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1947/12/02 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第24号
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1947/12/02 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第24号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第24号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○亞炭増産に関する請願(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損出補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に関する陳情(第四百六
 号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 四百八十号)
○東北地方銑鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 五百六十四号)
○炭鉱民主化に関する陳情(第五百七
 十九号)
○製塩用燃料割当に関する請願(第五
 百五十二号)
○野鍛冶業用燃料増配に関する請願
 (第五百六十一号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第五百七十三号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する陳情(第六百三号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月二日(火曜日)
   午前十一時七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより本日の委員会を開催いたします
 昨日御希望がありました首相或いは各大臣は今朝閣議がありまするので、午後でなければ出席できないということであります。但し労働大臣は今御旅行中でありまして、次官が出席するということでありまして、次官ならば午前中でもおいで願えることと思つております。藏相もできれば午前中にも伺いたいと、こう申されております。尚復興院総裁並びに物價廳の方は出席になつております。物價廳の炭鉱住宅課長がお見えになつておりますが、堀さん御質問をなさいますれば……。
#3
○堀末治君 この石炭増産につきまして、労働者優遇の立場から、住宅を沢山建てなければならない、これは早くすでにその御方針が決まつて著々進められておることは私も存じております。尚又この夏、委員長のお供をして常磐方面の視察に参りましたときも、その方策の下に著々住宅が建てられておるのを私見て参つたのであります。そのときもいろいろと山の現場で、その住宅の実情を訴えられたのでありましたが、折角でき上つた家でも全部が揃わない。家は建つておるけれども、入るようにはならないというようなことで、それができてからまだ立腐れになつておるというような実情を見て参つたのであります。尚又北海道の方ですが、朝日新聞に出た報告にも、そのことが出ております。どこの炭鉱か、炭鉱は明示しておりませんけれども、「第一・四半期三千三百八十戸の新築計画に対し八月末の完成は一千三百戸にすぎず、それも資金許可があつたのはようやく七月四日だつた、新坑開発をやつている芦別では上半期に巨額な炭住計画一億八千八百万円をたて、うち今までに三千万円が入手されただけだ、夕張でも五百名ほどの労務充足が住宅難に阻まれている」、かようなことで各方面ともこの住宅難に惱んでおるであります。一方北海道のごときは三年くらい前からの原木が現場に捨てられて、下の方はすでに腐つている、かような状況でございます。そんなに木材があるのだから、早くこれをやつてもよさそうに思うのでありますが、それらの施策に対して、政府はこれ程増産を叫びながら、肝腎な労働者優遇の施設が手遅れしているのは甚だ遺憾に堪えないのでありますから、その状況を一つお聞かせ願いたいと存じます。
#4
○委員長(稻垣平太郎君) 説明員。
#5
○説明員(内藤亮一君) 本年度の炭鉱住宅計画は、只今御質問のありました第一・四半期がこれが閣議で決定いたしましたのは五月二十六日でありまして、それから主として財閥炭鉱のごときはG・H・Qの資金の許可の関係もあるので、只今朝日新聞の記事をお読みになりましたように、実際工事に着手いたしましたのは七月からであります。第一・四半期の計画そのものは、復興院といたしましても九月末を完成目標にしてやつて参つたのでありますが、九月末の目標は私の方へ來た各縣から報告によりますと、平均いたしまして八七%の成績を挙げておるわけであります。勿論第一・四半期の計画でありますから、普通の計画で行けば、すでに六月には工事が大半できなければならんわけでありますが、今申しましたように計画そのものはいろいろな事情で遅れまして、九月末完成を目標にいたしまして全國平均九〇%くらい、但し北海道だけは平均八〇%、最も成績の好い九州等におきまして九四%といつた成績を九月末に挙げたのであります。十月末の現在にありましては、全國平均九六%、一番惡い北海道でも九二%くらいできておるわけであります。当初の計画が遅れましたので、第・一四半期としては九月に目標を完成し得なかつたのでありますが、一應目標につきましては、約九〇%の成績を挙げておるわけでありますが、尚御質問のありました中に、一部資材のないために家ができても入れないというようなお言葉がありましたが、炭住の方は一部におきましては疊の入手が遅れたためにそういうことが常磐地区でもありました。私が九月常磐地区へ参りましたときには、炭鉱を五つ六つ見て参りましたが、疊も九月末には入つておりました。ただ居住に至つていないものも一部ございましたが、それは最近居住すべき者を選定するのに、やはり坑内夫で一番経驗の積んだ者、先ず立派な住宅ができたから居住者の選定というのは主として労働組合に諮つて決めるというようなことで、炭鉱の方で住居が完成すると同時に住んでないものもございましたが、疊入手不足のために立ち腐れになつておるというような実情は、私の見る限りにおいては常磐地区にはございませんでした。尚今後も疊その他最後の居住に至るまでの資材の幹旋にできるだけの力をいたしたい、かように思つておる次第であります。
#6
○委員長(稻垣平太郎君) 首相がお見えになりましたので、総理大臣に対する御質問をお願いいたしたいと存じます。
#7
○川上嘉市君 今回の臨時炭鉱管理法案の目的は、石炭の増産をするのにあるようであります。ところがこの増産についていろいろな疑義があつて、果してこういう方法を執るのがいいか惡いかということについて、事業者その他外部の一般の輿論が、効果が余りないだろうという意見が大分多いのであります。その反対の説があちこちに漲つているというような風潮を聞いております。何が最も障害かと申しますと、実は労務の方の能率が非常に挙らん。いろいろの調査を拜見しまして、可なり國で以て努力もしている。或いは又資材その他の供給についても優先的にこれを処置しているというようないろいろな点を加えて、その結果、どうかと申しますというと、一人の労務者の出炭量が戰爭中に十何トンというのが、五トンぐらいにしかならない。この状態を以てしては、果してこの國管案が通りましても、予期の効果を與えるや否やということに私共は非常な疑問を持つておる次第であります。それで昨日もどなたかの質問に対して、商工大臣がお答えになつているのですが、この労働の能率をどうして挙げるかということに対しての御答弁が、給與を良くする、或いは福利施設をやるというようなことが本であるように話しておられた。私はそんなことで能率は決して挙るものではないと固く信じておる次第であります。実は最近の実情を申しますというと、他の種類の工業その他の産業の從業員に比しましても、炭鉱の労務者は非常に惠まれておるのであります。ただ金を貰えばいい、物をやればいいというのでは、人間はパンのみで生きるものではないということは誰もが承知しておるのでありまして、若し今後こういつたような状況を続けて行くならば、私は決して増産を望むことができない、こう考えておるのであります。
 実は我々は片山内閣ができまして以來今日まで、この労働党の内閣ができて、いわゆる勤労者を監督下と申しますか、部下にしておるような立場上、必らず良い労務行政ができるだろうということを期待しておつたが故に、この内閣によつて國の産業も、石炭も無論でありますが、そういうものが非常に能率を挙げるということを期待しておつたのでありますが、ところが最近の状況は例えば電力だけの問題についてちよつと例をお話申上げようと思います。今日都鄙を通じまして、夜停電で以て皆バラツクの中の寒いところで震えておるような状況であります。暗いから蝋燭が必要でありますが、この蝋燭が配給がない。商工大臣にはつい最近質問を申上げたところが、蝋燭は前には年に八十万梱あつたのが、昨年は四万梱、二十分の一に減つている、こういうお話でありました。そういうような状態で、それに対する一つの手当もできないというのは、手当ができんというのも一つの理由でありますが、併しながら停電そのものの根源を遡つて見ると、炭鉱の方の炭が出ないということであります。それから又一方では他の産業で申しますと、今日大部分の工場が一週間に二日乃至三日しか仕事ができんというような状況にあるのでありますが、これはこの石炭を増産するということがないことには、日本の復興も、國民の生活安定も殆んど不可能であります。それにも拘わらずそれに対して石炭がなぜ掘れないか、事変中に十八トン掘つておつたのが、五トンなんぼしか出ないという理由はない。これは決して金をくれたり、或いは物をくれたり、或いは福利施設を増すが故にこの能率を増し得ると考えておるならば、私は永久にこれはいかないと思う。丁度それは子供を教育することを知らない両親が、ただ子供を甘やかす、お駄賃をやるから勉強しろ、或いは小遣をやるから使いに行つて來い、こういうふうなやり方で以て若し教育を誤まるならば、殆んど手の着けられないようになる。こういうようなことでは、國の産業というものはどうしても成り立たない、それと同じではないかと私は考える。それで、片山首相はこれまで「白書」というものを数回出されまして、そうしてそれぞれ國民に呼び掛けられておりますが、いつも「白書」を出し放しであります。國民の協力を得るまでにどうしても行かない。英國でも、アメリカでも、そうでありますが、労働党が内閣を取つたときに、その部下の労働組合などに対しまして、或いは時間を余計働け、或いは賃金も下げる、こういうことを労働党自身が言つておるのであります。ところが、日本の労働党の内閣は一向そういうことがない、ただ今以て賃金を上げたらいい、福利施設を増したらいい、こういうような考えで若しおられるならば、到底私は今回の法案の成功を期することはできないと思う。却つて國民を暗闇にしておるようでは、産業はいつまで経つても半分も三分の一も動かすことができない。こういうような状態でこの石炭を……、而もそれは電力百万キロに対して百万トンの石炭があればいいという話を聞いておりますが、そうすると二百万キロの電力は二百万トンの石炭があればいい。それさえできないということになつて來ると、我々はこれに対して大いに考えなければならない。これに対して首相の御意見を承りたいと思います。
#8
○國務大臣(片山哲君) 只今川上君が御指摘になりました通り、この法案は石炭増産を目当とするものでありまして、あらゆる点において増産に集中いたしまして、その企画を進めなければならないと思つておるのであります。その中特に今申されました労働問題でありまするが、私共の考えは、労働者に眞に働きやすい立場を作つて、生産意欲の高揚を図りたいと思つております。先に労働省を設置いたしたのも、労働者を指導して祖國再建に役立つように、眞に國家産業の発展の責任を分担させなければならない。こういうような意味で、健全なる労働運動の発展を心から希つておる次第であります。この意味におきまして、労働運動及び労働組合が最も健全に生産発展というところに集中して、この運動が展開されなければならないし、又政府といたしましてはこれを指導したい、かように考えておるのであります。我が國のこの労働者の立場が、外國と比較いたしまして非常に低い、又封建的な取扱を受けておつたというようないろいろの情勢がありまして、我が國の労働者の地位の向上を図つて行かなければならない、こういうことが日本民主化を唱えられまする際に強く叫ばれまして、労働者の地位の向上ということが強く取上げられたのであります。これは労働者の地位さえよくなればそれでいい、こういう意味ではなしに、地位の向上は産業の発展に役立つものである。地位の向上を図ることによつて増産計画を立てて行かなければならないという観念において指導しておるのでありまして、政府といたしましても、その点に極めて深い関心を持つておるのであります。そういうような意味で、恐らく商工大臣が言われました待遇を幾らかでもよくするとか、或いは賃金を上げるというような点は、地位の向上を図るということを通じて生産増強に役立たしめたい、こういうような意味でお答えしたのであろうと思うのであります。地位の向上、給與の引上げということだけが決して増産の役に立つものであるというような意味では勿論ないのでありまして、この労働組合運動の建前、或いは労働運動の建前から、特殊が我が國の情勢等に鑑みまして、一に生産発展のための基礎的要件といたしましてそういう問題を考えていたのであります。民主化運動が特に急激に発展いたしましたために、労働運動の中において、或いは組合運動の中におきましても、可なり矯激なることを主張いたしまして、労働者の立場のみの向上を図つたり、或いはそれを他の目的のために使うというような向なきにしもあらずと思うのでありますが、政府といたしましては、健全なる発展を指導したい。そうして増強運動に大いに責任を分担せしめたい、かように考えておるのであります。これは事業家方面におきましても、特に深い理解を持つて頂いて、一致した、協力した形において生産発展に邁進するように政府としては要望いたしておるような次第であります。
 特に石炭問題につきましては、政府が祖國会建の基礎としての石炭に深き注意を拂いまして、そうして國家管理案を提出いたしました所以も、この問題を國家は無視したり、或いはこれに無関心でおるわけにはいかない。どうしても産業発展のためには、石炭に対しまして、國家は積極的に増産の仕事をせなければならない。そうしてあらゆる面から増産を遂げて行こう。こういう意味で労働力も大いに発揚し、生産意欲の高揚に対しましては、できるだけの働きをいたしたい。又事業家方面におきましても、國家本位の立場に立つてこの問題を採り上げて頂きたい。こういうような意味で國家管理案を企画いたしまして、今回の御協議を経ておるような次第であります。一に國家全体の問題として各方面の協力によつて増産邁進をしなければならないと考えておるような次第であります。
#9
○川上嘉市君 労働者の地位向上というような点につきましては、私も全然同感でありますけれども、私が先程申上げましたのは、たまたま商工大臣よりこういう御答弁があつたという話をいたしましたので、それのみに対する御答弁を伺つたのでありませんで、首相御自身が本当に乗出して、勤労者に呼びかけて、もつと働かせるようにして頂かないというと、私共非常に労働党内閣に対して期待を裏切られたような感じを常に持つのであります。例えば炭鉱勤労者と他の勤労者と比べますならば、殆んど実質給與とか、その外皆加算いたしますれば、大体月一万円くらいの收入があるように聞いておるのであります。他の勤労者より遥かにいいのであります。いいけれども、併しながら何時間働けばいいというような、例えばアメリカで以て昭和七八年頃ニユーデイールの実行された当時に比較すると、これは生産量が余つて、そのために次から次へ失業者が出て千万人以上に達した。そういうようなことで三十六時間労働とか、或いは三十時間労働というようなことをやりましたけれども、併しながら日本の今日は、物が足りなくて、勤労の能率を最大に発揮することはできない。それに拘束何時間と、こういうふうなことでは……本当に働いてくれなければ困るのです。電力だけの話をしても、石炭において困つておるというような状況にありますので、殆んど何らその心髓を突いてその協力を求めるということをやつておらん。國家的の大衆運動というような國民運動、精神作興、そういうような運動にいたしましても、いつも「白書」を出しつ放しで、片山さんは風邪を引いておるのじやないかというような感じも起つたのでありますが、是非それを一つどこまでも遂行するというような方向に進んで頂きたいと思います。
#10
○國務大臣(片山哲君) 川上君の御注意は誠に感謝いたします。実はそういう方向で進んでおるのでありまして、「白書」を出しましたり、或いは実相報告書を出しました所以は、現下の経済状態、産業状態を國民に訴えて、國民の誤らざる判断を正確にいたさしめたい。こういうふうに先ず第一に診断をいたしておるのであります。経済診断をいたしまして、この経済診断で癒して、治療して行くのには、どうしても國民の全体の力を集中して行かなければならない。こういう建前で國民の協力を求め得る國民運動を起しておるのであります。國民運動と申しますると、直ぐ今までの精神作興運動、或いは政府が経費を出しまして、政府が笛を吹くだけであつて、國民について來い。こういうような官僚的な運動であると考えられたのを打破つて、本当に國民の中から澎湃として自然発生的に運動が展開されることを心から要望いたしておるものであります。
 即ち私の考えておりまする國民運動というものは、國民全体の認識を深めて、判断力を養成して、その意識水準を高揚して、國民の自然に盛り上る力によつて國家を再建する。経済の発展、産業の隆盛を來たさしめる運動でなければならないと、かように考えまして、強く呼びかけておるのであります。遺憾ながらいろいろの情勢によりまして、それが十分行亘らなかつた憾みがあるのでありまするが、これも万止むを得ないことであろうと考えておるのでありまして、八千万國民に呼びかけるのには、一月、二月、半年、一年、永い間かかるであろう。併しこれは政府が尚力の足らざる点があるのであろうと考えまして、鞭を当てまして努力いたしておるような次第であります。私共の考えは、勤労の尊重であり、科学の尊重であり、國民の道義の高揚でなければならない。それが産業発展に國民が協力する基礎になつて來なければならない。民主化運動が先ず政治的に形の上で発展し、形の上で発展したその形態を裏附けるための経済運動、國民が日本の経済を引受ける、日本の産業を引受ける、労働者が勿論日本の産業の第一線に立つて引受手になる。こういう建前を呼び起さなければならないのが國民運動である。かように考えまして、できるだけ努力いたしておるのであります。これは國民が理解がまだ足りないというわけで、國民になすりつけているのでは決してありません。政府がまだ努力が足りないのであろうと考えまして、まあ精一ぱい努力いたしておるような次第でありまするが、戰後の復興は十年或いは十五年、長ければ二十年かかるであろうというようなこの大きな痛手でありまするから、この痛手を回復するには、なかなか容易な仕事ではないということを、まあつくづくと感じておるような次第であります。川上君の御注意のように、少くとも私共は過去二十年、三十年の長い間を、労働者の地位の向上を通じて、國力の充実に寄與しなければならないという建前を取つて來たのでありまするから、それをできるだけ具体的に、実際的に現わして行きたいということに対しましては、今後と雖も十分努力を拂いたいつもりであります。一に虚心坦懷の心持を以て、國家経済の充実を図りたい。そうして個人の生活の安定、個人の職業の確保を図るという、この関連性を認識いたして、國家経済と個人経済の充実を通じて、祖國再建の仕事を完遂いたしたい。かように考えて最大の努力を拂いつつあるような次第であります。
#11
○川上嘉市君 私がもう一言最後に申上げたいと思いますのは、この國民の奮起を促すということについて、実はもつと本当に苦い言葉を言つて下さいというのが私の希望であります。例えば農山漁村というものは、他に比べてこれだけ多い。或いは炭鉱の勤労者は、他の勤労者に比べてこれだけ多い。だからして君たちしつかりやつて呉れと、こうなぜ言わんのか。今まで一言もそれを言わない。どの政党も言わない。先程労働党と言いましたが、社会党の誤りでありますが、誰も言うものがない。これは私の邪推かも知れませんが、そんな氣がするのであります。例えば農村でお茶が一年に二百五十万円できる。そういうことは殆んど我々の想像に絶する問題であります。我々は戰後一年間一生懸命にやりましても、仮に一億円、二億円の資本を以て、何万人の從業者を使つてやつておつても、今まで一回の配当もない。全然赤字を以てやり続けて來ておる。それに比べて、ただ一家族だけで無資本で仮に一ケ年二百五十万円の收入があるということになると、これはどう考えて見ても不合理極まる。併しながらそれを一人も言う者がない。農村には食う物がある。だからしてもう少し辛抱してくれと言うのはなぜ惡いのか。炭鉱も同樣で、これを言わない限りは、ただよくしてやる、もつと福利施設もやつてやる、だから働けというのは、これは恰も子供を甘やかしておるようなもので、惡いことを一つも言わないと、こういうことであつては、いくら経つても國民は協力することがない。いかに考えても誠に不合理であり、非常に不均衡である。その不均衡を直してやるためには、どこから手を着ければいいということは極めて明瞭であるにも拘わらずこれをやらない。そういう感じがしてならないので、この点一つ是非御考慮下さいまして、將來本当に日本を再建して頂きたいと思うのであります。
#12
○國務大臣(片山哲君) 只今の川上君の御意見でありまするが、決して私共は諂うとか媚びるとかいうような政策も取つておらず、又そういう説明もいたしておりません。富の偏在を打碎いて、公平なる分配をして、乏しきを分け合つて行かなければならないということは、これは組閣当時から強調いたしておる点であります。殊に今日のように資材の乏しいときでありまするから、國民皆乏しきを分け合つて耐乏生活をしなければならないということは、全國民に向つて強く要望いたしておる点であります。成るほど農村には新円が沢山入つたとか、或いは都会の人の衣服類が農村でうず高く積まれておるとか、漁村にも金が大分集つたとか、いろいろの浮説がありまするけれども、その実相を的確に調べておる人もなかなかないのでありまして、具体的に個々の問題を取上げて、どこの方面にはどれだけ積まれてあつたとかいうようなことを指摘することは甚だ困難でありまして、大体として私の考えておりますることは、富の偏在はどうしても打破らなければならない、独占禁止法の上程、或いは又経済力集中を排除して行かなければならない、産業の民主化を強く主張する。こういう建前で進んでおるのでありまして、総括的に考えまして、我が國における勤労大衆の生活というものは、水準としては低い方であることは否めない事実であろうと思います。一時的には新円が仮にかたまりましても、子供の教育でありまするとか、或いは文化生活のために、即ち憲法で保障されておりまする健康にして文化的なる生活を確保して行こうという点からいいまするならば、我が國の勤労大衆の生活水準というものはまだ低い、非文化的のものであつて、どうしてももつと文化的にして、健康的にして、且つ教育の普及徹底を図り、社会生活の水準の引上げをやつて行かなければならない、こういう点については異論のないところであろうと思つておるのであります。そういうふうに國民全体の生活水準を、今少しく文化的に高揚しなければならないということは、大きな民主化の仕事であろうと考えておるのであります。正しからざることをやつて富を蓄積するということ、或いは又独裁的なこと、封建的な建前によりまして富の偏在いたしますることに対しましては、強い処置を取らなければならないのでありまして、この点につきましては、今日まで私共は乏しきを分け合う耐乏生活を要求いたしておるのでありまして、これも勤労大衆に向つて、特に働く人に向つて、特に私は耐乏生活を要望いたしておる次第でありまして、川上君の御指摘になりました趣旨、精神においては、決して怠らず私共は努力しておつたのでありまして、その点は十分に御了解を賜りたいと存ずる次第であります。
#13
○藤井丙午君 石炭増産の問題は、これは炭鉱の経営者並びに勤労者諸君の奮闘に俟つことは無論でありますけれども、これは資金の面におきましても、資材の面におきましても、一般の産業経済との綜合、有機的な関連においてこれは推進さるべきものであると私は考えるのであります。然るに最近の産業経済の情勢は、もうすでに御承知のように、石炭の不足に加えまして最近の電力、危機の非常に深刻な樣相は各重要産業におきましても、殆んど一週間に一日乃至二日の操業しかできない、殆んど休止状態になつておりまして、ために重要物資等の生産の減退は非常なものであります。このために各企業体におきましても、一面におきましては一般的な金融梗塞と相俟ちまして、非常に資金難に当面いたしておりまして、重要工場におきましても、從業員の賃銀支拂を月に二回、三回、或いはその翌月に支拂を引延して行くというような実情に当面しておるのであります。又一方從業員諸君におきましては、政府の今日までのいろいろの施策に拘わりませず、惡性インフレーションの進行度は非常に急速度になつて参りまして、最近まで一般の産業界でも三千円乃至三千五百円の賃銀要求が、最近においては五千円、六千円、七千円の賃銀要求をせざるを得んような生活状態に、実は勤労大衆も亦一般國民も追込まれておる、こういう状況になつておるのであります。更に又今回の國会を通過しまする厖大な追加予算等の財政放出によつて、この通貨の膨張、惡性インフレーションの進行速度は非常に急激になるだろうと思うのであります。かような状況におきましては、折角の輸入回轉基金も、現在の生産事情ではこれを消化し得ないというようなことでございまして、当面の電力危機と相俟ちまして、この暮から來年の一月、二月、三月に亘る経済危機の様相というものは、その規模においても、その進行の度合におきましても、從來言われて來た三月危機、五月危機というものとは、到底比較にならない程経済の破壊の段階に突入するということを我々は心から憂慮しておるのでありまして、これに対しまして総理大臣といたしましては、この当面する経済危機に対するどういつたお見通しをお持ちでございましようか、又これに対する如何なる対策を以てこれに対処せんとされるのであるか、今までの経済緊急対策に盛られたようなあの線で以て、これを飽くまで続けて行くか、その外に何か当面の危機を突破する対策として、特別な具体策をお持ちになつておられるでありましようか、その点につきまして、総理大臣のお所信を承りたいと思います。
#14
○國務大臣(片山哲君) 戰爭で荒れ果てておりまする各國ともインフレに悩んでおることは現実であろうと思います。このインフレを防止しなければならないということが、戰爭のために悩まされた國民の最大の責任であろうと考えております。時局担当をいたしておりまする政府といたしましては、このインフレ防止に最大の努力をいたしまして、それに集中して今日まで参つて來たわけであります。このインフレが進行しておるから、今までの政策を捨てて、そうして別の方法を採るという考えがあるかというような御質問に対しましては、私共は、今まで採つて來たことがインフレ防止策である。更にこれを強化いたしまして、インフレを防止するための政策を強く打立てまして、その努力を続けたいと考えておるのであります。それは七月に立てました新物價体制、又は只今御指摘になりました緊急対策、突破対策でありまするが、これは緊急当面の処置でありまして、それに應じまして新物價体制を立て、賃銀のベースも定めまして、そうして國民の協力を求め、政府が陣頭に立つて努力を拂つて行つたのでありまするが、難事中の難事とも言うべきこの問題は、大風が吹いて來るような、大河が押寄せて流れて來たるようなものでありまして、國民全体の力を以てこれを防止しなければ、防止し切れないものであります。そこで政府といたしましては、この新物價体制を尚堅持いたしたいと思つておりまするが、併しその凸凹等がありまする問題については、これを調節いたす必要を感じております。調節いたしまして、そうしてこの物價体制というものを更に合理化しこれを強化いたしまして、その建前におきましてインフレの防止に最大の努力を拂うつもりであります。そうしてこれを通じて闇を撲滅し、いわゆる流通秩序の確立を図り、生産資材がマル公によつて生産資材として十分廻るようにして、産業の発展に役立たしめるようにして行かなければならない。この産業の発展、國家経済の隆盛を目当として行くためには、どうしてもこの方法を採らなければならないと考えておるのであります。
 財政におきましても健全財政の建前を堅持いたしまして、そうして國民全体がそれぞれ分に應じまして、今日の國家財政を、この戰後の破綻に瀕する財政を國民全体が、すべての國民がこれを深く認識いたしまして、乏しきを分け合つて、能力に應じて國家財政を担当する。こういう氣魄がなければ、この破綻財政に瀕する状態を乘り切るわけには行きません。その意味におきましてインフレが進行するから統制を廃めて自由経済にしたらどうかというような意見は、我々は全然採らないのであります。その意味においてどうしてもこの乏しき経済の眞中でありまするから、乏しきを分け合うためには、國家が計画経済を立てまして、そうして國家経済をよくし、同時に個人経済にも耐乏を願つて、相共に協力いたしまして、このインフレ防止に進んで行かなければならないと考えております。併しそれだけで止るのではなくして、來るべき通常議会におきましては、積極的な文化國家建設の政策をできるだけ可能な範囲において、今日の財政の許す範囲内において、これを盛り込みたいと考えております。文化國家建設の政策というのは、ただ享樂という意味ではなしに、眞に我々の目標といたしまする文化國家を建設する経済的、財政的、産業的基盤を國民全部の理解によつて立てて行かなければならないのでありまするから、その意味の産業政策、経済政策をこれから盛つて行きたいと思つております。即ち建設政策、或いは今後における長期計画の第一期計画、冒頭計画とでも申しまするか、新しき我々の祖國再建計画であります。その積極的な部面をこれから盛りたい。かように考えておるのでありますが、全く組閣後、この議会が連続続きまして、今日までその新しき問題を盛り込む時期も自然を延びるような状態にありまして、恐縮に思つておりまするが、第一回國会終了、第二回國会の開会を機会といたしまして建設計画に乘り出し、一面においてはインフレ防止に対して最大の努力を拂いつつ、他面積極的な方面に乘り出す決意をいたしておることを御了承願いたいと存じます。
#15
○藤井丙午君 今日までの片山首相初め現内閣のインフレ対策にしましても、経済諸般の対策にしましても、非常な努力と御苦心をされておることは我々も十分諒とする者であります。只今お話が出ましたように、高度文化國家建設の基盤となるべき、やはり経済的な條件を、先ず整えるということが前提要件であるというお話は、私の全く同感とするところでありますが、先程も申しまするように、今当面しておりまする危機は非常に深刻であり、これ変更に急速に私は進むものかと実は憂慮する者であります。それにつきましては、先ず当面の電力対策を是非ともこれは緊急に立てて頂きたいと同時に、やはり石炭にいたしましても、熱源はなかなか急速には確保できません。このためには、私は來年の少くとも三月までと目されるその非常な危機に対しまして、連合國の特別の御配慮によつて、何らかの緊急の援助を仰ぐようなことが必要ではなかろうか。それなくしては今のところ私はなかなか突破できないじやないかという実は憂慮を持つ者でありまするので、これに対して、政府として何か輸入回轉基金のみならず、その他の方法によつてこの急場を凌ぐ援助を墾請するような御用意があるかどうか、これを伺いたい。
#16
○國務大臣(片山哲君) 今の電力危機は誠に憂慮すべきことでありまして、政府といたしましても、國民に非常な不自由を掛けておることを心を痛めておるような次第であります。何とかしてこれを乘り切つて行きたいということで、先にも電力緊急対策を立てまして、國民にも呼びかけておるような次第でありまするが、諸條件が誠に不自由でありまして、十分なる供給をすることができないのでありまするが、これをこのままできないできないと言つて、申訳をしておるべき時ではないのでありまするから、まあ最大の努力を拂つて、電源の問題について努力いたしておる次第であります。前にも本院の燃料綜合委員会でありましたか、委員会が開催されました時におきまして、この問題について、火力電氣或いは水力電氣の問題について、各委員より熱心なる又有力なる御意見がありましたので、政府といたしましても十分この問題を考えて、諸君の御意見を参照しつつ対策を立てたいと考えております。併し何分資材欠乏の時であり、又諸條件が惡いのでありまするから、これらは是非とも十分に、汲んで頂きたいと思います。只今の墾請の問題でありまするが、これも十分に政府では考えております。併しできるだけのことをして、なすべき方法を講じた後でなければいけませんので、丁度お米の問題と同じようなことで、盡すべき途を盡した後にその方法を採りたいということを考えて、できるだけ善処いたしたいと存じておる次第であります。
#17
○藤井丙午君 墾請の問題は、これは非常にデリケートな問題でございますからこの程度にいたしまして、私はこの管理法案につきましてもう一点だけ一つお伺いいたしたいと思います。先程來の総理大臣の縷々御墾切なお話、川上委員に対するお話によりましても、この臨時石炭鉱業管理法案に対する総理大臣のお氣持は私は十分了解する者でありますが、ただ実際問題といたしまして、先般の衆議院を通過しましたこの修正案の反響を見ましても、経営者陣営は依然として全面的に反対を強硬に主張いたしておる実状であります。又労働者陣営におきましても、これは先般小林委員から商工大臣に対して御指摘になりましたが、公聽会その他におきましても、労働組合側は全炭鉱の國家管理指定を第一の條件とし、第二には生産協議会の決議機関であることを絶対條件として強く主張いたしておりまして、今回の修正案に対しましては、非常な失望感を以て迎えておりまして、我々の見聞するところにおきましても、この國家管理法案によつて苦しく生産意欲が高揚するというふうには受取り難いような雰囲氣を実は感ずる次第であります。又一方政府部内におきましても、この案がむしろ政治的な問題にすり換えられまして、石炭増産という具体的な條件を具備して行くという現実的な問題から、むしろ政治的な問題に置き換えられてしまつた。政府の関係官吏の中にも、非常に当初と違つた、何といいますか、氣分的にも非常に熱意を喪失しておるような傾向に私は伺つておるのでございます。かようにいたしまして、第一條にありますように「政府、経営者及び從業者がその全力をあげて石炭の増産を達成することを目的とする」というこの法案が、現実の情勢からいいますれば、政府は別といたしましても、経営者陣営も、労働者陣営も大してもう意欲がない、こういつたようにこの案自体がなつております。これが果して現実にそれ程積極的に増産に役立つものであるかどうかということが、國民並びに参議院におきましても、果してこれが増産になるかならんかということが、非常な関心事でございますが、これに対する総理大臣の現実の今の産業と睨み合せての卒直な御見解を伺いたいと思います。
#18
○國務大臣(片山哲君) 私の卒直なる心持は、石炭問題について今までのような状態を続けて置くわけには行かないと思うのであります。どうしても國家がその増産に対してできるだけの方法を講じて援助をいたしまして、その増産計画の遂行を図らなければならないと考えております。その意味においてこの法案は確かに増産になると信じております。ちよつと國家がこういう事業をなすということに対する私の所信を申上げて見たいと思います。國家が官僚的な國家でなくして、本当に産業國家と申しますか、民主國家、即ち國民のために仕事をしなければならない國家が機能を持つのであると思います。國家が國民の幸福のために働かなければならないし、國民に必要なる仕事をしなければならない、そういう意味において、新憲法下の國家の樣相が変つたのであります。これから國家はどしどしと仕事をしていいのである、かように考えます。國家の仕事に從事する官吏は國民の公僕であるという議論も、ただ口でいうだけでなしに、事実の上に現しまして、どしどしと仕事をする。かういう建前で行きまするから、現下最も必要でありますところの石炭増産に対しまして、國家が拱手傍観するわけには行きません。どうしても積極的に乘り出しまして仕事をして、國民のために奉仕する、産業発展のために奮闘努力する、こういうことが必要だと思います。そこで政府の方でいろいろ考えまして、できるだけ政府が働きたい。そうして労働者にも生産意欲の高揚を図り、又事業家にも今までの状態からいくらか辛抱を願つて、共に協力して貰いたいという案で作つたのでありまするが、今日の政治は多数政治であり、妥協して行かなければ、その結末を見ることができないのでありまして、結局各方面の意見を容れまして、今日のような状況になつて來たのでありまするが、この案においても衆議院で通過いたしました案によりましても、必らず増産はできるものであるし、又増産さすべく、政府は勿論のこと、関係者一同これを育て上げて行かなければならない、これは國家のために必要である。産業発展のために是非ともこの計画を育成して行かなければならないと私は考えておるのであります。そういうふうにして先ず手始めに産業の母体である石炭に手を着けました。國家が仕事をする。そうして産業の働きをする。こういう我が國の民主國としての計画を挫折せしめないように、各方面の御協力を仰ぎたいのであります。事業家諸君からは反対を受けておりまするが、併し今日は荒れている野原を地均らしして立て直さなければならない時期でありまするから、事業家諸君にも御辛抱願い、御協力を願う。労働者大衆の中には強いことをいわれまする諸君もありまするけれども、そう理想案では行けないものでありまするから、各方面の讓歩を願つて、これがぎりぎりのところではなかろうか、こういう意味でこれを育て上げて行くように、何卒諸君の御協力と御審議を心から希つているような次第であります。
#19
○大屋晋三君 議事進行につきまして、総理大臣にまだ質問をしたい委員が数名あろうと存じますし、丁度十二時でございますから、これで一旦休憩して、午後から一つ再開ということにして是非総理大臣に午後にも御出席をお願いいたしたいと思います。
#20
○委員長(稻垣平太郎君) それでは総理大臣はお忙しいようですが、午後は三十分ぐらいならというお話でありますから、三十分ぐらいの時間でどうぞお願いいたしたいと思います。それではこれにて休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。
   午後零時九分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二分開会
#21
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより再開いたします。大藏大臣がお見えになつておりまするので、大藏大臣に対する御質疑を願いたいと存じます。
#22
○玉置吉之丞君 私は大藏大臣に対して二、三お尋ね申上げたいと思うのでありますが、片山内閣は、マツカーサー元帥の片山総理に当てられました書簡に基いて、石炭非常増産対策要綱というものをお作りになつたのでありますが、その中に基本方針として「石炭増産に関する最重点主義は今後に於ても引続き一層確実迅速に推進する。特に既定の施策の実績を檢討し不徹底且つ不充分な点は各所管官廳に於て責任を以て急速に改善実行する。」こういうことが基本方針の第一に謳われておるのであります。その次に要綱の中にこういうことも書いてあるのであります。「現行現場給食を継続する外、本方式実行に伴う能率向上による所得で一定基準以上のものに対する所得税について特別の措置を講ずる。」こういうことを謳つておるのでありますが、この問題につきましては商工大臣も、各炭鉱を視察した結果、この勤労所得税の取り方については、労働者の生産意欲を阻む点があることを痛感されて、本鉱工業委員会の席上において、我々同僚委員の質問に答えて、近くこの実現を期する旨の明答をいたしておるのであります。又我々同僚委員より各炭鉱視察に赴かれました議員視察團の御報告によりましても、この点を力説いたしております。然るに今日尚これが実現方について何らの発表がないということは、如何なる点に障害があるか、この点を先ず第一にお伺いしたいと思うのであります。
#23
○委員長(稻垣平太郎君) ちよつと速記を止めて……。
#24
○委員長(稻垣平太郎君) 速記始めて、……。
#25
○玉置吉之丞君 臨時石炭鉱業管理法案が國会を通過いたしますと仮定いたしまして考えますときにおいて、國家がこれを管理する場合に若し炭鉱の事業において、損失の生じた場合はこれを補填する、補償するというような條項が含まれておるのでありますが、この問題につきまして、先日委員外の一松商業委員長が商工大臣に対して損失の基準の考え方につきまして、質疑應答がありましたが、もう一つ私共には何か肚に入り兼ねる点があるのでありますが、今日まで昨年の四月から十月まで、及び本年の六月に至る間に約六十四億円ばかりの赤字が出、これに対して政府は補償をしておるが、まだ残つておるものが三十五億円以上あると私は思うのでありますが、こういうものがすべて未決済になつておるに拘わらず、若し今後において、こういう指定炭鉱の中、損が起きて來るということを國家が補償するという建前において、而もその損失は固より國会の承認を経なければ支出できないという建前になつておるのでありますが、こういうことにつきまして、大藏大臣は現下のこの石炭の炭價、これは又業者の方面からの要求によりますと、私共は石炭協力会の資金の問題も、常に日本銀行なり、復金の人と、炭鉱の代表者と金融の面についてのお話を伺つておるのでありますが、それらの人々のお話によりますと、すでに九百六十五円という今日の炭價は、それを上廻つた原價に対して赤字を出しておる。その赤字を出しておるために、何とか金融の途を開いて貰わなければ、山の経営ができないということを聞いておるのでありますが、それは諸般の経済情勢から考察いたしまして、尚段々その原價が高くなる。そうして一方において炭價を抑えて高くなる結果が赤字を生ずるということは、自然の道理であります。その結果は行き詰りを來たして、やはりこれも亦政府へ、前の例のように赤字の補填方をいろいろ陳情し、要求して参ることと思います。そういうようなことにつきまして、私は國家管理に移すことにおいて、即ち政府の財政の上に大なる負担を増すということを考えなければならん。そういうことを考えるときには、こういうような法案を以て、石炭の増産を図るというよりも、むしろ私はこの石炭非常増産対策なるものの中に含まれておるものは誠に時宜に適したやり方で、これが一番明確だと思う。而もこのことをきかない山に対しては金融をしないのだ、こういうことをたびたび商工大臣は当委員会においてお答えになつておる。私はこれに対してこれを行わないものに対しては金融をしない、こういうような考え方で行くということが、明確に増産を進めて行く上において近途であると、かように考えておるのであります。これに対しましての大藏大臣の一つ所信を伺つて置きたいと思うのであります。
#26
○國務大臣(栗栖赳夫君) お尋ねの前の点を先に述べさせて頂きます。炭價の関係から赤字が出ておるということと、國家の補償する、損失補填ということはこれは別個に、法案にも現れて、考えなければいかんと思います。一般にこの價格その他の関係、その他で赤字が出る。それは常に國家が補償するんだ、國管になりましても……。ということになりますというと、これは國家の財布を握つております大藏大臣としてはとてもできんことでありますし、それで政府が命令をしてそれによつて生じた損失というものについて補償をするというように非常に限定されておる次第でありますが、その二つの点は区別して一つ考えておる次第でございます。
 それから今玉置議員からの炭鉱業者に対する金融その他についてのお尋ねがあつたのでありますが、私も大体同感であります。実際私共すでに石炭業者に対する金融は永年いたしておつたのでございます。そうして大体その監査その他の点というものを、融資しております金融機関として嚴重に常に話しておつた次第でございますが、昨今の状態を見ますというと、それは玉置議員のお口裏の中には含まれておるだろうと思うのでありますが、今の石炭業者が金遣いが十分つつましく使つておられるかどうかという点に至ると疑問があるのでございます。それは私は復興金融の関係、或いは金融機関の関係におきましても、多分にそれを見るのでございますが、併しそういう点におきますというと、やはり監査ということを非常に嚴重にいたしまして、そうして資金の使い方の無駄でないようなことを十分いたして行くということが必要であると思うのであります。今多少の赤字が出ておりますが、これは炭價だけの点で私はないと思うのであります。現に会社の実状についてもデーターを持つておりますけれども、炭價の点もあると思いますけれども、その外に経営の合理化という点をもう少ししなければならん点が非常にあるのであります。それでそういうものが相俟ち、又それにはいろいろな隘路が相俟つて赤字となつておると思うのであります。こういうものにつきましては、政府としては増産ということも大いに考えなければならん非常に大事なことでございますが、それに対する金融は、やはり経営の合理化というものが徹底しておらんというような点から來る赤字は飽くまでこの事業自体において赤字を補填するような方法において経営を改めて貰わなければならんと思うのであります。それから價格の点についてそれがあるとするならば、これは又別途に考えなければならんと思うのであります。この両方をいろいろ実現して行かなければならんと思うのであります。金融の点についてもその両方をよく見て、そうして適当に、増産になるように、而も赤字は或る時期には克服するような方法を以て金融を実際に行なつて行かつといかんと思うのであります。
 ところがこの國管を実行した場合でございますが、この監査の点がどうも有体に申しますというと、戰爭中の軍需会社と同じような弊に陷つてはいかんと思うのでありまして、それにはこの復金などについて監査をいたしておりますけれども、これでも尚十分でない点があるのでございます。そこで監査の点については、殊に経理、そういうような点は國家管理に移しまして十分そこを徹底的に調べて行く。そうしてこの金融は時宜に適するような金融をいたしますと同時に、金融したあとの監査というものも十分考えて行つて、そうして増産になるように経営の合理化が目的を達するような方法をいたしたいと思うのであります。金融ということがただ机の上の問題でなしに、実際時宜を得なければ何にもならんのであります。それと同時に又こうした金は闇に流れたりすることが仮りにもあつちやいかんのであります。そこで監査とそういうものと両々相俟つて、そうしてそれもただ机の上のプランとか、文字の上での監査なんというのでなしに、実際についても十分やりたい、そうして増産ということの実を挙げたい、こう考えておる次第でございます。私は経理の監査とか、経営の監査という点においては、今度の國管法が制定され、そうして施行になりますならば、実際徹底的にその点を見てみたい。企業経営の上からいつても見て行つて、そうして実を挙げるようにして行きたい。金融機関として十分でなかつた点が、今まで十分力を持つておらんためになかつた点が多々ありますから、十分その辺をやつてみたい、こういうように期待をいたしておるような次第でございます。
#27
○玉置吉之丞君 大臣の御説明によりますと、本法に盛られております損失の補償につきましては、何か設備とか、政府が命じてやつたものに対する損失は補償する。併しながら炭價の値上げは、それによつて損を生じたものはこれは補償しないのだ、こういうような御答弁と思われますが、これによりますと、実際の問題としてここに赤字が出て來る、その損失が出て來たときに、管理して炭鉱がやれないという場合に、一方の施設した分だけは補償するが、片一方は知らないから損しただけやれ。こういうことをやつて果して実際に即して各事業の経営ができるかできないか、理窟上は一應分りますが、実際問題として、あなたは業界に、多年銀行業者として御経驗があられます方でありますから、こういうようなことで、そんな二本建で、そういう三百代言的な理窟で、これが行きますかどうか、もう一度お伺いします。
#28
○國務大臣(栗栖赳夫君) 先程私申したのでありますが、普通の炭價その他で赤字になつたものは、これは價格を改訂し調整をいたしまして、それをカバーするというのが原則であり、又政府の採つておる考え方であります。それは時期的にズレその他が多少出て参ります。それは又別個の方法で時期的なズレその他は考えますが、原則としてそういうような價格の点で生ずる赤というものはこれはやはり價格を調整してカバーする、こういう建前で行かないというと、これは事業者としてもお困りでありましようし、又金融する者でも困ります。政府としても困ると思う次第でございます。
#29
○玉置吉之丞君 これは実際問題として本法が若し國会を通りまして、運営する上において、私は大なる支障になる問題だと思いますが、この問題はこの程度に置きまして、今後この國管に移して各地方に石炭局を置いて、そうして石炭局長が実際に炭鉱の監査、監督、管理を行うわけでありますが、そういう場合に必ずこの資金の面、資材の面について問題が起つて來る、その時にこれが中央まで一々來なければ金融ができないというようなことであつては、私は実際増産という目的を達する上において大なる支障があると思うのであります。
 次に私は復金なり、日銀なりの機能を九州なり北海道に持つて行つて、そこで石炭局長が徹底して、これだけの資金が要る、この炭鉱にはこれだけの金を注ぎ込んでやらなければ、この山の増産というものが促進できないというようなことを判断した場合には、その地方々々において今後そういう機関を設けて、そうして東京まで出て來なくとも、五億や十億の金ができるようにしてやらなかつたならば、この運営が完全に行かないと思うのであります。又今日北海道なり九州から、僅か五千万円位の金を借りるためにわざわざ上京して來て、いろいろ走り廻つておりますが、これが金の價値が下つて來た今日においては、前ならば百万円位の金を廻すのに地方の銀行で何とか融通がついたものが、今日一億とか五千万円というものは、大変金の呼び声が高いために、又銀行の人の頭が完全に切替えられていないために、今までであれば一ケ月や二ケ月の経費を賄うのに地方の銀行で済んだものが、東京まで來なければならんというような実情から考えて見ますと、石炭の増産をさすという上において、それを迅速に行うという点から考えて、どうしても石炭局というものに並行して、金融機関がそこでその裁きをつけるということでなければならんと思うのでありますが、私は今大臣のお話になつたように、復金をして監査を嚴重にするということも、一つの行き方でありましよう。それよりも、むしろ私はこの管理案を出すよりも、これに基いて商工省には平井さんのような、吉田さんのような練達堪能の人がおる、こういう人を一つ監査する人にして、そこに相当なエキスパートをつけて、嚴重にこの増産の面の隘路を打診して、どこに隘路があるかそれを調べ、資金でも必要があるならば、又資金の面と折衝して、そこからそういう援助の手を出す。又資材の面において不足して、実際の問題としてそういう資材が足りないというならば、そこに政府の力を以てこれを助成するというような行き方の方が今日の実情に即しておると私は確信いたしておるのでありますが、これに対する大藏大臣の所信をお伺いして見たいと思います。
#30
○國務大臣(栗栖赳夫君) お尋ねの点の前の点について申上げて置きたいと思います。炭鉱の國管をいたしました場合に、金融との関係を如何に疏通するかという問題について二つの面から私共は考えておる次第でございます。一つは業者の面であり、一つはこの管理若しくは金融機関の方の面からでございます。金融機関の方の面を申しますというと、これは今日までに一々東京か大阪に來て、金融機関の本店まで來て、大きな金額であれば、話をしなければ纏まらんというようなことがしばしばあつたのでございます。併しこれは今後はこの企業等も相当分解をされて來る時代でございますので、そういう弊は改めまして、実はこの委員の中にもこの案が決まります時に、大藏省といたしましては、金融機関の代表者、各地の財務局長、或いは金融機関の代表者、或いは日銀の支店長、こういうものを入れまして、そうして各地方地方で敏速に金融の疏通を図るというようなことを考え、それを実行に移すつもりでございます。それからシンジケートとか、その外によつてこれの運用をよくするという必要もございますので、この地方銀行等の連繋をも考えておる次第でございます。
 それから業者の方としましては、今まで炭鉱の、例えば一社が一山持つておる場合は問題がありませんけれども、一社が二個以上の山を持つておる場合に、大体山ごとに管理者ができて、経営されることになります。そういう場合には、その山の人では、管理者になる人であつても、金融は今まで何もしておらんわけであります。これは本社で纏めて金融をいたしておるわけであります。そこで今後はどうするかという問題が残ると思うのでございます。そこでこの山々で、この金融をし、又しなければならんような場合には、委員の中にも、金融界の人が入つておりますから、十分に迅速にいたしたいと思つております。併し大きな金融の場合には、金融機関としては、山を対象に貸しましても、数個の山を持つておる場合には、全体の会社の利益とか、收益というものを、併せて見なければならんことになるわけであります。そういうような場合には、一應業者とか、その他とも、中央でも話合いまして、金融の枠などを決めまして、その枠の範囲では、各山ごとにもやらすというようなことも考えたいともくろんでおるような次第でございます。
 それからこういうような監査の管理その他の経営の管理をしなくても、増産の実が挙がるじやないかというお話が最後にあつて、大藏大臣としてはどうかということであります。資材の点では、ちよつと私の所管でありませんから、ここで申上げ兼ねる次第でございます。資金の点におきますというと、この管理をいたしますによりまして、効率的にこの資金を使用さして、供給をいたしまして、そうして而かも効率的に使用さすために、よそにその金が流れ出るとかいうようなことを十分抑えることができると思うのであります。この点につきましては、業者においても非常に氣を掛けておられると思うのでありますが、ややもすると、月末の金を月初めに融通するというようなことも起きて來る。その間には、いろいろ流用されるということもありますし、それから或いは從つてその他に納まるべき金が、給料その他の方に流用されておるというようなことが仮にもありますと、いろいろな点において困るのであります。この管理によつて一切を我々が見ると同時に、必要な金は單刀直入的に供給をして、無駄を省くということにいたしたいと思うのであります。尚監査につきまして、復金が今まで炭鉱金融をやります非常金融でありますが、その監査をしておる樣を話したのであります。この法律ができるようになれば單に金融機関だけの監査だけでなしに、國家として監査をするわけであります。これはいろいろな方面の人が動員ができて、実が挙がると考えておる次第でございます。
#31
○玉置吉之丞君 大藏大臣は、今官業が振わないで、鉄道なり、通信の特別会計において、相当國庫が重い負担を負うて、このために、今度の追加予算をお組みになる上について隨分お苦しみになつたと私は推察するのでありますが、そういうようなふうに、石炭のような仕事を又國家の管理に移して、國家が資金の面を直接面倒を見るというような事柄は、私は今後において、國民の負担を増すというような点について、多少の懸念を持つておるのでありますが、こういうことにつきまして、鉄道、通信その他の仕事の面と睨み合せて、先刻総理大臣は、これからすべて重要な産業は國家でやつて行きたいのだというようなことを申しておりましたが、一体あなたの正直な一つお考えをこういうあらゆる産業の面を國家が直営して行くということがよろしいのか、又そういうことをしない方が將來國家の……、あなたのおつしやる健全財政の上において、どういうお考えを持つておるか、正直な所を伺つてみたいと思います。
#32
○國務大臣(栗栖赳夫君) 先ず國管の問題であります。運営の問題でありますが、これは制度の問題と共に、運営の問題を十分考えなければならんと思います。私正直に申しまして、特別会計である鉄道とか、或いは通信については、この民間の企業と比較して見ますというと、余程その間に無駄と無理が大変あるということは、私はここではつきり申上げられると思うのであります。それは企業の経営ということを合理化するという意味からも、その線に沿うていろいろやつてもらいたいということを、私考えておる次第でございます。この國管の運営につきましても、私は人の問題が第一である。こう思うのでありまして、適材を適所に、そうして少くとも経驗を持つた民間人なら民間人を適所に拔擢して据えて行く。そうして形式よりも実の挙がるようにするというような方法で運営し、人も配置して行かなければならんと思うのであります。そういうようにして行くならば、これは民間企業におけると同じように、又長所をも加味されて、運営されるのではないかと思うのであります。
 それから企業全体の問題につきましては、私こう思います。この企業は、やはりその性質によりますけれども、一般としては、民営で行くべきものと思うのであります。併しその性質上、或いは公益とか、その他の関係上、必要がある点においては、これは國管をしようと、或いはその他の方法を採ろうと、これは考えられると思うのであります。どうか一つ……。
#33
○玉置吉之丞君 大藏大臣のやや正直な答弁を聽きまして、私も自分と考えを等しうするものがあると伺つたのであります。私ははつきり申上げておきます。こういう無駄な、手間のかかることをやつたら、減産になるのみならず、國民の負担が増すということをはつきり申上げて、私の質問を打ち切ります。
#34
○委員長(稻垣平太郎君) 外に大藏大臣に対する御質問は……。
#35
○委員外議員(一松政二君) ちよつと伺いたいことがあるから、発言さして頂きたい。只今の大藏大臣の答弁によりますと、金融その他、山の監査をするのに、この管理法案が必要であるような御答弁のようでありますが、しかとさようでありますか。
#36
○國務大臣(栗栖赳夫君) 私は、大藏省の所管の面で申したのでありまして、その外増産ということが第一の目的であることは、申すまでもないことでありますが、この金融をいたします場合に、この監査ということが裏表でありまして、注ぎ込んだ金が、適所に適当に使用されなければなんにもならない。そういう点を見るのには、從來金融機関としてやつておりますのに、極めて不十分であります。それから現在のところを申しますと、この炭鉱に金融をいたしておりますが、その金が適所に行つておるかという点において、つかまえるにも、実は復興金融委員会でも、多少骨を折つてやつておるような次第であります。この点は相当矯められる次第であります。
#37
○委員外議員(一松政二君) 大藏大臣は、重要鉱物増産法の第十七條を如何御解釈になつておりますか。重要鉱物増産法であります。昭和十三年に制定されました。それを、十七條を見ますと、「政府ハ重要鉱物ヲ目的トスル鉱業権者ニ対シ其ノ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ爲サシメ又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得」とあります。國家管理の、今度の石炭鉱業管理法案が通らなければ、資金の横流し、或いは資材の横流しを取締れないようなことを、政府当局から、私はたびたび聽いておるのであります。或いは衆議院の質疑應答等についてもそういう問題がよく出ておるのでありますが、政府は重要鉱物増産法の第十七條及びその他のこの法律によつて檢査するということは全然やつていないのでありますか、その点を伺いたいと思います。
#38
○國務大臣(栗栖赳夫君) この檢査を実際やつておるかどうかということは一つ所管大臣から聽いて頂きたいと思いますが、私一松委員のお尋ねに対して、金融機関の檢査とか方法というものと経驗とを併せて申上げておきますが、この法律は傳家の宝刀でありまして、抜くぞ抜くぞと言つて実際は抜かん場合が今日まで多いのであります。そうして偶に一年に一回とか、三年に一回抜いたつて何にもならんのであります。そういう意味でございますので、この國管については常にこの経営というもの、増産というものと同一歩調で中に入り込んで行つて、即時にその実際を掴える。こういうような意味合で監査をより強力に行う。こういう意味で入つておるのでございますので、この趣意の規定とは余程意味が違うと思つております。
#39
○小林英三君 午後の時間も大分経過したようでありますので、総理大臣はもうすぐお出でになることと思いますが、至急に一つどうぞ……。
#40
○委員長(稻垣平太郎君) 今交渉しております。それから大藏大臣はちよつと他え、その筋に行かれる用があるそうですから……。
#41
○國務大臣(栗栖赳夫君) もう一回位はよろしうでございますから……。
#42
○委員外議員(一松政二君) 大藏大臣の御説明によりますと、赤字金融はしないという大体の方針だと伺つておるのでありますが、重要産業についても赤字金融はしない。併しながら現在まで、玉置委員からも発言されましたが、今の大部分の石炭鉱業者は殆んど赤字金融になつておると思うのであります。若し赤字金融をしないということであれば、これは経営が立ちどころに止るし、石炭も出ないということである。非常に困つて來ると思うのでありますが、石炭鉱業のみには赤字金融を続けるという御意思でありますが、その点をちよつと伺いたいと思います。
#43
○國務大臣(栗栖赳夫君) その点は曾て國会が開かれた当初に、本会議でも私申したのでありますが、いわゆる赤字金融に二つの種類があると思うのであります。一つは價格その他の改訂が遅れたとか、或いはそれが適当でないという場合に生ずる赤字であります。これは経営が拙いとか、或いはその他の欠点から來る赤字であります。後の場合については、これは建前といたしましても、又実際についても、これは十分避けるということにいたしておる次第であります。ただ前の場合につきましては、價格改訂のズレとか、或いは價格調整をするまでの金融ということである。而もその事業が緊要の事業であつて、國家再建のためにどうしても必要だというようなものについては、これは十分考えた上で行うということでやつておるのでございまして、石炭などはその例であります。併しこの七月に物價の改訂がありましたが、改訂があつてもそれが会社の算盤の上その他に現われて來るのは二月とか三月後であります。丁度十月であつたと思うのであります。そこでその間は赤字が價格の改訂が実効を現さんために出たのが沢山あるのでありますが、そういうものについては單に石炭のみならず重要な産業については、復興金融金庫をして金融をせしめておるのであります。それでございますから、今後といえども石炭ならすべて赤字でも金融するとは限りません。経営の合理化その他をすべき点は十分さして赤字をやめさせたいと思うのでありますが、併しその價格その他の点において出て來るとか、或いは差当り経営合理化をするにしましても時期的のズレがある。そのズレの間だけは金融を見るというようなことも考えられる。それを行つておるような次第であります。この種のことは外の鉄であるとか或いは肥料……肥料はちよつと今は大体一息ついておりますが、昨年の暮から春にかけてはその問題があつたのであります。それらのものについては十分実情に即して、緊要な事業に対しては金融をするという建前から例外的に考えておるのでありまして、それは一般金融機関ではできませんので、復興金融金庫をして行わしめておる。こういうような次第であります。
#44
○委員外議員(一松政二君) 私は大藏大臣にもう五六点伺いたいと思うのでありますが、今日は時間がないとすれば又の機会に留保させて頂きたいと思います。若し許されるならばもう一点だけ配炭公團に対する流動資金は大体いか程御予定になつておりますか、私が特に心配しますのは、午前中にも藤井委員からも目の先きに見えておるこの危機に際しまして、総理大臣はどういう考えを持つておられるのかという質問があつたような次第でありまするが、石炭の代金を回收するということは今後私は非常に困難になつて來ると思うのであります。それで各会社が殆んで金融に困つて來ておるときに、石炭の支拂は一番最後になるということは、今までの自由時代には大藏大臣百も御承知のことと思うのであります。そうして今の配炭公團では重要産業の方面には前渡しをしておるやに聞いておるのであります。恐らく税金と、電氣代と石炭代が必らずこれは滯るに決つておるのであります。その際に一方においては炭鉱業者は冬の輸送の不円滑その他において石炭の出るのが少いが、輸送ができなくなるために貯炭ができる。その貯炭ができた方に配炭公團は金融をしていない。積出したものについて金融しておる。一方には貯炭に対する金融もしなければならんし、それから支拂が滯るために配炭公團は可なりの金融が必要だと存ずるのでありますが、現在配炭公團にいか程の融資をしており、今後來年の三月頃までにいか程の程度を貸付ける予定になつておりますか、その点だけ伺つて、後は留保いたします。
#45
○國務大臣(栗栖赳夫君) この配炭公團を通じての金融という点については、今お話のような隘路のあることも私よく存じております。それから炭代の前渡をするということはいたしておりません。これはその筋でも問題がありますので、いたしておりませんけれども、成るべくその間の期間を短かく短縮いたしまして、この資金の支拂を効率的にするということはいたしておるのであります。その他これが重要産業に及ぼす影響、支拂が遅れたために各方面に及ぼす影響等も十分考えておる次第でございますが、実は配炭公團のお尋ねは今日はないかと思いまして、復金の数字を持つて参りませんでございますので、この次の機会に、或いは他の機会でもよろしうございますが、お讓りを願いたいと思うのであります。
#46
○委員長(稻垣平太郎君) 只今すぐ総理大臣並びに和田國務大臣もお見えになることになつておりますが、只今運輸省の加賀山業務局長、それからこの前お話がありました物價廳の第三課長がお見えになつておりまするが、その点について堀さんでございましたか、御質疑があつたのじやないかと思いますが……。
#47
○堀末治君 物價廳の方に伺いたいと思います。これは私昨日もお尋ね申上げたのですが、それは物價廳に聽けというようなことであつたと思うのでありますが、いわゆるこの五ケ年計画が他の工業と綜合的に計画されておるかどうかということをお尋ね申上げたと思うのであります。それに対して昨日物價廳にというような大臣の御答弁があつたので、どうも私その辺がよく分りませんので、その点を……。
#48
○説明員(東澄夫君) 私は物價廳の第三部動力課長でございます。石炭の値段の方を担当しております。お尋ねの点は、北海道の暖房用炭について、特定産業向けに値引きをしておると同じように値引きができないかどうか、こういつた点だつたと思います。その点につきまして、物價廳の意見といたしましては、この特定産業向けの値引きというのは、一般の石炭の價格が千九百八円が平均でございますが、それに対して特定産業の平均は大体六百円ということになつております。その後の價格千二百円と六百円の差額は、これは國庫から補給をしておるわけでありまして、いわゆる石炭價格調整補給金という名前で出してございます。これを設けました衛旨は、重要な工業生産品、その他重要な産業に、一般の石炭の値段をそのまま適用いたしますと、重要産業の生産品その他が非常に高い値段になつて來る、そのために物價政策上非常に面白くない結果を來すということで、この價格調整補給金を出しておるわけでございますが、
   〔委員長退席、理事川上嘉市君着席〕
 これは北海道の暖房用炭といつたような、或る地域に限られたローカルな問題ではなくして、日本全國民に影響すると、それをそういつた重要生産品の價格をできるだけ安い價格に止めて置きたいと、こういつた見地から、その特定産業の値引きということをいたしておるのでありまして、ただ一地域の住民に関係のある暖房用炭について値引きをするということは、この石炭の價格調整補給金の趣旨ではないのでございまして、この特定産業と同じように暖房用炭についてやるということは、困難に思われる次第でございます。むしろこの北海道の暖房用炭の問題については、賃銀その他の問題として解決すべきものではないかと、私共はこう考えておる次第でございます。
#49
○小林英三君 総理大臣がおいでになるまで、時間の経済上、いずれ私から商工大臣に対する御質問の中にある問題でありますけれども、政府委員で結構でありますからお聽き取りを願いたいと思います。
   〔理事川上嘉市君退席、委員長着席〕
 昭和二十三年以降の石炭の生産五ケ年計画でございますが、二十三年度の新鉱開発による出炭額二十万トン、これの鉱山並びに出炭量を伺いたいと思います。
#50
○政府委員(平井富三郎君) 昭和二十三年の新鉱の出炭予定を申上げますと、遠幌地区が五万トン、三井福住地区が四万トン、太平洋地区が五万トン、赤平地区が一万トン、小倉新鉱が二万トン、杵島五坑地区が三万トン、以上二十万トンでございます。
#51
○小林英三君 今御説明になりました新鉱というのは、これは全然新鉱という意味でございますか。
#52
○政府委員(平井富三郎君) これは現在すでに開発に着手しておる地区も含んでおるわけでございます。それから今後着手する地区も含んでおります。大体新鉱二十万トンと予定いたしました。この中の約半数程度は、現在開発に着手し、或いは計画に移つておるものが大部分であります。
#53
○小林英三君 この問題につきましては、今政府委員から説明がありましたが、後程商工大臣にゆつくり御質問申上げることに保留をいたして置きます。
#54
○委員外議員(一松政二君) 今若し時間があつて、皆さんが何ならば、今の物價廳の第三部の方でもよいのですが、物價廳の第一部長、第二部長はどうか知りませんが、公定價格の決め方において、利潤を計算していないということを、よく公聽会などに行つて発言されておるのでありまするが、今の公定價格制度には企業の利潤というものは見ない制度になつておるのかどうか、その点ちよつと承わりたい。
#55
○説明員(東澄夫君) 今の利潤の問題について御説明申上げます。この利潤は、自分で働いて儲けるべきものと、こういうような観念で、今度の物價体系にも織り込んでおるのでありまして、非常に能率の挙つておると申しますか、その設備に対して能率の挙つておるような業種につきましては、適正な利潤を織り込んでございます。例えば石炭のごときにつきましては、大体四%の利潤を織り込むと、こういつたふうにいたしております。それは業種によつて、いろいろとその能率その他を勘案して利潤を入れるか入れないかそれを決定しておるような次第でございます。
#56
○委員長(稻垣平太郎君) 総理大臣が見えましたから、総理大臣に対する御質問を願います。田村委員。
#57
○田村文吉君 先般來石炭の國管案が出ましてから、商工大臣の御説明その他を伺いましても、今度の國管案は全く増産のための國管案である。こういうふうに承つておつたのでありまするが、午前中の総理大臣の藤井君に対する御答弁の中に、石炭だけではないが、重要産業に対しては、國家がこれに関知し、場合によつては積極的に経営するというようなことが今日の時代としては必要なことであると、こういうふうの御答弁があつたのでありまするが、これは或いは結果においてそれが増産になるから、國家が関知し、或いは國家がその経営に参加し、或いは経営するということが増産になるからなさるという御意味で御答弁になつたのでありますか。それとも今日の時代としてはさような考え方で行くべきであるのか。今日の國管案は、三党の協定の下にできた國管案であるが、総理自体のお考えとしては、社会党の領袖としてのお考では、この意味は、國家が管理し、或いは所有し、或いはこれを積極的にやるということが、國民のために幸福である、こういう御意味でおつしやられたのであるか、そこに少しはつきりしない点がありますので、第一にこれを総理大臣にお伺いいたしたいと思います。続いて二三の質問をお許し頂きたいと思います。
#58
○國務大臣(片山哲君) この石炭増産案でありまするが、御指摘の通り、増産を目当としておるものであつて、決してイデオロギーに囚われておるものでないのであります。私の午前中に申上げました國家が國民のために、國民の幸福のために仕事をすると申しましたのは、この石炭問題について管理案を出すについての趣旨だけでありまして、増産のために國家が手を出すのである。増産をしなければ産業が発展しない。増産することについて政府としてはあらゆる努力を拂つて、できるだけの方策を講じて増産に邁進しようという意味で國家が管理をすることになつたのである。この点だけを申上げたのでありまして、延いては他の事業についても、國家が管理をするというようなことを言つたのではありません。又イデオロギー的にそういう観念を持つて今後の重要産業にも乘出すのであると、こういうようなことを申したのでもありません。單にこの管理案を説明するについて國家の立場というものを説明したのでありまして、一にそれは増産のために貢献をしたい。こういう考えであるということを申上げた趣旨でありますから、御了解は願えると思う次第であります。
#59
○田村文吉君 私も在來の御説明でも、亦総理の御意思もそこにあつたのだろうと私は考えたのでありますが、ただ午前中の何か知らんイデオロギーがあるかのごとくにちよつと取れるように感じたものでありますから、特にお伺いいたしたのであります。
 そういたしますると、第二に伺いたいのでありまするが、今度の國管案のような樣式が國家の生産を増加する所以の途である。こういうふうに現内閣のお考えでありますといたしますならば、ひとり石炭だけでなく、或いは鉄工業もあります。肥料もあります。その他重要産業がいくらもあるのでありまするが、これが増産のために役立つという樣式であり、在來すでに石炭も年々三割近くのものが増産しておるのでありますが、それに飽き足らずしてこの國管案をお出しになるということであれば、必らずこれが唯一の増産方法である。こういう固い御信念の下に御案が出ておると考えるのでありまするが、若しさような固い御信念があるならば、あらゆる産業に対してでもこの樣式を用うべきではないか。こういうことを伺いたいのでありまするが、さようにお考えの御自信があつてこそ、初めてのこの國管案に対する御趣旨が通るものとも考えるのでありますが、それにつきましての総理大臣の御見解を伺いたいと思います。
#60
○國務大臣(片山哲君) 私共社会党といたしましては、重要産業の國家管理というスローガンを揚げて、そういう政策を揚げておるのであります。この國民えの公約を守るということもかねて私が述べておることでありまして、そういう趣旨において重要産業の問題は取上げて行かなければならないとは考えておりまするが、それはその当時の経済状態、その当時の産業状態、延いては國家の財政状態、又國民のこれに対する理解というような客観的情勢、諸般の情勢を十分に考えまして、これを実施しなければならないと思つております。現在の我が國の状態は誠に疲弊いたしておりまして、経済的危機であるといわれております時でありまするから、今日においては他の問題を持つて参りまして、國家管理案の線に沿うて行うというところまでは、今日の程度においては考えていないのであります。私共のこと政策は時に應じ、事態に対應いたしまして小出しをいたしまして、順序を逐うて進んで行きたいと思つております。又全部の問題を全部的に行わないで、その一つの問題の一部分から行うことも考えておるのでありまして、揚げておりまする政策を一時的に、又数においてのみならず、量的にも全部的に行うことは不可能でもありましようし、不適当であるというようなことも考える場合においては、小出しをするのでありまして、その意味におきまして現在の危機を孕みまする、この弱つておりまする経済力に対應いたしましては、他の問題は差控えておるのでありまして、石炭問題に増産を目当として集中しておるような次第であります。
#61
○田村文吉君 私が当初に総理にお伺いいたしましたのは、この問題は社会党のイデオロギーとかそういう問題で出たのではなく、これは全く増産のための國家管理案である。こういうように念を押して総理から御答弁を伺つたのであります。でありまするから、若しこれが増産のために役立つ唯一の方法であると仰せになるならば、すべての企業に対して同様にすぐお取り行いになることが、いわゆる國民に忠実であるという議論になるのではありませんかと、そこで私はお伺いいたしたのであります。尚御承知のように、石炭の企業というものは、今から申しますると甚だ封建的である。こういうことを言われるくらいに或る程度ピース・ワーク、鉱夫の人たちがよく働いて余計出る。こういうような組織になつておる企業でありますが、企業全般から見ますと、或いは社会政策的に、電力であるとか或いは鉄道であるとか、かようなものは非常に公衆に関係が深い、こういう意味でこれを國有にするとか、或いは國家管理にするとかいうことの意味から出た問題であるならば、これは今日は議論の問題でありませんから、その点については私は申上げるのではありません。併し増産のためであるという場合に、石炭企業を考えて見ると、増産のためにする石炭の國家管理ならば、かような複雜なものができて行くということは、決して今日の石炭企業の本質から考えて、先ず第一に取り上げべき問題でないかのように考えられる点が多いのでありますが、而も尚これをお取り上げになる御自信があるということには、鉄工業も然り、又肥料も然り、あらゆる日本の産業というものは、こういうことにすることが確かに増産を早めるのだと、こういうことにならなければ、その理論が通らんように私は考えますので、お伺いいたしたのでありまして、その点の総理の御答弁が願いたい。
#62
○國務大臣(片山哲君) 肥料問題、鉄工問題につきましても、増産をしなければならないと考えております。併しイデオロギーを離れまして、又社会党の公約を離れまして、今日のこの窮境を打開しなけばばならないという意味において、石炭の増産を計画するための本案を出しておるのでありまして、國民の十分なる理解、又経済状態が進んで参りまするならば、肥料問題についてはやはり増産を目当として、イデオロギーに関係のない案で出すかも知れませんけれども、今日のところはまだそこまでは考えていないのでありまして、増産のためには國家が関係をして、そうして援助をして行かなければならないということは、午前中申上げた通りであります。併しそれは睨み合わして行かなければならない。今は石炭問題だけで行く。併しこういうやり方が増産になるということを考えておる次第であります。
#63
○田村文吉君 本問題はそのくらいにいたしまして、第二にお伺いいたしたいと思いまするが、午前中に川上委員からも労働問題についての御質問もあつたようでありまするが、殊に石炭企業は労務者を用いることが非常に多いのであります。でありまするから、この労働対策がよく行くか行かないかということは、石炭の増産には非常に関係の深い問題であると私は考えるのであります。いかにいろいろの施策が行われましても、労働対策がよく行つていないということでありますれば、恐らくは何も用をなさないということに相成ること程さように労働問題は重要な問題に相成つておると考えております。そこで私は、ひとり石炭企業だけの問題ではありませんが、今日は工場によりまして、平均賃金の三千円、或いは三千五百円、或いは四千円、実質賃金で申しますと、先刻もどなたかのお話の中に、一万円にも及んでおる人もある。かような人もあるかと思えば、一方においては千八百円のベースで釘附にされておる。今日千八百円のベースでやつて行けないことは、十分にお分りになつていなければならんと考えますが、凡そ政治は平らかなればこそ、そこに不平もなくなりまして、お互に耐乏の生活に忍ぶというような氣分にも相成るのでありますが、一方には非常に高賃金が拂われておる。一方には非常に生活もできないような最低賃金が拂われておる。こういうようなことで参りましたならば、到底世の中が平らかに治まつて行くということは困難である。こう私は考えるのでありまするので、そこで政府にお伺いしたいのでありまするが、最高の賃金を決め、最低の賃金を決めて、万民が耐乏生活の下にやつて行ける。こういうようなことについての政府はお考えをお持ちになつておりますかどうか、これを一つ伺いたいと思います。
#64
○國務大臣(片山哲君) 最低賃金制の確立というような問題が、かねて唱えられておるのでありまするが、なかなかこれもむずかしい問題でありまして、今の危機を孕む経済状態におきまして、労働者の生活を保障する最低賃金を確立するということは、いろいろの問題において困難が伴なうと思うのであります。やはり耐乏生活を求めて行く上においては、十分とは言えないけれども、辛抱をして貰う生活、從つて十分とは言えない賃金であるけれども、それで耐え忍んで貰わなければならない、こういうようなことになつて來ると思いまするから、今の状態において、数字的に最低賃金制を決めて行くということも困難であると同様に、最高の賃金を決めるということも、これ亦困難かと思います。採算のとれるように、経済的情勢と睨み合せて、お互に自粛して、そうして事業が健全に進むように、賃金はおのずから專業事業によつて適当に考えられて行かなければならないと思います。やたらに賃金だけ上げまして、そうして他面において無理算段をいたしておるというような事業は、健全なる事業ではないのでありまして、どこまでも健全なる建前で、公正なる経営方針でやつて行くことを期待いたしておる次第でありまして、今最高及び最低の賃金制を確立しようとか、定めようということは、困難であると思いまするから、そこまでは考えていないわけであります。
#65
○田村文吉君 先般和田長官からのお話があつた際に、千八百円ベースで行くが、必らずしもこれで抑えるという意味ではない。その事業が、合理化された経営によつて相当の賃金を拂えるならば、拂つても差支ないのだ。こういうようなことを私共は伺つておつたのであります。御尤もなことでありまするが、今日のみんなの不平はどこにあるかと申しますると、或いは闇商賣で以て非常に或る人は儲けておる。お互いの隣り同士でさようなことを申しておる。ところが、甲の人は鉄道に出ておるから賃金が安い。乙の人は町の工場の殷賑産業に働いておるから賃金がいい。かようなことが僅かの違いで、昔のようでありましたならば、問題はそう起らないかも知れませんけれども、その他の待遇でいろいろ又いい点もあるからというようなことで言い分もできるのでありますが、今日のような、非常にかような相違が出ておるままにしておおきになつたのでは、いかに千八百円ベースで、労働賃金からして惡循環を打切ろうと仰せになつたところで、これはできなくなることは、火を見るよりも明らかであると考えまするので、今それに対して最低、最高の賃金は考えておらんと仰せになるならば、いかにして今日の不平を救済する方法をお考えに相成つておりまするか、伺たいのであります。
 尚私はお伺いいたしたいのでありまするが、今度の國管案を全編を通じて拜見いたしますると、いろいろ國家がこれに、惡くいえば干渉でありますが、國家がこれに参画いたしまして、生産増強についてのいろいろの協議をなさる。かような点について、業者としてはいろいろの制肘を受けることに相成るわけでありまするが、労働に対する施策が、少しも殆んど見ることができないようなふうに、私は拜見いたしておるのであります。成るほど生産協議会の点において、労働者に各種の協議をするというような点はありまするけれども、いわゆる労働立法、若しも粉議が起る、爭議が起るというようなことがあつた場合に対処する方法というものは、その全編を通じて、少しも見ることができないように私は考えておりますのですが、どこかに、これはこういう点で、そういう爭議等は避け得るようなことを、今度の立法で考えておるというような点がありまするかどすうか、お伺いいたしたいのであります。
#66
○國務大臣(片山哲君) 第一の御質問には、私も申上げ、又大藏、安本長官からも、たびたびお答えしておることと思いまするが、現在の危機に対しましては、どうしても物價体制を守つて、千八百円のベースで、賃金水準というものも定めて行かなければならない。こういうことを守る必要があるということを信じておるのであります。これを壞しますると、いわゆる賃金と物價の惡循環が出まして、賃金を上げれば又物價も上る、物價を上げれば又賃金を上げなければならない。こういうことになつて、止め度なくインフレは進行いたしますから、インフレ防止のためには、どうしても水準としては、千八百円のベースを守つて行きたいと思つておるのでありまして、物價体制の調整はいたしまするが、この物價体制というものは、どこまでも堅持いたしたいつもりであります。但し労働大衆の生活を十分に守るためには、他に考慮すべき点も沢山ありまするから、これらの問題に対しましては、政府といたしましては、極力対策を講じまして、最善の努力を盡したいと思つておるような次第であります。
 第二は、労働爭議の勃発を防止する点は法文の中にはなくとも、全体といたしまして労働対策によつて十分にその防止を考え、且亦労働運動を健全に指導して、増産のために役立つようにいたしたいと考えておるのであります。労働省の設置及び今後におけるところの政府としての労働者の指導及びその啓蒙、教育、その生活の改善等につきましては、全力を挙げまして努力をいたしたいと思つておるのでありますから、この法案の中には盛る必がない、盛らんでもそれは他のもので十分に防止できるし、指導もできる、かように考えておる次第であります。
#67
○田村文吉君 御見解でありますから、とやかく申すべき筋ではありませんけれども、全編隨分長い法文で、生産協議会に対して相当長い條文が使われております。それにはいわゆる労働者側の生産参加というような意味で、これを利用して生産者、労働者が欣然労働意欲を発揮させるというような、こういうような御説明を商工大臣から承つておるのでありますが、今日石炭が出る出ないに最も重大な関係を持つのは労働対策でありますが、これに対して権利だけは與えて、義務は何も考えておらぬ。経営者には非常に数多くの罰則があるのであります。でありまするが、この労働者が今日の非常時下において守るべき義務については何一つも御設定がないのでありますので、聊かこの本案を拜見いたしましたときに、私共は奇異の念を持つたのであります。苟くも石炭増産のためにかような厖大なる法案をお出しになりましたからには、何かしら眞に石炭の増産になるようなことをお考えにならなければならないが、一番問題になるのは労働対策である。労働対策に関する問題をここにお盛りになつて、そうしておやりになつてこそ始めて或いはこの案の意味が立つて來るのであるが、何らのそれに対する御対策がないということを、私共この案を拜見したときに非常に失望いたしたのでありますが、何かそれではこの案の中に、そういうような労働者の権利はよし、義務に対して何らかの御案があるのでありましようか、こう思いまして伺つたのでありますが、只今の御答弁によりますと、これは一般の労働立法によつて決められる範囲であつて、この法案としてさようなことは全然考えておらん。これは石炭増産のために別段関係がないのだ。こういうふうに私共考えざるを得ないのでありますので、敢えて御所見を伺つて私の質問を打切りたいと思います。
#68
○國務大臣(片山哲君) 無関係であるとか、というように強くおつしやられましたけれども、この協議会でありまするとか、労働者の委員会でありまするとかいうような労働者の意思を反映せしむる場合において、これを健全に指導すべきは勿論でありまして、増産のための協議会であり、増産を目当とする労働者の意思を表示せしめるものでありまするから、産業の発展のための協議会とすべく指導すべきはもう当然であります。その意味における協議会でありまするから、決してこれは爭議をする協議会でもなんでもないのでありまして、不公平に書いておるわけではないと思います。細かい條文の点は商工大臣からお答えすると思いまするが、総括的に申しまして本当に労働者にも協力して増産のために働いて貰いたい。それがために働き易いようにし、且つ意見を公正に、且つ合理的に反映せしめて増産のために協議さそうというのが本案の意思でありまするから、その点を十分に御了承願いたいと存じます。
#69
○寺尾豊君 私は只今議せられておりまするところの臨時石炭鉱業管理法案、この審議に関聯いたしまする問題について、片山首相に二三の御質問を申上げて見たいと思うのであります。御承知の通り今期國会に提出をせられましたる諸法案中において最も重大性を持ちまするところのこの臨時石炭鉱業管理法案が去る日衆議院の鉱工業委員会並びに本会議において未曾有の紛擾を繰返し、且つ極めて不明朗なる異常の形において可決せられましたることは周知の事実でありまして、これは民主政治の第一歩でありまするところの第一國会に対して拭うべからざる汚点を残したと言わなければならないと存ずるのであります。而もこれによりまして本法案に対して特別の関心と関聯を持ちまするところの國民が、我が國会に対する信頼を尠からず失墜をせしめたことも又事実であると申さなければなりません。私は同じく國会の一議員といたしまして、この点非常なる責任を感じまするとともに、遺憾至極に存ずるところであります。片山首相に衆議院の今次の本法案の審議に当つて如何なるお感じを持つか、この審議が我が参議院に廻付せらるるについては正当なる、而も民主的なる審議方法によつて可決せられたるものであるか、我が参議院に廻付せられたものであるとお考えになるか、この点の御所見を承りたいのであります。
#70
○國務大臣(片山哲君) 寺尾君が今述べられました通り、衆議院におきまして議場が騒擾を起し、時間の延長に延長を重ねるという状態になりました点は誠に遺憾であつたと思います。私は議会政治の権威のために、又我が國民主政治の発展のために議会内において騒いだり、暴行が繰返されるというようなことは、極力防止いたしたいと思つておるのであります。論ずべきことは論じ、そうしてお互いにその決定に從つて行くということが民主政治の大道でありまするから、民主政治のためには誠に遺憾であつたと思います。併しこの問題が重要なる法案であり、又論ずべき点も多々あつたためにいろいろ昂奮いたしました結果、いくらか諒とすべき点もあると思いまするが、諒といたすといたしましても、暴行は絶対に排斥すべきものであるということは寺尾君と同樣であります。
#71
○寺尾豊君 併しながら今日となりましては首相も仰せられたように如何なる遺憾な点があつたにいたしましても、亦これに対するいろいろの議論が存するにいたしましても、すでに参議院に本法案が回付をされたのでありまするから、我が参議院といたしましては、新憲法の精神に基きまして特に公明なる態度、最も愼重なる審議を重ねまして、二院制度の妙を発揮すると共に、参議院の重大なる使命を果さなければならんことはいうまでもないのであります。重ねて衆議院において失われたところの國民の國会に対する信頼を回復をし、更に衆議院鉱工委員会がこの法案を一回の審議さえもなし得なかつたこの点に鑑みまして、同委員会の使命をも補足するの意義を果さなければならないと感ずる次第であります。然るが故に、本委員会は去る二十七日より以上の点に鑑みまして、各委員とも重大なる決意の下に、極めて熱心なる審議を重ねておる次第であります。然るところ極めて不可解なる事件がここに発生をしたかのように感ずるでありまするが、それはすでに総理大臣も御承知であるかと存じまするが、有力なる二三の新聞等に報道をされておるところを見まするというと、政府は、参議院における本法案が政府に必ずしも有利でないということにおいてであるか、或いはいかなる障害があろうともこれを強引に押切つて、参議院を通過せしむるという意図の下に発せられておられるのであるか、片山内閣の各閣僚をして参議院の鉱工業委員並びに参議院議員の縁故等を辿つて、戸別的に積極的なる勧誘をしておる、誘導をして強いて賛成を求めておるといつたような報道が見られておるのでありまするが、これが事実とすれば、片山首相が常に提唱をされておりまするところの道義精神、この面からしても私は奇々怪々のことではないか、曾て社会党が待合政治を頻りに攻撃をした等を考えまするときに、この政治の闇取引、これこそ待合政治にあらずして何ぞやと私は申上げたい。政府がその権力をバツクにして、この議員に各閣僚が手分けをして説得これ努める等は、民主主義に反するも甚だしきものであると私は深く信ずる者でありまするが、この点に対する片山首相の責任ある御答弁をお願い申上げたい。
#72
○國務大臣(片山哲君) ちよつとその前に、寺尾さんの先程のお言葉の中に、衆議院の鉱工業委員会が審議を怠つたというような……。
#73
○寺尾豊君 そうではありません。修正案の……。
#74
○國務大臣(片山哲君) 修正案のですか。私聽き漏しましたが……。
#75
○寺尾豊君 修正案の審議を一回もなし得なかつたということの、示されたけれども鉱工業委員会は修正案を一回も審議をせずして、まあ可決にはしましたけれども、せなかつた。その点から言つて、我々委員会だけが、片方であるが審議するのであるから、まあ衆議院のそれをも……。
#76
○國務大臣(片山哲君) ちよつとそれを聽きそこないまして、全体の審議を怠つたような意味に聽きましたので、衆議院の鉱工業委員会も、それまで二ケ月でしたか、相当の時日を要しまして、可なり愼重な審議を重ねたと私は聞いておるのであります。成るほど修正案につきましては、非常に切迫いたしておりまして、本会議で二時間の間で審議をして貰うということを本会議の意思として要求いたしましたので、恐らく委員会もその範囲内において審議しなければならないということで、切詰めたのではなかろうかと存じております。一言私の聞きましたる経過を申上げて置く次第であります。
 尚今寺尾君から、いろいろの御言葉がありましたが、私は参議院に席を占められておりまする諸君方、特に鉱工委員の重資を帶びておられまする方々は、眞に國家のために、今日の危機を乘り切るために、且つ又我が國の産業をいかにして発展せしめたならばいいか。石炭問題をいかに取扱うことが國家のために必要であるかどうか。こういうような観点に立たれまして、虚心坦懐公明なる立場に立つて職責を全うされておると深く信じております。その意味において、諸君が國会職員として職責を全うせられることを私は信じておりまするから、さようなるいろいろの流説が眞実であるや否やということにつきましては、殆んど齒牙に掛くるに足りない言葉であると考えておる次第であります。どうか諸君は、眞に大所高所より、國家のために御審議を進められんことを希望し、且つ又深く期待いたしておる次第であります。
#77
○寺尾豊君 これは又首相の御答弁が甚だ私の質問に対して的が外れておるかに考えるのでありまするが、私が総理大臣に御質問を申上げたことは、片山内閣の各閣僚が手分けをして個人的に……。
#78
○委員長(稻垣平太郎君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#79
○委員長(稻垣平太郎君) 速記を始めて……。和田國務相がいらつしやいますから、和田長官に対する御質問をお願いいたしたいと思います。
#80
○平岡市三君 和田長官にお伺いをいたします。今日石炭増産の基礎をなすところの各資材の需要量並びに割当量等、その入手状況を拜見いたしますと、極めて悲観すべき状態にあるわけであります。そこでその状況から見まして、今後、ここに政府からお示しにあづかつたような重要資材が來年度において入手できるかどうかということを考えてみますと、殆んど今日の電力の事情その他の経済事情から考えますると絶対に不可能ではなかろうかと、こう推察されるわけであります。鉄鋼だけの問題を考えてみますと、十月の鉄鋼の生産実績は、銑鉄二万五千八百二十三トン、遂行率八四・三%、普通鋼材三万七千三百八トン、遂行率七六・五%、これを九月に比較いたしますと、銑鉄において一割、普通鋼材におきまして二割の大減産をいたしておるわけであります。この原因が何処にあるかと申しますれば、御承知の通り電力の供給力が、この鋼材について考えますと、九月までの一ケ月八千キロに対して、十月は四千キロの減少をしておる。即ち送電が半減いたしておる工合になつておるのであります。これが今後電力だけ考えてみましても、急に復旧する見込はないわけであります。そういたしますと、結局ここで炭鉱を國管にいたしても、その裏附けとなる資材が十分獲得できないならば、その結果は結局官吏の数だけ殖やして國庫負担が殖えるに過ぎない。こういうような結果になるのじやないか。こう考えまして、政府から御提出になりました二十三年度の所要資材のこの相当高額な資材が獲得でき得るやどうかという見通し並びに信念を御伺いいたしたいと思います。
#81
○國務大臣(和田博雄君) 御答えいたします。石炭を掘りまするに必要ないろいろな資材の割当、それから供給の來年度の見通しでありますが、お話のように八月を最高にしまして生産がとにかく一割なり、ものによつては二割程度下つて來ておるのは現実であります。これは大部分は、一つは石炭の問題とこれは電力であります。これは異常な渇水でありますので、その面で電力が巧く参りませんので、生産が下つて來ておるういうのが現状であります。併し來年度の見通しとしましては、これは我々がそこに出ました数量はこれは是非確保したいし、又確保する見通しがあると思うのであります。要するに來年度においてどの程度に日本の経済の回復が行われるかということにつきましては、結局石炭を御承知のように、來年は三千三百万トンベースに一應いたして、いろいろの計画を考えておるわけでありますが、石炭が上つて來ることと、それからその石炭自体を増産することによつて他の、例えば物資が殖えますることによつて電力なんかの復旧その他のものが進みますれば、これだけで又生産が上つて來るということで、我々としては今の現実においては、非常に予期しない渇水で生産が下つておりますが、これは異常な渇水なのでありまして、御承知のように三月になつて來れば水の関係からいつて、毎年生産は電力関係から直ちに回復できるということになつて來るのが、これが常道であります。從いまして鋼材等の生産が今年は瀝青炭の輸入が思うように行きませんので、実は初め七十五万トンでありましが、今の見通しでは五十二万トンから五万トン程度に止まるのではないかという点を心配いたしておる次第でありますが、これも全体の石炭の輸入なり、或いはその他の條件が備つて來まするならば、又來年度におきまするならば、やはりプラスの面もあるのでありまして、私は資材の割当その他のものについて石炭関係が重点的な産業として來年度にもこれは資材、金融等において処理されて行きますならば、そういうふうに行く考えでありますので、その点についての御心配は余りないのじやないかと思います。今のところ石炭向の資材の入手率は、他の産業と比べますと、殆んど問題にならない程いいのでありまして、御承知のように石炭重点主義を採つておりますので、我々の方としましてはいろいろの資材につきましても予算の関係で切るということはいたさずに、石炭だけは是非三千万トンの増産は図りたいと思いまして、今年度におきましても惡い條件の中にありながら政府として割当なり何なりをいたしておるわけでありまして、最近の電力事情の惡化につきましては、御承知のように火力の方に向けまする石炭を五千七百カロリーのいい石炭を向けておるわけであります。外のものを切つてもそういうものを電力の方へ向けて、この冬場の渇水に対する電力の低下はそういう面からこれはできるだけ防いで行く、場合によつては進駐軍の方の石炭をも下げてもらつて、そうして電力の方に向けるなり、或いは外の方に向けて、日本の生産が落ちるということを極力防ぐ、こういうような方針で配炭計画も立て、又その他の輸入等についても実は懇請をいたしておる次第でありまして、何といたしましても、石炭そのものが掘れて來ませんと、日本の経済というものが、外からの急に多額な現物資本の導入でもありますれば、これ又別でありまするが、そうでない限り、やはり國内資源の最も有効な利用という面から言いましても、石炭はどうしても増産して行く、こういうことに全力を挙げて進んで行く、こういう方針でおりまするので、來年度の計画についての資材の面につきましても、今からそういうものが確保できるような準備をいたしておるような実情であります。そういうわけでございます。
#82
○平岡市三君 もう一つ長官にお聽きしたいことは、新物價体系で、石炭の價格が九百五十六円になりましたのでありますが、その新物價体系確立後におきまして、坑木は石百六十五円のものが倍にも上つておりまするし、その他の資材におきましても、相当値上げをいたしておるようなものが沢山あるように見受けるのでありますが、政府の発表によりますれば、この九百五十六円は値上げをしない。こういうふうに申しておりますが、その関係は如何なものでしようか。その点をお伺いいたしたいと思います。
#83
○國務大臣(和田博雄君) 政府が七月の初めに新らしい物價体系を立てまする時に、最初に石炭の價格、その他のものを三つ四つのものを決めたのでありますが、石炭の價格を九百いくらと決めた時に將來値上りするであろう、石炭に必要ないろいろの資材は、つまり原價の中に入つて來ますものにつきましては、値上り率を見込んでおるわけであります。そこで今の炭價を、その時のいろいろの事情等を考えまして、炭價をそのままに出すということは、政府はどうしてもやる考えはないのであります。その後いろいろの價格の改訂等において時間がかかりましたので、そうして炭鉱業の方面からも、依然として赤字だといつたようなことで炭價の改訂を要求されるのでありますが、併し炭價の決定をいたします時には、その時に考え得られる原價の中に見込まれるべきものの資材は含んでおるのでありまして、先般我々の方といたしましては、そういうような声がありますので、石炭の監査をやつたのであります。九州それから山口その他でやつたわけでありますが、この結果がまだ十分纏まりませんが、いろいろ原價監査の内容を見て見ますると、当然原價の中に織り込むべきものでないものも織り込んでおつたり、言い換えれば、原價の計算その他において間違いがあると思いまするが、何といつても一番大きないわゆる赤字と称するものの原因は、これは出炭率が低い。一人当りの出炭率が低い結果であります。我々の方としては五・七ということを標準にしておつたのでありますが、それが五くらいのポイントとなつておりますし、物によつてはそれより下つておるということは、言い換えると非常に労働者が多いが、そこにそれだけ又出炭が上つて來ないので、この一人当りの結局出炭率が下つているのが現状でありまして、これはやはり能率の改善によつては、当然に我々の予定しておりますように、言い換えれば、事業主だけ動いて行けば、これはその時の我々の原價の計算でやつて行つて、そう赤字になるものではない。黒字になるのじやないかと、それらの点は嚴密に査定の結果を今調べております。どうも今至急に変えて行くということは、我々としては、他の物價その他のものに大きな影響があるし、價格体系が、そう短かい期間に変えるということは、價格に対して、又延いては通貨そのものに対する信用に響いて來るので、今のところ変えて行くというそういう考えはありません。
#84
○平岡市三君 実は参考のために、やはり大きな山の方々から、余り詳しい原價計算表ではありませんけれども、一應参考のために、原價計算表を取り寄せて見たのでありますが、山によりますと、千三百円とか、或いは千四百円とか、或いはそれ以上、千五百円のコストになつておるわけであります。結局國管にするとか、しないとかいう問題も重要でありますけれども、政府の行うところの價格政策というものが、よろしきを得なければ、どうしても生産意欲は挙らんだろうと思います。そこで一つ自分らの、この山から頂つたところの業者の原價計算表を自分らが綿密に考え、監査して、いろいろ問い合せておるわけでありますが、ぜひとも官廳の方面でも、このコストに入れられるところのこのエレメント原價要素というものが適正のものであるかどうか、業者の方から出したものは、これは適正として入れるべき要素でないものが入つておりはしないかどうか、こういうことも、我々も比較研究して見たいと思いますから、できましたら、官廳でお調べになりましたところのコスト・シートを一つ御参考にさして頂きたいと思います。私が申すまでもなく、原價計算というものは、價格決定の基礎となるばかりでなく、それが一つの目的は、その能率判定の基礎になるのでありますから、一つできましたら、我々は両者を比較して、研究いたして見たいと思いますから、前以てお願いいたしておきます。
#85
○國務大臣(和田博雄君) その点はまだ完全にできておりませんので、細かいものは差上げられないと思います。こういうことを御了解を願いたいと思います。これは我々の原價計算主義でやりますが、その原價計算主義でやる場合に、労賃の方は一割二分を上げておるが、外のやがて改訂さるべき資材についても、改訂さるべきところの價格は、殆んど織り込済であります。問題は、能率が非常に、我々が想定した能率より低くなつておるということが問題であります。そこはやはり能率を上げてもらわない限りは、能率が非常に下つて、而もコストが上つたということでは、價格の改訂はむずかしい。どうしても能率を挙げて貰いたいと思います。それから價格決定に、原價計算が大きな意味を持つていることは勿論でありますが、今度は炭價の前決めを原價計算においてやりまして、そこに業者として目標ができて來る。前のように、あとから炭價が決つて來るということでなく、損失があつたら、損失の補償をするということで、業者から要求があれば、そういう方法を今度は採つて頂いたり、この点についても十分に改善をされて行くと思います。ただ山々によつて、それぞれの生産條件について差違があることは、これは良い山もあれば、惡い山もあるから、山の内部における或る程度の調整は、それは我々としても、例えば常磐炭なんかについて、炭價決定の場合に、特別な場合があるということは、山々の調整ということは、これはやはり今後いろいろの点で問題になつて、我々としても考えるべきことは考えてみたいと思いまするが、炭價の基本的なものを改訂するということは、これはちよつとできにくいかと、かように考えております。
#86
○小林英三君 安本長官がお出でになつておりますから、この機会に一二御質問をしてみたいと思います。安本長官は、安本令の第一條によりまして、資金、資材に対する企画権を握つておられる。それから尚安本令の分課規定によりますと、第七條に、動力局に於ては左の事務を掌る。石炭、亞炭、石油、ガス、コークスその他いろいろな物に関しまするところの政策及び計画に関するいろいろな事項、その二項におきまして、石炭、亞炭、石油、ガスその他コークス並びに電力に関する各廳事務の総合調整及び推進に関する事項、こういうものを掌つておるのでありますが、石炭の炭鉱國管案というものが万一出ました場合に、安本令との間におきまして、権限の調整をどういう方法でなさる御方針であるかということを承りたい。尚又國管案というものは、石炭の増産ということを目標として、政府が提案されておるのでありまするが、安本長官は、これに対して國管案というものが、石炭増産に対して最良の策とお考えになつておりますか。若しお考えになつておりますれば、その理由いかんということについて御質問いたします。
#87
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。この経済安定本部の、お読みになりましたように、一つの仕事は経済安定の施策についての計画、企画立案の基本であります。どこまでも基本というものをやつて行くということであります。商工省の方は、これは國管案が通りますと、國管案に基きます一種の権限というものは、実施事務、言い換えれば國管に基く主務大臣の権限というものが、國管を実施するについての各種の権限が與えられておるということになつておるのでありまてし、経済安定本部は、どこまでも計画立案の基本でありますから、その点はちつともダブる事柄はないのでありまして、國管案を立案いたしまするときに、種種そういう点につきましても檢討いたしました。経済安定本部のやりますことは、どこまでも計画立案の基本と、それから各廳事務の調整であります。國管案が通りまして、主務大臣の権限が、この基本に基きました実施専務ということであります限りは、ちつとも経済安定本部総裁との間に何らの権限の何はないと、かように考えております。
 それから國管案が増産についての最良の策であるかどうかという点についての私の意見をお聽きでありますが、私はやはり石炭を増産しまするためには、一つにおきましては、石炭の増産ということに対する、國家の企業者と労働者全体の者が、或る一つの纏まつた組織を持つて、言い換えれば、一つのはつきりした体制を整えて、石炭増産に当つて行くということが必要だと思います。
 それから石炭そのものを持つて來ますについては、これはいろいろのそこに経済的な、或いは社会的な各種の條件が、企業者側、或いは労働者側、或いは國民経済そのものの持つております現状という点からいろいろの問題がありまして、それらのものを、やはりこういう時代におきましては、無駄のないように、そこに統一して、そうして実際各人が、その中に謳つてあるように、恐らく商工大臣が説明されましたように、國家と企業者と労働者が一体になつて石炭を増産する。経済開発の基本である石炭増産に向つてやつて行くという点では、私共こういう管理は必要であり、又これが増産に役立つ、こういうことを私は信じております。今まで石炭の増産につきましては、終戰以來名内閣共に私はいろいろ政策をやつておると思うのであります。或いは資金の面でこれを援助し、或しは経済の面でこれを援助し、いろいろな点でやつて來たわけでありますが、やはりそこによき結果に必ずしも到達できなかつてという過去のこの経驗は、ここでこういう一つの纏つた第三者が相共に一つになつてやつて行くという態勢を整えまして、それぞれ増産に励んで行くということはやはり必要であろうと考えまして、その意味におきましてこの國管案というものが、石炭増産にはやはり十分役立つのではないか、かように考えます。
#88
○小林英三君 尚承りたいと思います。國管案に対しましては、政府はいつも、今和田長官もおつしやつたように、三位一ということを言つておられます。行政と経営と労働との三位一体には私も同感でありますけれども、併しながら何が故に石炭だけがこのような石炭國管案によらなければ三位一体という態勢が取れないのであるかということであります。石炭の出炭量というものは、昭和十五年には一ケ月四百万トンから出ておる。戰爭中においても三百万トンから出ておる。然るに今日は、この國管案において、本年度におきましては、三千万トン、來年度におきましては三千三百万トンというふうに、これによつて増産を行こうということが計画されておるのでありますが、私はこの昭和十五年、或いは戰時中と今日とを比べまして、余りにも出炭量に対する大きな食い違いがある。これは石炭國家管理によつて解決しようということにつきましては、大きな私は疑問があると思う。幸いに私は、この安本長官は、経済復興会議というものの、確か司会者であると考えておりますのですが、それで御意見を承りたいと思うのですが、從來この石炭の増産ということにつきましては、石炭復興会議というものがあつて、そうしてこれを政府が駆使して、事業家と労務者との間に相当の増産を挙げて來ておる。私はこの石炭の増産、戰時中と今日とを比べまして、或いは昭和十五年度の一ケ月四百万トンも出た当時と、今日とを比べまして、單なる國管法によつてこれが増産できるというような考え方でなしに、もつと私はこの三位一体ということにつきましても、石炭の復興会議によつて、政府がこれを駆使し、又労務者と事業家と共に協力一致してやつたならば、國管案によるよりもつともつと私は実際問題として増産になる。こういうふうに思つておりますが、長官としてこの石炭復興会議、先般來の新聞によつて何だか脱退したようなことも聞いておりましたのですが、これを若し脱退したものとすれば、復活して、そうして大いにこれを駆使して、石炭増産をなさる方がよいのではないかと考えますが、これに対する御意見を承りたいと思います。
#89
○國務大臣(和田博雄君) 終戰以來の各業務につきましては、石炭或いは肥料その他全般を統轄したようなものとして、各方面で企業者とそれから労働者とが一緒になりまして、復興会議が形式されまして、それぞれの分野において、これは程度においては差がりますが、十分に活躍をされておつたのであります。それは非常に自主的な運動として、我々としても大いに意を強くいたしておつたわけであります。石炭復興会議というものが、この國管案の通りました場合におきましては、やはり我々といたしましては、こういうものがありまして、側面から本当に石炭國管の実施を推進するというようにやつて頂きますならば、非常に結構であろうと思いまして、その活躍を期待いたしておる次第であります。復興会議との連絡といつたようなものも、これは國管案の施行後と雖も十分に政府としては重んじて、これに期待して行きたい。かように考えておる次第でありまして、石炭國管案というものは、片方で経営者と労務者と政府というものが一つになると共に、やはり石炭復興会議というものが側面にありまして、管理案の実施を推進して行くことになるならば、共にうまく行くのじやないか、かように考えておる次第であります。
#90
○田村文吉君 尚御継続になりますならばお尋ねいたしとうございますが、大分時間も経つておりますので……。
#91
○委員長(稻垣平太郎君) 和田國務大臣に又來て頂くということもむずかしいと思いますので、特に和田國務大臣に対する御質問がありますれば、なるだけなら今日済ましたいと思います。
#92
○田村文吉君 これは石炭の價格だけの問題ではありませんけれども、私は根本的に今の物價廳でお決めになつておる物價政策に実は疑問を持つておるのであります。それは昔からこの米の價格を決めますときには、深川の木場の相場で米をお買上げになつたというような関係上、深川の木場でいくらということでお買取りになつたその習慣が今日依然として残つております関係であつて、私は米は現在のままでよろしいと考えておるのでありますけれども、石炭とか亞炭とか木材のようなものは、木材は若干これは変態的な形になつておりまして、これは生産地の價格と消費地の價格との丁度中間くらいの價格になつております。それで今約九百六十五円でお買取りになりまして、その地元で使うときには千二百円とか千六百円とかいう價格で実は使つておるのであります。公團の諸経費を差引きいたしましても、生産地における消費者の價格というものは非常に高いものを実は使つておるのであります。これは統制上その方が便利だからというのでおやりになつておるのは一面分りまするが、このために生産者の生産意欲というものが非常に妨げられておるということは、私はあらゆる物價について実は痛感しておるものであります。これは統制なさるならなさるで構わんが、なんとか生産地における價格は、廉いところは廉く配給してやり、高いところは高くしてやると、こういうことを根本的にお考えにならなおいと、折角お決めになる價格政策が、どうも生産者に対して、甚だ生産意欲を増進しないかのような感じを始終持つのであります。これはひとり石炭だけの問題ではありませんが、取敢えず石炭の例を申上げても、亞炭の例を申上げても、この間も亞炭局長からいろいろお話を承つたのでありますが、山形縣へ参りますと、生産者の價格は非常に廉いが、今度その地元で頂く値段というものは二倍以上にもなつておる。こういうようなことで、これは公團が儲けるのだというふうに初め考えておつたのですが、公團も昨今なかなか経費が掛るということもありますが、それだけの問題でなしに、今の全國均一價格の問題からそういう結果になつておる。木炭のごときもそうであつて、東京の町の眞ん中と山の中と同じ値段であるということが大体間違つておる。そういうことであるから、生産意欲というものは非常に邪魔されるというように私は考えておるのでありますが、丁度石炭問題の價格の問題にも関係することでありますので、長官のこれに対するお考えをもう一遍伺いたいのであります。
#93
○國務大臣(和田博雄君) 價格を考えますときに、今の自由経済と統制経済の混淆しておる、而かも統制されておる物資について考えますときに、生産者の價格と、消費者の價格とを一應まあ別にして考えて見たいと思います。生産者が生産意欲を持つか持たんかということは嚴密にいえば、その價格でペーできるかどうか、言う換えれば利潤なら利潤というものが生むだけのものがあるかどうか、こういうことだろうと思うのであります。そこでその限りにおいては、我々の方として原價計算主義によりまして、普通のコストというものがやはりペーをして行く。そうして特別の事業、特殊のいいものについては若干の利潤も認めて行くという方式を今採つております。從つて今の統制経済の時代においてそういう方式でやつておるわけであります。消費價格の面はどうかというと石炭などについては生産者價格でそのまま配給をし、その他運賃を加えて、そうして全部消費者へ渡すということになつて來ますると、そうすると高い炭を使う。そこに産業が出て來るわけであります。そういうものはやはり政府としては重点的な生産操業というものを而もできるだけ價格の面において非常に高い價格にならないように、基本的な物資のそういう石炭なんかについては、この産業については特別な安い消費價格を出して、それは價格差補給金という形によつて國民全部が負担しておる、こういうふうにいたしておるわけでありまして、重点的産業別にそこに消費者價格と生産者價格との間で差をつけておる、こういうふうになつておるのであります。生産者價格の場合において生産ができるかできないかという問題で、原價をペーするかどうかという問題の外に、生産條件が非常に違つておるわけなんです。山なんかにつきましても、御承知のように非常にいい山はコストが安くて、いい炭ができる。非常に惡い山はコストが高くて、あまりいい炭も出ない。こういうふうになつておるのでありまして、そこで若しこういう價格の決め方をすれば、非常にコストの安いものについては、コストはコストとして、原價主義を取らず、或る一定の平均的な高い價格をおけば、そこに利潤があり、いいものがどんどん出て來るわけであります。その代り限界價格を取らん限りは、能率の惡いコストの高いものは滅んでしまう。赤字がしよつちゆう出るという結果になるわけであります。政府はそこのところをそうやらずに、原價主義というものによつて、できるだけそういう矛盾を避けて、原價生産費は無論とりませんが、限界より少し下つたところで実際値段を決めて行こうということにして、プールを廻しておる計算上にはなつております。これを山別にそういうことを決めて行けば、それはそのあいだに滅ぶものもそたば、滅ばんものも出て來る、こういう結果になろうかと思うのあります。そういう方法を取ることは、今のような状態の下においては、私はまだ妥当ではないと思いまするので、今までの原價計算主義の方式によつて、生産者價格を決めておる、消費者價格は産業別に非常に重点的な産業には安くやつておる、こういうわけです。木炭なんかにつきまして、中間の生産市場における生産價格、その生産價格は運賃プールをします関係上高いものになるわけです。郵便を隣りに出すのも一円なら、北海道に出すのも一円、同じようにプールをやるものですから、炭なんかについては、生産地の生産價格と消費者價格は、こんな開いて、一見不合理になるわけです。從つて闇値段が出るし、場合によつては滞貨なんかできると、消費者價格より安くなる、こういうことになつて、矛盾ができるわけです。その点については、我々の方といたしましても、運賃プールの経費を入れますために無駄があり、一般の需給関係で下つて來るということは、これはどうしても矛盾でありますから、今度木炭関係につきましては、その点について十五円だか二十円であつたか、数字は忘れましたが、その見当で地方長官においてその範図はつけてもよろしい、消費者價格を決めてよろしいという権能を委譲いたしまして処置いたさせておるわけであります。これはやはり非常にむずかしい点でありまして、どちらを取つてもやはり一利一害であります。個別的に地域的に樂な生産條件の違つたものを、個々別々に價格を決めて行くというふうになつて來ますと、煩瑣でもありまするし、又その間に非常な混乱が起り易いのでありまして、どうしてもそのいうものについては、この制度を認めて、非常に有利なものを或る程度我慢するということで、お互に歩み寄つて、一つの價格というものを形成して行くということが、今まで取られて來た方式でありまして、私は今まではそういうような生産物件にある、そういうことでよかつたと思うのであります。併し價格のそういう決め方につきましては、これはいろいろ又今後の情勢の変化によつて研究すべき点は多々あると思います。今まで私も長い間價格の政策をやつて來まして、價格の決定、殊に自由市場のない統制物資の價格の決定については、統制價格自体が一つの政策價格ですから、嚴密な意味の需要供給によつて決定される市場價格でないのでありますから、そこらの点については統制の能力、或いは政府の政策の重点を置くところによつて、價格政策そのものの決定というものには、やはりいろいろ研究する余地があると思うのであります。物價廳としてもいろいろの点でそういう研究はしておるわけでありますが、只今のところではそれを急に変えて行くというだけの何もないように考えられる次第であります。
#94
○田村文吉君 今生産者價格の問題について、私の申したのは原價主義によつてやるべきだと云うのでなく、現在やられておるような價格よりも、地区別に價格を決めてはどうか。全國プールでやるからといつても、私はやはり値段の高くつく所では、高くお決めになつて差支ないのです。この問題はいずれ機会を見て長官の教えを私頂かなければならんと思いますが、今の日本の経済の状態で非常に無理があると思うのは、先刻あなたからお話しになりました十五円や二十円の違いではないのです。山の中の炭燒が其処で使う炭も、東京の町の眞ん中の、えらい運賃をかけて持つて來た、非常に渇望されておる炭も、同じ値段で賣らなければならん。こういうことがすべての流通秩序を紊乱し、壞す本になつておる。こういうことを我々は少しここで考えて行かなければならんと思う。石炭の價格にしても、電燈、電力にしてもそうであります。山の中の始終不便な所、非常に條件の惡い所で使う動力も、東京の町の中で生産條件の非常にいい所で使う動力も、皆同じ値段であるということは、今後の國土計画の上から考えても、あらゆる点から考えても、かような不合理が存在しておるというと生産というものは上つて來ない。こういうことを私は常に考えておりますので。こういう点について何かお考えをお持ちになつていらつしやるかどうか伺つたのです。別に今日直ぐ御答弁を頂かなくても結構ですが、この点があらゆる物の生産の面において非常に大きな隘路になつておる。もう少し銘々の創意、工夫、自由をこの統制経済の中の盛り上げるということが必要であるに拘わらず、依然として全國の價格が均一である。こういうふうなただ机の上でできた統制で、物價を決めておいでになるということに非常な無理があつて、生産がこれがために多大な障害を受けておる。こういうふうに私は考えておりますので、敢て長官の一考を煩わしたく考えます。
#95
○國務大臣(和田博雄君) 生産價格につきましては、実際生産地主義を採つて行けば各縣別に非常に違つて來る。或る所では非常に安くなり、或る所では非常に高くなる。それなら非常に高くつく、例えば北海道の米の生産費、これは恐らく他の生産費より非常に高いと思います。そこで仮に非常に高い生産費というものを取りまして、價格を決めれば、石何千円ということになつてしまう。それを消費者に、北海道の米は北海道で食うのだからと、そのまま高くやれば北海道の産業が興るかといえば決して興らないと思う。そういうふうに物によつて個別的に、地方別に生産條件が違うということは、結局生産費が違うということでありますから、地方別に價格を決めて行くことが統制経済をやる上において、いいことであるかどうかという点については、私はやはり不合理な部分が結果的に非常に多くなる。こういう考えであります。そこでお話のような点で、ただ生産者價格と消費者價格のマージンが余り開き過ぎると、その際において生産者價格は決つて、それに農民の方で、木炭なら木炭生産者の方でペイすればいいが、消費者價格が非常に高いと、何か自分たちはごま化されておるのじやないかということで、生産者側で感情的な不平があることは分るのでありますが、そこでそういう点は論理は、プール計算というものをどうしてもやれば、結果的にはそうなることは分るのでありますが、生産者の側から行くと、生産者價格と消費者價格は余りに開き過ぎると、或いは途中で中間の商人なり、或いは公團なり、営團なんかが何か特別の利潤を得ておるのではないか、こういう疑を持つて、生産者の心理にぴんと來ない点があるわけでありまして、そういう点は、中間の経費というものをできるだけ合理化して進めて行くという方向で、やはり消費者價格と生産者價格の開きが余りないようにして行かなければならんわけでありますが、そこも亦一面からいうと、その中間の販賣或いは配給に携る者の利潤といいますか、そこのマージンが余りに低いということになつて來ると、又誰もそこで働く者がないということになつて來ますので、そこらの、やはり社会的な今のような動搖期におきましては、一定の基準というものを求めるのが非常にむずかしいのでありまして、それらの点において、我々の方としてはできるだけ社会的な常識にも合つて行くようにいろいろな点を改善して行きたい、こういうふうに考えてやつておるわけであります。
#96
○委員長(稻垣平太郎君) それでは今日はこれで散会いたしまして、明日は午前十時から開会いたします。
   午後四時二十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
   委員
           カニエ邦彦君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           岩木 哲夫君
           林屋亀次郎君
          深川榮左ェ門君
           楠見 義男君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
  委員外議員
   商業委員長   一松 政二君
  國務大臣
   内閣総理大臣  片山  哲君
   大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
   國 務 大 臣 和田 博雄君
  政府委員
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
  説明員
   総理廳技官戰災
  復興院炭任課長  内藤 亮一君
   総理廳事務官物
   價廳第三部動力
   課長      東  澄夫君
ソース: 国立国会図書館
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