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1947/12/01 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第23号
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1947/12/01 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第23号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第23号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○亞炭増産に関する陳情(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損出補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に関する陳情(第四百六
 号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 四百八十号)
○東北地方銑鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 五百六十四号)
○炭鉱民主化に関する陳情(第五百七
 十九号)
○製塩用燃料割当に関する請願(第五
 百五十二号)
○野鍛冶業用燃料増配に関する請願
 (第五百六十一号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第五百七十三号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する陳情(第六百三号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月一日(月曜日)
   午前十一時五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより本日の委員会を開会いたします。
 前回の委員会におきましてのお打合せによりまして、各理事のお方と協議いたしました結果、今後の審議の日程を次のように決めることに御相談をいたしたのであります。即ち一、二、三日の三日間は引続き一般質問をいたすことにいたしまして、四、五の両日は逐條審議、六日に討論採決をいたしまして、八日の本会議に上程することにいたしたい。かようにお打合せをいたしたわけでございますが、この理事の方々とのお打合せに御異議はございませんでしようか。
#3
○大屋晋三君 私は小林君を通じてその話を聞いたのでありますが、そういうお打合せを小林君は賛成をしなかつたと話をされたのですが、どうですか。
#4
○小林英三君 この間の理事会の模樣は、大体の総括的な質問を議題として私は相談をいたしたいと思います。大体総括的質問といたしましては、一般の人をまぜて三日までに終る予定である、ありは委員長の方からも何かお話もあり、希望もあつたのでありますが、あとの問題は何日まで、何日までというように具体的には何もなかつたが、総括的質問に関しましては一日から三日までにするというように、理事会でははつきりと打合せしたように思います。
#5
○下條恭兵君 私は一昨日の理事会におきましては、総括質問並びに逐條審議は四、五、六日は討論採決、八日午前の本会議に上程の予定である、而も七日は日曜日でありますから予備として計算に入れない、かように打合せがついたと了解いたしております。
#6
○小林英三君 大体この間の委員会におきまして問題になりましたのは、委員長からこの辺で一應総括的質問を打切つたらどうかというようなお話がありまして、それに対してどなたかの御発言がありまして、この國管案を審議する日限を檢討して行くということは、確かにあつたのであります。私は理事会におきましては、いろいろ理事の下條君、或いはその他の方から、委員長からもお話がありましたが、大体総括的質問というものについては、三日までに切上げる、あとは適宜に相談してやるというような考え方で理事会を終了したように思つております。ただ問題は、日限としては二日ぐらいでやるとか、つまり逐條審議については二日ぐらいでやりたいとかいう希望的のお話はありましたけれども、大体総括的質問ということが議題の中心でありまして、この問題については、一般の委員外の質問もやらそう、それもまぜて三日までにしよう、そうして商工大臣その他の各関係大臣に対する質問は、大体において二日までにやろうというような根本問題を相談して、あとの問題はその後やる、大体の見透しだけの話があつたというように私は考えております。
#7
○委員長(稻垣平太郎君) 小林委員のお話でありますが、九日の一日を残して八日の本会議に上程しようということについては、御一任なすつたものと私は記憶しております。これははつきり間違いないと存じております。それで一、二、三の三日間一般質疑をやるといたしまするというと、あとの残つております間に、結局逐條審議とそれから討論をやるということに相成りまするので、その点で大体割振りをすると、逐條審議が、まあ日曜日を仮りに余裕に取つて休みますとすると、逐條審議は二日になり、又討論採決は一日になる。こういうことになるのではないかということで、大体そんなことでいかがであろうというようなお話が纒つまたと私は承知いたしております。八日の本会議に上程するということについては、これは皆さんの御意見がはつきり一致いたしておつたように存じますので、この点は小林委員もお間違いないと存じております。
#8
○川上嘉市君 私もその理事会に出ましたが、大体下條委員の仰しやつたように私も了解いたしております。
#9
○大屋晋三君 大体この土曜日の話がですね。あなたの御提案に対しまして、私が意見を申上げて、宿谷君の意見によつて理事会で御協議を願いたいとこういうことになつたのですが、その御協議を願いたい内容が、今あなた方が理事会で御協議なすつたことが、私共が御註文申上げた線を逸脱しておるように思うのです。私が申上げて、宿谷君が御註文申上げた趣旨、それから諸君がそれに御賛成になつた趣旨は、逐條審議に入らずに、まだ二、三日総括の審議を続けて行きたい。然るに委員長はこの辺でとにかく総括審議を打切りたい。こういう話でありましたから、その辺の調節をお願いしたのでありまして、いつの幾日までに総括審議を打切つて、そうしていつの幾日から逐條審議に入るということの決定を理事諸君にお願いいたしたのでありまして、逐條審議を終えて討論をやる。採決をするというような……。これだけの大きな問題で、而もいろいろな関係がありまして、勿論一定の時期にはけりを付けなければならんことは勿論でありますが、それを限定すると、これは大きな政治的な問題でありまして、そこまであなた方に土曜日の理事会で御協議を願いたいということを本委員会の諸君がお委せした筋ではないと私は信じております。然るに只今は、私達の希望しました線以外の点まであな方がお決めを願つて云々というのは、誠にこれは一昨日の話と話が違う。こういうふうに私は解釈いたしておるのでありまして、一昨日の理事会で川上、下條、小林三君と委員長と四人でお話合になつた筋が、かように違うというようなことは、これは甚だよろしくないわけなのでありまして、私の申上げた通り、私は明らかに線を画して理事諸君に御協議をお願いしたとかように考えております。
#10
○村尾重雄君 この間の土曜日の日に一應委員長から、総括的質問を打切つて逐條審議に入り、尚逐條審議中に総括的な質問も織交ぜてやるように、一應打切るという御意見が出たのでありまするが、それについて云々という点は、只今大屋氏が仰しやつた通りなのでありまして、ただそのときに、非常にこの問題は重大であるのと、会期が非常に短かいから、一應この問題の取扱いについて、万が一に審議未了というようなことになる場合においては、參議院としても非常に大きな重大責任がある。だからこれらの大体取扱い方について日程を一つ計画されたらどうかということをば委員においてお話があつたわけであります。私はそういう意味で、一つこれを動機にこの日程を小委員会において組み立てて貰いたいと、こういう意見から理事の方々にお委せをしたと、こう解釈しております。これは当然そういうことが御協議あつて正しいものと思つております。
#11
○委員長(稻垣平太郎君) 今大屋さんの御意見でありましたが、あの当時宿谷委員から御発言でありましたことにつきましては、一般質疑打切りの問題も無論でありまするが、今後の審議の順序、進行の順序その他について皆さんと、理事の諸君とお諮りしてお決めになつたらどうかというようなことであつたことは了解いたしておるのでありますが、いかがでございましようか。皆さんはいかがお聞きになつたか存じませんが、私はさように了解いたしておりますのでありますが。
#12
○宿谷榮一君 今名前がちよつと出たのでありますが、委員長のお話のありましたような氣持で私は申上げたのですが、但し八日の日に本会議に掛けるというところまでは、当時の心境としては申上げたのではなくて、凡そその予定を立てられた方がよかろうという意味に申上げたのでありますが、併しこれは審議のことですから、ここで八日の日に必ず上程するということを決議するような恰好になると問題がやかましくなるのではないかと思うのですが、なかなかこれは重大な法案でありますから、各自、都合によりましたら日曜日にも出ておやりを願うというようなことができれば、又そこまでに持つて行つて、なるべく今会期中にこれをいずれかに決定するという方向に皆さんと共に御勉強したいというふうに私は考えておるのであります。その意味で、決議するということでなく、その予定でどこまでも進めるというふうになすつたらいかがかと思うのですが。
#13
○小林英三君 私はこの鉱工業委員会の理事として、而もこの間の土曜日の委員長と理事との御相談に参画した者でありますから、はつきりと申上げて置きたいと思います。今宿谷さんからも御聞きの通りの御意見があつて、私の考えといたしましては、今日でもそう思つておりますが、本案は衆議院におきましてああいうような恰好で、極めて未審議のままで参議院に廻つております。從いましてこの間宿谷さんからも御希望がありましたが、大体その根本問題というのは、いわゆる総括的質問を一應打切つたらどうかという委員長の御発言に対してせられたように私は考えるのであります。我々が軽率に議会におきまして、この重要な法案の取扱いに対しまして、何日までに討論を終結してというような……大体最初の話は、八日頃までに仕上げて置かなければならんというようなことは委員長の話で、それは結構でしよう。併し三日までに総括的質問を打切らなければならんという委員長の肚、或いはその他の方の肚においては、もう少し早くというような考えもありましたが、結局三日までに総括的質問を大体において打切る。あとは討論において総括質問を混じながらやつて行こう。こういうようなことでありまして、我我が理事としまして、若し全体の討議について何日までということをはつきり我々がやることは、余程我々としては大きな責任を感ずるわけであります。私はちよつと中座いたしましたが、その期間において、或いは三日以後の日程について多少の話合があつたかも知れません。私は三日以後の点について、二日間でやるか、三日間でやるかというような点は、はつきりと正式に御相談がなかつたように思います。その点をはつきり申上げて置きます。
#14
○岩木哲夫君 私はこの問題は解釈と感じの問題によつていろいろ見解が相違するものと思いますが、日時も切迫しておりまするし、参議院といたしましての審議並びに本会議に上程するまでの計画、措置、取扱いにつきましては、極めて重大なる問題と考えますので、純眞な意味からいえば、愼重審議を怠りなく続けるのが建前であります。但し先般の委員長のお話は、一般質問と各條文に亘る質問を入れて、相互にやつたらどうかということにつきまして、御意見が、感じが又分れたわけで、結局理事、委員長の御相談になつたと思いますが、要はその理事なり委員長が御相談いたしました趣旨、線を、この際といたしましては原則的にそういう趣旨というものは尊重するが限定しないというようなことで、その氣持を持つてこの際両者のお話合を纏めて、又御了解を得ることが必要だろうと思いますので、御了解を願うようお諮りを願いたいと思います。
#15
○藤井丙午君 私は土曜日に病氣で欠席いたしましたので、その間のことを存じませんが、私の希望意見を申上げますれば、本法案は本國会を通じての最重要法案でございまして、愼重審議すべきことは当然でございます。特に衆議院のああいつた経過もございまして、國民の期待も参議院に集中されておる。その意味からも非常に重大なこの取扱については我々は愼重を期さなければならんことは当然でありますが、ただ私の憂慮いたしますのは、この法案が原案通りになりますか、或いは修正が出ますか、そのいずれにしましても、あと九日一日ということで八日に採決をするということは、少し時間的に私は無理ではないかと思うのであります。と申しますのは、これは衆議院で御承知のような経過を経た問題でございまして、仮にここで修正案を参議院として上程可決された場合に、あと一日で衆議院でこれをどう処理するかというようなことは、これは政治的な常識からいつても、なかなか困難な問題だと思うのであります。少くとも私は日曜出勤してでも、六日乃至七日までには、二日間くらいの余裕は当然織り込んで、審議さるべきが、この法案の持つ特殊事情、特に衆議院における特殊事情から考えまして、政治的にそれくらいの余裕は、どうしても私は取つて置く必要がある。その意味において、愼重審議は無論でありますけれども、精力的に一つ審議を促進して、少くとも二日間くらいの余裕は最終日までに残して置かれる、このくらいの余裕を見て仕上げられる必要があるのじやないかと思います。
#16
○下條恭兵君 只今の藤井委員の御説に私も同感なのでありますが、我々社会党といたしまして、すでに新聞にも発表されているように、衆議院回付の修正案を全面的に支持することになつておりますので、その関係からいたしますと、愼重審議してこれを通過させたいと念願しおる者でありますが、新聞の傳えるところによりますれば、各派とも修正意見を持つておるそうでありますが、そうしますると、当然修正可決された場合を想像いたしますれば、両院協議会並びに衆議院の審議期間並びに決議の期間を與える必要がありますので、從いまして私は藤井委員の御説のように最も早い機会に参議院としては可決して、衆議院に回付するという必要がありますので、相当長時間連日に亘つて長時間の審議を続けて、極力早く審議を終了するようにする必要がある、さように考える次第であります。
#17
○委員長(稻垣平太郎君) 只今小林委員から理事会のときのお話合についてのお話もございましたが、大体一般質疑を三日間でするということについてのお話も申上げたのでありますが、三日間ということも、この問題の討論採決に入りますお仕舞の締括りの日から逆に計算いたしませんと、三日という数字も出ませんわけでありまして、当時大体最後の締括りについてもお話合をしたことは、私間違いないことだと存じておるのであります。その間におきまして日にちの差繰をする、それには大体一般の質疑を三日間振当てようというようなお話が後ろから進んだのであります。その点に私は間違いないと存じておるのであります。又藤井委員からお話がありましたように、本法案は十分審議する必要があることは、これは一番初めに私申上げた通りでありますが、同時に又日にちに縛られている点も、我々考慮する必要があると存ずるのでありまして、先程岩木委員からお話がありましたように、大体我我理事会で話合いをいたしました線に沿うて皆樣方に御了承を願つて置くと限定するということについての問題がいろいろありましたが、そうむずかしい意味でなくて、日曜日一日余裕を置いてあるわけでありますから、大体先程申上げた筋によつて御審議を進めて頂くということで御了承を得たいと思いますが、いかがでございますか。
#18
○委員長(稻垣平太郎君) それではさように取決めたいと存じます。
 それではこれより一般質疑に移りたいと存ずるのでありまするが、先程途中で話が横の方に流れましたが、大体この前大屋君からの御希望がありましたので、今日申上げて置いて、二日の日に総理大臣その他各大臣の御出席を願いまして、御質疑をして頂きたいと、かように存じておるのであります。先程小林委員から今日緊急に総理大臣に御質問になりたいという御望希でありましたのでありますが、総理は今日どうもお差繰がつかないように存ぜられますので、若しできますれば、午後に來て頂くことにいたしますが、或いはそうでなければ明日ということにお願いいたしまして、予め各大臣に対する質疑の御準備を願つて置きたいと思うのであります。それからその節御希望がありました御出席を願う大臣は総理大臣、安本長官、大藏大臣、運輸大臣、労働大臣、かように了解いたしておりまするが、大屋委員、それで宜しゆうございますか。
#19
○大屋晋三君 結構です。
#20
○委員長(稻垣平太郎君) 他に何か皆さん方に、他の大臣の出席を御希望でありましたら、今日只今承つて置いた方が宜しいと思いまするが、宜しゆうございますか。
#21
○堀末治君 住宅なんかの関係は厚生大臣の方になるのでございますか。
#22
○國務大臣(水谷長三郎君) 復興院総裁でございます。
#23
○堀末治君 住宅問題の質問が大分あるだろうと思いますから、一つ……
#24
○委員長(稻垣平太郎君) 今、堀委員の御希望がありましたが、その上に復興院総裁のお出でを願うということにいたしたいと存じます。尚一、二、三の三日の一般質疑の間に委員外の議員の方で御質疑の御希望の方のお申出がありますので、それも三日の間にお願いいたしたいと存ずるのであります。又当委員会以外の他の委員会の委員長で、御質疑の御希望者もあるようでありまするが、それもこの一、二、三の三日の間に加えて御審議を願う、御意見の御発表を願う、かようにいたしたいと存ずるのでありますが、別に御異議はございませんか。
#25
○委員長(稻垣平太郎君) それではさよう御了承を願います。それではこれより一般質疑に移ります。
#26
○岩木哲夫君 成るべく重複を避けたいと思いまするが、他の同僚委員が質問された事項で、尚了解できていないと仄聞いたしておる点等とも関聯いたしまして、お尋ねいたしたいと存じます。今回政府は増産対策並びに運轉資金融資に関しまする要網を、本管理法案が議会に提出された後に出されましたが、この要網なるものと、先に政府が炭業公團でありましたか、國会に出さんと意図された内容とは相違がありするかどうか、又炭業公團を政府が出されんとしました要旨は、どのようなものであつたか伺いたいと思います。
#27
○政府委員(平井富三郎君) 炭業公團について大体考えておりますことを簡單に申上げます。炭業公團は一種の政府機関といたしまして、二つの職能を遂行して行きたい。かように考えた次第であります。その一つは新鉱の開発等に関聯するものでございまして、今後の新鉱開発ということが、ここ数ケ年におきまする石炭の増産ということにつきまして欠くべらかざる事項でございまするので、而も尚、その新鉱の開発に必要といたしまする資金関係から見ましても、これをただ民間事業のみに依存するということでは、所期のみに依存するということでは、所期の目的を達しがたいという点から、民間企業で遂行できないというような新鉱につきましては、炭業公團がこれを実施をして行くという一つの機能……それから各種の石炭生産に必要といたしまする資材の中で、一括購入をいたしますことが非常に便利であるというようなものにつきまして、炭業公團が各炭鉱の委託を受け、これを一括発註をいたしまして炭鉱に配給して行きたい。大体この二つの機能を狙つて炭業公團というものを考えて参つたわけであります。この炭業公團の案に対しまして各種の意見がその後出まして、特に公團という組織は成るべく余計作りたくないという意見が有力になりまして、差当り民間において行えない事業というものは、産業復興公團を活用したらどうかということに相成りましたので、それに代りまして、新鉱の各種の開発に要しまする調査自体は、これは石炭廳において実施をする。その調査されました各新鉱の開発計画の中で、民間企業においてこれを行うという意思のあるものにつきましては、原則としてこれは民間事業にやらせる。併しながら民間事業ではやれんというようなことが起つた場合の措置としては炭業公團を利用したらどうか。それから資材の購入の点でございますが、これは流通秩序等の関係からいたしましても、現在切符を整備中でございまするので、このラインに沿つて資材の確保を容易にするという一つの大きな方針の下に進むことといたしまして、從來必要な資材につきましては炭鉱施設組合の称するものが一括購入をしておりましたが、これが独禁法その他の関係で近く解散される見透しがございますので、むしろ石炭廳といいますか、政府自体におきまして強力な斡旋を進めて行く。例えば鋼材等につきましては、炭鉱の個々の発註というものを取纏めまして、鋼材のメーカーとの間に生産のリンクを政府が斡旋するということにいたしまして、現実的にその資材の計画的な発註と計画的な取得を可能ならしむる方が手つとり早いのじやないかということから、石炭廳その他に各使用資材の購入の斡旋をいたす職員を増置いたしまして、只今申上げましたラインによつて進んで行きたい。尚、中小の炭鉱につきまして、共同購入の非常に便利なものというものにつきましては、地方的に共同購入機関というものを設置いたして、これを十分活用して参りたいというふうに考えている次第であります。
#28
○岩木哲夫君 それではそれに代るべきものとして、マツカーサー司令官から出された書翰に基いて出されたのかどうか分りませんが、この二つの要網というもの、それに代るべきものと解釈していいのでありまするかどうかを承わりたいことと、この要綱と管理法案との関聯性は、どのように増産対策上結び付ける御所存であるかを伺いたい。
#29
○政府委員(平井富三郎君) 炭業公團に代ります代案と申しますのは、いわゆる炭業公團で狙いました事項を炭業公團の形式によらず、実質的に貫徹して行きたいという意図から出ましたのであります。勿論新鉱の開発等につきましてもマツカーサー元帥からの書簡に含まれてございますが、これはマツカーサー元帥の書簡に現われております事項は、それぞれそれらもその必要性が認められ、部分的に手が打たれてあつたものであります。炭業公團及びそれに代る現在考えております資材新鉱等に対する方針というものは、それとたまたま合致いたした次第でございます。尚マツカーサー元帥から示されました各種の増産対策というものは、これは國家管理法案とは別個のものでございまして、管理法案が通過いたしますると否とに拘わらず、現在その実施に努力いたしている次第でございます。
#30
○岩木哲夫君 それではこの二つの要綱は管理法案と別個のものだとのことでありますが、現に十月一日に出されたようでありますが、その後実際炭鉱に対して資金並びに資材等がどのような工合で、或いは労働力強化に対しまして御指令がどのように、どこの炭鉱に具体的に及ばれておりますかを伺いたい。
#31
○政府委員(平井富三郎君) 只今の増産対策につきましては、これの一番主要な点になりますのは労働対策であろうかと思いますが、それにつきましては從來から本委員会においても御説明申上げたような経過をとりまして、目下経営者、労働組合との間に自主的に労働時間の延長がなされるように各種の処置をとつている次第であります。又金融につきましても先般当委員会において御説明申上げましたような方法によりまして、即ちあの増産対策要綱に從つて増産を実施して行こうという炭鉱に対しまして必要な運転資金の入手を行うというようにいたして、目下その炭鉱からの要求に基きまして審査を進めている状況であります。尚設備資金等につきましては、これは從來の計画をその儘進めておりまして、第三期の分につきましてはそれぞれ決定をいたしまして、貸出を進めている状況でございます。
#32
○岩木哲夫君 それでは不幸にしてこの管理案が否決された場合と否とに拘わらず、この二つの要綱は増産対策上極めて緊切なものであるということであります。でありますから本管理案と関聯性がないという工合に了承して宜いわけでありますかを承りたい。それから本管理案が実際施行されるについてはいろいろの結果、四月一日とされておるようでありますが、この二つの要綱というものの実際内容と四月一日に施行されるという問題についても、勿論関聯性がないことが從つて生ずるわけでありますが、左樣に解釈して宜いかを承りたい。
#33
○國務大臣(水谷長三郎君) 成程岩木委員も御案内のように、マッカーサー元帥の書簡によりますれば、その書簡によつて指示された増産対策と管理法案とは形式上独立なものであると指示された通りであります。併しながら私らの考えるところによりますれば、非常時増産対策の中心である労働対策を強力に進めて行く上におきましても、又非常時増産対策要綱、或いは又このたびの特別調査團の狙いの下に行われる増産対策を継続的に進めて行く場合におきましても、この管理法案というものが是非必要なものであるという工合に考えておる次第でございます。從つて私らといたしましたならば、このいわゆる非常時増産対策要綱、或いは特別調査團に基く増産方式というものは、成る程形式的にはこの管理法案とは別個のものでございますが、実質的には表裏一体をなす重大な関係を持つものである。このように考えておる次第でございます。
#34
○岩木哲夫君 重ねてお尋ねいたしまするが、政府は、この管理法案が通過いたしましたならば、いわゆる一般炭鉱或いは指定炭鉱を管理されると言つておりますが、管理の対象というものは重点を何処に置いておられますか承りたいと思います。
#35
○國務大臣(水谷長三郎君) 管理の対象の規定は、第十四條に謳つておるのでございますが、原案では十四條、修正案では十三條でありますが、「商工大臣は、全國炭鉱管理委員会に諮つて、前章の規定によるの外、この章の規定による管理を行うべき炭鉱(指定炭鉱)を指定する。前項の規定による指定の基準は、能率、生産費、品位、出炭量等に基いて、これを毎六ケ月に定めるものとする。第一項の規定による指定は、告示により、これを行う。」ということになつておりますが、我々は、單に十万トン以上の山、或いは五万トン以上の山とか、或いは解体財閥の山であるとか、そういうような一律的な非彈力的な指定を行うのではないのでございまして、ひとえに増産の見地から、而も緊急増産の見地から、極めて彈力性を持たした指定を行いたいと思います。即ちもつと言葉を詳しく申上げますならば、大体大きな山を中心にいたしまして、能率、生産費、品位、出炭量等に基いて彈力性を持たして指定をやつて行きたい、このように考えております。
#36
○岩木哲夫君 承つて分りましたが、それでは能率、生産費、品位、出炭量、その他各般にする彈力性と仰しやいましたが、管理の対象というものについては、その業務に携わる人でありますとか、或いは事業それ自体でありますとか、或いは資金、資材でありますとかいつたようなものの管理というものは、やはり含まれておるのか、いないのか。ただ能率、生産費、品位、出炭量といつたようなものに関聯する管理法であるのか。どちらかを承りたい。
#37
○政府委員(平井富三郎君) この法案において、直接管理の対象と考えておりますものは、この十三條の規定によりまして與えられた基準によつて、指定炭鉱を指定いたしまして、これによつて、この法律にあります指定炭鉱の管理の章にありまするような業務計画の決定、或いは生産協議会の活用その他の管理を行なつて参るのであります。從つて炭鉱が必要といたしまする資金、資材、これらのものの融資につきましては、先程申上げましたような方法を資材につきましてはとる。資金につきましては復金の機能というものを炭鉱の生産ということに、管理を仲介にいたしまして、これを密著いたしまして、迅速な資金の供給をいたしたい。或いは資材につきましては、必要があれば、強力命令によつて資材の供給を法律的に確保して行きたいというような方法を採つております。
#38
○岩木哲夫君 それでは二つの対策要綱と管理法案というものは表裏一体だと仰しやいましたし、又只今かような御説明を承つたのでありまするが、こうした表裏一体であるし、こうした二つの要綱をも亦管理法案が管理するという問題でありますれば、大臣の仰せられる通り、表裏一体であるわけであります。ところが二つの要綱は、十月一日に施行されておる筈であるに対して、本管理法は、四月一日に施行されるという、数ケ月、半年以上に亘りまする間のずれがありますが、二つの要綱だけでは増産が行えないとおつしやいますのか。二つの要綱だけでも増産が行えるのでありますが、やはりこの二つの要綱の外に、管理法が揃わなければ、行えないというのでありますか。
#39
○國務大臣(水谷長三郎君) 勿論今岩木さんのおつしやいましたような、多少の時間のずれがあるが、我々の考えるところによりますれば、この國家管理法案の準備の時代においても、なさねばならんところの増産対策というものは、着々手を打つて行かなければならないのでありますが、只今、四月一日に先立つて行なつておるところの増産対策要綱というものは、これは言うまでもなく、緊急増産を目標とするものであると思うし、又國家管理法案施行の地均しをするものでありまして、これに先立つて行われることは、そういう意味によつて行われたのでございまして、私の申しましたのは、この國家管理法案というものとの表裏一体という関係は、そういうような、いわゆる特別調査團に基く、二月なら二月の増産運動である。或いは又非常時増産対策要綱というような、短期を目的としたところの増産運動で、そういうようなものをば、継続的に、長年間やつて行くためには、こういうような管理法案という組織が必要であつて、そういう意味において表裏一体ということを言つたのでありまして、それに先立つて、準備的な意味において、又、緊急増産の目標を達する意味において、この四月一日を待たずして、これらの施策が行われて行くということは、非常に必要なことであろうと思つております。
#40
○岩木哲夫君 現在各月の出炭量の実情等は、誠に感心をしないような状態でありますが、現在政府が二つの要綱を極力推進されておるのに、増産成績が挙らないということは、今大臣のお話のように、いろいろの調査團その他の地均し、いろいろな計画は、関聯してなされなければならんということは了承いたしますが、そうすると、未だ十月何日に施行発布されておるこの二つの要綱よりして、現在の月の出炭量というものを睨み合せますと、二つの要綱というものが、本当に増産対策と別個の解釈であると言つて、又表裏一体であるということをおつしやいますが、もつと別の手を打たなければ、増産というものは挙らないのではないか。本法案は組織法だとしばしば私は承わつておりますが、組織では必ずしも身が入らない。要は二つの要綱というものが増産対策のキーポイントであるというように承わつておるし、又我我も了承しておりますが、この点にもう少し政府は強力に考えを改めて行かれる必要はないか。管理法案それ自体は重大視してはいるが、我々はむしろ二つの要綱が肝腎だと考えますが、その点いかがでございますか。
#41
○國務大臣(水谷長三郎君) それは誠に岩木さんの仰しやる通りでございまして、我々もあらゆる手を打つております。只今成績が挙がらないと仰しやいましたが、成る程十月の月は目標額が多いのでありますから、百パーセント以下でありましたが、御案内の通りに、月額二百四十一万トンを突破いたしまして、終戰以來の最高の記録に達しました。更に又十一月も目標額が多いのでありますから、パーセンテージは少ないのでありますが大体二百五十万トンを確保する予定でございます。更に又十二月並びに一月は大体二百四十一万トンに、プラス三十万トンということを目標にして考えておるのであります。只今岩木委員は増産対策はなにもしておらないという御説でございますが、御案内のように、この石炭非常時増産対策要綱の中心である作業方式、(イ)(ロ)(ハ)という点がございます。労働時間その他の問題でございますが、それらは炭鉱特別運轉資金融資要綱によりまして、大体資金の融資を受けるものは、十一月から十二月、遅くも十二月の初めまでに、大体その作業方式のいずれかによるということを決めるということを絶対の條件にしております。更に又今特別調査團が北海道或いは九州に参りまして、山々に行きまして、團体協約をばこの線に沿うて締結さして行くという工合にしておりますので、大体十一月は二百五十万トン、十二月は二百七十万トン、一月も亦二百七十万トンというような目的は着々達成されるような態勢に行われておるのであります。今岩木さんはなにもこれが一個の作文で、滑り出しておらないのじやないかというような点を指摘されましたが、事実は正にその正反対でございまして、着々その線に沿うて動いておるという工合に一つ御了承を願いたいと思います。
#42
○岩木哲夫君 了承いたしました。尚大臣のお話の点につきまして二、三まだ了得できない部分もありますが、余り時間も要しますので、この点については省略いたしまして、次にお伺いいたしたいのは、本管理法案は、私企業における生産意欲を増大せしめる方途、方式であると言われておりますが、この法文を読みますとどうもそれがぴつたり來ない箇條が非常に多いのであります。これは又條文審査の場合にも申上げますが、又私企業の代表者である事業主に対しましていろいろの管理、責任、義務或いは罰則、各般の條項がありますが、労働力強化に関しまする部面は、この二つの要綱に、抽象的にこうする方針だということは指摘されておりますが、管理法案に、政府と事業主と労務者とが三者一体において、共同責任で増炭の目的を達成しなければならんという趣旨の点から見ますれば、労働力強化、而かも増炭は労働力の強化という点が極めて重要であることはすでに論議し盡されておる次第であります。こうした点に、本管理法案の内容は、極めて労働力強化に関しまするすべての施策なり要綱が非常に薄いように考えられますが、これはどういうわけでありますか。
#43
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今岩木さんの御指摘の点は、或いは新聞で御案内と思いますが、初めの政府の原案によりますと、石炭に関する労働問題は、この組織法に織込むように政府といたしましては努力をしたのでございますが、いろいろの経緯と経まして、それらは一般の労働問題と共に扱うということになつて、二箇條の條文が削除されたような次第であります。更に岩木さんの御質問は、例えばこの労働組合に、マツカーサー元帥のいわゆる石炭非常増産対策要綱というものを示したときに、労働組合は、異口同音にこの石炭非常増産対策要綱はこれは労働強化ばかりのことが書いてあつて、経営者の責任その他のことはなにも書いてないじやないかというきつい批判を蒙つたのであります。岩木さんは今この管理法案を見て、これは企業家の罰則とかその他のことだけしか書いてないので、労働問題のことは一つも書いてないじやないかという御質問を蒙りましたが、私も繰返して申しますように、この組織法を中心にして、石炭非常増産対策要綱或いは臨時金融方式、これらを併せて一本にいたしますならば、経営者には経営者の立場から増産を要請願うようになつております。又労働者には労働組合の立場から、労働者の立場から増産に一つ邁進して貰うということになつておるのでありまして、この組織法というものは、御案内のように企業形態は原則として変更しない。從つて企業は飽くまでも企業者の責任で賄わなくてはならないという立場を貫いておりますから、組織法にはそういう工合に労働問題よりも、企業家に関する規定の多いのはこれは当然であります。併しながら一度び眼を石炭非常増産対策要綱に轉ずるならば、そこには労働問題が中心となつて、増産の態勢が整えられておる。これらの問題は合せて一本に総合的に御視察願いますならば、政府といたしましては、どちらにも偏せず公平なる立場において、この石炭増産というものを扱つておるということを、御了解願えると思うのであります。
#44
○岩木哲夫君 分りましたが、それでは労働力強化に関しまするものは二つの対策要綱で明かであるということをお話しになりましたが、この二つの要綱というものは、法律的にはどれ程の効力と詰り権限と申しますかというものがありますかどうか。これは政令と申しますのか指令と申しますのか、管理法案との法律的権限効力につきまする厚薄がありますがどうかを承りたい。
#45
○國務大臣(水谷長三郎君) 形式的には増産要綱と法律とは違つております。併し実施の面におきましては毫も差はない、逕庭はない、このように考えております。
#46
○岩木哲夫君 どうも余り甲乙がない。逕庭はなと承りましたが、実際これを法的に遂行する上におきましては、やはり差があるのではないかと我々承知いたしますが、それはやはり大臣は両方とも法律的権限、資格というものは、この二つの要綱に謳われておることを遂行せんとする法律的権限、効力というものと、管理法案に盛られておる権限、効力というものが、一体同一であるかどうかを重ねて伺いたいと思います。
#47
○國務大臣(水谷長三郎君) 私が申しましたのは、成る程形式的には法律と法律でないものとは違つておりますが、併し実施をやつて行く面におきましては、毫も差異なく遂行して行くということを述べたのであります。
#48
○岩木哲夫君 そうしますと、二つの要綱では実施してやるということがありますが、管理法案におきましては、例えばこうしたことを事業主がその命に服しない、或いは報告だとか、或いは業務計画とか何とかいつたものができない場合には、それぞれの罰則がありまするが、この二つの要綱には罰則がありまするかどうかを承りたい。
#49
○政府委員(平井富三郎君) 只今の点につきましてお答えいたします。管理法案におきまして事業主に対する罰則の規定はございまするが、これは一つの個々の具体的な命令事項に対する違反の問題であります。例えば業務計画につきまして全責任を持つてこれを完遂して行くという生産意欲の点自体につきまして、この法案が直ちにその生産意欲の低下を罰するというような規定はございません。労働問題につきましても、労働者の意欲を向上させるというようなこと、及び経営者の意欲を向上させるということは、これは法律の規定を以てする以外の事項であろうかと考える次第であります。即ち労働者の生産意欲を向上させるためには、各種の福利施設、或いは生活環境の改善、或いはその炭鉱における経営上の地位をはつきり明確化するというような各種な措置を購じて、労働者の生産意欲を向上して行きたい。又事業主につきましては、事業主が経営がし易いように資材、資金、その他の点について十分政府としても一つの責任を持つてこれを遂行して行く。ただ企業の責任は事業主にあるわけでございますので、新坑の開発その他につきまして、これが管理委員会の意見によりまして新坑に対する開発の命令が來た。その場合に新坑の開発に着手しないというような場合におきまする罰則をこれが規定しておるのでありまして、業務計画が政府から指示されまして、それが事業主として十分手を盡して尚且つその業務計画が完遂できなかつた、この業務計画を生産実績との差を捉えて、直ぐに罰則にかけるというようなことは考えておらないのでありまして、要は一つの企業というものを、事業主がこれを最終の責任を持つて行なつて行くという面におきまして、具体的な事項につきましての全体的な必要から発せられました命令に対する違反というものが、罰則に現われておる次第であります。
#50
○岩木哲夫君 さように承りますると、この要綱にありまする、例えば二十四時間制の推進に関する……、い、ろ、は、と具体的な各一週間の時間制などが要綱に現れておりますが、こうした具体的事項に対して若し労働者が止むなくして、増産協力をしないと云われたような場合には、それぞれの云い分もありましようし、又政府がいろいろ厚生生活物資の補給等により労働者の管理の上にも問題が起ろうと思いますが、こうした場合には政府も亦関聯性があると思いますが、労働者に対するこうした具体的な事項の制裁規定というものは、これは出ないのでありますかどうか。例えば管理委員会、生産協議会等には、労働者が事業主或いは事業主に代るべき者と同等の権利を持つて、法律的根據の委員会を構成されて、権限を有せられる審議事項等が多数あるのであります。そういつた部面と、この点とはどうも矛盾があるように思いますが、これは、敢て私理窟を云うわけではない、本当に石炭を増炭するについて特に事業主と労務者が各各一生懸命に各各の職業を最高度に発揮することが必要で、義務もあれば責任もあるという見解から、労働者に対する労働力の強化に関しまする取締と申しますか、これに具体的に違反した場合には、罰則を付するということが、どうも今日欠けておるように存じますが、これでよいと考えられますか。
#51
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今御指摘の点は、先に平井政府委員が申述べた点でございまして、この管理法案に基く罰則は個々の命令或いはその他に対しましての違反でございます。岩木さんの只今御指摘の点は、例えば労働者が團体協約を結んで、九時間なら九時間働くという國体協約を結んだに拘らず、それをサボつた場合と、いわゆる違反とは内容が本質的に違つておろうと思うのであります。併しながら政府はこの要綱の最後にも、マツカーサー元帥の書翰にも盛られておる言葉を受けまして、即ちマツカーサー元帥の書翰には、その円満なる遂行を故意に妨害する者はこれを嚴に訴追すること、ということを云われております。我々は岩木さんの御指摘の点に関しましては、最後に尚故意の妨害者に対しては、断乎たる方針を以て臨むということを謳つておるのでありまして、そういう場合におきまして我々が何ら手を拱いて、故意の生産妨害に指をくわえるというようなことはないのでございまして、それには断乎たる方針を以て臨みたいと思います。そういう場合におきまして、それではその法的措置は如何なる内容のものであるかということは、只今まだ此処ではつきり申すことはできません。ただ我々はこの特別要綱の中におきましても、できるだけ経営者並びに労働者の自主的協力によりまして、この生産増強をやつて行こうということを考えております。そうして今着々特別臨時金融方針により、或いは又特別調査團によりまして自主的に團体協約を結んで貰つておるということでありまして、只今の見透しにおきましては、着々そういうような法的措置も取らずして行われておるというのが現状であるのであります。併しながら我々はそういうようないろいろ手を盡しても、自主的な生産協力が仰げないというときには、特別なる法的措置を取るということはなにしておりますが、その特別なる法的措置の内容は、只今そういうふうな自主的協力態勢が着々進行しておりますから、政府としてはその内容まではつきり考える段階には至つておらないのであります。
#52
○岩木哲夫君 どうも分つたようで分りませず、諒得できませんわけでありまするが、私もそうしつこく追及申上げる氣持も持つておりません。ただ各委員のお聽き取りの御判断にお委せすることといたしまして、この問題は一應お尋ねを打切りたいと思います。
 それから中央、地方の管理委員会はその責任と場合とが相違いたしておりますが、地方管理委員会と生産協議会とは審議する、諮問すると申しますか、おのずからその内容が異なるように思いますが、併し各條文を見ますと、不可分の関係がありますように思いますが、どちらが強い性格を持つておるのか、弱い性格を持つておるのか。
#53
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御質問、ちよつと、或いは見当違いの答弁になつて、又お叱りを蒙るか分りませんが、どちらが強い性格……生産協議会は、御案内のように一つの山を運営して行く場合の機関でありまして、地方管理委員会というものは石炭局長が一つ一つの山にいろいろの指示命、そういうふうなものを発する場合の機関でありまして、扱うところの題目も皆違つておりますので、どういう点に関してどうだという具体的なことをおつしやいますならば、はつきり御答弁ができますが、只今の点はどういう答弁をお狙いして言われておるのか、私には分りかねるのですが。
#54
○岩木哲夫君 具体的な事項は條文審査につきまして又お尋ねいたしたいと存じますが、この管理委員会というものは諮問機関で、この問題は多数の議員がお聽くになつたそうでありますが、私も政府の御答弁は未だに諒得できませんから、甚だ貴重な時間を重複して恐縮でありますが、重ねてお伺いするわけでありますが、管理委員会は諮問機関でありまするか、どうか、生産協議会はどんな機関でありますかどうか。
#55
○國務大臣(水谷長三郎君) その点ならお答は極めてはつきりしておりますが、管理委員会は諮問機関でございます。生産協議会はまあ條件的決議機関と申しまするか、單なる諮問機関ではないのであります。と申上げますと、この條文にありますように、何々と議を経なければならんということになるのであります。これが完全なる決議機関ならば議を経ることができない場合に、現場管理者はどうすることもできないことになつておりますが、この場合において、議を経ることができなかつた場合におきまして、石炭局長にその裁定を求めることができる道が開かれておるのであります。勿論運用の面におきましては、これは何遍も繰り返して議を経るようにいたしまして、議を経ることができないということは非常な稀な意味の例外事項であると思いますが、併しその例外事項の場合に應ずる道といたしまして、石炭局長に裁定を求めるということになつております。從つていわゆる完全な意味の決議機関ではございません。そうかと申しまして單なる諮問機関でないのでございまして、仮にこれを言うならば、或いは條件付決議機関と申しますか、或いは諮問機関と決議機関の中間の協議機関と申しますか、そういうように私は解釈しております。
#56
○岩木哲夫君 管理委員会が諮問機関でありますということにつきましては承りましたが、地方炭鉱管理委員会は地区部会の決議を以て地方管理委員会の決議とみなすという事項が現れておりますが、どうしてこういう決議という字を使われておりますか、承りたい。
#57
○國務大臣(水谷長三郎君) 何條ですか。
#58
○岩木哲夫君 修正の五十五條の第三項。
#59
○政府委員(平井富三郎君) 五十五條の第三項に地区部会というものを設けましたのは、例えば九州につきましては、博多に地方管理委員会が設置されるわけでありますが、筑豊でありますとか、或いは佐賀、長崎等の主要な炭田別に地区部会が設けられますと、ここでこの地区部会が一般の炭鉱と密着いたすわけでございまして、管理委員会の運用上、管理委員会で定めましたところに從つて、この事項については地区部会での決議ということを以て、地方炭鉱管理委員会の決議に代えることができるというふうにいたした次第でございます。この地方炭鉱管理委員会は、只今大臣からお話がありましたように、法律的な形式においては諮問機関ということになつておりますが、決議というのは地方管理委員会の意見を纏めるための決議でございまして、この決議によつて決議機関であるとか、或いは諮問機関であるとかいうような差異は出てまいらないのでありまして、例えば地方管理委員会にかかつて決める事項につきまして地方管理委委員がこれを可決の決議をしたという場合に、石炭局長はその決議に從つて裁定をして行くということが運用上考えられるわけでありますが、その際やはりこの地区部会において代行し得る事項については、地区部会が決議をいたしました場合、その決議に從つて石炭局長及び支局長というものが管理を運営して行く、こういう意味でございます。
#60
○岩木哲夫君 どうもよう目を明けて見ねば分りませんが、只今政府委員の御答弁は御冗談でありますか、本氣で仰しやつておるのでありまするか。管理委員会は諮問機関だと仰しやつておるのでありまするが、そうでありますれば、中央の管理委員会も、地方の管理委員会も、地区部会の管理委員会もこれを諮問し得られるのが建前でなくてはならぬと思いますが、而も地区部会の決議を以て地方管理委員会の決議に代えるというようなことは、これは本氣でこんな條文ができ上りますかどうかを重ねて承ります。
#61
○政府委員(平井富三郎君) この決議といいますことは、いわゆる地方管理委員会が決議機関であるか、諮問機関であるかという問題とは全然無関係でありまして、管理委員会におきまして、この石炭局長から諮問された事項は可決するという決議をいたしました場合にはその決議ということでございます。
#62
○岩木哲夫君 若し決議されなかつたらどう御処置されますか。
#63
○政府委員(平井富三郎君) これは運用上の問題につきましては、地方管理委員会というものの性格が、石炭局長と二位一体の形で運用されますので、地方管理委員会が決議をするように、勿論或る意見に到達するように努力はいたすつもりであります。併しそういう運用上の問題を別にいたしまして、これを純法律的に、純形式的に申上げますれば、若し管理委員会において議決がないという場合におきましては、石炭局長の判定によつて審議を進めてまいるというように考えております。
#64
○岩木哲夫君 そうでありますれば、結局諮問ではありませんか。只今の政府委員のお話の結論は、結局諮問に過ぎないのじやありませんか。
#65
○國務大臣(水谷長三郎君) 岩木さん、ちよつとこの点が私とあなたの根本的な喰い違いですが、いわゆる諮問機関においても決議というものはできるのですがね。あなたの先のお話を聞いておると、どうも諮問機関というものは決議をしてはならないというように取れるのですが、私の古い法律知識から申しましても、別に諮問機関でやつたものを上申とかそういうような言葉を使わなくても、諮問機関においても決議ができる。諮問機関では決議ができないというのはどうかと思うのです。ただその決議機関という場合においては決議執行ということが結びついておるのでありますが、諮問機関のときにはただ決議ということだけであつて、諮問ということがそれに結びつかないのでありまして、その点一つ岩木さんの誤解じやないかと思うのですが。
#66
○岩木哲夫君 私の誤解か、多数委員の御判断にこれを委しますが、地区部会の決議、地区部会ということは、地方管理委員会におきます大きな作用、責任、要素を存しておると思うのですが、他の委員会の議事を取扱うにつきましては、それぞれ諮つてとか、審議とかいつたような字句が使われておりますが、この一番最も肝腎なところの地区部会を決議、而もこれが地方管理委員会の決議に代わる。こういう字句は、只今大臣の折角の懇々なる御説明でありますが、遺憾ながら了得できないのでありまして、この点はどう考えても、如何樣に考えましても了得できませんが、なぜそれではこれだけに決議という字句を使われたのでありますか。
#67
○國務大臣(水谷長三郎君) これはまだどうかと思うのですが、大体運用の面から行きますと、全國炭鉱管理委員会の会長は商工大臣という。だから結局は諮問機関であつても、そのまま決議を無視して行うのはなかなかむづかしいようでありますけれども、地方炭鉱管理委員会の会長といいますか、そういうものが石炭局長で、九州のように大きな所で、或いは佐賀、長崎方面に支局ができるときには、その支局の責任者がこの地区部会の会長というものになるのであります。從つて長崎なら長崎、佐賀なら佐賀に地区部会ができたときには、その地区部会が地方炭鉱管理委員会と同じ働きをするのでありまして、この働きの決議が地方炭鉱管理委員会と同じことになるのであります。從つてなぜそれでは決議という文字を使つたかということでありますが、その点がなぜ使つたならば惡いかというようなことが、私は分りませんので、さつきから間答を重ねておるのでありますが、若し惡いというならば、どういう工合に直せばいいかということを言つて貰えば、まだ私も答弁のしようがあるのですけれども。
#68
○岩木哲夫君 どうしてもこの点は合点が行きませんので、それでは一應保留して置きますが、当然これは大臣の仰しやられたように、地方中央の管理委員会が諮問機関であるというはつきりした性格があるならば、当然これを変えるべきものだと私は確信いたします。併しその見解がどうも両方とも合点が行きませんので、時間を要しますから一應後の問題にいたしたいと思います。
#69
○國務大臣(水谷長三郎君) もう一度説明させて貰つて、納得が行けるかどうか……。つまり岩木さんの御指摘の決議機関、諮問機関というのは、例えば全國炭鉱管理委員会とあるならば商工大臣との関係において、或いは地方炭鉱管理委員会においては石炭局長との関係において、決議機関か諮問機関か。即ち地方炭鉱管理委員会と石炭局長二位一体の関係において、外部関係において決議機関か諮問機関かということで、私は諮問機関と言つております。この條文にあるところの決議というのは、その地区部会の内部における意思決定という、その意味の決議ということを言つておるのでありまして、この決議はあくまでも内部関係における意思決定であるという意味で決議という文字を使つたのであります。私はそのように解釈しておりますから、このいわゆる地区部会が諮問機関であつても、内部関係における意思決定をば決議という言葉で現わしても、そう差支ないのじやないか。このように了解しております。まあ一つその点で御諒解を願います。
#70
○岩木哲夫君 それでは地区部会の構成方法、或いはそれらの委員と申しますか、というものはどんな内容でありますか。そうして地区部会は本当の内輪としてやられるということでありますが、内輪で決めたことが地方管理委員会の決議に代ることができるということは、これは又民主的な運営ではないように思いますが、どういうわけですか。
#71
○政府委員(平井富三郎君) 大体地方管理委員会の一つの部会として設置せられますので、この委員の数その他につきましては、管理委員会がこれを決定したところによつて設置せられるわけでありますが、やはり大体の構成は、地方管理委員会におきまするような構成比率を以て実施されるということに考えます。
#72
○岩木哲夫君 地方管理委員会の構成要領と同じようなものであるということになりますと、只今大臣のお話しの内々のことである。内輪のことであるというのと違つて、やはりその委員にはいろいろ各階の者もありますれば、事業主の代表者もありますれば、労働者の代表者も入るということになりますと、内々の委員でないということになりますが、いかがですか。もう一度大臣と政府委員との御答弁を打合わして頂きたい。
#73
○國務大臣(水谷長三郎君) それは打合わさなくても、私のさつき言つたことと少しも狂わないのでして、内々というのは地方部会の内部ということです。私のさつき言つたのは、地方部会と地方局長との関係が外部の関係ということになつたのですが、一つこの辺で……。
#74
○委員長(稻垣平太郎君) それでは午前の審議はこれで一時休憩にいたしまして、午後一時半から再開いたしたいと存じます。
   午後零時二十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十四分開会
#75
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより再開いたします。質問を継続いたします。
#76
○岩木哲夫君 生産協議会に関します件につきましてお尋ねいたしたいのでありまするが、それより先にちよつと一言お尋ねいたしたいのは、一般炭鉱と指定炭鉱とが、この法律案では区別されてありますが、一般炭鉱と指定炭鉱とに関しまする、例えば事業主の罰則の規定の問題とか、管理委員会の諮問の取扱方法でありますとか、或いは資金、資材の点等につきまして、どういう差異があるのかどうかということをお尋ねいたしたいのと、一般炭鉱というのは猫でも杓子でも一般炭鉱の中に入るのか、その点も合せてお伺いいたしたい。
#77
○政府委員(平井富三郎君) 一般炭鉱と指定炭鉱との違いでございますが、一般炭鉱の管理というのは、この法律の第二章の「炭鉱の管理」というところに、大体一般炭鉱に関しまする管理の中心の規定が置かれておるわけでありまして、要するに監査が主でございまして、その監査に基づきまして、限定された範囲において監督上の命令等が発せられるということでありまして、その命令自体も、消極的に炭鉱の経営に関しまする非常な重大なミステーク等を是正して行くという程度のものであります。尚事業の休廃止でありますとか、石炭鉱事業の讓渡でありますとか、或いは炭鉱間における資材の讓渡命令でありますとか、こういうものは一般炭鉱、指定炭鉱を通じて行なわれますが、大体におきまして一般炭鉱の管理と申しますのは監査が主でございます。指定炭鉱の管理につきましては、次の第三章に規定されました一つの炭鉱管理者、或いは炭鉱協議会というような機構を以ちまして業務計画を設定いたしまして、その業務計画も石炭局長が最終的に炭鉱管理委員会に諮つて決定して、その業務計画に從つて業務を実施するということでありまして、それに伴ないまして、必要な新鉱の開発の命令であるとかいう積極的な面に対する命令が規定されておるわけであります。即ち指定炭鉱につきましては、その炭鉱の業務計画というものが、國家の意思と事業者の意思というものとの合致点において決定されまして、それによつて生産を行なつて行くというのが主たる違いでございます。それから、資材、資金の点でございますが、この指定炭鉱の指定は、この法律の十三條にありますような基準で逐次指定されて参るのでありますが、全体の生産を維持するために、勿論全体の炭鉱自体の生産能力を確保するということが不可欠でありますので、一般炭鉱につきましても、やはりその監査を通じて得た材料によりまして、適正な資金、資材の供給計画を設定して参ることと相成るわけであります。從つて地方の炭鉱管理委員会におきましても、原案におきましては、指定炭鉱からその炭鉱の事業主、労務者の代表及び一般炭鉱からの事業主の代表、労務者の代表という者も出しまして、そういうような資金、資材の計画につきまして、炭鉱管理委員会に諮つて決定するという運びを取つております。修正案におきましても、この二つの区別を実際上の運用に委せまして、その石炭局の管轉区域内の炭鉱事業主を代表する者、労務者を代表する者ということにいたしまして、指定炭鉱及び一般炭鉱からそれぞれ代表者を選任いたしまして、それぞれの調整を計つて行くというようにしております。それからこの法律におきまして炭鉱と申しまするのは、第二條に「この法律で炭鉱とは、石炭の掘採を目的とする事業場(これに附属する事業場を含む。)」ということを言つておりまして、この第二條に該当する炭鉱は、一般炭鉱といたしまして監査の対象になるというように考えております。
#78
○岩木哲夫君 この第二條の一般炭鉱なるものは、今申上げます通り、猫でも杓子でも、どれでも一切合財含まれるかということを明瞭にしたいので重ねてお尋ねしたいことと、一般炭鉱は監査が主であつて、管理の樣式はすべてソフトであるというお話でありまするが、然るに罰則規定におきましては、むしろ一般炭鉱におきまする政府の命令に違反した場合、各般の命令に違反した場合の罰則がむしろきつくて、指定炭鉱におきまする罰則規定の方が柔らかい部面を感ずるような点があるのはどういうわけでありますか伺いたい。
#79
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱の範囲は第二條の炭鉱に該当いたしますのは、全部一般炭鉱として、第二章の炭鉱管理の條章の適用を受けるのであります。罰則におきましては、指定炭鉱の罰則につきましては、例えば事業主につきまして、監督上の命令に違反したという場合におきましては三年の懲役、又は三万円の罰金ということになつておりますが、修正案におきましては、一般炭鉱の事業主に対する命令に違反した場合の罰則は、いわゆる行政上の過料に限局いたしまして、一般炭鉱と指定炭鉱との間の刑の量定におきまして、明確に区別を設けた次第であります。
#80
○岩木哲夫君 罰則規定の修正第五十九條、これは條文に入つて甚だなんでありますが、前後いたして恐縮でありますが、第九條、第十條、第十二條に関聯することは一般炭鉱に関する問題でありまするが、この点は今政府委員の説明の点とやや矛盾しておるように思いまするが、実際問題としてどういう方法なんでありますか。
#81
○政府委員(平井富三郎君) 新しい五十九條は「左の各号の一に該当する、指定炭鉱の事業主」というふうに限定してございまして、五十九條はいわゆる一般炭鉱に適用がないということに相成るわけであります。
#82
○岩木哲夫君 次にお尋ねいたしたいのは、指定炭鉱の指定基準でありますが、この指定炭鉱の指定基準の能率というものは、能率がいいのを意味しておるのか、惡いのを意味しておるのか、この能率の程度を分析して頂きたい。それから指定炭鉱炭の生産費というものは、いわゆるコスト比率の点のように思いまするが、増産というものについて、この生産費というものを……或る場合においては増産が目的でありますから、生産費は犠牲にしなければならんということは無論でありますが、指定をせんとする場合の生産費はどういうものを目標としたものを生産費とされておるのか。それから品位という点でありますが、品位という点は、これはいろいろ見方がありますが、具体的に品位なるものをお示しを願いたい。併せて出炭量の内容等の限界等につきましても承りたいと思います。
#83
○政府委員(平井富三郎君) この規定にあります能率、生産費、品位、出炭量等に基いて指定の基準を決定いたすのでありますが、これらの基準を綜合的に勘案されまして、増産の見地から結局指定されることとなると存じますが、一つ一つ取りまして、この能率という点を取つて考えますれば、能率の非常に高能率を発揮しておる山というものは、指定炭鉱に指定しないというように考えられます。生産費につきましてもこれが能率の判定の重要なる一つの資料、基礎資料と見られることと考えるのであります。それから品位につきましても、最初に指定いたします場合には、品位の高くて増産せねばならんという山から逐次指定して行くという一つの重要な標準になると考えられます。出炭量につきましても、この第三章以下の強度の管理に加えられますいろいろな事項は、一定規模以上のものを対象にいたした方が適切な規定もございまするし、増産の見地から言えば、先ず生産量の高い山で、而も管理の必要のあるものから、これを逐次指定して行くというように考えるのであります。又更にこの出炭量と現在の山の能力というものから見まして、非常に増産余力がある。或いは又新坑を開発すれば非常に増産ができるというような鉱山につきまして、これを指定して行くということになると思うのでありますが、実際に決定いたします場合には、ここに揚げました各種の基準というものを組み合せまして、綜合的にそれを指定することによつて、増産ができるかどうかという観点から指定が決定されるべきものというふうに考えております。
#84
○岩木哲夫君 然らば解除する場合に、指定を取消すという場合に、能率が上つて來たら指定を取り消すことになるように解釈されますが、さように解釈してよろしいかどうかを承りたいことと、指定を受けた炭鉱が解除をされた場合に能率が上るということについては、政府の方であらゆる資材、資金或いは労務協力、各般の援助作業があつてから、初めて能率が上るのであります。その能率が上つた場合に解除されることがありますれば、若し解除されてから後、或いは濫掘その他の諸事情によつて、非常な経営上の困難、或いは採炭量が減少して、事業主それ自体が非常に経営上困難になるといつたような場合につきまして、それぞれ政府の補償というものがありまするが、その補償というものは、このいわゆる指定炭鉱として管理を受けた場合には、例えば從業員の厚生施設、或いは食糧、資材、物資の政府の補給というものによつて、或いは労働條件などいろいろな特典機構があると思います。これが解除された場合に果してそれが又元の通り戻つて來る恐れがあります。政府の助成厚生施設等も亦旧に復さなければならん。或いは資金、資材も、それで止つてしまうということによつて、非常に経営上困難な場合が出て來はしないか。解除を受けて直ぐ損が現われずとも、爾後において或る一定期間に損害を受けた場合においては、政府はその補償についてはどういうふうなお考えを持たれるか、どうかということについてお伺いしたい。
#85
○政府委員(平井富三郎君) この能率の点に限定して一應考えて見ますれば、指定によりましてその間非常に能率が上つて参つた。最早指定炭鉱にいたして、國が直接これを管理するという必要がない程能率が上つて参りますれば、これは解除されることになるわけであります。資金、資材等の点につきましては、指定炭鉱なるが故に形式的に資金、資材を多く注入するということはございませんので、先程申上げましたように、石炭の生産を全体として上げるという観点から主要な炭鉱に資金、資材を投入するものでございますので、これが能率向上のために解除せられました曉におきましても、やはりそれが資金、資材等の取扱におきまして、解除のために不利益なる取扱を受けるということは、絶対にないというように考えております。それから指定炭鉱中におきまして、例えば新坑の開発の命令を受けまして、それがその開発を実施いたしました場合に、解除後において損失を生ずべき事項が発生いたしたという場合におきましては、勿論この法律の規定による損失補償を受けるわけでございます。
#86
○岩木哲夫君 それは遡及しても、政府は補償を責任を以てやりまするかどうかを承りたい。
#87
○政府委員(平井富三郎君) その命令指示によりまして起りました損失、これは「通常生ずべき損失」というように規定してございまするが、通常生ずべき損失につきましては政府が損失を補償いたすという建前になるわけであります。
#88
○岩木哲夫君 建前は分りましたが、この法律が例えば三年後に解除された場合に、今政府委員のお話しの通り新鉱開発をして、いい鉱脈だと思つてやつても案外その通り行かない場合に、この法律はなくなつてしまつた。新鉱開発に手をつけた、或いは新らしい鉱脈に手をつけたというような場合におきまして、政府のあらゆる管理助成施設が全部止つてしまつて、今直ちに損失は行かないのであるが、この法律も廃止され、或いは一年先三年先、通常発すべき……直接と間接を問わず、こうしたことによつて損害が起きた場合には、やはり遡及して同様の処置を政府は責任を以てやられますかどうかを重ねとお尋ねしたい。

#89
○政府委員(平井富三郎君) この法律の規定が三ケ年に限られておりますので、その間に発せられた命令によつて生じた損失が、五年後に生じて來るという場合も勿論予想されるわけであります。これは法律論といたしまして、そういう場合における補償は当然これをなすべきであろうというように考えられますが、特にこの法律の修正案の六十四條、最後の條文でございますが、これの二項に、「前項の場合について必要な事項は、法律でこれを定める。」といたしまして、この法律が三年経ちまして延期をしないというように確定いたしました場合には、これらの損失補償の規定は、この法律の失効に拘わらず効力を有するという趣旨の規定を改めて法律に揚げまして明確にいたしたいと考えている次第であります。
#90
○岩木哲夫君 その点は大体分りましたから、次に一点お尋ねいたしたいのは、事業主はこの事業計画を立てる前に、局長が管理委員会に諮つて原案の基準となるべきものを指示されるというように承知しておりますが、その場合に、事業主は管理者にこれの事業計画を立てて、そしてこれを生産協議会にかけて、そうして又若しそれが生産協議会で審議が纏まらなかつたならば、又局長がこれを審査して地方管理委員会にかけて、そうして又事業主管理者に指示するというような場合があり得るといたしますわけでありますが、これなどの各種の委員会、生産協議会、或いは局長事業主、生産協議会の間の事務の操作というものは非常に長時日、長時間かかるものであろうと存じますが、こうしたことはこれが管理の趣旨でありまするかどうか知りませんが、目的は増産であります。かような状態に而も管理委員会の委員の性格、或いは後で伺います生産協議会の委員の構成、性格等から鑑みまして、常に事業計画、業務計画というものが論議の中心になつて、船が山に上つてしまうような虞れが、殆どもう從來のこうした利益代表者、或いは非利益代表者を以て構成されておるような協議会、委員会等におきましては、非常に煩瑣且つ迂曲するものと考えますが、そうしたことは管理の目的であるかも知れませんが、増産の目的になるかならないかは非常に疑問だと思いますが、これは非常に見解の相違になるところだと思いますがこの点を承わりたい。
#91
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の議を経るという趣旨につきましては、申上げることを省略さして頂きますが、要するに事業主を含む経営者及び從業者というものの一致した一つの計画によつて生産を行なつて行きたいという趣旨でございます。併し御指摘のように業務計画というものは必要の時機にこれが決定されるということが業務を遂行して行く上の必要なことでございまするからして、生産協議会の性格につきましても前回の委員会において申上げましたように、これが單純な諮問機関でなく十分な審議を行いますことが、適当な……只今申上げた一つの制限と申しますか、重要事項がございますので特に生産協議会の議を経られなかつた場合においては、この議を経られなかつたという旨を添えまして石炭局長に案を提出いたしまして、必要な時期に業務計画を作つて実施の段階に移すという措置をとるわけでございます。尚炭鉱管理委員会に諮りますことは、これが單に一炭鉱のみならず、その時期における石炭の各炭鉱の生産に共通する部面も相当多々あるわけでございますので、炭鉱委員会に諮りましてこれを決定して行くということが適正な計画を作る、言い換えれば、國の要請というものと、事業主の要請というものがそこに一致点を見出した一つの計画というものが設定さるべきじやないか。このために現在の機構よりやや時間的な点はございますが、それによつて適正な計画が決定されるということができまするならば、そこに計画の運営につきましては、現在より相当優つて、円滑な運営が期し得られるというように考えられる次第でございます。
#92
○岩木哲夫君 只今の政府委員の御答弁は、見解の相違というところで、不幸にして了得できないのであります。但しこれは見解の相違であろうと思いますので、私はこれ以上申しませんが、事業主がこの事業計画、業務計画、或いは事業実施上の責任者であるということがありまして、從つてこれに伴うていろいろな罰則規定があるのであります。ところが一方又生産管理者という言葉があつて、これが局長が直接指導監督しておる。この現場管理者と申しますか、生産管理者に対するいろいろ責任その他の事項はありますが、罰則その他指揮上の権力は両方ともない。然るに事業主責任というものは非常に大きく、又幅も廣いのでありますが、この法律におきましては、事業主を対象として管理をせられるというのであるか。生産管理者を大きく対象として管理せられるのであるか。この点を明確に承りたい。
#93
○政府委員(平井富三郎君) この法律におきまする事業主と炭鉱管理者との職分の問題でございますが、初めの原案におきましては、事業主は計画を設定する。炭鉱管理者を選任するという点に事業主の権限が重点が置かれまして、決められました業務計画の実施につきましては、炭鉱管理者に直接石炭局長が指揮し得るというような構成になつておつたのでありますが、企業の一体性という見地から、現在の修正案におきましては、すべて國の命令、指示ということは事業主を通じてこれを行うということに相成りまして、事業主が勿論生産協議会等の点を活用いたしますが、事業主が当初の責任者であり、命令を受ける者は事業主でございます。又炭鉱管理者を選任いたしますのも事業主によつてなされ、これが届出でられるというように改められたのであります。これは企業の一体性という見地から、事業主と炭鉱管理者との関係というものにつきまして修正を施した点でございます。但し定められました業務計画の実施につきましては、これは炭鉱管理者は、修正案によつても、やはり実施の責任に置かれまして、これが常住山にありまして業務計画の実施に全力を挙げるということに相成るのであります。從いましてその業務計画を遂行するに当りまして必要な権限というものは、事業主がこれを委任をいたすということにして、現場で即決し得るものは、現場でそれは即決して、事業の敏活を図るという点におきましては、原案と修正案はその趣旨においては同一であろうと、かように考えておるわけであります。
#94
○岩木哲夫君 事業主が管理者に権限を委任することについては、事業主が責任者でありますから、その権限の内容につきましては、事業主は非常に深く考慮されるであろうと思います。局長が直接生産管理者を監督指導して、決められた業務計画で炭鉱管理者が業務を遂行する。但しその業務上の責任は、事業主にある。生産協議会に対する事業主の発言も、或いはそれに対する示唆すべき或いは指導すべき権力もなければ、すべてのものが除外された。これは炭鉱管理者に権限を委任しておるから、代つてやるべきだということもありますが、併しこの管理者なるものは、生産協議会の委員の考え方によつたならば、いつでも彈劾を受けるという立場にあるのであります。この間にどうも事業主の業務上の責任というものと、管理者というものの立場に対するこの法律の管理方針或いは管理委員会との連鎖というものが極めて薄弱であつて、実際こうしたことでは業務計画、作業計画、実施上におきまする円滑な且つすべてが大体化して増産を進めて行くということには、どう解釈してもできませんが、この点をもう一度承りたい。
#95
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理者はこの案におきまして実施の責任者に相成りまして、事業主から必要な権限を委任されまして、業務の実施に当るのでありますが、これは現在における企業の在り方というものを合理的に法文化したというふうに考えておる次第であります。即ち事業主は、その山の計画を設定するに当りまして、炭鉱管理者として、これを設定せしめます。その場合に生産協議会の議を経ますが、炭鉱管理者は事業主がこれを選任し、事業主の判断によつて適当なる者を炭鉱管理者に選任いたす次第であります。即ち炭鉱管理者は事業主の代行者としての適当な者が、ここに選任されるわけであります。但しこの炭鉱管理者の地位というものは、單に事業主の信任が篤いというばかりでなく、その炭鉱の全從業員を率いて行くだけの徳望があり、人望があるという者であることを必要といたしますが、特に生産協議会において不適任と認めた場合、生産協議会において不適任の議決をいたしましたような場合においては、石炭局長に解任の要求をいたすように相成つておりますが、これは一つの山の生産というものは、全從業員を打つて、丸として生産に進んで行くという建前から、管理者に必要な資格のある者を予め事業主が選ぶという点において運営さるべきものであろうというふうに考えておる次第であります。從つてその炭鉱管理者というものが從業員の支持も受け、同時に事業主の意を受けまして、この山の業務計画の実施に当るものでありまして、このために事業主が非常な制約を受けるというようなことは、この案の実施によつてさようなことが起るというふうには考えられない次第でございます。
#96
○岩木哲夫君 事業主が事業計画の上に非常な制約を受けることはあり得ないと言つておられますが、生産協議会の委員内容を見ますと、利益代表と非利益代表とが同数であつて、議長たる管理者は議決に加わることができないと、こういう立場に置かれておる。而かも非利益代表、利益代表といつて性格を明かにした委員構成の上に立つておるものが、而かも責任は、事業主にあつて、事業主の信任を受けたと雖も、受ければ受ける程反対に非利益代表から攻撃され、或いは彈劾される虞れがある。こうしたような状態に置かれておるというようなままで、果して円滑なる業務計画が進められるかどうか。つきましては実際問題としては、誠に重大なる問題であると思うのでありますが、もう少し増産にみんなが協力できるような構成方法をお考えなさることはおありであるかどうかを伺いたい。
#97
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の議に業務計画を付しますが、これは先程申上げましたような趣旨で、生産協議会の議に付するわけでありまして、事業主が自己の判断のみを以て、業務計画を決定して、これを実施して行くということは、業務計画の決定自体につきましては迅速に決定されるというふうに考えられますが、その決定された業務計画を実施いたして行きます場合に、不円滑な場合が事実上起り得るというふうに考えますので、業務計画につきましては生産協議会の議に付するということにいたした次第であります。又炭鉱管理者、例えば鉱山業というような現在その職務を行なつておる人々の現状を見ましても、これが單に事業主のみに信頼が厚い。業務者からはボイコツトを食うというような人選のみを以てしては、今日におきましてもその山の運営を円滑にするということが不可能であろうと思いますから、そういうような現状に即してこの規定を考えました次第でありまして、現在生産計画につきましても個々の山の、経営協議会において論議される山の方がむしろ多いのでありまして、そういう現実を捉えまして、これを合理的に法文化いたしたというのがこの法案の趣旨でございます。
#98
○岩木哲夫君 只今の政府委員の説明は、前回と同樣了得はできませんが、この論爭をいたしましても限りがないと思いまするので、一應質問を打切つて置きたいと存じます。
 次に生産協議会の性格については、先程大臣が諮問機関でない。決議機関でない。條件附のなんとかいうようなお話しがありましたが、この重要な作業計画、而も局長が事業主に事業計画の原案を持たして、事業計画を事業主が立てる上においては管理者にこれを渡して、管理者が生産協議会の議を経なければならないという工合に、炭鉱運営の誠に焦点と申しますか、重大なるキーを握る者はこの生産協議会にあると思うのであります。然るにこの生産協議会が諮問機関でもない。決議機関でもないという、こういう曖昧模糊のままで、この重要な炭鉱管理法並びに増炭目的を達成するような協議会を置くということは、現在の大臣がいつまでも大臣であらせられ、担当されておる局長各位がそのままであればよろしいのですが、どういう工合で御栄轉になる場合が、これが果してこうした思想というものを法律に明記されておらないということにつきましての誤解、問題の起ることは極めて明瞭であります。こういつた点につきましてもう一度、これはどちらかに決めらるべきことが必要ではないか。で、私の考えでは、むしろやはり判然と諮問機関にされるべきことが正しいのじやないか。かように解釈しますが、いかがでございましようか。お尋ねいたします。
#99
○國務大臣(水谷長三郎君) 岩木さんのお考えは、こういう生産協議会というような協議会は、諮問機関か、然らずんば決議機関か。この二つの中どちらなと一つでなくちやならんというお考えですが、私はそれには見解の相違かも存じませんが、納得できません。いわゆるこういう協議会には諮問機関と決議決関と二つだけあつて、外の性格を持つておるところの、機関はないと決められるのは、私はどうかと思うのでございまして、いろいろ這般の事情を斟酌いたしまして、何と申しましてもこの生産協議会というものは、前に平井局長も申しましたように、現場管理者の場合においても事業主の信頼できる人と共に、又從業員から尊敬される人がいわゆる山の増産態勢に必要でありますように、この生産協議会というもの、而もそれが諮問機関という場合でなしに、その議を経なければならないということは、修正案の第三十四條にはつきりとしておりますので、いわゆる業務計画の実施に関しこれこれということになつておるのであります。これは帆足委員も申されましたように、こういうような経営協議会というものには、いわゆる決議事項と諮問事項というものが二つあるべきであるというような御説があつたのでありますが、そうしてこういうようなものは決議事項であり、こういうようなものは諮問事項であるという工合にされたのでありますが、私等の考えるこの三十四條の業務計画の実施に関して、事業計画に関する事項、労働能率の向上云々ということは、これは全部労働組合に関する事項なのであります。即ち業務計画の実施それ自体を議を経なければならないというのではなしに、業務計画の実施に関して、このようないわゆる労働者の生活その他に関する事項でありますから、これは労働組合の立場を十分に考慮いたしました上に、單なる諮問機関にするよりも、こういうような意味の條件附の決議機関にする方が勤労意欲の昂進になるというような立前からこういうことをやつたのでございます。若しこれが業務計画の実施に関してまでも、その議を経なければならないというようなことになれば、これは岩木さんの御指摘のように行き過ぎか知れませんが、業務計画の実施に関するこういう一から五までの労働者の問題に関する事項は、私は單なる諮問機関とするよりもむしろ決議機関、而もその決議機関の行き過ぎを矯正する意味におきまして、條件附の決議機関、もつと申しますれば協議機関にする方が妥当であるという工合に考えておる次第でございます。
#100
○岩木哲夫君 折角の大臣のお話でありますが、この條件附決議機関というような性格を持つておる会議というものはないのでありまして、そうお考えになるならば、むしろはつきりと決議機関とされてはどうであろうかと思うのです。元來この協議会の委員の構成の内容を見ますと、各各同数であります。利益代表、非利益代表、而もその議長はその議決に加わることができないとなつております。同数の場合は必ず意見が半々に対立する場合が多くあるわけであります。これが決議でもない、協議でもない、なんでもないようなままで、こうした状態においてこの重要なことを会議に掛けるというようなことは、紛議の種になりますし、増産業務計画実施の上におきまする癌になるような氣もいたしますが、この点は委員の数を変えるか、或いはこういう利益代表、非利益代表の外に、別個の第三者、中間的な委員を以てこの性格をもう少し変えなければ……同数のままで條件附決議機関というようなことは、どうしても常識上判断できませんが、政府は今大臣がいわれましたような信念で行かれるならば、その信念に基いた條項を加えるべきだと思いますが、いかがでしようか。
#101
○國務大臣(水谷長三郎君) 私は、法の大事なことは解釈ではなしに運用であると思うのです。解釈論としてはいろいろ立ちますが、岩木さんなんかもいろいろ事業に御経驗があるからよく御案内と思いますが、大体今行われておる経営委員会というものは、これは大体その経営委員会で意見が纏まるところまで経営者並びに労働組合が讓り合つて結論を出す、そうでないと工場が動かんというようなことになつております。我々が考えております生産協議会というものの議を経ないで、いわゆる石炭局長の議定を求めるということは、これは例外中の例外でございまして、運用の面におきましては百の中の九十九までが議が纏まつてやられて行くという工合に、この生産協議会の運用というものを指導し、又期待しているという次第であるのでございます。我々はそういう観点に立ちますときには、やはりこういう主として労働者に関したこれらの事項をば單なる諮問機関にするよりも、一歩を進めたいわゆる協議機関と申しますか、條件附の決議関係にする方が妥当であろう、又それが労働組合の方では、岩木さんも御案内のように、別に執行機関とせいというようなことをいわれておるのでありますが、そこまで進めばこれは折角炭鉱管理者という制度を設けてもなんにもならんのでございまして、我我はそういうような労資双方の中間に線を引きまして、こういうような條件附の決議機関、協議機関とする方がいいのじやないか、そのように考えておる次第であります。
#102
○岩木哲夫君 どうもその点は相変らず了得できませんが、然らばこの生産協議会が諮問機関でない、決議機関でないと仮定いたしました場合に、掛けられたる議題というものが纏まらん。いわゆる決議もできなければ、審議の形も整わんといつたような場合には、この掛けられたる事項をどう取扱うのでありまするか。
#103
○國務大臣(水谷長三郎君) その問題は原案の三十九條、修正案の三十五條におきまして、「生産協議会の議を経ることができないときには、命令の定めるところにより、所轄石炭局長の裁定を求めることができる。」ということになつております。これがいわゆる例外中の例外ですが、万々一例外中の例外が起つたときには、石炭局長の裁定を求めるということになつている次第でございます。
#104
○岩木哲夫君 それでは政府は事業主を通じて炭鉱管理者を指揮するということをいわれておりましたが、この場合には局長が直接生産協議会の議題を支配するということは、先程言われたことと矛盾するように思いますが、いかがでございましようか。
#105
○國務大臣(水谷長三郎君) その点はどういう点が矛盾すると言われるのかどうか知りませんが、私はその炭鉱管理者というものが先繰返して申しましたように、事業主の信頼の置ける人物、更に又從業者から尊敬される人物ということを考えました場合におきまして、毫も矛盾はしないと思うのでございますが、更に又財閥が解体されまして、大体その石炭事業というものが現場中心ということになりますと、大部分の山は社長が大体現場管理者になるというような状態になるのでございますが故に、只今岩木さんが申されました点は、理論の上から申しましても、実際の運用の上から申しましても、矛盾するところはないと考えている次第であります。
#106
○岩木哲夫君 概ね社長が管理者になるだろうということは、屡々承つておるのでありますが、然らば社長が管理者となつた場合には、これがその委員会の利益、非利益代表の五十%を以て構成している委員会で、彈劾され否定された場合には、社長たる事業主の企業権というものは、或いは業務計画遂行上に、或いは作業計画遂行上にはどういう関係が生じますか。
#107
○國務大臣(水谷長三郎君) その点も、彈劾されるというようなことも、これは例外中の例外でございまして、彈劾されるような人は事業主であろうと、或いは現場管理者といわず、生産増強になつて行かないのでございまして、大体我々は法の運用によりまして、生産協議会というようなものも、繰返して申しますように、もう百の中九十九までは結論を得さすようにするという工合になつているのでございます。これは勿論その現場管理者、炭鉱管理者の彈劾権というものは、單に生産協議会だけでなく、商工大臣の立場からもこれは認められておるのでございまして、そういう例外中の例外ということは、これは或程度止むを得ないことではないかと思う次第でございます。
#108
○岩木哲夫君 例外中の例外であるならば、こういうふうに彈劾することができるということを、そんな予想されないようなことを殊更條文に現わすということがおかしいということをお尋ねしたい。それから万が一彈劾されるときには事業主たる者の企業権というものは、どのようになるのですか、それをもう一度お尋ねいたしたい。
#109
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今岩木さんもいわれ、小林さんもヒヤヒヤと言われましたが、彈劾されるのは炭鉱管理者の地位が彈劾されるのでありまして、事業主の地位が彈劾されるのではないのでありますから、その点一つ御了解願いたいと思います。
#110
○岩木哲夫君 事業主の企業権が彈劾されないとおつしやいましたが、実際問題として事業主が管理者になつて、その事業主なるものの例えば太郎兵衞というのが、実際彈劾されるのは、人格の方において、或いは事業計画の上において、業務遂行の上におきましての地位を彈劾されるのであつて、管理者という衣は彈劾されるかも分らんが、事業主自体が彈劾にさらされているということは、その山の管理運営上におきまして、重大なる支障を生ずる惧れがあると思うのでございます。この点はどうも合点の行かない問題でありまするが、かような状態に置かれて、いわゆる政府と事業主と労務者と三者一体で強力な増産をしなければならんという大きな大乘的見地というものと、こうしたような彈劾されるような地位に追込んで、間違つたら罰則を加えるというようなことでは、生産意欲というものは事業主が協力できない氣持ちが起るということは、これは常識の判断で分るところで、こういう点につきまして政府はいかにお考えになつておりますか。
#111
○國務大臣(水谷長三郎君) 繰返して申しますが、例えば一人の人に対しまして、事業主として立派に勤まる方も、大体は炭鉱管理者として立派に勤まると思いますが、併し人によりますとやはり事業主として立派に勤まる人も炭鉱管理者としては不適任な人がありますが、そういうようなことは、やはり本來の姿はやはり事業主として立派にやつて行つてもらうというような途が拓かれておるのでございますが故に、炭鉱管理者として不適任という烙印が万々一捺されましても、それが事業主として不適任というわけには参り兼ねると思う次第であります。更に又こういうような点があることが却つて三者一体という形において支障を來すのじやないかというようなことですが、これは私は御議論としては承りますが、そういうことになりますと、結局挙國体制といつても、法律があつて、同じ日本人で裁く者と裁かれる者、裁判官と被告人ができる。これでは挙國体制に行かないじやないかという議論にまで発展するわけでありまして、そういうことは私としてはどうも承服いたし兼ねると思うのであります。

#112
○岩木哲夫君 話が戻りますが、生産協議会の性格につきましては、どうも大臣の條件付き決議機関というその條件というものはどういう條件がありましたか、ちよつともう一度、聞き洩しましたので承りたい。
#113
○國務大臣(水谷長三郎君) これはどういう條件かというと、いわゆる、決議機関でもなし、諮問機関でもなし、その中間機関というものを仮りに決議機関とすれば、これは條件付き決議機関で、これは法律の言葉でありまして、どういう條件かと言うことはできません。
#114
○岩木哲夫君 併し條件付き決議機関といつたような、今まで生産協議会をこの儘置いて置きますことは、さつきの管理委員会との関係の問題、或いは管理委員会の構成の内容の問題と、生産協議会の構成の内容の問題等の睨み合せて考えますと、非常に矛盾があると思うのであります。これは何度申しましても、これは見解の相違になるのか、解釈の相違になるのか存じませんが、こういうようなことで法律案が進められて行くということは非常に私は遺憾に思うのでござざいます。こうした場合について、政府はいろいろ私が議論申し上げることばかりでなく、何等かこれに対して組み替えてみたいというようなお考えがありますか、どうか承りたい。
#115
○國務大臣(水谷長三郎君) この法案に対しましては、主管大臣として極めて謙虚な立場で見まして、讓るべき点は讓り、修正を受くべき点は修正を受けたのでありますが、この生産協議会に関するこの問題に関しましては、私といたしましては、労働組合の勤労意欲昂進の問題と結び付けまして、最後に主管大臣として生産の責任を負わねばならない立場の私といたしましては、最後に讓りたいところの一線であると、このように考えております。
#116
○岩木哲夫君 もう一つお尋ねいたしたいことは、本法律案の施行期日は四月一日となつておりまするが、政府はそれまでにこの法律を施行するに必要な準備期間……準備をするためだと言つておりますが、要は一月も早く増産を達成せねばならんという状態にあるのであります。今朝來私が申し上げました二つの要綱というものを現に実行し、実施して大いに増産の目的を達成しつつあるのであります。表裏一体の関係にある本法案というものとこれとを結びつけるということが何を申しましても絶対必要であるのであります。そういう状態から考えますれば、政府の本法律施行に必要なる準備工作ができ次第、この法律を施行するという……、別に四月一日に限つたわけではないのでありまして、國会はずつと開会されておりますから、若し幸いに三月一日でこれが施行できるというならば、國会に諮つて三月一日に準備ができており次第やればよいのでありますが、四月一日と決つたということについて増産目標というものとどういう関聯性があるのでありますか、承りたい。
#117
○國務大臣(水谷長三郎君) これは仰せのように増産法であります限り、できるだけ一日も早く施行する方がよいということは岩木委員の申されました通りであります。從いまして実施官廳といたしましては、この第一章の総則とそれから石炭局に関する條文とは、普通よりも少し早く効力が発生するようにしたいという氣持でございましたが、併し法律によりまして四月一日ということになりますれば、それまでに一切の準備を整えまして四月一日から全部が滑り出すように万々の用意をしたいと思いまして、今度の追加予算におきましても、國管の施行の準備の予算を若干御承認をお願いしたような次第であります。大体いろいろの意味におきましての準備、更に年度の変り、いろいろの点から申しまして、大体最後に滑り出すのは四月一日がよいと思いますが、併しできるならば総則と石炭局に関することはそれよりも早い方がよいと思つておりますが、併しそれも全部結了して参りますから、一緒に四月一日から出発しても毫も差支ないと思つております。
#118
○岩木哲夫君 それなら寧ろ國会でこの施行期日を決めるということにした方が、大臣の言われる趣旨に総てが合致するように思うのでありまして、若しも四月一日に準備できなかつたら又國会に掛けなければならんというような煩瑣を除く考え方からいたしましても、施行期日を明記せずに、國会が政府の準備調整ができ次第これをやるということにした方がもつとよいという解釈が生じますが、いかがでございますか。
#119
○國務大臣(水谷長三郎君) 四月一日に準備ができないということは全然ありません。これは準備は十分できます。
#120
○岩木哲夫君 私は大体大綱質問といたしましてお尋ねしたい点はこの辺で一應打ち切つて置きたいと思います。他の委員も多数質問されたい方がお待ちの模樣でありますから、省略したいと思いますが、今朝來、非常にしつこく且いろいろ細々したことをお尋ねいたしたのでありますが、その中の大部分は当局との見解の相違の点が非常に多いのであります。特に二つの要綱というものに盛られた資金、資材、労務といつたような問題が、この法律自身に裏づけ的に謳われておらない。又これとの関聯性がちぐはぐである。殊に労働力強化の点につきましても、或いは罰則の点におきましても、極めて矛盾を感じておるのであります。又一般炭鉱と指定炭鉱との区別の点におきましても、どうも明確を欠くような氣がありまして、これも本法案では、是非檢討すべき問題であろうと思うわけであります。又指定炭鉱の指定並びに解除の基準、その内容等につきましても一應政府委員のお話は承りましたが、極めて概念的でありまして、これは実行上におきましての点につきましては依然として疑問が残つております。又事業主の事業計画を、立てる場合におきまする局長、管理委員会、事業主、生産協議会、管理者、又委員会、局長又それから事業主、管理者とこういつたような工合に、あつち行きこつち行きしておる間に、この協議なるものは非常に進捗性を欠き、この間円滑性を欠き、果して増産の意欲の点においても如何なる相違が生ずるものであるかどうか、非常にこの法律案を見ましても疑問を持つのであります。又炭鉱管理者と事業主の関係におきましても、罰則規定その他におきましても極めて不明瞭、且つ責任、権限等につきましても矛盾があるように考えるのであります。又生産協議会の性格においておやでありまして、これなどは全くどうも話にならんような氣持が非常に多いのでありまして、條件附決議機関の儘で、どちらでもない儘で、管理委員会と事業主の関係、生産協議会と事業主の関係、事業主が管理者となつた場合の段階、或いは業務者と労務者、利益代表非利益代表との数の問題、生産協議会の性格においても非常に疑問を有しておるわけであります。殊にこの労働協力の問題の点につきましての生産協議会の内容等につきましても、ややもいたしますれば一般的な協議が進められているといつたような氣持が多くなりまして、事業主が業務責任に関する各般の問題が総て生産議会に抑えられる。しかも内容等については、ややともいたしますると專断ではないが、非常に偏よつた生産協議会という形の儘で、この業務管理運営について円滑にいけるかどうかの点につきましては疑問を有しておるわけであります。殊に地方管理委員会が地区的の決議によつて地方々々に変るというような管理委員会の性格も、これ又誠に得体の知れない儘でこうした重要な問題を進めて行くことも極めて疑問があります。又損失補償の点につきましてどうもこの間まだぴんと來ないものがあるようなわけでありまして、或いは罰則規定の点におきましても極めてこの法律案自体が公平な取扱いをしたかどうかにつきまして私ども疑問を感じております。又施行期日の点につきましても只今申上げましたような点につきまして、もう少しやり方を変えるべき方が実際の増炭目的にこの法律案を結んで行くということにつきまして、的確な手段が別にあるのではないかという感じ及び疑問を持つた儘で、私の質問は一應打切りたいと思います。尚條文審査におきましてお尋ねしたいと思いますが宜しく願います。
#121
○堀末治君 私実は今日いろいろと私は私だけに考えましてお尋ね申上げたい。実はかように用意して参つたのであります。先刻來岩木委員からちようど私がお尋ね申上げたいという大部分を頗る透徹した御意見でいろいろお尋ね頂きました。尚又それに対して大臣初め政府当局からいろいろと御深切なる御答弁を頂いて非常に参考になつた次第であります。その中にもいろいろと、私まだ納得できにくい問題がありまして、又岩木さんのお話の通り、岩木さんの納得のいかんといつたことは私もまだ納得がいかんのでありますが、それらのことは、取りあえずあと廻しといたしまして、他の方面で一つお尋ね申上げたいと存じます。
 それは私思いますのに、この石炭の増産ということは、大部分は人的要素にかかつておるものと思います。先般來、政府当局から、たびたびお話がありました通り、七〇%はいわゆる労務者の関係である。かようなことで、なんといたしましても、いわゆる人的要素が大部分な問題をなしておるのでありますから、どうしても、いわゆるこの人的要素において私共は十分の檢討を加えると同時に、この方面に全力を盡さなければ、いかにこの法律が立派にでき上つても、増産の目的は達成することができないのでなかろうかと、かように存ずるのであります。現下の日本の状況を眺めまするというと、いわゆる経済危機、これはもう毎日々々身を以て味わつておることでございますので、國を挙げてこの危機突破に盡力狂奔しておるというような状況でございますが、尚一方を眺めますのに、その経済危機に平行して、私は今精神危機とでも申しますか、或いは思想危機とでも申しましようか、いわゆる道義の廃頽によつて、政府の企図するあらゆる施策が悉く破れており、現に闇の横行の如き、政府が折角流通秩序の確主要綱を出して、これを呼びかけておりますけれども、なかなか以てこの流通秩序の確立ができない、次から次へと、闇の撲滅に対しては、司令部のあの強力な援助を得て、抑えにかかつておるけれども、これを抑えることができない。かようなことで、私は経済危機に平行して、この思想混乱、いわゆる道義の頽廃、さような精神問題も、どうしてもこれを平行してやらなければならないのではなかろうかと、私はかように思うのであります。今度この敗戰の憂き目を見まして、私共最も痛切に感じたことは、いわゆる物質文化が極端に劣つていることも、まざまざと戰爭中、あの爆撃に出会うて見て、そうして身を以て味わつた次第でありますが、いよいよ戰爭が終つて、靜かに考えて見ますと、私共日本人全体が、いわゆる精神文化が非常に劣つている。精神文化において、遠く彼らに及びなんだということを痛切に感じもいたしましたし、又あらゆる機会において見せつけられたのでありますが、その後に至りまして、日本には、いわゆる目に見えない大きな革命が行われている。憲法が変えられ、私共今まで考えておつた、天皇中心、忠君愛國、かようないわゆる思想が根抵から崩されまして、いわゆる主権在民、かような憲法が布かれ、同時に又その憲法の中には、一切の軍備を棄てて、はだかになつて、これから文化國家、いわゆる平和國家を築いて行く。かようなことを全世界に宣言して、私共は今その仕事に邁進しておるのでありますが、この大事業を遂行するにつきましても、私はどうしても、いわゆる精神革命がなされなければならん。この点につきまして、私深く感じておつたのでありますが、幸いに、片山内閣が成立すると同時に、首相は、議会の初の御演説において、どうしても精神革命が行われなければならない。かようなことを絶叫されましたので、私非常に共鳴を感じて、一日も早くそういう施策が政府として行われることを待つておつたのであります。思うに、その労働問題の如きも、この精神革命が行われるのでなければ、いかに法律ができても、決して生産意欲が発揮されるものではない。要するに私共全般が、深い宗教的信念に根ざした、高い廣い知性によつて教養を受けた、いわゆる人生観乃至は世界観というものをしつかりと確立するのでなければ、私本当に日本人が目醒めた、文化民族とか、平和民族となり得ないものと、実はかように思うのでありますが、これらも結局この労働問題の根抵をなすものだと、実はかように思うのであります。然るに当内閣においては、精神革命は、片山首相があらゆる機会において申されておりまするけれども、他の閣僚諸公からはこれらの問題に対して一言半句も承ることできないのを非常に心淋しく思うておるものであります。殊にこの商工行章のごとき、石炭のごときはすでに七十%人的要素においてなされる。又その他の諸工業も、悉くこの人的要素が元となつてなされなければならない。さような行政官廳であるにも拘らず、今まで惜しいかなその所管大臣の水谷さんからは、これらの問題について一言も承る機会のないことを、私非常に遺憾に思うのでございまするが、先ず第一にこれらの問題に対して、商工大臣は如何にお考え遊ばされておられるか、この機会に先ず以て承りたいと思うのであります。
#122
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今堀さんの問題はなかなかむづかしいもので、いわゆる物質か、或いは精神かということは、ギリシォのアリストテレス以來の難問問題でありまして、一商工大臣がなかなか解決のできる問題でございません。成る程私たちといたしましても、やはり精神と物質、それをば如何に調整して参りましてやつて行かなくてはならないかという点に関しましては、私も多少の研究もし、又考えもある次第でございます。併しながら私の信ずるところに間違いがなければ、精神革命というものは物質的の基礎の裏付けがなければ、物質と遊離いたしました精神革命というものは、これはなかなかないものであるという工合に考えております。あの有名な石川啄木の「我が抱く思想は常に金なきに因する如し秋の風吹く」というのがありますがそういう物質を離れまして、いわゆる精神革命というものは論ずるわけに参りませんので、私は目標はやはり堀さんと同じでありまするが、併しその手段方法は徒らに國民に対して、坑夫諸君に対して説教するよりも、坑夫諸君の生活をば保障するということが、坑夫諸君の精神革命を遂げる一番いい道でないかと考えておる次第でございます。從つて炭坑夫諸君の経済上社会上の地位をば向上さすために、私自身が戰つておるということは、結局は目標はやはりそれらの人的向上、あなたの言葉で申しますならば精神革命ということろへ行くところの道である。このように考えておりますが、私はそういうことを言う柄でもありません。………片山さんなら精神革命と言われてもなんだか似合いますが、私が徒らに精神革命というようなことを言いますと、それは似合わざるも甚だしいのでありまして、私は自分の分を知つて、精神革命ということを説がなかつたような次第でありますが、目標はそのために努力しておるというような具合に一つ御了承願いたいと思います。
#123
○堀末治君 どうも大変今大臣から御謙遜のお話を聽いて、尋ねた私も却つて恥かしい思いをした次第であります。私もあなた樣と同樣に、なかなか精神革命を口にすべき柄でないこともよく存じておるのであります、併し私といたしましては柄でないからといつて引込んでおるべき問題ではない。殊にあなた樣としては商工大臣、所管大臣としておられることであるから、御遠慮なさらずに、機会ある毎に、これはあなたの所管の労働者諸君、或いは事業者諸君には御遠慮なく呼びかけて頂いて機構なことである。そうして相共に携えて行くということが最も大切なことであろうと存ずるのであります。仰せのごとく食うものも食わずに、道義を説いても仕方がないことは私もよく分りますが、併し又一面その耐乏の生活の中にも、この精神を失なわないようにと考えて行くところに私共民族の再興があると思う、実はかように存じましたのでお尋ね申上げた次第であります、何とぞこの点について幸いにあなた樣に御共鳴を頂いたことでありますから、どうぞ柄相應でないなどという御遠慮なしに、率先して実踐躬行せられんことを、是非お願い申上げたいと存ずる次第であります。
 次にお尋ね申上げたいと存じますのは、いわゆる我が國の産業の今後の在り方ということでございます。今敗戰の結果いろいろな工場がポツダム宣言によつて次々と賠償には取られる、或いは解体をせられる。かようなことでございまするが、それについて今業界人はその前途の見透しの付かないということについて非常に心配をし、迷つておることは、私が申上げるまでもなく、あなた樣も御承知のことと存じまするが、それについて一体日本の産業をどういうふうに持つて行くのか。いわゆる極東理事会、こういうような方面からいろいろ問題を新聞でちよいちよい聞かされるのでありまするが、残念ながら我内閣の方からそういう御方針をはつきりと聞くことができません。殊に先般來いわゆる産業革命なる言葉が唱えられて、あなた樣も御承知の通り東大の南原総長が今年の大学の卒業式のときに、全学生に向つて呼びかけられた言葉の中にもあるのでありまするが、本院でも先般自由討議の際に、星一君からこの話があつたと思いまするが、兎にも角にも蒸氣、電氣、かようなものの発明によつて前世紀に産業革命が行われた。今度は原子爆彈の発明というものによつて、必ずや我が産業界には第二の革命が行われるであろうと、かように云われるのでありまして、私共もやはり恐らくそうであろうと、かように朧げながら思うものでございまするが、それらにつきましても所管大臣のあなたから、こういう問題に対して一度も御説を伺う機会を得ないのであります。当鉱工業委員会も度々開かれておりましたが、國管問題が上程されて、初めてあなた樣がお見えになりましたが、常に國管問題に終始されて、いつかそれに対するあなた樣の意見を承り、私共も今後の産業の在り方ということも考え、又多少ながらも自分の経営する産業の行き遂についても参考に資したい。かようなことも思うておつたのでありますが、今後さようなあなた樣の御所見を承る機会もございません。もう本國会も間もなく終了する。かようなことになつておるのであります。殊に又これらの問題は、石炭というような問題にも、直ちにはございますまいけれども、遠い眼を以て眺めますれば大分大きい影響のあるものだ。実はかように思いますので、これらに対する御所見を承りたいと存じます。
#124
○國務大臣(水谷長三郎君) 日本の経済の在り方、これは非常にむずかしい問題でございまするが、一口に申上げますと完全敗北のどん底に突き落されました日本の経済危機を打開するための経済の在り方と申しますならば、私はそれは分配の経済というよりも、むしろ生産の経済という工合に考えております。過去におきまして資本主義の繁栄した時代におきましては、これは分配の経済ということが、これが主たる題目になつたのでございまするが、現在の時期におきましたならば、私は、それは飽くまで生産第一主義の経済学でなくてはならんと思います。経営者は労働者の立場を認識し、労働者は経営者の立場を認識いたしまして、相協力して生産第一主義に邁進するのが、現在の日本の経済のただ一つの途であると、このように信じておる次第であります。
#125
○堀末治君 今の御答弁で、まあわかつたような、わからないようなことでございまするが、どうしてもあなたさんのお考えでは、これから後は分配経済でなく、生産経済でなければならない、こういうふうなことでございまして、その点は私もさようなければならないということに考えるのでございまするが、思うに、この完全敗北のどん底に押込められて、國土は申すまでもなく非常に狹くなつておる、この狹いところに大勢の國民を養わなければならん、これが我が國の一番の惱みでございまするが、それにつきましては、どうしてもこの生産を高めるにつても高度の技術を採入れなければならない、これは私申上げるまでもなく皆樣もお考えの通りでありますし、片山総理もわざわざ何かの機会において、科学を愛する國民にならなければならないということも申しておりまするが、私も同感でございまするが、一体高度の技術を採入れる、科学を愛するということについても、その方の所管官廳でおられる商工省は、それらのことに対して今日までどういう施策を行つておられますか、それらの点について承りたいと思います。
#126
○國務大臣(水谷長三郎君) 大体一般論といたしましては、技術総局というようなものを考えまして、日本の産業経済の技術というものを綜合的に研究、且つ実践して行くというような構想を考えております。これは遠からず実現するのではないかと思つておりますが、更に又今度從來民間にありましたところの、いわゆる研究機関というものを、全部商工省へ統合いたしまして、いわゆる商業統計というものを……技術の基礎になる産業統計というものを大々的にやつて行く、今後予算も通過いたしまして、適当な家もみつかりましたので、相当の人数で大掛りな産業統計をやつて行くという工合になつております。
 それから更に又炭鉱に関する技術の問題に関しましては、前にお答えいたしましたようでございまして、その一つの炭鉱技術の全國的な團体を結成いたしまして、三班に分かれて北海道の調査をいたしまして、最近帰りましたらその結論がつくことと思つておるのであります。私はこのようにいたしまして、これまでややともすれば遅れておりましたところの技術統計、これを産業と如何に結び付けるかというところに全力を盡して行きたいと、このように考えておる次第でございます。
#127
○堀末治君 今の大臣の御答弁によりますると、民間のいろいろの機関を統合するというお言葉がございましたが、それは全部政府機関に纏めてしまうという御施策でございますか。
#128
○國務大臣(水谷長三郎君) これまで民間にありましたいろいろの経済の研究團体、或いは統計機関というものが、今度民間でできなくなりまして、それをば全部商工省で引受けるということになつたのであります。
#129
○堀末治君 そうすると、買上げるというわけですか。
#130
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今大臣の申されましたのは、統計の仕事は、從來いろいろございました産業團体が今回解散せられまするので、その統計の仕事だけを、商工省所管のものは商工省みずからやるということでございます。試驗研究機関の方はそういう点でございませんので、技術総局という一つの案を商工省が今研究をいたしておりまするので、これは商工省所管の中の研究機関の一つの、何と申しますか、只今堀委員が仰せられましたような趣旨において中央で指導をいたしまして、技術の進歩、改善に資して行きたい、今日までの研究機関というものは、どうもその部門々々で研究を進めておつたようでございまして、お互いの間の連絡が十分でございませんので、戰爭中は技術院といつたようなもので一種の統制を行なつておつたのでありますが、今日は勿論それはございませんが、今後は新らしい日本の使命に即した技術の進歩のために、一つの指導方針を商工省が研究機関に與えて行きたい、これは商工省所管の研究機関で一つの方針を立てまして、技術の改善に役立つように試驗研究機関を活用して行きたい、こういう趣旨で技術総局というものを研究中であります。これはどうせ國会へお諮りするわけでありますが、只今そういうものを研究しておるという趣旨の大臣のお話だつたと思います。
#131
○堀末治君 直接本案に関係のない質問は、そんなようなことにいたしまして、実は全般私たびたび北海道の増産不振の点についてお尋ね申上げて、大臣からは、十月中には調査班をやつて、十月中には何とか結論を得られるだろう、こういうことでございましたので、実は首を長くしてその結果を持つておつたのでございましたが、なかなか調査班等が出発したというような新聞の報道も見ません。さようなことで十月の八日に実は又そのことについて本委員会においてお尋ね申上げたのでありましたが、人選その他に手間取つて、漸く最近出掛けて行つた、十一月中には……今月の末までには何とかその報告ができるであろう、こういうことであつたのであります。当時実は先月の二十九日が、会期でございましたので、或いは本法案の審議にその結果をお聞きすることができないか、こう思うて大臣にそのことをお尋ねしたのでありますが、成るべく本法案の審議に間に合うように、せめて中間報含でもしよう、こういうお約束を願つておつたのでございますが、尚その報告を承ることができません。両三日前に、石炭廳次長から、一日頃には帰つて來るから、三日頃には報告ができるだろう、こういう報告を承つておりました。併し私思いまするのに、政府から出されました増産の計画、これは二十三年度の増産計画でありますが、二十三年度だけ三千三百万トンの計画に対して、北海道の分は九百三十四万トン、約三〇%の増産を見込んでおるのであります。尚これは後でお尋ね申上げますけれども、ずつと五ヶ年間の計画ができておるのでありますが、恐らくこの計画の中には、北海道は……九州は段々山も古くなつておる、尚その他常磐、宇部のごときも、これより以上深坑をやつて行くのにはなかなか骨が折れるから、私はこの五ヶ年計画を達成するためには、何としても北海道の山を開拓することが一番手早いことではないかと、私は素人考えながら、かように思うのであります。從いましてこの五ヶ年計画では來年度は、北海道は三〇%になつておりますけれども、後全部パーセンテージが北海道の方に上つて行つておるのじやないか、その数字も今お聞かせできればお聞かせ願うと大変結構と思います。さようなことから考えますと、北海道の出炭の不振ということは、この法案の審議に非常に大きいファクターをなしておるのじやないか、思うに、この増産問題が出まして以來、九州は非常な熱意を以て毎期々々増産量を突破しておる。あと常磐といい、宇部といい、それぞれ相当の成績を挙げておるのでございまするが、北海道はまことに、私北海道から出ておるだけに、お恥ずかしいながら、北海道は上らない。かようなことから考えて見ると、どうしても今回の石炭國管案というものは或る程度北海道を目当てにして考えられなければならない。かように思うのであります。そういう観点からいたしまして、今この北海道の不振の原因調査が、今日この問題がかくの通り熱心に討議されておる間に、今もつて聞くことができないというのは、私は非常に遺憾に思うのであります。でき得ることならばこの機会において何程なりともその原因について多少項目……細目に亘つてお話することができませんでしたら、項目別なりとも、中間報告の意味で、この席で承ることができれば大変結構だと存じます。
#132
○政府委員(吉田悌二郎君) 北海道の増産が必要でありますることは只今お話の通りでございます。從いまして今回政府におきましては増産対策につきましても北海道は非常に重点を置いております、そこで取敢えず只今お尋ねの技術者の團体、調査團を北海道に派遣をいたしまして、十月の末に出発いたしまして、十月一杯、約一ヶ月間の期間におきまして調査をいたしました。二十五日に札幌に集結した筈でございます。札幌で最後の打ち合せをいたしまして帰つてくるわけでございまして、只今聞きますと四日に東京に帰つてくるということが確定したそうであります。從いまして六七日の間には本委員会でその結果について御報告願えることと考えております。そうしてこの委員会の使命は、石炭の状態について学識経驗ある方の團体でございまして、專ら技術者の團体でございますので、技術的な見地から炭鉱の能率というものを個々の後について研究するという建前でございまして、この山においてはいくら程の出炭をするのが只今の條件の下においては可能であるかということの診断をせられることが主たる目的でございます。從いまして從來の出炭の成績と割当の関係がここにはつきりするわけでございまして、技術的な見地からいたしまして、この山といたしましてはこのくらい出るのが至当であるという診断をせられることが目的になつております。その外いろいろ増産につきまして北海道の現地におきまして道知事並びに商工局とも大いに努力をいたしまして、その結果新聞にもございましたように、この二十四日でございましたが、炭鉱労働組合において増産の決議をいたしております。十一月二十一日から約三十日間、十二月二十日までに八十万トン掘るという決議をいたしたそうであります。詳細は間合せておりますが、取敢ずそれだけの決議のあつたことが分りましたので、私共といたしましては大いにこれに期待をいたしております。そうして又毎日の出炭の状況の報告を聞いておりますが、非常に殖えてまいりまして、十月には大体一日に二万一千トン前後掘つておつたのでございますけれども、最近は二万七千トンぐらいの出炭を示しておるようでございまして、非常な増産でございまして、この分ならば七十万トン近いものが掘れるのではなかろうかと考えております。從來は大体六十万トンぐらいを上下いたしておりまして、どうも六十万トン以上掘るということが非常に少かつたのであります。從いまして北海道の暖房炭を初め、いろいろの産業用の生産配給にも支障を來たしておりました。それが八十万トン出ることになりますれば、非常に樂になると考えております。尚只今御話のように、北海道の品種は、炭種、炭質から申しまして、非常に優良なものでありまして、我國といたしましては非鉱常に望ましい炭でございます。のみならず北海道の炭鉱は若いので、炭層の性質からいたしましても、北海道の増産に將來期待することが多いと思います。五ヶ年計画におきましても、北海道の増産は非常に多く見積つております。特に新鉱の開発等におきましては、北海道の方の山に重点を置いております。そういうことで只今まで一應の五ヶ年計画というものを立てておる次第でございます。
#133
○堀末治君 今ちよつとお尋ね申上げましたが、この五ヶ年計画のうち、二十三年度、これは北海道の数字が出ておりますが、あと四ヶ年、本御計画の中に北海道はどのくらいのパーセンテージを示めておりますか。お分りになりませんですか。
#134
○政府委員(吉田悌二郎君) 二十三年度につきましては、お手許に資料がある筈でございますが。二十四年度以降はまだ資材等の点も十分檢討してございませんので、これは本当の予定でございますから、その意味でお聽取り願いたいと思いますが、二十四年度におきましては、一千四十八万トン北海道に期待いたしております。二十五年度は一千百三十六万トン……ちよつと失礼いたしました。お手許に配付してあるそうでございます。昭和二十三年度以降石炭生産五ヶ年計画、半ページのものでございますが……。
#135
○堀末治君 これは失礼いたしました。今日大分入念に見ましたつもりでありますが、甚だ失礼いたしました。そうですか。有難うございます。それでは続いて又少し北海道の問題でもう少し伺いますが、幸いにその調査班の御予定が分つたそうでございますが、できればこの問題が逐條審議に入らない前において、これをお聽きすると非常に考え方の上の便宜であると斯樣に思うのでございますが、それもだんだん遅れてそうなつたことでございますれば、これもいたし方がございませんが、そうすると、四日に帰ると五日乃至六日にこの席で御報告願えますか。
#136
○政府委員(吉田悌二郎君) 左樣にいたしたいと思います。
#137
○堀末治君 是非そうお願いいたします。つきましては、いまの次長のお話にございましたのですが、北海道の暖房炭は誠に困つております。たびたび申上げたことでもありますけれども、幸いこの点については当鉱工業委員会にも釈択して頂いて、本会議において満場一致の御決議を願つて政府に送付してある筈で、御当局もよくお分りのことと思いますが、二トン三分の割当を受けて、まだ一トンの配給も受けておりません。誠にこの嚴寒を迎えて、各家庭が困つておるのでありまして、殊に本年は誠に天候に惠まれませんで、もう既に酷寒が襲うて参つております。どうか左樣なことでございますので、随分これはお願いいたしたのでございますが、増炭産ができなければやれない。斯樣なことで今日まで到頭まだそれだけの配給量を受けておりません。冬になりまして幸い増産ができればやろう。こういうことで誠に頼りなくて、たびたび北海道からの陳情團が出て、各方面にお願いいたしておりますが、今以て何等埓が開いておりません。今承れば、幸い増産ができて來るということであれば、それぞれにお約束通り各家庭に貰えることだろうと思いますが、これは運輸方面に関係することで何ですが、その後北海道が冬になれば非常に輸送が惡いので、なかなか普通各家庭まで配ることには非常に困難であります。この問題を取上げて頂く時には、ここにおいでのカニエさんも非常な御同情御援助下さいまして、又石炭調査に行かれました中川さんにもこのことについて非常な支持を頂いて本院に取上げて頂いたのでありますが、どうかこの趣旨を体して頂きまして、この冬北海道の者が寒い思いをせないように、特段の御配慮をお願いいたしたい。殊にどうも少し情けなく思いますのは、殖えなければやらない。北海道は何人おりますか。恐らく十一二万人のことではないかと思うが、その人々の稼ぎが足りないばかりに、あと三十何万からの人が、冬を控えて震えておらなければならんということは、誠に政府の御処置としては、情けないように実は思うのであります。皆が皆石炭掘りにかかつておるのではないが、この点については、本法案に直接の関係はございませんけれども、どうぞ一つ特段の御配慮を、この機会にお願いしたいと思うのであります。
 それから又、その案を採択して頂きますときに、急に北海道の石炭が高くなつた。実はこの問題についても、政府からいわゆる重要産業用炭に少し補給をして貰われんか、こういう問題の請願が私の手許に参つたのであります。実は誠に政府の財政難のときに、少し虫のよすぎる請願だと思つて、氣が引けながら本院に出したのでありますが、これも幸いに小委員会において御採択を願い、委員会によつても御採択を願つて、政府の方に送付になつておるのであります。この財政の窮乏のことはよく分るのでございまするが、併しなかなか以て北海道としては容易でございません。幸いに官公労組の如きは、越冬資金、いわゆる石炭代というような意味において、三千円に千円の支給を願うようになつて、誠にありがたいことでございまするが、それらに関係のない各家庭は、その点は何もその恩典に預かるわけには行きません。現に同じ机を竝べておる官公吏の連中には出して貰われないかというので、北海道から二三日前も陳情團が参つて、私もその御相談に預かつたのでありますが、これらの問題に対して、大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。これをちよつと承わりたいと思います。
#138
○國務大臣(水谷長三郎君) この問題に関しましては、衆議院の鉱工業委員会のときも問題になりまして、物價廳から係の者が來まして、逐一御説明を申上げた次第でありまして、若し何でございますならば、明日にでも連絡をとりまして、物價廳の方からその問題の御説明をさしたいと思つて、商工省といたしましては、そういう態度をとつておりますので、適当の機会に聯絡をとることになつておりますから、さよう御了承を願いたいと思います。
#139
○堀末治君 ありがとうございました。
 それではもう一つお尋ねいたしますが、この北海道の増炭不振の調査のためにできました調査班の構成メンバーを承わるわけに参りませんでしようか。
#140
○國務大臣(水谷長三郎君) 今度の特別調査團ですか。
#141
○堀末治君 今度ではなく前のです。
#142
○説明員(小岩井康朔君) ちよつと細かい随員の一々は、今持つて來ませんので……。帰りますと分りますが、三班を編成いたしまして、第一班は、東大教授の佐野博士が班長になつております。第二班は、元三菱鉱業におりまして、現在は会社を退いております川南という技術家でございますが、この方が第二班の班長になつております。それから第三班は現在三菱の重役をしております後藤という方が、第三班の班長になつております。そうして各班には大概六名乃至七名くらいの、これも殆んど現在各社に籍を置いております純技術家の者がそれぞれ参つております。この一々のメンバーは、ちよつと記憶いたしておりませんが、大概各班には六名乃至七名くらいの、各社の技術家が編成されております。
#143
○堀末治君 一々お名前は承わらないでもよろしいのでございますが、その純技術者と申すのは、どういう方面の……、石炭を掘るだけの技術者の方ですか。
#144
○説明員(小岩井康朔君) 大体採鉱の方と機械の方と電氣の方、大概各班に採鉱、電氣、機械、それぞれの專門家の方々が編入されております。
#145
○堀末治君 その中には、どうして労働関係のお方が入りませんでございましたろうか。私承わつておりますのに、北海道の山が振わないということは、大部分、どうも労働関係の方にあるように思うのであります。ここにそういう方面の資料を私はいろいろなものを集めて、北海道の不振の原因を持つておるのでありますが、どうしても私はそういう技術方面よりも、むしろ労働関係の方面のお方に行つて頂くのでなければ、本当のいわゆる隘路の調査にはならないのではなかろうか、実はかように思つて、その方をひたすら実は待つておるのであります。
 これは、お分りでもございましようが、実はこんなのがあつた。これは十月八日の新聞でありますが、大臣は或いは御覽になつたかどうか知りませんから、一つこれを御参考に読み上げてみます。「踊る会議の連続。石炭を掘らぬ組合幹部が四百名。三菱美唄労組に批判の声。生産管理、人民裁判と、終戰後は数ある労働組合の中でも派手な歩み方を続けて來た三菱美唄炭鉱労働組合には、現在石炭を掘らぬ組合幹部が四百名にも激増、これら幹部による踊る会議の連続が増炭を阻む原因の一つとなり、上期の実績九一・二%、九月は八二%と全道一の出炭不振を示し、これが原因炭究と合せて、正しい炭鉱労組のあり方について、一つの課題を提供しておる。現在三菱美唄鉱業所全鉱労組員の総数は六千八百八十名、職組は六百五十名、計七五百名、これに対する労組役員は二十五名、職組は八名で、この外に労組の下部機構として職場別組織による二十五名の支部、地域別組織による三十の区があり、支部には支部長、書記長と、多いところは十三名、少いところで二名、区には各区長があるので約三十名、これだけでもざつと百五十名の組合役員がおる。その外いろいろと名のつく役員を入れて、毎月四百名から五百名に及び幹部が、賃金とか生産のための会議を続けておる。」
 続いて、中を少し飛ばしますが、「このように組合の役員が殖えたのは、選挙で落選した連中が職場復帰を厭がり、いろいろな手を使つて会議組へ加わり、それが漸増して労務者不足とも搦み合つて、抜きさしならん今日の状態に追い込んだもので、会社の一幹部は、これが最大の癌だと語つておる。」
 かようなことで、こういうようなのが非常な癌のように私は承わつております。
 尚又、先般ちよつと大臣と立ち話をいたしましたときも、大臣も大体そういうようなことを、お立場ですから、露骨なことは申せませんでしようが、そういうことをお洩しになつたことを、私も聞いておるのであります。どうしてもこの調査班の中には、権威ある労働関係のお方も行つて、この方面からも仔細に檢討がなされなければならない。殊にこの法案には、そういう技術的方面よりも、午前中も大部分、労働問題につきましては、岩木さんからもお尋ねになり、他の委員からも亦この労働、いわゆる生産協議会なるものが、本法案のとにかく論議の山をなしておると思うのでございまするが、その際に当つて、一番惡い北海道、將來又一番力を入れなければならん北海道の炭鉱を調査するに当つて、ただ單なる採鉱方面の技術者ばかりを向けて調べて、この方面から一人も委員を出さないということに対しまして、私は甚だ政府のそういうような、いわゆる労働方面に対する施策というものに対して、非常に私は疑問を持つ者でありますが、どれを入れなんだか、政府の御所見を承わりたいと存じます。
#146
○國務大臣(水谷長三郎君) 來月四日に帰つて來ますのは、いろいろお考えがありましようが、私自身としては、例えば北海道の今の石炭の出が惡いのは、一口にいえば、九州その他に比べて勤労意欲の低下だということをいつかお答えしたかと思うのです。そこでその勤労意欲の低下ということは、或いは資金の面がどうだ、或いは資材の面がどうだということを、自分の勤労意欲低下の一つの言訳にされておるのですね。そこで今度最近送りましたものは、技術的に勤労意欲低下の言訳をさせないように、技術的に根拠を與えるという意味で送つたのであります。今目下行われておる特別調査團は、そういうような技術的に文句を言わさないという意味で送つたのでなしに、何とかして生産を増強しようという立場で送つたのでありますから、今目下行われておるこの特別調査團には、堀さんの御指摘の労働組合の代表は参加しておるのでありまして、目的が違うものですからさような扱いをしたのであります。さよう御了承を願います。
#147
○堀末治君 私併しその点に対しては、甚だまだ遺憾の念は止まんのでございまするが、折角調査を、成る程逃げ途を塞ぐための調査、それは労働者諸君は成る程そういうような方面についていろいろと申しましよう。併し又今言つた通り、業者の方から言わせれば、業者の方で一向に生産意欲が上がらない、それは今言つた労組の協力がないせいだということも、これは詳しく申されておるのであります。これ等も恐らくあなた樣も、政府当局も御覽になつておることだろうと存じますが、すでにこの問題があつて、政府がまだぐずぐずしておる中に、朝日新聞が現地の調査をした、「現地にみる増炭策」、北海道の特派員ということで長い報告を出しておる、この報告の中を見るというと、いろいろ教えられることもございますのですが、やはり業者は業者で、きちんと皆が働いてくれん。労務者に言わせると、労務者は、資材が足らない、資金が足らない、いや、あれが足らん、これが足らん、両々相俟つて責任のなすり合いをしておるということを挙げられておるのであります。さようなことでございまするから、私といたしましては、政府がいわゆるこの國管案、現政府の本当に命を賭してのこの國管案を上程する資材としては、私は両方面の資料を出して、私どもに公平な批判を仰ぐということが当然なされなければならないことだ、私はかように存ずるのでございますが、それにお氣付きがなく、本当に今大臣が仰しやつたように、その方面からばかり選んだのでございますか、もう一遍しつこいようでございますがお尋ねいたします。
#148
○國務大臣(水谷長三郎君) いや、その方面とはどういう……。
#149
○堀末治君 私の今申上げたのは、あなた樣は、技術の方面からばかり眺める、要するに言訳を塞ぐためにその方面を抑えるのだと、こういうことでございます。それはどちらの言訳を抑えるというのかちよつと分りませんけれども、要するに業者は業者、労組は労組でお互いに言い合つて責任のなすり合いをしておる、かような実情であると私は察するのであります。これは恐らく私申上げませんでも、あなた樣もこの七月大勢の隨員を連れてわざわざ北海道に出掛けられたことでございますから、恐らくそのくらいのことは明敏のあなた樣としてはお察しつかんことはなかろうと私はお察しするのであります。從いまして折角政府の権威ある調査團を出すということでありましたならば、そういう方面でもう一つ大きい大切なファクターであるところの労組方面の調査を行うことが、当然なされなければならないことだと私はかように思うのであります。これは何遍も申上げます通り恐らく今後この法案が通過した曉には、北海道に向つては強力にこの法案が施行されるということになる、要するに強力に施行される対象でなければならないその法案審議に当つて、それ等の調査が、度々私申上げておるに拘わりませず、今まだ報告が明かでない、尚又その報告、調査團の内容も一方にのみ偏しておるということに対して、私どうも納得が行きませんです。
#150
○國務大臣(水谷長三郎君) 先の調査は、主として技術的隘路打開のために調査を送つたんですから、労働者の参加又経営者の参加も、願つておりません。只今やつておりますところの特別調査團は、各山々におきまして、今御指摘の労働問題を中心にいたしまして、労資双方のあいだに、理想的な團体協約を作らしておるのでありますが故に、只今行われておる特別調査班が、今あなたが御指摘のような仕事を着々やつておるのであります。
#151
○堀末治君 先般この席上で下條さんの御質問に対して、大臣から御答弁のあつた今のその特別調査團の問題ですが、新聞には特別監察團というふうに出ておるんですが、調査團が本当ですか、監察團が本当ですか。
#152
○國務大臣(水谷長三郎君) それは新聞の方が間違いです。
#153
○堀末治君 調査團でございますか。
#154
○國務大臣(水谷長三郎君) はい。
#155
○堀末治君 これはそうすると労働関係の方面のお方が入つておりますですか。
#156
○國務大臣(水谷長三郎君) 入つております。現地において参画しております。
#157
○堀末治君 そうすると、現地において参画しておるので、こちらの方からそういうメムバーを出しておりませんですか。
#158
○國務大臣(水谷長三郎君) これはこちらからも、双方から入つております。
#159
○堀末治君 そうすると、こちらの方から出ました労働関係のお方は、労働省から行かれたのでございますか。それともどの方面からでございますか。
#160
○國務大臣(水谷長三郎君) これは安定本部、労働省、石炭廳の労働関係の者が全部行つております。
#161
○堀末治君 そうしますというと、この調査はいつ頃結果をお聽きできましようか。
#162
○國務大臣(水谷長三郎君) 大体一月三十一日まで現地に止まつてやつて行くことになつております。
#163
○堀末治君 そうすると、惜しいことには、この法案の審議中には技術的方面の隘路は聞かれまするけれども、労働方面の隘路はお聞きできませんですな。
#164
○國務大臣(水谷長三郎君) これはまあ第一回のなにが、十二月の二十四日ぐらいになつておりまするから、只今のこの委員会の審議中には間に合わないことは極めて遺憾でありますが、現地からいろいろなにしました点によりますと、各山々ごとにおきまして、石炭非常対策要綱に盛られた作業方式に則つて、團体協約が着々結ばれておる、その結果、先に次長が申しましたように、石炭の日産がぐんと伸びており、又あなたも数日前の新聞で御承知のように非常に急進的な全炭の方がこの度労働時間を自発的に一時間延ばして、一月間はストライキもやらず、石炭の増産に邁進するという決議もしておるのでありまして、報告は來ておりませんが、効果は覿面に現われておるのであります。
#165
○堀末治君 そうすると、向うから上つておるということは、まだ正式に報告は参つておりませんですね。
#166
○説明員(川上為治君) 二十一日から北海道の大増産運動が起つておるんですが、二十一日が二万七千トン、二十二日が二万六千八百トン、二十三日、これは休みなんですが、五千五百トンやはり休みのに出てやつております。それから二十四日が二万七千四百トンそれから二十五日が二万六千トン、二十六日が二万九千トン、正に三万トン台に近づこうとしております。普通ならば二万二千乃至二万三千トンぐらい日産があるわけなんです。
#167
○堀末治君 成程。それでは北海道の方の問題はその程度に止めまして、後で又この問題もございましようが、それはこの辺で止めまして、お尋ね申上げたいのは、先程岩木さんの御質疑にもございましたが、先般政府が御発表になりました、この石炭非常増産対策要綱、これがその後実際に行われた山がどのくらいございますか。今までのところお分りになりませんか。
#168
○政府委員(平井富三郎君) 増産対策要綱によりまして労働制約を結んだ山が……只今概ねの山は交渉を続けつつあるわけでありまして、最後的に締結いたしました山は九州地方に二つございます。確定いたしました山は二つでございまして、その他は只今進めておる程度でございます。
#169
○堀末治君 どうも折角この増産対策要綱を発表されて既に二ケ月を経過しておる今日、五百に近い炭山の中僅かに二炭鉱よりないということは非常に遺憾に思うのであります。これらの問題に対しては政府の方ではどういうふうな、いわゆる手を打つてこの対策をお進めになるようなやり方をしておられましようか。
#170
○國務大臣(水谷長三郎君) それは岩木委員の御質問にもお答えいたしましたように、炭鉱特別運轉資金融資要綱にありますように、これをばやつてくれなければ金を貸さないという條件になつております。從つてこの炭鉱特別運轉資金融資要綱によつて金を借らねばならない人は、全部この石炭非常増産対策要綱の作業方式の何れかをとらなくてはならないことになつております。從つて大体十一月から十二月に掛けまして、その方式が結ばれることと思いますが、更に又只今特別調査團が北海道並びに九州に参りまして、各山々におきまして大体この石炭非常増産対策要綱に則つた作業方式、いわゆる團体協約締結の推進に努めておりますから、大体十一月から十二月に掛けては相当数この種の團体協約が結ばれるものと信じております。
#171
○堀末治君 その辺はこれで了解いたしまして、もう一つ今度はお伺いいたしますが、この五ケ年計画を大体お立てになつて、先般政府が御発表になりましたのですが、この五ケ年計画をお立てになるところの根拠はどういうところにおいてお立てになりましたのですか。その辺をお伺いいたします。
#172
○政府委員(平井富三郎君) この五ケ年計画を設定いたしまするのにいろいろな観点から見ることができますが、まず第一に日本といたしまして、少なくとも石炭がどのくらいの需要量まで充足すべきかという点は一つの大きな問題であります。大体昭和九年程度の何と申しますか、生産事情という観点から見ますると、大体四千万トン程度の石炭というものは絶対に必要であろうと思います。それから現在の配炭は約三千万トンベースを基礎といたしまして、配炭を行なつておりますが、この配炭を行なつておる実際を見ましても、現在の日本の最小限度必要としまするものにつきまして、三割乃至四割の石炭の増加ということは議論拔きで不可欠のように考えられる次第であります。然らばこれに應ずる生産力があるかどうかという点が次の問題になるわけであります。需要の面から見ますれば、四千万トン以上どうしても必要であるというふうに考えられます。これを充たす生産條件その他は第二段のことに入る訳であります。一般的に見まして現在の山の一般的の生産能力から言いまして、現在復興しておる部面の生産というものは逐次寧ろ低下の傾向に入つております。從つてこれの現在の設備の大改修を行う、或いは現在稼行しておる場所につきましても、新しく竪坑を下ろすというような大改修が必要になつて参ります。これらを実施いたしましても尚且つ四千万トン以上の生産に達しまするためには、どうしても新坑に掛つて行かなければならない、こういう状況でございまするので、先般來実施しておりました各種の調査に基きまして、大体六百万トン弱のものを新坑に当てるという計画を、一應設定いたしまして、各種のそれに附随いたしまする計画を進めて参りたいのであります。即ち両面から参りまして、少なくとも四千万トンを超える台のものが必要である。それに対しまする山自体の生産力から見まして、これが炭鉱の開発も合せて行きまするならば、大体可能であるという大きな見透しで二つの面から、各年次別の計画を実施したいと思つております。
#173
○堀末治君 先程も大臣にお尋ね申上げましたが、いわゆる今の御説明から申しますと、唯單に石炭の上から恐らくこの位は要るであろうというような推定から、この計画を立てられたのであつて、いわゆる日本のこれらの産業の向う五ケ年は、あらゆる産業がかくの通りに行かなければならない、そうすればこれだけの石炭が要るというような要請に、先ず産業というものに対する見透しを置いて、お立てになつたのではないのでありますな。
#174
○政府委員(平井富三郎君) 私の申上げようが足りなかつたのでありますが、現在の五ケ年計画の長期の計画というものは、現在安本でも設定中でございます。從いまして私の申上げましたのは、概括的な各産業別に細かく彈き出しませんでも、現在の配炭の状況を、過去におきまする経済力に比較いたしまして、四千万トン以上のものは絶対不可欠であるという結論を得たのでありまするが、なおこれが各産業別にどういう結果を齎すか、各産業から見てどの程度の、産業別に配分になるかということは、目下計画設定中でありまして、まだお話申上げる段階には達しておりません。その面におきましても十分作業を続けておる次第でございます。
#175
○堀末治君 そういたしますというと、今までの経驗から考えて、達観的に大体この位のものを立てるということに承知して宜しうございますな。そういたしますとこの五ケ年計画は、今の安本その他の正確な計画ができますると、この数字には変更を來すということも考えられる訳でございますが、変更を來せば又大体この計画をその線に副うて直そうというお考えなのでございますか。
#176
○國務大臣(水谷長三郎君) 昭和二十三年度の三千三百万トン、これは毫も変更する考えはありません。そうしてこの昭和二十三年度一年にやりました後の諸般の事情によりまして、この三千六百万トンをどの位上に上げなければならんということは考えなくちやならんのでございますが、大体この五ケ年計画の数字というものは、最低の目標であつてこれよりも少しでも余計挙げていきたいという考えを持つておりますが、取敢えず昭和二十三年度は三千三百万トンということで、諸般の資材その他の準備をしている次第でございます。
#177
○堀末治君 そういたしますと、今の大臣の御答弁から言えば、これは基本計画で、できればなんぼでも殖やしたい。こういうわけでございますね。
#178
○國務大臣(水谷長三郎君) なんぼでも殖やすということはなかなかできないと思うのですができるだけ上廻らす、上廻したいという考えを持つております。なんぼでもという、そういうたやすいことは考えておりません。
#179
○堀末治君 尚もう一つこの点についてお尋ね申上げますのが、所謂マツカーサー元帥の書翰でありますが、「從來私企業に属しておつた責任を政府が暫定的に負わんとするこの緊急措置を國会が採擇したならば、政府はさきに決定した生産目標を改訂して、この法律によつて新たに附加せられたる能力に照應する水準にまでこれを引上げなければならん。けだしかかる能力の造成のみが右の責任の所在の変更を肯定するものである、」こういうどちらかと申せば、言葉が政府に持つていつて、きびしい責任を負わせた形になつておりますが、そうするとその数字が、所謂マツカーサー元帥のこのきびしい要請に、この数字になれば應え得るという政府の御見解でございますか。
#180
○國務大臣(水谷長三郎君) このマツカーサー元帥の書翰は、誠に堀さんの御指摘のように、政府に責任を稼したものでございますが、大体昭和二十三年度は三千三百万トン、あとの四ケ年度に基準年度をできるだけ上げていくことによりましてですね、一應マツカーサー元帥の書翰に應え得る途である。このように考えております。
#181
○堀末治君 いろいろ基本的なことを承りましたが、まだ残念なことには北海道の方の、調査を一つも承りませんので、それに対してこの機会に多少御質問申し、尚又法案の審議の参考にすることもできないで非常に遺憾に思うのでありますが、その方は段々時間も経ちますし、終りまして、今度法案の方面について少しお尋ね申上げたい。このことについてはもう私よりもむしろ先程岩木委員その他皆さんによつていろいろと批判もあり、御意見もあつたことでありますから、私余り申しませんですが、ただ私この法案をずつと見ますに、甚だ失礼ではございますが、どうも矢張り官僚統制の臭みが全然抜けない。大臣は頻りとこれを運営するには必ず民主的にやる、民主的にやると、こういうやうに仰つしやる。これはどこまでも民主的にやつて頂かなければならんと思うのでありますが、その民主的にやると仰つしやる大臣が、この原案を出されたときに、矢つ張り非常にこう非民主的な、所謂官僚独善的な言葉がこの中に沢山盛られて、そうしてそれが衆議院によつて悉く修正されておる。この中で最も極端なのは「臨檢檢査」、かような言葉は最も非民主的な言葉だと思うのでありまして、先般も実はこの言葉が労働委員会において、失業保險法の場合において取上げられました。「臨檢檢査」などという実にああいうサーヴイス官廳として使うべからざるような非常に横柄と言いますか、権柄に過ぎるような言葉が使われているので、大分その節に論議されたのでありますが、衆議院では「臨檢」という言葉は「立入」というような言葉に直したことを覚えておりますが、これもやはりこういうような言葉を直されております。かようなところから考えて見ますと、お互いに民主主義というものは、情ないことには、昨日の今日で、附燒刄だと思います。大臣のごときはいわゆる社会主義を奉じておられるので、私供のような古い者から見れば大分民主主義的に教養が高まつておられることだとお察しするのでありますが、その大臣がお決めになつたこの法案の中にもいわゆる官僚独善的な書き方をしたのがそのまま大臣もこれをよしとしてお出しになる。それから考えると誠にこれは私共のような者が申上げては失礼ではありますが、まだどうも大臣も本当に民主主義的に教養が高まつてはいないのではないか。私などは最もその非民主的、封建的の者でございますが、さようなことで、どうも何かと言えば民主的にやる、民主的にやると申しておりますものの、実際私こういうようなまだ附燒刄の民主的な考え方では、本当にこの法案は民主的に運営はできないのじやないか。かような感じがいたします。このことについて私ばかりでなく何遍も皆さんから出たのでありますが、併ししつこいようでありますが、もう一遍お考え置きをお聞かせ願いたいと思います。
#182
○國務大臣(水谷長三郎君) いろいろ御批判があることはこれは甘受をいたしますが、どうも我々の頭の中にはつまり過去の戰爭の悲慘なこと、又その戰爭の期間を通しての軍閥とそれに附いた官僚統制の悲慘なことが頭にこびりついておるものですから、つい、こういう法案が出ると、直ぐに又戰爭当時の官僚統制というようなものを頭に描きまして、いろいろ論議されるというのは、これは人情として止むを得ないのではないかと思います。併し私もこれは絶えず繰返して言つたのでありますが、成る程言葉の末を捉えられましては、そうかと思われる点もありますが「臨檢檢査」ということを「立入」に直してどれだけ民主主義的になつたかということは、ちよつと私も分らないのでありますが、併しその一番大事な石炭局ですね。これを堀さんなんかが……これまで日本のこういうような官僚法制におきまして、その構成員の過半数を民間人で埋めなくてはならないということを法案で明記したのは初めてであろうと思います。更に又商工大臣、石炭局長並びに炭鉱経営者に対して、それぞれの委員会又は協議会をば併存せしめましてその運用をできるだけ滑らかにやつていこうというような点から見ましても、これで民主主義は全く成つたとは、それは私もとより言いませんが、その民主主義の方に大きく一歩前進したということはこれは認めて頂けるのではないかとこのように思つておるような次第であります。勿論この法の運用というものは飽くまでも有能なる民間人の御協力を得なければならんのでありますが、私はそのいわゆる民間人の協力を與えられる門をば開いたのでありまして、よく現地に行きますと、経営者の方、或いは鉱長の人が官僚統制というようなことを盛んに言われるので、私はいつもそれに対してこれ程門戸を開いて民間人でなくてはならない、過半数は民間人でなくてはならないということ、これ程法文にもはつきりしておるのに拘わらず、尚且その官僚統制だとか、又そういうような所へ入つたところがなかなかうまく行くものじやないというようなことを仰しやるということになると、果して攻撃される官僚が惡いのか、或いは攻撃する民間人に自信がないのか分らないというようなことを言つたのでありますが、先ず堀さんも、そういうお言葉の文句よりも、そういうこの法案の精神、從來こういうような統制法制になかつたような、そういうところを汲取られて頂くならば、一〇〇%民主化されたとは、それは言いませんけれども、それに対して形の上では相当大きな前進をしておる法案である。この運用はこれはお互いにやつて見なければ分りませんですが、形の上においては、そういうような形を整えたという点だけは一つお認めを願いたいと思います。
#183
○堀末治君 これは今初めてあなたの御答弁を承つておるので、この法案は非常に、いわゆる民主的に前進したということは私も分るのであります。併なかなか今のこの附燒刄の民主主義では、如何に民間人が半分入つても本当に民主的に運営することは容易でなかろうと、かように実は私は思うのであります。從つて私はこれはもう先程來岩木さんのお話もありましたが、でき得ることならば、この法案をして、この法案の本当の底に流れるところの、いわゆる政府もお考えになり、我々もこれならばこの法案をそつくりその儘民主的に考えられるというような、要するに考え方にして置きたい、実はかようなことから、しつこく私お尋ねしたのであります。いずれ、そんなような問題は、又私ばかりでなく、各委員からもお話もございましようし、逐條審議に当つていろいろ出ることだろうと思いますから、その節に讓りまして、もう一つその次にお尋ね申上げたいと思います。これはもう皆さんから出切つた問題であります。いわゆるこの法案はどうも罰則その他業者に重い、事業主に重くてそうして労務者に軽い、こういうことが非常に非難されておるのでありまするが、まあそれは私も同樣にそう思う一人であります。私どももともと労務者から出た者ですが、今になれば経営者の立場に立つておる。從つて経営者の味方をするということは、人情上或いはいたし方ないかも知れませんが、併しどうも私そういうような点もあると思います。殊に先程岩木さんから随分論議を重ねられましたこの管理者の問題でありますが、あなたの御答弁によると恐らくいわゆる財閥解体などの結果、全部本社は地方に行くだろう。そういうことになれば恐らく管理者は社長が当るだろう、こういうようなことがありましたが、それは幸いに法人の場合はそれでも大変結構だと思いますが、私余り詳しくは知りませんが、いわゆる純然たる個人の企業の炭鉱も大分多いのではなかろうか。さようなことになつて行きますと、あなたさんの御答弁から行くというと、そこのいわゆる主人公も生産管理者として認められる、それが今言つた通り何かのことで折合わないで、いわゆる生産協議会において彈劾を受けた、これは事業主と相談をして、事業主の意見を徴してと、こういうことになつたのでありますが、彈劾された本人とどんなことを言うか。必ずあれらの方が怪しからんと、本人は言うでございましようが、それをいろいろ石炭局長あたりが審議をした結果、若しもその主人公に、生産管理者を辞めろということになつたら、これは一体どういう結果になるか。法人であれば社長が彈劾を受けても、或いは事務がおるとか、或いは常務がおる。これは法人のことでございますから、どうも從業者からノツク・アウトされるような社長なら変えてしまえといつて、株主総会ででも不信任をやつて社長の地位を滑るというようなこともございますけれども、個人企業であると、誰もその上に持つて行つて、親父さんは滑れといつても誰も代りの者がおらないのに、一人彈劾権を受けて、石炭局長だけがお前親父を辞めさして、お前は親父の地位を占めろというような形も考えられるのでありまするが、これらの点如何でございましようか。
#184
○國務大臣(水谷長三郎君) これは御答弁になるかどうか知りませんが、そういうふうにして個人で山を経営しておる、そういうような事業主が現場管理者となり、炭鉱管理者をやられるということは、これは非常に仕事に熱心な人がやられるので、私は大体そういうような生産協議会において彈劾を受けられるということは万々一ないと私は信じております。併しながらそれにも拘わらず若しそういう場合が起つたならば、これはおかしなことでありますけれども、いわゆる法文の規定といたしますならば、その事業主としてのAならAという人に生産管理者としてのことを辞めるか辞めんかということをやはり相談しなくてはならんことを思いますが、おかしなことと言えばおかしなことでありますが、併しそれは又考えようによれば、只今例えば堀さんなら堀さんに向つて、私は仮りに北海道の石炭局長であるとしたならば、あなたはどうも経営者としてはよいが、余り無理をして現場管理者でやられるから、こういうような問題が起つたから、一つ一本にされたらどうですか。弟さんでも現場管理者にされたらどうです。これに持つて來れば、案外私は簡單にできるのじやないかと思うのでありまして、そういうことは一つ十分運営の点におきまして何して行きたいと思いますが、併しその法律の條文を文字通り解釈すればそういうことが起るということは、これは止むを得ない。
#185
○堀末治君 どうもその辺の御答弁、何となしに曖昧のように思うので、失礼でございますが、納得行きませんが、今大臣の仰しやる通りに、個人企業でやつておる人は熱心である、もとより私もそうであろうとお察しいたします。そこで山において、九州あたりで多いのでございますが、これはあつてよいことかどうか分りませんが、いわゆる労働者方面からいえば親分子分などというようなことは、大体どうしても拂拭しなければならない、こういうようなことにもなつて來る。この間安定法案の決議の際にもこれが非常に問題になつて、いわゆる親分子分などというものが非常に問題になつて、政府はどうしてもこういう関係を強力に除去するようにしなければならない、こういうようないわゆる決議文を附けようというのだつたけれども、それはつい決議文にいたしませんで、委員長の報告の中に入れたのでありまするが、それらのことから考えて見まするというと、今あなたの仰しやるそれが、幸いにあなたの仰しやるように心配がなければ結構ですけれども、こういうものができた結果、私はそういう場面が必ず生れて來るようになりはしないかということを恐れる。今までは親分子分で頗る仲よく行つておるところへ、それが生産管理者となり、そうして生産協議会があつて、その協議会が全部親父の彈劾ができるというようなことになつて、これは果して言葉が妥当かどうか分りませんが、大分いわゆるこの労働者諸君のものの考え方も変つております。又いろいろこういう時代に労働立法が多分にできておるから、変るのは当り前でございましようから、そこに若しも新らしい変つた頭の連中があつて、いわゆる親分子分は今までのこと、これからはこの通りに、我々は生産協議会で、今まで親父からがみがみ叱られておつたが、今度は対等の位置に立つて話をして行けるんだ、こういうようなことになつて來ますれば、私どうしても彈劾するということが生れると思います。こういう法律がなければ何もそういう問題なしに行きましようが、これができたばかりに、必ず私はそういう問題がこれは起きることは必至だと、私かように考えるのであります。その時になつて一体どうするか、これは運営ではできない問題だと思います。実際問題としては運営ではできない。法の運営ではなくて、あなたがいわゆる石炭局なり石炭廳が運営するのでなくて、向うがやつて來ることだから、これはあなたの方の運営にはならないと思います。管理者と労務者との間に生れることで、要するに決してあなたの方のいわゆる官廳の運営によつて來るべき問題でなくて、必然的にある、私はかように思うのであります。若しもあつた時には一体どういうふうな処置をお取りになるか、そこのはつきりしたところの御見解を願いたいと思います。
#186
○國務大臣(水谷長三郎君) 先に、個人が山を経営しておるというのは、大体年産十万トン以上は三つしかありません。外は小さい山でありますから、実際生産協議会とは関係のない山ということを御了承願いたい。指定炭鉱にならない山が多いのではないかと思つております、個人経営の場合は……。山といつても十万トンよりちよつと上のものは三つしかございません。それから彈劾権の問題でありますが、これは生産協議会の過半数ということになつております。そうすると半数は労働者の立場、半分はいわゆる経営者の立場から、過半数ということになると、その経営者の立場の委員の方もそれに参加されないと、彈劾権というものは達せられぬ。言葉を換えて言えば、総すかん、いわゆる経営者の立場の人からも労働者の立場の人からも総すかんということにならんと、彈劾権というものは発生しない。だから労働者の委員だけが結束して彈劾権が起るというならば、これはあなたの御指摘のような御心配もありましようが、経営者の立場に立つ者も参加しなければ彈劾権は出ないということでありまするから、そう労働者のものだけが無理押しで彈劾権を持つて行くということは、法規の上において許されないことですから、その点を一つ御了承願いたいと思います。
#187
○堀末治君 もう一つ二つお伺いしたいと思います。私は只今の御説明によりますと、いわゆるその指定炭鉱は、基準は数量にはよらないということははつきりしたのであります。今の御答弁でありけすと、十万トン以上のものは二つしかないということから見ると、やはり指定炭鉱のフアクターの中には、数量ということはお考えになつておることにおいては間違いないのでございませんか。
#188
○國務大臣(水谷長三郎君) それは前も言つておりました大山を中心にして、大山の中でこの修正案に盛られたようなフアクターを考えて彈力的に指定する。前は御案内のように、十万トンなら十万トン以上の山は一律に指定するという考えであつた。ところが今度の修正案によりますと、大体大山の中でこの修正案に盛つたような諸般の状況を斟酌して指定しよう、だから大山の中において指定されるものと指定されないものができら來る。このように一つ御了解願いたいと思います。
#189
○堀末治君 これは私もさように思つておるのでありますが、財閥解体その他の関係で、恐らく今度は本社は山に行くであろう。こういうことであります。大体私もそのような傾向にあるのではなかろうかと実はかように思うのでございますが、併し最も私共心配しておつた経済力集中排除法がちよつと雲行が変つて参りました。さようなことから考えるというと、全部が解体され、全部の本社が現場に移るということにも考えられないと思います。幸いに現場に本社が行つたものであれば、私はあなたのおつしやる通り、社長が管理者になるということは結構でありますが、そうでなく、若しもこの集中排除法の移り変りによつて、本社が相変らず東京だ、離れた所にあるということになつて來ると、どうしても管理者は別の者になつて來なければならん。かようになると思いますが、そういうことになると、管理者の立場というものは非常に都合の惡いものじやないかと実は思うのであります。その生産協議会なるものの構成は、全部業務從業委員と労働從業委員とかようなことになる。而もそれによつて協議される事項は賃金等にも非常に関係する、待遇その他のものにもこれは非常に関係することになつておるのでありますが、恐らくこういうことになつて來ると、事業主の利益というものは全然沒却せられ、管理者は下手するというと直ぐ彈劾を受ける。そうしてこの協議会の構成メンバーは、業務委員と労働委員と二つになつておりますけれども、いわゆる待遇問題、或いは賃金問題ということになれば必ず私は同調するものだと思います。決してこの間にはそういう利益の反目があるなどということはない。そうなつて來ると、そこで協議会は決める。生産管理者もそれらに氣に入らなければそれらから彈劾される、かようなことになるのであります。この中には、指定炭鉱の事業主の利益を代表すると認められる者を含まない、こういうことになつておるわけでありますが、炭鉱主などというものは國家のこういうような恩惠を以てやるから、何にもかにもサービスせよというお考えであるならば、ともかくもでありますけれども、併し事業を営むということになつたならば、当然それに対する利潤というものを考えられるのは当り前だと思うのでありますが、どうもこれだというと、全然事業主の利益は悉く剥奪せられてしまうというように思われるのでありますが、この点はいかがでございましようか。
#190
○國務大臣(水谷長三郎君) 今堀さんが言われました賃金の問題、それの大きな問題は大体團体協約で全國的に決まる問題であるということは、ほぼ理論を超越した実例が示しておるので御承知の通りであろうと思います。そういう意味におきまして、第三條というものが入つておるのです。そこでこの生産協議会で、山のいわゆる特殊事情において、どのようにして生産を増して行くかという点が中心になつて、この産業方式で決まるのでありまして、賃金その他の待遇問題というものは、生産協議会でなしに、全國的な、或いは北海道なら北海道という地域的な團体協約で決まるところの問題、尚そういうような点で第三條と併せ考えて頂けば結構だと思います。更に又その経営者の立場の利益を代表する者を、含まないというのは、労働委員の方に書いてあるのであつて、業務委員の方は含むのは当り前でありますから、その点をも一つ誤解のないように願いたい。労働委員の方は事業主の利益を代表する者を含まない。これは当り前のことでありますから、当り前のことを書いてあるのであつて、あなたの今のことは、業務委員の方にも及ぶように言つておられましたが、それは何かの誤解でございますので、その点一つ惡しからずお見合せ願いたい。
#191
○堀末治君 お言葉はよく呑込めませんが、そうすると大臣の御見解では、業務委員は業者側のものだというふうなお考えでありますか。
#192
○國務大臣(水谷長三郎君) 第何條ですか。
#193
○堀末治君 第二十七條「生産協議会は、炭鉱管理者及び委員で、これを組織する。」「委員は、業務委員及び労働委員とし、各各同数とする。」こういうことになつておる。そうするとこの業務委員というのは、或る程度事業主の利益を代表するものなりというあなたのお考えでございますか。
#194
○國務大臣(水谷長三郎君) 仰せの通りです。
#195
○堀末治君 そうすると、二十九條の「前項の從業者には、」こういう言葉がありますが、この從業者というのは、労働方面の從業者のみを指して、業務方面の從業者を指しておらんのでありますか。
#196
○政府委員(平井富三郎君) 「業務委員は、当該指定炭鉱の業務に從事する者の中から、炭鉱管理者が、これを選任する。」というふうに書いてございまして、ここに二つの意味がございます。これは業務委員は炭鉱管理者が選ぶというわけであります。それから第二に、業務に從事する者というふうに事業者という言葉よりも廣く書いてございます。即ち炭鉱の規模によりましては、例えば鉱山長も取締役である、或いは技術部長も技術関係の取締役であるというような場合も当然予想されますので、いわゆる從業者のみでなく、その業務に從事する者、役員であつても業務に從事する者と見られれば、これを炭鉱管理者が委員として選任ができるというふうにいたした次第であります。それから労働委員は、いわゆるこの生産協議会におきまして、労働條件等も議することになりますので、労働組合法で言ういわゆる從業者という者の中から選ぶという意味からいたしまして、この第二項にあります労働委員に関する從業者という意味は、事業主の利益を代表する者を含まないということを附随的に規定いたした次第でございます。
#197
○堀末治君 どうも私まだ法文の読み方が足らんせいかも知れませんが、今の政府委員の御答弁は私よく呑み込めません。そうすると業務委員というのは、政府のお考えではいわゆる職員という方の側ですか。
#198
○政府委員(平井富三郎君) 業務委員といたしましたのは、一つは、この生産協議会が生産ということを中心にして行われまするので、職能代表的な意味を含めたい、又同時に労働條件についても議しまするので、一方側の労働者の委員というのは、そういう意味におきまして、労働組合法で言ういわゆる從業者の組合の中から選ばれて参りまするので、從つて又業務委員は、炭鉱管理者が独自の頭でこれを選ぶということになりますので、職能代表であると同時に、経営者側の選ぶ委員ということになりまして、いわゆる経営者の利益を代表して行く委員に実際上なる、又法律的にもそれで一向差支えないというように考えておる次第であります。
#199
○堀末治君 もう一遍お尋ねいたしますが、そうすると業務委員というのは、労働組合以外の職員という意味ですな。
#200
○政府委員(平井富三郎君) 法律上は、仮に職員組合に入つております者を業務委員に選任いたしても一向構いません。併し事業上は、いわゆる経営者の利益を代表する、或いはいわゆる廣い意味で経営者というような地位にある者も、この業務委員に選ぶというように考えております。
#201
○堀末治君 どうもちよつと私呑み込めませんが、その実例をちよつとおつしやつて頂くわけには参りませんでしようか。
#202
○政府委員(平井富三郎君) 現在の経営協議会において行われておりますように、大部分の経営協議会は労資が同数出ております。労働側の委員というのは、労働組合法によつて労働組合から選任された者が委員となり、或いは労働組合の役員が委員として出ております。それから経営者側の委員としては、経営者が、或いは総務部長なり、経理部長なり、生産部長なり、そういう会社側の、事業主の利益を代表すると言うと少し狹くなりますが、事業主の立場を代表するような人が事業主の側の委員として現在経営協議会に出ておるのであります。それを大体踏襲するということに相成ろうかと考えます。
#203
○堀末治君 どうもちよつと私そこをよく呑み込めませんのですが、いわゆるその労働組合、そこの事業場の労働組合の構成のつまりやり方に多分に関係がある。或いは大きい会社でしたら、課長級は労働組合に入れない。又場合によつては課長級は入れるが、部長級は入れない。こういうようなことになつておるので、そうすると幸いに課長級あたりは労働組合に入つておらないというときには、成る程あなた樣の御説明は分るのですが、現に私共の会社のごときは、課長からです。部長は全部重役です。失礼ですけれども、そういう組織になつておる。課長から全部、私共の方は從業員組合を作つておるわけなんであります。そうするというと、いわゆる重役でもこの委員になれると、こういう考え方でよろしいのでございますか。
#204
○政府委員(平井富三郎君) そういう場合を予想いたしまして、業務に從事する者というふうに。從業者という限定的な言葉を使つたわけであります。その業務に從事する者でありますれば、役員であろうが職員であろうが構いませんので、特にそういう場合を顧慮いたしまして、從事する者というふうに廣く書きましたわけであります。
#205
○堀末治君 そういたしますと、これはいずれ後で法文の逐條審議のときに問題になりますが、この従業者という言葉は、要するに、業務を扱う者以外の者を全部含めて、要するに労働組合を組織した者というような解釈になりますのですが。
#206
○政府委員(平井富三郎君) この二十九條の第二項は、「労働委員は、当該指定炭鉱の坑内從業者三坑外從業者二の比率とし、指定炭鉱の從事者の過半数」というように書いてございますので、或る場合におきましては労働組合を組織しておる從業者と事実上一致するというように考えますが、一般的に從業者と申しますれば、いわゆる事業主と雇傭関係にある者というのが一般的には從業者に入るわけであります。
#207
○堀末治君 お尋ねいたしますが、この罰則の方の関係は後で出ましようと思いますが、そうすると罰則の方と前の方にも私呑み込めない所があるのですが、つまり、ことによるというと、業務委員が怠慢をしたために届出等が遅れて、処罰を受けるという結果になるのですが、処罰の関係は……。
#208
○政府委員(平井富三郎君) これは罰則の規定の運用になりますが、例えば経理部長が業務委員になつたといたしまして、経理関係の報告を命ぜられて、事業主はこれを出すように命じた。その場合に経理部長の責によつて、例えば故意に出さなかつたというような場合におきましては、この場合において、違反行爲をしたその事業主というように、犯意がございませんし、事実もないので、その場合には罰則の適用がないというふうになるわけであります。

#209
○堀末治君 いずれそれらのことは又後で御質問いたすことにいたします。大分遅くなつて甚だ恐縮ですが、実は私、これも他の委員からも大分沢山出たのでありますが、どうもこの法案は事業主に辛く労働方面に甘いと、私も思うのであります。これはまあどうか分りませんが、今度のこの敗戰の結果、いわゆる占領治下の工作として、いろいろなものが変つたわけでありますが、中でも一番要するに痛められたのは資本家であり、要するに事業主だと、私はかように思う。まあ第一番目に戰爭に協力したというめぼしい事業家、資本家は追放に遭つた。又全部解体せられた。それだけならまだ結構でありますが、その外財産税の方で大方の財産は取上げられ、同時に独禁法というようなもので、あつちこつちの重役稼ぎもできない。又株を持つこともできないというようなわけで、随分痛められておると思う。そうして今度の敗戰の結果、これは一番民主主義なものということで、民主主義を身を以て味わせられたものは、どちらかと申せば資本家なり、事業家なり、経営者ではないかと私は思うのでありますが、それに引き替えて今度の負け戰さで幸せしておるのが労働者諸君、勤労者諸君ではなかろうかと思う。隨分今まで苛斂誅求を被むつておつたのが一遍に解放せられて、長らく獄窓に繋がれておつた共産主義の諸君も大手を振つて共産主義の宣傳もできるということになつたので、今度の負け戰さで一番得をしたのは勤労者諸君であると、かように思うのであります。
 そういうような観点で考えて見ますと、どうしても私この法案は、相変らずそういう考えが多分に流れて、事業主を非常に抑え付ける、そうして勤労者の方に多分に余分な権利を與えておるというように思われるのであります。これは或いは私の偏見かも知れませんが、私どうもそんなようなことで、今日幸いに北海道辺りも直つて來たとは言いますものの、なかなか將來とも、本当にこの勤労者諸君が目覚めて行くまでには余程時間がかかるのじやないか、殊にさようなことを考えまするとき、どうしても私この法案の中には、折角大臣も何遍も仰しやいましたいわゆる増産対策要綱、これは二つであるけれども二つじやない、裏腹のものだ、こういうふうに仰しやつて頂くのでありますれば、これを何とかして、この増産対策の精神をこの法案の中に多少なりとも盛込んでおくということが非常にいいことじやないか、私かように思うのであります。実はまだここに資料をいろいろ持つております。実はこれはこの間読賣新聞に出たもので、大臣は御覧になつたかどうかわかりませんが、今言つた通り、北海道の知事からなけなしの米……北海道は工は六十日も欠配させられておる、それにも拘らず炭鉱だけは今言つた通り、なけなしの米を都合して六合ずつ配給しておる、それにも拘わず石炭は本当に出ない、休んだ日も食つておる、休んだ日も六合貰つておる、休んだ日の出炭不足に対しては六合の配給を止めるということを北海道知事から通告した、こんなことも出ております。こういうこと、これなんかのことは誠に極端であります。これは二十五日の毎日新聞に出たのでありますが、「炭鉱米横流れへ断」、「北海道で優先配給を停止」、こんなようなことで、「釧路署で過日三日間駅頭の一せい取締りを実施したところ、檢挙した四十五件四十八人の買出し先は全部炭鉱の労務者だつた。」「夕張市旭台無職小黒薫は父と四人暮しで弟が夕張炭鉱で働いている、この加配米を食い延したという米五斗五升、小麦一斗を札幌市内に輸送、ヤミ賣りした」。こういうようなこともずい分あるのであります。それから又いわゆる不良労働者が踊つて、それの処置に困つておる、かようなことも大分あるのです。これらのことの取締は、もとよりそれは一方檢察廳なり、その方面でやるのではございましようが、こういうようなことが多分にあるのです。いわゆる不良労働者がおつて、それらがおのずから増産を阻む。ここにもございます。私現に取つてある。「増産阻む夕張鉱の不良」、ここに書いてあるのですが、最後にもつて行つて、「職場秩序確立のため会社員に当局の強力な対策が望まれている」、こういうのが各方面に出ておるのであります。同時に又もう一つ、要するに、坑外坑夫ばかりが殖えて坑内坑夫が段段減つておる、こういうようなことも沢山私ここに持つておるのでありますが、そういうようなことから考えると、これらの点に対して、私ただ單に労働基準法とか、普通の労働調整法くらいでなく、でき得ることならば、この間うちから大臣も何遍もお話になつたのでありますが、とにかく官業労働者と同じじやないか、こういうような意味におきましてのお説であるならば、本当に官業労働者と同じように、要するにその精神をこの法案に盛つておく、そうしてやはり官廳勤労者諸君の中に不良な者があつたら、怪しからん者があつたら、いきなり思い切つて断を下すということが、私は本当に増産をやる上においても大事なことだと、実はかように思うのでありますが、これは当然社会党の諸君は非常に不賛成ではございますかも知れませんけれども、どうしても私はこの法案の中に、そういう精神を多少とも、そういう法文を盛り込んでおくということが必要じやないか、かように思うのであります。大臣の御所見は如何でございましようか。
#210
○國務大臣(水谷長三郎君) ここにある罰則規定は、さつき平井君が申しましたように、命令に対する違反行爲であるということであります。只今御指摘の問題は、いわゆる労働協約の違反とか、或いは米の横流しの違反とかいう問題でありまして、この組織の方において同じように盛れる問題ではないのであります。併しながら今御指摘の点に関しましては、外の方面において罰則規定が十分にあるのでありますから、これは十分に賄い切れると思うのです。この法案は、あなたは、これは資本家泣かせの法律であるということを言うておられ、又共産党の徳田君に言わせると、これは資本家救済の法律であるというように、全く正反対のことを言うておつて、いわゆるそういう両方から惡いと言われるところに、労資に片寄らない、この法律のいわゆる公平なる性質があるということを一つ御了解願いたいと思います。
#211
○堀末治君 大分時間も経ちましたから私の質問はこれで打切つて、又逐條審議の節に述べさして頂きます。
#212
○委員長(稻垣平太郎君) 本日の質疑はこれで打切りまして散会にいたします。明日は午前十時から会議を開きたいと存じます。さよう御了承願います。
   午後四時四十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           岩木 哲夫君
           林屋亀次郎君
          深川榮左ェ門君
           楠見 義男君
           小宮山常吉君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   石炭廳次長   吉田悌二郎君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
  説明員
   商 工 技 官 小岩井康朔君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   炭政課長)   川上 為治君
ソース: 国立国会図書館
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