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1947/11/28 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第21号
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1947/11/28 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第21号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第21号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第三十
 四号)
○炭鉱国家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣提出・
 衆議院送付)
○亞炭増産に関する請願(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損出補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に関する陳情(第四百六
 号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 四百八十号)
○東北地方銑鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 五百六十四号)
○炭鉱民主化に関する陳情(第五百七
 十九号)
○製塩用燃料割当に関する請願(第五
 百五十二号)
○野鍛冶業用燃料増配に関する請願
 (第五百六十一号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第五百七十三号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する陳情(第六百三号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月二十八日(金曜
日)
   午前十一時十七分開会
  本日の会議に付した事件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより本日の委員会を開会いたします。
 木下盛雄さんが御病氣のために今度寺尾豊さんに代られましたそうでありますので、寺尾豊さんを御紹介申上げます。
#3
○寺尾豊君 何とぞよろしく申上げます。
#4
○大屋晋三君 議事進行について……昨日の午前の劈頭の委員会で一應問題の了解が得られたと考えられまする衆議院から本院に送付に相成りましたこの法案の問題でございますが、又本日の委員会にこの問題を私が取り上げますことをお許し願いたいのであります。と申すのは、御承知のように昨日午後の衆議院の本会議におきまして有田二郎君からこの問題を取り上げて質問をいたしました。そうして事衆議院に関する問題でございますが、衆議院において可決せられまするときに、議員諸君の机の上に置かれた法案と提案者の企図した法案とかが食い違いがあつたという問題に対しまして、議長は当時早々の混乱の際であつて、成る程議員諸君のテーブルの上に置かれた原案と、提案者の提出された法案とが食い違つたことを率直に認められました。但し議長の手許には提案者から正しい提案者の意図いたしまするところの法案が届けられておつたということを答弁せられたのであります。これはこと衆議院に関する問題でございまするが、私はここに本日委員長に対しまして、この衆議院から送付されて、昨日我々の手許に頂載いたしましたこの法案は、これが正しいものである、寸分の間違いのないものであるというふうなことで、これを了承し、且つ法案をアクセプトいたしましたのでありますが、これは間違いございませんか。委員長。
#5
○委員長(稻垣平太郎君) お答えいたします。こちらの議長から事務総長を代理として先方へ一應御注意を申上げたということは、こちらの議長といたしましては向うで正式に衆議院議長の名を以て而も印章を押して正式に來ておるものを、参議院としては向うの正式に回付された法案とみなすということが一番正しい解釈であるように思うので、それで審議すべきであるか、そういう問題があるので、念のために議長から事務総長を向うへ送らせまして、この点を念を押すという手続を取つて頂いたわけであります。それで向うに対しまして念を押しました結果、こちらから送付したものを以て正しいものと我々は考えておるのだからそれで御審議を願いたい、かような返答でありまするので、当参議院としましてはこれを正しいものとして審議を進めて行くより外にないのではないか、かように考えるのであります。
#6
○大屋晋三君 それは昨日の委員長の御答弁の通りであるのでありますが、私が本日この問題を再び取上げてあなたにお尋ねするのは、同じ答弁を承ることができるかどうかと多少懸念いたしたから、更に取上げたのでありまするが、私の聞知いたしました事実をあなたに申上げたいと思うのであります。
 まだ委員長のお耳はさようなことが入つておらないかと存ずるのでありまするが、どうも我々が昨日入手いたしましたこの法案が必ずしも完全なものでない、衆議院の修正者の、提案者の意図したものと寸分違わないものであるという、その昨日の衆議院からの修正に対して、私は疑いを抱く者でありますが、その点に対して委員長は何か材料を入手しておられますか、それを伺いたいのであります。
#7
○委員長(稻垣平太郎君) 私が先程お答えした以外に、何も承知いたさないのであります。何も承知いたしておりませんので、一應我々としては衆議院から正式に廻付されたものを以て正式のものとして審議を進めて行く以外には、ここでいろいろな推測に基いてかれこれいたすのも如何かと存じますので、やはり衆議院から送付されたものを以て、審議を進めて行くということにいたしてよろしいのではないかと、かように考えております。
#8
○大屋晋三君 然らばあなたに対して私一つの御要求を申上げたいのでありまするが、一つお調べを願いたいと思うのであります。それは本日御審議をいたしまするに先立ちまして、その点を一つ明瞭にいたして頂きたいと存ずるものであります。それは眞か僞か、私がその当事者に接したことでありませんから、そこまでは断言いたし兼ねるのでありまするが、昨日衆議院の事務局から本院の事務局に対して、更に我々の接受いたしましたこの法案に間違いがある、これを正誤してくれないかという申入れがあつたということでありまするが、若しこれが事実といたしますると、事甚だ重火と存ずる次第であります。この点につきまして委員長の眞僞のお取調べを願いました上で、それを明瞭にいたした上で、私は審議に入りたいとかように考える次第でございます。御答弁を願います。
#9
○委員長(稻垣平太郎君) 今大屋さんからのお申出のことは、私初耳でありますが、そういうことが事実ありましたが、如何でありますが、その点は十分一つ取調べたいと思います。
#10
○川上嘉市君 若し大屋君のいわるる通りであるならば、審議に入る前に、この法案自身が若し違つておるということならば、これに入るのは如何かと思いますから、直ぐお調べを願いたいのであります。
#11
○委員長(稻垣平太郎君) 話の途中で川上委員から御発言がありましたのでありますが、取調べたいと存じまするので、暫く今日の委員会は休会いたしまして、午後改めて開くことにいたします。それではよろしうございますか。
#12
○委員長(稻垣平太郎君) 尚時間につきましてはいずれお知らせいたしますが、大体一時からお集まり願うことと御了承願いたいと思います。
   午前十一時二十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時二十一分開会
#13
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより再開いたします。午前の委員会で大屋さんから御質問がありました件につきまして、委員長は理事の方々と御一緒にその件につきまして調査いたしましたのでありまするが、事実はかような次第であります。即ち昨日当方の議事部の方が衆議院の議事部のところへ参りました節に、この臨時石炭鉱業法案について、或いは訂正があるかも知れないといううよなお話がありましたそうであります。それでその後全然何らの通知がありませんので、そのままになつておるということであります。先程向うの議事部へ当方の議事部の人を、差遣わしまして取調べましたが、その後全然訂正はないということでございましたので、さよう御了承願いたいと思います。
#14
○大屋晋三君 その程度で、最終の正確性がそれで確立するというならば、私もこれで動議を打切りにいたしますが、もう一つ希望を申上げると、議事部対議事部の問題でなくして、苟くもこの法案を一方の議院において、衆議院で可決された法案が、片一方の参議院に廻つて來て、その法案の文言に相違の点がある。苟くも天下の耳目を衝動した我が國再建の鍵を握つております本法案の、而もこれは法律の字句というものは、たとい一字に「てにをは」が違つておつても事重大なのであります。私といたしましては、只今委員長の御報告で、それが最終の、もう絶対に間違いないということであれば了承いたしますが、私の希望を申上げますならば、議長から議長への手続をとつて頂きたい。更にもう一つ愼重を期するならば、提案の説明者であるところの松本七郎君をお呼びを願いまして、松本君に立証して頂くというのも一つの方法ではないかと思うのでありますが、委員長のお考えで、只今願いました二点の手続を省略いたしましても、後日絶対にこの法案が、衆議院でパスしたそのものと寸分違いがないということであるならばよろしうございますが、若し後日に一字一句でも間違つておるということがありましたならば、この参議院の権威の問題、延いては我々の職責を完遂いたす点において瑕疵を生ずるという点に御留意を願いまして、只今の私の見解に対する御答弁をお願いいたしたいと思います。
#15
○委員長(稻垣平太郎君) 只今の大屋委員のお話につきましては、御注意の点十分了承いたすのでありますが、今朝程申上げましたように、昨日すでに議長より議長へのお話は一應済んでおりまするので、私といたしましては、議事部にそのことをただ念を押さした、こういうことに相成つておりまするので、私といたしましては、昨日議長から議長への正式のお話が済んでおるものとかように考えまして、それに対して何らかの訂正があるのだということはすでに私はおかしいのじやないかとかように存じておりましたわけであります。先方といつちやおかしいが、衆議院の方で、何ら訂正の箇所がないということでありますれば、昨日の議長対議長のお話を以て我々は先方から参りました書類を以て正しいものと、かように考えて議事を続行して行きたいと考えるわけであります。
 それでは昨日に引続きまして質問を続行いたしたいと存じますが、どうぞ御質問を願います。
#16
○小林英三君 その前にちよつと、定員の方はよろしいのでございますか。
#17
○委員長(稻垣平太郎君) 午前中に成立しておりますから差支えないと思います。
#18
○小林英三君 午前中に定員になつて、午後に五人になつても差支ありませんか。
#19
○委員長(稻垣平太郎君) 継続の場合はいいのじやないですか。
#20
○小林英三君 それは疑義がありはしませんか。今のお話でありますと、例えば午前中に定員の十五名以上あつて、午後に五人になつてもいいということになるのでありますが、重要な法案がそれで審議ができますか。
#21
○委員長(稻垣平太郎君) 尚委員部長に從來の先例等も聞いたのでありますが、從來の先例といたしましては、例えば机の上に書類その他が置いてあれば出席としてそのまま依然としてやつた先例があるようであります。採決その他で人数を要しまするような場合は別といたしまして、普通には続行いたしておるようであります。無論今のお話のような委員三十人の中五人になつたというような場合が起きれば、それは無論考えなければならんと思いますが、大体今我々として……十二、三人いらしやつておるようですから……十五名ですか、それだつたらば尚いいと思います。
#22
○小林英三君 今委員長の仰しやつたことで大体了承いたしますが、ただ採決ばかりでなしに、動議とかいろいろなことがありますような場合に、五人や七人で以て決めるということはどうかと思いますから……。
#23
○委員長(稻垣平太郎君) そこは一つ常識でお考え願わなければならんと思います。私は五人というような場合のことを申上げておるのではありませんから……。
#24
○小林英三君 結構であります。
#25
○川上嘉市君 昨日私は所用がありまして午後の会議に出なかつたのでありますが、或る委員の質問に対して、商工大臣は、必ずしも三千万トンに達しなくても二千八百万トンでもいいというお話があつたというように仄聞しましたが、事実そういうお話がありましたか。
#26
○國務大臣(水谷長三郎君) そういうふうな返事をしたことはありません。
#27
○川上嘉市君 そこで我々は少くとも三千万トンの目標を考えております。ずつと初めの際の大臣の御答弁の中に、殊に衆議院の方も参議院の方も、予定の生産を挙げたというときに、感謝の決議をいたしました、そのときに目標がなくてそんな感謝をするはずがない、その目標というものは、当時の目標は、やはり二千八百万トンぐらいであつたか、いくらであつたのですか、その辺の点について御答弁願います。
#28
○國務大臣(水谷長三郎君) 本年度は三千万トンを目標にいたしまして全力を盡しておる次第であります。
#29
○川上嘉市君 それでこの國管案の目標とするところは、政府、経営者、従業員が全力を挙げて石炭増産を達成することを目的とする、こうなつておりますが、実は新聞で散見いたしますと、炭鉱関係の組合の者が、政府の今回の修正案に対して反対だというふうな、こういうふうな意見を持つております。その他事業主の方もこの國管案に反対の意見を発表しておる者が多いのであります。それで果して三者が共に生産意欲を増すというお見通しでございましようか、これを一つお伺いいたします。
#30
○國務大臣(水谷長三郎君) 昨日過半数を占めておりまする炭鉱労務者の炭労、全國炭鉱労働組合の大会がありまして、その大会におきまして、このたび通過いたしました修正案というものは不満足であり、不徹底であるが、他日を期して組合としてはこれをば支持し、この下において生産を挙げて行くという決議をしております。從つて川上さんは労働者側も全部反対というのは、單なる新聞の記事で、或いは一、二の幹部の記事を見られて、そういうことを言つておられるのか知りませんが、現に昨日の大会においてはそういう決議が行われておりますので、あなたの、労働者が全部反対であるということは事実に相違しておると思います。更にもう一つの組合は、これは組合員の大多数はやはり同じ意見を持つておると思いますが、少数の幹部には共産党の影響の多い人がありまするから、幹部の意見として発表するときには、或いは今度の國管案は不徹底であるというように発表されるか知りませんが、併しながら私はいろいろの情報、事実によりまして、そういう方面の組合大衆諸君は、この法案がたとえ修正されても、成立しないより成立する方がいいという下において、十分生産の増強に協力して呉れるものであるという確信を持つております。現に一番左翼的といわれた北海道の全炭系の組合でも、昨日の新聞によりますれば、ここ一月を限つて時間を自主的に延長する、そうして生産増強に邁進するという決議をして呉れておるのでございまして、私の申しますことは、單なる希望でないという工合に御了承を願いたいと思います。更に又二、三日前の某新聞におきまして、鉱業会の会長貝島氏も、自分らはこういう意味においてこの國管案に反対であるが、それが通れば決して生産サボ、そういうようなことが世間に傳えられておるが、そういうようなことは絶対にやらないということを声明されておるのでありまするが故に、我々はこの法案が何か闇から闇に葬られるよりも、修正案が通るということが、石炭生産増強の大きな推進力になるという信念は毫も搖がないということをここに重ねて申上げて置く次第であります。
#31
○川上嘉市君 果してさようでございましたらば、一体この國管案を実行いたしました後にどの位の増産ができる予想でありまするか、嘗つてGHQの方からの三千万トンの目標をやるならば、今でもてきるじやないか、もつとやらなければ國管案の意味はないじやないかというような大体の心持を現わしたような傾向があるように考えますが、どのくらいできますですか。或いはこの國管案が仮りに葬られるという場合、そのときには組合がそれに対していわゆる政治的闘爭をやるということに万々一なりましたときに、政府はその政治的のストライキというものについてどんなふうな考えを持つておりますか、それをお伺いしたいと思います。
#32
○國務大臣(水谷長三郎君) 仮定論に基く御質問に対しては、私は愼重な態度を以つて答弁を避けたいと思つております。結局石炭の生組増強と申しますのは、政府といたしまして資金、資材というものを最重点的に注ぐということは言うまでもございませんが、現在の経済事情の下におきましては、川上さんも御承知の通り或る程度の限度、制約があるということは言うまでもないのであります。從つて資金、資材の足らないところを補うのは何であるかというと、それは経営の工夫と労働時間の充実、労働力の内容の充実ということに外ならないのでありまして、本年度の三千万トンを達成する場合におきましても、最近マツカーサー元帥の書翰に應えました、いわゆる石炭増産非常対策要綱の作業方式にも盛られておるように、或る程度の労働の強化というものは避けられないのでございまして、この國管案というものは、労働者が生産協議会において日本の現在の組國の現状を認識して、十分みずからその労働をどうやつて行く、作業、方式をどうやつて行くという根幹をなすものであるが故に、そういう意味におきまして、労働者が得心して納得ずくで自分の労働時間の延長、或いは労働時間の内容の充実というものを納得ずくでやるために、國管案というものは私は非常に役立つのではないかと、かように考えておる次第であります。
#33
○小林英三君 私は昨日の委員会におきまして、この國管案の骨子ともいうべき問題につきまして、国工大臣にお伺いいたしたいのであります。どうも私の考えておりまするような明快な御答弁が得られなかつた、それは商工大臣が原案の提案の理由の中におきまして、はつきりと申しておられまするように、増産の推進力と申すべきところの経営者及び從業者の生産意欲というものを増大するということが絶対に必要である、それが私は國管案が実際に提案された根本であると思うのであります。そうしてこの國管案というものが増産を目的として考えられたものであります以上は、私も勿論これらの事業者でありまするとか、或いは労働者でありまするとか、これらの生産意欲を増大せしめることが最も必要でありまするということについては、同感なんであります。恐らくこの法案に対しましては、このことが山であろうというようにまで私は考えておるのであります。私は只今も田村委員がちよつとこの問題に触られたようでありますが、私はこの問題につきまして昨日お尋ねいたしまして、本日も又これを繰返してお尋ねいたすということにつきましては、十分この点について私自身といたしましても納得いたさなければ、この法案に対する審議というものも、心が迷うわけであります。甚だしつこいようでありまするが、今一度大臣にお伺いいたしたいと思います。それはこの経営者及び從業者の生産意欲を増大するということが絶対に必要でありまするらか、炭鉱の國家管理はこのような実際の必要を満足させるために緊急の処置として考えられたのでありまするが、併しこの炭鉱國管案に対しましては、第一番に全國の炭鉱業者が口を揃えて絶対に反対をいたしておる、今大臣が貝島炭鉱云々というお話がありましたけれども、恐らく全國の三百になんなんとするところの炭鉱業者は、全部がこれに対し大反対である、今まで政府のこういう施設でありますとか、或いは法律というものが立案されたときに、いろいろの意味の反対がある場合もありましよう。併しながら今度の國家管理案に対しましては、殆ど全國津々浦々の炭鉱業者というものが、鉦や太鼓を叩いて反対しておる、これが今日の状態であります。こういう法律を布かれたのでは、我々は増産ができないと言つています。増産ができないばかりでなしに、むしろ減産になるということをはつきりと言つておるのであります。そうして私は單に炭鉱業者がこういう悲痛な叫びを上げておるのでありまするが、これらの炭鉱業者の現場の担当者、やまの現場の担当者、いわゆる炭鉱につきましては実際家の專門家が、長らく炭鉱を経営し、炭鉱の事情を知り盡しておりますところの現場の担当者の三千三百三十人の諸君が、口を揃えてこの法案の通過をしないようにということを、殆ど昔で申しますならば、あの佐倉宗五郎が直訴したような態度を以ちまして、今日これらの國管案に対して反対の態度をとつておる。それでは一方の労働者はどうであろうか。只今川上委員の御質問に対しまして大臣から御答弁がありましたが、昨日の炭鉱労働者の大会においては、遺憾ながらこれで不満足であるが、とにかく協力するということになつたというようなちよつとお話を聞いたのであります。私は今日まで、先般の十月十六日公聽会におきましての労働者側の四人の態度を考え、又つい二、三日前までのラジオの放送によりまするというと、こういうふうなものでは絶対に責任は持てない。今度の修正案に対しては絶対に反対であるというような行動をとつておりましたところの炭鉱労働者の各位が、昨日どういう風の変りか、とにかくこれを呑むということになつたということを聞いのであります。私は昨日の炭鉱労働者の大会におきまする決議は別問題といたしまして、眞に全國の労働側の立場に立つておる人がどういう考えを持つておるかということも檢討しなくちやならん。それには私は、九月の十四日におきまして、輿論調査といたしましては全國に相当権威のある社團法人の輿論調査所が輿論調査をいたしております。それは全國の四百五十二炭鉱につきまして、この四百五十二炭鉱の從業員四十万、この四十万の四百五十二炭鉱の中で、全國を地区的に二十三炭鉱を選んで、その二十三炭鉱の從業員は、四十万人の中で約十万二千八百六十四人であります。この十万二千八百六十四人、二十三炭鉱につきまして、今度の國家管理法案をどう考えるかというような調査をいたしたのであります。この選択の基準といたしましては、全國の出炭量において大手筋対組合炭鉱の比率が八対二となつておるのでありまするが、この二十三炭鉱の取上げました組合の性格というものは、全炭が約三〇%、三割、総同盟関係が二〇%、その他中立の炭鉱がこの二十三炭鉱の中で五割、こういうような比率を持ちましたる全國の二十三炭鉱のつきまして、國管案に対する輿論の調査を九月十四日にいたしたのであります。でその結果どういうことになつておるかというのでありまするが、これによりますると、國管、國営というものに、國有、民有を含めて國営というものに対する賛成者が二九・九%、それから民営というものに対する賛成者が三六・八%。調査に関して無関心又は無理解であつた者が三三%でありまして、要するに今度の炭鉱國管というものをどう見ておるかということに対しまする回答といたしましては、民営がいい。いわゆる國家管理に反対であると言つておる者が三六・八%、約三割七分、反対であるというのが二九%、約三割であつたのであります。而も甚だ興味がありますることは、これらの二十三炭鉱の十万二千八百六十四人の輿論調査を取りましたのが、どの政党に共鳴しておるかということも併せて調査を取つたのであります。ところがこの國管に大部分が反対でございました。或いは反対する率の多かつた労働者の十万何千人の中で、社会党を支持する者が実に四六・八%、約四十七割に相当しております。その他の者の政党は沢山ありまするが、要するに社会党を支持する者が断然他を押しておつた。そういうような社会党を支持する炭鉱の労働者から取りました輿論調査というものが國家管理に反対であるということが多かつた、非常に多かつたというような結果になつておるのであります。
 これは社團法人の輿論調査所が取つたものでありまして、非常に自慢をしております、劃期的の大規模の調査の結果、こういうことに達したのであります。それから読賣新聞の八月の第十回の紙上討論によりまして、読賣新聞は炭鉱の國管によつて増産ができるかできないか、生産が可能であるか否かということにつきまして、紙上討論におきまして輿論の調査をいたしております。これによりますというと、鉱業の関係者について言いますと、増炭可能なり、炭鉱國管によつて増炭は可能なりというのが僅かに七・四%であります。増炭はできないというのが鉱業関係者におきまして、その倍であります一四・八%。更に一般人について見ますというと、炭鉱國管によつては増炭はできるというのが二四%、絶対にできないというのが五三・七%。つまり一般人におきましては、やはりこれによつて増炭ができるというのが半分しかない。増炭ができないというのがその倍でありまして、この炭鉱業者と一般人の合計を取つて見ますと、増炭ができるというのが三一・五%、約三割でありまして、増炭ができないというのが六八・五%で、約七割である。いわゆる増炭ができないという方が炭鉱業者と一般人を合わせまして約七〇%になつておるのでありまして、炭鉱業者自身によりまして、読賣新聞の紙上討論におきましても、同じ炭鉱業者でも、できないということの意思を表明した者が倍に相成つておるのであります。私は今大臣から、川上委員の御質問に対しまして御答弁がありましたところによりますると、成る程昨日の炭鉱労働者の大会におきましては、二、三日前までは絶対反対しておつた者が、政治的であるか何か知りませんが、とにかく一應その大会においては、これで満足をしてやるということを言つたそうでありますけれども、こういうような全國的に各地区に極めて公平なる輿論調査をいたしましても、炭鉱業者の、炭鉱に自分が專門にかかつておる労働者自身が、この國家管理という問題に対しまして反対を唱えておる数が、パーセンテージが多いということは、これはこの國管案に対してよほど我々が考えなくちやならん問題だろうと考えております。そこで私は先日商工大臣に伺いましたことは、全國の事業家が口を揃えてこれに反対し、又全國の現場担当者が陳情書などを我々に出して、是非これを國会においては否決して貰いたい。こういうものを通したのでは我々は絶対に石炭増産ができないということの意思を表明いたしておる。一方労働者におきましても正確なる比較的大規模の世論調査をいたしましても、炭鉱の労ど者自身がこの点に対しては増炭ができないというように見ているように私は考えております。私は昨日この問題に対しまして私の昨日申しました労働者側の態度と、今日申しました労働者側の態度は、昨日私はラジオの放送によりまして、全炭鉱の代表者が反対しておるということを申上げたのでありますが、その状況だけは多少の変化がありましたけれども、こういうような意味におきまして私は労資ともに全國的に反対者が多い。殊に事業家におきましては全部が全部反対しておるというような立場に立つておるのです。これにつきまして私は昨日事業者と生産者とそうして労働者との間のいわゆる生産意欲の高揚、生産意欲を増大するということについては必要でありまするが、この問題に対してこういうような反対がある。反対があるということになると増産できないのではないか。この点に対してどういうお考えを商工大臣は持つておられるかということを申上げましたところが、商工大臣は、國家の最高機関である國会がこれをよい、國家管理よろしいといつて決めた以上は、これを事業家にいたしましても労働者にいたしましても、自分の立場を捨ててそうして國家の要請に從つて増産に邁進すべきであるというような意味に私は拝聽いたしました。そこで私は昨日田村議員でありままたかの御質問もありましたが、私も折返しそれでは私は不満足であるから、そういうことであれば、若しこれが國会において……まだ参議院は審議中でありますが、國会において若し万が一國管案が否定されたら、これもやはり國家の最高機関でありまするところの國会が、事実において万が一否決という運命になつた場合におきましては、事業家も、又労働者も自分の今までの立場を捨てて、これが國家の要請であるということでありまするならば、國家の要請に從うべきであるということになる。そういたしますと、結局そういうような御返答だけでは私どもは肯けないのでありまして、そういうことになりますとそれでは國家の最高機関が決めたことであるから闇をやるなと言つても、闇はどんどん行なわれておる。貯蓄をしろと言つたつて國家が要求するだけの貯蓄はいたしておりません。私が聽かんとするところはそうではない。こういうような情勢になつて、生産のいわゆる勤労意欲というものが向上されていないような状態にあるように何故増産ができるかどうかということを私は昨日聽くつもりであつたのでありますが、私はその質問に対しまして、大臣は絶対に増産ができるということだけを言われたように考えておりますので、どうかこの点は殊に重大なる問題でありますので、この國管案のわれわれの審議につきましては、私どもの納得の行く上におきましては、相当重大な問題でございまするので、どうかはつきりとこの点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
#34
○國務大臣(水谷長三郎君) 重ねての小林さんの御質問でありますが、お答えいたします。業者が佐倉宗五郎のような意氣を以て反対しておるということは事実に相違しております。成る程業者は表面反対しておるようでございますが、私のいろいろ個人的に会いました主として大手筋の業者は、この法案に絶対反対という態度はとついおりません。念のために申上げますが、今石炭企業というものはどういう工合になつておるかと申しますと、最近金融は行き詰つて労働賃金も拂えないから、一つ政府に何とかしてくれというので、われわれは、新聞で御案内のように、更に又この委員会で御説明申上げましたように、臨時金融の措置をとつたのであります。又北海道の石炭企業は冬を控えて漬物を買う金がないから二億五千万円貸してくれ、労働者に拂う金がないから貸してくれといつて來ております。二千五百万円の越冬資金が労働組合から出ておりますが、これも政府に金を貸してくれと申しております。実際漬物を買う金がない業者が、國家管理に反対するということは常識では判断ができない。現在漬物買う金も國家の面倒を見て貰つて、労働賃金も國家から金融して貰う、危機突破資金も國家から金融して貰つて、國家管理に反対するという、私は業者の反対の根拠というものに納得するわけには行かないのです。若し業者の方が本当に納得する反対論をされるならば、私も謙虚な氣持でこれをお聽きいたします。
 但し私がこれまではつきり聞きました業者の一番大きな反対は、何であるかといえば、それは國家が保障する資材だけでは足りないから、多少闇買いをやらなくちやならん。ところが國家管理になれば闇買いがやれないから、從つて減産になる。これがどうしても唯一の根拠です。併しながら國家管理をやつて、いわゆる資材に対して國家が明確に責任を負えば、國家の保障する資材は、資材の中の何パーセントであるかというきとは、はつきり分るのです。その資材において生産増強ができなければ、あとは業者が何とかしなければならん。そういうときには國家が一体どうするかということは、時宜に適して判断すべきでありまして、業者の方が言われるように國家管理をやれば、どんな必要な資材でも自分で工夫ができないというようなことで反対されましても、私はそれに納得が行かないのです。
 從つて今この國家管理を通しまして、石炭企業に政府が打つておる手と八十度轉換した手を打つならば、今小林さんの言われるいろいろな議論が出ましよう。併しながら今國家管理が行われなくても、漬物買う金までも政府が補償し、又労働組合に対しての危機突破資金を補償する。形式的には三井、三菱に使われている労働者でも、官業に使われておると同じで、これはありのままとして、國家管理に賛成する方と、反対する方とを問わず、動かすことのできない嚴然たる事実でございまして、この事実をよくお考え下さいまして、こういう事実の上に立つて唯國家管理が行われたならば、資材の闇買いができないから反対だというような反対論に対しましては、私共はいかに耳を傾むようといたしましても、それには納得できないのでございます。更に又小林さんにもよく私らの氣持を知つて頂きたいのでありますが、一國の政治というものは、例えば業者の立場に百パーセント立つのも間違いでございましよう、又労働者の側に百パーセント立つのも間違いでございましよう。この労資双方いずれの所に線を引くかということに、一段高い立場に立ちまして考えなくてはならんと思うのです。一番高い立場に立つてこれが増産に対して癌だということを、現在の事実に即して考えますならば、たとい業者の一部に反対があり、労働者の一部に反対がありましても、断々乎として政策を行うて行かなければならんのではないかと、私はこのように考えます。更に又世論調査のことも申されました。これは無論一つの資料として私も尊重いたします。併しながら社會党の支持が四六%で炭鉱國管の支持がその半分ということはこれはおかしいのであります。社会党は立党以來基礎産業の國有國営なかんずくこの間の選挙におきましては基礎産業の中でも炭鉱企業に対しては眞つ先に手をつけるということを我々は選挙人に公約して選挙をやつておるわけであります。その社会党を支持されるのが四六%であつて、そうして炭鉱國管案の支持がその半分であるということは、それ自体その輿論調査の杜撰であるということを雄弁に物語るものでありまして、私はそれに対して満幅の信頼を置くわけには行きません。こういう点から私は考えまして昨日あなたにお答えいたしました私の答弁は毫も変更する意思はない、こういうように考えておる次第であります。
#35
○小林英三君 今大臣の御説明によりますというと、炭鉱業者が決して國家管理に反対していないというような私どもは感じを受けたのでありますが、それはどういう基礎でそういうことを御しやるのでありますか、はつきりしたことを承りたいと思います。
#36
○國務大臣(水谷長三郎君) 私が炭鉱業者の或る部分の人に会うて確めたいわゆる事実に基づく結論であります。ただあなたがさつき言われたのは炭鉱業者は誰も彼も一人残らず佐倉宗五郎のように決死的な態度を以て反対しておるということは、事実と相違しておる、その資料のために言つたのであります。
#37
○小林英三君 今私が大臣から受けました感じは、私が先程申上げたように全國の炭鉱業者が全部反対しておる。それから炭鉱の現場の担当者は佐倉宗五郎のような氣持で以て、この炭鉱國家管理に反対しておるということを申上げました。これに対しまして炭鉱が殆ど金が行き詰つておる。漬物をつける金にも困つておるような状態であるから、これに反対するわけがないというような感じを受けたのでありますが、どのくらいな人数の人からお聽きになつてそういうことを仰やられるのかはつきり承りたいと思います。
#38
○國務大臣(水谷長三郎君) これは明言する必要はございません。
#39
○小林英三君 荀くも一國の商工大臣が我々委員会の中におきまして、私は少くも全國の炭鉱業者から、何百人という炭鉱業者からこの國家管理は困る、増炭にならない、減炭になるから、是非この國会においてもお願いするというようなパンフレットも相当貰つております。併し今大臣が仰しやるところによりますというと、何も知らないでここで聽いておると、何だか全國の炭鉱業者は決して反対するのぢやない、多くの人は反対するのぢやないというような感じを、私は受けるのでありますが、それは一人や二人はそういう者があつたかも知れません。或いは大臣の前であるからお上手で言つたかも知れません。或いは金融を受たいために、そういうことを言つたかも知れない。そういうことだけで以て我々が今日まで受けておりまするこの國家管理について接しております範囲内において、今仰しやるようなことは承服できない。本当に僅かな者が或る場所において、自分のいろいろな関係からそういうことを言つたことがあるかも知れません。そういうようなことを以て我々は信ずることができないということを申上げておきます。
#40
○帆足計君 法案の太文字の第十三條でありますが、ちよつとお尋をしたいと思います。
#41
○委員長(稻垣平太郎君) 逐條約のお話ですが、一般的の……。
#42
○帆足計君 一般的な問題であります。設備又は資材を他の炭鉱の事業主に讓渡し得るとなつておりまするが、その前條に、太文字の十二條でありますが、石炭鉱業の全部若しくは一部の賃貸、讓渡若しくは経済の委任をしまするときは許可を受けるということになつておりまするが、この十三條の方にこれが特に省かれておりまするのは、この外にそういう法令があるかとも存じますので、これは極めて重要な問題でありますからお尋ねするのでありますが、例えば一つの鉱区がありまして、他の方から坑道を掘ておりますようなときに、その鉱区を賃貸又はその坑道を掘つておる方の側にやらせることができるというようなことがこの十三條で可能なことになつておるのでございましようか、又はそういうことはこの法案の建前ではできないことになつておりますのでしようかどうか、ちよつとその点を……。
#43
○政府委員(平井富三郎君) ちよつと質問の趣旨がよく聽き取れませんでございましたがこの小文字の方の第十二條、修正されました第十二條におきましては所有する設備、資材の讓渡、貸渡しということを大体狙つておるのでありまして、鉱区の方におきまして使用権を決定する、或いは鉱区を使用するという点についてはこれは鉱物増産法の規定によつて運用して行くというふうに考えております。
#44
○帆足計君 別にあるのですね。
#45
○政府委員(平井富三郎君) あるのです。
#46
○帆足計君 それでやれるのですね。
#47
○政府委員(平井富三郎君) はい。
#48
○玉置吉之丞君 私は小林委員と商工大臣の質疑應答に関連いたして大臣にお伺いいたしたいのでありますが、大臣のお話を聽いておりますと、この國管問題に対して経済者側が反対をいたしておるが、実際は金融の面からして大手筋その他のものがこれに反対する理由はない。炭鉱業者はすでに金に行き詰つておるのだから、金の面からも反対する理由なんかはないはずだ。こういうお話に聽き取れたのでありますが、そうなんでしようが、もう一應その点を明確にして頂きたいと思います。
#49
○國務大臣(水谷長三郎君) 私はあなたの御質問の趣旨で言つたのではありません。ただ問題は私の言いました点は、例えば資金、資材の面においても現にこういうような状態になつておるから、それはいわゆる國家管理という法律は行われておらなくとも、実際は國家管理見たようなことが行われておるのではないかという意味のことを申上げたつもりです。
#50
○玉置吉之丞君 そういうふうに伺いますと、前にお答えになつたことと少し違つておるようでありますが、大体商工大臣も御存じと思いますが、すでに大きな赤字を出したおる。この赤字補償につきましても、尚政府から相当な金を出してやらんために、炭鉱業者は困つておるということは御承知の通りであります。そこで私は今日の我が國の経済の情勢の下において、この價格を抑えるということにおいては、すべての経営面において赤字で出るということはこれ又蔽うべからざる事実であると思う。故に石炭業者が石炭を掘つて行けば行くだけ、増産をして行けば行くだけ赤字を出して行くということは事実であります。政府も御存じの通りに、五大会社即ち一番大きな側の石炭業者からこういうものが出ておる。最近は殆ど赤字が出ておる。これをどうしてくれるかというような問題について詳細なものが出ておりまするが、こういうことを考えましたときにおいて、私は昨日商工大臣が、まあ三月頃までは一切炭價の値上は行わない考えでおるというお話でありましたが、そういたしますと、相当巨額な赤字が出て來る。それを政府に向つて何とかお願いするということはできん。これは從來の例に徹しても明かな事実であると思いますが、そういたしますと、この値段を抑えて赤字をすでに出しつつあるものを、假りにこれを國管に移して、その損失を國家が國会の承認を経た額の範圍内においてこれを弁償してやるというふうな法案になつておりますが、そういう場合におきましては、すでに今提出されておる追加予算のこの状況並びに通常國会に提出されるところの一般予算の組み方等について考えましても、石炭だけの損失補償というものは相当大きなものになると思いますが、これらの点につきまして、私は適当の機会において大藏大臣の出席を要求いたしまして質問をいたします考えでありますが、一体商工大臣としてこの三月頃までに、今のような値段で抑えて、この炭價を変えないでどれくらいの赤字で出て來るかという見通しがついておるかどうか、この際伺つて置きたいと思う。
#51
○國務大臣(水谷長三郎君) 玉置さんの御質問にお答えいたしますが、この間政府委員が御説明申上げました臨時金融の狙いというものは、赤字金融の原因はよく檢討して、そうして相当嚴格な條件をつけておるのでありまして、これまでずつとその水膨れに膨れ上つた状態をそのまま続けて参りますならば、只今御指摘のように、炭價を今のままにして置いたならば、或る程度の赤字が出るということは、これは私も認めるものであります。併しながら我々はこのたびの臨時金融というものは、炭鉱の企業というものが健全に立直るための過渡的な臨時金融をやつておるのでございまして、このたびの臨時金融をやりましたその撥ね返しといたしまして、炭鉱企業におきましては、それぞれ相当の経営の合理化が行われるものであるという工合に我々は期待しておる次第でございます。そういう観点に立ちまして、その逸行と睨み合して、果してどのくらいの赤字が出るかどうかということは、將來の問題もなるのでございまして、我々は只今何らの経営の合理化にやらずにこのまま石炭企業というものが継経されて行くならば、あなたの御指摘のように、只今の炭價では赤字になるということは或る程度認めるものでありますが、併しながら政府の臨時金融の狙いは、いわゆる経営の合理化の過渡的措置としての臨時金融をやつておるという工合に一つ御了承を願いたいと思います。
#52
○玉置吉之丞君 それはあなたのお考えとしては合理化さえすればこの赤字がなくなる、それには一番この炭鉱の管理案というものがこの間もお話があつた通り、ペニシリンのように效くというようなお考えの下に、この法案をお出しになつておるのでありまして、一体この施行期日を四月一日まで氣長いことに延ばしておるのは、あなたのお考えになつておるペニシリンの效くということから考えてどういうわけになるのか、その点を伺いたいと思います。
#53
○國務大臣(水谷長三郎君) 繰返し申上げますように、この法案はいわゆる増産の組織法でありまして、実際の具体的対策といたしましては、石炭非常対策要綱或いは臨時金融或いは今度の特別調査團のこと、いろいろ着々手を打つております。四月一日まで政府は無爲にして暮しておるというのではないのでありまして、大体國管施行というものを前提といたしまして、その準備的な行爲は着々と打つておるのでございまして、玉置さんの御心配のように、四月一日まで懷ろ手して待つておるというようなことではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
#54
○玉置吉之丞君 それは無論懷ろ手をして、この重大な問題を見ておられてはたまつたものでないと思いますが、私はこの管理案の内容というものにつきまして、先ず指定炭鉱というものを、この法案が通過いたしますれば、商工大臣はどういう所に狙いをつけておるのか、その点をこの際伺いたい。
#55
○國務大臣(水谷長三郎君) 指定炭鉱の問題は、一時この法案が出ますまでには、或いは年産五万トン以上とか、或いは十万トン以上という所に線を引くとか、或いは解体財閥の炭鉱を目標にするとかいろいろ説が行われておりました。ところが、このたびの修正案によりますと、「商工大臣は、全國炭鉱管理委員会に諮つて、前章の規定によるの外、この章の規定による管理を行うべき炭鉱(指定炭鉱)を指定する。」「前項の規定による指定の基準は、能率、生産費、品位、出炭量等に基いて、これを毎六ケ月に定めるものとする。」「第一の規定による指定は、告示により、これを行う。」ということをいたしますと共に、その次の條文には「商工大臣は、指定炭鉱について、災害その他の事由により」の中の「災害その他の事由により」というのを全部削りまして、「この章の規定による管理を行う必要がなくなつたと認めるときには、全國炭鉱管理委員会に諮つて、その指定を取り消すことができる。」ということをいたしました。この二つの條文から申しまして、一律的に指定をやるのではございません。いわゆる彈力性ある立場によつて指定をやり、そうして指定をやりました後におきましても、六ケ月ごどにおいて指定をやらなくてもよい、或いはいろいろの関係のときは又それを第十四條によつて外す。即ちこれまでは災害その他の事由によつて要をなさないときに、いわゆる指定炭鉱を外せるということになつておつたのを、それをそういう災害その他の事由によりというのを全部取つてしまたのであります。そういうことを「前項の規定による指定の基準は、能率、生産費、品位、出炭量等に基いて、これを毎六ケ月に定めるものとする。」ということにいたしまして、増産第一の立場から、極めて彈力性のある指定をやりまして、而もそれは全國炭鉱管理委員会に諮つてやるということにいたしまして、從來のように年産十万トン以上の山は全部やるとか、或いは解体財閥のやまは全部やるとか、そういうふうな一律的な指定をやらないという工合に修正されたのであります。
#56
○玉置吉之丞君 そういたしますると、全國石炭管理委員会の議を経て、その議決によつて商工大臣が炭鉱を指定する、こういうことに了解してよろしうございますか。
#57
○國務大臣(水谷長三郎君) これは法文では議を経てとはなしに、「商工大臣は、全國炭鉱委員会に諮つて、」となつておりますが、併しながら商工大臣は全國炭鉱管理委員会の会長になることになつておりますので、形式的には全國炭鉱管理委員会の決議というものに拘束されまするが、実質的には全國炭鉱管理委員会の意思に反して商工大臣がそういうような指定炭鉱の指定をなさないように運用して行きたい、このように考えております。
#58
○玉置吉之丞君 そういたしますと、若し全國石炭管理委員会というものが、一つも全國の中に指定炭鉱がないというような場合がありと假りにすればそれでもよろしいのですか。
#59
○國務大臣(水谷長三郎君) そういう假定にはこの際お答えできませんし、又これまで私も極めて就任日浅いのでありますが、あなたの御心配のような心配は事実になつて現われて來ないと私は確信しております。
#60
○玉置吉之丞君 それでは、私は生産協議会について商工大臣に伺いたいのは、昨日の質疑應答によりますと、生産協議会は決議機関でもなければ、又諮問機関でもない。その中間ぐらいのものであるというようなお話でありましたが、これはもう少し本法を審議する上においてはつきりしておかないと、事実の運営の上に生産増強に関する協議会、この重大な使命を持つ協議会が、そんな合の子みたいなことであつてはいけないと思いますが、それに対する行き方はもす少しはつきりして頂かないか困ると思うのですが、協議会は諮問機関でもなければ議決機関でもないその中間のものであるとあなたは仰せられておつたが、これをもう少し明確にして頂きたい。
#61
○國務大臣(水谷長三郎君) 大学の法律の先生なんかになれば、非常にいろいろ法律上の解釈をするだろうと思いますが、お互いにまあ法律に対してそう嚴格な意味に考えないといたしますると、その決議機関と諮問機関との中間というのが一番分り易いことであろうと思います。もう少し言葉を附け加えて申上げますると、決議機関という場合は生産協議会の議を経るわけに行かない場合はどうすることもできない。いわゆる生産協議会の議を経なければならないとなつておりますが、その議を経ることができなかつた場合においては、いわゆる現場管理者はにつちもさつちも行かないということになるだろうと思います。ところがこの場合においては、生産協議会の議を経なければならないし、又議を経ることができない場合においては、石炭局長において裁定を求めることになつておる。だからこの点はいわゆる純粋な意味の決議機関でないということと、これは明瞭でございます。更に又諮問機関ということになると、法律の言葉でいいますと生産協議会に諮らなければならない、諮る。だから場合によつては諮らなくてもいい場合があるし、諮つてもそのいわゆる決議というものに拘束される必要はなくなるのでありまするから、ところが生産協議会の場合においては、議を経ねばならないということになつておるのでありまするから、これは單純なる諮問機関ではないと思うのです。まあ私といたしましてはこの程度の説明しかできませんですが、或いは又政府委員から、これ以上のことでも、できれば……。
#62
○玉置吉之丞君 ますます分らなくなつて來るのであります。私はそういう法律家でも何でもない、実際の事業の方に携つて今日まで至つておるのでありますが、かような法律を審議する場合に当つて、こういうことだけは明確にしておかないと、事業の経営に当つてそれが諮問機関であるか決議機関であるか、或る場合は又石炭局長の方に相談に行かにやならんというような仕事を実際にやる者の面から考えたら、これくらい大事なことはないと思う。これについてお尋ねをすれば直ぐ分らなくなる。昨日伺つたら中間だと仰しやる。今はいろいろなことをいつておられる。分りませんというようなことを言つておる。はつきりした法的の根拠を一つお示し願いたい。
#63
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の性格につきましては、只今大臣から申上げたような性格を持つておるのでありまして、まず第一に諮問機関かどうかという点を考えますれば諮問機関でないということは明瞭であります。只今大臣が御説明したような理由で、これは諮問機関でない。で、これを諮問機関でないとすれば決議機関かということが次の問題になるわけであります。通常の場合に決議機関という場合には、その機関が意思を決定いたすということがいわゆる決議機関ということになると思うのでありますが、この生産協議会の議に付された事項につきまして炭鉱管理者が、例えば業務計画を付議した。その付議した事項につきまして賛成をして決定をいたしたという場合におきましては、炭鉱管理者は業務計画の実施につきまして、これは事業主も炭鉱管理者もその業務、計画によつて業務を遂行して行くということになりまして、拘束力を持つわけであります。反対にその業務計画を否決した、或いは生産協議会の議に付したら、生産協議会の議事が荒れて、例えば結論が出なかつたというような場合にどうするか。否決された場合が一番明瞭でありますが、その場合は、炭鉱管理者、事業主は自分の案に生産協議会では議は経られなかつたということを附記して、石炭局長に事業計画の報告をするわけです。届出をするわけです。それに基きまして石炭局長から、業務計画の指示がありますまでは、事業主は自分の立てました名によつて業務計画を立てるということになりますので、いわゆる通常の決議機関でありますれば、否決されたという場合には、業務計画が未決定であるというのが通常の場合でありますが、今申しましたように、否決されたということを附記して業務計画を出すわけでありますから、企業の意思としましては、事業主の計画によつて一應業務計画というものは決定されておるわけであります。そういう意味におきまして、通常の決議機関とも異る。要するにこの生産協議会が企業内におきます各勞資双方の意見を統合して行くという役割を持つております半面に、企業を敏速に運営して行く。そのためには意思決定が早くできなければならんという面でございますので、一種の諮問機関ではございませんし、同時に今申上げました意味で、通常言われております決議機関とも異るというふうに考えておるわけでありまして、そういうふうないろいろな條件のつきます一つの機関である。これを或いは條件附決議機関ということも、或いはそういう言葉を使つても差支ないと思います。諮問機関ではない。併し通常の決議機関ではない。いろいろの今申し上げましたような條件といいままか、通常の決議機関と異る性格を持つた一つの機関であるというふうに考えておる次第であります。
#64
○玉置吉之丞君 そう伺いますと、これくらい又非民主的のものはないと思います。生産協議会というものは、勞務者側及び從業員側から相当代表の者が出ておつて、而もその炭鉱における業務計画を示し、否決される。その否決されたものと雖も、事業主なり炭鉱管理者が、自分の思う通り押し切つておつて、そうして石炭局長の方にそれを届け出て、そこで裁断を仰ぐ。その間に非常に不満不幸の氣持を持つた從業員なり、勞働者側のこの意思を踏みにじつて、そういうものを遂行するということは、甚だ非民主的の考え方であると思うのでありますが、この点について、商工大臣はどう思つておりますか、大臣の御意見を一つお伺いいたします。
#65
○國務大臣(水谷長三郎君) 私は実はこれは非常に民主主義的なやり方であると思うのであります。あなたの非民主的なということは、ちよつと私では分り兼ねる。と申しますのは、やはり責任というものは私は單数でなければならんと思つております。そういう意味におきまして、生産協議会というものを、純粹なる決議執行機関ということには私は反対であつた。いわゆる責任は單数でなければならん。併しながらその單数が指導者原理でなしにやつて行くという意味において、責任として現場管理者、責任は現場管理者として單数にして行く。而も現場管理者は、民主的にやるために、生産協議会というものを存置することになつたのであります。從いまして、いわゆる生産協議会におきまして、大体私はこれは実際の運営におきましては、原則として生産協議会の議は纏まるものであるという工合に考えておりますが、纏まらない場合におきましては、私は極めて少数の例外であろうと思つております。いわゆる経営者の側と事業主側と勞働者と纏まらない時に、石炭局長の裁定を受けてその裁定に服するというのは、私は玉置さんと逆に、これは非常に民主的な運営方法であるという工合に考えておる次第であります。
#66
○玉置吉之丞君 私は自分の実際経驗から割り出して、これを非民主的と申上げます。私は実際事業主をやつております。工業の管理者をやつております。その管理者をして合法的な生産協議会を作る、業務計画を建てさせまして、そうしてやる。そこで勞働者側から五名、從業員の利害関係の側からと、こういう私的のものを作つて、大体においてこれはこう行くべきものだとその機関が決議したら、管理者の意見と違う場合、私に裁断を求めるときは、皆の多数の方に付いて行くのがいいだろうという考えの下に皆の方について行けと言うておるのであります。管理者の意見と私の意見が一致して、この会議の意見が我々の意に満たんことがあれば、更に又会議を開かして、更に十分練り上げて一回ではいけないから、二回も三回もやつて見て、そうして結論に到達するところまで行けというて、最後に破れて管理者の意見が通らないと、それはもう多数の意見で行くのが本当である。こういうような氣持でやつております。今の諮問機関のようなものであつて、管理者側の考え方が通らないものは石炭局長に行つて裁断を仰ぐというようなことは、余り民主主義というようなふうに考えられないと思いますが、これは意見の相違であるから止むを得ないと思いますが、もう少しこの法案を審議する上において、この点は明確にして置かなければならんと思います。
#67
○國務大臣(水谷長三郎君) 私さつき申しましたように、運用の面においては、大体そういう工合に行く、ただ石炭局長の裁定を求めなくちやならんというのは、もう極めて稀なる例外であるということを言うておるのでありまして、若し玉置さんの言うようなことをもう少しはつきりさせようというなら、玉置さんのお考えは生産協議会は通常、今の純粹の決議機関にせいというお考えですか。
#68
○玉置吉之丞君 私は決議機関にせいとか、これをどうせいと言うておるのではない、この法律を審議する上において、昨日のあなたの他の委員の質問に答えて、諮問機関でもなければ決議機関でもない、中間のものである、こう仰しやつておる。これを法文化する上にそういう曖昧のことは甚だややこしいと思うからそれを確かめたい、こう考えて伺つておるのであります。どうせいという意見は他日申上げることにしまして、ただ法案の審議上、中間とか合の子というのではややこしいと思いますから、それを伺つておるのです。
#69
○田村文吉君 二、三の点についてお尋ねを大臣にいたしたいと思います。先刻來御説明が断片的にあつたようでありますが、指定炭鉱であることと、非指定炭鉱であるということは非常に違いがあるわけです。そこで今度の國管案の眼目となるところは指定炭鉱の問題だろうと私は考えております。指定炭鉱の標準については初めは五万トンとか十万トンという標準を大体考えておつたようですが、その後さような標準をとつてしまつて、修正案には、能率、生産費、品位、出炭量等に基いて、これを六ケ月ごとに、管理委員会にお諮りになつてそこで商工大臣が指定するということになつておるわけですが、大体どういう御標準をお持ちになるのか、これは簡單なもので、その負担が少い問題ならば別に炭鉱管理委員会にそれぞれお諮りになつてもよろしい、又休止炭鉱が出たら、どうとかということであればそれでもいいのですが、大体法案をお編みになる根本の御趣旨はどういうものを指定するのか、今の趣旨では能率のいいものをしようというのか、能率の惡いものをしようというのか。生産費の高いのをしようというのか、低いのをしようというのか。品位の良いのをしようというのか、出炭量の多いのをしようというのか。そういう大きな枠を決めるに何らかそこに御当局に御意見、お考えがあるはずと思う、こう私は考えますので、その点を一つお知らせを願いたい。先ずこの問題についての御答弁を願いたい。
#70
○政府委員(平井富三郎君) この指定基準につきましては修正案によつて能率、生産費、品位、出炭量等によつて基準を決めるということが入つたのでありますが、大体当初考えました案は、いわゆる十万トン以上の生産量を有するものを一應指定するというような考え方をした時間もございましたが、指定炭鉱に指定いたすということは、これはやはり増産の見地から行うということで、單に出炭量のみからこれを見て行くということも如何かということから、そういう基準を法律には明記いたしませんで、管理委員会に諮つて決定いたすというふうに一應原案はなつておつたのであります。それにつきましてこの指定の基準として考える事項として、或いは能率の問題、或いは品位の問題等を考えるのでありますが、要するに一貫して流れる思想は指定炭鉱にすることによつて増産ができるということであります。即ち指定炭鉱の管理のし方から申しますれば、大体或る程度の生産量を持つ規模のものから逐次指定が開始されて行くということも考えられます。それから又生産量につきましてはこれを指定炭鉱にいたすことによつて新鉱の開発なり、或いは設備の増設なり、いわゆる増産意欲を持つやまかどうかということも勿論ここで考えられるわけであります。それから能率につきましても管理によりまして能率が非常に上がるというような状況にあるかどうか、或いはそのやまとしては最高能率を発揮し、このやまの持つ力は全部を発揮して出炭してあるというような場合には、これを一應管理から除外して置くというふうに考えられるわけであります。又品位の点から言いまして、こういう品位の、特殊の性質を持つ品位のやまについてはこれを指定炭鉱にいたしまして、或いは設備の増設、或いは新鉱の開発に著手させなければいかんというような点から指定して行くというように考えられまして、單に出炭量のみを以て決定するということでなく、そのやまの持つ力、將來管理によつて伸び得るかどうかというような点を十分審査した上で決定する。その基準としてここに数個の基準を例示されたわけでございます。
#71
○田村文吉君 よく分らないのですが、能率の惡い場合には、それをよくするために指定炭鉱とする、こういう御意味でこの標準が入つたのでありますが。もう一度伺います。
#72
○政府委員(平井富三郎君) 能率につきましては大体今お述べになりましたようなことになるかと考えます。ただ能率が良いやまであるということと同時に、そのやまとしては増産意欲が非常にあるという場合には、これを管理炭鉱にいたして、或いは新鉱開発の命令、或いは設備の増設の命令を出しまして増産を行なつて行くというような場合もありまして、この一つ一つが單独な、いわゆる指定の基準ということではなく、これを組合わした意味の例示的基準が決まつて参ると思いますが、例えば能率ということだけを考えますれば、そのやまが百パーセント能率を挙げて生産しておるという場合には、それを指定炭鉱にいたすという必要はないというふうに考えております。
#73
○田村文吉君 重ねて伺いたいのですが、能率生産費、各種の要項を勘案の上で決める、こういうお話でありますが、今申したように、生産費の高いものは安くさせるためにやるとか、何かそういう標準がありませんと、全然この管理委員会に諮られても、管理委員の相談のしようがないのじやないかと、こう考えるのでありまするが、大体大臣としてこれをお考えになつたときに、どのくらいの炭鉱が、この指定炭鉱として全國にある五百有余の中のどういうようなものをやるのか、何かそこに考えがなければならんと考えるのでありますが、そのあれを一つお話願いたい。
#74
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今田村さんの御質問でありますが、大体頭に描いておるのは、いわゆる大きなやまに対してこういうことを勘案して指定してやつて行こうという工合に考えております。
#75
○田村文吉君 凡そどの位の規模のものからお考えになつておりましようか。
#76
○國務大臣(水谷長三郎君) それはここでまだはつきり五万円とか十万円とか、そういうようなことは考えておりません。
#77
○田村文吉君 それでは第二問を伺いたいと思います。先程佐々木委員から御質問があつたのでありまするが、損失の補償に関する問題であります。昨日もどなたかからの御質問もあつたようでありますが、損失の補償は大体政府でお考えになつておる補償というものはどういうものをお考えになつておりましようか。それを一つ伺いたいと思います。
#78
○政府委員(平井富三郎君) ここで補償の対象となりますものは、この法律に拠りました命令或いは指揮によつて具体的な生産或いは拡充工事をいたしました場合において起る損失を一般指すわけでありますが、主としてこの規定の適用を受けますのは、或いは新鉱の開発の問題、或いは設備の増設というような積極的な命令によつて起る損失というものが主としてこの規定の適用を受けるものであるというふうに考えております。てだ生産計画の支持というような問題につきましては、経営者の能率の良し惡しというような点とも絡み合うのでありますが、現在の炭價の政策から見まして、前決め主義によりまして、炭價を決定いたしまして、これは企業の能率によつて必要な利潤を得ておるということによつて企業の能率化を図つておりますので、生産計画、いわゆる業務計画の支持等につきましてはそのときの炭價政策とも睨み合せて考えて行く問題になると思います。
#79
○田村文吉君 そういたしますと、今の補償の中には炭價が原價に引き合わないために赤字が出る。それも補償の中にお入れになつておりますものでありましようか。
#80
○政府委員(平井富三郎君) この法律を施行いたします場合におきまして、業務計画の支持と炭價との関連になるわけでありますが、管理の実施によりまして各やまの経理状況というものが明確にされて参りますので、炭價政策をはつきりした基礎の上に立つて決めて行きたい。從つて炭價を決めました以上はその炭價の範圍内において能率を上げて利潤を挙げて行くというようふうに運用して参りたいというように考えております。
#81
○田村文吉君 今の御説明でございますと、全國の炭鉱は皆同じような状態に生産費が上つて行けば結構でございますが、假りに前決めにいたしましても、先刻の商工大臣の話によりますと三月までは値段が分らない。或いは今後管理になる。そういうことが行われるだろうと思います。ところが炭鉱によりまして安く挙がる炭鉱もあり、高くつく炭鉱もあるということもありますので、こういう差額の引き合わない場合には命令によつて仕事をやらしたのだから、補償するということをお考えになつての補償の意味でありますかどうかをはつきり承つて置きたいと思います。
#82
○政府委員(平井富三郎君) 先程申し上げましたように國家管理を実施して行きますれば、おのずから業者の経営内容というものが明確になつて参りますので、はつきりとした基礎の上に立てられる炭價の政策によつて運用する場合にも、この公定價格制度の下におきましては、この現在の炭價と申しますもの、例えば九百何十円というものは、これは平均の一つの数字でありまして、これをやま別にすれば千円のやまもあり、八百円のやまもある。やま別に更に開いて來るわけであります。そういう点でやまやまによる異る事情というものは十分考慮されて行くものと考えておる次第であります。
#83
○田村文吉君 要点を伺いたいのでありますが、そうしますと、結局高くついた炭鉱は赤字が出る。それに対して補償なさることがこの中に入つておるのですか、おらないのですか。
#84
○政府委員(平井富三郎君) 補償はいたしません。併し炭價は、例えば現在の九百六十円というのは全國のやまの平均の炭價であります。從つてやまによつては千百円のやまもございますし、八百五十円のやまもあるわけであります。炭鉱政策の上におきまして、そこに赤字をこの法律の規定によつて補償して行くということは考えておらない次第であります。
#85
○田村文吉君 そういたしますと價格の引合う、引合わないことによつての補償はこの中に全然入つておらんのでありますか。
#86
○政府委員(平井富三郎君) これは運用用の方針でありますが、引合うような炭價がこの國家管理の結果決められて行く。決めて行くという前提で決めて参りたい。從つて炭價に伴う補償は、この法律の運用上原則的に出て來ないというように考えておる次第であります。
#87
○田村文吉君 假りに出て來たらどうなんですか。
#88
○政府委員(平井富三郎君) これは公定價格一般の問題でありまして單に石炭だけでなく、炭價に織り込むとか、そういう点で調整して参るのがよいのじやないか……。
#89
○田村文吉君 よい、惡いじやないのです。この補償という意味には、原價に炭價が引合うか。高くて生産がし得ない。その場合に赤字が出るというようなものは、この補償の中には含まないのですか、お含みになつておるのでありますか。
#90
○國務大臣(水谷長三郎君) 私からはつきりお答えいたしますが、これはこの補償の中には含んでおりません。
#91
○田村文吉君 もう一つございますが、ここに協力命令に関する事項が規定されておるのでありますが、この協力命令によりますと、炭鉱に必要な資材と、物を持つておる者、或いは運送能力を持つておる者、或は修理能力を持つておる者に対して強制的に買上げを実施なさいますことに相成るわけであります。これは可なり戰爭中における総動員法の最も厳しい実施に該当するようなものがたつておりまするが、これに対しては別にそれが不当であり、不法であるという場合に訴訟を起し得る條項は見当らんかと考えておりまするが、それに対しては政府ではどうお考えになつておりますか。無論買上げには間違いないのでありまするが、それがために不当に買上げらるために、本人からそれを拒絶するとか、或いはこれに対して損害を賠償するとかいうことについての何か救済の規定が出ておりましようか。
#92
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御質問は協力命令によつて損害を受けたものはどうするかというのでございますが、それはさつき申し上げましたように、あの御質問になつておりました補償の中へ含まれるものであると解釈しております。
#93
○委員長(稻垣平太郎君) 外に御質問はございませんでしようか。
#94
○田村文吉君 一應打ち切ります。
#95
○委員外議員(一松政二君) まだ私は委員外の質問で一般的な、場合によつたら或いは重複するところがあるかも知れないと思いますが、石炭の増産につきましては、非常な関心を持つておりますので、あらゆる角度から、一應この増産を中心として御質問を申上げたいと存ずる次第でありますから、その点はあらかじめ御了承を願つておきたいと存ずるのであります。
 取り敢えず、今ここで承りましたことについて、一二承わりたいと思うことがあるのであります。今田村委員から、損失の補償につい、價格によつて起るそのやまの損失を補償するのかしないかと、つまり價格ということは、結局そのやまから出る総石炭の出炭量に対して、その價格を掛けたものが、いわゆるそのやまの全收入であります。その全收入に対して、いろいろな経費を差引いて、そこに利益があるかないかということで、損失がいくらいくらあるかということが、数字になつて現われるのが、いわゆる企業の建前であり、簿記のやり方であると思うのであります。ところがその損失を補償する場合に、價格は関係ないということでありまするならば、何を以てその收入或いは支出を標準とされるのであるか。その点をちよつと伺いたいのであります。商工大臣に伺いたいのであります。
#96
○國務大臣(水谷長三郎君) 勿論この物を生産をして行く場合において、價格の決め方が非常に大切である。それによつてその企業が成り立つか、成り立たんかということは、これは非常に大きな問題であると、これは一松さんの仰しやる通りであります。併しながらそうかといつて、この法律で決めておる補償の中に、この價格の問題が含まれるかどうかということとは、これは別問題でございまして、この國家管理法案が通過いたしました場合におきましては、いろいろの階級を経まして、業務計画、生産計画というものが立てられるのでございまして、そういう意味におきまして、このやまにおいてはどのくらいの價格でなければならないということは、生産協議会から、下から上へずつと流れて來るものであると思います。これは全國の各地のやまもそのようでありまして、國家はその上に立ちまして、適正な、生産増強に必要な生産價格政策というものを採用できるという工合に考えておりますので、この法案が通過いたしました曉におきまして、この法案が運用された場合におきましては、價格の決め方によつて、企業に御迷惑をかけるということは万々ないという確信の下に、この補償の中に、價格の問題は含んでいないというのが、私らの立場でございます。
#97
○委員外議員(一松政二君) そうしたら、その損失はいかにして算出されるのでありますか。若し損失が起つた場合、或いは損失が起つたか起らんかということは、何によつて計算されるか。その点を伺いたい。
#98
○國務大臣(水谷長三郎君) 先に申しましたように、生産協議会或いは現場管理者その他におきまして、いろいろの計画が立てられます。そうして炭がなんぼ出ると、これに対してはどんだけの費用が要るということは、皆決まることであります。大体それで決まつたならばですね、その價格で損失が起らないものというのが私の考えでありますが一松さんの方は、万々一起つた場合はどうするかということだろうと、そういう假定に立たれた話であろうと思いますが、私は、この法案の運用によりますればですね、これはもう通常の場合においては、そういうことで御迷惑を與えない。併し万々一の損害のあつた場合においては、これはさつき平井君が申したような方法において救済ができるのでありまして、從つて補償の中に入れていないというように御了解を願いたいと思います。
#99
○委員外議員(一松政二君) 私は、どうもこの商工大臣の説明で、納得が行かないのであります。損失を補償すると、損失という言葉が起る以上は、その企業から起つて來る收入と支出の差が赤であれば、損失であるし、黒であれば、利益であるはずであります。それ以外は、損失の計算の方法があるならば、お示しを願いたいのであります。
#100
○國務大臣(水谷長三郎君) 大体我々の考えている損失の補償ですね。この損失というものは、企業の責に負わすことができない原因に基いた損失というように、大体我々は解釈しております。今度この法案が通つた場合においては、生産協議会その他において、ちやんと企業が、これこれの價格でこうなるんだということを決めるから、その價格の決定というものに対しては、企業がやはり責任を負わなければなとんのであります。ここにいわゆる損失ということは、そういうような不可抗力と申しますか。そういう責を負うことができない原因で起つた損失を補償するというのでありますから、そういう企業の責任になるところの原因というものの補償は、原則として考えておらんという工合に御了解を願いたいと思います。
#101
○委員外議員(一松政二君) どうもまだ納得が行きませんがね。その企業々々によつて假りに原價を決めると、販賣値段を決めると、そうしてそれを今度はいろいろ協議会やその他で、或いは管理委員会その他でいろいろ業務計画を決めて、その決めたことによつて起るかも知れないところの損失であつたら、それを補償するというのが、私は商工大臣の趣旨だろうと思います。ところが損失が起つたか起らないかという標準を何によつて決めるか。私はその炭價の決め方が、假りに一例を取つて言えば、坑内に火災が起つた、或いは思わざるところの断層にぶつつかつた、或いは落盤があつて人が死んだ、それは指定して、業務計画を指定したその業務計画が起つたのか、或いは業務計画の指定がなくて、それが当然起つたか、そういう判断がなかなかつきにくい。その損失が起るか起らないかということは、結局その炭價以外に、損失を私は計算し得る標準があるはずはないと思います。商工大臣は、いわゆる世の中で、收入の基準になる炭價を外して、その尺度を外して、いかなる尺度によつてその損失を計算するのか、その点が私には分らんのであります。もう一度明快に一つ承わりたい、
#102
○國務大臣(水谷長三郎君) それはですね、炭價というものが、狂つた物指でやられる場合は、一松さんのような御心配がありますが、この法案が十分に運用されて、適用された場合においては、そういう企業に迷惑をかけるような炭價というものは、企業みずからが決定しないから、そういう心配は私はないという工合に考えておるわけです。
#103
○委員外議員(一松政二君) その問題は、私はもう数日考えまして、そうしてそういう方法があるかないか、よく私も考えました後に、更に質問さして頂くために、私は留保いたします、同じことを繰返しておつても仕方がありませんから。
 それで先程承わつておりましたところが、資金が殆ど詰つて、漬物を買う金もないというような、商工大臣は相当語氣を強めて、そういうことを仰しやつていたようですが、私は國家が、殆ど戰時以來、企業に國家が優先して、経済にいわゆる政治が優先しておつた。政治目的のために経済を動かして來たのが戰時以來の日本の経済のとり方だと確信いたすのであります。経済自然の在り方をやらせれば、私は炭鉱が引き合うか、引合わないか。引合う炭鉱は栄え、引合わない炭鉱は自然に亡びてしまう。又そうして何も政治の御厄介にならなくても、金融の途もあれば金の貸し手もあり、投資のし手も沢山あると思うのであります。これは政府が戰時以來一つの物価基準というものを決めて、余り物が高くなつては一般の物價に及ぼしてそのために蒙むる影響があるから、いわゆる炭價を抑えるという一つの政治目的のために企業を抑えるのであります。抑える当然の結果として、國家はその企業に蒙むらせるところの負担を何らかの形において、これを救済せんけりやならん。これは管理法案があるかとかないかとかいうことによつてそういうことのあるべきではないと信ずるのであります。私は先ず承りたいことは、重要鉱物増産法というものが昭和十三年に議会を通過して法律となつておるんであります。これによると政府は鉱業経営者に対して帳簿の檢査なり、企業命令を発し、殆ど如何なることでもできるような建前になつておると思うのであります、改めてかくの如き管理法案を出さなくても。而もこの管理法案の中には資材、資金とか、この修正法案を見ると、その限度において監督することができるような條文もあるかのように思うのでありますが、焉んぞ知らん、昭和十三年に法律となつておるものに対しは、かくの如き限度も何もありませず、必要と認める時には如何なる檢査もすることになつておるのであります。若しこれをやつていないということは、私は商工省の怠慢であると信ずるのであります。それで改めてここに管理方式を持つて出たといことは、この鉱物の増産法といういわゆる増産の目的以外に何かあるというようなことが、いわゆる事業者側の懸念であつて、それが私は皆さんの反対しておらるる奥底の理由であろうと思うのであります。それで先程経営協議会の問題もあつたようでありまするが、決議機関であるか、諮問機関であるかというようなことを曖昧にして法律を出すということは、これは爭いの因になるのでありまして、かくの如き経済上の実際に即したものは、法律で作ることそれ自身に非常に無理が生ずるのであります。経営協議会の問題にしても何の問題にしても、勤労者諸君と経営者とが渾然一体となつてやるところに、いわゆる増産も何もできるのであります。なまじ妙な何かそこに標準を示して、そうして法律を作ることそれ自身が紛爭の種を播く。私はその点は今の経営協議会の決議機関とか諮問機関とかいうようなことを若しこの法律でやるならば、これは明確にせん限り、これは爭いの種になるのであります。そのこと自身が私は減産の種になると思うのであります。それは私は特に先程の答弁を聽いておりまして、さような感じを深めたのでありまして、私は先ずこれだけを一應伺つて、更に質問を続けたいのでありますが、重要鉱物の増産法だけではでうしてやつていけないのであろうか。その点を承りたいと思います。
#104
○政府委員(平井富三郎君) 重要鉱物増産法の中にも、或いは事業計画の届出を命ずるというような規定もあるわけでありますが、一般の管理、監査を行なつて行きます上におきまして、例えば石炭局の構成、或いは管理委員会や諮つてやるという面から見まして、これは一括管理法案の中に書くということが、全般の管理の体系を整備する上から便宜であるという意味から、或いは事業計画の提出というような点については若干ダブつた点もございまするが、こちらの管理法案の中に整備いたしたわけであります。ただ鉱区の増減等につきましては、両者の協議によつて先ず行われて、その協議が整わん場合には調停に行く、或いは又滯賃について問題がある場合の措置等につきましても、鉱物増産法の中に詳細に規定されておりますので、鉱区の増減につきまして、使用権の設定等につきましては、鉱物増産法の規定によつた次第であります。
#105
○委員外議員(一松政二君) そうすると、結局ただいわゆる経営協議会とか、或いは管理委員会とか、こういう組織を盛るためにこの法案を作つたように聞こえるのであります。増産が目的でないように聞こえます。その点についてもつとはつきりした答弁を承りたい。
#106
○政府委員(平井富三郎君) この法律は増産を目的にしてこの管理法が起草されたのでありまして、ただその場合に鉱物増産法ということは鉱業権に則した規定の書き方でありますし、管理法の方は増産のための管理をいかに律して行くかという体系から各種の管理組織というものと照應さして規定を書いてございますので、そういう点で一部ダブつた点もあるかと思いますが、そのダブりました点は今申上げましたような趣旨でありまして、單にこれは増産を目的としない、ただ管理のためにやつたんだということではないのであります。
#107
○委員外議員(一松政二君) ところが、この法案を見まするというと、第三章、第四章、第五章、恐らくは殆ど管理規定ばつかり、一つも増産のことは何も書いてない。だからこれは増産のために書かれた法律案と言われても、すでに増産法というものはちやんと出ておる。殆どそれに関する規定は増産法で立派に作つておる。後はただ管理の組織をいかにするというのがこの法律案である、それでいてこれが増産法であるとどうして言えるのでありますか、その点を承りたいのであります。
#108
○政府委員(平井富三郎君) 鉱物増産法の規定は、この管理法の規定に比べて非常に部分的な規定でございます。例えば協力命令もございませんし、或いは業務計画の指示というような点についてもございませんので、全般的に一般炭鉱の指定、炭鉱の管理という意味におきまして、管理体系を明確ならしむるために、明確にいたすために、この管理法の中に一部ダブつた規定もある次第であります。尚この管理法は、いわゆる組織法でございまして、各種の資材、資金、労務その他に関しまする各種の増産措置を行なつて行きます上において、この管理組織というものが有效に動いて行く、そういう一つの組織法でございますので、資金、資材について、直ちに直接的な規定というものは比較的少ないのでありまして、資材につきましての協力命令というような点にまで一部が現われておる。例えば資材の現物化についてはどうするかということは別途の措置になるわけでありますし、又資金の入手というものを容易ならしめるということが、同時にこの管理機構の運用によりまして、資金、資材の所要量というものが明確になるということで、國及び政府機関その他の機関がこの計画を中心にいたしまして、敏速に処置し得るような体制になり得るというような意味になるのでありまして、これは一つの組織法であり、この組織を通じて各種の増産措置が円滑に、より效果的に運用されるというふうに期待しておる次第であります。
#109
○委員外議員(一松政二君) そうすると前の法律では増産の目的を達しないというのでありますか、その点を承りたいのであります。
#110
○政府委員(平井富三郎君) 前の鉱物増産法のみを以てしては不十分であるというふうに考えております。
#111
○委員外議員(一松政二君) でありまするというと、増産法布かれて以來約十二年、十二年になりまして、而も戰時中に増産の目的は可なり達しておると私は信ずるのであります。戰時中にも、石炭にしても五千万トンを突破しておつたときもあるのであります。その増産の目的を達し得ないという今のお言葉は、ちよつとむしろ商工省の怠慢であるのか、或いは鉱山局の怠慢であるのか、石炭廰それ自身に能がなかつたのであるかという意味に解釈されますが、それでよろしうございますか。
#112
○政府委員(平井富三郎君) 戰時中におきまして五千万トン出た、從つて鉱物増産法が相当の效果があつたのじやないか、こういうようなことでございますが、現在の段階におきまして、各種の命令等を含みました管理を実施して行くためには、この管理法に書かれました各種の、例えば管理委員会の制度であるとか、或いは石炭局の構成をどうするかというような、民主的な各種の措置が随伴して初めて效果が出るのでありまして、戰時中の鉱物増産法にありますように、ただ行政廰の命令一本でどんどんものを進めて行くというやり方では、現在のところ増産の效果は期待できないというような意味で、現在の段階においては、鉱物増産法一本で行くことは不十分であるというように申上げた次第であります。
#113
○委員外議員(一松政二君) 今回司令部の方と商工省とで、昨日細川委員からも非常に推賞の辞を呈しておられたと思いまするが、先ず北海道を手初めとして、各やまに現地監査に行つた。そうして私は、商工省もそういうことを意氣込んでおりましようし、ラジオの放送を聽いておりましても、今まで殆ど六十万トンを突破したときはなかつたが、今月或いは來月からか、いわゆる七十五万トンが確実に出炭されるように、経営者も渾然一体となつてこれに邁進するという、甚だ愉快なるニユースを聽いておるのであります。これはかくのごとき管理法を以てせずとも、他に方法があるということを例証するのではないのでありますか、その点に対して商工大臣の御答弁を伺いたいのであります。
#114
○國務大臣(水谷長三郎君) その点は昨日もお答えいたしましたように、例えば一月とか二月とか短期に限つてやるときには、この法律がなくとも、一松さんの仰しやる通りやれます。併しながら一年、二年、三年と継続的にやる場合におきましては、この法案のような増産の組織法が絶体に必要であると、このように考えております。
#115
○委員外議員(一松政二君) 今の御答弁だと、そうすると今の方法では、商工大臣は、七十五万トン仮りに出ても、或いはそれから五十万トンに落ちるかも知れない、或いは六十万トン台に止るかも知れないという御懸念を持つてのお話でありますか、その点をもう一つ伺つて置きたいと思います。
#116
○國務大臣(水谷長三郎君) 今度の特別調査團は、大体今から一月三十一日まで、約二月をめどにしてやつておるのであります。從つてそれから後は、この特別調査團というものは解散されて、使命は終つてしまうのでありますが、我々はこの特別調査團のやつたような仕事を恒久的にやれる、又やらねばならんという立場から、今度のような法案の御審議を願つておるような次第であります。只今一松さんの言われましたように、それでは七十五万トンが五十万トンに落ちるかどうかという問題でありますが、我々はこの七十五万トンを六十万トン以下に落さずに、この七十五万トンを八十万トン、百万トンにするために、こういうような組織法が必要であるというのが我々の考えであります。
#117
○委員外議員(一松政二君) 私はこの点について所見を異にしておりますから、この点については又更めてお伺いすることにいたします。
 先ず私は石炭の増産に対しまして何よりも必要なことは、現場の技術員を増すことだと思います。特に坑内の熱意のある技術員を増すことであると存ずるのでありまするが、この点につきまして、政府はいかなる処置を取つておるか、伺いたいのであります。過去においていかなる処置をとつたか。今度の増産法においては、片鱗だに私は承わることができないのであります。その点に関する商工省の過去における処置、今後における抱負を承わりたりたいのであります。
#118
○政府委員(吉田悌二郎君) 特に北海道につきまして、この夏以來生産の伸び方が遅うございまして、その点を非常に憂えまして、十月の末に、我が國の炭鉱業界の権威者を以て技術的な調査班を組織いたしまして、三班に分れまして、これが北海道の主要炭鉱に参りまして、技術的に炭鉱の能率状況を檢討をいたしておるのであります。大体任務を終えまして、今月の二十五日に札幌に集結いたしまして、最後の打合せをやりまして、近く帰つて参ることになつておりますが、そういう方々が炭鉱の実情に即した能率というものを考え、どういうふうにしたらどれくらい出るかということを、炭鉱の現地に即して研究せられまして、それぞれの炭鉱に指示して來られたはずでございます。そういうようなことが段々と、今回のような増産の措置にも非常な参考になつておるかと考えます。そういうふうなできるだけのことを、私どもといたしましては、技術者の生産意欲を増す上においての手を盡しておるつもりでございます。
#119
○委員外議員(一松政二君) 只今の御答弁は、多少見当外れであります。私の質問に対する場合においての話であります。私の質問は現場の技術員が、技術員というのは、いわゆる技師とか抜手とか、從來の観念におけることを言うておるのではないのであります。極く十七、八から二十歳、二十四、五歳までの現場の技術員をいかに養成しておるか、いかに過去において養成したか、これが殆ど増産のキー・ポイントなんであります。その点について、いかなる過去に施策をし、今後いかなる対策をせんとしておるか、荀くも増産を目指す法案を出す以上は、政府はいかなる施策をし、いかなることをせんとするのか、これは現場の眞面目なる技術工員の悲痛な叫びであります。
#120
○委員長(稻垣平太郎君) 説明員から説明をいたしますが、御異議ございませんか。
#121
○委員長(稻垣平太郎君) それではさよういたします。
#122
○説明員(小岩井康朔君) 只今御質問の、二十歳前後の極く若い実際の現場係員の養成はどんな工合にやつておるかという御質問でありますけれども、これは現在やつておりますのは、極く短期間の数ケ月におきまして、大体一般の技能を養成できるという程度の極く短期の教育を、全國約三十ケ所ぐらいの所で現在実施しております。実施の官廳といたしましては、大体厚生省の方で予算を取りまして、厚生省の予算におきまして、石炭廳の指導の下にこういつた技術の指導を実際上行なつておるわけであります。
#123
○委員外議員(一松政二君) 三十ケ所、而も厚生省の指導の下にやつておるということは、私は甚だそれに対しては失望を感ずるのであります。これは石炭廳なり、それから地方商工局なり、或いは商工省が直接これはやらなければならんものだと思うのであります。而もそれは学校の組織とかなんとかいうものではないのであります。今やつておるというお話でありまするが、その三十ケ所というのは、一体どことどこでありまするか、そうして生徒は幾人おり、生先はいかなる生先がやつておるのか、それを承わりたい。
#124
○説明員(小岩井康朔君) 今日はちよつと労務課の関係の者がおりませんので、私大体概略を聞きまして、聞き覚えの程度でお答えしておるのでありまして、極く詳細な、どこにどういう人数でどういう先生ということは、只今ここでお答えできません。
#125
○委員外議員(一松政二君) 今政府が御答弁ができないということでありますならば、私は増産を目指しておる商工省に対して特に一言を呈しておきたいと思う。かくの如きドリルを持ち、或いはハンマーを持ち、それは引揚者とか、或いは米の配給が多いからといつて、臨時に炭鉱に行けば生活が樂になる、食える、殆ど今日では炭鉱の労働者ほど慮遇されておるものはない。ただ食えるからという目指しの下に行つて、そうして各炭鉱に行つて事情を聽けば、殆ど定着する人は僅かでありまして、殆どくるくる変つておる。一年以上経つ者は非常に少いという現状なのである。そういう素人が寄つてたかつていくら坑内に働いても、それは能率が上がることもなければ、何もないのであります。最も中心とたるべきものは、そこに定着して、或いは特に私はそういうものの必要は、その辺の地理、そこの環境によく慣れて、そうしてその鉱山と死命を共にするような、若い元氣のある嘱望される人を養成しなければ、いかに都会地や、或いはその辺の人を臨時に養成してもこれは何もならん。でありまするから三十ケ所という今の説明でありまするから、私はその三十ケ所にいかなる種類の子弟が集まり、いかなる種類の先生がいかなる教授の方法を以てこの現場の中心技術家を……高級の技術家でありません。実際の技術家であります、私の言うのは。そういうのは、養成の任に当つておる詳わしい表を明日間に合わなければ來週の月曜日に、或いはそれで間に合わなければその日までに資料の提出を求める次第であります。いつまで提出できるか、それを伺いたい。
#126
○國務大臣(水谷長三郎君) 御期待に副うように努力いたします。
#127
○委員外議員(一松政二君) それから私は近頃石炭三千万トン、三千万トンということは、私はその声は戰時中には約五千万トンであつたと思いますが、私は非常に遺憾なことを感ずる。私は銘柄を……積込の便から石炭の銘柄を廃したのであります。昭和石炭以來銘柄を廃した。取扱いには、便利である。便利でありまするけれども、それが品質の点において非常に遺憾な点が起つて來る。今日の石炭の炭價を品位によつて決めたというのが、この前七月初めの第二・四半期のいわゆる前決め制の炭價であつたように承つたのでありますが、政府はその前決の炭價によつて、そうしていかに品質の向上を見たのか、全國平均してどの程度の品質の向上があつたか。品位を基として決めたのであるか。それ以前は品質に構わずただ原價計算、いわゆるコスト、各やまのコスト主義で、それは前決め制は今度は品質を非常に重要視して炭價を決めたという御発表であつたのです。然らば第一・四半期と第二・四半期には、どういう品位上の向上があつたか。何カロリー上がつたか。灰分はいくら減つたか、その点を承りたいのです。
#128
○政府委員(平井富三郎君) 前決め制を実施いたしまして、品位は相当現在上昇しつつある模樣でありまして、鉄道炭などでは品位の点については漸次改善されつつある、こういう情報でございますが、この前決め炭價実施前及び実施後のはつきりまだ統計的な数字が出ておりませんので、その点は御容赦を願いたいと存じます。
 それから積込みの問題でございますが、これは御指摘のように、特殊炭と、一般炭と混入いたしまして積んでおるというような状況がございますので、特に九州炭につきまして、そういう例が見られまするので、その点につきましては、現在現地に人を派しまして、その改善に努力せしめておる状況でございまして、近く相当改善されるというふうに考えておる次第であります。
#129
○委員外議員(一松政二君) 私は七月から九月まで、現に今はもう十一月の末でありますから五ケ月経つております。それから第一・四半期は四月から六月末までの三ケ月、その間の各産地別の少くとも平均か或いは各坑別の平均の品位を石炭廳に取つていないということであれば私はそれは由々しき大問題であると思うのであります、でありまするから私が申上げましたように、第一・四半期までの品位がどうであつたか、第二・四半期になつたらどのくらい品質が向上したかという資料の御提出を私は要求いたします。それに対してちよつと政府の答弁を願いたいと思います。
#130
○政府委員(平井富三郎君) 品位の点につきまして、石炭廳といたしまして勿論報告を聽取しておるわけでありますが、第二・四半期の分につきましては、まだ完全に報告が集まりまして統計等を出すまでに至つていないというふうに申上げたのでありまして、現在集まりつつある報告の統計等をできるだけ早く集計いたしまして御報告申上げたいと思います。
#131
○委員外議員(一松政二君) 私はそれは増産に対しては重大な意味を持つものであると思いますから、この法案の審議に間に合うように一つ御提出を願いたい、その点はいかがでございましようか。
#132
○政府委員(平井富三郎君) 現在集まりました報告を集計いたしまして、できるだけ早い機会に御報告を申上げます。
#133
○委員外議員(一松政二君) それで政府は、今の前決の制によつて、品位によつて値段を変えたということにつきまして、どことどこにどうう処置を取つて、どういうふうな檢炭の方法を以てこの品位を決めており、その値段の、或いは何カロリー以上であれば、それに割増しをつけ、何カロリー以下は値段を引く、灰分が十八の場合にはどうする、或いは灰分が十二ならばどうするということについて、いかなる方法を以て現に実施しつつありますか、その点を承りたい。尚また質問は山ほどありまして、伺いたいことはまだ沢山あります。私は石炭に十何年苦労しておりますので、やまの中に入つたこともあり、賣つたこともあり、あらゆる角度から増産については関心を持つておりまするから、私の質問はまだ暫く御容赦を願いたいと思うのであります。先ずその点について承りたいと思います。
#134
○説明員(小岩井康朔君) 品位の檢炭の点につきましては、最近特に分析の施設が非常に不備な点が沢山ありまして、十分各やまことに檢炭を強化するというには設備が不十不でありますので、一部学校とか鉄道とか、そういつた方面の施設を借りることは勿論、分析の方法におきましても、灰分だけを以ちまして大体のカロリーを推定するというような、非常にスピーディーな方法も便宜上取りまして、できるだけ各炭鉱の分析回数を殖やすというような方向に進んでおりますので、可なり現在では從來よりも一層嚴重に檢炭をしておるというふうに考えております。それから品位の点につきましても、第一・四半期の成績は可なり私の方に報告の入つておりますのでは、平均五千六百カロリー位の数字が來ておりますので、段々品位が向上して來ておるのだというふうに考えております。
#135
○委員外議員(一松政二君) 石炭の品位の点について私は今の答弁に甚だ不満足に思うのであります。石炭の品位の決め方につきましては、これは分析所がないとか、或いは人手が足りないとかいうことは私は口実にならんと思います。やる熱意がないのであるということが根本なんであります。殊に都会地こそ戰災を被つておれ、殆ど炭鉱地においては少くとも相当の設備を持つたいわゆる財閥炭鉱或いはそれに準ずべき大きな炭鉱等は、各自皆分析設備も技術員も必ずあるのであります。やろうとすれば朝飯前にそれはやれるのであります。ただ実施してないというのが現状なんであります。それから私は、これは殆ど九州の各やまから出る石炭を鉄道省が買入れておるときには、戸畑の檢炭所でこれを檢炭しておつたのであります。而もどの貨車を取るのか分らんのであります。それからその積込みにつきましても、必ずかんかんにかけて、そうして嚴重な査定があるのであります。而もその当時の石炭の値段は、一トンが皆さんは不思議に思うくらいの値段であります。いわゆる粉炭は甚だしいのは一トン四円であります。それから塊灰にして八、九円止りのところであつて、而も嚴重なる熱量の計算と数量の計算とそれから灰分の檢査があつて、そうしてそれをそれによつて嚴重に品質本位の値段を支拂ておつたのであります。而も今はその二百倍に相当するような値段が実施されておつて、その檢炭制度において而も品位によつて炭價を決めると呼称しながら、それについて殆ど私はこの七月に各やまに行つて見ましたけれども、実施しておらんのであります。そうしてただ山の報告を聽取して、そうして貨車の積み込みに対しても何にしても、皆積出しの報告がそのまま基になつておると思うのであります。こういう点につきまして、政府はいかなる監督をやつておるのか、或いは私は商工省がやれないとするならば、鉄道省は從來非常に嚴重な檢炭をやつておるのでありますから、戸畑の檢炭所のみを動かしても、私は相当の九州の石炭については檢炭ができると思うのであります。或いは石炭廳におきましては、この戸畑の檢炭所の報告を求められておるかどうか、その点について承わりたいのであります。
#136
○政府委員(平井富三郎君) 品位の点につきまして、石炭廳といたして大体とつておりまする措置は、これは檢炭につきましては、配炭公團が一手に石炭を買い取つてしまうということに相成りまするので、先ず配炭公團の職員を各やまに常駐させまして、檢量の点、及び品位の点等につきまして、受け取りを確実にして行くという関係及び檢定機等の資材等も逐次整備しております。尚最近檢査、品位の点につきましてもなかなか所期の通り参つておりませんので、最近配炭公團におきまして各山元と配炭公團と需要者というようなものが立会の下に檢量をいたし、品位の檢行を行なつて行くことを励行いたしますように努力しておる次第であります。量質共にはつきりして品物を消費者に渡して行くという建前で進んでおりますわけであります。檢定機の不足のために現在先程申しました炭分による便宜な方法を取つておりまするが、同時に需要者が持つております機械、器具というものも十分に活用して参りたいというふうに考えておりまして、各需要者からやはり需要者において檢炭いたしました結果というものを聽取いたしまして、品位の向上に努めておるような次第であります。
#137
○委員外議員(一松政二君) 鉄道省の、過日の新聞の発表によりまするというと、戰時中或は終戰近い頃か或いは戰後におきまして、非常に品位が落ちて、そうして能率が惡くなつておるのである、戰時中におきましても石炭五千万トンとか、四千五百万トンとか、五千四百万トンとか殆ど数量ばかりを氣にしたのであります。数量ばかりを氣にするというと、これは品位が非常におろそかになり勝ちなんであります。これは坑内から石炭を取つて上げて來るときに、坑内で一々選炭しておる間がないので、一應は見ますけれども、これを坑外の檢炭夫のところで檢査しなければならんのであります。そこで歩引きの問題が、取つたものと檢炭夫との間に起つて來るのであります。これらにつきましては、私は今日はさようなことが、昔のように嚴重に行われてない結果、殊に品位の査定が甚だルーズであるために、且つ数量の大きからんことを欲するの余り、品質が非常に低下しておる。それで消費者の側からせつかく來た石炭が役に立たないものが沢山でき上つておるのであります。この九月に私は北海道に参りましたときに、悲痛なる北海道の消費者の叫びを聞いておるのであります。燃える石炭を寄越せというのであります。せつかく高い労銀を出しながら、あらゆる國家の補助を以て、そうして苦労して出した石炭が、需要者の手に渡つて、少くとも昨年の冬からこの春にかけて燃えない石炭が北海道の各家庭に配給されておるのであります。これは誰が一体得をしておるか、何人が得をしておるか、ただ商工省の発表する数字の上に何らか寄與した以外は、寄與がなくて、あとは全部國民経済の損失の側に属するものと私は思うのであります。数字の三千万トン、三千万トンはよろしいのであります。こういう品質を伴わないところの三千万トンは、これは何にもならんのであります。でありますが故に、品質をよくして実際上の使用價値に根拠を置いた増産であり、産出の方法を取らん限りは、國民経済としては救われないのであります。どうかそういう意味におきまして、今の檢炭の方法及び各やまの品位を向上せしめる点につきましては、これはこういう管理法案ではそういうことまで触れておらんと思うのであります。私は管理法案なるのもは必要ないという論者であります。そんなことをやらずとも、商工省はいくらでもやれるのであります。監督官廳なんであります。どんなことでも、殊に増産法には、帳簿はいつかいかなる場合でもちやんと檢査し得る建前になつておるのでありまして、先程商工大臣は、この管理法案をやらなければ、まるで野放しになるかのごとく承つたのでありまするが、事業者はそういう立場に立つていない。いつ如何なるときでも、帳簿を提出せしめ、檢査できる建前になつておるし、商工省はそれを命じ得る。やるかやらないかは、商工省がやるかやらないかの違いになつておるのでありまして、この法案がなくとも、監督上において何ら不便はないのであります。やらないのは、今までやらなかつた怠慢がそこに來ておるということなんであります。でありまするから、今の檢鉱の方法及び量の方法、それから消費者に対して有效で、最高の、いわゆる使用目的を果したということが、石炭の持つておる使命でありますから、徒らにその量に囚われたような政策を、私は捨てて頂きたいのであります。一般の公定價格の問題に対してもこうなんであります。要らざる炭を、要らざる土を、或いは岩石を、石炭の中に混入して、そうしてそれが鉄道で運ばれ、運賃とかあらゆる取扱上の経費をかけながら、消費者の工場に渡つて、ボイラーの前でこれが價値がないのであります。四千五百カロリーの石炭と、五千五百カロリー或いは六千カロリーの石炭では、倍持つて行つても六千カロリーの石炭の用はなさんのであります。その点に対して私は、特にこの量を確保せんが、ための政策は、非常に強いように思うのであります。何故にもう少し政府は大胆に、優良ないわゆる炭分が少くて、カロリーの高い石炭を、どんどん保護奬助し、それには五千カロリーの石炭が一千円すれば、六千カロリーの石炭は二千円出しても、六千カロリーの石炭が、消費者の方は欲しいのであります。ただ徒らに値段の安からんことを欲して、炭價の決め方を……私は甚だ炭價の決め方が怯懦であると思うのであります。北海道の優良な石炭であれば、どんどんその使思價値に應じて、炭價を決めるべきであると思うのであります。ただいわゆる物價に及ぼす影響があるから、第三・四半期の炭價を抑えるなどということは、私は商工大臣は甚だ怯懦であると思う。若し千八百円ペースを維持するためには、六千カロリー、七千カロリーの石炭に、五千カロリーの石炭の倍の値段をやつても差支えないのであります。消費者はそれだけ拂つて、尚つりが來るくらいに、五千カロリーの石炭を貰うよりは喜ぶのであります。而も数量は少くてもいいのであります。必ずしも三千万トン出さんでもいいのであります。三千万トン、五千五百カロリー……或いは平均していくらになるか存じませんが、恐らく五千カロリー程度になるのじやないかと思いますが、そんな石炭を三千万トン出すよりも、六千カロリー近くの石炭を二千万トン出した方が、まだ國民経済としては、余程助かるのであります。その点に対して政府はいかにお考えになつており、いかなる施策をとらんとするか、特に商工大臣から承わりたいのであります。
#138
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今、石炭の量よりも、質に重点を置けというお話を承わりまして、我々も一松さんのようなことを、全然考えておらないのではないのでございまして、現に二十三年度以降五ケ年の目標は、皆量とカロリーとを決めてやつて、その線に副つてやつて行こうという工合にしております。例えば昭和二十三年度には三千三百万トン、カロリー五千六百、或いは二十四年度には三千六百万トン、カロリー五千八百、或いは二十五年度には三千八百万トン、カロリー五千九百、更に二十六年度には四千万トン、カロリー六千、二十七年度には四千二百万トン、カロリー六千という工合に、量と質とを合せてやつて行こうというような考えを持つておるのでありまして、一松さんの今言われたことは、今後十分政府も氣をつけてやつて参りたい、かように考えております。
#139
○平岡市三君 まだ質問もあるかと思いますが、時間が非常に遅れておるのでありますから、このくらいで散会にしては如何でしようか。
#140
○大畠農夫雄君 私は先程から伺つておるのですが、委員長が他の委員会で発言することは許されております。併しながら、過日の申合せによりまして、その部門の事項に属する場面において、直接関係ある事項についてのみ発言を許すということになつておつたと私は記憶しておるのでありますが、そうじやなくて、私は先程からそれを非常に注意して聽いておるのでありますが、どうもその関連性があまりに遠いような発言があるようにも見えておるのです。そういうわけで、一つその点を、この次御発言なさる場合には、御注意して頂きたいと思います。
#141
○委員長(稻垣平太郎君) 只今大畠委員の御発言でありますが、一松商業委員長においても、その運営委員会の打合せ事項については、十分御承知になつておることと私は存じておりますので、無論これは、どれが所管事項の範囲に属し、どこが逸脱しておると言うことは、なかなか困難な問題でありますので、私は大体、一松商業委員長の先程からの御意見は、大体御所管事項に関連があるものと存じまして、承わつておつたわけであります。御所管事項を逸脱しまする場合におきましては、私から御注意申上げるつもりでおりましたわけでありまして、無論一松委員長は十分御承知の上で御発言をなさつておると存じますから、その点はさよう御了承を願いたいと思います。
#142
○大畠農夫雄君 本日、本委員会の委員として発言された者が数名あるのでありまするが、甚だ失礼ですが、一松さんの御質問が長かつたので、どうも本委員会の委員としてあまり審議ができなかつたのであります。もう少し時間を取つて、そうしてもう少し審議したいと思うのですが、如何でしようか。
#143
○委員長(稻垣平太郎君) 本日という意味ですか如何でございますか、今大畠委員からさような御発言がありましたが……。
#144
○濱田寅藏君 これは今の大畠委員の発に、いくらか関連があるのでありますが、大体自由党の皆さんにおきましも、党を代表して鉱工業委員として出ておいでになつておるのでありまして、專門の常任委員でない方が出られて、專門常任委員より多く発言され、ひつきりなしにやられるということは、恐らく自由党の常任委員諸君に取つても、大きな侮辱を感ぜられるのであろうというふうに私は解釈いたすのでありますが、皆さんは如何でありますか。相成るべくはもう少し、大体会期も少いことでありますので、できれば一般質問を本日くらいには打切る程度にいたしまして、明日からは逐條審議にでも入るというようなことに、皆さんの御協力を得て、お取運びを願いたいと存ずるのであります。
#145
○委員長(稻垣平太郎君) 如何でしようか、今濱田委員の御発言がありましたが……。
#146
○平岡市三君 まだ沢山一般的な質問が残つておりますからして、もう四時近くでもありますから、今日はこれで打切つて頂きたいと思います。
#147
○委員長(稻垣平太郎君) 打切りの御意見の方が多いようでございますか。
#148
○委員会(稻垣平太郎君) それでは本日はこの程度にいたして、明日は本会議は予算のように思うのでございますが、如何でございましようか。できれば、なるたけ本会議の間もこの委員会は続行して行きたいように考えておるのでございますが……。
#149
○堀末治君 明日は重要な会議でございますから、なるべく本会議は皆出席することにさせて頂きたいと思うのでございます。
#150
○玉置吉之丞君 明日の本会議は予算が出るんでございますから午後一時から開会ということに願いたいと思います。
#151
○委員長(稻垣平太郎君) 原則として本会議のあるときはやらないというのも如何かと思います。明日は予算の問題でありますから、明日午前はこの委員会は開きませんことにいたしまして、そうして一時から、この前からの電氣、農林、運輸、交通それから当委員会等の連合委員会が開かれることにたつておりますから、これに三十分ばかり御出席を願いまして、当委員会は明日二時から開くことにいたしたいと思います。そうして一つ時間が少いから、二時から開きまして少し勉強して遅くまでやつて戴きたいと思います。予めお願いを申上げて置きます。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
           入交 太藏君
           林屋亀次郎君
          深川榮左エ門君
           鎌田 逸郎君
           楠見 義男君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   石炭廳次長   吉田悌二郎君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
  説明員
   商 工 抜 官 小岩井康朔君
ソース: 国立国会図書館
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