲罰竝びに不信任案を撤囘しなければ、私は審議はいたしません、休憩いたしますと言つて、退席されたのであります。私は少くとも、そういうことがあれば、委員長はその場合に、懲罰を撤囘し或いは委員長の不信任案を懲囘して、僅かの時間でも、とにかく許す限りの時間を以て、この修正案に對する審議をすべきである。それを委員長は、審議をできるだけしない方針を取りまして、いきなり休憩を宜して退席された。こういう光景でありました。
 これは衆議院のことでありますし、伊藤委員長の問題でありますから、本委員會とは何ら關係がないのでありますが、ただ私はこの際委員長に御希望申上げておきたいと思いますことは、我々がどの點から見ましても、この修正點というものは、委員會においては全然審議されていない、何らの審議をされていない。又この委員會において否決されたものを、本會議において何らの審査もいたさんで、一氣呵成にこれを通過したのであります。
 昨日の委員會におきまして、ここにおられます松本七郎君から、發議者としての御説明がありました。そのときに、確か中川君のお氣づきによりまして、衆議院の本會議に配付されたところのこの原案の印刷物というものは、訂正がしてなかつた箇所がある。六十四條と六十九條が修正してなかつた。ところが提案される人は、修正してあるものとして出されたに違いない。又衆議院の議場におられましたところの、二百何十名もおりましたが、その衆議院議員というものは、これを配られておりましたけれども、配られたものを、直していないままに正しいとして、私は御審議されたと思う。これは委員長の今朝ほどの御報告によりまして、皆樣の御要求によりまして、速記録を見てそうしてここに廻されましたからして、私はこれでよかろうと思う。衆議院議長が正しいとして廻されました以上は、我々の委員會におきましては、これを正しいとして廻された修正案に對して審議すればいいのでありまして、この事柄につきましては、衆議院自體の問題でありますから、論及する必要はありませんけれども、ただ委員長にお願いいたしたいと思いますことは、かくの如く一國の最も重要なる法案が、衆議院の本會議におきましては、その印刷の誤謬さえも發見せられないような状況下におきまして、一氣呵成に通過した修正案であります。委員會は何らの修正もいたしておりません。何らの審議もいたしておりません。こういうような修正案が參議院に廻つて來たのであります。これに對しまして、昨日委員長が各派交渉委員會、運營委員會において述べられました意見が、昨日の七時か九時のニユースにおいて報ぜられております。それほどに國管案に對しましては、全國の國民が參議院に、全力を擧げて注意を集中しております。從いまして我々は、この修正案の審議につきましては、十分愼重なる態度を以てやりたい。從つてこの委員會の運營につきましては、はしよつてこれを早くやらう……勿論早くやることは結構でありますが、我々委員の權利におきまして、我々委員の國民から課せられた義務におきまして、十分これを愼重審議をしてやるだけの雅量を委員長に持つて頂きたい。我々が理事といたしまして接しております今日までの委員長の態度は、誠に立派でありまして、非常に公平な委員長であります。併しながら私は、衆議院におきまするあの委員会を傍聽廠ておりますだけに、又今日修正案がこの状態においてこの委員會にかかつておりますだけに、愼重審議をして、これならば國民が滿足するというような、まじめな態度を以ちまして、これが審議を盡さして頂きたい。こういうことを、立派な委員長に尚この上に御希望申上げまして、水谷商工大臣の御意見を承りたいと思います。
#8
○委員長(稻垣平太郎君) 委員長に、只今小林委員から御希望がありました點につきましては、先程堀委員からのお話に對してお答え申上げましたように、私は委員長といたしましては全く、私は黨席を持つておりまするが、黨に無關係に、本當に白紙の状態において審議を運營して行きたい、この點は皆さまも御了承願つておることと私は存じておるのであります。私は尚御希望のようにこの問題は重要な問題であり、又國民の視聽を集めておりまする問題でありまするので、できるだけ愼重に御研究を願いたい、かように存じている次第であります。但し會期をどのように延長されまするか、その時間につきましては未定でありすまるが、會期も短いことと存じまするので、できるだけ愼重に且つ時間的に勉強を願つて、一つ審議を進めて行きたい。かように存ずる次第であります。尚小林委員に對する商工大臣の答辯を願います。
#9
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の小林委員の御質問に對してお答えいたします、臨時石炭鑛業管理法案は、九月二十二日に衆議院に提出されて以來、熱心に討議が續けられまして、今般修正案が可決されたのでありまするが、政府といたしましては修正案につきましては、國家の最高意思を決定する國會の議決に服する意味におきまして、十分その趣旨と内容とをお受けしたいと考えている次第であります。
 修正案の主要な點は次の五つであります。第一は指定炭鑛の指定基準を明記し指定の運用上彈力性を持たしたこと、第二は指定炭鑛の管理について相手方を事業主としたこと、第三は炭鑛の管理者の選任、及び解任について豫め生産協議會の議を經ることを要しないこととしたこと、第四は管理者に法定支配人の地位を附與することを認めないことにしたこと、第五は、罰則の規定について、指定炭鑛と然らざるものとの差等を認め、その他の刑の輕減をなしたこと、これが大體修正案の骨子であります。全體を通じて、指定炭鑛の管理につきましては、政府原案が、炭鑛現場業務の圓滑なる即決處理を促進する現實的な立場から炭鑛管理者に、管理の末端としてその責任と權限を認めていたのに對しまして、修正案におきましては、企業一體の觀念を重視する建前から、事業主に全般的に權限を留保しておるのでありますが、實質的に兩者の建前の相違は、管理の効果に大きな差異を齎らすものでないと考えております。例えば、業務計畫につきましてはやはり管理者が原案を作成するのでございまして、その實施責任も管理者に屬し實施上必要な權限は事業主から委任を受けるのでございまして、現場運用の機構と、意思決定方法については政府原案の通りでございます。管理者の選任等につきましても、事業主が實質上從業者の支持を受けるような人選をすることが運用上豫想されるところでございます。又指定炭鑛の指定、及び指定取消の問題は、政府といたしましても、元々畫一的に運用をする意思を持つておらず、專ら全國炭鑛管理者委員會に諮りまして、彈力性のある運用をするつもりであつたのでございまして、この點は毫も異存はございません。更に刑罰につきましては、從來の規定と、その形式的な權衡の問題を離れておりますならば、修正の點は十分尊重しなければならないと考えている次第でございます。以上の諸點を綜合いたしますならば、政府といたしましては管理の運用上修正案によつて根本的に制約を受けることは殆ど考えられないのでございまして、當初の目的は必ず達成できると確信する次第でございます。又法案についてより強い修正を加えて參りました勞働者諸君といたしましても、從來の主張は主張として、欣然として國家の最高意思に從い、管理の實效を擧げ、増産の達成について積極的に協力してくれるものと考えております。民主國家における理念と實踐は、殊に危機打開の急務を負う勞働諸者君にとつてはかくの如きものでなければならない、このように考えている次第であります。
#10
○委員長(稻垣平太郎君) 商工大臣に伺いますが、そういたしますと、衆議院の修正案につきましては、政府とされては全面的にこれを受け容れになる、こういうことに了承いたしまして、從つて修正案に對する説明につきましても、必要とあらば、政府において御答辯を願うことに相成りましようか。それとも衆議院の發議者に尚殘つて頂きますか、その點がありますので一應お伺いいたします。
#11
○國務大臣(水谷長三郎君) それはこの委員會の運營のことでもございますので、委員長の方において然るべくお取計らいを願つて結構でありますが、政府といたしましてはこの度の修正案は全面的に同意でございます。
#12
○中川以良君 新憲法によりまして、國會は常任委員會が中心となりまして、すべての審議が進められているのは申すまでもないことでございます。然るに今囘の重要法案であるところの臨時石炭鑛業管理法案が修正をされまして、修正案が提案をされまするや、政府竝びに與黨におきましては委員會を無視いたしまして、強引にこれを本會議にかけて一學に決せんことを企圖されたのでございます。幸にこれは實行に至らなかつたのでございますが、かような行爲は現憲法の下におきまして到底許し難いものでございまして、この點は誠に私共遺憾に存ずる次第でございまして、少くとも新憲法の精神が踏みにじられたのではないかとすら考えたのでございます。次に本修正案が一先ず委員會に付託をされたのでございますが、只今も小林委員よりお話のございましたる如く、審議時間が二時間に限定されまして、而も委員諸君はこの修正案を檢討するどころか、この修正案を熟讀すらすることのできないような状態でございまして、遂にこの審議は逐條審議も行うことができないで、委員會は否決の止ちなきに至つたのでございました。そこで政府與黨は直ちにこれを本會議に持つて行かれまして修正案を上程して、強引に多數でこれを決せられたのでございます。私どもは勿論この衆議院で議決されましたところの本修正案に對しましては十分に尊重いたし、この衆議院の院議を重んじたいと存ずるのでございます。併しながら一般國民大衆は今日非常に不安を抱いている。この重要法案がかように衆議院を通過したということに對しましていろいろと批判を加へているのでございます。即ち議員の大半の方々は議場で初めてこの修正案なるものを見ただけであつて、その内容等は殆ど檢討しない。これを監視することなく、ただ贊成をされたかのようなふうに思われる。かようにして民主國會の第一歩において未だ曾て見ないような不幸なる前例を作り、且つ御承知の如く幾多の醜態を演じて、誠に神聖なるところの國會を紊し、人爲的な作意によりまして國會の威信を傷なつたのではないか。國會の品位を傷付けたということは誠に遺憾であるというような批判をいたしているのでございます。これでは民主主義の破壞であり、又國會の機能の停止ではないということすら思われるというようなことを言つておるのでございます。石炭の増産のための本案が徒らに政爭の具に供せられまして、國會に對する國民の不信を招きましたることは、これは私供が輕々しく見逃がすことができない重大なる問題を存ずるのでございます。本院におきましては本案の豫備審査を早くよりいたしまして、私はかようなことを懸念をいたしまして、たびたび商工大臣にいろいろな默のお尋ねを申上げたのでございますが、その眞意はこの本案が飽くまで眞面目の本當に今日の危局に瀕しましたるところの日本經濟復興のために寄與するものであらんことを念願いたしておるのであります。商工大臣にいろいろな御所信のお尋ねを申上げたのでございまするが、商工大臣は常に巧妙なお言葉を以ちまして、半ば飜弄的の言辭を弄せられて、聊か眞面目を缺くような御答辯をすらしばしばしておられるのでございます。例えばこの法案の通過に對しまして十分なる御自信を御披瀝する意味合におきまして鳴くまで待とう「ほととぎす」、鳴かして見せよう「ほととぎす」というような引例をすら申されておるのであります。今にして思いますると、今囘のごとき、多くの國民が疑問を持つておるように、新憲法の精神に反しまするところの非民主的の最後の奧の手を早くから考えられておられたのではなかろうか。即ち強引に「ほととぎす」を鳴かしてしまおうという考えを持つておられたのではないかという點を縣念されるのでございます。長年政治家といたしまして、憲政擁護のために御健闘になつておられましたところの水谷さんが一度朝に立たれましたからと申しまして、かような憲法の精神を無視されるような權力を濫用される方とは私は決して思わないのであります。併し國民はいろいろと批判をし、不安を抱き、疑つておるのでございます。今囘の衆議院におきまするところの本法案が通過いたしまする間の經緯につきまして商工大臣の御所信竝びにこれに對しまするところの政府といたしまして責任をいかように感じておられるかというような點を一應お話を承りたいと存ずる次第でございます。
#13
○委員長(稻垣平太郎君) 只今中川委員からお話がありまして、いずれ商工大臣から御答辯があると存ずるのでありますが、その前に先程この修正案につきましては政府側において全面的に同意するというお話がありまして、尚且つ修正案の説明についてもこの衝に當るという御答辯がありましたので、皆さんにお諮りするのでありますが、發議者たる松本七郎君はもうこの席を退席して頂いてよろしうございましようか。如何でございましようか。
#14
○大屋晋三君 私、實は小林君の御發言の直後に三囘發言申上げたのでありますが、ついまわりの關係で商工大臣の御答辯になつたのであります。又今聽こえないと思つたから少し大きな聲で申上げて御注意をいたしたのでありますが、實はそのことを申上げようと思つたのでありますが、これは審議の最初の問題といたしまして、先程私からこの加除修正の方のミス・プリストはよく分らないし、松本さんの御説明の衆議院で通過した關係が少し錯雜しておつた意味合から、私は昨日の末尾の發言において松本君に今日改めて更に御説明をして頂きたいということを委員長に申入れをしたはずなんであります。それでたまたま委員長の發言から私は先程からそれを申上げようと思つておつたのであります。その點を一つ述べて頂いて、それから次にこれも冒頭申上げようと思つておつたのでありますが、堀委員の發言竝びに小林君の發言に對して委員長が只今御答辯に相成りましたが、成る程あなたは放送はなさらなかつたらしいのでありますが、放送において、いよいよこの天下の耳目を聳動する國管案が參議院に囘つて參つたについて、稻垣委員長はこの會期の問題について或いは會期が六日間、或いは來月の九日まで延長されても、この審議に十分な時間があるというふうには考えられない。なかなかこの法案の前途はむづかしいというような趣旨の談話があつたということが傳えられておりまして、肝腎の私自身はその放送を聽きませんでしたから、なんですが、今朝數人の友人から「君の方の委員長がかようかようの談話を發表しておる」、こういう話がありましたのですが、只今あなたの御答辯によりますと、放送もいたさない、談話もいたさないと仰せられたが、どうもそこがしつくりいたさないのですが、そこの所をもう一遍あなたから聽き質したいと存じます。
#15
○委員長(稻垣平太郎君) 只今の御質問に對しては先程掘さんにお答え申上げましたが、放送もいたしません、外の方に談話もいたしません、ただ常任委員長會議におきまして、先程議長からの御質問がありましたに對して、私は相當期間延長されるにあらずんば、到底この議案は審議を終らせることが困難であろうという返事を申上げたわけであります。それが誤報されておるのではないかと存じます。外では一切談話はいたしておりません。これは常任委員長會議においてそのような答辯をいたしたのであります。
#16
○大屋晋三君 松本さんの昨日のミスプリント問題、もう一つ松本君から、きたいのですがね。
#17
○衆議院議員(松本七郎君) この修正案につきまして御説明を申上げましたが、不十分な點がございまして、甚だ失禮申上げました。實は原案の第三十三條の修正に御説明を落しましたので、本日補足いたしたいと思います。原案第三十三條を第二十九條といたしまして、その第二項中「坑内從業者及び坑外從業者各々同數とし」とございますのを、「坑内從業者三坑外從業者二の比率とし」と改めまして、その外原案六十四條と原案六十九條の點につきましては、昨日御説明申上げた通りでございまして、ミスプリントでございます。本日お手許に配付されておりますのが正式なものでございますから、私の昨日の御説明の中に、更に不十分なる點もございますかも分りませんが、これら一切本日の正式の文書で御了承願いたい、かように存ずる次第でございます。
#18
○大屋晋三君 その點は分りました。
#19
○川上嘉市君 只今松本議員の御説明でありますが、いわゆるミスプリントというやつは、我々の理解するところでは、條が違うとか字が違うというくらいならばとにかく、これだけの條文の全體に影響するというようなミスプリントということは、穩当ではない。然るに一字一句比較して直すときに、皆が印刷物によつて見てくれという御説明があつて、それによつて贊成した場合に、それによつて法案が適正に成立つや否や、これはこの會議には關係ないことでありますが、議會全體の運營に對して重大な問題だと思いますが、いずれ他の機會において、調査して見たいと思いますが、これについてお考えを伺いたいと思います。
#20
○委員長(稻垣平太郎君) 先程私冒頭に申上げましたように、こちらの議長を通じまして向うの事務總長と御交渉を願つたのでありますが、こちらへ囘しておりまするところの成文、今日配付いたしましたこれでございます。これが向うのいわゆる正しいものであつて、その今の問題にいてはミスプリントである、こういう御解釋のようであります。これはまあ衆議院の問題でありまして、當院といたしましてはこちらへ囘付されました、正式に文書を以てそうして衆議院の議長の印章をした書類によつて審議をする外はないのではないかと、かように存じておる次第であります。この問題については何れ衆議院において十分御檢討なさることと、かように考えております。
#21
○川上嘉市君 實は、この委員會については無論關係ありませんけれども、併し議會全體の問題としてやはり非常に重要な問題だと思いますので、私は若しその點について商工大臣が何かお考があつたらば、お伺いしたいと思うのですが、それはむしろ他の方面の御説明を聽くのが本當かも知れませんが、何かお考がありましたならば…。
#22
○委員長(稻垣平太郎君) 今御答辯が商工大臣からあるようですが、先程來の問題を片づけたいと思いますが、それでは衆議院から説明に參つておられます松本七郎氏には御退席を願いましてよろしうございますか。
#23
○委員長(稻垣平太郎君) ありがとうございました。
#24
○國務大臣(水谷長三郎君) さつき中川さんから、今度の衆議院における運び方が非常に非民主的であるというようなお叱りを蒙つたのでございますが、それは私も極めて遺憾ではあつたと思いますが、併しながらなぜああいうような運び方をしなければならなかつたかという事情は一つ十分御了察を願いたい。このように考えております。尚その點について商工大臣はかねがねから鳴かしてみよう「ほととぎす」というようなことをいつた關係上、ああいうようなことを豫定しておつたのではないかというお叱りを蒙りましたが、これは事勞働問題に關して細川君に答辯したのでありまして、本案の問題について發言したのではないのですから、その點は根本的に違つておりまするから、一つ御了解を願いたいと思います。
 川上さんのこれは商工大臣としての意見と言われましたが、これは議長が解決すべき問題でありまして、私として答辯するのは、これは不穩當であろう。このように考えております。
#25
○田村文吉君 先刻小林委員からの御質問がありまして、商工大臣の所信をお質しになりました中に、經營者も全面的に反對であり、勤勞者の方でも、昨今の状勢では、外の意味において全面的に反對のような空氣に見えるが、そうするとせつかく業者の増産意欲を發揮させてやるという商工大臣の始めの御趣旨が通らなくなるのではないかというようなことについての御質問がありましたのですが、その點についての大臣の御答辯を、私も承りたいと考えておつた問題でありますが、重ねて大臣の御答辯をお願いしたいと思います。
#26
○國務大臣(水谷長三郎君) この問題に關しましては、私はこの委員會の豫備審査におきましてもたびたびお答えした通りでございまして、こういうような重要な法案に關しまして、法案が決定するまでに勞資双方からいろいろの意見が出ることは、これは當然であろうと思います。併しながら現在の民主主義國家の下におきまして、國家の最高意思が決定されたときにおきましては、いろいろの立場いろいろの考えの人も欣然參加して、この法案の下に協力して下さることを心から期待しておるような次第でありまして、我々は現在のこの政治情勢の下において、一〇〇%經營者を滿足さし一〇〇%勞働者を滿足さすような法案は、これはできないのでございまして、勞資おのおのの要望の何れに線を引くかという、その線の引き方をば、勞資双方の立場よりもより一層高い立場に立つて、これを決定するということがなされねばならんのでございまして、我々はそういう意味におきまして、一度國會の最終の意思が決定されましたときには、現在の民主主義國家の下における國民はそれにいわゆる協力せねばならないもんだ、このように私は考えております。今日も或る新聞におきまして、鑛業界を代表した具島さんの御談話においても、自分らは減産になると思うて反對はした。併しまだ參議院がどうなるか分らんけれども、それが通過した點においても、決して生産サボ、そういうようなことはやらないというようなことを言つておられるのも、やはり私のそういうような期待を裏書して下さるものである、このように考えておるような次第でありまして、その點は政府といたしましても御協力をお願いしたい、このように考えておる次第であります。
#27
○小林英三君 私も實は、私の先程の質問に對しまする水谷さんの御答辯が明快でなかつたもんですから、改めて又更に御質問申上げようと思つたのですが、今たまたま田村委員から話がありましたので、その點について御意見を承りたいと思うのですが、今のお話によりますと、國家の最高機關が一度決定した以上は、これは勞資共にそのつもりで一つ増産をやらなければならんということでありましたが、そういたしますと、國家の最高機關が否決いたしました場合におきましても、國家の最高機關でありますから、勞資共にそれに從つて石炭の増産に邁進しなければならん。これは同じことであります。ただ私先程お伺いいたしましたのは、今日この國管案を提出なさつておる大臣として、勞資共に反對しておるじやないか、この反對しておることに對していわゆる生産意欲は向上できないじやないか、その點はどうかということをお尋ねしただけでありまして、今の大臣の御説明によりますと、どつちでもよいので、否決した場合にも同じことで、國家の最高機關が否決した、又可決した場合でも同じことで、その通りでありますが、少くとも大臣のお考えといたしまして、この提案を出される上におきまして、生産意欲向上の面においてどうお考えになりますかということを伺つておるのであります。
#28
○國務大臣(水谷長三郎君) これまでの説明によりまして、この法案によりまして勞資双方の生産意欲は十分昂揚できるものであると、私は信じて疑いません。
#29
○下條恭兵君 只今までのところで、松本衆議院議員の提案者としての説明に對しての質疑もあつて、政府の側からあとの質疑をやつて頂くことになつておりますが、從いましてこの法案の審議につきまして、總括的な質疑はすでに豫備審査によつて一應終了しておるのでありますが、各章別にでもやりますか、逐條でやつて頂きますか、御方針を伺いたいと思います。
#30
○小林英三君 今の下條さんのお話ですが、總括的の質問はすでに豫備審査において終了しておるということは、下條さん自身のお考えでありますが、私共はそう考えておりません。豫備審査においていろいろな質問をやつておるうちに、今度は一方衆議院におきましては修正案が擡頭して來た。大きな大幅な修正案があるらしい。大幅な修正案があるらしい以上は、これは一度豫備審査の質問を打切つて、そうして修正案が來たところによつてやろうじやないかというような考え方があつて、一先ず委員會は中止したようなことになつております。いずれにいたしましても、これは修正案といたしまして、相當大きな修正でありまして、我我は先程委員長にお願い申上げましたように、この修正案にいたしましても、十分に我々の意のあるところを了解して、そうして十分に審議をいたしたい、こういうふうに私は考えているのであります。
#31
○委員長(稻垣平太郎君) 只今下條委員竝びに小林委員からいろいろお説が出たのでありますが、大體豫備審査中に概括的の御質問をお願いいたしておりまして、その御質問は大體終了いたしたように存じておつたのでございまするが、尚本修正案がこちらに囘付いたされましたので、その修正案と原案とを併して總括的の御質問もあるかと存ずるのであります。つきましては修正案を併した總括的の御質問を尚御續行願いたいと存じます。
#32
○下條恭兵君 それでは一應商工大臣にお尋ねいたしたいと思います。總則に關連した問題でありますけれども、第一條におきまして、只今小林委員、竝びに田村委員からお尋ねがありましたので修正案によつて最初の政府提出案を相當變貌したのであるけれども、十分責任をお持ちになることができるということでありまするから、この點につきましては十分了承できたわけでございます。それで私がお尋ねいたしたいと思いますのは、本案の第一條におきましては、政府、經營者、從業者が、その全力を擧げて増産の目的に邁進するということになつているのでありまするが、この場合曾て戰爭中軍需會社の場合におきまして、監督官廳と經營者、竝びに勤勞者と……、當時の勤勞者は何らの發言權を持たなかつたのでありますから、生産に責任がなかつたことは當然でありますけれども、經營者も段々と經營を囘避するような形態になつて來たのでありますが、今度の場合も又そういう危險が一應考えられないでもないと思うのでありますが、この點につきましては、結局三者の協力によるものであるけれども、政府において最後の責任は持つものであろうかと考えられるのでありますが、この點についての商工大臣の御意見を承わりたいと思うのであります。
#33
○國務大臣(水谷長三郎君) 戰爭時分の軍需會社の管理の方式と、この石炭鑛業管理法案の管理の方式とが、本質的に違うということは、大體前に述べた通りであると思います。即ち戰爭時分の軍需管理というものは、軍を背景にして指導者原理による官僚統制というものが行われたのでありますが、この度石炭管理法案におきましては、その點現場、或いは地方、或いは中央におきましても、勿論その責任者は現場管理者、或いは石炭局長、商工大臣という工合になつておりますが、それぞれ生産協議會、或いは地方におきましての委員會、中央における全國炭鑛管理委員會というものをそれに咬み合せまして、そういういわゆる戰爭時分の軍需會社のようなそういう統制に陷らないように十分留意しておりまして、石炭局の機構というような點に關しましても、特に民間人を半數以上入れなければならんということは、法律に明記しておるような點でございます。勿論この法案が通過いたしました曉におきましては、形式的には、これは商工大臣が責を負うべきものでありまするが、國會の御審議によりまして國民代表である國會がこれをば可決するということになりますと、私は實質的には國民全體の協力によつて石炭の生産増強をやつて行くという建前になるのではないかと、このように考えております。
#34
○下條恭兵君 今一つお尋ねしたいと思います。九月十八日付マツカーサー元帥より片山總理宛の書翰につきましては、これは非常にバイブルのような名文でありますが故に、或いは國管を支持するものであるという見方もあり、又そうでないという見方も生じて來るわけでありますけれど、私はこの點についてこの書翰が國管案を支持するとか、支持しないとかいうことに對する大臣のお考えをお尋ねするのではありませんが、本月二十五日付の或る新聞によりますと、石炭の特別調査團を各地に派遣いたしまして、一ケ月三十萬トンの石炭を現場において隘路打開によつてやると書いてありますが、その際に連合軍司令部の當局と又この特別調査團に同行しましていろいろやつて、隘路打開に協力して呉れることになつておるというふうに書いてありますので、こういう點につきましてこの國管案とこの調査團との關連性と申しますか、或いは特別調査に關する實行の裏づけと申しますか、そういう點に對する大臣のお考えを伺いたいと思います。
#35
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今御指摘の點でございますが、それはすでに新聞でも御案内の通りにGHQはこの石炭の生産増強ということに非常に關心を持たれまして、この度北海道竝びに九州の石炭の一番大事な點に、いわゆるGHQ竝びに日本政府からチームを作りまして、山の現場々々に行きまして、現在石炭生産増強をどうしてやつて行くかということをやつて頂くのでありまして、これは大體來年の一月二十一日まで續くのでありまして、その點に關して我々は非常に大きな期待を持つておるのでございます。政府は先般マツカーサー元帥より片山總理大臣に寄せられました書翰に基きまして石炭非常増産對策要綱を決定、著々これが實施に當りつつあるのでございますが、本年度三千萬トン達成の成否を決します冬期を迎えまして、増産歩調の急速化のため、今や一瞬の遅滯なく、一部の餘すところもなく、朝野を擧げて努力する時期に立至つたと判斷せられるので、今般連合軍司令部と一體となりまして、石炭増産特別調査團を組織いたしまして、向う二ケ月間炭鑛現場におきまして増産阻害の原因を徹底的に調査し、官民一致隘路打開のための調査をいたすことと相成つて次第でございます。本件につきましては司令部におきましては關係官廳に對して増産の達成及び實施のため強力な支援を與えられることとなつておるのでございまして、政府といたしましても、その熱意と好意に對して深い責任を痛感するものでありまして、盡すべきすべての手段を講じ、とるべき萬全の態勢を整備いたしまして、これに應えて行かなければならないのでございます。今般の措置におきましては、政府、經營者、勞働者がおのおのの職分におきまして三位一體となつて増産の成果を擧げることが中心の狙いとなつておるのでございまして、この點現在御審議を願つております臨時石炭鑛業管理法案の目的と完全に合致するものであると信じておる次第でございます。從いましてこの法案が實施されました曉にに、繼續してこのような増産措置が最も效果的に、最も合理的に實施せられることと相成るものと考えられておるのでございまして、増産に對する司令部の御支援にも副い得るものと確信しておるような次第でございます。このようにいたしまして、我々といたしましては、この十二月、一月兩月に或る程度の目標を掲げまして、それをば必ず突破したいと考えております。今朝の新聞によりますと、嘗て一番猛烈にいろいろの點において政府に非協力でありました北海道の全炭におきましても、ストライキその他を放棄いたしまして、勞働時間も自主的に延長して、生産増強に邁進するというような決議も早速行われておるような次第でございまいて、我々はこの調査團のいわゆる成果というものには十分期待し、幸いこの國家管理法案が通過いたしました曉におきましては、こういうような強力な施策を繼續的に行つて行きたい、このように考えておる次第であります。
#36
○帆足計君 先程來この法案につきまして、勞資双方から相當の反對もありますので、この實施の効果につきまして御議論がございましたが、勞資双方の一部から相當強い反對がありますことは事實でありますけれども、當初の原案に比べますると、それらの點も修正されまして、餘程緩和され得る客觀的條件が法案の内容に盛られておるという見方をすることも、私はできるのではなかろうかという感が、この法案に目を通しまして、しております。ところでこの原案に比べますと骨抜きになつたのではないかという批判もよく承りますが、最初からそれ程の骨がありましたかどうかも問題でありまするが、骨はとにかくとして、身がなくてはならないと存じます。身とは國家管理を正しくしまするための人的、組織的準備、又それらを妥當に可能にしますところの社會的雰囲氣というようなものも、前提條件として必要でありましようが、只今の日本の國内の諸情勢からしますると、私はむしろこのように緩和されましたことが、少なくとも理論的には不十分なところもありまするが、實情に即しておるというような面からこれを見ることもできると思います。從いましてこの修正案につきましては、私どもも愼重に審議をする必要を認める點におきまして、皆さま方と同意見でありまするが、それに連關しまして一ヶ所ちよつとお尋ねいたしたいのでありまするが、五十三條の國家管理委員會の性格でありますが、國家管理委員會の中に、石炭の生産に關する學識經驗者、この立場はよく分ります。又五名の消費者代表、その外に炭鑛の事業主を代表する者十名、炭鑛の從業者を代表する者十名とありますが、私はこの事業主を代表する、又は勞働組合の從業員を代表するという、その代表という意味が、それは特定の人達の狹義の利益を代表するために出て來て、いろいろ御議論をなさるようなふうにお考えなつておられるのか、それともそれぞれの職能的立場から專門の知識を以ちまして、目的はいわば増産代表というような意味で、即ち全體としての生産をよくするための代表ということを第一議とした委員會であるのか、それともそれぞれの立場から利益を代表するという意味であるか、この邊の解釋を承つて置きたいと思います。
#37
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の帆足さんの御質問ですが、我々といたしましては、そういう利益代表という意味でなしに、あなたが後段にお示しになりましたいわゆる炭鑛事業主の立場を代表して、いかに増産に寄與するかという立場でそういう方の御參加を願いたいと、このように考えておる次第であります。
#38
○藤井丙午君 石炭増産が現下の經濟復興の根幹をなしておることは當然でございまして、この國管案に對する國會竝びに國民の期待には、増産できるかどうか。又それによつて炭質の向上ができるかどうかということが重點であろうと思います。石炭の増産と申しましても、無論理念的な問題もありましようけれども、結局において經營者竝びに從業者の勤勞意欲の向上と相俟つて資金、資材、設備等の具體的な生産條件の整備ということが一番大事な問題であります。この本法案が數ケ月に亙つてむしろ問題の實質を離れて、政治的な問題にすり換えられて、現場面においてこれに要した努力、エネルギーというものが若し生産の實質面に導入されたならば、私はもつともつと石炭増産に具體的、實質的な効果があつたと信じまするが故に、甚だ今までの經過について遺憾の意を表する者であります。更に先程の小林委員竝びに田村委員の御質問に對して商工大臣は、最高意思によつて、國會の議決によつて決つた場合には經營者といえども、勞働者といえども、これに欣頂承服するであろうということを信じ、且つ期待するということの御答辯でありましたが、これは言葉の上では正にその通りでありますが、少くとも今までの經緯から見まして現在尚經營者陣營が全面的にこれに反對し、勞働者諸君もその主張が著しく歪曲されたために、非常な熱意を喪失しておるということが現實の事實であります。又第一條において、政府、及び從業者がその全力を擧げて増産を達成するとありますが、これは政府と申しましても、實際は官廳であり官僚ということに具體的に言い得るのでありますが、これに對しましても經營者側の方は、官僚の統制に全面的と申しましようか、非常に反對の意向が強い。又勞働者諸君も今までの公聽會その他の機會において、意向を質したところによりますれば、官僚統制というものについては非常な反對が強いのであります。第一條に言つております政府、經營者及び從業者がその全力を擧げてとありますのが、現實の問題といたしましては、只今のところ政府というよりは、むしろこれは官僚という言葉に置き換えた方が妥當と思いますが、官僚、經營者、從業者が三者三すくみの形で、實質的には協力體制はなかなか望み得ないような印象が非常に強いのでございまして、これは言葉の上の答辯でなくして、私は商工大臣の良心的な率直な感じをもう一度、しつこいようでございますがお尋ねいたしたいような氣がいたします。
 それから第二の問題は、この生産協議會の性格の問題でございます。これは豫備審査のときもしばしば質疑が繰返された點でございますが、參議院の審議におきましては、私の感ずるところではこれが最も重要なポイントであろうかと思いますので、重ねて商工大臣の御答辯をお願いしたいと思います。それはこの生産協議會の議を經てとありまするが、これが決議機關であるか、單なる協議機關であるか、或いは諮問機關であるかということが、今日いろいろに言い廻しはされておりますけれども、具體的にははつきりしておりません。衆議院におきまする修正におきましても、民主黨の當初の修正では、この點が非常に強くクローズ・アツプされておりましたが、今囘の修正ではやはりそこが曖昧にされておるのであります。果してこれが決議機關であるか、單なる諮問機關であるかということを、はつきりと一つ承りたいと思います。で、我々のまあ考えます點では、個人の意見は、意見を申述べる機會に申上げますが、少くとも現段階における各企業體における經營協議會というようなものが、これは相當進歩的な勞働組合の、或いは或る企業におきましては、當然この程度のことは行われておるところもありますし、まだまだこの段階に達していない點もありまして、これは結局經營者の社會意識水準と申しますか、時代認識というものと同時に勞働組合の發展の段階に應じて、自然發典的と申しますか、自然に成長發展するという建前のものでありまして、もともと勞働組合というものは、生産團體ではありません。勞働組合法において明らかにされておりますように、飽くまでもこれは勞働者の生活權乃至は勞働條件の確保、それによつて勞働者の社會的、經濟的地位を向上して行くということが、飽くまでも勞働組合の第一議的な性格でありまして、この企業に參加するということは、これは今申しまするように、勞働組合の今後の發展の段階に應じて行くべきものであつて、これ等のことをこの國管法において法律的にこの關係を規定するということはどうかということについて、私は重大なる本質的な勞働問題の面からも又は企業權の面からも大いなる問題があるのであろうと思います。いわんやそれを決議機關とするとかいうようになりましたならば、これは更に企業權、特に經營權の問題から非常に大きな問題が起つて來ると思うのであります。私の調べましたところでは、英國においては勞働者の經營參加ということは法律的にはつきりしていないようでありますが、又ソ連等におきましても經營權というものは我々の想像以上にはつきり確立されておるのでございまして、この間先般の商工大臣の御説明の場合には、これはいろいろな場合によつて違うが、特に炭鑛企業におきましては人的な力が非常にウエートが大きいから、外の産業をいわゆる人的な構成が違うからという御説明もありましたが、これは私はお答えにならんと思います。その際田村委員からも御質問があつたと思いますが、企業において、企業構成の人力が、機械設備よりもウエートが重いという理由をいわれるならば、銀行或いは保險會社、一般の商事會社更に官廳とか、殆ど全部が人の力によつて動いておるのでございまして、そういうことからいえば一般の産業等もこの方式を以て律していい、むしろそういう意味でありますならば、私はこれは石炭の國管法だけに限らず、一般的の法制として律して行くべきものではないかというふうに考えるのでありますが、この意味におきまして生産協議會の性格というものをもう一度、決議機關であるか、諮問機關であるか、單なる協議主關であるかということをはつきり一つ承りたいと、かように考えるのであります。
#39
○國務大臣(水谷長三郎君) 藤井さんの第一の問題ですが、これはまあ良心的にお答えしてくれと仰しやいますが、私はいつも良心的にお答えしておるのでありますが、格別そういうような御注文がありましたから、ざつくばらんにお答えするのですが、大體藤井さんも御承知の通りこの原案に對しまして、經營者の方が非常に願望しておる點は一應修正されております。それに反しまして只今御指摘の生産協議會、勞働者が一番願望しておる面は、むしろ坑内と坑外の比率が、坑内がよくなつておるというようなことなので、むしろいい方に修正されておるのでありまして、この點は修正案といたしましても相當苦慮したつもりであります。そこでまあ三すくみということをいわれますが、これはもう藤井さんもよく御案内でありますが、ざつくばらんにこういうことを言うていいのかどうか知りませんが、まあ最近石炭企業が、賃金というようなものを拂うのに事缺いて、臨時金融を、内閣総理大臣を會長にいたしまして、政府が決定したことも御承知の通りであると思います。又北海道の方からは、冬を控えて労働者の漬物を買うその漬物の金がないから、二億二千萬圓借せということであります。更に又炭勞と經營者との間の賃金問題ということになつて、一體この賃金を値上するならば、政府はどれだけ又金融してくれるのかという、こういうことを考えますと、結局今のいわゆる石炭企業というものが、私企業か或はそれとも公の企業か分らんようなのが、これは理窟を超越した問題であつて、私は勞働者諸君に向つても、大體君等は實質においては官業勞働と少しも變らんじやないかということをいつておるので、そこでいわゆる三すくみと申しますか、協力せねばならんといいますか、いわゆる今の企業の現状のありのままが、政府と企業者とそうして勞働者が、三位一體にやらねばならんという運命的な段階に來ておるので、この點は私は理窟を抜きにいたしましても、企業法に非常に精通されておる藤井さんは、十分に御案内であろうと思うのであります。今度のいわゆる炭鑛國家管理法案も、何か珍らしいことを政府が考えついたというようにお考えになられる方もありますが、大體これまでのいわゆる現状等をありのままに認めて、それを法文化したというような程度のものではないかと、このように考えております。例えば藤井さんが水谷金を貸せといわれて、よかろうといつて金を貸す方もあるし、まあ友だちだけれども、公正證書じやないけれども私製證書は書いてくれというような金の借し方もあろうと思います。そこで、私はざつくばらんに申しますと、この國家管理法案と申しますものは、これまでの石炭企業のありのままを私製證書程度に法文化したのが、この法案じやないかと、このように考えておるのであります。そこでこの第一條の問題ですが、これはねばならんとかいうゾーレンとか或はシヤル・ビーという問題ではなしに、これはそういう工合な運命に置かれておる私は問題であると思う。從つて運命的に三者が一緒にならなければならないということならば、これは退いて三すくみの状態を打開して、進んで三者が強力なる體制をとらねばならないというところに持つて行かねばならんと、まあこのように考えておる次第であります。
 それから第二の問題でございますが、これは大體私も繰返して申しましたように、諮問機關と決議機關の私は中間を行つておるものである、このように考えております。例えば「議を經て」ということになつておりますが、完全なる決議機關ならば、議を經ることができなかつた場合においては、これはもう進むわけには行きません。ところがこれは議を經ることができなかつた場合におきましては、石炭局長に裁定を求めることができる、そうしてその裁定には當事者が服さなければならないということになつておりますから、これは決議機關ではありません。そうかといつて單に諮つてというような意味の諮問機關ではないのでありまして、その點は、これはまあ專門的な法律學者がどういう工合に解釋されるかどうか知りませんが、私なんかの素朴なる考えからいえば、これはもう素直に決議機關と諮問機關との中間のものである、このように考えております。更に又藤井さんはいろいろイギリス等の例を引かれたのでありますが、併しあなたの御關係の鐵鋼企業においても、經營協議會というものは持たれております。ところがその經營協議會という一つの形を與えられても、勞働組合が非常に發達して、そうしてその力のある所では、その經營協議會というものが、決議機關の傾向を滯びる場合があります。それに反しまして、勞働組合が未發達の形であり、そうして經營者にがつちりした人がおるというような企業においては、大體諮問機關になるというような向きがあると思うのであります。そこでこういうような工合にいたしまして、決議機關と諮問機關の兩方滯びる生産協議會というものが法文化されましても、やまやまにおいて、その運用というものは相當彈力性のある運用がされるのではないかと、このように考えております。或いは藤井さんが勞働者の教育、その他の勞働組合の未成熟という場合において、こういうような生産協議會という形よりも、或いは諮問機關という形の方がよいのじやないかというお説がございましたが、併しながらそれは諮問機關において、勞働者を教育訓練するというお立場と、或いは多少の、現状よりも少し半歩を進めて、こういうような生産協議會の形を與えて、勞働者を教育さして、そうしてその健全なる勞働組合と、そうして健全なる經營とが、ぴつたりと協力できる形に持つて行くかということは、これは人によつていろいろ意見が相違するであろうと思いますが、併しながらこの生産協議會というものも、こはは初めてこうやつて法文に出ましたけれども、これまで各企業にある經營協議會と、そうしてあなたのお膝元の鐵鋼企業の經營協議會というものも御研究願いますならば、大體生産協議會というものの運用が、どういう工合になつて行くかということは、これは一つ御想像できると思うのでありまして、極めてざつくばらんに、又良心的にまあお答えしたような次第であります。
#40
○藤井丙午君 關連して……非常にざつくばらんな御答辯でございまして、お話のことは、私もよく分るのでございます。ただ今の御答辯の中で、前提において諮問すべきと、私は考えておるというようなふうにお認めのようでございましたが、決議機關とすべきか、或いは諮問機關とすべきかという問題に對する私の意見は、まだ申述べておりません。質問をしておるところでございます。その點を御了承願いたいと思います。尚私がその点を實は御質問しましたのは、これは二つの意味があるわけでございます。一つは、特に參議院の鑛工委員のみならず、私の属している緑風會等におきましても、この生産協議會の性格の問題が、一つの審議の重要な山をなしておりますから、その意味において商工大臣の、というか、政府の解釋を快明にして頂くということを何したわけであります。
 もう一つの問題は、實際我々鐵鋼關係の企業におきまして、鐵鋼會議乃至は經營協議會というものを持つておつて、今までの私どもの經驗では、とかくの性格がこういうように今商工大臣が御説明になつたような曖昧になつておりますと、實際問題の、議事の運營等に當りまして、絶えずこれが論議紛爭の種となつて、そのために、につちもさつちも會議が動かんというのが、これは現状であります。特に又これは、あとの逐條の時にお尋ねいたすつもりでありますが、この生産協議會に付議されている事項は、作業計畫以下、勞働條件の適正等、いろいろありますが、この邊をはつきりしておきませんと、例えば作業計畫の相談をいたします場合にも、作業計畫の一番重要な基になるのは、勞働者のとにかく生産意欲の問題であるという問題になつて來ても、結果それが、生活安定が前提條件であります。從つて作業計畫を決めるにも、第二項の勞働條件の適正化、生活確保の問題を先に決めてくれというようなことで、肝心の作業計畫がなかなか決まらんというようなことが、今までの經驗から相當あるのであります。而もこういうことで、揚げ足取りの議論で、いや、それは決議機關だからどうだとか、いや、諮問機關だからどうだということのため、曖昧になつているために、むしろ私は、實際の事實の問題で、協議會の運用の實際の面で、勞資双方からいろいろの言いがかりの種になる、紛爭の種になることを憂慮するが故に、こういう意見を詳しくお尋ねしたわけであります。只今の御説明では、いわゆる協議會というものは、決議機關でもなければ、諮問機關でもない。そうすると、單なる協議會でもない、非常に曖昧なものでありますが、私これは各委員からもいろいろな質問が聽かされておりますけれども、もう少し、できれば、この點をはつきりさして頂きたいと思います。
#41
○國務大臣(水谷長三郎君) 藤井さんのお話の點は、いずれ逐條審議の時に、私の方でいろいろ例を擧げまして、具體的に説明さして頂きたいと思つております。
#42
○委員長(稻垣平太郎君) 時間も十二時を過ぎましたので、ここで一旦休憩をさして頂きまして、午後から續行いたしたいと思いますが……。
#43
○委員長(稻垣平太郎君) それでは一時半から又再開いたしたいと存じます。
   午後零時十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十九分開會
#44
○委員長(稻垣平太郎君) それでは更に午前に引續きまして、臨時石炭鑛業管理法の審議に移ります。
#45
○中川以良君 午前中にも私が申し上げましたように、衆議院におきまする審議は極めて急速に短時間に行われたのでございまするから、本參議院におきましては飽くまでこれは愼重に、我我が十分に得心の行くように審議をいたすべき要があると存じます。若しも時日が許すならば、このときにこそ參議院において公聽會を開くべきであろうかと私は思うのであります。併しこれは何といたしましても、審議を遲らすようなことになりますと、廣く各方面の意見は今までも聞いておりますし、今後もいろいろな機會で承ればよかろうかと存じておりまするが、いずれにいたしましても、得心の行かないものを會期が最早餘裕がないからといつて、衆議院のように簡單に片付けるわけには絶對に參らない問題と存じます。かように親切に愼重に、飽くまで公明に審議することが炭鑛關係業者の方に對し、又國民全體に對しまして申譯の相立つことであろうと存じます。參議院は飽くまで參議院たるの本分を十分に發揚いたしまして、その使命を公明正大に天下に示さなければならないと存ずるのでございます。私どもは故意にこれを引延ばしたり、或いは感情的に反對せんがために反對をするというような無節操なことは決してやりたくないと存じます。從つて飽くまで整然とこれを理論的に又科學的に檢討をいたしまして、十分に得心の行くものにいたして、最後の採決に持つて行きたいものと考えるのでございます。但し期間が最早ございません。從來で申しますると、十五日までにもう本案が本院に廻つて來ない場合には審議未了に終りましてもこれは我々の責任ではないということを過般ここで決めまして、委員長より政府の方には申入れをしておるのであります。ところが十五日に來べきものが、二十五日に來たのでありまして、十五日に來ましても會期は十一日しかなかつたのであります。今度はぎりぎり一杯に延ばしましても、會期はあと二十五日から考えましても十日しかないということになりますので、相當これは無理ではなかろうかとも考えるのでございます。併しながらやるだけの期間に私どもは誠意を持つてやるのでありますが、萬が一これが審議未了に終るというようなことでございましても、これは參議院の責任ではないと私は存ずるのでございまして、むしろ粗漏な審議をいたしまして、拙速主義をいたし、恨みを千載に貽すようなことがございましたら、參議院としての責任はこれ又重大なものがあろうかと存ずるのでございます、豫めこれは一つお含み置きを願いまして、商工大臣もお疲れのところ非常に申しわけがないのでございまするが、何とぞ私ども得心の行くように、飽くまで親切に誠意を持つて御答辯を頂きたいことをお願い申上げる次第でございます。
 次に商工大臣は、この法案の必要性につきましては、過般現在の經濟危機打開のための緊急對策であるという觀點からして、經濟の現在の危機を打開するための全くこれは緊急の措置である。石炭鑛業を政府において管理するということも全くこれは一時的のいわゆる臨時措置であるということを申されておるのであります。ところが商工大臣は他においては、この度の國管は國營國有をすることを前提とする一つの段階であるということをしばしばお述べになつておられるのでありますが、かように考えますると、只今申しました如く全く緊急の措置である。而もこれはイデオロギーに囚われるものではないということを本議場においては御説明になつたのでありまするが、現在の御心境もそうであるか、或いはそのお心の底にはやはりこれを以て將來國有國營をする一つの段階だ、一つのここに橋頭堡を獲得するのだというようなお氣持があるかどうかという點を明かにお示しを願いたいと存ずるのであります。
 次に石炭鑛業に對しましては、いわゆる傾斜生産を以ちまして、あらゆる資材、勞力、資金を注ぎ込んで、只今これの生産が行われておるのでありまするが、特に鋼材の如きも全生産の一五%以上、又資金におきましては、産業資金の供給量の中四二%以上というものが石炭鑛業に注がれておるのであります。かようなことによりまして、更に國家がこれを監視し、又一方におきましては、非常増産要綱によりまして、これを鞭撻指導して、是非目的を貫徹し、本年の三千萬トン目標に達しようというような考えで、政府の方はやつておられるのでありまするが、併し靜かに現状を考えて見ますると、今日例えば鐵鋼方面におまましても、非常に生産が落ちておりまして、又これが鐵鋼の生産の落ちるのは、石炭の増産が十分でないこと、又電力の足りないこと等が擧げられるのでございまするが、電力の如きは非常な危機に直面をいたしておるのであります。かようなために、今まで豫定されたように、果してこういつた資材を石炭鑛業のために注ぎ込むことができるかどうかという點を非常に疑問に思うのでありまして、現に鐵鋼の生産ができなければ、炭鑛機械等も生産ができない、更に炭鑛機械の如きは、電力の今日の危機のために、各機械工場、又その下請工場の如きは、殆ど連日停電で休業しておるというような状態で、非常にここに大きなる誤差が出て來るのではないかということを私どもは懸念するのでありまして、この時に當つて石炭鑛業だけを採り上げまして、管理をいたしまして、果して國家全體の生産工業というものが健全に育つて行くかどうかというところに心配を感ずるのでありまして、寧ろ石炭も出なければ、その他の工業も全部重大なる蹉跌に直面をするというような事態を惹起しはせんかという點を心配をいたしておるのでございます。それで商工大臣はこの時に當りまして、この國管案が通過いたしますると、この實施は明年の四月一日からということになつておりまするが、然らば本年三千萬トンの増産に對しては、これは國管案は適用ができないのでありまして、いわゆる非常増産要綱を主體として無論やられるわけでありまするが、これは著々各施策がその實施をされておるのでありまするが、この非常増産要綱も、大分前にお出しを頂いたのでありまするが、まだ實際實行面においては本當に滲透していないじやないか。ただ單に從來の官省におきまするところの机下の空論に終りはしないか。又ただ作文だけをしたことに終りはしないかという點を心配するのでありまするが、本年三千萬トン本當に出る御確信が商工大臣におありかどうかという點を先ず以て承りたいと存ずるのであります。
 そうして若しもこの國管案がもつと早く實施をされて今日でも直ちにこれが施行されるにおいては、三千萬トンより以上出せるのかどうか、又本年は三千萬トン出ない、出ないということは、この國管案が通らないために出ないのかどうかという點と、それから更に四月以降におきましては、この國管案が通過した場合には、非常に澤山出るのか、或いは國管案が通過しなくても、非常増産對策要綱において、十分に増産の可能が見込まれるのかどうかというような點につきましても一應一つ御所見を承りたいと存ずるのであります。
#46
○國務大臣(水谷長三郎君) 中川さんの御質問にお答えいたしますが、この法案は國有國營を前提とする法案でないことは、本會議、更に又委員會におきまして、しばしば言明した通りでございます。今尚その心境には少しも變りはございません。更に又石炭業を管理しても、電力その他の關係はどうかというようなことでございますが、この石炭は基礎産業の中の又基礎産業でございまして、從つて外の基礎産業よりも或る程度の強度の國家の管理をすることは必要でありまして、只今御指摘の電力のごときも中川さんの御承知のように或る程度の、人の見方によれば、この石炭の法案よりも政府の管理が行われているのではないか、このように考えております。從いましてその他金融の面におきましても、成る程金融機關の管理は行われておりませんが、いわゆる資金計畫の下におきまして、或る程度計畫的にやられておるのでございまして、それぞれ程度の差こそあれ、或る程度のいわゆる國家意思というものが行われておるのでございまして、外のものが全部野放しになつておつて、この石炭だけが管理されるという工合には私は考えておらないのでございます。更に又この國家管理の施行が四月一日になると、今年の三千萬トンはどうするかという御質問でございましたが、それは先に下條さんの石炭増産特別調査團に對する私の説明におきましても、例えば今度の調査團が十二月、一月というものに或る程度のレベラツプいたしました生産目標達成ということで馬力をかけることになつております。これらは組織法がなくても、一ケ月、二ケ月というような場合には無理がいきますが、これをばずつと一年を通じてやつていこうという場合におきましては、やはりこういうような國家管理というような組織法がなければ私は到底できないのではないか、このように考えております。その點は先に申しましたように、この法案が實施された曉において繼続して、このような増産措置が最も効果的に、最も合理的に實施せられる、そのいわゆる組織法であるという工合に御了承願いたいと思います。併し我々といたしましては、國管の實施期間は四月一日でございますが、増産というものは一日もゆるがせにするわけには參りませんので、この度の石炭増産特別調査團の設置ということにもなりましたし、更に又マツカーサー元帥の書翰に應える石炭非常増産對策要綱になつております。これは今中川さんはうつかりすると一個の作文に終るのじやないかと御心配になつておられるのでございますが、御案内の通りこの度石炭企業に對しまして、臨時金融をやることにいたしまして、片山首相が會長になつて嚴格にやることになつております。その臨時金融をやる條件といたしまして、一番大きな條件はあの石炭非常増産對策要綱の作業方式をイロハと分けて説明しましたが、そのいずれかをいわゆる企業がとつて、そうしてこれこれの生産が増強できるのだということを約束して貰はなければ、いわゆる臨時金融をしないという工合に政府は嚴格な態度をとつておるのでございます。而も今日の石炭企業の大部分は臨時金融を受けなければ資材或いは勞賃にも事缺くのでありまして、大體十一月から十二月にかけまして、いわゆる石炭非常増産對策要綱に盛られました、一番要であるところの作業方式はイロハのいずれかに決定されるという工合に運んでいるのでありまして、今その過程にございまして、決して作文に終るというようなことをしないように非常な努力を拂つておるということをお含みを願いたいと思います。
 四月以降の點につきましては、前にも申しましたように、大體來年度の目標をば出炭高三千三百萬トン、現在設備によるもの三千二百八十萬トン、新規開發による二十萬トン、カロリーにすると六千五百萬を目標にいたしまして、鐵鑛その他の資材に基き安本と折衝いたしまして、大體二十三年度における資材關係というものは、先にお手許に配付いたしましたああいう線に副いましてやつて行くということを考えておる次第でございます。何と申しましても、惡性インフレというものは非常に高進いたしまして、七月に組みましたところのいわゆる炭價も三ケ月後には崩れるという程惡性インフレというものは進行しているのでございまして、こういうような時期に資金、資材というものを石炭に最重點的に注ぐということはなみなみならん努力が要ることは覺悟いたして居ります。我々はそういう惡性インフレの或る程度の見透し、その下における石炭企業の生産増強ということを考えまして、こういうような組織法を必要としたような次第でございまして、大體二十三年度のそれらの點に關しましては、さきにお示しいたしました資料通りのことは大體やつて行こう。又そうすれば大體三千三百萬トンというものが、出るという見込みで目下著々準備をして居るような次第でございます。
#47
○中川以良君 本法案が若し通らなかつた場合には三千三百萬トンを出すのは非常に困難な状態になりますかどうか。
#48
○國務大臣(水谷長三郎君) この法案が若し通らなかつた場合にはどうかという御質問、私としてはなかなか答辯に困るのでございまして、餘り急所に觸れないように一つ願いたいと思います。
#49
○中川以良君 それではその問題は商工大臣の御胸中を御推察申上げまして、これ以上はお尋ねいたしません。只今資金の點でお話があつたのでありますが、先般炭鑛特別運轉資金融資要綱というものができました。これによつて今後炭鑛の經營の合理化をし、生産の増強をしたところに所要の資金を融資するという行き方になつたのでありますが、現在の炭鑛の状態を見ますと、金融面において非常に行詰りがあるのでありまして、先ず從來の赤字資金、赤字金融というものが提出されたわけでありますが、その赤字金融の結末は先般もちよつと觸れたのでありますが、この炭鑛の返濟方法は、一體いつ返つて來るのか、或いは赤字金融というものはあのまま貸放しで棒引になるのであるか、棒引になつた場合には、これは赤字金融を受けたところは非常によいのでありますが、赤字金融を受くべくして受け得られなかつたところもあるかと思います。こういうようなものは一應何かの方法によりまして地ならしをされるのであるかどうかということをまず承りたいと思います。
#50
○國務大臣(水谷長三郎君) 將來の問題は六月十一日に發表いたしました緊急經濟對策におきまして、原則として赤字金融は行なわない、併し基礎産業に對しては云々という言葉が出て居りますが、過去の今御指摘の赤字金融は、その一つ一つの内容を見まして、止むを得ないものであり、又國家がみて呉れ、そうすればあとは、すると約束したものもあるのでありまして、そういうものに對しては國家は當然補償して行きたい、このように考えております。
#51
○中川以良君 そういたしますと、赤字金融を受けたものは補償が打切りになつて棒引になる。これは十分御調査になつておやりになるだろうと思いますから結構だと存じますが、赤字金融を受くべくして受け得られなかつたところもあると思います。從つて炭鑛のそういう經理面においては相當これは凸凹があるのじやないか、ここで新たなる金融要網によつて出發をされまする際に、そういう從來の凸凹というものを一應地ならしをされるかどうかという點を伺いたいと思うのであります。
#52
○政府委員(平井富三郎君) お答えいたします。從來赤字金融したものについては大體赤字金融という對象及び條件というものは一般的に豫め分つておりましてそれに對しまして赤字金融をいたして參つております。從いましてこの審査に當つてはその個々の企業の事情に應じまして、尚審査を續けて參りますので、いわゆる赤字金融の仕方につきまして非常に不公平が出るというようなことにはなつていかないというようなことで、現在過去の赤字金融をいたしました經理につきまして監査をすることになつております。
#53
○中川以良君 先般政府委員のお話を承りますると、現在炭鑛で黒字を出しておるものは四十六である。あとは全部經營は赤字であるという説明があつたのでありますが、事ほどさように炭鑛の經營は非常な行詰りであつて、いわゆる經理の面におきましても赤字で以て賄つておるのでありますが、先程お話になつたつまり三つの方法のいずれかを採る。又前期より増産ができた炭鑛、そういうものは新たに運轉資金の融資をされるのでありまするが、これについてはその返濟方法というようなものも明示して出さなければならん。無論返濟方法を出した以上はそれを炭鑛といたしましては實行しなければならないと存ずるのでありますが、すでに現在ある殆ど全部が赤字を示しておるようなところでは、現在の炭價ではやつて行けないというところが大部分のように伺つておるのでありまするが、そういうところでは借りようと思つても恐らく今のような状態では返濟の計畫は立たんぢやないかと思います。こういう點については非常に無理があると存じますが、從つてその無理を強いてやるとすれば炭鑛はやはり炭を横流しするとかいろいろ苦肉の策を購ずるのぢやないかと思いますので、この點を承りたいのと、これと竝行して炭價は上げないということを政府は言明しておられますが、現在の状態においても飽くまで炭價を上げないという方針であるかどうか、この點を一つ伺いたいと思います。
#54
○國務大臣(水谷長三郎君) 炭價の點は石炭増産對策におきまして、炭價の値上げは當面これを行わないという、當面という言葉を使つております。今のいわゆる臨時金融の問題ですが、これは私、まだ閣議で決定はしておりませんが、ざつくばらんに私個人の意見を申しますと、あの時業者が來られまして、返すから借してくれということを言われまして、まあ自分としてはもう來年の三月の末までは炭價は引上げようという考えは更にない。それでまあ返せるかという問題が出た。結局業者の方では返すから借してくれということは、來年の四月からはそういうような金が返せるように炭價を引上げてくれということを別の言葉で言つておられることになるのです。そこで若し政府が來年の四月からそういうような借金を金融を返濟できるように炭價を引上げますならば、今やつておる臨時金融は、赤字金融にならないでしよう。併しながら來年の四月になりまして、いろいろの諸般の經濟事情を斟酌して炭價の引上げというものがいわゆる經營者の希望通りに行かない場合においては、この臨時金融というものが或いは赤字金融になるのぢやないかということを恐れるのです。結論として申上げますならば來年の四月からいわゆるこれらの金融を支拂うことができるように、炭價の引上げを行うべきか、或いは又炭價の引上げはできないから、或る程度の赤字金融をしなければならんかということは、そのときの經濟事情が決定すべきものであつて、今ここでこの金融の性格を決めるのは早いのぢやないか、これは私個人の考えです。閣議でそういうようなことの金融の面に對してこうせよこうせよということは決まつておりませんが、私が業者といろいろ問答いたしました結論として、個人の意見を率直に申上げればそういう考えを持つております。只今のところではその程度で一つ御了承願いたいと思います。
#55
○中川以良君 今の商工大臣お個人としてのお考え方を承つてやや分つたのでありまするが、現在現實に損をしておるということは石炭廳でも認めておられる。そこへ今度は金を貸してやる。金を貸せば、或いはその金で以て儲かるならよろしいのでありますが、依然として現在の炭價では損である。然るにそれに済濟をしろという命令を出して行かれることになりますと、そこに矛盾があると思いますので、この點はやはりはつきりとしたことをお考えにならなければ將來の禍根を貽すのじやないかというように考えます。これは一應私の老婆心でありまするが、商工大臣としても今のようなお考え方であれば、この點もう少し明確に御檢討の必要がありはせんかと思うのであります。業者が役所を騙して金を借りるというようなことに今日なつておるように存ぜられます。金を貸すならば返せる方法を以てやる必要があると思います。
 それから更に承りたいのは炭鑛の經營につきましては各資材なり資金なりが順調に、所要の時期に所要量、而もこれが資材の如きは公定價格を以て入つて來なければ炭鑛の經營は成立たないと思うのであります。できた炭は勿輸これはマル公で出さなければならんというわけでありますので、それが現實の面を見ますると、資材の點とか輸送の面であるとか、電力の面に對しましていろいろの制約を受けております。政府は原價生産を以ちまして、これに格段の便宜を與えておられ、いろいろ御努力も拂つておられるのでありまするが、それにも拘わらず非常なる炭鑛は苦痛を嘗めております。こういうことになりますると、只今申しましたように、所要の時期に所要量が所要の價額で以て炭鑛につぎ込まれるならば、當然炭鑛としては豫定の生産を擧げ、これを公定價格で以て出して、而して尚幾分の利潤があるべきなのでありまするが、これがそうでないといたしますると、そういう面に對しまして、これは政府の計畫と相一致をしていないというところがありまする場合には、それがために蒙りましたところの炭鑛の損失に對しましては、政府ははつきり補償をされるのであるかどうかということを承りたいと思います。
#56
○國務大臣(水谷長三郎君) 先の問題ですが、いわゆる臨時金融という點は、あれをお讀みかえになればよく分るのですが、やはり經營の合理化ということを我々は非常に強く言つておるのであります。その經營の合理化をする過渡的金融という意味が非常に含まれておるのです。だからあの金融をいたしましても、何も經營の合理化もせず、やらなければこれはやはり今あなたの仰しやる通りになろうと思いますが、今度の金融の面におきましては、そういう經營の合理化をなし得る過渡的な意味が大いに含まれておるということを一つ御了承を願いたいと思います。
 それから更に政府が約束をいたしました資金資材が適當な時期に適當な分量に流れないために炭鑛がいろいろな迷惑を蒙つた場合には一體どうするかということでありますが、そういう的確な形で我々は今ちよつとお答えできないのでありますが、諸般の事情を斟酌いたしました結果においては或る程度の結論を出せるのではないかと思いますが、只今のいわゆる資金、資材を適當な時をどれだけ遅れたらどうか、或いは分量がどれだけずれたらどうか、そのときの損害はどうか、例えばそのときは損害があつても、それは經營の工夫によつて埋め合せて貰えるか、或いは又勞働の時間の内容充實によつて埋め合せるかどうかという工合に、いろいろ又工夫もあることでありまするから、只今のところにおきまして、資金が計畫通りに行かなくて、すぐそれのために損害を蒙つたということでありますが、併しそういうような場合におきましても、經營その他のいろいろの工夫によりまして、或る程度のいわゆる何ができるのじやないかと思つておりまするから、そういうことは只今のところでははつきりお答えすることができないと思います。
#57
○中川以良君 炭鑛は、勿論經營の合理化に邁進をいたしまして、經營者も從來の觀念の拂拭いたしまして、これは勞資一體となつて努力すべきだと思いますが、併しながら現在の状況を見まするときに、いずれも資材、資金、それから輸送の面、電力の面では、非常に制約を受けておりますが、これは補償をしないという話がありましたけれども、こういうようなことを御考慮にならなければ、すべての炭鑛が、今の状態で以て政府が望んでおられるならば、片つ端から潰れて行つてしまうのではないかというように心配するのであります。そこで補償のことにつきましては、今度の四十條におきましてあるのでありますが、この補償は「前項の規定により補償すべき損失は、通常生ずべき損失とする。」とございますが、これは後で以て逐條審議のときにお尋ねすべきであろうかと思いますが、丁度その問題が出ましたのでお尋ねしたのでありますが、「通常生ずべき損失」というのは一體どういうことをいうのでありましようか、私はどうもこの損失につきましては、「通常生ずべき損失」に限られてあるということは不當ではなかろうかと思うのであります。補償の金額は、損害補償に關しまするところの一般原則にこれはよるべきではなかろうかと思うのであります。損害賠償に對しまするところの常識的の一般學説は、これは相當因果關係説によりまするものでありまして、「通常」というと、これちよつと特定になりまするので、ここで解釋は如何ようにも持つて行かれるように思いますが、特に「通常」とお書きになつたのは一體どういうことか、これを一つ御説明願いたいと思います。
#58
○政府委員(平井富三郎君) この四十條におきまして、「通常生ずべき損失」、という字句を狭みましたのは、大體損害賠償の一般の原則につきましては、相當因果關係のある損失について補償いたすということが、一般の觀念であります。相當因果關係という言葉の實態的内容は、いわゆる「通常生ずべき損失」という言葉で從來から表現されておるわけであります。從つてここにございます「通常生ずべき損失」ということは、この管理法の命令、或いは指示によつて起りました損失が、そこに相當因果關係があるかどうかという點は、具體的に檢討して決めて行くべきものであるというように考えておる次第であります。即ちこれを逆に言いますれば、期待利益といいますか、そういうようなものは含まれていないということも又この言葉の中に同時に表現されると思います。
#59
○中川以良君 そういたしますと、今の御説明で多少分かつたのでありますが、相當因果關係をお採りになつていらつしやるわけでございますか。
#60
○政府委員(平井富三郎君) 相當因果關係ということで考えております。
#61
○中川以良君 それから炭鑛におきまして經營者側は、今度の法案におきまして、これは惡い經營者はいつでも罷めさせることができるのでありまして、それは當然從來の古い考え方を持ち、又利己的な者は當然變えるべきであろうと思います。本當に目覺めた、炭鑛の事業はこれは國家のために生産をするのであるということがよく分かつておる經營者が、これを決定すべきであると存ずるのでありますが、併し經營者がさような立派な考え方でありまして努力いたしましても、炭鑛勞務者が經營者の氣持を解せずに、一方的の行動をとりますと、例えば今度の資金の面におきましても、勞働者のサボタージュ、或いは勞働者の一部の指導する人間がおりまして、これを惡い方向に向けるというふうなことで以て生産が下らないというようなことがございます場合には、しかに經營者がしつかりした考え方を持ち、又公益優先的な觀念を持つてやりましても、この炭鑛には融資をされない、この炭鑛は潰れるより仕樣がないということになるのであります。然らばこの經營者はこの勞務者を排除すればいいじやないかということになるのでありますが、これは今日の諸般の法律に甚きまして勝手にこれをやめて貰うわけに行かないというようなことになるのであります。一方勞働者側は、今日の生産革命というものは、我々勞働者の手によつて初めて生産革命ができるのだということをしばしば言つておるのでありまして、そういうふうに考えておる人が非常に多いのでありまするが、私は決してそうではないと思うのでありまして、これは勞働者も經營者もないのでありまして、今日は實際事業の第一線に立つのはいわゆる經營技能者でありまして、これは資本家におきましても、資本家の目覺めた努力をする立派な人が、これが又立派なところの經營技能者となり得るものでありまして、又經營者の中におきましても、不心得の人はもう明日の日全く職を失う人ができると思うのであります。一方勞務者側におきましても、本當に目覺めた熱意のある勞務省によつて初めて生産が上げられるのでありまして、又その中でも勉強もし努力もする人は經營技能者にも當然なり得るのだらうと思います。即ち目覺めたるところの産業人といたしまして、生産人といたしまして、初めてここに立派ないわゆる今日の日本の生産革命というものが實現されると私は思うのでありますが、かようなときに當りまして、どうも今度の法案を見ますと、勞務者側に對しましての手は打つてない、生産協議會等に出ていろいろな經營の一部に參劃するようなことになつておりまするが、勞務者に對するところのいわゆる制裁と申しますか、不心得な者を排除できるようなことが書いてないのでありまして、いわゆる炭鑛におきまするところの勞働對策というものがはつきりしていないのでありまして、むしろこういうふうに、そういうことをはつきりした方が、私は本當に目覺めた經營者も又熱意のある勞働者も喜んで、それによつて初めて増産が實現できるのじやないかと思いますが、その點につきまして一應大臣の御所見を飼いたいと思います。
#62
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今中川委員の仰しやいました點は、至極御尤もでありまして、御案内の通り、我々の最初の原案におきましては、その石炭勞働に對する條件が、二ケ修程これに入つておりました。併しそれはいろいろの折衝の結果、やはり石炭だけの勞務問題を、この法文に織込むことは不適當であるという結論に達しまして、これを原案から削除したような次第でございます。併しながらこの法案におきましては、勿論これは企業形態は變らないものでありまして、企業の責任者が經營者である關係上、經營者のいわゆる罰則規定はありましても、勞働者の罰則規定はございませんが、併しマツカーサー元帥の書翰によつてもはつきりしており、又それに對する非常増産對策に當りましても、故意の妨害者に對しては斷乎たる法的措置をとるということを我々も言うておるのでございまして、この大事を石炭の生産増強に對しまして、故意にその生産をば妨害するという者に對しましては、我々は適當な法的措置を講ずるということは、石炭非常増産對策要綱にも謳つておるのであります。まあ私といたしましては、御指摘のように特別に、この石炭企業というものの重要性に鑑みまして、最初の原案通りに、爭議の場合におけるところの特別規定というようなものも、この法案に盛るのがいいというような考えは持つておつたのであります。その點はあなたと同じ意見でありますが、いろいろの事情によつて、この法案から削除するの餘儀なきに至つた事情を一つ御了承を願いたいと思うのであります。
#63
○中川以良君 只今特別法的處置をとつてこれに臨むと仰しやいましたが、その特別法的處置というのは一體何によるものでございましようか。
#64
○國務大臣(水谷長三郎君) それはあの石炭非常増産對策要綱におきましても、いわゆる原則としてはこれは經營者竝びに勞働者側の自主的協力でやつて頂きたいということで、作業方式その他の點につきましても、皆自主的にやつて貰う態勢を取つております。それはいまだに變りません。併しながら政府があらゆる手を盡しましてもどうすることもできない場合におきましては、やはりその傳家の寶刀として法の力を借りなければならないと思つておりますが、併し只今の段階におきましては、飽くまでも自主的な協力でやつて貰いたいという根本的態勢を崩しておりませんので、その特別な法的措置の内容を説明する段階には立到つておらない點を御了承を願います。
#65
○中川以良君 私のかく申しまするものは、これは經營者なり資本家のみを擁護するために申すのでなくて、むしろ眞面目な熱意のある勞働者のために私は可哀そうだと思うのであります。これはどうしてもやはり重要産業でございますので、石炭鑛業に對しまするところの勞働對策というものは、いろいろな部面におきまして、金融の面、その他いろいろなことが要綱に出ておりますが、勞働對策だけを取り上げてやはり何かお作りになる必要がないか、然らずんば、この法案の中に盛り込まなければ意味をなさないのじやないか、私は本當に眞面目な勞働者のために殘念に思うのであります。無論經營者がさような手によつて初めて本當の合理的な經營もできるし、喜んで石炭増産に邁進が私はできると思うのでありますが、そういう點について商工大臣のお考えをもう一遍伺いたいと思います。
#66
○國務大臣(水谷長三郎君) 重ねてお答えいたしますが、マツカーサー元帥の書翰に應えた石炭非常増産對策要綱というものは、今あなたの御指摘のような石炭増産に對する勞働對策というものが中心になつておりますので、あの線に沿うてやつて行きたいと思います。ただ遺憾な點は、あの中におきまする勤勞所得税に對する特別措置というものが今なかなか未決定になつておりますが、その他の點は著々今進行中であるのでありまして、大體あの石炭非常増産對策要綱に盛られました勞働對策の線で進んで行く所存であるという工合に一つ御了承を願いたいと思います。
#67
○中川以良君 どうもそれだけでは非常に手ぬるいと存じますので、この點はこれ以上申上げても水掛論になりますので、もう少し突つ込んで御研究を私はお願いを申上げるものであります。それから本法案によりますると、地方石炭局その他石炭廳にそれぞれ民間のエキスパートを採用されまして、從來の知識經驗を活かして、今後この法案の運營を全からしめようという考え方が織り込んであるのでありまするが、併し今のような制度におきまして、民間の優秀なる人が果して役人として喜んで入つて來てやるかどうかという點に私は非常な疑問を持つものであります。これは只今の公團その他營團等を見ましてもよく分るのでありまして、それは費用がなければ、從來いた炭鑛の者が或る程度カバーをすればいいじやないかということを言われるのでありますが、若しそういうことがございますならば、それはその役人になつた人の今後の役人としての立場を臺なしにいたしますので、必ずすべての點において公平を缺くようなことになる、又それでなければ、そういつた人は惡いことをする人が非常に多くなりはしないかということで非常に心配しておるのであります。一つこういう點はどういうふうにお考えになりますか。
#68
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の中川委員の點は、民間から人を取ろうといたしましても、その民間の給與と、そうして官吏としての給與に差があるものだからなかなか人を得られないだろうというお話のようでありますが、これはまあ最近私も一、二その點は、中川さんが仰しやつたような事實に直面して、非常に憂慮しておるのでありますが、併し我々といたしましては、その點に關しましては、又今後の折衝もありまして、できるだけの努力をいたしまして、その給與の點その他の點に關しましては、努力をしたいと思つております。大體こういう場合におきまして、我々はやはり原則としては民間で與えられた給與より下げて採用するというようなことは、これは無理でありまして、その點は十分に考えて見たいと思つておるような次第であります。
#69
○中川以良君 今の點は餘程御注意頂かないと、本當の人材を集結することができないことと、それから非常に厖大な機構になりまして、やたらに民間から人を採用いたしましても、誠に貧弱な人を抱え込み、而も經費が澤山要る、人件費に大半食われてしまう、これは皆國民の負擔になり、石炭の増産にならんというような點が出て來ると思いますので、これは石炭のみならず今後各部面においても、官廳自身がやるために役人を殖やすという點につきまして戒愼すべきことであろうと存ずるのでありまして、この點も十分一つ御研究を願いたいと思うのであります。
 それから管理委員會が中央と地方にできるのでありますが、これが相當大勢の人が入つてやるので、今度の修正法案には、關連産業の人等も加えるように相成つておりますが、これは關連産業と申しますると、金融關係の方もやはり入つておるのでございましようか。それからそういう人は、これは臨時委員となつて議決權が與えられていないのでありますが、これはただ單に諮問的に置くのであるかどうか、この修正の趣旨につきましてお尋ねしたいと思うのであります。無論私はこの關連産業という方面の人が入つて行つて、第三者が入つて行つてやるということは非常にいいように思うのでありますが、この修正の趣旨についてお尋ねしたいと思います。
#70
○政府委員(平井富三郎君) 原案と變りました點につきましては、今御指摘の、委員としては特別委員及び臨時委員というものが加わつたわけでありますが、特別委員の方は、ここにありまするように、關連のある者をここに委員として加えて行くということであります。大體金融であるとか、或いは資材の供給者というような者がこの委員として參加する、但しこの管理委員會の主要な點につきましては、勿論資材の供給計畫、或いは資金の供給計畫ということもございますが、同時に炭鑛自體の決定事項も相當あると思います。例えば山別の生産計畫、或いは地域別の生産計畫、或いは擴充計畫等もございまして、全般的に見まして、議決につきましては、いわゆる委員として選ばれた者が議決をいたすということにいたしまして、これは全國炭鑛管理委員會につきましては、學識經驗者及び炭鑛の關係事業主及び從業者の代表、それから需要者というものの、限定した者が議決をいたしまして、これにやはり需要者と申しましても、例えば鐵鋼業の代表者というものを考えて見ますると、需要者であり同時に關連産業でありまして、この五人以内の程度に議決權を持つ者が入つて來るというように考えております。併し資材の給供面から言いますと、非常に各種の資材の給供面が入つて參りますので、これはむしろ資材を持たん方が適當ではないかという考えでこういうふうにいたしました。
#71
○中川以良君 只今の管理委員會というものは、常置的なものでありましようか、それとも從來役所にある委員會の如く、何か問題が起つたときに定期的にこれを開いてやる、度々そこへ出て行つて、委員となるものであるかどうか。その點を一つ伺いたいと思います。
#72
○政府委員(平井富三郎君) この管理委員会の業務は、特に中央につきましては石炭廳、地方については石炭局と、一體の關係で運用されまする關係上、常置委員會のような運用をして參るというように考えております。
#73
○中川以良君 そういたしますと、委員として選ばれましたる者は、すでにそこに出勤をいたしまして、業務をとるのでございますか。結局炭鑛から離れて、そこに專屬となつてやるというふうに考えられるのでありますが、さように考えてよろしいのでありましようか。
#74
○政府委員(平井富三郎君) 今申上げましたのは、この炭鑛管理委員會の決めまする事項が、管理の基本の事項になるわけでありますので、いわゆる運用的に見て、常置委員會の如きものになるのではないか。從いましてこの管理委員會が設けられまして、例えば指定の基準であるとか、或いは具體的に炭鑛の指定をいたします場合には、相當長期に亙つて管理委員會が繼續して開かれるというように相成ると考えております。併しその仕事が一段落いたしました後は、これは當然閉會になりまして、更に議事が起りましたときに、又招集をいたすということに相成るわけであります。それから又管理委員會の性格上、常置される常置的な運營を必要とされるというものは、地方の管理委員會において特にその必要性が痛感されるのでありまして、地方管理委員會につきましては、運用的には常置委員會に近い運營がなされるであろう。併し性格といたしましては、いわゆる專任の委員がここに詰めかけまして、仕事を行うというようには考えておりませんので、やはり炭鑛の事業主が、事業主の資格で出て來るわけであります。そういう意味におきましては、嚴格な意味の常任委員とは違うものであります。
#75
○中川以良君 今度のこの法案によりますると、本社側、それから現場側、更にそこには炭鑛管理者がある。生産協議會がある。一方商工省石炭廳、それから中央、地方の炭鑛管理委員會というものがございまして、非常にこの機構が複雜になつておりまして、いろいろなものを決めますにつきましても、この複雜な機構のために禍いされまして、非常に煩わしいことになりまして、ちよつとしたことを決めるのにも、一月や二月もかかつてしまうのではないか、という虞れが多分にあるのであります。こういう点が、非常に時間的に第一無駄がありまして、人的にも非常な無駄ができて、各機構ごとに圓滿を缺きまして、對立的になりはせんかという點を、非常に心配をするのでありますが、而してその責任を一體誰が持つのか。責任のなすり合になりはしないかという點の心配がありますが、こういう點は、無論いろいろ御研究になつたでありましようが、そういう懸念はないものでありましようか、どうでありましようか。
#76
○政府委員(平井富三郎君) この管理機構につきまして、一番重點を置きました點は、いわゆる管理機構が、從來のいわゆる官僚統制の弊に陷らないということにつきまして、一番檢討をいたしたわけであります。從つて石炭局の構成につきましても、この法案に書きましたような特別の措置をとつたわけであります。同時に又伸びつつある企業の状況というものを、直接その行政に反映せしめるということも、同時に考えて行かなければならんのでありまして、そこでこの管理委員會というものを、中央、地方に常設いたしまして、この管理委員會、石炭局或いは石炭廳というものが、一體の形において運用されるということによつて、いわゆる行政の民主化ということが達成され、同時に又行政がいわゆる專門的な深さを以て遂行されて行くというふうに考えた次第であります。ただ責任の点につきましては、この法案において一貫してとりました趣旨は、やはり石炭行政の最後の責任は、内閣が國會に對して取るわけであります。これを更に具體的に言えば、商工大臣が責任をとるという建前を明確にいたすことが、行政上の責任をはつきりさせるというふうに考えましてこの法案においては「諮つて」という言葉を使いまして、いわゆる責任の一元化という點を特に明確にいたした次第であります。
#77
○中川以良君 今のお話で、よく分つたのでありまするが、然らば責任は内閣が取り、内閣において商工大臣がこれを取るということを御言明になつたのでありますが、マツカーサー元帥の書翰にも、この責任を追及をしておるのでございまするが、若しも三千萬トン……、これは國管案が實施されないのでありますが、本年三千萬トン出なかつた場合には、これは商工大臣が責任を取られるのかどうか。併しこれは本年は國管案が實施されていないのでありますから、その必要がないとおつしやるかも知れませんが、そうすれば來年三千三百萬トン出なかつた場合には、これは商工大臣の責任になるのかどうかという點を、一つはつきり承りたいと思います。
#78
○國務大臣(水谷長三郎君) 三千萬トンというのは、私が商工大臣にならない前に決まつておつた數量でありまして、ただ私がそれもできるだけやらなければならんというように引き繼いでおるのでありますが、併しながらその國管案の施行前、後に拘わらず、石炭の生産に關する最高責任というものは、當然負わなくてはなりません、勿論その責任の負い方にはいろいろございましようが。從つて私といたしましては、是が非でも三千萬トンを目標にいたしまして、日夜苦慮しておるような次第であります。
 更に又國管案が通りますと、これは午前中にお答えいたしましたように、形式的には國家、政府、從つて商工大臣が責任を取るということは、言うまでもありませんが、併し實質的には、國會の審議によつて決定したものでありますので、私の心持としては、無論私は責任は囘避いたしませんが、國民全體の協力と申しますか、その責任において石炭の生産増強をやつて行きたいというような念願でございますが、併し形式上の責任というものは、これは十分に取らして頂く決心でございます。
#79
○中川以良君 言葉尻を捉える考えは毛頭ないのでありますが、今の三千萬トンというのは前内閣で決まつたので、自分は關知をしていないのだというお話でございましたが、これはちよつと工合が惡いのじやないかと思います。若しも現内閣になつて三千萬トン出なかつたら、二千八百トンにお減しになつていいんじやないか、三千萬トン必要であるというからには、俺は責任を以てやるのだという意氣込みを、商工大臣としてお示し願いたいと思うのであります。
 それから管理炭鑛の對象につきましては、今度の十四條におきまして、指定の基準が能率、生産費、品位、出炭量等に基いてこれを決めるとございますが、これは何かこの基準というものがあるのでありましようかどうか。やはり依然として從來の十萬トン以上というようなことが、大體目標になるのでございますかどうか、或いは從來十萬トンとしておられたけれども、その中には、今度は指定炭鑛にしなくてもいいものが相當あるのだというお氣持かどうか。それを一つ伺いたいと思います。
#80
○國務大臣(水谷長三郎君) 責任問題は中川さんのお話の通りでありまして、少しも私は責任を囘避しているという考えは持つておりませんから御安心願いたいと思います。十四條の問題ですが、これは大體生産増強ということを目標にして、更に又できるならば、緊急に生産増強ということを目標にしてこの基準を決めたいと思います。併し一律的に例えば十萬トン以上は全部指定炭鑛にするという考えは持つておりません。それはその後におきまして毎期ごとに、半ケ年ごとに決めるという點から申しましても、そういう一律的なものでなしに、彈力性を持たしたいという工合に考えております。
#81
○中川以良君 最後にもう一邊責任の點が承りたいのでございますが、この法案が通りました場合には、先般お話がございました通りに形式的に、これは商工大臣が責任をとるのだということをおつしやつたのでございますが、併しこれは國民全體、つまり議會の協贊を經てできたものであるから、國民全體が責任を共に分擔をしなければならないというようなお話でございましたが、國民全體が責任を感ずるということになりますと、これは當然この法案を審議いたしましたところの國會議員自體が、先ず以て責任をとらなければならん。商工大臣、竝びに國會議員が、今日マツカーサー元帥の書翰に基きまして責任をとらなければならんというのでございましようか。この一點をお尋ねいたします。
#82
○國務大臣(水谷長三郎君) 私の申上げた言葉が足らんのですが、私は後の方の國民全体の責任ということは、國民全體がそういう責任感を感じて協力して貰うという工合に御了解を願いたいと思います。いわゆる法律上の責任というのは、これは勿論商工大臣が負うべきものであると考えます。
#83
○帆足計君 この法案の一番の中核になります點は、國家管理の運營の問題、生産協議會の問題であろうと存じます。從いまして、一般的なこととを二、三お伺いしたいと思いますが、先程藤井委員からの意見がありましたが、私は石炭のような重要な産業は、その社会的意議というものが非常に大きくなつて來ていると思います。從いまして、石炭産業の諸政策につきまして、國民各自の意見が反映し、特に勞働階級の意見が強く反映するということは極めて望ましいことであると存じます。併しながら個々の經営におきまして、生産を増加して行きまする仕事、それに責任者というものがなくてはなりません。この經營權という、即ち經營責任というものの内容は、資本主議社會においては二つの内容を持つているように思います。
 一つは資本の代表としての性格であります。その資本の代表としての機能の中で積極的な機能は資本の濫費を防止し、そうして多くの人の貯蓄によつて得ましたこれを濫費せずに、能率的に使うという一つの職能であります。そういう人がいなければいわゆる資本主議社會におきましては、それに投資するものがなくなるわけでございます。
 もう一つの職能は、端的に、綜合的な生産の責任に當つているという職能でございます。この第二の職能につきましては、これが國營であろうと、又社會主議的な國營であろうと、これはすべて共通であります。凡そ多くの人の協力を得て仕事をするという以上は、その仕事を擔當している人の責任と創意というものが明確でなければ仕事はできないと思います。將棋をさす人が、金や歩に悉く相談して、お前は左に動くか、お前は右に動くかということを、前後左右に相談しては仕事というものはできません。仕事というものは、衆智を集めることが必要でありますが、責任者が、一定の與えられた責任の下にやらねばならんと思います。このような觀點から見ますると、私は率直に申しまして、生産協議會というものには、やはり二つの機能があります。一つは、衆智を聽くという、即ち諮問的な機能、もう一つは、共に仕事をしている人達の權利を認めて、そうして協議決定せねばならんこと、二つの内容があろうと思います。先程藤井委員からこの点を指摘しましたが、生産協議會の内容には理論的にも實際的にもこういう問題がある。更にそれを實際に移すということになりますと、その企業の經營者の状況や、勞働組合の成長の度合等がありまするから、これを一律に決めることは、日本の現段階では困難でありますが、必要に即して決めることが必要であるという意見が出ましたが、私はその點は全く同感であります。最もその著しい例をソ聯の社會主議的國營事業の場合、又はイギリスにおける國營事業の場合等の例によりまして、經營責任者の選任というものが民主的に行われまして、一度選任された責任者の創意と、責任の幅というものは、實に大きなものであります。凡そ仕事をするということは、こういう態勢がなければ仕事はできないということは、何事かの仕事に當つた經驗のある人の、すべて認めるところであると思います。從いまして、私は第三條にありまする生産協議會というものは本來ならば、諮問機能、それから協議決定事項の二つに分れるべきであろうと存じておりますが、併しここにございまする「議を經て」という表現は極めて微妙な表現をされておりますが、大體において、協議決定事項に近い項目を竝べているように思います。第二、第三の事項等につきましては、後の三十九條に必ず議を經ることが必要であるという意味のことが附帶書きになつているのでございます。然るに、第一の作業計畫とありますのは、これは限定された意味のものでありましようか、即ち前の條項にあります。第十五條に、業務計畫竝びに事業計画の報告をせねばならんことになつておりますが、その事業計画よりも極めて狹義的な即ち直接勞働者の勞働條件、生産條件に直ちに影響する狹義の生産の意味でありましようか。そういうものでありましたならば、私は「議を經て」という表現でも、只今の私の考えから申しましても理解できるのでありますが、只今の作業計畫の意味を承りたいと存じます。この問題につきましては私は社會主議的經營の例を引きましたが、私の考えが間違つておりましたら、細川委員等專門の方がいらつしやいますから、意見も伺いたいのでありますが、社會主議的な國營でありましても、その他の形體の經営でありましても、とにかくこの生産という大いなる仕事をしますためには、小田原評議ではできないのであります。責任者の持つている權限の幅というものは、廣く、且つ重要でなくてはならんわけであります。問題は、その生産責任者が人を得るか否かにかかつていると思います。幸いにしてこの點につきましては、甚だしく不適任なる管理者に對しましては、解任を請求することができるということになつておりまするから、これらの要求は、私は滿足し得るようになつているのであります。從いまして、それらのことを考慮いたしまして、やはり議を經て、内容の作業計畫という意味がどういうことでありましようか。それからその次の三十九條に、生産協議會の「議を經ることができないときは、」という表現がありますから、今の、こういう曖昧なる表現をいたしておりましても、内容は正確にしなければ實施ができないわけでありますから、この言葉をこのまま解釋しますと、生産協議會に諮問する機會がなかつた。即ち非常に急いだ場合のように思いますけれども、内容を通讀とますると、むしろ決定即ち贊成を得ることができなかつた場合というふうにも取られるわけでありますが、この点を合せてお尋ね申上げたいと思います。それから第二の……。
#84
○委員長(稻垣平太郎君) お話中ですがちよつと御注意申上げます。法文を御引用になりますとき、修正案と條文が變つておりますので、原案の何條とか修正案の何條とかお話し願わないと他の方にお分りにくいと困りますから……。
#85
○帆足計君 そうですか。只今お尋ねしましたのは、今の修正案を頂きましたのによりまして、大文字の原案の三十八條、それから原案の三十九條でございます。
 それから次に第二の問題は國家管理委員會に關することでありまして、細かいことは逐條審議のときお尋ねしたいと思いますけれども、一般的に基本原則に關する問題といまして、大文字の五十七條でありますが、先程管理委員の性格は單なる利益代表ではなくして、勞資それぞれの立場にある者、竝びに經驗に身を置いておるけれども、石炭の増産を圖るという、即ち生産的立場に立つ、こういう御答辯でありました。ところがこの文章の上では炭鑛の事業主を代表する者とこうなつておりまするし、次の從業者の場合にも從業者を代表するものとなつております。從業者の意味は事業主の利雅を代表すると認められた者を除くというような表現がありますから、これは利益を代表すると認められた者を除くという意味は單に從業者というものの私は定義というふうに理解して大臣の御答辯と矛盾するものではなかろうとは考えておりますけれども、代表する者という意味が私は事業者が直接の利益代表でありませんければ、事業者が推薦した者、その推薦した者は事業者であつてもいいし、又當て事業者であつた人でもいいし、又炭鑛事業に精通りておる人でもいいし、その方が公平なように考えますけれども、事業主又は從業者を代表する者という意味は、即ち最も狭義に解釋しますれば、事業主それ自身でなくてはならんかどうか、他の人、即ち專門家であつてもよろしいかどうかその邊のところをお伺い申上げたいと思います。この二點につきまして御答辯を煩わしたいと思います。
#86
○國務大臣(水谷長三郎君) あらましの點を私がお答えいたしまして、詳細の點は政府委員から申上げます。今の帆足さんの第一の質問の點はこの修正案の第三十四條、原案の第三十八條ですが、これは業務計畫の實施に關しということをお讀み願いまして、一、二、三、四、五というものを御了解願つたらいいと思います。只今この作業計畫に關する事項につきましていろいろお説を聞きましたが、それらは皆業務計畫實施に關しというところに結びつけて作業計畫というものを一つ御了承願えますならば、議を經てこれを定めなければならないということが御了解できると思うのです。そこで今あなたが經營協議會の場合において大體その諮問的な事項と協議決定の事項とあるというようなことを仰しやつたのでありますが、大體諮問的事項に属するものはこの中に含めておらないつものであります。從つていわゆる協議決定すべきという事項だけを含めましてわざわざ業務計畫の實施關しということで縛つておるのでありますから、その點を一つ御了承を願いたいと思います。それから又生産協議會の議を經ることができないときは、これは時間がなくて云々ということではないのでございまして、これは議を經てこれを定めなければならんということでございますから、協議が整わなかつたという場合に狭めて御了解を願いたいと思います。その他の非常に精細なる御質問に關しましては、政府委員から一つ答辯することにいたします。
#87
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議會の協議事項につきまして、作業計畫に關する事項というのがありますが、これは今商工大臣から申上げましたように、業務計畫の實施に關する事項でございまして、業務計畫が決定いたしまして、これを實施して行くために、作業の手順におきまする事項、或いは又業務計畫を決定いたしますに必要なその基礎資科と申しますか、基礎の計畫になりますような作業の計畫というように解釋しておる次第であります。それから議を經られない場合に石炭局長の裁定へ持つて行くということについての議を經られない場合という解釋でありますが、これは例えば生産協議會が成立しない。或いは生産協議會において管理者が出した案が否決された。或いは議事が紛糾して議決ができないというような場合を想像しておるわけであります。これは先程帆足さんから御指摘になりましたように、業務計畫の決定ということはやはり經營上時間的に必要な時期にこれを決定しなければならんという關係上、この生産協議會の議に付しました場合に、生産協議會が纒らないという場合の意思決定ができないということが經營上非常に支障を來しますので、その點についてその場合に生産管理者の出した原案を基礎にいたしまして、裁定を申請して行く。そうして時間的に必要な時間に決定をして行きたいというように考えておる次第であります。
 それから管理委員會の委員につきましては、事業主を代表するものとありまするが、私共がこれを書きました氣持は、やはりこの管理委員會に委員として出すものは事業主として出る。但し從來のような事業主より委員を十名というような書き方にいたしますると、これは形式論になるかもしれませが、商工大臣が勝手に事業主を十名選んで委員にいたすというようなことにもなる結果もありまするので、やはり事業主から委員を選定いたします場合には、その事業主の團體、その他のものにも十分協議をいたしまして、その委員を選ぶ。勞働者についても同樣なことを考えまして、代表するものという字句を使用いたしました次第であります。現實に事業を行い、炭鑛の業務に從事しておるものから委員を取るというように大體考えております。
#88
○細川嘉六君 水谷商工大臣に二三お聽きしたいと思います。大體前囘にも私意見を述べましたが、今度は修正案が出ておる。前には原案について質問したのでありまするが、修正案が出た今日水谷君は管理について原案の場合と實質的には何も異つたものはないというように述べられた。實際は修正案においては原案になかつた炭鑛主側の立場というものは相當大幅に自由になされて來ておるのであります。それに拘わらず先程も他の委員からも申されたこの法案の最も重要な點だと思われる生産協議會、それの地位というものは段々狭められておる。現場管理者の地位も弱められら來ておる。それでこういう變化があるにも拘わらず、水谷君が原案とは質的にそう變つていないと言われるのは、解し兼ねるのであります。今度の修正案というものは、即ち衆議院で、十分な、亂鬪騒ぎまでしたことではあるが、炭鑛主側の地位を大幅に自由にさした、殆ど言われる通りに炭鑛主側の目的は達せられたと思うのであります。もうこの法案は、業主側のためには最も有利になつた法案である。それにも拘わらず、今度又炭鑛主側を代表される、或いはそれに追随される方達がここで又ひどく揉み合うということは、どうかと思うのであります。これは炭鑛主側にとつては誠に有利な案である。現に今日の炭鑛というものは、拂込資本は二十億にも足らない。それにも拘わらず、國家の財政から百億以上の金をつぎ込まれておる。そうでなければ成り立つて行かんというような炭鑛であります。そこへ持つて來て炭鑛というものの主なるものは、出炭量の七、八割というものは、今度の戰爭責任にも間われて解體されておる財閥炭鑛であります。こういうように今日自分の足では立つて行けない炭鑛が、澤山の金を國民の負擔においてつぎ込んで貰つておる。そういう状態において、更に資金はつぎ込まれ、資材はもつとつぎ込まれる、そういう勝手なことを要求しておるが、實際そうなつて來ると、これは或る種の管理は必要につて來る。金や資材はいくらでも要求するが、或る種の管理を受けることは反對だということは、世の中の道理に合わないことであります。そうかといつて、私は今日の法案に言う國家管理が正しいと言うのではありません。これはもつと民主主義的に組織されて、官吏の獨斷專行をやつて來た惡習は取り去らなければならんと思います。中央管理委員會とか、地方管理委員會、それらのことについては、逐條のときに申したいと思いますが、現状のままでは、これは非常な官吏の獨斷が更に依然として行われるということになります。この點において炭鑛主側も非常な反對をやつておる。それから勞働者側は無論反對しております。この官吏統制については、もう戰時中業主側も勤勞者側もひどい目に遭つて來ておる。この點は直さなければなりませんが、民主的な管理というものは、これは必要である。こんな大きな資金資材をつぎ込んでおるのであるから、管理は必要である。併しながら、それは極めて民主的な組織によつてこれを管理して行くということが必要であります。そこで今日のこの案は、水谷君はその邊りをもう一つ直すということはできませんか。これでは官僚の獨斷專行を許すようなことになりますから、これはもう鑛主側も、勞働者側も、その他の勞務員も、反對しておるところであります。ここも一つ直せんものでありましようか。更に社會黨から出ておる水谷商工大臣に申したいのは、一つここではつきりと、この國管案はイデオロギーではない、社會主義的の何ものもないということをはつきり言い切つたらどうでしよう。一般質問においていつも問題になる點は、イデオロギーでないか、イデオロギーでないかという點にあるのであります。ここにイデオロギーというのは、社會主義政策の何か入つておらんかということの心配から來ておることは無論であると思います。この案に少しも社會主義的な要素はない。それであるから、きつぱりとこれは社會主義でも何でもないと、水谷君は勿論、この國管案は増産を目的にしておるのだと言つておられるが、それでは他の委員諸君は承知しない。この案は、見られる通りに、全く社會主義的な要素を持たない。これは全く鑛主側、資本家側の案であります。ここで今日本において一般國民が一番心配しておることは、先程來話がありましたが、何を心配しておるかというと、この炭鑛の國管案において、これ以上の負擔を又背負わされて、石炭が本當に出るのか出ないのかを一番心配しておるのであります。それであるから、ここで我々參議院では、今澤山の議論をやらずに、はつきりと資本家側の場面に有利な案であるとして早く片づけた方がよくはないかと思うのであります。社會主義でもなんでもない。イデオロギーでいろいろ議論をなされるけれども、イデオロギーを出す方は、資本家的なイデオロギーで言つておる。社會主義的なイデオロギーは、社會黨だけが持つておるのではない。何が一番増産するかという點が、イデオロギーの爭いの點です。ここを我々は忘れちやならん。人のことをイデオロギーだ、イデオロギーだと言いながら、自分が資本家的なイデオロギーに立つておる。本當に一番増産できるというのが、最も優れたイデオロギーである。それで世界の例から見まして、日本の現状から見まして、今日の日本の經濟の根本になる動力である炭業も、これは三菱にしても二億かそこらでしよう。それ程の小資本では駄目なのである。或いは一億何千萬かの資本では駄目なのである。ここで思い切つた資本で、即ち今百億からつぎ込んでおる炭鑛である。この百億なり二百億の國の資本で大經營をやる、そうして思い切つた世界的水準の技術を以て、新鑛の開發であるとか、その他鑛區の廢合、そんな問題を一遍に解決してしまう、それくらいなことをしなければ、今日の日本では産業の中心になる炭業というものは十分な力を出し得ない。現に終戰後から炭鑛が自分の力ではやつて行けないということははつきりして來た。それであるからこそ、國民の負擔において十幾億の金が今つぎ込まれておる。それでも尚且つ効果が出ない。ここで本當に技術的に最も進歩したことを大仕掛にやるというのには、大資本、即ち國の資本で、それで更にこれは鐵道事業や遞信事業と違つて、人民管理をして全體が國民綜合的になつて、この大きな事業をやるということにならなければ本當の増産はできない。今日日本の今までにないひどい状態になつておる危機、これを打開する途は立ち得ない。そこが即ちイデオロギーである。これが本當のイデオロギーである。イギリスにおいて炭鑛が今勞働黨の手によつて國有になつておる。これが從來のイギリスの炭鑛では、あの小資本の、そうして分裂したあのやり方では、到底經濟の基礎になつておるあの炭鑛はやつて行けないというので、全頑固な保守的なイギリスの保守側も國有にしてしまつた。これはまあイデオロギーの力である。そうしなければやつて行けない。僅かの埋藏量を持つておるこの日本で、こういう大困難を所に落込んだ日本では、これはイギリス以上のことをやらなければ本當の増産はできない。それにはどうしても炭價の七割ぐらいを占める賃金を拂う炭鑛では勤勞者を相談させなければならない、これが本である。これが水谷君の屬しておられる社會黨があの社會主義政策を炭鑛に用いようとした、これが當然今日の時代にあつては適應策である。それが今まで自由黨やその他の各黨で締めつけられ、抑えつけられて妙なものになつてしまつた。そうして今になつて尚イデオロギーだイデオロギーだと言わしめられておる。ことんことはないはずだ。社會黨は段々負けて、お終いに何にもないのに、まだイデオロギーではないかと言われる。水谷君は勇氣を出してイデオロギーでも何でもないとはつきりして見なさい。實際何にもかの中にもイデオロギーはない。私の言うのが本當のイデオロギーである。今まで世界が進歩して來たイデオロギーはそれである。それこそ増産である。現に御覧なさい、チエツコにしても、ポーランドにしても、石炭業について御覧なさい、もう戰前の水準を超えておる。これはやりよう次第によつてできる。やりよう次第というのは、人民の各層の勢力を集中して、自分らの炭鑛である、これによつて經濟の再建ができるのだということを意識してかかればできる。それで水谷君、ここではつきりと、これは社會主義でも何でもありません。資本家のための國家管理案であると、こうはつきりいいなさい。いい加減なことを言つておつたのでは誰も承知しない。イデオロギーといつても何もない。私は石炭業者の惡口をいうのじやないが、一ついいことがある。原案を我々が質問しておつたときから大分日が經つておる。そこで一つ先程も話が出たが、技術者とか、官吏だとか、おまけにG・H・Qの技術部も參加して、各炭鑛を今調べるという、石炭増産の隘路はどこにあるか調べるという、これはなかなかいいことである。この前増産對策について話合つたときに、私は何故早く技術屋を動員してどこの炭鑛がどういう妨害をやつておるか、サボつておるか調べたらいいではないかと私は水谷君に述べたことがある。今日それがどこに何の隘路があるかということを探究されることは非常にいいと思う。
 それから更に水谷君にこの問題について所見を伺いたいのだが、これに何故勞働者側の代表者を入れないのか、十分に勞働者の意向をその中に入れるようにしないと、これは結局勞働者の強度の搾取、勞働時間の延長だとか、惡條件を勞働者に課することになり、罪は皆勞働者にあるということになる、その危險があるから勞働者側の代表を澤山入れて有力に發言させるようにすべきじやないかと思う。それについて水谷君のお考はどうか。
 それからもう一つお聽きしたいのは、緊急對策において決められた勞働條件を守らない炭鑛には金を貸さないというようになつておると私ども記憶しております。そういう場合には結局勞働條件について、いわゆる勞働者側と炭鑛主側との意見が一致すればいいが、一致しない場合がある。その時に炭鑛主は勞働條件の苛酷なものを勞働者に要求して、そうして金融の理由で勞働者側を更に抑壓して行くそういうような危險はないか、それについても水谷君の意見をお聽きしたいのであります。
#89
○國務大臣(水谷長三郎君) 第一の修正案と原案に關しての問題でございますが、これは何といつても原案というものと修正案というものとの違つておることはこれはいうまでもありません。そのための修正案であります。併しその違つておる點は先に述べた五つの點でございまして、それはそれぞれ運用その他の面におきまして對處することができるのでありますから、結論といたしましては、この修正案におきまして十分責任が持てるということは午前にお答えした通りでございます。
 それからこの法案は資本家のための法案じやないかという御意見でありますが、これは見る人によつていろいろの考があろうと思います。併しながら我々は資本家の立場に立たず、勞働者の立場に立たないで、その中間的な立場に立つてこの法案を作成したのでありますので、この法案が百パーセント資本家の立場に立つた法案であるという工合には私は考えたくはないのでございます。
 それから調査團のことに對しては、只今細川さんからお褒め頂いたのでありますが、畫龍點睛を缺く點は、勞働者の代表を何故參加させなかつたということでございますが、これは北海道、九州などの現地におきまして、勞働組合の代表者は欣然として參加して協力してくれておるのでありますから、その點一つ御安心願いたい、このように思つております。
#90
○細川嘉六君 水谷君はイデオロギーについては何とお考えになりますか。
#91
○國務大臣(水谷長三郎君) イデオロギーの解釋はこれは非常にむづかしいのでありまして、或いは細川さんのような流儀の解釋もありましようし、又私がこれまで述べて來たようないわゆる解釋もあろうかと思うのでございます。勿論この法案はイデオロギーの上に立脚したものではございません。更にもつと正確にいえば、資本主義的イデオロギーの上に立脚したものでもなければ社會主義イデオロギーの上に立脚したものではございません。強いて主義という言葉を使うならば、これは生産第一主義の立場に立つてこの案を作成したという工合に御了承願いたいと思います。
#92
○細川嘉六君 調査團の問題でございますが、あれについては勞働者側の代表というものはただ諮問的に参加しておるのか、或いは同等の權利を以て…。私は他の調査團と同じ資格において中に入ることを主張しておるので、あなたの御意見はどうですか。
#93
○國務大臣(水谷長三郎君) 東京から參りました者が、どういう權限を持つておるか。そういう嚴格な意味のことは考えておりませんので、現地におきまして勞資双方の參加を得て、お互に協力してやつておるのであつて、東京から參つた者がいわゆる決議執行機關であつて、現地の勞働組合の代表者が諮問機關、そういうような區別は少しも考えておらずに、皆が同じ立場で現地においてそれぞれ調査をしておるというような恰好になつて、勿論東京から參つた者ですから、東京から行つて調査をする方が大體聽く立場、そうして現地の資本家竝びに勞働組合の代表者が答える立場ということはあるか知りませんが、その間になんらの差はつけておりません。
#94
○細川嘉六君 もう一つあなたに答えて貰わなくちやならんのは、緊急對策で決められた勞働條件を實行しない炭鑛には融資しない。その場合、融資しないという政府の言い分を楯に取つて勞働組合を壓迫して行く。炭鑛の持ち主は一番權力があるのだから、それを楯に取つて組合を壓迫して行くというようなことについての一つ御意見を……。
#95
○國務大臣(水谷長三郎君) よく分りました。その問題でございますが、これはこの融資に當りましては、言うまでもなく經營者の方においても工夫をして頂かなくちやなりません。更に又勞働者の側においても、勞働時間の内容というようなものに關して一段の工夫をして頂かなくちやならんので、單に臨時金融のためにですね。いわゆる責任と申しますか、犠牲と申しますか、そういうものが勞働者だけに加わるのでございませんので、勞資双方の一段の工夫と努力を促しつつ臨時金融をやりたい。更にもつと言葉を換えて申上げますと、この臨時金融をやるに當りまして、從來ややともすれば私は日本の政府のやり方というものが、炭鑛企業というものを甘やかして來たような傾きがあるんじやないかと思うのであります。我々は出す金、必要な金は出します。併しながらそれは甘やかすということとは一線を劃したいというのが、今度の臨時金融の大きな狙いでございまして、必要な金は出す。併しそれは無條件に甘やかすのではないという立場で行くのでありまするから、この臨時金融のためには、經營者竝びに勞働者のそれぞれの側におきまして一段の奮發と工夫を願うということであつて、單に勞働者だけに犠牲を強要するというような観念は毛頭持つておりません。
#96
○細川嘉六君 最後に、水谷君はイデオロギーでなくて云々と言いましたのですがね。それは社會黨の基礎として立つておる水谷君としては、非常に何というか、責任逃れじやないかと思う。なぜイデオロギーであるということを主張しないか。社會黨の本當の立場はイデオロギーだ。立派なイデオロギーだ。今日の社會が進歩したものを基礎にしたイデオロギーだ。然るにこの現に問題になつておる一つの炭鑛國管案としましても、初めは出發がそこにいくらかの餘裕を持つておつた。併しながら段々皆なくした。そこでイデオロギーでなくて、生産増強であるというような變な言葉で逃れられるということは、水谷君のために私は措しむ。そういうイデオロギーに我々は立つておるが、皆取られてしまつたと、ちやんとなぜはつきり言えないか。
#97
○國務大臣(水谷長三郎君) それは例えば細川さんがですね。雜誌改造にイデオロギーの論という論文を書かれるときは、それははつきり書く。こういうようなイデオロギーは、これは社會主義イデオロギーだ、こういうイデオロギーは資本主義のイデオロギーだ、或いはこういうイデオロギーは進歩的なイデオロギーとか云々、雜誌の論文にははつきり區別できるが、現實の政治の面において一つの法案が出ますときは、これは資本主義的のイデオロギー百パーセント、これは社會主義のイデオロギー百パーセントということでなしに、多少いろいろのイデオロギーというものが混じることがあるのでありまして、そういう意味におきまして私は見る人によつてこの案がですね、或いは九十パーセント資本家のイデオロギーと言う人もあるし、或いは十パーセント勞働者のイデオロギー、或いは半々であるとか、いろいろ言う人がありましよう。そういうことでなしに、私はいわゆる雜誌の論文ならば、それによつてはつきりと右か左のイデオロギーということは言えますが、こういう現實にいわゆる政治問題となつたこの法案のイデオロギーは、これはどのイデオロギーだということを決めるのは、私はそれは無理ではないかと思うのでありまして、私はそういうような無理な定義をするよりも、勞資双方から共通した立場の生産第一主義のイデオロギーというのが一番簡單であろう。このように思つております。
#98
○細川嘉六君 もうこれ以上言うことはないのだが、つまり水谷君は政治家になつたのだ。いわゆる政治家になつたのだ。併しながら今日日本において一番必要なものは、いわゆる政治家でない。今日の現状に薬は苦くても飲もう、お互いに飲もうという、それが政治家だ。水谷君のことばかり言うのではないが、ここにおられる委員諸君もやはりそれほどの政治家になつて欲しい。まあこれでよろしい。
#99
○委員長(稻垣平太郎君) 本日の審議はこの程度で取り止めたいと思います。そうして明日は午前中本會議があるのでございますが、本會議の議案は、罹災都市借地借家臨時處理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地區を定める法律案とか、その他あまり重要でない法律案なんですが、午前中委員會を開きたいと思いますが、如何でございますか。
#100
○委員長(稻垣平太郎君) それでは十一時から開くことにいたします。それからちよつとお待ち願いたいのでございますが、尚最近鑛工業に關連しましたところの工場における電力問題のことが非常に重要になつておりますので、議題になつておりませんが、田村委員からちよつと商工大臣の御意見を聞きたいという緊急の御質問があるので、それをお聽き取りを願いたいと思います。田村委員、お願いいたします。
#101
○田村文吉君 皆さまの御贊同を得まして、商工大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、昨今の電力事情の窮迫は御承知の通りでありまして、殊に電燈などは皆さまも御經驗だろうと思うのでありますけれども、私共は雜司ケ谷におりますが、この間は四十八時間丸切り停電、昨夜のごときも僅に一時間、毎日々々さような生活をいたしておりますのですが、恐らくは東京都内よりは地方に參れば參る程、或いは深刻な停電で困つておる。こういうような状況にあることは御承知の通りであろうと思いますし、かようなことを放任いたして置きますということは、畢竟社會不安を釀成することに相成りますのと、非常に面白くない、國會では國管の問題についてあのような討議をしておられるのが、我々の生活は毎日眞つ暗な光明のない生活に置かれておるのだというようなことから、非常な惡い考え方を持たせるような點があるのでありまして、國會はかようなことを論議する前に、一つなぜ私どもの電燈を一時間でも餘計點けることを心配してくれんか。こういうような適切な注文を受けておるわけであります。それにも増して、私の實に憂慮に堪えませんのは、昨今の動力の制限であります。この間までは一週間に四囘とか、或いは四日とか五日とか運轉ができたのでありますが、最近は一般に一週間の中二日しか動力が參らん。かような状況でありまして、甚だしいのになりますと、昨今になりまして一週一日しか送電をしておらん。さような工場が非常に多いのでありまして、勞働者は毎日手を拱いて何も仕事をしないで、工場に出て遊んでおる。そういたしますと、假りに六百萬ならば六百萬の勞働者の方々が毎日手を空けて仕事をしないことになつておる、生産を停止しておる、こういうような實情に陷つておるのでありまして、かような状況が續きますと恐らくは各工場がこの年末は越せまいと思う。みんな金に詰つて參ります。又製品を賣ることもできません。そうしますと勢い今までに見なかつたような非常な危機が來る虞れが多分にあるのであります。勞働者は勞働者で、仕事をしたくても仕事ができないで、家へ歸つて、今日も停電で仕事ができなかつたと家の人に話をする、その話をするにも停電の眞暗な中で話をする、こういう實は情況に相成つておるのであります。そこでこれが二月頃に起つた問題でありますと、いずれ三月になれば融雪期になります、そうしたら水が出て來て、電氣の問題も解決するだろう、半月か一月辛抱すればいいのだ、こういうような希望の持てる場合でありますれば、これはよろしいのでありますが、今年は曾て見ざる渇水である、こういう御説明でありまして、それは私も分る。又水害のために相當に水力發電設備が壞されたということも分るのであります。でありますが、まだ十一月で、御承知のように毎日氣象臺で知らせる温度は、朝の極く寒いときで一度とか二度程度でありまして、水點下には殆どなつておらんのであります。こういう状態において水力が最大渇水期に遭遇した、而も燃料が足らないから十分に火力發電もできない、こういうようなことで、天災のために止むを得ないのだというようなことで、これから先十二月、一月、二月、三月とこの三、四箇月をどうしようとなさるのか、この問題は到底ゆるゆると御意見を承つたり、或いは又協議している暇もない問題だと思いますので、今日特に一つ商工大臣から將來の見透しについて御説明願いたい。尚私は申上げて見たいのでありますが、石炭は昨年に比べますと、本年は五百萬トンか殖えておるのであります。でありますから火力發電をなさろうと思えば、石炭がこの電力というものの根本で、これがインフレーシヨンの因をなすのだ、こういうことを考えて來たならば、何は措いても火力發電を増さなければならん。それに對して石炭はどうか、昨年に比べて五百萬トンも石炭は殖えておる、それがどうしてかような施策ができないのであるか、又この間の水害で十二、三萬キロの發電所がやられた、これに對する復舊はどういうふうにしてなさるのかということを伺いますと、目下著々復舊中である、こういう御説明であります。尚水は曾て見ざる渇水期だ、かようにただ表面的のお話で、これに對してどうするのだという御對策が私共さつぱり承つておらんのでありまして、非常に不安に堪えんのであります。おそらくはこれから先全國の産業がこの状況で行きましたならば、二月も三月もストツプしてしまう。こういうようなことでこのインフレーシヨンの日本經濟が救われるとお考になるか、どうしてもこれは早急に解決をなさらなければならん問題だと考えるのであります。かような意味で、決して體裁やお座なりのお心持でなくて、本當にこうしようと思つておるというお考えがありまするならば、一つお知らせ頂きたい。若し全然おありなさらんのなら、又この通り雨が降らなければこのままで行くより仕方がないのだ、そういうお考えであるならば、これも止むを得ません。現在の政府の方針がそうであるならば、これも止むを得ません。雨が降らなければこの通りで行くより仕方がない、銘々が節電してくれなければ駄目だというようなお座なりの話でなくて、本當のところを一つ大臣から承りまして、私どももそれによつて先般綜合燃料の體制も立て、委員會を作りまして、綜合燃料の一部門として特にお願いもいたしておるし、そういう對策に關する御協力も申上げておるのであります。今の工場電力に對する處置はどうなのか、これを一つ詳細に伺いたいのであります。
#102
○國務大臣(水谷長三郎君) 豫め御通告して頂きますならばなんでございますが、今日は午後知事會議に電力局長が出て、やはり電力の問題をやつております。それから又復興會議がありまして、次官以下電力の關係の者がそちらへ行つておりまして、これは只今田村さんが申されましたように、これは非常に深刻な問題であることは、私も憂慮しているので、又私は恨むならばお天道樣を恨めとか、そういうことをいう者ではありません。日夜苦慮しているのでございまするが、大體日本の水力は、名目的には一年に六百萬キロワツトでありますが、實際出るのは豐水期で五百萬キロワツトしか出ません。それが渇水期になりますと、貯水池なんかを利用いたしましても、三百萬キロワツトというようなことになつております。それから火力の方は名目上は三百萬ということになつておりますが、實際はフルに動いて百萬でございまして、只今のところはいろいろの事情に制約されまして、四十三萬しか出ておらんのであります。そこで今この冬を目當てにしてやるのは、この一月の末までに火力發電の復舊によりまして、二十七萬キロワツトを出すという、復舊がただできるだけでございまして、それ以上のことはできないような状態に置かれておるのでありまして、今年は異常渇水のところへ、一番雨を望んでおつたときが却つてああいうような洪水になつて、逆に又出力を落したというような關係でありまして、常のときでもそういうような状態でございまして、それに對して需要は四百五十萬から五百萬ということになつておりますから、豐水期のときにやつととんとんでございまして、渇水期のときには、大體二割から三割はどうするわけにも行かないのであります。
 そこで我々といたしましては、この冬を目當てにして、火力の方では復舊は二十七萬くらい、ちよつと數字が…、大體そうだと思いますが、二十七萬キロワツト、これだけが復舊いたします。それが四十三萬にプラスするのが大體火力のこの冬の一番大きな力であると見ております。水力の方は、その他いろいろの雨の模樣によつて違いますが、そういうな状態でありまして、今年の冬は非常に深刻であると思いますが、併し一番ひどいと豫想される時期に、その二十七萬キロワツトの復舊ができますので、只今よりは惡化いたしません。そういう決心をいたしておりますが、この只今というのがこれが非常に深刻な問題になつております。そこでどうしてもこれは田村さんに叱られるかも知れませんが、消費規正を一段とするより外に途がないような状態でありまして、資材その他の關係におきましてやつたら、なんでありますが、大體一番大きな便業負荷、これが資材その他の關係でこの冬に整理するのは三分の一程度しかありません。併し今日私が申ました數字は、或いは正確かどうか分りませんので明日數字を以てお答いたしますが、大體そういうような事情で今我々が田村さんにお約束できるのは、一月の末に火力が二十七萬キロワツト復舊するというだけしかお答えできないような状態であります。今一つは便乘負荷を三分の一整理する。それだけが浮いて來る電力であります。尚詳細に亙りましては、明日適當な機會にお述べすることにいたします。
#103
○田村文吉君 實はその數字の問題は、私はいろいろ資料を頂いておりますので、大體のことは分つておりますから、強いて私は今數字の問題をいうのではありませんが、今日のような状況でこのまま二十七萬キロだけ火力發電が殖えるというだけでは、どうしても私は今後の日本の經濟は立つて行かないと思う。そんなことではどうしても私はいかんと思うのですが、これに對する何かまだ他に御方策がないのでありますか、例えば今、火力發電の施設の復舊が二十七萬キロワツトと仰しやるが、その火力發電の設備も十分にあるはずです。石炭をお廻しになるならば廻るはずであります。のみならずこれは最近の新聞でも多分御決定になつただろうと思われますが、九州、中國では自家用の火力發電を皆廻すために石炭をやらうという御趣旨のようで、この外に關東にも澤山の自家用火力發電所もある。これも火力發電が足りないというのは、石炭さえ廻わせばできる。その石炭は昨年に比べて五百萬トンも多く出炭しておるではないですか。何故石炭をお使いにならないか、重要産業にお廻わしになるのも結構です。併し工場は肝心要の動力が來ないために石炭を廻して貰つても仕樣がない。こういうような對策が必ずなければならないが、これに對して私は本當に御協力してもいいのですが、今日このインフレーシヨンを救う途はこれより外方法はない、構わないで置けば非常に惡性インフレーシヨンが起る。こういうようなピンチに際しておる。私は數字の若干のことは言わない、天氣で雨が降るとか降らないとか問題でない。もう少しく深刻にお考えになつて、御對策をお立てになつて戴きたい。なんとかしてこの危機を救う途をお考え頂きたい、こう私は考える。特に鑛工業委員の立場から大臣の御一考を促し、しつかりしたお考えを伺いたい。
#104
○國務大臣(水谷長三郎君) 自家發電をフルに動かすということはやりますが、これは御案内のようにフルに動かしましても、全國で七萬八千、その中二萬二千が炭鑛用ということになつております。從つてこれにも或る程度の限度がありまして、自家發電は非常に大きな數でありますならば、なんですが、全國的に見て七萬八千、その中炭鑛が大部分でありますから、これは他に廻すという餘地はもう多く期待できないことと思います。尚この石炭の問題ですが、これは一つ田村さんが一番今強調して仰しやつたように……責任逃れになるかも知れませんが、商工省ではこの配炭の數量をどうするわけにも參らんのです。これは經濟安定本部その他然るべき方に十分一つ鞭撻されまして、石炭を廻すように一つ御協力をお願いしたいと思います。只今第四・四半期の百十四萬トン、經濟復興會議はこれに對して二百五十萬トン要求をしておりまして、その半分以下の石炭しか廻わして貰えないというような状態でありまして、いわゆるこの電力の方面において良質なる、そして十分なる石炭が廻るように一つこれは私どもも努力いたしまするが、その石炭を廻すように一つ、何するのはこれは田村さんと同じように陳情の立場に商工大臣は置かれておるのでありまして、これはあなたの御希望通り廻すわけに行かんのでありますから、その點一つ御了承願いたいのであります。
#105
○田村文吉君 石炭と電力と重要産業をあずかる商工省であれば、大臣がそんな弱いこと仰しやつて、安本長官の方で廻さんから何とか一緒に協力せいというような、そんな頼りないことをおつしやつていては、それは仕事が廻つて行つて、惡性インフレにならないような方策がおできになるのなら結構ですが、今のようなこんな時に、責任逃れみたいに安本が石炭を廻さんから駄目なんだという、そんな商工大臣の言葉では甚だ私は足りないんであります。そんなことは、これは否でも應でもやる。それができなければ商工大臣は大臣を辭めてしまう。そこまでの決心がなければ、今の國民を救う、救國ということはできない。そこをしつかりと私は大臣が臍を固めてやるようにお願いしたいと思います。國が救われません。
#106
○國務大臣(水谷長三郎君) 私は責任逃れのためにそういうようなことを言つておるのじやないので、私はできるだけ石炭を取りたいといろいろ苦慮しております。これは田村さんも一つ御了承を願いたいと思いますが、ちよつと田村さんは丸で商工大臣が石炭の割當ができるように言われますが、そいつはできない事情にあるということだけ一つ御了承を願います。それだけでありまして、別に私は責任逃れのために言つておるのではありません。それはあなたと同じように電力危機というものに對しまして、これはいわゆる日本の産業、國民生活というものは、恐らく電力危機に非常に禍いされるんじやないかということは十分私共も人後に落ちず憂慮しておりますから、私も一つ馬力をかけますが、何分の御協力をお願いする、こういう意味で言つたのであつて、責任逃れのために言つたのではないのですから、その點は一つ御承了願いたいのです。
#107
○委員長(稻垣平太郎君) それでは本日はこれで散會いたします。明日は一つ正十一時よりお願いいたしたいと思います。
   午後三時五十五分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           大屋 晋三君
           平岡 市三君
           堀  末治君
           入交 太藏君
           林屋亀次郎君
          深川榮左ェ門君
           鎌田 逸郎君
           楠見 義男君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
  衆議院議員
   鑛工業委員長  伊藤卯四郎君
           松本 七郎君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   商工政務次官  冨吉 榮二君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
ソース: 国立国会図書館
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